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プロモーションカードの略。 BOXやブースター、大会やイベント等の参加賞、あるいは賞品として配られたカード。 通常版のイラストとは別に書き下ろされたイラストを使用される。 再販、再録されないものが多く、エラッタが加えられたものは修正されたものもある。 プロモカードリスト 第1弾PR.001 赤 《魔法少女“高町なのは”》イラストレーター:松乃かねる PR.002 黄 《時空管理局嘱託魔導師“フェイト・テスタロッサ”》イラストレーター:松乃かねる PR.003 黄 《ジェットザンパー》イラストレーター:松乃かねる 第2弾PR.004 黄 《時空管理局嘱託魔導師“フェイト・テスタロッサ”》イラストレーター:息吹ポン PR.005 緑 《時空管理局提督“リンディ・ハラオウン”》イラストレーター:息吹ポン PR.006 黄 《貴婦人の戦斧“バルディッシュ・ノーブル”》イラストレーター:塗夢(TOM) 第2.5弾PR.007 青 《鋼の走者“スバル・ナカジマ”》イラストレーター:塗夢(TOM) PR.008 黄 《流星の射手“ティアナ・ランスター”》イラストレーター:塗夢(TOM) PR.009 黄 《竜騎の召士“キャロ・ル・ルシエ”》イラストレーター:塗夢(TOM) PR.010 青 《二代目祝福の風“リインフォースⅡ”》イラストレーター:塗夢(TOM) 第3弾PR.011 黒 《夜天の王“八神はやて”》イラストレーター:松乃かねる PR.012 緑 《湖の騎士“シャマル”》イラストレーター:若林まこと PR.013 赤 《鉄鎚の騎士“ヴィータ”》イラストレーター:EXCEL PR.014 黄 《流星の射手“ティアナ・ランスター”》イラストレーター:榊蒼十郎 PR.015 青 《無限書庫司書“ユーノ・スクライア”》イラストレーター:つかもとたかし PR.016 赤 《スターズ分隊隊長“高町なのは”》イラストレーター:藤枝雅//コミケ購入限定(現在では入手困難 PR.017 黄 《温もりを求める少女“ヴィヴィオ”》イラストレーター:藤枝雅//メロンブックス購入(現在でも入手可能 PR.018 青 《二代目祝福の風“リインフォースⅡ”》イラストレーター:塗夢(TOM)//両方で封入(現在でも入手可能 大会プロモ(過去、頒布されたものもあります)PR.010 青 《二代目祝福の風“リインフォースⅡ”》イラストレーター:塗夢(TOM) PR.011 黒 《夜天の王“八神はやて”》イラストレーター:松乃かねる PR.012 緑 《湖の騎士“シャマル”》イラストレーター:若林まこと PR.013 赤 《鉄鎚の騎士“ヴィータ”》イラストレーター:EXCEL PR.014 黄 《流星の射手“ティアナ・ランスター”》イラストレーター:榊蒼十郎 PR.015 青 《無限書庫司書“ユーノ・スクライア”》イラストレーター:つかもとたかし 画集「Bankett!! Collection +α」PR.019 黄 《アンチ・マギリング・フィールド》イラストレーター:塗夢(TOM) PR.020 黄 《プラズマザンバー》イラストレーター:キチロク 関連ページ 第1弾 - 「Drive lgnition!」 第2弾 - 「Cartridge Load!!」 第2.5弾- 「All right buddy!!」 第3弾 - 「ACE」 大会関連情報
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サムネイル カード名 レア コスト AT DF LC AS BS リライズ1 リライズ2 高町なのは [海聖小学校生徒] N 3 160 170 65 ファーストステップ自分のAT・DFを1.5倍にする 教科書アタック 同一カード 高町なのは[制服魔法少女(空)] 高町なのは [お部屋着小学生] N 3 180 190 75 熱意自分のATを2倍にする まずはお話 高町なのは [夏服小学生] N 3 230 210 80 ファーストステップ+自分の全ステータスを1.5倍にする 真面目に説得 同一カード 高町なのは[射撃系魔法少女] フェイト・テスタロッサ [海聖小学校生徒] N 3 300 50 90 回避敵の1ターン目の攻撃を必ず回避する エレクトリッガー 同一カード フェイト・テスタロッサ[制服魔法少女(雷)] フェイト・テスタロッサ [T H店長の娘さん(妹)] N 3 310 80 120 回避敵の1ターン目の攻撃を必ず回避する 懸命な説得 フェイト・テスタロッサ [普段着小学生] N 3 320 90 110 回避敵の1ターン目の攻撃を必ず回避する 優しい心 アリサ・バニングス [海聖小学校生徒] N 3 260 180 60 仲良しグループのリーダー自分となのは、すずかのAT・LCを1.5倍にする 定規チョップ 同一カード アリサ・バニングス[制服魔法少女(炎)] アリサ・バニングス [リーダー気質小学生] N 3 290 175 70 クラスのリーダー同級生のAT・DFを1.5倍にする(なのは・アリサ・すずか・フェイト) 情熱平手 同一カード アリサ・バニングス[炎の魔法少女] 月村すずか [海聖小学校生徒] N 3 100 320 80 守りの姿勢味方のDFを1.2倍にする かばんガード 同一カード 月村すずか[制服魔法少女(氷)] 月村すずか [読書好き小学生] N 3 120 300 90 守りの姿勢味方のDFを1.2倍にする 相談に乗る 同一カード 月村すずか[氷の魔法少女] アリシア・テスタロッサ [海聖小学校生徒] N 3 210 200 180 上級生のプライド海聖小学校生徒のLCを1.5倍にする リコーダー演奏 同一カード アリシア・テスタロッサ[制服魔法少女(幸)] アリシア・テスタロッサ [T H店長の娘さん(姉)] N 3 200 210 185 妹Love自分とフェイトの全ステータスを1.5倍にする 一曲歌っちゃいます 同一カード アリシア・テスタロッサ[トリックスター] プレシア・テスタロッサ [T H店長] N 3 410 10 25 娘LOVEレアリティ「N」のフェイト・アリシアのDFとLCを1.5倍にする 子供たちの味方 同一カード プレシア・テスタロッサ[次元大魔導士] リンディ・ハラオウン [T H店長] N 3 320 315 30 常連さんいらっしゃいレアリティ「N」のミッドスタイルカードのDFを1.5倍にする 店長判断 同一カード リンディ・ハラオウン[伝説の艦長] エイミィ・リミエッタ [T H店員] N 3 250 180 125 スタンプゲッターデュエルでの入手スタンプが1.2倍になる 天性のクレーム処理能力 同一カード エイミィ・リミエッタ[ちょっと素敵な店員さん] ユーノ [高町家のフェレット] N 3 85 220 40 トレジャーゲットデュエルでの入手LDが1.5倍になる まとわりつく 同一カード ユーノ[結界術士]
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背後から来る気配を察したアスランはフェイトと共に林の影に隠れた。 そして横たわる少女に駆け寄る青年。 こちらからの距離があり、尚且つ相手の後ろにいる状況なので、顔が見えなかった。 だが、それはこっちにとっては好都合であった。 「・・・俺が気絶させよう、その隙に逃げるぞ。」 「わかった。」 アスランは一気に距離を詰める為、足に力を込める。 そして一呼吸おき、 静かに、そして迅速に駆けた。 (もらった!!) アスランは右手を構え、青年の首に手刀を当て気絶させる はずだった。 ブンッ!と当たる筈の右手が虚空を薙ぐ。 (な!?) 目標の青年が当たる直前に左へと回避したのだ。 そして青年が回避直後にこちらにパンチを繰り出してきた。 が、アスランも軍人。回避された事に意表を突かれたが、それを軽々とバックステップで回避する。 そして、視線が青年の顔へと赴いた瞬間。 アスランの思考は止まった。 そしてようやく振り絞った言葉は、かつての友の名前だった。 対峙する二人の青年。 だが、二人とも動こうとはしない。 いや、動けないわけではない。 今、二人の青年の頭の中はひどく混乱していた。 (そんな・・・そんな・・・!) (まさか・・・!) 「アスランさんっ!」 響く声に、はっと我に返った二人。 「――ッ!!」 舌打ちをし、振り返って林の奥へと走っていくアスラン。 「!!」 後を追おうとするキラだったが、走り出そうとした時にはすでにアスランは視界から消えていた。 「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・」 背中から嫌な汗が出てくる。極度の緊張状態が解けたことによる反応なのだろう。 「・・・アスラン」 そして数分程立ち去った方向を見ていた。 「どうして、君が・・・」 その後、キラはなのはを抱えて屋敷へと戻った。 右手に怪我をしていたけれど、医者によれば命に別状もなく数日で治るとの事。 目が覚めたなのはは、アリサやすずかが心配そうな目で見ているのを見て、心が痛んだ。 そして、夕方にキラと共に高町家へと帰宅したが、帰り道、キラはずっと何かを考えている様子だった。 そして夜、なのはの部屋。 「今日のあの子・・・間違いなく僕と同じ世界の住人だ。」 「うん・・・ジュエルシード集めをしているって・・・あの子とまた、ぶつかっちゃうのかな・・・?」 表情がより曇り、俯くなのは。 「あと、気になったことが・・・」 「?」 ユーノはなのはが気絶してからの事を話し始めた。 あの子の知り合いだと思われる青年の登場。 結界を張っていたにも関わらず、キラがなのはの元まで来た事。 そして、キラとその青年は互いに名前を言ってた。という事。 「・・・そんな」 「向こうは「キラ」って言ってたし、キラさんも向こうの人の事を「アスラン」って・・・」 「・・・それじゃ、その人はキラ君の知り合いなの・・・?」 「・・・多分、そうだと思う。」 同刻、市街地、マンションの一室。 「おかえり、フェイト、アスラン」 「ただいま」 「・・・・・・」 「?どうしたんだい、アスラン?」 アルフがアスランの顔を覗き込もうとする。 「なんでもない・・・気にするな」 目を合わせないように視線を背ける。 「ふーん、ま、いいけどさ。で、どーだった?」 「少し、邪魔が入ったけど、大丈夫」 「さっすが、あたしのご主人様!」 アルフが盛り上がっている所を素通りしていくアスラン 「アスランさん?」 「悪い・・・今日はもう寝るよ・・・おやすみ」 それだけ言って奥の部屋へと入っていく 「・・・?どうしたんだい?アスランの奴?」 「・・・・・・」 フェイトは気になっていた。 昼間の少女の事もそうだが、途中、林から出てきた青年。 彼もアスランの事を知っているような素振りだった。 でも、アスランはあの世界の住人じゃない。 なのにどうして・・・。 「フェイト」 「何?」 アルフの頭を優しく撫でるフェイト。 「大丈夫だって、なんていったってフェイトにはこのアタシがついてるんだからさっ!」 満面の笑顔でふふんと胸を張るアルフ。 「・・・うん、そうだね」 私には、やらなきゃいけない事がある。 例えまた、あの子と戦う事になったとしても・・・。 次の日。 なのははいつもの早朝訓練の為、ユーノと共に練習場所へと向かう。 だが、そこにはすでに先客が来ていた。 その後姿はなのはが知っているもので、こちらに気付いたのか振り返る。 「おはよう、なのはちゃん」 朝の挨拶と共に振り返った人は、翠屋の住み込み従業員、キラ・ヤマトだった。 「え?な、何でキラ君がここに?」 「なのはちゃん、毎朝ここに来ているでしょ?」 「え!?ど、どうして?」 「何度か出て行く姿を見たんだ。それで気になって後を」 「・・・ここなら、二人きりになれると思ったから、かな。」 「?」 キラの言っている意味がよくわからなかった。 「なのはちゃん。」 「はい。」 「・・・話があるんだけど・・・いいかな?」 「え、えっと・・・」 なのはは困惑した。 昨日のユーノの話を聞く限り、キラはなのはのバリアジャケット姿を見ていることになる。 ということは、話というのはそれのことだろう。 (ど、どうしよう~ユーノ君~) (ど、どうするって言っても・・・) 今なのはの頭の中には昨日のことをどうごまかそうかと画策していた。 だが、元々嘘をつけない、嘘が嫌いなタイプのなのはにとってそれは難しい。 「・・・僕は」 返事を待っていたキラは突如口を開く。 「本当は、記憶喪失なんかじゃないんだ」 「えっ?」 「僕は・・・この世界の人間じゃないから」 真剣な眼差しで見つめるキラ。その真っ直ぐな視線と言葉を受けて硬直する。 (やっぱり、この人は異世界の・・・) 図らずとも、ユーノの推察は当たっていた。 「・・・あんまり驚かないんだね」 「え?」 「なのはちゃん、もしかして僕が記憶喪失じゃないって知ってたの?」 「そ、それは・・・」 次々と言い当てるキラの鋭い指摘に、言葉が詰まるなのは。 「・・・なのはちゃん」 「は、はい!」 「今から言う話を聞いてくれないかな・・・?」 「話・・・?」 「うん」 そしてキラは語り始める、自らが体験してきた、全ての事を・・・。 同刻。 アスランはベランダに出ていた。 「・・・・・・」 ただ何かをするわけでもなく、ずっと向こうの方角を見続けていた。 実は昨日一睡もしていない。その原因は、 「・・・・・・キラ」 昨日、フェイトを迎えに行った時に出会った。いや正確には"再会"した、この世界で唯一自分を知る人間。 (やはりあいつもこっちに来ていたのか・・・) 自分もイージスの自爆で死んだものと思っていたのが、こっちの世界に飛ばされたんだ。 キラもこっちの世界に来ていてもおかしくはない。 「・・・・・・」 だが、この世界に来るまでは俺とあいつは敵だった。 お互い、殺すつもりで戦った。 あいつがニコルを殺したから。 俺の迷いが、ニコルを死なせてしまったから。 だが、俺は結果的には殺すことは出来なかった。 現にあいつは今もこの世界のどこかで生きている。 「・・・俺は・・・」 どうすれば、いいんだ? もう一度会ったら、また殺しあうのか? だが、今の俺はザフトのアスラン・ザラじゃない。 それはキラにとっても同じ事で、組織としての敵ではない。 殺し合う理由はない。 だが、はいそうですかとまた仲直りできるかと言えば、無理だ。 今後あの少女がジュエルシードを探し続けるなら、またキラと逢う事にもなるだろう。 その時、俺は・・・・・・。 「・・・いや、迷うわけにはいかない」 俺には大事な約束があるんだ。 プレシアからフェイトを護ってくれという大事な約束が。 その約束を護らなければいけない。 だから、もしキラがフェイトの邪魔をするようなら、俺が・・・・・・。 アスランが物思いに耽っていると、 コンコン。とドアがノックされる。 「はい」 ガチャとドアを開けて入ってくる少女、フェイトだった。 「あの、朝ご飯出来ましたけど・・・」 「ああ、すまない。もうそんな時間だったのか」 チラッと壁にかけてある時計を見ると、時刻はAM6:00。 「朝ご飯、いりますか?」 昨日帰ってきてから何も口にしていないので、意識し始めるとお腹が空いてくるのがわかった。 「そうだな。頂くよ」 ベランダからドアへと歩むアスラン。 「あの、聞いてもいいですか?」 「何だ?」 「ベランダで何をしていたんですか?」 「・・・少し、考え事をね」 「もしかして、昨日の人のことですか?」 フェイトの発現にピクッと反応するアスラン。 「・・・ああ」 嘘をついても仕方ない。そう思い正直に答えるアスラン。 それにこの少女にも自分の事情をそろそろ話しておいたほうがいいだろう。 「フェイト」 「何ですか?」 「朝食が終わったら、少し付き合ってくれないか?」 「あ、はい」 「ありがとう」 そして食卓には主人の帰りと居候の起床を心待ちにしていた使い魔はよだれを垂らしながら待っていた。 「・・・・・・これで終わり」 キラは、自分の世界の事や自分が体験してきた事を話していた。 そしてその話を聞いて、なのはは困惑していた。 ユーノの推察通り、キラは異世界の人間だったのはあまり驚かなかったが、 まさか、キラの世界では今も戦争が続いているとは思いもよらなかったからである。 戦争なんてもう何年も昔の話で、とっくに終わって歴史の1ページに過ぎなかったはずの出来事を 今、目の前の青年が語っていた。 ナチュラル、コーディネイター、連合、ザフト、オーブ、モビルスーツ。 聞きなれない単語ばかりであったが、キラの説明もあって何となくは理解できた。 (小学3年生には難しすぎるとも思うんだが。) 「ごめんね」 いきなり謝罪の言葉を発したキラにキョトンとするなのは。 どうして謝るんだろう?と思っていたが、 「いきなりこんなこと言っても信じられないだろうけど、でもこれが僕のいた世界での出来事なんだ」 そういって俯くキラ。 そして気になったことがあり、口を開くなのは。 「あの・・・どうして私にそんなことを?」 普通なら士郎や桃子のような大人に話すべきである内容の話を、どうして子供のなのはに聞かせるのか。 それが不思議に感じた。 「・・・昨日すずかちゃんの家で」 ビクッ!と反応するなのは。 「庭でなのはちゃんが倒れていた時、見たんだ」 背中で冷や汗をかきながらなのははおずおずと聞く。 「な、何を・・・?」 ドキドキドキドキと心臓の鼓動が早くなる。 「・・・僕の」 「えっ?」 「僕の、友達を・・・」 「それって・・・」 昨日、ユーノが言ってたもう一人の魔導師のことだろう。 キラも彼もその時お互いの名前を呼んでいたとの事なので、知り合いには違いない。 「・・・彼は、僕の元いた世界での、友達なんだ・・・」 「・・・」 「でも、この世界に来る直前まで、戦っていたんだ」 「え?ど、どうして?」 「それは・・・」 「再会した時、俺とあいつは敵だったんだ」 朝食が終わるとアスランはフェイトとアルフに自分の世界の事と自分自身の事を話していた。 連合による核の使用にて起こった『血のバレンタイン』 それによってアスランの母、レノア・ザラも死んでしまった事。 それにより、自分の軍に入り、戦争の早期終結の為に戦った事。 そして、ある作戦の際に再会したかつての友・・・。 「あいつは連合の、そして俺はザフトの兵士として、何度も戦場で戦った」 不意に拳を握る力が強くなるアスラン。 「何度も説得した、こっちへ来いと、俺もあいつとは戦いたくはなかった。あいつもきっと同じ気持ちだった」 「じゃあなんでそいつはあんたと戦ったんだい?」 意味が分からず疑問を発するアルフ。 「あいつにも、守りたいものがある。そう言っていた。だから俺はあいつと戦う事を決めたんだ」 「ふーん」 「でも、俺は心のどこかで迷ってしまっていた。その迷いと甘さが、俺の同僚を・・・死なせてしまった」 「・・・」 フェイトはただアスランの話をじっと聞いていた。 今までほとんど他人と関わる事がなかった為か、話を聞く事に集中し耳を凝らし、アスランを見ていた。 「そして俺は、今度こそ必ずキラを討つ。と心に誓い、戦場へと赴いた」 「そして、彼は僕の親友を討った」 淡々と話し続けるキラ。 「僕はそれが許せなくなって、怒りに身を任せて、彼と戦った・・・」 一息置いて、なのはへと視線を向ける。 「そしてその戦いの中、爆発に巻き込まれて・・・それから気付いたらこの世界に来ていたんだ」 「それじゃ・・・あの時あんな大怪我してたのは・・・」 「多分、爆発のせいだと思う。でも、どうしてこの世界に来たのかはまったくわからないんだ」 「・・・その人と」 「?」 「その・・・アスランって人と、また戦うの?」 「・・・・・・」 キラは返事をすることが出来なかった。 自分自身、もう戦争も戦いも嫌だった。 この世界に来て、もう自分は戦わなくて済むと思っていたのに。 なのに、再会してしまった。かつての親友で、少し前の敵に・・・。 「キラ君の友達・・・なんだよね」 「・・・うん。少なくとも、僕はそう思っている」 「だったら、もう」 「でも、アスランは、きっと僕の事を・・・恨んでいる」 「・・・」 「当然だよね、だって僕はアスランの同僚を・・・」 「キラ君は・・・」 「?」 「どうしたいの?」 「どう・・・って?」 「その、アスラン君とこれから・・・」 「・・・仲直りしたい・・・けど」 「だったら!」 なのはは近づいてキラの両手を握る。 「お話しようよ!」 「・・・話?」 「うん!今度会ったら、お話してみようよ!もう戦わなくていいように!」 「・・・そう、だね」 キラの瞳に光が灯ったように大きく見開く。 「・・・ありがとう、なのはちゃん」 なのはの手を握り返すキラ。 「僕・・・やってみるよ」 「キラ君・・・」 「!!!!」 体中に走る感覚、感じる大きな力。 (なのは!) (ユーノ君、これって) (うん、ジュエルシードの反応だ!) (結構近い・・・) バサァッ!!と公園の林の向こうから黒いカラスのようなモノが大きな羽を羽ばたかせながら飛び上がる。 見た所普通のカラスの三倍くらいの大きさはある。 「な、何・・・あれ・・・」 あまりにも常識外れなカラスを見て目が点になるキラ。 「カ、カラス・・・かなぁ」 見たまんまの言葉を言うなのは。 (ユ、ユーノ君。どうしよう?) (キラさんの目の前で変身する訳には・・・) そうこうなのはとユーノが念話で会話している時に、カラスはこちらに気付き、一気に距離を縮めてくる。 「!!危ない!!」 それにいち早く気付いたキラがなのはを突き飛ばし、カラスの攻撃をモロに受け止める。 「ぐっ!!」 脇腹にめり込むように入るカラスの羽。苦痛に歪むキラの表情。 「キラ君!」 「僕はいいから、早く逃げて!」 「でも!」 キラではあのカラスをどうにかすることは出来ない。 出来るのは自分とレイジングハートだけ。 だけど、ここで変身すれば、キラに自分の正体が知られてしまう・・・。 いや、違う。 大事なのは、そんな事じゃない! 今この状況をどうにかできるのは自分だけなのだ。 なら、出来る事をする! 「・・・ユーノ君」 「えっ?」 念話ではなく、言葉に発するパートナーの名前。 思わず反応してしまったユーノ。今は結界を貼ることに集中していたが、 「ごめん」 その後の言葉と行動にもっと驚いた。 キラはどうにかカラスの体当たりを紙一重でかわし、そこらに落ちている石を投げて反撃する。 だが、命中したところで向こうには何の反応すらない。当たったことすら感じていないのだろう。 「・・・どうしたら」 キラがその言葉を発したその直後。 背後にて桜色の光が天に向かって伸びた。 光の方向に視線を向けるが、あまりの光に目を瞑るキラ。 「な、なんだ・・・!」 そして瞼の隙間から光が差し込まなくなってから瞳を開くと、自分とカラスの間に、 白い服を着た少女が杖を持って立っていた。 キラはその服には見覚えがあった。 それは昨日、月村家の庭で横たわっていた少女が着ていたはずの服。 だが、キラはその服の事に関しては自分の勘違いか夢か何かだと思っていた。 だが、今目の前にその服を着た少女が立っている。そしてその少女に向かって口を開く。 「なのは・・・ちゃん?」 名前を呼ばれた少女は振り返る。 その少女はやはり自分の知っている、高町なのはだった。 「ごめんね、キラ君。ここは私が何とかするから」 なのははそれだけ言うと正面を向き直し、カラスと対峙する。 「レイジングハート!」 『フライヤーフィン。』 言葉を発した後、持っていた杖から女性の声がしたと思ったら、 なのはの足元に小さな羽のようなものが現れる。 地面を蹴り、空へと舞い上がるなのは。 「飛ん・・・で、る」 目の前の光景にただ呆然とするキラ。 無理もない。目の前で女の子が空を飛んで大きなカラスと戦ってるなんて、 漫画やアニメみたいな光景が今自分の目の前にあるのだから。 空中に舞い、カラスの標的をこちらに誘うなのは。 それに釣られて、カラスがなのはへと進行方向を変える。 「レイジングハート!」 『シューティングモード。』 レイジングハートの先端が形状変化し、長距離砲撃形態へと変化する。 両手で構え、照準をカラスにあわせようとするが、なかなかに早く移動するのでうまく照準が定まらない。 「うう・・・早すぎる・・・」 不規則な動きで距離を縮めてくるカラス。 向こうもなのはに狙いを定めたのか、一気に突っ込んでくる。 「!!」 『プロテクション。』 とっさに反応した右手をかざし、前面にバリアを展開する。 バリアに真っ直ぐ突っ込んできたカラスは反れるように進行方向が変わる。 だが、カラスはすぐに方向転換し、なのはへと向かっていく。 下から見ていたキラは今のなのはの不利な状況にハラハラしていた。 カラスの攻撃も回数を重ねるごとに精度が増し、なのはの表情にも段々焦りが見えてくる。 「・・・なのはちゃん」 でも、今の自分には何も出来ない。 空を飛んで助ける事も、カラスを倒す力も、何もない。 キラは自分の無力さに歯がゆさを感じていた。 自分よりも小さな女の子が、あんなにも頑張って戦っているのに。 自分はただここで見ていることしかできないなんて・・・。 「僕にも・・・」 力があれば・・・助ける事が出来るのに。 『・・・呼んで下さい』 「え?」 突然聞こえた声に振り返る。が、周りには誰もいない。 だけど、はっきりと聞こえた声。 『・・・名前を・・・呼んで下さい』 「!!」 やっぱり聞こえた。 それも、さっきよりもはっきりと。 振り返り、辺りを見回してもやはり誰もいない。 『私の名前を・・・呼んで下さい』 その声が一番はっきりと聞こえたその時、 キラのポケットから光が溢れていた。 「こ、これって・・・!」 ポケットに手を入れて、入っているものを取り出す。 それは、眩いばかりの光を放っているその物体は、以前なのはから預かったクリスタルであった。 見た事もないものだったので自分のものではないと思っていたのだが、なのはに「キラ君が持っていて」と言われ持っていたものである。 『私の名前を・・・呼んで下さい・・・』 何度も問いかけてくるその声は、やはり 「・・・まさか、これが?」 右手に乗っているクリスタルからの声なのか? 「・・・名前?」 名前とはこのクリスタルの事なのだろうか? だが、これを見た事もない自分に名前など分かるわけもない。 「名前って・・・」 キラは必死に思い出そうとする。だが、何も浮かんでは来ない。 『私は・・・あなたと共に戦い・・・そして、またあなたの力に・・・』 共に・・・戦い・・・?力に・・・?そんなの・・・ん? キラは一つの名前が思い浮かんだ。 「・・・・・・ストライク」 それは、C.E.で共に戦ってきたMSの名前。 幾度となく共に戦火を駆け抜けてきたキラの機体の名前。 『・・・Call is my name.The voice is my master Kira=Yamato.(私の名を呼んだ声の主はマイマスター、キラ・ヤマトと認識しました。)』 クリスタルは一層光り、英語のような言葉を発したその直後。 光が収縮し、キラを包み込む。 その光に目が眩んだキラは目を瞑る。 そして何秒か経過し、光は完全に消えた。 目を開けて自分の姿を見て驚愕するキラ。 「ふ、服が・・・」 それは白を基調とした服で、所々に黒や青のラインが入っている。 そして右手には黒いライフル、左手には大きめのシールドが装着されていた。 『契約、完了。ストライク、ベーシックフォームで起動。』 「ベーシックフォーム?」 『基本となるフォームです。これからエール、ソード、ランチャーの三つのジャケットに換装可能です。』 「・・・本当にストライクと一緒なんだね」 『換装しますか?』 今この状況で一番適している換装は・・・あれしかない! 「ストライク!エールジャケット!」 『OK』 ストライクの機械的なボイスの後、白い服の上に赤いジャケットが出現し、そのジャケットの背面には赤い翼のようなものが出ている。 「・・・これで飛べるのかな?」 『はい、マスターが飛べるということを強くイメージしてください。』 「強く・・・イメージ・・・」 空を見上げ、見渡す空を飛ぶ自分を思い描く。 その姿をはっきりと描き、キラは足に力を込めて、地を蹴る。 そして、真っ直ぐと空へ舞い上がっていく。 空中で防戦一方のなのは。 攻撃をしたくても、向こうの体当たりをプロテクションで逸らすのが精一杯で攻撃の暇すら与えてくれない。 そしてまだ接近戦用の魔法を覚えてはいないので、どうすることもできない。 『マスター。』 そうヤキモキしながら考えていると、レイジングハートが不意に声を出す。 『高速で接近する何かを確認。』 「えっ?」 その声を上げた瞬間。 目の前の向かってくるカラスが下から飛んできた何かに当たって大きく吹き飛ばされる。 いや、正確には"何か"ではなく"誰か"であった。 その誰かに視線を向けると、白と赤の服に身を包んだ彼が。 「大丈夫?なのはちゃん」 キラ・ヤマトが、そこにいた。 「え?え?キラ君?」 突然の事に頭がついていってないなのは。 「うん、そうだよ」 「その格好・・・」 なのははキラのバリアジャケット姿をまじまじと見ていた。 「あ、あははは・・・僕にもまだよくわからないんだけど」 振り返り、カラスへと視線を向けるキラ。 「僕も戦えるってことみたい」 ガシャッと右手のライフルを構えて何発か撃つキラ。 だが、弾は当たることなく空へと消えていく。 「ライフルがダメなら!」 ライフルを腰に装着し、肩にある白い筒のようなものを引き抜く。 すると引き抜かれた筒の先から赤い細長い光が発現する。 そしてカラスへと向かって飛行する。 「これでっ!」 ぐんぐんと迫る両者。サーベルを持つ右手に力に込めるキラ。 そして一気に距離は縮まり、 交差した。 空中でブレーキをかけ、振り向くキラ。 と同時に、カラスの片羽が本体から分離する。 「クキャアアアアアアアアアアッ!!!」 断末魔の悲鳴を上げ、カラスのようなソレは、消滅していく。 そして、消滅した後、一つの青い結晶が中に浮いていた。 近づくキラとなのは。 「ジュエルシード・・・」 「ジュエルシード?」 ぼそっと言ったなのはの一言を復唱し問うキラ。 「ええと・・・私達はコレを封印するのが役目なんだ・・・」 「そうなんだ・・・」 チャキッと杖を構え、両目を閉じるなのは。 足元に魔方陣が展開する。 「リリカルマジカル、ジュエルシード封」 「!!危ないっ!!」 封印の儀式の最中にキラは突如元いた場所のなのはをはさんだ反対側に回り込み、左手のシールドを構える。 構えた瞬間、シールドに何かがぶつかり、消滅する。 衝撃の反動で思わず目をつぶったが、おそるおそる目を開けるキラ。 そして左手を戻し、攻撃してきた方向を見定めると、 一人の少女と一人の青年が空中に浮いていた。 そして青年が口を開く。 「・・・キラ・・・」 「アスラン・・・!」 「あの子・・・昨日の!?」 「・・・・・・」
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50音順です 元ネタを書いて貰えると感情移入しやすくなります ア行 アクマクン 『悪魔くん』悪魔くん。主人公の通称。仲間の悪魔を呼び出す際は、魔法陣を使う。 アルハイム 『隣り合わせの灰と青春』プリースト。不死族を封印し浄化する力は随一。 ウォート 『ロードス島戦記』魔神たちが出現した「最も深き迷宮」を封印し、その出入口の番人をしている大魔術師。 オウテンクン 『封神演義』王天君。十天君の一人。陣地に入った者を強酸性の紅い霧で溶かす「紅水陣」を敷く。 『封神演義(漫画)』王天君。十天君の首領。強酸性の血の雨を降らす空間宝貝「紅水陣」の使い手。 カ行 コウメイ 諸葛亮 孔明。三国時代の蜀の政治家。兵法を応用して八陣の図を作成したという。 コラード 『クリスタニア』シリーズ。封印の民の戦士。世を混乱させる混沌を封印することを使命としている。 サ行 ザザ 『風よ、龍に届いているか』アンデッドやデーモンを封印し退散させる力に長けている。 サトゥルヌス サトゥルヌス魔方陣(土星魔方陣)から。 ジオ 『BASTARD!!』ジオ・ノート・ソート。悪の魔術師ダーク・シュナイダーを子どもの身体に封印し、無力化した。 シュブ 『水滸伝』朱武。百八星の一人。宿星は地魁星で、陣形の知識に長ける。 スタニスラス 『(新約)オオカミが来る!』スタニスラス・ストゥップス。超常現象から一般人を守る零細組織「K.I.R.C.H.E.」の主任。組織を作る時に本名は捨て、現在は「シュタインボック」または単に「主任」と呼ばれる。肉体的には貧弱だが、「ちからあることば(テトラグラマトン)」という技術で結界を張ったり敵をあぶり出したり、あるいは幽霊を実体化させて物理攻撃が届くようにすることができる。 セイメイ 安倍晴明。平安時代の陰陽師。「安倍晴明判紋」という、五芒星と同じ形をした魔除けが伝わる。 ソウレン 『空の境界』荒耶 宗蓮。結界の分野に突出した魔術師。 ソロモン ソロモン王。魔法陣で72柱の悪魔を使役し、そして封印したとされる。 タ行 ナ行 ハ行 ハッチ 『BLEACH』有昭田鉢玄。仮面の軍勢(ヴァイザード)の一人。結界や回復系の鬼道を得意とする。 ピタゴラス 古代ギリシアの数学者。「数秘術の父」とされる。数秘術によればピラミッドは「世界」を示し、死した王を封印するものとされる。 フリー 『ソウルイーター』魔眼の狼男。強大な氷の魔法と空間魔法を操る。 ボールガード 『モンスターメーカー』魔法使い。異界よりの人外なる力を封印する役割を負っている。 マ行 ミナミモト 『すばらしきこのせかい』南師猩(みなみもと しょう)。数学に関連する台詞回しや行動が特徴的。 ヤ行 ユーノ 『魔法少女リリカルなのはシリーズ』ユーノ・スクライア。結界魔導師。 ユピテル ユピテル魔方陣(木星魔方陣)から。 ヨシモリ 『結界師』墨村 良守。主人公。墨村家22代目(予定)の結界師。 ラ行 ワ行 Wikiを編集する際の意見や要望等はwiki編集・要望を活用して下さい。----
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ユーノ「ぼくがやるより、いいみたい…でも、ちょっと…うぐっ、乱暴すぎないっ?…くはあっ」 クロノ「ち、直接触るやつがあるかっ、もっと、手順が…ふっ、うああっ…」 ザフィーラ「…おまえにまかせる。 早く、やれ…」 エリオ「い、痛いです…痛いですけど、我慢できますから…!」 グレアム「老体にムチを打つとはね…いや、私もまだ現役のつもりだよ。 続けたまえ」 ジョルノ「フーッ 終わった…」 ティアナ「ナニよ、そのさわやかな笑顔は」 ジョルノ「ぼくのゴールド・エクスペリエンス。 まだまだ何か生まれそうな気がするんだ…!!」 ティアナ「生まなくていいから! つか、ぶっ殺す! あんたの頭、ムショーに穴だらけにしてやりたいわッ」 ジョルノ「…なんでです?」 ティアナ「真顔で聞き返すなぁ―――ッ あたしの乙女を返せェェェ―――ッ!!」 ジョルノ「なんなんですか、あなたは?」 単発総合目次へ その他系目次へ TOPページへ
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リリカルなのはGX 第??話「最強の魔法使いデッキ」 「俺のターンドロー!」 遊城十代は、左腕に付けたデュエルディスクからカードを引いた。 デュエルの相手は、コスプレなのだろうか白いショートコートにミニスカートな格好の女性だ。 「俺は、E-HEROスパークマンを召喚!カードを一枚伏せターンエンド」 十代のターンが終了し、白服の女性のターンが来る。 「私のターン…ドローなの!私は、ティアナ・ランスターを攻撃表示で召喚!」 現れたのは、二丁拳銃を持ったツインテールの女性だった。 「ティアナ・ランスター攻撃力1650・防御力1200のモンスターか」 「私は、カードを一枚伏せティアナで攻撃!」 『クロスファイヤーシュート!』 白い服を着た女性なのはの攻撃宣言により攻撃を開始するティアナ。 「そうは行くか!トラップカードオープン!」 十代が伏せていたカードは、トラップカード・ヒーローバリアだった。 「ヒーローバリアの効果で、E-HEROへの攻撃を無力化する!」 「私のターンは終了よ」 「そんじゃ、俺のターン…ドロー!俺は、手札のE-HEROクレイマンと場のスパークマンを融合! 現れろ、E-HEROサンダー・ジャイアント!」 十代の持つ融合のカードで現れたのは、雷をまとった巨大なヒーローだった。 「サンダー・ジャイアントの特殊効果発動!ヴェイパー・スパーク!」 その効果で場にいるティアナは、激しい雷に撃たれ破壊される。 「キャァー!」 「ティアナ!」 ティアナが破壊され、少し表情が曇るなのは。 「ザンダー・ジャイアントの攻撃は終わってないぜ!行けぇぇぇ!ボルティック・サンダー!!」 攻撃力2400のダイレクトアタックが決まり、なのはのLPが1600まで削られてしまう。 「くっ、罠カードオープン、魂の綱!1000ライフポイントを払うことでデッキから☆4以下のモンスターを特殊召喚!」 現れたのは、守備表示のフェレットだった。 「(ん?トラップのタイミングミスか。サンダー・ジャイアントの攻撃時に召喚すればダメージを受けずに済んだのに)」 十代が、そんなことを考えているとデュエル相手の女性が話しかけてくる。 「十代くん、バトルフェイズが終わったけどターン終了はまだかな?」 「あ、えーと、カードを1枚伏せターン終了だ」 十代がターン終了を宣言したのを聞いたなのはは、カードをドローする。 「私は、ユーノくんの効果でライフを500回復」 なのはが表側守備表示で出していたユーノくん攻撃力500守備力2050は、 スタンバイフェイズに一度ライフを500回復させる効果がある。 「そして、ユーノくんを生贄にフェイトちゃんを召喚!」 生贄召喚されたのは、☆6つの上級モンスターフェイト・T・ハラオウンと言う女の子だ。 攻撃力2500守備力1500の魔法使い族だ。 「すげぇぇぇ!そんなカードがあるなんて、翔が見たら喜びそうだなぁ」 「そして、装備カード・使い魔の援護を発動!この効果で攻守700ポイントアップ!」 攻撃力3200と成ったフェイトには、更なる効果があった。 「フェイトちゃんで、サンダー・ジャイアントを攻撃!」 「バルディッシュ!」 『Haken Saber』 金色の刃が黒い斧杖から発射され、サンダー・ジャイアントを切り裂き破壊する。 「ぐっ」 十代のライフは800削られLP3200となった。 伏せカードを使おうと考えた十代だったが、サンダー・ジャイアントの破壊前に使えなかったのだ。 「何故、伏せカードが使えないんだ?」 「フェイトちゃんの効果なの。一ターンに一度相手の場の伏せカードを1枚封じるの」 「すげぇ効果」 「そして、カードを1枚伏せターン終了なの!」 なのはの出した少女にサンダー・ジャイアント破壊されながらも、楽しくて仕方がない十代。 「ドロー!俺は、フレンドッグを守備表示で召喚!そして、カードを1枚伏せターン終了」 十代は犬型機械族モンスターを召喚し、伏せカード2枚目をセットしターンを終了した。 「私のターン、ドローなの!」 彼女は引いたカードをほほ笑む。 「私は、儀式カード・白き戦神を発動なの!☆8以上のモンスターを生贄に…出でよ!高町なのは!!」 手札のクロノ・ハラオウン☆8を儀式のコストとし、☆8の儀式モンスター・高町なのはを召喚したのだ。 その攻撃力は3200、守備力は2800と凄まじい。 「さぁ、私の攻撃!フェイトちゃんでフレンドッグを攻撃!ハーケン・セイバー」 金色の刃によって切断されるフレンドッグ。 「フレンドッグの効果発動!墓地に送られた時、墓地のE-HERO1体と融合を手札に加える」 「まだ、私のバトルは終わってないの!ディバイーン・バスター!!」 『Extension』 凄まじいピンク色の光が十代を襲う。 「伏せカードオープン!」 「フェイトちゃんの効果で1枚封じるよ!…そのカードを封じるわ」 「ラッキー!俺が発動するのはこっちだ!」 なのはが封じたのは融合解除だったのだ。 十代が発動させたのは、もう一つの方だった。 「ヒーロー・シグナルで、デッキからE-HEROを特殊召喚する!現れろ、バースト・レディ!」 炎のヒーローE-HEROバースト・レディが守備表示で召喚された。 なのはの攻撃は、バースト・レディを粉砕する。 単発総合目次へ 遊戯王系目次へ TOPページへ
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第一放送までの死者 時間 名前 殺害者 死亡作品 死因 凶器 深夜 岡崎朋也 春原陽平 001 親友 射殺 Sturm Ruger Blackhawk 深夜 宮永咲 杉崎鍵 007 迷いと決断 射殺 IMI デザートイーグル 深夜 三千院ナギ 棗恭介 017 紅く染まれ――愛/哀の傷跡 斬殺 冥加 深夜 棗恭介 直枝理樹 017 紅く染まれ――愛/哀の傷跡 射殺 S W M60 チーフスペシャル 深夜 蟹沢きぬ アイズ・ラザフォード 019 スカーレット・オラトリオ 射殺 コンポジット・ボウ 深夜 結崎ひよの アイズ・ラザフォード 019 スカーレット・オラトリオ 射殺 コンポジット・ボウ 深夜 津村斗貴子 人吉善吉 024 コワレモノ~血飛沫に狂え~ 撲殺 左手用リボルバーナックル 深夜 竹内理緒 人吉善吉 024 コワレモノ~血飛沫に嗤え~ 撲殺 左手用リボルバーナックル 深夜 リシアンサス 高町亮子 026 L enfant de la punition 毒殺 毒薬入りの水 深夜 那波千鶴 三枝葉留佳 028 マガイモノ~Lunatic Girl~ 射殺 SIG Sauer SSG-3000 深夜 原村和 桜庭優 031 この少女に――救いはない 刺殺 ボウイナイフ 深夜 山田妙子 高嶺悠人 032 剣と銃のセレナーデ 斬殺 誓い 深夜 笹塚隆平 高嶺悠人 032 剣と銃のセレナーデ 斬殺 誓い 深夜 朝日奈さみだれ 美樹さやか 052 壊れた少女の選んだ道 刺殺 剣 黎明 クロノ・ハラオウン 春原陽平 038 死神様に最期のお願いを 射殺 Sturm Ruger Blackhawk 早朝 ネギ・スプリングフィールド 高町亮子 041 終ノ少女 刺殺 白楼剣 早朝 高嶺悠人 ユーノ・スクライア 047 泣き叫んだ少年少女――今日ここに、神はいない 絞殺 バインド 最期の言葉 名前 最期の言葉 岡崎朋也 「とりあえず移動しようぜ。早く他の知り合いと合流しねぇと。お前は芽衣ちゃんを探さ……っ!」 宮永咲 ――――お姉ちゃん―――― 三千院ナギ 「ありがとう――――シン」 棗恭介 「り……き……や…………め」 蟹沢きぬ 「おーい、オメーも当然乗ってね――」 結崎ひよの 「――――――」 津村斗貴子 「カズキのために!貴様を殺す!!」 竹内理緒 「まだ、死にた」 リシアンサス 「うん……亮子ちゃ……っ……あ」 那波千鶴 (生きたい。もっと生きていたい、なぁ) 原村和 「ゆっ……う……さ…………」 山田妙子 「無事か……さ、さづか……」 笹塚隆平 「ごめん、修史くん――仇討ち、できなかった」 クロノ・ハラオウン 「貴方のおかげで僕は――――救われた」 ネギ・スプリングフィールド (本当の亮子さんは笑っていないっ!) 高嶺悠人 「がっ…………ォ、………………ィ」 朝日奈さみだれ 「ゆー、くん」 第一回放送までの殺害数 順位 人数 該当者 このキャラに殺された人 生存状況 スタンス 1位 2人 アイズ・ラザフォード 蟹沢きぬ、結崎ひよの 生存 奉仕(鳴海歩) 2人 人吉善吉 津村斗貴子、竹内理緒 生存 ?? 2人 高嶺悠人 山田妙子、笹塚隆平 死亡 優勝狙い 2人 春原陽平 岡崎朋也、クロノ・ハラオウン 生存 奉仕(春原芽衣) 2人 高町亮子 リシアンサス、ネギ・スプリングフィールド 生存 無差別 2位 1人 杉崎鍵 宮永咲 生存 奉仕 1人 棗恭介 三千院ナギ 死亡 奉仕 1人 直枝理樹 棗恭介 生存 優勝狙い 1人 三枝葉留佳 那波千鶴 生存 無差別 1人 桜庭優 原村和 生存 優勝狙い 1人 ユーノ・スクライア 高嶺悠人 生存 ?? 1人 美樹さやか 朝日奈さみだれ 生存 無差別
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ダヤン 封印の剣に登場する遊牧騎兵。 クトラ族の族長でスーは孫娘。また烈火の剣に登場するラスの父でもある。 サカ一の強者「灰色の狼」として名を馳せていたが、ベルンに敗れ少数の生き残りと共に地道な抵抗を続けていた。 サカルートに進むと20章「灰色の狼」にて同盟軍として登場するので、ロイ・スー・シンで話しかけると参入する。 戦力としてはサカルートに進んでいる時点で、スー&シンが不幸にもヘタレているか、遊牧騎兵揃い踏みを狙わない限り出番は無さそうである。 二択となるイリアルートのユーノと比べるとトライアングルアタックが無い分、どうしても不遇感あり。 会話の内容を見るに人を率いる者としての風格を感じさせる会話が多い。 また烈火のラス&リンorギィの支援会話にも登場する。 余談になるが名前の由来はモンゴル史の人物に由来する。 関連【スー】【シン】【ラス】
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フェイト・テスタロッサ 好感度 +17 大切なパートナー 射命丸文 友情度 +10 大切な仲間。 イカ娘 友情度 +6 共に戦う仲間。 チンク 友情度 +5 共に戦う仲間。 フェイト・アーウェルンクス 友情度 +4 新しい仲間。 ナル 信頼度 +7 移動時、いつも世話になってる。 やらない子 友情度 +10 共に戦う仲間。 長門有希 友情度 +5 教会のシスター。待っている方。 朝倉涼子 友情度 +7 教会のシスター。裏の顔がありそうな方。 霧雨魔理沙 友情度 +7 幾度か同行してる奴。今度、やる夫と一緒に出かけるらしい。 ジャギ 友情度 +7 『ジャッカ・・・ジャギィだったか。』 巴マミ 友情度 +6 幾度か同行している奴。 ドーラ・コイ・ホワイトドラゴン 友情度 +6 幾度か同行している奴。 カレン・オルテンシア 好感度 +17 色々あって恋人になった クラース・F・レスター 信頼度 +8 恩師 高嶺なのは 信頼度 +10 オフクロ。 高嶺ユーノ 信頼度 +10 親父。(が、無性に張り合いたくなる。)
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第一部 第十五話『眠れない二日間』⑦ 〈二十一時二十一分 綺璃斗〉 「【喫茶「白桜雪」】のミルフィーユはウマかったな」 「そうですね」 教導隊が出している喫茶店から出たカリムたちは至福そうな表情で歩行者天国を歩いていた。 外食をする人たちが多いのか、はたまた既に参拝へ行く予定なのか、外には大勢の人が歩いている。 向こうから歩いてくる人たちを避ける様に歩きながらアキは訊ねる。 「次はどこに行くか?」 「この時刻なら至高の遺産がレストランになっているらしいから、そこで良いだろ~。そこの雰囲気の方がカリムに合っているかもしれないからな~」 夕食について話し合う二人にカリムは少しおどおどしながらも割り込もうとする。 「あっ。あの……」 「他にカリムが気になっている店があれば、そこでもいいんだぞ。心配するなぁ~。私はお金を余り使わないからたんまりとある。どんどん言いたまえ~」 「教導時に破壊した物の修理費が経費で落ちなかったら、財布が極寒地獄と化していたけどな」 ぽつりと口にこぼすアキ。 「何をぉ~!」 アキの一言が癇に障ったアサギは怒り出す。 怒りの余り、専用デバイスである『雷皇麒』か『雷鮫』を抜くのではないだろうか。 「本当の事じゃねぇか」 茶色いスラックスのポケットに両手を突っ込みながらにやりと笑うアキ。 民間人の密集する歩行者天国で戦闘が開始されそうな雰囲気を醸し出す二人の間にカリムが割り込んだ。 「私はホットドックとかが良いです。私にとっては何を食べたかというより、二人と何を食べたかの方が重要ですから」 「カリム……」 その一言で熱くなった頭が冷えたアサギは武器に伸ばしていた手を戻す。 「なら、陸士部隊の「冬天市場」か自然環境保護隊の「闇鍋屋」になりそうだな」 少し黒くなって見える空を怪訝そうに見上げながらアキは、カリムの要望に沿った物を出す店の名前をピックアップする。 「じゃあ、そこに行こうじゃないかぁ~」 そう言ったアサギは隣にいるカリムの手を何気なく握る。その仕草はとても自然であった。 アサギが何気なく手を握って来た事に驚くカリムであったが、微笑みながら頷いた。 「……はい」 カリムと手を繋いだアサギは大きく手を振りながら歩き、アキはそんな二人の後ろから眺めていた。 「そろそろ陸士の部隊が屋台を出している位置だな」 アキが前方で楽しそうに歩いている二人にそう言ったその時の事だった。 少し先にある建物の影から少女がよろけながら出てきた。 身体から煙の様な物が噴き出ている。 咄嗟にカリムはアサギの手を振り払い、歩行者天国に倒れた少女に駆け寄る。 「はあ……はっ………か…がふぅっ……」 少女の吐息から吐き出さる吐息は荒々しくてとても痛々しい。 「かふ…………」 いきなり喀血する少女。アスファルトに落ちたその血は異様に黒かった。 そして喉を痛めるのではないかと思えるくらい大きな声で少女は絶叫する。 「あがっ……あっ…ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 周囲の悪意や煩悩が黒い靄となって少女の身体を飲み込み、渦を巻きながら新たなる姿をとる。 レキとの戦闘時は石像のような姿であったが、今度は西洋甲冑を装備した騎士のような姿であった。 身長が三メートルぐらいありそうな漆黒の騎士は拳を振り上げ、カリムを強引に叩き潰さんと振り下ろす。 カリムは恐怖で瞼をぎゅっと閉じる。目の前にいる恐怖を拒絶するかのように。 地面を砕くような威力を孕んだ騎士の拳が振り下ろされる。しかしカリムに衝撃が来る事はなかった。 少しおどおどしながらもカリムは瞼を開く。瞼を開くとアキの顔が間近にあった。 いつの間にかアキの腕の中にいたカリムは突然の事に状況判断が出来なくなり、頬を紅潮させながらも目を白黒させる。 カリムを横抱きにしながらもアキは器用に携帯電話を操作し、友好のある陸士部隊の部隊長宛てに電話をかける。 約三十秒ぐらい時間が経過してから相手が電話に出た。 [おぅ。アキか……どうした] 電話の相手は陸士一〇八部隊の部隊長であるゲンヤ・ナカジマ三等陸佐であった。 「えっと……少々申し訳ないですが、交通規制を引いて貰えませんか? ナカジマ三佐」 騎士と鎬を削りあうアサギを軽く一瞥してからアキはゲンヤに頼み込む。 電話の向こうからゲンヤが楽しそうな声で笑う。 [てめぇがそう言うなんて珍しいな] 「いや~。資質のある子が暴走したんで……今、アサギが対応しているんですよ……」 そう言ってアキはため息をつきながらも、飛んできた槍を蹴り飛ばす。 ため息の意味が分かると同時に修理費の文字が思い浮かんだゲンヤもため息をつきながら言った。 [……分かった。他の奴らにも連絡を回してやる。お願いだから、公共物を破壊するなよ] 「無理」 アサギか騎士のどちらかが道路を砕いた事によって飛んできたアスファルトの破片を展開した結界で防ぎながら即答する。 […絶対、通行人に怪我を負わせるな。それ以外は……この際、目をつぶってやる] 軽く間を置いてから疲れた様な声で言うゲンヤ。電話の向こうで頭を抱えている様が頭に浮かぶようだ。 「りょ~かいっと」 「篠鷹アキ戦技教導官」 ゲンヤと電話を終わらせたアキは甚平を着た局員に声をかけられた。きっとその格好で警邏に出させられていたのだろう。 「カリム・グラシア中将を安全区域までお願いします。規制範囲はココから半径二十五mのプラスマイナス五m以内で」 通信が終わるまでずっと待っていたと思われる局員にカリムを引き渡し、アキは二人に背を向けて歩いていく。 「了解いたしました。皆さん! 今からココは戦場になります。危険回避の為に避難して下さい!」 局員の言葉に周囲で見ていた通行人たちは蜘蛛の子を散らす様に走り出す。 「グラシア中将。私たちも……」 カリムの安全を確保する為に局員も離れようとするが、カリムはその場から離れようとしない。 「アキさんっ!」 被害をこうむらない様に避難しようとする人ごみに押されそうになりながらもカリムはアキの方を向いて叫ぶ。 「大丈夫です。アサギと自分が……負けると思いますか?」 「……いいえ」 騎士の飛ばして来たトゲを野太刀で打ち据えるアサギを見たカリムは一瞬でも友人を信じられなかった事が恥ずかしいらしく目を伏せる。 そんなカリムにアキは軽く苦笑する。 「じゃあ、待ってて下さい。ちゃんと迎えに行きますから」 出来るだけ被害を出さないように戦うアサギと今も結界を展開してカリムたちを守っているアキの背中を見つめながらカリムは懇願するかのように言った。 「……負けないで下さいね」 「ヤーヴォール」 アキはカリムたちに背中を向けたまま、そう答えた。 安心したカリムは顔を戻し、局員に背を押されながら他の人と共に避難する。 しばらくしてから展開していた結界を解除し、アキは苦笑する。 「楽しそうだな。私たちの姫さんは何て言ってたんだ? 全部吐き出したまえ」 いつの間にかアキの隣に立っていたアサギがニヤニヤしながら訊ねる。 「『負けないで下さい』だってさ」 「そりゃあ、負けられないな」 飛んでくるトゲを魔力球で相殺しながらアサギは笑う。 「どっちが前衛?」 前面に重力の壁を発生させる事で飛んでくるトゲを落とすアキにアサギは答える。 「愚問だなぁ。制圧の類いはお前の十八番ではないか」 「りょ~かい。アサギっ!」 首にかけていたゴーグルをつけるアキ。前方に展開した重力の壁を解除すると同時に重力制御魔法で周囲の重力を下げ、地を強く踏み込む事で初速を高める。そして質量に変換した魔力を纏わせる事で更にスピードを上げた。 弾丸の如きスピードを得たアキは両手の先に漆黒の魔力球を生み出す。 騎士も迎撃する為に靄《モヤ》を終息させてナイフを作り出そうとする。 しかしその隙にアキは騎士の懐へ入り込み、黒球のついた左の拳で騎士の腹部を突く。 質量を上乗せされた拳を叩き込まれた騎士の装甲はメキメキという音を立てながらひしゃげた。 その一撃で意識が飛んだのか、ナイフの形を取っていた靄が霧散する。 更にその隙を狙ってアキは右の拳をすくい上げ、騎士の胸部に叩き込む。 重量を秘めた黒球のついた拳を叩き込まれた騎士はズドンという鈍い音と共に上へ殴り飛ばされる。 アサギは騎士を指差して呟く。 「紫雷の猟狐《フォックスハウンド》」 その言葉が空間に紡がれて溶けた瞬間、アサギの周りに狐が何匹も出現する。 「狩りの時間だ《セット&イグニッション》」 アサギの一言を合図に周囲で待機していた狐が紫電を放ちながら騎士へ様々な方向から攻めにかかる。 騎士は咄嗟に靄を集めて厚い壁を作り出し、アサギの飛ばして来た狐たちに備える。 ガリガリという音を立てながら狐たちは壁を削っていき、壁を突破した最後の数匹は騎士の装甲に突き刺さって爆発する。 人差し指と中指を騎士に向けたアキは黒の雫《シュヴァルツトロプツェン》と呟き、詠唱を破棄して魔法を発動。 指先に魔力が集束し、小さな黒球が形成される。 「さっさとくたばれ《グゥーテ ナハト》♪」 黒い奇跡を描きながら黒球は機関銃の様に撃ち出され、騎士の右腕を貫通する。 「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 甲冑の中から少女らしき声がくぐもって聞こえてきた。 「女の子の腕に貫通痕を作るのは胸が痛むなぁ~」 騎士の右腕に出来た貫通痕から黒い靄が血の様に噴き出す様を眺めながら楽しそうに笑うアキ。 「でも仕事だからなぁ~。黒き断頭台《シュナイデン シュヴァルツシルト》」 落下してくる騎士に止めを刺すように魔力が集束して出来た刃が叩き落される。 本来なら重量で強引に物体を切断する魔法であるが、流石に人体を切断する訳には行かない。 威力は道路に軽くめり込む程度まで軽減されていているのだが、グシャっという耳障りな音と共に騎士は地面にめり込んだ。 「ひとまず鎮圧完了?」 「そんな訳無いだろ~。馬鹿めぇ~」 気楽なアキの呟きにアサギは武装を解除せずに突っ込みを入れた。 二人によって一方的にやられっぱなしであった騎士は周囲に漂う煩悩などを吸収しながら立ち上がる。 「まだまだ大丈夫なようだな」 「あぁ、戦り甲斐があるではないか」 鎧を修復し、身体も十mぐらいまで肥大した騎士を見上げながら呟くアキとアサギ。 「本体の位置は分かっているのか?」 「アサギこそ」 騎士を見上げながら楽しそうな笑みを浮かべるアサギに、アキは両手の指を鳴らしながら返す。 「今夜は陸士部隊の奴らが優しいなぁ。交通規制だけじゃなくて、ご丁寧に結界まで張ってくれているぞ」 「あいつが壊れるまで思う存分、戦っても良いという事だろ~」 騎士を見ながらニヤリと笑う二人。獣のように歯を剥き、新しい玩具を貰った子供のように目をキラキラさせている。 その二人から放たれる気配に騎士もわずかに退いたように見えた。 雷皇麒を納刀したアサギと左手に超重力を孕んだ黒球を生み出したアキが動いたほとんど同時。 二人を潰さんと、高密度の靄で作った大剣を叩きつける。 しかしアサギはその攻撃を回避し、大剣の刃を駆け上がる。 騎士の顔面に右の拳を叩きつけると同時にアサギは楽しそうに魔法の銘を紡ぐ。 「スタン…クレイモア♪」 アサギの右拳から高圧電流に変換された魔力がスタンガンのように弾けた次の瞬間には爆発音と共に騎士の頭が弾け飛んだ。 反撃の隙を与えない為か、擬似的に作り出した無重力空間で瞬間移動と言っても過言ではないスピードまで加速したアキが騎士に突っ込んできた。 「必殺っ! ディバイぃぃぃぃぃン……」 銃弾如きスピートまで加速した状態で腰を捻ると同時に右肘を軽く引き、騎士の装甲めがけて突きを叩き込む。 超重力を孕んだ右拳の魔力球が騎士の装甲を突き破り、右腕がめり込んだ。 「おろしがねぇぇぇぇぇっ!」 騎士の装甲にめり込んだ程度でその勢いは納まらず、道路のアスファルトと騎士の装甲をガリガリと削りながらも前に進み、アスファルトの破片と靄を撒き散らす。 更にアキは開いた左拳の先に重力球を展開し、再び強烈な一撃を騎士の胸部に叩き込んだ。 地面に叩きつけられ、大きくバウンドしたところで重力と質量を利用して瞬間移動したアキの追撃が騎士に突き刺さった。 弾き飛ばされた騎士であったが、陸士部隊の展開した結界に背中を叩きつけられることで止まり、そのままその場に倒れ込んだ。 凄く満足げな顔をするアキの隣に立ったアサギは淡々とした口調でツッコミを入れる。 「アキ……その技。使うのは止めといた方が良いと思うぞ」 「ん? 何でだ?」 周囲に漂う黒い靄が騎士に集まるのを眺めながらアキは適当な返事を返す。 「スバル・ナカジマ一等陸士が泣くから」 「そうか」 立ち上がった騎士を一瞥したアサギは楽しそうに笑う。 靄によって新しい姿を得た騎士が二人の方に歩み寄ってきた。その姿は禍々しく、凶悪でなっていた。 まるで相手に畏怖を与え、心に恐怖を植えつけるように。 「はっ。戦意を失わせようとする気なのか知らんが……甘いなぁ~。ブリッツ・リヒト……シュトライヒェン」 片目が紅く染まり、片目が黒く染まったアサギが楽しそうに笑いながら抜刀する。 魔法の発動と轟音はほぼ同時。紫電を纏った野太刀が勢い良く抜刀された野太刀が煌めいた。 光となった雷皇麒の刃が腹部から騎士の身体を分かち、腹部から下を焼き尽くした。その切り口はまるで定規を当てたのごとく綺麗な一文字。 「恐怖心を与える事による戦意喪失は良いアイディアだけど……悪いね。俺たち…こっちが壊れちゃっているから。黒き断頭台《シュナイデン シュヴァルツシルト》」 魔力が集束する事で発生した巨大な断頭台が騎士の両肩に落ち、両肩を重量で強引に切断する。 腹部から下の部分と両腕を失った騎士にアサギはニヤリと笑いながら呟く。 「ダルマの出来上がりだな……」 隙を見せたアサギを睨みながら、口から黒い槍を勢いよく吐き出す。 「星喰らう暴食者《エッセン・シュヴァルツシルト》」 アサギの前に躍り出たアキが手を合わせて魔法を発動。開かれた手の間から黒い球体が出現し、飛んできた騎士の槍を飲み込む。 「あぶねっ……」 間一髪で騎士の攻撃からアサギを守ったアキは冷や汗をかきながら息を吐き出す。 青筋をぴくぴくさせながら笑みを浮かべているアサギはアキを呼ぶ。 「何だ?」 アサギの口から出たのは一言のみ。 「犯《や》れ」 「ええっ!」 ろくでもない命令をされたアキはギョッとする。 しかし妙に嬉しそうなアキにアサギはため息をつきながら補足説明をした。 「別に青姦……路上プレイしろと言っているわけではないぞ」 「ちょっ! 言い繕っても意味は同じだからっ!」 ツッコミを入れるアキにアサギはいつの間にか納刀していた雷皇麒の鞘でその喉に突きを入れた。 「ちょっと黙りたまえ」 「い…イエズ……ザー……」 咳き込みながら頷くアキ。 「アレを使うから時間稼ぎをしてくれたまえ~。アキなら、動きながら準備は出来るだろう?」 「まぁ……な。でも、何で犯《や》れって言ったんだ?」 アサギに騎士の黒い槍を飲み込んだ球体を渡し、指を鳴らしながら訊ねるアキ。アサギはのんびりと答える。 「人外でもノンケでも食べるんだろ~?」 「それは朱乃さんだけですから!」 アサギの口から出た意味の分からない理論に焦る余り、アキの口調がいつの間にか敬語になる。 息を吹きかけるようにアサギはアキの耳元で囁く。 「……ご褒美ですよっ♪」 「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 悲鳴の様な叫び声を上げながらアキは周囲の悪意を吸収して身体を修復する騎士に突っ込む。 騎士は突っ込んでくるアキを迎撃する為に身体を修復しながらも靄を槍に変えて発射する。 アキの身体に槍が突き刺さるが、全く動じずにニヤリと笑って魔法を発動した。 「スタぁーライトっ《星》!」 周囲の上空に漆黒の球体が幾つも精製されて配置された。 騎士は身体を修復し終えると、発射する槍の数を増やす。 身体に槍が突き刺さりながらもアキは笑みを崩さすに魔法を完成させる。 「フォーリンッ《堕ちつ》……ダウンっ《日》!」 上空に浮いていた漆黒の球体が一気に落とされる。 落ちた球体は地面にクレーターを作り、球体を喰らった騎士はいきなりかけられた重みで膝をつく。 「流石、高町教導官の対SLB用として編み出した魔法だな……」 自身が編み出した魔法の一つによって膝を突いた騎士を見ながら呟くアキ。 その言葉が挑発に聞こえた騎士はアキを睨みながら身体を少しずつ持ち上げていく。 「マジっ!?」 「アキが時間稼ぎをしてくれている事だし、手早く完成しないとなぁ……」 アサギは雷鮫に球体を装填。電気へ変換された魔力を注ぎ込み、銃身に小さいが強力な磁場を作り出す。 漆黒の球体は銃身の中で急速に回転し始め、ひし形のような長細い物体へと姿を変える。 「アサギっ! 早くしろっ! 押し切られるぞ」 「……OKだっ!」 その言葉を合図にアキは騎士から退き、〈スターライトフォーリングダウン《星堕ちつ日》〉を解除する。 「抉り穿ち抜く《ストレイト》……」 アサギの前に超重力に変換された魔力の壁が出来上がる。 「神威《ディヴァインド》!」 超重力の壁に向けてアサギは作り出した磁場の中にいる物体を解き放つ。 弾が纏った電流とレールの電流に発生する磁場の相互作用によって、針のような形をした球体が加速して発射される。 超重力の空間でスピードが微かに落ちたが、勢いを失って落ちることなくそのままその空間を抜けて騎士へと迫る。 咄嗟に騎士は靄を限界まで使って分厚い壁を形成する。 超重力の空間を突き抜けた一撃は空気摩擦で白銀の閃光に変わる。その解き放たれた一閃は空気を押し出し、発射時に立ち込める粉塵すら吹き飛ばす。 発生した衝撃波が分厚い靄の壁を少しだけ吹き飛ばし、一閃は壁を穿ち抜いて騎士の身体を貫かんと突き進む。 「……ちっ」 アサギはわざとらしく舌打ちをする。 二人の放った〈抉り穿ち抜く神威《ストレイトディヴァインド》〉は騎士の装甲に接触するギリギリで止まってしまう。 騎士は二人の攻撃を封じた歓喜に身を震わせながら展開していた壁を靄に還元して攻撃を叩き込もうとした時。 騎士が見たのは、凄く嬉しそうな笑顔を浮かべる二人の姿。 獰猛な肉食獣のように歯を剥き、新しい玩具を貰った純粋無垢な子供のように目をキラキラさせている。 「あぁ……本当に残念だ」 アサギはニヤリと笑いながら騎士に言った。 立てた人差し指と中指を騎士に向けながらアキは、魔法の銘を紡ぐ事で発動させる。 「喰らいつけ―――黒の暴君《テュラン・シュヴァルツシルト》」 その言葉に従うようにアキの周囲に漆黒の球体が幾つも精製される。 精製した球体が泡を立てながら膨らみ、漆黒の鮫を生み出す。 「喰い散らかせ―――白銀の雷鮫《グラトニー・ヴァイス》」 直後、魔力がアサギの身体からほとばしる。 魔力は放電に似た現象を起こし、まるでイルミネーションのように周囲で雷球が作られる。複数の雷球が多数の雷球となって分離し、遂には無数の雷球を生む。 雷球は空中で回転し、雷球は紫電を纏う白い鮫となる。 「破軍!」 「抜砦!」 「「破軍鮫陣《ストレイト・オーヴァ》!!」」 アサギとアキは腕を横に大きく振り抜いて怒鳴ったのを合図に、白と黒の鮫は鋭い牙を見せつけるように大きく口を開けて騎士へと迫る。 白銀の鮫は纏った雷をほとばしらせながら弾丸のように突っ込み、漆黒の鮫はその身を跳躍させて自重で相手を潰しにかかる。 騎士も二人の〈破軍鮫陣《ストレイト・オーヴァ》〉から身を守るために再び靄を集めて壁を展開。今回は白と黒の鮫を破壊する為に巨大なとげが無数に生えていた。 しかし鮫たちはその身がトゲで突き刺さって霧散しようとも、機関銃から撃ち出される銃弾の様に特攻を行う。 その身を滅ぼしながらもトゲの生えた壁を穿ち抜き、粉砕し、破壊していく白と黒の鮫たちの姿は消える前に一際輝くろうそくの炎の様にある種の儚さと命の輝きを感じさせた。 黒い靄となった悪意や煩悩が陸士部隊が張った結界を透過して騎士に集束し、装甲と展開されている壁が徐々に凶悪な姿に変わりながらも分厚くなっていく。 それでもアサギとアキが放つ〈破軍鮫陣《ストレイト・オーヴァ》〉は二人の魔力を貪りながら、騎士が壁を強化するのを上回る速度と物量で壁を削り取って行く。 遂には展開されただけではなく騎士の装甲まで抉り取り、最終的には核となっていた少女が地面に叩きつけられた。 アキは少女が逃げないように重力結界で押さえつける。 数分後に結界は解除され、陸士部隊の局員が走ってきた。 「和泉アサギ教導官。篠鷹アキ教導官。お疲れ様でした。護送は私たちが行います」 「ん……悪いね」 少女に局員が駆け寄ってきた事を確認したアキは重力結界を解除する。 その瞬間、少女が自身を包み込むように球体を形成。全方位に巨大なトゲを出して近づいてきた局員をひるませる。 局員をひるませた少女は球体を靄に戻して羽に変え、そのまま空に飛び立ってしまった。 アキは黒っぽい空を見上げながらアサギに尋ねる。 「なぁ、逃がしたのは俺の責任になるかな?」 「……ならんだろ」 〈二十一時四十五分 幽霧〉 ヴィアフが抜けた緊急時に仕事をした事と、人の入りが少し収まったという二つの理由で幽霧は休憩を貰っていた。 休憩時間を誰かと一緒に出かけるという事が無い幽霧は次の仕事先へ向かおうと裏口の扉を開ける。 「こんばんは」 「雫先生……」 そこにいたのは開発部主任の雫・鏡月だった。 何故かいつものように男物スーツを着た上に白衣を羽織っている。 驚く幽霧に雫は微笑みながら言った。 「デートしましょうか」 〈二十二時一分 無限書庫〉 雫と幽霧は転送ポートを通って無限書庫に向かっていた。 何故か雫の片手には茶色の大きな紙袋が抱えられていた。 無限書庫に入る為に必要な最後の扉を二人は潜り抜ける。 中では大晦日に関わらず無限書庫で仕事をしていた司書たちの目が既に死んでおり、いたる所で過労によって気絶した司書がぷかぷかと浮いていた。 「夜分遅くに失礼します。差し入れに来ました」 雫の一言によって司書たちの目に光るが宿る。その目つきはまるで獲物を見つけた肉食獣のようでもあった。 「首都防衛部隊が出店している中華飯店『覇道軒』の翔龍饅頭です」 目をギラギラとさせた司書たちが微笑む雫へと群がる。 雫は饅頭を手に入れようとやって来る司書たちに配る前に、首都防衛部隊とプリントされた長方形の箱を幽霧に手渡す。 「これを司書長と司書長補佐に渡して置いて下さい」 言われるままに幽霧はその箱を持って、司書長であるユーノ・スクライアと司書長補佐の久世ノインシュヴァンを探すために下へゆっくりと降下した。 飢えた司書に追いかけられつつも二人を発見する幽霧。そして目の前に広がる光景に絶句する。 「あら、霞。久しぶりね」 「や……やぁ。幽霧霞三等陸士と会うのは久しぶりだね」 作業用のテーブルと椅子が無重力空間に固定された状態で置かれており、二人はそこで作業をしていた。問題はユーノの姿であった。 胴体から足までが鎖や捕縛魔法《バインド》で椅子に縛り付けられてきた。 ノインの足元には専用デバイスである棺型デバイス『グレイヴ・オブ・クラウン』が浮いており、重厚そうな装飾がなされた棺の隙間からおびただしい数の鎖が覗いていた。 「えっと……雫先生から翔龍饅頭の差し入れです」 趣味は人それぞれなのだと割り切った幽霧はテーブルに首都防衛部隊と書かれた長方形の箱をテーブルの置く。 無重力だからか、箱はテーブルの上でふよふよと浮いていた。 「まあ、ココで休憩しましょう。ただし……」 ノインの休憩と言う言葉に目をキラキラさせるユーノ。 そこでノインはユーノに釘を刺す。 「司書長の外出は十二時間後ですからね?」 「うん……分かってるよ」 凄く残念そうにうなだれるユーノに首を傾げる幽霧。 箱から翔龍饅頭を取り出したノインはかじりながら詳細を説明する。 「司書全員で外出時間を決めたのに、このユーノ・スクライア司書長様は教導部隊の高町なのは一等空尉さんのウェイトレス姿の画像を見た瞬間、ナニカが切れたかのように逃げ出すから強引にでも椅子に縛り付けて仕事をさせているの」 「……なるほど」 ろくでもないユーノの執着心に若干ひきながらもノインの説明に納得する幽霧。 箱の翔龍饅頭に手を伸ばしつつ、文句を言うようにユーノは呻き始める。 「饅頭……取れないんだけど」 「それでも鎖と私の分のバインドは外しませんからね」 凄く爽やかな笑顔で言うノイン。拘束を緩めるどころか鎖とバインドの数を増やして更に締め上げる。 「の……ノインシュヴァン司書長補佐? 僕は最近のレン・ジオレンス陸曹長や弥刀餅二等空士みたいにマゾじゃないんだけど……」 「……どうぞ」 幽霧は箱から翔龍饅頭を取り出し、下に敷かれていた髪を外してユーノに差し出す。 「ありがとう」 そう言ってユーノは幽霧が差し出した翔龍饅頭をかじる。その瞬間、ノインが凍りついた。 ある意味で生命の危機に気づいていないユーノは美味しそうに差し出された翔龍饅頭をほおばる。 そして饅頭がなくなると、ユーノはその味が移っていると思っているかのごとく幽霧の指をしゃぶり始めた。 「ひゃうっ!」 まさか指をしゃぶられると思ってみなかった幽霧は女の子のような声を上げた。 指先には多くの神経が通っているだけに、何かが背筋を這い上がってくるような寒気と同時に軽い虚脱感に襲われる。 口から指を抜いたユーノは少し虚脱したような顔をする幽霧を見ながら楽しそうに笑いながら話す。 「幽霧三等陸士の指って……長くて細いんだね」 少し照れ臭そうに頬を掻きながらユーノは更に付け加える。 「それに柔らかくて……良い匂いがしたし……」 微かに頬を朱に染める幽霧。 ノインはその冷ややかな青の瞳を半目にして、あくまで冷静に命令を下す。 「汝。その鋼鉄の腕を持って我が領域へ招待せよ」 ガリガリという音を立てながらユーノを束縛する鎖が動き出す。 自身を棺の中に飲み込もうとする鎖にユーノはギョッとするが、抵抗する事は出来ずに飲み込まれる。 「ノインっ……!」 「流石にプライベートの話を易々と聞かせる程、私は尻軽の女ではないわ。長月さんも言っているでしょう? 『弱みを見せた女は漬け込まれる』って」 各部署から求められている報告データをまとめながらノインは淡々と答えた。 あいかわらず冷静沈着なノインに幽霧は苦笑いするかのように口元を微かに歪める。 彼女はそこで作業をしている手を止め、幽霧の方に向いてゆっくりと手を伸ばす。 「……貴方の口から、雫先生という言葉を聞くのは久しぶりね」 そう言ってノインは幽霧の頬に触れ、顎の線をなぞる様に優しく撫でる。 「長月さんたちと一線を引こうと、家を出た貴方にしては珍しいわね……霞」 「前の癖が出ただけです」 淡々とした幽霧の言葉に少しだけ残念そうな顔でノインはその手を放す。 「変わらないわね。霞」 「そう言う貴女もですよ。ノインシュヴァン」 無表情な幽霧の顔は彼女の方に向いているが、目はどこを見ているのか全く判断がつかない。 「幽霧。そろそろ行きましょうか」 二人の会話に割り込むように頭上から雫の声が響く。 「それじゃあ、失礼します。久世ノインシュヴァン司書長補佐」 ノインに別れを告げた幽霧はそのまま上に上昇して行った。 幽霧が去った後もノインは作業に戻らず、自身の手の平を見つめていた。 そこには幽霧の体温と触れたときの感触が微かに残っていた。 ノインは無言でその手を胸に当ててぎゅっと抱きしめながら瞼を閉じる。 それはまるで何かを祈っているかのように。 しかしノインがその心中で何を願っているか誰にも分からない。 『グレイヴ・オブ・クラウン』の蓋が微かに動き、小さな呟きが漏れ出た。 「難儀だね……あの幽霧霞三等陸士も。そして……君も」 〈二十二時三十五分 屋台「和み鍋」】〉 「はぁ……」 エリオは冷たくなった手に息を吐きかける。 しかし温かくなったのはほんの一瞬ですぐに冷たくなってしまう。 寒そうにするエリオにミラたちは心配そうに声をかける。 「エリオ。寒かったら、もう撤収しても良いよ? ほら、キャロとルーテシアも」 三人ともスカートが短いメイド服であるだけに足が冷えないか、ミラは心配のようだ。 「だっ…だだだ、大丈夫です」 「……大丈夫です」 心配そうな顔をするミラに大丈夫だと言う二人だが、身体は寒さで微かに震えている。 「それよりも……メイド服から別の服に着替えちゃ駄目ですか?」 「駄目」 迷う事もせずに即答するミラにエリオは肩を落とす。 「こんばんは」 そこで男物の黒いスーツの上に白衣を羽織った雫が声をかける。 「あっ。いらっしゃいませ! 雫さん。ご注文はどうしますか?」 「私はヒツジ汁で」 「じゃあ、自分は具沢山の優しいシチューで」 雫とミラの会話に割り込んだ存在にエリオは驚く。 そこにいたのはエリオが片想いに似た感情を抱いている幽霧だった。 何故か濃紺のワンピースの上にフリルのついたエプロンを付け、頭にはフリルのカチューシャがきちんとつけられている。 スカートの下からフリルのついた白いぺチコートがちらりと見えた。 「こんばんは」 「あっ! あぅ…こんばんはです」 仕事用の笑顔で挨拶をする幽霧にエリオは慌てて頭を下げる。 「雫さん。ヒツジ汁だお」 顔を真っ赤にしているエリオとそれをぼんやりと眺める幽霧の脇で、ヒツジは雫に熱々のヒツジ汁の入った発泡スチロールのおわんを手渡す。 「ほら、エリオ。幽霧君にシチュー渡す」 「あっ! はいっ!」 ミラの耳打ちでエリオは我に返り、寒さと緊張で手を震わせながらも熱している寸胴鍋に入ったシチューを発泡スチロールに移す。 手の平は発泡スチロールから伝わるシチューの熱で痺れ、身体は寒さで痺れに似た感覚を感じながらもエリオは幽霧に『具沢山の優しいシチュー』を手渡す。 「どっ……どうぞ」 熱いシチューを持っているはずなのに、幽霧が触れたエリオの手はとても冷たかった。 「雫さん。ちょっとシチューを持っててくれませんか?」 いきなり言ったにもかかわらず、幽霧の意図を悟った雫は微笑みながらシチューを受け取る。 そして一緒にアルフィトルテも連れて行く。 「エリオ・モンディアル二等陸士。両手を出してくれませんか?」 長机をはさんで向かいにいる幽霧の意図が分からなかったが、エリオは言われた通りに両手を差し出す。 幽霧は差し出してきたエリオの両手を自身の両手で包み込む。 周囲の寒さで毛穴が開き、敏感になったエリオの手が幽霧の柔らかくて仄かに温かい手の感触を鋭敏に感じ取る。 片想いを抱いていた幽霧によっていきなり両手を握られた驚きと羞恥でエリオの心臓は大きく跳ね、鼓動の速度が一瞬でトップスピードに切り替わった。 心臓の動く速度が早くなった事で血行も良くなり、幽霧の手に包まれた両手どころか身体まで熱くなっていく。 「まだぬるいですね」 血行が早くなる事でほとんど興奮状態になっているエリオに止めを刺すかのように幽霧は包み込んだ手に息を吐きかける。 温かくて柔らかい幽霧の手に包まれた両手に吐き掛けられた幽霧のあたたかい吐息にエリオはこそばがゆさを感じた。同時に殺意混じりの視線が背後に突き刺さっているのを感じた。 壊れたロボットのようにギチギチと音を立てながらゆっくりと後ろを振り向くエリオ。 そこには今にもヴォルテールや白天王を召喚しそうなキャロとルーテシアが半目でじっと睨みつけてきていた。 幽霧が手を放した瞬間、エリオは二人によってリンチされるかもしれない状況。 「これであったかくなりましたね」 いつもなら気づくはずなのに、幽霧はこのすさまじい状況に気づかずに微笑みながらその両手を離す。 寒さで霜焼けになりかけていたエリオの手はさっきとうって変わり、興奮と羞恥によって発生した熱で真っ赤になっていた。 エリオの手を包んでいた幽霧の手が離れたのを見計らい、キャロはエリオを押し退ける。 「幽霧おねえさん。私もお願いしますっ!」 上目遣いで頼み込んでくるキャロとルーテシアに幽霧は苦笑する。 「はいはい……」 苦笑しながらも幽霧はキャロの差し出してきた両手を両手でぎゅっと包み込む。 「ふぁ…おねえさんの手……柔らかくてあたたかいよぉ……」 恍惚とさせながら幸せそうな顔をするキャロ。幽霧もキャロの幸せそうな顔に笑みをこぼす。 十分に温まった所で幽霧はキャロの両手を離す。 そして嬉しそうな顔をするキャロを羨ましそうに見るルーテシアに声をかける。 「ルーテシアさんも?」 「……うん」 頬を赤らめながら小さな頷き、ルーテシアは両手を差し出す。 幽霧はまるで主の手を取る騎士のようにルーテシアの両手を手の上に乗せ、もう片方の手で被せる事で両手をゆっくりと包み込んだ。 「……あったかい…」 幸せそうにルーテシアがそう呟いた途端、近くでフラッシュが焚かれる。 幽霧はルーテシアの手にかぶせていた手を退けて、フラッシュが焚かれた方を見る。 カメラを取っただろうと思われる青年は片手でカメラを構えながらも片手でジェスチャーを取りながら言う。 「どうぞ。続けて下さい…」 「手を温めあう姉妹メイド萌えっ!」 「というか、あれは幽霧三姉妹次女の朧さん!?」 「いや、あれ……ミラージュじゃないのか」 周囲で色々と囁かれている中、幽霧は何事も無かったかのようにルーテシアの両手を包み込んで温める。 恥ずかしいのか、包み込んだルーテシアの手に熱が帯びていく。 安心させようと思ったのか、幽霧はルーテシアの耳元に顔を寄せて囁く。 「大丈夫」 「……うん」 真っ白な頬に朱を混じらせながらルーテシアは小さく頷いた。 湯気が出るんじゃないかと思えるくらい温かくなった所で幽霧はルーテシアの手を放す。 「ありがとう」 囁くような小さな声でルーテシアは幽霧に礼を言う。 「どういたしまして。それでは、しつれいします」 そう言って幽霧は少し離れた場所でヒツジ汁を食べている雫とアルフィトルテの方へ歩いていく。 「ご苦労様です」 雫は微笑みながら幽霧を出迎えた。 「幽霧は相変わらず、年下には甘いんですね」 「そうでしょうか?」 過去に似た事をアサギに言われた事がある事を思い出した幽霧は不思議そうに首を傾げる。 「ええ。貴方は年下に甘すぎます」 微笑みながら言う雫に幽霧は何も言えなくなってしまう。 「そういえば、自分が頼んだ具沢山の優しいシチューはどうなったのでしょうか?」 「ごめんなさい。幽霧がルーテシアさんの手を温めている間にアルフィトルテがお腹をすかせていたので食べさせてしまいました」 「はぁ、そうでしたか」 別にアルフィトルテはデバイスであるから食事が必要というわけではない。 しかし人間の少女と同じ姿を取っている為に人間の習性というものにひきづられるらしい。 そして食事で取った物を稼動するためのエネルギーや魔力に変換しているので無駄というわけではない。 約二ヶ月の生活で幽霧も知っているので、アルフィトルテが自身の頼んだシチューを食べた事について怒ってはいなかった。 「じゃあ、そろそろ行きましょうか」 雫はそう言って発泡スチロールを近くのゴミ箱に捨て、アルフィトルテは幽霧の手をぎゅっと握る。 「ママの手……少し冷たくなっちゃったね」 「そう?」 アルフィトルテは握った幽霧の手をもう片方の手で包み込みながら純粋無垢な笑顔で言った。 「冷たくなったママの手はアルフィトルテがあっためてあげるね」