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【殲滅白書その2】 そこは、先程までサーシャと五和が居た時計塔だった 五和「うーん……ここは……ッ!」 目を覚ますと、自分が椅子に座らされ、ロープで体を固定されている事に気付いた ヴェロニカ「お目覚めかしら?五和さん。」 五和「何の真似ですか!こんな事!」 ヴェロニカ「暴れない方がいいわよ。タダのロープじゃないから。」 五和「ッ…!」 ヴェロニカ「それよりも、早いとこ話を進めましょう。単刀直入に話すけど、 あなたにサーシャ・クロイツェフにここに来るように言ってほしいの。 本当はサーシャを直接誘拐した方が手っ取り早いのだけど、彼女は中々強いし、 たぶんオルガ一人じゃ勝てなかったでしょうから。出来るだけ穏便に事を運びたかったのよ。」 五和「で?それを私が承諾するとでも?あなた達は一体何者なんですか!?」 ヴェロニカ「はぁ、めんどくさいわね。こういう強気で正義感のある人って本当にめんどくさい。私達は殲滅白書のシスターよ。」 五和「殲滅白書!?ということは!」 ヴェロニカ「そうよ。理解してもらえた?ならさっさと指示に従ってくれるかしら?」 五和「聞いてなかったんですか?私は嫌だと言ったんですよ?」 ヴェロニカ「そう。じゃあ、ここで死ぬけど良い?」 五和「そんなものが脅しになると思ってるんですか?」 ヴェロニカ「へえ、面白い事言うじゃない。」 ヴェロニカ「じゃあ、ここであなたが断れば戦争になるけど、それでも良いかしら?もちろんあなたにもここで死んでもらうわ。」 五和「戦争ですって!?」 ヴェロニカ「私達はそれを避けるために取引してるのよ。一体戦争でどれだけの人間が無意味に死んでいく事か。 私は嫌だし、あなただって嫌でしょ?」 五和「……」 ヴェロニカ「この作戦が成功すれば、誰も死ななくて済むの。平和的でしょ?だかr」 五和「ふざけるな!!!」 ヴェロニカ「!?」 五和「何が平和的ですか!そもそもあなた達が勝手に人殺しを始めようとしてるだけじゃないですか!! サーシャちゃんを引き渡せば誰も死なない?だから平和的?ぜんっぜんおかしいですよ!!」 ヴェロニカ「そう。じゃあ戦争しかないわね。あなたのせいで無関係なシスターさんが沢山死ぬのね。心が痛むわ。」 ヴェロニカ「そう言えば、サーシャはあなたの友人だったかしら?友情と多くの人間の命、はたしてどっちが重いのかしらね?」 五和「サーシャちゃんは……あなた達から逃げて来たんですよね……?あなた達が誰も助けてくれないから、 だから私達に救いを求めてきたんですよねぇ!!だったら答えなんか最初から決まってます!! 例えどんな人でも、どんな事情があっても、敵でも味方でも、友達でもそうじゃなくても!! 救いを求める人に手を差し伸べるんですよ!!」 五和「救われぬ者に救いの手を!!それが私の唯一の信念であり、戦う理由ですから!!」 ヴェロニカ「……」 五和「戦争でも何でも勝手に起こせば良いじゃないですか!! 私達は、自分の命惜しさに仲間を売る様な弱い集団ではありませんから!! あなた達みたいに、痛む様な心なんて持ってない人達には負けませんから!!」 その目に確かな意思が宿っているのをヴェロニカは感じた どんな言葉も脅しにも屈しない、そんな強い目をしている ヴェロニカ「クッ…この…!」 ローザ「ヴェロニカ、落ち着いてください。」 ヴェロニカを宥め、五和の方を向くローズ ローズ「戦争を起こしたくないというヴェロニカの言葉は本当です。 そして、彼女は本当はこんな手荒な真似もしたくはなかったのです。 もう一度考え直して下さい。本当に私達の申し出を断るのですね?」 五和「しつこいですよ」 ローザ「そうですか。」 そう言うと、ローザは透明な液体の入った小瓶と、口紅を取りだした 最初にその小瓶に薬指を軽く入れ、指先に付いた透明な液体を唇に薄く塗った そして次に、紫色の口紅をその上から塗る ローザ「こちらとしてもあまり時間を掛けたくはありません。これも少々手荒な真似になりますが…」 ローザは五和に顔を近づけた 五和「一体なにをむぐ…」 五和の唇を塞ぐローザ すると、ローザの唇の紫が、五和の唇へと移っていく 五和「これは…」 ローザ「自白剤みたいなものですかね。宗教裁判や魔術師の尋問で、本当の事を喋らせる薬みたいなもの… といっても、実際は単に人の心を操って都合のいい事を喋らせたりするだけの薬ですけど。」 五和「心を操る!?」 ローザ「似たような薬はイギリスの処刑塔でも使われていたみたいですけど?まあもっとも、 今はこれに対抗するための薬もありますし、裁判や尋問での使用が確認されたら判決が無効になってしまいますが。 効果時間もせいぜい一時間程度と長いとは言えませんし。」 ローザ「ですから、手っ取り早く私の指示に従ってもらいましょうか。」 五和「うっ…」 視界がぐにゃりと歪んだ 自分というものがどこかへ消えていきそうな感覚… 覚えているのはそこまで ローザ「では、早速ですがサーシャ・クロイツェフをここに呼び出してもらえますか?」 五和「はい」 五和の目には、先程の様な強い意志は微塵も無く、光すらも感じられない Prrrrr サーシャ「おや、誰からでしょう?」 ディスプレイを確認すると、発信者は五和だった なんとなく嬉しくなって顔がニヤけてしまう サーシャ「第一の質問ですが、どうかしましたか五和?」 五和「……さい」 サーシャ「第二の質問ですが、よく聞き取れないのでも少し」 五和「時計塔の最上階へ来て下さい。」 サーシャ「第三の質問ですが、今からでしょうか?しかし、もう遅い時k」 五和「来てくれないと私……死にますよ?」 サーシャ「五和?…一体どうしたのですか!?」 五和「ちなみに、一人で来て下さいね。もしも誰かと動向を共にしていたり、 周囲に魔術師およびシスターの存在を確認したら、すぐに死んじゃいますから。」 サーシャ「五和!?いt!!」 そこで電話が途切れた サーシャ「五和……」 アニェーゼ「どうしたんですか?なんか叫んでたみたいですけど」 ルチア「五和という言葉が聞こえましたが、天草式のですか?彼女に何が?」 サーシャ「第一の解答ですが!すみません!ちょっと用事が!」 アニェーゼ「サーシャ、私達は仲間ですよ。それを分かってますよね?」 サーシャ「……第二の解答ですが、それでもこれは私一人で行かなければなりません。」 そう言うと、サーシャは二人の前から逃げるように走り去って行った ルチア「…アニェーゼ、これは」 アニェーゼ「分かってますよ。サーシャは一人で抱えたりはしません。おそらく、誰にも言えない状況なんでしょう。 そう脅されてるんだと思います。部隊で今すぐ動ける人間を集めて下さい!それと、すぐに天草の方に連絡を!」 ルチア「分かりました!」 サーシャは無我夢中で走っている どう考えてもおかしい。五和があんな事を言うはずが無いし、それ以前に明らかに友人を呼び出す様な口調ですらない 嫌な予感がする 唯一心当たりがあるとすれば、彼女がかつて所属していた殲滅白書… サーシャ「はあ…はあ…」 さすがに寮から時計塔までは、遠くは無いがそれなりに距離はある 全速力で走って来たので、さすがのサーシャでも両手を膝小僧に乗せて体重を掛け、息を切らしていた それでも止まるわけにはいかない サーシャは時計塔の壁を調べ始めた。すると、今日自分と五和が発見した秘密の扉はすぐに発見できた。 帰り際に結界を修復して元通りにしたはずなのに、その結界が再び破られ、扉が露わになっている。 サーシャ「間違いありませんね。」 サーシャはいくつかの扉を開け、再び巨大な魔法陣の中心に立った サーシャ「五和、今助けに行きますよ。」 サーシャの体は最上階へと移転されていった サーシャ「……やはり、あなた達でしたか。」 オルガ「やっほー♪久しぶりだねー!」 サーシャ「第一の解答ですが、馬鹿を相手にしてる時間はありません。」 オルガ「酷ッ!」 サーシャは移転先で最初に遭遇したオルガを無視し、中央の一番大きな扉を開けた ヴェロニカ「あら、早かったわね。」 サーシャ「第一の質問ですが、どういう事でしょうか?」 ヴェロニカ「安心して、彼女は傷付けてないから。ちょっと心を操らせてもらってるけど。」 サーシャ「五和!」 五和「……」 親友の声にも全く反応しない。 彼女の右手にはナイフが握られている。 ヴェロニカ「さて、おとなしくロシアまで同行してもらえるかしら?」 サーシャ「第一の解答ですが、私はイギリス清教所属のシスターです。 こんな真似が許されると思ってるのですか?それに、なぜ私なんかを?」 ヴェロニカ「大義名分ってやつ?それなら問題無いわ。あなた、国際指名手配犯だから。」 サーシャ「なぜ…?そんな…」 ヴェロニカ「容疑は国家機密情報の漏洩に関する何とかかんとか。まあ身に覚えは無いだろうし、 嘘なんでしょうけど。その他にもテロ計画や国家反逆罪とかまあ適当に寄せ集めて色んな容疑をかけられてるみたいよ? とんでもない冤罪ね。当然、国籍の離脱なんて却下されてるわ。」 サーシャ「第二の質問ですが、どうして私ごときのためにそんな…」 ヴェロニカ「あなたを欲しがっている人が居るみたいよ?まあどうでも良いけど、そう言う事だから大人しく連行されてもらえないかしら?」 サーシャ「第三の質問ですが、拒否した場合は?」 ヴェロニカはローザを一瞥した すると五和は、手にしたナイフの切っ先を自分の喉に当てた サーシャ「……!」 ヴェロニカ「さーて、どうする?」 サーシャ「……分かりました。あなたの言う通りにします。」 ヴェロニカ「そ、物分かりが良くて助かるわ。ローザ、サーシャに手錠と拘束衣を」 ローザ「つまらないです」 ヴェロニカ「ローザ?」 ローザ「もっと抵抗すると思っていたのですが、何ですかその腑抜けた態度は?」 サーシャ「…何が言いたいのですか?」 ローザ「以前のあなたは、もっと自分のすべきことに対して冷徹で一途だったはずです。 いつからそんな顔をする様になったのですか?」 サーシャ「質問を繰り返します、何が言いたいのでしょうか?」 ローザ「甘いと言ってるのですよ。まさか友情とかいう幻想に絆されて こんなにもあっさり受け入れるなんて、甘過ぎるのですよあなたは。」 サーシャ「幻想なんかじゃありませんよ。」 ローザ「幻想ですよあんなもの。簡単に壊れるし裏切られる。ちょっと信頼して心を許したら、 いつのまにか勝手に退学届を出された上に除籍処分になってるんですから。」 ヴェロニカ「うっ…」 オルガ「それはヴェロニカが悪いですねー」 サーシャ「第一の解答ですが、あなたには理解できないだけです。」 ローザ「理解したくありませんし、殲滅白書にはそんなもの必要ありません。」 ローザ「と言うわけで、目も当てられないほどに腑抜けになってしまったあなたを矯正する必要があるみたいですね。五和!」 五和「はい」 ローザの命令で、五和はナイフを捨て、代わりに槍を構えた 練習用では無い。殺傷能力を持つ海軍用船上槍だ。 ローザ「サーシャ、今からあなたに彼女と戦ってもらいます。もちろん、ちゃんとトドメをさしてもらいますよ。」 ヴェロニカ「ちょっとローザ!あなたいい加減n」 ローザ「黙れ。」 ヴェロニカ「はい。」 オルガ「あちゃー、完全にドSモードに入っちゃってますねー」 アーニャ「眠い…」 サーシャ「第二の解答ですが、あなたは馬鹿ですか?私がそんな事をするわけ無いでしょう?」 ローザ「じゃあ今すぐ五和には死んでもらいましょうか?言っておきますが、本気で戦わなかったら殺します。 あなたがとどめを刺さないなら私が殺します。10分以内に決着を着けなかったら殺します。 ちなみに気絶させるのは無駄ですよ?もともとは尋問用の薬なんですから、気絶なんて生易しい事を許すはずが無いでしょう?」 サーシャ「……第三の解答ですが、私はあなたが大嫌いですこの腐れ外道。」 ローザ「私は昔のあなたなら結構好きでしたよ?五和!」 ローザの合図と共に五和が突進してきた サーシャ「!」 頬を海軍用船上槍の先端が掠め、僅かに血が出る サーシャ(速い、今日の練習の時よりも格段に速いですね) それはつまり、五和が本気でサーシャを殺そうとしているという事だ サーシャ「どうすれば…!」バキン! 術式で強化したノコギリで槍を受け止めたが、その刃が耐えられずに折れてしまった ローザ「どうしたのですか?あなたなら簡単に殺せるでしょう?」 サーシャは今すぐローザの綺麗な顔にバールをぶち込んでやりたい気分になった ローザ「余所見なんてらしくないですね」 ドスッ! サーシャ「うッ!」 槍の柄の部分で思い切り腹を殴打されて、そのまま吹っ飛び、壁に叩きつけられた ドガッ! サーシャ「ぐっ…がハッ…!」 背中に鋭い痛みが走る。脇腹は、肋骨をやられたかもしれない だが、そんな事情などで待ってはくれない 五和は倒れ壁にもたれ掛かってるサーシャを完全に刺殺しようと、凄い勢いで槍を突いてくる サーシャはそれをバールを打ち付けてそらし、さらに槍を下から思いっきり蹴り上げる。 そして五和の体重が後ろへグラついた瞬間を逃さずに、すかさず足払いをして五和を後ろへ転倒させた。 ローザ「どうしたのですか?転んだ今なら殺せますよ」 サーシャ「ぐっ…!」 体がふらつく それでも今ならあのムカツク女を殺せるだろうか? しかし、そんな事を考えている間に再び五和は立ち上がり、サーシャを殺そうとしてくる ローザ「はぁ…とんだ期待外れですね。薬の効果もあと持って3分ってとこですか。人を操るのは難しいものです。」 その言葉はサーシャに希望の光を与えた。あと3分持ちこたえればこの状況から… ローザ「残り2分間を戦わせて、殺せなかったら残り一分の間に自殺してもらいますか。」 希望の光は一転して絶望に変った ローザはそれをわざと狙ってこの様な言い方をした事は、彼女の悪魔の様な笑顔から分かる どうする?後一分で五和を殺さなければ、どのみち五和は自害する 考えている間にも五和に壁際まで追いつめられる サーシャ「そう言えば、五和には好きな人がいるんですよね…?」 五和「……」 サーシャ「第一の解答ですが、あなたにはまだやらなきゃならない事があるはずです。私と違って…」 カラン! ヴェロニカ「サーシャ…どういうつもり?」 サーシャは握っていたバールを離し、床に落とした そして、両腕をゆっくりと広げた。まるで全てを受け入れるかのように ヴェロニカ「いけない!ローザ!」 ローザ「五和!攻撃中止!」 だが遅かった ドスッとサーシャの肉を貫く音が部屋に響く サーシャ「がふ…!ぐっ…がはっ!!」 大量の血を吐き出すサーシャ 腹部を海軍用船上槍で貫かれている 五和は槍を引き抜こうとしたが、サーシャは最期の力を振り絞ってそれを阻止する サーシャは渾身の力で海軍用船上槍の柄を握ったまま、壁を背にして床に崩れ落ちた そこでちょうど三分 魔法が途切れ、五和が絶望する時間が始まる 意識が戻った時、最初に目に飛び込んできたのは、大量の血液が目の前の壁にペンキの様に塗られていた事 次に、その血を絵をなぞる様に下を向くと、金髪の少女が崩れ落ちているのを確認した あまりにも変わり果てた姿だったので、最初はそれがサーシャだとは気付けなかった そして、サーシャの腹部には三股の槍が刺さっている その槍を先端から順にたどっていくと、そこには自分の手が…… 五和「あ、ぁ…あ…あ…ああああああああ!!!!」 五和は槍から手を離し、頭を抱えて膝を付いた どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?なぜ!? なぜ自分が大切な友達をこんな…… サーシャ「いつ…わ…」 血まみれのサーシャが口を開いたのを聞き、五和はとっさサーシャの方を見た サーシャ「に…げて……早く……逃げて……!」 しかし五和はそれを無視する 五和「ああ…早く……早く応急処置を!!回復術式を!!」 五和はヴェロニカ達をどけて自分の鞄を漁り始めた ヴェロニカ達はそれを見ている事しかできなかった ローザ「……なぜです…サーシャ・クロイツェフ…なぜそこまで出来るのですか?たかが友人のために……理解できない…」 ヴェロニカ「仕方ないわ。ここは五和を始末し、早急にサーシャを奪還しt」 ?「させませんよ!」 オルガ「あれー?」 ヴェロニカ「なっ…なぜあなた方が!」 そこには蓮の杖を構えたアニェーゼとルチア他部隊のシスター達が居た 建宮「五和!」 そして天草式も同行している アニェーゼ「どうやら、サーシャの予想通行ルートに殲滅白書のシスターを何人か待機させていたみたいですね。 そのうちの一人をとっちめて吐いてもらいましたよ。後は簡単な誤認術式を発動させて、 10人一組でバラバラにわけて殲滅白書の魔術師を探させました。みんな蜘蛛の子を散らすように逃げやがりましたよ。」 殲滅白書の方は、せいぜい3人一組程度に分かれて監視していた そこに10人一気に来られてはたまらない ちなみに隠れた殲滅白書の魔術師を探し出す役割は天草式の術者が担った。 もともとが隠密行動を得意とする天草式は、逆に隠密行動を行う魔術師を探し出すのにも長けている。 そうしないと、自分達を狙う幕府から生き残れなかった天草式の歴史の賜物だ。 ヴェロニカ「くっ…ここは一端引きましょう!」 アニェーゼ「させませんよ!」 アニェーゼはナイフを取り出した しかし ヴェロニカ「アーニャ!」 アーニャ「どーん」 突然アーニャの周辺に炎が巻き起こり、その炎を壁にぶつけた 凄まじい破壊音と共に壁が崩れる アニェーゼが術式を発動するよりも早く、四人はそこから素早く逃走していった ヴェロニカ「まったく、対象を殺しかけるなんて何を考えてるのよ!」 ローザ「すみません、つい…」 オルガ「サーシャが死んじゃったらどうするんですかー?アタシのサーシャが。」 ヴェロニカ「今はサーシャの無事を祈るしかないわね。作戦を練り直すわよ。すぐに部隊の人間を呼び集めなさい!」 作戦は失敗した それはすなわち、殲滅白書とイギリス清教の小規模な戦争の勃発を意味している 五和はサーシャの前に膝をついている 彼女の目は涙で赤く腫れていた 五和「サーシャちゃん、どうしてこんな…」 サーシャ「いつわ……これでいいのです…」 五和「良くありませんよ!こんなことって…」 涙が止まらなかった 自分の犯してしまった誤ちも、またしても大切な人を守れなかった自分の弱さも 全てが自分を責め立ててくる サーシャ「泣かないでください……あなたは…何も悪くない…」 なぜそんな事が言える なぜそんな笑顔でいられる 五和には理解できない 五和「サーシャちゃん……意味無いですよ、やっぱり……優しさなんて…誰も守れないじゃないですか!!! あなたをこんな目に遭わせてしまうなら、優しさなんてなんの価値もありませんよ!! こんな優しさなんて!!誰かを傷付けるだけじゃないですか!!!誰も幸せになんてなれないじゃないですか!!」 泣きながら激昂し自分を責め立てる五和を、サーシャは優しく諭す サーシャ「そんな事ありませんよ……」 サーシャは自分の血で濡れた手を伸ばし、五和の頬に触れた サーシャ「あなたの優しさに、私は助けられました……もしも五和を殺していたら、 私は一生後悔していたでしょう……一生苦しみ続けていたでしょう……そんな地獄から…あなたは私を救ってくれた。 ……あなたに出会う前の私なら、きっとあなたを殺していた……しかし、あなたが教えてくれた優しさが、 正しい答えを教えてくれたのです……ありがとう、五和……。」 サーシャの顔には苦しみも怒りも無い ただただ穏やかで、優しかった あの時、そう天使の様な頬笑みを見たあの時と同じように 五和「どうして……どうしてあなたはそんな顔ができるのですか…?なぜあなたを殺そうとした私にありがとうなんて……」 サーシャ「決まってるじゃないですか…」 サーシャは再びにっこりと笑う サーシャ「第一の解答ですが、私はこんなにも幸せじゃないですか……」 五和はたまらずサーシャを抱きしめた サーシャは声を上げて泣く五和を宥めるように、よしよしとその頭を優しく撫でてあげる こんな最期も悪くないと思えた こんなに穏やかな気持ちで死んでゆけるなら、それはきっと幸せな事なのだろう ありがとう、五和…… 幸せというものをあなたは教えてくれた…… 顔から血の気が無くなっていく だんだんと痛みも感じなくなってきた 疲れたので、ちょっと眠ろう もしかしたら、もう目を覚ます事は無いかもしれないけど それでもこんなに幸せな気分で最期を迎えられたのなら きっと永遠に幸せな夢を見続ける事ができるかもしれない できる事なら、今度は幸せな夢の中で五和に会いたい もしもまた会えたなら、また私と友達になってくれるだろうか? 大丈夫、彼女は優しいから またあの時計塔に、広場に、一緒に……
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Interface>No Explanation>表現必要性「無」(64) UP!01【最上層の壁】・01番艦「夜行(やこう)」 壁上キャラ議論 最上層総当たり >FEUD OVER THE WALL OF MULTIPLE TOP CLASS>G.O.T・Familiar・最終版>ロードキャンセラー >Striker>最高最善最大最強王オーマジオウ>唯一絶対究極超絶大殺戮神>Трансцендентальная человек >イバラの姫>リンリン>不遇に悩んだのち己のルーツを見出した無>リグル・ナイトバグ(ムテキゲーマー)&霧雨魔理沙(レガシーゲーマー) >Over Write≧Over Write↓>メイメイ>うんこ_無限大>Infinite resident>A savior of the space ‐The gods who were made‐ >乳首ビンビン丸大先生とちんぽハメ吉教授の今夜はハッスルナイト<●>ω<●>>Maximum Interpretation >パラノイドゥの原石>K.T.G.>イブ>「伝説」>ツイテル=タノシイ=アリガトウ >アイラヴィ>イモリの王様>船長と愉快な仲間たち‐そして伝説へ(性的な意味で‐>アマゾンの妄獣>lonely UP!02【テンプレ優先能力の壁】・02番艦「幽谷響(やまびこ)」 能力比較について >黒紫(完全体)>博麗霊夢(シミュレーションゲーマー)>Strong Person>Sealer=名もなき虚銃使い >千載無意>Upper Male>最短の神>Eternal-winner>JIN(であったはず) >Tiger King>-星謳祭->概念超越者>意味をねじまげる人>マイケル少年 >♂+♀=X=♂または♀> ナマの事実 >「決定者」>正午子夜>「A」 >不可算無限>王の挑戦 THE NEXT GL>The Last Ordeal>ルシフェル>Logical-radical >Acess WordExel>日天>ガンダム・バエル>範馬勇次郎_2008>俺たち無敵のDチーム UP!03【あらゆる全てが書いてある系無限後退の壁】・03番艦「犬神(いぬがみ)」 >en na cyurio re chyet 選別され、淘汰されるべきではない> 世界 =ダスクフレア・龍>Have All>マジ全能 >チンギ・スハーン(安価により変更可能。)>表現されし神々>無限のC>むけけぬぺぺてけれろろまたくぺぺらりらりらりひぽぽもす >Transcendent existence>必要ない=表現可能性「無」(38)=超平凡な男子高校生=妄想闘技王>Romancing Ka・Ba >ガネーシャ>とても嬉しいの。>名審判>暫定名X=ザ☆神=梢江様 =ホホ ウ ウォ ウホッ ホホ ウ ウーホー ウホォッ ホホ ウ ウーホー ーッ=Not Found =このキャラクターが相手より上位になるために必要なあらゆる全てが名前欄に書いてある。=遊べるテンプレ=あまみあ=p分np秒 UP!04【あらゆる全てが書いてある系の壁】・04番艦「猫また(ねこまた)」 >存在(仮称)=オメガデストロイガンダム>真田源一郎 >Word-shutter=完全勝利者=人間が最強スレでテンプレ=十分に強い男=神のみぞ知る最強 >アスラさん=上へいくもの=ルーチェ・クライン> 虚無 >f.o.e. >Game Master>“あらゆる全ての表現“>超☆キサマノフ >より上=妄想する少年=表現可能性「無」(30)=The Great=Super Strongerst Man >スターゲイザーⅡ>高嶋友奈withぐんちゃん>Studiel>俺達無敵のCチーム(原作)>無限の猿>俺達無敵のBチーム >できるだけ短いテンプレで上位を目指してます=なにか=執筆する書いてある=コンバット越前=きしめん =ナンバーゼロ=メルクリウス=俺たち無敵のEチーム=妄想スレの暗殺者=爆神月=渡良瀬準 >無駄々惰妥>ハンニバル>絶世の美幼女>キペリヌ>完全後攻者 >Death Knell>狭間の人>ttp //imgs.link/bqJjno.jpg UP!05【書いてある系の壁】・05番艦「獺(かわうそ)」 総当たり考察戦 >Paper-mache>ボーダーライン>上には上ガイル>真・日本帝国>実験統括本部 >Top priority>埼京>ケムエル><黄金の瞳> >ヤミと帽子と本の旅人vs天元突破グレンラガン ~お前のロマンスで無限次多元宇宙がヤバイ~ ><空虚なる>禍ツ神>Optimal Write>God>仮面ライダーエグゼイドハイパームテキ>「対戦相手×2」 >エクスカリバー>三ノ輪銀>カズマ>石川九楊>めがっさちゅるやさん 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UP!23【対メタの壁】・23番艦「元興寺(がんごうじ)」 >スティーブン・ブラッドバリー=ウォ○ト・ディズ○ー=弱O>まっくら森の少女 >にゃんこさんと弟子>勝=マリリンモンロー大根=Nothing=幸せ =オンリーワン=Proof=特定されたくないので記載しません=テンダー・スミス>考察強化機関 >サミョンミョ=ラジアンV=ちょっと有利な成人男性=佐々木さん>ケーシー >『 』=不明=( ゚д゚ )=勝つ小林=ごんべえ=へっぽこ>自分とは何か?>聖人男性 >機動ルール>アフロ田アフ朗=『これ以上は無理だろう』=ムテキング=最強妄想キャラクターの全てと同じ =一枚上手なデイデョ・ゲーノ>関係しない神???>名を失ったもの >栗原いずみ>ウリナーラ10世>ゼロマスター>しろ>通常稼動=かごめかごめ >D>中川高菜>幻想を打ち滅ぼす者>社長 >竹原龍門>うんこ丸>パクリマクリスティ=どんべえ=ジャンケンマスター=全ての始まり >最高正義=チャック・ノリス>スターミッションスペース=■8£≡Юサ∞×Ji▼я♭Υ UP!24【メタ勝利の壁】・24番艦「生霊(いきりょう)」 >スモークチーズはあるかい?>エクストリーム・聖火リレー>覆自在>タイガ >お前らと一緒にこのスレで妄想キャラ考えるようになって >七番目の夜>鶴居ひかり>フェロモン吉岡>青い帽子の先祖(世界の救世主時) >幼児>ロトの勇者>一撃・必殺>最強=クゼ・テッペイ>ストラングル >説得の達人>由乃>とっかえマン=光司>宝典の根=未来の我が作品の主人公らしき奴 >コードネーム45>花沢様>水脈 UP!25【SSランクの壁/メタの壁】・25番艦「死霊(しれい)」 ランキング上位>>ランキング中位>>ランキング下位 -
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(二日目)12時14分 第一二学区。 周囲には高層ビルが立ち並び、四車線の交通が可能な交差点の真ん中に彼女はいた。四ツ角にはそれぞれ歩道橋があり、中心くり抜いた四角形になっている。高層ビルと歩道の間には植林が立ち並んでいる。 七天七刀が舞う。 甲高い音を立てて、コンクリートの地面が抉れていく。六本の鉄線は、常人の目には映らない程の音速を超えた斬撃となり、『魔神』を襲った。 その斬撃を、『魔神』は音速を超えた速度で回避する。 神裂火織の眼前に、『魔神』は歪んだ笑みを浮かべて現れた。 彼女は反応する間もなく、豊満な胸囲がある胸元に、握りしめられた拳を叩きこまれた。 「――――ッ、ぶごっォオ!」 強烈な衝撃を受けた神裂火織は、五メートルほど吹き飛ばされ、息を整えながら距離を取った。 神裂は意識が薄れつつも、刀を構え、敵から視線を外さない。左手で口元に滴る血をに拭うと、両手で刀を握った。 「うおおおっ!!」 バスタードソードを握りしめた牛深が、大声を張り上げて、『魔神』の頭上にある歩道橋から飛び降りた。 腕力に思い切り力を入れて、一〇〇センチを超す刀剣を、迷いなく『魔神』の頭部に振り下ろす。 だが、 ガキィイン!という音がアスファルトとの衝突によって引き起こされた。長身の男性は、我が目を疑った。眼前に迫っていた『魔神』が視界から消えたのだ。 そして、足が地面に着く前に、彼は『魔神』との再会を果たす。 『魔神』の強烈なキックが、中年男の右頬を的確に捉えた。 剣を振り下ろした反動で猫背になった長身の体は、顔だけ左に仰け反るような格好でアスファルトに着地する。『魔神』の蹴りで意識が跳びかけた男は、体の条件反射ですぐさま立ち上がるが、バスタードソードは手から離れていた。 男は、『魔神』と正面を向き合いながらも、中枢線を晒すような無防備な状態になっていた。 ズンッ!と『魔神』を起点とした半径三メートルほどの円が、アスファルトに亀裂を刻んだ。常人を逸した『掌逓』をくらった長身の男は、約10ほどメートル吹き飛んだ。 枝々が折れる音と共に、植林に身を突っ込んだ男には、既に意識は無かった。 カラン、カラン…と、空しい金属音と共に、バスタードソードはひび割れたアスファルトに落ちた。 『魔神』は足でそれを蹴って、バスタードソードを手にする。 ヒュン!という音がなる亜音速の剣筋は、後ろに迫っていた老人の斧の根本を切断した。 斧の刃の部分だけが、宙を舞った。 一瞬の出来事で呆気にとられた諫早の顔面に、重い右ストレートが直撃する。 意識を失い、膝を着いて項垂れる老人の体躯に、『魔神』は容赦なく腹部に強烈なキックを突き刺した。 『魔神』は放射線を描いて、空を舞う老体を見上げた。 この間、僅か一〇秒足らず。 30メートル程の『魔神』の背後で、ダンッ!と地面を踏みしめる音が聞こえた。 一陣の風と共に、神裂火織は『魔神』との距離を一瞬にしてゼロにした。 『聖痕(スティグマ)』を発動し、斬撃が『魔神』を捉えた。 神裂の魔力が一気に跳ね上がる。 『魔神』はそれをバスタードソードで受け止めた。 ドバァン!と聖人の人間離れした攻撃力が『魔神』の生身を襲った。アスファルトの亀裂はさらに増し、生じた爆風が破片を巻き上げた。 二つの刃は火花を散らせ、ギィィイン!と大きな金属音ともに聖人と魔神は交差した。 一〇メートルほど距離に神裂火織は降り立った。 空中で数回転した刃が、聖人の傍に落ちた。 『魔神』は手元にある剣を見た。 バスタードソードは根本から折れていた。 「……ふむ」 何の感慨もない表情で、『魔神』は折れた剣を見つめていた。 そして、剣として役目を終えた物を『魔神』は捨て去った。無機質な音が鳴り響く。 だが、それは『魔神』だけでは無かった。カランッという音が同時になった。 七天七刀が地面に落ちる。 「ぐぅッ…!」 神裂は膝を折り、肩から血を流していた。 この間、僅か〇,一秒足らず。 右腕に深い切り傷を負った神裂は、腕にチカラが入らず、刀を落としてしまった。 それだけはない。神裂の発動した『聖痕(スティグマ)』は、『魔神』の『幻想殺し(イマジンブレイカー)』によって強制的にキャンセルされてしまった。 水が噴き出している間欠泉に、いきなり蓋をされてしまったようなもので、神裂の魔力が暴走し、彼女の意識は朦朧としていた。 血が流れ落ちる右腕を無視して、左手で七天七刀を握り、立ち上がった。 こうして意識を保つだけで、彼女は精一杯だった。 その様子を見た『魔神』は呆れた口調を返した。 「『魔王』との余興で、右の肺を潰してしまってな。呼吸が少々苦しいのだ。その余を息一つ乱せないとは、貴様らに殺す価値も見出せぬぞ」 ゆっくりとした歩調で、『魔神』は彼女に近づいてくる。 (…私たちは、ただ…遊ばれている、だけなのですか…いくつもの戦場を駆け抜け、腕を上げてきたというのにっ…!) 天草式は、すでに戦闘不能に追い込まれていた。 『魔神』は右手に宿る『幻想殺し(イマジンブレイカー)』と、体術しか我々に使っていない。だが、それでも翻弄され続けた。 仲間たちは死んでいないが、意識が奪われて倒れている者が半数以上、他も何らかの傷を受け、万全の状態ではない。のらりくらりと策略や攻撃を回避され、確実に的確な一撃を叩き込まれていく。 連携は一〇分も経たずにズタズタにされた。 『魔神』と単体でやりあえる魔術師は聖人である神裂火織しかいない。 しかし、すでに彼女も手傷を負っており、次の攻撃で確実に戦闘不能にされる。 (私たちは…こんなものだったのですか?……私たちは…彼の…足元にすら…及ばなかったのですか?…) 「――――ってください…」 誰かの声が、神裂の耳に届いた。 それは『魔神』の耳にも聞こえたらしく、彼女に近づく足を止めた。 声がした方角を二人は見た。 神裂の四〇メートル程の視線の先には、『海軍用船上槍(フリウリスピア)』に体を預け、必死に立ち上がる少女の姿があった。 着ていた白のジャケットは、所々が破け、黒い汚れが付いている。破れているハーフジーンズはさらに傷みが広がり、彼女の素足は、膝の擦り傷の血で濡れている。 中に着込んでいるネットの黒シャツは破け、ピンク色のブラジャーと、白い素肌の胸が晒されていた。 五和は左手で、顔に付いた汚れと汗を拭い、敵を目視する。 『魔神』を睨みつける五和の眼光は鋭さを増していた。 大きな声が木霊した。 「当麻さんの体から、さっさと出て行ってください!!」 その殺気を感じ取った『魔神』は、何の感情もなく、彼女を見た。 五和の周囲には、数人の天草式のメンバーが倒れていた。 『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を構え、五和は破れた靴を脱ぎ去った。素足でアスファルトに立つ彼女は、大きな深呼吸をした後、言葉を紡いだ。 “Cuando los brillos de fuego, exigiré el agua.…El agua me rodea y me protegerá―――” (我が光り輝く炎を求める刻、我は凍てつく水を求めるだろう――) 神裂はゾッとした。 五和が唱え始めた魔術は、天草式のものではない。 彼女が単体として使う魔術だった。 「――五和ッ!」 神裂の叫びも、彼女には届かなかった。彼女の頭にあるのは、『魔神』ただ一人。 魔術の魔力を感じとった天草式メンバーの一人が、負傷している体を起して、叫んだ。 「五和ちゃんっ!」 “Cuando el agua me exige, exijo el agua!!” (我が凍てつく水を求める刻、凍てつく水は我を求める!) 五和の素足に『水』が巻きつき、水面を滑るがごとく、滑らかな動きで『魔神』に突進していった。 彼女の魔術と同時に、ヒュン!という疾風の攻撃が『魔神』を襲う。 七教七刃。 鋼糸を張り巡らせ、七方向から同時に攻撃するという、彼女が編みだしたオリジナルの技。 速度はますます加速し、五和はさらに言葉を紡いだ。 “Cuando el fuego me exige, exijo el fuego―――” (清らかなる炎が我を求める刻、我は炎を求め――) 両手で『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を一回転させ、上半身を大きく捻った。「突き」の姿勢をなし、氷の上を滑るような動きで、『魔神』との距離を一気に縮めた。 七教七刃は『魔神』を攻撃したが、七つの線撃は『魔神』の足元で消滅した。七教七刃が生じた風が、『魔神』の黒髪を揺らす。 “La llama de la purga pasa por usted!” (清らかなる炎は、全てを浄化する!) ボワッ!と『海軍用船上槍(フリウリスピア)』の矛に炎を纏った槍は、ついに射程距離範囲に入った。 五和は、全身の回転モーメントを注ぎ込んだ一撃を『魔神』の左胸に放つ。 バギンッ! 『魔神』の右手に『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を捉えられ、『幻想殺し(イマジンブレイカー)』に、練りこまれた魔術の細工ごと、炎は打ち消された。 『魔神』はグイッと槍を翻し、五和のバランスを崩そうとした。 だが、既に彼女は『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を手放していた。 それだけではなかった。五和は『魔神』の視界から消え失せていた。 「っ!?」 『魔神』の目が初めて見開かれる。 そして、 “La llama de la purga pasa por usted!” (清らかなる炎は、全てを浄化する!) 五和は大声で、魔術を唱える。 炎を纏ったナイフを手に、五和は『魔神』の背後に回っていた。素早い動きで身を一回転させ、背中に隠し持っていたナイフを左手で握り、押し込むことを前提とした突きで、右手を柄に添える。 七天七刃と『海軍用船上槍(フリウリスピア)』の二重のフェイク。 完全に『魔神』の後ろを取った五和は、咆哮した。 腹の底から、絶叫する。 「当麻さんから、出て行けぇぇえエエッ!!」 掠れた彼女の声が、『魔神』の耳に届く。 五和は、上条当麻を愛していた。 一目惚れだった。 その恋は、内気な彼女を突き動かしてきた。昔も、そして今も。彼の力になりたいと願い、彼の為に強くなりたいと願い、人に見えない努力を積み重ねてきた。 「浄化の炎」は、邪悪なものを断ち切る魔術。 『魔神』は一瞬で身を翻し、彼女に振りかえった。 襲いかかる五和を見て、『魔神』は心の底から笑った。 炎を纏ったナイフは直進した。 ドスッ! という音が鳴り、五和のナイフは『魔神』の左胸に突き刺さった。 鮮血が顔に飛び散り、五和は驚愕した。 「―――えっ?!」 決死の手段だったとはいえ、自分の攻撃が当たるとは思っていなかった。 水を使う魔術は、かつて対峙したアックアの魔術を見よう見まねで編みだしたものであり、火の魔術はその術式の色彩を「赤」に変えたものである。 短剣から流れ落ちる『魔神』の血を見て、五和の喉は冷えあがった。 それは人間と同じ、赤い血。 人格は違うとはいえ、自分が愛する男の身体を傷つけたのだ。『魔神』の白いYシャツに、赤い血が徐々に広がっていく。 身を焦がしていた敵意は一瞬で消え去り、五和は凍りついた。肉を突き破った生々しい感覚と罪悪感から、身を引こうとした瞬間、 『魔神』は左手で、ドガッ!と五和の頭部を鷲掴みにした。 「うぐっ?!」 彼女は、軽い脳震盪に襲われた。 ナイフは衝撃で引き抜かれ、地に落ちる。 五和の意識が徐々にはっきりしてくる。 そして、眼前には愛しい男の顔が迫っていた。 「…良い目だ。気に入った」 『魔神』が微笑みを浮かべて、五和の顔を覗き込んでいた。 顔は、意中の男性とはいえ、精神はドラゴンに乗っ取られている。 恐怖に心を掬われた五和は、 「ッ!離せ!」 と、蹴りを叩き込もうとしたが、『魔神』右腕が腰に手を回され、胸から下の身体が密着した状態となって、五和の動きが封じられた。 五和は、『魔神』に抱きしめられていた。 彼女と『魔神』の顔の間は数センチの距離で、彼女の吐息が『魔神』の顔に当たるほど、接近していた。 五和はさらに驚く。 意中の男性の顔が、目の前にあるのだ。 戦闘中だというのに、五和の冷静な殺気は失われ、『魔神』は、不敵な笑顔を浮かべたまま告げた。 上条当麻には似つかわしくない、邪悪な笑顔と甘い囁きで。 「余の『僕(しもべ)』になれ。五和」 「――んッ?!」 五和の唇は唐突に奪われた。 熱い感覚が、彼女の口内にねじ込まれた。 ネチュ、という卑猥な水音が五和の思考を奪う。 乾いた唇を潤す、温かいキス。 右腕で彼女の身体は抱きしめられ、左手は彼女の顎を持ちあげ、顔を固定されていた。 五和はパニックに陥る。 彼女はキスをされている。 愛しい男の姿をした『魔神』に。 彼女はファーストキスは、唐突に奪われた。それも恋焦がれた男性の唇に奪われて、予期せぬ形で成しえてしまった。 奪われたのは彼女の唇だけではなく、口内まで蹂躙された。 クチャァ…と、粘着ある唾液を引き、二人の唇は離れた。 茫然自失としている五和の耳に、『魔神』の声が囁いた。 「上条当麻はお前と違う女を心底愛している。そなたに振り向くことなど、一度たりとも無い。そなたの一途な恋心が実を結ぶことなど、決して無いのだ」 「―――――――――――――――――――――――――――――――――――――え?」 五和は、凍りついた。 そして、目の前が真っ暗になった。 見たこともない風景が映っていた。 自分と上条当麻が仲睦まじく、過ごしていた。 天草式の皆と、笑い合っている。 自分の手と上条当麻の手は指をからめ合って、繋がれていた。 一緒に映画館に出かけたり、 一緒にレストランに出かけたり、 皆に隠れてキスしたり、 二人で夜をベッドの上で過ごしたり、 他の女の子に好かれる上条当麻に嫉妬したり、 天草式のメンバーから二人の熱愛ぶりを冷やかされたり、 恋人となった上条当麻との日々が、目の前にあった。 それは自分が望んだ現実であり、その光景に心が満たされる。 しかし、その幻は一瞬で崩れ去った。 気づけば、五和は暗闇に一人佇んでいた。 (ここは…どこ?) 一筋の光があった。愛しい男の背を照らしていた。 あのツンツンとした髪型は、一日たりとも忘れたことは無い。 「!当麻さ…」 彼女の声はそこで途切れた。 周囲が徐々に明るくなるにつれて、彼が一人ではないことがわかった。 当麻の傍に他の女がいた。 他の女が手をつないでいた。 手を取り合いながら、彼女は当麻に微笑みかける。 彼も彼女に微笑みかける。 彼の笑顔は、自分と一緒にいた時よりも輝いて見えた。 なぜ、隣にいるのは自分ではない? こんなにも好きなのに。 誰よりも好きなのに。 彼の為に、誰よりも努力してきたのに。 彼の為に、可愛くなったのに。 彼の為だけに、尽くしてきたのに。 なんで、自分に振り向いてくれないのか。 五和は、叫んだ。 「…い、……いやああああああああ!!」 「―――――――――――――――――――――っ…―――あっ……」 気づけば、『上条当麻(ドラゴン)』は眼前にいた。 自分の瞳は、涙に濡れていた。 「それはお主が望んだ幻想。だが、それは有り得なかった現実ではない。お主と上条当麻が結ばれる運命は、確かに『在』ったのだ」 五和にはそれが、分かった。 先ほどのビジョンが真実であることが理解できた。 この世に「並行世界」というIFがあれば、自分と上条当麻が結ばれ、愛を語り合えた未来があったことは確かだった。 あのキスの感覚、抱擁された時の感覚。 愛の温もり。 芯から蕩けるような幸福の感情。 在ったことなのだ。 自分が、もうちょっと手を伸ばしていたなら、 もっと積極的に接していれば、 上条当麻と少しでも長く傍にいれば、 彼は私を見てくれた。 愛してくれた。 「……あ、ああ…ああ…あ、あああーっ……」 涙が止まらない。 感情が制御できない。 上条当麻が、御坂美琴を選んだことを知った時、自分は諦めると思ったのに。 あの時、彼を慕う人たちと一緒に思いっきり泣いたのに。 この涙は、まだ枯れていなかった。 彼女の涙を、『魔神』はそっと拭った。 愛しい男の顔が眼前にある。そして、甘い声が彼女の耳に囁かれた。 「『余』はお前を愛してやる。この身に抱かれることを光栄に思え」 もう一度、『魔神』は五和に唇を重ねた。 舌を入れ、彼女の口を再び蹂躙する。熱い感情が五和に湧き上がり、脳内を揺らすほど刺激する。 涙はそれでも止まらなかった。 だが、徐々に冷え切ったに生ぬるい温度が満たされていく。 何度も、彼女に濃厚なキスが襲ってくる。それを成すがままに五和は受けいれていた。 熱い。 温かい。 …欲しい。 手に入らなった愛情が欲しい。 彼女は、『魔神』の甘美な囁きに耳を傾けてしまった。 五和は自らの意思で、『魔神』の舌に、自分の舌を絡めた。 神裂火織は眼前で起こっている現象に絶句していた。 五和は『魔神』と唇を貪り合っていた。 だが、彼女が注目しているのはそれではない。 『魔神』の右肩から生えている巨大な『何か』だ。翼のような、腕のような…このようのものとは思えない、不思議な物質だった。 四本の長い指先のような先端から、一本の毛糸のようなものが出ており、それが五和の頭に繋がっていた。 五和は『魔神』に抱きしめられて、その異様な物体が見えていないだろう。 神裂火織は『それ』を『識』っていた。 この世全ての万物を操り、変換し、願望通りに物体を作りかえる神の領域の力を持つ腕。 かつて『神の右席』の『右方のフィアンマ』が所有していた、『ドラゴン』の一部。 『竜王の鉤爪(ドラゴンクロー)』。 あの腕のせいで、『禁書目録(インデックス)』や自分たちがどのような被害をこうむったか、神裂の脳裏にまざまざと蘇った。 その事件は、「科学」と「魔術」との戦争の芽となり、「ドラゴン」が覚醒を始めることとなる事件だった。 彼女は力一杯に歯を食いしばり、唇を噛み切ってしまった。 「ドラゴンッ!!貴様、何をしているッ!!五和から離れろォォおおお!!!」 七天七刀を握り締め、神裂火織は何の考えもなしに突進した。 アスファルトは聖人の脚力で蹴り砕かれた。『聖痕(スティグマ)』を発動し、魔力を爆発させた。 石柱すら一刀両断する刃は、『魔神』を捉え、右腕の傷から血が飛び散ることも恐れず、両手で刀を握り、『竜王の鉤爪(ドラゴンクロー)』の一指を斬り落とした。 『魔神』は五和から体を離すと、常人離れした脚力で跳び上がり、歩道橋の手すりに足を止めた。 斬り落とされた指と五和の頭に繋がっていた糸は霧散し、『魔神』の右肩から生え出ていた『竜王の鉤爪(ドラゴンクロー)』はゴキゴキという音と共に、『魔神』の身体に潜り込み、その姿を消した。 神裂の腕に、五和は倒れこんだ。 傍には、術式が打ち消されたナイフと『海軍用船上槍(フリウリスピア)』が転がっている。 神裂は射殺しかねない視線で、『魔神』を睨みつける。 「ドラゴンッ!!五和に何をしたあああああああああ?!」 左手で七天七刀を振りかざし、太陽を背に立っている『魔神』に吼えた。 Yシャツの左胸あたりが血で赤く染まっており、『魔神』は唇をそっと舌で舐める。 不敵な笑顔を取りつくろい、神裂火織の神経を逆なでする口調で、 「何を言っている?貴様も見ていたであろう?余は、五和を余のモノにすると決めただけだ」 「ふざけるなっ!お前は下ただの下種だっ!神を名乗る資格も無い!」 「ふはははははっ!余は神を殺すための神だ。それ以外の義務は無い。人を殺そうが犯そうが蹂躙しようが所有しようが、余の気まぐれだ。余はその人間が気に入った。それだけだぞ?聖人よ」 神裂火織の頭は激怒で沸騰した。 『竜王(ドラゴン)』は神の中でも、例外中の例外であり、神を殺す権限と能力を与えられている『怪物(カイブツ)』である。 人には災いや破壊を齎す神でもあるが、それは邪悪なものにしか適応されない。偉人を導き、絶大な力を宿し、世に平定を齎す象徴ともなる神でもあるのだ。 だが、強すぎるがために人に畏怖され、そして、肉体をバラバラにされ、人間に封印された。 よって、人間という『穢れ』と『強欲』を知った『竜王(ドラゴン)』は、ただのカイブツに成り果てていた。 その原因が人間であり、人間はその罪を忘れて、ただ『竜王(ドラゴン)』を恐れていたのだ。真に罪深き者は人間である。 だが、神裂火織は知らない。 『魔神』は怒りに身を焦がす聖人を見据え、笑いながら、 「聖人よ。貴様は何か勘違いをしていないか?」 「ッ!!どういうことだ?!」 『魔神』の言葉に嫌悪感すら覚える彼女に、冷静な思考はとうに失われている。 心にあるのは、『魔神』に対する憎悪と、仲間を想う情のみだ。 (ちっくしょうッ!これ以上仲間を失ってたまるか!建宮も、対馬も、香焼も死なせて、私はッ!皆を守るためにここにいるのにっ!私の為に天草式があるんじゃない!天草式のために私がいるんです!) 神裂は自分の弱さと激情に駆られ、瞳には涙すら貯めていた。 『魔神』は顔を歪ませる神裂を笑いながら見つめ、 告げた。 「五和は、自ら余のモノになることを受け入れたのだぞ?」 ドスッ… 鈍い音が響いた。 赤い血の斑点が、アスファルトを濡らし始めた。 数秒、神裂は反応が遅れた。 「か――――はっ…」 彼女は、目の前の現実が受け入れらず、途切れ途切れに声を吐いた。 なぜなら、 彼女の腹に、 五和が『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を突き刺さしていたからだ。 喉から込み上げた血を手で抑えながら、神裂は呟く。 「……五、和?………何…をっ?…」 「なに、余に籠絡されただけのことだ」 『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を神裂の腹部から引き抜いた五和は、立ち上がって無機質な瞳で彼女を見つめた。 大量の血が流れ出る腹部を抑え、神裂火織はアスファルトの上をのたうった。 「きゃあああああああああああああああああああ!!」 「プ、『女教皇(プリエステス)』様ぁああ!」 「五和ぁあ!お、お前何をッ?!」 他の天草式十字凄教のメンバーはその光景に目を疑った。 ある者は悲鳴を上げ、またある者は言葉を失ったまま、茫然としているだけだった。 『魔神』は高らかに声を上げる。 「ふはははははははははははっ!良い!実に素晴らしい!五和!なかなかに愉快な景色ぞ!誇るがよい!五和よ」 ぺたぺた、と五和は素足でアスファルトの上を歩き、『魔神』が立っている歩道橋の下まで近寄った。彼女は『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を捨て、『魔神』を見上げた。 「ハイ…当麻、様」 無感情な五和の返答は、『魔神』をさらに悦ばせた。 「ふはっはっはっ!意識を嫉妬と欲望に流されながらも、それでもなお、上条当麻に恋焦がれるか!なんとも色欲に愚直で渇望する人間よ。だがそれで良い。それこそ人間のあるべき姿だ。気に入った! これは神の加護だ!心して身に受けるがよい!」 『魔神』の背中から白の翼が発現する。4メートルほどの大きな片翼が、五和の体を覆い尽くした。 翼の形をした『何か』は、外形を崩し、白い液体のような粘着性を持ったモノへと変貌した。グチャグチャと音を立てながら、五和を包み込んでいく。 フワリと、その『何か』地面から浮き上がり、『魔神』と同じ高さまでになると上昇を止めた。ボタボタと白い液体が垂れ落ちるが、みるみる硬化が始まり、楕円の繭のようなものが形成された。 全長は三メートルをで、幅は二メートルほどある。 歩道橋の手すりから『魔神』は離れ、ゆっくりと浮遊し、白い繭に近づいた。そして、『魔神』は右手を触れる。 パリンッ。 ガラスが割れたような音が鳴り、『魔神』の『幻想殺し(イマジンブレイカー)』が反応した。 白の繭に亀裂が走り、その隙間から強烈な光が漏れだした。 辺りは眩い光に包まれた。
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暫定妄位:碧き航路>=>考察不要>>緑のキアズマ> >未確認反社会人妻>神に愛された男 (参戦不可能級の壁) 新最上層の総当たり >クリティカルライン>最強スレ原器=論強家=プラトンのイデア論>「空想」の女王=神と天使たち =彼ら、或いは我々=>不可能存在X=鼠色の少女>青きプラズマ>Top Interface> >脚本上の勇者=任意のキャラB>No Explanation>真実は一任します=ヤマザ・キーチロウ>表現必要性「無」(64) >カケナーイ (表現不可能系の壁)←壁上キャラ議論←最上層総当たり←壁上の考察について >FEUD OVER THE WALL OF MULTIPLE TOP CLASS>G.O.T・Familiar・最終版>うんこちんちん >ロードキャンセラー>Striker>相手のテンプレには何も書いていない>議題A:議論の余地無し>稀神サグメ >実を超えし者>コンプラマン>ルーノレー>最高最善最大最強王オーマジオウ(「オーマジオウ」でも可) >ハイスペックニート>成人男性(R階圧縮言語)>唯一絶対究極超絶大殺戮神>Трансцендентальная человек >成人男性(高階圧縮言語)>コード1&アルファ>終極惨滅残酷殺戮兵器群>イバラの姫>J.I.L>リンリン >不遇に悩んだのち己のルーツを見出した無>リグル・ナイトバグ(ムテキゲーマー)&霧雨魔理沙(レガシーゲーマー) >Over Write≧Over Write↓>メイメイ>うんこ(書いてある)>Infinite resident>A savior of the space ‐The gods who were made‐ >乳首ビンビン丸大先生とちんぽハメ吉教授の今夜はハッスルナイト<●>ω<●>>Maximum Interpretation >パラノイドゥの原石>K.T.G.>イブ>「伝説」>ツイテル=タノシイ=アリガトウ>̯͔̳̠̘͚̍̑̀̚ ͢͏̺ͧ̒ͤͫͤ̎ͅ ̷̭̮̦̙̘ͣ͐͞͠ >善神アフラマズダ>叡智神ヴィリ>アイラヴィ>質・量・優先度・表現方法があらゆる全て級>流浪者 >疑うもの、認識するもの>記述可能級(2)>(“無限”の終わり)>母なるテンプレ=書いてある系より強い =記述可能級(1)=記述可能級(3)=Nameless One=ある無秩序>ナナ>>True 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>書いてあるwith成人男性系>暫定名X=考察者=ザ☆神=梢江様 =ホホ ウ ウォ ウホッ ホホ ウ ウーホー ウホォッ ホホ ウ ウーホー ーッ=Not Found =このキャラクターが相手より上位になるために必要なあらゆる全てが名前欄に書いてある。=遊べるテンプレ =あまみあ=p分np秒=最も強い天帝=エデンとアビスの存在定義=「書いてある」=書いてある系移民 =このキャラが勝利する為のあらゆる全てがあらゆる全てに書いてある=力強く書いてある系>ドラ1書いてある系 (あらゆる全てが書いてある系の壁) >YVMHFMDSAT>存在(仮称)=オメガデストロイガンダム>無題>真田源一郎 >Word-shutter=完全勝利者=人間が最強スレでテンプレ=十分に強い男=神のみぞ知る最強 >アスラさん=上へいくもの=ルーチェ・クライン> 虚無 >f.o.e.>Game Master>“あらゆる全ての表現“>超☆キサマノフ >より上=妄想する少年=表現可能性「無」(30)=The Great=Super Strongest Man>スターゲイザーⅡ >妄想スレ的な素早さを超越したもの>高嶋友奈withぐんちゃん>ぴ区民村>Studiel>俺達無敵のCチーム(原作) >無限の猿>俺達無敵のBチーム>できるだけ短いテンプレで上位を目指してます=「なにか」=執筆する書いてある =コンバット越前=埒外マン=非情のアサシンドール=冷酷のサイレントキラー=イタチ=きしめん=ナンバーゼロ =メルクリウス=俺たち無敵のEチーム=妄想スレの暗殺者=爆神月=超高攻防の成人男性=キャラA >無駄々惰妥>ハンニバル>絶世の美幼女>キペリヌ>完全後攻者>Death Knell>SCP-1375-JP&SCP-779-KO >0.1書いてある>不良品書いてある>狭間の人>=説明不可能級(2)=説明不可能級(3) (書いてある系の壁) ↑書いてある系の壁再考察 ↓総当たり考察戦 >>Paper-mache>ボーダーライン>雑ZA2=最上・全ての支配者>絶対勝者>アルティメットレシベル >上には上ガイル=オス特効>真・日本帝国>実験統括本部>Top priority>埼京>ケムエル><黄金の瞳> >ヤミと帽子と本の旅人vs天元突破グレンラガン ~お前のロマンスで無限次多元宇宙がヤバイ~ 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>考察待ち男>真のあらゆる全て級=真の最強=もうお前が最強でいいよ>乗り越える者 (あらゆる全てより強く固く早いの壁) >勝利する為のあらゆる全て>キャラクターではありません>存在そのもの=全=「全て」=完全キャラクター >ジャン>のちにしらのなしいのにすな・>設定後出し最強さん>ふんどしマニア>スフィア >キューブマン=スキュース・フォンターナ>サトシ>道標>意味有り無意味>最強スレの戦闘フィールドの支配者 >ドラゴンクエスト>定義されていない何か(以下『これ』)>究極生命体>濁点ボーイ>バールのようなものを持った少女 >監察王>NULL>∞次元成人男性>ダンテ=全てを統べる者=クラン・リカビィ>せめて一太刀ざむらい >鈴木マゾ男 (高速設定変更の壁) >滅亡神ロディア>頂上神デスパレット>不思議空間=サブヒロインD=シオン>文学少年I>量子論>ミート・ボールさん >Subjectivityism>災厄を齎す者=千秋楽を迎える者>メトロン星人マルゥル>小学生が考えたような最強 >天元突破グレンラガン>テリー・ボガード=遠坂凛&間桐桜+誰かさん>《一方通行 ―The accelerate―》 >スペシャル国語辞典>悪夢獣ミレニアムセブン>鈴仙・厨曇華院・イナバ>セウペルメヌ=α (全てより強く固く早いの壁) >意味王>ゲオルギウス・ウルティマ>全ての上限=「最強」のイデア=最強(最強)=最強のテンプレを持つ者 >自分ではない自分>超越的で動的な強者>全ての相手に勝てる>暫定1位になりました。>アッチー>手毬を付く少女H >転生トラック>アリス・C・プレサージュ=シェル婆>強者>ランカ・リー=者承継の統伝>サイレント魔女☆リティ >テンプレ詐欺>文字 化太郎>久保帯人>大爆発する成人男性>無限の住人>邪神セイバー >厨房大将 野増菜かなでwith破壊のヒト型海賊船 ライオット・デストルドーの妄想スレ要素&過大解釈マシマシニンニクリーム九百九十九倍mix (あらゆる全てより早いの壁) >鵜殿氏長>孤独な、世界の主人公≧見よ!これが真の「表現不可能な強さ」だ!= =ドラえもんアンパンマンすみっコぐらしモルカーのマイナンバーカードを不正利用するちいかわ>書けない級100万人 >自演乙>暃彁穃碵>文字を超越した者=クソリア厨wwwwwwwwww≧考察人がギリギリ理解できる名前 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>巨大マン>基礎能力>かに>究極の霊王>寿命が低すぎる破壊者>真サルーイン>狂える角鹿>七色のニコニコ動画 >THE TEXT THAT CANNOT BE DECIPHERED>風華>乃木坂春香の秘密>クロニカ>闇・遊戯>リフレクト星人改 >上条当麻(漫画版)>死靈の盆踊りダンサーズ>建宮率子>時なる剣の虚無たる核>格闘家>茶パン>全てを得た何か >堀裕子(エスパーユッコ)>テンプレ魔人の王 テンプレショーカン・ゼーンブオーレノイウコートヲーキーク・ツイデニテンプレオウノツヨサノムゲンバイー >滅亡を示すモノ=レイヴンinAC=勝利の女神&敗北の女神 (例外の壁)‗例外の壁の上15キャラ総当たり >ストライクノワールⅡ=湯呑みの宝貝>守護神エネル>ジャック>チェンジマン=ステルス>永遠の観察者with観察媒体 >ハー・ゲチャヴィーン>変なおじさん>トリヤマ補佐官>司波達也>スフィンクス>アンチキャラのアンチキャラ >絶対破壊>しらたまたん>ハンター・スティールwithシャドウ>ミラージュ>なんでも泥棒=能力や設定の反乱=七瀬八重 >破壊神ロナン=カリギ=テレビマン>マイケル・ウィルソン>バーボン竹刀>Rhaplanca>運命を見つめ続ける者 >王者=へべれけ>禁忌を犯した者>野村ちづ子=真実を司る存在=ナイトフォグ・ハイファー>絶対ネ申ん・まー=無教の者 >ダゴン>うんこ丸>(笑)=Wish of losers>スーパーデストロイガンダム>全てより凄い人=全ての始まり =<魔王>(深遠の剣)=最強スレ原型=ーーあーー あーーあー ーーあーー あーーあー ーーあーー あーーあー (全てより強く固く速いの壁) >うんこ(全てを消し去る)>ダークネスⅠ>リゼル・リーズナー>ウィンダム 核ミサイル搭載型=オールマイティ・コンセプト(仮) >オムニウーズ>ジョルノ・ジョバーナ>ヒトガタ>メイベル・フィルンドール>和香>瑠々葉 >セシリア・オルコットwithストライクフリーダム>黄金騎士ガロ>銀牙騎士ゼロ>暗黒騎士キバ>ジン・ハイマニューバ3型 >朱い月(奈須きのこ)=とある魔術の禁書目録(インデックス)&とある科学の超電磁砲(レールガン)創造神 鎌池s=純潔のマリア >白騎士>勝てない (設定破壊の壁) >>ヴァリガルマンダ>ゴメス=勝利>和田義彦>魔王(最強勇者シリーズ)=地獄の裁判所の裁判長>「1」 (能力非依存メタの壁) >おにごっこする成人男性>原田俊也と滝本博義>風紀委員長田中やすし>タチツテト >いいだなおき(8さい)=ご都合主義=不条理くん>ナーインボー>01 > 日本語で表せば、『本』と訳す事の出来る、過去現在未来に存在した、或いは存在するありとあらゆる言葉を全て羅列したもの。ここでは便宜上、<本>と表す。 >最強妄想スレ>夏休みの自由研究>死神>超ギルガメッシュ>シン・アスカwithアルティメットデスティニーガンダム >商人with最強の矛&最強の盾 (対メタの壁) >聖者ゲオルギウス>Entbehrliche Braut>スティーブン・ブラッドバリー=ウォ○ト・ディズ○ー=弱O >まっくら森の少女>相手より強い=テンダー・スミス>Proof=うんこ(うんこ)>数学的帰納法=Nothing=具体例の王 >勝>勝つ小林>>オンリーワン>ラジアンV>『 』=考察擬制>考察強化機関>公理マン >特定されたくないので記載しません=活字版=ジャンニコラス・ファビアーノ>幸せ>メタ勝利する成人男性 >あへぇ=( ゚д゚ )=何をされようが勝つ人=へっぽこ=秘封倶楽部-フルムーンダイアリー-=不戦勝先輩>d=亀田興毅 >自滅マン=不明=正しいルールマン>にゃんこさんと弟子>自分とは何か?>聖人男性>機動ルール >その辺に落ちている小石に転んだJK>アフロ田アフ朗=ソリッド・スネーク=『これ以上は無理だろう』=ムテキング =最強妄想キャラクターの全てと同じ=一枚上手なデイデョ・ゲーノ=パーフェクトヒューマン>関係しない神??? >名を失ったもの>栗原いずみ>アカピー=ウリナーラ10世>ゼロマスター>しろ>通常稼動>中川高菜 >幻想を打ち滅ぼす者>社長>竹原龍門>どんべえ=ジャンケンマスター>チャック・ノリス >スターミッションスペースオペラユニバースコスモスカオスクリエーションゴッドエンペラーカイザーキングギルモン。 =■8£≡Юサ∞×Ji▼я♭Υ (メタ勝利の壁)↑メタ勝利の壁再検討、メタ勝利の壁絶対勝利能力勢再考察、メタ勝利の壁再考察 >スモークチーズはあるかい?>七番目の夜=うんこ(即死)>鶴居ひかり>フェロモン吉岡>青い帽子の先祖(世界の救世主時) >幼児>ロトの勇者>一撃・必殺>最強>ストラングル>由乃(ゆの)>とっかえマン>45(フォーティーファイブ) >究極モト>メタメタ神>メタメタさん>妖怪ぼっちっち=戦闘空間変えたマン (SSランクの壁/メタの壁)↑メタの壁再考察 暫定ランキング・中へ
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少年の帰還記念祭 第8話『壮大なるビンゴ大戦』 「御坂ー?どうしたんだ?」 またまた再び場面を戻してとあるホテルの一室、2人の男女は相変わらずソファに座っていた。 だが少女の様子がおかしい。 美琴は不思議そうにこちらを眺めてくる上条の隣で俯き、ぷるぷると体を震わせていた。 (だ、だだ、抱きしめてもらってたなんて……と、とんでもないことしてたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!) 恥ずかしさで顔が真っ赤なのと嬉しすぎてにやけが治まらないのでとてもじゃないが上条と顔を合わせられない。 上条はそんな美琴を見ていろんな意味で心配していた。 「……お前大丈夫か?」 「大丈夫…だと思う………ていうかここで気絶したから一旦記憶途切れるんだけど…」 「ここってどこまで?」 「………」 美琴は考えた、どう説明する? (どこまでっていったら『アンタに抱きしめられたとこまでよ』って答えればいいんだけど………言えるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!) 純情な美琴にはレベルが高過ぎる。 じゃあどうするか、美琴が依然顔を伏せながら必死に考えていると上条が 「あ、もしかして俺に抱きしめられたとこまで?」 「ッッッ!!??!?」 まさかの大正解、普段上条は別に勘がいいわけじゃないのにこの時はなぜか無駄に冴え渡っていた。 「……その反応からすると図星なんだな。」 「…………うっさいバカ……」 美琴は力ない小さな声でそう言うしかできなかった。 「ま、あれは……不可抗力だ……」 「わかってるわよそれくらい……でもアンタものすごい勢いで飛びついて来たわよね。結構びっくりしたんだから。」 「ははっ……なんならもう1回抱きしめてやろうか?」 「え」 美琴には今上条からありえない言葉が耳に入ってきた。それは普段の鈍感な上条が言うはずがない言葉。 美琴は勢いよく顔を上げた。 「ちょ、アンタッ!い、い、い、今、今!!今な、なんてッッッ!!??!?」 「今?だから抱きしめてやろうかって言ったんだぞ?」 「なぁ……」 ストレートに返され固まる美琴。 だが上条は全く気にせずに右手をゆっくりと美琴の肩に手を回した。 「え、えっ!?何しようっていうの!?ウソ!アンタ冗談でしょ!?」 「上条さんは冗談もウソも言わないんですよー?それとも嫌なんですか?さっき寝てた時はあんなに抱きついてきたのに。」 「そ、それは……」 反論できない美琴に上条はゆっくり接近する。 だがゆっくりといっても所詮はソファでのこと。美琴と上条の距離は10秒も経たないうちに0に等しくなる。 「うぁ、あの、ちょ……」 「んー?どうした御坂?ほら……」 上条の右手に力が入った。 美琴にはわかる、このままこの右手で上条のほうへ引き寄せられればそれで抱きしめられたことになる。 だが―――――― 「~~~~~~~ッッッッッッッ!!!!!無理!!やっぱ無理!!!」 「うおっ!危ねっ!!いきなり何すんだよ御坂!」 美琴は両手で思いっきり上条を突き飛ばした。 突き飛ばされた上条は美琴から手が離れ、ソファから落ちそうになっていた。 「い、い、いきなり何すんだよじゃないでしょ!!私がアンタに対して何すんのよって言いたいわよ!!!」 「せっかく抱きしめてやろうと思ったのに……素直じゃねーなー。」 「な、な、な、何言って……」 上条は美琴から離れてため息をつき、美琴は顔を真っ赤に染めソファから立ち上がり部屋をうろつき始める。 明らかに今の上条はおかしい。 (な、何がどうなってんのよ!!やっぱりこれ夢じゃないの?あんなに女の子は倒れてたし……コイツの様子はおかしいし……でもこの感じはどう考えても夢じゃないわよね………あーもうわかんない!!何がどうなってんのか全然わかんないっ!!!) こんなかんじで頭を抱えながらいろいろ考え、悩み部屋中を歩き回っていた。 そんな美琴に上条が声をかける。 「おーい、もうしないから戻ってこいよ。そんで続き思い出せって。」 「……思い出すってさっきも言ったけど私気絶したからしばらく記憶ないんだけど…」 「あ、そっか。よし上条さんにまかせなさい。御坂が起きたとこまで教えてあげよう。……だから戻ってこい。」 「…ほ、ほんとに何もしない?約束する?」 「ああ、約束する。何もしないから座れって。」 「じゃ、じゃあ……座ろっか…な……」 美琴はまだ半分警戒しながらも、上条の言うことを信じて再びソファに座る。 だが今日の上条はやはりいつもと違った。 「ッ!!ちょっとアンタね…私が座った途端に肩に手を回すな!抱きしめようとすんな!!この変態!スケベ!!女たらし!!!」 「いてっ!!殴るな!!痛いから!!上条さんが悪かったから殴るのも電撃も止めて!!お願いしますもうしませんから!!!」 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 上条が美琴を抱きしめてから数分後、会場内の修復のためビンゴは一時中断していた。 そりゃあの一国の軍隊と戦えるようなメンバーが暴れ回ったのだから修復も必要だ。 上条も制服が破れたので舞台裏に用意してあった予備の制服に着替え、靴はどこかへいってしまったので見つかるまでスリッパを履くことにした。 そして今、女子たちは『上条当麻に頬にキスしてもらえる権利』をゲットするため一刻も早くビンゴしたいという思いから殺気立っている。 だからまたあんな戦争的なことが起きてはたまったもんじゃないのでカードの奪い合いは禁止となった。 で、修復の時間は当然暇になるわけだが、そこは土御門が機転をきかせた。 土御門「えーと修復は20分ほどで終わるからそれまでこれ見ててほしいんだにゃー。」 土御門は舞台裏の音響係に合図を送る。 すると会場は暗くなりプレゼントタイムの際に使用された大きなスクリーンに何か文字が映し出された。 それを土御門と同じく舞台にいる上条が読んでみる。 上条「何々……『上条当麻の生活』…………っておい!なんだこれ!!」 素早く土御門に突っ込んだ。 プレゼントタイムに続きまたしても上条は何も知らされていなかったのだ。 土御門にこの映像がどういった内容なのか聞こうとしたところで映像が始まった。 まずスクリーンに映されたのは上条の部屋、ナレーションと共に玄関から入ってリビング、バスルームやトイレなど部屋の隅々まで映された。 どうやら上条がいない間に土御門が勝手に侵入して撮影したらしい。 上条「な………」 上条は空いた口が塞がらなかった。 一通り上条の部屋が映された後、場面は切り替わり普段学校で生活している上条が映し出された。 そして普段の上条の生活に女子陣は大盛り上がり、先ほどまでの殺気がウソのように消え去っていた。 オルソラ「上条さんはあのような生活をしているのでございますね。」 フロリス「へー、学校ってのも何か面白そうね。」 五和「学校の人が羨ましい……」 彼女たちは実に興味深そうだったが上条はプライバシー保護のために映像を止めようと右往左往した。 しかし結局は無駄、映像が止まることはなかった。 その後は不幸な場面、見知らぬ人に親切な場面、その親切によって新たなフラグを建てる場面などが次々に放映された。まさにプライバシーの侵害だ。 だが映像が流されることは上条にとって良いこともあった。 婚后「御坂さんの言う通りの立派な殿方じゃありませんか。先ほどのような悪い印象は全くありませんわね。」 固法「ひょっとして誰かを殴るっていうのもこの映像みたいに誰かを助けるためだったのかもね。」 佐天「なるほど!その可能性高いですね!!」 これは美琴の友人たちを例にしたが、このような声が会場内のいたるところから聞こえてくる。 つまりどういうことかというと、この映像には上条がいろんな人に親切にしている姿が結構多く、同級生と楽しそうに雑談する様子なども映っていた。 そのため『女性を殴る』というイメージとはかけ離れた様子だったためかなり誤解が解けたというわけだ。 まあそんなかんじでみなが鑑賞していると、急に映像が途切れ会場内には再び電気がついた。 土御門「会場も直ったことだし映像はここまでぜよ。もしもっと見たいって場合はパーティ終了後にこの階のロビーで販売するからぜひ買ってくれだにゃー。」 上条「売るな!!」 上条は叫んだ。だがたぶん絶対必ず売られることになるだろう。そして女の子達の中には買う子もいるに違いない。 皆が映像に夢中になっている間にすっかり会場は元通り、それぞれが自分の席へと戻っていった。 土御門「それじゃビンゴ大会を再開したいと思うんだにゃー。ほら上やん早く。」 ビンゴは無事再開、土御門に急かされ上条は再開してから1つめの玉を引き、番号をコールする。 上条「46番でーす……」 上条のテンションは上がらない。そりゃあれだけ自分の私生活を暴露された後なのだから上がるはずがない。 すると上条のテンションの代わりに1本の手が挙がった。 神裂「!!び、ビンゴ!ビンゴしました!!」 ビンゴしたのは天草式十字清教の女教皇、神裂火織。2ビンゴをたった9回の番号コールでビンゴするとはさすがの強運だ。 挙がった手は拳が握られガッツポーズをしているみたいになっている。 まあビンゴも質問タイムと同じスイッチ制度なので手を挙げる必要はないのだが。 神裂が手を挙げたことで五和を含む他の天草式十字清教の面々は『しまった……』っとうなだれている。 特に五和の落ち込みっぷりはハンパない。 そして土御門に前に出て来てくれと言われたので神裂は足早に舞台前にやって来た。 土御門「それではねーちん!景品を一つ選んでくれぃ!!」 神裂「……あ、その……」 土御門「どうしたんだにゃー?早く選ぶぜよ?」 神裂は中々景品を選ばない、ものすごく迷っていた。 何を選択するのか、会場内の女子達にも緊張が走る。 そして1分ほど迷いに迷った後、ついに決断を下した。 神裂「じゃ、じゃあ……」 土御門「じゃあ?」 神裂「………そ、その、洗濯機の、洗剤を……」 神裂には上条に人前でキスしてもらおうなんて度胸はなかった。 景品をゲットしたにもかかわらずなんだか落ち込んだような様子を見せる神裂、それと正反対にガッツポーズなどして喜ぶ会場内の女子陣。 上条にはその理由がわからず不思議そうに舞台上から眺めていた。 上条「コレどーいうこと?」 土御門「上やん、鈍感なのもいい加減にしとけよ。」 そして…… シェリー「アンタもてっきり例の権利ねらいだと思ってたんだけど洗剤でよかったのか?」 神裂「うるさいですよ……こうなったらもう飲むしかないですね…」 神裂はやけ酒にはしったとか。 ◇ 黒子「抱きしめてもらえる権利にキスしてもらえる権利とは……舞夏のお義兄様は以外とろくでもない男のようですわね。」 白井黒子は紅茶を片手にため息をついた。 最初のビンゴ大会には医務室にいたため不参加だったが気絶した美琴にぬいぐるみをプレゼントするために今回は参加している。 だが黒子が座っている席にいるメンバーは佐天や初春ではない。 そのメンバーとは 19090号「くぅ……まだ5つしかあいていません、とミサカは自分の運の悪さを呪います。」 13357号「このミサカは10つあいていますが全部ばらばらです、とミサカはビンゴが遠いことに嘆きます。」 番外「あんたら運悪いね~。ミサカなんかほら、2つもリーチがあるよん☆」 御坂妹「あなただけには絶対負けませんよ、とミサカは堂々と宣言します。」 10039号「25番こい!とミサカはあの方に向けて必死に祈ります。」 黒子「…………ここは天国ですわ。」 『妹達(シスターズ)』だ。 なぜ黒子がこのテーブルにいるのかというと、先ほど黒子はビンゴに参加するため舞台前の途中参加の人のためにカードを渡すテーブルへカードを取りに行った。 その帰り道にお手洗いからこの席に戻ろうと歩いている13357号を偶然見かけ、美琴と勘違いしてここに移動してきたのだ。 今ではすっかり場になじみ、美琴LOVEの黒子にとってここは憩いの場だった。 黒子(しかし…妹さんまで類人猿の毒牙にかかってしまわないようにわたくしが守らなければなりませんわね。そのためにもどうやって抹殺するか…) 黒子は相変わらずだ。 そしてまた番号がコールされた。 番外「あーダメだ!もうちょっとなんだけどなー。」 御坂妹「お、ありました、とミサカは喜びを露にします。」 13357号「ミサカはダメですね……白井さんはどうですか?とミサカは尋ねます。」 黒子「え?わ、わたくしですの?わたくしは……ん、ありましたわ。」 どうやって上条を抹殺するかなどと物騒なことを考えていたため少し動揺してしまった。 動揺を隠すために慌てて話題を変える。 黒子「それにしてもみさなん真剣ですわね、何かほしいものでもあるのですの?」 黒子のその質問を聞き妹達は一斉に黒子のほうを向いた。 そして声を合わせ 妹達「「「「あの方にキスしてもらう権利です、とミサカは少し頬を紅くしつつ質問に答えます。」 番外「あ、ミサカもね。まあ口はさすがに無理だけど頬ならいいかと思ってさ。」 19090号の声は少し小さかったが何を言ったのかくらいわかる。 そしてそれを聞いた黒子は以外にも笑顔だった。 黒子「へ~そうですの、全員上条さんにキスしてもらう権利とは……少し驚きましたわ。」 とか上っ面では言っているが内心ヤバかった。 黒子(類人猿殺す!!!!!!お姉様だけでなく妹さん達にまで手を出すとは……殺す!!そしてお姉様と妹さん達を守るんですの!!!!!!!!!) 番外「??なんか悪寒が……」 御坂妹「み、ミサカもです、とミサカは謎の感覚に恐怖を覚えます。」 そして舞台上では… 上条「!?」 土御門「上やん?どうかしたか?」 上条「よくわかんねえけどなんか身の危険を感じる……」 ◇ ◇ ◇ その後は特に目立った問題もなくビンゴは続けられた。 軍覇「はっはー!!特攻服ゲーット!!!やはり根性だ!!!」 削板軍覇はちゃんと自力でビンゴして特攻服をゲットし、 浜面「お、俺のビンゴカード……」 麦野「浜面ごっくろ~う♪これで1年はシャケ弁に困らないわねっ!」 浜面はビンゴしたカードを奪い取られ麦野が大量のシャケ弁をゲットしたり、 一方「ほらよォ、しゃーねェからもらってきてやったぜェ。」 打ち「!!ほんとにもらってきてくれるなんて……ミサカはミサカは嬉しさのあまりアナタに飛びついてみたりーっ!!!」 一方通行がぬいぐるみをほしいと言ったりとまあ普通だ。 だがまだ例の権利をほしがっている者、またその協力者は誰1人としてビンゴしていない。 そのせいか空気がぴりぴりしているような気がする。いや、気がするのではく実際にしている。 そして11回目のコールで、あの男がスイッチを押した。 ???「これでいいんだろ?ちゃんと2列穴が開いたのだけど。」 そう言ってカードを持って舞台前に現れたのはタバコを吸っている赤髪の大男。 土御門「どれどれ……はい!OKぜよ!それではお目当ての景品を言ってくれだにゃー!!」 ???「そんなの決まっているだろ?僕がほしいのはあのタバコさ。」 そうイギリス清教の不良神父、ステイル=マグヌスだ。 どうやらこのコールでビンゴしたのはステイル1人だけらしい。 上条「やっぱり……ステイルはまあタバコだよな……」 土御門「はい、ステイルはこの『タバコ500カートン』をゲットだ「ちょっと待つのですよーっ!!!!!」にゃー……?」 土御門の台詞を女性の大声が遮った。 上条にはその声に聞き覚えがある。 上条「なあ土御門、今の声はもしかして……?」 土御門「ああ間違いない。」 小萌「な、なんであなたがタバコをゲットしちゃうんですかー!!」 上 土「「やっぱり……」」 その声のする方向を見ると、学園都市の7不思議とも言われる子ども先生こと月詠小萌が立ち上がっていた。 小萌「上条ちゃん?その人にタバコをゲットする権利はないのです!」 上条「え?いやそんなこと言ってもビンゴのルールですから……」 小萌「そうじゃなくて、まだ未成年じゃないですか!!14歳なのですよ!!」 上 土「「あ……」」 上条もすっかり忘れていた、ステイルはこう見えてまだ14歳、上条より年下で年齢的には美琴と同じ中学生なのだということを。 会場内からはざわざわと驚きの声が聞こえてきた。 魔術サイドの人間は別に驚いていないが科学サイドはハンパなく驚いている。 上条(そりゃどう見ても20歳こえてるやつを14歳って言われたらびっくりするわな。) だがそんなことを言われた程度で諦めるステイルではない。 14歳という年齢をバラされたにもかかわらず新しいタバコを取り出し、火をつけ吸い始める。 ステイル「ふぅー……そんなこと言ってもね……ゲームのルールには従わなくてはならないわけだし…というかあなたがこのタバコがほしいだけじゃないんですか?」 小萌「う……ってそんなことはないのですよー!!」 上条「今『うっ』って一瞬つまったよな。」 土御門「ああ、注意がウソってことはないけどタバコがほしいってのもウソじゃないぜよ。」 そんなわけで結局ステイルがタバコをゲット、小萌先生は全然納得していなかった。 ◇ ◇ ◇ 黄泉川「私はそこのお酒をもらいたいじゃん!」 海原「じゃあボクはそこのぬいぐるみをお願いします。」 アックア「そこに置いてある本を頂戴したいのである。」 ワシリーサ「それ!それだって!!そこのアニメキャラのコスチューム頂戴!え?なんでこれがほしいのかって?そんなの私の愛する部下に着せるために決まってるじゃないっ!」 闇咲「縄を頂戴したい。」 オリアナ「えーと……キスの権利、って言いたいとこだけど今回は空気をよんでそのいろいろときわどい服にするわ。」 ヴェント「とっととそこのピアスをよこしな。」 吹寄「……健康食品をお願い。……土御門、その顔は何?その『本当にそれでいいのか』っていうような顔止めてくれる?私は別に例の権利なんていらないわよ?」 絹旗「もちろん映画の無料権です!さあ早く、超下さい!!」 芳川「何かこう……日常的に楽できるものない?」 こんなかんじで順調に進み、盛り上がりを増すビンゴ大会。 参加者が次々とビンゴしていく中、ついに『上条当麻に頬にキスしてもらえる権利』狙いの人がビンゴした。 ???「ビンゴしましたーっ!!!!!とミサカはあまりの嬉しさに大声をだします!!」 上条「このしゃべり方は……」 このような珍しい話し方をするのは1人、いや9969人しかいない。まあ『しか』というのもおかしな話だが。 ネックレスをした美琴そっくりな少女、御坂妹(10032号)が舞台前へと足を進める。 同じテーブルにいた他の3人の妹達はものすごく悔しそうだ。 土御門「はい!またビンゴがでたぜよ!」 御坂妹「ふっふっふ……これでお姉様との差が埋ま「待ってください!!」る……」 御坂妹の言葉を遮り舞台前に姿を現したのは 上条「ん?五和もビンゴしたのか。」 御坂妹と同じく上条に想いを寄せる少女、五和。 本当は五和ではなく建宮がビンゴしたのだが約束通りカードをもらったのだ。 御坂妹は五和が例の権利狙いだと気づき、2人の間では火花がちっている。 しかしそれを知らない上条は 上条「で、2人は何がほしいんだ?もしかしてかぶってる?」 暢気なものである。 するとさらに 番外「ミサカもビンゴしったよ~ん☆」 インデックス「私もなんだよ!」 姫神「うん、私も…」 フロリス「私もビンゴしたわ。」 アニェーゼ「同じくビンゴしやがりましたよ。」 結標「私もよ。」 レッサー「ビンゴしましたよー!!」 オルソラ「ええ、ビンゴしたのでございますよ。」 雲川「ビンゴしたのだけど。」 キャーリサ「私もビンゴしたし。」 なぜかこのコールでビンゴした者が続出。 しかもこのメンツ、例の権利狙いの者が大多数だ。 偶然ではあるがまるで誰かが仕組んだようにも思える。 上条「…おお…一回のコールでこんなにビンゴするものなのか……で、みんなは何がほしいんだ?」 するとビンゴした面々は黙り込んでお互い牽制しだした。 ピリピリとした空気が場に流れている。 そんな中1人にやにやとしていた番外個体が 番外「そんなの頬にキスしてもらう権利に決まってるんだけど☆」 その他女子「ッッッ!!??!?」 そして番外個体は舞台真ん中に設置してる階段を上り舞台上に足を進める。 この階段、キスの権利を獲得した人が舞台に上がるため、わざわざ設置したのだ。 舞台上に上がってくる番外個体を見て上条は動揺する。 上条「……え~と…それはどういう意味でせうか?」 番外「どういう意味も意味なんて1つしかないと思うんだけど?ほら!他のビンゴしたメンバーは別の景品目当てらしいからさ!早くミサカに「ちょっと待つんだよ!!」……」 インデックス「わ、私も同じでキスしてもらう権利なんだよ!!」 五和「あ、わわわ私も!私もです!!」 番外個体に遅れをとってはいけないとばかりにインデックスと五和が慌てて舞台上へと続く。 さらに レッサー「私も同じなんですよー!!」 雲川「ま、私もだけど。」 オルソラ「もちろん私もその権利がほしいのでございますよ。」 姫神「………私も…」 結標「同じくよ。」 御坂妹「当然じゃないですか、とミサカは舞台上へ足を進めます。」 フロリス「え、えっと……ああもう私もよ!!」 インデックスと五和の後に7人も続いた。 そしてもう一人、この人はというと…… キャーリサ「んー……じゃー私もキスしてもらう権利にするし。」 上条「………はぁ!?」 まさかの展開、王女であるキャーリサも参戦を表明したのだ。 彼女は続ける。 キャーリサ「『カーテナ・セカンド』の欠片は騎士団長がもー取り返したし、面白そうだから私も参戦するの。問題はないだろう?」 正直大有りなのだが、こうなってしまっては言うことを素直に聞くキャーリサではない。 上条も土御門も何も言えなかった。 こうして11人が舞台に上がる中、 土御門「ん?そこのお嬢さんはどうするのかにゃー?」 アニェーゼ「え、えと……」 アニェーゼだけは顔を赤くしたまま舞台前から動かず、土御門の問いかけに対してもはっきりと答えを出さない。 神裂と同じように悩んでいるようだった。 そして数十秒後 アニェーゼ「私は……その…お食事券でいいです…」 アニェーゼ脱落、せっかく自力でビンゴしてここに来たのに神裂と同じでいざとなるとキスしてもらうことは恥ずかしすぎた。 アニェーゼはお食事券を片手に自分の席へと戻って行き、それを見届けた上条は再び女の子達に視線を戻す。 上条「で……残ったみんなはマジでその……例の権利狙いなわけ?」 舞台上の女子たちは皆うなずく。もう迷いなどないようだ。 そんな女子たちに上条は戸惑い、驚愕の表情を見せる。。 上条(こ、これは一体……!?なんでみんな上条さんにキスをしてもらいたいんでせう…?) 目の前の女の子達はみな真剣な表情、上条にはなぜこんな状況が生まれたのか全く理解できない。 しかしこのようなハーレムの状況に会場からは冷やかしの声や応援の声も上がっていることに上条は気づいた。 五和応援派の天草式十字淒教の声は特に大きい。 そんなみんなの様子を見た上条は鈍感さを発揮した、いやしてしまった。 上条(ああ…みんなパーティで騒ぎたいからノリでキスしてって言ってるのか…) やはり上条は上条だ。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少年の帰還記念祭
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結婚式での誓い 本日は上条当麻と御坂美琴の結婚披露宴。美琴の要望により、自分が愛する人との神聖な儀式をたくさんの人に見てもらいたいとの事で学園都市の最大級のホールでの披露宴、全世界で生中継を行う事になった。上条は反対していたが美琴の意見は覆らせず、学園都市第3位の権力に従うしかなかった。そして今、美琴は控え室にてウエディングドレスを身にまとっている。母親の美鈴が着替えを手伝っている。「わぁ~美琴ちゃん!可愛すぎよ!父さんが見たらやっぱり嫁には行かせないって怒っちゃうわよ~。」「どんだけ親バカなのよ。お父さんはもう着いたの?」「まだだけど式までには必ず間に合うって連絡が来たから大丈夫よ。」「間に合ってもらわないと私が困るわよ。バージンロードを一緒に歩く大切な仕事があるんだから。」「くす、美琴ちゃん、とっくにバージンは捨ててるのに♪」「んな、な、なんて事言ってんのよ!母親が言うセリフじゃないわよ確実に!」顔を真っ赤にして両手をグルグル回して母親に怒る美琴。「あなたが大人になって体も私に負けず劣らずのナイスバディになったのに心はいつまでも中学生のままね。よし、もう動いていいわよ。」「う、うるさい!アイツだって高校生の頃から変わってないんだから。」「それは私も知っているわよ。会う度に当麻君の話を聞かされてる母親だからね。」「あーもう!いつまでも私を子供扱いするなー!」そう言ってじたばたする美琴。美鈴ははいはいと言いながらドレスの紐を結んでいく。これがこの親子のいつものやりとり。決して仲が悪いわけではなく、お互い凄く好きなのだ。もうこのようにやりとりするのが滅法減るのかなと美琴が考えていると、突然ドアが開いた。上条刀夜と詩菜がいた。「これは失礼、着替え中でしたか。」「あらあら刀夜さん、美琴さんが着替えているのわかっていてノックもせずいきなり開けたのでしょ?」「か、母さん、怖い顔で睨まないでくれ。こっちだって急いでいるんだから。」「どうしたんですか上条さん?急ぎとは?」「いや、急ぎというか・・・・当麻がこちらに来ていないかと思いまして。」「来てないですけど・・・当麻君がどうしたんですか?」「・・・・・・・・まだ来てないんです。」「「ええ――!?」」「もう不幸だ――!」上条当麻はホテルの自室にいた。結婚式前日、部屋に土御門元春と青髪ピアスが遊びに来て久しぶりのデルタフォース結成ということで夜まで飲んでしまった。上条は明日が式のため酒はほどほどにしていたが土御門と青髪はガンガン飲みまくり、結局上条の部屋に泊まった。「なんで明日結婚式をひかえてる俺が酔っぱらいのお前らの面倒見なきゃいけねえんだ!」「サンキューだぜいカミやん、ひっく、俺はソファを借りて寝るぜよ。」「わては床で充分やで。心配なさらず・・・うぷ・・」そう言葉を交わして就寝した。はずだったのだが二人の影はどこにも見えない。あの野郎どこ行ったんだ?いや、それどころではない。急いで会場に向かわなければ間に合わない。式の時に着るタキシードは会場にあるため上条は急いでシャツを着て、ズボンを掃き、財布、携帯を持った。その時一つのあるものに気づいた。土御門が寝ていたはずのソファに紙切れが落ちていた。何だろう?と紙切れを開いて読んだ。『カミやん、久しぶりに会えて嬉しかったぜい。あんなに綺麗になった超電磁砲と結婚するなんて考えられないぜよ。今日は結婚式だったにゃー。残ったデルタフォースはカミやんだけ幸せになるなんて許せないからカミやんの酒にちょっと強力な薬を入れさせてもらったぜい。もちろん俺たちの酔っぱらいは演技だにゃー。いつカミやんが起きるかわからないが結婚式に間に合うよう幸運を祈るぜよ。会場で待ってるぜい。土御門&青ピより♪』ここで最初の言葉を上条は叫ぶ。結婚式が始まるまであと一時間。上条当麻は走り出した「そういえばここから会場まで走ったらどのくらいかかるんだ?」ふと思った上条は携帯で調べ始める。検索結果、100メートル金メダリストの足で走り続けて約50分と出た。「不幸だ・・・美琴に連絡しないと・・・どう怒られるんだろう・・・」電話をかけようとしたその時、背後から気配を感じた。「ったくよォ。あのチビがここに行けと言うから来てみたら三下のお迎えとはなァ。」「あ、一方通行!どうしてここにいるってわかったんだ?」「ミサカネットワークには驚いた。超電磁砲の声かけ一つで俺を奴隷みたいに扱うんだからよォ。お前を連れて来ないと普通に生きられないと脅されてっからなァ。」「???」突然現れて妹達がうんぬんと言い出すから訳がわからない。「そうだ三下ァ。ここに来る前にいいモン見つけたんだが。」一方通行が取り出したのは大きい袋。サンタクロースが担ぐくらいのサイズ。「三下ァ、こン中に入れ。」「はい?俺を拉致して殺すとでも言いやがるのですか?」「人の話聞いてンのかァ?お前を連れていかねェと俺が死んだも同然だ。その右手に触れられたら能力も意味ねェしよ。お前を殺すのは多分お前の嫁になるだろォけどな。」カカカと笑い飛ばす一方通行。鈍い上条はここでやっと一方通行が会場まで連れて行ってくれるのだと理解した。「ありがとうな、一方通行。」お礼を言って袋に頭まで入れた。「礼を言われる人間じゃないンだよ俺は。あと、嫁に部屋の窓を開けろと連絡しろ。」「・・・わかった」上条は今美琴に電話すると雷を落とされそうだと思い、メールで一方通行の言った通りに送信した。「一応今連絡したけど?」袋の中でもぞもぞ伝える。「ンじゃ、死ぬなよ?」「え?」チョーカーにスイッチが入る。一方通行は上条が入った袋をハンマー投げのように振り回し、遙か遠くへ投げとばした。「うわああぁぁぁ!!なんだあぁぁぁぁ!!!!?」「最っ高だねェ!ギネス級の飛距離誕生ってか?」飛んで行った上条が入った袋を見ながら一方通行は大笑いした。美琴が部屋の窓を開けてから数分が経ち、遠くから何かが接近する音が聞こえてきた。窓に目をやった瞬間、白い物体が美琴目掛けて飛んできていたのだ。それは一方通行によってここまで飛んできた上条だとすぐわかった。ひょいと避けると袋は壁に激しくぶつかり、中から「ぐへ」と情けない声が漏れたのが聞こえた。袋を開けると中にはあははと少し壊れたように笑っている上条がいる。「当麻、理由を教えてくれないかしら?」髪の毛が逆立ちいつでも電撃発射できるわよと上条にアピールする。「いや、これはですね、土御門たちに薬を飲まされてですね、「問答無用!!」」言い訳を言っても話を途中で切られ、ガミガミと美琴にたっぷり説教を喰らった。「無事に着いたみたいだけど、美琴ちゃんと当麻君の立ち位置は既に決まっているようね。」「あらあら、当麻さんは尻に惹かれるタイプなのね。そう思わない刀夜さん?」「母さんそこで私に振らないでくれ。目が怖い・・・」そして長い説教が終わった。「まだまだ言い足りないけど今はこのくらいにしとくわ。結婚式が終わったら覚悟してなさい!ほら、さっさと着替えに行って!」「・・・・はい。」上条の両親がこっちへ来いと促し、それについて行く上条。ドアから出る前にくるっと振り返り、「美琴、ドレス凄く似合ってるぞ。こっそり俺が頼んだドレスは間違いなかったな。やはり美琴を見る目は上条さんが一番正確だぜ。んじゃ、着替えてくるから~。」じゃあなーと言って上条は去って行った。「お、お母さん、今アイツ、俺が頼んだドレスって・・・」美琴は驚きを隠せなかった。以前電話で上条と話した時に、「ドレスの質の違いがわからなかったから一番安いのをレンタルさせてもらうことになった」と言われた事があった。もちろん美琴はその時激怒したが激安スーパーでいつも食材とにらめっこしていた上条なら当然の判断なのかなと思い、ドレスの事は諦めていた。しかし今日ドレスに着替えた時、安物にしてはとてつもなく上等な生地だなと思っていた。「お母さん、アイツから何か聞いてなかった?」「私も何も聞いてないわよ。昨日当麻君にドレスを渡してもらっただけ。」「・・・あの馬鹿」美琴は廊下に出た。何も教えてくれない上条にまた説教ネタが増えたと思い、真相を問い詰めてやろうと上条がいるであろう部屋の前に立ち、バンとドアを開けた。上条当麻はいた。だが着替えの真っ最中でパンツ一枚になっておりズボンを履こうとしていた。「どうした美琴。レディなんだからノックくらいしろよ?」「きゃあ!!ごめんなさいぃ!」パンツ一枚の姿に慌ててドアを閉めた。部屋の中から「なんだ当麻、この年になって美琴ちゃんはまだお前の裸を見慣れてないのか?」「あらあら刀夜さん、娘になる美琴さんで変な妄想していたら許しませんよ?」「だああぁぁうるさい!これくらい自分で着替えれるから早く出て行けー!」そんなやりとりが聞こえたかと思うと同時に刀夜と詩菜がため息を吐きながら出てきた。この両親ならドレスの事について知っているかもしれないと思ってとっさに質問した。「あの、このドレスはどうされたんですか?」「あらあら美琴さん、そのドレス改めて見ると凄く綺麗ね。あなたが着ているからかしら。それに一つ一つ丁寧すぎる程縫ってあるわ。」「いや、ドレスは?」「どこでどう調達したかはわからないがさすが学園都市。当麻のタキシード姿が目立たなくなるな。」「・・・・・」どうやら上条の両親も知らないみたいだ。こうなったら上条本人に聞くしかない。タイミング良く上条が着替え終わって出てきた。「おまたせ~って美琴、さっきからどうしたんだ?」「このウエディングドレスどうしt・・・・ムグ」上条に手で口をふさがれた。「父さん、母さん。最後の打ち合わせがあるからもう中に入っていいよ。待っていても俺が遅れたからすぐ式始まってしまうぜ?」「そうか。では母さん一番乗りに会場に入るとするか。」「はい刀夜さん。美鈴さんも一緒に連れて行きましょうか。」「当麻、美琴ちゃんに恥ずかしい思いさせるなよ!頑張れ!」そう言い残して二人は去っていった。二人が完全に見えなくなったところで「ごめん美琴、隠すつもりはなかったんだけど隠してしまった形になってしまったな。」「何よ、このドレス、絶対ここで借りたヤツじゃないでしょ?」「ああ。借りるつもりだったんだけどケタを見てびっくりしてさ。ダメもとで舞夏に頼んだら快く引き受けてくれたんだよ。色々注文したのに一晩で作り上げたとか言ってたぞ。」「一晩でこのレベル・・・凄すぎるわよ。」「さすがメイド学校と言ったとこか。てかお前・・・・・可愛すぎ」「やめて――!は、恥ずかしい事言うなこらー!!」ビリビリ開始まであと数分、会場にはたくさんの人で埋め尽くされている。もちろん二人の親交が深い友人達、かつて(?)のライバルもいる。「初春また頭の花増えてない?」「何の事ですか?それより佐天さん、白井さんはまだですか?」「つい先程合流したことをお忘れですの?頭のお花だけ瞬間移動させてあげましょうか?」「冗談ですごめんなさい白井さ~ん!」「あ~やっと会えた!お疲れ様!てミサカはミサカはあなたの腕に抱きついてみたり!」「チッ、クソガキが」「もうクソガキじゃない!てミサカはミサカは体も著しく成長したとこをアピールするために胸を強く腕に押し当ててみたり!」「やめろこンな場所で!てめェは妹達に何を吹き込まれてンだ!」「妹達じゃないもん、お姉様だもん!てミサカはミサカは真実を告げる!」「建宮、五和はまだ来ていないのですか?」「女教皇様、それがさっきからずっとトイレに引きこもっているのよ。」「そうですか。あの方があの女性を選んでからずっと五和はこの調子ですからね。」「お、噂をすれば戻ってきたよ。」「女教皇様。いらしていたんですね。」「五和、心配してたのですよ・・・ってこんなところで何故槍を装備しているのですか!」「女教皇様、私が変な行動をとろうとしたら力ずくで止めてくださいね」「まずい、五和の目がマジになってる・・・」「小萌センセー、まさかあの上条が常盤台の超電磁砲と結婚するなんて考えられないじゃん?」「今まで上条ちゃんが立てた女性フラグは星の数です。その中の御坂さんを選ぶとは上条ちゃんも相当やり手だと見えるのですー。やはり隅におけないですねー。」「でも悔しいと思わないじゃん?」「悔しくないと言えば嘘になりますが、もう誰もあの二人を引き離すことはできないですー」「やれやれ・・上条は小萌センセーにもフラグを立てていたとは。凄い男じゃん」そして結婚式が始まった。先に上条一人入場した。祭壇の前まで進むとステイルが立っていた。「あれ?何でステイルがここに立ってんだ?インデックスにお願いしてたのに。」「誓いの言葉はシスターではなく神父が問いかけるものだ。それにあの子は君のお願いなら断らない。だが、愛する人に他の女性と永遠の愛を誓いますか?とは聞けないだろ?」「え?インデックスの奴俺の事を・・・」「今頃気づくのかい。ここまで鈍いとはもはや病気だね。とにかく今は私語は慎んでくれたまえ。僕は彼女の代役を真っ当するためにここに立っているのだから。」「・・・・」上条は思い返した。美琴と結婚すると決めた時、噛み付かれるかと怖かったが一番にインデックスに報告した。報告した時のインデックスは「あの短髪と?」と驚いていたがおめでとうと祝福の言葉をもらった。だが悲しい表情をしていた事にはこの上条は気づいていなかったのだ。『続きまして新婦の入場です』アナウンスが流れ入り口から美琴は旅掛と腕を組んで入場した。二人が上条の隣に立ち、旅掛は神父のステイル、次に上条にお辞儀をして席に座った。式が進み、いよいよ誓いの言葉を言う時がやってきた。「上条当麻、汝は御坂美琴を永遠に愛する事を誓うか」ステイルが棒読みで質問してきた。しかし上条は口を開けない。(どうしたのよコイツ。もしかして誓いますって言うのが恥ずかしいのかしら。私だって大勢の前で言うの恥ずかしいからここで漏電しないようにかなり予行練習してきたんだから。アンタが緊張したら私も余計緊張するじゃない)美琴は隣にいる上条を不安そうに見ていたが上条の本心は違っていた。(・・・インデックスが俺の事を好きでいたなんて考えもしなかったぜ。今までずっと一緒に暮らしていたのによ。もしかしたら美琴より多く同じ時間を過ごしていたかもしれねえ。ステイルが俺たちの前にいるって事はインデックスは会場のどこかで見てくれてるはず。俺は一生美琴を愛するって決めたんだ。でもインデックスの気持ちに気づいてやれなかった俺はホントに馬鹿だな。何も考えずいつも目先の事だけ見ていた俺はとんでもないな。遅いかもしれないがインデックスに言う事がたくさんある!)上条はくるっと会場の方を振り向き、生中継されている事をすっかり忘れ会場に向かって語り始めた。会場にいる女性全員にフラグを立てる事も知らずに。「俺は神に宣言はしねえ。ここにいるみんなに宣言する。美琴を一生愛する事を!妻として、そして恋人として一生愛する。昔から俺は決めていた事がある。御坂美琴と周りの世界を守ると。美琴の周りの世界はみんながいる。美琴は俺をヒーローだと言ってくれた。だから俺はみんなを守りたい!美琴を守れたらみんなが喜んでくれる、みんなを守れたら美琴が喜んでくれる。そうだと俺は信じてる。臭いセリフかもしれないが愛する美琴のために俺は動く!美琴の笑顔が見たいから!泣き顔なんて見たくねえ!この言葉に嘘はない!だから俺は美琴を愛すると誓う!まだ文句があるなら頭にでも噛み付いて来やがれ!」一瞬静まり返る会場。そしてじわじわと拍手がなり始め、最後にはスタンディングオペーションとなった。「コホン、上条当麻、一応式だからこっちを向いて言ってくれないかい?」ステイルがイライラしたように訪ねた。「はっ!俺は何をしたんだ?美琴、俺は?」美琴は嬉しすぎて今にも倒れそうだったが何とか立て直せた。「・・・生中継を録画してるから後で自分が言った恥ずかしい内容を確認して。私があ、あんな事言える訳ないじゃない!」「しまった、興奮しすぎて何を口に出したか全く覚えてない・・・不幸だ」上条は泣きそうな声でステイルに誓いますと宣言した。「では御坂美琴、汝は上条当麻を愛する事を誓うか?」「も、もちろんよ!誰に言われても気持ちは変わらないわ・・・・じゃなくて・・・ち、ち、ちちちちちちちち誓います!」会場から少し笑い声が聞こえ、それに美琴は顔を一段と赤くした。「それでは、誓いの証として口吻をしなさい。」「き、キス!?こんな大勢の前で?」「何を今更驚いてんだ?そういうのが普通じゃないのかステイル?」「事前に夫婦に聞いておくものなんだが僕は代役なので。ま、君は何て事なさそうだからやっちゃえよ。」「お前、俺をおちょくってないか?」「ちょっと!私を忘れるな!するなら早くして!私からする勇気なんてないんだから!」「やれやれ、相変わらずツンデレですな姫は。そんな美琴が大好きだぞ。」「・・・私も。これからもよろしくね。」二人は口吻を交わした。再び拍手が鳴り響いた。そして歓声の中悲鳴にも似た声もちらほらと聞こえた。式も一通り終わり、上条と美琴以外の全員は会場を出た。これから女性達の待っていたイベント、ブーケトスが始まる。「ちょっと当麻!これブーケと言うより花束じゃない!」「お前みたいに器が大きい感じでいいだろ?これも舞夏が協力して準備してくれたんだよ」上条が美琴に渡したブーケは確かにお祝いで送る時に見るような大きさの花束だった。舞夏のセンスで白い薔薇をメインにしたブーケである。会場の外は新たな夫婦が早く出てこないかと待っている。ただブーケを手に入れるために残っている女性が先頭を占めているのだが。「お姉様の投げたブーケは必ず黒子が手にしてみせますの!ウヘへへへ」「私だってほしいです白井さん!御坂さんが投げるブーケには絶対ご利益がありますから。」「非科学的な発想だね初春。でも、確かにあのブーケは欲しい・・・」この三人を良い例に他の女性達も「あの御坂美琴の投げるブーケはどうしても手に入れたい」と思っているのだ。入り口に上条夫妻が登場した。二人は大きな歓声に包まれ笑顔で声援に応える。「お姉様!早くそのブーケを黒子にお渡しくださいまし!」「あげる物じゃないのよ?能力使わないで自力で手に入れなさい!」美琴は観衆に背を向けてブーケを空高く投げた。宙に舞うと同時に白井、初春、佐天、御坂妹、打ち止め、神裂、五和、小萌、黄美川などの女性がブーケに向かって一斉に飛びかかった。しかしこの中の女性陣で誰もブーケを手にする事はなかった。小さな三毛猫が猫には大きすぎるブーケをジャンプして口で掴みとった。地面に着地するとブーケを引きずらないように持ち運んで行った。三毛猫がブーケを運んだ先には白い修道服を着た銀髪の少女、昔と比べると大人に成長したインデックスが立っていた。「わあ、スフィンクスこのブーケ私にくれるの?ありがとう!」このような出来事をみんなより少し上の位置で見ていた上条と美琴は驚いていた。「当麻、インデックスに渡って嬉しいんじゃない?」「ん?まあな。まさか能力でインデックスに行くようにしたのか?」「私にそんな能力ないわよ。普通に投げたらあの猫が捕ってインデックスに渡しただけ。黒子が瞬間移動で奪うと思っていたんだけど、これって運命よね。」「ああ。それにしても美琴、やけに嬉しそうだな?」「当麻が嬉しい事は私も嬉しいんだよ。」「はは・・口調がインデックスみたいになってるぞ」翌日、新聞やテレビのニュースでは上条と美琴の話題で持ちきりでいた。どの新聞も上条と美琴のキスをでかでかと一面に載せ、テレビでは上条の宣誓からキスまでの一連の出来事を何度も流していた。新婚の二人はソファで隣同士に座り、美琴は片手に新聞、テレビのリモコンを持っている。「どう?当麻はこんな事言ってたのよ。改めて聞いてるとホントにこっちが恥ずかしいわ。」「もうテレビは消してくださいお願いします~!」「何言ってんのよ。どのテレビ局がどのように放送したのか全てチェックしないと。もちろん全部録画の予約はしてるからね。」「やめろおぉ!もういっそのこと殺してくれ!俺はもう外を歩けない!」上条は恥ずかしさのあまりに顔を伏せた。そこに美琴が体を近づけた。「アンタはまだ死んだらダ~メ。私とその周りを守るんでしょ?」「その言葉に嘘はありませんが今は言わないでください。恥ずかしすぎます・・・」「クス、でも愛するための行動ってそれだけじゃ物足りないかも・・・」「一体どうすればよろしいでせうか・・・」「いつまで経っても当麻は鈍感なのね。子供が欲しいと思わない?」「っ――――!!」「まだ夫婦として始まったばかりよ。新しい家族を築かないとね。よろしくね、あ・な・た☆」「お、お、お、お前には敵わないよ・・・何ていうか、幸せだ。」
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とある乙女達の乙女達による乙女達の戦い 「さあついにやってまいりました、第1回上条当麻争奪アピール大会!!」「ちょっと!第1回ってなによ!何回もこんなことやるわけ!?」「司会人はこの私、佐天涙子!」「実況は私、初春飾利でお送らせていただきます!」(スルーかい!)「今回この大会の募集人数が5名だったのに対し、応募者は10100人というデータが来ています!」「すごい倍率ですね~。およそ2020倍ですよ!」「ではここで審査員と選手のみなさんを紹介したいと思います」「まずは審判の皆さんから!今回の審判は5人です。…左から一方通行さん!小萌先生!土御門舞夏さん!寮監!そして上条当麻さん!」「なおそれぞれの審判の持ち点は1ポイントですが、上条当麻さんのみ2ポイントとなります!」「では次に選手の皆さんの紹介です!見事書類審査を勝ち抜いたのはこの5人!御坂美琴さん!五和さん!オリアナ=トムソンさん!打ち止めさん!木山先生!」(個性的すぎるメンバーが集まったわね…)「ではここで10分間の休憩に入ります!その後競技の説明に移っていきたいと思います!」休憩中「なんだこの大会…争奪?何を?もしかして上条さんを殺す権利!?それはマズイ!「…って、ん?一方通行の目がヤバイ。なぜ上条さんは殺意を向けられているのでせうか…大会云々の前に死んじゃうかも!?」休憩時間が終わるころ、会場から逃げ出そうとして捕まったツンツン頭の少年がいたそうだ。「……………」「元気かな一方通行!」「……………」「そんなに打ち止めちゃんが出場することがが気に食わないのかにゃー?」「……………」「まぁ仕方ないぜよ。誰だって好きこのんで白いもやsガハッうぐう」「身から出た錆だァ」「」競技中に物言わぬ金髪サングラスの少年が全裸で発見されたそうだ。「ちょっと打ち止め!なんでアンタまででてるのよ?まさかアンタまでアイツのことが…」「違うよお姉さま!ミサカが狙ってるのはね2等のコーヒーメーカーなんだよーってミサカはミサカは本音を言ってみたり」「あの人コーヒー大好きだから、あの人にプレゼントしたいんだってミサカはミサカはあの人への好意を露わにしてみる」「ところで、お姉さまが狙うのはどっち?特等の上条当麻?それとも4等の”ゲコ太なんでも詰め”(非売品)?」「えっ?あーうーん、うーん…」休憩が終わるまで頭を抱えて唸る少女が見られたそうだ。 「さあいよいよ競技の時間が迫ってきました。ここで競技説明をします。」「第1競技、女子と言えばやっぱりファッション!ということでファッションショーです!」「服はたくさんありますので好きに選んでください!後ろのボックスで着替えてください!では用意ースタート!」「ファッション!?ううーいつも子供っぽいって言われてたし…どうしよう、あっそうだ!」「上条さんはどんな服が好きなんでしょうか?やっぱりここはこれで!」「年頃の坊やなんて所詮大人の色気にはかなわないんだから、これでいいわね」「ファッション…面倒くさいな。もうこれでいいか」「ミサカはこれにするーってミサカはミサカは自信ありげに言ってみる」10分後ー「タイムアウトでーす。それではみなさん名前を呼ばれたら出てきてください。まずは御坂さん、お願いしまーす」「!わあああ、御坂さん綺麗ですね!!確か盛夏祭でヴァイオリンの独奏をしたときの服装ですね!」「はい!これは高得点が期待できそうです!」「では五和さんどうぞ!」「こ、これは…?」「さ、さあ…私にも分かりません。しかしかなり似合ってますね~」「あっ情報が入りました。どうやら五和選手が着ているのは”大精霊チラメイド”のようですね」「オリアナトムソン選手どうぞ!」「なっ…露出が多いですね…でも胸がおおきいせいかなんの違和感も感じない…」「大人の色気がアピールできてますね!」「打ち止めさんどうぞ!」「わあ、かわいいですね!さすが御坂さんの妹さん」「ですね~なんていうかこうギューって抱きしめたいですね~」「では最後に木山選手どうぞ!」「ぶっ」「」「き、木山先生…?なぜ下着なんですか…しかも下着なんかほとんど役割果たしてないし!!」「いや~なんとなくね~めんどくさくて…」「なんでこの大会に出場した!というかまずしまってください!」「というわけで以上5人によるファッションショーでした!」「点数は最後に一斉に開示されます。では審査員の感想を聞いていきたいと思います。では上条さん、御坂さんはどうでしたか?」「え、あ、ああーなんつーかスゲー綺麗だと思った。」(綺麗!?私が綺麗!?はわああ~綺麗→惚れる→プロポーズ→結婚)「よかったですね御坂さん!(なんか涎垂らしてる…よっぽど嬉しかったんだろうな~)では一方通行さんはどうでs?」「打ち止め可愛い」「他の方はどうでしたか?」「打ち止め可愛い」「いや、あの他の人…」「打ち止め可愛い」「…」「…」「というわけで第2競技に移っていきたいと思います!佐天さん、第2競技はなんですか?」「…はっ、え、えーとね第2競技はぁぁぁぁズバリ料理!!上条さんは家庭的な女性が好みなんですよね」「まーな。嫌いではないぞ」「ということで皆さん頑張って彼の胃袋を掴んじゃえ!時間は2時間。種類は問いません!お菓子でも構いません!よーいドン!」 「そういやアイツ前にあんなことを言ってたわね…頑張ってみるか」「え、えーと上条さんは和食が好きだったはず!なら味噌汁に隠し味の…」「これしかないわよね~」「料理か…やったことないんだったな私は」「ミサカ、危ないからって料理させてもらえなかったんだよってミサカはミサカは弱音を吐いてみる」2時間後「では一斉に開帳!」「おおおおおってあれ?オリアナ選手と木山選手の料理がありませんが…」「ああ、デザートはお姉さんっていうやつよ」「何言っちゃてんのこの人!」「木山先生はどうかしたんですか?」「ああ、あるよ。」「えっ?どこですか?」「ここだよここ。」「それトマトですよね」「やっぱ味は自然に限る」「何ドヤ顔になっちゃってんですか!?それ料理じゃないですからね!はぁーはぁ」「ツッコミ御苦労さま佐天さん。では他の人の料理を見ていきたいと思います!」「御坂さん、これは…」「いやーアイツ前に下手くそなりに作ったボロボロクッキーが良いって言ってたから、あえてボロボロに作ってみた///」「うわあああああ、なんていうか健気すぎる…」「五和さん、これは和食ですか?」「はい、味噌汁に隠し味を使ってみました!」「打ち止めちゃん、これはおにぎりかな?」「そうだよってミサカはミサカはお姉さま同様無い胸をはってみたりー…はっ!」「アーンーターねー」「おいおい落ち着けって、御坂」「でも妹の躾は姉の仕事でしょ」「頼む、美琴…」「わ、分かったわよ////」上条に真剣な眼差しで見られては抵抗することなんてできない。「ねえ、初春。この二人本当に付き合ってないの?なんか恋人どうしにしか見えないんだけど」ヒソヒソ「御坂さんがそう言ってますし、付き合ってないんじゃないですか?」ヒソヒソ「まぁ私たちはできる限りのことをやろうよ、御坂さんのために」ヒソヒソ「そうですね」ヒソヒソもうお分かりだろう。この二人は美琴と上条さんをくっつけようと奮闘しているのだ。ちなみに上条はもちろんのこと、御坂もこのことを知らなかったりする。 とある乙女達の乙女達による乙女達の戦い 「審査員の評価を聞いていきたいと思います」「上条さん、御坂さんのクッキーはどうでしたか?」「あえて、ボロボロにしなくてもよかったんじゃないかな…」「…………」「み、御坂さん(すごい落ちこんでる…)」「いや、でもそこ可愛いと思うし味は悪くねーからな!?」「本当!?」「上条さんはこんなことで嘘をつきません」「アンタ…」「御坂…」とここで二人の世界に入ってた上条と御坂を引き戻す声があがった。「上条さん、あの私の和食も食べてください。」「お、おお…あん時よりもうまいな!細かい味までは分からねーけどこれはうまいな。」「こ、これは…まさか隠し味に鯛を使っているな?」「なぜ分かったのですか!?おばあちゃんにも看破されたことないのに…!」どっかで聞いたことのあるやりとりだなーと思っていると、打ち止めがおにぎりを差し出してきた。「上条さん、これをどうぞ!」「ああ、ありがたくもらうな」とどうベクトルを操ったのか、上条が取ろうとしたおにぎりはまっすぐに一方通行の方へ向かっていった。「どうしたのアナタってミサカはミサカは驚いてみたり」「いいか打ち止め!おまえの作った料理は他の誰でもねえェこの俺が食う!」そう言っておにぎりをガツガツ頬張る一方通行。あれ?なんか異変が!おにぎりが喉につっかえたようだ。痙攣してる…あっ動かなくなった。一方通行、好きな人の料理を食べて死ぬなんて幸せだな。「あら、お姉さんのデザートはいいの?こっちは準備万端なのよ」「うっ」悲しいかな、ついつい興味を示してしまう。遠くで帯電してる音が聞こえる。何らかの武器を組み立ててる音が聞こえる。ここは引こう。いくら興味があるっていっても命のが大切だもんね。 「さて第3競技ですが、うわあ…全員のデスマッチとなっております」「これでアイヅにアピールよ!」「注意すべきはこのレベル5ですね」「あら、お姉さんに勝てるとでも?」「今の私にはマルチスキルがないんだが…」「これは望み薄かもーってミサカはミサカは最初から棄権することも考えてみたり」火花を散らしている(主に美琴vs五和)選手たちに向かって一方通行が「オイ、テメエら打ち止めに怪我負わせたら、テメエらの全ベクトル外に操って、爆散させっからなァ」「では、3、2、1、0!」「「「「「はあああああ」」」」」最初の激突で木山先生が倒れているのが発見され、木山先生OUT。試合開始0秒5:木山敗北「あら?お姉さん速記原典どっかに落としちゃったみたい」「ここはおとなしく引かせてもらうわ」試合開始5秒:オリアナ棄権「打ち止め!悪いけどアンタから消えてもらうわよ!」「まずは危険度の低そうなこのちいさな子から…」「きゃああ!」「さっき言ったよなァ…打ち止めに手ェ出したらブッ潰すってなァ」「ちょっと!フェアじゃないわよ!助っ人呼ぶの有りなの!?」「だめですよー。審査員が競技に参加しちゃ」「関係ねェ。今からお前ら粉々にしてやんよォ」とここで打ち止めによる一喝がはいる。「アナタは邪魔しないで!ってミサカはミサカは怒ってみたり」「でもさっきお前俺のこと呼んだんじゃァ…」「アナタは最初からお呼びじゃないってミサカはミサカは敢えてきつく言ってみたり」打ち止めにそう言われた瞬間、一方通行の口から白いものが飛び出てきた。白いものは時々、未練がましそうに打ち止めの方へ振り向きながら、天へ昇って行った。よっぽどショックだったんだろうな。一部始終を見届けた後に試合は開始された。当然というかなんというか、御坂の勝利で第3競技は終了した。さすが美琴ちゃん、聖人とほぼ互角にやり合っただけある。ちなみに以下が五和と打ち止めの成績である。試合開始3分:打ち止め敗北試合開始7分:五和敗北さてこの大会もいよいよフィナーレを迎える。「最後の競技は~~~~”告白だ!これで相手のハートを掴んじゃえ!”です!!」「告白のシンキングタイムは30分与えられます!では各自頑張って彼をときめかせましょう!」 とある乙女達の乙女達による乙女達の戦い 「こここ…告白うううううう!?無理無理、そんなことしたら私死んじゃう!」「準備は完璧です」「お姉さんの本領発揮のようね」「こういうのは私の専門じゃないんだが…」「こんどこそ邪魔しないでよねってミサカはミサカはあらかじめ警告してみたり」30分後「では本来ならここで告白タイムと行きたいところですが!その前に順位発表です!佐天さんお願いします!」「さあ~これまでの順位はいかに?5位、0ポイント、木山選手!」「4位、2ポイント、オリアナ選手!」「3位、3ポイント、打ち止め選手!」「1位は御坂美琴選手と五和選手で、6ポイントと並びました!」「そんな、あんなに頑張ったのに…」「まだ私にもチャンスはあります!」美琴の顔色は優れず、五和は対称的に明るかった。「ただし!その内訳ですが面白いことになっております!」「こちらをご覧ください」 美琴 五和 打ち止め オリアナ 木山第1競技 2 2 1 1 0第2競技 2 2 1 1 0第3競技 2 2 1 0 0「五和選手の票は御坂選手の圧勝と考えてた人達による票です」「そして、御坂選手の票は なんと 全て上条選手によるものです」その事実が公表された瞬間、両者の表情は入れ替わった。五和はショックを隠しきれない表情で、美琴の笑顔はとても輝いていた。この世界の上条さん、GJ!分かっていらっしゃる。美琴は気づく。自分の心が波の立たぬ海のように穏やかであることを。まさに明鏡止水。(よし、もう大丈夫!きっとアイツなら受け入れてくれる。根拠はないけどそんな気がする。)「御坂選手、お願いします!」自分の名前を呼ばれ、いざ出陣。もう迷うことなんてなにもない。3日後常盤台寮談話室 テレビ『さあ御坂選手による告白タイムが始まりました。あ、でも遠くてなかなか音声が拾えないですね』あの大会、実は学園都市公認の企画であり、テレビでも放送されることになっていたのだ。『アンタ…いつも一人で問…抱えて…私も…重荷背負う…アンタ…一人じゃな…アンタと私…同じ道…進んで…』「いやああああああああああ。恥ずかしい!!!////」prrrrピッ『御坂か?凄い台詞叫んでたんだな』「もうやめてえええええ」 「照れるな照れるな。でも可愛かったし、すごく嬉しかったぞ?だからこれからもよろしくな、美琴」「うう~。こ、こちらこそ、ばか当麻…/////」 とある乙女達の乙女達による乙女達の戦い 後日談&おまけ3日後あの自販機(賽銭箱)のある公園ベンチでそわそわする不審な少女がいた。「今日は初デートか~」「こんなことならもっと早くに素直になっておけばよかった…昔の私をはっ倒したいわね」そう言った美琴は先の大会の告白を思い出していた。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~「御坂選手お願いします!」呼ばれて、美琴は競技場の中央に向かってゆっくり歩いていった。中央には普段はまず見かけることのできないであろう照れた姿の上条が立っていた。「アンタって本当に損な性格してるわよね。不幸よね…困ってる人を見たら手を差し伸べずにはいられない。まぁそれで私は助けられたわけだし、アンタのそういうところが好きなんだけどさ…」「本当はすごく不安なの。アンタがいつかいなくなっちゃうんじゃないかとか…実際、第22学区でもロシアでも死にかけたじゃない。だから本当はそんな事して欲しくなんかない…!」「でもそれは私の我儘。さんざん助けてきたアンタが相も変わらず助けたいって言ってるのを止められるわけがない!本当は危険な事をしてほしくないとか思っていたって、それでも…それでも肩を叩いて送り出してやるのが良い女って奴でしょ!」「だったらせめて少しは人を頼りなさいよ!アンタの抱えている重荷、私も背負う!もうアンタは一人じゃない。アンタと私は同じ道を進んでるの。そのことを忘れんじゃないわよ!」全てを吐きだした美琴はようやく自分の言ったことの恥ずかしさに気付いたのか、顔を赤くして、「うわああああああああん」という声を残してどこかに行ってしまった…が途中で捕まってしまった。他の誰でもない上条当麻に。「待て、御坂。逃げんな!」「離して!もう生きられないの。こうなったらあの鉄橋から飛び降りてやる!うわああん」「死んだら、俺はどうなる?一緒にいられないぞ?」「うっ、それは困る…」「なら結果発表までおとなしくしてろ。つってももう決まったようなもんだけどな」「え?」「え?じゃねえよ。周り見てみろよ。皆泣いてんぞ」確かに上条の言葉通り会場の人々は皆涙を浮かべていた。一方通行に至っては号泣して、打ち止めに慰められていた。「皆、どうだろう。俺はもう決着がついたと思うんだけどさ」「ぞうでずね。でもルールはルールですから、一応ジャッジしましょう」美琴 五和 打ち止め オリアナ 木山 6 0 0 0 0「このような結果となりました!ということは…」「はい!優勝者は御坂さんとなります!おめでとうございます!」「御坂さんは中央に来てください。上条さんお願いします!」「何を?」「告白に決まってるじゃないですか!」「ええ!アドリブで?」「でも上条さんはそういうの(説教)得意なんですよね!」佐天の爆弾発言が飛んだ後、上条と美琴を取り巻く空気の温度が10度下がった気がした。「え?アンタ、まさか他の女の子にも…」「いや、違うぞ!これはなんかの間違いだ!」「ア~ン~タ~は~外国行って何してんのかと思えば、そう…そういうことをやってたのね…ほほ~う」「だーちくしょう!落ちつけ御坂!俺がそんなことするわけないだろ!」「わー抱きしめられた。良い匂い…じゃなくて!アンタならやりかねないって言ってんのよ!よくフラグ立てるし」「だーいじょうぶだ。もう俺の心は御坂のものなんだぜ?あんな告白されたら誰でもKOされるさ」「でも…」「ったくちったあ俺を信用しろよ。どうしたら信用してくれるんだ?」「どうやって私を信用させる?」そう言った二人の口は数秒後にくっついた。いわゆるキスというやつだ。なんかどこかで「ぎゃああああああ!御坂さああん!」という声が聞こえたような気がしないでもない。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~「うへへ。当麻とのキス嬉しかったな~もっかいしたいな~」まだ妄想の世界にいるのか美琴は体を振ってイヤンイヤンしてる。「にしても、当麻遅いな~」いや美琴ちゃん、それは来ないよ。だってまだ待ち合わせまで3時間あるもん。いくら上条さんが恋愛脳になったからといって、こんな早く来るはずがないよ。「おーっす、美琴!早いな」えええええ!まじか上条さん!つかあんた本当に上条さん?上条さんの格好をしたエツァリなんじゃねーの?「ちょっと、アンタ誰よ!」「は?いやいや上条さんだからね」「ふざけるなあああああ」美琴を騙そうとした上条(仮)に天罰(美琴の本気)が下った。「あばばばばばばばあば」「なめんじゃないわよ。アンタがいくら上手に変装しようと私には違いが分かるのよ」「私がどんだけ当麻を見てきたと思ってんのよ」ここでようやく本物が現れた。「よお、美琴!早いなーってこれ何!?」その瞬間美琴の顔は乙女のそれに変わった。「気にしなくていいわよ。それより遅いわよー!罰として…」「悪い悪い、これで許してくれるか?」こうして二人は公園を後にした。「おーい生きてるかー」「なんとか…」「言っておくがお前に同情の余地はないからな」「分かっていますよ、ショチトル」「どうだ、私と第13学区に新しくできた喫茶店に行かないか?」「……喜んで同行させてもらいますよ」オマケそれぞれの告白五和編「上条さん、これをどうぞ!!」「なにこれ?」「タオルです!おしぼりから進化しました!」「変なタオルだな…ってこれ下着じゃねえか!!」「間違えました!すみません、すみません」「五和、それはタオル作戦じゃいかんのよな、やっぱりハンカチでなくては」「いや、それもどうかと思いますよ、建宮…」打ち止め編「上条さん、実験の時はありがとうございました!だーい好き!」「打ち止めェェェ!!離れろ!!やっぱりソイツとは刺し違えてでも殺す!!」「大丈夫だよ一方通行!本当に好きなのはアナタなんだからってミサカはミサカは思い切って告白してみたり」「そ、そうか…まぁそういうことなら仕方ねえなァ////」「あれ、俺は蚊帳の外?」オリアナ編「この後ホテルでも行かない?」「まーただよこの人は。行かないからな!?」「またまたー本当は興味あるくせに~」「ないとは言わない!だけどそれだとアイツが悲しむからな」「ふー、お姉さんじゃこの子落とすのは無理そうね」「悪いな」「いいのよ別に。あっ君君今からお姉さんとほt」「幼稚園児誘ってんじゃねえええ!!言わせないからね!!」木山編「告白か…どうやってやるんだい?」「それを今聞くのか?」「いやー生まれてこのかた異性に興味が湧かないもんだから」「さっきも言ってたけどなんで応募した!」「君と親しくなれば、幻想殺しの研究ができると思って」「研究して何をする気だ」「世界を手に入れる」「子供か!ていうかさせないよ!?」
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「ミサカ、巫女と美琴(みさかみことみこと)」第4話「ホワイトバニーの幻影」 (Chap.4) 土曜日19:55 第21学区天文台へ続く道路 天文台へと続く片側1車線の道路には山側に歩道があり街灯が30mごとに設置されている。点 在する街灯の下だけは明るいものの辺りはすっかり暗闇に包まれている。道路以外に人工物など 何もないその山腹の路肩に一台のオープンカーが駐車していた。 そのオープンカーに小さな電子音が鳴り響くと運転席の影がゴソリ!と動く。リクライニングさせた 運転席に寝そべっていた一方通行が視線を向けたバックミラーには暗闇の中、道路を照らす街灯 のみが映っている。その一つの街灯の明かりの下に暗闇から1つの人影が吐き出された。 「ちッ、場所も時間も予定通りか。まあいい。誰が黒幕だか知らねェが今回は掌の上で遊ンでやる」 オープンカーから飛び降りた一方通行の紅い瞳は15m先の街灯の下に佇む人影を捉える。そ れは長い髪をポニーテールに括り、Tシャツに片方の裾を根元までぶった切ったジーンズそして 腰のウエスタンベルトには七天七刀という格好をしたウエスタンルックサムライガールだった。 そこから少し離れた林の中ではその様子を覗き見る香焼と建宮が小声で会話を交わしていた。 (教皇代理。プリエステスはホワイトバニーで出撃していただけるって話じゃなかったんすか?) (そうなのよ。それが相手が上条当麻殿ではないと判った途端、ならばホワイトバニーになる必要 などありません!とか言って嬉々としてあのまま突撃されたのよ。くそッ!詰めを誤ったのよな!) 「天草式十字凄教の神裂火織と申します。故あって貴方とお手合わせさせて頂きます」 「ふン!オマエが誰でもイイけどよォ。本気で俺と殺す(やり)合う覚悟があるなら掛かってきな!」 「参ります!!」 轟(ごう)ッッ!! 神裂火織が流れるような動作で右掌を前方に差し出すと爆炎が一方通行目指して噴き出した。 噴き出した爆炎は一方通行から見ればあたかも神裂火織が爆発したように見えたはずだ。しかし 一方通行は動じない。 (ふン!そっちが能力を使ってくれるなら手間も省けるってもンだぜ。 これ程の業火ならテメェは骨も残せねェだろうが、恨むならテメエの強すぎる能力を恨むンだな) だが爆炎が神裂火織の身体を焼くことはなかった。 一方通行に触れた爆炎は相手に反射することなく七色の光の粒に分解されてしまったからだ。 光の粒に分解された爆炎は一方通行の身体にまとわりつく感触を残して左右に流れ、路肩に留め ていた車を歩道へ押し流し激しく横転させる。 (…………何だ?今のは…………) 不可解な現象に一方通行は眉をひそめる。 (さっきの炎は学園都市の能力者の炎とも、今まで闘ってきた雑魚魔術師どもの炎とも違う!) 一方通行が思考をめぐらせようとした時、大気が震えだし突如轟音が鳴り響いたかと思うと上空 300mの何もないハズの場所から真横へと直径50mはある巨大な火柱が噴き出した。一方通行は その火柱を一瞥するとこの不可解な現象を引き起こした目の前の敵を睨み付ける。ところがその相 手も一方通行同様に今の状況に戸惑っているようだった。 (なンだァ?こいつまでキョトンとしやがって。どォいゥことだ? クソッ!初めてテレポーターと殺し(やり)合った時のことを思い出しちまった。あン時はまだ3次元 空間限定の演算式しか組んでなかったから5次元空間を通って3次元空間に跳躍してくる攻撃を 上手く反射できなかったからな。5次元空間に拡張した演算式の組み直しにもう少し手間取って いたらヤバかった!だが今度のはテレポーターの攻撃とも何かが違う) 一方、神裂火織も今の現象に戸惑っていた。ただ相手の怪訝そうな顔つきから相手もこの現象が 何であるか良く判っていないことだけは理解できた。 (このままではラチがあきません!もう一度行きます) ドバッ!!と冷気の固まりが一方通行を襲う。 冷気とは言え神裂火織の放つ冷気はいわば-196℃の液体窒素の奔流であり生身の人間が喰 らえば数秒で氷柱と化すほどの威力だった。 一方通行は右手をかざして迫り来る冷気のベクトルを反転させる。しかし今回も冷気は反射され ずにまるで指の間から水がすり抜けていくように一方通行の右後方に七色の光となって流れ木々 をなぎ倒していった。 そして不意に地鳴りが起こりドゴッ!と大きく揺れたかと思うと500m程離れた山腹が突然爆発 し、大量の木々や岩や土砂を空中へ撒き散らした。これが通常の爆発と違うのは明らかであった。 なにせ爆発した山肌の下から何千本もの氷の槍が剣山のようにせり出していたのだから。 (この攻撃もやっぱり今までの能力者とも魔術師とも違う!なんだ一体?) 神裂火織自身も気付いてはいないが神裂火織が繰りだす炎や冷気は7次元世界の炎や冷気で ある。人間が認識できるのはたかだか3次元世界に顔を出したその一部であるが魔術の真の威力 は高次元世界に隠れたその本体の大きさによって決まる。上位の魔術師ほどより高次元の炎や 冷気を扱うため見た目は下位の魔術師のものと同じでもその威力は桁違いになるのだった。 一方通行は7次元世界の炎を5次元世界で反射したため5次元世界で引き千切られた7次元世 界の炎がその原型を失い七色の光へと分解されたのだ。しかも一方通行は巨大な氷山を水上部 分だけベクトル変換により押し戻したようなものであるから、その衝撃で水面下にある氷山の本体が 砕け水上に顔を出したのが先ほど空中に生じた火柱や山腹に現れた数千本もの氷の槍であった。 結局、神裂火織も何故このような現象が起こるのか理解できなかったがこのまま一方通行に魔術 攻撃を繰り返せば周りに及ぼす被害が甚大になることだけは容易に理解できた。だから一方通行 に向けていた右手を降ろすと七天七刀の柄を強く握りしめるのだった。 「どうした?もう手品はお終いか?」 「いいえ!まだまだッ!七閃ッッ!!」 神裂火織が操る七本の鋼糸(ワイヤー)がアスファルトを削りながら四方八方から一方通行に迫 る。しかし目標を切り裂くはずの鋼糸は一方通行に触れた途端ギン!と金切り音を立てて弾かれ、 一方通行から四方のアスファルトに亀裂が入ったかと思うと、進行方向ににある街灯や横転した オープンカーをズタズタに切り裂きスクラップに変えていく。 反射してきた2本の鋼糸の先端を神裂火織は両手を振るい鋼糸の根本を操って迎撃する。僅か 0.1秒の間に神裂火織と一方通行の間にいくつもの火花が炸裂する。そして一瞬遅れて一方通 行の背後の木がなぎ倒された。 「オイ!今のは一体何のお遊戯なンだァ?いい加減、本気を出さねェと速攻でブッ殺すぞ!!」 「時間差をつけた最後の一本が本命だったのですが………… やはり貴方の反射に死角は無いようですね。ではこれではどうです?」 「グダグダ言ってねェで、さっさと掛かってくりゃいいンだよ。三下!」 相手が聖人だろうが何だろうが関係ない。 一方通行はあくまで面倒くさそうに言い放つ。 事実、ここで一方通行がすることなど何もなかった。能力を反射に設定している以上、相手がどん な能力を繰り出そうが一方通行には関係ない。相手は反射した自身の能力に傷つき倒れていくだ けなのだから。 しかし次の瞬間一方通行が予期せぬ事が起こる。 眉間に皺を寄せる一方通行の瞳はスパッと縦に裂けた自身のシャツの右袖を捉えた。身体に傷 が付いた訳ではない。しかし敵の攻撃が反射をすり抜けたという事実は一方通行を驚愕させた。 (なンで俺のシャツが裂けてンだ!?一体何が起こりやがった? 妙なもンは何も通過しなかったハズだ) 一方通行の動揺する表情を見て神裂火織は薄く笑みを漏らす。 同時に自嘲気味にまるで独り言のように言葉を吐き出した。 「ふっ!やはり『西新宿のせんべい屋』のようにはいきませんね。まだまだ未熟です。 でも、この方法ならあなたを傷付けることぐらいはできそうですね」 (何しやがったンだ、コイツは!?未知の能力でも使いやがるのか?) 「種明かしをさせていただくと先ほど貴方のシャツを切り裂いたのは直径1000分の1ミクロン のチタン合金製の糸なんです」 (ざけンな!たとえ目に見えねェぐらい細い糸だろうが俺の反射をくぐり抜けられるハズはねェ! 欺瞞情報で俺を混乱させる気か?こいつァ!?) 「今のをハッタリだと思っているようですね?ではもう一度行きます!」 今度はシャツだけでなく一方通行の左肩までもが音もなく裂けた。傷は浅いものの鮮やかな切り 口から滲む血が一方通行のシャツを赤く染め始める。 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% 『出現した敵戦力は1名のみ。とミサカは大気中のお姉様方に現状を簡潔に報告致します』 御坂妹からの戦況報告は上条、御坂美琴、姫神秋沙のインカムに届いていた。 『やっぱり、予告ビデオに出てきた女(ヤツ)なの!?』 『観測された顔立ちならびに体格より東洋系の若い女性である確率は78%、ただし予告ビデオの ようなバニーなコスチュームではありません。残念でしたね。当麻さん!っとミサカはちょっとトゲの ある言い方で当麻さんに向けたメッセージをこっそりと報告致します』 「痛って────ッ」 両耳を御坂美琴と姫神秋沙に同時に左右から引っ張られ上条は思わず声をあげてしまう。 「へ────ッ!やっぱりバニーが良いんだ!アンタってッ!!」 「なんせ相手は見事な巨乳。そうだったね。上条君ッ!!」 「待て、そんな目で俺を睨むんじゃない! だから落ち着けって!止めろ!ビリビリするんじゃねえ!それに特殊警棒も出すんじゃないッ! そもそも俺はそんなこと一言も言ってねえだろうがッ!!」 『てっきり当麻さんはガッカリされるものだと思っていました、っとミサカは追い打ちをかけてみます』 『こら!御坂妹。だ・か・ら・俺はガッカリなんかしちゃいねえよッ!!』 『まあ良いわ!それよりさっき空から噴き出した炎とか山腹を突き破った氷の槍は一体何なのよ!』 『わかりません!とミサカは潔くキッパリと回答します。先ほどの現象とこちらの戦闘との因果関係は 不明。ただし、敵戦力の火炎攻撃ならびに冷気攻撃に関連していた可能性は高いと判断します』 「火炎に冷気かね。多重能力者(デュアルスキル)な訳ないからやっぱり今回の敵も魔術師ね!」 『でっ。どうなの。戦況は』 『一方通行の左腕からの出血を確認、っとミサカはあの一方通行が傷付いたことに驚きつつ戦況が 膠着状態に入ったことを報告します』 「あの一方通行に傷を負わせるって……………………キシサクマアの首領って一体どんな化け物 なのよ!まったく!」 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% 二度も身体を傷付けられれば一方通行も敵の攻撃が反射をすり抜けたのだと認めざるを得ない。 (クソッ!判らねえェ。 さっき俺の反射を通過したのは必要最低限の可視光と可聴音に重力に酸素ぐらいなもンだ。 チタンなんてもンは通過しなかったハズだ。一体コイツは何を使って攻撃してやがるッ!?) 「まだ判りませんか?あなたを傷付けたのは正真正銘チタン合金製の不可視の糸です。 とはいえ、本来ならこんなものであなたを傷付けることなどできるはずもありません。 ですから今回は糸の表面に少々細工を施しておきました。」 「表面に細工だァ?………………………………まさか、そォ言ゥことか!?」 「気付きましたか?間違っていたら今度地面に落ちるのはあなたの首ですよ」 次の瞬間、キンッ!という微かな音が鳴り響く。すると一方通行の背後にあった街灯の支柱に細 い斬線が走り照明がスッと消え落ちる。そして斬線に沿って街灯の上部構造がずり落ちズゴッ!! と音を立てて道路に突き刺さるとゆっくりと傾き始め大音響を響かせて横倒しになった。 「なるほど。 まさかチタンの糸の表面を酸素分子でびっしりコーティングしてやがったとはなッ! そりゃ俺の反射にも引っ掛からねェ訳だ。 オマエ達もなかなかどォして大した(科学)技術を持ってるじゃねェか?」 「見事です。 でもひとつだけ訂正して頂きます。 学園都市の科学技術をもってしてもこの不可視の糸は作れません!僅か1000分の1ミクロンの チタン合金製の糸に金属を切り裂く強度を与えることも、そして斬撃に耐えられるほど強固に酸素 原子をチタン合金に吸着させることはできません。それを可能にしたのは技術ではなく魔術です」 「そんなこたァ、どうでもイイ。 で?どォすンだ。せっかく俺に勝てる唯一のチャンスをみすみす手放すなンてよォ! オマエ、そんなに早死にしてェのか?」 手の内さえ判ればそれが科学だろうが魔術だろうが関係ない。 しかし神裂火織を指差す一方通行の言葉が終わらない内にその手に鋭い痛みが走る。思わず 手を引いた一方通行の手の甲には一本の朱線が走っていた。 「あなたこそ、そんなおしゃべりをする余裕なんてあるのですか? 本来、私は攻撃する前にわざわざあなたに予告する必要など無いのですよ」 (ちィィィ!) 再びキンッ!という音が鳴り響くと今度は一方通行の右隣の大木がなぎ倒される。 「そうです。この攻撃から逃れるためにはあなたは酸素を全て反射し続けるしかありません。 しかし無酸素状態であなたはあと何分耐えられますか?」 (確かにこのままじゃヤバイ!なら、酸欠になる前に速攻ォで片ァ付けてやるッ!) 地面を軽く蹴っただけで一方通行は矢のようなスピードで神裂火織に迫る。その意図は単純だ。 不可視の糸を防ぐことができないのならそれを操っているものを倒せば良い。ただそれだけだ。 相手の切り札を封じた以上一方通行を遮るものなど何もない。相手がテレポーターでもない限り 一方通行から時間稼ぎの逃走を図ることも不可能であろう。しかし神裂火織まであと7mと迫った とき、突然地面が眩く発光し一方通行はその光に飲み込まれてしまった。 (なンだァ、この光は?攻撃じゃァねェが…………チッ!目くらましか!?クソッ、逃がすかよ!) 眩い発光は一瞬で収まったが今敵を見失えば敵の射程を把握していない一方通行が不利にな るのは明白である。逃走に転じたハズの相手を逃がすまいと一方通行は素早く周囲を探索する。 しかし意外にも前方7mの場所すなわち地面が発光する前と同じ位置に神裂火織は立っていた。 先ほどの発光が逃走用の目くらましでは無かったことに少々気抜けしたせいで一方通行は自分に 起こった不思議な現象に気付くのが遅れてしまった。 (???なンで、さっきから同じ場所にいるんだ俺は!?) 先ほど地面が発光してから既に3秒は経っているハズなのに一方通行は今なお発光前と同じ位 置にいた。一方通行がその能力を打ち切った訳ではない。外部から加わる力を全てベクトル変換 し推力に変換している手応えはある。一方通行の感覚としてはスピードを落とすことなく今なお前 進しているハズなのに相手との距離が一向に縮まらない。まるで一方通行が今存在している空間 ごと同じ速度で引き戻されているかのようだった。 (なんだァ!?ミサカネットワークとの接続をジャミングされた訳じゃない。 俺の能力は正常に働いている。じゃァなンでヤツに近づけねェ!?。 念動力?…………いや!周りに念動力者の力場なンて存在しちゃいねェし、そもそもそンな もンで俺が止められるハズはねェ。 催眠術…………そんなチンケな心理攻撃でもねェ。 じゃァ一体何が俺の身体を拘束してやがる?) その時一方通行は気付いていなかった。その足下の地面に描かれた魔法陣に。 一方通行を襲った七閃が跳ね返された時、神裂火織は弾かれた鋼糸を使って一方通行と自分と の間に魔法陣が描いていた。それはある方向へは進めるが反対方向には進めなくなるように空間 を湾曲させる『無限回廊』という名の高位魔法陣である。 (早くコイツの攻撃を解析しないと流石の俺もヤバイ。タイムリミットまで30秒位しかねェ! さっきの火炎に冷気といいコイツの攻撃は一体どォなってやがる。 テレポーターと殺し(やり)あった時の奇妙な現象とも違う。…………待て…………そうかっ! もしかしてそういうことか。なンてこった。気付くのが遅すぎた。今から間に合うか!?) %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% 『一方通行が敵に突進するも現在何らかの方法で敵にその動きを拘束されている模様、とミサカ は手に汗握りつつ戦闘の実況を続けます』 「あの一方通行を拘束するって…………魔術ってそんなこともできる訳?」 「俺に聞かれたって、俺だって判らねえよ!」 「ごめんなさい。わたしにも判らない」 「魔術っていったい何なのよ!?」 『御坂妹!もう少し詳しく教えてくれないか?』 『……………………』 『おい!御坂妹!どうした!?』 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% 一方通行は目を閉じると推進力へのベクトル変換を止めて静かに地面に降り立った。その額には 珠の汗が浮かんでいる。一方、目の前で突然地面に降り立つ一方通行に神裂火織は緊張感を高 める。 (タイムリミットまで30秒は残っているはずですが、ひょっとして降参する…………訳ありませんね。 しかしこの無限回廊はそう易々と突破できませんよ。さあ!どうします?) 10秒後、一方通行は口元に笑みを浮かべると静かに右足を一歩踏み出す。すると神裂火織との 距離が一歩分近づいた。そして突然笑い声を上げた。それは正確には声では無い。前方の空気 を直接振動させて自分の声を作り出しているのだ。 『フハハハッ!まったくもって愉快だぜ! まさか7次元世界を経由して俺という存在に干渉してやがったとはな!恐れ入ったぜ。 だがタネがわかりゃァあとは簡単じゃねェか!』 一方通行が左足を踏み出すと当然のように神裂火織との距離が一歩分縮まる。その当たり前の ような光景に神裂火織は戦慄する。無限回廊を正面から突破した魔術師など一人も存在しない。 無限回廊はその性質ゆえに敵の侵攻ルートが限定できる拠点防衛では絶大な効果を発揮する ものの遊撃戦で使われることはなかった。魔術を知らない科学サイドが相手ならと考えていた神裂 火織も一方通行がカラクリに気付いてしまえば一旦後退してから回り込んでくるだろうとは想定して いた。しかしまさか正面からこの術式を破ってくるとは夢にも思わなかった。 無限回廊はハムスターが遊ぶホイールに例えることができる。ハムスターが1次元世界(ホイール 内壁)をどれだけ走ろうとも2次元世界において連結された世界(ホイール)からは決して抜け出せ ないように無限回廊は3次元世界の特定の領域を7次元世界において連結させる術式である。 もっとも無限回廊は囚えたモノの前進を阻むが後退を妨げるものではない。それは一本の紐で作 る蚊取り線香のような渦巻きを思い浮かべれば理解しやすいだろう。渦の内側に向かって進む限り 終端に辿り着いても1周前に通過した場所に落ちてしまうため渦を抜け出すことは永遠にできない が、逆方向に進みさえすれば簡単に脱出できる。 だが一方通行はあえて前進を続けた。その上湾曲させた3次元世界を連結する7次元世界から の干渉をベクトル変換し閉ざされた世界の秩序(ルール)を強引に書き換えていく。魔術師である 神裂火織は自分の使う術式の科学的原理を理解している訳ではない。しかし展開した術式が一方 通行によって浸食され喰い荒らされていく感触は神裂火織を震撼させた。 (まさかこの無限回廊を正面から突破してくるとは…………さすがは学園都市第一位。 まさに化け物レベルですね) まるで散歩するかのように無限回廊を歩いて来る一方通行に神裂火織はもはや無意味となった 無限回廊を解く。同時に魔法陣を描いていた鋼糸が地面から飛び上がり一方通行の身体に絡み つく。それら鋼糸の終端は周囲の木々に巻き付けられていた。 『馬鹿が!こンなもンで何秒俺を止められると夢見てンだァ!オマエ』 一方通行が一歩進むたびに鋼糸が巻き付けられた周囲の木々がミシミシと音を立ててたわんで いく。神裂火織の鋼糸は左文字の銘を継ぐ刀鍛冶が打ち上げた国宝級の一品である。それら異常 な程の頑強性を持つ鋼糸でさえもギリギリと悲鳴を上げ、一方通行があと3歩あるけば鋼糸の戒め は限界を迎えるだろう。 『大見栄切って登場したくせにセコい手ばっか使いやがって! それがオマエの器の小ささを表していることに気付かねェのかよォ!』 一方通行の宣言に神裂火織は目をしばたたくと少し自虐的な笑みを浮かべる。 (フッ!…………その通りです。痛いところを突かれました。 やはり相手を酸欠にして穏便に勝利しようなどという考えがそもそも甘かったようです。 こちらも捨て身でいかなければなりません。…………ならば!) 唐突に一方通行に巻き付いていた鋼糸がシュルルッ!と解けると神裂火織の元に引き戻される。 『ン??』 「あなたの仰るとおりです。姑息な作戦は止めにしました。 糸も戻しましたからどうぞ深呼吸なさって下さい」 『俺がそンな見え透いた手に引っ掛かる間抜けだと思ってるのか?それともしおらしくすれば俺が 見逃してくれるとでも勘違いしてンのか?』 「いいえ、あなたが私の術を正面から破ったように私もあなたの能力を正面から打ち破りたくなった だけです。それにあなたが負けた理由を後で酸欠のせいにされても困りますから」 『ぬかしやがれ!』 一方通行はそんな言葉を素直に信じるほど甘くはない。だが余裕の表情で隠してはいたがその 時点で一方通行に余裕がなかったのも事実だ。酸欠に加えてミサカネットワークへの過負荷(オー バーロード)が問題だった。7次元世界から干渉する力の解析と演算式の書き換えが代理演算を 圧迫し3次元世界での有害な酸素分子の反射という本来なら戦闘の片手間にできたハズの演算式 の書き換えすらできなかったのだ。暫しの休戦状態を利用してあるサイズ以上の酸素クラスターが 反射フィルターをすり抜けないように演算式を組み直すと慎重に外気を吸い込んだ。 (フ──ッ、本当にあの糸は引っ込めたみてェだな。しかしコイツは何を考えてやがる。 攻撃の前にいちいち俺に予告したり対策を練る余裕を与えたりするのはなンでだ!?) 一方、神裂火織は呼吸を浅く時に深く繰り返し魔力を極限まで練り上げる。そして己が身を『神を 殺す者』へと作り替えていく。血管筋肉神経内臓骨格、それら全てが『神を殺せるように』組み替え られていく。 「やはりあなたには最初から私の魔法名を名乗るべきでした」
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上条当麻はまたボロボロになって帰ってきた その報告がいつもの病院から、いつもの人からかかってきた 小萌「か、上条ちゃんは大丈夫なんですか!?」 カエル医者『とりあえずは心配ないようだね。それと土御門君と言う子もこちらで療養中だね』 小萌「よ、よかったです…」 カエル医者『今回はフランスのアビニョンからのご帰還らしいよ?』 小萌「……………」 フランス アビニョン 確か学園都市に対する大規模なデモ、もとい暴動がおきた場所である 小萌「と、とにかくまたご迷惑かけてごめんなさいなのですっ」 カエル医者『いやいや、一番心配なのは先生の方でしょう。あの少年は無茶が過ぎるからね』 小萌「は、はい…」 まるで自分が怒られるかのように丸くなる月詠小萌の内心は、それでも安心していた 小萌(上条ちゃん…また…) 月詠小萌だってバカではない。上条の怪我の原因くらいは、さすがに推測はつく そしてそこにはいつも、『魔術』というワードがあった 小萌(私の生徒が毎回毎回死ぬような目にあっているのです…。それは教育者、いや、先生として…簡単に見過ごせるわけ……) 月詠小萌は知っている 『魔術』というワードに詳しい人物達を インデックス、姫神、ステイル… そして月詠小萌も『魔術』を使った人間の一人でもある 小萌(それなら…私にも…) たったそれだけ たったそれだけで十分なのだ。 難しくはないはず とあの時の『魔術』を思い浮かべ 私が無力だった と姫神が血の海で横たわる情景を思い出して―― 後日 ステイル「で……なんで貴女が僕の携帯番号を知っているのかは置いといて…、僕に用事なのかい?」 小萌×2=ステイル、と言う式が成り立つ程身長差がある2人がボロアパートの中にいた 幸いステイルは土御門との連絡で学園都市に来ていたのだ 小萌「あ…あの…上条ちゃん達のことなんですけど…」 ステイル「って僕は上条当麻の親じゃないぞ!何で二者面談をやらなくちゃ…」 小萌「上条ちゃんもシスターちゃんも…いつも『魔術』に巻き込まれてるんですよね?」 ステイル「っ!?…………」 この小さい教師から『魔術』と言うワードが出てくることに、ステイルは違和感を顔に出せざるを得なかった 小萌「この前も上条ちゃんと土御門ちゃんはフランスのアビニョンから、ボロボロになって帰ってきました…」 ステイル「……貴女は知らない方がいい。彼らの背負ってるものは重い」 月詠小萌は知らないが、ステイルから見れば彼らの背負うものは重い 学園都市の学生をしながら、自分以上に魔術関係の事件に関わっているのだから 小萌「それは分かってます!分かっていて見過ごせればどれだけ簡単なことか…」 ステイル「………で、用事はなんだい?」 小萌「単刀直入に言うのです。私を魔術師にして欲しいのです!!」 ステイル「」 ステイル的には学園都市入りをしてからタバコを吸ってない。だから今の台詞はその幻覚だ。うん 小萌「魔術師ってこうなんか…呪文を覚えてパッとやれば行けますよねー?そうそうシスターちゃんの時もちょいちょいとやって…」 ステイル「ふざけるなよ!」バン 突発的に大声と物音をたててしまった。それでもこの分けのわからない動揺と感情はうやむやとしている 小萌「私は、先生は本気なのですっ!!」バン バンッと小さな手の平を机に叩きつける。ステイルがその瞳を見ると、うっすらと涙がある 小萌「先生は…子供達が…目の前で死にそうなところを何度も見てきました…。でも先生は……何もできずに…」グスッ そうか、大覇星祭の時にも―― 吸血殺しの少女は血の海に伏せ、上条当麻のクラスの女子も一人倒れた。 血まみれのインデックスも、ボロボロの上条や土御門… そんな情景がステイルの頭を駆け巡る ステイル「…わかった……貴女は本当にその気のようだ」 小萌「…………」グスッ ステイル「駆け回ってみるよ。貴女が魔術師になれるように」 小萌「あ、あ、あ…ありがとうなのですー!」ウェーン ステイル「……」(…もうどうにでもなれ…orz) その日のステイルの服は、月詠小萌の涙でグショグショになってしまった ステイル「はぁ……」 タバコを吸えないストレスとあの小さな教師との約束が重なり、ステイルはこの上ない悩みに襲われている真っ最中である ステイル(月詠小萌との約束では『土御門と上条当麻には教えるな』ということだったが…) ステイル(僕としてはあのようなタイプの人間はこっち側に来て欲しくないが…ん~…) 実に困った。しかしそれ以上に困るのが小萌のやる気だ。多分断固拒絶したら次は超能力開発でも受ける覚悟なのだろう… ステイル(まったく…土御門も上条当麻もどれだけ心配かけて……) と愚痴ろうとしたがそれの半分程は自分のせいでもあるのでやめた ステイル(にしてもあの人は何者なんだ?年齢も意味不明だし、まるで不老不死のような…………!?) 刹那、いくつかの連想を経て辿りついた一つの記憶に、ステイルは顔色を変えた。 それはとっても不快な響きだったからだ―― イギリス凄教 ローラ「ステイルから?」 神裂「はい…、それの報告が…魔術師を希望する人間についてです」 ローラ「は?」 神裂火織からの意味不明な報告について、ローラは不快な表情を見せる ローラ「魔術師を希望?それならステイルがその人間に魔力の練り方でも教えて、それから手品もどきの魔術でも仕込みたれば良いのよ」 魔術師になりたいと言う人間はよくいるものだ。そういう人間は魔力を練るところまでは出来ても、そこから先は鍛練の世界。それをクリアした者が魔術師になる、という職人に近い世界なのである しかし神裂も神裂でしかめっつらをし続けている ローラ「何かおかしけりなの?」 神裂「いや…その魔術師を希望する人間に関しても…ステイルから報告があって…」 ローラ「?」 神裂「その人の名前は月詠小萌。上条当麻と土御門のクラスの担任です」 ローラ「ほー。合縁奇縁とはこのことなりけるのね」 座ったまま足をぶらぶらとさせながらおどけているローラ 神裂「ステイルの報告によると、この月詠小萌は実年齢は不明ですが見た目は小学校低学年」 ローラ「ほぇ?いや教師でありけるのでしょ?」 神裂「ああいや…だからその……」 何故か目を回す神裂 神裂「噂では学園都市の最先端技術を用いた不老不死の治療ほ施されているようで…」 ローラ「」 とりあえずローラも頭が回らないが、実年齢は大人だが見た目は子供の教師らしい ローラ「は?それどこの名探偵の設定なりけるのよ?」 残念ながら学園都市は黒の組織ではない 神裂「さらに詳しい報告によると、月詠小萌はテロメア手術による不老不死が有力とされています」 ローラ「てろめあ?」 神裂「はい。テロメアと呼ばれる染色体の中の一部分です」 テロメアとは染色体にある、DNA修復や細胞分裂などを管理する一種の司令塔なようなものである 神裂「つまりここさえどうにかして制御できれば、不死はともかく、不老はできるようです」 難しい話をすればテロメラーゼ酵素の活性や制御修復因子などを調整すれば、学園都市でも出来ないことはなさそうな話である ローラ「つまりは科学における不老不死ってこと?」 神裂「そうですそうです」 慣れない科学の話をさせられた神裂は、二つ返事でだるそうに戻っていった… その後もこの部屋に残るローラは先ほどの資料に目を走らせていた ローラ(ステイルの奴、ちゃーんといい報告をしてるのよね♪) ローラ(不老不死~♪) ローラの様に魔術的に肉体を若く保つことができても、それ以外に肉体を若く保つことはできない。 しかし、魔術世界での生き物に『不老不死』の生き物がいた 吸血鬼 『不老不死』という最大のエネルギー、つまり無限の魔力を持つ存在は魔術師に恐れられた ならばこの月詠小萌はどうだろう 吸血鬼のように不死とはいかなくとも『不老』である。となれば無限に『近い』魔力を手にすることができる… ローラ(月詠小萌……) ローラ(こやつが『最強の魔術師』になる日も近きことなのよん~♪) そしてこの日はまだ10月10日。 後方のアックア襲来まで、あと数日であった――― ステイル「はぁぁぁ…………」 前回よりも重い溜息をついた炎の魔術師は公園のベンチでだらけていた ステイル「彼女にはインデックスを助けて貰った恩もある……だからこそ、魔術サイドには関わって欲しくなかった…」 ここ数日、このような台詞を四六時中呟いている ステイル「…それに最大主教までノリ気になってしまって…」 ステイル「これじゃあ土御門や上条当麻に顔を合わせられない……」 それに加え、吸血鬼と似た『不老不死』であることも分かった今、ステイルはただただ後悔の一言であった… ステイル「………ああもういい!」バッ 鳥のように、急にベンチから飛び上がると、ステイルの顔はあの時のような顔になっていた そう とあるシスターを追いかけ回していた、あの頃のような ステイル「これは全て僕の責任だ。あの人の命も、僕が命をかけて守る」 命をかけて守る そういえる人が2人になってしまった炎の魔術師は、これからとある決意を表そうとしていた――― イギリス 小萌(ここが……イギリス清教…) 聖ジョージ大聖堂、と言えば響きは良いが、なにぶん小さい教会である 外見や中の一部は簡単な観光名所と言った感じで、特に着目すべき点もない 生唾を飲み込んで入ってゆく小萌に、一人の女性がひょろっと現れた ローラ「おっ、あなたが月詠小萌なりけるのね?」 小萌「は、はい!ステイルちゃんからご紹介頂いた月詠小萌ですぅ!」 ローラ「ん~…想像以上にプリティーな容姿なるわね…」 表現に困るローラだったが、そのまま奥の部屋に連れてゆく ローラ「ステイルから大体の話は聞きゆのよ。魔術師って言ってもそう難しいものではないわよん」 小萌「そ、そうなんですか…」 ローラ「ふむ、小萌の場合はちょっと『特殊』なりけるから、まずは簡単な検査をしけるのよ」 小萌「検査…ですか?」 着いた部屋には3つの簡単な魔法陣が床に描かれている ローラ「ではここの真ん中に」 小萌「はい」 小萌が真ん中に立ち、ローラが紙切れを一枚パラッと飛ばすと魔法陣が光る ローラ(ほほぉ……) ニタニタとするローラを尻目に小萌は不安そうに声をあげる 小萌「あのぉ…私は大丈夫なんでしょうか…」 ローラ「心配無用なるわよ!小萌、あなたは魔術師の『優秀』な才能がありけるわよ!」ビシッ 小萌「本当ですかー!?」 単純に喜ぶ小萌だったが、ローラは些か腹黒そうにも見える ローラ「本当よ本当のよ!」 事実小萌の生命力はやはり『不老不死』レベルであり、それを魔力に換算しようものならそれは化け物レベルの魔力なのである ローラ「おーい神裂はどこかー?」 神裂「はい、何ですか」 長身ポニーテールの神裂火織がすぐに現れた。一度小萌とも面識はあるので軽く会釈をした ローラ「あのーあいつ、スマートヴェリーを呼んでほしいのよん」 神裂「スマートヴェリーを?」 スマートヴェリー 空中要塞ガヴン=コンパスの部隊に所属する、一人の『魔女』である 神裂「スマートヴェリーは『魔女』ですよ?」 ローラ「知ってるのよ」 小萌「『魔女』?」 ローラ「そう『魔女』。箒に乗って空を飛ぶ」 小萌「へ?」 小首を傾げる月詠小萌。まだ状況が分からないようだ ローラ「もう鈍感なるわねー。小萌はこれから『魔女』になりけるのよ~♪」 小萌「」 小さな教師と魔女が交差する時、物語は始まる――― 2日後 スマートヴェリー「そう、その調子よコモエー!」 小萌「ほいっ!」ヒュル ミニサイズの人間にミニサイズの箒。何とも可愛らしい魔女が聖ジョージ大聖堂の中庭を飛ぶ 月詠小萌はたった2日で魔女の基本的な術式や飛行法もマスターしていた しかしそれには訳がある つい先日、ローマ正教後方のアックアから送られてきた手紙と物品 それは上条当麻を粉砕すると言う果たし状と、テッラの遺体 そのためイギリス清教は急遽天草式を上条当麻の護衛のため学園都市へ。そして小萌もそのために今猛特訓しているのだ ローラ「おー小萌、もう一人前の魔女になりけるのよ!」 スマートヴェリー「コモエは私より素早い動きをしますからねー」 小萌「スマートヴェリーさんのお陰ですー!」 ちなみに、小萌がたった2日間の間でイギリス清教内でもマスコット的な存在になったのは言うまでもない ローラ「後方のアックアの宣戦布告から見ても、猶予はあと2日…」 ローラ「その間に次は小萌の使う術式を考案しけるのよ」 小萌「私の…魔術…」 魔女の基礎を習得したとは言え主力になる魔術はまだ持っていない ステイルなら炎 神裂なら肉弾戦 シェリーならゴーレム、と言う具合に ローラ「小萌は『五大元素』を知りたるかしら?」 小萌「はい。確か…火、水、土、風、空だったと…」 ローラ「ん~それは仏教などが混ざるもので少し違いたるわね」 スマートヴェリー「十字教での『五大元素』は火、水、土、風、エーテルとなるわ」 小萌「エーテル?」 ローラ「確かにエーテルを空と規定する場合もあるけど、厳密には違いたるものなの」 エーテルと言う概念が生まれたのは宇宙と言う存在から。地球には空気、つまり風が満たされ、宇宙にはエーテルが満たされていると考えられていた ローラ「それらのことからエーテルは光の媒質と考えられていたのよ」 宇宙空間のエーテルを媒質として光は通ると考えられていた スマートヴェリー「しかし科学が発展してから、光と電磁波は同一とものてした扱われた」 ローラ「となると…どうなるか分かりたる?」 小萌「科学による…エーテルの実験?」 ローラ「そう、エーテルは科学議論の的になった。そしてエーテルは、唯一科学によって否定、消された元素となりたことなのよ」 マックスウェルの電磁気学の発展から始まったエーテル論争は、最終的にあのアインシュタインによって否定されることとなった 科学によって消された元素… スマートヴェリー「そのために『五大元素』自体は残っていても、魔術サイドでエーテルの属性術式を持つものはほとんどいないの」 ローラ「そう、あの『神の右席』を見ても分かるように、あの組織にエーテルの属性はいない」 小萌「つ…つまり…エーテル属性の魔術って難しい魔術なのですか?」 ローラ「そういう訳ではなきのよ。エーテルの霊装は存在するけど、今では『科学に侵食された元素』としてエーテルを忌み嫌うのが魔術サイドの風習になってしまったるのよ」 スマートヴェリー「それにエーテル属性の術式を使うには科学的知識も必要不可欠なのよねー」 小萌「そ、それって…」 ローラ「そう、学園都市の先生の小萌に最も相応しい属性が『エーテル』なのよん♪」 過去にはエーテル術式も流行った時期があったが、今のように科学によって否定されたエーテル術式はほとんどない しかし霊装は別である 古来から残る霊装は依然機能し、それを使う魔術師も普通に存在する ローラ「しかしさっき言った通りエーテル属性の霊装を使う者は普通にいる」 ローラ「まぁぶっちゃけ私よりその霊装を使う者の方がエーテル属性には詳しけるのよねー」 小萌「と言うことは……」 ローラ「そう、エーテルを理解するにはその者について学んだ方が良いのよ。例えば、エーテルの象徴武器『蓮の杖』を使う者とかに…」 後方のアックアが学園都市に襲来するまで、あと2日――― 翌日 アニェーゼとローラを師に仰ぎ、小萌はエーテル術式を学んでいた アニェーゼ「魔術的なエーテルの要素は万物に似ていることと、宇宙を満たす元素だと言うことですかね」 ローラ「そしてエーテルが使われにくいものの一つとして極端な魔力消費が上げられたるのよ」 アニェーゼ「それは小萌の魔力なら問題ないですがね」 小萌「……………」 ローラからも自分の魔力は莫大なものだと伝えられたが、小萌自身には全く実感できない。事実生命力から魔力への精製を行ったときも実感を得ることはなかった 小萌「ま、魔力が多いと…そのコントロールとかできなくなったりしませんか?」 ローラ「そんな話は聞いたことはないのよ。魔術って言うのは自身の魔力に制限があるから、効率のいい術式を考案したり、霊装を作り出したりしけるのよ」 アニェーゼ「つまり早い話は魔力=魔術の強さと言っちまってもいいってことです」 とにかくその道のプロの二人が断言するからには間違いないのであろう ローラ「そうそう、小萌はもっと自信を持ちたりければ良いのよ♪」 アニェーゼ「昨日1日でエーテル元素は理解しちまいましたし、この分だと術式のマスターもチョロいもんです」 小萌「わ、分かったのです!これも上条ちゃん達を守るが故!先生頑張るのですよー!」フンス 熱血教師、月詠小萌は魔術師になった今も健在であった ローラ「その意気なのよ~小萌~♪」 小萌「頑張るのです!!」 ステイル「…………」 その様子を見つめる炎の魔術師は、今日もまた『ステイル専用』の柱から様子を伺っていた ステイル(…うまくやっているようでなによりだ…)ホッ ステイル(とりあえず今回ばかりはあの女狐にも感謝だな…) ドキドキハラハラのステイルの気持ちもいざ知れず、時は無情に過ぎてゆく… 後方のアックア襲来まで、あと1日と迫っていた―― 翌日 土御門「最大主教ッッ!!」ドン 声を荒げた土御門が聖ジョージ大聖堂の荘厳な雰囲気をぶち壊しながら入ってきた ローラ「あらら~どうしけるのかしら土御門元春~」 土御門「どういうことだッ!月詠小萌は学園都市の人間のはずだ!」 ローラ「あ~ら、それが特別問題でも?」 土御門「こんなことをして…科学サイドとの関係は破綻するぞ!あまりにもやり過ぎだ!」 ローラ「ふむふむ、しかし土御門が怒りたるのはそこではなく、小萌を魔術師にしたることを怒っているように見えたるわね~」 土御門「ッ…………」 まさか自分の担任を科学と魔術の争いに巻き込むことになるとは考えていなかった土御門の興奮は収まらない ローラ「今回の後方のアックア襲来は幻想殺しに関する、科学と魔術の関係を含む問題。しかし相手が『神の右席』だと言うのに、建前上天草式の連中しか派遣できない今、動けるのは『学園都市の人間』である小萌だけなるわ」 土御門「だからと言って…何故月詠小萌を選んだ?」 ローラ「んーそれには二つの理由がありけるわ。一つは小萌が『不老不死』の魔力を得ていること」 土御門「!?…まさか…」 ローラ「さすがに絶対不死とまではならなきものけど、魔力は通常の魔術師とは比較にならないわね」 ローラ「そしてもう一つの理由は…」 ステイル「彼女自らが魔術師に志願してきた」 土御門「!?ステイル…」 のそっと柱から出てきたステイルが口を挟んできた ステイル「彼女が魔術師になりたいと、僕に頼んできたんだ」 土御門「そんな…バカな…」 ステイル「いや、妥当だね。あの人は学園都市の人間の中でもかなり魔術との接点は多かった…」 ステイル「インデックスの回復魔術、僕や神裂、大覇星祭の時のドタバタも」 土御門「…………」 ステイル「そして決定打になったのは、『魔術』というトラブルに巻き込まれ、ボロボロになって帰ってくる君や上条当麻だ」 それは土御門にとって嫌なほど身に覚えのあることばかりだった 土御門「…………」 ステイル「安心しろ、なんて無責任なことは僕には言えない。だが神裂も不穏な動きを見せている」 今回の学園都市との密約では天草式は動けても、聖人である神裂は動けない。その神裂が『不穏な動き』を見せているというのは十中八九今回の襲撃についてだ ステイル「そしてあの人に万が一のことがあれば、責任は全て僕にある。僕の『名』にかけてね」 土御門「………ステイル、お前の覚悟はよくわかった」 ステイルの説明で全てを理解した土御門の怒りは収まっていた ローラ「ま、でも小さな小さな『エーテルの魔女』には『神の右席』に対抗できるくらいの術式は習得させたし、天草式も覚悟を決めているようだから心配なきことなのよ~♪」 いつにも増して腹黒い雰囲気を醸し出すローラに、土御門もステイルも決して心地好い心境ではなかった―― 第二二学区 建宮「あ…が………」バタリ アックア「ふん…鎧袖一触とはこのことであるか…」 周囲に展開する天草式を無力化することは、この男にとって実にたやすいことであった アックア「……………」 大して感傷に浸る時間もなく、後方のアックアはそのまま進む アックアは思う アックア(上条当麻…。その右手はあまりにも危険である…) 今まで科学と魔術は対立していたと言えば戦争のようにも聞こえるが、逆に言えばお互いの領分を弁えていただけにすぎない 表があり裏がある。宗教があり科学がある… それは勢力均衡、パワーオブバランスとも言うべき状態だった アックア(しかしあの右手はそれを軽々と壊していった) 結果として、神の右席のアックアから見れば科学と魔術の本格的な対立は上条当麻が生み出したとしか言えないのである アックア(だからこそ、潰す) 上条当麻は科学サイドのいいように扱われているにしか過ぎず、しかし自身の影響力をまるで理解していない だからこそ『争いの元凶』を潰さなければ、この争いは終わらない。 絶対に終わらない。戦争が始まるまで… 後方のアックアは強い あまりにも強い敵は、上条に感傷の暇さえ与えなかった そして気付いた時にはこの有様である (ああ……俺死ぬのかな…) 体に蓄積された、いや一気にのしかかってきたダメージは――しかしダメージと呼ぶにはあまりにも重い――上条の体を縛り付ける。 動かない。そしてこの戦いで苛立ちを覚える頃には自分は無くなって消えてしまっているのではないだろうか、という絶望感 しかし隣にいる五和は諦めずに何やら止血や包帯やらを巻いている… 回復魔術を実行しようとしているらしい (やめろよ五和………どうせ俺の右手が邪魔をして……) バギン 五和「うわああああああああああああッ!」 五和の悲鳴が叫び終わる頃には、上条の決心はついていた (……でも…五和まで死ぬことねぇよな……) 「もう良いであるか」 問い掛けと同時に、アックアのメイスが横一線に襲いかかる が 上条「ぐっ、がぁ…ォォおおおおおおおおおおおおおおおッ!」 死力を尽くした上条が五和の盾になる。薄くて頼りない盾だ 上条「ありがとう五和。お前の回復魔術のおかげで、ちょっと元気が出た」 上条はその言葉を最後に決してこちらを振り向かなかった 五和「待―――ッ!」 上条「うおおおおおおおおおおおおおッ!!」 向かい行く上条に対し、アックアのメイスがありえない速度で横一線に薙ぎ払れ―――― ガギィッッ!! アックア「!?」 「ふーっ…危ないところでしたねー……」 巨大なメイスは見えない『何か』の力で動きを止められ、その真上からは、小さな魔女がおりてきて――― それは『神の右席』後方のアックアの力すら凌駕していた アックア(メイスが…動かない…) あの天草式の女でもなければもちろん上条当麻の力でもない。何か別の力が働いている そう思考を巡らせた時には空に一閃が走った 「ふーっ…危なかったですねー……」 干渉魔術を使って束縛されたメイスを解放し、アックアは目の前の人物を見た 小さくてピンク色の髪、小さな箒を持ち格好は魔女そのもの―― 小萌「あなたが…後方のアックアさんなのですねー…?」 アックア「そうであるが…。イギリス清教の者であるか」 小萌「ん~厳密に言えば私は上条ちゃんの先生なのですよー」 アックア「先生…であるか…」 気絶する上条を尻目にアックアも五和も驚愕の表情を隠せずにいる 小萌「魔法名は『smilers100』【生徒達の笑顔のために】ですよー」 そしてここに、『エーテルの魔女』と『後方のアックア』の戦いの火蓋が切って落とされる――
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(二日目)12時14分 第一二学区。 周囲には高層ビルが立ち並び、四車線の交通が可能な交差点の真ん中に彼女はいた。四ツ角にはそれぞれ歩道橋があり、中心くり抜いた四角形になっている。高層ビルと歩道の間には植林が立ち並んでいる。 七天七刀が舞う。 甲高い音を立てて、コンクリートの地面が抉れていく。六本の鉄線は、常人の目には映らない程の音速を超えた斬撃となり、『魔神』を襲った。 その斬撃を、『魔神』は音速を超えた速度で回避する。 神裂火織の眼前に、『魔神』は歪んだ笑みを浮かべて現れた。 彼女は反応する間もなく、豊満な胸囲がある胸元に、握りしめられた拳を叩きこまれた。 「――――ッ、ぶごっォオ!」 強烈な衝撃を受けた神裂火織は、五メートルほど吹き飛ばされ、息を整えながら距離を取った。 神裂は意識が薄れつつも、刀を構え、敵から視線を外さない。左手で口元に滴る血をに拭うと、両手で刀を握った。 「うおおおっ!!」 バスタードソードを握りしめた牛深が、大声を張り上げて、『魔神』の頭上にある歩道橋から飛び降りた。 腕力に思い切り力を入れて、一〇〇センチを超す刀剣を、迷いなく『魔神』の頭部に振り下ろす。 だが、 ガキィイン!という音がアスファルトとの衝突によって引き起こされた。長身の男性は、我が目を疑った。眼前に迫っていた『魔神』が視界から消えたのだ。 そして、足が地面に着く前に、彼は『魔神』との再会を果たす。 『魔神』の強烈なキックが、中年男の右頬を的確に捉えた。 剣を振り下ろした反動で猫背になった長身の体は、顔だけ左に仰け反るような格好でアスファルトに着地する。『魔神』の蹴りで意識が跳びかけた男は、体の条件反射ですぐさま立ち上がるが、バスタードソードは手から離れていた。 男は、『魔神』と正面を向き合いながらも、中枢線を晒すような無防備な状態になっていた。 ズンッ!と『魔神』を起点とした半径三メートルほどの円が、アスファルトに亀裂を刻んだ。常人を逸した『掌逓』をくらった長身の男は、約10ほどメートル吹き飛んだ。 枝々が折れる音と共に、植林に身を突っ込んだ男には、既に意識は無かった。 カラン、カラン…と、空しい金属音と共に、バスタードソードはひび割れたアスファルトに落ちた。 『魔神』は足でそれを蹴って、バスタードソードを手にする。 ヒュン!という音がなる亜音速の剣筋は、後ろに迫っていた老人の斧の根本を切断した。 斧の刃の部分だけが、宙を舞った。 一瞬の出来事で呆気にとられた諫早の顔面に、重い右ストレートが直撃する。 意識を失い、膝を着いて項垂れる老人の体躯に、『魔神』は容赦なく腹部に強烈なキックを突き刺した。 『魔神』は放射線を描いて、空を舞う老体を見上げた。 この間、僅か一〇秒足らず。 30メートル程の『魔神』の背後で、ダンッ!と地面を踏みしめる音が聞こえた。 一陣の風と共に、神裂火織は『魔神』との距離を一瞬にしてゼロにした。 『聖痕(スティグマ)』を発動し、斬撃が『魔神』を捉えた。 神裂の魔力が一気に跳ね上がる。 『魔神』はそれをバスタードソードで受け止めた。 ドバァン!と聖人の人間離れした攻撃力が『魔神』の生身を襲った。アスファルトの亀裂はさらに増し、生じた爆風が破片を巻き上げた。 二つの刃は火花を散らせ、ギィィイン!と大きな金属音ともに聖人と魔神は交差した。 一〇メートルほど距離に神裂火織は降り立った。 空中で数回転した刃が、聖人の傍に落ちた。 『魔神』は手元にある剣を見た。 バスタードソードは根本から折れていた。 「……ふむ」 何の感慨もない表情で、『魔神』は折れた剣を見つめていた。 そして、剣として役目を終えた物を『魔神』は捨て去った。無機質な音が鳴り響く。 だが、それは『魔神』だけでは無かった。カランッという音が同時になった。 七天七刀が地面に落ちる。 「ぐぅッ…!」 神裂は膝を折り、肩から血を流していた。 この間、僅か〇,一秒足らず。 右腕に深い切り傷を負った神裂は、腕にチカラが入らず、刀を落としてしまった。 それだけはない。神裂の発動した『聖痕(スティグマ)』は、『魔神』の『幻想殺し(イマジンブレイカー)』によって強制的にキャンセルされてしまった。 水が噴き出している間欠泉に、いきなり蓋をされてしまったようなもので、神裂の魔力が暴走し、彼女の意識は朦朧としていた。 血が流れ落ちる右腕を無視して、左手で七天七刀を握り、立ち上がった。 こうして意識を保つだけで、彼女は精一杯だった。 その様子を見た『魔神』は呆れた口調を返した。 「『魔王』との余興で、右の肺を潰してしまってな。呼吸が少々苦しいのだ。その余を息一つ乱せないとは、貴様らに殺す価値も見出せぬぞ」 ゆっくりとした歩調で、『魔神』は彼女に近づいてくる。 (…私たちは、ただ…遊ばれている、だけなのですか…いくつもの戦場を駆け抜け、腕を上げてきたというのにっ…!) 天草式は、すでに戦闘不能に追い込まれていた。 『魔神』は右手に宿る『幻想殺し(イマジンブレイカー)』と、体術しか我々に使っていない。だが、それでも翻弄され続けた。 仲間たちは死んでいないが、意識が奪われて倒れている者が半数以上、他も何らかの傷を受け、万全の状態ではない。のらりくらりと策略や攻撃を回避され、確実に的確な一撃を叩き込まれていく。 連携は一〇分も経たずにズタズタにされた。 『魔神』と単体でやりあえる魔術師は聖人である神裂火織しかいない。 しかし、すでに彼女も手傷を負っており、次の攻撃で確実に戦闘不能にされる。 (私たちは…こんなものだったのですか?……私たちは…彼の…足元にすら…及ばなかったのですか?…) 「――――ってください…」 誰かの声が、神裂の耳に届いた。 それは『魔神』の耳にも聞こえたらしく、彼女に近づく足を止めた。 声がした方角を二人は見た。 神裂の四〇メートル程の視線の先には、『海軍用船上槍(フリウリスピア)』に体を預け、必死に立ち上がる少女の姿があった。 着ていた白のジャケットは、所々が破け、黒い汚れが付いている。破れているハーフジーンズはさらに傷みが広がり、彼女の素足は、膝の擦り傷の血で濡れている。 中に着込んでいるネットの黒シャツは破け、ピンク色のブラジャーと、白い素肌の胸が晒されていた。 五和は左手で、顔に付いた汚れと汗を拭い、敵を目視する。 『魔神』を睨みつける五和の眼光は鋭さを増していた。 大きな声が木霊した。 「当麻さんの体から、さっさと出て行ってください!!」 その殺気を感じ取った『魔神』は、何の感情もなく、彼女を見た。 五和の周囲には、数人の天草式のメンバーが倒れていた。 『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を構え、五和は破れた靴を脱ぎ去った。素足でアスファルトに立つ彼女は、大きな深呼吸をした後、言葉を紡いだ。 “Cuando los brillos de fuego, exigiré el agua.…El agua me rodea y me protegerá―――” (我が光り輝く炎を求める刻、我は凍てつく水を求めるだろう――) 神裂はゾッとした。 五和が唱え始めた魔術は、天草式のものではない。 彼女が単体として使う魔術だった。 「――五和ッ!」 神裂の叫びも、彼女には届かなかった。彼女の頭にあるのは、『魔神』ただ一人。 魔術の魔力を感じとった天草式メンバーの一人が、負傷している体を起して、叫んだ。 「五和ちゃんっ!」 “Cuando el agua me exige, exijo el agua!!” (我が凍てつく水を求める刻、凍てつく水は我を求める!) 五和の素足に『水』が巻きつき、水面を滑るがごとく、滑らかな動きで『魔神』に突進していった。 彼女の魔術と同時に、ヒュン!という疾風の攻撃が『魔神』を襲う。 七教七刃。 鋼糸を張り巡らせ、七方向から同時に攻撃するという、彼女が編みだしたオリジナルの技。 速度はますます加速し、五和はさらに言葉を紡いだ。 “Cuando el fuego me exige, exijo el fuego―――” (清らかなる炎が我を求める刻、我は炎を求め――) 両手で『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を一回転させ、上半身を大きく捻った。「突き」の姿勢をなし、氷の上を滑るような動きで、『魔神』との距離を一気に縮めた。 七教七刃は『魔神』を攻撃したが、七つの線撃は『魔神』の足元で消滅した。七教七刃が生じた風が、『魔神』の黒髪を揺らす。 “La llama de la purga pasa por usted!” (清らかなる炎は、全てを浄化する!) ボワッ!と『海軍用船上槍(フリウリスピア)』の矛に炎を纏った槍は、ついに射程距離範囲に入った。 五和は、全身の回転モーメントを注ぎ込んだ一撃を『魔神』の左胸に放つ。 バギンッ! 『魔神』の右手に『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を捉えられ、『幻想殺し(イマジンブレイカー)』に、練りこまれた魔術の細工ごと、炎は打ち消された。 『魔神』はグイッと槍を翻し、五和のバランスを崩そうとした。 だが、既に彼女は『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を手放していた。 それだけではなかった。五和は『魔神』の視界から消え失せていた。 「っ!?」 『魔神』の目が初めて見開かれる。 そして、 “La llama de la purga pasa por usted!” (清らかなる炎は、全てを浄化する!) 五和は大声で、魔術を唱える。 炎を纏ったナイフを手に、五和は『魔神』の背後に回っていた。素早い動きで身を一回転させ、背中に隠し持っていたナイフを左手で握り、押し込むことを前提とした突きで、右手を柄に添える。 七天七刃と『海軍用船上槍(フリウリスピア)』の二重のフェイク。 完全に『魔神』の後ろを取った五和は、咆哮した。 腹の底から、絶叫する。 「当麻さんから、出て行けぇぇえエエッ!!」 掠れた彼女の声が、『魔神』の耳に届く。 五和は、上条当麻を愛していた。 一目惚れだった。 その恋は、内気な彼女を突き動かしてきた。昔も、そして今も。彼の力になりたいと願い、彼の為に強くなりたいと願い、人に見えない努力を積み重ねてきた。 「浄化の炎」は、邪悪なものを断ち切る魔術。 『魔神』は一瞬で身を翻し、彼女に振りかえった。 襲いかかる五和を見て、『魔神』は心の底から笑った。 炎を纏ったナイフは直進した。 ドスッ! という音が鳴り、五和のナイフは『魔神』の左胸に突き刺さった。 鮮血が顔に飛び散り、五和は驚愕した。 「―――えっ?!」 決死の手段だったとはいえ、自分の攻撃が当たるとは思っていなかった。 水を使う魔術は、かつて対峙したアックアの魔術を見よう見まねで編みだしたものであり、火の魔術はその術式の色彩を「赤」に変えたものである。 短剣から流れ落ちる『魔神』の血を見て、五和の喉は冷えあがった。 それは人間と同じ、赤い血。 人格は違うとはいえ、自分が愛する男の身体を傷つけたのだ。『魔神』の白いYシャツに、赤い血が徐々に広がっていく。 身を焦がしていた敵意は一瞬で消え去り、五和は凍りついた。肉を突き破った生々しい感覚と罪悪感から、身を引こうとした瞬間、 『魔神』は左手で、ドガッ!と五和の頭部を鷲掴みにした。 「うぐっ?!」 彼女は、軽い脳震盪に襲われた。 ナイフは衝撃で引き抜かれ、地に落ちる。 五和の意識が徐々にはっきりしてくる。 そして、眼前には愛しい男の顔が迫っていた。 「…良い目だ。気に入った」 『魔神』が微笑みを浮かべて、五和の顔を覗き込んでいた。 顔は、意中の男性とはいえ、精神はドラゴンに乗っ取られている。 恐怖に心を掬われた五和は、 「ッ!離せ!」 と、蹴りを叩き込もうとしたが、『魔神』右腕が腰に手を回され、胸から下の身体が密着した状態となって、五和の動きが封じられた。 五和は、『魔神』に抱きしめられていた。 彼女と『魔神』の顔の間は数センチの距離で、彼女の吐息が『魔神』の顔に当たるほど、接近していた。 五和はさらに驚く。 意中の男性の顔が、目の前にあるのだ。 戦闘中だというのに、五和の冷静な殺気は失われ、『魔神』は、不敵な笑顔を浮かべたまま告げた。 上条当麻には似つかわしくない、邪悪な笑顔と甘い囁きで。 「余の『僕(しもべ)』になれ。五和」 「――んッ?!」 五和の唇は唐突に奪われた。 熱い感覚が、彼女の口内にねじ込まれた。 ネチュ、という卑猥な水音が五和の思考を奪う。 乾いた唇を潤す、温かいキス。 右腕で彼女の身体は抱きしめられ、左手は彼女の顎を持ちあげ、顔を固定されていた。 五和はパニックに陥る。 彼女はキスをされている。 愛しい男の姿をした『魔神』に。 彼女はファーストキスは、唐突に奪われた。それも恋焦がれた男性の唇に奪われて、予期せぬ形で成しえてしまった。 奪われたのは彼女の唇だけではなく、口内まで蹂躙された。 クチャァ…と、粘着ある唾液を引き、二人の唇は離れた。 茫然自失としている五和の耳に、『魔神』の声が囁いた。 「上条当麻はお前と違う女を心底愛している。そなたに振り向くことなど、一度たりとも無い。そなたの一途な恋心が実を結ぶことなど、決して無いのだ」 「―――――――――――――――――――――――――――――――――――――え?」 五和は、凍りついた。 そして、目の前が真っ暗になった。 見たこともない風景が映っていた。 自分と上条当麻が仲睦まじく、過ごしていた。 天草式の皆と、笑い合っている。 自分の手と上条当麻の手は指をからめ合って、繋がれていた。 一緒に映画館に出かけたり、 一緒にレストランに出かけたり、 皆に隠れてキスしたり、 二人で夜をベッドの上で過ごしたり、 他の女の子に好かれる上条当麻に嫉妬したり、 天草式のメンバーから二人の熱愛ぶりを冷やかされたり、 恋人となった上条当麻との日々が、目の前にあった。 それは自分が望んだ現実であり、その光景に心が満たされる。 しかし、その幻は一瞬で崩れ去った。 気づけば、五和は暗闇に一人佇んでいた。 (ここは…どこ?) 一筋の光があった。愛しい男の背を照らしていた。 あのツンツンとした髪型は、一日たりとも忘れたことは無い。 「!当麻さ…」 彼女の声はそこで途切れた。 周囲が徐々に明るくなるにつれて、彼が一人ではないことがわかった。 当麻の傍に他の女がいた。 他の女が手をつないでいた。 手を取り合いながら、彼女は当麻に微笑みかける。 彼も彼女に微笑みかける。 彼の笑顔は、自分と一緒にいた時よりも輝いて見えた。 なぜ、隣にいるのは自分ではない? こんなにも好きなのに。 誰よりも好きなのに。 彼の為に、誰よりも努力してきたのに。 彼の為に、可愛くなったのに。 彼の為だけに、尽くしてきたのに。 なんで、自分に振り向いてくれないのか。 五和は、叫んだ。 「…い、……いやああああああああ!!」 「―――――――――――――――――――――っ…―――あっ……」 気づけば、『上条当麻(ドラゴン)』は眼前にいた。 自分の瞳は、涙に濡れていた。 「それはお主が望んだ幻想。だが、それは有り得なかった現実ではない。お主と上条当麻が結ばれる運命は、確かに『在』ったのだ」 五和にはそれが、分かった。 先ほどのビジョンが真実であることが理解できた。 この世に「並行世界」というIFがあれば、自分と上条当麻が結ばれ、愛を語り合えた未来があったことは確かだった。 あのキスの感覚、抱擁された時の感覚。 愛の温もり。 芯から蕩けるような幸福の感情。 在ったことなのだ。 自分が、もうちょっと手を伸ばしていたなら、 もっと積極的に接していれば、 上条当麻と少しでも長く傍にいれば、 彼は私を見てくれた。 愛してくれた。 「……あ、ああ…ああ…あ、あああーっ……」 涙が止まらない。 感情が制御できない。 上条当麻が、御坂美琴を選んだことを知った時、自分は諦めると思ったのに。 あの時、彼を慕う人たちと一緒に思いっきり泣いたのに。 この涙は、まだ枯れていなかった。 彼女の涙を、『魔神』はそっと拭った。 愛しい男の顔が眼前にある。そして、甘い声が彼女の耳に囁かれた。 「『余』はお前を愛してやる。この身に抱かれることを光栄に思え」 もう一度、『魔神』は五和に唇を重ねた。 舌を入れ、彼女の口を再び蹂躙する。熱い感情が五和に湧き上がり、脳内を揺らすほど刺激する。 涙はそれでも止まらなかった。 だが、徐々に冷え切ったに生ぬるい温度が満たされていく。 何度も、彼女に濃厚なキスが襲ってくる。それを成すがままに五和は受けいれていた。 熱い。 温かい。 …欲しい。 手に入らなった愛情が欲しい。 彼女は、『魔神』の甘美な囁きに耳を傾けてしまった。 五和は自らの意思で、『魔神』の舌に、自分の舌を絡めた。 神裂火織は眼前で起こっている現象に絶句していた。 五和は『魔神』と唇を貪り合っていた。 だが、彼女が注目しているのはそれではない。 『魔神』の右肩から生えている巨大な『何か』だ。翼のような、腕のような…このようのものとは思えない、不思議な物質だった。 四本の長い指先のような先端から、一本の毛糸のようなものが出ており、それが五和の頭に繋がっていた。 五和は『魔神』に抱きしめられて、その異様な物体が見えていないだろう。 神裂火織は『それ』を『識』っていた。 この世全ての万物を操り、変換し、願望通りに物体を作りかえる神の領域の力を持つ腕。 かつて『神の右席』の『右方のフィアンマ』が所有していた、『ドラゴン』の一部。 『竜王の鉤爪(ドラゴンクロー)』。 あの腕のせいで、『禁書目録(インデックス)』や自分たちがどのような被害をこうむったか、神裂の脳裏にまざまざと蘇った。 その事件は、「科学」と「魔術」との戦争の芽となり、「ドラゴン」が覚醒を始めることとなる事件だった。 彼女は力一杯に歯を食いしばり、唇を噛み切ってしまった。 「ドラゴンッ!!貴様、何をしているッ!!五和から離れろォォおおお!!!」 七天七刀を握り締め、神裂火織は何の考えもなしに突進した。 アスファルトは聖人の脚力で蹴り砕かれた。『聖痕(スティグマ)』を発動し、魔力を爆発させた。 石柱すら一刀両断する刃は、『魔神』を捉え、右腕の傷から血が飛び散ることも恐れず、両手で刀を握り、『竜王の鉤爪(ドラゴンクロー)』の一指を斬り落とした。 『魔神』は五和から体を離すと、常人離れした脚力で跳び上がり、歩道橋の手すりに足を止めた。 斬り落とされた指と五和の頭に繋がっていた糸は霧散し、『魔神』の右肩から生え出ていた『竜王の鉤爪(ドラゴンクロー)』はゴキゴキという音と共に、『魔神』の身体に潜り込み、その姿を消した。 神裂の腕に、五和は倒れこんだ。 傍には、術式が打ち消されたナイフと『海軍用船上槍(フリウリスピア)』が転がっている。 神裂は射殺しかねない視線で、『魔神』を睨みつける。 「ドラゴンッ!!五和に何をしたあああああああああ?!」 左手で七天七刀を振りかざし、太陽を背に立っている『魔神』に吼えた。 Yシャツの左胸あたりが血で赤く染まっており、『魔神』は唇をそっと舌で舐める。 不敵な笑顔を取りつくろい、神裂火織の神経を逆なでする口調で、 「何を言っている?貴様も見ていたであろう?余は、五和を余のモノにすると決めただけだ」 「ふざけるなっ!お前はただの下種だっ!神を名乗る資格も無い!」 「ふはははははっ!余は神を殺すための神だ。それ以外の義務は無い。人を殺そうが犯そうが蹂躙しようが所有しようが、余の気まぐれだ。余はその人間が気に入った。それだけだぞ?聖人よ」 神裂火織の頭は激怒で沸騰した。 『竜王(ドラゴン)』は神でも、例外中の例外であり、神を殺す権限と能力を与えられている『怪物(カイブツ)』である。 人には災いや破壊を齎す神でもあるが、それは邪悪なものにしか適応されない。偉人を導き、絶大な力を宿し、世に平定を齎す象徴ともなる神でもあるのだ。 だが、強すぎるがために人に畏怖され、そして、肉体をバラバラにされ、人間に封印された。 よって、人間という『穢れ』と『強欲』を知った『竜王(ドラゴン)』は、ただのカイブツに成り果てていた。 その原因が人間であり、人間はその罪を忘れて、ただ『竜王(ドラゴン)』を恐れていたのだ。真に罪深き者は人間である。 だが、神裂火織は『識』らない。 『魔神』は怒りに身を焦がす聖人を見据え、笑いながら、 「聖人よ。貴様は何か勘違いをしていないか?」 「ッ!!どういうことだ?!」 『魔神』の言葉に嫌悪感すら覚える彼女に、冷静な思考はとうに失われている。 心にあるのは、『魔神』に対する憎悪と、仲間を想う情のみだ。 (ちっくしょうッ!これ以上仲間を失ってたまるか!建宮も、対馬も、香焼も死なせて、私はッ!皆を守るためにここにいるのにっ!私の為に天草式があるんじゃない!天草式のために私がいるんです!) 神裂は自分の弱さと激情に駆られ、瞳には涙すら貯めていた。 『魔神』は顔を歪ませる神裂を笑いながら見つめ、 告げた。 「五和は、自ら余のモノになることを受け入れたのだぞ?」 ドスッ… 鈍い音が響いた。 赤い血の斑点が、アスファルトを濡らし始めた。 数秒、神裂は反応が遅れた。 「か――――はっ…」 彼女は、目の前の現実が受け入れらず、途切れ途切れに声を吐いた。 なぜなら、 彼女の腹に、 五和が『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を突き刺さしていたからだ。 喉から込み上げた血を手で抑えながら、神裂は呟く。 「……五、和?………何…をっ?…」 「なに、余に籠絡されただけのことだ」 『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を神裂の腹部から引き抜いた五和は、立ち上がって無機質な瞳で彼女を見つめた。 大量の血が流れ出る腹部を抑え、神裂火織はアスファルトの上をのたうった。 「きゃあああああああああああああああああああ!!」 「プ、『女教皇(プリエステス)』様ぁああ!」 「五和ぁあ!お、お前何をッ?!」 他の天草式十字凄教のメンバーはその光景に目を疑った。 ある者は悲鳴を上げ、またある者は言葉を失ったまま、茫然としているだけだった。 『魔神』は高らかに声を上げる。 「ふはははははははははははっ!良い!実に素晴らしい!五和!なかなかに愉快な景色ぞ!誇るがよい!」 ぺたぺた、と五和は素足でアスファルトの上を歩き、『魔神』が立っている歩道橋の下まで近寄った。彼女は『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を捨て、『魔神』を見上げた。 「ハイ…当麻、様」 無感情な五和の返答は、『魔神』をさらに悦ばせた。 「ふはっはっはっ!意識を嫉妬と欲望に流されながらもそれでもなお、上条当麻に恋焦がれるか!なんとも色欲に素直な人間か!だがそれで良い。それこそ人間のあるべき姿だ。気に入った! これは神の加護ぞ!心して身に受けるがよい!」 『魔神』の背中から白の翼が発現する。4メートルほどの大きな片翼が、五和の体を覆い尽くした。 翼の形をした『何か』は、外形を崩し、白い液体のような粘着性を持ったモノへと変貌した。グチャグチャと音を立てながら、五和を包み込んでいく。 フワリと、その『何か』地面から浮き上がり、『魔神』と同じ高さまでになると上昇を止めた。ボタボタと白い液体が垂れ落ちるが、みるみる硬化が始まり、楕円の繭のようなものが形成された。 全長は三メートルをで、幅は二メートルほどある。 歩道橋の手すりから『魔神』は離れ、ゆっくりと浮遊し、白い繭に近づいた。そして、『魔神』は右手を触れる。 パリンッ。 ガラスが割れたような音が鳴り、『魔神』の『幻想殺し(イマジンブレイカー)』が反応した。 白の繭に亀裂が走り、その隙間から強烈な光が漏れだした。 辺りは眩い光に包まれた。 太陽の光を浴びた羽が舞い降りる。 天草式十字凄教のメンバーは奇怪な現象に目を疑った。 「なんだ?…これ」 周囲が光に包まれ、五和や神裂火織の様子は分からない。ただ、無数の羽のような白い物体が空から降り注いでいることが分かった。傷ついた仲間に手を貸している者が多くいる中、一人がその羽のような物体を掴もうとして、 「熱っ?!これ、ただの羽じゃないぞ?!」 ジュウッ、と音を立てて掌に火傷を負った。 他の天草式のメンバーも被害を受けて、急ぎ早に物陰に避難した。 羽のような物体は、人間や植物には被害を及ぼすが、アスファルトや鉄で出来た信号や歩道橋には全く変化が見られなかった。まるで雪が解けるように霧散していく。その神秘的な光景に目を奪われつつ、天草式十字凄教のメンバーは『魔神』の方角に目をやった。彼は言葉を失った。 天使。 左胸のあたりを赤く血で濡らしたワイシャツを着て、両手を黒ズボンのポケットに入れている一人の『魔神』と、同じ高さに浮上している『天使』がいた。 白のローブを身に纏い、金色のラインが入った純白の甲冑を着ていた。銀色の金属ブーツが光沢を発していた。無機質な紫色の瞳を宿し、紫色の髪を靡かせている。 背中には大きい白の翼が生えていた。 天草式十字凄教のメンバーは息を飲んだ。 「………五、和?」 ガチャン!と白い繭は地面に落ちて、割れた。 空に浮かび、繭から生まれた『天使』は五和の容姿をした少女だった。 二重瞼が特徴的な瞳に、肩にかかる長さのショートヘアーをした容姿は、五和そのものだ。だが、彼女の表情に、感情は宿っていない。 『天使』は右腕を水平に突きだした。 彼女の周囲に散乱していた羽が急速に集まり、純白の槍を形成する。 少女の全身の二倍ほどある翼が動き出し、槍を天草式の人々に入る方角に向けた。 空気が戦慄する。 一帯を覆い尽くしている羽が、一斉に天草式のメンバーに襲いかかった。 「―――――――ッ!!?」 吹雪のように降り注ぐ白の無数の羽。 咄嗟に武器で身を防ごうとするが、間に合わない。 生物の肉体のみを焼き尽くす羽は容赦なく、彼らに向かっていった。 それは彼女も例外では無い。 交差点の中心で倒れていた神裂火織は、穴が開いた腹部を抑え、仰向けにその光景を見ていた。彼女は朝日に照らされる『天使』と『魔神』を見つめ、茫然としたまま死を悟った。