約 1,036 件
https://w.atwiki.jp/foresanc/pages/1302.html
はっ・・・これ・・・小説じゃない!! ヴァウが世界征服しようとするお話です 誤字は多そうです 「パンパカパーン!パンパンパンパッパカパーン!!!」 豪勢な料理を模したエネルギー触媒の並べられた長テーブルの上座に座る、赤いロボット、ヴァウが歌った。 手にはクラッカー、頭にはパーティ用の三角帽子と、無骨なフェイスパーツに対してその様相はかなり間抜けである。 長テーブルの下座―というよりこの席においては、主賓以外の序列を気にしない「上座以外」と表現するほうが正しい―には、様々な体格、体色、特徴を持つロボットが座している。 「主賓以外」のその数8機。皆、表情、姿勢は違えど一様に声を発さずに主賓の方を向いている。 主賓、上座の赤いロボットが続ける。 「今日君らメタルファクターズ…一部メタルシージャーズ先行製作のザップも混ざってるし、なんか自首っちゃったドップラーはいねいけどまぁ集まって貰ったワケだねえ、ん!」 赤い主賓がナプキンを外した。 「そのワケが君達、お前達に分かるか!ヒント、それはとても素晴らしい私達の始まりだ。…じゃあバサラ君、ほれ、バサラ君!バサラ、答えて見ろ、当てられたらご飯始めていーよ」 そう言って主賓は向かって右列、奥から三番目の木肌色のロボットを指差した。 「あぁ?」 対する木肌色の客、バサラ。とても機嫌が悪い。ついでに態度も悪そうに見える。 主賓以外の最初の言葉が荒々しく機嫌の悪そうな声になった上に、バサラはテーブルに足を乗せるという行動に出た。 しかしそれを気にする人間、もといロボットは一人として居ない。 テーブルに乗せた足を横柄にくねらせ、バサラは続ける。 「この俺のサンクチュアリ緑化計画が整ったのだろう?マッスルグローサーのアトミックシステムが完成した…素晴らしい俺達の始まりとはコレ以外には思いつかぬ」 「ぶっぶーアホーバァカー」 主賓のクラッカーが、堂々と答えたバサラに向かって放たれた。 しかし音だけで中身は無く、その音も一般的なクラッカーのそれではなく、クイズ番組で誤答した時に出るアレ、という説明で通じるような物だった。 「(ビキ)」 音を浴びたバサラの前頭部から、何かが切れるような音が聞こえたが、それもまた誰も気にしない。 「次々に当てて行きたい所だが、まぁそれは止しておこう。お前達はあと残り8人も居るし、多分誰かが当てればバサラの怒りが決定的になってしまうなあ」 「で、何なのさ。ザップ含め9機全員集めるって事はさ、さっき言ったとおり…いや言っちゃないけど、ちゃんと重要な用なんでしょうね」 黙って奇矯な主賓の話を聞いているのにも飽きたのか、主賓から向かって左列手前から二番目の、透明質の体を持つ女性型ロボットが身を乗り出して問う。 「はいそれ良い質問!常識的に考えて物凄く重要でオッキい事何だよこれが。聞いたらお前達も間違いなく一斉賛成だ」 「ばりりー、だからそれを早く言ってってばあ!ごはん冷めちゃうよー!」 左、手前から一番目の黄色いロボット、バリバが言う。下半身が足ではなく四角い装置である彼は、奇妙な風体で椅子にそのまま乗っている。 「食いたいならもう食っていいんだぞ!でもお前達、ご飯バクバク食ってたら絶対私の話を聞かないじゃん」 「食べちゃだめってことー?ばりり」 「うん」 「ぶー」 バリバが引っ込むと、ヴァウは何故か先ほど外したナプキンをまた付けた。 そしてようやく本題に入ろうと、すうっと大きく息を吸い込んだ。 「今こそ愚劣なる人間共の傲慢さを正す時が来たのだ!!我らヴァウ軍団がこの世界を是正するのだ!!!」 大きく手を広げたヴァウ。 「え、えと・・・え?なに・・・?わかんない」 「興味ないわよ・・・あとつまるところ世界征服したいって事らしいわね」 「アタクシゃあものを燃やせればそれでイイんですヨ…ハフゥ〜」 「む…………ぐ………戦えれば………いい…が…俺の目的は……まだ…フィーク…に…エルティネイン…が…いる…」 「兵器に対する信仰を守れるならば…クスクスクス…それで…クス…良いのです……クスクス」 「ばりりりり!おもしろそーだね!!ぼくはさんせーだよン!!」 「流石我が父足る人物!!!このビュールという一筋の超新星の鮮烈デビゥに相応しい舞台を用意されていると思っていた!僕は賛成するよ!大いに!」 「下らんな。俺の望みは人類を根こそぎ抹殺する事だけだ。是正というのはそういう事!!」 今まで喋らなかった面子も含め、各機口々にヴァウの謳った名目に対し自分の感想を口走る。 通常の人間ならば不可能だが、ヴァウのサウンドキャッチホールは全ての子供達の言葉を拾い、理解していた。 そして、明確に目的を理解しやる気を持って賛同している者が一人も居ない事少し落胆した。 「お、お前達…ええい、まぁいい。やる気がないのに世界征服なんてやってもダメだと思うから、賛成をとります!ご飯食べながら返事してね!」 「ぼくはさんせーだよー!」 「僕も賛成です!!」 と、バリバとビュール。 「うるせー!お前らの賛成はさっき聞いたから分かってんだよ!!!もうお前達だけだよ!愛してる!!!…じゃ、パッチからナンバーズ順にどうぞね」 「ヴァウ・ナンバーズが3、パッチは作戦の参加には賛成しますよお父様ァ。しかしですね(はぐっ)私ゃア征服等に興味は無いのですヨ。それはァ各人私以外のお子に任せます」 「スパゲッティハフハフしながら応えるのは行儀悪いぞ!次、ゴール。」 「親父殿………さっき…の…通…りだ…俺は闘争以…外…には興味…は無い…しかし…親父殿の……意向と有れば…従おう」 「パッチとだいたい同じという事か!私の意向ウンヌンを言ってくれるあたり良い子だ。次、バサ」 「うるさい、死んでしまえ!!」 「カーッ!!このスネスネマン!スネ夫!分かったよ、次、ドップ…あ、そーだ、アイツは居ないんだった…。7番、オンギョウ君、どうぞ」 「普通の征服にも闘争にも興味は有りません。スイーツ、珍味、神ゲーを持ってる人が居たらあたしのところまで来なさい」 「最近ハ○ヒ見たの?次、ボンカー!」 「クスクス…クス…私もクス…先ほど言った通りですよ…兵器への信仰を試す機会です…クス…父親を慕う気持ち…もある…そう言って…おきましょう……ゴール君と同じですね…」 「なるほど、そう言ってくれるか!じゃザップ、どーなのよ、その辺どーなのよ!?」 「(ちゅるる)えっ・・・あ・・・えと・・・ボク、やだ…こわい…」 「そういうと思ってたよコノヤロー理由は聞かなくても分かるから話さなくていい。」 「え・・・あっ・・・ごめんなさい・・・」 ぷいっと脹れ面(もちろん機械の顔面で脹れ面なのかどうか視覚的に見えるワケではないが)でそっぽを向くヴァウ。 オンギョウがジュース型エネルギー触媒を差し出す事で不機嫌は取り除かれた。 父親に嫌われたと思い込み、落ち込んだザップもオンギョウのケアで何とかなった。 「しかしつまり…参画してくれる者はザップ、バサラ、オンギョウ、都合のドップラーも抜いて…ひぃ、ふぅ、みぃ…なんだ私を含めて6人か…」 「クスクス…これでは……出来るものも…クス…出来ませんな……暗殺のドップラー君…緑地要塞のバサラ君…衛星攻撃のオンギョウ君…局地洪水のザップ君が抜けては……」 「その通りだなー。全く、私はどうしてこうも運に恵まれていないのか!だからといって息子娘の性格を選ぶワケにも行かぬしなあ」 事実、ヴァウの「子供達」の人格プログラムは遠い宇宙に漂う異星アイアメイン―アトミックネットの母星である―の神秘的存在、「インテグラルスフィア」によりヴァウの作った人格プログラムに補助する形で与えられている。 ヴァウ自身のみで人格をプログラムする事も出来るのだが、「それでは命令を聞くだけの不完全な存在」と気に入らず、アトミックネットの技術供与を受けたのだ。 「クスクス…父様……意外にお優しい……のですね…クス」 「そうだ私は優しい!何よりもロボット…いや引いては人の作り出した人造生命…ゴーレムやアンドロイドも入るな!それらの事をいつも考えているのだ!ウィーアーザロボッツだ!…はっ!!!」 突然、拳を握り締めながら席を立つヴァウ。 他のメンバーも各々タイミングはズレながらもヴァウの方に視線を注ぐ。 ボンカーが「どうなされました」と声をかけるまでぷるぷると体を震わせている。 「思いついたんだよ!!全員揃っていなくても進められる計画が!!!…世界征服とは無縁だが、これは非常に有意義だッ」 「ばりりり、なになにー!!ききたいなー!」 「そうだ、よぉく聞け!!次の目的地はアースガルドだ!!」 「アースガルド?アースガルドのどこよ。ウルド?ウェルダンディ?ラケシス?」 「ん?オンギョウ、興味が有るのか?」 「知らない?アースガルドのどっかにゲーム業界に手ェ出して、一発で終わった幻のクソゲーメーカーが有るって…気になっててさ」 「知らん!ちょっと気になるがまぁそれはおいておこう。目的はだな……」 「クスクス…クス…ゴーレムの………人権でも……提唱する御心算ですか…クス……」 「その通りだ、やはりお前は私の事を良く分かっているな、ボンカー!これなら何も武力を行使する必要は無い!科学者の立場から論戦すれば良いだけなんだなーこれが」 「お父さん!!それじゃあダメですよ!!」 「ダメって、何がダメなのだ」 「このビュールの美しき活躍場所が無いでしょう!世界を相手どって戦う、それを楽しみにしていたんですよ!!ねえ、バリバもそう思うだろう!」 「ばりりー、そうだよね!最近バナナが好きになってきたんだよね!」 「聞いてないっ!!」 「まぁ落ち着けよビュール…もはや説明文も何も無くセリフばっかりになってきているのは置いといて、私のあまりに高尚で先進的なゴーレム人権論を妬んで暗殺者を差し向けてくるようなヤツは必ず居るだろうからな、お前達はその暗殺者を全力で吹き飛ばす!コレだ、間違いない」 「VSアサッシン!!お父さん、ヒャクレ○ガー的な暗殺者は来ますか!」 「それは知らんが、お前の美しい見せ場も有るというワケだな!!」 「そうですか!」 「そうだ!!」 何故笑うのか、当事者の二人にしか分からない事だったが、大きな談笑が起こった。 一種異様な世界の数m外は食事に勤しむ兄弟ばかりで、オンギョウだけが呟いた 「元気よねえ…アンタら」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1696.html
事件はハルヒのたった一言から始まった 「SOS団、大忘年会やるわよ!」 確かに今年は忘れたい事件ばかりだった。(俺だけじゃないと思うが) あまり気乗りはしなかったが、断ると不機嫌になりそうなので 一同しぶしぶ賛成したようだった。 「で?部室でやるのか?」 俺の言葉が言い終わるか、終わらないかも待たずハルヒが言った。 「お酒飲むのに学校じゃまずいでしょ!少しは考えなさいよ!居酒屋よ!」 なに???酒飲むのか??おいおい、まだ高校生だぞ俺達は。 さすがに問題あるだろ! だがしかし・・古泉は本当に高校生なのか? 長門に至っては宇宙人だ。 朝比奈さんは年齢不詳な未来人。 よく考えたら、そこいらにいる普通の高校生って俺だけじゃないか! なんか、どーでもよくなってきた。 学校にばれるようなことがあったら長門にちょいちょいと細工してもらえばいいしな。 なんか、どうでもよくなってきた。先のことは考えない。 いつからこんないい加減になっちまったのかなー俺は。 週末、駅で待ち合わせをした。遅刻者、もしくは最後に到着がおごりという いつもと同じシステムだ。 はい、やっぱり俺がビリでした。 予定調和ってやつだ。 「キョン君、どんまい♪」 朝比奈さんの舌ったらずな励ましを受け 想像してしまった。 あぁ・・この人が酔ったらどうなるんだろう。 もっと甘ったるい声を出すのか? 甘えん坊さんになって「キョン君なでなでしてぇ~♪」 とか「ア~ン♪これも食べてぇ~」とか こんなほどこしを受けるなら、おごりでもいい!いや、むしろおごりたい! 「あんた、なにデレデレしてるのよ・・・・」 ハルヒの不機嫌な声で現実に戻された。 俺達は繁華街にいた。 「ここよ!」 ハルヒが満面の笑みを浮かべて指をさした場所 「白木屋!ここ来てみたかったのよね。」 なぜハルヒがここに興味を示したのかはわからない。 このメンバーならもっとアンダーグラウンドでディープな 監獄居酒屋とか、お化け屋敷居酒屋とかそんなとこがお似合いなのに。 「あんたはココ!みくるちゃんは、こっちね。由希はあそこ。古泉君はそこね!」 座る席までお前が決めるのか?ハルヒ・・・ 「なに?不満?あんたしらないの?宴会には上座がとかk(ry」 へいへい・・・団長様。上座へどうぞ~ 席順はこうだ。 上座にハルヒその右横に朝比奈さん、その横に古泉 ハルヒ左横に俺、その隣に長門 こんな感じだ↓ ハ _ 俺| |朝 長| |古 どんな理由で席を決めたのかすぐわかった。 俺をハルヒは自分のお世話専門にするつもりだ。 古泉は出入り口がちかい注文役 長門はここでも本を読んでるから蛍光灯の真下だ。 朝比奈さんは・・・かわいそうに・・・ おもちゃにされるな、こりゃ・・・ 「さー!!!はじめるわよー!!!」 そんなに大声で気合いれるなハルヒ。 俺達は高校生だぞ。目立つことするな。 「古泉君、適当に頼んで!」 「はいはい」 いいなぁ古泉。俺はできれば楽なお前のポジションにいきたい。 「ところで、みくるちゃん?なにしてるの?」 「ふ・・ふぇ?」 おもむろにハルヒがなにか出した!なんだなんだ?? 「これ。さ、着替えて」 「ふ・・ふぇぇ~い・・いやぁ~」 ここでもバニーか!いい案d・・いやいや、だから目立つなハルヒ! 「はやく!酒の席では仮装が常識よ!」 「ふぇぇ~。いやぁぁ!」 朝比奈さんがハルヒに拉致されトイレへ消えた。 遠くで朝比奈さんの悲鳴が聞こえる。 「ど・・どうぞぉ~」 朝比奈さんからお酌してもらった! きっと他のテーブルで飲んでるお客の酒より旨いはず! これは間違いない! 開始から1時間30分経過 長門を見ると、たんたんと飲んでる・・ 宇宙人は酔わないのか?まぁ宇宙人だからなぁ・・ 古泉は・・・うん。寝てる。 こいつ、こんなときバイトが入ったらどーするんだ? 俺は元々酒が強いのか、体がほくほくしてる以外、なにも変化なし。 俺としては、やはり気になるところは朝比奈さんだ。 酔って、ほんのり赤くなって舌ったらずが、超舌ったらずになってかわいさ倍増。 「キョンふん・・やひビーフンろっれくらはい♪ビールもろうぞ~」 あぁ・・・・かわいい・・。なんてかわいいんだ!!! ところで、ハルヒ!ハルヒはどうだ? 「ねえねえ?あんた、宇宙人とか未来人とか、超能力者とか、知り合いいない?」 他のテーブルの客に絡んでる!!! 「こら!ハルヒ!こっちこい!!」 「なによ!キョン!いつでも調査!調査なのよ!!あたし達はSお(ry」 強引に連れ戻してきた。何回も言うぞ。 「目立つなハルヒ!」 ただの痛い集団に見えるんだろうな・・このテーブル・・ 言動不明少女、バニーちゃん、居酒屋で読書、寝てる、そして俺 ああぁ・・やっぱくるんじゃなかった・・・ 開始から2時間 そろそろお開きだとおもった時に事件がおこった 「あんら、ふぉれきらはい!!!(訳:あんた、これ着なさい)」 「ふえぇぇん!恥ずかしいからいやですー」 「いふもいふも、あらひばっかり!こっちへほい!(いつもいつもあたしばっかり!こっちへこい!)」 「ごめんなさぁい!ふええぇ反省s(ry」 ハルヒが拉致された! なんだと!!!朝比奈さんが強気になってる! ハルヒにいたっては反省の言葉がでてきた!おいおい!夢か?? 冷静に考えよう・・・ 本来、朝比奈さんは飲むと強気になって強引になるのか。 ハルヒは泣き上戸か。 こりゃ面白い。見物だ。そうそう見れないからな。 しかし、あとが怖い・・ 「あたしも着替えてくる・・・有機生命体のアルコール濃度上昇・・これが酔ってr(ry」 なんと!長門まで動いた。言ってることは酔っ払いだ!宇宙人も酔うのか! しかし着替えあるのか・・・?まぁ彼女は情報なんたらで容易に服はチェンジできるのだろうな。 「僕帰ります・・限界・・・あと、バイトが入ったみたいなんで・・・」 おいおい!古泉!!!まて!帰るな!!! お前のそのバイトの原因がまさに今トイレで繰り広げられてるぞ!!!おい! 帰ってしまった・・・ ふぇ・・反省したからヒック・・みくるちゃんもういいでしょ・・」 「まだまだでしゅよ~!家までそれで帰りらはい!」 うわぁ・・朝比奈さん強気・・・俺怖くなってきた・・・ 居酒屋はさすがにもう耐え切れなかった俺は こいつらをつれて駅へ向かっていた。 「仮想メモリが限界です・・仮装メモリ・・・なんちゃって・・クス」 長門がぶっ壊れてきた・・・ こんな街中でコロコロ衣装を変える長門。 通行人がびびってるじゃねーか! 俺は「手品です!すごいでしょ!はは・・」 なんて無茶な言い訳して歩いてるんだ俺は! 「今度はこれ・・・釣られないクマー・・・クス」 某○ちゃんねるですか。そうですか・・・。あそこも長門の情報源に なっているようだ。 しかし、これ以上はさすがに朝比奈さんを止めないと まずいだろうな。また、訳わからん世界をつくられてしまいかねん。 古泉・・今大変だろうな・・・ 朝比奈さん?もう勘弁してあげてくだs(ry」 「キョン君♪もぅ一軒付き合いなさい♪なに?いやな訳?」 「まだデーダの解析余地がある。有機生命とアルコールのk(ry」 「いやらぁぁ!もぅ帰るぅぅ~うぅぅ・・」 なんだなんだ!この会話は!!! いつもと同じパターンじゃないか! ハルヒが朝比奈さんで、朝比奈さんがハルヒになってるだけじゃないか! 「もう帰りましょうよ。朝比奈s(ピロロロロ)」 携帯が鳴った。どうやら、古泉だ。 「なんだ!お前が逃げたおかげでえらい状況だぞ!」 「まずいですよー!キョン君。異次元空間が増大して止まりません」 「こっちの状況のストレスでか?」 「おそらく・・・どうなってるんです?そっちは」 「考えられんかもしれんが・・・」 「はぁ・・」 「朝比奈さんに、ハルヒが絡まれてる」 「困りましたね・・」 一番困ってるのは俺だ! 「とにかく、2人の酔いを醒ましてください。」 「わかったぁ。そっちも頑張れ」 「なんとか・・ギリギリですが・・」 さてどうしよう。 隣では、今度は長門がスチュワーデスになっていた。 ハルヒは相変わらずシクシク泣いてるし、朝比奈さんは それを見て高笑いだ。 酔い覚ましか・・ さて・・どうする・・。 ザザザザ・・・(なんだこの音) 「噴水?これか!これを使おう!」 ただ、2人が噴水に入ってくれるだろうか・・ 「朝比奈さん?あれ見てください。」 「なあに?キョン君。噴水?冷たそうですねぇ♪」 冷たいから効果があるんですよ・・・ 「どうでしょう朝比奈さん。ハルヒを噴水あびせて意地悪しませんか?」 さぁ、のってこい! 「うーん・・・面白そうです~♪」 「いやらぁぁ~。寒いからいやああぁぁ」 「きなさい♪」 いやー、朝比奈さんにあんな力があったとは。 ぐいぐいハルヒを引きずっていく。しかし女って怖い。 噴水ではしゃぐ朝比奈さん。逃げ出そうとするハルヒ。 周りは野次馬。 最悪だ! もっと最悪なのは、まったく酔いがさめてない! やはり、漫画のようにはいかないようだ。 すまん、世界のみんな。無理みたいだ。 しかし・・酔って世界崩壊の危機になるなんてな。 ばかげてる。ハルヒめ・・ 「周囲500mの有機生命体内血中アルコール分子を CO2とH2Oへ変換、排出開始」 なんか長門がしゃべってるが・・・ 「変換終了。酔いの状態から正常動作へ」 まて長門!それって・・・ 「2人は酔いから覚醒しました。正常動作です。」 どうやら世界崩壊は免れたようだ。 しかし長門・・最初からなぜそうやってくれなかった・・ 「楽しい・・人間でいう楽しいという感情なのかもしれない状態だった。 もっと、見ていたかったから」 「ちょっとおおおお!なんでこんな格好してるのよ!!!」 すごい剣幕でハルヒがやって来た。 「みくるちゃん!説明しなさい!!」 「ふぇ・・わかりましぇん・・気がついたらあたしも・・」 黙っておいてやろう・・俺は思った。 「しかもびしょぬれ!どーなってんのよ!キョン!」 まさか朝比奈さんに、服をひんむかれて着せ替えされて さらし者にされて、噴水へダイブさせられてなんて 言えるわけがない。朝比奈さんがどんな目にあわされるか・・ 「ま・・まぁ酔って自分でやってたみたいだ。気にするな」 「あっそ・・・」 憮然としてるが、頬っておこう。 「ちょっと由希!なんて面白い格好してるの」 長門は郵便ポストの被り物をしていた。 なんでなのか理由はしらん! 「まあいいわ。飲みなおしましょう!」 まてまてまてまて!!!いく訳ないだろ!
https://w.atwiki.jp/bokuserve/pages/2009.html
【元ネタ】インド神話 【CLASS】ライダー 【マスター】 【真名】プランジャヤ 【性別】男性 【身長・体重】183cm・65kg 【属性】秩序・中庸 【ステータス】筋力C 耐久A 敏捷A 魔力C 幸運B 宝具A+ 【クラス別スキル】 対魔力:B 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。 騎乗:A+ 騎乗の才能。獣であるのならば幻獣・神獣のものまで乗りこなせる。 ただし、竜種は該当しない。 【固有スキル】 神性:C 太陽王朝初期の王。 血統的には太陽神の玄孫に当たるが、未だ神の血は衰えていない。 勇猛:C 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。 また、格闘ダメージを向上させる効果もある。 防壁破壊:B+ 結界・障壁に対する攻撃力が増加する。 このサーヴァントの場合、陣地に対する攻撃に追加補正がある。 【宝具】 『雷神よ、騎獣となれ(インドラヴァーハ)』 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:30~60 最大捕捉:1000人 プランジャヤの内に秘められた力を解放するための鍵、 インドラの化身牛。 雄牛の上でインドラの認可を受ける限り、神々の敵を討ち滅ぼす対"対神"能力を発揮できる。 神敵の怪物には天敵といえる宝具だが、神性や信仰にダメージを軽減されてしまう。 なお、ライダーとこの牛はあくまでも対等な同盟関係にある。 例えばアルジュナに出会ったりすると、役に立たなくなるどころか 裏切ってくる可能性すらある。 【Weapon】 『燃え盛る矢』 アスラの軍勢を滅ぼしたプランジャヤの矢。 なんか家とか燃えるらしい。 【解説】 プラーナ文献における日種王朝(スーリヤヴァンシャ)三代目の王。 イクシュヴァークの孫でヴィククシの子。 なお、ラーマーヤナに挙げられる日種王朝三代目はバナ王である。 当時、神々はアスラとの戦いで敗北を重ねていた。 神々に助力を請われたヴィシュヌはこれを憐れんで王子プランジャヤに力の一端を与えると、 神々に彼の手を借りるよう言った。 プランジャヤはインドラに同盟を懇願され、条件として「インドラが自分の運び手となること」を提示した。 インドラはそれを受け入れて雄牛の姿になり、プランジャヤはその上で戦った。 プランジャヤ(居所征服者)の名はこの戦いに由来するとされ、 また彼はインドラヴァーハ(帝釈天乗り)、カクツタ(瘤上座者)といった異名を得た。 なお戦闘手段は例によって弓矢である。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/6747.html
563: 635 :2020/12/27(日) 22 01 45 HOST 119-171-231-231.rev.home.ne.jp 銀河連合日本×神崎島 ネタ 民俗学者が見た神崎島番外編 弐ノ島 夜海ノ門 二藤部の前には先程と変わらず常世神宮の景色が広がる。 しかし、そこには二藤部の知る人物はいない。 柏木もフェルもヴェルデオも。 常世神宮に集まった人々、その表情には焦燥が見受けられる。 「また死体が流れ着いたぞ!一体現世では何が起きているんだ!?」 「新たな艦娘の話では米国と戦争中だという話だが…。」 「艦娘がまた倒れた!もうこれ以上送るのは無理だ!」 そこへ一人の男が駆け込む。 二藤部には最後の言葉が耳に残った。 「海が、海が血に染まっています!」 全てを終えて神域ではない常世神宮敷地内の宿泊所で開かれた宴。 二藤部はちびりちびりとビールを飲んでいた。消化器系のこともあるので日本酒や焼酎などの度数の高い酒を浴びる程飲むことはない。 上座を見れば神崎提督と神前で舞う巫女を務めた艦娘大和が座っている。 そしてその次席として常世神宮の巫覡の娘達が座る。 確か名字を黒澤、水無月、天倉、不来方、雛咲…後はなんと言ったか。 あの儀式、そしてあの白昼夢はなんだったのか、天下泰平・五穀豊穣を祈る皇室や伊勢の神宮の儀式とは異なるもののように感じる。 死者を慰めるだけではない、鎮守府の名の通り何かを鎮め守る為の儀式なのであろうか。 少々アルコールの回る頭でそんな事を考えつつぼんやりと上座を見つめていると二藤部に声を掛けるものが一人。 「二藤部総理、コップが空いていますがお注ぎ致しましょうか?」 今回の神事の為に神崎富士こと天叡山に座する浅間社から来た巫女だ。 流れるような黒髪に楚々とした佇まい、黒と緑のヘテロクロミアの瞳が特徴的な美しい女性だ。 「…ええ、お願いします。」 二藤部の持つコップに黄金色のビールが注がれていく。 二藤部も男だ、美しい女性に酒を注がれて少々気恥ずかしさを覚える。 そして注がれたビールで口を潤した。 「先程から上座を見てらしたようですが何かありましたか?」 「いえ…儀式の時の大和さんの笑ってはいけない…でしたっけ?それに出演している時の姿が私の中で一致しないものでしてね。」 「それはしょうがありませんね。滑稽さを求めるものと今回の儀式は性質の違うものですから。」 浅間の巫女はころころと笑う。 「後、大和さん達が執り行った儀式が私の知る神事と違うように感じましてね…。」 「仕事柄多くの神事、祭祀に関わることが多いので天下泰平・五穀豊穣などとは違う神事ではないかと思うのですが…。」 「……。」 「浅間さん?」 「総理、酔い冷ましに外へ少し出ましょうか。」 564: 635 :2020/12/27(日) 22 04 11 HOST 119-171-231-231.rev.home.ne.jp 二藤部は浅間の巫女に連れられ外へと出た。 見上げれば夜空には息を飲む程美しい満天の天ノ川と月が見えた。 月明かりで星光は消えるものであるがいかなる理由か。 「月が綺麗ですね。私達が常世で見ていた常世の月とはやはり違いますね…。」 月が綺麗、その言葉に二藤部はドキリとするが常世の月という言葉が気になった。 「常世の月とは?」 「ご存知の通り私達がいた現世とは違う異界・常世、その常世の月を指します。天文学的に見ても本物の月でないことは確実でしたが。」 信じる信じないは自由だと前置きをし、浅間の巫女は月を見上げたまま話続ける。 「あの常世の月がどのように生まれたのかを私達には知る術はありませんが、古い言い伝えによれば神代の月であると言われています。」 「神代の?」 「神代の月は不死の力あるとも死の国への門とも言われています。その力を封じ現し世から遠ざけるために月夜見神が神代の月を常世へと持ってきたとも。」 「……。」 常世神宮に仕える巫覡の一つ、月夜見神を祀る社の守り人、月森はそんな月を守護する役目にあると言う。 そして浅間の巫女は月に向けていた目を二藤部の方に向ける。 二藤部にはその表情がまるでこれから託宣を行う神官のように見えた。 「神崎島の巫達、特に艦娘は夜海と常世の境を閉じ、その封印を守る役目を帯びています。それが神前(かみのさき)であり常世の前(さき)であるこの島の役目とも。」 「黄泉と常世の境界を閉じ守護するのがこの島の存在意義であると?…そういえば先程から黄泉と常世を違うようにおっしゃってますが、何故?」 軍艦畝傍やかつての平氏の落人のように生者はほぼ一方的ではあるが常世へ渡ることは不可能ではない。 その時点で常世とは完全な死者の国ではない。 されど夜海は違う。 現世に接する海の最果て、沖縄ではニライカナイ、大陸では蓬莱とも呼ばれる常世に対し、 夜海は神代の昔に夜海門大神の封印により生死の境界を敷かれた完全なる死の世界。 「つまり島には黄泉への入口が存在し日本神話でいう黄泉比良坂であると?」 「それは私達にも分かりません。それに島では夜海との境界は幾つかあるとされていますが、島が黄泉比良坂かどうかまでは…。 また、私たちは死の国を黄い泉ではなく伝承から夜の海と書き夜海の字を当てております。」 浅間の巫女は語り続ける。 「夜海の門、夜海門は非業の死を遂げた者が多く死の匂いが濃い程、穢れが多い程に夜海の門の封印は薄くなります。 この島は祀ろわぬ死者と追われた者が流れ着き、諸々の罪禍穢れが流離い失う海の最果て、かつて常世にありし夜海への入り口のに最も近き島。 現し世へと戻りこの度多くの死と穢、天津罪と国津罪が島へと流れ着きました。 故に死者を慰め穢れを祓い正しく夜海へ送る為、夜海門を鎮めるため今回の儀式は行われました。」 565: 635 :2020/12/27(日) 22 06 39 HOST 119-171-231-231.rev.home.ne.jp 天津罪国津罪、総理として祭祀への参加も多い二藤部はその言葉を知っていた。 現代で言う犯罪だけでなく病気・災害を含み日本国内において天津罪国津罪となるものは現代でも多い。 串刺・他者の土地を奪い、土地に呪いを掛ける罪、生膚断・生きている人の肌に傷をつける罪、死膚断・死んだ人の肌に傷をつける罪、 畜仆し蠱物する罪・動物を殺傷しその屍体で他人を呪う罪、火焼・火災による焼死、 そして高津神の災と川入、即ち天災と溺死今回の儀式の対象となったものだ。 そして思うもし儀式がなければどうなるのかと。 「浅間さん、その儀式が正しく行われない場合は…どうなるのです?」 「それは…分かりません。常世では深海棲艦が姿を現しましたが、現世では生死が分かれる前、神代へと戻るのか死が現し世に溢れ返るのか…。」 境界が閉じられなければ大きな災禍が現し世を襲うだろうという。 かつてない死と穢が常世を覆い禍津陽と共に夜海が広がり、黒キ陽が昇り夜海門が開いた際には深海棲艦が大量に出現、深海大戦の引き金となったという。 その言葉に二藤部の喉がカラカラに乾く、もし、もしもあの時政権を奪還出来ずにいたらもし帰属が上手くいかず島が大陸の手に落ちていたら。 島は世界はどうなっていたのかと、それを想像し背筋が凍る感覚を覚える。 二藤部は頭を振りその想像を振り払い、浅間の巫女にもしもの時のため自分たちも儀式は可能かと尋ねた。 「やめておかれた方が宜しいかと。」 「何故?」 「儀式は艦娘を巫女とし行われています。人ならぬ彼女達の代役を現世の人間が行うのは大きな代償を払うことでしょう。」 多くの艦娘は沈み、死んだ乗組員を乗せたまま現し世より常世へと辿り着いた、謂わば生と死の間を航海する存在でもあるという。 生者である人間が生死の境に立つ、そのようなことになれば生身のまま夜海へと堕ちると。 「そもそも先の大戦での敗戦、伝統を捨て去って来た今までの日本の状況で少なからず異界との境界を守る寺社や儀式も失われているでしょうから、 境界を守る巫やその術もどれだけ残っているかどうか…。」 「その可能性もありましたか…。もしかすると…異界との境界を守る者がいない地域のある可能性も?」 「はい…。」 新たなる腹痛の種に頭を抱える二藤部。 現実に神田の『公』や讃岐の『院』、筑前の『天神』のこともある巫女の言葉を無視することは不可能だ。 これはサブカルチャーに詳しい三島や突飛な知識や発想を持つ柏木に話すべきと二藤部は思う。 もちろん事が事なのでやんごとなき方へも相談が必要だろう。 「そういえば今日の儀式に名前などはあるのでしょうか?事前に告げられなかったので疑問に思いまして…。」 「…儀式の真名は諱故に語ることを慎むべきなので島でも極一部しか知らされておりません。それ故にお伝えはしませんでした。」 「そうですか…。」 「しかし、通り名で宜しければ…、我々は"御船渡し"そう呼んでおります。」 「御船渡し…ですか…。」 「はい、艦娘という船に乗せ夜海へと渡す故にです。」 その言葉に二藤部は神前の桐の柩に眠る者達を思い出す。 そして安らかに眠りについて欲しいと願わずにはいられない。 「…彼らは、島へと流れ着いた方達は正しく渡れたのでしょうか?」 「はい、それは間違いなく…。送られた御魂は何時の日か再び水面に生を受けるでしょう…。」 566: 635 :2020/12/27(日) 22 07 46 HOST 119-171-231-231.rev.home.ne.jp 以上になります。転載はご自由にどうぞ。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1636.html
事件はハルヒのたった一言から始まった 「SOS団、大忘年会やるわよ!」 確かに今年は忘れたい事件ばかりだった。(俺だけじゃないと思うが) あまり気乗りはしなかったが、断ると不機嫌になりそうなので 一同しぶしぶ賛成したようだった。 「で?部室でやるのか?」 俺の言葉が言い終わるか、終わらないかも待たずハルヒが言った。 「お酒飲むのに学校じゃまずいでしょ!少しは考えなさいよ!居酒屋よ!」 なに???酒飲むのか??おいおい、まだ高校生だぞ俺達は。 さすがに問題あるだろ! だがしかし・・古泉は本当に高校生なのか? 長門に至っては宇宙人だ。 朝比奈さんは年齢不詳な未来人。 よく考えたら、そこいらにいる普通の高校生って俺だけじゃないか! なんか、どーでもよくなってきた。 学校にばれるようなことがあったら長門にちょいちょいと細工してもらえばいいしな。 なんか、どうでもよくなってきた。先のことは考えない。 いつからこんないい加減になっちまったのかなー俺は。 週末、駅で待ち合わせをした。遅刻者、もしくは最後に到着がおごりという いつもと同じシステムだ。 はい、やっぱり俺がビリでした。 予定調和ってやつだ。 「キョン君、どんまい♪」 朝比奈さんの舌ったらずな励ましを受け 想像してしまった。 あぁ・・この人が酔ったらどうなるんだろう。 もっと甘ったるい声を出すのか? 甘えん坊さんになって「キョン君なでなでしてぇ~♪」 とか「ア~ン♪これも食べてぇ~」とか こんなほどこしを受けるなら、おごりでもいい!いや、むしろおごりたい! 「あんた、なにデレデレしてるのよ・・・・」 ハルヒの不機嫌な声で現実に戻された。 俺達は繁華街にいた。 「ここよ!」 ハルヒが満面の笑みを浮かべて指をさした場所 「白木屋!ここ来てみたかったのよね。」 なぜハルヒがここに興味を示したのかはわからない。 このメンバーならもっとアンダーグラウンドでディープな 監獄居酒屋とか、お化け屋敷居酒屋とかそんなとこがお似合いなのに。 「あんたはココ!みくるちゃんは、こっちね。由希はあそこ。古泉君はそこね!」 座る席までお前が決めるのか?ハルヒ・・・ 「なに?不満?あんたしらないの?宴会には上座がとかk(ry」 へいへい・・・団長様。上座へどうぞ~ 席順はこうだ。 上座にハルヒその右横に朝比奈さん、その横に古泉 ハルヒ左横に俺、その隣に長門 こんな感じだ↓ ハ _ 俺| |朝 長| |古 どんな理由で席を決めたのかすぐわかった。 俺をハルヒは自分のお世話専門にするつもりだ。 古泉は出入り口がちかい注文役 長門はここでも本を読んでるから蛍光灯の真下だ。 朝比奈さんは・・・かわいそうに・・・ おもちゃにされるな、こりゃ・・・ 「さー!!!はじめるわよー!!!」 そんなに大声で気合いれるなハルヒ。 俺達は高校生だぞ。目立つことするな。 「古泉君、適当に頼んで!」 「はいはい」 いいなぁ古泉。俺はできれば楽なお前のポジションにいきたい。 「ところで、みくるちゃん?なにしてるの?」 「ふ・・ふぇ?」 おもむろにハルヒがなにか出した!なんだなんだ?? 「これ。さ、着替えて」 「ふ・・ふぇぇ~い・・いやぁ~」 ここでもバニーか!いい案d・・いやいや、だから目立つなハルヒ! 「はやく!酒の席では仮装が常識よ!」 「ふぇぇ~。いやぁぁ!」 朝比奈さんがハルヒに拉致されトイレへ消えた。 遠くで朝比奈さんの悲鳴が聞こえる。 「ど・・どうぞぉ~」 朝比奈さんからお酌してもらった! きっと他のテーブルで飲んでるお客の酒より旨いはず! これは間違いない! 開始から1時間30分経過 長門を見ると、たんたんと飲んでる・・ 宇宙人は酔わないのか?まぁ宇宙人だからなぁ・・ 古泉は・・・うん。寝てる。 こいつ、こんなときバイトが入ったらどーするんだ? 俺は元々酒が強いのか、体がほくほくしてる以外、なにも変化なし。 俺としては、やはり気になるところは朝比奈さんだ。 酔って、ほんのり赤くなって舌ったらずが、超舌ったらずになってかわいさ倍増。 「キョンふん・・やひビーフンろっれくらはい♪ビールもろうぞ~」 あぁ・・・・かわいい・・。なんてかわいいんだ!!! ところで、ハルヒ!ハルヒはどうだ? 「ねえねえ?あんた、宇宙人とか未来人とか、超能力者とか、知り合いいない?」 他のテーブルの客に絡んでる!!! 「こら!ハルヒ!こっちこい!!」 「なによ!キョン!いつでも調査!調査なのよ!!あたし達はSお(ry」 強引に連れ戻してきた。何回も言うぞ。 「目立つなハルヒ!」 ただの痛い集団に見えるんだろうな・・このテーブル・・ 言動不明少女、バニーちゃん、居酒屋で読書、寝てる、そして俺 ああぁ・・やっぱくるんじゃなかった・・・ 開始から2時間 そろそろお開きだとおもった時に事件がおこった 「あんら、ふぉれきらはい!!!(訳:あんた、これ着なさい)」 「ふえぇぇん!恥ずかしいからいやですー」 「いふもいふも、あらひばっかり!こっちへほい!(いつもいつもあたしばっかり!こっちへこい!)」 「ごめんなさぁい!ふええぇ反省s(ry」 ハルヒが拉致された! なんだと!!!朝比奈さんが強気になってる! ハルヒにいたっては反省の言葉がでてきた!おいおい!夢か?? 冷静に考えよう・・・ 本来、朝比奈さんは飲むと強気になって強引になるのか。 ハルヒは泣き上戸か。 こりゃ面白い。見物だ。そうそう見れないからな。 しかし、あとが怖い・・ 「あたしも着替えてくる・・・有機生命体のアルコール濃度上昇・・これが酔ってr(ry」 なんと!長門まで動いた。言ってることは酔っ払いだ!宇宙人も酔うのか! しかし着替えあるのか・・・?まぁ彼女は情報なんたらで容易に服はチェンジできるのだろうな。 「僕帰ります・・限界・・・あと、バイトが入ったみたいなんで・・・」 おいおい!古泉!!!まて!帰るな!!! お前のそのバイトの原因がまさに今トイレで繰り広げられてるぞ!!!おい! 帰ってしまった・・・ ふぇ・・反省したからヒック・・みくるちゃんもういいでしょ・・」 「まだまだでしゅよ~!家までそれで帰りらはい!」 うわぁ・・朝比奈さん強気・・・俺怖くなってきた・・・ 居酒屋はさすがにもう耐え切れなかった俺は こいつらをつれて駅へ向かっていた。 「仮想メモリが限界です・・仮装メモリ・・・なんちゃって・・クス」 長門がぶっ壊れてきた・・・ こんな街中でコロコロ衣装を変える長門。 通行人がびびってるじゃねーか! 俺は「手品です!すごいでしょ!はは・・」 なんて無茶な言い訳して歩いてるんだ俺は! 「今度はこれ・・・釣られないクマー・・・クス」 某○ちゃんねるですか。そうですか・・・。あそこも長門の情報源に なっているようだ。 しかし、これ以上はさすがに朝比奈さんを止めないと まずいだろうな。また、訳わからん世界をつくられてしまいかねん。 古泉・・今大変だろうな・・・ 朝比奈さん?もう勘弁してあげてくだs(ry」 「キョン君♪もぅ一軒付き合いなさい♪なに?いやな訳?」 「まだデーダの解析余地がある。有機生命とアルコールのk(ry」 「いやらぁぁ!もぅ帰るぅぅ~うぅぅ・・」 なんだなんだ!この会話は!!! いつもと同じパターンじゃないか! ハルヒが朝比奈さんで、朝比奈さんがハルヒになってるだけじゃないか! 「もう帰りましょうよ。朝比奈s(ピロロロロ)」 携帯が鳴った。どうやら、古泉だ。 「なんだ!お前が逃げたおかげでえらい状況だぞ!」 「まずいですよー!キョン君。異次元空間が増大して止まりません」 「こっちの状況のストレスでか?」 「おそらく・・・どうなってるんです?そっちは」 「考えられんかもしれんが・・・」 「はぁ・・」 「朝比奈さんに、ハルヒが絡まれてる」 「困りましたね・・」 一番困ってるのは俺だ! 「とにかく、2人の酔いを醒ましてください。」 「わかったぁ。そっちも頑張れ」 「なんとか・・ギリギリですが・・」 さてどうしよう。 隣では、今度は長門がスチュワーデスになっていた。 ハルヒは相変わらずシクシク泣いてるし、朝比奈さんは それを見て高笑いだ。 酔い覚ましか・・ さて・・どうする・・。 ザザザザ・・・(なんだこの音) 「噴水?これか!これを使おう!」 ただ、2人が噴水に入ってくれるだろうか・・ 「朝比奈さん?あれ見てください。」 「なあに?キョン君。噴水?冷たそうですねぇ♪」 冷たいから効果があるんですよ・・・ 「どうでしょう朝比奈さん。ハルヒを噴水あびせて意地悪しませんか?」 さぁ、のってこい! 「うーん・・・面白そうです~♪」 「いやらぁぁ~。寒いからいやああぁぁ」 「きなさい♪」 いやー、朝比奈さんにあんな力があったとは。 ぐいぐいハルヒを引きずっていく。しかし女って怖い。 噴水ではしゃぐ朝比奈さん。逃げ出そうとするハルヒ。 周りは野次馬。 最悪だ! もっと最悪なのは、まったく酔いがさめてない! やはり、漫画のようにはいかないようだ。 すまん、世界のみんな。無理みたいだ。 しかし・・酔って世界崩壊の危機になるなんてな。 ばかげてる。ハルヒめ・・ 「周囲500mの有機生命体内血中アルコール分子を CO2とH2Oへ変換、排出開始」 なんか長門がしゃべってるが・・・ 「変換終了。酔いの状態から正常動作へ」 まて長門!それって・・・ 「2人は酔いから覚醒しました。正常動作です。」 どうやら世界崩壊は免れたようだ。 しかし長門・・最初からなぜそうやってくれなかった・・ 「楽しい・・人間でいう楽しいという感情なのかもしれない状態だった。 もっと、見ていたかったから」 「ちょっとおおおお!なんでこんな格好してるのよ!!!」 すごい剣幕でハルヒがやって来た。 「みくるちゃん!説明しなさい!!」 「ふぇ・・わかりましぇん・・気がついたらあたしも・・」 黙っておいてやろう・・俺は思った。 「しかもびしょぬれ!どーなってんのよ!キョン!」 まさか朝比奈さんに、服をひんむかれて着せ替えされて さらし者にされて、噴水へダイブさせられてなんて 言えるわけがない。朝比奈さんがどんな目にあわされるか・・ 「ま・・まぁ酔って自分でやってたみたいだ。気にするな」 「あっそ・・・」 憮然としてるが、頬っておこう。 「ちょっと由希!なんて面白い格好してるの」 長門は郵便ポストの被り物をしていた。 なんでなのか理由はしらん! 「まあいいわ。飲みなおしましょう!」 まてまてまてまて!!!いく訳ないだろ!
https://w.atwiki.jp/moemonss/pages/304.html
「マスター、そういえば言い忘れてました」 「あ? どした?」 愛用のエプロンを付けて鼻歌交じりに食器を洗っていたシャワーズが キッチンからひょこっと顔を出して言った。 「私の妹が今度、こっちに来るらしいです」 「……は?」 俺は片付けが落ち着いたシャワーズを座らせて話を聞く事にした。 ちなみにイワークはさきほど探してみたところ、俺のベッドですやすやと丸くなって 気持ちよさそうに寝ていた。 「妹ってのはどういうことだ? いつ来るんだ?」 「そういえば言ってませんでしたね」 いつものように柔らかな笑顔を見せるシャワーズだったが、はっきり言って俺は困惑していた。 今度の話は初耳どころの騒ぎじゃない。寝耳に水だったからだ。 「何よりもまず妹が居たかという話から聞いてなかったんだが」 俺はシャワーズが用意したコーヒーを口に流し込みながら尋ねた。 「ソイツ……お前の妹もじいさんの所に居るのか?」 じいさん、つまり俺の祖父は萌えもんの研究を生業としている。 だが稀にじいさんは気に入った子を俺にあてがおうとするのだ。 このシャワーズと、今俺のベッドを我が物顔で占領しているイワークも そうした故があって俺と共に暮らしているのだ。 「そのようですね。数日前、博士から連絡がありまして、『新しい子を送るから宜しく』、と」 「はあ……。 全く、本当に毎回好き勝手やらかすな、じいさんは……」 俺はこめかみの辺りを抑えた。 技術と気概に溢れ人望も厚い祖父だけに、たまにやらかす茶目っ気も 研究所で共に働く周囲の人々は「しょうがないなあ」と言って許してしまうのだ。 実際に同僚を何人か、じいさんがうちに連れてきた時に聞いた話だから間違いない。 「それで……」 おずおずとシャワーズが尋ねてくる。 「マスターはどうされるのでしょうか」 心配そうな表情を浮かべるシャワーズに、俺は少しばかり違和感を感じながら、 「どうするったってなあ。まあ一回会ってみてからかな」 コーヒーを飲み干しつつ俺はそう答えていた。 数日後。 シャワーズから話を聞いたその日の内に俺は改めて祖父に、今回の件について 確認した。 新しい子を寄越す日取りを調整して、ついに今日こそ、その子と会う約束の日だ。 俺とじいさんは二人、待ち合わせしていた駅前の噴水広場にて顔を突き合わせていた。 ちなみにシャワーズとイワークは自宅にて歓迎会の準備をしている。 俺は二人には「必ず連れて帰る」とは言ってなかったんだが。 俺の方はともかく、相手が俺のことを気に入らなくて 「今回の件は無かった事に……」なんて 言われるかもしれないことを考えていないのだろうか。 「それで、じいさん」 「ん、なんじゃい」 今ここに居るのは俺とじいさんのふたりだけだった。 「その『新しい子』ってのは何処に居るんだ?」 「ああ、それな」 かんらかんらと笑うじいさん。 「逃げられたわい、あっはっはっは!!」 爆笑するじいさんの言葉に、俺は壮絶にずっこけた。 「は、はあ!!??」 「いやあ、ワシ相手にすら人見知りする子でのう。唯一自分の姉にだけは 懐いていた子じゃったんじゃが、どうやらあの子の中ではお前さん、『大事な姉ちゃんを 連れて行った悪い人』みたいなイメージで見られてたみたいでのう」 「ちょい待て、そもそもシャワーズすらじいさんが連れて来たんだろうが……」 「情報操作の不具合、というやつじゃな。失敗失敗、あっはっは!」 けたけたと笑うじいさん、いやじじい。頚動脈をぎゅってしてやろうか。 「というわけで、じゃな」 「あん?」 ぽい、と平べったくて丸いものを手渡される。なんだこれ、ドラゴ●レーダー? 「見た通りのレーダーじゃよ。くっつけておいた発信機があの子の今居る場所を知らせてくれる ように出来ておる。 それを追っかけていけ」 「いやです、じじい」 「な、なんじゃと!?」 驚きを隠せない様子のじじい。俺が「よし分かった!」とか言うと思っていたのだろうか。 ―――はああ……とてつもなく頭が痛い……。っつうか、一体どういうことか なんとなく分かってきたぞこれは……――― じじいは昔からイベンター気質な所がある。きっとじじいは最初からわざとその新しい子を 逃がすように仕向け、それを俺に助け出させて一気に仲良くさせようという魂胆なのだ。 ちなみにぶっちゃけコレ、イワークの時と全く同じ方法である。 「前と一緒じゃん」 「ち、違うわい! 今回はレーダーがあるし!」 確かに前回はGPS機能搭載の携帯電話だった気がするが。 全く……前と比べて悪趣味な方向にだけ進化してんじゃねえか……。 「はあ……ったく。 しゃあねえな」 「お?」 俺は少々―――いや、かなり―――渋々だったが。 「これでもシャワーズやイワークに会わせてくれたのだけは少しだけ じじいには感謝してんだ、気は乗らねえけど行ってやるよ」 「おお、さすがはワシの孫! ノリとか空気っつうもんが分かっとるのう!」 「そういうテメエこそ年相応のノリを知っとけっつの……」 そう行って、俺は軽くストレッチをして、そしてレーダーを握り締めて駆け出した。 「ああ、そうそう、言い忘れておったわい!」 「あ”!?」 俺は走りながら耳を向けた。 「ちゃんとお前らの様子は街頭カメラをジャックして完全録画しとるからしっかり頑張れよ~!」 「だからそういう事に最先端技術を使うんじゃねえ!!」 それから小一時間、俺は街中を走り回る事となった。 雑踏、ビルとビルの間の細い小道、住宅街、公園、etc……。 自宅の前を通った時は軽く諦めかけたが、なんとかモチベーションを維持して走り抜けた。 そして今。小高い丘の上、並び立つ木々のひとつに赤い髪の少女が座り込んでいた。 レーダーが独特の電子音を発している。何度か照らし合わせてみたが、どうやら彼女がそうで あるようだ。 「はあ……っはあー……。 やっと見つけた……」 俺は荒く息をつきながら、一人ごちる。さすがに乱れた息のまま話しかけた所で怪しまれるだけ だろう、一度自分を落ち着ける。 「ふう……。っよし!」 俺は 以前(イワークの時)に活躍した『秘密兵器』をポケットに入れて隠しながら 足の底に力を入れるようにして立ち上がり、ゆっくりと歩き始めた。 「よっ」 びくっ、と、少女の体が震える。 「こんな所で何やってんだ」 少女は何も答えない。俺が見下ろす形になっていて、相手はうつむいたままだ。 「横、座っていいか?」 出来るだけ優しく聞いたつもりだったが、少女はぷるぷると首を横に振った。 「そうか、駄目か。 じゃあ立たせてもらうか」 俺は彼女の返事を待たずにそう言って横に並び、そのまま木に持たれかかった。 「お前、名前は何ていうんだ?」 数秒、間を空けて。 「……ブースター」 容姿と同様、幼い雰囲気が漂う声色でそう言った。 「よし、じゃあブースター。 お前どうしてそんなへこんでんだ?」 「…………」 しかし少女は答えない。 「……いや、まあ、言いたくないならいいけどな」 それからしばらく、俺は少女に何か言うでもなくそのままの姿勢で立っていた。 「……お姉ちゃん……」 「あ?」 地面に視線を向けたまま、彼女がぽつりと言葉を口にした。 「お姉ちゃんは、元気?」 「お前、俺の事知ってたのか?」 少女はこくりと頷いた。 「そうか、それなら話は早いな」 俺はそう言ってから少し間を空けた後に言葉を続けた。 「元気だと思うぞ。 まあアイツはああいう性格だからな。 もしかしたら心の中に溜め込んで る気持ちがあるのかもしれんが」 「…………」 「俺が知ってる限りでは、傍でよく笑ってくれる」 「……そう」 「ああ、何だったら今から会えば良いじゃねえか。 アイツも喜ぶぞ?」 「…………」 また言葉が途切れた。さらさらと木の葉が風に揺れる音だけが辺りに流れている。 「…………私の」 「ん?」 「私の居場所は」 ぽつりと。 「きっとそこには無いから」 抑揚の無い声で彼女がそう言った。 「お姉ちゃん、電話で楽しそうだった。あなたの事はもちろん、イワークって子も 新しく出来た妹みたいですごく良い子だって、言ってた」 「……もしかして」 ―――お前、やきもちを焼いてるのか――― そう言いそうになる口を慌てて閉じた。 再び訪れる、自然以外の音が途絶えた静寂。その中で俺は考えていた。 ブースターの持つ雰囲気はイワークともシャワーズとも違う独特のものだが、俺はこの、 言葉の無い澄んだ空気が不思議と嫌では無いと感じていた。 (はあ……まったくあのじいさん。なんでこんな突っ返すのがためらわれるような子ばっかり こっちに寄越してくるんだよ……) 俺は心の中で愚痴をつきながら、ポケットの中の最終兵器を取り出した。 「おい、ブースター」 「なに?」 「これ食え」 目の前にひとつ、袋に包まれた飴玉を放り投げてやる。 「なに? これ」 「なんだお前、飴玉も知らんのか」 「……馬鹿にしないで」 ほんの少しだけ、むっとした顔になる。 (なんだ、別の顔できんじゃん) そう思いながら、俺はもうひとつ飴玉を手にとって口の中に放り込んだ。 「うん、美味い」 だがブースターはそれを手の中で転がしていた。 「食わんのか?」 「……今はいらない」 「そうか」 飴をころころと口の中で転がすと、りんご味の爽やかな甘みが口の中に広がった。 「うちのじいさんの話で悪いがな」 「…………」 「昔あの人に教えてもらった事で一つだけ好きな言葉があるんだ。なんか分かるか?」 「分かるわけない」 「そりゃそうか。 言うとだな、じいさん曰く『ケンカをしたら飴玉をあげろ』ってんだ。 何言ってんだろうな。飴玉あげたくらいで相手と仲直りできるわけないのにな」 「私とあなたはケンカしてない」 「まあそうだけどな。続きがあるんだから聞けって」 俺は笑いながら話を続ける。 「俺が反論したらじいさんは続けてこう言ったんだ。『自分が大好きなものを相手にあげる くらいの気持ちがあれば仲直りは簡単だ』、ってな。 俺、そんとき子供だったからよ。 それ聞いてすげえ関心しちまったんだ」 ブースターは黙ったまま、手のひらで飴玉を転がしていた。 「俺とお前、まださっき会ったばっかだけどさ。それでも飴玉あげたくなるくらいには 一緒に居てもいい、なんて俺は思ってるんだどな」 「…………」 ブースターは手のひらの飴玉をじっと見つめていた。 「だめか?」 俯いたままのブースターを見て俺は少し気持ちが沈んだ。 「…………いいの?」 「あん?」 「わたしがずっと傍にいても」 その日、はじめて。 俺はブースターの顔を正面からはっきりと見た。 表情こそ薄いものの、姉に負けず劣らずの端正な顔立ちに俺の胸が少しだけ高鳴った。 そんな気持ちを抑えつつ、俺は言った。 「……ああ、好きなだけ」 俺がそういうと、ブースターは飴玉の袋を開けて小さな口の中に放り込み、 少々控えめの―――そしてとびっきり可愛い―――笑顔で答えてくれた。 「美味しいね、マスター」 夕方頃。 俺とブースターはそのまま帰路に着いた。 そして玄関を開けた瞬間、クラッカーのけたたましい音と共に出迎えてくれた シャワーズとイワーク(とじいさん)の声が響いた。 「ブースター、久しぶり、いらっしゃい」 「よろしくね、ぶーすたー!」 「遅かったな、愛孫よ。全部見ておったぞ」 少し気まずそうなブースターだが、実際に姉であるシャワーズと対面して自分の勘違いに 反省したのだろう、極力自然に振舞おうとしていた。 俺はとりあえずじじいの顔面にレーダーを思いっきり叩きつけ、長い話は後にして三人に リビングに入っていくよう促した。 リビングに入ってみるとテーブルの上には様々な料理が所狭しと料理が並べられていて、 シャワーズの調理技術の幅広さに今更ながら驚いた。 そしてテーブルの上には皿が並べられていて、上座に一人、両側に二人ずつ座れるよう 既に準備がなされていた。 疲れていた俺は上座に近い方の片側に座り込み、他の皆の着席を待った。 すると、ブースターがいきなり、上座とは反対方向となる俺の隣にぺたんと座った。 「ブースター、貴方はこっち。主賓なんだから上座の方に座りなさい」 シャワーズが優しくそういうと、ブースターはバッサリと、 「いや、マスターの隣がいい」 といってシャワーズの言葉をぶった切った。 部屋が一瞬凍りついた。 「あ? ……何言ってんだ、ブースター。お前はこっちだって」 「そ、そうよ。ほらマスターもこう言っているんだし」 「そこ、わたしの席……」 イワークも混じってブースターの行動を諌める三人。だが、 「マスター、ずっと傍に居ても良いって言った。だから、私はここ」 抑揚の無い言葉で、しかしどこか幸せそうな感じのする口調で言うブースターだったが、 その一言はあっという間に幸せになるはずだった歓迎会を修羅場に変えてしまったわけで……。 「な! ……何を言ってるのブースター! マスター、嘘ですよね? 今の話、嘘ですよね!?」 「やだ~! ますたーの隣はわたしなんだから~!」 「ちょ、お前等、待てっつってんだろ! あ、こらブースター、腕に抱きつくな! ややこしくなる!」 「……みんな、邪魔。どいて」 「や~だ~!」 「マスター! 説明してください!」 「あ”ー! ウゼーっつってんだろがテメー等!!離れろーーー!!!」 その様子を横から見ていたじじいが(レーダーを顔にめり込ませたまま)満足そうにこう言った。 「くっくっく、なかなかにモテモテじゃのう、マスターさんよ?」 「ぶっ殺すぞテメエ!!」 「かーっかっかっかー!! ではさらばじゃー!!」 「あ、逃げやがった! 待ちやがれ!!」 「マスター、動かないで」 「説明を! マスター!」 「いや~~~だ~~~!」 「あ”ーーー! ちくしょーーーー!!!」 俺の叫び声は外へ響き渡り、そして宵闇の中へとむなしく消えていった……。
https://w.atwiki.jp/aum_drawdeamon/pages/18.html
imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。 観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 受想行識亦復如是 舎利子 是諸法空相 不生不滅 不垢不浄 不増不減 是故空中 無色 無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法 無眼界 乃至無意識界 無無明亦 無無明尽 乃至無老死 亦無老死尽 無苦集滅道 無智亦無得 以無所得故 菩提薩埵 依般若波羅蜜多故 心無罣礙 無罣礙故 無有恐怖 遠離一切顛倒夢想 究竟涅槃 三世諸仏 依般若波羅蜜多故 得阿耨多羅三藐三菩提 故知般若波羅蜜多 是大神呪 是大明呪 是無上呪 是無等等呪 能除一切苦 真実不虚 故説般若波羅蜜多呪 即説呪曰 羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶 般若心経 名前 ウドの巨塔 本名 ゴータマ・シッダッタ 誕生日 紀元前五世紀 才能 有能 職業 音楽家 所属 仏教NEXON宗教団体ブラックピクチャー ホーリーネーム ウルヴェーラ・カッサパ 階級 正悟師 教団での役職 究聖音楽院トップ 出身高校 樹徳高校 最終学歴 東日本デザイン&コンピュータ専門学校 趣味 作曲悟り・禅小説作成 嫌いなもの ドローデーモン ウドの巨塔とは、ブラックピクチャーの音楽担当である。群馬県出身。現在は究聖音楽院に所属。 男性にして、ドローデーモンのダーキニーでもある。 概要 ブラックピクチャーの一員で主に音楽を担当している。 主要メンバーの一人であり、ブラックピクチャーのゲーム内BGMは7割方彼が手がけている。 素人目で見てもドローデーモンプロよりクオリティの高い音楽制作をしているが、 ドローデーモンからはプロの称号は貰えていないため、未だ修行中の身であると思われる。 カイザーデモンズではなんとBGM58曲中、43曲を担当する。 見分け方は簡単で、テンポが外れていなくてダサくないのがウドの巨塔作曲である。 このように音楽が専門分野であるが、小説版アナザーデーモンにおいても活躍を見せている。 経歴 ゴータマ・シッダッタ時代 誕生~ 紀元前563年頃に生まれる。 王子として過ごすが29歳の時に老、病、死をいう人生の苦しみを知り、出家。 35歳の時に悟りを開く。 死後 仏教は上座部仏教と大乗仏教に分裂。 余談であるが、オウム真理教は原始仏教系の宗教団体である。 現代のウドの巨塔 誕生~青年期 18歳の時に東日本デザイン&コンピュータ専門学校に入学。 ドロデモ真理教 ドロデモ真理教教徒として教団のゲームのBGM制作などを行っている。 2016年のヒット曲「デーモンマーチ」は彼が作曲した。 ドローデーモンは男色家でもあるので、彼を度々部屋に呼び出しては、左道タントライニシエーションをさせていた。 現在 ブラックピクチャーの音楽担当として絶賛活躍中。有能。
https://w.atwiki.jp/orbiscountry/pages/61.html
この世界にはそれぞれの国ごとに信仰している宗派があり、その考え方も千差万別です。神はいない実存主義的な考えを貫くか、信仰による団結を行うかは貴国の裁量次第です。 国教一覧 国教の名称 創始国 信仰対象 信仰国 卍教 ドイツ 言ってはいけないあのお方 ドイツ、南アフリカ プロテスタント 南部諸州連合 聖書に基づくキリスト信仰 南部諸州連合(ディキシー)、合衆連邦(アメリカ)など 白蓮教徒 中華 弥勒菩薩もしくは阿弥陀仏 中国 at Re Ams *LEB9l コスタリカ ██ コスタリカ カンブリア国教会 カンブリア カンブリア皇帝=神 カンブリア 上座部仏教 チベット(今はない) 釈迦 タイ、インド カトリック イタリア王国 聖書、イエス、聖母マリア、各聖人など イタリア王国 自然発生 地球・自然 アンゴラ パン・アフリカニスモ マウレタニア アフリカの大地と伝統信仰全体 マウレタニア、コート・ヴェスターヌ(西アフリカ) 信仰内容 卍教 アーリア人生存権の拡大のため聖戦を行う事を主張する団体。卍教と密接に関係した政党がドイツには存在する。 プロテスタント ルター派、カルヴァン派などのあらゆる抗議派(プロテスタント)の連合体。共通項目は聖書に忠実であること、聖職者の権威の否定。 白蓮教徒 民衆に平和と心の恩寧を与える宗教、反乱のイメージは後世の後付けとは本国の談。 at Re Ams *LEB9 秘密主義を教信とし、またその宗教自体も機密で構されるべきと言う考えを持つ。従って、不明な説明文も宗教のアイデンティティとして見られる。 地球を一つの水球として表現し生贄や死者を“源流に還す”や“母なる大地と合流”などと表現している。地域差が激しく南部ではバリバリ生贄を捧げるが北部では行われていない。 本文 (原文ママ) ██████████████████████████████████████████████████████████████████████。 カンブリア国教会 カンブリア皇帝は、イエスであり、ヤハウェでもあり、アッラーでもある。信仰対象が何であれ全てはカンブリア皇帝への崇拝に繋がるという。 仏教 教義は苦の輪廻から解脱することを目指している。原因と結果の理解に基づいており、諸々の現象が縁起するとされる パン・アフリカニスモ パン・アフリカニスモは、人類出生の地であるアフリカに対し強い尊敬を抱くことにより始まる。アフリカ各国においては統一主義的傾向が現れ、外アフリカにおいては帰還主義として表出する。
https://w.atwiki.jp/kotozora/pages/145.html
七、懷德堂の學風(壁書及び規約) 懷德堂最初の壁書は、享保十一年丙午十月玄關に懸けし者是なり、其の文に云く。 定 一學問は忠孝を盡し職業を勤むる等之上に有之事にて候、講釋も唯右之趣を說すゝむる義に候へば、 書物不持人も聽聞くるしかるまじく候事。但不叶用事出來候はゞ、講釋半にも退出可有之候。 武家方は可爲上座事。 但講釋始り候後出席候はゞ、其の差別有之まじく候。 一始て出席之方は、中井忠藏迄其斷可有之候事。 但し忠藏他行之節者、支配人道明寺新助迄案内可有之候。 以上 午十月 學問所行司 書物持たざる人も、講釋聽聞苦しからずと云へるは、平民的教育の本旨に適し、急用には講釋半途にも退出を許して、商賣の懸引に便したる、如何にも大阪町人の事情に適合す、武家を上座とするは、公儀への恭敬、階級制度の當時己むを得ざるものなり、初め何人にても勝手に聽聞せしめんとしけるを、江戶にて菅野兼山の會輔堂が斯く定めたりし爲に、最初は不熱心の聽衆いと多くて猥がましく、後には聽衆なくて寂寞たりしとの事を聞き、石菴の差圖にて末の一條を加へしとぞ、此壁書は飽まで世情に通じたる書振り、道に大阪の人望を得し石菴らしき處ありと思はるゝなり。 最初の懷德堂は實に朱陸併用なり、外朱內王の學なり。 石菴初め絅齋に學びて、陸王を喜びしが爲に破門せられしは、執齋が初め佐藤直方に學びて、王學を崇びしが爲に破門せられしと相似たり、石菴は陸王を喜びて、亦朱學を尊崇し、執齋は專ら王學を尊崇して、王文成の時と年號同じき正德中、傳習錄を板行して王學盛行の徵と云はれし如き。二人の學風全く相同じからずと雖も、其の志尙來歷の相似たる、やがて同氣相求め同聲相應ぜし所以なり、石菴は執齋より長ずること五歲、其交は何の年に在るを知らざるも、既に江戶に於て、將た大阪に於て、交懽日久しかりしが如し、甃菴幼にして石菴に從ひ、稍長じて王學の祖なる中江藤樹の仕へし大洲侯の家臣に養はれ、藤樹を崇拜せる大洲士人と交りて、益王學を喜びしなるべし、而して後八代將軍右文興學の盛意は、大島古心を通じて執齋に致し、執齋は之を大阪の甃菴に報じて石菴門下の同志に傳はり、此に懷德堂は創立せられたり、然れば王學を以て其の宗旨と爲せる、固り怪しむに足らず、懷德堂內事記に曰く。 一日講之書は、四書、書經、詩經、春秋胡傳、小學、近思錄。 一毎月望、同志會合、老先生象山集要之講、右者每年正月十五日初會にて、同志中燕集、老先生初講有之、後有故毎月之會は十六日に改む。 右は創學當初の教科なり、日講の書は皆是れ程朱の學なれども、石菴が正月初講及び毎月の講釋は陸子の學なり、懷德堂定約中學問に關する條に曰く。 一學問所講談無懈怠相勤可申候、講じ可申書は、四書、五經、其外道義之書講談致し、他之雜書講じ候儀、一切無用に候事。 附り講釋聽衆減少に成候時節は、學主の心得にて、人寄之爲め、詩文等之講釋はくるしからざる事の了簡にもなり可申候、左樣之義は學問所御願申上候主意相違致候間、學主講師たる人守り可在事に候。 一同志の輩、講日の外、一月兩度ばかり講堂にて會合可致事。 但一會には書物講習致、一會は何となく寄合、俗談を相止め、翁問答、孝子傳、集義和書等、假名書を讀み、且世間の美事物語を致し、書物不案内の人もいざなひ、相互に心ありさまをも語り、先覺の教を請ふて、あしきを改めよきにうつり候樣に致し候こそ、美實なる工夫と存候。 定約は創學五同志の一人なる三星屋武右衞門の草する所、未だ議定に至らずして石菴歿し、良齋も亦尋で歿せしより、正に執齋に就き、同志合議して享保二十年に清書せし者なるが、其の大體は想ふに創學當初の風なるべし、詩文を斥けて道義を尙べるは創學の主旨なるべく、同志會合には藤樹蕃山の書を讀むが如き、亦石菴の家法に出でしなるべし。 蓋し朱子は學問を先にして德行に入り、陸王は學問を後にして德性を尙ぶ、其日其日の商賣に暇なき町人教育には、德行を先にして學問を後にするこそ入り易き者ありけめ、是れ陸王の說大阪町人に喜ばれし所以にして、猶無學の武人が、不立文字直指人心の禪を喜びしと相似たり、然れば當初の懷德堂は朱陸並に之を尙びて、外朱內王の宗旨を取り、文華を斥けて踐履を重んじたりき、若し夫れ關係諸儒の學は、次々に之を說くべし。 官許に因て恢宏せし懷德堂、間口十一間半に奧行二十間と爲りて、講堂を修覆し、從來石菴の住居せるを右塾と云ひ、新規下賜の燒地に門と左塾とを建てゝ、京町堀より引移りし甃菴を住ませたり、同年冬讃州の木村氏發議にて、東北隅に二間に六間の長屋を建て、同人上阪の折の逗留塲所と爲し、且つ遠方諸生の寄宿學寮に宛てけり、然れば講堂及び左右塾寄宿寮も備りて、規模頗る整へり。 學問所內外諸事は、五同志取計らひ、賄方勘定は五人中の年行司にて相改めつ、石菴及び甃菴は客分の姿なり、雜務は道明寺屋別家手代道明寺屋新助を支配人として取扱はせけり。 休日は朔日、八日、十五日、二十五日。 日講の謝儀は、五節句前に銀壹匁か又は貳匁づゝ、勝手次第支配人新助に差出し、年行司支配人と立合ひ、學主及び學問所預人并に助講の人々へ分配す、謝禮の印だにあれば、禮とゝのひ情達すと爲し、貧學の人は紙一折筆一對にても相濟む事に定め、石菴へは舊同志より從前の如く別に謝禮を爲すも、甃菴へは人別の學問所謝禮のみと爲し、舊同志より是れ迄贈りし祝儀は廢しけるが、甃菴の門に入りて讀書手習する人は別段として、學問所謝禮の外に相應の謝禮を爲さしめたりき。 五同志外に舊來の同志者あり、新規加入者あり、諸同志の年分醵金は、壹人拾匁宛にて、毎年正月二十日迄に支配人新助に差出すなり、新入同志へは此方より勸めず、其の申出に任せ、舊同志中も不如意の人は、醵金を止むるも苦しからず、學問所の歲費は醵金にては足らざるより、舊同志のみは不時の寄附を爲し、寄附金は利息を賄方に用ひ、本金を相談料として永久に傳ふる事にぞ定めける。
https://w.atwiki.jp/amaya_st/pages/151.html
作者:えすぺらんさぁ タイトル:こちら白夜行! 第七話 まだ明けぬ時間。暗い部屋の中で、二人はただひとつ明るい画面を見つめていた。しばらく眺め、映像が途切れ、部屋に灯りが無くなった時、初めて、一人が口を開く。 「なるほど。では彼女は魔女ではないと」 「ええ」 どこからか溜息が毀れる。不意に電灯が点り、部屋の暗闇が纏めて消える。 「まだ魔女だった方がマシだったわ」 溜息の主、ソロモンが言葉を続ける。 「隠レ蓑の地点で違和感はあったんだけど、七つの魔弾は有り得ない」 「有り得ない、とは?」 「Frelkugel。確かに魔弾ってのはある」 「悪魔と契約して、七発の決して外れることのない弾丸を貰うってヤツですね」 「そう、でも実際それは創作のお話であって、実際に術としての再現なんて不可能って言われてる。あんなのは魔術じゃない」 口調を荒げ、不満をあらわにする。 「呪文だけで血液から不可避の弾丸を作り出すなんてそんな都合のいい式、それこそ魔女の存在を冒涜してるようなもんじゃないの」 「なるほど」 魔女とは、文字通りに魔術に特化した異形である。とは言えそれは、魔術・式のルール枠内におけるものであり、決してデタラメなモノではない。ソロモンの言う冒涜とは、その枠から外れたまさにデタラメな魔術――もはや、この表現があたうかどうかも怪しいらしいが――に、そしてそれを扱った明本人に対する苦言であった。 「しかし、あなたでも彼女の正体は掴みかねますか」 しばし、部屋が静まる。そうしてしばらく後 「仕方ないですね」 ため息と微笑混じりに彼女、天城は答えた。 「蔵野明については、『保険』を放って保留。予定より早いですが、計画を実行に移しましょう」 休日となると、蕎麦屋『白杉』の朝は特別早い。饅頭などに使う餡、洋菓子用のクリームなどの仕込みが遅れては、休日の客入りでは致命傷となりえるからだ。店主、そしてバイトである明も例外なく、早くから甘物担当である奥さんの指示に従い、餡とクリームの香りの中、作業にいそしむ。もはや、ここが何の店だったかを問う者はいない。日本、いや世界広しと言えど、こんな光景の見られる蕎麦屋はこの白杉ただ一軒だろう。 「ふぁ……」 思わず大きく口を開き欠伸をすれば、むせ返るような甘い香りが口腔内に容赦なく流れ込む。 「あら、明ちゃん寝不足?」 「あは、ちょっとだけ」 「あんまり無理しないでいいのよ?」 明はたはは、と軽く笑ってごまかす。実際のところ、生活費を稼ぐのに必死で、睡眠時間はやや薄めになっている。昼はバイト、夜は退魔士。今までバイト以外のスケジュールは適当だった明にとって、キッチリと詰まった仕事は意外にも応える。 手元の仕込が完了したところで、またしても大きな欠伸が毀れる。 「おや」 入り口の向こうから、覗き込むようにする人影に気づき、慌ててその口を手で覆い欠伸を噛み殺す。眼が合う。とりあえず微笑んでごまかせば、相手も微笑み返し、がらりと引き戸を開いた。 入ってきたのは男。歳は二十代後半、背丈はそこそこ高く百八十前後だろうか、がっちりとした、ではなくどちらかと言うと線の細い体格だ。髪は金色、染めているらしい。革のコートに、ネックレス、ピアス。それぞれは結構な値のするものなのだろうし、見てくれが悪いわけでもないのだが、その男の格好は『どうだチャラいだろう』と言わんばかりの物にも見えた。 男に次いで、今度は小柄で黒髪の女性が入ってくる。そして、明や奥さんらの方へぺこり、と小さくお辞儀をする。女性の格好は、髪はセミロング、藍色のスーツ姿で、男とは対照的に、簡素すぎるくらいにすら見える。また、小柄のせいかスーツに着られている感がぬぐえない姿だ。 「すみません、まだ仕込み中です。開店は十時半からになっておりま……」 「あらぁ、門ちゃんじゃないの!」 営業スマイルで応対する明の言葉を遮るように、奥さんが歓喜の声を上げる。 「この人はねぇ、五年位前にここでバイトしてたのよ」 ああ、と明が少し納得する。と同時に何故か男が得意げな顔をする。 「久々にこっちに戻ってきたからね。ところで……」 男はちらりと、クリームの用意をしてる店主に目をやり、首をかしげる。 「ここは蕎麦屋じゃなかったっけ?」 「蕎麦屋よ?」 「蕎麦屋ですよね?」 何がおかしいんだろう、というような表情を向ける奥さんと明に対し、男は諦めたらしくまぁいいか、と少し笑った。店主の心がすこし傷を負ったが、それを感じ取れる者は、ここにはいなかった。 「そっか、いや懐かしいな」 男は少し店内を歩き、最後に、明の目の前で立ち止まった。 「そっか、君が今のバイト君、いや、バイトちゃん」 明はええまぁ、と苦笑いしながら返す。こういうのはやりづらい。自分は相手のことを知らないのに、相手にとってはホームグラウンドにいるようなものなのだ。 男はしばらく明を眺めやがて何かをたくらんだらしい表情で、ふぅん、と呟いた。 「ねぇ、ちょっとバイトちゃん借りていいかい?」 「へ?」「はぁ?」 明と奥さんが、同時に気の抜けた声を上げる。 「いや変なことじゃないよ? 話し相手にさ。代わりに今日一日、秘書置いていくからさ」 「若……」 今まで一言も喋らなかった小柄な女性が、苦言を呈すように溜息混じりに言葉をこぼす。 「秘書・若、というと、へぇ社長……門ちゃん、偉くなったねぇ。ボロアパートで食うや食わずやだって言ってた子が」 「やぁまだまだ」 愛想笑いで済ませる男を尻目に、奥さんは明の肩を叩いた。 「息抜きしておいで。ちっとは疲れも取れるだろうからさ」 そして少し声をひそめ、 「それに、これはチャンスだよ? 社長だってよ社長」 耳打ちした。 「はぁ……? よく分からないけど、分かりました」 「よし、交渉成立!」 ポンと背を叩かれる。状況は飲み込めなかったが、とりあえず話し相手になればいいらしいことだけ、明には理解できた。 ただふたつ、奥さんになにやら頑張って、と応援されたこと、そして秘書らしい小柄な女性に何故か睨まれたことが、少し気にかかった。だがおそらく、明がそれの意味を察することはない。 男はしばらく、入り口で手を振り見送る奥さんに、手を振り替えしながら歩いた。そして店が見えなくなった頃、その視線を、初めて明に移した。 「さて、バイトちゃん」 「あの、バイトちゃんはちょっと……」 「あれ、嫌? それじゃ……やっぱ明ちゃんかな」 「じゃ、それで」 あははと笑って済ませ数歩後、明はふと歩みを止める。 「あれ?」 そういえば、名前教えてたっけ? 思わず振り返り、男を見る。 「蔵野明、平成十五年に解体された蔵野の家系の生き残りとされている。現在天夜市内外れの三階建廃ビルに居住ね」 「え」 「なになに、月に二~三回公園を利用し身体を洗っているらしい、動物性たんぱく質の確保源は盗み食いにやってきた鼠や犬などの動物、ん、スリーサイズ上から……」 「ストップストップストップ! それ以上はいけない、というより何その紙!」 にやけた表情で、手にした紙―おそらくはカンペのようなものだろう―に目を通す男。それを奪い取ろうとする明をからかう様に、高く上げる。 「まぁこのとおり、お兄さん怪しくないから安心してお茶でも」 「怪しい、てっぺんからつま先まで怪しさしか詰まってない感じがする」 男がにじり寄り、明が離れる。 「そう言わずに。ケーキでも奢るから」 その言葉に、明がピクリと反応する 「……いや、ケーキくらいで釣られると思うのはさすがに失礼じゃない?」 「んじゃ、何なら釣れる?」 「え」 明は、その質問にしばらく言葉をにごらせた後、やや控えめに呟いた。 「う……牛」 結果、行き先は焼肉屋となった。 統括組織。内装は白を基調に整えられ、今は柔らかな朝日が廊下を照らす。そんな中で、葵はぐったりとした背を伸ばし、大きく欠伸ひとつついた。 「あー……さすがにダッルいな」 書類とにらみ合い数時間、いつしか書類の山は消え去ったが、同時に、先日晩からの作業も気づけば昼も過ぎというなんともいえない脱力感。結局、葵は金策のため、二日ほど書類処理に向う羽目になった。さすがに、徹夜での作業は応えるらしく、焦点がぶれる様な感覚が葵を襲っている。 だが、価値はあった。その尊い労働の対価として、三人分、一ヶ月の食事を確保する約束を取り付けたのだ(つまるところは、単なる統括組織食堂食券一か月分三人前というだけだが)。自販機で買った熱い缶コーヒー(微糖)をチビチビと啜り、とりあえず一息つく。一仕事終えた後の一服をゆっくりと味わい、葵の口から思わず溜息がこぼれる。ベンチに腰掛け、少し前かがみに姿勢を移す。意識せずともうつら、うつらと眠気が身をゆする。瞼が重い。 不意に近くの扉が開き、睡魔に閉じられかけた瞳に人影が映る。それが、一瞬葵の眠気を掻き消す。 「ソロモン?」 扉から出てきたソロモンは、キョロキョロと辺りを窺い、挙動不審に、そしてやや足早にその部屋から離れる。何かを焦っている様子で、葵に気づく事もない。 そんな姿に疑問を持ちながら、しばらく葵はソロモンの行動を見守っていたが、彼女の姿が見えなくなると、再びウトウトと身体を睡魔に預ける。 どこからか聞こえてくる、カチカチという時計が秒を刻む音のリズムが心地よく、安眠へといざない―― 不意に、ピ、という機械音、そして即後を追うように、耳を劈く轟音と爆風が、眠気ごと葵を吹っ飛ばした。 「状況は?」 桜花の声は不機嫌を露にしたものだった。葵と同じく―もっとも、仕事量は彼よりずっと少ないのだが―デスクワークに珍しくも精を出し、その幸福な達成感と共に惰眠を貪ろうとしている最中だった。その心地よいはずの時間は、鈍く響く轟音とその知らせによって掻き消された。 「資料館、研究室、それに通信室など、細かいモノを含め十五箇所、吹っ飛ばされましたね。ご丁寧に電話線などもやられています」 「んで、どう思うこれ」 「客観的に見るならば、テロですかね」 淡々と、桶屋が答える。桜花はより一層不機嫌を極めたような表情で溜息をついた。桜花にとって、一番面倒となるはずの答えだろう。 「動かせる人員で警戒強化。施設復旧は連絡系統を優先して」 立ち上る煙と油の飛沫、なんとも言えない濃厚な香りが広がる。 ゆっくりと箸を扱い、緊張した面持ちで持ち上げる。その圧力で、鉄板へと肉汁が滴る。慎重に運び、琥珀色のタレへと下ろす。あまり染み過ぎないように引き上げ、口へと―― 「ふぉぉ……」 「美味いだろ? 少し値は張るけど、ここは良い肉を使っててね――」 返事がない、ただ恍惚としているようだ。 明はしばらく、焼肉一枚一枚にこの動作を繰り返していた。肉牛もここまでありがたがられれば本望だろうか、とにかく一口一口が仰々しい。 男はその様子を半ば呆れながら眺めた。 「あの、話に移ってもいいかい?」 「ふぉぉ……」 「おおい、戻ってこーい」 結局、明が戻ってくるのはロース肉を一皿、ゆっくり時間をかけて食べ終え、ご飯のお代わりと追加の肉を注文した後だった。 「まぁ話を戻すとして」 男が、わざとらしく咳払いしてみせる。 「蔵野 明、で間違いないんだよね?」 「うん」 「そうか、それなら本題だ」 男は、それまでのややおちゃらけたものから一転、その表情を真剣なものに切り替えた。 「オル――」 「お待たせしました、こちらご飯のお代わりとネギタン塩、上カルビです」 「……あ、はーい」 ……ひとまず、肉を焼く作業に入る。ジワーっと油の広がる音が心地よい。 「気を取り直して」 再び、男が神妙な表情を取り戻す。 「あの星見えるかい?」 「え」 窓ガラスの外、男の指し示す方向の空を凝視する。 「か、ろうじて……でもあれって星?」 明には、それが星と呼ぶには遠いものに思えた。光ってはいない。薄昏の赤みがかった空に、黒く、まるでそこだけがぽっかりと切り抜かれているような空間がある。例えるなら真っ黒な月のようなものだろうか。 「オルトレイシス」 「オレイ……」 「違う違う異形だよ。地球周回軌道上にいるんだ」 あまり知られてはいないが、宇宙でも異形が確認されることがある。その代表的なものが、オルトレイシスである。その大きさはほぼ月と等しく、現在確認されている異形の中では最大。夜間のみ、地球上からもその姿を――地上からでは月と同程度の大きさでしか見えず黒いため、難しくはあるが――確認することが出来る。 もっとも、確認『出来る』だけであり、衛星軌道上のそれに干渉する手段はほぼない。また直接的な影響も確認されておらず、それらから特に意識されることもない、『いてもいなくても問題ない』とさえ言われることさえある異形である。 そこまで説明を聞いた地点で、明は首をかしげた。 「えっと、なんだか大きい異形がいることは分かったんだけど……それで?」 「オルトレイシスは今眠ってるんだ」 男が微笑む。しかし、眼差しだけは真剣さを保ったまま、静かに明を見据える。 「今夜――」 しかし 「――待て、何をやってる!」 「え」 「ネギタン塩は裏返さないんだ、ネギが落ちるだろう!? ああほら、これなんかもういい頃合だ、レモンダレのほうにつけて……ほら」 「ふぁぁ……は、歯ごたえがあって……」 「だろ? じゃんじゃん食べようじゃないか。あ、お姉さん、ホルモンとハラミ追加で――」 シリアスは焼肉の前に完敗し、跡形すら残らなかった。 天夜市内、住宅街の外れにある一角、特に大きく区切られた区間に、その屋敷はある。高い敷居に囲まれたそれは、かつての白夜行、蔵野家の屋敷……今、主はなく、ここは統括機関が管理する施設となっている。 「エマージェンシーです」 その旧蔵野屋敷の門扉を守る警備に、天城が告げる。 「統括が何者かにより襲撃を受けました。藤原桜花の命により、しばらくこの屋敷の警備指揮は私天城が受け持ちます。通してください」 こうして天城、そしてソロモンの二人は、難なく屋敷の警備を潜り抜けることに成功する。それどころか、あまりにもあっさりと警備は掌握されてしまった。 門を潜り抜け、警備の人目がなくなったところで、ソロモンが感心したように語り掛ける。 「存外にあっさりといくもの、ね」 「警備と言うのは、所詮は対外敵用ですから。統括に確認も取れませんし」 ふぅん、と呆れ交じりの溜息をこぼす。 暮れかかった空も相まって、人気のない屋敷の気配は重い。枯山水の庭もその姿形こそ殆ど変えないものの、静寂と吹き抜ける冷たい風を持って、招かれざる客人に精一杯の拒絶をしめす。 「変わらないのになぁ」 呟くソロモンは、瞳にどこか郷愁を含んだ、悲しげな瞳で庭を眺めていた。 「進みますよ」 「……はいはい」 やはり火と人の気のないせいか、吹き抜けで風の往来を止めるもののない屋敷は、涼しげを通り越して、身震いを起こすような冷たい空気が漂う。 広い屋敷を進んではしばらく、二人が記憶を頼りにたどり着いたのは、また広い座敷だった。 「ここですね?」 「ええ」 「では、失礼します」 天城は、人のいない上座に向って深々と頭を下げた。 床の間を背にした上座、おそらくは家主が踏ん反り返って構えていたであろう席。数年間、人の手どころか、殆ど人目に触れもしなかったであろうはずのそこは、山水画の掛け軸に、青々とした菖蒲の生け花。枯れた風景の中で、不自然なほどに彩を持つその空間、そしてそれを背後に置く主無き後の上座だけが、凛とした空気を保っていた。 「ここですね確かに」 掛け軸に触れてみれば、何ということはない、その空間だけ、実物ではないまやかし、ただそれだけのことだ。 「光術でのカムフラージュか……確かに、これで上座に居座られてたんじゃ分からないわ」 「さて、この先は分かりますね?」 ソロモンが頷く。しかしその表情は、心なしか力ないものだった。 「では、お願いします。私は――少し用事が出来ました」 「そうみたいね」 ソロモンが床の間を潜り抜けてしばらく、天城は広い座敷の上座の横にちょこんと腰掛け、待った。屋敷の入り口あたりだろうか。そこに魔力の流れを感じ取った。侵入者、そうとって差し支えないだろう。 天城の表情は浮かなかった。彼女はここまで、統括、または桜花に感付かれないよう、やりすぎとも言えるほどにカムフラージュを施したはずだ。たとえ見抜かれるにしても……これは早すぎる。 だとすれば? 彼女が事態を探る中、不意に、座敷の襖が乱暴に開かれた。侵入者は全体的に煤けていて、天城はそれが葵 恵だと判別するのに数秒を要した。 「うちの馬鹿はどこだ? ……なんでお前がここにいる、天城」 「こっちの台詞です。なにやら随分薄汚れていますね」 部屋に飛び込んできた葵を、丸眼鏡の奥から不機嫌そうに睨む。いや、実際彼女は不機嫌を通り越し、この無粋な来訪者に退場願う算段を練っていた。 「現在、統括本部襲撃にともなう桜花直々の指示により、この施設の警備は私に任されています。この状況を見るかぎり、貴方が襲撃の関係者と見て間違いなさそうですが」 「俺はこの屋敷に何があるのかすら知らないって」 葵はここまでの経緯――ソロモンを追いかけてきただけだが――を説明しようかとも思ったが、即座にその考えを引っ込めた。代わりに、ひとつ聞いてみることにした。 「桜花の指示だって言ったな」 「ええ」 「どうやってだ? 直接聞いたにしては早すぎるし、統括からの連絡手段は全部切られたはずだろ」 葵は実際に応援要請のため統括に連絡をとろうとし、失敗している。つまりは連絡手段が無いのは実体験済みである。また、彼が見た、いや巻き込まれたのは通信室の爆発だった。 「今は携帯電話という文明の利器がありますから」 にこやかな、あからさまな作り笑い。天城のそれに余裕はまだあったが、 「アイツの執務室。未だに手書きなんだよ。今時パソコンどころか電子レンジもまともに使えなんだ、桜花のやつ」 その表情から、笑みが消えた。俯き加減に顔を伏せ、葵からジリジリと距離をとり始める。 「だから携帯なんか持ってねぇんだよ」 「そういうところは見ていませんでしたね。それにしてもあなたは……相変わらず邪魔です、ね……!?」 懐に伸ばした手を、氷の拳が打ち払う。うずくまる身の細く白い手から、拳銃が零れ落ちる。すかさず、葵の氷術は彼女を畳へと沈め、縛り付ける。対人専用、裁定者の名は末席といえど伊達ではない。 葵は銃を拾い上げ、彼女の頭へと銃口を突きつけるように構えた。 「どういうつもりで何が目的だ」 「今に分かることですけど」 天城の顔には、再び笑みがあった。それは今までとは別物の、歪んだ表情。ほんの一瞬だが、それは人を外れたモノだった。 バキン、と乾いた音が響く。 「おいおい……人間じゃねぇ」 葵は思わず絶句する。重い氷の拘束を、女性に力技でこじ開けられたのは彼にとって初めてのことだった。凍りついた白衣を脱ぎ捨てゆっくりと立ち上がる。現れた白い肌が、見る見るうちに人のものではない黒色へと姿を変え、その背には異を誇張するような翼が現れた。 「出来れば穏便に済ませたかったんですが」 そして既にその表情、気配は人間を逸した。ニィ、と口元が笑みに歪む。その姿はまさに、悪魔そのものだった。 「しばらく、あなたは私に付き合ってもらいますね?」 「はー……」 牛肉を腹いっぱい食べる。そんな少し時代錯誤な夢を果たした明は、満足げな表情で恍惚と、その達成感を噛み締めていた。 「満足したかな」 「はー……」 「……聞くまでもないか」 向かいの席で〆のバニラアイスをつつく男は、しきりに時計を気にしている。 「そろそろかな」 「う?」 不意に、男が立ち上がる。時計の針は九時。窓の外を覗けばもう暗く、いくらか星の瞬くのが見える。 「え……あれって、何?」 「さっきも見ただろう?」 星。それも瞬くような、小さく見えるものではなく月。まだ頂点へは届いていない半月の丁度向いの方角に、三日月が見えた。三日月と言っても、その形も、色も、本来のそれとは大きく違う。弓なりの弦を上に、下に傾いた、青い三日月。それが、ゆっくりとその面積を広げていく。三日月から半月へ、半月から―― それは不気味な光景だった。だが目を奪われる。重苦しく不快、しかし荘厳で優雅。その場では、明のほかに、その存在に気づいているものは彼女の目の前にいる男の他にはいない。それはあの青ざめた月が、異形であることを、そして目の前で笑う男にそれが『見えている』ことを裏付けている。 「歴史的瞬間だとは思わないかな」 男は得意げに微笑んで見せる。 「これは異形が退魔士に、いや、人間に伝える敵意だ。そして!」 男が、おもむろにビシッと明を指差し 「それに対するのは、ずばり君しかいない!」 大げさに叫ぶ。 明は、自身が高揚していることに気が付いた。しかしそれが、恐怖や危機感ではなく、ましては男の話に対する好奇心でもない、かつてない感覚であることには気づきようがなかった。 「ねぇおかーさん、あの人たち何してるの?」 「こらこら、気にしちゃいけないの」 「……とりあえず行こうか」 「うん……」 とりあえず、場所はわきまえる物だと学んだ二人だった。 一覧に戻る