約 1,252 件
https://w.atwiki.jp/arikawa/pages/70.html
1スレ目 584-590 その1 『夢の中で、君は』(別冊I半ば辺りの設定) いつもは熟睡をかまして朝まで目覚めることのない郁だったが、その日はなぜかふと夜中に目が覚めてしまった。 寝ぼけていた視界がはっきりするにつれ、見慣れない天井が郁の目に映し出される。 ここはドコだ?と考える間もなく、答えは導き出される。 ――ああ、そうか。寮じゃないんだ。 その日は、堂上と付き合うようになってから迎えた、何度目かの夜だった。身体を重ねる際の緊張は薄くなってはいるものの、最近はコトの後に一気に眠気が襲ってくる。 その状態の意味を理解できる身体になったのも、つい最近のことだ。 ああ、あたし、どんどん開発されてるなぁ、と乙女の発想としてはいささか似合わない感想が頭を過ぎり、次の瞬間に恥ずかしさから頭をブンブンと振る。 その弾みで、隣で眠る堂上の顔が郁の目に飛び込んできた。 う、うわ――――! きょ、教官っ!その寝顔は犯罪です! 郁にしてみれば、声に出さなかっただけでも表彰モノだ。 堂上の寝顔は、この数年間郁が見てきた堂上の顔の中でも、メガトン級の破壊力を持っていた。 たまに見せる笑顔や優しい表情も捨て難いが、この寝顔に勝る顔はないのではなかろうかと思えるくらい、郁には魅力的に映った。 な、なんてか、か、か、可愛い。こんな寝顔を見られて、ああ、あたし世界一の幸せモンかもしれない……。 30を目前にした男を評するのに「可愛い」はあまり褒められた文言ではないかもしれないが、大袈裟ではなく、本当に心からそう思った。しかし、その刹那に思い当たる。 ―――あ、あ、あ、あたしは? 当たり前のことだが、自分の寝顔を見たことのある人間など居ない。だから、自分がどんな顔で寝ているかなんて知らない。 知らないからこそ不安になる。 あ、あたし、マヌケな顔で寝てないよね?いびきとか、かいてないよね?あまつさえ、ヨダレなんか垂らして歯軋りなんてしてないよねぇぇぇー? 考えれば考えるほど、それら全部を寝ているうちにしているような気がして、郁は大声で叫びたい衝動に駆られた。 もし、堂上が今日の郁のように夜中にふと目が覚めて、横で寝ている郁の寝顔を見たりしたら。そして、それが前述のような寝姿だったりしたら……。 ひゃ、百年の恋も醒めるっちゅーのっ! 自分の知らない顔を愛しい人に見せるワケにはいかない。 郁はその夜、朝を迎えるまで眠ることが出来なかった。 「そんなクマ作るまで、寝かせてもらえなかったわけ?」 翌日帰寮した時に言われた同居人の冷やかしは、半分当たっていて半分外れている。 寝かせてもらえなかったのは、事実だ。しかしそれは、自分の寝顔を堂上に見られては困るから自発的に眠らなかったのであって、柴崎が期待しているような理由ではなかった。 冷やかした内容が当たっているとすれば、バカ正直な郁は間髪入れずに真っ赤になって噛み付いてくるはずなのだが、そうしてこないところを見るとどうやらクマの正体は違うところにあるらしい。 「なんか凹んでなーい?なんかあったの?」 「……う、ん……」 こんなとき、決まって柴崎は郁が話し出すのを待つことにしている。 せっついて聞くことを憚っているわけではなく、単に郁の考えが纏まるのを待っているだけだ。 「……えと」 一度は開きかけた口が、再度閉じられる。 「……やっぱ、いい……」 いくら柴崎とはいえ、どんな顔して聞けばいいのだ。自分の寝顔がどんな風なのか、などと。 寝不足がたたっている今なら、速攻で寝ることが出来る。その寝顔を見ててくれないかなどと、どの口が言えるのだ。 相談することを諦めた郁は、デートの為に多少お洒落した格好のまま、ベッドに潜り込んでしまった。 悩んでいる割にはすぐに寝息を立て始めたところを見ると、本当に寝不足だったことが判る。 「まーた余計な悩み背負い込んできたようねー」 郁がその乙女モード全開が故に抱え込んだ悩みは、これまで枚挙に暇が無い。しかもそれらは大抵、他人から見ればノロケにしか聴こえないような悩みだったりする。 今回も恐らくそんなところだろう。しかし、郁から悩みの内容を聞かない限りは、相談に乗ってやることも出来ない。 「早く白状しないと、麻子さんも助言できませんよ」 眠る郁の顔を見ながら、柴崎は小さく呟いた。 「外泊届、今日も無駄になったみたいだね」 同僚の言葉は相変わらずからかい口調ではあるが、少しずつ哀れみが混じってきているのは気のせいだろうか。 「……まったく、何を考えているんだ、アイツは」 いつもならば堂上の部屋に小牧がお邪魔をするという図式なのだが、今晩は堂上が酒を片手に小牧の部屋に愚痴をこぼしに来ていた。 堂上が預かり知らぬ所で郁が悩みを抱えた日から、3ヶ月は経とうとしている。その間、デートはしているのだが、外泊は一切なかった。 今日はダメな日なんです。 体調が思わしくなくて。 外泊届け、出してきてないんです、柴崎に頼むのもちょっと恥ずかしいっていうか。 いろんな言い訳をされては、はぐらかされてきた。 最初のうちは仕方ないと思ってはいたし、ノリ気じゃない郁を抱くことも憚った。だから、我慢してきた。 だが、それが3ヶ月ともなろうものなら、堂上としてもいい加減イラつくのも尤もな話だ。 「また何かやらかしたかな、俺」 小さな溜息とともに吐き出される弱音は、堂上が滅多に見せないものだ。 郁がどうして堂上を遠ざけているのかは分からないが、コイツにこんな表情をさせるのはきっと郁だけなんだろう、と小牧は密かに思った。 「笠原さんみたいな恋愛初心者には、いろんなハードルがあるんだろうね」 フォローのつもりで言ったが、小牧の言葉に堂上はうな垂れてこう呟く。 「おかしな要求などしていないはずなんだがな」 実際、郁に対して何か特別なことを望んだわけではないが、もうこうなってはその理由を郁の口から聞くことも難しいだろう。 「デートはしてるわけだから、堂上のことを嫌っているわけじゃあないんだよね」 「そう思いたいが」 苦く笑いながらビールの缶を呷って一気に飲み干し、そのアルミ缶を片手で握り潰す。 その缶はまるで、堂上の胸が潰れていることを代弁しているように見えた。 今日もお泊り断っちゃったな。 寮のベッドに潜り込んで、郁は少なからず反省してみる。 断りの言葉を言ったあとの堂上の落胆した表情は、今は一番見たくないものになっていた。 あの堂上の顔を見るくらいなら、仕事でドジ踏んでこってり叱られるほうが何十倍も楽だ。 でも、教官、ダメなんです。あたし、まだ断るしかないんです―――。 あれから、自分なりに何か方法は無いものかとインターネットを駆使したり、休憩中に図書館の本をレファレンスしてみたりしたが、「寝顔を可愛くする方法」などという情報は得られなかった。 ―――やっぱり無理なのかな……。 なかなか答えの見つからない問題に頭を捻らせているうち、ふと柴崎のことが気になった。隣のベッドで寝ている柴崎は、果たしてどんな寝顔なんだろか。 郁は音を立てないように気遣いながら、柴崎のベッドに近づいていきそっと覗いてみてみる。 ――て、天使が居るよ……! 柴崎の寝顔は、堂上に勝るとも劣らないものだった。 堂上の寝顔が「可愛い」と評されるなら、柴崎のそれはまさに「美しい」の一言だ。 「ちょっと!し、柴崎っ!」 郁は反射的に寝ている柴崎を、その大きな声でたたき起こしてしまっていた。 ここに最強の手本が居ると思ったら、居ても立っても居られなかったのだ。 その数週間後、寝ようと支度をしている郁の携帯にメールが着信した。音だけで分かる、堂上からだ。 『明後日の公休、外に出る。外泊届は忘れずに出しておくように。 堂上』 明後日のデートは以前から約束していたものだったので今更驚きはしないが、外泊届を念を押されるとは思っても見なかった。 また断って、堂上のあの表情を見るのは苦痛だったが、こればかりは仕方が無かった。 頼みの綱の柴崎ですら、お手上げな悩みだったのだから。 あの日、眠る柴崎を叩き起こして悩みを打ち明けたものの、けんもほろろに突っぱねられた。 「寝顔を可愛くするぅ!?……アンタそんなこと悩んでたの?!……なんつーバカな悩み……」 「だって、堂上教官の寝顔、めちゃくちゃ可愛いかったんだよ!あたし、自分で言うのもなんだけど、絶対寝顔可愛くない自信あるし」 「そんなトコに自信持たなくてもいい!」 「とにかく、なんかいい方法ないの?」 「あるわけ無いでしょ!……ったく人がいい気分で寝てたのに……」 柴崎はこれ以上付き合っていられないと、再び布団に入ってしまった。 そして結局なんの策も得られないまま、デートの当日を迎えた。 当日の待ち合わせはいつもよりも遅い時間だった。 日が傾きかけるその時間に電車を乗り継ぐと、都心まで足を伸ばした。堂上が郁の手をつないで歩を進めた先には、最近オープンしたばかりの6ッ星ホテルがあった。 迷うことなくロビーに足を踏み入れる堂上に、手をつながれたままの郁は付いて行くしかない。 え、ちょっと、それは。 うろたえる郁をロビーに残して、堂上はチェックインに向う。 どうしよう、こんなホテルに連れて来られるなんて予想してないし。 カードキーをジャケットにしまいながら戻ってくる堂上に、郁は断る為に口を開こうとした。が、 「今日はお前のダメな日じゃない。体調も良さそうだ。外泊届はちゃんと出してきたろうな?まあ、出して無くても小牧に電話すれば済むことだ」 先制攻撃は堂上からだった。いつも使用していた言い訳は通用しない。 「いや、あの」 それでも食い下がろうとする郁の手を、堂上が包んだ。 「先に飯にしよう。ここのイタリアンは絶品らしいぞ」 郁に口を挟ませる余裕を与えずに、堂上はレストランへと向った。
https://w.atwiki.jp/arikawa/pages/18.html
1スレ目:80-82 奥多摩にある訓練場で訓練を受けていた夏の日の朝。 前夜はその年一番の熱帯夜だった。 「あ、おはよー、手塚」 洗面所に向かっていると、同僚がやってきた。 「笠原、おまえ、その格好…」 ネイビーブルーのボーダーのタンクトップに同色のショートパンツ姿で現れたのは 全国で唯一の図書防衛隊女子隊員、笠原郁だった。 「昨日の夜、暑くなかった?寝汗かいたからシャワー浴びてから着替えようと思って」 「おまえなぁ、少し考えろよ」 「え、なにを。ってかさ、こっちって武蔵野よりは涼しいけど、部屋にクーラーないのはつらいよね」 「人の話を聞けよ」 「この格好、へん?」 「いや、変っていうか…おまえ、一応女なんだからもう少し自覚しろ」 「一応ってなによ。第一、あたしに女感じるような隊員なんていないって」 ―おい、忘れているぞ、少なくとも一人いるだろう… どう説得すればいいのかわからずに悩んでいると、上官二人が洗面所にいた。 ―助かった、いや、どうなんだろう?この状況… 「小牧教官、おはようございまーす」 「笠原さん、おはよう。なんていうか、朝からセクシーだね」 「やだー、セクハラですよ。あ、堂上教官もおはようございます」 「…おい、ちょっとこいっ」 笠原は堂上二正に手首を掴まれてシャワー室に連れ込まれてしまった。 「あーあ、連れて行かれちゃったね」 「小牧二正、おはようございます」 「おはよう、手塚」 「とりあえずシャワー室の札、使用中にしておきますか?」 「そうだね。俺達は顔洗おうか」 ―この余裕は長年のつきあいあってこそなんだろうか… 「貴様、なんだその格好はっ!」 タンクトップの胸元に谷間は見えないが、横から白い体が見えている。 脚はおろか、さらにその上がちらりとみえそうなほどショートパンツは短い。 「えー、普通のルームウェアですよ。なんでそんなに怒っているんですか?」 「そんな格好で隊舎内をうろうろするなっ」 「何でですか、納得いきません」 確かに寮とは違い訓練場隊舎内ではラフな格好をしている男性隊員もいる。 「おまえはバカでかくとも女なんだ、自覚しろ!」 「そーですよっ、バカでかいですよっ。 それにあたしのこと、そんなよこしまな目で見る隊員がいるなんて思ってませんから」 ―こいつは、言ってもわからんのかっ 「んんっ…やっ」 壁に押し付け、無理やり唇を重ねた。 両脚のあいだに、自分の足をねじ込み、動けなくする。 足で身体の中心に刺激を与える。 片手をすそから侵入させ、胸を手のひらで包みこむ。 「ぁ…ん…ん…やだっ」 明確な拒否の言葉が出ると、すぐに開放した。 「そんな格好でふらふらするな、わかったか!」 「……はい」 「それから、他の奴にそんなに肌を見せるなっ」 「え、小牧教官や手塚でもですか?」 「そうだ、小牧にも手塚にもだっ」 「はい、わかりました。って堂上教官何脱いでるんですかー!」 堂上教官は手早く着ていた上着を脱ぐとあたしに差し出した。 「とりあえず、これを着て部屋まで行け」 「え、え、でも教官、あたし…」 「いいか、命令だ」 そして振り返りもせずに、つかつかとシャワー室を出て行ってしまった。 ―どうしよう、これ… なにやらシャワー室からいろいろ物音が聞こえてきたが、手塚はなるべく聞かないように努めていた。 数分たった頃、いきなりドアが開き、不機嫌そうな顔をした上官がでてきた。 「あれ堂上、訓練着の上どうしたの?」 「笠原に貸した。先行ってるぞ」 そう言い捨てると、食堂のほうへ行ってしまった。 「小牧二正、さっきの格好の上に訓練着の上だけ着ているのって、やらしくないですか?かなり」 「くっ…、うん、かなりやらしいよね…あははははははは」 「あ、やっぱりいた。小牧教官ちょっといいですか?」 シャワー室に取り残されていた同僚がドアから顔だけ出している。 「…ん、なに?笠原さん」 「あの、これ堂上教官に返しておいてもらえますか。あたし自分の訓練着持ってきているんで」 そういって、ドアの隙間からおそらく上官のものと思われる訓練着を差し出した。 「了解、伝言ある?」 「んー、なにを言っても怒られる気がします」 「そうだねぇ。あ、シャワー浴びるなら、もうすぐ朝食だから急いだほうがいいと思うよ」 「はい、よろしくおねがいします」 同僚はにっこりわらって扉を閉めた。 ―シャワー室の中でなにがあったかは気にしないほうがいいのだろう、たぶん
https://w.atwiki.jp/lessful/pages/21.html
どうじょう わたる 16歳 男 O型 7月10日生 2年2組 サッカー部 一人称 オレ 好き→ニット帽、蜜柑、現社 嫌い→母親、らっきょう、整理整頓 メインの攻略キャラの一人。 主人公と同じクラスの男子生徒。 数少ない友人である神代兄妹に 日々振り回されている。 母親自体が嫌いなのではなく、 兄に自分を重ねてくるのが嫌。 父親は単身赴任している。 サッカー部のMFだが、いつもベンチ。
https://w.atwiki.jp/arikawa/pages/85.html
1スレ目 760-762 アニメ版反省会 関東図書基地・図書特殊部隊事務室集まっているいつもの面々を前に、玄田が口を開いた 「アニメ版が無事に終了したということだが…いかんせん平均視聴率が3%ちょっとしか無かった。これは由々しき事態である!そこでだ、今日はアニメ版の低視聴率の原因究明および対策を話し合う」 「よろしいでしょうか?」 手を上げたのは柴崎だ 「やはり高視聴率の比較対照を参考にするのがいいのではないでしょうか?そこで同じノイタミナ枠で平均視聴率4.6%の記録を持つ『もやしもん』を参考にしたいと思います」 「いいんじゃない?背の低い男と背の高いヒロインっていうウチとの共通点もあるしさ」 小牧の余計な一言に 「背の低いってのは余計だ」 と不機嫌そうな堂上 「でも柴崎、参考っていってもなにするの?」 とこれは笠原 「そりゃ決まってるでしょ?視聴率を稼ぐ基本は『お色気』よ」 「お、お色気!?」 「おい柴崎!」 目を白黒させる笠原と声を上げる堂上を無視して柴崎は続けた 「『もやしもん』の女性キャラを見なさい。全編ヘソ出しボンテージとかゴスロリ服とかで体張ってるじゃない」 「ゴスロリの方は男じゃなかったかな」 とコレは小牧 「笠原、あんた1話から12話まで自分がお色気シーンやったっていう自覚ある」 「う、そ、それはぁ…」 「最初から教官にドロップキックだったしな」 とこれは手塚 「だってそれはそのぅ…」 「原作どおりだったら少しはあったんだけど、仕方ないよね」 と小牧 「あるかどうかはわからんが2期のためだ。やってみろ笠原」 「隊長、ちょっと待ってください!」 ここで堂上が止めに入る 「いくらなんでも視聴率=お色気ってのは乱暴すぎます!もっとほかに原因を究明すべきです」 「なんだ堂上、そんなに笠原のお色気は見たくないのか?」 ウッと詰まる堂上、若干目を泳がせつつも 「…人には適材適所ってもんがあります。笠原なんかにお色気やらせて視聴率が取れるとは思えません」 「あ、ひどーい教官!」 とむくれる笠原から微妙に目をそらし 「そもそもお前はやる気あるのか?」 と聞いた 「え、それは…あんまり…」 と口を尖らせる笠原に柴崎が耳打ちした (2期が無いと堂上教官と付き合えなくなるわよ。それでいいの?アニメ版の最終回で満足できる?) (う…) と言葉に詰まる 「私も付き合ってあげるから。一緒にお色気要員、がんばりましょ?」 「う…うんわかった、やってみる…」 数十分後 「どうです?ゴスロリ服って初めて着たんですよ」 先に出てきた柴崎の黒ゴス姿に男性陣から 「おぉ~」 という声が上がった 元がお人形さんな顔立ちなので、こういう服を着ると本当のお人形さんのように見える 「服のせいでちょっと体系が見えにくくなるのが難点ですね。お色気を取るにはちょっと力不足かな?」 「いやいや大したもんだ。娘がいたら持ってかえってやりたいくらいだ」 玄田が豪快に笑った 「よく似合ってるよ。ねぇ手塚…手塚?」 小牧が傍らにいた手塚に声をかけるが、柴崎に目を奪われているのか返答も無い 「なに、手塚。じっと見ちゃって」 柴崎にそばに寄られて、上目遣いで迫られる 「…え、あ、いや…いいんじゃないか?うん」 気を取り直したように言った 「なかなかのもんだな」 とこれは堂上 「これだけで十分お色気担当できるぞ、柴崎」 「あら、そんなこと言わないで笠原のも見てあげてくださいよ。けっこうがんばったんですよ?私もあの子も」 そう言って柴崎は事務室のドアを開けた 「早く出てらっしゃい。みんな待ってるわよ?」 「でも柴崎ぃ…この格好はちょっと…」 となにやら気弱な声 「大丈夫よぉ、よく似合ってるわよ」 「で、でもぉ…」 「おい笠原」 堂上が声をかけた 「誰も期待してないから、無理しなくていいんだぞ」 むぅ、という声が聞こえ 「い…行きます!」 と気合の入った声とともに、笠原が扉の影から姿を現した 彼女のファッションは上から下まで黒一色で固められたボンテージファッション 飾りのついた首輪みたいなチョーカー、ヘソどころか鳩尾まで丸見えなホルタートップは背中とささやかな胸の谷間がはっきり見える ヘソ下5センチのところで止まっているスカートの裾からは、これだけは誰が見ても美しいと思うであろう形のいい足が伸びている 「あ、あの、こういう服ってなんだか動きにくい…サンダルも踵が高くて歩きにくくて」 とまるで歯医者に連れてこられた子供のようにおずおずと皆の前に歩いてきた 「おぉ、悪くないんじゃないか?」 うんうんと玄田がうなずく 「思ったより似合ってるよ、笠原さん」 「なんだ、やればできるじゃないか」 と小牧と手塚 「ちょっと、胸張って…堂々としないと逆に恥ずかしいわよ」 「そんなこと言ってもさぁ…」 左手で胸を、右手を伸ばして足元を隠す笠原に柴崎が手を伸ばした 「ハイ、腰に手を当てて…背筋伸ばして…堂上教官、何か言ってやってくださいよ」 「あ…」 柴崎の言葉に思わず堂上のほうに目を向けた。 自分が高い靴をはいているからか、いつもより堂上の顔が低い位置にある (あれ?教官、なんでそんなにしかめっ面なの?) 堂上の顔はいつにもまして仏頂面だ 「あ、あの~教官、いや堂上二正?な、なにかまずいことでも…」 なにやら不安になり、笠原は堂上に近づいた 「…お、おい待て笠原、俺に近寄るな」 と逃げ腰になる堂上 「やっぱりダメですか?アタシにお色気は無理ですか?」 「い、いや、だから近づくな!」 椅子やら何やらを跳ね飛ばして逃げる堂上だが、場所が悪かったか壁際に追い込まれてしまう 「アタシ、2期のためにもがんばります!だからどこが悪いかはっきり言ってください!」 「その前に離れろ!いや、離れてくれ!」 悲鳴のような声を上げて堂上は目をそらした 「直視できないくらいひどいって言うんですか~!」 「違うっつってんだろ!」 なにやら言いにくそうに堂上は頭をかいた 「お前、今日の靴はかなり高いだろ?だからそのぅ…」 「?」 「目の前に胸がくるんだよ!」 そう言われて自分の胸の先が堂上の鼻先5センチくらいまで近づいてることに気がついた 「だからって普通、教官に右フックをお見舞いするか?」 「スミマセン…」 医務室のベッドに腰掛ける堂上に説教され、笠原は椅子の上で小さくなっている。 服はまだボンテージのままだ その様子を見てなにやらおかしくなる 「あのな笠原、本当に無理しなくていいんだぞ?」 ぽん、と頭に手を置いて堂上は言った 「無理してお色気要員になんかならなくていい、そもそも低視聴率だった理由がお色気だったとは思えん」 「そう…なんですか?」 「その前のノイタミナ枠で考えてみろ。ヒロインがコロポックルだったり汚部屋の住人だったりしただろ?それでもそれなりの視聴率だったんだから、お色気なんか出さなくても大丈夫だ」 「でも…」 ぐっ、と頭を撫でられる手の力が強くなった 「もし2期があるなら、もっと大変な目にあうんだぞ。お色気なんかよりそっちのほうを心配しろ」 大変なこと…いろいろ思い浮かんで笠原の顔は一気に赤くなった 「それとな…」 言いにくそうに堂上は顔を背けた 「その服、もう着替えろ。目のやり場に困る」 少し赤くなった教官の顔を見てうれしくなる笠原であった 完
https://w.atwiki.jp/arikawa/pages/98.html
2スレ目 95-96 「笠原ぁああ! 諦めろ!!」 「いっ…やですぅうう…!!」 かれこれ二、三分は続いていようか、この攻防戦。本来ならすぐに止められるであろう状況下で「待った」の声が出ないのはひとえに本人達の希望からだった。 「何よこの公開プレイは」 隣で呆れ口調に呟いた柴崎に手塚も深く頷く。 もうこの情報の女神に微笑まれたどころか女神そのもののような女に情報の出所を聞くだけ無駄だ。せめてちょっとした嫌味を込めて「仕事は?」と聞くと「休憩よ」と反撃のしようもない完璧な答が返ってきた。よせばいいのに聞いてしまった数秒前の自分を殴りたくなった。 「ねぇ、聞いてるんだけど?」 驚いて真横を見下ろす、腕を組んだ姿がまた様になっている柴崎が憮然と手塚を見上げていた。 「…お前のことだからそこまで掴んでるのかと思った」 「私のことそこまで評価してくださるなんて光栄ですわ」 先ほどとはうって変わっての全開営業スマイルに手塚は怯んだ。他とは違う反応に「何を見る目よそれは」とますます膨れる柴崎にうっかり”女神”と答えそうになって手塚は慌てて口を閉じる。 「で? どういうことなのこれ」 「堂上教官と笠原の一騎打ちだ」 「柔道ってそもそも一対一でするもんでしょうが」 それもそうだな、と手塚は素直に頷いた。 「私もルールとか良く知ってるわけじゃないけど、普通こういう風になって完全に決まらなかったら何秒かとかで一旦離れるもんじゃないの?」 「普通はそうだ。だが途中から二人とも意地になりだしてな」 「あぁー、すごく想像できるそれ」 「堂上教官はたっぱでは負けてても力と重さと経験があるからな、それに対して笠原も持ち前の野生の勘と瞬発力で良く逃げてた。逃げながら機会を伺って堂上教官の力が抜けた瞬間を狙って鋭く切り込んでいったり」 「やるじゃない笠原」 堂上と郁が青さが目に眩しい畳の上で重なりあって鼻息荒く蠢く中、二人は彼らとは別の次元のゆったりとした時間の中を生きるように優雅に会話していた。 「んで、どっちが先にキレたの?」 話が早くて助かる、手塚の少し笑った目がそう伝えてきたのが分かる。 「さぁな。気付いたらあの体勢で」 手塚が視線で指した先には押さえ込みで郁の上半身をがっちりホールドする堂上、そして最後の綱である堂上の足を離すまいと足を交差させて耐える郁の姿。 「小牧教官が待てを入れようとした瞬間二人同時に”待った無し!!”って怒号が飛んできた」 「くっ…ふふ…」 熱気のこもる場内に柴崎の笑い声が涼を差す。突然の柴崎の乱入に俄か浮き立つ場内を見て頃合いと思ったのか、小牧が一応は困った風を装って道場の帯を引っ張る。 「ほら、教官殿が意地になってどうするの」 笠原さんも、と小牧が畳み掛けると二人は同時に息を深くついた。堂上が腕を伸ばし、郁が足から力を抜く。ぐったりと畳に肢体を投げ出した郁の頬に何かがぽつりと落ちる。 ゆっくりと目蓋を開けるとまず最初に暗い、と思った。しっかり目を開いて理由が知れた。 「はぁっ……はぁ…はぁ…っ」 自分と同じく荒く息をついた堂上の顔が、思ったよりもずっとすぐ側にある。紅潮した頬と言わず顔全体、恐らくひいては全身。しとどに汗に濡れた額から垂れた汗が自分の、同様に汗に濡れた肌に落ちる。 鈍さに定評のある郁が堂上よりも先にその光景が何を彷彿とさせるか気付いたのは奇跡に近い。 「悪い…やりすぎた」 堂上は珍しく素直に謝ったがもう郁には聞こえていなかった。 「キャ―――ッ!!!」 さしもの鬼教官も慄くほどの叫喚を間近で喰らい、 「ふぐっ…!!」 あまつ声を抑えるのも忘れるほどの衝撃が下腹部を襲う。がくりと片肘をついた堂上の腕の中から転げ出すように逃げ去った郁は一目散に武道場を飛び出しいずこかへ消えた。柴崎が察するに外の水飲み場へ向かったのだろう。 「キャッ…」 「うわっ」 久しぶりに柴崎の口から女の子らしい声を聞いたかと思えば、次の瞬間手塚は思い切り柔道着の裾を引っ張られていた。いじらしい声に続くのは「いや」なんて可愛らしい反応ではなく一生懸命押し殺しているらしい笑い声。 「おい…!」 「だめ、我慢できない…ふふっ! …ちょっと顔隠させて…!」 私のキャラじゃないから。そう言いながらまるで恥ずかしくて堂上の姿を直視できないよう繕って手塚の腕をぎゅっと抱き締め、肩甲骨に顔を埋める柴崎に手塚は動揺する。 「あーはっはっはっ…大丈夫堂上?」 「……っ…」 小牧は目に涙を浮かべながら肘をついて崩れ落ちた堂上の腰を叩いている、何かを落とそうとするように。その間抜けな光景を誰もが指指して笑った。その一角でまた別の二人組が淡い桃色の雰囲気をかもし出しているのにも気付かず。 「…おい、柴崎」 「…待って、あと少し……あと少し経ったら笠原に…どこっ…蹴り上げたか説明しがてら慰めにいくから…っ」 説明しがてら…説明するのが優先か。大事な人の大事な所を蹴り上げてしまった郁の反応を見て更に笑うつもりなのだろう。 「だから、あと少し」 肩の震えを抑え、手塚の肩に頬を摺り寄せてそう呟く柴崎に、手塚は無理やり引き剥がす理由をなくしてしまった。 「あと少しだぞ」 「うん、あと少し」 END.
https://w.atwiki.jp/arikawa/pages/57.html
1スレ目 388-391その2 特殊部隊の宴会は最後まで付き合うと決まって午前様になるので外泊届を出しておくのが前提であることを、堂上はこの時ばかりは有り難いと思った。 武蔵境から何駅か離れた駅前にあるシティホテルは場所柄満室になるということは滅多にない。 今夜も飛び込みの客のすんなりと受け入れてくれた。 風呂やベットが大きなラブホテルも何かと便利なのだが、初心な郁にはその手のホテルを見るだけでカチンコチンになってしまうのであまり利用しない。 部屋に入るなり背後から抱き締めると、郁は素っ頓狂な声を上げた。 「きょ、教官っ!あ、あの、お風呂──」 「後でいい」 先ほどから待たされた身としては、我慢の限界なのだ。 餌を前に待てをされた犬の気持ちというのはこういうものなのかと思ったぐらいなのだから。 戸惑う郁を無視して、くるりと身体を捩じらせ自分に向かせると、思う存分キスをした。 また座り込んでしまいそうになる郁の腿を両腕で持ち上げ、そのままベットに寝転がせる。 逃げ場はもうないのだと知らしめるようにシャツの中に手を伸ばし、なめらかな肌を弄る。 ささやかな胸を隠すブラジャーも強引に持ち上げて、直に色づく頂を手の平で撫でてやると郁は堪らず身体を捩じらせた。 隠すようにうつ伏せになろうとする郁の抵抗がいじらしく、肌に触れていた手を放してやると郁は助かったとばかりに態勢を変え、ほっと息をついた。 とはいえ堂上からすればそれも計算の一つでしかないのだが。 「えっ、あの、ちょっと教官、ダ、ダメですってば──」 「こっちの方がお前はいいんだろ?」 「そ、そんなつもりじゃ、あたし──ひゃっ、あ──っ、」 うつ伏せになった郁の腰に手をまわし、少々強引に持ち上げた。 膝を付く形になった郁のズボンとショーツをずりおろし、露わになった秘部に指を這わす。 とりあえ指一本は入ったものの、まだあまりに濡れていないせいか滑りがよくない。 浅い部分をゆっくりと撫で、空いていたもう片方の手で包皮に隠れた花芽を探り出すと指の腹で優しく扱いてやった。 すると郁の身体は面白いぐらい反応した。 脚はがくがくと震え、あられもない声を押し殺すようにシーツに顔を埋め堪えようとする。 だがそのいじましさこそ堂上を欲情を煽るのだ。 途端に溢れ出した愛液はこちらの動きを助け、艶かしく脚を伝い落ちていく。 先ほどより深く指を差し込み、郁の感じる場所を探るように動かしてやると、郁の身体は、びくりびくりと大きく跳ねた。 締め付ける感触で郁が軽く達したことを知り仰向けに寝かせると、おもむろに腕を伸ばしてきた。 口には決して出さないが、その表情が全てを語っている。 「欲しいのか?」 それでも意地悪く聞くのは、男の我儘だと思って諦めてくれ。 惚れた女にそんな顔をされて冷静でいられる男がいたらお目にかかりたいもんだ。 こんな時だけ素直な郁はこくりと頷くのだから、堪らない。 郁の脚に引っ掛かっていたズボンとショーツをむしり取ると、その見惚れるぐらい綺麗な脚を大きく広げさせた。 見られていることに気づいた郁は 「やっ」 と小さく抗議の声を上げ、顔を両手で隠したが、てらてらと濡れぼそつそこは今かと堂上を待ち望んでいるようだった。 それに誘われるように張りつめ準備の整っている自身に避妊具を付け、ゆっくりと押し当てる。 「んっ、あっ、堂上教官──」 蕩けてしまうかと思うぐらいの温かな感触と、その圧迫感に、背筋がぶるりと震えた。 ずるずると吸い込まれるままに腰を押し進め、先端にコツンと当たると、郁の熱く濡れた肉がぎゅっと堂上のものを締め付ける。 その繋がった感覚があらぶっていた堂上を解すように満たしていく。 満たされているはずなのに、貪欲な自分は更にそれ以上のものを望む。 もっと郁を感じたい、鳴かせたい、乱れさせたい。 シャツをずり上げ、ぷくりと立ち上がった胸の蕾をかりりと噛むと、郁は小さな悲鳴を上げ、堂上の頭をかきむしる様に抱きしめた。 ならばとねっとりと舌で舐め上げると、今度はすすり鳴くような声を上げ、縋りつく。 郁の胸は小さいくせに感度は驚くほど良かった。 僅かながら興奮でせり上がった胸は既に堂上の唾液でベタベタだ。 零れ落ちそうになるそれすらも舐めとるように動かすと郁は悶えるように身体をくねらせた。 それと同時に郁の秘肉も徐々に変化していった。 侵入者を拒絶するかのような締め付けではなく、誘うようにざわめいている。 腰は動かさず、奥をやんわりと押してやると、郁は甘ったるい声を上げ、自ら腰を押し付けてきた。 感情ではまだ処理しきれなくても、郁の身体は素直に堂上の動きは反応してくれている。 これならば大丈夫かと身体を起こし、大きく緩急をつけて抽送させると、郁は切なげにこちらの名を呼び続けた。 その姿は紛れもなく女で、あの郁をそうさせているのが他でもない自分であることが、どうしようもないぐらい乾いた自分の心を満たしてくれていることに堂上は気づいた。 そんなことを郁が知ったら軽蔑するだろうか──ふと沸き起こった疑念も、飲み込まれるような快楽の前では意味を持たなかった。 気が狂いそうになるほどの快楽に促されるように堂上は全てを吐き出すまで腰を振るい続けた。 高ぶった衝動は一度でも気づけば高まる一方で、郁が先に達した後も、収まる気配が全くない。 郁の身体は力が抜けたようにだらりとしているのに、達した秘肉は根元までしっかりと食い締めるように蠢くのだから堪らない。 ダメだと首を横に振る郁にまたそそられて、限界まで溜まった衝動を吐き出すように何度も身体を打ち付けた。 断続的に起こる放出感をじっくりと味わう最中も、郁の秘肉は発せられる言葉とは裏腹に咀嚼するかのように締め付け、終わった頃には腰の奥が溶けてしまうかと思ったほどだった。 翌朝、始発で基地に戻る恋人は昨晩とは打って変わって機嫌が良かったのだが、別れ際、 「柴崎のことなんだがな、宴会に連れてきてもいいが、その代わり、その後は必ず俺に付き合うことが条件だ。いいな?」 えっ、教官それってどういう──っていうか、柴崎が付いてきたいって言ったら、あたし断れるはずがないんですけど──。 さっさと男子棟に消えていった堂上の背中を見送った郁は、一人残された後、どっちに転んでも割りを食うのは自分だと気づき、思わず頭を抱えてしゃがみこんだ。
https://w.atwiki.jp/arikawa/pages/45.html
1スレ目 287-288 「あっそこ…です」 「ここか?」 「ふぁ…ん!そこです、もっと強く…!」 「もっとか、よっぽどだなお前」 グリ 「ひぁっそれです!すごく気持ちいいです…!」 「次はお前だからな」 「はい、あ…!…でも教官みたいに巧く出来るか分かんないです…ん、はぁああ…」 「この体勢はやりにくいから、乗るぞ」 「はい、来てください…」 グリグリ 「あん!…っ…教官…最高です…」 「こういう時だけ調子がいいなお前は」 そういう堂上はやけに嬉しそうな口調で、小牧達はその様子を半眼で眺め続けていた。 「柴崎ー、堂上教官すごいよ!絶対マッサージ資格とれるよ!」 「…あぁ、そう」 「自分の疲労位自分で解消出来んでどうするんだ。お前も自分なりの疲労解消法を見つけろ!」 「これです、堂上教官のマッサージがこれからの私の疲労解消法です!」 「貴様上官を何だと思っとるんだ!!」 …壮絶な口喧嘩の最中も、堂上の指は止まる事無く、這うように郁の背中を押し続けている。 「なんかねぇ」 「なんだかなぁ…」 最初は意地の悪いメンバーで二人を煽って衆人環視で始まった、いつもの下らない嫌がらせである。 この子疲れが取れないらしいんですよ何かいい解消法はないですかねー? ほらそこは上官として体調管理のアドバイスを……… え?マッサージ?あら。じゃあ… 堂上、上官として笠原さんに教えてやりなよー。 なんてひたすらノリだけで2人を追い立てて始まった、マッサージ。 「あ…」 またしても色っぽい喘ぎ声が聞こえ出した。 堂上はとうとう無意識の内に口の端が上がり出している。 「……まるで何かを見せられてるみたいなんだけど」 「……もう、帰りましょうか」 二人は踵を返し部屋を後にする。 それに堂上達が気付いた様子はない。 「とりあえず皆に知らせてやろうよ」 「そうですね、私達を追い出した罰ですね」 なんの脚色もなく玄田や手塚に話してやろう。 『堂上教官が笠原を喘がせていた』。 何一つ嘘はない筈だ。 これで負けたような気分も失せるに違いないと、二人はにやにやとそれぞれの職務に戻った。
https://w.atwiki.jp/arikawa/pages/58.html
1スレ目 396-399 海辺の出来事 「たまには、遠出するぞ!」 玄田の一言で海に出かけた、堂上班プラス玄田・柴崎・毬江・折口の8人。 折口の手配で世相社の保養所がある海岸にやってきた。 男女それぞれに別れて水着に着替えてビーチに集合することになった。 「お前、寮にいるときの格好とあんまり変わらないんじゃないか?」 「違いますよ!これはタンキニっていう水着なんです!これだと胸の小さいのをあんまり気にしなくっていいかな……ってなんでこんな言い訳」 「下も短パンか、てっきり柴崎みたいな水着かと思ってたんだがな」 「ああっ、他の女の人見ながらそんなこと、ひっどーい!」 堂上の視線の先には波打ち際を歩く柴崎と手塚の姿があった。 郁としては柴崎と比べられては立つ瀬が全く無い。 なんとか反撃をと考えてふと気づく。 「ん? なんで教官、着替えてないんですか?……もしかして、教官泳げないんじゃ」 堂上はここにくるまでに着てきた普通のTシャツに綿のパンツだった。 「こ、これはだな……みんな水着に着替えてたら、良化特務機関の襲撃に備えられないからだ……」 「こんな場所のどこに狩られる本があるんですかっ!?」 「いや、でも、もしもを考えて」 珍しく、しどろもどろになった堂上に郁はニンマリと笑いかけた。 「石頭でカナヅチって、なんかのギャグみたいですよ」 「あんたって、無意味なとこに自信あんのね」 手塚が身につけているのは、男性用のビキニパンツ。 ○島よしお御用達の品物だ。 「これはっ、学生時代ずっと競泳部だったからっ!小牧二正みたいな短パンだと、なんか足にからまって泳ぎにくいから……あれ、毬江ちゃんは?一緒に着替えに行ったんだろ?」 保養所が用意してあるパラソルの下で手持ち無沙汰に毬江を待っている小牧の姿があった。 柴崎は、ああとうなずくと、 「やっぱり、ほら寮で一緒のあたしや笠原だったら遠慮ないんだけど、一緒に着替えるのってちょっと恥ずかしかったんじゃないかしら、後でくるって」 「そういうお前は自信満々すぎじゃないか」 華奢だ華奢だと思ってたのに、胸はC……いや、ひょっとしてDぐらい? 手塚の視線が自分の胸に刺さっているのを自覚してか、柴崎は黒のビキニに包まれた胸をグイっとはった。 「このあたしに自信があったら、おかしい?」 世の男性陣なら恐らく全員が陥落されただろう圧倒的なオーラを柴崎は纏っていた。 「ま、でもこんな姿を拝ませるてあげるのも、ごく限られた人だけよ」 「俺も『限られた人』なんだな」 「まあね」 ふわりと微笑んだ柴崎に、どうしようもなく頬がゆるむ手塚であった。 「きゃーーっ!」 郁は逃げ出した。 なんとか第一波をしのいだものの、柴崎もドン引きになっている。 「隊長っ!なんですか?!それはっ!」 堂上班の男性陣3人は一斉に怒鳴った。 「日本男子なら、やっぱりこれだろ!」 手塚よりも柴崎よりも、誰よりも自信万満に、真っ白のフンドシ姿の玄田は豪快に笑っている。 深紅の胸元が深く切れ込んだワンピースの水着を身に付けた折口が玄田に寄り添って、 「ほらぁ、みんなびっくりするって言ったのに」 平然と玄田の腕をつついていた。 並んで水際に向かう二人が通り過ぎてから、一同はそれぞれがひそひそとつぶやく。 「何かやらかす人だとは常から思ってたが」 「折口さんも凄いっすね。アレと平然と並んで歩けるんだ」 「やっぱり20年以上の付き合いだけのことはあるよね」 「それにしても、折口さんには負けたかも。あの年であの水着を着こなせるなんて」 「『あの年』ってお前、聞こえたら殺されるぞ。それにスタイルだったらお前の方が」 「あらーっ、あたしなんかで鼻の下伸ばしたりしてていいんですかぁ?笠原に言っちゃおっかな」 「バカっ!客観的な意見だ!」 「玄田隊長と同い年だから、もう40過ぎててあの体型を保ってるのが凄いってことだね」 「そうそう、いくらあたしでも40過ぎであれが着られる体型でいられるか」 つぶやいた柴崎をつい眺めてしまって、男性陣全員がそろって気まずくなり、また全員があらぬ方を向いたのだった。 玄田ショックから立ち直ってしばらくしてから、ようやく毬江が登場した。 「毬江ちゃん、その水着は……」 「小牧さん、こーゆーのがいいかなって思って」 毬江が用意してきたのは、高校生のときに使っていたスクール水着だった…… ご丁寧に胸元には『3-B 中澤』と名札までついている。 「それが趣味じゃ、男性陣で一人だけまともな水着着てる俺が一番変態になるでしょ。着替えてきて」 「はーい」 駆け出した毬江の後ろ姿を見送りながら、小牧は自分の趣味を誤解されるポイントがなかったのか、真剣に悩んだのであった。
https://w.atwiki.jp/arikawa/pages/44.html
1スレ目 280-281 目の前の光景は堂上の動揺を誘うには十分すぎるものだった。 郁と手塚の兄が交合してるなど──誰が信じるというのだ。 あの郁が自分以外の相手に身体を許すことなど有りえないのは堂上が誰よりも分かっている。 嘘だ、やめろ──そう叫ぶ声が何故か出ない。 ならばこんな光景を俺に見せないでくれ──だが、それも叶わない。 するり、と慧の細長い指が郁の首筋を撫でると、郁は拒むように声を上げた。 「ふぅん。感じやすいんだね、笠原さんは」 そう告げる慧の表情は酷く楽しげだった。 そのままゆっくりとシャツのボタンを外していくと、郁は素肌を見られた恥かしさから顔を逸らした。 だがそんなことはお構いなしに慧は行為を続けた。 そして胸元のとある場所に辿り着くと、とん、と軽く叩いた。 その瞬間、郁の身体はびくりと慄いた。 「堂上ニ正は案外独占欲が強いんだな。まあ……こんな反応されたら、仕方ないか」 うっすらと残る赤い跡は紛れもなく堂上との情事の跡だった。 慧はまるで宝探しをするかのように、跡を見つける度に意地悪く指摘し続ける。 「や、やめて──」 ついに耐え切れなくなったのか郁が涙目で懇願すると、慧はそれを待ち望んでいたように口元を緩ませ、郁に顔を近づけて何かを囁いた。 その瞬間、郁の表情が変わったのははっきり分かった。 何か弱みを握られていることは明らかだった。 自分の知らない間に、郁の身に一体何があったというのか。 そこまで知られては困ることを、どうして自分に相談してくれなかったのだろうか。 してくれれば──こんなことにはならなかった、いや、そうさせなかった。 「いいよね?」 そう慧が告げると、郁は静かに頷いた。 慧はまるで楽器を奏でるよう手付きで、郁の身体を触れ始めた。 椅子に座らせ、脚を大きく広げさせる。 しなやかな郁の脚は慧が触れるたびに、まるで弦楽器の弦のように震わせた。 覚悟したとはいえ、好きでもない男にショーツを脱がされ、秘部を見られことは、郁にとって受け入れがたいものだったのだろう、すすり泣き始めた。 「悪い子だね、笠原さんは。約束したのに」 それでも慧はやめようとはせず、更に愛撫を激しくさせた。 郁の感じる場所を探し出し、執拗に花芽を吸われると、郁の声は泣き声と共に甘さが交じり始めた。 「ちゃんと感じているよ、笠原さん」 「やっ、やだっ、そんなこと──言わないで──」 「堂上ニ正は教育熱心だね。君をこんな身体にさせてしまうなんて、余程だよ」 「きょ、教官の名前を言わないで下さいっ!」 「思い出してしまうのかい?ああ、そうなると、今、君が受け入れている相手が私だと嫌でも自覚してしまうのか」 的確に堂上への罪悪感を指摘され、郁は言葉を失った。 涙目のまま慧を睨みつけたが、慧は表情一つ変えず、 「そんな表情をされると、ますます君を困らせてみたくなるのに……困った子だね、本当に」 くつくつと慧は笑うと、とろとろに解れた郁の花弁に、いきり勃った自身を宛がった。 あっ、と郁は小さな悲鳴と共に、その身を大きく震わせた。 「やっ、あっ、ああ──っ、」 「理解したつもりだったんだけど……笠原さんの中は狭いね。このままじゃ、喰いちぎられてしまいそうだ」 耳元でそう囁く慧の声に郁はむずがる赤子のように首を横に振った。 脚を大きく広げさせられ、その膝に腕を回されてる格好の郁は逃げ出すこともできずに、更に深く慧を受け入れた。 「早く素直になった方が笠原さんも楽だよ。ほら、身体はこんなに正直なのに」 ずんと慧に突き上げられ、郁は思わず慧の肩に爪を立てた。 立て続けに責められると、郁は身体を縮こませ、 「ごめんなさい──教官、堂上教官っ、ごめんなさい──」 郁は一体何に謝っているのだろう。 慧に秘密を握られてしまったことにか、その慧と関係を持ってしまったことか── それとも、堂上以外の相手に身体を許し、その上、感じてしまっていることなのか──。 もういいだろう!やめてくれ──!!郁の辛い姿を見ることは、自分を痛めつけられているより苦しかった。 胸が締め付けられ、このままでいたら自分が壊れてしまいそうだった。 どうして今の自分は郁を助けられないのか。手を伸ばし、あの悪夢から郁を救ってやりたい。 この手はその為にあるものではなかったのか──。 次の瞬間、悪寒と共に目が覚めた。 静まり返った部屋を見渡し、あれが夢だったことに安堵した。 悪夢にしてもタチが悪すぎる内容に、堂上は肺が空っぽになるぐらい息を吐き、ふとコタツに置いてDVDのパッケージに目がいった。 そこには、モザイク入り乱れのキャプと共に、 女自衛官屈辱淫猥戦線~見せます!出します!飛ばします!~ などという文字がテカテカと輝いていた。 堅物堂上とて健全な成年男子であるし、性欲だって当然のように存在するし、この手のものに世話にだってなる。 そういえば久しぶりに何か借りて帰ろうと昨晩レンタルビデオ屋に寄った際、ふとした出来心この手のコーナーに入り、偶然見つけてしまったのだ。 表のパッケージに、かっちりと制服を着込んだ女優はあまりに郁に似ていて──気がつくと借りてしまっていた。 そういえば、あの夢はこれと似たような展開だったような……全てに合点がいき、堂上は二度とこの手で処理すまいと心に誓った。
https://w.atwiki.jp/arikawa/pages/99.html
2スレ目141 反対側の歩道で、知った顔を見つけた柴崎は隣にいた手塚そっちのけで友人へと駆け寄る。 デート中に旦那ほったらかしかよ。という手塚の意義も聞かず柴崎は友人、笠原郁に声を掛けた。 「笠原?」 郁がゆっくりと振り向く。 柴崎と手塚の姿を認めて、思わず郁は柴崎に抱きついた。 「柴崎~~~~~。」 「ちょっともうどうしたのよ。」 そういいながらも、柴崎の手は優しく郁の背中に添えられている。 郁は何も答えず、ただギュッと柴崎に抱きつくだけだった。 見かねた手塚が、近くの喫茶店にでも入らないか、と柴崎に声をかけた。 「はぁ!?妊娠?」 思わず手塚夫妻の声が重なった。 「うん。」 こくりと郁が頷く。 「・・・で?」 「・・・え?」 「それで、何が不満かって聞いてんの。」 少し乗り出して柴崎が郁に問う。 「別に不満はないよ?だって、あたしと篤さんの子供だもん・・・。けど・・・」 「けど?」 「・・・妊娠したってことは、あたしのお腹に新しい命があるってことで、つまり・・・」 「図書特殊部隊から一時的にでも離れるのが不安?」 柴崎が的確に郁が思っていたことを言葉にする。 今まで懸命に堪えていた涙が、郁の瞳から堰を切ったように溢れ出した。 「・・・不安に、ならないわけない!だってあたしみんなより図書館作業できないけど、その分図書特殊部隊でしかできないような仕事で本を守りたかったのに!」 「だから、お前は俺とお前の子供を下ろすのか。」 はっとして振り向くと、肩で息をしている堂上が郁を見下ろしていた。 「な、んで・・・篤さんが」 「あたしがさっき連絡しておいたのよ。」 柴崎が手に持っているケータイを振って示す。 「図書特殊部隊が出産後の女1人を受け入れないような部隊なわけないだろう!図書特殊部隊を、俺たちをなめるなっ!!」 堂上の怒声が響く。 先ほどとは意味の違う大粒の涙をぼろぼろと流す郁を抱きしめ、堂上は呟く。 「なんで、俺に先に言ってくれなかったんだ。かなり傷ついたんだからな。」 「ごめ、なさっ・・・ありがとう」 堂上に抱きつき泣きながら、柴崎が以前言っていたことを、ふっと思い出した。 いいなぁ あたしもそんなふうに幸せになりたいなぁ あぁ。あたし、本当に幸せだ。 end.