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┏┓┗╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃Name:ドラえもん S:1(8)M:2(8) 関係:同僚/戦友の息子 , --───- 、 / / ⌒ヽ./⌒ヽ\ / , -{ / ハヽ } 、 ヽ / / ゝ _ ノ, ‐ヽ-' \ヽ / ‐┼──- ゝ ノ - ‐一!|‐ | l.、, -一 | ー─- lL_ | / \./ | ー-./ ! 、 ' l. /\_ | _/ /\ ヽ X  ̄ ̄ / /、二二二二二二二二 く / / ( 〒)\ ヽ ! / / } !Class事務員 :C-Skill【JAMMING】Gift【JAMMING】───────────────────────────────────────【ユーノ】この人も宝貝使いみたいだね 沸点はのび太の仲間内でも最も低い。
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深夜。 アスランはベッドに入って目を瞑っていた。 寝ているのではない、実際本人に意識はある。 ベッドに入るまでは眠気があったはずなのに、何故か今ではまったくといっていいほど眠くない。 目を瞑っていればその内寝るだろうと思っていたのだが、この状態ですでに二時間ほど経過している。 (……参ったな) 観念し、目を開けるアスラン。頭上に広がる天井。 つい一月ほど前からこの部屋に住んでいるアスランにとって、それはすでに見慣れない天井ではなくなっていた。 (……まさか、戦争の途中で異世界に迷い込んで、さながら魔法使いになってましたなんて、な) 一体誰が信じるだろうか。 イザークがこの話を聞いたら「はぁ?貴様何を寝言を言っている?」とか言いそうだ。 だが、今自分はこの世界で魔法を使っている。 自分を助けてくれた魔法使いの少女と使い魔と共にジュエルシードを集めている。 全ては、少女の母親の願いを叶える為に。 その為に、この世界でまた親友と刃を交える事となった。 キラ・ヤマト。 幼少時の自分の親友。父親の都合でプラントに渡る事になり離別したが、 再会は、二人が想像しなかった形で邂逅した。 ――倒すべき、敵として。 そして、彼とは幾度となく刃を交えた。 その中、自分の同僚がキラに殺された。 アスランは悔やんだ。キラを討てない自分の甘さが、彼を死なせてしまったと。 次に会った時は、お互い本気で殺す気で戦った。 その時の二人は、悔しさと悲しさ、そして、憎しみが支配していた。 その最中、爆発の影響でアスランはこの異世界に迷い込んだ。 そして魔法使いの少女に助けてもらい、そのお礼として手伝いをすることになった。 そうしてジュエルシードを集めている最中、キラと再会した。 ――また、敵として。 だが、今の俺はザフトのアスラン・ザラじゃない。 軍の命令も何もない。あるのは、ただ己の意思。 やると決めたのは自分の言葉。助けたいと思ったのは自分の気持ち。 そして……キラを殺したくはないのも、また事実。 ――俺は甘すぎるのかな、ニコル。 今は亡き友へと言葉を送るように外を見る。 ――だけど、俺は……負ける訳にはいかない。 この身に託された思いと、絆を結ぶ為に……。 思考を巡らしていたが、いつしかアスランの意識は深い闇の中へと消えていた。 同刻。 時空航行船・アースラ内。 現在は航行を停止しており、クルーの皆は現在ブリッジの中央テーブルに集まっている。 そして中央の一番奥に、艦長であるリンディが座っており口を開く。 「……という訳で、本日零時を持って本艦全クルーの任務はロストロギア、ジュエルシードの捜索と回収に変更になります。 また本件においては特例として、問題のロストロギアの発見者であり、結界魔導師でもあるこちら」 ガタ。と椅子から立ち上がるユーノ。 「はい、ユーノ・スクライアです」 「それから、彼の協力者でもある現地の魔導師の」 はっと自分が呼ばれた事に気付き立ち上がるなのは。 「た、高町なのはです」 「そして、異世界より迷い込んだ魔導師の」 カタ。と席を立つキラ。 「キラ・ヤマトです」 ペコと小さく頭を下げる。 「以上三名が臨時局員の扱いで事態に当たってくれます」 「「「よろしくお願いします」」」 三人が同時に頭を下げる。 「こちらこそ、よろしく」 「よろしく」 局員の皆が三人へと返事を送る。 その様子を見て微笑むリンディ。 アースラ・ブリッジ。 それぞれの持ち場へと戻った局員。そして三人はリンディの後ろへと控えていた。 「じゃあここからはジュエルシードの位置特定はこちらでするわ。場所が分かったら現地に向かってもらいます」 自分達の事だと理解した三人は少し姿勢を正し、 「「「はい」」」と返事をする。 「艦長、お茶です」 エイミィがお茶とその他を乗せたお盆を持ってくる。 「ありがとう」 そしてリンディはスプーンを持ち、砂糖をかなり多めにすくい、『湯』と書かれた陶器へと入れる。 それも二杯。しかもその後にミルクと思わしき液体を混入した。 "それ"をリンディは何事も無かったかのように陶器に口をつけ飲む。 「はぁ……」 おまけに飲んでいる本人はかなりご満悦のようだった。 その光景を見ていたなのはは、 (うわぁ……)と言葉には出さないが、言葉通りの表情を浮かべていた。 キラに関しては口を抑えて「うぷ……」と見ているだけで胸焼けを起こす勢いだ。 「そういえばなのはさん、学校の方は大丈夫なの?」 「あ、はい。家族と友達には説明してありますので……」 学校に関しては家庭の事情という事でしばらくお休みすることになっていた。 そして学校ではなのはの代わりのノート等はアリサが自分から進んで引き受けていた。 その様子をみて微笑むすずか。そして空を見上げ、思う。 (なのはちゃん……元気でやってるかな……) 某所・結界内 「クェェェェェェェッ!!!」 悲痛の叫びを上げる橙色の鳥。その身体に巻きつく緑色の鎖。 その鎖から逃げようとして暴れるが、外れる事はない。 「捕まえた、なのは!」 「うん!」 ユーノの言葉に反応するなのは。 『Sealing mode, setup.』 鳥へと突き刺さる桜色の閃光。そして浮かび上がるジュエルシードのシリアルナンバー。 『Stand by ready.』 「リリカル・マジカル……ジュエルシード、シリアルⅧ、封印!」 『Sealing』 そして幾つもの閃光が突き刺さり、鳥はその形状を保持できなくなり消滅する。 地上に着地し、レイジングハートを構えるなのは。 鳥の跡に残ったジュエルシードがゆっくりと降下し、レイジングハートのコアへと封印される。 『Receipt number Ⅷ.』 アースラ・ブリッジ。 「状況終了です。ナンバーⅧ無事確保。お疲れ様、なのはちゃん、ユーノ君」 局員の一人がディスプレイの向こうの二人へと話す。 「ゲートを作るね、そこで待ってて」 「さて、こっちはどうなってるかな……」 クロノがディスプレイを切り替える。 某所・結界内。 「はあああああああっ!!!!」 空中から、ソードジャケットを身に纏ったキラがシュベルトゲベールを振り下ろす。 振り下ろした先にはジュエルシードの影響で具現化した馬のようなモノがいた。 だが、振り下ろしたシュベルトゲベールは空を切り、地上スレスレで止まる。 「くっ!早いっ!!」 だったら、相手の動きを止めれば!! 左肩にマウントされたブーメランを引き抜く。 『マイダスメッサー』 そして目の前の目標に向かって投げる。 弧を描くように左後方から馬へと向かっていく。 「!!」 それに気付いた馬は急遽進路を変更する。だが、 「ストライク!!」 『パンツァーアイゼン』 左手の甲のシールドから発射されるロケットアンカー、その先端のクローが馬の足へと絡みつく。 最初のマイダスメッサーは囮、本当の狙いはパンツァーアイゼンで足止めをする事だったのだ。 案の定、マイダスメッサーに気付いた馬は進路を変更せざるをえない状況になり、その一瞬の止まる隙をキラは見逃さなかった。 そしてパンツァーアイゼンのコードが収縮し、そのまま馬へと迫る。 「うおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」 そして両手に構えたシュベルトゲベールを振りかぶり、縦一閃。 「ヒィィィィィィィィィィィン…………!!」 断末魔の悲鳴を上げ、馬の具現が消滅していく。 そして現れたジュエルシード、その中央には『Ⅸ』のシリアルナンバーに刻まれている。 シュベルトゲベールを構えるキラ。その大剣へと吸い込まれるように消えていくジュエルシード。 『Sealing. receipt number Ⅸ.』 「ふう……」 戦闘が終わり一息つくキラ。 直後眼前の空間に現れる画面。 『お疲れ様、キラ君』 そこにはアースラの局員が映っていた。 「あ、はい」 『それじゃそっちにもゲートを開くからちょっと待ってて』 数分後、足元に魔方陣が発生し、直後に転移する。 アースラ・転移ポート前。 目を開けると、隣にはなのはとユーノがいた。 どうやら同時に転移してきたみたいだ。 「お疲れ様、キラ君」「お疲れ様です」 「うん、二人ともお疲れ様」 互いの労いの言葉を掛け合う三人。 廊下を歩いてる最中、ふとなのはが言葉を漏らす。 「……フェイトちゃん、現れないね……」 「うん、こっちとは別にジュエルシードを集めていってるみたいだけど……」 「うん……」 「……だけど、いつかはぶつかることになる……それまでは、僕達も頑張ろう」 「うん」 返事をしたなのはの表情は、どこか曇り気味であった。 湖。 「……だめだ、空振りみたいだ」 「……そう」 アルフの残念そうな言葉にフェイトは表情一つ変えずに返事をする。 流れる風が彼女の長い髪をしならせ、靡く。 「やっぱ、向こうに見つからないように隠れて探すのはなかなか難しいよ……」 「うん……でも、もう少し頑張ろう」 そして空中より現れる紅い影。 「アスラン」 「どうだった?」 「すまない、俺が行った時にはすでに……」 気配を感じたアスランが単独で向かったのだが、すでに事は終了していたようだった。 「これで、向こうにまた一つ回収されてしまった……」 アスランの表情には悔しさがにじみ出ていた。 「アスランのせいじゃないよ……だからそんなに気負わないで」 「……すまない」 その言葉で少し気が軽くなったのか、表情が微笑むアスラン。 「これで……残りはあと6つ」 「次こそは、向こうよりも先に……!」 「うん」 シュルゥッ!!とフェイトの腕に巻かれた包帯が風に乗り、空へと舞い上がっていった。 翌日。 アースラ・食堂。 「はぁ……今日も空振りだったね」 皿の上のクッキーを手に取るなのは。 「うん。もしかしたら結構長くかかるかも……なのは、ごめんね」 「へ?」 突然のユーノの謝罪に手を止めるなのは。 「寂しくない?」 「別に、ちっとも寂しくないよ。ユーノ君やキラ君と一緒だし。一人ぼっちでも結構平気。 ちっちゃい頃はよく一人だったから」 「え? どうして……?」 キラはその言葉に疑問を覚えた。 あの優しい高町家の人達がなのはを一人にしておくことなどあるわけがないと思ったのだ。 そしてなのはの口から語られる過去。 なのはの幼少時に、仕事で大怪我をした士郎、翠屋の経営に追われる桃子と恭也、士郎の看病をする美由希。 だから、家には一人でいることがほとんどだったという。 「そう、だったんだ……ごめんね、なのはちゃん」 「ふぇ? キラ君が謝ることないよ~」 「でも……」 申し訳なさそうな表情のキラ。そこで話題を変えるべくなのはが口を開く。 「そういえば私、ユーノ君やキラ君の家族の事とかってほとんど知らないね」 「ああ、僕は元々一人だったから……」 「え? そうなの?」 「両親はいなかったんだけど、部族のみんなに育ててもらったから、だからスクライアの一族みんなが僕の家族なんだ」 「僕は……父さんと母さんの三人家族かな」 「え? キラ君って一人っ子だったんだ」 「うん。だから両親が仕事でいない時は僕も結構一人でいることが多かったかな」 「そっか……」 サクッとクッキーを食べるキラ。 「……色々片付いたら、もっとたくさん色んなお話したいね」 「うん、そうだね」 微笑みを交わす三人。その中、キラはある事を考えていた。 ――事件が終わって、C.E.の世界が見つかったら……僕は……僕達は―― ふとそんな考えが頭をよぎる。が、今は忘れることにしてクッキーを口へと運ぶキラ。 刹那。 鳴り響く警報。 「「「!!!」」」 柱のディスプレイには紅く『Emergency』と表示され点滅している。 『操作区域の海上にて大型の魔力反応を感知!!』 スピーカーから流れるそれを聞いた三人はすぐに駆け出していた。 海鳴市・海上。 海の上に浮かぶ巨大な魔方陣。 フェイトはその中心で詠唱を始める。 「……アルカス・クルタス・エイギアス……煌めきたる天神よ。今導きのもと、降りきたれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」 ピシャアンッ!! 魔方陣から海へと目掛けて放たれる幾つもの雷。 天候もそれに応じ、雲から雨が降りそそぐ。 (ジュエルシードは多分海の中、だから海に電気の魔力を叩き込んで強制発動させて位置を特定する。 そのプランは間違ってないけど……フェイト……!!) 「撃つは雷、響くは轟雷。アルカス・クルタス・エイギアス……!」 フェイトの頭上に浮かび上がる複数の光の玉。 それらが共鳴し合い、反応するように電流が迸る。 「はああああああああっ!!!!」 バルディッシュを掲げ、海へと振り下ろし魔方陣が作動する。 頭上の玉から海へと打ち込まれる複数の電撃。先程とは違い、かなり高出力の魔力が叩き込まれる。 そして、 「!!」 その魔力で発動するジュエルシード。光の柱が海から天へと駆け上るように突き上がる。 その数は……4つ。 「はぁ、はぁ、はぁ……見つけた……」 (こんだけの魔力を打ち込んで、さらに全てを封印して……こんなのフェイトの魔力でも絶対に限界越えだ!) アルフがそう考えているとフェイトが振り返りこちらを見る。 「アルフ、空間結界のサポートをお願い」 「ああ、任せといて!」 (だから、誰が来ようが何が起ころうが、あたしが絶対に護ってやる!!) そして、発動したジュエルシードが光の柱に海水を巻き込み、竜巻のように暴れ始める。 「行くよ、バルディッシュ……頑張ろう」 自分の相棒を構え、4つの竜巻へと向かっていくフェイト。 アースラ・ブリッジ。 ディスプレイに映る海の様子はまるで台風が来た時のように荒れていた。 「なんともあきれた無茶をする子だわ!」 不安そうな表情で見つめるリンディ。 「無謀ですね。間違いなく自滅します。あれは、個人の成せる魔力の限界を超えている!」 同じ様にディスプレイを見つめるクロノ。だが、こちらは冷静に判断している。 「フェイトちゃん!!」 ブリッジへ飛び込んでくるなのはとキラ。 「あの、私急いで現場に!」 「その必要はないよ、放っておけばあの子は自滅する」 「「!!」」 クロノの言葉に動きが止まる二人。 「仮に自滅しなかったとしても、力を使い果たした所を叩けばいい」 「でも……」「そんな……」 「今の内に捕獲の準備を」 「了解」 「しかし、残るジュエルシードは6つ、あの子が発動させたのが4つ、残り2つはどこに……?」 「……あれ?」 なのはと同じようにディスプレイを見つめていたキラが疑問を感じた。 「どうしたの?キラ君」 「……アスランがいない」 「そういえば……」 おかしい。状況的に不利な今の彼女を見捨てるような彼じゃない。 だとしたら……なぜ…………まさか……! キラは階段を駆け下り、クロノへと駆け寄る。 「クロノ!ここ以外の魔力反応は!?」 「な、なんだ突然!?」 「いいから早く!!」 「わ、わかった!」 キラの突然の行動と言動に押されたクロノは局員にコンソールを打ち込ませる。 「……!! 反応あり!湖にて魔力感知!今画面に出します!!」 パッと複数あるディスプレイの内の一つが切り替わる。 その画面に映るのは、一面に広がる湖。そしてその中央に浮かぶ一つの影。 「……アスラン!」 紅いバリアジャケットに身を包んだアスラン・ザラがはっきりと映っていた。 そしてそのかざした右手には魔力が集まっており、次の瞬間。 魔力は湖へと放たれた。
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深夜。 アスランはベッドに入って目を瞑っていた。 寝ているのではない、実際本人に意識はある。 ベッドに入るまでは眠気があったはずなのに、何故か今ではまったくといっていいほど眠くない。 目を瞑っていればその内寝るだろうと思っていたのだが、この状態ですでに二時間ほど経過している。 (……参ったな) 観念し、目を開けるアスラン。頭上に広がる天井。 つい一月ほど前からこの部屋に住んでいるアスランにとって、それはすでに見慣れない天井ではなくなっていた。 (……まさか、戦争の途中で異世界に迷い込んで、さながら魔法使いになってましたなんて、な) 一体誰が信じるだろうか。 イザークがこの話を聞いたら「はぁ?貴様何を寝言を言っている?」とか言いそうだ。 だが、今自分はこの世界で魔法を使っている。 自分を助けてくれた魔法使いの少女と使い魔と共にジュエルシードを集めている。 全ては、少女の母親の願いを叶える為に。 その為に、この世界でまた親友と刃を交える事となった。 キラ・ヤマト。 幼少時の自分の親友。父親の都合でプラントに渡る事になり離別したが、 再会は、二人が想像しなかった形で邂逅した。 ――倒すべき、敵として。 そして、彼とは幾度となく刃を交えた。 その中、自分の同僚がキラに殺された。 アスランは悔やんだ。キラを討てない自分の甘さが、彼を死なせてしまったと。 次に会った時は、お互い本気で殺す気で戦った。 その時の二人は、悔しさと悲しさ、そして、憎しみが支配していた。 その最中、爆発の影響でアスランはこの異世界に迷い込んだ。 そして魔法使いの少女に助けてもらい、そのお礼として手伝いをすることになった。 そうしてジュエルシードを集めている最中、キラと再会した。 ――また、敵として。 だが、今の俺はザフトのアスラン・ザラじゃない。 軍の命令も何もない。あるのは、ただ己の意思。 やると決めたのは自分の言葉。助けたいと思ったのは自分の気持ち。 そして……キラを殺したくはないのも、また事実。 ――俺は甘すぎるのかな、ニコル。 今は亡き友へと言葉を送るように外を見る。 ――だけど、俺は……負ける訳にはいかない。 この身に託された思いと、絆を結ぶ為に……。 思考を巡らしていたが、いつしかアスランの意識は深い闇の中へと消えていた。 同刻。 時空航行船・アースラ内。 現在は航行を停止しており、クルーの皆は現在ブリッジの中央テーブルに集まっている。 そして中央の一番奥に、艦長であるリンディが座っており口を開く。 「……という訳で、本日零時を持って本艦全クルーの任務はロストロギア、ジュエルシードの捜索と回収に変更になります。 また本件においては特例として、問題のロストロギアの発見者であり、結界魔導師でもあるこちら」 ガタ。と椅子から立ち上がるユーノ。 「はい、ユーノ・スクライアです」 「それから、彼の協力者でもある現地の魔導師の」 はっと自分が呼ばれた事に気付き立ち上がるなのは。 「た、高町なのはです」 「そして、異世界より迷い込んだ魔導師の」 カタ。と席を立つキラ。 「キラ・ヤマトです」 ペコと小さく頭を下げる。 「以上三名が臨時局員の扱いで事態に当たってくれます」 「「「よろしくお願いします」」」 三人が同時に頭を下げる。 「こちらこそ、よろしく」 「よろしく」 局員の皆が三人へと返事を送る。 その様子を見て微笑むリンディ。 アースラ・ブリッジ。 それぞれの持ち場へと戻った局員。そして三人はリンディの後ろへと控えていた。 「じゃあここからはジュエルシードの位置特定はこちらでするわ。場所が分かったら現地に向かってもらいます」 自分達の事だと理解した三人は少し姿勢を正し、 「「「はい」」」と返事をする。 「艦長、お茶です」 エイミィがお茶とその他を乗せたお盆を持ってくる。 「ありがとう」 そしてリンディはスプーンを持ち、砂糖をかなり多めにすくい、『湯』と書かれた陶器へと入れる。 それも二杯。しかもその後にミルクと思わしき液体を混入した。 "それ"をリンディは何事も無かったかのように陶器に口をつけ飲む。 「はぁ……」 おまけに飲んでいる本人はかなりご満悦のようだった。 その光景を見ていたなのはは、 (うわぁ……)と言葉には出さないが、言葉通りの表情を浮かべていた。 キラに関しては口を抑えて「うぷ……」と見ているだけで胸焼けを起こす勢いだ。 「そういえばなのはさん、学校の方は大丈夫なの?」 「あ、はい。家族と友達には説明してありますので……」 学校に関しては家庭の事情という事でしばらくお休みすることになっていた。 そして学校ではなのはの代わりのノート等はアリサが自分から進んで引き受けていた。 その様子をみて微笑むすずか。そして空を見上げ、思う。 (なのはちゃん……元気でやってるかな……) 某所・結界内 「クェェェェェェェッ!!!」 悲痛の叫びを上げる橙色の鳥。その身体に巻きつく緑色の鎖。 その鎖から逃げようとして暴れるが、外れる事はない。 「捕まえた、なのは!」 「うん!」 ユーノの言葉に反応するなのは。 『Sealing mode, setup.』 鳥へと突き刺さる桜色の閃光。そして浮かび上がるジュエルシードのシリアルナンバー。 『Stand by ready.』 「リリカル・マジカル……ジュエルシード、シリアルⅧ、封印!」 『Sealing』 そして幾つもの閃光が突き刺さり、鳥はその形状を保持できなくなり消滅する。 地上に着地し、レイジングハートを構えるなのは。 鳥の跡に残ったジュエルシードがゆっくりと降下し、レイジングハートのコアへと封印される。 『Receipt number Ⅷ.』 アースラ・ブリッジ。 「状況終了です。ナンバーⅧ無事確保。お疲れ様、なのはちゃん、ユーノ君」 局員の一人がディスプレイの向こうの二人へと話す。 「ゲートを作るね、そこで待ってて」 「さて、こっちはどうなってるかな……」 クロノがディスプレイを切り替える。 某所・結界内。 「はあああああああっ!!!!」 空中から、ソードジャケットを身に纏ったキラがシュベルトゲベールを振り下ろす。 振り下ろした先にはジュエルシードの影響で具現化した馬のようなモノがいた。 だが、振り下ろしたシュベルトゲベールは空を切り、地上スレスレで止まる。 「くっ!早いっ!!」 だったら、相手の動きを止めれば!! 左肩にマウントされたブーメランを引き抜く。 『マイダスメッサー』 そして目の前の目標に向かって投げる。 弧を描くように左後方から馬へと向かっていく。 「!!」 それに気付いた馬は急遽進路を変更する。だが、 「ストライク!!」 『パンツァーアイゼン』 左手の甲のシールドから発射されるロケットアンカー、その先端のクローが馬の足へと絡みつく。 最初のマイダスメッサーは囮、本当の狙いはパンツァーアイゼンで足止めをする事だったのだ。 案の定、マイダスメッサーに気付いた馬は進路を変更せざるをえない状況になり、その一瞬の止まる隙をキラは見逃さなかった。 そしてパンツァーアイゼンのコードが収縮し、そのまま馬へと迫る。 「うおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」 そして両手に構えたシュベルトゲベールを振りかぶり、縦一閃。 「ヒィィィィィィィィィィィン…………!!」 断末魔の悲鳴を上げ、馬の具現が消滅していく。 そして現れたジュエルシード、その中央には『Ⅸ』のシリアルナンバーに刻まれている。 シュベルトゲベールを構えるキラ。その大剣へと吸い込まれるように消えていくジュエルシード。 『Sealing. receipt number Ⅸ.』 「ふう……」 戦闘が終わり一息つくキラ。 直後眼前の空間に現れる画面。 『お疲れ様、キラ君』 そこにはアースラの局員が映っていた。 「あ、はい」 『それじゃそっちにもゲートを開くからちょっと待ってて』 数分後、足元に魔方陣が発生し、直後に転移する。 アースラ・転移ポート前。 目を開けると、隣にはなのはとユーノがいた。 どうやら同時に転移してきたみたいだ。 「お疲れ様、キラ君」「お疲れ様です」 「うん、二人ともお疲れ様」 互いの労いの言葉を掛け合う三人。 廊下を歩いてる最中、ふとなのはが言葉を漏らす。 「……フェイトちゃん、現れないね……」 「うん、こっちとは別にジュエルシードを集めていってるみたいだけど……」 「うん……」 「……だけど、いつかはぶつかることになる……それまでは、僕達も頑張ろう」 「うん」 返事をしたなのはの表情は、どこか曇り気味であった。 湖。 「……だめだ、空振りみたいだ」 「……そう」 アルフの残念そうな言葉にフェイトは表情一つ変えずに返事をする。 流れる風が彼女の長い髪をしならせ、靡く。 「やっぱ、向こうに見つからないように隠れて探すのはなかなか難しいよ……」 「うん……でも、もう少し頑張ろう」 そして空中より現れる紅い影。 「アスラン」 「どうだった?」 「すまない、俺が行った時にはすでに……」 気配を感じたアスランが単独で向かったのだが、すでに事は終了していたようだった。 「これで、向こうにまた一つ回収されてしまった……」 アスランの表情には悔しさがにじみ出ていた。 「アスランのせいじゃないよ……だからそんなに気負わないで」 「……すまない」 その言葉で少し気が軽くなったのか、表情が微笑むアスラン。 「これで……残りはあと6つ」 「次こそは、向こうよりも先に……!」 「うん」 シュルゥッ!!とフェイトの腕に巻かれた包帯が風に乗り、空へと舞い上がっていった。 翌日。 アースラ・食堂。 「はぁ……今日も空振りだったね」 皿の上のクッキーを手に取るなのは。 「うん。もしかしたら結構長くかかるかも……なのは、ごめんね」 「へ?」 突然のユーノの謝罪に手を止めるなのは。 「寂しくない?」 「別に、ちっとも寂しくないよ。ユーノ君やキラ君と一緒だし。一人ぼっちでも結構平気。 ちっちゃい頃はよく一人だったから」 「え? どうして……?」 キラはその言葉に疑問を覚えた。 あの優しい高町家の人達がなのはを一人にしておくことなどあるわけがないと思ったのだ。 そしてなのはの口から語られる過去。 なのはの幼少時に、仕事で大怪我をした士郎、翠屋の経営に追われる桃子と恭也、士郎の看病をする美由希。 だから、家には一人でいることがほとんどだったという。 「そう、だったんだ……ごめんね、なのはちゃん」 「ふぇ? キラ君が謝ることないよ~」 「でも……」 申し訳なさそうな表情のキラ。そこで話題を変えるべくなのはが口を開く。 「そういえば私、ユーノ君やキラ君の家族の事とかってほとんど知らないね」 「ああ、僕は元々一人だったから……」 「え? そうなの?」 「両親はいなかったんだけど、部族のみんなに育ててもらったから、だからスクライアの一族みんなが僕の家族なんだ」 「僕は……父さんと母さんの三人家族かな」 「え? キラ君って一人っ子だったんだ」 「うん。だから両親が仕事でいない時は僕も結構一人でいることが多かったかな」 「そっか……」 サクッとクッキーを食べるキラ。 「……色々片付いたら、もっとたくさん色んなお話したいね」 「うん、そうだね」 微笑みを交わす三人。その中、キラはある事を考えていた。 ――事件が終わって、C.E.の世界が見つかったら……僕は……僕達は―― ふとそんな考えが頭をよぎる。が、今は忘れることにしてクッキーを口へと運ぶキラ。 刹那。 鳴り響く警報。 「「「!!!」」」 柱のディスプレイには紅く『Emergency』と表示され点滅している。 『操作区域の海上にて大型の魔力反応を感知!!』 スピーカーから流れるそれを聞いた三人はすぐに駆け出していた。 海鳴市・海上。 海の上に浮かぶ巨大な魔方陣。 フェイトはその中心で詠唱を始める。 「……アルカス・クルタス・エイギアス……煌めきたる天神よ。今導きのもと、降りきたれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」 ピシャアンッ!! 魔方陣から海へと目掛けて放たれる幾つもの雷。 天候もそれに応じ、雲から雨が降りそそぐ。 (ジュエルシードは多分海の中、だから海に電気の魔力を叩き込んで強制発動させて位置を特定する。 そのプランは間違ってないけど……フェイト……!!) 「撃つは雷、響くは轟雷。アルカス・クルタス・エイギアス……!」 フェイトの頭上に浮かび上がる複数の光の玉。 それらが共鳴し合い、反応するように電流が迸る。 「はああああああああっ!!!!」 バルディッシュを掲げ、海へと振り下ろし魔方陣が作動する。 頭上の玉から海へと打ち込まれる複数の電撃。先程とは違い、かなり高出力の魔力が叩き込まれる。 そして、 「!!」 その魔力で発動するジュエルシード。光の柱が海から天へと駆け上るように突き上がる。 その数は……4つ。 「はぁ、はぁ、はぁ……見つけた……」 (こんだけの魔力を打ち込んで、さらに全てを封印して……こんなのフェイトの魔力でも絶対に限界越えだ!) アルフがそう考えているとフェイトが振り返りこちらを見る。 「アルフ、空間結界のサポートをお願い」 「ああ、任せといて!」 (だから、誰が来ようが何が起ころうが、あたしが絶対に護ってやる!!) そして、発動したジュエルシードが光の柱に海水を巻き込み、竜巻のように暴れ始める。 「行くよ、バルディッシュ……頑張ろう」 自分の相棒を構え、4つの竜巻へと向かっていくフェイト。 アースラ・ブリッジ。 ディスプレイに映る海の様子はまるで台風が来た時のように荒れていた。 「なんともあきれた無茶をする子だわ!」 不安そうな表情で見つめるリンディ。 「無謀ですね。間違いなく自滅します。あれは、個人の成せる魔力の限界を超えている!」 同じ様にディスプレイを見つめるクロノ。だが、こちらは冷静に判断している。 「フェイトちゃん!!」 ブリッジへ飛び込んでくるなのはとキラ。 「あの、私急いで現場に!」 「その必要はないよ、放っておけばあの子は自滅する」 「「!!」」 クロノの言葉に動きが止まる二人。 「仮に自滅しなかったとしても、力を使い果たした所を叩けばいい」 「でも……」「そんな……」 「今の内に捕獲の準備を」 「了解」 「しかし、残るジュエルシードは6つ、あの子が発動させたのが4つ、残り2つはどこに……?」 「……あれ?」 なのはと同じようにディスプレイを見つめていたキラが疑問を感じた。 「どうしたの?キラ君」 「……アスランがいない」 「そういえば……」 おかしい。状況的に不利な今の彼女を見捨てるような彼じゃない。 だとしたら……なぜ…………まさか……! キラは階段を駆け下り、クロノへと駆け寄る。 「クロノ!ここ以外の魔力反応は!?」 「な、なんだ突然!?」 「いいから早く!!」 「わ、わかった!」 キラの突然の行動と言動に押されたクロノは局員にコンソールを打ち込ませる。 「……!! 反応あり!湖にて魔力感知!今画面に出します!!」 パッと複数あるディスプレイの内の一つが切り替わる。 その画面に映るのは、一面に広がる湖。そしてその中央に浮かぶ一つの影。 「……アスラン!」 紅いバリアジャケットに身を包んだアスラン・ザラがはっきりと映っていた。 そしてそのかざした右手には魔力が集まっており、次の瞬間。 魔力は湖へと放たれた。
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リリカルブレイブサーガ 恋する乙女は一億ギガトン編 魔法少女シャラララ シャランラ レジェンドラへとたどり着き、新たな冒険を始めたタクヤ達。といってもそれまでと違い明確な 目的地もなく、とりあえず地球に帰還。秘境の遺跡を回ったなりしながら、 未だに騙されたことに気づかず、ウルトラスーパーデラックスレジェンドラなんてものがあると思って 追っかけてくるワルザック共和帝国皇帝トレジャー・ワルザック一味との追いかけっこを興じていたのだが…… 「はあ……」 勇者にして現在はサメ型の宇宙戦艦形態のキャプテンシャーク。 その上で外の空気を吸いながらため息をついている青年がいた。 彼の名はワルター・ワルザック。ワルザック共和帝国第一王子にしてキャプテンシャークの主である。 「父上もいい加減、お子達の嘘に気づかんものか……」 騙されて追っかけてきている皇帝は彼の父親だ。流石にこれだけ経っても気づかないとなると情けなくなってくる。 ましてや自分は周囲からはこの親ありてこの子ありとも思われている。 彼がバカやりすぎると自分の品位まで損なわれてしまうのだ。何より…… 「襲撃するのもいい加減にして欲しいものだ……」 襲撃数はもはや数えるのもめんどくさい数に達していた。 しかも、国王だけあって権力に物を言わせて一回の物量は途方もなく襲撃の周期も 自分達がタクヤ達と敵対してきたと比べて段違いに短い。 いい年して大人気ないというかなんというか…… 「はあ……もううんざりだ~~~!!!」 たまったものを吐き出すようにワルターは叫んだ。だが、 「わ、ワルター様……」 ギギギ……と声のした方を振り向いた。声の下方向には涙目になった少女がいた。 「しゃ、シャランラ!?」 シャランラ・シースルー。ワルザック共和帝国有力貴族の令嬢にしてワルターの婚約者。 最近はまんざらでもないのだが、 あるパーティ会場でズボンがずり落ちるたびに元の位置に直すもすぐ下がってしまいまた上げるという行為を 繰り返しているおっさんを見てしまい大笑いしているところを見られて惚れられて以来付きまとわれ 未だに苦手意識の抜けない少女である。 「ワルター様……私のこと、もううんざりですのね……」 後ろに下がるシャランラ。だが、ここは空の上。足を踏み外したらまずい。 なんか前にもこんなことなかったかとデジャブを感じつつも急いで誤解を解こうとする。 「い、いやな、シャランラ……そうじゃなくてだな」 「あなたと私は……トホホのホ……」 だが、ワルターが誤解を解く前に彼女は身を投げるようにキャプテンシャークの上から足を踏み外した。 急いで下を覗き込む。だが、覗き込んですぐパラシュートが開くのが目に入った。 一安心したワルターはその場にへたり込んだ。 そして、 「やれやれ……若もシャランラ様も喧嘩とは仲がよろしいようで……」 「だね」 「いや、あれは悪太の甲斐性のなさを問題にすべきじゃねぇか?」 「ふむ……」 「一理ありますね」 「妻子持ちとしてドランはどうよ?その辺」 『コメントは控えさせていただきます。主達』 タクヤ達は思いっきりその様子をモニターから覗き見していた。 一方、シャランラだが 「やっぱり、ここは、仕方ありませんわね…… こうなったら今度こそ魔法少女になってワルター様をメロメロに……」 良からぬことを企んでいた。その後、しばらくタクヤ達はシャランラの姿を見ることはなかった。 そして、そんなことがあってからしばらく…… 日本の海鳴市では高町なのはという少女が魔法少女となりロストロギア ジュエルシードを回収すべく 奮戦していたのだが…… 暴走の止まったジュエルシードを封印しようとするなのは。 だが、それは突如飛んできた光弾により阻まれる。 「え!?」 「攻撃!?僕達以外に魔導師が!?」 周囲を見回すなのはとユーノ。そして、2人が目にしたのは 「残念ですがそれはあなた達には渡せませんわ」 「あ、あなたは?」 「何者!?」 「私は人呼んで……魔法少女シャランラ~~!!」 手にはピコピコハンマー、腰にはバスケットを下げ、いかにも魔法少女という格好をしたシャランラだった。 どういった経緯かは不明だがシャランラはマジモンの魔法少女になってしまったらしい。 「ワルター様との恋を成就するため、それは私がいただきますわ!」 そういうとシャランラはバスケットにかけてあった布を取り払う。 バスケットの中から現れたのは砲門のついたニンジンのような物体。 なのは達は知らないがそれはシャランラが操縦していたロボット、ウサリンMK-Ⅱに装備されていた キャロビットをそのまま小さくしたものだった。それが射出され射出されたキャロビットから砲撃が浴びせられる。 バリアをはり防御するなのはだが砲撃は思いのほか威力が高くバリア越しでもかなりのダメージを食らってしまう。 「埒があきませんわね。なら、これならどうかしら?」 シャランラが手を挙げる。と、なのはの耳にベチャっという音が聞こえた。 何事かと見ようとするがそこで四肢の自由がきかないのに気づく。 と、ユーノが声をあげる。 「バインド!?」 首だけ動かし下半身を見てみると何かべっとりとついているのが目に入った。 「……チェリーパイ?」 体にチェリーパイがついていた。チェリーパイがべったりとついたところから体の自由がきかない。 異様な光景に唖然とするなのは。だが、すぐに正気に戻るとユーノがこれをバインドといったことから 魔法によるものであると思い強引に外そうと試みる。が、全然取れない。 と、シャランラが接近しなのはをピコハンでめった殴りする。 痛みこそこそピコハンゆえないが叩かれるたびに魔力が抜けていく。と、 「そんなほとんど魔力を感じないのに!?こんなことって!?」 ユーノが声をあげる。彼の口にしたことが事実ならそれは異常な事態だ。 と、シャランラが口を開く。 「教えてあげるわ!それは、愛の力よ!」 そう叫びながら今度はユーノにもピコハンを振りかぶる。今度は物理ダメージがあった。 ぶっ飛んで星になるユーノ。なのはも魔力不足で気絶するまで叩かれ ジュエルシードはシャランラに回収されてしまった。 この後、ジュエルシード争奪戦は管理局をバックにつけたなのは、シャランラ、 それに謎の少女フェイト・テスタロッサによる三つ巴の様相を呈することになる。 正史と違って最後の6つが何故かタクヤ達を巻き込んで勇者ロボや それを追っかけていたトレジャーの戦艦マーチャンダイジングに取り付くという事態になったが ウサリンMK-Ⅱに乗ったシャランラがこれを撃破し回収。 正気に戻ったワルターの説得によりシャランラの回収したジュエルシードは管理局の手に収まることになる。 フェイトの側もいろいろあったが管理局預かりの身となり事件は収束したのだった。 A s編 リインフォースと分離した闇の書の防衛プログラム。 それの張るバリアを破ろうとヴィータがグラーフアイゼンを振りかぶる。 「轟天爆砕!ギガントシュラー……」 そしてそれを振り下ろそうとして 「シャラ!」 「グフゥ!?」 「ヴィータ!?」 シャランラに当身されて中断させられた。 「シャ、シャランラさん、何を!?」 驚愕しながらもシャランラに何が目的かを尋ねるなのは。 だが、それに答えずシャランラはヴィータの手からグラーフアイゼンを奪い 「借りますわ~~~~~~!!!」 グラーフアイゼンへと力を注いだ。 ただでさえ巨大化していたグラーフアイゼンがさらに巨大化する。 さらにグラーフアイゼンとシャランラの姿が金色に染まっていく。 そしてシャランラはそれを振り下ろす。 「一昨日きやがれですわ~~!!光になれ~~ですわ~~!!!」 次の瞬間、防衛プログラムはその言葉の通り光になった。 唖然とした様子でエイミィが状況を告げる。 「ぼ、防衛プログラム……反応消失。……再生反応……あ、ありません」 「私とワルター様の愛の力の前に倒せぬ敵などありませんわ♪シャラララ~」 『んなアホな~~~~~!?』 その場にいた人間達の理不尽への叫びが寒空に響いた。 なお、 「なんでぇ~、あっさり終わっちまったよ」 「せっかくスタンバってたのにね」 「張り合いねぇな」 「同感です」 「まったくだ」 「ですな」 (恥ずかしい……) ちょっと離れたところで隙あらば乱入しようとしていたタクヤ達(トレジャー含む)は一名を除いて暇そうだった。 「せっかく、ミラクルギャラクティカバスター、スタンバってたのに~」(バリバリ(スナック菓子食ってる)) 「せっかく、シュバンシュタイン(プラネットバスター装備)とデスマルク大量に持ってきたのに~」(ホジホジ(鼻穿ってる)) 「「なぁ」」 『なぁ……じゃないです。主達……』 そしてその後の後始末についてだが未だバグの残るリインフォースは彼女の主、八神はやてに負担を掛けないため 消滅しようとしたが…… 「ちょっと、内部構造を私にわかるように見せてもらえませんか」 と、シリアスが言ってきたため見せたところ…… 「なるほど……ここをこうすれば治りますね」 と"ご都合主義に"持ち前の天才的な頭脳であっさりバグを除去してしまった。 しかし、防衛プログラムのような危険性はないらしいが別のバグが生じたらしく数日、 普通に生活しながら様子を見つつ無理のない除去法を模索していた所、 ある朝、朝一番にはやてと顔を合わせて一番 「主……できちゃったみたいです」 「はいぃぃぃぃ!!?」 というやり取りが起こり、とりあえず、詳しく調べてみたところ生じたバグは 惑星ロボラルドのロボットの種族保存装置に近いプログラムであり ユニゾンしたはやてとリイン双方のデータを基にできちゃったとのこと。 バグ自体の除去はバグの詳細がわかったため、簡単だったが既に"できちゃったもの"は流石に 取り除くのがためらわれ……数日後には八神家の家族が1人増えリインフォースⅡと名づけられたという。 ちなみにこのときは流石にはやてもリインもげっそりしていたという。ドランも同情の視線を送っていた。 さらにワルターであるが…… 「うおぉぉぉぉ!!」 「ワルター様~~~~!待ってくださいですの~~~~!」 逃げるワルター。それを時々キャロビットで威嚇射撃をしながら追っかけるシャランラ。何事かというと 「捕まってたまるか~~~~!」 「私達も子作りしましょう~~~~!二人の愛の結晶を~~~~!」 「や、やめてくれ~~~~!まだ、私はそういうことをする気はない~~~~!」 「ああん~~~~!ワルター様のいけずぅ~~~~!」 その一件に感化されたシャランラに子作りを迫られ逃げ回っていた。 「お子達、シリアス、キャプテン、カーネル!この際、父上でもいい!誰か助けてくれ~~~~!」 それに対する返答は…… ワルターと親しい者達の返答 「無理」 「バカ言うな」 「流石にそれは……」 「兄上、この際いいのではないですか」 『船長、そろそろ年貢の納め時じゃないですかい?』 「うう……このカーネル……生きているうちに若とシャランラ様の子が見られるとは幸せものです……」 「息子よ強く生きろ」 『悪太、気休めかも知れんが頑張れ』 魔導師の皆様の返答 「にゃはは……がんばってくださいとしか」 「正直、冗談きついです」 「えっと……そのうちいいことありますよ」 「あんなのの相手だなんてあたしゃ、二度とごめんだよ!」 「この際やし、ワルターさんもうちらの側に来たらどうや」 「死なばもろとも……」 「二度と来るんじゃねぇぞ!」 「骨は拾ってやる」 「私にもいい人いないかしら?」 「…………」 「艦長!この件は時空管理局としては」 「もちろん管轄外よ。あ、そろそろいったん本局に戻る時期だったわ。ねぇ、エイミィ」 「は、はい」 温かい言葉だった。 「おのれ~~~~~!人事だと思って~~~~!」 「ワルター様~~~~!」 「ひい~~~~!」 ワルターとシャランラに幸あれ。 単発総合目次へ その他系目次へ TOPページへ
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名称:【TA神話】アンジェラブラン レアリティ:☆9 属性 木 一覧番号 1774 入手先 入手先1:進化 【TA神話】ユーノ・アスタディール入手先2:入手先3: レベル 1(99) HP 8198(12157) 攻撃力 989(1467) 治癒力 257(381) コスト 9 売却価格 ??? 進化必要素材 進化先 必殺技:ミョルニルの魔槌 必要ターン数 28(13) 効果(Lv1) 発動したターン、このターンに発動した必殺技数×50%味方木属性の攻撃力が上昇する。 効果(Max) 発動したターン、このターンに発動した必殺技数×75%味方木属性の攻撃力が上昇する。 リーダースキル:並行世界の旅人 木属性攻撃力4.75倍、HPと治癒力2倍。最終R開始時PC2回復。 最終Rに限り、敵から受けるダメージを30%軽減する。
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君の声聞いた気がして 失われた時間さ迷う 存在さえ忘れられた この想いはどこへ続くの? 俺に立ち向かうすべての 相手は後悔するだろう 半端にウロウロするなら 何もせずにじっと見てな 「……イマジンが……!?」 「クソ……待て!!」 今、彼らの目の前で一体のイマジンが一人の女性の体の中へと入っていった。 もちろん中へ入るといっても、そのまま体内へ入る訳では無い。 イマジンは女性の体を真っ二つに割り、その中に現れた緑色の空間-過去-へと飛び込んだのだ。 二人はすぐに女性に近寄り、一枚のチケットをかざす。 そうすると、チケットにイマジンの姿と、過去の日付が記されていた。 「2004年、10月9日……。」 「……この日付に、覚えは?」 二人はチケットを見ながら女性に問い掛ける。 「…………!?」 だが、女性の様子がどこかおかしい。この日、彼女の身に何かが起こったのだろう。 「……この日に、何かあったんだな?」 「ば……化け物が……」 「化け物だと……?」 もう一度問われた女性は、恐る恐る言う。 どうやらこの女性は2004年の10月9日、「化け物」に襲われたらしい。 「(化け物だと……?)」 「……侑斗!」 「……ああ、わかってる!行くぞデネブ!!」 侑斗と呼ばれた少年は、すぐに元の寡黙な表情を取り戻し、「デネブ」と呼び返す。 次の瞬間、空を裂いて巨大な二両編成の列車……『ゼロライナー』が現れる。 Extra ACT.03「ACTION-ZERO」 「うーまーいッ!!これがショ・ミーンの味か!」 「あはは、剣君ホントに美味しそうに食べるね」 「ああ、なんせ俺は美味しそうに食べる事においても頂点に立つ男だからな!!」 剣は美味しそうに熱々の豆腐を頬張りながら、いつも通りの台詞を口にする。 現在、剣が食事をしているのは八神家だ。剣はなのは達と一緒に八神家で夕飯をご馳走になっている最中なのだ。 ちなみにメニューは寄せ鍋だ。 何故こうなったのかというと、数時間前に遡る事になる。 ……………… ………… …… 同日、03 05PM 今日は何事も無く学校も終わり、なのは達もあとは自宅へと帰るだけだった。 そんな時…… 「今日は久々にうちで鍋パーティーするねんけど、良かったらなのはちゃん達も来ぉへん?」 突然話題を振ってきたのははやてだ。 「「鍋?」」 「うん。もうすぐキャンプもあるし、久々に皆で晩御飯でも食べたいなぁって思ってん。楽しそうやろ?」 凄く楽しそうに、満面の笑顔で言うはやて。 そんなはやてを見たなのはとフェイトは顔を見合わせ…… 「「うん、喜んで!」」 こうして現在に致る訳である。 「ところで、主はやて……」 「ん?何や、シグナム?」 シグナムに話し掛けられたはやては、白菜を頬張りながら返事を返す。 「先ほどの説明で高町やテスタロッサがここにいるのはわかりました……ですが。」 シグナムは今度は冷静な面持ちで箸を置き…… 「何故この男までここにいるのでしょう?」 次にシグナムが睨んだのは凄いペースで鍋の中身を平らげていく剣だ。 「細かい事を気にするな!それよりこの白いヨーグルトは一体何だ!?」 「あ、それはヨーグルトじゃなくて、豆腐だよ。気に入ったの?」 「なにぃ……!?トゥーフーだとぉ!!」 フェイトに教えられた剣は驚いた表情で豆腐を見つめる。 「いや……剣くん、トゥーフーじゃなくて……」 「うまい!このトゥーフーとやら、気に入った!!」 「駄目だ……聞いちゃいねぇ。」 シャマルの言葉を遮り、一人で感動している剣に流石のヴィータも呆れた表情だ。 そんな時、ふとなのはの目はふとテレビの画面へと移る。 「あれ……?」 「どうしたの、なのは?」 「あのドラマに出てるの……」 画面に映し出されているテレビドラマには、どこかで見覚えのある人物が出演していた。 『悪いオーラが見える……』 「トゥーフー……あっさりとした味の中にも独特のコクと奥深さがある…… この高貴な味こそ、ノブレス・オヴリージュ!!」 なのは達はテレビ画面に映る人物と、目の前で美味しそうに豆腐を食べながら訳のわからないことを言う剣を見比べる。 「あはは……そっくりだね……」 「世の中には三人同じ顔がおるって言うけど……」 「うん、ホントに似てるねぇ……」 三人は剣とドラマの人物を比較しながら箸を進める。 すると…… 「なぁ、この難波って奴、天道総司に似てねぇか?」 ヴィータの言葉に固まる一同。 なんと、テレビ画面には剣のそっくりさんだけでは無く、天道のそっくりさんまで写っているというのだ。 「……そんなアホな~」 「う、うん。そうだよヴィータちゃん、いくらなんでもキャラが違いすぎるよ~」 「きっとただのそっくりさんだよ?」 「……や、やっぱそうだよな?」 一同はまた元の笑顔を取り戻し、楽しい夕飯の時間を再開した。 剣だけはテレビには目もくれずに嬉しそうに鍋-というより豆腐-を食べ続けていたが…… 「侑斗、さっきの女の人が言ってた化け物って……」 「……さぁな。既に2003年に別のイマジンに出くわしていたか、それとも……」 ゼロライナー車内、侑斗とデネブはさっきの女性の言っていた化け物について考えていた。 「まさか……ワーム?」 「ああ。奴らは1999年には地球に現れている。2004年に奴らが人を襲っていてもおかしく無い」 「でもワームに襲われたなら、あの女の人が今生きてるのはおかしいんじゃないか?」 「あぁもう……知るかよそんなこと!行けばわかる!!」 苛々していた侑斗はデネブを怒鳴り付ける。 「そ、そうだな……ごめん、侑斗」 「……ったく!」 シュンとした態度で謝るデネブに、侑斗は「フン!」と不機嫌そうにデッキから外の景色を眺める。 存在しない存在を 証明し続けるためには ゼロというレール駆け抜け 止まる事など許されない…… 「(侑斗……)」 デネブは不機嫌そうな侑斗を見つめる。 「(孤独だけを強さにする心を……痛い程分かってる……)」 こんな性格のせいか、侑斗には昔から友達ができないのだ。 そんな侑斗を心配し、また思いやるデネブはまさに、父親の様な存在だろう。 「(……だから俺はいつでも侑斗と一緒に戦う……。)」 それがデネブが心に誓う、戦う理由だ。 一方の八神家では、過去の思い出話に花を咲かせていた。 勿論剣はそんな話を全く知らないために、興味津々といった感じだ。 はやてもこの頃のなのは達の話にはあまり詳しくは無い。その点でははやても興味津々と言えるだろう。 「……そのジュエルシードという宝石が犬や植物に取り付くというのか?」 「うん……ユーノくんと初めて会って、レイジングハートを受け取って……」 なのはは3年前の自分の物語を話し始める。 ユーノの世界で発掘された21個のジュエルシードが、事故でこの世界に散らばってしまったこと。 一人ぼっちでジュエルシードを回収しようとしていたユーノの手伝いをし、魔法少女となったこと。 なのはの丁寧な説明に剣やはやて、それからヴォルケンリッターの一同も次第に話に引き込まれていく。 「……それでね、こんなことがあったんだ」と、一つのエピソードを語り始めるなのは。 それはなのはがまだレイジングハートやバリアジャケットを使いこなしていなかった時期の話。 「一つ目のジュエルシードを封印してすぐの話なんだけどね……」 なのははそう言い、二つ目のジュエルシードの回収時の出来事を思い出していた。 そして、今からなのはが話そうとする歴史は、こうしている間にも改変されようとしているのだった…… -2004年10月9日- 「はぁ、はぁ……」 一人の女性が、ランニング中に海鳴市のとある神社に立ち寄った時の事だ。 「……っ!?」 神社に入った瞬間、女性の足が止まった。 なんと、目の前の子犬が、突然巨大な化け物-犬獣-へとその姿を変えたのだ。 犬獣は巨大な漆黒の体に、4つの瞳をギラつかせ、まさに化け物といった印象の姿をしている。 「あ……!?」 学校から下校途中のなのはが何かの気配を察知する。 「(ユーノくん、今のって!)」 「(ジュエルシードが発動した!すぐに向かって!!)」 「……うん!」 念話でユーノと連絡を取ったなのはは、すぐにジュエルシードが発動した場所へと走り出した。 吠える犬獣を前に、ランニングをしていた女性はついに意識を失ってしまった。 そんな女性の体から大量の白い砂が零れ落ち、白いイマジンが現れる。 白いイマジンは、フクロウの様な印象の外観をしており、両肩からは翼が生えている。 このイマジンは、取り付いた女性のイメージする「フクロウと鳥たち」のフクロウをモチーフとした『オウルイマジン』だ。 「何だ……コイツは?」 犬獣を見たオウルイマジンは、最初は少し驚いたが、すぐに自分のするべき事を思い出す。 この化け物が勝手に暴れてくれるなら好都合だ。オウルイマジンはその場を飛び去ろうとするが…… 「何……!?」 凄まじい轟音を響かせて現れたのは、漆黒の列車-ゼロライナー-。 その列車に逃走を遮られたオウルイマジンは、「今度は何だ!?」という表情でゼロライナーを見つめる。 すると、ゼロライナーから一人の男……『侑斗』が降り立ち…… 「貴様……さっきの男か。」 「ったく、手間掛けさせやがって……!」 侑斗は苛立ちながら『ゼロノスベルト』を手に構え、それと同時にゼロライナーもいずこかへと姿を消す。 その時だった。 「ぐぉおおおおおおおおッ!!!」 「うわッ!?」 突如として巨大な犬獣が侑斗に襲い掛かってきたのだ。 まったく、この手の敵があえて悪者には襲い掛からずに、良い者側に牙を剥くのはもはやセオリーと言っても過言では無いだろう。 「クソ!なんなんだよコイツは!!」 『侑斗、アレ!!』 「な……!?」 突然襲い掛かってきた犬獣に悪態を付いていた侑斗は、どこからか聞こえて来るデネブの声に反応し、神社の入口辺りを見る。 そこにいるのは、まだ幼いどう見ても小学生な少女……高町なのはだった。 しかもタチの悪いことに、犬獣はなのはへと走りだし、イマジンはどこかへと逃げようとしている。 『どうする、侑斗!?』 「んなモン決まってんだろ!!」 デネブの問いに即答する侑斗。今なのはを見捨てても被害に合うのはなのはだけだ。どうってことは無い。 だがイマジンを逃がせば、大勢の人間が死んでしまい、下手をすれば世界を消滅させる可能性だってある。 侑斗はイマジンが逃げようとする方向へと走りながら、ゼロノスベルトを腰に装着する。 「デネブ、カードは残り何枚だ!?」 『残り16枚だ!』 「チッ……まだしばらくは大丈夫か……!」 言いながらゼロノスベルトの上部レバーを右側へとスライドさせる。 「変身!!」 『Ultair Form(アルタイルフォーム)』 侑斗は腰のカードケースから取り出した『ゼロノスカード』をゼロノスベルトへ装填-アプセット-する。 次の瞬間、侑斗の体を二本のレールの様な物が走る。 「なのは、早くレイジングハートを起動して!」 「えぇ……!?き、起動って何だっけ!?」 なのはは目の前に迫る犬獣に、完全にパニクっていた。 しかもこの当時のなのはは、まだ一度しか変身した事が無い。咄嗟に変身しろと言われても無理な話だ。 「……ッ!?」 なのははついに目前まで迫った犬獣に、目をつぶった。 「(間に合え……!!)」 侑斗……いや、『仮面ライダーゼロノス アルタイルフォーム』は、飛び去るイマジンとの距離を詰めていた。 あと少しで追いつける。 ゼロノスとイマジンとの距離を見れば、誰もがそう思うだろう。 しかし、ゼロノスの目的はイマジンでは無かった。 なんと、もう少しで追いつけるというのに、途中で立ち止まってしまったのだ。それも猛進する犬獣の目の前でだ。 「うぉおおおおおりゃあああ!!!」 ゼロノスそのままゼロガッシャーをサーベルモードに連結し、犬獣の突進を受け止める。 「え……何……!?」 なのはには何が起こったのかがわからなかった。 突然、雷と一緒に誰かが割って入ったと思えば、目の前で緑の装甲に身を包んだ戦士が自分を守るように犬獣を受け止めているのだ。 『Set Up』 さらに、なのはが持っていた赤い飴のような宝石-レイジングハート-が輝き、自分の体を光が包む。 起動パス無しでレイジングハートを起動させた事には、流石のユーノも驚いているようだ。 だが、それよりも気になるのが、目の前の緑の戦士……ゼロノスだ。 「(もしかして……管理局の人かな?)」 ユーノがそんなことを考えているとも知らずに、ゼロノスは犬獣を弾き飛ばし、ゼロガッシャーを肩に乗せる。 俺に立ち向かうすべての 相手は後悔するだろう 半端にウロウロするなら 何もせずにじっと見てな 「最初に一つ言っておく……!俺は今、か~な~り!機嫌が悪い!!」 まさかこんなイマジンでも無い相手に貴重なカードを使う羽目になるとは思っていなかったのだ。 『侑斗、偉い!侑斗なら女の子を助けると思ってた!!』 「うるっさい!!」 苛々していた侑斗は、柄にも無い事を言われ、さらに逆ギレする。 「何?この人達……?」 「さ、さぁ……?僕にもわからない……」 なのは達もゼロノスの登場に戸惑っているようだ。 「お前も、逃げれると思うな!!」 ゼロノスはゼロガッシャーをボーガンモードに連結変形させ、オウルイマジンに向けて連射する。 「何ッ!?」 ゼロノスが発射した全ての光弾に当たったオウルイマジンはすぐに地面に落下する。 さらに侑斗は、ちらっとなのはを見て、「コイツ魔導師だったのか……」とようやく気付く。 ならばあの犬獣は魔導師であるなのはに任せても大丈夫だろう。 「おい、そこの魔導師!あのイマジンは俺が殺る!その化け物はお前に任せた!!」 「あ……え?イマジン……?」 ゼロノスはなのはに向かってそう叫んだ。もちろんこの時代のなのはにはイマジンなんて言葉に聞き覚えは無い。 「とにかく、邪魔だけはすんなよ!!」 「う、うん……わかった!」 その言葉を聞いたゼロノスは、すぐに落下したオウルイマジンへと走り出した。 「なのは、とりあえずジュエルシードを!」 「……うん!!」 取り敢えずなのはは、ユーノの言う通りにレイジングハートを犬獣へと向ける。 ちなみにこの当時のなのはには技と言える技はほとんど無い。 「ぐおおおおおおッ!!」 さっきのゼロガッシャーの攻撃で吹っ飛んだ犬獣は、再び体勢を立て直し、今度はなのはへと飛び掛かる。 「わっ……!?」 なのはは咄嗟にレイジングハートを振り上げた。 すると、レイジングハートは自動的にプロテクションを発動。そのまま犬獣を弾き飛ばす。 「大丈夫、なのは!?」 「うん……あんまり痛くは無いかも」 なのはの安否を心配するユーノに、なのはは大丈夫だと主張する。 そして、今が封印には絶好のチャンスだ。 「なのは!」 「うん、封印っていうの、すればいいんだよね?」 『Sealing Mode』 なのはの声に反応したレイジングハートは、再び自らの意思で封印用モードであるシーリングモードに移行する。 同時にレイジングハートからピンクに輝く翼のような光が現れる。 「逃げんな!戦え!!」 ゼロノスは回避を続けるオウルイマジンに、ボーガンモードにしたゼロガッシャーを連射する。 「く……!管理局の犬め!」 「何だとぉ!?冗談じゃない!誰が管理局の犬だ!!」 オウルイマジンの一言により侑斗はさらに激怒したらしく…… 「おらぁッ!!!」 「な……!?」 一気にジャンプで飛び上がったゼロノスは、オウルイマジンの両足をがっしりとホールドし、そのまま地面にたたき付ける。 「この野郎!」 そして再びゼロガッシャーをサーベルモードに変形させ、オウルイマジンに振り下ろす。 「うわっ……ちょッ……クッ……!!」 それも一度では無い。倒れたオウルイマジンに何度も何度もゼロガッシャーを振り下ろすのだ。 さすがにその光景はデネブも見兼ねたらしく…… 「侑斗……!!」 「はぁっ!おりゃあ!!」 デネブは侑斗を止めに入るが、それも聞く耳を持たずにゼロガッシャーを振り下ろし続ける。 「侑斗……落ち着け!侑斗!!」 そこでデネブは無理矢理ゼロノスをオウルイマジンから引き離す。 「……何すんだよッ!!」 デネブの余計な行動にいらついたゼロノスはデネブにヘッドバットをかますが、もちろんあまり効いていない。 「駄目だ侑斗!こんな戦い方、卑怯すぎる!」 「あぁもう……面倒臭いな!じゃあお前やれよ!!」 「了解!!」 デネブは少し嬉しそうにそう言うと、すぐにゼロノスの背後に立った。 そしてゼロノスはベルトからカードを抜き取り、再びレバーをスライド。さらにもう一度カードをアプセットする。 『Vega Form(ベガフォーム)』 機械音声が『ベガフォーム』と告げ、デネブがゼロノスと合体。 肩にはデネブの手……ゼロノスノヴァが装着され、胸についたデネブの顔が特徴的だ。 やがて頭に装着されたドリル型電仮面は、星型に展開。これが、『仮面ライダーゼロノス ベガフォーム』だ。 いつかたどり着くだろう すべての謎 説き明かされ そして、ゼロノスがベガフォームになった途端に、ゼロノスが立っていた地面が「ズンッ!」と沈み込む。 止まったままの時計の針 動くさきっと さらに強い風が神社全体に吹き込み、周囲の木々がざわつく。ゼロノスのマントもそれに合わせてはためいている。 もう任せておけない 悲しい歴史いらない ゼロノスはゼロガッシャーを構え直し、オウルイマジンを睨みつける。 そのためだけに見せる本当の強さ……『ACTION-ZERO』! 「最初に一つ言っておく!!」 「お前もかよ!?」 「正直、お前よりもあの犬みたいな化け物の方が気になる!!」 「なら、あの犬をなんとかしにいけよ!?」 デネブの人格が表に出た状態のゼロノスは、侑斗の真似か決め台詞を言う。 まぁ少し間が抜けているイメージがあるのもデネブの特徴だ。 オウルイマジンはツッコミながら羽手裏剣をゼロノスに飛ばすが…… 「……わかった!!」 デネブはオウルイマジンの言葉を「早く自分を倒して、あの女の子を助けろ」と勝手に解釈。 羽手裏剣を全てゼロガッシャーでたたき落とす。 「チッ……!」 オウルイマジンも少し悔しそうに再び羽を飛ばそうとするが、ゼロノスはそれを許すつもりは無かった。 「これで終わりだ!」 『Full Charge(フルチャージ)』 ゼロノスは一瞬の内にゼロガッシャーをボーガンモードに変形、さらに ゼロノスベルトから取り出したカードをゼロガッシャーのスロットに押し込む。 同時に、ベルトの黄色いV字マークが輝き、ゼロガッシャーに光が集まる。 「……な、何!?」 うろたえるオウルイマジン。ゼロガッシャーの中心は、稲妻のような光を集めながら自分を狙っているのだ。 「クソ……フン!」 オウルイマジンはそれに対抗し、今までに無い程に無数の羽手裏剣を飛ばすが…… 「はぁッ!!」 ゼロノスはそれを無視し、光の矢と化した閃光を撃ち出す。 そのまま矢-グランドストライク-は一気に全ての羽手裏剣を撃ち落とし、オウルイマジンを貫通。 「うわぁあああ……!?」 そして、オウルイマジンの体はV字型に発光し、次の瞬間には爆発していた。 『あの魔導師はどうなった!?』 侑斗はイマジンの撃破後、すぐに犬獣と戦闘していたなのはを思い出す。 「リリカルマジカル、ジュエルシード・シリアル16!封印!」 『Seal』 調度ゼロノスがイマジンを撃破した頃、なのはは犬獣に取り付いたジュエルシードを封印しようとしていた。 犬獣はなのはが放った桜色の光に拘束され、身動きが取れない状態にある。 なのはが封印の呪文を唱えた途端に、犬獣から青く輝く小さな光が飛び出した。 青い石……ジュエルシードは吸い込まれるようにレイジングハートに接近する。 後は封印するだけだが、そう思い通りには行かない。 「え……何!?」 なんと、ジュエルシードはレイジングハートに封印されずに、倒したはずのオウルイマジンの体に吸い込まれたのだ。 そしてイマジンの体は一気に大型化し、まるで鳥のような巨大な化け物へと変貌する。 名付けるとするならば『シードギガンデス ヘヴン』とでも言ったところか。 「まさか……ジュエルシードがアイツの願いに反応した!?」 「そんな……!?」 なのは達もこの意外な展開には面食らっているようだ。 「侑斗!コイツ……ただのギガンデスじゃない!」 『んなこと見りゃ分かる!多分、あの青い石の影響だ!』 侑斗達も、この状況を分析。こうなった場合の対象方とは…… 『ゼロライナーだ!!』 「わかった、侑斗!」 次の瞬間、またしてもどこからかゼロライナーが現れ、ゼロノスは急いでゼロライナーに飛び乗る。 「あの人達……何する気なのかな?」 「戦うのかな?あの電車で……」 なのは達にしてみればもう何がなんだか分からないといった感じだ。 特になのははまだ魔法すら馴染みが無いというのに、二回目の実戦で いきなりこんな「戦う列車」を見てもそう簡単に納得が行く訳が無い。 そうこうしてるうちに、すぐにゼロライナーの先端は180度回転し、ドリル状に変形する。これが制御車両でもある『ゼロライナードリル』だ。 『一気に決めるぞ!』 「ああ、わかってる!」 ゼロライナー車内、マシンゼロホーンというバイクに跨がりながら二人のゼロノスが息を合わせる。 シードギガンデスはそんなゼロライナーへ向けて無数のニードルを発射するが…… 「レイジングハート!」 『Protection』 すぐにプロテクションを作動させたなのはが介入。それらを全て弾き、ゼロライナーを守る。 『そこの魔導師!』 「え……!?」 「なのはの事だよ!!」 突如、ゼロライナーから聞こえた声に困惑するが、ユーノのお陰ですぐに自分の事だと気付く。 ちなみに当然の事だが、ベガフォームに変身しているからには聞こえる声もデネブの物である。 「な、なんですか!?」 『一気にゼロライナーで突っ込む!キミはその隙にあの宝石を封印してくれ!!』 「えと……わかりました!」 威勢よく返事を返すなのは。そうと決まれば、なのはもすぐに行動を開始する。 まだレイジングハートはシーリングモードのままだ。このままゼロライナーが攻撃する チャンスを作るために、シードギガンデスを拘束する。 「レイジングハート!!」 『Standby ready』 なのははすぐにさっきと同じように桜色の光でシードギガンデスを拘束。 だが…… 「う……さっきのより強い……!!」 流石にイマジンに取り付いただけに、さっきの子犬に取り付いていた犬獣とはパワーが段違いなのだ。 「……早くしないと、拘束が解ける!」 『デネブ!今のうちに一気に決めろ!!』 「任せろ、侑斗!」 強き者に強き力 言っておく「かなり強いぜ!」 ゼロライナーは先端のドリルを高速回転させながら、一気にシードギガンデスへと突っ込む。 極めつけのVega Ultair 始まるBattle『ACTION-ZERO』! 「行ける……!!」 シードギガンデスに突き刺さるドリルを見たユーノも、ゼロライナーの勝利を確信する。 強き心強き願い 重なる時 無敵になる 『ブチ抜け!!』 侑斗もシードギガンデスの腹部を貫いてゆくドリルに、気合いを入れる。 デュアル仕様Vega Ultair 繰り出すAttack『ACTION-ZERO』 そして、ゼロライナーはシードギガンデスを貫通。一気に車両全体がシードギガンデスの体を突き抜ける。 「今だ!」 「うん、今度こそ……!リリカルマジカル、ジュエルシード・シリアル16、封印!!」 なのはは、桜色の翼が生えたレイジングハートを、ドリルによって風穴を開けられたシードギガンデスにかざす。 強き者重なれば…… 極めつけのVega Ultair ACTION-ZERO そのままシードギガンデスからジュエルシードが取り出され、レイジングハートに吸収される。 後は残ったギガンデスヘヴンを片付ければ終わりだ。 ゼロライナーはUターンし、再びギガンデスに突進。そのままギガンデスを打ち砕く。 それは最強の意味…… デュアル仕様Vega Ultair ACTION-ZERO…… そうしてゼロライナーは、なのは達の前で停車することなく、再びいずこかへと消え去っていったという。 全てが終わった後、神社は何事も無かったかのような平穏を取り戻す。 イマジンに取り付かれていた女性も、意識を取り戻して自宅へと帰ったらしい。 「えと……何はともあれ、これでよかったのかな?」 「うん!完璧だよ、なのは!!」 二人はゼロライナーが消えた夕焼け空を眺めながら、笑顔で顔を見合わせた。 そんな時、何かに気付いたなのはは足元に落ちていた物を拾い上げる。 「何かな、これ?」 「キャンディ?」 「やっぱり、そうだよね?」 なのはの問いに答えるユーノ。それはどう見てもキャンディだ。 なのははそのキャンディをにぎりしめ、再び空を見上げる。その表情はとても爽やかだ。 「また、会えるかな?」 「うん。きっと……そのうち」 ユーノは笑顔で答えた。 「……と、まぁこんな話があった訳で……」 こうして話は現在に戻る。 既に鍋は全員にほぼ完食されており、今は平和な雑談ムードだ。 「戦う電車かぁ……ってそんなアホな!」 「お前、頭でも打って幻覚でも見てたんじゃないか?」 一同は黙ってなのはの話を聞いていたが、はやてとヴィータが真っ先にコメントする。 「でも、その話が本当ならまた会えるかもね。その電車の人に」 「うん!そうだよね?」 否定的なヴィータに対し、フェイトは楽しそうに言う。だが、そこでなのはは一つの異変に気付く。 「……剣くんは?」 なのはの言葉に一斉に剣を見る一同。すると…… 「うん……マイラヴァ~……ミサキーヌぅ……」 「「「……寝てる?」」」 なんと、幸せそうな顔をして眠っているのだ。 「にゃはは……私の話も長かったし、仕方ないかな?」 苦笑いしながら言うなのは。 「疲れてるみたいだし、休ませてあげよっか」 「うん、そうやな。後でじいやさんに連絡しといたらええか」 フェイトとはやてもそれに返事を返す。剣がどこまで話を聞いていたのかは不明だが、まぁそこはいいとしよう。 鍋も食べ終わり、なのははふと八神家の窓から夜の空を見上げた。 「ベガと、アルタイル……か」 あの緑の戦士は今もきっとどこかで戦っているのだろう。 闇の中で唯一光る「真実」を守るため…… ゼロライナーは今日も時の中で旅を続ける。 約束の場所まで…… 戻る 目次へ 次へ
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水橋 かおり(みずはし かおり) 通称:ミズハス・みじゅうううううう 日本の女性声優。アーツビジョン所属。 天真爛漫・芯の強い役柄・元気な役柄等、中・高生ぐらいまでの幼い感じの女の子の役が多い。 実況スレでは(´_J`)のAAと共に何かとギャラゲットと書かれることが多いが、本人の性格とは全く関係ないので注意。 声優反応はみじゅうううううううううううううう 演じた主なキャラクター アイ(ARIAシリーズ) ユーノ・スクライア(魔法少女リリカルなのはシリーズ) ヴィヴィオ(魔法少女リリカルなのはStrikerS) 宮子(ひだまりスケッチシリーズ) エリナ(クイーンズブレイド) 小鳥遊ゆみな(タユタマ -Kiss on my Deity-) 呂蒙(恋姫†無双シリーズ) 島田美波(バカとテストと召喚獣) 巴マミ(魔法少女まどか☆マギカ)
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桜花とスバルはなおも大量のガジェットから逃げ回っていた。 そして四方八方から飛び交うガジェットのビーム砲が雨の様に降り注ぎ、 二人はその雨の中を縫うように走っていた。 確かにこれが普段なら弾丸の雨を物ともせずに強行突破可能な力を桜花は持っている。 だが今は前述の様に無傷で持ち帰らねばならない食材を抱えた状態である。 故にその様な事をしてしまえば食材に傷が付いて本末転倒な結果に終わってしまう。 しかしガジェットの数は多い。と言うかむしろどんどん増えてるんじゃないかってくらいに多い。 単純に戦うだけならこれでも構わないが、やはり食材の防衛こそが第一である為、 不利な点は否めなかった。が… 「とぉ!!」 その時、ガジェット軍団の一団がまとめて両断され、爆発四散した。 「え?」 突然の乱入者に桜花とスバルは呆気に取られていたが、爆煙が晴れた時、 そこにはなんとしっとレディの姿があったでは無いか。 「お…お前はこの間の変態覆面!」 「あの~…フェイトさんそんなヘンテコなマスク被って何やってるんですか?」 周知の通り、しっとレディの正体はフェイトである。しかもただしっとマスクから貰った マスクをフェイトが被っただけで、首から下は何時も通りなので、冷静に見れば正体はバレバレ。 (そのくせなのはには気付かれてなかったけど…) 「私はしっとレディだ! 断じてフェイト=T=ハラオウンなどでは無い!」 「うわ~自分で正体ばらしちゃってるよこの人…。」 スバルはもう完全に呆れてしまっていたが、しっとレディは手近のガジェットを バルディッシュで切り裂きながら叫ぶ。 「いいからここは私に任せて逃げろ!」 「分かった。だがこれだけは聞かせて欲しい。お前…何故私を助ける…。」 桜花はしっとレディを睨み付けながらそう訪ねるが、しっとレディはなおもガジェットを斬りながら答えた。 「それは…お前を破壊するのは私だからだ。」 「そうか…今日はご厚意に甘えて逃げてやるが…次は相手に立ってやる。」 桜花はそう言ってスバルと共に逃走を開始した。ちなみに、何故フェイトが フェイト=T=ハラオウンとしてでは無く、しっとレディとして助けに入ったのかと言うと、 フェイトとして桜花を助けると言う行為自体が恥かしかったからに他ならない。 フェイト=しっとレディの乱入は後方からガジェットを操っていたナンバーズを驚かせていた。 「うわ! なんだあのキモイ変態マスク女は! しかも強いぞ! あんな奴がいたなんて…。」 「しかも桜花とやらはまた逃げ出したぞ! これじゃあ威力偵察にならない!」 ナンバーズは大騒ぎだったが、その中の一人が舌打ちをしながら前に出ていた。 「チッ! 所詮ガジェットはここまで…。私は直接アイツをぶん殴りに行かせてもらう!」 「ノーヴェ!」 ナンバーズNo.9のノーヴェは皆の制止を振り切って桜花へ向けて突撃を開始した。 しっとレディの協力もあって桜花とスバルはガジェットの包囲網を突破していた。 「やっとあのがぜっととか言う無人兵器を撒けましたね!」 「がぜっとじゃなくてガジェットね…。」 相変わらず外来語関係が上手く発音出来ない桜花にスバルも少々呆れ気味だったが、 とりあえずガジェットの方はしっとレディが食い止めてくれているのか 追手の気配は感じられなかった。後は機動六課までダッシュで帰るのみ…だったが… 「おっと! 逃がさんよ!」 「何!?」 突如壁を突き破ってノーヴェが桜花の眼前に出現した。 そして右腕に装着したガンナックルを持って桜花の顔面目掛けて殴りかかる。 「くっ! 伏兵か!?」 とっさに桜花は右腕で防御して受け止め、鈍い金属音が響き渡った。 「重い! なんと重い手ごたえだ! 貴様…一体体重どの位まであると言うんだ!?」 ナンバーズは戦闘機人として改造され、通常の人間を遥かに凌ぐ運動能力を持つ。 その中でも特に接近戦に秀でたノーヴェが本気で殴っても桜花を動かせなかった。 それどころかまるで重金属の塊を殴り付けた様な重い手ごたえを感じさせていたのである。 「女の子に体重を聞くのは失礼ってもんだろ!?」 スバルは叫ぶが、桜花は意外にも答えるつもりだった。が… 「私の体重は七百五十貫だ!」 「そんな聞いた事も無い単位言われてもどの位重いのか分かんねーよ!」 貫と言うのは重さの単位なのだが、元々貫と言う概念の存在しないミッドチルダはもとより 97管理外世界でも使われなくなって久しい単位なので良く分からない者もいるだろうが、 とりあえず説明させていただくと、七百五十貫とはすなわち2.8トンと言う事である。 「マジでぇ!? あんなちっこい身体で何で2.8トンもあるの!? どんな材質で出来てんだよ!!」 桜花の体重の余りの重さにスバルもノーヴェもビビりまくっていたが、その強固な機体構造や 超小型高性能原子炉に裏打ちされた強力な出力がある為、桜花にとっては2.8トンと言う 自重など何でも無かった。 「邪魔だ! 退けぇ!」 今度は桜花の右拳がノーヴェに襲い掛かる。機動力と言う点はノーヴェの方が上だったらしく、 その拳は回避されてしまったが、それでもノーヴェは若干の驚きを見せていた。 「人間を改造したワケでは無く、フルメカニック式のロボットのくせになんて 滑らかで素早い動きだ! なるほど…ドクターが欲しくなる気持ちも分かる…か…? だが! そんな事されてしまえばこっちが困るんでな! 破壊させてもらう!」 出力は原子力稼動の桜花が遥かに上。しかし機動性運動性はノーヴェが勝っている。 だからこそそれを生かし、一発一発を確実にヒットさせて行こうとした。 「させるものか!」 スバルが二人の間に割って入り、ノーヴェの拳を受け止めた。 「昴さん!」 「桜花! 私の事は良いから今の内に! それと私は昴じゃなくてスバルね!」 「わ…分かりました!」 桜花の持つ食材に傷を付けさせてはならない。だからこそスバルが桜花を庇って 代わりにノーヴェの相手に立ったのであるが… 「悪いが今日は貴様に用は無い!」 「何!?」 ノーヴェはジェットエッジを全開させてスバルから高速離脱、すぐさまに桜花への追跡に入った。 「させるものか!」 だがスバルもマッハキャリバーを全開にさせてノーヴェを追う。そのスピードは尋常な物では 無かったが、ノーヴェも速い。だからこそ差が縮まない。そして二人より遥かに速力の劣る 桜花は忽ちノーヴェの接近を許してしまうのである。 「喰らえぇぇぇ!」 ノーヴェは拳を大きく振りかぶり、桜花に一撃喰らわせようとした。が… 「させないぃぃ!!」 「何ぃ!?」 またもスバルが二人の間に割って入り、ノーヴェの拳を桜花の代わりに受けていた。 「くはぁぁぁ!」 ノーヴェの拳をモロに喰らってしまったスバルは吹っ飛び、壁に強く叩き付けられて倒れ込んだ。 「昴さん!」 桜花は逃げる事を忘れスバルに走り寄った。 「大丈夫ですか昴さんって…ええ!?」 桜花は見た。スバルのダメージを受けた部分から内部のメカニックが剥き出しになっていた事を… 「す…昴さん…もしかして貴女は…。」 「そ…そうだよ…。私の身体も機械で出来てる。もっとも…私の場合は元々生身の人間だったのを 無理矢理機械組み込んでこんな身体にしたらしいんだけどね…。ちなみに私は昴じゃなくてスバルね。」 スバルは実は戦闘機人の実検体として作られた者の一人である。それが管理局の魔導師に 保護され、養子として育てられて今に至るのだが、ここで桜花は理解した。 何故自分がスバルに対し親近感を感じられたのかが…。 「と…とにかく私の事は放っておいて…逃げて…早く…。」 「そんな事は出来ません! 私が貴女をおぶりますから一緒に逃げましょう!」 桜花は大急ぎでスバルを抱き上げようとしていたが…次の瞬間ノーヴェの拳が二人を叩き飛ばしていた。 「だから逃がさないと言っているだろう!?」 「くっ!」 派手に地面に叩き付けられる桜花だが元々頑丈な為にダメージは薄い。 そして素早く立ち上がっていたのだが、ここでまたある事に気付く。 「あああああ!!」 桜花がそれまで何としても守り通して来た食材…それが先程のノーヴェの拳によって グチャグチャにされてしまっていたのである。 「そんな…そんな…。」 「何だ? 大事そうにしてるから何かと思えばただの魚や野菜じゃなか。別に高級な物でも 無い何処の店にもおいてそうなもんだし? 笑わせるな!」 ノーヴェは地面に落ちていた食材を踏み潰していた。 「…………………!!」 その時、桜花の中で何かが切れた… 確かにそれはただの食材。何処の店にもおいてあるただの食材。しかしそれは桜花の慕うなのはに とっての大切な人の一人であるユーノの為の料理を作る為の掛け替えの無い食材だった。 それを無情にも踏み潰された桜花の怒りは…想像を絶する物だった。 次の瞬間桜花の全身の装甲が開くと共に大量の水蒸気が噴出し、超小型高性能原子炉が唸りを上げ、 頭部兜の日の丸がまばゆい光を放った。 「全ての力を解放して熱線を放つ…威力は通常の50倍になるぞ!」 「何を言うか! そんなこけおどしに引っかかる私じゃない!」 ノーヴェは桜花へ向けて再び拳を放とうとした…が… 「跡形も無く消し飛べぇぇぇぇ!!」 「何ぃぃぃぃ!?」 桜花の頭部から超極太の熱線が放たれ…射線上にある全ての物を飲み込んで行った… しかも…遥か後方で戦っていたしっとレディやガジェット軍団も丸ごとに… 「おひょぉぉぉぉぉぉぉ!!」 桜花の50倍熱線に飲み込まれたしっとレディは断末魔の叫びをあげながら 誰にも知られる事無く寂しく消滅して行った… 「はぁ…せっかく買った材料が全部駄目になっちゃいました…。」 「過ぎた事は仕方が無いよ…二人で素直に謝ろう?」 桜花とスバルはヨロヨロと元気無さそうに機動六課に帰って来た。 無理も無い。戦闘による疲労とダメージ、さらに食材がダメにされてしまった事による 精神的なダメージが二人を心身ともに萎えさせていたのである。そして二人で 一緒に謝ろうとしていたのだが…そこでは美味しそうに食事をするユーノの姿があった。 「いや~やっぱりなのはの手料理は最高だよ。」 「どういたしまして、ユーノ君♥」 「あれ…?」 余りにも予想外な展開過ぎて二人は何が起こったのか良く分からなかったが、 どうやらなのはが作った料理がユーノの狂った味覚を修正してくれていた様子だった。 「え? 何? じゃあ私達の苦労って何だったの?」 「もう良いよ…あんたら結婚しろ…。」 見てて痛い程仲良さげななのはとユーノの姿に二人は呆れながら 精根尽き果ててその場に倒れ込むしか無かった。 そして…あれ? 消滅したんじゃなかったの? って言う突っ込みさえ物ともせずに 帰還したフェイトは恨めしそうな目でユーノを睨み付けていたという。 「殺したい…フェレット男を今すぐに殺したい…でもそんな事したら…なのはに嫌われる…。 でもフェレット男を殺したい…でもそんな事したらなのはに嫌われる…でも(以下無限ループ)」 ナンバーズが桜花に嫉妬しました 編 完 前へ 目次へ 次へ
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第十二話「疑念」 あれから銃を突きつけ、シャマルを脅すような格好が続いたのだが幸いにして衝突が起きることはなかった。 「なあ、ソースケよ。ここでシャマルを殺したりしたら俺たちどうやって帰るよ?」 クルツのこの一言が全ての決着を付けてくれた。 盲点だったその言葉に宗介はしぶしぶ拳銃を懐にしまう。 「・・・撃たないんですか?」 シャマルの問いに宗介もクルツも無言のままだった。 12月12日 2321時 海鳴市 セーフハウス それから、シャマルの転送魔法で宗介達は地球に帰ってきた。 セーフハウスに戻ってきたが、まだマオは戻ってきてないようだ。 シャマルと別れる途中に聞いた話だがマオはシグナム達と一緒にあの場を離脱したらしい。 帰ってきてすぐにこの世界に残って任務を続けている情報部員のケット・シーに連絡を入れたところ どうやら八神はやては友人の家に泊まっているらしい。 「それで?どうするんだよ、これから」 「どうとは?」 「お前が言ったんだろ?『闇の書』が危険な物だって」 クルツの言葉は相変わらず軽いが、宗介は考え込んだ。 あれが本当に大量破壊を引き起こす危険性がないのなら当然、自分達はこのまま任務を続けるべきだ。 だが、もしそうでなければ・・・ 「ああー、疲れた。ただいまー」 しばらくして玄関が開き、疲労困憊といった感じの声がマオの帰還を知らせる。 パイロットが着るスーツを片手に持ち、リビングルームに入ってきた。 「姐さん、おかえり」 いつの間にかクルツは台所から持ってきた缶ビールを飲んでいる。 どうやら考え込んでいる宗介を待つのに飽きたようだ。 「あ!クルツ、ちょっとそれはアタシのよ」 「名前書いてなかったぜ?」 小学生みたいなことを言うクルツに疲れた体を引きずりながら近づくマオ 口からはクルツに対する不満が呪詛のように漏れだしてきている 前にこういう任務に就いたときも私のカニ缶を・・・だの 弾薬をドンブリ勘定ばっかり・・・などなど、挙げればきりがない。 「アンタって奴は、毎度毎度いい加減なことばかりして・・・!」 マオはギリギリとクルツの首を締め上げる だが、疲れているのか普段のキレがない(それでも十分苦しいのだが) 「ハハッ、姐さん苦しい苦しい・・・・」 うめく様な乾いた声を出すクルツ よく見なくてもクルツの顔は青くなり始めている。 「ったくもう、明日アタシの分買ってきなさいよ」 「酒がいるのか?」 「へ?いや今すぐじゃないけど、どっちかといえば・・・」 宗介が酒がいるのかなどと聞いてくるとは思わなかったのだろう。 マオは素っ頓狂な声を出してしまう。 「では俺が買ってくる。ビールでいいのだな?」 答えも聞かずに宗介は玄関から外に出て行ってしまう マオは不思議そうな顔をしながら思いを廻らせた。 逡巡とでも言えばいいのだろうか?よく分からないが宗介は今、何かに迷ってるようだ。 「どうしたの?ソースケは」 「悩める年頃・・・ってやつかな というのは置いといて、それがな姐さん―――――」 ◇ ◇ ◇ セーフハウスのあるビルのエレベーターから出る宗介 とりあえずこの時間まで酒屋は開いているのか分からないが頭の中から、この辺りの地図を引っ張り出す。 「あっ・・・」 ビルの入り口を少し出たところでなぜか1時間ほど前に別れたシャマルが立っていた。 なにやらおろおろ迷っている様子をしているので宗介は事務的な口調で声をかけた。 「そこで何をしている?」 「えっと、シグナムがここに行けって 通信関連で聞きたいことがあるんじゃないんですか?」 宗介の頭にハテナマークが浮かぶがマオが要請したのかもしれない。 しかし、通信関連とは極めて重要なことでないか 「では、行くといい。マオも待っているはずだからな」 「サガラさんは、どこに行くんですか?」 なんとなく居心地の悪い雰囲気を変えるべく、シャマルは宗介に聞き返す。 「物資の補給だ」 「買い物なら私もついて行っていいですか?ちょっと話がしたくて」 「かまわんが、行かなくていいのか?」 はい、という返事と共に宗介の横に並ぶシャマル 一瞬宗介は自分を口封じする気か?などといつもの被害妄想が働いたがすぐにその考えを却下した。 もし自分を消したいのならば、もっと適任がいるはずだ。 それからしばらく夜の道を二人で歩いていると 沈黙を保っていたシャマルが口を開き、とつとつと話し出した。 「砂漠世界では途中で話が終ってしまって、あの・・・・待ってもらえませんか!」 待つ、それはつまり『闇の書』が完成するまで自分達のしていることを黙認して欲しいと言うことだろう 「それは・・・・」 それはつまり『闇の書』が、もたらすかもしれない災害について目を瞑って欲しいということだ。 シャマルは言う、八神はやてならば『闇の書』が持つ力を間違ったほうに使うことないと。 確かにそれほど長くないが、八神はやてを監視して来た宗介にもそのように思えた。 だが、可能性は常に付きまとうものだ。 完璧に憂いを断つのならば、ここで『闇の書』を破壊、もしくは彼女らの手の届かない所に隠すことが正しいのではないか? 宗介の頭からその考えがこびり付いて離れることはなかった。 「『闇の書』を破壊するだけでは解決しないのか?」 「・・・ごめんなさい」 謝るシャマル、宗介だって期待していたわけではなかった。 『闇の書』を一番知るのは他でもない持ち主の4人だ。 門外漢である自分でさえ思い至るのだ。シャマル達は当の昔に思いついただろう。 「俺は・・・」 答えることができない。 今の自分には答えを出せない。それだけがはっきりと分かる。 「・・・・そうですよね。『闇の書』のことを知ってから まだ一日も経ってないんですもんね」 シャマルはどこか寂しそうな笑顔を向けながら話を変えるために別の話題を振る。 「買い物って、なに買うんですか?」 宗介が酒だと答えると、シャマルは今の時間だとこの先にある酒屋は閉まっていることを教え 仕方なく二人は、もう少し遠くにあるコンビニに進路を向けた。 12月13日 1105時 メリダ島基地 「ですから、なぜアマルガムが作戦を展開している地域に手出しするなと仰るんですか!?」 『そうは言っていない。現地からの報告書には不審な点が多すぎると言ってるだけだ』 メリダ島の執務室で西太平洋戦隊を預かるテレサ・テスタロッサ大佐は電話の向こうにいる 自分の上司――――作戦本部長ボーダ提督に怒鳴っていた。 ボーダ提督も負けじと反論するが、それでもテッサ黙らない 「しかし送られてきた画像は本物です。そちらの分析班もそう判断したのでしょう? ですから、せめてアーバレストを派遣するために今すぐ研究部を説得してくれませんか?」 12月2日に行われた戦闘の報告書にはヴェノムの静止画像が 添付されていたがシグナムやなのは達の画像は送られてこなかった。 送っても混乱させるだけだろうし、なによりその時点では 現地にいる宗介達でさえ彼女らが何者なのか分かっていなかったのだから仕方ないと言えば仕方ない 『しかしな、午後8時ごろに市街戦が起きていたはずなのに目撃者ゼロなどありえると思うか? 現地のメディアはどこも沈黙しているのだぞ?そのような訳の分からん場所にアーバレストは送れん。 少なくとも私は作戦本部長としてそう判断する』 「ですが」 『お前が部下を信頼しているのは分かる。だが、こちらには判断材料が少なすぎるのだ。 ・・・もちろんお前が勝手にペインローズ博士を説得するなら話は別だが』 まあ、無理だろうと言う気持ちからそんな事を言ってしまう提督は 後ほどこの発言を後悔するのだが、それはここでは語られない。 「分かりました。では、私の好きにさせてもらいます」 テッサは怒りのあまり受話器を叩きつけると同時にインターホンから 自分の秘書である少尉が来客が来たことを告げる。 「失礼します」 ドアが開き、白髪の大柄な男性が入ってきた。 西太平洋戦隊の陸戦ユニットを統括するカリーニン少佐である。 やはり、いつもの如く手には大量の書類があった。 その多さにテッサはうんざりしながらもそれらに高速で目を通していく。 「大佐殿、実は判断に困るものがあるのですが・・・」 「ここに運ばれてくるものは大半がそういうものでしょう?」 書類から目を離さず、カリーニンに答えるテッサ しかしカリーニンはテッサに一枚のDVDを差し出す。 「見ていただきたいのは、昨日付けで送られてきたマオ曹長からの報告書です。 それと、この映像を」 テッサは少佐の手からそれを急いで受け取り、自分のパソコンでDVDの映像を再生する。 映し出される日本の都市らしき風景、これはM9の記録映像だろうか? 下には記録されたときの日付と時間が付いている。 「これ、日付は昨日ですね?」 「はい、見ていただきたいのは1940時辺りからです」 カリーニンに勧められ映像をその時刻まで早送りする。 まず映ったのは夜空だった。 それから天に向かって40ミリライフルを3発立て続けに発砲するM9 威嚇?しかし、隠密で行動をしているのに注目を集めるような行動をメリッサがするだろうか 「人?」 空に人が浮いている。それも複数、そのうちの一人を空中でキャッチしM9は地上に降り立つ。 それから始まった戦闘は見るものを白昼夢に誘うような内容だった。 12月13日 1649時 時空管理局医療ブロック 昨夜緊急に運び込まれたクロノ・ハラオウン執務官の容態も安定し、病室の扉からは面会謝絶の札が消えた。 運ばれたときはすでに意識を取り戻していたが 利き手である右手を骨折、手榴弾の破片が体に突き刺さり出血も酷かった。 こうして生きてるのは、日々の訓練の賜物としかいえなかった。 「リーゼ達に少しは感謝しなくちゃな・・・」 ベットの上でクロノは幼い日、二人の師匠が行った修行のことを思い出す。 アリアの魔法に吹き飛ばされたり、ロッテに関節極められて肩が外れたり 滝に打たれたり、極寒の氷の世界に放り込まれたり よく生きてたものだ。 コンコン 部屋の扉がノックされる。どうやら人が来たらしい。 「どうぞ」 「こんにちわ」 「お邪魔します」 眼鏡をかけた女性が病室に入ってくる。 途中で一緒になったのか、後ろにはユーノの姿まである。 「こんにちわ、レティ提督」 クロノは情報の鬼、運用部と監察部のボスに挨拶を返す 後ろにいるフェレットもどきは当然の如く無視である 「僕には挨拶無しかよ!」 「大声出すなよ、怪我に響くだろ」 アイタタタタと傷口を押えるクロノ ユーノは慌てて口を押さえ心配そうにクロノを見るが そのユーノの様子を見たクロノが笑っているのを見て、騙されたことに気付いたようだ。 「なんでこんな性格の悪い奴が執務官試験に合格するんだよ・・・」 「あらあら、クロノがこんなことするのはユーノ君くらいよ?」 「レティ提督!」 うふふと笑うレティ提督、どうやら思った以上にクロノが元気そうで安心したらしい クロノは柄にもなく大声を出したことを誤魔化すように咳払いをしてレティ提督に来てもらった本題を振る。 「それでレティ提督どうでした?」 「結果は・・・グレーと言ったところね。確証が無いのよ」 突然始まった謎の会話にユーノはクロノとレティ提督の顔を交互に見ておろおろし始めた それを無視して二人の会話は続いてゆく。 「どの辺りまで調べました?」 「とりあえず将官から佐官まで、どこも怪しそうで怪しくないって感じね それ以外も、となると気付かれる可能性が高くなるわ」 「あのぅ・・・何の話をしてるんですか?」 オズオズとユーノが二人の会話に割り込む。 二人はそんなユーノをじっと見てニヤリと笑った。 「そうね~、あなた確かスクライア族だったわよね?」 「え、一応そうですけど・・・」 とても嫌な雰囲気に額から汗を流すユーノ。まさに蛇に睨まれた蛙 いや翼を広げ襲い来る大鷲を前に食物連鎖の運命を受け入れたフェレットのような顔といったほうがしっくり来る。 「あなた達って、管理局でも有名なのよね。危険が満載されてる古代の遺跡から これまた危険なロストロギアを発掘することを生業としてる一族。 その探査能力、危険感知に関する勘の良さは天下一品ってね」 ユーノはレティ提督にジリジリと壁際に追い詰められる。 「貴方にやって欲しいことがあるのよ」 「な、なにをです・・・」 「無限書庫に行って『闇の書』について調べてほしいの」 「それと、もう一つ」 さらにクロノが追加注文をつける 「まだあるの!?」 「間者をやって欲しいの」 「間者?」 ユーノは聞きなれない言葉を鸚鵡返した。 そんなユーノにレティ提督は分かりやすくとてもシンプルな言葉で言い直す。 「簡単に言えばスパイよ」 「ええええええええええええええ!?」 ユーノの叫び声でその後に続くレティ提督の と、言ってもすることは大抵あたしが持ってくる大量の書類を調べることだけどね~ という言葉が掻き消えてしまった。同日 同時刻 海鳴市 『闇の書』事件対策本部 海鳴市にある高級マンションの一室、『闇の書』事件対策本部の一室で エイミィとリンディ提督がコンソールの前で話をしている。 「それでエイミィ、何か分かった事はある?」 「今のところ、あのAS―――M9を使ってる実戦配備している軍は存在しないと言われてるんですよ。 でもいろいろ調べてみたんですけど、インターネットにこんな記事があったんですよ」 空中に浮かぶ半透明のモニターに映る週刊誌の記事 そこにはデカデカと『国際救助隊現る!?』とあり修学旅行中の都内の高校生を乗せた旅客機が ハイジャックされたことについて色々書かれている。 それだけならただの記事に過ぎないのだが問題は救出作戦中に生徒が撮ったとされる写真だ 「これって、あのASよね?」 「ええ、記事には国連軍が救出作戦をしたとありますけど、いろいろ矛盾点が指摘されてます。 それでも時間が過ぎると風化していきましたけどね。で、この写真見てピンと来たんですよ。 もしかして今、私達が戦ってるのはこれに映ってる人たちじゃないかと」 そう言いながらエイミィはコンソールを操作して新たな映像をウィンドウに出す。 その事件についてのスクラップ記事が映し出されていた。 「この事件で人質になった旅客機の乗客と別に救出された少女がいるんですよ。 その娘なら何か知ってるかもしれません。 だた問題は攫われて助けられるまで薬で眠らされたと証言してることですけど」 「そうね・・・」 リンディは頭の中で思案する。最後に謎の集団に救出されたにもかかわらず ハイジャック事件の後、こうして普段の生活に戻っていると言うことは 本当に意識を失っていたのかもしれない。もしくは、口止めをされているか。 「無駄かもしれないけど、明日誰かに行ってもらいましょうか。転送ポートを使えば行きも帰りもあっと言う間ですからね」 「分かりました。じゃあ、クロノ君や武装隊と戦った人の写真を現像しときますね。 あ、あとグレアム提督はこちらの世界出身でしたよね? あの方、こちらの世界の軍事にも詳しいみたいですし、一応資料を送ってみますね」 いろいろと便宜を図ってくれているグレアム提督にさらに助言を求めるのは心苦しいが 現状は手がかりが全くと言っていいほどない状態なのだ。打てる手はできるだけ打っておきたい。 「よろしくお願いね、エイミィ。それにしてもASの透明化機能の弱点が分かったのが幸いだけど もう気象操作が使えないのが痛いわね」 M9に搭載されているステルス装置ECSの弱点がオゾン臭と水であるということは分かった。 昨日の戦闘では、フェイトがサンダーフォールを使い雨を降らせてECSを無力化したが気象操作には大きな制限がある。 まず一つ目が大量の魔力が必要であること だがこれもカートリッジシステムを搭載したことで何とかなっている。 問題は二つ目なのだ。 雨を降らせる魔法といっても無から有を生み出しているわけではない。 雨の降る予定のない所に周辺地域の水蒸気を集めて雨を降らせているのだ。 多様することは回りの環境に多大な悪影響を与えてしまう。 すでにフェイトは半年前のP・T事件でサンダーフォールを使っている。 半年の間に海鳴は2回の気象操作魔法を体験している。 これ以上の使用は海鳴と他の地域に日照りに干ばつなどの天変地異を誘発する恐れがあったりするのだ。 「臭いが弱点といってもアルフ並みの嗅覚がないと正確な位置の割り出しは難しいですしね」 犬のような嗅覚が優れた素体を使って急遽、臨時の使い魔を配備することが検討されたのだが アルフのような高位の使い魔を作る力量のある魔導師も足りなければ製作時間も足りなかった。 これからアルフに負担がもっとかかるだろうと予想されているのだが 当のアルフは頼りにされるのが嬉しいのか、かなりご機嫌だ。 「もう一機のASに関してなんですが、やはり詳しいことは依然として分からないんですよ。 相当な技術力を持ってる組織が扱ってることは簡単に類推できるんですが・・・」 ポニーテール状の放熱索、ダークグレーの装甲と紅いモノアイを持つAS そして、推定AAAランクの騎士が放った一撃を容易く防いだ謎のバリア機能のようなものを搭載している。 詳細なスペック、所属組織について共に謎 目的は『闇の書』を奪取することと推測されるがやはり決め手にかける。 前回、守護騎士を攻撃したのが今回は守護騎士を助けるような行動を取った。 ミサイル攻撃が助けるための行動なのかと疑問を持つ者も少なくないが 殲滅が目的ならあと数発のミサイルが撃ち込まれていてもおかしくはない。 むしろ撃ち込まない方が不自然だ。 前回の戦闘も守護騎士がなのはを蒐集する前に止めを刺そうとしたことを、阻止しようとしたと考えれば合点がいく。 それらの行動から察するに彼らは待っているのだろう。『闇の書』の完成を・・・ 「それに仮面の男・・・ やっぱり、あのポニーテールのASの仲間なのかしら?」 モニタに映し出される白を基調とした服を着ている群青の髪と仮面を付けた男 クロノと戦ったこの世界の戦士の仲間、金髪の狙撃兵と武装隊員との戦闘に割り込み狙撃兵の窮地を救い その後、狙撃手達と合流することなく夜の街に消えた。 その行動を見れば、ミサイル攻撃を行ったASに非常によく似ている。 「そうかもしれません。この仮面の男は間違いなく魔導師ですね、しかも高位の・・・。 ASとこの世界の兵士が結界に侵入できたのもこの男が手引きしたのかもしれません」 エイミィが仮説を述べる 「でも、そうなるとこの第97管理外世界には管理局と同等の魔法技術があるってことになるわよね?」 シグナムが結界内に侵入した方法はシンプルだった 己の魔力をぶつけ結界に穴を開け、それが閉じる前に侵入する。ただこれだけである。 しかし、シグナムの侵入以外でこのような痕跡を発見することはできなかった。 結界を維持している武装隊員に気付かれずAS二機と二人の歩兵を侵入させるなど並みのスキルではない。 「私達が知らないだけで、実はこの世界にも魔法文化がある? それとも、この男は・・・・・ どちらにしても今回の事件、意外と裏がありそうね」 あまり考えたくないことだが最悪の場合も想定しなければとリンディは考えた。 12月14日 0138時 海鳴市 セーフハウス 「それで何も答えないまま、ここに連れてきたのかよ?」 「そうだ。特に尾行されている気配も無かったからな」 「変に生真面目なくせに優柔不断だな、オメーは」 「では、なんと答えればよかったのだ?」 モニターで八神家を監視している途中 ただ待っているのに飽きたクルツがなにやら先日から悩んでる宗介に絡んでいた。 「ん~?そうだな、この私めに御身の警護をお任せくださいとか?」 「俺は真面目に聞いている」 あくまでふざけた調子で答える同僚を睨む宗介 あの後、一緒に酒を買ってシャマルをセーフハウスに連れてきた。 通信関連についてシャマルと話し合い、マオが緊急連絡用のチャンネルをシャマルに教えて解散した。 「俺はいつだって女性の味方をなんだよ」 「話すのではなかった」 後悔したように呟く宗介はモニターに目を移す 「なにをお喋りしてんのよ。きちんと仕事しなさいよ」 メリダ島からの通信が来た為、奥の部屋でいろいろ報告していたマオが出てきた。 「いいニュースよ。テッサがアーバレストを送ってくれるってさ」 「あの映像と報告書を信用してくれたのか。はっきり言って期待していなかったのだが・・・ しかし、まだ研究班が帰ってないはずではないか?」 「テッサは元はといえば研究部出身だからね。ペインローズ博士とは仲いいらしいわよ。 で、そのコネを活かして何とかしてくれたみたい」 そういえばそうなのであった。 テッサの神懸り的な操艦のせいで忘れがちなのだがテッサは元々、技術畑出身だった。 ウィスパードである彼女が技術部のトップたるペインローズ博士と面識があってもおかしくはない。 「明日にはもうこっちに送ってくれるってよ。 武装はボクサー散弾砲にその予備弾装、対戦車ダガーとか・・・まあ、いつものとおりね」 「姐さん、俺のM9は来ないの?」 「今のM9が消耗してるから変わりのM9を送ってくれるらしいけど、これは私とアンタで使うことになりそうね。 まあ、狙撃砲がないからアンタの出番はないだろうけど」 先日の戦闘で右腕のワイヤーガンの喪失、マッスルパッケージもそれなりに磨耗してしまっている。 しかし、ここでは本格的な整備は無理なので丸々新品のM9を送ってくれるそうだ。 剛毅な話である。 「ええ~?今の狙撃銃じゃ、あいつ等相手だと火力不足だし。何とかなんねーの?」 12日の戦闘でクルツが使っていたドイツ製の狙撃銃は黒衣の魔導師にあっけなく防がれた。 それ以外の連中ならば、なんとか通用するのだが狙撃は必殺でなければならないのだ。 「もっと威力のある武器ねぇ。12.7㎜弾ならあいつらにも効いたけど・・・」 「対物用ライフルか?それなら俺のセーフハウスにあるぞ」 「・・・なんでそんなもん持ってるのよ?普通は必要ないでしょうに」 マオが真剣を凝視して宗介に疑問を呈する。 威力と反動が桁違いの50口径アンチマテリアルライフルは本来なら護衛任務に必要ないものだ。 「とある生物を倒す為にどうしても必要だったからな。 しかし、あれでも奴を足止めすることしかできなかったが」 あのときの恐怖を思い出し宗介は俯き、手が震え出した。 得体の知れない動きとチェーンソー、そしてなぜか効かない実弾・・・悪夢だ。 「ふうん、まあいいわ。じゃあ、明日M9とアーバレストはアタシとクルツで受領するわ。 ソースケ、アンタは一度泉川に戻って偽装トレーラーと使えそうな武器を持ってきなさい」 以前、かなめを護衛したときも今回のようにM9を使用して任務に当たった。 そのときにASを格納する為に大型トレーラーの形をした格納庫を使っていたのだ。 それは未だに宗介の管理の下、泉川に残ってたりする。 「だが、いいのか?ここを離れてしまって」 「いいのよ。かなめの時とは違ってケット・シーもいるし。 それにクルツだったらきっと道草を喰うに決まってるから」 その言葉にクルツは抗議の言葉を上げるが、宗介もマオも聞く耳を持っていなかった。 翌日の朝、宗介は車で海鳴を出発するのだがそれには予期せぬ乗客が乗っているのだった・・・ 前へ 目次へ 次へ