約 19,734 件
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/6750.html
648: 635 :2020/12/30(水) 21 26 26 HOST 119-171-231-231.rev.home.ne.jp 銀河連合日本×神崎島 ネタ 民俗学者が見た神崎島番外編 四ノ島 彼岸舟 常世神宮にいた筈の柏木は赤い海を彷徨っていた。 血のように朱い夕陽で血色に染まり幾つもの人影が夕陽を見上げ佇むそんな海の上に柏木はいた。 その人影を他所に沈む夕日を背に遥か遠くに見える白く輝く太陽を天に頂く青い海を目指す青白い肌をした無数のヒトガタ達 その中には柏木が見たことのある姿も見受けられた。 声を掛けても返事はない、能面の様な表情をしたそれら、感情もなく柏木の存在も感知していないような様子で去っていく。 ここが何処か分からず途方に暮れる柏木であったが、 血のような夕陽の彼方、昏い昏い夜の海でナニかが自分を呼んでいた。 それは母の声の様な優しくも恐ろしい声。 その声に導かれ人間である筈の柏木が艦娘の様に海の上を行く、しかしその姿は夢遊病者ようであった。 幾人ものヒトガタとすれ違うが柏木もヒトガタ達も互いに気にすることはない。 黒い光の柱、海に口を開けた漆黒の穴、そこから多くのヒトガタが姿を現す。 その先、柏木が辿り着いたのは広がる紅い紅い血のような彼岸花の咲く花畑。 佇むのは深海棲艦の様な女、その身体は朽ち、よく知る深海海月姫の様にいやそれ以上に爛れている。 女がこちらを向く。 柏木は女が纏う濃密な死の気配に鳥肌が立つ。 突然の足元に柔らかな感触を感じ我に帰る。 柏木の側には一体のくちくいきゅうがいた。 そしていつのまにか死の気配を持つ女は姿を消していた。 くちくいきゅうはこっちへ来いとでも言うように歩みを始めた。 戸惑いながらも柏木はくちくいきゅうに着いていく。 その先には葦で編まれた舟が一つ、くちくいきゅうは柏木にそれに乗れと促す。 戸惑いながらも乗り込むと舟は一人でに動き始め、柏木は意識を失った。 「…ン、マサトサン!」 妻の呼ぶ声に気づけば柏木は常世神宮にいた。 649: 635 :2020/12/30(水) 21 27 08 HOST 119-171-231-231.rev.home.ne.jp 「こうしてその姿で直に話すのも久方振りだが、世界を越えてもなおその姿は解けないのだね…。」 「はい、ただの毒物が原因であった筈なのですが、なぜ世界を超えてもこの姿のままなのか…。」 「最早あの平成の世の民達のその姿への信仰とも言うべきものがかくあれと定義してるとしか思えないな。」 「私は英霊で無辜の怪物の類かなんかですか!?」 「元伝説の宰相で彼岸の存在でもあるのだからあながち外れてもいないのでは?」 柏木は彼の方と会話をする深海棲艦を見つめる。 深海棲艦に多く見られる白に近い髪に磁器のような白い肌、そしてFlagship級などの高位深海棲艦に見られる金色の瞳。 ここまで見れば通常の深海棲艦であるのだが…。 磯風ボイスな深海棲艦、というか深海棲艦の提督であった深海磨鎖鬼。 伝説上や歴史上の人物が登場する創作作品があるのだが、容姿がその作品上のやがて来たる王の一側面に似ていた為、 世間というか世界的に騒がれている人物である。 ついでにこの話を聞きつけた英国が情報提供と共に大英帝国の家長と深海提督との会談を神崎島へ打診していた。 その上「家(国)の英雄は神崎島に実装されているのか!?」と世界各国からの問い合わせが外務省に殺到していた。実装言うなし。 そのために外務省は「俺たちはFG○運営じゃねえ!」と叫びつつてんてこ舞いであると白木は愚痴っていたことを柏木は思い出した。 そして思うあの白昼夢の女性は彼女と同じ深海棲艦なのかと、深海棲艦とはなんなのかと。 彼の方が席を立ち、深海提督がモキュモキュと擬音が出そうな勢いでヤケ食いを始めて暫くし、 柏木は深海提督の元へ行った。 「ふむ、我々の存在は何かか…。なかなかに難しい質問だな。」 深海の提督は顎をさすった。 柏木は目の前の人物がやはりやがて来たる王やその側面とは違う人物だと感じるがやはり姿を重ねてしまう。 「難しい質問なのですか?」 「逆に聞くが、君は日本人とは何か、人間とは何か答えられるかね?」 柏木は答えに窮した。 その様子に深海の提督は愉快そうに笑った。 「そうそれが普通だ。自分や自分の民族、国民、人種、種族についての定義など星の数程存在するものだ。 我々はかつての大戦の死者の怨念かもしれない、人が戦場に置き去りにした後悔や無念かもしれない。 あるいは誰かの見た夢かはたまた独逸の言うセイレーン(海の魔女)なかも知れない。 ああ、大陸の言うKAN-SENとやらと戦う方との可能性もあったな。」 650: 635 :2020/12/30(水) 21 29 12 HOST 119-171-231-231.rev.home.ne.jp 柏木には熱に浮かされたかのように言葉を発するその姿は国民を動かす政治家(デマゴーグ)にも見えた。 熱を収めた彼女は意地悪そうに笑いながら柏木に問うた。 「さて参考までに君の意見を貰えるかね?我々深海棲艦は日本人である君にどう映るのか?」 艦娘の対存在、沈んだ軍艦の怨念或いは荒御魂、旧日本軍の亡霊。 ネットなどで噂される話の数々。 それも一側面であるだろう、しかし柏木には別の考えがあった。 美術史の一貫として様々な異界を学んだ者として、あの夢の光景を見た一人の日本人としての考え。 彼女らが来るは永久に逢魔が時の如き夕陽沈まぬ真紅に染まる海 彼女らが治めるは何人の生命も寄せ付けぬ死の海域 彼女らが出づるは深く昏き海の底 その最奥は鬼や姫が坐すは黒キ陽が登る、紅い紅い彼岸花の咲く暗黒の妖域 罪過の流れ着く地、悪霊邪鬼の根源、妣の国、即ち豊葦原千五百秋瑞穂国の太母の鎮まる道反之大神の向こう側、 黄泉の国の軍勢黄泉軍の舟、彼岸の舟ではないかと。 「そうかそうか、君にとって我々は亡者であると……。」 「………(汗)」 深海の提督の身体からナニかが溢れ出る。 その様子に柏木は冷や汗を流す。 「ククク、そのように緊張しなくても良い。ただ聞いてみたかっただけだ。」 柏木の様子を見て深海の提督は相好を崩した。少し脅かしただけだと。 柏木はほっと息を吐く。 「まあ我々がなんであるかはどうでもいいことだ。我々は我々なのだから。 しかしそこらは興味本位で突っ込んで余り良いことはない。それだけは覚えておきたまえ?」 深海の提督はニヤリと笑った。 そして柏木はあの死の匂いを纏う女について問う。 それを聞いた深海の提督はしばし瞑目し、ゆっくりと目を開くと言葉を出したその存在のことは忘れろ、と。 その真剣な表情に柏木はコクコクと何度も頷くしかなかった。 そして深海の提督は懐より小さなお守りのような物を取り出すと柏木に渡す。 「これは?」 「私がこの姿になった時にいつの間にか側にあった剣の鞘、その一部だ。 現在は私という深海棲艦の一部でもある。まあ気休めにしかならないが穢や夜海を退ける程度の効果はあるだろう。」 それは程度というレベルの効果と物じゃないと柏木は顔を引き攣らせた。 651: 635 :2020/12/30(水) 21 30 02 HOST 119-171-231-231.rev.home.ne.jp 以上になります。転載はご自由にどうぞ。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/4283.html
469: ハニワ一号 :2017/01/23(月) 20 05 59 幕末神崎島×豊臣夢幻会ネタSS 時は幕末。 豊臣家の領地である越後国長岡藩にあるお城の一室で彼ら夢幻会は日本海に転移してきた島の対応をついて話し合っていた。 「まさかハフマン島そっくりな島が日本海に転移してくるとは思いませんでしたな・・・。そして島の住人達は艦これの艦娘や深海棲艦、妖精さんたちと彼らの主である提督たちとは・・・。」 「しかも彼女たちと転移してきた島の主は現代日本に似た世界に神崎博之として転生した嶋田さんで艦娘や深海棲艦、妖精さんたちのハーレム生活をしていたのですから驚きですよ。」 「まさか姿形は違えど、世界を越えてもう一人の自分(神崎提督)と出会うとは思いませんでしたよ。」 この世界の嶋田繁太郎である豊臣慶秀は苦笑しながら言った。 豊臣慶秀は日本海に転移した神崎島とファーストコンタクトを果たした時の騒動を思い出していた。神崎島が日本海に転移した時に奇跡的に最初に出会ったのは幕府でもなく他の藩でもなくロシアなど外国でもなく豊臣家所有の船でありその船にたまたま転生者が乗り合わせていた事が始まりだった。神崎提督は憂鬱世界での記憶を失っていたが豊臣家の転生者と出会ったことによって憂鬱時代の記憶を思い出したのだった。 「できればあの世界(憂鬱世界)での事は永久に忘れていたかった・・・。」 とは憂鬱世界の記憶を取り戻した時に神崎提督が最初に発した言葉であった。 神崎島についての報告を受けた豊臣家の夢幻会の面々は半信半疑であったが艦娘や深海棲艦、妖精さんたちの存在をその目で確認すると最初は大歓喜になるもすぐに絶望することになるのだった。何しろ艦娘、深海棲艦全員が神崎提督と結婚済みだったのを見せつけられたからだ。 「人妻艦娘もいいものだ・・・。」 「好きだった艦娘が神崎さんに寝取られた・・・。ヤバいNTRに目覚めそうだ。」 「貴様らショックなのはわかるが正気に戻るんだ!!」 艦これ提督であった豊臣家の転生者たちをダークサイトに落としたり新しい世界に目覚めさせたり、しっと団が誕生したりするなど大騒動だった。 だが 「たとえ神崎提督の妻になっても彼女たち艦娘、深海棲艦のファンであることをやめるつもりはない。これからも艦これと艦娘、深海棲艦を一ファンとして愛し続ける。彼女たちと神崎さんとの結婚を心より祝福します。そして神崎もげろ。」 が艦これ提督だった転生者たちの総意であった。 「しかし神崎提督は我々に面倒事を押し付けて引き籠るつもりのようですね。前世で苦労した事を思えば引き籠る気持ちも理解できますが・・・。」 「ええ、神崎鎮守府は神崎島に接触しようとする幕府や他藩、外国勢力に対して豊臣家を代理人にしたから豊臣家に話を通せと言っていますね。しかも神崎島は豊国大明神に頼まれて豊臣家に助力するためにやってきた神々であると名乗っていますね。神崎島の警告を無視して強行に神崎島に接触しようとする勢力に対しては容赦なく撃沈も辞さずの対応をしているようですね。」 「神崎モンロー主義か・・・。艦娘や深海棲艦という世界最強の武力を保有しているからこそできる事だな。うらやましい事だ。我々も面倒事に巻き込まれずに引きこもりたいのに・・・。」 そういって豊臣夢幻会の面々はため息をついたのだった。 そう神崎提督と神崎鎮守府は現世の諸々の面倒事は豊臣慶秀と豊臣夢幻会を代理人にして神崎島に引き籠る道を選択したのだった。神崎鎮守府から神崎島の代理人を押し付けられた豊臣家だがその代価として神崎島利権は豊臣家の独占となったのだ。 470: ハニワ一号 :2017/01/23(月) 20 06 43 何しろ神崎島から無償で莫大な金銀財宝や各種資源や妖精さんによる近代化指導や技術支援、そして武器弾薬などの様々な援助が得られたことによって豊臣家は一有力大名でありながら世界最先端の科学技術と最強の軍備、世界で最も財政が豊かな金満大名になったのだ。(神崎島から贈られてきた莫大な黄金の山を目の前にした豊臣家の財政担当者が狂喜乱舞したのは言うまでもない)神崎島の支援の一例として大河津分水路が完成した事があげられる。大河津分水路が完成したことによって豊臣家は巨大な米どころとなった新潟平野を得ることができたのだ。このように神崎島の代理人となった事で豊臣家は莫大な利益を上げていたのだ。 「当然のことながら豊臣家が神崎島利権を独占している事に幕府はいい顔をしていません。」 「まあ、当然だな。自分たちが幕府と同じ立場だったらいい顔はしないわな。」 「とはいえ老中の阿部はこれまでの豊臣と幕府の経緯もあって豊臣家を刺激する事には慎重で穏健に豊臣家と交渉する事で解決しようとしています。ですが代価として豊臣家に与えるアメをどうするかで頭を痛めているようです。また幕府内で神崎利権を独占する豊臣家に対する強硬論の声も大きく特に水戸と井伊のあたりが大きいようで。」 「人の口に戸は立てられぬとはよく言ったもので幕府内の強硬派の主張が幕府の外にも漏れ伝わって幕府が神崎島利権を取り上げようとしているとして豊臣家家中は大激怒ですよ。自分たち転生者たちが暴走しないように押さえていますが一戦も辞さぬ覚悟ですよ・・・。」 「神崎島の援助によって我が豊臣家の軍備は史実チハを始めとする史実昭和陸軍の装備を運用していますし豊臣海軍の方も同様に援助によって強化されていますから仮に幕府と戦っても負けることはあり得ません。また神崎鎮守府からは豊臣家と幕府が戦争になった場合の外国勢力の対処は神崎鎮守府がやってくれると言っていますので日本を狙う外敵の心配はしなくていいでしょう。」 さらに会議は延々と続いたが幕府については老中の阿部と交渉して穏健的に解決する事を優先する事で話は決着した。 しかし彼らは知らない。神崎島をめぐる豊臣家の扱いの対応に加えて将軍継嗣問題も重なって穏健派である老中の阿部が心労により急死して井伊直弼が史実よりも早く大老に就任して徳川幕府の実権を強硬派が握る事になる事を・・・。 471: ハニワ一号 :2017/01/23(月) 20 07 42 あとがき yukikazeさんの幕末豊臣夢幻会と神崎島のクロスネタSSです。 幕末豊臣夢幻会のSSを読んで幕末豊臣夢幻会と神崎島をクロスさせたらどうなるかと思い本作を書き上げました。単発ネタではありますが幕末豊臣夢幻会と神崎島がクロスした世界を想像する一助になればと思います。 本作に問題があれば削除いたします。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/5306.html
362: ウルトラ星人の人 :2018/06/15(金) 12 33 42 ふと、こんなネタが降りてきた・・・ 神崎島 鎮守府 コンコン 鹿島「提督、来たようです」 提督「・・・入ってくれ」 霧島「金剛型4番艦、戦艦霧島きました。・・・で、何か御用でも?」 提督「う、うん・・・霧島、最近調子はどうだ?トラブルとか姉妹喧嘩とかないか?」 霧島「別に金剛姉様達とは仲良くしてますがどうかしたんですか?」 提督「・・・鹿児島県霧島市と言えば分かるよな・・・」 霧島「・・・ああ、霧島山の噴火ですか・・・」 提督「そう、あの山から名前を頂いたお前が霊的に繋がりがあって お前が山に影響を及ぼしているのではとネットで話題になってな・・・その確認だ」 霧島「ネットなんかに踊らされてどうするんですか!」 鹿島「そうも言ってもいられないのよ・・・これ」 ドサ!ドサ!ドサ! 段ボール一杯の嘆願書がいくつも・・・ 霧島「これってまさか・・・(滝汗)」 提督「そのまさかだ・・・霧島山周辺に住んでる高齢の方々からの嘆願書だ 同じような嘆願書が鹿児島・宮崎両県庁と宮内庁にも届いているらしい てな訳で、金剛型4人全員は宮崎県、霧島東神社にて行われる鎮魂の儀式に参加しその後周辺市町村に慰問訪問してくるように!」 鹿島「なお、総ての日程終了後なら近くの温泉街で一週間ほどのんびりして来ても経費は鎮守府持ちですのでゆっくりして行ってください」 ここまで、つづきが書けそうにないので他の皆様どうぞお使いくださいm(_ _)m 766:ウルトラ星人の人:2018/10/25(木) 17 34 27 HOST softbank126194159141.bbtec.net 635さん続編乙です 流石に文才がある方は違いますね 私も頑張らないと・・・ 以下ネタバレ? 詳しい人だと霧島連山関係なら霧島神宮や霧島岑神社など残り五ヶ所の鎮魂の儀式はどうしたとツッコミが入りそうでしたが同時刻の開始と言うことで・・・ また、金剛達の担当神社を霧島東神社にした理由は 祭神が神崎島の土地神である『ヒルコ神』の親である『イザナミ』『イザナギ』の夫婦神だったので採用しました。 舞台裏ネタ ネタの書き込み133より 515:ウルトラ星人の人:2020/02/22(土) 20 03 57 HOST KD106132171151.au-net.ne.jp 銀河連合日本×神崎島ネタ 霧島山鎮魂の儀式・舞台裏ネタ(略式) その① 警視庁、対テロの欺瞞工作として出雲大社に協力を仰いで巫女さんに金剛型のコスをしてもらって霧島神宮に向かってもらう。 その際に護衛として栃木県警察のコマンドカー(ティ連によよる複製魔改造済)を数台を護衛につける なお、結果は宮崎県に展開してた複数の団体が県境で大量検挙されることとなる。 その② 鎮魂の儀式の儀式前に 霧島、嘆願をしたご高齢の方々から霧島型戦艦一番艦『霧島』と勘違いされるも 金剛が気を利かせて 「ハーイ私は霧島型戦艦二番艦『金剛』デース♪」 と言って霧島をフォローする 比叡・榛名もそれに習う 以後、霧島、神崎島に戻るまで姉としてちやほやされる なお、この事が原因で霧島による『マガツ型超力戦艦建造未遂事件』が起きるとはこの時誰も思いもしなかった・・・ その③ 鹿児島県霧島市にある蛭児神社に神崎島常世神宮の松の木が植えられる 神主「おおお!なんと蛭子様から・・・ありがたやありがたや・・・」 以上 神崎島・霧島山ネタでした まとめに掲載はOKです 前から考えたネタなんですが 文才の神様が降臨してないので要点だけまとめたものでスイマセン 肉付けできる方は使ってください
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/1917.html
25ページ目 女「今ショートランドに問い合わせたわ」 漣「ほうほう?」 女「先週の戦闘でのドロップ、と」 漣「え? じゃあショートランドに行くべきじゃ……」 女「いえね、気付かなかったらしいのよ。即撤退だったらしくて」 漣「うわー……」 女「記録上は存在しないわけだし、適当に書類でっち上げてうちに配属されたことにしてしまえ、ってさ」 漣「ショートランドの提督の性格が窺えますねー」 女「ほんとにね」 次へ トップへ
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/729.html
669 :練習は大事だと感じた日―バレンタイン編―:2016/02/14(日) 18 54 45 ID 9VTy/C22 2月14日は…… 「ビスマルクと伊良湖の誕生日だったよな、今日は」 戦艦ビスマルク、及び伊良湖の進水日であり、 同時にその艦の力を行使できる艦娘の誕生日でもあった。 「そうか。後で何かあげないとな」 「瑞雲でも送るのか日向」 「まあそうだな。君は何を?」 「提督として間宮のタダ券をあげたよ」 「そうか。ところで鹿島の姿を見ないが彼女はどうした?」 「鹿島は挨拶に来た新艦娘達と話をしているよ」 だから始業前の準備は日向に手伝ってもらっていたのだ。 「特訓を終えて正式に艦娘となった者達か……」 「最近は作戦にあわせて正式な艦娘として登録されるからな。 昔は作戦以外の時期にも正式な艦娘が誕生していたからな。 それとイタリアから日本にやって来た艦娘も一人いる」 「そうか。ところで今朝入ってきたニュースだが、霞達が大活躍をしたらしい。 詳しい話はまだわからないがこの鎮守府から出撃した艦娘達が活躍するのは鼻が高いな」 「そうだな。みんな若いのによく頑張っている。 それに比べて何も出来ない俺ときたら…」 「みんな若いって……君も今年三十になるところではないか」 「だけど俺は彼女達と同じような年齢だった頃には今程真剣に生きていなかったから、 幼い頃、若い頃からしっかりと立派に頑張って輝いている彼女達を見ていると 何の考えもなく生きてきた昔の自分が情けなく思えてくるよ……」 「昔の事を悔やんでも仕方あるまい。 それに今でも大きな鎮守府を統括する提督としては十分すぎるくらい若い」 「だが人間というものは無い物ねだりでさ… 俺はやはり若い頃から活躍した、って事に憧れてしまうものだ。 自分が出来なかった事…というかどちらかというと 人生の一番大事な時に回り道ばかりして生きていた事が悔しいんだ。 駆逐艦娘達はみんな艦娘としての業務をこなしながら、 学生としての本分も立派に果たす優秀な子達ばかり。 今の俺はすべき事が提督としての仕事だけであるにもかかわらず 一ヶ月経った今でも一人ではほとんど出来ない始末…… 昔からもっとちゃんとやっていればこんなに苦労はしなかったろうな……」 相手が鹿島じゃないからか愚痴をこぼしてしまっていた。 もし鹿島相手だったなら弱みを見せていないだろう。 「……まるで五月病だな」 「今は二月だぞ」 「五月病は四月に新しい環境に入った人がなりやすいものだ。 君は提督になって約一ヶ月。五月病になる条件と同じだ」 「まあそうなるな」 「確かに未だに一人だけではこなせないが状況を考えれば仕方あるまい。 それよりも過去をただ悔やむのではなくこれからをどうするのかが大事だろう」 「理屈じゃわかってるけどな……」 「……君がここに来るまでに通ってきた道は寄り道や回り道だったかもしれない。 だがもしその道を通らなければここに来ることはなかったと考えたら……」 「ん…………ああ……」 日向の言う通りかもしれない。もし昔の俺が自分の将来を考えて、 真剣に生きていたとしたら鎮守府の一員となり、 そして提督になるという人生とは違う人生を歩んでいたかもしれない。 他に生きる方法ができたのなら間違いなくそちらの生き方をしたはず。 「塞翁が馬と言うが、人生というものは何がどう転ぶのかわからないな。 寄り道や回り道だって自分の望んだ幸せとは違ったものとはいえ 別の幸せへと向かう道だったと、そう考えなければやっていけないな」 「まあそうだな」 「悩んでる暇はない。今日は新たなる艦娘と会うんだ。 気持ちが沈んでちゃみんなを不安にさせてしまう。頑張らなきゃな」 俺は気合いを入れた。新たなる艦娘達に悪い印象は与えられないからな。 そうこうしているうちに時間が来た コンコン 「鹿島です。三名の艦娘をお連れしました」 「わかった。入っていい」 「失礼します」 そう言って鹿島がドアを開けて司令室に三人の艦娘を連れて入ってきた。 「君達がこの度新たに艦娘となった子達、 そしてイタリアからやって来た子だね」 「はい。私は夕雲型駆逐艦、その十四番艦の沖波です。 えっと…はい、頑張ります。よろしくお願い致します!」 まず沖波という少女が名乗った。 眼鏡をかけていて少々おどおどとした感じだが、 精一杯頑張ろうとしている姿勢が伝わってくる。 俺もよろしく頼むと返して次に沖波の隣の艦娘に顔を向けた。 「秋月型駆逐艦、その四番艦、初月だ。お前が提督か」 「ああ」 「ちょ、ちょっと、初月!?」 「気にしないでくれ。『お前』という言葉そのものは 本来は相手を敬っている意味合いの言葉だ」 「そうなのか」 「ああ」 驚いた沖波だけでなく初月自身も言葉の意味を知らず、 一般的に使われる意味合いで使っていたようだ。 「駆逐艦初月はその活躍や最期が正にストロンガーと言わざるをえない艦だ。 君も初月の名に負けぬ活躍をするよう期待しているよ」 「言われなくてもそのつもりさ」 そして俺は最後に初月の隣の子に顔を向けた。 「イタリアから参りました、ザラ級重巡洋艦、その一番艦、ザラです。 巡洋艦同士の昼間水上砲戦なら、誰にも負けない自負はあります」 見た目からして日本人離れしているこの子はイタリアから来た艦娘ザラである。 ザラは駆逐艦の二人とは違って前々から艦娘だった。 「君は艦娘としての経験はかなりあると聞いたが 日本での本格的な活動は初めてだろう。 君も、新人の二人も、これから共に戦うのだ。 互いに色々と知っておくべきだと思い会食の場を設けた。 そこまで案内しよう」 俺達は三人を連れて鎮守府の大食堂に行った。 「対空に優れた秋月型駆逐艦…いつか手合わせをお願いしたいです」 「提督からストロンガーだとか言われていたけど、 なんだか改造人間みたいな異名ね」 「そりゃあ駆逐艦なのにこんなポディ、 改造でもしたんじゃないかって思いたくなるわよ」 「ず、瑞鳳さん、そういう意味じゃないと思います…」 初月は武勇艦である。その為か他の艦娘達の興味を引いていた。 「まるでライダーみたいですね」 「ずばりライダーを指すぞ三日月」 「えっ。でも駆逐艦初月は仲間を逃がす為に たった一人で艦隊に立ち向かい、そして沈んでいった……。 でもストロンガーがそうしたという話は聞いたことが…」 「20年ちょっと前に児童誌に載ってた漫画でな、 脱出するV3達を守る為に一人ボウガンで戦うも弾切れし、 自身は戦闘員のボウガンで撃たれるも それでも倒れる事なく守りきり死んでいったんだ」 「ヒーローが死んじゃうとかどう考えても児童誌に載るような話じゃありませんよ」 「しかもSDだ」 「よくもまあそんな話……昔っておおらかな時代でしたねえ……」 「…………」 「あっ、ごめんなさいね。提督はこういった例え話をよく用いりますから…」 「…鹿島から聞いた通りの人ね。だけど提督としての能力はどうなのか。 私にはあなたは提督としてまだまだだと感じます」 場を凍り付かせるような言葉を口にしたのはザラだった。 「ザラさん」 「日本の中心にあるこの鎮守府は大きな工業地帯の守りも考えて作られたと聞きます。 ならばそこを総轄する者には優れた能力が必要なはずです」 「あんたに提督の何がわかるってのよ!」 俺の能力を不安に思っている (そしてだいたいあってる)ザラに対し 曙は反発の言葉を述べた。 「最近提督となった事は知っています。 この鎮守府の前の提督はイタリアの鎮守府でも名が知れた方でした。 その提督の後任であるこの提督も素晴らしい提督かもしれないと思っていました。 鹿島が恋に落ちて結婚することを決意した相手ですから とてもすごいと感じられるような人だと思ってました」 「司令官に何か落ち度でも?」 「落ち度はありません。人間的にもいい人とは思います」 「そもそもあんたは提督を評価できるほど一緒にいたわけないでしょ! ちょっとの時間で全部を判断されてほしくないわよ!」 曙の言った通りザラは今日初めて俺と顔合わせをした。 事前に話を聞いていたとしても直接目にする機会はなかったはずだ。 他所の鎮守府に知られる程の功績も落ち度も何もない。 「確かに。ただ今は彼からはすごいという印象を感じられないだけです。 仕事をしている姿を見れば少しは違った印象を受けるでしょうけど…… 鹿島が信じた人だから、私も提督の力を信じたいのです……」 仕事をしている姿を見せても彼女が少しは認めるくらいのレベルに 能力が現時点で達しているという自信は今の俺にはなかった。 仕事は大淀に支えられながらであればかなりこなせたものの 大淀が礼号作戦でこの鎮守府にいない今、 鎮守府の機能は十分に発揮されているとは言えなかった。 艦娘達の戦闘訓練の時間を削って仕事を手伝ってもらい 何とか十分に発揮出来ている状況である。 提督として情けない俺だが、経験不足を言い訳にする事も出来ない。 俺を選んでくれた人、支えてくれる人に申し訳が立たないからだ。 俺の気分がよく沈むのもそういった事が関係していた。 「ところでさ…あんたさっきから鹿島鹿島と馴れ馴れしいんだけど あんたは一体鹿島の何なのよ!?」 「……曙ちゃん、ザラは私の昔からの友達なの…」 「昔からの…友達…」 「私達が艦娘になるずっと前、子供の頃からの親友なの」 「子供の頃からの親友?」 「ええ…私は小さい頃から旅行が好きで… イタリアに行った時にザラと知り合って、友達になったの。 それからずっと親交を深めていたわ。 艦娘になる前も、なった後もずっと…… みなさんごめんなさい……ザラが楽しい雰囲気を壊しちゃって…… 彼女は本当はとてもいい子なの……」 「わかってるよ。鹿島が親友って言ってたくらいだしさ。 だけどザラの気持ちもわからなくはない。 自分の友達がもし変な奴との付き合いがあったら…… そう思って心配する気持ちとか、 変な奴に対して何か言いたくなる気持ちとかもわかるよ」 「へ…変な奴だなんてそんな…」 「それにザラは別に俺の事を悪いと言ったわけじゃないし、 少なくともまだ俺に期待して発破をかけてくれているみたいだしさ。 もし問題があるのならどんどん言ってほしいものさ」 「……………提督………」 「ザラ…」 「やっぱり鹿島は間違っていなかったみたいね… …私もあなたに期待できます……」 俺を認め始めるような事を言ったザラはみんなの方に向いた。 「みなさん、このような楽しい場を壊してしまって本当に申し訳ありませんでした」 自分の軽率な行動が雰囲気を壊してしまったと思ったのだろう。 自らの非を詫びる彼女に他の艦娘達もザラを責めようとはしなかった。 こうしてまた楽しい会食は再開されたのだった。 会食が終わり、俺達は午後の仕事が始まる前の小休止をとっていた。 「提督さん、本当にごめんなさい……」 「鹿島、君が謝る事はないだろう。 確かにザラは感情的になってしまったのだろう。 だけどそれは俺と一緒にいる君を心配してつい言ってしまったのだろう。 感情的になった面こそよくなかったが…いい友達を持ったな鹿島」 「すみません…」 「提督、チョコレート…って鹿島さんすみません」 「いいのよ。私に気にしないで」 「すみません…………司令官さん、チョコレートです」 俺は艦娘達からチョコレートをもらった。 他の事務員他裏方スタッフはチョコの代わりに喫茶店のスイーツ無料券をくれた。 これで鹿島をデートにでも誘えと言いたいのだろう。 「あ、これは大淀と足柄からの贈り物です」 「これは……」 袋の中は箱以外にボトルっぽいのもあるみたいだけど何だろう… 「そうそう。提督、私達は気の利いたお返しは望んでませんから。 鹿島さんへのお返しのためだけに気を利かせてくださいね」 「ありがとう」 「ところで鹿島からチョコレートを貰いましたか?」 「いや、まだだけど……」 「まだなのですか?ねえ、鹿島さん。どうして提督に一番にあげないの?」 「だってチョコレートをあげるにもタイミングがありますし…」 「あなたは午後からザラさん達を次の鎮守府まで護衛をするのでしょう」 「でもここからそんなに離れてませんから今日中には…」 「何かあって今日中にここに帰って来れなかったらどうするのよ。 さっさと渡してあげなさいよ!」 「は~い」 「不満そうな顔しない」 「別にあげたくないわけじゃありませんよ。タイミングというものが…………」 鹿島は少し不満そうだったが、一旦間を置いて、 笑顔で、でも少し恥ずかしがって緊張しながら 赤いリボンでラッピングされたピンクの箱を俺にくれた。 「ありがとう」 「どんなチョコレートでしょうかねえ。提督、開けて食べてみてください」 「い、今!?明石さん、ちょっと!?」 「鹿島さん、何を慌ててるんですか?」 「そ、それは…」 「今食べられてまずいことでも?」 「その……提督さんが食事を終えてからまだそんなに時間が…」 「甘いものは別腹というだろう。それだって限度はあるけど、 昼食も少なめにとったからチョコの一つや二つは大丈夫だ」 「………どうぞ……」 鹿島は観念したかのような顔だった。 一体なんでそういう態度を取るのかわからないけど、とりあえず俺は箱を開けた。 「これ、パンですか?形はシンプルにハートマークですけど色は茶色… っていうか珈琲の香りがしますよ」 「うむ……ああ、これはサンドイッチだな。中にチョコレートが挟まっている。 鹿島らしいアイデアだな。んじゃ、いただきます」 俺は鹿島の珈琲パンのチョコレートサンドを食べた。 「………どう……ですか…………」 「うん、おいしいよ。チョコレートはちょっと変わった味だけど別に妙な味ではないな。 甘さにくどさがなくてコクも柔らかさも調度良い。 それに珈琲の苦味がチョコレートの甘さを調度よく引き立てていておいしいよ」 「よかったぁ……」 「本当によかったですね鹿島さん。でも変わった味ってどんな味ですか?」 「どんな味って………栄養ドリンクっぽい気がしたよ」 「栄養ドリンク?ひょっとして鹿島さん、ユンケルでも入れましたか?」 「………うん……」 漣の問い掛けに鹿島が恥ずかしそうに答えた。 漣がユンケルと断定的に言ったのは 鎮守府がコラボしたコンビニでユンケルを買うと店舗ごとに先着十数名に 鹿島のタペストリーが貰えるキャンペーンが明後日からあるからだろう。 ちなみに鹿島がコラボした見返りにもらったというわけではなく、 ユンケルってどんなのかなあと思って試しに買ってみたらしい。 「あらら?冗談のつもりでしたのにまさか本当にそうだったなんて。 でも、入れたのはともかくとしてどうして今食べちゃ駄目だったのですか。 夜に渡そうとしてたみたいですし、ひょっとしてまさか…」 「あの、チョコレートは何を使いましたか」 このままだとたたならぬ事になりそうだったからか、 伊良湖が話を逸らそうと鹿島に話しかけた。 「何を使ったって…」 「レシピが知りたいんです。今後の参考にしようと思って… とりあえずチョコレートは何を使いましたか?」 材料やレシピが知りたいというのも伊良湖の偽らざる本心だろう。 彼女の料理人としての好奇心と向上心はかなりのものである。 「チョコレ~ト~は~明治」 「マージか」 「………………」 「………………」 つい駄洒落を飛ばしてしまったが、 みんなの顔を見るにどうやら通じなかったようだ。 「…………あっ、もうすぐ12時30分だ!早くしないと!」 壮絶に滑った俺は誤魔化すかのように言った。 実際に時間が迫っていたのもあったが、 状況が状況なだけに誤魔化したように思われてるだろう。 「あっ、そうね。もう行かなきゃ!伊良湖さん、レシピはまた今度ね」 「わかりました。それではお気をつけて」 俺達は別の鎮守府へ三人の艦娘と共に出発した鹿島達を見送り 午後からの仕事に取り掛かり始めたのだった。 午後六時。今日は日曜日であった為五時半頃に仕事を中断し、 恒例である笑点を見ながら夕食をとっていた。 もちろん緊急事態があればこんな事はしていられない。 「煮干しのお吸い物、どうでしたか?」 「大根に煮干しの出汁がきいていて中々だったよ」 「お口に合ってよかったです」 伊良湖はほっとした表情だった。 「でもどうして煮干しの出汁汁に大根だけなんですか?」 「今日はふんどしの日であり、煮干しの日でもあるからな」 「??……煮干しはともかく、大根と褌に何の関係が……」 「……昔とある勇者がふんどしともいえるような踊り子の服を見て興奮し、 仲間から落ち着けと言われてとった行動が 『ふんどし!』と言いながら大根を掲げた事だったんだ」 「はぁ……」 伊良湖はよくわかってないような顔だった。 元々みんなが知ってるような話ではない事くらい俺だってわかっている。 このネタがわかる奴はおっさんだろう。 「それにしてもずいぶんと元気になったな。 昼前までは少し暗かったが今はもう大丈夫みたいだ」 「日向や鹿島、ザラ達のおかげだ」 「私達のおかげ?」 「君達に言われた言葉とか、鹿鹿島の存在とか、 そういった事があって気を持ち直せたよ。 寄り道や回り道ばかりしていた俺にかけてくれた日向の言葉、 そして鹿島が俺にチョコを渡す時に言ったタイミングという言葉…… その二つが繋がって俺を前に向かせてくれた」 俺が鹿島と結ばれる事ができたのも言ってしまえばタイミング… その『瞬間』何をするかしないかの判断がよかったからだろう。 俺が一度は新泊地に着任する事になると知らされた時、 鹿島が勇気を出して俺をデートに誘い、 俺が怖じけづく事なく彼女の誘いに乗り、 そして互いの包み隠した気持ちのぶつかり合いの末に 勇気を出して本当の気持ちを伝え合い、そして結ばれた………… もし鹿島が本当の気持ちを打ち明けなかったら。 もし俺が怖じけづいて鹿島の誘いを断っていたら。 もし鹿島が俺を誘わなかったら。 もし俺が新泊地へ行かされると聞かされなかったら………… 小さい頃からの俺の数々の行動は数センチのズレとなって重なり合い、 幼い頃に思い描いていた幸せからは離れてしまったが それがなければ今ある幸せは手に入らなかったかもしれない。 数センチのズレを重ねて向かった今の幸せ… 一度数センチのズレを重ねてしまい幸せから遠ざかってしまったゆえに これ以上ズレてはいけないと思い、 懸命に動いた為に幸せから遠ざかるという過ちを繰り返さずに済んだ。 まあ結局新泊地へは俺が行く事はなく、 鎮守府提督という今に至るわけだが。 「かつての大平洋戦争は多くの悲しみを生み、あらゆるものを破壊した。 もし戦争がなかったら失われた芸術や文化、技術とかもなかっただろう。 だが戦争があったからこそ結果的に生まれたものだってある。 俺達とてあの戦争がなければこの世に生まれて来なかった可能性もある…… だからといって戦争を肯定できるものではない。 確かにその過去があったから現在というものがある。 だけど過去の出来事という変えようのないものは 肯定するものでも否定するものでもなく、 これからをどう生きるかという事を学ぶべきものだと思う。 日向が言った事、鹿島が言った事、 そしてザラが言った『鹿島が俺を信じている』という言葉…… それが俺を前に向かせ、今をどう生きていくかという事を教えてくれた。 暗い気持ちで生きるなんて俺を信じてくれる大切な人である鹿島を 俺が信じていないって事にはなりたくないしさ」 「……迷いは消えているみたいだな。今の君の目はとても輝いている」 「朝はすまなかったな日向。愚痴を聞かせてさ…」 「気にするな。君が立ち直ったならそれでいい。 鹿島には聞かせられないようなことだってあるだろうし、 何事も一人で抱え込んでいいというものでもない」 「ありがとうな。二人とも、今日はもう仕事を終わっていいぞ」 「提督、君はどうするのだ?」 「俺は鹿島が帰ってくるまで仕事をしているよ。 彼女が帰ってきた時に報告するべき相手がいないんじゃ可哀相だしさ」 「そうか。だが無理はするなよ」 「もしお腹が空いたら、私が何かお作りしますね」 日向達を見送った俺は再び仕事を始めた。 そして仕事をすること約3時間………… 「提督さん、鹿島、ただいま戻りました。 艦娘三名、無事送り届けました」 「ご苦労様だったな。おかえり」 鹿島が帰ってきたのは夜の9時だった。 「本日の仕事はこれで終了だ」 「お疲れ様です。これからどうしますか?」 鹿島が期待に満ちた目で俺を見つめていた。 「これって……コンドーム…ですよね……? それと……チョコローション……」 『夜戦』前に大淀と足柄がプレゼントしてくれた袋を 開けてなかった事を思い出して開けたが中身はこの二つだった。 「大淀さんに足柄さん……ナニを考えているんでしょう…… 家族計画は私たちが考えることなのに……」 「それだけ鹿島の力はここになくてはならないものだという事かもしれないな……」 「チョコレートの香りがするローションか… コンドームもチョコレートの香りがするらしいし……」 「……もしかしたら避妊どうこうというよりも コレで夜戦を楽しんでってことなのでしょうか?」 「そうかもな」 避妊とか感染予防が目的ならわざわざこんな事はしないだろう。 最初から普通のコンドームを普通に渡せばいいだけの話だ。 「……たまにはこういうのもいいでしょうね。 それじゃ私が付けてあげますから準備してくださいね」 「よし」 俺は彼女の下の口に食べさせようとずっと大きくなっていたチ〇コバナナの皮を剥いた。 「いきますね。ん……」 「おうっ!?」 「な、何か!?」 「いや、少し驚いただけだ…」 「えっちな漫画とかで見たことを真似してみようと思って…」 彼女がどんなエッチな漫画を読んでいるのかは知らないが、 俺が読んだ事があるようなエロ漫画ではほとんど… というか全くといっていいほど見ない。 ゴムを着けるシチュエーションさえもレアなのに 口でゴムを着けるなんて更にレアである。 「いけなかったかしら…」 「そんな事はない」 「よかった。それじゃもう一度…」 気を取り直した彼女は俺のチ〇コバナナにゴムを口で着けた。 チョコレートの香りがするゴムは色合いこそやや薄い茶色だったが、 俺のチ〇コバナナに被さっているのを見ると チョコプレッツェルを若干彷彿とさせた。 「美味しそう……」 物欲しげな目をしながら彼女は呟いた。 美味しそうと評した俺のチ〇コプレッツェル… …ボッキーを食べたくて彼女の口が涎を…… 「ん……ちょっとまだ……」 あまり垂らしていなかった。十分に濡らさないとマズイ。 こちらはゴムをしている以上カウパー液による潤滑効果にも頼れない。 「このローションも使ってみるか」 「使ってみましょ。せっかくのバレンタインなんですから」 プレゼントされたチョコローションが早速役に立つ。 俺は彼女の下の口にローションを注ぎつつボッキーにも満遍なく塗り、 彼女の下の口に指を入れて確認した。 一本………二本………三本…………行けるはずだ。 「俺のボッキー、存分に味わえよ」 「ええ、それじゃ、いただきますね」 にゅるりっ 「やんっ!?だからっていきなり…」 俺もここまでいきなり全部入れるつもりはなかったが ローションのおかげか予想以上にすんなりと入っていった。 もちろん今までの積み重ねも大きいだろう。 去年のクリスマス…彼女が全く男を知らなかった頃に 同じ事をしても初めての行為に緊張してしまってこうはならなかっただろう。 約二ヶ月近くの間に幾度も互いの愛を確かめ合ってきたからこそ 彼女は今こうして苦もなく俺を受け入れられるのだ。 「…あの…どうしましたか?気持ち良くありませんでしたか?」 「あ、いや、君があんな声をあげたからちょっと…」 確かに今までとは違って気持ち良さは感じにくい。 しかしそれはゴム一枚を隔てて触れ合っているからであり 決して彼女に問題があるわけではなかった。 「少し驚いただけです。痛くも苦しくもありませんから、どうか…」 「わかった」 彼女に請われて俺は早速腰を動かしボッキーを擦らせた。 にゅるっにゅるっにゅるっ 「やっ、いつもとちょっ…違っ…けど気持ちいいですっ!」 ローションのおかげかいつもより滑りが良い。 それに俺からしたら感覚を鈍らされてるようなものだが 彼女からしたらいつもと違う感覚という事だろう。 ならそれでいい。彼女が気持ち良くなっているなら俺の事など。 パンッ、パンッ、パンッ! 「いつもより…激し…です…っ…」 ローションが彼女への負担を減らしていた為、 俺の腰は欲望を全開にして激しく動いていた。 ゴムによる感覚の鈍りこそあったが、 いつもより激しいピストン運動による刺激が俺の性感を補っていた。 「ごめん、そろそろ…」 「くっ……いいです…先に…イッても………」 彼女のその言葉に俺の我慢は解かれた。 俺は無駄と知りながらも一番奥までボッキーを突き入れた。 どくんっ 俺は射精した。しかしチ〇コバナナはコンドームに包まれている為、 行き場のない精液がゴムの先端に溜まって… 「あ……びくん…びくん…ってして…… お腹の奥……あったかぁい……」 「え…」 俺は思わずボッキーを彼女から引き抜いた。 びゅるん、ポタッ…びゅるん、ポタッ… なんという事だ。ボッキーの先っぽが溶けていたかのように チ〇コバナナの中身が剥き出しになっていた…… ……要するにコンドームの先端が破れてしまっていて、 抜いたチ〇コバナナから放出された温かい特製ホワイトチョコが 彼女のお腹の上に吐き出されていた。 予想外の出来事に二人とも呆然とする事しか出来ず、 放出が終わった後も沈黙が支配していた。 「……ごめんなさい、私が練習もせずにえっちな漫画の真似をして コンドームを口で着けるなんて真似をしたからこんな事に……」 先に謝ったのは彼女の方だった。 「……よくよく考えたら俺達は結婚していたわけだろう。 コンドームが破れてしまって思わず動転してしまったけど 前々から何回も生でしていたわけだしさ」 「あ…………それもそうでしたね…………」 達した為に賢者タイムとなった俺は いち早く冷静になって彼女を落ち着かせた。 「……もう一回できませんか……今度は生でしてほしいです……」 「いいよ。君も俺もまだまだ不完全燃焼だろうしさ」 「いいんですか!?体は大丈夫ですか?」 「君がお昼にくれたユンケル入りの特製チョコの珈琲サンドイッチで、 今日の仕事も捗っていたし、『夜戦』だってまだまだ頑張れるさ」 「本当ですか?よかったぁ……」 彼女の安心した笑顔を見ていると 本当に彼女と結婚してよかったという事と これから頑張らなきゃという事を思った。 「艦娘はストレスが溜まりやすくて、 成長期の子達の成長が鈍くなることもありますけど 大人でも生理不順になって排卵日を特定できなくなっちゃいますから やれることはできる時にできるだけやっておきたいです。 あなたは一人っ子でしょう。だから、少しでも早く お義父様とお義母様を安心させてあげたいし……」 「俺もできる時ならしたい。さあ、本番……始めるぞ」 今日は2月14日だ。煮干しのように枯れ果てたって構わない。 俺達は恋人の日の夜戦を心行くまで愉しんだのだった。 《続く》 + 後書き 685 :名無しの紳士提督:2016/02/14(日) 19 26 34 ID 9VTy/C22 以上です まさか鹿島に完全書き下ろしな限定グラが突発で来るとは思いませんでした どうにか限定グラの要素も話の中にちょこっと入れれました 16日からのローソンのフェアは深海棲艦との戦い以上の激戦となるでしょうね 提督とテンバイヤーの熾烈な争いが間違いなく起こるでしょう バレンタインの話なので当然ホワイトデーの話に続きます これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/6721.html
263: モントゴメリー :2020/12/18(金) 00 17 35 HOST 116-64-111-22.rev.home.ne.jp FFR神話——練習巡洋艦「ジャンヌ・ダルク」—— 「ジャンヌ・ダルク」 日本人を始めとするOCU諸国の人間がその名を聞いて真っ先に思い起こすのは「オルレアンの乙女」であろう。 (ゲーム、史実の違いは置いていく) しかし、これが本場であるはずのフランス連邦共和国(以下、FFR)では全く違う答えが返ってくる。 『学問と教育の女神にして、子供たちとその未来を守護するモノ』と。 フランス人にとってジャンヌ・ダルクとはすなわち練習巡洋艦であり、リシュリューを最高神とするFFR神話に属する女神の一柱なのである。 そして彼らにとって、練習巡洋艦ジャンヌ・ダルクは信仰の対象となるに相応しい偉大な存在なのだ。 練習巡洋艦ジャンヌ・ダルクは、フランス初の教育専用艦として1931年9月に竣工した。 そして士官候補生たちの教育の場として活躍していた。 第二次世界大戦開戦時はダカールを母港としており、本土失陥寸前にツゥーロンに入港。 そこに集まっていた士官学校生徒たちを回収して脱出している。 その後はジャンスール提督旗下の自由フランス海軍に帰属し戦争を戦い抜いた。 そして運命の第二次ゼーラント海戦直前、仏英連合艦隊にジャンヌ・ダルクも参加していた。 しかし、ジャンスール提督は突如ジャンヌ・ダルクに艦隊離脱命令を下したのである。 もちろん、ジャンヌ・ダルクの艦長はジャンスール提督に抗議した。 「提督!何故本艦に離脱を命じられるのですか⁉小官に、戦友を捨てて逃げた卑怯者になれと言うのですか!!」 「25ノットしか出せない鈍足艦など足手まといでしかない」 「⁉」 その理由がこじ付けであることは即座に理解できた。 確かにジャンヌ・ダルクの最高速力は25ノットとされているが、やろうと思えば28ノット弱は出せる。 確かに巡洋艦としては物足りないが、「足手まとい」と言われるほどではない。それを言うならば、アルザス級は23ノット前後ではないか!? 火力面を見ても、新鋭軽巡ラ・ガリソニエール級に準じるレベルだ(15.2㎝9門に対して15.5㎝8門)。 最後の決戦に参加する資格は十分にあるはず。それなのに何故…? 「…各艦に乗艦している士官候補生及び最年少の少尉、それから士官学校教官の経験がある者を離艦させる。 貴艦は彼らを乗せて離脱しろ」 「提督…それは……!」 「貴艦には子供たちを、フランス海軍の未来を託す。彼らを護りぬいてくれ、頼む」 「……この命に、代えましても。その任務、務めさせていただきます」 こみ上げる嗚咽を押しとどめながら、ジャンヌ・ダルク艦長はジャンスール提督に応えた。 数時間後、士官候補生たちを乗せたジャンヌ・ダルクは艦隊から離脱していった。 彼らも最後まで離脱することを拒否していたが、ジャンスール提督から 「将来に、より強力で偉大なフランス海軍を建設せよ」 という命令を直々に受け、泣きながらジャンヌ・ダルクに乗り込んできた。 「これでいい、死ぬのは年寄りだけでいいのだ。子供たちは生きねばならん」 「我々が今日全滅しても、彼らがいればフランス海軍は『明日』を迎えることができます」 離れていくジャンヌ・ダルクを見ながら、リシュリューの司令塔でジャンスール提督と艦長はそう語り合ったと生存者は伝えている。 海戦の結果はここでは語らない。 ジャンスール提督以下「勇者」たちは「伝説」となり、トリコロールを掲げた黒鉄の乙女たちはリシュリュー以下数隻を残しオセアンの艦隊に転属した。 フランス海軍は、この時一度滅びたのである。 そして、ここからジャンヌ・ダルクの真の戦いが始まった。 264: モントゴメリー :2020/12/18(金) 00 18 05 HOST 116-64-111-22.rev.home.ne.jp 戦後、FFR体制の下で海軍は再建への長い道のりを歩むことになる。 そして、その最前衛に立ったのはあの日ジャンヌ・ダルクに乗って生き延びたかつての新品少尉や士官候補生たちだった。 彼らはジャンスール提督の遺命を果たすべく、懸命に職務を遂行していった。 もちろん、ジャンヌ・ダルク自身もまた安穏としていたわけではない。 「練習艦」の本分である士官候補生たちへの教育のみならず、「巡洋艦」としてリシュリューらと舳先を揃え出撃する事も多々あったのである。 何せ、ジャンヌ・ダルクはFFR海軍黎明期においては「唯一の巡洋艦」であり、べアルンの後継者たる新型空母ができるまでは「FFR海軍席次第三位」でもあったのだ。 基準排水量6500トン弱という小柄な体躯に比して、その務めは巨大であった。 それでも彼女はその重責に屈することなくその後30年以上にも渡って任務を果たし続け、数多の士官候補生たちを育て上げた。 激務により彼女の船体は悲鳴を上げていたが、「暗黒の30年」の夜の中を彷徨っていたFFRには後継艦を建造する余裕は無かったのである。 また、同様の理由で彼女の書類上の肩書は最後まで「軽巡洋艦」であった。 彼女に安息が訪れたのは、1980年代に入ってからであった。 「美魔女化改装」を施されたリシュリューを筆頭に、新世代の艦艇たちが揃い始めたのである。 ここに、フランス海軍は名実共によみがえった。ジャンヌ・ダルクはジャンスール提督に託された任務を果たしたのである。 練習巡洋艦の新造も決定し、ようやく彼女もお役御免となったのである。 ジャンヌ・ダルクの半世紀を超える生涯を語る上で欠かせないエピソードがある。 彼女が最後の航海を終えドックに入った日、ある「事件」が発生した。 海軍軍令部総長がお忍びで来訪したのを皮切りに、続々と海軍士官たちが集まってきたのである。 まるでFFRヨーロッパ州にいた海軍士官が全員集結したかのような勢いであり それだけにとどまらずアフリカ州やエストシナ、航行中の艦艇からも電報が引っ切り無しに届いていた。 彼らは異口同音にこう言った。 「ジャンヌ・ダルク、今までお疲れ様。そしてありがとう、『私の先生(Mon professeur)』」 そう、FFR海軍に属するほぼすべての士官は彼女の「教え子」だったのである。 「リシュリューが生き残ってくれたからこそ、フランスとフランス海軍はよみがえることができた。 しかし、ジャンヌ・ダルクと、彼女が護り育てた人材がいなければその道のりはより険しいものとなっていたことは間違いない」 後世の歴史家はジャンヌ・ダルクの功績に対してこう評価する。 そしてFFR神話が形作られる時、ジャンヌ・ダルクが女神の一柱として含まれていたのは必然であった。 練習巡洋艦としてFFR海軍の礎を築き上げた功績から「学問と教育の女神」の属性が。 第二次ゼーラント海戦での逸話から「子供たちとその未来の守護者」という属性が与えられた。 今日、フランス人の親たちは子供たちにジャンヌ・ダルクのシルエットや紋章をあしらった護符を持たせるのが一般的である。 また、大人であっても何がしかの試験を受ける前夜にはジャンヌ・ダルクに祈りを捧げてから就寝するのが習わしだ。 おそらく、フランス人にとってリシュリューに次いで親しまれている女神である。 265: モントゴメリー :2020/12/18(金) 00 19 08 HOST 116-64-111-22.rev.home.ne.jp 以上です。 ウィキ掲載は自由です。 今夜はもう寝るので 解説と感想返しは明日の夜でご容赦を (なんか毎回これ言ってるな)
https://w.atwiki.jp/imaska/pages/330.html
■サンディエゴ沖海戦(天海提督の決断)背景 交戦戦力(日本軍の沈没艦は駆逐艦を含めた戦闘艦艇全てを、それ以外の日本軍艦艇は巡洋艦以上を表示) 損害 戦闘経過 エピソード 参考文献 ■サンディエゴ沖海戦(天海提督の決断) 背景 1942年9月20日、帝國海軍はハワイを攻略するものの、補給能力、そして米軍の造船能力から計算して、これ以上戦争を長引かせるのは得策では無いと判断。 新鋭艦戦『零戦52型』新鋭艦攻『天山』、そして新造空母『蒼鳥』『弥生鳥』の配備が完了し次第サンディエゴを強襲し、早期講和を図る米本土西海岸攻撃作戦を発令した。 10月23日、聯合艦隊司令長官天海春香大将は指揮下の第10艦隊に竣工なった『弥生鳥』を編入しハワイへと出港。 11月22日、米本土西海岸攻撃作戦発動。3日後、第1機動艦隊、第2機動艦隊、第5水雷艦隊、第9水雷艦隊はサンディエゴ沖で米軍機動艦隊、ロサンゼルス基地航空隊と交戦に入った。 交戦戦力(日本軍の沈没艦は駆逐艦を含めた戦闘艦艇全てを、それ以外の日本軍艦艇は巡洋艦以上を表示) +日本軍 第1機動艦隊(艦隊旗艦正規空母『蒼鳥』 艦隊司令如月千早中将) 空母7(正規空母『蒼鳥』『弥生鳥』『瑞鶴』『翔鶴』『飛龍』『蒼龍』軽空母『龍驤』) 戦艦6(戦艦『大和』『武蔵』『金剛』『榛名』『比叡』『霧島』) 巡洋艦6(重巡『熊野』『鈴谷』『那智』『足柄』『妙高』『羽黒』) 駆逐艦5 輸送船24 第2機動艦隊(艦隊旗艦戦艦『長門』 艦隊司令三浦あずさ中将) 空母5(正規空母『赤城』『加賀』『隼鷹』『飛鷹』軽空母『鳳翔』) 戦艦4(戦艦『長門』『陸奥』『伊勢』『日向』 巡洋艦5(重巡『利根』『筑摩』『摩耶』『鳥海』軽巡『阿武隈』) 駆逐艦8 輸送船24 航空隊233機 第5水雷艦隊(艦隊旗艦重巡『高雄』 艦隊司令星井美希少将) 巡洋艦7(重巡『高雄』『愛宕』軽巡『大井』『北上』『五十鈴』『夕張』『長良』) 駆逐艦22 輸送船30 第9水雷艦隊(艦隊旗艦重巡『青葉』 艦隊司令菊池真少将) 巡洋艦8(重巡『青葉』『衣笠』『古鷹』『加古』軽巡『木曾』『神通』『川内』『那珂』) 駆逐艦11 +米国軍 空母4 戦艦3 その他詳細不明 損害 +日本軍 沈没 第2機動艦隊 戦艦1(『伊勢』) 損傷(中破以上) 戦艦1(『日向』) 空母3(『加賀』『飛鷹』『鳳翔』) その他詳細不明 +米国軍 詳細不明 戦闘経過 空母4、戦艦3の機動艦隊を発見した第1機動艦隊は直ちに攻撃を開始。 一方、サンディエゴ攻撃に集中した第2機動艦隊を12月27日正午、重爆と雷撃機の混成部隊が空襲。この時偶然敵飛行隊に一番近かった角田覚治少将配下の第2部隊は戦艦『伊勢』『日向』を分離、この2隻で敵機誘引を決断。 『伊勢』『日向』以外の第2機動艦隊所属艦への被害は防がれたものの、空襲がこの2隻のみに集中し『日向』は大破航行不能に。 そして『伊勢』艦橋に爆弾が直撃し、『伊勢』に座乗していた第2機動艦隊副司令角田少将は『伊勢』司令部要員と共に爆死、『伊勢』も沈没した。 この救援のために第2機動艦隊航空隊は手持ちの戦闘機を向かわせたが、各艦の足並みが揃わずに五月雨式に戦力を投入する事になり、各個撃破の憂き目に遭った。 その翌日の航空戦により、第2機動艦隊所属空母『加賀』『飛鷹』『鳳翔』が大破するものの、帝國海軍はロサンゼルスの陸海軍戦力を撃滅する事に成功。 同時にハワイに強襲した米軍機動艦隊を天海大将直卒の第10艦隊が撃滅した事により、米国民の反戦感情が噴出。 同年12月、対米講和が成立した。 エピソード この時、第1機動艦隊旗艦『蒼鳥』のマストにはZ旗が掲げられた。 参考文献 Wikipedia マレー沖海戦 天海提督の決断 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3638.html
520 :名無しさん:2014/09/19(金) 10 57 13 欧州戦線、将軍たちの会話集とか読んでみたい 524 :ひゅうが:2014/09/19(金) 14 10 47 ―――【マリアナ沖海戦編】 「レーダー!日本海軍がやったぞ!やってくれた!!」 アドルフ・ヒトラー総統 「日本海軍ならできるんだろうなぁ。日本海軍なら。」 「むしろ日本海軍ぐらいではないですかな?」 エーリッヒ・レーダーとカール・デーニッツ両提督 「今こそ空軍の力を示すときだ!」 ヘルマン・ゲーリング国家元帥 「あいつめ…無茶を言うなよ…」 アルベルト・ケッセルリンク第5航空艦隊司令長官 「日本海軍にできたのなら、我々にもできるはずだ。だが敵の数が足りない。」 ウィンストン・チャーチル大英帝国宰相 「バカいってないで仕事してください。」 アンドリュー・カミンガム第一海軍卿 「日本海軍にできたのだから我々もできるな?」 「はい。将軍。我々の頭の中では。」 シャルル・ド・ゴール自由フランス軍総帥とアンリ・ジロー将軍 「我々も海軍を作るべきだ。」 「ダー。同志。」 ヨシフ・スターリンとゴルシコフ提督 525 :ひゅうが:2014/09/19(金) 14 11 21 ――――【レイテ沖海戦編】 「わが海軍も盟邦にならうべきだ!」 アドルフ・ヒトラー 「湊川ですよ。」 勝算をレーダーに問われた日本大使館付武官 「空軍…え?違う?」 「・・・・。」 ヘルマン・ゲーリング国家元帥とアルベルト・ケッセルリンク将軍 「今更戦艦を作ることなんてできるか!」 アルベルト・シュペーア軍需相 「やはり植民地人はダメだな。」 バーナード・モントゴメリー将軍 「なんでこんなに自信満々なんだ?」 ジョージ・パットン大将 「気にするな。いつものことだ。」 ドワイト・アイゼンハワー元帥 「生きてるってすばらしい。」 チャールズ・ウィロビー大佐(生存者) 「大砲は戦場の神である。海においてもかわらず。」 「ダー。同志。」 ヨシフ・スターリンとラブレンチー・ベリヤ 「(放送禁止用語)」 フランクリン・D・ローズヴェルト大統領、会談中に 「まぁ、200年早かったのかもしれませんな。」 ウィンストン・チャーチル 会談中に 526 :ひゅうが:2014/09/19(金) 14 11 55 ―――【沖縄沖海戦編】 「神よ、合衆国海軍が何をしたというのです!」 「日本を敵に回した。」 アーネスト・キング提督と投げやりな副官 「日本海軍は伝説を作ってしまった。我々には何ができる?」 「敗者を辱めないことですな。」 マーク・ミッチャー提督とヘンリー・ウォレス臨時大統領 「日本海軍は革命に大いに寄与するべきだろう。」 「ダー。同志。」 ヨシフ・スターリンとモロトフ外相 「なんてことだ。うらやましい。」 「どちらがです?」 「決まっているだろう。わが海軍はこれを再現できるか?」 「できます。ですが1世紀ほどお待ちください。」 ウィンストン・チャーチルとジョン・カニンガム提督 「勇者のごとく倒れたか。同盟国は義務を果たしたのだな。わが軍は?」 アドルフ・ヒトラー 「「・・・・。」」 エーリッヒ・レーダーとカール・デーニッツ提督 「やはりアメリカではダメだな。」 バーナード・モントゴメリー将軍 「あいつ何いってるんだ?」 ダグラス・マッカーサー元帥 「俺に聞くなよ。」 ジョージ・パットン元帥 「・・・・。(胃を押さえて)」 ドワイト・アイゼンハワー元帥 527 :ひゅうが:2014/09/19(金) 14 17 32 520 ちょっと違いますが少し書いてみました。 528 :520:2014/09/19(金) 14 43 48 ありがとうございます、ひゅうがさん 英国が英国すぎて笑えるww
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/5063.html
7: リラックス :2018/01/07(日) 16 48 18 ちょい改定 続いてしまったネタ リアルメカウォーズ・ルナティック とある提督の日誌Ⅱ ☆月○日 長期航海のため航続距離の長いバナルカンド級巡洋艦(デコイシステムを搭載してるらしい)を配備してもらった我々はコンバイラを保護した宙域を中心に調査を行っている。 時折、小規模な集団を発見することから気は抜けないが、一体何処から現れているのだろう? 謎の勢力についての調査結果で何か分かれば良いのだが…… ☆月○日 緊急入電が入った。アイギスで例の勢力が現れたらしい。 更に詳しく話を聞くと、コンバイラとその乗組員達が変異したとのこと。コンバイラは武装解除と解析を兼ねて船体を半ば解体された状態にあったとのことだが、三つに分かれたそれぞれが意思を持ったように動き出したと思ったら、それが宇宙空間で一つに合体した後、何処かに飛び去ったらしい。 しかし、アイギスそのものにもまだ例の勢力が残っているらしく、まずそちらに急行せよとのこと。 現場に急行する間に、例の勢力に関して判明した情報を聞くことが出来た。 恐らく、正体は特殊なエネルギー兵器で、 1.本体は人と同様の二重螺旋構造の塩基配列を持ち、自己複製及び増殖を行う粒子によって構成された超集束高エネルギー生命体 2.有機物、無機物に関係無いばかりか、更には空間や人の精神すら融合捕食して己と一部としてしまう 3.エネルギー生命体でありながら質量を持ち、また波動としての性質も持つことからあらゆる存在に伝播する 4.いわゆるシステムの中枢は異相次元に存在している為、探し出すことからして難しく、ましてや干渉手段も非常に限られるため撃破することは極めて困難である 5.有効な攻撃手段は波動兵器及び次元兵装に限られる という性質を持つらしい。 また、このエネルギー兵器をとそれにより変異した存在を総称してバイドと呼称することが決定したそうで、これ以降その名称を使用する。 ☆月*日 アイギスへ到着した我々らほぼ全戦力を突入させた。 今までのデータによると、バイドには大型から小型まで存在し、今回はとびっきりの大物、A級バイドの反応があるとのこと。 いつの間にそこまで定義を作ったのかと思うが、それはさておき、大型化に伴い、攻撃の威力や射程距離、耐久力が大きいことが予想される。 如何にバイドには鬼札となる波動砲をもってしても、数回の斉射が必要になるだろう。 故に、R戦闘機を多数保有している我々が何とかしなければ。 突入したアイギスの内部は一見すると元々が基地だったとは思えないくらいにガランとしていた。 攻略されたとはいえ、戦闘のあった基地ならもっと残骸なり何なりがあるはずだが、恐らくそうした物もバイドに侵食、取り込まれたのだろう。 コンバイラの乗組員やアイギスに配属されていた人員の末路は……考えるのはよそう。 とにかく索敵を行わないことには動けないので、慎重に索敵を行うように指示。 初めて出会う存在だがA級バイドがいる。兵は機動なりというが慎重に動くべきだろう。 戦闘能力の乏しい小型バイド達をこれまで通りフォースと短チャージ波動砲で片付けていく。 とくに新型機Rwf-13Aケルベロス のライトニング波動砲とアンカーフォースの威力はすばらしい。 まあ、例の結晶……要するにバイドから余計な(何者かによる改造部分?)部分を取り除いてより純度の高いエネルギー結晶としたのがフォースだったということだが、アンカーフォースはそのエネルギー係数(バイド係数ともいう)を高めまくる一派と新型波動砲(ライトニング波動砲)に拘る一派が揉めに揉めた挙句、制御が追いつかなくなりかけたという代物だ。 普通に考えればバイドがヤバい物だと分かってるのだからバイド係数を高める側が譲るべきだと思うのだが、異世界だか異星人だかの技術に魅入られているのか? ちなみにどうなったか?フォースを有線と言って良いのか、お蔵入りになりかけていた光学鞭をケーブル代わりに使用してフォースを有線制御することで両者が納得する物を仕上げることに成功したんだとか…… まあ、そのおかげで高性能機Rwf-13Aが完成したと言えるのだが……開発チーム、バイドに頭汚染されてないだろうな? 8: リラックス :2018/01/07(日) 16 49 10 ☆月¥日 作戦は日を跨いだ。道中、大型のゴンドラン、元は機動兵器か作業用機材だったと思われるタブロック、ゲインズを片付け、A級バイドの反応の近くまで進行した時、バナルカンド級に先行させていたデコイ艦が一撃で消滅した。 ギリギリまで進軍するつもりだったが、思ったより近くに目標はいたらしい。 亜空間偵察特有の揺らぎと色調の画像には、悠然と君臨する生ける異形の姿が写っていた。 長い2本の尾をくねらせており、どうやら底面沿いに移動していたデコイ輸送艦はこの尾に破壊されたらしい。 頭のように見える器官と胸部の器官は砲台となっていたが、腹部にあるコアが弱点だった。 尾や、頭部の砲撃を避けながら、腹部に攻撃するのは難題だった。 出来ればもっと射程の長い波動砲が欲しい。 波動砲は用いる次元粒子の性質から減衰が激しいという性質を持ち、今回はそれが浮き彫りになる結果となった。 それに、このような限定空間で小型バイドを多数相手にするとなると小型掃討用の機体も欲しくなる所だ。 そうしたレポートをまとめておく。 余談だが、例のA級バイド……ドプケラトプスを倒したことにより、どこからともかく‘ドプケラバスター’と呼ばれることになった。 ☆月●日 色々とバタバタとしていたがようやく落ち着いた(責任者だから戦闘が終わった後の方が仕事が多いんだよ!)。 今回の件で本格的なバイド対策部隊が立てられることになり、我々の戦闘データが役に立つだろうとのことだ。 例のレポートも参考にして、その情報を元に新たな機体を作成するらしい。 Rwf計画を推進したというお偉いさんから新型機をガンガン送り出すからドンドンデータを送ってくれと頼まれた。 ついでに、あまりにR機ばかり送られても運用する艦が無いからとそれとなく言ってみると、今度完成する戦艦へイムダルを回してくれるらしい。 ☆月●日 実験部隊から正式部隊へ格上げの手続きや新たな人員の受け入れなどで死にかけたが戦艦ヘイムダルを無事に受領することが出来た。 戦艦と言ってもヒリュウとかスペースノアのような最近の流行に乗ったというか、アークエンジェル級の流れを汲んだというか、一点特化よりも万能性を求めた艦艇らしい。 確かMSの活躍によって宇宙艦艇にはMSの搭載・運用能力さえあれば他はオマケと言われて冷遇された戦艦派閥を取り込むべく、R戦闘機に用いられる技術を供与する代わりに協力を要請した結果誕生したとか、 戦艦派閥を取り込んでも全く政治的にも資金的にも厳しかったため、「もしRwf計画がコケた場合、テスラ・ドライブ搭載の人型機動兵器を搭載出来るようにするから」と主流派でも比較的他派閥との関係を重視する面々に頭を下げて回って協力を要請するという涙ぐましい努力があったと例のお偉いさんに聞かされた。 何というかお疲れ様です…… ☆月◇日 何処かに飛び去った暴走戦艦……便宜上そのままコンバイラと呼称するが、その追跡を命じられた。まあ、何かしら目標があった方がマシか?とにかくヘイムダルの処女航海を兼ねた追跡中に、ファンタジー物に出てきそうな生物、『ドラゴン』と遭遇した。バイド反応は無かったとはいえ、ドプケラトプスを見たことで既に感覚が麻痺しつつあった古参組は手慣れた様子で処理した。 新たに配備されたRwf-9D シューティング・スターやRwf-9DVティアーズシャワーはかゆい所に手が届くようにこいつらの掃討に役立ってくれた。 やれば出来るじゃないか、開発チーム。 ☆月□日 本部に問い合わせた所、あのドラゴンは怪獣という分類にカテゴライズされるらしい。 異世界の協力者の話だとあのような宇宙で活動する怪物が珍しくもない世界もあるとか。 中にはこちらが攻撃するとその攻撃を取り込んでパワーアップして乱れ打ちしてくるような不思議生命体もいるそうで、もし見かけたら絶対に手を出してはいけないとこれを機に全部隊に警告を出すらしい。 しかし、もしバイドにその不思議生命体が取り込まれたらどうなるんだろう? 不思議生命体の能力を持ったバイドになるのか、バイドの特性を強化した不思議生命体になるのか…… ☆月〒日 最近、生物っぽいバイドと良く遭遇するが、多分宇宙怪獣が取り込まれた奴だろうな。 本日は救難信号があったので向かってみたら、SAN値が削られそうな怪物に襲われていることを確認した。 あの後、ゴマンダーという名称がつけられたらしいが、ドプケラトプスとは別ベクトルに二度と思い出したくない。 ついでに謎のMSを運用している部隊にも遭遇した。大洋製の機体かと思ったのだが、話を聞いた所、異世界から迷い込んだ存在であることが判明した。 ちなみに、この時の戦闘で蹴散らした中にインベーダーと呼ばれている存在も混じっていたらしいが、どれがどれだったのやら。 9: リラックス :2018/01/07(日) 16 50 09 オマケ バナルカンド級巡洋艦 テスラドライブ及びプラズマジェネレーターに加えて波動兵器運用のため建造された試作巡洋艦。 航続距離が長く長期航海用の設備などが充実している。 《武装》 連装粒子砲×4 対空レーザー砲×12 各種ミサイルランチャー×多数 動力 プラズマジェネレーター 特殊装備 「重力質量と慣性質量分離機能を利用して推進剤を加速する高効率反動推進」(テスラ・ドライブ) デコイシステム 波動兵器の応用により作られたシステム。複数の力場を同時形成し、その空間内に波動エネルギーを停滞維持・形成することで、質量を持った残像……でなくデコイとなる輸送艦っぽいナニカを作り出す。 波動エネルギーってのはムンドゥスの力を借りるとでもいうのか? ある程度操作は可能だが火力自体はお察しで、あくまでもデコイ。 Rwf-9D シューティング・スター 正確かつピンポイントな破壊能力を兼ねた超々長距離砲撃や、一撃離脱での破壊力の向上を念頭に置いて開発された重砲撃タイプ。 その外観は言わば「戦車砲を抱え込んだ戦闘機」とでも言うべき奇っ怪なもので、文字通り巨大な波動砲ユニットを抱えて飛んでいる状態。 砲撃に必須の敵周辺の環境データは自身に搭載されたディスクレドームや前線で行動中の友軍機から受け取る。 武装 ○120mm対艦バルカン ○350mmガンランチャー ○爆雷 ○圧縮波動砲 超長距離のターゲットを狙い撃つために威力と射程の両立を目指した新型波動砲ユニット。 高圧縮状態の臨界プラズマエネルギーをマイクロ秒オーダーのバーストインパルスとして生成・放射する超高インパルス砲「アグニ」の技術を応用し、これに波動性を付加したことにより開発された準波動兵器。 元となったアグニと同様に約20mもの全長を持つ大型兵装であり、これを搭載したことにより空戦能力は大幅に悪化。 当然ながらドッグファイトには不向きなので遠距離攻撃による支援砲撃か一撃離脱戦法が主流になる。 ○ディフェンシヴ・フォース 近距離戦闘が不得手な本機系列のために新規設計された近接迎撃型フォース。コアユニットを守るように大型・重装甲化されたコントロールロッドが前面を覆っている。 フォース本体からのエネルギー供給でロッドそのものは不壊に近いので、防御面積拡大のための設計だろう。 レーザー弾種は フォース上下から2発発射し、着弾すると交差するツインレーザー、上下に発射、着弾後に噴射するかのように分散放射される着弾分散レーザー、フォース下部から発射し、敵をサーチすると上下方向に直線軌道で分岐するディフェンスレーザー の3種。 Rwf-9DV ティアーズ・シャワー 対小型バイド牽制・掃討戦特化型機で、Rwf-9D系列とは双子機と言って良い関係にあるらしいが、どこをどう弄ったらこんな真反対の仕様となるかは定かではないが、ともかくそういう仕様である。 深い青を基調とした機体色と淡い緑のキャノピーが無駄に爽やかさを演出する。 実際、見た目も航宙戦闘機というよりは深海探査艇に近い印象を受けるかもしれない。 武装 ○120mm対艦バルカン ○350mmガンランチャー ○爆雷 ○光子バルカン アプサラスの拡散メガ粒子砲の技術を(高い特許料を支払って)用いており、散弾のように飛び散るビームがロックオンしたそれぞれの目標に向かってそれぞれ飛んで行くというマルチロックオン式の準波動兵器。 バルカンとは言うが回転銃身式というわけではなく、見た目はむしろビーム砲身をポッド状にまとめた物。 エネルギー供給用の蛇腹ホース状の太いケーブルが機体後部からユニット後部へと接続されている。 また、射線上の一切合財をミンチよりひでぇ状態へと還元するため、一部のリベラリストなどからは「残虐ではないのか?」という批判を浴びているが、そんなこと言ってる場合ではないだろうとか対バイド戦に残虐もクソもねーよ、と突っ込まれている。 ○ディフェンシヴ・フォース改 読んで字の如く。主に速射性が強化され、近接迎撃能力が向上している。 とは言うものの、むしろ中近距離戦こそ本懐な本機系列に導入されている理由は不明。 まあ十中八九予算関係なんだろうが…… レーザー弾種は 2連射が可能になった ツインレーザーW、一度のみだが地形反射が可能となった 着弾再分散レーザー 、着弾時に2連射可能になった ディフェンスレーザーW の3種。 10: リラックス :2018/01/07(日) 16 54 47 以上、コンバイラの旅路が始まりました。 この旅路の最終回のタイトルはエーテルの海を越えて、か、夏の夕暮れだな(ォィ お楽しみに!(続くかは不明
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4885.html
前ページ次ページゼロな提督 どっかーん! 魔法学院では日常風景である大爆発。かつては、またゼロのルイズが魔法に失敗…と、 うんざりされていた。だが今は『虚無』の担い手による伝説の魔法と認識されている。 ただし、傍迷惑なのは今も昔も変わらない。そして今回は、とびっきりの迷惑だった。 外交問題級の。 「お、お待ち下さい!落ち着いて下さい!一体、一体何をそんなに激昂されるのですか!?」 制服姿のルイズからジリジリと後ずさってくるのは、神官だったらしい。 だったらしいというのは、かつては神々しい白の神官服だったものが、今は見る影もな く黒こげになってボロボロになったからだ。頭の球帽は吹っ飛んで、禿頭が無惨に晒され ている。 「もう一度…言ってみなさいよ…」 杖を手にしたルイズが、目をつり上げて神官へにじるよる。こめかみには血管がくっき りと浮き出ている。 その怒りを真正面から受けた神官は、無様に尻餅をついてしまった。 「も、もう一度、とは…何を、ですか?」 仁王立ちになったルイズはビシィッと杖を突きつける。 「あたしが、何ですってえ!?」 詰問された神官は、自分が先ほど口にした言葉の何がまずかったのか、考えてみた。真 剣に、細部まで慎重に考えた。しかし、やっぱり何がまずかったのか分からなかった。 「あの、ですから、『虚無』の担い手たる貴女を、聖なる巫女として、教皇聖下がロマリア へ」 「誰が…誰が、聖なる巫女よぉーっ!!」 どかかかかーんっっ!! 哀れな神官は、連続爆発に吹っ飛ばされた。 「覚えておきなさい…私は、ブリミルが、大ッ嫌いなのよ!」 そんな背教徒の言葉は、気絶した神官へは届いたかどうか分からない。 こらーっ!ルイズぅー! 本塔から、デルフリンガーを背負う黒服のヤンが大慌てで駆けてきて、アウストリの広 場ど真ん中で痙攣している神官を助け起こした。他の生徒や教員も大慌てで駆け寄り、治 療のため水の塔へ運んでいった。 ヤンは腰に手を当ててルイズの前に立つ。小さな主は、ぷぃっとそっぽを向いた。 「ルイズ、なんて事するんだよ…ロマリアや教会がどうこう以前に、この人は全然悪くな いじゃないか」 「ふんっだ!だーれがロマリアに行くもんですか!私はね、あの祈祷書を見るだけで、腹 の底から煮えくりかえるのよ!」 「おでれ~たなぁ…虚無を受け継ぐ奴がブリミル嫌いだなんてなぁ。ま、しゃーねぇけど な。ロマリア行ったって異端審問とか言って殺されるのは目に見えてるしよ」 デルフリンガーもほとほと呆れてる。遠目に囲む教員も生徒も、うんざりとしていた。 第29話 説得 ニイドの月、ティワズの週、虚無の曜日。 ゲルマニアへの禅譲交渉から、既に三ヶ月。夏休みも最後の週。トリステイン魔法学院 も、もうすぐ新学期に入る。新学期の準備に忙しい学院では、今日もコレ。困ったものだ と皆が頭を抱える。 元々ニューイの月は、トリステインでは今さら口にするのも憚られるが、アンリエッタ 姫とアルブレヒト三世の結婚式予定で魔法学院は休校の予定だった。それが姫のアルビオ ン亡命・突然の禅譲宣言・アルビオン艦隊襲来…もはや学校どころではない大混乱。 結局そのまま、なし崩しに夏休みへ突入。ニューイ、アンスール、ニイドの月と経て、 ようやく国内も外交も安定を見せ、学院も新学期と共に再開の運びとなった。 ―――結婚式で浮かれ気分のヴィンドボナに、いきなり現れた女王マリアンヌとヴァリ エール公爵一行。彼等から告げられるアンリエッタの逃亡報告と謝罪。そしてトリステイ ン貴族の総意を示す血判状が裏になされた五枚の巨大タペストリーを前に、いきなりの禅 譲の申し入れ。 無論、ルイズという切り札のカードは伏せたままだ。何故こんなに早く全貴族の意思統 一が為されたのか、という点は重要ではないし、要はトリステイン貴族の総意として禅譲 を受け入れる事が明らかであればいいということもある。 アルブレヒト三世と配下の人々は、怒るとか喜ぶとかいうレベルを超えていた。一体何 がどうなったら、そんな話になるのかと、マリアンヌと公爵へ大臣諸侯共々何度も何度も 聞き返していた。 どうにか話を聞き終えて得心したゲルマニアの人々なのだが、この申し出を果たしてど うしたものかと困り果て…というような暇もなく、今度はクルデンホルフ大公国から特使 一行が飛んできた。その特使は、何故か皇帝の前にいる女王と公爵に目を白黒させて絶句 した。 で、ヤンや公爵夫妻が予想したとおり特使は大公からの事件報告書を携えていた。加え てゲルマニア帰属及びトリステイン討伐軍参加申請書も。本来なら、この報告書を見て激 怒しなければいけなかったのだが、彼等にそんな気迫はもはや抜けていた。特使にしても 寝耳に水。討伐すべき本人が先に来て頭を下げて、自分たちと同じくゲルマニア帰属を申 し出ているのだから。 ゲルマニア政府の高官達は、完全に毒気も怒気も抜かれてしまった。 あまりに唐突な話に対応出来ぬ、しばし待たれよ…という訳で女王一行は貴賓室に案内 され、アルブレヒト三世以下大臣将軍達は額を付き合わせた。何か裏があるのでは、何か の策略か…と会議をしていたら、今度はラ・ロシェールからゲルマニア・トリステイン両 艦隊からの緊急報告。アルビオン艦隊を枢機卿の策により、見事撃退したというのだ。捕 虜も数千人にのぼるという。実際にはヤンの策だが、枢機卿の名で指令書は記されていた から。 この報告にゲルマニアの人々だけでなく女王も公爵も勇気づけられ、かつ交渉のアドバ ンテージを得た。驚天動地な情報が連続で降りかかるヴィンドボナは混乱、この事実を女 王達に秘匿する事が出来なかったのだ。おかげで交渉は、すっかり女王と公爵のペースで 進められた。 数日経って、本当にトリステインでは貴族の総意が得られている事、加えて公爵の三女 が虚無の使い手として名乗りを上げたという事実も伝わってくる。虚無の再臨についてゲ ルマニアの人々は公爵に問いただすが「禅譲の件には関係ない。それと、確たる答えを聞 く事は閣下の不利益となろう」と、言を左右にして答えなかった。 さて、困ったのはゲルマニアの人々。 姫が婚儀の最中に昔の男を慕って逃げた、アルビオンへ亡命した。これは確かにトリス テインの大失態であり、アルブレヒト三世個人への最大の侮辱。のみならずゲルマニアへ の国辱。 が、トリステインは真摯に謝罪し、禅譲すら申し出た。疾風のごとき早さで国内の意思 統一も済ませ、血判状まで持ってきた。もはや怒るどころか、手際の良さと潔さに賞賛の 声すら上がる。謝罪として申し分ないものであり、アルブレヒト三世の名誉も十分守られ た。 かくてトリステインに対して和解の意思が示された。争う以前に和解するという、珍妙 な決定だった。 トリステインと和解するのはいいのだが、彼等が一番困ったのは、本当に禅譲された場 合の事である。 血判状が示すのは、トリステインが盤石の一枚岩という事実。これがゲルマニア領内に 加えられると、明らかに既存の都市国家群を遙かに上回る国内最大勢力となる。つまり、 ゲルマニア領内のパワーバランスが崩れる。バランスを取るため有力貴族の処刑、人質と してマリアンヌ幽閉、『虚無』の担い手たるルイズの引き渡し要求等をすると、今度はトリ ステインが団結してゲルマニアに逆襲する事態を引き起こしかねない。ゲルマニアがトリ ステインを吸収したはずが、逆にゲルマニアの方がトリステインに乗っ取られる懸念が生 じてくる。 何より扱いに困るのは、ルイズである。真偽は未だ不明ながら、本当に虚無の系統だと したら、アルブレヒト三世にとって極めてまずいのだ。どう考えても、虚無の担い手の方 がカリスマが上だからだ。配下に加えようが、政略結婚しようが、ルイズが生きている限 り始祖ブリミルの威光を前に自分の存在は霞む。と言って排除しようとしたら、逆に自分 が消されかねない。いや、むしろルイズを担ぎ上げて自分を追い落とそうとする連中も現 れるだろう。 ついでに言うと、ルイズの容姿についての報告を受けた皇帝は一言呟いて頭を抱えた。 「…無理」の一言を。権勢欲の権化がごとき皇帝ではあったが、幸か不幸かルイズは趣味 から外れていた。 結局、公爵が暗に示したとおりルイズの件は棚上げ。皇帝は「卿等の心からの謝罪、既 に十分に予と臣民へ受け入れられた。ゆえに禅譲の必要はない。この上は過去の過ちに拘 泥することなく、共に新たなる時代を築こうぞ」と、跪き杖を差し出すマリアンヌへ手を 差し伸べた。もちろん皇帝の寛容さと、王家にも引けを取らぬ権威を世に知らしめるため でもある。 こうして、トリステインは独立を維持し続ける事も認められた。 かといって禅譲を申し出るまで譲歩したトリステインに全く無欲でいられる程、慎み深 く商才に乏しい人でもない。婚約破棄の責任も問わざるを得ない。対アルビオンへの共同 戦線は早急に必要。 マザリーニには全財産没収と宰相の地位剥奪、城からの追放。枢機卿の地位は教会内の ものなので、世俗の支配者たるゲルマニア王の権限は及ばず、教会も彼の地位には何も言 及しなかった。皇帝が彼を処刑しないのは、教会への配慮と今後の利用価値ゆえ、と目さ れている。 マリアンヌ個人の責は不問。損害賠償としての献上品と共に、定期的なヴィンドボナへ の来朝が決められた。 領土は、クルデンホルフ大公国が正式にゲルマニアへ帰属。これ以上の領土割譲を得る と、ゲルマニア国内でのトリステイン勢力が拡大しすぎ、旧来の都市国家群や商会が圧迫 される。既得権益を守りたい人々は「過ぎた欲は身を滅ぼす」と皇帝へ進言、これ以上の 領土要求はなかった。 軍事は、予定されていた軍事同盟より更に強固な連携体勢が構築された。有事の際にト リステイン軍はゲルマニア軍指揮下に入る、定期的なトリステイン領内での軍事演習、ト リスタニア近郊のゲルマニア軍駐屯、等である。もともとこの点が両国の主題なので、ゲ ルマニアは軍事に関しては様々な要求をしてきた。女王と公爵は、これはやむなしとして 受諾した。 その他、両国間の関税の撤廃や減免措置、人材交流等、色々な細かい議題はある。それ らに関しては後日、正式な交渉の場でゆっくり決めよう、ということになった。 これらの交渉が、本来結婚式に当てられるはずの期間を利用して一気に行われた。まさ に急転直下。両国の落としどころとしては、トリステイン・ゲルマニアにクルデンホルフ 大公国や都市国家群を全てまとめ、緩やかな連邦制へ再構築になるか…と巷で囁かれてい る。 三ヶ月後の現在も新体制構築に向け、交渉と構想が火花を散らしている事だろう――― 話は戻ってトリステイン魔法学院。 程なく、哀れな犠牲者となった神官は意識を取り戻した。 「デュレス司教、気付かれましたか!?」 と言ってベッド横で汗を拭きながら神官の身を案じているのは、オスマンだった。その 後ろでは、治療にあたっていたであろう水系メイジの生徒教師も不安げな顔で覗き込んで いる。 そんな彼等の顔を更に深刻な顔に変える言葉を、デュレス司教と呼ばれた神官は開口一 番口にした。 「し、司教たる私への殺意!始祖ブリミルへの呪詛!かのヴァリエール家の三女は疑う余 地無き邪教徒ですな! この件、教皇へ報告させて頂きます!いえ、私の権限で今すぐ異端しん・・・」 鼻息荒く異端審問を執り行うと叫ぼうとした司教だったが、途中で言葉が途切れた。窓 の外から、聞いた事のない甲高い音が響いてきたからだ。かつ、窓の外に異端審問の被告 人たるルイズがいたからだ。 窓の外ではルイズがデュレス司教へ向けて小さな舌を突き出している。 彼女の前では、やれやれと肩をすくめるヤンが操縦席に座っている。 甲高い音は彼女が乗る、白銀に輝くものから発している。 二人は、ちょっと土や草がついて汚れてはいるが、いまだ白銀に輝く細長い船らしき物 に乗っている。水の塔横に滞空しつつ、窓から司教へキャノピー越しの姿をのぞかせてい た。 「んじゃ、とりあえず家に帰るとしましょうか!」 後席からルイズの元気な、かつ詫びれない声が響いてくる。 「ふぁーい。…あぁ~あ、公爵に説明するのが大変だよ」 「ゴチャゴチャ言ってないで、さっさと行きなさい」 召喚ゲート専用複座式特殊小型艇『ドラート(Draht、針金・ワイヤーの意味)』の前席 に座るヤンが操縦桿とスロットルを操作し、『ドラート』を上昇させる。そして学院上空を 旋回した後、一気に飛び去っていった。 「…逃げてしまいましたな」 オスマンが空の彼方を眺めながら、ぼそっと呟いた。 対する司教は呆気に取られ、口をパクパクさせてから、ようやく言葉を発した。 「な、何ですかあれは…帆も何もないのに、風竜より早く飛んでいく船なんて…」 その言葉を聞いた学院の人々は、苦笑いを向け合ってしまう。 「あれがヤンの国の船なのです。当学院へ来られる時、草原に並んでいるのを見ませんで したかな?」 そう言ってオスマンは窓の外を指さす。 「み、見ました、が…何かは分かりませんでした。まさか、あれが船だったとは…」 デュレスも窓の外の草原を見る。 オスマンの示す先、学院外側の草原には、同じ形の機体がズラリと並んでいる。 ただ、それらには『ドラート』の様な操縦席がない。操縦席があるべき場所には、代わ りにコンテナが収められていた。草原の中に並ぶ全てがコンテナ運搬用小型艇だった。 「・・・というワケで、これから家に帰るわけなのよ」 後席で事情を話し終えると、狭いコクピットにキュルケの甘ったるい声が響いた。 《全く、無茶するわねぇ。こっちもヴァリエール家に向かってもらうわね》 「あら、そろそろ学院に戻らなくて良いの?」 《まだ一週間あるわ。それより例の調印式の準備で忙しいの。ヴァリエール領とツェ ルプストー領とをつなぐ街道の補修と拡張も終わってないし、領内の商会やら組合や らが、そっちの公爵との面会を求めて…とまぁ、そんなわけで私もまだまだ色々やら なきゃいけないの》 そんな話を二人が通信機越しにしていると、彼方の丘の上に城が見えてきた。 丘の上に立つ屋敷は、城という言葉の方が相応しい。トリステインの宮殿にも負けない ほどの大きさにも見える。高い城壁と深い堀に守られた敷地内には、いくつもの尖塔が起 立し、白銀の小型艇が数機並んでいる。この小型艇も操縦席のない、コンテナ輸送用の物 だった。 そして空の向こうからは、ヤンとルイズが乗る『ドラート』の同型機が飛んでくるのも 見える。 速度を落としてすれ違う『ドラート』のキャノピーが透明になる。中には前席で操縦す るフレデリカと後席で手を振るキュルケが見えた。 屋敷の横に着陸した二機からヤンとルイズとフレデリカと、大きくて形の良いヒップを シートから引っ張り出してキュルケが降り立った。 褐色赤毛は乗ってきた機体をペシペシ叩きながら目を輝かせる。 「いや~、やっぱり速いわねぇ。乗り心地も、狭いという以外は最高だし。我が家にも一 機欲しいわ」 その言葉にフレデリカは微笑みながらも申し訳なさそうに答えた。 「そういう訳には行きません。機体は手配出来ますけど、操縦出来るのは私と夫だけなん ですから」 「そこをなんとか!扱い方さえ教えてくれれば、あとは自分で操縦するから。お願いしま すわ!」 手を合わせ、頭を下げてお願いしてくるキュルケに、フレデリカは困った顔だ。 「そうは言われても…。操縦方法はともかく、モニターに表示される言語が読めないので は無理です」 「うぅ~、それじゃ、誰かお国から人を派遣して頂けないかしら?この『ドラート』専門 の御者として雇いますわよ」 「それこそ無理です。今のところ、故国から私以外の新たな人員派遣は不可能な状況です から」 キュルケは肩を落とし、あうぅ~と呻いた。 そんな女性二人へ向けて、こらー!早く来なさいよー。ちい姉さま待たせるんじゃない わよ!というルイズの声が飛んでくる。屋敷の入り口を見ると、門前に立つルイズとヤン を出迎える使用人達の間に、二人へ向けて笑顔で手を振るカトレアとシエスタの姿があっ た。 「ま、とにかく中で話しましょうか」 キュルケは気を取り直してルイズ達の方へ足を向けた。フレデリカもニッコリ笑って後 に続いた。 ―――現在の所、フレデリカ以外に人員派遣はなされていない。送られたのは全て無人 機だ。皇帝は護衛を送る予定だったが、ある事実を報告され中止せざるを得なくなった。 イゼルローン側も渋々納得した。ついでにビッテンフェルト上級大将も。 その事実とは『フレデリカがハルケギニア語を話した』という事である。 彼女は、ゲートを通過した瞬間にハルケゲニア語が話せるようになった。だからハルケ ギニアの人々と問題なく会話出来ている。もちろんゲートを通過していない人々はハルケ ギニア語が話せないので、通信機で帝国・同盟にいる人々と会話するには通訳が必要とな る。 この事実に気付いたステーションの人々は「うわぁ便利だなぁ、さすがファンタジー、 魔法って凄いなぁ」なんて子供番組を見る幼児のような反応はしなかった。驚愕し、戦慄 したのだ。 言語を話すというのは、耳で聞いた言葉を理解し、文章を作って発語するという事であ る。それは大脳の一部、弓状束という神経線維で接続された二つの部分、ブローカ野及び ウェルニッケ野という場所で処理される機能。ブローカ野では運動性言語野、つまり『話 す』機能を司る。ウェルニッケ野では音声言語の理解、つまり『聞く』という機能を司っ ている。 新しい音声言語を学ぶというのは、この二つの部位に新たな神経回路を作るという事。 この場合、それがゲートを通過した瞬間に、ハルケギニア語を流暢に話せるほど完璧に行 われた事になる。 つまり、ゲートには脳の神経回路をも操作する力がある。しかも一瞬で完璧に。 では操作されるのは、本当に言語野だけなのか? もし記憶や人格に関わる部分に書き換えが行われていたら…。 召喚ゲートは本来『使い魔』という名の奴隷を得るための物。ゆえに主への反逆を防止 する機能があって然るべき。そうでなければメイジ達が様々な生物を、本来は決して従順 でも大人しくもないサラマンダーのような幻獣達までも使い魔として従わせている事実を 説明出来ない。 いやそもそも、人間の命令なんか理解できる知能のない小さなカエルを使い魔にして使 役しているメイジがいる時点で明白なのだ。脳改造どころではない、もっと強力で底知れ ない何かが介在しているのは。『召喚』『契約』についてはヤンから説明されたが、だから といって『召喚ゲートを通るだけなら安全』だなどとは言えない。 結果、ラインハルトは『生物のゲート通過禁止』を打ち出し、イゼルローン側も同意し た。少なくともヤンとフレデリカの医学的データから、ゲート通過による生物への中長期 的影響を確認し、有害な効果は存在しないと判断出来るまで、召喚ゲートの使用は原則禁 止となった。 ヤンからの情報で、現在はヤンの身の安全は確保されている事が判明し、護衛としては フレデリカ一人で十分とも結論づけられた。ちなみにフレデリカはヤンと違い、白兵戦・ 射撃は身につけている。 また「戦力をハルケギニアへ過剰に送る事は、現地の貴重な文化風俗歴史を破壊する」 と強く進言、というより必死に懇願する『芸術家提督』メックリンガー上級大将の意見も 採用された。 こうして、今のところハルケギニアへ送られた人員はフレデリカのみ。武器弾薬も複座 式小型艇『ドラート』二機と、ライフル・拳銃とスペアのエネルギーパックなど小火器類 だけだ。中央広場やタルブでの戦闘から、これだけあれば護身用として十分すぎると判断 された。 他のコンテナに入れられていたのは武器以外のもの。二人の脳操作の影響を調べ健康管 理するための医療用機器、ハルケギニアの映像・生物データを採取・保存・送信するため の撮影・通信・実験用機材。その他日用品とか、衣服とか、機材を運用するためのメンテ ナンス機器に燃料など。 ちなみに夜になると、学院横に置いている機材や小型艇を勝手に持ち去って研究しよう とする謎の人影があったとかなかったとか。そしてその人のためにタルブから、砲撃やエ クスプロージョンで破壊された強襲降下艇や試作型『ドラート』を、わざわざ運んできた とか――― そして屋敷の一室では、カトレアが立派な天蓋付きベッドに寝ていた。ただ天蓋以外に も、各種機械類が取り付けられている。そこは簡易ながら医務室として機能していた。 彼女の手、腕、こめかみ等にはセンサーが貼り付けてある。そしてセンサーから採取さ れた生体データは、ベッド横の床頭台に置かれた端末に表示されている。それをフレデリ カが真剣な眼でみつめていた。 「ヤマムラ軍医、どうでしょうか?」 端末のモニターに現れたのは、白衣を着た壮年の男。彼は手元に表示されるデータを鋭 い目で睨みながら答えた。 《症状は安定しています。ですが、やはり対処療法だけでは根治できません。これま で送信してもらったデータからは遺伝性疾患が疑われるんですが、なにしろハルケギ ニア人のDNAデータが乏しく、プロテインデータバンクに無い蛋白もあって…。未 知のタンパク質は結晶構造解析から始めないと。立体構造が分からないと活性部位も 分からないのです。なので、SBDD (Structure Based Drug Design、タンパク質構造解 析に基づく新薬開発)等について、もうしばらく時間が欲しい、というのが医療班の 要望です》 ヤマムラ軍医少佐の同盟公用語はハルケギニア語に自動翻訳されていたが、ヤンの横の ルイズとキュルケとシエスタ、背中のデルフリンガーは、内容自体が分からず光の速さで 置いてかれた。 ヤンは軍医の生化学講義に分かりやすい結論を求める事にした。 「えっと、すいません。つまり今のところは研究中ということですね?これまで通り、安 全性の確かめられた点滴と、ハルケギニアの薬とかで症状を抑える、と」 聞かれた軍医は一瞬キョトンとして、慌てて咳払い。 《そ、そうです。つまりそう言う事です。失礼しました》 ちょっと恥ずかしげに頬を染める軍医に、カトレアはニッコリと微笑んだ。 「イツモ、アリガトウ。マタ、ヨロシク、オネガイシマス」 たどたどしい同盟公用語でのお礼の言葉と、春のように暖かく包み込むような笑顔。旧 同盟領出身の軍医は、ますます顔を赤くしてしまった。 ルイズが神官を吹っ飛ばしたのと同じニイドの月、ティワズの週、ユルの曜日。 アルビオン首都ロンディニウム。ハヴィランド宮殿。 十六本の円柱が天井を支える、白一色の荘厳な空間であるホワイトホール。ホール中心 にある巨大な一枚岩盤の円卓は、普段は神聖アルビオン共和国の閣僚や将軍達が集まり、 様々な会議を行っている。 「聖地奪還。確かに我等は聖下とは、始祖の悲願たる目的を共有しています」 上座に座る若者へ向け、豪奢なマントと王冠を身につけた男は静かに語りかける。 だが今は、広いホールに5人しかいない。 一人は神聖アルビオン共和国初代皇帝オリヴァー・クロムウェル。皇帝であるはずの彼 は、上座に座る人物に恭しく頭を垂れている。普段の高揚したような話し方も控え、落ち 着いた口調だ。 その皇帝に敬意を払われている、もう一人の人物。濃い紫色の神官服に、高い円筒状の 帽子は、彼がハルケギニア中の神官と寺院の最高権威…つまり、ロマリアの教皇である事 を示している。 教皇は若く、纏った神官服のカケラほどにも偉ぶった所は見えない。目元は優しく、鼻 筋は彫刻のように整っている。形の良い口には常に微笑みがたたえられていた。そして、 誰もが振り返るほどに美しい。元が一介の司教に過ぎなかい皇帝としては、また形式上ハ ルケギニアの各王より地位が高い教皇へは、敬意を払わないわけにはいかない。 二人の下座に控えるのは二人の男女、ウェールズとアンリエッタ。二人とも教皇と皇帝 の会見に際して口は開かず、僅かに顔を伏せ二人の話に聞き入っている。アンリエッタは 両腕に、肩まで届くほど長く白い、結婚式用のオーガンジーグローブのような手袋をはめ ていた。右手の義手を隠すために。 そして最後の一人、皇帝の秘書であるシェフィールドが皇帝の背後の壁に控えていた。 ローブで顔半分まですっぽり隠したまま、黙って控えている。 細い金糸のような神をさらさらと揺らして、ロマリア教皇は笑った。 「ヴィットーリオとお呼び下さい。私は堅苦しいばかりの行事を好みません。それが元で 本国の神官達には、いつも叱られておりますがね」 「恐れ多う御座います。三年前、聖下の即位式にも出席の叶わなかった片田舎の一司教で あった身としては、聖下の御名を軽々しく口にする事など」 皇帝は教皇へ深く頭を下げる。 ヴィットーリオ・セレヴァレこと聖エイジス三十二世の即位式は三年ほど前。ハルケギ ニアの各王は揃って参列する慣わしだったが、この時クロムウェルはアルビオンの地方管 区に務める一司教。もちろん参列できる身分ではなかった。 クロムウェルは感嘆を禁じ得ない。 『始祖の盾』と呼ばれた聖者の名を受け継ぐ、三十二代目教皇が二十歳を僅かに過ぎた ばかりの若者である事、とんでもない美青年であることは司教として知っていた。だが、 これ程とは思わなかった。 そもそも教皇が御召艦『聖マルコー』号にてアルビオンへ行幸する。その時点から全く の異例な事態だ。 始祖より授けられた王権を打ち倒して即位した皇帝は、始祖の権威へ唾吐く者と断罪さ れても不思議はない。それに、元々はアルビオンの一司教に過ぎない身分。王家の者では ない。皇帝がロマリアへ呼びつけられる事はあっても、逆に教皇がアルビオンへ足を運ぶ など、本来は有り得ない。第一、教皇御自ら、わざわざ他国へ赴くという事自体が滅多に ない。 故に皇帝は、自己の地位が教皇に承認されたという既成事実に喜ぶと共に『クロムウェ ルの皇帝即位承認』を取引材料とするほどに事態が切迫している事も思い至る。 「恐れながら、聖下にお尋ねしてもよろしいでしょうか?」 「なんなりと」 「此度の突然の御行幸の理由に御座います」 聖エイジス三十二世は、深いため息をつく。 「クロムウェル殿は、近々行われるであろうトリステインとゲルマニアの共同宣言、連邦 制への移行について、どう思われますか?」 その問に、皇帝は迂闊にも、露骨に渋い顔をしてしまった。下座で黙って聞いているア ンリエッタも顔を伏せてしまう。 巷で噂の、ゲルマニア=トリステイン連邦国家建国。 この報は各国高官の間でも噂され…というよりトリスタニアで行われる建国記念式典、 その調印式への招待状がロマリアに届いているのだから、もう公の事実。正式な宣言を待 つばかりの段階だ。 そして、この招待状…ロマリア・ガリアのみならず、アルビオン皇帝クロムウェルにま で届いていた。いまだ正式な国交すら無い状態にもかかわらず。 ―――かのアンリエッタ亡命事件以後、アルビオンも様々な変動があった。 確かにアンリエッタを手にした事は、極めて大きな政治的勝利である。だが同時にラ・ ロシェールへ奇襲をかけたアルビオン艦隊は敗北。捕虜数千人のために支払わされた身代 金も相当なものだ。 軍事的敗北、国庫への負担、そして増税から目を逸らすため、かつてヤンが脳内で語っ たお伽話的美談を大きく宣伝した。マザリーニ・アルブレヒト三世・ヴァリエール公爵を 悪役に仕立て上げる事で、とりあえず国民に対する権威失墜、皇帝への批判はかわし続け ている。 とはいえゲルマニアとトリステインの共倒れ、最低でも軍事同盟破棄は確実…だったの に、軍事のみ為らず政治・経済面に至るまで強固な関係を築き上げるという、真逆の結果 が生じてしまった。さすがにこんな、予想外にも程がある結果まで皇帝の責任を問う声は 小さい。だが、地上侵攻とハルケギニア統一が極めて困難になったのは間違いない事であ る。 いまだ公式発表はないが、トリステインに『虚無』の系統が降臨したという噂も広まっ ている。「地に平和を!」という神託を下し、レコン・キスタの聖地回復運動に対抗してい るというのだ。これでは他国の敬虔なブリミル教徒をレコン・キスタへ取り込むにも支障 が出る。 ワルドからの情報もあって(彼はアルビオンで領地と爵位を得て、確かな地位を築きつ つある)『虚無』の担い手ルイズ、その使い魔ヤンの事を皇帝は知っている。ゆえに、皇帝 は地上侵攻を躊躇わざるを得ない。政治的にはともかく、軍事的に勝てる見込みがほとん ど無いからだ。 そう、皇帝は知っている。 ヤンがレコン・キスタの目論見を尽く見破り裏をかく智将であると。 今や両国は一つとなり、アルビオンと並ぶ大国にならんとしていると。 皇帝への式典招待状はクロムウェルを謀殺する罠などでなく『レコン・キスタなど、も はや歯牙にもかけていない』という意味だと。 そして何より、教皇と皇帝にとって不都合な噂がトリステインを中心に広まり始めてい るということを――― 「全くもって、奴等の行為は赦しがたい事です。聖地奪還運動に対して堂々と異を唱える とは。 しかも、その理由が信じがたい!『聖地は既に無い。始祖の魔力が暴走し、千年前に消 失した。千年前から現在まで、エルフ達が暴走する虚無の力から世界を守り続けた』など と! かつて聖職にあった身としては、不信心までは赦せます。ですが始祖に弓引くがごとき 虚言は赦せません!しかも言うに事欠いて、あの暴虐なる悪鬼、エルフが世界を守ったな ど、世迷い言にも程がありましょう!」 聖職にあったくせに信仰心の欠片もない皇帝だったが、この時に示した怒気には多分に 演技以上のものが含まれていた。それほどまでに皇帝にとって、件の『理由』は非常識か つ自己の政治的宗教的立場に真っ向から対立するものだったから。 教皇も皇帝の言葉に強く頷いた。 「まったくもって、その通りです。しかも最も赦しがたいのは、この暴言を吐いたのが、 始祖の後継者を僭称するルイズという娘本人という事です。かの魔女は誰憚ることなく、 公言しているそうですよ。『私はブリミルが大嫌い』と」 「狂人の戯言です。聖下が御心を痛めるに及びますまい」 「その通り、完全に狂人の戯れ言です。始祖の系統『虚無』を受け継ぎ、始祖の後継者を 名乗りながら、始祖を嫌い始祖の悲願を否定するなど。明らかな自己矛盾に陥っているの です。 ところが、どういうわけか、その戯れ言が徐々に広まっているのですよ。トリステイン を中心に」 「信仰が地に堕ちた…という類の話ではありませんな。異教、いや邪教が広まっていると しか思えません。かの連邦設立という話の裏に、始祖の慈愛が満ちるハルケギニアを闇に 堕とそうとする、ルイズとかいう聖女を騙る魔女の悪しき意図が隠されているのは、間違 いありますまい」 教皇と皇帝はルイズを狂人・魔女と呼ぶ。その度にアンリエッタは青ざめ、失った右腕 の傷口辺りを押さえ、小刻みに震え出す。ウェールズはアンリエッタの肩に手を置いて抱 き寄せ、静かに慰める。 「どうか、されたのですか?」 教皇の問に答えたのはウェールズだった。 「私の婚約者は、かのルイズの使い魔である平民に、右腕を奪われたのです」 その言葉にアンリエッタは鞭に打たれたかの如く、ビクンと大きく震えた。伏せた顔を ウェールズの胸に埋め、頬を涙で濡らす。ウェールズはアンリエッタの背を優しくなで続 けた。 そんな二人の姿に、ヴィットーリオは顔を曇らせた。 「これは、配慮が至らず申し訳ありませんでした。どうか今は静かに休まれるがよろしい でしょう」 その言葉を受けて、ウェールズは教皇へ一礼し、アンリエッタを庇いながら退室した。 後に残るのは教皇と皇帝と秘書のみ。 教皇は秘書の方をチラリと見やり、皇帝に向き直った。 「失礼。ここからはクロムウェル殿と二人きりで話をしたいのですが」 その申し出に、皇帝は目を見開き、汗をかきながら秘書と皇帝の間でチラチラと視線を 往復させる。シェフィールドは一礼して、同じく部屋から退室した。 ホワイトホールに残るのは、すぐに穏やかな微笑みを取り戻した教皇と、なにやら落ち 着きのない皇帝の二人。 「さて、クロムウェル殿…折り入って伺いたい事があります」 「な、何でしょうか?」 「あなたの系統です」 何の前ふりもなく、何と言う事もないかのように、当たり前に尋ねられた皇帝。 だが彼の動揺ぶりは、全然当たり前のようには見えなかった。一瞬で顔一面に汗が流れ 落ちる。視線が宙を彷徨う。 それでも大きく息を吸い、やはり大きく息を吐き出して、たどたどしく答えた。 「や、はり・・・ご存じ、なのですね」 「ええ。あなたは『虚無』の系統などではありません。というより、魔法を使えぬ平民の 出でしたね」 やはり平然と答える若き教皇に、皇帝は再び大きく息を吐いた。 「そうですか…いや、当然と言えば当然ですな。全司教が属し、始祖への信仰を守るべき 教会。それを統べる教皇が、元司教である私の出自や『虚無』の系統を知らぬ訳がないの ですから、はい」 「無論です。死者を蘇らせるという魔法の正体…その指輪ですか?」 理知的な教皇の視線は、無様に汗で濡れた皇帝の指へ向いている。その指には、妖しく 深く水色に輝く石を嵌めた指輪があった。 皇帝は観念したように皇帝へ指輪を示した。 「そうなのです。これはアンドバリの指輪と言いまして、死体を蘇らせる力を持つのです よ。ですが、詳しい事は私にも分からないのです。なにしろ、魔法を使えない身なのです から」 「伝説のマジックアイテムですね。これでウェールズ皇太子を蘇らせたのですか。もしや 既にアンリエッタ姫も?」 「いえいえ、あの者達は死んでいませんよ。ちゃんと生きています。ただ、ウェールズ殿 だけは、少し『説得』をしただけですよ、はい。真の信仰に目覚めて頂くべく、始祖の教 えを説いたのです」 「なるほど、『説得』ですか。アンリエッタ姫も?」 「いえいえいえ、アンリエッタ姫は『説得』の必要はありませんでした。ただウェールズ 殿への愛があるだけです」 クロムウェルの言葉の意味に気付かぬ教皇ではない。その意味に気付いた上で、相も変 わらず涼やかな笑みを浮かべている。さらには元司教へトドメを刺すがごとき言葉まで続 けてくる。 「その指輪あなたに与えたのは、先ほどの秘書?」 この問に、クロムウェルは再び汗を噴きだした。それはYesと答えたのと同じ事。教 皇は満足げに、慈愛に満ちた微笑みと共に頷いた。 「やれやれ…まぁ、あんたみたいな三下じゃ相手にならないと思ったけどね」 ホールの扉から女の声がした。それは、不敵な笑みを浮かべるシェフィールド。 皇帝は椅子から立ち上がり、秘書を演じていた女へ口を開いた。 「お初にお目にかかります。真なる皇帝にして、レコン・キスタの盟主よ」 その呼びかけにシェフィールドはフードを外し、痩身だが美しい顔を露わにし、教皇の 前へ恭しく跪いて答えた。 「教皇聖下を謀るような真似をしたことを告白し、懺悔致します。私の名はシェフィール ド。ですが皇帝でも盟主でもなく、一人のブリミル教徒に過ぎません」 教皇は彼女の額を一瞥する。そして礼を示す女に、彼は罪を咎めるどころか、満面の笑 みと共に手を差し伸べた。 「ここに我等が出会えた事は、始祖のお導きなのでしょう。さぁ、今こそ同じ神を戴く兄 妹として語り合いましょう」 そういって皇帝は円卓への着席を促した。 着席してすぐ、シェフィールドはヴィットーリオへ尋ねた。 「それにしても、どうして指輪の事をご存じだったのですか?」 「いえ、知りませんでした」 皇帝は椅子から転げ落ちかけた。そんな様を皇帝は楽しげにクスクス笑いながら種明か しをする。 「ただ、死者を蘇らせる事から、生命を司る水の魔力を強く秘めた品を使用している、と 予想しました。例えば、死者に偽りの生命を与えるという水系統の伝説のマジックアイテ ム、アンドバリの指輪。 そして、魔法を使えぬ平民出のはずの司教がいきなり『虚無』を騙り、死者を蘇らせ、 皇帝の地位にまで上り詰めたという事実。 で、クロムウェル殿の指を見れば、明らかに高度な水の魔力を秘めた指輪をつけている わけです。もしやと思って、かまをかけてみたのですよ」 皇帝は楽しげに自らの推理を語る。聞かされているクロムウェルは恐縮して汗をハンカ チで拭きっぱなし。シェフィールドは不敵な笑みを保ちつつ、黙って教皇の話を聞き続け ている。 「さて、余興はここまでにしまして、本題に入りましょう」 教皇はコホンとわざとらしい咳払いをして、改めて二人に向き直った。 「聖地奪還というレコン・キスタの旗印、真ですか?」 秘書だった女は、微笑みと共に頭を垂れた。 「無論です。私はそのためにこの地へ来ました」 「それは、あなたの主の真意ですか?」 「その点は聖下ご自身が確かめられるのがよろしいかと」 平然と御意と答えたシェフィールドを見て、クロムウェルはクラリと体が揺れる。卒倒 しかけたようだ。 相変わらず微笑みを絶やさない教皇に対し、ようやく体勢を立て直した彼は必死に口を 開いた。 「し、せ、聖下!あ、あの、あなたの主って、どうして!あのお方の事まで!」 「いえ、どうしてと言われても…見たままですから」 そういってヴィットーリオは女性の額を指さす。そこには使い魔のルーンが描いてあっ た。 「ああ、見たままと言っても、これは『虚無』について知る者にしか分からない話です。 気にしないで下さい。 というわけで、貴女の主と直接にお話がしたいのですよ。急ぎ取り次いで頂けますか」 「分かりました。ガリア王都リュティス、『グラン・トロワ』にて我が主は聖下をお待ちし ています」 「グラン・トロワ?」 頭を垂れる女が放つ言葉に、初めてヴィットーリオは驚いた顔をした。 前ページ次ページゼロな提督