約 19,731 件
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/321.html
84 :名無しさん@ピンキー:2014/03/07(金) 01 05 22.30 ID 1b33W5PM 曙「か、改装とかいって、私の裸が見たいだけなんでしょっ、このクソ提督!」 開口一番に曙は私に食って掛かる。 いつもの光景だが、今日はいつもとは少し違う。 先ほど自前で特別な護符を拵えたのだ。 特殊な術式によって相手の心が読めるというなんとも垂涎モノ・・・もとい、危険な代物である。 しかしやはりと言うべきか、使用条件がかなり限定的で、心を通わせていない者の心はあまりよく聞き取れない。 逆に言うとはっきり聞こえれば聞こえるほどお互いが信頼し合っている証拠となる。 そもそも何故このような護符を作ったかというと、深海棲艦の心を探るためなのだが、試験段階で上記のような致命的な欠点が見つかったために計画は白紙に戻っている。 改良も試みられたが、研究の結果それが不可能であることが分かった。 心のつながりのない者の心うちを知るには、精神破壊が必要だったのだ。 敵の心を知るためにその心を壊しては意味がない。 かといって信頼し合う仲になることは不可能だし、そんな仲になっていたらこんな戦闘は必要ないわけだ。 辛うじて読み取れたことは、「寒い、冷たい」という感情と強い憎しみだけだった。 この護符は凍結という決定がなされたが、当時の研究書は見ていたため呪印などすべて覚えている。 話がだいぶ脱線したが、つまり、いつも突っかかってくる曙は、果たして内心はどうなのか? と気になったという好奇心の元、この護符を発動させるに至ったというわけだ。 きっかけは曙のこの一言だった。 曙「気に入らないなら、外せば?」 そういう彼女の声は震え声だった。 あの時彼女はどんな気持ちだったのだろうか。 彼女に戦力外通知をした覚えはないし、彼女のミスを責めたことも一度もないのだが、知らず知らずに彼女を追い詰めていたのだろうか。 当然史実での彼女の不遇は承知している。 ふと、今の彼女の心が知りたくなった。 そして冒頭のセリフを言った後の声ははっきりとこう聞こえた。 曙「(ありがとってホントはいいたんだけどなぁ・・・)」 提督「ふむ・・・」 まさかここまではっきり聞こえるとは思わなかった。 かつて親に試した時でさえここまではっきりとは聞こえなかったように思う。 提督「そうか・・・。曙の今後の活躍に期待しているぞ。・・・」 曙「ふんっ!」 曙「(うれしい・・・///。絶対活躍してみせるわ!見てなさい!クソ提督♪)」 曙「私に十分感謝しなさい、このクソ提督♪」 曙「(すごいでしょ!?私がんばったよ!この勝利は敬愛する貴方へ捧げるわ!)」 先の作戦でMVPをかっさらった曙は、提督執務室のドアをドカンと開けると 頬を薄らと赤くさせて高らかに宣言した。 瞳はキラキラと輝き、こんなにはつらつとした彼女を見たのは初めてかもしれなかった。 ここ数日彼女と接してみて分かったことがある。 どうやら彼女は俗にいうツンデレのようだ、ということだ。 改修をすればするほど悪態をつくのだが、それは素直になれない彼女の照れ隠しだ。 髪が長くて維持が大変そうなのにずいぶんと綺麗だなと褒めたときなどは セクハラだと怒っていたが、心ではものすごく喜んでいた。 後日、さらに髪の美しさに磨きがかかり、いい香りまでするほどになっていた。 提督「じぃ~(やはり曙の髪は綺麗だなぁ・・・)」 日の光に照らされて艶やかな髪に視線を這わせる。 曙「何よ?こっち見んな!このクソ提督!」 曙「(見られると恥ずかしいのよ、ばかぁっ)」 提督「ふむ・・・」 ムクムクといたずら心が芽生え、曙のそばまで歩み寄る。 曙「何?何か用?」 曙「(近っ、近い近い!)」 そっぽを向いて不貞腐れた態度をとる曙だが、 何処となくソワソワしている。 提督「曙、MVPよくやってくれた。感謝している」なでなで 曙「なっ!?何で触るの!うざいったら!・・・・・・・・もう」 曙「(あ・・・うれしい!ホントはもっと撫でて欲しいけどこれ恥ずっ・・・///)」 さらに追い打ちをかけてみる。 提督「曙の髪はサラサラで心地よいな。心が落ち着くよ」なでなで 曙「し、仕方ないわね。ちょっとだけ・・・よ?」 提督「ありがとな・・・曙」なでなで 思わぬところで素直になった曙が意外だったが、 日頃戦いに出ている彼女を労わる気持ちでさらに撫でる。 曙「///」ムスー 曙「(ちょっとくらい・・・いい・・よね///)」 しばらく撫でていたのだが、居心地が悪いのかモゾモゾしだした曙の 上目づかいな視線と目が合わさる。 曙「あ・・・・」 曙「(提督の顔・・・近い。・・・・キス・・・とか。ね・・)」キュン 提督「・・・」なでなで・・・ぴた 顔を真っ赤にしてこちらを見上げる曙と、そのまっすぐな心の声に ドキっとして撫でる手を止めてしまった。 どうやらこの護符の効果は相手の感情に引っ張られるらしい。 そっと手を曙の頬に添える。 曙「ん・・・・」 目を閉じた曙のまつ毛は、小刻みに震えている。 綺麗なピンク色をした唇はキュッと閉じられ、 まるで侵入者を拒むかのようだ。 彼女の髪からふわっと心地よい香りが鼻をくすぐる。 提督「曙・・・・」 そっと腰に手を回して彼女を抱き寄せる。 少し前にかがんで彼女の唇に吸い寄せられるように顔を・・・。 バーーーン!! 島風「ていとくーーー ー!かけっこしよーーーー?」 曙・提督「!!」 突然やってきた島風に驚いた曙はパチっと目を開ける。 後数センチまでの距離だったため、見つめ合う格好になった。 曙「あ、あ、あ・・・」 どんどん涙目になっていく曙にどうしたものか、突然のことに頭が回らない。 島風「どうしたの?見つめ合っちゃって」 曙「わぁっ」ドン 提督「うわっとと」ぐいーーっ 曙・島風「きゃぁっ」どたんばたん 突然突き飛ばされたためバランスを崩し、咄嗟に伸ばした手で島風と曙を巻き込んで倒れ込んだ。 島風「痛たたた・・・。ていとくひどいよ!もう・・・。あ・・・!」 曙「んん・・ん・・・」 一緒に倒れ込んだ時に、幸か不幸か曙と先ほどの続きをすることとなった。 曙「んん!?んー!んーーっ!!・・・んはっ・・・はぁはぁ」 島風「ごめんね、上に乗っかっちゃってた」 曙「ッッ」 ガバっと起き上がると、曙は一目散に走り去っていってしまった。 提督「曙ッ!待っ・・・」 島風「おぅっ」ドターン 慌てて追いかけようと立ち上がったものの、島風の服のボタンと絡まってしまい島風を押し倒す格好になってしまう。 島風「ん・・・」 提督「・・・!!」 思い切り押し倒して口づけしてしまっていた。 島風「(あ・・・私、てーとくとキス・・・してる・・・)」 島風「んちゅっ・・てーとく・・・んふっ・・・」 島風「(てーとく・・・大好きだよ!)」 ドック帰りとはいえ戦闘後で高揚している島風は、切り替えが早く高まる気持ちを抑えきれずにしがみついてきた。(だいしゅきホールド) 護符の効果により島風の想いも強烈に流れ込んでくる。 さっき倒れた拍子に、右手は島風の胸の上にあり、ささやかながらもやわらかい弾力が指を押し上げてくる。 提督「島風・・・」 やさしく髪を梳いてやり、気持ちを落ち着かせてやる。 島風の目を覗き込み、愛おしむまなざしで語り掛ける。 提督「島風、俺もお前が好きだぞ。」 島風「てーとく・・・・」 すでに赤くなっていた島風の顔が、ポッとさらに赤くなる。 しかしそれは嬉しさ半分悔しさ半分である。 島風「・・・てーとく、ずるーい」 ぶぅ、と膨れる島風は、言葉にせずともこちらの心を読み取っていた。 おでこにキスをして島風から離れる。 島風「ぶーぶー」 島風「(絶対一番好きって言わせて見せるんだから!)」 不服そうな島風だったが内心は幸せいっぱい、残念がちょっとという感じだ。 口づけした唇をなぞり、キスされたおでこを触って見上げながら、にひひっと幸せが漏れていた。 島風「てーとくのことあきらめないんだからねっ!」 そう言い放ち、島風はパッと立ち上がったかと思うとあっという間に走り去ってしまった。 提督「・・・・やれやれ、どうしたものか」 あれはいずれ食われるな・・・(自分が)。覚悟をしておいた方がいいかもしれない。 そう思う提督だった。 島風の過去を視たときからどうも島風に懐かれてしまったのだが、まさかここまでの想いに膨れ上がっていようとは思いもしなかった。 護符がなくとも艦娘たちから好意の視線を感じていたが、やはりと言うべきか、いざ心を見てみるとこれでもかと情愛の念があふれていた。 嫌われていると思っていた曙ですらアレだったのだ。 他の艦も推して知るべし。 この護符について一つ分かったことがある。 心を通わせている者でも相手の心が読めない場合がある。 島風からは好きという感情が強すぎて他の心の声がかき消されていた。 どうやら伝えたいという気持ちが重要であるらしい。 ならば深海棲艦の伝えたかった事とはいったい何だったのだろうか・・・。 寒いといっていた彼女たちは何を想い、願っているのだろう。 彼女たちの魂を救いたいと、切に願わずにはいられなかった。 +後書き 90 :名無しさん@ピンキー:2014/03/07(金) 01 13 40.56 ID 1b33W5PM 以上です。 ケッコンカッコカリがものすごい重婚状態のためこのような流れににに・・・ いつかの島風の続き物だけど何故か曙の話になった。 そして我が艦隊の曙は遠征組でそれほど活躍してないんだけど キラ付けのたびにつついてたらあの震え声が気になってSSにしてみた。 ちなみに我が鎮守府の秘書官は如月で、大井っちや北上さんなどなど何名か愛人枠にいます。 いずれ登場させたいなぁ
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/609.html
前回の話 「北上さん! 明けまして、おめでとうございます! こ、今年もっ……あ、提督? 提督も、今年もどうぞ、よろしくお願い致します」 「よろしく」 「はい」 年が変わっても、大井は少しも変わらなかった。 何を錯覚したか私の体にまとわりつくようにぺたぺた触る。 正気に戻ったらそれもなくなって軍人らしく直立し頭を下げる。 対して自分は極めて簡潔に返したが、 これは脳内で再生されている映像を鑑賞しているところを悟られないようにした結果なのだ。 IFの世界とは人なら誰しもが考えるだろう。 『提督! 明けまして、おめでとうございます! こ、今年もっよろしくお願いします!』 その世界では、大井は私が姿を現すなり突然、顔を病的なまでに綻ばして飛び込んで来るのだ。 そして、体中を隈なく揉んだり触ったりして、早速姫始めしましょぉぉ等と……。 「あの、私の顔に何か付いてます?」 いや何も。 元旦。 早いものだ。 怠惰な暮らしに身を投じているなら未だしも年末年始でさえ休みのないこの暮らしなら殊更で、 少し気を抜けば時の流れに置いていかれそうだと自分は年甲斐もない事を感慨深く思っていた。 人間は意味のない思考に耽る事の出来る唯一の動物だが、それを許さないかのように北風が吹き飛ばした。 自分は直ちに身を縮こませ、上着の中に冷たい空気が入り込むのを阻止しようとする。 「寒そうですね」 背を丸める自分と違って、 大井が定規でも差し入れたようにしゃんと背筋を伸ばし、着せた上着のポケットに手を突っ込む事もしていないのは、 寒さにとんでもなく高い耐性を持つ艦娘であるからだ。 それは重々承知で、上着を着せたのは周囲から浮く事がないようにとか、艦娘である事をカモフラージュする為である。 他人事の調子で此方に流し目を向ける大井の身体が少しだけ羨ましいと思う。 「私は、むしろ寒さを感じてみたいと思いますが」 無い物強請り、だとか、隣のしばふは青い、と言うな。 自身には無い物が隣の人間にあると好奇心をくすぐられるだろう。 然し不便なことの方が多いぞ。 この場合だと、手が言う事を聞かなくなってまともに筆を操れなくなったりするのだ。 だから庁舎に帰っても執務に差し支えないように、こうしてポケットに手を潜ませているのだよ。 「それなら……」 大井は無造作にぶら下げるその手を、私の上着のポケットに入れた。 定温を保つ大井の手の感触に自分の手は驚き、その隙に掴まれてポケットから出されてしまう。 冷たい空気が自分の手を刺すが、自分より一回り小さい大井の手が前方の風から守るように私の手を握った状態を保つ。 「これはどうですか?」 良いか悪いかと問われれば、断然良い。 上着は北風から守ってくれるだけだが、この場合は熱源が熱を供給してくれるのだ。 単純に暖かいし、それだけでなくもっとこう、文字通りでない別の何かも不思議と暖まる。 それは大井も同じようで、暗い夜道にぽつりと立つ電灯の下で無いと分からない程度に頬に朱が入っている。 「これくらいのことでそんな気持ちになれるなら、やっぱり私も寒さは感じてみたいです」 一見人間を見下した皮肉のようだが、大井はこれを本心から言っている。 その願いが叶うとしたらそれは大井が艦娘をやめた時だろうな。 先の御参りではそれをお祈りしてきたのか? 「そんなわけないでしょう。提督は何をお祈りしたんです?」 私か。 提督として無難に安全祈願を願っておいた。 他にもあると言えばあるが、人間が沢山いる以上神様は一人一つまでしか聞いてはくれないだろうしな。 「それは提督の手腕にかかっているのであって、神頼みは意味のないことだと思います」 それもそうだ。手厳しい。 で、大井は何を願ったのだ? 「秘密です」 神のみぞ知るのか。 この言い分だと大井の願い事は私と異なる物なのだろう。 帰ったら神棚にだけでも安全祈願は願っておけよ。 気休めにしかならないだろうが、やって損はない。 「提督は気を休めてばっかりではないですか」 馬鹿を言うな。 やる時は気を引き締めているじゃないか。 先の十一月に行った庁舎の拡張工事だって更なる戦力を……。 「いででででっ!?」 「……他の子がどうしたって?」 大井は突然握っていた私の手を締め上げた。 それは艦娘が持つ潜在能力をあらん限りに出力して、私がそれ以上口を利く事を許さない程の力だ。 防衛本能によって大井の手から離れようと身を捩らせるが、大井は出力を維持したまま容易に付いて来る。 「止めろッ!!」 「はい」 案外素直に従ってくれた。 乾燥した空気に冷やされた手へのダメージは思いの外大きい。 力を抜いてくれた隙に離したその手を擦って 慰める。 艤装がないのになんて力だ。 此奴の思考回路では庁舎を拡張工事する事が不倫にでも直結しているのだろうか。 だとしたらそれは些か短絡的過ぎると思うのだがどうだろう。 全く信用がないな。 私が誰かに色目を使った事でもあったか? ほぼ常に傍にいるお前が、そんなところを見た事があったか? 「あっもう着いちゃいましたね。ちょっと岸壁のところへ行きましょう?」 人の話を聞け。 それと、お前は平気かもしれんが、こっちは寒いんだ。 庁舎に戻らせろ。 「いいですね?」 大井はまたもや私の手を握って痛みを感じない程度に力を込めたので、自分は不戦敗として白旗を上げるしかない。 分かった分かった。だからさっきのはもうやめろ。 温かい缶を握り締め、岸壁のベンチで黄昏る。 先は嫌がったが、寒空の下で月を肴に甘酒を啜ると悪くないと思えるのは何故だろう。 「それ、美味しいですか」 美味いし懐炉にもなる。飲んでみろ。 大井に飲みかけの甘酒を渡す。 甘酒は健康にも非常に良いから、人間にはありがたい物だ。 少し風が吹くだけでこうも金をかけねばならんのだから、人間ってのは面倒臭い。 それでも参拝は鉛の弾でもない限り何が降っても行く気だったからそれを後悔はしない。 寒いと言う理由だけで外に出ない程堕ちてたまるかと言う意地もあるし、偶には肩に背負った責務の事も忘れて 「おい! 誰が全部飲んで良いと言っ、た……?」 小さな缶を一気にぐいっと呷った大井に突っ込みを入れようとしたが、自分はその任務を達成できなかった。 横に座る私に突然まとわりついてきたからだ。 上半身を捻り私へしがみつくように腕を回す。 自然と大井の頭頂を見下ろす形になる。 「懐炉……です」 深夜。 人気もなく潮風がそのまま吹き付ける岸壁。 結局のところ大井がこんな場所で黄昏る訳は考えても分からないが、 寒さの中こうして熱を感じると有難みが増すようだ。 とか何とか気取っているがそれは嘘ぴょんで、 自分は人目がないのを良い事に此奴へ抱いた邪な感情を抑えているだけだ。 自分は理性が渦潮に飲み込まれないよう堪えている事をおくびにも出さず、乾燥した唇を開く。 「甘酒の方がいい」 「またさっきの力で抱き締めてあげましょうか」 だからそれはやめろ。 兎角こうされるのは自分も満更ではないが、まずは庁舎に戻らせてくれ。 自分はこの体勢のまま動かない大井を、引きずるようにして庁舎に戻った。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/46450.html
翔龍覇提督ハートピッチ R 火/光文明 (7) クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン/ファイアーバード炎/ドラグナー 5500 ■ブロッカー ■このクリーチャーが出た時、自分の山札の上から3枚を表向きにする。その中からコマンド・ドラゴンとドラグナーをすべて自分の手札に加え、残りを好きな順序で山札の下に置く。表向きにしたカードがすべてドラグナーなら、自分の超次元ゾーンから、自分のマナゾーンにあるカードと同じ文明を持つ、コスト4以下のドラグハート・ウェポンを1枚出す。 ■相手のターン中に、このクリーチャーが自分の手札から捨てられる時、墓地に置くかわりに出してもよい。 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1338.html
283 :4:2012/08/27(月) 09 34 18 提督たちの憂鬱 第13話登場人物一覧 1/4 『フィンランド・日本の連合軍がソ連軍を相手に激戦を繰り広げている頃、 中国大陸は小康状態を維持していた。 日本やドイツが重慶周辺の土地を租借して、国民党の盾となったことに加え、 張作霖もこれ以上の戦線拡大は厳しいと判断したからだ。』本編13話より抜粋 張作霖:重慶攻略作戦の為軍備増強と占領地の統制に力を入れていた。 特に共産党狩りを行う。共産党対策は、欧米の資本家、 そして日本の支持を受けるには丁度良かった。 蒋介石:名前だけ登場。 中国共産党:追い詰められた中国共産党は、張作霖暗殺を計画。 日米は察知できなかった。 張作霖暗殺事件発生:張作霖が乗った列車が北京郊外で爆破され死亡。 夢幻会会合 『予想外の報告を受けた夢幻会は驚愕し、そして狼狽した。』本編13話より抜粋 嶋田繁太郎:会合出席。 伏見宮博恭王:会合出席。最終的な決断を下す。 『「あらゆる場合を想定して調査を行うことにしよう。 あと米ソ中三ヶ国の軽挙妄動に備えて暫くの間、警戒を強める」』本編13話より抜粋 辻正信:会合出席。 東条英機:会合出席。 『夢幻会の決定によって、直ちに日本政府は 在中の諜報員を総動員して調査を開始した。』本編13話より抜粋 米国政府:中国でのテロ対策と称して在中米軍のさらなる増強を発表。 奉天軍への旧式艦艇譲渡を検討。 上海:要塞化して中国への強固な橋頭堡としている。 呉鎮守府司令長官執務室 嶋田繁太郎:中国関連の報告を受け苦い顔をした。 陸軍や海保と連携した哨戒網の拡充等地味で面倒な仕事にぼやきつつ着手。 『青島に中国海軍、上海に米海軍、陸軍航空隊が出張れば、日本のシーレーンは危機に瀕する。 彼らが圧力代わりに嫌がらせをする危険性もあった。 シーレーンを守ることが存在理由である海軍にとっては、 それは許容できるものではない。』本編13話より抜粋 284 :4:2012/08/27(月) 09 34 48 2/4 米国の強引な中国進出 『米国の強引な中国進出は、日本国内でアメリカに対する警戒感を喚起することになった。 「このままではメキシコや中国の二の舞になる!」 現政府のやり方に不満を抱く人間達はそういって民衆を煽り立てた。 夢幻会は世論操作を目論んだが、あまりに米国のやり方が露骨なために、 さすがにフォローすることができず軍拡機運が高まっていく。 日本政府としては必要以上の軍拡は財政破綻を引き起こしかねないので躊躇したが、 民意を完全に無視することもできなかった。 何しろ日本はあくまでも民主主義国家であるのだ。そしてその民意は海軍の増強を、 特に国家の象徴である戦艦の建造を求めるようになる。』本編13話より抜粋 大蔵省次官室 辻正信:独逸が戦艦に心血を注いでいる間に企業買収で技術やプラント奪取。 ハインケルンやフォン・ブラウン等の技術者確保。 アルゼンチンなど幾つかの中立国を経由して来日予定。 戦艦の新規建造を求める記事を読み深いため息をついた。 『「正面から米国と遣り合って勝てる訳がないだろうが……」』 『「国民の不安を利用して、野党は政権を取ること、 マスコミは部数を稼ぐことしか頭にない。全く、どいつもこいつも」 辻は髪を掻き毟りつつ、ぶつぶつと不満を漏らす。 普段の辻の姿を知る人間からすれば天変地異の前触れとしか思えない行動だった。 勿論、辻もそのことを自覚している。こんな行動をするのは、 彼が信頼している人間の前だけだ。』本編13話より抜粋 高橋是清:近衛内閣大蔵大臣。夢幻会協力者。辻~んと共に景気対策に辣腕を振るう。 『彼らの努力の結果、黒部ダムと関連の水力発電施設は無事に建設され電力不足は大幅に解消。 北海道、東北地方の開発も順調に進んだ。東北地方で娘を売りに出さざるを得ない貧農も大幅に減り、 多数の日本人が史実よりマシな生活を送れるようになっていた。』本編13話より抜粋 岸信介:名前だけ登場。夢幻会協力者。 ハインケルン:名前だけ登場。アルゼンチンなど幾つかの中立国を経由して来日予定。 フォン・ブラウン:名前だけ登場。アルゼンチンなど幾つかの中立国を経由して来日予定。 285 :4:2012/08/27(月) 09 35 18 3/4 冬戦争 『ソ連軍の攻勢が頓挫してから、冬戦争は小休憩に入っていた。 ソ連軍は総司令官をティモシェンコに交代。同時に各地から抽出可能な部隊を集めて フィンランド総攻撃の準備に取り掛かった。』本編13話より抜粋 スターリン:日本・在中米軍を警戒してシベリアの部隊動かせず極東からの兵力抽出は却下。 しかし航空戦力を増援として派遣。スペイン内戦で活躍したパイロット達を送る。 セミョーン・チモシェンコ:芬蘭侵攻作戦総司令官。 シベリアの精鋭部隊を芬蘭戦線に送るように直訴したが、却下される。 極東軍:シベリアの精鋭部隊。極東から日本・在中米軍警戒の為動かせず。 『ソ連弱体化工作を仕掛け、軍や政府機関の弱体化に勤めていた。 これによりソ連極東軍は麻薬、賄賂が横行するようになり骨抜きにされていった。 さらに日本は 亡命してきたロシア人女性や亡命者の娘をスパイに仕立てて ハニートラップまで仕掛け、極東軍の内情を粒さに把握している。』本編13話より抜粋 芬蘭軍最高司令部 杉山元:大将。遣欧軍司令官。レニングラード空爆をマンネルハイム元帥に提案。 空爆計画を練る傍らで、夢幻会の面々と協議を重ねる。 『「フィンランド・ソ連の停戦が成立しない場合、 フィンランドの敗北が決定的になった場合、義勇軍を早急に引き上げる」』本編13話より抜粋 南雲忠一:遣欧艦隊司令官。レニングラード空爆をマンネルハイム元帥に提案。 マンネルハイム:元帥。芬蘭軍総司令官。日本に頼りすぎることにも懸念を示す。 レニングラード空爆を最終的に許可。囮の戦闘機部隊に芬蘭戦闘機部隊も参加。 芬蘭軍最高司令部の軍人達:日本に頼りすぎることにも懸念を示す者もいた。 芬蘭の政治家達:日本からの予期せぬ大規模支援、そして自軍の大活躍に舞い上がっていた。 彼らはさらなる戦果の拡大を求めるようになっていた。 インスタントコーヒー:日本からの支援物資。マンネルハイム元帥も愛飲。 286 :4:2012/08/27(月) 09 35 48 4/4 夢幻会会合 『遣欧軍から日芬連合軍によってレニングラード空爆作戦を行うとの報告を受けて、 夢幻会はいよいよ事態は最終局面に移ったと判断した。 なぜか野菜とか肉とかが焼ける香りが漂う部屋で、 彼らは今後の方針を話し合った。』本編13話より抜粋 嶋田繁太郎:名前だけ登場。書類と格闘中。 伏見宮博恭王:会合出席。未来の食品の味が忘れられず思わずぼやく。 『「○金のタレが欲しいが、今はこれで我慢か」』本編13話より抜粋 辻正信:会合出席。畜産関係と医薬品の開発を推進。あと10年ほどで劇的に変わる。 三種の神器を通り越して一家に一台のPC普及が目標。 『「しかし美味しい牛肉の開発も急ぎたいですね。 ああ、それと養豚産業や養鶏産業の梃入れももっと必要ですね。 史実に比べれば十分な品質はありますが、まだまだですし」』本編13話より抜粋 杉山元:大将。遣欧軍司令官。名前だけ登場。 東条英機:会合出席。新しい調味料の開発を提案。 陸軍関係者:会合出席。 田中隆吉:情報局局長。会合出席。 蒋介石:名前だけ登場。張作霖暗殺事件の犯人を彼自身のコネ(主に裏社会)を使って調査。 犯人は中国共産党と突き止める。 張学良:名前だけ登場。張作霖の息子とは思えないボンクラでバランス感覚がない。 米軍を招き入れ満州でのバランスが大きく崩れる可能性が高くなる。 ソ連軍:新兵器開発が加速。独ソ戦を戦える状態に。今回の派兵目的の大半が達成。 『かくして日本の、そして世界の命運を 左右しかねない戦略が決定されていくのであった。』本編13話より抜粋
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/8359.html
偽りの陰陽提督(コードチーフ)フォーエバーラブ R 光/闇 7 クリーチャー:エンジェル・コマンド/デーモン・コマンド/アンノウン 6000 ■W・ブレイカー ■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚を表向きにする。その中にあるすべてのエンジェル・コマンド、デーモン・コマンドを自分の手札に加え、残りを好きな順序で山札の一番下に戻す。 ■相手のターン中にこのクリーチャーが手札から捨てられる時、墓地に置くかわりにバトルゾーンに出してもよい。 作者:神風弐千 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4744.html
前ページ次ページゼロな提督 話はヤンが銃撃された直後である宇宙暦800年6月1日午前2時55分、ビーム銃で左 大腿部の動脈を損傷し出血多量を起こした時まで遡る。 ヤンがローゼンリッターの斧から推理した通り、いきなり鏡に吸い込まれて消失しつつ あるヤンを引き戻そうとして失敗した人がいた。彼はヤンと共にヘッドが消失した斧の柄 を手に、呆然としていた。 彼はユリアン・ミンツ中尉。ヤンの被保護者であり、ヤンに憧れ軍人への道を歩んでい た18歳の若者。ローゼンリッター隊員ではないが、彼の身を案じ巡航艦『レダⅡ』号へ 乗り込んできていた。 現在『レダⅡ』号の周囲には同盟軍の戦艦が6隻存在していた。 ユリアンは目の前で起きた事態を理解しようと、必死で思考を巡らせていた。だが、い くら考えても理解出来なかった。ヤンに師事し、人並み以上に聡明な彼だったが、それで もつい先ほど生じた異常現象を理解出来なかった。 通路に倒れていたヤン・ウェンリーは、鏡に吸い込まれて消えた。手には切断された斧 の柄、ブラスターは提督と共に鏡の向こう、床には多量の出血が生んだ血溜まり。一体、 あの鏡は何だったのか?何の目的で提督を吸い込んだのか?ブラスターや斧のヘッドと共 に、どこへ消えたのか? いくら考えても、思い出せる全ての記憶を引き出しても答えが出なかった。 そもそも、提督は本当に死んでいたのか?よく考えたら、自分は呼吸も脈拍も確認して いない、という事実に思い至った。彼は、ヤンが流血の池の中、眠るように片膝を立てて 座り込んでいるのを見ただけだった。床の血も未だに暖かい。出血量は致死的だが、緊急 に輸血・気道確保・心臓マッサージ等の蘇生術を加えれば助かる段階だったのではなかっ たろうか? だとすると、鏡のようなものがヤン提督を吸い込んだのは・・・ 誘拐? そうだ、死体なんか運び去っても意味はない。ヤン提督は生きてこそ、その頭脳を発揮 してこそヤン提督なのだから。なら、これは本当に誘拐だ!それも見た事も聞いた事もな い方法で!! それは、希望と絶望を併せ持つ結論だった。ヤン・ウェンリーは死んではいない。だが 誘拐されてしまった。よりにもよって皇帝ラインハルトとの会見を前にした、この大事な 時に! この時、ユリアンの背後には5,6人の帝国軍の軍服を着た男達が近づいて来ていた。 彼等は、ある意味不運であったが、同情には値しないだろう。彼等がヤンの暗殺など目論 み実行しなければ、ヤンの誘拐犯という誤解を受ける事は無かった。それに、誘拐も暗殺 も恥ずべき重犯罪だ。 またミンツ中尉は、ローゼンリッター第13代連隊長ワルター・フォン・シェーンコッ プより白兵戦技術を学んでいた。加えて、彼の養父であり師であるヤンへ危害を加えた者 へ理性と打算をもって対応する事が出来るほどの生ぬるい怒りを、殺意を彼等に抱いては いなかった。 瞬く間に死体の山が出来上がった。口を割らせるため半死半生の状態で生かされた一人 を残して。 ほどなくして彼は、同じくヤンの救助に来ていた者達と合流した。そしてヤンが鏡に吸 い込まれて消えた事、襲撃者が帝国軍でなく地球教徒であったことなどを報告し合った。 激しい戦闘の末、可能な限り多くの襲撃者を生かしたまま捕らえた。何としてもヤンを取 り戻すために。 乗ってきた戦艦『ユリシーズ』はじめ6隻の戦艦内では激しい論議が巻き起こった。 彼等は今、早急に何をすべきか。この事実をどう捉えるべきか。イゼルローンは、帝国 は、旧同盟では、地球教は、エル・ファシル政府は・・・。 いやそもそもヤンは今、一体どこでどうしているのか? 捕らえた襲撃者に対して、合法非合法問わず、あらゆる手段で尋問が行われた。民主共 和制の為に戦う彼等だが、この時は人権思想の為には戦っていなかった。だが、見るべき 情報は得られなかった。 ユリアン達が出した結論は、常識的なものかもしれないし、現実逃避とも言えるものか もしれない。それは、この一件を「地球教によるヤン・ウェンリー誘拐」として全宇宙に 公表することだ。なにしろ6隻の戦艦がセンサーに捉えた記録から、人類の科学的知識か らかけ離れた「召喚ゲートの開閉」がデータとして残されてもいたのだから。これを無視 し、全てを地球教の仕業とした。もっとも、彼等としては他に思考の選択肢も希望の種も 無かったのだが。 そしてこの事実は銀河帝国・旧同盟領・旧フェザーン領・エル・ファシル政府、果ては ヤン暗殺を謀った地球教にいたるまで震撼させた。 地球教にしてみれば、とんでもない言いがかりだ。だが帝国軍に追われ地下に潜伏する 彼等に弁明の機会は与えられない。そしてそれ以外の人々にとっては、まさに恐怖の象徴 たりうる事件だった。 地球教がヤンを麻薬で洗脳し、その知謀を狂信的テロリズムに最大限活用する。 それは、悪夢としか言いようのない未来像。 イゼルローンからの情報に、皇帝ラインハルトは激昂した。その怒りは熾烈を極めた。 報告者は美貌の主席秘書官ヒルデガルド・フォン・マーリンドルフ伯爵令嬢。聡明さと強 固な意志を併せ持つがゆえに主席秘書官の地位を与えられている彼女ですら、皇帝の怒り を前に心胆を寒からしめた。 この年の4月には爆弾テロによりローエングラム王朝初代工部尚書ブルーノ・フォン・ シルヴァーベルヒを失っていた。犯人は未だ不明ながら、地球教徒という見方が強い。そ して今回は明らかに地球教による、自らが武力により打ち倒す事に固執した宿敵、ヤンの 誘拐。 おのれ地球教め。予の命のみならず、予の部下、宿敵までも奪おうというのか。予から 全てを奪い、唾棄すべき策謀とテロにより銀河の覇権を巡る戦いを穢そうというのか。な らば、お前達がそんなに神と共に在りたいというのなら、お望み通り神と共にあの世で暮 らすがいい! 皇帝は周囲の目も憚らず怒声をまき散らし、身を焦がす怒りが大気を揺るがさんばかり だった。 ラインハルトは即座に遠くフェザーンにある軍務尚書パウル・フォン・オーベルシュタ インへ通信回線を開き、冷徹なる義眼へ二つの命令を下した。地球教徒を最後の一人に至 まで狩り尽くせ、そしてヤン・ウェンリーを奪還せよ、と。 感情より効率・能率を優先させるマキャヴェリズムを体現した男は、皇帝の逆巻く憤怒 にも眉一つ動かすことなく命令を受諾した。同時に怒りで我を忘れかけていた皇帝を淡々 と諫め、ヤン・ウェンリー誘拐事件の捜査について進言した。 オーベルシュタインは確かにヤンを探す気はあったろう。ただ、生死を問う気があった かどうか、については幕僚達は一様に「もし生きて発見したら、改めて謀殺する気だ」と 見ていた。 嫌われ者の奴には地球教徒狩りがお似合いだ、我らはとにかく件のペテン師を探そう。 この戦いをこんな形で終わらせるなど、自分たちに苦杯を飲ませ続けたヤンを狂信者の誘 拐で失うなど、しかもその頭脳をテロに利用するなど、絶対に認めない。こうして皇帝の 部下達もヤンの身柄奪還に乗り出した。それも、あの義眼より早くヤンの身柄を確保すべ し、と。 そしてイゼルローン側にしても、銀河帝国の協力が必要だった。なにしろ地球は銀河帝 国領内、実行犯の地球教徒は帝国軍内部で暗躍している。誘拐手段が亞空間転移では、ヤ ンの身柄が既にイゼルローン回廊から遙か彼方の地へ運び去られた可能性が高い。 かくて両陣営暗黙の了解のもと、事実上の一時休戦と両首班の会見延期、そして合同捜 査態勢が成立した。 なお、政治上も幾つかの変化が生じた。 ヤン一党が身を寄せるエル・ファシル独立政府が脱落、政府を解散し帝国に降伏した。 もともと政府とはいっても誕生して間もない烏合の衆であり、ヤン・ウェンリーの軍事的 才幹と名声に頼っていた便乗派にすぎない。政府をまとめ上げていたロムスキー医師も『レ ダⅡ』号で殺害された。ヤンの生死は不明ながら、指導的立場にある二名を失い、もはや 組織の体裁を保てなくなるほどに動揺してしまったのだ。 ヤンの部下達はフレデリカ・グリーンヒル・ヤンを指導者としてイゼルローン要塞に共 和政府を樹立、ユリアン・ミンツ中尉が中尉のままで司令官となって「イゼルローン革命 軍」を組織し直した。ただ、当人達はヤンが発見されるまでの暫定的地位であることを明 言していた。 彼等は自分たちの英雄が生存する事を信じ、脱落者を出すことなくヤンの捜索へ注力し た。宿敵であった銀河帝国軍に対しても、最初は疑念と不信をもって、しばらくして立場 を超えた個人的信頼関係をもって捜査に協力した。 かくして犯行現場である『レダⅡ』号とイゼルローン要塞には、同盟軍のみならず帝国 軍からも多くの人間達が訪れた。現場検証と地球教徒への尋問のため、若き勇将ナイトハ ルト・ミュラー上級大将が憲兵達を引き連れてやってきた。6隻の戦艦が捕らえた亞空間 ゲート開閉のデータもコピーを受け取り、これを未だに怒りが収まらぬ皇帝の元へと送っ た。 事件への見解と捜査方針は、両勢力とも一致していた。ヤンは出血多量であり生存可能 性は低いが、ゼロではない。速やかに適切な医療処置を施せば助かりうる状況だった。だ が誘拐実行犯が地球教徒である可能性は限りなく低い。彼等は明らかに暗殺に来ていたの だから。 なにより、戦艦のデータ・ユリアンの目撃証言・消失した斧のヘッドという証拠品から 読み取れるのは、未知の技術による小型ワームホール。イゼルローン回廊という本来ワー プ出来ない宙域内で形成された、艦内の人間一人だけをピンポイントに転移させる、常識 はずれの技術。 ここに来て、捜査方針は大きく転換した。地球教の洗い出しから、未知の亞空間転移技 術調査へ。このような特殊極まりない技術なら、それを研究・開発する人間は極めて限ら れる。ならばそこから使用者たる実行犯とヤンの足取りも追える、と。 なお、この時点で銀河帝国軍内部での地球教徒狩りも凄惨を極めていた。フェザーン側 のオーベルシュタインとイゼルローン側のラインハルト陣頭指揮による捜査は情け容赦が なく、証拠の有無すら問わず地球教徒を追い立てた。そして地球教徒は逮捕を逃れ得ぬと 悟るや、次々に自決自爆し、追跡者たる優秀な軍人・警官達を死への旅路に巻き込んでい た。 ヤン暗殺犯が使用した駆逐艦のうち一隻、逃亡の途にあった地球教徒達も6月上旬に発 見。帝国軍に補足され、停船命令を無視し砲撃。強行接舷されそうになるや、近寄った帝 国軍艦ごと自爆した。 捜査方針が転換したからといって地球教徒狩りの手が弱まる気配もなかった。信者洗脳 に利用していた麻薬と、その販売ルートも摘発される。幾つものマフィアが壊滅させられ た。 しばらくの後、帝国本土へ送られた亞空間転移データについて検証が勧められた結果、 極めて奇怪な事実が判明した。まず判明した事実の出所からして奇怪だった。科学技術総 監部の記録から過去の論文や研究者が洗い出されるかと思いきや、全く検索にヒットしな かった。かわりに、廃棄寸前の古ぼけた記録装置に同様の現象がデータとして残されてい たのだ。 それは帝国首都ヴァルハラ星系惑星オーディンの演習場。30年程前、地上に突然ワー ムホールが発生、装甲輸送車が一輌巻き込まれて失踪したのだ。装甲車と共に失踪した乗 員の中には、グレゴール艦隊第12工兵隊所属ヨハネス・シュトラウス准尉の名も含まれ ていた。 次に見つかったのはクロイツ艦隊所属空母『シュヴァルツシルト』のデータ内。といっ ても当該空母は50年程前に戦闘で大破、その後廃棄されている。廃棄前に、記録された データは軍のデータバンクへ移された。そのデータの中に、オイゲン・サヴァリッシュ中 尉の乗るワルキューレが突然発生したワームホールに吸い込まれて失踪したデータが残さ れていたのだ。 その後も帝国旧同盟問わず、同様のデータが軍のデータバンク各所から大量に発見され 続けた。ただ、大半は謎の爆発事故として記録されていた。それらは奇妙な爆発だった。 なにしろ、進行方向に対して前方の爆発が存在しない、後ろの半球だけしか確認されない 爆発なのだから。 これらに対しては一応の調査がなされていた。共通するのは「自然発生したワームホー ルに突入してしまった。前方はホールの向こう側に飲み込まれ、この宇宙から消失。ホー ルに突入しなかった後方部分は、ホールの出口側で何かに接触した前方部分に、慣性の法 則に従い『衝突』して圧潰爆発した。この時、前方へ向かうはずの爆発部分もワームホー ルに飲み込まれて消えた。残った爆発の後方部分だけが半球の形状で確認された」という 見解だ。 だが、この現象が奇妙なのは爆発の形状ではなかった。それは、人類が亞空間跳躍航法 を手にして宇宙進出を果たした千年前、宇宙歴2700年頃から定期的に確認されていると いう事だった。 最も奇妙なのは、千年に渡って発生頻度が一定している、という事実だ。人類の活動範 囲が半径百光年でも数年に一度。半径千光年に拡大しても数年に一度。現在の版図まで広 がっても数年に一度。どう考えても、この現象は人類の活動範囲拡大に発生域を同調させ ている。 では、人類が亞空間跳躍航法を手にして宇宙進出を果たす前はどうだったのか?この現 象がデータとして記録されたのは、亞空間跳躍技術を手にしたたためワームホールを観測 出来たからだ。なら、もしかして、観測手段が存在しない時代から、人類が地球という一 惑星のみで暮らしていた時代から、数年に一度は必ず起きていたのではないか? そして、これらのデータに共通する、あまりにも人為的すぎる要素も明らかとなった。 失踪するのは装甲輸送車や単座式戦闘艇、小型武装商船、ミサイル、爆弾等兵器類ばかり だったのだ。当然、兵器類は軍が主に管理している。故にこれら『小型兵器類だけを狙っ たワームホール』に関するデータは軍のデータバンクに大半が集中していた。 これらのデータはこれまで、各々が個別の事故として処理されていた。どの時代でも、 自然発生したワームホールに巻き込まれたものとして、それ以上の調査がなされる事はな かったのだ。 しかしヤンの失踪事件から、これら全てが明るみになった。単なるワームホールへの接 触事故などではなく、何か正体不明の存在が起こす事件であると認められた。それも、人 類に千年以上も取り憑き続け、人の血肉を喰らい兵器を奪わんとする異次元の化け物によ るものだ、と。 この推理について、正直なところ、帝国では半信半疑というところだった。調査結果を 伝えられたイゼルローンでも、子供向けTVじゃあるまいし…という、半ば呆れたような 感想が各所から漏れてきた。それに、ヤンは兵器ではない。魔術的知謀を持っているが、 知略を兵器と言うには無理がありすぎる。 それでも帝国内では、過去のデータの洗い出し・地球教徒狩り・ヤンの捜索が続けられ た。イゼルローンでも犯行現場たる回廊の調査捜索が、鬼気迫る執念をもって行われてい た。 ヤンが失踪して一ヶ月ほど経ったある日、事態は大きく進展した。 イゼルローン回廊内で調査を続けていた戦艦ユリシーズが、再び同様の現象を捉えたの だ。今回はスパルタニアン一機がワームホールに巻き込まれ、爆発した。半球形に飛び散 る光と破片を残して。 ここに至って、イゼルローンも帝国も重大な事実に気がついた。 今、帝国軍は戦力をイゼルローン回廊に集中させたままだ。反帝国勢力であるヤン艦隊 の戦力もイゼルローン要塞に集結。なら、兵器類を狙うワームホールもイゼルローン要塞 周辺で発生する可能性が高い、ということだ。 しかも、これまで数年に一度しか確認されなかった現象が、僅か一ヶ月で再び現れた。 これまでは本当に数年に一度しか発生しなかったのが、今は月一回のペースで発生してい るのか。単にセンサーで捉える事ができたのが数年に一度なだけで、実際は更に高頻度で 生じていたのか。 ともかく、今後イゼルローン周辺で三度目の発生を早期に確認出来る可能性が高い…。 帝国軍とイゼルローンは共同作戦を立てた。 故意に、大量の小型兵器類を浮遊させる。ワープ・エンジンを搭載した艦船周囲を、極 めてゆっくりと。そして本来は搭載する艦船に向けられるワープ・エンジンを、艦の外へ 向けるよう改造する。何かをワープさせるためではなく、発生した亞空間ゲートを固定さ せるために。 この罠をはるため、両陣営から大量の艦船が動員された。廃棄寸前のワルキューレから 新品の荷電粒子ビームライフル、ローゼンリッター隊員のキスを受けたトマホークにいた るまで。あらゆる『兵器』と呼べるものが各艦の周囲を、まるで水中を漂うクラゲのよう にゆっくりと放たれた。 そして、数千隻の艦艇は全センサーを稼働させて待ち続けた。謎の亞空間ゲートが今一 度開き、ゆっくりと漂う兵器を鏡面にゆっくりと吸い込もうとする、その瞬間を。そして ワープ・エンジンを改造していない艦船は全機能を停止させ、将兵達は息を潜めて獲物が 罠にかかる事を祈り続けた。 なお、この頃シャフトが牢獄からイゼルローン回廊へ移送され、ゲートの謎を解く事と 引き替えに恩赦を受ける事が皇帝から告げられた。 そして、その時は来た。 敬愛する上官を取り戻すべく不眠不休でセンサーにかじりついていたイゼルローン艦隊 のオペレーターは、とうとうその執念を実らせた。乗り込んでいた駆逐艦周囲を漂うハン ド・キャノンを取り込もうとしていた亞空間ゲートを捉えたのだ。即座にワープ・エンジ ンを出力全開で稼働させ、真空の空間に開いた不自然極まりない時空の穴を、不自然なま ま固定させた。 ハンド・キャノンを取り込み終えたゲートは、その口を閉じようと、駆逐艦の生み出す 不可視のエネルギーに抵抗した。だが、それは既に無駄な抵抗でしかなかった。駆逐艦か らの情報は即座にイゼルローン回廊に存在する全艦艇へ伝えられたのだ。駆逐艦周囲にい た全ての艦が即座にゲート周囲へ殺到し、次々とワープ・エンジンをゲートへ向けて稼働 させた。 偉大なる神、始祖ブリミルの強大なる魔力『虚無』が生み出した召喚ゲート。 それはかつて古代地球において、十字架上へ釘ではりつけられた聖なる人物のごとく、 宇宙空間へワープ・エンジンをもってはりつけられた。 帝国軍本営でもイゼルローンでも歓喜の叫びが響き渡った。そして早速ゲートの調査が 両陣営合同で開始された。 両勢力の物資量・人的資源の差から調査の主導権は自然と銀河帝国側がとることになっ た。だがイゼルローン側は彼我の力の差を承知していたし、皇帝はイゼルローン側の人員 を軽んじたり疎んじたりしなかったので、不満は訴えなかった。 皇帝ラインハルトが、ユリアンが、ミュラーが、ヒルデガルドが、ポプランが、すっか り痩せこけたシャフトが。 事実を知った全ての人が、首を捻った。 鏡のようなゲートが一体何なのか、全く分からなかった。 目の前にあるのに、全艦艇の全センサーが実在を示しているのに、実在のものとは信じ られなかった。 見た目はキラキラ輝く楕円形の鏡。人間一人がくぐれる程度の大きさ。 イゼルローン回廊内という、ワープ不可能な程に時空としては歪んだ宙域内にあって、 見事に安定した平面の形で『空間の穴』を維持している。この時点で観測者全てが自分の 目と常識を疑った。 ありえない。どう考えても有り得ない。科学的に存在するはずがない。 表面を乱反射する光を分析したところ、ゲート向こう側から届く光が混じっている事が 判明した。 ならばと乱反射する光を取り除き、ゲート向こう側の映像を確認した。それはどこかの 惑星上。草一本生えない、だだっぴろい荒野だ。そして荒野の10km程彼方、何か土手の ような地形上に人間らしき姿を複数確認出来た。望遠拡大すると、確かに人間だ。総じて 見目麗しい、不自然に耳の長い人種。彼等はゲートを指さして何事かを相談しているよう だった。 人類の歴史上、存在しなかったはずの人種。人類以外の知性体をついに発見したのか、 それとも独自進化を遂げた新種の人類か。管制室も、この宙域に集結した全ての人も興奮 に沸き立った。 人智を超えたゲートは後回しにして、彼等とコンタクトを取ることにした。が、迂闊に ゲートへ侵入するわけにはいかない。まずは通話から、と考えた。 FTL(超光速通信)を試した。あらゆる言語、モールス信号にしてまで送った。 …無反応。 電波通信も試した。 …応答無し。 強力な光源を使い、光を彼等へ送ってみた。向こう側が夜になるのを待って、映像や文 字を雲に投影したりもしてみた。 …逃げていった。気付いてくれない。向こう側の地域は乾燥地帯らしく、雲は少なく小 さいので映像が目立たない。 立体映像を投影してみようとした。 …上手く投影出来ない。ゲートの向こう側も光を乱反射しているらしく、また、ゲート そのものの僅かな揺らめきが干渉してしまう。 一体彼等は何を話しているのかと、映像に映る人々の唇の動きから会話内容を読み取ろ うともしてみた。 …暗号解読班からの回答は期待に沿うものではなかった。「古代地球において使用され た言語に共通点が見られるが、データ不足で解読不能」というものだった。 だが「古代地球」という単語に観測者達はひっかかった。 映像に映る人々の服装は、まさに古代地球の服装だ。砂漠を渡るキャラバンが着ていた 服装に似ている。また、彼等は全く機械類を所持していない。このようなオーバーテクノ ロジーによるとしか思えない亞空間ゲートを生成する人々にも関わらず。 向こう側から届く映像を分析したところ、大気組成は地球と同じ。重力も1G。自転・ 公転速度は少々の差がある。衛星は二つある。 どうして向こう側の大気は宇宙空間に吸い出されないのだろう、と調べてみたら、なん んと物質は一方通行だった。エネルギーは双方向なのに、物質は向こう側に行くばかりで 帰って来れない。「ふざけてる!」と誰かが叫んだが、それは全ての人々の心からの感想 だった。 この頃になって、イゼルローン共和政府の面々がしびれを切らした。 我らの当初の目的を忘れるな。我々はヤン・ウェンリー捜索のために集結したのだ。謎 のワームホール、人類が宇宙進出を果たして以来の悲願である異種知性体とのファースト コンタクト、確かにそれらは極めて重要だ。だがまずは人類に平和をもたらすのが先だ。 その第一段階として、ヤンとラインハルトの会見が必要なのだ。ヤンが向こう側にいるか どうか、急ぎ確認すべし。 この進言にラインハルトと幕僚達も同意。無人探査機を送り込む事とした。 …破壊された。 ゲートを通過させたとたん、『何か』が無人探査機を叩き潰した。 破壊された映像をよく調べるが、やはり首を捻るばかりだ。なにしろ、大地が触手のよ うに伸び上がり、無人探査機を押し潰して地中深くに飲み込んだ、としか見えない映像な のだから。 もしかしてゲートの向こうは、惑星上に見えるが、何かの生物の口の中なのか?巨大な 珪素生物か何かで、人類の兵器を食糧として取り込んでいる??そんなバカな!…と叫び たいが、もはや目の前の事を事実として受け入れるほか無い事を、いい加減、彼等は思い 知っていた。 次はマニピュレーターを遠隔操作して、ファイバースコープをゲートに入れてみた。 …やっぱり盛り上がった土の塊に潰された。 思いっきり頑丈に強化したスコープを突っ込んでみた。 …大量の岩と土が降り注ぎ、へし折られた。 爆弾で大地の触手を吹き飛ばしてから小型探査機を送り込む事にした。 …次々とわき上がる岩の指が、爆弾で破壊し尽くされる前に探査機を握りつぶした。 土の触手を破壊し尽くしてから探査機を送る事にした。 …いくら破壊されても触手は怯む様子も何もない。機械的にゲートから侵入してくるも のを淡々と破壊して地中に飲み込んでいく。 鏡に飲み込まれたヤンも、こうやって叩き潰されて地の底へ?いや、今まで千年の遭難 者達も、全員が!? 全ては、あの耳が長い連中の仕業なのか!?? 観測者達、特にイゼルローンから来ている人々の胸中には冷たくざらついた感覚がわき 上がっていた。彼等の不安は怒りへと変換された。怒りは耳の長い人々へ、そして目の前 にある理不尽極まりないゲートに対してぶつけられた。 さすがに向こう側は大気圏内であるため、熱核兵器等の戦術級兵器は使用しなかった。 だがそれ以外の、ゲートを通過出来るサイズのあらゆる爆弾・機銃掃射・質量兵器を触手 破壊手段に使用した。『無人探査機を送り込むための隙を作る』という目的が、半ば忘れ られるほどに。 この頃シャフトが、ある可能性を提示した。 ゲートを捕獲するワープ・エンジンを増やし、それら全てを完全同期させる。かつてガ イエスブルク要塞をイゼルローン回廊にワープさせた手段を応用して、ゲートを拡大する というものだ。土の触手が届かないほど巨大化したゲートから、観測機や無人偵察機を送 り込む、と。 ガイエスブルク要塞ワープに使用したのは、専用のワープ・エンジン1ダースによる通 常距離のワープ。今回は急遽改造した艦船のワープエンジン1000以上による別ブレーン へのゲート維持と拡大。技術上の困難は大きいし、そのような巨大な時空の穴を開けた際 の影響についてはデータが乏しい。間に合わせの改造ワープ・エンジンで耐えうるか?そ もそもゲート自体が謎の塊だ。 それでも、軍人達はシャフトの案を採用した。 かくして、急造かつ建設途中である『アインシュタイン・ローゼンの橋』監視観測司令 所に、帝国とイゼルローンの首班と高級士官達が集まった。 ゲートを包囲し捕獲する多くの艦船がシャフトの指揮命令に従い、ワープ・エンジンを 同調させた。強引にゲートを、時空の穴を大きくこじ開ける。もし拡大しすぎた時空の穴 が制御不能な状態となり、際限なく拡大し始めたら…。そんな不安を胸に、人々は窓やモ ニターから推移を見守った。 結果は、見事成功。 多くの艦船がワープ・エンジンを焼き付かせ、持ち場を他の艦船に任せてイゼルローン へ修理に向かったりもした。オペレーターや技術者達の胃にも穴が開きそうになった。指 揮を執ったシャフトは、さらに痩せたかのように見えた。その甲斐あって、ゲートは直径 300mまで拡大した。 多くの観測機を破壊した土の触手は、予想通りゲートの下方にしか触手が届いてない。 ラインハルトは今までのお返しとばかりに、大量の大気圏内用偵察機や無人探査機の射出 を命じた。 ところが、今度は大量の巨大竜巻と雨の如く降り注ぐ雷が襲いかかってきた。送り込ま れる探査機を次々と破壊し、地面へ叩き付け、地中に飲み込んでいく。 これを見たラインハルトは『あの気象兵器を貫ける観測機を送り込め!』と、命を下し た。技術者達は「ゲートの向こう側は惑星なのだから、衛星軌道上から観測すればいいの ではないか?いくらなんでも、惑星の重力圏を離脱すれば気象兵器の攻撃は受けないだろ う」と考えた。 昔懐かしい多段式衛星打ち上げ用ロケットが倉庫から引っ張りだされ、大急ぎで抗電磁 処理とロケットのパワーアップ、そして本体の強化が加えられた。 かくして、四つの観測衛星は打ち上げられた。 衛星からの写真で、かの惑星が地球と瓜二つだと確認された。つまりゲートの向こう側 が別宇宙、パラレル・ワールドの地球だと判明したのだ。暫定的に、第二地球と命名され た。 観測したブラスターのエネルギーから、トリステイン王国中央広場の映像を捉えた。 ブラスターを持つ少女の隣に立つヤンの姿も確認された。 そして、現在に至るわけである。 「フロイライン。あなたならどうする?」 ラインハルトは、横に控える主席秘書官へ問いかけた。 少年のように髪を短くした女性は、珍しく少々の興奮を交えた口調で答えた。 「まずは、ヤン提督と連絡を取りましょう。再度あのゲートを拡大させ、外装とエンジン を強化した降下艇を無人で射出するのです。衛星からのナビゲーションで問題なく届けら れるはずです」 「有人である必要は?あの男は現地で何らかの紛争に巻き込まれている。無人機ではイゼ ルローンの将兵が黙っていまい」 「時期尚早です。二重遭難の危険を冒すべきではありません。それが例え死を覚悟した志 願者であってもです。 機体には通信機に加え十分な量の食料と武器弾薬に医薬品、コンピューターにはこれま での帝国とイゼルローンでの経過、そして陛下からのメッセージを載せておければよいで しょう」 「ふむ、そうだな…」 主席秘書官の意見は常識的なものだ。だが、それを聞いている皇帝は、不満げに考え込 んでいた。ただ彼女には、皇帝が不満を抱いている理由は政治的なものでも軍事的なもの でもなく、もっと子供っぽい理由のように思えていた。そう、例えるなら。玩具売り場を 前にしてオモチャをねだる子供のような。 「…陛下」 皇帝の瞳が、深い信頼を置く女性を顧みた。 「もしかして、ご自分が行きたいのですか?」 その言葉に、若き皇帝は少なからず動揺した。その姿に秘書は溜め息をついたりせず、 むしろ微笑んだ。 ファンタジー世界など子供の頃に読み聞かされるお伽話、異世界冒険譚など視聴率を手 軽に稼ぎたい立体TVのシチュエーションに過ぎない…ラインハルト自身そう考えていた し、分別ある大人なら同じように考えるものだ。だが本当に異世界を目の前にした時、誰 しも夢に描いた超常現象や超能力や魔法が実在する世界を発見した時、何を感じるだろう か? 人跡未踏の地が広がる。未知の技術が転がっている。子供の頃に憧れた幻獣達がいる。 人類が永きにわたり探し求めた、エイリアン達までいる。知的好奇心を、征服欲を、冒険 心を刺激されない人がいるだろうか? ましてや、皇帝ラインハルトは既に銀河の大半を手にしている。新たなる情熱の対象を 求めるのは至極当然だ。 加えてフロイライン・マリーンドルフは、戦いを好む皇帝の資質に少なからず懸念を有 していた。ヤンとの会見がなり、宇宙に平和が訪れた時、皇帝の心は何によって満たされ るのか、と。 すぐ心の平静を取り戻したラインハルトは、少し笑って秘書官に語りかけた。 「まったく、あなたの前にあっては、予が皇帝の地位にある事が疑わしい」 そう言って、視線をコンソールへ向けた。ピアニストのように美しくボタンを弾き、必 要なデータを指揮卓のスクリーンへ表示させていく。 そして、オペレーターの一人へ通信を開いた。 「次のゲート拡大まで、どれほどの時間がかかるか」 質問されたオペレーターの女性は即座に計算結果と予定表を皇帝のモニターへと送っ た。 「現在、オーバーヒートを起こした艦を順次交代させています。また、前回のデータをも とに新たなプログラムを作成しましたので、このダウンロードと各艦の再調整も必要とな ります。 次回同調まで48時間が必要となります」 「よし、カウントダウンを開始せよ。新たな観測衛星と、強襲降下艇も手配せよ」 皇帝の命に従い、司令所の二次元スクリーンには次回作戦までのカウントダウンが表示 された。刻々と減少していく時間に追われるかのように、オペレーター達の声も大きくせ わしないものになっていく。 「ミッターマイヤー艦隊、高速戦艦千隻がワープ・エンジン改造を終了しました。現在、 予備艦艇としてゲート入り口へ向かっています」 「ゲート出口付近に待機する人数が増加しています。言語解析のため、暗号解読班への人 員拡充を要請します」 「メックリンガー上級大将より緊急通信。第二地球への学術的調査と異種文明特別保護宙 域化について急ぎ皇帝陛下へ上奏したき議あり、との内容です。陛下のコンソールへ送り ます」 「ビッテンフェルト上級大将より入電。『我、第二地球調査隊に志願する。彼の地に銀河 帝国の旗を打ち立てる大役と栄誉、他の者に譲る意思無し』…帰れないって言ってるのに なぁ、この人…ゴホゴホ!しっ失礼しました」 「アッテンボロー中将より報告、エル・ファシルより徴用したサーバーが届きました。第 2,第5,第12技術班は急ぎ接続作業に入って下さい」 「イゼルローン要塞より報告です。ヤン婦人が情報工学技術者37名と共に戦艦ユリシー ズにて観測所へ向けて航行中との事です」 「同盟…失礼、新領土総督、ロイエンタール元帥からの追加報告です。過去三百年に渡る 新領土でのゲート衝突事故、全データの解析作業終了。地球教徒狩りは継続中、今少し猶 予を頂ければ、ご命令通り最後の一人まで刈り尽くして見せましょう…。ハイネセンより の報告、以上です」 「観測所に接近中の同盟軍輸送艦隊へ。衝突の危険あるためその場で停船して下さい。 グルック工部尚書、イゼルローンよりのタングステン鋼追加分が届きました…はい、は い、承知致しました。順次、第四ポートへの接舷を指示します」 「第五居住管区へお伝えします。当該区域は気密作業終了しました。二時間後よりエア・ ボンベを開放します。現時刻より火気厳禁、注意して下さい」 オペレーター達は続々と飛び込んでくる情報の処理と各部署への指示に没頭していた。 観測所の外でも次のゲート拡大へ向けて、帝国とイゼルローンの艦隊が些かぎこちなくと も衝突事故など起こさず艦船の交代と艦列の配置を進めている。 皇帝は司令席に腰を降ろし、一通り報告に目を通した後、次のゲート拡大についてユリ アン達と意見交換をすべくマイクのボタンに手をかけようとした。 この時、指揮卓上の映像に目を、そしてその映像に関するオペレーターからの報告に耳 を向けた。一瞬指の動きが止まった。 「ヤン提督が移動を開始しました。その…えと、竜、らしき生物の背に多数の人間と共に 乗り込み、城…とおぼしき建造物へ向かっています」 即座にラインハルトは指揮卓上の映像を拡大した。 そこには、確かに竜の背に乗るヤンがいた。 燕尾服を着た彼は、背にデルフリンガーを担ぎ、ヴァリエール家の人々やシエスタやロ ングビルなど、何人もの男女と共にシルフィードでトリステイン城へ向かっていた。 第25話 その頃、舞台裏では END 前ページ次ページゼロな提督
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1328.html
233 :4:2012/08/20(月) 23 27 55 本編時系列 提督たちの憂鬱 第11話 1/6 『ミュンヘン会談の後、欧州情勢は一旦は平穏になったと思われていた。 しかしその影では戦争に向けて各勢力が着々と準備を進めていた。 ドイツとソ連はそれぞれポーランドの侵攻を図り、 英仏はドイツとソ連を噛み合わせることを狙っていた。 当初、日本はこの平穏な時に欧州派兵の下準備を行い、 大戦勃発と同時にドイツを潰すつもりだったのだが…… その目論見は潰え、準備していた軍備は他の用途に当てることになった。』本編11話より抜粋 南雲忠一:遣欧艦隊司令官に就任予定。今回の出兵や「龍驤」派遣にやや懐疑的。 『「そこは判ってる。この派兵が重要であることは。 だがね、日本を敵視するドイツや、不信を抱いている英仏の勢力圏のど真ん中を突っ切るのだ。 あまりにリスクが大きすぎる。唯でさえ、この艦は機密の塊なのだ」』 『「……期待しすぎだよ。全く。真珠湾奇襲を任された時の 南雲忠一の気分を味わっているような気がするよ」』本編11話より抜粋 福留繁:参謀長。南雲さんのフォロー役。 『「だからこそ、艦隊運用に定評がある 南雲さんが選ばれたんじゃないですか」』本編11話より抜粋 辻正信:名前だけ登場。 『辻は海軍予算を押さえ込む悪の帝王(海軍官僚視点)であったが、 非常時で、かつ海軍の味方となったときには非常に有難い存在であった。』本編11話より抜粋 龍驤型航空工作艦:「龍驤」開発者辺境人氏。和製工作空母ユニコーン。 第三次海軍補充計画により建造。新開発のトランジスタコンピュータを搭載。 船の価値は史実の工作艦明石に匹敵する。遣欧艦隊の中核として派遣予定。 ttp //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9191/1178968418/443 満州:ソ連は英米を刺激したくない為、手出しができず、 共産ゲリラは出没するが一応平穏が保たれていた。 234 :4:2012/08/20(月) 23 28 30 2/6 夢幻会会合 嶋田繁太郎:会合出席。今回の出兵や「龍驤」派遣にやや懐疑的。 『夢幻会の席で発表されたフィンランド軍の合法的な強化プランを 聞いた嶋田は思わず頭を抱えた。』 『「………日本人陰謀論が蔓延りそうなことを」』 『嶋田は多少不満は残るものの、次の投資で補充できる上に、 支援を行うことで北欧諸国の国民感情を親日寄りにし、 かつスウェーデンなど高い技術を持つ国と交流が堂々と出来るといわれては これ以上言いようが無かった。』本編11話より抜粋 辻正信:会合出席。出兵を推進。 冬戦争前にマスメディアへの工作は進め航路の安全確保を図る。 『「向こうに輸出する機材は基本的に中古品です。使い捨てに出来る機材ですよ。 日本国内で使い古したものですし、次の設備投資で廃棄されるものが多いんです。 地球に優しい再利用、エコです」』本編11話より抜粋 近衛文麿:会合出席。積極的に打って出て、イニシアティブを握るべきと主張。 第二次世界大戦:暗号解読や現地での諜報活動の結果、 ポーランド侵攻時期については大して変化しないと判断。 独逸:重慶周辺の独逸権益を盾に遣欧艦隊の通過を認めさせる。 『国民党との関係を維持していたが、その連絡線は非常に心細いものであった。 何しろ長江、黄河の入り口は日米に押さえられた。 シベリア鉄道を使い、陸路を使って重慶にまで行くのも至難の技。 彼らは中国大陸での権益喪失という危機に晒されていた。』本編11話より抜粋 長江、黄河:入り口は日米が確保。 遣欧艦隊:フィンランドへの派遣準備中。 龍驤型航空工作艦:「龍驤」開発者辺境人氏。遣欧艦隊所属。 新開発のトランジスタコンピュータ搭載 。 鳳翔型軽空母:「鳳翔」遣欧艦隊所属。 妙高型重巡洋艦:「妙高」「足柄」遣欧艦隊所属。 最上型軽巡洋艦:「最上」遣欧艦隊所属。 半自動装填装置搭載。15.5cm3連装砲塔。 駆逐艦:6隻。遣欧艦隊所属。 金剛型巡洋戦艦:派遣を検討するも却下される。 『「戦艦を送れませんか? 金剛型は退役しますし、使い潰せるのでは?」 「戦艦を送るのはインパクトが大きすぎます。 下手にソ連やドイツを刺激し過ぎれば制御不能の事態を招きかねません」 この時代、戦艦という艦は核兵器に相当する戦略兵器であり、伝家の宝刀であった。 無闇に行使するものではない。』本編11話より抜粋 235 :4:2012/08/20(月) 23 29 04 3/6 1939年9月1日 ポーランド侵攻 『史実と乖離することなく、ドイツ軍はポーランドへ侵攻を開始。 ここに第二次世界大戦は勃発した。』本編11話より抜粋 夢幻会会合 嶋田繁太郎:会合出席。遣欧艦隊第二陣の準備を開始。 予算確保に東条と言い合いになる。 『「ソ連を牽制するのに予算は要りますよ。 あと陸軍も戦車師団や航空隊の整備は譲れません」 「ちょっと、東条さん、幾ら何でも両方は拙いでしょう。 まずは制空権確保のための航空隊で、次に戦車でしょう」 「何を言うんです、嶋田さん。我々はいずれは欧州にも行くんですよ。 両方必要になるじゃないですか」 「海軍だって巡洋艦以下の艦船の更新、順調じゃないんですよ。 あまり分捕られては困ります!」』本編11話より抜粋 伏見宮博恭王:会合出席。 東条英機:会合出席。独逸と組むと冗談を呟く。 予算確保に嶋田と言い合いになる。 『「いっそのこと、ドイツと組めばよかったか?」 冗談半分に東条が呟いた言葉を聞いた辻は、思わず目を剥いた。 「その手の冗談はこの場だけにして置いてくださいよ。 ただでさえ反英感情が低くは無いんですから」』本編11話より抜粋 辻正信:会合出席。火事場泥棒で美術品を手に入れられたことを喜ぶ。 『「取り合えず、ポーランドで失われる予定の芸術品などの幾つかは 事前に運び出せたから良しということで」』本編11話より抜粋 田中隆吉:中央情報局局長に就任。夢幻会協力者。 堀悌吉:中将。海軍情報部長。夢幻会協力者。 『情報戦の最前線にいた堀は、この場で一番、欧州情勢に精通していた。』本編11話より抜粋 英国:『遣欧軍の派遣を断られたことは、政府内部で英国に対する不信と反感を煽っていた。 そして第二次世界大戦が起こると「それ見たことか」、 とか「英国のために軍を派遣する必要など無い」といった意見が出る始末であった。 しかし連合入りを目指す夢幻会はそういった意見の封じ込めを図っていた。』本編11話より抜粋 冬戦争:必要な予算を確保。 中央情報局:偽装工作や他国の原爆開発妨害の経費に追加予算を編成。 原子爆弾開発計画:通称G計画。 会計をごまかして資金を収集。ウランは戦争前に色んなルートで買い集めた。 第五次海軍補充計画:祥鳳型軽空母、翔鶴型正規空母、各種護衛艦艇の調達。 陸軍第二次三カ年計画:ソ連牽制用の予算、戦車師団や航空隊の調達。 不本意ながら非常時の為辻~んが3計画全面承認。 236 :4:2012/08/20(月) 23 29 35 4/6 ポーランド侵攻後 『ポーランドが蹂躙されたあと、世界は再び静寂に包まれた。 連合軍盟主のイギリスは独ソの分断と対立を煽るのと並行して戦備を整える準備に忙しく、 その同盟国フランスは絶対の自信を持つマジノ線に引篭もった。 片やドイツは西方攻勢の準備を押し進めていた。 こうして双方共に手を出さない奇妙な戦争が起こることになった。 そんな中、日本はスターリンによって引き起こされるであろう冬戦争への準備に突っ走っていた。 冬戦争勃発に備えて、フィンランドに人員と物資を送る準備を進めていたのだ。 「フィンランドに、行きたいか~~!?」 「「「お~~!!!」」 フィンランドへの派遣が内々に告知された 夢幻会関係者はそういって気炎を挙げた。』本編11話より抜粋 陸海軍:制空権維持を重視しており、航空機とその補給用物資の調達を至上命題とした。 軍上層部はこの問題の解決に外務省、情報省に協力を要請。 『「燃料は海軍に運んでもらうにしてもいつかは不足する。 いざとなればバルト海を突破してもらう必要がある」 「現地での備蓄に加えて、補給船団の第二陣を予め用意しておく必要がありますね。 高速タンカーを手配しないと」 「それと運び込む航空機の金星エンジンはスウェーデンから調達、と」 「現地企業の生産は間に合うのか?」 「そのための龍驤ですよ。ドイツも中国利権を盾にされれば、 小艦隊程度の通過についてはあまり文句はつけないでしょう。 英国も我が国が共産主義の盾となることには異議を唱えない」 担当者同士でさくさくと話を進めていく。 そこには縦割り行政という文字はなかった。』本編11話より抜粋 237 :4:2012/08/20(月) 23 30 05 5/6 海援隊:旅行など様々な口実でフィンランドに事前に送り込んだ。 冬季戦技教育団:陸軍所属。将兵を旅行など様々な口実でフィンランドに事前に送り込んだ。 フィンランド支援:工作機械、飛行場・陣地整備に必要な重機の運搬も密かに開始。 車両や航空機、真空管の対空レーダー、無線機、燃料なども運び込まれる予定。 金星エンジン:スウェーデンから調達。 誉エンジン:早期に開発可能。 九四式軽雪上車:軍用部分をオミットしたスノーモービルを芬蘭に輸出。現地で軍事装備再装着。 九一式中間練習機:搭乗員、整備員の確保に活躍。 四式戦闘機「疾風」:和製FJ4。早期に戦力化を目指す。 遊撃教本:萌え漫画で構成される。MMJが暗躍。 説明書:ミニスカサンタの美少女が色々と銃器の取り扱いを説明している漫画風の取り扱い説明書。 MMJが(ry 『「フィンランドに送る遊撃教本なんですが……何故にこんなに漫画、それも萌えを使っているんです?」 「文句ならMMJに言ってくれ。連中がごり押しして、さらに軍内部でオタクを広げやがったんだ。 おかげで影ではエロ同人誌が参謀本部内で回覧されているとの噂だってある。 フィンランドに送る連中がオタク文化を広めないか心配だよ」 「心配しすぎですよ。それに、文化交流には丁度いいのでは? 漫画だとムーミンあたりが受けそうですが」 「……他人事のように言わないでくれ。ちなみにエロ同人誌の作者の一人はそっちの元帥閣下だぞ?」』本編11話より抜粋 238 :4:2012/08/20(月) 23 30 39 6/6 夢幻会会合 嶋田繁太郎:会合出席。 杉山元:会合出席。大将。遣欧軍司令官。 辻政信:名前だけ登場。自動車普及を推進。遊撃教本や説明書についてMMJが暗躍。 某海軍元帥:名前だけ登場。エロ同人誌作者の一人。 宮崎繁三郎:名前だけ登場。遣欧軍前線指揮官。非転生者。 ソビエト連邦 スターリン:日本を牽制の為極東軍の戦力増強と並行して、フィンランドと開戦することを決断。 しかしその動きでさえ、日本の予想通りであった。 中国大陸・華中の一角 数名の男達:漢民族中心思想主義者。華中の一角で密談を繰り広げていた。 蒋介石:名前だけ登場。重慶に引篭もり持久戦の構えを見せる。 張作霖:名前だけ登場。『足元で巣食う共産党や匪賊の掃討に力を入れていた。』本編11話より抜粋 米・張連合軍:制圧した地域の維持で忙しく、早急な進撃は望まなくなっていた。 中国大陸の戦争は、半ば小康状態になっていた。
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/18811.html
Cip(キャン・トゥ・リップ) 一日提督 ネス R 水文明 (8) クリーチャー:リキッド・ピープル閃/グラビア・アイドル 5000 ■相手の呪文の効果またはクリーチャーの能力によって、このクリーチャーが自分の手札から捨てられる時、墓地に置くかわりにバトルゾーンに出してもよい。 ■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中からアイドルをすべて手札に加え、残りを好きな順序で自分の山札の一番下に戻す。こうして1枚も手札に加える事ができなかった時、カードを1枚引いてもよい。 作者:minmin フレーバーテキスト キャン・トゥ・リップはどんな仕事も断らない。それが誰かの夢であり幸せだと理解しているからだ。 評価 テキスト修正。 -- minmin (2016-11-30 22 51 57) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/magamorg/pages/7188.html
天門提督ライト・マ・ドール ベリーレア 光/自然 7 6000 ガーディアン ■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。 ■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚を表向きにする。その中から光または自然の呪文をすべて手札に加え、残りを好きな順番で山札の一番下に置く。 ■相手のターン中に、このカードが自分の手札から墓地に捨てられる時、かわりにバトルゾーンに出してもよい。 ■W・ブレイカー (F)希望が絶たれたかと思った時、空から秘術を率いて舞い降りる。 作者:まじまん 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/667.html
650 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/04/08(水) 22 30 54 ID OUg1/lco 流れブッタですいません ※非エロ ゆーちゃんとデートするだけ 「ドイツ海軍所属、潜水艦U-511です。ユーとお呼びください」 鎮守府にU-511がやってきた。 それから数日後。 「どうだユー。もう日本には慣れた?」 「ドーモ。テイトク=サン」 「アイエエエエ!?」 信じて送り出したU-511が間違ったニポンゴを教え込まれるなんて…。 「……誰に習った?」 「勿論、センダイ=サンに」 「oh…案の定」 ALAS!U-511の日本理解は川内再び改善によって研修済みなのだ!サツバツ! そんなこんなで誤解を解く必要が生まれたある日のこと。 「えっ、じゃあアドミラルはニンジャではないの!?」 「まあ、中にはいるかもしれないけど俺の知る限りはいないよ」 「そうですか……」 なぜかしゅんとなるU-511。 「日本は思っていたより不思議な国です」 「そう……か?」 一応前よりは喋れるようになっているので川内もちゃんと教えてはいたようだが、時々謎の日本観が顔を覗かせる。 一体何を吹き込まれたのか、というより何をイメージしていたのか。 そんな事を考えている提督に、U-511がふとラジオを指しながら尋ねた。 「アドミラル。このラジオが言っているハナミ…って何ですか?」 ラジオのニュースは花見客でごった返す観光地からの中継が流れている。 「ああ、花見か。日本ではね、毎年桜が咲くとその桜の下で宴会をするんだ」 「桜が咲くのはそんなに珍しい事なの?」 「そういう訳じゃないんだがね。大昔は純粋に桜を愛でるものだったらしいけど、今じゃ『花より団子』なんて言って宴会の口実みたいになっているんだよ」 説明してみて、ふと提督は実物を見た方が早いような気がしてきた。 鎮守府の裏にも桜があった筈だ。 「折角だ。実物の桜を見に行こうか」 「うん。Danke!」 鎮守府の裏手は小高い丘になっており、頂上からは鎮守府と桜が一望できる。 「転びやすいから足元に気を付けてな」 提督に手を引かれ、U-511が後に続く。 舗装こそされてはいないものの人が歩けるような道があり5分も歩けばすぐ頂上とはいえ、山歩きに不慣れなU-511にはちょっとした冒険である。 いくつか段差をよじ登った時、不意に木の根に足を引っかけた。 「あっ!!」 「おっと」 先行する提督に抱きつくように倒れ、彼の両腕に抱きかかえられる。 「怪我は無いか?」 「びっくりした。Danke。アドミラル」 少し恥ずかしそうにそう言うと提督から離れたU-511だったが、二人の手は繋がれていた。 「もう少しだ。慣れないならこのまま行こうか」 「あの…、うん。Danke。アリガトウ……合ってる?」 にっこりと笑って頷く提督に、U-511の口元もほころんだ。 「アドミラルの手……大きい」 手を繋いだまま、また山道を歩き出す。 「さあ、着いたぞ」 それから少しして、提督が目前の景色を指して言った。 目の前には山頂の桜並木と、そこから一望できる海と鎮守府。 「おぉ……」 息をのんだまま固まっているU-511。 薄紅色の吹雪の中でそれに圧倒されていた。 「桜で嬉しくなるのも分かるだろう?」 「うん。桜、すごくきれい」 ひらりと舞った花弁が一枚、U-511の頭に舞い降りたが、彼女はそれに気付く様子もない。 「……でも、少し悲しい」 「悲しい?」 「桜散ってる。せっかくきれいに咲いたのに」 そう言って少し遠い目をする彼女に提督は何か言葉を掛けようとして、ふと思い出した。 船の頃の彼女が呂500として日本にいた時にも桜は咲いていたはずだ。 そして桜が散り終わる頃、ゼーロウ高地を突破したソ連軍はテルトウ運河に到達、ベルリン市街へと突入した。 また、それより少し前の4月15日、日本側からドイツに対し、残存するUボートを回航するよう打診したが、結局は実現しなかった。 1945年の桜が散るのとほぼ同期して、第三帝国―彼女の故郷は終わりに向かっていったのだ。 これらの逸話を彼女が知っていたかは定かではないが、もし知っていたとすれば、 桜が散るという事は彼女にとって特別な意味を持つのかもしれない。 迂闊な事は言えない。散るからこそ美しいというのは桜を愛でる上でもはや定型文ではあるが、 その言葉を彼女にぶつけるのは提督にもなんとなく躊躇われた。 「……俺より日本人だな。ユーは」 暫しの沈黙の後、提督が口を開いた。 「えっ?」 「桜が散るのを悲しいと捉えるのは『もののあわれ』という日本人独特のセンスだ」 「アドミラルは悲しくないの?」 不思議そうに振り返るU-511に提督は続ける。 「そりゃあ物悲しくも思うが、けどな、桜は何も儚く散るだけじゃない。 花はすぐに散ってしまうが、その後だれも見向きもしなくなってから葉が生い茂って実を結ぶ。儚く見えてその実しぶとくて強かな木だ」 そう言って近くの若木をぽんと触る。 「俺はそんなしぶとい桜が好きだ。……まあ、そんな愛で方をする奴は少ないだろうけどな」 再びしばし沈黙。 今度沈黙を破ったのはU-511だった。 「アリガトウ。アド…提督。ユーもしぶとい桜……好きです」 そう言ってにっこり笑ったU-511の頭に花弁がもう一枚、ひらりと舞い降りた。 「ヘイ!テートク!」 「金剛?来ていたのか」 桜の影からティーセットを持った金剛が顔を出した。 「折角の桜だからネ、たまにはお花見しながらティータイムデース!さあ、ユーも一緒に飲むネー!」 「ああどうも、恐縮です」 (また妙な所で日本人っぽくなってるな…) 金剛からティーカップを受け取った所で、不意にU-511の動きが止まる。 「ん……くちゅ!」 「オーウ!ユーは風邪ですカ?」 「花粉症か。ますます日本人になってきたな」 桜の舞う中、ささやかな花見が始まった。 U-511がさつき1号と名を変えるのは、これから数日後のことである。 終 653 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/04/08(水) 22 39 58 ID OUg1/lco 以上スレ汚し失礼しました ゆーちゃん→さつき1号→ろーちゃんで徐々に日本に順応していくとかそんな妄想 本当はろーちゃんの時報で提督が飲んでる第三のビールっぽい何かが実はイン尿プレーでというのを考えたけど俺には無理だった 654 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/04/08(水) 22 43 08 ID Fnv2iBsw 乙 ゆーちゃん可愛いけど、後書きで台無しだよw 655 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/04/09(木) 01 08 45 ID ctJavvoM 乙です しかしさすがにそれは人を選ぶ。後書きの没ネタ 656 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/04/09(木) 06 53 06 ID MbpCWLJE GJ! これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/