約 2,183,980 件
https://w.atwiki.jp/f_go/pages/4710.html
第12弾 ◆ イベント開催 ◆ 2020年8月5日(水) 18 00 ~ 無期限 ★2 ファントム・オブ・ジ・オペラ + 表示▼ [編集] ★5 ブリュンヒルデ + 表示▼ Phase 1,2,3 強化クエスト ブリュンヒルデ AP23 カルデアゲート:強化クエスト 推奨Lv.90 絆P 915 EXP 38,190 QP 9,400 報酬 -- 全3回 弓3狂4 1/3 霜の巨人Lv32(狂) HP19,634 霜の巨人Lv28(狂) HP17,168 ワルキューレLv32(弓) HP27,636 2/3 ワルキューレLv32(弓) HP48,061 霜の巨人Lv34(狂) HP39,359 ワルキューレLv35(弓) HP50,338 3/3 火の巨人Lv40(狂) HP150,129 ドロップ 巨人の指輪 備考 強化クエスト ブリュンヒルデ AP23 カルデアゲート:強化クエスト 推奨Lv.90 絆P 915 EXP 38,190 QP 9,400 報酬 -- 全3回 弓4狂3 1/3 ワルキューレLv36(弓) HP20,705 ワルキューレLv32(弓) HP18,424 山の巨人Lv31(狂) HP28,999 2/3 ワルキューレLv38(弓) HP43,691 山の巨人Lv32(狂) HP54,409 山の巨人Lv33(狂) HP56,093 3/3 カラミティ・ジェーンLv85(弓) HP177,606 ドロップ 弓のモニュメント 備考 強化クエスト ブリュンヒルデ AP23 カルデアゲート:強化クエスト 推奨Lv.90 絆P 915 EXP 38,190 QP 9,400 報酬 聖晶石 x2 / スキル2強化 全2回 弓1狂4 1/2 山の巨人Lv46(狂) HP52,102 霜の巨人Lv51(狂) HP27,717 山の巨人Lv42(狂) HP47,612 2/2 火の巨人Lv45(狂) HP119,924 ナポレオンLv73(弓) HP202,593 ドロップ 弓のモニュメント、巨人の指輪 備考 [編集] ★3 ダレイオス三世 + 表示▼ [編集] ★5 源頼光 + 表示▼ [編集] ★3 ダビデ + 表示▼ [編集] ★4 虞美人 + 表示▼ [編集] ★4 哪吒 + 表示▼ [編集] ★5 アルジュナ + 表示▼ [編集] ★4 ギルガメッシュ〔キャスター〕 + 表示▼ [編集] ★5 宮本武蔵(セイバー) + 表示▼ [編集] ★3 クー・フーリン(ランサー)(2回目) + 表示▼ [編集] ★4 ヘラクレス + 表示▼ [編集] ★4 エミヤ(3回目) + 表示▼ [編集] ★5 アルトリア・ペンドラゴン(セイバー)(2回目) + 表示▼ [編集]
https://w.atwiki.jp/talesofdic/pages/406.html
ジューダス +目次 デスティニー2 TOWレディアントマイソロジー3 レイズ NAMCO×CAPCOM デスティニー2 「僕は仮面を外すわけにはいかない。すべてを隠して、やりとげなくては…」 年齢:16歳 性別:男性 身長:159cm 体重:48kg 職業:剣士 声優:緑川 光 カイルのピンチに現れる謎の剣士。 スラリとした体型から天才的な剣術を繰り出す。 常に仮面を被り、素顔を隠している。 +デスティニー2・ジューダスの軌跡 今作ではジューダスという名前はカイルがその場の思いつきでつけた。 その正体は、この時代から遡ること18年前、スタン達を裏切って死亡した剣士、リオン・マグナス。 計り知れない無念を残して死んだ彼は、エルレインにより蘇生されたのだった。 彼女の部下になるよう蘇生されたが、それを拒否し古都ダリルシェイドの旧ヒューゴの屋敷にいたところカイルたちと出会う。 それ以後は小説版でのシャルティエによるとルーティと、彼女とスタンの子であるカイルを守ろうとしていた。 死後、リオンは「裏切り者」として父・ヒューゴと共に憎悪の対象となっていたため、仮面を被り素顔を隠していた。 カイル達も彼の「裏切りの理由」を知らないため、ストーリー序盤ではかなりリオンに対する嫌悪感が強い。 しかし旅の途中、彼の正体が発覚。 その後、彼の悪夢の中で真実を知ることとなり、リオンに対する心境の変化が見られる。 最終的にフォルトゥナを倒したことで神の歴史への介入が修正されると同時に消滅。 しかし彼がカイルへ及ぼした影響は非常に大きく、エンディング後の世界でも彼の考え方を受け継いだ。 偽名である「ジューダス」はキリストを裏切った男、「ユダ(Judas)」から来ている。意味は「裏切り者」。 ちなみに、ジューダスという名はカイルにつけてもらった名である。 ▲ TOWレディアントマイソロジー3 「……そういうところは どこかの馬鹿にそっくりだ」 ハロルドの実験の手違いからやって来る異世界の住人。 常に仮面をつけており、外そうとはしない。 ▲ レイズ カイルのピンチに現れる謎の剣士。 スラリとした体型から天才的な剣術を繰り出す。 常に仮面を被り、顔を隠している。 ジューダスという名前はカイルがその場の思いつきでつけた。 イベント『ティル・ナ・ノーグ ハロウィン』にて参戦。 +ネタバレ コンウェイ曰く救世軍のファントムによりむりやり具現化させられた鏡映点。 今作ではリオンと時間軸の異なる同一人物であることはバレている。 ▲ NAMCO×CAPCOM 龍の骨で造られたような仮面を被った漆黒の剣士。 二刀を使ったその天才的な剣技と、ニヒルでクールな性格は、 かつてスタンが戦った“ある男”を思い起こさせる。 +ネタバレ その正体は、かつてスタンと戦ったリオン・マグナスである。 人格のある剣・ソーディアン”シャルティエ”を持つ。 本作ではブラックワルキューレの力で生き返っている。 姿はジューダスだが、「虎牙破斬」「魔人闇」等のリオンの技も使う。 ブラックワルキューレの呪力で縛られ、スタンたちの前に敵として立ちふさがる。 それとは別にブラックワルキューレから神の眼をとりかえす為、 自分の意思でもブラックワルキューレに協力していた。 物語の終盤で神の眼が既にブラックワルキューレの手を離れていたことを知り、最終的に味方となる。 その際、スタン達との連携でブラックワルキューレと戦った。 ちなみに、ジューダスという名は自分から名乗っている(つまり自分から裏切り者と名乗っている)。 ▲
https://w.atwiki.jp/765druaga/pages/2.html
メニュー トップページ プラグイン紹介 まとめサイト作成支援ツール メニュー メニュー2 リンク @wiki @wikiご利用ガイド 他のサービス 無料ホームページ作成 無料ブログ作成 2ch型掲示板レンタル 無料掲示板レンタル お絵かきレンタル 無料ソーシャルプロフ wiki menu トップ wiki更新履歴 掲示板 リンク 導入店舗一覧 テンプレ 2chスレ過去ログ 画像Uploader 過去の動向 ver1.70変更情報 暗号解読 真・新月の魔 ↑ シナリオ クエスト配信履歴 クエストメモ エピックメモ 次元の鏡 特別クエスト対応表 オリジナルクエスト アドバンスクエスト スペシャルクエスト 財宝を求めて条件照会 試練の旅条件照会 ↑ データベース アイテムDB モンスターDB レシピ合成表 レシピ外合成表 材料別合成表 ↑ データー(wiki) キャラクター ギルガメス ワルキューレ ヤング カイ ゼオバルガ アイテム ギルガメス用 ワルキューレ用 ヤング カイ用 ゼオバルガ用 アクセサリ 携帯アイテム シリーズ装備 合成 ギルガメス ワルキューレ ヤング カイ ゼオバルガ 共通アイテム 合成メモ 合成法則 合成ポイント表 宝箱 宝箱出現表 青箱アイテム 赤箱アイテム 銀箱アイテム 金箱アイテム 不確定アイテム 幽明装備 ボスドロップ レアモンドロップ ラッキーアイテム 経験値テーブル 称号リスト ↑ 用語・他 よくある質問&回答 初心者向け講座 豆知識 用語集/あ・か行 用語集/さ・た行 用語集/な・は行 用語集/ま・や行 用語集/ら・わ行 用語集/英数 AA保管庫 ver1.20変更情報 ver1.40変更情報 ver1.50変更情報 ver1.60変更情報 ver1.65変更情報 ↑ アクセス数 合計 - 今日 - 昨日 - ↑ メンテナンス メモ設定 メニュー編集 ここを編集
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/574.html
屋根板に埋もれながら、コルベールは回想していた。 何故、今自分がこうなっているのかを。 「ばいく」の解析の途中だったかな…… 確か「がそりん」という油の入っている樽を覗いて、 次に「えんじん」と呼ばれた動力部を見てみようと決めた直前までは覚えている。 ……それからは、……そうだそうだ。 突然、あの「ばいく」が『ばとるもーど』と声をあげたかと思うと人の姿に形を変え、 馬小屋の天井を突き破っていって飛んでいったのだった。 ああ、私はその時落ちてきた破片によって身動きのとれないこの状態になったのだったな。 しかし有意義な時間だった。 私の研究は決して間違っていないという事がわかったのだ。 あの「がそりん」は「竜の血」と同じように気化させて用いる物だろう。 彼……タクミくんの住む所ではそれと魔法とは違った動力を使い、 恐らく誰もがあの乗り物で道を行き来することができるのだ。 ああ、私の進もうとするその先はすでに「実用化」という道が拓かれているのだ! タクミくん……例え君が何者であろうと私は君の味方だ。 君は私の研究に大きな道しるべを与えてくれたのだか……ンガッ! 遅れて落ちてきた屋根板が脳天を直撃し、コルベールの意識は途切れた。 使い魔の夢 「空を飛ぶゴーレムだって!?」 「しかも何だ、あの鉄砲は!? 滅茶苦茶だ!? 」 「ギーシュのワルキューレに攻撃したということは、あの平民の味方なのか!? 」 空を飛び、銃を連発して放つゴーレム。観客達はそれに釘付けだった。 ルイズは呆気に取られていた。 ギーシュは大きく口をパクパク開けるだけだった。 そんな面々の中で一人、巧は毒づいた。 遅いんだよ、バカ。もう少しでやられるところだったぞ。 多くの人間達が注目しているのも気にもせず、 オートバジンはフォンブラスターの放られた所に降り立ち、これを回収した。 よく見ると右手に併せて何かを持っている。 そのままある程度こちらの方に寄って来たかと思うと、 フォンブラスターとその何かを巧に向かって投げ渡した。 「うぉっと」 巧は危うげに受け取った。 そして、渡されたものを見て絶句した。 ファイズドライバー。 形式番号SB-555B。ファイズスーツを形成するベルト型変身ツール。 ファイズフォンと、ファイズドライバー。 この二つが揃った時のみ、ファイズへの変身は可能となる。 ……何渡してんだよ、お前は。 しかし、マニュアルを熟読した巧には分かっていた。 ファイズスーツはスマートブレインの人工衛星、イーグルサットから転送される事を。 異世界であるハルケギニアには当然そんなものがある筈がない。 ここではもうファイズに変身する事は出来ない。 お前がやれ、お前が。 オートバジンを睨みつける。 それでもオートバジンはただ動こうとせず巧を見つめるだけだった。 視線を交え、根負けした巧は溜息をついた。 チッ、わかったよ、自分の尻は自分で拭けってか。 『Vehlcle Mode』 胸のボタンを押し、オートバジンを元のバイクに戻す。 「バカ、なんてことしてるのよ! 」 ルイズが叫んだ。 「そいつに代わってもらえば良かったじゃない! あんたじゃ、あんたじゃ勝ち目なんて……! 」 もう周りの目なんて気に止めず、涙を流し続けていているだけだった。 「ルイズの言う通りさ、そちらのゴーレム君が相手でも良かったんだよ。僕は」 未だ健在の六体のワルキューレを従えて余裕を取り戻したギーシュが言った。 相変わらずのヤな気障っぷりだ、俺だけなら十分勝てるときたか。ま、実際そうだったけどな。 手の中のファイズギア一式を見つめる。 こうありえない事が続けざまに来てるんだ、もう一つ位何か起こってもいい筈だ。 ファイズドライバーを腰に装着する。 ギーシュに誤解のないよう言っておく。 「違うな。こいつはただ、忘れ物を届けに来てくれただけだ」 スタートアップコード、555をファイズフォンに入力、 聞き慣れた電子音声のアナウンス。 『Standing By』 そうだな、舐められっぱなし、やられっぱなしってのはやっぱ気に食わない。 右手に持ったファイズフォンを天高く揚げ、 「変身!」 声を張り上げて叫ぶ。ファイズフォンをファイズドライバーにセット、 そして、人工衛星のないこの異世界では聞くことの出来ない筈の電子音声が響いた! 『Complete 』 ファイズドライバーが赤いフォトンストリームを形成し、ヴェストリ広場は赤い光で覆われた。 その中から現われたのは…… 「タクミ……」 その体を成型するのはダイヤモンドに限りなく近い硬度を持つソル・メタニウム。 その体を流れる赤いラインは人間の数十倍の力を引き出すフォトンブラッド。 異世界ハルケギニアはトリステインの地に、 闇を切り裂く赤い閃光、ファイズが降臨した。 「き、貴様……、行け、ワルキューレ! 」 ギーシュが驚きながらも薔薇を振り、ワルキューレを突撃させる。 「そういやお前等には散々いじめられたっけなぁ、今度はこっちの番だ! 」 ファイズは手首を振り、ワルキューレを迎え撃つ。 一体の剣を持ったワルキューレが襲い掛かる。 難なく斬撃をよけこちらの左を当てることで、粉々に打ち砕いた。 「ワルキューレが一撃で!? 」 慌てふためくギーシュは一体を護衛に残し、 続けて四体の剣、長槍を持ったワルキューレをファイズに向かわせる。 四体がかりでの攻撃をファイズは跳躍してかわし、バイク形態のオートバジンの所に降り立つ。 『Ready』 左ハンドルにミッションメモリーをセットし、 エナジーハンドルブレード、ファイズエッジを取り出した。 何故か頭にこういった考えが浮かんでいた。 得物を持った方が楽に片をつけられる。当たっていたのかもしれない。 実際、ハンドルを掴んだ途端に、 あのワルキューレ達の動きがスローのように鈍く見えるのだ。 もうこいつ等は俺の敵じゃない。 頭の中の考えが体の運動神経にも伝わったのか、 迫ってくる四体のワルキューレを一瞬の内に寸断することができた。 「な、な、何だ、何がどうなっているんだ!? 」 泣き顔で残された一体のワルキューレにしがみ付くギーシュ。 最早、決闘開始の時の余裕は微塵もない。 まだ一体残ってたのか、面倒くせぇ。 さっさと終わらせるか。 ファイズはファイズエッジを放り投げ、 右足にトーチライト型ポインティングマーカーデバイス ファイズポインターをセットする。 腕時計型コントロールデバイス、ファイズアクセルから アクセルメモリーをファイズドライバーにセット。 『Complete』 胸のフルメタルラングが展開し、 黄色の目が赤色に、赤のフォトンストリ―ムが危険領域の銀色に変わる。 再び周りから驚きの声が揚がるか否やの瞬間、 ファイズはファイズアクセルのスタータースイッチを押した。 『Start Up』 時が止められたかのごとく、ファイズ以外の全ての者が静止する。 ファイズ・アクセルフォーム。 十秒間の間だけ、通常の千倍の速さで動く事ができる超加速形態。 ギーシュの元に駆け出し、軽くワルキューレを蹴って引き離すと 天高く飛び上がり――――――、 ワルキューレを花弁の様に囲むのは、六つある赤色の円錐状の光。 一瞬の時間差から、次々とワルキューレに突き刺さっていく。 『3、2、1、……』 ファイズ・アクセルフォーム必殺のクリムゾンスマッシュ。 その全てがワルキューレに抵抗する間も与えずに炸裂する。 『Time out』 十秒の時が流れ、通常の時間が流れ出す。 その場にいた全ての者が最初に目にしたものは 幾重もの赤い円錐の光が突き刺さって崩れ落ちるワルキューレの姿だった。 勝敗は決した。 『Reformation』 通常のファイズの姿に戻った後、ギーシュに目を向ける。 「ひ、ひぃぃぃぃ! 」 何時の間にか最後のワルキューレが自分の手から離れ、気がつけばやられていた。 この恐怖はどれだけ堪えたのだろうか。 無様に尻餅を付き、股間から尿が漏れていた。 そんな様のギーシュに、ファイズが近づき確認の言葉をかける。 「続けるか? 」 ギーシュは首を振り鼻水交じりの涙声で返した。 「ま、参った」 一瞬ギーシュを睨んだ後、ファイズフォンのリセットボタンをプッシュし、 巧はファイズの変身を解除した。 ホッと一息をつく。 あー、メッチャ疲れた。 けど、これでもうこいつはシエスタに突っかかったりとかしないだろう。 そうだ、シエスタと言えば……、食堂に戻るべく足を向けた。 冷ましたスープ飲むの忘れてた。 さっぱり訳がわからないわ。 とにかくギーシュが敗北し、平民が勝利したいう事だけは飲み込めた 他の観客たちが騒ぎ立てている最中、ルイズだけは未だパニックの中にあった。 あの「ばいく」がゴーレムになってタクミを助けて、 ゴーレムが拾った銃と持っていたベルトをタクミに渡して、 タクミはそのベルトと銃を使って「へんしん」って全身に鎧を纏って、 その鎧を付けたらワルキューレなんてみんなやっつけちゃって、 ギーシュに「参った」って言わせたらどっかに行っちゃって…… その当のギーシュがルイズの元にやってきて、 泣きベソをかいているまま、ルイズに問い掛けた。 「ル、ルイズ、か、彼は一体何者なんだ!? 僕のワルキューレがあ、あんなにあっさり……」 「そんなの、こっちが聞きたいわよ! 」 あ。 そうだ、聞かないといけないじゃない。あいつ、何者なのよ!? あの「ばいく」は何、「へんしん」って何? あの鎧は何? 最後のあれは何? 何が自分は只の洗濯屋でアルバイトをやっていただけ、よ! ご、ご主人様に嘘をついて騙す使い魔なんて! 泣いたり怒ったりとにかく忙しいルイズは巧の後を追いかけた。 ルイズが一人巧を追った後も、ヴェストリ広場は覚めない興奮で湧き上がっていた。 (ふぅん、『ヘンシン』ね……) その場にいたミス・ロングビルが普段することのない 歪んだ笑みを浮かべていることに気付くこともない位に。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/660.html
夜も更けて頭上には、月が二つ輝くだけのヴェストリ広場。 人っ子一人居る筈が無いその場所に一人の男が居た。 その名はギーシュ・ド・グラモン。武勲で知られるグラモン家の四男である。 静かに夜空を見上げる顔からは何の感情も読み取れない。 そのまま瞑想を続けるギーシュの耳に足音が聞こえた 「来たね」 そう言ったギーシュの視線の先、そこにはこちらに歩いてくるディアボロの姿。 「ふん?あの時に言ったはずだがな……逃げる必要が私には無い、と」 ホールに居た時に聞いたギーシュの言葉を思い出すディアボロ。 (『ヴェストリ広場で待って居る』か・・・・・・ククク) ディアボロはそのままスルーしても良かったのだが、何やら面白そうなので行く事にしたのであった。 まずは手始めとばかりにギーシュをおちょくってみる。 「それで?新しい芸でも見せるのか?それとも、馬鹿の一つ覚えのようにつまらない人形劇を繰り返すか?」 嘲りの声を向けられてもギーシュの静かな顔が変わらない。 その目から何かを感じ取ったディアボロ。 「どうやら・・・・・・本気のようだな」 「ああ、これは僕の・・・・・・ギーシュ・ド・グラモンの命を賭けた決闘だ。 遊びだとは絶対に言わせない!」 続いて振られる薔薇の造花とワルキューレの言葉、それに応えるように青銅の女騎士が現れる。 ディアボロを見つめるギーシュに思い返されるは、自室で寝込んでいた時に見ていた夢――― その夢の中にはここではない別の世界から、自分を慰める『自分達』の姿があった。 『殺されずにすんだから良かったじゃないか』『死ぬよりはマシだよ』『ワルキューレを全滅させられただけだから安心しなよ』 優しく、本当に優しく、子供に言い聞かせるように語ってくる『自分達』 それを聞いたギーシュは吐き気がした。 自分を慰める『自分達』の姿にでは無く・・・・・・それを聞いて安心する自分自身に しょうがなかったと、自分に言い訳をして敗北を認める事、それが死ぬよりも辛い事に今更ながら気づいた。 そう思えば後は簡単だった。 善は急げとばかりに、ベッドから跳ね起きて図書室へ赴く そこでギーシュは必要な物を探しながら、グラモン家の家訓である『生命を惜しむな、名を惜しめ』の意味をやっと理解する事が出来たと感じた。 「いけッ!ワルキューレ!!!」 そのままワルキューレをディアボロに突っ込ませる。 ワルキューレは武器を振り被って目前のディアボロに叩きつけようとした。 が、ディアボロに当る一瞬前に、そのワルキューレはデルフリンガーで逆に叩き切られた。 何の抵抗も無く、縦に一刀両断されて鯵の開きのような姿になるワルキューレ。 「面白くなる・・・・・・と思ったが期待外れだったか?」 呆れたように呟くディアボロ。 彼の目には今のギーシュの行為は、ワルキューレを一体無駄にしたとしか思えない。 だが―――― 「油断は良くないよ!」 ギーシュの叫びと同時に、両断されたワルキューレが何の前触れも無しに『破裂』した。 そして四方八方にに撒き散らされる砂、砂、砂の嵐。 至近距離に居たディアボロはその砂をまともにくらってしまい、視界が暗闇に閉ざされた。 それを見るギーシュが新しいワルキューレを生み出す。 こちらに走ってくるワルキューレの足音を聞いても動かない。動けないディアボロ―――目潰しと同時に足元が泥濘になり、次の瞬間石に変わったからだ。 足が動かずに目も見えないディアボロは・・・・・・ワルキューレの攻撃を無防備でうけるしかなかった。 ザクッ!ズグッ!とヴェストリ広場に肉を裂く音が響く。 そのワルキューレの攻撃をくらっても構わずにディアボロは剣を振る、しかし、斬っては離れ、突いては離れる完璧なヒットアンドアウェーを見せるワルキューレ達には当らない、当るはずがない。 数を少なくする事によって連携の精度を上げた部分もあったが、今のワルキューレからは何かの凄みも感じる。 「右だ相棒!って、そこ違う!俺から見て右だよ!」 デルフリンガーの指示も虚しくフルボッコにされるディアボロ。 と言うかぶっちゃけデル公の指示は邪魔にしかならない、混乱するだけである。 誰がどう見てもギーシュの圧倒的優勢。なはずだが。 顔から流れる嫌な汗をギーシュは止める事ができなかった。 目を潰され、足を固められ、インテリジェンスソードの指示も全くの無駄にしかなってない状況。 ピンチのはずだ。 だと言うのに。 ―――――今のディアボロの顔に笑みが浮かんで来ていると言うのは何故なのか? 「……っ、ふ」 ディアボロの口から息が漏れ。 そして、酷く唐突に彼は笑い始めた。 「ふ、ふふふふ。は、ははっははははははははは!!!!!」 傍から見れば、それは確実にディアボロが狂ったとしか思えない。 だが彼は満面の笑みを浮かべ、面白い物を見たかのような笑いを発している。 何も見えない目で、夜空を見上げながら少年のように笑っている。 何かを言いたげなデルフリンガーを鞘に収めると、ギーシュの方を向く。 「はは、はははははははははは!はは、は、は、は!面白い!何とも面白い! 自分の最善を尽くして敵を仕留めようとするとは!かつての裏切り者達を思い出すぞ!」 奇妙なダンジョンの敵とは違い、ディアボロの能力を把握して冷静に対策を立ててくるギーシュ。 自分のスタンドを知って尚、闘志を失わずに策を張り巡らせてきたブチャラティやジョルノがディアボロの脳裏に浮かんでくる。 「侮辱してすまなかったギーシュ!私も遊ぶのは止めにしよう!」 その言葉と同時に――――紙から取り出したDISCを頭にINするディアボロ。 背筋に冷たい物が走るギーシュ。あれはヤバイ何か分からんがとにかくヤバイ。 今までのギーシュなら何も感じずに余裕をかましていただろう だが成長したギーシュに迫り来る脅威を感じられないわけが無かった。 だからと言って今のギーシュはこの決闘から逃げる選択肢を選ばない。 「……ワルキューレ!!」 恐れを叫びで吹き飛ばし命令する最後の強襲、ワルキューレが狙うはディアボロの頭部と心臓。 しかし、そのギーシュの号令も空しく。 人間の動体視力では捉えきれない速度で、ディアボロの体から出て来た『何か』が 周りに居た全てのワルキューレを『消滅』させた。 『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!』 常識を超えた豪速のラッシュの直撃―――欠片すら残さずに塵となるワルキューレ達。 破壊に一瞬遅れて、辺りの大気が震え、雷のような破砕音が響き渡った。 それが意味する事は、攻撃が音の速さを超えていたと言う単純明快な真理 砂で潰された目が直り、石で固められた足を抜け出、鞘に収めたデルフリンガーを引抜いて動きだすディアボロ。 優勢な状態から、一転してピンチになるギーシュ。 だが、彼にはまだ切り札があった。 (そうだ、それで良い!そのままこっちに近付いて来い!) ディアボロが来る前にその『罠』の準備は完了していた。 罠。とは、ディアボロとギーシュの間にある何の変哲も無い地面にある。 緻密な前準備の成果により、踏んだ瞬間に足元から長さ2メイルもある青銅の剣が飛び出すと言う物。 ワルキューレで倒せるならそれで良い。 もしも、倒せなかったとしても罠を踏ませれば良い。 ギーシュは今度こそ勝利を確信した。 しかし―――――― 「罠か!本当に楽しませてくれるなギーシュ!」 図星をズバリ言い当てられたギーシュが顔面を蒼白にさせられる。 ハッタリかと思ったが、ディアボロは罠がある場所だけを横移動で避けてこっちに向かって来ている 考えている事を読まれたとしか思えないギーシュ。 「何故!?何故分かったんだ!?」 大嫌いな努力と頑張りを使って、何の痕跡も残らないように偽装したのである。 それに時間は夜中、どんなに注意深く見ても絶対気付かれないはずであった。 だが、現にディアボロは罠の存在を見破っている。 ほぼ至近距離まで近付かれて魔法を使う暇も無い、万策尽き果てたギーシュ。誰が見ても敗北は必至。 しかし、ギーシュの目の中で燃えている闘志はまだ消えてない。 後ろに跳んで距離を離し、次の策を考えるまでの繋ぎとしてワルキューレを作成する。 そこまで考えたが、その隙が無い。 振り被られるデルフリンガーを見ながらも、ギーシュは諦めずに勝利へ繋がる方程式を考える。 (右、左、背後、どれを選んでも次は回避できない!なら!) 振り下ろされるデルフリンガー それを見ながらギーシュは…… ディアボロに全体重をかけた体当りをしたッ!! 腹に突き刺さるデルフリンガーの味に、口から苦い物を吐きそうになるが、根性で押し留める 「ふん?」 感心したようなディアボロが押された先には、苦心して作ったギーシュの罠! ズブンッ! 地面から突き出される2メイルの長剣がディアボロに突き刺さる! 「僕……の勝……ちだ」 酸素不足と激痛でギーシュの意識が朦朧とする中、自分のやった行為の結果を見届けるべく長剣が突き刺さったディアボロを見る。 確かに長剣が突き刺さっている、だが、次に見た物はギーシュの予想を軽く上回っていた。 「さすがだ……ギーシュ・ド・グラモン」 体を断ち切るような格好で刺さっているのだ、それは致命傷と言うしかないだろう…なのに 自分の体に刺さった長剣を引抜く―――と言うより、長剣に刺さった自分の体を引抜いているディアボロの姿。 「な……に?」 断続的な睡眠と覚醒への葛藤が激しいギーシュには、それを言うのが精一杯だった。 思い出したかのように、胃を通って、喉を通って、口から吐き出される血液。 倒れて、地面の土に口付けをするギーシュ。 「あっ……あっ……」 無理矢理に立ちあがろうとし、力が入らない手足を蛞蝓のように動かす。 だが、ギーシュのそれは地面に頬を擦り付けるだけの無駄な運動にしかならない。 そうこうやっている内に、ディアボロが長剣から脱出した。 こちらはギーシュと違って、血の一滴さえも吐き出さずに平静な顔を崩す事も無い。 ディアボロが生きている、ならば戦わなければ、杖を拾って、魔法を唱え、勝利へ繋がる行為をしなければ そんな事を考えている内に、ディアボロが近付いてくるのが朦朧とするギーシュの視界に映った。 「あ、あ、ああああああああああっ!!!!!」 腹に刺さったデルフリンガーを引抜かれて口から情けない悲鳴が漏れる。 自分はこれからトドメを刺されるだろう、そう何と無しに確信した。 しかし、次にディアボロが取った行動もギーシュの予想を軽く上回っていた 腹部に衝撃、と、同時に何かが詰め込まれるような感覚 それを感じながら、ギーシュは今度こそ完全に気絶した。 目の前に倒れているギーシュを見る一人と一振り。 ギーシュの腹部に傷は無く、服が破れているだけだ。 そして、ディアボロが感嘆したように呟く。 「何が何でも勝とうとする『執念』………見せてもらったぞギーシュ」 「やれやれ…相棒も困ったもんだな」 そう言って、ギーシュから歩き去って行くディアボロ。 夜空に輝く月と星だけがそんな二人の決闘の決着を静かに見詰めていた。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2272.html
6話 「諸君、決闘だ!」 そう言ってギーシュが薔薇の造花の杖を掲げると、周囲から大きな歓声が上がった。 ヴェストリの広場にはすでに多くの生徒が集まり、ギーシュとホワイトスネイクを取り囲んでいる。 ルイズは生徒の輪の最前列で、ホワイトスネイクの背中をじっと見つめていた。 「さて、逃げずに来たことは褒めてあげるよ」 「部屋ノ隅デ震エテイルコトヲ選バナカッタノハ立派ダッタナ」 食堂での応酬と同じように、ホワイトスネイクから挑発が返される。 「ふん、では始めさせてもらうよ」 そう言ってギーシュが杖を振ると、杖から薔薇の花びらが一枚離れた。 だが次の瞬間、薔薇の花びらは甲冑を着た女戦士の人形へと変わった。 人形は金属製らしく、全身が淡い金属光沢を放っている。 「ホーウ……」 ホワイトスネイクが感嘆した声を上げる。 「僕はメイジだ。だから魔法で戦う。文句はないだろう?」 「御託ハイイカラサッサトソノ人形デ仕掛ケテコイ」 「そうかい、では遠慮なく」 ギーシュが言い終わるのと同時に女戦士の人形が走り出す。 が、数歩で立ち止まった。 「おっと、そういえばまだ名乗っていなかったな。 僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。 したがって僕の青銅のゴーレム、ワルキューレが君の相手をするよ」 そう言ってまたフッとカッコつけた。 ただこれがやりたかったがために女戦士の人形――ワルキューレを止めたようだ。 「では、いくぞ!」 その声とともに、再び走り出すワルキューレ。 ホワイトスネイクとの間合いを一気に詰める。 そして自身の拳の間合いにホワイトスネイクをおさめると、すかさずパンチを放ったッ! ぶおん、と空気を切り裂く青銅の拳はホワイトスネイクのボディへと一直線に向かい―― グワシィッ! 受け止められたッ! 「な、なんだってぇ!?」 (コノ威力……パワーハCッテトコカ。 私ノ方モパワーCガ妥当。ルイズハ近クニイナイシ、コノ距離ナラ当然ダナ) 驚くギーシュと、相手と自分を冷静に評価するホワイトスネイク。 「今度ハコチラノ攻撃ダ」 ホワイトスネイクは素早くワルキューレの懐に潜り込む。 そしてその伸びた腕を掴むと、一気に反動でワルキューレの体を宙に浮かせ―― ドグシャアッ! 頭から地面に叩きつけたッ! 「『ジュードー』トカイウヤツダ。パワーノ弱イ私ニハ、ウッテツケノ技デナ」 「な、な、な……」 予想だにしなかった事態にギーシュは言葉を失う。 彼の目の前で地面に突き立てられたワルキューレはしばらく手足を動かしていたが、すぐに墓標みたいに動かなくなった。 そしておろおろするギーシュとは逆に生徒達は大歓声を上げた。 「すっげぇーぜ、今の! あいつ、何やったんだ!?」 「ワルキューレを頭から地面に叩きつけるなんて……」 「野郎……面白くなってきたじゃねーか」 そしてルイズも、予期しなかったホワイトスネイクの実力に唖然とする。 「な、何なの? 今あいつがやったの……?」 「特別な体術」 「……え?」 「彼は体の反動を使ってゴーレムを投げ飛ばした。 力任せに投げたのとは違う」 いつの間にかルイズの横に立っていたタバサが解説する。 「な、何であんたがここにいるのよ! っていうか今の説明……」 「この子が自分で見たいって言ったのよ、ルイズ」 「あっ、キュルケ!」 「ご機嫌いかが? 今朝は危うく寝坊するところだったそうじゃないの」 「う、うるさいわね! ちゃんと朝食には間に合ったんだからいいじゃないの!」 「はいはい。それでタバサ、あいつはどうなの?」 「分からない。動きに余裕があるから、まだ何か隠してるのは確実」 「ふ~ん……それは楽しみ。っと、そろそろ動きそうね」 一旦止まった戦いが、再び動き始める。 場所は変わってトリステイン魔法学院の学院長室。 ギーシュとホワイトスネイクの決闘が始まる、数分前のことだ。 「暇じゃのう……」 「平和ですからね」 「何かこう、面白いことでも起きんかのう……例えば決闘とか」 「学院長自らが風紀を乱さないでください。それと」 「何じゃ、ミス・ロングビル」 ドグシャァッ! 「ぶげぇッ!」 「私のお尻をなでるのはやめてください」 華麗なハイキックで老人を椅子から蹴倒す女性は、ミス・ロングビル。 反対に椅子から蹴倒された老人がオールド・オスマン。 ロングビルはオスマンの秘書で、そのオスマンはこのトリステイン魔法学院の学院長を務めている。 「あいたたた……」 ミルコ・クロコップのようなハイキックをモロに食らったにもかかわらず、何もなかったかのように立ち上がるオスマン。 「今度やったら王宮に報告しますからね」 「ふん。王宮が怖くて学院長が務まるかい」 オスマンはふてくされたように言うと、床から何かを拾い上げた。 「気を許せる友達はお前だけじゃ、モートソグニル。 ん、ナッツが欲しいのか? ちょっと待っておれ」 オスマンはポケットからナッツを数粒取り出すと、 手の上にちょこんと乗っているハツカネズミのモートソグニルに近づける。 モートソグニルはちゅうちゅうと鳴いて喜ぶと、ナッツをかじり始めた。 「ん、どうじゃ? うまいか? もっと欲しいか? じゃがその前に報告じゃ、モートソグニル。 ……ほうほう、純白かね。だがミス・ロングビルは黒にかぎ」 ボグォッ! 「うげぇっ!」 オスマンの言葉を遮るようにして叩き込まれたのは、胃袋に正確に打ち付けられるヒザ蹴りッ! そして頭から床に倒れこんだオスマンに、さらに追撃の後頭部への踏みつけッ! ゲシッゲシゲシィッドガッドゴオッドゴッドゴッ! 「分かった! 分かったから! ちょ、やめるんじゃミス・ロングビル! 痛い! 痛いからッ!」 そんなふうにしてオスマンがロングビルに蹴り回されていると、不意にドアが大きな音を立てて開いた。 「オールド・オスマン!」 「何じゃね?」 そう答えたオスマンは、すでに床の上でなく椅子の上に座っていた。 まるで何もなかったかのようだ。 ロングビルも同様に、部屋の隅の椅子に腰かけて物書きをしている。 まさに早業である。 学院長室のバイオレンスな日常はこうして保たれているのだ。 「たた、大変です!」 そう言って広すぎる額を汗で光らせているのはコルベール。 使い魔召喚の儀式に立ち会っていた教師だ。 「なーにが大変なもんかね。どうせ大したことのない話じゃろうて」 「そんなこと言わずに! こ、これを見てください!」 そう言ってコルベールがオスマンに突き出した本のタイトルは「始祖ブリミルと使い魔たち」。 「ほーう……それでこの古い本がどうしたのじゃ?」 「その本の……このページです! それと、これを!」 コルベールが本のページと、一枚のルーンのスケッチをオスマンに見せる。 オスマンの目が本とスケッチを素早く行き来した。 その眼は先ほどまでの好々爺の目ではない。 熟練の魔法使い特有の、鷹のように鋭い目だった。 「ミス・ロングビル。少し席をはずしてもらえるかね?」 「かしこまりました」 ロングビルはそれだけ言って、学院長室を出た。 と、入れ替わりに一人の教師が血相を変えて飛び込んできた。 「オールド・オスマン! い、一大事です!」 「今度は何じゃ?」 オスマンが眉間にしわを寄せて言う。 「それが、ヴェストリの広場で決闘をしている生徒がいるようで……」 「決闘? やれやれ……暇を持て余した貴族は、本当にロクなことをせんのう」 今さっき暇を持て余して「決闘でも起きないかな」とか言った揚句にセクハラしていた男とは思えないセリフである。 「それで、決闘しとるのはどいつじゃ?」 「は、はい……一人はギーシュ・ド・グラモン。もう一人は……」 「グラモンのとこのバカ息子か。どーせ女の子の取り合いでもしたんじゃろうて。それでもう一人は誰じゃ?」 「もう一人は……その、私も信じられないのですが……」 「何じゃ、早う言うてみい」 「……亜人です。昨日ミス・ヴァリエールが召喚して、契約したやつです」 思わず顔を見合わせるオスマンとコルベール。 「よろしい。ではその決闘は放っておきなさい」 「ええ!? い、いいんですか? 教師の中には『眠りの鐘』の使用許可を求める者もいますが……」 「……ギーシュ・ド・グラモンと戦う亜人はどんなヤツじゃね?」 「へ? は、はあ……ミス・シュヴルーズの話では、言葉も話せるし授業も聞けるとのことでしたが……」 「つまり頭はいいんじゃろ? だったらやり過ぎるようなことはせんハズじゃ。放っといて構わんよ」 「そ、そうですか……」 そう言って教師が学院長室を出て行くのを見届けると、壁にかかった大きな鏡に杖を振った。 すると、その鏡にある光景が映し出される。 ヴェストリの広場の、今まさに行われている決闘の光景だった。 鏡の中ではギーシュと亜人――ホワイトスネイクが向き合い、 二人の間にギーシュのゴーレムが頭から地面に突き立てられていた。 「……コルベール君。わしの判断は合っておったと思うかね?」 「まだ分かりません。でも、間違っていたと分かった時には全てが手遅れでしょう」 「そうじゃな……そうならんようにせんとなあ」 机の上でナッツをかじっていたモートソグニルが不意にぴょんと窓に飛び移ると、そのまま外に出て行った。 戦いが動いたのは、ちょうどその時だった。 場所はヴェストリの広場に戻る 「ふふ……ま、まさか僕のワルキューレを倒すとはね。な、中々やるじゃあないか。 だが、これで終わったと思うなよ!」 冷や汗をぬぐいながらギーシュが再度薔薇の造花の杖を振るう。 杖から離れた花びらは6枚。 それらが宙に舞い上がって、6体のワルキューレになって地面に降り立ったのはやはり一瞬の出来事だった。 「おいおいおいおいおいおい! ギーシュのやつ、出せるワルキューレの残り全部出したぞ!」 「あれで頭に血が上っちゃったのかなあ?」 「そりゃああんなの見せられたらなあ……」 ギーシュの陣容に生徒も驚きの声を上げる。 だが―― 「サッキノガ6体カ。面白クナッテキタジャアナイカ」 ホワイトスネイクは焦り一つ見せずに、むしろ楽しそうに言った。 「ふふん、そうやってのん気してられるのも今のうちさ。 考えてもみなよ、君? 6対1だぜ? 勝てっこないよ。 もし君が僕に『ごめんなさい』と言えば」 「脳ミソガクソニナッテルラシイナ」 「な、なんだとお!?」 「ソンナ寝言聞イテルヒマガアッタラサッサトソイツラヲ私ニ差シ向ケロ」 「……そうか、そんなに死にたいんだったら!」 ギーシュが杖を振るうと、ワルキューレたちの目の前の地面から武器が突き出てきた。 剣、両手剣、長槍、ランス、斧、スレッジハンマー……。 いずれも大変な重武装だった。 そしてワルキューレたちが、それらを手に取り、ホワイトスネイクに向けて構える。 「今ここで殺してやるッ!」 ギーシュの声とともに、一斉にワルキューレがホワイトスネイクに襲い掛かる。 やられる! 次の瞬間に訪れているであろう凄惨な光景に、思わず目をつむるルイズ。 その直後に大きな歓声が上がった。 やられ、たんだ。 あいつが、あのにくたらしい嫌味な使い魔が、ホワイトスネイクが! ルイズが絶望に近い、うすら寒い感情が自分の心に湧きあがってくるのを感じる中、 その肩をぽんぽん、と叩かれた。 思わずルイスは振り向く。 「なーに目なんかつむっちゃってるのよ、ルイズ」 キュルケだった。 「でも、でもあいつが!」 「自分の使い魔の安否ぐらい、自分で確かめなさいよ」 そう言われて、顔を正面に向けられるルイズ。 その目に飛び込んだ光景は―― (私ノスピードハA。上々ダナ。 ソレニ対シテコイツラハCッテトコカ。 何テ、スットロイヤツラナンダ) ホワイトスネイクはワルキューレたちの有様に呆れながら、大振りの斧の一撃をやすやすとかわす。 その後ろから飛び込むようにして襲ってきたランスの突きも、とっくに見えていた動きだった。これも難なくかわす。 さらに両手剣の横薙ぎ、長槍の連続突き、スレッジハンマーの振り下ろしが立て続けにホワイトスネイクに向かってくる。 だが、全部遅すぎた。 スキを窺うようにして仕掛けてきた、剣を持ったワルキューレの攻撃も見え見えの奇襲にすぎなかった。 軽くかわして、ついでに足を引っ掛けてやった。 ワルキューレが無様にすっ転んで地面を転がる。 そうやってホワイトスネイクがワルキューレをあしらうたびに、周りの生徒たちから歓声が上がった。 あの亜人は何なんだ? 何であれだけ武装した、しかも6体もいるワルキューレ相手にあんなことができるんだ? なんてヤツなんだ、あの亜人は! そんな呆れたような、あるいは感嘆したような感情が彼らの歓声の源だった。 「あいつ……すごい」 「そうね。あんなに大きいのに、あんなに身のこなしが軽いなんて、感心しちゃうわ。 ……でも彼、攻撃はしないのね」 「さっきみたいな投げ技は使えない。かと言って青銅のゴーレムを一撃で破壊できるようなパワーは彼にはない」 「……何で分かるのよ?」 タバサの推測にルイズが異議を唱える。 「一発ぶん殴っただけでワルキューレを壊せるなら、最初の一体をそうやって壊してるじゃない?」 「あ……そ、それもそうね……」 「でもキュルケの言うとおり。このまま避け続けてもそれだけじゃ意味がない」 「じゃあ彼はどうするのかしら?」 キュルケがタバサに尋ねる。 タバサの視線の先には前後をワルキューレに挟まれたホワイトスネイクがいる。 前のワルキューレは斧を、後ろのワルキューレはランスを構えている。 「彼は、避ける」 タバサが呟くように言った。 前門のワルキューレが斧を振りかぶる。 後門のワルキューレが構えたランスをホワイトスネイクの背中に突き出す。 瞬間、ホワイトスネイクは地面を強く蹴り、宙に飛んだ。 斧のワルキューレとランスのワルキューレが、互いに攻撃すべき相手を見失い―― 「避けて同志討ちさせる」 ズゴォッ! 互いの得物が、互いに直撃したッ! 一方のワルキューレは胴体をランスで穿たれ、もう一方のワルキューレは斧で首を跳ね飛ばされていた。 「くそッ、だが!」 ギーシュは毒づきながらもすぐにハンマーを携えたワルキューレをホワイトスネイクの着地点に先回りさせる。 自由落下するホワイトスネイク。 それを待ち受けるワルキューレ。 ホワイトスネイクはそれにちらりと目をやると、小馬鹿にしたように笑った。 そしてワルキューレのハンマーの射程に、ホワイトスネイクが入ったッ! 「今だッ!」 ゴヒャァァッ! ギーシュの声に応じ、ワルキューレは打ち上げるようにハンマーを振るうッ! だが、手ごたえなし。 ハンマーがホワイトスネイクを粉砕する音は、響かなかった。 (あれ? 何だ? 何が起きた?) 混乱するギーシュをあざ笑うかのように、ホワイトスネイクはワルキューレの背後にすとんと着地した。 「言イ忘レタガ……私ハ射程圏内ノ空中ヲ自在ニ移動デキル。 空中デ一旦停止スルクライ、造作モナイコトダ」 そう言ってホワイトスネイクは腰を落としてワルキューレの胴体に腕を回し、ガッチリとロックする。 そしてッ! メシャッ! バックドロップだッ! 後頭部から地面に叩きつけられたワルキューレは、自重と落下の衝撃で簡単に自分の首を手放した。 「くそぉぉぉーーーーーーーッ!!」 やけくそになったギーシュが残る3体のワルキューレでホワイトスネイクを取り囲む。 「やれぇッ!」 ギーシュの号令で、3体が一斉にホワイトスネイクに襲い掛かる。 「『ギーシュ』・・・・・・ダッタカ。ヤハリオ前ハ……」 ホワイトスネイクは3体の攻撃を容易く避ける。 さっきのようなそれなりのコンビネーションもない、 ただ3体が一緒に仕掛けてくるだけの攻撃などホワイトスネイクには何の意味もなさない。 ゆえに今回、ホワイトスネイクは避けるだけではなかった。 攻撃を避ける間際にワルキューレたちの武器の切っ先、矛先をわずかにずらしていた。 そしてホワイトスネイクが3体の包囲から抜けると同時に―― 「タダノ、馬鹿ダッタナ」 ガッシィィーーンッ! 3体のワルキューレは一体化していた。 互いの武器で、互いの胴体を貫きあって。 「そ、そんな、ぼ、ぼぼ、僕の、ワルキューレが……ぜ、全滅……」 ギーシュがかすれた声でそう呟いたのと、ヴェストリの広場が大歓声に包まれたのはほぼ同時だった。 「や、やりやがった! あいつ勝っちまった!」 「ブラボー……おお、ブラボー!」 「グレート! やるじゃあねーかよ」 そして驚いていたのは、ルイズも同じだった。 「あいつ、あんなに強かったんだ……」 「すごぉーい! いいカラダしてるとは思ってたけど、まさかこんなに強いなんて! あたし、彼のこと気に入っちゃったかも……」 「ちょ、キュルケ! あんた本気なの!? っていうかあれはわたしの使い魔よ!?」 「そんなの関係ないわ。恋ってのは突然訪れるものなの。 ツェルプストーの女はそれに何よりも忠実なのよ」 「そういう問題じゃないでしょ!」 「二人とも静かに」 唐突にルイズとキュルケの会話をタバサが遮る。 「どうしたの、タバサ?」 「様子がおかしい」 「え……?」 タバサの言葉に従い、ルイズとキュルケは広場の中心に目を向ける。 そこにあったのは、腰を抜かして地面にへたり込むギーシュと、彼にゆっくりと歩み寄るホワイトスネイクの姿。 「お、お前! ぼぼ、ぼ、僕に、何する気だ!」 「私ガコノ決闘ヲ楽シミニシテイタ理由ハ3ツ」 一歩ホワイトスネイクが近づく。 しかしギーシュは動けない。 「ち、近寄るな! 来るなあ!」 「1ツ目ハハメイジノ戦イノ一端ニ触レラレルコト。 私ハコノ世界ニ来テマダ日ガ浅イ。 ナノデコノ世界ノ一般的ナ戦イニ直ニ触レラレタノハトテモ価値ノアルコトダッタ」 また一歩ホワイトスネイクが近づく。 しかしギーシュは動けない。 「なな、何言ってるんだお前! や、やめろ、近づくな! 来ないでくれ!」 「2ツ目ハ自分ノ戦闘能力ノ現状ヲ測レルコト。 ヤハリ戦闘能力トイウヤツハ実戦デシカ測レンカラナ。 コッチニ来テカラ私自身ガ弱クナッテイルコトモ心配ダッタカラナ」 ホワイトスネイクが、ギーシュに手の届く位置まで来た。 しかし……ギーシュは動けない。 「そ、そうだ! ぼくが悪かった。ぼ、ぼくが悪かったんだ、だから……ひぃっ!」 「ソシテ3ツ目ハ……」 ホワイトスネイクがギーシュの胸元を掴んで無理やり立たせる。 ギーシュは動けない。逃げられない。 そして「それ」が行われる。 「だから許し」 ドシュンッ! 空気を切り裂くような音とともに、ホワイトスネイクの貫手がギーシュの額に突き刺さった。 「3ツ目ハ、オ前ノ記憶ト『魔法ノ才能』ヲ得ラレルコトダ」 「あいつ、やりおったわ!」 「遠見の鏡」で決闘を見ていたオスマンが叫ぶ。 同じく決闘を見ていたコルベールは既にここにはいない。 ヴェストリの広場に行ったのだろう。 「まさかとは思っとったが……ええい、モートソグニル!」 遠い場所で決闘を見張らせていた自分の使い魔の名を呼ぶオスマン。 すぐに返事と思しき鳴き声が返ってくる。 「眠りの鐘じゃ! すぐに鳴らせぃ!」 言うが早いが、オスマンは素早く杖を抜いてルーンを唱える。 「サイレント」の呪文だ。 その鐘の音の響くところにある者をことごとく眠らせる眠りの鐘。 響きは音としては学院長室まで聞こえなくとも、音の波として確実にここにも到達する。 うっかり自分も眠ってしまうわけにはいかないため、音そのものを遮断したのだ。 (たかだか子供の決闘とはいえ、死人を出すわけにはいかぬ) オールド・オスマンは人間としてはダメな男だが、教師としては最上の男だったのだ。 「あ、あいつ、ギーシュを殺しちゃったの!?」 ルイズが震える声で言う。 「どうでしょうね……血は出てないみたいだけど、放っておくのはヤバそうだわ」 「同感」 キュルケとタバサが杖をホワイトスネイクに向けて構える。 「な、何してるの二人とも!?」 「止めるのよ。このまんまじゃ、本当にただ事じゃ済まなくなりそうだもの。 別に彼を殺したりはしないから大丈夫よ」 そう言ってルーンを唱えるキュルケ。 タバサの方はすでにルーンを唱え終わっており、その目の前に7、8本のツララが形成されている最中だった。 そして、タバサがツララをホワイトスネイクに向けて飛ばそうとした瞬間、その鐘の音は響いた。 決して大きな音ではなく、しかし心の奥底にまで浸み渡る音。 その音がタバサの体から力を奪っていった。 (こ、これ、は……) 薄れゆく意識の中で、タバサは音の正体を理解した。 (これは、『眠りの鐘』) その眠りの鐘の影響は、ホワイトスネイクにも及んだ。 「コノ音……何、ダ……コレハ?」 全身から力が抜けていき、激しい睡魔がホワイトスネイクを襲った。 「第、三者ノ……介入カ? アルイハ……ダガ……!」 ホワイトスネイクは、ギーシュの額から貫手を引き抜いた。 引き抜いた指に挟まれていたのは輝く二枚のDISC。 貴重な戦利品だ。 滅多なことでは手放せない。 こんな、わけのわからない攻撃なんかのためには、決して。 「コレハ……回収……スル。カ、確、実、ニ……」 最後のパワーを振り絞って体内にDISCを収納すると、ホワイトスネイクは煙のように姿を消した。 To Be Continued...
https://w.atwiki.jp/yugio/pages/2000.html
ローゲの焔(アニメ) 永続罠 相手の攻撃力2000以下のモンスターは攻撃する事はできない。 モンスターに攻撃された時、このカードを破壊する。 このカードがフィールドから離れた時、「ワルキューレ・ヴリュンヒルデ」1体を[[デッキ]]または手札から特殊召喚する。 リクルート 永続 罠 行動制限 同名カード ローゲの焔(OCG) 関連カード ワルキューレ・ヴリュンヒルデ(アニメ) ワルキューレ・ヴリュンヒルデ(OCG)
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5047.html
前ページ次ページ絶望の街の魔王、降臨 「よく逃げずに……」 ぱあん、と、破裂音。ギーシュの口上と、頬の皮膚を切り裂いて、鉛弾は壁に突き刺さった。 「油断大敵」 ギーシュの顔に冷や汗が浮かぶ。 「尻尾を巻いて逃げるなら、許さないでもないわ」 「な、舐めおって……」 その冷や汗も、怒りで吹き飛んだ。 卑怯者、と沈黙していたギャラリーからも野次が飛ぶ。 「そうね、ちょっと大人げないわね。たかがお遊び、しかも子供相手に銃は過激すぎるわね」 愛用のベレッタとタクティカルベストをルイズに預ける。 「すぐ終わるわ」 わざとギーシュに聞こえる様に言う。 「舐、め、お、っ、てえええ……」 怒り心頭のギーシュ。 「さて、始めましょ。勝敗はどうするの?」 その言葉に、少しだけ落ち着きを取り戻す。 「……すー、はー、僕としたことが、下らん挑発に乗ってしまったな。ルールは三つ。降参したら負け。僕は杖を手放したら負け。貴様は死んだら負け」 「破格の条件ね。死ぬまで負けさせてくれないなんて、太っ腹」 「ふん、言っていられるのも今の内だ!始めるぞ!」 ギーシュは薔薇の造花を振る。あれが杖か、と確認したジルは、それを見ながら手袋をはめていた。 「出でよ!ワルキューレ!」 薔薇の花弁が一つ、地面に落ちる。そこから、鎧われた人の形がせりあがる。 「僕はメイジだ。よって魔法で戦う。文句はないな!」 「木偶の影で震えるがいいわ、坊や」 完全に余裕をかましている。ワルキューレに対し半身に立ったまま動かない。 「減らず口ををを……行け、ワルキューレ!」 ギーシュの号令と共に、ワルキューレが駆ける。そしてジルに殴りかかった。 タバサはその光景をじっと見つめていた。キュルケに引きずられるまま連れてこられたが、これはなかなか興味深かった。ルイズの使い魔の平民、彼女は初めて見た時から異質な匂いがした。大爆発した教室での異様なオーラ、騎士の自分より絶対に強い。直感で、そう感じた。 「ねえ、タバサ。どうなると思う?」 キュルケに訊ねられる。愚問だ、ギーシュごとき素手でも相手にならない。 「ギーシュ、生きてたら幸運」 「は?」 「負ける」 「そう。何でそう思うの?」 「彼女は歴戦の戦士」 ギーシュと相対している凛々しい女性と、ピンクの髪の少女の方向に視線をやり、呟いた。 「フッ」 緊急回避。空振りしたワルキューレはバランスを崩し、ジルに無防備な背を晒す。 「フンッ!」 その背を蹴り、ワルキューレは倒れる。そこに拳を叩きつける。 バキャッと粉砕されたワルキューレの背。その穴を広げる様に殴り、上半身と下半身を泣き別れにした。ネメシスを突き落としマグナムリボルバーを片手で撃つ腕力×サンドナックル=弱い金属なら砕く威力。ワルキューレなど木の板の様なものだ。 「青銅?脆いわ。薄いし、論外ね」 事前にルイズに聞いていた通り、ギーシュは指揮官タイプのメイジだった。青銅のゴーレムを操り、戦う。その時点で彼女の戦闘スタイルは決まった。サンドナックルとコンバットナイフで、砕き切り刻む。 最初の挑発は、冷静を失わせる為の作戦だ。今までロクな情報も無くバイオハザードに身を投じていた彼女に、久し振りにブリーフィングもどきをしてくれたルイズに、少しだけの感謝していた。 「舐めおってェェェ!」 三度目の咆哮。素手で青銅を粉砕した事実は完全に頭の中から消えていた。杖から花弁が飛ぶ。六枚のそれは地面に落ち、六体のワルキューレとなる。 一つ溜息を吐いたジルは、ベルトのシースから新たにナイフを抜く。そこで違和感を覚える。 左手が熱を持っている。妙に躯が軽い。 しかしそれは戦闘に不利になるものでもない。むしろ有利ですらある。それを頭に入れ、自分を囲む様に走るワルキューレの一体に向けて走り出す。 予想外の速度、そしてその速度についていける思考。ロックフォード島・南極基地の報告書にあったウェスカーもこんな感じだったのだろうか。 「ハッ」 青銅の人形を切り刻む。四肢を奪い、動けなくする。それにやっと反応するワルキューレ群。遅い。 背後に回ろうとした三体目を刻む。何百何千と人間(だったもの)や化物を切り刻んだナイフ。硬い甲殻を持つクリーチャーや、巨人の頑強な骨すら切り刻み、今もなお切れ味は落ちていない。 合衆国では一般的なコンバットナイフだ。ジルがラクーンシティ時代から愛用している武器も、カスタム品以外は外観は一般 的な物と変わらない。だが、R.P.D.に、特にS.T.A.R.S.に回される官給品の武器の質は異常だった。ナイフはそれが特に顕著に 現れた例だ。どんなに酷使しても、切れ味は鈍らない。たとえ、青銅を切り裂いたとしても。 「遅い」 四体目、足払いをかけて倒し、片脚を踏み潰す。残った脚を掴み、寄ってきた五体目に叩きつけ、壊す。 「フッ」 背後から何かがくる感覚に反応して、無意識の緊急回避。前転の後にクイックターン。視界には、青銅の剣を持ったワルキューレ。 「へぇ、そんな事もできるの?」 「い、今までは油断していただけだ!貴様など、このワルキューレ二人で充分だ!」 もう一体は長槍を持っていた。 「そう。なら私も……」 サイドパックに手を入れる。そこから取り出したのは──── 「これを使わせてもらうわ」 四つの穴が前面に開いている、濃緑色に塗られた四角い箱。その大きさは、常識ならサイドパックに入る筈はない。 「はっ!何だそれは?」 しかしその事実のに疑問を抱けるほどの余裕はギーシュにはない。笑うギーシュを無視し、ジルは箱を肩に担ぎ上げ、箱から突き出た棒を握る。 ギーシュの疑問に、それは答えた。何かがその箱から放たれ、ワルキューレの一体に向かって飛翔し────爆発した。 ギーシュの頭に何かがコツンと当たり、地面に落ちる。それに眼を向け、そして爆発した場所に視線を戻し、数秒の後、何が起きたのかを理解した。 ギーシュの前には、指が幾つか欠けた、ワルキューレの手。爆発した場所には何も無い。 ────ああ、そうか。 トドメと言わんばかりに、最後のワルキューレも爆散する。 ────壊れたのか。 ジルはM66をサイドパックに仕舞い、残されたギーシュに向き直る。 口を開けたまま呆けていた。ただただ空虚な顔で、眼の前に広がる惨状を見ていた。バラバラにされ、炎に包まれるワルキューレ。その炎を背景に、悠然と歩むジルは、生徒達には魔王に見えた。 「これで終わり?呆気ないわね」 ナイフをシースに戻し、サンドナックルを外す。 「指揮官なら、奥の手を隠していると思ったけど……それすらないなら、貴方は無能よ。挑発に乗って冷静さを失い、自身を過信して、相手を侮って、少ない兵力を失い孤立する。まるでどこかの雑魚悪役の幹部ね」 腕を振り上げ、平手打ちを食らわせる。気持ちがいいほどにいい音が響き、綺麗な跡がギーシュの頬につく。 「貴族?薔薇?笑わせないで。二股かけて、女の子を泣かして、関係無い弱者に八つ当たりして、挙げ句の果てに決闘?貴方には貴族を名乗るに相応しくないわ」 情けなく倒れたギーシュに、容赦無く言い放つ。 「貴族で在りたいなら、よく考える事ね。貴方が真っ先にするべき事を」 もう話す事は無いと言わんばかりに、ギーシュに背を向け、ルイズの元に向かう。既に炎は燻っていた。 「勝ちましたね……」 「そうじゃな……」 信じられない、といった表情を浮かべている中年と老人。勝つ事自体は信じられる。慢心した貴族など、恐るるに足らず。二人はそれを知っている。 信じられないのは彼女の行為と武器だった。 「あれは……なんでしょう?」 「ワシに訊くな。君の専門分野じゃろう?」 「そうですが……」 ああ、厄介事が増えたわい。そう呟いて、オスマンはコルベールにジルを調べる事を命じた。 「勝ったわよ」 誰が見ても完璧な勝利だった。ワルキューレが全滅した時点で終わったも同然だったが、平手打ちでギーシュが杖を手放して確実となった。 「凄いじゃない!」 ルイズははしゃぐ。ギーシュはドットメイジだが、戦闘魔法に関してはそれなりの成績を残している。それなりに強いのだ。 「凄くないわ。私の仕事場だったら、助ける暇もなく死ぬわよ、彼」 アークレイ山地の洋館、ラクーンシティをはじめとするあらゆるバイオハザード発生地域を生き残った彼女は、経験からその評価を下した。 「仕事場?」 「そう、仕事場。街中を死んでいる筈の人間が歩き回り、化物がうろつき回り、生きた人間を襲って喰らう……」 その顔には、一瞬だけ計り知れない感情の渦が垣間見えた。憎悪と憤怒と悲哀と……ほんの僅かな希望。 「無駄に疲れたわね。授業が終わったら、さっさと部屋に戻って休みましょう」 平民。なのに貴族より凛々しく誇り高い使い魔の歩く姿は、ルイズの考えの幾つかを変えた。 貴族と平民の差。 魔法と貴族が中心の社会の在り方。 全て失敗し爆発する自分の魔法。 ルイズの全てが根本から覆される。この使い魔の女性は、この世界をあらゆる方向から変えていく。そんな予感がした。 その夜。 ルイズの予感を一層強くする出来事が起きた。 ギーシュがジルに謝りにきたのだ。 前ページ次ページ絶望の街の魔王、降臨
https://w.atwiki.jp/namxcap/pages/140.html
ワルキューレ 行動開始時 「行きます」 「参ります」 「任せて♪」 「戦います」 「頑張ります!」 攻撃時 開始「貴方を倒さねばなりません」 「今はただ、戦い抜くだけです」 「永遠の剣よ…私に勝利を!」 「乙女の騎士の名に懸けて、勝利を!」 「先手は取らせてもらいます」 「この戦いもまた必然なのですね」 「立ち塞がるならば、それも良いでしょう」 「戦いは虚しいものです。ですが、今は…」 「女神イシターよ、私に力を!」 「悪しき者を野放しにはできません!」 「悪しき者よ、私の前から去りなさい!」 「剣をとらねばならぬ時なのですね」 「私は戦い…進むことしかできません!」 「使命を果たすために…進むのみです!」 「斬らねばなりません…行きます!」 「心安らかに逝きなさい」 「一人の戦士として戦うだけです!」 「守るべき世界の為に…参ります!」 「ワルキューレ、いざ…参ります!」 「行きます!手加減は…できません!」(体力:中傷時) 「平和の為に…今は戦いましょう!」(体力:中傷時) 「私は…あなたを倒さねばなりません!」(体力:中傷時~瀕死時) 「おどきなさい!時間がありません!」(体力:瀕死時) 未撃破「貴方の実力、理解しました」 「最後には私が…勝ちます!」 「去りなさい。今ならば間に合います」 「去るのならば、追いはしません」 「勝負はお預けということにしましょう」 「攻め切れなかった私の責任ですね…」 「苦しめるつもりはなかったのですが…」 「急所を上手く守ったようですね」 「決着を着けたかったですね…」 「まだ私も、心の修行が足りません」 「まだ戦いを続けるのですか」 「これからです。私の本当の戦いは」 「ここからが佳境(かきょう)という事ですか…」 「体力には自信がおありのようですね」 「まだ終わりではないようですね」 「私にこれ以上、剣を振るわせないで」 「私の腕が未熟なばかりに…」 「仕方ありません、次は倒します」 「この剣にかけて、次は討ちます」 撃破「争いは絶えないのですね…」 「未だ大局は見えぬままですか…」 「こうやって歩むしかないのです」 「この戦い、ここで幕引きですね」 「この戦いが正しかったと信じます」 「ごめんなさい…先を急ぎます」 「勝負ありましたね。私の勝ちです」 「戦い続けるしかないのでしょうか…」 「悪は滅びる運命(さだめ)にあるのです」 「戦いの虚しさ…慣れないものです」 「次も勝ち抜けるかどうか…」 「次の戦いに参ります」 「女神イシターよ、祝福に感謝します」 「女神イシターよ、この勝利に感謝します」 「勝利を喜ぶ時間はないようですね」 「手心を加えることは出来ませんでした…」 「どうやら決着がついたようですね」 「どんな戦いにも、終わりはあります」 「女神イシターよ、この勝利に感謝します」 「私の戦いは、世界の平穏のために…」 「今は静かに…お眠りなさい」(体力:瀕死時) 「一歩…また一歩…前に進むだけです」(体力:瀕死時) 防御時 開始「無意味な戦いだと気付きませんか?」 「受けましょう…ですが、敗れはしません!」 「退いては…くれないようですね」 「この盾と鎧は、貫けません!」 「私に狙いを定めましたか…」 「来るようですね…いいでしょう」 「これは負けられない戦いなのです」 「私を…?かまいません、さあ!」 「後退するわけにはいきません!」 「この勝負、お受けします!」 「焦らなくとも、私は逃げませんよ」 「いつでもどうぞ。私はここです」 「どうしました?来ないのですか?」 「行きたくば、私を倒していくことです」 「これは戦い…仕方のないことです」 「さあ、私の準備はできています!」 「貴方の全て…受けましょう!」(体力:中傷時) 「この先には行かせはしません!」(体力:中傷時~瀕死時) 「この試練…甘んじて受けましょう!」(体力:中傷時~瀕死時) 「私も騎士です。お相手します」(体力:中傷時~瀕死時) 軽傷「心無き一撃では、私は討たれません!」 「この盾が無ければ危なかった…」 「どうしたのです!?私は立っていますよ!」 「この傷は、戒めとして刻んでおきます」 「貴方に勝利はありません!」 「これで私が屈するとお思いですか!」 「その一撃では、私は倒せませんよ」 「幸運に恵まれていたようです」 「致命傷は避けられたようです」 中傷「今は耐える時なのでしょうね」 「兜を割られるところでした」 「私の戦いは、これからなのです!」 「くっ…心に油断があったと」 「悪意の力には、絶対に屈しません!」 「まだ大丈夫。反撃しなければ」 「禍々しい力…ですが、負けません!」 「ここまで傷を受けるとは…未熟ですね」 瀕死「まだ消えるわけには…いかないのです!」 「この痛みが…生きている証拠です」 「ふぅ…生き延びたようですね」 「覚悟ならば…既にしています!」 「敗北は…許されていないのです!」 戦闘不能「きゃああああ!」 撤退「すみません…!」 技使用時 スキル「花の術」使用時「花の術っ!」 「これで大丈夫」 スキル「鏡の術」使用時「鏡の術っ!」 「勝負!」 「鏡よ・・・鏡!!」 必殺技「ワルキュリアセイバー」使用時「はぁぁぁ! 在るべき世界に帰りなさい」「はぁ!やぁ!たぁッ!ワルキュリアセイバー!」 MA攻撃「女神降臨」使用時(戦闘前)ワルキューレ「クリノ、サビーヌ…いいですか?」クリノ「オイラはいつでも。ワルキューレ様」サビーヌ「とっととやろう、ワルキューレ」ワルキューレ「では、いきます…!」(戦闘中)ワルキューレ「竜巻の術!」クリノ「てええぇいっ!」サビーヌ「燃えとけっ!」ワルキューレ「永遠の剣よ…今こそその力を解放します…!」(戦果表示)ワルキューレ「ありがとう、二人とも」クリノ「お礼なんて、そんな…」サビーヌ「…これで、よく息が合うよな」 カウンタースキル「ガードインパクト」使用時(戦闘中)「ガードインパクト!」 (戦闘中)「こういう手もあります!」 (戦闘中)「この盾ならば…!」 カウンタースキル「飛翔突き」使用時(戦闘中)「受けなさい!」 アイテム入手時「見つけました!」 掛け合い・名セリフ プロローグ4 死神ワルキューレ「おどきなさい…!私の前に立つならば…容赦はできません!」 プロローグ4 メイジ or ブラックスライムワルキューレ「…間違いなくドルアーガの手の者!」ワルキューレ「想像以上に…事態は悪化している…!」 21話「鋼の冒険心」(二人のクリノ(ドッペル)を目にして) ワルキューレ「クリノ!? な、何か悪いものでも・・・」 小牟「いや、何食っても増えんわ!」 「あっ!」 「くうっ!」 「ああっ!」 「ああっ!」 「ああっ!」 「きゃあああっ!」
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4943.html
前ページ次ページ蒼い使い魔 ヴェストリの広場 そこにはこれから行われる"決闘"―という名の貴族による一方的な制裁 を見物しようと噂を聞きつけた生徒たちで、広場は溢れかえっていた。 「諸君!決闘だ!」 その広場の中心、決闘を申し込んだ男子生徒、ギーシュは 薔薇の造花を掲げ高らかに宣言をする。うおーッ!見物人から歓声が巻き起こる。 「ギーシュが決闘するぞ!相手はルイズの平民だ!」 ギーシュは腕を振って、歓声にこたえている。 一方、決闘を受けたバージルは詰まらなそうに腕を組み目を瞑っていた。 一方人だかりの最前列では、ルイズがバージルと同じように腕組みをしながら見ている そのルイズに向かい、隣にいたキュルケが話しかける 「あらルイズ、自分の使い魔が決闘するっていうのに随分冷静ね?」 「いいのよ、アイツなら負けないでしょ、何度も殺されかけたし…」 「あら、随分使い魔を信じてるのね、ちょっと妬けちゃうわ」 「ばっばか!そんなわけないでしょ!」 と顔を真っ赤にしてルイズは反論する。 そんなルイズをみてキュルケは苦笑しつつ、隣にいたタバサに話しかける 「それにしても珍しいわねタバサ、あなたがこういうの見に来るなんて」 「あの男が気になる」 と短くタバサは答える、その返答に意外と思ったのかキュルケは驚いた顔を見せる 「あら?あなたバージルが気になるの?まぁ、彼、すごい色男だからねぇ」 もちろんそういう理由ではない、純粋に気になったのだ、 バージルが召喚された時にみた神速の居合、コルベールの炎を切り返した剣に。 そして、チラとみた、バージルの目に。 自身の二つ名、「雪風」が霞むほど冷たく鋭い目、いったいどうなればああいう冷たい目になるのか。 その目に一瞬惹かれていた自分がいたことに。 「ねぇ、タバサ、あなたどっちが勝つと思う?」 と、いうキュルケからの質問によって思考が中断される、 その問いに「まだわからない」とだけ答え、バージルを見つめた。 バージルとギーシュは、広場の真中に立ち、睨みあう、といっても睨んでいるのはギーシュだけだが。 「とりあえず、逃げずに来たことは、褒めてやろうじゃないか」 ギーシュは、薔薇の花を弄りながら言った。 「……」 その言葉にバージルは沈黙で応え、静かに閻魔刀に右手をかける。 「さっきも気になってはいたが、君のそれは剣かね? 平民どもが、せめてメイジに一矢報いようと磨いた牙か。良いだろう、つかいたまえ」 とその様子をみたギーシュは続ける 「これは決闘だ、どちらかが負けを認めるまで続ける、それと僕はメイジだからね、 杖を落としたら負け、というルールも付け加えてあげ―「始めろ、時間の無駄だ。」」 バージルにルール説明を中断されギーシュは顔をしかめる、 「フン、では始めよう!」 そうギーシュは言うと薔薇の花を振った。 花びらが一枚、宙に待ったかと思うと……。 甲冑を着た女戦士の形をした、身長は人間と同じ位の青銅の人形となった。 「僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。従って、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手す――」 ――キィンッ! ギーシュが余裕たっぷりに言い切る暇もなく、ゴトゴトッ、と『ワルキューレ』がバラバラになり崩れ落ちた。 「なっ!!!」ギーシュは驚いてバージルを見る、当のバージルはその場を一歩も動かず、閻魔刀を納刀している バージル十八番の神速の居合、それはこの広場にいる誰も見切ることができなかった。 例え、遠く離れたものであってもその居合は空間ごと切り刻む事ができるなど、夢にも思わないだろう 「おいギーシュ!なに失敗してるんだよ!」と周りからのヤジに、我に返ったギーシュは そうだ、失敗しただけだ、そう思い、もう一度ワルキューレを一体呼び出す 「見苦しい所をみせたね平民、今度こそこの青銅の『ワルキューレ』が――」 ――ガキィン!ガキャン!ガキャンガキャン! 「こっ!今度はなんだ!?」 異様な音に驚きワルキューレを見る、 そこには浅葱色をした西洋風の両刃剣がワルキューレを串刺しにしていた それも一本二本ではない、バージルから放たれた大量の幻影剣がワルキューレに襲い掛かる そして幻影剣が砕け散るのと同時にワルキューレは粉々になった 「うっ…うわああああああ!!!!」 「なっ……なんだあれは!」「先住魔法か!?」広場が恐怖に包まれる、 「なっ!なんなんだ!?何をした平民!」 ギーシュは恐怖に駆られ半狂乱気味に叫ぶ 「説明してどうする…これから死ぬ貴様に…」 バージルは静かに答える、その目は凍りつくように冷たく慈悲など全く感じることができなかった。 「うぅ・・・うわあああああ!!!!ワ、ワルキューレェェェェェ!!!!」 そう叫び薔薇の造花を振り回し今度は七体、ワルキューレを呼び出す その手には槍や剣などが握られている、ワルキューレ達は主を守るべくバージルを取り囲んだ。 時は少し遡り、ここは学院長室 コルベールは、唾を飛ばしながら学院長であるオスマンに説明していた。 春の使い魔召喚の際に、ルイズが人間の男を呼び出してしまったこと。 そしてその契約の証明として現れたルーンが、見た事がないものであったこと。 それを調べていたら……。 「始祖ブリミルの使い魔『ガンダールヴ』に行き着いた、というわけじゃね?」 オスマンは、コルベールが描いたバージルの手に現れたルーンのスケッチをじっと見つめた。 「そうです!あの男の左手に刻まれているルーンは、伝説の使い魔『ガンダールヴ』に刻まれていたモノとまったく同じであります!」 「つまり、君はあの男が伝説の使い魔、『ガンダールヴ』であると、そう言いたいのかね?」 「まだ憶測の域を出ませんが、その可能性は大いにあります!」 「ふぅむ、どうしたものかのう、ミスタ・コルベール、あの男と少し話したそうじゃな、何かつかめたかね?」 「彼は、魔法のない所から来た、と言っていましたな、別の世界、という単語がでてきましたが、申し訳ありません、 その時はあまり深く考えていませんでした。」 その通りである、コルベールはバージルに魔法の概念と貴族社会について軽く説明したものの、 彼自身のことを聞くのを失念していたのである。 「なるほどのぅ、今度彼から話を―」 その時、コンコンッっとドアがノックされた 「誰じゃ?」 扉の向こうから、ミス・ロングビルの声が聞こえてくる。 「私です。オールド・オスマン」 「なんじゃ?」 「ヴェストリの広場で、決闘をしている生徒がいるようです。大騒ぎになっています。 止めに入った教師がいましたが、生徒たちに邪魔されて、止められないみたいです。 教師たちは、決闘を止めるために『眠りの鐘』の使用許可を求めております。」 「たかが子供の喧嘩を止めるのに、秘宝を使ってどうするんじゃ。放っておきなさい」 オスマンは一つため息をつくとドアの向こうのロングビルに訪ねる。 「まったく暇をもてあました貴族ほど、性質の悪い生き物はおらんわい。で、誰が暴れておるのかね?」 「一人は、ギーシュ・ド・グラモン」 「あのグラモンとこのバカ息子か。血は争えんのう、息子も親父に似て女好きじゃ、どうせ女関係絡みじゃろう、それで?相手は誰じゃ?」 「それが……、ミス・ヴァリエールの使い魔のようです」 その返答とともにコルベールの顔が蒼白になる。 「危険です!すぐに止めなくては!」 「どうしたと言うのかねミスタ・コルベール、そんなにあわてて…さすがにグラモンの馬鹿息子も平民を殺したりは…」 「使い魔のことを言っておるのです!あの男の剣術、人間離れしています! 私でもあの男の抜刀術を見切ることはできなかったのですぞ!しかも、私の放った魔法を顔色一つ変えずに切り返してきました!」 そうまくしたてるコルベールをなだめながらオスマンは言う 「まぁまぁ、いくらその男の剣術が優れているとはいえいくらか神経質になりすぎじゃぞ? それに、今まであの男が誰かを傷つけたり、殺した事があったかね?」 「そっ…それは…」 「そう言うことじゃ、ミス・ロングビル、放っておきなさい」 そういうと「はぁ・・・、わかりました」という返答とともに去っていく足音が聞こえて来た 「それに、あの男が本当に伝説の使い魔『ガンダールヴ』なのか、確かめるいい機会だと思わんか?」 そう言ってオスマンは杖を振る。壁にかかった大きな鏡に、ヴェストリ広場の様子が映し出された。 七体のワルキューレがバージルを取り囲む 表情を変えずにバージルはそれらを一瞥すると軽くため息をつく 「Humph, boring.(―フン、つまらん…)」 「舐めるな!行けぇ!ワルキューレェ!」 その言葉を聞き激昂したギーシュは七体全てをバージルに飛びかからせる。 ワルキューレの武器がバージルに迫る、その瞬間― バージルはその場で、閻魔刀の柄で左右のワルキューレの武器を打ち払う、 そのまま身を翻し抜刀、後ろから飛びかかるワルキューレを頭から真っ二つに斬る、 左右に泣きわかれになったワルキューレが地面に落ちるよりも早く そのままの勢いで閻魔刀を振い、二体のワルキューレが真っ二つになった。 一秒もかからず三体のワルキューレを屠ったバージルは、そのままゆっくりと閻魔刀を納刀する。 ―チンッ!という鍔と鞘がぶつかる音と共にワルキューレが崩れ落ちる。 残るは四体、バージルは静かに佇んでいる。 右の一体がバージルに飛びかかる、それを横目でチラと見ると ほんの少し上体をずらし攻撃をかわし、柄頭でワルキューレの腹部を打つ、その衝撃でワルキューレは粉々になった、 そのまま抜刀し左から襲いかかるワルキューレの脚を鞘で打ち払う、ワルキューレがくるりと宙に舞い、 頭の位置が地面にむいたところを閻魔刀で胴体を真っ二つに斬られた、 そして残るワルキューレのうち一体に足払いをかけ、先ほどの一体と同じように 宙に舞わせると、一旦納刀しそのまま横一閃、最後の二体を同時に斬り捨てた。 場が沈黙に包まれる 「…………」 「な…何が起こったんだ…?」 「え?俺、目を瞑っちゃったんだけど…?」 「気がついたら、三体倒れてて、あれ?」 という言葉がちらほら聞こえてくる ルイズはあんぐりと口を開けている 薄々バージルの実力には気がついていたがまさかこれほどとは。 しかもバージルはまるでなにもしていないと言った感じに余裕の表情だ おそらくあれは本気ではないのだろう。 キュルケはしばらく茫然としていたが、突然クネクネと身体をくねらしはじめた。 「すごい…」 タバサは思わず驚嘆の言葉を口にしていた 流れるように華麗なその剣術、そして体捌きに、 最初、ギーシュがワルキューレを呼び出した際、タバサはずっとバージルを見ていた、 が、一瞬バージルの手が動くのがなんとなくわかったが、その瞬間ワルキューレが崩れ落ちた。 つまり見切れなかったのだ。 数々の危険な任務をこなして来た自分でも、あの男の剣は見切れない…。 背筋に寒いものが走る、もしあの時放ったエア・ハンマーであの男が気絶しなかったら、 自分は何が起こったかも分からず斬り殺されていたかもしれなかった、と。 「…どうした?もう終わりか?」 自分が呼び出した七体のワルキューレ、それが文字通り一瞬で殲滅させられ、 腰を抜かし呆然としていたギーシュにバージルが話しかける。 「あ・・・あぁ・・・」 「参った」そう言おうにも言葉が出ない、いや、そもそも言った所でこの男が見逃してくれるだろうか? バージルの目は、まるで道端の小石を見るかの如く冷たい、 座りこむギーシュにバージルがゆっくり近づく、その足取りがギーシュの恐怖を煽る 「うっ・・・うわあああああ!!!」ギーシュは狂乱気味に叫びつつ後ろへ後ずさりをした、 目の前の悪魔から逃げるために、だがその努力は報われることはなかった。 ギーシュの周りに浅葱色をした剣 ―幻影剣が現れる、 八本の幻影剣はギーシュの周りを旋回し、ビタッ!と停止した。 その切っ先は全てギーシュの首筋を捉えている おそらく串刺しにするつもりなのだろう、バージルがニヤリと口元を歪める 「―Die!(死ね!)」 「やめてぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 そう叫び声を上げバージルに何かが飛びかかる、それは主のルイズであった、 「もうやめて!バージル!あんたが強いのはよくわかったから!お願いだから殺さないで!」 ルイズは縋りつくようにバージルに懇願する。 その姿をみて興が殺がれたのか、バージルは 「フン…貴様など殺すにも値しない…」そう言いながら全ての幻影剣を地面へと突き刺した、 幻影剣が消えた瞬間、突如泡を吹いて崩れ落ちるギーシュ、極度の緊張から解放され意識を手放したのだろう。 平民が最下級のドットとはいえメイジを軽々と打ち倒す、そんな歴史的瞬間にも関わらず 歓声を上げるものは広場には存在しなかった。 「行くぞ…」そうルイズに声をかけ、重い沈黙が支配する広場をコートを翻し後にするバージル 「え…?あ…うん…」 呆然としていたルイズは正気を取り戻しバージルの後を追う、 するとバージルは突然立ち止まり、突如虚空へと向け、閻魔刀を抜刀、真空刃を飛ばした。 閻魔刀の魔力が乗った真空刃は塔へ直撃し、強力な固定化がかかっているはずの壁を容易く削り取った。 「え…?な!なにしてんのよ!」 バージルの突然の行動に驚くルイズ、 そんなルイズをみてバージルは 「ただの挨拶がわりだ」 と、納刀しながら何事もなかったかのように返事をし、広場を後にした 「まったく…恐ろしい使い魔じゃのぉ…、まさかわしらが見ていることに気がついていたとは…」 「えぇ…しかもこちらに影響はないとは言え攻撃を仕掛けてくるなんて…」 所変わってここは学院長室、遠見の鏡で決闘の成り行きを見守っていて、 最後に飛んできた斬撃に肝を潰したのかソファーへ倒れるように座り込むオスマンとコルベール 二人は深いため息をつきながら話し合う 「最初の、彼が何をしたか見えたかね?」 オスマンが、最初のワルキューレがバラバラになった事を思い出しコルベールに訪ねる。 「いえ…私には何が起こったのか…」 「わしもじゃ…何も見えんかった。右手が動いたのはなんとなくわかったんじゃが…ありゃやっぱり斬ったのか? 「しかしあぶなかったのぉ、あれは本気で殺す目じゃったよ、グラモンのバカ息子はヴァリエールに感謝すべきじゃて」 「やはり彼は『ガンダールヴ』です!王宮に報告をして指示を!」 「ならぬ」 『ガンダールヴ』に興奮しているコルベールをオスマンは嗜めるように言った。 「もし王宮に伝説の、それも強力無比な使い魔がいると知れれば戦などに利用されかねん」 「は――ははあ。学院長の深謀には恐れ入ります」 「この件はわしが預かる。他言は無用じゃ。ミスタ・コルベール」 「はい、かしこまりました・・・」 「しかし、彼の戦いぶり、ルーンが影響しているとはおもえなかったんじゃが…」 「…そうですね…、もしかしたらあれが彼自身の戦闘力なのかも…」 「「なんと恐ろしいものを…」」 二人がそう呟くのは、ほぼ同時だった。 前ページ次ページ蒼い使い魔