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前ページ次ページSSまとめ 181 名前:以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します[sage] 投稿日:2005/09/25(日) 23 44 36 ID HWnm+vZv0 ―春は曙、やうやう白くなりゆく、山際少し明かりて、紫立ちたる雲の細くたなびきたる。 そんな古典の一頁と月を肴に 「うん…。今日のような日は少し温めの熱燗に限るな」 縁側にて、酒を飲んでいる女がいた。 その名は麻帆良学園治安委員会、火付盗賊改方長官。長谷川千雨である。 人呼んで 「鬼の千雨」 とか、 「鬼千」 と呼ばれ、普段は寡黙だが、口を開くと寸鉄人を刺す毒舌が飛び出すことや、 その優れた治安に対する手腕によって、一部の人間にサッチャー並みに恐れられている女である。 しかし、このような人物は私生活においては、決してそうではなく。 むしろ心優しく、聡明な思慮深い人物であることも多い。千雨もその一人であろう。 「しかし、そろそろ、春の初めだな。暖かくなってくる。熱燗もそろそろ見納めか。 衣替えもしなくてはいけないなあ。ザジ」 「そうでございますね。昨年購った男物の甚平など、お出ししましょうか。 ちー…いえ、あなたさまは男物の格好をしても、ようお似合いでございます」 「あはは、それはちょっと照れるな…。ザジ。おまえ、世辞が上手くなったな」 「いえ…けして世辞などでは…」 ザジは顔をほんのりと顔を赤くして答える。 彼女は昔からの千雨の懐刀…いや、それ以上の間柄と云うべき長い付き合いの女である。 千雨も彼女の事をいとしく思っており、いつからか、同居のような生活を続けている。 よく、初めは喧嘩もしたが、今では円満な夫婦のようにかなりの意思疎通ができるまでになった。 182 名前:以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します[] 投稿日:2005/09/25(日) 23 45 22 ID HWnm+vZv0 ざぁと青草がたなびく音がする ―少し風が強い。縁側に生えている楝の樹がやさしく揺れた。 そんな、風流な音の中に、邸の木戸を慌てて叩く音がするのに千雨は気がついた。 「なんでございましょうか…。見てまいります」 「うん。頼む」 ザジはすぐさま機転を聞かせ、木戸に向かっていった。 千雨は笑いながら送り出したが、内心では長年の勘からか (厭な予感がする) と思い始めていた。 しばらくして、ザジが縁側に戻ってきた 「ちうちゃ…いえ、あなたさま。同心の桜崎さまです」 「あいわかった。今、行くよ。彼女は居間に?」 「…はい。お待たせてしております。…ひどく取り乱しておいでですが」 千雨の予感は的中した。 同心、桜崎刹那の証言によれば、今宵の戌の刻、桜通りにて、 部活帰りの千雨と同じ2-A組の生徒、佐々木まき絵が何者かに襲撃されたという。 幸い、命の別状は無いようだが、 「賊の足取りはわからない」 というのである 「私が駆けつけたときには、倒れているまき絵さんしかおりませんでした。周囲には気配がなく。 急ぎ、気を使って探知したのですが、既に逃げられた後だったようです」 刹那はさらに話す。 「どうにも、満月の夜になるとあの辺りで血まみれの吸血鬼が生徒を襲っているという噂が流れていたそうです。 私も今宵は満月なのを気にかけ、巡回を行っていたのですが…面目の無い次第です」 「うーん。まき絵には何の外傷も?」 「はい。ただの貧血のようでしたが、取り急ぎ保健室に運び込み、宿直のネギ先生にも見てもらいましたが、 やはりよくわからないと…。ただ…かすかに魔術の香りがすると云っていました。しかし、この学園で魔術を使えるのは先生方くらいでは…」 「となると魔力を持ったものの犯行か…。それに、まず賊の目的がわからんな。明日も満月のことだし、あたしも回ってみよう」 千雨はザジに、刹那に食事を出すよう指示し。その場で考え込んだ。 214 名前:以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します[sage] 投稿日:2005/09/26(月) 11 08 27 ID ilpBE2pE0 ―そういえば、学園長から、以前エヴァンジェリン君に気をつけろと云われたことがあったな。 「もし、満月の時に何かあれば、とみに注意されたし」 それが千雨が長官就任時の学園長からの忠告であった。 (とりあえず、気になる話ではある。あいつを呼んで訊ねてみるか) 木の塀がガタガタと風で揺れる 「あらあら、もう、風流なんて状態じゃございませんね…」 ザジは少し寂しそうな顔をして云った。 外は、風が本格的に強くなり始めたようである。 翌日の昼、街の立ち食い蕎麦屋に千雨は居た。 「遅いな…そろそろ来ても好いと思うんだが」 そう考えていた矢先。自分の横にコトっと器を置く音がする。 「やあ。ちうちゃん。何か用かい」 「よう。相変わらずだな。朝倉」 情報屋朝倉の登場である。格好は寿色の着物に袖から縮面の襦袢がちらりと見える。 いつも微笑を浮かべるその顔には、情報通らしいあくなき好奇心が見え隠れしている。 215 名前:以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します[] 投稿日:2005/09/26(月) 11 10 12 ID ilpBE2pE0 「相変わらずって…、いつもクラスで会ってるじゃん」 「あはは…そうだな。ところで情報屋なのを見込んで聞きたいことがあるんだが」 朝倉はわかめうどんをすすりながら答えた。 「なんだい? 柿崎の彼ならヒモらしいよ。ハルナはアーサー×ザラ議長派らしいよ」 「いや、そういう話じゃない…。同じクラスのエヴァンジェリンのことなんだが…」 「エヴァちゃんねぇ…。確か、彼女は十年近くここに居るらしいよ。 それ以前は魔術師の中でも札付きの悪吸血鬼として認知されていたらしくてねぇ。 それが、何でもネギ君のお父さんに、学園から出れない呪いをかけられたとか」 「そいつは初耳だ。さすがは情報屋。どこでそんな事を?」 「本来は企業秘密なんだけど、姐さんだから教えてあげるよ。実は以前、学園長が外出中に部屋に忍び込んで、 学園の秘密資料をこっそり読んだからなんだよね。まぁ、一部を除いて誰も知らないだろうね。 あ、他言無用ね。お縄にもかけないでね」 「とするとエヴァンジェリンは、もう十年もここにいるわけか…」 「そういえば、ネギ君が責任を感じてるようでね。無茶なことをしないといいけど」 「そうか。まぁ、この借りはいずれ精神的に」 ―確かに子供先生は責任感が強いからな…。 そんな考えと共に、コロッケ蕎麦を掻きこむ。コロッケの衣がぼろりと崩れ、具がつゆと混ざり始めた。 275 名前:以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します[] 投稿日:2005/09/27(火) 10 18 50 ID WzRKJojc0 ―夜になると桜通りに、二つの影があった。 エヴァンジェリン・A・K・マグダウェル。そして、そのパートナーの操繰茶々丸である。 (私はいつも一人だ。いつも皆何処かへ行ってしまう。サウザンドマスターですら、私の元から居なくなってしまった) エヴァはそんな孤独感を紛らわすかのように、今日も血を集める。 茶々丸はそんなエヴァを、悪事を行っていると思うが、止めることが出来ない。 いつぞやか、朝エヴァを起こしにベットに行くと、彼女は涙を流しながら寝ていたのを発見した。 それは決して、一度や二度ではなかった。 彼女が時折見せる、寂しさや孤独な顔が、このような悪事に駆り立てるのだと思った。 そんな孤独感を知っているから、エヴァの従者に自ら進んでなった。 しかし、それは彼女の生まれつきの不幸に対する同情ではない。 彼女の事を想うからこそ、どこまでも付いていくという一途な愛情に近いものがあるように思える。 (マスターが元気であってさえくれれば…私はソレで良いのです。…でも、本当にコレは正しいのでしょうか?) 「電子演算機の自分にもワカラナイことがあるのですね」 と茶々丸は複雑な想いでエヴァを見た。 458 名前:以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します[sage] 投稿日:2005/09/30(金) 00 50 45 ID oL8R9Qo00 二人の前には満身創痍のネギがいる。息も切れ切れになり、額からはどこかを切ったのか、うっすらと血が流れている。 エヴァはそんなネギの姿を見ながら、満足そうに云った。 「どうだ、ぼーや。世の中には良い魔法使いと悪い魔法使いがいるということが、これでわかったろう?」 「う……。エヴァンジェリンさん。なんでこんな…」 生徒のまき絵が襲われたという自責の念から、ネギ自身も自ずから、桜通りを巡回していた。 そこで、偶然にもエヴァに襲われそうになっている宮崎のどかを発見し、 気絶した彼女をなんとか安全な場所に移すことには成功したが、エヴァンジェリンの魔力の前には成すすべもなかった。 それもそのはず、長きに渡りこっそりと血を蓄えた結果、彼女は全盛期とまでは云わないまでも、それに匹敵する力を養っていた。 その強大な魔力を持ってして、魔法使い見習いのネギを打倒するなどたやすいことであった。 ましてや今宵も満月である。 ネギは、足元から崩れ落ち、路地にうつぶせに倒れた。 「かろうじて、気絶はしていないか……。しかし、もう戦う気力はあるまい」 エヴァの高笑いが響く。そして続けた。 「血を吸わせてもらうよ。しかし、ぼーやを襲う手間が省けた。これで封印が解ける……」 (封印を解除したらどうしようか、まず、根城が欲しい。辺境の街を一つ潰そうか。 それに、このぼーやにも興味がある。なにしろ、あのサウザンドマスターの息子だ……。 生き人形として、淫らな肉の塊として永遠に囲ってやろうか) そんな算段を脳裏でし始めた。 459 名前:以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します[] 投稿日:2005/09/30(金) 00 53 13 ID oL8R9Qo00 しかし、嬉しいはずの事なのに、心は虚しい。どこか気持ちが空回りしている。 ――それでも彼(ナギ)は帰ってこない。 常に、それが心に焼きついてしまっているからなのか。 「……ナギのバカ」 グッと唇をかみしめ、エヴァは下を向きながらポツリと独り言を呟いた。 心の奥底でやりきれないむなしさを抱えながら、 ううっ……と、小さくうめき声をあげているネギに近づいてゆく。 その時、何処からとも無く、エヴァに短刀が投げつけられた。 短刀は何事も無かったかのように彼女の障壁を前にして弾かれる。 しかし、彼女の注意を引くにはそれで充分であった。 「だれだ!」 エヴァは怒号と共に、短刀が投げつけられた方向 ――ちょうど、端にある街路樹の間を凝視した。 暗闇ともやがかった照明の光の境界線の中から、声がする。 「……おいおい、それはちょっと同じくらいのお稚児さんだからってやっちゃいけないぜ。 かわいい子供先生をいじめて、あまつさえ血抜きにしようなんてな」 そこには、薄暗い明かりに照らされて、藍色の袴に刀を挿した格好の千雨と桜崎刹那の姿があった。 545 名前:以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します[sage] 投稿日:2005/10/01(土) 06 13 10 ID 13x5njF/0 「火付盗賊改メだ。神妙にお縄に付け」 けらけらと、何が可笑しいのか笑いながら千雨は云う。 その光景を見ながら、 (とんだ邪魔が入った) とエヴァは舌打ちをする。ふざけた女だ。奥歯をギリッと噛み締める。 「長谷川千雨か。お前達のような学園の犬に捕まる私ではないぞ」 「なんだ。逃げるのか。このアバズレ吸血鬼」 千雨はわざと皮肉を利かせて発音した。 それが、エヴァの癪にさわったらしく。 「何……? このさもしい息骨風情が、この私に阿婆擦れ……だと」 どうやら、阿婆擦れ扱いが、彼女の癪にさわったようである。 ぷるぷると体は震え、髪が怒髪天を突き、怒気をはらんだ声でエヴァは静かに言った。 彼女の横では茶々丸が臨戦態勢に入っていた。 「刹那! そいつはお前に任せた。あたしはエヴァをやる!」 「わかりました。ご無事で」 千雨は同時に、刹那にわかってるよな。と目で念を押し、刹那もそれに目で答える。 「奥義。斬岩剣!」 刹那はエヴァと茶々丸に向かって技を放つ。 エヴァは障壁の為、技の一切が通用しないが、茶々丸にはそれが無い為、上へ飛ぶ姿が見える。 そこへ、刹那が斬りかかり、二人は少しずつ場所を移動しながら戦闘を始めた。 ――後には千雨とエヴァの二人だけがその場に佇んでいる。 エヴァが静かに云う。 「面白い。やるのか? この私と……」 「刹那ほど達者じゃ無いが、それでよければ相手になってやる」 千雨はにやりと笑いながら、愛刀をすらりと抜いた。 546 名前:以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します[sage] 投稿日:2005/10/01(土) 06 15 13 ID 13x5njF/0 (強いっ!) ――数刻ほど、桜崎刹那は茶々丸と打ち合いながら、重圧を感じていた。 夕凪を一旦鞘に戻し、左足を強く踏み込み茶々丸に向かって「縮地」する。 (いけるか?) 茶々丸の眼前に一気に近づき、夕凪を鞘から電光石火の如く抜刀した。 神鳴流の基本、居合い抜きをかけたのである。 しかし、刃はむなしく空をなぎ払う。 「――!」 茶々丸は後ろに弧を描くように鮮やかに宙返りをし、地に着地すると足からもくもくと煙と火花を噴出させ、 腰を低くしたまま刹那に突撃していった。 (不味い!) 振り向いた刹那は慌てて後ろに飛ぶ。茶々丸の拳が先程まで刹那がいた地面を打ち砕いた。 (くっ……出来るな。このからくり人形。これほどの使い手が同じクラスにいたとは) 数度打ち合ううち、刹那はほどなく彼女の実力を実感した。 ――しかし、どこか茶々丸の動きに違和感を感じていた。 「一つ聞いて好いか?」 「ハイ……。なんでしょう?」 刹那は距離を保ったまま、夕凪を足元に下げ茶々丸に問う。 茶々丸は腕を下ろし、突っ立ったままそれに答える。 「なぜエヴァンジェリンの味方を? 確かにあなたは強いが、殺気が無い。本当は戦いたくないんじゃないのか?」 刹那の質問は茶々丸の心理をついたようで、相手はからくり人形ながら、少し動揺が見えた気がした。 「ワタシも本当は、人を傷つけたり、むやみに相手を襲いたくはアリマセン。でも、これはマスターの為です」 「何故、そこまで……」 「私にはマスターが全てダカラです。ネギ先生のお父サマがいなくなってから……マスターはいつもひとりで……」 茶々丸は寂しそうに云う。 「それは……。それはどういうことですか」 その第三者の声に、戦闘は中断される。 かくて、二人の視線の先には、ボロボロながらも気絶から立ち直ったネギ・スプリングフィールドがいた。 547 名前:以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します[sage] 投稿日:2005/10/01(土) 06 17 00 ID 13x5njF/0 千雨はひたすらエヴァの放つ魔法をよけている。 ――頭には彼女なりの算段がある。 魔法使いに対する攻め方の定型としては詠唱中に襲うことである。 パートナーのいない魔法使いの詠唱中は隙だらけである。ここを襲えば、倒すもたやすい。 しかし、エヴァ程の使い手ならば、詠唱を中断し、瞬時に体術に切り替えられる恐れがある。 一対一で戦えば、まず勝ち目は無い。何せ相手は「闇の福音」である。 おそらく幾重にも重ねられた厚い物理障壁が存在する上、その破壊も困難であろう。 ――しかし、幾ら百戦錬磨の吸血鬼とは云え、十年余の退屈な学園生活は戦いの感覚を鈍らせる。 「そこに、つけいる隙がある」 千雨はこう考えていた。 距離を取っているのはその為で、目視で相手の行動が把握でき、魔法が避けれるギリギリの距離を常に保つ。 「なんだ……? 逃げてばかりではないか! 所詮その程度か!」 高笑いを浮べながら、エヴァは千雨に対して魔法を打ち込む。 その魔法を、時には跳ね。時には刀で打ち払い。時には陰陽の形代でやり過ごす。 稀に距離を近めて攻めこむが、それは、あくまで「そぶり」のみで、終始防御に徹する。 しかし、防戦にも限界がある。案の定、徐々に狭い路地に追い込まれていった。 「ククク…ここまでだな。わたしに喧嘩を売った事をあの世で後悔するが好い!」 詠唱を始めた。恐らく詠唱の内容から察するに高等魔法だろう。 一定の距離を取ったのが仇になったか、さすがに今から跳躍して斬り込もうにも、数秒はかかる。 ――その間に幾ら長いといえども、詠唱が終わってしまう。 (不味いな) 千雨は複雑な顔をした。さすがに命を落としかねない。 現に足や腕はエヴァの続々と放たれる氷系魔法により擦り傷だらけになっている。 しかし、千雨はまだ冷静さを欠いてはいなかった。 (でも、あたしの勘が正しければ、そろそろ…) と、天にも祈る気持ちで、エヴァの頭上で輝く月を見た。 548 名前:以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します[sage] 投稿日:2005/10/01(土) 06 19 15 ID 13x5njF/0 ――あれだけ煌々とした月は大雲に覆われようとしている。月明かりが消え、エヴァと千雨の周囲も闇に染まろうとしていた。 その時、ここぞとばかり千雨は大声で叫んだ。 「今だ龍宮! 撃て!」 その刹那、どこからともなく、銃声が響く。 詠唱中のエヴァの背中に何かが撃ちこまれ、彼女は後ろから弾き飛ばされた。 かくて、形勢は逆転したのである。 弾が障壁を突き破ってエヴァに命中したのをライフルスコープから確認すると、 建物の屋上から龍宮真名はふっと、一息ついた。 「ふむ……上出来だ」 愛銃のモーゼルKar98Kを足元に下ろす。腰部のホルスターには同名のC96が冷たい金属色を醸し出している。 「しかし、仕事とは云え、相変わらず無茶なことを千雨は要求する……。我ながら冷や汗ものだ。私はゴ●ゴでは無いと云うに」 ――エヴァの障壁は分厚い。 おそらく、並の人間には破壊することすら不可能であろう。 千雨はそれをわかっていたからこそ、戦闘は避けたのである。 そして、月が隠れ、彼女の力が弱まると同時に、真名は魔眼を使い、 体の小さなエヴァの後方に展開されている障壁のわずかに薄い小さな一点に対して、術が施された麻酔弾を貫通させたのである。 かなりの高度技術だが、経験豊富な一流のスナイパー兼退魔師の真名であるから行えた所業とも云える。 「ちゃんと計算してるんだ。…角度とか」 いかに自分がこの狙撃に苦労したのか、ぶつぶつと独り言を吐く。 「これは、報酬が愛宕屋のあんみつ三つでは済まないな。やはり三笠堂の特大あんみつ五つと玉露にしてもらわないとな」 一仕事が終わった真名は、脳裏であんみつに囲まれた自分を想像し始めていた。 真名の眼前では、千雨が四つん這いになっているエヴァに向かって、ゆっくり歩を進めている。 591 名前:以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します[sage] 投稿日:2005/10/01(土) 21 21 17 ID 13x5njF/0 「ぐっ……まさか。貴様、月が隠れるのを狙って……」 (迂闊だった) とエヴァは自身の慢心を後悔するが、もう遅い。もはや戦いは大勢を決していた。 「さて、どうする。まだ続けるか?」 「上等だ。こんな所で果てる、私では無い……」 エヴァはなんとか残る気力を振り絞り起き上がると、残る魔力を右手にこめ、燐色に輝かせ始めた。 ――月は隠れ、大半の魔力は封じられ、気力も麻酔で失い始め、身体能力も十歳のそれと変わらなくなっていた。 それでも立ちあがり、決着を付けようなどと云うのは、数百年を生きた魔女の最後の誇りなのか。 「好いだろう。決着を付けようか」 「望むところだ」 彼女は討ち死を覚悟したようである。その気概に内心、千雨は舌を巻く。 死を覚悟した相手ほど、やり辛いものは無い。相手は死に物狂いで、何をしてくるかわからないからである。 (これはただじゃ済みそうにねえな……。ザジ……帰ってこれなかったらごめん) 千雨も刀を構え、二人の決着が付けられようとしていた。 「千雨さん。エヴァさん。やめてください!」 その時である。 茶々丸と、杖に跨ったネギがこちらに疾風のように此方へ飛んできた。 それを見たエヴァはついに力を失ったのか、千雨の眼前でガクリと崩れ落ちたが、 間髪間に合ったネギがその小さな体を後ろから抱きとめた。 隠れていた月が、また、うっすらと顔を出し、月明かりが辺りを少し照らす。 ネギは片足を立て、エヴァを優しく膝枕しつつ、話しかけた。 「茶々丸さんから聞きました。エヴァさん。お父さんがいなくなって……何時までもここに一人ぼっちで、寂しかったんですね」 「違う! 寂しくなどない。私は何時も一人だった。昔も今もこれからもだ!」 592 名前:以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します[sage] 投稿日:2005/10/01(土) 21 22 12 ID 13x5njF/0 「なんで、そう考えるんですか…。みんないつも周りにいるじゃないですか……茶々丸さんもボクも……みんな……」 「でも、それでも、皆ここから出て行ってしまう。いなくなってしまう。……わたしはいつも一人ぼっちだ。孤独だ。こればかりは…どうしようもない」 「大丈夫です……。ボクが解く方法を探しますから……。お父さんの代わりにはなれないかもしれないけど、 エヴァさんの為にずっといますから……。だから、そんな寂しい事云わないでください」 「ぼーや……」 一瞬の静寂の後、泣きじゃくる声がした 「ごめん……。ごめん……なさい」。 どうやら彼女は泣いているようだった。それをネギは無言で優しく頭をなでている。 その光景を見るや、千雨は後ろの真名と刹那に目を合わせた。 二人も黙って頷き、エヴァ達に背を向け、千雨もそっと二人の後を追う。 ――人を襲うようなことは今後あるまい。後はネギ先生に任せれば好いだろう。 闇に溶けていく三人に、茶々丸はペコリとお辞儀をしている姿が見えた。 「ほっほっほ…。報告御苦労じゃ。特に大きな事件もないようぢゃな」 外は雲ひとつ無い青空。それを千雨は豪華な装飾品が並べてある部屋の窓から、ちらりと覗き見した。 千雨の眼前には学園長がいる。 ここ数週間に起きた幾多の事件に関する報告書を受け取り、軽く目を通した後、何時もの如く、茶をすすりながら飄々と云った。 あの事件の後日、千雨とザジは学園長室に定時報告の為に訪れていたのである。 しかし、学園長は千雨の報告に剣呑としていたが、どうも気になるところがあるらしく。 「そういえば、先日うちの生徒が、桜通りで襲われたと聞くが、 ……君らと同じ中等部2-A組のエヴァンジェリン君が何か問題を起こさなかったかね? ここ数日、満月で少々気にかかっておったので、高畑君にここへ呼んでもらい、口頭で注意をしたのぢゃが…」 学園長の眼光が好々爺の目から、狼のような鋭い目に変わった。 ――ギラリと怪しく光る眼を見て、千雨の後ろに居たザジの背中に寒気が走る。 593 名前:以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します[sage] 投稿日:2005/10/01(土) 21 23 18 ID 13x5njF/0 しかし、そんな眼光に全く臆することなく、千雨は笑いながら答えた。 「いえ、何も問題ありません。彼女も事件とは無関係だったようです。 そもそも被害者と云われた生徒も、実は襲われたのでは無く、唯の貧血であったようで。……まったく人騒がせな話です」 「左様かの。それならば好いのぢゃ。長谷川君。お勤め御苦労。引き続き頼むぞい。ホッホッホ……」 ザジはもう一度、学園長の顔を見たが、先ほどまでの鋭い眼光では無く、何時もの徳の深そうな目に戻っていた。 二人は慇懃に礼をして、部屋を出で、学園の外壁に差し掛かったとき、ザジは千雨にようやく口を開いた。 「好かったのですか? 学園長にエヴァンジェリンさまの件を報告しないで」 「ん…いや…。死人が出たわけじゃないしな…。爺(ラムウ)には別に云わなくても好いさ」 そして、どこか哀しい目をしながら云う。 「彼女は今、充分に罰を受けている最中だ。何もこれ以上、その荷を増やすことはないだろう。 それに……あたしたちの仕事は人を裁くことじゃない。罪を裁くことだ……」 千雨はそこまで云い終えると、しばらく感嘆としながら空を眺めていたが、ザジの顔を見て微笑んだ。 「そうだ。今日は小船に乗って、二人で学園都市を遊覧した後に、寿司でも食べに行こう」 「わあ。それはさようでございますか。あ、桜崎さまと龍宮さまもお呼び致しましょうか」 ザジは嬉しそうに両手をあわせながら笑った。 「そうだな。二人で食べるのも好いが、大勢で楽しく食べるのもたまには悪くない。それに労をねぎらってやらんと」 「二人でお寿司は、また今度のお楽しみにしておきますわ。それは私にとっては特別な出来事ですもの」 「それはそれで、なんか照れるな」 そんな会話をした二人のうわぞらでは、ほんのりと春の陽気が漂っている。 いつの世にも悪は絶えない。 その頃、学園は火付盗賊改方という特別組織を設けていた。 凶悪な生徒の群を容赦なく取り締まるためである。 独自の機動性を与えられたこの火付盗賊改方の長官こそが、 長谷川千雨。 人呼んで、鬼の千雨である。 BGMは鬼平のEDのアレ。 前ページ次ページSSまとめ
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草案 キャラクター ゴチルゼル:ドリス・ラン タッツー:ダン ミロカロス:ラミーカ・リイ 美麗のイメージ。 ディアルガ:麗銀星 バシャーモ:グレコ -- (ユリス) 2015-04-11 08 58 24
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【遠江】 吸血神官 レベル 49-7 構成 名前 種類(外見) 初期付与 使用技 吸血神官 吸血鬼(剣神主) ▲ 反射結界 生命吸収 顔取られ 死人(顔なし) 吸血神官 吸血鬼(剣神主) ▲ 反射結界 生命吸収 悪夢使い 吸血鬼(コウモリ) 反射結界 夢路惑わせ 吸血鬼(蛾) 催眠コウモリ 動物(コウモリ) 吸血コウモリ 吸血鬼(コウモリ) 生息地域 遠江:梓姫の屋敷 破天でボスNPCに変更されたようです ドロップアイテム 不浄衣 情報募集中 遠江へ-ヌで3POP確認 -- 名前 コメント
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※子乃さんが俺補正により大人しかったりします。 ※エス・カーペリオンがウザイと感じた方は俺と同志かも。 日曜日。 学生にとって唯一の休みの日である。土曜日は午前中授業があり、午後から部活があるので、実質は平日とほぼ変わりが無い。 ということで、この日は学生にとっては大変ありがたい、休息の時なのであるが……。 白鳥宅。 午前8時。この時間が休日の白鳥時間である。 実際は、二度寝をするので12時ぐらいにおきるのだが、今日は事情が違った。 そう、あの娘の所為である。 「おい白鳥。朝飯がないではないか。」 冷蔵庫を開けて若干大きな声で喋る少女──若林子乃 ほんの些細な事故により、白鳥はこの娘に命を狙われている。 そして住処がないということで、白鳥宅に居候をしている。 そのおかげで白鳥はいつ殺されるのか分からないという、とてもデンジャーな立ち位置に居る。 「あー……昨日全部食べちまったかな……食パン。」 台所の棚を漁るが、朝飯になるような物は出てこない。 ため息をつく白鳥。そういえば、家には一人分の飯しか置いてないんだった……。 「家には何もない……外食いきましょうよ外食。」 白鳥ではない、もう一つの男の声。 白鳥よりも声は若く、それでいて身長は若干小さい男。というか青年。 「なんでお前がいるんだ……?カーペリオンさん。」 玄関の鍵も閉まっているし、今まで俺と子乃以外の気配なかったこの空間にどうやって違和感なく入ってきたんだ……? 「賢者の石を使えば簡単ですよ。」 へぇ、そんなことも出来るんだ。便利だな、その石。 ってそうじゃねぇよ!さっきから人の心読みまくりだし、勝手に侵入するし、賢者の石ってそんな日常的に使っていいものなのか? と思う白鳥だが、すぐに無駄と悟った。こいつの性格上、一般論など通じないだろう。 「外食か。よし、白鳥。行くぞ。」 「え?まじで?」 「嫌なのか?」 ガチャリと何処からかマシンガンを取り出す。 それ自体は白鳥に向けられては居ないが、白鳥に残された選択肢は一つしかない。 「わー行きますからマシンガン仕舞ってー。」 「じゃあ決定ですね。」 街中。 休日の街中は人が非常に多い。カップル、夫婦、少年少女の群、一人身の男など様々な人が歩いている。 そんな中に、平凡青年と危ない不思議少女、自称錬金術師の逃走青年が歩いている。 「子乃さん、何がいいですかね……。」 「別になんでもいいぞ。できれば洋食がいいが。」 意外なことに子乃は洋食派だった。 そういえば、もう一週間ぐらいたつのに俺って子乃のこと全然知らないんだな……。本人がなかなか喋ってくれないけど。 それにしても近くに洋食店なんてあったっけ? ポケットから携帯を取り出し、この近く一体の店を検索してみる。 「ああ、僕いい店知ってますよ。とびっきりのね。」 カーペリオンが二人の手を取り走り出す。 びっくりする白鳥に、やれやれだ、という顔の子乃。 だが、なんとなく子乃の顔が笑っているような気がした。 レストラン 見た目からして高そうな店である。 財布の中身を確認する白鳥。中には1万円とその他少ない金額の小銭。 「ねぇ子乃さん……?別の店でもいいんじゃないですかねぇ……ってマシンガン出さないでくださいお願いします。」 「金か?それなら前にも言っただろう。」 ああ……確か銀行強盗したんだっけ……。 「じゃあご馳走になりますね。」 だがカーペリオン。てめぇは 「ダメだ、とは言わせませんよ。」 フフフと気味の悪い笑い顔を浮かべるカーペリオン。 なんなんだこいつは……。 洋食店で出てきたのは俺が今まで生きていた中で最も豪勢な料理の数々。 まさかこんなのが「朝食」で喰えるとは……これも何かの運命なのか? てか、なんでカーペリオンはこんな店を知っていたんだ…… という、考えも吹っ飛ぶぐらいに旨かった。 案の定、子乃が強盗してきた金で支払うわけだが、何故か俺の財布から万札が消えていた。え?なんで? そう、子乃がスったのだ。子乃曰く「白鳥が払わぬのはおかしいだろう?それにこっちの金は貸してやっているのだ。」だそうだ。 初耳だった。そんは話。 店から出ると、やはり街には人が溢れていた。朝なのに皆さん元気ですね。 さて帰るか、と思ったところにカーペリオンがこんなことを言い出した。 「せっかくの休日ですし、お二人の親睦を深める為にデート……もとい街でも歩いて買い物とかでもしませんか?」 「それはいい考えだな。丁度暇を持て余して過ごす予定だったからな。」 何故か、カーペリオンの提案に賛同している子乃。 というかカーペリオンさんいつからそんな子乃に気軽く話掛けられるようになったんだ? やっぱりこいつ、普通じゃないな……。 「ええ、そりゃ死にませんからね。」 それだけの理由か……。 街中は人々の笑い声や宣伝の人の大声賑わっている。 こう見ると俺達もただの学生だよなー、と改めて思うのである。やってることが学生と変わりないしね。 「そうですねぇ……子乃さんあまり服って持っていないでしょう?それにあんな闘いしてるからすぐ使えなくなりそうですしね。」 「む?確かにその通りだが……。」 「じゃあ丁度いい。買って行きましょう。」 まて、俺を置いて勝手に話を進めるな。 しかしこの男。誘導力というかそういうのがすごいな。あの子乃を淡々と導いているぞ……。 なんだろうか、悔しいというか……なんというか…… って別に妬いてないぞ妬いて。断じてない。というか俺は子乃に命を狙われているわけであって…… 「置いていきますよ?」 「え、あ、今行くわ。」 と言うわけで散歩兼ショッピングが始まったのであった。 こうして歩いてみると、この街も随分と個性的な店がある。怪しいビデオショップやら名前だけ聞くとまずそうな饅頭屋やら…… 偉そうに説明していくカーペリオン。なんでこいつこんな詳しいんだ? まさか通行人の思考読んでる……なんてことはないよな。 「その通りだったりするかも知れませんねぇ。」 だからいきなり話掛けてくるな……ってもういいや……。 その内とある洋服店に着く。 結構大きい。そしてそれなりに人気のあるブランド物を取り扱っている店らしい。カーペリオン曰く。 楽しそうに会話しながら店に入っていくカップルを見ていると羨ましくなる。 こいつ いや、カーペリオンさえいなければそんな感じには見えるのだろうが、やっぱり無理だな。うん。 しかし、子乃がどんな服を選ぶのかは気になるな……。 と、そんなことを考えながら子乃の方を見ると、カーペリオンがなにやら耳打ちしていた。 こいつの賢者の石をもし俺が持っていたなら、俺はこいつの思考を読んでみたい。一体何を考えているのかを知りたい。 「し、白鳥。そ、そのなんだ……この服、似合うと思うか?」 ボーとしてるときに急に話しかけられる。子乃に。 振り返ると子乃が、顔を赤らめて、可愛いふりふりが付いたワンピースを着ていた。 「え、あ……うん、可愛いと……思いますよ?」 「な、なんだその曖昧な返事は!」 ベシィ!と頬を叩かれた。すげぇ痛い。 そんな俺を見て笑うカーペリオン。腹が立つわこいつ……。 「ダメじゃないですかぁ。彼女が自分で選んだ服なのに。」 んなことは知るか。 しかし意外だったな。子乃があんな服を選ぶとは……。 「服を選んだのは本人ですが、ああするように促したのは私ですがね(笑)」 …………。 殴ってやった。腹に一発。 ウボァーと声を上げていた気がしたが気のせいだろう。 結局子乃は自分ひとりで何十万と買い物をした。服にナイフに包丁に……って殆ど凶器になるものじゃねーか。 帰り道 街から離れた、人が殆ど歩いていない道を通って帰る。これもエス・カーペリオンの考えたことだ。 外は、夕焼けが今にも沈みそうな感じだった。こういうのって結構綺麗だよな。 しかし歩きづらい。荷物を全て持たされているからだ。 こういうのって良く男が持たされるよね……と思うのだが、カーペリオンは何一つ持っていない。 おい、なんでお前が持っていないんだ。 「僕は関係ないじゃないですか。今回はお二人の買い物についていっただけですから。」 いいだしっぺはお前だろ。 「そんなの関係ないです☆」 ないです☆じゃねぇぞおい。というかやっぱ心の中読めるんだな。じゃあもうお前と話すとき声出さなくてもいいな。 苦手だ。どうもこいつは苦手だ。 「ふむ、随分と遅くなってしまったな。」 夕焼けを見ながら喋る少女。 夕日のおかげで影になって分からないが、笑っているような気がした。 が、刹那。厳しい顔になった子乃が急に俺を地面へと押し付ける。に、荷物が……! 一体何が起こった……!もしかして……ついに俺は殺されるのか……! 「……あの距離から避けるとは流石だな。」 聞き覚えのない声。 「誰だ?」 子乃の声が聞こえる。 「俺かい?ただの吸血鬼さ。ただ、一般で言う吸血鬼とは遠く離れているが。」 「……あの姉妹の仲間か?」 「ふむ、よく分かったな。最もあの娘達は俺の足元にも及ばないが。」 一体何が起こっているんだ……! 「そして、初めまして。若林子乃。」 「……何故名を知っている。」 「君の父親とちょっとした関係を持っていてね。 そうそう、俺の名は……一応言っておこうか。エドワードと名乗っているが……まぁ覚えてくれなくても結構かもな。」 「ああ、どうせ貴様が散るからな。」 まさか……子乃の奴……ここで戦うつもりなのか……? 顔を上げる。 既に二人は戦っていた。 「一瞬で殺してやるよ!」 瞬間移動をし、エドワードの後ろへ回る。 そしてそのまま激しく蹴り上げる……はずだった。 しかし、子乃の目の前には既にエドワードの姿はなく、力をこめた蹴りは虚しくも空振りで終わる。 「人間にしては強力な力を持っているな。さすがは血籠の娘といったところか。 ま、未だ人間の域を超えていないところを見ると、父親には劣っているが……」 声がしたのは、子乃の後ろからだった。 それを見た白鳥は思うのである。こいつからは明らかに今までの奴とは違う、もっと恐ろしい気配がすると。子乃でも敵わないと。 そういえばカーペリオンは確か賢者の石を……。 そう思って辺りを見回す。 カ ー ペ リ オ ン は 既 に 逃 走 を キ メ て い た 野郎……! 「……おもしれぇ!!今度は逃がさずぶち込んでやるよ、吸血鬼ッ!!!」 そういって、素早く後ろを向き、エドワードへと殴りかかる。 「威勢のいい嬢ちゃんだこと。」 だが、殴りかかった腕はつかまれ、そして切断された。何もなしに。 血が辺りへ吹き出す。 さすがの子乃も危険を感じ、一旦距離を取る。その間に腕が再生する。 「再生能力まで身につけているとはね。これじゃあ俺の妹がああなったのも理解できる。」 「妹の御礼参りってか!!はッ!!」 何処からともなく、マシンガンを取り出す。 それをエドワードへ向ける。 「これは、また物騒な物を持っているね。」 「ただのマシンガンじゃない。対化け物用の特製水銀弾だ!!!蜂の巣にしてやるぜ!!死ねッッ!!!」 マシンガンを発射する。 子乃の狙い通りエドワードの体は蜂の巣になり、体の至る所から血が流れ出る。 やったのか……と白鳥は思った。だが、現実は甘くはなかった。 「俺をそこらへんの化け物と一緒にしてもらっては困るな。 超越者という存在を知っているか?私はそれもを超越するのだよ。」 穴が開いている箇所が一瞬にして再生する。 そして、ゆっくりと、子乃へ近づく。 「よければだが、君の能力を見せてもらいたい。」 そういって、子乃の目の前に立つ。 「よかろう、見せてやる。我が力、空間を操る力をな!!!」 そう言い放つと共に、空間へ歪みが生じる。 子乃が指を曲げると共に、エドワードの腕が折れ曲がっていく。 「面白い能力だな。さすがは若林の娘……といいたいが、所詮はこんなものか。」 「何を言ってい……!?」 白鳥には何が起こったのか分からなかった。 ただ、血だらけの子乃の姿を見ることしか出来なかった。 その内、吐き気がする。強い血の臭いが鼻に纏わりつく。 「空間を操る……ねぇ。それぐらい出来て当然のことなんだよ。 支配というのは、当然、力の強い方にされる。分かったか?」 まだ傷が塞がりきってない子乃の首を掴み、持ち上げる。 「苦しいか?そうだよな。人間ならそれが当たり前だ。」 「ぐ……!」 地面へと投げつける。 激しい音と共に、血だらけの子乃が倒れる。 ぴくりとも動かない。まさか死んだわけじゃ……!あの子乃が……まさか…… 助けなきゃ。このままじゃ子乃が死ぬ。だけど体が動かない。あのエドワードとかいう奴に自分はこれまでにない恐怖を本能で感じている。 だが白鳥は思い出す。前、子乃が言っていたことを。 ──私の能力は『死』が迫るほど強くなり、その自由度も上がる。用するに世界が終わりに近づいたり自分が死にそうになったりする程強くなる。 「死んだか……?いや、まだ見たいだな。」 「……死ねェ!」 「まだそんな威勢が残っているとはね。今度はきっちり止めを刺してやるよ。」 二人が同時に攻撃をする……瞬間だった。 「先生は異性不純交遊は許しませんよォ──!!」 どこからともなく現れた我がクラスの担任、ギルバート先生が間に割り込んできたのだ。 しかし、これのどこをみれば異性不純交遊に見えるのだろうか。 「飛んだ邪魔が入ったか……まぁいい。若林の娘が未だ人の域を出ていないことを確認できただけでもね。」 そういって、闇へ消えていく男。 白鳥は、永くにわたる緊張から解き放たれ、今までの人生で一度もないほどの大きなため息をつく。 だが、子乃の方は、 「何邪魔してんだ貴様。」 先生に殴りかかろうとしていた。 子乃の攻撃を華麗に避けた(というとおかしいだろうが、まるで予測していたように避けた)先生は、白鳥の方へと歩み寄る。 「えーと、白鳥君だっけー?どうしてこうなったのか後日たっぷり聞かせてもらうよー?」 まるでサディストのような笑みを浮かべながら白鳥へ言葉を告げる。 その言葉を聞いてさらにため息をつく。それは子乃に聞いてくれ……。 「へぇ、あの娘にか。出来るだけ関わりたくないんだけどねー。」 !?……この人も心を読めるのか?もしやカーペリオンと同じように賢者の石を……! 「その話は長くなるから言わないけど、エスカペは俺の後輩のようなもんだな。うん。 それよりもあれだ。ここで会ったのも何かの縁だろう。」 そういって、自分が飛んできた(というより落ちてきた)方へ振り向く。 「もう、いきなりどこに行ってるんですか?」 幼い女の子の声が聞こえる。 屋台を引いている、ピンク色っぽい髪に茶色の割烹着を着ている少女。 「すまんな。それよりもあれだ。ここらへんなら屋台開くには丁度いいんじゃないのか?」 先生、ここは人は全然来ませんが。 白鳥は心の中でそういうのだが、先生はそれに答えなかった。 ようするにこの人はこの娘といちゃつきたいだけ……ってあれ?この人、嫁……だっけ、別の娘と結婚してるんじゃあ……?もしかしてうわk 「まぁ、大人の複雑な関係ということにしておいてくれ。 それよりもあれだ。少し奢るから飲まないかい?」 「いいんですか……?(公務員がこんなことしてて)じゃあご馳走になりますけど……。お酒は無理ですけど。」」 「ダメですよ?勝手に飲んじゃ。」 少女といちゃつくロリコン教師。 「おい、話は終わったのか白鳥。」 背筋が凍る。 子乃が後ろから話かけてきたのだ。さっきまで前に居たはずなのに。 「あ、ああ……夕飯も決まったぜ……。」 「ふむ、あの屋台か。」 いつの間にか道路端で屋台を始めている。 なんで俺の周りの人間は、こうも意味不明なのが多いのか、改めて白鳥は思うのである。 けどまぁ、こんなのも悪くはないかな、と思い直す。 陽は沈み、辺りは闇に飲まれたように暗くなる。屋台の赤く光る提燈が目立つ。 ロリコン教師と少女の笑い声が聞こえる屋台へと足を運ぶ白鳥と子乃。 今日は本当に災難だったな……苦笑いしながら、そう思う白鳥であった。 ──落ちがこんなんでいいのか。 じ・えんど あとがき どうも、役満張ってると他家が毎回和了るぬこです。幽々子は理論値最強ですよね。 誤字脱字誤変換はデフォルトなんです。 今回は、とある方の小説のキャラクターを使わせていただきました。いい加減自分でオリキャラ作れですよね。 まぁでもオリキャラかれこれ何人も作り出してるし、名前も最近思い浮かばないんですよね。こういうキャラいいよなーみたいな感じのはあるんですが。 けど、これ以上オナニーキャラ増やしてもどうしようもないよな。一応まだ小説には出てきてませんが、武妖狂牙とか久流章(くりゅう あきら)とかいるんですが……。 今回のお話は、ほのぼのを中心に書いてました。前半がそれに当てはまりますね。 白鳥、子乃、エスカペの三人はもう三人で一人みたいな感じになりました。自分の中ではですが(笑) エスカペさんがウザいと感じる方もいるかもしれません。俺も若干書いてて「なんなんだこいつww」と思ったりしました。 だけど、危険が迫ると即エスケープっていう……。まぁそれがエスカペなんですがねw 後半のエドワード戦は、主にエドワードの一方的な干渉……のようなものですね。喧嘩を売ったのもあちらですし。 本人は、若林の娘がどの程度危険か確かめているだけなんですが、完全に悪役ですね。はい、すいません。 一応、子乃が言っていた通り、妹の御礼参りってのもありますが。 偶には主人公から悪役になってもいいんじゃなでしょうか。悪役でも結構格好いいですもんね。カリスマがありますし。 後、最後に先生が来るんですが、あのまま戦っていたら子乃さんは確実に死んでましたね。 しかし、よく先生は邪魔をしますね。その内殺されちゃうんじゃないかな(笑) 絶対に死なないんですがね。 しかしまぁ、白鳥さんは本当によく厄介ごとに巻き込まれますね。本家の某恋愛小説でもいきなり幻想郷での殺し合いに巻き込まれますし。メタキゾやフラックスと似てますね。 もし、七夜のときのように前に出てきたら殺されましたね。エドさんに。 では、最後まで読んでくださった皆様方、どうもありがとうございました。 私の文才では、これが限界ですが、これからも精進していきますので、よろしければお付き合いください。 ただ殺し合う話シリーズはまだまだ続けていきます。エドと紫とか唯我と狂牙とか。考えれば沢山ありますね。 最後に。このような小説にお付き合い頂きましてありがとうございます。
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【遠江】 吸血神官 レベル 49-7 構成 名前 種類(外見) 初期付与 使用技 吸血神官 吸血鬼(剣神主) ▲ 反射結界 生命吸収 顔取られ 死人(顔なし) 吸血神官 吸血鬼(剣神主) ▲ 反射結界 生命吸収 悪夢使い 吸血鬼(コウモリ) 反射結界 夢路惑わせ 吸血鬼(蛾) 催眠コウモリ 動物(コウモリ) 吸血コウモリ 吸血鬼(コウモリ) 生息地域 遠江:梓姫の屋敷 破天でボスNPCに変更されたようです ドロップアイテム 不浄衣 情報募集中 遠江へ-ヌで3POP確認 -- 名前 コメント
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(ver.1.4.0β19実装/最終更新 ver.1.4.x+) ※ver.1.4.0β19に実装された役職です。 基本データ 特徴 コメント 基本データ 所属 吸血鬼陣営/吸血鬼系 役職表示 冥血鬼 占い結果 蝙蝠 霊能結果 蝙蝠 毒見結果 無毒 精神鑑定 正常 夜投票 【吸血】2日目以降/生存者/他人 耐性 罠対象/護衛狩り対象/襲撃耐性 登場 超闇 ログ表記 [冥血] 襲撃先を感染者と死の宣告にする吸血鬼です。 勝利条件は、生存者が自分+自分の感染者のみになることです。 特徴 吸血鬼系役職です。基本事項は該当項目を参照してください。 LW【天狼】以外の人狼系に襲撃されても死亡しません。人狼系の襲撃は失敗扱いとなります。 襲撃先には【感染者】の他に【死の宣告】も付加します。【死の宣告】の執行日は4日後です。 既に対象が【死の宣告】にかかっていた場合は、発動日付が一番遅い日付で上書きされます。 護衛狩り対象です。 東方陰陽鉄では フランドール・スカーレットがモデルとなっている。 コメント 名前 コメント
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【遠江】 吸血神官 レベル 49-7 構成 名前 種類(外見) 初期付与 使用技 吸血神官 吸血鬼(剣神主) ▲ 反射結界 生命吸収 顔取られ 死人(顔なし) 吸血神官 吸血鬼(剣神主) ▲ 反射結界 生命吸収 悪夢使い 吸血鬼(コウモリ) 反射結界 夢路惑わせ 吸血鬼(蛾) 催眠コウモリ 動物(コウモリ) 吸血コウモリ 吸血鬼(コウモリ) 生息地域 遠江:梓姫の屋敷 破天でボスNPCに変更されたようです ドロップアイテム 不浄衣 情報募集中 遠江へ-ヌで3POP確認 -- 名前 コメント
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【遠江】 吸血神官 レベル 49-7 構成 名前 種類(外見) 初期付与 使用技 吸血神官 吸血鬼(剣神主) ▲ 反射結界 生命吸収 顔取られ 死人(顔なし) 吸血神官 吸血鬼(剣神主) ▲ 反射結界 生命吸収 悪夢使い 吸血鬼(コウモリ) 反射結界 夢路惑わせ 吸血鬼(蛾) 催眠コウモリ 動物(コウモリ) 吸血コウモリ 吸血鬼(コウモリ) 生息地域 遠江:梓姫の屋敷 破天でボスNPCに変更されたようです ドロップアイテム 不浄衣 情報募集中 遠江へ-ヌで3POP確認 -- 名前 コメント
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(ver.1.4.0β19実装/最終更新 ver.1.4.x+) ※ver.1.4.0β19に実装された役職です。 基本データ 特徴 コメント 基本データ 所属 吸血鬼陣営/吸血鬼系 役職表示 吸血姫 占い結果 蝙蝠 霊能結果 蝙蝠 毒見結果 無毒 精神鑑定 正常 夜投票 【吸血】2日目以降/生存者/他人 耐性 罠対象/護衛狩り対象/暗殺反射(常時) 登場 超闇 ログ表記 [血姫] 襲撃先を感染者に、対象の役職を把握する吸血鬼です。暗殺反射能力を持っています。 勝利条件は、生存者が自分+自分の感染者のみになることです。 特徴 吸血鬼系役職です。基本事項は該当項目を参照してください。 【感染者】を付加した相手の役職が分かります。暗殺反射能力を持っています。護衛狩り対象です。 コメント 名前 コメント