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焦ったドラえもんは、気が付くと見知らぬ場所にいた。 「ここ…どこ?」 「おお、ドラえもん殿!気が付かれましたか!よかった、正気に戻られているようですな。」 とまどう彼女に声をかけてきたのは、仲間であった永遠のうっかり侍であった。 「あ、うっかり侍さん。ここどこ?旅館じゃないみたいだけど。」 「死者スレにございまする。」 「へー…って、ちょっと待って!つまり、私もあなたも死んだってこと?」 「残念ながら…。」 「そんな…。自分の意識がない状態で死ぬなんて…。」 orz←このAAそのままの姿勢で落ち込むドラえもん。 「気絶したまま殺されるよりはまだましだと言わざるを得ない。」 そこへやってきたのは、たくましい肉体を惜しげもなく晒した一人の男だ。 「シルベストリさん!あなたも死んじゃったの?」 「うむ。自分を殺した相手の外見すら知らないというのは、無念の極みと言わざるを得ない。」 「いや、それは私も一緒だし。」 そんなこんなで、しばし雑談に花を咲かせる三人。 「しかし、結局Chain-情殿の豹変についてはわからずじまいでしたな。 いったいあの時の彼に何が起きていたのか…。」 「ああ、それなら…。」 「ごめん、それ俺だわ。」 シルベストリの声を遮り、第四の声がその場に響く。その声の主は、◆6/WWxs9O1s。 ちなみに、今日の彼はカオスロワ4での自分の姿をしている。 「いや、俺、実はジョーカーでさ。変身能力使って誤解フラグばらまいてたんだよ。 で、Chain-情に化けて君らに誤解フラグ植え付けようとしてたわけ。本当にごめん。 まあ、お互い死んじゃったことだし、このことは水に流して…。」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ… 「え?何、この不穏な空気。やだなあ、死者スレでは過去の遺恨は忘れてまったりやるのがルールじゃ…。」 「基本は確かにそうよ。けど、生前の悪行はきっちり償った方がいいと思うの。 ほら、アニロワ2ndのワカメとかマオみたいに。」 「うっかり侍、これを。」 シルベストリは、合成された刀をうっかり侍に渡す。 「かたじけない、シルベストリ殿。」 「ちょっと、皆さん…。あの、もう少し落ち着いて…。」 「悪・即・斬!」 「みくるビーム!」 「覇王翔吼拳!」 「ぎゃああああああ!!」 「あー、すっきりした。」 「これからどうします?」 「なじみの店で一杯やらないかと誘わざるを得ない。」 三人が立ち去り、残されたのはボロボロの男が一人。 「あんたも大変ねえ。もふもふ。」 「のんきに鯛焼き食ってるなよ、おまえは!ここじゃ制限なしなんだから、助けろよ!」 「やかましい!私に一回しか出番与えられずに死んだやつが、えらそうにするな!」 「ちょ、かがみん、炎と衝撃波の同時撃ちは勘弁…ぎゃああああ!!」 【◆6/WWxs9O1s 時報確認】
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昨日 - 今日 - 2011年3月 因果応報、なぜそれが作業員へ? 2011/03/16 00 18 安禅不必須山水 iza!(復活) 因果応報といいながら、 《報い》はなぜ、TV画面でほざく原発推進学者にもたらされないのか! 産経記事 http //sankei.jp.msn.com/politics/news/110315/plc11031523070047-n1.htm 【放射能漏れ】 作業員の被ばく量引き上げ、福島原発事故で厚労省 2011.3.15 23 05 厚生労働省は15日、東日本大震災での福島第1原発事故で応急対策にあたる作業員に関し、放射線の被ばく線量限度を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げる規則の特例を定めたと発表した。経済産業省などの要請に基づくもので、250ミリシーベルトへの引き上げは初めて。これにより1回あたり15分程度だった作業時間が30分程度に増えるという。 国際基準では重大事故時の被ばく線量限度は500ミリシーベルトとなっているが、会見した小宮山洋子副大臣は「労働者の健康を考えると今後さらなる引き上げは考えられない」とした。 また同副大臣は、福島第1原発事故で半径20キロ外に避難した住民の検査などのため、全国の都道府県などに対し医師や放射線技師の派遣を打診していることを明らかにした。 100ミリシーベルト/年間 はそもそも緊急事故対策作業者のこと。 被ばく線量限度は、1回あたりではなく年間累積のはず。 《1回あたり15分程度だった作業時間が30分程度》というのではなく、 そういう表現をするなら、作業は1回しかできないはず。 そこは産経の間違い。でも他紙がきちんと報じてないなら、その点はマシ。 COMMENT AUTHOR 眠れぬシーサー DATE 03/16/2011 01 58 06 こんばんわ、福島原発の事故は大変な危機になり私もニュースを聞いているだけで苦しくなります。 さて、線量限度の件ですが、通常作業時の被爆は1年間で管理するので年間あたりの量で書かれているのです。でも今は事故時です、つまり事故時の短期間にまとめて放射線を浴びた場合の限度をこれは示しているのです。 そして、それを100mSvから250mSvにしたのでしょう。 さてここで4mSv/h(=4000マイクロSv/h)の場所で作業をする事を考えましょう。(/hは1時間あたりの意味)被爆しすぎないよう1回の作業あたり1mSvの被爆でおさえようとすると15分しか作業できません。しかし限度が2倍になれば30分になります。そういう事でしょう。 そして環境が400mSv/hであれば、貴殿の言うとおり1回15分の作業で100mSvの限度に達します。 次へ 緊急炉心冷却装置の復旧を目指す… 2011年3月 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 、 ,
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Case04/因果応報のアンバランス 不敗神話とかどー考えても無理があるっス、むきゅー…… ニート……もとい桜澄 未空サン加入の件 桜澄 未空サンが朝倉家の紹介でイリーガル登録されたっス。朝倉の親戚筋で箱がお亡くなりになった箱入り娘、筋金入りのニートとか聞いてたっスからかなり不安でしたけど、蓋を空けてみれば結構人脈が強くて優秀な人っス、多分本人もやれば出来る人っス、そのうち本気を出すというヤツですな。面倒くさがりは私もさして変わらないからおあいこっス。大体からして店番とか称しつつ定職らしい定職がないのはどこかの令嬢サンも大差な……おっと誰か来たようですな。 困った元UGNのテロリストさんの件 はい、前任が名誉の負傷を遂げられましたので筆を交代したしがない商店主です♪ 今回桐也さんの元に舞い込んだ話は元UGNのエージェントで各所のUGN支部を襲撃している“真昼の月”こと長谷永 雪さんへの対策です。なんでも姿を隠す闇を操ることに特化したエンジェルハィロゥ・ピュアということでテロされると実に厄介な相手だったご様子で。 加えましてその“真昼の月”さんを巡って方々の組織が思惑をめぐらせたようでして。えっと神代さんとFH、ギルドに鴻央会系高田組さんに防衛隊さん達がそれぞれに出来れば自分の手元に置きたいなんて感じでしっちゃかめっちゃかです。それに…………ええと、葵様はいらっしゃいませんね。どうも朝倉家の一部のものが鴻央会さんに手を貸したとかでかなり執拗な情報隠蔽(*1)が行われたようでして。こちらから探し当てる線は難航を極めちゃったみたいです。 結果としましては利害を折り合わせましたFHのジェラートさんと協力出来たおかげ(*2)で情報隠蔽を乗り越えて何とか最悪の事態だけは避けられたと言う形ですけれど……ちょっと間一髪で後手を踏んじゃいましたか。結局支部が襲撃されちゃう形になりまして茜ちゃんが負傷(*3)、店舗が1/3ほど損壊しちゃいました。そのうえ“真昼の月”さんに手こずったおかげで神代のレイズに美味しいところをかっ攫われちゃったみたいで……なんとも言えない結果になっちゃいました。 あとでジーンさんから聞いた推測ですけれど、“真昼の月“さんは3ヶ月前のUGNが大騒ぎになってる時期にちょっと働きすぎて、アップアップになってるところに世話になってた支部長さんがFHというか例のコードウェルさんの所に出奔しようとして、上の指示でその支部長さんを始末した際に限界を超えちゃって帰ってこれなかったみたいでして。UGNの支部を次々襲撃していたのは、その世話になった支部長さんが最期に遺した指示というか懇願がやりきれないUGNへの憎悪の引き金になっちゃって、それでこういう形になってしまたのではないか、とか。本当にやりきれない話です。 あるFHエージェントの手記 あのね、フラム……サン。他人に上位セルから回された気乗りのしない仕事を押し付けた挙句、プライベートを済ませて戻ってくるや否や他人が《天性のひらめき》6~7回トライして上手くいかない情報収集を平目であっさり成功させ(*4)、あまつさえその人に向けて“使えないヤツ”というような視線を向けるのはやめてくれな…………クダサイマセンカ? …………ん、まあ結果を出せなけりゃ意味が無いのは分かってるつもり、UGNの皆さんも含めてね。父親の情報を餌にして“真昼の月“の身柄を譲らせようとしたけれども、向こうの桐也クンは首を縦に振らなかったみたいだし。結局レイズのひとり勝ちならこちらが得たものは何もないわけで。わざわざ殺り合いたいわけじゃないけど、あまり甘い顔ばっかりもできないかな? コメント一覧 名前 コメント すべてのコメントを見る
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食堂にて人影が1つ アベル「お腹が減って餓死寸前です。前に食事したのは何日前だったけ? うう、主よ目の前がだんだん暗くなってきました・・・。おや、あんなところに菓子パンが! 食堂で食べ物を盗む私を主よお許しくださいっと、それではいただきまーす!」 菓子パンにものすごい勢いでダッシュする神父。 だが、パンに手が届こうとする瞬間、神父の頭上から猛獣が入りきれる位 大きいオリが耳が痛くなる音を発しながら降りながら、ダメ神父を鉄の監獄に捕まえてしまった。 アベル「えっと、これは最悪なことに捕まったというオチですか~。 しかもなんでこんなトラップが!?ヤヤッ、さっきの衝撃で鼻血がピューって、ピューって。 あれ?なんだか目眩が・・・。(ガクッ)」 翌日食堂で伸びている神父を発見 CAST トリニティ・ブラッド アベル・ナイトロード
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・ホラー要素あり ・餡子ンペ作品 「れいむのごはんさんをよごどりずるげずはじねぇぇぇ!!」 「ゆぶぅぅぅぅぅぅ!!」 ボン!! 「ゆっぐじ…」 どこにでもあるゆっくりのお家に悲鳴が響き渡る。 どこにでもいる丸く太ったれいむは元々そこに住んでいたまりさにご飯を返せと訳の分からない 事を言って奪おうとしたのだ。 まりさも必死に抵抗したが体格差を覆す事が出来ず、そのまま殺されてしまった。。 「ゆふぅ…かわいいれいむのすまーとなからださんがよごれちゃったよ!! まったくげすはさいごまでめいわくばっかりかけるからいやだよ!!」 このれいむはこの近辺で有名なゆっくりでなんでもかんでも自分の都合のよい風に解釈し 自分に異を唱えようものならその場で制裁という名の処刑をするいわゆる「でいぶ」なのだ。 「ゆんゆん、れいむのごはんさんをかってにとるからこんなめにあうんだよ!! ゆっくりはんっせいしてね!!む~しゃ、む~しゃしあわせぇぇぇぇぇ!!」 死体に言っても無意味なのが分からないのか、れいむはそうまりさの死体に言い放つと 蓄えてあった食糧を食べ始めた。 このまりさは狩りの腕が非常に良かった事もあってかその量も並みのゆっくりと比べても 非常に多いものだった。 1時間かけてまりさが蓄えた食糧を食べつくしたれいむはさらに醜く膨れ上がった腹を 満足げに見ながらその場で眠りに付いた。 「もうおなかいっぱいだよ!!れいむはす~やす~やするね!!かわいくってごめんね!! す~や、す~や」 一瞬で寝てしまっていた。 夢の中、れいむは遠い道の先に自分への献上品と勝手に判断した大量のあまあまを見つけていた。 「ゆ!!あれはかわいいれいむへのけんっじょうひんだね!!いっぱいむ~しゃむ~しゃしてあげるね!!」 そういきこんだれいむは重い体を引きずるように移動を開始した。 「まっででねぇぇ!!だっぐざんむ~じゃむ~じゃじであげるがらねぇぇぇぇ!!」 今れいむの頭の中には山のように積まれたあまあまを頭からかぶりつくかわいらしい自分の姿 しかなかった。 だが、その行くてをさえぎるように頭上から何かが降ってきた。 「ゆぴぃ!!」 れいむはさっとその場で立ち止まり難を逃れた。 その物体は丸くてとても大きい何かにしか見えなかった。 だがれいむには自分の覇道(笑)を邪魔するものにしか見えなかった。 「じゃまずるなぁぁぁぁぁぁ!!どげぇぇぇぇぇぇぇ!!」 だが謎の物体は動きもしない。 れいむは怒りながら体当たりを仕掛けた。 「どげぇぇぇぇぇ!!でいぶのじゃまをずるげずはじねぇぇぇぇっぇえ!!」 ゆっくりかどうかなどまるで分かっていないのにもかかわらず、れいむは咆える。 何度も、何度も!! だが謎の物体は動かないどころかびくともしなかった。 「ゆはぁぁぁぁ…ゆはぁぁぁぁ…」 「……」 「ゆ?」 疲れて呼吸を整えていたれいむは謎の物体から妙な声が聞こえたのを感じとった れいむは耳を澄ましてその声を聞いた。 「…アトミッカ…」 因果応報 れいむは奇妙な夢から目を覚ますとまずは朝の挨拶をした 「ゆっくりしていってね!!」 やはり朝の挨拶は良い物だ。それにしてもなかなか住みやすいお家だ。 しばらくの間れいむのお家にしてやろう。 れいむはそう考えながら家からでた。 さっそくれいむのご飯を回収にいかないといけないからだ。 「ゆんゆん♪きょうはどれいたちがどれだけかわいいれいむにけんっじょうするかたのしみだよ!!」 頭の中で勝手にそんな事を考えながられいむは重い体を器用に使いながら跳ねた しばらく跳ねているとれいむはまりさとちぇんを見つけた。 どうやら一緒に狩りをしているようだ。 口が大きく膨らんでいる、どうやらなかなか大量らしい。 ゆふふ、今日もれいむへのけんっじょう品を集めて結構なことだよ!! おいしくれいむがたべてあげるね!! そう考えたれいむは二匹の前に現れた 「れいむへのけんっじょうひんだね!!かくさなくてもいいよ!!いますぐむ~しゃむ~しゃしたい からよこしてね!!いますぐだよ!!」 まりさとちぇんはしばらくれいむの顔をポカーンとみていたが、 我慢が出来なくなってきたのかでかい口を開けて笑い始めた。 「ゆひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」 「わ、わか、わからゆひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」 突然訳も分からずに笑いだすまりさとちぇんにれいむは怒った。 明らかに自分の顔を見て笑っていると分かったからだ。 「なにどれいのぶんざいでわらっでいるのぉぉぉぉぉ!!ばがなのぉぉぉぉ!!じぬのぉぉぉぉ!!」 ひとしきり笑いに笑いまくった二匹はどうにか呼吸を整えてれいむの問いに答えた。。 だが顔はまだ笑っていた 「ゆひゃひゃひゃ…だってねぇゆひゃひゃひゃ!!」 「わかるよーわかるよーゆひゃひゃひゃひゃ!!」 「「おかおがへんだもん!!」」 「ゆぐぐぐぐぐ!!れいむのおかおはへんじゃないぃぃぃぃぃ!!げずはじねぇぇぇぇぇ!!」 自分の顔を罵倒されたれいむは怒り狂ってちぇんの顔に思いっきり噛みついた 「わがらぁ!!…ゆ…ゆ…ゆ…ゆ」 顔を噛みつかれたちぇんは顔の半分を持っていかれてしまった。 痙攣が始まってる上に中身のチョコレートが流れ出ている。もう助からないだろう 「ゆ…ゆわぁぁぁぁぁぁ!!だれがだずげでぇぇぇぇぇ!!」 まりさは怯えてれいむから逆方向へ逃げようとしたが、決断するのが遅すぎた。 「ゆ…どぼじででいぶがばりざのうえにのっでるのぉぉぉぉぉ!!」 「げずはじねぇぇぇぇぇ!!」 れいむがまりさの上にのしかかり身動きを封じた。まりさは逃げ出すのが遅すぎたのだ。 れいむは怒りに身を任せ、まりさの上で飛び跳ね始めた。 「ゆぶぅ!!ゆべぇ!!ゆげぇ!!」 「ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!ぇぇぇぇぇぇ」 「ゆぼがぁぁぁぁぁぁぁ…」 れいむの飛び跳ね攻撃に必死に耐えていたまりさだったが耐えきれなくなり、中身を吐きだして ついにその場で永遠にゆっくりした。 ゲス共を殺したれいむはスッキリーしたかのような顔で一息入れた。 「ゆふぅ、まったくげすはこれだからこまるよ!!かわいいれいむにたいしてへんなかおだなんて!! しんでとうっぜんだね!!でもね!!れいむはとってもやさしいからなかみはちゃんと れいむのごはんさんにしてあげるね!!かんしゃしてね!!」 そういうとれいむはちぇんとまりさを食べ始め、そこらへんに転がった二匹の狩りの成果も 食べ始めた。 「む~しゃむ~しゃ、しあわせぇぇぇ!!ゆふぅ、おなかいっぱいたべたらのどがかわいちゃったよ!! かわいいれいむがはいっぱいごーくごーくしにいくよ!!」 ひとしきり暴れたれいむは咽が乾いたと言い、川に向かう事にした。 20分後… 「ゆふ、ようやくついたよ!!いっぱいごーくごーくするよ!!みりょくてきでごめんね(ウインク)」 書いている作者が吐き気を催す程の破壊力を秘めたウインクをどこのだれかにむけてやったれいむは 川にようやくたどり着いた。 重い体を引きずりながら川のほとりに近づき、おもいっきりごーくごーくしようと顔を 水面に近づけたその時であった。 れいむは自分の顔の異変に気付いた。 「ゆえぇ!?だれだぁぁぁでいぶにごんないだずらをじだげずはぁぁぁぁぁ!! ぜいざいじでやるぅぅぅぅぅ!!どっどどごいぃぃぃぃぃぃ!!」 れいむは顔に落書きされている事に気付いた。真っ黒な字でれいむには全く分からない何かが 書かれていた。 「ぢぐじょうどごだぁぁぁぁ!!がわいいでいぶのおがおをよごじだづみはおぼいぞぉぉぉぉ!!」 顔には「3」と書かれていた。 結局あれから怒り狂いながら犯人を捜した。 あやしいと思ったゆっくりはせいっさいし、笑ったゆっくりはみんなせいっさいした。 この日だけで10匹は殺したと思う。 これが群れだったらその場で群れのゆっくりから制裁されていただろうがあいにくこの付近は 群れが形成されておらず、弱肉強食の世界をなしていた。 体が比較的大きい傾向にあるでいぶにとってはここはとても都合が良い所だった。 でなければここまで好き勝手出来ないだろう。 結局この日は犯人を見つけることが出来なかったでいぶは元まりさのお家まで戻り、 寝ることにした。 「ゆっくりできないやつのせいでゆっくりできなかったよ!! おひさまがのぼったらぜったいにせいっさいだよ!!…すぴーすぴー!!」 あっと言う間に眠れるその図太い神経はなんともうらやましい限りだ。 夢の中…れいむは犯ゆっくりを追い詰めていた。 「ゆっふっふっふっふ、ついにおいつめたよ!!かわいいれいむのおかおにいたっずらするなんて なんてげすなの!!たっぷりこうかいしてね!!」 犯ゆっくりは必死に命乞いをしてきた。だがれいむにとっては最初からそんな言い訳をしても 許す気などさらさらなく、その場で制裁するつもりだった。 「ゆっくりしねぇぇぇぇぇ!!」 ブチュン!! れいむが大きな体を振るわせのしかかった。犯ゆっくりの体はれいむの体に耐えきれるはずがなく 何の抵抗も出来ないままそのまま潰れてしまった。 「ゆっゆっゆっゆ!!れいむのおかおをよごすからこんなことになるんだよ!!ゆっくり… ゆゆぅぅぅぅぅぅぅ!!」 れいむは目の前で起こった現象に驚いた。 潰した犯ゆっくりの体が分裂し、分裂したかと思うと犯ゆっくりが倍以上の数になって復活した。 どの犯ゆっくりも必死に謝り、命乞いをした。 「ゆん!!ぞんなごどでがわいいでいぶがうげだぐるじみがわがるのぉぉぉぉぉ!! どれだげいのじごいをじでもむだだよぉぉぉぉぉ!!じねぇぇぇぇぇ!!」 れいむは怒り狂いながら犯ゆっくりを潰し始めた。 必死に命乞いをするもの。必死に逃げようとするもの。必死に母親に助けを求めるもの。 一切の区別をすることなくれいむは潰し回った。 全ては自分のゆっくりをぶち壊したゲスを制裁するため!! 怒り狂いながら潰し回り、ついに最後の一匹になった 「さいごはおまえだよぉぉぉぉ!!ざあじねぇぇぇぇぇ!!」 れいむが最後の一匹を潰そうと助走を付けたその時である。 行く手を阻むかのように大きくて黒い物体がうっすらと現れた。 「ゆべぇ!!」 助走をつけたれいむは急にとまることが出来ずその物体にぶつかった。 一体何にぶつかったのか?普通ならそう思うところだが怒り狂っているれいむにはそんなことはどうでもいい 大事な事は、この物体がれいむの邪魔をしたことだ。 さらに怒ったれいむはこの謎の物体に抗議の声を上げる 「じゃまをずるなぁぁぁぁぁぁ!!おばえもぜいっざいじでやるぅぅぅぅぅぅ!!」 「…カ…」 「なにいっでいるぅぅぅぅぅぅ!!ばっぎりいえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「…ツカ…」 「だがらばっぎりどぉぉぉぉぉ」 「アトフツカ」 「なにがあとふつかだぁぁぁぁぁぁぁ!!」 れいむはここで目を覚ました。顔は寝起きも相まってか怒り狂った顔になっていた。 だが意識がはっきりするにつれてそれが夢だった事を悟るとれいむの怒りは収まってきた。 「ゆぅぅ…ゆめさん?ゆっくりできないゆめさんだったよ!! ゆっくりすーやすーやできなかったからげすがりだよ!!ついでにいっぱいむ~しゃむ~しゃするよ!!」 れいむはさっきの光景が夢であると理解するとまりさのお家だったお家から飛び出した。 その顔は今日はどんなおいしいごはんさんを食べようか?どんな懲らしめ方をしようかな?と 考えている顔だった。 れいむは気付いていなかったが、顔の文字は「2」になっていた… 「ゆふぅー、すっきりー!!」 日が暮れた頃、れいむは近くを通ったゆっくりに因縁をつけてはゲスとみなして制裁した。 どのゆっくりもれいむがどんなゆっくりか知っていたのか食べ物を差し出して 見逃してもらおうと必死に命乞いをしたがれいむは一切聞き入れず、制裁の名の元に 殺していった。 赤ゆっくりも、子ゆっくりも、希少種も… 日が暮れるまで食い、殺し、まさしくやりたい放題の限りを尽くしたれいむはさすがに疲れ 近くにできたれいむの新しい新居に行くことにした。 もちろん、それは元いたゆっくりをこれから殺して手に入れるのだが…。 れいむは手ごろなお家を見つけるとそのお家の扉に体当たりを仕掛けた。 ドン!!がらがらがらがら…「ゆぅぅぅぅぅ!!なんなのぉぉぉおぉぉぉ!!」 れいむは扉が壊れ中に入れる状態になった事を確認すると、誰の許可も求めずに ずかずかと入り込んだ。 中にはゆっくりがいるようだがれいむにとってはなんら問題はない。 今からこのお家はれいむのお家だ。そこに居座っているのはゲスだ!! れいむのお家を奪おうとするゲスは制裁だ。 れいむの頭の中にはこれから何をするか、どうすればよいかという具体的な案が出来上がっていた。 だがその予定は完全に潰れてしまった 「でいぶのおうちにないってきてなにいっでいるんだごのげずがぁぁぁ!!」 「ぞれはおばえだごのへんながおのでいぶがぁぁぁぁぁ!!」 「べんながおなのはおばえだろうがぁぁぁぁぁ!!」 先住者はれいむと同じくでいぶであった。だがただのでいぶではない。 顔に「1」と書かれたいたずら書きがあったのだ。 顔の中央を走るように書かれた「1」。顔全体にうつるように書かれた「2」 二匹は互いの暴言をくり返しながら互いに体当たりし合った。 普通なら体が一回りや二周り小さいゆっくりが殺されるのだがこの二匹の場合 図体、知能までほぼ互角。 こういう戦いの場合先に手を出した方が負けと言われているが二匹はそんなのお構いなしに 互いを攻撃し合った。 ほぼ同じタイミングで攻撃し、同じタイミングで少し休み、同じタイミングで攻撃を再開した。 こんな不毛な攻防がしばらく続いた。 戦いが始まって一時間後… 日が沈み辺りが暗くなるであろうという時に二匹の顔に変化が起こった。 「ゆひゃひゃひゃひゃ!!げずのがおをゆがんできたよ!!ゆっくりみじめになってね!!」 「ゆひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!げずのゆがみにゆがみきったおかおさんが さらにゆがみきってきたよ!!ゆひゃひゃひゃひゃ!!」 侵入してきたれいむは元いたゲスの顔に書かれていた落書きが「0」に変わったのをみてあざけ笑った。 一方の元々いたれいむも侵入してきたれいむの顔の落書きが「2」から「1」に変わった事を あざけわらった。 「ゆひゃひゃひゃひゃひゃ…ゆ?」 笑い転げていた「0」れいむが「1」れいむの後ろをまじまじと見て、咆えた。 「だれだおばえはぁぁぁぁ!!おばえだな!!でいぶのすーぱーすーやすーやたいむのじゃまをした くろいくろいさんは!!ゆっぐりじねぇぇぇぇぇ!!」 「0」れいむはれいむを無視し、いきなり後ろにいる何かに攻撃を始めた。 驚いたれいむは後ろを振り返る。だがそこには何もなく、ただ壁だけが映っていた。 「じねぇぇぇぇぇぇ!!なにがあといちにちだぁぁぁぁ!!じねぇぇぇぇぇ!!」 「0」れいむはひたすら咆えるがれいむはこいつは頭がおかしくなったと思い、 「0」れいむの後ろに回り込み、一気にとどめを刺そうとした 「そろ~り!!そろ~り!!」 だがそんな間抜けな奇襲作戦が成果を上げる事がなかった。 「ゆ!?ゆぼぉぉぉぉぉぉぉぉ…」 突如「0」れいむの動きがまるで石にでもなったかの様に止まったのだ。 急に動かなくなったかと思われた「0」れいむは突如醜い贅肉の体を左右に振り、必死に何かから逃げだそうとした がそんなことしても無駄だといわんばかりに「0」れいむの体がふと宙に浮き、 ものすごい勢いで巣の外へと連れ出された。 何が起こっているか分からなかったれいむだったが自分のすーぱーせいっさいタイムを邪魔された と考え、邪魔したやつをとっちめてやるときめ、後を追いかけることにした。 だが…それはれいむに深い恐怖を与えることとなった。 れいむは重い体を引きずりながら後を必死に追いかける。 そして目に映る距離にまで追いついたれいむの眼に信じられない光景が飛び込んできた。 「ゆごぉ!!ゆぶぇ!!ゆ!」 宙を浮いていた「0」れいむが見えない何かによって近くの木に叩きつけられていたのだ。 一度や二度どころでなく、何度も何度も。 「0」れいむは餡子を吐きながら短い悲鳴を上げていた。 「ゆぶげぇ!!…ゆぅ…ゆぅ…」 叩きつけるような動作が終わり、「0」れいむはようやく苦痛から解放された。 だが全身アザだらけでほとんど虫の息の状態になっていた。 よくもかわいいれいむにこんなひどい事をしたなこのクズめ!!制裁してやる!! 「0」れいむはそう考えてながら反撃をせんと揉み上げに力を入れ始めた。 だが復讐するチャンス来なかった… 「ゆぅ…ゆぅ…ゆ?…ゆぎゃぁぁぁぁぁぁ!!でいぶさまをどうするきだごのげずめぇぇぇぇぇ!!」 「0」れいむが急に叫んだ。れいむは最初は良く分からなかったがだんだん時が立つにつれて 何が起こったか少しずつ理解した。 「0」れいむの体が…少しずつ消えていっているのだ。 れいむには何が起こっているのかさっぱり分からなかった。 だが、れいむの餡子脳が理解を超えるような事が起こっていると理解したれいむは 恐怖心からいつのまにかしーしーを漏らしてしまった。 「な…なんだごれはぁぁぁぁぁ!!ゆっぐりりかいでぎないぃぃぃぃぃ!! だれがぜづめいじろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 れいむは叫ぶが、今目の前に起こっている事が分かる者など、この場にいるはずがない。 そうこうしている間に「0」れいむの体は順調に消えていった。 「でいぶはだべぼのじゃないぞぉぉぉぉぉ!!ばなぜ!!めいれいだぁぁぁ!!ばなぜぇぇぇぇ!!」 だが必死の声もむなしく、「0」れいむの体は完全に消えた。 れいむは「0」れいむがいた所に行き、どこに行ったか調べようとしたが出来なかった。 宙から赤い…たくさんの眼が現れたからだ。 「ゆわぁぁぁぁぁ!!」 赤い目は皆れいむを見つめていた。そしてどこからか声が聞こえてきた。 その声は、れいむの夢に出てきた声と全く同じだった。 「…アトイチニチ…」 翌日… 「ゆぶぅ…ゆぶぅ…ゆぶぅ…ゆぶぅ…」 れいむは「0」れいむのお家の扉に強力な結界を施していた。 家の前にとても重そうな石を置き、その周りにそう簡単に入ってこれないように 木や葉っぱを覆い、自分でもほれぼれするような結界を施していく。 昨日のあの出来事を見て、れいむは自分の身を守る事にしたのだ。 もちろん本当は奴隷どもにやらせたいのだが、あいつらときたられいむの命令を聞くどころか おちびちゃんの仇などと言ってれいむを制裁しようとしてきたのだ。 もちろんその場で一切の例外なく皆殺しにしてやったが… しょうがないので自分で結界を作ることにしたのだった。 「ゆぶぅ…ゆぶぅ…なんでかわいいれいむがこんなによごれないといけないのぉぉぉ!!」 れいむは一人そう愚痴るが気にかける者など誰もいなかった。 必死になって結界をつくり、家に今まで殺したゆっくりから奪ってきた武器を壁に並べ、れいむは迎え撃つ 準備を整えていった。 「ゆっふっふっふ!!でいぶをゆっくりさせないげすはみんなせいっさいだよ!! たっぷりくるしめてころしてやるぅぅぅぅぅぅ!!」 れいむの意気込みは十分な物だった。 そして日が沈み始めた… れいむはそろそろだと勘で感じ、武器の棒を咥えた。 一体何がどのようにしてくるか分からない…だがここまでれいむを怒らせたのだ!! 奴隷にする程度では事足りぬ…たっぷりお仕置きをしてやる!! しぬまでボロ雑巾のように扱ってやる!! れいむはそう考えながら昨日の正体不明のゆっくりできない奴が来るのを待った。 …時間がコクコクと流れる… れいむの顔に書かれた「1」が「0」に変わった。 そろそろ来るはずだとれいむは気を引き締め、棒をさらに深く咥え直した。 ズズズズズズズズ… 後ろから何かが這うような音が聞こえる…。 れいむはゆっくりと後ろを振り返ろうとした。だが… ブン!!ドグシャア!! れいむの体は正体不明の敵に思いっきり結界目掛けて叩きつけられた。 結界はれいむが突っ込んだせいもあってか一瞬にして木と石の山に変わってしまった。 れいむは結界を崩され、外に放り出されていた。 「ゆ、ゆぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 れいむは一瞬にして結界が施されたお家と武器を失った。 ばかな!!れいむの結界はかんっぺきだったはずだ。なのになんであんなにかんたんに破られるのだ!! ありえない!!ここは一時戦略的撤退をするしかない!! そう判断したれいむは森の奥深くへ逃げ込もうとした。 が、無駄だった 「ゆぶえぇ!!」 れいむは何か巨大な物に掴まれ、身動きが取れなくなった。 「ゆぎぎぎぎぎぎ!!でいぶをばなぜぇぇぇぇぇ!!ごのぐずがぁぁぁぁぁ!!…ゆひぃ!!」 怒りのあまり咆哮しながられいむは今自分を掴んでいる者の方に顔を向けた。 そのまま顔にしーしーをかけて緩んだすきに逃げだしてやる!! そう考えたれいむだったが、そいつの顔を見るや否やそんな気があっという間に吹き飛んでしまった。 あまりにもあり得ない光景が映っていたからだ。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!な…なんなのこれぇぇぇぇぇぇ!!」 それは、れいむの夢に出てきた黒い物体だった。今までシルエットしか分からなかったが 今はっきりと姿が見えた。 黒くて細長い巨体に腕が生えていた。分かりやすく言うとまるで手が生えたおたまじゃくしのようだった。 だがそんな姿はどうだっていい。問題はその顔だ。 れいむ、まりさ、ありす、ちぇん、みょんと言った基本種。 果てはゆうか、きめぇ丸、てんこ、といった希少種まで。 様々なゆっくりの顔が浮かんでいた。一つや二つではない、おそらく…たくさんだ!! どの顔もゆっくりしたものではなかった。 怒り、苦しみ、悲しみ、嘆き…それぞれ顔が違うがどのゆっくりもそんな顔をしながられいむを見ていた。 眼を真っ赤にしながら、怪物は叫ぶ 『じねぇぇぇぇぇぇぇ!!』 顔の部分に浮かんだ無数のゆっくり達が一斉に叫んだ。 れいむは恐怖心から全く身動きが取れなくなった。いや、おそらく今のれいむは金縛りにかかっている のかもしれない。 どちらにせよ怪物にはそっちの方が好都合だったのかもしれない。 怪物がそのおおきな口をにやりと歪ませると腕をふるった。 「ゆべぇ!!ゆぶぅ!!ゆぼぉぉぉ!!」 怪物がれいむを掴んでいる腕をふるい、近くの木にあてるように腕を振るった。 手加減をしているためか、れいむ自体は外見こそはボロボロになってきたが 吐いてる餡子自体は少なかった。 しばらく木にぶつけられ、れいむの体はボロボロになりほとんど虫の息になっていった。 「ゆぅ…ゆぅ…ゆぅ…ゆぅ…」 れいむの醜い贅肉はあっちこっちに黒い痣が出来、不敵な笑みをうかげていたあの顔は いまでは見るにたえない程さらに醜い顔になっていた。 怪物はその様を確認すると木に叩きつけるのをやめ、大きな口を上げた 『ゆっぐりいだだぎばずぅぅぅぅぅぅ!!』 顔のゆっくり達が一斉に叫ぶ。 れいむの体はゆっくりと怪物の口に近づいていき、そしてあんよが口の中に入った。 ガブリ!! 口が一回閉じられた。れいむのあんよはれいむ自身とお別れをした。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁ!!なにをずるぅぅぅぅぅぅぅ!!でいぶのあんよをばらばらにずるなぁぁぁx!!」 れいむは痛みのあまりに声を上げる。だがここから不思議な事が起こった。 普通足を食いちぎられたのなら足の感覚はなくなるものだ。 だが、れいむには何故か感じたのだ。自分のあんよが怪物の口の中で、噛みちぎられ、 ばらばらになっている痛みを、ほんのわずかな餡子からでも感じた。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁx!!あぁぁぁぁぁぁぁ!!やべろぉぉぉぉぉぉ!!やべろぉぉぉぉぉ!!」 だが、怪物は止まらない。今度はまむまむが食いちぎられ、怪物の口の中でばらばらになっていく。 「ゆぼぉぉぉぉぉぉぉ!!うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 必死に悲鳴を上げるも結局は無駄だ。 そしてゆっくと食べ続けられ、れいむはもう目玉から上しか残っていなかった。 だが不思議と生きていた。ただし、死んだ方がマシともいえる激痛がれいむをおそっていた。 体はバラバラにされていても、その餡子の一片に至るまでれいむを容赦なく襲っていた。 「ゆ…ゆ…ゆ…ゆ…」 もう痛みのあまりに声も碌に上げることができなくなっていた。 だがそれでも死んでいなかった。いや、死ねなかったのだ。 最後に怪物は大きな口を大きく歪ませた。それはお楽しみの時間がやってきたといわんばかりの 顔だった。 「ゆ…ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁっぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 れいむは完全に怪物の口の中におさまった。 真っ白い歯がれいむを押し潰す。目玉も、皮も、餡子も。 だが目玉を押し潰されてもはっきり周りの光景が見える。だだ痛みがれいむを襲う。 怪物の口の中は真っ暗だった。何も映っていない。だが自分には目玉があるという感触が伝わってくる。 痛くて痛くて仕方ない!!はやく永遠にゆっくりしたい!!だけど死ねない!! れいむが一体何をやったというの!!はやくかわいれいむをここから救って!! れいむは必死に祈るもその声は届かない。 必死に祈っていると、目の前に光が見えてきた。 まるで救いの光であるかの様な光だった。 れいむのバラバラになったパーツはそっちに引きつけられていった。 れいむはこれで自分は救われた!!これで天国でとてもゆっくりできる!! そう思い、目を閉じた…。 「ゆ?」 れいむが目を開けると、そこには三日前に新しく手に入れた自分のすみかと同じ光景が広がっていた。 壁の傷、大きさ、何から何まで完全に同じだった。 「ゆふぅ…ゆめだったんだね!!まったくゆっくりできないゆめさんだったね!!」 れいむはほっと溜息をすると、三日前まで積み重なっていたはずの食糧に口を伸ばそうとした。 だが… 「ゆ?うごけないぃぃぃぃぃぃ!!どぼじでぇぇぇぇぇ!!」 れいむは自分の体が動かない事に気が付いた。 舌を動かそうとした、あんよを動かそうとした。だが体は自分の意思に反した動きをしていた。 「ゆぐぅぅぅぅ!!そっちじゃないぃぃぃぃ!!どぼじででいぶがごんなごどじなぎゃいけないのぉぉぉ!!」 れいむが自分の体に抵抗しているその時であった グシャ!!グシャ!! 誰かがお家の前の結界を破ろうとしていた。なんだと思いれいむは目をそっちに向けた。 「ゆふぅ…なかなかいいおうちだね!!ここをれいむのおうちにするよ!!」 そこへ入ってきたのは一匹のれいむだった。だがれいむはこのれいむを知っていた。 あれは…自分だ!! ここでれいむはなぜあそこに自分がいるのだと分かるとじゃあ今いる自分は?と思い 目だけで体を見回した。 金色の髪の毛、黒いお帽子、そしておさげ…れいむはまりさになっていた 「いったいどうゆうごどぉぉぉぉぉおぉぉ!!」 れいむは叫んだ。だが入ってきた自分はそんなことなどお構いなしに食糧の方に目を向けていた 「…こんなところにあったよ…でいぶのごばんざぁぁぁぁぁぁん!! なにがっでによごどりじでいるんだごのげずがぁぁぁぁぁx!!」 「なにいっでるのぉぉぉぉぉぉ!!これはもともとおうちにあったやつでしょぉぉぉぉぉ!!」 れいむは叫んだ。だが自分はそんな事などしるかと言わんばかりの顔で不敵な笑顔を見せた。 あの顔をれいむは知っている…あの顔をするのは…せいっさいの時だけだ。。 れいむはこれから自分が何をするか理解し逃げようとしたが、体がいうことを聞いてくれない。 自分は少し後ろに体を下がらせると助走をつけ、大きくジャンプした。 「れいむのごはんさんをよごどりずるげずはじねぇぇぇ!!」 「ゆぶぅぅぅぅぅぅ!!」 ボン!! 「ゆっぐじ…」 れいむの体は自分の重みに耐えきれず、弾けとんだ。 普通ならここで永遠にゆっくりしているはずだった。だが、何故かれいむは死んでいなかった。 体がはじけ飛び、体の餡子のほとんどが失われたにも関わらず目が見えるし、痛みも感じるのだ。 そう、まりさが死に至った時の痛みが… ゆぎゃぁぁぁぁぁっぁぁ!!どぼじでえいえんにゆっぐりじないのぉぉぉぉおぉx!! れいむは動かない口で叫んだ。自分で叫んでいるという感触はあるが声は出ない。 「ゆふぅ…かわいいれいむのすまーとなからださんがよごれちゃったよ!! まったくげすはさいごまでめいわくばっかりかけるからいやだよ!!」 自分はそういうとこっちにゆっくりやってきた。 機能を停止しているはずの目玉がれいむにそう教えた。 「ゆんゆん、れいむのごはんさんをかってにとるからこんなめにあうんだよ!! ゆっくりはんっせいしてね!!む~しゃ、む~しゃしあわせぇぇぇぇぇ!!」 自分がれいむを食べ始めた。 れいむは何の抵抗も出来ないまま自分に食べられていく。その皮も…餡子も… 普通ならもう永遠にゆっくりして痛みを感じる暇もないのだが、今のれいむには 皮が細かく砕かれていく痛み、餡子が自分に消化される痛み、目玉が潰される痛み… あらゆる痛みがれいむを容赦なく襲う。 いぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ!!あっぁぁあぁっぁぁぁぁぁぁぁ!! れいむは狂ったかの様に叫んだ。そして完全に食べられ、また真っ暗な世界に放り込まれた。 痛みに苦しんでいると、暗い空間に光が入ってきた。 「もうおなかいっぱいだよ!!れいむはす~やす~やするね!!かわいくってごめんね!! す~や、す~や」 れいむを食べた自分がそう言ったと同時に、れいむは光に吸い込まれた。 この後れいむは通りすがりのちぇんになった。 あまりの面白い顔をした自分を笑ったがために殺されて食べられた。 次はお散歩していた子れいむになった。 いらいらしていた自分に訳の分からない因縁を付けられ、制裁の名の元に潰された。 その次は狩りをしていたありすになった。 自分の食糧を横取りするなと言われ、必死に説明しようとしたが結局殺された。 これを10回、いや百回を繰り返した頃、れいむは自分が今まで他のゆっくりに何をしてきたかを 理解した。 全ては自分のゆっくりの名の元に、自分は自分の行う事を正義とみなし、他のゆっくりを 理不尽な理由で殺してきたのだ。 自分のご飯だとみなしたものをたべるのを邪魔するゆっくりは殺した 自分を笑ったという理由で殺した。 自分の行く道を邪魔したという理由で殺した時もあった 全ては自分の我儘からだという事を今になって悟ったのだ 101回目…ぱちゅりーの姿になった時にれいむは涙を流しながら謝った 「むきゅあぁぁぁぁ!!ごべんなざいぃぃぃぃぃ!! がっでにごはんさんをうばってごべんなざいぃぃぃ!! がっでにおうじぜんげんをじでごべんなざいぃぃぃぃぃ!! ゆっくりのゆっぐりをうばっでごべんなざいぃぃぃぃぃぃ!!」 ぱちゅりーの姿でれいむは号泣しながら謝る。顔以外は全く動かない体で必死に謝る。 だが、今更遅いのだ…因果応報…自分の犯した罪は必ず報いとなって帰ってくるのだ。 ばぎばぎ!! 「ゆゆ~ん、なかなかのゆっくりぷれいすだね!!ここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ!!」 自分がお家の結界を破って侵入してきた。 「や…やめてね!!やめてね!!」 「ゆあぁぁん!?れいむのおうちをよこどりするのぉぉぉぉぉぉ!! よこどりするげずはじねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 ブチュン!! れいむを食った怪物がどこかも分からない空間をゆらりゆらりと泳いでいる。 正面から見るとあらゆるゆっくりの顔がまるで獲物を狙うハンターのような顔をしながら右、左を 見つけていた。。 だが良く見ると怪物の背中にも顔があった。一つや二つではない、無数にその顔があった。 …みんなでいぶだった。 どの顔も真っ黒い物体からそういうふうに掘ったかのような感じだった。 どのでいぶも涙を流し、顔を歪め、わずかに空いた口から何か喋っていた。 「…ご…なざ…い」 「ごは…さん…どっで…ごべん…ざい」 「ごろじ…でごべん…ざい」 どのでいぶも今まで犯してきた罪を謝罪するかの様にただただ呟き続けていた。 ぼごぼご!!ぼおぼご!! 怪物の背中のわずかな隙間から何かがせり出してきた。 そのせり出してきたものは最初は唯のこぶのように見えたが時間がたつにつれはっきりとした 形を作り出していった。 それは、さっき食べられたれいむだった。 せり出すのが終わったれいむの口からわずかな隙間が生じ、そこから声が聞こえてきた。 ごめんなさい…と この怪物は一体何なのか…それは誰にも分からない。 ただ、これは推測だが…おそらくこの怪物はでいぶによって理不尽な理由で殺された ゆっくり達の無念の魂が集まって生まれたものなのではないか? よくよくその無数にある正面の顔を見るとちょんといた れいむに家と食糧を奪われたまりさ… れいむを笑ったという理由から殺されたちぇんとまりさ… お散歩していただけなのに因縁をかけられ殺されたれいむ一家… あのれいむに殺されたゆっくりが全てここにいた…。 おそらくこの怪物はこの世にいるでいぶを全て殺さない限り消えないだろう。 だがゆっくりの数が増えるほどでいぶは更に増えていく。 ゆっくりが絶滅でもしない限り、怪物に食われたでいぶ達は死ぬことすら許さずに 自分に殺され続けるのだ。 「いやぁぁぁぁぁっぁぁぁ!!おねがいでずぅぅぅぅ!!もうごろざないでぇぇぇぇぇ!!」 「ゆっふん!!でいぶのごばんをうばったげずはじねぇぇぇぇぇっぇぇ!!」 ブチュン!! どことも分からない空間で、れいむは餡子を散らす…。際限なく…。 でいぶの地獄はまだ終わらない…
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(m05_sarasa) 【更紗】「更紗・クラインフィールズと申します。趣味は…読書やお料理、です。」 (m05_sarasa) 【更紗】「とても平和に暮らしていたはずなのに…最近魔族の動きが活発なようです。娘も、先日…」 (m05_sarasa) 【更紗】「…(ぽぅ…)…あっ、すいません。つい、考え事を…」 (m05_sarasa) 【更紗】「…はぁ…」物憂げな、熱の帯びた溜息を、しきりにつき続ける… (minari_GM) はい、ありがとうございましたっ (minari_GM) それでは・・・ (minari_GM) (minari_GM) (minari_GM) ランドリューフ戦記 (minari_GM) 因果応報 (minari_GM) (minari_GM) (minari_GM) はじまりですっ (minari_GM) (minari_GM) 両親と夫。二人とも戦場にいるため、クラインフィールズの屋敷には、更紗さんに二人の子供。そしてお付きのメイドさんしかおらず、領主としての執務は更紗さんがこなしている。そんな感じの日々。 (minari_GM) 長く夫がおらず、その熟した体をもてあまし気味で、ストレスのせいか、一人で慰める日々が続いています。 (minari_GM) そんなある日。 (minari_GM) 屋敷の宝物庫に用事ができ、更紗さんはそこに足を踏み入れます。 (minari_GM) クラインフィールズ家の代々の当主が集めてきた、さまざまな秘法。 (minari_GM) 所狭しとおかれたその間を、魔力光の淡い光を頼りに進んでいたのですが…。▽ (m05_sarasa) 【更紗】「何処に置いていたかしら…もう、あの人ったら…帰ってきた時に勝手に配置を変えてしまうんだから…」目的のものを探して、奥へ奥へ。置いてあった、とおぼしき場所に全く無く、乱雑に積み重なっている価値のある宝 (minari_GM) こつんっ。進む足に壷が当たったりして。おかれているものはとても乱雑です。ちょっとしたことで何だか壊してしまいそうな感じであります。 (minari_GM) ということなので (minari_GM) 1d6を振ってみてください~ (m05_sarasa) うにっ (m05_sarasa) 1d6 (minari_GM) およ (minari_GM) 頭に#をつけて、振ってみてくださいですよw (m05_sarasa) あ、こっちは入れなきゃ駄目なのかw (m05_sarasa) #1d6 (BrancB0rd) m05_sarasa 1d6 = 3(1d6 3) = 3 (minari_GM) ほむほむ (minari_GM) ではっ。 (minari_GM) こつんっ。更紗さんの足に何かが引っかかった。と思うまもなく。 (m05_sarasa) 【更紗】「きゃっっ…もう…心臓に悪いです…」豊かな胸を押さえ。とくんとくんと脈打っている (minari_GM) かしゃーんっっ!!甲高い破壊音。 (minari_GM) 見ると、足元には高価そうな鏡とその破片が散らばっています。 (m05_sarasa) 【更紗】「っっひゃうっっ??」少女のような悲鳴を上げ、尻餅「あうっ。な…何が…っ、た…大変…どう、しましょう…」 (minari_GM) 鏡に施された装飾は非常に精緻で。非常に高価そうではあります。 (minari_GM) ただ・・・修復も不可能だろう、と思うほどに鏡は粉々で。 (minari_GM) 「奥様、いかがなさいました?」と、宝物庫の入り口付近からお付きのメイドの声が響いてきます。 (m05_sarasa) 【更紗】「直せそうな…職人の方、は…」言葉にするほど、この鏡が二度と元に戻らないことを明白にするようで、意気消沈し続けているところに「っ…な、なんでもありません…職務に戻りなさい…」必死に、柔らかな口調を取り繕い指示。 (minari_GM) と、更紗さんが入り口のほうへと顔を向けて指示を出し。そして再び鏡に視線を下ろしてみると。 (minari_GM) 割れたはずの鏡が見当たりません。 (minari_GM) 見当たらない・・・というよりは、鏡の枠は転がっているのですが、はまっていた鏡そのものが見当たりません。 (m05_sarasa) 【更紗】「え…そんな、さっきまで散らばって…音も、あんなにしたはず、よね…?」見間違いかと、一度目を擦ってから、再び周りを見渡しますが (minari_GM) 周りを見回しても破片は一つも見当たらず。枠の中に残っていたはずのいくつかの破片すらなくなっていて。 (m05_sarasa) 【更紗】「疲れてるのかしら…えと、この辺りよね…」その鏡の枠だけでも元の場所に戻しておこうと、持ち上げてもとの場所に戻そうとします (minari_GM) もとあった場所に戻される鏡の枠。触っても特に何かある、ということもなく。 (minari_GM) 更紗さんは再び、目的の祭器を探して宝物庫を歩き出して。 (minari_GM) (minari_GM) (minari_GM) その病気が報告されたのは、それから約1週間後。 (minari_GM) 屋敷のすぐそばにある村で、高熱に浮かされたと思うと、男性や女性が暴れだす。そんな病気がはやっている、というのです。 (minari_GM) 医者や魔術師でもその原因は分からずに、更紗さんはその対応に追われています。 (minari_GM) 僅かな救いは…その高熱で死者が一人も出ていないこと、でしょうか? (minari_GM) 毎日の執務に加え、その病気への対応にも追われて。 (minari_GM) 二人の子供ともまともに話せず、更に睡眠時間までも削られている更紗さん。 (minari_GM) そんな時に、高い腕を持つと評判の薬師が、更紗さんの元へと尋ねてきます。▽ (minari_GM) 「はじめまして、奥様。」頭を下げるのは、均整の取れた肢体を持つ女性。更紗さんには、この女性がメイデンである、ということが分かります。 (m05_sarasa) 【更紗】「お会いできて光栄ですわ。…更紗・クラインフィールズです。以後お見知りおきを」高名たる相手に、礼節を尽くし「あら…貴女も、メイデンなのですか…」 (minari_GM) 「ええ。メイデンであると同時に、薬師でもあります。」にこりと笑うと。「さっそくですが、領内に奇妙な病気がはやっていると耳にしました。」 (m05_sarasa) 【更紗】「はい…いかなる薬も、魔法も試したのですが…一向に効果が無くて…」整った顔立ちに深い影を落とし。毎夜、睡眠すら削って原因究明を続けていた (minari_GM) 「耳にした病状は、私も聞いたことがないものですね…。」少し考えるしぐさをすると。「奥様。ぶしつけですが…。お力にならせていただけないでしょうか?」更紗さんをじっと見つめて。 (minari_GM) 「この病気の原因を探りたい、そう思っています。」力がこもった声を出し。 (m05_sarasa) 【更紗】「不躾など…とんでもない」にこ…「そのお力、貸していただけないでしょうか…先生」本当に、心から領民が快復に向かうことを嬉しく感じている、笑顔 (minari_GM) 「もちろんです。病気で苦しむ人々を救うのが、薬師の使命です。全力で調査と治療に当たらせていただきます。」こくりと頷く薬師。 (minari_GM) 「私はソフィアと申します。」と、名乗ると。「それで・・・よろしければ、なのですが・・・研究するためのお部屋、等をお貸し願えないでしょうか・・・?」と、おずおずと申し出ます。 (m05_sarasa) 【更紗】「宜しくお願い致します…ソフィアさん」手を取って、丁寧な礼「無論、ご用意させていただきます… …客室を一つ、用意しなさい…」メイドに指示し、即手配する (minari_GM) 【ソフィア】「ありがとうございます。」頭を下げると、メイドさんの後について退出していきます。 (m05_sarasa) 【更紗】「これで…やっと…」疲れた表情に安堵を浮かべて、気が抜けたのか、椅子に座って船を漕いでしまいます (minari_GM) (minari_GM) (minari_GM) ソフィアが来て1日目。メイドたちの報告では、ソフィアは村に下りたり、屋敷の書物を読んだりと、精力的に動いているようです。 (minari_GM) そのおかげ、といっていいのかは分かりませんが、何とか睡眠時間は取れるようになった更紗さん。 (minari_GM) ふらふらと廊下を歩きながら、お部屋を目指して歩いていると。 (minari_GM) ふと、小さく開いた息子さん、クラスの部屋のドアが目に映ります。 (minari_GM) もう深夜といっていい時間ですが、扉からもれ出る明かりから、まだ起きているようだというのは分かります。▽ (m05_sarasa) 【更紗】「あら… もう。十時を過ぎたら寝なさい、と言ってるのに…」こんこん、とドアをノックして「クラス、開けますよ…」 (minari_GM) と、その隙間から見える光景は…。 (minari_GM) 「はぁっ・・・んっ・・・はぅっ・・・。」ベッドの上で大きく足を広げ、狂ったようにペニスをしごく息子の姿。 (m05_sarasa) ………うん、ここで使わなきゃね☆【つい見てしまう】w (minari_GM) 「・・・はいっ・・・・。気持ちいい、です・・・っ。」誰かに答えているのか、そう小さく声を上げながら。亀頭を手のひらで擦り、竿を激しく上下にしごき。時折腰を跳ねさせている姿で。 (minari_GM) はーいっw (minari_GM) 息子のその淫らな姿だけでなく、更紗さんの目を更に釘付けにしたのは…そのペニスの大きさ。 (m05_sarasa) 【更紗】「っっぁ…」ぞくん、と女唇の奥が疼き、震える感覚「クラス…、あ、あんなに…駄目、見ては…む、息子の…、なの、に…、あ、あんなに、激しく…、おちんちん・・・が…」本当ならば母親として見過ごすべき事態に、釘付けになってしまう (m05_sarasa) 【更紗】「そん…、な…」ごく…「…あの、人…より…」 (minari_GM) その小柄な体躯に似つかわしくないほど大きなそれは、夫のものよりも大きく見えて。 (minari_GM) ぴゅっ、ぴゅるっ、と先走りが飛び散るたびに、むわっとする牡臭が更紗さんの下にまで漂ってくるようで。 (minari_GM) 腰を軽く持ち上げると、その先端は更紗さんの方へと向き。まるで射精の瞬間を見せ付けようとしているかのようで。 (m05_sarasa) 【更紗】「あの人に…似て、きて…でも、っ…おちんちん、は…あの人、より…ふぁ…っっ」いつの間にか息子の自慰に釘付けになって、自身の秘唇が、くちゅりと音を立てる。 (minari_GM) 「はいっ・・・で、でちゃいます・・・でそうですっ・・・!!」誰かに何かを聞かれたのでしょうか?そう声を上げながら、激しすぎるほどの自慰を更紗さんに見せ付けるクラス。先走りが零れ落ち、しごくたびにくちゅ、ぢゅぷっ、といやらしい音が響き。 (m05_sarasa) 【更紗】「駄目…・・・む、息子の…で、なんて…、で、も…っっっ…やぁ、あ…とま、らない…、、、…」気づけば、息子に腰を突き出すようにして、上質な絹の白パンティの上から両手オナニーを始めてしまう人妻。目は既に息子のペニスから離れられず、お互いに見せ合ってるかのような錯覚に陥る (minari_GM) 「んっ・・ひあっ・・・・は、はいっ・・・、犯したい人・・・を・・・っっ!!」こぷり。大粒の先走りが漏れる亀頭。更紗さんのオナニーの道具にされている、などと気づいた様子などなく。夢中でペニスをしごくクラスは。 (minari_GM) 「は・・・ははうえ・・・・ははうえっっ!!」熱に浮かされたような叫び。がくんっ、と腰が大きく跳ねると。どびゅるるっ、びゅるるるっっ!激しい勢いで放たれる精液。 (minari_GM) 腰が震え、ペニスが跳ねるたびに何度も白濁が放たれ、絨毯を淫らに染めていきます。 (minari_GM) むわっとする異臭。それは久しくかいでなかった牡の臭い。それが更紗さんの鼻へと流れ込み、牝の本能を刺激するかのように思考を揺さぶって。 (m05_sarasa) 【更紗】「ぁ、あぁあ・・・だめっ、だめっっ…そんな…おちんちん、つきたて、ちゃっっ…あっっ…」いつからか息子に貫かれる妄想でオナニーが始まり、パンティ脇から指をぐっちゅぐっちゅ突き立て「え っっ、 …~~~…!!?」息子の放った最後の一言に信じられない感情と…それ以上の異常快楽が背筋を走りぬけ、廊下の絨毯にメス汁をぶちまけてしまう… (m05_sarasa) 【更紗】「、・・・は…ぁ、あぁあああ…」ぼんやりとした頭で…たくましい息子のオスペニスの香りを、くんくんと嗅いでしまう…貞淑な人妻に、あるまじき行動 (minari_GM) はぁ、はぁ・・・と上下に大きく体が揺れているクラス。そのたびにまだ硬いままの勃起がゆるりと揺れて。 (minari_GM) そこで気がつくのですが…朦朧としたような息子の目が、扉から覗いている更紗さんに向いている・・・ように思えます。 (m05_sarasa) 【更紗】「………」こくん…と喉を鳴らす…「ぇ…」 (minari_GM) 実際に見ているのか・・・どうなのか。それは分かりませんが。顔がドアへと向いているのは確かで。 (minari_GM) 「・・・ふぁ・・・はぃ・・・。」また何かを言われたのか、こくんと小さく頷くと、精液にまみれたペニスを再びしごき始め。 (m05_sarasa) 【更紗】「……」みられている…そう、妄想しただけで…自身の内に秘めていた欲求が暴走を、始め… (minari_GM) そんな更紗さんを気にした様子もなく、精液を指に絡めながら、竿をしごくクラス。 (m05_sarasa) 【更紗】「…、」不意に、正気が一瞬顔を覗かせて「わ、私、何を…ッッ」一瞬部屋に入りそうになった手を慌てて引っ込め、逃げるように自室へ走り去っていく、更紗。足音を、クラスに聞かれるかもしれないという懸念も、頭の中から吹っ飛んでしまっている (minari_GM) 逃げ帰る更紗さんの耳に響くのは、息子の小さな喘ぎ声。ははうえ、と呼ばれた声が耳からはなれず。 (minari_GM) (minari_GM) では、ここで・・・ (minari_GM) 知力判定してみましょうっ (minari_GM) 目標値は16ですっ (m05_sarasa) #2d6+4 (BrancB0rd) m05_sarasa 2d6+4 = 7(2d6 5 2)+4 = 11 (minari_GM) はいっ (m05_sarasa) 出目は悪くないけど失敗w (minari_GM) では、次の日・・・。クラスの自慰を目撃して、自分を慰めてしまった更紗さん。 (minari_GM) その日は自己嫌悪に囚われて…。仕事もなかなか手につかず。 (minari_GM) ソフィアは今日は、屋敷で研究をしていたようだという報告だけは受けて。 (minari_GM) ぼんやりしぎみの更紗さんを、メイドたちは心配して声をかけてきますが。▽ (m05_sarasa) 【更紗】「はぁ…」自己嫌悪で、メイドの気遣いの声も聞こえず溜息をつくばかり 否、自己嫌悪だけではなく…昨日から、息子の肉棒のことばかり…頭に、浮かんできてしまっている。 (minari_GM) 「奥様。今日はもうおやすみになられたほうが・・・。」山の端に陽の欠片が消えようとしている時間。更紗さんのオーバーワークを知っているメイドたちは、口々に睡眠をとるように、といってきます。 (m05_sarasa) 【更紗】「ん…うん・・・そうね…ありがとう…」その言葉に、笑みで返すも、どこか上の空で・・・ (minari_GM) 「それでは奥様。お食事もお部屋にお運びいたしますので。まずはお休みくださいませ。」一斉に頭を下げるメイドたち。 (m05_sarasa) 【更紗】「ええ…悪いわね…貴女たちも、速めに休息を取りなさい…」気遣いの言葉をかけて、気を抜けばふらつく足で自室へ… (minari_GM) そして、ふらふらとお部屋に戻り…。ぱたんっ。と扉を閉める更紗さん。 (minari_GM) ですが・・・。 (minari_GM) お部屋に入ったとたん、うっすらと・・・。妙なにおいを感じます。 (minari_GM) それは、昨日息子が大量に出していた、白濁に似た臭いで…。 (m05_sarasa) 【更紗】「え・・・っ、そんな、まさか…」慌てて部屋を見て回り。同時に雌芯がずくん、と疼くのを必死で押さえつける… (minari_GM) ふらつく頭、朦朧とした思考の中で辺りを見回すと。 (minari_GM) 更紗さんの、いえ、更紗さんと夫であるラルドさんのベッド。 (minari_GM) そこから、精臭は漂ってきていて・・・。 (m05_sarasa) 【更紗】「な…何、なの。なんで…この、匂いは…」ふらつく足で、夫のベッドに近づき… (minari_GM) 更紗さんがいつも使っている枕。それにそっと触れてみると…。にちゃ、と粘着質の音が響き。その手にぬらっとした感触を感じます。 (minari_GM) その手についたのは、ゼリーのようにこってりとした精液で…。 (minari_GM) 枕だけでなく、シーツにも。大量の精液が付着しているのが分かります。 (m05_sarasa) 【更紗】「ん・・・ぁ、あああああ…」艶かしい声を上げてしまい…どろりと指先に付着した精子を美味しそうに舐めてしまいます… (minari_GM) 淫らに精液を舐め取る更紗さん。舐めとるたびに、鼻に濃厚な牡臭が流れ込み。目に映るのは、シーツを染める大量の精液で。 (m05_sarasa) 【更紗】「んちゅっっ、んぅっっ、んあっっ…」まるで口奉仕するようにじゅっぷじゅっぷと指を舐め、その唾液を頬に塗りつけて…翼を模した髪飾りをふるる、と揺らしながら…シーツに四つん這いになって。 (minari_GM) 欲求不満な貞淑な人妻の思考を、その牡の臭いは激しく蕩けさせ。その味は理性を奪い取り。 (minari_GM) シーツに足を乗せると、にちゃり。淫らな音とともに、まだ暖かな精液の感触がじんわりと伝わってきて。 (m05_sarasa) 【更紗】「…んぢゅうううう…やぁ…ぁあああ・・・おい、しい…、こってり、精液…、ふぁああ・・・すき、ぃ…」シーツに、まるで犬のように顔をつけてぺちゅぺちゅと舐め始める貴族妻。メイド達や子供達の前で見せている凛とした佇まいは消え去り、ただのメスが一頭、精液シーツをしゃぶっている… (minari_GM) ではここでっ (m05_sarasa) うにっ (minari_GM) 目標13で、知力判定をお願いしますっ (m05_sarasa) まだ厳しいなw (minari_GM) ちなみに、ポテンシャルも使えますので、使う場合は宣言お願いしますねw (m05_sarasa) …うん、ポテンシャルCP1でつかいますw (minari_GM) はーいっw (m05_sarasa) #3d6+4 (BrancB0rd) m05_sarasa 3d6+4 = 9(3d6 4 4 1)+4 = 13 (m05_sarasa) あぶな!!w (minari_GM) はいっ (minari_GM) では・・・ (minari_GM) 顔をつけて精液を舐めしゃぶる更紗さん。その、はしたない犬のような姿に。 (minari_GM) 「美味しい?母上?」と声がかけられます。 (m05_sarasa) 【更紗】「!?!!」びくぅ・・・!!! (minari_GM) 「いいよ、母上。そのまま舐めてて。」気がつくと。息子のクラスが更紗さんの横で肘をつき、にこにことその姿を眺めています。 (m05_sarasa) 【更紗】「く…クラス…、…な、なんで…ここに…っっ」呆然と。顔を精液溜まりから離すのも忘れ、震え始める。息子に、こんな、姿を見られて… (minari_GM) 「大丈夫だよ、母上。母上がいつも欲求不満で、犯されたがっているの、僕知ってるから。」くすくすと笑うその顔は、見慣れた息子のものではあるのですが…。同時にすごく妖艶なものを感じます。 (minari_GM) 「大好物でしょ?精液すき、っていってたもんね。」シーツについている精液を手ですくうと、それが溜まった手のひらを更紗さんの前へともって行き。「舐めて。」と、まるで命令のように言ってきます。 (m05_sarasa) 【更紗】「な、な…何…を…ッ」息子に…息子の顔をした何かに言われ、びくんっと震える「い、言ってな…ぁ・・・ぅううううう…」無意識にくん・くんと精液の匂いを嗅いでしまう、母親。最後の絹糸ほどの理性で、必死に舐めることだけには抵抗しているが… (minari_GM) 「言ったくせに。」くすくすと笑うと。「あ、そっか。こうしたほうが舐めやすいのかな?」人差し指と中指を立て、そこに精液を塗りつけると。「はい、母上。大好きなおちんちんですよ。」指の先で唇を割り、精液まみれの指を更紗さんの口に侵入させて。 (m05_sarasa) アクト【口辱】使用しますw (minari_GM) どぞーっw (m05_sarasa) 【更紗】「んむぅうううっっ…」息子の声で卑猥な言葉を言い放たれ、指先を口内にねじ込まれながら。まるで息子に強制奉仕を強いられているかのような錯覚に陥り…「…ふぁ、むぅっ、、んちゅっ、んぷ…んく・・・んちゅ、んちゅっっ…」従順な飼い犬のように、精液まみれの指を舐めしゃぶってしまう。 (minari_GM) 「うん、その調子その調子。」くすくす笑うと。「ねえ、母上。いい事教えてあげようか?」指を舌にこすり付けて、直接精液を塗りつけながら。囁くように話しかけて。 (m05_sarasa) 【更紗】「んんぅ、んん…んちゅ…んぁ・・う…」ぼんやりと、指肉棒をしゃぶりながら、乳肉を揺らし…息子に耳元で囁かれ、うなじをぞくりと震わせる (minari_GM) 「この病気を治す方法。」くすくすと小さな笑み。更紗さんの首筋に唇を当て、軽いキスを繰り返しながら。 (m05_sarasa) 【更紗】「ふぁ…、ぁあ。ぁあ…~~…」まるで吸血鬼に血を吸われる乙女のように、羞恥と淫欲に揺れる小さな嬌声を上げ…「し…知って…るの…クラス…ッ…?」 (minari_GM) 「うん。あの人が教えてくれたよ。」更紗さんの口から指を抜くと、その顎に手をかけて。優しく後ろを向かせるクラス。 (minari_GM) そこには・・・。 (minari_GM) 「はひ・・・ふぁ・・・ひんっ・・・。」首輪に犬の耳、尻尾のようなものをつけられたソフィアの姿。その豊かな肢体は縄で淫らに飾られて。四つんばいになっている腕はふるふると震えて。 (minari_GM) 犬のように舌をだらしなくたらし、ひっきりなしに喘ぎ声を漏らしている、薬師のすがたがあります。 (m05_sarasa) 【更紗】「ぷぁっ…あぅっ…」息子に、振り向かされたその先を見て、愕然「そ、んな…先生…な、何をしたのっ、クラスッ…」一瞬淫欲も忘れて、クラスに食ってかかります (minari_GM) 「声が大きいよ、母上。」精液をまた指にすくい、それを更紗さんの口内へと侵入させて、声を封じると。 (minari_GM) 「あの人が言うには、僕が原因なんだって。僕に淫魔が憑依して、その瘴気がこの土地特有の花の花粉に乗って飛んで…。それを吸った人が、おかしくなるって。」くすくす。小さな笑み。 (m05_sarasa) 【更紗】「んく、ぅっ…」ぐちゅぷっと指を突きこまれ、理性とは裏腹に女芯がぐちゅりと疼く…「ふぉ…、ふぉん…な…」 (minari_GM) 「そうだよね?」とソフィアに声をかけると。「そ・・・そうでしゅ・・・んんっ、ひぐっ!!」腰をぶるぶると震わせながら、何度もこくこくと頷きを返すソフィア。 (m05_sarasa) 【更紗】「そふぃあ…、せ、ん、せ…んくぅっっ…」息子に口の中を弄ばれ、それでも抵抗できない (minari_GM) 「でもね・・・?一番悪いのは、母上なんだよ?」更紗さんの耳元に唇を当てて。「母上が、淫魔の封印を解いたから…。自由になれた、って僕の中の淫魔がそういってるもん。」ちゅぷっ。伸ばされた舌が、更紗さんの耳穴に忍び込み。くちゅ、ちゅく、と淫らな水音を立てながら。 (m05_sarasa) 【更紗】「ひ、ふぅうううっっ…」思い当たる節は…無論、ある。「あの…鏡…、なの…っ…?ふぁ・・・、ああぁ…みみ・・・らめ、くちゅくちゅしちゃ、らめぇえっっ…」丹念に卑猥に、耳穴をじっくりねっとりしゃぶられて。理性が消えかかってしまっている… (minari_GM) 「うん、そう。」耳に唾液が流れ込み、ねっとりとした感触と熱さが更紗さんに伝わってきます。 (m05_sarasa) 【更紗】「んぁ・・・ああ…」それだけで、まるで絶頂を終えたかのように呆けた甘い声を上げて… (minari_GM) 「だいじょうぶだよ、母上。母上がとろとろに蕩けて、あの人みたいになっても・・・。」上体をつっぷし、お尻を高く上げて。淫らに体をくねらせて快楽をむさぼるソフィアを見た後に。 (minari_GM) 「僕がずっと飼ってあげるからね?」無邪気な、純粋な笑み。本当にそう思っているということが、その表情から分かり。 (m05_sarasa) 【更紗】「か、飼う…なん、て……ッ…」一瞬。本当の一瞬…心の底から、息子に…飼われたいと思ってしまい、その気持ちを必死に打ち消す *minari_GM topic [妖宴への誘惑(40)][浸透する淫気(26)][肉欲の魔手(22)][更紗] (minari_GM) 「飼われたいくせに。」くすりと笑い。「いいよ、僕が母上を素直にしてあげるから。」更紗さんの髪を優しくなでて。 (minari_GM) ではっ (minari_GM) ラストバトルですっw (m05_sarasa) あいにゃああああw (minari_GM) では、開幕ですが・・・ (minari_GM) 更紗さん、どうぞっ (minari_GM) どれを狙うかも教えてくださいね? (m05_sarasa) あいにぃっ (m05_sarasa) 肉欲の魔手へ、サーチトラップ! (minari_GM) はいっ (minari_GM) では、さいころをどうぞーっ (m05_sarasa) #2d6+4 (BrancB0rd) m05_sarasa 2d6+4 = 10(2d6 6 4)+4 = 14 (m05_sarasa) おお、かなり行った・・・! (m05_sarasa) 間違えた、1dだっw (m05_sarasa) #1d6+4 (BrancB0rd) m05_sarasa 1d6+4 = 6(1d6 6)+4 = 10 (minari_GM) うにw (m05_sarasa) それでもすごかったw (minari_GM) では・・・w (minari_GM) 更紗さんは、どれを突破します? (m05_sarasa) 突破は妖宴への誘惑でっ (minari_GM) ちなみに・・・誘惑と淫気は、知力 肉欲は体力です (minari_GM) はーいっ (m05_sarasa) ポテンシャルCP2使用しますっ (minari_GM) どうぞっ (m05_sarasa) #4d6+4 (BrancB0rd) m05_sarasa 4d6+4 = 15(4d6 3 6 5 1)+4 = 19 (m05_sarasa) まずまずっ (minari_GM) ですねっ (minari_GM) ではこちらですが・・・ (minari_GM) #2d6+4 淫毒 侵食攻撃 妖宴への誘惑 (BrancB0rd) minari_GM 2d6+4 = 8(2d6 5 3)+4 = 12 淫毒 侵食攻撃 妖宴への誘惑 (minari_GM) シールド等は有効です (m05_sarasa) シールドでっっ (minari_GM) はいっ (minari_GM) 8点防ぐので・・・4点ダメージ (m05_sarasa) 部位は…胸にいきますね。シールドで防いで4、です (minari_GM) で、浸食攻撃なので、更に半分の2ダメージになり・・・それがHPにいきます (m05_sarasa) お、おおう (minari_GM) AP無効なのですw (m05_sarasa) 了解です・・・! (minari_GM) あくとがあったら、宣言お願いしますっ (m05_sarasa) 【乳辱】でっ (minari_GM) はいっ (minari_GM) それはターン終わりにまとめますねw (m05_sarasa) はいなっw (minari_GM) #2d6 七色の淫毒 浸透する淫気 (BrancB0rd) minari_GM 2d6 = 12(2d6 6 6) = 12 七色の淫毒 浸透する淫気 (m05_sarasa) ぞろめったー!?! (minari_GM) 特別な効果はありませんので・・・だいじょぶですw (m05_sarasa) がくぶる・・・!w シールド有効かな? (minari_GM) はいっ (minari_GM) 全て有効ですのでっ (m05_sarasa) ではシールドっ (minari_GM) はいっ (m05_sarasa) 胸APで…状態異常は爆乳かな、やっぱり…w (minari_GM) はーいっw (minari_GM) #2D6+4 肉欲の魔手 乱打 雌豚狩り バインディング (BrancB0rd) minari_GM 2D6+4 = 12(2D6)+4 = 16 肉欲の魔手 乱打 雌豚狩り バインディング (m05_sarasa) 出目が大きいなぁ…しかも爆乳効果がw (minari_GM) にゃw (m05_sarasa) シールドでっ (minari_GM) はいっ (m05_sarasa) 12点来るから…他APに! (minari_GM) はーいっ (minari_GM) あくとはあります? (m05_sarasa) ここはー…【射乳】を使えるかなっ (minari_GM) おっけーですっ (m05_sarasa) ではそれでっ (minari_GM) では・・・描写行きますね? (m05_sarasa) はいなぁっ (minari_GM) 「母上って、いつも見せ付けるように胸を揺らして…。」そっと、更紗さんの豊満な双乳を指先でなぞると。「知ってる?使用人たちが…母上の胸を見て欲情してるって。」先端部分を探り出し、小さな蕾を避けるように、乳輪をつぅっとなぞりあげ。 (minari_GM) 「一度でいいから、母上の胸を犯してみたい。そういってるんだよ?」先端を避けるようになぞりながら、残りの4指を乳肉に当てて、やわやわと指を動かし始めます。 (m05_sarasa) 【更紗】「ク、クラスッッ、何を馬鹿な事を言ってるのっ、やめ…ん、ぁああ・・・」軽く指先でつついただけで、ずむっと重く柔らかい乳房に指が沈みこみ…「うや・・ぁ・・・そんな…こと、言うわけ…ッ」誠実そうな使用人たちの顔を思い…乳肉を揉み犯される妄想をしてしまう・・・ (minari_GM) 「ばかなこと、なんかじゃないよ?」くすり。小さく笑うと更紗さんの耳に唇を当て。「奥方様のおっぱい、大きいよな。あれってやっぱり、旦那様にもまれたからでっかくなったのかな?」「くーっ、俺も一度でいいから、奥方様のおっぱい吸ってみてぇっ。」「あのおっぱいに挟まれたら、すごく気持ちいいんだろうなぁ。」その声から漏れたのは、聞き覚えのある使用人たちの声。 (minari_GM) 「今もあの人たち、こんなこと言ってるんだよ?このはしたないおっぱいを犯したくて仕方ない、って。」むにぃっっ。手のひらをその爆乳の先端にかぶせ、乳首を乳肉に完全に埋めてから。 (minari_GM) 「人気者だね、母上。」耳たぶに吸い付き、しゃぶりながらのからかい。五指を動かし、まるで波打つように指を動かしながら、乳房を軽く引っ張り。まるで何かに吸い付かれているかのように、その豊かな胸は淫らに形を変えています。 (m05_sarasa) 【更紗】「!?!!やぁああ!?!!な、なんで…そんな、声…いや…や、やめ…てぇっっ…」使用人の声を聞かされながら、たぷんっっ、ぐにぃっとたわむ乳牛肉を嬲られ「っっっひぃいいい、ちくび、らめっっ、やぁあああああ…、っ、ちくびっ、おかしくな、ふぅうううっ…!?!」ぷっくりと膨らんだ乳首を肉に完全に埋没させられてしまい…「やぁ・・・やぁっ、そんなの…うそ…っっ、あふ・・・みみ、みみ、らめっっ…おっぱい、も、らめっっ、$ (m05_sarasa) 【更紗】「やぁ…おっぱい・・・ぐにぐに、されて、ふ…、くらす、の…ゆび・・・が・・・」ぞくぞくぞく・・・ (m05_sarasa) 【更紗】「ちくびも…らめなのぉおおおっ…ッ」軽く達したのか…ぐったりと、息子に身体を預けてしまう。 (minari_GM) 「嘘なんかじゃないよ、母上。」耳の裏にねっとりと唾液を塗りつけ、舌でこすりあげ。「そうだ。今度村に行ってみようか?薄い水着を用意してあげるから。そのいやらしい胸でオナニーされてるところを見たら、さすがに信じるでしょ?」更紗さんに恥辱の提案をしながら。 (minari_GM) 「そんなにおっぱいが気持ちいいんだ?母上、いやらしいね。」くすくすと笑いながら。「それじゃ、もっともっと…気持ちよくしてあげるね。」手のひらを激しく動かし、乳肉の中で乳首を激しく転がし、じんじんとした刺激を送り込みながら。 (m05_sarasa) 【更紗】「ふぁんっっ」耳にねちゅねちゅと水音がたち、まるで耳に小さな肉棒を突っ込まれているような感覚に陥る…「そんな・・・みられ、たら…~…おかしく…なっちゃう・・・!」 (minari_GM) 指の動きも激しくなり、五指が食い込むほどの強さで揉まれる胸は、痛みと同時にしびれるような快感まで運んできます。 (m05_sarasa) 【更紗】「やぁ・・・やぁんっっ…おっぱい、そんな…搾っちゃ、だめ…だめ、なのにっっ…」強姦に近い強さで握られる乳から痺れを受け。玩具のように扱われることにメスの愉悦を受けてしまう… (minari_GM) 「おかしくなりたいんでしょ?」耳元に囁かれるのは、更紗さんの理性を蕩けさせるかのような甘い誘惑。「めちゃくちゃに犯されて…体中を精液で犯されたいんでしょう?」乳辱の手を止めることなく囁いて。 (minari_GM) 「言ってみてよ。お願いします、もっともっと淫らなおっぱいを気持ちよくしてください、って。」それは、更紗さんの理性を完全に崩すための言葉。 (m05_sarasa) 【更紗】「は、・・・ぁあ・・・」その囁きが・・・とても、甘美なものに思えて…「…、おか…されたい、の…、」本音が、ほろりと漏れてしまう…牛のような乳房を、ぐにゅぐにゅと嬲られながら「~~~」 (m05_sarasa) 【更紗】「おねがいっしますっ、お願いっっ♪もっともっと、更紗の欲求不満おっぱい…搾って、引っ張ってっ、好き勝手にいじめてっっ…どんなに、なっちゃってもいいからぁああっ…♪♪」長年鬱屈をため続けた、貴族の妻の本音がぶちまけられる (minari_GM) 「母上、可愛いですよ。」くすくす笑うとおでこにキスをして。「じゃ、もっともっと・・・。」クラスの後ろから、細い触手が数本伸びてきて。「いじめてあげるよ。」その触手は、更紗さんのおっぱいの根元から先端へと、ぎちっ、と巻きつきます。 (minari_GM) 触手の間から豊かな乳肉がこぼれ、とても卑猥なながめになって。 (m05_sarasa) 【更紗】「あ、ぅう…くらす、ぅ…♪」不貞と分かりながらも、息子にすりすりと甘えてしまい…「ふゃああ・・・、あ、あぅう…すご、いの…おっぱいが…ぐに、ぐにぃって…クラスに・・・いじめられちゃって…る…」とろんとした目でぎゅちっと拘束されたはしたない乳を見る・・・ (minari_GM) 「まだですよ、母上。」蕩けた更紗さんの眼を見て、にぃっと笑うと。くぱぁっ。大きく口を開け、たっぷりと唾液が溜まった口内を更紗さんに見せてから。ぢゅぷっ。触手によって寄せられた二つの乳首を乳輪ごとくわえ込みます。 (minari_GM) 生暖かい口内の感触と、ねっとりとした唾液が乳肉に絡み、じんじんとしびれる愉悦が乳肉に染み渡り。 (m05_sarasa) 【更紗】「ふぇ・・・?」間の抜けた、年に見合わない可愛らしい声を上げ――「きゃぅうううっっ!?!や・・・ぁああ・・・おっぱいが…おっぱいが、じんじん、するの…ふぁ。・・・ぁぅっ…」それでも素直に、乳房をじゅるじゅると味わう触手の快楽に従ってしまう (minari_GM) 「ぢゅるっ、ぢゅぷっ、ぢゅるるるっっ。」わざと淫らな音を立てて、乳首をしゃぶるクラス。舌でくりゅくりゅと乳首を転がし、時折あまがみで強い刺激を与えてくるその愛撫は、とても9歳のものとは思えないほどで。じんじんとしびれる思考。牝の悦楽に酔う更紗さんを楽しげに見つめながら。 (minari_GM) 触手は根元を強くぎゅりぃっ、と締め上げると、根元から先端へと、まるでしごくような動きを見せて、乳肉を搾り出し。 (m05_sarasa) 【更紗】「んんん…くぅううんっっ…クラス…おっぱい…気持ち、良いよぉ…もっと…お母さんのおっぱい…吸って…たくさん…いぢめて…」甘えきった声で、近親相姦を誘い。じんじんと痺れる乳首穴から、じゅわりと甘い母乳が吹き出す。…既に大半の抵抗の意思を失って、クラスの乳肉愛奴と化している (minari_GM) 「んっ・・・ふふ、まだだめだよ、母上。」ぎちゅぅっっ。思い切り歯を立て、母乳が漏れるのを止めるクラス。乳首を走り抜けるのは、激しい痛みと、じんじんとしびれるような疼きににた快感で。母乳の流れを止めたとたんに、触手の動きは速くなり。根元から先端へと蠢き、乳肉と乳腺を強く刺激して乳肉が蕩けてしまいそうな悦楽を与えて。 (minari_GM) 出したいのに出せない。そのもどかしい、悶えたくなるようなじらしが更紗さんの思考を埋めていきます。 (m05_sarasa) 【更紗】「んくぅううっっ?やぁ…クラスっ、出したいのに・・・止めちゃ、やぁあっ…ふぁ・・ぁああ…乳首…じんじん、するよぅ…、ッ、は、ぁぅっ、おっぱいぐにぐにっ、しごいちゃだめ…おっぱい熱いのっっ…ふぁ、ああああ…」クラスに乳首をきつく噛まれながら恍惚の貌。噛み付きの激痛すら快感に変わってしまうほど、鬱憤は溜まっており…噛まれてなお、乳柱からびゅっびゅっとメスミルクは止まらない (minari_GM) 「母上。はしたないですよ?」口の周りを母乳でとろとろにしたクラスが呟くと。「思い切り出したいなら、おねだりしてください。出してあげたくなるくらいに淫らに。できますよね?母上?」まだ年端も行かない息子に淫らなお願いをすること。それに慣れさせ、徐々に心を飼いならそうとするクラス。そうつげると再び乳首に強く歯を立てて、そのまま歯でしごき始めて。硬い歯で乳首をしごかれる痛みと快楽を刻み込みながら。 (m05_sarasa) 【更紗】「こ、こうなったのは…クラスの、せいだもの……お、おねだり…しなきゃ、いけないの・・・?ふぁ・・・ゃ…ちくび、きゅりきゅりしちゃ、だめっ…ふや・・・ゎふ…♪」乳首への歯コキで、ますます乳汁の分泌を促され。息子に与えられる苦痛を肉欲に全転換させてしまい…「、…、おっぱい… 、させて…くだ・・・さい…」ぽそ… (minari_GM) 「それだけじゃだめですよ?」ぎちり。触手で乳肉をきつく締め上げてから。「そうですね・・・。僕のペットになる、とか言ってもらえると…母上をたくさんイかせてあげたくなるかもですね。」くすくす。笑いながら触手で淫らに締め上げられた乳房に手をかぶせ、指を深くうずめながら強く揉み始めます。 (m05_sarasa) 【更紗】「んにゃあああああっっ…♪♪」とろとろぐちゅぐちゅの、悲鳴…既に母親のプライドは、無い。「ふぁ…ぁぅっ…」ぞく・・・ぞくん…♪「っっ…なる、…から…ッ、クラス、の…おっぱいペットになるからっ…もっと、もみもみしてっっ、みるく射精させてぇぇっっ…♪」メス妻に堕ちた声で息子を抱き締めて。尻尾があればぱたぱたと振っていただろうと想像のつくだらしない顔で、クラスの顔を舐める… (minari_GM) 「ふふ。いいですよ。」顔を舐める舌に自らの舌を絡め、淫らに舐め、しゃぶりながら。「母上は今日から、僕のペットですっ。」乳首を指で強く挟むと、強く引っ張りながら指を絡めて揉み始め。牛の乳搾りのような動きをわざと見せ付けて、ペットとして扱われている背徳感と、止められていた母乳を激しくふきだす排泄の悦楽、乳腺を刺激される快感で更紗さんの思考を蕩かせようとします。 (m05_sarasa) 【更紗】「やぁあああっっ♪やぁああっ、おっぱいでるっ、おっぱいでちゃうっっ♪ちくび、しゃせいするっ、びゅびゅって、びゅうううって出ちゃうのおおおおおっっっ♪♪♪」息子と喜んでべろちゅーを…ぶびゅ、びゅびゅ、びゅぼっとすさまじい淫音を立ててミルクを噴射し、お互いにミルクまみれになりながら母子フレンチキスに夢中になる。…抵抗の意思が、見えない…よほど、我慢を続けていたようだ… (minari_GM) では・・・w (minari_GM) 開幕をどうぞw (minari_GM) ちなみに (m05_sarasa) サーチトラップ!w うに?w (minari_GM) 誘惑が24 淫気が26 肉欲が12です (minari_GM) 残りですねw (m05_sarasa) りょうかいーっw (minari_GM) あ、あと (m05_sarasa) うなw (minari_GM) 射乳と、淫毒は解除されたものとして扱ってオッケーですw (m05_sarasa) おおっありですっw (minari_GM) では、どうぞっ (m05_sarasa) 肉欲にサーチトラップ!ポテンシャル2込めます!! (minari_GM) はいっ (m05_sarasa) #3d6+4 (BrancB0rd) m05_sarasa 3d6+4 = 9(3d6 3 4 2)+4 = 13 *minari_GM topic [妖宴への誘惑(40)][浸透する淫気(26)][更紗] (m05_sarasa) 出目は振るわないけど落としたかっw (minari_GM) うにw (minari_GM) では・・・w (minari_GM) #2d6+4 淫毒 浸食攻撃 (BrancB0rd) minari_GM 2d6+4 = 7(2d6 1 6)+4 = 11 淫毒 浸食攻撃 (minari_GM) #2d6 七色 (BrancB0rd) minari_GM 2d6 = 8(2d6 3 5) = 8 七色 (m05_sarasa) 一応シールドっw (minari_GM) はーいっw (m05_sarasa) 両方ともねっw (minari_GM) うにっw (m05_sarasa) そして、最終アクト【守るべきもの】【後ろの処女】をw (minari_GM) はーいっw (minari_GM) では・・・w (m05_sarasa) んにw (minari_GM) 「ふふ、母上。乳首で射精するのが、そんなに気持ちいいのですか?」更紗さんの舌をしゃぶり、しごきあげ。その柔らかさを堪能しながら囁くクラス。そうしながらも、母乳を搾る指の動きは止まることなく。 (m05_sarasa) 【更紗】「んぅ・・・はむ…んちゃぷ…♪」焦点の定まらない、恍惚の瞳で息子を見つめながら、濃厚なフレンチキスに興じ「んむぅうう…うん…きもちいいの…びゅびゅうって…ちくびみるく、でるたびに…おまんこ、きゅんきゅんして…んちゅ…」暴走した肉欲の虜。普段絶対口にしないような淫語を甘く呟いて、すりすりと甘える (minari_GM) 「母上。もっともっと、気持ちよくしてあげますよ。」更紗さんの背中を押して四つんばいにすると。その背中に覆いかぶさるようにして。 (minari_GM) 「母上の処女は、父上が奪ったんでしょうけど…。」張りのあるお尻の奥にある蕾に、大きすぎるほどのペニスを押し当て、ほぐすように腰を回して。「ここの初めては…僕がもらっていいですよね?」そうしながらも背中から手を回し、乳首を強く握り締めて。 (m05_sarasa) 【更紗】「ふぁ…ぅ…」素直に、とさりと四つん這いにされ。…ぴちゃぴちゃと、オスの肉を欲しがり続ける唇の上に、ひっそりと窄んでいる菊肉が「ひんっっ!?!!あ・・・、あ、く、クラス…そこだけは、許して…ッッな、何でもするから、そこは…」全く開発されたことのないアナル肉に、ぬぢゅぬぢゅと先走りを塗り付けられ、懇願。「んぁぅうっ、だめ…そこは、や、やめ…ッ」乳首を握られて、口がぱくぱくと… (minari_GM) 「そうですか・・・。」ふぅっ、と息を吐くと「だめだっていうなら…」ぎちゅぅっっ!!親指と人差し指で乳首に思い切り爪を立て、痛みと被虐の快感を与えて。「母上のおっぱいもださせてあげません。」そうしながらも、残りの指で器用に乳房を揉み解し。射乳をさせるような動きをして。 (minari_GM) 「でも・・・お尻の処女を奪って、っていったら…またたくさんださせてあげますよ?」くすくす。小さく笑いながら、更紗さんの背中に舌を這わせ。 (m05_sarasa) 【更紗】「ひ・・・ぃいいいっっ…♪」ぷっくりと、乳の大きさに見合った先端をきつく摘まれ、ぞくぞくと震え。「は…ぁ、あ…」息子に、初めてを捧げる背徳…それは至上の快楽を約束されると直感が囁き、頭から離れず、ついには「…お尻を…、奪って、ください…」メス奴の、声色 (minari_GM) 「もっといやらしく言って欲しいところですけどね。」小さく笑うと。「それも、おいおい仕付けていきましょう。母上は…。」蕾に亀頭を押し当てると。「僕のペットですもんねっ!!」ぢゅぷぷぷっっ!!狭い蕾を割りいる巨大なペニス。ぎちぎちに腸壁を広げ、亀頭で襞をすりつぶし、カリで激しく擦りあげながら。ぱぁんっっ!!お尻と腰が高い音を立てるほど、思い切り尻穴を貫き。 (m05_sarasa) 【更紗】 (minari_GM) それと同時に乳首を思い切り引っ張り、尻辱の痛みを射乳の快楽で塗りつぶすようにして。 (m05_sarasa) 【更紗】「ひ、ぎぃいいい!!?!!!」一瞬白目を剥くほどの激痛と…それをぐちゃぐちゃに塗りつぶす、変態異常快楽。「っっんぁあああっっっっ♪いいますっ、いいますからっっ♪♪くらすにっっ、アナル処女うばってもらえてっっ、嬉しいのっっっ♪なんどもっ、なんども・・・ふぁぁああっっ、おなにぃ、でっ♪ずんずん、れいぷされるのっ、想像してた、のぉっっ…♪」 (m05_sarasa) 【更紗】「ゃああっっ、やあぁああっんっ…あなる、れいぷっ…気持ち良い、よぉお…おっぱいも…おっぱいも、しゃせいしちゃってる…っっ、らめ、らめ、ぇええ・・・」 (minari_GM) 「昨日だって、僕のオナニー見て母上もオナニーしてましたよね?」腸壁に大量の先走りを塗りつけながら、お尻をえぐり、こすりあげ。ピストンと同時に乳肉を強くわしづかみ、乳腺を刺激しながらこすりあげ。 (minari_GM) 「息子に犯されたいなんて・・・母上は本当に変態・・・ですねっっ。」腰の動きを少しずつ変え、腸壁を自分の太さに慣らすように腰を使い。 (m05_sarasa) 【更紗】「ふぁ、ぅんっっ、んく…うんっっ、おなにー…してたの…」あまあまとろとろの声で、息子に告白してしまうペットママ「クラスに…押し倒されて、お尻の、処女を…ずぶ、ずぶっって…奪ってもらいながら、おっぱいもみくちゃに、されてっ…」ぞくぞくぞくっ♪「うんっっ、うんっっ♪さらさ…変態、なのっっ、だから、めいっぱい、おしおき、してっっっ…♪」暴走し、限界を超えた快楽が幼児退行を起こさせているのか。口調はひどく甘く、$ (minari_GM) 「そんな変態には…。」しゅるしゅるっ。伸びた触手が絡み合い、まるでペニスのように太くなり。「おしおきですよっっ。」ぢゅぷぅぅっっ。それはひくつく更紗さんの秘唇を貫き、膣壁を激しくこすりあげ。ずんっっ、と子宮口を激しく叩きこすりあげます。 (minari_GM) そして子宮口に達したその触手の一本一本がその中にもぐりこみ、子宮壁に吸い付いてしゃぶり始め。 (m05_sarasa) 【更紗】「にゃ・・・ぁああああ・・・♪♪」むっちりと肉付きの良い身体を震わせ、子宮のヒダ一本一本まで吸い付かれる感覚に、涎を垂らし… (minari_GM) もぐりこむ触手の数はどんどん増えていき、子宮内いっぱいに入り込むと、吸い付きながら子宮壁を擦りあげる異形の快楽を更紗さんに刻みつけ。 (minari_GM) 腸内、子宮、そして乳首を途切れなく刺激し、犯しながら。切れ目ない快感で更紗さんの思考をどろどろに溶かし、快楽のみで染め上げていきます。 (m05_sarasa) 【更紗】「おしおき…おしおきっ、うれしいの…もっと、おしおきして…は、ぁあああっっ…しょくしゅ、…ごちゅごちゅ、されてう…♪」 (m05_sarasa) 【更紗】「ちくび・・・もぉっっ…おまんこ、もぉ…っっ…、くらす、に、あげちゃったおしりも…すきぃ…」にこ・・・ (minari_GM) 「いいですよ…。母上が壊れるくらい、快楽にそめてあげます。」微笑む唇に舌を伸ばし、淫らな水音を立てながら舌を絡め合わせて。「イきそうになったら、きちんと言うんですよ?淫らな雌犬更紗は・・・体中犯されて、イっちゃいます、って。」しゅるしゅる。細い触手がまた伸びてきて、更紗さんの耳に先端をくちゅりと触れさせると。とろとろの粘液をながしこみながら、まるでしゃぶるような動きで耳まで犯し始めて。 (m05_sarasa) 【更紗】「んちゅ…んちゅ…んぅ…んぁ…♪」ねちゃあ、と糸を引いた後を、こきゅんと飲み込み「あひっっ…んぁっ、みみ、くちゅくちゅ・・・ふぁあああ・・・♪」べろちゅーでたっぷり甘えながら耳穴も突っ込まれ。前後の穴をごちゅ、ぶぢゅっと緩急をつけてレイプされながら、もう何度目か分からないアクメを迎えようとしている。 (minari_GM) 「母上、気を失わないでくださいね?」舌を強く吸い上げながら、にっこりと笑うと。ずちゅ、にぢゅっ、と尻穴を、子宮を貫くタイミングを全く一緒にして。そして奥を貫くと同時に両乳首からも母乳を搾り出し。一突きごとに全ての箇所から深すぎるほどの悦楽を送り込み。更紗さんの全身の感覚を蕩かせ、しびれさせ。刺激されているところ以外の感覚をあやふやにするほどに。 (minari_GM) 更紗さんを深い絶頂に追い込もうと、激しい動きでその豊満な肢体をむさぼって。 (m05_sarasa) 【更紗】「っっあひっっっ、んぅっっっ、んぉ…ぅううう…んほ…ぉああああ…♪♪」べろちゅーで繋がりながら全穴をぐちゃぐちゃに蹂躙される快楽に悪酔いし…「あっっひ、っふっ、イキますっっ、、淫らで、変態なっっ、発情メス犬の更紗はっっ…ご主人様に身体の肉穴ずぼずぼされてっ、イッちゃいまひゅううううっっ・・・・・・・・♪♪」っっびくっ、びく… ぞく…、ぷるる…ぷしゃああああああ・・・・っ (minari_GM) 「んっ・・・ぼ、僕も・・・っっ!!」ぶるっ。小さく震えると。子宮内を埋める触手から、腸壁をえぐり犯すペニスから。蕩けそうなほどに熱く粘っこい精液が大量に放出され。腸内を、子宮内を満たしていきます。それが膣壁に、腸壁に、子宮壁にへばりつくと、じんじんとしびれる激感が体を走りぬけ。 (minari_GM) 甘い火照りを宿す悦楽は、更紗さんの意識を跳ね上げ、更に跳ね上げ。信じられないほど長い射精は、腸壁を、膣壁を逆流し、ぐぽっ、ぐちゅうぅっ、と淫らな音を立ててあふれ出て。濃厚な牡臭と牝臭が周囲を満たしていきます。 (m05_sarasa) 【更紗】「ふぁ・・・ぁあ…、ん…やぁん…息子の…おちんちん、で…イッちゃった…、更紗…おしりで、アクメ妊娠…しちゃう…」びくん、びくんとアナルに延々と種付けされて…ご主人様と認めてしまった息子の顔を、ぺろぺろと舐める… (minari_GM) 「もっともっと、母上をセックス中毒にするくらい…犯して上げますよ?」くすぐったそうに舐められながら、そう呟くと。ぎちゅぅっっ。射精を続けるペニスで再びピストンをはじめ。精液をかき回しながら、再び犯し始めるクラス。 (m05_sarasa) 【更紗】「あ、・・・ひ…セックス中毒に…されちゃう…、お尻の穴…ああ・・・ずごん、ずっごんって…杭、打つみたいに…されちゃって、る…噴水、みたいに…ふぁああ…っ」ぶぼぉっ、ぶぼぶっと激しいピストンで白濁噴水が派手にしぶき。ぱんぱんと息子に犯されて、優しいとすら思える微笑を浮かべてしまう、更紗 (minari_GM) ではっ (minari_GM) ラウンドを回しましょうw (m05_sarasa) はいなーw (minari_GM) 開幕、どぞっw (m05_sarasa) サーチトラップのっ!ポテンシャル入れー!! (minari_GM) はーいっ (m05_sarasa) ポテンシャルCP5、で誘惑に!! (minari_GM) はいっ (m05_sarasa) #6d6+4 (BrancB0rd) m05_sarasa 6d6+4 = 19(6d6 6 3 1 2 6 1)+4 = 23 (minari_GM) にゃw (minari_GM) 1残ってますw (minari_GM) では、突破判定どうぞっw (m05_sarasa) 無論誘惑にっw (minari_GM) はーいっw (m05_sarasa) #2d6+4 (BrancB0rd) m05_sarasa 2d6+4 = 7(2d6 3 4)+4 = 11 (minari_GM) うにっw (m05_sarasa) うみゅw (minari_GM) では、誘惑が倒れて・・・勝利ですっ (minari_GM) では、エンディングに・・・ (minari_GM) (minari_GM) (minari_GM) それから数日後。 (minari_GM) 領内に蔓延していた病気は、特効薬が開発され。熱で苦しむ人はいなくなりました。 (minari_GM) 領民たちを助けたのは、クラス・クラインフィールズ。 (minari_GM) この活躍により、ラルドの後継者としての力を発揮し、領民たちにも尊敬の目で見られるようになっています。 (minari_GM) そんな、クラインフィールズの屋敷。更紗さんの部屋では。 (minari_GM) 「ほら、母上。気絶してはだめですよ?薬を作るためなんですから。」ぱちゅんっ、ぢゅぷんっ。もう何度注がれ、貫かれたのか。ピストンされるたびに、アナルから、秘唇から、大量の精液があふれ出て。クラスの腕に掴まれた乳房。その先端には小さな吸盤のようなものが取り付けられ、そこから伸びたチューブが瓶へとつながっています。 (minari_GM) 「母上のミアスマに満ちた母乳が、この病気の特効薬なのですから。」いいながら、乳房の根元に指を食い込ませ、強く搾るクラス。すっかり開発されてしまった乳房は、傷みすらも快感に捕らえはじめ。 (m05_sarasa) 【更紗】「ふぁ、あんっっっ、だって、あなた…もう、十回以上…おまんこに…っっあああんっっ…」がっちりと、まんぐり返しで束縛されて息子の肉便器となっている母親…夫ではなく、息子を『あなた』と呼び、甘えた声を上げている (minari_GM) 縄で淫らに拘束されたソフィアが、時折足を震わせながらも、そのミルクを魔力で固め、小さな丸薬にしているのが、快楽漬けになった視界の端に映っています。 (minari_GM) 「おまんこだけじゃなく、お尻も気持ちいいんでしょう?」腰を密着させて回すように動かし。腸壁をカリ首でこすりあげ、広げるようにしながら耳元で囁いて。 (m05_sarasa) 【更紗】「激しく、犯されるのも大好きですけど…っ…あなたとキスしながら…優しくもみもみも、されたいですわ…ああ・・・っ」肉欲で歪む視界が、いとしい人の顔をより美しく見せ「ああっ…はいっ、あなたに奪ってもらったお尻のおまんこ…気持ち良くて、大好きです…♪」 (minari_GM) 「いいですよ。それじゃ、自分からキスしてください。」舌を口外に伸ばしてみせ。ぽたっ、ぽたっと唾液を更紗さんの頬にたらしながら。「上手くしゃぶれたら、また思い切り・・・イかせてあげますよ。」乳肉を両手で握り、くにくにとボールを握るようにもてあそびながら、甘い声で囁き。 (m05_sarasa) 【更紗】「ああ…意地悪な、人…」艶かしい舌を、主人のほうに伸ばし「んあ・・・はむ…んちゅううっ…♪」まるで肉棒を丹念にしゃぶるかのように、舌をねちゃねちゃと吸い舐り。乳肉からはとめどなく、知らずに領民が飲むであろう更紗のミルクが噴射している… (minari_GM) 「元は母上が原因ですけど…。」腰を思い切り引きながら。「母上が僕のペットになったんですから、僕にとってはいい事ずくめでしたね。」舌先で更紗さんの舌をくすぐり、しごきあげながら微笑むと。「母上は、どうですか?嬉しいですか?」更紗さんの瞳を覗き込んで。 (m05_sarasa) 【更紗】「ああ…抜いちゃ、だめ…」ぞくり、ぞくりと…そのあと来るだろう、肉欲の奔流を期待してしまう…「はむ…んちゅうう…はい…嬉しいです。ご主人様の、ペットになれて…」頬を赤く染め。…優しく艶やかな微笑みで答える…まっすぐに、瞳を見つめて。 (minari_GM) 「いい返事ですよ、母上・・・いえ。」唇を重ねると。「更紗。」名前を呼び捨てにすると、ぢゅぷぷぷぅっっっ!!再び子宮口を貫くかのように強く、腰を打ちつけ。それと同時に、ぎちゅぅぅっっ、と思い切り乳房を絞り、母乳を大量に噴出させます。 (m05_sarasa) 【更紗】「ああっっ…あなた、愛してますっっ…」呼び捨てをされ、より深くクラスの物になれた実感に浸り…「はあっっ、一生飼って下さい…っ、何でもします、ですから…ッ」子宮がメスの悦びに打ち震え、肉棒を咥えこみながら「あなたの…メス奴隷でいさせてください…♪」誓いを立てたその顔は、今まで見た中で一番…生き生きとしていた。 (minari_GM) 牝肉を貫かれる淫らな音。漏れる嬌声。牝奴隷としての宣言をした更紗さん。もう今までのように肉欲を我慢することなく、延々と与え続けられる快楽をむさぼり、心を浸していって。 (minari_GM) その終わりなき淫宴は、終わることなく…。 (minari_GM) (minari_GM) (minari_GM) ランドリューフ戦記 (minari_GM) 因果応報 (minari_GM) (minari_GM) おしまいですっ
https://w.atwiki.jp/tarowa/pages/485.html
因果応報―始まりの終わり― ◆KKid85tGwY 「うぅーん…………フェ、フェルマー先生……あなたの最終定理は、足し算を間違えていますよ…………。 ハッ!! ゆ、夢か……フェルマーの最終定理を解いた時の夢を見るとは……」 「その解答は、おそらく間違っているぞ……上田次郎」 「ははは! フェルマーならともかく、私が計算を間違えるわけが無いだろう…………き、君は誰だ!?」 「私は狭間偉出夫、殺し合いには乗っていない」 気絶から眼を覚ました上田。 その傍らには、見知らぬ白衣の少年が佇んでいた。 あからさまに警戒をした上田だが、近くにヴァンやC.C.の姿が見えることから、 やがて落ち着きを取り戻す。 C.C.の(極めて雑に行った)説明によって、狭間たちがシャドームーンの戦闘中に現れて上田たちを助けたことが判る。 「……シャドームーンはどうなった?」 上田とほとんど同時に眼を覚ましたヴァンの質問。 狭間は自分の背後を指して答えた。 「シャドームーンはそこだ」 確かに狭間が指し示す先に居た。 瓦礫の上に座り、その身を休めるシャドームーンが。 ヴァンは反射的に構えを取ろうとするが、身体が言うことを聞かない。 上田は立ち上がることもままならないほどあたふたしている。 「落ち着け! シャドームーンは我々の味方になった」 『お前は何を言っているんだ?』 ヴァンと上田の浮かべた表情を、端的に表現すればそんな言葉になる。 狭間は言葉を続ける。 「疑うなら、C.C.に事情を聞けば良い」 「……私はシャドームーンと味方になった覚えは無い」 「では敵か?」 「…………事情の説明なら自分でしろ。お前の起こした事態なんだからな」 ヴァンも上田も全く事態が掴めない様子だ。 狭間は嘆息すると、徐に説明を始めた。 C.C.の言う通り今の状況の責任は、功罪を合わせても狭間にある。 少なくとも狭間はそう思っていた。 ヴァンたちの危機に、狭間が助けに入ったこと。 狭間からシャドームーンに持ち掛けた交渉。 それに異を唱える翠星石。 そして真司が翠星石に殺されたことを。 上田は神妙な表情で沈黙する。 彼らだけでなく、シャドームーン以外のその場全員を重い空気が包んでいた。 シャドームーンと一時的とはいえ休戦した。 そして真司が死んでいる。 と言うだけに尽きず“翠星石に殺された”と言う事態は、それだけ重たかった。 「……要するに、真司が死んでシャドームーンとあんたが組んだんだな?」 「極めて粗雑な纏め方だが、概ねその通りだ」 ヴァンは話そのものを理解することに苦戦していた様子だが、要点は理解したようだ。 事態に対して、どんな感想を抱いているかは読み取れない。 翠星石は未だ狭間の腕の中で、意識を失っている。 しかしその翠星石に、真司を殺された怒りを向ける者は居なかった。 全員が、それを過失だと承知しているからだろう。 ヴァンも上田も落ち着いたと判断した狭間は、ヴァンとC.C.にディアラハンを唱えた。 二人の負傷の大半は治り、体力も回復する。 しかしヴァンの右目は潰れたままである。 それでもヴァンは、特に気にした様子は見せなかった。 今すぐにシャドームーンに挑みかかるつもりもないようだ。 「……私と北岡とつかさとジェレミアとシャドームーンは、これから同行することになった」 狭間たち四人とシャドームーンは、ヴァンと上田が気絶している内に同行することで話を付けていた。 自分たちの知らない内に、シャドームーンの立場が余りにも変わっていることに、 ヴァンも上田も、言いようの無い居心地の悪さを覚える。 「君たちはこれからどうする? 我々と同行するなら、それで構わない」 ヴァンも上田も、狭間の問いにすぐには答えられない。 状況が急激に変わりすぎたため、未だに気持ちが追い付かないのだ。 ヴァンと上田が返答に窮していると、C.C.が狭間に語り掛ける。 「……ストレイト・クーガーはどうなっている?」 「……何?」 「お前らの所有しているパソコンで、参加者の動向が確認できるのだろう」 C.C.に求められるがままに、狭間はノートパソコンを開いて、 ストレイト・クーガーの動向を確認する。 「……ストレイト・クーガーは現在、総合病院に居る」 「生きていたか……後藤はどうだ?」 「……死亡している」 C.C.たちとクーガーは、総合病院を出発する際に後藤の襲撃を受けた。 その時に後藤をクーガーに任せて、C.C.たちは別れている。 クーガーの安否は、C.C.たちにとって気掛かりなことであった。 しかしこうしてクーガーの生存と後藤の死を確認することができて、微かな安堵を覚えた。 クーガーが生きて後藤が死んだと言うことは、クーガーが後藤を殺した、と言うことだろう。 C.C.は立ち上がり、狭間に背を向ける。 「……私は病院へクーガーを迎えに行く」 「……我々全員で向かった方が良いんじゃないか?」 「その必要は無い」 「そうか……」 はっきりと言葉にしないが、C.C.の声には明確な拒絶の響きが含まれていた。 狭間を、ではなくシャドームーンを拒絶しているのだろう。 それでもはっきりと拒絶を言葉にしないのは、まだC.C.にも迷いがあるからだろうか? 何れにしろ、今すぐシャドームーンと同行と言う訳にはいかないようだ。 「……君たちはどうする?」 「すまないが、俺もクーガーを迎えに行くわ」 ヴァンも立ち上がり、狭間に背を向ける。 ヴァンはシャドームーンから拷問を受けた張本人だ。 その上この成り行きでは、無理も無いと狭間も考える。 「……すまない狭間くん。C.C.もヴァンくんも、君が助けてくれたことは判っているんだろうが……」 「構わん……それで君は?」 「私は、C.C.やヴァンくんを見捨てる訳にはいかないからな。決してシャドームーンが怖い訳では無いぞ! ただ……彼らは私が居ないと何にもできないからな」 上田は単純にシャドームーンが怖いのだろう。 ある意味、判り易い人間だと狭間は思った。 C.C.もヴァンも上田も、狭間から離れていく。 当初は三人と接触した後は、そのまま合流する予定だったが、それも破綻した。 しかし三人を止める権利は自分に無いことを、狭間は了解していた。 「待て。まだ話は終わっていない」 それでもまだ狭間は、三人の背中に話を続ける。 C.C.は背を向けたまま、 ヴァンは立ち止まりもせず、歩き去って行き、 上田だけが狭間の方へ振り返る。 狭間はそれに構わず、上田に向かって探知機を投げ渡した。 「これはなんだ?」 「それは参加者の位置情報を得られる探知機だ。我々と合流したくなったら、それで我々の位置を確認できる。 これは判っていることと思うが、雪代縁には気を付けろ。あの男は未だ殺し合いに乗っている。 それと、雪代縁は殺し合いの脱出に繋がる物を所有しているらしい。奴と接触することになったら気を止めて置け」 「殺し合いを脱出できるのは、翠星石だけじゃなかったのか?」 狭間の背後からシャドームーンが口を挟む。 シャドームーンの声が響いただけで、場の空気が明らかに重くなった。 上田などシャドームーンの声が聞こえただけで、身体を震わせている。本当に判り易い人間だ。 狭間はシャドームーンを見向きもせずに返答する。 「あの時点で確認できた限り、脱出方法を有していたのは翠星石だけだった。 ……だが、今は違うな。貴様もnのフィールドへの入り口を開けることを確認できた」 「…………フッ、まあいい。魔人皇なら大過なく契約を履行してくれると、期待しているぞ?」 あっさりと引き下がるシャドームーン。 気を取り直して、狭間は上田たちに話し掛ける。 「その探知機は私からの餞別だ。代わり言っては何だが、貴様たちに……提案と頼みたいことがある」 上田たちに頼みごとをする狭間。 何かを頼むのを狭間は慣れていないのが、出会ったばかりの上田やC.C.にも伝わって来る。 それだからこそ、あえて頼みごとを行う狭間の背負った物の重さが伝わってきた。 「君は恩人だ。私が聞けることならば、何でも言ってくれ」 「C.C.も構わないな?」 「早く言え」 C.C.の高慢な、しかしどこか力の無い返答。 ヴァンはさっさと立ち去ったが上田とC.C.は、未だに聞く姿勢を見せている。 ならば問題は無い。 「提案は翠星石のことだ。彼女は私が預かる。貴様たちでは、再び薔薇水晶が来た際に対処できまい」 C.C.は背を向けたまま、狭間に鋭い視線を向ける。 「……お前たちなら安全を保障できるのか?」 「我々の方から翠星石に危害を加えるつもりは無い」 「…………眼を覚ましてシャドームーンが居た方が不味いと思うがな」 「他にどうすれば良い? 翠星石をその辺に放置しておけと?」 「…………では好きにしろ」 自分たちから危害を加えるつもりは無いと言う、狭間の返答。 それは即ち、翠星石から仕掛ければ安全の保証はできないと言うこと。 しかしそのことを指摘したところで、どうしようもない。 C.C.がそれ以上異論がないことを確認した狭間は、話を続ける。 「頼みごとの方は言伝だ。クーガーとヴァンに伝えてくれ。城戸真司の死の責任は私にあると考えて貰って構わん。 それでも易々と命をくれてやるつもりは無い。それがシャドームーンの物であってもだ」 それはクーガーとヴァンのみならず上田とC.C.に対しても訴えた伝言。 シャドームーンは一人の味方も居ない状況で、正に満身創痍となり片腕を失って、尚もただ一人で戦い抜こうとした。 それでも自らの誇りを守るためにあえて主催に反旗を翻してまで、敵と契約を結んだのだ。 誰一人味方など居ない、孤高の王のままにだ。 それがどれほどの強固な意思を必要とするか、かつての魔神皇であり今は魔人皇である狭間にはよく判る。 無論、シャドームーンはいずれ討ち果たすべき敵であり、そうなった非はシャドームーンにある。 しかしそれだからこそ、狭間にとってこの契約は必ず守らなければならない。 「判った、そう伝えよう。そして、なるべくそうはならないように尽力する」 「……頼む」 狭間は再び慣れない頼みごとを口にする。 上田はそのような事情を知らないが、狭間が戦いを望んでいないことはよく伝わってきた。 そしてそれでも避けられない戦いならば、覚悟を決めていることも。 「……では私の方からも、君に餞別の言葉を送ろう」 上田はそう言って、デイパックから一体の人形取り出した。 ローゼンメイデンとは似ても似つかない、むさ苦しい印象を与えるその人形は、 明らかに上田を模している。 それこそ、世に僅かしか存在しない上田次郎人形である。 『なぜベストをつくさないのか』 上田次郎人形それ自体が言葉を発した。 「この言葉は魔法の言葉でな。私はこの言葉を聞けば、不思議な力が沸いて来るんだ。君への餞別として受け取ってくれ」 そう言って上田はC.C.の後を追って行く。 狭間は陰を負った表情で、その後姿を見詰める。 (『なぜベストをつくさないのか』……か) 確かに狭間は狭間なりにベストを尽くした。 それが万人にとってベストの結果に繋がるとは限らない。ある意味、当然の話だ。 狭間の交渉は、シャドームーンがあそこまで追い詰められていなければ成立しなかっただろう。 そしてシャドームーンをあそこまで追い詰めたのは、状況から推測して真司の功績が大きい。 その真司をあんな形で死なせてしまった。 狭間にとって、これは翠星石を制御できなかった自分の失態。 自分の認識の甘さがこの惨状を生んでしまった。 それが狭間に重く圧し掛かる。 魔神皇であった頃には、こんな重責は無かった。 ただ自分の欲望のままに行動して、何を犠牲にしても思い煩う必要は無かった。 しかし魔人皇となった今は、失態の一つ一つが重く圧し掛かる。 人の命を背負うと言うことは、これほどままならないことだったのか。 (レナは……今の私を見て、どう思うだろうな……) それでも、ベストを尽くすことを止める訳にはいかない。 だからこそ、上田の餞別が何よりも重かった。 「……よかったな。ご主人様の所へ行けるぜ」 停めてあったバトルホッパーの元に行ったヴァンは、車体を撫でながら呟く。 シャドームーンと休戦したからには、戦いの前に交わした約束により、 バトルホッパーはシャドームーンに譲るのが筋だろう。 バトルホッパーは何の反応も示さない。 ヴァンはバトルホッパーを置いて、真司の亡骸に向かう。 先ほど北岡と話し合って、蛮刀をジェレミアから譲って貰った代わり、と言う訳ではないが、 真司の遺体はヴァンたちが病院まで運んで弔うことになった。 真司の遺体と荷物を抱えて、ヴァンは上田が運転して来た車に乗る。 遅れてC.C.も車に乗り込む。 C.C.が狭間たちと同行しなかったのは、シャドームーンと離れたかったため。 C.C.にとって真司を殺したのも、それに至るまで翠星石を追い詰めたのもシャドームーンだ。 理屈では判っている。 真司の死の全責任をシャドームーンに負わせるのは無理があることを。 それでも、真司が死に至ったまでの経緯を即座に水に流してシャドームーンと同行できるほど割り切ることはできない。 人の数倍以上もの生を送ってきたC.C.でも、そこまで悟ることはできなかった。 更に遅れて、上田が運転席に乗り込む。 シャドームーンとの戦いを生き延びた三人と、命を落とした一人。 そして水銀燈の遺体も乗っている。 五人を乗せて、車は病院へ向けて発進した。 後部座席には真司の遺体、ヴァン、C.C.の順番に並んで座っていた。 重たい沈黙を破るようにヴァンはC.C.へ、不躾に質問する。 シャドームーンとの戦い以来、気に掛かっていた疑問を解消するために。 「…………護衛はもういいって、本気か?」 「冗談に聞こえたか?」 改めて確認しても間違いは無い。 狭間とシャドームーンの契約が始まったのと対照的に、ヴァンとC.C.の契約は終わった。 ヴァンもC.C.もこれから何を目的として、どのような行動を取るかは定かでは無い。 しかし確かなのは、ヴァンもC.C.もこれからはお互いを行動の理由にできないことだ。 ヴァンもC.C.も自分だけを根拠にこれからの行動を決めなければならない。 ヴァンは更に不躾な質問をする。 「死にたいってのも本気か?」 「さあな……」 ヴァンは他人の情緒には鈍感、と言うより関心の低い人間である。 それでもC.C.とは殺し合いの当初から付き合っている。 それゆえか、C.C.の“死にたい”も虚仮では無いと察することができた。 本来、C.C.が自殺志願者であろうとヴァンにとっては関心のない話である。 そもそもヴァンはエレナ以外の女性に極端に関心が薄いのだ。 しかしC.C.はヴァンと契約していた。 確かにヴァンは殺し合いの間は護衛すると約束している。 しかし本人に生きる意志が無いと言うのなら話は別だ。 自殺志願者を護衛するほど馬鹿馬鹿しい話は無い。 ヴァンの方には何としても生きて為すべきことがあるのだから。 だからヴァンは不躾な質問を続ける。 「死にたい奴が、何で護衛頼んだり首輪外したりしたんだよ?」 「……………………」 ヴァンの問いにC.C.は答えない。 C.C.は黙ったまま、デイバックから取り出した白梅香を自分に掛ける。 そしてデイバックへ白梅香を仕舞うと、寝返りを打つようにヴァンから背を向けた。 「…………私は寝る。起こすなよ」 C.C.の背中からは全てを拒絶するような空気を放っていた。 答えを得られないと悟ったヴァンも、それ以上を追求することは無かった。 世界の全てを拒絶するように硬く目を瞑るC.C.。 眠気は無い。だが、これ以上ヴァンの質問攻めに付き合える心境ではなかった。 それはC.C.にとって、あまりにも重い問いだったからだ。 もっと早くに気付くべきだった。気付く機会は幾らでもあった。 殺し合いの中ならば死ぬことができる可能性。 その可能性は本来、C.C.にとってこれ以上ない福音だったはずだ。 人の数十倍にも達する、長過ぎる人生をやっと終わらせられる。 そのはずなのに、C.C.の気持ちはこの上なく落ちたままだ。 おそらく、彼女の長過ぎる人生においても最も重く。 (私は何をやっていた…………) V.V.が何故自分を殺し合いに参加させたのかなど、疑問視している場合ではなかった。 そもそも殺し合いが始まった時点で、さっさと自分の首輪を爆破して死ねるかどうか確かめれば良かったのだ。 自分の不死身をよく知っているはずのV.V.が、わざわざ殺し合いに参加させたのだから、 試すだけの価値は充分に有ったはずである。 そうすれば永遠に思えるほど長い人生において、あれほど望んだ死が得られたかも知れないのに。 しかしもう首輪を外してしまった。 あるいは首輪の爆破こそが、自分の不死身を破って殺すことができる唯一の方法かも知れなかったのに。 それを捨てて今も、殺し合いの脱出を図る集団の尻馬に乗っている。 多くの屍の上を踏み越えてだ。 例えば竜宮レナ。 レナはC.C.よりも平和な世界を生きて来た学生だ。 当然、元の平和な世界ではその世界なりの生活があり、共に生活をしてきた家族や友人が居たはずだ。 レナ自身にも何か元の世界に心残りがあったのかも知れない。 しかし、殺し合いの中で死んで行った。 レナだけではない。 この殺し合いに参加した者は皆、帰るべき世界がある。 しかしその大半は望まぬままこの場に召喚され、首輪で殺し合いを強いられ、無念の内に死んで行った。 そして誰よりも死を望んだ自分がさっさと首輪を外して、半ば殺し合いから脱落してしまっている。 この上なく理不尽な話だった。 それは余りにも滑稽で、 余りにも愚かで、 余りにも無様で、 余りにも皮肉な話だった。 (……私は…………何をやっていたんだ……………………) 重苦しい心地を抱え、C.C.は胸中で一人ごちる。 応える者は居ない。 隣に居るヴァンとは、契約という名の繋がりを失った。 そのこともまた、C.C.の気持ちを重くしていた。 白梅香を掛けたのも、C.C.がその香りを密かに気に入っていたことも有るが、 何より少しでも自分の気を紛らわせるため。 白梅香に縋りたくなるほど、今のC.C.は孤独だった。 ヴァンはシャドームーンを倒すことを諦めたわけではない。 狭間の回復魔法でもヴァンの右目は治っていないままだ。 シャドームーンにはまだ借りがある。 狭間とどんな契約を交わそうが、それを水に流すつもりは無い。 だからV.V.に借りを返した後、必ずシャドームーンを殺すつもりだ。 ヴァンは単純な人間だ。 それゆえに最終的な目的を決して見失うことは無い。 いかに恨みがあっても、所詮ヴァンにとってシャドームーンはカギ爪に辿り着くための通過点に過ぎない。 シャドームーンと今決着を付けようがV.V.の後で決着を付けようが、通過点の順番の問題に過ぎないのだ。 守るべき物も無くなったヴァンは、一人静かに牙を磨く。 運転席には上田と水銀燈 上田は運転席に設置した探知機を見ながら運転していた。 幾ら休戦したと言われても、上田にはシャドームーンへの恐怖は未だに存在する。 上田もすぐにシャドームーンと同行すると言うわけにはいかなかった。 しかしシャドームーンと狭間と共闘している以上、いつまでも避けて通る訳には行かない。 何れ自分もシャドームーンと共同戦線を張るのかと思うと、上田の武者震いは収まらなかった。 (…………そう言えば……) 上田は不意に、Lから授かった餞別を思い出す。 (……Lさんからの餞別を、翠星石に渡したままだったな) 【一日目/真夜中/F-8 市街地】 【ヴァン@ガン×ソード】 [装備]:薄刃乃太刀@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(先端部欠損)、ヴァンの蛮刀@ガン×ソード [所持品]:支給品一式、調味料一式@ガン×ソード、ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎(二時間変身不能)、サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎 [状態]:右目欠損 [思考・行動] 0:カギ爪の男に復讐を果たすためさっさと脱出する。 1:V.V.を倒した後シャドームーンを殺す [備考] ※まだ竜宮レナの名前を覚えていません。 ※C.C.の名前を覚えました。 【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュ R2】 [装備]:ファサリナの三節棍@ガン×ソード、S&W M10(6/6)、黒の騎士団の制服@コードギアス 反逆のルルーシュ [所持品]:支給品一式×4、エアドロップ×2@ヴィオラートのアトリエ、ゼロの仮面@コードギアス、ピザ@コードギアス 反逆のルルーシュ R2、 カギ爪@ガン×ソード、レイ・ラングレンの銃の予備弾倉(60/60)@ガン×ソード、白梅香@-明治剣客浪漫譚-、確認済み支給品(0~1) S&W M10の弾薬(17/24)@バトル・ロワイアル [状態]:健康、首輪解除済み [思考・行動] 0:??? [備考] ※不死でなくなっている可能性に気付きました。その公算は大きいと考えています。 【上田次郎@TRICK(実写)】 [装備]君島の車@スクライド、ベレッタM92F(10/15)@バトルロワイアル(小説)、ニンテンドーDS型探知機 [支給品]支給品一式×4(水を一本紛失)、富竹のポラロイド@ひぐらしのなく頃に、デスノート(偽物)@DEATH NOTE、予備マガジン3本(45発)、 上田次郎人形@TRICK、雛見沢症候群治療薬C120@ひぐらしのなく頃に、情報が記されたメモ、浅倉のデイパックから散乱した確認済み支給品(1~3)、 銭型の不明支給品(0~1) [状態]額部に軽い裂傷(処置済み)、全身打撲 [思考・行動] 0:ヴァン達に協力する。 ※水銀燈の遺体と真司の遺体が車内に置かれています。 ※水銀燈のデイパック(支給品一式×10(食料以外)、しんせい(煙草)@ルパン三世、手錠@相棒、双眼鏡@現実、首輪×3(咲世子、劉鳳、剣心)、 着替え各種(現地調達)、シェリスのHOLY隊員制服@スクライド、農作業用の鎌@バトルロワイアル、前原圭一のメモ@ひぐらしのなく頃に、 カツラ@TRICK、カードキー、知り合い順名簿、剣心の不明支給品(0~1)、ロロの不明支給品(0~1)、 三村信史特性爆弾セット(滑車、タコ糸、ガムテープ、ゴミ袋、ボイスコンバーター、ロープ三百メートル)@バトルロワイアル)、 Lのデイパック(支給品一式×4(水と食事を一つずつ消費)、ニンテンドーDS型詳細名簿、アズュール@灼眼のシャナ、角砂糖@デスノート、 情報が記されたメモ、首輪(魅音)、シアン化カリウム@バトルロワイアル、 イングラムM10(0/32)@バトルロワイアル、おはぎ×3@ひぐらしのなく頃に、女神の剣@ヴィオラートのアトリエ、DS系アイテムの拡張パーツ(GBA)、 才人の不明支給品(0~1)、ゼロの剣@コードギアス)、真司の確認済み支給品(0~2) 、劉鳳の不明支給品(0~2)、発信機の受信機@DEATH NOTE カードキー、神崎優衣の絵@仮面ライダー龍騎がデイパックにまとめられ車内に置かれています。 「あんまり気負ってもしょうがないよ? やっちゃったことは、戻らないんだからさ。 気持ちを切り替えて、これからのことを考えないと」 「…………そうだな」 いつの間にか狭間の下に、北岡とつかさとジェレミアがやって来ていた。 北岡に言われた通り、狭間がここで何時までも逡巡していてもしようがない。 自分の行いを無闇に卑下するのは愚者のすることだ。 狭間の行った交渉が、ヴァンとC.C.と翠星石から危険を遠ざけたことは事実である。 その上で翠星石が、契約を不服としてシャドームーンに危害を加えようとするならば、 狭間自身が翠星石を敵として戦うだけだ。 シャドームーンと共に地獄に落ちる覚悟とは、即ちそう言う覚悟だ。 狭間は自ら契約を破るつもりは無い。 詭弁を弄して契約を汚すつもりも。 その先にいかなる地獄が待ち受けていようと、人と向き合い地を這ってでも進んで行く魔人皇としてあるだけだ。 「……しかし、これは私の責任だ。それを認めなければ、先に進むことはできん……」 「ホント生真面目だねぇ。そんなんだから、魔神皇なんて恥ずかしい名前自称しちゃうのよ」 「スーパー弁護士に、そんなことを言われるとはな」 「……どこで知ったのよ?」 「プロフィールに書いてあったぞ」 「……しょうがないでしょ、本当にスーパーな弁護士なんだから」 北岡の軽口に狭間は軽口で返し、やがてつかさまで巻き込んで笑い合った。 まだ笑い合うことができるほど、仲間との信頼関係は在る。 そう思えただけで、狭間の気持ちは軽くなった。 「……でも、俺は直接怨みがある訳じゃないけど……あれと仲間ってのはやっぱり馴染めないよねぇ」 北岡がごちる。と同時に全員の視線がシャドームーンに向かう。 シャドームーンは周囲の誰を省みることなく、相変わらず瓦礫の上で身体を休めている。 変わらぬ威圧感を身に纏って。 つかさなど、あからさまに怖がっている。 「……あの人、ちょっと怖いね」 「人じゃない。人と相容れぬ存在に作り変えられた物だ。それでも、仲魔であることに違いは無い」 人でない悪魔を、仲魔にする。 狭間以外の者には、やはり抵抗があるのだろう。 「まあ、そっちは一応仲間ってことで良いんだけど……あっちと仲間になった覚えは無いよ?」 そう言って北岡が冷たい視線を向けた先に居るのは、鞄の中で眠る翠星石。 水銀燈が入っていた鞄だが、今は翠星石の身を休めるため使っている。 北岡は翠星石に良い感情を持っていない。 散々場を荒らした挙句、真司を殺したのだから無理もない。 「あの人形を生かしておく理由は無くなったな」 ジェレミアも、北岡ほどの敵意はないが翠星石を危険視しているようだ。 事実として目下、最も危険な存在であることには違いは無い。 ことここに至って、シャドームーンと翠星石の和解は至難だろう。 「……C.C.にも言ったことだが、こちらから仕掛ける訳にはいくまい。そうなれば、C.C.とヴァンとクーガーまで敵に回しかねないぞ」 しかし狭間の言葉通り、翠星石に対して自分たちの方から仕掛けられる状況ではなくなった。 隠そうとしてもホームページの動向を見れば、翠星石を殺害したことは露見してしまう。 そうなれば、本当にC.C.とヴァンとクーガーを敵に回すことになりかねない。 狭間たちは爆弾を抱えたまま、先へ進む以外に無いのだ。 シャドームーンと翠星石と言う、二つの爆弾を。 「翠星石は私が何とかする。命に代えてもな」 狭間はそう言って、翠星石の眠る鞄の所まで足を運ぶと、 鞄の中、翠星石の傍らに自分が持っていた庭師の鋏を置いた。 「何やってるのよ!?」 「あの鋏は蒼星石の物だ。持ち主が亡くなった今、翠星石に返すのが妥当だ」 「……今の翠星石に武器を与える意味が判っているのか?」 「今更、翠星石の武器が一つ増えた所で何も変わらん……」 狭間の翠星石に対する懸念は、鋏一つで左右される物ではない。 翠星石がシャドームーンと対峙した時に見せた、異常な力。 それは狭間やシャドームーンに匹敵する物だった。 もし魔力が回復する前に、それが自分たちへ向けられればどうなるか。 今や翠星石は、狭間たちにとって真に爆弾と化していた。 (…………回復をしない) 未だ満身創痍のシャドームーン。 全身を覆う傷は、シャドーチャージャーにまで達している。 シャドームーンは自分の回復力が発揮しないことに気付いた。 理由は不明。 あるいはシャドーチャージャーが破損したためかも知れない。 世紀王である自分が、実力で龍騎に敗れた。 そして人間と手を組まざるを得ない状況にまで追い込まれた。 回復すらままならない。 シャドームーンは自らの限界が近いと感じていた。 (これが世紀王の限界だと言うのなら……超えてみせるまでだ。創世王を、全ての人間を制するまでな) それでもシャドームーンの、王としての威信は揺ぎ無い。 シャドームーンにとって殺し合いを優勝してから、創世王を殺すことが、 創世王を殺してから、殺し合いの参加者を皆殺しにすることに変わっただけの話だ。 世紀王の威信は未だ失われていない。 ただ、シャドームーンには気掛かりがあった。 それは翠星石があの時見せた赤い輝き。 それは自分の知る物に、余りにも似ていた。 (…………まさか、な) あの王の輝石が、翠星石の中に宿っているはずが無い。 それでも、シャドームーンの疑念は尽きなかった。 翠星石は鞄の中で眠り続ける。 真司は劉鳳を殺した因果応報と言う形で殺された。 では真司を殺した翠星石に、因果はどんな報いで応えるのか? それを知る者は居ない。 翠星石は何も知らず鞄の中で眠り続ける。 その中では、四つのローザミスティカ、 そしてキングストーンの力が眠っていた。 【一日目/真夜中/F-8 市街地】 【北岡秀一@仮面ライダー龍騎(実写)】 [装備]:レイの靴@ガン×ソード、ゾルダのデッキ@仮面ライダー龍騎 [所持品]:支給品一式×3(水×2とランタンを消費)、CONTRACTのカード@仮面ライダー龍騎、CONFINE VENTのカード@仮面ライダー龍騎 FNブローニング・ハイパワー@現実(12/13) 、RPG-7(0/1)@ひぐらしのなく頃に、榴弾×1、 デルフリンガーの残骸@ゼロの使い魔、確認済み支給品(0~1)(刀剣類がある場合は一つだけ) [状態]健康 [思考・行動] 0:殺し合いから脱出する。 1:つかさに対する罪悪感。 ※一部の支給品に制限が掛けられていることに気付きました。 ※病院にて情報交換をしました。 ※レナ、狭間と情報交換をしました。 ※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。 ※ミニクーパー@ルパン三世は近くの民家に駐車してあります。 【柊つかさ@らき☆すた】 [装備]なし [支給品]支給品一式×2(水のみ3つ)、確認済み支給品(0~1) 、レシピ『錬金術メモ』、陵桜学園の制服、かがみの下着、食材@現実(一部使用)、 パルトネール@相棒(開封済み)、こなたのスク水@らき☆すた [状態]健康 [思考・行動] 0:殺し合いから脱出する。 1:錬金術でみんなに協力したい。 [備考] ※錬金術の基本を習得しました。他にも発想と素材次第で何か作れるかもしれません。 ※アイゼルがレシピに何か書き足しました。内容は後続の書き手氏にお任せします。 ※会場に連れ去られた際の記憶が戻りました。 ※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。 【ジェレミア・ゴットバルト@コードギアス 反逆のルルーシュ】 [装備]無限刃@るろうに剣心、贄殿遮那@灼眼のシャナ [所持品]支給品一式×2(鉛筆一本と食糧の1/3を消費)、咲世子の煙球×1@コードギアス 反逆のルルーシュ、USB型データカード@現実、ノートパソコン@現実、 琥珀湯×1、フラム×1、リフュールポット×2、不明支給品(0~1)、薬材料(買い物袋一つ分程度)、エンドオブワールドの不発弾(小型ミサイル数個分)、 メタルゲラスの装甲板、メタルゲラスの角と爪 [状態]疲労(小)、精神磨耗、両腕の剣が折れたため使用不能 [思考・行動] 0:殺し合いから脱出する。 1:V.V.を殺す。 2:他の参加者に協力する。クーガーとの約束は守る。 3:全て終えてからルルーシュの後を追う。 [備考] ※病院にて情報交換をしました。 ※制限により、ギアスキャンセラーを使用すると疲労が増大します。他にも制限があるかも知れません。 ※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。 【狭間偉出夫@真・女神転生if...】 [装備]:斬鉄剣@ルパン三世 [所持品]:支給品一式×2、インスタントカメラ(数枚消費)@現実、真紅の下半身@ローゼンメイデン、空飛ぶホウキ@ヴィオラートのアトリエ、 Kフロストマント@真・女神転生if…、ブラフマーストラ@真・女神転生if…、鉈@ひぐらしのなく頃に [状態]:人間形態、疲労(中)、魔力消費(極大) [思考・行動] 0:殺し合いから他の者達と一緒に脱出する。 1:シャドームーンとの契約を遵守する。 2:翠星石を保護する。 [備考] ※参加時期はレイコ編ラストバトル中。 ※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。 ※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページのユーザ名はtakano、パスワードは123です。 またこれらを入手したことにより、以下の情報を手に入れました。 全参加者の詳細プロフィール 全参加者のこれまでの動向。 現時点での死者の一覧。 各参加者の世界観区分。 nのフィールドの詳細及び危険性。 「彼」が使用したギアスの一覧。 ※目的の欄を閲覧することはできませんでした。 【シャドームーン@仮面ライダーBLACK(実写)】 [装備] サタンサーベル@仮面ライダーBLACK [支給品] 支給品一式、不明支給品0~2(確認済み) [状態] 疲労(大)、ダメージ(極大)、全身に負傷、全身に火傷、右腕欠損、シャドーチャージャーに負傷 [思考・行動] 0:創世王を殺す。 1:創世王を殺した後、他の参加者を皆殺しにする。 2:狭間との契約は守る。 3:キングストーン(太陽の石)を回収する。 【備考】 ※本編50話途中からの参戦です。 ※殺し合いの主催者の裏に、創世王が居ると考えています。 ※会場の端には空間の歪みがあると考えています。 ※空間に干渉する能力が増大しました。 ※nのフィールドの入り口を開ける能力を得ました。 ※回復が始まっていません。回復するかどうかは後続の書き手に任せます。 ※バトルホッパーは近くに停まっています。 ※狭間偉出夫とシャドームーンは契約を交わしました。内容は以下の通りです。 シャドームーンは主催者を倒すまで他の参加者を殺害しない。(但し正当防衛の場合は例外とする) 狭間はシャドームーンの首輪を解除する。 狭間はシャドームーンが首輪を解除するまで護衛する。 シャドームーンは首輪を解除できれば他の参加者と協力して主催者と戦う。(シャドームーンは会場脱出や主催者の拠点へ侵攻する際は他の参加者と足並みを揃える) 主催者(の黒幕)の殺害はシャドームーンに一任する。 主催者を倒した後はシャドームーンと他に生き残った全ての参加者で決着を付ける。 主催者を倒すまでにシャドームーンが誰かに殺害された場合、狭間は必ずその報復を行う。 【翠星石@ローゼンメイデン(アニメ)】 [装備]庭師の如雨露@ローゼンメイデン、真紅と蒼星石と水銀燈のローザミスティカ@ローゼンメイデン、キングストーン(太陽の石)@仮面ライダーBLACK(実写) ローゼンメイデンの鞄@ローゼンメイデン、庭師の鋏@ローゼンメイデン [支給品]支給品一式(朝食分を消費)、真紅のステッキ@ローゼンメイデン、情報が記されたメモ、確認済支給品(0~1) [状態]首輪解除済み 気絶中 [思考・行動] 0:??? [備考] ※スイドリームが居ない事を疑問に思っています。 ※ローザミスティカを複数取り込んだことで、それぞれの姉妹の能力を会得しました。 ※キングストーンを取り込んだことで、能力が上がっています。 一枚のカードが宙を舞っていた。 主の下を離れ、自らの意志など無く、ただ風に運ばれるままカードが飛ぶ。 カードはやがて水面に着いた。 エリアにしてG-7。 既に禁止エリアと指定された場所の、南西の一角を流れる河川の水面にである。 寄る辺も無く、ただ無為に浮かび続けるカード。 誰ももう触れることすらなくなったはずのカード。 そのカードが何者かの手に捉まれた。 水中、ではなく“水面”から出現したその手は、 カードと共に水面へ消えて行った。 ◇ 壁一面が大量のモニターで埋め尽くされた、異様な部屋。 その中でも一際大きなモニターの前に置かれた座椅子。 その座椅子に座る長い髪を巻いた少年・V.V.は、ヘッドホンに耳を貸しながらほくそ笑んでいた。 モニターにはV.V.にとって旧知の女性・C.C.の沈んだ姿が、大写しになっている。 「フフフ……君もようやく気付いてくれたんだね。そう。君が人生を掛けて求めていた物が、既にその手中にあったんだよ。“死”がね」 自らの死の可能性に気付いたC.C.。 その姿にV.V.は喜びを禁じ得ない。 V.V.はC.C.を古くからよく知っている。死を望んでいたことも。 死の前に立たされた人々の姿は、大いにV.V.の興味を引いたが、 その中でもC.C.のそれは、V.V.にとって興味深い。 「C.C.、君は僕が嘘が嫌いだと知っていただろう? その僕が『君を殺し合いに参加させた』と言った以上、それは本当のことに決まっているよ。 君は殺し合うことが最初から可能だったんだ。もっと早く、そのことに気付くべきだったね」 C.C.の様子をモニター越しに観察し続けるV.V.。 その背後の壁に掛けてあった、大きな鏡から人形が姿を現す。 薔薇水晶の姿が。 「僕の指示通り、カードを回収してくれたんだね。ご苦労様」 V.V.は振り返りもせず、薔薇水晶に労いの言葉を掛ける。 V.V.が薔薇水晶に与えていた指示。 それは参加者の元を離れ、禁止エリアの水面に着いたため、 もう参加者の手に拠る回収は不可能と判断した、あるアドベントカードの回収である。 「翠星石は……構わなかったのですか?」 薔薇水晶は翠星石を放置した件を、V.V.に問い質す。 翠星石は確かに脱出条件を満たしていた。 しかし、何故V.V.が翠星石を放置するのか? それが判らない。 「薔薇水晶、君はあくまで案内役だ。脱出は、翠星石本人の意思によって選択されなければならない」 V.V.はようやく薔薇水晶の方へと振り向く。 V.V.からも薔薇水晶からも、何の感情も読み取れない。 「もし翠星石が眼を覚ましても、あくまで脱出するか否かは彼女自身の意思に任せることだ」 「……判りました」 再びV.V.はモニターに向き直る。 「回収したカードは……どうしますか?」 「……それは僕たちには使い道が無い物だ。使うことができる人に渡しておいてよ。脱出を果たした褒章としてね」 それきり振り返りもしないV.V.を置いて、薔薇水晶は鏡の中へ消えて行った。 V.V.はまた愉悦を含んだ笑みを、モニター越しのC.C.に向けた。 「C.C.。この殺し合いは、君への贈り物だと考えてくれて構わないよ。 でも僕に贈ることができるのは、選択肢だけ。死を選択するのは、あくまで君の決断だけだ。 君が自分に嘘をつかない決断をすることを祈っているよ」 ◇ 壁にコンピューターが幾つも並ぶ、無愛想な部屋。 各コンピューターに向かって白衣を着込んだ者たちが作業を行っている。 その背後に立ち、作業の様子を見守る二人の男。 一人は包帯を全身に巻いた着流しの男、志々雄真実。 志々雄はもう一人の男から、この部屋の説明を聞いていた。 「成る程。こんぴゅうたあってので、この施設や殺し合いを管理しているって訳か」 志々雄は元々知能が高い上、コンピューターについての基本的な知識を三村から得ていたため、 この部屋がコンピューターに拠る管制室であると言う説明を、すんなりと理解することができた。 「まあ、かく言う私もこんぴゅうたあを知ったのは、つい最近のことでしてねェ」 この部屋の説明をしたもう一人の男は、面長に小ぶりの眼鏡を掛けたいかにも神経質そうな男。 話では、男も志々雄同様に明治の人間だったらしい。 「それでも人を使って操れる立場となれば、実に愉快な物ですよ。 椅子に座って指示を出すだけで、殺し合いに興じている人たちの運命を左右することができるのですから」 しかし今や、支配者としての傲岸さを剥き出しにして、 コンピューターに向かって作業に励む者たちと、 そしてディスプレイに映る、殺し合いの参加者を睥睨している。 目前に在る全てを支配する男へ向かい、志々雄は薄く笑い掛ける。 「しかし……まさかあんたみたいなのが黒幕だったとはな――――武田観柳」 志々雄に黒幕と呼ばれた男、武田観柳もまた薄く笑った。 「冗談が過ぎますねェ。今の私はぶいつぅの下に付いているだけのものですよ」 「何だ……ただの使い走りとは、拍子抜けだな」 「これは手厳しいですねェ」 大袈裟に肩を竦める志々雄だが、本気で観柳が黒幕だと考えていた訳ではない。 観柳をからかっただけだ。 志々雄から見れば、観柳は小物に過ぎない。 少なくとも、これだけの規模の殺し合いを統括するだけの器量は無い人物だ。 実際、V.V.に勧誘された観柳は、現在この管制室の管理を任されているだけである。 そもそも明治の人間である観柳を、何故V.V.がコンピューターの管理者に据えたのかは不明。 V.V.ならば、もっと文明の進んだ世界からもっとコンピューターに通じた人材を幾らでも調達できたはずなのだ。 しかし志々雄には関係の無い話。 志々雄に重要なのは“自分にとって”利用価値が有るか否か、だ。 「しかし『今の私は』、ね。野心が隠しきれてないぜ」 「おっと、それは失言でした。どうか、ぶいつぅには内密に」 観柳と会話をしながら、志々雄は観柳が主催陣営の中でどれほどの立場にいるか、どれほどの情報を有しているか、 そして観柳自身がどんな人物かを探って行く。 どうやら観柳はV.V.の真意も知らされず働かされている、使い走りのような存在だ。 それでも観柳がV.V.に付いているのは、V.V.から与えられる未知の情報や技術に眼が眩んだからだろう。 それらを明治の時代に持って帰れば、富も権力も思いのままにできる。 即ち観柳は欲望で動く人間である。志々雄はそう踏んだ。 欲望で動く人間を信用はできない。しかし利用するのは簡単だ。 そして観柳もまた、志々雄を値踏みしているようだ。 おそらくその心中には、V.V.に取って代わる欲望が渦巻いているらしい。 野心家二人の水面下での探り合い。 しかし志々雄はそれを唐突に打ち切る。 観柳の口を手で制した志々雄は、ディスプレイに鋭い視線を向けた。 ディスプレイが突如として混色に濁り、中から人形が姿を現した。 狼狽する白衣の男を無視して、人形は志々雄の前に降り立つ。 「薔薇水晶、だったか? 俺に何のようだ?」 薔薇水晶は志々雄へ一枚のカードを差し出した。 「これを……脱出の褒章です」 「……ほう」 薔薇水晶から手渡されたカードを見て、志々雄は再び薄く笑みを浮かべる。 それは鳥の羽のような物が描かれたアドベントカード。 そこには、SURVIVE―烈火―と書かれてあった。 【一日目夜中/???】 【志々雄真実@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(漫画)】 [装備]:サバイバルナイフ@現実、ヒノカグツチ@真・女神転生if...、サバイブ(烈火)@仮面ライダー龍騎 [所持品]:支給品一式×3、リュウガのデッキ@仮面ライダー龍騎、確認済み支給品0~3(武器ではない)、林檎×8@DEATH NOTE、鉄の棒@寄生獣 マハブフストーン×4@真・女神転生if…、本を数冊(種類はお任せ)、工具@現実(現地調達)、首輪の残骸(銭形のもの)、首輪解除に関するメモ [状態]:各部に軽度の裂傷、疲労(小)、首輪解除済み [思考・行動] 1:ぶいつぅの掌の上にいる。(飽きるまで) 2:気が向いたらガリア王国のジョゼフを持て成す。 3:可能なら武田観柳を利用する。 [備考] ※クーガー、C.C.、真司らと情報交換をしました。ギアスとコードについて情報を得ました。 時系列順で読む Back 因果応報―薔薇乙女 翠星石が1体出た!― Next 第四回放送 投下順で読む Back 因果応報―薔薇乙女 翠星石が1体出た!― Next 第四回放送 160 因果応報―薔薇乙女 翠星石が1体出た!― ヴァン 162 永すぎた悲劇に結末を――Please hold on to small children. C.C. 上田次郎 翠星石 163 聖少女領域/贖罪か、断罪か シャドームーン 狭間偉出雄 北岡秀一 柊つかさ ジェレミア・ゴットバルト V.V. 161 第四回放送 薔薇水晶 154 世界を支配する者 志々雄真実 GAME START 武田観柳
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因果応報―終わりの始まり―(後編) ◆KKid85tGwY 龍騎とシャドームーンの戦っていた場所から、ちょうど陰になる所に建っていた小さな雑居ビル。 上田はその一階に身を隠していた。 元来臆病なこの男のこと、安全性の確保に余念が無い。 「ここなら、とりあえず大丈夫だろう…………翠星石が」 上田は翠星石を降ろし、床に横たえる。 無事を確認した。と言っても、あくまでそれは命に別状が無いことを確認しただけに過ぎない。 上田は医者では無いし、ましてや相手は人形。 異常があっても、上田には察知しようが無い。 「…………うぅ」 翠星石は意識が有るのか無いのかも定かにならない様子で呻いている。 そしてその手を伸ばし始めた。 最初はただうなされているだけと、気にも止めなかった上田だが、 やがて何かを求めての行動だと感付く。 翠星石は必死に上田の方へ手を伸ばす。 「……どうした? 何か欲しいのか? 握手か? サインか? それとも私と一緒に写真が撮りたいのか!?」 自分に何かを求められていると矢継ぎ早に質問する上田。 しかし翠星石の手は、上田自身ではなくその上着のポケットに伸びていた。 淡い光が漏れるポケットに。 「これは、石が自分で発光している……君はこれが欲しいのか?」 淡い光はポケットの中に入れていた石から放たれていた。 取り出したそれに翠星石が触れると、若干表情が和らいぐ。 「これはLさんからの餞別だが……女の子である君が持った方が似合うかもしれないな」 僅かに名残惜しそうにした上田だったが、やがて観念して石を翠星石に手渡す。 それを抱きしめるようにうずくまった翠星石は、静かな寝息を上げ始めた。 翠星石の様子を見て安心した上田は、龍騎とシャドームーンの様子を伺いに向かった。 (…………あったけーですぅ) 残された翠星石は、混濁する意識の中で愛おしそうに石を抱き続ける。 石から伝わるぬ温もりは、陽光のような安堵感を翠星石に与えている。 そしてその温もりが、少しづつだが翠星石の体内に取り込まれて行く。 まるでローザミスティカのごとく。 (…………力が……力が溢れてくるです…………) 石を取り込み、自身の内側に経験したことも無いような力が漲る翠星石。 翠星石の中に在った四個のローザミスティカも、その力に呼応する。 まるで共鳴するように呼応する五つの輝石。 世界を異として出会うはずの無かった二種の賢者の石がここに邂逅する。 ◇ 『SWORD VENT』 電子音声と共に龍騎の右手に光の粒子が流れ込む。 原子構造から形成されるは白刃の長剣。 対するシャドームーンも紅刃を構える。 シャドームーンの白銀の装甲には無数の傷が付いており、中から生々しい焼け跡まで見える。 戦いは終始、能力で勝る龍騎の優勢で進んでいた。 それでも、龍騎には次第に焦りが募っていた。 どれほどのダメージを与えても、未だシャドームーンの動きに衰えが見えない。 そのため決定打を打てないのだ。 凄まじいまでの耐久力と持久力。 対する今の龍騎は、自分にも変身時間に制限が有るのかどうかすら定かでは無い。 そして変身が解ければ、今度こそ最後だ。 負ける気がしないはずの戦いに、再び暗雲が立ち込めていた。 亜音速で一足飛びに間合いを詰める龍騎。 そして超音速の白刃を振り下ろす。 しかしシャドームーンの紅刃に受け止められた。 いかに超音速でも龍騎の戦闘は既に何度もマイティアイで解析している。 その太刀筋は予測可能。 しかし次の変化には、予測が追いついても身体は追いつかない。 跳ね上げる白刃は一閃の元、シルバーガードを通り抜ける。 その威力を受けて仰け反るシャドームーン。 一拍を置いて、シルバーガードが火花を上げて切り裂かれた。 『まだだ!! もっと深く切り裂け!!!』 龍騎は更に白刃を振り下ろす。 そして停止する。 白刃を振る龍騎の身体ごと、その運動が停止した。 シャドームーンの手から伸びるシャドービーム。 無数に枝分かれするそれが、龍騎の全身を捕捉。 その動きを止めていた。 シャドームーンの構える紅刃に対し、防御も回避も術が無い。 『STRIKE VENT』 しかし今の龍騎は両手を使わなくとも、アドベントカードを使用可能。 ベントインと共、龍騎の右腕にドラグクローが装着される。 同時に右腕を捕捉していたシャドービームからも解き放たれた。 龍騎は自由になった右腕を前方に繰り出す。 そして龍騎の背後に現出したドラグレッダーも、その動きに沿って飛翔。 口中から火炎放射を放つ。 仮面ライダー龍騎 正義武装・ストライクベント<真・昇竜突破> 再び火炎にその全身が呑み込まれるシャドームーン。 その火炎から光を纏った両足が飛び出した。 両足を揃えて放つその技こそ、シャドームーン最大最強の攻撃・シャドーキック。 キングストーンのエネルギーに二つのレッグトリガーに拠る超振動を加えた威力は、 火炎の濁流を突き破り、ドラグレッダーを襲う。 シャドーキックはドラグレッダーの肩にあたる装甲を破壊。 一瞬にして装甲を破壊されたドラグレッダーは、 ちょうどオフセット衝突を起こした乗用車のごとく、錐揉み回転を起こして横転。 意識を失うドラグレッダー。しかし命はある。 シャドーキックを受けて命があったのは、その打点がずれていたため。 シャドーキックの照準は別に在る。 火炎放射もドラグレッダーも突き抜け、シャドーキックは龍騎本体に襲い掛かった。 今度こそ真っ向からぶつかり合う、ドラグクローとシャドーキック。 耳を劈くような破裂音が轟く。 シャドーキックの直撃を受けたドラグクローは粉々に砕け散る。 そしてシャドーキックの威力は龍騎自身にも到達。 踏ん張ることもできず背中からアスファルトを滑る龍騎。 衝撃と痛みが全身を駆け巡る。 意識を保つのにも、苦痛が伴う。 それでも全身から湧き出る力が、再び龍騎を立ち上がらせた。 まるで劉鳳に支えられているかのように。 しかし龍騎には、僅かにも安堵に浸る時間は与えられない。 シャドームーンが指先を向けている。 『避けろ!!』 シャドービームが掠めながら、横に転がる龍騎。 シャドービームの被弾は回避できた。 はずの龍騎が、呻くような声を上げて右手を押さえる。 「フッ、なるほど。変身はしても、所詮は人間と言うことか」 今度はシャドームーンが一足飛びに龍騎との間合いを詰めて来る。 それを見据えながら反応が遅れる龍騎。 サタンサーベルが翻り、幾筋も紅い閃きが走る。 それらを紙一重で避けていく龍騎。 今の龍騎は動体視力に反応速度まで強化されている。 しかし龍騎は回避に専念。と言うより回避することがやっとと言った状態だ。 まるで衰えを見せないシャドームーンの攻勢に押される龍騎。 背中がぶつかる。 ぶつかったのは民家の壁。 龍騎は気づかぬ内に地理的に追い詰められていた。 シャドームーンが斜めからサタンサーベルを切り下ろす。 龍騎が遅れて左腕に在る手甲、ドラグバイザーを打ち出した。 しかしサタンサーベルは曲線軌道を描き、ドラグバイザーは直線軌道を取る。 後れを取ることなく、ドラグバイザーがサタンサーベルの鍔を受け止めた。 即座に左脚で回し蹴りを放つシャドームーン。 「ぐわああああぁぁっ!!!」 龍騎の苦悶の叫びが木霊する。 蹴りを右腕に受けた龍騎は、アスファルトを滑っていった。 それでも荒い息を吐き、右腕を押さえながら立ち上がる。 命の限りに戦うだけの覚悟は有る。 しかし覚悟で、痛みその物を打ち消すことができる訳ではない。 そして折れた骨も。 「やはり右腕を骨折しているな」 どこまでも冷徹に響くシャドームーンの声。 吐息にも苦悶の色が混じる龍騎。 龍騎の進化はシャドームーンをも上回る物だった。 しかし真司自身はどこまでも生身の人間なのだ。 自らに残った最後の力を振り絞る龍騎。 傲然と見下ろすのは、その心身までも世紀王と化したシャドームーン。 それでも立ち向かうことができるのは、今の龍騎に二人の力と意思が込められているからだ。 『まだ戦えるな、真司』 「……ああ。まだ戦えるぜ、劉鳳」 『悪は処断しなくてはならない』 「みんなを、守らないとな」 『「そう思うだろう!? お前も!!!』」 命を搾り出すような雄叫びを上げる龍騎。 命の温度すら感じさせぬ佇まいで屹立するシャドームーン。 同時に地を蹴る龍騎とシャドームーン。 交差する龍騎の拳足とシャドームーンのサタンサーベル。 龍騎の蹴りが、シャドームーンのシルバーガードを抉る。 怯むことなく攻め立てるシャドームーン。 シャドームーンのサタンサーベルが、龍騎の胸の装甲を切り裂く。 臆することなく攻め立てる龍騎。 痛みも恐れも超え、傷付き消耗しながらも、幾度となく続く攻防。 変化は何の前触れもなく訪れた。 シャドームーンがシャドーチャージャーから直接シャドービームを放つ。 もっともその攻撃は龍騎の予想範囲内。 シャドーチャージャーから光が漏れた時点で、龍騎は運動能力の優位を駆使して、 シャドームーンの正面から回避して側面に回りこんでいた。 しかしシャドービームの標的は、龍騎ではない。 シャドービームは地面に龍騎が立っていた地面に着弾。 キングストーンから生成したエネルギーが地面に炸裂して、爆発を起こす。 空気が全方位へ急激に膨張して衝撃波と化す。 アスファルトが一瞬にして原形も留めず破壊。破片が炸裂弾と化して周囲に撒き散らされた。 龍騎の全身に衝撃波とアスファルトが叩きつけられる。 衝撃波によってシャドームーンの身体が浮き上がる。 (……違う! シャドームーンは自分で飛んでいるんだ!!) 空中で旋回して龍騎の頭上まで飛び上がるシャドームーン。 その挙動からシャドームーンは衝撃波を受ける前に跳躍していると悟った。 しかしそれを悟った時には、既に龍騎の体勢は衝撃波とアスファルトによって崩れていた。 反応が間に合わない。 レッグトリガーの超振動が込められたシャドームーンの蹴りが、龍騎の頭部に直撃する。 揺れる龍騎の頭部。 酩酊する視界。 龍騎は自分の状態も判らない蒙昧状態に陥った。 膝から崩れ両手を地面につくこともできず倒れこむ龍騎を見下ろすシャドームーン。 先ほどの蹴りはキングストーンのエネルギーをチャージすることが間に合わなかったが、 それでも龍騎に充分なダメージを与えることができた。 そしてキングストーンのエネルギーのチャージが完了する。 今の龍騎ならば確実に殺すことができるエネルギーが。 『立て、真司!!!』 劉鳳の叱咤が飛ぶが、龍騎は立ち上がることができない。 見下ろすシャドームーンはサタンサーベルを振り上げる。 ラプラスを殺した時のようにエネルギーをサタンサーベルに送り込まれたのだ。 世紀王に歯向かった愚者を処断するために。 サタンサーベルの紅い刀身にキングストーンの光が宿る。 閃光が走った。 振り返るシャドームーン。 そこにはドラグレッダーが居た。 ドラグレッダーの肩の装甲から伸びる触手。 それを閃光のごとく飛ばし、サタンサーベルを握るシャドームーンの腕に巻き付いていた。 ドラグレッダーは絶影と融合を果たした。 それは劉鳳のアルターとなったことと同義である。 アルターなのだから、それは劉鳳の意思に拠っても動くことが可能。 ドラグレッダーはもう一本の触手も伸ばす。 シャドームーンの両腕、両脚、胴体と全身のあらゆる部位を巻き込んで拘束していった。 『今だ真司!! 立て!!!』 「…………う、うぅ……」 『お前にはまだ残っているはずだ!! 切り札が!!!』 「……う、うおおおおおおおおおおおお!!!」 劉鳳の叱咤が龍騎の意識に届く。 そして龍騎はアドベントカードをベントインした。 最強にして、おそらく最後の切り札を。 『FINAL VENT』 龍騎の背中から双翼のごとき炎が上がる。 炎に押された龍騎は天高く舞い上がった。 そして龍騎に向かい周囲の道路、建物を問わずあらゆる雑物が光の粒子に還元されて集まっていく。 光の粒子は超高密度の紅焔と化し、龍騎の周囲に旋回。 紅焔は、龍騎の足先に収束される流れを形作っていく。 そして双翼のごとき炎を背後に噴射。 伸ばした足先から目標へ向けて突貫して行く。 それこそ仮面ライダー龍騎が、そしてかの仮面ライダーブラックが、 最も多くの敵を打倒した必殺技・ライダーキック。 『ドラゴン!!!』 「ライダー!!!」 『「キイイイイイイイイイイイイイイィィィィィィィッッック!!!!!!』」 仮面ライダー龍騎 正義武装・ファイナルベント<真・ドラゴンライダーキック> ライダーキックの目標はシャドームーン。 シャドームーンは全身を余す所無く触手によって拘束されている。 ライダーキックから逃れる術は無い。 「世紀王を……舐めるな!」 シャドームーンに残った右肘のエルボートリガー。 そこから超振動を発生させる。 超振動は右腕を覆っていた触手を瞬時に破砕。 自由を取り戻す右腕。 そこにチャージしていたキングストーンのエネルギーを送り込む。 キングストーンのエネルギーによって翠色の輝きを放つ右拳を打ち出した。 キングストーンのエネルギーとエルボートリガーの超振動の威力を加えた拳撃・シャドーパンチ。 目標は仮面ライダー龍騎。 仮面ライダー龍騎 正義武装の最大出力とキングストーンのエネルギーが衝突。 した瞬間、光が世界を覆う。 衝突に拠って発生した光が天を、地を、掛け値なく景色の全てを埋め尽くしたのだ。 遅れて発生する轟音。 どころではなく、大気全体が止め処なく震える。 世界の終末か、開闢の光景。 遠巻きに戦いを眺めていたヴァンも、C.C.も、上田も揃って、 そんな突飛も無い連想をする。 余りにも異常な状況だった。 それでも自分たちに直接の被害が来ないことには、すぐに気付く。 問題はこの状況の発生源に居たシャドームーンと龍騎である。 大気は震撼することを止まない。 それは事態が収束していないことを物語っていた。 ヴァンとC.C.と上田は開けない光の中で、ただ事態の収束を待つ。 「『「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」』」 異常の発生点。 ライダーキックとシャドーパンチの衝突点に、 大気の震えを越える、三つの雄叫びが木霊する。 龍騎と劉鳳、そしてシャドームーンまでもが咆哮を上げる。 三つの気迫に押されながら、ライダーキックとシャドーパンチは拮抗していた。 自身の膨大なエネルギーが、そのまま反動となって二人に返って行く。 反動が衝撃となって、龍騎の全身を絶え間なく襲う。 「うおおおおおおっ!!!!」 耐え難い苦痛が叫びとなって龍騎の口から漏れる。 それでも揺らぎそうな身体を周囲の炎と装甲が支える。 劉鳳の力が支えていた。 その龍騎の装甲も、軋みを上げ続ける。 「!!!?」 音として存在した軋みは、やがて実体としての傷となって現れた。 そして小さな傷は亀裂として広がり始めた。 如何に仮面ライダーの装甲でも、実体としての金属物質であることに変わりは無い。 一度傷を負えば、この衝撃にはそう長くは耐えられない。 『ダメージは俺が全て引き受ける。だからお前は防御の心配をするな!』 「…………劉鳳、お前だってこのままじゃ……」 『敵を倒すことだけを考えろ!! 後少しで、奴を貫ける!!!』 定まらない視界の中、眼を凝らしてシャドームーンの様子を見る。 白銀の装甲に覆われた世紀王の姿を。 その装甲にも、亀裂が入っていた。 世界を変貌させるような異常の只中にあっても、 シャドームーンはあくまでも世紀王として、絶対の闘志を以って臨む。 シルバーガードが軋みを上げて亀裂が入ろうと揺るがない。 世紀王は人工的に改造された筋肉と骨格、そして王者の輝石・キングストーンが有る。 対する仮面ライダーは外部装甲を破壊すれば、中身はただの人間。 ゴルゴムの技術の粋を集めて改造され、数万年以上を生きることができる世紀王とは歴然とした差異が存在する。 シャドーパンチは傷を負いながらも、確実にライダーキックを押し始めた。 龍騎の亀裂は徐々に、しかし確実に広がって行く。 足先だけだった物が脚部を上っていき、そして下腹部に到達する。 仮面ライダーの根幹たるカードデッキへと。 「デッキが!!!」 『気を取られるな!!』 ミラーモンスターとの契約から成る仮面ライダーは、カードデッキが破壊されれば変身が不可能となる。 そしてそれはドラグレッダーも、そして劉鳳の終わりも意味する。 しかし劉鳳の声に微塵の惑いも存在しない。 『翠星石を守るのなら! 誰も死なせたくないのなら!! それがお前の正義なら!!! 最後の最後まで貫き通せ!!!! 背負った命を無駄な物にしたくないのなら、お前の信念を貫き通せ!!!!』 遂に亀裂がカードデッキを侵す。 表面を覆う金属の一部が欠けて落ちる。 そしてアドベントカードの一枚が、震撼する大気に呑まれ飛び去って行った。 真司は悟る。 ここに来ては、もう龍騎のカードデッキは助からない。 それは劉鳳も判っているのだろう。 それでも劉鳳は真司を激励する。 自らの最後を知りながら。 ならばその意思から、逃げるわけには行かない。 「……劉鳳、貫くのは俺の信念じゃない…………俺とお前の信念だ!!!」 『ならば行くぞ!! 真司!!!』 「ああ、行くぜ劉鳳!!!」 『「貫けええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!』」 龍騎の装甲が音を立てて砕けていく。 しかし、それをマイティアイで見据えるシャドームーンを驚愕が襲う。 崩れる装甲と反比例するように、龍騎が纏う紅焔が勢いを増して行った。 龍騎が纏う紅焔はアルター能力によって形成された物。 そのアルターはドラグレッダーと融合を果たした劉鳳の魂が持つ能力。 そしてカードデッキで変身する仮面ライダーとは、契約者に契約したモンスターの力が付加されることによって成立する。 云わば契約者とミラーモンスターが、半ば融合を果たしている。それが仮面ライダーの能力の所以。 今、劉鳳と真司の魂が完全に重なったことにより、 その魂の力も二人分の物となった。 二つの魂が生み出す紅蓮の炎を纏った龍騎のライダーキック。 その威力はキングストーンのエネルギーを乗り越える。 シャドームーンの拳が拉げるように破砕。 右腕を覆うシルバーガードが砕け散っていく。 更に露出した人工筋肉が弾け飛び、人工骨格が粉砕する。 そしてライダーキックはシャドームーンの胴体に到達。 シャドームーンの胴体装甲が遂に粉砕して、そして内部の人工筋肉が紅蓮の炎に焼かれる。 龍騎のライダーキックはシャドーパンチにも、シャドームーンの耐久力にも遂に打ち勝った。 常に冷徹な威厳に満ちていたシャドームーンの、断末魔のごとき叫びが上がる。 それは世紀王の敗北を意味していた。 紅蓮の炎に巻かれながら、魔王は姿は消えて行った。 (勝ったな……) 『よくやったな真司。お前と最後に戦えたことを誇りに思う』 最早しゃべる力も残っていない真司。 龍騎の装甲は粉々に砕け散った。 そしてカードデッキも。 劉鳳も、空中に投げ出された真司も、もう助からないだろう。 全てを出し切って、そして劉鳳と共に戦いシャドームーンに打ち勝った。 真司は満足げな笑みを浮かべる。 『さらばだ真司。だが翠星石には、まだお前が必要だ』 「…………劉鳳?」 『これをお前の最後の戦いにするわけにはいかない』 劉鳳の声が消え入るように小さくなっていく。 そして光の粒子が真司を包み込んだ。 「…………どうなったんだ?」 誰に言うでもなく、ヴァンが呟く。 光が晴れ、大気の震えが収まったが、 辺り一面に粉塵が舞い散り、視界を塞いでいる。 特に龍騎とシャドームーンが居た地点が酷かった。 異常な熱気は伝わってくるが、状況は全く把握できない。 「誰か倒れているな」 C.C.の視線の先には確かに、粉塵の向こうに倒れ付している人影が在った。 やがて粉塵が晴れて、横にはねるような茶髪が現れる。 城戸真司が姿を現したのだ。 ヴァンとC.C.は共にダメージの抜けない身体を引きずって、真司の所へ向かう。 真司の名を呼びながら、ヴァンはその身体を揺さぶる。 やがて真司はおもむろに眼を開けた。 「…………俺……生きて…………」 意識を取り戻した真司は、未だ曖昧な記憶を手繰る。 劉鳳の最後の言葉。 そしてアルター能力が自分を救ったことを。 「そうか…………最後の最後まで、劉鳳に助けられたんだ…………」 真司は手に在ったカードデッキを見る。 傷だらけのカードデッキは、その瞬間崩れ落ちる。 もう龍騎に変身することはできない。 真司は心中でドラグレッダーと劉鳳に別れを告げる。 長きに渡り共に戦って来た契約者と、 同じ信念を共有した戦友に。 「シャドームーンはどうした?」 「……倒した」 C.C.の問いに端的に答える。 ヴァンはあからさまに安堵の表情を浮かべるが、C.C.の心境は複雑だった。 C.C.の問題は、まだ何一つ解決していないのだから。 それでもシャドームーンを倒せた達成感はある。 「……やられっぱなしで終わらなかった訳か」 「……ああ、俺たちが勝ったんだ…………」 「その通りだ。どんな強大な敵も、我々の勇気と団結の前には一たまりも無い。もっとも、あの程度の相手なら私一人で充分だったかな」 真司もヴァンもC.C.も上田も強大な敵を倒した感慨に浸る。 特に己の尽力でシャドームーンを打ち破ったと言う思いの強い上田は、感慨も一入だ。 しかし感慨に浸る上田の頭が三節棍で殴られる。 上田は自分を殴ったC.C.に食って掛かる。 「何をする!!?」 「一人で逃げ出そうとしただけの奴が、突然現れて偉そうに仕切るな。それに翠星石はどうした?」 「突然ではない! さっきから出るタイミングを見計らっていたんだ! 翠星石は向こうのビルに休ませている。 それに一人で逃げ出そうとした“だけ”とはなんだ!! 如雨露を拾ったのも、翠星石を運んだのも私なんだぞ!!」 「如雨露を拾ったのは私だ」 「そんな小さな功績を、一々自慢するんじゃない!!」 「それはこっちの台詞だ。でかいだけの童て……」 「さあ!!! 私の功績を称えるのはこの位にして、早く翠星石を迎えに行こう! あんまり一人にしておく訳にもいかないからな!!」 C.C.と口論をしていた上田は、突然出発を促し始める。 まるで何か重大な危機に迫られたような、焦りようだった。 高笑いからも上田の焦りが伝わって来る。 その上田の高笑いが、突然止まる。 そして直立した体勢のまま、横倒しになる上田。 上田を襲った突然の異変に、真司もヴァンもC.C.ですら当惑する。 状況を振り返ると、どうやら上田はC.C.の背後を見て気絶したようだった。 カシャ ――――足音が聞こえる 「……見事だったぞ。本当に見事だった…………」 カシャ ――――恐怖をもたらす足音が 「この世紀王が押し負けるとは……受けに回っていたら、死んでいたな」 カシャ ――――魔王の足音が 「…………しかし最後に生き残るのは、世界を制するのはゴルゴムの王なのだ」 カシャ 真司、ヴァン、C.C.の三人が振り返った先にそれは居た。 右腕から肩に掛けるまで欠損し、 全身のいたる所で装甲が剥がれ落ちて筋肉が露出し、 その身を焼く炎がまだいたる所から上がり、 それでも尚、サタンサーベルと揺ぎ無き王者の威風を携えて、 シャドームーンが粉塵より姿を現した。 龍騎のライダーキックはシャドーパンチにも、シャドームーンの耐久力にも確かに打ち勝った。 しかしシャドーパンチが龍騎のライダーキックをある程度相殺していたのも事実。 そしてシャドームーンはその身体の全てを改造された世紀王。 同じ世紀王との戦いや数万年以上の生を想定され、ゴルゴムの技術の粋を集めて改造されたシャドームーンは、 人間とは生存条件が、生命力が根本的に違うのだ。 龍騎のライダーキックは、シャドーパンチもシャドームーンの耐久力も貫いて尚、シャドームーンの命には届かなかった。 「…………そん……な」 劉鳳とドラグレッダーを犠牲にしながら、シャドームーンを仕留めきることはできなかった。 憤りに駆られながら、立ち上がろうとする真司。 しかし、今度こそ本当に動く力は残っていない。 真司は忸怩たる思いで、シャドームーンに向かって構えるヴァンとC.C.を見守った。 薄刃乃太刀の重さに震える手で構えを取るヴァン。 ダメージは深刻。ナイトへの変身は不可能。 シャドームーンも深手を負っているが、不利は否めないだろう。 「…………ミラーモンスター……」 真司が消え入りそうな声で助言をする。 ヴァンはそれに習い、カードデッキから引き抜いたアドベントカードを薄刃に映す。 蝙蝠型のミラーモンスター・ダークウイングが現出。 闇の双翼を広げ、ダークウイングが上方から滑空するようにシャドームーンへ襲い掛かる。 更に薄刃を地を這うように奔らせて、シャドームーンへ襲い掛かる。 シャドームーンが光に呑み込まれる。 光はダークウイングと薄刃も呑み込んだ。 キングストーンの光が。 ダークウイングの85キログラムの質量が、呆気なく吹き飛ばされる。 薄刃もまた先端が融解しながら吹き飛んだ。 シャドービームの脅威は未だ衰えていない。 その脅威はヴァンにまで届く。 ヴァンが衝撃波に眼を奪われた一瞬の内に、シャドームーンは姿を消していた。 しかし即座にシャドームーンの接近を察知。 シャドームーンの胴を目掛け薄刃を、まるで硬刃のごとく横薙ぎに振るう。 シャドームーンの片手で操るサタンサーベルに容易く受け止められた。 その太刀合わせだけでヴァンは、シャドームーンのダメージが深いこと、 そして、それでも絶対的な力量差が存在することを悟る。 シャドームーンに体重ごと弾かれるヴァン。 無防備になったヴァンの腹に、シャドームーンの蹴りが入る。 鳩尾に入ったシャドームーンの足先から、ヴァンの全身に衝撃が広がる。 肋骨が粉砕して、内臓から出血しながら、 ヴァンは地面を転がっていった。 口中から濁った血を吐き出すヴァン。 手足が重過ぎて、動かすことも叶わない。 自分の身体を含め、ヴァンは全ての武器を失った。 見上げるヴァンと見下ろすシャドームーン。 その間に翠の髪をたなびかせて、C.C.が割り込んだ。 「私の用をさっさと済ませろ」 C.C.には当然、戦う意思など無い。 勝算が無いことなど判り切っているし、元より生き残るつもりなど無いのだから。 だから、ここに来たら早くシャドームーンに殺されたかった。 ヴァンたちが殺される様など見せ付けられたくは無かった。 しかしシャドームーンはC.C.に手を掛けようとはしない。 C.C.の姿に感じていた違和感。 その正体に気付いたからだ。 「……首輪はどうした?」 「……何?」 「何故、貴様には首輪が嵌っていない!?」 C.C.の艶かしい首には嵌っているべき金属の輪が存在しなかった。 シャドームーンをはじめ、この地に存在する全ての者が殺し合いを強制させられている理由。 それは爆弾が仕込まれた首輪に他ならない。 従って例外無く全ての参加者が首輪をしているはずなのだ。 シャドームーンとて例外では無い。 そうでなければ、世紀王が直々に人間を殺して回るような真似をするはずが無いのだ。 しかし目前のC.C.は世紀王をすら差し置いて、その例外と成り得ている。 シャドームーンはC.C.の襟首を掴んで、乱暴に引き寄せた。 「貴様、首輪をどうやって外した!?」 C.C.は、自分を問い詰めるシャドームーンを見て薄く笑った。 自分の生殺与奪の権を握っているはずのシャドームーンが慌てた様子が、純粋に可笑しかった。 「……なんだ……世紀王だのご大層に名乗っていた癖に、そんなことも知らないのか?」 「やはり“外した”のだな!? 外す方法があるのだな!」 シャドームーンの推測通り、C.C.は嵌っていた首輪を解除したのだ。 世紀王ですら解除できない首輪を、である。 その回復力から、C.C.は普通の人間ではないのだろう。 しかしC.C.が如何なる存在であろうと関係無い。 ゴルゴムの王が他の存在に後れを取るなど、あってはならない。 「首輪を外す方法を言え。運が良ければ生き残れるかも知れんぞ」 シャドームーンの脅しを聞き、C.C.は笑みを浮かべる。 死にたい者を殺すと脅すシャドームーンが、ますます道化染みて見えたのだ。 「……フフッ、殺すと脅せば言うことを聞くとでも誰でも思ったのか。短絡的だな」 「…………面白い。ならば望み通りに殺してやる。よく見ておくといい。仲間がどんな殺され方をするのかな」 「!! お前……!」 一転、C.C.に動揺が生まれる。 シャドームーンは瞬時にして、C.C.の両足を軽く蹴る。 C.C.の両足から、折れた骨が飛び出した。 痛みに呻くC.C.の両腕をサタンサーベルの刀身が通り抜ける。 腱はおろか骨まで切断された。 抵抗する間も無く両手足を使えなくされたC.C.。 シャドームーンは痛みに呻くC.C.を、頭を掴んで引き摺る。 そしてヴァンの下へ連れて来られた。 シャドームーンに髪の毛を引っ張り上げられたC.C.は見上げるヴァンの視線と合う。 そのヴァンの眼に、サタンサーベルの切っ先が向けられた。 「楽には殺さん。まずは右目からだ」 シャドームーンは器用にもサタンサーベルの剣先でヴァンの眼球を突く。 このまま首輪の解除方法を教えなければヴァンが何をされるか、火を見るより明らかだ。 取り返しの付かない傷を負わせるつもりなのだ。 得難い苦痛を以って。 「どちらでも構わん、首輪の解除方法を言え」 シャドームーンの声は、何処までも冷たくC.C.とヴァンに圧し掛かる。 首輪の解除方法をシャドームーンに教えることに、実はリスク等ほとんど存在しない。 シャドームーンはとっくに殺し合いに乗っているのだから。 しかしC.C.はこれ以上、シャドームーンに何かを奪われたくは無かった。 明確な理由など無い。 死を望む人間が、この期に及んでヴァンを犠牲にして下らない意地を張ろうとしている。 自分はつくづく魔女なのだと、C.C.は自嘲する。 「……首輪の外し方なら聞いたぞ」 しかし意外にもヴァン自身がシャドームーンに答える。 「覚えてないけどな…………ぐわあああああっ!!!」 サタンサーベルの先端が、ヴァンの眼球に突き刺さる。 水晶体が突き破られて、中から白い粘液が零れた。 反射的に瞼を閉じるが、眼球の中まで入り込んだ剣に阻まれて閉じることができない。 真紅の剣先はそこから捩れるように眼球の中を掻き回していく。 視覚器官である眼球は神経が張り巡らされている。 眼窩の中で眼球と神経が、逃げ場なく押し潰されていった。 耐え難い苦痛がヴァンの口から漏れる。 眼球が焼かれるような激烈な痛み。 血の混じった白い粘液が、ヴァンの眼窩から泡だって零れた。 眼窩の中をあれだけ傷付けられては、もうヴァンの右眼は医学的な処置でも治らないだろう。 それは特に医学的知識の無い、C.C.が見ても明らかだった。 殺し合いが始まって以来、自分を守っていたヴァンが、 耐え難い苦痛と共に取り返しの付かない傷を負わせられている。 しかしC.C.はそこから目を反らさない。 まるでそれが自分の罪過に対する罰であるかのように。 傍らに居るC.C.もそれほどの苦痛を感じていた。 「次は左目だ。よく考えるのだな。果たして仲間の光を永遠に奪ってまで、伏せておく価値が有る情報かを」 ヴァンの右目から抜いたサタンサーベルを、今度は左目に押し当てるシャドームーン。 両目を失えば、ヴァンは完全に失明する。 押し黙っていたC.C.は、徐に口を開いた。 「…………結局、全員を殺すつもりなのだろう? お前は」 無意味な意地を通す。 しかしその声に覇気は無い。 V.V.は得体の知れない怪物に変貌して、 ルルーシュは死に、 ヴァンはこれほどの惨劇に追いやられ、 そしてC.C.も望んでいた死を間も無く迎えるだろう。 これがC.C.の望みが叶った結果なのだ。 これがC.C.の選択と行動の結果なのだ。 あるいは魔女に相応しい結末と言えるかもしれない。 そう思うと何もかもを投げ出したかった。 「……フッ、女に感謝するんだな。そいつが首輪の解除方法を言わなかったお陰で、貴様は世紀王を相手に下らない意地を張り通せる。 それを精々誇るが良い。……永遠に明けない闇の中でな」 ヴァンを見下ろして、嘲るように語るシャドームーン。 左目に掛かっていたサタンサーベルを強く押す。 サタンサーベルは刀身を横から衝撃波で押されたため、ヴァンの頭から逸れて行く。 衝撃の余波を受けて、憔悴していたヴァンは遂に意識を失って倒れた。 シャドームーンとC.C.は揃って衝撃波が飛んできた方向を見る。 そこには上下とも白い学生服に身を包んだ男が居た。 かつて人の身でありながら魔界を支配した魔神皇にして、 今、殺戮劇の主催者に人として反逆する魔人皇、 狭間偉出夫がそこに居たのだ。 【仮面ライダー龍騎&ドラグレッダー 破壊】 時系列順で読む Back 因果応報―終わりの始まり―(中編) Next 因果応報―世紀王 シャドームーンが1体出た!― 投下順で読む Back 因果応報―終わりの始まり―(中編) Next 因果応報―世紀王 シャドームーンが1体出た!― 160 因果応報―終わりの始まり―(中編) ヴァン 160 因果応報―世紀王 シャドームーンが1体出た!― C.C. 城戸真司 翠星石 上田次郎 シャドームーン 159 ひぐらしのなく頃に 狭間偉出夫
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因果応報―終わりの始まり―(中編) ◆KKid85tGwY 「だから翠星石は退がってろって!」 「イヤです!!」 確かに翠星石はその能力からして接近戦より、距離を置いての戦闘の方が得意としている。 しかし翠星石の能力は植物にしろ、薔薇の花弁にしろ、黒羽にしろ、 そのほとんどが手元から放出して、敵に向かって行くタイプの攻撃なのだ。 従って敵と距離を取るほど、隙が大きくなり対処もされ易くなる。 何より翠星石は先刻から龍騎とナイトの戦いを遠巻きから眺めているだけの状態が続いていたのだ。 翠星石にとってこれほど焦燥に駆られる状態は無かった。 翠星石は薔薇の花弁と黒羽を今度は重ねるように飛ばす。 植物はシャドービームで燃やされて通用しなかったが、花弁も羽も分散した物の群体。 個々を燃やされてもほとんど影響は無いし、一挙に燃やされると言う心配も無い。 問題は正に一撃一撃が軽いこと。 至近距離から収束して撃った薔薇の花弁と黒羽は、正確にシャドームーンの頭部へ命中。 しかし、やはりシャドームーンに傷を付けることができない。 それでも打ち付けられ続ける花弁と羽。 シャドームーンを傷付けることは叶わず、只纏わり付いていく。 その羽から突如として蒼い炎が上がった。 水銀燈の持っていた発火能力で、翠星石が上げた物である。 羽だけでなく花弁にも引火した炎は、シャドームーンの頭部全体を覆っていく。 「いーひっひっひ! いい様ですね、銀色オバケ」 頭部を炎に巻かれた状態では、見ることも聞くこともできない。 そう確信した翠星石は、 高笑いを上げながら更に接近していく。 シャドームーンの足下へと。 そしてシャドームーンの足下へ如雨露を伸ばした。 これでシャドームーンの直下から植物を育てれば、その動きまでも封じることができる。 甲高い音を上げて宙を舞う如雨露。 如雨露はシャドームーンによって蹴り飛ばされた。 「なっ!!? お前見えてないんじゃ……ぐっ!!」 見えないはずのシャドームーンが、翠星石の頭を鷲掴みにする。 シャドームーンのマイティアイは広視界と透視能力を持っている。 炎に巻かれても翠星石を見失うことは無かった。 シャドームーンの握力によって軋むような音と呻き声のような悲鳴を上げる翠星石。 「は、放せ!! 放しやがれですっ!! お前だけは、お前だけは捨て置けねーんですぅ……」 翠星石の怒り、と言うより悲痛さの篭った叫び。 龍騎の眼にも、C.C.の眼にも、上田の眼にも、 シャドームーンへ向ける翠星石の感情は尋常の物では無いことは明白だった。 姉妹を殺された怒り、と言うだけに尽きないそれは誰の眼にも異常に映っていた。 「翠星石!!!」 しかし龍騎にとっては翠星石が直接危機に見舞われている事実の方が重要なことだ。 起き上がり様にシャドームーンへ切り掛かる龍騎。 その龍騎の視界の中で翠星石が、シャドームーンを覆い隠すほど急激に巨大化。 シャドームーンが翠星石を投げつけて来たのだ。 それに気付いた龍騎は、慌てて眼前で翠星石を受け止める。 翠星石は苦しそうに呻いているが、無事らしいことを確認する。 その龍騎の腹に鋭く、それでいて重い衝撃が襲う。 翠星石を退かして自分の腹を見ると、シャドームーンの蹴りが入っていた。 今度は龍騎がくぐもった声を漏らして膝を折る。 蹲った龍騎の後頭部を見下ろすシャドームーンは、サタンサーベルを振り上げる。 振り下ろされたサタンサーベルが大きく鉄火を鳴らした。 横薙ぎに打ち込まれて来たナイトのダークブレードを受け止めたためだ。 4000APの斬撃は、シャドームーンが片手で持ったサタンサーベルに阻まれる。 太刀合わせになるダークブレードとサタンサーベル。 刃こぼれを起こすことも無く火花を散らす二本の剣は、そのまま鍔迫り合いに移行。 最初は拮抗していた物の、シャドームーンがサタンサーベルを両手で持ち直したことで、 ナイトが押されて行った。 不意にナイトが体捌きの要領で、ダークブレードを外す。 サタンサーベルで押して来ていたシャドームーンを往なすためだ。 目論見通り、当たり所を失ったサタンサーベルが流れて行く。 そして再び横薙ぎに変化したダークブレードでシャドームーンに切り掛かる。 ダークブレードはシャドームーンから急速に離脱。 握っていたナイトが後ろへ吹っ飛んだのだ。 シャドームーンの蹴りによって。 かつて仮面ライダーブラックがライダーキックを最大の決め技としたように、 世紀王は格闘戦において、蹴り技こそ最も威力を発揮する。 ましてシャドームーンはレッグトリガーを装備している。 溜めもエネルギーチャージも無い単純な回し蹴りですら、その威力は破格。 「合わせろヴァン!!」 既に装甲の粒子化が始まった龍騎の声が響く。 アドベントカードをかざす龍騎を見て、ナイトが頷く。 同時に龍騎と、既に手馴れた様子となったナイトが、アドベントカードをベントイン。 『『SHOOT VENT』』 龍騎のドラグバイザーツバイから放たれたレーザーが、シャドームーンの背後から照準を合わせる。 ナイトのダークバイザーツバイの弓が展開してボウガンを形成。周囲から光エネルギーを吸収。 ドラグランザーがレーザーの射線に沿ってシャドームーンへ向かって飛び、うねりを上げながら超高熱火炎弾を連続発射。 ダークバイザーツバイで極限まで収束された光エネルギーは、矢を形成して連続発射される。 4000APを誇る連続超高熱火炎弾『メテオバレット』の標的はシャドームーンの背中。 3000APを誇る連続光弾『ダークアロー』の標的はシャドームーンの正面。 同時に着弾。 埒外の高密度エネルギー体が衝突事故を起こし、 大地を震わすほどの轟音を響かせ、凄まじい爆風と炎熱を撒き散らす。 しかしその場に居る誰も、爆心地に居たシャドームーンを倒せたとは思っていない。 龍騎とナイトが空を見上げる。 視線の先には天高く跳躍していたシャドームーンが居た。 その跳躍力を活かし、爆発を回避していた。 そしてそこまでは予想通り。 空高くを舞うシャドームーンは敵の次の手を探るため、龍騎とナイトの動きをマイティアイで解析する。 龍騎。には動きが見られない。 しかし龍騎の身体から放物線状に何かが落ちていた。 よく見ると龍騎の身体から、では無い。 龍騎がその手に未だ抱いていた翠星石。 その手に持った如雨露から水が放物線を描いて地面に落ちていた。 そこから植物が急速に成長をし出す。 「フッ、同じ手を何度も」 翠星石の育てた植物は、既に何度も破っている攻撃手段。 例え空中であろうと幾らでも対処できる―― 『NASTY VENT』 ――そう考えていたシャドームーンの耳に、既に聞きなれた電子音声が届いた。 ナイトを見ればカードを装填の終えているらしい。 そしてビルの窓ガラスから、青い翼を広げた怪鳥が姿を現す。 仮面ライダーナイトサバイブの契約モンスター・ダークレイダー。 (これは、公園であの青いライダーが使った……!!?) 突如、シャドームーンの耳に異常な金切り音を上げ、視界が歪む。 突発的な異常事態。 原因は知っている。 ダークレイダーが放つ超音波が、シャドームーンに影響を与えているのだ。 かつて公園の戦いでナイトが使っていたナスティベント、超音波攻撃『ソニックブレイカー』。 公園の戦いでは耐えることができた。 しかしナイトがサバイブとなった今、ソニックブレイカーの威力は倍化。 改造を受けたシャドームーンの感覚器官と言えど、耐え切ることはできなかった。 景色が酩酊し、意識が集中できない。 酩酊する景色が、緑色に塗り潰される。 そして更に衝撃が走り、緑色は茶色に塗り潰された。 「……ざ、ざまーみやがれですぅ…………」 龍騎の腕の中で、ようやく一心地ついた翠星石は呟く。 シャドームーンは空中を飛行ではなく跳躍をしている。 従って空中で超音波攻撃を受ければ、翠星石が育てた植物に対して対処のしようも無い。 蹴り飛ばされていた如雨露は、傍らに駆けつけていた上田とC.C.が拾っていた。 そして成長させた植物を曲げて、捕捉したままシャドームーンを地面に叩き付ける。 後を龍騎に任せるために。 「……後は頼んだですから、しっかり決めやがれですよ真っ赤っか人間…………」 「ああ、良くやったな翠星石。後はここで見ていてくれ。俺が、いや……」 龍騎は翠星石を上田とC.C.に預ける。 そしてアドベントカードをベントインした。 「……俺たちがシャドームーンを倒す所を」 切り札中の切り札となるアドベントカードを。 『FINAL VENT』 龍騎に隣り合うように降りて来たドラグランザーが、その姿を龍の物から二輪の単車の物に変形させる。 バイクモードとなったドラグランザーへ龍騎が跨り、勢い良くアクセルを回す。 急発進するドラグランザー。 目標は、シャドームーン。繰り出す攻撃は、 仮面ライダー龍騎サバイブ・ファイナルベント<ドラゴンファイヤーストーム> シャドームーンは超音波と植物、二重の戒めによって身動きが取れない。 勢い良く走るドラグランザーの頭=前輪が持ち上がりウィリー走行に移行。 ドラグランザーの頭から超高熱火炎弾の連続発射。 超高熱火炎弾の連発でダメージを与え、ドラグランザーの車体で撥ねて止めを刺す。 それが9000APの攻撃力を誇る仮面ライダー龍騎サバイブ最大最強の攻撃――ドラゴンファイヤーストーム。 7000°Cの火炎弾が植物もシャドームーンも容赦なく焼いていく。 舞い上がる炎熱は植物を瞬時に焼き尽くし、尚も発散する熱はダークレイダーをも寄せ付けない。 炎熱は超音波と植物と言う二重の戒め、両方からシャドームーンを解き放った。 しかしもう遅い。と龍騎は確信している。 既に超高熱火炎弾の連発を受けたシャドームーンでは、大きく回避することは不可能。 多少身をかわそうとしても、龍騎の技術ならばドラグランザーで追尾して当てることができる。 そして防御に回っても、9000APを誇るドラゴンファイヤーストームの威力は防ぎ切れない。 しかし戒めから解き放たれたシャドームーンの行動は回避の物ではない。 起き上がり様その場で飛び上がり、空中で旋回。 そして両足を揃え、ドラグランザーへ向けて蹴りを放った。 このタイミングで回避でも防御でもなく迎撃を選択して実行できる。 やはりシャドームーンの戦闘センス、何より揺ぎ無き闘志は尋常ではない。 しかも両足からは、キングストーンのエネルギーが余りの高密度ゆえ、強烈な光となって放たれている。 足にエネルギーを収束させて放つ技は、龍騎は覚えのある物だった あの技はまるで―――― 「ライダーキック!!?」 「シャドーキック!!!」 それはライダーキックではなくそれと対を為すシャドームーンの必殺技。 シャドームーン最大最強の攻撃――シャドーキック。 ドラゴンファイヤーストームとシャドーキックが正面衝突。 必殺技vs必殺技。 最大最強vs最大最強。 仮面ライダー龍騎と数多のモンスターを捕食して力を得たドラグランザーの全エネルギーを一転集中させた突貫攻撃を、 シャドームーンのキングストーンと二つのレッグトリガーの超振動を合わせたエネルギーを込めたキックで迎え撃つ。 派生した衝撃が大気を、大地を震わせる。 更に衝撃は近場のビルの窓ガラスを一斉に割り、 遠巻きに避難していた上田やC.C.や翠星石にまで届いた。 龍騎とシャドームーンはやがて爆発するような光に包まれた。 やがて衝撃と轟音が止み、静寂が訪れる。 遅れたタイミングで聞こえた、民家の倒壊する音が間抜けに響く。 衝突の結果は―――― 「――――ぐはっ!」 翠星石たちの前で、空中から龍騎が墜落してくる。 そして龍騎の姿が鏡のごとくに割れ、真司が現れる。 変身のタイムリミットを過ぎたのだ。 真司は呻くように血を吐く。 明らかにダメージが大きい。 むしろ、必殺技同士で相殺し合ったために危うく命を拾った。そんな風情だった。 「真司!! しっかりするですぅ!!!」 翠星石が真司の下に飛び寄る。 真司は立ち上がることもできないようだが、どうやらの命には別状が無いらしい。 その瞬間、倒壊した民家から崩れるような音がする。 音のする方を見ると、銀色の影が立ち上がった。 「ぶ、無事だったんですか……あの銀色オバケ」 必殺技の打ち合いを制したのはシャドームーン。 ダメージはあるようだが、自力で立ち上がる様子から、 真司よりダメージが少ないことは明らかであった。 しかしまだ勝負は終わっていない。 「ま、まだこれからだ……」 切り札中の切り札は、もう一枚存在するのだから。 『FINAL VENT』 シャドームーンに照射される青い光線。 途端、シャドームーンの動きが一切停止する。 光線の発射元には、青いバイクに跨ったナイトが居た。 いかにシャドームーンでも、ドラゴンファイヤーストームを迎撃すれば、相応の消耗は免れない。 そうなれば動きも鈍るはずだと予想できた。 そしてその隙を突いてナイトが使用したのが、ファイナルベントのアドベントカード。 ナイトが跨っているのは、バイクモードに変形したダークレイダー。 先ほどシャドームーンの動きを止めたのは、ダークレイダーの機首から発射した拘束ビーム。 それによって敵を拘束して、ダークレイダーで突貫する。 その威力と、何より回避不能性ゆえの正に必殺技。 仮面ライダーナイトサバイブ・ファイナルベント<疾風断> 指一本動かすことができないシャドームーンへ向かって、ダークレイダーを走らせるナイト。 ナイトから伸びたマントがダークレイダーを覆い、全体を一発の弾丸へと変形させる。 8000APの攻撃力を誇る、仮面ライダーナイトサバイブ最大最強の弾丸へと。 その弾丸は、今度こそ回避も防御も迎撃も不可能。 龍騎とナイトの誤算は、シャドームーンにも切り札が存在したこと。 世界の条理を超え、不可能をも可能にする切り札。 世界を支配する王の輝石・キングストーン。 シャドーチャージャーから光が放たれる。 自身を脅かす如何なる特殊能力も無効化するキングストーンの光が。 「シャドーフラッシュ!!」 あらゆる動きを封じられたはずのシャドームーンの声が聞こえる。 同時にシャドームーンが跳躍。ダークレイダーの上を飛び越える。 そして着地と同時にダークレイダーへ向けてシャドービームを発射。 着弾と共に、爆発に包まれるダークレイダー。 爆煙が晴れると、そこには倒れ伏すナイトが居た。 それでも重そうな身体を起こすナイトだが、その装甲は粒子となって空中に溶け始める。 「……フッ、褒めておいてやる。それに値する強さだったぞ。人間にしてはな。 せいぜい誇るが良い。次期創世王に全力を出させて敗北したことを…………あの世でな」 シャドームーンの言葉に反論する者は居なかった。 ファイナルベントは二つとも破られ、 龍騎の変身は解け、 ナイトの変身時間は後僅か、 勝敗が決まったことは誰の眼にも明らかだった。 「ばんなそかな!」 「……どうやら、勝負がついたらしいな」 ナイトのファイナルベントが破られたのを見て上田は驚愕を、C.C.は諦念を込めた声を漏らした。 上田は震えながら、おたおたと取り乱す。 「…………い、今からでも逃げた方が良いだろうか?」 「逃げてどうする? お前は首輪を嵌めているんだ。ここで逃げても結果は同じだ」 やはり落ち着いた調子で答えるC.C.。 C.C.個人にとっては、ある意味何の問題も無い状況だとは言える。 シャドームーンやV.V.に意趣返しができなかったことは残念だが、それも些細なことだ。 彼女の本来の目的を考えれば。 「そ、そうか!! 君は首輪を外しているんだったな……………………ずるいぞ一人だけ!」 「翠星石と志々雄の三人で、だ。それに私は逃げるつもりは無い」 「WHY!? 何故だ?」 「お前のような臆病な役立たずと一緒にされたくないからな」 C.C.は既に首輪を外しているので、禁止エリアに逃げることも可能だ。 しかしC.C.はこの場でシャドームーンに戦いを挑むことを選択する。 無論、勝算は無い。おそらく傷一つ付けることは叶わないだろう。 しかしC.C.が殺される心配も無い。 C.C.は不死のコード所有者なのだから。 「C.C.……………………君も震えてるぞ」 C.C.は上田の視線の先、自分の手元を見る。 三節棍を握っていたそれは、確かに震えていた。 寒さではない。この状況で武者震いを起こすほど物好きでもない。 恐怖による物としか考えられなかった。 しかし何に恐怖しているのかが判らない。 不死者であるC.C.には、シャドームーンですら恐れる所以は無いはずだ。 「ふん、偉そうなことを言っておいて自分も怖がってるんじゃないか」 「怖がる? 死なない者が何を恐れられると言うんだ……」 まるで自分に言い聞かせるようなC.C.の言葉。 実際に上田へ返答をしているわけではない。 判るはずもないのだ。そうでない者に、不老不死のまま生き続ける重さなど。 憎む人も、優しくしてくれた人も、全て時の流れの中に消えていき、 そもそも自分が人間だったのかすら判らなくなり、 果てることの無い時の流れの中で、遂に自分の死を望むようになった者の想いなど。 「何だそれは? 君は不老不死にでもなったと言うのか?」 「なりたくもなかったがな……」 「馬鹿馬鹿しい! 言うに事欠いて不老不死だと? そんな物は物理的考えても、生物学的に考えても……」 上田はこの期に及んでも不老不死が受け入れられないのか、長々とそれが何故不可能であるかの講釈を垂れている。 C.C.はそれを聞き流しながら、自分の思索に耽っていた。 しかし上田の次の台詞を聞き流すことはできなかった。 「……第一、詳細名簿が有ると言うことは君が不死身だということをV.V.も知っているはずじゃないか。 そんな人間を、何故殺し合いに参加させる?」 全ての思索が吹き飛ぶほどの衝撃がC.C.を襲う。 不死者が殺し合いに参加させられている。 それは疑問を持って当然の状況だった。 それでもC.C.は今この時、上田に指摘されるまで疑問にすら思わなかった。 しかし振り返って考えて見れば、V.V.はC.C.の不死を良く知っている者である。 本当に殺し合いをさせる気で参加させているのなら、C.C.に対して何らかの対策をしていると考えて当然。 そして回復力が落ちているなど、実際に自分の不死に対して何らかの対策が為されている兆候も見られた。 それなのに“死ぬことができる”という可能性に、今の今まで気付きもしなかった。 自らの不死は余りに当然のことで、 自らの死を諦めることが余りに当然のことであったゆえに。 あるいはその可能性に、本当は気付いていたのかもしれない。 ならばシャドームーンとの戦いに臨むのにも、大袈裟な決意が必要だった説明が付く。 そしてこの身体の震えにも。 無意識や本能とでも呼ぶべき、とにかく顕在意識に上がらない領域では死の可能性に気付いたとすれば。 もし仮に死ぬことができるとすれば、それは自分の悲願を達成することができるということ。 V.V.との経緯も、ルルーシュとの経緯も、全て自分が死ぬための物だった。 それほど焦がれた死に、ようやく到達することができる。 例え身体が恐怖に震えようが、死を得られる喜びが勝る。 そのはずなのだ。 C.C.は震える身体でゆっくりとシャドームーンへ向けて歩き始めた。 ◇ ファイナルベントが破られ、満身創痍となったナイト。 元々、石田散薬で治療したとはいえ、負傷の多い身だった。 変身状態は未だに維持しているとはいえ、限界は近い。 そして傍らで共に戦っていた龍騎も居ない。 ただ一人でシャドームーンと対峙するナイトは、それでも真っ向から立ち向かって行く。 龍騎と共に戦っていた時はアドベントカードや連携を駆使したが、今はただ真っ向から、 一点の曇りもなく、勝利のために。 勇者なのか、それとも愚者なのかすら定かでは無い。 ただそれがナイト――ヴァンと言う男の本来の在り方だった。 ダークバイザーツバイでシャドームーンに切り掛かるナイト。 明らかに動きが重くなっている。 ダークバイザーツバイをサタンサーベルで弾き飛ばすシャドームーン。 ナイトは身体ごと弾き飛ばされる。 「最早勝算を失ったことも判らないとは。どこまでも愚劣な人間だな」 「はぁはぁ……そんな台詞は勝ってから言え!! バカ王が!!」 「……その上、世紀王の名を愚弄したのだ。後悔させねばな」 「じゃあ、ただのバカで良いな!! バーカ! バーカ!」 やはりただの愚者かもしれない。 そう思わせるほど幼稚な挑発をするナイト。 今度はシャドームーンがサタンサーベルで切り掛かる。 ダークバイザーツバイで受けるナイト。 鍔迫り合い、にすら成らず、一合で弾き飛ばされるダークバイザーツバイ。 無防備となったナイトへ降りるサタンサーベル。 それを止めたのは、シャドームーンの腕に絡みついた薔薇の花弁。 薔薇の花弁は一繋ぎの鞭のごとく、翠星石の腕から伸びていた。 翠星石も未だ勝負を捨ててはいなかった。 「フッ、まだ居たのか」 シャドームーンは捕まれた腕を力づくで振るう。 薔薇の花弁を伸ばしていた翠星石の方が軽々と引き寄せられた。 「ひ、引っ張るんじゃね……ぐっ!」 「! 翠星石いぃぃぃぃぃぃっ!!!!」 眼を剥いて、息を呑む翠星石。 真司の絶叫が木霊する。 しかしその叫びに反応する者は居ない。 誰もが皆、翠星石の姿を見ていた さながら百舌のはや贄のごとく、サタンサーベルに胴体を貫かれた翠星石の姿を。 必ず守ると誓った少女だった。 劉鳳に、何より自分に。 しかし真司の誓いは無残にも踏み躙られた。 胴体を串刺しにされた女。 それはエレナとは似ても似つかぬ人形。 しかしヴァンにとって、胴体を貫かれた翠星石の姿は、 あの日、カギ爪の男に奪われた花嫁と重なった。 満身創痍だったはずの真司は、叫びながらシャドームーンへ向かって行く。 そこへ先刻と同じく、シャドームーンがサタンサーベルを軽く振って翠星石の身体を投げつける。 変身もしていない真司にそれを受け止める力は残っていない。 懐に飛び込んできた翠星石の勢いに負けて、地面を転がった。 「チェストオォォォォ!!」 ナイトが気勢を上げて掛かって行く。 先ほどまでの動きの重さは無い。 それでもダークバイザーツバイはシャドームーンのサタンサーベルに止められた。 シャドームーンはどこまでも揺ぎ無き王者として君臨し続ける。 「気に入らねぇな!! 女を殺して王様気取りか!!」 「何者であろうと、ゴルゴムに歯向かう者は生を許されん」 シャドームーンと鍔迫り合いのまま舌戦をするナイト。 次の瞬間、ナイトは眩い光に包まれる。 光と共に全身を襲う衝撃。 (この光は……あいつのビームか!?) 生身のまま大型車に撥ねられたような衝撃の中、ナイトは自分を襲った光がシャドービームであると知る。 シャドームーンは片手でナイトと鍔迫り合いをしていたため、もう片方の手でビームを放つことができたのだ。 「ヴァン!!!」 光に呑み込まれるナイトを見て、C.C.はらしからぬ悲痛な叫びを上げる。 ナイトは光から後ろ飛びの体勢で飛び出して来た。 空中でナイトの姿が、鏡が割れるように散開する。 そしてヴァンが姿を現した。 ヴァンの着地点に先回りしたC.C.は、その身体を受け止める。 ヴァンの状態は医学に疎いC.C.から見ても正に満身創痍。 手足をただ動かすのですら、痛みでままならない様子だった。 「うっ……お前、こんな所で何をやっているんだ!?」 「変身も解けたお前では、戦闘も任せては置けんな」 「護衛される奴が護衛と前に出てどうするんだ! さっさと逃げろ!!」 ヴァンはこの期に及んでもピザで結んだ契約を命懸けで守るつもりらしい。 一度こうだと決めたことは、どうあってもやり抜こうとする。 どこまでも愚直なのがヴァンと言う男なのだ。 不意に強烈な閃光が走る。 シャドームーンの指先から放たれたシャドービーム。 その閃光はC.C.の顔面、を横切っていく。 後方で着弾。爆発。 爆発の傍らでは、上田が空中を舞っていた。 どうやら上田は一人で逃げ出そうとしていたらしい。 あの男もどこまでも上田らしくある人間だった。 そしてシャドームーンもまた、どこまでも絶対の王者として君臨し続ける。 C.C.たちに絶対の死を齎す者として。 C.C.は想う。 私はシャドームーンとの戦いによって、長い人生において何よりも望み焦がれた死を手に入れるとしよう。 そして私を護衛すると言ったヴァンもまた、私と運命を共にする。 それはとてもとても甘美な夢。 本当に夢のように素晴らしい人生の最後だろう。 しかし今日出会ったばかりのヴァンは、私が死を望んでいることすら知らない。 そんな人間をピザを理由に死出の道連れにするのは、さすがに冗談が過ぎる。 まして死を望む者の夢の道連れに――――。 「ヴァン」 「なんだ?」 「お前がピザの分は働いたことを認めてやる。護衛は……もういい」 C.C.はヴァンに契約の破棄を言い渡しす。 今更遅すぎたかも知れないが、この愚直な男をピザの契約で自殺志願者と心中した道化にするよりマシだろう。 そしてヴァンを置いて歩き出す。 シャドームーンへ向かって。 「馬鹿野朗!!! 死にたいのか!!」 「かもな」 満身創痍で最早動くこともままならないヴァンは、地面に横たわりながらC.C.の背中に向けて声を張り上げる。 それに背中を向けたまま、どこか投げやりな調子で返答するC.C.。 「フッ、あの時虚仮脅しで時間稼ぎをした女か」 「安心しろ……もう虚仮脅しは使わん」 無防備に近付いて来るC.C.を見て、シャドームーンは奇妙な違和感を覚える。 その言動ではなく姿に。 その姿に何かが足りないような、奇妙な欠落感だった。 しかしすぐに気を取り直す。 今から殺す人間の姿に気を取られても仕方ない。 サタンサーベルを振り被るシャドームーン。 ついにC.C.に望んでいた死が訪れる。 不思議と喜びは無かった。 恐怖はあったが、それも些細なことだ。 ただ最も強く明確に在ったのは孤独感だった。 (死とは寂しい物だな……) しかし最早どうしようもない。 この途方も無い孤独感を抱えて、全ての繋がりを亡くす。 それが死と言う物なのだろう。 振り下ろされるサタンサーベルを見て、C.C.はそう覚悟する。 サタンサーベルが止まるまでは。 「……まだ性懲りも無い真似をするとはな」 サタンサーベルを弾いたのは黒羽。 シャドームーンが向いた先では、翠星石が震えながらも立ち上がっていた。 翠星石は人間ではなく人形。その生命は内蔵に依存しない。 胴体が欠けていた水銀燈が生きていたように、胴体を剣が貫通したとは言え致命傷になるとは限らないのだ。 そしてローゼンメイデンにとって生命とは、ローザミスティカに由来している。 ローザミスティカ四個を有する翠星石は、それだけの生命力を持っている。 「もう止めろ! 逃げるんだ翠星石……」 傍らでは未だ地に伏せている真司が、翠星石に逃げるよう促している。 もう龍騎もナイトも無い以上、翠星石が一人で立ち向かった所で戦力差は明らか。 そもそもまだ生きて活動しているとは言え、立ち上がることも覚束無い様子から翠星石の受けたダメージが大きいことも明白である。 勝算が無いことは翠星石も承知しているはずだ。 「いや……ですぅ…………もう、もうこれ以上翠星石だけ逃げるなんて…………」 しかし翠星石は退かない。 あくまでシャドームーンに立ち向かって行く。 苦悶も露な表情には、しかしそれ以上に鬼気迫るほどの決意が現れていた。 「翠星石、逃げろ…………」 「……………………みんな、みんな死んじゃったじゃねぇですか…………真紅も……蒼星石も…………翠星石の知らない所で…………」 「止せ翠星石!! 私を助ける必要は無い!」 危機が迫っているC.C.自身も翠星石を制止する。 それでも翠星石は止まらない。 「…………これで、真司まで居なくなったら……翠星石は…………もう、一人だけ逃げるなんて嫌ですぅ……」 シャドームーンとの戦いが始まって以来、真司には翠星石の様子がずっと疑問となっていた。 明らかにシャドームーンを恐れていた翠星石が何故、何度も無謀な攻撃を仕掛けていたのか? 翠星石が戦いを好まないのは、真司でも充分に察することができた。 しかしシャドームーンとの戦いで見せた異様な戦意。 その常軌を逸した翠星石の様子が、真司には疑問だったのだ。 それでもここに来て、真司はようやく翠星石を誤解していたことに。 翠星石は敬愛する父ローゼンがアリスを望んでいることを知りながらアリスゲームを、姉妹で戦うことを否定していた。 それは闇雲に戦いを“恐怖”していたのではなく、純粋に戦いを“嫌悪”していた。 姉妹同士が傷付け合い、命を奪い合う。 幾ら父の望みでも、それだけは許容できない。 翠星石はそれほど親しい者が傷付くことを嫌っていた。 しかし殺し合いは、掛け替えの無い姉妹を翠星石から奪っていった。 大丈夫なはずが無かった。 たった一日の内の出来事なのだ。 劉鳳が目の前で死んだのも。 真紅の死を知ったのも。 蒼星石の無残な遺体を見るのも。 水銀燈が目の前で殺されたのも。 真司の前では気丈に振舞っている、と言うことではない。 真司が傍らに居たから、それでもここまで精神の安定を保てていたのだ。 だからこそ、また親しい者が死ぬことを何より恐れるし、 姉妹を傷つけて尚も血を求めるシャドームーンが許せない。 翠星石は一度シャドームーンに敗北している。 シャドームーンへの恐怖は強い。 しかしシャドームーンから逃げ出して、自分の預かり知らない所で誰かが犠牲になる方がより恐ろしかった。 ましてや殺し合いの中で、傍らに居て自分を支えてくれた真司を失うことは。 自分が戦いの中で犠牲になった方がマシだと思えるほどに。 真司はずっと傍らに居ながら、翠星石がそこまで追い詰められていることに気付かなかった。 それに気付いていれば、翠星石への対応も違っていたかも知れなかった。 そして無謀な真似をさせずに済んだかも知れない。 「…………くっそ……立てよ! 今立たないでどうすんだよ!!」 自分を叱咤する真司。 これ以上、後悔があってはならない。 真司は渾身の力を込めて立ち上がり、膝から崩れ落ちた。 どれだけ自分を奮い立たせても、肉体には限界がある。 サバイブでの戦闘。それによるダメージは真司をこれ以上なく蝕んでいた。 遠ざかる翠星石の背中。 その向こうから、シャドームーンが近付いていた。 「…………おめーなんぞに……誰も、殺させな…………」 「では心残りの無いよう、お前から殺してやる」 「止めろ! 私が……っ!!!」 食って掛かるC.C.を、シャドームーンが見向きもせず殴り飛ばす。 木っ端のごとく容易く吹き飛ぶC.C.。 誰もシャドームーンの暴虐を止められない。 ただ、翠星石に確実な死が迫るのを見ているしかない。 真司も倒れ伏したまま、誓いの破れる時が来るのを待つ。 そこに聞き覚えのある声が届いた。 『――――また、目を背けるのか!?』 翠星石が後ろに倒れる。 シャドームーンと翠星石の間に白い人形が現出。二人の間に立ちはだかっていた。 翠星石はそれを知っている。 絶影と呼ばれる自立可動型アルターであることを。 「絶……影……?」 「フッ、あの時の人形か」 前触れもなく出現した絶影にも、シャドームーンは動揺することは無い。 それの発生源を知っているからだ。 「あいつが、作り出した能力なのだろう?」 マイティアイで真司を見据えるシャドームーン。 シャドームーンは以前にも絶影と戦闘したことがある。 その時の状況から、絶影の発生が真司に由来する物だと知っていた。 (ごめん、もうこれ以上は無理だよ……) 真司は胸中で声に対して謝罪のをする。 誓いを果たせなかったことを。 誓いをした相手に。 『――――謝罪など意味が無い! 翠星石を守ると決めたのなら、最後まで立ち上がって戦え!!』 (……もう、本当に立ち上がる力も残っていないんだ) 『力ならまだ残っている。俺から受け継いだ力が』 (…………劉鳳?) 『俺とお前の、二つで一つにして――――唯一無二の力を』 シャドームーンは真司へ向けてシャドービームを放つ。 絶影の防御も間に合わない速度。 その威力なら一撃で真司も、その手に在るカードデッキも破壊できる。 『GURAD VENT』 聞こえるはずの無い電子音声。 次の瞬間、シャドービームが着弾。 爆発が真司を包む。 煙の向こうから現れたのが、銀色の盾を構える真司の姿だった。 (俺……立つことができる……?) 自分の足下から、不思議な力が沸き起こってくるのを感じ取る真司。 見れば自分の足が装甲で覆われている。 龍騎と良く似た、しかし差異のある装甲。 「これは…………劉鳳、お前の……?」 『そうだ。俺とお前の力だ』 「俺は…………まだ戦う力が残っていたんだな」 『そうだ。この力で』 「ああ、この力で」 「『変身」』 手に在るカードデッキから、光る粒子が真司へ伸びて行く。 その粒子こそ、原子構造から物質に干渉・変換を起こすアルター能力発動のサインである。 カードデッキの中に在るアドベントカードに契約によって、内包されているドラグレッダー。 更にその中に眠っている劉鳳の魂。そこに込められたアルター能力が発動したのだ。 アルター能力には自律行動型や装着型など様々なタイプが存在する。 劉鳳のアルター・絶影もまた進化することによって、その形態を変化させていった。 アドベントカードとアルター能力の融合。 それは制限をも超え、更なる進化を遂げた変身をもたらした。 アルターは真司の全身を覆い、装甲を形作っていく。 赤と白が入り混じった鋭角的なデザインの装甲。 それはかつてない力を真司にもたらす。 無双龍の化身が、今再び顕現したのだ。 仮面ライダー龍騎 正義武装。 「連続して変身ができたとはな。もっとも、満身創痍の人間が仮面ライダーに変身したところで……!!」 意表を衝かれ、シャドームーンの言葉が途切れる。 龍騎はそれほどの速さで、シャドームーンとの距離を詰めて翠星石との間に割って入る。 そしてその勢いで顔面を殴り付けられたシャドームーン。 シャドームーンは頭部から崩れるように、後ろへ踏鞴を踏んだ。 (なんだ今の速さと力は!?) 「…………し、真司と……劉鳳…………ですか?」 翠星石は龍騎へ向けて、二人の名前を呼び掛ける。 殺し合いが始まって以来、自分を見守り続けてくれていた二人を。 龍騎は翠星石の方へ振り向いて答える。 二人の声で。 「約束しただろう翠星石」 『後は安心してそこで見ていろ』 「『――――俺たちがシャドームーンを倒す所を!!」』 未だシャドームーンは健在であるにも関わらず、二人の声を聞いて奇妙なほど安堵を覚える翠星石。 緊張の糸が切れた翠星石は、意識を手放した。 龍騎はシャドームーンへ向き直る。 その時にはシャドームーンの左拳が迫っていた。 龍騎もまた、左拳を打ち出す。 空中で正面衝突する左拳と左拳。 甲高い金属音が鳴り響く中、後ろへ弾かれたのは、 シャドームーンの拳だった。 シャドームーンはすかさず反動を使って、右の拳を打ち出す。 今度はエルボートリガーの超振動も加算した威力。 しかしこれも龍騎の右拳と正面衝突。 エルボートリガーの威力ごと後ろへ弾かれる、シャドームーンの右拳。 「馬鹿な!! 人間の変身した仮面ライダーが――――」 シャドームーンの体勢が整わない内に、龍騎の左拳が腹部にめり込んだ。 シャドームーンの金属装甲が悲鳴を上げる。 「――――世紀王を上回ったと言うのか!!?」 龍騎はその場で跳躍し、体重の乗せた蹴りをシャドームーンの顔面へ叩き込む。 シャドームーンの身体ごとが宙を舞う。 龍騎の、先ほどまでの消耗とダメージが嘘のような身体の軽さ。 以前の龍騎――特にサバイブは――変身者の体力を消耗して、その能力を発揮していた。 しかし正義武装となった今は、変身者である真司に消耗がほとんど無い。 それどころか装着している龍騎が、ダメージを受けた真司を支えているような感覚が在った。 今までの仮面ライダーには無い進化を、龍騎は迎えていた。 「……しないな」 『ああ、しない』 「『負ける気がしない!」』 「図に乗るな!」 空中で体勢を立て直していたシャドームーンは両足で難無く着地する。 そしてシャドーチャージャーのエネルギーをチャージ。 更に指先にエネルギーを送り込む。 それがシャドービームの発射態勢であることは、既に把握している。 龍騎の下腹部に在るカードデッキから光の粒子が左腕のドラグバイザーへ向かって行く。 光の粒子はドラグバイザー内でカードを形作る。 新しい龍騎はその手を使わずとも、ベントインが可能となっていた。 『AD VENT』 突如、絶影の身体に皹が入り、そこから光が漏れる。 皹は絶影の全身を覆い、やがて表面部分が内側から崩れ飛んだ。 光と共に中から現出したのは龍。にして絶影。 赤い龍が絶影のごとき装甲を身に付けている。 絶影と融合した新たなるドラグレッダーの姿である。 『剛なる右拳・伏龍!!』 ドラグレッダーから伸びる触手。先には拳が付いている。 その触手から発生する閃光。そして大気を切り裂く衝撃波(インパルス)。 遅れて放たれるシャドービーム。 シャドービームは、シャドームーンの指先同様、照準が龍騎から外れていた。 龍騎を逸れたシャドービームは、あらぬ方向へ消えて行く。 ドラグレッダーが打ち出した拳に、シャドームーンの手が弾かれていた。 『剛なる左拳・臥龍!!』 ドラグレッダーの拳は一対。もう一つ存在する。 続けてもう一つの拳が銃弾のごとき速度で打ち出される。シャドームーンの頭部へ向けて。 シャドームーンは横っ飛びにそれを回避。 音速を超える拳も、マイティアイならば捕捉は可能。 体勢を立て直した時には、シャドービームのチャージを完了させていた。 再び放たれるシャドービーム。 照準はドラグレッダー。 今度の衝撃波(インパルス)は、ドラグレッダーから発せられた。 大気が渦を巻き、シャドービームがその向こうに消えて行く。 そして耳を劈く咆哮。 咆哮の元は上空。 シャドームーンの直上にドラグレッダーが居た。 ドラグレッダーそれ自体もまた、絶影のごとき高速運動が可能となっていた。 『油断をするな! 容赦もするな! 徹底的にやれ!!』 「よっしゃー!!!」 ドラグレッダーは空中でその巨体をくねらせながら、口中から膨大な量の火炎を放つ。 セルシウス度にして7000°Cの熱量はドラグランザーのそれと変わらない。 しかしドラグランザーのそれはあくまで単発の火炎弾。 今のドラグレッダーは7000°Cの超高熱を維持した火炎放射。 シャドームーンの直上から放たれたそれは、一瞬にしてその姿を炎で覆い隠した。 絶え間なく放出される凄まじい量の炎。 先刻のシャドービームにも劣らぬ濁流にして暴流。 それは大量の火の粉を周囲に撒き散らす。 「おぉっ、すっげー威力だ」 『加減はしろ!! 翠星石も居るんだぞ!』 ドラグレッダーの放つ火炎放射の威力は、龍騎にとってすら予想以上だった。 周囲にもたらす被害もまた想像以上。 地面のアスファルトが溶け、近くの街路樹が炎上する。 龍騎は慌てて仲間の様子を伺う。 ヴァンとC.C.の倒れている地点は遠いので、火炎放射の被害を受けることは無い。 翠星石が倒れている地点は炎上する街路樹より更に近い。 今まさに火の粉が飛んで行く地点である。 龍騎もドラグレッダーも間に合わない地点。 7000°Cの火の粉が翠星石を焼く。 寸前に人影が走り去る。 「上田!!! ……さん」 翠星石を抱えて走り抜けていったのは上田。 元々、上田は通信講座で空手を修めるほどの体力を有している。 ダメージを受けた身体でも、翠星石を抱えて走ることは可能なのだ。 翠星石の無事を確認し終えた上田は、得意気な顔を龍騎に向けた。 「実は私はねぇ、以前ウサイン・ボルトに陸上を教えていたことがあるんだよ。スリット美香子と言うインチキ超能力者と対決した時も……熱っ!!!」 「危ないから上田さんは翠星石を連れて、どこかに隠れていて下さい!!」 「し、仕方ないな。私一人ならYOUと協力してシャドームーンと戦っても良いんだが、翠星石を危険に晒す訳にはいかないからな」 「早く!!」 飛び散る火の粉から逃れるため、上田は再び走り出した。 時系列順で読む Back 因果応報―終わりの始まり―(前編) Next 因果応報―終わりの始まり―(後編) 投下順で読む Back 因果応報―終わりの始まり―(前編) Next 因果応報―終わりの始まり―(後編) 160 因果応報―終わりの始まり―(前編) ヴァン 160 因果応報―終わりの始まり―(後編) C.C. 城戸真司 翠星石 上田次郎 シャドームーン
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因果応報―終わりの始まり―(前編) ◆KKid85tGwY 【因果応報】いんが―おうほう 人は良い行いをすれば良い報いがあり、悪い行いをすれば悪い報いがあるということ。 元々は仏教語。行為の善悪に応じて、その報いがあること。 「因」は因縁の意で、原因のこと。「果」は果報の意で、原因によって生じた結果や報いのこと。 ◇ 覚悟が五人を戦いに誘う。 何の覚悟か? 命を賭して戦う覚悟か? 屍を踏み越えて前に進む覚悟か? 自らを正義と断じて悪を討つ覚悟か? 覚悟が五人を戦いに向かわせ、戦いはいずれ結末を迎える。 誰一人予想もしていなかった結末へ向けて―――― ◇ 猥雑なネオン。 薄汚れた路地。 打ち捨てられた廃ビル。 生活する人が無く機能が死んだ市街地は、世紀王の言葉を借りれば“退廃と虚飾に塗れた愚かな街”。 その街の空気を例えるならば、凍り付いていると言う形容が相応しかった。 寒さではない。 ただ対峙する五人の男女、 無双龍ドラグレッダーと契約を交わす仮面ライダー・城戸真司にとっても、 ダン・オブ・サーズデイを操縦するため改造を受けたオリジナル・ヴァンにとっても、 不老不死のコード所有者・C.C.にとっても、 ローザミスティカに拠って命と魂を持つ薔薇乙女・翠星石にとっても、 日本科学技術大学教授・上田次郎にとっても、 その場の空気は刺すような緊張感に満たされていた。 五人が対峙する相手は只一人。 只一人にして世界と対し、蹂躙せんとする魔王。 ゴルゴムの世紀王・シャドームーン。 命を賭して戦う覚悟を決めても尚、気圧されそうなほどの威圧感を湛えている。 上田などあからさまに腰が引けている。 それでも逃げ出さないのだから、上田なりに意を決していたのだろう。 「っしゃー!!!」 気勢を上げてシャドームーンへ最初に掛かって行ったのは、真司が変身した仮面ライダー龍騎。 何の作為も無く、真っ向から掛かって行く。 しかし全く考えなしと言うわけではない。 龍騎が臆することなく立ち向かっていくことで、仲間の士気を上げるためだ。 人の域を超えた仮面ライダーの身体能力を十全に活かし、シャドームーンへ向けて構えを取ったまま間合いを詰める。 その淀み無さは龍騎の潜り抜けた歴戦を容易に想起させた。 「チェェェェス!!!」 続けてヴァンも掛かって行く。 やはり何の作為も無く、真っ向から。 元々ヴァンは小賢しく知恵を働かせる人間ではない。 ゆえに戦うと決めれば、如何なる相手であれ臆することなく立ち向かって行く。 人のそれとは思えぬオリジナルの身体能力を十全に活かし、シャドームーンへ向けて構えを取ったまま間合いを詰める。 その淀み無さはヴァンの潜り抜けた血風を容易に想起させた。 「す、翠星石を置いて行くんじゃねぇです!!!」 二人に遅れること翠星石も掛かって行く。 直前まで脚を震わしていたとは思えぬ勢いで、シャドームーンへ向けて飛び掛って行く。 これもやはり何の作為も無く、真っ向から。 「ベストを尽くせーっ!!! はっはっはっはっは……」 三人の背中にエールを送るのは当然、我らが上田次郎。 数々の難事件を解決に導いてきた上田が、シャドームーンにも臆することなく声援を送る。 無論、三人の邪魔にならないようシャドームーンと充分に距離を取った場所から一歩も近寄ることは無くだ。 この適切な状況判断力と、仲間の意気を邪魔立てしない謙虚さこそが上田の真骨頂と言えるだろう。 「…………」 その上田に冷たい視線を送るのはC.C.だ。 上田をまるで路傍の塵のごとくに見下している。 「し、仕方が無いだろう! 確かに私は通信講座で空手をマスターしているし、ブルース・リーについての論文を書いたこともある。 しかしあの状況では数多くの修羅場を潜り抜けてきた私でも、援護もしようが無い!」 龍騎のそれ単独でもAP(アタックポイント)に換算して200APに達する拳が、砲弾のごとく風を巻きシャドームーンに襲い掛かる。 同時にヴァンの操る伝説的な刀工・新井赤空が製作した殺人奇剣・薄刃乃太刀が、 それ自身で生を持つがごとくに蛇行しながら、シャドームーンに襲い掛かる。 白銀の手が赤い拳を受け止め、紅い刀身が薄刃乃太刀の蛇行を遮る。 シャドームーンは片手で龍騎の攻撃を、サタンサーベルでヴァンの攻撃を防いでいた。 しかし龍騎も前回の交戦時のように、容易く力負けする事は無い。 シャドームーンの力を上手く受け止めていた。 更にそこから瞬時に蹴りを放ち、反対方向から薄刃乃太刀の切っ先が再度襲い掛かる。 龍騎とヴァンはまるで事前に打ち合わせでもしていたかのように、巧みな連携でシャドームーンを挟み撃ちにする。 シャドームーンの恐るべきは、その連携を基本スペックの高さを並外れた戦闘センスで駆使して捌き切っている所だ。 人の反射神経を超えた速度で行われる龍騎たちとシャドームーンによる攻防。 かつてはアマゾンの巨大鯰・デビルファンクやボルネオの人食い鰐・ブラックポルサスと戦った経験がある上田でも、 あれに乱入するのは無謀と言う他ない。龍騎やヴァンの脚を引っ張るのが落ちだろう。 さりとてあれだけ敵味方が接近して高速戦闘を行われては、援護射撃することもできない。 「全く、あれだけ意気込んで来ておいて何もできないのか」 「……では君が援護したらどうだ!?」 「少しは考えて物を言え。あんな所に援護できる訳ないだろう」 それなりに腕に覚えのあるC.C.だが、事情は上田と同様である。 C.C.の能力で戦闘速度に介入するのは至難。 先刻のシャドームーンとの戦いの際にはブリッツスタッフの火球でサタンサーベルを弾いたりしてヴァンを援護できたが、 あれは直接戦闘している場面から外れた場所ゆえに可能だったのだ。 同じような機会は易々と期待できないだろう。 「自分ができないことを人に求めるんじゃない!! どういう教育を受けているんだ!」 こうして五者五様の戦端が開かれた。 暴虐の限りを尽くした魔王を倒すために。 誰一人予想もしていなかった結末へ向けて―――― ◇ シャドームーンの頭部で大きく輝く翠色の双眸・マイティアイが五者の姿を映す。 接近戦を仕掛けてくる龍騎。 人知を超えた威力の拳は、的確にシャドームーンの頭部を狙って来る。 中距離から曲線軌道を描く刃で援護をするヴァン。 龍騎の拳と全く同じタイミングで、シャドームーンの頭部を反対方向から狙う。 更にその後ろから飛来する翠星石。 遠方では道化た会話をしている上田とC.C.。 その全てをマイティアイが捕捉。 マイティアイが得た映像情報は改造された脳に送られ、瞬時に処理されて対処法が算出される。 そして導き出された対処法は、改造を受けた五体が即座に実行された。 左手で龍騎の拳を掴み、右手のサタンサーベルでヴァンの刃を止める。 そこから淀むことなく流れるように変化していく龍騎とヴァンの連携。 秒間を、一撃一撃が人の身ならば必殺と言える威力の拳で、蹴りで攻め立てる龍騎。 しなる刃を己の手足のごとく振るい援護するヴァン。 しかしゴルゴムの科学技術の粋を集めて造り上げられたシャドームーンの性能は、それらに一部の隙も見せず対応する。 片手間にヴァンの刃を受けながら、執拗に打ち込んで来る龍騎の拳を軽々と払い落とす。 そして返す刀に左肘から伸びるエルボートリガーで龍騎を斬りつけた。 エルボートリガーは龍騎の装甲を切り裂き、更に超振動を叩き込む。 岩石を粉微塵にする超振動により、龍騎は胸の装甲から火花を散らしながら吹き飛んだ。 たたらを踏む龍騎に追撃をするべく歩を進めるシャドームーン。 ヴァンが刃をうならせて牽制するが、やはり片手間で捌くシャドームーンの足止めにもならない。 巧みにシャドームーンの死角を突こうとするヴァンの攻撃だが、マイティアイの広視界に尽く捕捉していた。 その広視界が赤い薔薇の花弁で埋め尽くされる。 「しっかりするです真司!!」 体勢の崩れた龍騎を後ろから支えたのは翠星石。 翠星石が真紅のローザミスティカによって得た能力、薔薇の花弁を飛ばしていた。 体勢を立て直す龍騎の横を通り抜け、翠星石はシャドームーンへ向かって行く。 「まったく! やーっぱり真っ赤っか人間は、翠星石が居なきゃなんにも出来やしねーんですから!」 「……って、待てよ翠星石!!」 翠星石は間合いを詰めながら、右手から無数の薔薇の花弁、 そして水銀燈のローザミスティカで得た力により左手から無数の黒羽を撃ち出す。 どちらも射界が拡散する発射武器。 至近距離ならば回避は至難。それが翠星石の判断。 「威力、だけではなく技の性能全体が向上している……」 誤算はシャドームーンにそもそも回避する必要がなかったと言うこと。 シャドームーンを覆う装甲・シルバーガードは花弁も羽も全て防ぎ切る。 自身の物を含めて実にローザミスティカ四個分の出力でも、シルバーガードを抜くことは出来なかった。 しかし翠星石には次の手が見えている。 シャドームーンにはシルバーガードで守られていない箇所が存在することを以前の戦闘から学んでいた。 翠星石はそこに狙いを付ける。 発射。するよりもシャドームーンの動きは早かった。 翠星石に打ち出されるシャドームーンの右拳。 その右拳に薄刃乃太刀が巻き付き、翠星石が咄嗟に形成した不可視の障壁が阻む。 が、止まらない。 薄刃乃太刀をヴァンごと引っ張り、障壁を破壊しても尚、 シャドームーンの拳の勢いは殺し切れず、翠星石に打ち込まれた。 吹き飛ぶ翠星石を今度は龍騎が受け止める。 「翠星石が接近戦をするのは無茶だって!!」 「うぅ~……こ、こんなの屁でもねぇですぅ……」 翠星石は幾つもの強力な武器を使いこなすことができるが、 龍騎と比較すれば、明らかに近接しての戦闘は不得手である。 しかし翠星石は苦悶しながらも再度シャドームーンに向かって行こうとする。 慌てて留めようとする龍騎の背後から、C.C.の檄が飛ぶ。 「戦力を分散したり出し惜しみしている場合か!」 「すいません……」 「……だな」 素直に謝るヴァンと納得した龍騎は、各々切り札(カード)を切る決意をする。 その隙を、当然マイティアイは見逃しはしない。 シャドームーンの伸ばした指先へ、シャドーチャージャーからの光が収束。 収束した光は指先からシャドービームとして龍騎たちに放たれる。 龍騎は翠星石を突き飛ばしてシャドービームの射界から外す。 その反動で自分も地面を転がって、シャドービームを回避。 更に体勢を立て直した時には、その手にバックル部分のデッキから抜き取ったアドベントカードがあった。 回避とカードの抜き取りを同時に行う。 ライダーバトルの歴戦を潜り抜けてきた龍騎だからこその芸当。 龍騎は炎を周囲に纏いながら、左腕にある龍召機甲ドラグバイザーツバイに装填(ベントイン)する。 進化を司るカードを。 『SURVIVE』 電子音声が鳴り、炎が晴れる。 そこにはより強大な装甲を纏った龍騎――仮面ライダー龍騎サバイブが顕現していた。 「変身!」 今度はヴァンの声が響く。 その場の者が龍騎の変身に気を取られている内に、ヴァンは薄刃乃太刀にカードデッキを映していた。 腰の部分にVバックルが現出。そこにカードデッキを装填する。 テンガロンハットのリングを鳴らし薄刃乃太刀でVの字を描くヴァンに幾つもの虚像が重なる。 虚像はヴァンの肉体を覆う装甲として顕現した。 仮面ライダーナイトとして。 幾多のミラーモンスターの命を吸った仮面ライダー二体、龍騎とナイトが並び立つ。 それを前にして、シャドームーンはあくまで傲岸に笑う。 「フッ、ようやく戦いらしくなりそうだ」 龍騎とナイト、そして翠星石が再び同時攻撃に出る。 龍騎の攻撃。ドラグバイザーツバイによるビーム射撃。速射性に優れたそれを連続でシャドームーンに叩き込む。 ナイトの攻撃。翼召剣ダークバイザーによる斬撃。変身して更に高まったヴァンの身体能力によるそれは、人の視認できる速度を軽く凌駕していた。 翠星石の攻撃。庭師の如雨露によって急成長させた植物での打撃。高密度の繊維で形成された植物が砲弾のごとき速さでシャドームーンに迫る。 異能の戦士たちによる三点同時攻撃。 シャドームーンの対応もまた同時の物となる。 右手のサタンサーベルでダークバイザーを止め、 左手から電撃状のシャドービームで植物を焼き払い、 ドラグバイザーツバイのビームはシルバーガードに任せ、防ぎ切る。 『AD VENT』 ビームを放ちながら、龍騎はドラグバイザーツバイにアドベントカードをベントインしていた。 シャドームーンの背後の民家に有る窓ガラスから金属装甲の怪物が姿を現す。 赤く伸びた胴体。鋭く伸びた爪と牙。獰猛さと威厳を兼ね備えた巨体は、正に伝説の神獣である龍の姿。 無双龍・ドラグレッダーがサバイブ(進化)したミラーモンスター、烈火龍・ドラグランザー。 時間差のついた四点目への攻撃を行うドラグランザー。 ドラグランザーはセルシウス度に換算して7000°Cに達する超高熱火炎弾を口内から発射。 三点同時攻撃を防いでいたシャドームーンは、背後から直撃を受ける。 シャドームーンを中心に起こる埒外な高密度の爆発、そして炎上。 爆炎に煽られて大地に叩き付けられるシャドームーン。 ナイトは爆炎に包まれるシャドームーンから慌てて飛び退いた。 「おいっ!! 俺も焼け死ぬとこだろ!」 「わりいわりい。でも時間は稼げてるだろ?」 「と、とんでもねー熱さですぅ……」 龍騎と翠星石もシャドームーンを包む炎熱を眺める。 地上に太陽が顕現したかのごとき炎熱の中でも、シャドームーンは起き上がろうとしている。 やはり並ならぬ耐熱性能を持っているようだ。 しかしせっかくのチャンスも、この炎熱から距離を取らなければならない状況では追撃もままならない。 爆炎を吐き出した烈火龍自身を除けば。 ドラグランザーは大顎を開けて、炎の中のシャドームーンに食らいついた。 人一人を喰らい尽くせるほどのドラグランザーの大顎がシャドームーンを噛み――砕けない。 両手でドラグランザーの顎を押し開けたシャドームーン。 更にシャドームーンは電撃状のシャドービームを両手から発射する。 ドラグランザーの口内で響く雷鳴。 口の中で放たれたシャドービームに耐えられず、ドラグランザーはシャドームーンを放してのた打ち回る。 『SURVIVE』 難なく着地するシャドームーンの耳に、電子音声が届いた。 シャドームーンは自分がドラグランザーに手間取っている内に、敵に態勢を整える時間を与えていたと悟る。 もう一枚存在した、進化を司る切り札(カード)を切る時間を。 ナイトを突風が包む。 突風が晴れた時には、ナイトはより強大な蒼い装甲に身を包み、 仮面ライダーナイトサバイブへと進化していた。 「よっしゃー!! こうなったら、もう負ける気はしないぜ!」 並び立つ二体のサバイブ。 龍騎はかつて何度も共闘した、秋山蓮の変身するナイトのことを思い出す。 龍騎とナイトのコンビの強さは誰よりも良く知っていた。 「次はこのカードで行くぜ!」 「あん? 俺も同じカードを使えばいいんだな?」 アドベントカードを見せてくる龍騎に、ナイトも素直に従う。 何しろナイトが慣れない変身時もサバイブのカードを使った際も、龍騎がシャドームーンを相手に隙を作ってくれたのだ。 ライダーバトルにおいて龍騎に一日の長があることは明白だった。 翠星石がその二人の様子を複雑な面持ちで後ろから眺めていた。 『『SWORD VENT』』 龍騎とナイトの電子音声が完全に重なる。 龍騎がドラグブレードを、ナイトがダークブレードを抜くのも同時。 厚さ60cmの鉄板を一刀の下に切断するドラグブレードと、それをAPに換算して1000上回る威力のダークブレード。 二人のサバイブの剣がシャドームーンに斬りかかる。 デッキにより変身する仮面ライダーの中でもトップクラスの性能を誇る二人の剣撃は、瞬きほどの隙も許さない速さ。 それが上段、中段、下段、袈裟切り、逆袈裟、横薙ぎと剣筋が不断に変化していく。 受けるシャドームーンの剣はサタンサーベル一本。 いかにシャドームーンと言えど後手に回り、追い詰められ、やがてサタンサーベルでは受けきれなくなる。 上段からのドラグブレードの一撃をサタンサーベルが既の所で受け止める。 がら空きとなったシャドームーンの胴体部分。 刹那に生まれた隙を見逃さず、ナイトのダークブレードが狙い打つ。 金属と金属がぶつかり合い火花を散らす甲高い音が鳴り響く。 ダークブレードを受けたのは左のエルボートリガー。 エルボートリガーの超振動を受けて、ダークブレードが弾き飛ばされた。 しかしナイトは尋常ならざる反応速度で剣筋をそこから更に変化させる。 狙い打ったのはエルボートリガーと左肘の接合部分。 シルバーガードに守られておらず、おそらく超振動もしていないだろうと推測された部分である。 ナイトの推測は当たる。 ダークブレードの威力がナイトの類稀な剣の技量で打ち込まれ、エルボートリガーは根元から折れ飛んだ。 ナイトは更にシャドームーンの胴体を狙って、ダークブレードを振るう。 荒くれ者の理想郷(パラダイス)エンドレス・イリュージョンの血風で鍛え抜かれた、ヴァンの技量のみが可能にする不断の連続攻撃。 それすらシャドームーンはサタンサーベルで受け止めた。 しかしナイトの攻撃をサタンサーベルで受けたと言うことは、龍騎に対して無防備になったと言うこと。 龍騎は反対方向からシャドームーンの胴体を目掛けてドラグブレードを振るった。 シャドームーンと言えど、絶対に反応し切れない間合い。 龍騎とナイトがそう確信した。 その瞬間。正にドラグブレードがシャドームーンを切り裂く寸前。 シャドームーンの腰に在るシャドーチャージャーがキングストーンの光を放った。 シャドーチャージャーから直接前方へ電撃状のシャドービームを発射。 幾つもに枝分かれして空気を切り裂き射界を広げて行くシャドービームは、龍騎とナイトにも直撃。 膨大なエネルギーに拠る、破壊の奔流。 それはまともに受けた龍騎とナイトを、玩具のごとくに10メートル以上も後方へ吹き飛ばした。 「真司!! ヴァン!」 後ろで見ているしかなかった翠星石が悲鳴のような声が飛ばす。 それに答えるように龍騎とナイトも立ち上がるが、身体が見るからに身体が重そうだ。 強い。 判っていたはずのことを、龍騎もナイトもここに来て改めて実感していた。 シャドームーンの付け入る隙の見当たらない強さを。 カシャ カシャ カシャ カシャ 足音を鳴らしシャドームーンが悠然と、しかし確実に近付いてくる。 強者も、弱者も、男も、女も逆らう全てを討ち果たすために。 避けることは許されない。 この強大な怪物を倒さないことには、進むべき未来は無いのだ。 ◇ この世の物とは思えぬ灼熱の炎が舞い、大気を焼く雷が鳴る。 仮面ライダーとシャドームーンの戦いは、遠巻きに眺める上田にもその脅威が伝わってくるほど激しい物だった。 近付くこともできない。どころではなく、距離を隔てても危機感を覚えるほどだ。 実際、上田は何度か気絶しかけた。 「……あの様子では、銃で援護しようもないな」 仮面ライダーとシャドームーンの高速接近戦闘を眺めて、上田は手元でベレッタを弄びながら一人ごちていた。 人間が相手ならば必殺の武器となる拳銃も、シャドームーン相手では威嚇にもならない。 上田はいよいよ何をしに来たのか判らない状態だった。 「建物の崩落に巻き込まれても無事だった奴だ。銃が効かないことなど判りきっていただろう」 C.C.が呆れたように口を挟む。 戦いが始まる前は大きな口をきいていたが、C.C.もやはり上田と事情は同じ。 四階建ての建物の崩落を無傷でやり過ごしてような相手に、C.C.では威嚇の手段も持っていない。 それどころか覚悟を決めたC.C.ですら、シャドームーンには気圧されそうになっているほどだった。 ――――覚悟を決めた? C.C.は漠とした違和感を覚える。 自分の心中に。 『私は行くぞ。やられっぱなしでいるのは性に合わん。この男を見て決心がついたよ。こんな……』 C.C.は上田を見て決心がついたと言ったことを思い出す。 決心がついた? 何の? シャドームーンと戦う決心だ。 しかし、何故大袈裟に決心など必要だった? C.C.は死なないはずなのに。 例え死んだとしても、それはC.C.にとって―――― 「……Lはそう考えてはいなかったみたいだがな…………」 上田の言葉でC.C.は現実に引き戻される。 今は些細な懸念に惑っている場合ではない。 当面の問題から、意識を離すべきではないだろう。 「……Lがどうした?」 Lの名前が出た途端、C.C.の態度が変わる。 同行していた期間は短いが、Lの頭脳の優秀さはC.C.も認めるところだった。 そのLの言葉とあってはC.C.とて無視はできない。 例え、それが上田の口を借りた物であっても。 「いや、Lとシャドームーンが建物の崩落に巻き込まれた時の話をしたことがあってな……あれは私が古代ローマの浴場設計技師だった頃……」 「おい!」 「……あれはLと水銀燈とで車に乗って移動していた時の話だ……」 そして上田にとって、Lはより思い入れのある人物だった。 優秀な知性と強靭な意志で殺し合いに立ち向かっていたLの存在は、上田にとってどれほど心強い存在だったか。 いつもの浮ついた様子は鳴りを潜め、上田はLとの会話を語り始めた。 ◇ 「……しかしあの、シャドームーンは展望台の崩落に巻き込まれて傷一つ無かったと言うんだろ…………」 そう切り出したのは上田がLと水銀燈を乗せて車を走らせていた時だった。 上田は注意深く車を運転しながら、心なしか沈んだ声で語り掛ける。 水銀燈は鞄の中で眠っているため、上田が語り掛ける相手は必然的にLしかいない。 「そんな相手をどうやって倒すんだ? 我々の持っている武器では、どう頑張っても通用しないだろう?」 「そのように判断するには根拠が不充分でしょうね」 Lは助手席で思案気にしていたが、上田の疑問に即座に反応する。 「私はシャドームーンを直接知らないので、詳細名簿と光太郎君や上田さんや水銀燈さんの話でしか判断のしようがありません。 それだけでもシャドームーンが尋常ではない能力を持っていることは判ります」 シャドームーンと接触したことが無くても、Lならば間接的に得た情報だけでその危険性は理解しているはずだ。 しかし上田には、どこかLのシャドームーンに対する認識が軽いような印象を受けた。 「それだからこそ展望台の崩落に巻き込まれて無傷だった理由は、シャドームーンの耐久力以外で説明が付くんです」 「え? ……あ、ああ! なるほどあれのことか。あれに気付くとは、Lさんも流石は探偵を名乗るだけのことはある。 私ほどではないが、中々優秀な頭脳を持っているじゃないか」 乾いた笑いを浮かべる上田は、当然のごとくLの言っていることの意味が判っていない。 いっそ清々しいくらいさっぱり判っていない。 Lもそれを悟っているようで、説明を続ける。 「建物の崩落と言うのはその質量全てが敷地内を均等に落下する、と言うことではありません。 建造物が無作為に破壊されている状態なので、瓦礫にも大小や形状の不均等が生じていたでしょう。 それらが不規則に崩れて落ちているわけですから、空間が発生する蓋然性も無視できません。 勿論、微細な破片まで落ちない。と言うことは考えられませんが」 上田がLと話していて驚かされるのは、常に淀み無く論理的な話しぶりができることとその博識である。 Lに聞けばどんな疑問にも明確な回答を得られるのではないか。 そんな幼稚な観念さえ浮かんでくるほどだ。 「事実、建物の崩落事故で生存者が出るケースもそれほど珍しくありません。普通の人間の、です」 「……待て。では君はシャドームーンが運良く瓦礫の落ちてこない空間に居合わせたから、偶然無傷で済んだと言いたいのか?」 「いいえ、運良くそんな空間に居合わせたのでは無いでしょう。しかしシャドームーンは建物内で拘束されていたわけではありません。ある程度は動くことができます」 「…………だが、自分で移動して瓦礫の落ちてこない空間に逃げ込んだと言うのは無理があるんじゃないか? そもそもそんな空間が都合よく発生するとは限らないんだ……」 上田は展望台がどんな建物であったかは知らない。 しかし水銀燈の話からも、鉄筋を基礎にコンクリートで構造を形成していった建造物であると見当は付く。 それが自重を支えきれなくなって内側に崩壊したのだから、鉄筋やコンクリート片の大きさにも差が出てくる。 しかも建物は鉄筋やコンクリート以外の、様々な形状の物体も存在しているはずだ。 それらが不規則に崩れ落ちていけば、瓦礫の重なり方によっては人間が入れる空間が形成されても不思議は無い。 しかしどんな瓦礫の重なり方を下としても、比較的細かい破片が全く落下しない空間と言うのは考え辛い。 そもそもシャドームーンが居た場所に、偶然そのような空間が形成され公算は極めて小さい。 まして崩壊する建物内で、どこに空間が形成されるかを見極めてそこに移動するなど、 あまりにも荒唐無稽な想定に思えた。 「確かに無理がある想定です。私にそんな真似は不可能です。上田さんでも無理だと思います。 しかしシャドームーンにとってはどうでしょう?」 そこで上田は、自分が普通の人間の感覚で事態を想定していたことに気が付く。 シャドームーンは人間のそれを遥かに凌駕する能力を幾つも併せ持つ持つであろう、字義通りの超人なのだ。 「光太郎君や上田さんや水銀燈さんの話から推測するに、シャドームーンはその五感も人間のそれとは隔絶した性能を持っています。 建物が崩れ始めてから落下する瓦礫に反応することも可能だと考えられます。 そしてシャドームーンなら、落下してくる瓦礫もある程度は破壊することが可能です」 Lは知らないが、正にLの想定を可能にする視覚器官をシャドームーンは有していた。 マイティアイならば崩壊する建物内でも、落下してくるあらゆる瓦礫を把握するほどの認識が可能だ。 そして上手く巨大な瓦礫が折り重なって発生した空間に入り、更に落下してくる細かい破片をシャドービームなどで破壊すれば、 シルバーガードの耐久力を有するシャドームーンならば、無傷での生存も理論上は可能である。 「……まあこれは水銀燈さんの話から構築した仮説の一つに過ぎませんけどね。単純に偶然無傷でやり過ごせた可能性も存在します。 何れにせよシャドームーンが我々の取れる如何なる手段も通用しないほど埒外の耐久力を持っていると考える根拠にはなりません」 上田は、Lに何故シャドームーンに対する認識が軽いような印象を受けたのかが理解できた。 上田や水銀燈は直接シャドームーンの脅威に晒されたため、その恐怖に圧倒されて冷静に戦力を分析する余裕など持てなかった。 しかしLにとってはシャドームーンも冷静な考察の対象に過ぎず、殺し合いを打破するための障害でしかない。 だから上田や水銀燈とLの間には温度差があったのだ。 「それに……仮に私の仮説通りシャドームーンが五感と運動能力を駆使して、建物の崩落を切り抜けたとしたら、 その方がより厄介だと思えますね」 何よりLは決してシャドームーンを過小評価などしていない。 あるいは自分や水銀燈よりその脅威を正確に把握している。 上田にはそう思えた。 「もしそうだとすれば、シャドームーンには極めて高度な五感と身体能力、それに何より判断力と行動力を持っていることになる。 それらはどんな能力より脅威的、と言えるでしょう」 ◇ 先ほどとは一転して、今度はシャドービームのダメージが抜けない龍騎とナイトが防戦に追い込まれた。 シャドームーンは左手に持ち替えたサタンサーベルで龍騎のドラグブレードと何合も打ち合う。 銀の世紀王が振るう紅い刀身と赤いライダーが振るう銀の刀身によって幾重にも散る火花。 更に右手のエルボートリガーでナイトへ斬りかかった。 ナイトはダークブレードで迎撃を試みる。再び接合部分へと。 ダークブレードが逆にエルボートリガーを斬る。直前、エルボートリガーが停止。 ダークブレードを空振るナイト。 そのナイトを跳ね上げるような衝撃と痛みが襲う。 シャドームーンが脚を蹴上げて、踵から伸びるレッグトリガーで切り上げていたのだ。 「ヴァン!! ……うぉっ!」 ドラグブレードでサタンサーベルと鍔迫り合いをしながら、ナイトに焦慮の声を掛ける龍騎。 その龍騎の腹にシャドームーンの右拳が刺さる。 不意を打たれ、たたらを踏む龍騎。 「薔薇の尾!」 追撃しようとするシャドームーンの足が、翠星石の叫びと共に止まる。 翠星石から伸びる薔薇の花弁が一繋がりとなって、シャドームーンに巻きついた。 龍騎とナイトがシャドームーンから離れたため、ようやく援護が可能となった。 しかしシャドームーンの指先から発射されたシャドービームに容易く切断される薔薇の尾。 それでも龍騎とナイトが体勢を立て直す時間は稼ぐことはできた。 龍騎もナイトも翠星石も、ここに来て明確に認識していた。 サバイブ二人にも有利を取れる、シャドームーンの強さの由来。 それは単純な性能の高さだけでは説明が付かない。 自身の高性能を活かし切る、判断力や応用力。 即ち類稀な戦闘のセンスに由来する物だと。 かつてシャドームーンが剣聖ビルゲニアと戦った際。 シャドームーンは改造が完了したばかりで、全く戦闘経験が無かった。 しかしシャドームーンは剣の戦いでビルゲニアを殺し、世紀王としての強さを見せ付けた。 またシャドームーンが仮面ライダーブラックと戦った際。 仮面ライダーブラックは同じ世紀王でありながら、訓練と実戦の中で能力を向上させており、 幾多のゴルゴムの怪人を倒した実績を持つ、正に歴戦の強者。 基礎的なスペックはシャドームーンが上回っていたが、それでも仮面ライダーブラックとの差を埋めきれる物ではなかったはずだ。 実際、戦いは仮面ライダーブラックの有利に進んでいた。 しかし創世王がシャドームーンを秋月信彦の姿に戻した瞬間、仮面ライダーブラックに隙が生まれた。 その一瞬の隙を突いてシャドームーンが勝利したのだ。圧倒的な戦闘経験の差を覆してである。 これらの例から推測できるようにシャドームーンには秋月信彦が先天的に持っていた物か、脳改造によって後天的に与えられた物か定かでは無いが、 戦闘に関することならば類稀な才覚を有している。 おそらく下手な小細工や小手先の技術ではシャドームーンを倒しきることはできない。 シャドームーンを倒すには、全霊を尽くす他無いだろう。 今度は如雨露で成長させた植物を伸ばす翠星石。 植物はまたもシャドービームで焼き尽くされる。 植物細胞が燃焼して黒煙を撒き散らす。 その向こうから、既に聞き慣れた電子音声が鳴り響いた。 『STRANGE VENT』 『TRICK VENT』 煙の向こうからナイトが姿を現す。 その後ろからナイトが飛び出して来る。 更に背後の煙から出て来たのはナイト。 ナイトが次々と煙から姿を現す。その人数は三人や四人では無い。 しかしシャドームーンは一度そのトリックを経験していた。 文字通りトリックを司るアドベントカードの効果。 自身の分身を複数体作り出す能力・シャドーイリュージョン。 『COPY VENT』 散開したナイトに囲まれた形となるシャドームーン。 シャドームーンはその場を動かない。動く必要が無い。 何故なら周囲を囲まれたその位置こそシャドームーンにとっては、全体を一度に攻撃できる好位置だからだ。 両手とそしてシャドーチャージャーからシャドービームを電撃状、それも可能な限り多方向へ拡散するように放つ。 当然、威力も拡散される。しかし今はそれで構わない。 拡散するシャドービームが次々と虚像を透過して行く。 その中で一人のナイトが被弾。 威力が拡散しているため、ナイトにさしたるダメージは無い。 しかし被弾したのは間違いない。即ちそれが実体。 今度は本命、直線状に威力を収束させたシャドービームをナイトに放った。 ナイトは横っ飛びに回避。予測をしていたであろう反応の早さ。 即座にサタンサーベルで切りかかる。 そのシャドームーンの背中に衝撃が走った。 完全に不意を衝かれ、体勢の崩れるシャドームーン。 シャドームーンが振り向けば、そこには虚像であるはずのナイトが斬りかかって来ていた。 それはナイトの姿をした龍騎であった。 龍騎が使用したアドベントカードはストレンジベント。 それはランダムで全てのライダーが持つアドベントカードのいずれか一つに変化する効果がある。 そして変化したカードはベルデが所有していたコピーベント。 その効果は他のライダーを姿はおろか能力までも模倣することができる。 速度に優れたナイトの長所を活かし、更にダークブレードでシャドームーンの背後から何合も切り込んで行く龍騎。 シルバーガードを抜くことはできないが、それによって4000APの威力が衝撃としてシャドームーンに叩き込まれる。 シャドームーンは振り向きざまにレッグトリガーを蹴上げる。 ダークブレードとぶつかり鍔迫り合いになるレッグトリガー。 再び背後からダークブレードの衝撃を受けるシャドームーン。 本物のナイトも高速の斬撃でシャドームーンを襲う。 高速斬撃で攻め立てる二人のナイト。 しかもシャドーチャージャーからのビームを警戒してか、二人ともが執拗に側面へ回り込んで行く。 シャドームーンはサタンサーベルとエルボートリガーで応戦するが、 腕を身体の外側に伸ばしながらとなるため、防戦一方になる。 側面に回りこんだナイトが、更に背後へと斬りかかるが、 斬撃はシャドームーンの頭上を通り抜けた。 屈み込んでいたシャドームーンは、その反動で一気に跳躍。 高度40メートルまで達することが可能な瞬発力は、一瞬で二人のナイトを遥か上空から見下ろす高さまで到達した。 シャドーチャージャーの内部から光りが漏れている。 「ビームが来るぞ!!」 上田の叫び声が上がる。 F-5のエリアにあった公園でシャドームーンの襲撃を受けた上田は、それを目撃していた。 ゼール種のミラーモンスターの群れを一挙に殲滅したシャドームーンの戦術。 今のシャドームーンの態勢は、あの時と全く同じだった。 シャドームーンのシャドーチャージャーと両手から同時にシャドービームが放たれた。 電撃状に拡散するそれは、二人のナイトの上空全てを覆い尽くすエネルギーの濁流にして暴流。 二人のナイトみならず周囲の空間一帯をその破壊的なエネルギーが包み込むべく、上空から襲い掛かる。 しかしシャドービームの光は、影によって塗り潰される。 巨大な植物の影。 翠星石が育てた植物が、二人のナイトの上に覆い被さるように伸びていた。 植物にシャドービームが被弾。 膨大なエネルギーが爆発に変換される。 高密度の繊維でできた植物が微塵となって散開。 それでもなお余剰となったエネルギーが、爆風として二人のナイトに頭上から叩き付けられる。 粉塵や散乱する植物の破片に目を、爆発の残響に耳を奪われた二人のナイトは、 着地したシャドームーンがシャドービームで狙っていることに気付いていない。 コピーベントの効果が切れた龍騎に収束されたシャドービームが発射された。 伸びた植物が龍騎の身体を弾き飛ばす。 シャドービームは龍騎を掠め、植物すら貫通して消え去って行った。 翠星石はシャドームーンと龍騎の間に立つ。 時系列順で読む Back ひぐらしのなく頃に Next 因果応報―終わりの始まり―(中編) 投下順で読む Back ひぐらしのなく頃に Next 因果応報―終わりの始まり―(中編) 158 太陽と月 ヴァン 160 因果応報―終わりの始まり―(中編) C.C. 城戸真司 翠星石 上田次郎 シャドームーン