約 19,731 件
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/683.html
182 :名無しの紳士提督:2015/06/18(木) 01 37 44 ID Gq/85leA あの加古が射程圏内に入ってくる、どころか ストライクゾーンど真ん中に来るとは誰が予想したというのか 以下提督×加古で駄文、シチュ捏造キャラ捏造です。 「ああ…いきたくねーなぁ……」 後部座席の車窓に流れる黄昏の街を憂鬱そうに眺めながら、隣りに座った艦娘は何度目か分からない大袈裟な溜息をついた。 その溜息は流れるように大あくびに変わり、普段の彼女ならば絶対に100%無縁であろう香水の香りがもたらしていた優雅なアンニュイ感が、一瞬で霧散する。 「寝るなよ。加古」 有り得ないとは思うが、隣席に座る私は念のため冷たい声で釘を刺した。 「これはお前の『懲罰』なんだからな」 「…分ぁかってるよ。提督」 お偉方含め、多くの関係者を集めての艦娘観艦式。 つい数日前に改二への成長を遂げ、ひどく大人びた彼女の雄姿は、多くの人の注目を集めるところ…であったのだが。 「右向け、のところで間違って左向いちゃっただけじゃん?古鷹の説明が分かりにくくて眠くなってさぁ」 「お前が寝てて指示説明も予行もまともにやっていなかったのを、古鷹のせいにする気か」 う、と眉を顰めて口をヘの字にする加古。 「…こんなことは言いたかないけどさ。あたしがいつも眠いのには、ちょっとだけ深い理由…」 「知ってる。着いたぞ」 何か言いかけた加古を無視し、運転手に礼を言って正面玄関前に横付けした車から先に降り、反対側に回って降りるのを手伝ってやる。 「それにしたって、観艦式後のレセプションによりによってあたしを連れて来るなんて……いくらなんでも酷すぎるよ」 高めのヒールに、夜の帳の降りた海をあしらった濃紺のドレス。 背後に同じ色のしなやかな一房を垂らし、片目にさらりとかかるベースの形は変えないままに、照る月を思わせる銀の髪飾り。 純白の手袋を嵌めた両腕の上、露出した健康的な両肩に至る上腕を飾るのは、偽装代わりの薄青色のリボン。 慣れないメイクに落ち着かなさそうな彼女の姿を改めて正面で見て、薄笑いを浮かべるのを抑えきれなかった。 女性としての振る舞いが期待され注目もされる社交の場所は、彼女にとってとんだ苦痛に相違無いだろう。 もっとも私自身もあまり得意な方ではないが、このちょっとした悪戯のおかげて多少は楽しめそうな気がしている。 「夜のパーティじゃ眠くなるに決まってるじゃんか………ふあぁ」 ……だが何を着せてどこに連れてきても、こいつのペースは変わらないような気も同時にしてきていた。 「おお。これは美しいお嬢さんをお連れだ」 「部下ですよ。昼にお見苦しい姿をお見せしたので、夜は多少なりとも皆さんの目を愉しませようと」 「ど、ども…」 背広姿の恰幅の良い高官が、ドレス姿の加古を褒める。 料理にも好きな酒にも少ししか手を出せず、カチンコチンに固まっている加古を見ると笑いを堪えるのも一苦労だった。 高過ぎない天井を飾る豪華なシャンデリアに、高級な絨毯。 仄かな黄灯りに照らされた立食形式のテーブルには色とりどりの酒、料理、スイーツ。会話を邪魔しない程度の奏楽。 思っていたよりもずいぶんと広い会場には、知人も見知らぬ人もずいぶんと集まっていた。当然、全員が深海棲艦の脅威と日々戦う軍関係者である。 「あそこにいる軽そうなオッサンが横須賀鎮守府の提督。金剛型を四人も侍らせてマフィアのボスみたいだが、実績は特級だ」 「へー…」 「和服の香取を連れてきているあの女性は舞鶴の提督。ふたりとも流石に洗練された振舞い、大人の女性という感じだな。良くこの場にお似合いだ」 「……」 思わず自分の格好を見下ろし、いじわる、と小声て言った彼女を無視して見つけた知人に声を掛ける。 「これはどうも。お久しぶりです」 「おぉ、誰かと思えば呉鎮守府の。立派になりやがったなこの野郎」 「こちらは部下の加古。私が世話になった先輩格、佐世保の提督だよ。……長門も、久しぶり」 かつて部下だったこともある、黒のドレスを優美に着こなした長門と加古は同時に頭を下げた。 ヒグマに背広を来たような佐世保提督とは、しかし長身同士でもありミスマッチの妙である。 「重巡の加古か?話に聞いてたより美人だな。昼は遠くて良く分からなかったが」 「えぇ。うちではトップクラスの美人になりましたよ」 えっ、と加古がこちらを見る。 あどけない少女と、色香のある大人の女性の、ちょうど中間点に来た彼女の独特の表情が――不意に、自分の本音の部分に直撃しそうになる。 「はっはっは。コイツが人を褒めるとは、よほど気に入られてるんだな。加古ちゃんは」 「あ、え、いえそんな、じゃないそのような…‥」 まあ仲良くしてやってくれよ、本当は人様に簡単に胸襟を開く奴じゃないんだからな――彼はそう言って豪快に笑った。 佐世保の提督と旧交を温め別れた後、加古が袖を引いてきた。頬を僅かに赤く染めているのはこの場の気恥ずかしさからか、はたまた酔いによるものか。 「提督、美人て」 「世辞だ世辞。真に受けるな。…あ、これはどうも」 極力冷たい声で、加古と眼も合わせずに次の知人と社交辞令を交わす。 「良い目をした艦娘さんですね」 「ええ。私の一番のお気に入りです」 再び驚いた表情でこちらを見る加古。 「こう見えて根は真面目そのもの、戦場での気合いと仲間を思う気持ちも、誰にも劣らず強い」 「ほう…」 「本当に、良い艦娘ですよ。人としても、艦としても。私の指揮能力には勿体ない位の逸材でした」 酒のせいか。状況のせいか。それとも―― 予想以上であったそれを、至近距離で楽しむという至上の贅沢に箍を緩まされたのか。 まあいい。今日は言ってしまおう。全部。 正直これ以上、懸想を溜め込んでいたくはない。 「それにしても、改二で大きく変わるものですね」 「ええ。見た目も麗しくなりましたが、中身も一線級の武勇艦に相応しい成長を遂げました」 驚きながら赤らめた顔で、絹手袋の片手を素肌の胸元に当てて。 動悸が抑えきれない表情で軽く震える加古の姿が、――愛しすぎて。 「オンとオフの切替上手で。私は気を抜くのが苦手で、いつもその切替を見習わねばと思っています」 「なるほど」 「古鷹、青葉、卯月、天龍――軽巡から駆逐艦まで友人も多く、鎮守府の重要なキーパーソンであり」 「て、提督…」 加古が何か言いたげな顔で割り込んで来たが、私は最後まで言い切ると決めたのだ。 「…なにより、人付き合いの苦手な私が今の鎮守府に馴染めたのは、明るくて飾らない彼女の性格のおかげなんです。それにどれほど救われたか……だからこそ」 加古に――愛してしまった艦娘に、視線を送る。 「私が結婚(仮)をする相手を選ぶ日が来たら、彼女しか居ないだろうな、と」 「――!」 我ながら不自然かと思った爆弾発言に、加古は口を半開きで丁寧なアイラインに飾られた純粋な瞳を見開いていた。 「おぉ、それはそれは。結婚式(仮)には忘れず呼んで下さいよ」 「えぇ。彼女が私の指輪を受け取ってくれるなら、ですけれど」 酒の席の冗談と取ってくれたのかどうか。震える思いで半笑いの知人と別れた後、もはや過呼吸に陥りそうな加古に平静を装って声を掛ける。 「さて。今日はもういいだろう。部屋まで送ってやるから」 ぐっすり休め、と彼女が最も望むであろう言葉を掛けてやった――つもりが、真っ赤になって俯いたままのその表情にあまり変化は見られなかった。 ◆ このあとむちゃくちゃ夜戦した。 + 後書き お目汚し失礼しました 続きは後日に これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/415.html
243 :223:2014/06/01(日) 23 37 27 ID MpmLk9d2 んじゃ投下します ケッコン編、提督視点と曙視点 ←前に書いたの R18編 ←続き書いたやつ で計三編ですが実質二編です、長い上にメンドクサイ構成ですみません 244 :提督×曙 side提督:2014/06/01(日) 23 39 34 ID MpmLk9d2 「曙」 「なに。わざわざ名指しで呼び出すなんて、ずいぶんと偉くなったものね。このクソ提督」 ある日の鎮守府。ここで艦娘たちを指揮して謎の敵「深海棲艦」を倒す「提督」となって、はや半年近くが経つ。 小柄な体で仁王立ちした駆逐艦娘が目の前にいる。今日は(今日も、かも知れない)少々ご機嫌斜めの様子だ。 割と長い付き合いとなるこの小さな艦娘―曙を呼び出したのは、一世一代の大勝負を仕掛けるためだ。 初対面でいきなりクソ提督呼ばわりされた時は面食らったが、その痛々しさが見ていられなくて、俺は彼女を大切にすることに決めた。 「大切にする」とは言っても、最初は駆逐艦娘特有の外見の幼さも手伝って どちらかと言うと庇護欲というか、父性をくすぐられたところが大きかった。 しかし、彼女と接しているうちにそれは間違いだったことがわかった。 艦娘は人間とは違い、外見が幼いからといって精神も幼いとは限らないのだ。 曙は、小さくとも駆逐艦としての矜恃を秘めた、そしておそらくそれを『以前』に何らかの形で傷つけられた、複雑な内面を持つ艦娘だった。 それに気づいた俺は彼女への認識を改め、同時に惹かれ、別の感情を膨らませることになった。 黙々と書類仕事を片付けながら、書類に目を落としたまま話題を切りだす。 「…お前、強くなったよな」 「そうね。誰かさんのシゴキのお陰でね」 彼女は元々うちの鎮守府内でも相当高い練度だったのだが、ここ最近、連日のように西方海域での敵潜掃討任務に投入されていた。 勿論、出撃命令を出したのは俺だから、正しくは「投入していた」だが。 「その話を切り出してくるってことは、そろそろ最近の不可解な出撃の訳を話してくれるってことでいいのかしら」 「ん、まあそんなところだ。お前の練度は現状、俺の施してやれるほぼ最高のレベルに達している」 「ふーん…で?もうこれ以上能力は上がらないから第一艦隊から外すって?」 「んー…ま、そうするのもいいかも知れんがな」 「…」 しまった、つい売り言葉に買い言葉を返してしまった。俺の悪い癖だ。 しかし、曙も曙だ。そんな辛そうな顔をするなら最初からそんな悪態吐くなよ、コッチまで傷つくだろ。 …ま、そういうところもこいつの可愛らしい点の一つなのだが。 ごほん、と咳払いをして嫌な感じの空気を追い払う。 「本題に入るぞ。上が艦娘の能力を更に引き出す、新しい技術を開発したそうだ」 「新技術?」 「ああ、そうだ。今のお前の限界を超える力が手に入る。正確には、従来の限界を超えて鍛錬の効果が出る、ということだそうだ」 「これ」の噂は一部の艦娘にも届いていたようだが、根が真面目な曙は意に介していなかったらしい。 まあ、それも計算に入れての、この呼び出しだが。 そして、「これ」が噂されていた時から、既に俺は心に決めていた。 「他にも燃費が少々良くなるらしい。あと、ささやかな加護が得られるそうだ」 「ふうん…加護ってのがよくわからないけど、燃費が良くなるなら大型艦向きじゃない?」 今では彼女も俺をそれなりに尊重してくれるようになった…と思う。うん、多分。 表面上の態度は相変わらずだが、言葉や仕草の端々にそんなニュアンスがある、気がする。希望的解釈だが。 「で、それをお前に施そうと思う」 「あんたあたしの話聞いてた?元々消費の軽い駆逐艦の燃費を上げてどーすんのよ。 それに、たかが駆逐艦の能力をこれ以上上げたって大した戦力増強にならないわ」 「付け加えると、これを受けられるのはひとつの鎮守府につき一人の艦娘だけ、ということだ」 「はあ?じゃあますますあたしに施す意味が薄いじゃない。 武蔵さんや長門さん、加賀さんたちのためにとっておくべきでしょうが」 「まあ、理屈で言えばそうなるな」 「だったら…!」 「それでも俺は、お前に施したい」 「何でそうなる…施し『たい』?」 「ああ。この件に限っては、艦娘側に受けない自由がある。命令じゃない」 曙が怪訝な顔をする。そう…「これ」は命令じゃない。 もし、先程述べたようなことがただの俺の勘違いだったら?俺がただ一人芝居で浮かれていただけだったら? 多分、今までも沢山の先人たちが恐れたであろう、そして不幸にも的中することも多々あったであろう嫌な仮定が次々と脳裏をよぎる。 その恐怖をなるたけ表に出さないよう、淡々と説明を続ける。 「これが、…その、装置だ」 意を決して、黒い小箱を取り出す。 「ふうん?ずいぶんと小さいのねえ。本当にそんな効果がある…の…」 何気なく小箱を開いた曙が絶句し、固まる。 彼女が言語機能を取り戻すまで、たっぷり数十秒はかかった。 「こ…れは、また、タチの悪い、冗談ね…」 「まさか。正真正銘、上から降りてきた新技術…その恩恵を受けるための装置、いや、証と言った方が正しいかな。 練度が最高レベルに達した艦娘にしか、効果が無いそうだ。…お前の、ここ最近の出撃の、理由だ」 「…」 「言い忘れていたが、その技術の名前は、"ケッコンカッコカリ"…と、言うそうだ」 「…!」 理解が及んだ曙の顔がみるみる赤くなる。多分、今俺の顔も同じようになっているだろう。 「いや、な?カッコカリと付いてる通りあくまでこれは艦娘強化策の一つであってだな、 これを開発した連中が脳内お花畑の馬鹿野郎だってのは間違いない、 まあ中にはマジで挙式する提督もいるらしいがいやそんなことは今関係ない…」 「…そ、それじゃ、ささやかな加護って…」 「…たぶん、愛の力、とか?」 「…」 いかんいかん、何アホなことを口走ってるのだ俺は。うう、呆れたような目線が痛い。 「ごほん、あー、さっきも言ったが、艦娘側に受けない自由があるというのは…まあ、そういう、ことだ」 「…」 うん、多分大体伝わっただろう。再び沈黙が執務室を支配する。 その沈黙は、曙のつぶやきで破られた。 「…あたしなんか、可愛げもない、ただの駆逐艦なのに…、どうして告白なんかしちゃってるのよ…」 「あー、まあ何だ…惚れちゃったもんだから仕方ないな」 「惚れっ…!? よ、よくそんな、恥ずかしいこと言えるわね!顔、真っ赤っ赤じゃない!」 「うるせえ、お互い様だ。そりゃクソ恥ずかしいが、言わなきゃイカン時ってのはあるんだよ。曙…俺とケッコン、してくれ」 「……!」 「曙には、これからも秘書艦をやって欲しい。…ずっと、俺の…傍で、だ」 「…」 不意打ち気味開き直り気味のプロポーズに、曙、二度目の絶句。だけでなく、真っ赤な顔を俯かせてしまった。あー可愛い。 しかし自分で言っておいて何だが、一連のセリフがクサすぎて死にそうだ。もうちょっと気の利いた…いや、こういうのは直球が大事… また双方黙ってしまった。今度はこちらから声をかけてみる。 「あー… 曙、さん?」 「…して、あたし…」 「え?」 「どうして、あたしなのよ…! あたしみたいな一駆逐艦じゃなくたって、もっと綺麗で強い、戦艦や空母の方々にだって、 アンタをすっ…好きだって…言ってる人もいるのよ…!」 「あー、金剛なんか特にな。光栄なことだよ…でも俺は、お前がいいんだ」 「…っ …あたしは…っ 提督に、いつも…いことばかり、言って…っ」 「もう慣れたよ」 「ド、ドMなのっ!?」 「ははっ、そうかもしれんな…で」 「え…」 「どう、なんだ。受けてくれる…か?」 「…」 「…」 「あたし…は、提督のこと、は…好きとかっ、そんなんじゃなくて…」 「うん」 一生懸命言葉を紡ぎだす曙を、じっと待つ。 「どっちか…って、言えば、…その、かっ、感謝とか、尊敬とか、信頼とか、そういうので」 「…うん」 感謝だって!尊敬だって!あの曙が! 俺はこの時点で奇声を発しながら走り出したい気分だったが、ダメだ、まだ堪えるんだ。 今の本題はケッコンの方だ。尊敬と恋愛はまた別物だ。 「でもっ…提督が…そう言ってくれる、なら」 「うん」 「まあ、応えて…ても…かなって… きゃっ!?」 俯いてどんどん小声になる返事を続ける曙の可愛さに堪えられず、思い切り抱きしめる。 「やった!曙、俺はお前を幸せにするぞ!んで、俺もなるぞ!」 「ち、ちょっと!いきなり何サカッてんのよこのクソ提督!」 「うるせえ!これがはしゃがずにいられるか!コラ暴れるな大人しくしろ!」 「それが好きな女の子に言うセリフ!?ちょっと苦しいってば一旦離れむぅっ…!?」 唇を塞いでやると途端に静かになった。そのまま頭を撫でてやると強張った体からも力が抜けていく。 息の続く限り柔らかい唇の感触を楽しみ、ようやく開放する。 「ぷは…っ …ちゃんと、セキニンは、取りなさいよ」 「勿論だ。ずっと大切にするよ、曙」 「ふん、今までだって、…してもらってたけどね。これからは、あたしも返してあげるわ」 「しおらしい曙も可愛いぞ」 「うるさい。一言多いのよ、アンタは」 「…曙」 「なに」 「…これからも、よろしくな」 「こちらこそ、よろしくね。…提督」 ****************************************************************************** この後、複数艦と「ケッコン」する方法があることをひた隠しにしていたことがバレ、 大層不機嫌になった曙をなだめるのに苦労することになるのは、また別の話。いや、しませんよ? これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/15153.html
築城提督サイバー・A・キテクト R 水文明 7 クリーチャー:サイバー・コマンド 5000 ■相手の呪文の効果または相手のクリーチャーの能力によって、このクリーチャーが自分の手札から捨てられる時、墓地に置くかわりに自分のバトルゾーンに置いてもよい。 ■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中から、城をすべて自分の手札に加え、残りを好きな順序で自分の山札の一番下に置く。 ■自分のターンの終わりに、手札から城を1枚、コストを支払わずに自分のシールド1枚に要塞化してよい。 作者:宇和島 フレーバーテキスト これこそ私の得意とする奥義、サイバー築城だッ!---築城提督サイバー・A・キテクト 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1278.html
181 :4:2012/08/01(水) 01 57 36 本編時系列 提督たちの憂鬱 第8話 1/5 1936年 『政治家達の失態による民主政治の権威失墜と 軍部の膨張という悪夢を何とか防ぎ、経済成長に乗った日本。 このままいけばいずれは欧米列強に真の意味で並び立てると、 日本政府首脳が思い始めた頃、世界は激動の最中にあった。 経済的苦境に喘いでいたドイツやイタリアではファシズムが台頭。 そしてスペインでは共産主義勢力が台頭しつつあった。』本編8話より抜粋 スペイン内戦:内戦は近い。 小規模の義勇軍でも、派遣が難しく積極的介入は不可能と判断。 旅順:旅順を初めとした大陸の港の能力向上。 ジープ・ハーフトラック:開発生産中。 九二式軽戦車:輸出は順調。 九七式中戦車:和製T34。 高コストであり使用する為のインフラ整備に辻~んでも骨が折れた。 『史実の九七式中戦車でさえ、日中戦争が無ければ採用されなかった。 国力が大幅に強化されたとは言え、 T34並の戦車の開発は高い買い物であることには間違いない。 まして『今』は『平時』なのだ。高性能戦車の開発を押し通すのは辻でも骨が折れた。 さらに戦車のみあっても意味が無い。 それを運用するためにインフラ整備は必要だった。』本編8話より抜粋 第三次海軍補充計画:金剛型、5500t軽巡の代艦の建造。 嶋田繁太郎:辻~んに追い討ちをかける。 第三次海軍補充計画、新型戦闘機開発の予算交渉中。 真崎甚三郎:欧州派兵に備え、辻~んと予算交渉中。 『「九二式の輸出はうまく言っているんだろう? 何で陸軍がこんなにケチケチしないといけないんだ?」』本編8話より抜粋 永田鉄山:真崎に援護射撃を行う。 『「我々は兵士達の命を預かっているんだ。彼らを欧州の、 異国の地で死なせるのなら、出来る限りのことはしておきたい」』本編8話より抜粋 辻正信:笑顔でドス黒いオーラを出す。 ボヤきながらも最終的には軍事予算の大幅な増額に同意することになる。 『辻は軍事予算の膨張による財政破綻を回避するため、 健全な経済成長を実現するために、必死に軍事予算を抑制していた。 軍部も辻の真意を知るが故にこれに協力してきたが、 第二次世界大戦への準備を行うには不足していることは否めなかった。』 『(準備不足のツケを兵士の命で払うわけにもいかない。 それにドイツの技術力は侮れない……準備は万全を期す必要があるか)』 『企業の買収によって、ドイツの技術の底力を知った辻はドイツの力を軽視できなかった。 さすがの彼も、自身が予算をケチった結果、多くの人間が欧州やアフリカの大地で 無為に死ぬことは避けたかったのかもしれない。』本編8話より抜粋 トランジスタ開発:それを利用した電子製品。 『開発には莫大な金が掛かっている。 何せ高純度のシリコン精製だけでも骨が折れた。 ましてそれを量産する体制を整えたのだ。 辻としては軍需のみに使うのはあまりに勿体無い…… それが本音だった。』本編8話より抜粋 182 :4:2012/08/01(水) 01 58 45 2/5 独逸 『反ユダヤ感情にあわせて反日感情が高まりを見せていた。 第一次世界大戦で他の列強と共にドイツから多くの富を強奪し、 世界恐慌やインフレでは暴利を貪り、さらにドイツ企業を多数買収。 おまけに一部の驕り高ぶった日本人が白人女を買いあさるとなれば、 反感を抱かれても仕方が無いだろう。』本編8話より抜粋 ヒトラー:中国事情と日本資本の動きにイラつき機嫌が悪い。 総合戦略研究所の調査を指示。 『「忌々しい黄色人種どもめ」 「我が国からあれだけ毟り取っておいて、まだ足りないというのか。 中国人といい、全く黄色い猿はユダヤ人よりも性質が悪い」』本編8話より抜粋 ゲッベルス:国民党の近況を報告。 ゼークト中将:独逸軍事顧問団揮。 独逸軍事顧問団:ゼークト中将指揮。国民党に派遣。 様々な支援で辛うじて戦線は維持されている。 国民党:現在、危機に瀕していた。半ば分裂状態にある。 求心力低下が著しく、民心の離反を招いている。 『米国の支援を受けた奉天軍閥は北京を含む華北部一帯を支配しており、 さらに華南部へ進撃しようとしていたのだ。 ドイツの顧問団の様々な支援で辛うじて戦線は維持されているものの、 好ましい状態ではない。これに加えて中国は日本の工作で国民党主導の統一と 近代化への道が急速に閉ざされており、このままではドイツの中国の市場と資源を 親独政権を利用して確保しようという目論みが潰えかねない状態だったのだ。 そんな中、中国では日米資本が各地で浸透を続けている。 これが面白いと感じるドイツの為政者などまずいないと言って良い。』本編8話より抜粋 奉天軍閥:『米国の支援を受けた奉天軍閥は北京を含む華北部一帯を支配しており、 さらに華南部へ進撃しようとしていたのだ。』本編8話より抜粋 183 :4:2012/08/01(水) 02 00 12 3/5 1936年7月 スペイン内戦:内戦勃発。 日本は、予め準備していた物資を スペイン政府に開戦初期に売りつけ儲けた。 軍事面では打てる手は多くは無く、殆ど傍観するしかなかった。 『英仏の不干渉につけこんで、取引はすべて金貨で決済していた。 ちなみに売りつけたのは恐慌の時に米国から安価で買い叩いた自動車や 大陸で売れ残った武器であり、 ベニスの商人もびっくりな悪辣な商売振りと言える。』本編8話より抜粋 総合戦略研究所:略して総研。先読みに不信感が抱かれるようになっていた。 『「………総研の連中は未来が判るのか?」』 『国内でさえ、そう思われるのだから、海外ではさらに不信感を抱かれる破目になった。 特に米英独ソは総研について細かく調査すると共に その調査の手を次第に夢幻会そのものへ伸ばしつつあった。』本編8話より抜粋 夢幻会:設立してから70年近い。総研の後ろ盾。 夢幻会会合 嶋田繁太郎:会合出席。 辻~んや伏見宮の奇行(?)慣れてきていた為、司会進行を勤める。 『「まぁ議題を進めましょう」 「……突っ込まないんですね?」 「もう構わないでしょう。彼は自分なりに国のために仕事をしているんです。 それなら任せておきましょう。たとえ性格と嗜好に問題があって、奇行に走る人物でも、 優秀な働き者には十分に働いてもらったほうが良いですから」』本編8話より抜粋 土肥原賢二:帝國中央情報局局長。会合出席。転生者。 伏見宮博恭王:会合出席。 辻正信:会合出席。 ルーズベルト:名前だけ登場。 ニューディール政策が機能しているとは言いがたいが、 ルーズベルトの支持率は低くはない。 副大統領候補:ガーナーからヒューイ・ロングに代わる可能性が高い。 ガーナー:名前だけ登場。 ヒューイ・ロング:名前だけ登場。人種差別主義者。 暗殺を免れた上に、ルーズベルトと袂を分かつことは無かった。 『これ以降、日本はより積極的にワシントンで ロビー活動を繰り広げることになる。』本編8話より抜粋 B29:原爆専用機の開発。 B29のような超重爆撃機の量産は不可能。 原子爆弾開発:第二次世界大戦に参戦してから。 連合艦隊をもう1セット揃えられるような予算を 捻出するのは戦時でもなければ不可能。 ICBM・SLBM:まだ研究段階。 情報局、外務省:連絡を取り合い米国の動向を調査。 184 :4:2012/08/01(水) 02 00 45 4/5 戦闘機不要論 『何とか軍備を対米6割で我慢させていた。 勿論、この軍縮ムードは航空機の分野にも及んでいる。 だが大艦巨砲主義者と航空主兵主義者は 共に大人しく軍縮を受容れていたわけではない。 前者は条約体制の打破を狙い、 後者は艦艇の出番を奪い去るような新型機の開発を推し進めた。 特に航空機の分野では未来情報によって、 開発が効率化したことで大きな進歩を遂げた。 しかしその結果、夢幻会が危惧していたような 戦闘機不要論が海軍内部で吹き出すことになった。』本編8話より抜粋 『彼ら戦闘機不要論者は、 九五式陸上攻撃機(史実の九六式陸上攻撃機に相当)の高性能振りに過信し、 爆撃機に中々追いつけない戦闘機など不要と声高々に主張した。 九六式戦闘機の登場で戦闘機不要論はある程度抑えることには成功したものの 未だに不要論は根強かった。特に航空主兵主義者たちは、 大艦巨砲主義者と目される伏見宮や 建軍以来のライバルである陸軍が戦闘機隊の派閥に 肩入れしていることに怒りさらに身内である 戦闘機パイロット達を裏切り者扱いして攻撃する始末であった。』本編8話より抜粋 嶋田繁太郎:防空訓練を実施。防空訓練に参加。 『この事態を打開するべく、 嶋田は大幅なショック療法を行わざるを得なくなった。 具体的には鼻高々になっている爆撃機パイロットたちの 自信を木っ端微塵にするために実戦訓練を、 それも開発したばかりの電探まで使った 防空訓練を行うことにしたのだ。』本編8話より抜粋 山本五十六:戦闘機不要論者。防空訓練に参加。 源田実:戦闘機不要論者。防空訓練に参加。 大西瀧治郎:戦闘機不要論者。防空訓練に参加。 『一方的な敗北を喫したことで、源田や大西といった戦闘機不要論者達は その影響力を大きく減衰させた。 主導権を得た夢幻会は、演習結果を元に戦闘機による制空権確保を目指し、 戦闘機の開発を大々的に推し進めていくことになる。』本編8話より抜粋 防空訓練:攻撃側は九五式陸上攻撃機。防御側は九三式戦闘機(複葉機)。 無線誘導、連携を行うことで、迎撃がより効率的に行われる。 そして攻撃側が全滅した。 『九五式陸攻の編隊はいいようにやられてしまう。 それは、日中戦争で複葉機によって 九六式陸攻が次々に撃墜された光景の再現であった。』本編8話より抜粋 九五式陸上攻撃機:史実の九六式陸上攻撃機に相当。防空訓練に参加。 九三式戦闘機:最高速度400キロの複葉機。防空訓練に参加。 九六式戦闘機:現時点で世界最強の単葉戦闘機。初期型の詳細不明。 陸上攻撃機:防空訓練の結果、大量に撃墜されたら多数の搭乗員を一気に失うので、 今後は機体を小型化や防弾を強化するなどして少しでも損害を減らす方針。 早期警戒網:防空訓練の結果から早期警戒網の構築の必要性が証明され、 海軍は本格的に防空体制を整備に着手。 伊吹型戦艦:「伊吹」「鞍馬」 『防空の重要性から第三次海軍補充計画で 建造する伊吹型戦艦は高角砲を増やすなど 防空力を重視する方針となった。』本編8話より抜粋 呉・長崎:伊吹型戦艦「伊吹」「鞍馬」の建造を開始。 ボフォース40ミリ機関砲:対空兵器の強化の為スウェーデンと交渉して 金星エンジンと引き換えに入手。 第三次海軍補充計画、陸軍の三ヵ年計画:承認。 日本は第二次世界大戦に備えた軍備増強路線にシフトした。 『各地の軍需工廠では久しぶりに活気に包まれ、 軍の基地では訓練が厳しくなっていく。 特に海軍は電探やボフォース機関砲の装備などで 相次いで艦艇がドック入りするのと平行して、 呉と長崎では金剛型の代艦である伊吹型の建造が開始される。 これまでの軍縮モードを一気に吹き飛ばすような景況であった。』本編8話より抜粋 米英は、日本陸海軍の急速な軍備拡張路線に不信を抱く。 185 :4:2012/08/01(水) 02 01 25 5/5 ホワイトハウス ホワイトハウスでは日本の軍備増強路線について協議がなされていた。 ルーズベルト:二選を果す。日本について協議。 さらなる調査を命じる。その直後がルーズベルト倒れる。 『夢幻会すら予想できなかった、 歴史の変化が起こった瞬間であった。』本編8話より抜粋 コーデル・ハル:国務長官。日本について協議。 張作霖:名前だけ登場。最近は態度が大きくなっている。 張作良:名前だけ登場。張作霖の息子。後釜の候補。 華北:奉天軍閥の支配下。 中国海軍:海軍基地の建設に続き、水雷艇、潜水艦の配備が予定。 3年以内には巡洋艦の運用開始。 中国海軍基地:青島に建設。 水雷艇、潜水艦:青島基地に配備予定。 オマハ級軽巡洋艦:「リッチモンド」「トレントン 」 中国海軍に引渡し3年以内に巡洋艦の運用開始。 対日調査報告書:これが近代化して70年程度の国なのか、そう思えてきてしまう。 『整備された交通インフラ、 年間生産量が2000万tに達した粗鋼生産能力、 倉崎、三菱などを中心とした優秀な航空産業や自動車産業。 金融も優秀なのは、これまでの経緯からも明らかだ。 米英は確かに日本へ色々と支援したが、 ここまでなるとは思いもしなかった。』本編8話より抜粋
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/58.html
陸地の影も形も見えない、太平洋の沖の果て。 波の静かな海上に、白線を真っ直ぐに描いて進んでゆく一隻の小型クルーザーの姿があった。 ――通常の小型艦船の10倍近い、暴走とも言える異様な速度で。 「あーあーマイクチェック、マイクチェック」 場違いなハンドメガホンの音声が、急停止したクルーザーから晴れた海上に雑音を含んで響き渡る。 海上自衛隊の士官服に身を包み、金髪をツンツンと立て目付きの悪い奇妙な格好の若い男が、何もない海に向かって語りかけていた。 「ゴホン――英霊たる各艦に告ぐ!諸君の船体は既に海底に有り!海上にあらず!」 他に人影はおろか船のひとつもない快晴の洋上。一見、間の抜けた光景である。が―― 「深海にて安らかに眠れ、艦霊たちよ!さもなくば――」 やがて呼び掛けに応えるように、俄に空が掻き曇り、波が高まる。 そして。 『否。――我らの戦争、未だ終わらず』 低音とも高音ともつかない、海上に響き渡る雑音混じりの不気味な声と共に、憤怒の形相が海底から現れ――やがて全身が、ゆっくりと海上に浮かび上がった。 一人、二人――三人の女型の『亡霊』。それ以外に、全身から暗い嵐の色を滴らせ、真紅の眼をしたそれらを形容する言葉は無い。 それらは右舷、左舷、そして正面に陣取って彼の船を取り囲み波間に立っている。 同時に、三体のそれぞれはるか後方に、蜃気楼のような巨大な亡霊の影――威圧的な軍艦の姿が浮かび上がった。 『応。この世のすべての艦を、深海に連れ逝くまでは――』 亡霊たちの赤い瞳に膨れ上がる敵意、殺気。――瞬間、男は叫んだ。 「ビンゴ!行け、金剛!」 「イェッサーー!!」 海上に不意に現れた巫女服の娘が、波間を蹴立てて走り抜け――正面の女亡霊の姿を、その勢いで力いっぱい蹴り飛ばした。 吹っ飛んだ青灰色の女姿が、海上に叩きつけられた瞬間に霧散する。同時に、その背後の幽霊軍艦の砲塔が生物のように蠢きはじめる――しかし。 「Burning――love!!」 金剛と呼ばれた巫女娘の奇妙な咆哮と同時に、その背に負った巨大な砲塔が轟音と共に炎を吹いた。 放たれた砲弾は、狙い違わず敵艦を貫く。軋むような悲鳴のような声を上げ、幽霊軍艦の姿はかき消えた。 同時に右舷、左舷にも『金剛』と同じような格好の、男の配下の娘が立ち向かい、戦闘が始まっていた。 「重巡2、空母1――前回よりは多少手強いですが、私たちと金剛姉さんの敵ではありませんね」 敵の人型と格闘戦を繰り広げながら冷静に戦況分析し、砲火は間断なく相手背後の幽霊艦へと放ち、その動きを牽制する『霧島』。 「まったく…早く扶桑姉様と会いたいのに、今日も戦艦相手じゃないなんて…!」 波立つ海上に居ながら滑るように艶やかな動作をもって敵の砲撃を回避しつつ、なぜか拗ね顔で応戦する『山城』。 「うわッ!!おいお前ら!提督サンの船はフツーの民間船なんだからな、ちゃんとカバーしろよ!沈められたら負けだと思えよ!!」 そして彼女たちと幽霊軍艦の大砲戦の波間に揺れに揺れるクルーザー『艦隊これくしょん丸』。 「ヘイ、テートク!重巡一隻、反転したヨ!」 金剛の声に提督と呼ばれた金髪が左舷を観ると、更にもう一隻を大破され形勢不利を悟った残一隻が回頭していた。戦線離脱するその速さは、当たり前の軍艦の速度ではない。 「あぁ、そっちなら追わなくて良い――いったぞデカ女!片付けろ!」 「…デカ女、と」 さほど大きくもない男の声に、そこから目視すら困難なほど離れた海上で待機していた一人の娘が応ずる。 「――言うなッ!!!!」 巨大な武装を全身に施した娘――『日向』の一斉全門斉射が、逃げる敵艦を粉々に打ち砕いた。 *** 「飲み会ならお前らだけでやれよー」 「え~テートクいないとつまんないヨー」 その夜の鎮守府、大広間。 畳敷きの大宴会場といった風情のその席で、倉庫から金剛が持ってきた正体不明の日本酒を、目つき最悪の金髪提督が苦い表情で煽る。 宴席には昼間に戦った軍艦娘のほか、今日の敵であった艦娘――重巡『鳥海』『那智』空母『蒼龍』が並んで正座していた。その姿からはすでに怨霊的なものは一切抜けて、興味深げに状況を見つめる三人のただの娘である。 「は~…なんだってオレがこんな鉄とアブラくさい悪鬼悪霊どものリーダーやんなきゃなんねぇんだよ…」 「悪霊じゃないです。『艦娘』です。訂正を、司令」 メガネの奥から軽く睨みつつ、霧島が提督のグラスを満たす。 「お前らこそ『司令』とか『提督』って呼ぶんじゃねー。俺はただの神社の跡継ぎ候補であって別に海戦指揮のプロでも戦艦マニアでも船好きですらないの。素人。提督とか銀○伝のヤ○提督しか知らねーし」 再びグラスを口へ運ぶ。 ちなみに酒保の質は相当高いのでかなりの高級酒なのだが、貧乏暮らしが長くかつそれほど年齢を重ねていない彼はそれを理解するほどの口は持ってはいない。 「なのにお役人の奴ら、いきなりオレをとっ捕まえて海上の悪霊払いだっつって、ヨコチンだかなんだか知らねぇがこんなトコにもう三ヶ月も監禁しやがって」 「横須賀鎮守府です」 霧島がくい、と眼鏡を直す。 「で結局このしょぼい建物とボロクルーザー一隻しか寄越さねぇし…お前らが曳航するから早くて揺れないにしても海上は圏外だからスマホいじれなくてヒマなんだよ」 金髪のクセに黒い眉を不機嫌に潜めると、この男のクマ気味の目つきはもはや悪人レベルに達した。 「それでも勝利と調伏を重ね、戦力は充実してきているではないですか。それに『何でも言うことを聞く』妙齢の女性ばかり従えて、見る人がみたら羨ましがる環境かも知れませんよ?」 「ババァばっかりじゃねーか…」 「あら、そういう趣味のお方で…」 「ちげーよ!お前建造何年よ!?オレはタイヘーヨーセンソーとか知らないし興味もない平成生まれなんだよ!!ああ~ピザ屋のバイトに戻りて~!ゲームの話とかしてぇぇぇぇ!!」 「ハイハイー。とりあえず今日の勝利と新しい仲間と、提督の未来にカンパーイ!!」 頭を抱えた元フリーターを尻目に、もはや飲めればどうでも良い風の金剛が満面の笑みで宴会の開始を宣言した。 彼が国家から与えられた権限は、海上自衛隊・横須賀地方隊付、『特殊艦隊』司令官。 ――こんな冗談みたいな戦闘が、平成日本の片隅で、国家公認で人知れず繰り広げられていたのであった。 *** 「しれぇ~?飲んでますかぁ~?」 「うっせーな飲んでるよ!つーかお前ら弱すぎだろ!なんでオレ一人取り残されてる感じになってんだよああ?!」 艦娘たちはあっちでは酒ビン片手に目を回しこっちではなぜか尻を突き上げて突っ伏し、死屍累々の体である。 「とりあえずウコンとウーロン茶をだな…全く、なんでこんなとこで女子大サークルの引率みたいなマネしなきゃなんねーんだよ…」 「こっちだってまさか金髪黒マユゲを司令と呼ぶ日が来るなんて…ってか、それにしてもー……司令は女の子ニガテですか?もしかして」 「おいあんまくっつくな…って、ちょ…」 酔ったらしい霧島の柔らかいカラダが、どちらかという細身の提督に伸し掛かってきた。鉄と油どころではない、娘らしい柔らかい匂いが提督の鼻腔をくすぐる。 「なんでも言うことを聞く娘たちを使って、この辺りを満足させるのに使おうという気は起きないのかしら。ちょっと試してみようかな…」 押し倒した提督の、脚の間あたりを霧島の白い手がすうっと無でる。 「お前…自称頭脳派のセリフかよソレは」 「ふふん。でも金剛姉様のお気に入りに手を出したら、後で怒られちゃうかな~?」 言いながら、さっと身をひく霧島。 「…なんだそりゃ。挑発しといて焦らしてるつもりか?サマになってねーな。あんま慣れてねんだろ」 反射的にムッとした彼女を、提督は一瞬で逆に畳の上に組み敷いた。霧島は、驚いた顔で眼鏡の奥から提督を見つめる。 「悪いけど、この流れで照れるような好青年じゃねーんでオレ。知ってると思うけど。アル込みで挑発されたら、喰っちゃうタイプだよ?」 「そ…それは、えーと、あの…」 意外に端正な顔に間近で見つめられ、霧島は驚いた表情のまま頬を染める。 「――ん?どうすんの?」 どどどうしよう…………、てか、意外とカッコイイ… ま、いっか…。こうなっちゃったらまぁ…。 「の、望むところですよ…?別に、初めて、じゃあ、ないですし…」 余裕の笑みで返したつもりが、ちょっと声が震えた霧島だった。 *** 「は…はぁん…気持ちい…」 「あんま声出すなよ。誰か起きたら恥かくのお前だぜ」 巫女服の前を自らの両手で左右にはだけさせ、こぼれた柔らかな乳房に舌を這わせる。必死に声を抑える霧島。やらせといてなんだが予想以上のエロスを感じる光景だった。 「そう、そこ、下から舐めていって…いっぱい吸って…うぁ…っ、あ…ん」 「エっロいオンナだなお前。普段のメガネはあれか、ムッツリか?」 いつもは知的な秘書然とした雰囲気を醸し出す霧島の予想外の乱れ姿にヤンキー提督の方もかなり制御が効かなくなりつつあったが、あくまで冷静に上位をキープする。 「やぁん、言わないでぇ…司令ぇ…」 鼻にかかった鳴き声。乱れた裾の奥で、肉感的な白いふとももをすり合わせる霧島の素振りを、やんちゃに遊び慣れた提督は見逃さない。 「そろそろこっち触って欲しいんだろ?…答えなくていいぜ、触れば分かるし」 軽いキスに意識を向けさせておいて、警戒なく霧島の下着に指を滑りこませる。むっとした熱気に包まれたそこは、予想通りに乱れていた。 「はっ、スゲェな。胸ちょっといじっただけで、こんなに期待してんの?」 「…やだぁ……」 軽く入り口にノックしたり、突起の感触を回すように撫でると、霧島は悲鳴を堪えるように口元を押さえて悶える。 「――で。ただしてもらうだけで良いと思ってるのかな霧島サンは?」 「…はぁ、はぁ…な、何をしたらいいでしょうか…」 「いつものセリフで言ってみてよ」 羞恥を煽る提督のお言葉。真っ赤な顔で視線を外し、もじもじしながら霧島が口を開く。 「ご、ご命令を…司令…」 「よく出来ました。ではまずお口でよろしく」 戯れに差し出した提督の人差し指を、おずおずと口に含む霧島。 提督の逸物を霧島が無心で舐め始めるまで、その段階からそう間は掛からなかった。 *** ちゅぷ、くちゅ、というイヤらしい水音。眼鏡の奥の霧島のとろんとした瞳、根本から先端までくまなく刺激する桃色の舌、白い指。 何よりも霧島自身の激しい熱意と欲望を熱く強く感じて、提督のそれは高く太く反り上がる。 「もういいよ、霧島。――来いよ」 「きゃあっ?!」 霧島の腰を掴んで抱き寄せ、横たわった自らの身体を跨がせた。提督の視界は霧島の乱れ姿で満たされ、空気は霧島の匂いに包まれる。 この姿勢だとここからどうするかは霧島自身の意志が決めなければならず、その結果は霧島の欲望の証明となる、ある意味で最悪の羞恥プレイである。 しかし――霧島はそこまで意識してか否か、一切の躊躇なく片手で提督の反り立つモノを自らの秘所へ誘導し、ゆっくりと腰を下ろしていった。 「う…ああぁぁぁっ……」 ずぶずぶと、霧島の中に提督のものが飲み込まれてゆき――やがて、着底。 「…司令、司令の、大っきい…です…ね……んっ」 「そりゃしっかり準備してもらったからなー。気持ちいい?」 「…はい…」 ――可愛いじゃん。 頬を赤く染めて頷き、無意識にか腰をくねらせ、額や胸先から熱い雫を滴らせる霧島の姿が急に愛しく思えて。 「んっ、そんな、突き上げ…急に、あっ、やぁッ……!」 「悪い、霧島。もうちょっと可愛がってやろうかと思ったけど、なんかもう――イキたいわ、オレ」 「あぁ…はい、んっ、来て、わたしの、中に…ぜんぶ……わ、わたしも、もう……」 「あ、もう外して良いぜ」 ズレてきた眼鏡を外して枕元に起き、提督は霧島の熱い身体を抱き寄せた。 「もっかいキスしても良い?」 「はい、でも…お嫌でなければ…」 「お嫌でない」 素顔の彼女と存分に唇を合わせ、互いの胸の熱を感じて、背に手を回し合って―― 一夜の遊びどころか、まるで熱烈に愛しあう恋人たちのように二人は激しく感じ合い、求め合って、接合したまま同時に果てた。 *** 「幻滅したでしょー?でもオレはもともとこういうタイプでさ、軍属とか世界を救うとか言ってもスタイル変える気はないんで」 「いいえ。幻滅なんてしませんよ。私が誘ったんです。――嬉しかったですよ、ちゃんと女性としても見てもらえるんだな、って」 「悪霊じゃなくて、かぁ?」 横になったまま軽口を叩く提督の横で、着衣の乱れを直して正座する霧島。 「――貴方は、艦娘たちに人気があるんですよ?自覚はないでしょうけど」 「ははッ、バカ言うなよ」 「結構気むずかしいところのある金剛姉様をあんなに手なづけたり、常に冷静な日向の素顔と覇気を引き出させたり」 タバコが欲しいな。久々に。 そういうものがないと、こういう時間このような会話はこの提督にとって気恥ずかしいものでしかなかった。 「それはだって――あいつらがそうだからだろ。オレがどうという話じゃない」 「あくまでムリはさせず、全員揃っての帰還を第一に考える方針も。文句ばかりだけど、この仕事を辞めない理由も――」 「――それは、やめて」 起き上がり、思わず低く強い口調で遮る。その二つは、彼にとっての負い目を刺激するものだった。 「そんなことより、お前。――前の戦争では、そこそこ活躍したの?」 「え?」 驚く霧島。そういう類のことを彼が聞くのは、初めての事だった。 まるで軍艦になど戦争になど興味はない、そんな態度であったのに――。 「…勘違いするなよ。ちょっと知りたくなってきただけだ」 「はいはい。――三式弾、てご存知ですか?」 懐かしいような楽しいような、やんちゃな孫に昔話をする気分で、霧島は語り始める。同時に、確信に近い直感を得た。 すべての艦の戦争を終わらせられるのは、データ以上の破格の方…きっとこの人しかいないのだろう、と。 「英霊たる各艦に告ぐ!諸君の船体は――あぁ、もう面倒くせえ!行け、金剛!!」 「イェス、サー!!」 そして、今日も。 砲火と轟音が、海上に響く。 (End.)
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/21396.html
爆龍提督 ザーク・バトライド SR 火文明 (9) クリーチャー:ドラゴニュート/ドライブ・バード/龍撃師団 9000 ■相手の呪文またはクリーチャーの効果によって、このクリーチャーが自分の手札から捨てられる時、墓地に置くかわりにバトルゾーンに出してもよい。 ■W・ブレイカー ■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分の山札の上から3枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中からドラゴニュートとドライブ・バードをすべて自分の手札に加え、残りを好きな順序で山札の一番下に置く。 ■ゲッシュ・バースト:自分のシールドゾーンにゲッシュがあれば、このクリーチャーは次の[バースト]能力を得る。バースト―このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手のクリーチャーを1体選び、このクリーチャーとバトルさせてもよい。それが相手のターン中であれば、そのターンの終わりに、このクリーチャーを自分の山札の一番下に置く。 作者:ザ=ガーン フレーバーテキスト (10/4) ページ修正。 マッドネスと手札補充に加え、ゲッシュ・バーストにより除去も熟る優秀なクリーチャー。ただし、禁約を持たない為自力でゲッシュを生み出さないことと、相手ターンにバトル能力を使うとボトムに行ってしまう点がネックです。 収録 DMDC-05「王家戦記編 序:龍撃師団と6番目の王子」 評価 名前 コメント 関連 《熱血提督 ザーク・タイザー》 《熱血龍 バトクロス・バトル》
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/143.html
前の続き 夜二十二時三十分。 通信司令室には私の他に霧島、愛宕、由良そして暁がいた。艦娘たちの顔には苦渋が滲み出ていた。いつものほほんと笑っている愛宕も厳しい表情だ。『翔鶴が沈む』、その通信を最後に第一艦隊からの連絡は途絶えた。本日の通信司令室の夜番の四人が再度通信を試みようとしたが、一向に繋がらないままこの時間になってしまった。 私はテーブルの上に広げている南方海域の地図を凝視する。第一が予定通りにサブ島沖に向かえたと仮定して通信を受信した時間で位置を推測した。そのポイントに赤のマジックペンでグルグルと円を描いた。 「通信の記録を聞く限り、充分な応戦は出来ていない…恐らく撤退を試みているはずだ。損傷も酷いだろう… 天候の良し悪しもあるがスピードも落ちているはずだ」 「敵も追随している可能性もあります。またレーダーも無事機能できているかどうかも分かりません… 最悪照明灯も使えないかもしれません」 霧島の言葉で生々しくその様子を想像した。ギリッと、私は歯を鳴らした。偵察とはいえ、それなりの準備をさせて第一を編成した。まだ未熟な翔鶴はいたがその分もカバーできる程の力量を持ったメンバーを編成したつもりだった。それでも、それでも翔鶴は―――――― 私は頭を振った。 「………救助隊を編成する。メンバーは、」 バンッとけたたましい音がした。音に驚き体が一瞬飛び上がった。後ろを振り向くと通信司令室のドアが壁にぶつけるほど思いっきり開けられており、そこには険しい顔つきの瑞鶴がいた。 「翔鶴姉が…翔鶴姉は無事なの?!」 瑞鶴は一直線に私の元へと早足で来た。このまま胸倉を掴まれそうな勢いだったが瑞鶴は私に触れずにただ不安と怯えの色の瞳で見上げてきた。瑞鶴は寮外へ出ることを禁止していたが、状況が状況な為に私はそのことを咎める気が全く起きなかった。 「翔鶴は――――――」 翔鶴が沈む。不知火の最後の言葉。それを今ここで瑞鶴に伝えるべきかどうか逡巡した。しかし瑞鶴は私の迷いを責めるように私の腕を掴んだ。 「翔鶴姉は沈んでなんかないよね!?」 私は目を見開いた。緊急事態が発生した際には艦娘たちの寮で緊急サイレンを鳴らしいつでも出撃ができるよう準備を整えさせることを徹底させていたが、事件の内容までは伝えずその時の通信指令室のメンバーで作戦を決め必要な艦娘を呼び出して事件と作戦の概要を説明していた。作戦に必要ではない艦娘がその事を知るのは任務が終わった後である。今基地にいないのは第一艦隊と第三艦隊だ。緊急サイレンがなれば第一か第二、またはどちらも危険な状態だとは分かる。しかし作戦がまだ考案中である今、通信指令室にいなかった瑞鶴が翔鶴のことを知るはずがないのだ。私は後ろに並んでいる夜番を睨みつけた。 「誰だ、瑞鶴に連絡したのは」 通信指令室の番をするものは通信の内容がどうであれ許可なく私以外に連絡することを禁止にしていた。例え出撃中の姉妹艦相手でもだ。私の威圧に四人の表情がさらに強張った。まるで息さえ止まっているように。暁は反射的に由良の後ろに隠れた。まさか、暁が? 「暁、お前が瑞鶴に連絡したのか」 由良の体からはみ出ている腕がビクンっと跳ねた気がした。由良は少し動いて私から暁を隔絶するように後ろに隠した。今は黒いタイツの足しか見えていない。 「落ち着いてください提督さん」 「由良、暁を庇うのなら――――――」 「ちっ違う!違うよ提督さん!」 由良を咎めようとした私の腕を瑞鶴はグイッと引っ張った。 「違う…なんとなくすごく嫌な予感がして……そしたら緊急サイレンが鳴ったから……翔鶴姉に何かあったのかと思って気が気じゃなかったの。瑞鶴は誰からも連絡をもらってないよ!信じて…」 「……暁?」 視線を戻すと由良の後ろから少しだけ暁が顔を覗かせていた。 「い……言いつけは破らない……のです……暁は一人前のレディーだもん…」 嘘はついていないように思えた。私は溜息を吐き、頭一つ分小さい瑞鶴を見下ろした。顔は伏せられて見えなかった。 「……やっぱり……翔鶴姉に何かあったんだ……」 絶望の色を隠せない呟きだった。美しい灰色の髪が小さく揺れている。武器を一切纏わない瑞鶴の姿は怯える人間と大差ない。私はその姿を哀れに思うと同時に疎ましく感じた。遥か昔、私が生まれるよりもさらに遠い昔、戦争という地獄の中を生きてきたのは人間だけではない。その人間たちと共に激動の海で戦ってきたのは、物言わぬ艦船だった。しかし魂は宿っていた。その魂が現代に蘇り艦娘として存在するようになった。艦娘たちは昔の記憶を忘れていない。各々の艦船の始まりも終わりも覚えており、姉妹艦と初めて顔を合わせた時は再会を喜ぶ。姿形は以前と異なるにも関わらず、初めて姿を見ただけでそれが誰だか彼女たちには分かるのだ。彼女たちの間には家族愛に似たものがあり、確かな絆があった。家族を守りたいと思い、困ったことがあれば力になりたい。危険に晒されているなら救いたい、と。その感情や気持ちは尊く喜ばしい。しかしここは軍であり戦場だ。感情に任せて行動した結果がいつだって喜ばしい結果を生み出す訳がない。むしろ最悪の事態を引き起こす可能性がある。部下を戦場に送り出す上官として、冷静な判断をしなければならない。そして私には次に何が起こるかを予測していた。 「提督さん」 より一層強く腕が捕まれた。瑞鶴は顔をあげる。先程まで感じていた怯えは瞳の中に見えなかった。 「瑞鶴も翔鶴姉を捜す」 予想通りの言葉だ。 「……お前は今は遠征も出撃も禁止されている身だ。寮内待機も命じている。これ以上勝手なことをするのなら――――――」 「だったら解体したらいい!」 その叫びに私は言葉を続けられなかった。瑞鶴は私を真っ直ぐに見据える。恐怖を感じるほどに真っ直ぐに。 「何もできず、何もやれず、戦うことも手伝うことも強くなることもできずにただ腐れ果てるというなら、私がここにいる理由も必要もない。さっさと私を鉄の塊にすればいい」 「瑞鶴、私は」 瑞鶴の真摯で真剣な様に私は気圧されていた。恐らく不知火の通信で動揺していたのだろう。いくら万全な準備と装備を整えても生きるか死ぬかの戦場、何度も艦娘たちは危険な目に遭って来た。それでも今回のように安否が全く分からない状況に遭遇した経験がなかった。それに私は、誰かが死ぬことにまだ慣れていない。こうやって艦娘たちを指揮する立場になったのもの元から軍に勤めていたからではなかった。深海棲艦が出現し始めてからしばらくして、議会の友人が私の元へ訪ねてきたのだ。どうやって調査したのかが不明だが、私には艦娘を指示し彼女たちの力を充分に発揮できる力があったらしい。黙って世界が滅亡して死ぬのを待つくらいなら、自分の未来の為にも生きたい、そう思ってこの仕事を引き受けた。深海棲艦と戦う為に集まった提督の中には私のように軍事関係とは無縁の場所にいた者も少なくはなかったが、大半は軍関係者であったりどこかの国で傭兵として暮らしていたことのある者だったり、戦いに身を置いた者も多かった。そのタイプの提督たちとは違い、私は死から遠い場所で生きていたのだ。 「提督さん、瑞鶴は、」 提督となって月日が流れた。戦術の勉強もした。それなりの戦果と功績を残した。艦娘たちからの信頼を得た。それでも私は、誰かが死ぬことにまだ慣れていない。もし慣れていたら、翔鶴を傷つけることも、瑞鶴を閉じ込めることもしなかったのかもしれない。 「瑞鶴には幸運の女神がついている。第一艦隊全員を基地に連れ戻す。私もちゃんと帰って来る。私は、私が――――――」 もし慣れていたら、 「瑞鶴が誰も死なせない!誰も二人目にもさせないし、私もならない!」 もし慣れていたら、自分の部屋に新しい鍵をつけることはなかったはずだ。 夢を、見ることはなかった。 「提督!見て見て~」 執務机でノートパソコンを操作している私に秋雲は声をかけてきた。目をディスプレイから離して秋雲を見ると、秋雲の顔ではなく男の顔が視界に入った。 「どうどう?上手いっしょ?」 その男はスケッチブックに描かれた私であった。一目見るだけで誰が描かれたのか分かるほど、秋雲の絵は非常に写実的だった。私がノートパソコンと睨めっこをしている様子が描かれていて、その私の周りにはデフォルメで描かれた開発妖精が踊っていた。秋雲は対象を忠実に描くことも秀でているが、コミカルなタッチのイラストを描くことにも優れていた。艦娘という立場でなかったら、芸術家か漫画家になっていたに違いない。 「相変わらず上手いな…」 「何なら額縁に飾って食堂に置いとこっか?」 「それは止めてくれ」 私が苦笑すると秋雲はカラッとした顔で笑った。 「基地にいる艦娘はみーんな描き終わったよ。深海棲艦もあらかた描いたんじゃないかな~」 「ほぅ…先日来た伊58もか?」 「もっちのろんさぁ!ほらこれ!」 ページが捲られると海に浮かぶ伊58が描かれていた。私の絵とは違い、愛らしさを感じられる。艦娘とは一定の距離を保つようにしていた私だったが、秋雲の絵は純粋に好きであった。それに秋雲は私に懐いていたが、そこに恋愛感情の類は見えなかったので秋雲とは気楽に接することができた。 「ねぇ提督~」 秋雲が甘えた声を出した。秋雲が何を言いたいのか私には予測できた。 「私はあまり建造運に恵まれないようでね… 海域でも出会えたらいいんだが、…すまない」 私の謝罪に秋雲は首を横に振った。 「まっ しょうがないよね~いいよ、秋雲さん気長に待てるし」 「極力早く迎えられるよう努力する」 あ、と秋雲は拳をポンと手の平の上に叩いた。 「なら暇潰しにさ提督、秋雲の絵を描いてよー」 秋雲はそう言って私に赤色のスケッチブックを差し出した。私は片手で拒否を示した。 「私はお前と違って絵心はない。それに、お前が暇でも私には仕事があるんだ…… そもそも、その書類の処理は終わったのか?」 私はテーブルの上にある書類の束を指差した。秋雲はフフン、と鼻で笑う。 「これぐらい朝飯前ってやつさぁ~終わって暇だったから提督を描いてたんだから」 「…絵を描く前に私に次の指示を仰ぐこともできたはずだが?」 「まぁまぁ!じゃ、お仕事くーださい」 私は溜息を吐くと机から立ち上がった。 「装備を開発するか。工廠に行くぞ」 秋雲もソファーから立ち上がるとドアへと向かい、私の為にドアを開けた。 「建造はしないのー?」 「資源の残りが心許ないから暫くは控える」 「残念っ」 私が執務室を出ると秋雲はドアを閉めた。私の隣に秋雲が立つ。 「明後日はカスガダマ沖海へ出撃だ。そこで会えるといいのだが」 「ん?そこって確か前に行ったんじゃなかったっけ?」 「最近カスガダマで深海棲艦が多数目撃されているようなんだ。撃滅させろ、と上からの指示だ。それとお前も第一艦隊の編成メンバーだから準備は怠るな」 「おっ りょうかーい!」 秋雲はピシッと敬礼をした。 「秋雲さんが連れて帰っちゃうからね~翔鶴も、瑞鶴も!」 数日後、カスガダマ沖海の最深部で秋雲を含む第一艦隊は敵を撃滅させ、運が良いことに翔鶴と出会うことが出来た。そして帰投途中、まだ生き残っていた敵の潜水艦が大破状態で航行していた秋雲を、轟沈させた。 私の指揮の下、初めて死んだ艦娘だった。 「提督さん?」 私を呼ぶ声に意識が戻る。黙ったままの私を気遣うような、心配しているような、そんな目で瑞鶴が私を見ていた。 「提督さん…顔が青いけど…」 「あ、あぁ………いや、気にするな。大丈夫だ」 私は頭を振った。瑞鶴は少し戸惑っていたが、変わらず私を真っ直ぐ見ている。 「…提督さんお願い、瑞鶴を捜索隊に入れて。絶対帰ってくるから」 瑞鶴の意思は変わらないようだった。私は初めて迎える艦娘は歴史を必ず調べるようにしていた。被弾が極端になかった幸運艦、瑞鶴。もしかしたら瑞鶴なら―――――― 私は口を開けた。 「提督?もしかして瑞鶴ちゃんを捜索隊に入れるおつもりなのかしら?」 柔らかい声が私の耳に届く。振り返ると愛宕がニコニコ顔で私を見ていた。 そのつもりだ、と私が返事をしようとする前に愛宕が言葉を重ねた。 「提督、通信内容は覚えていらっしゃいます?」 「通信内容?翔鶴が沈むと…」 「それ以外の、です」 それ以外?確か…… 『第一艦隊、こちら不知火です。サブ島沖海域には予定の時刻に到着。夜も間もないはずですが、この海域だけ昼のように明るいです…周りをよく見渡せますが…… 敵の気配はまだありません。注意して進みます』 『こちら不知火です。サブ島沖海域航行中、突然空に暗雲がたちこみ夜になりました。僅か一分です。…異常だ…何かおかしい、撤退を―――――― バァンっ ?!何の音!?攻撃か!』 確か、不知火の通信内容はこうだったはずだ。 「急に暗くなってすぐの襲撃… タイミングが良すぎる、恐らく敵の罠でしょうね」 「それは私も同じ意見だ」 「サブ島沖の敵は天候を操れるかもしれません。そこに夜戦で全く何も出来ない空母を捜索隊に入れるんですか?」 愛宕の言葉に頭を殴られたような気がした。愛宕はニッコリと私に笑いかける。 「提督、貴方は優秀な指揮官よ。だから落ち着いて冷静になって」 「………」 私は視線を瑞鶴に戻した。瑞鶴は私を不安そうに見上げている。 「……瑞鶴、お前を捜索隊にいれることはできない」 瞳が傷ついたように揺れた。 「そん…な、わ、…私大丈夫だから!暗闇で襲撃されてもちゃんと避けるから!」 「戦闘経験の豊富な赤城や加賀も夜戦では当たる時は当たる。瑞鶴、お前は特に…戦闘も演習も経験が浅い」 「…!だって、それは…!」 悲嘆にくれた目が私を責める目つきに変わる。そう、瑞鶴が弱いままなのは私のせいだ。私のワガママを全部瑞鶴に押し付けたのだ。 「……部屋に戻れ瑞鶴。…結果がどうであれ、必ずお前に知らせる。今はこれで身を引いてくれ」 しばらくの間瑞鶴は私を睨んでいたが、ついに諦めて私から目を逸らした。そのまま無言で私に背中を向けて、通信司令室から出て行った。私は後ろを振り返った。 「……愛宕、すまない。少し気が動転していたようだ」 「いいのよ、気にしないでぇ」 愛宕の微笑みにつられて私も小さく笑った。張り詰めていた空気が少しだけ緩み、霧島と由良、暁の顔もどこか安堵していた。コホン、と霧島が咳払いをした。 「司令、捜索隊のメンバーはいかがいたしましょう」 私は顎に手をあててしばし考えた。 「そうだな…ヴェールヌイ、比叡、金剛、雪風、妙高を呼べ。そして愛宕、お前が旗艦だ」 「了解で~す」 愛宕は敬礼をした。 「それでは他のメンバーの呼び出しをしてきます」 霧島は軽く会釈をすると隣の連絡室へと入った。私は由良へと足を進めた。由良の後ろに隠れている暁の腕がビクリッと動く。 「……まだ謝ってなかったな、すまなかった暁」 暁はおずおずと由良の背中から顔を出した。 「お前は指示にちゃんと従うやつだ。それは分かっていたが…少し感情的になっていたんだ。許してくれないか?」 由良に促されて暁は前へと体を出し、私の前に立った。 「……暁は大丈夫だから、…一人前のレディーだし」 私は暁の頭を撫でた。いつもならこうすると子ども扱いするな、と怒って手を払いのけるが、今は反抗しなかった。 「ありがとう、暁」 私が礼を言うのと同時に連絡室から霧島が出てきた。 「司令、連絡終わりました。すぐにみんな来ます」 「あぁ、分かった」 スー、ハー、深呼吸をする。さて、気持ちを切り替えよう。 五分もしない内に捜索隊のメンバー全員が通信司令室に集まった。私は横一列に並ぶ彼女たちを見渡し、頷いた。 「第一艦隊の捜索及び救出作戦を開始する」 艦娘たちの寮は基本的に個室が宛がわれる。中には姉妹と一緒の部屋を希望する者もいるので、その姉妹の為に少し広い部屋も用意されている。瑞鶴と翔鶴はその広い部屋に住んでいた。 真夜中の四時、もうすぐで夜も明ける時間、瑞鶴はただ一人暗い部屋にいた。ずっと窓の外を見ていた。瑞鶴の視線の先にはライトを灯して明るい港があった。その光を瑞鶴はただ見ていた。日付が変わる前に第一艦隊の捜索隊は港を後にした。瑞鶴も一緒に捜索隊に入りたかったが、提督は許可しなかった。瑞鶴の戦闘経験が浅いせいでもあるが、一番の理由は瑞鶴が空母だからだ。空母は夜は戦えない。敵の空母は種類によっては夜でも艦載機を飛ばしてくることはあったが、今の艦娘にはその力はなかった。空母は昼にしか戦えない。瑞鶴は今日初めて、自分が空母であることを恥じた。 「翔鶴姉……」 眠気は全く訪れない。それどころかずっと震えが止まらない。人間と人間が戦争していた時代、瑞鶴は幸運艦と言われるほど被弾が少ない艦だった。逆に姉の翔鶴は被害担当艦と言われるほど敵の砲撃をその身に受けていた。だからこそ、今回の出撃でも―――――― 瑞鶴は頭を激しく振る。 「大丈夫、翔鶴姉は大丈夫…大丈夫だもん……」 ジリリリリッリリリリリリリリリ! けたたましい高音が部屋に鳴り響いた。瑞鶴はギョッと体を強張らせた。音の出所を見ると、電話から聞こえた。電話!瑞鶴はハッとして慌てて走り出した。覚束ない手つきで受話器を掴みあげる。 「も、もしもし?!」 「瑞鶴さん?由良です」 由良。通信司令室にいた艦娘だ。彼女から電話がかかってくるということは、 「翔鶴姉は!翔鶴姉は無事?!」 瑞鶴の声は震えていた。心臓がバクバクとうなり、胸が苦しかった。死んでしまいそうだった。 「翔鶴さんは生きています」 生きている。その言葉が瑞鶴の脳にダイレクトに刺さった。 「ほ…ほんと?!ほ、ほんとに…?!ぶ、無事…?!」 「無事…とは言いがたいです。ほぼ轟沈寸前の状態らしいですが…とにかく生きています。意識もあるようです。他のみなさんも生きています」 ジワリ、と熱いものが目に浮かんだ。涙だ。受話器が手から離れた。 「うっ……う、うぇ……しょ……っ」 受話器は本体と繋がっているコードでブランブランと揺れていた。翔鶴が生きている。帰って来る。それだけが今の瑞鶴には救いだった。その嬉しさと安堵がさらに涙をあふれさせる。 「………っ うぇっひっく」 ツーツー。受話器から小さな音が鳴っている。しかし瑞鶴は受話器を本体に戻す場合ではなかった。だから由良が先に通話を切った。 朝日が昇った数時間後、捜索隊と第一艦隊が帰投した。その時も瑞鶴はまだ、一人で泣いていたのだった。 第一艦隊救出後しばらく、私はプライベートルームには帰らなかった。第一艦隊の報告からサブ島沖の調査をしたり、入渠中の翔鶴の見舞いに行ったり、議会に報告したり、色々していた。ゆっくりする時間が惜しくて部屋には帰らなかった。そして今、久々に部屋のドアの前に立っている。重そうな南京錠が侵入者を拒んでいた。私は首からペンダントを取ると南京錠のロックを外した。 カチリ。 ドアの鍵も外す。 カチリ。 私はドアノブを掴み、押した。ドアは簡単に開いた。一週間も空けていなかったはずだが、何処か懐かしさと物悲しさを感じた。私は靴を脱いで畳の上に足を乗せて踏み込んだ。閉めた襖の取っ手に手をかけて、サッと開く。 「おかえり」 窓の傍でスケッチブックを持ちながら椅子に腰掛けた秋雲が、いつも通りの笑顔で言った。 「……ただいま」 私は秋雲に近づいた。椅子のすぐ傍に立つ。 「描いていたのか?」 秋雲は首を横に振った。 「ううん、まだ」 「そうか」 秋雲は窓の外を見ていた。視線を辿ると演習場を見ているようだ。今、演習場では赤城と加賀が翔鶴と…瑞鶴を指導していた。 「……明日、瑞鶴を出撃させる」 茶色の髪が揺れ、エメラルド色の瞳が私を見上げ、そっか、と呟いてまた視線を外に戻した。 「良い天気だといいな~」 その声は嬉しそうでもあったし、物足りなさそうでもあったし、待ち遠しそうでもあったし、望んでいなさそうでもあった。 「……瑞鶴を描いたら、いなくなるのか」 私の問いかけに、秋雲はすぐに答えなかった。数秒、数十秒後にあのね、と声がした。 「……私自身、なんでここにいるのか分かんないんだー カスガダマ沖で確かに沈んだのに、気付いたら提督のこの部屋にいて帰投していた翔鶴を描いていた。ここには一度も来たこともなかったし、興味があった訳でもないのに」 何でだろうね? そう言って秋雲は私に笑いかけた。見慣れたしたり顔ではなく、何処か寂しそうであった。 「ま、でも翔鶴と瑞鶴はずっと描き残したかったし、会えるのを楽しみにしていたからね~カスガダマ沖で翔鶴に会った時は本当に嬉しかったよ」 秋雲がカスガダマ沖と言葉を発する度に私の心は暗く沈んでいった。それを察したのだろう、秋雲は静かに首を振った。 「提督のせいじゃないよ、あの時はみんな終わったんだ、って思ったもん。翔鶴だっていたし、…帰る時に攻撃を喰らうなんてこと今までなかったじゃん。油断していたのは提督だけじゃないよ。秋雲たちもそう。それに、あんなに大破してなかったら沈まなかったし、どっちかっつーと秋雲さんのせいだから、さ!」 秋雲がニカーっと笑った。沈んでいた気持ちがその笑顔で少し和らいだ。私は、秋雲の笑った顔が好きだった。そう思うようになったのはこの部屋で初めて秋雲に会った時だ。そして私は描き終わった翔鶴の絵を見て同時に恐れを感じたのだ。瑞鶴を描き終わったら秋雲はいなくなってしまうのではないか、と。 「………私はお前にずっとここにいて欲しかった。だから瑞鶴をずっと隠していた。…本当は、秋雲とこの部屋で会う前からいたんだ」 秋雲と再会する数日前、私は瑞鶴の建造に成功した。その時は瑞鶴に演習への参加をさせていたし、出撃も何度かさせていた。二度目の出撃で瑞鶴は怪我を負ったので入渠させ、翔鶴を出撃させていた。秋雲が瑞鶴の入渠中にここに来たことが、私を愚行に走らせた。私は瑞鶴を隠すことで秋雲をここに残らせようと思ったのだ。瑞鶴の所在を知らなければ、秋雲はきっと――――――そんな愚かな希望を抱いていた。 「うん。瑞鶴が基地にいるんじゃないか、って、何となく気付いてた」 私は目を見開いた。私はてっきり秋雲にはバレていないと思っていたからだ。秋雲は私の部屋にずっといて、部屋を出ようともしなかった。出たい、と言ったこともなかった。死んだ艦娘が戻って来たら周りは騒ぎになる。それを気遣っていたのか秋雲は外出する気配を見せなかったし、私も徐々に秋雲を外へと出したくなくなっていた。誰にも秋雲を見られたくなかった。むしろ、私以外に秋雲が見えるかどうかも定かではなかった。秋雲が私以外に見えない存在であるならば、「生きていない」と他人に証明されてしまうのなら、隠していたかったのだ。だから私は部屋に南京錠をつけたのだ。誰にも邪魔されないように、暴かれないように。 「だけどそうやって提督が瑞鶴を隠していても、こんな生活は長くは続かなかったんじゃないかなー」 「何故」 「秋雲が死んでから、もうすぐで四十九日だから」 「……もう、そんなに経ったのか…」 遠くでブーンと音がした。艦載機が不安定にゆらゆらとしながら空を飛んでいる。その横を無駄のない動きで真っ直ぐ飛んでいた艦載機があった。なんとなく、瑞鶴と加賀の烈風だろう、と思った。 「提督はなんで瑞鶴を隠さなくなったの?」 スー、ハー。私は深呼吸をした。 「………愛宕が言ったんだ、私は優秀な指揮官だと……だから落ち着いて冷静になって、って。その言葉を聞いた時、このままではいけないと思った。艦娘たちは私を信頼しているのに、…私は…上に立つ者としてその信頼を蔑ろにしすぎている、と気付いたんだ」 「そっかぁ」 秋雲は窓の縁にスケッチブックを置くと椅子から立ち上がった。私の前に歩み寄る。瑞鶴よりもさらに小さな体。小さくて、すぐに壊れてしまいそうだ。 「秋雲が現れなければきっともっと上手く瑞鶴や翔鶴たちと付き合っていられたかもしれないのに。秋雲がここにいたから、前に進むことができなくなったよね」 秋雲は私の腕を弱弱しく掴んだ。 「ごめんなさい」 エメラルドの瞳から私は目が離せなかった。そのまま私もその瞳の中に閉じ込められればいいのに、と妄想した。 「…謝るのは私の方だ。私のワガママでお前をここにずっと閉じ込めて悪かった」 秋雲は私を見ながら首を横に振った。 「…秋雲もここにいたかったから…提督と一緒にご飯を食べたり話したりして……楽しかったし面白かった。嘘じゃないよー?」 「そう言われると益々嘘のように感じてしまうな」 「なーにそれ!本当だってー」 ぷーと秋雲は頬を膨らませた。それが可笑しくて、私は笑った。すると秋雲は顔を歪に歪めたり、自身の頬を引っ張った。まるで赤ん坊をあやす行為だ。それが妙に笑いのツボに入ってしまって、思わず私は噴出した。秋雲も一緒に笑った。 ひとしきり笑い終わった後にねぇ提督、と私を呼んだ。 「私、お願いがあるんだけどさぁー聞いてくれる?」 「何だ?言ってみろ。無茶なこと以外は聞いてやろう」 秋雲は私から離れると本棚へ向かった。そこから一冊のスケッチブックを取り出した。表紙が黒色のスケッチブックだ。そのスケッチブックを私に差し出しながら、 「秋雲さんを描いてよ、提督」 願いが告げられた。 →続き
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/73.html
「よーし、今日の作戦はもうない。明日に備えて休め」 夜戦を終えて帰投した艦隊の旗艦から概ね良好との戦果報告を受け、 全ての艦に労いの言葉をかけ、この言葉を最後に提督は執務室に帰って行った。 それを皮切りに各々の面子も自室へと帰っていく。 「はー、今日も疲れたなーっと」 その艦隊の中にいた龍驤も疲れたと零しながら伸びをしただけで会議室を後にした。 ここからは艦載機の手入れをするなり寝るなり自由である。 (ちょーっち遅い時間やけど、外行って涼もう) 日付が変ろうとしている時間ゆえ、桟橋にも岸壁にも誰もいなかった。 外に出てきて鎮守府を振り返ってみると、もういくつか光を放出していない窓もある。 (でも提督は絶対起きてるんやろな) 書類関係の面倒臭そうな執務がまだ残っているだろうから、 任務を終えた第一艦隊の面子は眠ることができても、提督はまだ眠ることはできないだろう。 お疲れなこったと他人事のように考えつつフラフラと岸壁を歩いていると、 何か硬いものを踏んづけた。 足を退けて拾うと、それは最近建造された潜水艦「伊168」が持ち歩いていたものだった。 彼女はこれのことを確か「スマホ」と言っていたような。 「そういえばイムヤは今夜遠征だったっけ。 2時間ほどで帰ってくるとはいえ無用心やなぁ」 それを拾ってから、長い時間は経っていないが日付が変わった。 龍驤は人より好奇心が大きい。 そのため、目新しいものに自分の時間を奪われるのも無理はなかった。 テレビなどと違い画面に直接触るという操作には少しの慣れを要したが、 もうそれを色々弄くりながら1人笑うようになっていた。 今一度付け加えておくと、それは人(?)の私物なのだが。 「あっはっは! あーっ、ホンマおもろいなーこの話」 スマホにはごちゃごちゃとアプリが入っていて、 その中にある、笑える話をまとめたアプリを見ていた。 一通り楽しませてもらったのでアプリを閉じ、 他の面白そうなアプリを探していると一つ目に止まったものがある。 「……ん? Hな話?」 何の躊躇いもなくそれを指で触れて開いた。 そこには人によっては抵抗があるかもしれないタイトル文、 あるいは誰でも開いてしまいそうなタイトル文などが多く羅列していた。 このアプリを目にして頬を染める者、先ほどの龍驤のように笑う者など 人によって反応は異なるだろうが、龍驤は苦笑いという反応を見せた。 「うわぁ……、あんまりイメージできんけど、イムヤもこういうの見るんやなぁ」 しかし、あまり興味なさそうな顔で羅列している文章を流し読みしていた龍驤も 一つ気になるものがあったので手を止めた。 「『好きな人に胸を揉まれると大きくなる』?」 龍驤は日本では唯一のフルフラットの空母であると語られてきた。 他の多くの空母は豊満な肉体でこの現代に蘇ったのに対し、 龍驤だけこのような肉体として蘇ったのもそういう根拠があるためである。 だから少なくとも龍驤自身もそのことに関してはコンプレックスを持っていたのであるため、この話には食いつかざるを得なかった。 「……でも、実践してみる価値はありそうやねぇ。でも、誰にもんでもらえばええねん……」 確かにこれはなかなかの問題である。 この女の子しかいない鎮守府ではあるが、何も全員が百合キャラというわけでもない。 というかその話を聞いたことがないくらいだ。 かすかな希望といえば榛名姉さんくらいか。あの優しい榛名姉さんなら、お願いすればやってくれないこともないだろう。しかし…… 「せめて男がいればなぁ……」 と、龍驤が思った瞬間である。 唯一身近にかつ、絶対的な存在に気づいた。 「なんや、男いるやないか!! フフフ……、思い立ったが吉日やね!! 早速行動や、まずはアレとアレを用意して……と」 時刻ももうすぐ夜中の12時にさしかかる頃合いだろう。 他の艦娘に気づかれないように独自の準備を進め、そして装備が整った次第『ニヤリ』と微笑を浮かべた龍驤は、ある人物がいる部屋へと向かって行った…… ――――――――――――――――――――――――――――――――― ところ変わってこちらは提督室。 全艦娘が解散しても秘書艦だけは特別に仕事が残っている。 と言ってもお茶汲みや書類の確認など簡単なもので、あとは提督との雑談を楽しむだけだ。 ――駆逐艦『時雨』が今の提督の秘書艦である。 秘書艦といっても、作戦内容や戦況によってはコロコロと変わるものであるから、 その名前に対してその立場は不確定であることが多い。 このことを時雨本人はあまり快く思ってもいなかった。 が、それを口に出すわけにもいかず日々悶々とした日々を過ごしていた。 そして今日も1日が過ぎようとしていた。 「時雨、今日もお疲れ様。後はゆっくり休んでおいで」 「ありがとう。……提督」 「ん? どうした?」 「なぜ僕を秘書艦にしたの? 僕より有能な駆逐艦は沢山いるんじゃないかな。島風ちゃんとか雪風ちゃんとか」 「んー……島風はまだお子様な部分があるから仕事は頼みづらい部分もあるし、 雪風はこう……ドジな香りがするんだ」 「香り……?」 「そう……香りだ」 「……変態さんだね」 「なんだと?」 「あはは……ごめんね。少しからかいたくなってしまっただけだよ。じゃあ僕はこれでお暇するね」 と部屋を後にしようとしたときであった―― 「提督ー―――? お疲れ様です! お茶をお持ちしましたー……ってあれ?―――」 と、扉を開けて入ってきたのは龍驤であった。 もちろん時雨と提督は絶句してしまったのは言うまでもない。 「ど、どうしたの? 龍驤ちゃん」 しかし驚いたのは時雨たちだけではなかった。 龍驤自身も驚いていた。 「(どうして時雨がまだ部屋にいるん!? 時間的にはもう大丈夫なはずやったのに!)」 「龍驤ちゃん?……」 「(はっ! いけないいけない)イ、イヤー。実はウチも寂しくてのぉ、提督とお話したかったんやけど、まさか時雨ちゃんがまだいるとは思てなくてなぁ」 「あ、ごめん。そういうことなら僕ももう部屋にもどるとこだったから気にしないで。それじゃ」 「ほなきにせんどいてええよ。ほなゆっくり休みぃな」 「うん。お休み」 そう言い残し時雨が部屋から出て行ったのを確認すると、龍驤は提督に向かってグイグイと近寄った。 「提督、いきなりごめんなぁ……ホイ、とりあえずお茶でもどうぞー」 「あ、あぁすまないな、龍驤」 もらったお茶をグイッと一飲みしため息をついた時、龍驤が満面の笑顔でいることに気づいた。 「どうした、龍驤?」 「イヤ、嬉しいことがあったんよ」 「ほぉ、それは俺も気になるな。なにがあったんだ?」 「そうやねぇ、正確にはあったんじゃなくてこれからやね……」 「うん? どういうことだ……………!?」 その時であった。急に視界が曲がったと思ったら意識が急に遠のいてきた。 これは――睡眠薬か。 「龍驤お前……―――――」 提督の意識が落ちる前に見たのは龍驤の艶かしい笑顔だった……。 ――――――――― ……ズチュッ――― ズニュゥゥゥ………ズチュ――― 水音が混じった単調な音が聞こえてくる。 これは一体なんなのか? 睡眠薬の効果も薄れ始め、覚醒しつつある意識の中まず確認できたのは音であった。 そしてだんだんと手足の感覚が戻ってくる。 (手首に違和感……これは縛られているのか?) しかし縛られているといっても血流が止まるほどきつくもないが、結び目を解けるほど自由でもない。 (この状況、手が自由に動かせない今、全身の感覚が戻るのを待つしかない……か) と、思考を巡らせるまでに意識が回復した頃には温度の感覚も戻ってきた。 体が妙に生暖かい。これは―――人か? (しかしこの下腹部の妙な感覚はなんだ? まだ全身の感覚が戻らないのがもどかしい) (ああ、視覚も戻ってきた……) そして一回思いっきり目を瞑り、あけた瞬間目に飛び込んだのは、 艦娘というには程遠い一糸まとわぬ少女と呼ぶにふさわしい姿をした龍驤であった。 「な、お前、何やってるんだ!?」 「ん……ぁぅ……あ、提督。目が醒めたんやね」 「何のつもりだ、っう……」 よく見ると彼女は自分の陰部に提督の陰茎を差し込んでいた。 「こらやめっ……」 「んあっ、……はぁっ……。ねぇっ……提督も、気持ちいいっ?」 「ば……馬鹿っ、離れろっ」 「あはっ! ……こんなに、硬くして……説得力っ……ぁっ……ないでッ!」 自分の膝に手を置いてピストンしていたが、やがて体勢を変える。 さらに水音と快感が増した。 「んっ……ぃあ……んんぅ……んあっ、あっ」 「もう……出ちまうからっ……離れろッ!」 「ええん……よっ! 中に、出したってぇ……っ」 喘ぎのテンポも上がっていく。 「ダメ……っだ! 龍驤っ!」 「いいんやっ! 出してもらうでっ……提督の……精液っ……あっ」 正直これ以上は持たない。 それぐらい龍驤の腰使いは激しかった。 龍驤に促されるままに提督は装填した弾丸を砲撃した。 「う……くっ! ……出るっ!」 「ウチも、イクでっ……んっ……はぁっ! ……イク……イクゥゥゥゥゥ!! ……」 ビュルルルル!!――― 熱い弾丸は龍驤の最奥に注がれる。 最奥で弾丸を直撃した龍驤もそれにやられて果てることとなった。 「はあぁっっ……んあああぁぁぁ! でてりゅうぅっっ! ていとくのだんがん、いっぱいでてりゅでぇっっ! あはぁっ!!」 ―――「はぁっ……はぁっ」 「気持ちよかったでぇ……提督……これでウチの胸も大きなって『ぐらまらすなぼでぃ』になるんやろなぁ……フフ……」 「お前わざわざそんなもののために俺を……」 「あー、そんなものとはヒドイなぁ、提督ゥ……。ほな! じゃあもう一回やな!」 「あ……やめっ! ……あっ! ……」 「凄いでぇっ! 提督の出したお汁と、ウチのお汁が混じってすごぉくヌルヌルでさらにキモチイやんけっ……んぁっ? あはっ!?」 ―――ズチュっ! ジュボォっ! ビチャっ! 提督の陰茎が龍驤の膣をかき回す。 1回目よりも2回目の方が龍驤の言うとおり、愛液と精液がローション代わりになって、余計龍驤の膣の感触を際立たせる。 いや、それだけではない。龍驤が腰を浮かせるたびに漂ってくる、 龍驤の女の子の甘い匂いと愛液の淫猥な匂いが混じって麻薬のごとく理性を麻痺させる。 「体中も汗とお汁で一杯やっ! ウチ……あっ! ……こんなの初めてやっっ!! 絶対おかしなる……でっ!!」 先ほどよりもさらに深く腰を埋めてくる。 陰茎の先端にコリッとしたものがあたる。 子宮口だ。 「あはっ! しきゅう!! コツコツ……コツコツって!! お腹が持ち上げられてっ!! しあわせなのぉぉぉっっ!!!」 「りゅう……じょうっ!! 俺もぅっ……ダメだっ……また出るっ!! ……」 「ええよっ、出してっ!! ……ウチの中に出してぇぇっっ! しきゅうにだしてぇぇぇっっっ!! しきゅうがっ……ていとくのっ……せーえきのにおいがするまでだしてぇぇぇぇっっっ!!」 もう提督には耐えるすべなどなかったのだ。 まるで龍驤の子宮は己の意思を持っているかのごとく収縮を繰り返し、提督の精液を吸おうと亀頭に密着し離れない。 さらには膣はウネウネと動き、陰茎を自在にしごき、絞り出そうとしている。 「あぁっっ!! でるっ!!」 「イク……イクッ……イクイクイクイクイクぅぅぅぅっっっっ!!」 ブビュルルルルルルルッッ!! ―――「あはぁん……せーえきぃ……てーとくのせーえきすごいでぇ……」 「りゅう、じょうっ……!」 ここまでされるとさすがの提督も体は正直だった。 もはや瞳孔が開ききっているかの如く、龍驤の目は据わっていた。 しかしその姿はとても美しく、可愛くもあり――淫猥すぎた。 これは、完全に快楽に堕ちた者の目だということを提督は知らない。 そして提督の陰茎は再び元気を取り戻した。 「すごぉいっ!! 提督、まだいけるんやねっ!! ウチ、まだ全然たりひんわっ!!」 「りゅう……じょうっ……―――」 そこで提督の意識は切れた。 あとは無限に続く快楽に身を任せるだけだ。 ドロドロに混ざった淫液。その匂い。 汗と淫液で濡れたお互いの体。感じる他人の体温、息遣い。 体を重ねるということはこんなにも幸せなのか。 こんなにきもちのいいことが永遠に続く。 それはとても幸せなことだった……。
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/408.html
ちょっと遅くなったけど、利根改二記念 いちおう前編……のつもり。後編は気が向いたら ## 執務室の窓から見上げる西の空は、影が差すように黒い雲で覆われていた。 僕はそれを見て、日が落ちる前に雨が来るなと思った。 「遠征に行った皆が、降られないと良いけど……」 朝も開けきらぬうちから、天龍さんに連れられて、南方海域へと赴いた駆逐艦娘たちのことを思う。 僕よりも更に幼く見える彼女たち。遠征で疲れた彼女たちを迎えるのが、冷たい雨などということになるのは忍びない。 だけど、適正があるというだけで、知識も経験もない僕に出来ることといったら、執務室からみなの無事を祈るだけ。 せめて身体を冷やさないように、お風呂の準備をしておこうかなどと考えていると、ノックの音と共に、執務室のドアが開いた。 「提督よ、天龍たちが遠征から無事帰投したぞ……どうした、何を黄昏ているのじゃ?」 そう言いながら執務室に入ってきたのは、僕の秘書艦で、つい先日、改二になったばかりの利根さ……利根だ。 この鎮守府に配属されたときから、秘書官として僕の世話係のような役回りをこなしてくれている。 なんでも、彼女に言わせると、僕には彼女の「お姉さん心」をくすぐるものがあるらしい……ちぇ。 「そうか、良かった。雨が降りそうだったから、みんな、その前に帰ってこられるといいなと思ってたんだ」 僕の言葉を聞いた利根は、コロコロと鈴を転がすような声で笑った。 こんな可愛らしい声なのに、一人称は“我輩”なのだから、初めて彼女と話した人は大概面食らう。 「うむ、優しいことだな、提督よ」 こんな時の彼女の眼差しは、本当に優しくて、僕に姉が居たならば、こんな風なのだろうかと思うときがある。 その優しい眼差しのまま、利根は「じゃが」と言葉を続ける。 「じゃが、考えもみよ。 時に大時化の荒波を渡る我ら艦娘にとって、夕立など濡れたうちにも入らんぞ?」 「うっ……」 確かにそれもそうだ。お風呂の準備などと呑気なことを考えていた自分が恥ずかしい。 僕が黙り込んで俯くと、利根はその頭を優しく撫でてくれた。 「艦娘に、優しすぎるのではないか、我輩の提督よ? お主の職責を考えれば、その優しさは人に向けるためのものはずじゃ」 利根の言葉は、確かにその通りだ。 提督として振るう権限は、つまるところ深海棲艦を退け、人類を救うためにこそある。 けど、だけど……。 「僕には、艦娘を人じゃないなんて思うことは出来ないよ、利根さん」 艦娘は兵器だと、人類を救うための手段であると、提督として国に引っ張りあげられたときに教えられた。 だから、艦娘の浪費は許されない。しかし、損耗を恐れてもいけない、とも。 僕も、提督として赴任するまではそう信じていた。 俯いたままの僕を、利根さんは抱きしめる。 戦うためにあるはずのその身体は、とても温かく、そして柔らかい。 「愚か者め。秘書艦のことくらいは、呼び捨てろと言ったぞ」 「……うん」 「愚かで優しい、我輩の提督よ。だが、我輩は、お主のその心を嬉しく思う。 我輩たちは紛れもなく兵器ではあるが、同時に人を守る意義を知るための心も備えているからな。 まあ、良いのかもしれん、一人くらいは艦娘のために戦う提督がおっても。そして、その変わり者が我輩の提督であっても」 「ありがとう……」 僕の背をさする利根さ……利根の指は、何処までも優しい。 どこか甘やかな大人の女性の匂いに包まれて、僕は不意に恥ずかしくなった。 利根は改二になってから服装が大きく変わり、それまでのタイトなミニスカートから、丈の長いロングドレスになっている。 それは良いのだけれど、そのスカートには深いスリットが入っていて、その、つまり、 抱きしめられると俯いた視界に、すんなりと形の良い太ももと、その付け根が見えるわけで…… 「あ、あの、利根、そろそろ……」 「ん? なんじゃ提督、恥ずかしくなったのか?」 ぬふふ、とさっきとは明らかに違う感じの笑い声が頭の上から響く。 「い、いや、ほら、執務……続き……」 ……良くない。この体勢は非常に良くないように思う。 「ふふ、提督よ。今更、何を恥ずかしがることがある? 我輩とお主の仲ではないか」 「な、仲って……それに、執務……」 「つい先だって、お主を男にしたのは、他でもない我輩ではないか! 互いの身体のことで知らぬ事のない者同士、何を恥ずかしがることがある。 それに、お主の執務時間は残り30秒じゃ。秒単位で提督の執務時間を把握する我輩は、まさに秘書艦の鑑だな! 褒めてもよいのだぞ、提督」 「えっと、えっと……その……」 「にーじゅう……じゅーきゅう……」 焦って言葉を捜す僕の頭の上で、どこか楽しげな利根のカウントダウンが始まった。 「ごーぉ……よーん……さーん……にーぃ……いーちぃ……ぜろっ! 本日の執務終了じゃ!」 無情にも執務時間の終了を告げる声と共に、くい、と僕の顎が持ち上げられた。 比較的、長身の女性が多い重巡の艦娘の中にあって、利根は例外的に小柄と言ってもいい身長をしている。 しかし、それでも僕の視線より高い位置にある瞳が、真剣に僕を見つめていた。 零れ落ちそうな大きな瞳、いつも強気そうな細い眉、すんなりと通った鼻梁、柔らかなカーブを描く頬、桜色の唇。 愛らしい美貌と言っても良いはずだ。僕は、魅入られたようにその瞳から目が離せない。 「それとも提督よ……我輩と気持ちよいことをするのは、嫌いか?」 ごくり、と僕の喉が鳴った。 貼りついてしまったかのように、視線がそらせない。 僕は即座に、負けを悟った。 「……好き、です」 それが僕の降伏の言葉だった。 花が開くように、というのだろうか。 目の前にある利根の顔一杯に笑顔が広がる。 そして、抱きしめていた僕の身体を離すと、それが当たり前のことであるかのように、利根は僕の手を引いて歩き出した。 まるで、弟を連れて歩く姉のように。 「では、参ろうか」 この国の法律では、あらゆる意味で大人と認められない年齢の僕だけれども、 利根のその言葉に“何処へ”と質問するほどには、子供ではなかった。 後編 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/296.html
575 :6-632:2014/02/16(日) 01 32 34.82 ID JqguoOTp 「ここまでいろいろあったな」 俺は愛する妻にこう言った 「そうですね。あなた」 妻はこう答えた 皆が祝福するなか俺たちは夫婦として、新たな道を歩み始めた 思えば数か月前俺が指揮官として初めて着任したこの泊地で同じく初めて艦娘として着任したこの子 最初は2人だけで数度任務をこなしていった 「司令官、これはどこにおけばよろしいですか?」 彼女は俺に聞いてくる。戦うためにつらい訓練に耐えてきた彼女には失礼だが、雑用をさせてしまった 「あぁ、その辺に転がしておいて、あ、段ボールは捨てないで。机にするから」 椅子も机もない寂れた部屋で本当に指揮が執れるのかただただ不安だったが、 彼女は常に俺の為に頑張りますと言って励ましてくれた。 徐々に着任する艦娘も増えて、連戦連勝。 しかし、厳しくなる戦いを前に彼女に出撃命令を出さなくなった。 俺は、艦娘を1人殺してしまった。 慢心だった。 それ以来俺は彼女を失いたくないと戦場に送ることを拒否し続けた。 事態が変化したのはキス島撤退作戦だった。 久しぶりの旗艦に彼女は張り切っていた 途中何度も何度も撤退しては出撃しを繰り返し 彼女たちに大きな負担をかけてしまった。 その時俺は気づいた。彼女に恋をしているんだと。彼女が好きなんだと 俺は思いを告げた。降られるのを覚悟で 俺の言葉を聞き彼女は涙を流した。そして 「私も、司令官の事が大好きです」と一言返してくれた 俺と彼女が付き合うようになってから数週間後の事だった。 いつものように半舷休息でデートに出かけた俺と彼女 不意に、彼女が俺の唇を奪ってきた。 俺は我慢ができなかった。 そのまま彼女の胸をさわり、服の中に手を入れ乳首を優しくつねる ビクンと彼女の身体が反応する。 そのまま彼女の個室へ行き。服を脱がす。ほんの少し、申し訳程度に膨らんだ 乳房を優しく揉み、乳首をこねくり回す。 甘い声が彼女の口から洩れる。 この声を打ち消すかのように、彼女の唇に自分の唇を重ね、舌を彼女の口内へ侵入させる 彼女も俺の舌を拒絶することなく、舌を絡ませる。 その間手は上半身からお腹を経て下半身まで到達しようとしていた 彼女の手も俺のペニスを掴み扱いてゆく 長いキスの後、唇を離し優しく彼女の乳首を舐めまわす、しゃぶり、吸い付き その間も手は彼女の性器を、クリトリスを刺激する。 もちろん男性経験などない彼女の性器は指1本すら進入を拒む 優しくほぐし、俺のペニスを受け入れる事ができるまで 彼女の心の余裕ができるまで、膣口とクリトリス。そして乳首を入念に愛撫する。 無論全く濡れて居ないわけではなく、奥からどんどん愛液が染み出し その狭い膣口は指ではなくペニスを欲するようにいやらしく滑り、 期待するようにうごめいている 「司令官、私は痛くても、怖くても司令官とひとつになりたいです」 そう彼女は俺に言ってきた 初めて受け入れるペニスを扱きながら、恐怖で震えながらも健気に彼女は俺に 言ってくれた。彼女の勇気。無下にはできまい。 俺は彼女と交わした約束を守るため、ペニスにコンドームを装着した さすがにカウパーで濡れて居ない分。彼女に負担がかかるであろう事は計算していたので コンドームの先端にローションを塗り、ペニスを彼女の膣口へあてがった 「吹雪、愛してるよ」 言い彼女に再度キスをして、腰を進める 「司令官・・・。痛い、痛いよぉ」 ペニスが半分ぐらい入ったところで俺の腕にしがみ付き、苦痛で顔をゆがめて大きな声で俺に言う。 「ごめん、もう少しだから。もう少しで全部入るから」 俺はこれしか言えなかった。俺は少しづつ確実にペニスを奥に進めてゆく 「吹雪、全部入ったよ・・・。こめんな、痛いよな」 彼女の性器が俺のペニス全部を飲み込み、腰と腰を密着させた状態でこう告げる 破瓜の痛みから彼女は大粒の涙を目に浮かべながら自分の股間の状態を確認する そじて目視で俺と完全に一つになっていることを確認すると 「司令官。すごく痛いです。でも私、司令官と一つになれて幸せです」 痛みに耐えながらではあるが、彼女は幸せそうな表情を見せる。 それがたまらなく愛おしくて、繋がったまま彼女を抱きしめる 「司令官、動いていいですよ」 抱きしめた状態で彼女が弱弱しく言ってきた 俺は腰をゆっくりと降り始めた やはり痛いらしく、苦悶の表情を見せる。 しかし腰を振り始めた俺にはペニスに伝わる快感に負け彼女を想うどころか まるでサルのように腰を振り続ける 処女であったが故にキツイ膣内。初めて受け入れるペニスを排斥するかのように 強く締め付ける。 それが彼女の膣の形をしっかりペニスに伝え快感が増幅される。 痛いながらも彼女も感じており、破瓜の血液にまじり奥から愛液が次々と溢れてくる それが潤滑剤となり、ペニスを抽出する速度が上がる。 速度が上がるにつれ、膣の締め付けも大きくなり もう彼女を気遣う余裕すらなくなっていた。 「吹雪!吹雪!」 俺は彼女の名前を何度も呼び、彼女も応えるように「司令官!」と言ってくれる 快感なのか苦痛である旨を申告しているのかはもうどうでも良かった 俺は、一番深く彼女にペニスを突き入れるとそこで大量に射精した。 射精後コンドームから精液が漏れぬよう慎重にペニスを彼女から引き抜き コンドームに溜まっていた精液を見て驚いた。オナニーよりもはるかに濃く量も多かった。 「司令官の、赤ちゃんの素・・・。たくさん・・・」 彼女もそれを見て驚いた表情で、息があがっていながらもそうつぶやいた 「吹雪、ごめん俺途中から・・・。」 シーツには彼女が処女であった証の鮮血がしっかりとついていた。 それを見た途端途中から彼女を気遣ってやれなかった自分の情けなさと 彼女にひどい事をしてしまったのではないかという気概から彼女へ謝罪した そして今日、俺がこの泊地へ新人提督として着任した時から傍にいてくれた 最愛の吹雪と「ケッコン」したのだった。 誓いの儀式で彼女の薬指に指輪をはめた瞬間ポロポロと涙を流していた ブーケトス。ブーケを受け取ったのは奇しくも金剛だったが その金剛ですら 「吹雪ちゃんはずーっと提督の傍にいたから、悔しいけど仕方ないネ」 と祝福をしてくれた 「提督浮気はノーだヨ。吹雪ちゃんを泣かせたら許さないんだからネ」 と真剣な顔で言われるオチも着いたが。 「司令官。いえ、あなた。その今日からもずっと宜しくお願いしますね」 いつもの笑顔を俺に向けてくれる妻。吹雪。 「あぁ、ずっと一緒だ。愛してるよ吹雪」 自然と口から言葉が出る 「そ、それと今日から約束通り、ひ・・・避妊はしなくていいですから」 付き合った時に決めた吹雪との約束 『もし、エッチするときはケッコンするまで絶対に避妊をする。コンドームをつける』 そしてその夜から避妊はしなくなった 「吹雪、無理するなよ。もうお前一人の身体じゃないんだ」 吹雪とケッコンしてもう約1年は経つだろうか 吹雪のお腹の中には俺と吹雪の愛の結晶がすくすくと育っている 俺は身重な吹雪の身を案じ艦隊勤務から外したのはよかったものの 『この子がある程度大きくなったら、またがんばっちゃうんだから』 と言い泊地での雑用をこなしてくれている いや、実際に吹雪以外に雑用をされると逆に違和感しかないので、これはこれで 俺としても『アリ』なんだが。 作業もひと段落して、愛する妻の膨らんだお腹を撫でる 「早く会いたいな。この子に」 俺は吹雪に語りかける 「はい。私も早く会いたいです」 吹雪も柔らかな笑顔を俺に向ける その時だった、吹雪のお腹の中の子がトントンとお腹を蹴ったのだ 「今」 「動いたよね?」 柔らかな空気が俺たち二人を包んでいた +後書き 580 :6-632:2014/02/16(日) 02 37 42.48 ID JqguoOTp 以上、ケッコンカッコカリ実装記念でした。 私安定の【 妊 娠 エ ン ド 】でしたが 当初の構成ではエロ抜きほのぼの系だったのにどうしてこうなった。 実際問題一番ケッコンに近い艦娘は皐月だし、初投稿、初孕ませの皐月は一番お気に入り の子(いわゆる俺の嫁)だけど吹雪にした理由は初期艦にしたから やっぱいケッコンカッコカリネタだけに、苦楽を一番共にしてる初期艦にしたいなと 今後の投稿予定は 1.ソチ金メダル獲得記念で「ヴェールヌイ」の話の響視点 2.(俺の嫁)の皐月の続き(ボテ皐月とエッチorアナルエッチ) 3.あと1ヶ月の命「曙」×寝台特急「あけぼの」ネタ のどれかにしようかと。 まぁ、一番濃厚なのは「あけぼの」かな?昨日発売のラストランの寝台券が 午前10時00分00秒発売開始。午前10時00分00秒57完売ってタイムリーな時事ネタあるし・・・。 では、乞うご期待