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ゆっくりーまん この世界ではゆっくりは社会に溶け込んでいる。 最初はゆっくりは害獣として認定されていたが、現在は教育も受けているので社会に溶け込んでいる。 これはそんな社会の一場面である。 「さとうくん!!こんげつもまただめだったの!?ゆっくりしてたらくびにするよ!!」 「すみません・・・」 「そのことばはせんげつもきいたよ!!おなじことしかいえないの?ばかなの?」 「佐藤君また怒られてるね」 「まあ今月もビりだし仕方ないよ。」 家に帰ってもため息が出る。 なんとかゆっくり保険に入れた時は嬉しかった。 希望業種ではなかったが、早く親孝行したかったし 頑張れば充実した社会人生活を送れると思っていた。 そんな昔のことを考えていると、ふと写真が目に入った。 それは大学の卒業式の時に撮った写真だった。 その写真の中の自分は笑っていた。楽しい生活に期待を寄せているような笑顔だった。 写真を見ている自分が何故だか、惨めに感じてしまった。 そんな陰鬱な気持ちをごまかすように佐藤は眠りに落ちた。 「あーあ今日も怒られたよ。大体あいつゆっくりしてないじゃん」 れいむへの文句を言いながら今日も帰りの道を歩く。 「お、佐藤じゃないか?久しぶりだな」 「ん?お前は鬼意か」 こいつは鬼意 山。 怖い名前と、ぶつぶつと何かを喋る癖のせいで友達が少なく、 その数少ない友達の一人が俺なのだ。 「久しぶりだなー。折角会ったんだ、飲みに行こうか」 「え?まあいいけど」 突然の誘いに戸惑いながらも鬼意についていった。 今日も怒られていて気分が悪かったので、酒でも飲んでいこうと思ったからだ。 「鬼意はゆっくりの実験とかする会社だっけか。最近どうだ?」 「まあまあだな。ゆっくり絡みの仕事だらけだから退屈はしてないぞ」 「しかしゆっくりってただの饅頭だろ?実験も糞もないんじゃないのか?」 「何を言ってるんだ!饅頭は言葉なんか喋らないし、飯も食わないだろ。」 「それはそうだが・・・」 「例えば、にんっしん中のゆっくりに廃棄物食わせまくると奇形児が生まれるし 脳に当たる餡子をいじったり、変えたりすると人格とか知能が変わるんだぜ!」 これはゆっくりでも実験ができるって言いたいのだろうか 俺はあんな饅頭の実験にはあまり興味がないのだが・・・ 「大体社会の奴らは―――」 ゆっくりの実験について語った後、今度は社会のゆっくりに対する認識について文句を言い始めた。 それからはお互いに愚痴を言い合った後家に帰った。 「きょうはさとうくんについていくよ!!れいむにいいところをみせてね!!」 何ギャルゲーのヒロインみたいなこと言ってんだ お前みたいな饅頭と仕事とかモチベーション下がるわ!! とは仮にも上司なので言えない。渋々饅頭を引き連れて俺は営業へと向かう。 お昼 「さとうはだめだね!!なまえのとおりあまいやつだよ!!」 昼食をとっているとそんなことを饅頭はのたまいだした 「だいたいなんなの?いらないですっていわれたらかえるとかないよ!!そこでねばらないとだめなんだよ!!」 れいむの説教はさらに続く。 「わかいころのれいむはもっとがんばってたよ!!さいきんのわかいやつはだめだね!!」 お前2才だろが!! さらに説教はヒートアップしていき、もう何を言っているかわからなくなっている わかるのは俺の悪口を言っていることぐらいだ。 「―――――!」 さすがにこれだけ悪口を言われてなんとも思わないなんて男じゃない 「シュッ!!」 れいむの顔面に鋭い蹴りを放つ 「ゆびゅぎゅ!!」 きれいな放物線を描きながられいむが公園のごみ箱へと入っていく。 「しまった!!首になってしまう!!」 なんとかしようとごみ箱へと近づく 「ゆー・・・お空を飛んでるみたいー・・・」 どうやら気絶しているようだ。 だが助かったわけではない。流石の餡子脳でも蹴られたことくらい覚えているだろう。 「どうすれば・・・」 このまま首になったら親孝行も糞もない。プーたろーなんてカッコつかんし。 ―― いや待て、そう言えばこの前の飲んだ時にいいことを聞いた気がする・・・ にんっしん中のゆっくりに廃棄物食わせまくると奇形児が生まれるし いやこれは違う。こいつは独り身だからにんっしんはあり得ない。 脳に当たる餡子をいじったり、変えたりすると人格とか知能が変わるんだぜ! それだああああああああああああああ 俺は急いでスーパーであんぱんを買ってくる 時間がないのでウグイスあんからこしあん、つぶあんをパンから出す。 れいむのあんをある程度掻きだし、そこに餡を入れる。 あんを分けている暇はないので全部れいむの中に詰め込む 「ゆ!ゆ!」 痙攣しているが気にせずに作業を続ける。 「ふう・・・」 俺はなんとか餡の移植に成功する。 後はランニング中のおにいさんに蹴られたんだと言うだけだ。 「ゆゆ!?れいむはどうしてたの?さとう、ゆっくりせつめいしてね」 俺はあらかじめ考えた通りの説明をれいむに行う。 「そうだったんだね・・ぶれいなおにいさんだよ!!ぷんぷん!!!」 そんな饅頭の言葉に適当に相槌を打ちながら会社へと帰った。 1年後 結局俺は会社を辞めていた。 やはり合っていなかったのだ。 現在はゆっくりの養殖場を経営している。 牛を育てるような広い土地もそこまで必要ではないので何とかなっている。 鬼意のアドバイスを受けながら、品質と生産性の向上を目指している。 やはり俺には保険は会っていなかった。 これからは最高の品質のゆっくりを生産して親を楽にしていこうと思う。 あ、あとれいむ部長は失脚した 頭が悪くなっただけでなく、多重人格者になってしまったのが原因だ。 元の性格の知能も悪くなり、さらにれいむ以外の人格はどうやら工場で加工されたゆっくりのものらしい。 どれもゆっくりしたかっただの、体がぐしゃぐしゃになるだの 死ぬ寸前のことを何回も思い出し、やかましかったそうだ。 れいむには申し訳ないことをしてしまったが、 あれだけ馬鹿にされていたので少しだけいい気味って思ってたりもする。 まあれいむ部長の償いも込めてここでゆっくりを育てていこう。 それにこれは俺に向いている気がする そんな根拠もない自信を持ちながら、ゆっくり生きていこう。 ゆっくりに囲まれながら。 終わり あとがき 出来るれいむというものが書きたくなって書いちまいました。 メモ帳が突然消えてしまうというアクシデントにあい、やり直しになったけど なんとか書き終えられた・・・ まりさだったらもっとうざくできたのかなーと思ったけど 自分的にはれいむの方がうざい感じがするのでこっちで書きました このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/807.html
森でまもなく子供が生まれるゆっくりれいむとそれを見守るゆっくりまりさをみつけた。 「どうしたんだい?」 「ゆっ!?まりさ、にんげんだよ!」 「おにーさんどうしたの!ゆっくりしていってね!」 俺の声かけに気づいたゆっくりまりさがれいむを守るように俺の前に立ちはだかる。 すこし膨れているのでだいぶ警戒しているのだろう。 れいむはまりさに隠れながら自分の頭の上の実を気にしている。 その後ろは土が崩れている用に見える。 「もしかしてここに巣があったのかな?」 「ゆぅ・・・おにーさんにはかんけいないよ!はやくかえってね!」 「そうだよ!れいむはふたりでゆっくりしたいよ!」 「まぁまぁ。この様子だと巣を掘りなおすにはしばらく掛かるんだろう?」 「ゆぅ・・・」 「その間うちに来ないかい?」 俺の質問にまりさとれいむは俺を気にしながら相談を始める。 ゆっくりにとって人間は捕食者の一つである。 昔は人間を気にせず人の畑や家に入り込んで食料を漁っていたが、人間によってゆっくりが殺されだすとゆっくりは森の奥に逃げ出した。 森の中で人間にあってもすぐに逃げるようになったので一部を除く人間は無視するようになった。 これにより人間とゆっくりは上手く生活できるようになった。 しかし、一部の人間がゆっくりを捕まえに森に入っていたので、このように人間を警戒するのである。 「おにーさんのていあんはうれしいけどまりさたちはもりでくらすよ!」 「でも近くに身を隠せる場所は無さそうだけど。」 「でもにんげんはしんようできないよ!」 「子供達がどうなってもいいのかい?」 「ゆゆゆゆ・・・」 人間は怖い。しかし、このまま森でいるとやがて夜になり、捕食者が目を光らす時間になる。 まりさは何とかなるかもしれないが、実を生やしたれいむは明日にはいなくなるだろう。 まりさは決断を迫られた。 「ゆっ!おにーさんすこしゆっくりさせてね!」 「まりさ!?」 「だいじょうぶだよれいむはまりさがまもるよ!」 「じゃあ俺の後についてきてね。」 まりさは子供とれいむを見捨てれなかった。心配するれいむをなだめるまりさの目にはれいむを護るという決意の火が見えた。 もうすぐ日が暮れる。このままでは俺も危ないので崩した巣穴を離れた。 俺は後ろからついてくるまりさとれいむを気にしながらゆっくりと家に帰った。 帰る間俺は一度もれいむに近づけなかった。 近づこうとするたびにまりさが間に入るのだ。これなら夜も過ごせたかもしれない。 家につくと庭の一角にある小さな小屋に連れて行く。 「ゆゆっ!これはほかのゆっくりのすだよ!」 「そうだよ!かえってきたらゆっくりできないよ!」 「あぁ前にも使ってたゆっくりがいるだけだよ。」 「ゆぅ?」 「ここは巣をなくしたゆっくりに使わせるために作ったんだ。 今までに何匹ものゆっくりがここで巣が見つかるまで暮らしてたんだよ。」 「じゃあいまはいないの?」 「そうだよ。今は誰も使ってないからそこでゆっくりしていってね。」 「ゆっくりしていくね!」 「おにーさんありがとう!」 ちゃんと俺にお礼を言うゆっくり。 家に来るまではだいぶ警戒していたが、先ほどの話とこの巣に残っていたのだろうゆっくりの気配から俺を少しは信用したようだ。 しかしまだ完全に信じきってはいないようで巣箱の入り口は俺の手が入らないように枝や木の葉で隠せるようにしていた。 「ずいぶん厳重だね。」 「しらないばしょだからね!なにがくるかわからないもん!」 「まりさ!ごはんはどうしよう?」 「ゆぅ・・・」 「こんな時間だしね。何か食べれるものを持ってこよう。」 「ゆ!おにいさんいわるいよ!」 「まりさ!ここはおにーさんにたすけてもらおうよ!れいむはおなかがぺこぺこだよ!」 「ゆゆゆゆ・・・」 「料理に使わなかった野菜屑だから平気だよ。俺は捨てるものがなくなってうれしい。君達は食べれるものがもらえてうれしい。」 「ゆっ、じゃあへいきだね!おにーさんごはんください!」 「じゃあこっちにきて一緒に食べようか。」 そういってまりさとれいむを家の中に招待する。 れいむは縁側を登るのに苦労しそうだったので俺が持ち上げることにした。 まりさはいやがってたがお腹がすいたれいむはすぐに持ち上げてと言って来た。 まりさも言葉では嫌がっているがよだれがすこし見える。 朝早くに巣を壊したのでほとんど一日何も食べてないのだからしょうがないのかも知れない。 「うっめぇ、これめっちゃうめぇ!」 「むーしゃむーしゃしあわせー!」 野菜屑を一心不乱に食べるゆっくり達。それを見て俺も夕食を食べだした。 夕食を食べ終わるとこれからのことを話し合う。 「ゆっ!あさになったらでていくよ!」 「おにーさんありがと!」 「でも巣の当てはあるのかい?」 「ゆっ・・・でもなんとかするよ!」 「まぁまぁもうすぐ雨が良く降るのは知ってるだろう?」 「うん!もうすぐゆっくりできなくなるよ!」 「巣ができる前に雨が降っちゃうと溶けちゃうよ?それでもいいのかい?」 「ゆぅぅぅぅぅ・・・」 「だからさ、巣が出来るまであそこを使ってほしいんだ。餌は俺がやっても良いし自分でとってきてもいい。」 「おにーさんいいの?」 「ああ、もちろんその代わり話し相手になってくれないかな?ひとりだと退屈でね。」 「いいよ!ゆっくりしていってね!」 餌は雨の日以外は自分でとって来るそうだ。俺としては毎日上げてもよかったがまりさが嫌がった。 「かりのしかたわすれちゃうとだめだからね!」 「まりさはとってもじょうずだもんね!」 「れいむもすごいじょうずなんだよ!」 「はいはい。」 次の日からまりさとれいむの新しい生活が始まった。 朝のうちからまりさは巣のあった場所に出かけて穴を掘りに、れいむは新しい巣で子供達が落ちないようにじっとしている。 俺はまりさについていき一緒に森で食べ物を集めた。 森のことはゆっくりの方が詳しいのだ。まりさに連れられてかごをいっぱいにして家に帰る。 まりさは帰るとすぐに巣にいきれいむにご飯をあげる。そして次の日までれいむやおれとゆっくりして過ごす。 物覚えもよく、人の畑の餌をとらないなど俺が教えたことはすぐに覚えた。 どうやらゆっくりしているときに教えてもらったことはちゃんと覚えるらしい。 昔はゆっくりに厳しく教えていたそうだから逆効果だったのだ。 そんな生活も1週間続くと終わりが見える。 れいむの実がだいぶ育ち、赤ちゃんゆっくりの形が分かるようになった。 ゆっくりれいむが6匹、ゆっくりまりさが同じく6匹。 まりさの巣ももうすぐ完成だという。 「おにーさんいままでありがとう!」 「れいむたちはあしたにはでていくよ!」 「急だね。赤ちゃんが生まれてからでもいいんじゃないか?」 「にんげんになれちゃうよだめだからね!」 赤ちゃんが俺になれてしまうと、親ゆっくりがいない間に人里に近づくことを心配しているのだ。 「うーん、明日は止めた方がいいかな。」 「ゆ?」 「明日の天気予報は雨なんだ。」 「だいじょうぶだよ!あさはふらないよ!」 「しかし、もうすぐ赤ちゃんが生まれるれいむが昼までに巣までいけるのかな?」 「ゆぐぅ・・・」 俺はまりさたちがここに一日留まるように雨のことをはなす。 実際に雨が降るのでまりさも困っているのだろう。 「まりさ!まりさ!」 「れいむどうしたの!」 「あかちゃんみてみて!もううごいてるでしょ!」 「ほんとだもうすぐゆっくりだね!」 「うん!あしたにはうまれるよ!」 「ゆゆっ!?じゃああしたはここでゆっくりしようね!」 「うん!あそこならゆっくりうめるよ!」 実を宿したれいむが言うのだから本当なのだろう。明日には赤ん坊が生まれるのだ。 「じゃああとすこしだけここにいさせてね!」 「分かったよ。そのかわり後で赤ちゃんを見に行っていいかな?」 「ゆっ!うまれたあとならいいよ!」 「あといえにはあげれないよ!」 「うん。本当はおいしいものをあげたいんだけどそれもだめだよね?」 「だめだよ!もりでくらせなくなるよ!」 「じゃあ明日はすこし多く野菜屑をあげよう。れいむはゆっくりがんばってね。」 「ゆっくりがんばるよ!」 胸?をはるゆっくりれいむ。赤ちゃんが生まれる姿を見れないのは残念だがしょうがない。 俺はゆっくりをおいて部屋の奥で作業を始めた。 その夜、ゆっくり達が寝静まったのを確認してゆっくりの巣箱に向かう。 餌に睡眠薬を入れていたので朝までぐっすりだろう。始めのうちは警戒していたが今は無警戒だったので楽だった。 巣箱につくと屋根の上の鍵を外して屋根を持ち上げる。 巣の入り口は枝や石で入れないようになっていたが、そんなものは意味がない。 屋根を外すとゆっくり寝ているまりさとれいむが見えた。 朝まで時間がない。急ごう。 俺はれいむを持ち上げ外にだす。 次に実の大きさを測り、2番目に大きいれいむを手に取る。 そして用意していたライターで赤ちゃんゆっくりの底部を焼く。 焼きすぎると動けなくなるので、跳ねれない程度にライターであぶる。 これまで何度もやってきたので感覚でライターをうごかす。 一番大きいれいむ以外を焼くと、まりさのほうも同じように焼く。 これで、一番大きい赤ちゃんまりさとれいむ以外は生まれて来ても跳ねることができないだろう。 焼けた後が見えないように小麦粉で隠し、れいむを元の場所にもどして屋根を置く。 明日が楽しみだ。 赤ちゃんが生まれる日。妙にげんきなまりさとれいむに赤ちゃんが生まれたら教えてほしいと言い、家の中で待つ。 しばらくすると、巣が騒がしい。どうやら全部生まれたようだ。 まりさはまだやってきてないが俺は巣箱に近づく。 巣箱の前まで行くと外にまりさとれいむのこれが漏れていた。 「ゆっくりしていってね!」 「「「「「ゆっくちちていっちぇね!」」」」」 親ゆっくりの声に元気に答える赤ちゃん達。 俺はまりさに呼びかける。 「あかちゃん、生まれたみたいだね。出て来て見せてほしいな。」 「ゆっ!!ちょっとまってね!」 「ん?どうしたんだい?」 「なんでもないよ!ゆっくりまっててね!」 どうやら子供達のことで焦っているようだ。 俺はゆっくり出てこいとまりさを説得する。やがてあきらめたのか、れいむとまりさが出てきた。 「みんなでてきてね!」 「ゆっ!ゆっ!」 れいむのこえに赤ちゃんまりさが一匹と赤ちゃんれいむが一匹巣から出てきた。 元気に親まりさのまわりを跳ねる。 しかし、親まりさとれいむはうかない顔だ。 その原因が巣から出てきた。 「ゆっ!ゆっ!」 小さいまりさと小さいれいむが五匹ずつ、巣から這いずって出てきた。 「おかーしゃんまっちぇ~!」 「ゆっ!ゆっくりはねてね!」 「ゆうううう!できないいいいい!」 5匹は上手く焼けたのかずるずるすべるしかできないようだった。 親まりさとれいむは必死に飛び跳ねさせようと口に咥えて目の位置ぐらいから落とす。 元気な赤ちゃんれいむとまりさはぽよんと地面で跳ね返った。 しかし残りの十匹はべちょっと地面に引っ付く。 「どうしてええええええ!」 「これはいったい!?」 「まりさにもわからないよおおおおおお!」 我慢していたのだろう。泣き出すまりさとれいむ。 この赤ちゃん達は外敵から逃げることも餌を取ることも出来ない。 親ゆっくりもそんな赤ちゃんを養い続けれないので赤ちゃんゆっくりはやがて餓死する。 そんな未来を思い描いてないているのだろう。 「ゆぅ・・・おにーさんありがと。まりさたちはここをでていくね・・・」 「子供達はどうするんだい?」 「がんばってそだてるよ!できるだけがんばるよ・・・」 最後まで元気が続かないれいむ。まりさも子供達を捨てることを考えているのがうかない顔だ。 そこで俺が提案する。 「もしよければ、その10匹預からせてくれないかな?」 「ゆ!でもこの子達は・・・」 「俺なら十分な量の食事を与えれるから。だめかな?」 「ゆぅぅぅぅ・・・」 捨てることを考えてた親ゆっくりにとっては願ってもないことだろう。 ゆっくり理解するのを待ってると 「まりさ、おにーさんにおねがいしようよ!」 「ゆっ!そうだね!おにーさんならだいじょうぶだね!」 信用してくれて何より。 ところで今までの話を子ゆっくりも聞いていたんだけど大丈夫なのだろうか。 「「「おかーちゃんおなかしゅいた~」」」 ・・・どうやら自分のことを話していたとは考えてないようだった。 元気な子ゆっくりはともかく、飛べないゆっくりはもう少し危機感を持つべきだろうに。 まぁその方が話が楽だ。飛べないゆっくりを手にとって手元に集める。 「じゃあ確かに預かったよ。」 「おにーさんまりさとれいむのあかちゃんをおねがいします!」 「あぁ、ちゃんと育てるよ!」 親ゆっくりは安心したのか子供達に餌をやり始める。元気なゆっくりにはもちろん、飛べないゆっくりにも餌を渡そうとする。 「おにーちゃんはやさしいからね!げんきにそだってね!」 「とべるようになったらもどってきてね!」 親ゆっくりはまだ子供達が跳ねれるようになると思ってるのだろう。 もう無理なんだけどね。 まぁ最後になるだろう子ゆっくりとの時間を潰すのはかわいそうなのでそのままにしてあげることにした。 次の日の朝親ゆっくりと元気な子ゆっくりは親ゆっくりの作った巣へと旅立っていった。 俺は残った赤ちゃんゆっくりを用意してあった箱に落とす。 「ゆべっ!」 「ゆぐっ!」 べちゃべちゃと床に引っ付く赤ちゃんゆっくり。 始めはこちらに文句を言ってきたが、しばらく無視しているとこちらを気にせず集まってゆっくりをしだす。 全部がゆっくりしだしたところで話を切り出した。 「それじゃこれから君達を鍛えるよ。最後までついてきたら親ゆっくりの元に帰れるかもね。」 「ゆっ!ゆっくちがんばりゅよ!」 元気よく返事した赤ちゃんゆっくりを確認すると赤ちゃんゆっくりから離れた場所に旗を立てた。 「じゃあ今からこの砂時計が終わるまでにあそこについてね。たどりつけたらおいしいご飯をあげるよ。」 「ごはんごはん!」 「おなかしゅいたー!」 「ご飯はたどり着いてからだよ。それじゃスタート。」 スタートと同時に砂時計をひっくり返す。赤ちゃんゆっくりも同時に旗を目指して動き出した。 跳ねると楽に間に合う距離だったが跳ねれない赤ちゃんゆっくりには遠い距離だ。 必死に這っていく赤ちゃんゆっくり。俺はそれを横から眺める。 「ゆ~!砂しゃんゆっくちちてね!」 「ゆっくちちていっちぇね!」 「ゆっくち!ゆっくち!」 砂にお願いするもの、無言で這う物、声をあげながらがんばってるもの。 赤ちゃんゆっくりはそれぞれ思いつく方法で旗を目指す。 やがて一匹、二匹と旗にたどり着く。差が出るのは途中で休む休まないの違いだ。 今回は最後まで見るためにかなり距離を短くしていたので全匹たどり着くことが出来た。 それでも予想していた時間よりはだいぶ掛かっていたが。 「つかれちゃ~」 「ゆっくちきゅうけいだよ!」 「ゆっくちちていっちぇね!」 さて約束どおりおいしいものを上げよう。 「よくがんばったね!じゃあおいしいものをあげよう。」 「やっちゃね!」 「これれゆっくちできるよ!」 「はやくちてね!」 うれしそうな赤ちゃんゆっくりの下にお菓子を置いていく。 「さぁお食べ。」 「むーしゃ!むーしゃ!・・・しあわちぇええええええ!」 「うっめ!これめっちゃうめ!」 「ゆっくちたべるよ!」 さっきまでの疲れはどこへやら、夢中にお菓子を食べるゆっくり。 やがて食べ終わった赤ちゃんゆっくりは思い思いにゆっくりしだす。 と、言っても跳ねれないので壁に寄り添ってたり、赤ちゃん同士で話すぐらいなのだが。 ゆっくりしだしたのでもう一つルールを教えることにする。 「さてじゃあ次からは食事にも砂時計を使うよ。」 「ゆゆ?」 「この砂時計の砂が落ちる間だけご飯の時間だからね。」 「それじゃゆっくちできないよおおおおー!」 「ご飯を取り上げるだけだからゆっくりはできるよ。それに砂時計ゆっくりしてたでしょ?」 「ゆっくちちてたよ!ごはんだけならゆっくちできるね!」 「でも次の旗も同時に置くからね余りゆっくりしてるとたどり着けなくなるから気をつけてね。」 「わかっちゃよ!」 「じゃあ次を始めるよ!」 そういって今度は先ほどよりすこし遠い距離になるよう旗を置く。 今回は最初と違って赤ちゃんゆっくりは二つに別れた。 旗に向かうものとゆっくりしてるものだ。 先ほどは旗についてからもだいぶ時間があったからゆっくりしてるのだろう。 しかし砂時計はそんな赤ちゃんゆっくりを待たずに砂を落とす。 やがて全部の赤ちゃんゆっくりが旗を目指すが、砂が全部落ちたとき辿りつけていたのは半分だった。 たどりつけてなのはまりさ種の方が多い。這うだけでも身体能力の高さが出るようだ。 それに加えて最初にゆっくりしてたのはれいむ種が多かったのもあるだろう。 「今回は半分になったね。じゃあご飯の時間だよ。」 そういってたどり着いた方には前と同じようにお菓子を、たどり着けなかったほうには野菜屑や近くで取った虫を与える。 「「「むーしゃ!むーしゃ!しあわせ~!」」」 おいしそうにお菓子を貪る赤ちゃんゆっくり。対照的に、 「むーしゃ・・・むーしゃ・・・」 「ゆゆっ!むししゃんうごかないでね!」 「れいみゅもおかしがいいよ!」 こちらは野菜屑や虫の赤ちゃんゆっくり。 親ゆっくりが取ったのを食べたことがあるので食べないことはないが、食べやすいように口渡しだったので動く虫は食べずらそうだ。野菜屑も食べやすい大きさに切ってないのでうまく食べれない。 お菓子を食べてるゆっくりの方に向かおうとしたが透明な壁によって旨そうに食べる赤ちゃんゆっくりを見て涎をたらすしか出来なかった。 そうして食べている頃に砂時計の砂が落ちる。 「はい、時間切れー。次の旗はあそこだよ。」 「ゆ~!まだたべおわっちぇないよ!」 「もっとゆっくちちゃちぇてね!」 「だめだめ。砂はもう全部落ちたよ十分ゆっくりできたよ。」 「おにーしゃん!れいむちゃちにもおかしちょうだい!」 「旗まで辿りつけたらね。辿り着けなかったらさっきみたいな野菜屑と虫だよ!」 「「「ゆ゙ゔううううううううううう!!!」」」 砂時計は砂の量を少なくしていたので短いと感じるのは当然だったが、赤ちゃんゆっくりには砂の量の違いは分からない。 野菜屑はもう嫌なのか先ほど辿り着けなかったゆっくりは我先にと旗へと向かう。 お菓子だった赤ちゃんゆっくりも野菜屑を食べないように旗に向かうが野菜屑だったゆっくりよりはゆっくりしていた。 「ゆっくち!ゆっくち!」 今回の旗はさっきよりはかなり遠くにおいているからしばらく掛かるだろう。 砂の量は増やしたので全匹辿り着けないことはないはず。砂が落ちる頃に見にこよう。 赤ちゃんゆっくりの必死な声を聞きながら俺は部屋を後にした。 「じゃあご飯の時間だよ!」 「むしゃむしゃむしゃ・・・」 旗に向かうってご飯と言うことを3日間繰り返した赤ちゃんゆっくりはもはや喋ることもせずに黙々とご飯を食べる。 一口でも口に含もうと必死なのだ。それは野菜屑と虫の方も変わらない。 この三日間で野菜屑にならなかった赤ちゃんゆっくりはいなくなった。 まだ野菜屑と虫を食べにくそうにしている赤ちゃんゆっくりもいるが、慣れて普通に食べる赤ちゃんゆっくりも出始める。 「はい時間切れ~。次はあそこだよ。」 「ゆ・・・ゆっくちがんばりゅよ・・・」 次の場所を教えると赤ちゃんゆっくりはゆっくりせずに旗に向かう。 お菓子のほうはだいぶ食べられているが野菜屑はまだ残っている。 タイムアップと同時にご飯の時間が始まり、食べる場所は旗の近くなので遅れたゆっくりは食べ始める時間もそれだけ短いのだ。 この3日間で距離と時間はだいぶ延びた。 今では俺と同じ時間に食事をするように砂時計と距離を合わせている。 赤ちゃんゆっくりは朝昼夜と制限時間内に旗に辿り着けるように一度もゆっくりせずに旗を目指し。 夜と朝の長い時間の間にだけ眠ることが出来た。 それもゆっくりしすぎると旗までたどりつけないのでゆっくり眠れない。 野菜屑をあげるのは朝の時間が多く、昼夜は余り野菜屑が必要なくなっていたが、野菜屑なんてそんなに多くでないので好都合だった。 お菓子を食べてる間は幸せそうに思えるだろうが、忙しなく食べていてはおいしさも分からないだろう。 現に今は小麦粉をこねてお菓子に見せたものなのだ。 遅れてご飯を食べれずに衰弱していく赤ちゃんゆっくりも出始めるが、寝ている間に果実の汁をかけてやれば元気になる。 死んでゆっくりさせないようにゆっくりの体調管理には気をつけねば。 赤ちゃんゆっくりを鍛えるようになって1週間、うれしい誤算があった。 赤ちゃんゆっくりが心配になった親ゆっくりが現れて、旗に向かって懸命に這う赤ちゃんゆっくりをみてマツタケを置いていったのだ。 どうやら、ちゃんと育ててくれていると勘違いしたようだ。 もっとも勘違いするように音は届かないようにしているし、近づくと気が散るからと言って遠くから見せたから当然だが。 赤ちゃんゆっくりも必死なので周りに目がいかず、親ゆっくりが来ても気づかなかった。 「どうだい。がんばってるだろう?」 「ゆっ!あかちゃんたちがんばってるよ!」 「そうだろう。みんな君たちに会うためにがんばってるんだ。」 「あかちゃんたちにももってきたものたべさせたいよ!」 「あとで俺がちゃんと食べさせるよ。」 「ゆ~、まりさがちょくせつわたしたいよ!」 「それはだめだね。今は君達に会うためにがんばってるから今あっちゃうと今までの苦労が無駄になっちゃうんだ。」 「ゆゆゆ・・・」 「まだ野生に耐えれないから我慢してね。」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「よし、じゃあこの野菜屑をやろう。こんなものしかないがよければもっていってくれ。」 「おにーさんありがとう!」 それからも親ゆっくりは俺にいろいろなものを持ってきた。 どれも山で取れる珍しいもので、赤ちゃんゆっくりのためにがんばって取ってきたのだろう。 ありがたく全部いただくとする。 赤ちゃんゆっくりは一度もゆっくりさせずに這い回っている。 今は平地だけじゃなく、砂利道や坂など様々な障害を加えている。 今は綱渡りだ。 旗は立方体の箱の上にある。跳ねれればいいのだが跳ねれないゆっくりは崖で止まってしまう。 そこで坂がついた箱を用意し、そこから旗の箱まで綱を引いてやるのだ。 旗に辿り着くには綱を渡らなければならず、綱から落ちたら最初からだ。 これだと辿り着けない赤ちゃんゆっくりは一度も食事を出来ずに衰弱してしまい、果実汁に頼りっぱなしになるが、 親ゆっくりが持ってきているものの中に果物が含まれているので余り負担は増えなかった。 それに赤ちゃんはまったく育ってない。 実は親ゆっくりに遠くから見せていたのは育っていない赤ちゃんを気づかせないためでもあった。 こいつらはゆっくり出来ないと成長も出来ないらしい。 おかげで餌代も増えず、場所もずっと同じでいいので楽だ。ご都合設定バンザイ。 「もっとゆっくちちたいよおおおお!」 「ゆぅ、れいみゅがんばっちぇね!」 「ゆっくちがんばりゅよ!まりしゃもがんびゃろうね!」 相変わらず食事中は声もなく急いで食べるが、ほとんど旗に辿り着けるようになって赤ちゃん達はお互いに助け合うようになった。 協力しないと辿り着けないようなギミックを増やしたせいもあるだろう。 これはどんどん無口になっていく赤ちゃんゆっくり対策だ。 綱を渡るゆっくりをもう渡りきったゆっくりが応援する様子を見ながら、 まだまだ退屈させない赤ちゃんゆっくりのために次はどんなギミックにしようか考えるのはもう日課になっていた。 「おにーさんまりさたちはしばらくこれないよ!」 「ん、そうかもう冬篭りか。」 「そうだよ!あしたにはあなをふさぐんだよ!だからはるまであえないけどあかちゃんをよろしくね!」 「それなら餌が必要だろう。よければもってけ。」 「ゆゆっ!おにーさんありがとう!」 そうかもう冬篭りか、ゆっくりが言うのだからそろそろ雪が降るだろう。 ゆっくりは天候に敏感だ。身の危険と直結してるから当然だろう。 そろそろ虐待の手段に欠いてきたのでここらで赤ちゃんゆっくりをかえしてやるか。 最後の旗とりをさせた次の日、俺は赤ちゃんゆっくりを外に出してやる。 「ゆー!おしょとだー!」 「しゃ、しゃぶいよおおおお!」 「ゆっくちできないいいいいい!」 「あぁ悪い悪い、これを着ればゆっくりできるよ。」 そういってゆっくりを綿で包んで外れないように止めてやる。 「どうだ?まだ寒いか?」 「ゆゆ~!あっちゃかぃ~」 「これなりゃゆっくちできるよ!」 「よし、じゃあゆっくり親の元へお帰り。これまでがんばってきたから野生でもゆっくりできるよ。」 「おにーしゃんありがちょー!」 「巣の場所は教えたとおりだからね。がんばって帰るんだよ。春にはまたおいで。」 「おにーしゃんまちゃね~!」 そういって綿に包まれた赤ちゃんゆっくりは森に入っていった。 今日巣を閉じると言っていたから間に合うだろう。 今までの訓練から野生でゆっくりと生きる赤ちゃんゆっくりを想像しながら俺は雪の降る道を帰っていった。 「おかしいな。あいつらがゆっくりしてる姿が想像できないぜ。」 続く このSSに感想を付ける
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お尋ねゆっくり 62KB ※完全な独自解釈で書かれています。 ※虐待……なのか………? ※ひたすら長いです。 ※『嘘つきゆっくり』~『仕返しゆっくり』をお読みになってからお読み下さい。 みょんは必死に丘を目指して跳ねていた。 石吹きの得意だったまりさ、チームの突撃隊長だったちぇん。 群れでも一、二を争う剣術の使い手と自他ともに認める自分を加え、このチームは群れでも最高の戦績を誇っていた。 群れが寝静まった頃を狙った夜襲を撃退し、追撃まで行って仕留めたれみりゃの数は三体以上。 実質この森では無敵のチーム『だった』。 森の奥に広がる、木々が密集して昼なお暗い陰鬱な秘境。 れみりゃの生息地でもあるため、ゆっくり達が滅多に足を踏み入れないここにみょんのチームは踏み込んだ。 この辺りは美味しい虫が数多く生息する。それが目的だった。 自惚れがあったのは認めよう。しかし油断はなかった。 れみりゃの生息地に踏み込んで油断する馬鹿は、あの群れに必要ない。 なのに、ああ、なのに! 腐葉土を掘り返してカブトムシの幼虫を探していた時、それは聞くに堪えない醜悪な唸り声と共に現れた。 獣臭を漂わせ、醜い巨体を覆い尽くす濃い枯草色の繊毛の合間からみょん達への悪意をたたえた眼を覗かせた化け物。 突然現れた名状し難きそれに度肝を抜かれつつも、みょん達は素早く迎撃態勢を整える。 ちぇんによる先制攻撃とまりさの石吹きで敵を牽制し、みょんが乾坤一擲の一撃を叩き込む。 かつてれみりゃ追撃の際に成体のれみりゃ二人を打ち倒した必勝の戦法は、 この怪物には全く通じなかった。 体当たりの為に高く跳ね上がったちぇんは、まだ空中に居るうちに怪物の突撃を喰らい、餡子を散らして爆ぜた。 口に含んだ石を吹き付けるためにぷくーっ!していたまりさはそのまま踏み潰された。 そして『はくろーけん』を構えていたみょんが、頼もしかった戦友の余りに呆気ない死に唖然とした一瞬の隙を突かれて跳ね飛ばされ…… みょん達のチームは、最初で最後の敗北を喫した。 跳ね飛ばされた衝撃で気を失っていたみょんが目覚めて最初に見た光景は、戦友の凄惨な死体と、それを貪る怪物の姿であった。 それを見るや否やみょんは戦友の遺体も何もかも全て投げ捨て、一目散に逃げ出した。 いっそ狂ってしまえたのなら、どんなにか楽だった事だろう。 しかしみょんは優秀であった。あの群れを構成する一員として、何より群れ最強の一角として、自らの成すべき事を理解していた。 あの化け物の事を群れに伝えねばならない。そして今度こそあの化け物を仕留めねばならない。 それこそが惨たらしい最期を遂げた戦友達への手向けだと、固く決意したその時。 背後から聞こえて来た恐るべき咆哮に、その決意は呆気なく崩壊する事になる。 振り返らなくても解る。 奴だ!奴が来たのだ!! みょんが必死で駆け抜けた距離なぞ無駄だと嘲笑うかのように、全てを薙ぎ倒して突き進む足音。 冒涜的なその足音が近付く度、みょんの正気は鑢がけされたが如く磨り減って行く。 そして肩に吹き付けられる堪え難い臭気を纏った生暖かい風と、耳元から聞こえて来るあの忌まわしき唸り声に振り返ったみょんが最後に見たものは、 ぬらぬらと輝く牙と、視界を覆い尽くす怪物の顎であった。 『尋ね人ゆっくり』 山の裾野に広がる森の中心、ぽっかり開いた場所にある小高い丘。 夏の日差しも陰り、徐々に秋の気配を漂わせ始めた森を睨みつけるように一人のドスまりさが立っていた。 大きさは二メートルをようやく超えた所か。ドスとしては少々小柄ながらも、その眼光は年経た老獪なドスにも劣らぬ鋭さを見せている。 このドスは今年の春にドスになったばかりだ。 だが、このドスは他のドスとは少々異なる事情を持っていた。 それは、このドスまりさはドスの因子を一切持たずに生まれたドスであった、と言う事。 通常、ドスになるゆっくりは祖先にドスがいるのが常識である。 そうして受け継がれたドス因子がある日突然覚醒し、一晩にして巨大化を果たしドスになる。 しかしここである疑問が残る。 「ならば一番最初のドスはどうやってドスになったのか?」 その答えが、このドスまりさであった。 まりさは一切のドス因子を持たぬ餡統の生まれである。 しかし幼い頃に見た光景から、ゆっくりらしからぬ深い洞察力を得た彼女は何事も深く考える習慣を持っていた。 ゆっくりの体の大部分を占める餡子はただ詰まっている訳ではない。 それは食事を司る消化器官であり、運動を司る筋肉であり、栄養を蓄える血液であり、そして思考を司る頭脳でもある。 しかし餡子の量には限りがあるので、通常のゆっくりは大部分を筋肉と血液に割り振り、頭脳に値する部分を小さく押さえてしまう。 その為、俗に餡子脳と呼ばれるおつむが残念なゆっくりばかりになるのだ。 例外はぱちゅりー種だが、それも種が持つ持病の所為で運動に割り振る事が出来ないので、相対的に頭脳に割り振る部分が大きくなっているだけの事。 それとて知識を溜め込むだけで、それを有機的に組み合わせて思考するぱちゅりーなぞ居ない。 記憶と思考は似ているようで別物なのだ。 そして何よりゆっくりと言う種は『ゆっくりしたい』という欲求を優先させてしまう。 ゆっくりしたいが為に生存活動すら放棄すると言う、生物としては本末転倒な生態も、小さな頭脳が故の底の浅い思考が原因だ。 だがこのまりさは自己のゆっくりを優先しなかった。 自らが率いる群れを維持管理する為に常に思考し続け、常に狩りや群れの防衛の為に率先して戦い続けた。 そしてゆっくりの本能である『自分のゆっくり』すら犠牲にしてひたすら頭脳と力を追い求めた結果、体が餡子の量を増やすために大きくなったのだ。 ドスとは『自分のゆっくり』を犠牲にしてまでも『他人のゆっくり』の為に尽したものが辿り着く終着点なのである。 ゆっくり達が『ドスはゆっくりできる』とドスの元に集まるのは、この遠い記憶の残滓なのだ。 こういった努力による自己進化を遂げたドスはもういない。 最近のドスは皆先祖の因子が何らかの理由で覚醒したものだ。 当然ドスになる覚悟もドスとしての使命も何も知らない。 故に強大な身体能力に任せて欲望を満たし、ゲスに堕ちて自滅する個体が後を絶たないのだ。 しかしこのドスまりさは違う。 原初のドスまりさと同じく、不断の努力から自己進化を遂げたまりさは慢心とは程遠い。 まりさは去年の秋の終わりに、それまで群れの長であったぱちゅりーを追放して長になった。 それはすなわち群れの歴史がリセットされた事を意味する。 一から群れを立て直す為には、いちいち自惚れている暇などありはしない。 だがそれ以上にこの群れが特殊であるのは『大人が居ない』、その一点に尽きる。 まりさが長になった時、群れに居たのは少数の成体ゆっくりと大量の成人直前の子ゆっくりのみ。 彼女達を養い、導くべき親は二年前に全滅している。 生きる為の知識自体は『がっこう』での教育もあってかろうじて身に付いていたものの、圧倒的に経験が足りない。 しかもこの群れのゆっくり達は皆かなりの実力者であり、れみりゃとも交戦できる個体もちらほら居る。 それ故自信過剰に陥り、調子に乗るものも少なくない。 はっきり言えば『井の中の蛙』の集合体なのである。 世の中を知らないのはドスまりさも同様ではあるが、それでも自分達の実力を過信しない程度の洞察は出来ていた。 何かと暴走しようとする群れを押さえる為に奔走するまりさが更なる力を望み、ドスに進化したのはある意味当然と言える。 ドスまりさは森を凝視したまま溜め息を吐く。 森の奥地へ狩りに向かったチームが昨日から戻ってこないのだ。 この秋でクーデターから丸一年が経とうとしている。 子ゆっくりが成体になり、家庭を持って子供を作るようになって、群れはようやく立ち直ったかに見えた。 そして今になって、この群れの問題点である経験不足が浮き彫りになり始めたのだ。 比較的安全なゆっくりプレイスで育った群れのゆっくり達は、自分が獣達にとってご馳走である事を知らない。 その上れみりゃと言う天敵を打ち倒した実績が、彼女達の目を曇らせていた。 自分達はこの森で一番強い。増長した自意識のままに危険地帯へ踏み入り、帰らぬゆっくりになったものは既に二桁に入りつつある。 元々規模の小さな群れであった彼女達にとって、僅か十人前後とはいえ見逃せぬ被害だ。 そして今日もまた一つ、戻らぬゆっくりが出た事で被害者はさらに増えてしまった。 「ゆぅ……このままじゃ………」 決してこのドスまりさに人望が無い訳ではない。 むしろその逆であり、群れに居る全てのゆっくりから尊敬と憧れを集めている身である。 敬愛するドスの役に立ちたい。憧れのドスのように生きてみたい。 その一心で彼女達は無謀な挑戦を試みて、その命を散らしていたのだ。 だがそんな事をドスまりさは望んでいない。 何度も止めたものの、元は善意から生まれるもの。 どんなに言葉を尽くしても、どんなにきつく言い渡しても止め切れるものではない。 ドスへの敬愛と憧憬が、皮肉にもドスが望まない方向へ群れを運んでしまったのである。 一度は危険地帯へ向かうゆっくりを閉じ込めるなどの強硬策をとったりしたが、そうすると今度は内緒で抜け出すものが現れる始末。 群れのゆっくり口が増加傾向にあるとはいえ、文字通りゆっくりとした勢いでしかない。 このままでは群れが維持できなくなる事は必至だろう。 頭の痛い問題に悩みながら、ドスは帰ってこないゆっくり達を待ち続ける。 日が沈み、あたりが薄暗くなっても動かないドスの元へ、一人のまりさが歩み寄る。 縒れ縒れの帽子の下にある筈の左目は抉られて、大きな傷跡を残している。 この群れの補佐を務めるまりさであった。 「……おさ、もうかえろう。こんなじかんになってももどってこないんだから、あのこたちはもう……」 「……うん、解ってる。……心配かけてご免ね、まりさ」 傷まりさに促され、ドスはその巨体を翻してお家に向かう。 その背中がかすかに震えているのを見て、目を伏せるように俯いた傷まりさは、悲しみを振り払うように二、三回体を震わせ、ドスの後を追った。 ドスのお家はかつて『がっこう』として使っていた洞窟である。 流石にドスの大きさに合うお家を一から造る事は難しかったので、群れがドスのお家兼役場として使う事を決めたのだ。 入り口を塞いでいた倒木をドススパークでなぎ払い、出入りを容易にしたお家でドスは傷まりさと今後の相談をする。 「……今日の子達を含めるともう十二人も居なくなっちゃったよ。春に生まれた子供達は四十六人だからまだご飯には余裕があるけれど……」 「このままじゃふゆごもりのためのごはんをあつめるおとながすくなくなるね。……もんだいは、そこじゃないけれど」 「……うん、そうなんだよ。今日帰ってこなかった子達も、れみりゃをやっつけた事がある子達だった。このままだと、最悪の事態になっちゃうよ……」 ドスまりさと傷まりさが最も恐れる事。 それは『人間さんに復讐しようとするゆっくりが現れる』ことだった。 ドスも、傷まりさも人間を見た事は無い。が、二百を超える大軍をたった一日で皆殺しにしたらしい人間と敵対するつもりは毛頭なかった。 ドスが居るうちはまだ良い。だがドスとてゆっくりだ。いつ何時何が起こるか解らない。 今はまだ押さえられているが、ドスが居なくなれば群れは簡単に増長し、人間との戦端を開こうとするだろう。 なまじ実力があるだけに、今から矯正を行うのは難しい。 実際に痛い目を見ればそこはゆっくりの事、二度と人間に近付こうとはするまいが、そうなるまでにどれだけの被害が出るのか想像もつかない。 しかも喉元過ぎれば何とやらでまた同じ事を繰り返す可能性も捨て切れない。 「……これは参ったね。まりさだけじゃどうにも出来ないよ。これじゃあ、いつまで経っても人間さんと仲直りできないね……」 「……あかちゃんのきょういくがうまくいったのだけがおんのじだね。あかちゃんたちにあのおはなしをするのって、そのためなんだよね?」 ドスには夢があった。 いつかの丘で聞かされた昔話。 仲良く暮らしていた人間とゆっくりが、たった一匹のゆっくりの所為で互いに殺し合う程の仲違いをしてしまったあのお話。 もう一度人間さんと仲直りして、お互い仲良く暮らしたい。昔のように人間さんをゆっくりさせてあげたい。 そうすればお野菜もあまあまも食べられる。冬の厳しさに怯える事も、食糧不足で飢える事も無く、皆安心して暮らして行ける。 人間とゆっくりが互いに手を取り合う理想郷の建設。 今の所、丘に開いた青空教室にてあのれいむのお話を聞かせ、赤ちゃん達にその思想を励起させる段階ではあるが、ドスはそれを最終目標にしていた。 まだまだ時間は掛かるだろうが、いつかはやり遂げて見せる。 その為には今の危機を乗り越える他無いのだ。 「……まりさはむずかしいことはわからないけれど、おさがやろうとしているのはいいことだってわかるよ。たぶん、みんなもわかってくれるはずだよ」 傷まりさはそう言ってドスを慰める。 今やこの群れで最年長となった傷まりさはこの群れの中で唯一森でのサバイバル経験を持ち、効果的な狩りや天候の変化を察知するような実地的な分野においては長をも上回る。 獣達の恐ろしさ、雨や雪と言った自然の脅威、そして同じゆっくりでさえ時には自らを脅かす敵となりうる事。 頭でっかちの群れのゆっくり達とは違い、知識ではなく経験でそれらを知るが故に長に請われ、群れの長老に治まったのだ。 傷まりさは昔話の詳細を知らない。『おめめえぐりのけい』を受けて追放されたのは以前の長の、さらに先代の頃であったし、その後は生きる事で精一杯であったから。 知能も普通のゆっくりに準じるため、難解な事は餡子が拒否してしまう。 ドスまりさの夢は傷まりさには殆ど理解できなかったが、ドスが夢の実現に向けて頑張っている事は理解できる。 この群れだけでなく、傷まりさにとっても恩人であるドスの夢だ。何とか実現してやりたい。 しかし傷まりさでは力になれない。彼女の貧弱な餡子脳ではドスの夢どころか、今現在の群れの問題すら解決できない。 傷まりさにはドスを励ますぐらいしか出来ないのだ。 (ゆうぅ……まりさじゃおさのやくにたてないよ……どうしたらいいんだろう……?) 夢への道程が余りにも厳しい事に落ち込むドスと、もどかしい思いを抱えた傷まりさが眠りに付いたのは夜も更け切ってからだった。 山の裾野に広がる森の中心、ぽっかり開いた場所にある小高い丘の天辺で、二人のゆっくりが激しく言い争っている。 片方は普通より色鮮やかなお飾りのれいむ。まりさは知っている、その持ち主のゆっくりできるお歌が大好きだったから。 片方は何やら偉そうなぱちゅりー。こいつも知っている、その憎たらしい顔に心の中で何度も枝を突き立てる程大嫌いだったから。 (ああ、これは……) まりさは不意に気付く、これはあの時、れいむがぱちゅりーに殺された時の光景なのだと。 「だから!にんげんさんとけんかするのはいけないんだよ!おおむかしのゆっくりがうそをついたから! そんなおおうそにだまされちゃったから!にんげんさんはゆっくりをゆるしてくれないんだよ!!」 「むきゅっ!だから、ぱちぇはそんなおはなししらないっていってるでしょ!! だいたいそんなおおうそにだまされるほど、ぱちぇのごせんぞはおばかじゃないわ!!」 「それは、だまされなかったかしこいゆっくりがみんなおやまさんににげちゃったからだよ! れいむたちのごせんぞはみんなうそをしんじたおばかさんだったんだよ!!!」 「むきゅうぅぅぅぅっ!!ぱちぇのごせんぞをばかにしたわね!!」 徐々にヒートアップして行く口論に、周りを取り巻く群れのゆっくり達にもざわめきが広がっていく。 「この、うそつき!」 そうして、れいむの運命を決定付けた一言が聞こえた次の瞬間、まりさの意識は覚醒した。 暦の上では既に秋とはいえ、季節的にはまだまだ夏であることを実感できそうな日差しが丘を照らす。 日除けのため、大木の影に場所を移した『がっこう』で教鞭を振るうぱちゅりーの姿を眺めつつ、ドスまりさは昨晩の夢を思い返していた。 (………れいむお姉ちゃん…………あんな事言ってたんだっけ……忘れてたよ………) ドスまりさがあのお話を聞いたのは赤ちゃんの頃。重要な部分はともかく、細かい所は流石に記憶が薄れている。 「……賢いゆっくりかぁ…………今でもお山に住んでるのかな?」 思わず口に出してみるが、そんな筈は無いと心の中で否定する。 あのお話がどれくらい昔の事なのかは知らないが、少なくともゆっくりが完全に世代交代する程度には昔の出来事の筈だ。 どんなに優秀なゆっくりとて、その子孫まで優秀とは限らない。かつてこの群れを率いていたぱちゅりーのように。 ましてお山はゆっくりにとって鬼門とさえ言える難所だ。 食糧の豊富な森と違い、まばらに生える高山植物と羽虫程度のご飯だけでは生きて行く事は難しかろう。 おまけに冬の厳しさが段違いだ。 この辺りの雪でさえゆっくりの身長を超す程度には積もると言うのに、お山を真っ白に染める程の雪なんてどれだけの量になるのか、見当もつかない。 だが、もしもそれだけの悪条件の中を生き抜ける程の賢さを持っていたのなら? 「そんなゆっくりなら、まりさ達にどうすれば良いのか教えてくれるのかなぁ……?」 しかしそれは有り得ない話だ。 仮にそんなゆっくり達が居たとしても、どこに居るのか解らないゆっくりを探し出すなぞ自殺行為にしかならない。 お山は広い。森なんて問題にならないくらいに広い。 何より険しい山道を歩くのには、ゆっくりのあんよは適さない。 あんよが破けて動けなくなり、痛みに泣き叫んで自ら呼び寄せた山の獣達の餌になるのがオチだ。 「やっぱり駄目だよねぇ…………危ないし、居るかどうかすら解らないんだから……はぁ…………」 ドスは最近癖になりつつある溜め息を吐き、重たい腰を持ち上げた。 今日は『がっこう』で狩りの実習がある。狩り場の安全は確認したが、万一に備えて群れの最強戦力であるドスが控えていた方が良い。 「みんなー、ぱちゅりー先生とまりさの言う事を良く聞いてねー!」 「「「「「「「「「「ゆっくりわかったよ!おさ!!」」」」」」」」」」 「はーい、じゃあ狩り場へ移動するよー!まりさと先生の後に付いて来てねー!!」 そういってぱちゅりーをお帽子に乗せ、ドスまりさは子供達の早さに合わせてゆっくりと進み出す。 その後を必死になって付いて行く子供達を見守りながら殿を務める傷まりさ。 微笑ましい群れのいつもの光景がそこにはあった。 何かを決意した傷まりさの表情を除けば、だったが。 無事に実習を終え、子供達がそれぞれのお家に帰り着いた事を確認して、ドスまりさもお家へ足を向けた。 子供達は素直ないい子に育ってくれている。教育の成果はまだ現れていないが、この様子なら案外上手くいくかも知れない。 今日は狩りに出たチームが全員無事に帰って来ている。いつもより多めに獲れたと喜んでいた。 集まったご飯の余剰分は保存用に加工を始めているし、この調子なら冬籠りの準備は早く済むかも知れない。 頭の痛い事が続く中で、ほんの少しだけ展望が開けて来た事に希望を抱きながら洞窟に向かい、ドスはお家の前に佇む人影に気付いて足を止めた。 「……ゆ?まりさ、どうしたの?」 そこに居たのは思い詰めた表情をした傷まりさであった。 ドスの呼び掛けに、傷まりさは俯いていた顔を上げ、ドスに宣言した。 「……ねえ、おさ。まりさはかしこいゆっくりをさがしに、おやまにいってくるよ」 「え?………!!!駄目だよ!!お山になんか行ったらいくらまりさでも許さないからね!!」 傷まりさの言葉が一瞬理解できなかったドスまりさだが、それが昼間の独り言を指している事に気付いて慌てて引き止める。 あんな曖昧な可能性の為に長老を失う事にでもなれば、群れは増々ゆっくり出来なくなってしまう。 それだけは何としても避けたかった。 「……まりさはおばかだから、おさのやくにはたてないよ。でも、むれのみんなよりおそとのことはしってるよ。 おやまのこともしってるから、ほかのこたちがさがしにいくより、まりさがいくほうがいいよ。 みんなにはまりさがしってること、ぜんぶおしえてあげたから、もうまりさができることはのこってないよ。 だから、さいごにむれのやくにたてるなら、まりさはうれしいんだよ」 「違うよ!まりさは役立たずなんかじゃない!!まりさがドスになれたのだって、まりさが手伝ってくれたからだよ!! それに今まりさまで居なくなっちゃったら、皆がゆっくり出来なくなっちゃうよ!!」 いっそ清々しい程に覚悟を決めた表情の傷まりさを何とか思いとどまらせようと、ドスまりさが必死に説得する。 しかし、どんなに言葉を尽くしても傷まりさの決心を翻す事は叶わなかった。 「………どうしても行きたいの?どこに居るかも解らない、それ所か本当に居るかどうかすら解らないゆっくり達を探しに?」 数え切れない問答の末、傷まりさの説得が不可能である事を悟ったドスが、確認するように尋ねてくる言葉に、傷まりさは大きく頷いた。 「……解ったよ。どのみち今のままじゃジリ貧なのは変わらないしね。だったら可能性が少なくても欠ける価値はあるかも知れない」 ドスの言葉に目を輝かせる傷まりさだが、続く一言に目を剥いた。 「ただし!まりさも付いて行くよ。じゃ無ければ行っちゃ駄目だよ!」 「ゆ゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛っ゛!!な゛に゛い゛っ゛でる゛の゛お゛お゛お゛お゛!!」 完全に予想外の言葉にパニックになる傷まりさに、ドスは自分の考えを披露する。 お山は広い。当ても無く探していてはまず見つからないだろう。 ならば本格的に捜索隊を組み、皆で手分けして探した方が効率が良い。 幸い今は夏が終わったばかり。お山もまだ過ごしやすい季節だ。 遠出の狩りも兼ねるなら、仮に見つからなかったとしても群れの益にはなるだろう。 チーム毎の人数を増やして普段より厚めの布陣で臨むなら、危険も多少は減る筈だ。 何より、ドスが出向く事で山の獣達への牽制には十分な効果がある。 二メートルに届く巨体はそれだけで脅威になるし、たとえ出くわしたとしても、ドススパークと言う必殺技があるので対抗は可能だ。 むしろ飛び道具であるドススバークなら間合いの外から攻撃が出来る。体当たりが精々のゆっくり達だけではこうは行かない。 群れの最精鋭を揃えて傷まりさが指揮を取り、後詰めにドスまりさを配置して秋が終わる前に丘へ帰還する。 いかにもドスらしい堅実な計画である。確かにこれなら安全に、かつ効率的に捜索が可能だろう。 だが傷まりさはその提案を受け入れられない。 元々お山のゆっくり探しはドスの思い付きに近い。それも実現不可能な妄想と言って良いものである事ぐらい、傷まりさの餡子脳でも理解できる。 それでも尚探しに行くのは傷まりさの我侭であった。 傷まりさが今の地位に就いているのは、この群れで最も高いサバイバビリティを持っていたからである。 絶え間ない努力の果てに、遂にドスにまで至った長を支えるには力不足だった。 後進の若者達が頼もしく成長した今、自分が長の補佐である理由は無い。傷まりさはそう考えていた。 そして昼間たまたま聞いたドスの独り言に、傷まりさは最後の花道を見出した。 つまり、この探索は傷まりさの自殺に近いものなのだ。 なのに群れの皆はおろか、ドスまで着いて来てしまっては本末転倒にも程がある。 さっきまでとは逆に、今度は傷まりさが慌ててドスを説得にかかった。 「だ、だめだよおさ!!ふゆのごはんはどうするの!?むれのみんなをだれがまもるの!?」 「冬籠りのご飯を集めるついでだよ。山に向かう途中でも集めれば、ここで集めるよりもっと沢山捕れるかも知れないしね。 遠くへ行くから、連れて行く子はまりさが多くなると思う。その分みょんやちぇんを残して、まりさ達がいない間群れを守ってもらうよ。 ご飯は……まだ心配する程じゃないよ。丘の周りの森だってご飯は沢山あるし、近くなられいむやありすでも狩りは出来るから、食べる分には充分だよ」 ドスまりさはそこまで言うと、言葉を切って傷まりさを見据える。 「……それに、今のまりさはなんだかゆっくり出来ないよ。何かゆっくり出来ない事をする気なんだね?」 「……!」 ドスに内心を見透かされ、傷まりさは返答に詰まる。 その様子に自分の直感が正しかった事を確信したドスまりさが、一瞬だけ自らの髪を飾る二つの赤いカチューシャへ目をやり、 噛み締めるように傷まりさへ言い聞かせた。 「……ねえ、まりさ。まりさはもう、お友達に死んでほしくないよ。そんなの嫌だよ。 ありす達が死んじゃった時、まりさはとっても悲しかった。あの時と同じ思いはもうしたくないよ……」 傷まりさに必死に訴えるドスまりさ。その目元にはドスになって以来流していなかった涙が溜まっている。 今までの会話で傷まりさの本心に気付いたドスは、あえて群れごと動かす事で生きて帰れるようにしたのである。 傷まりさを失ってはこの群れは立ち行かない。何よりドスにとって傷まりさは元年長組に次ぐ古い友人だ。 これ以上、ドスまりさは友人を失いたくは無かった。 今年の春、雪融け間もない頃に小さな地震が起きた。 極々小さなそれは、丘に暮らすゆっくり達に何ら影響を及ぼすものではなかった。 本来なら。 時期が悪すぎた。いくつもの不幸な偶然が重なった事故だった。 クーデター後、長になったまりさは今までの掟を継承する事を決め、群れに宣言した。 「みんなまだすっきりー!はしちゃだめだよ!はるさんがくるまでまってね!」 群れの大部分を占めていた子ゆっくり達は素直に聞き入れた。 成人直前とはいえ、まだ独り立ちはしていない。赤ちゃんを作るには時期早々であることは解っている。 だが既に成人して独り立ちしていたゆっくり達は、特に元年長組のありす達は不満であった。 ほぼ一年間禁欲を続けていたのである。いろいろ溜まっていたのだから当然だ。 しかし尊敬する長の言葉だ。従わない訳が無い。ありす達はそのまま冬籠りに入り…… 春を迎えた矢先に地震に遭った。 長い禁欲から解放されたばかりのありす達にはひとたまりも無かった。 ドスに成り立てでいっぱいいっぱいだったまりさが気付いた時には、事態は最悪の結末を迎えていた。 レイパー被害で死んだゆっくりこそ一桁で済んだが、ありす達には何の慰めにもならなかった。 ドスまりさは一生懸命ありすを説得した。ありすは悪くない、気付かなかった自分が悪かったんだ、気にする事はない、等々。 そしてありすが少しだけ微笑みを見せ、これで大丈夫だと安心して目を離したその晩に…… ありす達はそろって小川に身を投げた。 夜中に響いた水音に気付いたゆっくりは居なかった。 小川の畔に揃えて置かれていた二つの赤いカチューシャは今、ドスまりさの髪に飾られている。 あのとき、僅かでも目を離していなければこのお飾りは今でもありすの髪にあった筈だ。 いや、そもそも自分がすっきりー!禁止を言い渡さねば、ありす達がレイパーになるのを防げたのではないか? カチューシャが目に入る度、ドスの心中に苦い後悔が浮かんでくる。 これだけではない。 れみりゃに挑んで散って行ったみょんや、狩りの最中に不慮の事故で死んだまりさ、赤ちゃんの命と引き換えに永眠したれいむ。 群れのゆっくり達が犠牲になる度、形見のお飾りは増えて行く。 本来、群れの仲間達から預けられるお飾りは信頼の証なのだが、ドスまりさのお飾りは違う。 共に苦境を乗り越えて来た仲間を助けられなかった後悔、死地に向かう子達を止め切れなかった無念。 死臭すら漂わせるお飾りを敢えて身に付け、ドスはお飾りの持ち主達をずっと偲び続ける。 即ちこのお飾りは、ゆっくり達の墓標なのだ。そこに新たな墓標を加えるつもりなぞ、ドスには無かった。 ドスの眦から一筋の涙が流れていく。それを見た傷まりさはドスの説得が不可能である事を悟らざるを得なかった。 「……わかったよ、おさ。みんなでおやまにいこう」 「……うん、それじゃあ明日皆に話そうね。誰を連れて行くかはこれから決めようね」 そう言って傷まりさをお家へ入るよう促すドス。こっそり抜け出して一人でお山に行こうとするのを防ぐ為だ。 傷まりさもドスにここまでされればおとなしく従う他無い。溜め息を一つ付き、促されるままにお家へ入る。 その後を塞ぐようにドスが続く。 そのまま夜は更けて行った。 結論から言えば、ドスはお山に向かう事自体を止めるべきだった。 ドス自身がこの探索に淡い希望を持っていた事が、その選択を選ばせなかった原因だろう。 全てが終わった時、ドスまりさはこの決断を死ぬまで後悔する事になる。 翌朝、丘に集まった群れのゆっくり達にお山の探索に向かう事を告げる。 反応は様々であった。 まりさやちぇん、みょん等の活動的なグループは真っ先に賛成、対してぱちゅりー達のようなインテリ派は慎重論を述べた。 「まりさたちならおやまでもへいきなんだぜ!まかせるんだぜ!」 「どんなあいてでもみょんの『はくろーけん』でいっぱつ!だみょん!」 「みんなでたくさんかりをしてくるんだねー!わかるよー!」 「むっきゅっ!ふゆごもりのまえにみんないなくなったら、ごはんをあつめられなくなるわ!」 「おやまはゆっくりできないのよ!そんなおりこうなゆっくりがほんとうにいるの?」 「おちびちゃんたちをおいていけないよ!みんながいないあいだになにかあったらどうするの!?」 喧々諤々、賛成派と慎重派の意見の対立は収まる事を知らず、丘は増々混迷して行く。 それを止めたのは、ドスまりさの言葉であった。 「皆のお話はよく解ったよ!でも、このままじゃ群れの皆がゆっくり出来なくなるかも知れないんだよ! だから余裕がある今のうちに解決策を探さないといけないんだよ!!」 まさに鶴の一声。 慎重派もドスが決めた事に反対している訳ではないし、賛成派も群れの安全は気にかかる。 そこでドスは昨晩傷まりさと話し合って決めた編成を発表した。 「まずはお帽子を持ったまりさ達を三つに分けるよ!二つはまりさに着いて来てね!残ったまりさは群れのご飯を集めてね! みょんとちぇんは二つに分かれてね!片方は群れに残って皆を守ってあげてね!もう片方はお山に行くよ! おちびちゃんの事はぱちゅりーとれいむに任せるよ!ありすは二つに分かれてぱちゅりー達とまりさ達のお手伝いをしてあげて!」 帽子と言う大量輸送が可能なお飾りを持つまりさを中心とした編成である。 ちぇんとみょんを半分残すのは、この時期の獣達がゆっくりしない事を知っている傷まりさの提言によるものだ。 群れにはぱちゅりーとれいむ、そしてありすを置いて行く。 基本ありすは活動的な種ではないが、レイパー化した際の身体能力が示すように通常種中一、二を争う潜在能力を誇る。 ましてこの群れのありすだ。いざとなれば並のゆっくりでは歯が立たない事でもやり遂げてみせるだろう。 まりさ達のサポートなら充分に過ぎる。 「冬が来る前に帰ってこないといけないから、森の葉っぱさんが真っ赤になったら引き返すよ! それまでにまりさ達が帰ってこなかったら、群れの事はれいむとぱちゅりーに任せるからね!!」 「むきゅううぅぅぅぅっ!?なんてこというの、おさ!?」 「ぜったいかえってきてね!おかあさんたちみたいにいなくならないでね!?ぜったいだよ!!」 不吉な事を言うドスに憤慨するぱちゅりーと、かつての記憶が甦り涙ながらに懇願するれいむ。 ドスまりさもこの探索で死ぬつもりは無いが、大規模な遠征はこれが初めてだ。備えは万全にしておく必要がある。 泣き縋る元年長組の二人を宥め、捜索隊に抜擢された精鋭達に向かい、ドスは高らかに宣言した。 「皆、用意はいいね?それじゃ、お山に向けて出発するよ!」 「「「「「「「「「「えいえいゆー!!!」」」」」」」」」」 「がんばってねぇぇぇぇえええ!まりさぁぁぁぁあああああっ!!」 「「「「「おとぉぉおさぁぁぁぁあああん!かならずかえってきてねぇぇぇぇっ!!」」」」」 「どすぅぅぅぅぅっ!あとはまかせるんだぜぇぇぇええええ!!」 「ちぇぇぇぇぇえんっ!きをつけてねぇぇぇぇぇえええ!!」 「ちぃぃぃぃいいんぽぉぉぉぉぉっ!!」 残された群れの仲間達から盛大な見送りを受け、捜索隊は丘を出発した。 季節は秋の入り口、たわわに実った木の実や果物、そして木の根元に沢山生えた茸は道中の捜索隊の目を輝かせた。 「ゆっ!おいしそうなくだものさんがあるんだぜ!どすにとってもらうんだぜ!」 「果物さんは傷みやすいから駄目だよ!それより長持ちする木の実さんを沢山集めてね!!」 「ちょうろう!おいしそうなきのこさんをみつけたんだよー!」 「それはたべられないきのこさんだよ!がっこうでならったよね!?」 「これはいい『ろーかんけん』になりそうなきのえだだみょん!」 「そんな長い枝は持ち歩けないよ!もっと短くて丈夫な枝を見つけてね!」 いくら実力者揃いとはいえ、殆ど縄張りから外れた事のない者が多い群れだ。 初めて見る森の景色に皆大はしゃぎしてドスや傷まりさに嗜められる。 普段口を酸っぱくして注意を促していた事柄ばかりではあるが、こうして実体験すれば覚えも早い。 この探索が実地訓練的な効果をもたらしてくれた事に、自分の我侭に皆を巻き込んだ事に気後れしていた傷まりさは安堵する。 それはドスも同様だった。 元々自分の軽口が原因だった事もあり、気後れと言う点に置いては傷まりさ以上のものを抱えていたのだから。 (ここに来て良かったよ。ご飯も沢山集まりそうだし、お山の天気もいいから、この調子なら無事に帰れるね) 内心で一人ごち、ドスまりさは徐々にきつくなって来た上り坂を見上げる。 その視線の先には森の木々がない。ここは山と森の境目、ここから先は今まで経験した事がない程厳しい道程になるだろう。 これからを思い気を引き締めるドスに、傷まりさが進言する。 「おさ、ここにおうちをつくろうよ。ここではんぶんのこたちにかりをしてもらって、はんぶんのこたちでおやまをさがそう。 くらくなるまえにここにかえってきて、あかるくなったらこうたいでおやまをさがせば、つかれにくいし、あんぜんだよ」 傷まりさの提案を、ドスは吟味する。 ベースキャンプを作って捜索隊を二つに分け、交代で狩りを兼ねた休息を取らせながら捜索を行う。 成る程、それなら効率的だろう。だがそれは長期に見た場合の話、ドスは短期決戦の心積もりでこの捜索に臨んでいる。 元々あまり期待はしていないのだ。ここに根付いてだらだらと探すより、さっさと探して帰るべきだろう。 「うーん、それだと時間が掛かっちゃうよ。森が赤くなる前に帰りたいから、皆で探した方がいいよ」 「でもれみりゃはともかく、くまさんやいのししさんがいたらみんなあぶないよ?」 「それは大丈夫だよ。まりさがいれば動物さんは熊さんと勘違いしてくれるし、熊さんだって自分より大きな動物は襲わないんでしょ? もしも襲って来てもドススパークで威嚇すれば引き返してくれる筈だよ。それより早く帰らないと冬になっちゃうからね。そっちの方が心配だよ」 ドスの反論を傷まりさも吟味する。 確かに捜索隊は数がいないし、それを分ければ時間も相当取られるだろう。 お山の天気は崩れやすい。それを考えれば素早く目的を達成して帰った方が良いかも知れない。 「ゆう……それもそうだね。じゃあ、きょうはここでおやすみしようよ。あした、あかるくなってからさがしはじめよう」 「そうだね、そうしようか」 そして捜索隊はここで一泊する事になった。 木の枝と葉っぱを集めて山にする。この中に潜って寝るのだ。 ここに居着く訳ではないのでお家を掘ったりする必要は無い。後は見張りを立てておけば緊急の事態にも対応できる。 野営の準備が揃った頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。 「それじゃ見張りの子以外はお休みしててね!まりさも見張ってるから安心してね!」 長の言葉にそれぞれ葉っぱに潜り、すぐ寝息を立て始める捜索隊のメンバー達。何だかんだ言って初の遠征に皆疲れていたのだ。 そしてそれは見張りをしていたゆっくり達と、ドスまりさにも当て嵌まっていた。 深夜にもなれば、見張りをしていたゆっくり達にも睡魔が襲いかかる。 捜索隊に選ばれる程のゆっくりだ。見張りの重要性なぞ百も承知ではあるが、疲労も溜まった状態での眠気は如何ともし難い。 一人、また一人と夢の世界に旅立つ中、ドスまりさは必死に眠気と戦っていた。 (…………ゆ……ゆぅ……………眠いよ………………でも、今寝たら………………皆が………………) 抗い難い眠気と、捨てるわけにはいかない責任感の狭間でもがき苦しむドスまりさ。 そして葛藤の軍配は睡魔に上がり、ドスの意識は急速に暗闇へ落ちて行く。 最後に何を思う間もなく、ドスもまた夢の世界に旅立って行った。 「……ゃ…………ゅ………………ょ…………」 (………うるさいなぁ………眠れないよ……………) 「……ゃ……じゃな……………わがらな………!……」 (……ゆん?なんだか様子が変だよ?………) 「……たす…………おさ………い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!」 (!いけない、見張りは!?まさか!?!?) 耳を劈く悲鳴に、ドスまりさは夢の世界から一気に現実に戻る。 そして見開いた目に飛び込んで来たものに、ドスは魂消るような悲鳴を上げた。 「ゆ゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!!!み゛ん゛な゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!!!!」 そこに広がっていたのは地獄絵図であった。 まりさが、みょんが、ちぇんが。 ドスが育てて来た精鋭達が、毛むくじゃらの何かに貪り食われていた。 ゆっくりは動く饅頭である。皮膚は小麦粉で出来ているし、中身は餡子やチョコレートだ。 そんなものが固まって甘い匂いを漂わせていれば、空きっ腹を抱えたそれに狙われるのは当然であろう。 まりさ達を襲っていたものの正体、それは山を縄張りにしていた野犬の群れであった。 「み゛ん゛な゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!い゛ま゛だずげであ゛げる゛がら゛ね゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 現在進行形で食われて行く仲間達の元へ駆けつけるドス。二メートルを越す巨体が跳ね飛び、芯に響く轟音を立てて着地する。 それは野犬を怖じ気付かせるのには充分であった。 獲物を放り出し、悲鳴を上げながら山へ逃げ込んで行く野犬。 「ま゛でえ゛え゛え゛え゛え゛え゛っ゛!!に゛げる゛な゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! よ゛ぐも゛!よ゛ぐも゛み゛ん゛な゛を゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!!」 「……まっ…………て……おさ………」 体を突き動かす怒気に駆られ、夜の闇に散って行く野犬達を追いかけようとするドスに、か細い制止の声が掛かる。 慌てて振り返ったドスの視線の先にいたのは、体を半分喰い千切られた傷まりさの姿であった。 「ば゛り゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛!!!!ばり゛ざじっ゛がり゛じでえ゛え゛え゛え゛え゛!!!!!」 半狂乱で駆け寄るドスに、傷まりさは「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛……」と断末魔の痙攣を起こしながらも微笑んでみせた。 「…………こめんね……おさ…………まりさの……………せい……で…………みんな………ゆっくり……できなく………なっ……ちゃっ………た………よ……」 「違うよ!まりさが居眠りしちゃったから!皆を守れなかったから!!皆をここに連れて来たから!!!」 「……せ…っ…………かく…………おさ………が………やめ…………よう………って……いって………くれた……………の……に………… ………いう……こと……………きかな…………った………まりさ…………が…………わる………………い………ん……………だ………よ……………」 傷まりさの声から段々と力が失われていく。己の最後を悟った傷まりさは、最後の力を振り絞ってドスに告げた。 「………あり…………が………と……………まりさ…………ご………あい……さつ…………うれ……し……………かっ……………………た………………」 あの時、まだ子供だったドスと初めて出会ったあの時、片目を無くした自分に掛けられた「ゆっくりしていってね!」の一言。 たったそれだけが、傷ついた体と心にどれだけ暖かく染み込んだ事か。 あの言葉のお礼には自分の命は軽すぎる。まして自分の我侭の所為で仲間達が死んだのだ。憎まれて当然だろう、 だが、それでも傷まりさはドスに伝えたかった。 感謝の言葉を。 思いの丈を込めた言葉を紡ぎきり、傷まりさの目から光が失われていく。 痙攣も止み、最早ピクリとも動かない傷まりさの姿に、ドスはまた一つ大切なものを失った事を知った。 「ばでぃ゛ざぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!!!!」 慟哭は夜が明けるまで途切れる事は無かった。 捜索隊の構成員二十四名中、長老を含むまりさ五名とみょん三名、ちぇん一名が死亡。 野犬の群れに襲われた割に被害が少なかったのは、傷まりさが必死に抵抗してくれたお陰であると生き残ったまりさが証言した。 朝になり、捜索隊の現状を確認したドスまりさは即座に撤収を決めた。 九人もの犠牲者を出してまで望みの薄い捜索活動を続けるつもりは無い。まして傷まりさまで失ったのだ。これ以上は無意味であった。 「ごめんね皆………まりさの所為で沢山の子が死んじゃった……………これ以上はもう駄目だよ。丘に帰ろう?」 増やすつもりの無かったお飾りを付けたドスが、泣き疲れて赤くなった目で探索の中止を告げる。 捜索隊からも反対の声は出なかった。 往路の意気揚々とした雰囲気とは真逆の葬列の如き復路の道中、すっかりふさぎ込んだドスを心配そうに見守るゆっくり達。 やがて重石のような空気に耐えられなくなったのか、一人のまりさが声を掛けた。 「げんきだすんだぜ、おさ!いつまでもそんなおかおじゃ、ちょうろうやまりさたちがうかばれないんだぜ!」 そう言ってドスを慰めたのは昨晩の襲撃で野犬と戦い生き延び、傷まりさの勇姿を証言したまりさだった。 傷まりさの最後の直弟子に当たる彼女の慰めに、ドスは力無く反論する。 「何言ってるの……長老や他の子たちが死んじゃったのはまりさの所為なんだよ?まりさがしっかりしてなかった所為で、皆死んじゃったんだよ…… まりさが、お山に行こうなんて言わなければ死ななかったんだよ…………全部、まりさが悪いんだよ…………」 だが、胸を引き裂くような悲しみに沈むドスの言葉にまりさは強く反発した。 「おさこそなにいってるんだぜ!ちょうろうも、みんなも、おやまはあぶないってわかってたんだぜ! それでもむれのみんなのために、みんながんばっておやまにきたんだぜ!それなのにおさがあきらめてちゃだめなんだぜ!!」 もしも彼女達が普通のゆっくりならば「ゆっくりさせないどすはしね!」と自分達の事を棚に上げ、ひたすらドスに責任転嫁するだけだっただろう。 だがこの群れのゆっくり達は心の底からドスを尊敬している上、ここにいるのは遠征の為に選ばれた精鋭だ。 こんな失敗程度でドスを責め立てるようなゲスは存在しない。 それを物語るまりさの言葉に捜索隊の面々が一斉に頷く。が、続く発言が捜索隊の目の色を変えた。 「それに、あいつらはちょうろうたちのかたきなんだぜ!まりさたちのふいをうっておそってきたひきょうものなんだぜ!! いまはむりでも、いつかみんなのかたきをうつんだぜ……ぜったい、ぜったいにやっつけてやるんだぜ!!!」 野犬達への憎しみを秘めた漆黒の殺意をたたえ、かつて長ぱちゅりーへ復讐を決意したドスと同じ表情でまりさは吼えた。 激情のままに放たれた言葉は徐々に捜索隊の餡子に染み込んでいく。 確かに、昨晩の襲撃は疲れ果てた所を狙われたからあんな被害を被ったのだ。れみりゃにすら勝てる自分達なら、不意打ちさえ無ければ負けなかった筈だ。 ましてこちらにはドスがいる。昨晩とて奴らはドスを見た途端逃げ出したではないか! ならば勝てる、勝てるのだ。 復讐、自分達に最も馴染み深いその言葉。甘い毒のようなそれが次第に捜索隊の面々に広がっていくのを察知したドスは慌ててまりさを諌めた。 「ゆ゛っ゛!?駄目だよそんなの!!また昨日みたいな事になったら、今度こそ皆死んじゃうかも知れないんだよ!?」 「そうならないようにまたきたえなおすんだぜ!もっときたえてつよくなって、もういちどおやまにいくんだぜ!」 拙い。まりさの主張に「そーだ!そーだ!」と同調し始めた捜索隊を見て、ドスまりさはこの遠征が全く逆の効果を発揮し始めた事に今更ながらに気付いた。 元々この遠征の目的である賢いゆっくりを尋ねる理由も、こういった暴走を諌める方法を教えてもらう為のもの。 賢いゆっくりも見つからず、傷まりさを失い、優秀な子達を死なせてまで得たものが更なる暴走では本末転倒にも程がある。 しかし今言い聞かせる事は困難だろう。仲間を失った事で冷静さを失ったまりさ達をいくら諌めたとて、聞き入れてくれる可能性は限りなく低い。 「……ゆぅ……ゆっくり解ったよ。でも今は丘に帰る事を優先するよ。鍛えるのは春さんになってからにしようね」 「わかったんだぜ!おさ!」 結局ドスは問題を先送りにする事にした。今はとにかく丘へ帰還し、群れの皆に長老達の死を伝えねばならない。 それに時間が経てばまりさ達も冷静になるだろう。その時改めて説得すれば解ってくれる筈だ。 さらに増えた問題に内心頭を抱えながら、ドスは丘を目指して足を進めた。 「………これはどういう事!?一体何が起こったの!?」 山の裾野に広がる森の中心、ぽっかり開いた場所にある小高い丘を見上げながら、ドスと捜索隊は唖然としていた。 捜索隊が群れを出発してから三日しか経っていない。 たったそれだけの時間が経過しただけなのに、丘はすっかり姿を変えていた。 「むほぉおおおおお!!ばでぃさぁああああ!!かわいいいわぁあああああ!!」 「やべてぇぇえええええ!!ばでぃざぼうずっぎりじたくないぃいいいいいいい!!」 「むーしゃ!むーしゃ!それなりー!!」 「それはふゆごもりのごはんさんだよぉおおおおお!!どぼじでたべちゃうのぉおおおおおお!!」 「ゆっ!きれいなせみのぬけがらさん!……あっ、ふんじゃった。てへっ」 「ありすのたからものになんてことずるのぉおおおおお!!!このいながものぉおおおおおお!!!」 「きゃわいいれーみゅがうんうんしゅりゅよ!」 「そこはおといれじゃないのよぉおおおおお!!ぱちぇのおうちがぁああああああ!!」 「きれいなおはなね!ありすのたからものにしてあげるわ!」 「それはちぇんがとってきたおくすりなんだよぉおおお!!もってかないでねぇええええええ!!」 「おはなしできないなんてみょんはゆっくりできないくずだね!おお、おろかおろか!」 「ぢぃいいいいいいんぼぉおおおおおおおお!!!」 丘のそこかしこで乱暴狼藉を働く無数の見慣れぬゆっくり達。 それから逃げ惑う群れのゆっくり達、あちこちに転がる黒ずんだものはその末路か。 そして群れの阿鼻叫喚を見下ろすように丘の天辺にふんぞり返っていたのは見た事の無いゆっくりだった。 「ここはまりささまのゆっくりぷれいすなのぜ!ぐずなゆっくりはまりささまのどれいになるのぜ!ありがたくおもうのぜ!!」 微妙にだぜ言葉を間違えて使うゆっくりの言う通りなら、こいつはまりさらしい。 だが、ドス達はそれがまりさであるとは解らなかった。 大きさこそ標準的な大きさながらまりさの特徴的なお帽子が無く、代わりにれみりゃのお帽子がてっぺんハゲ頭の頂点を覆っている。 帽子のすぐ下辺りから生えた髪は元が何色だったか解らない程薄汚れており、死臭漂うお飾りが幾つも付けられていた。 何よりもドス達の目を引いたのはそのお顔。 広範囲に渡って何回も抉られた傷跡が走っており、最早元の人相を見つけ出す事すら難しい。 ゆっくりの形をした化け物。ドス達にはそうとしか思えなかった。 「貴女達!!どうして此処にいるの!!まりさの群れに何してるの!!」 巨体を唸らせ、丘に跳ね出すドス。それを見た見慣れぬゆっくり達は悲鳴を上げて四散したが、丘の上の化け物まりさだけは平然としていた。 「……だれかとおもえば、からだがでかいだけのどすなのぜ?ここはまりさのゆっくりぷれいすなんだからさっさとでていくのぜ?」 「何言ってるの!此処はまりさ達のゆっくりプレイスなんだよ!!それに何で皆を酷い目に遭わせてるの!?返答次第では容赦しないよ!!」 「ひどいめになんてあわせてないのぜ?まりささまのむれのどれいになるのはしあわせなことなのぜ。むしろかんしゃするべきなのぜ」 激昂するドスにふてぶてしく応える化け物まりさ。その返答にドスは即座に臨戦態勢をとった。 「もう許さないよ!ドススパー…………!!」 「まあまつのぜ。これでもみるのぜ」 ドス必勝のドススパークの構えを見ても慌てる事無く、化け物まりさは体を少しずらして背後にいたそれを見せる。 そこにいたのは…… 「「「「「お゛じゃ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!だじゅ゛げでぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」」」」」 「お、おちびちゃぁあああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛っ゛!?!?!?!?」 あんよを喰い千切られ、動く事が出来なくなった子供達の姿であった。 「うちたければうつのぜ!いっしょにこいつらもふきとぶのぜ!!」 「くっ……!」 大口を開けて下品に笑う化け物まりさと、撃つに撃てず歯軋りを響かせるドスまりさ。 平和だった丘は今、クーデター以来の殺気に満ちあふれていた。 場面は捜索隊が出発した直後に遡る。 遠ざかるドス達の後ろ姿を見送っていた群れの面々は、その姿が見えなくなるまでその場を動かなかった。 「……ゆぅ。みんな、そろそろおしごとしようね」 やがて元年長組のれいむが皆を促し、群れはいつもの日課をこなし始めた。 狩りに出るまりさとちぇん。子供達を引き連れ青空教室での授業を始めるぱちゅりー。長期保存用の干し草を作るれいむ。 そして武器を持って丘の見回りをするみょんと、それぞれのお手伝いをするありす。 働き手が十人ちょっとしかいなくても、群れを任されたからには頑張るしかない。そのことは群れの全員が理解していた。 赤ちゃんの頃から皆で協力し、足りない所を補いながら生きて来たのだ。何よりあのドスのようになりたいのなら、ゆっくりなんてしていられない。 明日ゆっくりする為に、今日ゆっくりせずに頑張る。 この群れはそんな希有な気質を持ったゆっくり達で構成されていた。 だが、彼女達は知らなかった。 自分達のスタイルが、ゆっくりの中では異端である事を。 赤子の頃から一致団結して育ったこの群れを、残虐極まる悪意が狙っていた事を。 最初に悪意と出会ったのは、見回りをしていたみょんとありすの一組であった。 「ゆっ!?みょん、あそこにみなれないまりさがいるわ!!」 「ゆっ!とりあえずごあいさつするんだみょん!」 丘の入り口、下生えの薮が途切れている場所に佇むまりさを発見した彼女達は、ご挨拶の為に接近した。 ご挨拶はゆっくり同士の習性みたいなものだが、それにどう応えるかで敵意の有る無しを確認する意味も含まれている。 ゆっくりできるお返事なら良し、ゆっくり出来ないお返事なら……場合によっては実力行使も有り得る。 警戒しながらも歩み寄り、まりさに向けてご挨拶の言葉を掛ける。 「「ゆっくりしていってね!」」 「ゆっ!……ゆっくりしていってね!」 ゆっくり出来るお返事を返して来た事に胸を撫で下ろしながら、ありすは見慣れないまりさを観察する。 大きさは自分達より一回り大きいぐらいだが、この秋でようやく満二歳になる自分達よりも随分若いようだ。 野生のゆっくりらしく薄汚れたお帽子に、何故か小さなれいむのリボンが飾られている。 この丘を取り囲む森の中には幾つかの群れがあり、お互いある程度は交流もあるが、こんなお飾りを持った群れはありすの知る限りでは存在しない。 「……まりさはどこからきたの?」 「まりさはもりのおくのむれからきたんだぜ!」 「もりのおくから!?あそこにゆっくりなんていたんだみょん!?」 まりさの言葉に仰天するみょん。森の奥と言えば、最近凄腕の狩り手が何人も行方不明になっているいわくつきの場所だ。 ドスがお山に向かったのも、森の奥にいるであろう敵をやっつける方法を知るためとみょんは聞いている。 それは即ちドスでさえ敵わない何かがいると言う事ではないか? そんな所に住んでいるゆっくりがいた、と言う事実はみょんにとって衝撃であった。 「……まりさはなんで、ここにきたの?それにそのおりぼんは……?」 対してありすは冷静だった。 森の奥はれみりゃの生息地である。好き好んで住んでいる通常種なぞいる訳がない。 改めて観察してみると、このまりさには目立った傷跡もなく、お帽子も汚れてはいるが破れた所は無いようだ。 百戦錬磨のこの群れのゆっくりでさえ、れみりゃと戦って無傷ではいられない。森の奥から来たと言うのは眉唾物だ。 それにお飾りの事もある。 ゆっくりはお飾りで個体識別をする。その為、ゆっくりにとってお飾りは命の次に重要なものだ。それを手放すゆっくりはいない。 だからドスに自分のお飾りを贈る行為が信頼の証足り得るのだ。 なのに、このまりさはお帽子に明らかに自分の物ではないリボンを付けている。 可能性としては形見か、あるいは強奪か。後者ならこのまりさは群れの敵になる。 これを警戒しての質問であったが、帰って来た答えにありす達は度肝を抜かれた。 「……まりさのむれがれみりゃにおそわれたんだぜ。このおかざりはまりさのかぞくのかたみなんだぜ。 おさもれみりゃにたべられて、いきのこったみんなはばらばらににげたんだぜ。 にげてるときに、ここのうわさをきいたんだぜ。れみりゃをやっつけるむれがあるって。 ……おねがいなんだぜ!まりさもこのむれにいれてほしいんだぜ!!かぞくのかたきをとりたいんだぜ!!!」 「「ゆゆっ!?」」 此処の群れの事は森に暮らすゆっくりなら一度は耳にする程広く知れ渡っている。 その上ドスを擁する群れだ。今までにも「むれにはいりたい」と言って来たゆっくりは沢山居た。 だがドスは余所者を決して迎え入れなかった。 移住希望者は皆ドスに寄生してゆっくりしようとする魂胆が見え見えのゆっくりばかり。 どのゆっくりも群れに入るために媚を売り、ドスが折れないと知るやゲスの本性を露にして去っていく。 そんなゆっくりは群れの方から願い下げだ。 だが、このまりさは仇討ちの為に群れに入りたいのだと言う。 前例の無い事態を前に、ありすは悩む。 「……ありすたちにおねがいされてもだめよ。おさにおねがいしないとありすたちのむれにははいれないわ」 結局、ありすは判断を長に委ねる事にした。 こんな高度な政治判断、群れの一ありすには荷が重すぎる。 「わかったんだぜ!じゃあどすのところにいくんだぜ!!」 「いま、おさはおでかけちゅうよ。ふゆになるまえにはもどってくるとはおもうけど、いつかえってくるかはわからないわ。 ……はるがくるまでまったほうがいいかもね。このあたりはごはんさんもおおいし、ふゆごもりできそうなおうちもたくさんあるもの」 「………わかったんだぜ。もういちどでなおしてくるんだぜ」 残念そうに身を震わせながら、まりさは森へ跳ねていく。 その姿を見送りながら、みょんはありすに声を掛けた。 「……ありすはやさしいみょん」 「べ、べつにみょんにほめられるようなことはしていないわ!ほら、はやくみまわりのつづきをするわよ!」 若干赤くなった顔を見られまいと、ありすは勢い良く駆け出した。その後を苦笑いしながらみょんが追う。 だから気付かなかった。 森に去るまりさの口元に、邪悪な笑みが浮かんでいた事に。 長が旅立って二日目。 この日、ぱちゅりーは子供達を引き連れて比較的安全な狩り場に赴いた。狩りの方法を教える為である 狩りの実習はこの季節に多く行われる。春や夏にも行われるが、秋の狩りは冬籠りの準備と言う面も持つので、特に重要だからだ。 勿論安全は確保しているが、万一に備えて護衛にみょんとちぇんが就いている。 普段ならドスのポジションではあるが、ドスが居ないからと言って実習を疎かには出来ないので無理を通してもらったのだ。 丘からそう離れていない場所にある実習地には先客が居た。 薄汚れたお帽子にれいむのリボンが飾られている。 ぱちゅりーはそれが昨日ありすから報告のあったまりさである事に気付き、警戒心を少し緩めながらご挨拶をした。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっ!ゆっくりしていってね!ぱちゅりーはおかのむれのぱちゅりー?そのおちびたちは?」 「むきゅ!ぱちぇはおかのせんせいなのよ!このこたちはいまからかりのやりかたをおべんきょうするのよ!」 自分の仕事に誇りを持っているのだろう。胸を反らしながら答えるぱちゅりーに、まりさが再び質問する。 「おべんきょうするのはきょうだけなのかだぜ?まりさもかりをするからおじゃまにならないようにしたいんだぜ」 「きょうはここでおべんきょうするけれど、あしたはおかのむこうがわでおべんきょうするわ」 ぱちゅりーの答えを聞き、まりさは理解を示すように頷いた。 「わかったんだぜ!じゃあきょうはむこうでかりをしてくるんだぜ!」 そう言って森の中へ跳ねていくまりさを見送り、ぱちゅりーは感心する。 「きくばりのできるまりさなのね。あれならおさもむれにいれてくれるかもしれないわね。 ……さあ、みんな!あのまりさのようにみんなでゆっくりできるゆっくりになるために、がんばっておべんきょうするのよ!」 「「「「「「「「「「わかったよ!せんせい!」」」」」」」」」」 子供達もまりさの言動に感動しているようだ。目を輝かせて真剣に実習に臨む。 だから気付けなかった。 立ち去るまりさの目がどす黒い欲望に輝いていた事に。 そして長が旅立って三日目の今日。 ぱちゅりーは子供達を連れて実習に向かい、襲われた。 無数の、幾つもお飾りを付けたゆっくり達に。 護衛のみょんとちぇんは奮闘したが多勢に無勢。 十匹程を落とした所で無念の戦死を遂げ、子供達を庇ったぱちゅりーはのしかかってくる無数のゆっくりの重さに耐え切れず圧死した。 そして子供達はあんよを喰い千切られ、人質にされた。 「おちびのいのちがおしかったら、まりさたちのいうことをきくのぜ!!」 突然現れた化け物まりさと、ゆっくり出来ない匂いを漂わせるお飾りを付けたゆっくりの大軍勢に、丘は大混乱に陥った。 「お゛ぢびじゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛っ゛!!」と、愛娘達の惨状に泣き叫ぶれいむ。 「まりさはどうなってもいいから、おちびたちをはなすんだぜ!!」と、化け物まりさと交渉しようとするまりさ。 「!あのまりさは!……ありすをだましたのねぇえええっ!!このいなかものぉおおおおお!!」と、軍勢の中に見知った顔を見つけて悔しがるありす。 「むきゅぅうう!!とにかくひとじちをきゅうしゅつしないと………!」と、人質奪回の作戦を考えるぱちゅりー。 「ぜんいんせんとうたいせいだみょん!」「おいかえすんだねー!わかるよー!」と、戦いの準備を始めるみょんとちぇん。 だが、人質を押さえられている限り手は出せない。 少しでも反撃の素振りを見せると、途端に化け物まりさが厭らしく笑いながら子供達を踏み潰そうとするのだ。 「まりさたちのどれいになれば、おちびのいのちはほしょうするのぜ!だまっていうこときけばいいのぜ!!」 余りにも勝手な言い分、だが丘のゆっくり達には他に選択肢が無かった。 そして惨劇は始まり………そこにドス達が帰って来たのだ。 この丘の群れほど優秀ではなくても、どこの群れでも掟の一つ二つはある。 化け物まりさが率いる群れは、そう言った掟を破ったゆっくり達で構成された無法者の集まりであった。 しんぐるまざーを強調して贅の限りを尽すれいむ、弱者を踏みつけにするまりさ、ありすは言うに及ぶまい。 群れを追放され、森をさまよっていたゲス達を取りまとめたのが化け物まりさ。 かつてれみりゃを倒したというこのまりさは、そのゆっくり出来ない外見とはかけ離れた実力をもって群れを支配した。 群れとは言っても実際には強盗団のような物であり、小規模な群れを襲っては皆殺しにして、戦利品としてお飾りを奪う日々を送っていた。 そしてある群れを襲った際に、この丘の群れの事を聞いたのである。 「あのおかのどすがいれば、こんなことには………!!」 れいむ種主体で構成された群れの、長れいむの末期の言葉に興味を引かれた化け物まりさは、丘の群れの事を徹底的に調べ上げた。 かつて森中にその名を知られた『おかのおいしゃさん』が作った群れの流れを汲み、去年の晩秋にクーデターでまりさが長になった若者ばかりの群れ。 しかしその実力は折り紙付きで、単独でれみりゃを倒せるものがゴロゴロしてる上、長になったまりさがドスに進化した事で再び森中にその名を轟かせていると言う。 それだけ優秀な群れならば、使い勝手の良い奴隷になり得る。そう考えた化け物まりさは群れの中で一番の詐欺師をスパイとして送り込んだのだ。 それは最悪のタイミングであった。 ドス達が遠征し、しばらく帰ってこないこと。 群れの凄腕達が遠征隊に参加したため、働き手が激減したこと。 人質になりそうな子供達が、狩りの実習の為に一塊になっていたこと。 これ以上無いほどに好条件が重なっていた獲物を見逃す訳が無い。スパイの報告に化け物まりさは襲撃を決意して…… 見事、襲撃を成功させたのだった。 「ほ~らほ~ら、どうしたのぜ?うたないのぜ?」 「こ、この卑怯者!今すぐ皆を離してね!!」 「ゆふん、しょせんどすなんてまりささまのあしもとにもおよばないのぜ!!さあさあ、ひざまづいてあんよでもなめるのぜ!!」 泣き叫ぶ子供達を踏みつけ、悔し涙を流すドスを嘲笑う化け物まりさ。 それに安心したのか、化け物まりさの群れも再び乱暴狼藉を働き出す。 捜索隊や留守番組の武闘派も抵抗しようとするが、化け物まりさがあんよに力を込めるのを見るや無抵抗になる。 ドスまりさは強気の表情のまま化け物まりさと睨み合うが、その内心は焦燥で一杯だった。 (このままじゃ皆死んじゃうよ……しょうがない、最後の手段だよ!!) ドスは決意を固めると、丘の天辺でふんぞり返る化け物まりさに告げた。 「解ったよ!この丘はまりさ達にあげるよ!まりさの群れはここを出て行くから、皆を離してね!!」 「「「「「「「「「「ゆ゛っ゛!?!?!?」」」」」」」」」」 生まれ育った故郷の放棄。それがドスの下した決断であった。 皆で一致団結して育てたゆっくりプレイスを捨てるのは惜しいが、皆の命には変えられない。 断腸の思いで告げた降伏宣言を、化け物まりさは一蹴した。 「なにいってるのぜ?ここはさいしょからまりささまのゆっくりぷれいすなのぜ!!どれいにそんなことかんけいないのぜ!!」 「「「「「「「「「「!!!!!!」」」」」」」」」」 化け物まりさは最初からドス達を見逃すつもりは無かった。 人質を取ったことでイニシアチブは常に自分達にある。ドスの能力はかなり有用だし、死ぬまで扱き使ってやろう。 そう目論んでいたのである。 「ば!ばでぃ゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!お゛ばえ゛え゛え゛え゛え゛え゛っ゛!!」 「……どれいのくせになまいきなのぜ。みせしめにおちびをつぶしてやるのぜ」 狂気に近い憎しみを込めた視線を浴びせてくるドスに、あくまで余裕の態度を崩さずに見せしめの処刑を実行しようとする化け物まりさ。 今や丘の全てのゆっくりの視線はこの二人に集まっていた。丘の群れも、化け物まりさの群れも固唾を呑んで二人の対決を見守っている。 だからどのゆっくりも気付けなかった。 化け物まりさの背後から、静かに忍び寄る影に。 「よくもみんなをぉおおおおお!!じねぇえええええええ!!!」 「「ゆっ!?」」 ドスも、化け物まりさも虚を突かれた。 化け物まりさに躍りかかった影、それは道中ドスを慰めたまりさであった。 みょんが使っていたのであろう太い木の枝を銜え、空高く跳ね上がって化け物まりさに襲い掛かる。 普通のまりさ種なら確実に仕留められただろう。いや、れみりゃをも倒せたかも知れないその一撃は、 「おそいのぜ!そんなこうげき、あくびがでるのぜ!!」 「ゆびっ!?」 あっさり躱され、むなしく宙を薙いだ。 しかしこの好機をドスが見逃す筈は無い! 「ゆっ!有り難うまりさ!……ドススパーク!!!!」 「ゆうぅうううううううううううううう!?!?!?」 化け物まりさ目掛け放たれるドススパーク。間一髪避けられたものの、子供達から離すことは出来た。 今が反撃の好機とばかりに色めき立つ丘のゆっくり達とは対照的に、形勢逆転を決められた筈の化け物まりさ達には動揺が見られない。 それを不審に思うドスだったが、その答えはすぐに解った。 「そこまでなんだぜ!これをみるんだぜ!!」 突然響き渡る怒声に驚いたドスがそちらに目を向けると、そこには一人の子れいむを踏みつけ、化け物まりさと同じ厭らしい笑みを浮かべるまりさがいた。 お帽子に赤いリボンを付けたスパイ役のまりさが、予め一人だけ人質を別に確保していたのだ。 「こいつをつぶされたくなければいうことをきくんだぜ!」 「ま、まりさのおちびちゃんがああああああああ!!」 先程化け物まりさに襲い掛かったまりさが悲鳴を上げる。どうやらまりさの子供らしい。 「ゆ!?ちょうどいいのぜ。そのおちびのいのちがおしければ、どすをころすのぜ!!」 「「ゆ゛っ゛!?!?」」 化け物まりさの残酷な命令に凍り付くドスとまりさ。だがドスはすぐに決断する。 「まりさ!いいよ、まりさを殺して!おちびちゃんの命には代えられないよ!」 「なにいってるんだぜぇえええええ!?おさをころせるわけないんだぜぇええええええ!?」 あっさりと『自分を殺せ』と言い出したドスに、まりさは絶叫する。 そんなまりさに、ドスは優しく笑いかけた。 「……お山でも言ったけど、こうなったのはまりさの所為なんだよ。だから責任を取らないといけないんだよ。 ……おちびちゃんの為に死ねるなら本望だよ。さあ、早く!おちびちゃんが死んじゃうよ!」 「ゆぐぐぐぐ……………」 まりさは悩んだ。この群れでも上位の狩り名人である彼女は、その運動能力と引き換えに少々知力が足りなかった。 足りないとは言っても標準的なゆっくりからすれば天と地ほどの差はあるが、それでもこの状況をひっくり返す方法を思い付けない程度には悪かった。 「ほらほら、どうしたのぜ!?はやくしないとおちびがしぬのぜ!?」 「そろそろおんよがつかれてきたんだぜ!!はやくきめないとつぶしちゃうんだぜ!?」 癇に障る笑い声を上げつつ、化け物まりさ達が急かしてくる。足下の子れいむは「ぶぎゅ゛う゛う゛う゛う゛っ゛!!」と、今にも潰れそうな悲鳴を上げて泣いている。 胸を焦がす焦燥にまりさは悶え……………そして、 「…………ゆわぁああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!!!」 とうとう枝を振り上げて躍りかかった。 ……人質を取っていたまりさに向かって。 「まりさああああああああ!?!?!?」 「なにしてるのぜ!?おちびのいのちがおしくないのぜ!?」 突然のまりさの行動に慌てるドスと化け物まりさ。 だが、一番驚いたのは襲い掛かられたまりさだっただろう。 「ゆっ!?なんでこっちにくるんだぜ!?どすはあっちだぜ!? …………ゆがあああああ!くるなくるなくるなぁああああああ!!!!!!」 恐慌状態に陥り、身を翻して逃げ出すスパイの背に太い枝が突き立てられる。 「ゆ゛ぎゃ゛っ゛!?!?」 「ゆ゛びぃ゛っ゛!?!?」 枝はスパイを貫通して即死させつつ、足下の子れいむにまで達した。 守ってくれる筈の親が襲い掛かってくる姿に、大きく目を見開いたまま子れいむは絶命した。 「あ、ああ………なんで…………」 まりさの凶行に餡の気が引くドスに向かい、まりさは叫んだ。 「おさぁあああ!!いまのうちにみんなをつれてにげるんだぜぇええええええ!!」 「ゆっ!?!?」 まりさには解っていた。ドスはいつもこの群れのことを考えていてくれたことを。 クーデターの時も、お山の探索も、野犬の時も、そして今この時でさえ。 何時だってドスは自分より群れの皆を優先してくれたことを。 そしてドスはこの群れの希望そのものであると言うことを、自分と子供の命と引き換えに出来るような存在ではないことを、まりさは知っていた。 自分の浅はかな行動がドスを更なる窮地に追い込んだのだ。たとえ子供を見殺しにしても、責任は果たさねばならない。 (ちょうろうがむれのためにいのちをはったように!まりさもみんなのためにいのちをはってみせる!!) 我が子をその手に掛けた無念に、両の目から餡子の涙を流しながらまりさは吼えた。 「まりさがこいつらをおさえてるうちに、このおかからにげきるんだぜぇえぇええええ!!」 魂の底から吐き出されたかのような絶叫に、硬直していたドスの思考が動き出す。 まりさが作った千載一遇の好機、見逃しては子れいむの死が無駄になってしまう。 それが解っていてもドスにはまりさを見捨てる事が出来なかった。 この三日で何人もの仲間が散っていった。そこにまりさまで加えるなんて、ドスには耐えられない。 「……解ったよ!皆、この森から逃げるよ!!いつもの所で落ち合おう!!」 だが、まりさの覚悟を汚すことはもっと耐えられなかった。 生き残った群れに、緊急時に備えて避難場所とした森の出口付近にある大木を目指すように指示すると、動けない子供達を口に含んで一目散に逃げる。 「……あっ!ま、まつのぜ!!にがさないのぜ!!」 その声に、一連の出来事に呆気に取られていた化け物まりさが正気に返って後を追おうとするが、何者かに目の前を塞がれる。 「……いったはずなんだぜ。ここからさきはとおさないんだぜ」 未だ餡子の涙を流し続けるまりさが、化け物まりさを足止めする為に立ちふさがったのだ。 「どくのぜ!いたいめみたいのぜ!?」 「……いたいめならみせてやるんだぜ。おさのためなら、みんなのためなら、まりさはひゃくにんりきなんだぜ!!」 「ねごとはねてからいうのぜ!!みんな、こいつをいためつけてやるのぜ!!」 「「「「「「「「「「じねぇえええええええ!!!!!」」」」」」」」」」 まりさと化け物まりさ達の会話を背後に聞きながら、ドスは涙を浮かべて丘を脱出したのだった。 ……お、また見つけた。 やっぱり旬だなぁ、こんなに立派な茸が生えてるよ。 ……あんまり遅いとゆっくり共に喰われるからな。早めに探しに来て正解だわ。 ……ん?何か騒がしいな…… ……うわっ!なんだあのデカいゆっくりは!? 集まって何か話してるようだが…………まさか畑荒らしでも企んでるんじゃないだろうな? ……確認しとくか。 ……よう、ゆっくり共。 ……そうだよ、俺は人間だよ。 ……はいはい、ゆっくりゆっくり。で?何してんだよ。 ……『まりさ達のゆっくりプレイスを横取りされた』? ……またかよ。よく飽きないなお前ら。 去年もそんなことを言ってた奴が居たな。確かぱちゅりーだったと思ったが。 ……え?あのぱちゅりー追い出したのってお前らだったのか?何でまた…… ……『あのぱちゅりーの所為でお母さん達が死んだから』って、お前らあの群れの子供なのか! よく生きてたな…… ……『皆で頑張ったから、何とか生きて来れたんだよ』ってか。随分謙虚な奴だな。 普通のゆっくりは皆そこで自画自賛してくるもんだが。 ……おや?おい、そいつらどうしたんだ?さっきから呻いているが…… ……『ゲスにあんよを食べられちゃったんだよ……』だと? 成る程、そいつらがお前らの住処を襲ったって訳か。んで、住む所を探してる、と。 ……『どうして解ったの?』って、これも何回か聞いたような気がするな…… まあ、ちょっと考えれば解るもんさ。 それより、お前ら畑でも荒らすつもりじゃないだろうな?だったら容赦しねえぞ? ……『畑って、何?』ぃ!?お前ら畑を知らないのか!? ……ああ、だからゆっくりは畑を荒らすのか…… いいか?畑は人間がゆっくりする為に必要な野菜を育てる場所だ。 野菜は勝手に生えてこない。土を掘り返して柔らかくしてから野菜の赤ちゃんを蒔いて、毎日ゆっくり出来るように世話するんだ。 ゆっくり出来た赤ちゃんだけが大きくなって野菜に育つ。大体お前らが子供から大人になるくらいの時間を掛けて成長するのさ。 ……何驚いてんだよ。お前らが知らないだけで、人間はそれだけの手間を掛けて野菜を育ててんだよ…… ……へ?違う? ……『れいむお姉さんのお話の通りだ!』?『やっぱりお姉さんは嘘吐きなんかじゃなかったんだ』って…… まさかお前ら、あのれいむの子供か何かなのか!? ……あ、違うの?……ふうん、歌を歌ってくれたのか。そうかそうか。 あいつ、やっぱり良い奴だったんだな。惜しい奴を無くしたもんだ。 ……ん?何だ? ……『人間さんと仲直りする方法を教えてほしいんだよ』? 仲直りってお前、どうする気だ?お前らが人間をゆっくりさせない限り、人間はゆっくりのことが嫌いだぞ? ……『それを教えてもらう為にお山のゆっくりを探しにいったら、ゲスが襲って来たんだよ』…… ……あの山に、ゆっくりは住んでないぞ? ……『昔、嘘吐きに騙されなかった賢いゆっくりがお山に居る筈だよ』って………… ……なあ、あそこに居たゆっくりはもう全滅してるんだよ。山の厳しさに耐えられなかったのさ。 だからあの山には今、ゆっくりは一匹も居ないんだ。 ……泣くなよ。お前が悪い訳じゃない、運が悪かっただけだ。 ……おい、お前ら。 住む所が無いのなら、こういうのはどうだ?……… 山の裾野に広がる森の中心、ぽっかり開いた場所にある小高い丘。 群れの皆を逃がすため、一人残ったまりさはもう動けなかった。 倒したゲス達は三十匹までは数えていたが、そこからは覚えていない。 たった一人で、木の枝一本で戦ったにしては上等の部類に入るだろう。 しかし相手が悪かった。 何匹倒しても後から後から湧いてくるゲスどもに、先にまりさのスタミナが尽きたのだ。 そこからは正に嬲り殺しであった。 四方八方から体当たりされ、のしかかられ、獲物で突かれて、まりさの体は満身創痍。 それでも尽きぬ闘志を込め、まりさは唯一動く目を動かして群れの首魁を睨みつける。 「……さんざんてこずらせてくれたのぜ!でも、これでおわりのぜ!!」 そう言う化け物まりさの口には、先程取り落としたまりさの獲物が銜えられている。 まりさ自身の武器でとどめを刺すつもりだろう。悪趣味だが、このゲス共ならためらい無く実行する筈だ。 ふと、空を見上げる。 雲一つない青空。それはまるで、まりさの心を映したかのようで。 (……おさ、あとのことはたのんだぜ。……おちびちゃん、いまいくんだぜ) 突き立てられた枝に悲鳴すら挙げず、まりさは永遠にゆっくりした。 自分の遺志を継いでくれるであろう、仲間達を信じて。 ※誰か、私に文才を下さい……もしくは時間(切実) 大変長らくお待たせしました!続編をお届けします!! ……前作からかなり開きましたが、覚えていて頂けましたでしょうか? ここまで来ると虐待SSじゃないよなー、と思いつつも書かずにはいられなかったお話。 後は外伝一話を挟み、いよいよ完結編へ! また間が空くかもしれませんが、どうかお付き合いくださいませ。 ※前作『仕返しゆっくり』の感想欄にて、名前を付けてほしいとのコメントを頂きました。 新参者で遅筆な自分が名乗るのは気後れしますが、よろしければ今後『一言あき』と名乗らせていただきます。 お名前を下さった方も、応援して下さった方も本当にありがとうございました。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る これはゆ虐じゃないな でもゆ虐じゃないだけだそれだけだ (*TーT)b -- 2016-03-29 03 12 55 >楽しいのは本人だけ これだけ称賛コメのついてる作品なんだから、この言葉が 的外れなのははっきりしてるでしょ 自分の好みじゃない作品に対して 批評家ぶってコメントしたかったんだろうけど 恥かいたよねこいつはw -- 2016-01-16 23 36 57 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー -- 2014-08-11 08 19 39 凄いわ、連作お疲れ様です。 続きが気になる終わり方が秀逸w -- 2014-05-11 10 04 05 アドバイスって言うかちゃんとどういうところがダメって言ってるから餡子脳じゃないでしょ -- 2013-04-28 01 23 56 正直つまらないなら何も言わずに去るか何かアドバイス位はすると思うから餡子脳じゃないかな? -- 2013-04-21 00 04 09 否定的な意見言われてムッとくるのはわかるけどつまらないって感想言っただけで 餡子脳扱いはダメでしょ -- 2013-04-16 21 51 31 3の十倍まで数えられるまりさだと・・・!? -- 2012-10-03 20 01 37 いい話だ、つまらないとか態々言う餡子脳は放置して 書いて欲しい、良い作品だと思うよ。 -- 2012-08-12 20 27 56 俺は好きだよ、頑張れ -- 2011-10-13 23 02 49 てかあのまま終わってよかったんじゃ、なぜわざわざ悲劇に持っていったし -- 2011-09-26 23 32 03 ↓↓つまらないって思ってるのはお前だけかもしれんぞ? -- 2011-07-20 20 54 22 漢だな…!!最期に一花咲かせやがった、あのまりさは… -- 2011-03-30 09 54 10 前作から続いているドスまりさに愛着が湧くのは 分かるが、贔屓しすぎて話をつまらなくしているね 僕・私の考えたゆっくりを愛でたいのは分かるが それを見て楽しいのは本人だけってのもよくある話 -- 2010-10-26 23 35 08 ドスがゆっくりできるかが気になる こういうゆっくりばっかりだったらなぁ・・・ -- 2010-03-05 15 36 56 「お話しゆっくり 前中後編」に続く -- 2010-02-23 11 42 28
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ゆっくり射的 今日はお祭りの日。 いろいろな出店がある。ゆっくりにちなんだ店も今では珍しくなくなった。 ゆっくり焼きや冷やしゆっくり、水上まりさ釣りやカラーゆっくりなどもある。 もちろん普通の店もある。微妙に高い焼きそばとビールを買って花火でも見たいな、と思ったがそうもいかない。 俺も店を出してるからだ。その名も『ゆっくり射的』。 類似店がないからか、そこそこ盛況だ。ほら、また少年がやってきた。 「お兄さん!あの写真本物?どうやったらもらえるの!?」 写真とは射的の景品のことだ。あるスジから譲ってもらったり買ったりした。盗撮なんかじゃないヨ? 「おうともよ!あの写真は正真正銘の本物だ。むこうにゆっくりがいるだろ? アレを撃って、当たったら1点だ。点数に応じて写真をあげよう。簡単だろ、やってくかい?」 人里では妖怪に憧れる者も少なくはない。時に恐怖の象徴ともなるが、惚れこんでしまうものもいるという。 滅多に姿を見れない大妖怪ともなると、一部ではものすごい人気だという。 そういう人気の高い妖怪や、なかなか写真に撮られない(要するに写真自体が少ない)妖怪は高得点を出さないともらえない。 逆に人気があっても写真の枚数が多い妖怪などは簡単にもらえるようになっている。そのへんはお客の頑張り次第ということで… 「やるやる!いくらなの?」 「1回100円で弾は10発。 赤ゆっくりに当たるとどこでも1点。親ゆっくりは目と口に限り1点だ。それ以外は点数にならないぞ」 そう、この射的、的となるのはただのゆっくりではない。植物型にんっしんっ!をしたゆっくりなのだ。 頭に赤ゆっくりを生やした親を剣山で固定する。それを少し離れた所から狙い撃つというものだった。 ルールを説明するとお兄さんは少年にライフルを渡す。もちろん本物ではない。 「じゃあ撃っちゃってよ!」 「よーし、狙い撃つぞー!」 第一射。親ゆっくりに命中! 「いだいぃぃぃぃぃぃっぃい!どぼぢでごんなごどずるのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 「「「おがぁしゃんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」 「お、なかなかやるな。でも親のほっぺただから点数にはならないぞ」 「くっそー、ところでお兄さん、レミリアの写真は何点でもらえるの?」 「レミリアか、えっと、5点だな。あと9発ある。がんばれよ」 実はこの射的、そこそこ難しい。親が少しでも痛みから逃れようと動く。頭上の赤ゆっくりも動く。 ただでさえ小さい的が動くのだ、10発全部はずれということもよくあることだ。 「次は当てるよ!」 第2射。はずれてしまった。 しかしゆっくりからするとはずれははずれで怖いものだ。何せ自分の近くを弾が飛んでいくのだから。 ゆっくりにとってはどちらにせよ地獄だった。 その後少年は6発はずしてしまった。 「お兄さん!難しいよこれ!」 「んー?じゃあちょっとサービスな」 そう言ってお兄さんは親ゆっくりを剣山に深く差しこむ。 「ゆぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!でいぶのあんよがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「これで親は動かない。がんばれよ」 「ありがとうお兄さん!」 第9射。サービスのおかげか赤ゆっくりの眉間(?)に命中し、それを吹き飛ばした。 「でいぶのあがぢゃんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「「おにぇえちゃんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」 「もっちょ、ゆっきゅりしちゃかっちゃ…」 「どぼぢでごんなごどずるの!?でいぶのあがぢゃんがえじでね!!」 「うるせーなー。少年、次は親の口に当てちゃってよ。黙らせたら特別に4点あげるよ」 「えっ!?本当にいいんですか、やっちゃいますよ!」 「ゆっぐりじでないででいぶのあがぢゃんなおじでね!!ぞれどだべものももっでぎでね!!」 本当にうるさい饅頭だ。当然今自分が置かれている状況なんざ理解してないんだろうな。 そして第10射。口には当たらなかったが。 「でいぶのづぶらなおべべがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 「「みょうやだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!おうぢぎゃえりゅぅぅぅぅぅぅぅ!!」」 まだ生まれてすらいないのにどこに帰るってんだ。それはともかく。 「お、目か。特別に2点だ!おめでとう!じゃあ写真はこのなかから選んでね」 合計3点。なかなかいいスコアだ。写真も中堅妖怪ならあらかたそろっている。 「うーん…」 「いいのがなかったのかい?それならもう1回やって、2点以上とれたらレミリアってのはどうだい?」 「いいの?じゃあもう1回やるよ!」 「あいよ、また10発な」 「あ、お兄さん、僕もやる!」 「俺も俺も!」 「私も!」 ゆっくりの悲鳴が集客効果も果たしてくれたようだ。 「よしよし、みんなルールはわかってるな?しっかり狙えよ!」 「やべるんだぜぇぇぇぇぇぇぇ!!ばりざのがわいいあがぢゃゆべっ!?」 「まりざ?どうじだの?みえないよ!?」 「まとなんだねーわかるよー」 「ごんなごどずるなんでいながもの、の?ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 「サービスしといたぞ。動かないうちに当てろよー」 「むきゅ…むきゅ…」 「あ、あのぱちゅりー弱ってる!」 「むぎゅぅぅぅぅぅぅ!やべでっ!あがぢゃんじんじゃうぅぅぅぅぅ!」 お客さんも俺も、そしてゆっくりも楽しい時間を過ごせましたとさ。 舞台裏ならぬ屋台裏 「このまりさはもう駄目だな」 赤ちゃんも全部落ちたし、目も口もぐちゃぐちゃだ。 「こんなのでよかったら食べるかい?」 子供たちはくれるものなら、と喜んで食べてくれる。さぞや甘かろう。 おっと、こいつの分を補充しないとな。店の裏手にいる手伝いの虐待お姉さんに声をかける。 「新しいゆっくり用意してー!」 頼まれたお姉さんは大きな箱の中から適当にゆっくりを取り出す。 「今回はれいむか、それと…」 今度は『繁殖用』と書かれた箱の中からありすを取り出す。 「はいありすちゃん、このれいむとすっきりー!しようね」 「はぁはぁ、おねえさん、とかいはのありすはもうすっきりー!したくないよ…」 なんだって繁殖用にレイパーありすを使わなかったんだろと思いつつ、注射器を手に取る。 当然ありすの言うことなんかにいちいち耳をかさない。 「あんたは黙って私の前で汚らしく交尾してればいいのよ」 媚薬をありすに注入する。だんだんと息遣いが荒くなってきた。 手から離したとたんにれいむにとびつくありす。 「れいむかわいいよおおおおおおおおおおおおありすがあいしてあげるからねええええええええええええ!!」 「おねーさんたすけて!れいむゆっくりできなくなっちゃううううううううううう!」 「何事も経験だ、GO!」 「ああああああああああああああああああああ、ずっぎりー!」 「とかいはのありすはいっかいじゃまんぞくできないわ!もっとあいしあいましょれいむうううううう」 「お前はもうおわりね。また出番が来たら出したげるからまってなさい」 「ありすまだすっきりしてないのにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」 ありすを箱に詰めなおした頃にはもうれいむの頭から赤ゆっくりが生えていた。 そういう薬を使ってるからね。おお、ご都合主義ご都合主義。 「ゆ!?もうあかちゃんできたよ!ゆっくりしてないね!でもかわいいよ!」 「亜阿相界、今のうちによーくかわいがってやりなよ。もうすぐゆっくりなんてしてられなくなるから」 「おねーさんなにいってるの?これかられいむたちはとってもゆっくりするんだよ?ばかなの?しぬの?」 「へいへい、そりゃーゆっくりした話ですこと」 適当に流しながらそのれいむを店の表へ持っていく。 「ゆゆ~♪おそらをとんでるみたい~♪」 「はい着地ー!どーん!」 「どぼじでごんなごとずるのおおおおおおおおおおおおお!でいぶのあんよがああああああああ!ゆっぐりでぎないいいいいいいい!」 剣山に突き刺されるれいむ。まあ動かないという意味ではとてもゆっくりしてるよ、うん。 「あ、このぱちゅりーももう駄目ですね。新しいの持ってきますね」 そういってお姉さんはまた店の裏に戻って行った。 あとがき ゆっくりんピース?なにそれおいしいの? 俺も射的したい。チルノの写真欲しい。 byまふ
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今日の天気は快晴。昨日も快晴で、一昨日も快晴だった。 季節は夏。あちこちでセミが我が物顔をしながら鳴いている。 太陽は容赦なく照り付け、もう暑くて暑くてしょうがない。 こんな日でもちゅ…美鈴は紅魔館の門番をしている。だって仕事だから。 「ぅあー…あつーい…」 いつもだったら暇なときはシェスタしている美鈴だが、こんな天気で寝たら日射病になってしまう。 それに空きっ腹でもある。気力で抑えればいいって物ではない。 「はぁ…暑いし退屈だし…いや、安全第一ってことはわかってるんですけどね?なんか、こう、 面白い事でも起きないかねぇ…」 そう呟きつつ見慣れた光景を見る。 別になんてことない風景だ。たまにゆっくりれみりゃが映ることはあるが、別にどうってことはない。 しかし、今回は話が違った。 「ん…?見慣れないゆっくりですねぇ…」 門の目の前に赤い髪をして『龍』という文字が入った星を付けた緑の帽子を被っている饅頭。 どっかで見たような…あれこれって…もしかして… 「も、もしかして、私のゆっくり?」 「私じゃないよ、ゆっくりめいりんだよ」 当たり。 「とうとう私のゆっくりが出現したか…なんか複雑な気分です」 「わたしのなまえはゆっくりめいりんだよ、わかった?」 「はいはいわかったわかった」 お嬢様や咲夜さんのゆっくりは何度か見たけど、まさかこんなんになるとは… 私ってゆっくりにしたらこうなるのだろうか…しかも同じことしか言わないし… とりあえず見てて腹が立つので、れみりゃの餌にすることにした。 咲夜さんがゆっくりれみりゃを気に入っていて世話をしているので、れみりゃには困らない。 今も後ろで「うーうー」言いながら遊んでいることだろう。 でも前を良く見たられみりゃがぱたぱたと羽音を立てながら飛んでたので、そっちにあげる事にする。 「おーい、そこのお嬢様のパチモン、これあげるから食べていいよ」 「うー♪」 美鈴はゆっくりめいりんを鷲掴みにすると、れみりゃに向かって投げた。 「そぉい!」 変な掛け声と共にゆっくりめいりんはれみりゃに向かって飛んでいく。 ちょっと投げる勢いが強かったかな…とも思ったが無事にキャッチ。 れみりゃに掴まれているにもかかわらず平然としている。鈍感なのか。 「わたしはゆっくりめいりんだよ、めいりんってよんでね もんばんってよんじゃやだよ」 「がぁおー!たべちゃうぞー!」 ゆっくりめいりんが言っている言葉を理解できるはずもなくめいりんに噛み付くれみりゃ。 鋭い歯でめいりんの皮を切り裂き、それを自分の体内へと飲み込む。 まぁなんとも幸せそうな顔をしている。 が、しかし、その顔はすぐに消えた。 「う゛あ゛あ゛あ゛~~!!ざぐや――!!ざぐや――!!」 れみりゃはめいりんを投げ捨てどっかに飛び去っていってしまった。 なんだか自分が不味いと言われているようでいい気分ではない。 ゆっくりめいりんは結構な高さから落下したのに平然としていた。やっぱ体のつくりが元のと一緒なのか。 ゆっくりめいりんを拾い上げると齧られた痕から赤い具が見えた。 なんとも鼻を突く匂い。美鈴はこの匂いが好きだった。 なんか齧り痕から齧るのは気がひけたが腹も減っていたので少し齧ってみた。 「ゆぐ!いたいよー!めいりんだけどいたいよー!」 さっき声を上げなかっためいりんが痛みの声を上げるが、そんなことよりも。 「あ!『辛い』っ!これ辛いっスッ!激辛っス!」 ゆっくりめいりんはピザまんだった。ただタバスコがたくさんかかっているのかハバネロが混じっているのか 青とうがらしが材料なのかは定かではないが、とにかく辛いのだ。 こんなんじゃあ野生のゆっくりは辛くて食べれない。 辛党の美鈴ですら辛いと思ったのだから相当なもの。 しかし。 「普通の味覚だったら食えるはずがねーんだよなこんなカライの! でも思わず食っちまった…クセになるっつーかいったん味わうとひきずり込まれるカラさっつーか…… たとえると『豆まきの節分』の時に年齢の数だけ食おうとして大して好きでもねぇ豆をフト気づいてみたら 一袋食ってたっつーカンジかよぉ―――~~~っ!」 美鈴がゆっくりめいりんの身を減らしていく。 「おねえさんやめてよ!かじられるのはがまんしてるけどいたいんだよ!」 めいりんが何か言っているが美鈴に届くはずもなかった。 「うわああああはっ腹が空いてくうよお~~~~~~っ!! 食えば食うほどもっと食いたくなるぞッ!こりゃあよお――ッ!!! ンまぁ―――いっ!!味に目醒めtひぎゃあああああああああっ!?」 台詞が途中で途切れる。原因は額に刺さったナイフ。 「あなた、門番の仕事をサボって何をやっているの…?」 「うわっ!咲夜さん!いつの間にいたんですか!?えっと、サボってないですよ、決して」 「………今日の夕食も抜きね」 「あ、あァァァんまりだアァァァ HEEEYYY!!」 美鈴の鳴き声が森に木霊する。 足元に落ちているのは美鈴が被っている帽子のミニサイズだけであった。 FIN by GIOGIO ~~誰も使わないと思うがゆっくりめいりんの生態~~ 改変とかは好きにしたらいいんじゃあないか… ゆっくりめいりん 一応希少種。 「ゆっくりめいりんだよ」が口癖。 動きはすばやく、基本的に何でも食べる。腹が減っているときは他のゆっくりを襲うことも多々ある。 しかしゆっくりれみりゃ、ゆっくりさくや、ゆっくりパチュリー、ゆっくりフランを襲うことは決してない。 それどころか攻撃されても反撃すらしない。ゆっくり小悪魔とかがいたらどうなのかは不明。 ピザまんで、非常に辛い。なので、捕食種に襲われても大抵は食いきれずに投げ出していく。 そんなめいりんの天敵はゆっくりゆゆこ。だってカービィだから。 ゆービィがめいりんを食したあと、火を吹いていたという目撃もちらほら。 このSSに感想を付ける
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俺は今、人間の里の商店街で行われているゆっくり加工工場主催のゆっくり福引抽選会場でガラガラに手をかけていた。 商店街でゆっくり加工工場認定の店で買い物をすると福引券がもらえ、この抽選会場でガラガラを回して出た玉の色を回すと商品がもらえるというよくあるな福引だ。 変わっている点といえば商品がすべてゆっくり関連なことくらいだ。 大体生ゆっくり一匹分程度の買い物をすると ハズレでもゆっくり餡子製のお菓子がもらえ、近所では『大したものは当たらないがそこそこ当たる』と評判の福引だった。 俺の持っている福引券は20枚。 ゆっくり20匹分は買い込み過ぎだろと思うかもしれないが、それでも俺にはどうしても欲しい商品があった。 一等景品『ペット用最高級ゆっくりフラン。』 このゆっくり福引の輝かしき一等景品の存在を知ったのは冬越しに必要なものを買い込もうと商店街のチラシを見ていた時だった。 あの圧倒的な暴力性、自らの存在より強いものは存在しないと信じる強大な自我 男の子なら一度はあこがれる百ゆっくりの王者である。 しかしゆっくりフランはかなりの希少種で繁殖力も低いため養殖も未だ軌道に乗っておらず市場ではほとんど出回っておらず 野生種の生息地域もかなり危険度の高い妖怪の住処の付近なため 食用は無論のことペット用の生きたゆっくりフランとなるとそこらの人間にはとても手が出せないほど高かった。 ゆっくりフランを一度で良いから間近で見てみたいものだ、そう思っていた矢先に舞い込んできたのがこの話であった。 ゆっくりフランが手に入るなら冬越しの食料がほとんどゆっくり餡子でも惜しくは無い、冬越し用の貯金はほとんどゆっくり食品に注ぎ込みここに立っているのだ。 その決死の覚悟こそが勝利を呼び寄せる。 ちょっとした買い物のついでに来た周りの盆百共とは格が違う。 贄は捧げた、さあ廻れ運命の歯車よ、我が手に百ゆっくりの王者を来たらせたまえ! ハズレ、8等ゆっくりの育て方Q&Aカラー図解付、ハズレ、ハズレ、ハズレ、ハズレ、ハズレ、6等ゆっくり魔理沙 ハズレ、ハズレ、ハズレ、ハズレ、ハズレ、ハズレ、9等ゆっくり和菓子詰め合わせ、ハズレ、ハズレ、ハズレ、ハズレ 19回がらがらを回して急に冷めた。 何やってるんだ俺。 今年の冬ずっと餡子食ってるとかバカじゃねーのバーカバーカ。 脳味噌ゆっくりしろ俺。 これでゆっくりフランを手に入れられなかったらただのバカだ。 いや既にまごうこと無きバカだ。 自分のバカさ加減に心底嫌気がさしながら最後の一枚でガラガラを一回だけ回した。 するとコロン、と穴から金色の玉が転がりだす。 「お、お、おおおおおおおおおおおお!!!」 俺は思わず叫び声をあげた。 神様ありがとう、いや違う、これはそんなくだらない奇跡なんかじゃない。 この奇跡は俺の力で運命から勝利を捥ぎ取ったという証明なのだ。 「おめでとうございます!」 今年の冬はゆっくりフランと一緒に餡子入りパスタライフを送ろう。 さあ早くゆっくりフランを俺に渡してくれ店員さん。 「出ました!特賞、『ゆっくり霊夢一年分』!!」 なん…だと…? そういう訳で俺は加工工場製の箱詰めゆっくりに部屋を8割ほど占拠された状態で明かりも付けずにひざを抱えて涙目でプルプルしていた。 「ゆっくりはやく出してね!」「ゆっくりせまいいいいいいいい!!!」「ゆっくりうごけないよ!」「ゆっくり動きたいよ!」「こわい!おうちかえる!」 何が『おうちかえる!』だ、俺の方が実家に帰りたい、帰ってお袋や父と共に餡子の介入してこない食卓を囲みたい。 季節は冬になり、俺の家はゆっくりによる全食事への餡子介入が行われていた。 家にゆっくり霊夢が発生し、食料に打撃が与えられた場合 そのゆっくり霊夢を捕獲してゆっくり加工工場に売ってお金にして少しでも損害を補填するのがセオリーなのだが既製品は流石に加工工場も買い取ってはくれない。 そんなわけで、このゆっくり霊夢はすべて加工工場製だし自業自得なので工場に売り飛ばすというわけにも行かない。 流石にこんな事情では実家に帰ってたかるのも憚られる。 ということでゆっくりに冬越し用の貯金を全て注ぎ込んだ俺の食生活は餡子に蹂躙されるがままになっていた。 そんな生活が一週間ほど続き俺の中には沸々とゆっくりへの憎しみが湧き出してきていた。 「おにいさんゆっくりげんきだしてね!」 今俺を励ましたのは6等で当てたゆっくり魔理沙。 少しでもこの大量の餡子を減らすために外に出して運動させて餌に餡子を食わせている。 今のところなんの餡子かは気づいていない。 ああ、思えばこいつを当てた福引でゆっくりフランを当てられたかもしれないのに、そう思うとこのゆっくり魔理沙に対しても怒りが沸いて来る。 逆恨みなのはわかっているが、三食全て餡子生活を送っている俺の胃袋がムカムカして仕方ないと吼えて仕方が無いのだ。 復讐、この餡子まみれの現実から少しでも目を逸らすには俺にはもうこのゆっくり達に憎しみをぶつける以外の選択肢は無い。 それから俺は三日三晩、足りない頭で考えられる限りもっとも辛い拷問を考え続け、ついに考えうる限り最高の拷問を考え出した。 さらに準備に2日ほどかけ、今しがた、せめて冬の間に一食くらいは肉を食おうと思って残しておいた金で必要な道具を買い家に帰ったところだ。 完全に準備は整った、今こそ実行に移すときだ。 『ゆっくりしていってね!』 「お、ちゃんとゆっくりお留守番出来てたみたいだな、ほーらご飯だぞー」 玄関で待ち構えていたゆっくりに俺は懐に入れてある外から来た品の『たっぱ』 (大量の餡子と交換でいやそうな顔をする店主から手に入れた。)から餡子を取り出しゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢に与えた。 「わーい!」 「おにいさんだいすきー!」 「むーしゃ♪」 「むーしゃ♪」 『しあわせー♪』 二匹は仲良く餡子を分けて食べあう。 これだけおいしそうに食べられると天国のゆっくり霊夢(屠殺済み)も本望だろう。 ゆっくり魔理沙と一緒にいるゆっくり霊夢は二日前に箱から出してゆっくり魔理沙と遊ばせている。 無論餌は餡子だ。 いくら与えても何の餡子か全く気づかないのでもしゆっくり霊夢一年分が処理できなさそうな時は共食いさせれば大丈夫だと胸をなでおろしたものだ。 「さ、ゆっくり魔理沙もゆっくり霊夢もいい子だから今日はあっちの部屋で遊ぼうか?」 「あっちでもゆっくりしようね!」 「ゆっくりあそぼうね!」 「はっはっは、さあこっちだ」 俺は昨日の夜、計画を遂行するためにセッティングしておいた部屋にゆっくり二匹を抱えていった。 「ゆっくりだしてね!ゆっくりだしてね!」「ゆ゛っぐりおながずいでぎだよ゛ぉお゛おおお゛お゛」 「お゛うぢがえる゛~お゛うぢがえる゛~!」「ゆ゛っぐりう゛ごぎだい゛いい゛い~~!」 『ゆ゛!?』 部屋に入り、四方の壁一面にずらりと並べられこちらを見て助けを求める箱詰めゆっくり霊夢にぎょっとするゆっくり二匹。 「どうしてこんなひどいことするの!?」 「みんなもれいむみたいにゆっくりだしてあげてね!」 「こんなことするおにいさんとはゆっくりできないよ!!!」 ゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢が抗議の声をあげた。 「めんごめんご鬼めんご、一度にみんな出したらぎゅうぎゅうづめになってゆっくり出来なくなると思ったから 少しづつゆっくり箱から出していこうと思ってさ、その証拠にほら」 「ゆー?」 そういって机の下で遊ばせていたゆっくり一家をひっぱりだす。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりちていってね!」 「ゆゆ?」 若いお母さん霊夢がゆっくり二匹に挨拶をし、それに続いて赤ちゃん霊夢たちが挨拶をする。 『ゆっくりしていってね!』 「おにいさんうたがってごめんね!」 「みんなでゆっくりしようね!」 『ゆっくり出していってね!!!!!』 その様子を見て安心したのか俺に謝罪の言葉を述べるゆっくり二匹。 それに続いて出してもらえると言われた周りのゆっくり霊夢たちも友好的な声音でこちらに声をかけてきた。 「ゆ~♪」 「ゆっ♪ゆっ♪」 「ゆっくり~♪」 「ゆっくりしてるね♪」 ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙について机の上を跳ね回り、赤ちゃんゆっくりがそれを追ってころころところがっていく。 そんな風景を見てお母さん霊夢も満面の笑みで見守っていた。 そんな風に遊ばせて30分程度たっただろうか。 「さ、他のゆっくりたちも遊ばせなくちゃいけないからこっちでじっとしててね」 そういって、もともと入っていた箱の中にお母さん霊夢を戻し、赤ちゃん霊夢は、既に宿主の居ない空き箱にしまう。 「ゆ~!もっとゆっぐりぢだい~!!!」 「ゆっくりがまんしてね!」 お母さん霊夢がまだ遊びたいという赤ちゃんゆっくり達をなだめた。 さて、そろそろゆっくりした時間は終わりにして本番に入ろうか。 俺はゆっくり一家のことは一旦ほうっておいてゆっくり魔理沙に近づいて問いかけをした。 「ねえねえ、ゆっくり魔理沙はどのゆっくりが一番好き?」 「ゆゆっ!?」 突然の質問にゆっくり魔理沙は面食らった。 「ゆ…まりさはこのれいむがいちばんすきだよ!」 ゆっくり魔理沙は顔を少し赤らめながら笑顔でそう言うとゆっくり霊夢に近づいてほお擦りをした。 ふう、おにいさんがだいすきって言われたらどうしようかとちょっと緊張しちゃったよ。 これで思う存分拷問できるというものだ。 「ゆ…ゆ゛っ!?」 今度はゆっくり霊夢が面食らう番だった。 「れ、れいむもまりさがいちばんすきだよ!」 「ゆ!…ゆゆっ♪」 「ゆっ♪」 『いっしょにゆっくりしようね♪』 二匹にとっては衝撃の告白の後、お互いの友情を確かめ合った二人はうれしそうにほお擦りをしあっている。 それでこそこの二日間ゆっくり遊ばせて友情を育ててやった甲斐があるというものだ。 俺はむんづとゆっくり魔理沙と仲良くしているゆっくり霊夢の方の頭をつかむと箱にしまった。 「ゆゆっ!?」 「ゆ?れいむをはやくだしてあげてね!」 「はいはい、わかってるわかってる」 俺は別の箱から違うゆっくり霊夢を出すと高速でゆすり始めた。 「ゆ!?ゆ゛っゆ゛っゆ゛ゆ゛っゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!!!?」 「ゆ!まりさのだしてほしいれいむはそのれいむじゃないよ!ゆ゛!?ゆ゛っ!」 俺は抗議の声をあげるゆっくり魔理沙もつかむとこちらは軽くマイルドに振動させた。 「ゆ、ゆ~~~~~」 「ゆゆ…」 ゆっくり霊夢の方は完全に発情状態 ゆっくり魔理沙の方はぽっと顔を赤らめて少し息を荒くしている。 俺は既にゆっくり発情テクニックを『ゆっくりの育て方Q&Aカラー図解付』を読みながらゆっくり霊夢で練習することで完全にマスターしていた。 ちなみにその過程でやたらたくさん出来た赤ちゃん霊夢は普通のゆっくり霊夢餡子ばかり食べてた俺の食卓のいい彩になった。 完璧に出来上がったのを確認すると机の上に自作の柵を立てて二匹を放置した。 絡み合う熱っぽい視線、触れ合う吐息 やがてゆっくり霊夢の方が我慢出来ずにゆっくり魔理沙を押し倒した。 「ゆっくりイこうね!」 「ゆ…ゆゆゆ~!?ゆ゛、みんなみてるからゆっくりやめてね!ゆ゛っ!ゆ゛っゆ゛っ!」 最初は驚いて抵抗しようとしたゆっくり魔理沙だったが既に軽い発情状態にあったためだんだんと相手を受け入れていく。 悲鳴を上げたのはゆっくり魔理沙と親友のゆっくり霊夢だった。 「ゆ゛ぅぅう゛う゛ううううううう゛!!!そのまりさはれいむのおともだちだよ!!ゆっくりやめてね!!!」 「ゆ゛!ゆゆ゛!き、きもちい…」 ゆっくり霊夢の激しい振動にゆっくり魔理沙が思わず媚声をあげてしまう。 「!?どうじでぇえ゛え゛!!!どうじでなのま゛りざぁああ゛ああ゛!!!」 「ぢがうのれ゛いむゆゆゆうううううう!!!」 「ゆ゛!いぐ!ゆっぐりいぐぅうううううううう!!!!」 「い゛や゛ぁああ゛あああ゛あ゛あ!!ま゛りざを゛よござな゛いでぇええ゛ええ゛え!!!」 ゆっくり霊夢が絶頂に達しそうになった時、遂に俺の計画が発動した。 「ハンマープライズ!」 「すっきゆでぶぢゃぁああああああ!?」 「ゆ?ゆ゛うううううううううう!?」 俺は特に意味の無い掛け声をあげつつ隠し持っていた金槌で絶頂に達した瞬間のゆっくり霊夢を一撃で叩き潰した。 ははははこの瞬間をこれまで待っていたのだ。 「どうじでええええええええ!!!おにいざんどうじでごんなごどずるのぉ゛おおおお!?」 一瞬前まで肉体を絡め愛し合っていた相手が餡子の塊になりはてゆっくり魔理沙は半狂乱になる。 『いやあああああああ!』『ゆっくりできないひとはかえってね!』『まりさのえっちー』 周りのゆっくりからも非難の声が上がったがそんなことは気にせず俺は別のゆっくりを取り出した。 「ゆ!?ゆっくりできないおにいさんとはいっしょにいられないよ!はやくはなしてね!」 つかまれたゆっくり霊夢が何か言っているがそんなことは気にせず俺は再び激しくゆっくり霊夢をヴァイヴレィションさせた。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ぅ!?ゆ、ゆゆゆゆゆぅ~」 俺の超絶テクニックの前に瞬く間に発情しとろんとした顔になる霊夢を俺は机の上に置いた。 こうなるともうゆっくり出来ないお兄さんなんてどうでもよくなる、大事なのは目の前のかわいいゆっくり魔理沙のことだけのはずだ。 「ゆ゛ゅ゛ゆ゛ぅ~!!!?」 再び繰り広げられる媚態。 「ハンマーチャンス!」 ゆっくり霊夢がイキそうになる寸前に俺は再びハンマーを振り下ろした。 「ゆ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 媚態と同じく再び繰り広げられる残虐劇、いやさ餡虐劇。 周りのゆっくり霊夢たちは一様に悲鳴と嘆きの声を上げた、ただ一匹を除いては。 「れいむのまりさにてをだすこはゆっくりしんでね!」 ゆっくり魔理沙の親友のゆっくり霊夢だ。 当初の予定通りなかなか面白い餡子模様になってきたが今はこの餡虐劇(グアンギニョル)を繰り返すのが楽しいので放って置いた。 っていうかノってきたぞ俺ヒャッハー。 「ゴルディオンハンマー!」 「すっきrゆわらば!?」 「ドッガバイト!」 「すっきゆわった!?」 「ハンマーミョルニル!」 「すゆってれぼ!?」 大分餡子塊が増えてきたところでそれぞれのゆっくりの様相も変わってきた。 「ゆ…ゆ…どうじで…」 連続交尾で息も絶え絶えのゆっくり魔理沙が俺に抗議の声をあげようとしているので耳を傾ける。 「どうじでま゛り゛ざばずっぎりざぜでぐでな゛いの゛ぉ゛お゛おお゛お゛!!!??????!!!!!!????」 待ちに待ったその言葉を聞いて俺はニヤリとした。 俺の拷問プログラム【ProjectO-nakin】が遂に実を結んだのだ。 そう、俺の考えたもっとも辛い拷問計画とはオナ禁、すなわち性欲を限界まで高め、尚発散させないことなのだ。 しかしただのオナ禁ではつまらない、そこで交尾の最中に相手を叩き潰してお預けを強制させ続けるという方法に出たのだ。 もし人間にこれをやったらPTSDから確実にインポテンツを患うだろうがそこはゆっくり、記憶力の悪さとその本能への忠実さからあっさり性欲に負けている。 【ゆっくりは非常に本能に弱く、しつけが難しいので注意してください】『ゆっくりの育て方Q&Aカラー図解付』P25より抜粋 と書いてあった通りだ。 そして他のゆっくり霊夢たちにも変化が出てきた。 「い゛や゛あああああああああ!ゆっぐりイ゛ギだくなゆ゛っ!ゆ゛っ!」 絶頂に達すると殺されるということを理解しだしたのだ。 しかし必死に俺のテクニックに対抗して性欲を我慢しようとするも結局は発情してすっきりしたところで金槌の餌食だ。 さて、そろそろ飽きてきたので次の段階にいきたいと思う。 俺はつかんだゆっくり霊夢に振動を与えずにそのまま机の上に放り投げた。 「ゆ?ゆ~これならゆっくりできるよ!まりさもゆっくりしようね!」 発情さえさせられなければゆっくり魔理沙と交尾して金槌でつぶされることも無い。 そう思ったゆっくり霊夢は笑顔で魔理沙に近づいていく。 「ゆ゛…ゆ゛おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」 「ゆ゛!?い゛や゛あああああああああ!」 次の瞬間ゆっくり霊夢はゆっくり魔理沙に押し倒されていた。 「ゆっぐりイギだく゛な゛い゛いいいいいいいいい!!!や゛め゛でえ"え"え"ええ゛えええええ゛!!!!!」 「ごべんね゛!ごべんね゛!でもぎも゛ぢぃ゛い゛んほぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!」 ゆっくり魔理沙は自分の性欲に負けてゆっくり霊夢をレイプし始めた。 「ゆ゛ぐぅ!ゆ゛ぐぅ!ゆ゛ぎもぢぃい゛!いぐぅぅぅぅ!!!!!」 「ゴルディオンクラッシャァアアアアアアアアア!!!!」 結局ゆっくり霊夢の方が早く絶頂に達し金槌の洗礼を受けた。 実を言うとゆっくり魔理沙の方にはゆっくりの繁殖を抑えるためのヤゴコロ印のゆっくり発芽抑制剤を混ぜた餡子を与え続けておいたので そう簡単に絶頂を感じることは出来ないようにしてある。 ちなみに薬代はまだ払っていない、永遠亭は支払いを気長に待ってくれるのでこういう時は本当に助かる。 ただ集金に来る兎と目を合わせると罪悪感で頭がぐるぐるするのが困りものだ。 「あああああああああああああああ!!!!どうじでえええええええ!!!!どうじでまりざがずっぎりするまえにづぶじぢゃうのおお゛!? ま゛り゛ざがぎもぢよぐなっでがらづぶぢでよおお゛お゛!!」 ヤゴコロ印の薬の効果の程とゆっくり魔理沙が完全に出来上がってケダモノと化したのを確認した俺は最初にしまった赤ちゃんゆっくりに手をかける。 「ゆ?」 「!?ゆっくりはなしてあげてね!ゆっくりはなしてあげてね!」 まだ状況をよく理解できていない赤ちゃんゆっくりと事情を理解して必死に俺に懇願するお母さんゆっくり。 俺はお母さんゆっくりの懇願は無視して赤ちゃんゆっくりを机の上に置いた。 「ゆー?ゆ!まりさおねいさんゆっくりあそぼうね!」 「ゆ゛ゆ゛ぅうぅぅうぅぅ……ゆ゛おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 さっき遊んでもらっていたゆっくり魔理沙の所に連れてきてもらってご満悦の赤ちゃんゆっくりはぴょこんぴょこんはねながらゆっくり魔理沙に近づいていった。 その無邪気な姿を見てゆっくり魔理沙は一瞬戸惑ったが限界まで性欲をお預けされゆっくりアリスクラスの性闘士(セイント)となったゆっくり魔理沙は かまわず赤ちゃんゆっくりの体を押しつぶして激しく体をゆすり始めた。 「ゆ゛ぎぃぃぃっぃい!?お゛ねえ゛さ゛んやめでえ゛え゛え゛え゛えええええええ!!!」 「い゛や゛ぁああ゛あああ゛あ゛あ!!や゛べでえ゛えええ゛ええ゛え゛え゛ええええ!!!」 「ゆ゛ごお゛おお゛お゛!れ゛い゛む゛ぢっじゃぐでぎもぢい゛い゛い゛よ゛ぉおお゛お゛」 「おねえざんどうじでごんなごどずるのお゛お゛おお゛!?ぼっどゆ゛っぐりじようよ゛おおお゛!!!」 「むほぉおおおお!!!むほぉおおおおおお!!」 「れ゛い゛む゛のあがぢゃんをばなじでぇえ゛え゛え゛ええええ!!!! ゆっぐりざぜであげでええええええええ!!!」 顔中から餡子汁を出して快感を貪り食うゆっくり魔理沙と いっしょに遊んでくれていたゆっくり魔理沙がなぜこんな酷いことをするのかわからず泣き叫ぶ赤ちゃんゆっくり。 赤ちゃんゆっくりを陵辱されて絶叫するお母さんゆっくりの悲鳴の三重奏が俺の部屋で奏でられた。 「うそ…こんなのうそだよね…みんなはやくゆっくりしようね…」 そして親友の所業を信じられないという面持ちで見つめるゆっくり霊夢が居た。 「ぼっど…ゆっぐりぢだがdぐべちゃあああああ!!!!」 『あああああああああああああああああああああ!?』 赤ちゃんゆっくりがついにゆっくり魔理沙の行為に耐え切れずに弾けとび、ゆっくり魔理沙とお母さんゆっくりは同時に悲鳴を上げた。 二匹の悲鳴の意味は全く異なったものだが。 「れ゛い゛む゛のあがぢゃんがあああああああああああ!!!!!!」 「まだずっぎりじでだいどにいいいいいいいいいいいい!!!!!!」 「ほーらそんなに悲観するなよ、まだまだお相手はたくさんいるんだから」 そう言うと俺は次々と赤ちゃんゆっくりを机の上に放り投げた。 『い゛や゛ああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!』 「ゆ゛…ゆっくりすっきりしようね!!!!!!!!!!!!!」 ゆっくり魔理沙に交尾を強要され次々と押しつぶされて餡子塊になっていく赤ちゃんゆっくり。 それを見てお母さんゆっくりは餡涙を流して暴れだした。 「そうかそうか赤ちゃんがつぶされて悲しいよなぁ…」 赤ちゃんゆっくりを全て潰させたところで俺はお母さんゆっくりに話しかけながら頭をつかむと机の上に投下した。 「ゆ…ゆ…ゆ゛っぐりじねま゛り゛ざああああああ!!!!」 「ゆぉおごおおお!?」 投下されるとすぐにお母さんゆっくりはすさまじい勢いでゆっくり魔理沙に体当たりを敢行した。 「おおっと!」 余りの勢いに俺の手作りの柵が壊れそうになって慌てて抑える。 「よぐもれ゛い゛む゛のあがぢゃんをおおおおお!!!」 「ゆぐぉっ!でぢゃう!あ゛んごでぢゃう゛う゛う゛」 命に関わるレベルで押し捲られてもしっかり体を振動させて快感を得ようとしているとは見上げた性欲だ。 しかしこのまま魔理沙が潰されてしまっては面白くない。 「むろ☆ふしっ!!!」 「ゆげぇ!?」 そこで俺は少し手加減して死なない程度にお母さんゆっくりを金槌で叩いた。 お母さんゆっくりの口から餡子が噴出す。 「ゆゆっ!すっきりしようね!いっしょにすっきりしようね!」 「ゆ゛べ゛ぇ!い゛や゛ぁ!い゛や゛ぁ!」 形勢が逆転したと見るやすぐさまゆっくり魔理沙がお母さんゆっくりを犯しにかかった。 なんという性欲、この魔理沙ならうまくセッティングすればアリスでさえレイプできるかもしれない。 どこかにちょうどいいゆっくりアリスがいないだろうか。 「ゆ゛っゆ゛っごべんね゛…おがあざんをゆ゛るじんほおおおおおおおおおお!!!!!すっきりー!」 「ま゛り゛ざも!ま゛り゛ざもすっきりさせてね!」 「もっこり断罪怒りの100tハンマー!!!!!」 「ゆばひょっぶ!?」 「あああああなんでま゛り゛ざだげえええええええええ!!!!!」 おっと変なことを考えていたら金槌を振り下ろすタイミングが遅れてしまった。 危ない危ない魔理沙を絶頂に達しさせてしまったらせっかくの楽しい拷問が終わってしまうところだった、失敗失敗。 そんなことをし続けて一刻半ほどたっただろうか。 「ま゛り゛さ゛も゛すっき゛りし゛た゛いま゛り゛さ゛も゛すっき゛りし゛た゛い ま゛り゛さ゛も゛すっき゛りし゛た゛いま゛り゛さ゛も゛すっき゛りし゛た゛い」 魔理沙が大分げっそりしてブツブツ言い始めた。 そろそろ潮時だろうと思い俺は最終段階に移ることにした。 「魔理沙や魔理沙や」 「ま゛り゛さ゛も゛すっき゛りし゛た゛いま゛り゛さ゛も゛すっき゛りし゛た゛い…」 「次の相手とはすっきりするまでゆっくりしてていいんだよ」 「ゆゆ゛!?もうとちゅうでひどいことしない!!?」 「ああ、もう途中で金槌たたきつけたりしないからゆっくり愛し合っていいんだよ」 「ほんと!?はやく!はやくすっきりさせてね!」 「そんなガッツかずにゆっくりしなって、ほら」 そう言うと俺は最初にゆっくり魔理沙と遊ばせていたゆっくり霊夢をそっと取り出して机の上に置いた。 「れいむ!れいむ!ハァハァまりさはれいむがいちばんすきだよ! まりさのだいじなはじめてのすっきりはれいむのためにとっておいたよ! だからはやくすっきりさせてね!」 ゆっくり魔理沙は親友のゆっくり霊夢とすっきり出来るとわかり大喜びでゆっくり霊夢に近づいていった。 「ざけんじゃねぇこのうすぎたないしろくろがっ!ゆっくりしねぇ!!」 「ゆげぇ!?」 無防備に近づいていったゆっくり魔理沙にゆっくり霊夢のカウンター体当たりがクリティカルヒットする。 「ゆ゛…な、なんでぇ…なんでなのれ゛い゛む゛ううううううう!!!!」 「まわりをよくみてから言ってね!こんなひどいことするまりさはゆっくりはやくしんでね!」 そういって餡子だらけになった机の上を見渡すと度重なる交尾で疲れきった魔理沙に ゆっくり霊夢が上に乗ってドスンドスンと飛び跳ねるとゆっくり魔理沙からビチッ、ビチャッと餡子が飛び散った。 「ゆげぇっ!ゆびゃあっ!やべっ!やべでれ゛い゛っぶべっ!?」 「れいむはしんじてたのに…ま゛り゛ざのごどじんじでだどに゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 上に乗っかってるゆっくり霊夢も餡涙を流すのであたりは飛び散る餡子ですごいことに、既に餡子まみれなので大差ないが。 「ゆべほっ!ま゛、ま゛り゛ざもずっぎりじだがっだの゛に゛い゛い゛い゛!!!!」 それがゆっくり魔理沙の断末魔となって、彼女は遂に潰れて死んだ。 それを確認して俺は金槌で上に乗っかっていたゆっくり霊夢を壁にたたき飛ばした。 ゆっくり霊夢はべちゃり、と壁際のゆっくり箱に張り付いてそのままずるずる落ちていく。 全てが終わり、俺の心は空虚さに支配された。 俺は昼食代わりにひしゃげて潰れたゆっくり魔理沙を手にとって口に入れた。 ああ、今ならわかる。 俺はゆっくり魔理沙が好きだった。 餡子付けの俺を慰めてくれる唯一の存在である彼女が好きだった。 だから、わかって欲しかった。 この胃のむかつき、もたれを。 だから彼女に同族の餡子を食わせ続けたのだ。 そして気付いて吐き出して欲しかった。 三食餡子尽くしの辛さを、擬似的にでも分かち合いたかった。 「どうして、どうして君はゆっくり餡子を三食ともあんなにおいしそうに食べてしまったんだああああああああああああああああああああ!!!!!!! うわあああああああああ!!!うわあああああああああああああ!!!!」 近所から苦情が来るまで俺の慟哭は続いたのだった。
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東方キャラが壊れてます。特に衣玖さん好きは要注意。 あとゆっくりが苦しまないのでそれも注意。 永江衣玖は急いでいた。 地震を伝えるためではない。 それは誰でもなく自分のため。 自分の心を満たすために家路を急いでいた。 それは昼下がりのことであった。 「おや、最近よくみるねぇ」と、昼間から酒を飲んでご機嫌な萃香。 「貴方も長いですね。宴会好きな貴方に天界は退屈でしょう」と衣玖。 「んー、そうでもないよ。ところで衣玖はどしたの? 天子なら神社だよ」 「またですか…」 普段は竜の世界と人間界の狭間に住んでいる衣玖だったが、先の神社倒壊事件以降天界にもよく顔を見せていた。 仕事が減って時間が余っているし、何よりもこの天界に住む比那名居天子(ひなない てんし)に会うためだ。 それまでは話す機会も少なかったが、前の事件をきっかけによく話すようになった。 性格のまるで違う二人であったが、不思議と馬が合った。 もっと仲良くなりたいと思っていた衣玖だったが残念なことに天子は博麗の巫女に熱心だ。 まあそれも仕方ないこと。自分から修羅場を作る訳にもいかない。 空気の読める衣玖は自分の心を隠していた。 「ゆっくりしていってね!!」 突然の声に衣玖の回想は遮られた。 「? それはゆっくりですか?」 「そ、ゆっくりだよ」 ゆっくりは知っている。最近幻想郷に出現した生き物で、幻想郷の有名人に似た顔をしていることで有名だった。 しかしなぜ天界にいるのだろうか。 いや、原因は目の前にいる子鬼しかいないだろう。 「暇つぶしだよ。こいつらで遊ぶと面白いんだよねぇ」 「だからといってここに住まわせなくても良いのでは。総領娘様もきっと許しませんよ?」 「あー、だいじょぶだいじょぶ。霊夢型のゆっくりあげたら納得してくれたから」 「ああ――なんてことを」 頭を抱える衣玖。何も嫉妬したわけではない。 総領娘様が許したことで食欲旺盛なゆっくりがこのまま天界で繁殖したらきっと大変なことになる。 美しい花畑も、桃の木も根こそぎ食べられてしまうだろう。 あの我が侭な総領娘様はそんな害まで考えてるのだろうか。困ったものだ。そう、決して嫉妬から否定したわけじゃないんです。 「衣玖も一匹欲しい? たぶん気に入ると思うけど」 「間違いなく要りません。そんな奇妙な生物など」 「きみょうじゃないよ!! ゆっくりはゆっくりだよ!!」 その場にいたゆっくりが何か言っているが無視する。 「そうかなぁ。虐めると反応が面白いんだけどねぇ」 「虐める…ですか。弱い者いじめとは貴方らしくありませんね」 「自分でもそう思うんだけどねぇ。まぁ衣玖もやってみなよ。ほら」 萃香は自分の背中から一匹のゆっくりを出す。 「ですからいりませ…って総領娘様??」 「うん、てんこ型のゆっくり。ここでゆっくりを交配させてみたら一匹だけ生まれたレアものだよ」 確かにそれは天子の顔にそっくりだった。顔はゆっくりのそれだが、桃のついた帽子や髪型は天子のそれであった。 「ゆっくりしていってね!!」 「でも言うことは変わらないのですね」 「まぁ結局ゆっくりだからね。それじゃあこのゆっくりも要らない? なら私が使うけど」 「…待ってください―――」 こうして衣玖は家路を急いでいた。 雷雲を普段とは比べほどにならないほど猛スピードで抜けていく。 「すごい! おそらをとんでるよ!!」 腕に抱えたゆっくりてんこが興奮してしゃべってる。 「でももっとゆっくり飛んでね!!」 さらに注文をつけてきた。 「だまりなさい」 要求を一蹴とするとゆっくりてんこはビクンッと一瞬震えたようだった。結局黙らなかったが。 そうして衣玖は自分の部屋へと着いた。 衣玖の部屋は竜宮の使い達の住む集合住宅の最上階。 竜宮の使い達によるダンスパーティーに優勝した暁に手に入れた素晴らしい部屋だった。 中に入るとゆっくりてんこは我が侭を言い始めた。 「お腹がすいたよ! ごはんよういしてね!!」 それだけではない。 「今日からここがわたしのおうちだね!」 なるほど萃香の言っていたようにかなりの傍若無人ぷりである。 「くすっ」 しかし衣玖は微笑んだ。やはり総領娘様のような我が侭で無ければいけない。 なぜ衣玖が微笑んだのかゆっくりてんこには理解できない。それよりも美味しい料理が欲しかった。 「ゆっ? ゆっくりはやくよういしてね!!」 「はいはい、待っていてくださいね」 「ゆっくりまってるね!!」 衣玖は台所へと向かわず玄関へ向かっていった。 鍵をかける。チェーンもしっかりだ。さらに窓にもカーテンをかけて中が見えないようにする。 これで準備は出来た。これで私がこの家でこれから何をするのか誰にも分からない。 「ゆっくりまってたよ! ごはんは!!」 部屋へ戻るとゆっくりてんこがぴょんぴょんと無防備に近寄ってくる。 顔だけなのに器用なものだ。そう思いながら衣玖は、近寄ってくるゆっくりてんこを、殴りつけた。 ごにゅっと妙な感触が殴った手に伝わる。 次の瞬間にゆっくりてんこは壁にたたきつけられていた。 「ゆ”っ!!?」 「総領娘様と同じ顔を殴ってしまいました。でもこれは挨拶代りですからね?」 衣玖は笑みを浮かべながら床にうつ伏せになっているゆっくりてんこへと近づいていく。 ゆっくりは痛くて泣いているのだろうか。それとも苦しんでいるのだろうか。 衣玖はゆっくりてんこを両手で抱えると、どんな顔をしているのかとゆっくりの顔を自分へと向ける。 しかしゆっくりの顔は衣玖の想像とは違った。 「ゆ、ゆっくりぃ」 泣いてもいないし苦しんでもいない。 ゆっくりてんこの顔は紅潮していて、口元からは涎が垂れていた。さっきのパンチで狂った? それとも――感じてる? 「も、もっと!! もっとゆっくりおしおきしてね!!」 「え、ええ??」 「いじめてね!! ゆっくりいじめてね!!」 ゆっくりてんこは衣玖に殴られて感じていたのだ。しかもさらに攻撃しろと言ってくるのだ。 「と、とんでもないマゾですね。さすがはあの総領娘様にそっくりなゆっくりですね」 衣玖は聞いたことのないゆっくりの反応に少し戸惑ったがすぐにどうでもよくなった。 本当は本物の天子を苛めたいのだが、立場上それはできない。 悶々とした気持ちを日々抱えていた。 しかし今日、総領娘様そっくりのゆっくりてんこを子鬼に譲ってもらえたのだが、 それが姿だけでなく性格も天子と同じように我が侭でマゾだったとは! 衣玖の心はフィーバーした。 こうなると普段は隠しているサドっ気を抑えきれなかった。 「そんなにいじめて欲しいならたっぷりといじめてあげますよ」 そう言うとゆっくりを抱える両手に電気を流した。 「あ”ばばばばばば!!」 大量の電気をその身に受け、白眼を向いて体中に走る激痛を受けるゆっくりてんこ。 苦しそうで痛そうだった。 「ぎぎぎもぢい”い”い”!!!」 しかしそれが気持ちいいらしい。 「そんなに涎を垂らして、だらしない顔ですよ。なんて気持ち悪いんでしょう!」 気持ち悪い、そう言われるとゆっくりてんこは悦しそうな表情を見せる。 「も”、もっどい”っでえ”え”え”!!」 「もっと言ってほしい? なんでそんな事をしないといけないのです?」 衣玖はそう言って床へゆっくりてんこを投げつける。 「ゆ”ゆ”ゆ…ゆ? も、もっとやって!!いじめて!!!」 さっきまで電流を流し続けたというのにすぐにケロッとしてお仕置きをねだってくる。 マゾなゆっくりはタフだった。 「おねがい!! ゆっくりいじめて!! ゆっくりしていって!!」 「だまりなさい。ゆっくりしたいのならそこでぼーっとしていればいいのです」 「ゆゆ~っ!?」 ゆっくりてんこは虐めてくれた相手が突然虐めてくれなくなったのでどうすれあいいのか分からなくなった。 もっと虐めて欲しい。汚い饅頭だと罵ってほしい。自分の心を満たしてほしかった。 そのためにはどうすれば―― (必死におねだりまでして浅ましいですね。総領娘様もそんな感じなのでしょうか?) そうやっておねだりする総領娘様を想像して、衣玖は嫌な気分になった。 と、その時だ。 ガシャーン!! 突然部屋の壺が割れた。いや、ゆっくりてんこが床に落として割ったらしい。 続けて花瓶も床に落とす。さらに床に落ちた花を汚く食す。 「なにを…」 言いかけたところでゆっくりてんこは言う。 「おねえさん! いたずらしてつぼをわっちゃったし、きちゃなくおはなもたべちゃったよ!!!」 「だからわるいゆっくりにおしおきしてね!!!」 なんということだろう。このゆっくりはお仕置きしてもらうためにワザとこんな事をしたのだった。 なんという我が侭なマゾ。 それはまさに成敗されるために博麗神社を倒壊させた自己中心的な天子そのものだった。 「そういうことですか。ならもっと虐めてさしあげましょう」 衣玖は最大級の笑顔でゆっくりを蹴り飛ばした。 「い”だい”よ”!! ぎもぢい”い”よ”!!」 愉悦の表情で蹴飛ばされるゆっくりてんこ。とても幸せそうだ。 壁にぶつかって床に落ちるゆっくりを衣玖は休む間もなく攻め立てる。 「もっと欲しいんでしょう? だったらもっといい声をあげてくださいね」 上向きに倒れるゆっくりてんこを足で踏みつける。 「ゆ”ぐっ!」 苦しそうで嬉しそうな声をあげる。 天子似の顔を踏みつけることで衣玖の心は更に満たされる。 「ふふっ、踏むだけじゃないですよ」 衣玖は左手を腰に、人差し指を立てた右手を天に向ける。 雷符「エレキテルの龍宮-弱-」 ゆっくりを踏みつけた衣玖周囲に雷のバリアが発生する。バリアといっても衣玖以外はダメージを負うが。 本来は大妖怪相手でもダメージが期待できる程のスペルだが、ゆっくり相手なので威力を落としてる。 「あ”あ”あ”~~!!ゆ”っぐりい”い”よ”お”お”!!」 全身を駆け巡る激痛にすっかりヘブン状態のゆっくりてんこだったが、 スペルを発動している衣玖はヘブン状態どころか完全にサタデーナイトフィーバーだった。 「ああ…これです。これをやってみたかったんです! 総領娘様に、天子様にこれを!!」 衣玖は感極まってさらに電圧を上げる。 「あ”っ~、ゆ”っぐりい”っぢゃうよ”!!」 「何を勝手にイこうとしてるんですかこの不細工饅頭」 ぎゅっとゆっくりを踏む足に力を込める。 「い”っぢゃう!!」 ゆっくりてんこは全身から粘性のある液を噴き出した。 「すっきrんぐうっ!?」 オーガズムに達してすっきりしたゆっくりてんこをつま先でぐりぐりと潰す衣玖。 彼女はまだ満足していない。天子相手にしたかったこと、そのすべてをやろうとしていた。 「あら勝手にイって満足しないでくださいね。夜はまだまだこれからなんですから」 「ゆ”っ…っぐりーー!!」 衣玖の激しい攻めにまたも悦びの声をあげるゆっくりてんこ。 この一人と一匹は本当に相性が良かった。 結局衣玖の霊力が尽きるまでこのハードSMは続いた。 「はぁはぁ…少し、フィーバーしすぎましたね」 あまりの激しい衣玖の攻めにゆっくりてんこは絶頂のアヘ顔で絶命してしまっていた。 しかしその頭から蔓がのび、その先にゆっくりてんこが二匹実っていた。 どういう原理かはわからない。ただ虐めに虐め抜くとてんこは子を宿すようだった。 衣玖としては虐める対象が一匹から二匹に増えただけ。それで充分だった。 (この二匹が目を覚ましたらまた虐めるとしましょうか。一匹は透明な箱にでも入れて放置プレイもいいですね) 天界に住み着いた子鬼に譲ってもらったゆっくりてんこは衣玖の隠れた性癖を満たす最高の玩具になった。 そのゆっくりてんこは死んだが虐めてくれる最高のご主人様に出会えて幸せだった。 目を覚ました二匹のゆっくりてんこに衣玖は笑顔で語りかける。 「おはようございます。貴方達はゆっくりしたい? それとも虐めて欲しいですか?」 「ゆっくりしたい! ゆっくりいじめてね!!」 衣玖は妖しく微笑む。 こうして衣玖もまたゆっくり虐め(てんこ限定)に熱中してしまうのでした。 続く 合意の上ならいじめても仕方ないよね! 俺の中のキャラ設定 衣玖さん : 隠れサド。天子をいじめたいと常に思っているが立場上出来ないので悶々している。 天子 : 真正マゾ。お仕置きされたいがために神社を潰した。今日もお仕置きされるために神社の賽銭箱をプチ要石で潰した。 ゆっくりてんこ : オリジナルの性格を受け継いているので真正マゾで構ってちゃん。 この設定で続き書くなら一匹だけ虐めてもう一匹を透明な狭い箱に入れて放置プレイで苦しませてやりたい。 構ってもらえないうえに、動けないんで気を引けなくて発狂するゆっくりてんこ。 そして虐めてもらえないまま…みたいな。
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ゆっくり井戸 2KB アマギンさんのイラスト「そして憎しみだけが残った」をリスペクトして書きました。 「みんなのかたきだよ……!」 村の外れの井戸の前、ゆっくりまりさがいた。 その口にくわえているのはスズラン。人間にもゆっくりにも毒となる花だ。そのまりさ は、親ゆっくりから教えられてその毒性を知っていた。 スズランを教えてくれた親ゆっくりはもういない。 先日、大規模なゆっくり狩りがあった。留守の家に侵入して荒らし、畑の作物を食い散 らかしゆっくりは、人間にとって紛れもなく害だ。その結果は必然であり、自業自得に他 ならない。。 だが、当のゆっくりたちにはその理屈がわからない。 自分たちは素敵なおうちを見つけてゆっくりぷれいすにしただけなのに。 自分たちは勝手に生えてくるお野菜を食べただけなのに。 自分たちは、ただ、ゆっくりしたかっただけなのに。 人間達は、無惨に無慈悲にゆっくりたちを殲滅した。 このまりさは幸運にもゆっくり狩りから生き残っていた。その命を繋いだのは囮になっ てくれた親ゆっくりのおかげだ。 とても優しい親だった。おうたが上手だった。やさしくすーりすりしてくれた。いつも 食べ物を取ってきてくれたし、いっしょにむーしゃむしゃすれば最高に幸せだった。 いつもゆっくりしていて、いつもいつもまりさをゆっくりさせてくれる最高のゆっくり だった。 それが、もう、いない。 おとなりのれいむも、ものしりぱちゅりーも、みんなみんな人間に潰されてしまった。 仲間はみんないなくなってしまった。 だからまりさは決意した。 みんなをゆっくりさせなかった人間を、ゆっくりできなくさせてやる、と。 親から「ゆっくりできなくなるからぜったいむーしゃむしゃしちゃだめだよ!」と聞い ていたスズランを用意した。人間に見つからないように井戸の前まで来ることができた。 だが、ここでまりさに躊躇いが生まれた。 自分がしようとしていることは、正しいのか、と。 親ゆっくりはいつもみんなをゆっくりさせてくれた。自分もそうなりたいと思っていた。 だが、自分は今、人間をゆっくりさせなくしようとしている。 それでも、 「まりさはゆるせないよ……!」 まりさはスズランをくわえたまま井戸に飛び込んだ。 まりさは人間がゆるせなかった。しかし、人間をゆっくりさせなくしようとしている自 分もまた許せなかった。 だから死ぬつもりだった。生き残ったのはいいが、もう他のゆっくりはいない。いっぴ きじゃゆっくりできない。 人間を道連れにして、死ぬ。 それがこの親ゆっくりの教えを正しく受け継いだ善良なまりさの導き出した結論だった。 井戸の底へと落ちていくまりさの顔は、どこか安堵したような、どこか皮肉げな笑み― ―本来のゆっくりの笑みを浮かべていた。 そしてまりさは水の中に落ち、スズランと共にゆっくりと溶けていった。 まりさは満足だった。 なぜならまりさは知らなかった。 村には既に水道が通っており、この井戸など使われていないことを。 たまに子供が井戸で遊んでいるのを見て、ゆっくり達が人間の飲み水はこの井戸だと誤 解していたことを。 だからまりさは満足し、最後にはとてもゆっくりし、無意味に死んだ。 触発あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る まりさに死ぬ間際に教えてあげたい -- 2016-01-31 13 11 43 ざまあww -- 2014-05-26 18 37 04 俺もこのゆっくりの誤りは無知から来てると思う。 元ネタがある以上仕方ないかもだが、もっとこう、ゆっくりの独り善がりな描写が足りなかったと思うことは思うかな -- 2013-01-13 06 27 38 ↓×4 そもそもゆっくりの習性の元ネタになった民族が“同じ知識レベル”で、かつ日本(人間)に対して同じ状況を作ってるじゃないか もっとも、現実世界の人間(日本人)にもゆっくりんピースと同じメンタリティの人間がいたり、ゆっくりには反映させ辛かった買収やシンパの醸成行為という厄介な方法も駆使しては来るが -- 2012-08-22 18 28 58 知らずに幸福に死ねたんだしいいんじゃねww -- 2012-08-16 23 30 30 このページ消えろよ -- 2012-04-03 08 04 49 ゆっくりくるしみをあじわってしんでね!(金バッジ付飼いゆっくりの言葉) -- 2012-03-22 18 09 31 ここで出てくる復讐って価値観の違いよりも無知から来てるよね。 自分は勝手に生えてこないのに野菜はそうだと思ってる。自分は家を空けることがあるのに留守にしているだけの他人の家って発想は出てこない。 もし人間が同じ知識レベルで同じ状況になったら、このまりさみたいな気持ちになってこんな独り善がりなことするんだろうか。 -- 2012-01-29 14 55 40 ↓なんだって?習ってなかったぞ!?中学か?高校か?それとも大学か? いつ出るんd(ry -- 2012-01-28 19 12 52 「ゆっくりと人間はエゴの塊」 ここ、テストに出ますよー -- 2011-09-18 21 17 33 なんで投げ込ま無かったの -- 2011-03-04 08 24 56 ゆっくりが死ぬと心が躍る!!(某大隊長の少佐の証言) -- 2010-12-03 23 00 43 犬死に!無様!!hahahahahahahah!!! -- 2010-11-27 12 17 13 アマギンさんは美鈴書いてる時が好きです -- 2010-10-16 23 08 06 ↓差別が嫌いと言うわりには猛烈に差別的発言をしてるじゃないか。 -- 2010-10-07 07 51 34 >こういうのを見ると人間とゆっくりって本質的にはほんと大差ないよなあと思う 自分に非があるか考えないで全部正当化する人間なんて中国人と朝鮮人もどきくらいだよ 私は差別とゆっくりと朝鮮人が嫌いです -- 2010-10-03 15 39 35 ゆっくりと人間の戦いは続く… -- 2010-08-07 00 16 46 このまりさに聞いてみたい「お前らのゆっくりの為に人間のゆっくりを踏みにじっていいのか?」と -- 2010-08-06 22 38 17 こういうのを見ると人間とゆっくりって本質的にはほんと大差ないよなあと思う 無意味だったけど最後の最後に穏やかに死ねたのは意味のある死に方だと思うわ ただ、このまりさは親に救ってもらった命を無駄にしたのは馬鹿だと思う -- 2010-07-23 14 23 05 でも、子供が遊んでるときに井戸の水をのでくれたら・・・ -- 2010-07-23 14 11 03
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「ゆっくりしていってねーゆっくりしていってねー」 別にゆっくりが言っているわけではない、ここはゆっくり加工所 牛や馬の厩舎のようなつくりの中で、ここ幻想郷で現れた謎のイキモノ ゆっくり種を加工するところだ ゆっくりたちは驚くことに「生きている饅頭」とでもいうもので 食事や生殖を行い、しかしその体はあんまん肉まんクリームまんなどの饅頭である 「「ゆっくりしていってね!」」 多重音声で答えるゆっくりたちに野菜クズや草などを与える ここはゆっくり霊夢、魔理沙、アリスなどを混成で育てるという場である 広さは10畳程度、地面は土でところどころに鶏を育てるような小屋がある 屋根と網で囲いがしてあるのは内部の逃走を防ぐ役割の他空から迫る捕食種のゆっくりレミリアに対する処置である 数人の男たちがそういういかにも動物の餌を振り撒きつつ、口にする言葉は 「ゆっくりしていってねーーゆっくりしていってねー」 念仏を唱えるように続けるとゆっくりたちがそれに続いて 「ゆっくりしていってね!」とつづけながら撒かれる餌に飛びつく 「うわっ」 そのうちのある男が足元に当たったものを見つけて飛びのく 金色の髪のゆっくりが地面に突っ伏している 「これはゆっくりアリスか、死んでるぞ」 持ち上げると、その顔は強張っており口からぼろぼろと土がこぼれる 「おおこわいこわい」 側に居たゆっくり霊夢と魔理沙が目を細め、体を寄せ合うと なんともうさんくさい表情でそんな言葉を吐く 「こいつどうしたんだ?」 普通、動物を飼ってる厩舎などでは死んだ動物の死因を突き止めるのは人間の仕事だが ゆっくり種の場合は他のゆっくりに聞けば返ってくる、その点は楽だ 「とかいはだから、ほどこしはうけないんだってー」 「あんたたちよくそんなのたべれるわね、とかいってたぜ」 「都会派?なんだそりゃ」 くだんのゆっくりアリスを持ち上げ見てみれば随分とほおがくぼんで髪などの色艶も悪い するとふたたび「おおこわいこわい」をはじめた2匹をぽんぽーんと蹴り飛ばし 年かさの男が近づいてきた。 2匹は「ぷんぷん」と怒ったが少し遠くに餌を投げるとすぐ忘れたように追っていった。 「ゆっくりは死んだやつあざけるのが腹がたつがやー」 少し年かさの男は訛っている 「アリズは外で知恵をづけっど、それにとらわれるんだなや、餌のえりごのみしやる」 「そうなんですか」 「動物のながには鳥とかのう、野性のもんをかおーとすっと、出される餌くわんとしんでしまうやつもおるけどのお、なんかそゆのとはちがうみたいやの」 訛りは幻想入りした日本語のため、分かりにくい部分もあるが 彼は元猟師、要するに習性か、プライドとでも言おうか、ゆっくりアリスは他のゆっくりたちより自分が特別でないと気が済まないという種であるらしい それでも孤立して暮らしていくには種として脆弱過ぎるため群れなどを利用するわけだが ある程度バラバラの群れを渡るようにして暮らせる野生ならともかく、いや野性でもそうなのかもしれないが 自分を精神的上位に置くという、そんなことを気取ってみても少なくともこの場では餌も居場所も一律のものが与えられている、群れはこの厩舎内のすべてのゆっくりでひとつで野性でもゆっくり種にどれだけの格差をつくりだせるものか、その結果現状を否定しつづけるうちに衰弱して死んでしまうようだ 「こいつら全部ココ生まれだぞ?どこから都会派なんて概念を知ったんだ?」 「つっても親は野性のもんやろ?親が教えたんかもしれん、そうでなくてもカラスはカーとなくげんどもな、ハハハ」 他方に餌をやりに行っていた、比較的がっちりした体型の男がゆっくりアリスを抱えて脇に挟んでと合計3匹ほど抱えて来る 「ありすはとかいはだもの、とくべつあつかいはなれてるわ、えすこーとはまかせるわ」 ゆっくりアリスはなんだか口々に若干甲高い声で喋っているが 解せず男は言う、ゆっくりは言葉は通じるが考えが狭く自分勝手で会話は疲れる 「どうします?アリス種はまた数を減らしてるみたいですよ、餌を食わない以外にどうも喧嘩を売って殺されたり、発情時の危険を知ってるらしい成体にやられるようですが」 「うーん、ここは自然から獲ってくるのではなく、できるだけ自然に近い味のゆっくりを人の手で育てられないかということでやってる厩舎だからなあ、だから種別もばらばらでやってるわけだし」 いわゆる地鶏ならぬ地ゆっくり(じゆっくり?)だろうか ふとゆっくりアリスを踏んだ男が見やると 用意した障害物の切り株や小屋の影に数匹の金色の影が隠れたのが見える ああ、と何か理解してがっちりした体型の男に抱えたアリスらを離すように目線を送り 答えてその持って来られたゆっくりアリスが放たれる 他のゆっくりが「うめ!めっちゃうめ!」などと餌に夢中なのに対して 「まあ、わたしはべつにどうでもいいんだけど、わたしのどこにそんなみりょくがあったのかしら、まったくわからないわ、ふふふ」 と誰ともなく自慢?をしているようだ もちろん食べるのに夢中で相手にしているゆっくりは居ない その3匹以外のゆっくりアリス以外は・・・ 餌も食べずじっとりとその3匹を見てる。苦渋の表情を浮かべたのは人間である 「同士打ちもするようだな、こりゃ」 「すみません」 がっちりした体型の男はその身を縮めてしまう ゆっくりアリスを踏んだ男はいいよと返しながらそのがっちりした男に向かって述懐する 「野性でもあの旺盛な繁殖能力でゆっくりアリスの数が少ないはずだ、ゆっくりアリスの群れの外からの視点が、いわゆる群れの思考の凝固を防いでいるようなところもあるんだろうが 脆弱なゆっくりなのにこんなに群れに馴染まない性質をもつとは頭が痛いな ゆっくりパチュリーなんざこんな実験段階の厩舎にまわってこないし こりゃあ、発情で全部ゆっくりアリスになるとかの状況の前にゆっくりアリスが死滅してしまうぞ・・・ゆっくりアリスだけ餌を特別にやるとか何か考えないと」 「さすが元学者さんはゆっくりに詳しいですね」 がっちりした体型の男が賞賛の言葉をかける、元学者という男は頬を掻くが じっとゆっくりアリスを観察しながら年かさの猟師の男が言う 「いや、それはあかんやろ」 「そうですか?」 「いくらゆっくりでも特別扱いしたら不満に思う、フリだけで本当は皆と同じものしか食わさないとしてもなあ 牛や鶏でもそうなんだから、ゆっくりがそうでないという保障もねえや そういうことばっかりめざいといような生ぎもんだしな あとゆっぐりありすはどうもこうやって飼ってる以上は増えないようだど?」 元学者の男は目を見張ってゆっくりアリスを見やる ちょうどまださっきの特別扱いされたと思っている3匹のゆっくりアリスが 誰にも聞かれてない自慢を、ほぼ涙目になりながら続けているおかげでほかのゆっくり種はともかく、ゆっくりアリスは全部動かずにじっとり目線を送り続けている、すばやく数を数える 「本当だ、減ってるけど増えてない、ゆっくりアリスは繁殖すると子が全部ゆっくりアリスになるとか5分5分じゃなくて半分以上の子がゆっくりアリスになるというけど」 「普通は動物っていったら取れる餌が多くなって増えすぎるもんだが ゆっぐりありすはどうも取れる餌が少なくなると、群れを圧倒するために増えるよだな なんともはや」 どうもゆっくりアリスは、自分のためだか意図せずか、自分で自分で命綱のはずの群れの生態バランスを崩しにかかりすらするらしい 元学者という男があきれたようにゆっくりアリスを見やる そろそろ、三匹のゆっくりアリスたちは無視を続けるほかのゆっくり種に偶然をよそおって体当たりし注目を向けさせようとしているようだ、返り打ちにあって踏みつけられた。 「なんでこいつら野性で生きていけるんだ」 思わずこぼした言葉にがっちりした男が身を縮めながら答える またゆっくりアリスが減らないかと気が気でないようだ 「たぶん人間の顔と言葉を持つからだと思います。熊とかでも歌いながら歩くと襲われないといいますし、で妖精や妖怪が避けるのは・・・」 男は大柄な体をさらに縮めて言葉を続ける 「たぶんその人間のなかでも特別な顔に似てるからではないかと・・・」 学者の男は肩をすくめる たいてい妖怪同士が繰り広げる弾幕勝負は死と隣り合わせの幻想郷の神秘、娯楽だが それに参加できる数少ない人間、その人間の顔をぎゅっと潰して中途半端に膨らませるとゆっくりたちの顔になる、どうも本人たちは不本意のようで口にするのも失礼なようだが それでゆっくりたちが生き残ってるというなら、毒蛙のふりをする無害な蛙や毒蛇のふりをする無害な蛇のようなものだろうか 「わしも猟師の仕事があがったりじゃけん、でかせぎにきとるんよ たいていの動物は人間の声で逃げるでの」 思考の海に沈みかけた元学者の男に別方向から声がかかる 「おーいまたやってるぞー」 男が瞬間で思考から戻り、顔を上げ声の元にいく 「ここはれいむのおうちだよ、じゃましないでね!」 「またやったか」 厩舎の端に餌やりの全員、総員6名がそろっている それほどの事件とは 「おまえら言っただろ、それはダメだって」 「あそこはダメになったからここにしたんだよ?ゆっくりでていってね」 主張によると場所を変えたからいいだろうということらしい そこには通称十分育ったお母さんゆっくりこと、ゆうに1m以上の大きさのゆっくり霊夢が半分ほど土に埋まって鎮座していた。 絵面はどうもユーモラスだが、またやらかしたこととはその掘った穴のことだ 「ここでは穴を掘るのはやめてくれと言っただろう」 「しらないよ!ぷんぷん、あかちゃんたちがゆっくりするためにひつようなんだよ、れい むのうちだよ!ゆっくりさせてね!」 「お前が産んだ子は加工されて居ないよ、それは未熟だから代理母を頼んだだけなのに」 「ゆ?わかんない、ここはれいむとあかちゃんたちのいえだよ!」 「ていうか3日前に来たやつだろコイツ、まあ大した母性本能だな」 話は平行線である 元学者の男だけが無言でその様子をみていた。 なんとそのゆっくり霊夢は今も土を食べて穴を掘っているのだ 「はぐはぐはぐ、むーしゃむーしゃ」 「掘るんじゃねえ!」 職員の全力の蹴りが飛ぶ そういえば食事をえり好みするくせに排泄をしないゆっくり種は、代わりにありえないほどの回復能力を持ち、形態としては単細胞生物や植物に近いと永遠亭の研究結果があるが 「ていうか、こいつら餌って土でもいいんじゃねーの?」 「いや、まあ一応は食料となるもの以外を食わせると回復力も味も落ちる一方なんだがな、そもそも普通は口にしようとしない」 さっきまで餌やりをしていた立場からすれば土などを食われてもということだ 土を穴を作るほど食うなどミミズのようである 「どうも子供が居ると一定の場所、巣を求める性質のようです。」 「熊とかといっしょだなや、しっかしそんなしょっちゅう穴も掘っとれんだろに」 「大きい固体ですからね、ココ育ちで経験は無いはずですが・・・本能でしょうか」 一人の男がボロ布を手に巻いて無造作に穴掘りを続けるゆっくり霊夢の下に手を突っ込む 「ゆっくりさせてねッ!!がじ!」 「あーこれだけ大きいと流石に噛まれると痛いねー」 そんなことを言いつつ何事も無く、口を取っ手か何かのように基点にして担ぎ上げると穴から出す。皆心得たもので数人で踏みつけて穴に戻るのを阻止する 「れ゛い゛む゛のおうちーーー!あかちゃんたちがーー!」 「「ままー」」 「あーはいはい、とりあえずもう穴はやめろよ何度やっても無駄だ」 足蹴だ、蹴飛ばすように足で穴からちび霊夢たちを蹴り出す。 「ぷんぷん、おにいさんはゆっくりできないよ、ゆるさないよ」 「あーはいはい、その頭で明日まで覚えてられるなら憶えてろよ、俺は今日はこれで上が りだ、メンバーかわんねえのに誰の顔も覚えたことなんてねえだろ」 「ひどいごとされると顔憶えるが恩義はすぐに忘れるみてーだなや、犬猫と逆や」 「回復能力が高く雑食だから恩義で懐くより利用に頭が向いてるんだろ」 ボロ布を巻いた男に声がかかる 「噛まれて平気なんですか?」 「あーどこまで大きくなってもこいつら噛む力は人間並みだから、普通そんなに噛む力が 強い動物は口がアゴから出てて噛むのを得意とする形状してるだろ、犬とかな こいつらは人間の言葉を話せる代わりにそのへんが弱いのよ、だから餌も食い散らかす 本来は虫とかの一口大の大きさのものを丸ごと食べるか、柔らかい草木をむしりとるよ うに食うんだ、それしか出来ないというのだろうがな」 「だが餌をいちいち一口大に切り刻んでというのは手間がかかる」 「動物が硬い獲物をぐうときは首をこっ、こうやって捻ってちぎるんだども、こいつら首ねえしなあ、顔が地面にめりごんじまう、ハハハ」 「ゆっくりが信条だから食事も楽しむようだしな、むーしゃむーしゃしあわせーってか」 「鼻がないから噛んでも長時間保てないとかも聞きます」 「とりあえず食事のことはいい、この穴だ」 皆はしげしげと穴を眺めた。 太い穴には小さな横穴が掘ってあって、そこに小さなゆっくりがおさまっていた。 小さなゆっくり霊夢が食べて掘ったらしい、このおうちとやらは完成すれば、入り口から直径一メートルの穴が続き奥で小さな分岐がいくつかある、キツネなど巣のようになったはずだ、聞くところに寄ればそういう動物の巣などを怒鳴って追い出し占有するとも聞く 動物だけじゃなく人間の家すらそれをするらしい とりあえずゆっくりを全部巣穴から放り出し、目の前の問題としてはこのゆっくりの巣穴は埋め戻しが困難なことだ、掘った土が無い 「野性だと口に含んで吐き出して掘るそうですが、それをしないのは餌が十分あるからでしょうね、捕食種も居ないから体力が落ちても襲われる心配がないというのもあるでしょう、どうしますか」 「あーあのへんな道具屋の一輪車とやらを買えばよかったー」 「結構手間ですよ、もう何回目でしょう・・・」 「やれやれ・・・」 ほおっておけば厩舎が崩れかねない、穴に落ちてごく小さな種が潰れて死んでも困る そもそも一定のテリトリーなどを許せば、排除行動も行うだろう 前提とした厩舎のつくりになってないという人間側のミスの問題もあるだろうが・・・ ずーんと暗い空気のなる人間をよそ目に一匹のゆっくり魔理沙が巣穴に飛び込んだ 「ここはまりさのおうちだよ!でていってね!」 「ちがう!れいむの!」 相撲取りが太ってると強いという論理でゆっくりの大きな個体は強い 体全体の押しつぶしや体当たりは、その個体より小さな個体はほぼ圧倒する その分大きくなるほど動きは鈍くなる、高く跳ねることはできないし小回りも効かない 足が無いからふんばりが効かず動物や人間などを押し倒すことなど不可能だ、よほど地面に伏せている、寝てるなどと身を低くしているところに押しつぶしを食らえばそれなりにダメージはあるだろうが しかしどこまで行っても体は饅頭で攻撃法もそれ以外無い、飛び跳ねる足音?も相当響く野性では動物はそれで存在自体を避けるようだ つまり、どんなに大きくてもやっぱり人間に足蹴にされて簡単に排除されてしまうわけだ 「いたいよ!せっかくまりさのおうちになったのに」 「あーおら!貴様自分で掘るのはダメでも他人の掘ったのを奪えばいいって腹だな」 「おにいさんがんばってね!れいむのおうちをまもって!」 「あー!!守らねーよ!ここは埋める!誰の家にもしねえ!」 「小屋もあるけど体が入らないのか、もっと大きな小屋が要るのかなあ」 「これ以上おっぎな家となるとぉ、牛が飼えるようになるぞハハハ」 「この場所では無理ですね、この大きさのゆっくり霊夢はまだ3匹くらい居る、元は交配用の処分物を幼児種の育成にもってきたのにどんどん大きくなって」 「餌がいいのかねえ、それとも運動が足りないのか」 「こいつら成長はしても肥え太るというのは聞きませんけどね」 ふと会話は止まり、視線はずっと無言の元学者の男に集まった。 彼はここの責任者だった。 「・・・」 元学者の男は考え、そして端的に言った。 「ここの育成は問題があるから最初からやり直す」 他の五人からはため息とともに嘆息の声が漏れた。 「そして自然のままに育てるという目的は果たされていないため、全部商品にならない 品質のため全処理を行う、撤収」 巣穴はなんと手近な小屋をひっくりかえして突っ込むというぞんざいな方法で埋められ 「れいむのおうちがー!」「まりさたちのおうちがー」などという被害の声を無視し 人間は全員が厩舎から出て行く 「ゆっくりしていってね!」 ゆっくりはさようならもそんな言葉だ 人間皆が哀れみの表情を浮かべているのに気づかない 夜はほどなくして訪れた。 厩舎の明り取りに程度しか開かないはずの天窓部分が全開に開き 人間の声がさっきの地ゆっくりたちの厩舎の天井からする 「はい、う゛っう゛ーはい、う゛っう゛ー」 薄い天井を歩き回る人間の足音にいぶかしげに天井をみやるゆっくりも居るが 大抵は睡眠欲のほうが勝って眠りに入る、すっかり警戒心を失っているのだ それに人間でない子供のような舌足らずの声が返る 「う゛っう゛ー♪」 ここで俯瞰してゆっくり加工場全体を見てみよう 加工場は広く、その施設の中でも鉄の骨組みに編んだツタなどの網で数本の木を丸ごと包んだ、巨大な鳥かごのような施設がある その鳥かごは四方八方に腕のようにトンネルが厩舎の格施設の天井に繋がっているようだ。これが現代ならそのようなものを空調の配管などと答えるところだが空調などではない、そのトンネルは直径一メートルを越えた太さで金属の網製だからだ 「「う゛っう゛ー♪う゛っう゛ー♪」」 処理が開始される 捕食種ゆっくりレミリアが食べるのは他のゆっくり種 加工場では加工に回されないゆっくりをトンネルをつたってその厩舎に行って食べる 要するによほど特別に育てられてる種でないかぎり他ゆっくりの処分に使われてた。 これは工場部の逃走したゆっくりの駆除などにも使われているシステムだ やっと地ゆっくりたちが天井からやってくる天敵に気づく 「まりさはみないこだね?ゆっくりしていってね」 「なあにーれいむねむいー」 「とかいはのありすはりゅうこうにびんかんよ、と・ともだちになってあげてもいいわ」 「「ぎゃお~たべちゃうぞ~♪」」「「う゛っう゛~♪」」 ゆっくりたちは夜目が利かないらしく気づかないようだ もう天井を埋め尽くすほどゆっくりレミリアの大群が存在するのに よたよたぽとんと、とても他の鳥と比較するには無様な様子でゆっくりレミリアが降りる そこにゆっくり魔理沙が近づいた。 「しんがおか?ここはうまくはないがたべものもあるし、ゆっくりしていってね!」 「がぁお~♪う゛っう゛~♪いただきまーす」 「えさはにんげんがもってくるんだぜ?」 会話は成立せず、ゆっくり魔理沙のもちもちのほっぺは半分欠けた。 「むーしゃむーしゃ、う゛ーでりしゃーす♪」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛な゛なんでこんなことするのお゛ーーーー!?」 「おいっしーよ、まりさおいしー♪」 ここに至っても双方にコミニケーションは無かった。 再び牙か八重歯だかの見える口でゆっくりレミリアがゆっくり魔理沙の頬にかぶりつく 「や゛め゛でぇぇぇぇたべないでーーー!ゆっくりできないよお゛ーーー!」 振りほどくようにゆっくり魔理沙がその場で身を翻すと、伸びたほっぺがぶちんと切れた。 「まりざのほっべち゛ぎれ"たあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 ぽろぽろとみずみずしく光る餡子が落ち、すかさずゆっくりレミリアが舌で舐め取る 「もーぐもーぐ、しあわせー!う゛っう゛ー♪」 「まりさしあわせじゃないー!ゆっくり゛できない゛ーーーーーー!」 目の幅涙を流しながら訴えるゆっくり魔理沙の声は無視されて今度は帽子が奪われる ゆっくりレミリアには、いわゆるゆっくり種の特徴、飾りを食べ残す種も居るが 「むーしゃむーしゃ、おつなあじーう゛っう゛~♪」 このゆっくりレミリアは好き嫌いが無いらしい 「やめ゛て、やめ゛て、やめ゛て、やめ゛て」 その後も会話は成立しなかった。 頭が欠け、目が片方欠け、口が半分になるころには声も出なくなり ゆっくり魔理沙はすべてゆっくりレミリアの食事となってゆっくりと腹?に収まった。 そんなことが厩舎の全域で起こっていた。 巨大なゆっくり霊夢は数匹のゆっくりレミリアにたかられ、バラバラ千切られ 逃げ回っていた小柄なゆっくり魔理沙はちょうどジャンプの頂点で噛みちぎられ落ち 口八丁でゆっくりレミリアに取り入ろうとしたゆっくりアリスは会話を解されず 「とかいはのありすにはあ゛りえないよー」などとのたうちまわりながら食われ 小屋に逃げ込んでも、小屋はこの処理を前提にして壁が丸ごとない構造 そもそもゆっくりが入れる小屋にゆっくりレミリアが入れない道理もなく 小屋に逃げたゆっくりは小屋で二人きりゆっくりと捕食されることになった。 厩舎の乱痴気騒ぎはそれだけでなく、必死で背中に子供を隠そうとするあまり押しつぶし殺してしまう母親や、危機に瀕して本能が目覚め、自滅必至の幼生種に交配を強要するゆっくりアリスや「うふうふふ」などと友か親かの死滅に現実逃避し笑い続けるゆっくり魔理沙など ゆっくり朝日が昇るころには全ての種が、文字通りゆっくり消えてなくなった。 「はい、う゛っう゛ーはい、う゛っう゛ー」 天井が叩かれるとゆっくりレミリアはよたよたと飛んで鳥かごの自身の厩舎に戻る 大抵のゆっくりレミリアは夜行性、太陽で消えてなくなるなどという種も居るが太陽は苦手で共通している、が苦手とするわりに遮光の程度は木陰に居る程度でかまわなかったり日傘があれば大丈夫だったりもするのでそのへんはゆっくりらしくぞんざいな作りである 「う゛っう゛~おなかいっぱーい♪」 「はいはい、おじょーさま巣に帰ってね、おねむの時間だよー」 ゆっくりレミリアの飼育員が処理に使った個体全ての帰還を数で確認し天井を閉じた 厩舎には大量の食べかけの饅頭のかけら、そして帽子やリボンなどの飾りが落ちている 朝出勤した別の職員が熊手などでそれもかき集め、他の捕食種ゆっくりゆゆこやゆっくりレティなどの食料とするのだ、そしてしばらくの時間が流れる 「ここがれいむのおうちなんだね」 「そうだよ、ここが新しいおうちだよ、ゆっくりしていってね」 「うんゆっくりしゅるよ、ゆっくりちていってね」 小さなゆっくり霊夢は手のひらからぴょんと飛び、その場所がひとめで気に入った。 母親が居ないという異常事態が依然存在するはずだがゆっくりブレインは忘却を選択 板張りの床に遊具、彼女にぴったりの大きさの小さなおうちに水のみ場 そこに同じくらいの大きさの黒い帽子のゆっくりが近づいてきた。 「ままーままーまりさのままはどこー」 「ゆゆ!あなたはゆっくりできるちと?」 どうも同じく幼いまま親から離されたゆっくり魔理沙のようだ 「ゆ?れいむいがいのゆっくり?ゆっくりちていってね!」 「ゆ?だれ?あ!ゆっくりちていってね!」 本能に刻み込まれたゆっくりしていってねは舌足らずでも通じあいきゃっきゃと騒ぐ 幼くストッパーの親も居ないゆっくりブレインには危機感の三文字は遠いことだ 「名づけるならば幼稚園方式、またの名を紅魔館方式」 腕組みしてつぶやく職員の横から次々に厩舎に放たれるゆっくり種は全部幼生体のみ 処分に対しては上の許可が下りたが厩舎は拡張が効かなかった。 そこで敵が居ない、餌が豊富という厩舎の状況を逆手に取って厩舎を広くできないならば小さなゆっくりたちを飼えばいいという考えである この第一陣以外に同じような幼生体ゆっくりを継ぎ足し継ぎ足し追加し成体になった個体からじゅんぐりに加工に回すという育成計画である 「ありしゅはありしゅだよ、ゆっくりしようね」 「いいよれいむとゆっくりしようね」 職員の一人がふとつぶやく 「これが牛とかならこんな簡単に処分というのは無いでしょうね」 「ゆっくりのサイクルの早さがあればこそだな、抱えるほどの大きさとなるとそれなりに 時間がかかるものだが茎式の出産では即座に喋れる個体が出来る」 「どうだか、外では狩りもせんと肉を食えるていうからのぉ・・・」 ふとある個体が彼女らにとってはとてもとても広い厩舎の端に、板の下に違和感を感じた。 「おにーしゃーんおにーしゃん、れいむのおうちのここへん」 「ここって?どう変なんだい?」 期せずしてその職員は数ヶ月前に同じ厩舎でゆっくりアリスを踏んだ元学者の男だった。 「おこえがしゅるのーへんだよーきょわくてゆっくりできないよー」 「はいはい、おい食事を与えて集めろ前に穴があった所だ、埋めたぞ?・・・それに声?」 さあ食事だよーと餌が撒かれる、餌やりの文句は 「ゆっくりしていってねーーゆっくりしていってねー」 「ここか」 数人の職員がその厩舎の端の板に集まり、がっちりした体型の一人が板に耳を当てる 「しますね、なんか声します。」 「あー?なんだなんだ一体、こりゃ恐怖物語の一説か?」 手早く板が外されると円形にそこだけ色の違う土が見える その色の違う土の一部がなんだかもこもこと動いてる 「ぷは!おそとだーすっきりー」 「すっきりー」 ゆっくりのあらゆる状態を見てきて慣れている職員でもぎょっとしたのはその土から出てきたゆっくり霊夢?が輪をかけて異常な姿をしていたかだ 「おじさんたちはごはんをもってきてくれるひとだね、れいむはおなかすいたよごはんもってきてね、れいむはゆっくりできないよ」 「れいむもこんなのばっかりたべてたからべつのものがたべたいよ、れいむのぶんもはやくもってきてね」 「泥団子だ」 職員のつぶやきが正解である、そこには赤いリボンを付けた黒髪の・・・ゆっくり霊夢型の泥団子が鎮座してゆっくり霊夢のように喋っていた。 「ぷんぷん、れいむはどろだんごじゃないよ、しつれいしちゃう」 「ゆ?」 片方の個体が片方の個体を太陽の下でしげしげと見やる、泥団子である 「よごれてるよ?れいむがきれいにしてあげるねぺーろぺーろ」 「あは、くすぐったいよ」 「あーなんだ汚れてる・・・だけだ・・・よな?」 舌まで砂色の片方のゆっくり霊夢が、もう片方のゆっくり霊夢を舐める さらさらと舐められたゆっくり霊夢からは砂が落ちて下からはもちもちの真っ白な饅頭皮ほっぺが・・・出てこなかった。舐めても舐めても泥の塊 「おおおおおかしいよ、れいむのかおおかしいよ?」 「ななななんんなのれいむのかおなんなの?」 「ちょ、ちょっと穴を見てください、あ?うあ!」 穴を覗き込むと相当深い、別の職員が底に手を突っ込むと肩まで入っている 最後のあ!はあちこちに支道があるようでそれを踏み抜いて職員がつまづいた声 そして掘った土は無い 「君たちいったいどうしたんだい?」 分からなければ本人?に聞いてみればいい、ゆっくり飼育の基本である そして聞いたところによると 夜に眠っているとう゛っう゛ーと唸るへんなのが来てお母さんがおうちで塞がっていたおうちに押し込んで土を食べて食べてといわれたので食べまくっているとそのうち静かになった。 どうやらあの処分の前の日に穴を掘った一メートル越えのゆっくり霊夢の子だったらしい ゆっくりレミリアから守って親が土の中に生かしたようだ 「余計なことを・・・」 「れいむたちどうなったの?」 「俺が聞きたいよ」 時間的にはその処分から1ヶ月が経っている 次の計画の実行のために厩舎には板が張られといろいろやってるうちにどうやら土の中という環境に馴染んだ固体になったようだ、話からすると土だけじゃなくミミズなども食べていたということらしいが子供の個体というのが環境の適応能力の柔軟性を持たせたのか これがホントの地(面の下で生きられる)ゆっくり 「まあ要らないな」 「れいむいらないこじゃないよ?!」 どっかの3姉妹の定型句か 「2匹居るのは好都合だ永遠亭行きだな」 「えいえんていってなあに?」 「ゆっくりできるところだよ、ああゆっくりできるだろうさ、死なない人間が相手だ」 「ここじゃないところでゆっくりできるんだね?ゆっくりしていってね」 無邪気に笑う、名づけるとすれば泥団子霊夢2匹は早々に退出される 「穴は板を張れば全然大丈夫です」 「なら予定通りに育成が始められるな」 加工場の本当の地ゆっくり育成はこれからである 泥団子霊夢が永遠亭でどうなるのかそれはまた別の話 byアンバランス このSSに感想を付ける
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畑がうるさいので見に行くと畑に来る小動物用に仕掛けていた罠に子ゆっくりが4匹捕まっていた。 れいむ種とまりさ種だ。この二種類は里に近いところに住んでいるのでよく見かける。 子ゆっくりはどうやら畑の作物を食べようとしていたらしい。 「ゆゆっ!でぐちがどこにもないよ!」 「さっきまではあったのに!」 「ここじゃそのうちゆっくりできなくなるよ!」 「だれかたちゅけちぇね!」 先ほどの騒ぎ声は罠に嵌り出れなくなった子ゆっくりのものだったようだ。 一匹は赤ちゃんか、赤ちゃんに良いとこ見せようとしたんだな。 罠をがたがたと揺らして逃げようとする姿をじっと見るのもいいがそうもいかない。 「ゆゆっ!だれかきちゃよ!」 「おじちゃんたすけてね!」 「れいむちがうよ!けがふさふさだからおにーさんだよ!」 「ゆっ!そうだね!おにーさんたすけてね!」 誰が仕掛けたと思ってるんだ。無視して罠を交換する。 出してもらえると思った子ゆっくりは早く出してねと俺を急かしている。 どうやら運が良かったようだ。 「ゆゆっ?おにーさんどうしたの?はやくしてね!」 「たかいところはこわいよ!はやくおろしてね!」 「入ってるのがゆっくりだけで良かったな。」 前に仕掛けていた罠はゆっくりといのししが一緒に入っていた。 そのため俺が気づいたときにはいのししが食い散らかしていた。 今回は掃除しなくてすみそうである。 「おにーさん早くだしt・・・ゆべべべべ!」 「ゆっぐぢでぎないいいいいいいいい!」 「おね゙ええええぢゃあああああああん!」 「ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙!」 うるさいので箱を揺する。箱の中で跳ね回る子ゆっくり達。 面白いので縁側まで揺すってしまった。 死んでは無いだろうが餡子を吐かれては困る。 家につく前に飛んでいたうーぱっくを呼び寄せ、この子達の親を呼んできてもらう。 その後、近くに置いていた新聞を手早く広げ、そこにゆっくりを慎重に出していく。 「ゆ~、みんなぐりゅぐりゅ~」 「れいむにげないでね!」 「まりさこそにげないでね!」 「きもちわりゅいいいいい!」 まだ、餡子を吐くほどではなかったか。 それでも目を回した状態のゆっくりは跳ねようとして転がったり見当違いの場所に進んだりしている。 一匹吐きそうだったので口を押さえて背中を撫でてやる。 「口から出さずに飲み込め。」 「ゆぐぐぐggggゴックン」 どうせ餡子を吐くんだから飲んでも問題ないだろうと思ったのだが、苦しいのは苦しいらしい。 飲み込んでる間に立ち直った他のゆっくりが苦しんでる子ゆっくりに近づいてくる。 それを待ってからゆっくりに話しかけた。 「何で捕まってたか分かるか?」 「わからないよ!ゆっくりおしえてね!」 「それは君達が取ろうとしてたのは俺が育ててた野菜だからだ。」 「ゆぅ・・・でもれいむたちおなかすいてたんだよ!」 「ちゃんと柵作ってたんだけど小さいからすり抜けれたんだな。」 「いもーとだっておなかすいてたんだよ!」 「ひとのものをとっちゃだめって言われなかったかい?」 思い当たる節があるのか口を噤むれいむ達。 それでも一匹のれいむは納得できないようで、 「ゆぅうう・・・まりさ!このおにーさんはゆっくりできないよ!」 「でもおかーさんはひとのものとっちゃだめっていってたよ!」 「そんなのわすれちゃったよ!まりさはゆっくりしたくないの!」 「ゆゆっ!ゆっくりしたいよ!」 「じゃあおにーさんをたおせばいいんだよ!」 「そうだね!みんなねきょうりょくすればかてるね!」 ある程度は予想していたがこうも簡単に説得されるとは。 子供だから自分達の力を過信してるんだろうね。 ここで説得できずに反省して変えられても困ったので素直に用意してた小石を手に掴む。 「ゆゆっ!おにーさんまりさたちとやるきだね!」 「けがしてもしらないよ!」 「おねーしゃんがんばっちぇね!」 臨戦態勢に入った子ゆっくりが膨らんで威嚇してくる。 そのまま体当たりをしてくるのを避けて赤ちゃんれいむの頭上に腕を動かす。 「ゆゆ!?あかちゃんはやめてね!」 「かわりにまりさたちとしょうぶしてね!」 「あかちゃんはやくこっちにきてね!」 だがもう遅い。俺は掴んでいた小石を赤ちゃんの上に落とす。 「ゆ゙べべべっ・・・」 悲鳴を言っていた赤ちゃんも小石に埋まって見えなくなってしまった。 「ぎゃあああれいむのいもうとがあああああ!」 「ゆ!まだたすかるよ!ゆっくりこいしをどけてね!」 赤ちゃんゆっくりに落とした小石は頭上すれすれからだったので餡子を出していない。 それに気づいたまりさはれいむ達に声をかけ小石を取り除き始める。 れいむたちも小石を取り除き始めたので静かになった。 俺はと言うと小石を回収している。まだ使うからな。 とうとう赤ちゃんゆっくりの顔が見えた。 光が来たときうれしそうだった顔はたちまち涙を溜め始める。 「ゆうううごわがっだよおおおおおお!」 「もうだいじょうぶだからね!」 「あかちゃんはそこでゆっくりしててね!」 そういって周りの石も取り除き始める子ゆっくり。 それからしばらくして全部の小石を取り去った。 「おにーさんあかちゃんにらんぼうしないでね!」 「そうだよ!あかちゃんがかわいそうだよ!」 「先に仕掛けたのはお前達じゃないか。」 「ゆぅぅぅぅ・・・やるならまりさたちでね!」 「そうだよ!あかちゃんをねらうなんてひきょうだよ!」 「じゃあまりさにやろう。」 「ゆっ?」 そう言って今度は小石をまりさに落とした。 量を増やしたので赤ちゃんのように全部埋まる。 今度はまりさを助ける版だ。文句もそこそこにまりさを掘り出していく。 「おー赤ちゃんもがんばってるね。」 「うるさいよ!おにーさんはやくまりさをたすけてね!」 「君達は俺より強いんだろ?それなのに俺に頼っちゃだめじゃないか。」 「ゆうううう!じゃあ静かにしててね!」 そんなやり取りを繰り返しながらまりさを掘り出す。 まりさを掘り出したら同じようにれいむも埋めてやった。 「ゆぅ・・・おもがっだあああああ!」 「おに゙いさんも゙うやめ゙でえええええ!」 これ以上やると餡子が漏れそうだから止めてやる。 動かない俺を見て、安心したのか赤ちゃんを護るように集まる子ゆっくり。 「おにーさんはそこでゆっくりしていってね!」 小石で汚れた体を新聞に体を擦り付けたり、舐めあったりして汚れを取る。 しかし、全員分やるのを待つと昼になってしまう。 「おい、これで体綺麗にしろよ。」 「ゆゆっ?」 子ゆっくりの前に置いてやったのはお湯の入った皿だ。 ゆっくりは体の性質上、水を嫌うように見えるが汚れを取るためむしろよく水に入る。 泳げないゆっくりは沈んで水を飲みすぎて溶けるが、外皮は水に濡れても大丈夫である。 もちろん子ゆっくりも水浴びは好きなので仲良く一緒に飛び込んだ。 「ゆっくりし・・・あづいいいいいいい!」 「ここじゃゆっくりでぎないいいいい!」 「ゆぅうういちゃいよおおおおお!」 「だいじょうぶだよ!しばらくしたらなおるからね!」 はいってゆっくりするつもりだった子ゆっくりは余りの熱さにゆっくり出来なかったようだ。 赤ちゃんゆっくりはそこが赤くはれて涙目だ。火傷ではないがしばらく痛いだろう。 子まりさがそこを舐めてあやしている。子れいむは痛がりながら皿の水を眺める。 「ゆゆ?どーしいてあついのおおおお!」 「まえはいったときにはつめたかったよ!」 「おしおき中にゆっくりできると思ってたのかい?」 「ゆぅぅ・・・おにーさんのせいだね!」 「その通り。どうだすごいだろう?」 「ゆゆゆゆ・・・」 自分達がよく入る水がゆっくり出来ないものに変えられたのを知った子ゆっくりは眉間を寄せながら俺を睨む。 しかし、どうやって水が熱くなったのか分からない子ゆっくりは俺の力だと思ってさっきまでの用に歯向かう気はないようだ。 なべに入れて火で熱しただけなんだけどね。 怯えを含みだした子ゆっくりにどうしてお仕置きされているのかをもう一度教える。 「どうだ?人のものをとっちゃダメって理解できたか?」 「わかったけどそれじゃゆっくりできないよ!」 「そーだよ!それにうめられてこわかったよ!」 「おみずもあつかったよ!あかちゃんがけがしちゃった!」 「ゆっくちしたいよ!」 どうやら理解はしたが納得できないようだ。 すこしやりすぎたか。まぁもう少しで親が来るだろう。 それまでもう少し遊んでやることにした。 「じゃじゃーん。」 「ゆ?」 取り出したのは孫の手。背中を掻くときに重宝する棒だ。 「へんなかたちー!」 「おにーさんのてみたいだね!」 「そんなのこわくないよ!」 「ゆっゆっ!」 見たこともない棒を持った俺の周りを跳ねて思ったことを口にする子ゆっくりたち。 赤ちゃんゆっくりはまだ底が痛いのかすこし這ったりしている。 まずは赤ちゃんゆっくりからだな。 俺は孫の手を赤ちゃんを潰さないように圧し付けた。 「ゆびゅ!」 「れいむのあかぢゃんがああああああ!」 赤ちゃんの叫び声に気づいたれいむが一番に赤ちゃんに近づく。遅れて他のれいむとまりさもれいむを追う。 「ゆぎゅぅ・・・」 「もうだいじょうぶだよ!すぐにとってあげるからね!」 「ゆぐぐぐ・・・おもいいいい!」 「あかちゃんのためにゆっくりがんばってね!」 赤ちゃんの上から孫の手をどけようと咥えたり押したりとがんばる子ゆっくり。 だが子ゆっくりぐらいの力ならなんとか耐えれる。 孫の手をすこし動かしてやると「ゆぎゅ!」とか「ゆびゅ!」とか音が出るので面白い。 「おにーさんもうやてね!このままじゃあかちゃんがしんじゃうよ!」 「いじわるしないでね!やめてあげてね!」 「じゃあ次はおまえな。」 「でじゃびゅ!」 小石のときのように別のゆっくりも押さえつけていく。 今度はこっちに向かって体当たりしてくるのでデコピンで打ち落とす。 そんなやりとりを繰り返してるとうーぱっくが帰ってきた。 「うー!うー!」 「ありがとう。これはお代だ。」 「うー☆」 連れてきてくれたお礼に野菜をいくつか入れてやる。 飛び立ったうーぱっくのあとに残ったのは親と思われるゆっくりまりさだ。 子ゆっくりに向かう親まりさ。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「おどおおおちゃあああん!」 「ゆっぐりでぎながっだよおおおお!」 「ゆぅううううううう!」 「ゆっくちちていっちぇね!」 いきなり現れた親ゆっくりに向かって跳ねていく子ゆっくり。 さんざん遊んであげたからみんな涙目で喜んでいる。 そして、感動の対面のように親ゆっくりに飛び込む子ゆっくりを親ゆっくりはよけた。 「ゆびゅ!」 親が受け止めてくれると信じてた子ゆっくりはそろって地面に顔を打ち付ける。 「どおしてにんげんのさとにいったの!」 「ゆゆゆ!だっておいしいものが・・・」 「ひとのものをとっちゃだめっていってるでしょ!おぼえてなかったの!」 「ゆゆっ!ちゃんとおぼえてたよ!」 「じゃあやっちゃだめでしょ!あかちゃんがまねしちゃったじゃない!」 「ゆぅ・・・」 おー、怒られてる怒られてる。 説教はしばらく続きそうだな。今のうちに昼ごはんを食べることにするか。 親ゆっくりの後ろで昼用に作ったおにぎりをほおばる。 子ゆっくりも気づいたのか、こちらを見て涎をだしてる。 親ゆっくりの説教もどこ吹く風だ。 「ゆっ!ちゃんときいてるの!」 「ゆゆ!ちゃんときいてるよ!」 親ゆっくりにあわてて反応してるのが面白い。 傍目からも聞いていないのが分かるぐらいにおにぎりを見つめている子ゆっくり達。 遊びつかれてお腹が空いているのだろう。 そんなことは知らない親ゆっくりは怒りゲージが上がりまくりだ。 俺が最後のおにぎりを食べ終わる頃には、 「どお゙じでぎがな゙い゙の゜おおおおおおお!」 「おがあしゃんごめんなさいいいいいい!」 と、泣きながら子ゆっくりに体当たりしだした。 子供よりも大きい親ゆっくりの体当たりは強烈だ。 子供達は吹き飛ばされながら必死に許しを請う。 泣きながら説教を始めた親ゆっくりの話を今度はちゃんと聞いているのだろう。 子ゆっくりは涙を目に浮かべながら顔を俯けていた。 お茶を飲み一服していると説教が親ゆっくりがやってきた。 「おにーさんまりさのこどもがわるさをしました。ごめんなさい!」 「こっちはすっきりできたからもういいよ。」 「ううん。だめだよ!ちゃんととったぶんはたらくよ!」 「そうか、じゃあ一緒に畑仕事をしてもらおうか!」 「ゆっくりがんばるよ!」 昼からはゆっくり家族ともに畑仕事だ。 といってもゆっくりではやることが限られるので、とりあえず雑草を抜いてもらった。 俺の説明を聞いた親ゆっくりの指導のもの雑草を食べていく子ゆっくり達。 さっきまで何も食べていなかったのでむしゃむしゃと雑草を食べていく。 たまに野菜に手を出そうとする子ゆっくりもいたが、すぐに親ゆっくりの体当たりを受けて雑草に戻っていった。 雑草をあらかた取ると次は水遣りだ。 井戸水を俺がくみ上げてやりゆっくりが水を口に含みたぷんたぷんと野菜まで運ぶ。 野菜の根元に水をかけてまた戻ってくるの繰り返し。 途中で子れいむ同士がどれだけ水を含めるか競争しだして片方が崩れかけたので日にたっぷり照らされた石の上に置いて乾かしてやる。 じゅううううとおいしいそうな音を立てながら乾くゆっくりを放置して次の野菜の収穫に向かう。 一通り見回り取れそうな野菜を確認すると鋏を入れていく。 取れた野菜はゆっくりが乗せている箱の中に。 虫食いなどを確認しながら手際よく進める。 しばらくすると、 「おにいさんおも゙ぃ・・・」 「ゆぎゅうう・・・」 箱にいっぱいになる前にゆっくりがつぶれてしまいそうになっていた。 重くなると畑の外にある箱に移すようにと言って作業を続ける。 井戸近くで「あづいいいいいいい!」と言う叫び声が聞こえたが無視だ。 しばらくすると転げまわったのか泥だらけになった子れいむ戻ってきた。 もう動いても大丈夫なようだ。 そんなこんなで畑作業を夕暮れまで続けた。 途中で虫を追いかけた赤ちゃんゆっくりが穴にはまったり、用水路で帽子を洗っていたまりさが帽子を流されたりしたので途中から手伝いとはいえなくなっていたがそれでもいないよりははかどった。 井戸水で体を洗っているゆっくり家族のうち親ゆっくりだけを呼び出す。 「今日は良くがんばったな。」 「ゆっくりがんばったよ!これでまりさのこどもたちゆるしてくれるよね!」 「あぁ。ついでにこれもやろう。」 「ゆゆっ!おにーさんいいの!?」 「あぁお前は何もしてないからな。その分のお礼だ。これで今から餌取りに行かなくていいだろう。」 「おにーさんありがとう!」 俺が渡したのは収穫のときに虫食いがあったりで売れないものだ。 人は食べないだろうがゆっくりなら食べる。 巣にもどってから見せるようにと帽子の中に隠してやる。 洗い終わった子ゆっくりがやってきて、 「おにーさんやさいとってごめんなさい!」 「もうしません!」 「つぎからはきをつけるね!」 「ちがうところでゆっくちするよ!」 そうやって俺に謝って帰っていった。 これでもう野菜はとらないだろう。今回のことは十分記憶に残ったはずだ。 こうやって人里に入った子ゆっくりに人の強さを覚えこませてきた結果ゆっくりは人里で物を取ることはなくなった。 かといってゆっくりが人里に下りてこないわけではなく、先ほどのように人を手伝ったりして食べ物を貰ったりしている。 人とゆっくりは今ではそれなりにゆっくりと生活している。 このSSに感想を付ける