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『ゆっくり公民 ~奴隷解放~(前編)』 27KB いじめ 引越し 群れ 自然界 5作目 前編 ゆっくり公民 ~奴隷解放~ anko2703 ゆっくり公民 ~奴隷制~ anko2720~2722 ゆっくり公民 ~カースト制~ anko2764~2767 ゆっくり公民 ~農奴制~の続きになります ※ゲスなゆっくりの群れが制裁されず生き残ることがあります 秋の彩りの森の一画にゆっくりが集まっている、その数はおよそ40を超えるだろう、ゆっくりの群れだろうか、それとも集団で食料収集をしているのだろうか。 どちらを考えた人も、その集団を詳しく見てみれば違和感を感じるだろう、集まっているゆっくり達、彼らはみな同種のゆっくりであり、皆それぞれ何か木の葉に包んだ物を頭に乗せていたり、木の枝を体に立てかけていたり、大きな木の皮を引き摺っていたりと物物しい、やはり食料を集めているのだろうか。 「ゆぅ、みんなそろったね!」 その集団の先頭に立っているのは一匹のゆっくり、赤いリボンを付けたゆっくりれいむである。 野生で暮らしているゆっくりにして、汚れも傷も少ない美しいリボンとその体から比較的若いゆっくりではないかと推測できる。 そのれいむが集団に声をかけている、やはり彼女がリーダーとなり、これから狩に赴くのだろうか、誰かがそのことを彼らに聞けば否定されるかも知れない。 彼らは今日旅立つゆっくりだからである。 「ゆ……それじゃぁれいむたちはこれから"りそうのゆっくりプレイス"をめざすよ!」 れいむの言葉に様々な言葉で同意を示すれいむ達――区別が難しいので、集団のリーダーのれいむはリーダーれいむと呼ぶことにする。 「よていどうり、さいしょにとなりのむれにいって、れいむたちとごうりゅうするよ、そのごはもりのおくをめざすよ!」 「きょうこそ"れいむ"かいっほうのときだよ、ゆっくりできないむれにみきりをつけて、れいむたちはれいむだけのむれをつくるよ!」 リーダーれいむの演説にれいむ達のボルテージが上がって行く、 「それじゃあ、しゅっぱつだよ!!!」 号令で動き出すれいむ達、頭に乗せたものを落とさないようにもみ上げで抑える者、木の枝をもみ上げで掴んで引き摺る者、二匹で木の皮に乗せたものを運ぶ者、歩みはとてもゆっくりとした物だが皆確かな目的を持って一方向を目指している。 「ゆ、れいむ、とうとうしゅっぱつしたね!」 集団の先頭に立って進むリーダーれいむの横に、一匹のれいむが追いついて来る、顔の数箇所に鋭い傷跡の残るれいむである。 「ゆぅ、やっとしゅっぱつできたよ、でもさいしょがかんじんだよ……」 「さいしょはとなりのむれにいくんだっけ?」 リーダーれいむに聞く傷れいむ、 「そうだよ、まずはとなりのむれのれいむのかいっほうだよ、れいむのいもうともたすけないと……」 「そのあと、みんなでもりのおくへむかうよ!」 「ゆぅ、いよいよだね、いよいよもりのおくへいけるんだね?」 「そうだよ、れいむのおしえてくれた"りそうのゆっくりプレイス"なんとしてもそこへいって、れいむたちだけのゆっくりプレイスをつくるよ」 「そうだね、あのむれはれいむをゆっくりさせてくれなかったから……」 途端に暗い顔になる二匹、彼らは元々とある群れに暮らすれいむであった、実はこの旅立ち正確に言えば群れからの脱走である。 多くの脱走ゆっくりがそうで有るように、れいむ達も元々の群れに不満を抱き群れから出ることにしたのである。 「ゆぅ、れいむのいたむれもひどかったよ、しごとしごとでいっつもゆっくりできなかった……だから、もりのおくをめざすんだよ!」 傷れいむが呟く、傷れいむはリーダーれいむの群れに加わっていたが元々はさらに別の群れからの脱走ゆっくりであった。 そんなれいむ達が不満を漏らす群れ、今逃げてきたところで有る群れはとても変わった制度を持つ群れであった。 「ゆっくり・かーすと」それが群れの制度の名前である、ゆっくりを種ごとに区別するこれは、群れの長を含む希少種を最もゆっくりしたゆっくりであるとして、その下に他のゆっくりが付くものであった、れいむ達れいむ種はその中で最下位の「どれい」に位置づけられており、様々な差別や迫害を受けていたのである、そんな中不満を持つれいむ達は今回の脱走を決意したのである。 「まったく、あんなゆっくりしていないおさなんて、こっちからねがいさげだよ!」 ぷんぷんと怒るリーダーれいむ、彼女が今回の脱走を決意し群れのれいむ達をまとめ旅立つまでは様々な苦労があった。 「れいむたちはみんなで"りそうのゆっくりプレイス"にいって、ゆっくりしたむれをつくるよ!」 4.奴隷解放 ~Emancipation~ リーダーれいむは当然ながら生まれた時かられいむ種である、「ゆっくり・かーすと」を定める群れにあってれいむ種に生まれること、それは生まれながらにして「どれい」という立場に置かれる事でもあった。 れいむは、ちぇん種の父とれいむ種の母の間に生まれた三人姉妹の長女であった、妹はちぇんとれいむが一匹ずつであり。 家族は貧しいながらも飢えることなく暮らしていた。 「おちょうしゃん、ほんちょにきょうはおちょとにいっちぇいいにょ?」 「わきゃるよー、おしょとであしょぶんじゃね!」 「おしょとたのしみじゃね!」 「そうだよー、おちびちゃん、ゆっくりおとうさんのおぼうしにのってね!」 れいむが生まれて暫く経ち、体も少し丈夫になると父ちぇんは子供を頭の上に乗せてお外に連れて行ってくれた、父ちぇんの上から降りることは出来ないが、ゆっくりと群れの中を進んでくれる父親の上から眺める景色はとてもゆっくりしたものであり、れいむや妹たちもそれが大好きだった。 赤ゆっくりは体が弱いため、めったに外には出してもらえないが、母親が巣のすぐ外で日向ぼっこさせることは多い、しかしれいむ達姉妹が生まれて暫くすると梅雨になってしまったため、れいむ達は外に出ることが出来なくなってしまった。 おうちの中で以前に出してもらったお外の美しさに思いを馳せるれいむ達、雨さんはゆっくりしていないものだし、それを厳しく注意する母親の言いつけを守るくらいは頭の良かったれいむ達はおうちの中で外に出られる日を夢見ることになる。 そして夏、おうちの中で育ち子ゆっくりくらいの大きさになれたれいむ達は念願のお外に遊びにいける様になった。 最初こそ父ちぇんと母れいむが付きっ切りだったが、数回も遊びに出ると付き添いは母だけになり、母に連れられて群れのゆっくりの子供が集まる場所にも行かせてもらえた。 群れの子連れのゆっくりが行く場所は、群れの広場とは別の小さく開けた場所であり、柔らかな草が生えているため、体の弱い子ゆっくりにとっては絶好の遊び場所である、親ゆっくり達は子供をそこまで連れて行くと子供を遊び場所に送り出し、その外で親同士の話題に花を咲かせることになる。 これは、子ゆっくり達がもう少し大きくなると行くことになる「がっこう」に行く訓練でもあり、基本的に親にも仕事が課される群れにおいて、子ゆっくりが親がいない間の自立心を養う時間でもあった。 そこには様々なゆっくりの子ゆっくりがいた、れいむ達と同じれいむ、ちぇんだけではなく、みょん、ぱちゅりー、ありす達が様々な遊びに興じている。 れいむ達も恐る恐るそこに近寄ると、皆快く仲間に入れてくれた、危険な遊びは近くにいる大人のゆっくりが止めてくれるし、怪我をする子ゆっくりが出ても、しばらくすると大きな銀髪のゆっくりが現れ傷を治してくれた。 れいむ達は遊び場での仲間との遊びに夢中になり、暫くすると母親無しでも遊び場に行ける様になった。 「れいみゅ~こっちにゃげるのじぇ!」 「ぱちゅりーがねりゃってりゅわ!」 「むきゅ~ばりゃしゃないで~」 今子供ゆっくり達は大きな木の葉を奪い合う遊びに興じている、れいむ達姉妹も加わっており、目をキラキラと輝かせて木の葉を追いかけている。 そんな時間は、れいむの最もゆっくり出来た時間であった。 そんな幸せな日々に陰りが見えたのはある日の事であった、子ゆっくり達は夏の日差しの下追いかけっこに興じていた、れいむと妹れいむもそれに加わって居たのだが、ちょっとした事故から子ゆっくり達の間で喧嘩になった時の事である。 れいむは喧嘩の当事者という訳では無かったが、妹ちぇんの親友の子ちぇんが子まりさに詰め寄られて居たことから仲裁に入ることになった。 「うるしゃいのじぇ!どりぇいのれいみゅが、まりちゃにくちごちぇえしゅるなんちぇ、なまいきなのじぇ!」 その時、子まりさから浴びせられて怒声がこれであった、その時は近くに居た親ゆっくりが仲裁に入り事なきを得たが。 子まりさの言葉にゆっくり出来ないものを感じたれいむは、その日の夜おうちの返ってから母れいむにそのことを尋ねた。 「ゆ!ゆぅ、おちびちゃんそんなこといわれたの……」 「しょうのなのじぇ、れいみゅどりぇいになんてなっちぇにゃいのに」 「ゆ……お、おちびちゃんそれは……」 れいむとしては母れいむがれいむの受けた侮辱に一緒になって憤慨してくれることを期待していた、ところが母れいむから帰ってきたのは戸惑いと悲しみであった。 その話は夜のむーしゃむしゃで有耶無耶になってしまい、れいむは心に何か釈然としないものを残すことになったが、その夜、父ちぇんが子供達を集めると真剣な顔をして説明してくれた。 「おちびちゃん、このむれにはね、このむれには"ゆっくり・かーすと"があるんだよーわかってねー」 その後、父ちぇんから説明されたの驚くべき内容であった、この群れではゆっくりによってゆっくりできる度合いが決まっており。希少種が一番上で、その下がまりさとみょんの"せんし"、その下にぱちゅりー、ありす、ちぇんの"へいみん"、そして一番下がれいむ達"どれい"だと言うのだ。 「ゆっくりしているゆっくりには、さからえないんだよー、わかってよー……」 父親の説明にれいむと妹れいむは憤慨した、せんしやへいみんの意味が分からない子ゆっくり達もどれいがゆっくりしていないものである事は分かる。 「なんじぇ、れいみゅこんにゃにゆっきゅりしちぇるよ!」 「どぼじで、どぼじでれいみゅがゆっぐりじでにゃいっていわれるにょ?」 大きな声を上げるれいむ達、そこに奥ですーやすーやしていると思っていた母れいむが顔を濡らして現れる。 「ごべんねぇ、おかあさんがれいむで、ごべんね!」 涙を流す母親にすーりすーりを返し、その夜はお開きとなった。 その後の遊び場ではあの時の事はほとんど話題に上がらなかった、子まりさも次の日現れればケロッとしてれいむと一緒に遊んでくれたし、れいむも妹達もあの時の事は忘れることにした。 しかし、れいむ達がカーストを強く意識させられる日は、そう遠くなくやってきたのだ。 夏の暑さが厳しさを増していく中、木々に遮られた日陰の中に子ゆっくりが集まっていた。 中央と成体ぱちゅりーが立ち周囲の子ゆっくりを見回している、周りにも数匹のぱちゅりーの姿が見られる。 「むきゅ、みんなそろっているようね、ぱちぇのがっこうへようこそ、おちびちゃん!」 これはこの群れの「がっこう」である、親達が群れの仕事をしている間子ゆっくりを預かり、群れの掟や森の知識を教える場であり、ぱちゅりー種によって運営されている。 春に生まれた赤ゆっくりが既に子ゆっくりとなった為、今年もこの学校が始まることになったのだ。 れいむ達以外にも、沢山の子ゆっくりが中央のぱちゅりーを見つめている。 しかしその中に明らかに特別扱いを受けている子ゆっくりがいた、彼らだけは座っている場所に柔らかい草が敷き詰められており、後ろに一匹のぱちゅりーが控えている。 れいむは初めて見るその子ゆっくりから目が離せなかった、今まで居た遊び場でもあった事の無いゆっくり達、そちらに気を向けていると「せんせい」であるぱちゅりーに注意されてしまう、視線を前に戻すと、先生達がそれぞれ挨拶をしていく。 その後は、学校についての注意が行われ、最初の授業が始まる、ぱちゅりーが語ったのは群れの掟であった。 他のゆっくりの物や群れの倉庫の物を盗んではいけない、他のゆっくりを傷つけてはならないそんな掟が説明される。 それらはこれまでも母れいむや父ちぇんが教えてくれたことであった、れいむや周りの子ゆっくりも当然という顔で聞いている。 しかし次に説明されたのが「ゆっくり・かーすと」であった、ざわめく子ゆっくり達、一部は既に親ゆっくりから聞いていたのか当然という顔をしている――まりさ種が多い。 れいむはそれを聞いて以前の出来事と、その後父ちぇんから受けた説明を思い出していた。 れいむ種は「どれい」である言われ、動揺するれいむ種の子ゆっくり達。 一部では先ほどれいむが注目したゆっくり達がカーストの一番上――最もゆっくりしたゆっくり――である希少種のゆっくりであるという話が広がっている。 れいむは先ほどのゆっくりを思い出し納得しかけるものの、自分がどれいと呼ばれる事にゆっくり出来ない思いを抱える事になった。 その日は群れの掟の説明で学校はお開きとなった、お昼のむーしゃむしゃに一度おうちへ戻る子ゆっくり達、れいむと妹達もおうちへ戻ってむーしゃむしゃをしてから母れいむに断り、午後のお仕事に向う両親を見送ってから、あの遊び場を訪れていた。 「ゆ~、きょうもゆっくりあそぼうね!」 そんな風に妹達と語りながら遊び場に着いたれいむは遊び場の雰囲気がおかしい事に気が付く、違和感を感じながらも遊び場に入ろうとしたれいむの前に数匹の子ゆっくりが立ちふさがった。 「ゆ、どれいのれいむなのぜ!」 「れいむは、ゆっくりしていないみょん!」 「どれいとはいっしょにあしょべないのぜ、まりしゃたちは"せんし"なのぜ!」 その時れいむも気が付く、遊び場にれいむと同じれいむ種の子ゆっくりが見当たらないのだ。 「ゆぅ、なにいってるの、れいむもいっしょにあそばせてね!」 「そうだよ、あそびばをひとりじめしないでね!」 抗議の声を上げるが、子まりさ達はニヤニヤと笑うとそれを一蹴する。 「なにをいってるのぜ、どれいといっしょじゃゆっくりできないのぜ!」 「どうしてもっていうなら、れいむであそんでもいいみょん!」 「しょうなのじぇ、どりぇいをつかってみるのじぇ!」 そんな事を言いながらにじり寄ってくる子まりさ達、子ちぇんや子ありすなど他のゆっくり達は関わらないように遠巻きにそんな様子を見つめている。 「くらうのぜ!」 「かりのれんしゅうだみょん!」 その言葉を皮切りに、子まりさと子みょんがれいむ達に体当たりをしてくる、 「い、いたいよ、やめてね、やめてね!」 「ゆぅ、いちゃい!」 痛みを訴えるが止まらない子まりさ達に、何とか遊び場から逃げ出すれいむと妹れいむ。 「おねぇちぇん……いちゃいよ!」 「ゆぅ、ゆっくりできないよ、どうして……どうしていきなり……」 れいむ達の受難はこの日以降続く事になる、学校で何度もカーストが説明されたせいで、子ゆっくり達はカーストを当然のものとして理解するようになった。れいむ達れいむ種は幾度と無く嫌がらせを受けることになる。 遊び場はまりさ種とみょん種の子ゆっくり達が占領するようになり、彼らを怒らせないちぇん種、ぱちゅりー種、ありす種の子供達は入れてもらえるものの、れいむ種の子ゆっくりは完全に追い出されてしまった。 また学校の授業で面倒なことがあれば、れいむ達に押し付ける習慣まで出来てしまう。 いつしか、れいむ達れいむ種の子供達は同種だけで集まって遊ぶようになっていた。 皆で集まって遊ぶときも、話題といえばカーストに対する不満である、この頃になると子供達も親達が行っている「群れの仕事」について理解しだしており、そこでもれいむ種が悪い扱いを受けていること、将来的には自分がそうなることを漠然と理解していた。 「ゆぅ、かーすとはゆっくりできないよ!」 怒りで暴発することも出来ない、親達は悲しんではくれるものの、それ以上の行動はしてくれないし、カースト上位のまりさ、みょんと達は身体能力がれいむ達より高いのだ、学校でもカーストが上のゆっくりに逆らうことは、とてもゆっくり出来ない事であると繰り返し教えられている。 れいむ達は不満を溜め込む事になった。 そんなある日の事、群れにちょっとした事件が起こった、一匹の傷付いたれいむが群れに保護されたのだ。 その頃群れでは「神隠し」という事件が起き、群れの大人達が周囲を厳しく見回っていた。 始めは容疑ゆとして長の下に連行されたそのれいむは暫くすると疑いが解かれたのだが、彼女が語った内容は群れのゆっくり達に驚愕を与えた。 彼女はこの森の外から来たゆっくりだというのだ、この森の外には「にんげん」というとてもゆっくりしていない生き物が存在し、そのにんげんが作っているプレイスではゆっくりが奴隷として扱われ酷い目に遭っているというのだ。 そこから逃げ出して森の奥にあるという理想のゆっくりプレイスを探しに来たという傷れいむ、恐らくれみりゃに襲われたと思われるそのれいむは目の横に二本の鋭い傷が残っていたが回復し、一時的に群れに受け入れられる事になった。 群れの長達首脳部は、れいむの話した内容について調べるべく、群れのゆっくりから調査隊を募り、それに答えたありす種をれいむの証言のあった方向へ「とかいはちょうさたい」として派遣することになる。 しかし、その調査に派遣されたありす達が群れに帰還することは無かった、長は群れのゆっくりにその方角への探索を禁止することになる。 その少し前、れいむにも大事件が起きていた、その頃両親達がれいむ達姉妹がすーやすーやした後、何か真剣な顔で話し合いをしていたのには気が付いていたれいむ、何かゆっくり出来ない雰囲気がそれについて聞くことを邪魔していたのだが。 ある日の夜、夜のむーしゃむしゃの時に両親から驚愕の事実が告げられた。 なんと妹れいむに隣の群れに行ってもらうと言うのだ。 「ゆぅ、なんで、なんでなの?すえっこのれいむはかぞくのあいどるだよ!?」 「ゆぅ、おかーしゃん、なんでれいむを……れいむ、すてられるの!?」 「わからないよー、どうしてれいむが、おとなりのむれにいかなくちゃいけないのー」 驚愕と疑問の声を上げる姉妹、本ゆん達も苦渋の決断であるのか厳しい顔をした両親の話はこうであった。 商人まりさ――群れに色々なものを売りに来ているゆっくり――から隣の群れが子ゆっくりを欲しがっているという話があった、両親も悲しいがこの群れではれいむのおちびちゃんはゆっくり出来ないし、できれば隣の群れでゆっくりして欲しい。 始めは不満の声を上げていたれいむだが、確かにこの群れに居る以上カーストから逃れることは出来ない、妹れいむとの別れは悲しいが妹が隣の群れでゆっくり出来るなら…… その夜、深夜まで続いた話し合いで結局妹れいむは隣の群れに行くことに決まった、その夜は久しぶりに家族でくっついて眠る、れいむは隣の妹れいむを抱きしめた。 そして翌日、群れの広場には大きなスィーが止まり、沢山の子ゆっくがそれを珍しそうに見つめている。 先ほどそのスィーから大きな袋を下ろしたまりさは、長のおうちへ入って行き今はここに居ない。 好奇心に目を輝かせる子ゆっくり達の中には、他と異なり明らかに悲しそうな目をしたものが混じっている。 妹れいむのその一人だった、妹れいむの周りには家族がしっかりと着いており別れを悲しんでいる。 その時、長のおうちから帰ってきた商人まりさがれいむの前を通った。 そのまりさは、れいむが見た中でも最もゆっくりとしたまりさだった、この群れのどんなまりさも敵わない大きな体、金髪が日光にキラキラと輝いており、綺麗なお帽子は漆黒で傷どころか、しわも見当たらない。 下からそのまりさを見上げていたれいむは、お帽子のつばの後がキラリと光ったのに心を奪われる。 このまりさなら、妹をゆっくりさせてくれるかもしれない、そう思うれいむの横でまりさは子ゆっくりをスィーに乗せていく、家族との別れを悲しむ子ゆっくり達も、商人まりさに促され泣き出しそうな顔でスィーに乗った。 子ゆっくりだけでは無い、奥には赤ゆっくりと思われる大きさのゆっくりも乗っている、れいむ種が多いようだが一部にありすやちぇんも見られる。 そうこうしていると、とうとう妹れいむの番になった。 「ゆぐぅ、おじびちゃん、どなりのむれでゆっぐりじでね!」 既に涙が零れている母れいむ。 「おちびちゃん、がんばってしあわせーになってね!」 必死に何かを堪える父ちぇん。 「れいむ、ゆっくりじでね……」 泣き始める妹ちぇん。 妹れいむの目とれいむの目が合う。 「れいむ、がんばってね!ゆっくりしていってね!」 「おねぇちゃん、ゆっくりしていってね!おねぇちぇんもがんばってねぇ!」 二匹が話している間に、親達に何かを渡した商人まりさがスィーに乗ると、ゆっくりと走り出した。 乗っている子ゆっくり達から別れの声が上がる、泣き出すゆっくりも居る。 「お"ねえちぇん、ゆっぐりじでいっでね~」 れいむの元にも妹れいむの涙声が届く、れいむは涙に濡れる頬を拭うこともせずにスィーの消えた方向を見つめていた。 おうちに帰っても家族は無言だった、努めて明るく振舞う父ちぇん、同じように妹ちぇんも明るく話すが、母れいむの落ち込み凄まじい物だった。 その夜のむーしゃむしゃはれいむも生まれて始めて食べるあまあまだった、口に入れると体中にしあわせーが広がる、しかしれいむは何故かしあわせーと口に出すことが出来なかった。 「ゆぅ、ゆっくりしていないよ……」 れいむは恒例のれいむ種の子ゆっくりの遊び場で不満を漏らしていた、れいむの家族と同じように子供を隣の群れにやった家族が多いのか集まるれいむ達も少し減ってしまったが、その事は誰も口に出さなかった。 そんなれいむ達の遊び場である茂みに何かが分け入ってくる音がする、他の子ゆっくりかと一瞬警戒するれいむ達、中に入ってきたのはそれより大きな成ゆっくりのれいむであった、顔の横には大きな傷が残ったている。 「れいむのおちびちゃん!?こんなところにいたんだ、ゆっくりしていってね!」 そのれいむは笑顔で声をかけてくる、警戒を解くれいむ達子ゆっくり。 少し前に群れに助けられたれいむである、客分として暫定的に群れの一員となっているのだが周囲のゆっくりに森の奥にあるという「理想のゆっくりプレイス」の存在を訴え、群れでそこへ向おうと言っているのだが、群れのゆっくりからは無視されている。 傷れいむも群れのカーストについては説明を受けているため、れいむ達が群れへの不満を訴えると真剣に聞いてくれる。 話を聞いてみると傷れいむも元々居た群れで奴隷のような扱いを受けていたという。 自分達の状況があるため、傷れいむの話に深く同情するれいむ達。 「ゆぅ、もりのそとでもれいむはゆっくりできないんだね……」 「そうだよ、だかられいむはもりのおくのりそうのゆっくりプレイスをめざすんだよ……」 「ゆ、りそうのゆっくりプレイス?」 「そ、そんなのがあるの、そこなられいむもゆっくりできるの?」 「ゆぅ、そこはかーすとなんて、ないんだよね?」 傷れいむの言葉に盛り上がる子れいむ達、 「そうだよ、そこではあまあまよおいしいおやさいさんがたべられるんだよ、たいへんなしごともないとってもゆっくりしたばしょなんだよ!」 森の奥が、いかにすばらしい場所かを説く傷れいむ、普段の生活に不満を抱える者にとって、そこはまさに夢の場所であった、群れのゆっくりに相手にされない傷れいむは、真剣に話を聞いてくれる子れいむ達を好ましく思う、親が味方してくれない子れいむ達は、自分達の愚痴に一緒になって憤ってくれる傷れいむを好ましく思った。 こうして子れいむ達は傷れいむと仲良くなることになる。 傷れいむの語る「森の奥」それがれいむ達の中で大きくなるのは、もう少し後の事であった。 夏が終わりに近づく頃、れいむ達は既に体も大きくなり、学校では群れの仕事の練習が主体となっていた、若ゆっくり達は先生ぱちゅりーに課題を出されそれを集めてくる「しゅくだい」が出されるようになり、群れの外に出る機会も増えていった。 れいむ種はそんな宿題をまりさやみょん達から押し付けられる事が多かった。 自分でやる能力はあるまりさやみょんだが最近は「しんっこう」とやらに夢中であり、宿題をやるべき時間に抜け出すことが多く、その分をれいむ達に押し付けていたのだ。 れいむはそんなれいむ種の中で何故かリーダーの様な役割をすることになる、れいむ種の中では比較的能力の高かったれいむは困っている仲間に協力しているうちに中間達から頼られるようになっており、いつしかそう扱われる様になった行った。 れいむは宿題の為の狩を全体で行うことを提案した、妹のがちぇんであり群れの外の探索を仕事にする父ちぇんを持つれいむは、この地域について詳しく知る機会を得ており、群れの狩が暫く行われていない場所に全てのれいむを投入することで何とか課題をこなしていった。 しかし、そんなれいむの中にはいつも群れへの不満が渦巻いていた、まりさやみょん達から押し付けられる宿題もそうだが、この群れ全体にれいむに対する隔意が存在するのだ。 ある時、れいむは妹ちぇんと共に姉のおうちを訪れた事があった、姉ちぇんはれいむ達より前の年に生まれた姉であり、既に一人立ちしてぱちゅりーと番になって生活していた。 遊びに来た妹達を歓迎してくれる姉ちぇん、まだ子供は居ないため番のぱちゅりーも家族の来訪を喜んでくれた。 一緒にむーしゃむしゃをし、れいむ達の学校での様子、姉ちぇんが仕事で見たもの、ぱちゅりーのお話などで盛り上がる。 暫くすると話が恋の話に移った、姉ちぇんとぱちゅりーの馴れ初めを聞く妹ちぇん、恋と言うほどの物では無いが最近友達としてありすの名前が良く話題に上る、気になっているのかも知れない。 それは興味深く聞いて居たが帰り際にぱちゅりーが呟いた一言がれいむの耳に強く残った。 「あのこは……れいむはたいへんね……あのこのおねえさんのれいむも……」 れいむはその事についてぱちゅりーに問いただそうとしたが、姉ちぇんがぱちゅりーを目で叱ると、ぱちゅりーは口を閉ざしてしまった。 お姉さんのれいむ?れいむの知識に自分達の姉に当たるれいむが居たということは無い、心の隅に棘が刺さったように感じるれいむはおうちに戻ると早速、母れいむにそのことを聞いてみた。 「ねぇ、おかあさん、れいむたちにれいむのおねえさんなんていないよね?」 「ゆ!お、おちびちゃん、どうして……、ゆ、い、いないよ、おちびちゃんのおねえちゃんはちぇんだけだよ!」 慌ててごまかそうとする母れいむ、それを追求しようとするが母れいむのとても悲しそうな目を見てしまうと問質せない。 「ゆぅ、いったいどういうことなの……」 その事を若れいむ達の集まりで皆に話すと、仲間たちはそれぞれの親にそれとなく聞いてくれたらしい…… 「ゆぅ、これはおかあさんがいってたんだけど、わたしたちがうまれるまえにいた、れいむのおねえちゃんはこいゆのまりさにうらぎられて、えいえんにゆっくりしちゃったんだった」 仲間の一人が教えてくれたのは、れいむの知らない姉に関する悲劇であった。 「こいゆのまりさが、どれいのれいむとはけっこんできないって、ありすにのりかえたって……」 言葉を濁す若れいむ、れいむは堪えようの無い怒りを噛み締めていた、またなのか、またれいむだからゆっくり出来なくなったのか、れいむである事はそんなに悪いことなのだろうか。 怒りの言葉を上げるれいむに同調する声が上がる、いっそ「くーでたー」を起こして群れのゆっくりをゆっくり出来なくさせてやろうか、そんな考えもとあるれいむが、親から聞いたれいむのクーデターの失敗を伝えると消えてしまう。 その話以前にもれいむの中の冷静な部分は理解していた、仮にれいむ達でクーデターを起こしても失敗する、そもそもここに居るのは群れの若いれいむだけであり、親世代のれいむは群れに不満こそ持っているがある意味諦めている、れいむの自分の母れいむを思い出した。 全てのれいむが行動を共にしても、長の周りにはまりさ、みょんと言った戦闘能力に長ける種が居るのだ、その二種を合わせれば数の上でもれいむ種が負けている。 れいむ達、若れいむだけでの決行もっとありえない話である、体は大きくなってきたとはいえ、成体には一歩足りないし、肉体的にも知識的にも勝る点は無い、これでは勝利は不可能だろう。 気炎を上げていたれいむ達もれいむの説得を受けると気落ちしてしまう、自分達でも力は分かっているのだ。 そんなれいむの堪忍袋の緒が切れるのはその年の秋の始めの頃だった。 「おねえちゃん!」 体もほぼ成体になった若ゆっくり達、そろそろ群れの仕事が割り振られる頃だが、この日もれいむ達は狩りに出ていた。 以前の様に学校の宿題というわけでは無い、親から山葡萄を貰ったまりさが仲間達にその味を伝え、それで盛り上がったまりさたちがれいむ達に命じたのだ。 ふざけるなと怒鳴りたかったが、そうすれば待っているのは暴力だろう、れいむ達は仕方なく山葡萄を探しに出た。 れいむには勝算があった、以前父ちぇんから聞いていた話に似たような物があったのだ、聞いていた方向に進んだれいむ達、昼ごろまで探しながら進んだその時、その声がかけられた。 「おねえちゃん、おねえちゃんでしょ!」 それはゆっくりしていないゆっくりだった、ゆっくりの顔とも言えるお飾りが無く、体は汚れて居る。 そのゆっくりはれいむ達の方へやってくると親しげに声をかけて来た。 「ゆぅ、ゆっくりしていないゆっくりがいるよ!」 「じゃましないでね、れいむはいそがしいんだよ!」 「ゆっくりしていないゆっくりは、さっさとときえてね!」 罵声を浴びせるれいむ達、そんな中れいむは唯一人そのゆっくりを怒鳴ることが出来なかった。 そのゆっくり出来ないゆっくりに、何故か懐かしいものを感じてしまったのだ。 ゆっくりしていないゆっくりはれいむの方に進み出てくる。 体当たりをしようとする仲間を、れいむは引き止めた。 「ゆぅ……も、もしかしてれいむなの?」 「そ、そうだよ!おねえじゃん、ゆっぐじじでいってね!」 涙を流し始めるゆっくりは、なんと隣の群れに行った妹れいむであった。 れいむに引っ付いてゆーんゆーんと泣き出す妹れいむに、不審気な仲間達も静観する。 落ち着いた妹れいむから伝えられたのは、隣の群れの驚愕の実態であった。 隣の群れに連れて行かれた子ゆっくり達は、すぐにお飾りを奪われ「どれい」と呼ばれるようになったという。 食事は苦くてまずい草さんのみで、おうちは狭いところに押し込められ、毎日怖いゆっくりの監視されながら仕事をさせられ、文句を言ったりすれば暴力を振るわれているのだそうだ。 れいむから説明を受け、妹れいむへの警戒を解いた仲間達もこれには激昂した、その中にも姉妹や親友を隣の群れに連れて行かれた者が居るのだ。 話をしている途中で、隣の群れの監督らしいゆっくりまりさが現れたが、れいむ達の壁で妹れいむを隠すと気づかずに行ってしまった。 隣の群れに押しかけてやろうかと思うれいむ、だが妹れいむはそれを止める、隣の群れの長はドスでありれいむ達の群れの長のかなことは協定が結ばれているらしい。 隣の群れについて聞いてみると、妹れいむと同じように来たゆっくり以外にも沢山のれいむが酷い目に遭っているという。 監督まりさが再びこちらに来ているのに気が付き、妹れいむはこっそりと戻って行った。 明日もう一度会うことを約束したれいむ、その体の中には怒りが渦巻いている。 結局その日は手ぶらで帰る事になり、群れに戻るとまりさ達が嫌味と暴力をぶつけてきた。 れいむと仲間達はそのどちらもを冷静に受け止めた、心の中に暗い炎を灯して…… この事がれいむを決意させる事になった、れいむがゆっくり出来ないのはこの群れだけでは無い、隣の群れの森のの外でもゆっくり出来ないのだ。 かといって、そのゆっくり出来ない環境を変えるまでは出来ない、ならばゆっくりする為にどうするか、作ろう、れいむ達がれいむのゆっくり出来るゆっくりプレイスを、他のゆっくりの力を借りる事無く、れいむ達だけの力でれいむの為の理想のゆっくりプレイスを作るのだ。 れいむは傷れいむの連絡をとった、傷れいむの話したゆっくり出来ない場所に調査に行ったありす達が戻って来なくなってから、傷れいむは群れの一員になっていた。 「れいむ、もういちどおしえてほしいよ、もりのおくにあるりそうのゆっくりプレイスについて……」 れいむの問いに答え、れいむの計画を聞いた傷れいむは狂喜すると協力を約束してくれた。 れいむの仲間である、れいむ種の若ゆっくり達も計画に同意する。 皆耐えていたのだ、この群れのゆっくりできないものに。 次の日の昼ごろ、再び落ち合った妹れいむにれいむは計画を伝えた、妹れいむも隣の群れに嫌気が差しているのか、そこから逃げられるならと協力を約束してくれる。 妹れいむには隣の群れの奴隷にされているれいむ種にこっそり協力を取り付けてもらうことにする。 そして、少しずつ群れの仕事を任されるようになったれいむ達は、仕事によってまりさとみょんの嫌がらせをある程度断れるようになったのを良いことに、平行して群れからの脱走準備を進める事にする。 自由時間に食料を集めて隠して備蓄する、ありす種の姉妹がいるれいむは、頼み込んで道具を作ってもらう、ちぇん種を家族に持つものはこっそり隣の群れまでに行き方を聞いておく。 少しずつ準備をしていくれいむ達、定期的に連絡を取っている妹れいむからも良い返事が返ってくる。 「ゆぅ、むれをでたらとなりのむれのれいむたちをたすけて、みんなでもりのおくへいくよ……」 決行の日は近づいていた。 ゆっくり公民 ~奴隷解放~(中編)へ続く……
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「一匹のゆっくりを振り返ってみる。」 知られてはいないが、ゆっくりの寿命は短い 大概は事故、縄張り争い、捕食によって命を失ってしまい気づかれないからだ 【春】 お母さんに見送られて、一匹の子れいむが巣から顔を出した 赤ちゃんの頃からずっと今まで、巣の中で暮らしてきた子れいむには 外の世界はとても眩しく感じられた 暖かいお日様 草の匂い 頬を撫でる風 今日はお父さんまりさが外で一緒に遊んでくれるという 「れいむ! ゆっくりしないでおとうさんについておいで!」 「ゆゆ!? おとーさん まって! ゆっくりしてね! まってぇえええ!」 こてん 転がってしまった 狭い巣の中では大きく跳ねる必要もなく 体全体を使うような経験がなかったからだ 転んでいるうちにお父さんの姿はどんどん小さくなる 「いじゃいよぉお あんよが ひりひり ずるのおぉおおお」 「…」 お父さんまりさは子れいむに振り返るが、すぐにきびすを返して跳ね始めた 「ゆ!?」 お父さんに助けてもらえると思っていた子れいむは 思いがけない対応に驚く 「おとうさん もういくからね! れいむも はやくきてね!」 「ゆぅううう! おどーじゃあん! まっでよぉおお!」 初めて見た見知らぬ草原 子供頃、親とはぐれ迷子になった時の恐怖を覚えているだろうか? しかもココは野生の子れいむにとって、何の目印もないのっぺらぼうな大草原だ 「ゆっく! ゆぅ… ゆっ! ゆっ! ゆっ!」 お父さんが助けてくれない事をゆっくり理解すると、子れいむは体を起こして跳ね始めた するとどうだろう 自分でも思いもかけなかった力が体からあふれてくる 今まで泣きじゃくっていたれいむは悲しいことも忘れて より遠くへ より高く 自分の跳ねる力に楽しさを覚えていた 何度か転ぶ事もあったが、力いっぱい跳ねられる楽しさに比べたらなんてことはない 「ゆっ! ゆっ! ゆっ!」 「おー やっときたね! れいむは ぴょんぴょんが じょうずだね」 「ゆへへぇ///」 これが子ゆっくりを巣の外に連れ出した時、初めて覚えさせる事の一つだ ゆっくりがなによりも大切なジャンプ 移動・狩り・逃げる・採集・加工 全ての場面で必要とされる重要な事だ これでお父さんまりさの一つの役目が終わった 「ゆ! れいむ! ちょうちょうさんだよ!」 「ほんとうだ! ちょうちょさんだね! ゆっくりしていってね!」 黄色い蝶々が子れいむの鼻をかすめ、気ままに春風の中を泳いでいる 「れいむ! ちょうちょうさんは かわいいけど おとうさんたちの ごはんでも あるんだよ!」 「ゆ! れいむ しってるよ! でも れいむが しってる ちょうちょさんは こんなにゆっくりしてなくなかったよ! すごいちょうちょさんだね!」 「ほんとうのちょうちょうさんは ゆっくりしてなくて すごいんだよ! さあ いまから ごはんの じかんだよ!」 「ゆゆーん! きょうの ごはんは ちょうちょさん なんだね! 」 子れいむは黄色い蝶々に目を輝かせていた 「…」 「…」 「…」 「おとうさん ちょうちょさん たべたいよ!」 「そうだね ちょうちょうさんは おいしそうだね! おとうさんは おとうさんで つかまえるから れいむも すきなちょうちょさんを つかまえてね!」 「ゆ!?」 蝶々といえば、ご飯に出てくる羽のついた可愛い虫 いつもみる蝶々はふるふると震えて、ご飯のはっぱの上にいた しかし巣の外で見る蝶々の元気の良さにれいむは驚嘆した お父さんは蝶々を昼食にするといっているが、いつまでたってもれいむに運んできてくれない なんと自分で蝶々さんを食べろというのだ 子れいむは、とにかくお口を開けて蝶々さんを追いかけるが ひらひらと子れいむを馬鹿にするように飛んでいる 「おとうさん! ちょうちょさんが ゆっくりしてくれないよ!」 「そうだね! ちょうちょさんも たべられたくないんだね! だから ゆっくりしないで つかまえてね! おとうさんは てつだわないよ!」 「ゆぅぅううう???? なんで おとうさんは れいむを いじめるのぉおおお!?」 大好きなお父さんの言葉に子れいむは涙を浮かべてしまった 「れいむ! おとうさんは いつまでも れいむの そばには いられないんだよ?」 「ゆー?」 「おとうさんの そばには いま おとうさんのおとうさんが いないでしょう? れいむも いつか ひとりになることがあるんだよ」 「ゆぅ…」 「だから れいむは おとうさんが はずかしくないような りっぱな ゆっくりになってね!」 「………ゆ! おとうさんのために! れいむ がんばるよ!」 なんとなく理解した子れいむは、蝶々に近づく ひらひらと軌道の読めない蝶々に苦戦して 子れいむは子一時間ほど格闘するとやっと捕まえることができた 「ゆー♪ つかまえたよ! おとーさん! れいむが つかまえたよ!」 「すごいよ れいむ! れいむは ちょうちょうとりの たつじんだね!」 「ゆぅー///」 「ほら たべてごらん?」 「ゆ…ちょうちょさん ごめんね! むーしゃ むーしゃ ?! しあわせーーーーー☆」 狩りの訓練 動く生き物を狩る難しさ 自分で採ったご飯の美味しさ そして先ほど獲得した自分の跳ねる能力を ここで発揮し理解して自信をつける事ができる これで子れいむは一人でも巣の近くでご飯を採れるだろう 「ゆぅー ちょうちょさん だけだと つまんないよ…」 「じゃあ おとうさんに ついてきてね! おやさいを たべようね!」 「ゆ! れいむ きのこさんも わらびさんも ぜんまいさんも だいすきだよ!」 森にやってきた 巣の中とは違う意味で薄暗く、そして複雑な地形に 子れいむは怖がってしまっていた 「お、おとうさん! れいむは こんなところに はいりたくないよ!」 「だいじょうぶだよ れいむ もりさんは とてもゆっくりできるところだよ!」 しかし森には子れいむの背を遥かに越える草むらや とてもとても大きい木々が立ち並んでいる まるで巨人の国に来たみたいだ 「ほら! あそこに きのこさんがあるよ!」 「ゆ! しいたけさんだね! ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 そんな恐怖も、ご飯を目にすると飛んでしまい 子れいむはお父さんが見つけたきのこに跳ねて行った 「ちょっとまってね!」 かぶりつこうとしていた子れいむにお父さんが待ったをかける 「これは たべられない きのこさんだね!」 「これは しいたけさんだよ?」 しいたけはしゃくしゃくとした歯ごたえで、子れいむが大好物の一つなのだ 「よくみてごらん? ここのかたちが しいたけさんと ちがうんだよ!」 「ほんとうだ! ちょっとだけ かたちが ちがうよ! おとーさん すごい!」 「これは しいたけさんに すごい にてるけど ぜんぜんゆっくりできない きのこさん なんだよ!」 「そうなの? れいむは どんなきのこさんでも すきだよ!」 「じゃあ れいむ ちょっとだけ このしいたけさんを なめてごらん? ちょっとだけだよ?」 「ゆっゆ~♪」 ぺろ 「!? ゆげぇえええええええ へんなあしがするよ!!! したが ひりひりするよ!!!」 「そうだよ! これは しいたけさんに とてもにてるけど ゆっくりできない きのこさんだよ!」 「ぺっ! ぺっ! ゆげぇええ! にぎゃいよおおお!」 どんなきのこも好きだと言っていた子れいむだったが ゆっくりできないきのこをひと舐めしただけで 小さいな舌をべーっと出しながら瞳を潤ませている 「こんなものを みつけて すぐにたべたら ぽんぽんが いたくなるからね! ちゃんと たべられる きのこさんか! しらべるんだよ!」 「ゆげぇ! わがっだよ! れいむは ぼう ごんな ぎのござん だべないよ!」 この後 とても綺麗な山菜に見えるけど苦い草花や 美味しい木の実があるけれど虫がたくさんいて痛い所 冷たいお水さんがあるところでは水浴びをしてふやけてしまったりもした そして獣道に生える野いちごをつまみ食いしたり 森を抜けた小高い丘でお昼寝をしたりもした 身をもって森の豊かさと危険を勉強する子れいむだっだ 【夏】 梅雨や日照りのある季節だ 水に弱く乾燥も命取りなゆっくりにとって、冬と共に危険な季節だ 「ゆぅ~ あついよ~」 お父さんから狩りを教えてもらった子れいむも更に大きくなっていた 「れいむ! なつというのは あついだけじゃ ないからね!」 「ゆゆ? おとーさん なつは あついんでしょ! れいむも わかるよ!」 「あついあついといっても あつくないときがあるんだよ」 「???」 お父さんの言うことがまったく理解できない子れいむ 「だから これから そのあつくないときの ための じゅんびをするよ?」 「…ゆ?」 すんごい暑いのに 暑くない時の準備をする、子れいむにはさっぱり意味がわからなかった まずは子れいむを連れて森に行くと 花や山菜などをさけて、虫・木の実など硬くてパサパサしたご飯を集め始めた ある程度頬袋に溜めて終えると、これは今日のご飯じゃないというお父さんまりさ へとへとに疲れて必要以上の量を採ってきたのに これは食べないだなんて、子れいむは全然納得ができなかった 「ぷくぅ~! れいむが せっかく がんばって かりをしたのに! どうして たべないの!」 「これは あとで たべるためのものなんだよ れいむ」 「はやくたべないと おはなさんみたいに くちゃくちゃに なっちゃうよ!」 「ちがうよ れいむ このきのみさんや ちいさいむしさんはね しばらくほっておいても ゆっくりしているんだよ!」 「ゆぅ~???」 ぽかーんとしている子れいむをそのままに 今度はおうちの改造だという 「おとーさん! なんで おうちのいりぐちを ふさいでいるの? こんな かたちだと れいむが ころんじゃうよ?」 「これでいいんだよ いりぐちと じめんさんに やまを つくっておくんだよ」 「こんなことすると おうちにはいりにくいよ! どうして こんなことするの!?」 「だいじょうだよ! おとうさんのおとうさんも このいえに こうしてきたんだよ ずっとむかしからね!」 なんだかわけのわからない事ばかりやらされる子れいむ 「もう! れいむは こんなこと やりたくないよ! おとーさんだけ やればいいよ! れいむは ゆっくりする!」 「れ、れいむ!?」 そういうと子れいむは 巣の中に引っ込もうとした 「ゆっくりまってね!」 べしっ あわてて止めようとしたお父さんまりさは、子れいむを突き飛ばしてしまった 「ゆぅ…………ゆぅえええええええええええええええん!!!!! ゆえええええええええん!」 「…」 子れいむはお父さんまりさの横をすり抜けると泣きながら巣に入ってしまった しかしお父さんまりさは、子れいむを追いかける事はせずに土いじりを再開した 「ゆえええええん!ゆええええん!おどーーざんのばがぁああ!れいむは わるいごどじでないのにぃぃい!」 巣の中で大声で泣きじゃくる子れいむ 「おちびちゃん」 藁のベッドに飛び込むと お母さんれいむは、そっと子れいむにすりすりしてあげた 「おがぁあじゃあああん! おどーざんが れいむに いじわるずるんだよぉおおお!」 「おちびちゃん おちびちゃんは いいこだよ」 すりすりしてくれね大きいお母さんれいむの暖かさに、やっと子れいむは落ち着いた 「ゆぅ…」 「おちびちゃん おとうさんは おちびちゃんに いじわるをしてるわけじゃないんだよ」 「ゆ…」 「おかあさんがすき?」 「…すき」 「なら あかあさんがだいすきな おとうさんが おちびちゃんに いじわるするわけないよね?」 「…ゆ」 「おとうさんは どのゆっくりよりも おちびちゃんに ゆっくりしてほしいんだよ」 「…」 「おちびちゃんは おかあさんの たからものの なかで いちばんのたからものなんだよ?」 「きれいな いしさんより?」 「そうだよ」 「かわいい おはなさんより?」 「もちろん」 子れいむの涙は乾いており、お母さんからぽよん離れると そのまま藁のベットを飛び降りて入り口へ向かって跳ねていった 「…おかーさん」 「ゆ?」 「おとーさんに あやまってくる」 「ゆ! いってらっしゃい」 子ゆっくりは 入り口へ向かうと お父さんは土いじりを終えて空を見上げていた 入り口は高く盛り上げられ、よじ登らないとお外に出れない がんばって段差を乗り越えると子れいむはお父さんの前に来た 「ゆっ………おとーさん、あのね…」 「れいむ? おとーさんは その…」 ザァーーーーーーーーーーーーーーーー 突然の豪雨が襲ってきた! 今まで見たことのない まるでたくさんの小石が降ってきたような光景に 子れいむは硬直してしまった みるみるうちに髪飾りは湿気り、皮は透けて中の餡子が見えそうだ 「ゆっ! れいむ!」 お父さんまりさは 溶けかけている子れいむを帽子にツバでひっかけながら 新しく出来た入り口の段差を乗り越えて、巣の中に一緒に逃げた 「だいじょうぶ? れいむ?」 「ゅ…ゅ…………ゆ!?」 濡れた皮がやっと乾くと子れいむは目を見開き 「おとーさん! すごいあめさんが ふってきたよ! どうしよう! すごいおおきな みずたまりができちゃうよ! みんな かわさんになって ながれてくるよ! どうしよう!どうしよう!」 どうしようと連呼する子れいむにお父さんまりさは 「おちついて れいむ」 「おちついて ゆっくりなんかできないよ! おとーさん あめさんみてたの? はやくしないと おうちのなかにも あめさんが いっぱいはいってくるよ!」 「そうだね あめさんは すごいね でもね れいむ いりぐちをみてごらん」 「…ゆ?」 先ほどお父さんまりさがやっていたのは 巣の入り口に防波堤を作り 外が多少ぬかるんだり増水しても、水が流れ込んでこないようにしているのだ 「す、す、すごいよ! おとうさん! おとうさんは てんさいだね!」 「いやいや そんなことはないよ これは おとうさんのおとうさんに おしえてもらったんだよ!」 「おとうさんのおとうさんて すごいね! だから おとうさんも すごいんだよ!」 「ゆっはっはっ」 とんちんかんな賞賛をして興奮する子れいむ 「さあ れいむ! おうちのなかにはいろうね いつまでたっても あめさんは やまないよ」 「ゆ!? いつまでたっても!?」 「そんなに ながくは ないけど おつきさまが なんかいも ぐるぐるしないと やまないかもね!」 「ゆーーーーーー!? そんなに あめさんふっていたら おそとに かりに いけないよ!」 「れいむ? きょうは なにをがんばったのかな?」 「ゆ! いっぱい ごはんをとって………ゆっ!?」 「そういうことだよ さあ あめさんが やむまで しばらくおうちで ゆっくりしようね」 そう言い聞かせるとお父さんまりさは、子れいむの背中を押してお母さんれいむの所へうながせた 「あのね おとうさん…」 「ゆ?」 「うんとね…」 「…」 「…」 「…」 「…め……い…」 「…?」 「…ごめんなさい」 「れいむは―」 お父さんに叱れるのを覚悟していた子れいむは、身を硬くして待った 「れいむは いいこだよ おとうさんの『たからもの』だよ」 梅雨の準備は万全だった 笑顔の子れいむと ちょっと涙ぐんでるお父さんまりさが おうちの中に並んで跳ねていく れいむが昼間集めた木の実を、お母さんれいむが擦りつぶして団子にしてくれた しばらくは木の実や虫さんとか味気ないものばかりだけど お母さんとお父さんと一緒にいられると思うと ちっとも嫌じゃないと思う宝物の子れいむだった 【秋】 実りの秋 春の時と同じように子れいむは巣の外に顔を出した 今度はお母さんも外にいる 「…」 春の時は目を輝かせてお外を見ていた子れいむだったが 表情は陰り、はっぱで作られた荷物を抱えている 「おちびちゃん きをつけてね! つらくなったら もどってくるんだよ!」 「だめだよ! もうすぐ さむいさむい ふゆが くるから そのとき かおを みせてね!」 「おかーさん おとーさん! れいむは さびしくないよ! ちゃんと ひとりで ゆっくりできるよ!」 子れいむはいまや、成れいむだ 春夏と過ごした巣は成体三匹では手狭となっている 今まで"おとうさんやおかあさん"の"おとうさんやおかあさん"をみたことはない うすうす成れいむは、大きくなったら一人で暮らさなくてはいけない事をわかっていた 「れいむ ほんとうに おおきくなったね! おとーさんはうれしいよ!」 お父さんまりさは、自分と同じくらい大きく育った成れいむを嬉しがっていた 「おとーさんの おかげだよ! れいむなら どんな かりでも できるよ!」 お母さんれいむは、自分と同じくらい賢く育ったに成れいむを喜んでいた 「おちびちゃん! ふゆになるまえに ごはんをあつめるんだよ!」 「もう おちびちゃんじゃないよ おかーさん! れいむは おかーさんにならった りょうりで いつも おいしいごはんを つくれるよ!」 「…」 「…」 「…」 「ゆわぁああああああああん」 「れいむぅぅ!」 「おちびちゃああああん!」 この数ヶ月で、両親から受け継いだ狩りや自然の知識を学び 子れいむは一人前のゆっくりとなった もう自分一人の力で生きていかなくてはならない ひとしきり別れを惜しんですりすりし終えると 何度も何度も両親を振り返りつつ、成れいむは遠い山の向こうを目指した 秋の山は食べ物にあふれている いろんな芳しい匂いに釣られるが ちゃんと食べられるもの ゆっくりできないものを吟味していく 保存の効くものは、頬袋やはっぱの荷物入れにしまう まだ巣の中しか知らない幼い頃 閉ざされた入り口の隙間からは、冷たい風が入り込み 藁の敷いていないおうちの地面はとても冷たかった しばらくしてお父さんが入り口を空けて 子れいむを帽子の上に乗せて散歩した時も 春には蝶々がたくさん飛んでいた原っぱも 野いちごが生るはずの森もシンと静まり返っていた とても寒く、他にはなんにもない それが冬なのだ もりさんも たいようさんも ゆっくりしなくなる その冬が来る前に、寒さを凌げるおうちや 冬を乗り越えるご飯を探さなくてはならない 「これはたべられるものだね! これはたべられない! あれは すぐにだめになっちゃうから いまたべちゃおう!」 れいむが食べ物を探して散策していると なんとゆっくりが一匹いたのだ 「ゆ!?」 家族以外のゆっくりと会うのは、実は成れいむにとって初めてだった 「…?!……ゅ…ゅ………ゆっくりしていってね!」 初めての挨拶をかけるが 「…」 反応がない 初めての挨拶に戸惑い恥ずかしがると しぶしぶと相手の様子を見た 「!」 相手のゆっくりが返事を返してくれないのも無理もない なんと倒れこんで苦しがっている! 「ゆゆ!? だいじょうぶ? ゆっくりしてね! れいむが ゆっくりさせてあげるよ!」 「…ゅ…ぃ…」 あたふたと成れいむが、体をしらべるてみると 苦しがるゆっくりの下から 派手な色に染まったきのこがたくさん出てきた 「ゆ! これは ゆっくりできない きのこさんだね! まっててね! いま おくすりを だすからね!」 荷物から葉っぱに来るんだ薬を出すと 倒れたゆっくりに差し出した 「これをのんでね! そうすれば ゆっくりできるよ!」 「…ゅ…ゅ…」 薬を飲むどころではない 額には汗がびっしり浮きでており ぎゅっとつぶった目からは涙が流れている このままでは毒にあたって死んでしまうだろう 「どうしよう! どうしよう! どうしよう!」 「…ゅ…ゅ…」 毒に犯されたゆっくりの息は更に激しくなり、もう後がない 「そうだ! ゆっくりわかったよ!」 成れいむは 葉っぱから薬を取り出すと 口に含んでゴリゴリとすり合わせた 「…ゆぐ…」 「…ゅ…ん…」 成れいむは むかし病気にかかって、ご飯が食べれない時 お母さんに口移しで食べさせてもらった時の事を思い出したのだ 「…ゅ…んぐ………………………ゆ?…」 「ゆ! げんきになったね! よかったよ! ゆっくりしていってね!」 「ゆ? ゆゅ! ありがとう! すごく ゆっくりできるよ!」 成れいむは介抱したゆっくりを抱き起こすとびっくりした 「お、おとうさん?」 「? まりさは まりさだよ!」 その姿は成れいむの父親と同じ まりさ種だったのだ しかしよく見ればお父さんとは違うところがいくつかあり 体の大きさは成れいむより一回り小さく 逆に髪の毛はふわふわで飾りはキラキラで、まるで綺麗な自分のお母さんのようだった 「ゆ…////」 いまさら成れいむは綺麗なまりさと口付けをしてしまったことに照れていた 命を救ってもらったまりさは、そんなれいむの同様には気付かず 「ほんとうにありがとう れいむ!」 「ゆ…えっと ああいう きのこさんは たべたら だめなんだよ! しらなかったの!」 「ごめんなさい まりさは もりの かりが にがてなんだよ…」 「それなら しょうがないね! れいむが いっしょにごはんを さがしてあげるよ!」 「ありがとう れいむ!」 れいむは頼りないまりさを手助けする程度のつもりだったが 自分が綺麗なまりさに惹かれているなんてのは気づきもしなかった 後編
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冬の足音が聞こえてきた秋の昼時、枯れ木の根元に出来た穴から小さな影が4つ現れました。 「きょうはなにちてあしょぼーか!」 「おいかけっこ!」 「ゆ~それじゃゆっくちできないよ!」 「じゃあかくれんぼ!」 仲良く遊び始めたのはゆっくりれいむと呼ばれる最近になってあらわれたナマモノです。 ゆっくりれいむは紅いリボンと黒髪がトレードマークのもっとも多くいるゆっくりでした。 遊んでいるれいむたちは人間で言う子供で大きさは野球ボールぐらいでした。 まだ生まれて1年も経ってない4匹は仲良くかくれんぼを始めます。 最初ということで一番大きいおねーちゃんれいむがオニになりました。 残りの3匹は思い思いに隠れ場所を探しに行きます。 「も~い~かい!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ~・・・いーち!にー!さーん!だー!らーぶ!・・・」 「ゆゆっ、ここはれいむがかくれちぇるよ!べつのところにいってね!」 「ゆ!わかっちゃよ!」 「れいみゅはこっちにいくよ!」 「じゃあれーむはむこうにいくね!」 一匹のれいむは石の影にかくれました。 もう一匹は枯葉の下に。 「もーいーかい!」 「ゆっくりできたよ!」 「じゃあいくよー!」 石に隠れたれいむも枯葉にかくれたれいむはすぐに見つかってしまいます。 「次はれいみゅのばんだよ!」 「ゆゆ・・・まだれぃむがのこっちぇるよ!」 「みゅ~さっさとみちゅけるよ!」 しかし、残り一匹はなかなか見つかりません。 それもそのはず、最後の一匹はかくれる場所を探して今も移動していたのです。 「ゆ~、なかなかみちゅからない・・・」 この子れいむは遊びということも忘れてゆっくり出来そうな場所を探していました。 やがて、今まで来たこともない遠い場所に来てしまいます。 「ゆー・・・ゆっ!ここどきょ!」 れいむは知らない場所でいることに不安を感じます。 「おねーちゃああああ!れぃむはここだよおおおおおお!」 しかし、叫んでも叫んでも返事は返ってきません。 姉れいむとは子れいむが思っていたよりも離れていました。 子れいむはもときた道を思い出して戻ろうとします。 しかし、隠れ場所を探しながら来たのでどこを通ったか覚えていませんでした。 もう少し大きくなっていれば巣に戻るための方法を親れいむから教えてもらっていたはずでした。 もう少ししたら、きっとお姉ちゃん達が来てくれる。 そう信じて子れいむは木の近くで姉達をじっと待つことにしました。 子れいむが木に寄り添うようにゆっくりし始めると、美味しそうな匂いがどこからか漂ってきます。 「ゆゆ!おいしそうなにおひ!」 子れいむは匂いに引き寄せられます。 匂いの元はある木の根元に生えているたくさんのキノコでした。 「ゆ~!おいしそうなきにょこ!」 子れいむはキノコに飛び込んでいきました。 姉れいむたちは探しても探しても見つからないれぃむを心配になり、巣にいた母れいむを呼びに戻りました。 子の訴えを聞いた母れいむはすぐに巣の周りを探し始めました。 姉れいむ達は危ないからと巣でお留守番です。 母れいむは危険そうな場所を一つずつ調べていきます。 しかし、れぃむはどこにもいません。 母れいむはあきらめずに探し回りました。 やがて、普段は来ない森の奥に足を踏み入れます。 「れいむのかわいいれぃむー!どこにいるのー!」 母れいむは懸命に叫びました。 「ゆっ?」 子れいむがお腹を膨らませてゆっくりしていたころ、どこからか母親の声が聞こえました。 「おかーしゃああああああああん!」 先ほどまでキノコを食べることに夢中で自分が迷っていることを忘れていたれぃむは母親の声で自分のおかれている状況を思い出しました。 そして、母親に見つけてもらおうと声を張り上げます。 先ほど食べたキノコのおかげで大分大きな声が出せました。 大きな声は森に響き、とうとう母親の耳に入ります。 「ゆゆ!れぃむのこえだよ!」 「おかああさああああぁぁぁぁあぁん・・・」 「いまいくよ!そこでゆっくりしててね!」 母れいむは子れいむの声に耳を澄まして位置を探ります。 森の中では声が反射し場所がわかりにくかったですが、子への愛なのか母れいむは迷わずに足を進めていきました。 やがて、一つの木の下で泣き叫んでいる子れいむを見つけました。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていっちぇね!・・・おかーしゃん!」 「だいじょうぶだった?けがしてない?」 「れぃむはごたいまんぞくだよ!」 母れいむは子れいむの声を聞き、自分の目で確かめて子の無事を確認します。 「だいじょうぶそうだね!」 「おかーしゃんごわがっだよおおおおおおおお!」 「もうひとりでこんなとおくまできちゃだめだよ!」 「ゆぅうううう、おかーしゃんごめんなさい・・・」 「わかればいいよ!もうくらくなるからはやくかえろうね!」 「ゆっ!そうだ!おかーしゃん!れいむきのこみちゅけたよ!」 「ゆゆっ!きのこ!?」 「しょーだよ!このうらにいっぱいはえちぇるよ!」 子れいむはそういって木の裏へと跳ねていきます。母れいむは道に迷わないように確認してから子れいむの後を追いました。 「このさきにきのこあるよ!!」 「ゆっゆ!・・・しゅご~い!」 「いっぱいあるからおねーちゃんたちにもあげりぇるよ!」 「そうだね!ぜんぶもってかえろうね!」 いそいそと口にキノコを含んでいく母れいむ。 子れいむはどんどん口に入っていくキノコを見て目をきらきらと輝かせました。 「おかーしゃんのいぶくろはうちゅうだね!」 「ゆふん!」 子れいむの声援に答えるように母れいむはキノコを口に含みます。 やがていっぱいになると母れいむは子れいむと共に巣に戻りました。 巣では帰りの遅い母れいむを残った子れいむが心配していました。 「おかーしゃんおかえりなさい!」 「ゆゆっ!おかーしゃんおおきくなっちぇる!」 子れいむが驚いていると母れいむは口から大量のキノコを吐き出しました。 「ゆゆゆ!おいしそう!」 「おかーしゃんどうしたの!」 「れぃむがみちゅけたんだよ!」 そういって母れいむの腋から現れた妹れいむに子供達はさらに驚きます。 「さすがれーむのいもうとだね!」 「でもしんぱいしたんだよ!」 「そうだよ!おかーさんがいないのにとおくにいかないでね!」 「うん、もうひちょりでそとにはいかにゃいよ!」 「れーむたちもきをつけるよ!」 母親と一番上の姉れいむに注意され、もう二度と勝手に遠くに行かないと子れいむ達は誓いました。 そんな子供達への説教が終わると、眼の前のキノコに話が移ります。 「これならしばらくだいじょうぶだね!」 「おかーしゃんがとりにいかなくてもへいきだね!」 「ゆ!そうだね!しばらくは巣でいっしょにゆっくりできるよ!」 「やっちゃね!」 「れぃむといっちょにいようね!」 突然降って湧いた幸運にれいむ達はうれしくてたまりませんでした。 それからしばらく、このれいむ家族は一度も巣から出ることなく、巣の中でゆっくりとしていました。 食べ物が無くなったらまたキノコを採りに行けば良い。母れいむは久しぶりにゆっくり出来たので上機嫌です。 子供達もそんな母親の様子を見てうれしくなり、母親に擦り寄って遊びました。 れいむ家族はずっとゆっくり出来ると思っていました。 しかし、四季の変わり目はもうすぐそこまで来ています。 巣からあまり出なくなったれいむ家族にはそれが分かりませんでした。 「まったく、れいむたちはなにをやってるのかしら!」 風が冷たく感じ始めたころ、一匹のゆっくりありすがれいむの巣に向かっていました。 このゆっくりありすは母れいむの友達で冬篭りの準備が出来てもやってこない母れいむに痺れを切らしてやってきたのでした。 巣の前までやってくるとありすは中にいるであろうれいむ達に声をかけます。 「ゆっくりしていってね!」 しかし、待てども待てども返事が返ってきません。 このまま待っていても埒が明かないので、ありすは巣に入りました。 中ではれいむ達がキノコを食べてとてもゆっくりしていました。 「ゆっ!おいしそうなきのこね!」 「ゆゆっ!ありす!」 いきなり現れたありすに子供達は母れいむの後ろにかくれました。 「こわがらなくていいよ!このありすはれいむのともだちだよ!」 「そうよ!さっきからよんだのにへんじがなかったわ!だからとかいてきじゃないけどあがらせてもらったわ!」 「ゆ~ありすごめんね!」 ありすの声に気付かずゆっくりしていたれいむはありすに申し訳無さそうに謝りました。 ありすはそれで少しだけ悪かった機嫌を直して笑顔を見せます。 「ありすはきにしてないわよ!・・・ってそうじゃないわ!」 「ゆゆっ、どうしたのありす!」 「れいむたちがふゆごもりにこないからよびにきたのよ!」 「ふゆごもり?」 聞いたことのない単語に子れいむが不思議がります。 母れいむは子れいむに教えようとしましたが、時間がないのかありすが急かしました。 「いまはじかんがないわ!すぐにじゅんびしてゆっくりすぽっとにむかってね!」 「ゆ!わかったよ!」 「じゃあありすはもういくわ!れいむもゆっくりしないでね!」 ありすは言いたいことを言うとすぐにれいむの巣を離れました。 れいむ達が住む地域は冬にはかなり冷え込み、ゆっくり家族だけでは越冬できませんでした。 なので、ゆっくりスポットと呼ばれる大きな洞窟などに集まって身を寄せ合って眠り春を待つようになっていました。 ゆっくりスポットにはゆっくり制限があり、主にぱちゅりーの判断で入れるゆっくりの数を制限していました。 ありすが急いでいたのはゆっくり制限で入れなくなってしまうのを恐れたからです。 母れいむも一度ゆっくりスポットで越冬を経験していたのですぐに準備を始めようとします。 「おかーしゃんふゆごもりってなーに?」 「ゆーっとね、もうすぐここじゃゆっくりできなくなるんだよ」 「ゆゆゆゆ!?」 「だから、みんなのいるばしょにあつまらないといけないの!」 「そーなのかー!」 「れーむたちもじゅんびしてね!すぐここをでるよ!」 母れいむはすぐにゆっくりスポットに行く準備を始めました。 母れいむは子れいむもすぐに準備してくれると思っていました。 なので、れぃむが反対したのに驚きました。 「やだ!れぃむはまだうごきたきゅないよ!」 「どおおおしてええええ!はやくうごかないとゆっくりできなくなるよ!」 「でもきのこしゃんまだいっぱいあるよ!」 「ゆゆゆ・・・」 冬篭りには食料は必要ありません。 だから巣に残っている食料はすべて捨てる必要がありました。 れぃむは自分が見つけた食べ物を残していくことが不満だったのです。 「まだあっちゃかいよ!きのこたべてからでもまにあうよ!」 「ゆゆゆ・・・」 れぃむの発言に母れいむは困ってしまいます。 これを見た他の子れいむは相談してれぃむの方に回ります。 この子れいむ達もキノコに不思議な魅力を感じていたのでした。 「きのこちゃべちぇからいこうよ!」 「そうだよ!」 「もっちょゆっくりしちゃいよ!」 「ゆっくち!ゆっくちぇ!ゆっくりょ!」 母れいむは子れいむの反論に去年の冬篭りの記憶を思い出そうとしました。 母れいむが入ったゆっくりスポットはまだ時期が早かったので洞窟の中はすかすかでした。 母れいむは仲間が集まる間スポットの周りの食べ物を食べたり、他のゆっくりと話したりして冬眠まで過ごしたのを思い出します。 今回もまだまだ空きがあるだろう。母れいむはそう結論付けました。 「わかったよ!きのこがなくなるまでここでゆっくりしようね!」 「おかーしゃんだいちゅきー!」 「ゆっくりしようね!」 母れいむが賛成してくれて子供達は大喜びです。 そんな姿を見て母れいむも反対しなければ良かったと思いました。 こうして、ありすの忠告も無視して母れいむは巣でゆっくりし続けました。 今は友達よりも子供達のほうが大事でした。 母れいむはしばらく巣から出てないことも忘れて、巣で子供達と仲良くゆっくりとしていました。 「ゆ~、とうとうさいごのきのこだね!」 「これをたべたらゆっくりすぽっとにむかおうね!」 「とうみんたのちみ!」 「しゅっごいゆっくりできそうだよ!」 「ゆっくちできりゅといいね!」 あれからもキノコを食べ続けて3日後、とうとうキノコがなくなりました。 キノコ以外の食べ物も残っていたので残さず食べました。 もう巣には食べ物は残っていません。 れいむ達は巣を枯葉と枝で上手に隠して外に出ました。 「ゆ~、しゃ、しゃぶいいいいいいいい!」 「ゆっくりできないいいいいいいい!」 「ゆぐぐぐぐぐぐう!」 「ぐるじお・・・」 保温効果のあった土の中からみて外の世界は極寒です。 震えてる子れいむに母れいむは用意していた白いもこもことした綿を被せました。 「これでさむくないよ!」 「ゆ・・・ほんちょだ!さみゅくないよ!」 「ぽかぽかー!」 「これならゆっくりできるよ!」 「ゆぅ~ん」 母れいむの用意していた綿は子れいむ達をすっぽり覆いました。 上手に穴を開けているので動きを妨げることもありません。 元気になった子供達を連れて母れいむは記憶の中で一番近いぱちゅりーの巣に向かいました。 ゆっくりスポットはぱちゅりーが管理してることがほとんどです。 ぱちゅりーの巣の近くには必ずと言っていいほどゆっくりスポットがありました。 れいむ達がゆっくりスポットにつくと、スポットは冬眠のために入り口を閉じている最中でした。 れいむ達は急いで中に入れてもらおうと指揮をとっているパチュリーのところに向かいます。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ぱちゅりー!れいむたちもなかにいれてね!」 「「「「いれちぇね!」」」」 れいむ達はすぐに中に入れてもらえると思い巣の入り口に向かいました。 しかし、ぱちゅりーが行く手を塞ぎます。 「ゆゆっ、ぱちゅりーじゃましないでね!」 「れいみゅたちはさむさでこごえしょうだよ!」 「はやくいれちぇね!」 母れいむの抗議に子れいむも声を重ねます。 それでもぱちゅりーは動きません。 ぱちゅりーは言い聞かせるようにれいむ達に話しました。 「ざんねんだけどもうゆっくりせいげんよ」 「ゆ!?」 母れいむは驚きます。 「そんなわけないよ!まだいっぱいあきがあるはずだよ!」 「あなたたちはくるのがおそすぎたのよ!こんなじきじゃあいてるわけないわ!」 「ゆぐぐぐぐ・・・」 何とか入ろうと穴の辺りを見ましたがこちらをまりさとみょんが見ていました。 ぱちゅりーだけならどうにでもできましたが、まりさとみょんが一緒では勝てません。 「もういいよ!いじわるなぱちゅりーのとこなんかいかないよ!やさしいぱちゅりーをさがすよ!」 「いじわるー!」 「ゆっくりちね!ゆっくりちね!」 れいむ達は別のゆっくりスポットに向かいます。 罵声を受けたぱちゅりーは怒るわけでもなく、どうしようもなかったのだと自分に言い聞かせ、スポットの入り口を防ぎに戻りました。 「どおしてどこもあいてないのおおおおおおおお!」 「「「「ゆわああああああああん!」」」」 あれからいくつかのゆっくりスポットを巡りましたがどこも入れてもらえませんでした。 思いつく限りの場所に向かいますが、制限になっていたり、もう既に冬眠していたりしていました。 最初は強気であったれいむ達も辺りが暗くなるころにはこのまま入れないのではないかと不安げな表情を隠せなくなっていました。 「おかーしゃん・・・」 「ゆっ、だいじょうぶだよ!きっとはいれるところがあるよ!」 「しょ、しょうだね!」 「ゆうううう・・・」 子れいむの不安を母れいむは必死に宥めます。 そんな中キノコを見つけたれぃむがみんなに向かいました。 目には涙が溜まっています。 「おかーしゃん、おねーしゃんごめんにゃさい!」 「ゆゆゆ、どーしたの!?」 「れぃむのせいでこんなことになっちゃから・・・」 「れぃむ・・・」 子れいむは自分のせいだと責任を感じていました。 母れいむも姉れいむも何も言えません。キノコのとき一緒に賛成したことを忘れていませんでした。 母れいむはそんな子れいむににっこりと微笑みました。 「つぎのすぽっとはぜったいあいてるからだいじょうぶだよ!」 「おかーさんほんとう?」 「ほんとうだよ!あそこはいちばんおおきいからね!」 母れいむの自身に満ちた顔に子れいむは涙を止めました。 他の子れいむにも元気が戻ります。 母れいむは嘘を付いていました。 しかし、今は元気であってほしいと母れいむはばれない様に懸命に演技しました。 次のスポットが母れいむの知る最後のスポットです。 ここに入れなかったられいむ達は死ぬしかありませんでした。 「ゆゆっ、ここだよ!」 「ゆ~、おおきいね!」 れいむ達は大きそうに見える洞窟の前にいました。 幸い、入り口にぱちゅりーが見えました。 まだ冬眠してはいないようです。 れいむは今度こそと自分に気合をいれ、ぱちゅりーに向かいました。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「れいむたちをいれてください!」 頭を下げてぱちゅりーに頼み込みます。 子れいむはその様子を心配そうに見つめていました。 「ゆぅ・・・もういっぱいだったかしら・・・」 「だいじょうぶだよ!れいむたちはいれるよ!」 制限に来ているか考えるぱちゅりーをみてれいむは入れてもらおうと必死に食らい尽きます。 ぱちゅりーが難しい顔をしているとれいむ達のしった顔が現れました。 「あら!れいむたちじゃないの!?」 「ありす!」 友達の顔を見てれいむは笑顔を取り戻します。 「あなたたちどこもはいれなかったの!?」 「ゆぅ・・・」 「だからゆっくりしないでっていったのよ・・・」 ありすでも制限はどうしようもありません。 れいむが再び不安な顔になろうとした時、奥から二匹のゆっくりが現れました。 「わかるよー、はいりたいんだねー」 「そこのおおきいれいむだけならはいれるんだぜ!」 奥からやってきたのはゆっくりちぇんとゆっくりまりさでした。 ちぇんが入り口の騒ぎに気付き、まりさと一緒に数を調べてくれていたのです。 やっと掴んだ一匹の空き。しかし、れいむ達は4匹。 「おかーしゃんれーむたちははいりぇないの?」 「おかーしゃん・・・」 「ゆぐぅ・・・」 母れいむに置いていかれるのではないかと子れいむは急に不安になりました。 母れいむよりそって離れたくないと頬をむにゅっと引っ付けます。 困った母れいむにまりさは提案しました。 「いっぴきぶんのあきだけどちびたちなら4ひきいけるんだぜ!」 「かなしいのはわかるよー、でもどっちかしかはいれないよー」 「れいむ・・・」 母れいむは決断を迫られました。 答えはもう決まっていましたが。 「じゃあこどもたちをおねがいするよ!」 「わかるよー、かなしいけつだんだねー」 「わかったんだぜ!こどもたちはまりさがかならずせわするぜ!」 「れいむ、ほかにあてはあるの? れいむの決断にちぇんが同情し、まりさが子供を置いていくれいむに心配させないように話しかけ、ありすはれいむの心配をしました。 「だいじょうぶだよ!まだすぽっとはあるよ!」 「そう、ならいいわ!いそいでむかったほうがいいわよ!」 れいむの自信満々な顔にありすも納得し、れいむに激励を送りました。 「むきゅー。きまったようね」 「こどもたちをおねがいね!」 「わかったわ。じゃあここもしめるわね。」 母れいむを置いてゆっくりスポットの入り口が閉まりだします。 子れいむは徐々に見えなくなる母れいむに向かって飛び跳ねていきます。 母れいむは心配そうな子れいむを安心させるように微笑みました。 「ニヤ・・・」 「ユッ!?」 その母れいむの表情は子れいむ達の動きを止めました。 とうとう入り口が完全に閉まってしまいます。 もう子れいむではどうすることも出来ませんでした。 「おかーしゃん・・・」 「だいじょうぶだぜ!ほかのばしょにきっといけるんだぜ!」 「そうよ!それよりはるにおかーさんにあえるようにとうみんするのよ!」 子れいむ達はスポットの奥に向かいます。 初めて入ったゆっくりスポットには様々なゆっくりが犇めいていました。 「ゆ~、なんだかあかるいね!」 「ほんちょだ!おうちはこんにゃにあかるくなかっちゃよ!」 「どこかあいてるのかな?」 「ゆぅぅうん・・・」 子れいむ達はみょんに明るいスポットを不思議そうに思い、辺りを見回します。 やがて空中に浮いている白い物体を見つけました。 「あれだよ!あれがあかりゅいんだよ!」 「あれなんだろ?」 れいむの質問にまりさが答えます。 「あれはみょんのはんれいってやつだぜ!」 「はんれい?」 「よくわからないんだぜ!でもだいじなものらしいぜ!」 「ゆゆっ!」 だいじなものと聞いてれいむは自分のリボンを思い浮かべます。 「あいつがみょんだぜ!」 「ちーんぽ!」 「ゆっくりしていってね!」 初めて会ったみょんは変な泣き声でしたが子れいむ達は不思議と挨拶していました。 他にも様々なゆっくりと会った後、まりさの言っていた空きにつきました。 「ここだぜ!ちょっとまわりにうごいてもらってありすとちぇんもはいれるようにしたんだぜ!」 「さすがまりさね!」 そこには藁が敷かれていました。 これなら暖かそうです。 「わかるよー、ちょっとすくないよねー」 「さすがちぇんだぜ!」 いつの間にかいなくなっていたちぇんが戻ってきました。 子れいむ達からはまりさに隠れて見えませんでしたが、すぐに口に藁を咥えたちぇんが見えました。 「きみたちはそれじゃたりないよー」 ちぇんはそういい、子れいむ達の周りに藁を積んでいきます。 「ぽかぽか~」 「ちあわちぇ~」 子れいむは母れいむとちぇんの用意してくれた藁と綿でぬくぬくです。 しかし、まりさたちの顔はまだ晴れていませんでした。 「ゆぅぅ、これじゃたりないんだぜ・・・」 「こまったわ・・・」 「もうわらはなかったよー・・・」 悩んだ結果、まりさが防止を脱ぎだしました。 「まりさどうしたの!?」 「このぼうしをかぶせばあったかくなるんだぜ!」 「わかるよー!それならじゅうぶんだよー!」 まりさは子れいむの上に帽子を置きます。 「ゆ~、なんだかねみゅくなっちぇきた・・・」 「れーむも・・・」 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 「ゆゆゆゆ・・・」 子れいむ達は冬眠のための眠気で船を漕いでいました。 「もうだいじょうぶだぜ、まりさたちもいっしょにねるんだぜ」 「またはるにあいましょうね」 「わかるよー、ぜったいだよー」 既に眠っている子れいむを見ながら3匹はゆっくりと眠りにつきました。 「ざ、ざぶいいいいいいいいいい!」 木枯らし吹き荒れる森に母れいむの悲鳴が響きます。 母れいむは必死にスポットを探しました。 しかし、開いている場所を見つけれず、辺りは暗くなっていました。 さらに追い討ちをかける物が空から降り始めます。 「ゆゆっ!?ゆきだあああああああ!」 母れいむには死の雪でした。 たまらずれいむは近くにあった木の根元の穴に逃げ込みます。 雪は降り止む気配を見せませんでした。 「ゆ~、もうつかれたからあしたさがすよ!」 れいむは独り言を呟いて眠り始めました。 一日中飛び跳ねていたれいむはぐっすりと眠ってしまいます。 雪はれいむのことなど気付かないかのように世界を白く変えていきました・・・ 「ゆゆっ・・・すっきりー!」 母れいむは十分な睡眠を取り、元気に目を覚ましました。 そして穴から外に元気よく飛び跳ねます。 そんなれいむの飛込みを白い地面はしっかりと受け止めました。 「ゆ?ゆゆゆゆううううう!」 森は姿を変えていました。 白くなった地面はれいむのとんだあとを綺麗に残していました。 れいむは気付いてしまいました。 もう開いているゆっくりスポットはないのだと。 それでもれいむは探すしかありませんでした。 ちっぽけなれいむなど白い世界では唯の点です。 「ゆーしょ!ゆーしょ!」 「ゆ~、しろくてどこかわがらないいいいいいいい!」 「ゆぅ、なんだかちからがはいらないよ・・・」 「れいむのあかちゃんたちだいじょうぶかな・・・」 「ゆっ、れいむもがんばりゃないt・・・」 ちっぽけな点はやがて見えなくなってしまいました。 「おきるんだぜ!はるがきたんだぜ!」 まりさがまわりのゆっくりを起こし始めます。 その声で周りのゆっくりが目を覚まし始めました。 あれからなにも起きず、スポットの住人は無事春を迎えることが出来ました。 「「「「ゆ~、しゅっきりー!」」」」 子れいむ達4匹も初めての越冬を無事乗り越えれたようでした。 「まりしゃおねーちゃんありがと!」 「しゅっごいあたたかかっちゃよ!」 「それはよかったんだぜ!まりさもうれしいぜ!」 まりさは帽子を被りなおしました。 そこに入り口を開けにいっていたありすとちぇんが戻ってきます。 「いりぐちがあいたわよ!」 「そとははるだよー」 「わかったんだぜ!」 三匹は子れいむに向かい問いかけます。 「れいむたちはどうするんだぜ?」 「れいむはまだきてないみたいね・・・」 「わかるよー、まだおきてないんだよー」 子れいむの返事は決まっていました。 「「「「おうちでゆっくりまちゅよ!」」」」 「わかったよー!ならこれもっていってねー」 「それがあればしばらくもつんだぜ!」 「れいむがもどったらもっとおいしいものをもらいなさい!」 三匹が渡したのは巣の近くで取った植物や虫をまとめたものでした。 「ありがちょー!」 「おいししょー!」 「ちょっとたべちゃいよ!」 「だめだよ!おかーしゃんがかえるまでゆっくちたべるよ!」 それぞれ食べ物を抱えたれいむ達は3匹とぱちゅりーに見送られてこれまで暮らしていた巣に戻りました。 「ひしゃしぶり~!」 「やっぱりここはゆっくちできるね!」 「おねーちゃんゆっくちちていっちぇね!」 「れぃむもゆっくちしていってね!」 巣には食べるものは何もありませんでしたが、それ以外は何も代わりがありませんでした 貰った食べ物を置き、4匹の子れいむは母れいむの帰ってくるのを待ちました。 いつまでもいつまでも待ちました。 それでも母れいむは帰ってきません。 もう貰った食べ物は食べ尽くしてしまいました。 「おねーしゃん、おにゃかすいた・・・」 「もうすぐおかーしゃんがもどってくるからゆっくちまとうね・・・」 子れいむ達はもう食べ物をとりにいく元気は残っていませんでした。 話しているのも二匹だけで、もう二匹は既にうつろな目で上を見つめています。 それでも子れいむ達は母れいむの帰りを信じていました。 子れいむ達の巣の外では、冬を乗り越えた生き物が元気よく動き回っていました。 このSSに感想を付ける
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冬の足音が聞こえてきた秋の昼時、枯れ木の根元に出来た穴から小さな影が4つ現れました。 「きょうはなにちてあしょぼーか!」 「おいかけっこ!」 「ゆ~それじゃゆっくちできないよ!」 「じゃあかくれんぼ!」 仲良く遊び始めたのはゆっくりれいむと呼ばれる最近になってあらわれたナマモノです。 ゆっくりれいむは紅いリボンと黒髪がトレードマークのもっとも多くいるゆっくりでした。 遊んでいるれいむたちは人間で言う子供で大きさは野球ボールぐらいでした。 まだ生まれて1年も経ってない4匹は仲良くかくれんぼを始めます。 最初ということで一番大きいおねーちゃんれいむがオニになりました。 残りの3匹は思い思いに隠れ場所を探しに行きます。 「も~い~かい!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ~・・・いーち!にー!さーん!だー!らーぶ!・・・」 「ゆゆっ、ここはれいむがかくれちぇるよ!べつのところにいってね!」 「ゆ!わかっちゃよ!」 「れいみゅはこっちにいくよ!」 「じゃあれーむはむこうにいくね!」 一匹のれいむは石の影にかくれました。 もう一匹は枯葉の下に。 「もーいーかい!」 「ゆっくりできたよ!」 「じゃあいくよー!」 石に隠れたれいむも枯葉にかくれたれいむはすぐに見つかってしまいます。 「次はれいみゅのばんだよ!」 「ゆゆ・・・まだれぃむがのこっちぇるよ!」 「みゅ~さっさとみちゅけるよ!」 しかし、残り一匹はなかなか見つかりません。 それもそのはず、最後の一匹はかくれる場所を探して今も移動していたのです。 「ゆ~、なかなかみちゅからない・・・」 この子れいむは遊びということも忘れてゆっくり出来そうな場所を探していました。 やがて、今まで来たこともない遠い場所に来てしまいます。 「ゆー・・・ゆっ!ここどきょ!」 れいむは知らない場所でいることに不安を感じます。 「おねーちゃああああ!れぃむはここだよおおおおおお!」 しかし、叫んでも叫んでも返事は返ってきません。 姉れいむとは子れいむが思っていたよりも離れていました。 子れいむはもときた道を思い出して戻ろうとします。 しかし、隠れ場所を探しながら来たのでどこを通ったか覚えていませんでした。 もう少し大きくなっていれば巣に戻るための方法を親れいむから教えてもらっていたはずでした。 もう少ししたら、きっとお姉ちゃん達が来てくれる。 そう信じて子れいむは木の近くで姉達をじっと待つことにしました。 子れいむが木に寄り添うようにゆっくりし始めると、美味しそうな匂いがどこからか漂ってきます。 「ゆゆ!おいしそうなにおひ!」 子れいむは匂いに引き寄せられます。 匂いの元はある木の根元に生えているたくさんのキノコでした。 「ゆ~!おいしそうなきにょこ!」 子れいむはキノコに飛び込んでいきました。 姉れいむたちは探しても探しても見つからないれぃむを心配になり、巣にいた母れいむを呼びに戻りました。 子の訴えを聞いた母れいむはすぐに巣の周りを探し始めました。 姉れいむ達は危ないからと巣でお留守番です。 母れいむは危険そうな場所を一つずつ調べていきます。 しかし、れぃむはどこにもいません。 母れいむはあきらめずに探し回りました。 やがて、普段は来ない森の奥に足を踏み入れます。 「れいむのかわいいれぃむー!どこにいるのー!」 母れいむは懸命に叫びました。 「ゆっ?」 子れいむがお腹を膨らませてゆっくりしていたころ、どこからか母親の声が聞こえました。 「おかーしゃああああああああん!」 先ほどまでキノコを食べることに夢中で自分が迷っていることを忘れていたれぃむは母親の声で自分のおかれている状況を思い出しました。 そして、母親に見つけてもらおうと声を張り上げます。 先ほど食べたキノコのおかげで大分大きな声が出せました。 大きな声は森に響き、とうとう母親の耳に入ります。 「ゆゆ!れぃむのこえだよ!」 「おかああさああああぁぁぁぁあぁん・・・」 「いまいくよ!そこでゆっくりしててね!」 母れいむは子れいむの声に耳を澄まして位置を探ります。 森の中では声が反射し場所がわかりにくかったですが、子への愛なのか母れいむは迷わずに足を進めていきました。 やがて、一つの木の下で泣き叫んでいる子れいむを見つけました。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていっちぇね!・・・おかーしゃん!」 「だいじょうぶだった?けがしてない?」 「れぃむはごたいまんぞくだよ!」 母れいむは子れいむの声を聞き、自分の目で確かめて子の無事を確認します。 「だいじょうぶそうだね!」 「おかーしゃんごわがっだよおおおおおおおお!」 「もうひとりでこんなとおくまできちゃだめだよ!」 「ゆぅうううう、おかーしゃんごめんなさい・・・」 「わかればいいよ!もうくらくなるからはやくかえろうね!」 「ゆっ!そうだ!おかーしゃん!れいむきのこみちゅけたよ!」 「ゆゆっ!きのこ!?」 「しょーだよ!このうらにいっぱいはえちぇるよ!」 子れいむはそういって木の裏へと跳ねていきます。母れいむは道に迷わないように確認してから子れいむの後を追いました。 「このさきにきのこあるよ!!」 「ゆっゆ!・・・しゅご~い!」 「いっぱいあるからおねーちゃんたちにもあげりぇるよ!」 「そうだね!ぜんぶもってかえろうね!」 いそいそと口にキノコを含んでいく母れいむ。 子れいむはどんどん口に入っていくキノコを見て目をきらきらと輝かせました。 「おかーしゃんのいぶくろはうちゅうだね!」 「ゆふん!」 子れいむの声援に答えるように母れいむはキノコを口に含みます。 やがていっぱいになると母れいむは子れいむと共に巣に戻りました。 巣では帰りの遅い母れいむを残った子れいむが心配していました。 「おかーしゃんおかえりなさい!」 「ゆゆっ!おかーしゃんおおきくなっちぇる!」 子れいむが驚いていると母れいむは口から大量のキノコを吐き出しました。 「ゆゆゆ!おいしそう!」 「おかーしゃんどうしたの!」 「れぃむがみちゅけたんだよ!」 そういって母れいむの腋から現れた妹れいむに子供達はさらに驚きます。 「さすがれーむのいもうとだね!」 「でもしんぱいしたんだよ!」 「そうだよ!おかーさんがいないのにとおくにいかないでね!」 「うん、もうひちょりでそとにはいかにゃいよ!」 「れーむたちもきをつけるよ!」 母親と一番上の姉れいむに注意され、もう二度と勝手に遠くに行かないと子れいむ達は誓いました。 そんな子供達への説教が終わると、眼の前のキノコに話が移ります。 「これならしばらくだいじょうぶだね!」 「おかーしゃんがとりにいかなくてもへいきだね!」 「ゆ!そうだね!しばらくは巣でいっしょにゆっくりできるよ!」 「やっちゃね!」 「れぃむといっちょにいようね!」 突然降って湧いた幸運にれいむ達はうれしくてたまりませんでした。 それからしばらく、このれいむ家族は一度も巣から出ることなく、巣の中でゆっくりとしていました。 食べ物が無くなったらまたキノコを採りに行けば良い。母れいむは久しぶりにゆっくり出来たので上機嫌です。 子供達もそんな母親の様子を見てうれしくなり、母親に擦り寄って遊びました。 れいむ家族はずっとゆっくり出来ると思っていました。 しかし、四季の変わり目はもうすぐそこまで来ています。 巣からあまり出なくなったれいむ家族にはそれが分かりませんでした。 「まったく、れいむたちはなにをやってるのかしら!」 風が冷たく感じ始めたころ、一匹のゆっくりありすがれいむの巣に向かっていました。 このゆっくりありすは母れいむの友達で冬篭りの準備が出来てもやってこない母れいむに痺れを切らしてやってきたのでした。 巣の前までやってくるとありすは中にいるであろうれいむ達に声をかけます。 「ゆっくりしていってね!」 しかし、待てども待てども返事が返ってきません。 このまま待っていても埒が明かないので、ありすは巣に入りました。 中ではれいむ達がキノコを食べてとてもゆっくりしていました。 「ゆっ!おいしそうなきのこね!」 「ゆゆっ!ありす!」 いきなり現れたありすに子供達は母れいむの後ろにかくれました。 「こわがらなくていいよ!このありすはれいむのともだちだよ!」 「そうよ!さっきからよんだのにへんじがなかったわ!だからとかいてきじゃないけどあがらせてもらったわ!」 「ゆ~ありすごめんね!」 ありすの声に気付かずゆっくりしていたれいむはありすに申し訳無さそうに謝りました。 ありすはそれで少しだけ悪かった機嫌を直して笑顔を見せます。 「ありすはきにしてないわよ!・・・ってそうじゃないわ!」 「ゆゆっ、どうしたのありす!」 「れいむたちがふゆごもりにこないからよびにきたのよ!」 「ふゆごもり?」 聞いたことのない単語に子れいむが不思議がります。 母れいむは子れいむに教えようとしましたが、時間がないのかありすが急かしました。 「いまはじかんがないわ!すぐにじゅんびしてゆっくりすぽっとにむかってね!」 「ゆ!わかったよ!」 「じゃあありすはもういくわ!れいむもゆっくりしないでね!」 ありすは言いたいことを言うとすぐにれいむの巣を離れました。 れいむ達が住む地域は冬にはかなり冷え込み、ゆっくり家族だけでは越冬できませんでした。 なので、ゆっくりスポットと呼ばれる大きな洞窟などに集まって身を寄せ合って眠り春を待つようになっていました。 ゆっくりスポットにはゆっくり制限があり、主にぱちゅりーの判断で入れるゆっくりの数を制限していました。 ありすが急いでいたのはゆっくり制限で入れなくなってしまうのを恐れたからです。 母れいむも一度ゆっくりスポットで越冬を経験していたのですぐに準備を始めようとします。 「おかーしゃんふゆごもりってなーに?」 「ゆーっとね、もうすぐここじゃゆっくりできなくなるんだよ」 「ゆゆゆゆ!?」 「だから、みんなのいるばしょにあつまらないといけないの!」 「そーなのかー!」 「れーむたちもじゅんびしてね!すぐここをでるよ!」 母れいむはすぐにゆっくりスポットに行く準備を始めました。 母れいむは子れいむもすぐに準備してくれると思っていました。 なので、れぃむが反対したのに驚きました。 「やだ!れぃむはまだうごきたきゅないよ!」 「どおおおしてええええ!はやくうごかないとゆっくりできなくなるよ!」 「でもきのこしゃんまだいっぱいあるよ!」 「ゆゆゆ・・・」 冬篭りには食料は必要ありません。 だから巣に残っている食料はすべて捨てる必要がありました。 れぃむは自分が見つけた食べ物を残していくことが不満だったのです。 「まだあっちゃかいよ!きのこたべてからでもまにあうよ!」 「ゆゆゆ・・・」 れぃむの発言に母れいむは困ってしまいます。 これを見た他の子れいむは相談してれぃむの方に回ります。 この子れいむ達もキノコに不思議な魅力を感じていたのでした。 「きのこちゃべちぇからいこうよ!」 「そうだよ!」 「もっちょゆっくりしちゃいよ!」 「ゆっくち!ゆっくちぇ!ゆっくりょ!」 母れいむは子れいむの反論に去年の冬篭りの記憶を思い出そうとしました。 母れいむが入ったゆっくりスポットはまだ時期が早かったので洞窟の中はすかすかでした。 母れいむは仲間が集まる間スポットの周りの食べ物を食べたり、他のゆっくりと話したりして冬眠まで過ごしたのを思い出します。 今回もまだまだ空きがあるだろう。母れいむはそう結論付けました。 「わかったよ!きのこがなくなるまでここでゆっくりしようね!」 「おかーしゃんだいちゅきー!」 「ゆっくりしようね!」 母れいむが賛成してくれて子供達は大喜びです。 そんな姿を見て母れいむも反対しなければ良かったと思いました。 こうして、ありすの忠告も無視して母れいむは巣でゆっくりし続けました。 今は友達よりも子供達のほうが大事でした。 母れいむはしばらく巣から出てないことも忘れて、巣で子供達と仲良くゆっくりとしていました。 「ゆ~、とうとうさいごのきのこだね!」 「これをたべたらゆっくりすぽっとにむかおうね!」 「とうみんたのちみ!」 「しゅっごいゆっくりできそうだよ!」 「ゆっくちできりゅといいね!」 あれからもキノコを食べ続けて3日後、とうとうキノコがなくなりました。 キノコ以外の食べ物も残っていたので残さず食べました。 もう巣には食べ物は残っていません。 れいむ達は巣を枯葉と枝で上手に隠して外に出ました。 「ゆ~、しゃ、しゃぶいいいいいいいい!」 「ゆっくりできないいいいいいいい!」 「ゆぐぐぐぐぐぐう!」 「ぐるじお・・・」 保温効果のあった土の中からみて外の世界は極寒です。 震えてる子れいむに母れいむは用意していた白いもこもことした綿を被せました。 「これでさむくないよ!」 「ゆ・・・ほんちょだ!さみゅくないよ!」 「ぽかぽかー!」 「これならゆっくりできるよ!」 「ゆぅ~ん」 母れいむの用意していた綿は子れいむ達をすっぽり覆いました。 上手に穴を開けているので動きを妨げることもありません。 元気になった子供達を連れて母れいむは記憶の中で一番近いぱちゅりーの巣に向かいました。 ゆっくりスポットはぱちゅりーが管理してることがほとんどです。 ぱちゅりーの巣の近くには必ずと言っていいほどゆっくりスポットがありました。 れいむ達がゆっくりスポットにつくと、スポットは冬眠のために入り口を閉じている最中でした。 れいむ達は急いで中に入れてもらおうと指揮をとっているパチュリーのところに向かいます。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ぱちゅりー!れいむたちもなかにいれてね!」 「「「「いれちぇね!」」」」 れいむ達はすぐに中に入れてもらえると思い巣の入り口に向かいました。 しかし、ぱちゅりーが行く手を塞ぎます。 「ゆゆっ、ぱちゅりーじゃましないでね!」 「れいみゅたちはさむさでこごえしょうだよ!」 「はやくいれちぇね!」 母れいむの抗議に子れいむも声を重ねます。 それでもぱちゅりーは動きません。 ぱちゅりーは言い聞かせるようにれいむ達に話しました。 「ざんねんだけどもうゆっくりせいげんよ」 「ゆ!?」 母れいむは驚きます。 「そんなわけないよ!まだいっぱいあきがあるはずだよ!」 「あなたたちはくるのがおそすぎたのよ!こんなじきじゃあいてるわけないわ!」 「ゆぐぐぐぐ・・・」 何とか入ろうと穴の辺りを見ましたがこちらをまりさとみょんが見ていました。 ぱちゅりーだけならどうにでもできましたが、まりさとみょんが一緒では勝てません。 「もういいよ!いじわるなぱちゅりーのとこなんかいかないよ!やさしいぱちゅりーをさがすよ!」 「いじわるー!」 「ゆっくりちね!ゆっくりちね!」 れいむ達は別のゆっくりスポットに向かいます。 罵声を受けたぱちゅりーは怒るわけでもなく、どうしようもなかったのだと自分に言い聞かせ、スポットの入り口を防ぎに戻りました。 「どおしてどこもあいてないのおおおおおおおお!」 「「「「ゆわああああああああん!」」」」 あれからいくつかのゆっくりスポットを巡りましたがどこも入れてもらえませんでした。 思いつく限りの場所に向かいますが、制限になっていたり、もう既に冬眠していたりしていました。 最初は強気であったれいむ達も辺りが暗くなるころにはこのまま入れないのではないかと不安げな表情を隠せなくなっていました。 「おかーしゃん・・・」 「ゆっ、だいじょうぶだよ!きっとはいれるところがあるよ!」 「しょ、しょうだね!」 「ゆうううう・・・」 子れいむの不安を母れいむは必死に宥めます。 そんな中キノコを見つけたれぃむがみんなに向かいました。 目には涙が溜まっています。 「おかーしゃん、おねーしゃんごめんにゃさい!」 「ゆゆゆ、どーしたの!?」 「れぃむのせいでこんなことになっちゃから・・・」 「れぃむ・・・」 子れいむは自分のせいだと責任を感じていました。 母れいむも姉れいむも何も言えません。キノコのとき一緒に賛成したことを忘れていませんでした。 母れいむはそんな子れいむににっこりと微笑みました。 「つぎのすぽっとはぜったいあいてるからだいじょうぶだよ!」 「おかーさんほんとう?」 「ほんとうだよ!あそこはいちばんおおきいからね!」 母れいむの自身に満ちた顔に子れいむは涙を止めました。 他の子れいむにも元気が戻ります。 母れいむは嘘を付いていました。 しかし、今は元気であってほしいと母れいむはばれない様に懸命に演技しました。 次のスポットが母れいむの知る最後のスポットです。 ここに入れなかったられいむ達は死ぬしかありませんでした。 「ゆゆっ、ここだよ!」 「ゆ~、おおきいね!」 れいむ達は大きそうに見える洞窟の前にいました。 幸い、入り口にぱちゅりーが見えました。 まだ冬眠してはいないようです。 れいむは今度こそと自分に気合をいれ、ぱちゅりーに向かいました。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「れいむたちをいれてください!」 頭を下げてぱちゅりーに頼み込みます。 子れいむはその様子を心配そうに見つめていました。 「ゆぅ・・・もういっぱいだったかしら・・・」 「だいじょうぶだよ!れいむたちはいれるよ!」 制限に来ているか考えるぱちゅりーをみてれいむは入れてもらおうと必死に食らい尽きます。 ぱちゅりーが難しい顔をしているとれいむ達のしった顔が現れました。 「あら!れいむたちじゃないの!?」 「ありす!」 友達の顔を見てれいむは笑顔を取り戻します。 「あなたたちどこもはいれなかったの!?」 「ゆぅ・・・」 「だからゆっくりしないでっていったのよ・・・」 ありすでも制限はどうしようもありません。 れいむが再び不安な顔になろうとした時、奥から二匹のゆっくりが現れました。 「わかるよー、はいりたいんだねー」 「そこのおおきいれいむだけならはいれるんだぜ!」 奥からやってきたのはゆっくりちぇんとゆっくりまりさでした。 ちぇんが入り口の騒ぎに気付き、まりさと一緒に数を調べてくれていたのです。 やっと掴んだ一匹の空き。しかし、れいむ達は4匹。 「おかーしゃんれーむたちははいりぇないの?」 「おかーしゃん・・・」 「ゆぐぅ・・・」 母れいむに置いていかれるのではないかと子れいむは急に不安になりました。 母れいむよりそって離れたくないと頬をむにゅっと引っ付けます。 困った母れいむにまりさは提案しました。 「いっぴきぶんのあきだけどちびたちなら4ひきいけるんだぜ!」 「かなしいのはわかるよー、でもどっちかしかはいれないよー」 「れいむ・・・」 母れいむは決断を迫られました。 答えはもう決まっていましたが。 「じゃあこどもたちをおねがいするよ!」 「わかるよー、かなしいけつだんだねー」 「わかったんだぜ!こどもたちはまりさがかならずせわするぜ!」 「れいむ、ほかにあてはあるの? れいむの決断にちぇんが同情し、まりさが子供を置いていくれいむに心配させないように話しかけ、ありすはれいむの心配をしました。 「だいじょうぶだよ!まだすぽっとはあるよ!」 「そう、ならいいわ!いそいでむかったほうがいいわよ!」 れいむの自信満々な顔にありすも納得し、れいむに激励を送りました。 「むきゅー。きまったようね」 「こどもたちをおねがいね!」 「わかったわ。じゃあここもしめるわね。」 母れいむを置いてゆっくりスポットの入り口が閉まりだします。 子れいむは徐々に見えなくなる母れいむに向かって飛び跳ねていきます。 母れいむは心配そうな子れいむを安心させるように微笑みました。 「ニヤ・・・」 「ユッ!?」 その母れいむの表情は子れいむ達の動きを止めました。 とうとう入り口が完全に閉まってしまいます。 もう子れいむではどうすることも出来ませんでした。 「おかーしゃん・・・」 「だいじょうぶだぜ!ほかのばしょにきっといけるんだぜ!」 「そうよ!それよりはるにおかーさんにあえるようにとうみんするのよ!」 子れいむ達はスポットの奥に向かいます。 初めて入ったゆっくりスポットには様々なゆっくりが犇めいていました。 「ゆ~、なんだかあかるいね!」 「ほんちょだ!おうちはこんにゃにあかるくなかっちゃよ!」 「どこかあいてるのかな?」 「ゆぅぅうん・・・」 子れいむ達はみょんに明るいスポットを不思議そうに思い、辺りを見回します。 やがて空中に浮いている白い物体を見つけました。 「あれだよ!あれがあかりゅいんだよ!」 「あれなんだろ?」 れいむの質問にまりさが答えます。 「あれはみょんのはんれいってやつだぜ!」 「はんれい?」 「よくわからないんだぜ!でもだいじなものらしいぜ!」 「ゆゆっ!」 だいじなものと聞いてれいむは自分のリボンを思い浮かべます。 「あいつがみょんだぜ!」 「ちーんぽ!」 「ゆっくりしていってね!」 初めて会ったみょんは変な泣き声でしたが子れいむ達は不思議と挨拶していました。 他にも様々なゆっくりと会った後、まりさの言っていた空きにつきました。 「ここだぜ!ちょっとまわりにうごいてもらってありすとちぇんもはいれるようにしたんだぜ!」 「さすがまりさね!」 そこには藁が敷かれていました。 これなら暖かそうです。 「わかるよー、ちょっとすくないよねー」 「さすがちぇんだぜ!」 いつの間にかいなくなっていたちぇんが戻ってきました。 子れいむ達からはまりさに隠れて見えませんでしたが、すぐに口に藁を咥えたちぇんが見えました。 「きみたちはそれじゃたりないよー」 ちぇんはそういい、子れいむ達の周りに藁を積んでいきます。 「ぽかぽか~」 「ちあわちぇ~」 子れいむは母れいむとちぇんの用意してくれた藁と綿でぬくぬくです。 しかし、まりさたちの顔はまだ晴れていませんでした。 「ゆぅぅ、これじゃたりないんだぜ・・・」 「こまったわ・・・」 「もうわらはなかったよー・・・」 悩んだ結果、まりさが防止を脱ぎだしました。 「まりさどうしたの!?」 「このぼうしをかぶせばあったかくなるんだぜ!」 「わかるよー!それならじゅうぶんだよー!」 まりさは子れいむの上に帽子を置きます。 「ゆ~、なんだかねみゅくなっちぇきた・・・」 「れーむも・・・」 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 「ゆゆゆゆ・・・」 子れいむ達は冬眠のための眠気で船を漕いでいました。 「もうだいじょうぶだぜ、まりさたちもいっしょにねるんだぜ」 「またはるにあいましょうね」 「わかるよー、ぜったいだよー」 既に眠っている子れいむを見ながら3匹はゆっくりと眠りにつきました。 「ざ、ざぶいいいいいいいいいい!」 木枯らし吹き荒れる森に母れいむの悲鳴が響きます。 母れいむは必死にスポットを探しました。 しかし、開いている場所を見つけれず、辺りは暗くなっていました。 さらに追い討ちをかける物が空から降り始めます。 「ゆゆっ!?ゆきだあああああああ!」 母れいむには死の雪でした。 たまらずれいむは近くにあった木の根元の穴に逃げ込みます。 雪は降り止む気配を見せませんでした。 「ゆ~、もうつかれたからあしたさがすよ!」 れいむは独り言を呟いて眠り始めました。 一日中飛び跳ねていたれいむはぐっすりと眠ってしまいます。 雪はれいむのことなど気付かないかのように世界を白く変えていきました・・・ 「ゆゆっ・・・すっきりー!」 母れいむは十分な睡眠を取り、元気に目を覚ましました。 そして穴から外に元気よく飛び跳ねます。 そんなれいむの飛込みを白い地面はしっかりと受け止めました。 「ゆ?ゆゆゆゆううううう!」 森は姿を変えていました。 白くなった地面はれいむのとんだあとを綺麗に残していました。 れいむは気付いてしまいました。 もう開いているゆっくりスポットはないのだと。 それでもれいむは探すしかありませんでした。 ちっぽけなれいむなど白い世界では唯の点です。 「ゆーしょ!ゆーしょ!」 「ゆ~、しろくてどこかわがらないいいいいいいい!」 「ゆぅ、なんだかちからがはいらないよ・・・」 「れいむのあかちゃんたちだいじょうぶかな・・・」 「ゆっ、れいむもがんばりゃないt・・・」 ちっぽけな点はやがて見えなくなってしまいました。 「おきるんだぜ!はるがきたんだぜ!」 まりさがまわりのゆっくりを起こし始めます。 その声で周りのゆっくりが目を覚まし始めました。 あれからなにも起きず、スポットの住人は無事春を迎えることが出来ました。 「「「「ゆ~、しゅっきりー!」」」」 子れいむ達4匹も初めての越冬を無事乗り越えれたようでした。 「まりしゃおねーちゃんありがと!」 「しゅっごいあたたかかっちゃよ!」 「それはよかったんだぜ!まりさもうれしいぜ!」 まりさは帽子を被りなおしました。 そこに入り口を開けにいっていたありすとちぇんが戻ってきます。 「いりぐちがあいたわよ!」 「そとははるだよー」 「わかったんだぜ!」 三匹は子れいむに向かい問いかけます。 「れいむたちはどうするんだぜ?」 「れいむはまだきてないみたいね・・・」 「わかるよー、まだおきてないんだよー」 子れいむの返事は決まっていました。 「「「「おうちでゆっくりまちゅよ!」」」」 「わかったよー!ならこれもっていってねー」 「それがあればしばらくもつんだぜ!」 「れいむがもどったらもっとおいしいものをもらいなさい!」 三匹が渡したのは巣の近くで取った植物や虫をまとめたものでした。 「ありがちょー!」 「おいししょー!」 「ちょっとたべちゃいよ!」 「だめだよ!おかーしゃんがかえるまでゆっくちたべるよ!」 それぞれ食べ物を抱えたれいむ達は3匹とぱちゅりーに見送られてこれまで暮らしていた巣に戻りました。 「ひしゃしぶり~!」 「やっぱりここはゆっくちできるね!」 「おねーちゃんゆっくちちていっちぇね!」 「れぃむもゆっくちしていってね!」 巣には食べるものは何もありませんでしたが、それ以外は何も代わりがありませんでした 貰った食べ物を置き、4匹の子れいむは母れいむの帰ってくるのを待ちました。 いつまでもいつまでも待ちました。 それでも母れいむは帰ってきません。 もう貰った食べ物は食べ尽くしてしまいました。 「おねーしゃん、おにゃかすいた・・・」 「もうすぐおかーしゃんがもどってくるからゆっくちまとうね・・・」 子れいむ達はもう食べ物をとりにいく元気は残っていませんでした。 話しているのも二匹だけで、もう二匹は既にうつろな目で上を見つめています。 それでも子れいむ達は母れいむの帰りを信じていました。 子れいむ達の巣の外では、冬を乗り越えた生き物が元気よく動き回っていました。 このSSに感想を付ける
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「やめろぉぉ!くそにんげん!きたないてで、れいむにさわらないでね!」 れいむは公園で得意のお歌(笑)を歌っていた所を男に捕らえられた。 れいむは作業服を着た男の手の中で必死に暴れる。 しかし所詮はゆっくりの抵抗、男は鼻歌交じりで回収車に向かう。 「ゆぎぎ…はなしをきけーくそにんげん!れいむはおこるとこわいんだよ!!」 「大分活きの良いゲスだな……とりあえず、これ確保かな?」 「ゆっがぁぁぁぁ!いだいなれいむを、げすあつかいしないでねぇぇぇぇぇ!!」 回収車の中では薄汚れた様々な野良ゆっくり達がひしめき合っていた。 そんな様子をれいむは男の手の中で眺める。 「なんなのぉぉぉぉ?!もしかして、かこうじょさんなのぉぉぉぉ?!どぼじでぇぇぇ?!」 「れいむはしんぐる(以下略」 「ぱちゅはこうえんのけんじゃ(以下略」 「いやぁぁぁぁ!わから(以下略」 「まりさはつよ(以下略」 各種それぞれお決まりのセリフを吐きながら必死に飛び跳ねたり、金網に体当たりしていた。 当然れいむは加工所が何なのかは知らない。 しかしそれが「ゆっくりできない場所」である事は理解できていた。 れいむは更に必死にもがいた。 ところがれいむは金網には入れられず、透明なケースに入れられた。 れいむはこの状況をアホなりに考える。 流石の餡子脳でも扱いが違うことに気が付いたれいむは更に態度がでかくなる。 「ゆ~っぷぷぷぷ!おぉ、あわれあわれ!みにくいのらどもが、たくさんつかまっているよ! かこうじょで、せいぜいゆっくりできなくなってね!れいむはいだいな、かいゆっくりになるよ!!」 「ゆぎぎぎぎ…」 「むぎゅぅぅぅぅ!!」 「わがらないよぉぉぉぉ!!」 「ゆっがぁぁぁぁ!!」 自分も捕まっている上に汚い野良だという事を棚に上げて、散々金網の野良達を見下していた。 「ゆっぷぷ~♪のらがくじょされるのは、ゆっくりできるよ!せんべつに、えらばれたれいむが、おうたをうたってあげるよ、、 ゆっくりかんしゃして、しんでいってね!……ゆぼぇ~~~~~♪」 お歌という名の公害を撒き散らすれいむ。 しかしそんなれいむを止められる者は誰も居なかった。 金網の中の面々はただ悔しそうにするだけだった。 それから金網の方にはどんどんゆっくりが追加されていった。 れいむはすっかり上機嫌で歌い続けた。 「ゆわっほ~~い♪まりさはおそらをとんでますのぜ~~♪」 「まったくこのバカまりさは…にんげんさんにつかまっただけでしょ?」 「お前らもここに入っていろ、喧嘩しないで仲良くしろよ?」 「ぼぇ~~~♪…ゆん?なんなの?このきたないのらは?…れいむとおなじでえらばれたの?」 「まりさはまりななのぜ~♪よろしくなのぜ~♪」 「きたないのはおたがいさまよ!」 男がれいむの入っていた透明ケースに追加でまりさとありすを入れた。 まりさは状況が良く解っていない様なおバカで、ありすは突っ込み役のようだった。 番かどうかは解らないが、れいむには同じように択ばれたゆっくりが居るのが気に入らなかった。 「ゆむむ…!れいむはおんりーわんで、なんばーわんだよ!ゆっくりりかいてね!」 「ゆふふ~ん♪おりわーの、なぼぼーなのぜ?ゆっくりりかいしたのぜ~♪」 「はいはいゆっくりしていってね!………つかれるわ…」 それかられいむは箱の同居人には関心を示さずに、金網の中のゆっくり達を眺め哀れんだ。 「ゆふふ…また、ばかなまりさがつかまったよ!いいきみだね!とくべつなれいむをみてしっとしてね!」 またゆっくりが運ばれてきた、今度はまりさの親子だった。 浮かない顔の親まりさとは対照的に、子まりさは興味深そうに周りを見渡していた。 まりさ親子はれいむ達と同じく透明ケースに入れられた。 「なんなの?まりさたちも、えらばれたゆっくりだったの?でも、きたないまりさたちは、れいむのそばにこないでね!」 「ゆゆ!しんいりさんなのぜ~♪よろしくなのぜ~♪ゆっくりしていくのぜ!」 「ゆふふふ…けっこうとかいはなまりさね!このあほまりさとは、おおちがいね」 「どおしてそんなこというのぜぇぇぇぇぇ?!」 れいむは追加されたまりさ親子も気に入らなかった。 どうしてこんな薄汚いゆっくり達が自分と同格に扱われるのか不思議で仕方なかった。 「おちびちゃん、おとうさんのいったとおりなのぜ?まりさたちはえらばれたのぜ!」 「ゆーん♪さすがおとーしゃんだね!まりしゃたちが、ゆっくちしていたごほうびなのじぇ?」 「…そ、そうなのぜ!だから、これからもっとゆっくりするのぜ!」 「ゆっくちー♪」 まりさはそう言いってはいたが、あまり喜んではいなかった。 子まりさの方は父の言葉を聞いて嬉しそうに体を揺らしていた。 れいむはそんな親子を面白くなさそうに眺めていた。 「ゆわぁぁぁぁぁ!なにするのぉぉぉぉぉ?!あめさんは、ゆっくりできないでしょぉぉぉぉ?!」 加工所に運び込まれたれいむ達は金網のゆっくり達と分けられ、程よい暖かさの水で洗浄された。 しかしれいむは雨だと思い、必死に喚き散らした。 濡れた体を丁寧に乾かされたれいむ達は、再度透明なケースに入れらた。 そしてケースはカートに乗せられ、そのまま何処かへ運ばれて行く。 「このくそにんげんども!れいむはえらばれた、えりーとなゆっくりだよ!こんどぶれいなまねをしたら、 せいさいしてあげるよ!れいむをおこらせるとこわいんだよ!!」 れいむは作業服姿の人間に罵声を浴びせる。 だが、人間達は特に気にする様子もなかった。 れいむは人間達が自分のことを恐れているのだと勘違いしていた。 「ゆふふ!れいむのおそろしさをわかったんだね!かしこいどれいたちだね!!きにいったよ!」 しばらくすると、ゆっくり達を乗せたカートが大きな扉の前で止まる。 この先には自分の為の素晴らしいゆっくりプレイスがあるのだと、信じて疑わないれいむだった。 ゆっくりと扉が開かれると、そこには目が痛くなるほど真っ白い部屋が広がっていた。 中には白い服を着た人間が居て、れいむ達を品定めするかの様にに眺めていた。 「ゆふふ!これがれいむのどれいなんだね!さすがれいむは、えらばれたゆっくりだね!」 「ゆふふ~ん?まっしろなにんげんさんなのぜ~♪」 「しろはせいけつでいいわね、とかいはなかんじよ!ゆっくりできるわ」 「ゆわーい!にんげんしゃんこんにちはー♪ゆっくりしていってね!」 「ゆぅ…にんげんさん…よろしくなのぜ……ゆっくりしていってね」 白服の人間はゆっくりの多様な反応に満足したようにニコニコ笑っていた。 「ゆふふん!やいくそどれい!れいむさまが、いだいなかいゆっくりになってあげるから、たくさんかんしゃしてね!」 傲慢な態度を見せるれいむだったが、それを見た白服は嬉しそうに目を細めたのだった。 そんな白服の様子に、れいむは満足そうに憎たらしい笑みを浮かべた。 そしてこう考えた。 この人間はれいむをゆっくりさせる為だけに現れた奴隷だと。 白服の人間は、まりさ親子、れいむ、アホまりさとありす、といった感じで透明ケースにゆっくり達を入れる蓋をした。 ゆっくりの入ったケースは棚に収められると、敷居をされお互いのケースが見えない様になった。 「なんなのこれは?れいむはこんなせまいところには、はいりたくないよ!」 れいむはそう騒いだが、白服の人間はニコニコ笑っているだけで取り合おうとはしなかった。 そんな人間の様子にれいむは怒り出し、透明な壁に体当たりをしたり、うんうんやしーしーを撒き散らした。 「ゆゆ?…くさぁぁぁい!どおしてこんなところに、うんうんやしーしーがあるのぉぉぉ?! やい!くそどれい!さっさとこれをかたづけろぉぉぉぉ!!れいむがゆっくりできないでしょぉぉぉぉぉ!!」 だか、白服の人間はそんな様子に気が付きもせず、何処かへ行ってしまったのだった。 れいむは大いに怒り狂ったが、やはり箱の中が臭いのか隅っこに行ってじっとしていた。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!でも、もっとおいしいものがたべたいよ!たくさんでいいよ!」 この部屋にれいむが運び込まれて数日たった。 このれいむは片親がゲスだった為、れいむ自身も勘違いゲスにはなっていたが、 野良生まれの野良育ち、そんなれいむには多少甘い物なら何でもご馳走に思えたのだ。 だが、欲張りなれいむはさらに甘い物を要求する、これは貧しい野良時代の反動なのかもしれない。 普通なら当然こんな要求は通らないはずだったのだが、 白服の人間は少し考えてから何処かへ行くと、何かを持って再び現れた。 手に持っていたそれを、れいむの目の前に投げ入れると、すぐにケースに蓋をしてれいむの行動を観察する白服。 れいむは少し戸惑ったが、甘い匂いに誘われて白服が持ってきた物を口にする。 「ゆん?なんなのこれは?……むーしゃ、むーしゃ………し、し、し、しあわせぇぇぇぇぇぇぇ!!」 それはれいむが今まで味わった事がないあまあまだった。 れいむの価値観がひっくり返るほどの甘みが口の中いっぱいに広がっていく。 あまりの幸福感におもわず、うれしーしーしてしまうれいむだった。 しかし、そんな事にも気が付かないほど、この甘さに酔いしれていた。 そんなれいむの様子に満足したのか、白服はニコニコ顔で去っていった。 ここに来てからの生活はそう悪いものではなかった、むしろ今までの野良生活から考えたら天と地ほどの差があるだろう。 ご飯は一日三食与えられ、定期的に体を洗ってもらえた。 体を洗う習慣のなかったれいむは最初抵抗はしたが、より綺麗になれると人間に言われれば上機嫌で体を洗わせた。 寝床にはふかふかのタオルも用意され、水もいつも新鮮な物を用意してもらった。 うんうん、しーしー場もちゃんと用意されてはいたが、野良生活の長いれいむは気が向いた場所で垂れ流していた。 その度に白服がそれらを毎日綺麗にし、ちゃんと教えた場所にしろと言うのだが、 増徴したれいむが、奴隷だと思っている人間の言う事など聞くはずもなかった。 その上白服がそれらを毎日綺麗にしてくれるので、更に調子に乗り出したのだった。 「ゆふふ…すばらしいどれいだよ!うすぎたないどれいにんげんは、いっしょうれいむのうんうんをそうじしてね!」 れいむは得意そうにニヤつくと、誰に言うでもなくそう呟いた。 そんなれいむには、どうしても許せない事があった。 それは毎日の様に白服が自分の体を隅々まで見回す事だった。 「ゆゆ?!おそらをとんでるみたー………なにしてるの?くそどれいがぁぁぁぁ!!きたないてでれいむをさわらないでね!」 白服に持ち上げられ、お決まりのセリフを言いかけるが、すぐに白服に罵声を浴びせる。 普段従順な奴隷が唯一れいむの言う事を聞かない時間であった。 れいむは必死に体を動かし、白服の手から逃れようとする。 ブリブリと醜く動き回るれいむだが、所詮ゆっくりの抵抗。 白服はれいむを調べ上げると箱に戻した。 箱に戻されたれいむは毎日の様に罵声を浴びせ続けたが、白服は一向にそれを止めようとはしなかった。 賢いゆっくりならば、毎日の不満が溜まりそうではあるのだが、 このれいむは嫌な記憶をうんうんと一緒に排泄してしまっているので、毎回のように同じ反応を示した。 そんな様子をひそかに笑う白服だった。 れいむがここに連れて来られて数日たった。 何時しかその体は「でいぶ」と呼ばれるには十分なほど膨れ上がっていた。 人間が毎日の様に極上のあまあまをれいむに与えたせいもあるが、 元々このれいむは体を動かすのが好きではなかった。 箱はれいむが動き回るには十分な広さではあったのだが、 狩をする必要のない今となっては積極的に動き回ろうと思わなかった。 そんなれいむがする事といえば白服に文句をたれるか、お歌と言う名の騒音を撒き散らすくらいだった。 「やい!くそどれい!れいむが、かれいにうんうんするよ!しっかりかたづけておいてね!」 「くそどれい!このあまあまにはもうあきたよ!もっとおいしいものをもってきてね!たくさんでいいよ!!」 「れいむが、うつくしいおうたをうたうよ!どれいはびせいによって、しなないようにちゅういしてね!」 今日もれいむは好き放題にゆっくり暮らしていた。 それから更に数日後。 「おい!くそどれい!きょうはなんだか、れいむのうつくしいあにゃるがむずむずするよ!さっさとなんとかしてね!」 れいむがそう言うと、白服はれいむのあにゃるの方を調べ始める。 「ゆん!どこみてるの?このくそどれいは!ゆふん♪…れいむのあにゃるに、きやすくさわらないでね!」 無茶苦茶なれいむの要求ではあるが、白服は顔色も変えずにれいむを調べていた。 白服は何かに気が付いた様子ではあったが、特に何もせずにれいむをケースに戻した。 「やい!くそどれい!れいむはあにゃるがむずむずしているんだよ!ゆっくりりかいしてね!!」 だが、白服はそんなれいむに答える事もなくどこかに行ってしまった。 結局れいむは一日中不満を喚き散らしていた。 その日を境にれいむは白服に体の不調を訴え始めた。 「おい!くそどれい!きょうはあんよもむずむずしてるよ!なんとかしないとおこるよ!このままだとゆっくりできないよ!」 そんなれいむを無視するかのように、白服は淡々とれいむを調べると何もしないでれいむをケースに戻した。 れいむはそんな態度に痺れを切らし、大声で怒鳴り転げ回っていた。 更にれいむの体調不良は進行していった。 れいむがその朝起きると、口の周りにむず痒さをおぼえた。 あまりの不快感に口の方に目をやると、口の周りに黒い物が広がっていた。 「ゆ?!…………………………なんなのこれはぁぁぁぁぁぁ?!」 れいむは一瞬の思考停止ののち、大声で叫ぶのだった。 「おい!くそどれい!これはどういうことなの?このまっくろさんはなんなのぉぉぉ?!」 その日あまあまを持ってきた白服にれいむは怒鳴り散らした。 しかし白服は特に何も答えないですぐ何処かに行ってしまった。 「くそどれい!れいむのはなしをきけぇぇぇぇぇぇ!!」 れいむの叫びは空しくケースに響き渡るのみだった。 れいむはその日の昼を待たずに、ケースごと部屋から運び出された。 れいむは箱の中で喚き散らしていたが、白服は気にする様子もなくれいむを運んでいった。 しばらくすると、別の部屋の前にれいむは運ばれていた。 扉が開くとそこには、今までれいむが居た部屋と同じような白い部屋になっていた。 ただ、何か様子が違っていた。 だが、れいむはそれに気がつけるほど頭は良くなかった。 「くそどれい!どおしてれいむのめいれいをきかないの?!れいむはおこっているんだよ!!」 れいむはケースから出された途端に大声を上げる。 もっとも、今まで喚き散らしてはいたのだが、ケースのせいで声が聞こえていないだけなのだが。 白服はそんなれいむを嬉しそうに眺めていた。 「相変わらず元気がいいね…」 白服の人間が嬉しそうにそう呟く。 「なにをわらっているのぉぉぉぉ?!」 「はっはっは!これが笑わずに居られると思うのか?やっと教授の許可が出たんだ!」 「なにいってるのぉぉぉぉぉ?!」 「あぁ、餡子脳のれいむちゃんにも解るように教えてやるか…簡単に言うとな、お前はもう要らないゆっくりなんだよ。 でだ、俺が要らないれいむを引き取らせてもらったんだ。俺の飼いゆっくりになれたんだよ!」 「なにいってるのぉぉぉぉ?!れいむはもとからかいゆっくりでしょぉぉぉぉ!!」 白服は更に面白そうに笑い出す。 「そうだったな…れいむちゃんはここで飼われてるんだと思っていたっけ、はっはっは!」 「なにがおかしいのぉぉぉぉぉぉぉ?!」 「お前の世話をしていると色々とストレスが溜まってね…仕事とはいえ流石に精神衛生に良くないんだよ。 そういう訳でな…これからお前は俺がしっかり面倒見てあげるよ、良かったね♪」 「まずはそのカビを綺麗にしないとね…」 そう言うと白服はナイフを取り出し、押さえ付けていたれいむの体に押し当てる。 金属の冷たさに一瞬体が反応するれいむ。 「ゆがぁぁぁ!はなせ!くそどれい!れいむのいうことがきけないのぉぉぉぉぉぉ!!」 「カビを放って置いたら、そのまま死んじゃうよ。それじゃ面白くないだろ?」 そう言うと白服はカビの生えたれいむの皮をナイフで切り取っていく。 「ゆぎゃぁぁぁ!なにじてるのぉぉぉぉぉ!!がぎぎぎぎ!」 白服はれいむの悲鳴を聞くと、満足したように笑みを浮かべる。 「ゆぎゃ!ごぎゃ!ががががが…」 白服はまるでりんごの皮でも剥くかのように、カビの生えたれいむの皮を剥いていく。 カビが達してない内部の皮は残している為、餡が漏れ出すような事もなく、 れいむは苦しみだけを与えられていた。 「ぎやい!ゆぎゃい!やべろぉぉぉぉ!ゆびびび!れいむのびはだがががが…」 「こんなにカビが生えていたら、美肌もなにもないだろう?まあ、れいむちゃんの肌は、はじめから汚いけどね…」 「ゆぎがぎ!れいむのおはだは…ゆびゃぎぃぃぃぃぃ!」 れいむは涙と涎を撒き散らしながら、必死に身をよじる。 だが、白服はそんな事も関係なしに手際よく皮を剥いていった。 「ゆびぃ…ゆびぃ…ゆびぃ………どれいのくせに、れいむをおこらせたね!こうかいさせてあげるよ!」 皮むきが終り、ようやく開放されたれいむがプクーっと膨れ上がった。 だが、そんな事で白服が怯えるはずもなく、白服はその手に持ったナイフを膨れたれいむの頬に突き刺した。 「ふしゅぎゃぁぁぁぁ!がはがへがほ……」 れいむは萎みながら、白目を剥いて涙としーしーを撒き散らした。 「はっはっは!汚ねえな…じゃあ、次はカビが生えてこないように消毒しようね」 白服はガスコンロに火をつけた。 その手には、頭を鷲づかみされたれいむが必死にあんよをブリブリ動かしていた。 「はなせぇぇ!くそどれい!きたないてでれいむにさわるなぁぁぁ!!」 「やっぱりそのくらい元気が無いと面白くないね、でも俺の手はれいむちゃんの体より綺麗だよ」 そう言い終わると白服はガスコンロの火にれいむのあんよを近づけていった。 「れいむのめいれいをき………ゆぼぁぁぁぁぁ!あづいぃぃぃぃ!なんなのこれはぁぁぁぁ!!」 れいむは火の熱さから逃れようと必死にあんよを動かした。 だが、そんなれいむのあんよを火は容赦なく焦がしていった。 「ゆじゅうぅぅぅぅぅ!あぎゃぎゃががが………れいむのじまんのあんよがぁぁぁ!!」 れいむの涙や汗が体を伝って火に落ちていく。 火はそんな水分では消えるはずもなく、一瞬で蒸発していく。 部屋の中には甘く焦げた匂いが充満していった。 しばらくして、れいむは火から開放された。 あんよは黒く焦げ、だらしなく舌を出して白目を剥いたれいむは銀色のトレイに乗せられた。 白服はそんな姿のれいむの頭にオレンジジュースをたっぷり掛けていった。 オレンジジュースである程度痛みが取れたのか、れいむの表情に変化が現れる。 「ゆひーゆひー……くそどれいがぁぁぁ!れいむからうけたおんをわすれたのぉぉぉぉ?!」 「はて?何かあったっけ?ストレスならかなり溜まったけどね」 「なにいってるのぉぉぉ!!れいむのうつくしいおうたを、きかせてあげたでしょぉぉぉぉぉ!!」 「あぁ、あれか…雑音が聞こえてきたらすぐに音声切ってたからな…」 「れいむのおうたはざつおんじゃないでしょぉぉぉぉぉぉぉ!! 『ボスッ!』 ゆぎゃぶ!」 白服は思わずれいむを拳で殴った、殴られたれいむの頬は大きく変形する。 「ゆっぎぃぃ!なにする…ゆぎゃん!…ゆびょぶ!…ゆげっ!…ぶぎょ!…げぶ!…やべ…ごぼ…」 白服が容赦なくれいむを殴り続ける。 れいむはその度に呻き声をあげ、体を変形させていった。 「ゆぎが…いだ…びぎぎ…がが……ご…ごご…」 「おっと、少しやりすぎたかな…今日はこの位にしておくか、簡単に死なれたら面白くないからな」 そう言うと白服はれいむにオレンジジュースをたっぷり掛ける。 「それじゃあ、また明日な。たっぷり苦しんでいってくれ、れいむちゃん」 白服は部屋の明かりを消して去っていった。 「ぎぎ…ぎ…くそどれいが………」 れいむは暗くなった部屋でそう呟くと、トレイに零れたジュースを舌で舐め取った。 「ゆっぎぃぃぃ!くそどれい!れいむはおなかがへったよ!いつまでまたせるの?たくさんあまあまをちょうだいね!!」 翌日、白服が部屋に入って明かりを点けると、途端に騒ぎ出すれいむ。 昨日の事をすっかり忘れているのか、未だにその態度は傲慢なままである。 白服はそんなれいむを嬉しそうに眺めた。 「いやー流石だね、一度染み付いたゲス根性は中々衰えないね。まあそのくらいじゃないと、こっちも張り合いがないよ!」 そう言うと白服はゴム手袋を着け、持ってきたビニール袋の中身をれいむの前に広げた。 「ゆがぁぁぁ!くさいでしょぉぉぉぉ!!なんなのこれはぁぁぁぁ?!」 「れいむちゃんの為に持ってきた生ゴミさんだよ、お腹が空いているんでしょ?沢山食べてね!」 「こんなもの、たべられるわけないでしょぉぉぉぉ?!」 「黙って食え!!」 「ゆぼふっ!」 白服は文句を言うれいむの頭を一発殴った。 れいむは頭を陥没させ、舌を噛んでしまった。 その痛みに思わず泣きしーしーを漏らすれいむ。 白服はそんなれいむの口を無理やり抉じ開けると、生ゴミを無理やり押し込めていった。 「ふがぁぁ!ごぼべげごぼっ!はへほぉぉ!ぐぼごぼごご!ぐえぼもも…くはいよぉぉぉ!」 れいむは必死に身を捩り抵抗するが、生ゴミはどんどん口に押し込まれていった。 舌で押し返そうともしたが、舌を噛んだせいで上手く動かせなかった。 結局れいむは男の用意した生ゴミを全部口に入れられた。 白服はれいむの口をガムテープで塞ぐと部屋を出て行った。 れいむは部屋で一人、涙と変な汗をかいて苦しんでいた。 「ふむ…やっぱりあにゃるが焦げて上手く機能してないのか、あれだけ食べた割にはうんうんしてないな」 部屋に戻ってきた白服は、無紋の表情で睨むれいむを見るとそう呟いた。 今まで面倒を見てきただけあって、れいむがどれ位のうんうんを排出するのか解っていたのだ。 白服はナイフでれいむの額の皮を四角く切り取った。 れいむは口を塞がれていたので悲鳴を上げることは出来なかったが、痛みに身を捩りナイフを目で追いながら泣いていた。 「はははっ、れいむちゃんは可愛いね。わざわざ額を切り取られると事を眺めるなんてね」 白服はさらに、れいむの焦げたあにゃるを四角く切り取ると、そこに先程切り取った額の皮を貼り付けた。 オレンジジュースで溶いた小麦粉をその上から丁寧に塗って傷を塞いであにゃる周りの修復は終わった。 「それじゃあ、これから新しいあにゃるを着けてあげるよ。ゆっくり感謝してね!」 白服は冷蔵庫からタッパーを取り出すと、れいむにその中身を見せた。 「これは君と同じれいむ種のあにゃる部分の皮だよ、処分されるれいむから拝借したんだよ」 白服はその皮を適度な大きさに切り取ると、れいむの餡がむき出しになった額に貼り付けた。 れいむは泣きながら目を白黒させて、額の新あにゃるを眺めていた。 白服は満足したように部屋を去り、その日は二度と戻って来なかった。 翌日、白服が部屋に入るとれいむの姿を見て驚いた。 昨日取り付けた額のあにゃるが正常に機能しているらしく、れいむの顔は自分のうんうんに塗れていた。 「これは面白いな、博士が喜びそうだな。流石いい加減な構造の不思議饅頭だ」 白服は汚れたれいむを見て大笑いしていた。 れいむはそんな白服をただ睨みつけるしかなかった。 「いいね!その強気な態度、気に入ったよ!今日もたっぷり可愛がってあげるよ」 白服はれいむの口に張られていたガムテープを強引に剥がした。 「ゆびゃいぶ!…くそどれいがぁぁ!きれいなれいむが、うんうんでよごれちゃったでしょぉぉぉ!! さっさとうんうんをかたずけてね!くさくてゆっくりできないよ!それとあまあまもってきてね!」 ガムテープが剥がされると、早速騒ぎ出すれいむ。 未だに白服を奴隷だと思っているので、強気な態度は相変わらずだった。 「うんうんとあまあまの問題を一片に処理してあげるよ」 そう言うと白服は、ゴム手袋を着けた手でうんうんを集めだす。 ある程度集められたうんうんは、れいむの口に無理やり押し込められていった。 「ふごもご!やめろくそどれい!ごぼげぇ!うんうんはゆっくりできないでしょぉぉぉ!!」 「貴重なあまあまだよ、たっぷり食べてね!」 「ゆぼげぇ!もぐげぼむももむ!やべ…ゆげ…たすけ…もごぐぐ…」 うんうんを口いっぱいに押し込められたれいむは、再度口にガムテープを張られた。 うんうんの臭いと不快感に涙と汗を流しながら、れいむは小刻みに震えていた。 れいむはその日から、毎日の様に額から流れ出るうんうんを食べさせられた。 それからも、毎日白服はれいむを弄って楽しんだ。 針を体中に刺され、片目を抉り取られ食わされ、殴られ… それでも死ぬ事は許されなかった。 白服が丁寧にれいむの傷を治す為、れいむは生き長らえていた。 そんな状況に置かれても、依然れいむの態度は変わらなかった。 白服はそんなれいむの様子が堪らなく面白かった。 そして、なんとしてでもれいむの心を折ってやりたかった。 その日、白服はある事を思いつき、れいむに目隠しをした。 「ゆっがぁぁ!なんなのこれは!おい!くそどれい!これじゃ、なにもみえないでしょぉぉぉ!!」 そんな様子を面白そうに眺める白服。 白服はれいむの顔にある物を押し当てた。 「ゆん?なんなのこれ………くっさいぃぃぃぃぃ!はやくこれをどかせぇぇぇ!ゆっくりできないでしょぉぉぉぉ!!」 れいむの顔に押し当てられたそれからは、凄まじいほどの悪臭がした。 そんな様子を面白がって、白服はそれをれいむの体に這わせていく。 「ゆげぇぇぇ!やめろっていってるでしょぉぉぉ!!むのうなくそどれいは、れいむのいうことをきけぇぇぇ!!」 「はっはっは!そんなに嫌なら自分で何とかすれば良いだろう?それが出来ればだけどね」 「ゆっぎぃぃぃぃぃ!れいむをなめるなぁぁぁぁ!……くざいぃぃぃぃぃぃ!!」 れいむは必死に身を捩って抵抗するが、当然そんな事は無意味であった。 だがれいむは馬鹿にされた怒りから、どうやっても白服を見返してやろうと必死で空っぽの頭を絞った。 そしてある事を思いつき、じっとその機会を伺った。 「はっはっは!やっぱりれいむちゃんは無能だね!無能はこのまま苦しんでいってね!」 「ゆぐぬぬぬぬ…………いまだよ!」 白服が臭いの元のそれを、れいむの口の周りに持ってきたその時である。 れいむはチャンスとばかりに、器用にそれを舌で掴んだ。 それは簡単に白服から奪い取れると、れいむは臭いを我慢して口に含んだ。 日ごろから臭い物を口に入れられていたれいむは、この程度の物なら平気で口にする事が出来た。 「れいむをくるしめた、このくさくささんは、せいさいしてあげるよ!」 臭いの元のそれを口に含みながら、起用に喋るれいむ。 れいむはそれを歯で噛み、すり潰していった。 「いたいでしょ?くるしいでしょ?あまやってもゆるさないよ!もーぐ、もーぐ…」 れいむは得意そうにそれを噛んでいき、しばらくするとそれを吐き出した。 「ゆふふ!いいきみだよ!くそどれいはれいむにあやまってね!れいむはむのうじゃないよ!!」 そんなれいむの様子を楽しそうに眺める白服。 「いやいや…れいむちゃんはすごいね、面白かったよ」 白服はれいむの目隠しを取る。 れいむは自信たっぷりに白服を見てニヤついた。 「れいむのおそろしさが、りかいできた?くそどれいは、にどとれいむをばかにしないでね!!」 「はっはっは!そんな事より、今吐き出した物を見てくれよ!」 「ゆん?なにいって…………………ゆ?………………ゆがぁぁぁぁぁぁぁ!!」 れいむは自分が吐き出した物を見た瞬間、それが何なのか解らなかった。 そしてしばらく思考した後、ようやく自分が吐き出した物が何なのか理解した。 「れいむのおりぼんざんがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!どぼじでぇぇぇぇぇ!!」 大分形も変化してはいたが、その赤い色の塊は紛れも無くれいむのリボンだった。 れいむは残っている方の目から大量に涙を流した。 そして、その目で白服を睨みつけた。 「くそどれいぃぃぃ!どぼじでごんなごどするのぉぉぉぉ!!よくもれいむのおりぼんさんをぉぉぉぉぉ!!」 「何言ってるんだ?れいむちゃんが自分でやったんだろ?よくそのリボンの臭いを嗅いでみなよ」 「だまれぇぇぇ!おまえがやったんだぁぁぁぁ!!はやくもとにもどせぇぇぇぇ!!」 「俺のせいにするなって……ほら、ここに引っかかってるよ」 「がぁぁぁぁぁぁ…………ゆ?!」 白服はれいむの歯に引っかかっていたリボンの破片を取ると、それをれいむに見せてやった。 れいむはしばらく固まっていたが、突然狂ったように叫びだした。 「うぞだぁぁぁぁぁ!うぞだぁぁぁぁぁぁ!うぞだぁぁぁぁぁ!うぞだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「あーこれは五月蝿いな……おい!黙れよ!」 「うぞだぁぁぁぁ 『ドフッ!』 ゆげっ!…ゆごぅ!…ゆぎゃん!…ゆばぃ!げぶっ!…ごぶっ!…ごぼっ!…」 白服はしばらくれいむを殴り続けた。 れいむの顔はボコボコに腫れ上がり、餡子を口から吐き出した。 白服はそれをすぐに口に戻すと、また殴り続けた。 「…ぎぎ…ぎ…が…が…ゆげ……うぞ…だ…ぼ……ごご……ぐ…ぐぐ…」 しばらくして、れいむが大人しくなったが、顔は原型を留めないほどグチャグチャになっており、 歯もボロボロに掛け落ちて、生きているのがやっとの状態だった。 白服はれいむにオレンジジュースを掛けると、部屋を後にした。 その日を境にれいむは壊れてしまった。 何をされてもブツブツと、聞えないほどの声で何かを呟くだけになってしまった。 「こうなると面白くないな…心を折るつもりが壊してしまったか…結構加減が難しいな…… まあ、これは処分で良いな…丁度あの親子の処分が明日だったし…まあ、レポート書いて教授に提出しておくか」 れいむは焼却処分される最中も、叫び声を上げる事無く燃えていった。 完 徒然あき
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前 ゆっくりれいむ一向は一刻も早くこの悪夢から抜け出すために森を進んだ。 「ねえ、おかあさん…」 「ゆ、どうしたの?」 多少急ぎながら一家の先頭を今しがたれいむの事をかばった子れいむが小声で耳打ちした。 この子れいむは次女で、今この場に居るれいむ達の中ではれいむに続いて最年長である。 とても賢く仲間思いで聡明で、れいむはまりさの生き写しのように感じて今では特に寵愛している子どもだった。 「どうして…れいむのいもうとはころされたのかな…」 子れいむの顔は餡の気が引いたかのように青かった。 れいむはその質問にごくりと唾を飲んだ。 そして少し考え込んでから慎重に言葉を選びつつ言った。 「…きっとにんげんがやったにちがいないよ、まりさだってにんげんにあんなふうに殺されて…」 「どうしてこんなところににんげんがいるの?ここはにんげんもめったにはいってこないところだってれいむしってるよ…!」 子どもから出た思わぬ反論に再び考え込んでかられいむは言う。 「ことしのふゆはたべものがすくないからにんげんもここまできてさがしに」 「じゃあなんでれいむのいもうとはたべられずにつるされていたの!?」 「…!」 やはりこの子は聡明だとれいむは思った。 ただ、子どもだからか少し安易に確信を突き過ぎる。 「…へんなこときいてごめんね、おかあさん」 沈黙。 重苦しい空気が二人の間を支配した。 「……」 れいむの中を誰がれいむの子どもを殺したのかという疑問が繰り返される。 やはりさっき子れいむと話し合った通り里の人間がわざわざ魔法の森の奥まで来てあの子を殺したという線は薄いように感じた。 かといって虫たちにはあんな殺し方が出来るとは思えない。 まず蔓が結ぶことが出来ないではないか。 森の動物達だって同じだ。 ならば、この辺りをうろついていた別のゆっくりがれいむの子どもを殺したのだろうか。 確かにこの辺りなら、たとえば永夜緩居を目指す他のゆっくりが居る可能性も無くは無い。 だがそれでは動機が全くわからなかった。 ぐるぐると思考が同じところを同道巡りする。 ふと、れいむはひょっとして永夜緩居に居る虫以外の何者かがれいむ達を追ってきて 永夜緩居の秘密を守るために皆殺しにしようとしているのではないかと考えた。 あの場所の異常さはその考えをあらゆる意味で肯定しているように思われた。 そんなふうに思索に耽りながられいむは先に進んでしまった。 そしてれいむは再び自分の不注意で子どもを失うことになった。 巧妙に枯葉で隠された落とし穴がれいむ達の前で口を広げて待っていたのだ。 「ゆ!?」 「ゆああああああああああ!?」 「びっくりー!?」 「ゆ…みんな!大丈夫!?」 それは落とし穴というよりも既にあった大きなくぼみを少し掘り下げて木の枝と枯葉でカモフラージュしたものだった。 れいむは慌てて辺りを見回す。 枯葉にまみれて誰がどこに居るのかすぐに把握できない。 そんな状況がれいむを急激に不安にさせた。 「はやくみんなあつまってね!」 枯葉の下から一匹二匹と子れいむ達が這い出してきた。 すぐにれいむは子どもの数を数える。 「ひとつ…ふたつ…みっつ…みっつ…みっつぅ……!」 四匹居たはずの子どもが三匹に減ってしまっていた。 「でてきてええええええええええ!はやくでてきてえええええ!」 「おねえぢゃあああああん!おねえぢゃあああああああああん!」 「みんな!おねえちゃんからはなれちゃだめだよ!ゆっくりさがすよ!」 子れいむ達は一番上になった子れいむを中心に居なくなった子れいむを探し始めた。 一方のれいむの表情は暗く、覇気が無かった。 れいむの経験が深いことが子ども達よりはるかに子れいむの生存が絶望的なことを知らせていた。 頭を切り替えて先頭に立って探さなくてはならないはずがどうしても切り替えることが出来なかった。 「まりさ…たすけて…ゆっくりできないよまりさ…」 れいむはうわ言のようにつぶやいた。 まりさの忘れ形見である子ども達の数が着々と減っていくことにれいむは心から恐怖した。 まりさの命は人間の手で惨たらしく奪われた。 数の増えた子ども達のためにまりさとの思い出の家も捨ててしまった。 まりさの大事な帽子は人間の手で汚されつくした。 この上でまりさとの間に遺した子ども達まで居なくなったら、れいむの周りからまりさの遺したものは全て消え去ってしまうのだ。 その時、まりさはきっと本当の意味でれいむの所から永遠に離れていってしまう。 そのことをれいむは本当に怖れた。 「ああああああ!おねえぢゃあああああああん!じっがりじでえええええええ!!!」 「ゆ!まだ、まだいきてるよ!ゆっくりおさえてね!」 「ゆ!?」 まだ消えた子れいむが見つかった上にまだ生きているという言葉を聴いてれいむははっと顔を上げた。 れいむはさっきまでとは別人のようにはっきりした表情ですぐさま子れいむの様子を見に走った。 「ゅう…ぃ…だ…ぃょぉ…」 子れいむには木の枝が刺さっていた。 即興ながら明らかに加工された跡がある。 何者かが子れいむを攫ってこれで突き刺したのだ。 しかし幸いゆっくりは鋭い物に突き刺されるのには強かった。 貫通はするが致命傷に至りづらいのだ。 多少傷口は大きいが枝を抜いて葉っぱで傷口を押さえれば充分治る傷だった。 「ゆ、しっかり押さえててね!」 れいむは子れいむ達に体を抑えさせると木の枝を口で咥えて思い切り引き抜いた。 「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」 凄まじい断末魔と共に引き抜いた傷口が大きく開き、目を見開いた子れいむの体から餡子が大量に飛び散った。 れいむは目を白黒させてそれを見つめた。 さっきまであんなに小さかった傷のあった場所に明らかに致命傷レベルの大きな傷口が開いていた。 木の枝を見る。 その先端には草や蔦で器用に結び付けられた大きな『返し』が付いていた。 「ゆ、ゆうううううううううううううううううううう!?」 れいむには全てが理解できた。 刺す時に返しの部分を開かないように押さえて突き刺し、『返し』の部分が全て入ったら返しを押さえていた蔓か何かを 引っ張ってはずす、これで子れいむの体内で『返し』が大きく開く。 後はそのまま木の枝を引き抜けばごらんの通りだ。 「お、おかあさんがれいむのおねえぢゃんをごろじだああああ!!!!」 「どおじでごんなごどずるのおおおおおおおおおおおおおおお!!!?」 「ち、違う、違うのおおこれはじこな゛のおおおおおおお!!!!」 下の子ども二匹はありのままを見て受け取り、その結果れいむが子れいむを殺したと理解した。 「じこだろうとなんだろうとおかあさんがころしたんだよ! このこごろしれいむ!おまえなんかおかあさんじゃないよ!」 子れいむは子どもらしくれいむに率直で辛辣で残酷な言葉を投げかける。 「ゆぎゃあああああああああ!?やべでえええええええええ!!!」 まりさの遺した子ども達に罵倒されることはれいむにとってまりさから罵倒されることに等しかった。 それは深く深くれいむの心を傷つけた。 母としてのれいむの世界が壊れ始めた。 母としての誇り、子どもを愛し大事にしているという自負、それらが音を立てて崩れ去っていった。 れいむは段々と母からただのれいむになっていく自分を感じていた。 「やめでよおおおおお!わ゛るいどはれ゛いむのいも゛う゛どにごれをざじだやづだよ! わだじだぢあんな゛にゆっぐりじでだがぞぐだっだじゃだいどおおおお! おがあざんをきずづげるようなごどいわ゛ないでええええええええええええ!!!」 ある程度れいむのやったことが過失だと理解できる現・一番上の子れいむだけがれいむを庇った。 しかし事実までは覆せず、また過失を理解させるだけの力も子れいむにはなかった。 「こんなくずとはゆっくりできないよ!きっとさいしょにころされたおねえちゃんもこいつがやったにちがいないよ! れいむたちもいっしょにいたらころされちゃうよ!」 「れいむたちはれいむたちでかってにおうちにかえるよ! ゆっくりごろしはじぶんもゆっくりしね!」 ペッとれいむに唾を吐きかけるとそのまま森のどこかへと消えていった。 「違う…違うの…れいむじゃないの…れいむはやってないの…まりさ…まりさはしんじてくれるよね…まりさ…まりさ…」 れいむはもはや追いかけもせずにただただ焦燥しきってうわ言をつぶやくばかりだった。 「おかあさん、れいむはわかってるからね はやくれいむのいもうとたちもみつけてなかなおりしてみんなでゆっくりしようね…」 焦燥しきったれいむをなんとか子れいむが慰めながら、れいむ達は弱弱しく先に進んだ。 れいむは今もうわ言をつぶやきながらも子れいむに従って歩いていた。 そうやって居るうちにれいむの意識も段々とはっきりしてきた。 れいむは落ち着いて、再び生き残ることを考え始めた。 もう二度と同じミスはしない、そう思って周りに危険なものは無いか神経を集中する。 さっきのようにトラップにかかっては生きて帰れる保障はもうない。 その時、びゅんという風を切る音がれいむの耳に届いた。 「あぶない!」 「ゆ!?」 ドンっ、とれいむは子れいむを突き飛ばしてこちらに飛来する二つの謎の物体を避けた。 その物体はブランコのように弧を描いて木にぶつかるとベチャ、グチャっとなって木の幹に黒い染みを作った。 それが何か理解するのには少し時間が掛かった。 蔓で吊るされたそれが再びこちらに戻ってきてやっと理解する。 「れいむのこどもがあああああああああああああああああああ!?」 「いやああああああああああああああああああ!!!?」 それは蔓に結び付けられたさっきれいむの下を離れた子ども達二人だった。 ぐちゃぐちゃになったれいむの子どもが蔓に結ばれてゆっくり揺れながられいむの顔にべちゃりとくっついた。 甘い餡子の香りがした。 「ゆ゛…ゆっぐぅううううううううううううううううううううう…!!!」 れいむは咽び泣いた。 遂に子どもはあと一人を残すのみとなった。 れいむとまりさの一番大事な絆である子ども達が居なくなってまりさのことがとてもとても遠くに感じられた。 もうれいむの心はボロボロのゴミクズの様になってしまっていた。 「おかあさん…げんき、だしてね れいむはずっといっしょにいるからね ぜったいにおかあさんのそばからいなくならないからね」 子れいむが自分も辛いだろうにれいむのことを慰めた。 思えばこの子は本当にまりさの生き写しだとれいむは思った。 聡明で、仲間思いで、やさしく、相手の心をわかり、人のことをかばえて そして、誰よりもれいむのことを愛してくれた。 「ゆぅ…そっかぁ…ゆふ…ゆふふふふ…」 「おかあさん?どうしたの?げんきでたの?」 『 』がれいむの顔を覗き込んだ。 「ずっといっしょにいてくれたんだね、まりさ」 「まりさは死んでなんか居なかったずっとれいむのそばにいてゆっくりしてくれてたんだね まりされいむもまりさのこと愛してるごめんねきづかなくてごめんねもうはなさないからね」 「おかあ…さん…?なにをいっているの?」 「そうだまりさいったよふゆをこしたらもう一人くらいあかちゃんをつくろうって まだふゆまえだけどれいむとまりさの子どもは居なくなっちゃったからいまからにんっしんさせてあげるねまりさあああああああああああああ!!!」 「!?いやあああああああああああああああああ!?」 恋人、子ども、次々と大切な人を奪われ心からゆっくりを失ったれいむの心は壊れた。 壊れたれむが求めるのはまりさただ一人だった。 れいむが子れいむともう一度ゆっくりをするために前から力づくで圧し掛かった。 れいむの目はもはや尋常ならざる光を宿していた。 興奮したれいむの碌に洗う暇も無くて汚れきった体を餡汁が瞬く間にねちょねちょにした。 「はぁはぁはぁ…まりさぁああ!れいむきもちいいよおおおおお!!」 「れ゛い゛む゛はま゛り゛さ゛じゃだいよおお!!おがあざんやべでえええ!!!」 子れいむにはれいむが何故こんな行為に及ぶのか理解できなかった。 行為の意味自体は知っていた、しかしだからこそ親子でこんな行為をしていいはずがないと思う倫理観が子れいむにはあった。 そんな子れいむの気持ちを無視してれいむは餡子汁と泥でべたべたになった体を偏執的なまでに子れいむにこすり付けた。 「やだやだやだあああ!!!」 子れいむは必死に体を振ってイヤイヤをするが子どもの体では体格の大きい大人のれいむを振り払うことは出来ない。 れいむは子れいむの口から底にかけてをぺろぺろと丹念に舐め始めた。 「まりさ…まりさのまむまむぅ…!」 「ぞんな゛どごなめぢゃだめな゛のおおお!!」 嫌がる子れいむだったがその底付近からは餡子汁がだんだんと漏れ始め 息を荒くして顔を赤く染めていた。 「ゆぇっぷにゅう!?」 「むちゅ…んっちゅぅ…」 吐き気を催して思わず開いた口にれいむの舌がぬるりと進入した。 れいむはじゅるじゅると餡唾を飲みながらさらに体をゆすり頬と頬をこすりつけ合わせる。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ…」 「ずぎゅ、ずっぎむぢゅぅぢだぐだいどに゛ぶっぢゅうううう!!!」 すっきりしたくないという子れいむの意思とは裏腹に二人の快感は高まっていった。 「すっきりー!」 「すっきりー!」 そして二人は絶頂を迎えた。 「まりさ、もういくよ もっとすっきりしたいけどここはゆっくりできないばしょだからはやくいかないと」 「………どう…じで…」 子れいむはれいむに引っ張られるまま虚ろな瞳で空を見つめていた。 その時ドン、と音がしたかと思うとれいむの体を蔓で編んだネットが捕らえていた。 子れいむは呆然とその光景を眺めていた。 「ゆ!?なにするの?ゆっくりでれないよ、はやくだして!」 「ゆっくりできないゆっくりになっちゃったみたいだね、れいむ」 二人の行為をずっと隠れ見ていたのか茂みの奥から黒い影が現れた。 黒い帽子に金髪の髪、その姿はれいむの思い描くまりさと瓜二つだったが決定的に何かが違った。 「ゴミクズ…」 そう、それは永夜緩居で死んだはずのゆっくりまりさのゴミクズだった。 「まりさにはじちょうしてねっていってたくせにはげしいすっきりだったね」 「うるさいよ!れいむはまりさといっぱいかわいいあかちゃんつくるんだよ! それをかってにみてるえっちなゴミクズのほうがゆっくりできてないよ! ゴミクズはゆっくりでていってね!」 れいむは行為を盗み見されたことに怒ってまりさを口汚く罵った。 「ふーん、まあどうでもいいよ、まりさはぱちゅりーのかたきをうつだけだから」 その言葉を聞いてれいむははっとした。 こいつが、れいむ達を付回してれいむとまりさの子ども達を殺していたのだと気付いた。 それもぱちゅりーが死んでしまったという八つ当たりに等しい理由でだ。 「ゴミクズぅぅぅぅぅううう!!よ゛ぐもれ゛いむ゛とま゛り゛さ゛のこども゛ぉををおおおおおおお!!!」 れいむはネットの中で暴れるが皮が痛むばかりでネットは自力では外せそうになかった。 「れいむ、わるいけどこっちにゆっくりきてね」 「ゆ…」 そう言うとまりさは子れいむのリボンを咥えるとそれを手綱の様に引っ張って子れいむを傍らに寄せた。 子れいむは何も反抗しようとしなかった。 「れ゛い゛む゛の゛ま゛りざにざわ゛ら゛な゛いでねええええええええええええええええ!!!!」 まりさに連れて行かれるということがどういうことなのか、れいむにははっきりとわかっていた。 れいむは餡子汁を顔中から垂れ流して懇願したが子れいむでさえその言葉を聞き入れようとはしなかった。 まりさは憐れそうにれいむの方を見ると隠し持っていた先を尖らせた木の枝をぺっと吐き出してれいむの方に投げた。 「子れいむをたすけたかったらそれであみをきっておってきてね」 そう言うとまりさは茂みの奥へと消えていった。 れいむがネットを切り裂いてまりさ達を追った先には枯葉の絨毯が敷き詰められた少し開けた場所があった。 「ゴミクズ…」 れいむは憎しみの全てをこめてまりさをそう呼んだ。 「ひさしぶり、ゆっくりしていってねれいむ」 まりさの瞳には最初に会ったときのような光は無くただただドブ川のようにどす黒いものが渦巻いていた。 「まりさを…わたしのまりさをどこにやったの?」 れいむは辺りを見回しながら言った。 まりさは怪訝な顔をした。 「あれはまりさじゃなくてれいむだよ まあそれはどうでもいいよ、れいむがまりさをころせたらおしえてあげるよ ぱちゅりーをころしたときみたいにやればかんたんだよね?」 その恨みったらしい言い草にれいむは苛立った。 「まだそんなことをいっているの、このゴミクズが れいむ達は…だれよりもいきるためにいっしょうけんめいだったのに… そんなりゆうでみんなをころしたんだね やっぱりおまえはゴミクズだよ!ゆっくりできないゴミクズだよ!!」 れいむは最大限の侮蔑と軽蔑をこめて吐き捨てた。 まりさはこれ以上の言い争いは無駄だというかのようにれいむに向かってきのこを投げた。 「そのきのこはもうどくで、ぺろぺろしただけでもゆっくりできなくなるよ さっきわたしたきのえだのさきにさしてぬけば…わかるよね」 れいむはまりさの方から目は離さずに念のために持ってきていたその枝をきのこに刺した。 まりさも同じように木の枝を取り出してきのこに突き刺す。 数瞬の沈黙があった後両者は同時に木の枝をきのこから抜いて、それが開始の合図となった。 「ゆっおおおおお!!!」 口に咥えた木の枝でれいむは勇猛果敢にまりさに向かって突きを繰り出す。 まりさはあとずさりながら突きを受け流し防戦に徹した。 木の枝が空を斬りお互いの間の空間が歪んだように見えた。 死闘は続いたが、まりさはろくに反撃も出来ないままで葉っぱで埋まった木の洞の前に追い詰められた。 「もうにげられないよおおおおおおおおお!!!」 「……」 「ゆっくり、しねえええええええええ!!!」 これで終わりだとばかりにれいむは木の枝を引くとまりさに向かって必殺の突きを繰り出した。 『ゆぐぅ!?』 ブスリ、と木の枝がまりさを貫通してまりさは木の洞の中に押し込まれた。 「はぁ…はぁ…」 確かすぎる手ごたえを感じてれいむは木の枝を口から離した。 「はやく…はやくれいむのまりさのばしょをおしえてね!」 れいむの問いにまりさはにやりと笑うと目で後ろを指し示した。 れいむの中を悪寒が走った。 確かすぎる手ごたえ、れいむには最悪の予想が見えてしまった。 れいむは慌ててまりさを退かす、刺さっていた木の枝がボキンと折れた。 舌を使って洞の中の木の葉を掻き分ける。 そのすぐ下に、まりさを貫通した木の枝に刺された子れいむが居た。 「あ、あああ…」 れいむは愕然としてその姿を見つめた。 小さなからだの子れいむは致死性の毒が周り次の瞬間には死んでしまうであろうことは明らかだった。 「ぉかぁ…さ…ん…」 「まりさあああああああああああああああああああああああ!?」 子れいむの頬を涙が伝ったかと思うと子れいむは息を引き取った。 「ゆ…ゆふふふふふっふふふふふふうふ…」 れいむは笑い出した。 遂にまりさとの繋がりは完全に断たれ、一人ぼっちになったのだ。 もうれいむには何のために生きて良いのかわからなかった。 「どう、だった…まりさのしかけ…」 まりさは持ち前の体力で毒の効果からなんとか持たせているようだったが死は時間の問題だった。 それを理解した上で遺言のようにうわ言をつぶやく。 「さいしょにつるしたこどもも、つるでくちをしばっておしゃべりもできなくしてあったけど、いきてたんだよ しんだのは、れいむがつるをきってから…」 まりさはれいむにたいしてこの上なく恐ろしいことを言い出した。 れいむはピタリと笑うのをやめて青ざめてまりさの言葉を聴いた。 「つぎのこは、れいむのみてたとおり れいむにむかってなげたふたりも、ちゃんといきてたんだよ… れいむが、うけとめてあげてたらしななかったのにね…」 れいむは諤諤と震えだす。 「そのこは、だれがみてもかんたんだよね」 まりさは木の洞の中の子れいむを見た。 「れいむがころしたんだよ」 「も゛う゛やべでえええええええええええ!!!!」 遂に耐え切れなくなったれいむは半狂乱で悲鳴を上げる。 れいむの目からは餡子がそのまま流れ出していた。 人で言うなら血涙であろうか。 「ぱちゅりーだけれいむにころされるなんてゆるせない、だから、だからみんなれいむにゴフッ! ころさせてやったんだよ!ざまあみてね!まりさがゴミクズなら、こどもをぜんぶころしちゃったれいむはもっとゴミクズだよ! うふふふふふふふふふふふふふふ…」 「うわああああああああああ!!!!」 れいむは木の枝を咥えるとまりさに向かって突き刺した。 「ゆぐっ…、うふふ…、やっぱり、こんなことしてもぱちゅりーはわらってくれないね…」 まりさは餡子を吐きながら、空を見つめていた。 きっとその先にはぱちゅりーが見えているのだろう、死の淵にあって穏やかな顔をしていた。 「ゆっくりできなくて、ごめんね…」 とてもすまなそうにそう言うとまりさは息を引き取った。 「れいむが…れいむが子どもを…れいむが…れいむが…れいむが…まりさ…まりさ…まりさが…」 れいむは、自らまりさとの繋がりを全て断ってしまったことに気付かされ、その罪深さに絶望に打ちひしがれた。 「う゛わ゛あああああああ!ま゛りさ!いっじょにゆ゛っくりし゛てよ゛おおおおおお!まり゛さ゛ああ゛あああ゛あ゛ああ!! ゆ゛あああああわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!! ま゛り゛ざあああああああ!!!ゆ゛ぎゃあああああああああああ!ゆ゛ぎゃあああああああああ!!!!」 れいむは木の幹に向かって何度も何度もぶつかった。 そのうちに頭からは餡子が流れだし、口許にまでとろりと流れた。 その時、自分の命の味を味わいながられいむはふと気付いた。 「そうだ…まりさ…まりさはまだいる…」 それに気付き、れいむは笑い出した。 「れいむ!れいむがいるよ!まりさがいのちをかけてまもってくれたれいむがいるよ! れいむのいのちがなくならないならまりさともずっとつながってる! やったよ!やったよまりさ!あははははは!いっしょにゆっくりしようね!ゆっくりしようね!」 れいむはけたたましく笑い続けた。 もはや支離滅裂の狂気の理論としか言いようが無いが実際れいむは狂っているのだからしかたの無いことだった。 ただ、そのけたたましい笑い声は永夜緩居から追ってきた物を呼び覚ましてしまった。 「ゴミクズ!ぱちゅりーはわらってくれなかったんだってね!ざまあみろ!れいむのまりさはわらってくれたよ! やっぱりおまえがゴミクズ」 れいむがまりさの顔を覗き込んで勝利宣言をしている最中、まりさの頬がぐぐっと膨らんだ。 「ゆ?」 れいむが不思議に思ってそこを覗き込むと頬を突き破り、何かが現れてれいむの体を突き刺した。 「ゆぎゅぅぅぅう!?な゛ん゛な゛の゛おおおお!?ゆっぐりでぎだよおおお!?」 それはまりさの体の中にずっと潜んでいたカブト虫だった。 永夜緩居を出る時からずっとまりさの体の中に住んでいたのだ。 そんな習性はカブト虫には無いが、永夜緩居の狂った虫達は一匹たりとも永夜緩居から獲物を逃すつもりはなかった。 カブト虫は、その角でれいむの体を抉りながら甘い餡汁をぺろぺろと舐めた。 「やべ、やべでええええ!!!」 まりさの頬からは次々とカブト虫が現れ、れいむの体を抉っていった。 抵抗しようにもここまで戦い続けてきたれいむにはもはや抗う力など残っていなかった。 ただただゆっくりと食べられていくだけである。 「やべでえええ!!!れ゛い゛む゛ばっ!れ゛い゛む゛ばいぎなぎゃだめなのおお!! れ゛い゛む゛がぢんだらま゛り゛ざがああ!!!ま゛り゛ざがいなぐなっぢゃううううう!!! やべでええええ!れ゛い゛む゛ぢんだらだめ゛な゛の゛にいいいい!!! ま゛り゛ざま゛り゛ざあああああああああああ!!!!」 れいむの断末魔が森に木霊する。 新たに生きる意味を見つけたばかりでれいむはゆっくりと食べられ死んでいった。 いっそ新たに生きる意味を見つけずに後ろからカブト虫に突き刺されて 殺されていたらこうも無念を感じることはなかっただろうに無残なことだ。 これで、この度永夜緩居に挑んだものは全て永夜緩居に呑まれた。 永夜緩居の秘密を漏らす者は無し。 永夜緩居― ゴミクズ このSSに感想を付ける
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「ゆゆっ!! ここはどこ?」 一匹のゆっくりれいむは見知らぬ場所で目を覚ました。記憶にはない場所だ。 けっこうな広さを誇ってはいるものの、四方八方は真っ白な壁に囲まれていて、一つだけ部屋と部屋を行き来する扉があるが、ゆっくりに抜け出せる軽い扉ではない。 自分はゆっくりたちが大勢暮らす森の中でゆっくりしていたのに、なぜこんな所に一人でいるのだろう? 自身の大半を占める餡をひねり出して、考えを纏めようとする。 そういえば、微かだが数時間前の記憶が浮かんでくる。 見知らぬ男にお菓子をあげるから家に来ないかと招待され、断ったらかわいそうだからと、れいむは特別に来てあげたのだ。 男の家につくと、その家が気に入ったから、特別にれいむの物にすることにして、召使いとしてれいむの家においてあげることにした男にお菓子を持ってくるよう命令した。 しかし愚図な男はなかなかお菓子を持ってくることはなく、いつの間にか待つことに疲れ、眠ってしまったのだ。 「ゆー!! こんなかわいれいむをまたせるなんて、やっぱりにんげんはばかだね!! さっさとれいむにおかしをもってこなくちゃならないのに!!」 誰ともなしに呟くれいむ。 いつの間にか自身がいた部屋と違う広く何もない場所にいるのだが、お菓子で頭がいっぱいのれいむにそんなことは考えもつかなかった。 自分の境遇を理解することなく、未だお菓子のことを考えている当たり、所詮はゆっくりと言ったところか。 しばらくは大人しく待っていたのだが、男は全く来ることがなく、いい加減れいむは待つのも飽きたと、バカな人間がお菓子を持ってくるまで遊ぶことにした。 しかし、四方八方を壁に囲まれたこの部屋にはなんの家具も道具も置いてなく、窓すらついていない。 「れいむがいるのになんにもあそびどうぐをおいていないなんて、ほんとあたまがわるいね。ぷんぷん!!」 れいむはおかんむりで頬を膨らましていると、部屋のドアが開いて男が入ってきた。 れいむはそれに気付くと、男に寄っていく。 「おじさん、ゆっくりしすぎだよ!! さっさとおかしをちょうだ……」 れいむのことばが途中で途切れる。 男が変なことをしたわけではない。男の後ろから、れいむをここに連れてきた男の他に、たくさんの人間が入ってきたのだ。 別に多くの人間に恐れ、言葉を詰まらせたわけじゃない。 ただ、男一人だけしかいないと思っていたのに、たくさんの人間がいたことに驚いたことと、れいむの家に勝手に入ってきたことに腹が立ったのだ。 れいむを連れてきた男はれいむの召使いなので問題ないが、他の人間を自分の家に招待した覚えはない。 「ここはれいむのおうちだよ!! しらないにんげんはゆっくりでていってね!!」 れいむが人間を威嚇する。 しかし、愚図な人間たちはれいむの言葉を理解できないのか、いっこうに出て行こうとしない。 「ゆー!! 聞こえなかったの? ばかなにんげんはれいむのおうちからゆっくりでていってね!!」 何度言っても出て行く気配のない人間たちは、れいむの言葉を無視するばかりか、れいむを中心に囲んで床の上にどっしりと腰をおろす。 その数、総勢20人。しかし、れいむは3以上の数を数えられないのでたくさんの人間としか感じない。 そんなたくさんの人間に対し、「さっさとお菓子を持ってきたら出て行け」と言おうとしたら、突然男たちは全員奇妙な行動を取り始めた。 「ゆゆっ!?」 れいむは男たちが何をしているのか分からなく、躊躇い声を上げる。 れいむが躊躇ったのも無理はない。 男たちは何故か知らないが、ゆっくりと右手を挙げると、人差し指を立て、れいむを指してきたのだ。 「ゆ!? なんでれいむをゆびさしてるの? そんなことよりさっさとおかしをもってきてね!!」 れいむは初めは戸惑った。 しかし、すぐに男たちが何もしてこないことが分かると、どういう意図でれいむを指さしているかは分からないが、特に危険はないと判断し、男たちに繰り返しお菓子を要求する。 そんなれいむに、男たちはいっこうに口を開くことはなく、ただただれいむを注視し、ひたすら全員でれいむを指さしている。 この部屋に入ってから男たちは一度として口を開いてない。 「ゆー!! きこえなかったの? それともばかだからわからないの? れいむはさっさとおかしをもってきてねっていってるんだよ!!」 今までの最高の声量で叫ぶも何の反応もなく、男たちは何の言葉も返さない。 まるで石像のようだ。 なんどもなんども繰り返し叫ぶれいむ。しかし、いっこうに男たちからの返事は帰ってこない。 いかにゆっくりとはいえ、さすがに男たちの行動が気になりだしたようだ。 何となく指を指されることに嫌気を感じ、男たちが指を指している場所から動く。 すると、つられて男たちの視線と指もれいむを追いかける。 「ゆゆっ!! なんでれいむをおいかけるの? ゆびささないで、さっさとおかしをもってきてね!!」 男たちに叫ぶれいむ。しかし、状況は変わらない。 男たちは表情を変えない。眉一つ動かさない。 例外は、れいむが動いたときに釣られて動く、視線と右腕だけだ。 何かされるわけではないが、なにも喋らず、ひたすられいむを注視し、指を指してくる男たちが、さすがに気持ち悪くなってきたのだろう。 「いいかげんゆびをさすのはやめてね!! あとちゃんとれいむにへんじをしてね!!!」 れいむの口からついにお菓子という言葉が消えた。 それだけれいむは妙な圧迫感を感じていた。 しかし、男たちは変わらない。 れいむはここの男たちは全員馬鹿なのだと考え、一人の男に的を絞って対応することにした。 無論、男とはここにれいむを連れてきた男、れいむの召使いだ。 唯一、この人間たちの中でれいむと会話をしたことがある男。 おかしを上げると言った男。ここをれいむの家にすると言ったら喜んでくれた男。召使いにすると言ったら喜んでなるといった男。 そんな男にれいむは近づいていく。全員の視線と指をお供に。 「おじさん、こんなことさっさとやめてね!! あとほかのおじさんにもやめさせてね!!」 正座した男の膝に乗りかかり、男に文句を言う。 しかし、れいむを連れてきた男はなぜか口を開かない。 無表情でれいむを見つめ、れいむの顔先すぐでれいむを指している。 「おじさん!! なんではなさないの? ばかなの? れいむはやめてっていってるんだよ!! いまならゆるしてあげるよ!! しつこいとおこるよ!!」 しかし、男は(ry 「なんでれいむをむしするの? おじさんがはなせるのしってるんだよ!! ちゃんとへんじしてね!!」 しかし(ry 「もういいよ!! れいむ、もりにかえるよ!! れいむをしかんするおやじたちはゆっくりしね!!」 ついにこの状況に耐えきれなくなったのだろう。 れいむはもうお菓子のことなど忘れ、一刻も早くこの気持ち悪い空間から出ることだけを考えていた。 「おじさん、れいむかえるからゆっくりどいてね!!」 男たちは全員正座し、また体を密着させているのでれいむが出る隙間が全くない。 男たちに命令するが、退けてくれない。 「ゆゆっ!! はやくどかないとおじさんをやっつけるからね!!」 それでも動かない。 痺れを切らしたれいむは、一人の男に向けて体当たりを食らわせる。 しかし、男は揺らぐことすらなく、逆にれいむが男に跳ね返される始末。 なんどもなんども体当たりをするれいむ。その度に男の肉の壁に阻まれて戻される。 この男は頑丈だからと、一番背の小さい男を標的にするが、なぜかその男もれいむの渾身の一撃が通じない。 れいむは再度標的をかえる。しかし、男は動じない。 さらに標的をかえる。しかし(ry 全員に体当たりをしたれいむ、再び男たちの輪の真ん中に跳ね返される。 大きく肩で息をするれいむ。体当たりの連続ですっかり疲れ切っていた。 そういえば、朝から何にも食べていないことを思い出す。 しかし、男たちは依然顔色を変えず、れいむを見つめ、指を指す。 さすがに傲慢で恐れ知らずなれいむもこの異常空間に恐怖を感じ始めていた。 「……おじさん。れいむをささないでね。ゆっくりやめてね……」 れいむが誰にともなく呟く。 今までとは違い、声に張りがない。 れいむは今まで人間に出会ったことがない。そのため、人間の恐ろしさを知らない。 れいむは森の中で狩りの名手として有名だった。 たとえ鋭い鎌を持つカマキリも、羽根に目玉が付いてる怖い蛾も、強靱な角を持つカブトムシもれいむにかかれば、ただの餌だった。 友達たちは、皆れいむを賞賛した。 だから人間の存在は知りつつも、人間ですら自分には叶わないと錯覚していた。 しかし、今まさにその幻想は崩れ去った。 れいむの渾身の一撃を物ともしない人間。それがなんと20人もれいむを囲んでいるのだ。 見つめ、指をさし、何らこちらに対して攻撃してこない男たち。しかし、それが逆にれいむの恐怖心を炎上させる。 これで友達がいればまだましだっただろう。仲間と共にバカなことをしている人間を、「おー、ばかだばかだ!!」と馬鹿にしてやるのだが、あいにくここにはれいむしかいない。 さらにはこの殺風景な部屋もれいむを憔悴させることに一役買っていた。 窓もなく、一面真っ白。時間も分からなく、外の様子も窺い知れない。 男たちとれいむ以外何もないこの部屋は、そんなれいむの恐怖を煽るのにも一役買っていた。 ここにきてようやく、れいむはもしかしたら自分は悪いことをしたのかと考えていた。 かつて、まだ母が健在だったころ、れいむは悪いことをして、しばらくの間、母に口をきいてもらえなくなったことがあった。 それと状況は違うが、もしかしたられいむがちょっとだけ悪いことをしたからこのおじさんたちは怒ってれいむと口をきいてくれないのではないか? そんな考えが頭をよぎる。 れいむは餡を捻りだし、自分の行動を振り返った。 しかし、何にも悪いことをした記憶はない。むしろれいむは男に感謝されてもいいはずだ。 何しろ、れいむの家に男をおいてあげた上に、可愛いれいむの召使いにまでしてあげたのだ。 その時の男の喜びようを、れいむはしっかりと覚えている。 自分が悪いことをした記憶はない。 しかし、ならなぜこんなことをされるのか理解できないれいむは、悪いことはしていないと思いつつも、この状況を終わらせるため、仕方なく男たちに謝罪をする。 「おじさん、れいむがわるいことしたならいってね。とくべつにあやまってあげるよ」 れいむは嫌々といった感じで謝罪する。しかし男たちは動かない。変わらない。れいむを見て、指をさす。 れいむは疲れてきた。 ただでさえ、燃費の悪いゆっくりだ。朝から何も食べてなく、何度も体当たりをしたせいで、体力は相当落ちている。 さらに男たちのせいで相当神経もすり減らしている。寧ろ、肉体的なことより酷い。 正直、眠くて溜まらない。しかし、眠れない。 今は何もしてこないが、もしれいむが寝たら、その指をれいむに突き刺してくるかもしれない。 そう思うと恐怖眠気が吹っ飛んでしまうのだ。 何分経っただろうか。ほんの30分くらいのはずだが、れいむには何時間、何十時間、何日にも感じられた長い間、れいむは幾度となく男たちに呼びかける。 「……おねがいだからしゃべってね」 しかし、相変わらず返事はない。 もしかしたら、もう死んでるのではと思っても、れいむが少し動くと視線と指が追ってくる。 それでもれいむは男たちに呼びかける。 罵られても言い。馬鹿にされても言い。寛大なれいむは何を言われてもすべてを許す。だから、喋ってよ。 れいむがそんなことを考えていると、一向に変化のなかったこの空間にようやくある変化が生じた。 不意に半数の男が一斉に立ち上がる。もう半数は依然座ったままだ。 れいむは嬉しかった。 帰れると思ったからではない。寝られると思ったからではない。お菓子が食べられると思ったからではない。 ただ男たちが違うことをしたことが嬉しかったのだ。 依然、れいむの言葉に返事を返してくれないものの、助かったわけではないものの、そんなことですら助けになるほど、今のれいむの精神は摩耗しきっていた。 しかし、そんなれいむのささやかな安息の時間は、次の男たちの行動で完全に壊された。 なんと座っていた10人の男たちが再び輪を作ろうとしているではないか!! れいむは慌てて男たちの輪の中から逃げようとしたが、それよりはやく10人の男たちはれいむを囲んでぴっちり隙間を埋める。 そしてれいむを見つめ、一斉に指を差し始めた。 輪が縮まったため、男たちの指は先ほどの時よりれいむのすぐそばにあった。 れいむの動ける範囲はさらに狭まった。 追い打ちをかけるように、立って後方に下がった男たちが、座る男たちの輪の後ろで広い円陣を組むと、なんとれいむの上方かられいむに指を指してくるではないか!! れいむは一転どん底に落とされた。 さっきも地獄であったが、これよりはましだ。 10人に減ったことで、座りながら指を指す男たちは、もう少し手を伸ばせば、れいむに触れることが出来るようになっている。 自然とれいむは輪の中央から動けなくなった。 二次元からしか指を指されなかったのに対し、三次元の場所からも視線と指が突き刺さる。 東西南北上、どこを向いてもれいむを指す指と、総数40にもなる無感情な視線。 「ゆ、ゆっくりやめてね……」 懇願するれいむ。 しかし、男たちは答えない。動かない。喋らない。 れいむの恐怖は終わらない。 このSSに感想を付ける
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あるところにゆっくりれいむが居て、お母さん達と仲良く過ごしていました。 でもゆっくりれいむはあるとき怖い犬さんに襲われて家族をみんな食べられてしまいました。 ゆっくりれいむも犬さんに食べられそうになりました、その時です。 「おいやめろ!」 通りすがりのお兄さんが棒を振って犬さんを追い払ってくれました。 「れいむひどりぼっぢになっぢゃっだあああああああ!」 「なんだよ、せっかく助けてやったのに感謝のことばも無しか まあいいけど、行くとこないなら家に住むか?」 「…ゆ?ほんとに?ありがとうおにいさん!ゆっくりしていってね!!」 こうしてゆっくりれいむはお兄さんのもとで幸せに過ごしました。 めでたしめでたし これはその、先のお話です。 「ゆ~♪ゆ~♪」 ゆっくりれいむはお兄さんの下でとてもゆっくり過ごしていました。 れいむはお兄さんが大好きです。 二人はいつも一緒に遊んでいました。 「ゆ~♪ゆ~♪ゆっくりしていげほっ!ごほっ!」 「おい、大丈夫かれいむ?」 「ゆー、だいじょーぶ、ちょっとおくちがゆっくりしてなかったよ もっとゆっくりしゃべるね!」 でも幸せな時間は長くは続きません。 れいむは自分に寿命が迫っていることを悟っていました。 でもまだそれはお兄さんには話せません。 「おにいさんおなかすいたよ!ごはんいっぱいもってきてね!」 「はいはい、わかってるわかってる」 れいむはたくさん食べて、体においしい餡子を蓄えました。 そうしてれいむはとてもとてもおいしいゆっくりまんじゅうになりました。 なのでれいむはいいました。 「おにいさん!れいむをゆっくりたべてね!」 お兄さんはびっくりしました。 「な、なにを言ってるんだよれいむ!?」 れいむは言いました。 「れいむはもうすぐてんごくにいくの だからそのまえにおにいさんにたべてもらってゆっくりてんごくにいきたいの!」 お兄さんは言いました。 「そ、そんなのってあるかよ!?せっかく…せっかく仲良くなれたのに!」 れいむは諭すようにやさしくいいました。 「おにいさん、れいむはこのまましぬよりおにいさんにたべられて、てんごくにいきたいの ゆっくりりかいしてね」 お兄さんはその言葉を噛み締めながられいむと見つめあいました。 「わかったよ、れいむ ちょっとまっててくれ」 お兄さんはれいむの気持ちを理解してくれたようです。 台所に何かを取りに行きました。 「ゆっくりしてるね!」 お兄さんが食器を取りに行くまでの間、れいむは最後のゆっくりをしました。 「待たせたな」 お兄さんは、お皿と太目のストローを持ってれいむの所にやってきました。 「ゆ?おにいさんそのすとろーなんにつかうの?」 れいむは不思議に思って尋ねました。 「ああこれはれいむの餡子を吸うために使うんだよ」 お兄さんは事も無げに答えました。 「ゆ!?なにをいってるの!?なんでれいむのあんこすうの!?」 れいむはびっくりして尋ねました。 「俺饅頭はまず中の餡子を吸って少しだけ餡子がこびり付いた饅頭皮を食べるのが好きなんだよ 行儀が悪いから封印してたけど、一番おいしい食べ方をしないとれいむに失礼だもんな」 お兄さんは優しい笑顔で言いました。 「ゆうううううううううう!?そ、そんなゆっくりできないたべかたやめてね! ふつうにむしゃむしゃしてね!!!」 れいむは大慌てでやめるように伝えます。 「お前もきっと一番おいしい食べ方をされた方がゆっくり出来るって 俺を信じろ」 お兄さんは全く取り合わずにれいむの頭にストローを突き刺しました。 「ゆぐううううう!!!」 れいむは餡子を吸われる恐怖で逃げ出そうとしましたがすぐにお兄さんの手に押さえつけられました。 「いただきまーす♪」 ずぞぞぞぞ、とれいむの頭から餡子が吸われていきました。 今まで感じたことのない悪寒がれいむの中を駆け巡ります。 どんどんれいむは心も体もひんやりしていきました。 餡子が半分ほど吸われた頃、れいむはもうすぐ自分が死んで天国に行くのだとわかりました。 「ずびゅびゅびゅびゅ」 「ゆぱぺっぽおおおおおおおおおおおおお!?」 その時です、れいむの中にお兄さんの口に入った餡子が逆流してきました。 「ぱぱっぱぱぱあ!?な゜、な゜に゜を゜す゜る゜の゜お゜お゜お゜お゜!?」 れいむは上ずった声で言いました。 「唾液混ぜてやわらかくなった餡子がまたうまいんだよ なあに、自分の唾だし昔は離乳食代わりに親が咀嚼した食べ物を赤ん坊に食べさせてたし 全然汚かったりはしないから」 「き゜た゜な゜い゜よ゜お゜お゜お゜!ゆ゜っく゜り゜で゜き゜な゜い゜い゜い゜!!」 れいむはおにいさんが戻した餡子でどんどんふくらんでいきました。 唾液の分量が増えてれいむの皮はぱんぱんになりました。 唾液が体の中を駆け巡る悪寒がれいむの心もぱんぱんにしました。 「ゆ゜ぺっ、ぽっぴっゆ゜っぴ♪ぺぺぽっぺっぺぽ♪ぺぺぺぺぺ♪」 れいむは訳のわからない言葉を喋りだしましたがお兄さんは気にせずに吸っては戻し吸っては戻しました。 れいむは気が狂いそうでした、いえ狂っていたかもしれません。 れいむの支えはもうすぐ全て食べられて天国にいけるということだけでした。 「ふぅ…」 お兄さんは息が切れて、ストローから口を離しました。 れいむはそれを見て、やっと齧って全部食べてくれるんだと歓喜しました。 「すぐに食べちゃもったいないしれいむに悪いな 三日くらい時間かけてじっくり食べよう」 お兄さんはそう言ってれいむにラップをかけると冷蔵庫にしまいました。 呆然としていたれいむは冷蔵庫の中ではっと気付いて叫びました。 「ゆ゜っぴいいいいいいいいい!!ぱやぷ!ぱやぷこ゜ろ゜ち゜ぺゆっぷりさ゜ぺぺよおおおおおおおおおおお!!!」 体の中の唾液が冷たくなっていき、れいむはこれまでで最悪の悪寒を感じました。 冷蔵庫の中からではれいむの声はお兄さんに届きませんでした。 おしまい ※私はこんな汚い食べ方しません。by作者 このSSに感想を付ける
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「ゆ?れいむはおねーさんのことしらないよ」 れいむは私を見つめながらそう言った。 とてもとても透き通った眼で私を見つめている… 私はれいむを掴むと無言で地面に叩きつけた。 「ゆべっ!」 奇妙な声をあげて形がひしゃげる。 私は痛みのためかひくひくと痙攣しているそれを拾うと 何度も何度も地面にたたきつけた。 「ゆぶ!なんでれいむに、ゆべっ!ひどいことす…ぶべっ!」 私がそのゆっくりと出会ったのはとても晴れた天気のいい日だった。 3日間も雨が続いていたのが嘘のように雲ひとつ無く晴れ渡っている。 その日私はいつもの空き地に来ていた。 ここは市街地からはやや離れており子供はおろか人もめったに通りかからない。 「はあ…」 私は今日のことを思い出してため息をついた。 嫌なことがあるとついここに来てしまう…いい加減もうこないようにしないと。 「おかーしゃーーん!」 その時草むらの影から女の子の声が聞こえてきた。 何か事故でもあったのか?私は恐る恐る声のするほうに近づいていった。 そこでは喋る生首と別の生首を食べている子犬がいた。 私は一瞬ぎょっとしたが、その生首がゆっくりといわれる生き物?であることに気づいた。 数年前から突然現れた知性を持つ饅頭、それがゆっくりだ。 田舎のほうではよく見かけるらしいがこのあたりではあまり見かけることは無く、 私もペットショップくらいでしか見かけたことは無かった。 犬に食べられている方のゆっくりはバレーボール大の大きさだったようだが すでに犬に体の1/3近くを食べられている。 すぐ側で泣いているのはまだ子供なのかソフトボール程度の大きさだ。 先ほどの台詞から察するに親子なのだろう。 「おかーしゃんからはなれろ!」 子ゆっくりは子犬に体当たりをしだした。 だが饅頭でできたゆっくりの体当たりでは犬にダメージを与えることはできない。 ダメージこそなかったものの興味を持ったのか子犬は子ゆっくりに向き直った。 「ゆ、ゆっ!こっちにこないでね」 獲物を見つけた獣の目をしている… 『お願い、彩ちゃん私の靴返して!』 『返して欲しかったら自分で取れば?』 がんばってとりかえそうとするけど彩ちゃんは私の頭を押さえつけ 私の靴を持った逆の手は高く掲げており靴を取り返すことができない。 私は子犬に向けて落ちていた小石をいくつも投げつけた。 ゆっくりを助けたかったからじゃない、子犬の目を見ていたら なんだが胸のあたりがむかむかしてきて嫌な気分になったからだ。 子犬は小石が痛かったのかキャンと小さく吠えるとすごすごと逃げていった。 私はしばらく呆然としていたがふと気がつくと子ゆっくりは親ゆっくりの側で泣いている。 「おかあしゃあああぁぁぁん!しんじゃいやだあああぁぁぁ!」 親ゆっくりはぴくりとも動かない。体の破損具合からしても明らかに手遅れだろう。 なんだか居たたまれない気持ちになり、私は子ゆっくりの涙をハンカチで拭いてやる。 「おねーしゃん…さっきはたすけてくれてありがとう」 しばらくしてやっとれいむは泣き止んだがその表情は暗い。 「これからどうするの?」 私はゆっくりに聞く。 「れいむは…れいむはひとりでいきていくよ。おかーしゃんのぶんまで」 私はこの子が放っておけなくなってしまった。 後から考えて見ればこのれいむを助けることで自分を助けたかったのかもしれない。 「わ、わたしが友達になってあげるよだから元気出して」 私はゆっくりの頭を撫でた。ゆっくりはくすぐったいような表情をする。 「ありがとうおねーしゃん、れいむのなまえはれいむっていうのよろしくね」 この日私とれいむは友達になった。 『冷たいよ!なんでこんなことするの!』 彩ちゃんは私に水をかける。逃げたいけどここはトイレの個室。逃げられない。 『あなたの臭いにおいを洗い流してあげるのよ』 彩ちゃんは獲物を見るような眼で私を見つめている… それから私は毎日空き地に来るようになった。 れいむは最初は落ち込んでいたようだがすぐに元気を取り戻し やがて私を笑顔で迎えてくれるようになる。 「こんにちは」 「ゆっくりしていってね!」 私の挨拶にれいむは笑顔で挨拶を返す。 とても澄んだ綺麗な眼。れいむの瞳を見つめていると嫌なことを全部忘れることができた。 れいむは友達だった。多分私が中学生になってからはじめての友達だったと思う。 「おねーさんみてみて!」 ある日れいむに会いに行くと頭から蔓が生えていた。本で見たことがあるがこれは妊娠の前兆らしい。 ゆっくりが妊娠すると植物のように頭から蔓が生えそこから子供がなるらしい。 れいむに恋人ができたらしいことは前に聞いていたがそんな仲にまで発展していたとは。 今度相手を紹介してもらおう。 「多分明後日くらいにはれいむの赤ちゃん生まれるよ」 れいむは嬉しそうに話す。 「その時はおねーさんに最初にみせてあげるね」 れいむはとても澄んだ眼で私を見つめていた。 空き地をでてすぐのところで女性とすれ違う。制服からして近所の高校生だろうか? 「あのゆっくりはあなたのペット?」 女性は私に向けてそう言った。どうやられいむと遊んでいたのを見られていたらしい。 「飼っているわけではないのでペットではないですけど…れいむは私の友達です」 友達という言葉を聞くと女性は哀れむような、蔑むような目で私を見つめた。 「ゆっくりと人間は友達にはなれないのよ」 「そんなことはありません!れいむは私の友達です!」 女性の態度にむっとした私は女性を睨みながら答えた。 すると女性は今度は悲しい目をしながら私に言う。 「ゆっくりはね、とても記憶力が悪いの。 ゆっくりは生まれてくる時、親から生きるために必要なことや 大切な記憶を受け継ぐことができる。 それら受け継いだ記憶は一生忘れることは無いわ。 でも自分で経験した記憶を覚えることはできなくて せいぜい3日くらいしか覚えておくことができないの」 『わ、私のせいじゃないわよ!あなたが私に逆らおうとするのが悪いのよ!』 翌日から1週間、私はれいむのところへいくことができなかった。 足を怪我してしまいうまく歩くことができなかったからだ。 放課後すぐにれいむのいる空き地へ向かう。 いきなりこなくなってれいむは怒っているだろうか? もしかしたら心配で泣いているかもしれない。 自然と空き地に向かう足が速まる。 空き地に入ってすぐ、私はれいむの後姿を発見した。 「れいむ!」 私の言葉にれいむは振り向く。 「ゆっくりしていってね!」 ぴょんぴょんと跳ねながられいむは私に近づいてきた。 「れいむごめんね、しばらくこれなくて」 だがれいむは私の言葉に首をかしげる。 「ゆ?おねーさん何をいってるの?れいむはおねーさんことしらないよ」 背筋に冷たいものが走った。そして先週出会った女性の話を思い出す。 『でも自分で経験した記憶を覚えることはできなくて せいぜい3日くらいしか覚えておくことができないの』 私も記憶力はあまり良いほうではない、でも大切な友達のことを忘れたりはしない。 「おねーさんはゆっくりできるひと?」 れいむは私を見つめながらそう言った。 とてもとても透き通った眼で私を見つめている… いつも私を見つめていた時と同じだが、その時の私には 作り物の人形のような目に見えた。 「ゆ?なんでへんじをしてくれないの?」 ショックのあまり固まっている私に対し、れいむは一方的に話しかけてくる。 「ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ。ゆっくりしたいのならたべるものちょうだい!」 私はれいむを掴むと無言で地面に叩きつけた。 「ゆべっ!」 奇妙な声をあげて形がひしゃげる。 「これでも…思い出さない?」 「れ、れいむはゆっくりできないおねーさんなんかしらないよ!はやくきえてね!」 私は痛みのためかひくひくと痙攣しているれいむを拾うと 何度も何度も地面にたたきつけた。 「ゆぶ!なんでれいむに、ゆべっ!ひどいことす…ぶべっ!」 何度か繰り返し少し頭も冷めてきたので手を止めてやる。 「ご、ごべん゛な゛ざい゛い゛い゛…でい゛ぶがわ゛る゛い゛ごどじだの゛な゛ら゛あ゛や゛ま゛り゛ま゛ぶ… だがら゛ゆ゛る゛じでぐだざい゛い゛…」 どうやら完全に私のことを忘れてしまったらしい。忘れてしまったのならまた覚えさせれば良い。 今度は二度と忘れないようにしっかりと…! 私はれいむを家に連れて帰った。 れいむを教育するために使う道具を集め自分の部屋に戻った。 れいむは帰宅途中に買ったゆっくり飼育用透明ケースに入てあり、ぐぅぐぅといびきをかいている。 軽く頭を叩くとれいむは目を覚ました。 「ゆっ?ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ、ゆっくりしていってね!」 こいつもうさっきのことを忘れてやがる…私はれいむの口のやや下部に金属でできた道具を差し込む 「ぐげげごご…ふひーっ!ふひーっ!」 これはゆっくり虐待用の道具でゆっくりの声帯をつぶし喋れなくするものだ。 虐待家の中にもアパートやマンション暮らしの人もいるので ゆっくりの悲鳴で回りに迷惑をかけないようにするためのものらしい。 両親にれいむのことが見つかるとめんどうなのでれいむには黙ってもらうことにした。 「ふひーっ!ふひーっ!」 れいむはがんばって喋ろうとするが空気が漏れる音がするだけで言葉は出ない。 私はとりあえずれいむの髪飾りを取り上げてやった。髪飾りの無いゆっくりは他のゆっくりから嫌われ攻撃されるらしい。 「ふひーっ!ふひーっ!」(ゆっ!それはれいむのかみかざりだよ、ゆっくりはやくかえしてね!) れいむは私から髪飾りを取り返そうとぴょんぴょん跳ねる。 私はれいむを右手で押さえつけ動けなくし、髪飾りを持った左手をれいむの目の前にちらつかせる。 「返して欲しかったら自分で取れば?」 れいむは私の手から抜け出そうとするが人間の力にはかなわず抜け出すことができない。 飽きてきたのでライターを取り出すとれいむの髪飾りを燃やしてやった。 「ふひーっ!ふひーっ!」(でい゛ぶの゛がみ゛がざり゛があ゛あ゛あ゛!どぼじでぞん゛な゛ごどずる゛の゛お゛お゛お゛お゛!) これでれいむは野生に帰れなくなった。もう私の側でしか生きることはできないだろう。 ふとれいむの体が汚れていることに気づく。今まで野生で暮らしていたので風呂に入ったことは無いだろうし 泥や色々な汚れがついていてもおかしくない。私はれいむを洗ってあげることにした。 れいむをゆっくり飼育用透明ケース(小)に移してやり蓋をした。 ぎりぎりれいむが入る程度の大きさだったのでれいむは窮屈そうだ。 私は蓋の隙間から水を入れてやる。れいむのからだは徐々に水の中に沈んでいった。 「ふひーっ!ふひーっ!」(もうやめてよ!れいむおぼれちゃうよ!) 口のすぐ下まで水が溜まったところで水を入れるのをやめてやる。 私はれいむの入った箱を両手で持って円を描くようにぐるぐる回す。 洗濯機をイメージしてもらえばわかりやすいだろう。 「ぶげぎょぶれ!」(お゛、お゛ぼでち゛ゃ゛…う゛…よ゛…) 汚れも落ちたのでれいむを箱から出してやった。ちょっと皮がふやけているが生きているようだ。 だがさすがにダメージが大きいのか目を回して気絶している。 これ以上やると死にそうなので今日はこれくらいにしておこう。 「これからしっかり私のこと覚えさせてあげるからね…」 私はれいむを最初の飼育用ケース戻してやる。 これかられいむにすることを考えると背筋がゾクゾクしてきた。 数日後、私はまたあの空き地へ来ていた。待っている人は誰もいないのだがついここに来てしまう。 しばらくぼーっとしているとすぐ横かられいむの声が聞こえた。 「ゆゆっ!おねーさんこんにちは、ゆっくりしていってね!」 れいむは家にいるはず!それに喋れないようにしたのになんで!? 良く見るとそのれいむはまだ小さい赤ちゃんゆっくりだった。 「おねーさんとあうのはじめてだね。でもれいむはおねーしゃんのことしっているよ」 会ったこともないのになぜ?ふといつか聞いた言葉を思い出す。 『ゆっくりは生まれてくる時、親から生きるために必要なことや大切な記憶を受け継ぐことができる。』 私は自分の間違いに気づいた。私はれいむにとって大切な存在だったんだ。 だから赤ちゃんれいむに私の情報を移す事ができた。 れいむが私のことを忘れたのも新しい記憶を保持できないゆっくりだからしょうがないことなんだ。 私は泣いていた。彩ちゃんにいじめられても泣かなかったのに久しぶりに大声を出して泣いていた。 「ゆゆっ?おねーさんなんでないているの?れいむがともだちになってあげるからげんきだしちぇ」 私は赤れいむを連れて帰路に着いた。家についたられいむをうんと可愛がってあげよう、そう思って… れいむの体がから金属の器具をはずしてやるとれいむは喋れるようになった。 「ゆっくりしていってね!」 れいむは久しぶりに喋れてうれしいのか嬉しそうに跳ね回る。私はれいむに赤れいむを見せた。 髪飾りがないので心配だったが赤れいむはちゃんとれいむを親だと認識したようだ。 「ゆゆっ!おかーしゃんひさしぶり!ゆっくりしていこうにぇ!」 嬉しそうにれいむにすりすりする赤れいむ。だがれいむは怪訝な表情をしている。 「ゆゆっ!おちびちゃんだれ?しょたいめんなのになれなれしくしないでね。 ここはれいむのゆっくりぷれいすなんだからはやくどこかいってよね!」 れいむは体当たりで子れいむを突き飛ばす 「ふえええ!おかーしゃんなんてことするのおおお!」 「…」 私は無言でれいむを掴むと窓かられいむを投げ捨てた。ゆ゛ぶえ゛え゛え゛え゛え゛!と汚い悲鳴を上げながら庭に落ちる。 「子れいむ、わたしがお母さん代わりにになってあげるからあんな薄情なお母さんのことは忘れようね」 それから子れいむは私の家で飼うことになった。今度はちゃんとれいむの分までやさしくしてあげている。 れいむはあれからどうなったのかわからない。ただれいむを捨てた翌日、庭のほうから 「かざりのないゆっくりはしねえええ!」 「い゛ぎや゛あ゛あ゛あ゛あ゛!でい゛ぶの゛お゛め゛め゛があ゛あ゛あ゛!」 という叫び声が聞こえていたが気にせず学校へ向かった。 保存方法が間違っていたようなので3102を修正しました。 3日で忘れるとか大事な記憶を引き継ぐ~のくだりは話の都合上追加した俺設定ですがスルーしてください。 過去の作品 ゆっくり転生(fuku3037.txt~fuku3039.txt) ゆっくりくえすと(fuku3068.txt) このSSに感想を付ける
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投稿しよう 起・承 21KB 『投稿しよう 起・承』 「~♪」 時刻は夜9時。仕事帰りの1人の青年が改札口を出た。少し早歩きだ。 「ただいまー」 帰宅すると夕食や風呂を済ませスナック菓子を片手にパソコンの前に座った。 「今月号はどうなるのかなぁ……」 彼がカバンから取り出したのはDVDだ。"月刊ゆ虐天"…DVDのタイトルだ。……エロ本じゃないよ。似たような名前だけど。 ゆっくりが出現してから様々な商品が生まれた。その中の1つでゆっくりを虐待する様子を収めた本が創刊された。 購読者は毎月増えていった。ゆっくりを虐待する人が増加したのもあるが怖いもの見たさに買う人もいる。 そのうち写真や文章だけでは満足できないと映像化を望む声が高まりついにDVD化された。毎月発売されている。 「ぉ、始まった始まった」 DVDの内容は相当濃いとの評判だ。しかも時間も結構長い。DVDの値段は2000円。それに見合うだけのボリュームだ。 「おわっ…スゲェ…」 菓子を食いつつ映像に釘付けになった。 「いやぁ…今月号も凄かった」 一気に終わりまで見てしまった。時計の針は午前2時を指していた。 「俺も…投稿しようかな…」 元々"ゆ虐天"は読者からの投稿雑誌だった。現在も投稿作品がDVDに収録されているがメインは変更となった。 メインは超高画質&様々な視点から撮影されたゆっくり虐待だ。視聴者のアイデアから優秀なものを選びそれを映像化するのだ。 費用、舞台、設備、ゆっくり等全て発行元の加工所が用意してくれる。採用されれば賞金も貰えるし撮影に参加も出来るのだ。 元々は一般的な家庭で出来る虐待には限度があるために設けられたコーナーだった。賞金も微々たるものだった。 だが全国の虐待お兄さんのハートに火を点けてしまったようで練りに練った虐待計画が山のように送られてきてしまった。 どれも数時間で完結するような生易しいものではない。何日も苦痛を与える地獄のようなシナリオだった。 いつしかそれがメインとなりそのためDVDの収録時間も伸びた。賞金額も大きくなった。 「さて…どんな内容にするかだな……」 深夜ではあるが日付が変わって今日は土曜日。会社はお休み。心置きなくアイデアを練ることが出来る。 「うーむ……」 実は大方アイデアは出ていた。後は肉付けだ。ゆっくりの反応を予想しそこからどう叩き落してやろうか…。 「うーん……。いや、これじゃ甘いな…」 文章の構成、起承転結。"承""転"はさくさくと進むのだ。だが"結"がどうも弱い。"起"は楽だ。虐待する理由は言うまでもないからだ。 「出ねぇ…。布団に入るか」 布団の中でも少し考える。あるあるネタだが眠りに着く直前にラジオや漫画のネタが思いつくことがよくあるのだ。 「………………」 そのまま眠ってしまった。結局アイデアは浮かばなかった。 次の日も中々アイデアが浮かばなかった。 「とりあえず書けるところまでシナリオ書いてみるか」 書いているうちにふといいアイデアが浮かぶこともある。パソコンを起動させた。 「え~っと……」 ……………… ……… 『ここからだしてね!れいむはおこるとつよいんだよ!!』 『おちびぢゃんをかえじでね!!ありすのとかいはなおちびちゃんをつれてきてね!!』 『やい!くそどれい!!まりささまをおこらせるとこわいんだぜ!!こうさんするならいまのうちなんだぜ!!』 ゆっくりがごちゃごちゃと煩い。 『ままぁ!!ままぁ!!』 『おきゃあしゃあぁぁん!!!!おちょうしゃあぁん!!!どきょにいるのぉ!!?きょわいよぉ!!』 『あっちからおかあさんのこえがするよ!!おかあぁさん!!!れいむはここだよぉ!!!!』 子ゆっくりや赤ゆっくりもピーピー叫んで煩い。 『ゆ!おちびちゃんのこえがしたよ!!』 『ゆあっ!!こっちくるんだぜ!!』 『むきゅ!!ぱちぇのおちびちゃんがあそこにいるわ!!』 『ちびぢゃあぁあん!!!!おかあさんはここだよぉぉ!!』 親ゆっくり達はすぐにでも我が子の所へ行きたかった。だが目の前に透明な壁が立ち塞がっており前に進めなかった。 『おかあさあぁん!!!ゆっくりしないでこっちにきてよぉ!!』 『みゃみゃとしゅりしゅりしちゃいよ!ありちゅのところにきちぇにぇ!!』 子ゆっくりや赤ゆっくり達の目線は斜め上を向いていた。ここで少し今ゆっくり達がいる場所について解説しよう。 ここは野外ではない。四角い大きな部屋の中だ。高さ1m50cm程の透明なアクリル板で部屋は3つに仕切られている。 上から見ると"円"という文字の底部に線がひかれた感じだ。"田"という字の真ん中の縦棒の下半分が無くなったようにも見える。 小さい四角の区画に成体ゆっくりが、その隣の小さい四角の区角には子ゆっくりと赤ゆっくりが入っていた。 成体ゆっくりは15匹程、子ゆっくりと赤ゆっくりは併せて30匹程いる。 もう1つの大きな四角の区画には何も無かった。そして成体ゆっくりがいる区画にだけ50cm程の高さの土が敷かれていた。 このため子ゆっくりや赤ゆっくりは斜め上を向いているのだ。崖の上に親がいるといった感じなのだろう。 逆に親ゆっくり達にとっては崖下に我が子がいるといった感じで見下ろしていた。 『どぼじでおちびぢゃんのどごろにいげないのぉぉぉ!!!』 『まりさにいじわるしないでね!!あっちにいかせてね!!』 親ゆっくり達はアクリル板に体当たりをして隣へ行こうとした。 『この!この!かべさんこわれてね!!』 『ゆっくりできないかべさんなんかこうだ!!』 だがアクリル板はびくともしない。次第に泣き出す子ゆっくりや赤ゆっくりが出てきた。 『ゆえぇえぇえぇん!!!!おがあざんにあいだいよおぉ!!!』 『どぼじでごっぢぎでぐれないのぉぉ!!?』 『みゃみゃぁ!しゃみしぃいよぉ!!!!ゆえぇえぇえぇん!!!』 と、親ゆっくりがいる区画のドアが開いた。ちなみにドアは3つの区画に1つずつ設置されている。 『…………』 やってきたのは1人の男性だった。 『ゆ!?だ…だれ!!?』 『ありすをここにとじこめたのはおじさんね!!ゆっくりしないでここからだしなさい!!』 『やい!!じじい!!まりささまをここからだすんだぜ!!おちびちゃんにもあわせるんだぜえ!!!!』 彼は騒ぎ出すゆっくりを無視し1匹のまりさのもとへ歩いた。この中では一番大きいゆっくりだ。 『ゆ!?な…なんなのぜ!!?まりささまになんのようなんだぜ!!!!?』 まりさは息を吸い込み膨らんで威嚇した。 『りーだー!!ゆっくりできないにんげんさんをやっつけてね!!』 『りーだーだったらいちころなんだぜ!!』 『おとうさん!!やっつけてね!!!』 『おじしゃんだっだりゃらくしょうだよ!!!』 このまりさがこの中で一番強いゆっくりなのだろう。ちなみにこのゆっくり達はとある群れから連れ出したゆっくりだ。 『まりささまはつよいんだぜ!!!こうさんするならいまのうちなんだぜ!!!』 男は膨れるまりさの帽子を取り上げた。 『ゆあああ!!!!なにずるんだぜ!!!それはまりささまのおぼ…ゆびょおぉっ!!!!』 まりさを軽く蹴飛ばした。 『な…なかなかやるん……ゆああああああああ!!!!なにじでるのおおぉ!!!!』 男は帽子をぐぢゃぐぢゃに破いていた。地面に帽子の切れ端がひらひらと落ちていった。 『ばりざのゆっぐりじだおぼうじがあああ!!!よぐぼやっだなああ!!!!』 まりさが泣きながら突進してきた。男はひらりとかわした。まりさは地面に顔からダイブした。 『ゆびぇえぇ!!…っぐ…よげるなあぁ!!!がえぜえええ!!!ぼうじがえぜええ!!!!』 まりさは起き上がると男を睨み付けた。男はまりさの前に立ち塞がっていた。 『じねえええ!!!!じじいはじねええ!!!!ゆっぐりじないでじ……ゅぎゃあああああああああああ!!!!』 男はまりさの口を思いっきり蹴飛ばした。まりさは吹っ飛ばされた。まりさの砕けた歯が辺りに飛び散った。 『…っひゅ…っぎ……っひ…』 さっきまでの威勢の良さは無い。口の一部が抉れ大半の歯が折れていた。男はまりさのもとへ歩き出した。 『ま…まりざああああ!!!!どぼじでまげぢゃうのお!??』 『りーだーがあああ!!!なんでがでないのおお!!!??』 『いやああああ!!!!ごっぢぐるなあああ!!!』 『わがだないよぉぉ!!!!?』 『きょわいよぉ……おきゃあしゃぁぁん…』 周りのゆっくりが悲鳴を上げた。隣の子ゆっくりや赤ゆっくりは構造上まりさがどうなったのか見えなかったが親達の悲鳴に怯えだした。 『うあああああああ!!!!!ひぃぎゃあああああああ!!!!!!』 男はまりさの髪を掴むと思いっきり引っ張った。髪は頭皮ごと抜けた。中の餡子が丸見えだ。 『ぼうやべでえええ!!!ばりざがじんじゃうううう!!』 『ごごがらだじでえええ!!!ゆっぐりざぜでよおお!!!!』 『ぼういやだああ!!!おうぢがえるうう!!!!』 男の腕は止まらない。髪の毛を全て毟り取った。今度は殴る蹴るの暴行を加えた。 『うぼおお!!!!!!!やびぇ…ぎゃあああ!!!じぬううう!!!じぬうう!!!!いじゃいい!!!…ぎゃああ!!!』 殴る度に餡子が飛び出た。口や傷口から餡子が垂れ流しだ。 『……ゅ…っ………ゅ…………』 まりさはぐぢゃぐぢゃに潰されて死んでしまった。男は立ち上がり隅っこで固まってぶるぶる震えているゆっくり達に視線をやった。 『じにだぐない……ゆっぐぢぢだいよぉ…』 『むぎゅ……むぎゅうぅぅ……』 『こんなの…とがいはじゃないわ……ひぃぃ…』 『ごっぢごないでよ……ごないでぇ…』 男はパチンと指を鳴らした。 『うっうー!』 『ゆっくりしね!』 『おぜうさまなんだどぅ~』 今まで誰もいなかった区画のドアが開きれみりゃとふらんが入ってきた。その数合わせて20匹程。これだけの数が1ヵ所にいるのも珍しい。 『れみりゃだああ!!!!』 『どぼじでふらんがいるのおお!!!』 突然の天敵の登場に親ゆっくりも子ゆっくりも赤ゆっくりも慌てふためいた。 『きょわいよおお!!!!』 『だべないでええ!!!』 『ごっぢぐるなあああ!!!!ゆあああああ!!!』 れみりゃとふらんはアクリル板を飛び越え親ゆっくりのいる区画へやってきた。 『さて…今からお前らには働いてもらう』 漸く男が言葉を発した。 『お…おしごと…?』 『ゆっぐぢさせでええ!!!ゆああああ!!!ごっぢぐるなあああ!!!』 『だずげでよおぉ!!!!だずげでえええ!!!』 『れみりゃ、ふらん。落としてやれ』 彼の指図でれみりゃとふらんが地面に何かを落とした。 『な…なに?』 『なにずるのおお!!??ゆっぐぢできないのはいやだよぉ!!!』 『今からお前らには穴を掘ってもらう。それだけだ。大きな穴を掘れ』 『どぼじでぞんなごどじなぐぢゃならないのおお!!!??』 『そうだよぉ!!!!れいむはしんぐるまざーなんだよ!!そんなごどでぎるわけないでじょおぉぉ!!!!』 『へぇ…どこにお前の餓鬼がいるんだ?』 『れいむのぽんぽんさんにゆっくりしたあかちゃんがいるんだよ!!にんぷさんはたいせつにしなくちゃならないんだよ!!』 男はしんぐるまざー(笑)のれいむを持ち上げた。確かに腹の辺りが大きい。 『しんぐるまざーだから働かないんだって?』 『そ…そうだよ!!!しんぐるまざーなんだからたいせつにしなくちゃいけないんだよ!!だからあまあまさんもってきてね!!!』 れいむはどうだとばかり腹を突き出した。 『じゃあしんぐるまざーじゃなければ働くってことだよね』 彼はれいむのまむまむの辺りを鷲掴み思いっきり引き千切った。 『ゆぎゃあああ!!!!でいぶのぽんぽんがああ!!!!いだいいい!!!!なにずるのおお!!!』 皮が破れ餡子が見えるとれいむの腹の中に腕を突っ込んだ。 『ゆぎょおおお!!!!ぐ…ぐるいじいいいい!!!やべでええ!!!!どぼじでぞんなごどずるのおお!!!』 彼の腕がれいむの腹の中で蠢いている。 『ゅっく………ぃ……ぇ…』 『ぁ…ゃ…ゅ…………ょ』 『…ゃ…ゅ…きゃ……ゃ…に………ゃ…ょ…』 腹の中の赤ゆっくりの声が微かに聞こえた。彼の手が柔らかい球体に触れた。 『あがぢゃぁぁん!!!でいぶのゆっぐりじだあがぢゃんがじんじゃううう!!!!ぼうやべでええ!!!!』 彼の手が赤ゆっくりを掴んだ。彼は手に力を込めた。 『ゆぎゃああああ!!!!!!つぶれだあああ!!!!あがぢゃんがあああ!!!!あがぢゃんがああ!!!!!』 れいむが煩くて赤ゆっくりの断末魔が聞こえなかった。だがれいむにはちゃんと聞こえていた。 『よっと』 彼は握り拳のままれいむの腹から腕を引っこ抜いた。餡子がこびり付いた拳をれいむに向けそっと拳を開いた。 『…っ…ゅ…ぎゅ……』 最期の言葉を言うために生まれたようなものだ。飾りから赤れいむだったようだ。ぐちゃぁっと潰れていた。 握り潰された拍子に飛び出たのだろうか目玉が無く餡子色の涙がだらりと流れていた。 『で…でいぶのゆっぐりじだあがぢゃんがあああああ!!!!どぼじでえええ!!!!どぼじでごろじだのおぉ!!!!』 楽しみにしていた我が子との挨拶やゆっくりした生活が一瞬にして崩れた。更に悲劇は続く。 『れみりゃ、こっち来て』 男はれみりゃを呼んだ。 『おにいさん、なんだどぅ~?』 れみりゃが彼の傍まで降りてきた。 『今から美味しい饅頭をご馳走してあげるね』 『うっうー!うれしいんだどぅ~。ありがとうだどぅ~』 『おねえさまだけずる~い!!ふらんにもちょうだい!!』 ふらんも彼の傍まで降りてきた。 『いやあああ!!!!!でみりゃはいやああ!!!!ふだんもいやあああ!!!!!あっぢいっでえええ!!!!』 れいむが叫んだ。 『じゃあ今から何が出てくるか当てた方にあげるね』 彼は再びぽっかりと空いたれいむの腹部の穴に腕を突っ込んだ。 『ゆんぎゃあああ!!!!!ぐるじいい!!!!ぼうやべでええ!!!!あがぢゃんにひどいごどじないでえええ!!!』 彼の手が柔らかい球体に触れた。 『れみりゃ、ふらん。何だと思う?』 『あかいやつだどぅ~』 『くろいの!!くろいの!!』 彼は腕を引っこ抜いた。 『ゆっくちちちぇいっちぇね!!まりちゃはまりちゃだよ!!』 彼の手の上で赤まりさが元気良く挨拶した。 『あ…あがぢゃああああん!!!!にげでええ!!!!にぎぇでえええええ!!!!』 れいむに挨拶を返す余裕は無く必死に叫んだ。 『どびょじでしょんなこちょいうにょおおお!!??まりちゃがきゃわいきゅないにょ!!?』 生まれて最初の挨拶に応えてくれないことに泣き出す赤まりさ。 『ゆえぇえぇぇん!!!!おぎゃあじゃんのばきゃ…ゆ?おしょらをういちぇりゅよ!!』 赤まりさへ手が伸び持ち上げられた。 『正解はふらんだったね。じゃあ食べていいよ』 赤まりさを摘み上げたのはふらんだった。ふらんは赤まりさを銜えた。 『ゆぎゃああああ!!!!いじゃいよおお!!!!かばにゃいでえええ!!!!おがぁ…おがあじゃあああん!!!!』 『ぼうゆるじでえええ!!!!あがぢゃんだずげぢぇあげでよおお!!!!いやあああ!!!!いやああああ!!!!!!』 ふらんは美味しそうに赤まりさの中身を吸い上げていた。 『うー。おいしい!!』 『ゆぴゃああ!!!!ずわりぇりゅうう!!!!いじゃいい!!!いじゃいいい!!!!ゆっくぢさせぢぇえええ!!』 赤まりさはどんどん萎み最後はペラペラの皮だけになってれいむの前に捨てられた。 『あがぢゃぁぁん…ゆっぐ…ゆっぐぢぢだがっだよぉ……すりずり…じだがっだのにぃ……』 持ち主のいない小さな帽子を見ながられいむはすすり泣いていた。 『うー!!ずるいんだどぅ!!!おぜうさまにもあまあま!!!あまあま!!!』 れみりゃが文句を言い出した。 『分かった分かった。まだ残ってたらあげるから』 彼は再度れいむの腹に腕を突っ込んだ。 『ゆぎぇえええ!!!!ぼ…ぼうやべでええええ!!!!!じゅうぶんでじょおおお!!!!あがぢゃんみんなじんじゃっだああ!!!』 彼の手がごそごそと動いていたがついに最後の1匹を探り当てた。 『お!あった!れみりゃ、良かったな』 『うー!!!』 彼の腕が引っこ抜かれた。 『ぼういやだああああ!!!!あがぢゃんみだぐないいいい!!!!!』 れいむは目を瞑った。どうせ食べられるのなら我が子を見たくないのだろう。何故なら愛情が沸いてしまうから。 『ゆっきゅりしちぇいってにぇ!!!れいみゅはれいみゅだよ!!』 取り出されたのは赤れいむだ。元気良く挨拶したが母親からの返事は無い。 『…おきゃあしゃん?ゆ…ゆっくちちていっちぇね!!ゆっきゅりちえいってにぇ!!!……へんじじでよおお!!!!』 期待していた母親からの挨拶が来ない。赤れいむは泣き出した。 『おきゃあしゃああん!!!!おぎゃあじゃああん!!!!どびょじでなにもはなじぢぇぐれないにょおお!!!??』 『ぅぅ………ゅぐぐ……ぅぅぅぅぅ……』 れいむは涙を流しながら目をぎゅっと瞑り唸っていた。 『もっと挨拶しろよ。そしたら応えてくれるかもしれないぞ』 面白いものが見れそうだと彼は赤れいむに囁いた。れみりゃは早く食べたいようで腕を伸ばしたが彼はそれを制した。 『ゆ…ゆっくちちていっちぇね!!ゆっくちちていっちぇね!!!おきゃあしゃん!!!ゆっくちちようにぇ!!!ゆっくち!ゆっくち!』 しかしれいむは目を瞑ったままだ。彼は少し唸ったが名案を思いついた。 『お母さんのところに行ってすりすりしてきなさい。そしたらきっと…』 赤れいむにそう囁いてれいむの隣にそっと置いた。 『おきゃあしゃん!!!!れいみゅとしゅりしゅりしようにぇ!!しゅりしゅり~しゅりしゅり~』 赤れいむはれいむに頬擦りをした。ゆっくりにとって頬擦りは親愛の証。何よりもゆっくりできるのだ。 『ぅぅ……ぉ…ぉちび…ちゃん…』 ついにれいむの情が動いた。今すぐにでも我が子とゆっくりしたいのだ。 『おきゃあしゃん!!!りぇいみゅだよ!!!りぇいみゅはりぇいみゅだよ!!ゆっくりしちぇいっちぇね!!』 赤れいむが必死に呼びかける。そんな光景をニヤニヤ笑いながら見ていた彼はれみりゃにそっと何かを囁いた。 『おきゃあしゃん!!ゆっくちちたいよ!!!……りぇいみゅのことはきりゃいなの?』 『ゅ…ゅ………ゆあああああ!!!!おちびぢゃああああん!!!!おちびぢゃああああああん!!!!!』 ついにれいむの目が開いた。我が子が嫌いなものか。我が子が嫌いな親がどこにいるのだろうか。 『おちびぢゃあああああん!!!おがあざんだよおおお!!!!れいむが!!!れいむがおが……』 目を開けたれいむが固まった。れいむの目線の先にはれみりゃに摘み上げられる赤れいむ。 『おしょらをういちぇるよ!!おきゃあしゃん!!』 はしゃぐ赤れいむ。そして赤れいむはれみりゃの口元へ。 『ゆぎゃあああああ!!!!だべえええ!!!だべえええ!!だべぢゃだべええええ!!!!がえじでえええ!!!がえじでええ!!!』 れみりゃの鋭い犬歯が赤れいむに突き刺さった。 『ゆぴゃあああ!!!?いじゃいい!!!いじゃいよおお!!!!おぎゃあじゃああん!!!おぎゃあじゃああん!!!』 泣き叫ぶ赤れいむ。れみりゃは笑顔で赤れいむを味わっていた。 『美味いか?れみりゃ』 『うー!!』 赤れいむがどんどん萎んでいく。 『どびょじで!!!どびょじでだずぎぇでぐでにゃいのおお!!!!???ゆっぐぢぢだぎゃっだあ!!!ゆっぐぢぢだがっだあああ!!』 皮だけになった赤れいむが投げ捨てられた。結局挨拶も会話も何も出来なかった。 『ど…どぼじで…どぼじでええ!!!どぼじでごんなごどずるのおおおおお!!!!???』 れいむが叫んだ。 『だってしんぐるまざーなんでしょ。しんぐるまざーじゃ仕事が出来ないからしんぐるまざーじゃなくしたんだよ。良かったね』 周りのゆっくり達はこの光景にぶるぶる震えていた。天敵が頭上を舞っているのも怖かった。 『ひぃぃぃぃ……ゆっぐぢ……ゆっぐぢぃ…』 『ころさないで…じぬはいやだぁ……』 『らんじゃばぁ……わがらないよぉ……』 彼に攻撃的なゆっくりは1匹もいない。 『さ~て、他にしんぐるまざーはいないかな?いたら返事してね』 彼はゆっくりを見回した。 『君かな?』 『ちがいまずううう!!!ありずはおがあざんじゃないでずうぅ!!!!』 『まりさ?』 『ゆああああ!!!!まりざはちがうよおお!!!!まりざはちがううう!!!!!』 彼と目線が合ったゆっくりは泣き叫びながら否定した。 『君はそうでしょ』 『れいぶはしんぐるまざーじゃないよおお!!!!!いやあああ!!!!やべでええええ!!!いだいのはいやあああ!!!!!』 彼はれいむを持ち上げた。 『だって君のお腹すっごい大きいよ。隠さないでよ。ホントはこの中にどっさり入ってるんだろ?』 れいむの腹をぽんぽんと叩いた。 『ちがいまずうう!!!!あがぢゃんなんがいないよおぉ!!!!いないっでばああああ!!!!』 『じゃあ何でこんなに大きいの?この中には何が入ってるの?』 『で…でぶだがらでずう!!!!れいぶはでぶなゆっぐりだがらでず!!!!でぶだがらあああああ!!!!!』 『デブなんだ。だったら丁度いい。お仕事して痩せようね』 彼はれいむを降ろした。 『じゃあもう一度言うよ。今から大きな穴を掘るんだ。さっきれみりゃとふらんが棒を落としただろ。それ使っていいよ』 れみりゃとふらんが落としたのは割り箸だった。ゆっくりが穴を掘るには2つ方法がある。1つはあぐあぐと土を齧って吐き出すのだ。 だがゆっくりの歯は砂糖菓子で出来ているため長時間続けてしまうと歯が折れてしまう。そこで2つ目の方法、棒を使うのだ。 適当な棒を拾い棒を使って土を穿るのだ。こうしてゆっくりは穴を掘り巣を作るのだ。 『分かった?』 『ゆ…ゆ…ゆ……』 『どうじで…ぞんなごど…じなぐぢゃいげないの………』 『ゆっぐぢじだいよぉ……ゆっぐぢさせでぇ…』 『おちびぢゃん……おちびぢゃんにあわぜでぇ…』 ぶつぶつとゆっくりが文句を呟いた。 『分かったなら返事しようね。それともリーダーみたいになりたいのは誰?』 彼は傍にいたまりさの帽子をひょいっと摘み上げた。 『ゆあああああ!!!!やりまずう!!!やりまずがらああ!!!ぼうじがえじでえええ!!!ごろざないでええ!!!やりばずう!!!』 『『『はいい!!!はいいい!!!!』』』 『『『わがりまじだあああ!!!!ほりまずううう!!!!!』』』 ゆっくりは我先にと割り箸を咥え地面を掘り始めた。 『ゆ……っぐ…あがぢゃぁ……あがぢゃぁぁん…』 我が子を食い殺されたしんぐるまざーのれいむだけ散らばった飾りを集めていた。 『うー!!!はたらくんだどぅ!!』 れみりゃはれいむを持ち上げると放り投げた。 『ゆびぇぇ!!!……いだい…いだいよぉ…』 『ああそうだ。怠けたられみりゃとふらんがお仕置きするから。ちゃんと働けよ』 れみりゃとふらんは親ゆっくりがいる区画と子ゆっくり、赤ゆっくりがいる区画を飛び回っていた。 『うー!!ちゃんとはたらくんだどぅ!!!おぜうさまはきびしいんだどぅ!!』 『わがりまじだああ!!!!はだらぎまずがらああ!!!』 『ふらんのめはごまかせないわよ!!なまけるならゆっくりしね!!!ゆっくりしね!!』 『ごっぢごないでえええ!!!ほっでまずう!!!ほっでまずうう!!!』 れみりゃとふらんのお仕事はゆっくりの監視。といってもゆっくりで遊んでいるといった方が正しい。 『うー!!』 『ゆああああ!!!おぞらどんでるうう!!!!どぼじでえ!!!ぢゃんどはだらいでるのにいい!!!』 手当たり次第ゆっくりを持ち上げては地面に落として遊んでいた。 『くらえ!!!』 『ゆわっ!!!!っぺっぺ!!!!い…いじわるじないでえええ!!!ゆぎゃああ!!!いだいいい!!!!』 土をゆっくりに投げて遊ぶのもいた。 『うっうー!いくんだどぅ~』 子ゆっくりと赤ゆっくりがいる区画にもれみりゃとふらんがいる。こちらは監視ではなく遊びだ。 『おにぇえじゃああん!!!おろちちぇええ!!!!ちんじゃううう!!ちぬはいやあああ!!!!』 れみりゃが赤れいむをふらんに向けて投げた。 『おねえさま!ないすぼーる!!つぎはふらんがなげるばんよ!!』 赤ゆっくりはボールとして遊ばれていた。 『うー!!!ごーるはあっちなんだどぅ~』 『ぱすなんだどぅ~』 子ゆっくりもボールだ。蹴られて遊ばれていた。 『いだいい!!!げらないでええ!!!ゆぎぇえええ!!!ぼ…ぼうやじゃああああ!!!おうぢいい!!!おうぢい!!!!』 『おがああざああん!!!だずげでええええ!!!どぼじでだずげでぐれないのおお!!!』 子ゆっくりや赤ゆっくりの悲鳴を聞きながら親ゆっくり達は涙を流しながら地面を掘っていた。 『おちび…ぢゃん……。っぐ…ごべんね…ごべんねぇ…』 『どぼじでごんなごどにぃ……ごんなの…どがいはじゃないわ……』 『ごろざない…で……でいぶの…おちびぢゃん…ゆっぐぢじだい……』 『うー!!!!くちをうごかすまえにはたらきなさい!!!』 『おぜうさまのめはふしあなじゃないんだどぅ!!!!はたらくんだどぅ!!!!』 親ゆっくり達は我が子の姿を見たいが為に我が子との再会を阻むアクリル板の周りを掘っていた。これでいい。 親ゆっくり達は必死に地面を掘るが人間と違いそんなに早く進まない。まだまだ穴とは言えない。 ……………… ……… 「とりあえず最初はこんなもんかな…」 頭の中で思い浮かべたシーンを元にシナリオを半分書き上げた。 「ゆっくりはどうにでもなるだろう。問題は場所だよなぁ……。加工所の空いてる場所とかどっか適当な場所があればいいけど…」 あまりにも実写化が難しいシナリオは弾かれてしまう。ちゃんとリアリティがなくては採用されない。 「ちゃんとあの辺りを掘ってくれるかな?…まぁ変なところ掘ってたられみりゃにお仕置きさせればいいか」 お茶を注いだ。 「大丈夫…いける」 軽くお茶を飲んでから再びシナリオを書き始めた。 『投稿しよう 転・結』へ続く by エルダーあき エルダーあきの作品集 このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! ◆感想スレ ※書き込む時はSSのタイトルを書いて下さい。 コレをコピーしてから飛びましょう→『431 投稿しよう 起・承』 エルダーあき感想スレ ◆wiki内感想 感想 すべてのコメントを見る トップページに戻る