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777年 渤海使09 宝亀7年12月22日(777/02/04)、渤海国が献可大夫(こんがだいぶ)・司賓少令(しひんしょうりょう)(外交を司る司賓寺の次官)・開国男(げこくなん)の史都蒙(しつもう)ら187人を遣わして、光仁天皇の即位を祝い、あわせて渤海国王の妃の喪を伝えてきた。一行はわが国の海岸に到着する頃、突然暴風に遭遇して、柁が折れ帆が落ちて、溺死者を多く出した。生存者を数えるとわずかに46人であった。それで越前国加賀郡に丁重に収容して衣食などを供給した。(続日本紀) 宝亀8年1月20日(777/03/04)、使者を遣わして渤海使の史都蒙らに問わせた。 さる宝亀4年(6月24日)の烏須弗(うすふつ)らが本国に帰るに際して、太政官は処分を下して「渤海の入朝使はこれからは古例(高句麗時代)にしたがってまず大宰府に向かうようにせよ。北の航路(日本海横断コース)をとってはならない」とした。しかし、今回はこの約束に違っている。これはどういう事情であるか。 史都蒙らは答えて「烏須弗の帰国した時、確かにその旨をた承りました。そこで都蒙らはわが国の南海府の吐号浦(とごうのうら)(北朝鮮咸鏡南道咸興(かんこう)の港湾に当たるか)から出発して、西方の対馬嶋の竹室の津を目指したのですが、海上で風に遭って、この禁止された地域に着いたのです。約束を違えた罪を避ける気持ちはさらさらありません」といった。(続日本紀) 宝亀8(777)年2月、渤海使09の入朝を許す(外交志稿) 宝亀8年2月20日(777/04/02)、渤海使の史都蒙ら30人を召して朝廷に参内させた。その時、都蒙は次のように言上した。 「都蒙ら160余人は(宝亀7年12月22日条では187人とある)、遠路皇帝のご即位をお祝いするために航海して来朝したしました。ところが、にわかに突風に流され120人もの死者を出しました。幸いに生存するものはわずかに46人で、高波の下、万死に一生を得たようなものであります。聖なる朝廷の極まりない徳がなければどうして独力で生存することができましたでしょうか。そればかりではなく特別に都に進み入ることが許され、宮廷を拝そうといたしております。天下にこれ程の幸運な者がどこにありましょうか。生き残った都蒙ら40余人は、死ぬのは諸ともと苦楽を共にすることを誓った者たちです。ところが、この度賜りますに、16人だけを分けて別の処遇を受け、海岸に留めおかれるとのことです。これは、例えるなら、一つの身を割かれ背中を分断して、四肢を失い這い進むようなものであります。天下の輝きがくまなく照らされて、私ども揃っての参内を許されることを仰ぎ望みます」と。 天皇はこれを許可した。(続日本紀) 宝亀8年4月9日(777/05/20)、渤海使の史都蒙らが入京した。(続日本紀) 宝亀8年4月10日(777/05/21)、太政官は使者を遣わして史都蒙らを慰問させた。(続日本紀) 宝亀8年4月20日(777/05/31)、渤海使の史都蒙らが産物を貢献し、奏上した。(続日本紀) 宝亀8年4月27日(777/06/07)、天皇は宮殿の端近くに出御して、渤海の大使である献可大夫・司賓少令・開国男の史都蒙に正3位を、大判官の高禄思(こうろくし)と少判官高欝琳(こううつりん)とともに正5位上を、大録事の史遒仙(ししゅうせん)に正5位下を、少録事の高珪宣(こうけいせん)に従5位下を授け、また、それ以下の者にもみな地位に応じて位階を授けた。渤海国王へ賜う禄については詳しく勅書に載せてある。また、史都蒙以下、地位に応じて物を賜った。(続日本紀) 宝亀8年5月7日(777/06/16)、天皇は重閣門(朝堂院南門)に出御して、射騎を観覧した。渤海使の史都蒙らを召して、また射場に参会させた。5位以上の官人に飾馬や走馬を進上させ、田舞を舞台で舞わせた。渤海の客もまた自国の音楽を演奏した。それらが終わってから、大使の史都蒙以下の者に、地位に応じて彩色の絹を賜った。(続日本紀) 宝亀8年5月10日(777/06/19)、これより先に、渤海使の判官、高淑源(こうしゅくげん)と少録事1人は、わが国の海岸に着く頃になって、船が漂流し溺死した(宝亀7年12月22日)。ここに至って、高淑源に正5位上を、少録事の者に従5位下を追贈し、令(喪葬令)の規定にしたがってそれぞれに香典の物を贈った。(続日本紀) 宝亀8年5月23日(777/07/02)、渤海使09の史都蒙らが帰国した。大学少允(しょうじょう)・正6位上の高麗(こま)朝臣殿継(とのつぐ)を送使に任じた(遣渤海使08=H0777b)。渤海国王に書を賜った。(続日本紀) 参考文献 外務省記録局編, 1884. 外交志稿. 外務省.
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【客人(まれびと)】-後編- 月のない深夜、闇にまぎれるように人影がひとつ、カーレオンの都、リンニイスにある王宮の廊下を歩いている。影は迷うことなく王宮の奥を目指した。行く手にあるのは国王カイの寝室。見張りは、いない。 「結局、見張りは俺の部屋の外にいたやつらだけか」 影――エストレガレス帝国の魔術師ギッシュは扉の前で独白しつつ鍵に手をかざした。カチリ、小さな音とともに鍵が外れ、装飾を施された両開きの扉が、左右に開いた。カイの寝室へとからだを滑り込ませ、足音を忍ばせてベッドに近寄る。ベッドの中、カイはおだやかな寝息を立てていた。ギッシュはふところから短剣を取り出すと、両手でかまえ、頭上にかかげた。 「さよならだ、静かなる賢王」 別れの挨拶とともに、短剣を一息に振り下ろす。短剣は狙いたがわずカイの心臓に深々と突き刺さる――はずだった。 突然、彼の脇を風のようなものが駆け抜けた。風は、カイに突き刺さる寸前で短剣を弾き飛ばすと、ギッシュの背後に回り、首筋に冷たいものを押し当てた。わずかに切り裂かれた布団から雪のように羽毛が舞い上がった。 「おっと、うごくなよ。俺はあんたが呪文を唱えるよりも速く、あんたののどにもうひとつ口をつくれる」 剣を片手に、ナイトマスター・ディナダンがギッシュに警告した。口調は軽いが、本気だ。それから彼は布団の中のカイに言った。 「残念な結末になったようです」 「あなたが本当に亡命してきてくれたのなら、どんなによかったことか……」 悲しみに満ちた言葉とともに、カイはベッドから降りた。 「おまえは俺を慕っていた。だから簡単にだませると思ったのだがな」 ギッシュは動じたそぶりも見せない。むしろ衝撃を受けたのはカイだったと言ってもいい。 「あなたは、いつから他人の気持ちを利用するような人間になってしまったのです……?」 驚きの声を耳にしたギッシュは、口許に冷笑を浮かべた。 「いつからだろうな。ただ、アルメキアが健在だったころから俺は考えていた。自分の手で軍を動かしてこそ、歴史に名を残すことができる、と。ゼメキスの叛逆は、俺には渡りに船だった」 「王を殺してまで歴史に名を残したところで、どんな意味があるというのです!?」 「生まれながらにして王族であるおまえには、わからないだろうな……。俺の名が歴史に刻まれて初めて、俺が確かに生きたという証ができる。だがアルメキアでは俺の献策は成功してもヘンギスト王の功績だ」 「あなたが、そんな風に変わってしまうなど、思いもしなかった……」 ギッシュは答えず、視線をカイからそらした。 「殺すなら、殺せ」 カイは絶句した。ディナダンは王の苦渋に満ちた表情を見て理解した。カイはまだ心の片隅でギッシュを信じている。それでも、カイは王としてギッシュを処刑するだろう。そして判断の正しさゆえに、自分も傷つくのだ。 彼は小さくため息をついた。頭のいい人間は、利口に生きることができないらしい。 「陛下、ギッシュの処遇を私に決めさせていただきたい」 王が権威ある裁定を下そうと口を開く直前、ディナダンはすばやく申し出た。カイの目が驚きでしばたたかれた。悩むすきを与えずに彼はさらに強く押す。 「責任はすべて私が持ちます」 熱意に押され、カイはうなずいた。 ディナダンはカイに一礼すると、ギッシュに向かって簡潔に言った。 「逃がしてやる」 途端にギッシュは吹き出した。 「ずいぶんと優しいことだな。だがその甘さを悔いる日が必ず来るだろう」 「せこい手段を弄するような小物、いてもいなくても大勢に影響はないんでね」 ディナダンが手をたたくと、手に縄を持った衛兵たちが入室してきた。 国境で解放されることになったギッシュは、縄をかけられる間、唇の端をゆがめ、不敵に笑んでいた。城門で馬車へと乗せられる魔術師を眺めながらディナダンは横にいるカイに言った。 「人生、いつも正しいことが最良の選択とは限りません」 「ああ。ありがとう、ディナダン」 カイは微笑んだ。 ディナダンは、それから、と付け加えた。 「陛下はギッシュほど頼りになる騎士はいないとおっしゃりましたが、まだそう思ってらっしゃいますかね?」 「……君もつまらないことを根にもつね」 しかしそれがいつもの憎まれ口なのだということが、カイにはわかっていた。ディナダンは肩をすくめて、苦笑するカイの言葉をやり過ごした。 ふたりはだまって馬車を見送った。馬車ははぐれたほたるのようにかすかな光をともして、夜道を遠ざかっていった。 「……わたしは、彼を尊敬していたんだ」 馬車の光が夜の丘の向こう側に消えてしまうと、カイはぽつりとつぶやいた。ディナダンはカイに声をかけようと思ったが、振り向いたカイの表情はすでにいつもどおりのものだった。 「では、改めて帝国打倒の作戦を練ることにしようか。ギッシュが姑息な手段をつかった理由は、帝国には全方位で戦うだけの力が足りないからだ。いまなら、いけるかもしれない」そこまで言って、カイは大きなあくびをした。 「しかしそのまえにひとねむり、ですな」 ディナダンはにやりと笑った。 「睡眠不足じゃ、よい作戦は考えられないからね」 静かなる賢王は、そう言って目を閉じた。 -完- 前編へ 名前 コメント
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櫻井充をお気に入りに追加 櫻井充のリンク #blogsearch2 櫻井充の報道 沖田修一監督・上白石萌歌主演、映画『子供はわかってあげない』、Blu-ray・DVDの発売決定! | PONYCANYON NEWS - PONYCANYON NEWS 【Amazonブラックフライデー】「流星の絆」「浅田家!」など、二宮和也出演作品のDVD・ブルーレイが多数大幅値下げ - WEBザテレビジョン 午後のサスペンス 激突!アラフィフ熟女刑事の事件簿 | TVO テレビ大阪 - tv-osaka.co.jp 「ARASHI 5×20 FILM」櫻井翔、昨夜から嵐メンバーみんなとわいわい - 映画ナタリー 「ワールドトリガー the Stage」本日スタート!植田圭輔「全員が主役の舞台」(ステージナタリー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「文豪ストレイドッグス BEAST」本ビジュアル&本予告公開、追加キャストに村田充ら(コミックナタリー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 高畑充希&SUMIRE、凛とした和装姿を披露 風間俊介はゾクゾク「別の意味でドキドキ」(オリコン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『真犯人フラグ』キャスト陣の“真剣考察”動画公開 芳根京子に「生き別れの妹説」浮上?(オリコン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【スプステ解禁】櫻井圭登×砂川脩弥!本能バースト演劇「sweet pool」2022年3月上演決定!人気ボーイズラブ18禁アドベンチャーゲームの初舞台化に杉江大志・宇野結也に村田充ら集結、スタッフ&キャストコメントUP! - スマートボーイズ 高畑充希「推しと目が合っちゃった」仲良し女優の写真投稿に「可愛すぎます」「優勝」の声 - スポニチアネックス Sponichi Annex 櫻井翔と相葉雅紀、それぞれ結婚を発表「おめでとうございます」と祝福の声(WEBザテレビジョン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 宮藤官九郎脚本、岡田准一、櫻井翔ら出演『木更津キャッツアイ』劇場版2作品がdTVで独占配信決定 - TV LIFE 高畑充希、80代夫婦から苦手なピーマンを勧められ…採れたてを生で一口 - マイナビニュース 柿原さんと充瑠の関係は!?『魔進戦隊キラメイジャー』 西葉瑞希インタビュー - マイナビニュース 高畑充希と舘ひろしが「本麒麟」のCMに初登場 舘は江口洋介と初共演『撮影前はお互いに緊張しちゃいました』 - WEBザテレビジョン 柄本時生 前田敦子、高畑充希とは男女の友情「完璧に超えた」も…「告白して振られた」過去 - スポニチアネックス Sponichi Annex 高畑充希“おげんさん”星野源の結婚祝福「すごくハッピーです」 - ORICON NEWS ポコラート世界展「偶然と、必然と、」 - デザイン・アートの展覧会 & イベント情報 - ジャパンデザインネット 高畑充希「子供がいないので」初のシングルマザー役は格闘「魂が抜けた」 - シネマ - ニッカンスポーツ 鉄への憧憬の念を表現した櫻井充「Fe」展 | NEWS - IMA ONLINE 東京TDC賞2021ノミネート作品に選出された櫻井充写真展「Fe」ポスター販売決定! -Fe(鉄)をテーマとした写真展- - アットプレス(プレスリリース) 高畑充希&宮野真守、ミュージカル初共演で不倫関係に!? 「やっとお芝居できた」 - マイナビニュース “コロナ後遺症”をみてくれる病院がない…7割超患者が苦しむ後遺症の過酷な症状とその対策の欠落 - Nippon.com Fe(鉄)をテーマとした櫻井充の写真展が開催 IPA受賞の鉄塔シリーズと新作を展示 - AXIS 小栗旬が刑事、高畑充希は菅田将暉の恋人役『キャラクター』特報 - cinemacafe.net 高畑充希、自宅の冷蔵庫から発見された意外な物 そのやらかしっぷりにKinKi Kidsも驚く (2021年2月14日) - エキサイトニュース 高畑充希、『クレヨンしんちゃん』声の出演 『にじいろカルテ』とコラボ - ORICON NEWS 『にじいろカルテ』怒りの高畑充希に『過保護のカホコ』思い出すドラマファンも - クランクイン! 鉄をテーマとする写真家・櫻井充の写真展<Fe>開催決定|東京タワー、スカイツリーも登場する「鉄塔シリーズ」などが展示 (2020年2月25日) - エキサイトニュース 医師の働き方改革「処遇改善がなければ改善しない」 予算委員会で論戦に - HuffPost Japan 『ネト充のススメ』能登麻美子さん・櫻井孝宏さんら出演声優8名による、最終回に向けた「カウントダウン!キャストコメント」をまとめて大公開! - アニメイトタイムズ 櫻井充とは 櫻井充の39%は電力で出来ています。櫻井充の37%は鉛で出来ています。櫻井充の13%は元気玉で出来ています。櫻井充の8%は雪の結晶で出来ています。櫻井充の2%はかわいさで出来ています。櫻井充の1%は知恵で出来ています。 櫻井充@ウィキペディア 櫻井充 掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る ページ先頭へ 櫻井充 このページについて このページは櫻井充のインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新される櫻井充に関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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刑事系科目 刑法 刑事訴訟法 刑事訴訟規則 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成11年8月18日法律第137号) 最終改正:平成28年6月3日法律第54号 ※最終改正までの未施行法令あり。 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16年5月28日法律第63号) 最終改正:平成28年6月3日法律第54号 ※最終改正までの未施行法令あり。 検察審査会法(昭和23年7月12日法律第147号) 最終改正:平成28年6月3日法律第54号 ※最終改正までの未施行法令あり。 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(平成12年5月19日法律第75号) 最終改正:平成26年6月13日法律第69号 少年法(昭和23年7月15日法律第168号) 最終改正:平成28年6月3日法律第63号 ※最終改正までの未施行法令あり。 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成17年5月25日法律第50号) 最終改正:平成26年6月13日法律第69号 警察官職務執行法(昭和23年7月12日法律第136号) 最終改正:平成18年6月23日法律第94号 【入門書】 井田良『基礎から学ぶ刑事法(有斐閣アルマBasic)』有斐閣(2013年12月・第5版)……四六判、366頁。 三井誠・曽根威彦・瀬川晃/編『入門刑事法』有斐閣(2013年12月・第5版)……A5判、332頁。 【その他参考書】 渡辺咲子『横断的刑事法レッスン』立花書房(2012年6月)……A5判、288頁。 【演習書】 島伸一編著『ロースクール生のための刑事法総合演習』現代人文社(2004年3月)……一部の設問に弁護士による解答例が付されている。 平川宗信・後藤昭編『刑事法演習』有斐閣(2008年2月・第2版)……短めの事例の中に刑法と刑訴法の論点を織り交ぜた、いわゆる融合問題集。設問にはどちらかといえば基本的なものが多く、解説も丁寧である(著者の独自色が薄い)ので、初中級者にも使いやすい演習書であると思われる。A5判、348頁。 【判例集・ケースブック】 法曹会編『最高裁判所判例解説 刑事篇』法曹会(?年?月・昭和29年度版~2015年7月・平成24年度版)……平成24年度版は、平成24年度の最高裁判所判例集に登載された刑事判例20件のすべてについて,最高裁判所の調査官が判示事項,裁判の要旨等を摘示し,かつ,当該裁判について個人的意見に基づいて解説したもの(法曹時報第65巻第9号より第67巻第4号までに掲載)を集録したもの。A5判、頁。最高裁判所判例解説の一覧:http //www.hosokai.or.jp/item/annai/zaiko/002.html 加藤康榮『刑事法重要判例を学ぶ』法学書院(2012年7月)……A5判、328頁。 【少年法】 〔基本書〕 平場安治『少年法(有斐閣法律学全集)』有斐閣(1987年4月・新版、OD版2001年12月)……古典。定評ある体系書。A5判、466頁。 澤登俊雄『少年法入門(有斐閣ブックス)』有斐閣(2015年4月・第6版)……オーソドックスな少年法の専門書(入門とあるが、初心者向けのやさしい本ではない。本書第5版はしがきより)。比較法的記述に詳しい。A5判、352頁。 武内謙治『少年法講義(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2015年3月)……法セミ連載「少年法の基礎」を土台に大幅に手を入れて書籍化。国際人権法や刑事政策学、犯罪学の知見をふんだんに盛り込んでいる。A5判、592頁。 川出敏裕『少年法』有斐閣(2015年9月)……法教連載「入門講義 少年法」をもとに、連載中及び連載終了後に行われた法改正や、この間の少年法研究の進展も踏まえて、大幅な加筆、修正を行って(はしがき)書籍化。東大刑訴法に特徴的な緻密な解釈論を少年法に持ち込んだイメージ。したがって、理論面は随一。A5判、406頁。 ☆植村立郎『骨太少年法講義』法曹会(2015年11月)……元裁判官による著書。東大、学習院ローにおける「少年非行と法」講義案を書籍化したもの。実務家の著書ということもあり実務運用や手続規定についてはとりわけ詳しい(上記基本書中随一)。章の冒頭に学修のポイントを掲げたり、巻末に参考裁判例集を掲載しており至便。A5判、317頁。 〔判例集・ケースブック〕 廣瀬健二編『裁判例コンメンタール少年法』立花書房(2011年12月)……A5判、552頁。 廣瀬健二編集代表、川出敏裕・角田正紀・丸山雅夫編集委員『少年事件重要判決50選』立花書房(2010年9月)……犯罪全体の相当部分を占める少年事件とそれを律する少年法について理解を深める実務的な参考書。A5判、336頁。 〔コンメンタール〕 守屋克彦・斉藤豊治『コンメンタール少年法』現代人文社(2012年12月)……少年法、少年審判規則のみならず、少年保護事件補償法の解説も加えている。
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子どもの権利委員会・一般的意見13号:あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利(2) あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利(1)より続く IV.第19条の法的分析(続き) A.第19条第1項(続き) 2.「養育中に〔監護を受けている間に〕」(while in the care of …) 33.「養育者」(caregivers)の定義。委員会は、子どもの発達しつつある能力および漸進的自律を尊重しつつ、それでも18歳未満のすべての者はいずれかの者による「監護を受けて」いる、またはそうあるべきであると考える。子どもが置かれる状態は3つしか存在しない。法律上成年として扱われる [13] か、主たる養育者もしくはそれに代わる養育者の監護下にあるか、または国の事実上の監護下にあるかである。第19条第1項にいう「養育者」(「親、法定保護者または子どもの養育をする他の者」)の定義は、子どもの安全、健康、発達およびウェルビーイングについて明確な、承認された法的、職業倫理的および(または)文化的責任を有する者をすべて対象としている。主として、親、里親、養親、イスラム法のカファラにおける養育者、保護者、拡大家族およびコミュニティの構成員、教育・学校および乳幼児期支援の関係者、親が雇用する保育者、レクリエーションおよびスポーツのコーチ(若者グループの監督者を含む)、職場の雇用主または監督者、ならびに、養育者の立場にある(政府系または非政府系の)施設職員(たとえば保健ケア、少年司法ならびにドロップインセンターおよび居住型養護施設の責任者であるおとな)である。出身国外にあって保護者のいない子どもの場合、国が事実上の養育者となる。 [13] 委員会が過去に締約国に対して行なった、女子および男子の双方について婚姻年齢を18歳に引き上げるべきである旨の勧告(子どもの権利条約の文脈における思春期の健康と発達に関する一般的意見4号(2003年)、パラ20)にしたがい、かつこのような状況下にある子どもが不当な取扱いをとくに受けやすいことにかんがみ、委員会は、第19条が、早期婚および(または)強制婚を通じて成年に達したまたは成年擬制の対象とされた18歳未満の子どもにも適用されると考える。 34.養育現場(care settings)の定義。養育現場とは、「恒久的な」主たる養育者(親もしくは保護者等)またはそれに代わるもしくは「一時的な」養育者(教員または若者グループの指導者等)の監督のもと、子どもが一定期間(短期、長期、繰り返しまたは一度きり)を過ごす場である。子どもはこれらの養育現場間を非常にしばしばかつ柔軟に移動することが多いが、これらの現場間を移行中の子どもの安全(たとえば登下校中、または水、燃料、食料もしくは動物の餌を取りに行くとき)については、主たる養育者が依然として――直接に、または代理的養育者との調整および協力を通じて――責任を負う。子どもはまた、養育現場で物理的監督を受けていない間(たとえば目が届かない場所で遊んでいるとき、または監督されないままネットサーフィンをしているとき)も、主たる養育者またはそれに代わる養育者による「養育中」であると見なされる。通常の養育現場として挙げられるのは、家庭、学校その他の教育施設、乳幼児の養育現場、学童保育所、余暇施設、スポーツ施設、文化施設およびレクリエーション施設、宗教施設ならびに礼拝所などである。医療施設、リハビリテーション施設およびケア施設、労働現場ならびに司法現場では、子どもは専門家または国の関係者の監護下に置かれ、これらの者は子どもの最善の利益を遵守し、かつ保護、ウェルビーイングおよび発達に対する子どもの権利を確保しなければならない。やはり子どもの保護、ウェルビーイングおよび発達が確保されなければならない第3のタイプの現場として、近隣地域、コミュニティ、ならびに、難民および紛争や自然災害により避難を余儀なくされた人々のためのキャンプまたは居留地がある。[14] [14] 子どもに対する暴力に関する国際連合研究が、子どもに対する暴力が生じている現場について記述している。「子どもの代替的養護に関する指針」〔PDF〕に掲げられた詳細な指針も参照。 35.主たる養育者またはそれに代わる養育者が明らかでない子ども。第19条は、主たる養育者もしくはそれに代わる養育者、または子どもの保護およびウェルビーイングの確保を委託された他の者がいない子ども(たとえば、子どもが筆頭者である世帯の子ども、路上の状況にある子ども、親が移民として他国にいる子どもまたは出身国外にあって保護者のいない子ども [15] 等)にも適用される。締約国には、たとえこのような子どもが里親家庭、グループホームまたはNGOの施設のような物理的養育現場の環境にいない場合でも、事実上の養育者または「子どもを監護する」者としての責任を負う義務があるのである。締約国は、「子どもに対してその福祉に必要な保護およびケアを確保する」義務(第3条第2項)および「一時的にもしくは恒久的に家庭環境を奪われた子ども」に対して「代替的擁護を確保する」義務(第20条)を有する。このような子どもの権利を保障する方法にはさまざまなものがあるが、家庭のような養育体制を組むことが望ましく、かつこのような子どもが暴力にさらされるおそれとの関係で慎重な検討が行なわれなければならない。 [15] 委員会の一般的意見6号(2007年)、パラ7の定義参照。 36.暴力の加害者。子どもは、主たる養育者もしくはそれに代わる養育者による、かつ(または)養育者がその暴力等から保護すべき他の者(たとえば近隣住民、子どもの仲間および見知らぬ者)による暴力を受ける場合がある。さらに、子どもは、専門家および国の関係者が子どもに対する自己の権力をしばしば悪用する多くの現場(学校、居住型施設、警察署または司法施設等)で暴力にさらされるおそれがある。このような環境はすべて第19条の適用範囲なのであり、同条の適用は養育者が個人的文脈で振るう暴力にかぎられるわけではない。 3.「(措置を)とる」(shall take …) 37.「とる」(shall take)は締約国の裁量の余地をいっさい残さない用語である。したがって締約国は、すべての子どもにこの権利を全面的に保障するための「あらゆる適当な……措置」をとる厳格な義務を負う。 4.「あらゆる適当な立法上、行政上、社会上および教育上の措置」(all appropriate legislative, administrative, social and educational measures) 38.実施および監視に関する一般的措置。委員会は、子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)に対し、締約国の注意を喚起する [16]。委員会はまた、締約国が、子どもの権利の保護および促進における独立した国内人権機関の役割に関する一般的意見2号(2002年)も参照するよう求めるものである。このような実施措置および監視措置は、第19条を現実のものとするうえで必要不可欠である。 [16] とくにパラ9(必要とされる措置の範囲)、パラ13および15(留保の撤回および適格性)ならびにパラ66および67(条約の普及)を参照。 39.「あらゆる適当な……措置」。「適当な」という文言は政府のあらゆる部門を横断する広範な措置を指しており、あらゆる形態の暴力を防止しかつこれに対応するために、これらの措置が活用されかつ効果的なものとされなければならない。「適当な」という文言を、一部の形態の暴力は受け入れられるという意味だと解釈することはできない。統合的な、一貫した、部門横断的なかつ調整のとれた制度が必要であり、そこでは第19条第1項に掲げられた一連の措置が全面的に編入され、かつ第2項に列挙された介入策が全面的に網羅されていることが求められる。持続的なかつ調整のとれた政府の政策および体制に統合されない散発的なプログラムおよび活動は、かぎられた効果しか持たないことになろう。ここに掲げた措置の策定、監視および評価においては、子ども参加が必要不可欠である。 40.立法上の措置とは、立法(予算を含む)ならびに実施および執行のための措置の両方を指す。これは、枠組み、制度、機構ならびに関係機関および権限を有する担当官の役割および責任について定めた、国、州および自治体の法律ならびにあらゆる関連の規則から構成される。 41.以下の措置をまだとっていない締約国は、とらなければならない。 (a) 条約の2つの選択議定書、ならびに、子どもの保護について定めた他の国際的および地域的人権文書(障害のある人の権利に関する条約およびその選択議定書、ならびに、拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰に関する条約を含む)を批准すること。 (b) 条約の趣旨および目的に反する、またはその他の形で国際法に反する宣言および留保を見直しかつ撤回すること。 (c) 条約機関その他の人権機構との協力を強化すること。 (d) 第19条および条約のホリスティックな枠組みにおけるその実施のあり方にしたがって国内法を見直しかつ改正するとともに、子どもの権利に関する包括的政策を定め、かつ、あらゆる場面におけるあらゆる形態の子どもに対する暴力の絶対的禁止ならびに加害者に対する効果的かつ適当な制裁 [17] を確保すること。 (e) 子どもに対する暴力を終わらせるために採択された立法および他のあらゆる措置を実施するため、十分な予算配分を行なうこと。 (f) 被害者および目撃者である子どもの保護ならびに救済措置および賠償への効果的アクセスを確保すること。 (g) 関連の立法において、メディアおよびICTに関わって子どもの十分な保護が定められることを確保すること。 (h) 子どもおよび子どもを養育している者に対し、統合的サービスを通じて必要な支援を提供することによって最適な積極的子育てを促進する、社会プログラムを確立しかつ実施すること。(i) 法律および司法手続(権利を侵害されたときに子どもが利用可能な救済措置を含む)を子どもにやさしい方法で執行すること。 (j) 子どもの権利に関する独立の国内機関を設置しかつ支援すること。 [17] 「制裁」との関連では、「加害者」には自己危害を行なう子どもは含まれない。他の子どもに危害を加える子どもの処遇は、教育的かつ治療的なものでなければならない。 42.行政上の措置には、あらゆる形態の暴力から子どもを保護するために必要な政策、プログラム、監視および監督制度を確立する政府の義務が反映されるべきである。これには以下のものが含まれる。 (a) 国および地方の政府レベル(i) 子どもの保護に関する戦略およびサービスを調整する、政府の中央機関を設置すること。 (ii) 国および地方のレベルの実施機関を効果的に運営し、監視しかつその説明責任を履行させる目的で、機関間運営委員会に参加する関係者の役割、責任および関係を明らかにすること。 (iii) サービスの地方分権化の過程でその質、説明責任および公平な配分が守られることを確保すること。 (iv) 子どもの保護(防止を含む)のために配分された資源を最善の方法で活用するため、体型的かつ透明な予算策定プロセスを実施すること。 (v) 世界的基準に一致する形で作成され、かつ国内で定められた目標および目的にあわせて修正されかつそれを指針とする指標に基づき、諸制度、サービス、プログラムおよび成果が体系的に監視および評価されること(効果分析)を確保する目的で、包括的かつ信頼できる全国的データ収集システムを確立すること。 (vi) 独立した国内人権機関に支援を提供するとともに、子どもの権利オンブズマンのような、子どもの権利に関わる具体的権限を有する機関が設けられていない場合にはその設置を促進すること [18]。 (b) 政府機関、職能団体および市民社会組織のレベル(i)(自己主体感および持続可能性の奨励につながる参加型プロセスを通じて)以下のものを策定および実施すること。a. 機関内および機関横断型の子ども保護政策。 b. 子どもの養育に関わるすべてのサービスおよび現場(保育所、学校、病院、スポーツクラブおよび居住型施設等を含む)を対象とした、専門職倫理綱領、プロトコール、了解覚書およびケア基準。 (ii) 子どもの保護のための取り組みに関わって学術的な教育訓練機関の関与を得ること。 (iii) 良質な調査研究プログラムを推進すること。 [18] 一般的意見2号、とくにパラ1、2、4および19を参照。 43.社会上の措置は、保護に関わる子どもの権利の履行に対する政府のコミットメントを反映し、かつ対象が明確な基礎的サービスを提供するようなものであるべきである。このような措置は、国、および国の責任のもとで活動する市民社会関係者の双方が開始および実施できる。このような措置には以下のものが含まれる。 (a) たとえば以下のような、リスクを低めかつ子どもに対する暴力を防止するための社会政策上の措置(i)子どもの養育および子どもの保護に関わる措置を社会政策制度の主流に統合すること。 (ii) 被害を受けやすい立場に置かれた集団(とくに先住民族およびマイノリティの子どもならびに障害のある子どもを含む)によるサービスへのアクセスおよびその権利の全面的享受を阻害する要因および状況を特定しかつ防止すること。 (iii) 危険な状況にある家族への金銭的および社会的支援を含む貧困削減戦略。 (iv) 公衆衛生および公の安全、居住、雇用および教育に関わる政策。 (v) 保健サービス、社会福祉サービスおよび司法サービスへのアクセスを向上させること。 (vi) 「子どもにやさしいまち」づくり。 (vii) アルコール、違法な薬物および武器への需要およびアクセスを低下させること。 (viii) 子どもの養育および保護のための世界的基準を策定、促進および執行する目的で、マスメディアおよびICT産業と連携すること。 (ix) マスメディアが制作する情報および資料のうち子どもの人間の尊厳および不可侵性を尊重しないものから子どもを保護すること、家庭その他の場所で生じた子どもに影響を与える出来事についての、再被害化につながる報告の流布を差し控えること、および、関係当事者全員が検討できる多様な情報源の活用を基盤とする専門的調査方法を推進することを目的とした、指針を策定すること。 (x) 公衆の間で子どもおよび子ども時代に関する適切なイメージが保持されることを支援するため、子どもたちがメディアで意見および期待を表明する機会、ならびに、子ども向け番組に関与するだけではなく、レポーター、アナリストおよびコメンテーター等としてあらゆる種類の情報の制作および伝達に参加する機会を提供すること。 (b) たとえば以下のような、子どもを個別に支援するための社会プログラム、および、子どもの家族その他の養育者が最適かつ前向きな子育てを行なうことを支援するための社会プログラム(i) 子どものためのプログラム:保育、乳幼児期発達および学童保育プログラム。子どもおよび若者のグループおよびクラブ。困難(自己危害を含む)を経験している子どもを対象とした、カウンセリングによる支援。訓練を受けた者が対応する、24時間かつフリーダイヤルのチャイルド・ヘルプライン。定期的審査に服する里親家族サービス。 (ii) 家族その他の養育者のためのプログラム:心理社会的および経済的課題に対応するための、コミュニティを基盤とする相互援助グループ(たとえば子育てグループや少額融資グループ)。家庭の生活水準を支えるための福祉プログラム(一定年齢に達した子どもへの直接給付を含む)。雇用、住居および(または)子育てに関して困難を抱えている養育者への、カウンセリングによる支援。ドメスティック・バイオレンス、アルコールもしくは薬物への依存その他の精神保健上のニーズに関わる課題を抱えている養育者を援助するための治療プログラム(相互援助グループを含む)。 44.教育上の措置では、子どもに対する暴力を容認および助長する態度、伝統、慣習および行動慣行に対処するべきである。これらの措置は、メディアおよび市民社会の参加も得て、暴力に関する開かれた対話を奨励するようなものであることが求められる。また、子どもの生活、スキル、知識および参加を支え、かつ養育者および子どもに接する専門家の能力増進につながるようなものであるべきである。このような措置は、国、および国の責任のもとで活動する市民社会関係者の双方が開始および実施できる。具体例としては以下のようなものがあるが、これにはかぎられない。 (a) すべての関係者向け:前向きな子育てを促進し、かつ、暴力を容認または奨励する否定的な社会的態度および慣行と闘うための、オピニオンリーダーやメディアを通じた広報プログラム(意識啓発キャンペーンを含む)。子どもにやさしくかつアクセスしやすい形式による、条約、この一般的意見および締約国報告書の普及。ICTの文脈における保護について教育および助言するための措置の支援。 (b) 子どもたち向け:ライフスキル、自己防衛および特定のリスク(ICTに関わるものならびに前向きな友人関係を発展させる方法およびいじめと闘う方法に関わるものを含む)に関する、正確な、アクセスしやすい、かつ年齢に応じた情報を提供し、かつエンパワーメントを図ること。学校カリキュラムその他の方法を通じ、子どもの権利全般、および、とくに意見を聴かれ、かつその意見を真剣に考慮される権利についてのエンパワーメントを図ること。 (c) 家族およびコミュニティ向け:親および養育者を対象とした、前向きな子育てに関する教育。特定のリスクおよび子どもに耳を傾けかつその意見を真剣に考慮する方法に関する、正確かつアクセスしやすい情報の提供。 (d) 専門家および諸機関(政府および市民社会)向け:(i) 子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家および非専門家(教育制度の全段階の教員、ソーシャルワーカー、医師、看護師その他の保健専門職、心理学者、弁護士、裁判官、警察官、保護観察官および刑務所職員、ジャーナリスト、コミュニティワーカー、居住型施設の養育担当者、公務員および公的機関の役職者、庇護担当官ならびに伝統的指導者および宗教的指導者を含む)を対象として、第19条および実践におけるその適用に対する子どもの権利アプローチについて、初任時および任期中に一般的研修および役割別研修(必要な場合には部門横断型の研修も含む)を行なうこと。 (ii) このような研修の規制および認証を目的として、教育訓練機関および職能団体と連携しながら、公的に認められた証明制度を発展させること。 (iii) 条約が、子どもとともにおよび子どものために働くことが予定されているあらゆる専門家の教育カリキュラムの一部となることを確保すること。 (iv) 「子どもにやさしい学校」その他の(とくに子ども参加の尊重を含む)取り組みを支援すること。 (v) 子どもの養育および保護に関する調査研究を推進すること。 B.第19条第2項 「当該保護措置は、適当な場合には、……を含む」(such protective measures should, as appropriate, include …) 45.介入策の範囲。ホリスティックな子ども保護システムにおいては、各締約国の社会文化的伝統および法体系を考慮に入れながら、第19条第2項に掲げられた諸段階のすべてにわたって包括的かつ統合的な措置を用意することが必要である。 [19] [19] 「子どもの代替的養護に関する指針」〔PDF〕で参照可能な詳細な指針も各段階で考慮に入れられるべきである。 46.防止。委員会は、子どもの保護はあらゆる形態の暴力の積極的防止およびあらゆる形態の暴力の明示的禁止から開始されなければならないことを、これ以上ない調子で強調する。国には、子どものケア、指導および養育に対して責任を有しているおとなが子どもの権利を尊重および保護するために必要なあらゆる措置をとる義務があるのである。防止には、あらゆる子どもを対象として、暴力と無縁な、尊重に基づく子育てを積極的に促進し、かつ子ども、家族、加害者、コミュニティ、制度および社会のレベルで暴力の根本的原因に的を絞るための、公衆衛生上その他の措置が含まれる。子ども保護システムの開発および実施においては、一般予防(第一次予防)および対象を明確にした予防(第二次予防)が常に至高の課題として重視されなければならない。防止措置は、長期的には最大の効果をもたらすものである。ただし、防止に対してコミットメントを示したからといって、暴力が起きたときに効果的対応をとる国の義務が軽減されるわけではない。 47.防止措置には以下のようなものが含まれるが、これにはかぎられない。 (a) あらゆる関係者向け:(i) あらゆる形態の暴力の寛容および容認を固定化する態度(ジェンダー、人種、皮膚の色、民俗的または社会的出身、障害その他の力の不均衡を含む)に異を唱えること。 (ii) 創造的な公的キャンペーン、学校教育およびピア・エデュケーション、家庭、コミュニティおよび施設における教育的取り組み、専門家および専門家グループ、NGOならびに市民社会を通じて、子どもの保護に対する条約のホリスティックかつ前向きなアプローチに関する情報を普及すること。 (iii) 子どもたち自身、NGOおよびメディアを含む社会のあらゆる部門とのパートナーシップを発展させること。 (b) 子どもたち向け:(i) 子どもによる諸サービスおよび救済手続へのアクセスを容易にするため、すべての子どもを登録すること。 (ii) 自己の権利に関する意識および社会的スキルの発達ならびに年齢にふさわしいエンパワーメントを通じて子どもたちが自分自身および仲間を守れるよう、支援すること。 (iii) 養育者による支援以上に特別な支援を必要としていると判断された子どもの生活に、責任のある、かつ信頼されるおとなを関与させる、「メンター」プログラムを実施すること。 (c) 家族およびコミュニティ向け:(i) 安全な環境で子どもにケアを提供する家族の能力を支えるため、子どもの権利、子どもの発達および前向きなしつけの方法に関する知識に基づく望ましい子育てのあり方を親および養育者が理解し、擁護しかつ実践することを支援すること。 (ii) 産前産後のサービス、家庭訪問プログラム、良質な乳幼児期発達プログラム、および不利な立場に置かれた集団を対象とする所得創出プログラムを提供すること。 (iii) 精神保健サービス、有害物質濫用治療サービスおよび子ども保護サービス間の連携を強化すること。 (iv) とくに困難な状況に直面している家族を対象として、レスパイト(一時的休息保障)・プログラムおよび家族支援センターを提供すること。 (v) 家庭で暴力を経験してきた親(ほとんどは女性)およびその子どもを対象として、シェルターおよびクライシス・センターを提供すること。 (vi) 子どもの私的関係および家族関係に不当に介入することは避けつつ、事情に応じ、家族の結合を促進しかつ私的場面における子どもの権利の全面的行使および享受を確保する措置をとることにより、家族への援助を提供すること。[20] (d) 専門家および諸機関(政府および市民社会)向け(i) 防止の機会を特定し、かつ調査研究およびデータ収集に基づいて政策および実践に示唆を与えること。 (ii) 参加型のプロセスを通じ、権利を基盤とする子ども保護政策および手続ならびに専門職向けの倫理綱領およびケア基準を実施すること。 (iii) とくに、施設措置および身柄拘束を最後の手段としてかつ子どもの最善の利益にかなう場合にのみ用いるようにする目的でコミュニティを基盤とするサービスを発展させかつ実施することにより、養護現場および司法の現場における暴力を防止すること。 [20] 自由権規約委員会、子どもの権利に関する一般的意見17号(1989年);欧州人権裁判所、オルソン対スウェーデン事件(第1号)判決(Olsson vs. Sweden (No.1), Judgment of 24 March 1988, Series A No.130)、パラ81;米州人権裁判所、ベラスケス・ロドリゲス対ホンジュラス事件判決(Velasquez Rodriguez vs. Honduras, Judgment on the Merits, 10 January 1989, Series C., No.3)、パラ172。 48.特定(identification)[21]。これには、(対象を明確にした防止の取り組みのきっかけとするために)特定の個人または子どもおよび養育者の集団のリスク要因を明らかにすること、および、(できるかぎり早期に適切な介入策を行なうきっかけとするために)現実に起きている不当な取扱いの兆候を発見することが含まれる。そのためには、子どもと接触するすべての者が、あらゆる形態の暴力のリスク要因および指標について認識し、そのような指標を解釈する方法について指導を受け、かつ適切な行動(緊急保護の提供を含む)をとるために必要な知識、意思および能力を有していることが必要である。子どもに対しては、生じつつある問題が危機的段階に達する前に合図を送る機会が、かつ、おとなに対しては、たとえ子どもがはっきりと助けを求めない場合でもそのような問題を認知しかつ行動する機会が、できるだけ多く提供されなければならない。障害のある子どものように、代替的コミュニケーション手段を用いていること、移動できないことおよび(または)無能力者と見なされていることを理由としてとくに被害を受けやすい状況に置かれている、周縁化された集団の子どもについては、とくに警戒が必要となる。このような子どもが他の子どもとの平等を基礎として問題を伝達しかつ合図を送れることを確保するため、合理的配慮が行なわれるべきである。 [21] パラ48以降は、非公式なおよび慣習的な司法制度の手続にも適用可能である。 49.通報(reporting)[22]。委員会は、子ども、その代理人その他の者が子どもに対する暴力を通報するための、安全な、十分に広報された、秘密が守られかつアクセスしやすい支援機構(24時間のフリーダイヤルによるホットラインおよびその他のITCを活用するものも含む)、すべての締約国が発展させるよう強く勧告する。通報機構の設立には、(a) 苦情申立ての利用を促進するための適切な情報を提供すること、(b) 調査および裁判手続に参加すること、(c) さまざまな状況にとって適切で、かつ子どもおよび一般公衆に広く周知された処理手順を策定すること、(d) 子どもおよび家族のための関連の支援サービスを設置すること、および、(e) 通報制度を通じて寄せられる情報を受け取りかつその処理を進める要員を訓練し、かつ継続的支援を提供することが含まれる。通報機構は、主として懲罰的な対応のきっかけとなるのではなく、公衆衛生上の支援および社会的支援を提供する援助志向サービスと組み合わせて設けられなければならず、かつそのようなサービスとして紹介されるべきである。意見を聴かれ、かつその意見を真剣に考慮される子どもの権利が尊重されなければならない。すべての国で、子どもと直接関わる専門家に対し、少なくとも暴力の事例、疑いまたはリスクの通報が要求されるべきである。通報が善意で行なわれたときは通報した専門家の保護を確保する手続が設けられなければならない。 [22] 「子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての指針」も参照。 50.付託(referral)。通報を受理する者に対しては、対応の調整を担当するいずれかの機関に対してどのような場合にかつどのような方法で問題を付託するのかについて、明確な指針および訓練が与えられるべきである。これにしたがい、子どもが(即時的または長期的)保護および専門的支援サービスを必要としていると判断されたときは、訓練を受けた専門家および行政職員が部門間の付託を行なうことも考えられる。子ども保護システムで働く専門家は、機関間協力および連携手順について訓練を受けていなければならない。このようなプロセスでは、(a) 子ども、養育者および家族の短期的および長期的ニーズについて(子どもならびに養育者および家族の意見表明を促し、かつそれを正当に重視しながら)参加型かつ分野横断型のアセスメントを実施すること、(b) アセスメントの結果を子ども、養育者および家族と共有すること、(c) これらのニーズを満たすための一連のサービスに子どもおよび家族を付託すること、および、(d) 介入策が妥当であったかについてフォローアップおよび事後評価を実施することが行なわれることになろう。 51.調査(investigation)。暴力の事案の調査は、子ども、代理人または第三者のいずれによって通報されたかに関わらず、役割別のおよび包括的な研修を受けた有資格の専門家によって行なわれなければならない。そこでは、子どもの権利を基盤とした、かつ子どもに配慮したアプローチをとることが必要である。厳格な、しかし子どもに配慮した調査手続は、暴力が正確に特定されることを確保するうえで役立ち、かつ行政手続、民事手続、子ども保護手続および刑事手続のための証拠を提供する一助となろう。調査のプロセスを通じて子どもにさらなる害を及ぼすことにならないよう、最大限の配慮が行なわれなければならない。そのため、すべての関係者には子どもの意見表明を促し、かつその意見を正当に重視する義務がある。 52.処遇(treatment)。「処遇」は、暴力を経験した子どもの「身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を促進する」ために必要な多くのサービスのひとつであり、「子どもの健康、自尊心および尊厳を育む環境の中で」行なわれなければならない(第39条)。これとの関連で、(a) 子どもの意見表明を促し、かつその意見を正当に重視すること、(b) 子どもの安全、(c) 直ちに安全な場所に措置しなければならない可能性があること、および、(d) 実施される可能性がある介入策が子どもの長期的ウェルビーイング、健康および発達に及ぼす予測可能な影響に対して注意が払われなければならない。子どもに対しては、長期的なフォローアップ・サービスとともに、虐待が明らかになるのと同時に医学的、精神保健的、社会的および法的サービスおよび支援を提供しなければならない場合もある。家族集団会議その他の同様の実践を含む広範なサービスが利用可能とされるべきである。暴力の加害者、とくに子どもの加害者のためのサービスおよび処遇も必要とされる。他の子どもに対して攻撃的な子どもは、愛情に満ちた家族環境およびコミュニティ環境を奪われていることが多い。このような子どもは、欲求不満、憎悪および攻撃性を植えつける子育て環境の被害者と見なされなければならない。教育的措置が優先されなければならず、そこでは子どもの向社会的態度、能力および行動を向上させることが目的とされなければならない。同時に、家庭および近隣地域におけるこのような子どもおよびその他の子どものケアおよび支援を促進する目的で、このような子どもの生活環境が検討されなければならない。自己危害を行なう子どもについては、これは重度の心理的苦痛の結果であり、かつ他の者による暴力の結果である可能性もあることが認められている。自己危害は犯罪として扱われるべきではない。介入は支援的なものでなければならず、いかなる意味でも懲罰的であってはならない。 53.フォローアップ(follow-up)。以下の点が常に明確にされなければならない。すなわち、(a) 通報および付託からフォローアップに至る全過程において、子どもおよび家族に対して責任を負う者、(b) とられる一連の措置の目的(これについては子どもおよびその他の関係者と十分に議論されなければならない)、(c) 介入策の詳細、実施期限および延長の提案、ならびに、(d) 措置の見直し、モニタリングおよび評価のための機構および日時である。介入の諸段階で継続性を確保することは必要不可欠であり、これはケースマネジメント・プロセスを通じて最善の形で達成できる可能性がある。効果的援助のためには、参加型プロセスを通していったん決定された措置が不当に遅延しないようにすることが必要である。フォローアップは、第39条(回復および再統合)、第25条(処遇および措置の定期的審査)、第6条第2項(発達に対する権利)および第29条(発達に対する意思および期待を提示するものとしての教育の目的)の文脈において理解されなければならない。子どもが双方の親と接触することは、子どもの最善の利益に反しないかぎり、第9条第3項にしたがって確保されるべきである。 54.司法的関与(judicial involvement)[23]。常に、かつあらゆる場合に、適正手続が尊重されなければならない。とりわけ、子どもの保護およびさらなる発達ならびに最善の利益(および加害者による再犯のおそれがあるときは他の子どもの最善の利益)が意思決定の第一義的目的とならなければならず、かつ、状況によって正当と考えられる、もっとも侵害度の少ない介入策が考慮されなければならない。さらに、委員会は以下の保障を尊重するよう勧告する。 (a) 子どもおよびその親に対しては、司法制度または他の権限ある公的機関(警察、移民担当機関または教育機関、社会機関または保健ケア機関等)により、迅速かつ十分な情報提供が行なわれるべきである。 (b) 暴力の被害者である子どもは、司法手続全体を通じて、その個人的状況、ニーズ、年齢、ジェンダー、障害および成熟度を考慮に入れた、かつその身体的、精神的および道徳的不可侵性を全面的に尊重する、子どもにやさしくかつ子どもに配慮した方法で取り扱われるべきである。 (c) 司法的関与は、可能であれば、前向きな行動の奨励および否定的行動の禁止を積極的に行なう、予防的なものであるべきである。司法的関与は、部門の枠を超え、かつ調整のとれた統合的アプローチのひとつの要素であるべきであり、子ども、養育者、家族およびコミュニティとともに働く他の専門家を支援しかつその活動を容易にするとともに、子どもの養育および保護に関わって利用可能な一連のサービスへのアクセスを促進することが求められる。 (d) 暴力の被害を受けた子どもが関与するあらゆる手続において、法の支配を尊重しながらも、迅速性の原則が適用されなければならない。 [23] 「子どもにやさしい司法に関する欧州評議会閣僚委員会指針」(2010年11月17日採択)、「子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての指針」および国連総会決議65/213〔司法の運営における人権〕も参照。 55.司法的関与は以下の要素から構成される場合がある。 (a) 家族集団会議、代替的な紛争解決のしくみ、修復的司法および親戚知己協定のような、通常の手続とは異なる調停的対応(手続において人権が尊重され、説明責任が果たされ、かつ訓練を受けたファシリテーターが進行を担当する場合)。 (b) 具体的な子ども保護措置に結びつく、少年裁判所または家庭裁判所による介入。 (c) 刑事法上の手続(とくに国の関係者が法律上または事実上免責されるという広範に行なわれている慣行を廃するため、厳格に適用されなければならない)。 (d) 子どもの不当な取扱いが疑われている事案の処理において行なわれた懈怠または不適切な行動に関する、専門職に対する懲戒手続または行政手続(倫理綱領またはケア基準の違反を理由とする職能団体の内部手続、または外部手続)。 (e) さまざまな形態の暴力に苦しむ子どもを対象として補償およびリハビリテーションを確保するための、司法的命令。 56.適切な場合には、暴力の被害を受けた子どものために、少年または家族専門の裁判所および刑事手続が設けられるべきである。これには、障害のある子どもの平等かつ公正な参加を確保する目的で司法手続における配慮が行なえるよう、警察、司法機関および検察官事務所に専門部局を設けることも含まれうる。子どもとともにおよび子どものために働く専門家ならびにこのような事案に関与する専門家は全員、さまざまな年齢層の子どもの権利およびニーズならびに子どもに合わせて修正された手続に関する、具体的な分野横断型研修を受けるべきである。他分野連携アプローチを実施する一方で、守秘義務に関する専門職の規則を尊重することが求められる。子どもをその親または家族環境から分離する決定は、それが子供の最善の利益である場合以外には行なわれてはならない(第9条および第20条第1項)。ただし、加害者が主たる養育者である暴力事案の場合、前掲の子どもの権利に関わる保障を踏み外さないかぎりにおいて、かつ重大性その他の要因次第で、社会的および教育的処遇ならびに修復的アプローチに焦点を当てた介入措置のほうが、もっぱら懲罰的な司法的関与よりも望ましいことが多い。被害者への補償、ならびに、救済機構および上訴機構または独立の苦情申立て機構へのアクセスを含む、効果的な救済措置が利用可能とされるべきである。 57.効果的な手続(effective procedures)。第19条第1項および第2項で言及され、かつ制度構築アプローチ(パラ71参照)に統合された保護措置を実施するためには、その執行、質、妥当性、アクセス可能性、効果および効率性を確保するための「効果的な手続」が必要となる。このような手続には以下のものが含まれるべきである。 (a) 必要に応じて処理手順および了解覚書による権限を与えられた、部門横断型の調整。 (b) 体系的かつ継続的なデータ収集・分析の開発および実施。 (c) 調査研究課題の策定および実施。 (d) 子どもおよび家族のための政策、手続および成果に関わる測定可能な目標および指標の策定。 58.成果指標は、暴力の発生件数、発生率および態様もしくは程度にもっぱら焦点を当てた狭いものに留まるのではなく、権利を有する者としての子どもの前向きな発達およびウェルビーイングに焦点を当てるべきである。暴力の根本的原因を明らかにする際および是正のための一連の措置を勧告する際には、子どもの死因審査、重傷事案審査、審問検死および系統的検討も考慮されなければならない。調査研究は、相互補完性を最大限にするため、子どもの保護に関する既存の国際的および国内的知識体系をもとに発展させ、かつ学際的および国際的連携を活用しなければならない。 → -あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利(3)へ続く 更新履歴:ページ作成(2011年5月22日)。
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自由を奪われた少年の保護に関する国連規則(ハバナ規則) 国連総会決議45/113(1990年12月14日) 原文英語(日本語訳・平野裕二) 初出:『少年司法における子どもの権利:国際基準および模範的慣行へのガイド 』(現代人文社、2001年)。訳出にあたっては比較少年法研究会訳(澤登俊雄・比較少年法研究会『少年司法と国際準則』三省堂・1991年)も参照した。 関連文書:少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)/少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)/刑事司法制度における子どもについての行動に関する指針(ウィーン指針)/子どもの犯罪被害者及び証人に関わる事項における正義についてのガイドライン(Word)子どもの権利委員会・一般的意見10号(少年司法における子どもの権利) 第1部 基本的視点 1.少年司法制度は少年の権利と安全を擁護し、かつその身体的および精神的福祉を促進するようなものであるべきである。収監は最後の手段として用いられなければならない。 2.少年は、本規則および少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)に掲げられた原則および手続にしたがう場合でなければ自由を奪われてはならない。少年の自由の剥奪は最後の手段かつ必要最小限の期間の処分でなければならず、かつ例外的な場合に限られるべきである。制裁の期間は司法機関によって決定されなければならず、かつ早期の釈放の可能性が排除されてはならない。 3.本規則は、あらゆる形態で自由を奪われた少年を人権と基本的自由に合致する形で保護することに関して、国連が受け入れる最低基準を確立することを意図したものである。その目的は、あらゆるタイプの拘禁の有害な影響を中和し、かつ社会への再統合を促進することにある。 4.本規則は、人種、皮膚の色、性別、年齢、言語、宗教、国籍、政治的その他の意見、文化的信条もしくは慣習、財産、民族的もしくは社会的出身および障害によるいかなる種類の差別もなく、公正に適用されるべきである。少年の宗教的および文化的信条、慣習および道徳観は尊重されなければならない。 5.本規則は、少年司法制度の運営に携わる専門家を対象とした利用しやすい参照基準として機能し、かつそのような専門家に対して奨励と指針を提供することを目的としたものである。 6.本規則は、少年司法職員がその自国語で容易に利用できるようにされるべきである。拘禁施設職員が話す言語を難なく用いることのできない少年は、必要な場合には常に、とくに医療検診および懲戒手続においては、無償で通訳サービスを受ける権利を有するものとする。 7.適当な場合、各国は本規則を国内法に編入しまたは本規則にしたがって国内法を改正するとともに、その違反に対し、少年が傷害を負った場合の補償を含む効果的救済を提供するべきである。各国はまた、本規則の適用を監視しなければならない。 8.権限ある機関は、拘禁された少年をケアし、かつその社会復帰に向けた準備を行なうことがきわめて重要な社会サービスであるという公衆の意識を高めるよう、常に努めるべきである。この目的に向けて、少年と地域コミュニティとのあいだの開かれた接触を促進するため積極的な措置がとられなければならない。 9.本規則のいかなる規定も、国際社会が承認した関連の国連文書および国連基準ならびに人権文書および人権基準であって、少年、子どもおよびあらゆる青少年の権利、ケアおよび保護の確保にいっそう貢献するものの適用を排除するものとして解釈してはならない。 10.本規則の第2部から第5部に掲げられた特定の規定を実際に適用することが第1部に掲げられた規則に何らかの形で抵触するさいには、第1部に掲げられた規則にしたがうことが優先的に求められると解さなければならない。 第2部 規則の適用範囲および実際の適用 11.本規則の適用上、以下の定義が用いられなければならない。 (a) 少年とは、18歳未満のすべての者を指す。子どもの自由を奪うことが許されない最低年齢が法律で定められなければならない。 (b) 自由の剥奪とは、いずれかの司法機関、行政機関その他の公的機関の命令によるあらゆる形態の拘禁もしくは収監または公的もしくは私的な身柄拘束環境への措置であって、対象とされた者がみずからの意思で離れることを許されないものを指す。 12.自由の剥奪は、少年の人権の尊重を確保するような条件と環境のもとで実施されなければならない。施設に収容された少年に対しては有意義な活動とプログラムの利益が保障されるべきである。そのような活動およびプログラムは、少年の健康と自尊心を促進および維持し、その責任感を醸成し、かつ、少年が社会の構成員として本来有している能力を発達させる役に立つような態度とスキルを奨励するものでなければならない。 13.自由を奪われた少年は、その地位に関連するいかなる理由によっても、国内法または国際法にもとづき享受を認められた権利であって、自由の剥奪と両立する市民的、経済的、政治的、社会的または文化的権利を否定されない。 14.少年の個人としての権利は、拘禁措置の執行の合法性を特別に考慮しながら、権限ある機関によって確保されなければならない。同時に、少年を訪問する権限を認められかつ拘禁施設に所属しない、適正に構成された機関が国際基準、国内法および国内規則にしたがって遂行する定期的査察その他の統制手段により、社会的統合という目的が確保されるべきである。 15.本規則は、少年が自由を奪われるすべてのタイプおよび形態の拘禁施設に適用される。本規則の第1部、第2部、第4部および第5部は、少年が収容されるすべての拘禁施設および施設的環境に適用される。第3部は、逮捕された少年または審判前の少年に対してとくに適用される。 16.本規則は、各加盟国を覆っている経済的、社会的および文化的条件の文脈に照らして実施されなければならない。 第3部 逮捕された少年または審判前の少年 17.逮捕によりまたは審判のために(「未決」)拘禁されている少年は無罪と推定され、かつそのように扱われる。審判前の拘禁は可能なかぎり回避され、かつ例外的状況に限定されなければならない。したがって、代替的手段を用いるためにあらゆる努力が行なわれるものとする。それにも関わらず予防拘禁が用いられるときは、少年裁判所および捜査機関は、拘禁期間を可能なかぎり短くすることを確保するため、そのような事件を最大限に迅速に処理することを最優先しなければならない。未決拘禁者は有罪宣告を受けた少年から分離されるべきである。 18.未決少年が拘禁される条件は以下に掲げる規則に合致するものとし、かつ、無罪推定の要請、拘禁期間ならびに少年の法的地位および状況に照らして必要かつ適切な特別規定が追加されるべきである。追加されるべき規定には以下のものが含まれるが、かならずしもこれに限られない。 (a) 少年には弁護人選任権が保障されるべきであり、かつ、無償の法律扶助が利用可能な場合にはそのような扶助を申請すること、および弁護人と定期的に接見交通することを可能とされなければならない。そのような接見交通にあたってはプライバシーおよび秘密の保持が確保されるものとする。 (b) 少年は、可能な場合には報酬をともなう作業に従事し、かつ教育または訓練を継続する機会を与えられるべきであるが、ただしそうすることを義務づけられてはならない。作業、教育または訓練を理由として拘禁が継続されてはならない。 (c) 少年は、司法の運営の利益と両立するかぎりにおいて、余暇およびレクリエーションのための用具を支給されかつ保持することができなければならない。 第4部 少年施設の運営 A.記録 19.法的記録、医学上の記録や懲戒手続の記録を含むすべての報告、および処遇の形態、内容と詳細に関わるその他のすべての文書は、秘密保持の対象とされる個人ファイルに保管されるべきである。当該ファイルは、常に更新され、許可を受けた者だけがアクセスできるものとされ、かつ、容易に理解できるような方法で分類されていなければならない。不正確な、根拠のない、または不公正な記述を訂正できるようにするため、可能な場合には、すべての少年に対し、自己のファイルに記載されたいかなる事実または見解についても異議を申し立てる権利が認められるべきである。この権利を行使できるようにするため、適切な第三者が請求にもとづいてファイルにアクセスし、かつファイルを調査することを可能にする手続が定められていなければならない。少年の記録は釈放と同時に封印され、かつ適当な時点で廃棄されるものとする。 20.いかなる少年も、司法機関、行政機関またはその他の公的機関による有効な措置命令なくして、いかなる拘禁施設にも収容されてはならない。当該命令の詳細はただちに記録簿に記載されるべきである。いかなる少年も、そのような記録簿を備えない施設に拘禁されてはならない。 B. 入所、登録、移動および移送 21.少年が拘禁されるすべての場所において、収容された少年ひとりひとりに関して、以下の情報についての完全かつ確実な記録が保管されるべきである。 (a) 少年の身元に関する情報。 (b) 措置の事実関係および理由ならびに措置を行なった機関。 (c) 入所、移送および釈放の日時。 (d) 措置の時点で少年を養育していた親および保護者に対する、少年のすべての入所、移送または釈放に関する通知の詳細。 (e) 薬物およびアルコールの濫用を含む、既知の身体的および精神的健康上の問題の詳細。 22.入所、措置場所、移送および釈放に関する情報は、当該少年の親および保護者またはもっとも身近な親族に対し、遅滞なく提供されるべきである。 23.収容後できるだけ早い時点で、各少年の個人的状況および環境に関する網羅的報告書および関連の情報が作成され、かつ管理者に対して提出されるべきである。 24.入所にさいし、すべての少年に対して、当該拘禁施設の管理規則の写し、および少年の権利と義務を少年が理解できる言葉で説明した文書が渡されなければならない。それとともに、苦情を受理する権限のある機関の住所と、法的援助を提供する公的または民間の機関および団体の住所も渡されるものとする。非識字の少年または書き言葉を理解できない少年に対しては、全面的理解を可能にするような方法で当該情報が伝達されるべきである。 25.施設の内部運営に関する規則、提供されるケアの目標と方法、懲戒の要件と手続、情報の請求または苦情申立てのために認められた方法、および、拘禁中の自己の権利と義務を全面的に理解するために必要なその他のあらゆる事項を理解するための援助が、すべての少年に対して提供されるべきである。 26.少年の移送は、管理者の負担により、充分な換気と光を備えた輸送手段で、かつ少年をいかなる意味でも虐待または屈辱にさらすことのない条件のもと実施されるべきである。少年は、ある施設から別の施設へと恣意的に移送されてはならない。 C.分類および配置 27.入所の時点からできるだけ速やかに、各少年の面接が行なわれ、かつ、少年が必要とするケアおよびプログラムの具体的タイプとレベルに関連するすべての要素を特定した心理学的および社会的報告書が作成されるべきである。この報告書は、入所時に診察を行なった医務官が作成した報告書とともに、少年にとってもっとも適切な施設内の配置と、必要でありかつ追求されなければならないケアおよびプログラムの具体的タイプとレベルを決定する目的で、施設の長に送付されなければならない。社会復帰のための特別な処遇が必要とされる場合であって、施設の収容期間によって可能であるときは、訓練を受けた施設職員が個別の処遇計画書を作成するべきである。当該計画書においては、処遇の目標と時間枠、ならびにその目標に近づくための手段、段階および猶予期間を定めるものとする。 28.少年の拘禁は、その年齢、性格、性別および罪種に応じた特有のニーズ、地位および特別な要件ならびに精神的および身体的健康を全面的に考慮にいれ、かつ有害な影響や危険な状況から少年が保護されることを確保するような条件のもとでなければ、行なってはならない。自由を奪われた少年をさまざまなカテゴリー別に分離するさいの第一の基準は、当該少年の特有にニーズにもっともふさわしいタイプのケアを提供することと、その身体的、精神的および道徳的不可侵性および福祉を保護することであるべきである。 29.すべての拘禁施設において、同じ家族の構成員である場合を除き、少年は成人から分離されるべきである。当該少年の利益となることが明らかにされた特別プログラムの一環として、管理された条件のもと、少年を慎重に選ばれた成人といっしょにすることは認められる。 30.少年を対象とした開放型の拘禁施設が設置されるべきである。開放型の拘禁施設とは、保安措置がまったくとられていないまたは最小限に抑えられている施設を指す。そのような拘禁施設の収容人数はできるだけ少数であるべきである。閉鎖型施設に拘禁される少年の人数は、個別処遇を可能にするのに充分な規模に抑えられなければならない。少年を対象とした拘禁施設は各地に分散して設置され、かつ、少年とその家族とのあいだのアクセスおよび接触を容易にするような規模であるべきである。小規模な貢献施設が設置され、かつコミュニティの社会的、経済的および文化的環境に統合されなければならない。 D.物理的環境および居住設備 31.自由を奪われた少年は、健康および人間の尊厳の要求をすべて満たすような便益およびサービスに対する権利を有する。 32.少年を対象とした拘禁施設の設計および物理的環境は、社会復帰という居住型処遇の目的にのっとり、かつプライバシー、感覚刺激、仲間との交流やスポーツ活動への参加の機会、体操ならびに余暇活動に対する少年のニーズを正当に考慮したものであるべきである。少年拘禁施設の設計および構造は、火災のおそれを最小限に抑え、かつ敷地からの安全な避難を確保するようなものでなければならない。火災に備えた効果的な警報システムを設けるとともに、少年の安全を確保するための正式な手続を定め、かつそれにしたがった避難訓練を行なうべきである。拘禁施設は、健康上その他の危険またはそのおそれの存在が知られている地域に設置されてはならない。 33.就寝設備は、その地域の水準を念頭に置きながらも、少人数の共同部屋または個室が通例とされるべきである。各少年の保護を確保するため、就寝時には、個室および共同部屋を含むすべての就寝区域が定期的に、かつ睡眠の妨げとならない形で監督されなければならない。各少年に対し、その地域または国の水準にしたがって、個別のかつ充分な寝具が提供されるべきである。当該寝具は、提供時に清潔であり、その後もよい状態に保たれ、かつ清潔さを確保するのに充分な頻度で交換されなければならない。 34.衛生設備は、すべての少年がプライバシー、清潔さおよび品位を確保された方法で必要なときにその身体的ニーズを満たせるような場所に設けられ、かつそのための充分な水準を備えたものであるべきである。 35.私物の所持はプライバシーに対する権利の基本的要素であり、かつ少年の心理的福祉にとって必要不可欠なものである。私物を所持し、かつその保管のための充分な便益を与えられるすべての少年の権利が全面的に承認および尊重されなければならない。少年が手元に置かないことにした私物または没収された私物は安全に保管されるべきである。その目録には少年の署名がなされなければならない。当該私物をよい状態で保管するための措置がとられるべきである。そのようなすべての金品は釈放時に少年に返還されなければならないが、少年が金銭を使用し、またはそのような財産を施設外に送付することを認められていた場合はこのかぎりでない。少年がいずれかの医薬品を受け取りまたは所持していることが認められたときは、それをどのように使用すべきかについて医務官が決定するべきである。 36.少年は可能なかぎり私服を着用する権利を有する。拘禁施設は、気候に適しており、良好な健康状態を確保するのに充分であり、かついかなる意味でも品位を傷つけまたは屈辱的となることのない私服を、各少年が保持できるようにするべきである。いずれかの目的で施設から退出させられまたは退出する少年は、私服の着用を認められなければならない。 37.すべての拘禁施設は、適切に調理され、通常の食事時間に提供され、かつ、栄養、衛生および健康の水準ならびにできるかぎり宗教的および文化的要求も満たすだけの質と量を備えた食糧がすべての少年に与えられることを確保しなければならない。すべての少年が清潔な飲料水をいつでも利用できるようにするべきである。 E.教育、職業訓練および作業 38.義務教育年齢にあるすべての少年は、そのニーズと能力に適合し、かつ社会復帰の準備を目的とした教育に対する権利を有する。そのような教育は、釈放後も少年が困難なく教育を継続することができるよう、可能な場合には常に拘禁施設外のコミュニティの学校において、かついかなる場合にも資格のある教職員により、国の教育制度に統合されたプログラムを通じて提供されるべきである。拘禁施設管理者は、外国出身の少年または特定の文化的もしくは民族的ニーズを有する少年の教育に対し、特別な注意を向けなければならない。非識字の少年または認知障害または学習障害を有する少年は特別な教育に対する権利を有する。 39.義務教育年齢を超過した少年であって教育を継続したいと望む者に対しては、教育の継続が許可および奨励されるべきであり、かつ、そのような少年に対して適切な教育プログラムへのアクセスを提供するためにあらゆる努力が行なわれるべきである。 40.拘禁中の少年に授与される修了証書または履修証明書は、少年が施設に措置されていたことをいかなる形でも明らかにするものであってはならない。 41.すべての拘禁施設において、少年にふさわしい教育書および娯楽書ならびに定期刊行物を充分に備えた図書館へのアクセスが提供されるべきである。少年は、図書館の全面的活用を奨励され、かつそれを可能とされなければならない。 42.すべての少年は、将来の就業の備えになると思われる職種についての職業訓練を受ける権利を認められるべきである。 43.職業上の適切な選択および施設管理上の要請を正当に考慮したうえで、少年は自分が行ないたいと望む作業のタイプを選択できるべきである。 44.児童労働および若年労働者に適用されるすべての国内的および国際的保護基準は、自由を奪われた少年にも適用されるべきである。 45.コミュニティに復帰したときに適切な就業先を見つける可能性を高める目的で、少年は、可能な場合には常に、提供される職業訓練を補完するものとして、可能であれば地域コミュニティのなかで報酬をともなう労働に従事する機会を提供されるべきである。作業のタイプは、釈放後の少年の利益となる適切な訓練を提供できるようなものでなければならない。拘禁施設で提供される作業の運営と方法は、少年に通常の職業生活の環境に向けた備えをさせられるよう、コミュニティにおける類似の作業の運営と方法にできるかぎりよく似たものであるべきである。 46.作業に従事するすべての少年に、公正な報酬に対する権利が認められるべきである。少年およびその職業訓練の利益が、拘禁施設または第三者利得を得る目的のために二の次にされることがあってはならない。少年の収入の一部は、釈放時に少年に渡されるべき貯金として積み立てるのを通例とするべきである。少年には、収入の残りを、自己使用のための物品を購入しもしくは自己の犯罪により損害を受けた被害者に償いをするために用い、または拘禁施設外の家族その他の者に送付する権利を認められなければならない。 F.レクリエーション 47.すべての少年には、毎日適切な時間の自由運動を、天候が許す場合には常に屋外で行なう権利が認められるべきである。運動時間中には、適切なレクリエーション的な訓練および身体的訓練が提供されるのを通例としなければならない。このような活動のために充分な空間、設備および用具が提供されるべきである。すべての少年に、これに加えて毎日の余暇活動のための時間が認められなければならず、その時間の一部は、少年が希望する場合には、美術および工作技能の発達に充てられるものとする。拘禁施設は、利用可能な体育プログラムに各少年が物理的に参加できることを確保するべきである。治療的な体育および身体療法が、医師の監督のもと、それを必要とする少年に対して提供されなければならない。 G.宗教 48.すべての少年は、とくに拘禁施設で行なわれる礼拝もしくは集会に参加すること、またはみずから礼拝を行ない、かつ自己の宗派の宗教的戒律および教義に関わる必要な書物または物品を所持することにより、その宗教的生活および精神生活のニーズを満たすことが認められるべきである。特定の宗教に属する少年が拘禁施設に相当数収容されているときは、資格のある当該宗教の代表を一名または複数名任命または承認し、定期的に礼拝を行なうこと、および少年の求めに応じて立会いなしに少年と宗教上の面会を行なうことを認めなければならない。すべての少年に、自己の選択したいずれかの宗教の資格のある代表と面会する権利とともに、宗教上の礼拝に参加せず、かつ宗教上の教育、カウンセリングまたは教化を自由に拒む権利が認められるべきである。 H.医療上のケア 49.すべての少年に対し、予防のためか治療のためかを問わず充分な医療上のケアが与えられなければならない。このようなケアには、歯科、眼科および精神保健上のケアならびに医師の指示による医薬品および特別食が含まれる。このようなすべての医療上のケアは、可能な場合には、少年に対するスティグマ(烙印)を防止しかつ自尊心とコミュニティへの統合を促進する目的で、拘禁施設が設けられているコミュニティの適切な保健施設および保健サービスを通じて、拘禁されている少年に提供されるべきである。 50.すべての少年は、入所前の不当な取扱いの証拠を記録し、かつ医学上の注意を要するいずれかの身体的または精神的状態を発見する目的で、拘禁施設への入所後ただちに医師による診察を受ける権利を有する。 51.少年に提供される医療サービスは、いかなる身体的もしくは精神的疾病、有害物質の濫用または社会への少年の統合を妨げるおそれのあるその他の状態も発見するように努め、かつそれを治療するものでなければならない。少年を対象とするすべての拘禁施設は、収容者の人数と必要にふさわしい充分な医療上の便益および設備にただちにアクセスできるべきであり、かつ、予防保健上のケアおよび医学上の緊急事態への対応の訓練を受けた職員を擁しているべきである。病気の少年、病気を訴える少年、または身体的もしくは精神的困難の症状を示している少年はすべて、医務官による迅速な診察を受けなければならない。 52.いかなる医務官も、拘禁の継続、ハンガーストライキまたは拘禁のいずれかの条件によって少年の身体的または精神的健康が重大な影響を受けたまたは受けるおそれがあると信ずるに足る理由があるときは、当該施設の長、および少年の福祉の保障に責任を負う独立の機関に対し、ただちにその事実を報告しなければならない。 53.精神病の少年に対しては、独立の医療管理のもとに置かれた特別施設で治療が行なわれるべきである。適切な機関との提携により、釈放後も必要に応じて精神保健上のケアが継続されることを確保するための措置がとられなければならない。 54.少年拘禁施設は、資格のある職員によって運営される、薬物濫用の防止およびリハビリテーションのための特別プログラムを採用するべきである。このようなプログラムは、対象となる少年の年齢、性別その他の必要に適合したものでなければならない。薬物依存またはアルコール依存の少年に対しては、訓練を受けた職員が配置された、依存症の治療のための施設およびサービスが利用可能とされるべきである。 55.薬品の投与は、医学上の理由から必要とされる治療のためにのみ、かつ可能な場合には当該少年のインフォームド・コンセント(充分な情報を知らされたうえでの同意)を得たのちに行なわれるべきである。とりわけ、情報または自白を引き出す目的で、または処罰もしくは抑制の手段として薬品が用いられてはならない。少年が薬や治療の治験における被験者とされることがあってはならない。いかなる薬の投与も、常に、資格のある医療職員によって承認および実施されるべきである。 I.疾病、負傷および死亡の通知 56.少年の家族または保護者および少年が指定したその他の者は、請求にもとづく場合、および少年の健康にいずれかの重要な変化が生じた場合に、少年の健康状態について情報を受ける権利を有する。拘禁施設の長は、少年が死亡したとき、少年を外部の医療施設に移送することが必要な疾病が生じたとき、または拘禁施設内部で48時間以上の臨床的ケアを要する状態が生じたときは、当該少年の家族もしくは保護者または指定されたその他の者にただちに通知しなければならない。少年が外国人であるときは、当該少年が市民権を有する国の領事館に対しても通知が行なわれるべきである。 57.自由を剥奪されている期間中に少年が死亡したときは、直近の親族に、死亡証明書を点検し、遺体を目にし、かつ遺体の処置の方法を決定する権利が認められるべきである。拘禁中の少年が志望した場合、死因について独立の機関による調査が行なわれ、かつその報告書に対する直近の親族のアクセスが認められなければならない。このような調査は、拘禁施設からの釈放後6か月以内に少年が死亡した場合であって、当該死亡が拘禁期間と関連していると信ずるに足る理由がある場合にも行なわれるべきである。 58.少年は、直近の家族のいずれかの構成員の死亡または重大な傷病について可能なもっとも早い時点で知らされるべきであり、かつ、故人の葬儀に参列する機会または危篤の親族を見舞う機会が与えられるべきである。 J.広範なコミュニティとの接触 59.少年が外部の世界と充分なコミュニケーションを保つことを確保するため、あらゆる手段が提供されなければならない。このようなコミュニケーションは、公正かつ人道的な取扱いに対する権利の不可欠な一部であり、かつ少年の社会復帰を準備するうえで必要不可欠である。少年は、家族、友人その他の者または定評のある外部の団体の代表とコミュニケーションをとること、自宅や家族を訪問するために拘禁施設から外出すること、および、教育上、職業上またはその他の重要な理由で拘禁施設から外出する特別許可を受けることを認められなければならない。少年が刑に服しているときは、拘禁施設外で過ごした時間も刑期に算入されるべきである。 60.少年がプライバシーを認められ、かつ家族および弁護士と接触しかつ制約を受けないコミュニケーションをとる必要があることを尊重するような状況のもとで、原則として週一回、および少なくとも月一回の定期的かつ頻繁な訪問を受ける権利が、すべての少年に対して認められるべきである。 61.すべての少年に対し、適法に制限される場合を除き、少なくとも週二回、みずから選択する者と手紙または電話でコミュニケーションをとる権利が認められるべきであり、かつこの権利を効果的に享受するために必要な援助が提供されるべきである。すべての少年に対し、通信を受ける権利が認められなければならない。 62.少年は、新聞、定期刊行物その他の刊行物を読み、ラジオやテレビの番組ならびに映画にアクセスし、かつ少年が関心を持ついずれかの合法的なクラブまたは団体の訪問を受けることにより、新しい情報を定期的に知る機会を与えられるべきである。 K.身体の抑制および実力の行使の制限 63.戒具の使用および実力の行使は、以下の規則64に定める場合を除き、いかなる目的であっても禁じられなければならない。 64.戒具の使用および実力の行使は、他のすべての統制手段が尽くされかつ失敗した例外的な場合であって、法律および規則で明示的に許可および規定されている方法にしたがう場合にのみ認められる。そのような手段は屈辱的または品位を傷つけるようなものであってはならず、かつ、限定的におよび可能なもっとも短い時間でのみ用いられなければならない。そのような手段は、管理者の長の命令により、少年の自傷、他害または財産の重大な破壊を防止するために用いることができる場合がある。この場合、管理者の長はただちに医務官その他の関連の職員と協議し、かつ上級の管理機関に報告しなければならない。 65.職員による武器の携帯および使用は、少年が拘禁されているいかなる施設においても禁じられなければならない。 L.規律の維持のための手続 66.規律の維持のためのいかなる措置および手続も、安全および秩序ある共同生活という利益を維持するものであり、かつ、少年の固有の尊厳の支持および施設ケアの基本的目的、すなわち正義、自尊、およびすべての人の基本的権利の尊重の感覚を醸成することに合致したものでなければならない。 67.残酷な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いに相当する規律の維持のための措置はすべて厳格に禁じられなければならない。このような措置には、体罰、暗室または閉鎖房への収容もしくは独居拘禁、または対象とされる少年の身体的または精神的健康を害するおそれのある他のいずれかの処罰が含まれる。減食および家族の構成員との接触の制限または拒否は、いかなる目的でも禁じられなければならない。労働は常に教育手段として、およびコミュニティへの復帰に備えて少年の自尊心を促進する手段として見なされるべきであり、懲戒上の制裁として科されてはならない。いかなる少年も、同一の規律違反について重ねて制裁を受けることがあってはならない。連帯責任にもとづく制裁は禁じられるべきである。 68.権限ある管理機関が定める法律または規則により、少年の基本的特質、ニーズおよび権利を全面的に考慮にいれた、次の点に関わる規範が確立されるべきである。 (a) 規律違反となる行為 (b) 科される可能性のある懲戒上の制裁の種類および期間 (c) そのような制裁を科す権限のある機関 (d) 不服申立てを審査する権限のある機関 69.違反行為の報告は権限ある機関に迅速に提出されるべきであり、当該機関は不当に遅滞することなく決定を行なうべきである。権限ある機関は事案を精査しなければならない。 70.いかなる少年も、効力を有する法律と規則の条項に厳格にしたがう場合を除き、懲戒上の制裁を科されてはならない。いかなる少年も、少年が全面的に理解するのにふさわしい方法で違反の疑いについて知らされ、かつ、権限ある公正な機関に不服申立てを行なう権利を含めて防御を行なう適切な機会を与えられたのちでなければ、制裁を科されてはならない。すべての懲戒手続の完全な記録が作成および保管されるべきである。 71.いかなる少年も、特定の社会活動、教育活動もしくはスポーツ活動の監督を行なう場合または自治プログラムにおける場合を除き、規律の維持の任務を負わされてはならない。 M.査察および苦情申立て 72.資格のある査察官または適正に構成された同様の機関であって施設の管理機関に属しない査察官または機関に対し、定期的に査察を行ない、かつ職権で事前通告なしの査察を行なう権限が与えられるべきである。査察官は、職務の遂行にあたって独立性を全面的に保障されなければならない。査察官に対しては、少年が自由を奪われているまたはその可能性がある施設で雇用されているまたは働いているすべての者、すべての少年、およびそのような施設のすべての記録へのアクセスが無制限に認められるべきである。 73.査察を行なう機関または公衆保健機関に所属する資格のある医務官が査察に参加し、物理的環境、衛生、居住設備、食糧、運動および医療サービスに関する規則の遵守状況と、少年の身体的および精神的健康に影響を及ぼす施設生活のその他の側面または環境について評価を行なうべきである。すべての少年に対し、いかなる査察官とも秘密裡に話をする権利が認められなければならない。 74.査察の終了後、査察官は認定結果に関する報告書を提出するよう求められなければならない。当該報告書には、本規則および国内法の関連規定を拘禁施設が遵守しているかに関する評価と、それらの遵守を確保するために必要と思われる措置についての勧告が記載されるべきである。査察官が、少年の権利または少年拘禁施設の運営に関する法規定の違反が行なわれたことをうかがわせる事実を発見した場合、当該事実はすべて権限ある機関に通報され、調査および訴追の対象とされなければならない。 75.すべての少年に対し、拘禁施設の長またはその代理人として認められた者に要望または苦情申立てを行なう機会が与えられるべきである。 76.すべての少年に対し、内容について検閲を受けることなく、認められた手段を通じて中央管理機関、司法機関または他の適切な機関に要望または苦情申立てを行ない、かつ遅滞なくその返答を知らされる権利が認められるべきである。 77.自由を行なわれた少年からの苦情申立てを受理および調査し、かつ公正な解決の達成を援助する独立事務所(オンブズマン)を設置する努力が行なわれるべきである。 78.すべての少年に対し、苦情を申し立てるために、可能な場合には家族の構成員、法的助言者、人道団体、または可能な場合にはその他の者の援助を要請する権利が認められるべきである。非識字の少年に対しては、法的助言を提供しまたは苦情受理の権限を有する公的または民間の機関および団体のサービスを利用するための援助が、必要に応じて提供されなければならない。 N.コミュニティへの復帰 79.すべての少年は、釈放後に少年が社会、家族生活、教育または仕事に復帰するのを援助することを目的とした諸便宜から利益を得ることができなければならない。この目的のため、早期釈放を含む手続、および特別課程が設けられなければならない。 80.権限ある機関は、少年が社会で立ち直るのを援助し、かつそのような少年に対する偏見を軽減するためのサービスを提供または確保するべきである。このようなサービスにおいては、再統合の成功を促進することを目的とした適切な居住先、就業先、衣服および釈放後に自活するための充分な手段を少年が提供されることが、可能な限度で確保されなければならない。そのようなサービスを提供される機関の代表は、少年のコミュニティへの復帰を援助する目的で、協議の対象とされ、かつ拘禁中の少年へのアクセスを認められるべきである。 V.職員 81.職員は資格を有する者であり、かつ、教科指導員、職業訓練士、カウンセラー、ソーシャルワーカー、精神科医および心理学者などの充分な人数の専門家を含むものでなければならない。このような専門家その他の専門家は常勤で雇用されることを通例とするべきである。ただし、このことは、非常勤職員またはボランティア・ワーカーが提供できる支援および訓練の水準が適切かつ有益である場合に、その活用を妨げるものであってはならない。拘禁施設は、拘禁されている少年の個別のニーズおよび問題に応じて、適切であってコミュニティにおいて利用しうるあらゆる治療的、教育的、道徳的、精神的その他の資源および援助形態を活用するべきである。 82.拘禁施設の適切な運営は職員の誠実さ、人間性、能力、および少年に対応する専門的技量ならびに職務への個人的適性にかかっているのであるから、管理者は、あらゆる階梯および職種の職員を慎重に選抜および採用する体制を整えるべきである。 83.上記の目的を確保するため、職員は、かつふさわしい女性および男性を惹きつけかつ職に留めるのに充分な報酬を保障された専門職として任命されるべきである。少年拘禁施設の職員は、その職務と職責を人道的、献身的、専門的、公正かつ効率的に遂行すること、少年の尊敬にふさわしく、かつ実際にその尊敬を得られるような方法で常に行動すること、および、少年に対して前向きな役割モデルおよび展望を与えることを絶えず奨励されなければならない。 84.管理者は、少年と直接接する職員がその職責を効率的に果たすのに望ましい条件下で職務を遂行できるようにすることを目的として、職員と管理者とのあいだのコミュニケーションとともに、少年のケアに携わるさまざまなサービス部門間の協力を増進するための、拘禁施設の各職種の職員間のコミュニケーションを促進するような組織形態および管理形態を導入するべきである。 85.職員は、その責任を効果的に果たせるようにするための研修、とりわけ児童心理学、児童福祉、ならびに人権および子どもの権利に関する国際的な基準および規範(本規則を含む)に関する研修を受けるべきである。職員は、その職業生活の全期間を通じて適切な間隔を置いて組織されるべき現職者研修課程に出席することにより、その知識および専門的技量を維持しかつ向上させなければならない。 86.施設の長は、管理能力を備えかつふさわしい訓練および経験を経た、その任務に対する充分な資格を備えた者でなければならず、かつ、その職責を常勤で遂行するべきである。 87.拘禁施設の職員は、その職責を果たすにあたり、すべての少年の人間の尊厳と基本的人権を尊重および保護しなければならない。とくに、次のことが求められる。 (a) 拘禁施設またはその他の施設のいかなる職員も、いかなる名目または状況のもとであれ、いかなる拷問行為も、またはいかなる形態の苛酷な、残酷な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱い、処罰、矯正もしくは懲戒も、実行、煽動または容認してはならない。 (b) すべての職員は、いかなる汚職行為に対しても厳重に反対しかつこれと闘うべきであり、そのような行為を権限ある機関に遅滞なく報告しなければならない。 (c) すべての職員は本規則を尊重しなければならない。本規則の重大な違反が行なわれたまたは行なわれようとしていると信ずるに足る理由のある職員は、上級機関、または審査および是正の権限を与えられた機関に対し、その問題を報告するべきである。 (d) すべての職員は、身体的、性的および情緒的虐待および搾取からの保護を含む、少年の身体的および精神的健康の全面的保護を確保するべきであり、必要な場合には常に、医師による診察と治療を保障するための措置をただちにとらなければならない。 (e) すべての職員はプライバシーに対する少年の権利を尊重するべきであり、とりわけ、職務上知り得た少年またはその家族に関わるすべての秘密を守らなければならない。 (f) すべての職員は、拘禁施設の内外における生活の違いを最小限に抑えるよう努めなければならない。そのような違いは、少年の人間としての尊厳に対する正当な尊重を減少させる傾向がある。 更新履歴:ページ作成(2012年2月26日)。
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「とりあえず、薬は補充しといたからな。お前、ここんとこどれだけ「組織」の黒服能力使ってんだよ」 「使いたくて使ってんじゃねぇよ。使わざるを得ない状況が続いてんだ」 …明日からの連絡を聞き終え、ハーメルンの笛吹きの処遇について若干悪巧みをした後 黒服Hのピルケースにどす黒い錠剤を詰め終えた辰也 さっさと帰る準備をし始める そんな辰也に、黒服Hは申し訳無さそうに笑った 「…悪ぃな、お前に、あの連中みたいな真似をさせて」 「お前に死なれたら、こっちも不便なんだよ。「組織」の情報はお前から仕入れるのが速い」 「スーパーハカーもいるだろ?」 「流石に「組織」関連のコンピュータは、気軽に入れる場所じゃないらしいからな」 現在、辰也は都市伝説や都市伝説組織に関わる様々な「情報」を商品に、ある程度の取引をしている …それくらいしか、自分ができる仕事が思い浮ばなかったのだ、血生臭い物を除けば 後はせいぜい、誠の友人だと言う「仲介者」から流される仕事くらいしか、できない 仲間達と生活するうえで、自分だけが働かないと言う状況も嫌で、辰也はそうやって生活していた 「組織」の情報も、貴重な商品だ 「……それに。「俺達の復讐」は、まだ終わっちゃいないだろ?」 「…………まぁな」 くっく、と黒服Hは暗く笑う 二人の共通の「復讐相手」は、まだ残っている もう、あと残り3,4人といったところだが…それら全員に復讐を終えるまで、黒服Hは死ぬつもりはないだろうし、辰也も黒服Hを死なせるつもりはない 黒服Hが復讐の為に「組織」に居続けていることを、辰也はよく知っているし 今、復讐に向けて「切り札」を体内に仕込み…それが原因で、「組織」でのメンテナンスをまともに受ける訳にはいかない状態になっているのも ここ最近の黒服Hの不調が、そのメンテナンスを受けていないのが原因である事も、よく知っている だからこそ、黒服Hの体を保つ為に、辰也が薬を精製して、それを渡しているのだから 「んじゃあな。「組織」の監視切ってるとは言え、「第三帝国」と関わってる事がバレないとも限らないから、気をつけとけ」 「わかってるさ」 黒服Hを置いて、部屋を出る すると、ドクターが辰也が部屋を出るのを待っていたようだった 腕を組み、じっと見つめてきている 「…あの馬鹿が迷惑かけたな。それじゃあ」 「少し、待ちたまえ。できれば、彼に渡した薬を分けてもらえるとありがたい」 彼を治す意味でも、というドクターの言葉に 辰也は一瞬、悩んだようだったが…ピルケースに入りきらなかった分の、その錠剤を渡した どす黒いそれを、ドクターはじっと見詰める 「…何の薬だね?」 「都市伝説存在固定剤。「組織」があいつに投与していた物より効果は薄いが、代わりに常習性は薄まっている」 「組織」で黒服Hがメンテナンスの度に投与されていた「都市伝説存在固定剤」 …それは本来、都市伝説になりかけた存在を、強制的に都市伝説として存在を固定する物 それによって都市伝説になった存在は、その薬を摂取し続けなければ生きられない、薬を切らせば死ぬ……劇薬のような薬でもある 「彼は、この手の薬で都市伝説化した存在と言う訳でもあるまい。この薬のせいで黒服になるとは思えないからな…何故、この薬が彼に必要なのか、わかるかい?」 「……さぁな」 視線を逸らし、辰也は曖昧に答えた …確信はないが、心当たりはある だが、それを口にするつもりは、今のところはなかった 口に出してしまえば、それが確信に変わってしまうような、そんな錯覚すら、覚える 「少なくとも、あいつはその類の薬を飲まないと、体が持たない。特に、「組織」の黒服としての能力を使った後が、きついみたいだな。体の内部がゆっくりと消滅していくらしい」 「……消滅?」 「あぁ。今は何やったんだか、即座にそれが修復される状態みてぇだが…」 それが、「切り札」の力なのだろう …何を、体内に仕込んでいるのか、それに関しても心当たりが出てきてしまう 「それじゃあ、渡すもんは渡したし、帰るぞ。あの馬鹿が何かセクハラの類をやらかそうとしたら、殴って止めとけ。それでも止まるかどうかは知らんが」 「患者に暴力をふるうつもりはないがね」 苦笑するドクターに、辰也は背を向けて… ……ふと、思い出したように、告げる 「そうだ、あの小さな餓鬼二人…それの、妹っぽい方。あいつ、何の都市伝説の影響を受けてる?」 「…?どう言う事だい?」 「本人が気づいてるかどうか知らねぇが、何か、本人が契約してんのと、別の都市伝説の気配が中にあるぞ」 お前達の身内の能力じゃないのか?と やや、警戒したように言ってくる辰也 ドクターは、その言葉に難しい表情を浮かべる 「……まぁ、俺の言葉を信じるも信じないも、あんた次第だがな」 と、それだけ告げて 今度こそ、辰也は診療所を後にしたのだった to be … ? 前ページ次ページ連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者
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概要 イェール大学の学生で、若き天才碩学とされていた人物。専攻は人工筋肉理論。その才能はエジソンが認めるほど。 また、エリシアの元家庭教師であり、彼女に恋をしていた。 エリシアの調査によれば、彼は合衆国とカダス北央帝国とか極秘裏に進めていた、エジソン卿の実験計画に参加したのだという。 来歴 セルヴァンの紹介でエリシアの家庭教師となるが、1年後に大碩学であるロード・アヴァン・エジソンに招待されニューヨークに移住し、そこでエジソンの現象数式実験に協力する。 しかし、1902年の《大消失》で死亡。 本編での活躍 故人なので基本的に過去編にのみ登場。 1901年にセルヴァンの紹介でエリシアの家庭教師になり、勉強を教えたり遊園地に出かけたりしていた。この交流を通してエリシアに恋をする。 ニューヨークに移住した後も、暇があれば電信通信機などを通じてエリシアとの交流が続いていた。 現象数式実験の対象に"空"を選んでおり、実験成功の暁にはエリシアとの約束である"青空"を望んでいた。しかしその結果《大消失》が起こる。ニューヨークが地獄と化す中、状況を理解したアランはP演算子を割り込ませて被害をニューヨークのみに止まらせ、そして地下世界に自身の経験の影としてAを誕生させるなど行動するが、最後には死亡する。 最終章では彼が最後に残した数式が働き、チクタクマンによって崩壊したリリィを救う。そして、トレヴァータワーの最上階に遺したメッセージと青空によって自身の愛をエリシアに伝えた。 紫影のソナーニルSFF 《大消失》以前のニューヨークにて、愛しのエリシアと電話中という至福の時間に、迷惑なことにエジソンにある相談を受ける。 内容は自分に敵対しているある男の処遇について、許すべきか、それとも神の雷で灼き尽くすべきか、というもの。アラン自身は何のことかは分かりかねていたものの、この時の彼の言葉でエジソンはその男を殺さず、時間牢獄に幽閉することにした。 登場作品 紫影のソナーニル -What a beautiful memories- 関連人物 エリシア・ウェントワース A 遺したのは音声だけじゃなかったっけ -- 名無しさん (2012-09-27 20 05 03) 音声+青空だったんじゃないか、確か。 -- 名無しさん (2013-01-26 02 58 51) 何気に史実のキャロルっぽいな。いや、キャロルは別にいるけど。数学とか凄く好きで色々発明していたり、何よりロマンティストっぷりがw -- 名無しさん (2013-05-04 23 56 44) 「小惑星の力学」(教授。アシモフ解釈的も含)「英語版ネクロノミコン」(不完全。約20p程の切抜)を読了していたらしい。(会報41号) -- 名無しさん (2013-06-08 01 49 20) エリシアに送った三体の人形はそのままオズの魔法使いのおもちゃなのかね。時代的にも出版されてる頃だしおもちゃも出まわってそう。 -- 名無しさん (2013-08-18 03 11 01) ↑間章6「また、会う日まで」を再読すべし -- 名無しさん (2013-09-19 18 13 19) 贈ったのエリシアだったorz しかも貰い物のセットだからオズは関係ないか。 -- 名無しさん (2013-09-19 18 22 04) 元ネタ的には関係ない訳じゃないさね。おかげでエリシアちゃんのセンスが大変なことにw -- 名無しさん (2013-09-20 02 47 14) ↑×2ozじゃなくってorzとかw -- 名無しさん (2013-09-20 12 32 24) ジョンの頭の件とか含めて、エリシアさんのセンスはどうなってんだ…… -- 名無しさん (2013-09-20 13 03 14) ヘンリー・ウエントワース・エイクリーの苗字をエリシアと分け合ってるが、名前の「アラン」は夢の国(カダス)の山河の名称? -- 名無しさん (2013-10-04 01 25 38) 若き天才碩学がアランだとして、他の碩学が魔人だとかテスラとかレオとか人外過ぎてアベレージがわからん。セレナリアのレヴィを若干下に見て、特に発明品はないが開発能力とか演算能力が平均してかなり上の方なんだろうか、アランは。他が人外過ぎてすごさがわからん。Aとか生み出したのはすごいと思うけど。 -- 名無しさん (2013-10-04 16 24 06) なぜレビィを下に見たのか。魔人でもまともな成果のない十字騎士と比べれば彼等は… -- 名無しさん (2013-10-04 18 31 33) 平均碩学って言うとテオドールくんあたりじゃね? -- 名無しさん (2013-10-04 19 19 27) 数年後には史実の産業革命的なことを起こす的なことを言ってる位の奴が平均か。なにげにレベル高いというか、碩学はインフレが激しい。 -- 名無しさん (2013-10-04 20 00 28) 一般的な碩学って言うとエリック・サティあたり?一応学園都市の教員は全員碩学位持ってたはずだからアイツも碩学のはず。 -- 名無しさん (2013-10-05 01 33 53) 科学者であり製作(実現)者ならレベル高いわな。更なる人外魔境(結社碩学)に達するには、人間性や社会性等を吹っ切ってしまわなければならんのだろうね。 -- 名無しさん (2013-10-05 15 51 20) 名前 コメント 合計: - 今日: - 昨日: -
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解説8093F・8083F~8087Fが引退 まとめ 除籍された車両の車歴 解説 2010年度は5000系9次車として、5050系の5169F~5174Fが新造され、東横線に配置された。また、田園都市線所属の5121Fが東横線へ転属することになり、これに関連した組み換えが行われた。 2009年度に田園都市線の5105F~5117F・5120Fの6扉車を3両化した時は、6扉車の総数が44両だったことから、5121Fの6扉車は2両のままとなっていた。元々、5121Fは6扉車3両化に伴う5000系の組み換えを行うための予備車として運用入りしていたが、組み換えも終わったため東横線へ転用することになった。このとき、9次車として新造された6扉車1両と、5121Fに組み込まれていた6扉車2両の合わせて3両を、オール4扉車化していた5104Fに組み込み、東横線には4扉車のみを転用した。 まず、東横線へ編成単位で転属する5121Fは、1M車を外し、5120Fの6扉車3両化時に余剰となっていた4扉車を組み込んで4M4Tの8両編成を組成した。東横線転属は2010年6月11日付である。 続いて、5118F・5119F・5122Fに組み込まれる予定だった1M車(未入籍)と、5121Fの1M車だったデハ5922は、電装解除を実施して5169F・5172F~5174Fの4号車に付随車として組み込んだ。ただし、取り外された機器をいつでも再搭載できる準備は行われた。さらに、5115Fと5116Fの余剰4扉車計2両は5170Fに、5104Fの余剰4扉車3両は5171Fに2両、5172Fに1両組み込まれることになった。この結果、9次車で新造された5169F~5174Fの中で、8両一括で新造された編成は無かった。 5050系6編成と5000系1編成が東横線に投入されたことに伴い、9000系の9003F・9004F・9006F・9008Fは東横線から撤退し、大井町線に転属した。このため、8090系から引退車両が発生した。 8093F・8083F~8087Fが引退 大井町線に東横線から9000系が転入したことに伴い、8090系の8093F・8083F・8085F・8087Fが引退した。 編成 ←大井町 溝の口→ 1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 Tc2 M M2 M1 Tc1 8093F 8093 8492 8294 8194 8094 8083F 8083 8497 8284 8184 8084 8085F 8085 8498 8286 8186 8086 8087F 8087 8499 8288 8188 8088 まとめ 登場した5000系:5168F~5174F(東横) 引退した8000系:8093F(大井町)、8083F(大井町)、8085F(大井町)、8087F(大井町) 除籍された車両の車歴 形式 車号 竣工日 除籍日 除籍後の処遇 組込先編成(括弧内は所属路線。貸出等は含めない) クハ8090形 8093 1982.02.19 2011.09.27 秩父鉄道へ譲渡(デハ7504) 8093F(東横→大井町) 8094 1982.02.19 2011.09.27 秩父鉄道へ譲渡(クハ7704) 8093F(東横→大井町) 8083 1985.03.09 2010.10.19 秩父鉄道へ譲渡(デハ7502) 8083F(東横→大井町) 8084 1985.03.09 2010.10.19 秩父鉄道へ譲渡(クハ7702) 8083F(東横→大井町) 8085 1985.04.06 2010.12.21 秩父鉄道へ譲渡(デハ7502) 8085F(東横→大井町) 8086 1985.04.06 2010.12.21 秩父鉄道へ譲渡(クハ7703) 8085F(東横→大井町) 8087 1985.11.10 2011.09.27 秩父鉄道へ譲渡(デハ7505) 8087F(東横→大井町) 8088 1985.11.10 2011.09.27 秩父鉄道へ譲渡(クハ7705) 8087F(東横→大井町) デハ8190形 8194 1982.02.19 2011.09.27 秩父鉄道へ譲渡(デハ7604) 8093F(東横→大井町) 8184 1985.03.09 2010.10.19 秩父鉄道へ譲渡(デハ7602) 8083F(東横→大井町) 8186 1985.04.06 2010.12.21 秩父鉄道へ譲渡(デハ7603) 8085F(東横→大井町) 8188 1985.11.10 2011.09.27 秩父鉄道へ譲渡(デハ7605) 8087F(東横→大井町) デハ8290形 8294 1982.02.19 2010.11.09 解体 8093F(東横→大井町) 8284 1985.03.09 2010.06.10 解体 8083F(東横→大井町) 8286 1985.04.06 2010.07.20 解体 8085F(東横→大井町) 8288 1985.11.10 2011.01.19 解体 8087F(東横→大井町) デハ8490形 8492 1982.03.31 2010.11.09 解体 8093F(東横→大井町) 8497 1985.03.09 2010.06.10 解体 8083F(東横→大井町) 8498 1985.04.06 2010.07.20 解体 8085F(東横→大井町) 8499 1985.11.10 2011.01.19 解体 8087F(東横→大井町)
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日本の難民受け入れに関する法律と現状 ①日本の難民受け入れに関する法律の紹介 ●2006年1月1日(日)● さっそく調べた法律を紹介します◎ちょっとしか調べてないから法律の名前くらいしか紹介できませんが( ̄▽ ̄;) これからどんどん調べて紹介する内容をより深くしていきたいなぁ、て思ってます◎ちなみにこの部分を作成しますのは、八王子の大学生の400(あだ名)です☆どれくらいまで続けられるかはわからないっすけど、よろしくお願いしますm(__)m 自己紹介はこれくらいにして早速本題に入ります。 yahooで検索したところ、「入国管理局」のホームページ(http //www.immi-moj.go.jp/)が目に付いた。調べてみたところ、下記のような法律があるらしい。 ◆出入国管理及び難民認定法 出入国管理及び難民認定法 ・出入国管理及び難民認定法施行規則 ・基準省令 被収容者処遇規則 ・日本語教育機関告示 ◆外国人登録法 外国人登録法 ・外国人登録法施行令 ・外国人登録法施行規則 ◆そのほか関連性のある法律 法務省設置法 ・法務省組織法 ・国籍法 ・国際結婚 調べたらこのようにありました。とりあえず今日は法律の名前の紹介だけをしておきます。次は、これらの法律の内容について紹介していきたいと思ってます☆ ②日本の難民受け入れの現状 こんにちは!ここはハムが担当させて頂きます。 国際的な人権擁護組織アムネスティ・インターナショナル>http //www.amnesty.or.jp/ によると日本の難民受け入れ状況は「国際的義務を果たしていない」と評価されています。どうしてでしょうか?みてみましょう! 1967年に国連で「難民の地位に関する議定書」というのが作成され、日本もそれに1981年に批准しています。これによって日本は国際的に、難民を保護する義務を負うことになりました。アムネスティが批判しているのは「日本がこの国際的な取り決めを守ってない」というところなんですね。では日本の難民受け入れのどこが問題なんでしょうか。アムネスティは次の5つを挙げています。 中見出し 日本の難民認定制度の問題点 1.60日ルールの厳格な適用 日本には申請者が入国あるいは本国に帰国することを恐れる事情が生じたことを知った日から60日以内に難民申請をしなくてはならない規定があります。この規定によって60日をオーバーして難民申請をして不認定になるケースがあります。しかし、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)執行委員会は「難民としての保護を求める人々がその難民申請を一定の期間内にしなくてはならないと定められている場合にも、そのような期間を遵守せず、ないしはその他の形式上の要件を履行しないことを理由として、難民申請を審査の対象から除外してはならない」と定めています。難民の保護を考慮したとき60日ルールが妨げになっているんですね。 2.認定過程が不透明 日本は難民を実質的に認定するのは誰かはっきりしていない。また、法務省は難民認定の判断の理由を明らかにしてません。申請者は審査に不満があるときはどの様に反論すればいいかわかりません。 3.審査機関が一つしかなく不公平 申請者は不認定の処分を受けたとき異議申し立てをすることができます。しかし、その申し立てを審査するのは最初と同じ法務省入国管理局です。一回目と二回目の審査を同じ機関がするのは不公平ではないか。ってことですね。 4.申請者に対する保障 日本は申請者の生活を保障・支援する制度がありません。在留資格がないと合法的に働くことが出来ませんし医療保障などの社会保険に入ることも出来ません。「審査は長期化する傾向にあり、その間申請者は経済的に非常に不安定な状態に置かれる。申請者の生活保障のための制度の確立が求められる。」とアムネスティは言っています。しかし、UNHCRの難民事業本部は外務省からの委託を受けて経済的に困っている申請者の支援を行っているようです。宿泊施設を提供したりしています。>http //www.unhcr.or.jp/protect/proj32_1.html 5.申請者の収容 日本は申請者を収容することがあります。 「この収容は退去強制手続きについての法律を根拠としているが、難民認定手続きと連動してないため、難民申請者でも在留資格のない者に対しては、収容を前提とした退去強制手続きが進められる。したがって在留資格を所持していない者は、申請中であってもいつ収容されるかわからない状態にある。」 とあります。収容なんて難民の保護と正反対の行為ですね。 とアムネスティは主張しています。そして、2005年法務省は「出入国管理及び難民認定法」の一部を改正しました。 http //www.unhcr.or.jp/protect/proj30_1.html これによって60日ルールが撤廃されたり、「仮滞在許可制度」というのができたり、申請者の法的地位が安定したものになったりしています。また、異議申し出の段階に第三者である参与員が関与することになったそうです。ただ、まだ問題があり、制度が十分なものになったとは言いきれそうにありません。 UNHCRによると幾分かは状況は改善されつつあるけどまだまだ問題はあるみたいです。