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注意 自分設定があります。 赤ゆっくりがでてきます。 すっきりできないまま、終わるかもしれません。 「「「ゆっきゅりちていってね!」」」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 ここはとあるゆっくりの群れ。 たった今、生まれたばかりのゆっくりが目をキラキラを輝かせながら親たちに向かって、お決まりの挨拶をする。 親たちもまた、お決まりの挨拶を返し、その後は頬を擦り合わせて親愛の情を示すのだ。 平凡かもしれないが、とてもゆっくりした親子たちであった。 子供たちは初めて見る『おそと』に興味津々であった。 あるもの全てがとても綺麗なものとして感じられる。 木々の緑、風の流れ、太陽の暖かな光、どれもこれも当たり前のものだが、全て素晴らしいものとして感じている。 この時の感情をゆっくり風に言い表すならば、『とってもゆっくりしている』であろう。 大人になってからでは目を向けないものだが、生まれたてのゆっくりだからこそ分かるのだ。 やがて子供たちは自分を生んでくれた親の元へと集まり、家族であることを確認する。 彼らはとても、とてもゆっくりしていた。 「へぇ、いっぱいゆっくりがいるなぁ」 「ゆっ!?」 人間の、どこか呑気そうな声が聞こえてきた。 ゆっくりは慌てて周囲を確認する。ゆっくりにとって、人間とは『ゆっくりできないもの』として分類されているからだ。 すぐさま、一匹のゆっくりが茂みから顔だけ覗かせている人間を見つける。 それは若い男であった。大きなリュックを背負って、物珍しそうにゆっくりたちを眺めている。 いきなり襲って来ないことに安堵したのか、ゆっくりたちはその場に留まって人間を威嚇する。 「ゆうぅぅぅ! にんげんさんはあっちにいってね! ここはれいむたちのゆっくりぷれいすだよ!」 ぷくぅ、とゆっくりれいむは頬を膨らませて、身体を大きく見せる。 この動作は他の動物に対しても威嚇の効果はあまり持たないが、ゆっくり的には真剣である。 本気で相手を驚かせられると思っているのだ。 勿論、人間相手ではまったく威嚇の効果は見込めないが。 「いやいや、ごめんごめん。ゆっくりできないことはしないから、安心してくれよ」 笑顔のまま、男は両手を挙げて敵意の無いことを示す。 それでも、ゆっくりたちの威嚇の構えが解けないので、背中のリュックからあるものを取り出した。 「それじゃ、お近づきのしるしということで、これをあげるね」 それは山の中で採っていたキノコであった。 ここで、ゆっくりに人間の食べ物を渡すほど、男は知識不足なわけでもない。 人間の食べ物に舌が慣れてしまったら、大抵はろくなことにならないからだ。 「ゆゆゆ!? きのこさんだね! みんなはちょっとまってね!」 集団の中心ゆっくりと思しきゆっくりれいむが、まずは毒見をしてみる。先ほどの頬を膨らませたゆっくりれいむである。 むーしゃむーしゃ、と食べてみても、おいしいだけで毒はないようだ。 「きのこさん、おいしいよ! もっとちょうだいね!」 「はい、どうぞ」 ゆっくりにも食べやすいように、ある程度ばらばらにして地面にばらまく。 親ゆっくりたちはわっ、とそのキノコに群がって食べ始める。 出産直後であったために、とてもお腹が空いていたのだ。 「うめぇ! まじうめぇ!」「まじぱねぇ!」 「むーしゃ、むーしゃ! しあわせー!」 凄まじい勢いでキノコを食べていくゆっくりたち。その様子を男は笑顔で眺めている。 一方、子供のゆっくりらはまだキノコのような固形物を食べることはできないため、食べ終わるまで待たされている。 子供であるため、食べ物という概念を完全には理解できていないが、おいしそうであることはなんとなく分かる。 いいなー、というような視線で親達を眺めている。 男はそれを不憫に思ったのか、そちらへと話しかけた。 「君たちは可愛い赤ゆっくりだね。お持ち帰りをしたいくらいだよ!」 突然、人間に話しかけられた子供たちは「ゆゆ!?」と驚いて親たちの背中に隠れる 親れいむの方もぶくーっと膨らんで、再度の威嚇行動を取る。 「れいむのかわいいあかちゃんをもっていかないでね! ぷんぷん!」 「おかーしゃーん、がんばれー!」 「本当に持って行くつもりはないよ? そのぐらい、赤ゆっくりが可愛いってことさ!」 男の言葉に少しは気を許したのか、親れいむはぷひゅるる~、と頬から空気を抜く。 勿論、それにつけこんだ催促も忘れない。 「ゆっ! いくられいむのあかちゃんにめろめろになったからって、へんなこといわないでね! あと、きのこさんをもっとちょうだいね!」 随分と偉そうではあるが、親れいむは他の者を相手にする時、『下手に出たら負け』と思っている。 常に堂々としていることで、相手を圧倒しようというわけだ。これは同じゆっくり相手には通じる場合もある方法である。 場合によっては野生動物にも効くかもしれない。声に驚くこともあるからだ。 勿論、人間にはまったく効果はないが、男には人語を解してる、と感じられてむしろ好意的にすら思っていた。 男は普通の『良い人』であり、極端な嗜好の持ち主ではない。 ゆっくりによってもたらされた被害に眉をひそめることはあっても、潰そうとは思わない性格であった。 はいはい、と頷くと、男は再びきのこをばらまく。 ゆっくりたちもこの人間は敵ではない、と判断したのか、きのこを食べながら思い思いにゆっくりし始めた。 しばらくの間、男は触れるでもなく、ただひたすらに子供のゆっくりを眺めているだけであった 「いや、ホントに可愛いな~赤ゆっくりは」 ニコニコと満面の笑みを浮かべながら、何度目かになるその台詞を言う。 そこで、ようやくゆっくりたちは疑問を持った。 「ゆ? あかゆっくりってなに? れいむのあかちゃんはれいむだよ!」 親れいむがややこしいことを言う。 ちなみに、ゆっくりに個体名というのは存在しない。あるのは『れいむ』や『まりさ』などといった種族名のみである。 それでは相手のことを呼び合えずに不便に思われるかもしれないが、ゆっくりは飾りによって相手を識別している。 どんなに美しいとされるゆっくりでも飾りがなければ、ゆっくりできないゆっくりと思われる。 家族であっても、飾りのないゆっくりは排斥しようとするのだ。 飾りは取れやすい、という欠点はあるが、相手を識別するのに最も必要なものである。 加えて、ゆっくりは親しい相手のことは微妙なニュアンスで呼び分けてもいるらしい。 余談ではあるが、人間がそれぞれ違う名前を持っている、というのはゆっくりにはよく理解できないことなのだ。 だから、人間を『にんげんさん』や『おにいさん』などといって一括りにしようとする。 もしかすると、人間には飾りがないのでゆっくりしていないと思っている可能性もある。 飾りがないゆっくりとは、人間で言えば名前のない人間と例えれば、少しは理解できるかもしれない。 「ああ、赤ゆっくりっていうのはね、赤ちゃんのゆっくりのことだよ。 可愛い赤ちゃんの赤を取って、赤ゆっくり」 男は親れいむを見ながら、丁寧に説明する。 その説明に親れいむも納得の表情を浮かべて頷く。 「ゆ! あかちゃんのことだったんだね! そうだよ! れいむのあかちゃんはかわいいもんね!」 元々、大きかった声をさらに張り上げて親れいむは胸、もとい顎を張る。 男は頬を綻ばせながら、ゆっくりの様子を見ている。 「皆が『れいむ』じゃ、ちょっと呼びにくいもんね。赤ちゃんのことぐらいはそう呼んでみたいんだよ」 男は人間なので、ゆっくりの区別は大きさの大小などでしか区別ができないため、一つそんな提案をしてみる。 親れいむはというと、その提案に乗り気であった。 「ゆゆゆ! おにいさん、あたまいいね! ゆっくりよんでいいよ!」 男は褒められはしたが、流石に苦笑いで返す。 しかし、許可は出たので思う存分、呼ぶこととした。 「それじゃ、赤ゆっくり可愛いな~。ウチでも飼いたいなぁ。でもなぁ……」 わずかに陰鬱な表情になりながらも、触れずに愛でる男。 猫好きなのに猫アレルギー持ちのような可愛がり方である。 親れいむはそんな男の様子を見ていて、なんとなくうずうずし始めていた。 先ほどから男の言葉が気になって仕方ないのだ。 赤ゆっくり。赤ちゃんを指し示す言葉である上に、ゆっくりという言葉が入っていれば気にならないわけがない。 つまるところ、自分も言ってみたいのだ。 「ゆっ、ゆっ! おにいさんだけにはあかちゃんをまかせておけないよ! れいむもよぶよ!」 すぐに我慢の限界が訪れ、よく分からない論理を展開しながらも親れいむが自分の子供に近寄る。 「ゆ~♪ れいむのあかゆっくり~♪ とってもかわいいんだよ~♪」 「「「ゆ~」」」 赤ちゃんゆっくりとは親れいむなりのアレンジだろうか。 子守唄のようなものを歌いながら、己の子供を頬ずりをする親れいむ。 頬ずりをされている赤ゆっくりはなんだか妙な表情をしている。親が重いのかもしれない。 そして、周囲にいたゆっくりもその光景を見て、ゆっくりしたくなってきた。 「ゆっ、ゆっ! まりさのあかゆっくりもゆっくりするよ!」 「あかゆっくりちゃんって、とってもとかいてきなかんじね!」 「ゆ! あかちゃんゆっくりかわいいな~♪」 などと、自分の子供とゆっくりし始めた。 各々がゆっくりしている状況を見て、男はゆっくりしているのを邪魔していけない、と感じた。 人間がゆっくりと関わっても、ゆっくり側に良いことはあまり起きないからだ。 そういう意味で男は少し関わりすぎた。 「それじゃ、僕はここで失礼するよ。後は皆でゆっくりしていってね!」 「「「「ゆっくりしていってね!」」」」 こうして、男とゆっくりたちは別れた。 できればもう一度会いたいな、などと考えながら、男は家路に着いたのであった。 男と出会ってから一週間程が過ぎた。 その間、親れいむたちは酷い目に会うこともなく、毎日を過ごしていた。 食べ物がちょっと少なかったり、木にぶつかったりなど、些細な不幸はある。 しかし、それを補って余りあるほど自分の赤ゆっくりは可愛いし、皆と一緒にいられるのもとても幸せである。 みんなゆっくりしている、はずであった。 なんだかあかちゃんゆっくりのようすがへんだ、と何となく親れいむは思っていた。 言葉ではうまく説明できないが、妙な違和感を親れいむは持っていた。 赤れいむに元気がないわけではない。むしろ、普通に甘えてきたりもする。 呼べば返事もちゃんとする。多少の偏食はあっても、さして重要視すべきことでもない。 だが、何か変だった。 「ゆ~? よくわからないよ? でも、ゆっくりできないからいいや!」 親れいむは考えることを放棄した。元来、ゆっくりとは考えることを常とするモノではない。 刹那的に日々を過ごしていく奇怪な動く饅頭である。 ともあれ、親れいむは先ほどまでの考えをすっかり忘れて、我が子に頬ずりをする。 「す~り、す~り♪ れいむのあかゆっくり、ゆっくりしていってね~♪」 「ゆっきゅり~♪」 赤ゆっくりもそれに応じて、頬ずりをする。とても仲が良い関係であった。 さらに幾日か過ぎた。 何度かの不幸はあったが、親れいむたちはゆっくりしている。 しかし、なんとなく違和感が残ったままであった。 「「ゆっくりしていってね!」」 仲間同士で言い合う中でも、何か釈然としないものがあった。 誰もがなんとはなしに分かっているはずなのに、分からない。 そんな状態が長く続き、親たちはどこかゆっくりできなかった。 そんな中でも赤ゆっくりたちはいつもどおりにゆっくりしていたが。 ある日、親れいむは仲の良いゆっくりまりさに思い切って相談してみることにした。 自分の考えすぎかもしれないが、ずっと心の底からゆっくりできていないのだ。 これではストレスが溜まって仕方ない。 親れいむは親まりさを人気ならぬゆっくり気のない場所に呼び出して、問いかけた 「ゆぅ……まりさはゆっくりできてる?」 「ゆっくり、できてるよ! どうしてそんなこときくの?」 「ゆっ……!」 まりさの言葉の間、『ゆっくり』の部分にわずかな躊躇いがあることを親れいむは見逃さなかった。 もしかするとまりさもゆっくりできていないのではないか、と親れいむは感じたのだ。 「まりさ、ほんとうにゆっくりできてる?」 「ゆ……ゆっくりできてるよ?」 「ほんとうに?」 「ゆ、ゆぅ……」 親れいむに何度も問いかけられることによって、まりさも徐々にゆっくりできなくなっていく。 心の中にあったわずかな疑念が段々と大きくなっていくのが分かる。 「……まりさも、すこしゆっくりできてないよ……」 注意して見れば、まりさの身体は葉っぱなどによってできた擦り傷がいくつかある。 親れいむにもあるが、自分の赤ゆっくりのために食べ物を取って来る時にできた傷である。 子育てとは大変なものである。 だが、ゆっくりできない問題とはまさしくそこにあった。 「まりさのあかゆっくりが、へんなんだよ……」 まりさが沈痛な面持ちで語りだす。 そこには隠し切れない苛立ちも含まれていた。 「もうずっと、ごはんをあげてるのにぜんぜんゆっくりしてないんだよ…… まりさががんばってるのに、ぜんぜんてつだってくれないし、もっと、ちゃんとしてほしいよ……」 まりさが愚痴を言うように呟き続ける。 親れいむにはまりさの辛い気持ちはよく伝わったが、何が起こっているのかはよく分かっていなかった。 出した結論は、 「やっぱり、まりさもゆっくりできてないんだね!」 だった。原因は未だ不明だが、その推測は当たっていた。 そして、このゆっくりできない状態は群れ全体へと波及していくのであった。 さらに数日。そこで繰り広げられている光景は酷いものであった。 「ゆっくりできないあかゆっくりは、どっかいってね!」 「「まま~! どおぢでそんにゃこどいうの~!?」」 「こんなあかゆっくりちゃんはとかいはじゃないわ!」 「「ときゃいはってな~に?」」 「あかちゃんゆっくりなんて、もういらないよ!」 「「おかーしゃーん!?」」 親であったはずのゆっくりたちが己の子を罵っている姿がそこにはあった。 その中には、あの親れいむの姿もある。 「どおして、れいむのあかゆっくりはおおきくならないのぉぉぉおお!?」 「「「おか~しゃん、おこらないでね!? おこらないでね!?」」」 親から受ける圧力に、赤ゆっくりはとてもゆっくりできていなかった。 どうして親たちが怒っているのかも理解できない。 しかし、言われも無い迫害を受けているとは言いがたい状態でもあった。 親れいむの言葉は真実である。 赤ゆっくりたちは男と会った時と比べても、ほとんど成長していないのだ。 いや、全く成長していないと言い切ってしまってもいいかもしれない。 「ほんとうに、れいむのあかゆっくりはじゃまだよ! ゆっくりできないよ!」 「「「どうちてしょんなこというのぉぉぉぉぉ!!??」」」 親れいむは可愛がっていたことも忘れて、赤ゆっくりを罵る。 赤ゆっくりが生まれてから、ずっと食べ物を与え続けているにも関わらず、まったく大きくならない。 それが、親れいむには不気味に映り、またゆっくりできないように思えたのだ。 赤ゆっくりは赤ん坊であるために食べ物を自力で食べられず、親が噛み砕いたものなどを食べる。 一般に言われている限りでは数週間もあれば、赤ゆっくりから子ゆっくりへと成長する。 子ゆっくりともなれば、親が噛み砕いたものを食べる必要はなく、それなりに固形物を食べられるようにもなる。 また、身体にも弾力性が出てきて、赤ゆっくりと比べてはるかに死ににくくなる。 赤ゆっくりを育てるというのは神経を使うものなのだ。 それが一向に成長しないともなれば、余計にイラつくのも無理はない。 「もうへんなあかゆっくりなんてそだてないよ! さっさときえてね!」 「「「おか~しゃ~~ん!!!」」」 親れいむの最後通牒によって、親子間に決定的な溝ができた。 かえってきて、と泣く子を無視して、れいむは自分の食べ物を探しに行く。 見れば、周囲の親ゆっくりたちも一様に我が子を見捨てて、思い思いに行動し始めている。 「ゆ~♪ これでようやくゆっくりできるよ! ゆ~♪ ゆ~♪」 れいむは意気揚々と跳ねていく。 その頭の中は己の願望で一杯であった。 「まずはあたらしいおうちをみつけないとね! れいむのかわいいかわいいあかゆっくりがいっぱいほしいよ! ちゃんとおおきくなるあかゆっくりがほしいね!」 この家族は何か特別なゆっくりではなかった。そこらに存在している一般的なゆっくりでしかない。 それは群れのゆっくりも同じである。では、何故今回のようなことが起こったのか。 それは、『あかゆっくり』という言葉によるものであった。 群れの子供たちは己の名前ではなく、明らかに『あかゆっくり』などと呼ばれることが多かった。 本来、ゆっくりは人間が気づき得ない微妙なニュアンスの差異で他の個体を呼び分けている。 それによって、己の自我を確立し、他の個体とはわずかに違った精神構造を持つ。 それが『あかゆっくり』と一括りにされることで乱れてしまったのだ。 最初に自我を確立させるべき相手から、名前を呼ばれないことで奇妙な変化が起こっていた。 子供たちは自分のことを『あかゆっくり』であると思い込み、そうであろうとする意思が働いていた。 『あかゆっくり』であるから、大きくならない 『あかゆっくり』であるから、固形物を食べられない。 『あかゆっくり』であるから、身体が柔らかい。 『あかゆっくり』であるから、うまく喋れない。 『あかゆっくり』であるから、ものが良く分からない。 『あかゆっくり』であるから、『あかゆっくり』でなくてはいけないのだ。 つまり、『あかゆっくり』と呼ばれ続けることで精神と身体が赤ゆっくりの状態で固定されているのだ。 餡子の遺伝によって、親が思う『あかゆっくりとはこうあるべき』という形が子にまで伝わっていたのだ。 この状態は自分の子供を『あかゆっくり』と呼び続ける限り、変わらないのだろう けれども、れいむたちは今後もそう呼び続ける。 「れいむのあかゆっくり」と括ることで、通常よりも「この子供は自分のモノである」と印象付けることが可能だからだ。 何に印象付けるのか。勿論、自分と周囲に対してである。 いわば、自分が如何にゆっくりしているのかを証明するアイテムが『あかゆっくり』となっているのだ。 恐らく、ゆっくりたちは何故自分たちが子供のことを『あかゆっくり』と呼びたいのかは理解してはいないだろう。 そう呼んだらゆっくりできる気がする、そんな程度の理由しか思っていないのかもしれない。 ゆっくりたちは、どの個体も皆ゆっくりしていたい。 自分がどれくらいゆっくりできているかの指標として、『あかゆっくり』が必要とされたのだ。 『自分はこんなにもゆっくりしているものを持っている。だから、自分はとてもゆっくりしているのだ』 要約すれば、こういう理屈になるはずであった。 しかし、現実に赤ゆっくりは生きている。 れいむはその弱々しい個体を生かし続けるのが苦痛となったために捨ててしまったのだ。 赤ゆっくりがいる家族は、見た目とは裏腹にゆっくりできることが少ないからだ。 れいむはこれからもさらなるゆっくりを得るために、『あかゆっくり』を産んでは捨てていくのだろう。 多分、死ぬまで。 「ゆっくりしていってね! れいむのあかゆっくり!」 「ゆっきゅりしていってね!」 書いた人 ゆっくりまんじゅうの人
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「よいぞ!」 ゆっくりえーきが判決を下しゆっくりちぇんとゆっくりまりさの親子が天国へと向かう 「わかるよーゆっくりぷれいすなんだねー」 えーきにお礼をいい天国の門をくぐるゆっくり一家 生前は家族仲良く暮らし人間の里を荒らすこともなくゆっくりしていた 「おねえしゃんもゆっくりちてね!」 子れいむがそう言い残し門をくぐると門が閉じる そして次の一家がゆっくりえーきの前に現れる 次に現れたのはゆっくりぱちゅりーとゆっくりまりさの二人 「よくないぞ!」 今度は変わって地獄の門が開く 「むきゅぅ…しかたないわね…」 「どうしてなんだぜ!?」 ぱちゅりーは落ち着いているがまりさは動揺している 「おまえはにんげんのはたけからやさいをぬすんだのだぞ!」 と、えーきが罪状を告げる それを聞きまりさも「ゆぅ…」と小さな声をあげ納得する この二人も番である。 病弱なぱちゅりーに元気になって欲しいとたまに野菜を盗んでいたのだ 「ふたりでぬすんだぶんのやさいをそだてるのだぞ」 頷くと二人は地獄の門をくぐる その先には畑と指導用のゆっくりがおり、この二人は盗んだ野菜の分だけ野菜を育てる ここはゆっくり彼岸 ゆっくりのゆっくりによるゆっくりのための死後の世界 「ゆっくりの裁判はゆっくりに任せた方が良いみたいですね」 「そうですね。だからと言って貴方はサボらないように。舟渡のゆっくりの方が…」 「あちゃー…」 さすがヤマーダ様!ゆっくりの能力もパネェ! -- 名無しさん (2008-12-09 03 01 44) とりあえず… なんていうかなぁ〜 あぁそうだ! 山田愛してるw -- 名無しさん (2008-12-12 01 14 21) 盗んでないから良いゆっくりと言うのはどう考えても人間の倫理観ですよね? ゆっくりにとってみれば畑の作物など野に生える草花となんら変わらないはずです。 畑は神の命によって人間が作らされているものではないのですから。 作物を取られたら人間は困るでしょう。ですがそれだけです。 しかしどういう訳かえーきはそれを持って死後の行き先を決めています。 たかが人間にとっての不利益がゆっくりの罪になっています。これはどういう事でしょうか。 えーきは人間の手下なんですか? 人間様はゆっくりより偉いんですか? 人間ではないゆっくりが人間の尺度で裁かれる理由はなんですか? えーきの対応にかなり疑問の残る小ネタだと思います。 -- 名無しさん (2012-06-29 21 42 32) ↑2年前の他人のコメだが突っ込ませてもらう、どのゆっくりも盗む(=奪う)のが悪いと分かっている、 だから刑が降りたのだろうし、逆にいうならゆっくりだから軽い刑ともいえる、人ならもっとひどい刑だっただろう。 -- 名無しさん (2014-04-08 21 10 57) 名前 コメント
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あんまり熱いので川辺で涼しんでいたら、やたら甲高いカエルの声が聞こえてきた。 「ケローっ! ケローっ!」 なんだか泣いているらしい、生えた草を踏みつぶしながらこっちに向かっていく。 よく見ると、その後ろから水色のゆっくりが追いかけていた。 「アタイったらゆっくりね!」 どう見てもゆっくりだね。 どうやらゆっくりカエルはあのゆっくりに追いかけられているらしい。 ゆっくりカエルはぴょんぴょん跳ねて逃げ回るが、水色のゆっくりは上下に動かず、そのまま平行に動いて追いかけてる。どうやって移動してるんだ、こいつ? 「アタイったらゆっくりね!」 「ケローっ!」 突然、水色のゆっくりが一回り大きく膨らむと。 口から冷気を吐いて逃げてたカエルを凍らせてしまった。 ……おぉっ、そんなこと出来るのか。 「やっぱりアタイったらゆっくりね!」 「……あ、あ~う~……」 体が冷凍されてカエルの動きが止まっている。水色のゆっくりはそのままカエルに近づいていって……。 あ、食べた。 「あぁあああぁぁあぁあぁあっ!」 「ガジガジ」 「やめっ……たずっ……」 カエルシャーベットはあっという間に水色のお腹に収まっていった。水色の大きさは大体30センチぐらい、カエルも同じぐらいだったんだが……スゲェ喰うな。 「アタイゆっくりだよっ! ゆっくりしてるよ!」 食べ終わると高らかに周りに宣言し始める水色ゆっくり。周りには誰もいないのに誰に言ってるんだ。 水色の体は宙に浮き、その辺を行ったり来たりしている。 こいつ、飛べるのか。 飛べるゆっくりなんて肉まんかあんまんぐらいかと思ったが、他にもいるんだな。 ……。 暴れ回っている水色を見て思う。 こいつがいたら、部屋も涼しくなるんじゃね? ……。 取りあえず話しかけてみた。 「ゆっくりしていってねっ!」 「ゆっ? アタイゆっくりだよっ!」 ……それが挨拶なのか? 「ああ、見てたよ。見事にゆっくりしていたな」 「そうだよ! アタイったらゆっくりだからねっ!」 おまえの言ってることはよくわからん。 「なるほど。でもやっぱりゆっくりなら、よりゆっくり出来る場所に行きたいものじゃないか?」 「ゆっ? アタイゆっくりしてるよ?」 「ここもゆっくり出来るけど、俺はもっとゆっくり出来る所を知っているんだ。興味ないか?」 俺の言葉に、水色は眉間に皺を寄せて考えている。よくわかってないらしい。 ……ゆっくりは馬鹿だ馬鹿だと思っていたが。 こいつは、輪をかけて馬鹿だな。 あまりに話が通じないので、掴んで持っていくことにした。 「ゆっ! アタイに何するのっ!」 「冷てっ!」 水色に触った瞬間、手に走る冷たさ。手がくっつくかと思った。こいつ氷で出来ているのか? 急に触れて機嫌を損ねたらしい。冷気を出した時のように顔が膨らんでいた。 「おじさんはゆっくりじゃないね! どっか行ってね!」 いつ俺がゆっくりだって言ったんだよっ! ……ちょっと腹立ってきたぞ。 「お前だって、ゆっくりじゃねぇよ」 その言葉は心外だったらしい。凄い形相でこちらを睨みつけてきた。 「アタイはゆっくりだよっ! ゆっくりしているよ!」 「どこがだよ! 全身氷のゆっくりなんて聞いたことねぇよ! あんこ吐けあんこっ!」 「ムッキーっ! ゆっくりったらゆっくりだよ!」 「だったら付いてきて証明してくれよ。お前がゆっくりだって」 「いいよ! ゆっくりしにいくよ!」 売り言葉に買い言葉。 気づいたら、水色が家へ来る流れになっていた。 俺にとっては願ったり叶ったり……なのか? なんだか間違えた気が……。 家に連れてきて3時間もすれば、自分がどれだけ間違えていたかがよくわかった。 畳の上を歩いたら畳が凍りつく、冷気を吐かせて涼しくしようと思ったら「アタイやすうりはしないよっ!」と言われる始末。それじゃ西瓜でも冷やすかと水色の上に置いたら凍りつき、後々「なにするのさっ!」と怒られる始末。 そして何よりも。 「アタイったらゆっくりねっ! アタイったらゆっくりねっ!」 意味もなく騒いでいるのが最高に鬱陶しかった。 こんなに使えないなんて……。 俺は頭を抱える。正直とっとと放り出したいところだが、体が冷たすぎて触れない。それじゃ勝手に帰るのを待とうと思ったら、どうも家が気に入ったらしく、まるで帰る気配がない。 他のゆっくりなら食べれば済む話だが、正直、30センチの氷を食べるなんて考えたくもなかった。 まさか力ずくで相手に出来ないゆっくりがこんなに扱いづらいなんて……どうしたものか。 ……ん? 「アタイったらゆっくりねっ!」 相変わらず叫ぶゆっくりは放っておいて、俺は思考を走らせ始めた。 そういえば……。 立ち上がり、押し入れを漁り始める。ここに確か……お、あった。 俺は鉄のかたまりを持ち上げると、水色の目の前に置いた。 「ゆっ?」 鉄のかたまりを指さして、水色に言う。 「ここに平べったくて乗れそうな所があるだろう」 「アタイゆっくりだよっ!」 ……まぁ理解したってことだろう。 「お前ここに乗れるか? 無理かなぁ、狭いかなぁ?」 「ゆっ! アタイゆっくりだもん! のれるよっ!」 案の定、挑発に乗って移動する水色。普通のゆっくりなら苦戦しそうだが、空を飛べる水色はあっさりと上に乗ってみせた。 「ほらねっ! アタイったらゆっくりでしょっ!」 「はいはい、そうだね」 乗るのはすげぇ速かったけどな。 俺は鉄のかたまりの頭についているレバーを回していく。 ほどなくして、水色が上から押さえつけられた。 「ゆっ!」 さてと。 用意しておいた器を下に置く。 「何するのおじさん、アタイゆっくりだよっ!」 はいはい。 横のレバーを回し、かき氷を作り始めた。 「あ、ああ゛あ゛あ゛ぁあ゛あ゛ぁっ!」 水色が回転し、器に削られた氷が乗せられていく。 「あ゛がががががっ!」 シャリシャリと音が鳴りながら、あっという間にかき氷が出来上がった。 「あっ……あっ……」 おおっ、普通に食えそうだな。えーと……。 出来上がったかき氷を手に俺はふと気づく。 そういえばシロップがなかった……。 俺はかき氷を一端置くと、そのまま外へと出る。 どうせその辺に……お、いたっ! 「みんなゆっくりしてねっ!」 「ゆっ!」 「うん、ゆっくりするよっ!」 そこにいたのは、ちょうど手のひらサイズの子供達3匹を遊ばせようとしていたゆっくりれいむの家族だった。 取り合えず親れいむを蹴り飛ばす。 「ゆ゛ぐっ!?」 変な叫び声を上げて飛んでいく親れいむ。こいつらってよく歪むから、あまり遠くまで飛ばないんだよなぁ。 「お、おかあさんっ!?」 「なにするのおじ──」 有無を言わせず、その場にいた子供れいむをかっさらっていく。 「うわあ゛あ゛ぁあ゛ぁぁっ!」 「なにずるのっ! ゆっぐりざぜでっ!」 「おがあざーんっ!」 子供の声に活性化されたのか、いきなり親れいむが起き上がってくた。元気だなこいつ。 「れいむのあがじゃんがえじでぇえぇぇぇっ!」 シュートッ! 「めぎゃっ!?」 ゴーーーールッ! 綺麗な放物線を描いて、親れいむが飛んでいく。……我ながら綺麗に飛んだな、体歪んでるのにぜんぜん減速してねぇや。 あ、誰かの家に飛び込んだ。 「いやぁあ゛ぁぁあ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛あ゛っ!」 「おがあ゛ざあぁぁあぁあぁぁんっ!」 邪魔者を排除して、俺は家へと戻ってきた。 「あっ! どこ行ってたの! アタイをむしするなんておじさんゆっくり──」 煩いのでレバーを回す。 「あぎゃぎゃぎゃぎゃっ!!」 水色を黙らせて、俺はかき氷を確認する。よかった、まだ溶けてないな。 「おじさん! 早くれいむたちをかえしてね!」 「おじさんとはゆっくりできないよっ!」 「ゆっくりしねっ!」 手に抱えていた子供れいむたちを、そのまま手のひらで丸めていく。 「うぎゃぁあ゛ぁぁあ゛っ!」 「うぷぷぷぴゅっぷぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅっ!」 「やめでうぶあおじあぶげまぜうぎゃっ!!」 しっかり混ざったあんこを、そのままかき氷の上に乗せた。 氷宇治あずきの出来上がりと……。 一口食べてみる。 ……うーん。 普通の氷宇治あずきより喰いづらいが、そのまま氷を食べるよりマシか……なにより甘いしなっ! 「ここか」 「ここだよ! ここに入っていったよ!」 「これで嘘やったらタダじゃすまさへんど」 あん? 玄関の方で声がした瞬間、大きな音を立てて扉が開かれた。 「ゆっくりっ!」 なんだ、さっきの親れいむじゃないか。……あれ? 「ちょっと失礼しますよ」 親れいむの後ろには男が付いてきていた。何だ? 「なんか用ですか?」 「いや、さっきこのゆっくりが窓から飛び込んで来てな。ふざけるなと怒鳴ったら、吹き飛ばしたのは兄ちゃんやって言うんで話聞きにきたんや」 ガラ悪っ! つーかこのゆっくり、あれだけけっ飛ばしたのになんで生きてるんだよ……。 「そう言われても、俺今日ここから出てないですし……」 「なにいってるのさ、さっき──」 レバーを回す。 「あぎゃがぎゃがっ! も、もうやめでよ゛っ!」 余計なことを言うからだ。 「それにゆっくりをけっ飛ばすなんて誰だってやるでしょ、俺だっていう証拠がないじゃないですか」 「まぁそうなんやけどな……」 俺の言葉に面倒くさそうに頭を掻く男。どうも泣きつかせて儲けようという考えだったらしいが、引く様子がないので迷っている。 そもそもガラス代も、この親れいむを加工所に連れていけばちょっとは金になるし、大きな騒ぎにしたくないのが本音だろう。 「ゆっ! そんなことないよっ! れいむを蹴ったのはおじさんだよっ!」 ……煩いのがまだいたか。 「だから証拠がないだろう。何かあるのかよ」 「れいむの子供どこにやったのっ! あの子たちがいる筈だよ!」 「この部屋のどこに子ゆっくりがいるんだ?」 周りを見渡す男と親れいむ。もちろん子ゆっくりなんて影も形も見あたらない。あるのはかき氷に乗ったあんこだけだ。 「ゆっ! そ、そんなはずないよ! どこにいるのぉっ!」 呼び掛ければ返事をしてくれると、親れいむが叫び始める。 その間に、男と目があった。 「……」 手に持っていたかき氷を見せる。 「……」 男は頷くと、そのまま親れいむを片手で鷲づかみにした。どうやら伝わったらしい。 「ゆっ!? な、なにするのお兄さん!!」 「どうやら嘘だったみたいだな……」 その言葉に、親れいむは饅頭肌を青くして震えた。 ……どうやって色変えてるんだ、この不思議生物。 「ち、ちがうよ、れいむうそなんて」 「それじゃ約束通り、加工所いこか」 「いや゛ぁぁぁあ゛ぁぁあ゛あ゛ぁぁっ! かごうじょばい゛や゛だぁぁぁあ゛あ゛ぁっ!!」 暴れ回るが、ゆっくりが人の力に逆らえるわけがない。 食い込む親指の感覚に震えながら親れいむは連れて行かれる。 ……。 出て行く瞬間、俺は親れいむが見えるようにかき氷を食べ始めた。 「あ゛あ゛っ!!」 扉が閉められる。 親れいむの暴れている声が聞こえていくが、もう俺には関係ない。 ……やれやれ。 ため息をついてその場に座る。予想してなかった騒ぎに疲れがたまった。 ……。 俺は最後の光景を思い出し、思わず顔がにやけてしまう。 あの絶望で満ちた顔に、俺は溜飲が下がる思いだった。 さて。 業務用かき氷機の方を見る。 「おじさんゆっくりじゃないねっ! 早く外してねっ!」 さっきは喋らなかったので、ちょっとは学習したかと思いきや、時間が経つとまた水色は喚き始めた。 ……やっぱり、馬鹿だから数分で忘れたんだな。 それだけ忘れられたら、人だと幸せに生きられるんだろうが、水色が忘れても鬱陶しいだけだ。 しかし、どうするか。 全部削って食べるのは流石に辛い。 いっそ、削ってそのまま流しに捨てるか。 水色を処分する方法を考えながら、取りあえず腹が減ったので俺は洗い場の方へ向かう。 「ちょっとむししないでよっ! アタイはむしたべるんだからねっ!」 ……。 一瞬、無視なんて知っていたのかと思ったが、やっぱり馬鹿は馬鹿だった。 何かないかと食材を探し始める。 えーと、何か食えるものが……。 ……あ。 「だからむししないでっ! アタイたべちゃうよっ!」 ……うん、面白そうだな。 俺はその場から離れると、今度はかき氷機に近づいていった。 「ゆっ?」 「わかったわかった助けてやるよ」 頭についたレバーをゆるめ、水色を動けるようにする。 途端、水色は俊敏な動きで逃げ出していた。 「ゆっ! ようやくアタイがゆっくりだってわかったみたいね!」 だから、その速さのどこがゆっくりなのかと。 「でもおじさんはゆっくりじゃないねっ! アタイそろそろかえるよっ!」 「ああ、帰るのか?」 「ええ! ゆっくりじゃないおじさんはとっととれいとうはそんされてね!」 破損してどうする。 「残念だな。せっかくエサを用意してたんだが……」 言った瞬間、水色がこっちを見ていた。凄い食いつきだな……。 「エサっ? アタイしたにはうるさいよっ!」 「ああ、ゆっくりには美味しいって絶賛されているものがあってね。それなら満足できると思ったんだ」 ゆっくりに絶賛と聞いて興味が惹かれたらしい、さっきまでとは打って変わって瞳が輝いている。 「いいよっ! ゆっくりたべてあげるねっ!」 「そうかい、それじゃちょっと待ってな」 俺はまた洗い場へ引き返す。 水色に与える食材を手に取り、そのまま引き返してきた。 「それじゃ今から目の前に置くから、ちゃんと凍らせろよ」 「もちろんだよ! アタイに任せておいて!」 顔を張って自信満々に言う。 俺は手を開き、素早く食材を置いた。 水色の顔が膨らみ、瞬間冷凍しようと冷気を吐く。 しかし、食材が凍ることはなかった。 「ゆっ?」 「なんだ、凍らないみたいだな」 食材は水色よりも小さいながら同じゆっくりだ。しかしゆっくりカエルを食べていた水色には特に疑問はないらしい。特に気にせず、どうして凍らなかったのかを考えている。ああ、馬鹿でよかった。 「まぁいいじゃないか。そのまま食べてみたらどうだ?」 「もちろんアタイそのつもりだよっ! おじさんはだまってて!」 はいはい。 言われた通り黙っておくと、水色は躊躇せず大きく口を開けて、そのゆっくりを飲み込んだ。 「もぐもぐ」 「……」 「もぐもぐ……っ!?」 突然、口を開いたまま水色が痙攣し始めた。 「どうした? 美味しくないかっ?」 「ちがうよっ! アタイゆっくりだよっ!」 なんか慣れたな。 「お、おじさんっ!」 「なんだ?」 「あ、熱いよっ! すっごくあつじっ!?」 水色が最後までいい終わらないうちに、食べたゆっくりは水色の頭を通って中からはい出てきた。 「もこーっ!」 それは、ゆっくりもこうだった。 やっぱり、中で燃えると溶けるもんなんだな。 「あ、あああああああああっ!」 水色の痙攣は止まらない。もこうはそのまま水色の頭に乗って燃え続けている。 「もっこもこにしてやるよっ!」 「とける、アタイとけちゃうっ!」 もう頭の上部分は完全に溶けて、俺の家の床を水浸しにしていた。あとで掃除しないとな……。 「おじさんっ! 水っ! 水ちょうだいっ!」 「水ならそこの壺に入ってるぞ」 言い終わった途端、壺に向かって飛んでいく。 しばらくして、水色の大きな声が聞こえてきた。 「なかからっぽだよぉおおぉおおおぉおおぉっ!」 そりゃな。もったいないじゃないか、水が。 俺は両手でしっかり抱え、そのまま壺に向かっていく。 中を覗き込むと、もう半分近く溶けきった水色がそこにいた。 「お……おじさ……アタイ……」 「何だかさっきよりゆっくりしてるなっ!」 「……ち、ちが……」 「そんなお前にプレゼントだ。受け取ってくれっ!」 水色の上へ抱えていたものを落としていく。 抱えていたのは大量のゆっくりもこうだった。 「あ……」 「もこたんいんしたおっ!」 全員が一斉に炎を纏う。 「……あた……」 あっという間に、水色は溶けきって水に変わっていた。放っておけば蒸発し、跡形もなくなくなるだろう。 俺は安心と落胆でため息をついた。 やれやれ、もうちょっと使えると思ったんだがなぁ……。 もこうは一定時間炎を纏う。出せる時間に制限があるものの、物を燃やす時はかなり便利だ。 俺は使えるゆっくりはちゃんと使っていくが、使えないゆっくりほど邪魔なものはない。 いいゆっくりは、使えるゆっくりだけだ。 さて……。 改めて飯を食おうと、洗い場へ近づいていく。 「もこーっ」 そこに残っていたゆっくりもこうが、元気な声を上げていた。 End ゆっくりちるのをゆっくりもこたんで溶かしたかった。 すっきりー。 by 762 このSSに感想を付ける
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あっさり短編集『妖怪とゆっくり』 幻想郷にいつの間にか大量発生したゆっくり。 それは人間の住処だけではなく、妖怪の住処にもよく姿を現すようになった。 人間も近寄らない妖怪の領域に入ったゆっくりはどうなるのか。 case1:つるべ落とし 暗く静かな森の中をゆっくり霊夢の姉妹が跳ねまわっていた。 まともな思考を持った者なら森の異様な雰囲気に恐怖や不安を持ちそうなものだがこの二匹は呑気なもので、 「しずかでゆっくりできるね!」 「よるになるまえにおうちをゆっくりさがそうね!」 などと和やかに話していた。 と、その時だった。 木の上から何か大きな物が落ちてくる。 「ゆっ?」 「ゆっくりおどろいたよ! なんなのもう!」 見るとそれはゆっくりと同じで生首だった。しかし見た目はごつく恐ろしい男の顔ではあるが。 「ゆゆ? はじめてみるゆっくりだね!」 「すっごくおっきいよ!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 ゆっくり霊夢姉妹はゆっくり特有の挨拶をするが男の生首は何も言わず、品定めをするようにれいむ達を見ている。 「ゆ? ゆっくりしていってね!!」 何度言っても挨拶を返してこない。 それもそのはずだろう。 この男の生首は妖怪・つるべ落とし。 カヤや松の木の上に棲んでいるといわれている妖怪で、人が木の近くを通りかかると、木の上から落ちてきて、人を引っ張り上げて食べてしまうという妖怪だ。 つるべ落としからすれば、目の前のゆっくり達が体の無い人間に見えていた。 となれば食べるしかない。妖怪は人間を襲ってこそ妖怪なのだ。 「あいさつしないなんてゆっくりできないね!!」 「れいむたちのじゃまだからどっかいってね!!」 れいむ姉妹はつるべ落としをゆっくりできない認定すると途端に攻撃的になる。 だがそれも一瞬だった。 つるべ落としは口を大きく開き、れいむ姉妹に噛みついた。 「ゆぎぃぃぃぃぃぃ!?」 「いだっい"!! なにずるのぉぉぉぉぉ!!!」 れいむたちの声を無視してつるべ落としは木の上へとするすると上がっていく。 正常な状態なら「おそらをとんでるみたい!」なんて言ったかも知れないが、自分と同じぐらい大きな歯が体を挟んでいてとてもじゃないがそんな余裕はない。 「あ"あ"あ"あ"!! はなじでええぇぇぇ!!!」 「だずげで!! い"だい"よ"!! ゆるじでえぇ!!!」 れいむたちは必死に命乞いをするがそれに応じるぐらいならば最初から襲ってなどいない。 つるべ落としはガツガツとれいむ姉妹を咀嚼し飲み込んでしまった。 人間ってこんなに甘かったか? とつるべ落としは疑問に思ったが、美味しかったのでまあいいかと眠りについた。 case2:牛鬼 れいむとまりさ、そしてぱちゅりーの仲良しゆっくり三人組はゆっくりできない人里を遠く離れ、知らぬうちに妖怪の森へと来ていた。 「ここまで来ればもうにんげんたちはこれないね!」 と勝ち誇ったようにまりさ。 「にげみちをあらかじめかんがえておいてせいかいだったわね」 と当然とばかりにぱちゅりー。 「そろそろ暗くなってきたからおうちさがそうね!」 と過去を(本気で)忘れて未来を考えるれいむ。 三匹は見慣れない森の中をおうちを見つけるために跳ねまわるうちに崖の下にある大きな洞窟を見つけた。 入口が大きく捕食者が入ってくるかも、とぱちゅりーは思ったがその時すでに日は暮れていた。 とりあえず今夜だけでもと三匹は洞窟の中でゆっくり眠ることにした。 だが三匹は選択を誤った。 洞窟の中にはすでに凶悪凶暴な捕食者がいたのだから。 洞窟に入ってまもなくするとそれは現れた。 ズンッ 「ゆ? なんのおと?」 「しらないわ。かみなりかなにかじゃない?」 「おくになにかいるよ!」 圧倒的な威圧感でそれは三匹の前に姿を見せた。 牛の首に蜘蛛の胴体を持つ妖怪・牛鬼である。 その性格は非常に残忍で獰猛、毒を吐き人を食い殺すことを好む普通の人間では到底敵わない強力な妖怪である。 「な、なんなのこれ! こわいよ!!」 「だいじょうぶよれいむ。これはただのくもよ」 異様な姿に怖がるれいむだがぱちゅりーは冷静だった。 「ここはまりさたちのおうちだよ! ゆっくりでてってね!!」 まりさに至ってはこの態度である。 しかし牛鬼は気にしない、というより人の言葉などそもそも理解できない。 牛鬼はまず、獲物を逃がさないために麻痺する毒を吐いた。 霧状の毒なのでまず避けられない。 「ゆ? なにこれ?」 「しってるわ。すなけむりね」 「ぱちゅりー、たぶんちがう…よ……?」 牛鬼の痺れ毒を吸い込んだゆっくり達はたちまち体がしびれていく。 「な、ん、な、の? か、らだ…がおか、し…い……よ」 「ま、ひね。しび、れるこ、と、を…まひ、ってい、う、のよ」 しゃべることすらままならなくなった三匹を牛鬼はギョロリと大きな眼で睨みつける。 「ゆ"、ゆ"っぐり、だず、げ…で、ね!」 人を食い殺すのが好きな牛鬼である。 首だけの人間に見えるゆっくり達はもはや食い殺されるしか無い。 まずはずっと的外れの事ばかり言っているぱちゅりーからだった。 「む、むぎゅ…うぅぅ!」 牛鬼はぱちゅりーの帽子の上からがぶり付き、体の上半分だけ飲み込んだ。 やろうと思えば一口ですべて飲みこめるのだが、苦しむ表情を見るためにあえてこうした。 「むぎゅっぁぁあぁぁあぁっ!!!」 人で言う鼻より上の部分を噛み千切られて残った口が苦しみの悲鳴を発する。 「ば、ばぢゅ、りぃぃぃ…!!」 「あ"あ"あ"あ"、あ"あ"、あ"、あ"!!!」 親友の悲惨な姿に残った二匹は悲鳴をあげる。 牛鬼はさらに、先の尖った足でパチュリーの餡子をかき混ぜる。 「むっぎゅっぎゃっぎょっぎぇっ!!!」 ぱちゅりーは今までに聞いたことがないほど大きな声を出した。それが声と呼べるのかどうかは別だが。 十分かき混ぜた後、牛鬼は残るぱちゅりーの下半身をぺろりと飲み込んだ。 「う"あ"…ああ"ぁ」 「もうおうぢがえじでぇぇぇ!!」 だが気分の乗ってきた牛鬼は次にまりさを標的にしたようだ。 まりさは鋭い牙で穴をあけ、そこから餡子を吸いだしていく。 「や"め、やめでぇぇぇ! ずわないでぇぇぇ!!」 じゅるじゅるとまりさの中身が吸われていく。 徐々に干からびるまりさをれいむは泣きながら見ている。 「…! …!!」 完全に中身を失ってもはや声も出ないらしい。 皮だけになったまりさは地面の上に捨てられた。 次はれいむの番だ。 牛鬼はれいむににじり寄る。 れいむはただまりさのデスマスクに助けを求めるような視線を向けていたが、次の瞬間体に緑の粘液にまみれた。 「ゆ"っ!? な"に"ごれ"…!」 それは牛鬼の毒。先ほどの痺れ毒とは違って苦しませて緩やかに殺すための毒。 だが牛鬼にとって誤算だったのは相手が人間ほど大きくなく、さらに毒の耐性も最低レベルだったこと。 「ゆ"っぐり"でぎな"い"……んぐ、う、うぼぉぉっ!!」 牛鬼の毒はすぐにれいむの全身を侵し、れいむは餡子を吐きだしていく。 れいむの小さな体から吐き出された餡子はすでに全体の2/3。それは致死量だった。 「ゅ"……ゅ"…」 毒に反応してうめき声を出す口もその後すぐに止まってしまった。 牛鬼はあっけなくれいむが死んでつまらなさそうにしたが、その後すぐにれいむを腹に収めた。 牛鬼は驚いていた。 しばらく振りに食べた人間はいつの間にこんなに甘くなっていたのか。 牛鬼は次の獲物を求めて洞窟の外へと出かけていった。 case3:毛玉 タンポポが黄色い花から白い綿になる頃、ゆっくり霊夢の家族は野原でゆっくり遊んでいた。 母ゆっくりの「あまりはなれないでね!」という忠告を守って5匹の子れいむが辺りを飛び回っている。 子れいむ達は次から次へとタンポポに息を吹きかけて種がゆっくり飛んでいく様子を見て楽しんでいた。 その中、子供たちはふわふわと浮かぶ白い毛玉を見つけた。 それは妖精の一種で、何を考えてるのか分からないがただ浮かんでいるだけである。 ただし、自分を敵意を向けるものに対しては妖弾を撃って反撃してくるし、隊列を組んで襲ってもくるという謎の性質を持っている。 easy毛玉なら一般人でも弾に当たりさえしなければ勝てる。 Luna毛玉となると激しい弾幕を放ってくるので鍛えていても油断はできない相手となる。 まぁ、博麗の巫女や恋色魔法使いであれば画面に出てきた瞬間に倒せてしまう相手でもあるが。 しかしそんな生物をゆっくり達は知らない。 異変がない時に毛玉が姿を現すことは稀だったから。 子れいむはゆっくり浮かぶ毛玉に愛着を持ったらしく親しげに話しかける。 「ゆっくりしていってね!」 「こっちでゆっくりあそぼうよ!!」 「ゆっくちおりてきてね!」 しかし毛玉はゆっくり達の声などどこ吹く風。 ゆっくり以上にゆっくりしていた。 反応のない毛玉に子れいむ達は怒り出した。 「ゆっくりおりてきてっていってるでしょ!」 「きこえないの? ばかなの?」 「ゆっくりさせてほしいならはやくおりてきてね!!」 「おりてきたらゆるしてあげるよ!」 「いってもむだだよ! あたまわるいんだよ、あれ!」 子れいむ達の罵倒に毛玉は振り返った。 ようやく聞き入れたのかと子れいむ達はやれやれと言った感じだ。 だが次の瞬間毛玉の口から青い妖弾が放たれる。 自機狙いの弾だ。 「ゅ"!」 この一発で子れいむ一匹は潰れて死んだ。 「ゆぅぅぅぅぅ!?」 「なにずるのおぉぉぉぉ!!」 「ゆっくりできないよ!」 「いやぁぁぁぁぁ!!!」 子れいむ達はパニックになった。 その様子に蝶々を眺めていた親れいむが寄って来た。 「あ"あ"あ"あ"あ"あ"!! れいむのあがじゃんがあぁぁぁ!!」 「おかーしゃん、あいつがやったんだよ!」 「ゆっくりしないでこらしめてね!!」 「やっちゃえやっちゃえ!!」 「ゆう"ぉぉぉぉぉっ!!」 親れいむは怒りを込めて毛玉に突進する。 地面近くに降りていた毛玉は再び弾を発射する。 「そんなのあたらないよ!!」 「ゅべっ!?」 しかし親れいむの後ろにいた子れいむが潰れた。 毛玉が狙っていたのは今潰れた子れいむだったのだから親れいむに当たらないのは当然だった。 「まだあがじゃんを! ゆっぐりじねぇぇぇ!!」 親れいむの体当たりが毛玉に炸裂し、毛玉は何も言わずに霧散した。 「こどもをつぶしたばつだよ! ゆっくりしんでってね!!」 親れいむは勝ち誇った顔をする。 「よわかったね! さすがおかーしゃんだ!!」 「これでまたゆっくりできるね!!」 「ゆっくりちようね!!」 残る子れいむ達もまた自分がやったかのように勝ち誇っていた。 「この子たちの分までゆっくりしようね!」 潰れて死んだ子れいむ二匹のお墓を作った親れいむはそう言った。 その声に応えようとする子れいむだったがそれは叶わなかった。 「うぶっ!?」 突然飛んできた赤色の発光体に一匹の子れいむが潰された。 「ゆっ!? あ"ぁ"ぁ"!! れいむのごどもがぁぁぁぁ!!!」 「ゅぅぅぅ!! ぉねぇちゃぁん!!!」 「ゆゆゆ!!! おそらにしろいのがいっぱいいるよ!!」 子れいむの言葉に空を見上げる親れいむともう一匹の子れいむ。 そこには20~30の毛玉が隊列を組んで浮かんでいた。 そして何を言うでもなく始まる毛玉達の弾幕。 親れいむが倒した毛玉はeasyの毛玉だった。 だから自機狙いの弾を一発ずつしか撃てずに親れいむでも倒せた。 しかし今回現れた毛玉たちはLunaticの毛玉。 数十の弾を連続して放つことができる毛玉で、それも1匹でなく20~30匹もいる。 辺りは弾幕で包まれた。 体の大きな親れいむは体中を穴だらけにして即死した。 子れいむのうち一匹は弾の一発で潰れて死んだ。 残る一匹は一発目は避けることが出来た。 続く二発目はグレイズして頬を削られた。 三発目で体を貫かれた。 そして続く四発目以降の弾で跡形もなくなった。 そして後に残ったのは潰れた饅頭だけ。 毛玉はゆっくり家族が力尽きたことを確認するとどこかへフワフワ飛び去っていった。 終 by ゆっくりしたい人 名無しのお兄さん・おじさんでは無く、名無しの妖怪で実験的にゆっくりを虐めてみた。 このSSを書くにあたって妖怪について調べたけど妖怪多すぎ。 毛玉って何よって人のために補足。 毛玉は東方のステージ途中に出てくる雑魚敵の愛称です。 基本的に一瞬で屠れる雑魚なのですがゆっくりにとっては強敵だよな。 このSSに感想を付ける
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ゆっくり魔理沙はご満悦だった。 今までお友達のゆっくり霊夢たちと思う存分ゆっくりしていたからだ。 日があるうちはぽかぽかとしたお日様の下で草原を走り回り、蝶々を追いかけばったと一緒に飛び跳ねる。 お腹が空いたら蝶々やばったを食べたり花の蜜を吸ったりした。 夜はゆっくり霊夢たちの巣で、夜通しゆっくりとおしゃべりに興じたり、星を眺めて眠ったりした。 この数日間は、ゆっくり魔理沙にとって本当に幸せな日々だった。 もっとゆっくりできるといいなと思いながら、ゆっくり魔理沙は自分の巣に戻ることにした。 お友達のゆっくり霊夢たちは、もっとゆっくりしてほしそうだったが、たまには別のゆっくりをしたくなるのだ。 「ゆっくりしていってね!」 おおよそ四日ぶりに巣に戻るゆっくり魔理沙。 その巣は落雷で死んだ木の洞だ。 ゆっくり魔理沙一匹には広すぎるが、自分が気に入ったものを並べたりできるから、そこはまさに楽園だった。 巣の周りには緑鮮やかな木々が立ち並んでおり、草も豊富で色とりどりの花々が思い思いに咲き誇っている。 そばには川も流れていて、そこで暮らしている限りゆっくり出来ないことなどないと思える。 大勢でゆっくりするのもいいが、一人でゆっくりするのもまたいい。 ゆっくり魔理沙は久しぶりにするそれに、期待で目をぎらぎらさせながら飛び跳ねていた。 鼻息も荒く、興奮で頬ははちきれんばかりにふくらみ、いつも以上に赤らんでいる。 焼け焦げが目立つ折れた木が見えてきた。 そこには四匹のゆっくり魔理沙たちがいた。群れのようだ。みな微笑みながらゆっくりしている。じつに楽しそうだ。 同種のゆっくり同士には、基本的に縄張りの意識はない。 だから帰ってきたゆっくり魔理沙は元気よくその群れに飛び込み一声あげた。いつもどおりの鳴き声だ。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 次々と聞こえるそれはやまびこのようだった。 帰ってきたゆっくり魔理沙は手近なところにいた中くらいの、と言っても帰ってきたゆっくり魔理沙と同じくらいのゆっくり魔理沙にほお擦りをした。 「ゆぅ~」 「ゆゆゆ」 気持ちよさそうな声をあげて親愛の情を返す中ゆっくり魔理沙。 その様子を微笑ましそうに見ている群れの長だろう大ゆっくり魔理沙。これは帰ってきたゆっくり魔理沙よりも一回り大きい。 明らかに繁殖経験ゆっくりだ。きっと群れの仲間はこれの子供たちなのだろう。 しばらく五匹でゆっくりしていたが、小さな声が聞こえてきた。 「おかーさーん、ゆっくりしようね!」 「しよーしよー!」 「ゆーゆー!」 大きな木の洞から小さなゆっくり魔理沙が三匹でてきた。中ゆっくり魔理沙よりも一回り小さいそれらは、今まで眠っていたのか大きなあくびをしている。 「ゆゆっ!?」 帰ってきたゆっくり魔理沙は戸惑いの声をあげた。 今、小ゆっくり魔理沙たちが出てきた見覚えのある洞は、自分の巣ではないか? そんな疑問を抱いたゆっくり魔理沙をよそに、小ゆっくり魔理沙たちは大ゆっくり魔理沙に頬をこすられて気持ちよさそうにしている。 「ゆゆゆゆっ!?」 いぶかしげな顔をしながら、ゆっくりと巣に近づいて、中の様子を探るゆっくり魔理沙。 「ゆ゛っ!?」 中は酷い有様だった。ゆっくり魔理沙が集めた宝物の鳥の頭蓋骨は粉々に砕かれていてもはや白い残骸だ。 布団代わりに敷き詰めた草は半分以上がむさぼられていたし、後で食べようととっておいた桃はどこにもなく、代わりに食べかけのカボチャがでんと置かれていた。 なかでも一番嫌だったのが、巣の中から自分の臭いがまったくしないのに、それとは違うゆっくりの臭いがしていることだった。 急にゆっくり魔理沙の頭に餡子が上る。 その視線の先には飛び跳ねている小ゆっくり魔理沙の姿があった。 「ゆぅううーーーっ!」 跳躍し、小ゆっくり魔理沙の一匹に体当たりする。 「ゆぎゃっ!!」 吹っ飛ばされ転がる小ゆっくり魔理沙。 続いて他の小ゆっくり魔理沙を弾き飛ばそうとするが、それは出来なかった。中ゆっくり魔理沙が思い切り体当たりしてきたのだ。 「なにするのー!」 「ゆぐっ!」 家族を攻撃されて、こちらも頭に餡子が上った中ゆっくり魔理沙。威嚇なのか「ぷんぷん!」といいながら帽子のリボンをひときわ大きく広げている。 他の中ゆっくり魔理沙も無言でにじりよってくる。 弾かれた小ゆっくり魔理沙は、ほかの小ゆっくり魔理沙たちと一緒に、大ゆっくり魔理沙にすりよって慰められていた。 体勢を立て直したゆっくり魔理沙は、その場で勢いよく飛び跳ねて声高に訴える。 「ゆっゆっ!わるいのはそいつらだよっ!」 「わるくないよっ!まりさたちはいいものだよっ!!」 すぐさま言い返す中ゆっくり魔理沙。リボンはまだ大きい。 言い合いは続く。他の中ゆっくり魔理沙もそれに混じる。 「ゆぅ~、ここはまりさのおうちなのっ!ゆっくりしないでね!」 「なにいってるの?ここはまりさたちのおうちだよ!!!」 「ちーがーうーの~!まりさのおうちなの~~!いいからさっさとでてってね!!」 「いやだよ!ここはまりさたちがゆっくりするおうちだよ!!」 「ちがうもん!ちがうもん!!はやくでてけっ!」 地団太を踏むように小刻みに跳ね続け、顔を真っ赤に染めてゆっくりしないで叫ぶゆっくり魔理沙。 中ゆっくり魔理沙たちは、そんな様子を餡子が腐ったようなものを見る目でみつめている。 「ここはまりさたちがみつけたんだよ!」 「まりさたちのおうちだもん!ゆっくりしないでさっさとどっかいってね!!」 「はやくきえてね!まりさたちはゆっくりするから!」 「「「ばーかばーか!うそつきー!どっかいけ!!かえれー!!!」」」 ゆっくり魔理沙は三匹に立て続けに言われてとうとう怒ったのか思い切り飛び掛った。 「いいからさっさとでてくのーーー!」 体当たりされて転がる中ゆっくり魔理沙。それを見て勝ち誇るように鼻で笑うゆっくり魔理沙。 「なにするのーッ!!!」 「ゆ゛ッ」 同時に重い音とともに潰されるゆっくり魔理沙。大ゆっくり魔理沙が飛び乗ったのだ。 すぐさま中ゆっくり魔理沙のもとへと跳ねよる大ゆっくり魔理沙。だが中ゆっくり魔理沙は大丈夫だと言うように跳ねている。 そのままゆっくり魔理沙へと向かう。 「ゆ~~」 体を起こすと、ゆっくり魔理沙は中ゆっくり魔理沙に囲まれていた。いや中ゆっくり魔理沙だけではない、六匹の群れが全員でゆっくり魔理沙を取り囲んでいるのだ。 ゆっくり見渡したところ、逃げられるような余裕はなかった。とたんにきょろきょろと慌てるゆっくり魔理沙。 「ゆっゆっゆっ?」 なぜ囲まれているのかゆっくり魔理沙には理解できない。自分はただ、自分の巣でゆっくりしたかっただけなのだ。 「ゆー!」 べよん。 小ゆっくり魔理沙が体当たりする。少し痛かったが、すぐにしかえそうとするゆっくり魔理沙。 しかし逆側からも体当たりされる。 「ゆぅっ!!」 そちらを向く。 すると背中に衝撃が。 「ゆぐっ!?」 ほどなくゆっくりリンチが始まった。 大ゆっくり魔理沙がのっかり攻撃し思い切り飛び跳ねる。 まわりで中ゆっくり魔理沙は三方向から勢いよく体当たりをする。 その隙間からは小ゆっくり魔理沙が噛み付いているのが見える。 みんな思い思いの方法で、ゆっくり魔理沙に暴行を加えている。 ゆっくり魔理沙は最初こそ反抗的だったが、ものの数秒もしないうちに号泣し、命乞いの声をあげていた。 しかし群れの攻撃はやむどころか弱まる気配すらない。ぼこぼこぼこぼこといい音がしている。 それに混じる悲鳴や泣き声。なにかが飛び出る音。 「ゆっゆ゛っゆっゆ゛っゆっゆ゛っ!!!」 「いや゛っ!いや゛っ!よじでっ!びゅっ!」 「ぐるぢいよ!だぢでっ!やべでぇっ!!だぢでよおおお!!!」 「どお゛じでごん゛な゛ごどずる゛の゛ぉ゛お゛ぉ゛!?」 「い゛や゛ぁあ゛ぁぁぁ゛ぁ゛ぁあ゛ぁ゛ぁぁぁ」 「も゛う゛や゛め゛て゛ね゛っ゛!」 「い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛」 「ゆ゛っぐり゛じだい゛よ゛ぅ」 「ゆ゛……っぐり゛……ざぜ……でぇ……ぜっぜっ」 「……ッ!……ぅっ!!…………っ」 ぴくぴくと動くゆっくり魔理沙のようなもの。 それは涙と鼻水、よだれや泥で汚れきっており、餡子まみれで帽子もこれ以上ないほどによれて、ところどころに噛み跡が見える。 もはや虫の息でゆっくりとしているゆっくり魔理沙。 「ゆっ!」 仕上げとばかりに大ゆっくり魔理沙はそれに思い切り体当たりをする。 餡子を撒き散らしながら声もなく転げていくそれを追いかける三匹の中ゆっくり魔理沙たち。 それは近くの川岸でゆっくりと止まった。 その様子に明らかに不満顔で膨れていく三匹。顔を見合わせると、何かを決めたように頷く。 「「「ゆぅ~う~うぅ~っ!!!」」」 声を合わせて、三匹は汚れたゆっくり魔理沙を川に投げ入れてやった。 「「「ゆっくりしんでね!」」」 汚れたゆっくり魔理沙が川をゆっくりと流れていく様子を、げらげらげらげらという笑い声が見送っていた。 ぶくぶくと泡をだしながらゆっくりと薄れていく意識の中でゆっくり魔理沙は思った。 こんなことならゆっくり霊夢たちの巣でもっとゆっくりしてればよかった……と。 おわり。 著:Hey!胡乱 選択肢 投票 しあわせー! (3) それなりー (5) つぎにきたいするよ! (8) 名前 コメント すべてのコメントを見る
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「ただいまー」 「おかえりなさい!! おうちでゆっくりしてね」 「あぁ、良い子にしてたか?」 そう言ってゆっくり霊夢の頭を撫でてやる、体を振って喜ぶゆっくり。 「れいむいいこにしてたよ!! おひるもちゃんとたべたよ!!!」 テーブルに視線を移すと作っておいたおむすびは全部平らげてくれたようだ。 少しご飯粒がこぼれているのは仕方ない、ご愛嬌だろ。 「よしよし、いいこだなぁ霊夢は。今、夕飯作ってやるからなぁ」 「ゆゆ!! いそがなくてもいいよ!! きがえておふろにはいってゆくりしてからでもいいよ!!!」 嬉しいこと言ってくれるじゃないか、一緒に暮らすようになってから随分と語彙が増えたな。 でも……。 「大丈夫さ、俺もおなか減ってるんだよ。服を着替えたら直ぐに作ってやるからな」 「!!! うん!! ゆっくりつくってね!! ゆっくりまってるね!!」 はは、本当はお腹空いてたんじゃないか、我慢しちゃってかわいいねぇ。 急いでジャージに着替えて夕飯を作る。 今日は中華炒めと味噌汁、あとは佃煮に漬物。 ほかほかのご飯の上にとろみの付いた中華炒めを載せれば中華丼の出来上がり。 特大サイズの餌入れに載せてテーブルに出す。 「おーい霊夢、ご飯が出来たぞー!」 寝室のベットで遊んでいた霊夢が勢いよく飛び出してきた。 目の前の山盛りの中華丼を見て目を輝かせている。 「ゆ~!! おいしそう。こんなにいっぱいたべてもいいの?」 「心配すんな。バカスカ食らうおまえを養うだけの金はあるから」 「うん!! ゆっくりたべるね!!」 そう言って勢いよく食らい付く、おいおいゆっくりたべるんじゃないのかよ……。 「むっしゃむしゃ♪ おいしいよおにーさん! とってもおいしいよ!!」 そうかい、それは良かったな。 「おいおい、急いで食うから口の周りがご飯だらけだぞ」 「ゆ? ほんとだ!! んべー……」 舌を伸ばして器用にとってくなぁ、……って、そうじゃない。 「お行儀が悪い」 ぺちん 「ゆ!!」 「ほら、口拭いてやるからこっち向け」 とろみと涎でベドベドになった顔を丁寧に拭いてやる。 「ゆっ! ゆ~くすぐったい♪」 「がまんしろや、……ほら拭き終わったぞ。食べ物は逃げていかないんだからゆっくり食え!」 「むしゃ、……べも、むしゃ、おにいjさんの……むしゃ……」 「食うかしゃべるかどっちかにしろ……」 「♪ おにいさんの作ったごh……」 「本当にしゃべるな、普通は食ってから喋るだろ?!」 ちょっ、ご飯粒が顔に、布巾布巾……ってこれも涎まみれだ。 「ゆゆ♪ おにーさんおもしろい」 「もともと原因はお前だ」 ぺちん 「ゆ!」 「おにいさんが、しゃべるかたべるかどっちかにしろっていったんだよ♪」 顔洗ってきて開口一番それかよ。 てか、もう食い終わってるし。 「はいはい、俺が悪かったよ。それで、お前さっきなんて言おうと思ってたんだ」 「そのまえに、おかわりちょーだい。おにさんがわるかったからばつだよ♪」 「わかった、ちょっと待ってな」 くそ、誰だよ悪いことをしたら罰があるって教えた奴? 閻魔か、……いや俺だ、何教えてるんだ俺。 「ほいほい、おかわりな! 残すなよ!!」 「おにーさん、これちょっとおおいよ!」 「量を指定しなかったのはお前が悪い、よって罰だ♪」 ささやかな仕返し。 あぁ、でもこの食いっぷりだと丁度良い量だったかもな。 「おい! それ食う前に話すこと有ったんじゃないのか?」 「ゆ!!!」 しまった、また数分前の惨劇が……。 「んーごっくん!! ちゃんとたべてからはなすよ!!」 ……、おお!! 偉いぞ霊夢。 「偉いぞ霊夢、それで何が言いたかったんだ?」 「おにーさんのつくるりょーりがおいしいからどんどんたべちゃうんだよ!! おにいさんのりょーりがわるいんだよ。だからばつをうけてね!!」 そうか、うまいかぁ。 伊達に仕事先で鍋振ってる訳じゃないからな。 「それはいいとして、罰ってなんだよ?」 「かんたんだよ、れいむみたいにぱくぱくたべてみてね♪」 ……、訳分からん。 「こうか?」 取り合えず言われたとおり中華炒めをご飯に載せて一気に掻っ込む。 「そうだよ、どう?」 んーどうって言われても、これは……。 「うまい、なぁ」 「でしょ!! そうやってたべるとおいしいんだよ!! おにいさんもおいしかったでしょ?」 そう言ってまた掻っ込みはじめる霊夢。 それを見て、もう一度掻っ込んでみる。 「そうだな、こうやって食うと上手いな霊夢」 「でしょ!! むしゃ、だがらおにーざn」 「だから食いながらはなすな!」 ぺこん 「ゆ! てへへ♪」 さっきの食事はえらい目に有った。 まだ顔がべとべとするな、さっさと風呂に入って今日は寝よう。 「おい霊夢、風呂入るぞ!」 「ゆ~、……。おふろ、はいるよいっしょにはいろうね」 食べ過ぎでさっきまでへばってた霊夢を抱えて風呂場に直行。 あぁ、こいつが本物の博麗の巫女さんだったら良かったのに。 いや、紅魔館の司書さんも捨てがたい。 「おにーさんはやくはいろうよ。ずっとそこにいるとかぜひくよ!!」 ……。 そうだな、はやくはいろうな。 ザッバーン。 と勢いよくお湯を溢れさせて風呂につかる。 先に入れといた霊夢もザブンザブン揺れる湯船にご満悦だ。 「もー。おにいさんいきおいよくはいりすぎだよ! もっとゆっくりはいってね!」 「これがゆっくり出来る入り方なんだよ。明日が休みだったら酒飲みながらも良いんだけどな……」 「おにいさん、それもゆっくりできるけど。いつものやつやって! いつものやつ!!」 はいはい。 タオルを湯船の中に入れて丸める、少し強く握るとあわがシュワーっと飛び出してくる。 「ゆっゆ♪」 「お前も飽きないなぁ。ほら、そのままだと溶けるから一旦上がれ。体洗ってやるから」 「むー!! れいむはとけないよただのおまんじゅうじゃないもん!!」 「そうでも言わないとずっと上がってこないだろ? ほら、無理矢理にでもあげてやるぞ~!!」 「きゃーおにーさんがれいむをいじめる~♪」 あぁ、これが博麗の……。 その後、体を洗ってやり俺も洗った後一緒に湯船で川の流れのようにを歌って風呂から出た。 「おーい、明日はちょっと早いからもう寝るぞ。こっちにこいや」 「うん、おにいさんといっしょにゆっくりねるよ♪」 あぁ、これg……。 「ほれ、さっさとはいれ」 「ゆっくりふわふわ~♪ おにーさんおやすみなさい」 「はいはいおやすみオネショすんなよ?」 「れいむはおれしょなんてしないよ!!」 仰向けで布団をかけると死にはしないが窒息するので、必然的に横向きになる。 何を思って俺が買ったのか知らんが、キングサイズのベッドなので布団が捲れるということはない。 ……が、始めのころはコイツの視線が気になってなかなか寝付けなかった。 「ゆ~~っく~~~り~~~」 相変わらず寝るのはえーなー。 さて、俺も寝るか。 ……。 「今日は延滞している図書館の本を返してもらいますよ!!」 「断るって言ったら?」 「もう。どうして貴方まで魔理沙さんの真似をするんですか? もっとまともな人だと思ってたのに」 「だって、この本を返してしまったら、もうここに来ないだろう?」 「!!! それは、……だったらあなたが図書館に来れば良いじゃないですか」 「いやだね。俺は慣れない化粧をして家に来る君を見たいんだ」 「……もう、○○さん」 「小悪魔……」 「ch……」 「ゆ~♪」 「!!!」 ……、オーケー理解した。 目の前にはゆっくり、そして俺の口の位置も理解した。 あぁ、良い夢だったよ。 最高の夢だった。 …… 「朝だ、起きろ」 ぺちん 「ゆ!! ……。 おにーさん! れいむはおねしょしてないよ!!」 「分かってる、これは俺が悪い。お詫びにホットケーキを作ってやろう」 「ゆ♪ ゆっくりたべるよ!! おにいさんのほっとけーきだいすき!!」 そう言って嬉しそうなゆっくりに、蜂蜜たっぷりのホットケーキを出してやった。 あぁ、朝一緒に飯を食うのが博麗……。 「それじゃ、言ってくるから大人しくしてろよ。昼飯はテーブルの上な。今日はサンドイッチだぞ」 「ゆ! わかってるよ。 おにーさんも気をつけていってらっしゃい」 「あぁ、行って来ます。それじゃぁな!」 玄関に鍵をかけて家を出る。 最近は珍しくなくなった洋風の家に新興住宅地。 ちらほらとゆっくりを買っている家も結構多い。 独身暮らしだった俺にとって。 最近の行って来ますと言ってただいまと言えるゆっくりとの生活もなかなか楽しい。 でも、どうせ二人で暮らすなら博麗……。 「さてと、今日はケーキでも買って帰りますか!」 そう言って職場へと俺は足を進めた。 Fin ゆっくりできたよ!ありがとね!! -- ゆっくり名無し (2009-03-27 02 07 57) 読んでいるだけでゆっくりさせられます♪ -- 名無しさん (2009-03-31 01 56 16) すごくゆっくりしてるね! -- 名無しさん (2010-11-27 13 13 52) ゆっくりしてるね うらやましいよ 俺の夏休み、 終わっt(ry -- 闇の住人さ (2012-08-10 22 24 46) 名前 コメント
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(ゆっくりあるいていってね!) どーん、どーん、どーん、どーん。人里離れた静かな山奥に、一際大きく響く太鼓と男の怒声。 ここはゆっくり牧場。食用のゆっくりを繁殖させる為の施設。 牧場主の「歩け!歩けーーー!」の号令の下、ゆっくり達がゆっくりと行進している。 世は空前の甘味ブーム。老若男女、あらゆる人々が珍しい甘味を欲していた。 そんなブームに乗っかってできたのがこのゆっくり牧場。ゆっくりを繁殖させ、加工し、出荷している。 この牧場で生産されるゆっくり菓は、他と違う一手間を加える事により、市場で絶大な人気を博していた。 その手間とは、ゆっくり達を一切ゆっくりさせない事。ゆっくりさせない事によって味に深みが出て、 その辺にいる野生のゆっくりを食べ飽きた、食通達をも唸らせる菓子ができる。 この牧場の主力商品『泣きゆっくり』を作るため、今日もゆっくり達は歩かされるのであった。 「歩け!歩け!止まるな!ゆっくりするな!」 「止まった奴は繁殖部屋行きだ!死ぬまで強制的に生ませ続ける!生む機械だ!」 「死にたくなかったら歩け!歩けえええええ!」 ゆっくり達は行進を続ける。太鼓の音に合わせ、二列縦隊で一周400mのトラックを歩き続ける。 その間隔は正確に一秒につき一歩。ゆっくり達の周りには鞭を持った男達が目を光らせている。 リズムを乱したものや、落伍したものには容赦ない制裁が加えられた。 「ゆぅ・・・もう・・・もういや・・・」 「ゆゆっ!だめだよ!とまったらおしおきされるよ!」 「もういやだあああああああ!れいむはゆっくりしたいのおおおおおお!!!」 一匹のれいむが叫びながら逃げだした。ここのゆっくり達は全て、生まれ落ちてすぐに この行進に加えられる。生まれてから今まで一度もゆっくりなどした事が無い。 しかし、親から受け継いだ餡子に刻まれたゆっくりとしての存在意義、ゆっくりとする事。 死の恐怖で縛られていても本能には逆らえず、しばしばこの様な個体が出てくる。 このれいむの末路も今迄にいた逃亡を企てたものと同じ。見せしめの体罰の後、繁殖部屋送り。 ほどなく職員に捕まえられたれいむはゆっくり達の前に連れてこられる。 ゆっくり達はぴょんぴょんとその歩みを止める事無く、れいむへの虐待を見せつけられる。 「このゆっくりは今、列を抜け出しゆっくりしようとした!」 「いつも言っているはずだ!そういう行為は一切認めていないと!」 「繰り返す!ゆっくりしようとしたものは、無条件で繁殖部屋行きだ!」 ぴょんぴょんと行進を続けるゆっくり達の横で牧場長が怒鳴る。 その手には髪を抜かれ、片目を抉られ、底面に焼きを入れられぐったりとしたれいむの姿が。 ゆっくり達にはどうする事もできない。ただただ、泣きながら行進を続けるだけ。 「ゆぅぅぅ・・・」 「れいむぅ・・・れいむぅぅぅ・・・」 「ゆっくりしたいよぅ・・・」 ゆっくり達の行進は続く。疲れた、お腹すいた、ゆっくりしたい、などと泣きながら歩き続ける。 そんなゆっくり達の周りに、背にタンクを背負った職員達が集まる。食事の時間だ。 食事と言っても野生のゆっくりの様に「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~♪」とできる訳では無い。 職員達はタンクから延びたホースを手に取り、ゆっくり達にシャワーを浴びせる。時間にして十秒ほど。 タンクの中身は成長促進剤と強力な栄養剤。皮から栄養を摂取したゆっくり達は歩き続ける。 十秒チャージ、二時間キープ。このサイクルが出荷されるまで続くのだ。 Sサイズとして出荷されるものは三か月、Mサイズは半年。贈答用のLサイズともなると一年も苦行が続く。 「さあ歩け!歩け!ゆっくりするな!ゆっくりするな!」 「お前達に許されているのは歩く事と泣く事だけだ!」 「ゆえええええん!ゆえええええん!」 「どうじでこんなめにあうのおおおおおお!」 「だれかゆっくりさせてよおおおおお!」 (ゆっくりうんでいってね!) ゆっくりの繁殖部屋。近隣で捕まえたゆっくりや、列から逃げ出したゆっくりが集められている。 身動きも取れない程にギッシリと詰め込まれたゆっくり達。天井からは霧状になった薬品が降っている。 ゆっくり用の媚薬と栄養剤が混ぜられたそれを浴びたゆっくりは、朦朧とした意識の中 ひたすらに隣にいるゆっくりと頬を擦り合わせすっきりし続ける。 「ゆうううう・・・すっきり・・・しよう・・・ねえ・・・」 「すっきりー・・・」 「あああ・・・また・・・すっきりしちゃう・・・」 「まりさぁ・・・すっきり・・・しよう・・・」 「れいむは・・・れいむだよ・・・まりさじゃ・・・ない・・・」 「どうして・・・もう・・・すっきりしたくないのに・・・ゆっくりしたいよ・・・」 「すっきり・・・すっきり・・・すっきり・・・」 やがてゆっくりから蔓が延び小さな赤ゆっくりができると、 職員達が部屋の窓から網と高枝切り鋏を使って慎重に取り出す。 蔓がついたままの赤ゆっくりが運ばれる先は栽培室。 栽培室には赤ゆっくりが付いた蔓が並べられている。蔓の先には液体の入ったビーカー。 その様はまるで水耕栽培の様。蔓を伝って栄養と睡眠薬を吸収した赤ゆっくりは、 行進に耐える大きさに成長するまでこの部屋で眠り続ける。 「ゆっ!ゆっくりしていってね!」 「ゆっぴいいいいいいいい!!!!!」 数日たって十分に成長し、自身の重みで蔓から落ちた赤ゆっくりは、床に落ちた衝撃で目を覚ます。 そこへすかさず職員が針を使って痛みを与え、一瞬たりともゆっくりさせない。 痛みでわんわん泣く赤ゆっくりが次に運ばれて行くのは育児室。 育児室ではこの牧場内でのゆっくりの生活について教育される。 ゆっくりは人間に逆らってはいけない。 ゆっくりは常に歩き続けなければいけない。 ゆっくりはゆっくりしてはいけない。 赤ゆっくり達は職員の振るう鞭に追い立てられながら、この三点の命令を体に刻みこまれる。 スピーカーから大音量で流れ続けるこの命令を、鞭から逃げながら72時間聞き続けた赤ゆっくりは、 晴れて外で行進する仲間達に加えられ、泣きながら歩き続ける事になる。 「さあ、今日からは外でお前の仲間達と一緒に歩き続けるんだ!」 「止まるな!ゆっくりするな!止まったものには死あるのみ!」 「繁殖部屋送りになりたくなかったら歩き続けろ!」 (よるもゆっくりしないでね!) 夜。日は完全に落ち、ゆっくり達が行進するトラックには照明が点けられる。 辺りが真っ暗になってもゆっくり達は休めない。夜勤の職員達がゆっくりを追いたてる。 「ゆぅぅぅ・・・ねむいよぉぉぉ・・・」 「ゆっくりしたい・・・ゆっくりねたいよぅ・・・」 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 「こらああああ!そこ!寝るんじゃない!」 「ゆぅぅぅぅぅぅ・・・」 もし眠ってしまったら、歩みを止めてしまったら、即座に繁殖部屋送り。 ゆっくり達は疲れた体に鞭打って、重い瞼と戦いながら歩き続ける。 そこへ一人の職員がタンクを背負ってやって来る。ただし中身は栄養剤では無い。 「ほら!お前らもっとシャキッとしろ!カラシ入りの水だ!これで目を覚ませ!」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!!!!」 カラシ入りのシャワーを浴びたゆっくり達は悲鳴を上げる。 致死量では無いものの、ゆっくりにとって辛い刺激物は毒。体中に痛みが走る。 目を真っ赤に充血させ、舌をだしたゆっくり達は口々に職員に哀願する。 「いだいよおおおおおお!!!」 「おねがいじまず!ちゃんどあるぐがら、おみずぐださいいいいい!!!」 「ゆっぐりでぎないいいいいいい!!!」 「ようし!丁度いい感じに目が覚めたな!それじゃ、更に目を覚まさせてやる!」 「テンポアップだ!走れ!走れ!」 どん、どん、どん、どん。太鼓の音がペースアップする。それに合わせてゆっくり達が走り出す。 「走れ!走れ!遅れたものは繁殖部屋送りだぞ!」 「死にたくなかったらとっとと走れ!」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「まだまだあああああああ!テンポアップだ!全力疾走!」 どどどどどど。太鼓の音が連打に変わる。ゆっくり達は体の痛みも忘れ、泣きながら走り続ける。 「ようし!いいぞ!走れ!走れ!」 「そのまま三周だ!全力で走れ!一番遅かったものはその場でぶっ殺す!」 「走れ!走れえええええええええええ!!!」 「い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 「まだじにだぐないよおおおおお!!!」 「だれがだずげでえええええええ!!!」 ゆっくり達の長い夜はまだ続く・・・ (あめのひでもゆっくりあるいていってね!) 翌日は雨。ゆっくり達は体育館に入れられていた。しかし、当然ゆっくりできる訳では無い。 体育館の床は動く歩道の様になっていて、歩き続けないと壁に押しやられてしまう。 後ろの壁には無数の針。ゆっくり達は死に物狂いで泣きながら歩き続ける。 「ようし、注目!これから映画を見せるぞ!その前にお前達に確認する事がある!」 「おい、お前!お前だ!一番手前のゆっくり!きったねえリボンを付けたお前だ!名は!」 「ゆっ!れいむはきたなくないよ!きれいなゆっくりだよ!」 「なんだとっ!貴様!人間様の言った事に異を唱えるつもりか!」 「ゆゆっ!」 「こいつを連れて行け!繁殖部屋送りだ!」 「ゆううううう!ごめんなさいいいいいいい!」 「うるさいっ!もう遅いわっ!」 「いやあああああああああ!!!」 「おい!そこのお前!くっさい帽子を被ったお前だ!名は何だ!」 「ゆっ!まりさのなまえはまりさだよ!」 「ようし!ではまりさ!貴様らの種族は何だ!答えてみろ!」 「まりさたちはゆっくりだよ!」 「ゆっくりにとっての生きる意味とは何だ!」 「ゆっくりにいちばんだいじなのは、ゆっくりすることだよ!ゆっくりするのがいいゆっくりだよ!」 「ほう!ゆっくりするとはこういう事か!」 牧場長はプロジェクターのスイッチを入れ、スクリーンに映像を映す。映し出されたのは野生のゆっくり。 生まれたばかりの赤ゆっくりに、少し成長した子ゆっくり。れいむとまりさの若いつがい。 皮に張りの無い老いたゆっくりもいる。親子三世代のゆっくりの様だ。 スクリーンに映し出されるのは、ゆっくり家族の実にゆっくりとした生活の様子。 母に甘える子ゆっくり。姉に舐めてもらい、くすぐったそうに笑う赤ゆっくり。 子供達に歌を教える母ゆっくり。その様子を嬉しそうに眺める老ゆっくり。 食事の風景。ゆっくり家族が美味しそうに果物を食べている。 まだ小さい赤ゆっくりには母親が口移しで食べ物を与える。 食後の散歩。母親を先頭に、歌いながら野原を歩く子供達。 蝶やバッタを追いかけて走りまわり、遊びに疲れると老ゆっくりの周りに集まり昔話を聞く。 睡眠の時間。母親を中心に、子供達が体を寄せ合い眠りにつく。 母の温もりを感じながら夢の世界へ。まだ寝たくないと駄々をこねる子に子守唄を歌って聞かせる母。 何もかも自分達とは違う理想的なゆっくり生活。その映像を見たゆっくり達は歩きながら涙を流す。 どうして自分にはお母さんがいないのだろう。家族一緒にゆっくりしたい。 同じゆっくりなのに・・・どうして・・・どうして・・・ 「どうだ!これがお前達の言うゆっくりか!」 「ゆぅぅぅ・・・ゆえええええん!おかあさああああん!」 「まりさもゆっくりしたいよおおおおおおお!!!」 「お前達もゆっくりしたいか!」 「ゆうううう!!!ゆっくりしたいよおおおおおお!!!」 「ようし!ならば聞け!お前達にもゆっくりとした生活を与えてやる!」 「ゆゆっ!」 「ただし、今すぐじゃない!三ヶ月か、半年か、一年か!」 「この牧場で毎日ちゃんと歩き続けたもの、一時もゆっくりしなかったものは後でちゃんとゆっくりさせてやる!」 「ゆーーーーーーーーーっ!!!」 「どうだ!嬉しいか!ゆっくりしたいか!」 「ならば歩け!止まるな!ゆっくりするな!我々に逆らわず歩き続けたものだけゆっくりさせてやる!」 「歩け!止まるな!振り返るな!後れを取るな!列を乱すな!前に進め!」 「お前達はまだゆっくりじゃない。ただの糞饅頭だ!ボロボロの汚いクズだ!」 「ゆっくりになりたいか!ゆっくりしたいか!ゆっくりしたかったら我々に従え!」 「歩け!歩け!止まるな!決して止まるな!ゆっくりするな!」 地獄とも言える様な長くゆっくりできない生活を終えた牧場のゆっくり。 その最期に連れて行かれる先は加工室。そこで彼女達の一生は終わりを告げる。 そこでゆっくりと各種拷問を加えて殺され、生まれてから一切ゆっくりしなかったゆっくりの完成。 後は体を綺麗に拭いて髪型を整え、箱詰めすれば銘菓『泣きゆっくり』のできあがり。 どーん、どーん、どーん、どーん。人里離れた静かな山奥に、一際大きく響く太鼓と男の怒声。 ここはゆっくり牧場。食用のゆっくりを繁殖させる為の施設。 牧場主の「歩け!歩けーーー!」の号令の下、ゆっくり達がゆっくりと行進している。 ゆっくり達は在りもしないバラ色のゆっくり生活を夢見て、今日も泣きながらゆっくり歩き続ける。 end このSSに感想を付ける
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近頃巷で流行ってるゆっくりなる生物 こいつらは人の畑を荒らし、おまけに堂々と自分の家だとか抜かしやがる。そのため農民たちに嫌われていた。 もちろん、俺もこいつらは大嫌いだが感謝もしている。 理由は簡単。こいつらのお蔭で俺は生計を立てているからだ。 こいつらが大量発生する前俺はただの農民だった。少し外れに住んでいたが妖怪が襲いに来るわけでもなく、日々の糧を農業によって得ていた。 しかし、去年の秋ゆっくりどもが大量発生したとき真っ先に被害にあったのは森に近い俺の畑だった。 秋の収穫も目前のある日、俺は作物の様子を確認するために畑へ向かった。ちなみに俺が育てていたのはさつまいも今年は天候も良く豊作だと思っていた。 しかし、畑で俺を待っていたのは食い荒らされた芋とそこでぴょんぴょん跳ねるゆっくり達だった。 呆然としながら近付くとこっちに気がついたのか赤いリボンをしたゆっくりが「ゆっくりしていってね!!」と言ってくる。それにつられて周りの黒いのや「ちーんぽ!」とか抜かすゆっくり達が俺に向かって「ゆっくりしていってね!!」と言ってくる。 しばらく呆気にとられた俺だが冷静になるとさっそく目の前の赤いリボンをしたのを持っていたスコップで叩き潰す。「ゆ”っぐヴぇ!」と気持ち悪い声をあげて潰れるゆっくり 直ちに周りのゆっくりが抗議の声を上げる「ひどい!ゆっくりさせてね!」「ゆっくりあやまってね!!」 煩い 黙れゴミ ただただムカついた こんな饅頭共に俺が丹精こめてつくった芋を食われたのかと、俺はこの冬どう過ごせばいいのかと そのまま近くにいた銀髪のゆっくりを叩き潰す「ぢーんっぶぇ!!」さすがにゆっくりも危険だと気がついたらしい「ゆっくり逃げてね!!」と黒い奴の号令で一斉に逃げだした。 そのまま追いかけて何匹かつぶすが首謀者のようだった黒い奴をはじめとして何匹かには逃げられてしまった。 俺は殺したゆっくりを処分すると、そのまま情報通の友人である霖之助のもとへと向かった。 「それは災難だったね。」お茶を出しながら霖之助が言う。 「ああ、まったくもって腹立たしい。で、霖之助あれはいったいなんなんだ?」霖之助も詳しいことは知らないようだったが概要を説明してくれた。あれが突然発生したということ。一番多いのはさっきの赤いリボンのと黒い奴でそれぞれ霊夢種と魔理沙種らしいがその他にもいろいろな種類がいるらしいこと。そして、雑食性のためあちこちで被害が出ていることも。 「そうか…俺のところだけじゃないのか…」あんな奴らが人間に迷惑をかけてるのかと考えるとイライラした。 「妖怪の間でも被害にあう子が増えてるらしいよ。そのたび駆除してるけどあまりにも繁殖が早く何回も来るとか」 「どうにかできないのか?」 「僕だけじゃね…あ、でも君これからの冬仕事がいるんだろ?」 「ああ、あの糞饅頭のせいでな」 「だったらピッタリのものがある!少し待っててくれ。」というと奥の倉庫に行ってしまった。 このゆっくりの話と冬の仕事と何がつながるのだろうか?と考えていると霖之助が何やら銃のようなものを取り出してきた。 「ちょうどよかった。君確かパチンコとか得意だったよな?」 「ずいぶんと昔のことを持ち出すな。まあ、確かにお前も含めてあのころ遊んだ仲間の中では一番だったな。」 「ならちょうどいい。この銃は繚乱の対弩と言って外の世界ではモンスターを狩るために使うらしい。」 「モンスター?」 「妖怪のようなものだろう。それにこれは、虫退治とかにも使うらしい。そのうえ弾は自然の草とか魚からできているからゆっくりを処分したあとそのまま畑に埋めれば肥料になるんだ。」 「で、これと俺の仕事の話は?」 「だから、君がこれを使ってゆっくりを処分してけばいいんだよ。これからどんどんゆっくりがらみの問題は増えるだろうし新しい職業になるかもしれないぞ。」 確かにそれはいい考えだと思った。ストレス解消にもなるしみんなにも感謝される最高の仕事だ。しかし… 「でも、俺は今そんなものを買うほどの余裕はないんだが…」この銃はどう見ても高そうである。しかも珍しい物好きの霖之助のことだそんなに安くはしてくれないだろう。 「一昔前ならそうだろうけどね。なぜか今年の3月の終わりから大量にこんな銃が流れ込んできたんだ。」 「外から?何かあったのか?」 「僕のお店の常連の妖怪さんは何でも「ああ、そういえば新発売ね。ボウガンは強化できないのよねー。」とか言ってたが」 「よく意味がわからんな。」 「僕もだよ。でもそのおかげで僕の倉庫は似たようなのでいっぱいなんだ。友達のよしみもあるし、とりあえず出世払いでいいよ。」 持つべきものは良い友達だ。そのまま霖之助に使い方を教えてもらい一通りの弾を貰うと、俺は早速村の中心に行き集会所に「ゆっくり退治お任せください。詳細は○○まで」と看板を立てて置いた。 2日後早速依頼が舞い込んだ。はじめに潰したとき何でも黒大福(魔理沙種とか言ったか?)を逃がしてしまったらしくそいつが仲間を引き連れて何回か襲撃に来たらしい。 「報酬は今年の収穫の十分の一でよろしいでしょうか?」裕福そうな依頼人だ。事実ここらでは一番の地主らしい。 「はい十分です。ゆっくりが来るのはこの畑ですか?」 「はい。何箇所か畑を持っているのでこの畑にばかり構ってられないのです。」 「了解しました。では、今日はこのままここに張り込ませてもらいます。大丈夫だと思いますが巻き込まれないように近寄らないようにお願いします」 ゆっくりが来るのは夜明けらしいのでそのまま張り込む。ゆっくりは動いてないものを認識しづらいらしくこのまま動かずに来たら狙撃するのが一番効率がいいと判断したからだ。 そして、そのままそこで仮眠をとり空が少し白み始める頃、あの耳障りな声が耳に響いた。 「今日もゆっくり食べようね!!」「朝ならあの人間もいないもんね!」「ここは霊夢たちのゆっくりポイントなのにね!!」「「「「ねー!!」」」 どうやら今日の標的は3匹らしい。魔理沙種と霊夢種とパチュリー種のようだ。 俺は息をひそめて銃弾をリロードする。とりあえず今回用意してみたのは散弾と徹甲榴弾である。そしてゆっくりが範囲内に入る。そしてどう仕留めるか考える。何回かの襲撃で知恵を少しはつけたらしく人間の気配を感じたらあっという間に逃げてしまうらしい。そこで俺はとりあえず固まってる霊夢とパチュリーを散弾の連射で仕留め魔理沙を徹甲榴弾で仕留めることにした。 スコープを覗き狙いをつける。と同時に徹甲榴弾のリロードの準備を整える。 3…まだ早い2…もう少しだ1…狙いを定める 「ゆ”ぐぐぐぐっぐ?!」「む”ぎゅぐげぐぐ!」散弾の連射を急に浴びた二匹のゆっくりまだ息はあるようだがもう動けまい。と同時に、「ゆっくり死んでてね!」と薄情な言葉を吐き黒大福が一目散に逃げ出す。 俺は徹甲榴弾をリロードすると同時にただちに黒大福を追いかける。 「ゆ”ぐっり”ざぜでえ”えええ”!」「ゆっっぐりじだっがだっよお!」後ろから二匹の声が聞こえるが無視する。 「ゆっくりしていってね!!」黒大福も意外と早く距離はなかなか縮まらない。だが徹甲榴弾は距離を関係としない威力をもつ。俺は森に逃げ込む直前の黒大福に向け徹甲榴弾を撃った。命中! 「ゆ?」徹甲榴弾は当たった時には大したダメージはない。「ゆっくりしていってね!!」人を小馬鹿にしたように森へ逃げ込むゆっくり。その時の顔はまさに勝ち誇った顔であった。おそらく森の中では逃げ切れると思ったのだろう。 確かに、その推測は正しい。森に逃げ込まれたらボウガンで仕留めるのは難しい。しかし、もうすでにやることは終わっている。 もう一回黒大福が満面の笑みで飛び跳ねる。だが、それと同時に発せられたはずのお決まりの文句は最後まで言い切られることはなかった。 「ゆっくりしてっぶっ!」次の瞬間ゆっくりの体が弾け飛ぶ。徹甲榴弾は命中した後爆発する弾である。見事真ん中に命中しやわらかい餡子の真ん中で止まった弾は爆発しゆっくりの体を四散させたというわけである。 こうして、ゆっくりを仕留めた俺は畑に戻り息も絶え絶えの二匹のゆっくりを生かしたまま畑に埋める。「ゆ”っゆ”っゆ”」「む”ぐむ”ぐぐぐ」とか最早意味のわからない言葉をあげていたが畑に埋めると声がしなくなった。 「ありがとうございました。あの黒大福がリーダーで引き連れてくるらしく狙っていたのですが警戒心が強くなかなか仕留められなかったのです。」 「いえ、私もこの仕事のおかげで冬を過ごせそうです。後、なにかゆっくりで困ってる人がいたら是非私のことを紹介してください」 「ええ、もちろんですとも。集会所で広めておきましょう。」 こうして、俺の仕事はウナギ登りに増えていった。そのうちゆっくり加工所から希少種の捕獲を頼まれることも多くなった。 そして今日も俺はボウガンを片手にゆっくりを狩る。最近では俺のまねごとを始めるを始める奴も増え始め、集会所は依頼を取りまとめる場所になっている。 そして、いつしか人は俺のことをこう呼び始めた「ゆっくりハンター」と。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ あとがきのようなもの ここまでお付き合いいただきありがとうございました。 元ネタは見ての通りモンスターハンターからです。今度は捕獲クエストで一本書こうと思っています
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※幻想郷はすでに外界(特に日本アルプスの近く)にさらされているとの設定でお読みください。 ※他の人の設定・パロディが多いです。そういうの嫌いな人注意。 「こんにちは。ゆっくりしていってください。」 その図書館の主、ゆっくりぱちゅりーが言った。 祖父いわく、今はゆっくり種と共生を始めて100年がたつという。 祖父は「あんな害獣と共生?駆逐の間違いじゃないのか?」とも言った。 さて、ゆっくり種は基本山中に住んでいる。 そのことについても祖父は「きっと人間を殺そうとしてんだよ」という。 祖父は、現役の農夫だったころゆっくりの駆逐を成功させたメンバーの一人であった。 幻想郷の人里にはゆっくりがいなくなった。 森にも川にもいない。ゆっくりは絶滅した。 そう思っているときに日本政府が「ゆっくりとの共生」を政策として打ち出したせいで祖父はキレてしまったのだ。 ちなみにゆっくりを1匹殺したせいで祖父は監獄生活を謳歌している。 「…そんな矛盾があったんだけど、そのことについての本はありませんか?」 私はゆっくりぱちゅりーに尋ねる。 「ああ、でしたらこの本がいいでしょう。差し上げますよ。手書きの原稿ですから読めないかもしれませんけど…」 彼女は主に人向けのゆっくりについての本を書くことで生計を立てている。 図書館には彼女の本で2棚埋まっている。3年くらいしか物書きはやってないらしいが、この量を書けるとは。 きっとその金がだぶついた部分を彼女以外の本の購入に当てているのだろう。献身精神がうらやましい。 …話がずれたが、その原稿は彼女の最新の本、「ゆっくりの歴史」の原稿だった。 「ありがとう。あとこの二冊借りていきますね。」 手早く手続きを済ませ、我が家に帰っていく。 「…さて、次の本は久しぶりに恋愛小説で…」 去り際に聞こえた彼女のハスキーな声で、彼女がどういう内容で書くかは大体想像できた。 せっかくもらったんだ。脳内の矛盾をただすために読むんじゃなくてゆっくりを理解するために「読破」するんだ! そう思って私は寝ころびながら丸い文字に目を通し始めた。 {~第一章 魔法の森のゆっくり~ 私は伝聞でしか知らないが、魔法の森はゆっくりのすみかにちょうど良かったらしい。 山の上で生まれ、山で育った私たちとその祖先には理解もできない話だが。 さて、代々私の家系に著書のネタを持ってきてくれたきめぇ丸(126)さんによると、 「森は強権者が独裁する地域だった」そうである。 彼女は新聞屋をやっていたので、このことは山のゆっくりにはすぐ伝わった。 この本の執筆に関して、きめぇ丸さんに当時の記事をいただいたので、ご厚意に甘えて載せさせていただく。} へぇ…まず祖父が駆逐したゆっくりと今いるゆっくりとは違うってことか。 あときめぇ丸さんは意外といい人だなあ。新聞の押し売りがなければ。 そう思い、次のページへと目を向ける。 {野蛮な森のゆっくり ※連載小説でないことを断っておく。 私きめぇ丸は、人里に新聞のネタを採集しに行った際に、魔法の森を通った時、森のゆっくりの虐殺による人民統制を目撃した。 以下がその写真である。 (筆者注:原典にはここに大量のゆっくりみょんを虐殺するゆっくりまりさの写真が貼ってあったのだが、全年齢向けの本であること、現在生きている上の二種類への冒とくとなることを考え白ぬきにしていることをご了承していただきたい。) 私はオフィスまで死にかけたゆっくりみょんを運び、事情を聞き出した。 彼女が言うには、 「巨大なまりさがみょんのコミュニティに襲いかかってきたれみりゃを追い払った」 「その際にリーダーが死んだのでそのまりさがリーダーになった」 「まりさは『ぜい』というものとして毎日食料を貢ぐことを全員に強制した」 「リーダーは絶対なので一生懸命働いた、貢がずに処刑されたものもいた」 みょんはここまでは普通だという。すでにおかしいと思うが。 言葉通り、さらにおかしいことが起きるのだが。 「ある月のない夜に、まりさとありすが逢引きをしていたら、次の日からリーダーまりさがありすをすべて処刑し始めた」 推測するにリーダーの息子だったのだろうが、それなら一家根絶でいいだろうに。 このみょんはその時の処刑役を任されたが、リーダーは高笑いしていたという。 「とんでもないものをリーダーにしてしまった」 「このままじゃあまりさ以外のみんなが死んじゃう」 「山には憎しみあわないゆっくりがいる」 それを知っていたみょんは夜に逃げ出し今に至っている。 (ちなみに写真のみょん種一斉処刑は逃げ出した1日後に始まった。 リーダーまりさの「1匹足りない」という言葉を盗み聞けたので間違いない) 怪奇ゴシップにも思えるかもしれないが、これは事実である。 これを読んでいる皆さんも、地上に買い出しに行った時には魔法の森には近づかないでほしい。 (原典:文文。新聞 分家 315号 (太陽暦で)1912年3月11日) 原稿と本の体裁上、上の一記事分しか載せられないが、この後に、れいむ種、ちぇん種、ゆかり種、さくや種と(難癖をつけられての)虐殺が続きこれでもともといたのはまりさ種とぱちゅりー種しかいなくなったという。 そして救出されたみょんの願いもあってきめぇ丸さんが一人でリーダーまりさを陥落させたらしい。ゆっくり史上最初の事件である。 (ただし人間からの虐殺は前に存在する。それらは地上のゆっくりが悪いので入れないことにする)} きめぇ丸さん本当にいい人。押し売りがなければ。 それと森のゆっくりと言われているやつらのあさましさがよくわかった。 祖父が殲滅したのはこいつらだろう。 ページを進めよう。 {次にあった事件は1952年の「青い石」事件である。 れいむ種の家族が人間の住み家にあがりこみ、放射性元素(ただし推測。私の学者仲間には有毒ガスというのもいる)でできた石を巣へと持ち込んだ。 ゆっくり唯一の臓器「あんこ」を放射線に侵され、居候のまりさが脱走して逃げた以外は巣で全滅し、そのまりさは「ゆっくりできない死臭」を振りまいているせいで投石による殺害が行われた。また好奇心の強いありす種が巣に入って死亡した。 その後巣は「ゆっくりできない場所」として成体まりさが封印し、近づかないようにさせたが、投石部隊と見張りは既に放射性物体になっていたので殺害され、ループが長く続いた。 森のゆっくり単体としてはこれで事件はなくなる。 ちなみにこの後1年後駆逐される。 さて次の章は水辺のゆっくり編とさせてもらおう。} なるほど。 危険物の危険の程度がわからないというのだろうか。 放射線特有の恐怖というか。 今日は眠いので続きは明日にしよう。 続く =========================================== ゆっくりの歴史を創作してもいいんじゃないかと思い。 「いじめスレ」と「愛でスレ」に同じ題材で 投稿しようとしたのが間違いだった。 もったいないので二つを混ぜて投棄場にうp。 青い石事件は「ゆっくりいじめ系149 ゆっくりと青い石_前」が元ネタです。 正直最初からまともなSSを書こうと思わんほうが良かったかも。 続き ===================================
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気がつくと、ゆっくりなるものが庭先に鎮座(?)していた。 (*1 れいむ種。) 幻想郷の実在人妖をぶきっちょにしたようなこいつは、近年発生した新種の妖怪の類との事。 お菓子をあげると、すんなりと懐いてきた。 ちょうど生態が知りたいと思っていた所なので、部屋に上げて1日の観察記録をつけることとする。 「ゆっくりしていってね!」 『ゆっくり観察記』 第123季 葉月の一六 子の刻 ゆっくりは寝ている。まぁ時間的に言って当然の話。 私もそろそろ寝ることとする。 (*2 夜更かしは体に悪い。) 丑の刻 寝ている。 (*3 多分。) 寅の刻 寝ている。 (*4 多分。) 卯の刻 起床する。私がである。 ゆっくりはまだ寝ている。 (*5 朝は遅いのだろうか。) 辰の刻 起こされる。私がである。 どうやら二度寝してしまったらしい。 まだ眠いが、布団を取られてしまったので渋々起き上がる事とする。 (*6 春眠暁を覚えずというが、どの季節も眠いものは眠い。) 朝餉を戴いて部屋に戻るが、ゆっくりはまだ寝ていた。 私を起こす際、母が結構騒がしくしたはずなのだが。 とりあえず放置。 残っている仕事をちこまかと片付ける。 巳の刻 ゆっくりはまだ寝ている。 少しゆっくりしすぎではないだろうか。 (*7 これでは、殆ど私自身の日記も同然である。) もう少し近寄って観察する。 「ゅ~、ゅ~」 よく見ると、少し涎が垂れている。 もしかしたら寝床にした座布団がふかふかで気持ち良いのかもしれない。 野生にはこれ程ふかふかしたものは無いだろう。 ほっぺたをつっついてみるが、目を覚ます様子は無い。 これはあまりに無防備ではないだろうか……。 ちなみにほっぺたはかなりもちもちしていた。 これは結構病み付きになりそうである。 (*8 自制。) 試しに座布団をどかしてみたが、相変わらず間抜け面で寝ていた。 午の刻 「……ゆ? ゆっくりしていってね!」 ようやく起床する。 (*9 ゆっくりがである。) (*10 しかし、第一声がそれか。) 私はその時、ほっぺたをつっつくのにも飽きたので自分の仕事に戻っていたのだが、 こいつが近寄ってきて 「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!」 と、しきりに叫んでうるさい。 しぶしぶ自分がゆっくりしている事を伝えてやると、やっと大人しくなった。 他人がゆっくりできないと落ち着かない性分なのだろうか。 てっきり、自分がゆっくりできれば満足するのかと思っていたが、 そういうものでも無いのかも知れない。 (*11 しかし、そんなに私がゆっくりしていないように見えたのだろうか。) 昼餉を頂いてから戻ると、座布団の上に鎮座していた。 (*12 やはり座布団が気に入ったのだろうか。) 未の刻 原っぱに散歩に出かける。 ゆっくりの食生活を知るためである。 (*13 家にいてもゆっくりしっぱなしだったため。) ( もしかしたら、ご飯抜きでも数日くらいは大丈夫なのかもしれない。) すると早速ゆっくりは、餌となるバッタへとゆっくり近づいていく。 「そろーり、そろーり、」 しかしその擬音は口にする必要があるのだろうか。何とも間抜けな光景である。 そう思っていたが、バッタはあっさりと食べられてしまっていた。 (*14 何とも間抜けなバッタである。) 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 何だかこう、ムズムズする食餌の取り方である。 よくもまぁ、バッタひとつでこうまで幸せそうな顔ができるものだ。 いやまてよ。 もしかしたらああやれば、バッタなんて結構簡単に取れるのかもしれない。 そう思って 「そろーり、そろーり、」 私もそこらにいたバッタを捕まえようと試みるが、一匹も捕まえることはできなかった。 ゆっくりにできて私にできなかったので、少しへこんだ。 この屈辱を忘れることは無いだろう。 (*15 能力なので。) まぁ、ゆっくりは何かしらの能力を使っているのかもしれない。 そう思うことにしておく。 ゆっくりは虫以外には草花も食べるようだ。 適当に草をむしって渡したら、またむーしゃむーしゃし始めた。 適当に枝をひろって渡したら、それもまたむーしゃむーしゃし始めた。 適当に石をひろって渡したら、それもまたむーしゃむーしゃし始めるのだろうか。 興味はあるが、歯が欠けてもかわいそうなのでやめた。 (*16 逆にむーしゃむーしゃされても怖い。) 半刻ほど経つ頃、べつのゆっくりが飛び出してきた。 (*17 まりさ種。) うちのゆっくりとは違うふてぶてしさの顔だ。 2匹は 「ゆっくり!」 「ゆっくり!」 と仲よさそうに言い合っている。 (*19 ゆっくり語はわからないので、そう見えているに過ぎないが。) しばらく観察していると、2匹は微妙な間隔をあけて並び始めた。 (*19 漫才コンビの如きベストポジション。2匹はもともと相方なのかも知れない。) そして、やおらこちらに向き直ると、せーので同時に飛び跳ねた。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 白黒っぽい方のゆっくりは満足そうに去っていった。 何がしたかったのだろうか。 なぜ紅白っぽいゆっくりも、どこかやり遂げた顔になっているのだろうか。 謎だ。 (*20 確かに1匹の時より迫力はあったが。) 申の刻 家に帰る。 ゆっくりは相変わらず座布団の上でゆっくりしている。 試しに畳の上に置いてみるが、変わらずゆっくりしている。 ちょっと意地悪して文鎮をゆっくりの下に置いてみるが、相変わらずゆっくりしている。 しかし、これが母に見つかり、筆記用具を床に置くな、生き物(?)の下に敷くなとしかられた。 (*21 理不尽。) 説教から戻ってみると、相変わらず座布団の上でゆっくりしていた。 特記事項。 部屋にあげる前に足(?)を拭こうとひっくり返したが、ゆっくりは汚れていなかった。 さんざん草の上を這いずり回っていた筈だが。 汚れがつかない体質か? もしかして、微妙に浮いているのか? 見た限りではそんな様子は無いが。 興味は尽きない。 酉の刻 夕餉を戴く。 ゆっくりも連れて行く。 人間の食事を食べさせるとどうなるか知るためである。 案の定、人の食べ物なら何でも食べた。 芋。ご飯。佃煮。お豆腐。味噌汁も飲む。 どこまで食べるのかは知りたい所であるが、 もともと小食な私に用意されるご飯は少ない。 今度、家人に言ってゆっくりの分を作らせようか。 (*22 ちなみに、わさびの葉っぱも食べた。) ( こころなしか「しあわせー」の時の涙の量が多かった気もするが。) 部屋に戻ると、ゆっくりはうつらうつらし始めた。 そろそろ寝る時間なのか。 まぁ、昼行性なのだろうから、それも然りなのかも知れない。 (*23 それにしては、朝が遅い気はする。) すっかりゆっくりの居場所となった座布団の上に乗せてやる。 さて、明日はどんな事をしようか…… ジジジジジ―――― 蝉の声が聞こえる。 夏も折り返す。 私の一生は、余人に比べると蝉のように儚いものだ。 そして、その間為すべき事は生まれる前から決まっている。 自然と毎日が忙しなく過ぎていく。 そのこと自体に、不満はない。 ただ…… 「ゆっくりしていってね!」 唐突にゆっくりが鳴いた。 ゆっくりを見る。 短い人生、偶にはこいつのように無為にゆっくりと過ごす日があっても、 それはそれでいいのではないか。 為すべき事があり、 愛すべき世界があり、 そして時にはゆっくりする。 ああ、なんて素敵な人生―― 「……はい、私はとてもゆっくりしていますよ」 そう、ゆっくりに話しかける。 ゆっくりは、やはりどこか満足そうな顔をしていた。 戌の刻 漸くゆっくりが就寝する。 寝るのはいいが、座布団に涎は垂らさないで欲しい。 (*24 実はお気に入り。) そっと涎を拭いてやる。 いつも舎人が進捗状況を聞きに来る時間だったが、 今日は何故か入り口のところで帰っていったようだった。 亥の刻 就寝。 私がである。 「……ゅ~……ゆっくりしていってね……」 そんな寝言を聞きながら、床につく。 おやすみなさい、ゆっくり。 ・ ・ ・ 以上が、ゆっくりを1日観察した記録である。 読んでいただければ、非常にゆっくりとした生態であることが分かるだろう。 “ゆっくりしていってね” この不思議な言葉を発する何者かは、ともすれば忙しなくなりがちな私たちに対する、世界からの警告なのかもしれない。 とまれ、彼らは実に無害でお気楽な生き物(?)である。 幸いにというか、ゆっくりは人に構われるのを好むため、いじり相手にぴったりである。 (*25 つっついても楽しいし、枕代わりにも丁度良い。) 私ももう少し、この新しい隣人を観察していく事にしよう。 それでは貴方も、幻想郷で素敵なゆっくりライフを。 ……なんてね。 『癒作狸観察記』 九代目稗田阿礼乙女 稗田阿求 記ス imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 ================================================================================================ 08夏コミで購入したゆっくり合同が面白かったので、 ゆっくりの生態がこんなでもありかな、と思ったifです。 ちなみにあきゅん合同は買えませんでしたとさ。 -- うりとぅん ばい "むの人" こういう視点で見るのもいいなぁ。野生ゆっくりの生活も観察してみたひ。ゆっくり合同も何とか買えたです。 -- 名無しさん (2008-08-22 00 42 14) 最近は、こういう、「ゆっくり!」しか言わないゆっくりになぜか惹かれる……。 -- YT (2008-10-21 17 42 50) そろーり、そろーりに萌えたw -- 名無しさん (2009-08-17 03 16 33) 改めて見るとやっぱり完成度高いわぁ 阿求可愛いしゆっくりも可愛いしで、完璧です。 -- 名無しさん (2009-08-18 01 15 25) 可愛くて最高。観察記っぽさがたまらない。 -- 名無しさん (2010-05-03 11 42 22) 画像貼り付けテスト。(むのひと) -- 名無しさん (2011-06-04 22 24 52) うおお、挿絵すげー!あっきゅんに仄かなエロスw -- 名無しさん (2011-06-05 01 09 18) 可愛い! 可愛いよコレ! -- 名無しさん (2011-06-05 01 26 40) あっきゅんアヘ顔に見えるんだがww -- 名無しさん (2012-02-28 00 05 48) 魔理沙と霊夢はお決まりのパターンだわ、うん! -- 名無しさん (2012-04-23 22 28 34) ヒャッハー! って、なにそれ日本語? -- 名無しさん (2012-08-13 17 52 56) 名前 コメント