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黒子「いましたの?婚后光子…」 婚后「あ、あなたが誘ったんでしょ!?」 泡浮「まぁ今日は楽しみましょう」 上条「それじゃあもう入っとくか」 御坂「全く、男があんた以外全員遅刻ってどういうことなのよ」 上条「遅刻してない上条さんにそんなこと言われましても…」 青ピ「ごめんごめん、ちょっと遅れてしもたわ~」 上条「………」 青ピ「え?何で全員スルーなん?」 青ピ「土御門はもうちょっと遅くなるみたいやで」 上条「そうですか、この2対8の完全アウェーな状態がまだ続くんですか…」 梓「せ、先輩」 唯「うん、私も感じた。あの婚后とかいう人…」 梓「はい、十中八九、軽音部です」 「何で俺がカラオケなンかに行かなきゃなンなンねェンだ?」 「まぁまぁ、今日は楽しみましょう」 「お前はそりゃ楽しいだろォな、何せあいつがいるンだからよ」ガチャ 「………」 上条「………」 上条(え?嘘だろ?) 上条(何で一方通行に海原が…?) 上条(何してくれちゃってんのアホ御門のやろう) 一方(え?何で三下の野郎がいやがンだ?それよりこの女の数…ババァだらけじゃねェか) 御坂(何?この状況?一触即発じゃない…しかもなんで一方通行に海原さんがいるのよ…) 梓「でもどうやって確認しますか?」ボソボソ 唯「う~ん、確かに難しいね」ボソボソ 湾内「会いたいからぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 梓「律先輩のときはどうしたんですか?」ボソボソ 湾内「恋ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃしくて」 唯「確かりっちゃんに何か言われたと思う」ボソボソ 湾内「あなたうぉ思うぅほどぉ」 梓「とにかく会話したらヒントがあるかもしれませんね」ボソボソ 湾内「ううう、うううううううぅ!」 梓(このくそ暑い夏に何て曲を歌ってんですか…) 上条「次歌う?」 婚后「え?私が…?」 上条「うん、君が」 婚后「でも…私…」 上条「はい、リモコン」 婚后「あ…はい」ピトッ バシューーッ!!! 婚后「え?ここは?」 上条「…は?」 上条(イマジンブレイカーが発動したのか?) 婚后「あれ?梓ちゃん!」 梓「…は?」 婚后「私よ私!」 梓「ムギ先輩…?」 唯「………え?」 紬「あ、その声はもしかして唯ちゃん?」 梓「婚后さん?ちょっとトイレ行きましょうか?」 紬「大体は把握できたわ」 梓「流石のムギ先輩ですね」 紬「私は婚后光子のままでいれば良いのよね?」 梓「はい、よろしくお願いします」 紬「それじゃあ戻りましょうか」 梓「はい」ガチャ 泡浮「かっわいた~風をからまっせ~」 一方(これ、ほンとに女子中学生の選曲かよ) 泡浮「あっなたを~つれてくっのさ~」 その後、ステイル、建宮、冥土返しを交えたカラオケは土御門が来ないまま退室時間が来てお開きとなった 湾内と泡浮が険悪なムードになってしまったが紬は気づかずにいつも通りの婚后光子を演じたのだった 梓「酷かった…ですね」 唯「まぁムギちゃんが戻った理由は分からないけど、とりあえず収穫もあったし」 梓「まぁ良しとしますか」 御坂(当麻とカラオケ、楽しかったな~) 一方「二度とカラオケなンて行かねェぞ」 海原「打ち止めに誘われても?」 一方「…やっぱ前言撤回させてもらうぜ」 【韓国ー北朝鮮間】 「…レベル5」 「一人で軍隊を相手にできる能力者…」 ヒュオーッ 「………………」ニヤ 轟! 【初春宅】 唯「明日はりっちゃんのところに行こっか」 梓「そうですね」 「番組の途中ですが、ここで臨時ニュースです」 唯「うぇ、テレビ見てたのに…」 「つい、先ほど北朝鮮が突然の攻撃を受け滅びました」 梓「は………?」 唯「ど、どういうこと…?」 「今のところ、詳細は全く不明で明らかなのは北朝鮮が滅んだという事実だけです」 唯「これは酷い…」 「あ、今新しい情報が入りました!どうやら壊滅させたのは一人の少女のようです」 梓「ぶっ…」 梓「まさか…能力者?」 「これがその少女の映像です」 唯「こ、これ…」 梓「まさか………」 唯・梓「軽音部…?」 … アレイスター「いよいよ始まったか」 アレイスター「…これで科学サイドと魔術サイドの戦争だ」 アレイスター「チッ、奴らに期待もしたがやはり止められなかったか…」 ……… 唯「あの子に会いに行こう」 梓「な…正気ですか?そもそも学園都市から出れないのに韓国なんて行けるはずが…」 唯「じゃあ…あの子は………」 梓「………」 「続報です」 唯「!!!」 「その少女が現在行方不明中…え?また続報が入りました!」 「何かが日本列島に近づいてくる模様です」 梓「…これって」 「これがその物体の映像です、拡大して見てみますと」 「な…何てことだ………」 「柱のような物に少女が乗っています!」 「これにはタオ○イパイも驚きです」 梓「これって…能力者以外に考えられませんよね」 唯「それもレベル5クラスの…」 「間もなく日本に上陸します!」 梓「な…」 ヨウッコソーココヘ-アソボッヨパラダイッス 唯「あ、電話!固法先輩から!」 唯「はい、支部にですか?分かりました」 プツッ 「学園都市に住んでる皆さん、今すぐ○○に避難してください!レベル3以上の能力者は至急…」 【上条宅】 ピンポーン 上条「はいっ」ガチャ 土御門「カミやん、ニュースは見たな?」 上条「あ、あぁ」 土御門「カミやんと禁書目録は□□に来いと統括理事会からの伝言だにゃ~」 上条「な…何でインデックスまで!?」 土御門「今回のこれは魔術絡みなんぜよ」 上条「そんな…」 … 唯「ごめんあずにゃん!ジャッジメントは支部に集合だって」 唯「あずにゃん、ちゃんと避難するんだよ?」 梓「そんな…ムギ先輩はレベル4、律先輩は病人…」 梓「皆バラバラになっちゃうじゃないですか!」 唯「………」 梓「今こそ、軽音部がまとまらなきゃいけないんじゃないんですか!?」 ピンポーン 梓「………はい」 律「久し振りだな!」 梓「せ、先輩!?」 唯「りっちゃん!どうして…」 紬「私もいるよ」 唯「ムギちゃん!ムギちゃんはレベル4なんじゃ…」 律「統括理事会が私たち4人はやるべき事をやれってさ」 唯「そっか…」 梓「でも私たちがやるべき事って…」 「例の少女が日本に上陸しました!もの凄い勢いで東京に向かっています!」 紬「もう時間がありませんよ!?」 唯「やっぱ私たちには演奏しかないんじゃないかな?」 律「はぁ?この状況で…しかも楽器も無いのにどうやって…」 「これは…学園都市に向かっています!」 梓「やっぱり…もう時間も無いですよ?」 「例の少女が学園都市に着きました…!ここからは生中継です!」 唯「………ぐっ」 律「くそったれ…」 「誰かが…少女に向かって歩いていきます!」 「えらく派手に騒ぎやがって…ここまで有名になれたンだ、もう眠っとけや」 「白い少年が段々と距離を縮めていきます!」 梓「あ、あいつはあの時の…」 唯「とりあえず、現場に行ってみよう…」 梓「正気ですか!?」 律「いや、もうそれしかないかもしれない」 紬「そうですね、幸いあの人が時間を稼いでくれてるからその間に…」 梓「あぁ…もう!分かりました、行きましょう!」 「例の少女が光線のようなものを少年に放ちました!こ、これは…当たる…!?」 「あ、なんと!光線がはねかえっます!まっすぐ少女に向かって…」 「例の少女は片手で難なく弾き飛ばしました…」 律「つ、つぇぇ」 唯「一応ラジオも持っていこう」 律「よし、行くぞ!」 ドオォォォン! 紬「な、何?」 律「さっき弾いた光線がどこかに当たったんだろ…さ、行くぞ?」 唯「ここから結構離れてるね」 律「公共の乗り物は全部止まってるぞ」 唯「…走っていこう」 【戦闘現場】 一方「いくら打っても無駄だぜ?」 少女「………」 一方「そンじゃあこっちから行かせてもらうぜェ?」ダッ 少女「…中々早いな」 一方「言ってる場合カヨ!」 少女「でも私に比べたら遅い…」ヒュン 一方「なっ…」 少女「今度は肉弾戦だ…」 ドゴッ 少女「…パンチも跳ね返るのか」 一方「なンつーベクトル量だよ…」 ……… 一方「糞がっ」 一方(バッテリーが切れるまでもう時間がねェ) 一方(こっちの攻撃が当たらねェからキリがねェぞ) 一方(ちっ、もう切れやがる!最後に距離を取るか…)ダンッ 少女「初めて逃げたな」ダンッ 一方「なっ!?」 一方(一瞬で距離を縮められた、やられる…) ドォォォン 一方「あ…?」 御坂「何かヤバそうだったから勝手に手貸したわよ」 一方「チッ、余計な事を…」 少女「今のは流石に避けきれないな」 御坂「な…無傷…?」 少女「さ、今度は死ね…」 一方「………」フッ 「待って!!!」 少女「………」 唯「…もう止めてよ!」 少女「………」ニヤ 少女「のこのこやって来たか、裏切り者風情が」 律「どういうことだよ…!」 少女「凄いな、本当に成功しているのか」 律「ちゃんと説明しろよ!意味が分からねぇぞ!」 少女「言っても意味がないだろ…どうせ記憶が無いんだろ?」 紬「…な、なぜそれを…?」 少女「わざわざ説明してやるほど時間も無い…」 少女「手早く言うと、お前らを殺させてもらう」 律「は、はぁ?何を言ってんだよ」 少女「死ね!」 轟! 少女「…またお前か」 御坂「大丈夫?ばんりちゃん!」 律「み、御坂さん!」 御坂「初春さん?こいつ倒したら事情をちゃんと教えてもらうからね?」 唯「とは言え、私にもよく分からないんです…」 御坂「ま、せめて相談位はしなさいな」 唯「御坂さん…」 少女「…めんどくさいな」 少女「まずはお前から死んどけよ」 梓「あ、危ない!」 斬! 御坂(ぐ…避けきれな………) 上条「だ、大丈夫か御坂!」バシュッ 御坂「あ、あんた…レベル0のあんたが何でここに…」 上条「俺もよく分かんねぇが統括理事会からの勅命だ」 御坂「ま、戦力にはなるわね…」 少女「次から次えと邪魔が入る…」 唯「ねぇ!何でこんなことするの!?私たち仲間だったんじゃないの!?」 少女「………」 少女「…ふっ、はははっ!ははははははははははは!!!」 唯「!?」 少女「仲間、か…私もそう思ってたよ」 唯「だからどういう意味なの?」 少女「ふっ、私の名前は秋山澪だ」 唯「澪ちゃん…?」 澪「まぁ、思い出せないだろうな」 澪「脳細胞を焼ききったんだから…」 梓「それはどういう…」 澪「お前らは…私の仲間だった…」 唯「だった…?」 澪「でも、お前らはスパイだったんだよ」 律「スパイって…何の?」 澪「学園都市からのだ」 5
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全力で貴方たちを倒す! if√ 2 「まずいな…」荒廃した学園都市の第7学区一角に追い込まれた上条が息絶え絶えに呟いた。体には無数の傷があり、あちこちで出血している。だがまだ生きている。この状況下ではまさに奇跡と言える。御坂達と別れてからの数か月間、まだ残っているであろう学生達を逃がすために戦い続けてたからだ。「そうか…あれからもう何か月も経っているのか……うっ…!」(くそっ!骨を何本かやっちまったか?にしても一方通行のやつ無事かな…)基本的に一方通行と行動を共にしていたのだが、一度包囲されて絶体絶命という時があった。魔術やら超能力がひっきりなしに飛び交う中、無我夢中で包囲網を突破している内にはぐれてしまったのだ。集まろうにも連絡手段がない。と、ふいに視界がぼやけた。(まだ倒れるわけには…、あの約束まだ守れてないだろ!しっかりしろ俺…)気力を振り絞ってなんとか自らを奮い立たせる。(にしてもいったいいつまで続くんだこの戦い…早く終わらせなくちゃな)同じ頃第23学区の空港のロビー「ぐわあああああああ」断末魔の叫び声を上げ一人また一人倒れた。最後まで残った研究者は目の前の光景が信じられなかった。先ほどまでは絶対的優位に立っていたのに今は逆に追いつめられているからだ。床には泡をふいて気絶している仲間があちらこちらに転がっている。(そんな馬鹿な!対策はしっかりしてきたはずだぞ!!なぜキャパシティーダウンが効かない!?)「知りたいか?キャパシティーダウンってのは所詮音でしかない。なら話は簡単でよォ、その音の疎密波を反射しちまえば俺には届かないってわけだァ」「だとしてもここまで早く解析されるものじゃ…」「オマエ、誰を敵に回してんのか理解は追いついてんのかァ?」「はっ…やめ、たすk」「とりあえず死体決定だクソ野郎」1分後、誰もいなくなったロビーには動かなくなった人間が一人増え、静けさが戻った。同じ頃第10学区の広場「はあああああああああ!」「七閃!!」もう何人倒したことか。いくら倒しても、敵の数が減ることはない。むしろ増えているのではないか。このままではジリ貧だと判断した神裂は、天草式に一度引くと伝えた。「キリがありません。ここは一旦引きましょう!」「今のプリエステスの言葉を全員聞いてたのよな!1、2、3の合図で逃げるぞ!」「「「「「「了解!!!」」」」」」「行くぞ……1、2の3。今だ!」突如彼らの周りをまばゆい光が包み込んだ。ようやく目が慣れてきたころには、人っ子一人もいなかった。今までの場所から10km離れた場所にやってきた天草式はようやく一息つくことができた。「プリエステス、どうしますか?」「この状況からするとこれ以上戦うのは無理そうですね…」「仲間が何人か怪我を負いましたからね…」元々天草式を含めたイギリス清教の援軍は、本来なら今いる人数の2倍はいたはずだった。それがこの1カ月の戦いで半分が怪我などでイギリスへ戻ったのだ。一向に減らないどころか、ますます勢力を増している敵の前になす術はなく、こちらの負傷者が増えるばかりだった。「待ってください!そしたらあの人はどうするんですか!!」「あの人を見捨てるなんてそんなことはできません!私一人でもあの人を助けに行きます!!」「いい加減にしろ、五和!ちゃんと現実を見ろ!お前さん一人で何ができる!」「だけど建宮さん、このままじゃあの人が、あの人が…」「分かってる。いつも我々は上条当麻に助けられっぱなしだったからな。だから今回は我の番だ。」「絶対上条当麻を助ける!そのためにも今は生き残ることを考えろ!」「う、うっううううう」片想いの少年を助けることさえできない己の未熟さが悔しく、涙を流す少女の嗚咽があたりに響いた。学園都市ゲート付近「噂には聞いてたがここまでとはな」「あの男が守りたがっていた世界を壊させるわけにはいかない。俺様はまだあの男から何か学べるかもしれない」「別に私は借りを返すだけだ。貸しをつくったままだと気持ち悪いからな。」「どっちが多く倒せるか勝負しないか?」「望むところである。良い酒用意しとけよ」「その賭け、俺も混ぜてくれよ。家だとアイツが全然飲ませてくれなくてさ」「何か言ったかこのばか野郎。また小屋で三角木馬を味わいたいのか」あらゆる点で異なる7人が集う。たった1人の少年のために。 「上条当麻はまだ見つからないのか!」「はい、全力で探しているのですが…」「言い訳はいい。何が何でも探し出せ!」「お前、あの男を見つけたら、どうするつもりだ?」「殺すに決まってるだr…誰だ!?」振り向くと、肩から3本目の腕を召喚させてるやつがいた。「俺か?俺様は右方のフィアンマ」「右方のフィアンマ…アイツか!!なぜ生きている?なぜここにいる?」「決まってんだろ。あの男の力になりにきた。ここにいるやつら全員そうだぜ」「な…?」「左から前方のヴェント、後方のアックア、バードウェイ、オッレルス、シルビア、騎士団長」「なかなか豪華なメンバーがそろったろ。国も思想も異なるやつらがあの男のために集結したんだ。」「そんな男を殺させるわけにはいかない」学園都市外のある街「御坂さん、帰りにカラオケ行かない?男子も来るよ!」「えーっと…ごめん、今回はパス」「そうなの?残念ー。御坂さん男子に結構人気あるんだよ?」「転校してきて、まだ半年なのにもう告白された回数が3桁に突入したって噂もあるよね」「なのに御坂さん、全部断っちゃって。ねえねえ誰か他に好きな人でもいるの?」「うん、いるよ。今もあのなかで戦っているの。アイツが帰ってくるまで私何年でも、何十年でも待つって約束したの」「御坂さん…その人帰ってくるといいね」「うん…」第13学区「あァ?なんだアレ?」「おーおーおー。久しぶりだな一方通行、ハワイでの一件ぶりか?」「そう言うてめぇはバードウェイ。何しに来やがったァ」「別にお前らの敵じゃない。少なくとも今回はな…」「あの少年を助けるために来たのである」「?あァヒーローのことか」「状況はどうなんだ?」「最悪だぜェ。いくら倒しても減らない。ジリ貧だなァ。お前らが来たところで戦力になるのか?」「言っとくがこいつら私以上の化け物揃いだぞ。お前も瞬殺されるぞ」「チッ、絶対ヒーローを助け出せ」「もちろん、そのために来たのだからな」ザッ「そこにいるのは誰ですか!?」「!!お前ら天草式ではないか」「騎士団長!?後方のアックア、オッレルス…」「何なんですかこのメンバーは…」「お前らと同じだよ。上条当麻はそっちにいないのか?」「捜索はしているのですが、未だに…」「んじゃあ、敵さんを倒しつつ、アイツを探すとしますか。」「おい!!ここにいるぞ!!」「聖人とかいるぞ!こいつらを倒せば報酬たんまりもらえるぞ!」「見つかりましたね…ここは私が!」「私が行くよ。そのほうが簡単で早いだろ」「なんだ、このくそ女!気持ちわりい装飾品身に付けやがって」「まずはこの女からぶっ殺せ!」「そう思った時点でお前の負けだよ」「なにほざいて…んd」男は倒れ、昏睡状態に陥った。「はい終了。とっととこんなつまらない芝居幕引くぞ」 第7学区上条は今走っている。敵の魔の手から逃れるために。止まればそこで終わり。先ほどからカラフルな閃光やらが飛んでくる。(そういや、昔こんなことあったな。追ってくるのは美琴だったけど)(こんなところで死んじまったら、俺を追いかけまわしてた美琴に申し訳ないだろ!)上条は向きを変えて、敵の方へ走って行った。「お前らの攻撃なんかアイツに比べれば大したことないんだよおお!」飛んでくる閃光を効率よく打ち消し、上条は敵を殴り倒す。ふと辺りを見渡せば、美琴に本気の電撃を受けたあの鉄橋まで来ていた。(この鉄橋にはいろいろ思い出があるんだよな…会いたいな美琴)感傷に浸っていたら、肩に激痛が走った。「だーから、言ったのに。こいつにはこういう銃が一番効果的なんだって」「上条当麻、お前はもう逃げられない…ここでおとなしく死んどけ」どこから現れたのか、銃を手にしている10人の傭兵が上条の周りを取り囲んでいる。(万事休すか、俺はここで死ぬのか…)学園都市外 とある街喫茶店「はっ!アイツ今!」「どうなさいましたの、お姉さま?」「アイツが今危ない!なんか感じたの!」「気のせいではないんですか、御坂さん?」「ううん、間違いない。アイツ今死にかけてる…」prrrr「はい、御坂です」『あっ、短髪?今なんかとうまが危ないような気がして…』「アンタも感じた!?」『うん、占いをしてたら、急に皿が全部割れたんだよ』「…」『ねえ短髪、何かできないかなとうまのために』「私たちがあそこに行ったってアイツの足手まといになるだけ…私たちにできるのはアイツが…当麻が無事に帰ってくることを祈るだけなの」『分かったんだよ。私はシスターなんだからとうまの無事を祈るんだよ』会話が終わり、美琴は電話を切った。(当麻、お願いだから無事に帰ってきて…)黒子、佐天、初春はただその姿を眺めることしかできなかった。
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第二十三話 だってチューしたいんだもん 編注:「前回」は存在しません。 前回までのあらすじ土御門「カミやん、第三位と付き合ってもう半年だろ? キスくらいしたらどうかにゃー?」食蜂「ぷークスクス! 御坂さん、上条さんから倦怠力満載で飽きられてるんじゃなぁい?」婚后「こここ恋のお悩みならば、ひゃ、ひゃ百戦錬磨の婚后光子にお任せくださいなっ!」一方通行「クソ、どォなってやンだァ!? テメェは俺が殺した筈だろォがよ木原ァァァ!」小萌「いいですか、上条ちゃん。女性に恥をかかせるものではありませんよ?」インデックス「とうまはやっぱりとうまだから仕方ないと思うんだよ」上条「美琴…ちょっと目を瞑っててくれないか…?」美琴「えっ? こ、こうかしら…? …………っ!!!??!?!!?」佐天「って、それ思いっきりキスされてるじゃないですかっ!」吹寄「主文。被告人・上条当麻を死刑に処す」 ◇「はぁ~…」美琴は自分のベッドの上で横になりながら、先日のデートを思い出していた。デートの帰り際、ふいに上条に呼び止められ、彼に言われるがままに目を瞑った。そして次の瞬間に美琴が唇に感じたあの柔らかい感触が、今でもまだ残っているのである。美琴は指でスッと唇をなぞり、ウットリと天井を見つめたまま、一言漏らす。「やっぱり…キス、しちゃったのよね………って、うわああああぁぁぁぁ~~~!!!」自分で確認しておきながら、改めて自覚すると恥ずかしくなってしまい、美琴はフカフカ枕をギュッと抱き締めると、そのままゴロゴロと転がり始めた。こんな姿、今は風紀委員の仕事で部屋を留守にしているが、ルームメイトの白井には見せられないだろう。ただでさえ彼女は、美琴と上条が付き合い始めてから真っ白になっているというのに。「はぁ…」ひとしきり転がった【あばれた】美琴は、再び横になって上を見上げる。そして再び唇を指でなぞりながら、こんな事を思っていた。(また…キスしたいなぁ…)一度しただけで相当ハマってしまったようである。どんだけ気持ち良かったのか。そんな事を考えつつ何気なくテレビに目を向けると、つけっ放しだったワイドショー番組は、いつの間にか古い洋画に変わっていた。どうやら前の番組【ワイドショー】が終わって次の番組【えいが】が始まった事にも気付かない程、真剣にゴロゴロ(?)していたらしい。(映画とか途中から観てもアレだし、チャンネル変えよ)美琴は横になったまま、テレビに向かって能力を行使しようとする。ちなみにリモコンを使わず能力でテレビに干渉するのは、単純にリモコンが手の届く所になく、尚且つ今の美琴は家ダラモードになっている為、動くのが面倒だからだ。しかし結局、美琴は能力を使ってチャンネルを変える事はなかった。変えようした次の瞬間に流れてきた、映画のワンシーンに釘付けになってしまったのだ。(っ!!! しゅ、しゅごい…きゃも!)それは洋画によくある、「ここ本当に必要か?」と思うくらいの激しいベッドシーンだった。家族だんらん中に流れると急激に気まずくなる、アレである。今まではこんなシーン観ても何ともなかった美琴だが、なまじキスの味を覚えてしまったが為に、その濃厚なディープキスに心ときめいてしまったのだ。一回しかキスしてないクセに。(こんな、キス……も、もも、もしアイツとしちゃったら… わ、わ、私どうなっちゃうの!? ねぇ、どうなっちゃうのっ!!?)知らんがな。 ◇その日、美琴がデート中ずっと気持ちがうわの空だった事に、上条は思う所があるのか、じっとりと嫌な汗をかいていた。恋人繋ぎしている右手にも、思わずギュッと力が入ってしまう。(う~…! やっぱ、この前キスしたこと怒ってるんですかね!? いや、まぁ確かに急だったけど、何かいい雰囲気だったし 上条さんだってお年頃な訳で、そろそろかな~とか色々と考えてですね!)言い訳なのに何故か心の中で済ませようとする上条。念話能力者でもあるまいし、美琴に伝わってほしいのかほしくないのか。とまぁ上条がそんな事を考えている一方で、うわの空だった当の本人【みこと】はと言えば。(たいチューしたいチューしたいチューしたいチューしたいチューしたいチューしたいチュ)先日に観た映画のベッドシーンを、頭の中で何度も再生させていた。映画の中の男優と女優を、ご丁寧にも上条と自分で置き換えながら。しかしツンデレ時代が長かった美琴は、無事に好きな人【かみじょう】とお付き合いが出来るようになった現在でも、その頃【ツンデレ】のクセは抜けきっておらず、思いっきり葛藤してしまう。(でででも、私から『チューして?』なんて言うのは…は…恥ずかしいし! それに当麻にエッチな女の子だって思われたくないし……あぁでもチューしたい~!)知らんがな。ちなみに美琴は普段、上条の事を『アンタ』だの『あの馬鹿』だと呼んでいるが、心の中ではしっかりと『当麻』と言っていたりする。これは恋人となって一番の大きな変化である。あくまでも美琴の心の中では、であるが。だがそんな事になっているとは露知らぬ上条は、意を決してキスしてしまった事を謝ろうとする。「あ…あのさ、美琴……こ…この前その、キ、キスし―――」「はっ! ひゃひゃひゃひゃいっ!!!」『キス』という単語を聞いただけで、過剰に反応してしまう美琴。内心では「もう一回しようとかそんな流れっ!!?」と小躍りしている所だろう。しかし次に上条の口から出てきた言葉は、美琴が望んでいるそれとは180度違うものだった。「―――キ、キスしちまった、だろ…? えっと…美琴が嫌…だったんなら、もうしない…からさ。き、機嫌を直」「イヤっ!!!」再び食い気味に割って入ってくる美琴。この流れは、恥ずかしいから言えないとか言っている場合ではない感じだ。「あ、ああ、うん。だから嫌ならもうしないから」「違うそっちの意味じゃないっ!!! もう馬鹿っ!!! 全然私の事分かってくれてないじゃないっ!!!」美琴は思わず声を荒げてしまった。このまますれ違ってしまうなんて耐えられなかったのだ。…何だか妙にシリアス風味な空気を醸し出してはいるが、要はキスするしないでケンカしてるだけなので、いっそ爆発してしまえばいいと思う。 「私はね! アンタとキッ! ……キ…ス…した時! すっごい気持ち良かったんだから! むしろいっぱいしてほしいと思ってるし! 何だったら! も、もももっと激しいヤツとかしてくれちゃっても全然いいかもくらいに思ってんのよ!」大声で何を言っているのかこの娘は。美琴は気付けば内に秘めていた思いの丈を、存分に吐き出し、そしてぶつけてしまっていた。勢い余ってツンデレを凌駕してしまったとかそんな感じっぽいけどどうなんだろうこれ。そしてその思いを知ってしまった上条は、顔を真っ赤にしながら聞き返す。「も…もっと激しいヤツって…?」「だっ! だからあのアレよ! そ、その……つつ、つまり…ベ…ベロチュ……ってのを…」勢いで言ってしまった美琴だったが、改めて確認されるとやはり恥ずかしくなってくる。上条と同様、顔が真っ赤になってしまった。もっとも美琴は付き合う以前から、しょっちゅう赤面していたけども。しかし女の子にここまでさせて、肝心の上条が何もしないでは男が廃る。上条は握ったままの手(ここまでずっと恋人繋ぎを持続させていたらしい)をグイッと引っ張り、何か表情をキリッとさせて、自分で考えられる一番のイケメン顔を作り出す。「……い…いいんだな…? 上条さんだって男だって事…分かってて言ってるんだよな?」すると美琴は、赤くしたままの顔で小さく頷く。そのサインを合図に、上条は美琴の腕を引っ張ったまま、ひと気の無い路地裏へと連れ出した。 ◇人通りの無い路地裏で、卑猥な音と艶かしい声が響いている。そこにいるのは二人の男女…いや、これはもう雄と雌と言った方が正しいだろうか。クチュクチュと音を立てながら激しく舌を絡ませ、お互いの唾液が混ざらせ、口から溢れた唾液が滴り落ち、ハァハァと熱い吐息が漏れ、抱き締め合っているその姿は、発情した獣その物のようだった。「ずぢゅ、んくちゅくちゅ♡ は、あぁ、んっぶ♡ にゅぶぶ、ちゅぷ♡ ぺちゃぺちゃ♡ んっ、ぁむっ♡ ふー、ふー♡ れおれお、ぢゅりゅっ♡ にゅちゅ、ぷちゅるる♡」生まれて初めて男の味を知ってしまった美琴の舌は、それを喜ぶかのように上条の口内をうごめき、その快感は容赦なく美琴の脳を破壊していった。上条とキスすること以外、何も考えられなくなってしまう程に。キスだけでこんな事になってしまったら、『それ以上』の事をしたら、それこそ一体どうなってしまうのだろうか――― ◇次回予告美琴「ねぇ、当麻…このまま………シよ…?」上条「もう後には引けないからな! ここまでさせた美琴が悪いんだぞ!?」刀夜「とととと当麻っ!? せ、せせ、責任はどどどうするんだ!!?」初春「ぬふぇ~~~~~~~~~!!!」建宮「教皇代理として総員に告ぐ! 今すぐ五和の半径100㎞圏内から離れるのよー!」一方通行「つまりありゃァ木原のクローンって訳かよ! めンどくせェもン作りやがって!」舞夏「お…おおぉ…そ、そうかー。まぁ、ヤっちゃった物は仕方ないんじゃないかー?」オティヌス「……それが貴様の選んだ答えなのだろう?」白井「オホホホホ類人猿さん。少々お聞きしたい事がありますので面をお貸しくださいな?」美鈴「つまりね美琴ちゃん。いっその事、お嫁さんになっちゃえばいいのよ」
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美琴「やったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 しかし上条当麻の不幸(?)をなめるでない。 ドカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!! 当琴「「何!!」」 いきなりドアが吹っ飛んだ。そのふっとばした元凶が… 五和「当麻さん久しぶりです。そして御坂美琴さん…死ねえええええええええええええええええええ!!」 美琴「ア、アンタあの時の!!」 当麻「今の言葉どういうことだ!!説明しろ!!」 こんな時でも自分のことを考えてくれている当麻に、美琴は嬉しかった。 五和「説明しろと言われましても…言葉のとおりです。まあ簡単にいいますと当麻さんを賭けて勝負しろとそこの世間知らずな貧乳中学生に挑戦を挑んでいたんです。」 美琴「ひ、貧乳って!!ちょっとアンタね!!」 当麻「やめとけ美琴、それにお前は胸が小さくても魅力的だぞ。」 美琴「当麻…。」 当麻「美琴…。」 チュッ 二人はこんな時にもかかわらず、二人のキスの時間を楽しんでいた。 もちろん大人のキスで…。 五和「不本意ながら慣れてしまいましたので………そういうことなら当麻さん、あなたも消えてしまえぇぇええええええええええええええ!!!!!!!!!!」 上条「やめろぉぉおおおおおおおお!!!!!!」 五和の魔術攻撃は上条の右手によって無効化される。がその余波の爆風によって上条の部屋は完膚なきまでに破壊されていく。 「「「「「「なんじゃこりゃゃああぁああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」 当然隣の部屋も無事では済まされない。 今のは壁を吹き飛ばされた土御門宅にいた 土御門元春・白雪月夜・白井黒子・青髪ピアス・打ち止め・一方通行の声である。 一方「魔術ってチートすぎじゃねェのかァ!!!???」 土御門「こんな連絡は受けてにゃいにゃー!!!」 白井「おっ、お姉さまぁあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」 白雪「うわーっ!!これってすごくない?」 打ち止め「この状況で落ち着いてるあなたの方がすごいよっ!!ってミサカはミサカは突っ込んでみたりっ!!!」 白雪「とりあえず、防壁でも作るかー。とりゃーっ!!!」 土御門「月夜っ!!雪の防壁の頑丈さは知ってるけど五和のはそんなんじゃ無理だーっ!!!」 白雪「じゃあどーすんの?」 土御門「総員退避――――っ!!!!!!!!」 青ピ「白井さんも死にたくなけりゃこっち来いっ!!!!!」そう言って彼は一人残ろうとしていた白井の首根っこを掴む 黒子「おねーさまーーっ!!!!!!!!!」 上条「ぜぇ、ぜぇ、美琴、無事か?」 美琴「ええ、当麻は?」 上条「この右手があっからな。」惚れた女を守るにはもってこいの能力だなと思いつつ彼は言う。 五和「さて、お二人さん。辞世は書けましたか??」もうもうとあがる粉塵の中から五和が現れて言う。 上条「だからおめえもいい加減あきらめろッ!!」 五和「まぁ、あなた方お二人の姿を鑑みるに、形勢逆転は無理ですけど、」やけに饒舌である。天草式が見たらそれだけで失禁しているであろう。 五和「私の純情をもてあそんだアナタにも死んでもらいますっ!!」 当麻「うぎゃあああああああ!!!!!!!!」 その時雷光が走った。正確には美琴のレールガン。 通常人には撃たないそれが五和に向けて正確に打ち放たれた!! 五和「ぐっ、ぎゃあああああああ!!!!!!」 彼女は初速1000メートル/秒の超電磁砲を見事に防いだ。 これだけでもすごい事である。 が、しかし! 生憎コインの持ち合わせがなかった美琴(まあ普通デートに行く時武器を持ってく人はおらんわな。)は手近にあった大きめの金属片(多分五和の攻撃で破壊された電化製品の一部。)重さ約3キロをぶっ放していた。 この重量で初速がコインの時と変わらないというのはすごい事である。まさに「愛は偉大なり」と言ったところであろうか。 ともかく重量があるということはそれだけエネルギーがあるということであり。 結果通常のコインなら無事ですんだはずの五和はまともにふっ飛ばされる結果となった。 当麻「えーーっと。今美琴何飛ばした?」 美琴「分かんないけど……。さすがにまずかったかな?」 当麻「いや、あいつなら問題ねえだろ。」 こちらは上条宅から500メートル離れた地点。 巨大なクレータが開いていた。その爆心地に埋まりこんでいるのは一人の少女。もとい五和。 敗北を喫した五和だが、その目にあるのは涙ではなく決意。 五和「さすが、当麻さんが選んだ彼女。世間知らずなだけでなく破壊力も桁はずれと来ましたか。」科学と言うもののすごさをかみしめる五和。 五和「でも、あきらめたわけじゃありませんよ。」彼女はムクリと身を起こす。 五和「当麻さん、いつかきっとあなたを後悔させてあげますからっ!!!」うわーおっそろしい決意表明です事。 建宮「おーい、五和ー大丈夫なのよねーーーー??」クレータの淵から声がする。 五和「大丈夫でーす。」 浦上「今からロープ下ろすぞー。それと……」浦上はすまなそうに続ける。 「ロンドンへの帰還命令が出たー!!すまんけどー」いいつつ下がるのは本能的にであろう。 五和「わっかりましたー!」 飲み込み&あきらめ(?)の早い五和にポカンとする五和。彼女は思う。 (今は引きますけど、今度会ったらケチョンケチョンのグチャグチャにしてやりますから。御坂美琴。名前は忘れません。)二人が聞いたらおびえるだろうなあとも思った。 そのころ破壊された上条宅では…… 土御門「まあ修理屋呼んだから直るまで晩飯でも食いにでもいくにゃー」 と言う事なので近くのファミレスで夕飯を食べる事になった。 当麻「いやー、俺の方まで払ってくれるなんて助かるよ土御門。やっぱ持つべきものは友達だな!!」 土御門「カミやんには世話になってるからにゃー。日頃のお礼にゃー。」 白雪「日頃って?」 土御門「たいしたことないぜい。」 打ち止め「ミサカはハンバーグ食べるーって決定事項をあなたに伝えてみる!!」 一方通行「なんでンナこというンだよォ。」 打ち止め「だって~あなたとの思い出の味だもの~ってミサカはミサカはあの時の事を思い出してみたり~。」 青ピ「あの時ってなんや~?」 打ち止め「それはね~って痛い!!なにするのってミサカはミサカはあなたに抗議してみたり!!」 一方通行「いったらコロスゾ」 打ち止め「きゃーーあなたがいったらシャレになんない~ってミサカはミサカはあなたを恐れてみる!!」 美琴「黒子、あんたあの青いのとどんな感じになってるの?」 黒子「ど、どんな感じって!!あの殿方とはなんにもありませんの!!」 青ピ「なんの話や~」 黒子「殿方には関係ありませんの!!」バコッ!! 青ピ「なにすんねん!!」 そんなぎゃーぎゃーにぎやかに歩いていく。上条当麻の不幸(?)がまってるのも知らず…。 定員「八名様ですね。それではこちらにどうぞ」 そんなこんなでファミレスに着いた8人そんな中、当麻と美琴によく知ってる声がかけられた。 詩菜「あらあら、当麻さん的にはみんなで夜遅くに食事をするのがいいのかしら?」 美鈴「美琴ちゃんたらーこんな夜遅くに上条君と夜のお食事?」 当琴「「なんでお前がここにいるーーーーーーーーーーーーー!!」」 それは二人の母親がいた。 青ピ「ん?こちらのお二人さんカミやんと御坂はんにそっくりやなー。もしかしてお二人の姉さんなんか?ずいぶんベッピンさんやなー。」 黒子「少なくてもお姉様似の方はお母様ですわ…。」 青打雪「「「マジで!!??」」」 美琴「ちなみに言うと、もう一人は当麻のお母さんよ…。」 青一打黒雪「「「「「うそだ!!」」」」」 当麻「何でそこで全員一致!?てか母さん何でここに!?」 詩菜「いやねぇ、美鈴さんに誘われましてね、そんな理由で許可降りるか心配でしたけどあっさり降りたのよー。ムムム、そちらが美琴さんね。あらら。お母様そっくりで美人ですわぁー。当麻さんにはもったいないくらい。」 白黒一打青土「「「「「「ブッ!!!」」」」」」最後の一文で吹いた。 美鈴「いやだー、美人だなんてぇーっ。詩菜さん御冗談がうまいー。」 土御門「最後の一文スルーかよっ!!??」 青ピ「親公認と来たか……」 美鈴「ンン?間違ってたー?どう見たってバカップルじゃん。」 詩菜「ですよねー。」 上琴「「アンタらに言われたないわっ!!!」」 実際この親たち旦那とのバカップルぶりは伝説となりつつある。 美鈴「ムム、息もぴったりと来たかーっ、で美琴ちゃん」そう言うと娘の手を引っ張ってトイレへ。 美鈴「でさー、告白とかできたわけ?奥手な美琴ちゃんじゃあ無理だろうけどー。」 笑いながら言う。んなことできるわけないとでもいうかのように。
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美琴「やったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 しかし上条当麻の不幸(?)をなめるでない。 ドカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!! 当琴「「何!!」」 いきなりドアが吹っ飛んだ。そのふっとばした元凶が… 五和「当麻さん久しぶりです。そして御坂美琴さん…死ねえええええええええええええええええええ!!」 美琴「ア、アンタあの時の!!」 当麻「今の言葉どういうことだ!!説明しろ!!」 こんな時でも自分のことを考えてくれている当麻に、美琴は嬉しかった。 五和「説明しろと言われましても…言葉のとおりです。まあ簡単にいいますと当麻さんを賭けて勝負しろとそこの世間知らずな貧乳中学生に挑戦を挑んでいたんです。」 美琴「ひ、貧乳って!!ちょっとアンタね!!」 当麻「やめとけ美琴、それにお前は胸が小さくても魅力的だぞ。」 美琴「当麻…。」 当麻「美琴…。」 チュッ 二人はこんな時にもかかわらず、二人のキスの時間を楽しんでいた。 もちろん大人のキスで…。 五和「不本意ながら慣れてしまいましたので………そういうことなら当麻さん、あなたも消えてしまえぇぇええええええええええええええ!!!!!!!!!!」 上条「やめろぉぉおおおおおおおお!!!!!!」 五和の魔術攻撃は上条の右手によって無効化される。がその余波の爆風によって上条の部屋は完膚なきまでに破壊されていく。 「「「「「「なんじゃこりゃゃああぁああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」 当然隣の部屋も無事では済まされない。 今のは壁を吹き飛ばされた土御門宅にいた 土御門元春・白雪月夜・白井黒子・青髪ピアス・打ち止め・一方通行の声である。 一方「魔術ってチートすぎじゃねェのかァ!!!???」 土御門「こんな連絡は受けてにゃいにゃー!!!」 白井「おっ、お姉さまぁあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」 白雪「うわーっ!!これってすごくない?」 打ち止め「この状況で落ち着いてるあなたの方がすごいよっ!!ってミサカはミサカは突っ込んでみたりっ!!!」 白雪「とりあえず、防壁でも作るかー。とりゃーっ!!!」 土御門「月夜っ!!雪の防壁の頑丈さは知ってるけど五和のはそんなんじゃ無理だーっ!!!」 白雪「じゃあどーすんの?」 土御門「総員退避――――っ!!!!!!!!」 青ピ「白井さんも死にたくなけりゃこっち来いっ!!!!!」そう言って彼は一人残ろうとしていた白井の首根っこを掴む 黒子「おねーさまーーっ!!!!!!!!!」 上条「ぜぇ、ぜぇ、美琴、無事か?」 美琴「ええ、当麻は?」 上条「この右手があっからな。」惚れた女を守るにはもってこいの能力だなと思いつつ彼は言う。 五和「さて、お二人さん。辞世は書けましたか??」もうもうとあがる粉塵の中から五和が現れて言う。 上条「だからおめえもいい加減あきらめろッ!!」 五和「まぁ、あなた方お二人の姿を鑑みるに、形勢逆転は無理ですけど、」やけに饒舌である。天草式が見たらそれだけで失禁しているであろう。 五和「私の純情をもてあそんだアナタにも死んでもらいますっ!!」 当麻「うぎゃあああああああ!!!!!!!!」 その時雷光が走った。正確には美琴のレールガン。 通常人には撃たないそれが五和に向けて正確に打ち放たれた!! 五和「ぐっ、ぎゃあああああああ!!!!!!」 彼女は初速1000メートル/秒の超電磁砲を見事に防いだ。 これだけでもすごい事である。 が、しかし! 生憎コインの持ち合わせがなかった美琴(まあ普通デートに行く時武器を持ってく人はおらんわな。)は手近にあった大きめの金属片(多分五和の攻撃で破壊された電化製品の一部。)重さ約3キロをぶっ放していた。 この重量で初速がコインの時と変わらないというのはすごい事である。まさに「愛は偉大なり」と言ったところであろうか。 ともかく重量があるということはそれだけエネルギーがあるということであり。 結果通常のコインなら無事ですんだはずの五和はまともにふっ飛ばされる結果となった。 当麻「えーーっと。今美琴何飛ばした?」 美琴「分かんないけど……。さすがにまずかったかな?」 当麻「いや、あいつなら問題ねえだろ。」 こちらは上条宅から500メートル離れた地点。 巨大なクレータが開いていた。その爆心地に埋まりこんでいるのは一人の少女。もとい五和。 敗北を喫した五和だが、その目にあるのは涙ではなく決意。 五和「さすが、当麻さんが選んだ彼女。世間知らずなだけでなく破壊力も桁はずれと来ましたか。」科学と言うもののすごさをかみしめる五和。 五和「でも、あきらめたわけじゃありませんよ。」彼女はムクリと身を起こす。 五和「当麻さん、いつかきっとあなたを後悔させてあげますからっ!!!」うわーおっそろしい決意表明です事。 建宮「おーい、五和ー大丈夫なのよねーーーー??」クレータの淵から声がする。 五和「大丈夫でーす。」 浦上「今からロープ下ろすぞー。それと……」浦上はすまなそうに続ける。 「ロンドンへの帰還命令が出たー!!すまんけどー」いいつつ下がるのは本能的にであろう。 五和「わっかりましたー!」 飲み込み&あきらめ(?)の早い五和にポカンとする五和。彼女は思う。 (今は引きますけど、今度会ったらケチョンケチョンのグチャグチャにしてやりますから。御坂美琴。名前は忘れません。)二人が聞いたらおびえるだろうなあとも思った。 そのころ破壊された上条宅では…… 土御門「まあ修理屋呼んだから直るまで晩飯でも食いにでもいくにゃー」 と言う事なので近くのファミレスで夕飯を食べる事になった。 当麻「いやー、俺の方まで払ってくれるなんて助かるよ土御門。やっぱ持つべきものは友達だな!!」 土御門「カミやんには世話になってるからにゃー。日頃のお礼にゃー。」 白雪「日頃って?」 土御門「たいしたことないぜい。」 打ち止め「ミサカはハンバーグ食べるーって決定事項をあなたに伝えてみる!!」 一方通行「なんでンナこというンだよォ。」 打ち止め「だって~あなたとの思い出の味だもの~ってミサカはミサカはあの時の事を思い出してみたり~。」 青ピ「あの時ってなんや~?」 打ち止め「それはね~って痛い!!なにするのってミサカはミサカはあなたに抗議してみたり!!」 一方通行「いったらコロスゾ」 打ち止め「きゃーーあなたがいったらシャレになんない~ってミサカはミサカはあなたを恐れてみる!!」 美琴「黒子、あんたあの青いのとどんな感じになってるの?」 黒子「ど、どんな感じって!!あの殿方とはなんにもありませんの!!」 青ピ「なんの話や~」 黒子「殿方には関係ありませんの!!」バコッ!! 青ピ「なにすんねん!!」 そんなぎゃーぎゃーにぎやかに歩いていく。上条当麻の不幸(?)がまってるのも知らず…。 定員「八名様ですね。それではこちらにどうぞ」 そんなこんなでファミレスに着いた8人そんな中、当麻と美琴によく知ってる声がかけられた。 詩菜「あらあら、当麻さん的にはみんなで夜遅くに食事をするのがいいのかしら?」 美鈴「美琴ちゃんたらーこんな夜遅くに上条君と夜のお食事?」 当琴「「なんでお前がここにいるーーーーーーーーーーーーー!!」」 それは二人の母親がいた。 青ピ「ん?こちらのお二人さんカミやんと御坂はんにそっくりやなー。もしかしてお二人の姉さんなんか?ずいぶんベッピンさんやなー。」 黒子「少なくてもお姉様似の方はお母様ですわ…。」 青打雪「「「マジで!!??」」」 美琴「ちなみに言うと、もう一人は当麻のお母さんよ…。」 青一打黒雪「「「「「うそだ!!」」」」」 当麻「何でそこで全員一致!?てか母さん何でここに!?」 詩菜「いやねぇ、美鈴さんに誘われましてね、そんな理由で許可降りるか心配でしたけどあっさり降りたのよー。ムムム、そちらが美琴さんね。あらら。お母様そっくりで美人ですわぁー。当麻さんにはもったいないくらい。」 白黒一打青土「「「「「「ブッ!!!」」」」」」最後の一文で吹いた。 美鈴「いやだー、美人だなんてぇーっ。詩菜さん御冗談がうまいー。」 土御門「最後の一文スルーかよっ!!??」 青ピ「親公認と来たか……」 美鈴「ンン?間違ってたー?どう見たってバカップルじゃん。」 詩菜「ですよねー。」 上琴「「アンタらに言われたないわっ!!!」」 実際この親たち旦那とのバカップルぶりは伝説となりつつある。 美鈴「ムム、息もぴったりと来たかーっ、で美琴ちゃん」そう言うと娘の手を引っ張ってトイレへ。 美鈴「でさー、告白とかできたわけ?奥手な美琴ちゃんじゃあ無理だろうけどー。」 笑いながら言う。んなことできるわけないとでもいうかのように。
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/Love is blind 第5話 積極的に 上条が美琴を抱きしめた時から、時間は2時間ほど巻きもどる。 ここは第7学区の街中。 結標の能力で飛ばされた直後の美琴は、1人呆然と立ち尽くしていた。 やや斜め下を向いているため、通行人からは見えていないが彼女の顔は真っ青で、生気が全く感じられない。 そんな状況で、美琴は声を絞り出すように呟く。 「そっか……あの2人…付き合ってたんだ……」 上条は結標と付き合っていた、その事実が美琴に重く、とても重くのしかかっていた。 まあ事実といっても勘違いなのだが、それを知らない美琴は悲しみに暮れる。 (アイツ……結標のどこを好きになったんだろ……) 性格だろうか、見た目だろうか、それとも別のところだろうか。 そして自分には何が足らなかったのか。 なんで付き合っているのが自分ではないのか。 悔しい、悲しい、苦しい、つらい、美琴を襲う絶望感は想像を絶するようなものだった。 (私…アイツのことこんなに好きだったんだ……自分でもびっくりね…) 絶望感が大きいということは、それだけ上条を好きだったということ。 しかし、もう上条と自分が結ばれることはない。 美琴は今にも大泣きしてしまいそうだった。 しかしこんな街中の人目のある場所で泣くわけにはいかないと思い、必死に我慢していると、あることを思い出した。 「あ…そうだ携帯…アイツにメール送ったんだっけ…」 確かに学校を出る前に、上条に『今日ヒマ?』とだけ打ったメールを上条に送っていた。 それだけならまだいい。 だが、美琴が結標の能力により飛ばされたことを心配して、上条からメールが送られてくる、もしくは電話がかかってくる可能性がある。 「……」 ふいに聞こえたバチッ!という電撃音、美琴が自らの能力で携帯電話を壊した音だ。 今、上条に会うわけにはいかない。というより会いたくない。 電話やメールにより、会ってしまう可能性があるため、美琴は迷い無く携帯を壊したのだ。 ならば電話に出ないでおく、又はメールを見なければいいじゃないか、と思うかもしれないが、美琴はとにかく上条と会う手段を残したくなかった。 (まぁ…アイツは私のことなんて気にしないわよね…なのに携帯まで壊して……バカみたい…) 本気で泣きそうになり、無意識のうちに携帯を握りしめる力が弱くなっていく。 今から何を目標に生きていけばいいのか、美琴にはわからなかった。 この悲しみの大きさを知ることができるのは美琴本人だけであり、他に誰も知ることなどできない。 と、そこへ一人の少女が通りかかった。 「あれ?御坂じゃないかー。こんなことろで何してるんだー?」 「え…つ、土御門…」 今にも泣きそうな美琴に声をかけてきたのは、メイド姿の少女、土御門舞夏だ。 メイド姿はいつも通りだが、珍しく掃除ロボットに乗っていない。 「土御門……アンタが掃除ロボットの上に乗ってないなんて珍しいわね……」 「ちょっと今急いでてなー、掃除ロボは便利だけど速度は遅くて……って御坂?なんか元気ないけどどうしたんだー?」 「あ…いや……」 隠していたつもりだが、舞夏には美琴に元気がないことがわかってしまったらしい。 だが、『好きな人に彼女がいて落ち込んでいる』などと言うわけにいかないので、美琴は慌てて元気なふりをする。 「そ、そんなことないわよ。それよりなんで急いでるの?」 「ああ、兄貴から電話がかかってきて早く寮に来いって言われたんだー。実は上条当麻が関係してるんだけどなー。」 「えっ!?アイツが!?また何か事件なの!?」 美琴は思わず声を荒げた。 上条と結標が付き合っていることが頭から吹き飛んだ瞬間だった。 美琴の声に舞夏は多少驚いた様子だったが、すぐに話始める。 「……事件と言えば事件だなー。実は兄貴が変な薬を飲ませたせいで…」 「ど、どうなったの…?」 「『フラグ体質』が強化されて、女の子がみんな上条当麻のことを好きになってしまうらしいんだー。」 「ええっ!?そ、それほんと…………ん?」 舞夏の話を聞いた美琴はあることを思いついた。 「女の子はみんなアイツのことを好きに……もしかして結標も…?」 舞夏の話が本当なら、十分可能性はある。 先ほど結標は“上条と付き合っている”と言っていたが、薬の影響を受け、上条を好きになっているのかもしれない。 だとすれば、まだ自分にチャンスはあるということだ。 (もしかしてもしかすると……いや!絶対そうよ!!アイツが付き合ってるなんて聞いたことなかったし、結標は薬の影響を受けてたのよ!) 光が見えた。 この時点で美琴は、結標と上条は付き合っていないと確信し、胸を撫で下ろす。 またよほど安心したのか、先ほどの暗い表情が一転、目映い笑顔がこぼれた。 ここに上条がいたら写真を取り出すだろうが、舞夏は不思議そうだった。 「…今度は急に明るくなったけどどうしたんだー?」 「なんでもないわよ、ありがとね土御門!………あれ?でも私もさっきアイツに会ったけど、なんともなかったわよ?」 「え…?おかしいなー…」 なぜか話が噛み合わない。 土御門の言う『女の子なら誰でも上条を好きになる』ということが本当なら、美琴も上条に惚れてしまっているはずだ。 なのに美琴がなんともないというのはおかしい。 不信に思った舞夏が兄に電話をし、再び説明を受けることに。 そして数分後。 「なるほどなー。そういうことかー。」 兄との電話を終えた舞夏は、なぜかニヤニヤしながら美琴を見る。 舞夏は何を聞いたのか、嫌な予感がしてならない。 「な、何よ…何かわかったの?」 「ああー。上条当麻のことを好きになるのは“普段上条のことを好きではない女性”らしいぞー。」 舞夏はそこで一旦言葉を区切り、ニヤリと笑みを浮かべた言う。 「御坂は上条当麻のことが普段から好きだから、いつも通りに話すことができたんだと思うぞー?」 「んな!?」 美琴にとっては予想外の舞夏の奇襲。 ボンッ!と美琴の顔は赤くなった。 「ち、ちがっ、違うわよ!?私はアイツのことなんて別に…」 「もうバレバレなんだから隠さなくていいぞー。じゃ、私は兄貴の寮へ急ぐからもう行くからなー。」 「違うからね!!好きなんかじゃないんだから!!」 立ち去ろうとする舞夏と最後まで言い争う美琴。 そして笑いながら舞夏も去って行った。 一人になり、ようやく落ち着いたところで、改めて今の状況について整理してみる。 「えーと…アイツは今結標と一緒にいるのよね…ていうことはやっぱり探したほうがいいのかな…ん?待てよ…」 ここで美琴は1つ考えついた。 今、上条は薬の効果によって、女の人に好かれるようになっている。 結標の行動から考えると、薬の影響を受けた女の子は結構積極的にアタックするようだ。 だが美琴は元から上条のことが好きなので、舞夏の話が本当なら、いつも通り接することができるだろう。 ということは… 「………今アイツに会えば惚れたふりをして抱きついたりとかできるんじゃ…?」 すごいことを思いついてしまった。 これぞ合理的に上条といちゃいちゃできる最強の方法だ。 妹とかなら絶対実行する。 「い、いやでもそれは恥ずかしいような…ていうか人としてダメかな…」 美琴は真剣に悩んだ。 上条に会いに行くことは決定しているが、その際普通に接するべきか、それとも惚れているふりをするべきか。 ぶっちゃけると惚れているふりをする方向へ気が傾いているのだが、問題があった。 (う~ん……卑怯かなー…) 確かに惚れているふりをする、というのは卑怯かもしれない。 上条といちゃいちゃしたいと考えている女性は世界各国に星の数ほどいるのだから。 だが、一度上条を他の人に取られるという絶望を味わった美琴は、たとえ卑怯な手を使ってでも、上条と結ばれたかった。 もうあのような絶望感を味わいたくない、上条を他の人に渡したくない。 そんな感じで考えに考えた末、美琴が出した結論は… 「………よし、会いに行こう。」 ♢ ♢ ♢ 「ねぇ君!一人みたいだけど…今ヒマ?」 「ヒマなんでしょ?だったら俺らと遊ぼうぜぇ~!」 と、下品な台詞でナンパをしているのは、頭の悪そうなスキルアウトの2人組。 その声の先に立っているのは、二重まぶたでショートヘアの可愛らしい少女。 そう、上条に恋する乙女の一人、五和だ。 (上条さんを捜しに町へ来たのに…なんでこんなことに…) どうしてこう上手くことが運ばないのか、五和は深いため息をついた。 正直なところ、こんな2人組など五和の敵ではない。 しかし、建宮より“なれべく目立つな”と言われている手前、叩きのめすわけにはいかない。 どう対処すべきか、五和が困っていると、スキルアウトの一人が五和が反応しないことに腹を立てたらしく、五和の腕を掴んだ。 「おい…シカトしてんじゃねぇぞ!!」 「え、ちょ、ちょっと!離して…」 「うっせぇ!いいから来い!!」 これぞ逆キレである。 振り払おうとする五和にさらに機嫌を悪くし、掴んでいる力が強くなる。 (さすがにこれ以上は……建宮さん、やっちゃってもいいですよね?) 我慢の限界、五和が2人の不良を思い切りぶちのめしてやろうとした時だった。 「その手を離さんかいコラァァァァアアアア!!!!!」 「は?なんごっはぁ!!」 謎の大声を共に、五和の手を掴んでいないほうのスキルアウトが吹っ飛んだ。 あまりの唐突な出来事に五和とスキルアウトは仲良く目を丸くする。 一体何が起こったのか、五和は目の前の状況を理解するのに多少時間がかかったが、 (え、えーと…この人がドロップキックを…?) “この人”とは、吹っ飛んだスキルアウトがいた場所に立っている一人の少年のことだ。 長身で青い髪の少年は五和の腕を掴んでいるスキルアウトを睨みつける。 睨まれてビビったスキルアウトは、五和の手を離し、その少年を殴りにかかるが 「お、おい!てめえ!!何しやがっふぅ!!」 まさに秒殺。 もう一人のスキルアウトはその少年の鉄拳により、地面にひれ伏す形となった。 当然、五和はこの青髪の少年を知らない。 普段学園都市に住んでいないのだから当たり前だ。 だが、彼が何者であろうと助けてもらったことは確かなので 「あ、あの…ありがとうございます…」 「いやいやお礼なんていらへん……って、今度はあっちのほうで女の子が困っとる声が!!今行くでぇ!!!」 と、言ったかと思うと、名も知らない青髪の少年はものすごい勢いでどこかへ走っていってしまった。 名前を聞く間もなかった。 「……な、なんだったんだろう…今の人…」 残された五和はしばらくの間呆然と少年が走って行った方向を見つめていたが、 「ああっ!そうだ、上条さんを捜さないと!!」 本来の目的を思い出し、再び上条捜索のためその場から走り出した。 ♢ ♢ ♢ 「い、いたー!!」 美琴は以前上条と偽デートで訪れたホットドッグ屋の近くで思わず大声を出した。 周囲の人の視線が集まったが、そんなことを気にしている場合ではない。 (いた!いた!!いた!!!ついにアイツを見つけたわよ!!) 探し始めて1時間、遂に念願の上条を見つけたのだ。 この1時間、本当に長かった。 なんで携帯を壊したんだ、と自分自身にいらだちながら街中を走り回っていた。 苦労した分、出会えた喜びは大きい。 しかし、上条は美琴に気づいていないらしく、誰かと熱心に電話をしている。 「一体誰と……まあそんなことどうでもいいわ!!」 本当に今は電話の相手を気にしている場合ではない。 早速『惚れているふりをして上条といちゃつこう』作戦を実行しようと思い、上条がいる方向へ一歩踏み出したのだが 「……なんて声かけよう…」 上条に声の掛け方がわからない。 普通に声をかけるのなら別に問題はない。 しかし今は『増強剤の効果を受け、上条に惚れている』と、いう設定で話しかけなければならないのだ。 (惚れてるふり……実はこれってすごく難しいんじゃないの!?) 直前になって、ことの難しさに気がついた美琴は、一度上条から見えないところへと移動した。 そこで改めて、どうやって話しかけるべきか考えるのだが、特にいい案は浮かばない。 (し、強いて言うなら、可愛い言い方でアイツの下の名前を呼ぶのがいいんだろうけど……) 上条を下の名前で呼ぶ、つまり『当麻』と呼ぶということなのだが、今まで『上条』とすら呼んだことがないのに、いきなり『当麻』はハードルが高過ぎる。 そんなことをすれば、頭が沸騰すること間違いない。 しかし、今日の美琴はいつもと違った。 (アイツに抱きつけるチャンスなんて、これからあるわけないし…名前を呼ぶくらいなら……) 『結標と上条が付き合っていた』と誤解したときの絶望感からか、美琴は勇気を振り絞る。 物陰から顔だけを出し、上条の様子を伺う。 「って、まだ電話してるし…」 上条を見つけてから数分が経っているにもかかわらず、上条は電話を終える気配がない。 「電話長いなー……それに私に全然気づいてないわね……………と、とぅまのバカ…」 と、美琴は上条に聞かれないことをいいことに、上条の名前を本当に小さく、小さくつぶやいた。 上条とは30メートル以上離れているのだから、絶対に声が聞こえるわけがない。 そう思っていたのだが 「ッ!?」 美琴は驚くと同時に、再び物陰に隠れた。 当然、この行動には意味がある。 反対方向を向いていた上条が突然こちらを振り返ったのだ。 (な、なんで!?これだけ離れてるのに…まさかさっきのが聞こえたの!?いや…さすがに偶然よね。こっちに他に知り合いがいたとか…) そう考えた美琴はもう一度木の陰から顔を出す。 するとそこには 「わわっ…」 「おお!やっぱり御坂!!」 上条だった。 また、なぜかはわからないが、上条は目を輝かせこちらを見ている。 (な、なんで私がここにいるってわかったの!?まさかホントにさっきのが聞こえて……) だとすればかなり恥ずかしい。 さらに“聞こえた”と思ったとたん、顔が熱くなった。 まるで顔の中で何かが沸騰しているのではないか、と思うくらい熱い。 「ん?どうした御坂?具合でも悪いのか?」 「あ、いや…」 目の前の上条は心配そうにこちらを見ていた。 どうやら顔が赤くなっているため、体調が悪いと勘違いされたようだ。 しかし、これで上条に近づくことはできた。 後は名前を呼び、薬の影響を受けているふりをするだけだ。 (…うわ…すっごく緊張するんだけど……) 喉が渇く。 まるで太陽が照りつける砂漠を歩いているかのようだ。 それほどの緊張だったが、こんなチャンスを逃すわけにはいかない。 美琴は意を決して、上条の名を呼ぶために、乾いた口を開く。 「えと、あの…と、とぅまぁ…」 ありったけの勇気を振り絞り、かすれるような声で、美琴は上条の名前を呼んだ。 上条に聞こえたどうかなどわからない。 だが、目的を達成することはできたのだ。美琴は達成感に包まれ……てはいなかった。 (あわわわ……よ、呼んじゃった…本人の前で名前を…想像してたより、すっっっっごい恥ずかしい……) 本人の前で名前を呼ぶという行為が、これほど大変だと思わなかった。 美琴は慌てて俯き、顔の火照りが治まるのを待つ。 が、火照りは治まるどころかますます勢いを増してきた。 (……ど、ど、どうしよう…なんだコイツ、とか思われてないかな…) 顔を上げるのが、怖い。 名前を呼ぶだけでなく、呼んだ後がこれほど大変だと思っても見なかった。 しかしいつまでも俯いているわけにはいかない。 (……大丈夫よね?な、名前を呼んだくらいで嫌われたり…しないよね?) それくらい大丈夫、美琴はじぶんに言い聞かせ、再度勇気を出して、前を向いた。 「………?」 目の前に映ったのは奇妙な光景、なぜかわからないが上条が両腕を動かしていた。 (何がしたいのコイツ……) 意味がわからない。 上条のこの行動が何を意味しているのか、舞夏のお義兄さんが飲ませたらしい薬の影響なのか、とか考えていると 「あ、すみません。」 「へ?」 ドンッ、と通行人が美琴の背中にぶつかった。 軽くだったので別に痛くはなかったのだが、ぶつかられると同時に急に目の前が真っ暗になった。 目の前に何かある。 これは、まさか、もしかしなくても――― (……………だ、だだだだだだだだだだだだだだ抱きついてる!!??!??私コイツに抱きついちゃってる!!?) 上条だ。 美琴は後ろから押されたため、上条に体を預けるかのように抱きついていた。 予想の斜め上をいく展開に、美琴はパニックになる。 (ど、どど、どどどどうしよう………って、やっぱり迷惑よね!!は、早く離れ……たくない…ていうか、離れられない…) まるで麻薬だった。 心地よさがハンパ無く、離れようにも離れられない。 あまりの心地よさに、美琴は抱きつく形で腕をまわした。 (………) ただ無言で抱きつき続ける。 美琴はこの後のことを一切考えていない。 また、周りに大勢の人がいるということすら頭に無い。 今後上条に抱きつけるチャンスなど、あるわけがないと思うと、少しでも長く抱きついていたかった。 (このまま時間が止まればいいのに…) 美琴は本気でそう思った。 だが無情にも時は過ぎていく。 もう数秒すれば上条は離れてしまうだろう。 ―――嫌だ。 もっと長く、この幸せな時を味わいたい。 例え一時的なものであるとしても、この時が終わってほしくない。 そんな想いから、美琴の腕には自然と力が入る。 「…ん?」 美琴が抱きつく力を強めたとき、自分の背中に何が触れていることを感じた。 何か手のようなものが触れている。 数秒間は何が起こっているのかわからなかったが、美琴はすぐに自分に起きている出来事を理解した。 (こ、これって………抱きしめられてる!!?) 美琴は上条にギュッとされていたのだ。 自分で抱きついていたときより、はるかに心地良く、通常では絶対に得られない幸福感に包まれる。 (わわわっ…コイツ、なんで私を……まあ…幸せだからいいや…) 抱きしめられている理由などどうでもいい。 とにかくこの幸福な時間が終わらなければなんだっていい、そう思った時だった。 「こうしたことも記憶からなくなるんだよな……でもな、みさ…いや美琴。俺はお前が大好きだ。だから絶対にお前を好きにさせてみせるぞ。」 「ッ!!!!???」 上条の口から出たのは、突然の告白の言葉。 美琴は自分の耳を疑った。 (……ウ、ウソ…ほんとに!?き、き、聞き間違いじゃないわよね……?) 自分の聞き間違いか、空耳か、夢だろうか、とも思ったが、今上条は『俺はお前が大好きだ』と間違いなく言っていた。 ということは、上条と両想いということ、上条と付き合うことできることだ。 美琴は嬉しさに震える。 (コイツも私のこと好きだったんだ……そ、そうだ!私もコイツに言わなきゃ!!) 上条が自分を好いてくれているのはわかった。 しかし、上条はまだ美琴と両想いということを知らないのだ。 自分の想いを伝えるためには顔を見せなければ、と考えた美琴は上条と密着した状態で上条の顔を見上げ 「あ、あのね、わ、わた、私も!アンタのことが、だ、だだ、大好き、だよ?」 と、震える声で上条に告げた。 一世一代の告白、心臓が爆発するのではないかというくらい鼓動は早かった。 上条は『好き』と言ってくれていたので、断れることはないはずだが、そう思っていても緊張しないわけがない。 今まで気にならなかった周囲の雑音や、風など自然の音、全てのことが気になってしまう。 そして上条は口を開いた。 「お、おう。」 たったの一言、上条の返事は素っ気ないものだった。 だが、素っ気なくても『おう。』というのは、告白を受け止めてくれたということ。 つまり、美琴は上条の『彼女』になれたということなのだ。 (う、うそ…これって夢じゃないわよね…信じられない…私がコイツの彼女だなんて…) しかし現に美琴は上条に抱きしめられている。 ウソでも夢でもないのだ。 1時間前にはもう絶対に叶うことはない、と思っていたことが実現できたということもあり、美琴の喜びをより大きい。 溢れ出る嬉しさ、喜び、幸福、といったこの感情をどうしていいかわからず、泣きそうになりながら上条を見つめていると 「わっ…」 再び顔を上条の胸に押し付けられた。 後頭部に触れているもの、多分だが上条の右手で、それにより押し付けられているのだろう。 そして上条の美琴を抱きしめる力はさらに強くなり、同時に美琴の意識も遠のく。 (も、もうダメ…意識が……) 上条の声が聞こえる。 だか意識が朦朧とする美琴には、彼が何を言っているのか理解ができない。 その声が子守唄のように聞こえた始めた時、 「……ふにゃー」 美琴は漏電し、意識を失った。 このとき美琴は大きな勘違いをしていた。 美琴は上条と恋人同士になれた、と思っているが、上条は美琴が増強剤の影響を受けているから告白してきたと思っているのだ。 そんなことを知らない美琴は、幸せそうに上条の腕の中で眠るのだった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/Love is blind
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/Time enough for Love 第5章 妹達(シスターズ) 12. 「MISAKA-CONSULTANT」 インデックスの完全記憶能力の検索に引っかかった。 (――世界に足りないものを示すコンサルタント……) そんなキャッチフレーズでもって世界を渡り歩く男。 名前は御坂旅掛。 (――そこになぜ、とうまの名前があるの?) 「ステイル、第零告解室は空いてる?」 「はい、今日はもう使う予定はありませんので……」 「そこへ通しておいて……。私が直接会ってみるんだよ」 『第零告解室』。 それは罪の赦しや告白に使用される小さな小部屋。 その中でもここは完全な防御魔術を施され、さらにAIMジャマーまでも装備された完全無欠の安全地帯。 インデックスの着任後、彼女が作らせた魔術と科学の力で守られた秘密の部屋。 その部屋の中なら、どんな話も外部に漏れる心配は無い。 当人達が漏らす場合を除いては。 ステイルが表情を緩め、顔を近づけ、ひそひそと小声で言った。 「最大司祭……」 (――ステイル、そのにやにやは何を隠している?) 「まだなにかあるのかな?ステイル」 「上条当麻は1人で来たのではありません」 「え?」 「もう1人、女性を連れてきています」 「は?」 「たしか学園都市にいた『御坂美琴』にそっくりでした……」 「え……?は……?はぁぁぁぁ!?!?」 「2人とも通しますか?」 「――え、あ……」 「では通しておきますので、あとはよろしくお願いします」 「――ちょっと待つんだよ!ステイルウウウウ!!」 その声が聞こえぬかの如く、ステイルはくるりと背を向けると、そのままスタスタとインデックスの前から去った。 上条譲りのスルー能力に加え、建宮譲りのおちょくり能力を最大限駆使して。 「ゴラアアアア!!!!人の話を聞けっつんだよオオオオオオ!!!!ステイルウウウウウウ!!!!!」 これがみことなら電撃の槍を飛ばすのだろうけど、生憎私にはそんな能力は無い。 だから決めた。今決めた。 あのクソ野郎は後で頭蓋骨粉砕の刑だ。 この犬歯が久しぶりに疼くんだよ……。 (ステイルなりの愛情表現なのは分かっているけれど、これはみことのツンデレより性質が悪いと思うんだよ。 私への愛情……いやむしろ恋慕に近いもの……だってのは分かってるけれど……。 もしかして……放置しすぎて捻くれてしまった……のかも?) 「神様……、どうかこの不幸な私に救いの手を……」 インデックスは疼くこめかみを押さえながら、『第零告解室』に向かった。 ロンドン、カムデンタウンのパブ。 上条当麻が御坂旅掛にリクルートされた日のことだ。 上条刀夜はその時、息子、当麻に言った。 「お前ももう一人前なんだ。 自分の道はわかっているんだろう。 後は自分で決断することだ」 「父さん……」 夕日が沈むあの夏の日の海岸での出来事。 上条の記憶に残る、刀夜と初めて向かい合った時のことが思い出された。 「あの日の言葉、私は父親としていろいろ考えさせられたよ。 お前はもう自分で決めた道を歩いていくんだなと……。 私に気を使う必要なんて無いさ……」 そういう刀夜の顔は少し寂しそうに見えた。 が、それはすぐに、1人の男の顔に変わる。 「1つだけ人生の先輩として言っておこう。 大切なものを守るためなら……最後まで手を尽くすことだ。 どんな手を使ってでも、自分が汚れ、穢れようともな……。 そして、黙って全て背負ってやれ。 背負うものが重いほど、いい男になれるんだからな」 刀夜はそこで言葉を切ると、じっと息子の目を見た。 上条はそこに、男の決意と覚悟を見た気がした。 上条が記憶喪失になってから、すでに数年の月日がたっている。 そのことは、まだ両親に打ち明けていない。 だがそれは、今はもうどうでもよいことだった。 記憶と言うものが、いずれ消えるものだということが分かってからは、『忘れた』の一言ですむ。 昔のことを忘れたと言われて傷つく人間はほとんどいない。 誰しも過去のことを忘れて生きていくのだから。 本当に大切なものは、決して忘れないし、また何度でも憶えられる。 今、ここで見つめている刀夜の瞳は、上条の記憶にない。 それでもどこかで見たような気がするのは、なぜだろうか。 多分記憶ではなく、自分の心のどこかに眠っていたものだろうなと思った。 それは、自分がこうありたいと思う男の瞳なんだろうと。 「ありがとう、父さん」 上条は、初めて父に礼を言った気がした。 父親に一人前と認められるのは、息子として喜ばしいことだ。 なら父親はどうなのか。 それはいずれ自分が父親になれば、わかることなのかもしれない。 だからそれはその時に考えよう。 そう思うと、上条は改めて旅掛に向き直った。 「よろしくお願いします。旅掛さん」 その言葉に旅掛は相好を崩した。 「こちらこそ、よろしく頼むよ、当麻君。 それとも、よろしく我が息子よと言うべきかな?」 その言葉に上条も刀夜も思いっきり噴いた。 翌日、上条は旅掛に教えられた部屋を訪れた。 なんと言うことは無い、ロンドンのとあるストリートに面した古いビルの一室。 かつて学園都市で住んでいた男子寮にあったような古ぼけたエレベータで上の階へ向かう。 薄暗い通路を奥へ進むと、突き当たりに『MISAKA-CONSULTANT』のプレートがつけられた扉。 開ける前に、上条は深呼吸をする。 この扉の向こうに待っている世界は、これまでの自分には経験の無い世界。 自分で決めた、新しい世界へ踏み出す第一歩。 ノックをして、返事を待った。 むこうから「どうぞ」という旅掛の声がする。 「失礼します……」という声とともに上条はドアを開けた。 やぁ、と笑顔で出迎える旅掛の横に、1人の女性がいた。 清潔そうな白い女物の長袖シャツに、下は細身のジーンズを穿き、ヒールの無い黒いパンプス。 背はそれほど高くなく、体つきはスレンダーだが胸はあまり無い。 肩まで伸ばした茶髪をヘアピンで留め、顔は…… 「え……!み……美琴……!?」 いや違う。 「ええと、いや……御坂妹なの……か?」 御坂妹がここにいるはずはない。 だとすると…… 「はじめまして、とミサカは憧れの人に会えて赤面しながら挨拶します」 「シスターズ……」 「はい、ミサカの個体番号はミサカ17000号です、とミサカはあなたに告げます」 「17000号……」 予想外の出来事に、驚き固まった上条に、旅掛が笑いかけた。 「びっくりしたかね」 「は、はぁ……」 「彼女はね、この国の研究所に『治療』のために預けられていた『娘達』の1人だよ」 「そうなんですか」 学園都市外で『妹達(シスターズ)』に会うのは初めてだった。 向こうにいるときは、御坂妹も、打ち止めも、番外個体も他の『妹達』同様、結構な頻度で顔を合わせていた。 確か美琴は昔、ロシアで他の妹達と会ったと言ってたっけ……。 「はい、ミサカ17000号は、この国に残った最後の個体です、とミサカは冷静に真実を告げます」 ――最後? 「え?、今何て……?」 「……」 旅掛が辛そうな顔になっていた。 それは我が子を失った親の顔……。 だが上条にそれは分からない。 「旅掛さん……」 「――そういうことなんだ……」 「そう……なんですか……」 ――ここは学園都市と違い、外の世界だ。 ――『妹達(シスターズ)』を取り巻く環境は学園都市とはまったく違う。 ――「調整」がうまくいかなかった……いやいやまさか。 ――大方、他の研究所にでも移ったのだろう。 上条はそう判断していた。 真実はもっと残酷だとは、その時の上条は夢にも思っていなかった。 「まあ、色々とあるんだが、とりあえず、今日は顔合わせがてら、彼女の話を聞いてやってもらえないかな。 彼女なら通訳兼ガイド兼運転手としても有能だから、一緒に外出してもらっても大丈夫だと思うよ。 私はこれから人と会う約束があるので、ちょっと留守にするが、よろしく頼む」 「分かりました」 「じゃ、お父さんは出かけてくるから、あとはよろしくな」 「いってらっしゃい、お父様……」 ――バタン 扉の閉まる音が響くと、後に残るのは沈黙…… 遠く離れたここロンドンで、まさか美琴そっくりのシスターズに会うとは想像すらしていなかった。 古ぼけたビルの突き当たりの一室で。 所々剥げた壁紙の壁に、くすんだ天井に囲まれて。 ジリジリと鳴るような蛍光灯の明かりと、湿気たような空気に包まれて。 唸るように響く空調に、テーブルとソファーと事務机に書庫が1つ。 奥に続くドアの向こうはキッチン?それとも……。 気が付けば、この部屋には窓がない。 ああ、もちろん牢屋のような鉄格子も無い。 だけど?だから?それとも……? 俺の背中をぞくぞくと走る感覚がある。 ここは処刑(ロンドン)塔ではないはずなのに、俺には彼女が死刑囚に見えて仕方が無い。 なぜだろう。 なにか寒気がする。 守りたい人、守るべき人と同じDNAを持った死刑囚。 目の前の彼女が儚く思われて。 彼女の口から助けてという言葉が聞こえそうで。 遠く学園都市に残してきた美琴の顔が彼女と重なる。 旅掛さん、アンタは俺に何をさせようとしているのか? もしかして俺に足りないものを示してくれるのか? 目の前の彼女がそうだとでも? (最後の個体って……俺の勘違いでなければ……やっぱり……そういうことでいいのだろうな……) その沈黙を破るように17000号の方から口を開いた。 「どうぞ、そこのソファーにでも腰を下ろしてください、とミサカは忘れていた言葉をかけます」 「あ、ついぼうっとしてしまってた……」 「向こうに残してきたお姉様のことを考えておられたのですか、とミサカは少し嫉妬を感じてあなたに問いかけます」 「あ、少し……な」 「あの……あなたは紅茶にしますか、それともコーヒーにしますか、とミサカは気まずさを隠して尋ねます」 「あ、コーヒーでいいぞ」 「分かりました。少しお待ちください、とミサカは恥ずかしさを隠すために奥へ引っ込みます」 彼女が奥へ続くドアを開けたとき、チラリと見えたベッドに、窓から差し込む外の光。 ああ、間違いない。 彼女は死刑囚だ。 さもなくば、高い塔に閉じ込められた、おとぎ話のお姫様。 (うう、俺に選択肢は無いんじゃないかよ、旅掛さん……) 第一位と戦った夏の夜。 今も残るあの時の古傷が、ちくりと痛んだような気がした。 俺は、また誰かと戦わなければいけないのか? (それで俺は、お前を救うことが出来るのか?) ――ドアの向こうに消えた彼女の背中に俺は無言でそう問いかけた。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/Time enough for Love
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とある部屋のひな祭り 今日は3月3日、雛祭りだ。当日にもかかわらず仲むつまじく雛人形を飾りつけている2人組がいる。「だ~か~ら~そこじゃないって言ってんでしょ!」「もうこの際どこでもいいだろ!」ここは上条の部屋。美琴が持ってきた(実際は配達してもらった)雛人形を飾りつけようと悪戦苦闘している。なぜ美琴の部屋ではないのかというと規則の厳しい寮であるということと相部屋ということが理由だ。まあ常盤台の寮だと上条が入れず2人で作業ができないというのが1番の理由だが…飾ろうと言い出したのはもちろん美琴。だが飾ることは建て前で本音は誰にも邪魔されずに上条とすごしたいだけである。もっとぶっちゃければいちゃいちゃしたいだけだ。バレンタインで付き合い始めて早数週間。2人の仲はそれほど進展していなかった。これまで何度かデートをしたが黒子の妨害や上条のフラグ体質のため2人でゆっくり過ごせたことはほぼない。また上条は美琴がまだ中学生だという理由で消極的になりがちだった。だから雛人形を飾りひな祭りということでいい雰囲気をもっと距離を縮めようという作戦である。もう日が暮れようとしている時間になりようやく完成。「やっとできたわね…予想以上に時間かかったわ…」「だからやめようって言ったのに…」「なによかわいい彼女のお願いがいやだったってわけ?」「いやそういうわけじゃないけどこれすぐ片付けるとなるとなんかむなしいっていうか…」などと言い争いを始める2人。しかし疲れていたのかすぐに静かになった。上条は完成したばかりの雛人形に目をやる。「しっかしほんといろんな種類があんだなこれ。」「まあね。…こうやって2人して並んで見てると私達もお内裏様とお雛様みたいね///」「…お前かわいいこと言うな…」先ほどの雰囲気が嘘のように一気に桃色空間に切り替わる。2人の顔はどんどん赤くなっていく。いい雰囲気になったのにもかかわらずさっきの発言の恥ずかしさのあまり美琴は慌てて話題を変える。「じゃ、じゃあさ!五人囃子を誰かにたとえると?」「五人囃子か………五人囃子って男だよな?」「一応現代で言う美少年って設定らしいわよ。」「っていうと…………土御門とか青ピ?」「あの2人か……ってか5人言いなさいよ。」「5人…」上条は考える。しかし意外と思いつかない。思いつかないためあれ?おれって男子の友達少ない?とか考えて少し落ち込む。そこで学校内以外の人物もいれて考えてみる。そこでまず思いついたのが「そうだ!一方通行!」「…なんだかお内裏様とお雛様を攻撃しそうなんだけど…楽器持ってる姿も想像できないし。」そこで上条は一方通行の五人囃子姿を想像してみる。…いろんな意味で恐ろしい……次に思いついたのが「天草式のメンバーだ!建宮とかぴったりだろ!」「あのクワガタか…服装は似合うかもしれないけど少年じゃなくない?」「そういわれるとそうか…他の天草式もほとんど少年ではないな…」「一応聞くけど他には?」う~ん、と唸る上条。イギリス精教でだれか考えてみる。すぐに思いついたのが不良神父ステイル=マグヌス(あいつ年齢的には少年だしな…意外といけるかも)イギリス精教ではステイルしか思いつかなかったため次にローマ正教を考える。ローマ正教で男といえば“神の右席”の三人。テッラ、アックア、フィアンマを思い浮かべる。(あいつらが五人囃子だったら怖すぎるだろ…)もっともな意見である。まあそれ以前に少年ですらないのだが。「つーか何が楽しくてひな祭りに“神の右席”を思い出さにゃならんのだ…」「誰か思いついたの?」「いや…あんまり…てか美琴は誰か思いつかないのかよ。」「え?えーと…」一応先ほどから考えていたがあまり思いつかない。男の知り合いはやはり少ない。しいて言うならば「……海原光貴?」「あいつか…まあなくもないような…って美琴だって1人しか言えないじゃないか!」「だって男子の知り合いなんてあんまりいないし…それに…」「それに?」「男子の知り合いは当麻さえいれば私は満足だし…ね…///」再び桃色空間に突入。顔を赤くしモジモジしながら話す美琴。最後のほうは声が小さくなり聞き取りずらかった。だがそれがたまらなくかわいい。上条にとってストライクだった。「確かに…美琴が俺以外の男と話してるのはいやだな…」「と、当麻ったら意外と独占欲が強いのね。///」「そ、そりゃお前は俺の彼女なんだから独占したくもなるさ。///」「当麻…」「美琴…」2人は見つめあう。そして徐々に近づき、距離はゼロに―――「上やーん!!ちょっと飯わけてくれないかにゃー!!」ならなかった。突如部屋に入ってきたのは隣の部屋の土御門。インターホンすら鳴らさず突撃してきた。いい雰囲気を邪魔されたことに対し怒りのドロップキックをくらわす上条。くらった土御門はそのまま通路へ吹っ飛んでいく。いきなり何するんだにゃー!とか叫ばれたがそんなことは気にしない。さらに数発けりをいれ思いっ切りドアを閉め鍵をかける。なぜ鍵をかけなかったと悔やむがいくら悔やんでも時間は戻らない。当然のごとく桃色空間は消滅。むしろ気まずい空間が生まれる。「……え~と…そ、そうだ!三人官女を誰かにたとえると!?」あまりの気まずさに上条が強引に話題をふる。「さ、三人官女ね…やっぱ黒子、初春さん、佐天さんかな。」「おー、あの3人か。」なんとか気まずい雰囲気は消え去った。上条はほっとするがこの話題は致命的な弱点があるということに気がつかない。「固法先輩もいいと思うけどね。当麻は誰か思い浮ぶ?」「3人っていうと…姫神、吹寄、雲川先輩あたりか?」「なるほどね~。」「天草式だと神裂、五和と対馬?だっけ。この3人とかいいんじゃね?」五人囃子の時と違いどんどん名前を挙げていく上条。その勢いはとどまるところを知らない。「あとは…小萌先生、黄泉川先生、親船先生の先生による三人官女もありか。」「え?ねえちょっと…」「風斬も似合いそうだよな~。」「お~い…」「日本以外だとアニェーゼ、ルチア、アンジェレネの3人とかもありだろ。」「……」「イギリス精教ならオルソラ、シェリー、インデックスがいるな。」「あの、さ…」「リメエア、キャーリサ、ヴィリアンの王女の三人官女なんてのは豪華だな。」「いいかげんに…」「あ!御坂妹、番外固体、打ち止めの三人官女もいいんじゃ―――」「せんかコラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」そう叫ぶと同時に大覇星祭の時のような鉄拳を放つ。今回は横腹にだが。ちなみに電撃ではないのは電化製品を考慮してのことだ。…たぶん上条に物理的ダメージを与えたかったわけではない…はずだ。そしてその場にうずくまる上条。「アンタね…なんで五人囃子の時と違ってスラスラと名前が出てくんのよ…」「ちょ…今のは……きついって…」「5、6人ならともかく多すぎるでしょ!それにまだまだ言えそうだったじゃない!!!」「ゴホッゴホッ……あ、いや、すいません…」「なにが先生とか王女による三人官女よ!挙句の果てに妹達までもってくるし!!!!」「み、美琴…ちょっと落ち着いて…」「こ・れ・が……落ち着いていられるかぁぁぁぁぁああーーーーーー!!!!!!!」「だぁーーー!!!電撃は止めて!家電が死んじゃう!!」「アンタが死んでその女癖を治してこいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!」美琴は帯電しながら暴れようとする。上条はそれを決死の覚悟で止める。さっきじゃなくて今こいよ土御門、とか思ったがくる気配はない。もはやどうしようもないのでとりあえず右手で美琴の腕をつかむ。帯電していた電気は一瞬で消え去り怒りくるっている美琴が残る。そして上条はその怒りをも消す。方法は簡単、そのまま抱きしめたのだ。「ふえ!?ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと当麻!?」“幻想殺し”もビックリなくらい瞬時に美琴の怒りは消え去る。抱きしめたまま数分が経過。美琴はさっきまで怒っていたのが嘘のようにおとなしくなり目はトロンとしている。「…落ち着いたか?」「うん……ふにゅ…」「じゃ、いつまでも立ってるのもなんだし座ろうぜ。」そう言うと上条は抱きしめている美琴と共にベッドに腰を掛ける。美琴の顔は緩みきっていた。上条は抱きしめるのをやめていたが美琴が抱きついている。この状況が数分続いたあと、完全に落ち着いたためか美琴の表情が悲しげなものに変わる。「当麻…ごめんね、殴ったり死ねなんて言っちゃったりして…彼女失格だよね…」不安なのか抱きつく力が強くなる。「そのうえ暴れようとして…嫌われても当然…うう…ほんとにごめんね…」美琴は今にも泣き出しそうだった。それを見た上条は美琴の頭をなでる。「嫌いになんかなるわけないだろ?俺は美琴にデレデレなんだからさ。」「…ほんとに?今日も無理やり手伝わせたのに?」「全然気にしてないって、俺はお前といるだけで楽しいしな。」「そっか…楽しいんだ……よかった。」「それと…さっきはごめんな、お前の気持ちを考えてなくて。」「ううん、いいのよ。あれは当麻には女の人の知り合いが以上に多いからちょっと不安だったから…」「まあ確かに多いな……でも安心してくれ。」「?」「たとえどれだけ多くの女の人と知り合いになろうと俺のお雛様は美琴だけだからさ。」「!!…えへへ、嬉しいな~。も、もちろん私にとってのお内裏様は当麻だけだからね!」お互い顔が赤くなっていることがわかる。恥ずかしいため2人は少しは離れたが今この2人を邪魔するものは何もない。部屋には西日が射しており壁に2人の影が映し出されている。その影の距離は近くなり、そして―――1つになった。数秒後影は2つに戻った。美琴はゆっくり上条に寄り添う。西日が射しているためベッドは赤く染まって見える。そのベッドの上に座っている2人はお雛様とお内裏様のようだった。
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「では皆さん、早速聞きますがあなた達は魔術のどこまで知ってますか?ハイそこの巫女さん!!」 いきなりビシィ!!と指を指される姫神は。 「最初から私。これは用が終わったら。退場」 「ならt」 なんかこの子放っておこうおこうと思ったレッサーはチェンジしようと考えたが。 「すいません。出番をください」 「そんなのどうでもいいですから、さっさとあなたの知ってる魔術のことを教えてください」 「魔術は。知らない」 そんじゃ何しにきたんだこの子はとまたほうって置こうとしたら。 「ごめんなさい。ちゃんと。ちゃんと言います」 「はぁ、さっさと教えてください」 この言葉を聞いた瞬間、姫神はレッサーにそっと耳打ちした。 「アウレオルス=イザードが完成させた。『黄金練成(アルス=マグナ)』の発動の仕方について」 姫神から黄金錬成(アルス=マグナ)の説明を受け、アウレオウス=イザードと行動を共にしていた事実を聞かされたレッサーは驚きを隠せない。 「じゃ、じゃあ、あなたはあのアウレオウスと知り合いだったというんですか?」 「知り合いというか。協力関係。でも。その関係も御破算になって。殺されかけた」 「殺されかけたってことは誰かに助けられたんですか? そもそもあのアウレオウスと戦って勝った人がいるのも信じられません。でも確か行方不明で……」 錬金術師として名を馳せたアウレオウスと戦って生き残った人物が居ることが信じられないレッサーは混乱状態に。 そんなレッサーの疑問を解消させたのは姫神ではなく、当事者の一人でもあるステイルだった。 「彼女の言うことは全て事実さ。彼を倒したのはほとんど上条当麻で行方不明なのも本当だ。その戦いで記憶を失った彼を僕が顔を変えて野に放ったからね」 「私の。見せ場。ごっそり奪われた」 「あなたがそう言うのなら信じるより他にありませんね、ステイル=マグヌス。しかしアウレオウスを倒すなんて素敵です、上条さん!」 (*1) レッサーは同じ魔術師のステイルの言を受けて、ようやく信用することに(姫神の呟きは二人揃って無視)。 ステイルが当麻の『竜王の顎(ドラゴンストライク)』について話さなかったのは必要性を感じなかったことと、この能力はあまり公にしたくないという彼なりの配慮だ。 当麻に対して好意を隠そうとしないレッサーをステイルと姫神は当麻のフラグ体質、レッサーの態度に呆れるばかりだった。 「最後に質問です、巫女さん。あなたはオルソラの乱の時、何をしてましたか?」 「そんな乱は。私は知らない。それと私の名前は姫神秋沙。巫女さんは。やめて欲しい」 「そうですか。ご協力感謝します、姫神さん」 姫神を自分の捜し求めてる本命の人物ではないと判断したレッサーは、すぐさま次の人物への聴取を開始する。 しかし一人づつというのは面倒なので次は二人同時に聴取しようと考え、直感で指を差した。 「じゃあ次はそこのあなた達です!」 「あァン? 人に向かって指差すたァ礼儀がなってねェガキだなァ、オイ」 「落ち着きなさいよ一方通行。そんな怖い顔で睨んだらその子、トラウマになっちゃうわよ」 (い、いきなり怖そうな人たちに当たっちゃったーーーーーーーーーーーーーーっ!!) レッサーが指差した相手は不幸なことに一方通行、そして結標だった。 二人が一緒に居た理由、それはエツァリの件についてだったりする。 一方通行に睨まれて固まってしまったレッサー、そんな彼女を助けたのはあの男だった。 「そう睨むのではないのである。初対面の人間にその態度は失礼なのである」 聖人の中の聖人、後方のアックアことウィリアム=オルウェルである。 (だー!!助かったー!!ありがとうございます聖人様ぁぁぁああああああああああああああああ!!) 「ンなこと言ってもよォ俺は元からこういう目つきだァ……ン?テメェどっかで会った事ネェかァ?」 「そんな事………ってあの時の堕天使ぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」 何故忘れていたのだろうか?ロシアで上条と共に打倒フィアンマの時いきなり襲ってきた黒い翼を持つ堕天使である。 「堕天使だァ?俺の生き方はンナモンだがいきなりそりゃネェだろォ?」 どうやら一方通行は覚えてないらしい。だがレッサーは更に脅えるばかりだ。 「何か因縁でもあるわけ?」 「ンなババァ覚えちゃいネェよ」 「ば、ばばぁですとぉ!?まだピッチピチ、ピッチピチですよぉ!?」 「ウルセェ、お前みたいなヤツはババァだ」 「それがロ………ごめんなさいそんな殺気を私にむけないで、本当に死んじゃうわ」 「で、では!!話を戻してあなた達がどんな風に魔術の存在を知ったんですか?」 とりあえず空気を和ませようと話を戻すレッサー。 「同僚が魔術だの何だのふざけた事言ってんだよォ」 「私もだけど?」 「学園都市の仕事に何故魔術師?………ああ、そういう仕事ですか」 レッサーは何か納得していたが、どういう事を考えていたのかはここにいる誰にもわからない。 「じゃあ最後にお二人に質問です。オルソラの乱はご存知ですか?」 「ご存知も何もそのふざけた乱を起こした連中とやり合ったぞ。ついでにその首謀者には……クソッ、ロクな思い出がねェ」 「私もこいつと同じく。土御門に呼び出されてそのまま戦闘よ。全く人使いが荒いんだから」 「そうですか。ご協力感謝します」 一方通行と結標が二人揃って前線で戦っていたことを察したレッサーは、二人が影で動いているという線は無いと踏んだ。 次にレッサーが指名したのは浜滝だが、ちょっとした問題が起きることに。 「では次は浜面さんと滝壺さんです。お二人はどうやって魔術を知ったんですか?」 「いや、レッサーちゃん、そのことなんだけどさ……」 「はい? どうかしましたか?」 「「魔術って……何?」」 そう、浜滝はウィリアムに助けられこそすれ、魔術の存在とかは全く知らなかったのだ。 浜滝は思い出す、絹旗がウィリアムの能力、つまり魔術について説明するからここに呼ばれたことを。 しかしその時、レッサーはその話を聞いていなかったのでどうしたものかと本気で悩み始める。 「え~、この場合、魔術についての説明をした方がいいんでしょうか?」 「それならば我に任せよ。この二人とは縁が深い、ゆえに我が説明をするのが当然なのである」 ウィリアムの今までの行動に、最初に会った頃の警戒心は殆ど抜けつつあるレッサー。 ならばとウィリアムに浜滝への魔術説明を頼むレッサーだが、そこに待ったがかかる。 「ちょーっと待つぜよレッサー。あの二人にウィリアムの説明は堅っ苦しくて上手く伝わらないにゃー。ここは俺がカミやんでも分かる魔術講座を開いてやるぜい」 「な、なぁ美琴。今、さりげなく土御門にバカにされた気がするんだけど?」 「気のせいじゃない? それに私は当麻がバカでも当麻のこと、ずーっと愛してるから♪」 上琴クラスのバカップルになると、どんなことでもいちゃつく切っ掛けにしかならないようだ。 そんなバカップルを無視して、ウィリアムは突然割って入ってきた土御門に抗議する。 「待つのである。あの二人を魔術で助けた我が説明をするのが筋というもの。ここは我に任せて欲しいのである」 「滝壺だけならあんたに任せるにゃー。けどな、浜面はカミやんレベルのオツムぜよ。あんたの小難しい説明じゃ知恵熱出して倒れちまうぜい」 「上条当麻クラスの賢さか……成程な。ではお主に彼らへの説明は任せるのである」 「感謝するぜい♪ つーわけでレッサー、悪いけど2分時間をくれるかにゃー? 2分であの二人に魔術の説明、するからさ」 ウィリアムに代わって浜滝に魔術の説明を請け負った土御門、二分だけ時間をくれるようにレッサーに頼むと快く了承してくれた。 こうして土御門先生による『カミやんでも分かる魔術講座:二分版』が浜滝に行われることに。 「魔術と言うのはまさに超能力と反対に位置する不思議な現象(チカラ)ぜよ。 例えば昔の文字を刻んで炎の化身を呼び出したり、術式を作って家をぶっ飛ばしたり、黒曜石のナイフで人間の皮を剥ぎ、その皮被って変装したり、更には氷でできたドデカイ船なんてあるにゃー。 更に更に、魔道書何てしろものがあれば一冊でもあれはそんな常識を軽く越えて、神に匹敵する最強のチカラを手に入れることができる。 まあ天使の魔術だったらいつでも地球を破壊できるんだけでにゃー。」 「天使なんているのか?」 浜面が恐る恐るてを挙げながら聞いてみるが、土御門はあっさり、 「普通にいるぜい、俺とかみやんとねーちん何か実物を拝めた事があるにゃー」 その言葉に初春、魔術側の人間も驚いていた。 「て、てててててっ天使って本当に居るんですか!?」 「ええ、しかしあれはあまりおすすめ出来ませんね……」 そこで今回の解説人の土御門元春がにょきっと神裂と初春の間に出てきてた。 「そう、ねーちんの言う通り天使何かいいものじゃないにゃー。あれは科学で言えば神に従うロボット、感情もヘッタクレもないにゃー。 まあそのぶん人間を容赦なく殺れるんだろうけどにゃー」 「じゃあつちみかど、人間にその魔術はつかえるの?」 土御門はピカーン!!とサングラスを光らせ、滝壺に近寄る。 「流石滝壺ちゃん、いい質問だにゃー。でも答えは“分からない”かにゃー?」 そう言う今度はインデックスに近づき、頭をポンポンと叩く。 「こいつの頭の中には十万三千冊の魔道書がつまってるにゃー。そいつの中に天使の術式を書かれたと言われているものもいくつかある。 普通の魔術師じゃなくて、この十万三千冊の魔道書があれは可能かも知れない……俺達魔術師はそいつの事を魔神何て呼んでるけどにゃー。」 「と言うことは、普通の人間に魔術何て扱えないのか……」 そんなことを呟いた浜面に土御門はビシッとカッコよく指をさした。(白雪談) 「それは違う!!魔術は才能のない人間が使うとっておきだ!!逆に言えば超能力者は魔術何て使えないにゃー。 何故使えないかって?それは魔術と超能力の“回路”が違う。 もし強引に超能力者が魔術を使おうとしたら血管マジでち切れるにゃー。」 「じゃあ能力開発を受けても、何の能力も使えない無能力者はどうなんだ?」 「浜面……お前がチカラをつけたい気持ちは分かるけどそれも同じだにゃー。」 「そうか……」 「はまづら、はまづらが何のチカラも無くても、私ははまづらを愛してる……」 「滝壺……ありがとよ!!」 浜面はいかなりガバッと滝壺に抱きついた。ここにもバカップルがいた。 「まっ、基本的にこんなモンぜよ」 「ちなみにウィリアムさんは聖人と呼ばれる、世界に20人程度しかいない特別な人なんです。火織お姉ちゃんもそうなんですよ♪」 「世界中で20人だけしかいねーのかよ! というか聖人ってどんな人達なんだ?」 「えっと、神の子に似た身体的特徴や魔術的記号を持った人達のことです。浜面さんの理論で言うなら色々と人間を超えた人達ですね。ウィリアムさんはさらに例外ですけど」 「ういはる、うぃりあむが例外ってどうゆうこと?」 土御門に代わってウィリアムについての説明を始めた初春に、魔術側の人間はちょっと感心していた。 「ウィリアムさんは神の子と親子関係の聖母の身体的特徴も持ってるんです。神の子と聖母、両方の力を兼ね備えた二重聖人なんですよ」 「つまりだ、ウィリアムのおっさんは超レアってことでいいんだな?」 「浜面さんの考えで言うならそうですね。これでいいですよね? 土御門さん、火織お姉ちゃん」 「上出来ぜよ。むしろ聖人の説明は出来て、天使の存在に驚いてたことにビックリしたにゃー。ねーちん、教育が偏りすぎてないか?」 「飾利は天草式魔術と私のような聖人についての説明から入りましたからあれでいいんです。それにしても一生懸命魔術の説明をする飾利、立派でした!」 神裂は科学側の人間で義妹の初春が魔術側の説明をしていたことに感動し、迷わず彼女をハグする。 どうやらこの聖人サマ、自分がシスコンだということを隠す気はさらさら無いようである。 ちなみに神裂のハグに反応したシェリーと建宮が動こうとしたが、先の一方通行の件もあって焼きもち全開で見守ることに。 「少し時間が取られちまったけどこれで二人への説明は終わりぜよ、レッサー」 「あ、ありがとうございます! ではお二人が魔術の存在を正しく知ったのは今日ということで。念の為に聞きます、オルソラの乱は知ってますか?」 「わたしはみさかと一緒におるそら達の人質になった。でもはまづらがカッコよくわたしを助けてくれたよ」 「当然、俺達は魔術の存在を知らなかったぞ! いやー、人生ってのは生きてるだけで何とかなるもんだな!」 浜滝を見ててレッサーは思った、この二人は見た目と違いかなりの大物なのではと。 これで残るのは月夜、初春、木山なのだがレッサーは一番早く片付けられそうな初春に視線を移す。 「じゃあ次は私ですね。私は」 「あなたにはそんなに聞く気はありません。大方、神裂火織の血の繋がらない妹で魔術のことも彼女に説明を受けた、こんな所でしょう」 「えっ? あ、あの……」 「マスコットっぽいあなたがオルソラの乱なんて物騒な件に関わってるわけありませんからこれで質問は以上です、ありがとうございました」 最初から初春が本命ではないと思っているレッサー、自分独自の見解で手早く初春の聴取を終了させる。 「まさかここまで君を軽視してるなんてね……。君としては思う壺なんだろうけどちょっとは不満じゃないのかい? 初春」 「いや、まあ、軽く見られるのは分かりきってましたけど、まさかあそこまでとは……」 「知らない人間から見たら初春ちゃんが何をやってるのかなんて分かるはずもないぜよ。それゆえのアドバンテージと思ってればいいんだにゃー」 レッサーの態度にステイル、初春、土御門は若干呆れていた。 そんな場合でも神裂は初春を姉として可愛がることを忘れず、土御門に対してあのワードをぶつける。 「飾利の良さを分からないとは嘆かわしい魔術師ですね。それにしても土御門、私はあなたを馬鹿にしていた自分が恥ずかしいです。シスコンとはいいものですね♪」 「ちょ! ねーちん! その単語を俺に当てはめるような言い方は止めるぜグオッ!」 土御門が言い終わる寸前に、彼の頭に氷の短剣が思いっきり突き刺さる、犯人は当然ながら月夜である。 顔を血で真っ赤に染めながら、倒れた土御門に周囲がざわつく中、レッサーはそれを行った当事者の月夜と相対することに。 「あ、あの、し、白雪さん……。い、いいんですか?」 「イイも悪いも無いよ。それよりレッサーちゃん、私にも聞くんでしょ? じゃあ早くしようよ♪」 「は、はい……(こ、怖い! さっきの白い人やサラシの人よりも白雪さんの方が怖いです!)」 レッサーは目の前の月夜に恐怖しつつも、自分の目的を果たす為に彼女にも魔術と関わった切っ掛けを尋ねるのだった。 「……魔術を知ったきっかけは何ですか?」 「元春を愛してるから……でいい?」 「いや、それ理由になってませんよ!?」 「いやー、だって本当にそんな感じで元春に教えてもらったからなー……」 白雪はうそは言っていないのだが、なぜか説得力がない。 それもそのはず、その愛する彼氏を容赦なく短剣突き刺すってどうゆうことだ。 「いやー、それはね?新感覚短剣つっこみアクションってやつだよ。元春すぐに起き上がるし」 「その通りぜよ」 土御門がいきなり起き上がり、そして顔にまいてる包帯をバサッと取り。サングラスをかける土御門。 「土御門元春様、復活ぜよ!!」 「きゃー!!元春カッコいい!!」 いや、この状況ではあまりかっこよくないぞ。 「え~と………ではオルソラの乱では何をしていましたか?」 目の前にいるヤンデレか何デレか分からない白雪に恐る恐るレッサーに聞いてみる。 「確か……すみっこで静かにゆっくり暴れてたよ?」 「それ支離滅裂ですから!!じゃあ次はそこの白衣の人お願いします。」 順番では木山なのだが、また何かの研究をしているらしく、徹夜の為か眠そうに答えた。 「私か?私は魔術なんてものに深入りした覚えはないが、きっかけは偶然だ。」 「偶然ですか……ではオルソラの乱では何か知っていますか?」 「残念ながら何も知らないな」 そう木山が答えるとレッサーは何故か楽しそうに口笛をふいた。 (まあ確かにただの科学者で情報操作何て出来ないとはどこかで思ってましたが……これは面白いことになりました。) その頃、打ち止めの子守りを任された上琴はと言うと。 「ねーねーもうミサカ飽きちゃったからどこか遊びに行こうよーってミサカはミサカはパパとママにおねだりしてみる」 「それもそうだな。レッサー、もういいよな? そっちの事情聴取は終ったんだろ? だったら俺達の引越し、手伝えよ」 「ええ。ただし、土御門さんに聞くべきことを聞いてからです!」 「俺? どうしてまた俺をご指名なんだにゃー?」 土御門を指名したレッサー、その表情には自信が満ち溢れていた。 しかしここからはまさに驚きの事実がレッサーの続々と襲い掛かることに。 「オルソラの乱で情報操作を行っていた人物、私はそれを科学側の人間と決め付けていました。しかし! それは大きな間違いでした!」 「つまりレッサー、お前さんは学園都市に潜入している魔術師の俺なら可能だって思ったのか?」 「その通りです! しかしまさか魔術師が、しかも有名所がたくさん居るとは予想外でしたけど」 レッサーの自信満々の推理(?)を聞いていた他の面々はただただ呆気に取られた、というより呆れていた。 そこへレッサーが本当に捜し求めた人物から声が掛かる。 「土御門さんにはそんなことは出来ませんよ。だって本人も前線で戦ってましたから♪」 「……へっ?」 「それにしてもレッサーさん達『新たなる光』の情報収集能力もまだまだです。ネセサリウスの魔術師が学園都市に土御門さんだけしか居ない情報を信じ込んでるようでは」 自分がこの子だけは絶対に無いと決め付けていた初春の登場にレッサーは呆然とするより他に無かった。 「信じられないようならちょっとした証拠を提示しますね。空港での5000人の魔術師強襲は日本とイギリスの合同演習、廃病院倒壊は大晦日の建設会社のイベントに」 「え? え?」 「さらにオルソラの乱に参加した魔術師とシスターの数は5251名。別目的の名目で来日したシェリーさん、潜り込んでいたインデックスさんとステイルさんは除いた数です」 「か、数まで正確に……ということはま、まさか、あ、あなたが……」 突きつけられた情報にようやくレッサーが現実を受け入れると、初春は照れくさそうに頭をかきながら宣言した。 「恥ずかしながら私です。オルソラの乱の時だけじゃなく、魔術師の皆さんが動きやすいように情報操作などのサポートもさせてもらってます♪」 「そ、そんな……。こ、こんな、あ、頭でガーデニングしてるようなアホっぽい子が……」 レッサーがショックで打ちひしがれている所に初春がそっと囁く。 ちなみにレッサーの悪意の無い暴言に神裂、シェリー、建宮が襲い掛かろうとしたがウィリアムと一方通行と当麻で見事阻止することに。 「それと私、王室派に引き抜かれる気はありませんから。私が目指すのはあくまで魔術と科学の共生、それだけですから」 「うっ……。こちらの目的もズバッと言い当てるなんて、どうやら認めるより他に無いようですね……」 レッサーの依頼主は王室派の人間(エリザードは関与していない)で、魔術側の為の情報操作を行った科学側の人間なら味方に引き入れたいと思ったのだ。 しかし敵になるようなら抹殺、そんなことを言われていたレッサーだが目の前の少女にそんな意思は全く感じなかったので抹殺は行わないことに。 「ちなみに土御門さんしかネセサリウスの魔術師が学園都市に居ないように情報操作したのは、当麻お兄ちゃんを狙う魔術師を誘い込む為です。当麻お兄ちゃんには秘密ですよ?」 「……あなた、本当に見かけによらずえげつないこと考えますね。あ、でも確か私達の掴んだ情報に協力者にあなたを示唆するようなデータが……」 当麻の命を狙う魔術師達の撃退はネセサリウス学園都市支部(天草式学園都市支部も含む)の魔術師が行っているが当麻はそのことを知らない。 レッサーは、というか『新たなる光』のメンバーは簡単に掴めた情報の中に初春らしき人物がいることを思い出したが全員が全員、ガセだと思っていたのだ。 そこで更に初春から衝撃の事実がもたらされることに。 「それは私を囮に魔術と科学の共生を望まない魔術師や能力者を誘き出す為です♪ 私もそれなりに命を張ってるということですよ。実際、死に掛けてますし」 「は、はは……。ひ、人を見た目で判断してはいけないということですか……。なんかもう言葉にならないです……」 初春を前にしたレッサーは、この先ずーっと目の前の少女には勝てそうに無い、漠然とそんなことを思っていた。 内緒話が終ったと思った初春は顔を上げて、ヴィリアンを手招きで呼び寄せる。 「あ、あの初春。じ、実は私もあなたに大切なお話があるのですが、まだ、こ、心の準備が……」 「は、はぁ……。じゃあそれは後でちゃんと聞かせてもらいますね。それよりもレッサーさん、一つお願いがあります」 「いいですよ、別に。それにヴィリアン様の御前ですし」 「じゃあ早速。レッサーさん、というか『新たなる光』の皆さんにヴィリアンさんの直属になってもらいたいんですけどどうでしょうか」 初春の提案にヴィリアン、レッサー、魔術師達はかなり驚かされることに。 そんな中、異を唱えたのはヴィリアンの恋人にして彼女のガーディアンとも呼べるウィリアムだった。 「そのようなことは不要なのである。ヴィリアンには我が付いている」 「お気持ちは分かりますけど、ウィリアムさんは『神の右席』です。『神の右席』としての用事でローマ正教に赴くのに英国王女のヴィリアンさんを連れて行くんですか?」 「ぬぅ……。た、確かにそのようなことは避けたいのである。しかしだな……」 悩めるウィリアムを初春は真っ直ぐな瞳で彼を見つめながら、嘘偽りない言葉で宣言する。 「大丈夫です! 『新たなる光』は英国の為に動いている結社予備軍です。第三王女のヴィリアンさんの力に必ずなってくれます! ですよね? レッサーさん」 「と、当然です! 私達『新たなる光』、必ずやヴィリアン様のお力になることを今ここに宣言します!」 「えっとレッサー、それはつまり、私の為に働いてくれるということですか? も、もちろん私としても嬉しい申し出なのですが……」 「悩む必要は無いのである、ヴィリアン。彼女達の厚意を嬉しく思うのなら素直に受け入れるのだ」 迷うヴィリアンの後押しをしたのは初春の言葉、レッサーの真摯な眼差しに偽りが無いと判断したウィリアムだった。 ウィリアムの後押しで迷いを吹っ切ったヴィリアンはレッサーと誓いの言葉を交わす。 「レッサー、それに『新たなる光』。これから先、私の力となって下さい。あなた方の上に立つに相応しい者になれるように私も努力しますから」 「ありがたき幸せです。私達『新たなる光』、主たるヴィリアン様の力となることをここに誓います」 ヴィリアン、学園都市にて『新たなる光』という自分にとっての唯一無二の力を手にすることに。
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「あー!!追え、追えー!!捕まえろ!!いや、殺せ!!」 やっと本来の目的を思い出した常盤台上琴反対派の生徒達は直ぐ様追い掛ける。 「だー!!何で思い出すんだコンチクショー!!殺るならさっさとかかって来いやゴルァー!!」 常盤台上琴反対派の生徒達は攻撃するが直ぐ様かき消される。 (んじゃこれを使うか) 心理掌握は常盤台上琴反対派の生徒達に暗示をかけた。 『何がなんでも殺せ』と、 上条は常盤台上琴反対派の生徒達の動きが変わったのに気づいた。 何だか獣を狩る漁師の様な目だった。 (まさか、そこまでして俺をどーこーしたいのかよ!!) しかも、さっきと威力もはね上がってきている。 そのたびに肩やら足やらから苦い音がした。 「お前!!何で後輩をここまで使ってるんだ!?このままじゃ体がヤバイぞ!?」 「何でって言われてもねえ?レベル5がただの虫けらと付き合ってるなんて……レベル5の看板を汚してるだけでしょ?私まで軽い女だと思われるのが嫌なのよね~。」 彼女がそこまでするのは、ただそれだけだった。 「……っざけんな」 「はぁ?」 「ふざけんなって言ったんだよこのクソガキ! レベル5がそんなに偉いのか! この子たちを弄ぶ権利がてめえにあんのか! この子達はてめえの玩具じゃねえんだぞ!」 心理掌握は当麻の『幻想殺し』の影響で彼の心は読めなかったが向けてる感情は理解出来た、あるのは純然たる他人の為の怒り。 しかし心理掌握は能力のせいか、当麻の感情が理解出来ない人種になっていたのでその怒りを鼻で笑う。 「フフッ。何て青臭くて頭の悪い方なのでしょう。この子達を弄ぶ権利? この子達を玩具にするな? 分かっていませんのね。レベル5とはそれらを許容される存在。ゆえにその子達も本望なのですよ」 「俺の知ってるレベル5はてめえと違っていい奴ばっかりだったな。アクセラ、削板、そして美琴。てめえのような奴があいつらと一緒ってのは許せねぇな。俺がそのてめえの捻じ曲がった幻想、ぶっ殺して叩き直してやるぜ!」 「……出来もしないことを吠えるのはみじめでみっともなくて、そして愚劣です。あなた達、この男を血祭りに……なっ!」 怒れる当麻を引き戻し、心理掌握を驚かせた光景、それは心理掌握に操られた上琴反対派生徒達が一人残らず気絶している異様な光景だった。 「君が手を下す必要は無いよ、上条当麻。ここからはネセサリウスの領分だ。君の右手はこんな幼稚な子供に対して向けるべきじゃあない」 「ステイルの言う通りです。ああ、更に催眠でこの子達を動かそうとしても無駄です。意識を完全に刈り取りましたし、動けたとしても体を麻痺させてますから」 「この子達に手荒な真似をするつもりは無かったのだがな。事が事だ、緊急措置を取らせてもらった」 「ま、魔術師!」 心理掌握が『魔術師』というフレーズを口にしたことに驚いた当麻達だったが、駆けつけたステイル、神裂、闇咲は平然としていた。 ちなみに半蔵と郭は3人に頼まれて、中に居る人間の足止めを任されてしまう。 ステイル達がやって来た理由、それは実に魔術師らしいものだった。 「やっぱり貴女は私達の心を読んでいたのですね。でなければ私達から逃亡した際の怯えようは説明が付きません」 「さて、君は魔術の存在を知ってしまったわけだけど、もちろん無事に帰れるとは思ってないよね?」 「思ってますが? 私の能力ならあなた達をまとめて洗脳なんて……っ!!」 魔術の存在をこのような相手に知られるのは自分達も相手もまずい、つまりお互いの為に魔術の秘匿を行うのだ。 しかし心理掌握もレベル5の第五位、すんなりとステイル達の言葉を受け入れるわけが無い、いつも通りならばの話だが。 それをさせたのは『透魔の弦』で姿を消し、心理掌握の延髄に梓弓を押し当てた闇咲だった。 「君が彼らを洗脳すれば私は『衝打の弦』で首をへし折らせてもらう。もっとも、君よりも私の『衝打の弦』や神裂の『七閃』の方が速いだろうがな」 「私は人を殺すような真似はしません。ですが、貴女がこれ以上、人の尊厳を弄ぶのなら死なない程度に斬り刻ませてもらいます」 「僕は優しいから殺すとか壊すとか、そんなことはしないから安心していい。ただ、この炎剣で君の顔を人前で見せられないように焼かせてもらうだけだから。痛みは後で取り除いてあげるから心配はいらないよ」 魔術師三人のえげつない脅しに彼らを知ってる当麻、心を読んで彼らをそれなりに理解してしまった心理掌握、二人揃ってゾッとした。 しかし心理掌握は彼らの心を覗いた際に見つけたあるものの存在を思い出し、脅しにかかる、それがいかに愚かなこととは知らずに。 「……あなた達、自分よりも大切な人がいるのでしょう? その方達を壊すなんて造作も無いんですのよ? それでもまだ私を脅すつもりですか?」 「そうか、君は知ってしまったんだね。でも僕らの大切な人に手を出したらどうなるのかまでは読んでいなかったようだ。さあ、読んでごらん、僕たちの今の心理状態ってやつを」 ステイルに促されるまま、心理掌握は彼らの現在の心を読んだことを死ぬほど、いや死んだ方がマシと思えるほどに後悔した。 脳裏に入ってきたのは口に出すのもおぞましいほどの仕打ちばかりで心理掌握はガタガタ震え出し、涙を浮かべていた(特にステイルで)。 心理掌握は恐怖に震えながら、魔術の存在だけは決して口にはすまいと決意し、大慌てでその場から逃げて行った。 「……えっと、見せ場とか一切合財持っていかれ、しかも胸の中で燻ってる怒りを上条さんはどうやって発散させればいいのでせうか?」 「見せ場なら残してあるじゃないか。さあ、君の右手で彼女達にかけられた洗脳を一人残らずぶち殺すんだ」 「てめぇステイル! 人の決め台詞を勝手に使ってんじゃねぇ! あ、でも麻痺はどうすんだ? 俺の右手じゃあ麻痺とかは解除できないぞ」 「心配無用です。その麻痺も魔術によるものですからあなたの右手で解除されます。良かったですね上条当麻。さらに遣り甲斐が出て」 付き合いの長い二人にこき使われることにムッとしつつも、当麻は『幻想殺し』で洗脳と麻痺の解除に精を出す。 そして全員の洗脳と麻痺の解除を終えた当麻は心理掌握に対する三人のやり過ぎとも言える脅しに文句を言う。 「……それにしてもお前らさ、ちょっとやり過ぎだろ。いくらあいつが気に喰わないからってあんなになるまで追い詰めるってのは……」 「まあ、確かに少し過剰だったかもしれないね。でも僕らはこれでも被害を最小限に食い止めたつもりだよ」 「あれでかよ! ていうかそれ以上のことを…………やる奴らがここには一杯居たな」 ステイルの発言にツッコミを入れた当麻だが、彼ら以上に危険な存在がここにいたことを思い出す。 「土御門、アクセラ、建宮、シェリー……。あいつらだったらさっきのが可愛いくらいのことやりそうだもんな、笑いながら」 「そうゆうことです。私達は彼女の身の安全を考えてあのような行動に出たのです。それだけは察して下さい」 当麻が危険人物としてあげた仲間達の中に美琴と初春の名前が無かったのには理由があった。 彼が名前を挙げた4人は洒落にならないレベルの危険性を持っていて、心理掌握が壊れかねないことを平気でやりそうな面子なのだ。 本当なら初春の名前もコッソリ付け加えようかと思ったが、神裂に冗談抜きで唯閃される予感がしたのであえて省いた(美琴は自分の可愛い恋人という理由で削除)。 「では私は気絶しているこの子達を第二学区の外へと運んでくるとしよう。ステイル、悪いが手伝ってくれるか?」 「分かった。じゃあ僕らはこっちを片付けてから戻るとするよ。上条当麻、早く戻ってみんなを安心させるといい」 こうして当麻は神裂と一緒にジャッジメント訓練所へと戻って行った。 一方、逃げ出した心理掌握は心の中で悪態を付きながら寮への道を歩いていた。 (許さない! 絶対に許さない! あの生意気で無価値なレベル0! 今度こそ私の前に跪かせてやる!) (あの魔術師どもが居ない所で今度こそ! 今度こそ私の偉大さを思い知らせてあげるわ!!) 子供じみたプライドを持った学園都市第五位、彼女の辞書には『懲りる』とか『改心』の文字は入っていないようだ。 その頃、第一七七支部では最近の固法の悩みの種こと絹旗が、ジャッジメントの腕章を付けてリラックスしていた。 どうやら今回も押しかけジャッジメントをやるらしく、本人もノリノリな所へ騒動から一先ず先に抜け出していた黒子がやって来た。 「あれ白井さん、パトロールは超終わりましたの?」 「それどころじゃありませんでしたの。さっきまで、私の学校の生徒達に捕まるし、第二学区に連れて行かれたりして大変でしたの。」 「超何をしたのですか!?」 絹旗は黒子が何かしたのかと思った。 「いえ私が目的ではなく、上条さんとお姉様に目的があって、その人質にされていましたの。」 「でもなんで白井さんが超捕まらなきゃいけないんですか?ひょっとしたら超助けに来ないかもしれませんのに。」 「それは、あの二人の性格からにしてないでしょう。あの二人は誰かが助けを求めていたら助けにいくでしょうし、自分のせいで捕まっているのならなおさらです。」 「で、超当麻お兄ちゃんと超美琴お姉ちゃんに助けてもらったのですか?」 「いえ、助けてもらったのは他の人なんですけど、なんでAIMジャマーが効かなかったのでしょうか?」 「え!!能力者なのにAIMジャマーが超効かなかったのですか!?」 「そうなんですの。一体どうやったらAIMジャマーが効かないで済むんでしょうか?」 「「う~ん…」」 絹旗と黒子はどうしてAIMジャマーが効かなかったのか気になっていた。 そんなこと話していたら、固法が帰ってきた。 「あら、どうしたの二人とも。そんなに考えて。」 固法は、来てそうそう二人が考え事をしていてちょっとビックリしていた。 「固法先輩、ちょっと聞きたいことがありますんですけど。」 「どうしたの?」 「能力者でAIMジャマーが効かない能力者って居ますの?」 「そんな人聞いたこと無いけど。」 固法はAIMジャマーが効かない能力者なんている訳が無いと否定した。 「そうですよね。なら、あの人たちは能力者じゃないのでしょうか?」 「ねぇ、一体何があったのかまだ分からないんだけど。」 黒子は固法にパトロール中に何があったのか話した 「そう言うことだったの。ま、それは仕事が終わらせてから考えましょ。 という事で、三人はジャッチメントの仕事をするのだった。