約 592,729 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/451.html
「あ!お前ら何やってんだ!」 「「ゆ!!!」」 畑での盗みを咎める声に驚く子れいむと子まりさ。 しかしその親れいむは全く動じずに野菜を食べ続ける。 「ゆゆ!みつかっちゃたよおかあさん!」 「たいへんだよ!ゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「だいじょうぶだよ!おかさんにいいかんがえがあるからね!」 こうして三匹のゆっくりは中央の広場へと連行されていった。 ここ「共存区」はその名が示す通り人とゆっくりの共存のための実験施設である。 この施設は地下にあり、その広さは村一つ程だ。そしてこのエリアでは捕食種は扱われいていない。 連れて来られるゆっくりは二種類、加工場で生まれ育った養殖ゆっくりと害獣とされる野生の天然ゆっくりだ。 選択基準は無くどれも無作為に選ばれているが、養殖物は多くが大人しくてある程度落ち着いており、天然物はほとんどがテンプレ通りの性格だ。 この両者、特に天然ゆっくりの悪事防止ためにいくつかの規則が決められている。 「他者の食べ物を取ってはいけない」「他者の家を荒らしてはいけない」などだ。 人にとっては当たり前のことだがゆっくりにとって理解できず、多くの天然ゆっくりが罰を受け、潰されたり加工場に送られたりした。 そして移動と補充を繰り返し、ようやく落ち着いてきた時に例の事件は起こったのだ。 広場にて 「被告、ゆっくりれいむNO.016、NO.017、ゆっくりまりさNO.18。 あなたたちは他人の育てた畑を荒らし、野菜を盗んで食べたことを認めますか?」 「ちがうよ!おちてんだよ!れーむたちがさきにみつけんだよ!」 「おじさんはうそつきだよ!」 「まりさたちはなにもわるいことしてないよ!」 裁判官はやれやれといった顔でそれを聞いていた。 「あの野郎!ふざけやがって!」 「やめておじさん!あんなゆっくりできないこあいてにしないほうがいいよ!」 「どうせすぐにしぬよ!あいてにするだけむだだよ!」 怒りに震える俺をなだめようとするゆっくりたち。 「ではこれはどういうことですか?」 そういって裁判官は小型モニターにある映像を移した。 「ゆ!おかあさんがいるよ!」 「まりさもいる!みんないっしょだよ!」 それは事件発生時の監視カメラの映像だった。あらかじめ畑の数箇所に取り付けられていたのだ。 「この証拠によりあなたたち三匹は罰を受けなければなりません。規約により餡子吸出しの刑です。」 餡子吸出しの刑、それはゆっくりの命と言うべき餡子を生きながらして吸い出されるという過酷な刑の一つである。 「ゆゆ!まだゆっくりしたいよ!」 「ゆっくりいやだよ!おじさんがかわってよ!」 慌てふためく二匹。だがその親は違った。 「そのかみをゆっくりみせてね!」 裁判官から渡された用紙を冷静に読み始める親れいむ。 そして 「やっぱりだよ!たしかにこのかみにはあんこをすいだすとかいてあるよ! でもれーむたちにきずをつけていいなんてかいてないよ!」 それにより言葉を失う会場の一同。 「やったねおかあさん!またゆっくりできるよ!」 「おかあさんはてんさいだよ!」 「えへん♪」 子供たちに褒められて胸(?)を張る親れいむ。 だが、 がしり! 数人の男たちに後ろから掴まれる一家。 「ゆ!はなしてよ!」 「まりさたちをきずつけちゃいけないんだよ!」 「れーむがうったえちゃむぐ!!!」 男たちは子れいむが言い終わる前に口にホースを突っ込む。 「む!ぐむむ!ぐごぎゅぎゅぎゅぎゅーーー!!!!」 理解できないまま泣きながら餡子を吸い出される子れいむ。 「やめてよね!れーむがしんじゃうよ! 「はやくとめてよね!はやくたすけてあげてね!」 しかし男たちをそれを聞き入れる様子はない。 「がびょびょぴょぼぼぼぼぼお”お”お”お”お”お”お”!!!!」 少しするとその苦悶の顔からは涙は出なくなり、代わりに目から餡子を出し始める。 「ぎょごお”お”お”お”お”!ぎょぶ!ぼぶ!びゅぷ…」 音もなくふわりと落ちて「処刑」が終わった。 「れ”い”む”う”う”う”う”う”う”う”う”う”!!!」 「どお”じでごん”な”ごどずる”の”お”お”お”お”お”お”お”!!! ぎずづげじゃだべだどい”い”い”い”びゅぴゅぶっ!!!」 「ま”り”ざあ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」 こうして傷つけることなく二匹目の「処刑」が始まった。 前半いらないなぁ、描写薄いなぁと後悔 by.らしい このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/436.html
あるところに2匹のゆっくりゆゆこがいた。 「こぼねー」 「こぼねー!」 バスケットボールぐらいのゆゆこの声に、テニスボールぐらいの子ゆゆこが応える。 2匹は、群れへと帰る途中だった。 子ゆゆこは、ゆゆこの子供ではない。偶然見つけた子ゆゆこをゆゆこが保護して連れて行っている。その為、子ゆゆこはまるで群れのことを知らないでいた。 ここまで歩きながら群れの事を聞くたびに、子ゆゆこは目を輝かせている。 早く他のゆゆこ達に会ってみたい。今までにない新たな生活へと子ゆゆこは心をときめかせていた。 「ハフ、ハフ……ハフ?」 「こぼね?」 ゆゆこ達の足が止まる。 道沿いに進んだ先を見ると、黒い帽子がゆらゆらと並んで揺れているのが見えた。 ゆゆこはそれだけで、ゆっくりまりさの家族連れが歩いている事を悟った。 「こぼねーこぼねー」 「ハフッ!」 ゆゆこにエサがいると言われて、鼻息が荒くなる子ゆゆこ。 2匹はお互いに歩みを揃えて、黒い帽子へ向かっていった。 隣で遊んでいる子まりさばかり見ていた親まりさは、目の前に来るまでゆゆこの存在に気づけなかった。 「ゆ?」 「おかあさん、ちがう子達がきてるよ」 「ゆゅっ?」 子供に言われて振り返った時、ようやくゆゆこ達に気がつく。 「ああぁぁああぁぁぁあああああぁっ!?」 瞬間、思わず絶叫したまま固まっていた。 「お、おかあさん?」 「どうしたのおかあさん? あの子達といっしょにゆっくりしようよ?」 「ゆっくりしていってね!」 まだゆゆこの存在を知らない子供達は、親しげにゆゆこ達へ接しようとしている。 そこに気を取り直した親まりさが、間に入ろうと飛び出してきた。 「だめ! このゆっくりたちとはゆっくりできないよ! おかあさんの後ろにかくれてね!」 決死の表情でゆゆこたちを睨んでいる。 しかしまりさを今までエサとしか見たことのないゆゆこは、まるで意に介さなかった。 「あなたたちは早くいえにかえってね! ゆっくりしたらだめだよ!」 「ゆーっ!」 「なんでそんなこというの! いやだよ! もっとゆっくりしたいよ!」 親の言っていることが理解出来ない子供達は、まるで言うことを聞かない。 そんな親へ、子ゆゆこは張り付くように近づいていく。 「ゆっくりしたらだめぇええぇぇっ!! にげてぇぇぇえぇえぇっ!!」 親まりさの必死の叫びと、子ゆゆこがまりさに口をつけるのは同時だった。 「ゆぐっ!!」 「こぼねー!」 そのまま囓った皮を咀嚼する。 「おいちー!」 「お、おかあさん!」 「おかあさん、どうしたの? 大丈夫?」 急に顔を顰めた親まりさの様子に慌てるも、まだ状況を把握していない。 「い、いいから、早く逃げて……ゆっくりじな」 子ゆゆこは食べ終えた場所へまた口をつけ、今度は一気に吸い込み始めた。 「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃがぐぎゃがっ!!」 「ずずずずずずずず……」 子ゆゆこの口に餡子の甘さが広がっていく。 「お、おがあじゃん!」 「どうしたのおかあさん!」 「いやぁぁあぁっ!! おかあさんがちっちゃくなっていくよぉおっ!!」 みるみるうちに餡子を吸い取られ、細い皮だけの存在になっていく親まりさ。 「……み……ゆっく……にげ……」 最後の声は、子供達に届くことなく風と共に消え去り。 親まりさは皮だけとなって、風に飛ばされていった。 「げっぷ」 「いやぁああぁあぁあぁあぁっ!!」 「おかあさぁぁあぁああぁあぁんっ!!」 その場で泣き叫び始める子供達。動こうとする子まりさは1匹もいない。 最後の最後まで、親まりさの気持ちは子供達に伝わらなかった。 軽い食休みを挟んで、子ゆゆこは泣き崩れる子まりさ達へ近づいていく。 それを、後ろから迫ってきたゆゆこに突き飛ばされて邪魔された。 「ハフッ!?」 地面で体を擦られ、体中が砂埃で汚れてしまう。 突然の事に思わず起き上がってゆゆこを見ると。 冷たい目で、子ゆゆこを睨みつけていた。 「……こぼ」 これまで見たことの無かったゆゆこの様子に、思わず子ゆゆこはたじろいだ。 ゆゆこは、そのまま子まりさに迫っていく。 食物連鎖の上位であるゆゆこに蹂躙されていく子まりさ達。 その光景をまるで目に映さず、子ゆゆこは先ほどの冷たい目にずっと怯えていた。 途中で僥倖な食事もあり、ゆゆこ達は気分も高らかに群れへたどり着いた。 ゆゆこの冷たい目に怯えていた子ゆゆこも、食べた後はいつも通りのゆゆこだったことで、どうにか落ち着いていた。 群れにつくと、多くのゆゆこ達が子ゆゆこの事を歓迎してくれた。 巨大なゆゆこもいれば、同世代のゆゆこ達もいて、今まで同種を見たことのなかったゆゆこは、文字通り飛び跳ねて喜んでいた。 群れについた後、ゆゆこと子ゆゆこは一緒に暮らし始めた。 ゆゆこに子供はいないので2匹だけの生活だったが、外を出たらすぐに友達に会えるので寂しさなど微塵もない。餌もゆっくりゆゆこの群れがあるだけあって、辺りを歩けばゆっくりがすぐ見つかる環境。困ることはまるでない。 今まで1匹で過ごしていた子ゆゆこにとって、今まで感じたことのなに暖かさがそこにあった。 やがて、子ゆゆこがゆゆこと同じぐらいの大きさになった時、子ゆゆこは独り立ちをする。 群れのある場所の外側に見つけた洞穴に住み、1匹で生活し始めた。 「うー! うー!」 羽根を咥えられ、ゆっくりゃはじたばたと肉まんな体を動かして藻掻いている。 逆に子ゆゆこはご満悦な笑顔を浮かべて喜んでいた。 ゆっくりゃや、ゆふらんは、その羽根で飛べるためにゆゆこでも捕まえる事は難しい。今回はゆっくりゃがゆっくりを捕まえようと降りてきた所を逆に捕まえていた。 もちろん捕まりそうになっていたゆっくりの住処は覚えている。ゆっくりゃを食べた後で、また狩りに行こうと思っていた。 取りあえず咥えていた羽根を引き千切り、持ち運びしやすくすると、そのまま住処の洞穴へ歩いていく。 「ぎゃ、ぎゃおーっ! ぎゃおーっ! 食べちゃうぞーっ!!」 食べられるのは、もちろんゆっくりゃだった。 「うー! うー!」 「ハフ、ハフハフっ!」 「うぁあああああぁああぁああぁっ!!」 肉まんが瞬時に食べ尽くされる。生では食べられない筈のゆっくりゃの羽根も、子ゆゆこは歯ごたえがある程度にしか思っていない。 油の乗ったゆっくりゃに、ゆゆこは幸せそうに食後を堪能していた。 入り口に影が映る。 「こぼね?」 「こぼねー」 影の正体は、知り合いのゆゆこだった。 「こぼねー!」 「こーぼねー」 ここに来た時からほぼ同世代だった2匹は、出会ってすぐに仲良くなり、普段から頻繁に雑談する中になっていた。 友達と仲良く話ながら子ゆゆこは考えていた。 子ゆゆこは、以前から別のゆゆこと一緒に狩りへ行きたいと思っていた。1匹でやる狩りはどこかつまらなく、爽快感に欠けていたからだ。 「ハフ、ハフハフ」 「……」 目の前で熱心に喋っている友達へ、ゆゆこは思い切って切り出してみた。 「こぼねー」 場の空気が凍った。 「……こ、こぼね?」 「……」 訪ねても、友達から返事が来ない。 黙ったまま、立ち去ろうとする。 「ハフッ!?」 子ゆゆこは訳がわからないまま、友達に追いつき、必死に謝った。 途端、友達は元の様子に戻り、また雑談を始めていく。 笑いながら雑談を聞いていた子ゆゆこは、心の中で震えていた。 去り際に友達がみせた冷たい目線は、あの時のゆゆこの目そのものだった。 「こぼねー?」 いつものようにゆっくりを探しに来たこゆゆこが不思議そうに声を上げていた。 ここ最近、餌のゆっくりが少なくなってきたと子ゆゆこは感じていたのだが、今日は少ないを通り越してまるで見つからない。 この辺りのゆっくりが住み着きそうな場所のほとんどを、子ゆゆこはなんとなく覚えている。それが至る所を探したものの、どこにもゆっくりの姿はない。 ほぼ1日を掛けたにもかかわらずの成果なしに、子ゆゆこはがっかりしながら群れへ帰っていく。 群れには異変が起きていた。 「……ゆっ?」 住処に帰り、取りあえず子ゆゆこは友達へ会いに行ったが、そこには誰もいない。 それじゃとゆゆこに会いにいくが、そのゆゆこも姿が見えなかった。 「……こ、こぼね?」 今まで危機感を感じていなかった子ゆゆこも、ようやく事態の異常さに気づく。 そのままゆゆこは知り合いの家をほとんど回っていったが、他のゆゆこはどこにも見あたらなかった。 「こ、こぼねぇえぇっ!?」 半狂乱する子ゆゆこに、声をかけるものはどこにもいなかった。 そもそも、ゆっくりゆゆこは群れを成さない。多数で動くとしても家族としてぐらいだ。 なぜなら、ゆゆこが2匹いるだけで、食料が2分の1に減ってしまうからだ。 多くのゆっくりを食べないと満腹にならないゆゆこにとって、それは大きな理由になる。 なのでほとんどの場合、ゆゆこは単独で生活しているのだが、唯一例外があった。 ゆっくりが多く住んでいる土地を見つけると、自然とゆゆこは集まって住みついていく。一時的に群れをつくり、互いに競ってゆっくり達を食い潰していく。 そしてその土地にゆっくりの姿が見えなくなると、また単独に戻り、次の狩り場を探して旅立っていくのだ 今はもう、ゆゆこも友達も、他のゆゆこ達も既に旅立っていった後だった。 他のゆゆこ達は育てられる内に移動を繰り返すため、単独で行動することには旅自体に慣れている。 子ゆゆこにとっての不幸は、この狩り場があまりに上質だったため、移動せずに育ってしまったことだった。 「……」 呆然としたまま動けない子ゆゆこ。普通ならば餌を求めて旅立たないといけない。 しかし子ゆゆこはどうしたらいいのかわからない。 「ハフ……」 突然、1匹になってしまった虚無感に、子ゆゆこは包まれていた。 どうしたらいいのかわからない子ゆゆこは、取りあえず洞穴に戻っていつも通りの生活を続けていた。 しかしここは群れから餌がないと判断された場所。しばらく必死に探してみたものの、1匹のゆっくりも見つからない。 「……こぼね」 取りあえず周りに生えていた植物を食べて飢えを凌ぐが、ゆっくりゆゆこの腹がそれぐらいで満腹になるわけがない。 ひたすらに空腹と、それ以上の孤独感に耐えながら子ゆゆこは日々を過ごしていた。 ある日、子ゆゆこは久しぶりの大物を見つける。 それは子を産んだばかりのゆっくりれいむの家族だった。 「や、やめてね! れいむはよごれてるからおいしくないよ! ゆっくりできないよ!」 「あっちいってね! むこうでゆっくりしていてね!」 親れいむが前に出て子供を庇おうとしている。 子ゆゆこはせっかく見つけたごちそうながら、食べようとはまるで思っていなかった。 飢えはまだ植物や虫でぎりぎり我慢できている。 それよりも久しぶりに、誰かと話せる事に期待が高まっていた。 「こ、こぼね……こぼね」 「しらないよ! れいむたちはれいむたちだけでゆっくりするよ! あなたはどこかへ行ってね!」 「ゆっくりできないから早くどこかいってね!」 子ゆゆこの言葉に罵声を浴びせ続けるれいむ達。 いくら話しかけても、れいむ達は聞き入れようとしない。 「ごぼねぇ……」 子ゆゆこの目に涙が光る。 その瞬間を、親れいむは見逃さなかった。 「みんなゆっくりしないでね! 急いでにげてね!」 「あなたはそこでゆっくりしてね! おってこないでね!」 「は、ハフッ!?」 涙が乾かない内に、れいむ達は走り去ってしまった。 「ごぼね゛……」 子ゆゆこは苦悩する。どうして話をしてくれないんだろうと。 子ゆゆこは、今まで他のゆっくり達を餌としか思っていなかった。 そんな中、いきなり友好的になっても信じるゆっくりがいないのは当然だ。 そんな理屈も、ただ本能に任せて狩っていた子ゆゆこには理解できない。 残ったのは寂しさと、お腹から訴えかけてくる空腹だけだった。 れいむの家族を逃してから1週間。 「……は、ハフッ。……は、はは、ハフッ」 体を重く感じながら、子ゆゆこは餌を探していく。 植物や虫しか食べていない体は急激に衰えていき、今では見る影もなくやせ細っている。前ならどれだけ動いても疲れなかったのが、今では数メートル動いただけでくたびれる始末だ。 今や子ゆゆこの中に孤独感はない。 砂漠の砂のような飢えが、子ゆゆこの体を突き動かしていた。 まずは植物を食べようと森へ向かうゆゆこ。辺りの花や草はほとんど食べてしまい、今や生木の皮を剥いで食べている。 そのまま樹木に齧り付いたりもしたが、さすがの子ゆゆこも樹を噛み砕くことは出来なかった。 白い身を晒して立っている木々。まだ食べていない樹はあるかと子ゆゆこは探していく。 そこに、懐かしい匂いを感じ取った。 「こっ!?」 この近くにゆっくりがいる! 力の入らない体を酷使して、獲物へ近づいていく。 そろそろ本当に体力の限界が近づいてきた時、木々の間を縫って歩くゆっくりを見つけた。 もう躊躇はしない。 「こぼねぇぇえぇぇえぇえぇえぇぇえっ!!」 飢えの勢いをそのままに、ゆっくりにかぶりついた。 「ハフッ!?」 「ハフ、ハフハフッ!!」 必死に体を食べ尽くしていく。 しかし3分の1ほど食べたところで、子ゆゆこは食べているゆっくりの顔を見た。 ゆっくりゆゆこだった。 「うぶっ!?」 体の奥底から湧いてきた吐き気に、思わずその場を離れて嘔吐した。 口の中からは、まだ消化しきっていなかったゆっくりの欠片が流れ出ていく。 それは、自分の体と同じものだ。 「うっ!?」 強烈な嫌悪感に蝕められ、子ゆゆこは続けて嘔吐した。 突然襲われた事に、ゆゆこは呆然としていたが、相手が苦しんでいるのを理解すると、そのまま逃げようとする。 「こ、こぼねぇぇええぇえっ!!」 「ゆっ!?」 急いで話しかけようとするも、既にゆゆこは走り出し、側からいなくなっていた。 思わず、宙を仰ぐ子ゆゆこ。 そのまま寝そべると、苦悶に顔をゆがめて叫び始めた。 「ぁああぁあぁぁぁあぁああぁあっ!!」 共食いをしてしまった事実。 また新たに襲ってくる孤独感。 吐いたことによって高まった空腹。 そのどれもが、自虐的に子ゆゆこを責め立てる。 やがて叫びが止むと、子ゆゆこはその場を動かなくなった。 もう、動く気力も体力も残されていなかった。 「ゆゆっ? おかあさん、何かへんなものがあるよ」 「なんでもさわっちゃだめだよ、ゆっくりみせてね」 「おかあさん、これなぁに?」 「……なんだろう? おかあさんにもわからないよ」 「ふしぎだね! へんなかたちだね!」 「ゆゆっ、へんなものにちかづいてゆっくりできなくなったらたいへんだよ。ゆっくりはなれようね!」 「ばいばい~」 「ゆっくりしていてね!」 子ゆゆこの意識はたゆたっている。 何か考えていたのか、何も考えていなかったのか、子ゆゆこ自身も覚えていない。 ひらひらと吹く風に揺られる体の感覚だけが、僅かに子ゆゆこの意識を繋ぎ止めていた。 子ゆゆこは寂しかった。 子ゆゆこは悲しかった。 なにを間違えたのか、子ゆゆこにはわからない。 脳裏にふと過ぎるのは、一緒に過ごしたゆゆこと友達の姿。 そして今まで食べてきたゆっくり達の姿。 ほとんどのゆっくりは、絶望に歪んだ表情をしていた。 ごめんなさい……ごめんなさい……。子ゆゆこはひたすらに謝り続けた。 もう、酷いことをしないから許して欲しい。 だから、誰か応えて欲しい。 最後に誰かと話したい、子ゆゆこの願いはそれだけだった。 そんな気持ちも、いつしか意識と共に途切れていく。 もう子ゆゆこは、体も心も空っぽだった。 大きな風が吹く。 強風になびかれて、空っぽの体は空へ飛びだっていった。 どこへだって、飛んでいきそうな勢いだった。 End 前の話で俺のときめきを返してくれ、と感想があったので俺的に出来るだけ返してみた……つもり。 返せてないかなぁ、すっきりしない話だもんなぁ……。 最初は丸々と太ったゆゆこを炙り焼いて食べるような話を書いていたんですが、どうにもしっくり来なかったので練り直したらこんな話になりました。 書き終わってから、ケロちゃんの話に被ってると気づいたのは後の祭り。もう書き直すのは無理ジャー! なんか色々不満がありますが、楽しんでもらえたら何よりです。 by 762 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/212.html
※最初で最後のゆっくり虐待に挑戦中です。 ※どくそ長いです。二十回はいかないと思う。 ※うんうん、まむまむ描写あり。 ※標的は全員ゲスです。 ※虐待レベルはベリーハードを目指します。 ※以上をご了承頂ける方のみどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『永遠のゆっくり』10 一方、ありす種への処置はこうだった。 初日、俺はとある一室にありす共を運び込んだ。 直径50センチ程度の親ありす、 およびバレーボール大の子ありす四匹を、 まだ薬で眠っているうちに、一匹ずつそれぞれのサイズに応じた透明な箱に収める。 体にほぼぴったりの四角い箱に収めたあと、 四隅の隙間に綿をぎゅうぎゅうと詰め込んだ。 これで向きを変えることすらできない。 やがて、ありす共が起きだしてわめきはじめた。 「ゆゆ、ここからだしなさい!いまならゆるしてあげてもいいのよ?」 「いなかものはもらるがなってないわね!」 「さっさとだしなさい、ごみくず!」 「えすこーとのやりかたもしらないの?いもね!ぶさめん!」 「とかいはのありすはかんだいだからみのがしてあげるわ!」 俺は箱が据え付けられている土台に近づき、スイッチを入れた。 「ゆゆ?ゆっゆっゆっゆっ!」 「ゆゆゆゆゆゆゆゆ!!」 「ゆゆ?ゆゆっ?ゆっゆっゆっゆっ」 箱の下の土台が、ゆっくりと振動しはじめる。 この土台は自動で上下左右に揺れ動く仕掛けになっていた。 乗馬マシーンを想像してもらえれば近い。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆ」 たちまちのうちにありす共のまなじりがとろんと垂れ、 頬が紅潮しはじめた。 口元はあひる口になってだらしなくゆるみ、 皮の表面が全体的にてらてらと湿りを帯びはじめる。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ」 親ありすは羞恥があるのか、眉をひそめて瞳に抵抗の意思を浮かべているが、 子ありす共はすっかり涎を垂らし、完全に色魔の目になっていた。 「んほ!んほ!んほほほほほおおおおお!!」 「おほおおお!!いいわあああああ!!」 「ゆっゆっゆっゆっ、んふんっ、ほんっほんっおっおっおっおっ」 土台の振動は小刻みのまま少しずつ速くなり、ありすの発情をさらに促す。 やがて振動の速度は一定のところでキープされた。 発情させ快感を与えるには十分だが、ぎりぎり絶頂には至らない。 俺は数歩引くと、部屋の壁際に椅子を置いて座り、ありす共を観察した。 「ゆふ、ゆふ、おっほおおおおお」 「んほおおおおお、んほおおおおおお~~」 箱の中に詰められた体を蠕動させながら、よがり続けるありす。 やがて一匹の子ありすがうつろな目を俺に向けて命令してきた。 「ゆふう、ゆふっふ、そこのいも!! すぐにありすをだしなさい!そしてまりさをつれてくるのよ! さっさとしなさい!!」 俺は答えず、黙ってその様子を見ている。 その声を皮切りに、子ありす共が一斉にわめき始めた。 「おほおおお、はやく、はやくするのよほほほほお!!」 「たぎりにたぎったありすのあいがいきばをもとめてるわあああ!!」 「ぼるてーじはさいこうちょうよ!いなかものはじらさないでまりさをほほほお」 「なにしてるの!きこえないの?ぐずなうえにばかなの? とかいはのありすがごみくずにしごとをめぐんでやってるのよ!!」 ついには親ありすまでがわめき始めた。 しかし俺は答えない。 二十分が経過した。 「ゆほおおおおおおお……ゆほおおおおおおお……」 「んほおおおーーっ!!んほおおおおーーーーーっ!!!」 「すっきりさせなさいいいいい!!ばかなの!?しぬの!?」 「たかまりきったありすがみえないのおおおおおお!!?」 休みなく与えつづけられる振動。 しかし達することもできずに、 ありす共は絶頂寸前の寸止め状態をキープさせられ続けて悶絶している。 全員口元から涎をだらだらとたらし、 全身からはぼたぼたと粘度の高い汁が滴る。 顎の下部を見ると、ぺにぺには勃起しながらびくびくと痙攣して汁を垂らし、 あにゃるはだらしなく開閉している。 「すっきりいいいいいーーっ!!すっきりいいいいいーーーっ!!!」 目を真っ赤に充血させながら、 すっきりを要求して甲高い声をきんきんと響かせるありす共。 俺は立ち上がった。 「ゆっ!!ようやくはたらくきになったのね!!」 「さっさとやることをやりなさい!!このくず!!」 「はやくはやくはやくはやくはやくはやく」 壁のスイッチを押すと、部屋の照明が落とされた。 白熱灯が消え、それと入れ替わりにほのかなピンク色の照明が部屋を照らす。 「ゆ!?むーでぃーなふんいきだわ!!」 「いなかものにしてはきがきくじゃない!ほめてあげてもいいわよ!!」 「そんなことはいいからまりさをだせえええええ!!!」 部屋の隅にある監視カメラに合図を送る。 すると、ありす共の前の壁いっぱいに映像が映し出された。 この部屋のこちら側の壁一面は、巨大なテレビジョンになっていた。 「ゆっ?」 画面に登場したのは、絶世の美まりさ。 それも一匹だけではない、何匹も寄り添っている。 まりさ同士のつがいのようで、 大きな親二匹の周りに、何匹もの子まりさ、孫まりさが寄り添い、 どれもが行き届いた手入れを受け、 さらさらの髪ともちもちすべすべした肌の美まりさだった。 「んほおおおおおおおおおお!!!!」 早くもありす共が暴れはじめた。 体を激しく揺すぶって箱から脱出しようとするが、 ぴったり固定された体は位置がずれる気配すらない。 それでもありす共は暴れ続け、その眼の前で映像は流れ続ける。 美まりさに人間の手が入っているのは明らかだったが、 画面に映る光景はスタンダードなゆっくりの巣だった。 大きな木の根元の巣の前で、まりさの家族は昼寝をしているようだった。 「ゆぅ……ゆぅ……」 安らいだ表情で寝息を立てる子供たちを、 二匹の親まりさが目を細めて眺める。 「とってもゆっくりしたおちびちゃんたちだね……」 「ゆ、そうだね……」 「まりさああああああ!!まりさかわいいよまりさああああ!!」 「んほおおおおお!!まりさがありすのあいをまっているわあああ!!」 「まっててねまりさあああ!!ありすがいますぐいくわあああ!!」 「だしなさいいい!!ここからだしなさいいいい!!」 揺れ続ける箱の中で叫び散らすありす共。 映像は続く。 子まりさ達が眠るのを見届けると、親まりさのつがいはそこから少し離れた。 そして、頬を紅潮させながら互いの頬をこすり合わせはじめる。 「ゆっ…ゆっ……ゆっ…」 「きょうのまりさはせっきょくてきね……ゆっ」 やがて粘液が分泌され、まりさ同士の摩擦はねっとりとしたものになる。 交尾をしているのだった。 獣じみたありす共の絶叫が部屋中に響く。 「まりさあああかわいいよおおおおまりさあああああ!!!」 しばらくまりさ同士の交尾が続き、やがて二匹はすっきりする。 脱力しながらその場にへたり込む二匹の周囲に、 十数匹のありすの姿が現れた。 どれもが目を血走らせ、涎を垂れ流している。 誰が見てもレイパーの目だった。 「んほおおおおおお!!まりさかわいいよまりさあああ!!」 あっという間にまりさ達はありすに跳びかかられ、犯されはじめる。 「いやああああああ!!ありすはこないでえええ!!!」 「ゆっくりできないいいい!!!」 「んほほおおおお!!まりさったらつんでれねえええええ!!」 「なきさけぶふりをしてきぶんをもりあげているのねえええ!!」 「つんでれなまりさかわいいわああああ!!!すっきりしましょうねええええ!!」 抵抗も空しく、まむまむにぺにぺにを突き刺され、 同時に体中を大勢のありすに擦られ、なすすべなくすっきりさせられるまりさ。 「いやあああああ!!すっきりーーーーーー!!」 レイパーありすの劣情は、昼寝をしている子供たちにも向けられる。 「ねているふりをしてさそっているのねえええ!!」 「おちびちゃんのくせにとんだいんらんねえええ!! ありすのぺにぺにでおしおきしてあげるからねえええええ!!」 「いやあああああ!!やめてええええ!!」 「ゆっくりできないよおお!!!おかあさあああん!!」 「いいわああああこうふんするわああああ!!」 やがて、まりさ達は黒ずんで物言わぬ饅頭と化した。 頭には何十本もの茎が生え、茎の先の実もまた黒ずんでいる。 「いなかものにしてはなかなかのゆっくりだったわ!!」 「ちょっとものたりなかったけど、とかいはのありすはゆるしてあげるわ!!」 めいめいに捨て台詞を吐き、レイパーの集団がその場を去っていく。 映像が流されている間、 箱の中のありすの狂いようはすさまじかった。 「まむまむううううう!!まりさのまむまむううううう!!」 「まりさまりさまりさまりさまりさまりさああああああ!!」 「ありすもいくわああああ!!まっててねええええええええ!!」 強姦されるまりさの姿を目の当たりにして、 ありす共の性欲は激しく刺激されているようだった。 このあたりはアダルトビデオを見る人間と変わらない。 自発的に体を揺さぶり、自慰をしようとしているが、 押さえつけられた体は一切動けず、ただ箱に揺さぶられるだけだ。 「うがああああああ!!まりさあああああ!!」 「だせえええええ!ごごがらだぜええええ!!」 「とかいはじゃないわあああああ!!」 「ありすのあいをじゃまするんじゃないわよおおおお!!」 映像の場面が切り替わった。 今度映ったのは飼いまりさだった。 人家で飼われているまりさで、 玩具やクッションが備えられた部屋の中で、一匹だけで無邪気に遊んでいる。 熊のぬいぐるみを相手にままごとをしているようだ。 言うまでもなく、絶世の美まりさだ。 箱の中のありす共の絶叫が高まる。 やがて、部屋のガラスが割られてありすが侵入してきた。 そして先ほどと同じく、抗うまりさはありすに犯される。 何度も何度もすっきりさせられ、黒ずんだ饅頭となり、 ありすの捨て台詞とともに場面は終了した。 その後も、ありとあらゆる美まりさが、 ありとあらゆるシチュエーションでありすに犯され続けた。 病床についているまりさを容赦なく犯すありす。 縄で岩にくくりつけられ、数匹のありすにかわるがわる犯されるまりさ。 巨大なドスまりさに雲霞のごとく群がり、犯すありすの群れ。 胎生型出産で生まれた直後、初めての挨拶をする間もなく犯されるまりさ。 自分からありすを迎え入れ、磨き抜かれたテクニックですっきりさせる淫売のまりさ。 食事をしながら、球遊びをしながら、狩りをしながら、 あらゆる状況で行われるありすとまりさのすっきり。 箱の中のありすは叫び続ける。 「んほおおおおおおお!!!んっほおおおおおおおおお!!!」 「ありすもしたいわ!!あのぷれいとかいはだわああああ!!!」 「まむまむうううまりさのまむまむううううううぺにぺにいいいいい」 たっぷり六時間の間、 そのゆっくりアダルトビデオは上映され、無数のすっきりを映し出した。 ときにはありす種とまりさ種以外が登場することもあったが、 メインはあくまでありすとまりさだった。 このビデオは、今回のためにわざわざ作られたものである。 手入れされた飼いゆっくりばかりが出演する、いわば素人ビデオだ。 ビデオの目的は、当然ありすの拷問のためだ。 限界まで欲情させ、すっきりさせない。 すっきりが本能であり、存在意義でさえあるありす種にとって、 最適な責め苦といえるだろう。 上映時間の六時間の間、 俺は席をはずしては食事を摂ったり、 他のゆっくりの処置に移ったりして気分転換していたが、 ありす共は目を背けることもできず映像を凝視していた。 目をつぶることはできても、耳には大音量の交尾音が流れ込む。 そもそも、性欲の塊であるありすにとって「見ない」という選択肢はない。 あらゆる情報をむさぼり、すべてを欲情に変換している。 したたる体液は箱の底にたまっていき、 自らの体液で水没するのではないかと懸念してしまうほどだが、 それも見越されており、箱の隅に空いた小さな穴から液は排出される。 上映を終えたスクリーンは、再び最初から先ほどの映像を流しはじめた。 自動で繰り返し再生されるようになっている。 「ばでぃざああああああああ」 「ずっぎりじだいいいいいずっぎりじだいいいいい」 「あでぃずのべにべにがぎんぎんなのおおおおいたいのおおおおお」 血走り切って真赤になった眼から涙を流し、 固くなったぺにぺにを必死にひくつかせてありすは呻いている。 「だじなざいいいいい!!だじなざいいいいい!!」 「だんでだざだいどおおおおおばがなのおおおおおお!?」 「ずっぎりいいいいずっぎりざぜろおおおおお!!!」 「じねえ!!あでぃずをずっぎりざぜでじねええ!!」 すでに理性のかけらもなく本性を剥き出し、 ありす共は親子ともにこちらに向かって呪詛を吐き続けている。 俺はありす側の壁に回り込み、壁のボタンを押した。 すると、ありす共の頭上に差し渡されているパイプの穴から、 スプリンクラーのように液体が撒き散らされた。 シャワーというよりは霧吹きに近い形で、ありす共は液体を全身に浴びる。 「ゆほっ!?」 とたんに、ありす共がびくりと身を震わせた。 「ゆっゆっゆっゆっゆほほほほほほほおおおお」 目を白黒させ、歯をがちがち噛み合わせる。 「ゆぎゃあああああああーーーーっ!!」 一様に白目を向き、こちらが驚くほどの悲鳴を上げた。 といっても、これは苦痛を与えるような液体ではない。 ゆっくり用の催淫剤と精力剤である。 死んだりしないよう、栄養剤も混ざっている。 強力な催淫剤と精力剤の効能はまたたくまに現れたようだ。 全身からあふれ出る粘液は絶え間なく箱の壁を濡らし、 屹立するぺにぺにはせわしなく跳ね回る。 すでに限界まで高められきり自らを苛む性欲を、 薬によって劇的に促進された衝撃が、悲鳴となって現れたようだ。 悲鳴を上げるほどの欲情とは、もはや人の身には想像もできない。 「ずっぎりずっぎりずっぎりずっぎりざぜろおおおおおおお!!!」 「ゆぎゃああーっ!!まむまむじだい!!まむまむじだいいいいいい」 「べにべにいーっ!!べにべにやげるうううういいいーーっっ!!」 「んっっっっほおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーー」 もはや狂気じみた、悲鳴まじりのあえぎ声を聞き届け、 すっきりさせろと要求を重ねるありす達をしばらく見届けた後、 俺はその部屋を後にした。 一週間後、俺はありす共の前に立っていた。 ありす共の状態は、先ほど記したとおりだ。 その状態を一週間保ち、一切変えていない。 催淫剤と精力剤と栄養剤を噴霧されながら、 ありす共は不眠不休で揺さぶられ続け、 繰り返し再生されるゆっくりAVを見続けている。 「いいいいいいーーーーーーーっがあああーーーーーーー」 「べにべにべにべにべにべにべにべにべにべにべに」 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ」 ありす共は涙を流し続け、がちがちと歯を噛み合わせ、 口の端から絶えず泡を吹き涎を垂れ流している。 俺が目の前に立ってももはや話しかけることはなく、 言葉にならぬ悲鳴や呻きを上げ続けるだけだ。 しかし視線は殺意をはらんでこちらに向け続けている。 一週間の間、俺は何回かこの部屋に足を運んだ。 その度にありす共は俺に向かって面罵し、要求し、命令した。 三日を超えたあたりで、命令は懇願に変わった。 「ずっぎりざぜでぐだざいいいいいいい」 「おでがいじばずううううううぐるじいんでずううううう!!」 「じぬうううううじぬうううううずっぎりじだいでずううう」 その頃になってようやく、自分の立場がおぼろげに理解できてきたらしい。 それでも無視を続けていると、六日目には話しかけることをあきらめ、 このように憎々しげな視線を向けながら悶えつづけるようになった。 一週間は少々短い気もするが、まあいいだろう。 俺はそこで、この部屋に来てから初めてありす共に声をかけた。 「すっきりしたいか?」 「ゆっ!!!」 ありす共のうめき声が止まった。 「すっきりしたいかと聞いてる。したくないのか?」 「………じだいいいいいいいい!!!!!」 「ざぜでぐだざいいいいいいい!!!ずっぎりざぜでぐだざいいいいいい」 「ずっぎりざぜでぐれるの!!?ぼんどに!?ぼんどにいいいい!?」 今のこいつらにとって、頼れるのは俺だけだ。 それをようやく理解した饅頭共は、俺に向かって懇願した。 すでに断ち切られたと思っていて、今再び現れた蜘蛛の糸に、 ありす共は必死になってすがりつく。 「ありす」 「ざぜでええええええずっぎりいいいい!!!」 「黙れ」 「ずっ!!」 すぐに黙った。 全身をしきりに揺らしながら、必死に口を閉じている。 俺の気分次第で、蜘蛛の糸はすぐに断ち切れるのだ。 「すっきりしたければさせてやる」 こくこくと頷くありす共。頷くペースが速すぎて、もはやばね仕掛けのおもちゃだ。 「来い。たっぷりすっきりできるぞ」 そう言い、俺は子ありすの箱を順番にカートに積みこんだ。 カートを運んで部屋を出ようとすると、残された親ありすが喚きだしたが、 お前もあとですっきりさせてやると言ってやると少しおとなしくなった。 そろそろ、こいつらを苦しめるとしよう。 四匹の子ありすを連れて、俺はとある一室に入った。 一室はタイル張りの部屋で、おおよそ7m四方。 奥の一方ではガラスの仕切りがあり、 部屋の壁とガラス板の間にごくごく狭い空間を区切っている。 ガラス板の下部、床に面したところでは、 四つの小さな穴がおよそ1メートルの間隔で開いていた。 穴の周囲には、ゆっくりを設置するための金具がある。 「この部屋でたっぷりすっきりするんだ」 俺の声を聞いたとたん、ありすが箱の中で蠢き呻き始めた。 「ずっぎりずっぎりずっぎりずっぎりずっぎりずっぎり」 「ばやぐばやぐばやぐばやぐばやぐばやぐ」 「まむまむまむまむまむまむまむうううううううう」 ガラス壁の穴の前にかがみ込み、一匹ずつ箱から取り出して作業にかかる。 壁の穴にちょうど頭がはまる位置で、子ありすを仰向けに固定し、 隙間なく頭がはまっていることを確認してから金具のスイッチを入れた。 仕掛けは音を立てて起動し、数本の鉤爪がありすの背中に食い込む。 「ゆっぎいいいい!!?」 叫び声をあげるありすだったが、俺が声をかけてやると堪える姿勢を見せた。 「我慢すればすっきりできるぞ」 「ゆばああああ、どがいばなありずはがばんずるわああああ!! ざっざどずっぎりいいいいい」 ありす種にとって性欲は何にも優先するようで、 体内に鉤爪が食い込む苦痛さえ性欲の前には物の数ではないようだ。 ガラス壁の穴の一つ一つに同じように設置し、 四匹全員が仰向けのまま身動きが取れないようにした。 次に、ガラス壁に設置されている機械の管を引っ張り出す。 尖った管の先端を、子ありすの側頭部に突き立てた。 再び悲鳴が上がったが、すっきりをちらつかせるとおとなしくなる。 これも五匹全員に同じように施す。 準備は完了だ。 「待たせたな。ようやくすっきりできるぞ」 「ゆばあああああああああ!!!」 声をかけてやると、ありす共が咆哮した。 俺はありす共とは反対側の壁に向かった。 そちらの方にもいくつか仕掛けがあるが後述するとして、 とりあえず隅に置いてある黒い箱を開ける。 箱の中には、一匹のゆっくりありすが入っていた。 「ゆほおおおおおおおん!!!」 こちらも、薬物投与ですでに発情しきっていた。 焦点の定まらない目で喚き、ぬめる全身を蠢かせている。 「好きにしろ」 箱を横倒しにして出られるようにしてやると、 ありすは一瞬目玉をぐるぐるさせて周囲を見渡し、 やがて状況を理解すると絶叫した。 「ずっっっっっっぎりいいいいいいじまじょうねえええええええ!!!!!」 驚くほどの勢いで、固定されている子ありすの体に激突する。 たちまちのうちに摩擦が始まった。 「ゆほおおおおゆほほおおおおお!! あでぃずのおばだずべずべねええええ!! いっじょにあがぢゃんづぐりまじょうねえええええ!!!」 「だめええええええ!! あでぃずがずっぎりずるのおおおおお!!!」 通常、自分がすっきりさせる側に回りたがるありす種だが、 この子ありすは言葉では抗いながらも、表情は快楽にたるんでいた。 受けとはいえ、さんざんおあずけされたすっきりが嬉しいようだ。 「あでぃずううううごっぢぎでええええ!!」 「あでぃずのぼうがどがいばよおおおおお!!」 ついに他の固定ありす共が誘い始める。 動けないために、言葉で誘惑するしかない。 「ゆっほおおおおお、みんなどんだいんらんねええええええ!!! あぜらなぐでもあどでおじおぎじであげるわあああああ!!」 今行われているこの交尾は、摩擦のみで行われる形式のようだ。 これなら植物型妊娠になる。丁度よかった。 「いぐいぐいぐいぐいぐううう!! あでぃずうううう、いっじょにのぼりづめまじょおおおお!!!」 「いぐいぐいぐいぐいぐいぐううううぎでえええええ!!!!」 「「すっっっきりいいいいーーーーーーっ!!!!」」 絶頂に達し、体をぴんと硬直させてびくんびくんと震えるありす二匹。 無様で見苦しい姿だが、他のありすにとっては情欲を刺激する光景らしい。 「ごっぢにもぎでえええええ!!」 「あでぃずのまむまむうううう!!」 「ゆほおおおおおお!!!ぜっがぢざんねえええええ!!! よりどりみどりよほおおおおおお!!!」 自由なありすが、すぐに飛び跳ねて他のありすのところへ赴いていった。 この調子なら充分に働いてくれるだろう。 快楽に満ちた嬌声がきんきん響く中で、 部屋の中ではすっきりが続けられた。 摩擦型とぺにまむ型問わず、何度も何度も行われたすっきりの結果、 すでに子ありす共の頭部からは茎が二、三本ずつ生えているが、 茎はガラス壁の向こう側に突き出ていて、 こちらにいる限り触れないように遮られている。 「ゆふぅぅぅぅ……ありすはまんぞくしたわぁ……」 すっかり消耗しきった種付けありすは、 頬をやつれさせながらも満足げにその場にへたり込んだ。 「もっとおおおお!!もっとすっきりいいいい!!」 「ありすにもっとちょうだいいいいい!!」 子ありす共はまだ叫んでいる。 濁音混じりではなくなってきているあたり余裕ができたようだが、まだまだ足りないようだ。 体力的にかなり消耗していてもおかしくないのだが、 先ほど刺された管の先から、体内に直接オレンジジュースが注ぎ込まれている。 馬鹿馬鹿しいほど単純なシステムだが、 これだけで半永久的に生き続けるゆっくりが完成する。 「ゆふっ、がっつくのはとかいはのすることじゃないわ!」 先ほどの自分をすっかり忘れたようで、 種付けありすはその場に背を向けて離れていった。 「ゆっゆっ、おなかがすいちゃったわぁ」 周囲を見渡すと、俺を見つけて要求してきた。 「ゆ、そこのにんげんさん! とかいはなありすにゆっくりぶらんちをよういしなさい!!」 「そっちにある」 俺が指示したのは、反対側の壁。 壁の隅には、天井から伸びたパイプが垂れ下がっており、 パイプの先から、粘土状の餡子が漏れ出している。 「ゆ、きがきくじゃない!!ほめてあげてもいいのよ?」 種付けありすは餌場に飛び跳ねてゆき、餡子に口をつけはじめた。 がつがつと貪るうちに、こけていたありすの頬が再びふっくらしてくる。 「ゆほ?!ゆほ、ゆほ、ゆほほほほほほほ」 再びありすの顔が紅潮してきた。 この餡子には、やはりゆっくり用の催淫剤と精力剤がたっぷり混ざっている。 食べて体力が回復するころには発情しきったレイパーありすが完成する。 「ゆっほおおおおおおお!!! まだあがぢゃんづぐりまじょおおおおおおお!!!」 種付けありすは再び子れいむの元に突っ込んでいった。 四時間後、子れいむ共は憔悴していた。 「ゆふう……ゆふう……」 「もういいわあ……はずしてねえ……」 ぎりぎりまで精子餡を出し切っては、 再び媚薬入りの餌で体力と精力を補給し、すっきりし続けるありす。 「ゆっほおおおおおおーーーーっ!!いいわいいわいいわいいわああああ!! なんどでもあいしてあげるわねええええ!!」 「やめてええええええ!!!ゆっくりできないわあああああ!!!」 子ありす共の頭部の茎はすでに何十本にもなり、 赤ありす共が鈴なりになっている。 強姦によって孕まされたゆっくりの出産は早く、 すでにぽつぽつと生まれはじめていた。 「ゆっきゅりちちぇいっちぇね!!」 「ゆっきゅりちちぇいっちぇね!!」 茎から地面に生まれ落ち、その度に赤ありすは母を求めて挨拶するが、 赤ありすに見えるのは母親の頭部と、こんもり生い茂る茎だけである。 ガラス壁の向こうでは絶叫が絶え間なく響いているばかりで、 挨拶を返してくれる母親の顔は見えない。 「ゆっきゅりいい!!ゆっきゅりしたいいい!!」 「おへんじしちぇよおお!!おきゃあしゃああん!!」 泣き喚く赤ありすに手を差し伸べる者はいない。 「ゆぅ……おなきゃしゅいちゃ……」 食べる物を求めて蠢く赤ありす。 ガラス壁で区切られた部屋のこちら側はひどく狭く、幅1m程度だが、 赤ありすにとっては十分なスペースがある。 やがて赤ありすが餌を見つけた。 「むーちゃむーちゃ……ちあわちぇー!!」 こちら側の床にも、反対側と同じように餌場が用意してあった。 天井から垂れさがるパイプから漏れ出す餡子が床に積み上がっている。 赤ありす共が餡子に顔をうずめて咀嚼するのを見届け、 その日はそこを後にした。 丸一日立った翌日の夕刻、 中継カメラで部屋の様子を確認してから、俺は再びその部屋を訪れた。 「やめてえええ!!やめてええええ!!!」 子ありすが今また犯されようとしている。 四匹の子ありすは消耗しきって、 犯されかけて抗っている子ありす以外はぐったりして声も出さない。 「あっちのありすのほうがきもちいいわよおおお!! ありすはもうつかれたのおおお!!!」 「ゆふううう!!ごうかんぷれいにめざめたのねええええ!? こうふんしちゃうわあああああ!!ありすのあいをうけとめてええええ!!」 一切構わずに強姦する種付けありす。 俺はそれに構わず、ガラス壁のほうに近づいた。 「たすけなさいいいい!!おにいさああああん!!」 子ありす共が弾かれたように懇願するが無視する。 ガラス壁の向こうでは、すでにほとんど成体サイズにまで成長した 赤ありす共が蠢いていた。 「ゆんしょ!ゆんしょ!」 隅のほうで、一匹の赤ありすが階段に足をかけている。 この部屋のこちら側とあちら側は、鉄筋の階段でつながっていた。 壁際にゆっくりが通るための板が差し渡されており、 その板に上るためには、赤ありすの側から階段を上っていかなければならない。 「ゆーんしょ!!」 「やったわあああ!!」 ついに、赤ありすが階段の一段目を上りきった。 この階段の勾配は計算されており、 丁度成体ゆっくりサイズにならないと上れないようになっていた。 この階段を上ることが、成人式のようなものだ。 赤ありす共の餌には、強力な成長促進剤が混ぜられていた。 効果は覿面で、たった一日でほぼ成体にまで成長している。 こうなった以上赤ありすと呼称するのも妙だから、 今後は孫ありすとでも表記しよう。 鉄筋の板は、ガラス壁を貫通して向こう側に繋がっており、 地上1m程度のその部分だけ、ゆっくりが通るための穴が開いている。 そこを通っていくと、板は途中で途切れている。 こちら側に階段はなく、こちらからガラス壁の向こうに侵入することは不可能だ。 途切れた板のちょうど下にはクッションが敷かれており、 安全に飛び降りることができるようになっていた。 一匹の孫ありすが、ついに板を通ってこちら側にやってきた。 続いて二匹、三匹と続く。 狭い空間からやっと開けた場所に出られた孫ありす共は、 目をきらきらさせて親のありすの方を見た。 「ゆっ?」 休んでいた子ありす共が気づく。 仰向けの状態でけんめいに視線を向けながら、 子ありす共は自分の子供たちに笑顔を向けた。 「ゆっくりしていってね!!ありすがままよ!!」 「とってもゆっくりしたこどもたちね!!」 憔悴して無反応だった子ありす共だが、 あの状態でも、背後の声は聞こえていたようだ。 状況をおぼろげに理解した子ありすは、子供たちに助けを求めた。 「いいこだからままをたすけなさい!!」 「せれぶなありすのこどもはききわけがいいわよね?」 「はやくしなさいね!!」 「んほおおおおおおおお!!」 孫ありす共が叫んだ。 子ありすがぎょっとして見やると、全員が頬を紅潮させ、 目を血走らせて自分のほうを見ている。 あきらかに発情していた。 「ゆゆっ!?そのめはなに!?」 「やめなさい!!とかいははそんなめでままをみないのよ!!」 挨拶を返されることもなく、餌も自力で取った孫ありす達。 親に対する情愛はかけらほどもなく、 それどころか毎日ガラス壁の向こうで行われる痴態を前にして、 ありす種としての本能を生まれてからずっと滾らせていた。 「みゃみゃああああああ!!ありすのあいをうけとめてえええええ!!」 「きんしんそうかんぷれいよおおおおおお!! みゃみゃならありすのすべてをうけいれてくれるわねええええ!!!」 「んっほおおおおおおおおおおおお!!!」 数匹の孫ありす共は、たちまちのうちに自分の親に群がった。 「やめてええええええ!!やめなさいいいいいい!!!」 「ままはつかれてるのよおおおおおおおおお!!!」 「すっきりしたくないのおおおおおおおお!!」 たとえ生みの親だろうと、発情したありすは一切耳を貸さない。 子ありす共の頬にねばつく頬を押し当て、 まむまむにはぺにぺにを突き立て、へこへこと動き始める。 「やめてええええええええええ!!!」 「おにいいいいさあああああんたすけてええええええ!!」 俺は椅子に座り込み、様子を見守ることにした。 数時間後。 想定していた地獄が完成するのは、思っていたよりずっと早かった。 百匹近く鈴なりになっていた孫ありす共は全員が成体となり、 次々とこちら側に移ってきて、床面にびっしりと群れをなしている。 これだけの数でも、パイプからとめどなく吹き出る餌は尽きることがない。 一匹のありすが子ありす共をとっかえひっかえ犯しているうちは、 まだ休む時間があった。 他のありすが犯されている間、体を休めて息をつくことができた。 「おねがいでずうううう!!ゆっぐりざぜでえええええええ!!! ずごじだげでいいでずがらあああああ!!! ぼんのずごじだげでいいがらやずまぜでぐだざいいいいいいい!!! んほおおおおぉすっきりいいいいいいーーーーーーーっ」 今の子ありす共の体には、 一匹につき五匹から六匹の孫ありすが群がっている。 正面からはまむまむを貫かれ、側面からは頬をすりつけられ、 何時間も休むことなく交尾を続けている状態だった。 犯しているほうは、体力が尽きればそこを離れ、 餌場に向かったり隅のほうで眠ったりしている。 どれかの孫ありすが休めば、順番待ちの孫ありすがすぐに飛び込む。 子ありすが休む時間は、今や一秒たりとなかった。 「んほぉおおおおおおお!!すっきりいいいいーーー!!!」 「みゃみゃのおばだどがいばよほぉおおおおお!!」 「まむまむぎもじいいいいいい!!すっきりいいいいいーーーー!!」 絶えることなく痙攣し、すっきりを重ねる孫ありす共。 性感を刺激され、抗えずにすっきりを続ける子ありす共だったが、 疲れきったその体に、オーガズムは苦痛をもたらすだけだろう。 それでも、順番待ちで性欲をたぎらせた孫ありす共に、 親を休ませてやるような精神的余裕は皆無だった。 「もういやあああああああ!!!」 「みんなべだぐぞねええええ!! あでぃずのでぐでみゃみゃをずなおにざぜであげるううううう!!」 「いやだああああああああ!!!いやだああああああああ!!!」 「もうずっぎりじだぐないいいいいいいいい!!!」 「ごのぐらいでねをあげるなんでみゃみゃっだらどがいばじゃないわねええ!!!」 「ぼんもののでぐにっぐをおじえであげるわああああああ!!!」 「じねえええええええ!!!おばえらじねええええええええずっぎりいいーっ」 子ありす共の頭から生えている茎は、すでに本体よりも体積が大きく、 床にびっしりと蔦のように張り巡らされているような状態だ。 茎が多すぎるために、実っている赤ありす共は多くが他の茎に押しつぶされる。 それでも赤ありすの出生頻度は確かに上がっているようだった。 茎の上を踏みしだき、生まれおちた赤ありすは次々と成長し、階段へ向かっていく。 たった一日で、地獄はピークに達したようだ。 数百匹のありすで埋まり、すでに床は見えない。 部屋中に蠢く孫ありす共の絨毯は二重三重に積み重なり、 互いに踏み越え踏み潰され、子ありす共と餌場との間を往復している。 順番を待ち切れず、あちこちでひっきりなしに孫ありす同士のすっきりが行われており、 圧死、腹上死、餓死、死因は様々だが、ありす共の死体は累々たるものだ。 その死体も踏み潰され喰われて、すぐにありす共の海の中に消えていく。 すぐに部屋がありすで満たされるのではないかと思ったが、 植物性にんっしんっの赤ありす共の出産率の低下と、 片端からすぐに押しつぶされて喰われていくため、 このあたりでひとまずは安定したようだ。 四匹子ありすは、どれも胎生にんっしんっのために数倍に膨れ上がっている。 中には何匹もの、あるいは十匹以上の子ありすがいるのだろう。 強力な栄養剤入りのオレンジジュースのために、 異常な数の胎生にも死なず、肉体と意識を保っている。 「んほほほほおおおお!!ぼでばらのみゃみゃもがわいいわあああああ!!!」 「あでぃずどみゃみゃのあいのげっじょうなのねええええ!! もっどずっぎりじでゆっぐりじだあがぢゃんにじまじょうねええええ!!」 「ぐああああああがあああああああーーーーーっ!!」 表面積の増大に伴い、今や子ありすに群がる孫ありすは、 一匹あたり十五から二十匹ほどだ。 四方八方からねばつく肉体をこすりつけられ、 子ありすは十数秒に一度のペースですっきりさせられている。 「ずっぎりいいいいいーーーーーっ!! ごぶっ、ゆぐ、ゆぐじでぇえええええいだいいいいぐるじいいいいずっぎりいいい!!」 「いやだああああずっぎりいやだああああああずっぎりいいーーっ」 「ゆごっごっごっごっずっぎりいいいーーっごっごっごっごっ」 白目をむいて泡を吹き、がくがくと痙攣している。 その痙攣がまた孫ありすどもの興奮を高めるようだった。 「ゆがあああああ!!ぐばがあああああ!!」 子ありすを襲う苦痛はすっきりだけではない。 強姦による出産の速さは、胎生にんっしんっでも同じことで、 一日ですでに出産を迎えていた。 今また、一匹の子ありすの産道が開き始めた。 「ごがあああああ!!いだいいいいいずっぎりいいいいい!!」 産道が普段の数十倍も押し広げられ、すさまじい苦痛を伴う出産。 その出産を、十数匹のレイパーありすに、 ひっきりなしにすっきりさせられながら行う。 あまりに壮絶な状況下で行われる出産は、当然ながらひどく長引く。 必死にいきもうとしても、十数秒ごとにすっきりさせられ、 体がびくびくと痙攣している状態では、胎児の進みも遅々たるものだ。 「うばぜでえええ!!おでがいいいいいいい!! ゆっぐりあがぢゃんうばぜでえええずっぎりいいーーーーっ」 「ゆほほほおおおおお!!じゅっざんずっぎりざいごおおおーーーっっ」 「あがぢゃんうんでるみゃみゃだまらないわあああああ!! がまんでぎないわあああああずっぎりいいいーーーっ!!」 たっぷり一時間かけて、ようやく一匹の赤ありすが、 順番待ちの孫ありす共の群の只中に産み落とされた。 無垢な笑顔を周囲のありす共に振り撒きながら、 赤ありすは生涯最初の挨拶を試みる。 「ゆっくちちちぇいっびいぃぃ!!?」 「ずっぎりじでいっでねえええええ!!!」 「あがぢゃんがわいいよあがぢゃんんん!! おねえざんがでどりあじどりごじどりおじえであげるわああああ!!」 「ゆぐびぃいいいい!?」 最初の挨拶を完遂することも叶わず、 赤ありすは孫ありすの群れに押しつぶされ犯される。 夏みかん程度の体が何匹もの孫ありすに蹂躙され、 たちまちのうちに黒ずんだ死体となった。 「あでぃずのあがぢゃあああああああずっぎりいいいいーーーっ!!」 れいむ種ほどではなくとも、少しは母性はあるようだ。 想像を絶する苦痛の末に産んだ子を殺され、子ありすが絶叫する。 その産道が、今また開いた。 「ゆばぁああああああもういやだああああああああああ!!」 子ありすの腹で生まれる時を待つ赤ありすは、まだまだいる。 そして無限に供給され続けるのだ。 たとえレイパーではあっても、自分がレイプされるのは耐えられないようだった。 この体験で、自分が犯してきたゆっくり共に対し、 このありす共は、多少なりとも罪悪感を抱くのだろうか。 なんにせよ今のありす共に許されるのは、苦痛のみだ。 俺はその部屋をあとにした。 次に来るのは何週間先かわからないが、子ありす共は元気でいてくれるだろう。 続く? 選択肢 投票 しあわせー! (1) それなりー (0) つぎにきたいするよ! (0) 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4456.html
※俺設定注意 僕は、一匹のゆっくりを飼っている。 数年前に訪れたゆっくりブーム。人々はこぞってゆっくりをペットにしたがった。 僕もそんな流行に流された者の一人だ。 それから暫く経ってゆっくりブームは収束し、ゆっくりをつれて歩く人もまばらになったが、いまだに僕はゆっくりを飼い続けている。 「やぁ『まりさ』。ゆっくりしてるかい?」 「ゆっ!!おにいさん!!!まりさはとってもゆっくりしてるよ!!!」 今日も今日とて良いご挨拶。 やっぱりゆっくりの声はどことなく癒される。 「今日はちょっと豪勢なゆっくりフードを用意したよ。さ、お食べ」 「ゆゆっ!!うめっ!!これめっちゃうめっ!!が~つが~つ!!」 ちょっぴり眉をしかめる僕。 元気の良いことは大変結構だが、それでもちょっと食べ方が汚すぎる。 これは躾が必要だな。 「こら、『まりさ』。そんな汚い食べ方しちゃいけないだろう?」 ぶすり。 まりさの両目に指を突き込み、かき回す。 そうして引き抜いた指先には、ぐちゃぐちゃになった『まりさ』の両目があった。 「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!!!」 「いい天気だね、『ありす』。ゆっくりしてるかい?」 「ゆっくりしているわ!!!」 今僕達はお散歩中。 カチューシャにリードを取り付けられて、綺麗な蒼いおめめをぱちくりさせながら『ありす』は駆け回る。 元気だなぁ。これがとかいはと言うやつだろうか。 「おにいさん、ここ!!ここにゆっくりできるばしょがあるわ!!」 「はいはい」 ありすがベンチを見つけたらしく、そこに座ろうと急かしてきた。 まったく、そんなに急いでもベンチは逃げないぞ。 「・・・・・・ゆっくり、していってねぇ・・・・・・」 「うわ、何だ!?」 のそりと、ベンチの下から何かが這い出してきた。 ゆっくりれいむ。ただし、薄汚い野良ゆっくりだが。 久しぶりに見た。まだ駆除されないで生き残っている奴がいたのか。 「ゆっくりしていってね!!!」 「おい、ありす。そんな奴に構わなくてもいいって」 薄汚い野良風情に挨拶を返す『ありす』。 もし野良が擦り寄ってきて、『ありす』が薄汚れてしまったらどうするつもりなのだろう。 「ゆっ!!れいむはきっとゆっくりできるゆっくりよ!!おにいさんは、そこでみていてね!!」 「ゆっ・・・、あ、あでぃずぅ・・・・・・」 「あ、こら」 僕の忠告を無視して、ゴミへと近寄っていく『ありす』。 いけないな。飼い主の言うことは素直に従わなくちゃ。 これはおしおき決定だな。 ありす目掛けて、思い切り蹴り上げる。 全速力で振りぬかれた僕の爪先は、ありすのまむまむの周囲、そしてその少し上にある口を削り取った。 飛び散るクリームと白い飴の歯と求肥の舌。 「・・・・・・っ!?・・・・・・っひゅーっ・・・・・・ひゅー・・・・・・」 口を失い、代わりに掘られた穴からはヒューヒューと風音がする。 薄汚い野良れいむはそんなありすを見て失禁していた。 「『ぱちゅりー』、その本面白い?」 「おもしろいわ!とってもゆっくりできるごほんよ、おにいさん」 家の中、僕は『ぱちゅりー』と一緒に本を読んでいた。 小難しい小説を読む僕と、むきゅむきゅと逆三角形の口をとがらせて簡単な絵本を読む『ぱちゅりー』。 まったくもってほほえましい光景だ。 「おにいさん、つぎのごほんはないの?」 もう読んでしまったのだろうか。 次の絵本をねだる『ぱちゅりー』。 そうは言っても絵本なんてうちには殆どない。あるとすれば・・・・・・。 「じゃあこの絵本を貸してあげるよ、『ぱちゅりー』」 「ゆ?そのごほんは・・・・・・」 「ああ、古いだろう?僕の宝物だった本なんだ」 古ぼけた一冊の絵本を物置から引っ張り出す。 昔はこれをずっと抱えていたっけ。 「ぱちゅりー、貸してはあげるけど汚さないでくれよ。もうその本売ってないんだ」 「むきゅ!わかったわ!あ、でもこのほん・・・・・・」 意気揚々と僕から本を受け取り、開く。 本を開いたその瞬間、埃が舞い上がった。 その埃をもろに吸い込んでしまう『ぱちゅりー』。 「むぎゅ!!ごほっ、ごほっ・・・・・・えれっ、えれれっ!!!」 「あ」 咳につられて、嘔吐までしてしまう『ぱちゅりー』。 本にびしゃりとクリームがかかる。 もうこれは読めなくなってしまっただろう。 「ごほっ、げほっ、えれれ、ごぼっ!!」 「ああ、僕の絵本が・・・・・・」 汚さないでと言ったのに。 『ぱちゅりー』は僕の思い出を容赦なく汚してしまった。 これはお仕置きしなくてはいけない。 『ぱちゅりー』の脳天に抜き手をかます。 元々薄い『ぱちゅりー』の皮はあっさりと破け、簡単に手首まで埋まってしまった。 あとはハンドミキサーの要領でぐりぐりと手を掻き混ぜる。 「っ!!!?・・・・・・けひっ!!かひぇっ!?・・・・・・・くひぃっ!!」 ぐるんと白目を剥き、わけの分からないことを叫んで痙攣を始める『ぱちゅりー』。 もうこれでクリームを吐き散らかすようなことはしないだろう。 僕はぱちゅりーの頭から手を引き抜き、払ってクリームを振り落とした。 「やぁ『れいむ』。ゆっくりしてるかい?」 「ゆっ!!おnいさん、れいmはとっtもゆっkりしてrよ!!!」 『れいむ』に話しかける僕。 『れいむ』は今日も今日とて良いご挨拶・・・というわけにはいかなかったようだ。 「あれ?れいむ、今なんて言ったの?」 「ゆ?おにiさん、rいむはとってmゆっくrしてるyっていったnだy!!!」 僕の問いかけに返事を返す『れいむ』。 やっぱり聞き間違いではなかったようだ。 そういえばもう長いところ調整していない。そろそろガタが来たのかなぁ。 「うーん、こりゃ酷いな。総メンテが必要になったのかな?」 「ゆyっ?oにいsん、いったiなnのkと?」 僕を見上げるその瞳がカメレオンのように別々に動き始める。 ぐるぐると一箇所を見続けることはなく、時々白目を剥いたり、黒目に戻ったり。 うん、やっぱりこれは内部まで点検しないといけない。 「それじゃあ『れいむ』。ちょっとの間眠っててね」 「ゆ!おnいさn、rいmまdねmくな・・・・・・」 振り上げた拳をそのまま『れいむ』に叩きつける。 頭を不気味に変形させて、目と言わず口を言わずありとあらゆる穴から餡子を噴き出す『れいむ』。 一瞬の断末魔もなく、『れいむ』はそのまま静かになった。 「えーと、電話電話・・・・・・確かこの番号に・・・・・・」 電話帳を片手に、電話のボタンをプッシュする。 プルルとお馴染みのコール音。相手が出たのは、2コール後だった。 『はい、加工所愛玩部でございます』 「あ、すいません。ゆっくりの修理をお願いしたいのですが―――」 数年前に訪れたゆっくりブーム。 何故ゆっくりなんていうものがペットとして流行ったのか、それにはある理由があった。 先ず第一に人間の言葉が使えること。 犬や猫と違い、言ったことがそのままわかると言うのはペットとして大きなニーズを獲得した。 勿論、言語が通じることで生じる問題もあったが。 第二に、飼育が簡単であると言うこと。 なんせ生ゴミを適当に与えておいても勝手に育つのだ。 面倒くさいマニュアルなんてものはいらない。それはペットとして大きな魅力だろう。 そして、第三。恐らくこれが最も大きな要因だろう。 ゆっくりは、簡単に『修理』できるのだ。 他の動物なら致命傷でも、ゆっくりならば簡単に直せる傷なんてのは良くある。 元々体の脆いゆっくりの事、お手軽にペットを治療できるなんてのは病院代に悩む飼い主を救うことを意味していた。 それは、後々別の意味を持つことになる。 『ゆっくり救急治療キット』が世に出てから随分経つ。 名前の通り、そのキットにはオレンジジュースをはじめとするゆっくりを直す道具が一通り揃えられていた。 このキットが売り始められた時期と、ゆっくりのブームは奇しくも―――いや、必然だろう――― 一致する。 人々はゆっくりを『治療』するだけには止まらなかった。 治療と言う名の行為が行き着く果て―――それは改造だ。 今やペットショップにはゆっくりの種類別に分けられた眼球などのスペアパーツが並んでいる。 僕もそんなゆっくりを『改造』するものの一人だ。 この『れいむ』―――いや、その前は『ぱちゅりー』で、その前は『ありす』。更にその前は『まりさ』。 ではその前は一体なんだったろう。たしかみょんだったようなちぇんだったような・・・・・・?よく覚えていない。 とにかくこの元の種族すら分からない一匹のゆっくりを、僕は延々と改造し続けている。 その姿に飽きれば皮を剥がして、目を入れ替えて、植毛して、中枢餡を残したまま中身を入れ替えればよいのだ。 他の動物には真似出来ない、立派なゆっくりの長所だと思う。 まぁ時々こうして中身の不具合が出るのは加工所に任せるしかないんだけどね。 ともかく、ゆっくりがこの世に出てからいくらか経ったこの時代。 品種改良を重ね続けて、ゆっくりは完全に人に迎え入れられるような形となった。 人のために姿を変え、記憶を変え、魂まで変える。 なんとひたむきで、いじらしいのだろう。 『れいむ』を受け取りに来た職員さんに、そっと『れいむ』を差し出す。 一週間でお返しできます、との言葉を最後に職員さんは車を出していった。 きっとあの車の中には『れいむ』と同じようなゆっくりが積み込まれているのではないか。 遠くなっていく影を見つめながら、僕は一人思いを馳せる。 今度はどんな姿に改造してやろう。 もう『れいむ』の姿には飽きてしまった。つきはどんな姿がいいだろう。 そうして、つい最近入荷された新製品の事を思い出す。 確かあれは『ゆっくりゆうかセット』だったっけ。 緑の髪、赤い瞳、そして植物を栽培するらしい習性。 よく分からないが希少種・・・?のためらしく値段が少々高い。 それでも、セットに描かれていたあの姿は可愛らしかった。 きっとあの姿ならすぐには飽きない。少しは長く楽しめるだろう。 よし、決めた。次は『ゆうか』にしてやろう。 あの『れいむ』・・・いや、あの『ゆっくり』は喜ぶだろうか。 喜ぶだろうな。なんせあんなに可愛いのだから。 思い立ったが吉日。 僕は一週間後の改造に備えて、意気揚々とペットショップへと歩いていった。 人のためのゆっくり。 それは、ペットと人形の中間で人間に弄ばれる存在なのかもしれない。 おわり ――――― 書き溜めです。 ちゃんとゆっくりを愛でてみようと思って書いてみました。 着せ替え人形みたいにその日その日でお手軽に姿を変えられるペット、これは流行る。わけがない。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4114.html
※最投稿です。wikiのみなさん昨日は失礼しました。 ⑨<バカって言うやつがバカなのよ!このバカ! 普通のゆっくり制裁 「うっめ!!これめっちゃうめ!!」 「みんな、ゆっくりしないでいそいでたべるよ!」 朝畑に着てみたら、畑で黒い帽子と赤いリボンが野菜を食べていた。 収穫間際のにんじんや大根が見るも無残な姿に変わっていた。 「ゆっ!?おじさんはゆっくちできるひと?」 『普段はゆっくりしてる人だ』 「まりしゃもゆっくりだいちゅき すーりすーり」 いつの間にか野菜を齧っている奴らよりもふた周りほど小さいやつが話しかけてきた。 こんな変な生き物が人語をしゃべるのにも驚いたが、 そんなことよりも、収穫間際の野菜たちを食べられた怒りの方が大きかった。 『てめぇら!俺の畑で何してやがる!』 俺は思わず怒鳴りつけたが、こいつらは 「ゆっ!このおやさいはまりさたちがみつけたんだぜ、 おとなしくしていればいたいめをみないですむんだぜ」 「ここはれいむたちのゆっくりプレイスにするよ! きたないじじいはでていってね!」 などと抜かしやがった。 聞いたことがある、人の頭のような形をして、 人語をしゃべり、人里のものを食い散らかして行く「ゆっくり」という生物を。 どうせ畑の野菜たちは商品にはならないのだから この目で見るのは初めてなので、少し観察してみた。 どうやらくろいぼうしをかぶったやつが「まりさ」で 赤いリボンをつけたやつが「れいむ」というらしい。 そしてそいつらの子供と思わしき 5匹の野球ボールほどの大きさのれいむ1匹とまりさ4匹、総勢7匹のようだ。 先ほど話しかけてきたのは子供のれいむのようだ。 私が観察していると 「れいみゅはとめたんだよ…けどおきゃあしゃんたちが…」と言ってすまなそうな顔をしてから親のほうへ跳ねていった。 そのはねる姿 言葉遣い 一口二口しか食べられていない野菜たち 私は苛立ちを覚えてきた 村の周りには妖怪たちが住んでいて、めったなことでは手出しはしてはいけないと教わっていた。 こいつらはどう見ても妖怪だ、どんな能力を持っているのか計り知れない。 弱そうな外見でありながら実はとても強い妖怪であった例などいくらでもあるのだ。 だが、それでも私の怒りは収まらない。 私は妖怪に詳しい人物に教えを受けることにした。 私が離れていくのを見て 「ふん!まりささまにおそれをなしてにげだしたんだぜ!」 「ほんとうにダーリンはつよくてたくましいわ!」 「あんにゃきちゃないじじいいなくなってすっきりーしたよ」 私は苦々しくその言葉を聴きながら復讐に燃えていた。 「そうか、お前のところにもゆっくりがでたか」 私は親戚の叔父の家に来ていた、勿論ゆっくりのことを聞きにきたのだ。 「いいか、あれは確かに妖怪だが、中身はただのまんじゅうだ」 え? 「そのうえ、力も弱いし頭も悪い。これと言って能力もない にもかかわらず、態度だけでかくて、何も知らないやつはびびってしまう、お前みたいにな」 私は叔父にどうすればいいか対策を聞いてみた 「そうだなあ、あいつら馬鹿だからまた明日も畑に来るだろうから わなでも仕掛けとけばいいんじゃねえか? そうだ、あいつら加工所ってとこに持ってけばいい金になるらしいぞ」 私はそれを聞いて一目散に家に帰ってみた 案の定畑は食い荒らされていてそこには何もいなかった。 私は街の本屋でゆっくりの罠の作り方を調べてみた。 次の日… 「ゆっ ゆっ ゆっ!」 早朝から大きな声を上げながら、ゆっくりどもがやってきた。 私は畑がよく見えるところから様子を眺めていた。 「ゆっ!なにこれ!これじゃゆっくりできないよ!」 畑の周りは昨日の内にネットで囲んでおいた。 これじゃ通れないよ、どうするダーリン」 「へっ!こんなものまりささまにおまかせだぜ!」 そういうとまりさは助走をつけてジャンプ! 「ゆがっ!?」 どうやら後ろ足(そもそも足があるかわからないが)が引っかかって顔面から落ちたようだ。 「いたいんだぜぇ!!こんなもんつくったやつはじねええぇ!」 まりさはネットに向かって体当たりをしようとした、が 「どぼじでがらまるんだぜぇぇぇ!!!?」 さすがヤマメ印のスパイダーネットだ、よく絡まってくれた。 まず1匹捕まえた、さて残りのやつらだが… 「ダーリンがたいへんよ!みんなでたすけるのよ!」 ゲスな家族だと思っていたがそうでもなかったらしい 皆で絡まった糸を取り外そうとして銜えているが 「どぼじでがらばっじゃうのおおぉぉぉ!!?」 ミイラ取りがミイラになったようだ。 家族全員捕まったところで私が姿を見せると 「おいじじい!はやくおれさまをたすけるんだぜぇ!」 「いまたすけたら、おれいにやさいくずをあげるわよおぉぉぉ!」 「みゃみゃぁぁ!?たちゅけてぇ!」 とおおさわぎになった。 そこで私が罠を仕掛けたことを告げると。 「いまならゆるしてやるんだぜぇ!はやくごめんなさいしてどげざするんだぜえ!!」 「ついでにはやくこのあみをはずしてねええぇぇ!」 「ゆっくちぃー!!おこるんだよ!!ぷんぷん」 などと叫んでいたもののどうすることもできない様子を見て思わず私は噴出してしまった。 さて、捕まえたがいいが、意外とはずすのも面倒だなあと思っていると、 「ゆっ!あそこにわなにかかったばかなかぞくがいるわ!」 「ああはなりたくないねーわかるよー」 「ちーんぽ」 通りすがりのぱちゅりー、ちぇん、みょん、が森から出てきた。 そうだ、いいことを思いついた。 『みょん、ちょっといいかな?』 「ヴェニス?」 みょんは多少後ずさりしたがこちらに敵意がないとわかったように口を開いた・ 『この馬鹿親子たちを助けてあげてほしいんだ』 「みょん!?」 「みょん!それはきっとわなよ!にんげんのいうことをきいてはだめよ!」 「あぶないんだねーわかるよー」 『助けてくれたらお野菜をあげるよ』 「ちーんぽ!!」 みょんは了解したようだ 「きけんよみょん!わたしたちはにげるわ!」 「せんりゃくてきてったいだねーわかるよー」 と言ってぱちゅりーとちぇんは森の木陰まで逃げていった だが、こちらの様子を伺っているのがばればれである さすが餡子脳といったところだろうか 『さてみょん、ネットだけ切ってね、くれぐれも中の物まで切らないようにね』 「ちーんぽ」 ざくり 「たすかったんだぜ、やいじじい!こんなところにとじこめて ただですむとおもってるのかだぜ!おれさまはつよいんだぜ! ほんきをだせばおまえなんかいちころなんだぜ…ってきいているのかだぜ!」 わたしはそのころみょんにお礼の野菜をプレゼントしていた 『仲間と一緒に食べるんだよ、あとここにはもう近寄らないんだよ』 「ちーんぽ」 野菜を持って仲間のほうへとかけていくみょんをみながら私は考え事をしていた。 「おい」 「なんなんだぜくそじじい!!はやくおれさまたちにもやさいをよこすんだぜ!!」 『お前らもうここには来るなよ、きたらもっとひどい目にあわせるからな』 「そんなことしらないんだぜ、それにもうドスたちもここにむかっているんだぜ」 『ドス!?ドスもいるのか…好都合だ』 「さっきからなにひとりでしゃべっているんだぜ、きょうはひどいめにあわされたからかえるんだぜ いたいめをみなくてよかったなくそじじい!まりささまがほんきになれば…」 もうまりさたちの声は聞こえない ドスがくる それだけが私の頭の中にあった。 次の日 「ここのいちばんえらいひとをだしてね!!」 早朝から大きな声が響く 村中にすでに知れ渡っていることではあったが いざとなると緊張もする。 「はやくしてね!ドスはぐずはきらいだよ!」 そこに出て行く私 『やありっぱなドスさんどうしたんですか?』 「ゆゆっ!きのうなかまがこのむらでいじめられたからほうふくにきたよ!」 それとゆっくりしょくりょうをだしてね!」 「はやくだすんだぜ!」 「そうよそうよ!いなかものはこれだからきらいよ!」 『そうでしたかそれはすみません。 お詫びと言っては何ですがそこの畑の作物をすべてドスの群れに差し上げます。 どうか許してください』 ゲラゲラゲラ!!! 笑い声が響く 「やっぱりにんげんはばかでのろまでくずだね、ドスのすごさもわからないではむかうなんて」 「でもやさいがてにはいったわ、これでふゆがこせるわ」 「じゃあこのやさいはドスたちのものだよ、はむかったらドススパークでくろこげだよ!」ズドーン! ドスはドススパークを打って村人たちを威嚇した。 ドスの群れは我先に畑へと入っていく、が 「あがぢゃんがぁぁぁ!?」 ゆっくりの赤ちゃんたちが一瞬で消えてしまったのだ。 「どぼぢでぇぇぇ!!!」「どごいっだのおおおお!??」 原理はこうだ まず落とし穴を作る その上に竹でできた格子状の物を置く 上からではわからないように葉っぱや土をかけておく すると小さいゆっくりだけが落とし穴へ落ちていくと言う仕組みだ ちなみに下は藁が引いてあって赤ちゃんゆっくり達は無事だ。 「ゆっくちぃ…いちゃかったよぉ…」 「まっまーどこなにょぉー」 「まってってね!いまドススパークで…」『まった』 ドスの言葉をさえぎったのは私だ。 赤ちゃん達が入っている落とし穴に液体をかけていく 「ちべちゃい!」「ぬるぬるしててきもちわりゅいよ…」 「今かけたのは油だ」「どぼじでぞんなこどずるのおおおおぉぉぉお!?」 『よく燃えるからだ、そんなこともわからないのか?』 「ぞういうごどをぎいでるんじゃないいいぃぃぃ!」 『いまドススパークを打てば間違いなく油に引火して赤ちゃん達は全滅だな』 「ドスゥゥゥ!どうするんだぜええ!」 「ドス!あかちゃんをたすけて!」 「ゆぎぎ…」 『さあ!どうする時間はないぞ!』 気がつくと村人のほとんどがたいまつを持っていた。 いつ投げ込まれてもおかしくはない。 「わかったよ!おやさいがほしいよ!あかちゃんはあきらめるよ!」 ゆっくりたちは耳を疑った。 「あかちゃんはつくれるけどおやさいはとりにくるのがめんどうだよ、 だからドスはおやさいをとるよ!」 「ドスぅぅぅぅ!!!」 「ドスのはくじょうものぉぉぉぉぉ!!!」 ゆっくり達の悲鳴が聞こえる、当たり前と言えば当たり前だろうが 『じゃ、いらない赤ちゃん達、さようなら~』 ぽいっ ゴオオオオオァァァァッ!! 「アジュイィィィィィ!!!!」 「おぎゃああちゃあああああ!!!!!」 「ばりざだげだずげるのぜぇぇ!!!」 そこはまさに阿鼻叫喚地獄絵図となった 数十分後 あたりは焦げた餡子の臭いが立ち込めていた。 「しかたないんだぜ、これもいきていくためにはひつようなんだぜ、 だからドスをうらまないでほしいんだぜ…」 と言う割には帽子に野菜を山ほど詰め込んでホクホク顔のドスだった。 「ゆぅぅ…あかちゃん」 「しかたないんだぜ、やさいをもってかえるんだぜ」 正直冬の間の食料に困らなくなってほっとした家族が何軒もあったことだろう、 意外と疲弊した表情のゆっくりが見られなかった。 それが強いて言えば誤算と言えば誤算だったのだろうか 「ゆっ!!なんなのぜこれは!!」 群れが森の入り口に差し掛かったところで 大きな網が群れ全体をつるし上げたのだった 「やれやれ、こんなにいるとは思っていませんでしたよ」 『いやあ、おかげさまで助かりました』 「いえいえこちらも仕事ですから、 これだけいれば冬の間のゆっくり不足の解消にもなるでしょうし、 それに何よりドスを捕まえられたのが大きいですね、 これで研究もはかどりそうです」 『ありがとうございますこれで私も冬が越せそうです』 『ただ、これだけの状況を作り上げてもストレスを感じた風なゆっくりがあまりいないのが、 不思議と言えば不思議ですね。』 「まあドゲスの群れにはゲスが集まりやすいですからね、そういうこともあるでしょう、 値段は多少割引になってしまいますがね。」 『そうですか、この焼けたゆっくりはどうしましょう』 「そのまま肥料としてお使いください、いい肥料になりますよ」 『そうですか、いたれりつくせりですね』 ハハハハ… 「おいじじい!おれたちをどうするんだぜ!!!」 『ああ、きみたちは加工所に売り飛ばすんだよ、野菜の代わりにね』 「がごうじょ!!!いぎゃあああぁぁぁ!!」 ユッサユッサ 大きく網が揺れた瞬間1匹のゆっくりがころがり落ちた。 「ここはゆっきゅりできないむれだね!れいむあたらしいむれをさぎゃすよ!」 「あら?これいむだわ」 「きっとむれからはぐれたんだねーわかるよー」 「いっしょのむれにいれてあげるちーんぽ!」 「ゆっ!ありがちょーおねぇちゃんたち!」 その後、子れいむはぱちゅりー達の群れで幸せに暮らせたかどうかはわかりません。 レイパーにレイプされて死んだかもしれません れみりゃに食べられたかもしれません。 それでもあの時つかまっているよりは幸せになったでしょう。 終わり このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4090.html
※最初で最後のゆっくり虐待に挑戦中です。 ※どくそ長いです。(十回超の予定) ※うんうん、まむまむ描写あり。 ※標的は全員ゲスです。 ※最初の数回は読者様のストレスをマッハにすることに腐心しています。虐待パートは5からの予定。 ※虐待レベルはベリーハードを目指します。 ※以上をご了承頂ける方のみどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『永遠のゆっくり』3 「ゆっ!まりさ、ゆっくりおかえりなさぞいづはいっだいなんなのおおおおおおお!!!?」 この世の終わりのような絶叫が室内に轟く。実にやかましい。 まりさと連れだって家の中に入ってきたありすを見て、れいむは激怒した。 ありすの頭には茎が生えており、生っている赤ゆっくりはまりさとありすのものだ。 状況は一目瞭然だった。 「ばりざあああああ!!!なにがんがえでるのおおおおおお!!? ばりざにはでいぶがいるでじょおおおおおおおおお!!! ぞんなぐぞあでぃずはゆっぐりでぎないがらででいげえええええ!!!」 目をまん丸に見開いて唾をあちこちに飛ばし、ヒステリックにきんきん喚く。 「ゆっ!」 まりさは伴侶の顔を見ようともせず、俺たちに向かって顎でしゃくっただけだった。 「なんとかしろ」とのお達しらしい。 「あの、まりさちゃん、その子はなあに?」 留守番をしていた由美が戸惑いながらまりさに聞く。 「まりささまのすっきりようゆっくりなんだぜ!!」 妻の前で堂々と、妾を自宅に囲う宣言をするまりさ。 ちょっとは悪びれてほしい。 「ばりざあああーーーーっ!!」 「ええと、あの、おちついて話し合いましょ?」 無駄とは知りつつ、なんとかたしなめようと試みるも、 れいむは壊れたラジオのようにわめき続ける。 「ばりざばりざばりざばりざああああーーーーーーっ!! でいぶとのあいはどうじだのおおおおおーーーーっ!?あれはうぞだっだのおおおおおおお!!?」 当のありすはわめくれいむを薄笑いを浮かべながら眺めていたが、 やがてまりさの側に近付いて色目を使いはじめた。 「ゆふんっ、とってもとかいはなゆっくりぷれいすねぇ? ありすがすんであげてもいいのよ?」 「ゆっ!あたりまえなんだぜ!!おまえはここでまりささまをすっきりさせるんだぜ!!」 「うふふ、まりさったらつんでれさんねえ……」 そう言うと、ありすはまたもまりさのぺにぺにに舌を這わせ、 あろうことか相手の妻の前で堂々と寝取る様を見せつけはじめた。 「ゆほっ」とか言いながらぺにぺにを屹立させよがり始めるまりさ。 「ぐぞありずううううううなにじでるうううううーーーーーーーーーっ!!! でいぶのまりざがらばなれろおおおおおおおおおーーーーーーーーっ」 ここを先途と喉を震わせ、青筋立てて絶叫するれいむ。 血管はないはずなのになんで青筋が浮き上がるんだろうか? 「うるさいんだぜ!!」 まりさは一喝をくれただけで、あとはありすの舌技に身を委ねていた。 「ゆがあああああああ!!あがあああああああああーーーっ!!!」 ありすの意図は明確だった。 飼い主に捨てられ、野良になる覚悟もなく途方にくれていたところに、 人間を奴隷として従えている強いまりさが現れた。 このまりさを自分の体で籠絡し取り入れば、ゆっくりぷれいすが手に入る。 それも人間に飼われるのではなく、自らが人間を従えるゆっくりぷれいすだ。 茎を生やして子を宿し、今れいむを挑発して醜く激昂させているのも、自分が正妻におさまる為の術策だろう。 俺たちはうろたえていた。うかつだった、まさかこんな事になるとは。 俺たちが試みていたのはこの二匹をゆっくりさせることだ。 この状態では、まりさはいいがれいむは全くゆっくりできていない。 二匹が仲睦まじい関係を保っていることが前提条件の計画だったということに今更ながら気づいた。 気づいてみれば、ゲスの夫婦はそれだけでトラブルの種を大量に抱えた爆弾のようなものだったのだ。 「あの、ねえ、まりさちゃん……」 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 「その、とってもゆっくりしたゆっくりは、奥さんもゆっくりさせるものよ?」 「くそどれいは、だまっ、ゆほ、てるん、んっほ、だぜすっきりいいいいーーーーっ!!」 まりさは悪態をつきながら、すっきりする瞬間に由美の方を向いて精子餡を飛び散らせた。 べとつく精子餡を膝にひっかけられた由美は、怒りもせずに説得を続けた。 「でも、本当のゆっくりは家族みんなで仲良く……」 「おい……ごみくずがいちゆっくりまえのくちをきくんじゃないんだぜ」 射精直後の虚脱状態で息をつきながら、まりさが気だるげに罵ってきた。 「しらないようだからおしえておくんだぜ? すべてのゆっくりは、まりささまにつかえるのがいちばんゆっくりできるんだぜ。 よくおぼえとくのぜ!!」 「ゆっふん、だーりん、わいるどですてきよぉ」 まりさはそう言い捨ててからありすと舌をからませ始めた。 まりさの餡子脳内では恐ろしいヒエラルキーができあがりつつあるようだ。 ゆっくりのつけ上がりかたというのは、どうやら人間の想像力の斜め上をいっているのではないか。 「ゆがあああああああ!!ごっぢをむげえええばりざあああああああ!!!」 「でもその、れいむちゃんはゆっくりできてないみたいだけど……」 「れいむはばかだからじぶんのほんとうのしあわせがわかってないのぜ。 ほっとけばいずれはしんじつにきづくのぜ!」 「づれでごい!!ぐぞどれいはゆっぐりじないでばりざをづれでごいいいいーーーーっ」 呼びつけられて振り向いた由美が、声をあげた。 「れいむちゃん、待って!」 そう言い、タオルケットの上でばんばん跳ねているれいむを手で押さえる。 「ゆがっ、ざわるなあああああ!!ばなぜええええ!!! でいぶのいうごどがぎげないのおおおおおおおお!!?」 「赤ちゃんが生まれるわよ!!」 「ゆっ?」 魔法のように、れいむの動きがぴたりと止んだ。 よく見てみると、確かに茎に生っている小さい赤ゆっくりがぷるぷると震えはじめている。 茎が生えてから九日を経て、少しばかり早めの出産が行われつつあるようだ。 れいむが激昂して暴れたのも無関係ではあるまい。 「ゆぅぅ!!れいむのかわいいかわいいあかちゃんがうまれるよおぉぉ!!」 打って変っておとなしくなり、満面の笑みを浮かべて赤ゆっくりを見つめるれいむ。 「恵一、新しいタオルケットお願い!受け止めて!」 由美の指示で、俺は赤ゆっくりを受け止めるためのタオルケットを茎の下の床に敷いた。 このフローリングの床では、直接落してしまうとつぶれかねなかった。 「ゆゆゆぅ~♪ゆっくりしないでうまれてねぇ~♪」 慈母の表情で目を細め、いまかいまかと待ち構えるれいむの前で、 茎の一番先の赤れいむがその震えをさらに早めていた。 「ゆっ…ゆっ…」というか細い声も聞こえてくる。いよいよだ。 一同の注視の中、ついに一匹目のれいむがこの世に生を受けた。 タオルケットの上に着地し、ぷるぷると頭を振ってから周囲を見回し、 れいむの姿を認めると、母親に向かっておさげを振り上げて叫んだ。 「ゆっきゅちちていっちぇにぇ!!!」 この世のあらゆる光を前にしたような眩しげな笑みをたたえ、感極まったれいむが叫び返した。 「ゆっくりしていってねぇぇ!!!」 すぐに二匹目が誕生する。 「ゆっきゅちちていっちぇにぇ!!!」 「ゆっくりしていってね!!」 母親と姉が、新しい家族に挨拶を返す。 そして三匹目、四匹目、最後に五匹目が生まれるまで、この挨拶は五度繰り返された。 五匹のうち三匹がれいむ種で、二匹がまりさ種だった。 「ゆゆぅぅ!!とってもゆっくりしたあかちゃんだよぉぉ!!」 「みゃみゃ、ゆっくりしゅーりしゅーりちてにぇ!!」 「ゆっ!!おねーちゃんじゅるいよ!!まりしゃもしゅーりしゅーりちてにぇ!!」 「ゆゆっ、おちびちゃんたちなかよくしてね!!みんなでおかあさんとしゅーりしゅーりしようね!!」 「しゅーり、しゅーり!」 「しゅーり、しゅーり!」 「ゆゆゆゆぅ~!!おちびちゃんたち、ほんとに、ほんとにゆっくりしてるよおぉぉ~!!」 正直、悪くないかな、と一瞬思ってしまった。 交尾はひどいものだが出産の様子は、なんというか、心温まるものがなくもないかもしれない。 あのれいむがこんな表情を見せるとは思わなかった。 それでも可愛さ2、ウザさ8といったところではあるが。あひる口がウザい。 「ゆっ!まりさ!!」 さすがに好奇心にかられて近づいていたまりさに向かってれいむが叫ぶ。 「れいむとまりさのゆっくりしたあかちゃんだよ!! おちびちゃんたち、おとうさんだよ!!ゆっくりあいさつしてね!!」 「ゆゆっ、おちょーしゃん?ゆっきゅちちちぇいっちぇにぇ!」 「おちょーしゃんはゆっきゅりできりゅ?」 「まりしゃとしゅーりしゅーりちてね!!」 「ゆふん、かわいいでしょ!まりさ、ゆっくりかわいがってね!!」 下顎を突き出し、勝ち誇ったように見下ろして言い放った。 ところが、対するまりさの反応は冷めたものだった。 「めんどくさいんだぜ」 「ゆっ?」 一瞬、事態を把握できない様子で固まるれいむ。 そんなれいむにまりさは続けた。 「こどものめんどうはそっちでちゃんとみるんだぜ。 こもりなんてせせこましいしごと、まりささまにはふさわしくないんだぜ!」 「どどどどどどぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおお!!!?」 どうやら、可愛い赤ちゃんを見せればまりさが子供べったりになり、 家庭に根付いてくれると確信していたらしい。 母性愛の強いれいむ種ならではの発想だったが、 まりさ種、それもゲス相手ではそれも効力がなかったようだ。 「こそだてはおんなのしごとよ。 おっとにこどものめんどうをみさせるなんてとかいはじゃないわね!!」 「あでぃずはだまれええええええええ!!!」 横から口を出してきたありすにれいむは激昂する。 「ゆっ、おきゃーしゃんきょわいよ!」 「ゆっきゅりできにゃいよおお!ゆえーん!」 「ゆゆっ!?」 母親の剣幕に怯えて泣き出した子供たちを見て、れいむはなんとか怒りを収めた。 「ゆゆっ、ごめんね!おかあさんこわかったね! ゆっくりぺーろぺーろしてあげるね!!」 「おきゃーしゃん、ぺーろぺーろ!!」 「ゆっ、ぺーろぺーろきみょちいいにぇ!!」 子供の頬を舌で舐めはじめた。 まりさとありすはそれに背を向け、離れたところでいちゃつきはじめた。 れいむはそちらの方を時々恨めしげに、かつ憎々しげに見やっていたが、 ついにそれきりがなり立てることはせず、子供にかかりっきりになった。 この母性愛は、人間ですらなかなか真似できないのではないか。 母親の望む形とは違ったが、結局赤ゆっくりの存在が状況を丸く収めた形になったようだ。 まりさはありすにすっきりさせてもらい、れいむは可愛い赤ゆっくり達を独占し、 それぞれが一応はゆっくりした状態になった。 俺はというと、頭を痛めていた。 ついに子供が生まれてしまった。ありすの茎の赤ゆっくりもいずれは生まれるだろう。 二匹でも持て余していたのに、合計十匹以上となると、果たしてどういうことになるのか。 俺の不安をよそに、由美は楽しげにれいむの赤ゆっくりを眺めていた。 「ぼさっとみてないであまあまをもってきてね!! ごみくずはかわいいかわいいあかちゃんをみるけんりなんてないんだよぉ!!」 部屋のゆっくりは、結果としては十三匹になった。 れいむが三匹の赤れいむと二匹の赤まりさ、 ありすが四匹の赤ありすと一匹の赤まりさを生んだ。 れいむとありすは、それぞれが自分の子供の面倒を見ていた。 といっても、自分はその場からほとんど動かず、 食事は俺たちに持ってこさせ、うんうんやしーしーなどの処理も俺たちにさせる。 こいつらが親としてすることといったら、歌を歌うかおしゃべりすることぐらいだ。 要するに遊んでいるだけだが、自分では立派に子育てしているつもりでいるらしい。 子ゆっくり共は、いまでは直径10cmに足りるかどうかのサイズになっている。 れいむやありすの教育の結果、 案の定、子ゆっくり共も俺たちを奴隷と認識していた。 「ゆゆっ!ばきゃなごみくじゅがこっちをみちぇるよ!!」 「かわいいれいみゅのかおをみにゃいでにぇ!!どりぇいにはもっちゃいにゃいよ!!」 「あみゃあみゃをもっちぇきちぇにぇ!!そちちゃらまりしゃのうんうんをたべちゃちぇてあげりゅよ!!」 「ゆふふ、どれいをきょういくしてあげるなんておちびちゃんたちはゆっくりしてるね!!」 「ゆっ!!おきゃーしゃん、ごみくじゅのきょういきゅはれいみゅにまかちぇてにぇ!!」 れいむの子は、面と向かって悪態をついてくる。 いちいちちょっかいをかけられるたびに相手をするのは非常に疲れた。 「ごみくじゅ!!はやきゅあみゃあみゃをもっちぇきちぇにぇ!!」 「ゆっきゅりしにゃいでもっちぇきちぇにぇ!!かけあち!!かけあち!!」 以前にも増してひっきりなしに食事を要求される。 「あちょこのおもちゃをもっちぇきちぇにぇ!!いちびょういにゃいだよ!!」 「いち!まにあわにゃかっちゃにぇ!!ばちゅとしちぇどげじゃしちぇにぇ!!」 部屋の反対側にあるおもちゃを一秒とか二秒で取りに行かされ、間に合わないといっては土下座させられた。 「にゃにしちぇるにょ!?」 「くちょどりぇいにこんにゃにょはひちゅようにゃいよにぇ!!」 「りぇいみゅうんうんしちゃくにゃっちぇきちゃよ!!」 「ゆっ!まりしゃもうんうんしゅるよ!!」 勉強していれば、ノートの上によじ上ってきてその上でわざわざうんうんをしてきた。 こびりついた餡子はティッシュで拭きとってもくっきり跡が残った。 「痛っ!」 「ゆっ!ごみくじゅがいちゃがっちぇるよ!!」 「げらげらげら、おもちろいにぇ!!もっちょやっちぇあげりゅ!!」 「にゃんぼんみぇでちぬかにゃ~♪」 鉛筆やペンを口にくわえて俺を刺してくる。 たとえ子ゆっくりでも、鋭いもので突かれたら痛い。特にコンパスは冗談ではすまなかった。 俺が痛がるのでこの遊びは特にお気に入りになったらしく、いよいよここでノートは開けなくなった。 「ゆっ、これにゃに!?」 「パソコンだ。触らないでくれ」 「ゆっ!だいじにゃもにょなにょ!?」 「そうだよ」 「みんにゃー!!あちゅまりぇ~!!」 ノートパソコンで論文を書いているところにやってきて、 わざわざ大切なものであることを確認してから、姉妹を集めてその上で跳ねたりちーちーをしはじめた。 慌てふためいて砂糖水を拭き取ろうとする俺を眺めて、子ゆっくり共はげらげら笑い転げた。 ノートもパソコンも開けず、結局作業は大学でするしかなくなった。 「くちょじじいはゆっきゅりしにゃいでにぇ!!」 「れいみゅたちはゆっきゅりしゅるけどおみゃえはゆっきゅりしちゃだみぇだよ!!」 なにも用がないときでも、並んで悪態を飛ばしてくる。 押入れに隠れていればこうだ。 「ごみくじゅ!でちぇこい!!」 「ごみくじゅ!でちぇこい!!」 呼ぶから出ていってやれば、返ってくるのは嘲笑だけ。 「ほんちょうにきちゃないかおだにぇ!!」 「ゆっきゅりできにゃいにぇ!!おお、あわりぇあわりぇ!!」 「ば~きゃ!!ば~きゃ!!」 ほとんどの時間を、れいむの子ゆっくり共は俺をいじめる事に費やしていた。 ゆっくり用のおもちゃが敷き詰められたこの部屋の中で、 子ゆっくり共がどれを一番気に入っているかは明らかだった。 正直、俺はゆっくりをなめていた。 あんなまりさとれいむでも、成体ゆっくりはまだ理由をつけて罵ってくるだけましだったのだ。 子ゆっくりは、なんの理由もなしに、ただただストレートに悪罵をぶつけてくる。 自分たちはお前を蔑んでいるのだぞ、さあ悲しめ、いますぐ苦しめと言わんばかりに。 露骨に俺たちをいじめにかかっていた。 「さあ苦しめ」と言って向ってくる相手に、対話など成り立たない。 反論のしようも対処法もなく、ただ黙ってやられているしかないのはひどく辛かった。 「ゆっ、おちびちゃんたち、あれをみてごらんなさい。ゆっくりできるかしら?」 「ゆっきゅりできにゃいわ!!」 「うしゅぎたにゃいいなきゃもにょにぇ!!」 「ゆふふ、そのとおりね。とかいはなおちびちゃんたちは、あんなふうにはならないわね?」 「ならにゃいわ、まま!!なりゅほうがむじゅかちいわにぇ!!」 「あなたたちはとかいはなありすのあんこをうけついだこうきなゆっくりよ。 あんなげせんなどれいとはちょくせつくちをきいちゃだめよ?」 「ゆっきゅりりきゃいしちゃわ!!」 ありすの子は、俺を直接相手にしようとはしない。 しかしその侮蔑と悪意は深かった。 「ゆっ、とかいはなでぃなーをもってきなさい!!」 「いちょぐにょよ!ときゃいはなれでぃをまたちぇるもにょじゃにゃいわよ!」 「ありしゅちゃちはぐりゅめよ!いちりゅうしぇふをよんできにゃちゃい!」 由美に対しては、全力で見下しながらもまだ口をきくが、 俺に対しては一切口をきかず、家畜同然かそれ以下に見ているようだった。 それでいながらその実、ありす共は俺を意識しており、 毎日執拗に俺に対する嫌がらせを繰り返した。 ありす共は、表面的には俺と目を合わせずつんと無視しているが、 常に目の端で俺の行動を監視し、嫌がらせの種を探している。 洗濯をしていれば、洗濯機によじ上ってめちゃくちゃにボタンを押す。 勝手に冷蔵庫を開け放つ。 中の氷やアイスが解け、食事が腐り、その度にまりさに新しい食料を買い出しに行かされた。 原因はゆっくりにとっても明らかだったが、やつらの非難はいつでも俺たちに向けられた。 料理をしていれば、ありす共が台所によじ上り、 あちこちにぶつかって皿や包丁をがしゃがしゃ落としたり食材をひっくり返す。 当のありす共は、たまたま通りがかっただけという涼しい顔で、慌てるこちらを見ようともしない。 俺が慌てるのは、第一にありす共が怪我をしないようになのだが。 俺は押入れの中に布団を敷いて寝ているのだが、 毎日朝起きると、顔中にカスタードのうんうんが積み上がっていた。 ありす共が部屋の隅でにやにやとこちらを盗み見てせせら笑っている。 押入れの中に押し込んでおいた参考書が、大学に行っているあいだにすべて引っ張り出され、 あちこちに破り捨てられている。 ページの表面にこびりつくのはカスタードだ。 出かけようと思えば、俺の靴の中にカスタードがぎっしり詰められている。 歯磨きやら洗剤やらがすべて絞り出されてぶちまけられている。 犯人は大体いつも決まっていた。 やられた品々の周りに落ちているものがたいがいカスタードだったこともあるが、 行動パターンとして、れいむ共は俺達がそばにいる間は俺たちにつきっきりで悪罵を飛ばし、 俺たちがいない時は家族でゆっくりしている。 ありす共はその逆で、俺達がいる間は家族で固まっており、 俺達がいない間や寝ている間に精力的に動く。 壊された品々を見て慌てる俺を横目で見て、そらとぼけてせせら笑い、 高貴な自分たちがお前など相手にするわけがない、という姿勢を崩さない。 俺達が生活の中で使うもの、ゆっくり飼育のために使うものの区別なく、 とにかく俺達が使っているものをすべて壊しにかかる。 それで不都合が出れば、まりさが修復を命令してきた。 また部屋の構成を考えなければならなかった。 足元にまとわりつく子れいむ共に神経をすり減らしながら、家具の位置を大幅に変えた。 足場にされないように、ありす共の手が届かないようにする。 ほとんどの家具や日用品は撤去された。 もはや100%ゆっくりの為の家であり、人間が住む家ではなかった。 由美もまた、ゆっくり共に見下され侮蔑されていることに変わりはないが、 俺とは対応が明らかに違った。 家畜同然に扱われ、ごみのように苛められている俺に比べて、 由美の扱いはどうやらペットに近かった。 「おねえちゃんはほんちょにぐじゅだにぇ!もっちょはやきゅはしっちぇにぇ!」 「がんばりぇ!がんばりぇ!」 部屋の隅に置かれた一枚のクッキーを、 由美はわざとゆっくりのろのろと取りにいく。 ゆっくりのプライドを傷つけぬよう、魯鈍を演じている。 「やったぁ、取れたぁ!」 「ゆっ!おちょいよ!でみょよきゅがんばっちゃにぇ!!」 「ごほうびにたべちぇもいいよ!!ゆっきゅりかんしゃしちぇにぇ!!」 「わあい、みんなありがとう!」 にこにこしてクッキーを頬張る由美。 これほど言われても、つけ上がるゆっくりが可愛いという感性に揺らぎはないらしく、 とくに忍耐しているようには見えない。尊敬の念すら覚える。 そしてその無邪気な笑顔こそが、俺にとってもこの生活の中で唯一の救いなのだ。 とにかく、彼女と俺とではどうしてもゆっくりに対する態度が違う。 彼女はゆっくりのわがまま放題を心から楽しんでいるようだが、 俺のほうは常に潰したい衝動を抑えながらゆっくり共に接している。 その心情はやはり表面に現れ、ゆっくりもそれを敏感に察知し、 ゆっくりできるペットとゆっくりできない家畜、とでも分類したようだ。 俺に対しては「ごみくず」「くそじじい」としか呼ばないが、 由美は多くの場合「おねえさん」と呼ばれていた。 いつもにこやかな由美は多少なりとも可愛がられているようだったが、 俺は由美との対比でなおさら憎まれ、苛められ続けた。 それでも、俺は由美のために耐え続けた。 (後編へ)
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/219.html
ある男が居た。 まじめで、明るく皆から頼りにされる男だった。 そんな男は、洪水で氾濫しそうな川に土嚢を敷いている最中に川に流されて死んだ。 危険な箇所、誰も行きたくない箇所の作業での事故。 まさに、その男の生き様を象徴するような事故だった。 ……その男が残したレポートがある。 数冊にまとめられたそのレポートは、幻想郷に住まうある物体の観察を記したものだった。 その物体の種族名はゆっくり。 幻想郷で家・畑問わず荒らしまわっている害蟲である。 そのゆっくりについて書かれたレポートの、最初の観察を読んでみることにする。 今日から、ゆっくりについての観察したデータをまとめる事にする。。 記録などした事がないので、日記のようにまとめていこうと思う。 その日は長かった残暑もひと段落し、逆に暖房が欲しいほど冷えた10月の初め。 今日は近くの森からゆっくり霊夢の一家を家に連れてきた。 聞けば、何日か前に散歩から帰ると、魔理沙種に家を取られておりその日から何も食べていないらしい。 なるほど、近くの洞穴を見るとゆっくり魔理沙一家が元気よく過ごしていた。 これまた、ほのぼのする様な一家の光景だ。 「おじさんの家でゆっくりしないかい?」 籠から大きな肉まんを差し出しながら一家に提案した。 これだけで良い。 肉まんの足の先から羽に至るまで数分で食べつくしたゆっくり霊夢一家は、先程とは打って変わって、ワイワイと自分の後ろをついて来た。 「ゆっくりできるね!」 「おいしいものもたくさんたべれるね」 賑やかに後ろをついてくるゆっくり一家。 少ないが、食べ物を口に入れたことで少しは元気が出たのだろう。 「ここがおじさんの家だよ」 「ゆ! おおきいね!」 「おじさんのおうち、とってもおおきいね!」 ご機嫌を取ろうと、口々にお世辞の言葉を話すゆっくり達。 さすがに家のものを壊されちゃかなわないので、早々に庭の離れへと連れて行く。 離れは、和風建築の家には珍しく入り口は引き戸になっている。 その中は和風そのもの、違う点といえば珍しい石油ストーブが置いてあることだ。 珍しいものを見たからだろう、興味津々でその周りに集まるゆっくり一家。 「ゆゆっ! あったかい! おじさんこれあったかいよ」 「なつみたいだね!」 「それはストーブって言って、部屋を暖かくするものだよ。あんまり近づくと火傷するから気を付けてね」 放っておいて、そのままダイブしたら危ないので注意する。 直ぐに全員に伝わったらしく、はぁーいの大合唱が返ってきた。 「寒かっただろ、暫くここで過ごせばいいよ。外に出たかったら言ってくれれば何時でも出してあげるから」 「おじさんありがとう! ゆっくりするよ」 信用されたのか、あちらこちらに散らばっていたゆっくり達も、ゆっくりするよと声をかけてきた。 一家で散歩するなら、自分の畑に連れて行って取れたての野菜を食べさせるのも良いかもしれない。 きちんと、言って聞かせれば大丈夫だろう。 しかし翌日も、その翌日もゆっくり達は部屋から出てこなかった。 食事はきちんと与えているので、共食いの心配はない。 寧ろ最近は、食事の量を増やせといってきた。 快く応じる、どうせ野菜は一杯あるのだ。 ストーブも石油が切れないように心がける。 「おじさん! はやくいれてきてね!! ゆっくりできないよ!!」 「ゆっくりできないよ!」 お母さんゆっくりが偉そうに急かしてくるので急いで石油を入れる。 子供達が温まれないのを嘆いているのだ、無理に怒っても仕方が無い。 「ごめんね、遅れて。今火をつけるからね」 「おそいよ! もっとゆっくりはやくしてね!!!」 母親が強気に出ているのに気付いたのか、子供達も自分にタックルしてきた。 取り合えず、その場は謝って部屋を後にする。 一ヶ月と時間が過ぎて、綺麗な紅葉も地面に還ろうとしていた。 勿論、ずっと部屋に居るゆっくり達には、残念ながらその変化は感じられなかったようだ。 一緒に散歩に行こうと誘っても、ここでゆっくりしてるよと言って一緒にきてくれない。 母親に居たっては、途中で美味しいもの見つけてきてね、と言う始末だ。 しかし、初めに家でゆっくりしていいよ、と言ったのは自分なので悪くいう事は出来ないが、全く遠慮と言う言葉を知らないようだ。 それから更に一ヶ月あまり過ぎ、相変わらずゆっくり一家は離れに居座り続けた。 おそらく、ゆっくり達にとっては至宝の時間だったのだろうが、こちらもこの時期は色々と忙しい。 さすがに十数匹のゆっくりの面倒は見ることが出来ない。 残念だが巣に帰ってもらう事にするほか無いようだ。 「おじさんなにいってるの? ゆっくりたちのおうちはここだよ! はやくたべものもってきてね♪」 分かっていたことだが、ゆっくりの頭の中ではここが自分達の巣になっているらしい。 随分おめでたい頭をしてので、お母さんゆっくりにもう一度『お話を聞いて』貰ったら、今度は直ぐに嘘を認めた。 「ごめんなざい! ゆぐっりたべれだがらごごにいまじだ!」 誠心誠意謝ってくれた、あのゆっくりが自らの過ちを認めてくれたことは嬉しかった。 やはり話し合いと言うのは大事である、これはゆっくりにも共通しているようだ。 逆にこちらが恐縮してしまったので、離れる前に最後の食事として沢山のわたあめを持たせてあげた。 大きな袋に入れたので持てるかどうか不安だったが、子ゆっくりも全員きちんと口で挟んで運べるようで一安心。 「おじさん! こんなにありがとう!」 「おうちにかえってゆっくりたべるね!」 「さよなら!!」 「おじさんゆっくりしてね!!」 思い思いの言葉を話して別れを惜しむゆっくり達、全員が扉の前に集まったのを確認して扉を開けた。 ゆっくり出来たといっても狭い部屋だ、普段から広い外の世界を走り回っていたゆっくりは窮屈だったのだろう。 扉を開けたとたん勢いよく飛び出すゆっくり一家。 「ゆ! さむいよ」 「さむいよ! さっきまであったかかったのに!!」 「おじさん! へんだよ、きゅうにさむくなったよ!」 別に変な事は何もないんだけどなぁ。 「だって今は冬じゃぁないか。君達がこの部屋に住みだしたのは秋の初め頃だろ? 寒いだろうと思って今までストーブをつけていたのを忘れたのかい?」 ……どうやらそこまで馬鹿じゃないらしい。 俺が言ってから、少し時間がかかったが全員が理解したらしい。 おやおや、雪遊びでもしたいのかな? みんな元気よくガタガタとはしゃぎ回っている。 既に幻想郷は一面中銀世界だ、これだけ雪があればさぞかし楽しいだろう。 「それじゃあ、さよなら。気を付けて帰るんだよ」 楽しそうにしているゆっくり達家族の団欒に、踏み込むなんて無粋な真似はしないさ。 玄関の外まで案内したら、そう一声かけて門を閉じた。 ちょうどチラチラと雪も降り始めた、少し硬そうな雪なのであまり積もらないだろう。 目を閉じると、今までゆっくり達を過ごしていた日々が蘇った。 同時に何故一家を家に置いていたのかも思い出した。 参った、最近は忙しかったからすっかり失念していた。 イケナイ、イケナイ、善は急げだ。 幸い玄関先を確認すると一家はまだ近くにいたので、邪魔をしないように裏口から巣へ向かった。 ゆっくり一家の巣へまでは、これまで何度か足を運んでいるので簡単にたどり着いた。 さすがに冷えるのだろう、ゆっくり霊夢の巣の入り口には、以前来た時にはなかった大量の松葉と石で見事に塞がれていた。 時間が惜しいので乱暴に蹴り崩す、早くしないとゆっくり霊夢達が戻ってきてしまうかもしれない。 散らばったそれらを退かすと、中にはゆっくり団欒していた魔理沙一家。 皆一様に自分に視線を送っていた。 「おじさん、またきたの! ここはまりさたちのおうちなの! あとかられいむたちがうばおうとしたからおいかえしたの!!!」 またまた、お母さん魔理沙が突っかかってきた。 数匹の子魔理沙は随分と大人しいのだが、何時もこれが頑固に自分の家だと主張するので言い争いになっていた。 「もうすぐ霊夢たちが帰ってくるんだけど? やっぱりここを出て行かないのかい?」 「おじさんしつこいよ! ここh!」 時間が惜しい、やっぱり返事はいらないよ。 言葉の代わりに、お母さん魔理沙を外に引きずり出した。 「ゆゆ! おじさんなにするのゆっくりできないなら、すぐにゆっくりいりぐちをなおしてかえってね!!!」 「お菓子をくれようと思ったんだけど……」 「ゆっ! おかし! たべるたべる!! おじさんはやくちょうだい!!」 「わかったよ。おーい、君達にもあげるよ!」 「おじさん!! はやくちょうだい!!」 子供達を呼んでいる間中、お母さんゆっくりはずっとそんな事を言っている。 「わかったよ、口を大きく開けてね」 余りにも煩いので、先にお菓子をあげる事にした。 「!!!???」 涎を流しながら大きく開けている口へ勢いよく押し込める。 とても美味しかったのか、楽しく跳ね回っている親は放っておいて、子供達にもキンキンに冷えたアイスキャンディーを数本、口に押し込んだ。 やはり、親と同様に元気一杯跳ね回る。 ほのぼのとした雰囲気だったが、時間が迫っているのを思い出し、約束通り一家には他所へ移ってもらう事にする。 霊夢達に返してもらうよ、と一声かけて次々と裏側の崖へ落としていく。 この深い谷の下なら、洞窟も沢山あるし雪が入り口を塞いでくれるから、中はとっても暖かくなっているだろう。 別に子ゆっくりはここに残しても大丈夫そうだったが、以前よんだSF超大作にこんな台詞があった。 「間違った指導者を選んだ者の末路だ」 そういうことなので一家全員で、新しい家を探してもらうことにした。 食べ物も与えたし、巣を探しているくらいの間は大丈夫だろう。 あぁ、そういえば霊夢達もストーブの効いた部屋で美味しそうに食べていたなぁ。 ゆっくり達にとっては、冬場の方がアイスを美味しく感じるのだろうか? 夏場にあげた事はないからなんとも言えないが。 等と考えている間に、辺りは薄暗くなってきた。 それにしたがって辺りから物音が消えていく、無音の中で深々と雪が降っているだけだ。 急いで散らかしてしまった石や松葉をかき集める、これは霊夢たちが使っていたのかもしれないから。 しかし、中の食べ物は魔理沙達のものだろう。 さすがのゆっくりと言えども、家をのっとったモノの食べ物は食べたくないだろう。 仕方がないので、全て俺が持って帰ってあげることにした。 ヤギの餌くらいにはなるから。 黙々と袋に詰めていると、日は更に傾いていた。 同時に訪れる、普通の黄昏時とは違う恐怖心。 これ以上ここにいるとこちらの身も危ない、なによりゆっくり達とかち合ったら折角の親子水入らずの邪魔をしてしまう。 手早く荷物をまとめて家路を急いだ。 門の前に着くと、既にそこにはゆっくりの姿はなかった。 巣に戻ったのだろう。 空き巣を心配して裏口を確認するが異常は無いようだ、きちんと鍵をかけていたので当たり前と言えば当たり前なのだが。 その後、食事をして風呂に入り、この記録を書いている。 この二ヶ月間、ゆっくり達を観察して分かった事は以上の通りだ。 明日からは、町外れの木の室に住んでいるゆっくりパチェリーについて観察してみようと思う。 仲良しの霊夢種と魔理沙種と共に越冬しているかもしれないが、それはそれで貴重な記録が取れるかもしれない。 三匹くらいなら十分に面倒を見ることも出来る。 なにより、一人には広すぎる我が家が賑わうのは喜ばしいことだ。 あまり役には立ちそうもないが、ゆっくりを愛する人がこの記録を読んでくれることを切に願う。 想幻210年12月31日 パタン。 今読んでいた本を一旦閉じで目線を上げる。 その先には、紅茶とお菓子をお盆に載せた赤髪が綺麗な司書。 「小悪魔ご苦労様。取り合えず休憩にするから、紅茶をもう一つ持ってきてくれる?」 「??」 対する司書―小悪魔はキョトンとしている。 もうボケたのか? また唐辛子が入ってると思っているのか? いやいや、今日は入れていない 二個いっぺんに飲み干す魔法でもあるのだろうか?。 「あなたも一緒に飲みましょう?」 合点がいった、要するに一緒に飲んだくれよう、と言うわけだ。 「今度は何を読んでいるんですか?」 自分用の特上の紅茶を入れて戻ってきた小悪魔が尋ねる。 パチュリーが自身で手に入れてきた本なので、まだ内容は知らないのだ。 「ゆっくりを可愛がっていた男が残した飼育データよ」 紅茶の違いに気付き、手を伸ばしながら答えるパチェリー。 「そんな本だったんですか? それを持ってくるの苦労したんですよ。パチュリー様と違って、力のない私は水の流れを変えるのだって大変なんですから」 それよりも早くカップを口に運びながら答える小悪魔。 「濡れるのはあなた一人で十分よ。それにこれ面白いのよ、あなたにも後で読ませてあげるわ」 「はぁ。……おかわりをお持ちしますね」 本気でサマーレッドを撃とうとしている事に気付き、急いで特上の葉で唐辛子入り紅茶を作りにいく小悪魔が答える。 外に出歩かず、ゆっくりを見たことがなかった二人は、アレ以来ゆっくりをいじめる事がブームになっていた。 「本当に興味深いわよ。この資料」 男の願いが叶い、その資料はとてもゆっくりを愛している魔女の大図書館に、大切に保管させるだろう。 おまけ編
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3189.html
『孤独のゆっくり』 ※パロディネタを多く含みます ※劇中人物の独り言が多いのは仕様です 今にも泣き出しそうな曇天の空の下、一人繁華街を往くスーツ姿の男。 個人経営の輸入雑貨店を営む彼は、名を吉祥寺吾郎といった。 今日も今日とて顧客先を周り、得意先にヴェネチアグラスを納品したところだ。 一仕事終えた吾郎は、背広を肩にかけて煙草に火をつけた。 「……さて、今日は何を食おうか」 時間は既に15時を回ろうとしている。 予想外に仕事が長引き、吾郎はすっかり昼食をとるタイミングを逸してしまっていた。 「うーん、こんな時間に一人で牛丼ってのも間抜けだしな……」 駅前の大通りを歩きながら、吾郎は周囲の店に目を配る。 牛丼、カレー、ラーメン、パスタ、ハンバーガー……色とりどりの軒先が並んでいる。 けれど、どうにも吾郎の中でピンとくるものがない。 そうして、決めあぐねているうちに、吾郎は駅前の繁華街の端にまで来てしまう。 「しまった、アーケードはここで終わりなのか」 顎に手をやり、顔を渋める吾郎。 いま来た道をまた戻ると思うと、何となく気が重かった。 「まてよ……そういえば、このあたりにはアノ店があったよな」 吾郎は、数年前この街を訪れた時のことを思い返して、顔を少年のように輝かせた。 「うん、そうだ。こういう時は、"れみりゃ屋の肉まん"で決まりだ」 "れみりゃ屋" それは文字通り、れみりゃが子れみりゃを調理して出す、肉まん専門店だ。 駅の中心からは少し離れているが、その味はコンビニで売っているものの比ではない。 吾郎は、かつて一度だけ食べたその味を反芻して、口の中を涎であふれさせた。 「いかん、想像したらよだれが止まらん」 一刻も早く、あのジューシーな肉餡を頬ばりたい。 その思いだけで、吾郎は足早に道路を進んでいく。 15分後、吾郎は目的の場所へ到着した。 だが。 「あれ?」 そこに、肉まん屋は無かった。 親れみりゃが店頭で泣き笑いを浮かべて実演販売をしていた店は、 不況のあおりで既に閉店して久しく、代わりにどこにでもあるコンビニがテナントとして入っていた。 「ガーンだな……俺の胃袋は完全に"れみりゃ屋の肉まん"になっていたのに」 意気消沈する吾郎。 仕方なく、適当な店を探しながらあたりをつろつくが、中々店は見つからない。 さらに吾郎に追い打ちをかけるように、ポツポツと雨が降り出してきた。 「うわー、ついに降り始めちゃったぞ」 背広を傘代わりにして、小走りで雨宿りできる場所を探す吾郎。 すると、少し先に甘味屋らしい店が見えた。 時刻は間もなく夕方を迎えようとしている。 あの店で何かつまんで夕飯で仕切り直すのも良いかもしれないと、吾郎は考えた。 「ええーい、どこでもいい! ここにはいっちまえ!」 意を決して、吾郎はその店の暖簾をくぐる。 すると、予想外の声が吾郎を出迎えた。 「いらっしゃいだどぉー♪」 「うー、いらっしゃい」 「え?」 こぢんまりとした和風の店内にいたのは、 胴体有りのゆっくりれみりゃと、同じく胴体有りのゆっくりフランだった。 2匹はそろいのエプロンをしており、 れみりゃはカウンターの中に、フランはホールにお盆を持って立っている。 他に店員は見あたらない。この店は、この2匹のゆっくりがやっている店だった。 「ほぉ、ゆっくりがやっている甘味屋なのか」 普段ならば、ゆっくりが店をやっていること自体に疑問を感じるところだが、 今の吾郎は腹が空きすぎていてそれどころではなかった。 「ふーん、なかなかいい感じの店じゃないか」 カウンターの席に座って店内を見渡す吾郎。 内装はしかっりしていて、とてもゆっくりが用意したのものとは思えなかった。 カウンター内のキッチンにしても、れみりゃが料理しやすいよう特注のサイズになっている。 おそらく、この店のオーナー……ゆっくりに店をやらせると企画した人間がそろえたものなのだろうと、吾郎は合点をつけた。 「おや?」 壁にかかったメニューを眺めていると、吾郎はふと数枚の写真が飾られていることに気づいた。 そこには、何やら大勢のれみりゃと一人のメイドに祝福されている、1匹のれみりゃが写っていた。 「あ~ぅあぅ~♪ れみりゃのことがきになるのねぇ~ん♪」 吾郎が写真を眺めていると、カウンターのれみりゃがパタパタ飛んできて、 下膨れスマイルをぬぼぉーっと近づけてきた。 「あれは?」 「うっうー♪ なんとれみりゃは、おーわんぐらんぷりでゆうしょうしたんだっどぉー♪」 吾郎の横で、れみりゃはえっへんと胸を張る。 人間の目で区別は難しいが、目の前のれみりゃこそ、写真で祝福を受けているそれであった。 「おーわん?」 「おぜうさまわんぐらんぷりにきまってるんだどぉー♪ れみりゃってばおぜうさまこうほにえらばれちゃったんだどぉー♪」 幸せそうに微笑むれみりゃは、こぼれ落ちそうな大きな頬と下膨れを両手で押さえた。 それかられみりゃは、幸福感を体現するように、"うぁ☆うぁ☆"リズムを刻み始めた。 このままでは埒があかないと思った吾郎は、話題を切り替えることにする。 吾郎は、とにかく早く何かを胃に詰め込みたかった。 「なにかオススメは?」 「うぁ? うちはなんでも"あまあま☆でりしゃすぅ"なんだっどぉーぅ♪」 自慢げに答えて、れみりゃはカウンターの中へ戻っていく。 そして、箱の中から子ぶりの"ゆっくりれいむ"を取り出すと、それに竹串を突き通した。 「うっう~♪ すぴあ☆ざ☆ぐんぐにるぅ~♪」 それを数回繰り返して、大ぶりな串団子を作るれみりゃ。 れみりゃはそれを火のたかれた網の上に置き、ハケで黒いタレを塗っていく。 ゆっくりれいむの餡と、黒いタレが焦げて、店内に凄まじく甘い匂いが立ちこめた。 「れみりゃのつぐっだおまんじゅーおいしぃどぉ♪ たれがぷっでぃ~ん☆のおあじなんだどぉー♪」 楽しそうなれみりゃを余所に、吾郎は壁にかかったメニューに目を通す。 そこには、吾郎の心を引きつけるメニューが数点だけだが存在した。 れみりゃの焼いている団子を無視して、吾郎はそのメニューを読み上げる。 「えと……じゃあ、この煮込み肉まんを一つ」 煮込み肉まん。 いったいどんな料理なのかは吾郎にもわからなかったが、これも一つの縁だと思った。 けれど、れみりゃはその注文を聞いた数秒後、ゆっくり吾郎の期待を裏切るのだった。 「う~♪ ごめんごめんだどぉー♪ それらいげつからなんだどぉー♪」 「むむ……」 ならメニューにのせるなと、心中で毒づく吾郎。 「……うーん、いかんなどうにもタイミングがズレている」 それならばと、第二希望を口にする吾郎。 「それじゃあ、この煮込みあんまんを……」 が、またしてもれみりゃは下膨れスマイルを左右に傾けた。 「う~? ごめんねぇ~ん♪ それもらいげつからなんだどぉー♪」 れみりゃは申し訳ないとでも思ったのか、カウンターの上に登り、 そこで"のうさつ☆だんす"を踊りだした。 「おこっちゃいや~んだどぉ♪ おわびにれみりゃのしぇくしぃーなおしりみせてあげるどぉー♪」 れみりゃは吾郎に向かって尻を突き出し、それを左右にプリプリ振り出した。 その動作が、ただでさえ空腹でイラついていた吾郎に、さらなる油をそそいでしまう。 「!!」 次の瞬間。 吾郎は、椅子から立ち上がり、れみりゃの片腕にアームロックを決めていた。 「うっうぁぁーー!? いっだいどぉーーー!!」 ガッチリ極まった腕に激痛が走り、れみりゃは悲痛な叫びを上げる。 大の男が手加減無しで極めたアームロックに、れみりゃの肉まんボディーは悲鳴をあげた。 「ざぐやぁーーだじゅげでぇぇーーー!! れみりゃのきゃわいいおででがぁーーー!!」 れみりゃの叫びなどお構いなしに、吾郎は腕に力を入れる。 すると、吾郎のすぐ横までフランがやってきて、吾郎を静止した。 「うー、それいじょういけない……」 フランの静止に、ハッと我に返る吾郎。 が、時は既に遅く。 れみりゃの片腕は吾郎の腕力に耐えきれず、引きちぎれてしまう。 「ぶっでぃ~~っん!!」 肉汁があたりに飛散する中、 れみりゃは絶叫し、あまりの痛みにカウンターの上で号泣しながらのたうちまわった。 「いかんな……ついやってしまった……」 自らが握る、れみりゃの片腕に目をやりつつ、溜息をつく吾郎。 引きちぎってしまったれみりゃの腕はまだ温かく、切断面からはジューシィーな肉餡とホカホカの湯気が覗く。 「……ごくり」 湯気にのって、肉まんの匂いが吾郎の臭覚を刺激する。 吾郎は、我慢できずに、自らが握っている肉まんを口へと運んだ。 「ん! これはうまい! いかにも肉まんって感じの肉まんだ!」 「あああ~~っ、でびりゃのぉ~~~! でびりゃのぉおででがぁ~~~!!」 咀嚼を繰り返し、予想以上の美味に感嘆する吾郎。 その傍らでれみりゃが必死の叫びをあげていたが、今の吾郎にそれが届くことはない。 「そうそう! こういうのでいいんだよ!」 むしゃむしゃと肉まんにかぶりついていく吾郎。 そんな吾郎の服の端を、くぃくぃとフランが引っ張った。 「おかんじょう……ごひゃくえん」 「ん、そうか……支払いがまだだったな」 勝手に食べてしまっては客としてマナーが悪い。 吾郎はフランの言い値に従い、500円を手渡した。 それを受け取り、満足そうに頷くフラン。 一方、れみりゃはホカホカ湯気をたてる肩口をおさえながら立ちあがり、吾郎に食ってかかった。 「べんしょーだっどぉー! でびりゃにぶっでぃんよごずんだっどぉーー!!」 うるいさいなと、吾郎は感じた。 吾郎は食事を堪能しているのを邪魔されるのが我慢できないタチだった。 吾郎は肉まんを食べるのをいったん止めて、フランに頼んで残りを包んでもらうことにする。 そして、肉汁を口から飛ばすれみりゃと向かい合った。 「がえぜぇー! ぞれでびりゃのだどぉー! おぜうざまごうほのだいじなおがらだは、じんるいのたからなんだっどぉー!!」 吾郎は喚き散らすれみりゃの体を持ち上げ、それを店の床へ叩きつける。 れみりゃはわんわん泣いて痛がり、這ったまま頭を抱えてがたがたと震えだした。 「やべでぇー!! もうぶただいでぇーー!!!」 痛みで起きあがることができず、れみりゃは這いつくばりながら抗議の声をあげた。 「どうじで、でびりゃをいじめるんどぉー!? でびりゃはごーまかんのあるじだどぉー! えらいんだどぉーかわいいんだっどぉー!」 四肢をどたばた振り回して、れみりゃはだだをこねはじめる。 こうなってしまうと、なかなか収集はつきそうにない。吾郎は、怒りを通り越して疲れを感じた。 「ぶっでぃんぐれぇー! ぶっでぃーーん!! じゃなぎゃうっだえでやるどぉーー!!」 「うるさい……」 「ぶっひぃ~~~ん!?」 殴り飛ばされ、店の端へ転がっていく、れみりゃ。 れみりゃを制したのは、吾郎ではなくフランの拳だった。 「ぶぁぁーー! ふらんじゃーん! なんでだどぉーー!?」 「おねぇさま、しょせんおじょうさま……でもおきゃくさま、かみさま」 「うあぁぁーー! ふらんじゃんひどいどぉーー!!」 やれやれと、吾郎はため息をついた。 もうここにいても仕方ないなと思い、吾郎は包んで貰った肉まんを片手に店を出ることにする。 「俺はこの店には場違いだったみたいだな……」 * * * 雨はあがり、空には夕日が浮かんでいる。 吾郎は公園のベンチに座り、自販機で買ったチェリオを片手に"れみりゃの片腕の残り"を頬張っていた。 「うん、このわざとらしい肉まん味!」 吾郎の視界の先では、子供達が元気に遊んでいる。 どうやら、羽をもいだ胴体無しれみりゃをボール代わりにして、バスケットボールをしているようだ。 "うううう~~~~っ" "うぁぁぁーー! まんまぁーーー!" "さくやぁーー! たすけてぇーーー!" そんな子供達の元気な様子を目におさめつつ、 吾郎は少年時代の郷愁をスパイスにして、肉まんを堪能するのだった……。 「……肉まんの味って男の子って感じだよな」 おしまい。 ただいま書きかけのネタの在庫整理中だったりします。 『孤独のグルメ』はネタ抜きで面白いマンガだと思うんですけどねー。 by ティガれみりゃの人
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2889.html
その2より 「ほれ、今日からここがお前の部屋だ」 そう言って、男はれいむを木箱から取り出すと、乱暴に投げ捨てる。 虐待を終えた男は、れいむを密閉された木箱に詰めて、この部屋まで運んできた。 部屋は二畳半の小さな畳部屋だ。 憔悴しきったれいむは、まともに体を起こすことも出来ずに、床にうずくまったまま動けずにいた。 「今日の虐待はこれで終了だ。ゆっくり休むといい。ただし、今日は初日ということもあって手加減してやった。明日からは、もっと辛い目に逢ってもらう。精々気を強く持てよ」 全くもって虐待した男のセリフではないが、男は気にせず言葉をかける。 その後、れいむに背を向けドアに手をかけたところで、「そうそう忘れていた」と、首だけれいむの方に向きなおした。 「お前の絶叫が一番心地よかったよ。明日もその調子で頼むぜ!!」 またしても全くもって嬉しくない言葉をかけながら、男は笑いながら部屋を出ていった。 ドアを閉めて、カチャカチャと外から施錠する。 次第に足跡は遠ざかっていった。 れいむは男が去ると、力を振り絞って、ナメクジのように床を這い、部屋の隅に向かう。 そこにはドッグフードと水、ペラペラな毛布が置かれていた。れいむが死なないように、男が置いておいたものだ。 れいむはドッグフードに口を付ける。 安物のドッグフードであるが、普段ゆっくりが口にする虫や花とは比べることが出来ないほど美味であった。 しかし…… 「ゆっ……ゆげっ!! ゆがっ!!」 れいむはドッグフードを吐き出してしまう。 男の虐待で衰弱したれいむの体が、食べ物を受け付けないのだ。 それでもれいむは無理やりドッグフードを食べ続けた。 明日には今日以上の拷問が待っている。体を回復させるには、無理やりにでも食べなければならない。 ドッグフードを口に入れては、水を飲んで体内に流し込む行動を繰り返す。 れいむは泣いた。一体これで今日何度目だろう。 何で自分がこんな目に遭わなければならないのだ。今日何度そう考えただろう。 れいむは男がなぜこんなことをするのか分からなかった。 いくら呑気なれいむとは言え、今まで苛めや悪いゆっくりを見たことがないわけではない。 友達と喧嘩して苛められたこともあるし、苛めたこともある。 ゲスと言われる個体の暴力を目撃したこともある。 しかし、彼女たちにはそうする理由があった。 昔れいむは親れいむからリンゴを貰ったことがある。 ゆっくりにとって、リンゴなど滅多に食べられない嗜好品であった。 れいむはそれを友達と分け合ったが、我儘な子が多めに取ってしまい、大きさの違いからつい喧嘩になってしまった。 そしてその子は、ずるい・卑怯と罵られ、れいむを含む全員から苛められた。 その後、苛められたその子が均等に分けたことで、事態は収まった。 苛められたのは自業自得であり、苛めた方にも共感できる。 またある時、ゲスと言われる数体が群れを襲いに来た時があった。 何でも怠けていて冬場になっても食料を確保しておらず、どうしようもなく食料を奪いに来たらしい。 その時は、れいむの親のぱちゅりーの作戦が功を奏し、ゲスは一掃された。 怠けていたのは自分の責任であり、人の物を盗むなど腹立たしいことこの上ないが、これもある意味理解は出来る。 自業自得とは言え、食料がなければ冬は越せず、生きるか死ぬかの瀬戸際なのだ。向こうも必死だったのだろう。 取り分の多い子が苛められたのは、取り分を公平にするため。 ゲスが暴力を働いたのは、食料を確保するため。 群れがゲスを駆逐したのは、群れの食料を守るため。 このように苛めや暴力を見ないで育ってきたわけではない。 だがそれは、所謂手段であって、目的ではなかった。目的を果たすために、力で訴えたのだ。 れいむも、多くリンゴを取ったその子を、苛めたいと思って暴力を働いたわけではない。 それしか手がないからそうしたのだ。 しかし、男は違った。 特別な目的があって、れいむを苛めたわけではない。苛めそのものが手段であり、目的であった。 いや、強いて言うなら、ゆっくりを苛めることで感じられる満足感や充足感・カタルシスを得るためだろう。 可愛いから苛めたい、好きだからからかいたい。程度の差はあれど、人間誰しもが持つ普遍的な気持ちである。 しかし、ゆっくりにはこれがない。 可愛いから可愛がる、好きだから愛し合う。単純にして明快。ゆっくりにはこの考えしかない。 根底の価値観が、人間とゆっくりではそもそも違うのだ。 れいむには一生かかっても、男の考えが分かるはずがなかった。 れいむは、ドッグフードを無理やり体に詰め込むと、毛布にくるまった。 季節は秋。夜になれば、シンシンと冷たい空気が全身を襲う。 いくら薄っぺらいとは言え、人間の毛布はとても柔らかく温かい。全身をくるめば、正に天国のような心地よさだ。 しかし、それとは対照的に、れいむの心はとても寒かった。 何もしていないと、どうしても憂鬱な気分になってしまう。あの辛い虐待の時間を思い出してしまう。 もう早く寝てしまうに限る。 れいむは目を瞑り、意識が飛ぶまでいろいろなことを考え、あの辛い時間を忘れ去ろうとした。 今頃お母さん達はどうしているだろう? 元気かな? れいむのこと心配してるかな? 友達はみんな元気かな? いいお相手を見つけたかな? もしかして子供が出来たりした子もいるのかな? れいむも将来はまりさみたいなゆっくりと結婚したいな。 そういえば、まりさはどうしたのかな? ちゃんと生きてるんだよね? 一体どこにいるんだろう…… 「まりさ……」 ふとまりさの名前を呟くれいむ。 返事を期待したわけではない。そもそもこの部屋にはれいむ一匹しかおらず、返事が帰ってくるはずはない。 しかし、神様はたった辛く苦しいれいむに一つだけ加護を与える気になったのだろうか? 「……ゆっ? だれかまりさをよんだの?」 「!!!」 それは確かにまりさの声であった。 れいむはそれに気づくや、全身が痛いことも忘れて、毛布から飛び出した。 「ま、まりさなの? どこにいるの?」 大きな声でまりさに呼び掛ける。 しかし、東西南北どこを振り向いても、まりさの影も形も見当たらない。 「まりさ、かくれんぼしてないで、でてきてね!!」 「ゆぅ……そのこえはれいむだね!! どこにいるの?」 「ここだよ!! ゆっくりでてきてね!!」 「ここってどこなの? どこにもれいむはいないよ?」 「ここだってば!! わからないの?」 焦れたれいむは、まりさの声が聞こえる方に足を向ける。 しかし、そこにはだた部屋の壁がそびえ立っているだけであった。 こうなると、さすがにれいむも気が付いたのだろう。 その壁に向かって、言葉をかけてみる。 「もしかして、このかべのなかにいるの?」 「まりさはかべのなかにはいないよ!! おおきなおへやのなかにいるんだよ!!」 「ゆゆっ!! おおきなおへや?」 「そうだよ!! おへやだよ!!」 ようやくれいむは理解できた。 どうやら壁の向こうには大きな部屋があって、まりさはそこにいるらしい。 要するに壁伝いに会話を交わしていたということなのだろう。 「まりさ、ぶじだったんだね!! ゆっくりよかったよ!!」 れいむは壁に向かって、感情を爆発させた。 まりさがいる!! 例え姿が見えなくても、こうして壁越しに会話を交わせるだけで、不安に押しつぶされそうだった状況が、ガラリと一変した。 明日も今日のような虐待を受けることは変わっていないが、大好きなまりさを側に感じられるだけで、心の持ちようが変わるというものだ。 「れいむもぶじだったんだね!! ゆっくりあんしんしたよ!!」 「うん!!」 「でもありすはどうなったのかな?」 「ゆゆっ!?」 れいむは、ありすの名を出されるまで、すっかりありすの存在を忘れ去っていた。 薄情とは言うなかれ。まりさのことも、ついさっき思い出したばかりなのだ。 それだけ男の虐待が、れいむの餡子脳のウエイトを占めていたということである。 考えてみたら、自分の前にありすも虐待をされていたのだ。 元々ありす種に持っている感情や、さっきの泣いてばかりの姿を見たこともあって、未だあまりいい感情は持っていないが、それでも同じ虐待を受けた運命共同体である。 ほんの少し会った限りでは、れいむがありすに感じた感想は、行動力に乏しく、泣き虫といったものである。 れいむ自身も、さほど強くも勇敢でもないが、ありすに比べたらマシであろう。 少なくとも、男がまりさを虐待している最中、れいむは何とか部屋から出ようともがいていたが、ありすはひたすら泣いていただけであった。 このことから見ても、ありすがそれほど強いとは思えない。 そんなありすが、あの酷い虐待に耐えられたのであろうか? 心配である。 何のかんの言いつつ、ありすの心配をするあたり、結局のところ、れいむはお人よしなのであった。 「ありす、しんぱいだね……」 「ゆぅ……そうだね……」 二匹の間にしばし沈黙が流れる。 まりさも余程ありすのことが心配なのだろう。 自分も相当痛い目を見せられただろうにと、れいむは自分を差し置いて、まりさのやさしさに感心した。 と、そんなときであった。 カタッ 唐突に、れいむの背後から物音が聞こえてきた。 まりさが居る場所と真逆の方向である。 れいむは慌てて背後を振り返る。 この部屋にはれいむ以外誰もいなかったはずだが、今の音はいったい何だろう? キョロキョロと当たりを確認するも、思ったとおり、誰も存在しなかった。 「れいむ、いったいどうしたの?」 壁越しなのに、れいむの不審な行動が見えたのだろうか? まりさがれいむに問いかける。 「まりさ、いまおとがしなかった?」 「おと? ゆっくりきこえなかったよ?」 「ゆぅぅ……れいむのききまちがいかな?」 確かに何か音が聞こえたと思ったのだが、まりさには聞こえなかったらしい。 まりさの言葉に、れいむも聞き間違いかと思った瞬間、 ガタッ! さっきより一段と大きな音が、れいむの耳に入ってきた。 再び背後を振り向くも、やはり物陰一つ見当たらなかった。 不審に思うれいむでったが、今度は先ほどと状況が違った。 まりさから反応が返ってきたのである。 「ゆゆっ!! れいむ、まりさにもおとがきこえたよ!!」 「ゆっ!? やっぱり!!」 今の大きな音は、まりさの耳にもしっかり届いたらしい。 やはりさっきのはれいむの聞き間違いではなかったようだ。 「れいむ!! いまのおとはなんなの?」 「ゆー……わからないよ」 「もしかしておにいさんがまたきたのかな?」 「ゆっくりいやだよ!! もうきょうはいじめないっていってたよ!!」 「ゆっ、そうだったね!! それじゃあ、なんのおとだろう?」 「……ゆっくりれいむがしらべてみるよ!!」 音のした位置から見て、正反対の部屋にいるまりさには確認する術はない。 れいむは恐る恐るまりさのいる壁際から離れ、物音がしたほうに進んでいった。 「そろ〜りそろ〜り……」 キョロキョロ当たりを注意深く確認しながら、すり足でまりさと反対の方向に足を向ける。 しかし、狭い部屋の中にはやはり誰もいなく、すぐに対面の壁際に着いてしまう。 が、そこは、まりさの例もある。 もしかして、まりさ同様、この壁の向こうから音がしてきたのではないだろうか? そう考えたれいむは、壁に向かって声をかけてみた。 「そこにだれかいるの? いたら、ゆっくりへんじしてね!! ゆっくりおどろかすのはなしだよ!!」 れいむが言葉をかけると、その声に反応してか、再び物音が立った。 やはりそこに誰かるのは間違いなかった。 れいむの言葉に、しばらく返事は返ってこなかった。 それでもれいむは焦らず辛抱強く返事が返ってくるのを待っていた。 れいむ自身、恐怖があったので、あまり強く言えなかったこともある。 すると、ようやくれいむの言葉に返事が返ってきた。 「ゆぅぅ……そこにだれかいるの?」 それは余りに弱弱しい声であった。 しかしながら、れいむはその声に聞き覚えがあった。 「ゆゆっ!! もしかして、そこにいるのはありす!?」 「ゆっ!? このこえ、れいむなの!?」 それは数時間前に知り合い、すぐに別れることになってしまったありすの声その物であった。 向こうもどうやられいむの声だと気づいたのだろう。 弱弱しかった声が一変して、驚きを含む大声に変わった。 「ゆっ!? ありす? ありすのこえがきこえたよ!!」 「ゆゆゅ!! まりさなの? このこえは?」 まりさにも、今のれいむとありすの会話が聞こえたらしい。 どうやられいむの居る部屋を中心に、右側がまりさの部屋、左側がありすの部屋と、三つ連なっているようだ。 結界の外の世界とは違い壁に防音対策など施されているはずもなく、また二畳半というれいむの部屋の狭さから、まりさとありすが会話出来ても何ら不思議ではない。 「ほんとうにまりさとれいむなの!?」 「ゆっ!! ほんとうにれいむだよ!!」 「そうだよ!! まりさはここにいるよ!!」 「ゆゅ……ゆっ……ゆ、ゆあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!! まりさああああああぁぁぁぁぁ――――――!!! れいむうううぅぅぅぅ――――――――!!!!」 そこに二匹がいると知ったありすは、恥も外聞も関係なく、いきなり泣き出し始めた。 れいむは突然のありすの行動に驚き、「どうしたの!?」と聞きそうになって、ふと唇を結んだ。 そんなこと聞くまでもなく分かっている。 怖かったのだろう。 痛かったのだろう。 辛かったのだろう。 寂しかったのだろう。 すべて自分も体験したことだ。身を持って実感している。 ふと気付けば、れいむのありすに釣られて、目尻にも涙が溜まってくる。 まりさもそんなありすに何も言ってこない。 気持ちは痛いほど分かるのだろう。 もしかしたら、れいむのように釣られて泣きそうなのかもしれない。 数十分もの間、ありすは延々と泣き続けた。 その間、れりむとまりさは、一言も口を開かなかった。 「……みっともないところをみせたわね!! ちょっととかいはらしくなかったわね!!」 ありすは落ち着いたのか、ようやく泣き止んだ。 れいむも毛布で溜まった涙を拭き取る。 とにかくまりさに続いて、ありすが無事なことも確認できた。 恐怖はそうそう拭えないが、一匹でいるのと三匹でいるのでは、安心感が全然違うというものだ。 「そんなことないよ!! あんなひどいことされたら、ゆっくりしょうがないよ!!」 「そうだよ、まりさのいうとおりだよ!! れいむもいっぱいないたし、きにすることないよ!!」 「あ、ありがとう!! ま、まあ、とかいははせんさいだから、ちょっとくらいないてもしかたがないのよ!!」 こんな場合だというのに都会派を気取りたがるありすに、れいむは少しだけ呆れながらも、感心してしまう。 よくあんなに気を張っていて疲れないものだ。体力的にも相当キテいるだろうに。 まあ親ぱちゅりーの言っていたように、都会派どうこう言っても、こちらが気にしなければ別にどうということはないので、れいむとしてはどうでもいいことなのだが。 「ところで、れいむとありすはおにいさんにどんなことをされたの?」 まりさが質問してくる。 正直れいむは思い出したくもなかったが、明日も続くことだし、情報交換はしておいた方がいいと考えた。 うまく対策を立てられれば儲けものである。 「ゆぅぅ……れいむは、ほそいぼうをいっぱいあたまにさされたよ」 「ありすもれいむとおんなじよ」 今日男がれいむに加えた虐待は、虐待としては一般的でオーソドックスな針を使った虐待である。 裁縫針を一本一本頭に刺していくというただそれだけのことだが、侮るなかれ、その効果は絶大である。 ゆっくりは外面に対する衝撃には比較的強いが、内面に対する衝撃には呆れるほど弱い。 ゆっくりを知らない人はよく勘違いをするのだが、成体のゆっくりは饅頭というその体に反し、以外と頑丈に出来ている。 ゆっくりは成体になるにつれて、皮の厚さが増し、中の餡子やクリームが硬くなってくる。 そのためパサパサになって味が悪くなるのだが、それと引き換えに野外で活動するための頑丈な体が整ってくる。 人間の里のように整理された歩道などは、自然界にありはしない。 デコボコした山道を駆けたり、鋭い砂利の上を跳びはねたりするし、時には木や岩に体当たりをしたりするのだ。 無論状況によっては怪我をするし、体当たりをする場合でも、あまり力を入れてぶつかると自分の方が痛くなるのは、先程のれいむの壁への体当たりや、男に蹴られた場面を見れば分かるだろう。 しかし、人間が作る饅頭のような強度では、そもそも自然界で生活することなど不可能である。 ゆっくりは衝撃に強い(当社比)。これがゆっくりの事実である。 しかし、それはあくまで外面のことである。 如何に外面が強くなろうと、中まではそうはいかない。 体を鍛えに鍛えた人間が、歯の神経に触れられて痛みを我慢できないように、ゆっくりも内面までは強化・成長することは出来ない。 ゆっくりの餡子に神経があるのかは不明だが、少なくとも痛覚があることは間違いのない事実である。 結果、分厚い皮を通り越して餡子を直接刺激する針の虐待は、単純ではあるが、これでもかというほどれいむを苦しめる結果となったのである。 「まりさもおんなじだよ!! とってもいたかったよ!!」 「あしたもあんなことをされるのかしら……」 「ゆぅぅ……ゆっくりいやだよぉ……」 「いたくならないほうほうを、ゆっくりかんがえようね!!」 「でもきょうのはてかげんしたって、おにいさんがいってたよ!! あしたはきっともっとひどいことをされるよ!!」 「ゆっ!! そうだったね……」 「ゆぅ……」 対策を立てるつもりが、逆に落ち込んでしまうれいむ。 そもそも、万事が男の都合で動くのに、対策など立てようがないのだ。 せいぜい媚を売って軽減してもらうか、最悪自殺でもしない限り、この状況から抜け出せることはない。 とは言え、虐待する気満々の男に媚を売っても聞くはずはないし、ゆっくりにはそもそも自殺という概念が存在しない。 自分で自分を殺すということに、理解が及ばないのだ。 その後、結局有益な情報交換も出来ないまま、適当に男の悪口を言ったり、明日も頑張って耐えようと励ましあったりして、会話はお開きとなった。 れいむは、もう少し二匹と話をしていたかった。 言葉を交わしていないと、不安に押しつぶされそうになるのだ。 しかし、まりさもありすも、男の虐待によって、心身共に疲れ切っている。 れいむの我儘でこれ以上二匹を疲れさせるわけにはいかなかった。 男は虐待に飽きたら森に帰すと言ってくれた。 まりさやありすはその言葉に懐疑的であったし、れいむもいくら呑気者とはいえ、男にあれだけのことをされて、その言葉をホイホイと信じるほど愚かではなかった。 しかし、それでも今はその言葉にすがる以外、この苦境から出る術が無いのも事実である。 明日を、明後日を乗り越えるためにも、こんなところで無駄に体力を使ってはいられない。 れいむは再びドッグフードと水を体に詰め込む。明日に残る体力は、多ければ多いに越したことはない。 その後、毛布で全身を包み、固く目を瞑る。 明日行われるであろう男の虐待を否応なしに想像してしまうれいむだが、次第に体の疲れがそれを遠くに押しやった。 れいむは意識は、深い深い底に沈んでいった。 れいむが男に連れてこられて、一か月が経過した。 たかが一か月。しかしそれは、れいむの人生において、もっとも辛く、もっとも苦しく、そしてもっとも痛い一か月であった。 二日目にされた虐待は、辛い物地獄。 初めに唐辛子を無理やり口の中に詰め込まれた。 これもゆっくり虐待の定番の一つである。 「ゆぎゃああああぁぁぁぁぁぁ―――――――――!!!! いだいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃ――――――――――――!!!!!」 余りの痛みと熱さに、れいむは虐待部屋を駆け回る。 壁に体当たりをしたり、唇を噛んだりと、自分で痛みを作り出して、辛さを和らげる。 途中、自分でしておいてそんなれいむが気の毒に思ったのか、「れいむ、ほら水だ」と、男がボトルを渡してきた。 ゆっくりでも飲めるように、先にはストローが刺してあり、れいむはゆっくりに有るまじき速さで、それに食らいつく。 しかし…… 「ゆぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ――――――――――――――――――――――!!!!!」 そもそも、虐待を楽しむ男が水など寄こすはずもないのだ。 しかし、朦朧とした頭でそんなことを考えることが出来るはずもなく、れいむは男が寄こしたタバスコを一気に飲み上げ、口から火を吐き出した。 その後、男は「おっと、落としちゃったよ」とワザとらしい口調で七味をれいむの目に掛けたり、注射器で直接れいむの体にワサビを注入したりと、れいむを弄んだ。 れいむにとっては一生にも匹敵する一時間が過ぎると、「もう終わりか」と、実に残念そうにれいむを木箱に詰めて、元の部屋に帰した。 ちなみに男はれいむをこの虐待部屋に連れてくる時や戻す時、決まってれいむを木箱の中に詰めて部屋を行き来する。 これは男がある意図を持ってしていることであるが、それはいずれ分かるので、ここでは説明を省かせて頂こう。 部屋に着くや、れいむは桶に張ってある水の中にダイブした。 汚れを防ぐために敷かれたブルーシートに、水が飛び散る。 本来の用途は飲料であるが、そんなことを気にしていられるはずもなく、れいむは体がふやける限界まで、水に浸り、飲み続けた。 地獄から一転、天国のような心地よさ。 しかし、れいむのこの行動はあまりにも軽率すぎた。 部屋には毎日桶一杯の水しか設置されていない。 一日過ごすだけなら、その一杯で十分であり、何ら支障はない。 ところが、れいむは考えなしに水を使いまくったおかげで、水が空になってしまったのだ。 少しずつ飲んでいれば一日くらい持ったかもしれないが、水がないおかげで、一日中口の中が痛く、その夜れいむは寝ることが出来なかった。 寝れなければ、体力を回復することも出来なく、後日、れいむはさらに酷い虐待を味わうこととなってしまった。 ある日の虐待は、一時間、ひたすらケツバットをされたこともあった。 前述の通り、ゆっくりは外面への衝撃には比較的強い耐性を持っている。 しかし、男の尻叩きの威力がハンパなかったことと、同じ個所を延々と叩きつけられたことによって、その耐性ももはや意味を持たなかった。 「やめでえええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――――――――――――――!!!!!」 紐で縛られ、天井から吊るされたれいむは、目を真っ赤にしながら男に止めてと懇願する。 それで止めるかといえば、言うまでもなく…… 「さあ、ピッチャー振りかぶって投げた!!! カッキーン!!! これは大きいぞ!!! 入った、ホムーラン、ホムーラン!!!」 自分の実況に合わせて、盛大にバットを叩きつける。 叩きつけられた衝撃はとてつもなく、れいむはそのまま天井と熱烈なキスをかます。 「ゆぶっ!!!!!」 その後、振り子のように戻ってくるれいむを、「特打でも始めるかね」と、野球少年のように目を輝かせて、バットを振り始める。 「ゆぎゃ!! ゆびっ!! ゆがあぁ!! ゆっ!! ゆごっ……………」 何十何百とれいむを打ち続ける男。 その眼はまるで高校球児のように輝いている。 最近、腹が出てきたことも、男をやる気にさせる要因の一つだろう。 部屋にかけてあった鳩時計が時間を知らせると、「ふう、いい汗かいたぜ」と、実にさわやかにタオルで汗を拭い取った。 その後、いつも通り、れいむを箱に詰めて部屋に戻す。 れいむは、その日も余りの痛さに、長い夜を眠れず過ごすことになった。 またある日は、こんな虐待もあった。 れいむは、疲れていた。 虐待なんてされているのだから、疲れているのも無理はないが、ここ最近は眠れない日が続き、いよいよもって心身共に限界に来ていた次期であった。 そんなれいむの事情を知り、さすがにまずいと思い始めた男は、プログラムを変更し、れいむを休ませることにした。 と言っても、虐待を抜くわけではない。 「れいむ、今日は一切暴力はなしだ」 男がれいむに言った。 れいむは信じられなかった。 今まで十何回も自身を痛めつけてきた男の言葉だ。 何度も甘い言葉を吐いてはれいむを騙し、それを見て嘲笑う男の言葉だ。 どこに信じられる要素があるというのだろう。 しかし、男はそんなれいむの考えなどどうでもよく、淡々と虐待の作業を行っている。 用意が終わると、「これを見ろ」と、れいむに命令する。 反抗したいが、反抗すればそれだけキツイお仕置きが待っている。 もうすっかり慣れた物だ。 男が見ろと言った物に目を向けると、それは箱だった。大小二つの箱が、れいむの目の前に置かれている。 と言っても、最初にれいむが入っていた木箱ではない。 訳の分からないれいむに、男が説明をしてくる。 「これは“てれびじょん”、そしてこっちは“べーた”というものらしい。この二つを組み合わせることで、なんと絵を映し出すことが出来るという優れものだ。 最近、幻想郷に結構入ってきている物らしくてな。ここに来るってことは、外の世界で忘れられた物なんだが……こんな便利な物がどうして忘れられるのかねえ?」 男は不思議だと首をひねる。 その後、「まあいいや」と、男は箱に付いている凹凸を押したり、回したりした。 すると、突然箱の中に、ゆっくりが出現しだした。 「ゆゆっ!!」 れいむは驚き、箱を凝視する。 箱の中には白黒のゆっくりがおり、元気よく走りまわっていた。 ゆっくりに限らず、箱の中の木も草も花も空も、すべてが白黒であった。 「ど、どうして、はこのなかにゆっくりがいるの? なんて、みんないろがついていないの?」 「さっきも言った様に、これは絵を映し出す魔法の箱だ。このデカいカメラで撮ったものは、“てーぷ”に収められて、これで映し出すことが出来る。白黒なのは仕様だから気にするな」 「ゆぅぅ……」 男の説明は全くもって意味不明であった。 しかし、れいむにはそんなことはどうでもよかった。 久しぶりにゆっくりの姿を見れた。 まりさとありすとは、毎日のように言葉を交わすも、初日以来、一度も姿を見ていなかった。 それだけに、白黒とはいえ、箱の中で楽しそうに遊んでいる同胞たちの姿を見て、れいむの疲れ切った心と体は、久しぶりに潤いで満たされ始めた。 「どうだ、楽しそうだろう」 男がれいむに声をかけてくる。 れいむはと言えば、一瞬男が敵であることも忘れて、嬉しそうに反応する。 「ゆう!! たのしそうだよ!! れいむも、みんなといっしょにあそびたいよ!!」 久しぶりに浮かべるゆっくりした笑顔。 しかし、これは虐待の一環。 それが今日最初で最後の笑顔であった。 ザアアアアアアアァァァァァァァ―――――――――― 「ゆっ!?」 突然、箱に砂嵐が舞い降り、映像が見えなくなった。 れいむは男に問いただそうとした瞬間、すぐに砂嵐は収まった。 「ゆゆっ!! もとにもどっ……………………ゆゆゆゆゆっ!!!!!」 映し出されたそれを見て、れいむは目を疑った。 一瞬にして、笑顔が凍りつく。 そこに映された物は、阿鼻叫喚の地獄絵図であった。 『やめでええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ―――――――――――――!!!!』 『なんでごんなごどずるのおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――――――――――!!!!!』 『でいぶのあがぢゃんがあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――――!!!!』 『まりちゃ、ちにだぐないよおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――――――!!!!!』 『おがあぢゃあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――――ん!!!!!』 平和でのどかなゆっくり家族の映像が、一転して虐殺風景に早変わりする。 ある子れいむは、口に両手を入れられると、そのまま体を真っ二つに引き裂かれた。 ある子まりさは、サッカーボールの如く蹴られ、岩に激突し、餡子をは弾かせた。 ある赤れいむは、人間に体の半分を噛み千切られた。 ある赤まりさは、おろし金で体を削られた。 「な、な、な、なんでえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ―――――――――――!!!!!」 れいむも、テレビの中のゆっくりに負けず劣らずの大絶叫を上げる。 「なんでっていわれてもなあ……一時間、延々とゆっくりのゆっくり出来ない姿を見ることが、今日の虐待プラグラムだしな。最初に説明しただろ、今日は暴力は無しだって」 「だがらっで、なんでこんなのみぜるのおおおおおぉぉぉぉぉ―――――――――――――!!!!!」 「虐待の一貫なんだから、ゆっくりのゆっくりしている光景を見せるわけないだろ。それとも何か? いつもみたいに痛い虐待の方がいいのか?」 「ぞんなわげないでじょおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ―――――――――――――――!!!!」 「なら素直に見なさい。これは『The☆虐待』というタイトルの、とても素敵な一本だぞ。虐待士やマニアが喉から手が出るほど欲しがる品だ。垂涎物だぞ。 お前の為に、わざわざ高い金出して買ったんだ。ありがたく思えよ」 「ぜんぜんうれじぐないよおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――――――――!!!!!」 れいむはあまりの酷さに、目を背けようとするも、男に目蓋を安全ピンで括りつけられ、目が閉じないようにされてしまう。 ん? まばたき? いや、ゆっくりにまばたきは必要ないっしょ、ゆっくりだし。 「それじゃあ、一緒に見ような」 「やだああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――!!!!!」 男はテレビの前で胡坐を組み、その上にれいむを載せる。 そして、れいむの頭の上に優しく手を乗せた。決して固定しているわけではない。 その光景は、老人が孫をひ膝に乗せて一緒にテレビを見るという、極ありふれたシーンを彷彿をさせる。 「ゆぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――!!!!」 その夜、れいむはゆっくりの死に様を延々と繰り返す悪夢にうなされながらも、久しぶりに熟睡することができた。 その4へ
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4063.html
ある日、いつものように畑に行くと4匹のゆっくりの姿がそこにあった れいむとまりさの成体1組とその子供と思しきれいむとまりさが1匹ずつ いわゆるお約束の家族構成である 「おい、饅頭ども!俺の畑で何してる!?」 「ゆゆっ!ここはれいむたちのおうちだよ!にんげんさんはゆっくりでてってね!」 「そうだぜ!ここはまりさたちのゆっくりぷれいすなんだぜ!」 「「ゆっきゅちでていっちぇね!」」 この発言は俗におうち宣言と呼ばれ、要するに縄張りであることを主張しているのだ ここは自分達の縄張りだから出て行け ゆっくりに人間の所有権など理解できるはずもないし、人間の縄張りの主張の仕方も知らないだろう だから、このように人間の畑や家屋でおうち宣言するのも致し方ないことだと言えよう しかし、俺もまた一己の生命であり、宿と畑は生きていくうえで不可欠 だからこいつらを、俺に害をなす敵を追い払うのも致し方ないことなのである 「ごちゃごちゃうるせえ!!」 「ゆぎゅ!?」 手始めに大抵の場合、家族の中で最も戦い慣れているゆっくりまりさを蹴り飛ばした まりさは間抜けな悲鳴を上げながらごろんごろんと畑を転がって行き、10mほど転がったところで停止した れいむと子ゆっくり共は目を大きく見開き、その事態を信じられないといった様子で見守っている 「ま、まりざあああああああああああ!?」 「どほぢぢぇこんにゃこちょしゅるにょおおおおお!」 「ゆえーん、きょわいよー!」 1分ほどしてようやく我に返ったれいむは苦しそうにのた打ち回っているまりさの下へと跳ねてゆく 一方、子ゆっくり2匹はあまりの恐怖にありもしない腰を抜かしたのかその場で泣きじゃくる どちらも、自分を守ってくれる親がそばを離れてしまっていることに気づいていない 「なあ、お前ら。お母さんのそばにいなくていいのか?」 「ゆっぐ・・・ゆゆっ!?おきゃーしゃあああん!」 「おきゃーしゃん!ゆっきゅちたしゅけちぇね!」 そう言いながら2匹は急いで嗚咽を漏らすまりさと心配そうな表情で彼女に寄り添うれいむのそばへ まりさは痛みで子供のことを気にする余裕がないようだが、れいむは彼女達に「はやくこっちにきてね!」と叫んでいる 子れいむと子まりさはその言葉に従ってぴょんぴょんと畑の上をゆっくりした速さで跳ねてゆく 「おかーさんのおくちにかくれてね!」 「「ゆっきゅちかくれりゅよ!」」 安堵の笑みを浮かべて勢いよく飛び跳ね、れいむの大きな口の中に飛び込む2匹 これでようやくゆっくり出来る ゆっくり出来ない人間さんはきっとお母さんがやっつけてくれる さっきは人間さんがずるをしたから負けたけど、今度は勝つに決まっている そんな根拠のない確信を胸にれいむの口の中でゆっくりしようと一息ついたその瞬間・・・ 「ゆ゛びぃ!?」 「「ゆゆっ!?」」 俺が渾身の力を込めて放った蹴りを背中に受けたれいむはその衝撃で吐しゃ物を撒き散らしながら宙を舞う もちろん、吐しゃ物にまぎれて彼女の大事な子ゆっくり達も口の中から飛び出してしまった それから地球における法則に従って地に落ちる3匹 その衝撃でれいむは致命傷を負い、最期に「おぢびぢゃ・・・にげ、で・・・」と言い残して短いゆん生を終えた 「おきゃあああしゃあああああん!?」 「ゆっぎゅぢいいいいいいい!?」 子れいむと子まりさはその事実を受け入れられないらしく、れいむのそばでゆーゆーと騒いでいる 恐らく放っておいても逃げるようなことはないだろう そう判断した俺は2匹をひとまず無視して、先ほどからめそめそと泣き通しでれいむの死に気づいていないまりさを引っ掴む 「ゆぐぅ・・・やべるんだぜ!ゆっぐぢでぎないんだぜ!」 「止めないんだぜ。ゆっくりさせないんだぜ」 「ゆぐぅぅうぅぅ・・・おぞらをどんでる、ゆべっ!?」 引っ掴んだまりさを子ゆっくりどもめがけて叩きつけるのに近い要領で放り投げてやった その一撃で子れいむが下敷きになり、まりさの下から顔を覗かせ、声を発することは二度となかった 「おい、まりさ!」 「は゛、は゛いいいぃぃ!?」 「死にたくなかったら消えろ」 「わがぢまぢだあああああ!ゆっぐぢぎえまずうううう!」 「ゆえーん、ゆっきゅちでぎぢゃによおお!おうちかえりゅ!?」 泣き叫びながらまりさ母子は森へと帰っていった 翌日、今日も例のお約束の家族構成のゆっくり4匹が畑を荒らしていた もっとも、ゆっくりの貧弱な力だ 昨日同様に作物を1つだめにされた程度の微々たる被害なのだが 「「うっみぇ!こりぇみぇっちゃうみぇ!」」 「すごくゆっくりできるはたけだね!」 「ゆっへっへ、まりささまにかかればとうぜんだぜ!」 どうやら今回の連中はゲス気質持ちのようだ ゲス・・・言葉の通りの連中で、時には同属さえも食い物にするたちの悪い連中である こいつらは昨日の連中と違って野菜は畑が人間のものであると理解したうえでこのような行為に及んでいる もっとも、どのような意図があってここにいようと俺のすることには何一つ変わりがないのだが 「と言うわけで死ね!」 「ゆぶっ!?」 昨日と違って最初から潰す気満々の全体重をかけての踏みつけをまりさに食らわせる 畑の野菜を食い散らかしていた汚らわしい饅頭のうっとうしい顔が徐々にひしゃげてゆく みちみちと音を立てながら少しずつ潰れて行き、やがて餡子が漏れ始め・・・ 「ゆ゛っ・・・」 「ま、まりざああああああ!?」 「「おきゃあああぢゃああああん!?」」 次の瞬間には悲鳴を上げる暇もなく、餡子を四散させて息絶えた 「じじぃ!れいむのばりざをがえぜえええええ!」 「おきゃーぢゃんをごろじだぢぢいはゆっぐぢぢねえええ!」 「ゆっきゅぢぢにぇえええええ!」 その後、ゆっくりと事態を把握した3匹は俺に向かって決死の体当たりを仕掛けてくる 当然、ゆっくりの緩慢な動作から繰り出される攻撃などたかが知れており、痛くも痒くも無い しかし、れいむと子ども達はその攻撃が俺を著しく疲弊させていると信じて疑わないらしく・・・ 「ゆふん!まりさのかたきだよ!」 「ゆっくちちにぇ!」 「まりしゃはとってみょちゅよいんだよ!」 などなど、行け行けモードの押せ押せモードである 「うぜぇ」 「ゆがっ!?」 「「おきゃーしゃん!?」」 自分達の無駄な努力に気付くまで様子を伺おうかとも思ったが、得意げな表情がうっとうしかったので止めた さほど力をこめたわけでもないのに、蹴りを食らったれいむは無様に転がり、俺に土で汚れた底部をさらす 直後、子れいむと子まりさは自信満々の表情を恐怖とあせりに歪めて叫んだ 「「ほどぢぢぇじぇんじぇんきいちぇにゃいのおおおおおお!?」」 「そりゃ、お前らが弱いからだ」 逃がさないように2匹を捕まえてから、状況が飲み込めずに困惑しているれいむの底部を踏みつけてやる 「ゆぐっ・・・やべでね!でいむはやべようねっでいっだんだよ!ば、ばりざがいぐっでいっだんだよ!?」 「で?」 「ゆぐっ!ほ、ほんどだよ!ぞれにおぢびぢゃんだちにおいぢいものをだべざせであげだがったんだよ!?」 「だから?」 「でいむはたすげでね!ゆっぐぢでぎないわるいおぢびぢゃんはどうなっでもいいから、れいぶはゆっぐぢぢだいよ!」 「そうか」 「「どほぢちぇぢょんなこちょいうにょおおおおお!?」」 流石ゲス。あっという間に家庭崩壊を起こした そして、俺の存在を忘れたかのように口論を始める 「おきゃーぢゃんにゃんちぇおきゃーぢゃんぢゃにゃいよ!」 「ゆっきゅちできにゃいおきゃーちゃんはちにぇ!」 「ゆふん!しぬのはおまえたちだよ!れいむのためにせいぜいゆっくりできなくなってね!」 「「どほぢちぇしょんなこちょいうにょおおおおお!?」」 「ああ、もううっせ」 「「ゆびゅ!?」」 流石にこれ以上構っている気になれないので、子ゆっくり2匹をさっさと握りつぶす そして、足の下で「さっさとはなしてね!」と喚くれいむを両手で掴んで持ち上げると・・・ 「はいよ」 「わーい、おそらをとんでるみたー・・・ゆべしっ!?」 渾身の力をこめて放り投げてやった れいむを放り投げた先から「おべべがびえないよおおおお!」という悲鳴が聞こえてきたが無視して仕事に取り掛かった 翌日、またしてもゆっくりが畑を荒らしていた もちろん昨日一昨日同様に損害は微々たるものではあるが 「むーしゃむーしゃ、ゆっくりー!」 「ゆゆ~ん♪とってもゆっくりしてるよ!」 「「ゆっきゅちー!」」 組み合わせも昨日一昨日と同じくオーソドックス しかし、満面の笑みを浮かべて大根を貪る4匹はえらく語彙が貧弱 もしかしたら人間との接触が皆無に等しいタイプのやつが何かの拍子に紛れ込んできたのかもしれない だとしたら流石にいきなり踏み潰すのはかわいそうだ 「おい、ゆっくりどもここは俺の畑だぞ?」 「ゆゆっ、にんげんさん!」 「にんげんさん、ゆっくりしていってね!」 「「ゆっきゅちちちぇいっちぇね!」」 「はいはい、ゆっくりゆっくり。ところでお前ら、ここは俺の畑だぞ。さっさと出て行け」 適当に返事をしてから、さっさと本題を切り出した 4匹は俺の言葉を素直に聞いていた。が・・・ 「おれのはたけさんはゆっくりできる?」 「おれのはたけさん!ゆっくりしていってね!」 「「ゆっきゅちちちぇいっちぇね!」」 どうやら畑と言う語彙も「俺の」が所有を意味することも理解できなかったようだ まあ、人間と接触することなく生きてきたような感じの連中だから仕方ないと言えば仕方ないが しかし、そうなると一筋縄では行かない というか、事実上話し合いでの解決は不可能だろう 「悪く思うなよ」 そんな訳で俺はまりさを軽く蹴り飛ばして、人間が怖い存在である事を教えてやることにした 出来るだけ跡の残るような怪我をさせないように軽く口のした辺りにつま先をぶつける 「ゆっ!」 「まりさぁ~!?」 「「ゆっきゅちー!?」」 れいむと子ゆっくり2匹は急いでまりさの元へと跳ねてゆくと、のろのろと起き上がろうとするまりさに「ゆっくりー!」と声をかけた まりさはまりさで、ぐずぐずと泣きべそをかき、嗚咽を漏らしながらもれいむ達を心配させまいと「ゆっくりしてるよ!」と返事をしている 「まりさ、す~りす~り」 「「ゆっきゅちー」」 「れいむ!ゆっくりしてるよ!」 そして、れいむと子ども達が起き上がったまりさに頬ずりをすると彼女はすぐに笑顔を浮かべた 目の前に俺がいることも忘れて4匹はしばらく家族のゆっくりを堪能し、やがて・・・ 「おれのはたけさん、ゆっくりしようね!」 「ゆっくりしようね!」 「「ゆっきゅち~♪」」 こりもせずに俺の前まで跳ねてくると、先ほどまで自分たちが食べていた大根を差し出した どうやら、俺に蹴られたのは自分達だけで大根を食べてゆっくりしていたせいだと解釈したらしい 付け加えるならば、今のこのしぐさと言動は「一緒に大根を食べてゆっくりしようね」と言う意味なのだろう 参った・・・ 「う~ん・・・仕方ない」 こうなったら本当に酷い目に遭ってもらうしかないだろう そう結論付けた俺は子れいむと子まりさを捕まえるとれいむの口の中に放り込んだ 4匹は行動の意図が読めずに首をかしげている 「悪い!」 それからまりさの目の前に膝をつき、正座に近い格好になると彼女に平手打ちをお見舞いした 「ゆびぃ!?」と悲鳴を漏らし、それから恐怖と困惑と涙でにじんだ瞳で俺を見つめ首をかしげる しかし、逃げようとする気配は一向に無く、ただ「ゆっぐりぢようよ!」と涙声で訴えてくる 「ゆぐっ!」 「ま、まりさああああ!」 もう一発 困惑の色が若干薄れ、恐怖に満たされていることがまりさの瞳から伺える いや、それ以上に恐怖のあまりにがくがくと震える丸い体が全てを教えてくれた 傍らではつがいのれいむがただひたすら「まりさ」と「ゆっくり」を交互に繰り返し叫んでいる 「ゆっぐぢぃ・・・ゆっぐぢぢようよぉ・・・」 我慢出来なくなったまりさは相貌からぽろぽろと涙をこぼす が、それでもまだ俺に向かって「ゆっくりしようよ」と声をかけ続ける つがいのれいむの中の子ども達もなんとなく状況を察して「ゆっぐ、ゆっきっぢー」と泣いている どうやら半端なことをしても余計に痛い思いをさせるだけのようだ 「・・・仕方ないか」 俺はまりさの大きく綺麗な瞳に中指を突きたてた 流石に視界の半分を奪われては俺とゆっくりしたいと思えなくなったようで、泣き叫びながら家族とともに逃げ帰った 更に翌日、またしても例の家族構成のゆっくりどもが畑を荒らしていた 「むーしゃむーしゃ、しあわせ~」だの「うっめ、これめっちゃうめぇ」などと叫びながら大根を貪る顔饅頭ども 口調からはゲスなのかそれ以外なのか判断しかねる 流石にゲスかどうか分からない以上いきなり潰すようなことはしたくない 「ひゃっはー!虐待だぁ!」 そんなわけで虐待お兄さんの真似をしてゆっくりどもを脅してみた すると・・・ 「れいむ、きいた?ぎゃくたいだって?」 「おお、こわいこわい」 「「きょわいきょわい」」 俺のことを蔑むような眼差しで見つめてきやがった 「こんな白昼から良い大人が何してるの?」とでも言いたげな表情だ なんとなく腹が立ったので一発蹴りをお見舞いしてやる 「ゆっ?」 間抜けな声を発しながらいつものようにぶっ転がるまりさ しかし、今までの連中と違ってすぐさま起き上がると俺の顔を伺いつつ一言 「おお、いたいいたい」 どう見ても痛がっていなかった それになぜ襲われているのかも分かっていないらしく、子ゆっくりどもは平然と大根をかじり続けている どうやら今までの相手にしてきた連中とはいろんな意味で次元の違うゆっくりのようだ 「ぎゃくたいなんてゆっくりできないね」 「そうだね、ゆっくりすればいいのにね」 「「ゆっくりしていってね!」」 「「ゆっきゅちちちぇいっちぇね!」」 4匹は目を大きく開いて下膨れ顔をどことなく鬱陶しい感じに歪め、お約束の言葉を口にした。 何と言うか・・・今までに見たことの無いタイプのゆっくりだ とは言え、畑を荒らす以上こいつらの処置になんら変わりは無い 「おい、ゆっくりども。ここは俺の畑だからさっさと出て行け」 「ゆっくりりかいしたよ」 「にんげんしゃんはゆっきゅちちてにゃいにぇ」 「おお、あわりぇあわりぇ」 どうやら俺はゆっくりにコケにされているらしい 正直腹は立つが大人しく帰ってくれるんならとやかく言うことも無いだろう ゆっくりどもが見えなくなってから俺は適当に柵を作って連中が入ってこれないようにした またまた翌日、俺が畑に行ってみると・・・ 「「「「覇王翔吼拳を使わざるを得ない」」」」 「・・・・・・もうヤダ、おうち帰る・・・」 4匹のゆっくりが柵をぶち壊して畑に侵入していた 流石にアレに手を出すのは怖いのであきらめて家に帰った ‐‐‐あとがき‐‐‐ 初日:今の標準? 2日目:ゲス 3日目:純朴 4日目:AAの系譜 最終日:ガ・・・ ゆっくりの多様性を見ていると遠くに来たものだと思わざるを得ない byゆっくりボールマン このSSに感想をつける