約 667,799 件
https://w.atwiki.jp/tw2-yukikaze/pages/72.html
彼女が家に着てから、1週間が経った。 「・・・」 外に出掛けている。 「・・・」 玲奈と一緒に。まるでカップルにも見えそうだが、なんかぎこちない。 こうなったきっかけは、玲奈がここで泊まる様になった翌日だった。 その朝、着替えを済ませて居間に行くと、 「おはようございます」 玲奈が台所に立っていた。 「料理、出来るの?」 「これでも得意ですのよ?」 意外、という程でもなかったが、問題なのはその手際にある。 無駄な動きというものが全く存在していない。時間を持て余さず最短の動きで料理を仕上げていく光景は、何かの料理人に見える。 「よぉ、正義」 「あれ?広沢おじさん」 後ろを見ると、いつの間にか旅館の料理長が立っていた。何故に。 「どうしたの?」 「いやぁ、母ちゃんと喧嘩しちまって朝飯食えなかったもんだから、こっちで食わせてもらおうと思ってね」 「何やってるんですか」 「仕方ないだろ」 絶対仕方なくない。つーか、寛大なあのおばちゃんを怒らせるとは何をやらかした。 「・・・それにしてもすごいな・・・、あの子誰だ?」 「うちに泊まる事になった、平永玲奈」 「ふむ・・・」 何か考え込んでいる。 「ちと気になるな」 「何が?」 「料理の手際に隙が無い。中々どころか、うちの見習いなんかよりも上手かもしれん」 「おじさんも、そう思う?」 「うむ」 で、父さん・母さん・俺・玲奈・料理長のおじさん、5人で朝食になったのだが。 「・・・・・・」 全員言葉が出ない。 「・・・この味噌汁、旨い・・・」 「ちょっと、玲奈ちゃんすごいじゃない!」 「・・・いえ、それほどでも・・・ないです・・・」 「いや、卵焼きといい焼き魚といい旨いと思うけど・・・」 と、家族が散々褒めている中、 「・・・・・・」 今年50になる、料理長の広沢おじさんは、顔をしかめている。 「・・・平永さんと、言ったかね・・・?」 「・・・はい・・・」 「うちの料亭に料理人として来なさい。いや、来てくれ!」 ちょ、ここで勧誘かよ! 「副料理長として!」 ・・・? 「えええええええええええええええええええええええ!!!!!!!」 「・・・家族揃ってやかましいな・・・」 当たり前だろ!!! 「ってかおじさん!法律に引っかかる!」 「んなもん無視無視!これだけの才能だ、ほっとく理由が無い!」 ・・・無茶苦茶な・・・。 「・・・私で、いいのかしら・・・」 「ああ自分に自信を持ちなさい、これはすごいぞ千年に1人の天才かもしれん」 それは言い過ぎだろ。 と思ったのだが、甘かった。 今日の朝の風景。 「・・・どう?」 「味としてはよろしいですけど、少し迫力に欠けますわね・・・」 「インパクトが無いって事か?」 「深みや美しさも良いですけど、思い出に残るような印象の強い味も大切ですわよ」 「厳しいねぇ・・・」 新作料理にダメ出しをしているのは玲奈、そして、喰らっているのは広沢おじさん。 「なら、これはどうだい?」 「・・・そうですわね・・・」 「・・・これならどうだ?」 「・・・いい感じです」 「そうか、よかった」 彼女が来てから売り上げが半端が無い。元々料理に定評のあった旅館なのだが、彼女が来てからというものの料理にさらに磨きがかかり、嬉しい悲鳴が続いている。 おかげで従業員は10名増加、昼の食堂がメインになりかけており、これでは従業員が倒れかねないとさすがに料金を引き上げて客を減らす試みをしても無駄な状況が続いている。これは相当な誤算だったらしく、 「・・・ふぅ・・・」 勧誘が良かったのか悪かったのかが、おじさんの最近の悩みらしい。 「ところで玲奈ちゃん、学校の方はどうなんだい?」 「明日には、転校できると思いますわ」 「そうか。こっちに関しては暇な時に手伝うだけでいいから、宜しくね」 「はい」 まあ、人気ならいいだろ。 「玲奈」 「あ、正義さん」 「街に出掛けてみる?」 「・・・街に?」 「そうだね、行ってきなさい、しばらくは学校で遊べなくなるだろうし」 「はい・・・」 こうして今、外で出掛けている。 「・・・あ、」 「どうした?」 「あれ・・・」 玲奈が指差す方に目をやると、大破している車の姿が見えた。 「うわ・・・」 交通事故。トラックが電柱に激突している。その周りで写真を撮っている野次馬、それよりも中の人は大丈夫だったのだろうか・・・。 「・・・」 その光景を、玲奈は凝視している。 「・・・」 その眼は、明らかに敵意の眼。 「・・・玲奈?」 「あ、ごめんなさい・・・」 「何か、あったのか?」 「いえ、そういうわけでは・・・」 何か、ある。そう、俺の直感が働いたのだが、それはなぜかすぐに掻き消えた。 「・・・」 不自然だ、そう思うとすぐに消える。 「・・・」 なんなのだろうか、この変な感覚は・・・。 「すみません、正義さんは、帰っていて下さい・・・」 いきなり玲奈がそう告げて、足早に駆け出していた。 「あっ!」 見失うまいと彼女を追いかけたが、なにぶんこの野次馬の多さ、しかも彼女は身長が低い。大変だ。 「あ!」 声のする方に目をやると、 「父さん」 「お前・・・!」 刑事の父さんにとって、野次馬はただの妨害野郎でしかない。だから俺がてっきり野次馬に見えたのだろう、グーを握り締めているのが見える。 「俺は野次馬じゃねぇ」 「じゃあなんでここにいる」 「玲奈がこの人混みに・・・」 「・・・彼女の方か・・・」 「あ、」 いや、違った。この野次馬の塊から脱出して、裏通りの方に走っていくのが見えた。 「どうしたんだろ・・・」 「追いかけるか」 意見一致して、父さんと一緒に玲奈を追いかけた。
https://w.atwiki.jp/yamiichi/pages/18.html
や行のキャラクター や 野菜治 第39回 藤原康弘・桶雅景・鬼豚馬・桐山泰典・池田一平・ナカノ実験室 恥の多い人生を送ってきて、死後もなお自分の心中の時の下着について葛藤する。全身着ぐるみ人参など、さまざまな自我を持っている。 柳小路エンリケ三郎 第21回 桐山泰典 豪華客船ダイパニック号の乗客、無人島への漂着者の中では唯一の客。通称ウスラのっぽさん。公家とカスティージャ王家の血をひく良家の御曹司であるため、世間を知らず、砂浜に打ち上げられたボトルメールの出会い系スパムメールに返事を出してしまう。よって砂浜は出会い系ボトルメールだらけになるのである。正気なようでいてオカシクなっていく船員たちと比較すると、オカシイようでいて結構正気だったりするのだが、そういうのって数の論理には勝てないものである。ちなみに彼の持ち込んだ貞子のDVDがすべての問題の根源でもある。よって亀には運んでもらえない。 矢吹丈 第10回 池田一平 少年院出身、不屈の名ボクサー。石版には「明日のための○ヶ条」が刻まれているようだ。力石とのクロスカウンター相打ちにダウンし、そのまま真っ白に燃え尽きる。気の早い話である。 ゆ よ ヨーカン・マン 第22回 藤原康弘 銀河鉄道の乗客の一人。灯台守、ないし灯台そのもの。デンマーク北部、タカスギルデショセンの灯台守を父トースト・マンから引き継ぐ。銀河鉄道の沿線をループ移動しているらしく、下車すると元の駅に戻っている。さらに、ある駅を超えるととんがりコーン化してしまい、存在すること自体が難しくなってしまう。善行を積むことにより頭上の灯台は蝋燭→懐中電灯→灯台とグレードアップする。首からラジカセをぶら下げており、そこに星々のささやきを録音している。北山のヴィレッジバンガードがお気に入りのようだ。 横綱審議委員 第3回 全員 横綱審議委員。第3回の登場人物は全員横綱審議委員。
https://w.atwiki.jp/gaquest/pages/24.html
ミク「私と血を分けた友人になるなら、協力してあげるよ!私が仲間になれば良いことあると思う。」 ミヤ「なるなる!」 ミク「へー。そんなに簡単に了承しちゃっていいんだ?でもいいよ。今頷いたって事はミヤくんにはちゃんとその意思があるって判断するね。」 ミヤ「おれにできることならなんでもするよ!」 ミク「今は特に必要ないけど、その時になったらお願いするね。」 ミヤ「やった!仲間1人ゲット!後は何か色々詳しい子が仲間に欲しいなー。」 ミク「それならあの丘の向こうに機械少女が居るってさっきの町でおばあさんが言ってたよ。」 ミヤ「機械って今のご時世変わった子だね。仲間になってくれるかな。」 ミク「それはミヤくん次第だと思う。」 ミヤ「そうだね、取り合えず行ってみよっか。」 ミク「…で、ミヤくんは何処に行くつもりなの?」 ミヤ「え?丘じゃないの?」 ミク「丘はマ逆だけど…」 ミヤ「…いや、わざとだよ?間違えたわけじゃないよ!」 ミク「……うん、行こうか…」 ミク「(ノック音)グミちゃん、いるかな?」 ミヤ「そうそう、いるかな?…って、知り合いなの?」 ミク「うん。前に1度遊んだことがあるんだ。」 ミヤ「…だったら先にそう言ってくれれば俺だってこんなに緊張で胃を痛めなくてすんだかもしれないのに…」 ミク「ミヤくんうるさい。」 グミ「ハーイ!いるよー!あいてるよー!」 ミク「おじゃまします。」 ミヤ「ます…」 ミク「グミちゃん久しぶりだね。」 グミ「おー!ミク!久しぶりねー!」 ミク「元気してた?」 グミ「もっちろん。グミはいつも元気でござる!」 ミク「良かった。あ、そうそう。今日はグミちゃんに紹介したい人がいてね。」 グミ「?グミに紹介ですか?」 ミク「ほら、ミヤくん。自己紹介して。」 ミヤ「え?俺?」 ミク「他に誰がいるの」 ミヤ「はい…。……エスプレッソチョコレートトリュ=フフィットチーネカル=ボナーラカツゲンキャパシティ=グミヤです。ちくわのために魔王を倒しにいくのに協力してくださいお願いします。」 グミ「変な名前ー!でもいいよ、楽しそうだしねー!」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1393.html
「そう思わない?古泉君!」 「まったくその通りかと」 そう返した僕に彼は不満そうに話し掛けてきた 「お前は自分の意志が無いのか。何でもかんでもハルヒの言う事聞きやがって」 「僕は自分の意志で涼宮さんに同意していますよ?」 「俺には例の空間を発生させない為に無理矢理同意してるようにしか見えん」 涼宮さんに聞かれたら不味い話題のせいか彼は小声になる。 涼宮さんは朝比奈さんと喋り始めた・・・というか苛め始めたから 小声で話していれば彼女には聞こえないだろう。 「そんなことないですよ。 それに彼女が考えることは面白いことばかりじゃないですか?」 「あいつの考えてることは人に迷惑かけることだけだろ。」 「ちょっとみくるちゃん暴れないの!!」 いきなり涼宮さんが叫ぶ。 彼はそれを合図かのように椅子から立ち上がると涼宮さんを止めにはいった。 確かに涼宮さんの機嫌をとるために彼女の意見に賛成することはある。 でもそれだけじゃないんですよ?僕は彼を見ながら思った。 あの日から僕は出来る限り涼宮さんについて行こうと決めているのだから。 あれは中学に入学したての頃。僕が最高に退屈していた時だ 変わらない毎日。 くだらない話で盛り上がるクラスメイト。 特に難しくもなんともない授業。 適当に相手をしてやれば友達には困らない。 ノストラダムスの大予言どおりに崩壊してしまえばよかったのに こんなつまらない世界 「古泉、数学教えてくんねぇ?今やってるとこ分かんないとこあるんだよ」 「いいけど…どこで勉強すんだよ。」 「俺の家でやろーぜ。いいだろ?」 「なんか喰い物用意しとけよ」 小学校が同じだったせいかこいつとはよく喋る それにしても今やってる所がわからないなんてこいつは本当にただの馬鹿だ 家に帰ってからまた出かけるのも面倒だった俺はそのままそいつの家に行く事にした 帰り道。 昨日のドラマがどうとかあの女子は可愛いとか どうでもいい話に相槌している俺は心の中で溜息をついていた。 つまんない話だな…俺がそう思った瞬間、女の子の声が後ろから聞こえた 「アンタそんな奴と一緒に居て楽しいの?」 振り返るとそこにはかなり可愛い女の子がいた。 髪は腰ぐらいまであって頭には黄色いリボンがついたカチューシャをつけている 「さっきからつまらない話ばっかりじゃない? アンタもアンタで大人しく話聞いてるだけだし。 なんでそんな馬鹿と一緒にいるの?つまんなくない?」 顔は可愛いくせに結構失礼な事を言うな。…まぁ本当のことだけど というかこの子は誰だ?俺の知り合いではない。 隣に歩くクラスメイトの知り合いだろうか? そう思って隣を見ると誰も居なかった。 えっ?あいつどこ行ったんだ?さっきまでそこでアホな話をしていたじゃないか 「あなた毎日がつまらないと思わない?」 不意に少女が言った。 確かにそうだけど、見知らぬ女と話をするつもりはない。 「お前誰だよ?」 「毎日毎日退屈そうな顔してるわよね?私も最近つまらないのよ」 こっちの発言を無視して少女は喋る 「朝起きて学校に行って授業をうけて家に帰ってきて寝て。 毎日同じ繰り返しじゃない?教室と居るときはどお?楽しい? なにかもっと不思議なことが起こってもいいと思わない? 楽しいことがあって欲しくない!?」 少女の話はあまりに子供っぽ過ぎて馬鹿馬鹿しかった。 しかし俺が考えていることに限りなく近いその話に俺は思わず口を動かした 「確かに。そう思う」 「だったら私があなたをわくわくさせてあげるわ!!」 そう言いながら俺の手をとった 「な、何すんだよ!?」 「何よ。そんなに驚かなくていいじゃない」 知り合いでもない(しかもけっこう可愛い)女に手を握られたら普通は驚く! 俺は心の中で抗議をしていたが少女は気にせずに俺の手のひらに何かをのせた その何か確認しようとしたが少女が俺の手を両手で包んでいたので何か分からない。 「これであなたの毎日が大変になるか楽しくなるかは分からないわ。 でも、今の生活よりかは退屈じゃなくなるわよ!!」 そう言って俺の手をそっと離した。 俺は自分の手に視線を落とす。・・・・何も無い。 「おい、お前…」 視線を少女の方向に戻したがそこには誰もいなかった。 俺は辺りを見渡した ・・・何だったんだ?今の 「古泉!!お前人の話聞いてんのかよ!!」 「・・・・うぉっ!!」 隣から大きい声をかけられ俺は驚いた。 隣を見ると変な目でクラスメイトが俺を見ていた 「何ボーっとしてんだよ?自分の手ばっか見やがって」 「・・・お前、さっきこの辺に女の子居たの見たか?」 「はっ?何言ってんのお前。女の子なんて居なかったじゃん。頭大丈夫か?」 「なんでもない。忘れろ」 「変なやつだなー」 その後俺は適当に勉強を教えて、家に帰宅した そしてその日の夜だった。 超能力としか思えない力が使えるようになったのは。 きっと涼宮さんはこの出来事は覚えていない。 覚えていないどころかきっと知らないんだろう。 朝比奈さん苛めを無理矢理やめさせられて不満そうな顔をしている 涼宮さんを眺めながら思った 彼は涙目になっている朝比奈さんを慰めている。 「あ、そーだ!!」 思い出したように涼宮さんは言った。 それに対して彼は溜息まじりで答える 「なんだ?また何かやらかすつもりか?」 すると彼女はとびきりの笑顔で答えた 「今度の土曜日の活動のことなんだけど言わなといけないことがあったのよ!!」 彼女がこうした笑顔を見せた時は必ず楽しいことが待っている。 さて、次はどうやって俺をわくわくさせてくれるんだ? 終わり
https://w.atwiki.jp/awarrior/pages/17.html
隊長が、アーメット雑用係とであった時の話 隊長:うーむ・・・部隊員は増えぬし片手はバッシュが短くなったし 隊長:どうしたものか・・・ おっと装備を綺麗にせねば。 雑用係:隊長殿! 隊長:おい、呼ばれてるぞ隊長 雑用係:あなた様ですよアーメット隊長! 隊長:君!アーメットを装備してるではないか! 雑用係:僕に、皆の兜を洗わせていただけないですか。 隊長:わかった、まずは雑用からお願いしよう。 隊長:ようこそ!片手戦隊アーメットへ! ~3日後~ 隊長:おーい、雑用係!坊やの兜洗ってやってくれ~ 雑用係:あぁ? 隊長:あ、今日は暇だし、自分で洗おうかな!なんちゃって! ~5日後~ 雑用係:おい、隊長おめーなに突っ立ってんだよ早くパンかってこい 隊長:はい!今すぐ買ってきます! 雑用係:あぁあとジャンプも頼むわ、先月の買ってきたりしたら 雑用係:おめー、どつきまわすぞコラ 隊長:はっはい!すぐに行って来るであります! こうして、雑用係は内の部隊に来たんだ。 ~最近の雑用係~ 雑用係:隊長、のど渇いた 隊長:はい!今すぐ買ってきます。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1354.html
「そう思わない?古泉君!」 「まったくその通りかと」 そう返した僕に彼は不満そうに話し掛けてきた 「お前は自分の意志が無いのか。何でもかんでもハルヒの言う事聞きやがって」 「僕は自分の意志で涼宮さんに同意していますよ?」 「俺には例の空間を発生させない為に無理矢理同意してるようにしか見えん」 涼宮さんに聞かれたら不味い話題のせいか彼は小声になる。 涼宮さんは朝比奈さんと喋り始めた・・・というか苛め始めたから 小声で話していれば彼女には聞こえないだろう。 「そんなことないですよ。 それに彼女が考えることは面白いことばかりじゃないですか?」 「あいつの考えてることは人に迷惑かけることだけだろ。」 「ちょっとみくるちゃん暴れないの!!」 いきなり涼宮さんが叫ぶ。 彼はそれを合図かのように椅子から立ち上がると涼宮さんを止めにはいった。 確かに涼宮さんの機嫌をとるために彼女の意見に賛成することはある。 でもそれだけじゃないんですよ?僕は彼を見ながら思った。 あの日から僕は出来る限り涼宮さんについて行こうと決めているのだから。 あれは中学に入学したての頃。僕が最高に退屈していた時だ 変わらない毎日。 くだらない話で盛り上がるクラスメイト。 特に難しくもなんともない授業。 適当に相手をしてやれば友達には困らない。 ノストラダムスの大予言どおりに崩壊してしまえばよかったのに こんなつまらない世界 「古泉、数学教えてくんねぇ?今やってるとこ分かんないとこあるんだよ」 「いいけど…どこで勉強すんだよ。」 「俺の家でやろーぜ。いいだろ?」 「なんか喰い物用意しとけよ」 小学校が同じだったせいかこいつとはよく喋る それにしても今やってる所がわからないなんてこいつは本当にただの馬鹿だ 家に帰ってからまた出かけるのも面倒だった俺はそのままそいつの家に行く事にした 帰り道。 昨日のドラマがどうとかあの女子は可愛いとか どうでもいい話に相槌している俺は心の中で溜息をついていた。 つまんない話だな…俺がそう思った瞬間、女の子の声が後ろから聞こえた 「アンタそんな奴と一緒に居て楽しいの?」 振り返るとそこにはかなり可愛い女の子がいた。 髪は腰ぐらいまであって頭には黄色いリボンがついたカチューシャをつけている 「さっきからつまらない話ばっかりじゃない? アンタもアンタで大人しく話聞いてるだけだし。 なんでそんな馬鹿と一緒にいるの?つまんなくない?」 顔は可愛いくせに結構失礼な事を言うな。…まぁ本当のことだけど というかこの子は誰だ?俺の知り合いではない。 隣に歩くクラスメイトの知り合いだろうか? そう思って隣を見ると誰も居なかった。 えっ?あいつどこ行ったんだ?さっきまでそこでアホな話をしていたじゃないか 「あなた毎日がつまらないと思わない?」 不意に少女が言った。 確かにそうだけど、見知らぬ女と話をするつもりはない。 「お前誰だよ?」 「毎日毎日退屈そうな顔してるわよね?私も最近つまらないのよ」 こっちの発言を無視して少女は喋る 「朝起きて学校に行って授業をうけて家に帰ってきて寝て。 毎日同じ繰り返しじゃない?教室と居るときはどお?楽しい? なにかもっと不思議なことが起こってもいいと思わない? 楽しいことがあって欲しくない!?」 少女の話はあまりに子供っぽ過ぎて馬鹿馬鹿しかった。 しかし俺が考えていることに限りなく近いその話に俺は思わず口を動かした 「確かに。そう思う」 「だったら私があなたをわくわくさせてあげるわ!!」 そう言いながら俺の手をとった 「な、何すんだよ!?」 「何よ。そんなに驚かなくていいじゃない」 知り合いでもない(しかもけっこう可愛い)女に手を握られたら普通は驚く! 俺は心の中で抗議をしていたが少女は気にせずに俺の手のひらに何かをのせた その何か確認しようとしたが少女が俺の手を両手で包んでいたので何か分からない。 「これであなたの毎日が大変になるか楽しくなるかは分からないわ。 でも、今の生活よりかは退屈じゃなくなるわよ!!」 そう言って俺の手をそっと離した。 俺は自分の手に視線を落とす。・・・・何も無い。 「おい、お前…」 視線を少女の方向に戻したがそこには誰もいなかった。 俺は辺りを見渡した ・・・何だったんだ?今の 「古泉!!お前人の話聞いてんのかよ!!」 「・・・・うぉっ!!」 隣から大きい声をかけられ俺は驚いた。 隣を見ると変な目でクラスメイトが俺を見ていた 「何ボーっとしてんだよ?自分の手ばっか見やがって」 「・・・お前、さっきこの辺に女の子居たの見たか?」 「はっ?何言ってんのお前。女の子なんて居なかったじゃん。頭大丈夫か?」 「なんでもない。忘れろ」 「変なやつだなー」 その後俺は適当に勉強を教えて、家に帰宅した そしてその日の夜だった。 超能力としか思えない力が使えるようになったのは。 きっと涼宮さんはこの出来事は覚えていない。 覚えていないどころかきっと知らないんだろう。 朝比奈さん苛めを無理矢理やめさせられて不満そうな顔をしている 涼宮さんを眺めながら思った 彼は涙目になっている朝比奈さんを慰めている。 「あ、そーだ!!」 思い出したように涼宮さんは言った。 それに対して彼は溜息まじりで答える 「なんだ?また何かやらかすつもりか?」 すると彼女はとびきりの笑顔で答えた 「今度の土曜日の活動のことなんだけど言わなといけないことがあったのよ!!」 彼女がこうした笑顔を見せた時は必ず楽しいことが待っている。 さて、次はどうやって俺をわくわくさせてくれるんだ? 終わり
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1874.html
舞台は2036年、世界が平和なまま迎えた約30年後の未来。 ただ一つ変わったことは、『神姫』と呼ばれるフィギュアロボが人気を集めていること。 全国の主要都市には神姫を購入できる「神姫センター」なる施設が建ち、 その中ではその神姫達を戦わせる「武装神姫バトル」が行われ、絶大な人気を得ている。 これは、一人の少女と一体の神姫の果て無き挑戦である…… 朝…それは果てしなく、清々しいもの。 少なくとも私…長月スバルは、そう感じている。 そんな爽やかな朝に、最高の瞬間が訪れた。 「遂に手に入れた…私のマオチャオ~ッ!」 ついつい、お気に入りの神姫を見ると叫んでしまうのは私の悪い癖だ。 「…うぅ…何事ですか。マスター」 「ふわぁ…眩しいです」 「…またですか」 そのせいで、私の神姫たちが起きてきてしまう。 上から、天使型アーンヴァル「春姫」、犬型ハウリン「彩里」、忍者型フブキ「神無月」。 おかげで、フブキの神無月には、毎度のことながら呆れられている。 「起こしちゃってごめんね」 「いいえ、別に構いません。もしかして…この子の起動ですか?」 さっすが、私の神姫!察しが良いな。 「そ。あとは、CSCを入れるだけかな」 「手伝った方が良いですか?」 春姫が上目遣いで私を見る。 あぁ…ダメ!そんな目で私を…私を… 「姫、そろそろ起動を…」 神無月の言葉で、遠い世界に行きかけた私の意識が戻る。 「やばいやばい、また行きかけてしまった。じゃあ、そろそろ起動(お)きよっか?」 しばらくすると…CSCを装着し終えたマオチャオがゆっくりと目を開く。 「Kemotech製、Automaton神姫…猫型マオチャオ、KT36C1…セットアップ完了、起動します」 そう言い終えると、マオチャオは私の前にちょこんと可愛らしく立った。 「無事起動(お)きたましたね、マスター」 「ですが、お時間の方はよろしいのですか?」 春姫の安堵の声に対し、神無月の厳しい声が飛んだ。 「時間?今日は日曜日だし、学校も無いから大丈…」 ふと見た携帯の液晶画面に表示された時間と日付を見て、私は絶句した。 AM7 55 9月1日 月曜日… 「…あれぇ?壊れたかな、この携帯。まだ変えたばっかりなのにぃ…」 「壊れてもいませんし、日付も9月1日で間違いありません。 そもそも、姫は昨日からその子を見つめっぱなしでした。 気付いてなかったと?」 私のボケもスルーして、神無月は滅多に見せない怪訝な顔をしてそう言った。 もしかして、若干キレてる…? 「…つーことは、私、24時間くらい起きてたってこと?」 恐るべし!長期休暇。 長い休みのあまり、曜日感覚がずれて今に至る…と。 「姫!ですから時間が…」 「うわーん。せかっく起動(お)きたのに、話す暇も無いなんてぇ~」 「自業自得です」 「そうそう、マスターが悪い」 「少しは自覚をしましょうよ…」 「?」 訳の分かっていないマオチャオをよそに、神無月と彩里、 それに春姫と三体の神姫たちにキツイ言葉を浴びせられながら、私は渋々学校に行く準備をする。 そんな時、マオチャオが私の袖を引っ張った。 「ん?どうしたの?」 「私の名前…」 おぉう!学校に間に合う、間に合わないの問題じゃない! 起動(お)きたばかりの神姫に、名を付けずして何が神姫オーナーか! 「ごめん、ごめん。すっかり忘れてた。 ちょっと待ってね。えっと…確かここに…」 ゴソゴソと机の中を漁ると、あった…紐付きの小さな鈴。 「これを首に掛けて…と。 貴女は、香鈴。香るに鈴で香鈴っていうの。どうかな?」 私はニッコリと笑って、マオチャオ改め『香鈴』を見つめながらそう言った。 「うん!気に入ったよ!それで貴女のことは何て「スバルお姉ちゃんで!!」」 香鈴の喜ぶ声を聞きながら、私は真っ先に呼び方を叫んだ。 「無駄に早いですね。マスター」 春姫が呆れた声でそう言った。 「だってだってぇ、こういう子にお姉ちゃんって呼ばせるの夢だったんだもん。 …って、うわっ!?時間が! ゴメン春姫、あとのことは最年長者である君に任せた! う~!あ~!遅刻ぅ、遅刻ぅ~っ!」 バン!と扉を開けて、叫びながら私は家を出て行った。 オーナーであるスバルが居なくなった部屋は、騒がしさが消え静寂が辺りを支配する。 「まさに嵐ですね…姫は」 「まぁ、いつにも増して賑やかだったことは確かだね…」 「気にしたら負け…マスターはいつもそう」 神無月と彩里、春姫の三体は「「「はぁ~…」」」と、ため息を吐いた。 「?」 最後の最後まで、訳の分からない香鈴だった…。
https://w.atwiki.jp/kyo3nen/pages/27.html
久「にしても暇ね」 京太郎「しょうがないだろ。常時面子が足りないんだから」 久「こうして自動卓があるだけ奇跡みたいなものか」 「お、君たち来てたのか」 京太郎「おはよーございます」 久「今日も三麻やります?」 「その前に、はいどうぞ」 京太郎「これ、アイスですか?」 「今日も暑いからね」 久「部長自ら買い出しですか」 「部長って言ってもこんな部だからね」 久「それじゃ、ありがたくいただきます」 久「ロン、8000……これで終局ね」 京太郎「うあー、また久ちゃんがトップかー」 「やっぱり強いな。インターミドルで福路美穂子と互角以上に渡り合っただけはあるね」 京太郎「部長、それは……」 久「いいわよ、別に。そのうちリベンジするつもりだから」 京太郎「そうだな……じゃあその時のためにしっかりと腕磨いとかなきゃな」 久「でもこの状態じゃね……」 「そのことで提案があるんだけど、夏休み中に武者修行ってのはどうかな?」 京太郎「旅をしながら対局相手を探すってことですか?」 「物の例えだけどね。日帰りなら宿泊費もかからないし」 久「でも移動費はかかりますよね?」 「行く回数にもよるけど、君一人分だったら余ってる部活動費でどうにかできると思う」 京太郎「まぁ、たしかにここにいても仕方ないしな」 久「それは別にいいけど、事前のリサーチぐらいはしておきたいわね」 京太郎「適当に行って誰も見つかりませんでしたー、じゃやってられないからな」 「そこらへんはこっちに任せてくれ」 京太郎「お、頼もしいっすねー」 「仮にも部長だからね」 久「わかりました。部長の提案、受けさせてもらいます」 京太郎「武者修行ね……」 京太郎「どうも心配なんだよな、久ちゃんかわいいし」 京太郎「変なナンパ男に絡まれないとも限らないよな」 京太郎「……」 京太郎「何故だろう。今言ったことが弧を描いて戻ってきた気がする」 京太郎「ともかく、女の子の一人旅は心配だ」 京太郎「でもそんなに金ないしな……」 京太郎「親に頼む……いや、女の子と旅行行きますなんて理由で動いてくれるはずがない」 京太郎「誰かに借りる……親以外に貸してくれそうな知り合いはいないよな」 京太郎「となると……アルバイトだな」 京太郎「なるべく短期ですぐにお金をくれるような仕事か……肉体労働くらいしか思いつかないな」 京太郎「体力に自信がないわけじゃないけど、最近暑いしな――っと」 「おっと、失礼」 京太郎「俺の方こそ」 「申し訳ない、急いでいたもので」 京太郎「こっちも考え事してたんで、おあいこですよ」 「そう言っていただけると助かります」 京太郎「いやいや。そんじゃ、気をつけてくださいね」 「では……」 京太郎「……こんな気温でタキシードか」 京太郎「コスプレっぽくは見えなかったけど、もしかして本職の人か?」 京太郎「なんにしても珍しいもん見れたな」 京太郎「さて、本屋で求人雑誌でも――」 京太郎(なんだこれ……すごいプレッシャーだ) 京太郎(まるで深海にでも引きずり込まれるような……) 「……」 京太郎(あの子、なのか?) 京太郎(周囲に人がいない……いや、近寄れないんだ) 京太郎(なんでだろう……あの子を見ていると照ちゃんを思い出す) 京太郎(……そうか、ならほっとけないよな) 京太郎「よ、よう……迷子にでもなったのか?」 「……去ね」 京太郎「稲? 収穫にはまだ早いだろ」 「ふん、貴様のような有象無象と言葉を交わしている暇などない」 京太郎(ちっこいくせになんというか、難しい言葉遣いだな。ジョークも通じなかったし) 京太郎(てかどっからどう見ても暇そうにしか見えない) 京太郎(こんな小さな子がなんで一人で……) 京太郎「……そうか、迷子か」 「――っ!」ビクッ 京太郎「まぁ、それなら気がたっても仕方ないよな」 「こ、衣は迷子なんかじゃっ」 「ここにいましたか」 衣「ハギヨシ! 探したぞ!」パァ ハギヨシ「申し訳ありません」 衣「全く……今度ははぐれないように注意するんだぞ」 ハギヨシ「では、お手を」 衣「うん!」 京太郎「良かったじゃん」 ハギヨシ「あなたは先ほどの……」 京太郎「どうも。さっきはこの子を探して急いでたんですね」 ハギヨシ「衣様がお世話になりました」 京太郎「俺はなんもしてないですよ」 衣「いいや、こいつは衣のことを馬鹿にした!」 京太郎「はいー?」 衣「本来ならハギヨシの素敵滅法で冥府行きだぞ!」 衣「でも、貴様を覆う残り香が気になる」 京太郎「……そんな臭う?」 衣「ハギヨシ、こいつを連れて帰るぞ!」 ハギヨシ「はっ」 京太郎「え、ちょっと待ってなにこれ」 ハギヨシ「失礼っ」 京太郎「うおっ、いつの間に簀巻きにされたんだよ!?」 衣「よし、帰るか」 京太郎「よしじゃない! これ拉致監禁――」
https://w.atwiki.jp/hasekuraisuna/pages/62.html
「センター700点以下は全員ミジンコかシーモンキー」 一月二十一日の独り言 ○予備校にて。センターの話をしてる人達がいる。 聞いてて思った。 −俺,て実は頭良いんじゃないの? 暴言。 だって 「全体で6割取れれば日大合格するらしいよ」「え、まじ?」 「うんまじまじ」「でも,6割なんて無理だよな」 と, 神のお言葉。 俺様ガッツポーズ。 ひれ伏せ愚民どもが発言。(注;実際に声は出してません) つーかセンターの平均点は600点前後だと信じて疑ってませんでした。 700以下は全員ミジンコかシーモンキーだと思ってました。実話です。 だからセンター終わって自己採点した時「…まじか…科目一つ少なく受けたかな」とかおもいました。 10月の模試の『あなたのセンター獲得点数予想』では460点というありがたい数字を頂いたにもかかわらず。 しかしどうやら俺様はもっと威張って宜しいご様子。 ふは、ふははは、ふはははははははははははははははは! http //web.archive.org/web/20020212002414/http //yokohama.cool.ne.jp/chinakiss/dia.html
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/973.html
72話 出会い、別れ、男娼館にて 目的地である男娼館近くにあった雑貨屋で、レオンはクリスの足の怪我の応急手当をしていた。 処置とは言っても止血のために包帯を巻いただけなのだが。 「これで良し……歩けるか? クリス」 「はい、何とか……」 「よし……目的地の男娼館までもうすぐだ。頑張ろう」 「クリス、レオン!」 二人がよく聞き慣れた野太い男の声が響いた。 声の咆哮に向くとそこには自分達に向かって走ってくる髭面の巨漢海賊の姿が。 「ゴメス! 無事だったか!」 「ああ。何とかとっちめてきたわ」 その手には戦利品と思われる見覚えのない武器が握られていた。 ゴメスの話によればクリスが足を負傷する原因となった襲撃者は殺してはいないが、 しばらく行動不能な程に痛め付けてやったとの事。 どんな方法を使ったのかと二人が質問したが、なぜか言いにくそうな表情で はぐらかすばかりで一向に教えなかったた。 レオンもクリスもそこまで深く追求する気もなかったため、すぐに話は切り替わった。 「クリス、怪我の方はどうだ?」 「伯父上に応急処置をしてもらったから、何とか歩く事はできるよ」 「そうか……だが無理はするなよ」 「分かってる」 「それじゃ、改めて行くとするか、二人共」 クリス、レオン、ゴメスの三人は目的地である男娼館へ向け再び歩き始める。 (ふぅ、危ない危ない。流石に掘って気絶させたとは言いずらいからな……) 心の中で安堵の息を漏らすゴメスに、クリスとレオンは気付くはずもない。 周囲を警戒しつつ三人は歩く続け、ようやく男娼館の玄関付近に辿り着く。 しかし、まず三人が見付けたのは玄関前に広がる夥しい量の血痕。 何かを引き摺ったような血の跡が植え込みの中まで続いている。 わざわざ見に行かずとも、漂ってくる異臭で何があるのかは分かる。 但し、異臭は植え込みの中からだけでなく男娼館の玄関扉の向こうからもするようだった。 人狼の姿であるレオンの鋭敏な嗅覚がそれを捉えていた。 そして、玄関扉を開けた先に広がっていたのは――三人の想像を絶する地獄絵図だった。 「こ……これは……」 クリスが信じられないといった表情でその光景を見詰めながら言う。 玄関ホールには全部で六人の死体が転がり、正に「死屍累々」という言葉が相応しい状態だった。 身体を袈裟に斬られた青い山羊のような頭を持った悪魔。 うつ伏せのまま、背中に何かの刺し傷がある青髪の少年。 首を刎ね飛ばされた白い狼獣人の青年。 左肩から胸元に掛けて斬り込まれた銀色の人狼。 こめかみに穴の空いた学生服姿の少女。 左目があるはずの場所がぽっかりと穴が空いている狼獣人の女性。 何れも、まだ死んでからそう時間は経っていないようだった。 「ん? こいつは……!」 左目がなくなった狼女性の死体にクリスは見覚えがあった。 それは間違いなく、この殺し合いにおいて最初に遭遇し、交戦した、 シェリー・ラクソマーコスという狼女剣士だった。 すぐ傍に落ちていた抜き身の太刀にも見覚えがあった。 「こいつがお前が言っていたシェリー・ラクソマーコスか?」 「はい伯父上、間違いありません」 「おい二人共……あそこを見ろ」 「ん?」 ゴメスが指差す先には、奥の壁にもたれるようにして、 俯いたまま動かない狐獣人の青年の姿。 三人が近付いてみても何の反応も示さなかったが、どうやら生きているようだった。 「おい、お前。しっかりしろ」 「……あ……」 レオンの呼び掛けにようやく狐青年――高原正封が顔を上げる。 とても憔悴し切った様子で、目には涙を流した跡もあった。 「ここで何があったのか知ってるのか?」 正封はこくりと頷いた。 「そうか……お前、名前は?」 「……高原正封」 「タカハラ、マサトシ……分かった。クリス」 「はい、伯父上」 「こいつから事情を聞いてくれるか。そこの事務室らしい部屋でな」 「分かりました……」 クリスは未だに呆然自失といった様子の狐青年を伴い、 男娼館受付カウンター奥の事務室へと入って行った。 「さて……ゴメス、手伝ってくれるか」 「何をだ?」 「周りの装備品を回収するのをだ」 「……ああ、分かった」 死体の周囲にはそれぞれの持物だったと思われる銃器や刀、デイパックが転がっていた。 持ち主には申し訳ないが自分達の命も危ない現在、使える物は使わなければ。 また、死体も野ざらしにしておくのは忍びなかったが、埋葬する道具など持ち合わせていない。 体力も無駄に消費するのは避けるべきであった。 事務室内で、クリスは正封からおおよその事の経緯を聞き取っていた。 「そうか、そんな事が……」 クリス達が男娼館を訪れる僅か数十分前に繰り広げられた死闘。 正封によれば、玄関ホールに倒れていた死体の内、狼女剣士シェリー以外は、 自分と行動を共にしていた仲間だったのだと言う。 だがしかし、シェリーが襲来し、あっと言う間に五人が殺されてしまった。 そのシェリーも正封が射殺し、最終的に自分だけが生き残ったのだと、正封は暗い表情で語った。 「その胸の怪我は……」 「これか……その狼の女に刺されたんだ。いや、さっきじゃないよ。 夜中の内に一回襲われたんだ。その時にやられて……随分気絶してた」 「そうか……」 正封の表情や口振り、そして現場の状況からして、正封が虚偽の応答をしているとは考えにくかった。 そう思うと、クリスは正封に対し、同情を禁じ得なかった。 目の前で仲間が全員殺されたのだ、精神的な疲労も計り知れないだろう。 出会った時の憔悴し切った様子がそれを裏付けていた。 「大変だったんだな……」 「あの……クリスさんだっけ? あんたもあの狼女と戦ったのか?」 「ああ……すまない、こんな事になるのだったら何としてでもあそこでシェリーを 止めておくべきだった」 「い、いや、あんたが謝る事なんかないよ。気にしないでよ」 もし最初に遭遇した時にシェリーを倒す事ができれば、 正封の仲間が全員殺される事もなかったのだろうか。 そう考えるとクリスは胸が締め付けられそうな思いだった。 ただでさえ、自分の妹のせいで多くの人々が苦しめられているのだ。 「正封、俺達はこの殺し合いを潰すために行動しているんだ」 「だろう、ね、殺し合いに乗ってるなら複数で行動したりはしないでしょ」 「……それとな、お前に、言っておく事があるんだ」 「何?」 クリスはしばらく間を置き、そして口を開く。 「俺のフルネームはクリス・ミスティーズ。そして俺達と行動を共にしている、 黒い人狼はレオン・ミスティーズ……俺の伯父上。そして――、 俺と伯父上は、この殺し合いの主催者、リリア・ミスティーズの縁者なんだ」 「……それ、マジで?」 「マジだ」 クリスの予想通り、正封はかなり驚いているようだった。 自分と伯父が主催者の血縁者だという事実を公表するのはクリスも抵抗があったが、 いつまでも隠し通せる事でもない。 主催者側の回し者と疑念を抱かれる恐れもあったが、どうやら正封にその様子はないようだった。 「すると、あんたはあのリリアって奴のお兄さんで、あの黒い狼は、二人の伯父さんって事か?」 「そうだ」 「こりゃあ……あの主催者、自分の親戚まで殺し合いに参加させてるのか。 相当イカれて……あ、ごめん、実の妹なんだよな」 「いや、いいんだ。確かにあいつは正気の沙汰じゃない……」 そう、大勢の人々を強制的に集め、爆弾内蔵の首輪をはめ殺し合いを強要し、 自分は高見の見物などと、常軌を逸している。 例え自分の実妹でも到底許す事などできない。できるはずもない。 「だから、何としてもこの殺し合いを潰すんだ。 正封……俺が言えた義理じゃないけど、協力してくれ」 正封に共闘を願うクリス。正封はしばらく迷った末、口を開いた。 「……怪我してるから無理はできないけど、それでもいいなら……」 「本当か。いや、俺も足を怪我しているからその点ではおあいこみたいなものだ」 「おあいことかそういう問題か??」 クリスと正封が事務室内で意気投合していた時、隣の玄関ホールでは、 粗方の目ぼしい武装や道具を回収したレオンとゴメスが、横たわる五人の死体に、 男娼館の備品であるシーツを被せ隠し、簡単ながらも弔っていた。 「随分武器や食糧が増えたな」 ゴメスが回収武器の一つ、アーマライトAR18アサルトライフルを構えながらレオンに言った。 「ああ。後で整理しなければならんだろう。 そろそろクリス達を呼びに行くか」 レオンがこれもまた回収した武器の一つ、サーベルを片手に、 ゴメスと共にクリスと正封がいる男娼館事務室へ向かおうとした、その時だった。 男娼館玄関の扉が開き、ゴメスが良く知る青い飛竜が進入してきた。 「見付けた……! ゴメス……!」 「お前……!」 「あいつは……数時間前に俺達を襲撃した奴か!」 青い飛竜――大宮正悳は憤怒と憎悪に満ちた表情でゴメスを睨み、見据える。 「よくも、よくも俺のケツを掘ってくれたなぁ……!」 「……」 ゴメスは緊張の面持ちのまま、正悳の顔を見据え動かない。 正悳が「あの事」で自分を恨んでいるとは思っていたが、まさかこうも早く、 再び相まみえる事になろうとは。 レオンは事情が今一つ分からなかったが、ゴメスから数時間前に自分達を襲った 目の前の飛竜は――詳細こそ不明だが――意識不明になるまで痛め付けたと 聞かされていたので、恐らくそれが青飛竜の怒りの原因なのだろうとは推測していた。 「お前を何とかしなければワシらの命が危なかったからな、 それにワシに銃を突き付けられて『何でもする』と言ったのはお前だろう?」 「何でもするって確かに言ったけどっ……! まさか、 まさかあんな事されるなんてっ、誰が思う!?」 いつしか正悳は涙声になり、その目からも光る物が見えていた。 自分がゴメスに受けた筆舌し難い責め苦の数々を、またそれを受け、 自らの意思とは逆に身体が順応し、悦楽に溺れて行った自分の痴態を思い出しての事だった。 それを見てゴメスも流石に申し訳なく思ったが、元はと言えば、 正悳が先に仕掛け、しかも殺そうとした事が原因である。 確かに尻を掘ったのは完全な個人的趣味でありやり過ぎたかもしれないが。 「お前だけは、お前だけは殺してやる! ガアアアアアアア!!!」 咆哮を上げながら正悳が鋭い爪の付いた右手を振り翳し、ゴメスに向け突進する。 「おい、やめ――」 「どけぇっ!!」 「ぐおっ!!」 行く手を遮ろうとしたレオンを思い切り払いのける。 レオンは二メートル程吹き飛ばされ床の上に激突してしまった。 「ちっ、やむを得ん――――!」 最早説得する余地はない。ゴメスは戦利品のアーマライトAR18の銃口を正悳に向け、 引き金を引いた。 連射音が室内に響き、空薬莢が床に落ちる金属音も同時に鳴る。 「ガッ、アアァアアアアァ……!!」 胴体に大量のライフル弾を受けた正悳の身体は青から赤に染まり、 その口からも夥しい量の血液が溢れ出た。 どう見ても致命傷である――だが、正悳はまだ諦めていなかった。 「ぐっ……ご、の、やろぉぉォォオオ!!!」 「!!」 「ゴメス!!」 レオンが叫んだ時には、渾身の力で振り下ろされた正悳の右手の爪が、 ゴメスの顔の左半分、そして胴体の胸から腹に掛けての左半分を深く切り裂いた。 死体から流れ出た血で汚れた床の上にまた更に新鮮な朱の色が加わる。 「げふっ……こ……ここまで……なのか……」 身体中が力が抜け、ガクリと膝を付く。遠退く意識に、ゴメスは自分が死ぬ事を悟った。 悔しくない訳ではない、無念でもある。共にこの殺し合いを潰そうと誓った、 クリス、レオンの二人に、そして、自分が死ぬ遠因となった行為の相手にしてしまった、 目の前の青い飛竜に、ゴメスは心の中で謝る。 そして。 ――最後に、脳裏にはっきりと、虹色に浮かんだ。 アレックス…… 一方の正悳も、心臓、肺、肝臓、胃、腎臓、腸、生命活動に必要不可欠な 身体の内臓器官がことごとくゴメスの放った5.56㎜NATO弾の弾頭により、 ズタズタに損傷し、生命活動を維持する事が不可能になっていた。 身体中から力が抜けていく。もう痛みもほとんど感じなくなっている。 自分は真もなく死ぬ。あれ程死ぬのは嫌だったがいざとなるとこうも穏やかでいられるのか。 床に倒れていくのを感じながら、最期に正悳が思うのは、最愛の主人。 (ご主人、申し訳ありません、俺は、もう帰れそうにないです) (ご主人、できれば、俺の事、忘れないで下さい) (ご主人、この思い、伝えたかった) (ご主人、貴方に会えて幸せだった) (ご主人) (ご主人) (ご主人) (ごしゅ―――――――――) (―――――――――――) 床にうつ伏せに倒れた正悳は、とっくに意識は消えていた。 その開かれたままの目は、どこか遠くを見詰めたままだった。 争う声、そして銃声に、事務室にいた二人が玄関ホールに飛び出した時にはもう時既に遅かった。 ついさっきまで生きていたはずの髭面の海賊、ゴメスが、身体の半分をズタズタにされ絶命している。 そのすぐ傍にはさっきまではなかった青い飛竜の死体が転がっていた。 クリスはその飛竜に見覚えがあった。数時間前に自分達一行を襲撃した、あの飛竜に違いない。 どうやらここまで追ってきたらしい。現場の状況から察するに、ゴメスと相討ちになってしまったようだ。 「な、何て事だ、ゴメス……!」 「また……死人が出たのかよ……」 「……」 新たに二人の死体が増えた男娼館玄関ホールで、 生き残った三人の男が悲しみに暮れていた。 【ゴメス@VIPRPG 死亡確認】 【大宮正悳@オリキャラ 死亡確認】 【残り17人】 【一日午前/C-7男娼館:玄関ホール】 【クリス・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】 [状態]:全身にダメージ(中)、右足裂傷(応急処置済)、悲しみ [装備]:三徳包丁(刀身に僅かな亀裂有) [持物]:基本支給品一式、双眼鏡 [思考]: 0:リリアを止める。そのためにもこの殺し合いを潰す。 1:何ていう事だ、ゴメス……。 2:レオン、高原正封と行動する。 3:首輪を外す手段を探す。 4:仲間を集める。同時進行でゴメスの知り合いも捜す。 5:襲われたら対処。 ※参戦時期は本編終了後です。 ※シェリー・ラクソマーコスの死亡を確認しました。 ※足を怪我していますが何とか歩行は可能です。 【レオン・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】 [状態]:全身にダメージ(中)、悲しみ [装備]:シグザウアーSP2340(12/12) [持物]:基本支給品一式、シグザウアーSP2340のリロードマガジン(12×5)、 サーベル、手斧、手榴弾(3)、コルト ディテクティヴスペシャル(6/6)、 .38sp弾(30)、工具箱、水と食糧(3人分) [思考]: 0:殺し合いを止め、リリアと会う。 1:ゴメス……。 2:クリス、高原正封と行動する。 3:仲間を集める。同時進行でゴメスの知り合いも捜す。 4:首輪を外す手段を探す。 5:襲われたらそれなりに対処はする。 ※参戦時期は本編終了後です。 ※拳銃の使い方を一通り覚えました。 【高原正封@俺オリロワリピーター組】 [状態]:精神的疲労(極大)、背中から右胸下辺りにかけ刺し傷(処置済)、悲しみ [装備]:なし [持物]:基本支給品一式、ニューナンブM60(5/5)、38sp弾(20) [思考]: 0:殺し合いはしたくない。とにかく生き残る。 1:……。 ※俺オリロワ開始前からの参戦、ではないかもしれません。 ※「朱雀麗雅」という名前が気になっています。 ※胸元に重傷を負っているため、無理な行動は危険です。 ※クリス、レオンの二人が主催者の血縁である事を知りました。 ※C-7男娼館:玄関ホールの仲販遥、シリウス、トマック、アキラ、デスシープ、 シェリー・ラクソマーコスの死体には白いシーツが被せられました。 また、六人の持物の内、アキラの鉄パイプ、シリウスの増精剤入り小瓶(半分消費)、 それぞれの水と食糧以外の基本支給品は放置されています。 ※シェリー・ラクソマーコスの太刀、FNブローニングM1910(3/6)、 FNブローニングM1910のリロードマガジン(6×5)、トマックのアーマライトAR18(0/30)、 アーマライトAR18のリロードマガジン(30×10)、水と食糧(3人分)はゴメスが回収しました。 ※ゴメスと大宮正悳の死体及び持物はC-7男娼館:玄関ホールに放置されています。 ※C-7男娼館周辺に銃声が響きました。 WOLF S RAIN 時系列順 仮初めの光求め呑んで候 WOLF S RAIN 投下順 仮初めの光求め呑んで候 もう言葉もない、言葉が出ない 高原正封 地雷を踏んだらサヨウナラ 壊される汚される、そして失う クリス・ミスティーズ 地雷を踏んだらサヨウナラ 壊される汚される、そして失う レオン・ミスティーズ 地雷を踏んだらサヨウナラ 壊される汚される、そして失う ゴメス 死亡 It never permits It kills without fail. 大宮正悳 死亡