約 1,472,940 件
https://w.atwiki.jp/sundayrowa/pages/228.html
既知との遭遇 ◆hqLsjDR84w ◇ ◇ ◇ 淡く輝いていた満月が西の彼方に沈み、代わりに顔を出した太陽が地上を照らし出したころ。 超天才少年アル・ボーエンくん御一行は、まだエリアE-2の公園に留まっていた。 というのも、アルとレイラが自身の持つ情報を仲間たちに提供したところで、もう放送まで僅かな時間しか残されていなかったのだ。 たとえ移動中であろうと内容を聞き逃すつもりはなかったが、それでも落ち着いて耳を傾けられる状況のほうがよりいいには違いない。 だいたいどうせ放送中は立ち止まることになるので、多少歩いたとしても大した足しにはならない。 これに対し仲間たちの反論はなく、アルは少しばかり拍子抜けするハメになった。 三人ともそれぞれ合流したい相手がいると言っていた割に、随分とあっさり頷いたものだ。 アルはそれだけ相手を信頼しているのかと胸中で頷きつつ、リュックサックから地図とボールペンを抜き取る。 地図の裏側でボールペンの書き味を確かめているアルは、レイラの思考に関してだけ僅かに見落としがある事実に気付かない。 彼女は魔道具『輪廻』により仲間についての記憶を失っているため、名簿に印がつけられているだけで顔も知らぬ四人への信頼はない。 ただ、アルの提案であるから受け入れたのである。 魔道具『心眼』が本来の性能通りに、他者の思考を自動で使用者に垂れ流しにしてくれれば、アルはそんなレイラの思考を読み取ることができた。 しかし心眼にはなんらかの制限がかけられており、対象一人の思考を読もうと意識せねば効果が発動しないようになっている。 ゆえに、アルがレイラの思いを知ることはなかった。 ベンチの上に名簿や地図を広げ、アルが放送への用意を着々と進めている傍ら。 他の三人はというと、これといってなんの準備もしていなかったりする。 ただ、ノートパソコンを前に難しい顔をしているだけである。 これはアルに支給されたものであり、たった一つ『program battle royale』というファイルが入っているだけである。 思わせぶりな名前のファイルにはパスワードがかかっており、それを突破せねば開くことはできない。 思い当たることでもあったのか、佐野清一郎が不意にキーボードに手を伸ばした。 慣れていないのか右の人差し指だけを使って、時間をかけてなにかを入力する。 ディスプレイに映し出されたのは、たった六文字のアルファベットで構成された短い単語。 ――『Hakone』。 首を傾げるレイラとコロンビーヌとは対照的に、佐野はやたらめったら自信ありげな表情である。 ついに勝ち誇ったように白い歯を見せて、大げさな音を立ててエンターキーを叩く。 少しの間を置いて、ノートパソコンから間違いを知らせるブザー音が響いた。 「なっ、なんやて!?」 こうして目を丸くしたのも束の間だけ。 ならばとばかりに、次の単語を入力していく。 『Ynfuin』。 ブイーッ! 『Kusatsu』。 ブイーッ! 『Kinugawa』。 ブイーッ! 『Noboribetsu』。 ブイーッ! 「ええい、やかましいぞ! さっきからなにをやってるんだ、貴様はっ!!」 アルに怒鳴りつけられ、佐野はようやくパスワード入力を切り上げる。 しかし納得はいっていないらしく、渋々といった表情を隠そうともしていない。 そんな佐野の前に出るのは、くすくすと笑みを浮かべたコロンビーヌだ。 「まったくダメねえ、アナタは。 ちゃんと話聞いてたの? アリスっていう女の子が関わってるのよ? 女の子の心を開かせるパスワードなんて、そんなのすぐ思い浮かぶじゃない」 こちらもまたやったら自信たっぷりに、キーボードに手を伸ばす。 すでにキーの配置は記憶してしまったようで、そのタイプ速度はかなりのものだ。 『Hold hands』。 ブイーッ! 『Hug』。 ブイーッ! 『Kiss』。 ブイーッ! 「やっかましい! と! 言って! いるん! だっ!!」 まだなにか入力しようとしているコロンビーヌであったが、顔を真っ赤にしたアルが割って入る。 そのままノートパソコンを引ったくって、ベンチまで戻ってしまう。 そんなアルの後ろ姿を眺めながら、佐野とコロンビーヌは釈然としない様子で同時に呟く。 「キース・ホワイトは、なんにも分かってへん」 「キース・ホワイトって、なにも分かってないのねぇ」 凄まじい勢いで振り返り、アルは声を荒げる。 「分かってないのは貴様らだっ!!」 こほんと一息ついて、アルは準備を再開する。 ノートパソコンを蔵王に戻してからリュックサックに仕舞い、かわりに水の入ったペットボトルを取り出す。 地図と名簿を開いたまま固定するための重しにするのだ。 そこまで終えて、アルはコロンビーヌに視線を向けた。 ただそれだけの動作で、言わんとすることが伝わったらしい。 じゃらりと音を立てて、コロンビーヌが彼女の纏う黒いゴシックドレスから懐中時計を取り出した。 「六時まであと三分ねぇ」 時刻を把握できるよう参加者全員に時計が支給されているみたいだが、その種類は様々なようだ。 このようにコロンビーヌの場合は懐中時計であったが、アルとレイラは壁掛け時計であった。 一応リュックサックに入れてはいるもののひどく使いづらいので、コロンビーヌに尋ねたのである。 「ほー、なかなかえーもん持っとるやん。結構するんちゃうか」 「…………」 佐野とレイラの二人が、コロンビーヌの懐中時計をしげしげと眺める。 レイラは黙っているものの、その羨望の眼差しはむしろ佐野よりも雄弁であった。 自動人形のサガか、こうも注目されるとコロンビーヌも悪い気はしない。 もともと大して美しい逸品と思っていたワケでもないのに、懐中時計を見せびらかすように振舞ってしまう。 長年真夜中のサーカスの踊り子として活動していただけあって、その動作には気品があり装飾品をより引き立てる。 「おおっ! なんやなんや? 盛り上がってきたんか? いよっ!」 佐野は明らかにおもしろがって、煽るように手拍子を打つ。 対してレイラは羨ましさが募っていくばかりで、どんどん物欲しげな表情になっていく。 まばたきもせずに懐中時計に見とれたのだが、レイラはハッとしたようにリュックサックを下ろす。 そうして花柄の風呂敷を取り出すと、勝ち誇ったように笑う。 「ふふっ」 「…………」 今度は、コロンビーヌが沈黙する番だった。 ただし羨望ゆえではなく、困惑ゆえにである。 レイラはやたら得意げだが、正直コロンビーヌはなんにも羨ましくなかった。 時計は時刻を知ることができるが、風呂敷なんてものを包めるだけではないか。 アクセサリーとして考えても、懐中時計と風呂敷では比べ物になるまい。いくら花柄であろうと、風呂敷は風呂敷なのだから。 とはいえレイラの態度を見るに、もしかしたらすごく価値があるのかもしれない。 人間の美的センスを基準とした価値などどうでもよいが、見極められないというのは少しばかり悔しい。 コロンビーヌが沈黙していると、佐野がマイクを握ったジェスチャーで寄ってくる。 「おうおう? まさかまさかのおねーさんの反撃! どう出んねや、コロンビーヌ選手ぅ!?」 口振りからして、魔物とかいうよく分からない存在であるレイラだけでなく、人間の佐野から見ても名品であるらしい。 どう出ると言われても、とコロンビーヌは思い返す。 リュックサックに入っていた道具のうち、装飾品になりそうなものは懐中時計くらいだ。 かといって、このまま引き下がるというのも―― とそこまで考えたとき、コロンビーヌの思考に少年の声が割って入った。 『…………レイラが持ってるのはただの風呂敷で、それ以上でも以下でもないぞ』 振り向けば、アルがやたら冷ややかな表情を浮かべていた。 もちろん、指には心眼がハマっている。 すべてを理解したコロンビーヌは、誰にも視線を向けずに一言。 「……知ってたわよォ、最初から」 佐野とレイラに背を向け、コロンビーヌはそれまでする素振りもなかった放送への準備を始めるのだった。 しばらく困惑していた佐野であったが、すぐにどうでもよくなったらしい。 マイクのジェスチャーをやめて、ふと思い出したように切り出す。 「しっかし、みんなおもろいもん持ってんねんなぁ。 俺のリュックサックにも入ってんのかな。いっちょ見たるか」 「……え?」 聞き返すかのような声を漏らしたのは、誰であったのか。 それは定かではないが、怪訝そうに佐野を見たのは三人全員であった。 六つの瞳を向けられても意に介さず、佐野はリュックサックを開く。 「おお、これがキース・ブラックの言ってた玉かいな。 説明書に書いてあるもんが入っとるワケやな、ってんなことあるんかい」 アルも、レイラも、コロンビーヌも、六時間前にやった行動である。 まさか佐野清一郎は、いまのいままでリュックサックの中身を確認していなかったのだろうか。 よもや、そんな参加者が存在しているはずが―― という三人の考えを否定するように、佐野と玉もとい蔵王の格闘が始まる。 説明書に目を通した佐野が、玉を一つ掴み取る。 「うわ、手ぇ入った! うわ! うっわ! 気色悪い! なんか、なかちょい涼しい! どないなっとんねん! うっわ、ほんまにキショい!」 「…………」 三人のうち誰一人として、佐野に声をかけることはできなかった。 というか、触れられなかった。 なんというか、いたたまれなくて。 「ええい、ままよ!」 と、意を決したかのように手を引く。 蔵王から飛び出してきたのは、真っ白な軽トラックであった。 これがあると分かっていれば、わざわざ歩いて施設を回る必要もなかっただろう。 「おおう、ほんまに出よった! どういう仕組みなってんねん! んで、こっちはっと……なはは! ずっと探しとったのに、こんな近くにあったとはなぁ!」 続いて、二つ目。 巨大な箱のなかに、折り畳まれた手ぬぐいがびっしりと詰まっていた。 『手ぬぐいを鉄にする』能力を扱う彼にとってのメインウェポンである。 そんな大事なものを持っていたことに、六時間も気付かずにいたらしい。 「そんで……なんやこれ、メモリって。よう分からんな」 最後は、USBメモリであった。 つまむようにして持ち上げてから、佐野は興味なさそうにアルへと放り投げる。 「アル、お前パソコン持ってたし、それやるわ」 彼の行動を眺めていたコロンビーヌとレイラは、まったく同じ感想を抱いた。 (本気でやってるのかしら……) そんな疑問に対し、心眼を装着しているアルの声が応える。 『心の底から恐ろしく、本当に受け入れ難いのだが…… それでも、我々はこの事実を一蹴することなく甘受せねばならない。 プログラムを打破するに辺り、信じたくないことを拒絶していてはなにも始まらない。 いかに予想してなかった事態であろうとも、目を逸らさずに向き合っていかねばならない。 非常につらい決断を強いていると思うし、僕自身まだ納得しきれていないのは明かしておく。 だから安心して欲しい。疑っているのは、決して自分だけじゃない。それだけは覚えておいてくれ。 時間がかかっても構わない。少しずつでいいから、受け入れてくれ。これは……紛れもない真実なんだ』 一拍置いて、より重い口調で言う。 『ヤツは、佐野清一郎は――本気だ』 意図せず、コロンビーヌとレイラは息を呑んだ。 ボケだとかノリだとか、そんなチャチのものでは断じてない。 もっと恐ろしい適当男の片鱗を味わったのだった。 中学生が超天才児と魔物と自動人形を戦慄させたすぐあとに、死者を告げる放送は始まった。 ◇ ◇ ◇ 放送が終わって一分が経過する。 まだ誰一人として口を開こうとしない。 広がった静寂を破ったのは、佐野が歯を軋ませる音であった。 苦々しい表情を浮かべたまま、さらにもう数分後ようやく吐き捨てるように呟く。 「クソッタレ……ッ」 ここに至ってやっと、佐野は自分が状況を甘く見ていたと思い知らされた。 自分はそれなりに戦えるつもりだし、植木は能力のほかに神器を使えるし、ヒデヨシはその植木が見付けてきた仲間だ。 能力の判明していない森はいないし、ロベルトも考えを改めつつあったという。 だから、きっとなんとかなる。 どうせ、素直に殺し合うヤツもいないだろう。 そんな――なんの根拠もない希望を抱いていた。 だから焦るでもなく、ダラダラと移動していた。 その結果が、いまの放送だ。 早くも十六人が死に、そのなかにはヒデヨシまで含まれていた。 甘かった。 ぬるかった。 そう、認識せざるを得ない。 最初から仲間を探して走り回っていれば、こうはならなかったかもしれない。 そんな想像は、仮定にすぎない。 悩んだところで、起こってしまったことは変わらない。 分かっているというのに、佐野はつい考えてしまうのだった。 コロンビーヌは、そんな佐野を冷めた目で見ていた。 いまさら悔しがるというのが、よく理解できなかったのである。 人が死ぬことなど分かり切っていたではないか。 別に、コロンビーヌに知る名が呼ばれなかったワケではない。 自動人形の宿敵である『人形破壊者(しろがね)』の一人が呼ばれた。 思うことは、これといってない。 何年も前に死んだはずの彼女がどうして生きているのかは不思議だが、それは壊れたはずのコロンビーヌも同じである。 いや、修理できる自動人形とは違うのだから、そうやすやすと同じとは言い切れないが。 なんにせよ、ただ単に不思議というだけである。 死んだことに対する感情の動きは、これといってない。 当然悲しくなんかないし、別に嬉しくもない。 ただ、死んだという事実を受け入れるだけである。 呼ばれたのが、他の誰かであったとしてもそうだろう。 同じ自動人形でも、たとえ造物主・フェイスレスであろうと、きっと一緒だ。 誰が死んだところで、佐野のように悔しがることはない。 誰かの死になにも抱くはずのないのが、自動人形なのだ。 そう思いかけて、フラッシュバックする。 自身に生命を与えてくれたフランシーヌ人形が、とうの昔に壊されていたという事実を叩きつけられたとき。 説明し難いが、なんだか空っぽになった。 造物主に命令を与えられていたというのに、自分がどうして動いているのか分からなくなった。 よく分からないが、とにかくすべてがどうでもよくなった。 あれはいったい、なんだったのだろうか。 そして―― もしも才賀勝の名前が、放送で呼ばれたのなら。 そのときには、どうなってしまうのだろう。 想像しかけて、コロンビーヌはやめた。 そう簡単に、あの少年が死ぬはずがないのだから。 この楽観的な思考は、放送前の佐野のものと似通っているのだが――コロンビーヌは気付かなかった。 アル・ボーエンは、放送によりもたらされた情報を脳内で処理する。 脱落者十六名のなかには、巴武士も含まれている。 彼のARMS『白兎(ホワイトラビット)』は、全ARMS中最速の性能を誇る。 そんな彼が、もう息を引き取ったという。 証拠はない。 死体は確認しておらず、死因すら明かされていない。 ただ、死んだという情報だけを叩きつけられただけだ。 ――はたして、信じられるのだろうか。 (……バカバカしい。 ヤツが嘘を吐く必要がどこにある。 高槻の暴走を狙うのなら、最初ので十分だ) 浮かびかけた希望的な考えを、アルは自ら切り捨てる。 高槻のように、武士のARMSが復活していたとも限らない。 それならばただ場馴れした高校生にすぎない。 もしARMSが復活していたとしても、この場には恐るべき参加者が存在するのだ。 死んでいないなどと思い込むのは、ただの逃げでしかない。 そう判断して顔を上げてみると、アルの視界に呆然としているレイラの姿が映った。 今世紀最高の頭脳を使わずとも、その理由はすぐに分かった。 レイラの仲間であるナゾナゾ博士の名も、先の放送で呼ばれたのだ。 だが輪廻の副作用により、現在のレイラは―― 「やはり、覚えていない……のか?」 ナゾナゾ博士が仲間であるとは、名簿に記されていた。 しかし、彼がどういう人物であったのかについての記憶が消えている。 「……そうね」 少し間を置いて、レイラは首肯した。 誰だか知らない仲間であったらしい人物。 その死にどう反応すべきか、自分でも判断しかねているようだ 困惑した様子のレイラに、アルは一つ提案する。 「別に、それを破壊してしまっても構わないんだぞ」 アルが指差したのは、レイラの腕にはまった輪廻である。 それを破壊すれば、副作用は一気に回復するのだという。 本来の年齢に戻ってしまう代わりに、仲間の思い出を取り戻せるのだ。 子どもに戻ってしまえば、レイラの魔術はかなり弱体化する。 このプログラムの打破を目指すアルにとって、戦力の低下は手痛い。 しかし仲間の死を悲しむことさえできないレイラの姿が、アルには気に入らなかったのである。 そんな思いから紡がれたアルの提案だったが、レイラは首を横に振った。 「いいえ、このままでいいわ」 「だが覚えていない仲間のために、そこまでしなくても――」 「いいの」 説得しようとするアルの声を、レイラが遮る。 「元から仲間だった四人の人たちは覚えてなくても、アルたちのことは覚えてるから。大丈夫」 言い切って、レイラが微笑む。 その笑顔をなぜだか直視できず、アルは視線を逸らす。 レイラは不思議そうに首を傾げながら、表情を覗き込んでくる。 慌ててそちらからも顔を背けて、アルは声を張り上げる。 「ええいっ、別に外さないなら外さないで好きにすればいいさ! だから、いちいちこっちに来るんじゃないっ! いったいなんなんだっ!」 さらに困惑するレイラになにも言わず、アルはコロンビーヌと佐野に向き直る。 放送が終わったことだし、移動を再開しよう。 死者が多数出たことはショックだが、落ち込んでいる暇はない。 軽トラックがあるので、移動もだいぶ楽になった。 この今世紀最高の頭脳の持ち主アル・ボーエンに、運転は任せておけばいい。 そう、言おうとした。 言おうとして――息を呑んだ。 「…………ッ!?」 足音が近付いてきているのだ。 それも、足音を隠そうとすらしていない。 単に隠せていないのではなく、存在をアピールするかのようにあえて響かせている。 コロンビーヌと佐野はすでに気付いていたらしく、足音のほうを見据えていた。 二人に遅れてそちらに振り返ると、アルの全身から冷や汗が溢れ出す。 接近してきているのは、足音だけではなかった。 痛いほどの威圧感が、全身に突き刺さってくる。 このプレッシャーの持ち主を、アルは知っていた。 「ようやく参加者に遭遇したと思えば……ふん」 接近者の姿が、ついにアルの視界に入る。 ツバの短い軍帽。 その下には、精悍な顔。 ゆったりとした軍用ロングコート。 それを纏っていても分かるほどに、鍛え抜かれた巨躯。 人違いであって欲しかったが、どうやらそうはいかないらしい。 「『チャペルの子ども』、アル・ボーエン。 『布を鉄に変える』だけの貧弱な能力者、佐野清一郎。 そして貴様、は……なるほど。魔道具・輪廻を使ったか、『魔物の子』のレイラ」 キース・シリーズの次兄。 闘争に生きて闘争に死んだ、戦闘生命。 アドバンストARMS『帽子屋(マッドハッター)』の適正者。 自身の作り出した屍の山の上で息絶えたはずの『戦いの神』。 「とんだ脆弱な輩ばかりと行き会ったものだ」 ――キース・シルバーが口角を吊り上げ、公園を見下ろしていた。 (まずいッ!!) 今世紀最高の頭脳が、激しく乱れる。 アルがこの殺し合いの舞台で名簿を確認した際、とある二つの名前に『こいつにだけは出会ってはならない』と判断を下していた。 その二人とは、すなわち―― 『マッドハッター』のキース・シルバー。 『チェシャ猫(キャット)』のキース・グリーン。 彼らはほぼ間違いなく殺し合いに乗り、かつ参加者中トップクラスの戦闘能力を有する。 そう認識していた。 にもかかわらず、その片割れにそうそうに出会ってしまった。 せめて――ARMS殺しを持つ二人と合流してからならば、まだ対処のしようもあっただろうが。 「ねえアナタ、アルの言っていたキース・シルバーよねェ?」 アルの焦りに、気付いているのかいないのか。 一歩前に出て、コロンビーヌがシルバーに話しかける。 そのおどけたような口調とは裏腹に、ひどく剣呑な雰囲気を漂わせている。 「ああ」 シルバーの短い返事を待ってから、コロンビーヌは二つ目の疑問を浴びせる。 「さっき脆弱な輩って言ってたけどォ……一人忘れてるんじゃないかしらン?」 その通りだ。 コロンビーヌだけが、なにも言われていないのだ。 心眼にてシルバーの心を読んでいたアルには、その理由は分かっている。 分かっているからこそ、それについて尋ねて欲しくはなかった。 答えを聞いたコロンビーヌが、どういう反応をするのか――分かり切っていたからだ。 そんなアルの思いを尊重するはずもなく、シルバーはなんでもないことのように言い放つ。 「貴様ら自動人形も、その宿敵たるしろがねも、俺は敵として認識していない」 眉根を寄せるコロンビーヌを意に介さず、シルバーは続ける。 「他者の意図に縛られるだけの存在に、なんの意思がある。 存在を規定するのは、自分自身の意思だ。自らの意思なき存在に価値はない。 たとえ思考回路を有していようと、どう生きて死ぬかすら決められぬ貴様らは――ただの繰り人形にすぎない」 口と目を開いたまま、コロンビーヌは硬直する。 その間に、アルは三人にテレパシーを飛ばす。 『おい佐野! 軽トラックの入った蔵王をよこせ! 逃げるぞっ!』 それに対して、仲間たちがどういう反応をするのか。 返事を待たずとも、アルには分かってしまう。 そして、予想通りの答えが返ってくるのだった。 「イヤや」 「イヤよ」 繰り人形扱いされたコロンビーヌだけではない。 佐野だって、親友である犬丸から授かった能力を嘲笑われたのだ。 そんな相手に対し背中を見せて逃げるなど、とても認められるはずがなかった。 「……どうするの、アル?」 戸惑っている様子のレイラだったが、こうなってしまえば取れる手段は一つしかない。 レイラの魔本を手に、アルは自身を鼓舞するように叫ぶ。 「決まってるだろう! さっきも言ったように、僕は決して友達を見捨てないっ!!」 到底、勝てるとは思えない。 本気にさせてしまえば、もう終わりだ。 だから完全体にならないうちに、どうにか隙を作って逃亡する。 しかしテレパシーにてその計画を伝えたのは、レイラだけである。 佐野とコロンビーヌにそんな提案をしたらどうなるかなど、火を見るほど明らかなのだから。 【E-2 公園/一日目 朝】 【アル・ボーエン】 [時間軸]:第四部「アリス」編終了以降。 [状態]:健康、心の力(小) [装備]:レイラの魔本@金色のガッシュ!!、心眼@烈火の炎(自動人形の思考も読めます) [道具]:基本支給品一式、通信鬼@GS美神、ノートパソコン@現実、USBメモリ@現実 [基本方針]:施設を巡り情報を集める。殺し合いに乗っている者は倒す。 ※ルシオラの思考をある程度まで読んでいます。 【レイラ】 [時間軸]:魔本が燃え尽きた直後。 [状態]:大人化、ダメージ回復、心の力(小) [装備]:輪廻@烈火の炎 [道具]:基本支給品一式、居合番長の風呂敷@金剛番長、通信鬼@GS美神 [基本方針]:仲間達を守る。殺し合いに乗っている者は倒す。 ※輪廻で大人の姿となることで能力が上昇していますが、副作用で会場に来る以前の記憶が朧気になっています。 ※ガッシュ達が仲間であることは理解しています。 【佐野清一郎】 [時間軸]:ヒデヨシが仲間になってから、森の能力判明前。 [状態]:健康 [装備]:佐野の手ぬぐい@うえきの法則 [道具]:大量のてぬぐい@うえきの法則、軽トラック@現実、基本支給品一式 [基本方針]:仲間たちとともに脱出する。コロンビーヌと共にアルに同行する。 ※佐野の手ぬぐいは支給品ではなく、最初から装備してました。 【コロンビーヌ】 [時間軸]:本編で活動停止後 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:ランダム支給品1~3(確認済み、装飾品ではない)、基本支給品一式 [基本方針] さすらう。『生存目的』を見つけ出す。とりあえずアルに同行。 ※アポリオンは使用可。制限されているかどうかは不明。 【キース・シルバー】 [時間軸]:15巻NO.8『要塞~フォートレス~』にてオリジナルARMSたちがカリヨンタワーに乗り込む直前。 [状態]:健康、共振波を放出中 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式 [基本方針]:戦闘生命として、闘争を求める。 【支給品紹介】 【大量の手ぬぐい@うえきの法則】 佐野清一郎に支給された。 植木耕助担当の神候補・淀川が、佐野清一郎に送ったもの。 山ほどの手ぬぐいが箱に収納されている。 【軽トラック@現実】 佐野清一郎に支給された。 フツーのよくある軽トラック。略して軽トラ。 四輪モデルで、オートマ。 【USBメモリ@現実】 佐野清一郎に支給された。 中身は未確認。 投下順で読む 前へ:察知――君の現在位置 戻る 次へ:ゲェムを作る側から見た場合 時系列順で読む 前へ:察知――君の現在位置 戻る 次へ:ゲェムを作る側から見た場合 キャラを追って読む 062:天才アル・ボーエンの仲間達 レイラ 096:禁句 アル・ボーエン 佐野清一郎 コロンビーヌ 057:現在位置~Fly! You can be Free Bird~ キース・シルバー ▲
https://w.atwiki.jp/blazer_novel/pages/181.html
「…あー、まず…整理するとだな…」 マザー・セラより聞いた話は、当然ながらスティーブの想像を超えていた。 「俺達は元々いたオリジナルの人間の…代替品、で?」 スティーブは目の前にいる古代人三人の顔を見ながら話を始める。 「それをあんたら古代人が管理してて?」 セラとユーナがスティーブの話に頷く。 「で、ビートルジュースはあんたら古代人が千年前に戦ってた…古き…えー…神々?とかいうのの可能性が高い?」 「凡そ三千年前だ」 セラがスティーブの言葉を訂正する。スティーブは頭を抱えて言った。 「…スケールが大き過ぎて頭がついていかねぇな。ウィルクスもカーネルもそれを知ってたってことか?」 「そういうことだ」 その場にいた、スティーブ以外の古代人ではない唯一の人間――マーク・ウィルクスが肯定する。 スティーブはやがて眼を細めて言った。 「で、これは勿論他言無用か」 「セラ様とユーナ様は、いずれ全ての人間にそれを教えるつもりだ。だが、今は時期がまずい。古き神々との戦いが終わっていない以上、一般の人間達に無用の混乱を起こさせるのは得策ではない」 「いつ終わるってんだ?」 明らかに険を帯びたスティーブの言葉に、ウィルクスが口ごもる。 この質問に答えたのはユーナの方だった。 「ディグアウターズギルドが中心となって、水面下で戦いは続いてる。各島々の警察とも連携を取ってね。いつ終わるかは正直分からない。けれど、いずれ終わる。いいえ、終わらせる」 ユーナの言葉に、スティーブは気を取り直して腕を組む。 「で、詰まる所…俺が探すクロウ・エリュシオンという男も古代人で、かつて古き神々って奴らと戦ってたと」 「そういうことです」 そう言ったのは、長髪を後ろで纏めた古代人の女性――ゼゼだった。 「彼の尽力もあって、あの街にいた古き神々達は瓦解した。そして彼が私達やデコイ達を放って逃げるような人物ではないことを、私は知っています」 「だから、姿を消したのは誰も巻き込みたくないためで、恐らくそいつはプリズナの町に向かっていると」 スティーブが後を引き取った言葉に、ゼゼは頷く。 だがスティーブは、呆れ返っていた。 「馬鹿じゃないのか、そいつ」 「何を…!」 スティーブの言葉に、ゼゼが激昂するが、セラの視線が彼女の言葉を断ち切った。 そして、彼女が改めてスティーブに問う。 「どういうことだ」 「今のあんたらはそいつを心配してる。それは、そいつの価値観じゃ巻き込んだことにはならんのか?実際、そのせいで俺が巻き込まれたというのに」 「っ…それは…」 スティーブの指摘に口ごもるゼゼ。その様子を見て、彼は言った。 「まぁ、それについては、あんたらが良しとしてるなら俺にどうこう言う権利は無い。だが、もう一つ聞きたいことがある」 「聞こう」 セラが正面からスティーブを見据え、応じる。 スティーブは意を決して、言った。 「俺に依頼したのは、レイラも巻き込みたいからだな?」 そう言った瞬間、マーク・ウィルクスがセラの方に素早く視線を走らせたのを彼は見逃さなかった。 「何故そう思う?」 「簡単な話さ。俺みたいな、どこにでもいる私立探偵に、そんなことを依頼するのはおかしいからだ。お前らの組織力なら、あの街からプリズナまでの間の町々にいる警察に、クロウ・エリュシオンを探させれば済む話だ」 ここで言葉を切り、スティーブはその場にいる各々の人間の反応を見た。 「まぁ、そう言われちゃ頷くしかないわねぇ…」 バツが悪そうに、ユーナがそう呟く。 セラは感心したように頷き、ゼゼはただ俯くだけだ。ウィルクスはセラとユーナの方に視線を向けるのみだった。 やがてスティーブは言う。 「俺という人間を選んだのは、偏に地下の遺跡からあの子を連れて脱出したからで、詰まる所俺を通してあの子もこの件に関わらせたいってことだ」 再度言葉を切り、スティーブは言う。 「まさかとは思うが、あの子をビートルジュースと関わらせて、正体が何なのか探ろうってんじゃないだろうな」 一同を睨み、スティーブが言う。 ウィルクスが、覚悟したかのように言った。 「ここに来た時点で、あのレイラという子供に、簡単な検査をかけた」 無言でスティーブがウィルクスを睨む。 ウィルクスは言葉を続けた。 「まだ全ての結果が出たわけではないが、正常なデコイ…人間であるという結果しか出ていない。だがあの能力はハッキリ言って異常だ。ならば解明する必要がある」 「…一つ確認したい」 「何だ」 スティーブは、内心の緊張を抑えつつ、口を開く。 「お前達は、レイラの能力をどうやって知った?」 これはずっとスティーブにとって疑問だったことだ。 あの地下の遺跡からずっと、昨夜までレイラはスティーブと一緒だった。今目の前にいる者達に、レイラの力を知る術など無い筈だ。 ウィルクスは俯き、逡巡した様子だったが、やがて言った。 「我々の組織の一員が、お前が潜入したカジノに、同じように潜入したことがあった」 「そいつはどうなった?」 「…お前と同じだ。バレて、地下へ落とされた。そこであの少女の報告が入った」 「バレたのならそいつは、身体検査された筈だ。お前らに報告できるわけがない」 ウィルクスが冷や汗を浮かべて、セラを一瞥する。 セラは何かに肯定するように頷いた。それを見て、観念したようにウィルクスは言う。 「正確には『報告』ではない。視覚情報を我々に送信するようになってた」 「視覚情報…目を改造したのか」 ウィルクスは頷いた。 「それでも、地下の遺跡に落とされるのは想定していなかったせいで、入手できた映像は断片的だった。だが、あの少女がリーバードを使役していたのは確認できた」 一旦言葉を置き、再度ウィルクスは言う。 「そしてスティーブ・ハント。貴方が地下からあの子を連れて出てきた時、我々の人員がすぐに貴方を捕捉した。そして――」 スティーブが後を引き取る。 「待ち伏せしていたロワイアル・ファミリーの構成員を同士討ちさせるレイラの姿を見た」 ウィルクスが頷いた。 スティーブ自身、認めたくは無かったがそう結論せざるを得なかったのだ。 遺跡からレイラを連れて必死で出てきた時、黒いスーツを着た男達が機関銃を手にして二人を待ち伏せていた。 撃たれると思ったその瞬間、黒服の男達は互いを撃ち始めていた。 その時は何が起こったのか分からなかったが、今になってみれば分かる。アレは、他ならぬレイラがやったのだろうと。 次に言葉を発したのはセラの方だった。 「どうやら、リーバードの使役だけでなく、お主達デコイの行動も操作できるらしい。そう気づいたのはその報告を聞いてからだ。私とユーナは驚愕した」 「あんたら古代人でも、そんなことは無理なのか」 スティーブの問いに、いつもは気楽な雰囲気を漂わせているユーナが、珍しく真面目な顔で答えを返す。 「私達では無理ね。でも、それができるモノに心当たりならある」 「ユーナ様、そこまで話すのですか…!?」 隣のゼゼが、ユーナを見て驚愕した。その様子に、スティーブは目を細める。 「…無理に喋る必要は無い。というか、それ以上聞いたら深みにハマりそうな予感がする」 「大丈夫よ、もうハマってるから」 「…そうだよな、そんな気はしてた」 急にあっけらかんとした笑顔でユーナがそう言ったので、逆にスティーブはそう言って項垂れた。 依然として、ユーナが説明を行う。 「心当たりといったのはね、さっき説明した『古き神々』の事」 「あんたらが戦ってるという奴らの事か。そいつらの中に、そんな芸当ができる奴がいると?」 ユーナが首を振る。 「ううん、幾ら『古き神々』でも無理。ただ一つを除いて」 「一つ?」 「デウス・エクス・マキナ」 ユーナが発したその単語に、スティーブは疑問符を浮かべるしかなくなっていた。 「何だそりゃ」 「うーん、一言で説明するのが難しいわね。『古き神々』達と深い関りのあったシステムの一つ…と言って分かるかしら。クロウ・エリュシオンの関わった戦いの結果、もうこの世から消えたものだけど」 「システムの一つ?良く分からんな…」 ユーナは頷く。 「そうね、これは急に説明されても理解が難しいでしょう。こう覚えておいて…世界中の人間を操れるシステムが存在したって。でも、ある科学者の作成したコンピュータウィルスの力で、そのシステムは消去された」 「ふむ…世界中の人間をどうこうできるシステムがあったが、今は消去されたと」 「そういうこと」 先程から、会話の内容があまりにも現実離れし過ぎて、スティーブは自分の頭がおかしくなっているんじゃないかと疑い始めていた。 頭を掻き、やっとのことでスティーブは言う。 「あー、話を戻そう。つまり、あんたらはかつて存在したシステムとやらの力が使えるレイラの能力の謎を解明したい、そしてクロウ・エリュシオンを見つけ出したい。この二つの理由から、俺個人に機密情報を明かして調査を依頼している。これでいいな?」 「その通りだ」 セラが肯定し、ユーナ、ゼゼ、ウィルクスも頷く。 肯定された時点で、スティーブは意思を固めた。どう議論を着地させるか、という意思を。 「だとすると、一つ言っておく」 そう言ってスティーブは目の前の古代人達を、改めて――睨んだ。 「俺はレイラをビートルジュースと会わせることには反対だ。危険過ぎる」 セラとユーナはスティーブの言葉に頷く。 「ああ、その点については同意する。私も、あの少女とビートルジュースを対面させるのはリスクが大きいと思っていた」 「ええ、セラも私も、そんな極端な方法はできれば取りたくない。でも、解明が必要なのも確かなのよね…」 「どうやらそうらしいな。だから、一つ提案がある」 スティーブの言葉に、その場の全員が彼に視線を集中した。 「レイラ自身に決めさせる」 「馬鹿な。人間の思考を読めるとはいえ、精神年齢はまだあの身体相応の筈だ。そんな子供に、自らの今後を決めさせるわけには…」 ウィルクスの抗議に、スティーブは首を振る。 「いいや。ここまで一緒に旅してきた末の結論だが、レイラには今後を一人で決めるだけの分別がある。そして俺は、そのためにここまで連れて来たと言ってもいい」 死ぬ時までレイラの身を案じていたマーガレット・カーライルの姿を脳裏に浮かべ、スティーブはそう断言した。 「しかし…!」 「それでいいんじゃない?」 食い下がるウィルクスに対し、ユーナは少し考えつつも、そう口を挟む。 「結局、私達も彼女をどうすべきかは意見が分かれてる。それなら、彼女自身が決められるなら決めるのが一番よ」 「だが、それでビートルジュースとの対面を望めば、危険なことに変わりは無い」 やはり思案した様子だったセラが、ユーナよりも少し慎重な意見を述べる。 そして、セラはスティーブを見据えると、言った。 「先刻も言ったが、私もお主と同意見だ。レイラとビートルジュースを会わせるのは危険過ぎる。故に、彼女がそれを望めば、リスクを受け持つのはお主だ、スティーブ・ハント」 セラの視線を正面から受け止め、スティーブは意を決して口を開く。 「…俺はレイラみたいに超能力染みた力が使えるわけじゃない。だから、ビートルジュースがそういう相手だったとすれば、レイラの身は保証できないかもしれん。それでも、俺は俺にできる範囲でレイラを守るつもりだ」 スティーブの回答を聞いていたセラは、やがて言った。 「お主の意思は良く分かった。ならば…」 言いつつ、セラの視線がスティーブから、傍らにいるゼゼの方へと向く。 「ゼゼ、レイラがプリズナへ行くとなった場合、お主も同行して欲しい」 「…ええ、分かりました」 それを予想していたかのように、ゼゼはすました顔で返答する。 予想できなかったのはスティーブの方で、こう呟くのが精一杯だった。 「…マジか」 やがて、ウィルクスが話題を切り替える。 「それで、クロウ・エリュシオンの居場所だが…」 ウィルクスがそう切り出すのを、スティーブは覚悟していた。 「結局の所、俺達にできるのはプリズナの町で待ち、探すこと。それだけだ」 言いつつ、彼は目を細める。 「そもそも、レイラをビートルジュースと会わせるつもりなら、いずれにせよプリズナへ向かうしかない。そうじゃないか?」 「それはそうだが…最初からプリズナに狙いを絞るのは何故だ?」 ウィルクスの問いに、スティーブはうんざりした。 ただでさえ気の進まない結論だったのに、これ以上説明してやる必要があるのか、と。 それでも、今は彼らが依頼人だ。仕方なく、彼は理由を一から十まで言ってやることにした。 「第一に、そもそも俺はロワイアル・ファミリーに狙われてて街に戻れない。第二に、クロウ・エリュシオンを探す手がかりがプリズナの町にしかない。第三に、ここまで話を聞いた限り、そいつが過剰なまでに責任感のある奴だというのは分かった。だとすると、まず間違い無く、そいつなりの方法でプリズナに向かっているだろう」 言葉を切り、全員の顔を確認する。スティーブの話を遮ろうとする者はいなかった。 そのため、彼は最後まで話を言い切る。 「そうなると俺達にできるのは、俺達もプリズナの町へ行き、そいつが着いていなかったら待つ、着いていたら探す。それだけしかない」 「しかし、姿を消した当時の彼は、我々のような組織のバックアップも無しで、金も武器も無い。どうやってプリズナへ行くというんだ?」 ウィルクスの異議に、発言したのはゼゼの方だった。 「いえ、彼の身体能力なら、光学迷彩が無くても列車や船に潜入することは可能でしょう。そう考えると、もう我々より早くプリズナへと先行しているかも」 「だが、本当にもうプリズナへ向かっているか確証が…」 「街の方は俺達が探さずとも警察が躍起になって探し回ってるんだろ?もし俺の推理が間違っていたとして、街に潜伏してるならそれはそれで俺の出る幕は無い。警察の内部情報はカーネルが送ってくれるらしいしな」 ゼゼとスティーブの言葉に、納得するしかない様子のウィルクス。 「決まりだな」 正直、寒い思いをして雪国になど行きたくも無かったのだが、スティーブは改めて覚悟を決めた。 「ふーん、北の町ね…」 「ああ、これからしばらく雪国へ行ってくる」 レベッカとレイラのいる部屋に戻ったスティーブは、これからプリズナへ向かうことを二人に話した。 そして、スティーブはレイラの前に行くと、腰を下ろして目線を合わせる。 「レイラ、連中はお前も一緒に行かせたいそうだ。だが俺はお前が行かないと言ったら絶対に連れて行かせないようにする」 『そこに何があるの』 頭の中にレイラの声が響く。正直声に出して言えと言いたかったが、むしろレベッカもいる以上、重要な話は脳内で行った方が良さそうだと判断した。 なのでスティーブは、自分の考えを頭の中に思い浮かべる。 『ビートルジュース。お前を改造した野郎が、ここから北にあるプリズナの町で何か企んでるらしい。ウィルクス達は、お前をあの男に会わせれば、お前の能力が何なのか解明できることに期待してる』 『あの人達は、私が何なのか知りたいの?』 頭の中に再度、レイラの声が響く。 やはり、レイラは人の考えを読み取れるのだ。今までの道中でとっくに判明していたことだが。 『ああ。お前、人と頭の中で会話できるだけじゃなく、人の行動を操れるんだろう』 少しばかり、レイラの眼が見開かれる。 スティーブの脳内での言葉に、驚愕しているのは明らかだった。 彼は続けて脳内で言葉を紡ぐ。 『俺達が遺跡から這い出してきた時に待ち伏せていた黒服達。あいつらを同士討ちさせたのもお前の力だろう』 レイラは、ゆっくりと頷いた。 『それに、あなたが痛みを感じないようにした』 『!そういうことか…!』 スティーブの過去の記憶が蘇る。 遺跡の底で、リーバードの攻撃を喰らって息も絶え絶えだった時、レイラに差し伸べられた手を握った際、痛みが引いていくのを感じた。 アレは自分の痛覚を一時的に遮断してたのか。そうスティーブは合点する。 その後、レイラが気絶した時に、スティーブの全身の痛みは戻ってきた。それも辻褄が合っている。 その事実に納得し、スティーブは再度頭の中で、レイラに問う。 『俺はお前とビートルジュースを会わせるのは反対だ。奴が何をするか分からない。危険だと思う』 少しばかり目を瞑り、そして意を決して、スティーブは続きを頭の中で紡いだ。 『だが、お前は自由だ。自分の事が知りたいなら、ついていく事もできる。もうあの狂人と関わりたくないなら、ここに残って今後の身の振り方を決めることもできる』 彼女は、明確に決めることができるだろうか。そんな不安が無いではなかったが、スティーブは固唾を呑んでレイラの反応を待った。 「私は…」 レイラは、口に出して言葉を紡いだ。 「私が何なのか、知りたい」 スティーブはレイラの眼を見て、頷いた。 「なら、決まりだ」 「私も行くわよ」 スティーブが何か言う前に、傍らにいたレベッカが言う。 その一言に、彼は驚愕せざるを得なかった。 「聞いてたのか!?」 「今のやりとりで何秒かかったと思ってるの。テレパシーでどんな会話したかくらい予想できるわよ」 いつのまにやら小賢しくなったな。そう思いつつ、スティーブは無駄な抵抗を試してみた。 これで何度目だと思いつつ。 「分かってるのか?街にいつ戻れるか分からんぞ」 スティーブの言葉に、レベッカは揺るぎ無い目で答えた。 「忘れてるだろうけど私はジャーナリストよ。スクープがあるならどこにだって向かう」 「報道できるか分からんぞ」 「できるかできないかじゃない。それに、ここまで来てドロップアウトは御免よ」 分かっていたものの、やはり折れる様子は無い。 スティーブは目を瞑り、言った。 「全く、どいつもこいつもリスクを考慮に入れない馬鹿ばっかだ」 「あんたにだけは言われたくない」 「はぁ…」 廊下を一人歩くスティーブは、気が付くと溜息をついている自分に気づいた。 プリズナへ向かうのは決まったものの、このままマフィアに分断された街を放って行ってしまっていいものなのか。そう考えてしまったからだ。 しかし、今までにロワイアル・ファミリーと因縁を持ち過ぎてしまった。しばらくは街に戻れないのが現状だろうと思い直す。 だが、いずれ必ず戻らねばならない。ルシウス・サイファーとは必ず決着をつける。そうスティーブは決意していた。 そうして、ウィルクスから教えられた休憩所へと向かう。目当てはそこにある、喫煙室だったのだが。 「!」 辿り着いた喫煙室には先客がいた。 それがカーネル・ジョンソン警部の姿だと、遠目からでもスティーブには判断できた。 「街に戻るんじゃないのか?」 喫煙室に入るなり、煙草を吸っているカーネルに声をかけるスティーブ。 「街へ行く列車の出発までまだ時間があるんでな」 カーネルの言葉に頷き、スティーブも煙草を咥えて火を点ける。 そして一口目の煙を吐くと、その様子を見ていたカーネルが口を開いた。 「この世界の事は聞いたな」 「ああ」 「自分が如何にちっぽけな存在か理解できたか?」 カーネルの問いに、スティーブは苦笑しながら首を振る。 「悪いが、俺はそんなに頭が良くないもんでね。どんな目的で俺達が存在してようが、古代人が俺達をどう扱ってようが、そんなことどうでもいいんだ」 スティーブの返答に、カーネルは彼を睨みつける。 「何も感想は無いというのか?」 「無いな。そもそも俺は、誰かに指図されるのが嫌でこの稼業やってるんだ。だから世界がどうとかなんて、説明されてもどうとも思わん」 「…度し難いな。益々貴様をこの件に引き入れたのが理解できん」 「何とでも言え。俺は、自分の仕事と生活と依頼人を守るので手一杯なんだよ。探偵にそれ以上を求めるなって話だ」 スティーブの言葉に、しばしカーネルは沈黙した。 だがやがてポケットから何かを取り出すと、それをスティーブに差し出す。 「不本意だが、仕方ない」 「?」 カーネルが差し出したのは、カーネル自身の名刺だった。 「プリズナに、サマンサ・スペードという刑事がいる。俺の知り合いだ」 「…どういう風の吹き回しだ?」 急にカーネルが己のコネクションを紹介したことに、スティーブは疑問に思わずにはいられなかった。 そんなスティーブに対し、不愉快そうにカーネルは言う。 「ウィルクスに渡すつもりだったが、奴はマザー達に付いてプリズナには入らんそうだ。そうなると貴様しかいない」 「なるほど…」 言いつつ、スティーブはカーネルの名刺を受け取ると、電灯に翳して書かれている内容を見る。 「で、お前とそのサマンサ・スペードの関係ってのは…」 とスティーブが話しかけた時には、カーネルはもう喫煙室から去っていた。 「…ったく。言うだけ言って出て行きやがった」 それから、カーネルの名刺をしまって煙草を吸い、この先の事について色々と思案しているスティーブだった。 喫煙室にはベンチもあったが、座る気にもならずに彼はその場に突っ立ったまま、ずっと考え続けている。 するとやがて、喫煙室に別の人間が入ってきた。 スティーブが見た覚えのない人間だ。黒いスーツに長身、金色の長髪を後ろに撫でつけており、銀縁の眼鏡をかけていた。 その人物は見覚えのない銘柄の煙草を取り出すと、それにライターで火を点けようとする。 だが、ライターのオイルが切れてしまっているらしい。中々火が点かず、苦心している様子だった。 「ん」 見かねてスティーブが近づき、ライターを差し出して火を点ける。 「ああ、すまんね」 スティーブから火を借りて、彼は煙草に火を点けた。 ゆっくりと吸い、そして煙を吐く。 「ふーっ…」 「…」 「所で、君はスティーブ・ハントだね?」 「…ああ、そうだ」 「心の底から絶望した時に、これを飲むといい」 「…ありがとよ」 「これで君は、スペードの3だ」 「…そうかい」 「ーブ…スティーブ…ちょっと、スティーブ!!」 「どわっ!?」 耳元からの怒鳴り声に、スティーブは溜まらず目を開いた。 目の前にいるのはレベッカだ。喫煙室の入り口にはレイラの姿も見える。 気が付けば、スティーブは喫煙室のベンチに座っていた。 「何でこんなとこで寝てるのよ」 「レベッカ?俺、寝てたのか」 「ぐっすりね」 憤然とした様子のレベッカに、スティーブは狐につままれたような気分に陥った。 この喫煙室に来て煙草を吸ったのは憶えている。カーネルと問答をし、そして名刺を渡されたことも。 ポケットを探ると、カーネルの名刺は確かにここにちゃんとあった。 その後に誰かと話し、何かを渡されたような気もする。コートのポケットを色々と探ってみたが、目新しいものは特に無かった。 「疲れてるのか、俺…」 「走行中の車からダイビングしたらそうもなるわよ」 「…嫌に引っ張るなその話題」 「じゃああんな無茶は金輪際やめてよね」 「…そいつは、保証できん」 「何ですってぇ!?」 もう何言ってもレベッカが怒りそうだな。そう思ってふと出入り口を見ると、レイラがクスクスと笑っていた。 「ホラ、子供に笑われてるぞ。とっとと行こうぜ、プリズナ行きの船はもうすぐだろ」 「そう!それを言おうと思って探してたんだから!!」 益々怒り出すレベッカ。うんざりしつつ、このままこいつらとプリズナへ行くのかと思うと憂鬱半分、退屈もしなさそうだという思いが半分のスティーブだった。 そして、長い船と列車の旅の果てに、彼らもプリズナの町へ向かう。 第三章へ 続・雪の町に集う者たち・目次
https://w.atwiki.jp/sentai-soubi/pages/1311.html
【名前】 醒剣ブレイラウザー 【読み方】 せいけんぶれいらうざー 【音声】 佐々木健 【登場作品】 仮面ライダー剣 など 【初登場話】 第1話「紫紺の戦士」 【分類】 専用武器 【所有者】 仮面ライダーブレイド 【必殺技】 ライトニングスラッシュ など 【詳細】 仮面ライダーブレイドが所持する剣型の覚醒機【ラウザー】。 ブレイドの左腰にあるラウザーホルスターへ収納され、 オートロック機能によってブレイドの変身者以外には着脱不可能。 ラウズカードを12枚まで収納可能なオープントレイが内蔵され、トレイを円状に展開してカードを引き抜く。 刀身横のスラッシュ・リーダーにラウズするとベスタの効果を発揮。 普段はブレイドのメインウェポンとして使用され、オリハルコンプラチナを極限まで研磨したオルハルコン・エッジは地球上の固形物質全てを斬り裂くことが可能。 ブレイド以外の者がホルスターから引き抜くのは不可能だが、第32話ではスカラベアンデッドの時間停止能力で動きを止められた際に、キングに引き抜かれて一時奪われ逆利用されていた。 初期APは5000であり、カードをラウズするたびにAPが消費さてていくために無尽蔵にカードを使い続けることはできない。 ラウズカードを複数枚読み込むと、カードコンボを発動でき、最大3枚までの連続ラウズにより必殺技を発動する。 ジャックフォームとなるとディアマンテ・エッジという刃が刀身の部位に追加され、初期APも7400にパワーアップされる。 【ガッチャード】 ゴージャスブレイドが使用しており、名称は公式サイトでは便宜上は「Lブレイラウザー」となっている。 更にラウズカードを用いたライトニングブラストを発動している。
https://w.atwiki.jp/blazer_novel/pages/163.html
「マーガレット…?」 その名を、目の前の少女が言った。 少女の周囲には鉄の獣達が囲むように闊歩し、その全てが威嚇するようにその巨大な顔面を俺に向けている。 だが、そんな事実は今の俺にはどうでも良くなっていた。 言葉を発するのも億劫だ。だが、この手に持った銃だけは下げるわけにはいかない。 手に持つ銃はダンベルでも持っているかのように重く感じられたが、それでも俺は思考をやめなかった。 何故今、この少女はマーガレットの名を呼んだ? 今ここには、俺しかいないのに。 確かに、昨日まで俺はマーガレット・カーライルから依頼を受けており、そして彼女の死まで見届けてしまったが。 俺の姿から、どうやって彼女の気配を読み取った? この反応から見るに、俺の姿を目にした時にそれを察したようだったが。 駄目だ。疲労と全身の痛みから、考えが纏まらない。今こそこれまで培ってきた頭脳を使うべき時だというのに。 だが、一つだけ分かることがある。俺は銃を突きつけた体勢のまま、口を開いた。 「お前…『レイラ』か」 俺の言葉に、ゆっくりと少女は首を縦に振る。 レイラ。マーガレット・カーライルが俺に捜索を依頼した少女。 彼女の話だと、ロワイアル・ファミリーに身柄を拘束され、ある研究施設で実験台となっているとかいう話だった。 だが…まさか、これが実験の成果だというのか。 こんな――鉄の獣を操るだけの力が。 「はは…悪趣味なジョークだ」 そう言って、俺は遂に銃を取り落とした。もう握っている体力も無くなったからだ。 金属音がその場に木霊する。 もう意識すら失いそうだった。 そんな俺の顔をただずっと少女が眺めている。 一言も発しない。 ただ、ずっと俺の顔を見つめたまま。 かと、思った。 『生きたい?』 頭の中に、声が聞こえた。 遂に俺の気が狂ったか? 目の前の少女は、ただ俺の顔をじっと見つめているだけだ。 「(一体なんだ。どうなってる)」 頭の中で浮かべた問いに、返事は来なかった。 その代わり、少女は俺に向かって、手を差し伸べた。 頭では、それを拒否している筈だった。 だが実際には、俺の手はその手を掴んでいた。 そして、その瞬間に、全身から感じていた痛みが、嘘のように消えていた。 「ああ、糞。一体どうなってんだ。さっきから」 俺は立ち上がった。やはり、先程までは少しでも動けば全身に激痛を感じていたのが、今では普通に立てる。 そして、俺は少女を見下ろした。立ち上がった今では、その少女の背がかなり低いことが分かる。年齢は10歳行っているかも怪しいものだった。 その少女は、俺の顔を見つめたまま動かず、言葉も発しない。 だが―― 『そう。探偵なの』 まただ。再び頭の中に声が響き、俺は壁を背にしたまま反射的に少女から横へ一歩離れた。 「何だ。何なんだお前」 『そう。マーガレットは…』 「やめろ!!」 広大な空間に、俺の叫び声が木霊する。 それで漸く頭から声が聞こえなくなった。 しばらく、俺はこれからどうすべきか必死に考えた。 分からないことが多過ぎる。 だがまずは、色々と…はっきりさせておくべきだと思った。 だから、俺はその場に片膝をつき、少女と目線を合わせると、言った。 「…何故、俺を助けた」 少女は、しばらく俺の言葉の意味を思案している様子だった。だが、やがて俺の望み通りに、口を開いて言葉を発した。 「私の…知ってる、人を…助けて、くれた…から」 長い文章を口で発するのに慣れていないのかもしれない。少女はかなり苦労した様子でそれだけ口にした。 「しかし、他の人間は…!」 そこまで言いかけて、俺はやめた。 今は人殺しを糾弾している場合じゃない。そもそもがこれを計画しているのはロワイアル・ファミリーだ。 それより、俺は今自分に残っている…依頼を完遂すべきだろうと思った。 「マーガレットから、お前を助けてほしいと言われた。だから選べ。ずっとここで冷たいペットに肉を食わせて過ごすか、それともここを抜け出すか」 俺の言葉に少女はしかし、目を伏せた。 俺の言葉が理解できなかったのか、それとも単純にずっとここにいたいのか。いずれにしろこの反応では返答はノーなのか。と諦めかけた時だった。 『ごめんなさい。この方が話しやすいの』 また、頭の中に声が聞こえた。 『ここにずっといるつもりなら…あなたを助けてない』 「…いいんだな?」 少女は、頷いた。 それで十分だった。 周りの獣を見回す。やはりこちらを襲ってくる気配は無い。 そう思っていると、また頭の中に声がした。 『大丈夫。この子達は私を襲わない。だからあなたも襲わない』 「…つまりお前と離れたら命は保障できないわけか」 そのまま俺は、少女――レイラと手を繋ぎ、遺跡の中を歩き出した。 しばらく歩くと、やがて広大な空間の終わりが見えてきた。 先程俺が入ってきた扉と同じようなものが、次第に近づいてくる。 そこで、俺は立ち止まった。 「(ちょっと待て。このまま脱出は本当にできるのか?ロワイアル・ファミリーがレイラを…いやこの賭け全体を管理しているのなら、こんな事態を予想していないわけは…)」 「大丈夫」 俺の思考を断ち切るかのように、レイラは俺の手を強く握ってそう言った。 反射的に、俺はレイラの顔を見る。 「…どういうことだ」 「今は、考えるより、急いで」 レイラも、俺の目を見据えてそう言った。 仕方ない。ただでさえ俺の常識から外れた世界だ。今はこの小さな娘に頼る他無い。 そこまで考えて、不意に気づいた。 先程俺がいた部屋。あそこにいた男達は、身体に電子機器などを付けている様子は無かった。そして俺もそうだ。 なら――あの賭け場のホールにあったモニター。あれに映っていた映像は、どうやって撮影していたんだ? 考えてみれば、あの映像には謎が多い。 撮影された映像には、遺跡の中に放り込まれて焦る男の様子が映っていた。 だが、肝心のその男の姿は映らず、ただ息遣いや声しか聞こえなかったのだ。 なので、てっきり男がカメラを担いでいるか、それとも身体のどこかにカメラを固定していたのかと思ったのだが。 今俺の身体のどこにもカメラを付けられた様子は無いし、最初の部屋で目覚めてからも身体のどこかにカメラみたいなものが取り付けられていた様子は無かった。 「…奴らは…どうやって撮影を…?」 歩きながらそう呟く。やがて、一緒に歩いていたレイラがまた口を開いた。 「ここから…出れば、受信、できなく…なる」 「…受信?」 レイラは頷いた。 受信?テレビ局のようにか。だがそれは俺の疑問の答えになっていない。 受信する映像をどうやって撮ってるんだ? それをしばらく考えたが、やはり答えは出なかった。 やがて扉の前まで着き、扉を開く。その先は廊下となっていた。 その廊下は狭く、後ろにいる鉄の獣達が入れる余地は無い。 「…ここから先は大丈夫なのか」 『この遺跡のことなら心配ない。私に攻撃できるリーバードはいない』 まただ。また頭の中でレイラの声がした。 先程から口で発音するのが辛そうだったのは分かったが、それでもこの方法で答えられるのは気持ちが悪かった。 「ああ、分かったよ…!」 なので、あえて俺は口に出して答える。語気を強めて。 そのまま、俺はレイラと共に薄暗い遺跡の中を歩いていった。 そこから先の道のりは長かった。 どれくらいの時間歩いたのかは定かではない。同じような壁、床、天井の道がずっと続くせいで、時間の感覚が麻痺したからだ。 途中、少し広い部屋みたいな所を幾つか通り過ぎた。部屋の中央には決まって禍々しい形をした機械――恐らくリーバードとかいうものだろう――がいたが、どれも一様に動きを見せなかった。傍を通り過ぎてさえ。 それから、もう一つ気がかりなことがあった。恐らくは数時間歩いたというのに、俺の身体は全くといっていいほど疲れないのだ。その事実が、俺に不気味な感覚を与えた。 一体、傍にいるレイラの手を握った時から、俺の身体はどうにかなってしまったんだろうか。 そんな俺の胸中とは裏腹に、やがて出口と思われる所まできた。 白い台座と、それに備え付けられた操作盤。 これも図書館の資料で見た覚えがある。遺跡の出入口となるエレベーターだ。 「ここが出口か」 隣のレイラは、ただ頷く。 だが、俺は躊躇した。 まずこの事態はロワイアル・ファミリーにとっても緊急事態だろう。 となれば、遺跡の出入り口付近を固めているに違いない。いくらディグアウターズギルドでも、たかが一都市の地下にある遺跡の出入り口を24時間監視などできまい。 そうなると、俺とレイラが外に出た瞬間にロワイアル・ファミリーの手下共に囲まれる可能性もあるわけだ。 だが、だからといってここにいるわけにもいかない。 食料も水も無いここで一体何日生きられるというのか。そうなるくらいなら、遺跡から出て一息に死んだ方がマシだ。 「もう一度確認しておく。この先にはどんな危険があるか分からん。それでも…お前も来るんだな?」 レイラに視線を向けて問う。少女の答えは変わらない。ただ無表情で頷くのみだった。 そして、俺達は意を決して、エレベーターに乗った。 「あー…予想通りか」 エレベーターを出て遺跡の入り口を出た瞬間、俺とレイラは黒服の男達に取り囲まれていた。 全員一様に黒いスーツとサングラスだ。分かりやすい。 「…マクスウェインはいないのか?」 俺の質問に、男達は答えない。全員無言で銃を向けている。 どこかと連絡を取っているらしい奥にいる一人を除いて。 さて、流石にこの状況で言い包められる材料は持っていない。一応銃はあるが、何発入っているかは確認できないし、そもそも装弾数以上の人数だ。とても突破は無理だろう。 「分かったよ。殺すなら…」 銃声。 一瞬、撃たれたのかと思った。だが違った。 黒服の一人が、奥にいる連絡を取っていた黒服に向けて撃っていた。 「!!?」 「な…お前何してる!!」 「え?あ…え?」 そんな会話が繰り広げられるが、その場にいる全員が、唖然とした顔だ。 何より奇妙なのが、発砲した黒服さえも呆然としていることだった。 『もう少し待ってから、逃げて』 また頭の中から声だ。レイラの方を向くと、彼女は俺の目を見て頷いていた。 次の瞬間、その場にいた者達が大恐慌に陥った。 黒服達が同士討ちを始めたのだ。 「お前、何で」 「わかんねぇよ、何で今俺は」 「待て、やめろ、撃つな!!」 そんな会話を聞き流しながら、俺は行動するしかなかった。 数秒後、俺は混乱に陥るマフィアの手下達を尻目に、レイラと共に路地裏を駆けていた。 「おい…今のはお前の仕業か!?」 路地裏を駆けながら、俺はレイラにそう話しかける。 いつのまにか、レイラを小脇に抱えたまま俺は走っていた。 路地裏から路地裏へ。とにかく、人のいない場所へ。 いつのまにか民家の庭すらも横切っていた。 「方法、無かった」 短い返答。一体どうやって、と聞こうと思ったが、今はそんな問答をしている状況ではない。 俺は路地裏を駆け抜けながら、どうやってこの状況を打破するか必死で考えていた。 まずここはどこだ?流石にこの街の遺跡の出入り口がどこにあるかなんて図書館で把握していない。 一軒家が多い。高級住宅地という奴だろうか。マンションも所々にある。 どこと無く見覚えのある場所だった。前に何かの調査で来た所か。 どこかに身を隠す必要がある。ここから俺の事務所までどれくらいあるだろう?いや、俺の事務所や自宅は張り込まれている可能性が高いか。 ならば警察か。仮に警察で先程見た光景をカーネルやエリスに話したとして、信じてくれるだろうか。物証も無い今、エリスはまだしもカーネルが100%信じてくれるとは思えなかった。 その二人で思い出した。マーク・ウィルクスは何をやっているのか。 別れた時に迎えは出せないと言っていたし、この後警察と合流すると言っていたが。今も殺し屋の集団を検挙中か? そう言えば、警察は今ロワイアル・ファミリーが開催した狂ったゲームにかかりきりだった。ということは俺とレイラが出頭したとして、保護してくれるかは期待すべきではないだろう。 前にマクスウェインが言っていた。警察の中にもロワイアル・ファミリーの息のかかった奴らがいると。下手をすればそいつらに見つかり、また遺跡の底に逆戻りする可能性だってある。 「くそ、孤立無援か…!」 手近なバスにでも乗って移動するか? そう思っていた時だった。 「ごめん、なさい。もう、力が…」 脇に抱えていたレイラが、そう呟いた。 「大丈夫か?…!!?」 その瞬間、俺の全身に激痛が走った。 思わず、抱えていたレイラをその場に落とす。 あまりの痛みに、立っていられない。 「ガハッ!!」 その場で吐血した。一体俺の身体はどうなってしまったのか。 その場に両手と両膝を着き、かろうじて俺は倒れるのを免れていた。 ふと傍に目をやると、レイラの方はその場に倒れ、目を閉じている。意識を失ってしまったのか。 「くそ…こんな、所で…!!」 俺は痛む全身を鞭打って、傍に倒れているレイラの手に全力をかけて手を伸ばした。 目を覚まし、即座に上体を起こす。 途端に全身に激痛が電流のように走る。痛みに思わず呻き声を上げた。 あの後、どうにか立ち上がり、レイラを連れて歩き出した。そこまでは記憶にあるんだが、そこから先が無い。 「ここは…」 そこまで言いつつ周囲を見て、俺は凍りついた。 鉄製の巨大なロッカーが周囲を取り囲み、俺が寝ていたのは鉄製の寝台だった。 ロッカーの形状で分かる。ここは死体安置所だ。 そして、俺が今寝ているのは死体が解剖される手術台だ。 「…いつの間に死んでたんだ俺」 「ようやく目、覚めた?」 そんな俺に声をかけたのは、赤みがかった癖のあるブロンドの髪に青白い肌をした、白衣を着た痩せた女だった。 「ベアトリス…!?」 「何その驚き方」 暢気にそう言いつつ、手にしたマグカップからコーヒーを飲む女――ベアトリス・ファーガソン。 俺は前の依頼で彼女から情報を入手したことがあった。だが、その後情報提供者が次々と殺され、また彼女とも連絡が取れなくなったので、てっきり死んだかと思っていたのだ。 「…俺は、何故ここに?」 「こっちが聞きたいわね。夜中にこのモルグ(死体安置所)の前であんた達が倒れてたから、ボブがここに運んだんだけど」 ボブとは、前にここで会った警備員の名前だ。太っていていつもドーナツをパクついている。 それはともかく、『あんた達』と言われて俺は安堵したが、急いで確認した。 「俺の他に誰かいなかったか?」 「あんたが子持ちだったのは予想外だったわ。向こうのソファで寝てる」 勘違いを否定するより先に、今度こそ俺は安堵した。レイラをどこかに置き去りにはしなくて済んだわけだ。 「よく救急車を呼ばなかったな。死人専門だろ、ここ」 「呼ぼうと思ったけど、あんたがうわ言で『警察は呼ぶな、救急車もだ』って何度も言うから」 そう言いつつ、ベアトリスはコーヒーメーカーから別のマグカップにコーヒーを淹れ、俺に差し出した。 俺はそれを受け取ると、自分の身体を見下ろす。 いつのまにか着ていたスーツはズボン以外無くなり、上半身には包帯が巻かれていた。 「怪我はどの程度だ?」 「普通に入院してたら全治半年は優に越えるくらいね。手足の骨が折れてなかったのは幸いだけど、肋骨の何本かは折れてたし、内臓にも損傷があった」 そこまで言って、コーヒーを一口飲んでから、ベアトリスは不意に鋭い目で俺を睨む。 「正直言って、生きてるのが不思議なくらい。というかもう少し発見が遅れてたら確実に死んでた。何やったの?」 「…話すと長いし、話したらあんたの身が危険なんだがな」 俺もコーヒーを飲みつつ答える。俺の答えに満足したのかベアトリスは頷くと、口を開いた。 「じゃあ質問を変える。あの子は…何者?」 レイラはベアトリスの頭の中にも話しかけたのか。そう思ったが、まだ確定ではない。とりあえず俺はシラを切ってみた。 「それはどういう意味だ。俺の子供じゃないことは確かだが、あんたには何か別の生き物にでも見えるのか?」 俺の言葉に対して、ベアトリスの反応はそっけないものだった。 「そう。別に何も思わないならいい。ああそれと、あんたを運び込んだ時、あの子頭を怪我してたから、包帯を巻いておいた。勝手に外さないでね」 「…頭を?」 俺はそう言うと、手術台から降りた。 途端に全身を激痛が駆け巡る。 「ぐ、うっ…!!」 「別に私の忠告を無視するのは構わないけど、だったら自分一人で何とかして。例えば勝手にそこから降りておいて私の手を借りようとするとか御免よ」 辛辣な物言いだな。そう思いつつ、周囲にある移動式の椅子やら棚やらを手がかりに、俺は隣の部屋へ移動した。 先程も言ったが、上半身裸で裸足だ。寝ていた時は申し訳程度に薄い毛布がかかっていたから感じなかったが、ここは酷く寒かった。 隣の部屋は、ベアトリスの仕事部屋らしい。 雑多な書類が積まれた事務机と幾つかの棚。そして部屋の中央にソファがあり、そこで先程の俺と同じように毛布をかけられて寝ているレイラの姿があった。 先程ベアトリスが言ったように、頭には包帯が巻かれ、左目まで覆っている。 俺は後ろをついてきていたベアトリスに言った。 「…そんなに酷い怪我だったのか?」 「命に別状は無い。けど、位置が微妙でね。刺激すると失明の危険があるから、包帯には触らないであげて」 そう言われたら従うしかない。 しかし疑問なのは、俺の記憶にレイラが頭を怪我した場面が無いことだった。 「そうだ。今何時だ?すぐにここから出なけりゃ」 「もうすぐ6 00だけど」 腕時計を眺めて、暢気にベアトリスはそう言う。 俺は痛み交じりではあるが漸く自由になってきた身体を動かし、周囲に目を走らせた。 「俺が着てた衣類は?それを受け取ったらすぐにここを出て行く」 「却下。さっきも言ったけど、あなた絶対安静よ」 「ベアトリス」 俺は彼女の名前を呼び、その顔を睨んだ。それでようやく事の重要性が伝わったらしい。 ベアトリスは目を細めると、勝手にしろとでも言うように肩を竦める。 「そこにある引き出し。全部入ってる」 「礼を言う」 俺は言われた通り、左にあった棚の下側にある大きめの引き出しを開ける。 果たして、そこに俺の着ていたコートやボロボロのスーツが入っていた。 服を着て、俺はレイラの肩を揺すった。 「おい、起きれるか?」 レイラは最初呻き声を上げていたが、やがて薄く目を開ける。 『外を見て』 途端に、頭の中で声が響く。 だからそれはやめろ。俺はよっぽどそう怒鳴ろうかと思ったが、その前にむしろ言われた内容の方に注意が移ってしまっていた。 そして、服を着つつ入り口の近くの窓から外を眺めた。 いつのまにかこの死体安置所の前に数台のパトカーが止まっている。覆面のだ。 そして、一人の男がそのパトカーから姿を現す所だった。 マーク・ウィルクス。 「やっと来たか…全く」 そう愚痴ると、俺はレイラの方に視線を向けた。 「安心しろ。助けが…」 『彼らは…私を殺すつもり』 「…何?」 頭の中に聞こえたレイラの声に、俺は思わず声を上げた。 「その子、何も言ってないわよ」 事情の分からないベアトリスが、暢気にそんな声を上げる。 だが俺は、死体保管所へ近づいてくるウィルクスを窓のブラインドの間から眺めたまま、思考を巡らせた。 レイラの言う事は本当だろうか。 警察官であるウィルクスが、レイラを殺す気とは。 何故そんなことをする必要がある? そこでピンときた。奴が俺をわざわざロワイアル・ファミリーのカジノに潜入させた理由だ。 恐らくだが、ウィルクスは警察とは別の組織にも身を置いているんじゃないだろうか。 少なくともロワイアル・ファミリーとは敵対している組織で、何らかの理由で表立って活動ができない組織だ。だから俺を利用した。 そう仮定すると、その組織がロワイアル・ファミリーの実験によって生まれたらしいレイラを抹殺しようとするのもおかしい話ではない。 「レイラ」 俺は再度、レイラの方へ視線を向けた。 「逃げたいなら逃げろ。もうお前は自由だ」 レイラは俺の言葉に反応を見せず、しかしずっと俺の顔を見つめている。 俺は言葉を続けた。 「だが、人の頭に話しかけるな。ちゃんと言葉にしろ。そうやって人間は理解し合っていくものだ。俺の言えた事じゃないがな」 「わかった…」 やはりまだぎこちない。だが、安易に俺の頭に向けて返事されるよりはよっぽどマシだと思えた。 腕を組み、そんな俺とレイラのやり取りを眺めていたベアトリスに向かって口を開く。 「ベアトリス。ここって裏口とかあるか?」 「あるし、何をしてほしいかは皆まで言わなくていいわ。それで、あなたはどうするの?」 「別に。いつも通り話をつけに行くだけだ」 そう言うと、俺は痛む身体に鞭打ちながら死体安置所の入り口へ向かった。 俺が死体安置所から出てくると、ウィルクスは近づいてきた。 背後にパトカーのライトが光る。 ウィルクスが俺の眼前まで来ると、俺は声を張った。 「マーク・ウィルクス!!『アレ』を、お前は知ってたのか!?」 俺は地下の惨状と、それを娯楽にする奴らのことを思い浮かべる。そして、その怒りをウィルクスへと向けた。 無表情のまま、ウィルクスは答える。 「まさか生きて帰れたとは驚きだ」 「ふざけるな…!何故お前らはアレをどうにかしない…!?」 俺の剣幕など受け流すかのように、ウィルクスは更に一歩進んだ。 「茶番はやめろ。情報は入っている。そこに、子供を一人匿っているな」 やはり無理に怒った演技などするものではないか。俺ももう、最早怒るとかいう次元ではなかったせいで、無理矢理演技をする他は無かったのだが。 深呼吸を一回して、俺は言った。 「匿う、か。あの子供はお前らにとっても重要な存在らしいな」 「その通りだ。貴方もあの子供と少しでも一緒にいたのなら、分かる筈だ。その危険性が」 「だから殺すのか」 俺の言葉に、ウィルクスは眼を見開く。今度は奴の方が語気を強めていた。 「何故私が、あの子供を殺すと思った?」 やはり一筋縄ではいかない相手だ。ウィルクスの質問に、俺は無言のまま頭を掻く。 すると、ウィルクスは俺を指差して叫んだ。 「あの子供に言われたのだろうが!!分かるだろう、人間の思考が読める存在など、この先どんな悪用をされるか…!」 「一つ聞く。何故お前はそのことを知ってる?」 ウィルクスの言葉に即座に浮かんだ疑問を、俺は口にした。 だが今度は、ウィルクスの方が答えに詰まる番だった。そして答えに詰まった奴は、代わりにこんな言葉を口にした。 「悪いが、それは答えられない。それに、言った所で貴方には理解できまい」 「…傲慢だな。何から何まで」 痛む全身など忘れ、俺は精一杯ウィルクスを睨む。 「どんな理由があろうと、お前が子供を殺すと言うのなら…ここから先に行かせる訳にはいかねぇな」 「別に今殺すとは言っていない。だが少なくとも、ここで我々に引き取らせてもらう。それに」 次の瞬間、俺はウィルクスに突き飛ばされていた。 全身の傷のせいで避けることすらできず、俺はそのまま路上に尻餅をつく羽目になる。 ウィルクスはそんな俺を見下ろし、やがて言った。 「大口を叩くなら、その前にその身体をどうにかしろ」 そう言うと、ウィルクスはそのまま死体安置所の方へどんどん進んでいってしまう。 俺は必死で立ち上がり、その後を追いかけた。 「待て、話は終わってねぇぞ!ウィルクス!!」 「いないわよ」 死体安置所内で、腕を組んで落ち着き払った様子でベアトリスはそう告げた。 その光景を見た時、正直言って俺は混乱し、そして状況を理解して憤った。 裏口があると言ってたが、この女はレイラを一人のまま逃がしたのだ。警備員のボブもやはり死体安置所の入り口に突っ立ってやがる。 「(…何が『何をしてほしいかは皆まで言わなくても分かる』だ。全然分かってねぇじゃねぇか…!!)」 「何だと?」 俺の胸中の思いを他所に、米神の血管を浮き立たせてウィルクスがベアトリスに向けてそう言う。 「ちょっと目を離したらどこかに行っちゃったの」 「どこにだ」 「さぁ。ここのどこかじゃない?」 暢気な様子で、テーブルに置かれていたコーヒーを啜るベアトリス。その際俺の視線に気づいたのか、この女はそっけない様子で言った。 「何よ。ずっと見てろって?私があんたにそこまでしてやる義理は無いわね」 「ああ、そうかよ」 俺はベアトリスを睨んだが、やはり暖簾に腕押しの様だ。 その時、死体安置所の奥の方から風が吹いてきた。 「この先には何が?」 ウィルクスの問いに、ベアトリスが落ち着き払った様子で答える。 「自分で確認すれば?すぐそこよ」 ベアトリスの答えに苛立ちを隠そうともせず、不機嫌そうな様子でウィルクスは奥へと向かっていく。俺も同様にするしかなかった。 果たして、そこには開いたドアがあった。正面のドアとは違い、こちらは裏口らしく地味な作りだ。 「糞、ここから脱出したか!」 焦燥するウィルクスに、俺は意外なものを感じた。 「裏口なんてどこの建物にもある。張ってたんじゃないのか」 ウィルクスは裏口を睨んだまま間髪入れずに答える。 「張るほどの人員はまだここに回せない。私はもう行くが、部下達にここを見張らせる」 「俺は?」 その問いにウィルクスは俺を睨み、言った。 「貴方はもう手を引け。これ以上は邪魔になるだけだ」 そう来たか。まぁ予想はしていたが。俺は肩を竦める。 「必要なことをしてくれたら後はもう用済みってか。いいさ、命があるだけマシだ」 「報酬は後日渡す。その代わりこの件は口外しないでほしい。すれば…」 「殺しに来るんだろ。それくらい分かってるさ」 もう人にあれこれ指図されるのは御免だ。そう思い、俺は一方的に話を打ち切り、ベアトリスの元へ向かった。 振り返っても、ウィルクスはついてこない。代わりにドアを閉める音が聞こえた。あそこから出て行ったのかもしれない。 「…確かに義理は無いな。迷惑をかけた。もうここには二度と来ねぇよ」 俺はベアトリスに向かってそう言った。だがそんな俺に視線を向けず、ベアトリスは警備員のボブに向かって言う。 「ボブ、私達以外もうここにはいない?」 ベアトリスの問いに、ボブは警棒を片手に死体安置所を巡回し始めた。 ゆっくりと、しかし油断無い動作で。どうやらいつもドーナツをパクついてる給料泥棒だと思っていたが違ったらしい。 一通り巡回を終えると、裏口の鍵をかけて、ボブは戻ってきた。 「誰もいません」 それを聞くと、ベアトリスは死体の安置されているロッカーに向かう。ここで初めて俺に視線を向け、意味ありげに先へ促した。 「?」 やがて死体が格納されているロッカールームに行くと、ベアトリスはそのロッカーの一つを引き出した。 「っ…!!?」 無残な焼死体だ。食事したばかりだと危なかった。いきなり凄惨な死体を見せられて、俺は不快な表情を隠せぬままベアトリスに問う。 「一体なんだ」 当のベアトリスは、その焼死体を数秒間見つめた後、そのロッカーを元に戻した。 「間違えたわ」 彼女が隣のロッカーを引き出すと、寒さで震えるレイラの姿があった。 「一体何しでかしてんだお前!!?」 俺は思わずベアトリスを怒鳴りつけていた。 当然ながら死体安置所では、腐敗を防ぐために死体は冷凍されている。 何故そこに子供を入れた。 「ここ以外に無かったんだから仕方ないでしょ。ちゃんと毛布で包んであげたし」 確かにレイラの身体は毛布で包まれているが、それでもこの数分間ここにいたのは地獄だった筈だ。 「危うく本物の死体になる所だ!」 「じゃあ聞くけど、裏口から私と一緒にこの子が逃げたとして、逃げ切れると思う?」 ベアトリスの問いに、今度は言葉に詰まった。 確かに、数秒くらいの猶予しかない状態で、刑事であるウィルクスから一般人であるベアトリスと子供であるレイラが逃げ切れると思うのは無理がある。 まぁとにかく、今はレイラの状態を確認する方が先だ。俺はそう思い直し、視線をレイラの方に向けた。 「おい、大丈夫か」 歯をガチガチ言わせながら、レイラはまた俺の頭に声を響かせた。 『死にそう』 俺は安堵のため息をついた。 第四章へ 刹那に生きる者・目次
https://w.atwiki.jp/seriale/pages/2825.html
12/05/25(金)19 23 29 No.8166323 ■ガーディアン・フロント■ インフォメーション レイラ「海兵隊員の皆様お疲れ様です。 現在wikiに保管されている設定及び絵化のポイントをお知らせします。 海兵隊側が31ポイント、先住生物側が21ポイントとなっています。 我々が優位に立っていますが、くれぐれも油断しないようお願いします。 尚、今週中に生存者の確認ができなかった場合は“ディッセンバーⅢ”の捜索を中止し、 他のミッションを優先して下さい。皆様の活躍に期待しております。 以上、通信終わります」 12/05/26(土)18 03 58 No.8169423 ■ガーディアン・フロント■ インフォメーション レイラ「海兵隊員の皆様お疲れ様です。まずは添付した地図をご覧ください。 現在あなた方がいるベースキャンプから見て東側に大型先住生物“ナイトメア”の生息地があります。 山岳部の洞窟に捕えられている乙女中隊の救出に向かう場合は空路の使用を推奨します。 また、“ディッセンバーⅢ”の捜索打ち切りまで余り猶予がありません。 一人でも多くの生存者の発見に尽力してください。以上、通信終わります」 12/05/27(日)11 57 43 No.8177101 ■ガーディアン・フロント■ インフォメーション レイラ「海兵隊員の皆様お疲れ様です。連絡事項が2つあります。 まずは海上居住区“ディッセンバーⅢ”にて生存者が確認されました。 よって捜索の打ち切りは延期されます。更なる生存者の発見に努めてください。 次に、海兵隊本営からの連絡です。 本営は本日よりデモリションドレスを強化したバスタージャケットの使用を解禁しました。 先住生物の殲滅をより効率的に行うための判断です。 皆様の更なる活躍に期待します。以上、通信終わります」 12/06/01(金)19 33 52 No.8195818 ■ガーディアン・フロント■ インフォメーション レイラ「海兵隊員の皆様お疲れ様です。 現在wikiに保管されている設定及び絵化のポイントをお知らせします。 海兵隊側が46ポイント、先住生物側が25ポイントとなっています。 依然として我々が優位に立っていますが、今週より先住生物が繁殖期に入ります。 繁殖期は3週間ほどですがその間はより凶暴化したり、 普段見かけない種類が出現する可能性が高まります。 また、ポイントが設定・絵化共に2倍となりますので注意してください。 以上、通信終わります」 12/06/08(金)20 00 08 No.8223168 ■ガーディアン・フロント■ インフォメーション レイラ「海兵隊員の皆様お疲れ様です。 現在wikiに保管されている設定及び絵化のポイントをお知らせします。 海兵隊側が63ポイント、先住生物側が63ポイントとなっています。 繁殖期の影響で勢力が拮抗しています。 油断すると一気にこちらが劣性になるかもしれません。 気を抜かないようお願いします。 また生存者の捜索も継続中です。 一人でも多くの人命救助に尽力してください。以上、通信終わります」 12/06/15(金)20 45 36 No.8251278 ■ガーディアン・フロント■ インフォメーション レイラ「海兵隊員の皆様お疲れ様です。 現在wikiに保管されている設定及び絵化のポイントをお知らせします。 海兵隊側が88ポイント、先住生物側が87ポイントとなっています。 僅差ながら我々が優位に立っていますが今週まで繁殖期なので油断しないようお願いします。 また生存者の捜索と危機に瀕している隊員たちの救助も継続中です。 人命を優先し作戦にあたって下さい。以上、通信終わります」 12/06/22(金)19 53 17 No.8305077 ■ガーディアン・フロント■ インフォメーション レイラ「海兵隊員の皆様お疲れ様です。 現在wikiに保管されている設定及び絵化のポイントをお知らせします。 海兵隊側が90ポイント、先住生物側が99ポイントとなっています。 我々が劣性に立たされていますが希望を捨てないようお願いします。 繁殖期は先週で終了したため先住生物側のポイントが通常に戻ります。 再びこちらが優位に立つための正念場といえるでしょう。 海兵隊員としてベストを尽くしてください。以上、通信終わります」 12/06/29(金)20 44 41 No.8337628 ■ガーディアン・フロント■ インフォメーション レイラ「海兵隊員の皆様お疲れ様です。 現在wikiに保管されている設定及び絵化のポイントをお知らせします。 海兵隊側が94ポイント、先住生物側が102ポイントとなっています。 依然として我々の劣性が続いています。 更に悪いことに、今週より最終週まで『ボス・ラッシュ』となります。 全長20m以上の大型生物の設定及び絵化ポイントが2倍になります。 苦しい状況と思いますが海兵隊員としてベストを尽くしてください。 以上、通信終わります」 12/07/06(金)20 44 35 No.8367951 ■ガーディアン・フロント■ インフォメーション レイラ「海兵隊員の皆様お疲れ様です。 現在wikiに保管されている設定及び絵化のポイントをお知らせします。 海兵隊側が105ポイント、先住生物側が118ポイントとなっています。 我々が劣性に立たされていることは事実ですが決して覆せない状況ではありません。 しかしこのまま劣性が続けば5th-βより撤退することになります。 それは貴重な資源であるヒートプラチナと人類の新天地を失うということです。 地球が人類を養い切れなくなった今、我々は新たな土地を探し、開拓するしかないのです。 その為の障害は全力で排除しなければなりません。 厳しい戦いかと思いますがベストを尽くしてください。以上、通信終わります」 12/07/13(金)20 18 06 No.8402752 ■ガーディアン・フロント■ インフォメーション レイラ「海兵隊員の皆様お疲れ様です。 現在wikiに保管されている設定及び絵化のポイントをお知らせします。 海兵隊側が121ポイント、先住生物側が129ポイントとなっています。 僅かですが差が縮まっています。もう少しですので頑張ってください。 と言いたい所ですが時間がありません。 海兵隊本部は今週中に戦況が好転しなければ撤退命令を出すと公表しました。 今まで懸命に戦ってきた我々の努力が全てが無駄になるということです。 そして人類は新天地を一つ失います。 最後に、私はただのオペレーターかもしれません。 しかし、一時も現場で奮闘しているあなた方を忘れたことはありません。 だから、どうかご無事で……通信終わります」 12/07/16(月)22 01 42 No.8421257 ■ガーディアン・フロント■ 結果発表 レイラ「海兵隊員の皆様お疲れ様でした。 本日を持ちましてガーディアン・フロントが期間満了となります。 沢山の設定投下と絵化・FAありがとうございました。 それではwikiに保管されている最新の設定及び絵化のポイントをお知らせします。 海兵隊側が145ポイント、先住生物側が142ポイントとなっています。 何と先住生物たちのポイント2倍攻撃をかいくぐって我々人類が勝利しました! 最後まで諦めないで本当によかったと思います。 以上、通信終わります。人類の新天地に栄光を!」 関連事項 ⇒レイラ・タチバナ,バスタージャケット ⇒ナイトメア ⇒ミッション:生存者を捜索・保護せよ,ミッション:女性隊員達を救出せよ! ⇒ミッション:サルベージせよ、廃棄基地「イマジュラⅣ」②
https://w.atwiki.jp/zatchbell/pages/2114.html
魔本リスト P NO. カード名 P NO. カード名 01 M-160 レイラ《堕ちたものね》 防御ページ 02 P-132 デュフォー《違う景色》 03 M-059 ゼオン《破滅への誘い》 攻撃ページ 04 E-080 スカイダイビング 05 MJ-003 フライング・ビート 防御ページ 06 E-216 人工呼吸 07 P-090 アルベール《いくぜレイラ》 めくりページ 08 M-114 パティ《地獄の天使》 09 M-059 ゼオン《破滅への誘い》 めくりページ 10 P-047 ウルル《やれやれだ》 11 E-067 ナオミちゃん 攻撃ページ 12 E-183 1人拷問ゴッコ 13 P-132 デュフォー《違う景色》 攻撃ページ 14 M-197 デモルト《格闘》 15 M-361 石版魔物四天王《四天王》 防御ページ 16 V-002 バルカン四代目 17 E-085 決戦前夜 攻撃ページ 18 E-103 決戦 19 P-099 アルベール《目覚めた心》 防御ページ 20 P-047 ウルル《やれやれだ》 21 E-056 およしになっておとのさま 攻撃ページ 22 S-234 ミベルナ・マ・ミグロン 23 E-227 最後の抵抗 攻撃ページ 24 S-299 リゴン・ゼモルク 25 S-233 ラージア・ミグセン 防御ページ 26 E-219 ファウードの門番(ハイパワー) 27 E-062 光が見える・・・ 攻撃ページ 28 S-301 ラギアント・ジ・ゼモルク 29 E-077 僕の王様 防御ページ 30 E-073 コンビネーションダンス 31 E-024 プロフェッサー・ダルタニアン 攻撃ページ 32 S-302 ディオエムル・ゼモルク 真ルール対応のデモルトを軸とした格闘魔本。 石版魔物四天王《四天王》で強化したデモルト《格闘》とパティ《地獄の天使》の効果をそれぞれ、デモルト・レイラに適用させ連続攻撃を図る。 デモルトとレイラの術の応酬で攻撃力をさらに加速させ、レイラ《堕ちたものね》で「魔物の効果」をロックしサポート。 弱点は、イベントカードを使った妨害やラストVSを含むVS魔物になる。 E-101 ベリーメロン・E-181 おおーーっ!!等でイベントカードの妨害を取りのぞく。 捨て札にならない効果を使いそれらの効果を補填することも検討しよう。
https://w.atwiki.jp/hisoutage/pages/19.html
大会概要 【レイラちゃん】第1回3on3@緋想ノ宴【4連休終了記念】 ●日時:5月14日木曜日 8時半受付開始予定 ●参加人数:3人×?チーム(最低4チーム) ●参加方法:使用キャラと分かる人はランクも添えて挙手 ●準備:各チームそれぞれチーム名と先鋒・中堅・大将を決めてホスト可能ならIPも合わせて、代表者がまとめて報告 ●対戦方法:先鋒同士、中堅同士、大将同士で3戦ずつやって合計勝利数の多いチームの勝ち ●報告方法:勝ち越した人が「○○2-1○○」って感じで書き込んでね! マクロ何それおいしいの 当 大 会 で は ぶ る ら じ 視 聴 プ レ イ を オ ス ス メ し ま す 参加者・チーム分け・個人結果 ■A ×◎× 10 先鋒:XP 5 中堅:翠 5 大将:krast 0 ■B ◎◎◎ 18 先鋒:nanasuke 5 中堅:べい ⑨ 大将:希一 4 ■C ◎×× 12 先鋒:たまちょ 0 中堅:boomkun 3 大将:モマ ⑨ ■D ××◎ 14 先鋒:レイラ 8 中堅:mituki 1 大将:獣 5 試合結果 1回戦 A× 2 - 7 ◎B 先鋒 XP○ 2 - 1 ●nanasuke 中堅 翠● 0 - 3 ○べい 大将 krast● 0 - 3 ○希一 C◎ 5 - 4 ×D 先鋒 たまちょ● 0 - 3 ○レイラ 中堅 boomkun○ 2 - 1 ●mituki 大将 モマ○ 3 - 0 ●獣 2回戦 A◎ 5 - 4 ×C 先鋒 XP○ 3 - 0 ●たまちょ 中堅 翠○ 2 - 1 ●boomkun 大将 krast● 0 - 3 ○モマ B◎ 5 - 4 ×D 先鋒 nanasuke● 1 - 2 ○レイラ 中堅 べい○ 3 - 0 ●mituki 大将 希一● 1 - 2 ○獣 3回戦 A× 3 - 6 ◎D 先鋒 XP● 0 - 3 ○レイラ 中堅 翠○ 3 - 0 ●mituki 大将 krast● 0 - 3 ○獣 B◎ 6 - 3 ×C 先鋒 nanasuke○ 3 - 0 ●たまちょ 中堅 べい○ 3 - 0 ●boomkun 大将 希一● 0 - 3 ○モマ
https://w.atwiki.jp/gassyu-zakeru/pages/100.html
【名前】 ビクトリーム 【読み方】 びくとりーむ 【CV】 若本規夫 【分類】 魔物の子 【呪文の属性】 光線 【パートナー】 モヒカンエース 【本の色】 スカイグリーン 【人間換算】 不明 【身長】 不明 【家族構成】 不明 【好きな食べ物】 不明 【趣味】 不明 【初登場】 第12巻 【詳細】 Vの字を縦に重ね手足を生やしたような、千年前の魔物の1体。 Vの形をした頭部と胴体は術を使わずとも自由に分離、浮遊させることが出来、光線系の呪文を頭部から放つことから自由自在な角度、距離で攻撃が可能。 分離時胴体部分も個別に動くことが出来るが、「Vの態勢で待機せよ!」という命令に従ってVの態勢を取り待機していた。 多角的な攻撃を繰り出せる他、威力を調整可能な最大呪文というかなり特殊な魔物だがその強さは本物。 半分程度の威力でバオウ・ザケルガを簡単に打ち破るチャーグル・イミスドンは最大出力で放たれれば遺跡をたやすく貫通する凄まじい攻撃力となる。 だがそれを補って?あまりあるほど?…バカ。 とんでもなくバカ。 外見すら一発ネタだが、頭部を分離した上で高速回転させ全方位から放たれるマグルガによる攻撃中、攻撃範囲に切り離した胴体を待機させていたせいで呪文が直撃してダメージを受けた上、倒れた胴体を袋叩きにしていたガッシュ達を蹴散らすため攻撃するも彼らが逃げた上、術の斜線上に自分の胴体があったため直撃してさらにダメージを受ける…などギャグキャラとして扱われている。 しかしながら遺跡内部での戦闘を察知し、清麿達の体力、心の力が削られ満足に戦えない状態であることを察した上で戦いに来る、清磨の立てた作戦の最後の詰めは読みきれなかったもののそのほとんどを推察すると、頭脳面では優れる一面も見せるなどその言動から侮るのは非常に危険。 劇中ではほとんど一発キャラな扱いではあったがその愛すべきバカとも呼べるキャラクターとインパクトの強い外見等からレイラ等に並び読者人気は高い。 どうやら千年前はレイラと腐れ縁と呼べる関係性であり、旅の途中偶然出会うことが何度もあったという。 ガッシュカフェでもレイラと共に登場し、そういった経緯を回想した後、ビクトリームがゴーレンに負けたのはレイラの敵討ちをしようとしたためであると語った。 そしてそのラストでは衝撃的な事実が… レイラ「そう言えばビクトリームの本の持ち主美人だったよね。名前は確か…ム…ム…」 ビクトリーム「ああムラサキシキブだ」 レイラ「あの人ロマンチストで話が面白かったわ」 習得呪文 マグルガ マグル・ヨーヨー チャーグル チャーグル・イミスドン シン・チャーグル・イミスドン(金色の魔本)
https://w.atwiki.jp/zatchbell/pages/1269.html
P-084 アルベール パートナー 《届いてた声》このカードが場にある→相手の魔物の「魔物の効果」の、「使用を宣言する→」コストは、 「MPを1へらす→」になる。 ※1アクションを使って、このカードを捨て札にできる。 魔物=レイラ アルベールはついに自分の心を取り戻した・・・! 月の石の秘力 M-156レイラとのコンボで使用を宣言して使う効果を封殺。 《クール》と組むことにより、MPを増やす対象効果を広げることができる。 旧ルールであれば、相手が魔物の効果を使うのに割り込んで、E-018 フォルゴレのダンスを使用し、相手の魔物の効果を使えなくさせることもできた。 真ルールでは、使用した効果は、ジャマー効果を使わない限り、即時解決されるので、バトル攻撃のような、相手の確認を得てから使う効果の対策として使うのが良い。 ガッシュ・ベル VS リオウ《素の力》であれば、前出の《クール》もバトル・インの前に、使用することもできる。 1度に使用するコストが3もかかるので、相手は連打しづらく、対策になるだろう。 1アクションで捨て札にすることができるので、状況次第で《いくぜレイラ》や《目覚めた心》に入れ替えることもできる。 収録パック 月の石の秘力 金色のガッシュベル!!スナック 第4弾 タグ:パートナー レイラ 相手のMP消費を〇ふやす
https://w.atwiki.jp/orikyara3rd/pages/142.html
レイラ「初めましてー、レイラ・アストレイです!」 結「これからよろしくな」 ヌシ「結に同じく」 透伊「隠れている幼女……じゃない、小さい子、お名前は?」 ラフェ「……ラフェリア・リドル。よろしく」 レイラ「ではこれからよろしくお願いします!また会いましょう!」スタスタ 3人(ちょっと待て、こっちの名前聞かないのかよ!) ラフェ「レイラ……名前聞いてないよ」 レイラ「あっ……す、すみません、名前教えてください……」カアァ ヌシ「レイラはちょっと抜けてるようだな……」 結「あれはちょっとでいいのか?」 透伊「天然としっかり者の幼女……!王道な気がしなくもないけどやっぱりいい!」 ヌシ・結「えっ」 透伊「え?」 作者 銀