約 19,731 件
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/375.html
364 :名無しさん@ピンキー:2014/05/14(水) 13 51 13.43 ID 8Ya0S58s ここの書提督方に 「分身姦(提督自身が)おけ」…の同好の方はおられませんか? 備考; 独占主義の方は「分身は「手足の延長」的感覚で操作。 概念的には「感覚がリンクした自分自身の群体」でイメージ 365 :名無しさん@ピンキー:2014/05/14(水) 14 39 48.04 ID sps8CnAs 霧の艦隊のくれたタンスに変なスイッチ着いてたので押してみたらナノマテリアルで分裂とかで良いよもう 368 :名無しさん@ピンキー:2014/05/14(水) 16 24 17.83 ID OmPGaXWx 364 初めて聞くジャンルだ。自分自身のコピーで回す感じのジャンル? 369 :名無しさん@ピンキー:2014/05/14(水) 16 51 52.32 ID cgmgnifp 364 輪姦願望と純愛を両立したいのか 370 :名無しさん@ピンキー:2014/05/14(水) 17 33 23.65 ID SPAYNFrF 提督が一人しかいないならコピーすればいいじゃない 371 :名無しさん@ピンキー:2014/05/14(水) 17 45 58.43 ID AnIsV1DD (20人に分身して合わせれば)加賀はんや赤城はんに負けへんで(どこがとは言わない) 372 :名無しさん@ピンキー:2014/05/14(水) 18 01 21.66 ID mFsxfA7B まさかの天津飯提督か 373 :名無しさん@ピンキー:2014/05/14(水) 18 03 26.14 ID 8Ya0S58s 368 自分自身のコピーで回す感じ まぁ、そんなイメージw 一度は考えたことない? 「前にも挿入しながらアナルと口にも挿入して、両手と髪で扱きたい(扱いてもらいたい?) そしてヨガるところを見てみたい・・・」と・・・ 374 :名無しさん@ピンキー:2014/05/14(水) 18 08 34.81 ID yQ2E+mre 自分で自分を犯すところを艦娘に見てもらうのかな? …違うよな 編集注:実はある提督×戦艦(和輪姦)6-759
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/5287.html
375: 194 :2018/05/23(水) 20 30 39 ※本作品は、あくまでネタです。 ※本家の皆様(ダウンタウン・ココリコ・月亭方正)が出て来ますが、あくまで銀連&神崎島での出来事ですので、実在の人物とは何の関係も有りません。 ※後、長門達の台詞は殆ど有りません(汗) ※以上を踏まえた上で、洒落の分かる人のみ閲覧をお願いします。 銀河連合日本×神崎島支援?ネタ特別番外編 ~絶対に笑ってはいけない海軍提督24時・本家の皆様が神崎島に赴任する様です~ 23:00 神崎島がこの世に現出して、少々年月が過ぎたこの年。本家・笑ってはいけないのメンバー達は、神崎島の新人提督として神崎島を訪れていた。 松本:マッチョ提督 遠藤:イケメン()提督 田中:シャクレ提督 方正:とっつぁん坊や提督 浜田:あきつ丸 色々有りながらも収録は順調に進み、メンバー達も少しばかりのんびりとしている中、ある出来事が。 藤原「みんな、ええか?」 浜田「ん?何?」 藤原「せっかくこの神崎島に来たんや。今からスペシャルトークショーをやるで」 松本「トークショー?」 藤原「そうや。今からお前等には、この神崎島で『笑ってはいけない』をやっているメンバーの皆さんと、トークショーをやってもらう」 方正「へぇ。あの5人とですか?」 藤原「そうや。因みにこのトークショーの様子は、DVD又はブルー・レイBOXの映像特典となるんや」 松本「やらしい事言うなや」 遠藤「まぁ、そんな機会滅多に無いですしね」 田中「ただ、トークするだけなんですか?」 藤原「そうや。既に準備は出来てるから、これから体育館に行くで。あ、トークショー中は特別に笑ってもええから、和やかかつ面白いトークを頼むで」 松本「・・・まぁ、じゃあ行こか」 田中「そうですね」 376: 194 :2018/05/23(水) 20 31 18 藤原の案内の下、体育館にやってきた一行。既に体育館内に観客役の人達(妖精さんと日本側のエキストラが半々)と、長門達5人が壇上に待機していた。 藤原と大淀が進行役を務め、トークショーが始まった。撮影での苦労や宛がわれるネタへの愚痴(例・長門と田中のタイキック・遠藤と大和の身内ネタ等)、収録時の思い出 等といった話題で、大いに盛り上がる。 と、そこに眼鏡の人(※蝶野ビンタネタで前説をしている人。名前が分からなかった(汗))が血相を変えてやって来た。 眼鏡の人(以下眼鏡)「収録中の所をすいません。ちょっと、緊急事態が発生しました」 藤原「どうしました?」 眼鏡「それはこの後説明いたしますので、其方の席に移ってもらえますか。あ、長門さん達はそのままで構いません」 田中「え?どゆ事?」 方正「いや、何やろ・・・?」 突然の事に首を傾げつつも、席に着席するメンバー達。そして、改めて『緊急事態』の説明が始まった。 眼鏡「実は・・・先程鎮守府から連絡が有りまして。重要資源の一つである『高速修復材』が何者かに盗まれたのが判明しました」 説明に騒然となる館内。 眼鏡「静粛に!島内住人の緊急調査を行った所、犯人らしき人物は見つからず。盗んだのは、今回撮影の為にやって来た日本人スタッフの仕業ではないかとの事」 眼鏡「事態の重大性を鑑み、特別にこの人にご協力を依頼しました。それでは、お願いします!」 テーマ曲:蝶野正洋入場のテーマ 蝶野「ガァッデム!!」 ※蝶野正洋 乱入!! 方正「・・・・・・・・・・」※信じられないといった表情をしている 田中「うわぁ・・・」 遠藤「ここで来はりますか・・・」 一方の長門達も・・・。 長門「うわぁ・・・」 大和「本物ですよ・・・」 扶桑「・・・・・」ガクブル 金剛「ふ、扶桑。落ち着くネー」 日向「そうだぞ。別に霧島が来た訳じゃ無いんだし」 扶桑「は、はい・・・」 蝶野「警視庁・調査部、蝶野だ!今回起きた事件の解決を担当する事となった・・・・・何だ、方正。化け物を見た様な顔をしやがって」 方正「あ、いや・・・何で此処にいてはるんかなって」 蝶野「『特別ゲスト』だからだ」 方正「・・・で、何で此処で出て来はるんかなと」 蝶野「事件が起こったからに決まってんだろ。取り敢えず、説明があるから一旦黙ってろ」 377: 194 :2018/05/23(水) 20 31 59 そう言って、説明を打ち切る蝶野。続いて、今回の出来事の説明が始まった。 蝶野「さて・・・知っての通り、この鎮守府で盗難事件が起こった。しかも犯人は、日本人スタッフとの事だ。同じ日本人として、極めて恥ずかしい!!神崎提督も大変ご腹立だ!!」 蝶野「そこで俺が、『必ず犯人を見つけてケジメをつけさせますので、何とか堪えて下さい』と何度も頭を下げた結果、神崎提督も『まぁ、そこまで言うのでしたら』と納得して下さった」 蝶野「そういう訳だから、絶対に見つけ出してケジメをつけさせる!覚悟しておけ!!」 5人「「「「「・・・・・」」」」」 蝶野「では、取調べを行う・・・。神崎提督の話によると、今回盗まれた『高速修復材』は、『ある特殊なライトを当てると、赤く光る』との事だ。つまり、実際に使用した者は必ずどこかが・・・赤く光る」 蝶野「明かりを落とせ!!・・・それでは、行くぞ。ライト、オン!」 \ペカー/←方正の頭の天辺がめっちゃ光っている 4人「「「「wwwwwwwwwww」」」」 \デデーン/ 松本、浜田、遠藤、田中、アウトー! 方正「・・・・・へ?」※自体が全く把握出来ていない 松本「これwwwこれはあかんわwwwwwww」スパーン 浜田「めっちゃペカーって光っとるやんwwwwwww」スパーン 遠藤「こwwwこれはキツイですわwwwwwww」スパーン 田中「お天道様みたいですやんwwwwwww」スパーン 蝶野「・・・お前か!方正!」 方正「へ?何時!?」 蝶野「頭の天辺が光っているじゃないか」 浜田「・・・昼間の奴や」 田中「・・・ああ、塗ってはりましたね。アレ」 浜田達が言っていた物。それは二度目に引き出しネタにて方正の引き出しの中に入っていた、新型育毛剤だった。 ※筆者注 上の育毛剤を頭の天辺に塗ったら、髪が漫画みたいにモサモサと生えて来て全員が爆笑していたネタ ※犯人は、新人提督・月亭 方正だった! 378: 194 :2018/05/23(水) 20 32 46 蝶野「正直に言え。お前の頭の天辺が発光した。発光したんだ!」 方正「え、ちょっと、どういう事ですか!?」※納得出来ない方正 蝶野「それは、俺が聞きたい位だ」 方正「いや、頭の天辺が発光って、どういう事!?」 蝶野「もう一つ証拠がある。取り敢えず上がれ」 かくして、壇上で取調べを行う事に。 直後に、もう一つの証拠が運び込まれる。手押し車の上には、件の新型育毛剤が置かれていた。 蝶野「見覚えは有るか?」 方正「・・・・・はい」 蝶野「先程、調べた結果が上がってきた。分析した結果、『高速修復材』の成分が大量の含まれていた!」 方正「・・・ちょっと待って下さい。僕は知りません」 蝶野「何言ってる。お前の机の中に有った物だろ?」 方正「いや、待って下さい!光ってたんなら、あの人の頭も光ってました」 そう言って、松本を指差す方正。 蝶野「何言ってる?光ってなんかいなかったぞ」 方正「いや、ちゃんと調べて下さい。ほんのりと、光ってましたって!!」 蝶野「お前は、天辺がはっきり光ってたんだぞ」 方正「・・・・・へ?」 松本「・・・ww」 \デデーン/ 松本、アウトー! 松本「お前、ええ加減にせえよww」スパーン 蝶野「・・・そんなに納得出来ないか」 方正「はい。何ですか、天辺が光ってるって?」 蝶野「・・・分かった、証拠を見せてやる。鏡有るか?」 スタッフが鏡を持ってきて、方正に手渡す。 蝶野「一旦座れ。証拠を見せてやる」 方正「・・・・は、はい」 蝶野「座ったな。・・・よし、明かりを落とせ!」 再び真っ暗になる体育館内。 蝶野「ライト、オン!!」 \ペカー/←天辺がめっちゃ光っている 方正「うははははははwwwww」 4人「「「「あははははははwwwww」」」」 \デデーン/ 全員、アウトー! 方正「なww何これwwwww」スパーン 松本「もう俺がどうこうというレベルとちゃうねんwwwww」スパーン 浜田「流石にわかったやろww山ちゃんwwwww」スパーン 遠藤「めっちゃ発光してますもんwwwww」スパーン 田中「言い訳不能ですもんwwこれwwwww」スパーン 379: 194 :2018/05/23(水) 20 33 25 蝶野「・・・納得したか?」 方正「・・・・・はい」 蝶野「取り敢えず、上がれ」 もはや方正に、弁解の余地は無い。 ステージ上にて、制裁のビンタに。 蝶野「よし、もっとこっち来い」 方正「ちょ、ちょっと待って下さい」 蝶野「何がだ?」 方正「毎年毎年、嫌ですって!こんなの」 蝶野「何言ってる。お前が犯人だからだろ。ケジメをつけろ!!」 方正「もう、ホンマ勘弁して下さい!!毎年毎年嫌です!!」 蝶野「・・・・・そんなに俺にビンタされるのが嫌か?」 方正「嫌です!!ホント勘弁して下さい!!」 蝶野「・・・・・分かった。じゃあ、代わりの人物にビンタしてもらう」 方正「・・・ほんまですか!?」 蝶野「そうだ。しかも、その人物は女性。俺の妹分的存在だ」 方正「・・・何か引っかかる表現ですけど、それならそっちでお願いします!」 蝶野「本当にいいんだな?・・・・・よし、入って来てくれ!」 テーマ曲:艦隊これくしょん『敵超弩級戦艦を叩け!』 霧島「マイクチェック!!」 方正「」※呆然としている 4人「「「「ブフォwwwww」」」」 \デデーン/ 松本、浜田、遠藤、田中、アウトー! 松本「なんやこの流れwwwww」スパーン 浜田「ここで、この人出すか?wwwww」スパーン 遠藤「だから妹分なんですねwwwww」スパーン 田中「いや、これ大丈夫なんですか!?wwwww」スパーン 380: 194 :2018/05/23(水) 20 34 08 突然の事に呆然とする方正。しかし、我に返ると必死に蝶野に問い質し始める。 方正「いや、ちょっと待って下さい!!どういう事ですか!?」 蝶野「妹分の、神崎 霧島だ」 方正「いや、そうじゃなくて。とても耐えられませんってば!!」 霧島「・・・まさか本家の人にビンタをする日が来るとは。では、この霧島。全力全壊で逝かせてもらいます!」 方正「いやいやいや!!待って!!待ってー!?!!?!?助けて!!?!?!皆、助けて=!!?!?!?!」※物凄い形相で必死に助けを求めている 4人「「「「ぶははははははwwwwwww」」」」 \デデーン/ 松本、浜田、遠藤、田中、アウトー! 方正「浜田さーん!松本さーん!助けてー!!遠藤=!田中ー!死にたく無いー!!??!?!」 松本「なんちゅう顔をしとんやwwwwwww」スパーン 浜田「ちょwwwその顔やめーやwwwwwww」スパーン 遠藤「ひ、必死過ぎですわwwwwwww」スパーン 田中「命懸かっているからってwwwwwww」スパーン 霧島「全く!扶桑さんといい、貴方といい、どうしてこう往生際が悪いんですか!ちゃんと制裁を受けなさい!!」 方正「うあああああああぁぁぁぁぁっぁあぁぁぁ!!?!?!?ヴァアァッァァァァァァァ!!?!?!?!?!?」※更に酷い形相で滅茶苦茶暴れている 4人「「「「ぶあははははwwwwwwwwwwwwwwwww」」」」 \デデーン/ 松本、浜田、遠藤、田中、アウトー! 松本「や、山ちゃんwww必死過ぎやwwwwwwwwww」スパーン 浜田「これはアカンやろwwwwwwwwww」スパーン 遠藤「も、もう止めて下さいwwwwwwwwww」スパーン 田中「ほ、放送出来はるんですかwwwwwこれwwwwwwwwww」スパーン 霧島「全く。・・・・・そんなに嫌なら、キックでもいいですよ?」 方正「へっ!?」 霧島の台詞を聞き、彼女の視線の先を見る。そこには・・・。 エーレル「オウ、方正トカ言ッタカ。ビンタガ嫌ナラ、私ト呂ーノクロスボンバーノ刑ダ」 呂500「併せ技ですって!」 方正「・・・・・・・・・・ヴェアアアアアアアアアア!??!?!?!アバァァァァァァアアァァァァァ!!?!?!?!?!!?!?!?」※表現不能の表情で、全力で叫んでいる 4人「「「「「~~~~~~~~~~wwwwwwwww」」」」」」※声も出ない位笑い転げている \デデーン/ 松本、浜田、遠藤、田中、アウトー! 松本「もwwもうええからwwwもう撮れたからwwwwwwwwww」スパーン 浜田「こんなの耐えられるかwwwwwwwwwww」スパーン 遠藤「お、お腹がwwwwwお腹がwwwwwwwwww」スパーン 田中「も、もう勘弁して下さいwwwwwwwwww」スパーン 381: 194 :2018/05/23(水) 20 34 41 蝶野「オイ!!何見苦しく暴れているんだ、方正!!」 余りの醜態を見かねてか、再び蝶野が姿を表す。 蝶野「全く!お前が『俺のビンタが嫌だ』って言うから頼みを聞いてやったのに、何暴れているんだ!見苦しいぞ!!」 方正「た、助けて下さい蝶野さん!!まだ、家族を残して死にたく無いです!!」 蝶野「・・・そんなに、俺に代わって欲しいか?」 方正「は、はい!!お願いします!!」 蝶野「分かった。今そこに、神崎提督が来て下さった。神崎提督に、心をこめて謝れ。それが条件だ」 その直後、第二種軍装を完璧に着込んだ神崎提督が、壇上に姿を表した。 神崎「方正さん。霧島達が必要以上に怖がらせてしまいましたね。それは謝ります。ですが、流石に盗みを働いた件は看過出来ません。ここは、きちんと謝ってもらえますか?」 蝶野「優しい人じゃないか。方正。お前も、心を込めて、『盗みを働いて、すいませんでした』と謝るんだ」 方正「・・・・・分かりました。神崎提督。盗みを働いて、・・・・・すいませんでした!」 蝶野「お前がやったんじゃねえか!!」 方正「ひいい!!やってません!!?!?!」 4人「「「「うははははははwww」」」」」 \デデーン/ 松本、浜田、遠藤、田中、アウトー! 松本「あーおかしいwww」スパーン 浜田「やっとこの流れになったなwww」スパーン 遠藤「ここに来るまでが、長いですからねwww」スパーン 田中「寧ろ、こっちが笑い死ぬ所でしたよwww」スパーン ※犯人に、制裁のビンタ!! 382: 194 :2018/05/23(水) 20 35 11 蝶野「お前、散々尺を取ったからな。泣こうが喚こうが、そのままビンタだ!怪我したくなかったら、ジッとしていろ!!」 方正「・・・分かりました。じゃあ、最後に一ついいですか?」 蝶野「何だよ?」 方正「・・・扶桑さんに、一言、コメントいいですか?」 蝶野「・・・いいだろう。じゃあ、コメントした直後にビンタだ。いいな?」 方正「・・・・・はい。それでお願いします。・・・扶桑さん」 扶桑「な、何でしょう?」 突然のコメントに、若干戸惑い気味の扶桑。 そんな彼女に、方正は言葉を投げかける。 方正「・・・・・これが本家の散り様や。しっかりと目に焼き付けとけ!!」 バチィィィィィン! 4人「「「「!?」」」」 長門達「「「「「!?」」」」」 ※別角度でもう一度 方正「しっかりと目に焼き付けとけ!!」 バチィィィィィン! ※更に別の角度から、もう一度 方正「しっかりと目に焼き付けとけ!!」 バチィィィィィン! ※犯人に制裁のビンタ炸裂!! ヨロヨロ・・・ドタッ、ゴロゴロゴロ 方正「・・・・・」ピクピク 蝶野「ガァッデム!!」 \デデーン/ 松本、浜田、遠藤、田中、アウトー! 松本「何やねん、このオチ・・・www」スパーン 浜田「散り様って、何いうとんねん・・・www」スパーン 遠藤「格好良い事言おうとしとりましたんやろうけど・・・www」スパーン 田中「やられてはる事は、ビンタなんですよね・・・www」スパーン ナレーション「ここからは、小○製薬の提供で、お送りいたします」 383: 194 :2018/05/23(水) 20 35 43 如何だったでしょうか。前スレのネタを元に、何とか形にする事が出来ました。 言い掛かrゲフンゲフン罪状ですが、盗撮はベタ過ぎるなと思い、科学博士の上川リキッドのネタでやってみました。・・・最近、頭の天辺が寂しくなりつつあるとの事なので(鬼) 本家らしさがちゃんと出せているか心配ですが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。 wiki掲載は自由ですが、掲載時はシリーズとは別枠で登録お願いします。
https://w.atwiki.jp/ej3sgcu5vx/pages/87.html
提督(艦隊これくしょん) 【指揮】:S …指揮型ここにあり 【育成】:A …レベリング(育成)を得意とする 【統率】:A …敵性種以外は問題なく従えられる 【能力】:A- …独自のルールを持っている 固有 第一固有/大破ストッパー:味方のポケモンのHPが最大HPの1/4以下になった際に状態異常【大破】になるが、前T終了時に【大破】状態で無い限り、そのTの間は確定でHP1で耐え続ける。効果は交代中も継続し、貫通含むいかなる能力によっても阻害されない。また、固有発動状態で1体でも瀕死になった場合、その時点で敗北とする 第二固有/夜戦突入:バトル開始時に【異界/鉄底海峡】を展開する。この異界は他の異界・天候と干渉すること無く共存できる 状態異常/【大破】 達成値半減、与ダメ-200%、確率系判定値-2、この状態異常がついている間は場に出ることが出来ない(強制交代等でも選出の対象にならない、交代対象が全員大破状態の場合敗北する)。大破状態で場を離れた場合、強制的にHPが1まで低下する。通常の状態異常より優先度が高く、最大HPの1/4以上確保する以外で解除する方法は無い。(【大破】状態の時点で他の状態異常は解除される) 【異界/鉄底海峡】 LD+200% L場に水タイプが存在するとき、確率系判定値+2 L交代無効状態にならない バックアップ 明石(艦隊これくしょん) 【艦隊修理施設】:毎T、場に出ていない状態異常/【大破】のポケモン全てのHPを最大HPの1/40ずつ回復する ポケモン 川内(艦隊これくしょん) L水/格闘 《役割》 L【キラー】:+30/D+300%/【エース】補正解除 《種族》 L【夜戦忍者の動作理解】:専用スキル発動時、相手の回避技能の発動を封じる L【夜戦忍者の暗殺指令】:専用スキル発動時、相手の戦闘続行/復活を無効化 L【夜戦忍者の荒天強襲】:後攻時かつ相手の攻撃によって自身のHPが1になった時、6倍数T以外でも専用の発動が可能になる L【夜戦忍者の援護射撃】:異界展開時、味方の「バトル中1回」の種族スキルの中で使用済みのものを再使用させる事が出来る/1回・任意・控えから発動可能 《異名》 L【夜戦忍者】:「被ダメージ0」系効果無効/この効果は貫通効果として扱われない 《特権》 L【エキスパンション(闘)】:「闘」タイプの攻撃が相手の固有・専用以外の防御スキルを貫通する 《専用》 L【宵闇射貫く長槍】:異界展開時かつ6倍数Tかつ10T以降に限り一撃必殺/2回 あきつ丸(艦隊これくしょん) L水/地面 《役割》 L【アシスト】:アシスト効果付与、撃破後は自動交代 《種族》 L【揚陸艦の偵察任務】:控えにいる状態で、低確率で場に出ているポケモンを解析する L【揚陸艦の蒼天航路】:T終了時任意交代 L【陸軍省の策謀】:「補給線」の上に相手が別の設置物を重ねようとした場合、それを自分の場では無く相手の場に設置する/1回・場に出ていなくとも発動可能 L【陸軍省の計略】:【陸軍省の策謀】発動時、対象となった設置物の発動をバトル終了時まで無効化する/これはあきつ丸瀕死以外の状態で有効とする 《異名》 L【揚陸艦】:場に出たT、自分の場に「補給線」を設置する 《特権》 L【エキスパンション(地)】:設置技の影響を受けない 《専用》 L【揺れる蜻蛉羽】:自身の場に水タイプのポケモンが存在するとき、T終了時に任意交代させる事ができる/交代時に味方にアシスト効果付与 「補給線」:この設置物が場にある限り大破時でも能力が低下しない 夕立改二(艦隊これくしょん) L水/電気 《役割》 L【パニッシャー】:+30/D+200%タイプ相性による「効果今一つ」を等倍(攻撃のみ) 《種族》 L【深夜の乱戦】:追加攻撃に急所補正を加える L【深夜の狂乱】:異界展開時、攻撃が必中する L【狂犬の追撃】:与えたダメージが相手のHPの1/2以上の時、追加攻撃を行う L【狂犬の猛追】:攻撃終了時、相手のHPが1/4以下の時、追加攻撃 《異名》 L【狂犬】:異界展開時、防御効果貫通 《特権》 L【エキスパンション(電)】:攻撃力補正+5 《専用》 L【鉄底海峡の悪夢】:異界展開時、C+2、相手にダメージを与える毎に追加でHP1/8ダメージ 北上改二(艦隊これくしょん) L水/電気 《役割》 L【二枚看板】:+45/D+200%/C+1/HP+15/A+5 《種族》 L【スナイパー】:【二枚看板】任命時、攻撃を必中させる L【雷槍の心得】:味方の種族スキルを1つだけ使用できる/1回 L【雷槍の一撃】:追加攻撃に急所補正を加える L【雷神の極意】:低確率で専用を再度使用できる、これは追加行動とする/1回・任意 《特殊》 L【天賦の才】:HP+50/A+5/天賦異名付与 《異名》 L【雷槍】:状態異常などのダメージ減衰効果を無効にする 《天賦異名》 L【姫殺し】:相手の残存HP100毎にD+100%,C+1/最大D+500%,C+5 《特権》 L【エキスパンション(電)】:攻撃力補正+5 《専用》 L【魚雷カットイン】:D+300%、防御効果貫通/1回・任意 雪風(艦隊これくしょん) L水/鋼 《役割》 L【ブロッカー】:被ダメージ-200%/HP+30 《種族》 L【殿の勤め】:強制交代を無効化する L【幸運艦の回避挙動】:低確率で攻撃を回避する L【幸運艦の応急修理】:割合ダメージ無効 L【幸運艦の継戦行動】:瀕死以外の状態異常で行動不能状態にならない 《特殊》 L【伝説】:伝説異名付与 《異名》 L【幸運艦】:回避判定値+2 《伝説異名》 L【奇跡の駆逐艦】:必中/回避無効を持つ攻撃を受けたとき1Tの間、効果を無視した上で確定回避を行う 《特権》 L【エキスパンション(鋼)】:「悪」「霊」技が「こうかいまひとつ」になる 《専用》 L【ひたすら踊れや陽の射す方へ】:指揮ダイス出目50以上の個数*2割で相手の攻撃を回避。回避成功時、バックアップの効果を2倍にする 金剛(艦隊これくしょん) L炎/水/鋼 《役割》 L【不動のエース】:+60/D+200%/C+1/HP+10/A+5 《種族》 L【超弩級戦艦の機密事項】:解析効果無効 L【超弩級戦艦の戦場礼法】:自身の補正への干渉を無効化する L【超弩級戦艦の後方支援】:自身が場にいる間バックアップの効果を2倍にする L【超弩級戦艦の極秘作戦】:異名効果発動時、相手の固有発動を無効化する/1回・任意 《異名》 L【超弩級戦艦】:エース・二枚看板・キラーに対して攻撃力補正×2 《特権》 L【エキスパンション(鋼)】:「悪」「霊」技が「こうかいまひとつ」になる 《専用》 L【海原に咲かせ炎の華】:場に出るまでに要したT×1の攻撃力補正獲得、10T以上経過している場合、C+3を得る 【備考】 水タイプ統一の低速サイクルPT メインになるのはデメリットを付けることで回数制限なしに食いしばることが出来る固有と打ち消されることが無い異界。先発アシストでデメリット対策をした上で第一固有で耐え、アシストの専用で回収し、バックアップで回復することで低速サイクルをしながら火力札で相手のリソースを削り飛ばしていくスタイル。嵌まればエンドレスで回り続けるが事故るとあっという間に持って行かれるのでブロッカーがどれだけ回避できるかが鍵。ブロッカーが回避し続ける限り事実上敗北はあり得ないが、逆にブロッカーが働かなかった場合一瞬で瓦解する 弱点としては固有封印、異界解除、急所無効、控えに攻撃系あたりか。普遍的な能力には一通り対策があるが特異な効果に対しては極めて脆い構成となっている。 プロ想定という事で自重無し(特にリソース全部回避に注ぎ込んだ伝説と金冠絶対殺す天賦)。一つ一つの効果は比較的大人しめの代わりにシナジーで相手を磨り潰すスタイル。とはいえ資質Sが1つだけでヌシも0なのでそう酷いことにはならないはず
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/643.html
37 :香取と。:2015/02/10(火) 17 37 39 ID 7R5H6B3E 香取さんがどストライクだったので。 「練習巡洋艦香取です。心配しないで? 色々と優しく指導させて頂きますから」 トラック泊地への深海棲艦の強襲に対する迎撃をひと通り終え、艦隊にやって来たのは一隻の練習巡洋艦。女教師然とした出で立ちをした彼女はそう言いながら微笑んだ。 「私がこの鎮守府の提督だ。さて、来たばかりで疲れているだろう。今日はしっかり休んで、明日以降に備えてくれ。練習巡洋艦としての活躍、期待しているぞ」 「はい、こちらこそ。それではお言葉に甘えて今日は休ませていただきますね。それでは、明日からよろしくお願いします」 そう言いお辞儀をすると、彼女は執務室を後にした。 さて、こちらは自分の仕事を進めなければいけない。目下、大規模作戦終了後の恒例である報告書作成や、消費した資源の調達のための遠征計画など、執務室の机には文字通り仕事が山積みだ。 仕事に手を付けようとすると、ふと先ほどの香取の笑顔が思い浮かぶ。純粋なそれとは違い、けれども悪意がある訳でもない不思議な感じの―― 「……疲れてるのかな。さっさと仕事は終わらせよう」 雑念、とも呼べるかもしれない感情を抑えこむように呟き目の前の書類に取り掛かる。 結局、書類の山を片付けたのは午後十一時を回った頃だった。 途中、秘書艦に頼んで食堂から軽食をデリバリーしてもらったが、その秘書艦も既に退室してしまっている。 「風呂に、行くか」 鎮守府の浴場は一つ。しかし男女比は提督一人対艦娘数十人なので、男性が使える時間は午後十一時以降からという取り決めだ。十一時を回っていることを確認し、一式の装備を持って浴場へと向かう。 浴場に向かう廊下の途中、大規模作戦直後だからだろうか、鎮守府内は静かで、みな早めに寝てしまったのだろう。 ――慰労会兼歓迎会は明日以降だな。 そんな事を考えながら大浴場の入り口にかかった暖簾を潜る。脱衣所のフロアには棚が並んでおり、矩形に区切られた棚の中には着替えなどをいれる籐籠が収められている。勿論、今は全てが空で…… 「あれ?」 籐籠の一つが埋まっている。その体積からして忘れ物という訳でもなさそうだ。 ――また川内が夜遊びして風呂に遅れたか。 説教の案件を考えながら籐籠をのぞき込むと、そこにあるのは赤を基調とした川内型のものではなく 「香取……?」 白を基調としたジャケットに灰色のワイシャツ。さきほど執務室で話した彼女の物で間違いない。丁寧に折りたたまれたそれに自然と目が惹きつけられてしまい、更にはジャケットの上に置かれた黒いストッキングが目に入ってしまった。 脳裏に浮かぶのは昼間見た彼女の姿。あの不思議な笑みと、豊満な身体に短いスカートから伸びる脚を包んでいたストッング。 本来ならばここで引き返すべきだったのだ。新人である彼女に浴場の使用区分についての情報が行き渡っていないのは仕方なのない事であるし、別に自分とて風呂に入らねば死んでしまう訳でもないのだから。 けれども魔が差した、というのはこういう事なのだろう。ここ数日、大規模作戦とその準備で忙しかったせいかもしれない。 手を伸ばし、籐籠の中からストッングを取ってしまう。おそらくは、彼女がついさきほどまで着用していたであろうものを。 この時点で股間は痛いほどに大きくなり、吐息も荒くなっていた。提督としてあるまじき行為だ。わかっていても、その手は止まらない。 大丈夫。もし彼女が浴場から戻ってきそうになったら気づくはずだ。棚が影になって浴場の大扉からは直接見えないし、そのまま入り口まで行くことも出来る。そう自分に言い聞かせながら恐る恐るストッングを手元に持ってくる。扉を一枚隔てた浴場に彼女がいるというのに。むしろ、その事実が興奮を加速させていた。 棚を背に倒れこむように床に座り、手にしたストッングを顔に近付けると大きく息を吸う。鼻孔に広がるのは甘く、だがとても危険な香り。続けてニ、三度吸い込むと肺の中にその甘美な香りが充満するような感覚と共に、頭がボーっとしてくるのがわかる。気づけば自らの股間に手を伸ばしていた。痛いほどに大きくなりズボンの生地を押し上げるそれを解放するためにチャックに手をかけ、中のモノを取り出し―― 38 :香取と。2:2015/02/10(火) 17 38 50 ID 7R5H6B3E 「あら?」 心臓が止まりそうになった。一瞬動きを止め、錆びついた機械のような動きで首を回すと、そこに香取がいた。 身体にバスタオルを巻いただけの彼女は、籐籠から眼鏡を取り出し、それを着けると私の姿を見ながら微笑んだ。 ――不思議なあの笑みだ。 体中の血液が冷たくなる感覚。たっぷり数秒、現状を眺めてなお彼女はその笑みを崩さない。 「ち、ち……違うんだ!」 咄嗟に言い逃れをしようとしていた。無駄だとわかっているのに。こんな見苦しい真似に対しても彼女はそのままの笑みで語りかける。 「違う? 何が違うのですか、提督」 「そ、それは……」 「とりあえず、それ、返してくれません? そしたらちょっと反対向いていてくださいね」 それ、とは私が手に握っていたストッキングだろう。震えるばかりの私に対して、彼女は両手で私の指を一本一本解いて、ストッキングを取り戻す。そして、何も言えないまま彼女に背を向ける形となる。 すると、トスンという軽い音が聞こえた。おそらくはバスタオルを落とした音。続いて衣擦れの音が連続した。視界は正面の壁に向いてこそいるが、彼女との距離は1メートルもないだろう。先ほどとは打って変わって聴覚が研ぎ澄まされていて、布が擦れ合う音ですら耳にした途端に心臓が跳ね上る。 「いいですよ、こちらを向いて下さい」 振り向くと服を着た香取がいた。髪は濡れたままだが、ネクタイを締めジャケットのボタンを止め、しっかりした格好だ。――勿論、ストッキングも履いている。彼女は見下ろす形で、なおもあの笑みを絶やさない 。 「さて、それでは提督。先ほどは何をしていたか、話して頂けますか?」 「え、……あ、そ……」 喉が乾く。口内の水分が全て失われた感じがして、上手く声が出ない。 「言いたくないのですか? ……なら、私が言ってあげましょうか。提督は、私のストッキングの匂いを嗅いで、オナニーしようとしていたんですよね?」 その言葉に否定出来る事は何一つなく、ゆっくりと頷いてしまう。 すると彼女はまた笑みを浮かべる。 「成る程。これは、少し厳しい躾が必要みたいですね?」 とりあえずここまでです。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/653.html
215 名前: ◆NQZjSYFixA[sage] 投稿日:2015/02/24(火) 23 33 55 ID B9e5BkgU http //www55.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/478.html の続きを投下します。続き物でちょいちょいオリ設定が出て来ていますが適当に無視してください。 あらすじ 新任提督が初日から雷ちゃんと肉体関係になったら 他の艦娘もしたいらしいので毎日一人ずつやり始めた 216 名前: ◆NQZjSYFixA[sage] 投稿日:2015/02/24(火) 23 34 55 ID B9e5BkgU ぶじゅっ、くちゅ、という粘質な音が風呂場に響く。 「ふあぁっ、んっ、いく、いくいくーーっ!」 俺の腕の中で、前髪を切りそろえた黒の長髪の女の子が絶頂に身もだえする。 彼女の名は、初雪。駆逐艦の艦娘だ。可愛らしい見た目からは想像も出来ないが、 数百年前の艦の魂をその身に宿し深海棲艦を根絶するために日夜戦い続ける、海の戦士である。 そんな立派な女の子は今、俺の太ももに腰掛けて股を開き、俺を背もたれに脱力している。 戦士とは思えぬ柔らかさ、上気した肌は性の昂ぶりを示すように熱を持ち、太ももには彼女の 膣で暖められた大量の俺の精液と、それ以上に初雪の愛液の生暖かさを感じる。 今俺は、夜通しのセックスの後始末に初雪の膣に残った精液をかきだしているところだった。 しかし初雪の瞳は情欲に濡れ、もっとしたいと言いたげに俺を見つめている。つい昨日まで ぼーっとしてマイペースだった初雪とは凄い変わりようだ。あどけなさの残る顔立ちに宿る 色香に見とれ、思わず抱き寄せると、我慢しきれないのか初雪から唇を重ねてきた。さらに 舌まで入れられ、指の動きを催促するように腰を動かす。くちゅ、くちゅ、と先ほどよりは 控えめな音が鳴り出すと、うっとりと目を細めて舌をより激しく動かし始めた。 が、俺はシャワーを強めに出して初雪の身体の汗や体液を落としてやる。 「気持ちは嬉しいが、もう朝だ。ちゃんと部屋に帰らないと」 ぬるりと追いすがる初雪の舌を振り切って、頭を撫でながらそう答えた。 「えー……もっと司令官とセックスしたい……です」 ぶーたれる初雪の顔はそこだけいつもどおりで、俺は微笑んだ。 「はいはい、また今度な」 そう言って初雪の頭の上からシャワーを浴びせる。そのまま抱き上げて横に並べてある 椅子に座らせようとしたが、なおも往生際悪く抱きついてきた。むにゅりと乳首を押し付ける ようにして身体を密着させ、俺の耳元でささやく。 「あんっ……司令官のチンポ、初雪のマンコにずぼずぼはめてください……子宮に精子かけて欲しいのぉ」 つい数時間前に俺が仕込んだ、猫なで声でおねだりしてきた。 「ダメなもんはダメだよ。ほら、初雪も自分で身体洗って」 苦笑してその額に軽くキスしてやってから、今度こそ初雪を座らせた。 「むー……初雪、もっとしたいのに」 そう言いながらも諦めてくれたのか、シャンプーのポンプをかしゅ、かしゅ、と押して手に取り、 頭を洗い始めた。頭頂部を十分にあわ立たせてから、首の後ろに手を入れて長い髪を持ち上げ、 髪全体に泡をなじませていく。雷とも風呂に入ったことはあるが、髪の長い女性の洗髪を見るのは そういえば初めてだ。当たり前だが無防備にも目を閉じて俯いている初雪が、わしわしと手を動かすたびに 張りのある小ぶりな胸がふるふると揺れる。そんな所をじっと見ていると、撃ちつくしたはずの 俺の股間が、またも息を吹き返してしまった。 シャワーで泡を流した初雪がふと目を開けて下を見て、にまりと笑った。 「ん、後一回……一回だけ。司令官が射精してくれたら、初雪もすぐイクから」 返事を待たずにがに股になって俺にまたがると、ぬぷぬぷと腰を沈める。 「あっ……ふ、うぅん……」 夢見心地のように艶かしい吐息をあげ、きゅうきゅうと膣を締めてくる初雪の腰を掴んで、 時間もないのでガンガン腰を振ってすぐに射精した。 「はっ……あーーー……んんっ……」 初雪はぽーっと酔ったように目を細め、今日一番の力で膣を締め、子宮口をくすぐるように大きく 腰を前後させる。 「あっ、きたきたっ、んっ、いっく……ぅ」 ぎゅっと眉根を寄せて全身に力をこめて絶頂を味わってから、ふう、と息を整えて顔を上げると、 そこにはもうケロリとした顔のいつもの初雪が居た。 「ん、すっきりした。身体洗う」 そこからはお互い無言で、普通に身体を洗った。 着替えもてきぱきと済ませて、夜明けの廊下で初雪を見送る。 「はぁ、徹夜したから、眠くなってきた」 「あー……すまん。これから朝練だよな」 「ん。次セックスする時、いっぱい気持ちよくしてくれれば、いい、です」 「はは。気に入ってくれたみたいで嬉しいよ。ま、今日と明日は先約が居るみたいだが」 「夜は、そう。昼は空いてるから、セックス、できる」 「おいおい……仕事があるだろ?」 「まだ仕事少ないし。休憩時間、ある」 「本当大好きになったな……ま、そのうち機会があったらな」 「やった。それじゃ、司令官、おやすみ」 「神通に怒られるからがんばって起きてくれ」 かく言う俺も眠い。風呂に入って温まった分、眠気も倍増だ。だがさすがに俺が居眠りもまずかろう。 「今日は何か歩く仕事をしようかな……」 初雪の去った廊下で、独りつぶやいた。 眠い目をこすりながら、朝飯を食べに食堂へ歩く。既に艦娘達はランニングを開始しており、遠くの 方から重い足音がかすかに聞こえる。朝の寒さに首をすくめながら、食堂の扉を開けると、ふわりと 味噌汁の香りが漂ってきた。昼は艦娘と同時だが、朝一番の食堂は俺一人だ。 日替わり朝食を頼む。今日はアジの干物とカブの酢漬けがおかずだった。相変わらずのプロの味だ。 ぺろりと平らげて、さっさと自室に帰った。 ふと思い出す。そういえば、俺も野菜の種を持ってきていた。 「じっとしてると眠くなりそうだしな……適当なところに畑でも作ってみるか。 女の子が多いし果物でも作れば誰か食べるだろ」 自分の荷物の中を漁りこの機会にと全部出して整理するも、記憶どおりに果物の種は一つもない。 (そういえば、艦娘の数が増えた特典で自転車があったな……) 近くの町に行けば、多分種は買えるだろう、と算段をつけ、着替えて執務室へ向かった。 「おっはよ、司令官!」 「ああ、おはよう、雷」 満面の笑みで出迎えてくれる雷に挨拶を返し、椅子に座ると、機械を起動する。 実は普段の秘書艦は神通なのだが、さすがに複数の艦娘に手を出し始めた初日から 神通を秘書艦にするのは俺の精神衛生上良くなかったので、事情を知る雷を指名しておいた。 「うっふっふー」 雷が、口に手を当ててにまにまと笑って近寄ってきた。 「どうした? そんなにニヤニヤして」 「えへへ、司令官が初雪とも仲良くしてくれたんだなーって、嬉しくなっちゃった」 「ああ……やっぱり分かったか? 眠そうにしてたか?」 「ふふっ。そうね、にやけながら寝ぼけていて面白い感じになってたわ」 そう言われると、苦笑するしかない。 「でもちょっとだけ嫉妬しちゃうかも。司令官、私のときより長くセックスしてない?」 「あー……そこらへんは初雪のリクエストもあってだな」 雷の言い出したこととはいえ、一人でも良いといった翌日からこれでは、確かに文句の一つも 言いたくなるだろう。 「あっ、別に怒ってるとかじゃないのよ? 私は昨日までたっぷりしてもらったし」 ぱたぱたと両手を振るが、俺は雷を招き寄せた。 「おいで、雷」 「えっ、や、ほんとに大丈夫……なんだけど」 と言いつつ、照れくさそうに笑ってトテトテと歩いてくる雷を抱き締め、唇を重ねる。 「んっ……もう、司令官ったら、こんな朝から……」 そういいつつ、既に雷の両手は俺の首の後ろに回っている。 「えへへ……ありがと、司令官。元気出た」 俺たちは顔を見合わせて笑うと、ようやく仕事に取り掛かるのだった。 その日の昼飯時。 「司令官とするの、すごい。ほんと、なんか、もう……すごい。おすすめ」 初雪が食堂で、駆逐艦娘の話題の中心となっていた。 ふんすと鼻息も荒く、胸を張ったドヤ顔で、どうにもふわっとした自慢をしている。 「うわー、ホントにやっちゃったんだ! でもでも、初めては痛いって、聞いたことあるっぽい?」 「ん、ちょっと痛かったけど、すぐ気持ちよくてわけ分からなくなるから、平気」 臆面もなく感想を言ってのける初雪に、周りの艦娘が顔を赤くして声なき声を漏らす。 「あらあら……そんなに気持ちいいの? 他には、なにか印象的なことはあるかしらぁ?」 「ん……司令官は、恥ずかしいこと言わせるの、好き」 「ふぁっ!?」 「うは、ご主人様鬼畜キタコレ!」 キャイキャイとはしゃいで居るところから少し離れて、神通が顔を赤くしながら黙々と昼食を 口に運んでいた。さらに別方向から、叢雲の射抜くような強い視線を感じる。 「あー、分かる分かる。司令官って結構そういうの言わせたがるよね」 雷はというと、初雪の対面で余裕の笑みを浮かべている。 「お、おい。お前、あれ取材しないでいいのかよ?」 「いやー、ちょっと、ああいうストレートなのは、範囲外かなーって、ねえ?」 新入りの重巡も遠巻きにしながらきっちり聞いているようだ。 「それで……どういうことを言わせるの?」 「ふっ……昼間に言うのは、無理」 涼しげなつもりのドヤ顔で、初雪は顔をそらした。 「ええー!? 意地悪ぅ、内緒でいいから教えてよぉ」 「そこまで言うなら、しょうがない」 ぽしょぽしょと初雪が耳打ちしてやると、見る見る相手の顔が赤くなった。 「そ、そこまで……!?」 「言ってたら、慣れるから。むしろ司令官を興奮させるのが楽しくなる、かも」 おおー、とまたどよめいた。 「ううっ……でも、ちゃんと準備しておかないと……」 ふらふらと去っていく者、猥談に聞き入る者、少しだけ離れて耳をそばだてるもの、ほとんど 全員が顔を赤らめている異様な食堂で、俺はさっさと飯を食って退場することにした。 その日の午後から、鎮守府は南1号作戦に取り組み始めた。 防衛線にたまに食い込んでくる敵侵攻艦隊を迎撃するという作戦だ。事前情報によれば、 ここは任務の難易度がぐんと上がっているらしい。 といっても、今の戦力ではとりあえず重巡や水母など火力のありそうな艦と、錬度の高めの 叢雲などの駆逐艦を合わせた全力で出撃する以外の手はない。どこまでも艦娘頼みで申し訳ないが、 それが提督の立場だと割り切ることにしよう。 それに、悪いことばかりでもない。厳しい分獲得できる艦娘も多彩になるらしいし、いくつか 新しく達成可能になる任務もでてくる。艦娘達が大怪我をしないよう祈りつつ、俺は出撃命令を出した。 その日は新たな海域の進行許可こそ得られなかったものの、5人もの新しい艦娘を迎え入れることに なった。 そして、今日も夜がやってくる。 「今日は誰なのかな……」 この一連の流れ……俺とセックスする順番を決めようなどと言う話は、絶対あいつが発案者だ という艦娘が一人居るが、今日来るかどうかは半々だ。 猥談に混じっていた艦娘か、それとも……と思っていると、ドアがノックされた。 「てーとくさんっ。こんばんわっ!」 夜の闇にも負けない明るい笑顔と声で、夕立が枕を小脇に抱えて立っていた。 「お、夕立か。どうぞ、上がって」 「はーい」 夕立はにっこりと笑って、気負いなく俺の部屋に入っていった。 「おおー……これが提督さんの部屋かぁ。男の人の部屋に入るの、始めてっぽい」 きょろきょろと部屋を眺める夕立に、ドアを閉めてから歩み寄った。 「引っ越したばかりだから大した荷物もないけどな」 「あっ、本棚にちゃんと本があるっぽい」 俺が近づくと、夕立は弾かれた様に本棚に駆け寄って、顔を近づける。 「提督さんは、どんな本読むのかなー」 中腰になった夕立のヒップラインが強調されて、パジャマの下の下着の線がくっきりと 浮かび上がる。 「小説とかの文庫本かな。そんな高尚な本は置いてないよ」 「ふぅん……天の光はすべて星……冥王と獣のダンス……」 「読みたいなら借りていってもいいよ。近くの町にも本屋くらいあるだろうから、 給料で買ってもいいな」 「ん、うん……そー、ですね……」 ぎし、と音を立ててベッドに腰掛ける。 夕立は中腰のままだ。そのままなんとなく尻を眺めていると、ゆっくりと背を伸ばした。 「えっと……」 ちら、と横目にこちらを振り返ったその顔は、大分赤かった。 「さ、さすがに緊張するから、灯りは消してほしいっぽい……」 「ああ。それじゃ消すよ」 今日気付いたのだが、この部屋の明かりは遠隔でつけたり消したりできるのだ。リモコンって奴だ。 かちかちとリモコンのボタンを押すと、電気が消えた。カーテンを開けた窓からの月明かりだけになる。 「うっ……あの、カーテン……」 「これ以上暗いと夕立がベッドに来れないしなあ」 「提督さん、意地悪っぽい……聞いたとおりっぽい」 そういいながらも、夕立は枕を盾にしながらそろそろとベッドに歩み寄り、俺の隣に腰を下ろした。 「うー……やっぱり緊張するっぽい……」 「と言っても、いつまでも並んで座っててもな。……触っていいか?」 「あっ、その、ちょっと心の準備ひゃうっ!?」 土壇場になってへたれたことをいい始めた夕立の腰に強引に手を回した。そのまま抱き寄せると、 ゆっくりとこちらに体重を預けてくれる。 夕立の身体は、雷、初雪と同じくらい柔らかく、しかし決定的に違う部分もあった。 ありていに言うと胸だ。 幼さを残しながらも手足はスラリ伸びきっていて、女の子から女性になる過程の、どちらの魅力も 持ち合わせた魅力的な身体と言えた。 「はぁー……ドキドキして顔から火が出そうですー」 俺の腕の中で縮こまる夕立から、そっと枕を取り上げようとすると、割と素直に渡してくれた。 そのまま顔を近づけると、ぎゅっと目をつぶって、それでもくいと上を向き、唇を突き出してくれる。 それに甘えさせてもらって、艦娘として起動させた時から数えて2度目のキスをした。 「んっ……ちゅ……」 唇を愛撫しあう浅いキスを繰り返しているうち、少しずつ夕立から強張りが抜けていく。頃合を 見計らって、ぬるりと舌を入れると、戸惑いながらも応じて舌を絡めてくれた。 ぴちゃ、ぴちゃと暗闇の中にキスの音だけが響く。だんだんと向こうからも舌を動かしてくれる ようになると、夕立の体温も少し高くなってきたように感じる。 そろそろいいか、と俺は腰を抱いていた手を上に滑らせる。華奢な肋骨の感触と、予想より大きく、 柔らかく、たっぷりとした重みを備えた胸の感触が心地いい。 「あっ……」 ぴくん、と夕立が震えて離れると、唇と唇の間に銀の糸が引かれた。片手でゆったりと持ち上げる ように胸を愛撫する俺に、どう反応していいか困っていると言う風に眉尻を下げ、潤んだ瞳を向けるが、 結局何も思いつかなかったのかもう一度唇を重ねてきた。 了承を得られたのなら思い切りこね回すのみだ。俺は遠慮なく両手を使い、やわやわと夕立の 両胸をもみしだいた。 「んむっ、ぅううーー……」 ぎゅ、と強めに揉んでやる度に夕立は鼻に抜けるような喘ぎをもらし、パジャマの上からでも 分かるくらいにぽっちりと乳首を勃起させた。 今度は俺から唇を離し、乳首を中心に苛めてやる。 「あっ! んっ、てーとくさ、んんっ! それだめっ、だめっ!」 乳首を摘まれるたび、捻られるたび、夕立はびくびくと痙攣した。続けるとあっという間に息を荒げ、 首筋にはしっとりと汗をかいている。桜色になった首筋に顔をうずめ、匂いをいっぱいに吸い込むと、 石鹸と、あまったるい女の子の匂いがして俺の興奮を煽った。 「やーっ、提督さん、においかぐのヘンタイっぽいぃ」 コメントは無視して、首筋にキスの雨を降らせ、耳たぶを甘がみする。 「ひゃうっ!」 ひときわ大きく震え、心なしか乳首がさらに硬くなった気もする。調子に乗って乳首の責めをさらに 激しくすると、 「んっ、く、ふうぅうううぅうんっ」 それこそ子犬のように、甘えたような声を出して全身を震わせた。口をぽっかりとあけて、呆けたように 上のほうを向いている。どうやら絶頂したようだった。 「夕立は敏感なんだな」 はふ、はふ、と息を整えている夕立のパジャマを脱がせにかかる。ボタンを外して上を脱がせると、 シャツが豊かな曲線を描いているのがさらによく分かった。勿論、その頂点の存在感も。 下から手を入れてシャツも脱がそうとすると、夕立が両手を上げて手伝ってくれた。どうやら意識も 戻ったようだ。ゆっくりとベッドに押し倒してやると、抵抗もせず従った。 「ううー……死ぬほど恥ずかしいっぽい」 月明かりだけだと良く分からないが、相当赤面しているのだろう。夕立は両腕で顔を覆って隠して しまった。恥ずかしがる表情は見たいが、しかし月明かりに照らされた夕立の胸を遮るものはなく、 これはこれで良いものだと思いつつ、次は下を脱がせにかかる。 くちゅ、と夕立の股間から湿った音がした。 「あううううううう」 恥ずかしさに耐えかねたのか、ごろんと上半身を捻り、うつ伏せになって背を向けてしまった。 それでも尻を突き出して脱がすのに協力してくれるあたり、本当に良くできた娘だ。パンツごと するりと脱がせて膝を立てる体勢にすると、部屋の中にむっとした潮のような匂いが漂った。 ぴったりと閉じた秘唇を両手で割り開くと、舌を這わせる。ぬるりとした濃い愛液を舐め取り、 ちゅるちゅるとすすった。 「~~~~~~~!」 夕立はベッドのシーツに口を押し付けて、声にならない悲鳴を上げる。皮に包まれたままの 慎ましやかなクリトリスを指一本で弄んでやりながら膣を舐めていると、どんどん愛液は濃く、 多くなっていく。 股間の真下のシーツのシミが大きくなって太ももまで愛液まみれになってきた頃、俺は 口を離し、感想を言った。 「ふう……夕立のはにおいも味も濃い目だな」 びくりと突っ伏したままの背中が跳ねる。 「もぉおおお……ばかぁ……」 涙声でそう言う夕立だったが、俺に見えているのは白く泡立つ本気汁を垂れ流すマンコと、 閉じようとする素振りもない股だけだ。 お互いに準備は整ったようなので、俺も服を脱いで全裸になる。 くちゅ、とわざと卑猥な音を立てて膣口に指を入れてかき回し、夕立の粘つく愛液を俺の肉棒に 塗りたくり、小ぶりな尻を鷲づかみにして亀頭を膣肉に押し付ける。 「夕立……いくぞ」 「提督さん、その……やさしく、して欲しい……な」 さすがに気になるのか、ちらりとこちらを振り返る。俺はゆっくりと腰を進め、夕立の中に、入った。 熱い。 と言うのが、一番の感想だった。お湯のように熱く、握るようにきつい締め付けの夕立の中は、 少しでも力を抜けば押し返されてしまいそうだ。力を入れて押し込むと、ぷつりと軽い衝撃がある。 「いっ、た……」 「大丈夫か? しばらく動かずに居ようか?」 「ん、大丈夫、っぽい。そのまま、全部……入って、欲しい……」 と言うことだったので、なるべく痛くないことを祈って、緩急をつけずゆっくりと挿入しきった。 「はぁ……はぁ……てーとくさんの……おなかの中いっぱいで……あつくて……ドキドキする…… この感じ、結構、すきっぽい……」 悩ましげに上ずった声で言われると、無性に動きたくなってくるが、まだ我慢する。 「あっ、ん……あーーっ……」 もぞもぞと上半身で身もだえしながら言葉にならない艶かしい喘ぎをもらす夕立は、別人のように 色気を放っていた。 勇気というか蛮勇を発揮して、もそもそと食事をしている夕立に振った瞬間、夕立はぽーっと顔を 真っ赤にして、目を伏せてしまった。 「はぁあ……夕立、ちょっと無理っぽい……」 ざわっ、と周りの駆逐艦娘達が騒ぐ。 「ど、どういうことだ? なんかひどいことされたのか?」 「ええっ!? 司令官がそんなこと、するはず……ないと思うんだけど」 がたんと腰を浮かせて雷が声を荒げかけたが、思うところあったのか歯切れは悪かった。 「ううん。提督さんは、ひどいことはしなかったんだけど……」 「じゃあ、どうしたんだ?」 ちらりと、経験者の雷と初雪を見ると、夕立はため息をついた。 「二人とも、相当すごいっぽい……夕立、提督さんの……アレが気持ちよすぎて、気を失っちゃったっぽい」 おおーっと色めき立つ艦娘達。 「一番奥にね、どばどばっ、てされると……気持ちよすぎて……何も考えられなくなるっぽい」 「ん、ちょっと、分かる気がする。夕立ほどじゃない、けど」 「あー、夕立はアレの感覚が好きなのね。へぇ、そういうのって人によって結構違うのね!」 「あんなの毎日してたら、頭がおかしくなるっぽい……」 「ん。初雪は、毎日でも、いいけど」 「私は実際毎日してたわ」 「んーっ……あたしは、週に1回でも十分っぽい」 なにやら通じ合っている三人に、圧倒されたように他の艦娘達は赤面するしかないようだった。 相変わらずのすわりの悪い思いに加えて、わき腹に出来た痣の痛みをこらえながら、俺は昼食を食べるのだった。 225 名前: ◆NQZjSYFixA[sage] 投稿日:2015/02/24(火) 23 40 21 ID B9e5BkgU [10/10] おわり 初雪ちゃんのエロがもっと見たいです(粉みかん) これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4070.html
前ページ次ページゼロな提督 「ふぅ~む、何となく似合わないなぁ」 「んなこたーねーって!あのヘンな服よか大分ましだと思うぜ」 「そーね。同じ似合わないんなら、こっちの方がいいんじゃない?」 「ヘン…かぁ。ま、しょうがないか。執事やるんだったら、この服だしね」 ヤンも、ルイズも、壁に立てかけられたデルフリンガーも、鏡台に映る黒服に白手袋の ヤンを見ている。格好だけ見れば、まるでどこかの貴族に仕える平民の執事に見えない事 もない。 でもよく見ると、やっぱり相変わらず芽のでない学者風だ。かつて彼の部下であるロー ゼンリッター第13代隊長シェーンコップ少将は彼の軍服について「他の服は何を着ても似 合わん」と評したものだ。 第九話 王女アンリエッタ ラーグの曜日の朝。 ようやく昨日、仕立屋からヤンの服が学院に届いた ヤンとルイズは珍しく早起きしていた。もちろんヤンがルイズを起こしたのではなく、 デルフリンガーが目覚まし役をしてくれたのだが。 黒スーツに袖を通し、鏡の前で身なりを整えている。昨日森の中を歩き回って汚れたし、 いい加減汗臭いので、軍服はまとめて洗濯することにした。 「ま、あんたもこれで少しは執事らしくなったじゃない。いつまでも落ち込んでないで、 これから気合い入れて執事の修行すんのよ!」 バンッとヤンの背を叩いて、ルイズは部屋を飛び出していった。 後には鏡台を見つめながら、慣れない服装と布地への違和感を隠しきれないヤンが残っ ている。いつまでも朝食に行かないヤンに、デルフリンガーが怪訝そうな声をかけた。 「ヤンよぉ。その服、そんなに気にいらねぇのか?」 「いや、そう言う訳じゃないんだ」 そう言ってヤンの手は頭へと上がる。だがその手は何かを探すように宙をさまよう。 ベレー帽も被っていない事を今さらに思い出し、誤魔化しついでに頭をかいた。 「結局…昔の事は忘れて、この国で新しい人生を生きて行かなきゃいけないのかなって。 この服装を見てると、そう思うんだ」 「そっか。まぁ、いつまでも落ち込んでいるよりは前向きで、いいんじゃねぇか?」 「…だね」 ヤンは胸元に収めた銃の感触を確かめてから、部屋を出た。 寮塔を出たヤンは空を見る。 澄み渡った青空にふわふわと雲が浮いている。 「仕事も収入も寝床もある。学院でハルケギニアの事を教えてもらえる。ヴァリエール家 三女ルイズの執事という地位に大きな不満もなし、か…」 既に生徒も教師も食堂に向かい、誰もいない広場。ノンビリと歩くと踏みしめる草の音 と感触が心地よい。 「おちこぼれメイジに見習い執事。ゼロなのはお互い様。せいぜいマイナスにならないよ う、頑張るとしようかな」 そんな独り言を呟きながら、厨房へ向かう。 ヤンが入るなり、どうしたのよその格好!意外と似合うんじゃねぇ?などの声が響いて きた。 学院長室では、机を囲んでオスマンとロングビルが座っている。今日は図書室でなく学 院長室でヤンにハルケギニア講座を行っていた。 「・・・というのが、私の知る限りのレコン・キスタの姿です」 アルビオンの政治情勢、特に内戦の趨勢について語り終えたロングビルは、ヤンのキョ トンとした顔を見た。 「…なるほど。共和制と言っても、結局は王族・貴族間の利権争いですか…。 で…確認したいんですが、その、レコン・キスタ総司令官の名は、オリヴァー=クロム ウェルで間違いないんですね?」 聞かれたロングビルも、少しキョトンとしてしまった。答えたのはオスマン。 「そうじゃ。元々は一介の司教に過ぎなかったそうなんじゃが、何故か貴族議会とやらの 投票で総司令官に選ばれたんじゃよ。まあ、内戦を勝利に導いたんじゃから、それなりの 軍事的才能は持っておるのじゃろうて。 だが、そのためにアルビオン王家は風前の灯火じゃ。このまま王家が絶えれば、始祖よ り授かりし王権が潰える事となるのぉ」 説明されたヤンは、話は聞いているようだが、どこか上の空で視線が泳いでいる。 「オリヴァー=クロムウェル…清教徒革命…議会派、1642年…鉄騎隊。議会を解散させ終 身護国卿に…軍事的独裁…英蘭戦争」 ヤンの口から漏れる聞きなれない言葉に、オスマンとロングビルは顔を見合わせてしま う。 「あの…ヤン?どうかしたの?」 ロングビルの言葉にヤンはようやく我に返った。 「あ、ああ、ゴメン。そのオリヴァー=クロムウェルっていう名前の人は、僕の国の歴史 にも出てくる名前なんだ。しかもレコン・キスタと似たような事をした人でね。 いや~、偶然って凄いなぁと思って」 二人とも、ふーんと頷いただけで、深く突っ込まなかった。ヤンも突っ込まれた所で、 パラレル・ワールドである両世界が似たような歴史をたどっている、なんて事を説明も出 来なかっただろう。 同時にヤンは、この世界の民主共和制が未だ芽吹いたばかりなのだと理解した。しかも 魔法を使える者と使えない者の間に厳然たる溝がある事も思い知らされている。 この世界でフランス革命に相当する市民運動が起きるのは絶望的。例え数百年後に起き たとしても、ヤンの世界より遙かに小規模だろうと想像出来てしまう。 「いや、月が二つあるくらい違う世界なんだし、別の歴史をたどるのが当然か」 「ん?なんじゃね?」 「あ、いや、独り言です。それじゃ続きを」 とヤンが話を戻そうとした所で、学院長室の扉がコココンと、控えめながらも慌てたリ ズムでノックされた。 「誰じゃね?」 名乗る前にバタンと大きな音を立てて学院長室に入ってきたのはシエスタ。 「失礼します!シエスタです!じ、実は今、近衛隊の方が参られました!アンリエッタ姫 殿下が、ゲルマニアご訪問からの帰りに、学院に行幸なされると!」 今度は学院長が慌てふためいた。 学院へと続く街道を、金の冠を御者台の隣につけた四頭のユニコーンに引かれた馬車が 静々と歩んでいた。馬車の所々には金と銀とプラチナでできたレリーフが象られている。 そのうちの一つ、聖獣ユニコーンと水晶の杖が組み合わさった紋章は、この馬車が王女の 馬車である事を示していた。 王女の馬車の後ろには、先帝無き今、トリステインの政治を一手に握るマザリーニ枢機 卿の馬車が続いていた。王女の馬車よりさらに立派で風格のある馬車だ。 二台の馬車の四方を、グリフォン隊など、三つある王室直属の近衛隊が固めている。 灰色のローブに身を包み、激務の果てにやせ細った枢機卿は、自分の馬車を降りて王女 の馬車へ乗り込んでいた。 政治の話をするためだったのだが、王女は溜め息を付くばかりで、全く要領を得ていな かった。腹心のグリフォン隊隊長が気晴らしにと花を捧げたりもしたものの、相変わらず 王女の表情は沈んだままだった。気品のある顔立ちに高い鼻を持つ、瑞々しい17歳の姫 も、今は美貌に陰りを宿す。 真っ白の口ひげをいじりながら、さてどうしたものかと真っ白な髪に包まれた頭を捻っ ている。 先に口を開いたのは、何かを思い出したかのように急に目を見開いた王女だった。 「マザリーニ、私達がゲルマニアを訪れている間に、アカデミーへヴァリエール家から巨 大なダイヤが持ち込まれた…という話を聞きましたが、真ですか?」 「確か、そうでしたな。なんでも、斧の刃として付けられた物で、アカデミーでは刃を斧 から取り外すのに四苦八苦しているとか」 「斧の…刃?」 意味が分からない様子の王女が首を傾げる仕草は目まいがするほど美しかった。だが、 これを説明しようとする枢機卿が目まいを感じたのは、王女の美しさゆえでなく、説明の 難しさゆえだった。 「そう、信じられない事に、斧の刃として取り付けられているそうでしてな。しかも斧本 体も信じがたい硬さだとか。あまりの硬さにあらゆる魔法でも傷すら付かず、斧と刃の接 合部に『錬金』をかけて、どうにか僅かずつ切り離しているという話です」 なんとか分かりやすく説明できたつもりのマザリーニだったが、王女はますます首を傾 げてしまった。 「その、申し訳ないのですが…とても想像がつきません。そもそも、どうしてダイヤを斧 の刃に?」 「いや、それは…現物を見ない事には、なんとも言いようがありますまい」 ハルケギニアに知らぬ事はない、とすら言われたマザリーニも首を傾げてしまった。 「そうですね。それで、確かその斧を持ち込んだのはラ・ヴァリエール公爵家の三女、ル イズでしたわね?」 「そうですな。そういえば、これから向かうトリステイン魔法学院の生徒でしたな」 枢機卿の言葉に、王女は再び考え込んでしまった。だが先ほどよりは表情に明るさが指 しているので、とりあえず枢機卿は良しとすることにした。 魔法学院の正門をくぐって、王女様ご一行が姿をあらわれると、整列した生徒達は一斉 に杖を掲げた。しゃん!と小気味良く杖の音が重なった。 正門をくぐった先の本塔玄関前で、学院長のオスマンが出迎える。オスマンの後ろには ロングビル、そしてヤンが直立不動で立っていた。 「えーっと…なんで僕もここに立ってるのかな?」 「うーんと、成り行き…かしらね?」 「しょうがないわい、今さら移動するのも不敬というものじゃ。粗相のないようにな」 というわけで、ワケも分からずオスマンとロングビルの後をついて行ったヤンは、その まま玄関前に立たされてしまった。 馬車が止まると、駆け寄った召使い達によって玄関と馬車の間に非毛氈のじゅうたんの 道が作られる。 「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおなーーりーー!」 呼び出しの衛士が王女の登場を告げたのだが、最初に姿を現したのは四十過ぎの痩せこ けた男、枢機卿。ガッカリして鼻を鳴らした生徒達の落胆だが、枢機卿は意に介した風も 無く馬車の横に立ち、続いて降りてくる王女の手を取る。 生徒達の間に歓声が沸き起こった。 王女も生徒達へ向けて薔薇のような微笑みを向けて、優雅に手を振った。 ヤンが視線を生徒達、ルイズの方へ向けると、彼女は王女ではなく近衛隊の方を見てい た。顔を赤らめ、惚けたように見つめている先には、羽帽子を被り鷲の頭と獅子の胴を持 つグリフォンに跨った、りりしい貴族の姿があった。ついでに横に立つキュルケも同じく 羽帽子の貴族をぽーっと見つめている。 やっぱり女の子なんだなぁ、と感じるヤン。男としての敗北感が少々、娘を取られる父 親気分も少々かな…と自己分析してしまう。 王女の前に跪くオスマンにならい、後ろのロングビルとヤンも膝をつく。 オスマンに枢機卿が何か声をかけると、学院長はかなり困った顔で後ろを向いた。 ヤンの方を。 学院長室のソファーにはアンリエッタ姫と枢機卿、ロングビルは部屋の隅にある秘書用 デスクに、オスマンは枢機卿の正面にテーブルを挟んで座っている。そしてヤンとルイズ がテーブルの横に膝をついている。 部屋の隅には騎士達が直立不動で待機していた。 枢機卿はヤンが召喚された時の話を、オスマンとルイズから興味深そうに聞いていた。 「なるほど。例の斧はそこの平民が召喚された世界での武器だというのだね?信じられん 技術力で作られたのだな・・・」 枢機卿は改めて横に控えるヤンを見下ろした。 「尋ねるが、君の国では全ての兵士がそんな武器を持っているのか?」 予想通りの質問ではあったが、ヤンは回答に苦慮してしまう。 ローゼンリッターなど陸戦隊員の通常装備であり、別に珍しくも何ともない。だが、そ んな事を言っても信じてはもらえない。正気を疑われたり異端審問だのにかけられるまで はいかないと思いたいが。 結局、ハルケギニアの人に信じてもらえる範囲で答えることにした。 「あれは我が国最強の陸戦隊、薔薇の騎士団が有する武器です。極めて特殊な、重要な戦 局でしか使わない最後の切り札です」 なんとも嘘臭い説明に自分で呆れてしまう。 だが嘘でもない。薔薇の騎士団という名前なのは本当だし、気体爆薬のゼッフル粒子が 散布された閉鎖空間で白兵戦を行うという特殊な戦局には、炭素クリスタルの斧しか使え る武器がない。だから確かに最後の切り札だ。ローゼンリッターが同盟最強なのも誇張で はない。 そして、いかにも曰くありげで立派そうな斧の説明に、枢機卿は納得したようだ。 「ほほう…やはりそれなりの逸品であったか」 「この目で見るのが楽しみではありませんか。城へ戻る前にアカデミーへ寄るとしましょ う」 アンリエッタも目を輝かせて楽しみにしているようだ。だが枢機卿は頭を傾げる。 「しかし…そのような血に濡れた物を、めでたき婚儀に持ち込むのはいかがなものか…城 に戻ったら公爵と相談しておきましょう」 「そうですわね。いずれにせよ、ルイズも大義でした。幼き日を共に過ごした友からの祝 いの品、嬉しく思います」 「は、はい!姫殿下のお気に召しますならば、感激の極みにございます!」 ルイズはよほど感激したのか、顔を真っ赤にしている。目からは涙がこぼれそうだ。 そしてアンリエッタは、顔を伏せるヤンへ思いついたかのように視線を移し、全然違う 話を切り出した。 「ところで…そのような逸品の斧と共に召喚されたとすると、もしやあなたは、名のある 軍人だったのですか?」 この言葉に、枢機卿の真正面にいたオスマンは全身から脂汗が滝のように流れ出す。み るみるうちに顔が青ざめ、せわしなく髯を撫でる手が震えている。『僅か一個小隊でもエル フの大群を壊滅させる軍団の長、王侯貴族を打破する共和制国家の重要人物』を無理矢理 に使い魔にしてしまったなど、口が裂けても言えない。 そんなオスマンの狼狽は、顔を伏せているヤンの目には映らなかった。 「いえ、とんでもありません。私は見てのとおり剣を振るう力も技もなく、後方で机の上 に座ってお茶をのんでばかりいました」 これもやっぱり嘘ではない。そして、別にオスマンの都合と関係なく、ヤンは過去の望 まぬ経歴など口にする気はなかった。正直に言った所で、信じてもらえる話でもない、と も考えていたし。 「う、うむ!そうじゃな、そういう話じゃったな!」 その言葉にオスマンも力強く頷いた。流れる冷や汗を飛び散らせながら。 その姿は、アンリエッタにもマザリーニにもルイズにも、明らかに不審すぎた。 姫殿下一行は、その後すぐに学院を去っていった。 あとには、ヘナヘナと力が抜けて椅子に崩れるオスマンがいた。 昼食後のひと時、食堂上のテラスでは、椅子に座ったルイズとキュルケとタバサがヤン の入れたお茶を飲んでいた。 「へぇ~!あのグリフォン隊の隊長がフィアンセなんだ」 カチャッとテーブルにカップを置くキュルケが驚いて声を上げる。 「そうなの。といっても父様が昔、戯れに決めたものだから、今も覚えているかどうかわ からないのだけど…」 「あら!でもさっきポーっと見とれていたじゃない!」 「ちょっちょっと!よしてよキュルケ、からかわないで!ワルド様のご都合だってあるの だし」 からかわれてルイズは真っ赤になってしまう。 「そりゃ、昔は子爵様にあこがれてたし、今もとっても素敵だし、『閃光』の二つ名がある ような風のスクウェアだし・・・でも・・・」 もじもじしながら小さくなっていくルイズを見ていれば、唐変木のヤンでも彼女が抱く 憧れは分かる。実際、遠目でしか見ていないが、婚約者として文句のつけようもない地位 と実力と容姿を有しているのだろう。 さてさて、そうなるとルイズの執事役としては、彼女の恋を成就させればいいのかな? それともまずは、婚約自体が未だに有効か確認するのが先かな?なんてことを考えてしま うヤン。 そして、そんなことを考え出す自分に気がついて、過去の自分との違和感と、ハルケギ ニアの生活に溶け込み始めている自分を認める恥ずかしさが沸き起こる。どうにもそれら の感情が交じり合って整理しきれず、やっぱり頭をかいてしまう。 ヤンが誤魔化し紛れに視線を落とすと、黙ってお茶を飲んでいたタバサに目が合った。 じっとヤンを見上げている。 「えっと、やっぱり、美味しくありませんか?」 青いショートヘアーの少女はふるふると頭を横に振った。そして一言。 「お茶菓子」 「あ…すいません」 いわれてヤンも、昼食後なのにお茶しか持ってきていないことを思い出した。ルイズが ここぞとばかりにヤンをじろりとにらむ。 「まったく、何してんのよ。こんな基本的な事忘れるなんて、やっぱりまだまだねー」 「そーねぇ、やっぱり使用人みたいな仕事は向いてないかもよ?だぁかぁらぁ・・・」 キュルケはビシッとヤンを指差す。 「貴族になったら?」 いわれたヤン以上に、横で聞いてたルイズが仰天してしまう。椅子を倒して飛び上がっ てしまった。 「ななな何言ってんのよ!?ここはトリステインなんだから!あんたの下品な国みたいに、 金で貴族になんかなれないんだからね!」 つばを飛ばして抗議してくるルイズに、さらにキュルケは畳み掛ける。 「あぁ~ら、だったらゲルマニアに来ればいいのよ。そして斧を売った金で貴族の地位を 買うの。そうすれば、あなたがルイズのお茶なんか入れなくても、メイドがあなたのお茶 を入れてくれるわよ?」 「きゃーきゃー!余計なこと言うんじゃないわよ!こいつはあたしの、つつつ、使い魔な んだから!」 必死で強気に叫んだルイズだが、それでも恐々とヤンの方をみてしまう。すると彼は、 顎に手を当てて真剣に考え込んでいた。 ルイズはグイッとヤンの胸倉をつかむ。 「ちょっとあんた・・・まさか、本気でゲルマニア行こうなんて考えてるんじゃ、ないで しょうね?」 「え?えーっと…」 と言ったところでヤンは気がついてしまった。彼を見上げるルイズの目が、少し潤んで いることを。 慌てて首を振ってゴシュジンサマを安心させる言葉を考える。 「いやまぁ正直、一瞬は考えてしまったんですけど。 でも、流れ者がいきなり貴族になったって、ゲルマニア社会に簡単には受け入れてはも らえないですよ。それに、まだまだ学院でハルケギニアの魔法や社会について勉強したい ですしね。 少なくとも、ルイズ様が学院にいる限り、僕も学院で働きながら勉強を続けるつもりで すよ」 少なくとも今のヤンにとって偽りのない言葉だ。何より、トリステイン魔法学院の図書 館は彼にとって魅力的なのだから。そしてその言葉はルイズを安心させるには十分な言葉 だった。 ほっと安堵する小柄な少女の姿を見ると、ヤンも嬉しくなってくる。 厨房で茶器を洗っていると、後ろからシエスタが声をかけてきた。 「ヤンさーん。聞いちゃいましたよ、さっきのミス・ヴァリエール達とのお話」 「やだなぁ、盗み聞きなんて趣味が悪いですよ」 「いえ、そんなつもりはなかったんですけど、通りがかったときに聞こえちゃったんです」 シエスタはヤンが洗った食器を布で拭いて棚に戻していく。 片付けながらヤンをチラチラと見る。そして大きく息を吸い、思い切って切り出した。 「それで、聞きたいんですけど、ヤンさんは結局トリステインにずっといるつもりですか? 噂では、いつか故郷からの迎えが来るとか、ゲルマニアで貴族になるんじゃないかとかい われてますよ」 「う~ん…それは、分からない。けど…」 「けど?」 シエスタに尋ねられて、ヨハネスの墓前で考えていたことを改めて思い出す。 あの時は、落胆のあまり全てに悲観的になってしまった。だが、今になって思い返して みればどうか? 妻子や部下、イゼルローン要塞、帝国との和平交渉など、彼が残してきたものはあまり に多い。だが今の自分にはどうしようもない。彼は今、別の歴史の中を歩んでいるのだか ら。そしてそのことに文句もつけようはない。彼が戦場で軍を指揮するたびに多くの人々 が歴史の舞台から退場を強いられた。今、それが自分の番になっただけの話だ。始祖ブリ ミルとやらに抗議する資格はない。むしろ、本来死んでいたはずの所を助けてもらった事 については素直に感謝すべきだ。 そんな事を延々と考えていると、シエスタが横から心配げに見上げてきているのに気が ついた。 黒い瞳がまっすぐヤンの目を見つめている。 彼は、ふぅとため息をつきながら肩をすくめた。 「まだここに来て一ヵ月もたっていないんだ。先のことなんてさっぱり分からないよ。落 ち着くまで、ここで働き続けるよ」 結局、ヤンが口にしたのは当たり障りのない先延ばしの言葉。だがその言葉を聞いたシ エスタはとても嬉しそうだ。 自分がここにいることを喜んでくれる人がいる。居場所がある。それだけでも、どれほ ど幸運なことだろうか。 その日の夜。 ルイズは心ここにあらずで、部屋の中を歩き回っていた。 床にあぐらをかいて『ハルケギニア魔法史』を読んでいるヤンの前をウロウロしたり、 ベッドに立ったり座ったり。さらには枕を抱いて特大の溜め息をついたり。 「お~い、どうしたんだい?ルイズ」 「ウロウロしてねーで、落ち着いて座っちゃどーだ?」 そう言って声をかけるヤンとデルフリンガーだったが、ルイズはぼんやりしたまま生返 事だ。その表情はまさに恋する乙女とでもいうべきだろうか。もっともヤンは『恋する乙 女』なんて甘酸っぱいモノが存在する世界にいなかったので、本当にその表現が正しいの かどうか分からなかった。 「デル君、どうしたのかな?」 「ん~…何か今日、変わった事はなかったか?」 壁に立てかけられた剣に聞かれて、ふと王女来訪時の事を思い出す。 「もしかして、ワルド子爵とか言うフィアンセのことかい?」 「ひやあっ!な、なななっにゃに言うのよ!」 とたんにルイズは飛び上がり真っ赤になった。なので、先ほどの表現が正解だったと納 得した。 そしてルイズに「何を一人で納得してんのよっ!」と殴られた。 痛む頭をさする執事モドキに変わって剣が話を続ける。 「へぇ~、お前さん婚約者がいたのかい。もしかして、式の日取りでも決まったのか?」 「ばっ!バカ言わないでよ…それ以前の問題よ。10年も前の話だから、もう覚えてもいな いんじゃないかしら」 「なら、確かめりゃいいじゃねーか。お前さんや子爵の家の都合だってあんだし、エレオ ノールの姉さんみたいに破棄されたら大変だろ?」 「うぐぉ!い、イヤな事言わないでよ!てかなんで知ってるのよっ…て、ヤン!」 「ご、ゴメン。つい口が滑っぐぉ」 ヤンの言い訳は最後まで聞かれることなく、再び鉄拳で中断させられた。 二人がそんな風にドタバタしていると、ドアがノックされた。 長く二回、短く三回の規則正しい音が、騒がしい部屋の中に響く。とたんにルイズの顔 が驚きのそれへと変わる。 「こんな夜更けに誰かな?」 と訝しみながらドアに向かったヤンを、ルイズが慌てて押しのけて扉を開いた。 そこに立っていたのは、真っ黒な頭巾をすっぽりと被った少女だった。少女は辺りをう かがい、そそくさと部屋に入り、後ろ手に扉を閉めた。 「…あなたは?」 ルイズの言葉に、頭巾の少女はしっと言わんばかりに口元へ人差し指を当てた。頭巾と マントの隙間から杖を取り出し小さく振る。すると光の粉が部屋の中を舞う。ディティク トマジックだ。 「どこに耳が、目が光っているかわかりませんからね」 そして覗き穴の類も無い事を確認すると、少女は頭巾を取った。そこにいたのは、アン リエッタ姫だ。 「姫殿下!どうなされたのですか!?このような夜更けに、こんな下賤な場所へ、起こし になられるなんて…」 「うひょっ!お姫様がいらっしゃるとは、おでれーたなぁ!」 慌てて膝をつくルイズ。ヤンも驚きつつ膝をつく。そしてアンリエッタはルイズを抱き しめた。 「ああ、ルイズ!ようやく誰の目も憚らずに会えました! そんな堅苦しい行儀は止めて頂戴!昼間とは違うの、マザリーニも騎士達も、誰の目を 気にする必要はないのよ!あなたと私はおともだち!おともだちじゃないのっ!」 「もったいないお言葉でございます。姫殿下」 ルイズは硬い緊張した声で言った。ヤンは二人の美少女が抱き合う様をみつめていた。 ヤンは、王女とルイズのやりとりをぼんやりと見ていた。 二人が『幼い頃一緒に蝶を追いかけた』、『ドレスの奪いッこをアミアンの包囲戦と呼ん だ』、『あなたは友達面して寄ってくる欲の皮の突っ張った連中とは違う』『懐かしくて涙が 出てしまう』etc...の話をしているのを見つめていた。 ルイズがヤンを「姫さまがご幼少のみきり、恐れ多くも遊び相手を務めさせていただい たのよ」と改めて紹介したが、今度はヤンが心ここにあらずといった感じの生返事だ。 かつて養子のユリアンは、ヤンが普段ぼんやりしていることについて、人類の歴史につ いて思いを巡らせているとか新しい戦略を練っているとか、ひたすら美化して語った事が ある。実際は、ぼんやりしているように見えるヤンは、実はぼんやりしているのが大半な のだが。 そしてこの時もぼんやりしているように見えた。だが、ぼんやりと美少女達を見つめる ヤンは、珍しくぼんやりしていなかった。 彼が今ぼんやりしていなかったのは、別に二人の芝居がかったやりとりに呆れていたせ いではない。彼女がこんな夜更けに一人で来た理由についてだ。ただ会いたいだけなら、 昼間会った。共も連れず、人目を避け、わざわざ城から来た理由が昔話をするためだとで も言うのだろうか? もちろんヤンは、王女が昔話をするためだけに危険を冒してここに来た、なんて全く考 えていなかった。 それどころか、彼の脳細胞は警報を鳴らしている。 かつて彼は上官達から無理難題を押しつけられ続けた。半個艦隊で難攻不落のイゼルロ ーン要塞を攻め落とせだの、敵がいつ来るか分からない時に前線から首都に呼び戻され、 延々と査問にかけられたりだの。その彼の経験に基づく索敵レーダーが最大級の警戒警報 を告げていた。 特に王女の、ルイズの情に訴えたり親近感を演出しようとする態度。これはかつて彼の 上官が彼に無茶な命令を出したり、退役を希望する彼の辞表を拒んだ時の態度と重なる。 だとすれば、この美しき王女はどんな無茶を言いに来たのか。 いや、ここは自由惑星同盟ではない。形骸化していたとはいえ、同盟軍は文民統制の下 で規律と理性を重んじていた。だが、ここは専制国家トリステイン王国だ。支配者たる王 侯貴族の気分次第で、死ねと言われる事すらありうる。無茶と言える話なら、まだ幸運だ ろうか。 ひとしきり思い出話に花を咲かせた所で、アンリエッタは表情が暗くなり溜め息をつい た。深い憂いを含んだ声が漏れる。 「あの頃は、毎日が楽しかったわ。なんにも悩みなんかなくって」 「姫さま?どうなさったんですか?」 ルイズは心配になってアンリエッタの顔を覗き込んだ。 ヤンも心配になって部屋からの逃走方法を確認した。 「いえ、なんでもないわ。ごめんなさいね…!いやだわ、自分が恥ずかしいわ。あなたに 話せるようなことじゃないのに…、わたくしってば…」 聞いてるヤンの方が恥ずかしくなってきた。これだけ話を振れば、悩みについて尋ねざ るをえない。まさか王女の悩みを無視して「そうですか、ならば聞きますまい」なんて、 臣下が言えるわけもない。 この王女は、花のように美しいとの市井の噂だ。ヤンには、その花とはドクダミかオニ ユリの類だろうと思えてきた。 そういえば、さっきから壁のデルフリンガーがしゃべらない。どうやら高みの見物を決 め込んだらしい。 「席を外しましょうか?」 ヤンのごくまともな、そして一縷の望みをかけた提案だったが、 「いえ、メイジにとって使い魔は一心同体。席を外す理由がありません。何より、軍人で あったあなたにも聞いて欲しい事なのです」 と、あっさり却下されてしまった。しかも、あまり聞きたくない理由付きで。 「あの、軍人と言いましても、私は昼に申し上げたとおり、後方勤務でした」 その言葉に、アンリエッタはニッコリと微笑みを返した。 「謙遜する必要はありませんよ。あの学院長があそこまで狼狽するなんて、余程の方に相 違ありませんわ」 「いえ、そのような事はありません」 「では、そういう事にしておきますわ。それにしても、あの斧に付けられたダイヤは本当 に驚かされました」 ヤンの言葉は王女の微笑みに流されてしまった。 そして、もの悲しい調子でアンリエッタは語り出した。 「わたくしは、ゲルマニアの皇帝に嫁ぐ事になったのです。同盟を結ぶために…」 「はい、お噂は聞き及んでおります。…おめでとうございます」 そして姫は語り出した。顔を両手で覆って、床に崩れ落ちながら。 レコン・キスタに対抗するためゲルマニア皇帝との婚姻成立が必要な事―― レコン・キスタが両国の婚姻と軍事同盟を妨害しうる材料を探している事―― かつてアルビオンのウェールズ皇太子に手紙を送った事―― 手紙が公になれば婚姻が破棄されてしまう事―― のけぞり、ベッドに体を横たえるアンリエッタ。そしてルイズも息をのむ。 「では、姫さま、わたしに頼みたいことというのは…」 「無理よ!無理よルイズ!わたくしったら、なんてことでしょう!混乱しているんだわ! 考えてみれば、貴族と王党派が争いを繰り広げているアルビオンに赴くなんて危険な事、 頼めるわけがありませんわ!」 ヤンは、無理です!あなたは混乱しているんです!そんな危険な事を頼めるわけがあり ません!と叫びたいのを必死でこらえた。 だが、彼の主はこらえてはくれなかった。それも正反対の方向で。 「何をおっしゃいます!たとえ地獄の釜の中だろうが、竜のアギトの中だろうが、姫さま の御為とあらば、何処なりと向かいますわ!姫さまとトリステインの危機を、ラ・ヴァリ エール侯爵家の三女、ルイズ・フランソワーズ、見過ごすわけにはまいりません!」 ルイズは膝をついて恭しく頭を下げた。 ヤンは、彼をハルケギニアに召喚した根本的原因である始祖ブリミルを呪う事にした。 たとえ命の恩人であるメイジ達の神だろうと、もし会ったらブラスターで穴だらけにし てやると誓った。 そして、今日一日、このトリステインを第二の故郷として新しい人生を歩もうか、なん て僅かでも考えた自分の甘さと愚かさを、宇宙服も着ずにエアロックから宇宙空間に飛び 出してプロミネンスを吹き出す恒星に飛び込みたいくらいに恥じた。 支配者たる王侯貴族の気分次第で、死ねと言われる事すらありうる…そう頭の隅に入れ てはいたが、まさか、本当に死ねと言われるなんて予想もしなかった。 自分のアルジサマは過酷な人生を歩んできたため、些か歪んだ人格になってしまった少 女だが、健気で努力家で脆いところもある寂しがり屋と思っていた。が、今からその評価 の中に『門閥貴族』を加えざるをえなかった。 いや、有力貴族であるルイズは最初から門閥貴族の一員だ。ただ、ハルケギニアの貴族 はメイジであることが必須なため、失敗魔法しか使えないルイズは貴族の枠から少し外れ ていた。だからこそ、使い魔の地位を拒絶し去ろうとしたヤンに、出て行かないで欲しい と懇願すらした。 だが、やはり彼女の根本的思想は『門閥貴族』だったことを、ヤンは思い知らされてし まった。 かつてローエングラム王朝を建てた初代皇帝ラインハルト1世は、旧帝国ゴールデンバ ウム朝の門閥貴族勢力を帝国暦488年のリップシュタット戦役において打倒した。貴族連 合は、ローエングラム勢力を上回る戦力を持ちながら、無様なまでの敗北を続けた。 盟主のブラウンシュヴァイク公爵はじめ門閥貴族と呼ばれた人々は、血縁或いは縁故に よる排他的な結束をもとに、帝国の政治や経済を支配し搾取する事を生業としていた。だ が本人達は自分達の血統と隆盛が帝国の為になると本気で信じ込んでおり、それに反する 存在に大きな嫌悪と憎悪を抱いていた。 彼等はリップシュタット戦役において、無謀無策な突撃を繰り返し、無為に戦力を疲弊 させ、有能な部下であるメルカッツ提督からの苦言に耳を貸さず、尊大で傲慢な有力者同 士が衝突し、内部分裂を繰り返した。自らの領地内で民衆の反乱が起きて親族が殺される や、逆上して自陣内にもかかわらず核攻撃すら行った。結果、完全に民衆の支持を失って 早々に敗北した。 盟主ブラウンシュヴァイク公爵は最後は自暴自棄になって無謀な出撃を行い、当然即座 に敗れた。部下に自殺を強要され、醜態を晒しながら死亡した。 そして今、ヤンの目の前で、同じ事がおきようとしている。それも、よりにもよって、 自分の雇い主が、陶酔に溺れて死地に向かおうというのだ。当然自分も巻き込まれてしま う。 いや、リップシュタット戦役では少なくとも、門閥貴族は敵と同程度かそれ以上の戦力 を有していた。だが今回は、話の筋からすると、どう考えても、少数の部隊でレコン・キ スタの大軍のただ中に潜入しろというらしい。しかも、戦闘訓練も何もしていない、ただ の女学生と一緒に。 彼の頭に浮かぶ選択肢は少ない。 アルジサマに付き合うか? 逃げるか? 説得して止めるか? ルイズに付き合ってアルビオン行き。それだけはあり得ない、絶対にごめんだ。 逃げるとしたら、どこへ逃げろというのか?かつて門閥貴族勢力の将だったメルカッツ 提督は、リップシュタット戦役後にヤンの下へと亡命した。彼は自分を頼ってきてくれた 老将を深く信頼し重用した。だが今回は、ヤンが亡命できる国や受け入れてくれる人物は 思いつかない。今、彼の知人は学園内にしかいないのだ。 説得して、この愚行を止めるというのはどうか…改めて二人の姿を見てみる。 「姫さま!このルイズ、いつまでも姫さまのおともだちであり、まったき理解者でござい ます!永久に誓った忠誠を、忘れることなどありましょうか!」 「ああ、忠誠。これが誠の友情と忠誠です!感激しました。わかくし、あなたの友情と忠 誠を一生忘れません!ルイズ・フランソワーズ!」 互いに手を握り合う。 アンリエッタはぼろぼろと涙を流す。 二人は、完全に自分の言葉に酔っている。 二人は、特に王女は花のようだ。ただし、それはラフレシアだ。腐臭を放ちハエを呼ぶ 極彩色の花だ。 ヤンは、ラインハルトが簒奪をした気持ちを、今頃になって思い知らされた。そしてこ こは彼が命をかけて守ろうとした民主共和制の国ではない。ラインハルトがいた帝国と同 じ、専制国家だ。そして自分の身は自分で守る必要もある。 アルジサマに付き合ってアルビオンに行ったりしない。 逃げるあてもない。 説得を聞き入れそうにも見えない。 なら・・・ ヤンの頭に第四の選択肢が首をもたげる。 第九話 王女アンリエッタ END 前ページ次ページゼロな提督
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/16127.html
熱抗団の提督 リヴィアンカー R 闇文明 5 クリーチャー:ダークロード 5000 ■相手の呪文の効果またはクリーチャーの能力によって、このクリーチャーが自分の手札から捨てられる時、墓地に置くかわりにバトルゾーンに出してもよい。 ■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中から名前に《熱抗》とあるカードをすべて手札に加え、その後、残りを好きな順序で自分の山札の一番下に置く。 作者:宇和島 フレーバーテキスト 彼はダークロードでありながら、熱抗団の指揮をとる。彼の天才的な指揮による布陣で、次々と敵軍を撃退していった。いつも巨大な錨を持っていたことから、人々は彼を「錨船長」と呼ぶようになっていた。 収録 DMTend-02 「終末世界編 第2弾 深淵の解放(アビス・リベレーター)」 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kyoumoheiwada/pages/23.html
番外編 ☆風よりも早く☆ これはまたしても私と提督の話。 ということは相変わらず……無い。 今回の話も結局あれは一体……という話。 提督「オラァァァ!! てめえら! お縄につきねい!」 私が犯行グループを壊滅にまで追い込み、 一人ずつ気絶させたあと、楽しそうに犯人達を縄で縛る提督。 それを後ろで見守る私。 まあだいたいこんな感じで横須賀近辺の平和は守っているのであった訳だったが、 提督の尋問は波乱を生むのだった。 提督「お前たちぃ~、一体何が目的なんだい~?」(注:にしおかすみこ風) 提督「そしてぇ~お前達を逮捕したのはどこのどいつだい~?」(注:にしおかすみこ風) 提督「あたしだよ!」 加賀「ほとんど私なんですが」 提督「で、君ら何? 犯罪者のゴロツキ共の中でも横須賀だけは 取引場所にしちゃだめだってお母さんに習わなかったの?」 提督「ここは俺と加賀がいる限りそういうことはできない仕組みになっているのよ」 そうして一人の犯罪者が口を開いた。 今回取り締まった犯罪組織は麻薬密輸の常習グループ。 何度も色々な場所で繰り返し行ってきた麻薬取引だったが、 どこからかその情報が漏れてしまい、逮捕に及んだそうだ。 「あんた達こそどこで俺達の情報を聞いたんだ」 提督「あぁ、優秀な後輩から情報を入れてね。 近々こっちに来るかもしれないというんで」 提督「まあ来てみたらビンゴだったわけだ」 相変わらず謎の直感力。 まあ私からすればもう慣れてきたものだったけれど。 加賀「ご苦労様でした。あとは上の方たちが引取に来るのを待つだけですね」 提督「そうだなぁ。あいつら遅いからなぁ」 提督「それにしても俺の目下で麻薬取引か……」 そう言いながら何の気無しに コンテナに手をかけて1つこじ開けるのだった。 加賀「提督そういうことは……」 止める間もなく開けられたコンテナから勢いよく飛び出てきたのは 麻薬なんてものではなく、それよりももっと厄介なものだった。 島風「ヲウっ!?」 提督「な、なんだ……こいつ」 加賀「薬じゃ……なかった」 提督「くっそ、やべえな。人身売買かよ」 島風「……じゃ、私はこれで」 提督「お、おう、お疲れさん。……じゃなくて!! おい! 待て!」 コンテナの中から飛び出てきた謎の生き物は提督の横をすり抜けて そのまま飛び出していった。 提督「不味い、加賀! 追うぞ!」 加賀「はいっ」 すばしっこいその生き物。あとで我々はそいつが島風という艦娘だと知るのだけど。 その時の島風はやはり捕まえるのに非常に苦労をしました。 提督「ハァッ……ハァッ。くっそー、全然捕まえられない」 加賀「提督、爆撃許可を」 提督「……少し手傷を追わせるぐらいでいいからな」 加賀「了解。この一航戦にお任せください」 という許可を頂いたので私は全力で爆撃した。 元より苛ついていたためにあまり細かい制御が効かなかったのです。 私も島風程度に乱されるとは……まだまだ精進が必要なようです。 島風「ヲウッ!?」 すっかり大破して動けなくなった島風の元に近寄る提督と私。 提督「あの、加賀。大破してるじゃないですか。誰が治すんだよ」 島風「私のこと匿ってくれるの?」 提督「嫌だ。お前はすぐにでも上の連中に引き渡す」 島風「お願いっっ! 私のこと少しの時間だけでいいから匿って!」 提督「嫌だ」 島風「お願いしますっ!」 島風はすぐに私達に向かって土下座をするのだった。 しかしそれでも提督は。 提督「嫌だ。お前みたいな生意気そうな餓鬼は嫌いなんだ」 とまるで子供みたいな理由で断り始めたのだった。 島風「えぇ~。いいでしょ~? お願い~。うっふ~ん♪」 そしてこちらも子供みたいなお色気攻撃を始めるのだった。 元々の格好がすでに露出の多めの格好だったために 履いている必要のあるんだかないのだかわからないスカートをめくってみせる。 提督「え、あぁ~。うーん、嫌……いやー? んん?」 そして情けなないことに揺らいでいる。 提督の脚を踵で踏みつける。 加賀「匿うにしたってこの娘は重要な事件の参考人になりますよ」 島風「そこを何とか……私、身寄りがなくって」 提督「しょうがない。幸いまだこの事件に関わってるのは俺達とあの犯人くらいだ」 加賀「まさかこの娘の存在自体を事件から消すつもりですか?」 提督「だってそれ以外にないだろー?」 加賀「あとでボロが出ても知らないですよ。私は一応反対しておきますからね」 提督「ああ! 何それズルい! そうやってあとで バレた時に上のお叱りを回避するつもりだな!」 加賀「嫌ならやめてください」 提督「……困ってるみたいだし、事情はどうであれ見逃す訳にもいかんだろう」 島風「ほんとに!? やったー!」 加賀「はあ……。では手配しておきますね」 こうして身元不明の艦娘を一人、引き取るのだった。 これが実のところの私達の横須賀鎮守府で初めての仲間だった。 このあと島風と私は先に鎮守府に帰り、島風は入渠。 私は島風を匿うための準備に取り掛かっていました。 また提督も事件の真相を有耶無耶にするために色々としてくれていたはず。 数週間が過ぎて……。 島風「お外出たいーー!」 提督「だめ」 加賀「だめです」 島風「ふたりともひっどーい! 私が外に出ないと死んじゃう病気だったらどうするの!?」 提督「そりゃあ悲しんで墓くらいは作る」 加賀「そうですね。泣いてしまうかもしれません」 島風「絶対嘘なんですけど。マジ嘘の臭いしかしないんですけど」 提督「なんでそんな外行きたいんだよ」 島風「だってみんな外歩いてるしー。私だって外行きたいよー」 提督「だめ」 島風「お願~い。うっふ~ん♪ チラッチラッ」 提督「ぐふふふ、しょうがないなぁ~」 加賀「馬鹿なんですかあなたは」 そんなこんなで島風のお願いを聞いて3人でピクニックに行くことに。 あまり人のいない広い公園まで遊びにきたのでした。 島風「ひろーい! ねえねえ! 提督! あっちまで競争しようよ!」 提督「嫌だよ。だってお前早いんだもん。疲れるし無理」 島風「意気地なし! 雑魚! 童貞! 早漏!」 提督「どどど童貞ちゃうわ! 早漏も関係ねえし! 違うし! なんでお前とあっちまで競争なんかしなくちゃよーいドン!!」 島風「あぁぁあ!!ズルい!!」 加賀「二人共あまりはしゃぐと転んで怪我しますよ」 ちなみにこの競争、 提督はズルまでして先に走りだしたのに負けてました。 提督「くっそー……ハァ、マジあいつ……あいつ何なん」 島風「提督遅かったんだ。遅漏くんだったんだー♪」 提督「あまり大人をからかうもんじゃ有りませんよ! ふっ、ならばこのバドミントンで勝負だ!」 島風「何それやる!」 提督「お前をコテンパンにしてやる!」 島風「ふふん、提督になんて負けないんだから!」 提督「ならば一点取られる事に服を一枚脱ぐのはどうだ」 加賀「如何わしいルールを追加しないでください。 相手はまだ子供なんですから……」 ひとしきり公園で遊んだあと、 3人でお昼ご飯にすることに。 加賀「あの私提督に何も用意しなくていいって言われたので 何も持ってきてないんですが……」 提督「心配するな。俺がちゃんとこのサンドウィッチを持ってきている」 島風「おおーーー! 美味しそうーー! 食べていい!?」 提督「残さず食いな!」 島風「それにしても量多くない?」 提督「余ったら加賀が全部食うから大丈夫」 加賀「……。いただきます」 島風「むっ、提督のくせに美味しい」 提督「くせにってなんだ。お前俺がこの幸せな時間を作ってるんだぞ。 もし仮にこれが俺の作品じゃなかった場合……嫌なんでもない」 島風「もぐもぐもぐ。んッ!? けほっけほっ」 加賀「ほら焦って食べるから。お茶飲みなさい」 島風「ぷはーっ。助かった。ありがとう!」 加賀「いえ」 島風「何かこうしていると本当の家族みたいだよねー」 提督「家族?」 島風「提督がーお父さんでー。私がお母さんでー、加賀さんが……わんこ?」 加賀「……そう。島風は偉いわね。言い直してみましょうか」 島風「何っ!? 頭の撫で撫でが強い! 痛い痛い!」 島風「嘘です! 加賀さんみたいなお母さんが良かったです!」 加賀「そう。ならいいけれど」 私達の平和な時はゆっくりと流れる。 島風「提督ーー!」 加賀「今度は何を隠蔽して呼び出されたんですか」 提督「そんな理由で呼び出されたことは一度もないだろう」 島風「ねえ遊ぼうよー!」 提督「今日は上の厄介な連中の説教を受けたんでもう疲れたんだよ」 島風「ふふん、今日こそ提督をレインボーロードで10回は突き落とすんだから」 提督「じゃあ尚更嫌だよ。勝敗を決めるレースをしろよ」 加賀「……」 提督の様子がこの時が少しおかしい、と思ったものの。 私もまだまだ精進が足りないようで、なぜこの時見ぬくことが出来なかったのか。 しかし、それを見ぬいたとしても今回のこの件については何も 私達自信がどうすることも出来ない……そういう結末が待っているのだった。 私達の平和な時間はゆっくりと流れていく。 島風「うっわー! エロ本見つけた!」 提督「おいおい、そんなものがこの清い鎮守府に置かれている訳が……あ」 加賀「なるほど。では提督。お聞きしますが指紋を調べて誰のものか調べますか? それとも一刻も早く焼き払いますか? 清い鎮守府のためにも」 島風「わわわっ、ねえなんでこのパンツヒモなの。えっろーい」 提督・加賀(お前が言うな) 提督「うむ、焼き払おう。我が清い城のためにも平和のためにも」 加賀「涙目なのは今回は問うことはしないとしますね」 私達の平和な時間はゆっくりと流れていく。 島風「きゃーー!」 加賀「待ちなさい。まだ髪の毛乾かしてないでしょう」 島風「えへへ、ほらこうやって走ってれば風で乾くかもしれないよ!」 加賀「だったらまずは湯冷めする前に服を」 提督「何をどたどた騒いでいるんだお前たちは……あ」 島風「あ」 加賀「……提督」 提督「……はい」 加賀「……いつまで見てるつもりですか」 提督「……目に焼き付けようと思って」 加賀「歯、くいしばって下さい」 提督は私に顔面を殴られその勢いで浴室の壁に突き刺さり10分ほど動きませんでした。 私達の平和な時間は突然として終わりを告げた。 それは私達が平和に過ごしていたことで忘れていた事件のこと。 島風「ふああ~。もう眠いかも」 加賀「寝るなら布団に行ってください」 島風「おんぶ」 加賀「はあ。仕方ないですね」 提督「随分島風には甘いんだな」 加賀「そんなことはないですよ。これでも十分厳しくしつけているつもりです」 提督「将来子供が出来たら親バカになるのが目に見えているな」 加賀「そうですか? 提督がもし欲しいというなら私も頑張りますが」 提督「……? 何を言ってるんだ?」 島風「おんぶー」 加賀「はいはい」 そう言って島風の前に中腰になった時。 私達の鎮守府の扉を叩く音が聞こえた。 ドンドンドンドン。 提督「っ! 誰か来た。加賀、島風を奥に運べ」 加賀「はい」 私達はこの時、久しぶりに島風を拾ってきた子だということを思い出すのだった。 急いで私は島風をおぶり奥の寝室に運んでいった。 提督「誰だこの時間に」 舞鶴「やあ後輩くん」 提督「げぇっ。舞鶴先輩……。何ですか急にっていうかまだ扉開けてないんですけど」 舞鶴「細かいことは気にしない気にしない」 提督「……。今、お茶を淹れますね」 舞鶴「ああ、気にしないでいいよ。すぐに終わるから。 私は今回の件にはあまり口を出したくはなくってね」 提督「……?」 舞鶴「後輩くんが何を考えてどう行動しようが私自信は止めるつもりは何もない。 と言いたいのだけども上の命令だしそういうわけにも行かなくて」 提督「何の話をしているんですか」 ここでようやく戻ってきた私も会話に参加するのだった。 私と舞鶴さんはここで初対面でした。 舞鶴さんの着ている制服を見たところすぐにわかったことは1つ。 軍の上層部の人間であること。 加賀「上の方がこんな夜更けに一介の鎮守府にどうなさったんですか」 舞鶴「やあ、君が噂に聞く一航戦か。終戦時に惜しい相方を亡くしたね……」 加賀「はあ」 私は生返事をする。 しかし彼女の幼気な容姿(とても提督の先輩だとは思えない)からは 想像もつかないような鋭い眼光が私に突き刺さる。 舞鶴「ところで君は今……何をしていたのかな」 ギクリとした。 無意識に提督とアイコンタクトを取る。 加賀「いえ、とくに何も。扉を叩く音が聞こえたのでこちらに」 舞鶴「そう。……ならいいんだ、別に」 提督「あの、要件は」 舞鶴「うん、じゃあ話をしようか。 私が来たのは少し面倒なごとでね」 舞鶴「君達がこの横須賀で活躍しているのは知っている。 十分に知っている。それは終戦時にも耳に入ったことだし」 舞鶴「君達の実力が呉よりも本当はすごいということくらい 私にはわかっているつもりだよ」 この時、提督は「……誰?」と言わんばかりの顔をしていたが 私はあえて突っ込まずにいた。 舞鶴「うーん、まどろっこしい言い方は私も好きじゃないな」 舞鶴「単刀直入に言おう。そのほうが早いからね」 舞鶴「君達、今犯罪者を匿っていないかい?」 提督「な……にを仰ってるんですか」 舞鶴さんの鋭い視線に提督は明らかに動揺をしている。 全く……嘘が下手な人。 舞鶴「……以前、君らが解決した事件、 捕まえた犯人の中に、麻薬取引の集団グループがいたことはなかったかい?」 提督「……はい。あります」 舞鶴「その後、犯行グループは捕まったのは6人」 加賀「確かそれくらいいました」 舞鶴「しかし、実際には犯行現場には7人いた」 提督「 !? 」 舞鶴「この情報は極秘裏ではあるが、我々上層部の決定と命令に基づき 犯行グループのリーダーと思われる人物を拷問した結果割り出せたものだ」 提督「拷問って……何をやっているんですかあなた達は」 舞鶴「今はそのことに対する問いは一切受け付けないよ。 無論、外部に漏らせば君らも例え終戦の立役者だとしても 何が起きるかは保証できないからね」 舞鶴「何でそんなことをしているのかと、まあ理由はちゃんとあるんだよ」 提督「理由……。それは話していただけるんですか?」 舞鶴「もちろん。理由は簡単だ。君らも知っているんだろう?」 舞鶴「あの犯行グループが取引しようとしていたものが、 麻薬なんかではなく、兵器だったと」 ……兵器? 島風は確かに艦娘ではあるけれど……。 何かニュアンスが違う。艦娘よりももっと一段階上の存在のような言い方をしている。 提督「……」 舞鶴「彼らが奪取し、取引に使用していたのは 新たに開発された艦娘とは全く別の人造人型戦闘兵器」 舞鶴「そのコードネームは”島風”」 提督の横顔に汗が見えた。 無論私も動揺している。 心臓がばくばくいっている。 舞鶴「彼らが取引して売り飛ばそうとしていたのは 我々上層部の連中が秘密裏に作り上げた新しい兵器」 舞鶴「そいつを外部に持ちだされてしまっては困るんだ」 舞鶴「我々に逆らおうとする自我をも持ってしまった失敗作」 舞鶴「……あれには”核”が搭載されている」 汗が止まらない。 私達が核兵器と楽しそうに遊んでいたという事実よりも そんなものを今まで隠して開発していたのが 自分たちの上官だということに寒気を感じている。 提督は爆弾搭載してるとか人造人間16号じゃねえんだから、 と呑気なツッコミを冗談交じりに言っていたが さすがに空気を読んだのかすぐに黙ってしまった。 舞鶴「あれを実際に作ったのは戦中なんだよ」 舞鶴「君達が終戦に持ち込んでくれたおかげで……アレは必要ではなくなった」 舞鶴「謂わば、君達のせいであの子の存在意義はなくなったんだよ」 舞鶴「……だから拷問までして早く回収しなければならない」 提督「回収……」 舞鶴「うん。確かに君達の報告書は完璧に作られたものだった」 舞鶴さんは懐から提督が殴り書きした紙ペラ一枚の適当な報告書を取り出した。 舞鶴「麻薬らしきものは見当たらず……なんたらかんたら」 誰かさんの字が汚くて読めなかったのだろう。 舞鶴「見当たる訳もないさ。彼らが取引していたのは島風なんだから」 舞鶴「ちなみに売り飛ばそうとしていたのは米国だが、 もちろんそんなこと認める訳にもいかないだろう」 舞鶴「国の関係性が乱れるだけだからな。向こうは一切関与していないと言い張るばかり」 舞鶴「こちらとしてもその情報さえ外部に漏れなければ何も問題はないんだよ」 舞鶴「しかし私達も君達には謝らなくちゃいけないこともあるんだ」 提督「何ですかそれは」 舞鶴「……犯人達があその港にいるという情報。 聞いたのは佐世保だろう?」 提督「……はい」 舞鶴「彼に情報を流したのは私だ」 提督「……」 舞鶴「だけど安心してくれ。佐世保はこの件に関しては深い所まで知ってはいない」 舞鶴「あくまで私が個人的に噂程度に流した情報だったのだが、 ものの見事に流れていてくれて安心したよ」 舞鶴「島風を取引しようとするグループが 現れる可能性があったのは横須賀近辺だけではなく、 佐世保の方の近辺にもあったんだ」 舞鶴「つまり、当たりくじを引いたどちらかが今回の事件に関わりを持つ羽目になる」 舞鶴「島風を君か佐世保のどちらかが手に入れ、 私達上層部に引き渡すか、私達が引き取りに行くか」 舞鶴「いずれにしろ我々は島風が回収できればよかったんだ」 舞鶴「そのために君達を利用させてもらった。そのことはすまないと思っているよ」 舞鶴「面倒事に巻き込んでしまったね」 提督「……全部先輩の手の中だったってことですか」 舞鶴「まあ……そうなるね。本当はこんなやり方はしたくはないんだけど。 仕方ないだろう? 上の連中の決め事なんだから」 提督「……納得はできないですけど」 舞鶴「君が納得できるかできないは私達上の人間は知らないけれど。 さて、ようやく本題に戻ってきた」 舞鶴「今すぐ引き渡してくれないか」 提督「先に聞きますが、回収してどうするつもりなんですか」 舞鶴「さっきも言ったけど失敗なんだ。残された道は1つ。 舞鶴「解体するしかない」 提督「だったら答えは決まっています。 俺達は島風なんて知らない。 ここにはそいつはいない。何の話だかさっぱり分からない」 舞鶴「あくまで隠蔽するつもりか」 提督「だから何の話か分かりませんね」 舞鶴さんは腰掛けていたソファからゆっくり立ち上がる。 提督もその動きに合わせて座ったままではあるが臨戦態勢に入っていた。 舞鶴「その軍刀を抜き給え。なるべくならこういう手段は取りたくはなかったのだが」 提督「……あなたこそ軍刀持ってきておいて話し合いだけで終わると思ってなかったんじゃ?」 加賀「提督」 提督が軍刀に手をかける前に私はサッと二人の間に入る。 舞鶴「どきなさい。一航戦。命令違反につき厳重注意では済まされないよ」 加賀「提督を護るのは私の使命です。 提督の前で如何なる人であろうと武器を構える行為を私は良しとはしません」 舞鶴「一度そうやって呉にも同じ目をされて歯向かわれたことがあったが……」 加賀「……」 舞鶴「ははは、自慢じゃないが、私はあの呉に土下座で詫びをさせたことがある」 誰だかは分かっていないけどご愁傷様ですと言わんばかりに 顔を青くする提督だった。本当にご愁傷様です、色々と。 舞鶴「さて、退く意思が見られない以上、やむを得ない」 舞鶴「先に言うが恨まないでくれよ?」 舞鶴「私は上の命令で動いてるだけなんだから」 私と舞鶴さんの間には重い空気が流れる。 そんな中。 提督「加賀、プランαを発動する」 舞鶴「は?」 加賀「え?」 そして次の瞬間には提督の座っていた椅子から物凄い勢いで煙が噴射された。 このうちに島風を連れて脱出をしろということでしょうか。 舞鶴「あああ! コラー! 煙幕とか反則だぞ後輩くん!!」 提督「行くぞ加賀!」 加賀「行くってどこへですか」 提督「とにかく島風を連れてここから出るぞ!」 加賀「そんなことをすれば提督の地位が危うく……」 提督「地位なんかどうでもいい! 今はあいつの……」 そう言って私と提督が島風が寝ているだろう部屋に突撃した時には すでに島風は舞鶴の部下だと思われる黒尽くめの特殊部隊が連れ去ろうとしていた。 島風は寝ているというより気絶している様子でぐったりしていた。 提督「加賀ァ!」 加賀「はっ」 私はまず島風を抱きかかえている部隊員を一人殴り飛ばし、 島風を提督に預ける。提督は島風を抱き寄せ部屋の隅に移動。 次々と襲いかかる特殊部隊を相手に私は次々と薙ぎ払っていく。 提督「構わん、加賀。全機発艦!!」 加賀「了解。彩雲、周囲の索敵。彗星、烈風、天山、一人残らず蹴散らしなさい」 次々に特殊部隊をブチのめしていく艦載機。 やはり素手で戦うよりもこちらのほうがいい。 しかし私はよくても提督は……。 振り返ると舞鶴さんと本気の斬り合いをしていた。 舞鶴「これで……上官に逆らったことにもなるね」 提督「この俺の城で先に剣を抜いたのはあなたですよ」 提督は既に何箇所も斬られた痕があり血が出ているが それでも舞鶴さんに立ち向かっている。 後ろの島風を気にしているのか、その場からは一歩も退かず。 舞鶴「まだまだ甘いなぁ。所詮は運だけどの実力ってことかい?」 舞鶴さんは剣を振った提督のちょうど手首のあたりを 片手で掴み剣の動きをあっさり封じた。 そして、提督の横っ面を反対の手で殴り飛ばした。 提督は吹っ飛び、鎮守府の壁を突き抜け鎮守府の外まで吹っ飛んでいった。 加賀「提督っっ!!」 舞鶴「追いたいならあとを追うといいよ」 提督の行方を心配したその一瞬の判断ミスの隙をつかれた。 私は舞鶴さんの蹴りをまともに受け、 外の提督が倒れている近くまで地面を転がった。 壊れた壁からは島風を担いだ舞鶴さんが出てきて動けなくなった私達の前に立つ。 舞鶴「島風は解体する。これは決定事項だ」 舞鶴「本当は分かっていたんだろう?」 舞鶴「いつかこうなることくらい」 舞鶴「君は一度上に呼び出された時にそんなような 話をされていたはずだが? 加賀には何も相談しなかったのか?」 舞鶴「どうしてこんなことになるまで、そんな感情移入してしまったんだ」 舞鶴「……私だって後輩にそんな悲しい思いをさせるのは嫌だ」 舞鶴「君が望むように私も平和な日常を望んでいる」 舞鶴「だけど、こいつはそれを脅かすものなんだ」 舞鶴「それは分かるな?」 提督「……」 提督はよろよろとした身体でもなお、舞鶴さんに向かったかと思いきや、 提督は地面に頭を付けてお願いしたのだった。 提督「お願いします。彼女を解体しないでください」 提督「そいつは生意気だけど、本当に優しくて良い奴なんです」 提督「そいつは何も悪くないんだ。そいつの面倒は俺が見ます」 提督「だからどうか彼女の解体処分だけは……やめてください」 舞鶴「良い奴だろうが優しい奴だろうが知ったことではないよ。 彼女の解体処分は決定している……」 舞鶴「後輩くんに預けるという方針。それは悪くはないかもしれない。 だがだめだ。君はこの私が来るまでの間に現実から目を背けることしかしなかった」 舞鶴「それが敗因だろう」 舞鶴「君が演じた平和の水面下は……深く濁っていた」 提督「……何でも出来る舞鶴さんにお願いがあります」 舞鶴「……」 提督「彼女の核だけを取り除くことはできないでしょうか」 舞鶴「……」 舞鶴「……」 舞鶴「無理だ」 舞鶴「1つ教えておいてやろう。いいか。 彼女の解体処分は今から約5日後」 舞鶴「大本営の特殊施設の地下で行われる」 舞鶴「時刻はヒトサンマルマル時」 舞鶴「今回の君達は反省して次に活かせるべきことが増えたようだな」 舞鶴「よく考えて行動するんだ。いいね?」 そう言って私と提督の前から島風を抱えて舞鶴さんは去っていった。 提督「くそ……待て」 加賀「提督……その体では無理です。私ももう動けませんし」 提督「だからなんだ。あいつを解体するなんて絶対に許さん」 加賀「ですが、核がある以上、本当に平和なのはどれか、 選択肢を見誤ってはいけません。もっと慎重に考えるべきです」 提督「慎重になんて考えていられるものか。ふざけるな。 俺はあいつの気持ちを何一つも聞いていないのに それを黙って見過ごすのか……」 提督「邪魔する奴がいるならばその場で一人残らず 加賀「殺すんですか?」 提督「そうだ」 私は力を振り絞り立ち上がり提督の前に立ちはだかる。 加賀「なら尚更行かせられません」 加賀「あなたがもたらした平和で…… その代償なら他にも見てきたはずです」 加賀「それなのに次はあなた自信が平和を脅かす存在になってどうするんです!!」 加賀「そんなこと……私は認めない。 あの日、死んだ赤城さんに誓ったんです」 加賀「必ず平和のもとであなたを守ってみせることを」 加賀「多くの平和を脅かす存在になるのか。 たった一人の犠牲でこの平和を維持するのか」 加賀「その天秤の答えはもうとっくに出ているはずです」 加賀「もしあなたが平和を脅かす存在になることをここで許せば、 私は赤城さんに顔向けできません……」 加賀「お願いです。もう一度考えなおして下さい。 私も考えますから、まだ何かあるはずです」 提督「……すまん。少し考える時間をくれ」 その後、提督は手当の時以外は口を聞いてくれませんでした。 その期間が私にとってどれほど辛い期間だったか。 傷ついたのは提督だけではない……のに。 まあそれは今となってはどうでもいい。 5日が過ぎた朝。 まだ提督の傷も癒えない頃。 提督「何してるんだ。早く準備しろよ」 加賀「……はい?」 提督「取り戻しに行くぞ」 加賀「……提督本気で言っているんですか」 提督の意見には私も全面的に同意していたので 私もフル装備で乗り込むことに。 向かうは大本営。 加賀「いざ目的地に来てみたものの何か作戦はあるんですか」 提督「もちろんある。この数日間俺が何もしていないわけがないだろう」 加賀「はあ」 提督「というわけでこれをかぶりたまえ」 そう言って渡してきたものは目出し帽。 ……。どうやら本気で乗り込むつもりでいるらしい。 提督「作戦概要は非常にシンプルで簡単。 見つからずに島風を取り戻せ」 加賀「了解」 こうして私と提督はこそこそと動き、 本来、真っ直ぐ行けば5分もかからない場所に30分以上もかけて ゆっくり慎重に移動したのだった。 途中、提督のせいで見つかりそうになったり 提督のせいで見つかりそうになったり 提督のせいで見つかりそうになったりはしたけれど。 提督「島風、おい。島風……!」 島風が収容されている扉は重く厳重になっているようではあるが、 私が事前に覚えてきた施錠技術をもってすれば開けるのは容易いこと。 中にいた島風はがっくりとうなだれていた。 島風が私達を見ると絶望の淵に立たされたかのような顔をした。 この時30分以上も常に目出し帽を装着していたせいで すっかり目出し帽のことを忘れていたのだった。 島風からしたら突然目出し帽の二人組が声なんかかけてくるはずない場所から 現れたというある意味恐怖でしかない状況だった。 加賀「助けに来ましたよ」 島風「もしかして提督と加賀さん……?」 提督「ああ、こっから逃げるぞ。ついてこい。静かにだぞ」 島風「!」 島風の顔は明るくなり無言で何度も頷いた。 しかし、逃がしたことはすぐにバレて、大本営中に警報が響き渡る。 元来た道を急いで戻っていき、もうすぐ外に出るといったところで……。 舞鶴「待っていたよ。遅いじゃないか」 提督「出やがったな……」 舞鶴「失礼だなぁ。これでも私は君達のためを思ってやったんだけどなぁ」 私達は身構えたが、舞鶴さんがきたのは 私達をとめるためではなかった。 舞鶴「この住所に逃がし屋を手配している」 提督「は?」 舞鶴「急いで。全く、なんでもできるお姉さんを頼りすぎだよ君は」 提督「舞鶴さん……」 舞鶴さんのその言葉は私達はあとで理解する羽目になる。 本当にこの人は何から何まで……。 そんな舞鶴さんに話を聞こうなど悠長な時間はなく どこからともなく色んな人間がこちらに向かって走ってくる。 提督は舞鶴さんの思惑をその時全て悟ったようだった。 そして数秒だけ立ち止まると 覚悟を決めたように顔を上げて舞鶴さんにお礼を言った。 提督「ありがとうございます……」 舞鶴「急いで。ここはお姉さんに任せなさい」 加賀「そんなことをすればあなたは……」 舞鶴「何心配ない。なんでも出来るからね、私は」 提督「無茶しやがって……」 舞鶴「可愛い後輩くんが土下座までしてんだからね。当たり前さ」 こうして俺達は舞鶴さんの足止めのおかげで上手く逃げることができた。 島風「ね、ねえ! 逃がし屋って何のこと……!?」 島風「私提督とまた一緒にいれるんじゃないの!?」 提督「……」 提督「もういれない」 島風「なんで!?」 提督「……。その理由はお前がとっくに知っているはずだ」 島風「……」 提督「いいか。この荷物を持って遠くに逃げなさい」 島風「やだ!! 私提督といたい」 提督「わがままを言うな!」 島風「なんで……提督は一緒にいたくないの!?」 提督「……」 提督「……」 提督「ああ、そうだ!!」 島風「えっ」 提督は島風に背を向けると強くそう言い放ちました。 提督「お前といると……うるさいし邪魔だし仕事は手に付かないし 面倒ばっかりかけるし心配ばっかりさせるし……」 提督「まったく……うんざりなんだよ……」 提督「早く行け。俺はもうお前に会うことはない」 島風「そんな……ねえ!! ぐ、グレてやる!」 提督「……勝手にしろ。早く行け!!」 加賀「提督。本当にそれで、その別れ方でよろしいんですね」 私は提督にだけ聞こえるようにそう呟く。 提督はいまにも泣き出しそうなくらい辛そうにしていた。 私がこうやって押してあげないとまともに動けない情けない提督。 だけど提督の気持ちを全て読み取った上で先に動いたのは島風だった。 島風はあっという間に背を向ける提督に抱きついた。 提督「島風……」 島風「……」 提督「これしかなかったんだ。 お前を俺の元に置いておけば狙われる」 提督「だが、放っておけばお前は解体される」 提督「だったら解体もされない場所まで逃せばいい」 提督「一緒にはついていくことはできない。 その代わり……俺の元にあったありったけの資材を積みこんである」 提督「力なき俺を許せ……」 提督「……許してくれ」 島風「うん。ありがとう」 島風「提督、私のこと……好き?」 提督「……嫌いなわけ……ないだろ」 提督は静かに泣いていた。 島風はそれだけ聞くとすぐに逃がし屋の車に乗り込んでいった。 窓から顔を出した島風は 島風「私強くなる。もっともっと。 新しい仲間も見つけて……一生懸命生き抜いてみせるから!!」 島風「提督!! 加賀さん!! 大好きだよ!!」 そう叫んで車ごと夜の闇に消えていった。 こうして私と提督と島風が過ごした期間はあっという間に終わったのだった。 それから彼女とは会えていない。 彼女が未だに生きているのかも分からない。 どこかで野垂れ死んだのか、それとも元気にしているのか。 無責任にも放り出した私達はいつだって彼女の心配をしている。 島風の噂が何よりも早く届くことを祈っていながら。 今回の後日談。 島風を逃がすのに加担した舞鶴さんは左遷。 そして現在の、鎮守府に勤務する身となっていた。 恐るべきは彼女のやった功績。 あのあと、もう一度舞鶴さんにあった時、衝撃の事実を聞かされた。 舞鶴「君達が無茶苦茶を言うおかげで私は挑戦したくなったんだ。 だからあの島風からは核を取り除いておいた」 提督「なんで説明しないんですか!?」 舞鶴「そんなこと言ったって結局は解体される運命だったと思うよ。 あの上層部じゃ一応念のためにとかって理由で解体しかねない」 提督「……俺達と島風の感動の別れは一体」 舞鶴「ははは、いいじゃないか。たまには心を動かされるのはいいことだと思うよ?」 提督「はあ……」 結局のところこの人は敵、なんかではなく、 ただの後輩思いのなんでもできるすごい先輩だったのだ。 舞鶴「ああ、それとこれ」 そう見せてきたのはどこぞの地方の新聞紙。 開かれた新聞の記事に買う書かれていた。 ”ぜかまし団と名乗る露出狂集団が〇〇城、城壁に落書き” 記事の写真にはサングラスをつけた島風がカメラの目の前にダブルピースで写り込んでいて その後ろの壁にはスプレーか何かで書いたであろう”ぜかまし参上!”の文字が。 提督「……あいつグレたのかよ」 加賀「ぜかまし団は全員で4人。リーダーの島風。それに付き添うレン、ソー、ホウ……」 提督「まあ元気にやってんなら別にいいか」
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/472.html
811 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 07 25 ID WPQREMKw 一章 1 煌びやかなオレンジの眼光が、舐めるように空を仰ぐ。その先、雲の白壁の向こうからサイレンの如き音が鳴る。 察知は同時。深海棲艦隊は、まるで息を合わせたかのように、一斉に駆動を開始した。 空母ヲ級を、残り五隻の船が取り囲むように移動する。足早な重巡が転回しヲ級の後方に張り付いて、ル級戦艦は正面に立つ。その 機敏な陣展開は、まさに熟練の妙技と呼ぶに相応しい。 カレー洋東方主力艦隊。数多ある深海棲艦隊の中、古参にして最強の一角。その旗艦を努めるヲ級の航行は、まるで茶会にでも赴く かのような優雅さを纏う。戦闘準備下のその余裕は、見た者悉くに畏怖を覚えさせるものであった。 数多の艦娘を屠りさったその矜持。この海域の覇者として君臨し続けたという気位こそが、この艦隊の牢固たる強さの源泉だった。 今、金城鉄壁たるを更に強化せんと、哀れにも羽虫が灯に迫る。 しかし、手を抜くつもりはない。愚行なれど勇敢なその意気は、それだけで充分に賞賛足り得るものであった。故に、例え相手がい かに弱卒であっても常に全力で相手になる。それがこの艦隊の数少ない流儀であるのだった。 各艦各砲塔がまるで独立した生き物かのように動き出し、一様に雲間の向こうへと照準を向ける。速度を維持し間隔を維持し、しか し意識は徐々に増大するプロペラの風切り音に集中していた。 輪形陣の中心で、ヲ級は青白い口角を吊り上げた。戦闘の愉悦が、久方ぶりの興奮を連れて空高くから舞い戻ってきたのだ。黒金色 の格納庫から白煙が昇り、その狭間から艦載機が出撃する。立ち上る煙を裂いてそれらは空高くに舞い上がり、数多の赤い光芒を空中 に刻み付けていた。 やがて雲をエアインテークに巻き込みながら、無数の艦爆艦攻、戦闘機が頭上に姿を現した。ヲ級艦載機を見つけるや、敵方の零戦 は急激に降下を開始。脅威の全てを撃ち落さんと、軍団に向かい突進する。それを正面に見据え、ヲ級艦載機も戦闘機動を開始した。 腹の底に響くような機銃の音が十重二十重と折り連なって、空一帯を多い尽くしたようだった。 フリントホイールの回されたジッポーのように、突如火の粉を噴出して墜落してゆく戦闘機。尾を伸ばす黒煙が無数の筋となり、群 青と白の彩を穢していく。その間を器用に縫いながら、彼の飛行機たちは翼を翻して踊り続ける。 空での戦いが勃発した頃、海面でも今まさに、砲火の交わりが始まらんとしていた。 視認された六隻の艦。うち旗艦の空母は始めて見る形のものであった。小柄な体躯に見たこともない武装を施し、悠然と艦隊の先頭 を航行する。その双眸、愛らしい童顔がもったいないと思えるほど、険しくこちらを睨みつけていた。 十一時半の方向、速度を維持し彼の艦隊は直進してくる。恐らくは、反航戦を仕掛ける算段であるらしい。 当然、深海棲艦隊とて速度、航路共に変えず。猛る闘争心に身を任せ、正面から迎え撃つ体勢をとった。 単縦陣。その意気やよし。 対空火器はそのままに、主砲副砲を正面へと向けた。射程に彼女らが入ってもしかしすぐには発砲せず、より命中するように、より 被害を与えられるように、目を眇め限界まで近づいてゆく。興奮や恐怖、トリッガーに掛かる指の衝動や緊張。それらから耐えに耐え 忍びに忍び、訪れる筈の時を待つ。 無限とも思える時間の果て、しかし彼我の距離は着実に詰まる。両者の交錯する視線は、敵味方の区別なく同じ色を湛えていた。 即ち、それは焦燥。逸る思いは頂に登り詰め、とうとう好機が到来した。 ヲ級は異形の白い腕を、ゆったりと高く持ち上げた。弾着観測後の修正時間を鑑み、ここがまさしく限界点。今まさに手を振り下ろ し、一斉射の号令を下さんとした矢先、だがここで敵方に意外な動きがあった。 812 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 08 14 ID WPQREMKw あろう事に、敵旗艦の新型空母はおよそ百六十度急速回頭。艦隊全体の動きを止めたのだった。 恐れを為したか、最悪手としか思えない行動を見、ヲ級は憫笑を漏らさずにはいられなかった。こうも情けない姿を見せられると、 骨がありそうだと意気込んだことに羞恥の沸く思いである。 抱いた失意の憂さ晴らしをすべく投げやりに斉射命令を出そうとして、だが突如彼女の脳内には一つの懸念が浮かび上がった。もし かしたらと思わずにはいられないその脅威は、状況を客観視するととますます現実味を帯びてくる。 ヲ級の下した判断は、一見すると用心に過ぎるかもしれないものであった。だが、果たしてそれは賢明でもあったのだ。 東郷ターン。その名を知らぬほど軍事に疎いヲ級ではない。敵は日露戦争、日本海海戦におけるあの奇策を、今この場で再現しよう としたのである。 一見無謀なこの回頭は、しかしその実こちらを誘い込む周到な罠である。旗艦に砲火を集中している間に、状況は丁字不利へと変遷 する。肉を切らせて骨を断つ、その真髄を見せんとする幻惑の戦術だ。 ヲ級が察知できたのは、敵新型空母の特徴的な艤装からであった。彼奴の左舷、艦載機マグの格納庫を兼ねた飛行甲板は通常のそれ とは違っていた。その厚み、なにより特徴的なハリケーンバウ。兼ねてより噂の流れていた装甲空母に相違ない。 この策は旗艦の防御力にその成否が掛かっている。陣の先頭を切るに、まさしく彼女が相応しかった。 策を看破したヲ級は、素早く自身の隊の陣形を組み直した。輪形陣から単縦陣へ。二時の方向へ回頭しながらの滑らかな展開である。 敵の戦術が看破された今、丁字になる恐れは完全に消え去った。なれば来たるるべきは同航戦。より早く戦闘準備を整えた方が、こ の海戦に勝利するのだ。 懸命の陣再展開に、しかし一片の焦りもありはしなかった。舞踏の名手は、どれだけ性急な拍子においても決して動きを崩したりは しない。それと同じ事である。 狂いの無い一直線の陣が完成すると、ヲ級の橙の瞳はすかさずに敵方に向けられた。果たして戦の女神は、尚天秤を揺るがさない。 彼の空母との視線の交錯が、心拍を跳ね上げさせた。その眼から察するに、胸中の意図は自身のそれとまったく同じ。そして号令が下 されるも、まったく同時であった。砲打撃戦、その火砲の交わりが今この時より始まった。 次々と繰り出される砲弾が、互いの袂に殺到した。無数の水柱が湧き上がり、空間一帯には突如として霧の幕が現出する。それが視 界を阻もうと、攻撃の手は緩めない。観測、そして誤差修正。砲弾は徐々に着実に、目標にひたひたと近づいてゆく。 火炎の残滓が空間の霧を真っ赤に染め上げた。花が咲いては散る。そんな優美ささえ感じられる朱の明滅である。響く轟音に空気は 痺れ、衝撃波が海面を真白く泡立たせた。 互いの砲撃により、互いが消耗してゆく。じわじわと膾にされるかのような砲戦であった。活路は見えず、ただただ無闇に損傷が増 えてゆく。だが、飛び散る破片の中、ヲ級の口元には悦楽の笑みがあった。 今までに無い、拮抗した実力を持つ敵艦。まさに彼女らは、好敵手と呼ぶべき存在であった。恐怖と歓喜との交錯によって、最高の 緊張が練り上げられる。火炎がその身を舐めるとヲ級は痛みより先、絶頂の恍惚に体を震わせた。 後方、重巡リ級がとうとう機関を爆発させた。前方、敵戦艦が左舷艤装を吹き飛ばされた。そんな様子に視線を廻らし、抱くのは更 なる戦果への渇望であった。目の前の敵は、必ず、潰す。憎悪と呼ぶには清らかで、歎称するには妬ましい。そんな激情がどろどろと 腹の底へ溜まっていった。 それからどれほど経ったか。転機は不意に訪れた。 遥か頭上ジュラルミンの屑と化した艦載機が、敵艦隊の進行方向に墜落した。予期せぬ突然の衝撃に、旗艦の空母はたまらず停止す る。極一瞬生じた隙を、果たして逃す事はしない。 ル級戦艦の砲弾が、一斉に敵新型空母に襲い掛かった。あわや、ステップを踏むように彼女はその弾幕を掻い潜り、しかしそれで終 わりではなかった。 813 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 09 38 ID WPQREMKw 避けられた砲弾は海面に着弾すると、大きな水飛沫を巻き上げた。そのどれもが明確な攻撃性を持ったように、空母の頭上に降りか かる。 覆われた視界。巡った好機にヲ級はすかさず追撃する。幾つかの艦載機が彼女の意を汲み取ると、一斉に急降下を開始した。目標は、 今まさに体勢の乱れた敵空母。その頭上めがけ、腹に抱えた爆弾を一斉投下する。 大規模な水柱、いや柱と言うに、その形は余りに巨大で歪。塊と呼ぶ他ない、そんな飛沫が彼の空母を原点に盛大に立ち上った。 必殺の一撃に手応えはあった。着弾の寸前、垣間見た彼女の体勢は余りにバランスを欠いていた。片足を海面から離し、充分な速度も 出ていなかった彼女が、この攻撃を避けられたとは思えない。 飛沫が収まる。そこにあるは残骸か、いや形さえ残らなかったのか。ヲ級は目を見開いて、その波の随に漂うはずの何かを捜し始め た。 窮まった進退。だが突然に、それは起こった。 水霧のカーテンの狭間、一つの白銀が瞬き煌く。その光は瞬間膨張し、ヲ級の視界を目一杯に覆った。混乱の中、しかし電源が落と されたかのようにその思考は瞬く間に消失する。 ヲ級は光の正体に気が付く暇なく、果てはあの空母の様相を確認することもなく、気が付けば、あっさりと絶命していた。 ル級戦艦は艦隊の旗艦が轟沈するを、視界の隅で捕らえていた。彼女の頭部を焼いたその爆風。しかし元凶は、それが何であるのか、 どこにあるのかさえ分からない。 ル級は見る。目を見開き、その正体を確認しようとする。沈んだはずの、木っ端微塵に破裂したはずの、あの空母を認めんとした。 だが、そんな彼女を嘲笑うかのように、正体不明の煌きが再び艦隊に牙を剥いた。旗艦喪失の混乱の中、一隻また一隻と沈められて ゆく仲間達。そしてル級は絶望と恐怖の渦中において、遂にその姿を垣間見た。 あの空母は健在だった。右手に持ったクロスボウが火花を咲かせ、双眸は冷酷に的を睨む。左舷の装甲甲板が焦げ付いている以外、 まったく外傷は見当たらない。 半ば恐慌状態で、ル級は全火砲を彼女に向けて発射した。弾は我武者羅に繰り出され、発砲音は止め処なく空気を振るわせ続けてい る。飛沫が再び彼女を覆い隠し、尚その水壁は増大し続けた。 だが恐怖に凝ったル級の視線には、その姿が映っていたのかもしれなかった。死神の似姿、その佇立した影を、何万リットルもの海 水の向こうに捕らえていたのか。 突如、水壁に穴が開く。飛沫の尾を引きながら、彼女は旋転して舞い上がった。クロスボウの照準、その先が自身の頭部のすぐ横だ と察すと、途端謎は解きほぐれた。 彼女が行ったのは、艦爆の直接照準爆撃。本来ならば、敵に向かって艦載機を発進させるのは愚行の極み、恥ずべき真似である。そ れは照準を付け、構え、発射された時点でその艦載機の向かう先は敵に容易に予測されるからだった。七面鳥を撃つより、哀れな親に 操舵された艦爆を打ち落とす事のほうが遥かに容易なのである。 だが、あの新型空母は飛沫の霧の中にいた。ましてや誰もが轟沈したと思った中、奇襲のように艦爆を繰り出していたのである。当然 察知は遅れ、果てはその航空機の姿さえ見つけられなかったのだ。耳のすぐ横を風切り音が過ぎ去ると、後に待つのは避け様のない死 だけである。 艦載機操縦者の、最早狂気とさえ形容できる絶対の信頼。そして圧倒的錬度。ル級は長大化した意識の中、他人事のようにその音を 聞いていた。耳元を颯爽と過ぎ去る、風の音。 諦観の境地、武人として求め続けた明鏡止水。皮肉なことに、それを会得したのは事切れる寸前の事であった。 僅か数瞬の間、勝敗は呆気なく決した。 呆然と見守る仲間達の視線に、大鳳は遅れて気が付いた。あの爆弾投下を自慢の装甲で往なした後、気が付けば全てを撃滅せんと、 身体が勝手に動いていた。意識の外、まるで右手のクロスボウが勝手に戦闘したかのようでもある。自身の危機のその先に、果たして 絶技が成ったらしかった。 814 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 11 23 ID WPQREMKw 「だい、じょうぶ?」 すぐ隣、祥鳳が呟くようにそう聞いた。目を見開き、何が起こったか理解が追いついていないのか未だ弓は引き絞ったままであった。 「ええ。大丈夫、だった、みたいだわ」 大鳳自身混乱はあったが、それでも微笑み、何とかそれだけ返すことができた。 勝利の認識には間があった。時の止まってしまったような一息の後、気まずい空気を打ち壊す、姦しい歓声が木霊する。先ほどまで の張り詰めた緊張が、途端たち消えになってしまった。 艦娘達は大鳳の周りに殺到すると、それぞれがそれぞれに勝手に褒め湛え始めた。喝采を惜しみなく浴びせると、大鳳は照れくさそ うに謙遜し、それが更なる賞賛を呼び起こすのだった。すっかりこの艦隊にも馴染んだ彼女の、大規模海戦の勝利である。その声は何 時までも、鳴り止むことはなかった。 鎮守府に電信を送った後、この戦果を報告せんと彼女達は嬉々として帰路についた。何時もより気持ち駆け足で、日に赤く染まる海 を行進する。凱旋しているかのような、そんな誇らしさが大鳳の胸には芽生えていた。 昼間の茹だる様な暑さは、何時の間にやら和らいでいた。海風は夏特有の湿った空気を含み、それが皮膚を舐めるように通り過ぎる と途端背筋が鳥肌立った。焼けた鉄板の如く熱を発していた艦装も、既にひんやりと冷たくなっている。 やがて地平線の向こうに薄ら鎮守府の影が現れた頃、祥鳳が不意に声を掛けてきた。 「ねぇ。最近、提督は元気にしている?」 逸らされている瞳は俄かに揺らぎ、その表情には悲しみと官能が織り交ぜられている。伝播した純真に何やら、意味も無く恥ずかし くなってしまう。そんな視線を向けられた。 自身が秘書になる前は彼女がその任を負っていた事を大鳳は頭の隅に思い出した。言葉の裏、微かに匂う色恋の暗香。それを感じた 気になって、だが彼女はすぐに否定した。唯の一言で余りに不謹慎で突拍子もない思考であると、そう思ったのだ。 「ええ。何時も通り」 「……そう。なら、良かった」 「私が改造できたなら、またあなたが秘書艦になるのかしら」 何の裏も無くただ口から漏れ出した言葉に、祥鳳は分かりやすく反応する。頬を染め、しかし瞳の悲哀は変わらない。 「……だと、いいけれど」 吐息のように、それは空気に交じり合った。 彼女の様子を眺めながら、大鳳の胸中には模糊な焦燥感が湧き出していた。無意識の内に航行速度は速くなってゆき、祥鳳の怪訝そ うな視線を感じてようやくそれを自覚する。 慌てて減速しながら、しかし煮え上がったままの頭は痛痒を抱え込んでいる。鼓動が高鳴り、胸が締め付けられたように苦しくなる。 腹の底から沸いてくる悪寒、苛立ち、不安感。それらに囚われ、尚その誘因は分からなかった。 徐々に鎮守府がはっきりと、視界に映りこんでくる。反対の雲間、空は桔梗色に染まっていた。 815 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 15 55 ID WPQREMKw 2 「大鳳、出頭しました」 先の戦闘で錬度は充分高められたらしく、入渠ついでに改造まで済ました大鳳はその足で執務室に訪れた。扉越しに声を掛けるとす ぐさま中から返事があり、彼女は目の前の木戸を躊躇い無く開いた。 「お疲れ様。黒も似合うね」 傾注していた書類仕事から一旦目を離し、提督は彼女の姿を見、そう言った。黒と緑を基調とした改装後の服装は、よく引き締まっ た体躯を気韻に彩っている。玲瓏たる色白の肌がその服の隙間から覗く様は、例えようも無いほど妖美だった。 「解語乃花とはこのことか」 「もう、褒めたって何もでないんだから」 おどけて言って見せると、大鳳は恥ずかしそうにはにかんで胸元の辺りを腕で隠した。余りに純真に過ぎる仕草だった。提督はわぁ っと湧き出した羞恥に、何が何やら落ち着かず、居た堪れない思いに焦がされる。乙女らしい姿と気障な自身の台詞が、部屋の空気を 甘ったるく淀ませたようだった。 誰に弁解する必要も無いのに一人で勝手に高ぶってしまい、自身の姿がおかしくないか、疑心暗鬼になるほどだった。大鳳の視線に訝 しみが無いか伺いつつ、深呼吸して平静を装う。 彼はさっさと話を進めてしまうことにした。机の下に手を伸ばし、硬質の一升瓶を掴み取つつ、余っている手で彼女を手招きする。小 首を傾げながら距離を縮めた彼女に、見せびらかすようにして机の上に置いた。 「……これは、何かしら?」 「地酒だよ。昨日取り寄せたんだ。今日の戦闘のMVP記念と、改造が終わったお祝い。……すまない。本当は盛大に祝ってやりたい んだがな。この情勢下でパーティーを開くと、上にばれた時が恐ろしいんだ」 大鳳は目を丸く見開いて、深緑の瓶を手に取った。冷え、結露で濡れたその表面から、中の液体が透き通って見える。 「ささやかだけど、まぁ酒さえあるなら酒宴は酒宴だ。誰か呼びたい奴はいる?」 「え?……あ、いえ。提督と二人がいいわ」 まじまじと充分すぎるほどに見つめた後、彼女は悪戯っぽい微笑を湛え提督に向き直った。 「あなたがお酌をしてくれるの?」 「君さえよければね」 「ふふ……嬉しい」 ハスキーな彼女の声が、執務室の空気に溶けていった。 机の上を片付け、奥の物置から椅子を引っ張り出す。嬉々としてそれに座る彼女の様子を眺めると、罪悪感も薄れるようであった。 この程度しかできなかったという鬱屈した思いが、嫣然とした笑顔に癒される。 816 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 20 53 ID WPQREMKw 悪い癖だとは知りつつ、どうにも祥鳳の一件以来、自嘲癖が染み付いてしまった提督である。人に喜ばれるということが、今何より の幸福だと感じられていた。彼女が喜ぶというのならきっと素っ裸で海にも飛び込めるなと、そう妄想を脳内に再生すると、余りの馬 鹿馬鹿しさに噴出しそうになった。 棚から適当に見繕ったグラスとつまみ、氷やらを机に置きつつ、席に座る。小さな宴は朗らかな空気の中、誰に知られることも無く 始まった。 話題は、先の戦闘の事に終始した。敵の今までに無い強さ、戦局の動き、そして自身の活躍ぶりを彼女は肩を弾ませ、欣喜と語って いる。 時折酒の入ったカップを呷りながら、身振り手振りを交え話し続ける。瓶内の液体はあっという間に半分まで減っていて、そのほと んどは彼女の胃の中に下っていた。 酌の度軽くなってゆく瓶の重量に、提督は冷や汗をかき始めていた。たった一口飲んだだけでも、臓腑が焼き爛れたかと思えるほど の焦熱感である。彼女が嚥下に喉を震わす度、提督は生唾を飲み込んだ。 このような飲みの席では、何時もは下戸な提督が彼女に介抱されるが、今日ばかり立場の逆転が起こりそうなことは誰の目にも明ら かである。提督は否応なく、腹をくくらざるを得なくなって、既に胃の痛む心地であった。 赤い顔を弛緩させて、大鳳はグラスを差し出した。もう何度目かも分からない酌の催促である。 提督は瓶を手に取って、しかしその段になって躊躇いが生じた。これ以上彼女にとって悪い酒になったなら、結局煩わしい思いをす るのは自分である。今ならまだ間に合うという楽観があった。 酒を抱えたまま動かなくなった彼を見、彼女は桜色の頬を膨らませると大きく喉を震わせた。 「提督! ください!」 「……飲みすぎ」 「そんなこと無いわ! まだまだ全然、酔ってなんかいないんだから! ほら、早く。ください!」 「酔ってないってのは酔っている奴の台詞なんだよ。もうやめておきなさい」 「酔ってません! 何処をどう見たら酔っているって、思うの? 信じられないわ。酔ってないから、ください! 早く!」 応酬はしばらく止まることなく、最初渡すものかと意気込んだ提督も、しばらく後には心の天秤をぐらつかせる様になっていた。机 がびりびりと震えるほど彼女は声を張り上げて、宥め続けても声量は微塵も変わらない。背中から湧き出している威圧感たるや、普段 の大人しい印象とのギャップの為に、とても耐えられるものではなかった。彼女の目はどんどんと細められてゆき、その険しさは背筋 をさぁっと凍えさせた。 817 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 21 24 ID WPQREMKw もう既に出来上がっていた。燻っていた火種へガソリンをぶちまけてしまったという事へのどうしようもない悔悟に、提督は頭を抱 えたくなった。 「もう。もう、もう! 信じられないわ! 私が頑張ったから今日の海戦も勝てたんですよ? その事きちんと分かってるの!?」 「ああ、分かってるよ」 「なら少しくらい我が儘聞いてくれてもいいじゃない! ほら!」 「だめだ。頼むから……」 そうして飽きるほど繰り返されたやり取りに、ついに転機が訪れたのは、ようやく五分ほど経った頃であるか。 大鳳はがなりの狭間に、ただ一回だけ大きく吃逆を上げた。顎をくいと引き肩を大仰に震わせて、その後は急にむっつりと押し黙る。 おやと思うより先、ふらっと体躯が揺れ動くと、そのまま机に引き寄せられるようにして上体が倒れた。 中毒で倒れたのかとぎょっとした提督ではあったが、背中が寝息で上下しているのを認め、ほうと胸を撫で下ろした。彼女の表情は 腕枕の敷枯れたその上で、憑き物が落ちたかのようにさっぱりとしていた。 静けさの中、耳がキンキンと鳴り続き、それが先ほどまでの喧騒を意識させた。途端訪れた部屋の静寂は、空調の音までもがはっき りと聞こえてしまうほどである。胸に迫る厭に大きな寂寞が、何とも居心地を悪くさせた。 ようやく潰れてくれたかと安堵のため息を漏らした提督は、手にしていた酒瓶を恐る恐る机に置いた。くびれを握った掌をしばらく 開かなかったのは、一つの懸念が払拭し切れなかったからである。つまり、大鳳が突然飛び起き強引に奪い去るかもしれないと、そう 穿ったのだった。 提督は焦れったい速度で、徐々に腕を引っ込めていった。机の中心で無防備に鎮座する酒は、だがしばらくしても何も脅かされはし ない。心配は杞憂に終わったようであった。 何となく、時計を見る。何故か物事の区切りには、意味もなく時刻を気にしてしまうものである。時の進みは思ったより遅く、眠気 がないのも納得であった。 そういえば、祥鳳に別れを告げられた時にも、時計を確認したのであった。ただ一人呆然と立ち尽くし、手持ち無沙汰と思う余裕も なかったはずなのに、二三三○と刻まれた盤面を見た場面は今でもはっきりと思い出せる。嫌な記憶のリフレインに胸は歯痒い疼痛を抱 え込み、蕭索とした部屋の空気と相まってやたらに気が沈むのだった。 ふと目を向けると、大鳳のうなじが後ろ髪の狭間から覗いていた。よく目を凝らせば、服の膨らみの隙間からは流麗な背中も見て取 れる。色白の肌の、滑らかで何より艶かしい質感が、くっきり浮き出したかのよう視界に入ってきた。 邪な考えを持ってしまったのは、果たして生理的に仕方の無かったことなのか。以前の恋人、しかもまだ未練があると言ってもいい ほど引き摺っている彼女の事を思った直後に、あまりに不謹慎な想像をしてしまったことを、提督は独り恥じたのだった。首をぶんぶんと 振って、頭に沸いてしまった、口に出すのも憚られるような妄想をなんとか打ち消す。とにかく落ち着けと、胸中で自身に向かって繰 り返し言って、昂ぶった気持ちを鎮めたのだった。 818 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 22 26 ID WPQREMKw 提督はゆっくりと椅子に腰掛けた。力が抜け幾らか冷静になり、彼は再三のため息をつく。何はともあれ宴は終わったと、そう心弛 んだ矢先、しかし気を抜くには余りに早すぎた。 提督は、突如耳に入ってきた水音に過敏な反応を寄こした。予想だにしなかった、だが何よりトラウマを刺激するその音を果たして 聞き間違う事があるだろうか。蕎麦をたぐったかのような音は、間違いなく鼻を啜った時のそれであった。 狼狽し、思わず席を立ってしまう。音はくぐもり不明瞭なものではあったが、視線の先、彼女の肩の震えが目に入ると、もう状態を推 し量るには充分だった。 恐る恐る名を呼びかけてみる。するとすかさずに、予想通りな涙声の返事。確証が得られると心拍は途端跳ね上がり、ばつの悪さは 彼の瞳をあちこちへ揺らがせた。 「おい、大鳳? なんで泣いているんだ。お前別に、泣くことはないじゃないか」 「提督が、お酒くれないから……。私、嫌われたんだわ。提督は、もう改造の済んだ私の事なんて、どうでもいいと思っているんで しょう」 「そんなわけ無いだろ」 「嫌われたわ。私明日から生きていけない。嫌われた! 嗚呼、もう駄目。死んでやるんだから……」 「なぁ、頼む泣かないでくれ。酒は好きなだけやるから。ほら酌するぞ」 目の前で女性に泣かれるというのは男性なら誰しも苦手とする所であろうが、提督のそれは何より格別なものであった。今再びあの 時のことが脳裏にまざまざと蘇り、息苦しさを感じるほど胸が締め付けらているのである。泣きたいのはこっちだと、そう叫びたい衝動 に駆られながら、彼の指は独りでに震え始めていた。 そんな様子には構うことなく、大鳳は酌という言葉にだけ迅速な反応を寄越した。 がばっと顔を持ち上げて、カップを勢い良く差し出す。彼女の瞼は赤く腫れ上がり、目じりからは大粒の涙が零れ落ちていたが、そ れでも屈託無い笑顔を爛漫と振りまいていた。 諦観や呆れの交じり合った感情が、彼の口から吐息となって溢れ出す。とくとくと注がれる液体の波紋を、大鳳はニコニコと見つめ ていた。 「ふふ……大好き」 「素面になったら覚えていろよ、お前」 発せられた言葉の意味さえ最早理解できないのか、彼女は何度も首を縦に振り、カップの中身を飲み干した。 結局その後も酒は大鳳一人が消費し続け、ようやく本当に宴が終わったのはもう深夜と呼ぶことのできる時間であった。 今度こそ潰れ机に伸びた彼女を他所に、提督は空になった瓶とカップを片付けた。グラスのぶつかる音は、意図しないでも大きなも のであったのだが、それでも大鳳はこの不快な音を気にすることもなく、ずっと安眠し続けていた。 一通り片付けが済んでしまうと、提督は歯を磨き、遂には寝巻き浴衣にまで着替えてしまった。気持ち良さそうな彼女の寝顔を見て しまうと、どうしても肩を揺する気にはなれないのである。 同室に女性がいるのに服を脱ぐというのは何とも背徳感の沸く行為であった。ただ脳内には早く寝たいという欲求が渦巻いていたし、 多少は彼も酔っ払っていたから、気も大きくなっていたのである。焼けるような胸のむかつきは体をひたすら重くさせ、しかし不快か と言われればそんなことはない。彼女の耳や背中の線、椅子背もたれの付け根に押し付けられた尻の膨らみ、そういった所にちらちら と目が行こうとするのを何とか自制しながらの着替えであった。 819 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 23 18 ID WPQREMKw そもそもこの執務室のすぐ横には提督の寝室があったのだ。何もここで脱ぎ着することはなかったはずなのだが、そういった思考に 行き着く前までに習慣が体を支配してしまっていた。気が付いたのは、丁度帯を締めた直後である。 何もする事がなくなってしまうと、とうとう役目を果たさなくてはならなくなった。彼は大鳳の元へ行き、不承不承にその小さな肩 を揺すった。 耳元で名を連呼すると、彼女はこの世全ての倦怠を一手に引き受けたかのような緩慢さで体を起こそうとした。腕の力だけで上体を 持ち上げたのか、ちょうど背のラインが地面と垂直の線を過ぎると、途端椅子の背もたれにしな垂れかかる。 「立てるか?」 聞くと、首を横に振る。まだ目元のあたりは赤く、しかし反対に頬や口の周りは血が抜けたかのように青白かった。小さな顔に背反 する色を持って、見るからに病的である。 水の入ったコップを目の前に差し出すと、彼女はおずおずと、しかし顔つきはだけは必死な様子でそれを受け取った。どうにも、意 思と体の連携が上手くいっていないらしい。手を小刻みに震わせながら焦れったい速度で口にまで運び、だが一旦コップの端が唇に触 れると、夏場の運動後のように中身を飲み干していく。 「もう一杯いるか?」 机に置かれたコップを見、そう問いかける。大鳳は首を横に振った後、呻くように 「せ、洗面台に……」 と言った。 皆まで言わずとも、提督には彼女の意が分かっていた。すぐ側にまで近づいて、脇に腕を挿し込む。体重を支えながら半ば引き摺る ようにして、執務室奥の自室へとその体躯を誘導していった。 本来、艦娘は進入を禁止されている場所である。着任してからというもの、今までこの部屋の中へ招き入れたことがあるのは祥鳳、 唯一人だけであった。救護処置なのだから仕方ないと心の中で弁解しながら、彼は部屋を突っ切って水回りへの扉を開けた。 大鳳は混濁した意識の中で、彼の香りを嗅いでいた。唯でさえ今までに無いほどに近づいて、しかもあたりは提督だけの生活の場な のである。空気が肺に満ちるとどこか幸福に包まれて、身体が浮いているかのような心地である。 こんな状態なのに異性の匂いに意識を向けるとは少々色欲過ぎるのではないかと、洗面台の前に立つと彼女はそう思い至った。それ からようやく提督の前で無様を晒そうとしていることに意識が向いたのだが、どこかに行ってと言うより先に、逆流してきたものが喉 を占拠した。 吐瀉物が陶器を汚し、胃酸の匂いがあたりに散らばる。彼女はえずきに任せるまま二、三回続けて嘔吐した。 つまみをそんなに食べなかった為か出てきたものはさらさらで、思いのほか苦しいということは無かった。ただ食道に焼け付いた残 滓の感触は不愉快極まり、それが気持ち悪さと似たようなものだから迂闊に動く事ができない。 胃の縮こまる疲労感が、むしろ感情を高ぶらせたらしい。大鳳は荒くなった息の合間、搾り出すように 「ごめんなさい」 と言った。それを皮切りに不甲斐なさや羞恥の念が勢いよく湧き出し、それは意識せずとも涙となってぼろぼろと零れてくる。抑え きれない嗚咽が、夜中の静かな空気の中で震えた。 820 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 26 54 ID WPQREMKw 「別に気にしてないよ。だから泣くのは止めなさい」 彼女の背を摩りながら、提督はそう口にした。慰めではなく、本心からの言葉だった。 ただただ居心地が悪いから、どうやったら彼女が落ち着いてくれるかと考える。感じている体温を見通そうとしているかのように、 彼は摩る自身の掌をひたすら見つめていた。 しばらくの場の沈黙と自身の思考の果て、ふと脳裏によぎる事があった。自制もせず半ば自棄になったかのように酒を呑み、そして いざ峠が過ぎると反省と悔恨に涙を流す。普段では絶対にあり得ない大鳳の行動に、提督はずっと得心いってなかったのである。 何が彼女をここまで乱れさせたのか。ずっと頭に居座っていた雪礫が、今音を立てて溶け出したようだった。そしてそれは余りに都 合の良い状況を現出させ、果たして逆らう事ができるほど、提督も強固な意思を持ち合わせてはいない。 「なぁ、大鳳。もし良かったら、この後も秘書艦も続けてくれないか」 思わず滑り出すように吐き出された言葉は、自身の鼓膜を震わせ骨を震わせ、脳内に伝道した途端に後悔の念を噴き出させた。目の前 にしている問題から目を逸らして、ただ逃避をしているのだ。無意識に吐き出された言葉であった。より一層、自身が矮小に思えた。 本来なら彼女の体調の事を考えて、今この場で言うべきではないことだったのかもしれない。しかし、それに意識が向かないくらい に、今の提督は逸る感情に駆られていた。急く必要は欠片もありはしないのに、何か処理のしきれない焦りがわだかまるのである。 どうか断ってくれと、そう何度も心の中で唱えながら、彼はそっと大鳳の反応を見る。だが心理の機微に、今の彼女が気づくわけも 無く、止んだ嗚咽がまさに回答そのものだった。 「もちろんお前がまだ秘書艦をやりたいって言うなら、だがな」 提督はあわててそう付け足した。自分の願望の発露ではないのだと、そう言い訳したい気持ちが独りでに口を開かせたのだ。 幾らか色の戻った顔を上げ、大鳳はゆっくりと視線を向けた。 「いいの?」 「悪いことがあるかよ。どうだ、お前は秘書艦を続けたいか」 「……嬉しい。私、本当に嬉しいわ。……ありがとう」 そっと伸ばされた手が、控えめに提督の上着の裾を摘んだ。はにかんだ表情を見、彼の心持は暗澹たるものである。 821 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 27 33 ID WPQREMKw 3 驚くほど自然な目覚めであった。寝起き特有の、あの蒲団に身体が沈みこむような気だるさが一切まったく無いのである。頭部を絶 妙な堅さに支える枕や下半身を柔らかく包むタオルケットの感触が、むしろ心地良いものとは思えず、自身が横になっているという事 自体、違和感を感じてしまうような、せせこまった感覚が体を支配していたのだった。 視界に映る天井が驚くほど近くに感じられ、そしてそれは決して心象による錯覚などではないという事に大鳳は遅れて気が付いた。下 に引かれたものが蒲団ではなくベッドであること、着ている服が寝巻きでないこと。そういった差異が徐々にだんだんと知覚されてい って、混乱は頭のクロック数を猛然と加速させていった。 そこが提督の部屋だと気が付いたのは、たっぷり一分は経った後である。彼女は昨日の記憶を掘り起こし、しかしどうしても就寝に 至るまでのプロセスを思い出せないでいたが、今体を包んでいる心を痒がらせる匂いは間違えなく彼のものであるから、ここがどこなの か疑問を挟む余地はないのである。 タオルケットを跳ね除けながら、彼女は体を起こした。提督を探し辺りを見渡してみても、だが姿は見当たらない。部屋の調度品が じっとこちらを見つめているようで、どうにも居心地が悪かった。まるで、お前の昨日の醜態を私たちはずっと見ていたぞと、或いは お前の欠落した記憶の場面を私たちは覚えているぞと、そう言い詰め寄られている気になるのである。 いち早くここから逃げ出したくなって慌ててベッドから降りる。小走りに扉にまで近づき、焦燥に駆られるままドアノブを回した。 背中に感じる視線のようなものが、酷く恐ろしいものに思えていた。罪悪感が足を急かし手を震わし、きりきりと胸を締め付けている。 今の彼女の様子は、さながらホラー映画を見た後にトイレへの廊下を歩く怖がりそのものであった。 扉が開くと、恐怖はさっと霧散した。溢れてくる光量は随分多く思えて、それは先ほどまでいた寝室はカーテンが全て閉じられてい た為であった。その事に気が付くと、ただ薄暗いというだけでここまで狼狽した自分が恥ずかしく思えて、大鳳は独り勝手に胸の奥を 熱くしていた。 勢い良く開いた扉は相応に音を出して、執務机に座っていた提督の背は思わずびくんと跳ね飛んだ。その拍子に机の上の書類がぐら ついたが、崩れるほど傾きはしない。ほうとため息一つ、彼はほんの少しの倦怠を滲ませながら、ぐるり大鳳の方へ振り向いた。 「おはよう。吃驚した」 「ごめんなさい! そんなつもりはなかったの」 「いいよ。どうしたの、慌てて」 訝しげに細められた目にさっきまでの不恰好を看破されたかのようで、彼女の心中は途端波風立った。泳いだ視線の先に、ふと壁掛 け時計が映り、それが逃げ道を作ってくれた。裏返りかけた声で少々露骨に、彼女は話の方向を逸らす。 「も、もうお仕事しているの? 随分早いんですね。まだ五時なのに」 「いや“もう”というか、むしろ“まだ”なんだよな」 「え?」 「えっと、昨日の夜の事はどれだけ覚えてる?」 突然の問い掛けに、彼女は心臓をきゅっと縮こまらせた。頬がじっとりと、果実が熟れゆくように染まっていった。 822 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 28 56 ID WPQREMKw 自身の痴態について、一度はベッドの上で平然と思い出していたはずなのである。だがその罪深さは本人を目の前にして、ようやく 悪意の針を覗かせる類の物らしい。音を立てて湧き出した羞恥がぼっと体を茹らせて、背筋のむず痒さにもんどりを打ちたくなってし まう。顔が赤くなったことには自覚があったから、焦り両手で頬を覆った。眼前にしているこの人にあのような無様を晒したのだとい う、そういった自意識が平静を装うとする心中を容赦なく攻撃してくるのだった。彼に見られているということが、今この上ないほど 勘弁ならない。 提督は意地の悪い笑みを浮かべながら、そんな彼女の様子を眇めた眼で見つめていた。別段、特別な意図でもってこの問いを投げか けたのではない。だが煽られる嗜虐心、その高揚たるや話の本題がすっかり頭の隅に追いやられるほどだった。 「別に夜這いをかけた覚えはないぞ」 もののためしといった心緒で、そう口にしてみた。言葉での追い討ちをかけてみて、彼女の反応を見たかったのだ。 果たして、満足の行くリアクションである。大鳳は赤い頬を尚一層朱に染めて、 「馬鹿!」 と一喝、提督を睨んだ。凄んで見せた所で、そんな愛嬌のある頬の色をして恐れおののく者があるだろうか。むしろ彼は恍惚の中、た だただ慈しみの念を覚えていた。今すぐにでも側に駆け寄り慰撫してやりたいと思うほどに、愛らしさは胸をじくじくと疼かせる。 自身の変態性に危機感を持って、彼は衝動を我慢することにした。怒らせたいわけじゃなく、ただ可憐に恥ずかしがる様を見たいだ けなのだ。これ以上調子に乗ることは、矜持が許しはしないのだった。 「お前が寝た後、妙に目が覚めちゃったからずっと仕事をやってたんだよ」 視線を机に戻しながら、提督は気だるさを装い言う。先ほどまでの錯乱は急になりを潜め、彼女は目を大きく見開いた。 例え直接見ていなくとも、愛らしくころころと表情が変わっているその様子は充分に察知ができて、思わず口元には笑みが浮かんだ。 「昨日からずっと?」 「時々休憩は挟んでたけどね。……お前、もうはやく自分の部屋に帰ったほうがいいんじゃない?」 「どうして?」 「別に私は困らないがね」 言われ、彼女の頭には失念していた問題がわっと花開いたようだった。艦娘の起床時刻は六時。ここに泊まったということを誰にも 気づかれてはならないし、その為には様々に身繕いも必要だった。 「失礼します!」 ぱたぱたと足音を響かせながら彼女は廊下に飛び出していった。顔色は、今度はさぁっと青白くなり、頬も無意識に引き攣っていた。 部屋を出ると、遅れて聞こえた提督の笑い声。それが耳に入った途端、地団駄の踏みたい思いを抱いた。誤解される事が恐くないの かと、耳を引っ張りがなり立ててやりたかった。生憎今は湧き出す焦燥感に命じられるまま、足を動かすことに精一杯だ。 踏みしめられた木の板の歪む音は、ポジティブにリズムが良く、まるでフラメンゴの演奏のようでもあった。心情とは裏腹な、その 愉快な音が神経を逆撫でして、どうにも気分は宜しくない。執務室を出てからというもの苛々は正の一次関数グラフのように、止め処 なく募っている。階段を降り、尚足は速めたまま、大鳳は鎮守府本棟の出口へ向かった。 渡り廊下の屋根の向こう、青の抜けすぎて紺になった空色がじっとりと彼女を見下ろした。昂った感情が冷えたのは、棟を移り艦娘 宿舎に足を踏み入れた時である。 途端に音を立て始めた心臓の脈動は、きゅうと息を詰まらせた。それは何も走り疲れた為ではない。この宿舎内、今誰かが気まぐれ にふらっと外へ出てきたなら、誤解の種は見事芽を出し決して収まりはつかなくなるだろう。その恐怖が、緊張の糸をきりきりと張っ ていたのだった。 823 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 29 21 ID WPQREMKw つくづく普段着である事が恨めしかった。まだ五時である。着替えたと言うには余りに早い。脳裏には執務室に戻るという選択肢も 浮かびはしたが、どちらにせよ部屋に帰還しなくてはならない以上、意味の無い事だった。 忍ばした足音の板張りの床を滑る音に、一歩一歩精神が削り取られてゆく。部屋の戸が延々連なる光景。誰かの部屋の戸を横切る、 その数十センチ間隔数秒おきの緊張が、過敏な神経の表面をごしごしと容赦なく摩るのである。 珠の汗が頬を伝い、幾つかが床に滴り落ちる。決して暑いと感じているわけではない、はずであった。彼女には最早自身の体温さえ、 判別ができていなかった。 時間の感覚の希薄になりだした頃合、目的の場所にたどり着くと、大鳳は涙が出そうなほどの歓喜に打ち震えた。緩んだ心が触れた ドアノブへ流れ出すようで、足腰に力が入らなくなる。何とか自身の部屋の中に転がり込んで、閉まった扉に背を預けた。しゃがみこ み、達成感と徒労感の混ざった空虚にじっとりと浸る。何をするのでもなくただただ背を扉に預け、部屋の天井にある染みを意味もな く見つめ続けた。 結局は、起床のベルの鳴るまでずっとそのままの体勢であった。ただ有りのままの沈黙、その範囲は脳内にまで及び、ふとすると喧し い目覚ましの鐘音さえ意の外に追いやられかけていた。何せ俄か廊下に眠気眼の喧騒が響き始めてようやく、彼女は動こうという意思 を取り戻したのだ。茫然自失のその境地は、先の戦闘時、一気に敵艦隊を撃滅に追いやったあのときの状態とどこか似ている気がした。 立ち上がるときには尾てい骨から背骨に沿って鈍痛が顕れ、しかし致し方無いことだろう。痛みの範囲は筋肉から体の奥へ侵食する ように広がった。我慢して無理やり腰を回してみると溶けだす風に痛みは引いて、その段になると、まだ自身が身繕いを整えていない ことに気が付いたのだった。 替えの服はぱりぱりと、折り目に一切乱れは無い。だがいざ着込んでみると、途端柔らかく体躯を包み込んでくれるのだった。支給 されたばかりの、新品の、新型改装服である。着心地に不満はあるはずもない。 替えは今着たこの一着のみで、脱いだものと合わせ二着でのローテーションである。着替える必要があるか判断の難しい所ではあっ たが、一応酒盛りをしてしまった手前どうしても不安は残ってしまう。大鳳は脱いだ服にネームタグをつけると、洗濯用ネットに入れ て出口の方へ放っておいた。食堂に向かいがてら、後で共用洗濯機まで運ぶ算段である。 その他身の回りを整えて、彼女は再び廊下に出た。艦娘達がぞろぞろと食堂へ向かう中、動揺を胸に秘めながら顔を伏せて歩く。 片端から、今朝は早起きしていないよねと聞いて回りたい気分であった。こういった確証の得られない状況というものを、果たして 好む者がいるだろうか。大鳳とて、例外ではない。 つい一時間ちょっと前に通った渡り廊下を、今度は反対方向に行く。食堂は本棟一階の西、艦娘宿舎から見ると右手の廊下の最果てにあ る。ガラス戸二枚に隔てられその間も大分長いから、最早棟として独立しているような造りであった。 大鳳が本棟に入ってちょうど右折しようとした時、階段からはぽつねんと提督が降りて来るのが見えた。彼女はその姿を視界の隅に 捉えるや、反射的に顔を逸らして、逃げるように廊下を突き進んだ。幸い辺りは艦娘によってごった返していたために、小柄な彼女の 姿はすぐ雑踏に消え溶けた。或いは、気を使って見逃してくれたのか。恐る恐る後ろを振り向くと、彼は第六駆逐隊の面々に囲われな がら愉快そうに口を動かしている。 気をつかう、というフレーズが頭にどこか残り続けた。平静に戻った上で彼を見ると、思い出された場面があった。 曰く、提督は眠れないからずっと仕事をしていたというのだった。しかし普通に考えれば、ベッドを自身が占領してしまったために、 むしろ夜を明かすためにやる事というのが仕事しかなかった、というほうが自然である。起床時は半ばパニックの中にあったから、こ んなことにさえ気が付けていなかったのだ。 後でお礼を言おうと考え、しかし胸がむず痒くなる。それは申し訳なさによるものか、はたまた羞恥によるものか。 彼の顔を見ることに抵抗を覚えてしまっていること。しかもそれは決して不愉快からくるような代物ではなくて寧ろもっと甘い、じくりと滲む胸奥の痛みからきているということ。 果たして、大鳳の頬は朱色だった。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/24328.html
生態提督ドリームアーク・デラセルナ SR 自然文明 (8) クリーチャー:ドリームメイト/アーク・セラフィム/バイオロード 6000 ■W・ブレイカー ■相手のターン中にこのクリーチャーが自分の手札から捨てられる時、墓地に置くかわりにバトルゾーンに出してもよい。そうしたら、次のうちいずれか1つを選ぶ。 ►バトルゾーンにあるクリーチャーを1体選び、持ち主のマナゾーンに置く。 ►自分の山札の上から3枚を見る。その中から「バイオ・T」または「バイオ・K」を持つクリーチャーを好きな数選び、相手に見せてから自分の手札に加えてもよい。その後、残りを好きな順序で山札の一番下に置く。 ■自分の手札にある「バイオ・K」を持つクリーチャーすべてに「バイオ・K・ドロップ」を与える。 ■自分の手札にある「バイオ・T」を持つクリーチャーすべてに「バイオ・T・スロー」を与える。 作者:切札初那 フレーバーテキスト 収録 NDMX-03 「冒険編外伝 ステージ3 異能力都市」 名前 コメント