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ゆっくりお燐の生活 「ゆっゆっゆっ・・・」 「むきゅ、むきゅ・・・まっでええええまりさあぁぁぁぁ」 山の中をまりさとぱちゅりー、二匹のゆっくりが駆けている。 怖いれみりゃから間一髪逃げ出してきたのだ。 運動が得意なまりさに比べ、体の弱いぱちゅりーは息も絶え絶えだ。 「ぱちゅりーゆっくりしないでね!!そんなんじゃれみりゃにたべられちゃうよ!!」 「むきゅぅぅぅ~~、これいじょうはむりだわ!」 「じゃあこっちからいこうね!!ちかみちだよ!!」 まりさは巣への近道となっている、若干傾斜のあるデコボコ道に飛び込んだ。 自分は大丈夫でも、虚弱体質のぱちゅりーがそんな所に飛び込めばどうなるかは自明である。 「むきゅっ、むきゅ、むぎゅっ!?む゛ぎゅうううぼぼぼぼ!!」 ぱちゅりーは必死に飛び跳ねたが高さが足らず、木の根っこに足を引っ掛け、 辺りの石に身体をぶつけながら斜面を転がり落ち、やがて動けなくなった。 「あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!おあちゅりぃぃぃーーー!!」 「むぎゅ・・・・もうだめ・・・」 泣きながら瀕死のぱちゅりーに駆け寄るまりさ。 自分が選んだ近道のせいでこんなことになったことは特に念頭に無い。 まりさはぱちゅりーの傷口を必死で舐めるが、ぱちゅりーの吐餡は止まらない。 「ぱちゅりーゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってねえええ!!」 「むぎゅ・・・まりさ・・・わたしはもうだめだわ・・・」 「なんでぞんなごどいうの゛おおぉぉぉぉぉ!?ずっといっじょにゆっぐりじでねえぇぇぇぇ!!」 「もうたすからないってりかいしてね・・・まりさだけでもおうちでゆっくりして・・・」 「ゆ゛うぅぅぅぅぅぅ!!ゆ゛ううぅぅぅぅぅぅううう!!!」 「ゆっくりしてたられみりゃがくるわよ・・・わたしがおとりになるから・・・はやく・・・にげ・・・」 「ゆ゛!?」 小さい時からいつも二人一緒で、いろんなところを探検したぱちゅりー。 行く先々で危険な食べ物や場所を教えてくれた、頭が良くて優しいぱちゅりー。 赤ちゃんのために元気になるから、いつかけっこんしようねと言ってくれた大好きな友達、ぱちゅりー。 そんなぱちゅりーは最後までまりさを気遣い、静かに息を引き取った。 「ゆ・・・ぱちゅりー・・・ゆっくりしちゃったんだね・・・」 れみりゃに食べられるであろうぱちゅりーの亡骸に背を向けて逃げるのは、 親友であるまりさにはためらわれることだった。 せめてもの手向けにと、まりさはその辺に生えていた小さな花を一輪摘み取り、 ぱちゅりーの帽子にそっと挿しておいた。 「ぱちゅりー・・・まりざはゆっぐりずるねぇええぇぇぇぇ!!」 滂沱の涙に顔をふやかせながら、全速力で巣へと逃げ帰るまりさ。 自分だけでも無事にゆっくりしなければ、ぱちゅりーの遺志を無駄にしてしまう。 死んでしまった親友も、心の中でずっと生きているのだ。それを守らなければならない。 そんな光景を、茂みに隠れて見ているゆっくりがいた。 「うっうー♪このへんからこえがしたんだどー♪どこだどー?」 まりさをぱちゅりーを追い、ぱたぱたと飛んで来るれみりゃ。 先程ぱちゅりーが死んだ場所に到達したれみりゃは、しかし、一匹のゆっくりの姿も見つけることが出来なかった。 「うー?いないどー!つまんないんだどー、かえってざぐやにぷっでぃ~んもらうどー♪」 標的を見失ったれみりゃはゆっくりの追跡にも飽きたのか、来た道を引き返して帰っていった。 それから数日後。 「ゆっゆゆっゆゆ~ん♪れいれいむ~♪いっまいくよ~♪」 友達を失った悲しみからも、ゆっくり特有の能天気さで立ち直ったまりさは、 新しい友達であるれいむのところに遊びに行くため、山道を跳ねていた。 「ぱちゅりーがしんじゃったのはかなしいけど、れいむがいるからさびしくないよ・・・ゆっ!?」 ふいに前方の茂みががさがさと揺れ動く。タヌキか何かが出てくるのかと身構えるまりさ。 しかしそこから飛び出して来たのは、 「じゃじゃーん!!」 「ゆゆっ!?」 真っ赤な髪にぴんと立った二つの猫耳、顔の両脇に下げられた三つ編み。まりさが見たこともないゆっくりだった。 ゆっくりおりん。地獄のゆっくりとも言われ、滅多に見ることの出来ない希少種だが、 最近この辺りの山にもちらほら出没するようになってきたゆっくりである。 「ゆっ!みたことないこだね!ゆっくりしていってね!!」 「おりんはおりんっていうんだよ!!すてきなまりさよろしくね!!」 「ゆゆ~!!なかよくしていってね!!」 会うなり素敵だと褒められて気を良くしたまりさは、即座にこのゆっくりは良いゆっくりだと断定する。 友好の証に頬をすりすりと擦りつける。おりんはとっても嬉しそうだ。 一緒にれいむのところに遊びに行っても良いかも知れない。珍しい子だから紹介してあげよう。 そんな風にまりさが思い始めた時。 「きょうはまりさをびっくりさせるよ!!」 「ゆっ!?なになに?」 「じゃじゃーん!!」 おりんの掛け声に合わせて、茂みからもう一匹のゆっくりが飛び出してくる。 また新しい友達が出来るのかと思い、ニコニコ顔でそちらを見るまりさ。 「まりさのともだちのぱちゅりーだよ!!じゃじゃーん!!」 「むぎゅぎゅ!!ゆっくりじていっでね!!」 まりさの表情はそのままで固まった。 落ち窪んだ眼球、藁のようなぼろぼろの髪、毒々しく変色した傷だらけの肌、ぴくぴくと引き攣った口元。 そのどれもが、まりさの友達、かわいくて優しいぱちゅりーとはかけ離れたものだった。 しかしその帽子についているのは、紛れもなくまりさが挿してあげたお花。死んだぱちゅりーに備えたお花。 それも萎びて腐りかけていたが、「そいつ」が大好きな親友であると判別するには充分であった。 「ゆ゛ううううぅぅぅぅぅぅぅ!!?なんでぱちゅりーがここにいるのおぉぉぉぉぉ!!」 「ゆゆっ!うれしなきしてるよ!!とってもなかよしなんだね!!」 「おりんがやまでぎぜつじてだぱちゅりーをたずえでぐれたのよ!!」 硬直した口元を醜く歪めて、ぱちゅりーは楽しげに笑いながら話した。 舌もうまく回らないのか、汚くたどたどしい発音だ。 きれいで理知的な言葉を話していたぱちゅりーの口がそんな風に動くのが、まりさには耐えられない。 どうしてこんなことになっているのか解らない。まりさの目の前でぱちゅりーは死んだはずだ。 よしんばそれが自分の見間違いだったのだとしても、今見ているのはどう考えても 生きていた頃の、体が弱いながらも元気に遊んでいた、大好きなぱちゅりーの姿ではない。 「ゆぐぐっ!!ぱちゅりーはしんだんだよ!!ゆっくりりかいしでね!!まちがってあるきまわっちゃだめだよ!!」 「むぎょ!!なにいっでるのまりざ?ぱぢゅりーはごんなにげんきになっだおよ!!ごれであがちゃんつぐえるねぇぇぇ!!」 眼窩の奥底に転がるぱちゅりーの萎れた眼球が、ぎょろぎょろとまりさを見つめる。 ぱちゅりーは元気をアピールするかのようにびたんびたんと跳ねて見せる。 前半身と後半身の統制が取れていないのか、魚がのた打ち回るような歪な跳ね方だ。 激しい動きは、かつての病弱なぱちゅりーからは、いやどんなゆっくりからも想像出来ない異様なものだった。 前後にのた打つ度に、爛れた傷口から餡子がぴゅっぴゅっと吹き出る。 ぱちゅりーはそのままびょこびょことまりさに擦り寄ろうとしていた。 かつての親友のあまりに醜悪な姿に、思わず後ずさりしてしまうまりさ。 「むぎょえぇぇぇぇ!!だいすきなまりざ!!いっじょにずっぎりじまじょうねええええ!!」 「やべでねぇ!!おまえなんかまりさのともだちのぱちゅりーじゃないよ!! ぎれいなぱちゅりーをけがすしにゆっくりはもういっかいゆっくりじねえぇぇぇぇ!!」 「むぎゃああああああ!!どぼじでぞんなごどいうのよほおおおおお!!?」 形の崩れたぱちゅりーの眼窩に、どろりとした粘性の涙が溢れる。 泣き顔になろうとしている表情には、先程の歪んだ笑顔が凝り固まっている。 「どもだぢをうらぎるげすまりざはゆっぐりじにゃああああああ!!」 「ゆ゛ううううぅぅぅぅ!!」 突然噛み付いてくるぱちゅりー。激しい動きが出来るようになった分、凶暴になっているようだ。 しかし健康なまりさにしてみれば緩慢な動きだ。簡単にその攻撃を飛び越えると、ぱちゅりーの頭に飛び乗る。 「むぎゅ!?よげないでよまりざぁぁ!!わだじだちどもだちでしょおおおおお!!!」 「うるさいよぉぉぉぉぉ!!ゆっくりしないでつぶれてねええええええ!!」 それ以上、大好きなぱちゅりーが醜い姿を晒しているのがまりさには我慢出来なかった。 必死に飛び跳ね、泣きながらぱちゅりーを押しつぶすまりさ。 「むぎゃっ」「むぎょっ」という悲鳴を上げ、ぱちゅりーは少しずつ平らになっていく。 自分が死んでも、最後までまりさを気遣ってくれた、賢く慈愛に満ちた親友ぱちゅりー。 そんな美しいぱちゅりーは、今もまりさの中に生きている。 それを守るため、目の前にいる醜い怪物は今すぐこの世から消し去らねばならない。 「づぶれろっ!!づぶれろっ!!ゆっぐりぎえろおおおおぉぉぉ!!!」 「むぎっ、やばで、ぐびっ、まいざ、どもだぢっ、でじょっ、むぎょっ」 まりさは息を切らせながら、なかなか死なないぱちゅりーをストンピングし続ける。 しかし帽子の上に乗って見下ろすと、醜い身体や表情は見えず、まるで仲良しだったぱちゅりーがそこにいるよう。 柔らかい帽子の感触に、ふわりと良い匂いのしたぱちゅりーの髪を思い出し、胸を締め付けられるまりさ。 だが、押しつぶす度に飛び散る餡子汁の饐えた匂いが、まりさを残酷な現実に引き戻すのだった。 ぱちゅりーが潰れていく度、どんどんとまりさの目線は下がっていく。揺れ動くお花の黄色が悲しい。 そして完全にぺたんこに押し潰し、ぱちゅりーを再び殺した時、まりさの目の前には今まですっかり忘れていた、 満面の笑みを浮かべたおりんの姿があった。 「じゃじゃーん!!ゆっくりなかよしできた!?」 「ゆぐ・・・こんなのいやだよ・・・もうまりさゆっくりできないよ・・・れいむのとこいきたいよ・・・」 ゆっくりおりんの能力、それは死んだゆっくりをゾンビ化して操ること。 死体は多少なりとも原型を留めていることが条件で、ぐちゃぐちゃに飛び散った餡子を操ることは出来ない。 よって、完全に砕かれたり潰れたりしたゾンビゆっくりは、おりんの制御下を離れてただの死体に戻る。 山の中でまりさを見初めたおりんは、まりさに一目ぼれし、それ以来ずっと遠巻きに眺めていた。 とっても友達思いで優しいまりさ。勇敢で山を自在に駆け巡るまりさ。 そんなまりさと仲良くできるチャンスを伺っていた時出くわした、まりさの親友ぱちゅりーの死。 れみりゃが来る前に死体を回収したおりんは、ゾンビ化したぱちゅりーにリハビリさせ、今日のこの時を待っていた。 単純なおりんは、友達を生き返らせればまりさはとっても喜んでくれて、自分とも仲良くなってくれると思った。 だから目の前で泣きじゃくるまりさが、悲しみに暮れているなどとは微塵も思いもしない。 おりんの周りでは、死んだの生き返るのが日常茶飯事。 その死生観は普通のゆっくりとはかけ離れたものだったが、おりんにその自覚は一切無かった。 そんなことを知る由もないまりさは、ゾンビぱちゅりーの出現とおりんを結び付けることなどできない。 せっかく新しい友達が出来たのに、一緒にゆっくりする気になれない。こんな辛いことがこの世にあるなんて。 はやく親友のれいむのところにいって、いっぱい優しくしてもらおう。 ゆぅゆぅと息を荒げて憔悴するまりさ。目は悲しみに潤み、頬は上気している。 どういう訳かおりんにはそれが、いっぱい遊んで興奮しているように映ったらしい。 「じゃじゃーん!!つぎはおりんとゆっくりしてね!!」 「ゆっ?またあしたにしてね・・・いまはゆっくりできな・・・ゆべっ!!」 おりんの突然の激しい体当たりに、まりさは前のめりに転んでしまう。 おりんは頬を擦りつけようとしただけだったが、大好きなまりさと遊べて興奮しているおりんの動きは、 疲れ果てたまりさにとっては充分な暴力だった。 「ゆぐぐ、なにするの!?ゆっくりはなれてね!!」 「ゆゆ~ん!まりさだいすきだよ!!おりんとすっきりしようね!!」 「なにいっでるの!!やべろぉ!!ゆっぐりはなれてええええ!!」 おりんはまりさに激しく頬を擦りつける。二匹の擦れあいの中に粘液のネチョネチョという音が混じり始める。 まりさには全くその気は無いのだが、おりんがなかなかのテクニシャンなのか、どんどん感度を高められていく。 今しがた親友を惨たらしく殺した自分とすっきりしそうになっている自分が、まりさの中で噛みあわない。 「い、いやだあぁぁぁ!!いまはずっぎりじだくないいいいぃぃぃ!!」 「ゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっ!!はやくすっきりしてね!!」 「ううううう゛う゛う゛あ゛あ゛ああああああああああずっぎりーーーー!!」 反射的に至福の笑顔を浮かべてしまうまりさ。が、すぐにそれは苦痛の表情へと変わる。 まだおりんの擦りつけが止まないのだ。 「なんでえええぇぇぇぇ!!まりざもうずっぎりじだよおおおぉぉぉぉおぉ!!」 「おりんはまだだよ!まりさはもっとすっきりしていってね!!おりんとかわいいあかちゃんつくろうね!!」 「やべでぇぇぇぇぇぇぇもうずっぎりじだぐないよぉおおほおぉぉぉぉ!! まりざはれいむのおうぢにいっでゆっぐりするのおおおぉぉぉぉぉぉぉすっきりー!!」」 ゆっくりおりんは、気に入ったゆっくりの死体を手に入れたがる性質がある。 死体使いの性分と、死体にしか種付け出来ないという生物(?)的性質に由来するものだろう。 そのためにはどうするか。自分で気に入ったゆっくりを死に追いやってしまえばいいのだ。 だからおりんがすっきりを始めたら、誰かに無理矢理止められるか、相手が死ぬまでやめない。 そして相手が死んだ時、初めておりんはすっきり出来るのだ。 その快感は、通常のゆっくりがするすっきりの七倍だとも言われる。 「んほおおおおおおおおおずっぎりー!!おりんもうやべでぇぇぇぇすっきりー!!まりざじんじゃああああすっきりー!! じんじゃうよおおおおおぉぉぉぉすっきりー!!ゆっぐりでぎないいぃぃぃひひいいぃぃぃすっきりー!! でいぶだずげでええええええすっきりー!!ゆっぐりざぜでよほほほおおおおぉぉおんすっきりー!! ゆっ、ゆっゆっ・・・すっきりー!!えへあへあへへへおほお・・・すっきりー」 段々と濁っていくまりさの思考と瞳。激しい疲労から抵抗は無くなり、おりんに突き動かされるままだ。 それでもすっきりした時に本能的に見せるマヌケ面はずっと変わらない。 やがて何十回目かの「すっきりー!!」の後、その顔のまま固まって動かなくなるまりさ。死んだのだ。 「んにゃあああああああああああ!!すっきりーーーーー!!!!」 激しく動き続けていたおりんも、その時初めて絶頂に達し、これ以上無いような最高の笑顔で大きく伸び上がった。 ゆっくりを過労死させるほどの激しいすっきり行為に打ち込んできたおりんも、当然疲れている。 そのままへにょんとへたり込み、まりさの笑顔の死体の前でゆっくりと休み始めた。 やがて死んだはずのまりさの表情がもごもごと動く。 皮膚の内側で何かが蠢いているのだ。 それを確認したおりんはゆっくりするのを止め、固唾を呑んで様子を見守りはじめる。 その蠢くものは、締め付けの無くなったまりさの産道を無理矢理押し開き、外に飛び出してくる。 「「「「「ぢゃぢゃーん!!ゆっくちちていってね!!」」」」」 「じゃじゃーん!!おかあさんだよ!!ゆっくりしていってね!!」 それはゆっくりおりんの赤ちゃんたちだった。 まりさの死体いっぱいに詰まっていたかのような何匹もの赤ちゃんが、うじゃうじゃと這い出てくる。 中身をほとんど赤ちゃん達に奪われたまりさの死体は、皮だけになって地面に広がった。 死体から産まれたにも関わらず、普通のゆっくりと変わらず瑞々しく元気な赤ちゃん達。 一応胎生出産型に含まれるのか、大きさはソフトボール大で、子ゆっくりに近いサイズだ。 これからお母さんに死体の操り方などを学び、一人前のゆっくりおりんになっていくのだ。 ちなみに生まれるのはほとんど赤おりんだが、 今回の場合は一匹だけ、母体となったまりさの赤ちゃんが混じっている。 おりんはその性質上、他のゆっくり達となかなか仲良くなれないことがある。 そんな時、家族の中に他種のゆっくりが混じっていることで、ある種の外交役を務めるのだ。 一匹だけ姿が違っても差別されたりすることはなく、家族の愛に包まれてゆっくりと育つ。 「ゆ~!まりしゃおなかしゅいたよ!」 「おりんもおにゃかすいた~!!」 「じゃじゃーん!これがさいしょのごはんだよ!ゆっくりたべてね!!」 今しがた赤ちゃんたちが飛び出して来た親まりさの死体を差し出すおりん。 赤ちゃんたちは嬉しそうに飛びつき、ほとんど皮だけになったそれをうまうまと食べつくしていく。 「ゆゆー!おかーしゃん、ゆっくちあしょそぼうね!!」 「そうだね!!このみちのさきにまりさおかあさんとなかよしのれいむがいるそうだから、あいさつしにいこうね!!」 「ゆっ!まりしゃれいみゅとにゃかよくしたいよ♪」 「「「「ゆっくりいこうね!!」」」」 おりんの中に、愛するまりさを失った悲しみなど無い。 あったとしても、赤ちゃん達の生まれた喜びの前にはそんなもの無きがごとしだ。 生物が異性を愛するのは、ひとえに子孫を残すため。おりんはある意味、非常にシンプルで快活と言えるかもしれない。 「じゃじゃーん!」と合唱しながら、おりん一家は山道を行進していく。 後には饐えた匂いと、二つのゆっくりの帽子が残っているだけだった。 おしまい このSSに感想を付ける
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俺設定満載ですとも!! 初投稿なのでご容赦を; 現在、私の家には二匹(?)のゆっくりの夫婦が保護されてている。私が連れてきたのだ。 三十分程前だろうか…此処、「幻想卿」で私はいわゆる運送業を営んでいた。 しかし場所が場所、おまけに私は数年前にこの世界に迷い込んだ人間、 いわば「余所者」だ。そんな私に顧客など付くはずも無く、たまに注文を受けては気ままに運ぶ、というものだった。 毎日が気ままで、自分が暮らせる程度の糧を得られれば良かったので、苦には感じなかった。 そんな気ままな日々の中、私は彼等と出会った。 「でいぶをゆっくりばなじずんだぜぇぇぇ!!」 「ばりざぁぁぁ!!ゆっくりでぎないよぉぉぉぉ!!ずっぎりぃぃ!!」 仕事帰りの冬の夜道にその叫び声は響いていた。何事かと駆け付けてみると、泣き叫ぶゆっくり霊夢の上に男が覆いかぶさっていた。 おそらく霊夢の夫であろうゆっくり魔理沙は男にやられたのだろう、透明な四角い箱に閉じ込められていた。 「ああああぁぁ!!霊夢かわいいよ霊夢ゥゥゥゥ!!」 男は霊夢に頬ずりをしながらなんだろう、ちょっとアレな事をしていた。 つまりレイパーお兄さんの様だ。 別にゆっくりがどうなろうが知ったことでは無いのだが、居合わせた以上助けるのが筋という物だろう。 多少ながら腕っ節には心得があったので、二匹を助けることにした。 「そこの君、なにをしているんだね?」 男は動きを止めると振り向き様に襲い掛かってきた。 一応妖怪に分類されるだけあり、素早い反応をしてくる。だが、こんな者に手こずる様では此処の運送屋は勤まらない。 「シッショー!!」 「ハッハッハァァー!!・・・・・・・勝利ナド容易イ・・・・!!」 勝負は一瞬で付いた。 そして数分後・・・ 二匹は私の家に保護されていた。二匹は完全に錯乱していて訳の分からない事を口走っていた。 「もうずっぎりイヤァァァァ!!!ゆっぐじじだいぃぃぃ!!」 「でいぶぅぅぅぅ!!ゆっぐじじようぜぇぇぇ!!ここは魔理沙だじのおうぢだぜぇぇぇ!!ゆっぐじくぁwせdr.....!!」 ちゃっかりオウチ宣言をしてるあたり魔理沙の方が多少落ち着いてると言えよう。 まずは魔理沙に話を聞いてみることにした。 「いったいなんでこんな事になったんだ?」 「うわぁぁぁぁ!!おじさんだれなんだぜ!ゆっくりれいむからはなれてね!!」 魔理沙は霊夢を庇うように眼前に立ちはだかった。良く見ると微かに震えを隠せないようだ。 というか、助けてあげたのにこの扱い・・・私は軽くうなだれながら魔理沙を諭した。 「落ち着け、さっきのお兄さんはいなくなった。もう此処は安全だ。とりあえず帽子を直せ、落ち着かん。」 怖がらせない様に出来るだけゆっくりと話し、ズレている帽子を直してやる。 「ゆぅ!?ありがとね!・・・ほんとだ、おにいさんがいないぜ。」 周囲を確認してやっと今の状況に気がついたようだ。 「さっきはごめんねおじさん!たすけてくれてありがとだぜ!!」 一先ず落ち着いてくれたようだ。 「調子がいいのか素直なのか・・・何はともあれ落ち着いてくれてなによりだ。」 魔理沙が落ち着いた頃、霊夢は疲れてしまったのだろう。死んだように眠っている。 とりあえず今話せる状態なのは魔理沙だけだ。私は彼(彼女?)にここに至るまでの経緯を聞く事にした。 よっぽどの事が無ければゆっくりは人里には下りてこない。なにかしら事情があったのだろう。 「一体何故こんな危険を冒してまでこっちに下りて来たんだい?」 彼は私を危険では無いと判断したのだろう。吐き出すように事の次第を話していった。 冬場の蓄えがたりず越冬が出来なくなった事。その足りない食料を確保するために栄養価の高い人間の食べ物が必要だった事。 探し回った挙句お兄さんにチョコで釣られてしまった事。子供がまだ巣に居て二人の食料を待っているという事。 数分後・・・・ 気づくと私は魔理沙達の巣の前に佇んでいた。 なにをやっているんだ私は・・・まさか自分が行きずりのゆっくりの為にここまでするとは思っていなかった。 彼のすがる様な眼を見たら・・・その・・・行くしかないじゃない!! 警戒させないようにゆっくり巣に近づく。なにやら声が聞こえる。 「おにいしゃんはゆっくちできりゅひと?」 「ああ、出来るとも・・・君達が居ればなぁぁぁぁ!!!!」 「ゆぎゃぁぁぁ!!ゆっくちやめちぇにぇぇぇぇ!!」 嗚呼、またお前か。 「君ノ死二場所ハ此処ダ!!!」 「シッショー!」 数秒後・・・ 一言で言おう。MAXで警戒されてしまった。 たしかにゆっくりにはちょっとショックが強すぎたようだ。 「ゆっくりでちぇってにぇ!!」 震えながら固まっている。衰弱しているのだろう、色がくすんでいる。 しょうがない、奥の手を使わざるを得ない・・・・ 「君達!あまあまは好きかい!?」 クッ!どこぞのお兄さんと同類になったようで虫唾が走る・・・ 「だいちゅきー!!」 「引っかかるのか・・・血は争えないか・・・・フフ・・」 ふと笑みがこぼれる、笑ったのは何ヶ月ぶりだろうか。 だがまだ楽観視は出来ない。多少栄養を採ったとはいえまだ到底足りていない。急がなければ・・・ 「君達ちょっと荒っぽいが・・・許せよ。」 「ゆっきゅりがんばりゅよ!!」 全身に力を込める・・・(※赤ゆっくり達にはちゃんと安全策をとってます) 「我が運送業最終奥義!阿修○閃空!!」 「ゆっくちしちぇいってねえええぇぇぇぇ.....」 コンマ数秒後・・・ 「もう・・・生きて・・・俺の・・・塵・・」 どこぞの塵閣下のようになった赤ゆっくり達を魔理沙達の傍らに置く。 パパッと栄養を採れるようにあむぁーいホットミルクを飲ませる。 「ごーくごーく・・・・ちあわしぇー!!」 もうツヤッツヤ、ツヤッツヤである。 当の魔理沙はさっきの出来事で相当疲れてた様で、熟睡している。 口の周りに食べかすが付いている・・・急いでいて冷蔵庫の中は確認していなかったが、だいたい想像はつく。 ちゃっかり霊夢にも食べかすが付いていた。 赤ゆっくり達も安心したようで二匹に寄り添って寝てしまった。 さて、私も少々疲れた、そろそろ寝るとしよう。ゆっくり一家に毛布をかぶせ、私も床に就いた。 そして夜が明けた。 「あがぢゃあぁぁぁん!!でいぶのあがぢゃああぁぁん!ばりざぁぁぁ!あがぢゃんがいるよぉぉぉ!!」 「ぼんどだああぁぁぁ!すごいゆっくりしてるぜぇぇぇぇぇ!!」 騒々しい叫び声に叩き起こされる。 「何事だ、騒々しい。」 不機嫌に起き上がり様子を見に行く。 見ると霊夢と魔理沙が赤ゆっくりの周りをボンボン跳ねている。よほど嬉しいのだろうか。 とりあえず声をかける。 「意外に元気そうじゃないか。」 ピタッと二匹の動きが止まりゆっくりとこちらに振り向く・・・ 「おじざぁぁぁぁん!!ありがどおぉぉぉ!!」 体当たりに近い勢いで飛び込んできた。 「To!Easy!!」 「ゆぎゃあああぁぁぁぁぁ!!」 「Die.....Yabo.....」 おじさんは寝起きが悪いとついやっちゃうんだ☆ 「ゆっぐ・・・ひどいよ!おじさん!」 顔から落ちた様で、涙目で怒られた。 「いや~、すまんすまん・・・」 「ゆっぐ・・・ゆっぐ・・・」 「まりさをいじめないでね!!まりさをいじめるやつはれいむがゆるさないよ!!!」 魔理沙の傍らに霊夢が寄り添う。 「だからすまなかったと言ってるだろう・・・」 早朝から二回も怒られてしまった。 やっと魔理沙が泣き止んでくれた・・・・ 「もう!おじさんいたいよ!!」 「ああ、許せ許せ・・・」 ワシャワシャと魔理沙の頭を撫でてやる。 「ゆへへへ、わかればいいんだぜ~!」 案外まんざらでもない様だ。 「ゆゆ~!魔理沙ばっかりずるいよ!!」 お前はさっきまで私に怒っていた気がするんだが・・・まぁいい・・同じく撫でてやる。 「ゆ~!ゆっくりなでてってね!!」 こちらもご満悦である。 この家に居る経緯については魔理沙が説明していた様で、霊夢は余程怖かったらしく泣き出してしまった。 それをなだめる魔理沙もまた少し泣いている。魔理沙も子供達への思いと自分の夫としての責任感で踏ん張っていたのだろう。 それを見るうちに私の中に不思議な感情が沸きあがってくる・・・ これまでは、ただ自分のために働いてきた。 自分が食べるため、暮らすため、楽しむため。最初は良かった。 気ままに暮らし、気ままに食べ、気ままに遊ぶ。それで良かった。楽しかった。 だが、ある日から虚しく感じた。抱えるもの、背負うものの無い日々はただ不毛のように感じていた。 彼等を助け、その笑顔を見たとき、私は確かに満たされていた。 気付くと、私は彼等に声を掛けていた。 「君達、ウチで働いてみないか?」 自分でも驚いていた。 二匹も戸惑っている様子だった。 私は言葉を続けた。 「巣は先客にほぼ潰されてしまって使い物にならなくなっていた。巣が無くては越冬は難しいだろう・・・なに、ちょっと手伝ってくれるのなら 生涯住む場所と飯を保障しようというのだよ。」 「おじさん!それほんとう!?」 霊夢がすかさず食いついた。 「だめだぜ!」 その声を遮ったのは意外な事に魔理沙だった。 「ここまでしてもらったのにおうちまでもらうわけにはいかないんだぜ!!」 当然といえば当然だろう。襲われている所を助けられ、食料だけでは無く子供まで助けて貰ったのだ。 これ以上何か望むのは罰が当たる。というものだろう。 「ゆ~!まりさ!なんでだめなの!」 「れいむはだまってるんだぜ!!」 不満そうな霊夢を魔理沙が一括する。 「とにかくまりさたちはじぶんたちでゆっくりプレイスをさがせるからへいきなんだぜ!!」 外は猛吹雪、屋内から出ればたちまち遭難してしまうだろう・・・ 運よく巣まで帰れたとしても餌はおろか防寒用の草すら無い。 この家族が全滅するのは目に見えている。 しかし、これ以上恩を受けるのは魔理沙のゆっくりとしてのプライドが許さなかった。 「君は何か大きな勘違いをしていないか?」 私は更に言葉を続けた。 「まさか、私が同情や情けで君達を住まわせようとしている。そう思ってるのでは無いのか?」 魔理沙が驚いた顔で振り返る。 「ゆ?ちがうの?」 私は真剣な顔で魔理沙に語りかける。 「違うな、私は君をスカウトしているのだよ。わが社で働いて欲しいとね。それに、恩を受けたら返すのが筋という物だろう? ならば、わが社で働き少しずつでも貢献してくれれば私としても助かる。つまりギブアンドテイクだ。住居の保障はおまけの 様なものだ。生憎、社員が一人も居なくてな・・・部屋なら空いている。どうだ?わが社で働いてはくれないか?」 「ゆゆぅ~・・・」 魔理沙は私の眼をジッとている。 しばらくすると「ゆっふっふっふ」と不敵に笑うと胸(あご?)を張った。 「そこまでたのまれたらことわれないぜ!おじさんのかいしゃでまりさの「びんわん」をふるってやるぜ!!」 「決まりだな!よし!君達は今日からわが社の社員だ!よろしく頼むぞ!!」 「ゆっくりまかせてね!!」 「ゆ~!まりさかっこいい~!!」 霊夢に褒められて魔理沙の胸(?)は燃える闘魂のようにシャクれていた。 「よし、じゃあ別室で契約書を書くから魔理沙君!付いて来たまえ!」 「ゆ!ゆっくりりかいしたよ!!」 「がんばってねまりさ!!」 霊夢が魔理沙に頬を寄せる。 「て、てれるぜれいむ~!」 「あ、霊夢君、君も育児終わったらバッチリ前線に来てもらうぞ!!」 「ゆがーーーん!!!」 歯茎をむき出し真っ白になっている霊夢を置いて魔理沙と別室に移動する。 契約内容をざらっと説明していく(あくまで形式的なもの) 最初は魔理沙も「ゆ!」、「ゆっくりりかいしたよ!」などと元気に返事をしていたが、「ゆ、」、「ゆぅ」と元気が無くなっていった。 「どうしたんだ、魔理沙君」 見ると魔理沙は泣いていた。ボロボロと涙を流していた。 「おじざん、ありがどう!!」 契約書は涙で滲んでしまっていた。 「フン、ウチは厳しいからな、覚悟しておけよ。あとおじさんっていうな、社長と呼べ。」 ニヤっと笑いながら魔理沙の頭をポンと叩く。小さく「ゆッ」と返事が聞こえた。 契約が終わる頃下の階が騒がしくなってくる。 「お、子供達が起きたようだな。ほら、いつまで泣いてるんだ。父親だろう。ビシっと決めていけ!」 魔理沙の帽子に社のエンブレムを付けてやる。 「さぁ、今日から忙しくなるぞ!魔理沙君!!」 「いわれなくてもわかってるよ社長!!」 魔理沙は忙しく一階にドタドタ下りていった。 「こらー!ゆっくりしてなきゃだめなんだぜー!!」 「まりさぁぁぁ!!そのこつかまえてぇぇぇ!!」 下から賑やかな声が聞こえてくる。 「ふぅ、先が思いやられるな・・・」 一人頭を抱えるが、その顔はどこか嬉しそうで晴々としていた。 数ヶ月後・・・ そこにはゆっくりと人間が運営する運送屋が根付いていた。 社員は魔理沙と霊夢と子供達を加えて5~6人(匹?)程だがその仕事ぶりから周囲から評価されていた。 「ゆ~!まりさ!こーまかんに「まどうしょ」のはいたつだってー!!」 「ゆぅ~!社長はどうしたんだぜ~!」 「社長はおちびたちに「うんそうのしどう」だって~!!」 「ゆぅ~しかたない、ゆっくりすみやかにいってくるぜ!!!」 その頃・・・紅魔館・・・ 門番の美鈴さん運送受諾の連絡を受けていた。 「魔道書ね…来るまで少し掛かるだろうし少しお昼寝でも……あら…うそ……」 スィー… 「またせたぜ!ゆっくりうんそうだぜーー!!」 ゆっくり運送は今日も忙しい。 「おまけに限りなく近い何か」 紅魔館から魔理沙が帰ってきた。 「おぉ、帰ったかご苦労さん!魔理沙くん。」 「ゆっくりかえったぜ!つかれたんだぜ~!」 「お疲れの所申し訳ないんだが、台所の冷蔵庫の中身が弾けて混ざってるんだが…なにか知らんかね?」 「ゆ!?…ゆっゆ~♪たぶんどろぼうさんなんだぜ!」 「ほぅ、魔理沙君、この監視カメラの映像を見てくれ。コイツをどう思う…?」 そこには冷蔵庫を漁る魔理沙の姿が!! 「すごく…高画質です…」 「君ノ死二場所ハ此処ダ!!」 「ゆぎゃあああぁぁぁぁぁ!!ごべんなざああぁぁい!」 今日も社内は賑やかですw 楽しませてもらったよ、だけど一部の表現を嫌う人もいるから気をつけてね 続きも見たいね -- 名無しさん (2009-03-31 09 20 30) 読んで下さって有難う御座いますorz 確かにアレ(恐らくレイパー表現でしょうか?)の表現は我ながら頂けませんね。 そこに気を配りつつ、精進したいと思います。 -- 作者 (2009-03-31 18 30 08) ギリギリなネタは結構好きです。 どの辺りまでならやっても大丈夫なのかはここのssを色々読んだり、 ssがスレに投下された際の反応を最近の過去ログで見るといいですよ。 基本的には東方創想話レベルの表現なら大丈夫かと。 (産廃創想話と東方夜伽話レベルはちとキツイかも) -- 名無しさん (2009-03-31 19 05 10) なるほど、一応他の方の作品も参考にさせて頂いているのですが。 何分新米なもので、至らぬ所もあるかと思います。 私自身、出来るだけ楽しんで頂ける様な作品を作りたいと思っていますので、 より一層の精進を心がけたいと思います。 -- 作者 (2009-04-01 02 40 25) 名前 コメント
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※俺設定注意 ゆっくりいじめ小ネタ189 新製品 ゆっくりいじめ小ネタ453 新製品 その2 の設定を使わせていただいています。 暇で暇でしょうがないのでゆっくりを魔改造したいと思う。 いつぞや俺が買ってきた、ゆっくりのスペア用パーツ「おめめ」。 こいつで百々目鬼ゆっくりを作成したいと考えている。 用意するものは、例の「おめめ」20個(これは別に何個でも良い)、そこら辺で捕まえてきたゆっくり。 前回はれいむが頑張ってくれたので今回はまりさの出番にした。 「ゆゆっ!おじさん、ゆっくりしていってn」 誰がおじさんだこの大福が。 即効で麻酔用アルコールを突き刺し、眠らせる。 起こしていてもいいのだが、そうなると作業がめんどくさい。 まずはまりさの帽子を取る。 この帽子は特に利用価値は無いので捨てるなりなんなりしても構わない。 俺は後で実験に使用したいのでとっておく。 次に、髪の毛。 必要ならば全部剃ってしまおう。 確かゆっくりは髪の毛の有無よりも飾りで判別するはずだから・・・問題ないな。全て剃る。 まりさの髪を適当に坊主刈りにしてから、丁寧にかみそりで剃っていく。 あっという間にハゲ饅頭の出来上がりだ。 本饅は幸せそうに眠っているが、今起こしたら泣くわ喚くわでさぞ大変だろう。 今回の趣旨に逸れるので眠らせたままにしておく。 さて、ここからが本番だ。 どこでもいいからハゲまりさの皮に切れ込みを入れる。 「ゆうう・・・・・・ぅん・・・・・・」 ハゲまりさが唸っているが無視。 この程度では麻酔は切れない。 切れ込みを入れたらその中にスプーンを差し込み、ある程度餡子を取り除く。 ちょうど目を入れる眼窩をイメージすると良い。そんな感じにくりぬいていこう。 最後に適当な「おめめ」を切り口の中に押し込む。 オレンジジュースをかけても良いが、うっかりすると切り口が塞がってしまうので今回はパスだ。 自然治癒を待とう。 そんな調子でどんどん「おめめ」の移植を続けていく。 両目の間とか、後頭部とか、両頬とか、とにかく沢山だ。 結構「おめめ」は色のバリエーションが多いので楽しんで着けていける。 「おめめ」を使い切ったら完成だ。 ハゲまりさ・・・いや、百目まりさはその名の通り、ありとあらゆる場所に瞼らしきものがついている。 目玉が入ったことでその部分が目の機能を始めたのだ。何故か睫毛も生え始めている。 底部以外にびっしりと目がついたゆっくり。正直キモイ。 百目まりさが起きるまで時間を潰す。 とりあえず本でも読むか。 「ゆ・・・・・・ゆぅ・・・・・・」 お、丁度いいタイミングで目が覚めたようだ。 本を投げ捨て、まりさの傍に近寄る。 ゆっくりと、開かれていく沢山の瞼。 怖ぇ。 「ゆっくりしていってね!!!」 テンプレのごとき挨拶。まぁそれはどうでもいい。 百目まりさの顔を構成するのは口意外に、目と目と目と目と目と目と・・・・・・とにかく目だらけだ。 ここで取り出したるは先程取り外しておいたまりさのお帽子。 「ゆっ!!まりさのおぼうし!!かえしてね!!」 複数の目玉が一斉に帽子を見つめる。 試しに帽子を振る。つられて動く大量の視線。 自分で作っておきながらなんだが、もし夜とかに出会ったら卒倒する自信がある。 百目まりさがこちらに向かって跳ねてきた。 怖っ。 思わず百目まりさの後ろに回りこむ。 「ゆゆっ!!?まりさうしろがみえるよ!?なんで!?」 あ、そうだった。 こいつの後頭部にもびっしり目玉を移植したんだっけ。 ていうか今の今まで後ろ見えることに気付かなかったのかよ。 後ろどころか全方位見えるはずだぞ。 これ以上勝手に近寄られても怖いのでさっさと帽子を返すことにする。 百目まりさにむかって帽子を軽く投げる。地面へと落ちる帽子。 ぴょんぴょん跳ねて帽子を回収する百目まりさ。 「ゆっくり!!まりさのおぼうしさん、もどってきたよ!!!」 喜色満面とでもいうべきか。 にっこりと笑顔を作る百目まりさ。 ただ、全部の目が笑っているのでキモい事この上ない。 覚悟を決めてそっと近寄り、百目まりさを持ち上げる。 途端、複数の視線がこっちを向く。怖い。 「ゆぅ~おそらをとんでるみたい!!!」 能天気な百目まりさは放っておいて、じっくりと観察しよう。 うん、やはり全ての目はちゃんと機能しているな。 赤、青、黄、緑、黒。いろんな色の目玉がそれぞれ独立してギョロギョロ動いている。キモい。 どうせなので同じゆっくりにも見せてくるか。 百目まりさを抱え、適当に道を歩く。 こうしていればゆっくりに出会えるだろう。 「ゆっくり!!」 「ゆっくりしていってね!!」 「むきゅ!!」 もう出てきた。 れいむ、ありす、ぱちゅりーの三匹。 早速百目まりさを降ろしてみよう。どんな反応をするのやら。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆ?・・・ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりして・・・・・いってね?」 「むきゅ?・・・・・・まりさ?」 あれ、案外普通に挨拶してる。 もっとパニックを起こすものかと思ってたんだが。 飾りさえあれば何でもいいのかこいつら。 「まりさ、なんだかゆっくりできてないよ?」 「ゆぅ・・・・・・まりさがとかいはじゃないわ・・・・・」 「むきゅん・・・・・・なにかへんよ、まりさ・・・・・・」 「ゆっ!?まりさはゆっくりしてるよ!!へんなこといわないでね!!!」 流石に変だとは思うらしく、3匹は百目まりさに対して引き気味だ。 ゆっくりできないと言われ、怒る百目まりさ。いやお前、自分の姿自覚しろよ。 と、ここでネタばらし。百目まりさのお帽子を取り上げる。 「ゆっ、おじさん!まりさのおぼうしとら―――」 「「「ゆぎゃあああああああああ!!!ばげものおおおおおおおおおおお!!!!!」」」 百目まりさの声を遮るように、3匹の叫びが当たりに響く。 帽子取っただけでこれかよ。いい加減な審美眼してるなこいつら。 「ゆっ!?ばけもの!!?どこ!?どこにいるの!!?」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ごっぢぎだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「お゛も゛に゛め゛がぎも゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 「むぎゅっ・・・・・・え゛れ゛え゛れ゛え゛れ゛・・・・・・」 化け物と聞いて3匹に近寄ろうとする百目まりさ。 そしてそんな百目まりさから逃げ出そうとするれいむとありす。 ぱちゅりーは白目剥きながら痙攣してクリーム吐いてる。こりゃ死んだな。 「ゆあああ!!おいてかないでね!!おいてかないでね!!」 「ぐっ、ぐるなああああぁぁぁぁ!!!!」 「ごわっ、ごわいいいいいいいいいい!!!!!」 「・・・・・・・・・・・・」 置いてかれまいと必死に2匹についていこうとする百目まりさ。 さらに逃げる2匹。鬼ごっこの始まりだった。 とりあえずぱちゅりーは黒ずみ始めた。誰にも気にかけてもらえてない。 「まってよおおおぉぉぉ・・・・・・れいむぅぅ・・・・・・ありすぅ・・・・・・」 「いやあああああぁぁぁ・・・・・・ごないでぇぇ・・・・・・」 「とがいはじゃ・・・・・・な゛いわぁ・・・・・・・」 そのまま草むらへと消えていく3匹。 特に止める必要も無かったのでそのまま見送ることにした。 しかし本当に誰もぱちゅりーの事に気付いてない。哀れな奴。 さて、百目まりさも居なくなってしまったし家に帰るか。 きっとあいつのことだ。何とか上手く生きていけるに違いない。 そういえば帽子を持ったままだったが、置いていったのだし要らないんだろう。 俺は百目まりさの帽子をびりびりに破いてから意気揚々と家路についた。 非常にどうでもいいことだがそれから数日の間、この町に妖怪が出るという噂がまことしやかに流れた。 なんでもその妖怪は全身に目が付いた生首だとか。 どう聞いても百目まりさの事です本当にありがとうございました。 おわり ――――― 書き溜めです。 そういえば書いてないなと思い適当に仕上げた。 構想3秒、執筆期間30分、推敲0秒。適当は良くないね。 このSSに感想をつける
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羽毛のような雲が流れてゆく空から茅葺き屋根の民家の庭へと一人の少女が舞い降りた。 肩から二の腕にかけて肌を露出させた巫女装束…の、ような衣装を着て、黒髪に大きな赤 いリボンをつけたその少女はこの幻想郷でも一番有名な人間であろう。 少女の降り立った広い庭では初老の男が鶏の世話をしていたのだが、初老の男は目の前ま で飛んできた少女の姿に驚くことなくにこやかに迎えた。 「おお。早かったのう」 「終わったわよ。そこそこ痛めつけておいたから当分の間はこの辺に近づこうともしない でしょ」 「そうかいそうかい。霊夢ちゃん、ありがとうよ」 「ま、ミスティア程度じゃ異変とも呼べないし。大した手間じゃなかったわ」 肩をすくめる少女に、初老の男も破顔する。 養鶏農家の多いこの里に『鳥類解放ーっ!』と、歌声も勇ましく夜雀の怪が襲撃してきた のが今日の朝早く。近くの里に茶葉を買い求めに来ていた少女が騒ぎを聞きつけたのが昼 前で、今は太陽が真上に昇る正午である。言葉通り、大した手間では無かったのだろう。 「はっはっは! わしらにゃ恐ろしい夜雀さまも、博霊の巫女さまの前じゃあ形無しか い!」 「そう言う事ね。妖怪除けの結界も張り直して置いたし、もう帰るわね」 「ああ、少し待ちなさい」 踵を返し、ふわりと浮き上がった少女を初老の男が呼び止める。 振り返った少女の目の前に突き出された、初老の男の掌には数個の鶏の卵が乗っていた。 「今朝採れたばかりの新鮮な卵じゃ。霊夢ちゃんにはいつも世話になっとるからせめても のお礼じゃて。持って行きなさい」 「あら。ありがと、おじさん」 少女も嬉しそうな笑顔になると、初老の男の掌からひょいひょいと卵を貰ってゆく。 この里の卵は幻想郷の中でも美味しいとの評判は聞いていたが、人気があるため品薄で手 に入り難い。それだけに嬉しさもひとしおだった。 ついつい冗談も口をついて出てしまう。 「けど、お礼は何時でも神社のお賽銭箱で受け付けてるわよ?」 「ぶわっはっはっ! わしも年じゃからな、麗夢ちゃんみたいに空でも飛べねぇと御山に ゃ登れねえのさ」 笑い上戸らしい初老の男は皮肉混じりの冗談にも大笑いして返した。 あまりに体を震わせて笑うので、掌の上に残っていた最後の卵が少女の指から逃れて転げ 落ちてしまった。 「…あ」 「…ありゃぁ~、しもうたぁ…」 地面に落ちて割れてしまった卵を見下ろして、二人して呻く。 卵を掴み損ねた指を数秒彷徨わせていた少女は、腕を下ろして頭を下げた。折角の美味し い卵を自分でふいにしてしまったのが何とも口惜しい。 「ごめんなさい…」 「なぁに、わしが馬鹿笑いしすぎたんじゃ。落ちちまったのは勿体ないが、家の鶏どもが 綺麗に食っちまうさ」 少女の内心は知らぬが仏。リボンの上からポンポンと頭を撫でて、初老の男は笑顔で慰め た。 **************** にわとりとゆっくり **************** さて、そんな一連のやりとりを垣根の影からじっと窺っていたなまものが一つ。 首から下のない、生首のようにも見えるそれは『ゆっくり』と呼ばれている。お饅頭の化 生だか妖精だかよくわからない、妖怪の賢者ですら匙を投げた摩訶不思議な物体。 先ほどの少女によく似た髪型に、お揃いのような赤いリボンを付けたこのゆっくりは、『ゆ っくりれいむ』と呼ばれる個体であった。 れいむは少女が飛び去り、初老の男が家の中に入っていったのを見計らって垣根の影から 飛び出した。 家の中の人間に気付かれないように細心の注意を払って、 「そろーり、そろーり! 気づかれないようにしずかにいくよっ!」 台無しである。 だが幸いにも初老の男は少々耳が遠く、さらには家の奥へと引っ込んでいたのでゆっくり の声に気付くことはなかった。 れいむが(ゆっくりなりに)こっそりと民家の庭に入り込んで目指した先にあったのは、 初老の男の手から落ちて割れた鶏の卵。 「ゆっくり~♪ れいむもれいむだよ! れいむもおせわになったお礼に卵さんを食べる よ! じゅ~るじゅ~る…」 このゆっくりれいむ、少女と初老の男の会話を盗み聞きして何か勘違いをしたらしい。 れいむは地面に広がる卵黄卵白に覆い被さるようにして口を付けると卵を啜る。 途端、濃厚な味が口の中に広がった。 それは普段、芋虫毛虫や苦い雑草を主食にしているゆっくりにとって中身の餡子を揺さぶ るほどの衝撃となった。 「じあばッ!!」 美味しさの余り「しあわせ~♪」とも言えずに白目をむいて気絶してしまった。 しばらくして。 あまりにもあからさまに怪しい侵入者に当初は警戒していた庭の鶏たちだったが、ピクリ とも動かなくなったので警戒心も薄れたのか。数匹の雄鳥が鶏冠を揺らしてゆっくりに近 づく。 コケッ コーッコッコ… 「ゆ゛っ!?」 一匹の鶏が嘴で突っついた途端、気絶していたれいむは痛みで覚醒した。 気絶から覚めたら鶏たちに囲まれていたという状況に怯えて竦むれいむであったが、なけ なしの勇気を振り絞って前へ踏み出した。 「近づかないでねっ! ぷくぅううううぅぅぅっ!!」 大きく息を吸い込んで膨れあがるのはゆっくりの威嚇。 人間や妖怪相手には一笑に付される程度の威嚇ではあるが、警戒心の強い動物相手にはそ れなりに効果がある。急激に形を変えたゆっくりの姿に、近くにいた鶏たちは大急ぎでゆ っくりから距離を取った。 鶏を追い払えたれいむは、即座に『にわとりさんはれいむより弱いよ!』と認識して増長 していた。 「ゆっふん! わかればいいんだよ。れいむをおどかしたおわびはにわとりさんたちの卵 で良いよ! にわとりさんたちの卵はぜんぶれいむが食べるよ!」 先ほどの勇気の原動力は食欲だったらしい。 鶏相手に大声で宣言したれいむは、庭の一角に設えてある鶏舎へと跳ねて行く。 一歩鶏舎に近づく度にれいむの貌はだらしなく緩んでゆく。 初めて口にした鶏卵は思い返すだけで涎が溢れて止まらない。 うっすらと色付いた透明な卵白のするりとした喉越し。地面に落下しても破れることなく 形を保っていた卵黄を噛み切った瞬間に口の中に広がるどろりとした舌触りと、口内を満 たす滋味豊かな味わい。 「れいむの卵~♪ れいむはにわとりさんの卵さえあれば他になにもいらないよぉ~♪」 すっかり鶏卵の虜になったれいむは、だからこそ気づけなかった。 鶏舎に残っていた鶏たちはれいむが入ってきても退かず、逆にジリジリと近づいてきてい たことに。 そして鶏舎に突進したれいむを庭の鶏たちが追っていたことに。 「にわとりさん、ゆっくりしていってね! れいむに卵をちょうだいね!!」 コォーッコッコッコォ… ケーッコッコッ… 「……………………ゆ?」 気付いたときには、殺気立った鶏たちに十重二十重に取り囲まれていた。 警戒心が強く、追われれば逃げ出してしまうほど臆病な鶏であっても、自分の巣に入り込 むような相手には断固として立ち向かうのである。 鶏の飼い主である初老の男であっても、鶏から卵を取り上げるときには手痛く啄まれるの である。 そんなことはつゆ知らぬれいむ。 初老の男が飼っている総数14羽の鶏に囲まれて目を丸くしたのは十数秒。だが先ほどの 勝利を思い出すと大きく息を吸い込んだ。 「れいむのじゃましないでね! どっかいってね! ぷくぅううううぅぅぅっ!!」 ケッ! 「ぶひゅ!?」 残念なことに、守るべき巣を背をった鶏たちの志気は先ほどとは違う。膨れあがった右の 頬に鶏の嘴が突き刺さった。 思わず吸い込んだ息を吐き出してしまったれいむに、様子見をしていた鶏たちが雪崩を打 って襲いかかった。 無数の嘴が、蹴爪が、れいむの肌を切り裂き髪を千切り眼に突き刺さり餡子を啄み―― 「やびぇっ! ぼもびゃめじぇ! ごべぎゅっざび! だぢ――」 口を開けば口の中。 身を捩って飛び跳ねようとすれば足の裏。 鶏たちの苛烈な攻撃は聞き取りづらい命乞いを無視して続いた。 * 「さぁて、鶏ども飯だうおぁっ!」 初老の男が鶏の餌と水を抱えて鶏舎に入ると、そこにはぼろぼろの生首があった。 よく見ればそれは鶏たちに散々いたぶられたゆっくりれいむの成れの果てである。 ただ、髪は千々に千切れてぼさぼさ、肌は啄まれてぼろぼろ、白い物が涙のように流れる 両目は潰れており、だらしなく開いた口からはずたずたになった舌が垂れ下がっていた。 赤黒い餡子と砂で汚れきったその姿は、正に落ち武者も斯くやといった風体となっていた。 「ああ、なんだゆっくりか…びっりしたわい」 跳ね上がった鼓動を深呼吸をして落ち着けて、初老の男は鶏の餌を撒いて桶の水を取り替 えた。 「こんなもん食ったら卵の味が悪くなってしまうで片づけんとなあ」 鶏の餌を入れていた桶にゆっくりの残骸を集めて詰め込み、鶏舎から運び出しながら初老 の男は独り呟く。 「知らん間に鶏が変な物食ったらいかんで、今度神社にお参りに行くときにでもゆっくり 除けの結界を頼むかねぇ…」 その時は自慢の卵と、わずかでもお賽銭を持っていこうと心に決めて初老の男は家に戻っ ていった。 * この里の養鶏家でゆっくりの被害に遭ったという者は未だにいない。
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(続き) 翌日、ドスとパチュリーは群れのみんなを広場に集めた。 どのゆっくりもドスへの不信感を高まらせていた。 それも当然、今の今までお野菜を採りにいけず、森の草やキノコといった今までと 何も変わらないような食生活を強いられてきたからだ。 ある意味、群れのゆっくり達は我慢の限界だった。 昨日帰ってきた時に野菜を取ってはいけない指示が解除させると踏んでいた事もあってか 解除されない事に対して裏切られたと考えたゆっくりは多数存在した。 「かってにはえてくるおやさいさんをとったらだめって、どすはなにかんがえているのぉぉぉ!!」 「ゆっくりをゆっくりさせないドスなんてドスしっかくだよ!!」 どのゆっくりも怒りに怒っていた。 群れのゆっくり達が愚痴っていると、広場に大きなゆっくりが現れた。ドスだ。 ドスが現れたのを皮切りに、群れゆっくり達の不満の嵐が飛び交った。 「どぼじでおやざいざんをどっだらだめなのぉぉぉぉぉ!!」 「れいみゅのあかちゃんをみてよ!!こんなにおはだがしろくなっちゃって・・・・ ドスがおやさいさんをたべさせなかったからだよぉぉぉ!!せきにんとってねぇぇぇぇ!!」 「ぴぇぇぇぇん!!れいむのおひゃだぎゃこんにゃにちろくなちゃったよぉぉぉぉ!!」 酷い言いがかりが混じってはいたが、ドスはとりあえず無視し、広場の中にある台のような 所にたった。 ちなみにゆっくりの肌は元から白色である。 「みんな!!ゆっくりきいてね!!これからみんなにはにんげんさんとのじょうやく をはっぴょうするよ!!」 この一言に、群れのゆっくりはざわめき始めた。 いままで何処に行っていたのだと考えていたら人間さんの所に行って条約を結んでいた 事が分かったからだ。 「さすがドスだね!!にんげんさんをゆっくりせっとくしてきたんだね!!」 「にんげんさんにちゃんとただしいちしきをおしえてきたのね!!とかいはだわ!!」 ざわめく群れゆっくりにぱちゅりーはしずかにするように指示を出し、みなを静かにさせた。 静かになったことを理解してから、ドスはゆっくりしゃべり始めた。 「じゃあみんなしずかになったからゆっくりはっぴょうするね!!」 ドスは人間との約束を話し始めた。 最初はどのゆっくりもゆっくりにとって有利な条約であろうと考えていたが、最初の すっきり制限の話題がでた途端、どのゆっくりも騒ぎ出した。 そんな馬鹿なという顔をしていたが、二つ目の食べ物の乱獲制限で疑問が確信に変わった。 このドスはゆっくりのために働いてなんかくれていないと・・・ 三つ目の人間さんのルールを人間に対して破るなという所で幹部以外のゆっくりは 切れた。 「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!!なんでにんげんさんのルールをまもらなきゃいけないのぉぉぉ!!」 「にんげんさんがゆっくりのルールにあわせればいいでしょぉぉぉぉ!!」 群れのゆっくりは思い思いに叫んだ。 ゆっくりからすればお腹一杯む~しゃむ~しゃすることも、かわいいおちびちゃんを思う存分 産むことが出来ないのだから当然と言えば当然だった。 しかし、ドスはそれを認めれば何が起こるか餡子に刻み込まれているため、首を縦に 振ることはできなかった。 4つ目の条約を言う前に、群れのみんなを宥めることにした。 「みんな、ゆっくりきいてね!!ドスたちがゆっくりするためにはこのにんげんさんとの じょうやくをまもらないといけないんだよ!!だからゆっくりきいてね!!」 「うぞいうなぁぁぁ!!そんなじょうやくじゃあみんながゆっくりできないぃぃぃぃ!!」 群れのゆっくりの中でも特に体が大きいまりさが答える。 「おなかいっぱいたべちゃだめ!!あかちゃんをいっぱいつくっちゃだめ!! にんげんさんのルールにあわせろ!! わけがわからないよぉぉぉぉ!!みんなゆっくりできないよぉぉぉ!! そんなおやくそくをしたどすなんかいらないよぉぉぉ!!でていけぇぇぇ!!!!」 「そうだよ!!やくたたずなドスなんかいらないよ!!ゆっくりむれからでていってね!!」 『で~ていけ!!ゆっくりしないでで~ていけ!!』 幹部を除いた群れゆっくり達は一斉に出て行けコールを始めた。 自分達から勝手に集まっておいて何を言っているのかと問いたいがゆっくりに言うこと、 人間とは異質な価値観で動いているのだから致し方ない。 「むきゅ~・・・・どすしよう、ドス。みんなきくみみもたずだわ・・・」 ぱちゅりーは心配そうにドスに問い尋ねる。 ドスはぱちゅりーになんとかすると言って必至に皆を説得しようとするも馬の耳に念仏、 取り合おうともしなかった。 そして、ドスは苦渋の選択をすることになる。 「わかったよ・・・ドスはでていくよ・・・」 「「「「「ゆ?」」」」」 幹部ゆっくり達はドスから思いもしない回答が飛び出たことに驚いた。 幹部のみょんが聞く 「ドス・・・それはほんきだみょんか?」 「ゆぅぅぅ・・・みんなをきずつけたくないし、みんなきいてくれないし・・ もうこれしかないよ・・・・」 ドスは頭をうな垂れながらそう答えた。 一方の群れゆっくり達は大喜びであった。 自分達をゆっくりさせないわるいドスを追い出すことが出来たからだ。 「ゆわ~~い、ゆわ~~い、これでゆっくりできるね!!」 「みんなゆっくりしあわせなれるよぉぉぉ!!」 皆が騒ぐ中、あの体が大きいまりさがドスの目の前に立った。 「これでわかったでしょ!!みんなゆっくりできることをのぞんでいるんだよ!! そんなみんなをゆっくりさせようとしないドスはほんとうならここでせいさいされるべき だけど、まりさはやさしいからみのがしてあげるね!! わかったらゆっくりしないではやくでていってね!!」 そういいドスに体当たりをしかけた。 もちろんその体格差からドスにダメージが来るはずがなかったが、ドスの純粋な心には重く響いた。 ドスの目からは大粒の涙があふれ出ていた・・・・。 その日の夕方、ドスとそれに従う幹部ゆっくりと群れゆっくりのほんの一部は群れをでた。 出発に準備が思いのほかかかったり、群れゆっくりの一部からどうしてもドスについていきたい と志願するゆっくりがほんの少しいたためである。 これから群れを出発するドスに、あのまりさは喋った。 「ドスがあんなにひとりじめしようとしていたおやさいさんはあしたさっそくみんなで とりにいくね!! どすのぶんはもちろんないよ!!そのでっぷりふとったおなかのなかにいっぱいおやさいさんが おさまっているのはわかりきっているけど、まりさからのせんべつということにしておいて あげるね!!じゃあね!!にどとこないでね!!」 ドスは泣きたくなる顔を必死に隠しながら群れを去った。 翌日・・・・ 実質的に新らしい長になったまりさは広場で演説を始めた。 内容は、新しい群れの掟だった。 その内容は非常にゆっくりらしいものだった。 1:赤ちゃんはゆっくりできるからたくさん作ろう 2:ごはんさんをお腹一杯食べたらゆっくりできるから一杯食べよう 3:お野菜さんはみんなの物(無論人間は入ってない)だから好きにとっていい 4:みんな好きな時に思う存分ゆっくりして良い 5:ゆっくりのルールはちゃんと守ろう 以上の5つであった。 ドスは確かにドスになりたてで一番重要な所でミスを犯しはしたが、それでもみんながゆっくり できるためにいろんな条約を作って必死に頑張っていた。 その例としてはみんなで働こうと促したり、好きな時にゆっくりしてはダメといったものだった。 ドスのときには叶わなかった事がこのまりさに変わった途端OKになった。 群れゆっくり達に拒否する理由などなかった。 それどころか、みなまりさが最も偉大なリーダーだと認めた。 みなが喜ぶ姿をみて、まりさは受け入れられた事を喜び、さっそく最初の仕事にかかることにした 「それじゃあみんな!!さっそくみんなのおやさいさんをとりにいくよ!!」 群れゆっくりは大喜びし、さっそく野菜さんを採りに行く準備を始めた。 家族に今日のごはんはおいしいおいしいお野菜さんだよと予告するまりさ 採ってきたお野菜さんを土産にあのまりさに告白しようときめたありす どのゆっくりも思い思いの幻想に浸って行った。 自分達がこれからどんな目にあうかもわからずに・・・・ 準備が整ったのはまりさが号令をだした1時間後だった。 リーダーまりさは特に怒ることもなくゆっくりと皆の準備を待ち、ゆっくり出発した。 その行軍も非常にゆっくりしたもので、人間の足なら5分程度の距離を30分かけて到着した。 群れゆっくり達は疲れたといって騒いでいたが、野菜畑をみてその疲れが吹っ飛んだ。 赤々と実ったお野菜さん、白くて太い野菜さん、緑色のトゲトゲがついたお野菜さん それが全部食べられる!!どのゆっくりも自然と駆け足になっていた。 「れいむはあのあかあかさんをたべるよ!!」 「じゃあまりさはあのみどりのトゲトゲさんをたべるよ!!」 「とかいはのありさはあのしろくてふといとかいはなものをたべるわ!!」 群れゆっくり達は畑に駆け出し、自分達が食べたい野菜の名を挙げた。 だが、それが叶うことはなかった。 「ゆ?・・・・・・どぼじでごごにいるのぉぉぉぉぉぉ!!!」 群れのれいむが畑にいるものを見て思わず叫んだ。 そこには・・・・・追い出されたはずのドスと取り巻きがいたのだ。 長となったまりさはそんな馬鹿なという顔で畑に近づいて行った。 「ドス!!なんでみんなのゆっくりプレイスにいるの?はやくでていってね!!」 長はぷくーをして威嚇した。 それにこたえるかのようにドスはゆっくりとまりさの方へ振り向いた。 「なんでみんなのゆっくりプレイスなの?なにもめじるしもにおいもないよ!! うそいわないでね!!それにここはドスたちのゆっくりプレイスになったからゆっくりでていってね!!」 ドスははっきりとそう答えた。 なぜこのような事が起こったか、それはドス達が群れを追い出された時にまで戻らないといけない。 群れを追い出されたドス達ゆっくりはそのままお引越しを行わず、お世話になった村長の家に向かった。 「ゆっくりこんばんわ!!」 村長の家の前に立ったドスは村長を呼び出した。 運よく村長は家にいた。 この村長はドスの殊勝な態度が気に入ったらしく、快くドスの来訪を迎えた。 「おお、ドスか。どうした?なにか相談か?」 ドスは群れに帰ってからの経緯を説明した。 村長はまあ仕方無いわなという顔で聞いていた。 「そいつは確かに困ったな・・・ところでドス、俺との約束は覚えているよな?」 村長はドスに話しかけた。 ドスはもちろんと言わんばかりの顔で答えた。 「もちろんだよ!!」 ドスはすらすら4つの約束を喋った。 言い終えると、村長はこう切り出した。 「おぼえているのなら4つ目の約束は覚えているな?1~3までの約束を破ったら皆殺しというやつだ。 言っておくが俺達人間はお前達が人間を特定できないのと同じで人間もお前らの種族程度しか判断できない。」 ドスはこのとき、いやな予感を感じ取った。 「・・・どういうこと・・ゆっくりせつめいしてね・・・」 村長は真顔でこう答えた。 「結論からいうと、お前について行ったゆっくりと群れでやりたい放題しているゆっくりを区別する 方法が人間にはない。だからおそらく約束を違えたらお前達もあの群れと一緒に皆殺しにされる 可能性があるんだ。俺はしないが、村の者なら平気でやるだろう。」 一時の静寂がゆっくりを包んだ。 だが、ドスの一言が静寂を破った。 「どぼじでぇぇぇぇぇ!!ドスたちはむれのゆっくりじゃなくなったのにぃぃぃぃぃ!!」 「ついでにいうと、付近にいるゆっくりも皆殺しになるわ」 「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!」 ドスと幹部たちは拒絶するかのように咆哮した。 だが、数分も経つとさすがに疲れたらしく叫び声も弱くなってきた。 「ゆぅぅぅ、ゆぅぅぅぅぅぅ・・・どうすればいいの?ドスたちもうおひっこしをするよりょくも ごはんさんもないよ・・・。それよりみんながくるしむのをみたくないよ・・・・ どうすればいいの?そんちょうさん」 村長は頭を抱え、悩み始めた。 悩むこと3分・・・村長はいい考えが浮かんだ。 「よしドス、お前らは村に留まれ」 「ゆ?」 このとき、ドスは一瞬えっという顔をした 「おまえらゆっくりを村に置いておいてやる。わかりやすく言うと村の一部をお前らのゆっくり プレイスにしてやる」 「ゆ!!いいの!!うわぁぁぁいこれでみん「ただしただじゃない」ゆ?」 村長はドスの会話に割り込んだ。 「村に置いてやる代わりにゆっくりから野菜を守ってもらう。ある程度守ってくれたなら野菜 も一部あげよう。ただし、ある程度以上野菜に被害がでたら、お前ら共々ゆっくりを 皆殺しにするからな。」 ドスには否定するだけの選択肢はなかった。 こうして今に至る。 村長からは野菜畑にある土地の一部をゆっくりプレイスとしてもらった。小屋も付いており ゆっくりにとってはこの上なく住みやすい所であった。 だが、ドス達ゆっくりは「お野菜さんがゆっくりに食べられたら皆殺しにされる」という 脅迫観念から素直に喜んでいるゆっくりは一匹もいなかった。 ドスたちは人間さんに許可をもらって匂い付けを行い、一応の対策を済ませてからその日は寝た。 そしてお野菜を守るために見回りをしている時、まりさ達がやってきたのであった。 皆を引き連れてきたまりさは激怒した。 みんなのゆっくりプレイスに先回りをして皆が来ないうちに匂い付けをし、みなからゆっくり プレイスを奪ったからだ。 まりさが考えていたことは他の群れゆっくりとて同じだった。 みんなが見つけたゆっくりプレイスを匂い付けをしてない隙を狙って奪った。 これだけでもばんしに値する。 群れゆっくりからは出て行け!!死ね!!コールが絶え間なく続いていた。 それに答えるかのように、長まりさがドスの前にやってきた。 「ドスぅぅぅ!!しふくをこやそうとしていてにおこたらず、こんどはみんなのおやさいさんが はえてくるプレイスをうばうなんてゲスのやることだよ!! いまならおおめにみてあげるからゆっくりしないででていってね!!」 長まりさは必死に怒りを抑えながら言った。 だが、ドスは何か疲れたような顔をしながら答えた 「おやさいさんはね、かってにはえてこないんだよ!!ゆっくりおせわをすることでようやく おやさいさんになってくれるんだよ!!ドスたちはここでおやさいさんのおせわをすることに なったからもうこないでね!!こんどきたらゆっくりできないことをせざるおえなく なっちゃうからおねがいだよ・・・」 ドスは泣きそうな顔でそう返した。 だが、そんなことで群れのゆっくり達が納得するわけがなかった。 「なにいっでるのぉぉぉぉぉぉ!!おやさいさんはかってにはえてくるんだよぉぉぉぉ!! なんでドスなのにそんなこともしらないのぉぉぉぉ!!」 「にんげんにだまされてそんなこといっているんだねぇぇぇ、わかるよ~、わかるよぉぉ!!」 群れのゆっくり達が堰を切ったかのように文句を言いだした。 皆ゆっくり特有の固定観念に忠実なものだった。 お野菜さんは勝手に生えてくる、草さんもキノコさんも勝手に生えてくる。 このゆっくり達はあくまで普通のゆっくりであった。 長まりさは群れのみんなが黙るまでひたすら下の方を向き、体をプルプル震わせていた。 群れゆっくりが静かになったのを引き金に、まりさはため込んでいた感情をぶちまけた 「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!なにがおやさいさんはかってにはえてこないだぁぁぁぁ!! なにがおせわだぁぁぁぁぁぁ!!そうやってみんなのごはんをひとりじめするでぶがぁぁぁぁ!! もういいよ!!がまんのげんかいだよ!!こんなゆっくりのみちをはずしたゲドウに おんじょうをかけていたまりさがばかだったよ!! みんな!!このゲドウをえいえんにゆっくりさせてごはんさんをとりかえすよ!!」 群れのゆっくりは待ってましたと言わんばかりにドス達がいる畑を目指して駆けだした。 この光景をみたドスはさらに悲しい顔をした。 「おねがいだからむれにもどってゆっくりしてよ!!じゃないとみんなゆっくりできなくなっちゃうよ!! ドスは必死になって皆を説得した。だが、群れからドスを追い出すという選択を選んだゆっくり 達がドスの説得など効く筈がなかった。 「いいかげんにじろぉぉぉぉぉ!!ごのでぶばりざがぁぁぁぁぁ!!」 「どがいはをなめるなぁぁぁぁぁ!!!!」 「まっじろになっじゃっだおじびじゃんのうらみぃぃぃぃぃ!!」 一匹もドスの説得を聞こうともしなかった。 ドスは説得が無駄であることを悟ると、半泣き顔で帽子からキノコを取り出し噛み始めた。 ドススパークだ。 「ごめんねぇぇ!!ごめんねぇぇぇぇぇ!!」 ドスは長がいた中央にドススパークを放った。 手加減をしたらお野菜さんが食べられる事をかんがえ、手加減なしで撃った。 「ゲドウはゆっくりしねぇぇぇぇぇぁああああああぁぁぁぁぁっぁぁ!!!!」 長の体はドススパークの威力に耐えきれず皮は燃え、餡子は蒸発し、目は爆発し、 生前の名残を思わせる部分を一切残さずに死んだ。 ドスは皆がドスに恐怖してそのまま逃げてくれるであろう事を祈って長まりさ目掛けて ドススパークを撃った。群れゆっくりの隊列の中央に大きな穴が空く。 だが、どの群れゆっくりも歩みをとめるどころか穴を塞いでさらに近寄ってくる。 そこまでドスへの恨みが強かったのだろうか、それともお野菜という食べ物にそれだけ 魅了されていたのか。おそらく両方であろう。 ドスは歩みを止めないゆっくり達にひたすらドススパークを連射せざる負えなくなった。 一発一発撃つたびに、まりさから大粒の涙が溢れ出た。 そして数分後、その平原にはゆっくりの体の破片があちらこちらに転がっていた。 結局逃げ出すゆっくりは一匹もおらず、襲ってきたゆっくりは全滅した。 ドススパークを掻い潜って野菜畑の柵を乗り越えるところまで行ったゆっくりもいたが 幹部ゆっくりによって一匹残らず全滅した。 野菜の被害はなし。それほどまでに脅迫観念にとらわれていたのだろう。 ドスは村中に響き渡る程大きい声で泣き叫んだ それから数ヶ月後 あのドス達はまだ元気にやっていた。 村長や村の人間達からはよくがんばっているなとご褒美にお野菜さんをもらえるが、どの ゆっくりも「お野菜さんがゆっくりに食べられたら皆殺し」に脅え、 どれだけおいしいごはんを食べてもゆっくりできない日々が続いていた。 時折やってくるゆっくり達には必死になってお野菜さんを食べないでくれとお願いするも まともに聞き入れてくれるゆっくりは一匹もおらず、結局その場で殺さざる負えなくなった。 村長の方はといえば、嘘のようにゆっくりによる被害がなくなりホクホク顔になっていた。 あのドスが来てくれたことに心から感謝しており、近い内に饅頭でも差し入れてあげようと 考えていた。 本人にとってはあの脅し文句がそこまでゆっくり達に影響があるものと考えもしなかったであろう。 一方あの群れはというと、誰もいなくなっていた。 お野菜さんという魔力にひきつけられ、二回目のお野菜さん狩りに行く時、群れみんなで やって来たため、全滅したのだ。 群れの跡地には流れ着いてきたゆっくり達が営みを始めていた。近い内にあの群れに負けず劣らず の群れが出来上がるだろう。 朝、今日もドスと幹部達のゆっくりしたいという一声でゆっくり達の一日が始めるのであった。 完 あとがき 思いつきで書いた作品のオチを必死に考えてはみたものの、結局こんなオチになってしまいました。 それに大分描写が甘かったりいい加減な所があるし・・・。 私よりうまく作品を書ける人が本当にうらやましいです。 あと避難所でも書きましたが、デビュー作「まりさの馬鹿」はご自由にしても構いませんので 遠慮なくどうぞ 作者 アイアンゆっくり 過去作 まりさの馬鹿 ゆっくり地縛霊 れいむ親子の場合 ゆっくりおしえてね!! 1~ 世界で一番短い虐待 ゆっくり地縛霊 まりさ達の場合 鬼斬 1~ このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/3086.html
その5より 「おおおにいさん!! きょきょきょうは、れれれいむをぎゃくたいしてね!!!」 翌日、れいむは男の足音が聞こえてくるや、男の言葉を待たずして、精一杯の声でそう叫んだ。 そうでもしないと、奮い起した勇気がいつ萎んでしまうか分からないからだ。 現に、今のれいむは朝から一度も震えが止まらなかった。 しかし、言ってしまった以上、後戻りはできない。する気もない。 自分の存在意義がかかっているのだから。 「ほう、ようやくお前の出番が来たか。待ちくたびれたよ」 男はさも嬉しそうに、扉越しに声をかける。 対して、まりさとありすは、何を馬鹿な事を!! と言わんような口調で、れいむに詰め寄ってくる。 「れいむ!! なにをいってるの!! ゆっくりばかなことはいわないでね!!」 「そうよ、れいむ!! れいむがぎゃくたいされることはないわ!! ここは、まりさととかいはのありすに、まかせておけばいいのよ!!」 まりさもありすも、予想通り、れいむを止めにかかる。 しかし、ここで虐待を止められるわけにはいかないのだ。 まりさと対等になるためにも。 ありすより先に、まりさにプロポーズするためにも。 「まりさ、ありす、ゆっくりありがとう!! でもれいむはへいきだよ!! きょうは、ゆっくりしていってね!!」 「ゆぅぅ!! うそつかないでね、れいむ!! こえがふるえてたよ!! れいむがいじめられることなんてないんだよ!! きょうはまりさにまかせてね!!」 「もうきめたんだよ、まりさ!! それに、いつまでもまりさとありすにたよってばっかりじゃいられないよ!! ゆっくりりかいしてね!!」 「れいむこそゆっくりりかいしてね!! れいむがいじめられること、ないんだってば!!」 「なんといわれても、れいむのかんがえはかわらないよ!! おにいさん!! ゆっくりはやく、れいむをつれていってね!!」 埒が明かないと感じたれいむは、さっさと男に連れて行けと要求する。 いつまでもまりさやありすと話をしていると、せっかく奮い立たせた勇気が萎えてしまいそうになるのだ。 そのため、多少強引ではあったが、れいむは二匹との会話を切り上げた。 「ふふ、久しぶりに、れいむを苛め倒すことが出来るよ。楽しみで仕方がないぜ」 男はれいむの部屋の鍵を開けると、扉を開けた。 その手には、一月ぶりに見る、恒例の箱が収められている。 この部屋と虐待部屋を行き来するのに、かつて男が使っていたものだ。 れいむはそれを見るや、体が委縮してしまう。これから虐待をされるのだと、否応なしに思い知らされるのである。 「さあ、れいむ。この箱の中に入れ」 男が木箱の蓋を開けて、命令してくる。 両壁からは、突然まりさとありすの声が聞こえなくなった。 何を言っても無駄だと気づいたのだろうか? それはそれで好都合だが、いざ声が聞こえてこないと不安になってくるのも事実だ。 生物(?)の心理とは、本当に不思議なものである。 れいむが完全に入ったことを確認した男は、木箱の蓋を閉める。 そして、れいむに一言言葉をかけた。 「お前だけは、利口なゆっくりだと思っていたのに、どうやら俺の見込み違いだったようだな」 利口なゆっくり。 この場合、頭がいいという意味ではなく、卑怯・狡猾という意味であろう。 二匹に虐待を任せ、一匹気楽に過ごしていたれいむに対する皮肉であろうか? 何とでも言うがいいと、れいむは心の中で反発した。 男は知らない。 虐待されることこそが、れいむの望みであることを。 これこそが、自分がこれから生き残る上での最善の方法であることを。 虐待されることは、すなわち将来への布石なのだといういことを。 自分が勝者だとおもっているであろう男は、れいむから見たら自分に従って動くピエロのようなものであった。 男の規則正しい足音が聞こえ始めた。移動を開始したのだろう。 これから一か月ぶりに、れいむは虐待を受ける。 れいむは、再度耐えしのぐ決意を固めた。 およそ一月ぶりに受けた虐待は、予想通り、死んだ方がマシといえるほど苦しいものであった。 それでもれいむは必死に歯を食いしばり、男の責苦に耐え続けた。 悪魔の拷問ような一時間が過ぎた時、れいむはあまりの激痛に意識を手放してしまった。 それでも男はきっちり時間どおり終えて、部屋に戻してくれた。 れいむが目を覚ましたのは、翌日の朝方であった。 虐待を受けてから、丸々20時間近く眠っていたことになる。 昔は虐待を受けても、ここまで長く休息を取ったことはなかった。 やはり、久しぶりの虐待に、体が付いてこなかったのだろう。 れいむは起き上がると、未だ痛みの引かない体を引きずりながら、ドッグフードと水の置かれている部屋の隅に向かい、もそもそと食べ始めた。 まりさとありすはまだ寝ているのか、物音一つ聞こえなかった。 少し残念ではあるが、れいむももうひと眠りしたいので、好都合でもあった。 何しろ、れいむは今日も男の虐待を受けるつもりなのだから!! まりさやありすに言えば、絶対に反対されるだろう。昨日の様子を見て入れば、考えるまでもない。 しかし、虐待を一回受けた程度でまりさと対等になったなどというおこがましいことは、さすがにれいむも考えていなかった。 まりさの受けた回数と同じとまではいかなくとも、少なくとも一週間分くらいは虐待を受けなくては、まりさと同じ位置に並べない。 だからと言って、ありすがいつまりさに告白するか分からない以上、三匹で順番に虐待されるなんて、悠長なことは言っていられない。 ほんの一月前までは、毎日のように虐待をされ続けてきたのだ。 それでも、れいむは生きている。悔しいが男の加減は、それだけ正確なのだろう。 これで障害が残ったりするなら考え物だが、そんなこともない以上、れいむは今日も明日も明後日も虐待してもらわなければならない。 そのためには、まず体力を回復させることが、何をおいても重要である。 れいむは食べ終わると、再び男がやってくるまで、眠りについた。 「れいむ!! いいかげんにやすんでよ!!」 「そうよ、れいむ!! これいじょうむりはやめてね!!」 れいむが虐待される決意をしてから、一週間が経過した。 まりさとありすは、2〜3日はれいむを説得し続けたが、れいむが以前のありすのように意志を曲げないと分かると、次第にれいむの心意気をくんでくれるようになった。 しかし、それでいて二匹のこのセリフ。れいむを行かせまいと必死で止めている。 納得したというのに、二匹がれいむを止める理由。 それは、れいむがこれで一週間連続で虐待をされ続けているためである。 どんなに止められようと、れいむは虐待され続けた。 男もそんなれいむの狂気じみた様子に、何か思うところがあったのだろうか? れいむの言い分を聞いて、毎日虐待をし続けてくれた。 しかし、虐待を受けているというのに、れいむは嬉しかった。 自分の思い通りに事が運んでいることに満足していた。 れいむにどんなにやる気があろうと、目下最大の懸念は、男がれいむを指名してくれるかというものであった。 如何に自分から名乗り出ようと、れいむを心配するまりさとありすも必ず名乗りを上げてくる。 心配してくれるのは嬉しいのだが、この時ばかりは、二匹のお節介も鬱陶しいと思わざるを得なかった。 気分屋の男だ、その日の気分次第ではれいむを虐待してくれないかもしれない。まりさやありすを選ぶかもしれない。 しかし、れいむには時間がないのだ。最短でまりさと対等にならなければならないのだ。 それを男は見据えているかのように、れいむを虐待してくれる。 れいむは、すんなりと事が運ぶことに満足し、今日も虐待の痛みに必死で耐えた。 虐待が終わり、れいむは部屋に戻された。 いつもなら食事をしてすぐに寝付くのだが、今日のれいむは中々寝られなかった。 嬉しかったのだ。 れいむの目安としていた一週間が終わったのだ。 これでやっとまりさとありすに、負い目を感じることはなくなる。 まりさと同じ高さに立てる。 そう考えると、ついついニヤケ面になってしまい、体の痛みも忘れてしまいそうになる。 そんなれいむに、両隣から声が掛って来た。 「れいむ!! だいじょうぶなの!?」 ありすの声である。 余程心配だったのだろう。 れいむの企みを知らぬありすは、必死にれいむの名を呼び続けてくる。 「れいむ!! あしたはぜったいにまりさがぎゃくたいされるからね!! これいじょう、れいむがいくんだったら、ぜっこうだよ!!」 まりさの言葉。 絶交とは、温和なまりさがよく口にしてきたものである。 危なかった。ノルマが達成した後で助かったものだ。 まりさと一緒になるために頑張っていたのに、そのまりさに嫌われてしまっては、本末転倒である。 「ゆっ……わかったよ、まりさ……あしたは……まりさにまかせる…ね……」 「ゆっ!?」 今まで頑として、まりさの言葉に耳を傾けなかったれいむが、いきなり素直になったのを受け、まりさは言葉を詰まらせた。 しかし、れいむの言葉はまりさにとっても、嬉しかったのだろう。 久しぶりに、まりさの声が落ち着きを取り戻した。 「ゆうぅ!! やっとれいむが、まりさのいうことをきいてくれたよ!!」 「ごめんね……まりさ………しんぱいばっかり……かけて」 「まったくだよ!! ゆっくりはんせいしてね!!」 「ゆっくり……はんせいするよ……」 「れいむ!! あしたはまりさだけど、そのつぎはありすがいくからね!!」 「ゆっ……ゆっくり…りかいしたよ……ありす……がんばってね……」 「まったく、しょうがないわね!! あとはとかいはにまかせなさい!!」 「おねがいね、ありす……でも……そのつぎは………またれいむがいく……からね」 「なにいってるの、れいむ!! れいむはしばらくおやすみよ!!」 「そうだよ、れいむ!! あとは、まりさとありすにまかせてね!!」 「だめだよ……れいむだって……まりさとありすの……やくにたちたいよ……ゆっくりなかまはずれは……やめてね」 「ゆぅぅ……やっぱりれいむはいじっぱりだよ!!」 まりさは最後に困ったような言葉を吐きながらも、最終的にはそれを認めてくれた。 元々、れいむが虐待をされることに反対だったわけではなく、れいむの行き過ぎる行いに対して苦言を呈していたのである。 れいむがしっかりと順番を守ってくれるのなら、まりさはれいむの意志を尊重してくれるつもりなのだ。 やはり、まりさは最高のゆっくりである。 この一週間、地獄の苦しみに耐えたかいがあったというものだ。 これで、準備は整った。 後はありすより先に、まりさに告白をするだけ。 しかし、物事にはタイミングというものがある。 少しでも確率を上げるためにも、その時に告白するのがベストだろう。 あの呑気でお人よしのれいむは、この時もうすでに存在していなかった。 世の物事すべてを損得の計算で考えられるように変わってしまったのである。変わらざるを得なかったのである。 それだけこの異常な空間が、れいむを変えてしまったのである。 しかし、れいむは自分が変わってしまったことに気付きもしない。いや、例え気づいていても、どうも思わないだろう。 すでに賽は投げられたのだ。 もう振り直しは出来ない。どの目が出ようと、突き進無以外道はない。 れいむは、そのまま少しの間二匹とお喋りをし、その後すぐに意識は深い深い海の底に落ちていった。 自分の成功を信じながら。 れいむの無茶苦茶な一週間が終わり、まりさとありすを含めて、三匹でサイクルを組んで虐待される日々が始まった。 すでにまりさ→ありす→れいむと一回り虐待は終了しており、今日はサイクルが始まってから、れいむが二回目の虐待を受ける日であった。 それと同時に、れいむが例の作戦を実行に移し出すと決意した日でもあった。 今日、男の虐待から戻ってきたら、まりさに告白しよう。 れいむはそう決めていた。 そのタイミングを選んだ理由はいくつかある。 一つ目は、虐待帰りだということである。 普通に告白をするより、虐待を受け心身ともに疲れている方が、まりさの気を買えるだろうという、れいむなりの考えである。 それなら、虐待一週間を終えたすぐの方がいいのではと思うかも知れないが、これについても、れいむなりに思うところがあった。 あの場で告白してしまったら、れいむの考えを見透かされる可能性があったからである。 見透かされるとは、虐待を受け続けた理由が、まりさに告白するためだとバレテしまうことを意味する。 そんなことを知られては、計算高いゆっくりだと、逆に引かれてしまいかねない。 しかし、数日置けば、さすがにそこに結びつけることはなくなるだろう。 二つ目は、あまり悠長に構えている時間もないということである。 作戦はただ告白するだけでなく、ありすより先にするというのが根幹の部分にある。 れいむも出来ることなら、もっと時間を置きたいのだ。 虐待のノルマを達成したといっても、それは所詮れいむだけが考えていることである。 まりさからすれば、れいむなんてまだまだ苦しんでないよと感じられるかもしれない。 だからこそ、今後もっと虐待を受け続けていけば、それだけまりさに近づくことが出来るのである。 しかし、悠長に構えていてありすに先を越されてはたまらない。 そういった様々な要素を考えまとめ、れいむは今日まりさに告白することを決意したのである。 男に虐待部屋に連れてこられ、今日も虐待が始まった。 その日れいむに怯えはなかった。 いざ告白を決意しても、ちゃんとまりさに伝えることが出来るか不安でいっぱいなのだ。 それに、ちゃんと告白できたとしても、まりさがれいむの告白を受けてくれるかどうかも分からない。 その気持ちが、虐待の不安を押し退けてしまったのである。 体が虐待に慣れてきたことや、虐待内容が以前行われた事の繰り返しであるということも、れいむにあまり不安を与えない要因となったのだろう。 れいむは、虐待の痛さに必死で耐えながらも、頭の中では今後のことばかりを考えていた。 虐待は終了し、れいむは部屋に帰された。 いよいよ告白の開始である。 痛さと疲れはあるものの、ゆっくりのくせにアドレナリンでも出ているのか、れいむはそれをほとんど感じなかった。 ゆっくりは思い込みの生物であるという学説がある。 思考のすべてを今後のプロポーズに費やしたれいむは、自分が痛いということを忘れてしまい、それが体にも影響しているのかもしれない。 ある意味羨ましい体である。 と、れいむがどういうふうに切り出すか悩んでいると、当のまりさの方かられいむに声をかけてきた。 「れいむ!! ゆっくりだいじょうぶだった?」 「ゆぅ!! ゆっくりだいじょうぶだよ!! ぜんぜんへっちゃらだよ!!」 いつも通りのやり取りであるが、れいむは言葉にしてからしまったと思った。 虐待後を狙ったのは、苦しみながらも告白することで、まりさの気を最大限引き寄せる効果を狙ってのつもりだったのに、うっかりと普通に話をしてしまった。 考えに夢中で痛さを感じないのも良しあしである。 こうなったら作戦実行日を変えるか? いや、やはりそれは出来ない。 ありすがいつ告白してくるか分からないのだ。あまり時間はかけたくない。 それに、せっかく今日に計画を合わせてきたのだ。 れいむは気持ちの面でも最高潮に達している。今なら、れいむの有りっ丈の気持ちをまりさに伝えきることが出来る。 れいむは、無駄な事を考えることは止めた。 最初から出鼻を挫かれたのだ。もう怖いものなどありはしない。当たって砕けろ!! いや、砕けたくはないけど、そんな意気込みで言え!! 本心をまりさにぶつけることにした。 「まりさっ!!」 「ゆっ!? なあに、れいむ?」 「れいむは、まりさがだいすきだよ!! まりさのことを、ゆっくりあいしているよ!! れいむといつまでもゆっくりしていってね!!!!」 「!!!」 言った!! 言ってしまった!!! もう後には引けない。賽は投げられた。 れいむの愛の告白に、まりさは何も返事を返してくれなかった。 しかし、一瞬、言葉に詰まった様子を見せた。相当驚いているのだろう。 こんな場合だというのに、告白なんてしてくるんだ。無理もない。 れいむは緊張で、喉(?)が乾いて仕方がなかった。 一刻も早く、水を飲みたい。 しかし、まりさの返事を聞くまでは、なんとか我慢するつもりだった。 壁越しの告白のため、姿は見えないのだが、水を飲んでしまったらまりさに振られる気がしたのだ。 様は願掛け、気分の問題である。 30秒が過ぎ、一分が経過しても、まりさは一向に口を開かなかった。 さすがにれいむも焦りだした。 やはり、まりさはれいむのことを好きじゃないのか? れいむじゃ、まりさには釣り合わないのか? 様々な感情が去来する。 しかし、ようやくまりさが口を開いて来た。 考えが纏まったのだろう。 「れいむ……れいむのきもちはうれしいよ」 「ゆっ……」 「まりさもれいむがだいすきだよ……」 「ゆゆっ!!」 「……」 そう言って、まりさは再び沈黙してしまう。 大好きだよ。 愛の告白をして大好きを言われたのだから、普通に考えれば、れいむの気持ちを受け止めたと考えていいのかもしれないが…… その後の間が嫌な気分にさせる。 なんとか傷つけないように断る手段を考えているような気分を感じさせる。 れいむは、やはり自分ではダメだったのかと弱気になった。 しかし、次の瞬間…… 「だから!! だから、まりさといっしょに、いつまでもゆっくりしていってね!!!」 …… ……… ………… れいむは唖然としてしまった。 もう十中八九、玉砕を覚悟していた。 それなのに、まりさはれいむの気持ちをしっかりと受け止めてくれた。 れいむは、ただただ感情を整理できず、言葉を詰まらせた。 「れいむ、どうしたの?」 何も話してこないれいむが気になったのだろう。言葉をはさんでくる そんなれいむの心情に気付かないのが、まりさらしいと言えばまりさらしい。 れいむは、とにかく何か話さなければ、言葉を掛けなければと、考えを纏め上げようとしたが…… 「ゆ……ゆゆ………ゆゆ……」 「ゆっ?」 「ゆ……ゆあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁあぁぁ――――――――――――んんんんんん!!!!!!!」 「れ、れいむ!! どうしたの!!」 一気に感情が爆発してしまった。 爆発は涙となって、れいむの目から止めどなく溢れてくる。 嬉しかった。まりさが自分を選んでくれたのが。 嬉しかった。あの虐待された日々が、無駄ではなかったことが。 嬉しかった。れいむにはっきりと居場所が出来たことが。 れいむは、今までの自分の行動を振り返り、延々と泣き続けた。 「れいむ、なきすぎだよ!!」 「ゆぅ……ゆっくりごめんね、まりさ!! でも、れいむ、すごくうれしかったんだよ!!」 「まりさもうれしかったよ!! れいむがすきといってくれて!!」 「まりさ!!」 「れいむ!!」 ようやくれいむは泣きやんだ。泣きやむまで、実に10分もの時間を費やしてしまった。 れいむは水が飲みたかったことも忘れ、まりさとの話に興じ始める。 「れいむ!! いまはできないけど、けっこんしきはここをでられたらゆっくりしようね!!」 「ゆぅ!! そうしようね!!」 「それから、れいむはまりさのおうちにゆっくりくるといいよ!!」 「ゆゆっ!? いいの!!」 「あたりまえだよ!! れいむのおうちはまだできていないんでしょ? それに、れいむはまりさのおよめさんだもん!! いっしょにくらすのは、ゆっくりあたりまえだよ!!」 「ありがとう、まりさ!!」 「まりさのおうちはおっきいよ!! にんげんさんのおうちみたいにおっきいから、ゆっくりたのしみにまっててね!!」 「ゆっ!! ゆっくりたのしみだよ!! ゆっくりはやく、まりさのおうちにいきたいよ!!」 「あと、おちついたら、はねゆーんにもいこうね!!」 「ゆっくりたのしみにしてるよ!!」 人間のお家と同じくらい大きいとは、まりさも大げさに出たものだ。 まあ、所謂物の例えだろう。 しかし、れいむは「うそつかないでね!!」なんて、無粋なセリフを吐くつもりはない。 まりさは、れいむを喜ばせるために言っているのだろう。れいむだって、そのくらい分かるつもりだ。 こんな幸せなひと時を、自分から壊す必要はない。 自分の居場所が出来たばかりか、出会ったときからずっと好きであったまりさと、これからは永遠にゆっくりすることが出来るのだ。 れいむの頭の中は、まりさとの会話でいっぱい幸せいっぱいで、何にも考えられなかった。 しかし、次にまりさが言った言葉が、れいむに重要なことを思い出させた。 「ありす!! ありすも、まりさとれいむを、ゆっくりしゅくふくしてね!!」 「!!!」 そう、作戦が完璧なほどに決まったことで浮かれまくってしまい、すっかりありすのことを忘れていたのである。 れいむはなんと言葉をかければいいか分からなかった。 そもそも勝者であるれいむが、敗者であるありすにかける言葉なんて、どれも陳腐に聞こえるだろう。 裏切ったれいむの言葉なんて、都合のいい言葉としか感じないだろう。 事実、れいむの心の中は、ありすへの優越感で満たされている。 何とか考えずにいようとしても、すぐに思考の中に入り込んできてしまう。 とても甘美な麻薬のようなものだ。 れいむの口から出る言葉も、自然とありすを見下すものになってしまうだろう。 しかし、ありすへの背信行為をしておきながらも、ありすとは親友でいたい。嫌われたくない。 これもまたれいむの本音だった。 それは、勝者だからこそ持ち得ることが出来る、自分に甘く都合のいい考えである。 ありすのことを全く考えてない、自己中心的な思考である。 しかし、例えそれが分かっていようと、れいむはありすとの友情も諦めきれなかった。 それだけありすのことが好きだったのだ。 ありすは、まりさの言葉に、なかなか返事を返さない。 一体、どんな心中でいるのだろう。 自分を裏切り、まりさを手に入れたれいむに、仕返しでも考えているのだろうか? それとも、まりを諦めきれず、虎視眈々とまりさを奪う算段でも整えているのだろうか? 何とかありすに言葉を掛けなければならない。 親友でいてもらうためにも。 れいむが、なんて声をかければいいのだろうと、頭を悩ませていると、ようやく当の本人から反応が返ってきた。 「おめでとう!! れいむ!! まりさ!!」 その言葉に、特に棘があったようには聞こえなかった。 いつものやさしさに満ちたありすの声に聞こえたきがする。 心から祝福しているような気がする。 「ゆっ!! ありがとう、ありす!!」 まりさが祝福を受け、感謝の意を示す。 「けっこんしきには、ぜったいにありすをよんでね!!」 「あたりまえだよ!! ゆっくりかならず、ありすをよぶよ!!」 「ゆっくりれいむをたいせつにしてね!!」 「ゆっくりやくそくするよ!! れいむをいつまでもかわいがるよ!!」 その後、まりさとのやり取りを終えると、ありすはれいむにも声をかけてきた。 「れいむ、おめでとう!! まりさとゆっくりしてね!!」 「ゆっ……ありがとう、ありす……」 「けっこんしても、ありすとはしんゆうでいてね!!」 「ゆぅぅ……」 ありすはれいむを祝福してくれた。 そればかりか、れいむに対して、親友でいてくれとまで言ってくる。 れいむは自分でありすを裏切っておきながら、ありすの寛大な態度に居たたまれなくなった。 それと同時に不審に思った。 ありすは悔しくないのだろうか? 悲しくないのだろうか? れいむがありすの立場なら、決して自分を許さないだろう。 なのに、ありすは祝福してくる。れいむが最も望んでいた言葉をかけてくる。 腑に落ちなかった。自分に都合がよすぎる。 昔のれいむなら、その言葉に何ら疑問を抱かなかっただろう。 しかし、今のれいむは、物事を計算で見るようになってしまっている。 ありすの言い分は、そんなれいむを納得させるには、あまりにも納得の出来ない言葉だった。 折角想いに想っていたまりさと一緒になることが出来たのだ。 なのに、つまらないことで将来への希望を壊されるようなことは、絶対にあってはならない。 本当にありすは自分たちを祝福してくれているのか? 何か不穏当な考えを持っているのではないか? もしありすが何らかの手で自分を陥れようとしているのなら、何が何でも防がなくてはならない。 例え、今後ありすとの友情が壊れようと。 れいむは、ありすの真意を測ることにした。 一夜明けた翌日、今日はまりさが虐待される日である。 男はまりさを虐待部屋へと連れていった。 今がありすと話す絶好の機会である。 れいむは、ありすのいる壁際の方に行くと、真意を質すべく、核心をぶつけた。 「ありす、おきてる?」 「ええ、ゆっくりおきてるわ!!」 「ありす!! れいむ、ききたいことがあるよ!!」 「なにかしら?」 「きのうのことだよ!! ありすは、れいむにまりさがとられて、かなしくないの?」 「……」 「まりさがすきじゃなかったの?」 「……」 「れいむをうらんでいないの?」 「……」 「ねえ、どうなの、ありす!!」 れいむの問いに、ありすは中々反応を示さない。 れいむはゆっくりとありすが言葉を出すまで待ち続けた。 ようやくありすが口を開いて来たのは、一分後であった。 「……くやしいわよ!! かなしかったわよ!! ありすはまりさがすきだったんだもの!!」 ありすは、自分の隠していた感情のすべてをぶつけるかのように、大きな声で叫んできた。 これには、さすがのれいむも、少なからず動揺した。 ありすがこうまで生の感情を出してくるとは思わなかったのだ。 「それじゃあ、どうして……」 「……だって、しょうがないじゃない!! これはこいのかけひきなんだもの!!」 「ゆっ?」 「れいむは、じぶんのことをどうおもってるの? ありすのことをうらぎったとおもってる?」 「ゆぅぅ……それは……」 「さいしょはありすもそうおもったわ!! れいむにうらぎられたって!! でも、じっさいはそうじゃない!! まりさはだれのものでもないんだもの!! まりさにこくはくするのは、れいむのじゆう!! それをうけるのもまりさのじゆう!! そこのありすのはいるよちはないわ!!」 「……」 「ありすがまりさにさっさとこくはくしなかったのもいけなかったしね!! まりさのあいてが、れいむならなっとくだわ!! それに、まりさはれいむのことがすきだったみたいだから、こくはくしてもたぶんふられていたけどね!!」 「ありす……」 「だからありすはあきらめたの!! かこをふりむかないことも、とかいはのたしなみよ!! だから、れいむがきにすることはないわ!! これからもありすのしんゆうでいてね!!」 「……ありす!! ありがとう!! ありがとう!!」 「かんしゃすることなんてないわよ!! ここからでられたら、まりさいじょうにすてきなゆっくりをみつけてやるんだから!!」 「ありすならきっとみつけられるよ!!」 「ありがとう、れいむ!!」 れいむはここに来て以来、三回目の衝撃を受けた。 自分はなんて小さいのだろう。ありすと言葉を交わし、嫌というほど思い知らされた。 自分は決してそんな風に考えられない。 ありすの立場なら、絶対に嫉妬をせずにはいられない。 しかし、ありすはどこまでいってもありすだった。 優しく他人を思いやれるゆっくりだった。 本当に心の底から、れいむとまりさを祝福してくれていたのだ。 れいむは、ありすを疑ったことを悔いた。 そして、同時に感謝した。 こんな最高のゆっくりと知り合えたことを。 ありすと親友になれたことを。 「ありす!! れいむとありすはいつまでもしんゆうだよ!!」 「もちろんよ!!」 れいむは、今最高に幸せだった。 隣には愛するまりさと、親友のありす。 例え姿は見えなくても、スリスリ出来なくても、心が繋がっている。 それが感じられるだけで満足だった。 しかし、今日の幸せはそれだけに留まらなかった。 まりさが虐待を終えて帰ってきた。 それと同時に、壁越しに男からとんでもない一言が飛び出してくる。 「お前たち。今日でお前らの虐待は終了する」 「!!!」 突然の男の発言に、れいむは驚きのあまり、餡子を吐いてしまいそうになった。 何とか飲み込んで、事なきを得たが。 「ゆっ!!! ほ、ほんとうなの!?」 「ああ。飽きてきたしな。明日、部屋から出してやるよ!!」 「ゆうううぅぅぅぅぅぅぅ―――――――!!!!!」 れいむが雄たけびを上げる。 まさか、婚約した翌日に、この辛く苦しい虐待まで終わることになるとは!! 人間でいえば、盆と正月とクリスマスがいっぺんに来たようなものである。 「やったああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――!!!!」 遂に、遂にここから出られるのだ。 まりさとありすに会えるのだ。 スリスリ出来るのだ!! 隣では、二匹とも感無量なのか、一言も言葉を発しなかった。 「それじゃあな」 そう言って、男の足跡は遠ざかっていく。 れいむは、すぐさま二匹に声をかける。 「まりさ、ありす!! でられるんだよ!! やっとここからでられるんだよ!!」 「ゆう!! ながかったよ!!」 「やっと、ここからでられるのね!!」 「まりさ!! あしたはいっぱいすりすりしようね!!」 「ゆっ!! そうだね。れいむ!!」 「あしたがたのしみね!!」 「ゆっくりたのしみだよ!!」 れいむの頭の中には、男が嘘を付いているという考えは一切ない。 別に昔の純粋なれいむに戻ったという訳ではなく、単に嬉しすぎて頭が回らないのだ。 もっとも、男はちゃんと出してやるつもりなので、考えたところで、れいむの杞憂に終わるのだが。 早く明日が来ないだろうか? れいむは浮かれて、なかなか寝付けなかった。 その7?へ
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注意↓ パロ いじめてない 『全選手入場!! 子猫殺しは生きていた!! 更なる研鑚を積み饅頭凶器が甦った!!! ゆ神!! だぜまりさだァ――――!!! 総合ゆっくり技はすでに我々が完成している!! 日本ゆん法ゆっくりちぇんだァ――――!!! 組み付きしだい犯しまくってやる!! 魔法の森代表 レイパーありすだァッ!!! 素手の殴り合いなら我々の歴史がものを言う!! 体付きのゆっくり ゆっくりふらん!!! 真の護身を知らしめたい!! ゆー林寺ゆん法 ゆっくりみょんだァ!!! ゆっくりさせるのは3階級制覇だがゆっくりするなら全階級オレのものだ!! 野原の紫饅 ゆっくりぱちゅりー!!! 打撃対策は完璧だ!! 全日本ゆー道 ゆっかりん!!!! 全ゆっくり技のベスト・ディフェンスは私の中にある!! ゆスリングの神様が来たッ ゆっくりめーりん!!! タイ饅なら絶対に敗けん!! 暴走族のケンカ見せたる 特攻隊長 ゲスまりさだ!!! バーリ・トゥード(なんでもあり)ならこいつが怖い!! 妖怪の山のピュア・饅頭 ゆっくりもみじだ!!! 魔法の森海兵隊から炎の虎が上陸だ!! ゆコンドー おれまりさ!!! ルールの無いゆっくりがしたいから畑荒らしになったのだ!! プロのゆっくりを見せてやる!! 害獣れいむ!!! めい土の土産にベルトとはよく言ったもの!! 達人の奥義が今 実戦でゆっくりする!! 少女臭柔術 ゆっくりババアだ―――!!! 世界ヘヴィ級ゆっくりこそが地上最強の代名詞だ!! まさかこの饅頭がきてくれるとはッッ くいーんありす!!! ゆっくりしたいからここまできたッ キャリア一切不明!!!! チル裏のピット(ケンカ)ファイター うでまりさだ!!! オレたちは立ち技最強ではないゆっくりで最強なのだ!! 御存知ゆエタイ 体付きれいむ!! 信仰の本場は今や守屋神社にある!! オレを驚かせる奴はいないのか!! ゆっくりさなえだ!!! デカァァァァァいッ説明不要!! 2m40!!! 310kg!!! ゆっくりれてぃだ!!! ゆー術は実戦で使えてナンボのモン!!! 超実戦ゆー術!! 本家博霊神社からゆっくりれいむの登場だ!!! ベルトはオレのもの 邪魔するやつは思いきり殴り思いきり蹴るだけ!! キック・ゆクシング統一王者 体付きまりさ 自分を試しに人里へきたッ!! ゆンボ全妖怪の山チャンプ 体付ききめぇ丸!!! ゆのぎ流に更なる磨きをかけ ”揚げ饅”ゆっくりおりんが帰ってきた!!! 今の自分に(本当に)死角はないッッ!! シゅート・ゆスラー後頭部にまりさの顔があるれいむ!!! 中国四千年の拳技が今ベールを脱ぐ!! 香港から 騎馬めーりん(すぃー無し)だ!!! ファンの前でならオレはいつでも全盛期だ!! 燃える闘魂 ゆっくりもこう 本名で登場だ!!! 群れの統治はどーしたッ ゆっくりの炎 未だ消えずッ!! ゆっくりさせるもゆっくりさせないも思いのまま!! ドスまりさだ!!! 特に理由はないッ 姫様が働きたくないのは当たりまえ!! えーりんにはないしょだ!!! 蓬莱ニート! テルヨフがきてくれた―――!!! 暗黒街で磨いた実戦ゆラテ!! ゆんゆん会のデンジャラス・ねこさん ゆっくりちぇんだ!!! 実戦だったらこの人を外せない!! 超A級ゆっくり 胴体無しれみりゃだ!!! 超一流ゆスラーの超一流のゆっくりだ!! 生で拝んでゆっくりしやがれッ 幻想郷の鋼鉄饅!! アストロン・れいむ!!! 武術ゆラテはこの男が完成させた!! ゆっくり界の切り札!! ゆラディまりさだ!!! 若き王者が帰ってきたッ どこへ行っていたンだッ チャンピオンッッ 俺達は君を待っていたッッッ 虐待お兄さんの登場だ――――――――ッ』 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「どぼじでおにいざんがでるのぉぉぉ?!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 ゆっくりは(ほとんど)死んだ。スイーツ。
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圧倒的な弱者として日々追い立てられる存在のゆっくり。 彼らは思う。神も仏居ないのかと。 ここはある群れ 「ゆぅ~、かみさまはいないの?いつもゆっくりできないよ・・・」 「むきゅ、そんなことはないはずだわ。ぱちぇのおかーさんはいるっていったもの」 「じゃあどおしてこんなにたいへんなの!かみさまはゆっくりさせてくれるんじゃないの!」 「そ、それは・・・」 「お困りのようだね!ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 「むきゅ?おにーさんはだれ?」 「ぼくは信心お兄さんさ!君達に神の存在を教えてあげようと思ってね」 「ゆゆっ?かみさま?ほんとにいるの!?」 「ああいるとも。空高くの神の世界にね」 「ゆ~、じゃあ、かみさまがいるなら、どおしてまりさたちはゆっくりできないの!?」 「ああ、それはね・・・ 「ゆっゆ~ん。まりさはまりさのかみさまなのぜ!まりさたちをゆっくりさせるのぜ~」 「やぁ!僕は虐待お兄さんの神!あのまりさを虐待するよ!」 「どぼじでおに゙ーざんのがびさばがいるのぉおおおお!!!」 「まりさの帽子はこうやって・・・」 ビリビリビリッ! 「ばでぃざのずでぎばおぼうぢがぁあああああ!ゆ゙っぐりでぎないぃい゙い゙い゙!」 「ありすはとかいはなありすのかみさまよ!ありすたちのとかいはなせいかつをまもるわよ!」 「うっう~。れみりゃのかみさまだどう~。あまあまちゅーちゅーだどう~」 「なんででみびゃのがみざまがいるのぉお゙お゙お゙お゙お゙」 「ちゅーちゅー、うまうま」 「やべでぇえええ!ごんあのどがびばじゃないぃい゙い゙い゙い゙!!」 「れいむはおちびちゃんといっしょにかみさまだよ!ゆっくりできるおちびちゃんをゆっくりみまもっているよ!」 「おお、不遜不遜。饅頭如きが偉そうに」 「ゆっ!?だれなの!」 「どうも、清く正しいきめぇ丸の神です」 「どぼぢできめえまるのがびざばがいるのぉおおお!!!」 「き・め・ぇ・ま・る!う・ぜ・え・ま・る!」 「やじゃぁあああ!ゆ゙っぎゅぢでぎないぃい゙い゙い゙い゙!!」 エレエレエレ・・・ 「おでぃびぢゃん゙ん゙ん゙ん゙!?あんござんだじじゃだめ゙ぇえええ!!!」 「必殺!神・お兄乱舞!!」 「ゆぎゃああああ!」「ゆべべべ!」「ゆぼんっ!」「ゆぶげっ!」「ゆげぇえっ!」「ゆぎょぼっ!」「ゆぼぶっ!」 とかいった具合に神の世界でも全然駄目駄目だからね。皆をゆっくりさせている暇なんか無いのさ。役立たずなんだよ。わかった?」 あれ? 「なんだ、餡子吐いちゃってもう全滅か。じゃあ、次の群れ潰しに行くか・・・」
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秋の中頃、朝から山菜採りに山へ来ていた私は、両足の疲労を取るために休息場所を探していた。 山菜は通常3割ほど残して採るのだが、最近は山菜の絶対量が少なく、あまり後に残してやることが出来ない。 登山道から少し外れた、見通しの良い涼しげな空間を見つけたので、重くなった背中の竹籠を置き、遅めの昼食を摂ることにする。 手ごろな大きさの岩に腰掛け、早起きして用意した弁当を広げた。 木々の葉擦れの音を聞きながら、私は食事を 「おにいさん!!それはまりさたちのごはんだよ!!ゆっくりおいていってね!!」 妨害された。 背後から聞こえた耳障りな怒声、声の主など明らかだが、数を確認するために振り向く。 背後には、身体を膨らませて威嚇する成体まりさ(以下まりさ)、口汚く私を罵る成体れいむ(以下れいむ)、にやにやと気持ちの悪い笑みを浮かべたまりさが居た。 弁当の匂いに釣られてやって来たのだろうか。 視界には映らないが、「ゆっくちできにゃいおにいしゃんはちんでにぇ!!」と、舌っ足らずな罵倒も聞こえるので、赤ゆっくりも落ち葉や岩陰に隠れているのだろう。 私はゆっくりの虐待を好むわけでは無いが、だからと言って野生の饅頭と会話する趣味も無い。無論、弁当や山菜を奪おうと飛び掛ってくれば叩き潰すつもりだ。 私は無視を決め込んで食事を始めることにした。 「れいぶのごはんがああぁぁっぁあぁあああ!!!」 「なんでだべぢゃうのおおおおお!!?」 れいむとまりさは涎を垂らしながら私の足元にまとわりついてくる。勿論、岩に座っている私の顔の高さまでは届かないのだが、流石に煩わしいので踏み潰してやろうと片足を上げたとき、 「れいむ!まりさ!そっちじゃないよ!!こっちのごはんをたべようね!!!」 ともう一匹のまりさの声が聞こえた。横目で確認すると、まりさが山菜を入れた竹籠を倒そうと寄りかかっている。 私は溜息を吐きながら、まず山菜を狙うまりさから潰そうと立ち上がり、その瞬間、予想だにしない衝撃を受け、後ろに倒れこんだ。 竹籠の位置から弾かれたように跳躍したまりさが私の腹を強打したのだ。 私は山道の傾斜に抗えずに、木々の間を転がり落ちていった。あのサイズのゆっくりの体当たりとは、とても信じられない威力だ。 土埃を巻き上げながら急いで身体を丸め、両手で木の根を掴み転がる勢いを殺す。擦り傷の痛みを我慢し、上半身を起こすと、得意気に私を見下ろすまりさと目が合った。 「まりさたちのごはんをかってにとるからだよ!!ゆっくりはんせいしてね!!」 発言と同時に、まりさの口内から何かが発射され、驚いた私はとっさに頭を地面に伏せた。 どすんと重量を感じさせる音と共に私の背後に着弾した物体を振り返る。それは、子供の頭ほどもある大きな石だった。 あの饅頭これを咥えてウェイトを増加させてやがったのか!? たかがゆっくりと思って甘く見た。頭の良い個体は、民家へ侵入する際に小石を使って窓を割ったり、投石で攻撃するとも聞くが・・・・ したたかに打った背中をさすりながら荷物の元へ戻ると、倒れた竹籠とひっくり返された弁当箱に赤ゆっくり達が群がっていた。 「むーしゃむーしゃ、しあわちぇー!!」 「こりぇめっちゃうみぇ!!」 「とちぇもゆっくちできるよ!!」 半日の成果を無為にされ、うなだれる私に、先ほど体当たりをしかけたまりさが近寄って来た。 「お前・・・よくも俺の弁当と山菜を・・・・」 今度は油断は無い。まりさの体当たりを警戒しながら、一撃で叩き潰せる範囲まで近づく。 通常のゆっくりならば、攻撃か、逃亡かどちらかの行動に出るだろう。だが、このまりさは再び私の予想を裏切った。 「ゆっ!!ちがうよ!!あのごはんはおにいさんのだけど、このごはんはまりさたちのものだよ!!」 驚きと疑問が、私の足を止めた。このまりさ、物の所有権を理解出来ているのか? 「このごはんだよ!!ゆっくりりかいしてね!!」 まりさが駆け寄ったのは竹籠、つまり、山菜の所有権を主張していることになる。 「このごはんはむれのみんながゆっくりするためにたいせつなものだよ!!おにいさんはとりすぎだよ!!これじゃむれのみんながゆっくりできないよ!!ぷんぷん!!」 「・・・・・・じゃあ、何故俺の弁当、お兄さんのご飯まで食べてるんだ?」 ひっくり返った弁当箱を、指し示す。まりさは、ぷくーっ、っと擬音じみた台詞と共に膨らみ、怒りをアピールした。 「やまのるーるをまもれないおにいさんへのばつだよ!!ゆっくりりかいしてね!!みんなでゆっくりするためだよ!!」 真に正論である。ルール違反に罰を与える旨の発言をすると言うことは、この辺りの群れのリーダーだろうか。随分と頭の良いゆっくりが居たものである。 「なにいってるの?れいむがみつけたんだかられいむのものだよ?ばかなの?」 「おいしいごはんは、このまりささまによこすのがあたりまえなんだぜ!!」 だが、弁当を貪っているれいむとまりさはご飯粒を顔中に引っ付けたままゲラゲラと笑っている。何処の集団にも問題児は居るものだ。 その二匹は無視し、目の前のまりさに向き直る。 「ああ、分かった。山菜を取りすぎて悪かったな」 「ゆっ!!わかればいいんだよ!!おにいさんもるーるをまもってゆっくりしようね!!もうやまのごはんはとりすぎちゃだめだよ!!」 まりさは右目を閉じ、高めの声で「ゆっ!」と鳴いた。ウインクのつもりなのだろう、本当に芸達者なゆっくりである。 まさか饅頭に説教される日が来るとは思わなかった。私は、行き過ぎた人間の行動が山の生態系にダメージを与えることを認識し、心から詫びた。 「ゆぶげえぇっっ!!?」 そして全力でまりさを蹴り飛ばす!! 「どうじでごんなごどずるのおおおぉぉ!?ばんぜいじだんじゃないのおおおお!!?」 どうしてだって?なまじ頭が良いだけに、俺の行動が理解出来ないんだろうな。 まず、この山の山菜は昔から村人の食料になっていること、人間は山菜を全滅させないよう採取量は加減し、山の動物達と共存してきた。 では何故最近になって山菜の量が減った?その原因は間違いなく目の前の饅頭どもだ。ゆっくり達が現れる前は、人間も動物も十分に山菜を得ることが出来たのだから。 次に、俺に攻撃をしかけたことだ。山菜の採り過ぎと言う罪を犯した俺に対して、一歩間違えば死にかねない攻撃を仕掛けてきた。明らかに罪と罰の重みが釣り合っていない。 確かに饅頭どもにとっては食料の減少は死活問題だから、ゆっくりのルールでは極刑でもおかしくないのかもしれないが・・・・・ そんなこと人間の俺には知ったことじゃない、それが最後の理由だ。 そう、俺が人間であり、野生動物の理屈を踏みつけながら生息圏を広げて来たのが人間と言う生き物だからだ。 初めから、野生動物が正当性を持っているかどうかなど問題ではなかったのだ。 山菜が食われてしまった分、食料の確保が必要だ。 私は、餡子を吐き出し痙攣しながら呻くまりさを尻目に、弁当を貪るれいむとまりさを捕まえ、いまだ赤ゆっくりが山菜を貪る竹籠に放り込んだ。 竹籠を背負い山を降りる私の背中に、まりさの怨嗟の声がいつまでも投げかけられていた。 続く このSSに感想を付ける
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331 :名無したんはエロカワイイ:2008/07/31(木) 10 59 58 ID fukPI9hM0 あー、ゆっくりで塊魂プレイしたい . . . . . . . . . . (なーなな ななーなーなーな なーなーななーな ずんずくずずんず どぅんどぅくどぅんどぅん) ---ゆっくりで塊魂--- 「……なんだこりゃあ」 魔法の森の近くをの小道を急ぎ足で歩いていた俺は、目を剥いた。 路上にゆっくりれいむが、ひと群れ。それ自体は珍しくもない。 おかしいのは、そいつらがベタベタとくっつきあって固まっていることだった。 「おまえらナニやってんの?」 「ゆっ、ゆぐぅぅう~」 「わかんないよ、くっついちゃったよ!」 「おにいさん、ゆっくり助けてね!」 バレーボール台のゆっくりれいむに、ピンポン玉ぐらいのやつがうじゃうじゃと八つか九つもくっついている。 たぶん家族だろう。母れいむはしきりに体をもぞつかせて子供たちを振り落とそうとするが、下手に動くと下側 の子れいむを潰してしまいそうなためか、思うように動けないらしい。 「ゆっ! ゆっ! んゅっッ! よーっはッとッ! へっぷほ!」 「おがあざぁぁん、おもいおもい!」 「つぶれるよ、ゆっくりうごかないでね!」 「……ぷっ」 その場で一人相撲をしているようなアホくさい母れいむの姿に、俺はふきだした。 「ぷっははははははは、ばっかじゃねーのおめーら、饅頭のお前らがそんなんなっちゃったら生きていかれねー だろ。ちょっとは考えて生きろよ!」 「そんなこと言わないでねぇぇぇぇ!」 母れいむは涙目でぶくぶく膨れる。ほっぺたの下のやつが潰されて悲鳴を上げる。 あー……。 陽気がすごいからなア。 おおかた家族でゆうゆうもたれあっているうちに、この猛暑で溶けてくっちいちゃったんだろう。 これは俺のせいじゃないからな。ゆっくりが勝手に苦労してるだけだ。 そばで眺めていたって、なんら罪ではない。 俺は、困り果ててぶるんぶるん回っているゆっくりれいむを、しばらく見物した。 ……十分ほどで飽きた。 「しゃーねえなあ、恨まれても寝覚めが悪いから、助けてやるよ」 「ゆっ、ほんとう?」 「さっさと助けてね! ふんふん!」 ナマイキなことをぬかしやがる母れいむを無視して、俺はそいつの頬に触れてやった。 ころん 「あれっ?」 母は後ろへ一回転する。「ゆべっ!」「うぎっ!?」と悲鳴を上げて子供たちがぺちゃんとつぶれ、母の肌に 張り付いた。 「何してんのお前、娘つぶれちゃったじゃん!」 「ゆぐぅぅぅぅ!? れいむの子どもがぁぁぁ!」 「じっとしてろよ、残った娘、殺したくないだろ?」 そう言って俺は、また手を伸ばした。 額に触れる。 ころんころんころん 「ゆぐぐぐぅ!」 母れいむは三回転した。その途中で石やら草やらも貼り付けてなんだか汚くなった。 「あっれぇ……」 俺は不思議に思った。 こいつ、ちょっと触っただけで、ボーリングの玉みたいにスムーズに転がりやがる。 なんか変なことになってんじゃないか……? ゆっぐゆっぐともがいている母れいむに歩み寄って、さらに押した。 ころころ、ごろろんっ 「ゆっぐりやめでねぇぇぇ!?」 「あは」 俺は笑った。 こいつ、坂を上ったぞ? しかも小枝や葉っぱをくっつけてさらに汚くなった。 ……これは面白い。 俺は母れいむの苦情を無視して、道なりにそいつを転がし始めた。 ころころん ころころん ころころころころん 一回押すたびに、五メートルほど転がって路肩で止まる。そのたびにそこら辺のものを吸いつけて、雪だるま のように大きくなる。 子供のころ、石蹴りってやったじゃん。 学校から家まで、これって決めた石をずっと蹴って歩いた。 別に石自体が好きなわけではないが、最初に決めたから、そいつを蹴り飛ばさなければならなかった。 そんな感じで、俺は目的地までひたすらころころと母を転がし始めた。 「やめでぇぇ!」 「ゆっくちちたいよぉぉ!」 おお、まだ子れいむも生きてんのか? 石やなんかでゴマ団子みたいにデコボコになった、五十センチほどの ゆっくり塊の中を覗き込むと、ちょうど他のものの隙間にハマったらしく、小さな赤いリボンの頭がぴょこぴょ こ動いていた。 「おまえ、運が良かったなあ。そこならずっと潰れないよ」 「はやくやめちぇねえぇぇぇ!」 「悪い、まだ二、三キロあるんだ」 母娘一匹ずつの悲鳴をBGMに転がし続けた。 少しいくと、面白いことが起こった。 川沿いに日光浴をしていた白黒のゆっくりまりさ家族。俺たちが近づくと振り向いて挨拶する。 「ゆっくりしていってね!!!」 「していってね!」 「しちぇっちぇね!」 次の瞬間、そばを通ったゆっくり塊に、そいつらは吸い寄せられた。 ひゅうん ぽぽぽぽむっ 「ゆっ!?」 「ゆっくりくっついたよ?」 「ゆっくりはなちてね!! はなちてっ! はなちぇはなちぇー!」 「ほう……」 俺は感心してあごを撫でた。 なるほど。 これではっきりした。ただの自然現象じゃない。母れいむは辺りのものを吸い寄せる力を身につけてしまった らしい。よく見れば外側の石やら木やらは、別段刺さってもいないのにくっついている。 俺がくっつかないのは謎だが、まあそんな細かいことはどうでもいい。 ひとつ、これがどこまで続くか試してみようか。 「よし、みんないっくぞー☆」 「やめでえぇぇぇぇぇぇ!?」 進めば進むほど、塊は大きくなった。道端にいたれいむ家族、木のうろから顔を出したぱちゅりー家族、通り すがりのちぇんやらん、近くを飛んでいたゆっくりゃやフランまで引き寄せた。八十センチ、一メートル、一メ ートル半。ゆっくり塊はどんどん大きくなった。 ひゅうん ぽむっ ひゅうん ぽむっ 「ゆっくりはなしてぇぇ!」 「はっはっは、そりゃ☆無理だ」 意味もなくハイテンションに笑いながら俺は答える。 これ、大きくなっても全然重さが増えない。 ころころと軽いままなのだ。不思議きわまる。 そして楽しい! 鼻歌を歌いながら俺は押して行き、目的地のアリス邸にたどりついた。 「ちわーっす、郵便です」 ああうん、言い忘れていたけど、俺配達人。肩掛けの郵袋も、これこの通り。いまどき徒歩で運ぶなんてレト ロだろう。 「あら、どうもありがとう」 玄関に出てきたアリスさんが微笑んだ。うむ美人だ。美人だらけの幻想郷の中でもこの人は群を抜いている。 いろいろ怪しい噂もあるが、そんなところも俺は好きだ。 そんなアリスさんが、俺の背後の塊を見てギョッとした。 「って、それは何!?」 無理もない。ゆっくり塊の大きさは、今では四メートルを越えている。 「ゆっくりはなしてね!」 「つぶれて顔がいたいよぉぉ!」 「いやっいやああぁぁ、れみり゛ゃぎらいーー!」 「うっうー! れみりゃを早くはなすんだどぉー!?」 数百のゆっくりがてんで勝手に悲鳴を上げている。驚かないほうがどうかしている。 「いやまぁ、なんといいますか、ただの拾いもんです」 俺はあいまいに答えた。 アリスさんは顔を引きつり気味にして、後ずさろうとした。 「な、なんだかわからないけれど、あんまり係わり合いになりたくないわね……きゃあっ!?」 ひゅうん ぽむっ 「おおお?」 俺は驚愕した。アリスさんまで塊に吸い寄せられ、くっついてしまったのだ。 「ちょっと、何するの! 離して、離しなさいよ!」 叫んどる叫んどる。美少女が拘束されて悲鳴を上げとる。 実にいい景色だ。――とか言ってる場合ではないか。 「すみません、それ外れないんですよ」 「なんですって?」 「俺が作ったんじゃないもんですから」 答えながら、俺はあることに気づいていた。 アリスさんのような有名妖怪まで引き付ける力があるのか、この塊は。 ということは―― もしかして、やりたい放題じゃないか!? 「……なーなな ななーなーなーな なーなーななーな ずんずくずずんず どぅんどぅくどぅんどぅん」 「なっ、なにを鼻歌なんか歌ってるの? 早くなんとか――」 「すんません。俺、ハジけます!」 「えっ? ってきゃあああああああ」 すってんころころ すってんころころ すってんころころ すってんころころ 俺は両手を使って勢いよく塊を押し始めた。 霧雨魔理沙、ゲット。 博麗霊夢、ゲット。 紅美鈴、ゲット。 「おいおいなんなんだこれはー! 霊夢、これなんだよ!」 「知らないわよ私だって、アリス、アリスー?」 「私は被害者よー!」 「離して、離してってば! 仕事中なのよ私は、このぉっ……ふんッ!」 「きゃあああああ!」 「ちょっこらっやめっ!」 「気功を使うなぁぁぁ!」 おーおーお、なんかビリビリしてえらい騒ぎになっとる。 そして当然―― 「ゆぎいいぃぃぃぃぃ!」 「いだいよぉおぉぉぉぉ!」 「皮がびりびりするよぉぉ!」 「んおおぉぉっ、んほっ、ほおぉぉぉぉ!」 ゆっくりたちも涙目で大騒ぎしている。中にはキモチよさそうなのもいるが。 ゆっくり魂の直径は六メートルになった。それでも止まらず、俺は幻想郷を駆け巡る。 「むぎゅぅぅ、苦しい……」 「咲夜、咲夜! 早く何とかして!」 「はっはい、ただいまっ! ふッ! ……時間を止めても外れない!?」 「ぴーっ、アタイこんなの趣味じゃないいぃ!」 なんか館の一部ごと飲み込んで、三十メートル。 「らんしゃま助けてぇぇぇ!?」 「ちぇぇぇん! くそっ、紫さま、紫さまぁぁ!?」 なんかよくわからないお屋敷みたいなものを巻き込んで五十メートル。 「うわあぁっ!? ちょっ、ちょっと今実験中よ!?」 「なんだこの……ハッ!」 「あちゃちゃダメです火はやめてください火は!」 「あっれー、これもしかして私が仕掛けたやつか?」 竹やぶと京屋敷みたいなもんをまるごと飲み込んで、百メートルつまり二十五階建てのビルぐらいになった塊 をころんころんと転がしていると、俺の目の前に来た兎耳の女の子が、ほっぺたポリポリかきながら言った。 おお、この人は。 「てゐさんじゃないスか。これ、あんたが?」 「昨日、ゆっくりに、いろんなものがくっついちゃう悪戯をして放り出しといたんだけど……」 「魔法の森の入り口あたりだったら、多分それっす」 「やっぱりかー」 「これ、どうしたら外れるんですか」 「それはねぇ……」 言いかけたとき、ぴゅうと風が吹いて塊がころころと転がった。 あ、あー……てゐさん、上のほうへ行っちゃったよ。 次いつ来るかわからんな。 というか、これがバラバラになったら、なんかただ事ではすまん気がする。 「ゆっくりさせでぇぇぇ!!」 「私もっ、私もゆっくりしたいわよッ!」 「このっ、もう我慢できない――マスタースパーク!」 「ゆぎゅぁぁぁ!」 「あっつぅぅぅこらっ魔理沙魔理沙!」 「ゆっぐぅうぅ、ゆぐぅぅぅぅ!!」 もう人間もゆっくりも関係ない。ひとつに丸まった人と妖怪と饅頭とガラクタの混合物が、もざもざわさわさ と動いて、悲鳴を上げたり、ビームを出したり、弾幕を放ったりしている。 「俺です」なんつったら、殺されるな、これは。 となると――。 「行けるところまで行くか!」 俺はさらにころころころころとゆっくり塊を転がし、幻想郷の森も川も山も湖も突っ切って駆け回った。ゆっ くり塊はどんどんどんどん成長して妖怪とゆっくりと人間を飲み込み、ついには直径一キロを越えててっぺんは 妖怪の山の頂上を越えた。 そのころ、とうとうゆっくり塊は浮上した。上のほうについた天狗やら虫やら何やらが、逃げようとして飛ん だためだろう。 「あー……」 空を飛んでしまったら、もう俺には手が届かない。 俺は若干の寂しさとともに、数ヵ月をともに過ごした巨大なゆっくり塊を見送ったのだった。 「達者でなあ。元気でなあー……」 それ以来、夜空に星がひとつ増えた。 オリオン座のあたりにまぶしく輝く「ゆっくり星」を見るたびに、俺はかつて幻想郷をにぎやかしていた美少 女たちとゆっくりたちを思い起こし、懐かしむのだった。 ====================================================================== YT このSSに感想を付ける