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その頃、クレイウーマンが造り出した特大粘土人形が暴れているのを攻撃範囲外から見ながら土御門は電話を受けていた、相手は初春である。 「成程、その魔術師は生け捕りにしろと。しかも顔は本人だと分かるように原型を止めておくんだな。つまり奴らのバックを暴こうって魂胆だな?」 『ええ。二人だけ、しかも明確な目的を持ってることからあの二人はどこかの魔術結社に属してるはずです。だったらついでに大元もって思いまして』 「いやはや初春ちゃんは本当に変わっちまったって実感させられるぜよ。まさか顔は駄目だけどそこ以外は何やってもいいって言うとは思わなかったにゃー♪」 『ち、違いますから! わ、私、そんなこと考えてませんから! じゃ、じゃあ着替え終わったら私たちもそちらに行きますから! シェリーさん、そっちは後で』 途中で切れてしまった初春の電話、最後に何があったのか気になってしょうがない土御門だがそれは後回しにすることに。 同じく行動を共にしていた一方通行と月夜、土御門の会話からある程度の事情を察していた。 「しかし初春ちゃんも無茶言うよね……。私達、何だかんだでそろそろ限界だよ?」 「ったく、ンなことならさっき御坂に電極の充電頼めば良かったぜェ。能力使用もあと五分が限界だぞ……」 「アクセラには黒系(黒翼や黒き悪魔の右腕のこと)があるだろ?」 「いかにも三下っぽい奴らに使うのは俺のプライドが許さねェが……まァ、いざとなったら使ってやンよ」 新入生達は何だかんだで彼らに色々と限界を与えていたようだ、伊達に全員がレベル4(ピンキリだが)では無かったらしい。 攻撃範囲外だからと油断していた土白と一方通行、しかし特大粘土人形が本能のままに飛ばしてきた人間大の大きさの粘土弾が容赦なく襲い掛かる。 「うおりゃー!!」 飛んできた粘土弾に対し、白雪は氷の盾を作ってなんとか皆を守った。 だが、気を休める暇などなく、ドンドン放たれていく。 「うぎゃー!!元春ぅ~!!なんとかしてー!!」 「今すぐ魔術師を見つけてやる。だから頑張ってくれ!!」 「頑張るしか選択肢は無かったの!?」 そう言いつつも、土御門にかっこよく応援されるとチカラがわいてくる。 白雪はかなり耐えたが、それでも限界は来る。 もう白雪がダメだと感じたその瞬間。白雪の視界に黒と白の塊が入った。 それは一方通行の最終兵器、黒き堕天使のチカラを持つ一方通行の姿だった。 「ざけてンじゃねェぞォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 一方通行が粘土人形に右腕を叩きつけたその瞬間。 粘土人形は潰れた。 「ンだァ、随分とあっけねェな。図体がデカイだけじゃねェか」 「だといいがな、絶対に油断はするなよ。……とはいっても残ってるのはあの不細工な粘土の化け物を作った魔術師だけか」 特大粘土人形が潰れ、ひしゃげた状態で沈黙し、その後方に自分達の知らない人間(クレイウーマン)の存在を確認した土御門。 脅威だった特大粘土人形がピクリとも動かないことを確認した土白と一方通行、用心しながらグラウンドに降り立った。 (自分の切り札がやられたってのに何であの女は余裕を崩さない? まだ終わっていないのか? それとも) 「後はあの女をブッ倒しゃあいいンだろ? 一気に間合いを詰めて終わらせてやンぜ!」 足元のベクトル変換を使い、クレイウーマンの元へと疾駆しようとしたその時、何の前触れも無く黒色の小袋が出現した。 クレイウーマンの余裕、それともう一人の魔術師の存在を繋ぎ合わせた土御門が一方通行を制止しようとしたが、一方通行は構わず小袋を引き裂いてしまう。 「アァ? ただの粉が入って……な、何だァ、きゅ、急に眠気が……っ。クッ、クソがァ……」 「あ、アクセラ、く、くん……。も、元春、ご、ゴメン、ね。私も、ちょっと、だ、ダメみたい……」 黒色の小袋に入っていたのは魔術で作られた特製の眠り粉で、疲れもピークな月夜、反射の設定を失念していた一方通行はモロに吸い込み眠ってしまった。 土御門だけは咄嗟に口と鼻を塞いだが、それでも眠り粉を少し吸い込んでしまい思考がおぼつかない状態に。 「成程、さすがは土御門元春といった所か。そこで眠ってしまった二人よりは危機回避能力は高いな」 (声だけしか、き、聞こえねぇ……。これはおそらく隠密術式……。だから小袋の存在にも気付けるのが遅かったってのか……くそっ! こんなことならねーちんか建宮を) 「ところであそこでひしゃげてる粘土人形だがな、あれでは完全に活動停止には至らないぞ。ほぅ、もう動き出すか。ならば俺は避難するとしよう」 眠りこそしないが意識が混濁し始めてる土御門が見たもの、それは潰れている粘土の塊がグニョグニョと蠢き再び活動を始めようとする特大粘土人形の姿だった。 そして粘土人形は巨大な腕をしならせて土白、一方通行へと振り下ろすが、 「ふうっ、何とか間に合ったわ。さっきの粘土人形よりもでかい上に不気味なんてやってやれないわね。超電磁砲でも完全に塵に出来るかどうか……」 美琴の超電磁砲が腕を跡形も無く消し飛ばしたので事無きを得るが、すぐさま腕は再生した。 土御門は助かったことを幸運に思うが、隣にいる当麻の不自然すぎる姿に、 「待たせたな土御門! 満を持して上条さんと美琴が助けに来ましたのことよ!」 「満を持してじゃねーだろーーーーーーーーっ! 何ぜよカミやんの顔や首筋に付いてるキスマークはーーーーっ!」 眠り粉による眠気も吹っ飛ぶほどの力強いツッコミを入れてしまうことに。 当麻を初めて目の当たりにしたクレイウーマンは思った、あんなのが自分達の最優先の標的の幻想殺しなのかと。 「ん?何かおかしいところでもあるか?」 「あるわボケェェェェえええええええええええええええええええええええい!!!! どこにキスマークつけてやって来る戦友がいるぜよ!?」 「???いや、俺たち怒り狂ってたから落ち着こうと思って全身にキスマークつけてただけだけど? あっ、ちなみに唇で激しいのもしたし、美琴の全身にも……」 「んなこと誰も聞いてないぜい!!さっさと右手で月夜とアクセラの頭触って起こせ!!」 「わかった」 「そうはさせるか!!」 どうやら上条の右手で触れたら二人は起きるらしく、クレイウーマンは特大粘土人形に粘土弾を放たせる。 だが上条の右手でそれは散る。 「クソォ!!まだ時間がかかると言うのに!!」 何の時間かは知らないが、また粘土弾が飛んでくる。これでは上条は進めず、相手の何かを叶えさせてしまう。 美琴も美琴で、電撃で粘土弾に攻撃している。 上条達ピンチである。 一方の校舎内、こちらでは一つの終わりを迎えようとしていた。 そう、新入生達による襲撃が彼らの完全壊滅という形で終了しそうな勢いなのだ。 「ふー、ここのフロアの襲撃者さん達もこれ以上襲ってくる心配は無さそうね。ご苦労さま黒子ちゃん。そっちのあなたもよく耐えたわね」 「私がしたのは単に動けなくなった彼らを気絶させただけですの。本当の功労者は制服を恥ずかしい程度に切り刻んだ浦上様ですわ……」 「ボクも何かしたわけや無いですよ、ホンマ。むしろ目の保養に半分はなったわけですし。それよりもボクは浦上はんともっゲフッ!」 新入生達の完全壊滅の立て役者とも呼べる活躍を見せたのは黒子、青ピ、浦上。 とはいっても青ピは戦ったわけではなく、女子のセミヌードだけを脳内に焼き付けていたに過ぎない(黒子の制裁は覚悟の上で)。 「さて、これで残りも少なくなってきたことでしょう。浦上様、次はどのようになさいます?」 「とりあえず下に降りながら考えましょう(外ではおそらく上条さん達が魔術師との戦闘をしているはず。この二人は近づけないようにしないとね)」 「うおっ! な、何やのこの人間の山は! しかも男も女も関係無く延髄に内出血の跡が! いったい誰がこない酷いことを……」 一階に降りて来て青黒、浦上は大いに驚いた、何せ新入生達がピクリとも動かずに倒れているのだから。 三人が驚く中、この事態を引き起こした張本人から声がかかる。 「あれ、○○くんにその恋人の黒子さん。それとそちらの女性は初めて見ますがお二人の知り合いですか?」 「あ、ああ、こちらは黒子はんの寮の寮監補佐の浦上さんや。せやけどどないしたん? 井ノ原弟。そない丁寧な口調になるなんて」 「そんなに気にして頂かなくても平気です。ただ少しだけ怒っているだけですから。それにしても皆さん無事で本当に良かったです」 マジ切れモードの真夜にキョトンとする黒子と浦上、彼の変わりようというか心配してきたことに妙な勘ぐりをしたのは青ピだった。 (……なんや、このいつも以上の優しさは? 井ノ原弟、一体何を企んどんのや?) 「ところで理后さんはどこに居ますか? 新入生の方々がどれだけ健在なのか知りたいと思いまして」 「滝壺はんとは屋上で別れたきりやから今はどこにおるか分からんなぁ。もしかしたら浜やん、半蔵はん、郭はんと一緒かも知れへん」 「半蔵くんと郭さんには会いましたが理后さんと一緒に居ませんでした。ならば確実に仕上くんと一緒でしょうね」 青ピの情報を元に滝壺とコンタクトを取る為に浜面に電話をかけた真夜だが、 「もしもし仕上くんですか? お忙しい所すみません、真夜です。理后さんに聞きたいことが」 『真夜ってことは井ノ原弟か? 頼む助けてくれ! 今ちょっと滝壺と痴女に』 『だーれが痴女なのかにゃーん? はーまづらぁ。悪いんだけどさぁ浜面も滝壺も私も取り込み中なの、後にしてくれる?』 「いえ、お手数は取らせませんから理后さんに代わっ」 状況の掴めない会話のせいで当初の目的は達成できなかった。 仕方なく真夜は何となくの勘で体育館を目指すことに。 「では僕はもう行きます。皆さんは保健室で休んでていて下さい。半蔵くんと郭さんもそこに居ますから」 体育館に向かう間、真夜は電話に出た女性の声に聞き覚えがあると思っていたが、それは麦野も同じで真夜の声に聞き覚えを感じていた。
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決め手は隠し味 『第1回 とある魔術やあらへんで!! チキチキカミやんのハートは料理で掴め 心を込めた手料理対決~!』「この企画の司会を勤めさせていただく土御門元春だにゃー」「アシスタントの土御門舞夏であるー」「え~、この番組では女の子が手料理を作ってカミやんに食べてもらうぜい」「いきなり連れて来られたと思ったら、なんだよこの企画……」突然始まった謎の企画、スタジオの真ん中には上条当麻が座っている。どうやら、上条当麻にフラグを回収するきっかけを作るのが目的みたいである。「料理といえばメイドの私も出たかったんだがなー、兄貴が許してくれなくてなー」「舞夏の手料理をカミやんなんぞに食べさせんぜよ」「そんなに気にすることも無いと思うけどなー」「前置きはこの辺にしておいて早速企画の説明をするぜい、舞夏頼むにゃー」「分かったぞー」そう言って用意されたフリップを手に持って説明し始めた。~企画説明~・上条当麻にはこれから出される女の子の手料理を食べてもらう。・全て食べ終わった後に誰の料理が1番印象に残ったのか答えてもらう。・公平を期するために全て『肉じゃが』を作ってもらう。・1度出された料理は、何があっても1口は食べなければならない。「以上だぞー、ちなみに女の子が出てくる順番は出てくるまでは分からないぞー」「いや、だから何で俺なんだよ?」「さて、説明も終わったところで早速最初の挑戦者の入場だにゃー」「スルーですか、そうですか」挑戦者1 五和「お久しぶりです、上条さん」「五和か、思ったよりまじめそうな企画で良かったー、五和の料理なら安心して食べれるな」知った人物の登場に上条はほっと息をついた。五和の料理の腕は以前作ってもらったことがあるので知っている。「はい! 上条さんの為に頑張って作りました!」五和もこれ以上無いチャンスなので張り切って作ったようだ。ここで料理の腕は自分が1番とアピールすることが出来れば、他の子とより一歩リードすることが出来る。「五和、がんばるのよな!」天草式のメンバーも何故か応援に来ている。まあ、料理を作った後のスタジオでの応援は大して意味は無いのだが……。「うまい! こんなうまい料理を食べたのは久しぶりだ」やはり料理は美味しかったようだ、上条はあまりの旨さに高く空の上へ引き上げられるような感覚になった。「ありがとうございます」上条の反応のよさに五和は安堵の息をついた。「おーっと、これは好印象だにゃー」「さすがは私がライバルと認めただけのことはあるなー」舞夏は以前からライバルがここで活躍するのを見て、少し悔しい気持ちになった。「カミやんには満足してもらったところで、次の挑戦者どうぞだにゃー!」挑戦者2 オルソラ=アクィナス「オルソラまで来てたのか」「お久しぶりでございます」「オルソラの料理もうまかったもんなー、マジでおいしいもんばっかり食べられて上条さんは幸せですよー」インデックスに500倍くらい美味しいと言われた実力を持つオルソラ。イギリス清教の女子寮も彼女が料理当番のときは食堂もいっぱいになるほど定評がある。「あなた様に食べていただきたくて、頑張って作ったのでございますよ」「おお! 見るからにうまそうな肉じゃがだな」出された料理は声に出さずにはいられないほど美味しそうな料理だった。「和食はあまり得意ではなかったので、洋風肉じゃがにアレンジしてみたのでございますよ」「うめぇ! 五和の肉じゃがもうまかったけど、これもかなりうめぇー!」「天草式の五和に続いての好印象! これは誰が優勝するかわからないにゃー」「むむむ、新たなライバル出現の予感だなー。やっぱり私も出場すればよかったー」2人続けて実力者の登場に、舞夏は少しだけ不満を覚えた。「舞夏の料理はカミやんには絶対食わせんぜよ、さて次の挑戦者の準備が出来たみたいだにゃー」 挑戦者3 結標淡希「まさか、お前まで参加してるとは……」意外な人物の登場に、上条は少し不安になった。彼女の料理の腕は小萌先生から聞いている。今までの幸せ気分は一気に不安で埋め尽くされてしまった。「せっかく料理を覚えたんだから、誰かに食べてもらえって小萌が言うから」「なるほど、それでこれは肉じゃがなのか?」目の前にある謎の物体に疑問を覚えた。この企画がテレビ番組なら、不適切な表現で画面にモザイクがかかるだろう。「普通に肉じゃがだけど?」何当たり前のことを聞いてるの? と呆れ顔で問い返した。「……何でこんなに青いんでせう?」そう、謎の物体は青色だったのだ。醤油を入れすぎたわけでも、煮込みすぎたわけでもなく、普通に肉じゃがを作る工程で、肉じゃがが青色になることなんてありえないのだ。「普通に作っても面白くないから、ちょっとだけ着色料を入れてみたんだけど、何か問題でも?」結標としては料理にインパクトを持たせるためと遊び心を持って、調味料の中に置いてあった着色料を入れたのだ。「……妙な臭いがしません?」「別に変な物は入れてないから味は問題ないわよ」肉じゃがに青色の合成着色料を入れる時点で十分変な物なのだが……と、普段の上条ならツッコミを入れるところだが、あまりの臭いの為に上条の思考はツッコミより肉じゃがの方に奪われていた。「そうか? 食事中の人もいるだろうからソフトに表現するけどこれは……、 牛乳を雑巾で拭いてそのまま乾くまで放置した時みたいな臭いが……」記憶喪失の上条は牛乳が乾いたときの臭いなんて知らないだろうが、あまりの臭いの為に直感的にそう言ってしまった。「失礼ね! さっさと食べなさいよ」「食うのか? 俺が? コレを?」上条は意を決して、肉じゃがもどきを口に運んだその瞬間―――「……パクッ、ゴフッ」「なっ! 汚いわね!」口に入れた瞬間上条は吐き出してしまった。「ゴホッゴホッ、何だよコレ?」「だから肉じゃがだって……」「……絶対生物が食べるように作られて無いだろコレ」あまりの不味さに、上条の感想にはフォローすら入っていない。「そんなはずは……」「コレはインデックスですら残すレベルだぞ?」何でこんなものを食わせるんだよと上条は不機嫌になっている。ここでインデックスの名前を出すのはインデックスに失礼なのだが……。大食いの象徴であるインデックスですら食べられないとはよほどのものだろう。「調理中の情報が入ったぞー、その女が着色料だと思って使ったのはー」「着色料? あー青色の原因のアレか」「アレなー、実は青色の絵の具だったんだー」「ゴフッ、人に何食わそうとしてんだよ!」予想外の調味料に上条は思わずキレた。やはり人間が食べられるように作られていなかったのである。「ちょ、ちょっと間違えただけよ!」「とにかく、1口は食べたからルールは破ってないよな?」正確には食べずに口に入れただけなのだが、こんなものを食べてしまうと病院送りになってしまう。絵の具以外はちゃんとした素材で作られているので少しもったいないが……。「まー問題ないにゃー」「素材を無駄にするのは料理人として許されないけどなー」料理人として素材を無駄にするのは許されないし、世間では食べ物を粗末にするな! とクレームがつくかも知れない。そこで、『この後スタッフが美味しく食べました』というために土御門は秘策を用意していたのだ。「それは問題ないにゃー、別室に青髪ピアスが待機してるにゃー」「何で青髪が?」「女の子の手料理が食べられるかもって言ったら喜んで協力してくれたぜい」「……なるほど」土御門の一言で、上条は全て納得してしまった。「舞夏、残りの肉じゃがを別室まで持って行ってくれないか?」「分かったぞ兄貴ー、それじゃ行ってくる」ピーポーピーポーピーポー「それじゃ気を取り直して次の挑戦者だにゃー」 挑戦者4 白井黒子「白井……」驚いたことに、次の挑戦者は白井だった。「わたくしの手料理をご馳走しますわ、上条さん」白井はそう言って不敵な笑みを浮かべながら、肉じゃがを差し出した。「……何だこれは?」結標の時は出されたものがギリギリ肉じゃがと認識することが出来た。だがコレは―――「常盤台中学特製オリジナル肉じゃがですの」「俺にはただの石にしか見えないんですが……」「気のせいですの、肉じゃがをベースにすればオリジナル料理も許されると聞いたので」「いや……、コレは……、どう見てもただの石だろ?」「ただの石ではございませんの。ジャガイモの代わりに石を使い、肉の変わりに合成ゴムを使って、 鰹とこんぶで出汁を取り、砂糖と醤油とみりんで味付けした特製肉じゃがですの」「……つまり石ゴムじゃねーか」「それを言うならゴム石だぜいカミやん」土御門の鋭いツッコミが光った。上条は土御門を怒りをこめて睨みつけた。「さあ、お召し上がりください」「……コレを?」無機物を食べることの出来る人間がいたら、それはもはや人間では無いだろう。「そうですの」(類人猿にはここで放送中の事故として亡き者になってもらいますの!)「白井ー、さすがにそれは酷いと思うぞー」冷静に対処したのは舞夏だった。「ルールでは出された料理は絶対に1口は食べないとダメなんだけどにゃー」土御門は面白いものが見れるとニヤニヤしている。「兄貴はアレを食べ物と判断するのかー? アレは料理に対する冒涜だぞー?」料理を馬鹿にされた舞夏は、義兄を睨みつける。愛する義妹に睨みつけられた土御門はゴホンと咳をつき、全てを無かったことにした。「……そうだにゃー、カミやんそれは食べなくてもいいぜい」「なっ! せっかくわたくしが心を込めて作ったのに!」せっかくの計画が全て水の泡になってしまう、不機嫌なしわを眉間につくった。「こんなこともあろうかと、ある人物に助っ人を頼んでおいたんだぞー」白井がエントリーした時点で舞夏はある人物に協力をお願いしていた。コツコツコツ白井の後ろから不吉な足音が近づいてくるが、白井は気付いていない。上条はその足音の正体に気付いた、足音の正体の人物について一切知らないはずなのだが物凄い威圧感を感じてしまい、動けなくなった。「ほう、コレが常盤台中学特製と銘打たれた料理なんだな白井?」「ひっ」突然後ろから声をかけられて白井は心臓が止まりそうになった。そして振り向くと、『最強の無能力者』の異名を持つと恐れられる寮監の姿があった。「ここここれはご機嫌麗しゅう寮監様……」黒子は何事も無かったかのように挨拶をして、必死に誤魔化そうとする。「こんな料理が常盤台のレベルだと思われることに責任が取れるんだな?」「そっそそそお、それは……」「白井、今ここで私に首を刈られるのと、自分で作った料理を自分で食べるのとどっちがいい?」「……首を刈ってくださいですの」「そうか」ゴキッ黒子は首を180度回され、ゴミのように捨てられた。その光景を上条は真っ青になり見ている。全身から血の気が引いていくのを感じる。寮監は上条の前に立ち、凄まじい威圧感を出し上条に語りかけた。「ウチの生徒が迷惑をかけた」上条は恐怖のあまり固まっていた。「は、はい……」やっとの思いで出た返事は声が震えていた。「さて、次の挑戦者はこちらだにゃー」何事も無かったかのように土御門は進行している。 挑戦者5 佐天涙子「えーっと、君は御坂の友達の……」「……」挑戦者の佐天涙子は俯きながら何かを考えている。(マズイマズイマズイマズイ)「挑戦者の佐天涙子だにゃー」「あっはい!」名前を呼ばれた佐天はドキッっとして思わず返事をしてしまった。彼女がこんなことになっているのには少し事情がある。参加する前の風景「聞いてよ初春! 今度御坂さんの想い人の上条さんを対象とした料理バトルがあるみたいなんだけど」「私も舞夏さんから聞きましたー」「御坂さんも参加するみたいなんだけど、あたしも御坂さんの為に何か出来ないかなーって思ってさー」「具体的にはどうするんですか?」「聞いた話だと、料理を出す順番はエントリー順みたいだから、御坂さんの後にエントリーして、 すごくまずい料理を出せば前に食べた人の料理の印象が更に上がるって作戦なんだけどどうかな?」「なるほど、御坂さんの為に自分を犠牲にするわけですね」「そんなにたいしたことじゃないけどね、上条さんのことで悩んでる御坂さんを見てたら、あたしも応援したくなっちゃって」「それでもいい作戦ですね!」「でしょ? それじゃ早速エントリーに行くよー」「あれ? でもこの作戦って、佐天さんの後の人の印象も上がったりしません?」「大丈夫! ちゃんと考えてるよ!」開始10分前ピンポンパンポーン各調理室に放送が流れる。『今回の参加者の皆さんに、重要な話があるにゃー。最初はエントリー順番で料理を出してもらおうと思ったんだけど、公平を期するために順番はくじ引きで決めることになったにゃー』『料理対決ってのは料理を出す順番も大事だからなー、これから私がくじを持って調理室を回るから、みんなはギリギリまで料理に集中しておいていいぞー』「マズイマズイマズイマズイ」突然のアナウンスに佐天の顔は真っ青になる。美琴より後なら問題ないのだが、美琴より前になってしまうと……回想終わり 「すみません、御坂さんってもう出ました?」「御坂もこんな企画に参加してるのか?」「……まだなんだ」佐天は絶望した、このままでは大変なことになってしまう。自分の安易な行動のせいで友人が傷ついてしまう……。「あの、佐天さん?」「あっはい」佐天の顔はどんどん真っ青になっていく。「具合悪そうだけど大丈夫か?」「……あの、あたし棄権するってのはダメでしょうか?」棄権さえすれば上条に料理を食べさせることなく、全て丸く収まるはずと思った。「棄権? それは出来ないぜい」「そうですか……」「まー、棄権してもしなくても、料理を食べるのはカミやんだから君が気にする必要はないぜい」(だからマズイんだけど)佐天は今にも泣きそうな顔をしている。どうしたらいいのか分からなかった。「んー、どうして棄権したいのかわかんねーけど……、あ! もしかして料理に失敗したとか?」「え? 別にそういうわけじゃ……」「それくらい全然かまわねーよ、さっきの2人の料理の後だしな。多少のことなら全然平気だぜ」さりげない上条属性の発動、料理に失敗したと勘違いをしている上条は優しい笑みを佐天に向けたが、佐天にはそれに答える余裕が無い。「とりあえず料理を紹介するにゃー」佐天は肉じゃがを上条に差し出した。上条の優しかった表情がどんどん青くなっていく。「……何で赤いんでせう?」「……」佐天は答えなかった、というより答えられなかった。「結標のときみたいに赤い絵の具が入ってるとか?」「大丈夫だぞー、この料理には人間が口に出来ない食べ物や調味料は入ってないぞー」フォローを入れたのは舞夏、舞夏には各挑戦者が使用した素材と調味料のリストが渡されていた。「そ、そうか……」人間が食べられる物と聞いた上条は少しだけ安心して肉じゃがを食べようとした。「それじゃ、いただきます」「あっ」上条が肉じゃがに箸をつけた瞬間、佐天は小さく呟いた。「……ゴフッ」肉じゃがを口に入れた瞬間、上条は肉じゃがに口を噛まれたような感覚に陥った。「……」「ひたい! ひす! ひすをはやふ!」(痛い! 水! 水を早く!)肉じゃがは辛さを通り越して上条にダメージを与えた。あまりの痛みに上条はのた打ち回った。そんな上条の様子を見て、佐天は気の毒に思いながら上条に水を差し出した。(すみません、あたしのせいで……、そしてごめんなさい御坂さん……)「辛口肉じゃがは発想が良かったけど、少しハバネロソースを入れすぎたなー」「だから棄権したかったのかにゃー、まーカミやんならコレくらいのダメージ全然平気だぜい」「ひほほほたほほもって……、ふひははへる……」(人事だと思って……、口が焼ける……)「カミやん何言ってるかわからんぜよ」「はひ……」「カミやんの言語機能が回復するまで待つにゃー」「とりあえず喋れるようにはなった」「それでは次の挑戦者をこの人だにゃー」 挑戦者6 御坂美琴「御坂か」「……」御坂も何故か元気が無い、ただ気まずそうに下を向いている。「どうしたんだ?」返事は無い、美琴は元気が無いというより悲しみに近い表情をしている。「ほう、御坂まで参加してるとはな」「寮監! どうしてここに……」声を掛けたのは恐怖の寮監だった、上条の言葉には悲しみのあまり反応できなかったが、寮監の言葉には、恐怖のあまり反応してしまった。「ただの見学だよ」寮監の足元には白井黒子が転がっている。「黒子も出てたんだ……」なぜ白井が参加したのかは美琴は知る由も無かった。「さて、超電磁砲が作った料理を紹介してもらうにゃー」「……肉じゃが?」「……そうよ、ちょっと失敗しちゃったけど」「それを気にしてたのか? まー不器用なキャラが不器用なりに作ったものならなー」「私は別に不器用じゃないわよ!」ちょっとだけ元気になった様子を見て、上条はほっとした。「はは、この肉じゃがを前に不器用じゃないと言い張れるんだったら大したもんだよ」「さーカミやん、さっさと食べるにゃー」「ああ、分かったよ……」パクッ「こ、これは……!」「カミやん、感想を言うにゃー」「さっきの佐天さんの料理が原因で、舌が麻痺してて味がわからん……」予想外の上条の感想、そう佐天の作戦はこういうことだったのだ。美琴の後に料理を出し、激辛料理で上条の味覚を麻痺させて、後の挑戦者の料理の味を分からなくさせるという。しかし作戦は失敗に終わり、美琴の料理の味が分からなくなるという最悪の結果になってしまった。「そんな……」美琴としても、結果として料理は失敗してしまったが、せっかく作ったのだから感想は欲しかった。不味いと言われたら立ち直れなかったかも知れないが……。 結果発表「……これで全員の料理を食べたことになったにゃー」「上条当麻にはこれから誰の料理が1番印象に残ったのか判定をしてもらうぞー」「うーん」どれが美味しかったか? 誰の料理を選ぶか? 五和か? オルソラか? と好印象を得たのは2人だけだった。「俺が1番印象に残った料理は……」何の番組だよ? とツッコミが入るほど上条はためている。「御坂の肉じゃがだ……」「どうして?」真っ先に疑問の声を上げたのは選ばれた美琴だった。それもそのはず、自分の料理は失敗して、更に上条は味が分からない状態になっていたのだから。「さっきも言ったけど、舌が麻痺して味なんて分からなかったんだ でも、味が分からなかったからかな……、何か温かいものを感じたような気がしたんだ。 そりゃ、味は五和やオルソラの料理の方がおいしかった。 だけど、今回の判定は印象に残った料理だろ? だから御坂の料理が1番印象に残った。それは間違いない」「意外な結果だにゃー」「そんなっ! 納得出来ません!」納得出来ない! と抗議したのは五和だった。「五和、お前の負けよな」建宮が五和の後ろから声を掛けた。「どうしてですか! 私の料理の方が―――」「お前さん、以前に上条に手料理を食べさせたことがあっただろ?」「……はい」「それが油断だったのよな」「意味がよく分かりません……」建宮の真意を理解できない。この状況を沈めるために舞夏が動いた。「後は私が説明してやるぞー この勝負は初めからフェアじゃなかったんだー 料理って言うのは1番食べてもらいたい人の為に愛情を込めて作るものでなー それはみんな理解してると思うけど」「私は上条さんの為に一生懸命作りました!」そんなことは当たり前だ! と言わんばかりに五和は舞夏に食いついた。「君が一生懸命だったのは上条当麻も分かってると思うけどなー 以前に作ったとき、上条当麻に美味しいと言ってもらっただろー? 料理を初めて作るときは、相手の口に合わなかったどうしようとか、そういう不安と戦いながら想いを込めて作るものでなー 前に上条当麻に作ったときに、ある程度の好みを知った君は今回は不安も無く安心して作れたはずだろー? それが油断につながったんだなー その点、御坂は今回初めて上条当麻に作ったわけだからなー、相当不安があったと思うぞー 実際、緊張しすぎて失敗の繰り返しだったしなー、それでも上条当麻の為に一生懸命作った差ってのはやっぱり大きいんだなー まー、御坂の前に上条当麻が舌にダメージを受けていなかったら、結果がどうなってたかわからないけどなー」「……私の完敗です」舞夏の言う通りだった、確かに自分は油断していた。そんな私の慢心を上条は見抜いたのだ……、感情的になり抗議するなんて……、そんな自分を恥じた。「さて、ここで優勝した超電磁砲には優勝商品を受け取ってもらうにゃー」「商品なんてあるの?」「料理対決の商品と言えば、審査員のキス、つまりカミやんのキスだにゃー」「ぶっ! 何言ってんだ土御門!」「この状況で逃げるのかー?」「うっ! でも、御坂の気持ちだってあるだろ?」「……私はいいよ」美琴の顔は真っ赤になっている。何かを決意したようだ。そして美琴の言葉に上条も決意をした。「……分かったよ」チュ「まさか口にするとはなー」「カミやん、普通こういうときはホッペにキスだろ?」土御門義兄妹はニヤニヤしながら上条にツッコミを入れた。「っ! すまん御坂! 大丈夫か!?」「ふ……」「ふ?」「ふにゃーーーーー」「ぎゃー漏電すんなああああああああ」こうして、第1回料理対決は美琴の優勝で幕を閉じたのだった。 そして……「あー、悪かったよ」「謝られる覚えなんて無いけど、アンタ何かしたの?」「覚えてないのか?」「別に謝られることは無いと思うけど?」「でも、勘違いであんなこと……」「ふふ、私のファーストキスを盗んだんだから、ちゃんと利子つけて返してよね!」「利子つけて?」「そうね、早く返さないとどんどん高くなっていくわよー?」「あの……ローンでもいいでせうか?」「……仕方ないわね、特別にローンで許してあげるわ!」「ありがとうな、まず最初は肉じゃがの作り方教えてやるよ!」「そうじゃないだろうが!」「ぎゃああああ!? なんでえええ?」今日も学園都市は平和である。
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体育館から出てきたところへ土御門と白雪が声をかけてきた。 「アクセラー、そっちは終わったかにゃー?」 「アン、土御門どもか。ああァこっちは終わったぜェ、この状況を見りゃ一目瞭然だろうがァ!」 「たしかににゃー、新入生たちが気絶者の山になってんだもんにゃー」 「でも体育館の中でこっちを見ながら座り込んでる心理掌握がいるけど、大丈夫なの?それに少し顔が赤いような?」 「にゃ?顔が赤い?・・・アクセラ、キスでもかましたのかにゃー」 「ナァ、なに言ってやがるゥそんなわけあるかァ!」 「じょうだん、冗談にゃー!だからベクトル操作しないでにゃーーーァ!って月夜?何処に電話しようとしてるぜよ?」 「何処って、初春ちゃんにだよ。憶測で何か言うよりなにがあったか状況確認できるほうが行き当たりばったりより良いと思って♪それに魔術師の動向も判るしね♪」 「それは一理あるんだが、とりあえず今はアクセラを止めてくれにゃー!」 「今のは元春が悪いと思うよ♪だから制裁を受けなさーい♪」 「フン、白雪の許可も下りたことだしィ覚悟はできたか土御門ォ?」 「にゃ~穏便に頼むにゃ~」 ドガン!!! そして土御門は一方通行の力で体育館の壁にめり込んでしまった、涙を流しながら。 「もしもし、初春ちゃん?」 『は~い初春ですけど、その声は白雪さんですか?ウヒャ、って火織お姉ちゃん!電話中にハグしないで下さい!』 『ですが飾利、ゴスロリのあなたを見ているとどうしても抱きつきたくなるんです』 『だからといって電話中なんですから、自重して下さい!』 「初春ちゃ~ん、大丈夫なのかな?」 『は、はい、大丈夫です。それでどのような用件ですか?』 「うん、私たちの学校で魔術による爆発があったから動向を教えてもらおうと思って。後それと、つい今しがた体育館で一方通行と心理掌握の間でなにがあったか調べて欲しいけどできる?」 『はい、できますよ♪映像データを探しますね。それと魔術師ですが女性の方は私たちがいる協会を調べていたんですが即座に立ち去っていて、男性のほうは、すでに友愛高校の敷地内に入ってまだ出た形跡はありません。あ~それと建宮さんからの知らせで時限術式が当麻お兄ちゃんたちの家にひとつ仕掛けられてたそうです。もちろん解除は終えてますよ。っと、映像探し終えましたからそちらに送りますね。』 「あ、ありがとう初春ちゃん。何かあったら知らせてね。」 『は~い。ってステイルさん大丈夫ですか!?鼻血がものすごく出て』 ブチ、ツーツーツー 制裁を終えて気分が少し晴れた一方通行と壁から出てすでに回復が終わった元春が心配そうに話しかけた。 「どォしたァ白雪ィ?真っ青だぞォ?」 「どうしたんだにゃ月夜!いったい何があったにゃー?」 電話の向こうの状況がすごく気になる白雪。だが、今は一番聞きたくなかった事であるが真っ先に対処しなければいけない事柄を二人に教えるのであった。 「時限術式が上条君たちの家に仕掛けられていたって、解除は終えたそうだけど・・・」 「「ナニィーーーーイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイーーーーーーーーーーーーーーーーー」」 言うまでもないことだが、この二人は上条宅に時限術式が仕掛けられたことに驚いたのではない つまり(*1) という恐怖である。 そしてその恐怖の元凶は… 「「どこに何が仕掛けられたって?」」 後ろにいた。 顔は笑っていて、疑問形で話してはいるが その実(*2)) 「ねえ当麻?そいつらにちょっときついお灸据えてもいいよね?」 「奇遇だな、上条さんもそう思っていたところですよ♪」 3人は思った おお、神よ 哀れなバカ二人(魔術師)を御救いください。バカとはいえ文字通り星になるのはかわいそうだし ここに 魔術師二人の悲劇が始まる 怒りの上琴と一緒に魔術師を片付けることを決意した土白と一方通行、その際、土御門は月夜から初春との会話内容を聞き出した。 「一人はまだ校内、一人は教会から立ち去った。となると教会から立ち去った魔術師がこっちの魔術師と合流する可能性は高そうだぜい」 「じゃあ裏門にでも行ってみっかァ。合流するにしても校門から堂々と入るバカなンざいねェからな」 「魔術師は私達がどうにかするとして新入生達の方は大丈夫なの?」 「心配無用ぜよ。あいつらの頭の心理掌握はあの有様、残りもそろそろ少なくなってる頃だ。他の奴らで何とかなるはずだにゃー」 浜面達で残りの新入生達は何とかなりそうだと判断した一方通行と土白、先頭を歩く上琴に付いて行く形で裏門を目指すのだった。 こちらは上琴とは別行動になってしまった青黒と浦上、校内へと戻ったのだが随分前に倒した新入生達が復活して襲ってきたことに辟易していた。 このままでは同じことの繰り返しだと思っていた黒子だが、先程から暇を持て余していた浦上が一歩前に出る。 「あ、あの、浦上様、一体何を?」 「うん、ちょっと完全に大人しくさせる方法を思いついたからそれをやってみようってね♪ 黒子ちゃんは気絶させる方をお願いね」 前に出てきた浦上を見た新入生男子は構わず彼女を攻撃するが、新入生女子は元・常盤台生徒なので浦上の存在に萎縮してしまう。 多数のレベル4、数字的に見たら浦上が不利に見えるが彼女の最大のアドバンテージ、それはこのようなお遊びではない本当の戦闘を多く潜り抜けて来た経験の差である。 そして浦上は彼らの攻撃を多少は喰らいながらも自分の間合いまで詰めると、ドレスソードを振るいながら新入生達の群れを通り過ぎると、 「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」×新入生達 「ふうっ、つまらないものを切っちゃった。それにしても男の子までキャーって叫ぶのってどうなのかしら? さあ後は……あれ?」 新入生達の制服を素っ裸、とまではいかなくても恥ずかしくて歩けないほどにまでは切り刻んでみせた。 これはあくまで再び復活してもまともに動けないようにする為の手段で、浦上は決してふざけてはいない。 「片やむっさい男の半裸、片や全員が可愛くてスタイルも良い女の子のセミヌード。何やねん、この地獄か天国か分からん現状は!」 「○○様しっかりなさいませ! ○○様にはスタイルも色気も発展途上の黒子がいるではありませんか! ええいっ! こうなれば今ここで黒子の新たなエロステクニッどぅふっ!」 自分のしたことで青黒がパニックになったことを反省した浦上(黒子への制裁は反省していない)、仕方なく一人で新入生達を残さず気絶させた。 浦上は青黒が元通りになるのを落ち着いた態度で待つことにした、なんだかんだでここの階の新入生達は全滅しているのだから。 その頃の浜滝と半郭、新入生達と戦いながら移動していると滝壺が自分の能力で麦野の存在を感じ取っていた。 麦野が来れば混乱は必至と考え、目的であろう浜面を連れて半郭に軽く説明をした後で麦野の所へと向かった。 「……いいか、麦野相手に加減しようと思うな。殺さないとダメだ」 「まてまて、学校で殺しは不味いだろう」 「でもむぎのははまづらが何回殺しても生き返って襲ってくるの」 「……滝壺氏、それは現実の話ですか?」 「マジでだ。何回殺っても何回殺っても殺せない。それが麦野だ」 「「化け物だ……」」 「レベル5何てほとんど化け物だ。今まで四人あったことあるけど普通じゃかった」 「えっと、一方通行氏、御坂氏、それと今回の麦野氏……あれ?一人足りなくないですか?」 「細けえ事はいいんだよ……いた」 浜面は窓から麦野をみつけると、浜面達はさささっと隠れた。 「で?どうするんですか浜面氏?」 「どうやって殺すんだ。浜面?」 「はまづら、私にも出来ることある?」 皆期待した目で浜面を見ている。その浜面は迷うことなく答える。 「まったく思いつかん!!」 潔い、しかし期待はずれもいいとこな浜面の回答に滝壺、半郭もガッカリな視線を送る。 「お前な、あれだけ自信持ってて答えがそれかよ……」 「浜面氏に少しでも期待した私がバカでした」 「大丈夫、どんなにはまづらが頼りにならなくても私の愛は変わらない」 「しょーがねーじゃん! 相手はあの麦野なんだぞ! それに俺だって本気で死んで欲しいなんて思ってねぇん…………ッ!!!」 浜面が言葉を失くして固まってしまったことを不思議に思った滝壺、半郭は彼の視線の先を追いかけて、浜面同様に固まった。 四人の視線の先には閃光のアームを伸ばして地上から上って来た麦野の笑顔が確かにあった。 そして麦野は笑顔のまま、窓を蹴破って校内に入るとすぐさま浜面に抱きつこうとするが、 「あ~~~ん、会いたかったあ~~~~~、は・ま・づ・らぁ♪ 今日はいつもより小さいっていうか女臭いっていうか……って滝壺!」 「そう簡単にはまづらは抱きしめさせない」 滝壺が間に割って入ったことで浜面をハグすることは叶わなかった。 麦野は滝壺から離れると、再度浜面に抱きつこうとするが例のごとく新入生達が乱入する。 「今度こそてめぇらをブッ倒して……な、なんだありゃあ! あんな妖怪がいるなんて聞いてねぇぞ!」 「おいおい右目は抉れてるし左腕は奇妙な形してんぞ。クリーチャーか何かか?」 「もしかしたら学園都市の最新型の生物兵器かも知れねぇぞ。みんな、まずはあの危険そうな化け物から倒そうぜ」 妖怪、クリーチャー、生物兵器、化け物、言いたい放題な新入生達に我慢の限界が来た麦野、本気でグズグズに溶かそうかと思っていた。 しかしそこへ浜面が麦野にとっては嬉しい言葉、滝壺にとっては複雑な言葉を口にする。 「てめぇらいい加減にしやがれ! 麦野は見た目こんなんでもれっきとした女なんだぞ! 性格はちょっとアレだけどな、それでも麦野はうわわわっ!」 「はーまづらぁ、嬉しいこと言ってくれるじゃないの♪ 私のことを分かってくれるのはやっぱりアンタだけだね」 「はまづら、今のむぎのをかばう言葉はカッコよかった。でもむぎのがその気になったのはちょっと嫌」 滝壺と麦野、両者から抱きつかれた浜面だが二人同時ということもあって下手に鼻の下を伸ばせないので少しばかり困っていた。 一方の新入生達、姿形が人間離れした女性が麦野だと分かると第四位を倒して名を上げようという愚かな功名心が生まれる。 「こいつぁラッキーだぜ! あの化け物女が第四位だとはな! 浜面たちと纏めて倒せば…………はぁ?」 「さっきからさえずってるそこのガキ共。誰に対して暴言を吐いたか、誰にとっての大切な奴らに手を出そうとしたか、その身を以って味わいなさい」 新入生達は揃って呆然としていた、何せ目の前には廊下を埋め尽くすほどに巨大化した閃光のアームがあったのだから。 そして麦野の言葉が終わると同時に巨大化した閃光のアームが新入生達を一人残さず押し潰した。 「感謝なさい。本来ならあんたら全員グズグズに溶けてる所だけど壁画になる程度で済ませてやるわ。さてっと、イキましょう浜面♪」 「イクじゃなくて行くの間違いだよな! さらっとそーゆうこと言えるお前にゾッとするわ! って滝壺、何で麦野と一緒に俺をホールドするんだ?」 「何だかむぎのには負けたくないから。大丈夫、はまづらが気持ちいい思いをするのは変わらないから。むぎの、体育館裏に行こう。あそこなら滅多に人は来ないから」 滝壺も提案に「オッケー♪」と返事を返した麦野、浜面に抱きついてる滝壺もろとも絶妙な加減で閃光のアームで捕獲、そのまま体育館裏へ向かう為に窓から飛び降りた。 取り残された半郭、この階の新入生は麦野のお陰で全滅したので一先ず移動することを決意するのだった。 その頃、クレイウーマンは友愛高校に到着していた、ただし正門から堂々と。 実は単に正門と裏門を間違えただけのクレイウーマン、しかし裏門を探すのも手間だと思い、とりあえずハイドマンを連絡を取ることにした。
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とある世にもな舞台裏話 とある世にもな奇妙物語 の舞台裏です。 ~佐天「地球の裏側からでも初春のスカートをめくれる能力かぁ…」収録後~佐天 「いやー! お疲れ様でしたー!」初春 「お疲れ様…じゃないですよ!! 私何回スカートめくられなきゃならないんですか!!」佐天 「いやだって、全国のお茶の間の皆さんにも、初春の下着を見せてあげたいじゃん? 『初春の下着を食い入るように凝視し隊』の隊長としては」初春 「滅べばいいですよそんな隊!!!」美琴 「あはは…」白井 「一つ気になる事があるのですが、あのオチの後は結局どうなりましたの?」佐天 「さぁ? 多分死んじゃったんじゃないんですかね」初春 「さぁって……」佐天 「脚本、その場のノリで書いちゃいましたから。詳しい事はあたしにもよく分かんないです」白井 「そんな適当な……」佐天 「まぁまぁ、あたしの事はいいじゃないですか! それより次も御坂さん、出演す【で】るんですよね。 どんな役なんですか?」美琴 「それがまだ、脚本できてないみたいなのよね」初春 「大丈夫なんですかそれ? もうギリギリですけど……」美琴 「まぁ待つしか―――」舞夏 「おーいみさかー! 脚本上がったぞー!」美琴 「土御門!? えっ、アンタが書いたの!?」舞夏 「私じゃないぞー。 私の兄貴だー」白井 「ずいぶん遅かったようですが、貴方のお兄様は今まで何をなさっておりましたの?」舞夏 「一応弁護するとだなー、土壇場になって書き直したみたいだぞー」初春 「それで、どんな内容なんですか?」舞夏 「ふっふっふ……読めば分かるぞー!」美琴 「へぇ、どれど…れ……?」佐天 「おおう! これは♪」初春 「わ、わぁ~///」美琴 「な! な! なな、な、ななな、なな!!!///」白井 「なんじゃあああああああこりゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」土御門 「おうカミやん、脚本できたぜい」上条 「遅ぇよ! 台詞の暗記時間ほとんど無ぇじゃねーか! 上条さんの頭の悪さなめんなよ!?」土御門 「自分で言ってて悲しくならないか? だがまぁ遅れたのは事実だにゃー。 すまんかった。けどオレにも事情があるんだぜい?」上条 「何だよ事情って」土御門 「今回、10コのエピソードが作られる訳だろ? なのに9番目のエピソードまで、一個も『上琴話』がなかったんだにゃー! 制作が『上琴推進委員会』なのにそれはマズイ!」上条 「それでギリギリになって書き直したのか?」土御門 「そういう事。オレだって本当は、没になったこの 『オレは妹に恋をするにゃー』の脚本でやりたかったぜい……」上条 「どっかで聞いたタイトルだな… ところで前から気になってたんだけどさ」土御門 「あん?」上条 「………『上琴』って…何?」土御門 「………………ググれカスやん」 ~デレデレールガン収録前~上条 「なぁ、土御門。 一応聞いとくけど、この話に出るのって、俺と美琴とお前だけだよな?」土御門 「それがどうかしたか?」上条 「いや、なんつーか……観覧希望者【やじうま】多くね? ざっと300人位いるんだけど。スタジオギッチギチなんだけど」土御門 「入りきらなかったお客さんは、スタジオの外から見学してるぜい」上条 「まだいんのかよ!」美琴 「あ、あば、あばばばばばば!!!///」上条 「そんで美琴【おまえ】はどうしたん!? まず落ち着いて日本語を喋ろうか!」~デレデレールガン収録開始~上条 『ぇぇぇええええええ!!? み、美琴ぉぉぉぉ!!!?』美琴 「…………………」上条 (…あれ? 次は美琴が起きて『おはよう』って台詞を―――)美琴 「……ふにゃー」上条 「すみませーん! 女優さんが気絶してまーす!」土御門 「カットーーー!!!」美琴 『いいいい今更何言ってんのよ!!! つつ、つ、付き合いはじゃめきゃりゃずとくおぼじゃぎゃらい!!!』上条 「最後何て!? 噛みすぎて文字化けみたいになってんぞ!」土御門 「カーーーット!」佐天 「御坂さんファイトです!」初春 「ちなみに白井さんは、邪魔できないように寮監さんに見張ってもらっているのでご安心を!」舞夏 「容赦ないなー」上条 『しょ、将来……って…?』美琴 『だ! だから! いつか、け、けけ、けこ、け、けこ、けっこ、け、っこ、こけっこここ……///』上条 「ニワトリか!!!」土御門 「カットカットカット!」打ち止め 「お姉様頑張れー! ってミサカはミサカは応援してみる!」番外個体 「おねーたまもっとテンパれー、ってミサカは茶々を入れてあげる。ギャッハ☆」御坂妹 「お姉様爆発しろ、とミサカは舌打ちをします」上条 「なぁ土御門…この後、問題の【キス】シーンがあんだけど」美琴 「だっ!!! だだだ大丈夫よ!!! ほらアレだし!!! 所詮は撮影だし!!! じょ、女優魂っていうの? 私そういうのあるし!!! 歯もめっちゃ磨いてきたし!!! フリスク3ケース食べてきたし!!! シャ、シャワーも浴びてきたし(?)!!!///」上条 「このように美琴センセーが極限状態な訳で、っていうか色々マズイだろ。 だからそれぞれ後で別撮りして、CG加工すればいいんじゃねーか?」土御門 「まぁ…学園都市の技術なら簡単だけどにゃー」佐天 「ブーブー!」フレメア 「にゃあにゃあ!」黄泉川 「じゃんじゃん!」浜面「…すげぇブーイングだな。つーかブーイングか? これ」美琴 『お、おお、おはようのチュウよ/// こ、こ、これがなかっふにゃー』上条 「はい、本日17回目のふにゃー頂きましたー!」土御門 「カットカーーーット!!! 全っ然進まないぜい!」削板 「弱音を吐くな! 根性が足りんぞ!」食蜂 「根性じゃなくて、演技力が足りないんじゃなぁい? 御坂さんのねぇ」美琴 『あ、ああ、あ、あーん///』上条 『は、恥ずかしいし!!』美琴 『わ、私だって恥ずかしいわよ!! でで、でも仕方ないでしょ!? 台本にそう書いてあるんだから!!!』上条 『いやいやいや、俺だって台本通りに言っただけなんですが?』土御門 「はいカット! グッズグズか!!」姫神 「ポテチ。開けていい?」インデックス 「あっ! 私も食べたいかも!」風斬 「あ、あの…見ないんですか…?」 上条 「なぁ土御門…この後、問題の【ゆびをアマガミする】シーンがあんだけど」土御門 「さすがにもう、CG【インチキ】は使えないぜい?」上条 「いや、でもさ……」美琴 「すぅぅ………はぁぁ………すぅぅ………はぁぁ………」上条 「美琴がかれこれ10分近く深呼吸してるけど、全然終わる気配がないんだが……」土御門 「…もうちょっと待ってやれ」木山 「そういう時は、『ひっひっふう』の方が良いのではないかな」小萌 「…それはラマーズ法なのです……」神裂 「緊張をほぐしたい時は、死んだふりをするのが効果的と聞いたことがあります」小萌 「…それは熊に遭遇した時の対処法…しかも間違った方法なのです……」上条 「なぁ土御門…この後、問題の【みことがよこからだきつく】シーンがあんだけど」土御門 「…いや、言いたいことは分かるぜい、カミやん」美琴 「ひっひっふう……ひっひっふう……」上条 「あの娘何で15分近くも死んだふりしながら、ラマーズ法の呼吸してんの!?」土御門 「知るか! 俺が聞きたいぜよ!!」一方通行 「悪ィがここでベクトル逆流【かくめい】だァ」麦野 「マジかよ! 私『2』ぃ3枚も持ってたのに!」垣根 『あっ、私はパス1で』上条 「飽きてるよ! レベル5の方々、飽きて大富豪やっちゃってるよ! 帰れよ!!」美琴 『そ、そろそろ……あの………ア…ア…アッチのほにゃー』上条 「何回NG出してんのぉぉぉぉぉ!!?」土御門 「カットカットカーットーーー!!! 進まねぇぇぇぇぇ!!!」トール 「暇だし、スマブラやらねーか?」円周 「うん、うん、分かってるよ数多おじちゃん。スマブラなら断然DXだよね」アックア 「ここは敢えて、弱キャラのミュウツーを使うである」青髪 「ボクは女の子以外使う気になれへんな。やっぱピーチたんかなぁ。 いや、サムスたんやゼルダたんも捨てがたい!」上条 「だから飽きたんなら帰れって! スマブラ始めてねーで! つかメンバーカオスだな!!!」上条 『ああ! いつの間にか好きにな―――』美琴 「ふにゃー」上条 『ってたy………』土御門 「………カット」絹旗 「あれ!? ナルトの31巻どこですか!? 超無いんですけど!!」黒夜 「あァ、私が読ンでる」美琴 『わわわ、私、は、どんな世界にい、い、ても、 絶対かかか、かみ、かみ、「上条当麻」をす、すす、好き…に…にゃる……///』上条 「うおー! よーし! ふにゃーせずに、よく(?)言ったぞ美琴ーーー!!!」土御門 「カットー!!! 折角うまく(?)いったのに、お前がNG出してどうすんだカミやん!!!」上条 「あ…悪い……」オルソラ 「カレーライスが出来たのでございますよ」建宮 「おー! 流石はオルソラ嬢! すごく美味そうなのよ!」インデックス 「んぐんぐんぐ! おかわりなんだよ!」ステイル 「もっと良く噛んで食べた方がよくないかい?」土御門 「とうとうメシ食い始めたぜい……」上条 「ホントもう帰ってくれないか?」~デレデレールガン収録後~上条 「お、終わった……」土御門 「まさかこんな短いドラマ撮るのに、丸三日もかかるとは思わなかったぜい……」美琴 「あ、あの……またこういう機会があったら…その……よ、よろしくね……///」上条&土御門 「「絶対やだよ!!!」」美琴 「何で!!?」 ~おまけ・CM集~「まだまだ足りないんだよ!」「何故だ!? 彼女はあきらかに、自分の体積以上の食料を食べている!!」「まだまだ足りないんだよ!!」「そんな! 世界中の食料を食べ尽くすつもりですか!!」底なし胃袋 脚本 : 上条当麻「まだまだ足りないんだよ!!!」「こんな…こんな実験って!!!」「今更何言ってやがる。テメェも加害者側だろォが!」「あなたは…オリジナルなのね?」「その呼び方で呼ばないで!」試験管シスター 脚本 : 打ち止め「はじめましてお姉様、とミサカは挨拶をします」「何を言っているの? あなたは。初めから一人だった」「そ、そんな事はないんだよ!」「確かに名前は聞いたことがあるわ。でも誰もその姿を知らないのよ」「そんなの……そんなの嘘なんだよ!」カザキリ ヒョウカ 脚本 : 月詠小萌「じゃあ…じゃあ! ずっと私と一緒にいた、あの女の子は誰だったのかな!!!」「もはやズンドコは時代は終わったである。これからはベロンチョが世界を席巻するのである!」(ズンドコ? ベロンチョ? 一体何の話だ?)「私は、ズンドコ派最後の一人になっても戦うわよ。あなたもそうでしょう? フィアンマ」(だから何なんだ! ズンドコとかベロンチョって!)ズンドコを下位に、ベロンチョを上位に 脚本 : テッラ「俺様が創り変えてやる。ズンドコもベロンチョもない、平和な世界に」「……このテーブル、何か違和感が無いか?」「気のせいだろ? ベルシは神経質だな」「サンドリヨンがいない?」『ガタゴト…ガタゴト…』人肉テーブル 脚本 : マリアン=スリンゲナイヤー「まさか…生きているのか!?」「キャー!!!」「すごいよ初春! まさか深海からでも使えるなんて!」「キャー!!!」「すごいよ初春! まさか宇宙からでも使えるなんて!」佐天「地球の裏側からでも初春のスカートをめくれる能力かぁ…」 脚本 : 佐天涙子「じゃあ今度は、天国からでも使えるのか試してみるね!」「ぇぇぇええええええ!!? み、美琴ぉぉぉぉ!!!?」「あ…おはよう当麻、良く眠れた?」『どうやら今のカミやんは、パラレルワールドから来たみたいだぜい』「パラ…って、マンガとかゲームによく出てくるあの!?」デレデレールガン 脚本 : 土御門元春「ありがとう美琴。お前を好きになって良かった」
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある不幸な都市伝説 4日目 佐天+その他大勢編 その2 「あ、あの…時間は無いってどういう意味なんですか?」 「その前に確認しておきますが、何を見ても気丈でいられる自信はありますか?」 「え…あ、はい……」 「……ではこれを見てください。」 海原は土御門から送られてきたメールを佐天に見せる。 それは明らかに、上条が御坂を押し倒し、強引に唇を奪っている(ように見える)写真であった。 「こ…れは……」 佐天はギュッとこぶしを握った。 何が出てくるかある程度覚悟はしていた。 だがそれは予想をはるかに上回るものだった。 「……まぁ、彼の事ですから何かしらのハプニングでしょう。 この写真自体はさほど問題じゃありません。」 「えっと……十分問題だと思いますけど……」 「確かに、この写真が、自分ひとりに送られてきたものならそうでしょう。 しかし、そうではないのです。」 「? すみません、意味がよく……」 「順を追って説明しましょう。 このメールを送信してきた男、昔の…まぁバイト仲間みたいな者なのですが、 自分と彼はさほど親しい訳ではありません。こんなプライベートなメールをやり取りするような間柄ではないんですよ。」 「はぁ。」 「つまり、このメールは不特定多数の人間に、片っ端から一斉送信している可能性が高いのです。 (まぁ、自分にイヤガラセする為に送ってきた可能性も、無くは無いですが……)」 「それって何か問題があるんですか?」 「大アリです。 この男は顔が広いですから、不特定多数ということは、多くの女性がこのメールに目を通したというわけです。 すると何が起こるか分かりますか?」 「分…かりません…」 「……戦争です。」 「せ……ぇえ~~~!!? この前、第三次世界大戦が終結したばかりですよ!?」 「あぁ、すみません。 自分が言ったのはそういう軍事的なものではなく、 もっとこう……昼ドラ的なものです。」 「昼ドラ…ですか?」 「はい。 例えば、そうですね……貴方はこの写真を見てどう感じましたか? 正直にお願いします。」 「……ちょっと…辛いです………」 「と同時に、『自分も彼とこうなりたい』とは思いませんでしたか?」 「えっ!? あの…それは…まぁ………はい………」 「それと同じ事を思った女性が、数多くいるということです。 そして水面下で牽制しあっていた彼女達が、今回の件を引き金に、爆発することでしょう。 それこそが、自分が戦争と言った意味なのです。」 「ば、爆発ですか!! 上条さんてそんなにモテるんですか!?」 「それはもう。 きっと産まれてくる世界が違っていれば、 ある星の第3王女に、ハーレム計画を立てられていたことでしょう。」 「…もしくは女性にしか反応しない兵器に、男性で唯一、乗れたかもしれませんね。」 もしくは伝説の樹の下で……これは少し違うか。 それにしても、佐天はかなり驚いた事だろう。 都市伝説「不幸な王子様」の内容を知っている佐天としては、上条が女性に人気があることは分かっていた。 しかし、まさかここまで大事になる程とは、流石に予想はできなかったようだ。 まぁ、上条がこれまでしてきた事を考えれば、当然といえば当然かもしれないが、 それを想像だけで予想できれば、佐天は立派な予知能力者である。 「それで、どうしますか?」 「ど、どうって…何がですか?」 「『上条当麻争奪戦』、貴方は参戦しますか?」 「!!! あ、あたしは―――」 海原が懸念していた通り、世界のあちこちで上条当麻争奪戦に名乗りを上げる者達がいた。 それは正に、大海賊時代の幕開けにも似た、時代の変わり目であった…というのはさすがに大袈裟である。 「まったく! 上条ちゃんはまったく!!」 「…小萌はどうなの? この人の事好きなの?」 「な! ななな何を言っているのですか!! あくまで先生と生徒さんの関係であって、先生は上条ちゃんにそのような――」 「小萌がその気なら、私は全力で応援するわよ?」 「…ぅ……ほ、本当なのですか?」 「小萌には何かと、お世話になってるしね。 それくらいのことならするわよ。」 「じゃ、じゃあその……お願い…するのですよ………」 (ま、私は彼とそこまで繋がり無いしね。 キズが浅いうちに諦めよう……) 上条当麻ファンクラブ「そげ部」 会員番号00135 不老長寿の生体サンプル 月詠小萌 参戦決定 会員番号ナシ(未登録) ショタコン座標移動 結標淡希 リタイア 「明日は覚えてなさいよ上条! …って何でこんなにイライラしてるのかしら…… きっとカルシウムが足りてないんだわ!! ムサシノ牛乳買ってこよう!」 会員番号ナシ 対カミジョー属性最終兵器 吹寄制理 参戦決定 「………いつまでも。ショックを受けてる場合じゃない。もう。なりふり構ってはいられない。」 会員番号00001(会長) 影が薄い魔法使い 姫神秋沙 参戦決定 「…たしかに不愉快ではあるけど……」 『?』 「こうでなくちゃ面白くないけど!!」 『そ、そうか。 よくは分からんが、頑張れ高校生。』 会員番号00008 謎が謎を呼ぶ謎だらけの謎の先輩 雲川芹亜 参戦決定 「こうなったら、直接彼の元へ行って確かめてきます!」 「おいおい…そこまですることか? つーかオルソラはどうすんの?」 「少々、お茶が熱かったようでございますね。淹れ直してくるのでございますよ。」 「また話が戻ってるよ! お茶はいいから!」 「あ、ではフーフーしてみてはいかがでございましょう?」 「いやだから! お茶のことはもういいって!!」 「では私も神裂さんとともに日本へ行くのでございますよ。」 「話があっちこっち忙しいなあ、もう! いつまでたってもコイツとの会話は慣れないわね……」 「では今すぐ出立の準備をしましょう!」 「はい。なのでございます。」 会員番号00777 かんざきさんじゅうはっさい 神裂火織 会員番号00500 お婆ちゃん オルソラ=アクィナス 以上二名 参戦決定 「あー…ちょっと待って……」 「? 何ですか?」 「……まぁ…なんだ……私も行こっかな~ なんて………」 「シェ、シェリーもですか!!?」 追加メンバー 会員番号01150 ゴスロリライオン シェリー=クロムウェル 参戦決定 「どうするのですか。 おそらくオルソラ=アクィナス達はもう動き出してますよ。」 「そ、そうですよ! もたもたしてたら取られちゃいますよ!?」 「あーもう、やかましいですね! 分かりましたよ!! 行きゃあいいんでしょう、行きゃあ!!」 「それでこそ、シスター・アニェーゼです。」 「頑張ってくださいね! 応援してます!」 会員番号02520 赤毛の江戸っ子 アニェーゼ=サンクティス 参戦決定 「えーと、五和…さん? もう落ち着いたのよな?」 「なんれすかぁ……建宮さんまれ諦めろって言うんれすか……… 諦められるモンなら諦めてまふよ……でも…でもそんな…簡単に……ぐすっ…あきらめ……」 「いやいや、泣くのはちょっと待ってほしいのよ。 よく考えてみろ。 そもそもアイツがこんな大胆な事すると、本気でそう思っているのか?」 「!!!」 「これにはとてつもなくのっぴきならない事情があるか、もしくはただの事故だと俺は思うわけなのよ。 (まぁ、おそらく後者だろうけどな)」 「そ、そうれすよね!! 何か変らと思ってたんれふよ~!!」 「けど、それを確かめる為にはヤツに話を聞く必要があるのよ。 ただし! 電話じゃダメだ!」 「……ってことは…」 「そう! 直接会いに行ってくるのよ!!」 「!!! わ、分っかりまひた!! 不肖五和! 日本に行ってまいりまふ!!」 「おう! ただその前に、まずは酔いを醒ますのよ!!」 「了解でありやす!!」 (これは、とんでもなく面白くなってきたのよな!) 会員番号00002 隠れてない巨乳 五和 参戦決定 「キャーリサ、どこへ行くんだい?」 「…ただの散歩だし。」 「ふむふむ、なるほど。 わざわざ自家用ジェットで日本まで散歩か。 ご苦労なことだねぇ。」 「は、母上には関係無いことだし!!」 会員番号09000 次元刀使いの第二王女 キャーリサ 参戦決定 「こうなったら直に学園都市に行ってやりますよ!! そんでもって大人のみりきで、彼をメロメロメロウで石にしてやりますとも!!」 「(みりき?)大人のって…レッサーって彼より年下だよね。」 「精神的には年上です!」 (そうかなぁ…) 会員番号ナシ スカートの中は直パンツ レッサー 参戦決定 『では学園都市に残っている個体だけが彼と接触する、という結論でよろしいですか、 とミサカ12053号はインドにいることを悔やみながら確認します。』 『インドですか。体が伸びるヨガマスターにヨロシク伝えてください、とミサカ10039号は勝者の余裕を見せます。』 『大勢で押しかけても彼に迷惑をかけるだけだから仕方ありません。 あと10039号はちょっと黙れ、とミサカ11111号はかなりイラッとします。』 『では「逆ラブラビッツ」のメンバーは、 10032号、10039号、13577号、19090号の四名に決定しました、 とミサカ10032号は学園都市に残っていて本当に良かったと実感します。』 『逆ラブラビッツ……やはり10032号はネーミングセンスの塊ですね、とミサカ12345号は関係無いところで脱帽します。』 『それでは逆ラブラビッツの皆さんは、妹達を代表して頑張ってきてください、 とミサカ19800号は一応エールを送ります。』 『が、頑張ります!とミサカ19090号は緊張しながらそれに応えます!」 会員番号00032 最近やっとあのヒヨコがお菓子だと分かりました ミサカ10032号(御坂妹) 会員番号00199 一人でこっそりダイエット ミサカ19090号 その他 ミサカ10039号 ミサカ13577号 以上四名 参戦決定 一方、佐天はというと。 「あたしは…やっぱりいいです。」 「……そう、ですか。」 「…一つだけ、聞いてもいいですか?」 「どうぞ。」 「どうしてそこまでして、あたしと上条さんを?」 「単純な理由ですよ。 実は先程言っていた自分の好きな人、その写真に写っているんです。」 それを聞いて、佐天は少し身を引いてこう言った。 「…え……海原さんも上条さんのことを? うん、でも悪いことじゃないですよね、はい。」 「いや、ちょっと、何かとんでもない誤解をしてませんか?」 予想外の佐天の反応に、珍しく慌てる海原。 上条×海原とかそんな誰得展開、こちらとしても望んでいない。 「残念ながら自分にBL属性はありません。 もう一人写っているでしょう?」 「えっ!? じゃ、じゃあ……」 「はい。 自分の好きな人というのは御坂さんです。」 「それであたしに……」 「ええまぁ、貴方と彼が恋人同士になれば、自分にもチャンスが巡って来るかなと、そんな下心もあったわけです。 ですがそれとは別に、経験者から一言だけ言わせてもらいますが、 好きな人に想いを告げずに諦める、というのは、想像以上に辛いものですよ?」 そう言って海原は去っていった。 佐天は段々小さくなっていく海原の背中を見つめながら、ぽつりと呟いた。 「……分かってますよ。それくらい……………」 会員番号ナシ 柵川中学校一年 佐天涙子 リタイア――? 魔術師、能力者、原石、聖人、妹達…… あらゆる女性達が、ここ学園都市に集結する。 写真の真相を聞き出し、あわよくば上条といい関係になろうとするその為に。 ただ当の本人達はといえば、 上条は姫神から貰った大量のハンバーガーを、インデックスと奪い合い、 御坂は姫神のサイトで、着替え途中で半裸の上条の写真に釘付けになっている。 二人とものんきなものだ。 翌日から、いままでの日常が大きく変わってしまうというのに…… 科学と魔術が交差するとき、上条当麻を巡る乙女達の戦いが始まる――― 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある不幸な都市伝説
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一方こちらは『喰わせ殺し』の地下にある多目的ホール、エリハル弐号機のインパクトで巻き起こった叫び声も小康状態に。 しかし次の驚き、エリハル弐号機が浜面の肩を砕き、滝壺がシェリーをぶん殴るシーンへと突入する。 「チッ、思い出したくないもん見ちまったね……」 「しょうがないですよ、恋する者は強いんですから。」 「飾利がそう言うなら~」 「さりげなく飾利に触らないでください。」 今更だとは思うが実はこの二人、同性愛者である。 神裂はその昔、インデックスにゾッコンだったが皆さんのご存知の通り色々あって諦めることに、 だが、それと同時に異性であこがれる存在ができた。羞恥プレイやその他モロモロ頑張ったのだが、恋人がいることを知り諦めるしかなかった。 そしてそんなところに自分の年齢をズバッとあてる初春にあってしまいそっちにゾッコンに… シェリーも似たようなものである。 「うわー怖いよー!!ってミサカは、ミサカはー!!」 「はいはい、怖くありませんよ」 ヴィリアン王女は怖がる打ち止めを見て母性が疼いたのだろう。 すっかりお姉ちゃん気取りである。 打ち止めが羨ましい……そんな事を思う正真正銘のロリコン、ウィリアムがそこにいたのだった……。 エリハル弐号機VS当麻達の最終決戦に入り、観客達も色々と盛り上がっていた。 「浜面が肩を超砕かれて滝壺さんが超殴る! そしてあの土御門モドキとお兄ちゃん達の超総力戦! 燃える、超燃えます!」 「いっけー当麻兄さーんっ! そこだっ! 一気に倒しちゃえーーーっ!!」 佐天と絹旗は最初と同じで純粋にこの映像を楽しんでいた。 (人間らしい思考で行動すうだけでなく、人語を解するとは魔術というのは本当に奥深いものだな) 木山は科学者として、知的好奇心の塊としてエリハル弐号機の性能に惹かれていた。 「オラ行けよ! よし今だ! あーっもうじれってーなー! 一気にぶっ倒しちまえよ!」 「あーあー、もう真昼ちゃんったらしょうがないなー。……おまけに真夜君は私の胸が背中に思いっきり当たってるのにも気付いてないし」 (凄いな、みんな。俺もいつかあれくらい強くなりたいなぁ) 形は違えど、映画に夢中になってしまった井ノ原ツインズを赤音は微笑ましく思っていた。 ただ、真夜が自分の胸に全く無反応(サイズは87のD)なことは少し残念に思っていたりする。 「なんか、本当に凄いですわね、どちらも……」 「せやな。こんな人らがボクらの友達やなんてちょっと信じられへん気分やわ」 エリハル弐号機が現れてからようやく映像に見入り始めた青黒は、目の前の光景に驚きを隠せない。 「俺らはこの辺りから生で見てたけど浜面の奴、あんなの喰らって肩砕けたのか……。それでも最後まで意識失わずにいたってのは驚きだぜ」 「そうですね。浜面氏があそこまで凄い人物になっていたとは思いもよりませんでした。私、今度から浜面氏をちょっと尊敬しようと思いました」 半郭は自分達がよく知ってる浜面の奮闘ぶりに驚きと敬意を抱くことに。 「ううっ、み、みんな、ここまで、立派に、ひぐっ、な、なっちゃって、せ、先生は、えぐっ、う、うれしいです~~~~」 「ほ、ほら先生、泣かないで下さい。僕のハンカチを貸しますからとりあえずそれで拭いて下さい」 当麻達の頑張りに感極まった小萌が号泣したのを見て、ステイルはさり気なくハンカチを差し出す。 その後で鼻を思いっきりかみ、大量の涙を拭ったハンカチを見て、最初はすぐに返してもらおうかと思ったが、洗ってもらおうか真剣に悩むことに。 「「素敵ですわーーーーーーっ! 月夜お姉さまーーーーーーーーっ!!」」 泡浮と湾内、華麗に空を駆け、美しく戦う(あくまで彼女達の感覚で)月夜に乙女のあこがれを抱くことになる。 (あの殿方、あれだけ女性達にイチャイチャされながらも無反応で真剣に映像を観ているなんて……。すごい忍耐力ですわ。わたくし、あの方を誤解してましたわね。あとで謝罪をせねばなりませんわ) 映像と真夜、交互に見比べている婚后はこの罰ゲーム上映会後のことで頭が一杯に。 (それにしても普段仲は良くても戦闘のコンビネーションは別物。それをあそこまで連携が取れるとは侮れないのよな。我ら天草式学園都市支部も負けてはおれんのよ!) 建宮は土御門を司令塔としたコンビネーションの良さに対抗心が芽生え、珍しく真面目に自分達の連携の組み立ても考える決意をする。 そして4時間が経過し、ここに罰ゲーム上映会は無事に幕を下ろすのだった。 上映が終了したと同時に打ち止めを迎えに来た一方通行、最後まで上映会には参加せず、お腹一杯になったので地下へ降りてきたインデックスが現れた。 一方通行はヴィリアンに抱かれながら、泣き疲れたせいもあって眠っている打ち止めの事情をヴィリアンに尋ねることに。 「アーそうゆう事ですかァ……ンじゃ、あの情けない大人も持っていかないと行けねェのかァ……ハァ」 「ウィリアム、あの二人を運んであげて下さい。私はこの子を運びますので」 「ウム、分かったのである。」 一方通行は打ち止めは自分が運ぶと言ったが、杖つきの人間に運ばせるのは危ない、 それとヴィリアンが呟いた「不敬罪」と言う言葉で家までの道案内をする事に、 その頃、特訓している月夜とは言うと、 「あー!!何で美琴ちゃんみたいにうまくいかないの!!」 「それはだにゃー、超電磁砲の場合は強力な磁力によって弾き出される為に体重とか関係ないんだぜい。 まあイメージ的には、一方通行の反射を思い浮かべるといいぜい」 「ううっ、全然私には出来ない話だ……。技のヒントにすらならない……」 「それじゃあ二つの技を一気に使うって言うのはどうかにゃー?」 「それどう言うこと?」 「例えばだにゃー、月夜が一直線に高速で飛ぶ、ほんでもって同じ速さで『氷結光線』を打ち出せれば、 月夜は空中に止まってるだけでふっ飛ばさずにすむにゃー!!」 「それ最初に言ってよ!!」「今思い付いたんだからしょうがないにゃー」 「しょうがない、それでやってみるか!!」 と言うと、白雪は氷の翼を出し高速で飛び、その速さのまま『氷結光線』を放った。 「とりゃ!!」 すると、白雪は『氷結光線』を放ったが、自分が吹っ飛ばずにすんだ。 「元春、吹っ飛ばされなかったよ!」 「月夜、やっと吹っ飛ばされずにすんだにゃ。」 「そうだね。でも、これってなかなか同じ速さを出すのって大変だよ。」 「でも、それはコツを掴まむしかないにゃ。」 「そうだね。じゃあ頑張ってみるよ。」 この後、白雪は『氷結光線』の速さと同じ速さを出すために何度が『氷結光線』を放っていた。 その頃、上琴は家具を選んでいるときにある人物と会ってしまった。 「珍しいじゃない、こんな所で会うなんて」 「大晦日以来だな、二人とも。エツァリが時々迷惑をかけているようで申し訳ない」 そこに居たのは結標とショチトルという珍しい組み合わせだった。 「二人こそ何でここにいるんだよ? まさか結標、小萌先生の所から出てくのか?」 「何でそうなるのよ。私はショチトルに頼まれて海原……エツァリの方ね。あいつと暮らす部屋に置く家具を見てくれって頼まれたのよ」 「ホントに! ようやくあいつも諦めてあなたと一緒になるって決めたのね! おめでとう! 私、心から祝福するわ」 「残念だがそうではない。あのバカを大人しくさせるには強引な手を使うのも已む無しと判断したんだ。徐々に追い込んでいかないとあいつは止まらんからな。では失礼する」 そう言うショチトルの顔はかなり本気で、これには上琴もちょっとだけ海原に同情した。 結標も上琴に別れを告げてショチトルを追いかけていくのを見送った後で上琴は買い物を再開させる。 「よし、これで買い物は終わりだな。あ、そういえば後で飾利とヴィリアン王女が来るんだったっけ」 「すっかり忘れてたわ……って飾利からメール?」 美琴が初春から貰ったメールは以下のようなものだった。 【今日は私もヴィリアンさんも行けそうにありません。後日、日を改めて伺うことにします。今日は二人っきりの時間を楽しんでください】 気付けば時刻は夕方で、ヴィリアンは一方通行達と行動を共にすることになったので今日は無理だと判断した初春のメールだった。 「何か飾利もヴィリアン王女も来られなくなったって。それでさ、新居引越し一日目は二人っきりで楽しんでくれって書いてあった」 「それは助かるなー。引越し初日は二人っきりでのんびりしたいなーって思ってたし。あの二人はともかく、他の連中がなぁ……」 「……言わないで当麻。飾利とヴィリアン王女は来なくても黒子達が来そうな予感がするから」 上琴は嫌な予感を忘れるように、上琴新居二号へと帰るのだった。 一方こちらは『喰わせ殺し』、すでに初春達は全員会計を済ませて各々の家へと帰って行った。 泡浮と湾内に先に帰ってもらうように促すと、婚后は悔しそうな顔をしながらも真夜に助けてもらったお礼を素直に言う。 「さっきはわたくしも大人げなかったですわ。あの時助けてくれたこと、本当に感謝してますわ。どうもありがとうございました」 「いいって別に」 「それではこの婚后光子の気が済みませんの! この借りはいつか必ず返しますので覚悟してくださいまし!」 最後ま婚后節を発揮する目の前の女子中学生に苦笑しながらも真夜は婚后の言葉を受け入れた。 去り際に婚后が真夜にとってちょっとだけ迷惑な言葉を残すことに。 「あなた確か真夜さんと呼ばれてましたわね。わたくし、あなたをこの婚后光子の新しいライバルとして認めて差し上げます! 光栄でしょう?」 「え?」 「いつか戦うことがあるならその時は覚悟するのですね。それまであなたの恋人、大切にするのですよ。わたくしもあなたより遥かに素晴らしい殿方を見つけますから! ではごきげんよう」 婚后に勝手にライバル宣言された真夜は訳も分からず立ち尽くしていた。 そこへ彼を待っていた真昼が駆けつけ、話の内容が気になったのか婚后の『感情のベクトル』を視認することに。 「なんだ、ただの友達ってだけか。てっきり俺は真夜が上条みたいに妙なフラグを立てたって思ったけど安心したぜ」 「友達? 勝手にライバルにされて宣戦布告されて? 何か最近の中学生って難しいなぁ……」 「人の考えは十人十色、価値観も違って当たり前。いいんじゃない? 私達みたいな関係もあれば、あの子みたいな考えもあるってことで」 真昼より少し遅れてやってきた赤音の言葉を聞いて、真夜は頷くと二人と一緒に帰って行った。 「黒子はん、寮まで送ってくで」 「ありがとうございます○○様。きっとお姉様もわたくしの帰りを待っていることでしょうから急ぎましょう」 黒子は知らない、美琴が上琴新居二号に引越しを済ませていたことに。 そして青ピに送られて、自分達の部屋に帰った黒子が寮中に響き渡るような大声で絶叫する。
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/Daily Life インデックスの乱入もといモーニングコールにより、慌ただしい朝が始まった。 「まったくとうまは。気を利かせて一晩帰らなかったらこれなんだよ」 「上条さんが悪いんですかね?」 インデックスはぷんぷんと頬を膨らませながらお茶を飲んでいる。 上条は朝ごはんの準備としてキッチンで仕事をしており、美琴はインデックスの横で未だにぽーっとしていた。 「みこともみことなんだよ。とうまと仲良くするのはいいけど、私の前であれはあんまりかも」 「っ!?わたた私も、そんなつもりはなかったって言うか、事故って言うか……」 「いいわけするんだね?」 「ごめんなさい」 美琴が諦めたように頭を下げるのを見て、インデックスは溜息をつく。 「で、とうま。今日はどうする予定なの?」 「どうって、飯食ったら空港行ってお前ら見送るんじゃねぇか」 上条はテキパキと手を動かして卵焼きを焼いている。 「その後なんだよ。みこととデートするんじゃないの?」 「デート、っつってもなんも考えてねぇ」 「ノープランなんだね」 昨日の夜に決まったところだからな、と上条は言いながら味噌汁を注いでいる。 「美琴、どっか行きたいところとかあるか?」 「んな、私にふるの?そこは男がエスコートするもんでしょうが」 美琴はビリビリと頭の周りに飛ばしながら叫ぶ。顔を赤くしていたり上条にも分かるくらいに照れていた。 「行きたいところっつてもなぁ……思いつかんのですよ」 「アンタが……ど………いっん」 「はぁ?そんな小せぇ声じゃ聞こえねぇよ」 「アンタが……当麻が行きたい所なら、どこでも、いい」 美琴は上条に背を向けると、ぶつぶつと何かを呟いてる。隣にいるインデックスは勝手にしてくれとでも言いたげな顔だ。 「………んー。と言われましても、上条さんは寧ろ家でゆっくりしていたいと言いますか何と言いますか…」 上条が卵焼きの乗った皿を運んで行くと、美琴は肩を落としてブルーになっており、インデックスはその肩をぽんぽんと叩いている。 「あれ、美琴?インデックス?どうした?」 どうしてそんなにブルーなんですか、と上条が言うと2人は大きく溜息をつく。インデックスにいたってはやれやれと首をふっている。 「これからも苦労しそうだね、みこと」 「私、選ぶ相手間違ったかな………」 「悩みができたらいつでもで連絡していいから」 「ありがとう、インデックス」 2人はひしっと抱き合う。上条はガラステーブルに朝ごはんを用意して固まっていた。 「お前ら、本当に仲良くなったよな。つか、そもそもどうやって仲良くなったんだよ?」 「ん?それは、ね」 そう言うと、インデックスはぽつぽつと語り始めた。 2人の馴れ初めは、美琴が上条宅に通う事になった2回目の月曜日である。 女同士で話があると言って上条を部屋から追い出し、ガラステーブルで向き合って話し合ったのだったのだ。 「ねぇ、短髪。短髪ととうまはどういう関係なの?」 「それはコッチのセリフよ。アンタこそあの馬鹿とどういう関係なのよ?」 「私はとうまに助けてもらって、それからここで住ませてもらってるんだよ」 「なんだ、アンタも助けてもらったってやつか」 美琴は上条の相変わらずの部分に呆れて肩をすくめる。美琴の言葉にインデックスも察したようで同じような顔をしていた。 「そういう短髪もとうまに助けてもらった人?」 「そうなるわね。頼んでもないのに首を突っ込んできて一方的に助けてもらった感じかな」 「むぅ。やっぱりとうまはとうまなんだね」 「そ、アイツは誰にでもあんな奴なのよ」 2人はさっき外に追い出した上条の性格を思い出し、もう一度溜息をつく。全く同じタイミングに出た溜息に2人は見つめあう。 「ぷっ、はははっ……アンタも大変よね」 「あはははっ……短髪も苦労してるんだね」 あの馬鹿のせいよね、と言いながら2人は笑いあう。同じ苦労を知る者として通じる部分があったのだろう。 「で、さ……1つ聞いてもいい?」 「なにかな、短髪」 「アンタも、その………なんていうかな……」 美琴は目線を合わせないまでも、チラチラとインデックスを見る。 「短髪、言いたいことはハッキリ言わないと分からないんだよ」 「そうね………」 美琴は大きく深呼吸をすると、両頬を手で叩く。 「アンタも、アイツの事、好きなの?」 「………うん」 「そっか………」 「短髪も?」 「………うん」 最初のトゲトゲした空気から一転、恋する乙女2人によるむず痒い空気が部屋に広がっていた。 「私たちは、ライバルってやつなんだね」 「そうね、恋敵ともいうわね」 「負けないんだよ」 「もちろん。私だってそう簡単に譲るつもりはないわ」 インデックスは小さな両手をぐっと握りしめ、美琴は両腕を組むとふんっと鼻を鳴らす。 「じゃぁ、仲良くしないとだね」 「はぁ?」 インデックスは右手をスッと出すと美琴を見る。握手を求めているようだ。 「……ライバルじゃないの?」 「ライバルは友達になるもんなんだよ」 インデックスは可愛らしく笑うと、無理矢理に美琴の手を取って握手をする。 「アンタに教えられるとはね。私もまだまだだわ……………でも、友達でも容赦はしないわよ?」 「望むところなんだよ。恨みっこはなしだからね」 美琴はインデックスの手を握り返すと、目の前で微笑むシスターに笑い返す。 「じゃぁ、まずは名前で呼んでよ。短髪じゃなくてさ………美琴、って」 「わかったよ、みこと。私の事もインデックスって呼ぶんだよ」 「んっ、よろしくね、インデックス!」 「こちらこそなんだよ」 「なるほど、そんなことがあったんですね」 「結局、私は負けちゃったけどね。だから、とうま、みことを泣かせたら許さないんだよ」 「はいはい、わかってますよー。上条さんは、すでに1万人近くと同じ約束してます」 3人は上条の用意した朝食を食べ終えて空港に向かう準備をしている。インデックスの持ち物はあまりないため、それほどバタバタすることもない。 「みこと、元気ないね。どうしたの?」 「んー、アンタと仲良くなれてあんまり経ってないのにもうお別れか、と思ってさ」 「むむむ。そう言われるとなんか急に寂しくなってきたんだよ」 インデックスは荷造りの手を休めてぺたんと座りこむ。 「このベランダでとうまと出会ってから……まだ半年くらいなんだよね」 色んな事があったからもっと長く感じるんだよ、と振り返る。本当に色んなことがありすぎた。 「毎回毎回、とうまは無茶するし、私を頼ってくれないし。心配もいっぱいしたんだよ!」 「それに関しては言い訳のしようもねぇ……」 インデックスに睨まれ、上条は頭を掻く。美琴はそんな2人を見ると微笑ましいような、羨ましいような不思議な気分になった。 「ほんと、アンタら仲いいわね。ちょっと妬けるわ」 「むー。それは私へのあてつけかもしれないんだよ」 インデックスは頬を膨らませながら美琴の背中をぽかぽかと叩く。 「ごめんごめんっ、そんなつもりじゃないって」 いたいいたい。もんどうむようなんだよ。と仲良し姉妹のようにじゃれあう2人を見て、上条は頬を緩ませた。 「なんかさ、俺は家族で過ごした記憶ってのが無いわけだけど……」 上条は呟く。『竜王の殺息』によって失った、家族との記憶。それは上条にとって想像すらできない。 「こんな感じなんかな、って思うんだよな。お前らを見てると仲良しの妹2人を見る兄貴みたいな気分だ」 微笑ましいものを見る目をしている上条に、じゃれあっていた2人は白い目を送る。 「な、なんだよ、その目は」 「………アンタが兄貴ってのもなんだわね」 「ちょっと頼りないかも」 「あ、あんまりだ………」 上条はずーんと肩を落とし、いじいじと床にのの字を書く。 (ちょっと良い事言ったつもりだったのに………不幸だ) 「ねぇ、とうま。私にも家族っていうのがどんなのか分からないけどね」 インデックスは上条の隣まで来ると、ちょこんと座る。 「それでも、とうまのことは家族だと思ってるよ。お兄ちゃんとは呼べないけどね」 インデックスは悪戯っぽく舌を出すと、荷造りに戻っていった。 「じゃぁ、私とも家族になるわね。インデックス」 美琴は頬を染めつつ、荷造りをするインデックスの背に呼び掛ける。インデックスは『友達じゃなくて?』とかいた顔だけ美琴に向ける。 「そそそ、そりゃ、あれよ………わたっ、私と、当麻が……けけ結婚すればそう、なるでしょうよ」 「…………」 「…………」 顔を真っ赤にしている美琴を、2人の無表情な視線が突き刺さる。美琴の顔はその間もどんどんと赤くなっていく。 「み、美琴?今のはプロポーズでせうか?」 「こんなに惚気るなんて、とうまよりもみことの方が厄介かもしれないんだよ」 「だぁぁぁぁっ!!今のは忘れなさい!!」 顔を真っ赤にした美琴が帯電を始める。上条はその頭に右手を置き、インデックスに荷造りが済んだことを確認する。 「あとはスフィンクスを持つだけだよ」 「じゃぁ、そろそろ行きますか。美琴、ビリビリしてねぇでキャリーバック持ってくれ。」 上条は腰を上げると、インデックスの荷物を持ち玄関に向かう。顔を赤くしたままの美琴が持っているネコ用キャリーバックの主であるスフィンクスはインデックスの手の中だ。 「ここに来るのも最後かな?」 「何言ってんだ、いつでも遊びに帰ってこい」 「そうよ。私もアンタと一緒に遊んでみたいしね」 「うん。ありがとう、とうま、みこと」 3人は玄関を出ると仲良く空港に向かう。本当の家族のように。 第23学区。学園都市の空港がある学区だ。 上条たちはその空港で出発時間まで待っているところだ。 「搭乗手続きも終わったし、あとはのんびり待ってるだけだな」 「そうねー、アンタ、他の人には挨拶しなくていいの?」 飛行機の見える待合室の椅子に上条と美琴は隣り合って座っている。インデックスは神裂らとお土産を物色中だ。 「挨拶って言ってもな……ずっと一緒だったインデックスは別として、他の奴らは有事でしかあってねぇし」 「ふーん。アンタのことだから仲の良い女の子だらけかと思ってたけど」 「上条さんをどんな人間だと思ってるんですか?」 「別に、なんでもないわ」 美琴は上条の鈍感さに呆れ、なんとなく目線を背ける。いつか見た二重まぶたの少女がこっちを見ている。 「ねぇ、当麻。あの子、ほっといていいの?」 「あん?…………五和か、どうしたんだろ」 こっちきたらいいのに、と呟く上条に、美琴はもう何度目かわからない溜息をつく。 (この鈍感さは、もはや罪ね。苦労しそうだわ) 美琴はもう1度こっちを窺っている少女に目を向ける。ちらちらと上条と美琴に向けている顔には色んな感情が見て取れた。 美琴は上条の手を取って立たせると、キョトンとしている上条の背中をパシンと叩く。 「いってぇな、いきなりなんだってんだよ?」 「行ってあげなさい」 「で、でもよ……お前を置いてくわけは……」 「いいから。行って、話を聞いてあげなさい」 上条はしぶしぶとした顔で五和の方へと歩いて行く。美琴はもう一度溜息をついた。 (なんで私がフォローしなきゃいけないのよ) 美琴は上条が自分を気にしてくれていた事に喜びながら、何かを話している2人を見る。 頬を染めながら何かを話している少女。その目は明らかに恋する乙女のそれだ。 五和は傍から見ても一発で分かるような初心な反応を示しているのに、上条は気にする様子もない。 美琴が頬杖をつきながら見ていると、走り回っていた子供が上条にぶつかった。子供は特に気にする様子もなく走り去ったが、問題はぶつかられた上条である。 上条の顔が五和の特大オレンジに突っ込んでいた。いつかも見たような光景だ。 (あの、馬鹿っ) 自分でも帯電しているのがわかる。雷撃の槍をぶっ放しそうになるのを必死に堪える。近くにいた人がびっくりしていた。 慌てて離れて謝り倒す上条に、顔を真っ赤にした五和はぶんぶんと首を振っていた。 (あーあ、あんなに鼻の下を伸ばして……やっぱり大きい方がいいのかしら) 美琴は自分の胸を見てボリュームの少なさに落胆する。 (ちょっと癪だけど、聞いてみようかしら) 自分の母のプロポーションを思い出し、相談してみようかと考える。 そんなことをすれば『そんなの上条くんに揉んでもらえばいいのよ。美琴ちゃんがお願いすれば聞いてくれるって』とか言うに決まっている。 (まぁ、私としては……別にアイツに揉まれるのは……って何考えてんのよ) 美琴は妄想で顔を真っ赤にした。実はそんな事件は今日中に起こりうるんじゃないか、とかも思っていたりする。 因みに、この胸のコンプレックスを解消しようと、美琴は色々と努力を積んでいる。 某風紀委員の先輩の飲んでいる牛乳も飲んでみたし、某警備員みたいに肉まんを沢山食べてみたりもした。 半年前と比べたら少しは大きくなった気もしたが、その分体重も増えた。減量を試みると真っ先に胸が犠牲になったりもした。 自分で胸を触ってみる。オレンジみたいな大きさのは触ったことが無いが、自分のみたいに可愛らしい感触ではないだろう。 (あいつも大きいのがいいのかな) ほぅ、と溜息をつく。そういえば、上条の周りには胸の大きい人が多い気がする。 「お前、なにやってんだ?」 「にょわああああああああぁぁっ!?」 いつの間にか上条が隣に戻ってきていた。美琴は驚きのあまり、さっき我慢した雷撃を打ちこむ。もちろん打ち消されてしまうのだが。 「アアアアアアアアアアンタ、いつのまにぃぃぃ!?」 「いや、戻ってきたら美琴が自分の胸見て溜息ついてたとこで戻ってきたんだけど……見られたらまずい事でもしてたのか?」 目を丸くしたまま困り顔の上条は美琴の隣に座る。美琴は『うわぁぁぁ』とか言いながら頭を抱えている。 そんな様子を見て、上条は首を傾げるしかできなかった。 「あー、美琴さん?大丈夫でせうか?」 「…………」 「美琴さん?」 美琴は頭を抱えたまま固まっている。上条はどうしたもんか、腕を組んで悩む。 「………………ねぇ、当麻。1つ、聞いていい?」 「なんだよ?」 「当麻は、胸が大きい方が好き?」 上条はぶぅっ、と吹き出し一気に顔を赤くする。お茶を飲んでいなくて良かった、と上条は思った。 「んなっ、いきなりなんだ?どっから沸いた疑問だ、そりゃ?」 「…………」 美琴は答えない。答えられない、と言った方が正しいのか、きゅっと口を閉めて上条を見ている。 「………美琴?」 「……………」 何も答えない美琴の両頬に手をやり、上条はむにぃと引っ張る。 「っ!?にゃにふんにょよ」 「くっだらねぇ事で悩んでんじゃねぇよ」 上条は両手を離すと、今度は右手で美琴の頭をわしゃわしゃと撫でる。 「俺は御坂美琴が大好きだって言ったじゃねぇか。それじゃダメなんかよ?」 「………」 「そりゃ、あれですよ。上条さんも年頃の男の子ですから女の子のそういう部分に興味が無いわけではないです。むしろアリアリですけどね」 「………」 「でも、そんなもん全部無視して、俺は美琴が好きなんだよ。むしろ、美琴の胸が好きっ!?」 全てを言いきる前に、美琴の拳が上条の胸に突き刺さる。上条はいってぇと言いながら微笑んでいた。 「元気でたかよ?」 「………ばか」 美琴は頭を撫でられながら、どこか満足そうに微笑み返す。 上条はそんな美琴から手を離すと腕を組んでニヤニヤとした顔で美琴を見る。 「ったく、美琴せんせーもそんなこと気にするんですねぇ」 上条の手が離れて少し名残惜しそうな美琴はほんのりと涙を浮かべている。ぷぅと膨れている表情も可愛くて仕方がない。 「アンタが悪いのよ」 「俺が?」 「アンタがあの子の胸に飛び込んでニヤニヤしてるから悪いんでしょーがっ!!」 ビリビリィ、と至近距離で電撃を飛ばされ、上条は慌てて右手をかざす。 「いきなりはやめてくれ、ほんと。間に合わなかったら痺れるんですよ?」 「ふんっ、アンタの行い次第ね。で、さっきの話はなんだったのよ?」 美琴はプイと顔を背ける。相変わらず素直になれない美琴であるが、実のところ上条が五和と何を話していたのか気になって仕方なかったのだ。 「別に大した話はしてねぇよ」 「嘘ね。どうせまた告白でもされたんでしょ?」 「な、なんでわかったでせうか?」 上条は『なんだってぇぇっ』くらいに大げさに驚く。 (ほんと、なんでここまで鈍感なのかしら。見てたら誰でもわかるでしょ) ネタでやってるんじゃないかと思うくらいの鈍感さに呆れを通り越して物も言えない。 「で、なんて答えたのよ?」 「言わなきゃいけませんか?」 美琴は何も言わずにじっと睨みつける。上条は暫く悩んだ後、諦めたように口を開く。 「まず初めに『あの人とはどのような関係ですか?』って聞かれてな。恋人だ、って答えた」 「うん」 「で、『それでも私があなたを好きなのは変わりません』って言われちまってよ」 「そんで鼻の下伸ばしてたの?」 「馬鹿野郎、んなわけねぇだろ。気持ちは嬉しいけど、俺は美琴のことしか想えねぇって言ったよ、ハッキリな」 上条は顔を背ける。珍しく耳まで赤くなっている。 (本人前にして言う様なセリフじゃねぇぞ) 本人を前にしなくても十二分に恥ずかしいセリフなのだが、美琴中毒気味の上条は気付きもしない。 「ふ、ふ」 「ふ?」 「ふにゃぁぁぁ」 「またこの展開か、こんにゃろぉぉぉぉぉっ!!」 ぴんぽんぱんぽーん、と小気味いい音が館内に響く。 『11時45分発、イギリス行きの搭乗時刻となりました。お忘れ物の内容にご搭乗お願いします』 アナウンスが流れる。とうとう時間となった。 「とうま、みこと、それじゃぁ一旦お別れなんだよ」 「あぁ、あんまし迷惑かけんじゃねぇぞ」 「イギリスに行っても元気でね」 搭乗ゲートの前で上条はインデックスに荷物を渡す。 「インデックス、私が持ちましょうか?」 「ううん、自分で持つよ。ありがとうね、かおり」 そうですか、と神裂は自分の荷物を抱える。相変わらずの格好であるが、『七天七刀』を袋に入れてあるだけマシだろうか。 「神裂も元気でな。あんまりエロい格好で出歩くなよ、お前なら襲われても負けねぇとは思うが……」 「んなっ!?べ、別にエロい格好などしていません!最後に言うのがそれというのはあんまりではないですか、上条当麻」 「はははっ、気にすんなよ。俺としては最後ってつもりもねぇし。会えなくなるわけじゃねぇだろう?」 それはそうですが、と歯切れの悪い神裂に後ろから建宮がボソボソと何かを言っている。 みるみる内に神裂が赤くなり、聖人の力をフルに利用した拳が建宮の顔面に突き刺さる。ものすごい勢いでゲートをくぐり、搭乗タラップに飛んで行った。 「ねぇ、インデックス、あの人大丈夫なの?」 「いつものことだから気にしなくてもいいんだよ。むしろ、かおりの力に驚かないみことが凄いと思う」 「ツッコミどころが多すぎるわ、アンタら」 世界は広いわね、と美琴は目を丸くしてぷんぷんとゲートをくぐっていく神裂を見ていた。 天草式のメンバーもゲートをくぐり終え、残るはインデックスとステイルのみである。 「ステイル、インデックスの世話、しっかり頼むぜ」 「まったく君はこの子を馬鹿にしすぎじゃないかな?1人でも色々と出来るようになったんだろう?」 「そうだよ。掃除もご飯もだいぶ出来るようになったよ」 あとは洗濯だけだもん、とインデックスが膨れる。 「そうだな、悪い。インデックス、ステイルの世話、しっかり頼むぜ」 「任せるんだよ!」 「っ!インデックス、君まで僕を馬鹿にするのか?」 ステイルは生活能力が無いと馬鹿にされた事を憤る。まさかインデックスにまで馬鹿にされるとは思わなかったのであろう、心なしか悲しそうだ。 「ステイル、全部私が教えてあげるんだよ。洗濯は修業しなきゃだけどね」 「……むむむ」 インデックスににっこりと笑いかけられ、ステイルは何も言い返せずに搭乗ゲートをくぐって行った。 「もう、お別れだね」 「インデックス、いつでも帰ってきなさいよ」 美琴はインデックスの手を握るとぶんぶんと振る。強がった口調とは裏腹に2人の目には涙が浮かんでいる。 「さっきも神裂に言ったけどよ、会えなくなるわけじゃねぇんだし。お前が困った時はいつでも飛んで行ってやるからよ」 学園都市の超音速旅客機に乗れば一瞬だしな、と上条は続ける。 「そんときは私も駆けつけてあげるから」 うん、とインデックスは頷く。搭乗タラップから神裂の『もう時間ですよ』という声が聞こえてくる。 「じゃあね、とうま、みこと。バイバイ」 「うん。バイバイ、インデックス」 「………違う」 「とうま?」 「どしたの、当麻?」 インデックスと美琴は心配そうに上条の顔を覗き込む。 「違うぞ、インデックス。ここは『行ってきます』って言うところだろ」 家族が出かけるんだからな、と上条は言う。キョトンとしたインデックスの横で美琴はくすっと笑うと、上条の言葉に続ける。 「そうね。アンタはちょっとお出かけするだけなんだから、私も言い直さないとね。行ってらっしゃい、インデックス」 「……今度帰ってきたら、『ただいま』って言うんだぞ!行ってらっしゃい、インデックス」 上条と美琴は、涙を浮かべながらインデックスの手を握る。インデックスはそれに応じるかのように微笑んだ。 「うん。行ってきます、みこと、とうま。結婚式には呼んでくれないと怒るんだよ!」 ぎゅっと手を握り返すと、インデックスは搭乗口に駆けて行った。 上条と美琴は空港の展望ブリッジにいる。インデックス達を乗せた旅客機はその高度をあげ、どんどんと小さくなっていく。 「行っちゃった、ね」 「あぁ」 美琴と上条は小さくなる機影を眺めている。さっきまで目の前にあった旅客機は既に豆粒のサイズになっている。 「寂しくなるわね」 「そうだな」 機影が完全に見えなくなり、青い空には雲だけが浮かんでいる。 「さ、美琴せんせー。しんみりとした空気もここまでだ!デート行くぞ―」 「ちょっと、アンタ!そんな大声で言わないでよ」 行くぞ―、と上条は美琴の腕を掴むとずんずんと歩いて行く。 美琴はそんな積極的というか、自暴自棄にも見える上条の隣まで追いつくと、その腕に思いっきり抱きつく。 「っっ!?」 「あらぁ?そんなに驚いてどうしたのかなぁ?」 美琴は流し目で上条を見る。上条としては腕にあたる柔らかい感触にドギマギしているところだ。 「みみみ、美琴さん?色々と当たってるんですど?」 「当麻は大好きなんでしょ?私の胸」 ニヤリと不敵な笑みを浮かべる。上条はちくしょう、と歯噛みしなるべく腕を意識しないように歩く。 傍から見れば初々しいバカップルにしか見えず、クリスマスでもなければ呪い殺されそうだ。 「で、結局、何処に行くのよ?」 「あー、どうすっかなぁ……」 上条は何気なく観光案内の掲示板を見る。外部からやってきた人用に掲示されている物だが、中の人が見ても困ることはない。 むしろ、行き先に困っている上条達にはおあつらえ向きと言ったところか。 「んー、どうせならクリスマス限定、みたいなところがいいよな」 「そうね……夕食も美味しいとこ予約は、間に合わないかなぁ」 「電話するだけしてみりゃいいだろ」 上条はレストランリストの紙を取ると美琴に手渡す。迷うには十分の量がリストアップされていた。 「んー、よし。こことかいい感じだな」 上条は掲示されたポスターを見ながらデートプランを考えると、レストランリストに目を通している美琴を促し空港を出る。 「取りあえず、夜まではその辺を歩くか。クリスマスプレゼントも用意してねぇし、見に行くか」 そうね、と言い美琴は上条の右腕に抱きつく。 「でも、行くとこ決まったんじゃないの?」 「夜中のイベントなんですよー。晩飯食ってからだな」 「私には門限あること忘れてない?」 「守る気もねぇんだろ?」 上条は美琴が見ていたリストを眺めながら駅を目指す。別の学区に移動しなければ、23学区には空港くらいしかない。 「あーあ、優秀な美琴ちゃんが当麻のせいで悪い子になりますよー」 「じゃぁ、デートはやめて帰るか?送ってくぞ?」 なんなら一緒に寮監さんに謝ってやる、と上条が言うのを聞き流し、美琴は上条に身体を寄せる。 「ううん。言ったでしょ、インデックスが羨むくらい思いっきり楽しんであげましょ」 美琴は満面の笑みを浮かべると、上条の腕を引くように駅へと向かった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/Daily Life
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もくじ テンプレート1 2 推奨事項 一人称表 テンプレート 1 上条さんと美琴のSSをじゃんじゃん投下していくスレです!別に上条さんと美琴だけが出てくるスレじゃありません。上条さんと美琴が最終的にいちゃいちゃしていればいいので、ほかのキャラを出してもいいです。そこを勘違いしないようにお願いします!◇このスレの心得・原作の話は有りなのでアニメ組の人はネタバレに注意してください。・美琴×俺の考えの人は戻るを押してください。・このスレはsage進行です。レスする際には必ずメール欄に半角で『sage』と入力しましょう。・レスする前に一度スレを更新してみましょう。誰かが投下中だったりすると被ります。・次スレは 970ぐらいの人にお願いします。◇投稿時の注意・フラゲネタはもちろんNG。・キャラを必要以上に貶めるなど、あからさまに不快な表現は自重しましょう。・自分が知らないキャラは出さないように(原作読んでないのに五和を出す等)。・明らかにR-18なものは専用スレがあるみたいなのでそちらにどうぞ。・流れが速い時は宣言してから書き込むと被ったりしないです。投稿終了の目印もあるとさらに◎。・創作しながらの投稿はスレを独占することになりますので、書き溜めてから投稿することをお勧めします。・このスレはsage進行です。レスする際には必ずメール欄に半角で『sage』と入力しましょう。・以前に投稿したことがある人は、その旨記述してあるとまとめの人が喜びます。・ちなみに1レスの制限は約4096byte(全角約2000文字)、行数制限は無い模様。◇その他の注意・参考・基本マターリ進行で。特に作品及び職人への過度なツッコミや批判は止めましょう。・このスレはsage進行です。レスする際には必ずメール欄に半角で『sage』と入力しましょう。・クレクレ(こうゆうのを書いてください)等はやりすぎに注意。・読んだらできれば職人にレスしてあげましょう。職人の投稿するモチベーションを維持できます。・誰か投下した直後の投下はできれば控えめに。・倫理的にグレーな動画サイト、共有関係の話題はもちろんNG。・書きたいけど文才無いから書けないよ! →スレの趣旨的にそれでも構いません。妄想と勢いでカバー(ネタを提案する程度でも)。◇初心者(書き手)大歓迎!◇前スレ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part29ttp //jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1449489675/まとめページとある魔術の禁書目録 自作ss保管庫 / 上条さんと美琴のいちゃいちゃSSttp //www31.atwiki.jp/kinsho_second/pages/81.htmlまとめページの編集方針ttp //www31.atwiki.jp/kinsho_second/pages/213.htmlスレ立て用テンプレttp //www31.atwiki.jp/kinsho_second/pages/82.html 2 ■過去スレ上条さんと美琴のいちゃいちゃSSttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1256470292.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part2ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1262324574.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part3ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1264418842.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part4ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1265444488.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part5ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1266691337.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part6ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1268223546.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part7ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1269624588.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part8ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1271074384.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part9ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1272858535.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part10ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1274888702.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part11ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1278386624.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part12ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1281121326.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part13ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1287267786.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part14ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1294570263.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part15ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1297888034.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part16ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1301665322.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part17ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1306158834.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part18ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1313080264.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part19ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1319498239.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part20ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1327581934.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part21ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1335861860.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part22ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1352112151.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part23ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1360844502.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part24ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1363802594.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part25ttp //jbbs.shitaraba.net/movie/6947/storage/1369269992.html上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part26ttp //jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1381415914/上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part27ttp //jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1395680118/上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part28ttp //jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1415780549/上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part29ttp //jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1449489675/■関連ページとある魔術の禁書目録 自作ss保管庫ttp //www31.atwiki.jp/kinsho_second/とある魔術の禁書目録 Indexttp //www12.atwiki.jp/index-index/御坂美琴まとめ Wikittp //wikiwiki.jp/misakamikoto/■関連スレ上条当麻×御坂美琴 専用雑談スレ 追いかけっこ13日目(感想スレ)ttp //jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1394592431/とある魔術の禁書目録 自作SS保管庫スレttp //jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1263738759/とあるSSの禁書目録 PART11ttp //jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1318073465/上条さんと○○のいちゃいちSSttp //jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1269574273/【とある魔術の禁書目録】上条当麻の巡り行く世界39周目 ttp //ikura.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1399215818/【とある魔術の禁書目録 超電磁砲】御坂美琴の抱擁爆発236ttp //ikura.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1400336226/■関連スレ(R-18)上条当麻×御坂美琴 いちゃエロスレ4ttp //jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1322814818/禁書でエロばなしttp //jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/6947/1137215857/【とある魔術の禁書目録】鎌地和馬総合39フラグ目ttp //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1389942201/ 推奨事項 傍点は範囲を引用符“”で閉じて代用すると良いかも? ルビは振りにくいので括弧()で。 沈黙や間は三点リーダ…で。中黒・の連続だと字数嵩むし隙間開くし見目麗しくないですよ。 ダッシュ―は2つ以上重ねるべし。 横書きなので漢数字(〇・一・二・三…)はなるべく使わない。 以前に投稿したことがある人は、その旨記述してあると編集人が管理しやすくなります。 一人称表 オリジナルはここ。作者さんGJ! 【俺】 上条[上条さん]/一方通行/建宮/木原/浜面/駒場/垣根/半蔵/旅掛/オッレルス 【私】(男/他) アウレオルス/火野/天井/闇咲/アレイスター/刀夜[父さん]/ビアージオ/アックア/テッラ/騎士団長/ローマ教皇 【私】(女) 美琴/禁書/神裂/小萌[先生]/姫神/乙姫/舞夏/風斬/シェリー/オルソラ/アニェーゼ/初春/結標/詩菜/美鈴/オリアナ[お姉さん]/リドヴィア/ルチア/アンジェレネ/黄泉川/ヴェント/素甘/最中/五和/麦野/滝壺/絹旗/フレ/ンダ/ショチトル/心理定規/エリザード/リメエア/キャーリサ/ヴィリアン/ベイロープ/レッサー/シルビア/木山/固法/布束 【わたくし】 黒子/婚后/湾内/泡浮 【その他】 芳川/ローラ:わたし,妹達/打ち止め:ミサカ,土御門:オレ,吹寄/佐天:あたし,ステイル/爆弾魔:僕,青髪:ボク,海原(エツァリ):自分,フィアンマ:俺様 _______
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「くぁ……ねむぐおっ!」 「どうしたぜよカミやん、そんな眠そうなツラしや……まさか!」 「いってーな土御門! いきなり殴ることねーだうぎゃっ! また殴った! しかも最初より強いぞ!」 朝から眠たげにしてる上条に喝を入れた土御門だが、そこからある1つの妄想をしてしまう。 その妄想は上琴の関係を知ってる者なら怒りを覚えるもので再度上条を殴り飛ばした後で、 「ものどもであえであえーーーーっ! カミやんがとうとう自分の彼女にいけないことやっちまったぞーーーーっ!」 「はあっ! 何でそんな結論に達するんだよ! 俺は美琴と確かにイチャイチャして寝不足だが、Hはしてない! 責任取れるようにあだっ!」 「カミやん、ボクはカミやんを信じとる。せやけどな……球技大会中に寝不足になるまでイチャイチャするのはアカン! よって嫉妬ファミリーによる制裁や、かかれーーっ!」 青ピや嫉妬ファミリーと共に上条を殴り、蹴り、引きずり回し、踏みつけるなどのお仕置きを敢行した。 上条は心の中で不幸だーーっ! と叫びながら薄れゆく意識の中で確かに見た、普段は参加しそうに無い一方通行、浜面、半蔵も加わっていたのを。 「テメェは球技大会だってのにナニやってンですかァ! 今日のためにベストコンディションを作るためにこっちは打ち止めにあまり構ってやれてねェンだよォ!」 「滝壺のチームがまさかの敗北で慰めようとしたら球技大会があるから駄目って断られたんだぞ! それなのに上条お前って奴は羨ましいぞチクショーッ!」 「浜面と同じく!」 普段は参加しそうに無い3人、単に上条が羨ましいだけである。 その様子をオロオロしながら見てる翔太、その視界を見覚えのある手が遮る。 「あ、淡希? どうして僕の目をふさぐの? 上条くんを助けなくていいの?」 「いいのいいの。翔太があいつらに染まるのは私も困るし。それにあいつらも本気じゃないでしょ、多分」 「そうなの? なら僕が心配するのもはわわわわっ! あ、あわあわあああ淡希っ! む、胸がっ! 僕のこ、こここ後頭部にっ!」 「もー翔太ったら可愛い反応してくれるわねー♪ で・も。本当に嫌なら止めるけど?」 い、嫌じゃないよ……、翔太がかすかにそう言うと結標はさらに自分の胸の中に居る恋人を強く抱きしめた。 上条フルボッコの図、月結のいちゃつきを巻き込まれない所から見ているのはポリアモリーカップル。 「みんな朝から元気だね~。ま、これくらいの元気が無いと球技大会は盛り上がらないんだけど」 「そうだな。そんでもって俺達のクラスが全種目ぶえっくしょん! へっくしょん! ふぇっくしょん!」 「真昼さん大丈夫? やっぱり今日は休んでたほうがいいよ」 マスクをして盛大なクシャミを連発した真昼、実は昨日のスパリゾート安泰泉の混浴で湯冷めしてしまったのが原因だ。 ちなみに混浴といっても今回は真夜が相手側と真昼と茜川に頼み込んで、水着着用の許可を貰っていたりする。 「へへっあんがとよ真夜♪ けど心配すんな! これは花粉症だからな!」 (花粉症で熱が39度も出るなんて聞いたこと無いよ……。真昼ちゃんって時々思うけど相当……いやいや、それは上条君のデルタフォースの専売特許だし) 「お早うございます井ノ原先輩、お姉様、茜川さん」 ポリアモリーカップルに礼儀正しく挨拶したのは心理掌握で、ポリアモリーカップルもそれぞれに挨拶をした。 「今日は日頃の恩に報いる為にも私達のクラスが勝たせて頂きますわ。そちらに井ノ原先輩、お姉様、そして白雪さんが居るとしても」 「うん、楽しみにしてるよ。けど俺達だって負けない。心理掌握さんの成長、見せてもらうよ……ってレベル4の俺がレベル5の君に言うことじゃないかもしれないけど」 「能力のレベルは関係有りませんわ。私は井ノ原先輩を純粋に尊敬しているのですから。できることならアク様にも変わりつつある私を見せたかったですわね」 「きっと一方通行にも伝わるよ。じゃあ決勝で」 心理掌握と穏やかな会話と握手を交わした真夜、2人の会話を邪魔しないように離れていた真昼と茜川の所へと駆け寄った。 鼻水が垂れそうな真昼の鼻をティッシュでサッと拭ってやる茜川、恥ずかしそうに茜川に礼を言っている真昼、そんな真昼に自分のジャージを羽織わせる真夜、3人を見て心理掌握は思う。 (あの3人、まるで本当の家族のように自然な感じを作りますのね。いつも思いますがとても3人同時交際をしてるようには見えませんわ。……人というのは本当に不思議ですわね) 心理掌握は学園都市唯一のポリアモリーカップルに妙な癒しと不思議を感じながら、自分たちのクラスへと戻って行った。 ちょうどその時、上条たちの方で大きな爆発音がした。 ―――――――――― 「これ以上うちのクラスの恥を晒すのは止めなさーーいっ! というわけで久々の雪の竜巻だよ!」 「たった1人をよってたかって襲うたぁ根性入ってねーなぁ! そんなお前らに根性入れる意味ですごいパーンチ!」 「当麻さんに何ということを! たとえ天が許しても当麻さんの永遠のメイドのこの私が許しませんっ! 七教七刃!」 白雪、削板、五和の奇跡的にタイミングの合った攻撃でうぎゃー! と叫びながらベクトル変換が間に合った一方通行以外の面々は吹っ飛ばされる(上条も)。 こういう攻撃が慣れっこな上条はすぐさま復活して一方通行達の所へと戻るが、白学ランの削板と上半身メイドで下半身ブルマーの五和の姿を捉えるとすかさずツッコミを入れた。 「削板に五和!?何でお前たちがここに?つーか、何だその格好!?」 「それはこの姿じゃなければ俺の根性が8割減だからなぁーーー!!」 「ふふふ、前に聞いたのですよ当麻さん!男性は皆、メイドとブルマーに萌えるという事を!」 2人の発言に対してその場にいた全員が同じ事を思った、もうどうでもいいやと。 しかし、ふと五和の発言に疑問を抱いた白雪が五和に話しかけた。 「ねえ、五和さん」 「何ですか、白雪さん?」 「別にさ、その2つで全員が萌えるなんてことはないし、その2つを合わせたってもっと萌えるとかはないと思うよ」 「…!まさか、土御門さんとそこの青髪の方の発言は間違っているのですか!?」 五和のカミングアウトを聞いた瞬間、白雪はそのまま戦いの跡地に向かった。 そして、そこで横たわっている土御門を発見するとその真横に氷の剣を突き刺した。 「……も―とはるう♪」 「な、なな何のようですかにゃー、月夜?麦野並みにコワいにゃー…」 「ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・だ・ぞ♪」 次の瞬間、土御門を中心に氷の竜巻が発生し、その近くにいた仲間達をものみこんだ。 ちなみにその時の白雪の笑顔を見て、土御門は思った。 ああ、もう死んでもいいかもと。 なお、当然ながら白雪が加減していたため、巻き添えをくらったものも軽傷ですんだので試合への影響はなかった。 ―――――――――― 一方、何とか攻撃を逃れた浜面達。 その逃げた先に現れたのは覆面を被った『歩く教会』チームの面々であった。 「絹旗に麦野…何やってんだ?」 「ちょ、超人違いです!私の名前はシルクです!」 「そ、そうだぞ。私はムギムギだ。決して麦野たる人物とは何の関係もない!」 バレバレの変装をしている2人に浜面は呆れていると、向こうで姫神と謎の覆面シスター(見るからにインデックス)が口論していた。 「例え、あいさが敵でも負けないんだよ!そして私の名前はピュワシスターなんだよ!」 「バスケの主役は。私。誰にも。負けない。」 2人はいがみ合いながら火花を散らしていた。 この後、決勝がサッカーになってしまうが姫神が浜面と半蔵を使い、大活躍するのはまた別の話。 「じゃーな上条。決勝で根性入ったいい勝負しようぜ!」 「私も失礼します。決勝で私、当麻さんと愛の篭ったベースボールが出来るのを楽しみにしてます」 五和と削板に宣戦布告されて上条は気付いた、あいつらエツァリ達と同じチームなのかと。 決勝がとんでもないことになりそうだと予感した上条と一方通行がげんなりしていると、 「おはようございます、とクールビューティーは未来のだんな様と学園都市最強ぺドに丁寧に挨拶します」 友愛高校の体操服に身を包み、覆面の上に軍用ゴーグルを装着した人物が朝の挨拶をしてきた。 上条も一方通行も最初は本当に誰なのか分からなかったが特徴のある喋り方、こんな所に現れそうな人物をピックアップした結果、 「あ、あの~、もしかしてあなた様は御坂妹さんではないでせうか?」 「はい、確かにその通りなのですが今のクールビューティーはクールビューティーなのです、とクールビューティーは」 「クールビューティークールビューティーうっせェぞ! つーかまず俺に対して謝るのがスジってもンだろうがァ! 誰が学園都市最強ぺドだァ!」 「貴方以外に該当する人物が見当たりません。それに上位個体と週1で一緒にお風呂に入ってる時点で覆りようの無い事実ではとクールむぐっ」 【妹達】の中で1番関わりの深いミサカ10032号こと御坂妹だと判断できた。 その後で仲間内でも知りえない一方通行の禁断の事実を御坂妹が口にしたので、慌てて一方通行は彼女の口を塞いだ(手遅れだが)。 一方通行は目をギラギラさせながら自分と打ち止めの秘密をどうやって知ったのか尋ねると、考えれば妥当な答えが返ってきた。 「ミサカネットワークを通じて上位個体が惚気てくるから仕方ありません、とクールビューティーは聞くこっちの身になれと貴方に愚痴ります」 (あンのクソガキィ……。後で会ったら久々に説教してやらねェとなァ) 「ですがご安心下さい。上位個体もさすがにアホではないらしく番外個体の眠ってる間にミサカネットワークを使用しています、とクールビューティーは安心させてあげます」 上条は思う、『絶対能力進化』計画で関わりを持ったこの2人がいい意味で変わったなぁと。 その僅かな隙をついて御坂妹は上条の右手を両手でそっと握って自分の胸へと導こうとしていた。 「ちょ! 何してんだよ御坂妹!」 「何と言われましても同じ競技で参加できない寂しさを埋めようとしてるだけです、とクールビューティーはドキドキしながらあ、貴方に触れられ」 「何だそこに居たのかい、クールビューティー。そろそろ僕たちの試合が始まるから皆が待って……ゲッ! か、上条当麻……」 上条を救ってくれた(?)のは同じく友愛高校の体操服に身を包み、覆面をした背の大きな少年だった。 一見すると正体不明に見えるが、その少年は煙草を銜えていたので一発で上条にも正体を看破されることに。 「ステイル? お前まで何やってんだよ! しかも御坂妹と同じような覆面を被りやがっ」 「ち、違う! ぼ、僕は君の知ってるステイル=マグヌスではない! 今日の僕はそう、ピュアシスターの守護者ことシガレットさ! ではそうゆうことで」 「名残惜しいですがまた後でお邪魔させてもらいます、とクールビューティーは当麻さんにだけさよならの挨拶をします」 シガレットことステイルに連れられて去って行った御坂妹を見送った上条は、インデックスも居るのかと考えると気のせいではなく気疲れを感じ始めていた。 それは一方通行も同じだが上条が自分達の秘密に触れてこないことを受けて、内心でラッキーと思いながら準決勝前のチーム練習を始めるのだった。 ―――――――――― 「あっ、来た来た。おーいっ、飾利ー、涙子ー」 上条を中心とした騒動から少し経った頃、友愛高校正門前では美琴が初春と佐天の2人と合流していた。 今日はみんなで一緒に球技大会を見に行こうと約束していたのだが、いつも居そうな面子が居ないことに気付いた美琴が初春に尋ねる。 「今日は2人だけ? 黒子はとっくに○○さん、春上さんは土御門さんと白雪さんの所へ向かったのは分かるけどそっちのいつもの人達は?」 「建宮さんはすでに食堂に詰めていて、火織お姉ちゃんは後から合流、シェリーさんは個展会場で作品のチェックで第九学区に。とまあ、こんな感じで」 「あれ? 最愛は?」 「最愛ならいずれ分かりますよ、美琴姉さん♪」 最愛、球技大会に出てるわね、美琴は佐天が楽しげな笑みを浮かべて答えたのを見て妙な確信を得ていた。 そのことについて考えてる美琴に突然、初春が抱きついてきたことで絹旗のことは頭の中から綺麗に吹っ飛んでしまう。 「かっ、飾利? きゅ、急に何するのよ!」 「えっとですね、私考えてたんですよ。美琴お姉さんとは義理とはいえ姉妹。だから妹の私がこうやって甘えるのは普通かなって♪ ダメ、ですか?」 「まあ、あんた達なら黒子みたいに邪な気持ちは持ってないものね。分かった、飾利と涙子と最愛ならいいわよ。むしろ歓うわわっ!」 「美琴姉さんに許可貰った記念であたしは後ろからー♪」 最初は初春、2週間の渡英期間中は美琴と会えないのでちょっと甘えるだけだったが、ついでに今後も義妹トリオのハグの許可をゲットする辺りは抜け目無い。 その後、初春と佐天とのじゃれ合いもそこそこに、美琴は2人と一緒に友愛高校へと入るのだった。
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どこの国の何処とも知れぬ、路地裏の暗がりに、雰囲気にそぐわない軽快な声が吹き抜ける。 「ッハッ、ハッ、ヒー! そりゃー傑作だぜい! で、オレからのプレゼントの方はお気に召したかにゃー?」 『やかましい!! 君とあの婆のせいでこの忙しい時期にいらん苦労を背負いこんでるんだぞ僕は!!』 耳元から携帯電話を遠ざけて、怒鳴り声に対処する金髪グラサンアロハシャツの大男――土御門元春は電話相手の怒りを意にも介さずのたまう。 「そいつは残念。十年前とは比べ物にならんインデックスの肢体にあのサイズ小さめに見積もったメイド服はさぞかし……」 『OK、現在地を教えろ。ピンポイントでルーンを郵送してやる』 相変らず冗談が通じないヤツだ、と苦笑しつついまやイギリス清教のブレーンを務める男は薄暗い路地を抜け、人気の多い市場へ出る。 土御門の現在のねぐらはすぐ近くだ。 「オレの仕事、わかってるのかにゃー? 秘匿回線とはいえおいそれと喋るわけにはいかないぜよ」 『……つまり、だ。使者の到着までにイギリスに戻ってくる、ということはないんだね?』 電話の声のトーンが変わる。こちらが本題、ということだろう。 現在イギリス清教は最大主教の交代という難しい時期にある。そこにけっして友好的とは言えないローマ正教がいち早く『祝い』の使者を送りこんできたのだ。 現ローマ教皇、ペテロ=ヨグディスがどのような思惑だったとしても、外交交渉にも長けたブレーン役、土御門元春も本来その場に同席すべきなのである。 しかしは彼は現在イギリスからはるか大西洋を越えた地に潜伏して、今回の件に関わる気はないという。訝しむ相手に向けて土御門は声色を変えずに軽く返す。 「まあ、深刻な事態になることはないと思うからそう気張らずにいることだぜい?」 『クソッ……何か知ってるな? 土御門』 「にゃっはは。まあ繰り返すが、おまえが心配するようなことにはならない。到着してからのお楽しみってことだにゃー」 はぁ……と向こう側から最近お馴染みの溜め息が聞える。 苦労性というか、とある『病気』がここのところとみに顕著になってきている青年にむけて一つ、確認しておく。 「それから……舞夏は元気か?」 『ああ、元気さ。神裂も気をかけてくれるが、立場というものがある。かなり彼女にも助けられているよ』 少なくとも電話先の相手には決して見せないような表情に緩めてそうか、と返す。 土御門の元義妹は現在、最大主教の世話係として学園都市からイギリスに移り済んでいる。 最大主教とは気心の知れた仲ゆえに、環境の激しい移り変わりに対する清涼剤となっているらしい。 『とはいえ、たまには帰ってきたらどうなんだ。口には出さないが、最大主教は寂しさを堪えているのでは、と言っていたぞ』 「…………まあ、いずれ、な。」 土御門の現在の仕事はやや私情が絡むとはいえ、教会の利益につながる立派な「裏のお仕事」である。 中途半端に済ませて世界一大事な妻を巻き込むわけにはいかない。 そうこうしていると、寝泊まりしているボロアパートが眼前に現れる。 溜まった郵便物を無造作に抜き取るとドアを開け、しばらくぶりの清潔、 とは言い難いが少なくとも硝煙や血痕の染み付いていない寝床に飛び込む。 「じゃあそろそろ切るぜい。オレは久方ぶりの惰眠をこれから貪るんですたい」 『……ん、そうかい。わかった、それではよい夢路を』 初っ端の剣幕からは考えられないほど穏やかな声が耳に入ると、ブツッと通話が切れた。 土御門は怪訝に思いつつも、会話には滲ませなかった疲労に負けてとりあえずは睡魔に身をゆだねることにした。 と、その時。放りだした郵便物の中に見覚えのある筆跡と名前を見つけた。見つけてしまった。 常識も国境も通用しない未元速達便――「土御門元春様へ ステイル=マグヌスより哀をこめて」。 「にゃ、なんでこの場所が……」 慌てて跳ね起きた時にはすでに遅い。中に仕込まれたルーンカードが「土御門がギリギリ死なない威力」で発動した。 「ふっ、不幸だにゃーーーーーっ!!!!」 いや、自業自得である。 イン「なにかありて、ステイル? いやにすがすがしい顔をしてつきにけりなのよな」 ステ「いや、とりあえず溜飲が下がった。…………?」 イン「どうかしたるのよな?」 ステ「いや、なにか……おかしい。更に、一段と、おかしくなっているような……」 イン「おかしき!? かような馬鹿なことがありにけるのよ? 矯正はさいじが手伝ひてくれたのよな」 ステ「建宮ァーーッ!! お前もかァァーーーーッ!!!!」 イギリス 聖ジョージ大聖堂 ステ「クソッ、結局天草式には逃げられ、馬鹿口調も全く矯正できず、 僕がやったのはあのふざけた露出度のメイド服を片っ端から焼き捨てることだけか……!」※予備が五十着ほどありました イン「まあしょうがなきにつき! それよりいよいよご使者が着きてきたるのよな!」 ステ「正直そこが一番の不安材料なんだが……(土御門の口ぶりからすると誰なのか知ってる風だったが……?)」 コンコン ローマセイキョウカラノゴシシャガゴトウチャクシタゾー イン(つ、ついに最大主教デビューの時がきたのよな……!) ステ(一体何者が………………) 扉「ギギギギィ」 フィアンマ「俺様だ」ドヤッ イン「」 ステ「」 フィ「?」 イン「すいませんチェンジで」 フィ「!?」 フィ「全く失礼な奴らだな」プンスカ ステ(普通にキモイ) イン「まさかローマ正教があなたを送りけるとは……意外といふべきか、大胆といふべきかなのよな」 ステ「というか、面識あったっけ……」※原作未確認 フィ「こまけぇことは気にするな、ステイル=マグヌス」 ステ「……いやいや、待て。僕と……最大主教と貴様の間には全く細かくない事情があるだろう」ボウッ イン「ステイル、かように前に立ちふさがりてはロクに会話できぬのよな?」 フィ「そうだぞ、そう恐ろしい顔をせずとも『聖なる右』のない今の俺様では貴様に勝てんよ。場所も場所だしな」 ステ「よく言う。だいたい本人の口からいけしゃあしゃあとそんなことを言われて、納得できると思うのか?」 フィ「あの金髪グラサンから聞いてないのか? 奴は俺様の事情を断片的にだが知っている」 ステ「(……あ・の・シスコンがッ……!)……確かに、土御門は「心配ない」と言ったが」 イン「そもそも、なぜにもとはるとフィアンマに面識がありけることよな?」 フィ「世界を流離っている最中に、な。あの男のおかげで俺様の世界も少し拡がった」 ステ(おかしな方向に拡がってないだろうな……) フィ「いまの俺様はメイド喫茶『お客様は神様~右席に失礼しますご主人様』のCEOとして布教活動を」 ステ「土御門ォォォーーーーーーッ!!!!」 イン「そろそろパターン化してきにけり。しかしそうなるとおもてなしには『神にご奉仕☆メイド風あーくびしょっぷ』が やはり必要なりけるのよ!幸いここにあと一着……」 フィ「!! ほう……これは!」 ステ「それはっ、土御門のっ、罠だァァァァーーーーーーーッ!!!!! というか気に入ってたのかぁ!!!」イノケンティウス!!! イン&フィ「「あぁっ、もったいない!」」 ステ「もったいなくありません!! もう持っていないでしょうね!!」 フィ「フフッ、それで上手いこと言ったつmウボァーーーーーーッ!!!」ジュゥゥゥウウ イン「肉の焼けたるいい匂ひなのよな」ジュルリ ステ「なんというか……しらけたな」 フィ「さて、いい加減に仕事をしなければな」シューシュー ステ(もう少しヴェルダンにしておくべきだったか) イン「そうだったのよ! さにあれども、私の初仕事を遂行しけるべきよな!」 ステ(そういえばこの口調は完全にスルーされてるな……) フィ「エッヘンオッホン! ……それではイギリス清教最大主教、Index-Librorum-Prohibitorum殿。 こたびは最大主教への昇叙、厚くお慶び申し上げたる」 ステ(……?) イン「ありがたきことよな。非才の身にあれど、主の教えに従ひて研鑽を積み、人々の救いの手となりぬのよ」 フィ「……わがローマとイギリスは長らく友好関係とは言ひ難かった。」 フィ「が、教皇聖下は万民の心の安寧を願っておられる。宗派の違いなどなにほどのことがあろうか、ということだ」 イン「それこそ主の望みと私も考えたり。ローマとイギリス、否、 世界の人々の求める『救い』を丁寧に拾いてゆきてこその『救済』なりしよな」 フィ「……フフッ」 イン「?」 フィ「なぜ『お前たち』の周りに多くの善意があるのか。それが今よくわかった」 ステ(……『お前たち』か……) フィ「俺様がこの場に来たのは、祝福のためだけではない。十年越しの、謝罪のためでもある」 ステ「……」 イン「……」 「十年、経ってしまったのはひとえに俺様の――俺の身勝手な願望ゆえだ」 「あの男に諭されて、世界を見た。なにものも通すことなく、この眼で」 「醜かった。歪んでいた。しかし、」 「美しかった」 「善は確かに、この世にあった。作り出すまでもなく、今の世界に」 「それを確かめてようやく、俺は自分の過ちと向き合えた」 「自分が間違っていたと、認められた。だから、いくら遅くなったとしても頭を下げよう」 「済まなかった」 「顔をあげてください」 「人には、口があります」 「目があって、耳があって、鼻があって、手があって」 「心があります」 「話し合うために、笑いあうために、手を取りあうために神様がくれたもの」 「私はそう思ってます」 「だから、取り戻しましょう?」 「どんなに長い時間がかかっても、一生だったとしても」 「取り返しのつかないことを取り戻そうとしている人を、私は知っているから」 「あなたにも、あきらめないでほしいから」 「私は、あなたを許します」 「ありがとう、最大主教――いや」 「シスター・インデックス」 ステイルには、言葉はなかった。口を真一文字に結んで、眼前の『救い』から目ではなく、心を背けた。 まるで天上の、この世ならざる光景を見ているかのようで、そしてなにより―― 自分が愛したままの『インデックス』がそこにいたから。 自分以外を愛した『インデックス』がそこにいるから。 どんな瞬間よりも強く、その隙間を思い知らされてしまっていたから―― なにも、言えなかった。 フィ「それでは、時間も時間だ。そろそろお暇しようか」 ステ「ローマに戻るのか? それとも……」 フィ「今度は、贖罪の旅ということになるな。今回のことは、前教皇の計らいで実現したることだ」 イン「マタイ前聖下はお元気でありて?」 フィ「りうまち、だったかをこじらせてな。歳も歳、万全とはいかぬが……」 フィ「学園都市の医者を誰かに紹介されたらしくな、どうやら快復にむかっているそうだ」 イン「それはよきことよな!」 フィ「まったくいつまで経てども頭が上がりそうにない……」 ステ(とか言いつつ微妙に嬉しそうだな) ステ(…………? やはりなにか、違和感が) フィ「ではな、最大主教、ステイル=マグヌス」 イン「……我らをして御身にならいて、常に天主に忠実ならしめ、その御旨を尊み、その御戒めを守るを得しめ給え」ニコッ ステ「(へえ……)かくして我ら相共に天国において天主の御栄えを仰ぐに至らんことを」ヤレヤレ フィ「……御身の御取次によりて天主に願い奉る、アーメン」フフッ スタ、スタ、スタ……ギィッ 「…………さらばだ」 フィ「機会がありければまた会いたし。主の加護があらんことよな!」 ステ「なんかうつってるーーーーー!!!??」ガビーーーーン! ステ「どうするんだあれ……」 イン「気にすることなしよな!」 ステ「なくてたまるか! アイツこれからあの口調で地球一周謝罪行脚するんですよ!?」 ピラッ イン「あれ? なにか紙切れが落ちたるのよ? なになに……」 フィ『そうそう言い忘れた、俺様の旅は「お客様は神様(以下略)」の宣伝も兼ねているのだが』 ステ「……いや、いつ書いたんだこんなもん」 フィ『先ほどちらりとだが見せてもらった「神にご奉仕☆(以下略)」には実に感銘を受けた。 そちらが良ければ俺様の城、略称「ベツヘレムの星」の制服として採用したいと思う。というか採用する。答えは聞いてない』 イン「!!」 ステ「!?」 フィ『現物はないが俺様の「聖なる右脳」にかかれば再現など容易い。 「あのイギリス清教最大主教も絶賛着用中!」のキャッチコピーで商品展開も考えているので楽しみにしt』ボウッ! イン「す、すている!? 何故にまたイノケンティウスを顕現させたるのよな!?」 ステ「ふ、ふぃ、っ、」 イン「ふぃ?」 ステ「フィアンマァァァァァァーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!」 鬼のような形相で『魔女狩りの王』を引き連れたステイルが大聖堂を飛び出す。通行人がびっくらこいて何人か腰を抜かした。 乳母車の赤ん坊がキャッキャと笑いだし、何故だか手慣れた感のあるホームレスがありがたやと暖を取りに群がる。 しかし本日四度目となった絶叫の元凶はすでにどこにも見えず、青青く晴れ渡る空に五度目の絶叫が響いて抜けた。 「不幸だぁぁーーーーーーーっ!!!!!」 続きますん