約 522,291 件
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/834.html
第十三話「悪あがき」 12月14日 0910時 ??? 今、海鳴市で一番怒っている人は誰か?と問われたら八神さん家のヴィータちゃんと答えるだろう。 それも、まあ仕方の無いことではある。 今日の朝になって、あの傀儡兵を使うこの世界の傭兵と共同戦線を張ることになったと ヴォルケンリッターのリーダーたるシグナムから、いきなり告げられたのだ。 アタシは何にも聞いてないぞ!と突っかかってもシグナムは、さらりと受け流すだけだった。 (アタシだけハブられてたのかよ!?) 話を聞いていくうちにシャマルやザフィーラもこの件について知っていたらしい。 まさか、自分が仲間から隠し事をされるとは夢にも思っていなかったヴィータの怒りは最高潮に達していたのだが はやてがいる前で言うわけにもいかず、そのまま家を飛び出してしまったのだった。 さて、今ヴィータの回りは闇に包まれている。 かといって、落ち込んで雰囲気が暗くなっているわけではない。 物理的に光が入ってこないだけなのだ。 (シグナムやシャマルを騙せてもアタシは騙せないぜ) 重度のバトルマニアである烈火の将や、どこかうっかりとした所がある泉の騎士が 騙されているのだということはすでに紅の鉄騎の頭の中では決定事項であった。 (必ずシッポを掴んでやるぜ・・・あ、イテッ) グッと拳を握り締めるヴィータ だが、その直後ヴィータのいる所がガクンと縦に揺れ、ヴィータは頭を強く打ってしまう。 その衝撃に涙目になりながらも、ヴィータは証拠を掴む為にここに潜伏し続ける。 そう、宗介が運転する車のトランクの中に・・・・ さて、何故ヴィータが宗介たちの車のトランクに乗っているのか? 時間は少し前に遡る。 宗介が出発の準備を終え、泉川に向けて発進しようとした時に うっかり自分の部屋の鍵をセーフハウスに置きっぱなしにしているのを思い出したのだった。 幸いにして出発前に思い出したので、ドアを爆破して部屋に入るなどということは回避されたのだが 宗介は自分らしくないと自戒しながら鍵を取りに行くためにクルツたちがいるビルに戻った。 そして、その光景を見ていた一つの小さな影・・・ た ま た ま、この道を 散 歩 していたヴィータは宗介が帰ってくる前に車に近寄り遠隔操作でトランクのロックを開け、中に入ろうとする。 しかしトランクの中には大量の火器が入っており、ヴィータは思わずウゲっと顔を歪めるのだが エレベーターが動き出したのを見て、慌てて銃器の隙間に体を押し込めトランクを閉める。 それと同時にエレベーターのドアが開くのだが、まさにタッチの差でトランクが閉まるところは宗介の目に入らなかった。 宗介自身も、まさか武器が満載しているトランクの中に護衛対象が隠れているなど夢にも思っていなかった。 12月14日 1356時 時空管理局無限書庫 あれからレティ提督に管理局の制服を無理やり着替えさせられ無限書庫に連行された。 なんだか提督の目が異様に輝いていたが、気付かないふりをすることにした。 「あの~」 「なあに、ユーノ君?」 大量の書類を捌きながら、無限書庫の古文書を読むユーノは作業の手を休めてレティ提督に声をかける。 「なんで管理局の制服に着替えさせられたんですか?」 「仮にも管理局の内部文書に目を通すのよ?一般人に見せれるわけないじゃない」 もちろん知る権利を行使すれば管理局に資料請求してある程度の書類に目を通すことはできる。 しかし、時空管理局は混沌とした次元世界に睨みを利かせている軍事組織としての一面も持っている。 機密の二文字の元に目を通すことを阻まれる書類もたくさんあったりする。 ユーノが目を通しているのはそういう物だ。 「それは理解できるんですけど・・・あ、この書類とこの書類の数字が一致してない」 何か言いたそうになるがうまく言葉にならず、作業を再開するユーノは書類の不備を発見する。 のちにこの数字の食い違いから、巨大横領事件が発覚するのだがそれはまた別の話である。 「スクライア一族って、みんなこんなに優秀なのかしら?うちの部署にもうニ、三人ほしいわ」 「僕の一族は論文を読むか書く以外で机に座るのが苦手なんですよ だから多分、勧誘しても無理だと思いますよ?」 スクライアは遺跡から遺跡へと渡り歩く流浪の一族 一箇所に落ち着くということを全くと言っていいほど考えていないのだ。 「それならユーノ君はスクライアの中でも変わり者の部類に入るのかしら?」 「そうかもしれません」 苦笑いしながらユーノはレティ提督の意地悪な言葉に答え、新しい古文書に手を伸ばす。 分厚い古文書を僅か十数分で読み終えることができる検索魔法と速読魔法 スクライア一族の門外不出の秘術である。 「僕からもいいですか?」 「なあに?できる限り答えるわよ?」 「今回の事件で、身内を疑ってるんですよね?」 古文書から目を離し真っ直ぐ提督を見据えるユーノ 「・・・念話に切り替えましょう」 無限書庫は無人だが、どこに人の耳があるか分からない こうして分かりやすいように調査しているのだから、後ろ暗い奴が一人や二人が監視してる可能性もある (じゃあ、話すわね。身内といっても管理局にも派閥はあるのよ。穏健派に武闘派、海と陸その他諸々・・・ 今、海は穏健派がイニシアチブを握ってるけど、それをよく思わない連中は無視できない程度にはいるの) (その人たちが、『闇の書』を手に入れようとしていると?) (それはまだ分からないわ。でも、魔法文化のない第97管理外世界の軍人が結界内に侵入できるのは 何者かの手引きがあるんじゃないかって、私やクロノ君は考えてるの) (でも、それでなんで身内を疑うことになるんです?) (あまりにうまく行き過ぎてるからよ。こんなに見事な術式の改竄なんて見たことないわ。 だから管理局の手口を一番よく知っている連中が絡んでるんじゃないかと思ったの) 管理局が捜査の手口、人避けの結界を張って当たり一帯を封鎖するなどなど これらの手法を一番よく理解してるのは、誰であろう管理局をおいて他にない。 「まあ、そうでなければ一番いいんだけど。私の仕事は身内を疑うことだから」 運用部と監査部を統括するレティは少し悲しそうにため息をつき、机の上に置いてある紅茶を啜った。 12月14日 1516時 セーフハウス 宗介はラジオを聞きながら自分のリビングに並んだ火器と睨めっこしている。 どの武器が、あの非常識の塊に対して有効であるかを考えていた。 M9の戦闘記録を見る限り、チェーンガンレベルなら問題なく奴らの装甲を抜くことができそうだ。 ゆえに同じ12.7㎜弾を使う対物ライフルは持っていくことを決めていたのだが サイドアーム関連も真剣に考えとくべきだ。 「あの黒衣の魔導師相手・・・シャマルが言うには執務官とやらにサブマシンガンの弾は利かなかった。 しかし、不意打ちで貫通力の優れた武器ならばあるいは・・・・」 そういって100メートル先にあるボディアーマーを貫くことができるとされるベルギー製の自動拳銃を拾い上げケースに収める。 その他にもC4爆薬やクレイモア地雷、グレネードランチャーなど色々な武器を見繕っていく。 「単純に大火力で相手をねじ伏せるのも、一つの手だが・・・」 12.7㎜弾を使う重機関銃は歩兵が持って撃てるものではない。 反動や火器そのものの重さなど、様々な問題点があるのだ。 「俺たちも奴らのようにバリアジャケトなるものでもあればな」 いや実際ASは乗る兵器ではなく着る兵器、つまり強化服のようなものなのだ いわば、こちら側のバリアジャケットがASという考えもあながち間違っていない気もする。 「AS、強化服・・・・・」 あるではないか、ASのパワーアシスト機能と高い防弾性を兼ね備える装備品が 宗介は手をポンと叩き、近くの貸し倉庫に眠っているとある売れ残り商品を引っ張り出す必要が出てきた。 ちょうどそのとき、ラジオからあるニュースが流れてきた。 どこぞの国で開かれている国際会議で、とある兵器を廃絶する為の条約が結ばれるようだ。 その兵器は広い範囲の敵を殲滅するのに非常に有用だが、不発弾となる割合が多く 民間人に被害が出るため非人道的だというのが理由らしい。 「排除されるべきもの・・・」 では、『闇の書』はどうなのだろう。 12日に起きた戦闘で自分達は『闇の書』力の一端を見た。 あの魔力爆撃での物理的被害はなかったが、シャマルに言わせればそういう風に設定したからだそうだ。 つまり、物理的被害も出そうと思えば出せると言うことだ。 しかもまだ『闇の書』は完成していない もし完成した時どれほどの破壊力を発揮するのか宗介には想像もできなかった。 「忘れろ。俺は最後まで任務を果たすしかない」 頭を振り、必死にそのことを頭から消そうとしたが脳裏にこびり付いたそれを忘れるのことは無理だった。 ピリリリ・・・ピリリリ…ピリリリ 着信音、自分の携帯が鳴っていることに気付いた。 「相良だ」 『ソースケ?私』 もう二週間以上聞いていない声だが、それが誰であるか宗介はすぐに分かった。 「千鳥か。どうかしたのか?」 『いや、どうかしたのか聞きたいのはこっちよ』 かなめの言葉に首をかしげながら、宗介は話を聞く。 なんでも今日の学校に自分とクルツの写真を持った男が来たらしく この人達のこと何か知らないか?とかなめに聞いてきたという。 『一応、曖昧にとぼけといたけど』 「賢明な判断だ。それでその男はどうした?」 『さあ?そのまま帰っちゃったけど』 不機嫌な声が携帯の向こうから聞こえてくる。 どうやら、ハイジャック事件での嫌な記憶が蘇ったらしい。 「それについては謝罪する。すまなかった」 「・・・もういいわよ。特に変な事されたわけでもないし それより、あんた今度は何したのよ?」 宗介はしばらく押し黙った。 任務内容は話せない。 当然だ。情報漏洩になる上に、どこに耳があるとも知れない。 だが―――――――――――― 「千鳥・・・俺は今、護衛任務についている」 俺は何をしている?こんなことを千鳥に話しても何になるというのだ? それにこれは重大な機密漏洩をしているのだぞ。これではプロ失格ではないか。 だが、それでも宗介は喋らずにはいられなかった。 それから宗介は自分が今していることを、かなめに話しはじめた。 その護衛対象達が所有している物が危険なものであること 過去、何度もそれのせいで被害が出たらしいということ しかし、それを完成させなければ一つの命が失われてしまうということ そのために護衛対象のうちの数人が、東奔西走しているということ 細かい説明は省いている上に、言ってることは滅茶苦茶だということは承知だ。 それでもかなめは黙って、話を聞いてくれている。 「今までの俺なら、何の疑問もなく護衛対象からその危険物を奪取して破壊しただろう。 だが、今回はどうしてもそれができなかった。こんなことは初めてだ」 一、二分の沈黙の後、かなめはそっと話し始めた。 『・・・あたしには深い事情がよく分からないし、あんまり要領を得ないけど ソースケは、あたしを殺したいと思ったことはある?』 「何を馬鹿なことを、俺が君を殺そうなど・・・」 かなめの問いに宗介は、即座に否定の言葉を返す。 北朝鮮の山中で確かに自分たちを置いて一人で行かなければ殺すと言ったが それは彼女に行動を促すための脅しの部分が多かった。 『でもね、ソースケ。あたしはウィスパードなんだよ』 ウィスパード―――ラムダドライバなどを支えているブラック・テクノロジーの源泉 その技術を欲しがる連中から自分は千鳥を守るためにミスリルから派遣されたのだった。 『実感はないけど、あたしの中にも、それがあるわ。 その知識が悪用すれば、どんな酷いことも起こせる・・・』 そう例えば、西太平洋戦隊が運用している強襲揚陸潜水艦は、あの米海軍ですら探知できない。 それはつまりテッサがその気になれば世界中のありとあらゆる都市や基地を 誰にも気付かれずに消滅させることが可能ということだ。 冷戦を灼熱の最終戦争に変えることもできるだろう。 『あたしはその人達のことをよく知らないけど、結局は使う人によるんだと思うの。 ・・・それにそういうことはソースケが一番よく分かってると思ってたんだけど?』 その言葉にハッする。 そうだ。自分は戦場でその様な光景を幾度も見てきたではないか。 危険性? 確かにそれはいつでも付きまとう。 そう、いつだって何にだって付きまとうのだ。 『って、なに偉そうに言ってんだろ、あたし。ゴメン、今のは忘れて』 「いや・・・・」 千鳥と話して自分が何に迷っていたのか分かった。自分は、あの騎士達と自分を重ねて見ていたのだ。 どんなことをしても、どんな困難に遭おうとも大切な人を守りたいと思うその姿に自分もこうありたいと、思っていたのだ。 だから、彼女達から『闇の書』を奪うということに迷った。 それをしてしまえば自分と千鳥も同じような運命を辿るのではないか。そう漠然とした思いに自分は圧迫されていた。 「いや、千鳥。ありがとう」 どうやら自分は諦めが良すぎたようだ。全く、北朝鮮の山中や香港で一体、何を学んだのか。 確かに『闇の書』は危険なものかもしれない。 だが、それはそういう風に使おうとする意思があってこそだ。 ならば自分達は、彼女たちが『闇の書』を使わなくていいような環境になるまで つまり『闇の書』が完成するまで、今の任務を続ければいい。 それでも不安なら大佐殿に自分達が海鳴を去った後でも情報部が彼女たちを護衛、監視できるように頼めばいい。 もしくは自分達が手引きをしてミスリルの庇護下に入ってもらうか・・・これは相手の同意が必要だが。 とにかく打てる手は、まだまだたくさんある。諦めるには早すぎる。 ならば自分は続けるべきだ、悪あがきを・・・・ 『そう?まあ、あんまりクヨクヨ迷ってるのはソースケらしくないもん。 いつもみたいに、問題ないって感じにしてればいいのよ。 あ、あと早めに帰ってきなさいよ。追試を合格しなくちゃ一緒に3年に上がれないんだからね?』 その言葉に宗介はフッと笑い、かなめの注文どおりこう答えた。 「問題ない」 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/dicetrpg/pages/94.html
SWにおいての基本攻撃順番 リアナ→バルディア→アクア(アルファベット順)→ソルダ→リュウ→ヌゥラ→リード→ユーノ→クロウ→リルメア SWの際に使用するお絵描きチャット http //www.takamin.com/oekakichat/user/oekakichat3.php?userid=505888 現在権限は鴨南蛮さんにあります。ので、お絵描きチャットをいじりたい方は鴨南蛮さんにパスワード等をお聞きください (セキュリティのため) なお、落書きなんかもしたい場合はお気軽にどうぞ(おい) 時空 初人時空(通称初時空) マッスルームの回避が覚醒する SW時空 戦闘がダラダラ長引く グリーンマン時空(通称緑時空) クリティカルとファンブルの確率を引き上げる 他人の出目を吸い取る 青森高校生時空 アベレージが4を越える ゴド時空
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2709.html
床に転がした電話機が鳴っている。 丁度コートに手を掛けたところだったダンテは、器用に受話器を蹴り上げると、そのまま空中でキャッチして耳に押し当てた。 「デビル・メイ・クライだ。生憎だが、出張の為しばらく休みだぜ。期限は未定だ、よろしく」 受話器から響く怒声とも懇願ともつかない雑音を聞き流しながら、無造作に放り投げる。 キンッと音を立てて、輪投げよろしく電話機の上に乗っかった。 最初から興味など無かったダンテは、それを尻目にコートを羽織る。 久方ぶりに袖を通した、ダンテの性格を体現する真紅の服装に自然と笑みが浮かんだ。やはり、この格好が一番しっくりくる。 「そう言うワケだ、レナード。後は頼んだぜ」 「……何日も事務所空けっ放しで、俺に連絡も寄越さないでおきながら、いきなり帰って来てそれかよ」 そこだけ新品同様になっている入り口のドアの傍に立っていたレナードは、弱弱しく悪態を吐いた。 もはや、この男に何を言っても無駄だと悟っている。 大仕事をこなし、報酬も入って万々歳という直後にそのまま消息を晦ましたダンテをレナードが今の今まで気に掛けていたのは、もちろん安否を気遣う理由ではない。 便利屋としても裏の世界に名の知れ渡っている<Devil May Cry>に、唯一まともに仕事を斡旋できるのがレナードの強みの一つだからだ。 ダンテが帰って来ていきなり無期限の休業宣言をすれば、一番ワリを食うのは誰か言うまでも無い。 「ここ最近、キナ臭くなってそこら中の組織が殺気立ってるんだ。腕っ節の立つお前さんだって引く手数多さ。 ……それを、いきなり全部キャンセルはねぇだろ!? 頼むよ、話もつかねえとなったら俺が酢豚にされちまう!」 「キャンセル? 話も聞いてねえよ。人の都合も考えずに勝手に請け負うからだ。せいぜい料理されないようにダイエットに励みな」 「ひ、人事だと思ってよ……!」 レナードの悲壮な訴えなど歯牙にもかけない。 これが無力な一般人の叫びなら良心が痛まないわけでもないが、相手は小ずるい腹黒の小悪党だ。自業自得というものだろう。 それでもレナードは得意の口八丁で何とかダンテの考えを改めさせようと食い縋る。 「ダンテ! 金払いのいい依頼かもしれないけどな、さっきも言ったとおり最近何処も殺気立ってるんだ。 そんな時期に、管理局からの長期の仕事なんて引き受けてみろ。どの組織からも睨まれるぜ? 便利屋としての信頼もガタ落ちだ、公的組織に尻尾振る飼い犬だってな!」 「言わせたい奴には言わせとけよ。外に知り合いを待たせてあるんだから、足引っ張るな。もう行くぜ」 「外? あのスゲエ車に乗った綺麗な金髪のオンナか?」 「ああ、美人だろ?」 「お前さんの好きそうなタイプだよ。アンタの事務所の前じゃなかったら、強盗と好きモノの変態が群がってくるだろうぜ……」 「あんないい女なら尻尾を振ってもいい、そうだろ?」 ダンテは舌を出して『ハッハッハ』と犬の真似をしながらおどけて見せた。 二本の<得物>を仕舞ったギターケースを引っ掴むと、縋るレナードへウィンク一つ寄越して事務所のドアに手を掛ける。 「それじゃあな。俺のいない間、事務所の管理は頼むぜ」 「ダンテ! いつまで待ちゃいんだ!? 帰って来るんだろ!?」 答えず、気楽に手を振すると、ダンテは事務所から出て行った。 閉まったドア越しに『ちくしょー、この悪魔!』という嘆きが聞こえるのを耳に入れず、ダンテは意気揚々と手持ち無沙汰に待つフェイトの元へと向かった。 「待たせたな」 「私物は、それだけでいいんですか?」 「あまり物は持ち歩かない主義でね」 後部座席にケースを放り込み、自分は助手席へと腰を降ろす。 ここへの道すがらと同じ、勝手知ったるリアシートを後ろへ押し倒すと、ダッシュボードの上に足を投げ出した。 他人の車でここまでリラックスできるダンテの図太さに呆れながら、言っても無駄だと悟っているフェイトはため息一つで済ませ、車を走らせる。 死にかけた街の景色が前から後ろへと流れていく。時折、その景色の中に人の姿も見かけた。 なけなしの現金を抱えてベンチに横になった男。派手に着飾った娼婦。そして、路地裏の影で寄り添うように座り込んだ子供達。 それらを見る度に、フェイトはやるせない気分になっていた。 「華やかなりし街の影ってところか」 フェイトの心の内を代弁するように、ダンテが呟いた。 繁栄の在る場所には格差もまた存在する。完全な平等などというものは、文明の停滞の下でしかありえないのだから。それはこの世界においても例外ではない。 多くの次元世界との交流が複雑に絡み合うミッドチルダにおいて、訪れる人はその種と同じだけ差が存在するのだ。 「首都に住んでいると忘れてしまいがちな……これが現実だと、分かってはいるんですけれど」 「気にするな。ここも、そう悪いもんじゃない。 ――ところで、コイツか? <悪魔>と繋がりがある次元犯罪者ってのは」 一介の執務官と便利屋が世情を嘆いても仕方ないとばかりに、ダンテは話を切り替え、情報の表示された電子ボードを睨み付けた。 ダンテほど物事を割り切れないフェイトだったが、質問には頷いて答える。 「ジェイル=スカリエッティ。私が追っている、大物の犯罪者です。各所のレリック強奪に関わるガジェットは彼の差し金、最近になって<悪魔>との繋がりも濃厚になりました」 「こいつが俺の事務所を吹き飛ばしてくれた張本人ってワケだ」 「奴と会話を交わしたんですよね。本人と接触したのは、多分ダンテさんが初めてです」 「ベラベラとよく喋る、胡散臭い奴だったよ。俺は自分よりお喋りな奴は嫌いなんだ」 不機嫌そうに鼻を鳴らす。 フェイトは肩を竦めた。ダンテの証言から、スカリエッティの人物像を少しでも把握しようと思ったが、この様子ではあまり積極的に語ってはくれないだろう。 だが、打算的ではあるが共通の敵が出来ることは、共に戦う上で都合がいい。 「情報は少ないですが、スカリエッティに関しては帰ってからダンテさんにも詳しくお話します。 それで……今のところ奴の協力者として可能性の高い<バージル>という男に関してなんですけど……」 「まとめて一緒に話してやるよ」 <バージル>という名前が出た途端、目に見えて変わったダンテの雰囲気にフェイトは口を噤んだ。 ただ敵意や怒りを抱くだけではない、悲しみと懐かしさも入り交ざった複雑な表情を浮かべている。 自分とスカリエッティがそうであるように、ダンテとバージルには浅からぬ因縁があるらしい。 彼の敵であるならば、やはり自分にとっても敵となる。 得体の知れぬ<悪魔>という存在を交え、複雑に、そして肥大化していく暗黒の気配を感じながら、フェイトは車を進める先に敵の姿を幻視した。 これまで漠然としていた、自分たちが真に敵対すべき者達の姿が徐々に形となり始めている。 <奴ら>はこちらの思惑の届かぬ場所で、一体何を企み、何を成そうとしているのか――。 エンジンの僅かな振動だけが響く車内、お互いに似た懸念を抱きながらダンテとフェイトは沈黙を続けていた。 魔法少女リリカルなのはStylish 第十八話『Dear My Family』 「――そこまで! <インターセプトトレーニング>終了!」 ティアナが最後の誘導弾を撃ち落した瞬間、なのはが訓練の終了を告げた。 絶え間無い疲労の蓄積から解放された安堵に、ティアナは大きく息を吐く。張り詰めた神経が解れていく感覚と同時に脱力感が全身を重石のように襲った。 座り込みたい、が。堪える。 デバイスをホルダーに差し込み、直立不動で次の指示を待つティアナの意地とも言える気丈な姿を見て、なのはは微笑した。 「今日の個人教導はこれにて終了。休め」 「はい!」 ようやくティアナの体から強張りが抜ける。 愚直なまでに公私の区別を付けたがるティアナの生真面目さも、もうなのはには慣れ親しんだものだった。今はそれすら好ましく思える。 少し気の緩んだティアナのぼうっとした視線とぶつかり、二人はしばし見詰め合って、湧き上がった奇妙な可笑しさに一緒に小さく笑った。 教導官と訓練生としての時間は終わる。ここからは少しだけプライベートだ。 「完璧だったね。次からはワンステップ先に進めるよ、ティア」 「ありがとうございます、なのはさん」 それはつまり、こういう呼び方をするようになった二人の新しい関係だった。 「誘導弾の操作も大分精度が上がってきたね。小手先の技だけど、二種類の射撃があるだけで攻撃の幅は驚くほど広がるよ」 「最近、直線射撃に偏ってる自覚はしてましたから。なのはさんのお墨付きなら、矯正は成功ですね」 「ティアならあまり細かく言わなくても自分で使いどころ考えられるよねぇ……うーん、なんか物足りないなぁ」 「いや、教導官の方が訓練に疑問持ってどうするんですか?」 「だって、あの日から意気込んで色々訓練考えてるのに、ティアってば結構難なくこなしちゃうんだもん」 以前の自分と立場が入れ替わったかのようななのはの言動に、ティアナは苦笑した。 あの模擬戦を経て、心を開いた夜――あれからティアナの日常は少し変化し、自身の中では大きく何かが変わった。 なのはは基本を教えながらも教導にティアナの要望を取り込むようになり、ティアナはそれによって過酷になった訓練を一皮向けた精神力によってこなすようになった。 もう焦りは無い。戦いへの苛烈な意志はそのままに、周囲を見渡す冷静さと余裕を持つようになったのだ。 なのはの望む、新人メンバー達のリーダー格という器になりつつあるティアナにとって、残された問題は彼女自身の戦闘力の向上だった。 「――やっぱり、一撃の威力が欲しいと思うんですよね」 訓練やチームワークについて以前より遥かに気安くなった雰囲気でアレコレと交わす中、自身の話へと移って、ティアナはおもむろに告げた。 「あたしの弱点は、ここぞという時の切り札が無いことだと思うんです」 ティアナは自己分析を冷静に口にした。 なのはは頷く。 「そうだね、射撃型はどうしても魔力容量と出力が攻撃力に直結する。 魔力弾を量はそのままに、圧縮して濃度を上げるっていうティアの方法は、上手くその弱点をフォローしてると思う。でも、限界はある」 「一発で、大ダメージを与えられる攻撃方法が欲しい。<ファントム・ブレイザー>じゃ駄目なんです」 「確かにあの魔法は、正直ティア向いてないかな。 威力と範囲はカバー出来るけど、消耗率が高すぎるよ。魔力量を効率で補ってるティアに適したものじゃない」 「どちらかというと、なのはさんのバスターと同じ系統の魔法ですからね」 近くの木の幹に腰掛け、談笑する様は降り注ぐ木漏れ日も手伝ってひどく穏やかな雰囲気を漂わせていたが、交わされる言葉は真剣そのものだった。 「……やっぱり、タイプの違うわたしじゃアドバイスは難しいのかなぁ。わたしの考えることはティアも既に考えてるみたいだし」 「存在そのものが必殺のなのはさんに、必殺技のコツを尋ねても難しいですよね」 「何その物騒な評価! ティアまでそんなこと言うの!?」 時折、そんな場を和ます冗談も交えながら語り合う。 少し前までは考えられない、なのはとティアナのやりとりだった。 「参考になるか分からないけど、わたしの場合は鍛える時短所を補うより長所を伸ばす方法を取ったよ。 例えば、当時必殺技だった放出系魔法を改良しようと思った時、発射シークエンスを変更する方法を取ったんだ。まだ未熟だったからチャージ時間が長くて高速戦では使えなくて――」 「発射の高速化――じゃないですね。なのはさんなら、チャージタイム増やして威力を上げたんじゃないですか?」 「当たり! 使いどころはとことん選ぶけど、信頼出来る切り札になったよ」 「その見かけによらない博打好きな人柄に惚れます」 「にゃにゃ!?」 真顔で告げるティアナに対して、なのはは奇声を上げながら頬を赤くした。 もちろん、当人は誤解を恐れない本音を告げただけである。なのはの性格に、どこかダンテと共通する部分を感じ取ったのだった。 なのはは気を取り直すように咳払い一つすると、改めて自分の助言をティアナに告げた。 「まあ、要するに。持ち味を活かす、っていうのが重要だと思うの」 「持ち味……」 「例えば、ティアの場合はわたしにも真似出来ない命中精度とか魔力の圧縮率。その辺にパワーアップの鍵があるんじゃないかな? 新しい魔法を覚えるより、ずっと近道だと思うよ」 「……なるほど」 ティアナは神妙な顔で頷いたが、対するなのはは自分自身の助言の余りの曖昧さに少し落ち込んでいた。 「ごめん。あんまり参考にならないよね……」 「いえ、そんなことないですよ」 首を振るティアナの眼に、誤魔化しや気遣いは無い。本心だった。 「なのはさんのおかげで、ちょっと試してみたいことを思いつきました。ありがとうございます」 何かを得た興奮と決意が、自然と力強い笑みを形作っていた。 「ははっ、どういたしまして」 そんなティアナの様子を頼もしいと思うと同時に、なのはは更に大きく落ち込んでしまう。 「……なんか、やっぱりティア自分一人で解決しちゃったみたいだね……」 出来が良すぎるというのも困りもの。 あの夜には、目の前の少女を鍛える為に一大決心したものだが、蓋を開ければ『アレ、わたし実は要らない子なの?』と思わずにはいられない現状だった。 「あ、いや。なのはさんのおかげですよ、閃いたの! ホント! ありがとうございます!」 「いいよぉ、そんな気を使わなくて……。どうせ、わたしに教導なんて向いてないの。部下の気持ちも分からない独りよがりな女なの……」 「なんでそんなに打たれ弱くなってるんですか!? なのなの……いや、なよなよしないで普段通りに戻ってくださいよ!」 模擬戦の時のように眼が死んでるなのはをティアナが慌てて慰めていた。 もちろん、半分はじゃれ合っているようなものである。互いの弱さを笑って話せる程度には、二人は分かり合っていた。 雨降って地固まる、とは正にこの事。 ――そして、もう一つ固めるべき地があることをティアナは理解していた。 「おーい、なのは。こっちの訓練も終わったぞ」 駆け寄ってくるのは同じく個人教導を行っていたヴィータとスバル。 例の如くスバルは、時にヴィータにぶっ飛ばされ、時に自ら転がり、痣と土汚れだらけだった。 「お疲れ様。スバルの調子はどう?」 「ギリギリ合格点ってところか。馬力は上がってるけど、前に指摘した部分を十分に改善できてねーな。長所を伸ばしすぎだ」 「ハハ……すみません」 一見するとヴィータとスバルの二人は同じ突撃思考タイプに見えるが、そこは年の功。 猪突猛進気味なスバルの戦闘方法に生じる粗をヴィータは前々から懸念していた。しかし、矯正の効果はあまり見込めていない。 「索敵とか位置選び、細かい点を相棒のティアナに任せすぎてたな。一人になると、その辺が隙になっちまうぞ」 「……すみません」 ヴィータの的確な指摘に、スバルは気まずげに俯いた。 チラリ、とティアナの方を一瞥し、それから何かを堪えるように口を噤んでまた俯く。 普段の快活なスバルらしくない仕草だった。 その分かりやすい態度を、ティアナはもちろんなのは達が気付かないはずはない。 あの日――模擬戦以来、それはどうしようもないことなのかもしれないが、スバルとティアナの間に小さな溝が出来てしまっているのだった。 日常の中で、二人は以前と同じように寝食を共にし、会話もしているが、やはり以前と同じように心を通わせることは出来なくなってしまっていた。 「……まあまあ、ヴィータちゃん。とりあえず、訓練はこれで終了。 スバル達はシャワーを浴びて着替えたら、オフィスに集合してね。はやて部隊長から何か発表があるらしいよ」 重苦しい程ではないが、どうにも形容しづらい微妙な二人の雰囲気を払拭するようになのはが告げた。 それじゃあ、と。これまでなら嬉々としてティアナを伴っていた筈のスバルが一人で隊舎へ向かう背を眺め、なのはは無言を貫くティアナに小声で問い掛けた。 「やっぱり、スバルとは仲直り出来てない?」 「寝る前とか、話すタイミングを計ってるんですけど……なんか、普段通りに返されると曖昧になっちゃって……」 「スバルなりの気遣いなんだろね『気にしてない』っていう。実際は、気にしちゃってるみたいだけど」 「アレは、完全にあたしの方に非がありますから。負い目の分、強く切り出せないんです」 「きっかけがあれば、だね?」 「ありますか?」 「任せなさい」 ティアナにスバルへの謝罪と仲直りの意思があることを確認すると、なのはは満足げに笑ってドンッと胸を叩いて見せた。 その仕草に小さく笑みを浮かべ、感謝の意思を込めて一礼すると、ティアナもまたスバルの後を追うように隊舎へと向かった。 なのははその背中をいつまでも見守っていた。 懸念は残っている。しかし、不安はない。 ティアナは、きっとスバルとの絆を取り戻すだろう。あるいはそれ以上のものを。 好意の反対は無関心だと言う。 模擬戦で見せたスバルへの苛烈な反発がティアナの偽らざる感情ならば、それが一端に過ぎないスバルを想う心もまた本物なのだ。 良くも悪くも、あの頑なな少女がスバルという存在を自らの内まで踏み込ませ、心を許しているという事実が、なのはには微笑ましく映るのだった。 「ホント、不器用なんだから……」 「おめーが言えたことじゃねーだろ」 年上ぶって苦笑してみせるなのはの後頭部を、ヴィータがグラーフアイゼンでコツンと叩いた。 オフィスには制服に着替えたフォワードのメンバー達とシャマルやシャリオなどの手の空いた一部の隊員だけが集められていた。 新人達もすっかり板についた一糸乱れぬ整列を、向かい合う形ではやて達隊長陣が眺めている。 その上司達の中に二人――六課では本来在り得ぬはずの姿があった。 「――もう聞き及んでると思うけど、機動六課に外部協力者を迎え入れることになった」 自分の傍らに立つ二人の人物へ隊員達の視線がチラチラと向けられるのを感じながら、はやてが厳かに告げた。 「いずれも任務の際に遭遇した<アンノウン>に対抗する為、特別措置として一時的に六課へ出頭することになった人物や。 正式なメンバーではない為、いろいろと制約と自由の違いはあるが、私らの手助けをしてくれる力強い味方である事は間違いない。皆、仲良くするよーに」 最後はちょっと茶化すように告げる。 場の空気が和んだところで、はやてが促すまま二人が一歩前に出た。 「まず、皆顔くらいは会わせてるやろ。数日前から六課にいて、今日正式に契約を交わしたダンテさんや」 「ダンテだ。ま、よろしく頼むぜ」 以前とは違う借り物の制服姿ではない、真紅のコートに身を包んだ彼本来のスタイルでダンテは軽く挨拶をして見せた。ウィンクもおまけに付ける。 既にほぼ全てのメンバーと交流のある彼の参入は好意的に受け入れられた。スバルが軽く手を振るのを、隣のティアナが諌めるのが見えて苦笑する。 そして、もう一人。こちらは新人達には全く見覚えの無い男に紹介が移った。 「こちらは本局から来ていただいた、無限書庫のユーノ=スクライア司書長や。 私よりも偉いので、言うまでも無いけど失礼のないように。気さくな人やけど、高町隊長とプライベートな関係やから玉の輿狙う娘は命賭けてなー」 「はやて……」 真面目な顔で冗談とも本気とも取れないことを告げるはやての傍らで、ユーノとなのはが引き攣った笑みを浮かべていた。 一方で、この意外な人物の登場に初耳のメンバーの中ではどよめきが起こっている。 本局勤務の重役が、身一つでやって来たのだ。個人的なコネや要請でどうにか出来る人物ではない。 ティアナや一部の聡い者達が疑念を抱く中、ユーノは咳払い一つして、人当たりのいい笑みを浮かべた。 「ユーノ=スクライアです。未だに情報の少ない<アンノウン>に関しての分析などでサポートする任に就きました。所属としてはロングアーチに位置します。どうぞ、宜しく」 簡単な紹介が終わると、堅苦しい場はそこでお開きとなった。 レクリエーションのような軽い雰囲気の中、オフィスのメンバーは二つに分かれる。 隊長陣を中心としてユーノの下に集まる者と、既に大半のメンバーと親しくなっているダンテのグループだ。 「これからお願いします! ダンテさん!」 「空中戦のログ見せてもらいました! スゴイです! あの、剣も使うって本当ですか? 良かったらボクと模擬戦……」 「エリオ君、いきなりそんなこと言ってもダンテさん困っちゃうよ。あの、これからよろしくお願いします」 『キュクルー』 抱きつかんばかりに駆け寄ってきたのは新人メンバーだった。 若さゆえの素直な性分か、真っ直ぐな好意を向けてくる三人にダンテはらしくもなく尻込みしていた。 スバルはもちろん、控え目ながらも初対面とは変わって警戒心の無いキャロの笑み。エリオに至ってはダンテに向ける視線がテレビの中の有名人に向けるそれである。 荒事ばかりの人生のせいか、尊敬と敬意を持たれるのはどうにも慣れていない。警戒混じりのフリードの素っ気無さくらいで丁度いいのだ。 「ハハッ、ここまで歓迎されるとこっちが度肝を抜かれちまうな。まあ、猫の手だとでも思って気楽に接してくれ」 何とも言いがたいむず痒さを苦笑に変えて、ダンテは言った。 そして、まるで流れ作業のように次々と見知った顔が前に現れ、言葉を交わしていく。 「ダンテさんの剣はデバイスと一緒に預かっておきます。メンテナンスもバッチリ任せてください!」 「頼もしいな。ティアがいなかったから、デバイスの方はしばらく触ってないんだ」 「ティアナのクロスミラージュも相当ですけど、ダンテさんは更に過激な扱いしてますね。二人してデバイス泣かせですよ?」 「デリケートな扱いは苦手でね」 「でしょうね。……剣の方ですけど、すこーし解析させてもらってもいいですか?」 「……分解はしないでくれよ」 シャリオの言葉に苦笑いを返し、 「六課に歓迎しますぜ、旦那」 「ああ、まったくいい所だ。美女に囲まれた理想的な職場だな。これで花の首飾りとキスで歓迎されれば文句無しだ」 「そいつはフェイト隊長にねだってください。ハグなら、俺がなんとか」 「男と抱き合う趣味は無いぜ」 「俺もです」 数少ない同性同士、妙に気心の知れた笑みを浮かべ合いながらヴァイスと軽く拳をぶつけ合う。 そうして一通りの挨拶を終えると、ダンテはあからさまに『今気付いた』と言わんばかりに驚きの表情を浮かべて、離れた場所で佇む最後の一人を見つめた。 「Hey! こいつは驚いたな、俺の知り合いにソックリだ。つい最近振られたばかりの相手でね」 「うっさい! ……あの時は、悪かったわよ」 3年ぶりの再会を数日前に自ら台無しにしてしまったティアナは、ダンテのいつものジョークに対して少しばかり気まずそうに返した。 あの時は、色々問題を抱えていて素直に再会を喜べなかった。 現金な話だが、その問題が解決した今、誰よりも彼に話を聞いてもらいたい。そんな想いをおくびにも出さず、腕を組んで不機嫌な表情を作る。 もちろん、その全ての虚勢を見透かしたダンテは、笑いながら静かにティアナの下へと歩み寄った。 「あの時は傷付いたな。こう見えて、中身は結構ナイーブなんだ」 「……ごめん」 「冗談さ」 「分かってる。でも、ごめん。アンタから……逃げたわ」 最悪のタイミングでの再会だった。 彼から教わった信念を何一つ貫き通せず、敗北し、惨めな自分の姿を見られたくなかった。精一杯の虚勢で拒絶し、そんな行動の中で自分は一瞬彼に縋ってしまおうかとも考えたのだ。 情けなさと悔しさ、自己嫌悪が蘇って、それを堪える為に唇を噛み締める。 「そういう所は相変わらず不器用な奴だな」 そんな変わらない性格を、ダンテは苦笑して受け入れた。 「でも変わったよ、お前。3年前とは見違えた」 「……本当?」 「スタイルの話じゃないぜ?」 「バカ。真面目に言ってよ」 「こいつは失礼。雰囲気というか、顔つきがな……ティーダに似てきた」 ティアナは驚いたようにダンテを見上げた。穏やかな微笑みが浮かんでいる。 彼が時折見せる、挑発するものでも茶化すものでもない――それこそどこか兄の面影を感じる、包み込むような優しい笑顔だった。家族に向ける顔だった。 「あたしが、兄さんに……?」 自己嫌悪など吹っ飛んで、ティアナはダンテの発言の真意を確かめるように尋ねた。 途端、真摯で真っ直ぐだった瞳が悪戯っぽく歪む。 「ああ。アイツ、女顔だったからな」 「もうっ!」 それがダンテなりの照れ隠しだと長年の付き合いで分かっていたが、上手くかわせるほど老練もしていないティアナは頬を膨らませて胸板を殴りつけた。 怒り任せにしては随分と軽い音が響き、そのまま二人の間に沈黙が走る。 「……ありがとう」 「ああ――会いたかったか?」 「たぶんね」 「釣れないな」 そして、二人はごく自然に抱き合った。 異性としてのそれではなく、家族として。激しくは無く、ただ静かに。 3年という月日で離れた距離をたったそれだけで埋め合える、酷く穏やかな抱擁だった。 「こういうの、何て言うんだったか……」 「感動の再会、でしょ?」 温もりを感じ、軽口を返して、ティアナはその時ようやくダンテとの再会を果たせたような気がした。 しばらく動かずにその体勢のままでいる。 心地良かったが、心の片隅で違和感を感じていた。 ――はて、何か忘れちゃいまいか? 「…………グスッ。よかったね、ティア」 聞き慣れた相棒の声と鼻を啜る音を聞いて、ティアナは瞬時にダンテの懐から飛び退った。 我に返ったティアナは自分の置かれていた状況を思い出し、戦慄と共に周囲を見回す。 返って来たのは映画のクライマックスを見守る観客のような生暖かい幾つもの視線だった。具体的にはニヤニヤしていた。 当のスバルは涙と鼻水を垂らしながらも笑みを浮かべるという感激の極みといった表情で、その傍らではエリオとキャロがどこか羨ましそうにこちらを見ている。 親愛に満ちた二人の抱擁は、家族の愛に飢えた子供達を大いに刺激したらしい。 「な、な、な……っ!?」 ドモるどころか言葉にも出来ず、壊れたように繰り返すティアナが顔を真っ赤にしながらダンテの方を見ると、こちらは相変わらず飄々とした態度で肩を竦めていた。 全て分かっていて続けていたらしい。 怒りと羞恥で脳みそが破裂しそうな感覚を味わいながら、この混沌とした心境をどう表せばいいのかも分からず、更に混乱する。 そんなパニック状態のティアナにスバルがトドメを刺した。 「記念に一枚撮っておこうか?」 理性の糸をぷっつんと切ってしまったティアナは、奇声を上げながらスバルに殴りかかった。 賑やかなダンテを中心とした集団から離れて、ユーノとそれを囲う旧知の者達がそれを見守っていた。 「大人気だね」 「絵になるからなぁ、ちょっとしたアイドルや。士気の面でもええ効果やね」 苦笑するユーノにはやてが相槌を打った。 ダンテとユーノは同じ立場のはずだが、こちらにははやて達三人の隊長陣とヴォルケンリッターが静かに寄り添うだけだ。 人望の差――などと卑屈に考えることはないが、自分の役職の重さが肩に乗っかっているような気がして、ユーノは人知れずため息を吐く。 こうして10年来の友人と再会しても、子供の頃のようにはいられない。 なのはとオークションで再会して以来、時折そんな切なさを感じることがあるのだった。 「でも、驚いたよ。ユーノ君が来るなんて、わたしギリギリまで知らなかったんだから」 あえて黙っていたのであろうはやてに対して少し怒るように、なのはが言った。 フェイトも同感だった。 「理由はともかく、よく無限書庫を離れられたね?」 「書庫の管理体制には以前から改善案が推されててね。今回は、その新しいシフト設置に乗じて暇を貰ったワケ。定期的な連絡は必要だけどね」 「それにな、ユーノ君が六課に来たのは呼んだからやない。本人からの要望と本局の許可があったからや」 その予想外の答えに、全員がユーノの顔を見つめた。 ユーノが<アンノウン>の情報解析に必要な人材だと判断する根拠も分かっていないのに、それを本人が志願したというのだから当然だった。 奴ら――<悪魔>との遭遇は、ユーノにとってあのホテルでの一件が初めてのはずだ。奴らを一体何時知り得たというのか? 「――詳しい内容は、後で改めて話すよ。あのダンテさんも交えて」 皆の疑念に満ちた視線を受け止め、ユーノは小さく頷いた。 「今、言えることは……僕はずっと前から奴らを知っていた。もちろん、知っているだけで、その存在を信じるようになったのはつい最近だけどね」 「どういう、ことなの?」 「何もかも不確定だけど……奴らの記録自体は実ははるか昔からあったんだ。ただそれを誰も現実として受け止めなかっただけでね。 僕はあのオークションの日まで、個人的にその記録を調べていた。神話や物語を読むような気分で。だけど、あの日確信した。 <悪魔>は、実在する」 狂人の戯言とも取れるユーノの発言を、その場の全員が全く疑いなく受け止めていた。改めて突きつけられる現実への戦慄と共に。 これまで遭遇し、それでも尚別のモノへと結び付けようとしていた逃避にも似た認識を、ユーノの言葉がハッキリと切り捨ててしまった。 「ハッキリと確証は持てないし、まだまだ分からないことは残ってる。だけど、あのオークションの事件を切欠に僕なりに色々調べてみたんだ」 もはや周囲の誰もが沈黙し、ユーノを見つめていた。 ダンテ達の喧騒が酷く遠くに思える。 「全て説明するには時間が掛かる。だから結論だけ告げておくよ――この事件の黒幕の一人は、おそらくウロボロス社のアリウスだ」 ユーノの唐突な発言に呆気に取られるしかないはやて達を尻目に、彼は捲くし立てるように続けた。 「そして敵の目的はこちらの世界と悪魔の存在する世界――<魔界>を繋げることだよ」 確証は無く、ただ確信だけを胸に告げるユーノの脳裏には、あのホテルでの一件以来何度も思い出す本の一文が繰り返し浮かんでいた。 されど魔に魅入られし人は絶えず。 彼らは魔を崇め魔の力を得んと欲し、大いなる塔を建立す。 その塔、魔の物の国と人の国とを結び 魔に魅入られし者は魔に昇らんと塔を登れり。 そはまさに悪業なり。 そはまさに<悪業>なり――。 彼は夢を見ていたらしい。 その夢の中で彼は、初めて手にした剣で迫り来る黒い敵を延々斬り続けていたのだが、その黒い敵の姿形は、時として醜い肉塊のような化け物であったり、亡者の如き骸骨の群れであったり、あるいは彼に生き写しの弟の姿であったりした。 最後に切り裂いた影の姿が、ぼんやりと記憶に残る母親の顔をしていたような気がしていたが、そこで我に返った彼の立つ場所は、いつの間にか巨大な塔の頂上に変わり、瞬きする間にはこの世ならざる魔の河が流れる異空間へと行き着いていた。 取り返しのつかないミスを犯したことに気付いた彼は激しい怒りと喪失感に叫び声を上げるのだが、その時にはまたも場所は移り変わり、其処は無数の墓石が並ぶ墓地となっていた。 人間の名前、悪魔の名前――墓石に刻まれた文字はその全てが彼の知る者達の名前だったが、最後の墓石に刻まれた名前が自分自身のものであると気付いた途端に目が覚めるのだ。 誰が、何の為にかは分からない。何度も繰り返される問いかけを耳にして。 《――更なる恐怖を、望むや否や?》 深夜。 主が出て行って間もないその事務所には、早くも灯りが戻っていた。 看板が<Devil May Cry>の文字をネオンの輝きで描く。その光を見るだけで、暗闇に潜む者たちは背を向けて立ち去った。 悪魔さえ泣き出す男の所在を、その輝きは示しているのだから。 「デビル……メイ……クライ」 光と静寂の満たす事務所の中で、男は佇んでいた。 ドアだけが新調され、荒れ果てた内部を一通り見回り、自らの目的が達せられないことを悟ると、彼はただ静かに座る者の居ないデスクを眺めている。 目を細め、耳を澄ませて、つい先日までここで生活していた者の残滓を手繰るように。 「――ダ、ダンテェッ!?」 唐突に、飛び込んできた騒音によって静寂は破られた。 不快感を欠片も表に出さず、ただ淡々と振り返った男が見た者は汗だくになって駆け込んで来たレナードの肥満体だった。 滅多にしない運動によるものだけではない汗も、そこには混じっている。 追い詰められた必死の表情が、事務所の中に居た男の姿を捉えた途端希望に輝いた。 「な、なんだよ……戻ってきてたのかよ、ダンテ!? 助かったぜ!」 「……」 縋り付くレナードを無感情に見下ろし、男は近づいてくる複数の人の気配を感じて視線を入り口に戻した。 粗野な性格をそのまま格好にも表した、明らかに堅気ではない男が数人乗り込んでくる。 いずれも良く言えば屈強、悪く言えばチンピラのような風情の者達ばかりであった。 「レナァァードォッ! 前金返すか、命で支払うか!? 選べって言ってんだろぉがっ!」 「ヒィッ、だからもう全部使っちまったって言っただろぉ!?」 「仕事も果たさねぇで、フザケタこと抜かしてんじゃねえ! テメェ、あのダンテに渡りを付けられるって売り文句はどうしたい!?」 リーダー格らしい男の怒声の中に含まれた言葉に対して、男はようやく反応らしい反応を見せた。 「……ダンテ」 呟き、鉄のように動かなかった表情が僅かに震える。 「あん? なんだぁ、このアンチャンは?」 「すっげ、シャレた格好してるなぁ。目立つ目立つ」 「お~、見ろよこの剣」 「ヘンな剣だな?」 「オレ、知ってるぜ! これ日本刀だろ?」 チンピラ達の顔に悪意と愉悦が滲み、はやし立てるように男を取り囲んだ。 男の整った顔立ちやスラムには見られない小奇麗な格好に対する暗い妬みと、ソレに対する暴力的な衝動が彼らを動かしていた。まるでそれが彼らという種の本能であるかのように。 しかし、周囲の有象無象に比べれば幾らか理性的なリーダー格の男は、値踏みするような視線を向けていた。 「……銀髪に奇妙な剣を持った男。オイ、アンタはまさか……」 「そ、そうだよ! このレナード様は請けた仕事はしっかり果たすぜ? こいつがダンテだ!」 男の背後で震えていたレナードは、ここぞとばかりに捲くし立てた。 管理局に向かったダンテが何故戻って来たのかは疑問だが、今はとにかく首の繋がった安堵感が勝っている。 先ほどまで殺気立っていたチンピラ達へ身代わりとなる生贄を捧げるように、レナードは男の背を押した。 「なるほど、アンタか。レナードの話じゃあ、しばらく依頼は受けないと言ったらしいな? だが、テメェの都合なんて関係ねぇ。いくら腕が立とうが所詮便利屋だ。オレ達のような組織の恩恵無しじゃ、ロクに生きていけねえことくらい分かるだろ? ん?」 「……」 脅すような視線と嫌らしい笑みを浮かべながら、自分こそ強者であると強調するように男の顔を覗きこむ。 しかし、そこに在ったのは全く変わらず貫き通された無表情だけであった。 「何、気取ってんだぁ!? 噂だけの優男がよぉ、こんなご大層なモンぶら下げやがって――」 目の前のリーダー格が理想としているらしい『静かなる威圧』が実効を示さず、怯えの欠片も見せない男の様子に業を煮やした仲間の一人がおもむろに手を伸ばした。 その手が、男の握る刀の柄に触れようとした瞬間――指が五本とも根元から落ちた。 「あれ?」 肉と骨が見える綺麗な五つの切断面を眺め、痛みよりもまず疑問を感じる。 その一言が彼の遺言だった。 斬り落とされた指と同じ末路を、彼の胴体と頭が辿った。 「え――」 仲間の体が一瞬で幾つものパーツに分かれ、床に転がる生々しい音と光景を現実として受け止め、男を囲っていたチンピラ達の何人かが間の抜けた声を出す。 「ひ――」 そして、それが悲鳴と怒号に変わる前に、全てが終わった。 今度は狙い済ましたように顔だけ。周囲のチンピラ達の首から上がスライサーに掛かったかのように輪切りにされ、驚くほど静かな出血と共に床に崩れ落ちた。 遅れて胴体の転がる音が響き、最後に小さくキンッという金属音が鳴る。 いつの間にか抜刀された、男の持つ刀が鍔を鳴らす音であった。 「……ひっ、ひぃぃぃぃッ!? ダンテェ、何やってんだよぉぉぉ!!?」 死体となった者達の代わりに背後で尻餅をついていたレナードが悲鳴を上げる。 ダンテ――そう呼ばれているはずの男は、その言葉に全く反応すら見せず、来た時と同じように淡々とした足取りで事務所のドアを潜った。 そして、チンピラ達の中で唯一生き残った――目の前の惨劇に、生きているという自身の幸運すら分からずただ呆然としていたリーダー格の男は、すぐ横を通り過ぎた<蒼い影>を見て我に返った。 「テ、テメェェーーーッ!!」 怒声というよりは悲鳴に近い叫び声を上げて、懐から取り出した武器を立ち去ろうとする男の背に向ける。 肩越しに振り返り、男はその武器の正体を把握した。 「魔導師か……」 震える腕で突きつけているのは片手杖型の汎用デバイスだった。 性能的には何の変哲もないが、正式な登録を抹消された違法品である。正確には元魔導師であり、今は犯罪者に身を落とした人間だった。 「そうだ! 言っとくがコイツの殺傷設定は……っ!」 言葉は、文字通り寸断された。 再びキンッという鍔鳴りが響く。誰も、男の抜刀の瞬間を見極めることなど出来なかった。 いつ抜かれたのかも分からない刀が鞘に戻った瞬間、超高速の太刀筋に時間が追いつく。 突きつけられたデバイスの先端に切れ込みが出来たかと思うと、そこから真っ直ぐな亀裂が走り、その先にある腕を伝って持ち主の体を真っ二つに斬り裂いた。 デバイスと人体を切断した斬撃はそのまま背後の事務所にまで到達してようやく止まる。入り口のドアが斬り崩され、その上にあるネオンの看板まで破壊した。 もはや人間技ではない。 全てを見ていたレナードは、言葉もなくただ恐怖に震え、漏らした小便で濡れた床にへたり込み続けるだけだった。 「あ、悪魔……っ」 奇しくも、ここを去るダンテに告げたものと同じ言葉が漏れる。 男は――少なくとも『ダンテと瓜二つの顔を持つ』蒼いコートの男は、惨劇の場と化した事務所からやはり淡々と歩き去って行った。 凄まじい斬撃によって半壊した<Devil May Cry>というネオンの看板が火花を散らして、まだ辛うじて瞬いている。 一部の光が消えたそこに残された文字は――<Devil>と、ただそれだけであった。 《――魔とは何か?》 誰が、何の為にかは分からない問いかけが何度も男の耳を打つ。 《鼠に鳥の気持ちが分かろうか? 人の子よ……貴様らは見上げる空を知るのみ。限られた幸運な存在……》 場所も時間も関係なく、ふと気付けば囁きかけてくるこの声は幻聴などではなく、あるいは男に残された人間としての部分の警告なのかもしれない。 《――無知とは祝福なり》 あるいは、その人間としての部分に気付いた悪魔達が呪いを掛けてでもいるのか。 だが、いずれも無意味なことだった。 男はもはや止まらない。 その淡々とした歩みのまま、暗闇を渡り歩き、人と悪魔の屍を残しながら、死の淵に向かって歩み寄っていく。 《この広大な世界。仰ぐしかない空の広さを知った瞬間……絶望のうちに貴様は死ぬだろう!》 「――空が青いことなど、世界を一周せずとも分かる」 そして地獄の底から響くようなその呪詛を男は――バージルは一刀の下に切り捨てた。 そっくりの顔。そっくりの力。 しかし、共に生まれた双子の歩む道は決定的に違えてしまった。 「いずれ成る。これが運命とでも言うならば……」 夜の静寂に包まれた街を、バージルは歩いていく。 おそらく同じようにここを歩いていただろう、自らの半身との再会を予感して。 「こういうのを、感動の再会と言うらしいな――ダンテ」 to be continued…> <悪魔狩人の武器博物館> 《剣》マーシレス 絡み合う蛇の装飾が施された細身の剣。 細身といっても異常な長さの刀身との比較であって、標準的な両刃剣と同じくらいの幅である。 入手経路は不明だが、アリウスの私物としてオークションに出品されていた。 同時に出品された人形が事件の切欠となっている為、この剣も管理局に押収され、現在分析中である。 その実体は、機能や魔力の付加されていない一般的な刀剣でありながら、リベリオンと同じくダンテの魔力に耐え得る魔剣。 それ自体に力は無く、長い年月で魔への耐性を付けたようだが詳しい経歴はやはり不明。 細身な為リベリオンより軽く、長い刀身も合わせてスピードとリーチに優れた武器である。代わりに威力は僅かに劣る。 だが、今のところ実戦での使用は確認されていない。 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/sutti/pages/2.html
メニュー トップページ 進軍・防衛パ 進軍・防衛パ [火]幻獣周回 クロゥラー サスーリカ ヴァイナメリオ オウルソビア アニミスティル マガツヒメ ハーミット アミー スペクター アルラウネ アグニ ドナカビス サイクロパス グラディプス セリーズ [樹]幻獣周回 アニンガン ハルトケファー パワーズ バルジーニ アルコーン ファラオ ウロデラディダ ガウリード ジュロウシ イーラジモス ユーノ ヴィラネア シーホーク ポポル 樹サンダルフォン ヤマタノオロチ [水]幻獣周回 ビヒモタマス アスロスティア ナナチダツ ホムンクルス キハチボシ クリム・プリースト シームルグ デルマランサ アラガン ハティ ガシャドクロ エルホワート ウェルブモルス [光]幻獣周回 デナイア バイロン トムテ セタセアン アルヴニーケ ダォグラ ザドキエル パラケルスス ボルバザーク アイギス [闇]幻獣周回 スヴァッガァ ツツガミ トウテツ ネクタレーヴ クァチル 闇サンダルフォン ブラドイーター イグナーツ メインクエ メインクエ ここを編集
https://w.atwiki.jp/animesongs/pages/1964.html
魔法少女リリカルなのはA s 魔法少女リリカルなのはA s サウンドステージ02 魔法少女リリカルなのはA s サウンドステージ02(Amazon) 発売元・販売元 キングレコード株式会社 発売日 2006.01.12 価格 2500円(税抜き) 内容 はやて、帰宅 管制人格 無限の旅路〜友へ〜 歌:シグナム(清水香里) なのは&フェイト、本局内部見学 なのは&フェイト、二人の将来? 海鳴大学病院 はやて、闇の書の意思と出会う 闇の書の意思、騎士たちの過去を語る なのは&フェイト、クロノと なのは、ユーノと電話 フェイト、夜空の下で 翼 歌:フェイト・テスタロッサ(水樹奈々) はやてと、闇の書の意思と 記憶の彼方 八神家の午後 夜〜夜天の主、星空を見上げて Snow Rain 歌:八神はやて(植田佳奈) 次回予告 備考
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/1724.html
1 この作品にはあるネタが含まれています。TS、逆転、反転などにティンとこられて嫌悪成される方は読み飛ばしていただけると幸いです。 なのは「あのね、シン君」 それは、放課後の帰り道の途中。 唐突に語られた言葉だった。 高町なのはとシン・アスカは、日が沈みかけ、夕日によって赤く染め上げられかけている町を二人で歩いていた。 季節は春の様相を見せながらも、未だ肌寒い。 なのはは厚手のセーターに身を包み、シンもまた長袖を着用している。 もっとも、シンは袖をめくり、襟元もネクタイを緩めたままであるのだが・・・ その姿がなのはは嫌いではなかった。 ぼさぼさの黒髪に、鋭い瞳の彼にはその姿がやけに似合っていたからだ。 かといって、それが粗野には見えないような絶妙なライン。 粗野ではなくラフとワイルドの間にあるような妖しさ。 シンは不思議そうになのはを見やる。 シン「・・・なんだよ、いきなり」 なのは「うん、あのね。ちょっと相談したいことがあるんだけど・・・」 シン「重要なことなのか?」 なのは「うん、割と」 なのはを見つめる気だるげだったシンの赤い瞳に真剣さが宿るのを見て、なのははつと見上げていた視線を下げる。 唇を少しだけかみ締めて、己の本心が悟られないように。 シン「腹も減ったしな・・・スタバでも行くか・・・」 なのは「ううん。歩きながらでいいよ。シン、今月はお小遣いピンチでしょ?」 シン「いいんだよ。俺が今すぐコーヒーが飲みたいんだからな」 ぶっきらぼうな、それでいて分りやすい気遣い。 なのはに対して大切なことを話すためにどこか場所を設けようと言うのだろうが ばればれだよ、シン君 内心でそっと微笑み、再びシンを見つめなおす。 最近自分の身長を追い越した彼を見つめて なのは「あのね・・・この間、なんだけどさ・・・・」 ユックリと大きく息を吸い込む。 陽射しは暖かくとも、冷たい空気が肺の中に広がり自分自身が冷静になるような錯覚に陥る。 無論、それは錯覚でしかなく、冷たさが冷静さに転じることなどありえるはずも無いのだが。 赤い瞳からさっさと話せというような死線に突き動かされるように、なのはは言葉をつむぐ。 なのは「ユーノ君から・・・告白されたんだ」 なのはのその一言に、シンは大きく目を開き、歩みを止めて シン「はぁ!?」 信じられない問いばかりに大げさに声を荒げた。 シンとなのはは幼馴染 ~四月馬鹿の大盤振る舞い~ お、おちつけ!! シンは視線だけを動かして内心でそう叫んだ。 冷静になれと心の中で繰り返し、息を吸い込もうとして、やめた。 そんなことをしても意味はないと思ったからか、それとも別の理由からなのかは彼にもわからなかったのだが・・・ シンとなのはたちには共通の友人がいる。 一人は金の髪を持つハラオウン家の養女、フェイト・T・ハラオウン。 一人は茶色の髪を持つ、明るい彼女達のムードメイカー、八神はやて。 彼ら四人は、幼い頃から死線をかいくぐった戦友同士であり、一線級の魔道師である。 笑い、怒り、悲しみ、時には喧嘩することさえあったとしても、その認識に間違いはなく、前線においてその力を遺憾なく発揮した。 しかし、そんな四人以外にもう一人。 影の立役者というべき者が存在する。 彼らのように華々しい戦果を上げるわけでもなく、彼らを率いる将でもない。 時には彼らの戦いをその知略で救い、その優しさで和ませ、勇気を持って前線へと赴いた者。 ユーノ・スクライア 彼女達のように卓越した魔力も、攻撃手段も何も持たずに。 それでもなお彼女達と共に戦い抜いた戦友である。 だから、なのはの呟いた言葉にその名前が出てきたこと自体が信じられなくて シン「・・・告白、されたのか・・・?」 なのは「・・・うん」 シン「いつ?」 なのは「えと・・・この前の任務の後だから・・・一週間前、かな?」 シン「誰、からだ?」 なのは「えと・・・ユーノ君」 なのはの言葉を、一つ一つかみ締めるようにシンは空へと視線を向ける。 赤い空、赤い雲、そしてわずかばかりの暗い藍色へと変化しつつあるそれらを見つめて何を言えばいいのかとわずかばかり口の中で反芻しながら、とりあえずの言葉を探し出した。 シン「・・・そうか・・・」 なのは「そうかって・・・なんかいい加減だなぁ」 本気で相談してるのに、となのはがふてくされるのを気配で察したが、シンにとってはそれは仕方の無いことだった。 その内容はあまりにも重大で、唐突で。 ぶっちゃけ信じられないことではあったのだけれども・・・ シン「それは、まぁ・・・重大だな、割と・・・」 なのは「うん。かなり、かな」 分りきった社交辞令でしかなかったが、返された言葉にシンはため息を付きたくなるのを懸命にこらえた。 これ以上の不幸なんていらないし、それがただの迷信だとしても、確率としては排除していきたいのだ。 まぁ、それでも一言文句は言っておかねば気がすまないのだが。 シン「ていうか、そんな重大な話を帰り道で言うなよな・・・」 なのは「だって、シン君と二人っきりなんて今くらいしかないんだもん」 シン「しかし、だからって・・・」 なのは「フェイトちゃんやはやてちゃんにも相談なんて出来ないもん・・・あの二人が何を言うかなんて決まってるんだから」 シン「あー・・・まぁな」 うねるような納得の言葉に、シンはここに居ない二人の戦友を思い浮かべた。 彼女たちはどういうわけか、彼に想いを寄せている。 それこそ、普段は人の好意に対して鈍感なシンでも気が付いてしまうほどに。 しかし、彼らは距離が近すぎた。 戦友として男女の区別なくいられた時代から、当たり前のように共にいたのだから、それもやむなしである。 本来ならば、彼女達の誰か一人と心を通わせればいいというだが。 シンにはそれが出来なかった。 あまりにも皆が近すぎて、皆で共にいるのが当たり前すぎて。 誰一人として離れて欲しくないなどと思ってしまうほどに。 ある意味では、シンこそが彼女達に依存しているといえるほどなのだが・・・ 余談ではあるがそんな彼を見て某喫茶店の長男は「このヘタレが!!」という言葉と共に末の妹に頭を冷やされたと言う。 ちなみにその日、桃色の光が地上から夜空へ向かっていると言う目撃情報が多数確認された。 その後、なのはが夜空を見ながら某野菜人の一人が言った「花火に対する悪口」を口にしていたのはいまだに忘れがたい思い出だった。 ある重病患者は、その光を見て自分の命を懸けた手術に挑む決心をして、見事成功したという話があるが今は関係ないので割愛する。 ともあれ、そんな風にシンを中心としたスクェアラー(実際はもっと多いのだが)が展開し、だれか一人が抜け駆けしようとすると他の二人に阻止されると言う現状が続いていた。 また、これを見て某提督の息子は「これぞアスカ三分の計」とのたまった後に金色の稲妻にその身を焼かれることとなった。 だからこそ、動かせるとしたらシン本人しかおらず、誰も彼もがどうなるのかとトトカルチョに目を向けている中。 突如として外部からの侵攻を許してしまったのである。 これを、フェイトとはやてが知れば嬉々としてユーノとくっつくように仕向けられてしまうだろう。 さらには、他にもえげつない手を打って出てくるのかもしれない。 親友同士でそれはどうなのかと思わなくは無いのだが、普段の暴走した彼女達を良く知るシンにとってはそれは用意に想像できる最悪の未来予想図の一つであった。 親友同士で良いボートなんて冗談じゃないぞ・・・ 心の中で呟いて、なのはを見やる。 なのはも、どうしていいのか分らないのか、シンを見つめたまま彼の出方を伺っていた。 しばしの沈黙が流れ、シンはつと前を向き歩みを再開させる。 なのは「あ!ちょっとシン君!!まってよ~」 いきなり帰り始めた想い人に、なのはが文句を言いながらも追いつく。 そのまま横に並び、頬を膨らませシンをジト目でにらむ。 なのは「・・・いきなり逃走って、ひどくない?」 シン「いつまでもあんな所で青春物語なんざやってられるか・・・歩きながらでいいだろうが」 なのは「歩きながらのほうが、恥ずかしい気がするけど?」 シン「それでも誰が聞き耳立ててるかわからないんだ、こっちのほうが良い」 なのははそういうものなのかと呟く。 やはり、男の子というものは良く分らない。 これまで十年近くを共に過ごし、お互いが空気のようになっていてもいまだ彼との間には大きな溝がある気がする。 それは、男と女という大きすぎる溝ではあるのだが・・・ シン「俺は」 考えていたなのはの思考を無視するように、シンが口を開く。 その唐突な一言に、なのはもにらみつけるのをやめて、静かに彼の言葉を待つ。 シン「俺は、お前の気持ちを尊重する」 なのは「・・・シン」 その言葉に、なのはは無性に悲しくなった。 まるでなんでもないかのように、彼女などなんでもないかのように感じられて。 気持ちの降下に従うように、視線が地面を向いてしまう。 一体何を期待したのかと、これまで誰も選べなかった彼に、どうしろと言うのかと。 暗く、重い感情に支配され なのは「・・・それって、さ。わたしがユーノ君と付き合ってもいいって事なの?」 シン「選ぶのは、お前だ・・・幾ら俺が何を言ったって。お前の気持ちが違うのなら・・・仕方ないさ」 なのは「私が・・・シン君以外の誰かと一緒にいてもいいっていうの?」 シン「それも含めた上での尊重、だ。なにせ、俺は臆病だからな」 なのは「わたし、シンのそういう自嘲的なところ、好きじゃないな」 シン「別に、性分だからな」 あぁ、彼はいつまでも彼なのだと、なのはの瞳が潤み始めた時。 シン「けどな」 なのは「・・・?」 これまでの自嘲を含んだ声ではなく、しっかりとした芯の通った声に、なのはが顔を上げる。 シンの顔は少しだけ歩幅を広げたせいかあまり見えない。 シン「もし、お前が離れて行くっていうのなら・・・許さない」 なのは「え?」 なるほど。 確かになのはとユーノはお似合いだろう。 なのはのように光が燦々と降り注ぐような明るく、優しげな風貌に心には。 ユーノのような穏やかで優しい笑みが良く似合う。 それは自分のように斜に構えた性格でも、人を小ばかにするような言葉や笑いでもなく。 ただ壊すことしか出来ない自分などでは到底たどり着けない境地であることは理解している。 しかし・・・ シン「お前は・・・お前らはもう俺の一部なんだ。それなのに、勝手に誰かのものになろうとするな。そんなことは許さない」 なのは「えと・・・どういうこと?」 シン「~~~~ッ!!だから!!」 なにやらちぐはぐなことを言い始めた彼に、なのはの疑問が刺さる。 シンはそれに対して肩を怒らせ始めながら、何かを噴出させるように。 シン「お前らは!その、あの・・・俺のなんだよ!!だから、その・・・お、お前らの気持ちなんて知ったことか!!」 前を向いたまま、顔を背けて言い放った。 なのははその言葉をユックリと吟味しながら、しかし彼は言葉をとめない。 シン「大体!!俺は選ばないんじゃない!!全員を選んだんだ!!それをあの人は・・・自分だって義理の妹やらイギリスのご令嬢やら忍さんやらがいるくせに・・・好き勝手言いやがって畜生!!」 なのは「いやいや、お兄ちゃん忍さん一筋だし。てかシン君、さっきと言ってること変わってるよ?私の気持ちを尊重するんじゃなかったの?」 シン「はぁ!?だから尊重してるだろうが!!俺から!お前らを!離さない!!これ以上ないだろうが!!」 なのは「うわ、幾らなんでもそれは男尊女卑じゃない?すこし引くよ?」 シン「やかましい!!」 歩幅を増やして前を行くシンを見て、なのははクスリと笑う。 潤んだ瞳をそっと手でぬぐい、彼の側へと駆け寄るために。 その傲慢で、優しい、きっと今頃は頬を赤らめ「なぜあんなことを言ってしまったのか」と心の中で悪態を付いているであろう彼女の暴君の下へと向かい シン「あぁ、それと一つ聞かせてくれ」 なのは「なに?」 いつもよりも当社比2倍は鋭い瞳に、ドキドキさせるなのはに対して。 シン「ユーノって・・・女だろう?」 そういう趣味なのか?と戦友にして異界の親友に思いをはせ、これから彼女にどうやって顔を合わせればいいのかと思考していたシンに対し。 なのは「あぁあれ?嘘だよ。今日ってエイプリルフールだし」 まるでなんでもないかのようにのたまった。 ちなみに、この後なのははシンにしばらくの間口を聞いてもらえなくなったと言う。 その姿を見てフェイトとはやてはネタに走った親友に対して最敬礼を送ったのは、また別の話である。 ユーノ・スクライア。 遺跡発掘などを生業とするスクライア家に生を受ける。 その後、PT事件や闇の書事件などへと関わりながらも自身の研究分野へと躍進していった。 女性であるのだがその名前と一人称が僕であることやその口調から性別を間違えられることがある。 ちなみに現在恋人は居ない。 しかし、片思いの相手がいるらしいのだが、ライバルが多すぎてどうしても一歩が踏み込めないとのことである。 また、彼女が酔っ払った時にロケットを開いて中にある写真に対し 「ぼくだってがんばってるんだよ~」 「う~・・・もっとかまってよ~」 「ひっく・・・ぐす・・・ンのばか・・・・」 などと呟いている姿が確認されたと言う。 2 なのはとシンは幼馴染・外典 なのは「フェイトちゃんはかわいい。そしてシン君はかっこいい」 なのは「金髪の美少女と、黒髪の美少年が、一見平凡だけど実は凄い才能を持った美少女(私)を奪い合う」 なのは「百合、戦闘、お色気・・・様々な要素を凝縮し、それでいて修羅場も恋愛も併せ持つ・・・展開に」 なのは「まさにこれぞ私の夢!!私の業!!」 なのは「わが世の春が来た!!なの!!」 なのは「そう考えていた時期が私にも無かったの」 シン「ここまで言っておいてなかったのかよ!?」 なのは「え?だって、女同士とかありえないじゃない?」 はやて「せやな。非生産的やしな」 フェイト「私も、あんまりないかな?」 なのは「だって、女同士ってなに考えてるか微妙にわかっちゃうから・・・なんていうかありえないの」 シン「そういうもんなのか?」 はやて「あれー?シン、なんでわたしを見ながら聞いてくるのかなー?」 なのは「そりゃ、フェイトちゃんとはよく一緒に寝るし、思わず美人でかわいくて色っぽくて、うらやましいって思うけどさ」 はやて「たまに殺意を覚えてまうけどな。あの色っぽさは。特に胸の大きさとか!!」 なのは「あ、でも同性でもたまにむらっときちゃうような感じはあるの」 シン「おいこら」 なのは「なんていうのかな・・・コウノトリを信じている子供に無修正のポルノを見せ付ける感覚・・・っていうのかな」 はやて「俗に言う、純真無垢な子ほど汚してみたいっていうあらわれってやつやな?」 シン「はやて、なんで俺に相槌を打つようにいうんだ?」 なのは「だから、もしかしたら私がそういった感情を得ていた可能性はあるけれど・・・」 はやて「あー・・・なるほどなー」 シン「ん?どうかしたのか?」 フェイト「二人とも、なんでこっちを見てるの?」 なのは「あれを見てるとそういう感情も起こらなくなるの」 はやて「せやな」 フェイト「え?どういうこと?」(座っているシンに抱きついたりごろごろしている) シン「?」(拒絶することなくそれを当たり前に受け入れている) はやて「あんな小さい頃から子犬みたいに付きまとってるの見せられたら・・・そんな気も起きんわな」 なのは「寧ろ私もあんなふうに抱きつきたい。抱きしめたい。ごろごろしたいの。甘えたいの」 はやて「でも、あんまりなのはちゃんがそういうのをやってるところ見んな。どして?」 なのは「いや、その・・・は、恥ずかしい。から・・・」 はやて「乙女発言いただきましたー!!」 シン「んで、二人はなんであんなオーバーリアクションで小声なんだ?」 フェイト「どうしてだろうね?あ、シン枝毛があるよ」 シン「・・・お前もなんで俺に当たり前みたいに抱きついてるんだよ・・・この季節は暑いんだからな・・・」 3 「う・・・あ・・・」 八神はやては朦朧とする意識の中目を覚ました。 茹だる様な熱とまとわりつくような湿気が肌に汗の結露を結んでいる。 体は風邪をこじらせたようなけだるさとあやふやな感覚を伝え、まるで夢のように感じさせた。 しかし、この熱と雄と雌のすえた匂い、そして首に感じる圧迫感がそれを否定する。 まるで糊でとめられていたような瞼を渾身の力をこめてゆっくりと時間をかけて開いていく。 瞳に入る光量は少ないが、もともと暗闇に慣れた身にはさしたる不都合もなく、周囲を観察することができた。 一番最初に映ったのはコンクリートの床と薄暗い部屋。 それなりの広さはあれども目覚めたばかりで 薄暗いために完全には見通すことができない。 そして、 「あぁ、目が覚めたんですね」 自分につけられた首輪から伸びた鎖を、椅子に腰掛けながらもてあそんでいる一人の少年。 黒い髪に鋭い赤色の瞳、何も上半身にまとわずに白い肌をさらけ出しているそのよく知っている姿を確認して。 「し・・・ん・・・」 「えぇ、おはようございます。はやてさん・・・いや」 少年はにまりと、まるで獲物をいたぶる捕食動物のような笑みを浮かべて 「遅かったじゃないか、このメス豚」 彼、シン・アスカは言い放った。 ここから先は≪禁則事項です≫されました。 せっかくだから赤い扉を選ぶぜ!!という猛者はわっふる!わっふる!!のボタンを押してください 。
https://w.atwiki.jp/racingheart-ex/pages/26.html
基本コスト:5 輝かしき記録をもつ馬をここに 馬名 距離適性 特殊能力1 特殊能力2 特殊能力3 一言 所有者 アドマイヤドン 1600~2000 ダートの鬼 オールラウンダー(コース) 連覇 ダート絶対王者。地方・中央問わず、圧倒的な強さを誇り、JBCクラシック三連覇という偉業をやってのけている。芝でも朝日杯を勝っており、その柔軟性は恐るべきモノ。母は二冠馬ベガ、兄にダービー馬アドマイヤベガという超良血でもある。 那美 グッバイヘイロー 1400~2400 クィーン アイドルホース 偉大なる母 那美 ジャイアンツコーズウェイ 1400~2000 鋼の体 完全連対 オールラウンダー(完璧) 那美 トニービン(Tony Bin) 1600~2800 凱旋門の栄光 重馬場○ リーディングサイアー 凱旋門賞を始めとして欧州でGⅠを5勝した名馬。JCで引退し、そのまま種牡馬入りし、サンデーサイレンス、ブライアンズタイムと共に一時代を築き上げた。産駒は東京専用か、と思うほど東京競馬場で良績を上げた反面、他の競馬場では京都で頑張れる程度、という極端な感じ(笑)。 那美 メジロラモーヌ 1600~2400 大奥 連勝街道 JRA賞受賞馬 那美 モンジュー 1800~2400 メルトダウン 凱旋門の栄光 不良馬場の鬼 那美 ラムタラ 1400~2400 神の見えざる手 G1ハンター 絶対無敵 わずか1戦のキャリアでイギリスダービーを制し、そのまま欧州三冠を達成した奇蹟の馬。日本に32億円で輸入された超期待種牡馬だったが、値段の割にはイマイチで、最近イギリスに買い戻された。 那美 ロックオブジブラルタル(Rock of Gibraltar) 1200~1600 ザ・ロック 王道競馬 連勝街道 GⅠ7連勝という世界記録を持つ、21世紀最強馬の1頭。オブライエン厩舎の看板で、『ザ・ロック』の愛称で親しまれた。 那美 アグネスデジタル 1600~2000 レコードブレイカー オールラウンダー(コース) オールラウンダー(国境) 早苗 アファームド(Affirmed) 1400~2400 鋼の体 ライバル(先手) 年度代表馬 現時点で最後のアメリカ三冠馬。 早苗 シアトルスルー(Seattle Slew) 1400~2400 常勝の帝王 王道競馬 ダートの鬼 早苗 シンボリルドルフ 1600~3200 常勝の帝王 皇帝の系譜 馬車に乗る馬 日本競馬史上4頭目のクラシック三冠馬であり、また初めて無敗でクラシック三冠を達成した。「皇帝」、または「七冠馬」と称される。 早苗 ナリタブライアン 1200~3200 人気者 レコードブレイカー シャドーロールの怪物 『シャドーロールの怪物』の異名を持つ中央競馬史上5頭目のクラシック3冠馬。有馬記念も制している為、4冠馬とも呼ばれる。半兄にビワハヤヒデがいる。 早苗 ザルカヴァ(Zarkava) 1400~2400 常勝の帝王 不敗神話 凱旋門の栄光 7戦全勝 全てのレースで2着との差が2馬身~3馬身以内と圧勝ではないが安定感があった。フランス牝馬三冠(死語かw)後の凱旋門賞を勝って引退。当然のように欧州年度代表馬に選ばれる。 真 サンデーサイレンス 1900~2400 リーディングサイアー 噛み付き サンデーサイレンス帝国 アメリカ三冠の内の二冠を含め、GⅠ6勝。連対を外さないまま、競走馬生活を終える。引退後は日本で種牡馬となり、95年から13年連続でリーディングサイアーを獲得するなど、日本競馬界に一大勢力を築きあげた(日本競馬史上唯一の牡牝三冠馬を輩出した種牡馬でもある)。 真 ディープインパクト 2000~3200 アイドルホース 年度代表馬 レーティングNo.1 日本中央競馬史上6頭目のクラシック三冠馬。同時に史上2頭目の無敗で三冠を達成した馬でもある。 真 ラウンドテーブル(Round Table) 1000~2600 連闘王 鋼の体 オールラウンダー(コース) 馬名は母ナイツドーターから騎士繋がりで円卓。66戦43勝レコード16回の当時の賞金王。同時代のボールドルーラー、ギャラントマンと3強を形成し黄金時代を築いた。 真 シガー(Cigar) 1600~2000 連勝街道 GⅠハンター ダートの鬼 アメリカ最強馬の一角。16連勝(内GⅠ11勝)とかいうアホなことをやらかした、稀代の名馬。鳴り物入りで種牡馬入りしたが、無精子症であったため産駒は一頭も残せなかったかわいそうな馬でもある。種なしっていうなー(オイ)。 春閣下 デヴィルヒズデュー(Devil His Due) 1600~2000 シルバーコレクション 軽ハンデ ダートの鬼 春閣下 ミルリーフ 1000~2400 海神の怒り 完全連対 常勝の帝王 春閣下 メジロドーベル 1000~2400 クィーン ベストパートナー JRA賞受賞馬 祖父アンバーシャダイ、父メジロライアンに続き、親子三代でGⅠを制覇。桜花賞のみ2着に終わり、惜しくも牝馬GⅠのグランドスラム達成はならなかったものの、牝馬GⅠのみでGⅠは5勝をあげている。また、史上初の4年連続でJRA賞を受賞している。牝馬限定戦では8勝2着2回3着1回着外なし、という無類の強さを誇りながらも牡馬相手のGⅠでは勝利を挙げられなかった。 春閣下 ダイワメジャー 1600~2000 不死鳥の如き復活 短距離馬という名の中距離馬 兄弟制覇 皐月賞制覇後、喉鳴りで長期休養を余儀なくされるも、見事復活。秋天・安田・マイルCS(連覇)、主にマイラー路線で活躍した。 ユーノ タイキシャトル 1200~1600 マイラー 年度代表馬 藤沢軍団 13戦11勝2着1回3着1回 3歳秋から快進撃がはじまり重賞8連勝。その中には国内調教馬2頭目となる海外GⅠ(ジャックルマロワ賞)も含まれる。2,000m以上のGⅠを勝たずに年度代表馬になった始めての馬(2008年現在でもこの馬のみ) 種牡馬としてもGⅠ馬2頭を出すなど活躍している。 ユーノ タイムパラドックス 1700~2300 ダートの鬼 重賞ハンター 茨の道 50戦16勝2着7回 2004年のジャパンCダートで同厩舎の圧倒的1番人気(1.7倍)アドマイヤドンを破りGⅠ初制覇。それからGⅠ4勝を加える。色んな記録を持っていて、史上最高齢の平地GⅠ制覇(8歳)・6歳以降の獲得賞金額1位(2位はタップダンスシチー)・ダート競争のみの獲得賞金額1位(2位はアブクマポーロ)・世代別獲得賞金額1位(2位はジャングルポケット) ユーノ ホクトベガ 1600~2400 ダートの鬼 女傑 女王様の蹂躙 ユーノ ミエスク(Miesque) 1600~2000 マイラー GⅠハンター 偉大なる母 16戦12勝、GⅠ10勝・その中で芝8FのGⅠ8勝と牝馬ながら世界歴代でも10本の指に入るであろう名マイラー。その血は産駒で種牡馬になったキングマンボによって確実に広まっている。 ユーノ アリダー(Alydar) 1200~2400 巨漢 ライバル(後手) リーディングサイアー アメリカ合衆国の競走馬。同年生まれのアメリカ三冠馬アファームドのライバルとして知られた。 BC エクセラー(Exceller) 2000~3100 オールラウンダー(コース) オールラウンダー(国境) 三冠キラー ロワイヤルオーク賞、パリ大賞、カナディアンインターナショナル、ハリウッドゴールドカップなど欧州長距離からアメリカンダートまでG1十一勝の万能の名馬。 シアトルスルーとアファームドをまとめて負かしたこともある。 最期はスウェーデンで馬主の破産により処分される。異郷に消えた名馬のニュースは衝撃大きく、引退した馬の余生を守るエクセラー基金の設立のきっかけとなった。 ドクピン シンザン 1600~3200 ナタの切れ味 完全連対 大外テレポーター 近大競馬史に残る名馬中の名馬。戦後初の三冠馬にして、内国産種牡馬不遇の時代に数々の名馬を送り出した名種牡馬。生涯完全連対19戦というJRAレコードを保持し、サラブレッド、軽種馬の最長寿記録を達成するなど、全てにおいて常識を超越した神の馬。引退戦となった有馬記念ではライバル馬による完全包囲網を敷かれたにもかかわらず、外ラチ沿いギリギリを通ってそれを打破。伝説の一戦として語り継がれている。尋常ではない末脚から『ナタの切れ味』との二つ名を持つ。 ドクピン スティルインラブ 1400~2400 クィーン ベストパートナー 大奥 中央競馬史上2頭目の牝馬三冠馬。3歳時までは掲示板を外さず、無類の強さを誇るも、古馬になってからは使えるレースが少なかった事情もあり、府中牝馬S(GⅢ)で3着に入った以外は全く振るわなかった。 ドクピン セントライト 2000~3000 重馬場○ 重ハンデ 初代三冠馬 日本初の三冠馬。当時は天皇賞ですらハンデ制だったため、とてつもない斤量を背負うことになったので、三冠の後はあっさりと引退している。 ドクピン テイエムオペラオー 2000~3600 年度代表馬 着差以上の強さ 掲示板確保 日本の競走馬・種牡馬。2007年現在獲得賞金の世界記録を保持している。 ドクピン ニジンスキー(Nijinsky II) 1200~2400 常勝の帝王 オールラウンダー(国境) 気性難 現時点で最後のイギリスクラシック三冠馬。名前の由来はロシアの伝説的なバレエダンサーであるヴァーツラフ・ニジンスキーから。 ドクピン バローネターフ 2600~4100 障害の鬼 連覇 天より高く 1977年から1979年にかけて中山大障害を通算5勝した障害競走の名馬。 ドクピン ミスターシービー 1800~3000 末脚 極限の追い込み 交通事故(加害者) 吉永正人と共に追い込み一辺倒で三冠を制した。父内国産馬としては、唯一の三冠馬。日本競馬史上屈指の人気馬の1頭であり、アナウンサーの鈴木淑子や福原直英、ライターの須田鷹雄など「ミスターシービーが最初に体験したスターホース」という者(シービー世代と呼ばれる)も数々いる。 ドクピン オープンマインド 1400~2400 クィーン 大奥 魔法少女十字軍 (ラン) ブルーコンコルド 1200~2000 ダートの鬼 重賞ハンター GⅠの常連 (ミキ) セクレタリアト(Secretariat) 1200~2600 レコードブレイカー 重賞ハンター 圧勝劇 智代 シルフィード 1600~3200 白い稲妻 芦毛の怪物 自在脚質 ねこっちゃ 名馬リストへ ホースキャプターなみへ
https://w.atwiki.jp/nanohahearts/pages/76.html
……大仕事とはいえ、帰ってきたんだ。海鳴! 話リンク ・ストーリー 次元中に散らばった犯罪者を捕まえるために、海鳴に戻ってきた高町なのは。 旧友や家族との再会を楽しみ、そして家の中にて思うこととは。 ・内容 「ま、あんたはそういうだろうけど、謝るくらいなら犯罪者を逮捕して解決に導くことね。……ただ、あんたはできるだけ身体を養えっていいたいとこだから、前みたいな無理強いはしないように」 そしてレイジングハート。 もう戦わないつもりだったこともあり、監督係も兼ねて娘に託していたのだが。 親友二人は 「じゃあ、基本は海(ここ)で待機、ってことか」 フェイトは次元中の犯罪者を監視するために次元の海で待機。ただし海鳴には頻繁に来る予定。 フェイトの考え一つで行ってよいとのこと。 そして八神はやてはミッドチルダにて犯罪者を待つことになったらしい。 『一言でかたづけんといてえやああああああああ』 あれ、何か聞こえたような、気のせいか。 ハラオウン家マンションにて ハラオウン家マンションではなじみの顔、ユーノ・スクライアやアルフと言った面々と再会。 管理局員と一緒にこの事件に関してのマンションの荷物整理を手伝っていた。 ここでアルフやリンディからユーノとの恋模様を聞かれることに。なのははその自覚があるのかどうかになってしまっているが……大丈夫なのだろうか。 とらいあんぐるハート3あってこそのリリカルなのはHeartsなので。 高町家にて 高町家では家族との再会が当然になる。 ここで桃子から美由希の手料理をごちそうになることになってしまった。 原作では美由希は料理下手というステータスがあるが、試食してみた結果、普通に食べれる腕前に。 そうでなければ翠屋で働けないか。 自室で家族の記念写真を見るなのは。 そこにはすでにいない家族……高町恭也の姿もあった。 イギリスを飛んでいた、要人警護用にとってあるとある飛行機が突如墜落、そして爆発。そのことで、乗っていた要人、ボディガードが全員、死亡という、あまりにも惨たらしい事故。 その中に、私のおにーちゃん、高町恭也の名前もあった。 爆発という状況から、なのは自身は兄が死んだとは考えにくいということもあるようだが…… リーバルト・ダイオス 暗い洞窟の中で、リーバルトはなのはのことを感じ取っていたのか、会うのを楽しみにしていた状況。 直に会うのは第7話まで待つことになる。 ……会ってもいないのに、何故ここまで魂が騒ぐ? この衝動を抑えるには……じきに会うしか、方法はないだろうな…… 店長業務代行、メイリス 「お電話ありがとうございます、高町喫茶店……お姉ちゃん?」 なのはが海鳴を拠点としなければならない分、喫茶店の店長業務を代行する必要があるということで、 メイリス・センチュリーに店長代行を頼むことにしたなのは。 やはり盛況なのは変わらずで、なのはなりのアドバイスを少ししたところで電話は切れたが。 高町なのは 帰ってきた海鳴 フェイトの一番長い夢
https://w.atwiki.jp/hogwartslife/pages/59.html
人_ _ , ' / | \ 、 - - ァ \ /  ̄  ̄`Y´ / _ , / l ヽ 、ー-- ≦ X ! / ´// {∠_V ! 、 V ヽ \ <, -‐- 、 / \ ! / / | l Vr=示ヽト !斗、V ハ ' , -─\_ /´/ | ヽ ト_ヒ沙 ヽ \ 化レ_' N | / , '_r 二三ニニニニ l ィ ト ヽ i} ヽ! `|¨> 、 / /(ヽ ヽ二__──- / / .| Ν `リ __ __ /ん゙ //(⌒ヽ. `ヽ 、_¨ ー- ´ | イ ヽ ´ ー ` // レ, .(_ \ ー- ,, _ ̄ ¨ レ ! 人ヽ /!/ / 、 __¨ ー-ニニ_‐‐- 二う _ |、_ レ_ ト > _ ィ 〃 /( ヽ ___¨¨ ─ '' ¨ ̄ ¨¨)`ヽ _¨´_) ___ {.ヽ ノ∧ ,--、. /`!! /(´ヽ- ____ 二三三─'¨  ̄ ̄ ` ノ \ヽ / ̄./ / !! 〔/ |` ─-- ,, __ノ / ,L --‐ ' __ -‐'ヽ ' ,' , | / / !! / ! /../ / ̄ ̄ / , -‐- 、 \| ./ .{ /!! || ', / , '// 〕 -‐¨ / \|./ .| ,'// || ', / , '' / r┴─--- < | ! | // }} / / __ ,, -‐‐┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 【TIPS】:魔法薬学教師 グリフィンドール寮監 ダームストラング出身 魔法薬学を担当するホグワーツの教師。 現在のホグワーツの減点の原因はほとんどこの人。 本人曰く【重箱の隅をつついて減点するのが大好き】。 出身校と相まってどう考えてもスリザリン的だが、グリフィンドールの寮監。 なお、本場スネイプと違って、自身の監督寮が相手でも減点に遠慮なし。┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ +詳細 自身の授業で減点させてくれないどころか、加点までさせるキヨマロに対し減点の機会を狙い無茶ぶりする先生。 一方で、自身の分野で高い才能を持つキヨマロを気に入ってもおり、一時期教師好感度ランキングで一位だった。 学生時代に30股をかけ、数年間逃げ回っていた過去を持つ元女たらしで、自身のイケメンぶりに自信あり。 ただし、結婚できない。 パチュリーに追いかけ回されようと減点はやめない、三大魔法学校対抗試合では母校ダームストラング側に迷わずつく、 減俸を食らおうとお兄様をぶちのめしに行くなど、中々にはっちゃけた性格。 ダームストラング時代にユーノとジンロンの後輩をしており、 それが原因で若干歪んだらしい。ただし減点好きは素。 ジンロンの発言と、忘却呪文を食らって退行した時の様子を見る限り、元はキヨマロと似たタイプだったのかもしれない。 二年次では、キヨマロの現状に気付き、マツミ・アームストロング両名と共にキヨマロの実家襲撃に参加。 呪いで明日も知れぬ身になり、元から知っていたユーノとヴィヴィオの問題、 そしてジャンヌによって校長の企みを示唆される、など様々な問題を知りそして背負い込んでいる。
https://w.atwiki.jp/nanoharow/pages/684.html
魔法少女、これからも。(前編) ◆Vj6e1anjAc 仄暗い洞窟の足元で、ぼんやりと光る金の照明。 岩肌が露出した壁とタイル張りの床の、異質にして不釣り合いなコラボレーション。 『――なるほど。そのために私を呼びつけたというわけか』 そんな空間の只中で、にぃ、と口元を歪ませながら、一人の男がそう言っていた。 紫の髪を肩まで伸ばし。 金の瞳を爛々と光らせ。 化学者の白衣を翻し、不敵に笑う男だった。 「貴方に拒否権を与えるつもりはないわ、ジェイル・スカリエッティ。 長生きしたいのならその技術を、私のために役立てなさい」 『とんでもない。むしろ大歓迎だよ』 モニター越しに向けた脅迫にも、物おじすることなく、返す。 画面を隔てて男と向き合うのは、黒髪と黒いドレスの妙齢の女。 どこか人を小馬鹿にしたような、薄っすらと喜色の滲んだ金眼とは違う。 他者を威嚇し威圧する、凄みのこもった紫の瞳だ。 男の立つラボから遠く離れた、遥か異界の地からの遠距離通信でありながらも、 そこから放たれるプレッシャーは、決して衰えることはないだろう。 大の大人であろうとも、一目で竦ませるであろうほどの気迫。 『君の提示したプランは、私にとっても魅力的な内容だった。 人間・人外を問わずランダムに集めた、60の生命の殺し合い…… そうした極限状態において、全く見ず知らずの人間達が、いかな交流を見せてくれるかというのは、 生命科学の見地からしても、非常に興味深いサンプルになり得る』 「それは心理学の領域ではなくて?」 『一つの視野から世界を読み解くというスタンスは、既に時代遅れだということさ』 機械工学と生命科学のミックスが、戦闘機人を生み出したように。 女の凄みをその身で受けながら、しかし白衣の男は恐れない。 微塵も表情を変えることなく、薄い笑みすらも浮かべながら、つらつらと饒舌に言葉を重ねる。 「……まぁいいわ」 不快感を覚える気にも、怒りに震える気にもなれず。 ふぅ、と呆れのこもった溜息をつきながら、女はぽつりとそう答えた。 「必要なものの詳細は追って伝える。そう長くかかることもないだろうから、それまで待っていなさい」 そしてその言葉を最後にして、長距離通信のスイッチを切る。 相変わらず、相手にしていると疲れる男だ。 そんなことを思いながら、女は椅子の背もたれに身を預けた。 ドクター・ジェイル・スカリエッティ――お互いが指名手配犯になる前に、何度か顔を合わせたことのある男。 アルハザードの生命技術の寵児にして、彼女にアルハザードの存在を信じさせた男。 あれはあれで純粋な奴だ。 生まれながらに与えられた探究心に、愚直なまでに忠実でいられるその姿勢には、 同じ技術者として一種の尊敬すら覚える。 見返りさえ与えれば言うとおりに動く――まさに今回の実験には、うってつけの人材であると言えるだろう。 (でも、万一ということもある) 内心でそう呟きながら、女は端末のキーボードへ向かった。 確かに彼の技術力と探究心は、今回の実験において多いに役立つ。 しかしだからといって、それが全幅の信頼を寄せていいということには繋がらない。 でなければ、法の束縛を嫌って管理局に反旗を翻し、法を乗っ取ろうとしたことの説明がつかない。 あれの純粋さは時として危険だ。 どこかで方向性が食い違ったり、別の目標を見つけでもしたら、即座に手を切られるだろう。 (そうなった時のために、手を打っておくに越したことはない……か) 裏切られたまま終わるのは癪だ。 黙ってとんずらされるのは御免だ。 モニターを見つめるプレシア・テスタロッサは、組み立て途中だったプログラムを呼び出し、指先でキーボードを叩いた。 ◆ バトルロワイアル2日目、午前6時。 プレシア・テスタロッサの実験場は、日の出を迎えると同時に崩壊した。 ジュエルシードのエネルギーを用い、闇の書が術式を実行することで構成されていた結界は、 それらの制御を失うことによって自然消滅。 行き場を失った莫大な魔力が引き起こすのは、次元震にも匹敵する大爆発。 森が、街が、海が、死体が。 9キロメートル四方のフィールド内の、ありとあらゆる物質が、極光と轟音の中へと消えていく。 まさに阿鼻叫喚の地獄絵図だ。 天地創造のビックバンと呼んでも、過言ではないほどの光景だった。 それほどの劇的な破綻と共に、30時間に及んだ殺人遊戯は、遂にその幕を下ろしたのであった。 忘れられた地、アルハザード。 あらゆる生命体が死滅し、遺跡と残骸のみを残した無人世界は、今や灰色の土煙に覆われていた。 未だ遠く響く地鳴りと、焦土を逆巻かせる風の音。 世界に満ちていた戦いの音も、世界に生きていた命の声もなく。 60人の戦いも、大魔導師の暗躍も、一切全てをぬぐい去って、再び静寂を取り戻した。 管理者が消え、参加者が皆死に絶えた今、アルハザードは元の無人世界へと戻ったのである。 だが、しかし。 「――急速浮上!」 瞬間、爆音が大地を揺るがした。 灰色の沈黙を破り裂き、生者の怒号が木霊する。 炸裂の地鳴りをも塗り潰し、エンジンの激音が世界を満たす。 死の灰を引き裂き振り払い、現れたのは一隻の戦艦。 絢爛の黄金と高貴の紫――ツートンに塗られた鋼の箱舟が、大地と大気を切り裂いて、轟然と天空へ舞い上がった。 その名を、聖王のゆりかご。 遥か遠きベルカの時代、史上最強の生体兵器・聖王を乗せて世界を制した、超弩級魔導戦艦である。 そして王者の舟のブリッジに、腰を預ける者が1人。 現代に遺された聖遺物より生まれ、レリックの力と共に蘇った、最後の聖王の写し身・ヴィヴィオ。 母と慕った栗毛の女と。 女の慕った金髪の男と共に。 聖王の名の後継者は、バトルフィールドの大破壊から、見事生還してみせたのだった。 「何とか、生き残れたみたいだね……」 ぱらぱらと土くれの舞う窓外を見ながら、高町なのはが呟いた。 「……よし、これなら航行には問題なさそうだ。さすがは古代ベルカ最強の戦艦といったところかな」 ふぅ、と安堵の息をつきながら、ユーノ・スクライアが相槌を打つ。 かつてのJS事件において、その最終決戦の舞台となった、聖王のゆりかごの玉座の間。 エースオブエースと謳われたなのはと、聖王の血を覚醒させたヴィヴィオが、悲しくも激しい決戦を繰り広げた場所だ。 しかし今のこの場所に、戦いの火花と涙はない。 刃を交えた母と娘は、今は互いに手を取り合って、この巨大戦艦を浮上させ、殺戮劇から生還した。 役者はほとんど同じでありながら、全く違う想いを乗せて、聖王のゆりかごは飛翔していた。 「ルーテシア……」 それでも、誤魔化しきれない怨嗟の痕は、消えることなく残り続ける。 なのはの視線の先にあったのは、無造作に転がった少女の首。 ルーテシア・アルピーノ――幼い蟲使いの召喚師の亡骸だ。 そして視線をその脇へ向ければ、もはや原型が分からぬほどに損壊された、ぐちゃぐちゃの肉塊が放置されている。 「……片方はキャロの。奥には、もう1人のフェイトママの死体もある」 沈痛な面持ちで呟いたのは、玉座に腰を預けるヴィヴィオだった。 この艦内に転がる死体の中に、彼女が殺めたものは1つもない。 それでも、その全てが自分のすぐ傍で喪われた命で、キャロに至っては、死後自分が蹂躙した死体だ。 無力な自分が救えなかった命。 あの悲劇の舞台で喪われた命。 「本当なら、死んでしまうこともなかった命なのに……」 素直に脱出を喜ぶ気にはなれなかった。 結局生き残ることができたのは、ヴィヴィオを含めても3人だけ。 アリサ・バニングスを含んだ、58人もの命が、救われることなく消えてしまったのだ。 これだけ生き残れたのではない。 これだけしか救えなかったのだ――弱い自分は。 「……確かにこの戦いでは、あまりに多くの命が喪われてしまった」 少女の悼みに割って入ったのはユーノだ。 「それでも……だからこそ、生き残った僕達は、生き延びて責任を果たさなくちゃいけない。 時空管理局に帰って、この事件のことを報告して……何としても、犯人達を捕まえなくちゃならないんだ」 デスゲームの中断――そんな事態になった以上、恐らくプレシア・テスタロッサは、既にこの世にはいないのだろう。 それでも、まだ全てが終わったわけではない。 恐らくは彼女に肩入れし、そして彼女を廃除して、まんまと逃げおおせたスカリエッティがいる。 彼らを逮捕しない限り、この事件は終わらない。 「だから僕達には、くよくよしている暇なんて、ないんだよ」 そう、強く締めくくった。 それがこの悲しい事件の中で、散っていった数多の命への、せめてもの手向けになるのなら。 絶望と悲嘆の重みでうつむいて、後悔に縛られるわけにはいかないのだ。 生きることが戦いならば。 この身が生き続ける限り、戦わなくてはならないのだ。 「……分かりました」 まだ、完全に本調子になったわけではない。 それでもヴィヴィオの返事には、いくらか覇気が戻っていた。 そしてそれを見やる母親の顔には、柔和な笑みが浮かんでいた。 「さてと! それじゃあ早速、私達の世界へ戻らないとね」 一声で気持ちを切り替えて、なのはが今後の方針に触れる。 「うん、そうしよう」 現状のコンディションと装備では、脱出した主催者達を追いかけるのは不可能だ。 故に現在優先すべきは、手近な管理世界への帰還。 ジェイル・スカリエッティの居場所を突き止め逮捕するのも。 並行世界を渡り、それぞれの世界へと帰る手段を探すのも、全てはそれからになるだろう。 「でも、ちゃんと帰れるのかな……? このゆりかごだって、エネルギーがもつかどうか……」 弱気な疑問を口にしたのはヴィヴィオだ。 確かに、彼女の不安にも一理ある。 これまでありとあらゆる観測を逃れてきた、次元世界の最果て・アルハザード。 それほどの深淵から、オリジナルよりも小柄なこの艦が、果たして抜け出せるかどうか。 ひょっとすれば、ミッドチルダまで燃料がもたず、途中で止まってしまうかもしれない。 「その時はその時だよ、ヴィヴィオ。 悩んでも事態が解決するわけじゃないんだから……だったら、まずは行動してみないと」 「そうか……そうだよね。分かったよ、なのはママ」 なのはの言葉に同意し、頷く。 確かにここで悩んでいたところで、状況が好転するはずもない。 それに運がよければ、動力を分けてもらえるような世界までなら、辿りつくこともできるかもしれない。 どれだけ時間がかかろうとも、最悪辿りつけなくとも、 それでも、まずは試すこと。この場で一番大事なのは、それだった。 「……それじゃあ、次元航行に入ります! 転移先をミッドチルダに指定……」 各種計器を操作し、ゆりかごを潜航態勢へと移行させる。 実際に自分で操るのは初めてだったが、それでも操作はスムーズに進む。 やはり、この艦は聖王のためのものだということか。自らに流れる血に感謝した。 ともあれ、これで準備は完了だ。 これでようやく、このアルハザードから脱出できる。 ミッドチルダへと帰還し、未来へと希望を繋げることができる。 「聖王のゆりかご、出港!」 ブリッジに立つ若き聖王が、高らかに宣言した瞬間。 「待って! 航行システムに異常が……これは――――――ッ!?」 ◆ 時の庭園、プレシアの部屋。 主の遺体は片付けられ、乗っ取った者達も撤退し。 殺し合いを支配すべきゲームマスターを失い、がらんどうになった司令室。 薄暗いその部屋の中で、コンピューターのモニターだけが、淡い光を放っていた。 使用する意味も意義も失い、電源を落とされたはずの端末が、微かな機械音と共に起動している。 表示されたデスクトップに、展開されていたのは2つのウィンドウ。 1つのウィンドウに映されたのは、「緊急転送システム」なるものの、実行完了を伝えたメッセージ。 そしてもう1つに映されたのは、「脱走妨害システム」なるものの、実行開始を伝えるメッセージ。 なのは達を襲った異変は、それらのうち後者によるものだった。 参加者達に逃げられるという、最悪の状況を考慮したプレシアは、 実験場の周囲一帯を、巨大な転送妨害フィールドで覆っていたのである。 外からの侵入をも防止できるほどのものではない。リインフォースの侵入を許したのはそのためだ。 しかし内側からの脱出に対しては、たとえそれが誰であろうとも、例外なく牙を剥くように設定してある。 ここから出ようとした者は、その制御を狂わされ、周辺の辺境世界へと投げ出されるという寸法だ。 あとは野となれ山となれ、のたれ死ぬのが関の山。 それが脱走妨害システムの全容だった。 そしてもう1つの、緊急転送システムは――それはまた、別の機会に語られることになるだろう。 ◆ どこまでも続く、水平線と地平線。 それを遮る人工物は、二元の世界には存在せず。 ただ荒涼としたサバンナと、底抜けに青い空だけが、延々と続いていく世界。 その中にいくつかの木があって、少し遠くには川が見えて。 本当にただそれだけの、未開の土地とでも言うべき世界。 そんな風景の只中に、1つだけ場違いな物体が存在した。 もうもうと煙を上げながら、その鈍色の巨体を横たえるもの。 ひしゃげた鋼鉄の翼から、ぱちぱちと電流火花を舞わせるもの。 それはかのナンバーズ達を乗せた、時の庭園の脱出艇。 「参ったわね。スラスター全基損傷……このままじゃ転移し直すこともできないわ」 そしてその操縦席で、金髪の戦闘機人・ドゥーエが、がっくりとした声音を発していた。 窓に映る天井の太陽を、疎ましげな眼光と共に、睨む。 まったくもって暑苦しい光だ。苦労しているこちらの気も知らないで、と。 「……こっちも駄目。何が起こったのかは知らないけれど、ドクターからの応答がない」 通信機に向かっていたのは、ナンバーズ12姉妹の長姉・ウーノだ。 苦々しげに呟きながら、通信モニターのスイッチを切る。 一流企業の社長秘書を思わせる、鉄壁のクールビューティーも、この状況には弱り切っていたらしい。 「姉様方、一体何が起こったのですか」 ぷしゅっ、という軽い音と共に、後方の自動ドアが開いた。 操縦室に入って来たのは、桃髪の戦闘機人・セッテ。 そしてその後ろには、オットーとディードの双子も続いている。 「プレシア・テスタロッサにしてやられたのよ。私達は妨害プログラムに弾かれて、未開の世界へ不時着したの」 創造主を連想させる金眼を細めながら、妹の問いに答えるウーノ。 「妨害プログラムに……? 何故僕達の脱出艇が?」 「プレシアによる承認がなければ、勝手に出られないようになっていた、ってことね。 あの女……私達が勝手にとんずらする可能性を、予め読んでいたのよ」 ボーイッシュなオットーの疑問に、ドゥーエが続けた。 彼女らナンバーズの脱出艇もまた、プレシアの残した脱走妨害プログラムによって、辺境世界に飛ばされていたのだ。 ある意味で敵と呼んでもいい、参加者達の脱走を阻害するためのプログラム――それに引っ掛かったということは、 戦闘機人の姉妹達もまた、味方として見なされてはいなかったということか。 「いずれにせよ、このままでは帰還するのは不可能よ。整備部品は足りないし、あとはドクターに救援を求めるしか……」 「それも繋がらないんじゃねぇ」 あくまで平静を装おうとするウーノに、おどけた様子で肩を竦めるドゥーエ。 次女の態度とは裏腹に、彼女らの置かれていた状況は切迫していた。 不時着の際の衝撃で、ナンバーズを乗せていた脱出艇は、航行能力を失ってしまったのだ。 積み荷や乗組員に被害が出なかったのは幸いだったが、これでは元の世界に帰れない。 こんな原っぱのド真ん中に、脱出艇を修理するためのパーツがあるはずもない。 おまけに迎えを頼もうにも、スカリエッティとの通信は繋がらないときている。 まさに八方塞がりだ。このままでは野垂れ死にを待つだけだった。 「そんな……」 感情の希薄なオットーにも、さすがに危機感はあるらしい。 無表情な顔立ちに、微かな焦りが浮かんでいた。 「――姉様方、あれを」 その時だ。 ナンバーズの末妹・ディードが、窓外の景色を指差したのは。 人差し指の向こうには、遥か遠い地平線。 しかしその空の色は、一瞬前とは大きく異なっていた。 青一色だったはずの空の中に、漆黒の穴が開いていたのだ。 「あれは、次元航行艦の転送ゲート……?」 我知らず、ウーノが呟いていた。 あれは次元航行に入っていた艦船が、次元世界にワープアウトする際に開かれるワームホールのはずだ。 ということは、何かしらの舟が、この世界へと降りてくるということである。 スカリエッティのよこした迎えだろうか? 否、それでは通信が繋がらないことに説明がつかない。 第一、向こうから舟がやって来たにしては、到着時間が早すぎる。 ならば一体どこの舟が、何の目的でこんなところに――? 「!」 次の瞬間。 金色と紫でペイントされた戦艦が、勢いよく草原に放り出された。 「ウーノ、あれは……!」 現れた舟を指差して、狼狽気味にドゥーエが言う。 地鳴りと土煙を引き連れて、豪快に大地を滑る金の煌めき。 皆まで言わずとも理解している。あんなフォルムとカラーリングの戦艦など、他に見覚えがあるはずもない。 「会場に設置されていた、レプリカのゆりかご……ということは、参加者の生き残りが?」 考えられる可能性が、それだった。 今まさに目の前に不時着したのは、デスゲームの会場に用意された聖王のゆりかごだ。 模造品であるとはいえ、極限まで本物に似せて造った代物である。 会場で起こると予想された大崩壊に耐えたとしても、十分に頷けるだろう。 自分達と同じように不時着してきたということは、やはり生き残った参加者が、あれで脱出を図ったのだろうか。 「チャンスです、姉様。あのゆりかごを奪えば、ドクターの下へ帰還することができます」 冷静に言い放ったのはセッテだった。 なるほど確かに、その通りだ。 今まさに静止した聖王のゆりかごは、特に目立ったダメージもなく、その威容を周囲に振りまいている。 恐るべくはその堅牢性――だが今はそれが僥倖となった。 あの程度の損傷ならば、ゆりかごは再度の次元航行にも、問題なく対応しうるだろう。 「そうね。中に乗っている連中も、とっくにボロボロになっているはず……」 にぃ、と冷酷な笑みを浮かべて、ドゥーエが舌舐めずりするように言った。 次元航行艦を乗りこなしているということは、 恐らく生き残ったのはあの3人――ヴィヴィオ、高町なのは、ユーノ・スクライアと見て間違いないだろう。 だとすれば、倒すのは容易だ。 彼女らは度重なる戦闘によって、著しく体力を消耗している。 この場に揃った3人の最後発型ナンバーズと、残存するガジェットドローン達で対処可能。 であれば、この場では強硬策こそが最善策だ。 「……分かったわ。全ガジェットを動員する。セッテ、オットー、ディード――貴方達も行きなさい」 「いたた……」 壁で打った頭を押さえ、ユーノはうつ伏せの身体を起こす。 一体何があったのだろう。 アラートが発生したかと思えば、突然とてつもない衝撃が襲ってきて、今になってようやく治まったのだ。 外の風景もプラズマの光で、一瞬前まではとても見れたものではなかった。 ひとまず艦内の端末を呼び出して、被害状況を確認する。 どうやら装甲へのダメージはほとんどなかったらしい。つくづく怖ろしいほどの耐久性だ。 「ユーノ君、ここは一体……」 どうやらなのは達も気がついたらしい。 倒れていた身を起こし、モニターで外の様子を確認している。 彼もそれにならって、外部カメラの映像を呼び出した。 画面一面に広がるのは、見渡す限りの大平原――とてもじゃないが、ミッドチルダとは思えない。 「どうやらさっきので制御が狂って、別の世界に投げ出されたらしい。 ……多分、アルハザードからそう離れていないとは思うけど」 一応起こったことがことなので、次元航行を司るシステムをチェック。 特に問題は見受けられなかった。であれば、原因は内部の故障ではなく、外部からの干渉だったのだろう。 となるとあのプレシアが、脱走者が出たことを想定して、元の世界へ帰らせないようにと仕掛けた罠だったのだろうか。 いずれにせよ、再度のワープが可能なのは幸いだった。 少々駆動系にダメージが及んでいたが、操縦者を乗せたゆりかごは、自己修復機能を発揮できる。 少しばかり時間をかければ、再び飛び立つことは容易かった。 ならば当面は、修復完了までしばらく待機ということに―― 「! なのはママ、ユーノさん、あれっ!」 その、瞬間。 不意にヴィヴィオの放った声が、頭上から鼓膜へと突き刺さった。 刹那、玉座の間に巨大なモニターが投影される。 どうやらヴィヴィオが呼び出したものらしい。彼女の尋常ならざる気配につられ、反射的に目を向けた。 そこに映し出されていたのは、先ほど自分が見たのと同じ外の光景。 決定的に違っていたのは、そこに無数の機影があったことだ。 「あれは、ガジェットドローン……!」 大量の機動兵器を前に、なのはが驚愕も露わに呟く。 確かその名は、スカリエッティの操っていた、無人兵器の総称だったはずだ。 であればあれを操っているのは、あのデスゲームの主催者達ということか。 「……後方に、チンクと同じ衣装の人間が3人。さらにその後ろには輸送艇が見える。 あの損傷では次元航行は無理だ……恐らくこのゆりかごを、足にするために奪おうとしているんだろう」 望遠映像を呼び出しながら、ユーノが言う。 主催者であるはずの彼女らが、何故自分達と同じように、この世界へと漂着していたのかは分からない。 ひょっとしたらプレシアとの間に、自分達の知らない何かがあったのかもしれない。 だが、そんなことを考えている暇はなかった。 このままでは、自分達はゆりかごから引きずり降ろされ、命を奪われてしまうだろう。 ならば、大人しくやられるわけにはいかない。 ここまで生き残った自分達には、生きて帰って、なすべきことをなす義務があるのだ。 「戦おう、ユーノ君!」 声に出して言い放ったのは、白いバリアジャケットのエースオブエース。 漆黒のレイジングハート――ルシフェリオンを、油断なく構えながらなのはが言った。 当然、異論などあるはずもない。無言でなのはに頷き返すと、ユーノもアスクレピオスを起動させる。 「ヴィヴィオはここに残って、自己修復機能を維持していてて。外の敵は、私達が迎え撃つから」 「分かった。生きて帰ってきてね……なのはママ、ユーノさん」 ヴィヴィオの声に、頷き返す。 現状最も体力が温存されているのはヴィヴィオだ。 しかし彼女がこの場を離れれば、ゆりかごはその機能を停止させてしまう。 どちらにせよこちらはボロボロなのだ。優先事項が元の世界への帰還であることに変わりはない。 故にここはヴィヴィオを後方へ下げ2人で打って出ることにした。 「それじゃあ行こう、なのは!」 「うん!」 共に互いの武器を構え、玉座の間から駆け出していく。 これが最後の戦いだ。 このバトルロワイアルの場においては、この一戦こそが締めくくりとなる。 必ずゆりかごを守り抜かなければ。 そう固く心に決め、アスクレピオスの手のひらを握りしめた。 ◆ Back 魔法少女リリカルなのはBR Stage04 虹の星剣 時系列順で読む Next 魔法少女、これからも。(中編) Back 魔法少女リリカルなのはBR Stage04 虹の星剣 投下順で読む Back 魔法少女リリカルなのはBR Stage04 虹の星剣 高町なのは(StS) Back 魔法少女リリカルなのはBR Stage04 虹の星剣 ユーノ・スクライア Back 魔法少女リリカルなのはBR Stage04 虹の星剣 ヴィヴィオ Back Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) ウーノ Back Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) ドゥーエ Back Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) セッテ Back Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) オットー Back Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) ディード