約 1,094,589 件
https://w.atwiki.jp/83452/pages/17512.html
不思議と落胆はなかった。そうあっても不思議じゃないと思っていた。 そもそもドッペルゲンガーを生み出した私が、他の誰が生み出そうともそれを責める事も非難する事も出来るはずがないんだし。 それに、やっぱり澪先輩も思いやりに溢れていて、優しい人だから。 澪『……私達は、唯に大きすぎる物を背負わせてしまった。いくら悔いても足りない程に重い物を。だからやっぱり、望むなら唯だと思う。家にいる時はボーっとしてるし…』 梓「……憂を望んだのは私です。だからその気持ち、よくわかります」 よくわかる。そのボーっとしている時間で願っていてもおかしくないと思える程度にはよくわかる。 実際、私はそうして無気力なまま願い続けていたんだし、こうして今、“私”も現れたんだし。 澪『……本当に、本当の本当にもしもの話なんだよな?』 梓「っ……」 ……少し、気持ちが揺らいだ。 何度も念を押すほど怖がりで、そして優しい澪先輩なら話せばわかってくれるかもしれない。協力してくれるかもしれない。 でも…… 梓「大丈夫です。私は『私』です」 でも、言うわけにはいかなかった。 言えばきっと唯先輩が責められる。澪先輩じゃないとすれば、やっぱり澪先輩の言う通り、生み出したのは唯先輩だ。それもきっと澪先輩の知らない所で。 事情を話せば、唯先輩は非難されるだろう。澪先輩達のように意図的なものだったか、私のように偶然のものだったかに関わらず、唯先輩の生み出した“私”は私の命を奪いに来たのだから。 優しい唯先輩が意図して生み出すとは思いたくないけど、偶然だったなら尚更、皆に責められた時に唯先輩自身も自分を責めるだろう。 私の発言がキッカケで、唯先輩は皆に責められ、自分を責める。そうなるのが目に見えているなら、言えるはずがない。 ……これ以上、あの人を苦しめることなんて私に出来るはずがない。今でさえ、もう許してもらえないほど傷つけているのに。 あと最も考えたくないパターンだけど、澪先輩の言葉すら演技で、嘘で、先輩達全員が私のドッペルゲンガーを望んでいた場合。 この場合もやっぱり言ってはいけない。電話前に考えた通り、言えば完全な決別に繋がり、強硬手段に出られる可能性があるから。 ……このパターンの可能性は、まずないって信じてるけど。 ……何にしろ、話せない以上これ以上話を長引かせるのは得策じゃない。 まだ少し不審がるような澪先輩に、「どうか唯先輩をお願いします」とだけ告げ、電話を切った。 私はきっと、もう二度と唯先輩の前に立てない。顔を見せることすら許されないだけのことをした。だからどうか、澪先輩達が支えてあげてください、と、そう願いながら。 ……電話を切れば、私はそこにある6つの瞳に射抜かれることになる。そうわかっていても、もう逃げられない。 梓「――明日の朝、私の考えを言わせてほしい」 純「……まぁ、確かにもう夜だし、一晩置いて頭を冷やすのはアリかもしれないけど」 梓「うん」 本当は、もっと先延ばしにしたい。でもそれは逃げだ。それじゃきっと何も変わらない。 純はこう言ってくれてるけど、純と憂の気持ちも、“私”の気持ちもきっと変わらない。そして、私の気持ちも。 結局誰一人として、頭を冷やしたくらいで変わるような答えなんて持ってない。 だからこれは私のワガママ。自分勝手な私の、私の為だけの我が儘。 先輩達に相談すら出来ず、“私”は私を殺すことを諦めない。 そんな状況で私が、憂と純を守るために出来ること。 そんなの考えるまでもない。私の答えはすぐに出た。 だから、私が先延ばしにしたいのは答えを出すことではなく、告げること。見せること。教えること。 頭の中で考えるだけなら責任は伴わないけど、口にする、文字にする、行動する、どんなカタチであろうと現す行為をした時点でそれは私の責任になる。 それが怖くて、先延ばしにしたいと願う。 ……でも、やっぱり先延ばしにしてはいけないんだ。それが皆のことを考えて出した、私の選択なんだから。 ――その日はそのまま普通に夕食、入浴を済ませ、“私”については一晩押入れに監禁する形にした。 憂も純もそれで納得してくれた。私の行動にも提案にも何の疑問も持たなかった。 それほどに私は自然に見えていたんだろうか。憂と純を守りたいと願いながらも、自然な私で居られたんだろうか。 ……私は、自然に二人を守れるくらい、強くなれたんだろうか。 変われるほどの何かをしたわけじゃない。ただ一つ、気持ちが変わっただけ。 誰にも頼れず、自分一人で結論を出さざるを得ない状況に追い込まれて、覚悟が決まっただけ。 大切な人達を、守りたいから。 ――……皆が寝静まった頃、私は包丁を一本手に取り、押入れに向かった。 【#28】 ◆ 純「――梓は?」 憂「まだ寝てるよ。やっぱり精神的に堪えてるんじゃないかなぁ……」 朝、大学に行く準備をした純ちゃんが私に声をかける。あんなことがあった次の日なんだし、仕方ないと思った私は梓ちゃんを強く起こそうとはしなかった。 自分のドッペルゲンガーが目の前に現れて、ショックを受けない人なんていないはず。真面目で繊細な梓ちゃんなら尚更だと思うから。 純「……やれやれ。考えを朝に言うって言った本人が寝坊とはね。気持ちはわかるけどさ」 憂「…純ちゃんは、こういう時強いよね」 梓ちゃんに変に気を使わず、軽口を言う純ちゃんは本当に強いと思う。 いつものペースを崩さないそんな姿は、やっぱり頼りになる。だから梓ちゃんも純ちゃんに甘えちゃうんだと思う。 私はそれに嫉妬するんじゃなくて、感謝しないといけない。きっと梓ちゃんの中の、私が助けてあげられないところを助けてくれるのはそういう人だから。 純「…憂のほうが強いよ。ちゃんと梓を守ってる」 憂「そう…かな」 純「そうだよ。私に出来るのはそんな二人のお手伝いだけだし」 そう言って純ちゃんは私を持ち上げてくれる。きっと同じように梓ちゃんにもそうやって接してるんじゃないかな。 でも、最近の梓ちゃんはそんな純ちゃんに負い目を感じてる。 手伝ってくれる純ちゃんに、ただ甘えるだけの自分を嫌悪してる。 ……そういうところを支えてあげないといけないのは、恋人の私だと思うし、ずっと思っていたい。ずっと支えてあげたい。 だから、私は梓ちゃんの隣にいてあげたい。隣にいたい。隣にいることを許してほしい。 純「まぁ、私が学校行ってる間は憂に任せるしか出来ないんだけどさ」 憂「…うん、任されるよ。大丈夫」 純「あはは。まぁ今に始まったことじゃなかったしね。んじゃ行ってくるよ。梓の考えとやらは夜にでも」 憂「いってらっしゃい。早く帰ってきてね」 特に深い意味はなく言った言葉だったけど、純ちゃんは笑顔で「もちろん」と返してくれて、そのままドアを開けて出て行った。 こうしてこの部屋には梓ちゃんと私、二人きり。……あ、今はもう一人いるんだっけ。あとで様子は見ておかないとね。 うん、様子を見て……それで…… 憂「………私、は………」 ……私だって、あの“梓ちゃん”をどうこうするのには抵抗がある。最悪、命を奪わないといけないなんて、考えるだけで怖すぎることだと思う。 人の命を奪うなんて梓ちゃんの言う通り恐ろしすぎることで、私達には無縁だったはずで、しかもその相手は私の恋人と同じ顔をしているんだから怖くないはずがないに決まってるよ。 でもやっぱり、梓ちゃんがいなくなるほうがずっとずっと怖いから、やっぱりそれしか手がなくなっちゃったら迷わない。 ねぇ、梓ちゃん。 私達が梓ちゃんに伝えた気持ちには、何一つとして嘘なんてないんだよ……? 梓「――ん……」 枕元に座って可愛い寝顔を眺めていると、梓ちゃんが目を覚ました。 っていうか起こしちゃったのかな。でもそろそろ起きた方がいい時間だと思うし。 憂「……おはよう、梓ちゃん」 梓「……うい…? 今何時…?」 答える代わりに枕元の時計を見せてあげる。短い針はもうだいぶ上の方。 憂「アルバイト、休みでよかったね」 梓「うん……。朝ご飯は…?」 憂「出来てるけど……今食べる?」 梓「……もうお昼と一緒でいいかな……」 寝惚けてるのか、ボーっとしながら喋る梓ちゃん。 そこだけ見ればよくあることだけど、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ違和感を感じた。何だろう? 梓「……起きよ」 憂「う、うん」 梓「? どうかしたの…?」 気のせい…だよね。 寝惚けながらも私を気にかけてくれる梓ちゃんの、どこに違和感なんて感じたんだろ、私。 憂「ううん、なんでも。あ、私ちょっと押入れ見てくるから、顔洗ってきたら?」 梓「……ん、いいよ、押入れは見なくても」 憂「え? なんで?」 梓「んー……だって、気配はするでしょ?」 ……気配? 私にはわからないけど…… 憂「……よく、わかんない」 梓「…とりあえず、『そこ』は私が何とかするから、大丈夫」 憂「………」 梓「…見なくても、大丈夫」 憂「ッ……!」 見なくちゃいけない。理由なんてわからないけどそう思った。 ううん、違う、理由はわかってる。違和感なんだ、きっと、これも。気のせいじゃなかったんだ。 胸騒ぎがする。とっても大事なことを見落としちゃってるような、嫌な感じがする。 憂「……ちゃんと無事か、確認するだけだから」 梓「大丈夫だよ」 憂「……何が?」 梓「………」 憂「……梓ちゃん…?」 梓「…私が、殺したから。だから憂は見ちゃダメ」 憂「………」 その梓ちゃんの言葉が嘘か本当か、私にはわからなかった。 梓ちゃんは人を殺したりなんてしない。そんな事の出来る子じゃない。とっても優しい子だから。 でも、そんな優しい子だからこそ自分の手を汚した可能性もある、って思う。私を守るために。私の手を汚させないために。 それはとても悲しいことだけど、私の事を想っての行動には違いないんだから何も言えない。あくまで今はまだ可能性にすぎないけど…… どっちが正解か、私にはわからない。 でもただ一つ、ここで悩むくらいなら自分の目で真実を見てみるべきだ、って思う。 梓ちゃんの言葉が嘘か本当かはわからないけど、一つだけわかることがあるから。 ……今日の梓ちゃんは、私のことをあんまり見てくれてない。 ううん、私のことだけじゃない、かな。なんか、いろんなことに対してボーっとしすぎてる気がする。 そうだよ、いつもの梓ちゃんなら、そもそも昨日あんなことがあったのに寝坊なんてしないはず…… 憂「……開けるよ」 梓「ダメだってば」 憂「…開けるからね」 梓「ダメ」 憂「っ――!」 ダメって口で言うばかりで、私に触れてくれない梓ちゃん。 その言葉『だけ』から逃げるように、勢い良く押入れを開く。 憂「っ……!」 背後からは、どこか何かにガッカリしたような梓ちゃんの声。溜息。 そして、私の目の前、押入れの中には…… 憂「っ――いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」 ――何も無かった。 何も 【#29】 ◆ ――何もない。 ――何も。 ふわふわと、私自身がどこにいるのかすらわからないような感覚。 真っ暗な闇の中で、上下もわからず漂う、そんな感じ。 そんな感覚を ……身体が認識できたなら、どれほどよかっただろうか。 わかってる。 わかってるんだ。 ……私の身体は、普通にここにある。 ただ、心だけがどこにもない。 梓「………」 ……殺せなかった。 否定できなかった。 強くあれなかった。 梓「……っ、ひっく……」 膝を抱え、電車に揺られる私は独り。 私は『私』であるだけ。それ以上の何者にも、もう成れない。 私の『名前』を示すものは、結果的に全て奪われた。 今の私にあるものは財布の中に入っていた約一万円の現金と、身につけている服だけ。 現金は『梓』のほうに通帳があるから、と情けで持たせてくれた。服も結局は情けだけど。 そしてその他携帯電話、財布、持ってきた私物、名前に経歴、大事なギター。全て奪われた。 ……奪われた、は語弊があるかな。 散々そう言ってきたけど、私が『譲り渡した』というのが真実だ。 私は“私”を殺せなかった。 人を殺すなんて、怖すぎて出来なかった。自分の手を汚して、命を奪うなんて怖すぎて出来なかった。 私は“私”を否定できなかった。 すでに一人の『人』として生きている“私”を否定できなかった。 憂や唯先輩を『人』として認めているのに、同じように『好かれたい』という想いのためだけに生きている“私”を否定できるはずもなかった。 そしてどう言い訳しようとも、私は強く在れなかった。 『怖い』という臆病な理由を付けようとも、『否定できない』なんて偽善的な理由を付けようとも、私が弱さ故に全てを手放した事実は変わらない。 私の居場所も、名前も、そして……恋人も。 ――死にたくない。殺せないけど、死にたくもない。 居場所が欲しい“私”と、死にたくない私。そんな二人の落とし所は『中野梓』を私が譲り渡すことだった。 “私”は正式に『中野梓』となることが出来れば目的は達成される。私が死ぬことは絶対条件ではなくて、わかりやすい解決方法だというだけ。 『中野梓』であることを私が捨て、二度とそう振舞わない。その条件を呑むことで、どうにか私は生き永らえた。 そうすることで結果的に誰も死なず、誰も手を汚すことはなかった。つまり私は綺麗事のために自分を犠牲にした。そう言ってしまえば少しは心も晴れそうなものだけど。 ……それでも私は、憂をも捨てた。 19
https://w.atwiki.jp/iliasion/pages/954.html
ep.632 深夜の訪問?ドッペルゲンガー?「不気味な人が来る話」 放送内容 軍歌の男 関連エピソード → ep.621【意味不明】このコピペが謎すぎて怖い…(?) 赤い自転車の男 関連エピソード → ep.499 赤は危険と言いますが…「赤い服の女」の不気味な怖い話 カドワラ近辺に出没する自転車の男に遭遇 → ep.556 オカラジ動画にきた「怖いコメント」 学生時代のK-sukeのアパートにいた階段に横になる幽霊 関連エピソード → オカルトクリニック ep.15「道に寝そべる男」怪談・不思議な話・人怖を考察 参加メンバー Tomo K-suke その他 登録されたタグ 2ちゃんねる BMX CLUB BIRTH K-sukeの母 K-suke宅近くの公園 『座敷女』 カドワラ近辺に出没する自転車おじさん スーツ姿の男 ドッペルゲンガー ノック ハマー バイロケーション バス 一人暮らし 世界のナベアツ 事故 女 学生時代のK-sukeのアパートにいた階段に横になる幽霊 居酒屋 常連客 数珠 桂三度 浮気 美容室をしているK-sukeの自宅 自転車 自転車の練習 赤い自転車の男 霊感のあるダンサーの男の子 魂 ⇐PREV NEXT⇒ 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/83452/pages/17500.html
【#11】 ◆ 梓「――疲れた……」 アルバイト初日を終え、制服から着替えて「お疲れ様でした」と挨拶して店を出て。そのまま真っ直ぐ帰路へつきながら今日の仕事内容に思いを馳せてみる。 仕事自体は楽といえるほどではないけど、苦痛ってほどでもない。一人でも続けられる範囲かな、と思った。同僚も変な人はいなさそうだし。 シフトは大体朝から夕方少し手前まで。お金は欲しいから勤務時間は長めに取ってもらっているけど、それでもこの調子だと純より早く帰れる日がほとんどじゃないのかな。 ……つまり、家に帰れば憂と二人っきり。 梓「……べ、別に変なこと考えてるわけじゃないんだけどね!」 想像するだけで誰にでもなく言い訳をしてしまう程度には頬のニヤけが止まらない。特に何もなくても、両想いの恋人と二人っきりの時間を想像するだけで幸せだ。 もちろん純も純で大事な存在で、一緒にいられて幸せだけど、やっぱり少し質が違う。というか違わないと憂にも失礼だ。 だったら、やっぱり私達は二人っきりの時間と三人仲良く過ごす時間を使い分けないといけない。 三人の時はいつも通りやればいいとして。じゃあ二人っきりの時は……何をすればいいのだろう? 梓「……あれ?」 もちろん私だって年頃の女の子だ。恋人関係の二人がすることに対する知識くらいはある。きっと最低限だと思うけど、それでも知識はある。 だから問題は、いろいろ思い描くことはできるけど恋人として実行している『自分の姿』が想像できないこと。 恋人らしい流れで恋人らしいことをする。その段取りが全く想像できない。 現実はマンガとか小説とかみたいに上手くいくとは思えない。それくらいはわかってる。 だからリアルな体験談とかで予習しておきたかったけど、つくづくそういう系統のガールズトークとは無縁だった。軽音部でも、クラスメイトとの会話でも。 ……実際のところ、当時はこの恋が叶うことはないと思っていたからそっち方面の話題なんてむしろ出なくてホッとしていた位だったけど。 偶然なのか必然なのかはわからないけど、そうして逃げ半分で恋愛より音楽に傾倒していた学生時代のツケが回ってきた、ということなんだろうなぁ…… 梓「………」 住んでいるマンションが近づくにつれ、不安になる。 私は憂の恋人だ。憂も私をちゃんと好きでいてくれるし、私も憂を好きな気持ちは揺らがない。 でも、私はちゃんとその気持ちに応えた行動ができるのだろうか。憂のしてほしいことをしてあげられるのだろうか。 ……そもそも、憂の気持ちを汲んであげられるのだろうか。察してあげられるんだろうか。 梓「…出来るように、なりたいな」 心から、そう思う。 それくらいには憂の事が大好きで、それくらいには今の私は何も出来ない。 梓「――ただいまっ」 憂「お帰り、梓ちゃん」 不安を隠し、極力自然に見えるようにドアを開き挨拶する。 小走りで奥の部屋から出てくる憂は、朝と何も変わらず可愛い。 憂「どうだった? 疲れたでしょ?」 梓「ん、まぁ…ね。でも一日はまだまだこれからなんだし、疲れたなんて言ってないで何かしたいよ」 これはアルバイトをすると決めた時から常々思っていたこと。 あくまで生活のためのアルバイトなんだから、それだけを人生にしちゃいけない。働く意味は食い繋ぐ為でも、生きる意味はそれじゃいけない。 学生時代に学校から帰ったあとに何かしていたように、これからも変わらず自分の為の何かは続けていきたい。 私としてもそう思うし、憂も純も間違いなくそれを望んでる。 憂「じゃあお風呂もご飯も後でいい?」 梓「うん。そのあたりは話し合った通り、純を待とうよ」 憂「そうだね。特にご飯」 梓「先に食べたら追い出されかねないからね」 憂「もー、梓ちゃんったら」アハハ ……ヤバい、憂可愛い。その控えめな笑い方は本当に大好き。 いつもとそこまで変わらない会話だけど、それでも私が憂を見る目は明らかに今までとは違う。特に純が大学とかで家におらず、二人っきりになった時は。 ……変な意味じゃなくって、恋人の可愛いところなんていくつあっても困らないでしょ? 憂「……梓ちゃん? どうしたの?」 梓「ん、いやぁ、憂可愛いなぁって」 憂「ふぇっ!?」 梓「あっ!? い、いや、ごめ、別に深い意味は……」 ……なんか最近、本音がポロポロ零れ落ちやすくなってない? 私…… まぁ、ずっと胸の内に抑えこんできた想いを隠す必要がなくなったんだから当然かもしれないけど…… 憂「あ、梓ちゃんだって可愛いよっ!」 梓「うぁ、ぁ、ありがと……」 憂「………///」 梓「………///」 予期せぬ口撃と予期せぬ反撃で互いに真っ赤になってしまい、なんとも居心地の悪い沈黙が続く。 こういう時に何と切り出せばいいのかわからないあたり、やっぱり私には経験が圧倒的に足りてない。 梓「さ、さて! 何しよっか、憂」 憂「えっ!? な、何って……何?」 梓「え? えっと……ギターでも弾く、とか?」 憂「あっ……あぁ、そっか、そうだね…」 強引に話を最初に戻したらすごくガッカリそうな顔をされた。 これは……もしかして? 勘違いだったら恥ずかしいけど、まさか…… 梓「あっ、あのさ、憂!」 憂「な、なにかな?」 梓「も、もしかして、恋人らしいこと、とか、してほしかったり……した?」 憂「うっ……///」 再び顔を真っ赤にして、少し悩んだあとに俯くように頷く。 そんな憂がすごく可愛くて触れたくなるけど、危惧していたとおり、憂の望むものを読み取れなかった私にはきっとその資格はない。 梓「……ごめんね、憂。察してあげられなくて」 憂「い、いいよそんな、気にしなくて!」 梓「……でも私は憂の、こ、恋人なんだし。そのへんはちゃんとしたいって、いつも思ってるのに…」 憂「それは…梓ちゃんだけが背負うことじゃないよ。私だって……梓ちゃんの恋人なんだよ?」 梓「う、うん……」 憂「……それなのに、こうして梓ちゃんを困らせちゃってる。私も…どうすればいいか、よくわからないの」 そういえば、付き合うことになってから憂からのスキンシップが極端に減った気がする。 それは憂も私との距離の取り方に戸惑っている、ということかもしれない。 そして、憂も私と同じような悩みを抱えているということ。私と同じように、相手の事が恋人として本当に好きだから、大切だから臆病になってしまってるんだ。 梓「……あはは。上手くいかないね…」 お互い本当に好きなのに、好き同士なのにすれ違う。それはとても悲しいこと。 憂「……それでも、私は世界で一番梓ちゃんが好きだよ」 梓「……私だって、憂を好きな気持ちは誰にも負けないよ」 憂「この気持ちは何があっても、一生、死ぬまで揺らがないよ」 梓「私だって憂以外の人を好きになることなんて絶対にない。約束するし、誓うよ」 ずっと憂を好きでいたいし、ずっと憂に好かれていたい。 そして、ずっと憂にも同じ想いを抱いていて欲しい。 憂「私達の想いは、ぜんぶまるっきり同じだよね?」 梓「うん。そうだよ。恋人なんだから」 恋人というのは、そうでないといけない。そうであってほしい。そうじゃないと安心できない。 思うことは、いろいろあるけど。 憂「……だったら、急がないでも大丈夫なんじゃないかな?」 結局のところ、それだけの話なのかもしれない。 もちろん恋人としてしたいこととかはたくさんあるけど、だからといって急ぐ必要は全く無い。 ……だって、私も憂も、一生共に添い遂げるつもりなんだから。 梓「…そう、だね」 わからない私でいい。わからない憂でいい。わからないくらいで互いを嫌いになったりなんてしないから。 等身大の私でいればいい。ただ一つ、ずっと憂のことを好きでいるだけでいい。それだけで……私は憂の恋人でいていいんだ。 憂「…ね?」 そう気づかせてくれた憂は、私の恋人は、目の前で素敵な笑みを浮かべている。 憂自身も不安だっただろうに、私を安堵させるための答えを一緒に探してくれた。 そんな、笑顔が素敵で優しくてあたたかい、何物にも代え難い私の大事な恋人、平沢憂。 ……憂。 ……憂に。 触れたい。 触りたい。 ……そんなことを、ふと思った。 梓「……ねぇ、憂……」 憂「……あ、梓ちゃん…?」 左右から両の二の腕を掴み、引き寄せようとする。 憂は少し不安げな視線を向けるけど、それさえも可愛い。 梓「……キス、したい、かも」 憂「えっ!?」 梓「今度は、私から」 最初のキスは告白代わりの憂からのものだった。もちろん臆病な私達はあれから一度もしていないけど、今は無性にしたくてたまらない。 今、憂のことが愛しくて愛しくてたまらない。 ……慌てる必要なんてないって思い知った瞬間にこんなこと考えるなんて、自分でもどうかと思うけど。 でも、私は慌ててはいない。急いでなんていない。焦った行動じゃない。自然と溢れ出た想いなんだ、これは。 梓「……いい?」 憂「っ、う、うん……///」 頬を朱に染めた憂が目を閉じ、軽く俯く。 背の低い私に対する気遣いなんだろうけど、実際のところこうして向かい合ってみるとそこまで致命的な身長差でもない。 ……私から抱き締めても、そこまで不自然に見えたりしないのかな。だってほら、今もこうして軽く背伸びするだけで……憂の唇が目の前に。 梓「ん……」 憂の肩に手を置き、少し体重をかけて顔を近づける。 ゆっくりと、唇を近づけ。重なる、その瞬間。 純「うぉーーっす! 帰ったぞーーー!」ガチャ 梓「」 憂「」 純「――いや、せめてもっと奥の部屋でやりなさいよ、見られたくなければ」 梓「うっ……正論だ」 玄関からさほど離れていないところで会話し、イチャつき、キスしようとしていた私達は純に説教されていた。 いや、でも仕方ないって。だって憂がトテトテと迎えに来てくれたんだもん……嬉しいじゃん、お出迎え。 純「ま、イチャイチャ禁止なんて言うつもりはないんだけどね。私が悪いみたいな目で見られたらそりゃイヤだけど」 憂「…ごめん」 梓「ごめんなさい」 純「よろしい。まーでも確かに難しい問題だ。なるべくカップルの時間はあげたいけど……」 梓「あっ、それは……えっと、私なりにちょっと考えたんだけど」 純「んー?」 梓「何て言うか、三人でいる時は昔みたいに普通に三人でやれたらいいなって思うんだけど……」 憂に目配せすると、柔らかに微笑まれる。 この件は別に憂に相談したわけじゃなくて私が一人で考えたことなんだけど、きっと憂も同じ意見なんだろう。 私と同じくらい、助けてくれて巡り合わせてくれた純に感謝してるんだろう。純を除け者にしてイチャつくなんて考え付かないくらいに。 梓「純と一緒にいられる時間も、大切にしたいんだ」 純「……なんか、気を遣わせちゃってるみたいだね」 梓「そうじゃないよ!」ダンッ 純「うぉぅ、びっくりした」 梓「ごめん。でも本当にそんなのじゃないよ。純には……えっと、なんか、今更言い辛いんだけど……私、感謝してるから」 言い辛くても、ちゃんと言わないといけない。 ずっと言いそびれてた、感謝の言葉を。 梓「……純。ずっと支えてくれて。見捨てないでいてくれて。あの時見つけてくれて。そして、憂との仲を取り持ってくれて、ありがとう」 純「…………」 梓「……純?」 純「梓、あんた熱でもあんの?」 ……そうだね、そういう奴だねあんたは。 純「冗談だってば。まー、そう言われるとちょっとは報われた気分にはなるけどさ。でも見返りが欲しくてやった事じゃないよ?」 憂「そんな純ちゃんだから一緒に居たいんだよ? 私も、梓ちゃんも」 梓「そうそう」 純「あー、うん、わかったわかった。憂もそっち側なら私に勝ち目はないよ」 両手を挙げて降参のポーズをとる純。勝ち目って何よ、と思わないこともないけど、確かに憂の存在はいつも大きい。 どちらかといえば一歩引いた感じで常に誰かを気にかけていて、困っていたら迷わず手を差し伸べる。その手を拒むことは何故か誰にも出来ない。 そんな憂の優しさに助けられた人は多いから、憂の諭すような『説得』というものはとても大きな力を持つ。どんなにシンプルな言葉でも心に響く。 ……自慢の恋人だよ、ホントに。 純「要するに、変に意識しないで普通にやれ、ってことね」 梓「うん。私達の時間は私達でちゃんと考えて作るから、純は何も気にしないで」 純「ははっ、言うようになったね、梓」 梓「……無理だと思う?」 純「まさか。やる時はやる奴だし。梓は」 そう言って屈託なく笑うその顔は、私の決意を後押ししてくれる。 そして、そう言いながらもフォローも忘れないのが純だ。 純「…ま、どんな形でもなんだかんだで上手くやれると思ってるけどね、私達ならさ」 梓「……そうだね、それはそうかもしれない」 憂「……こんな私の事も受け入れてくれた二人だもん。何があっても、ずっと一緒にいられるよ」 純「ちょーっと重い言葉な気もするけど、結局はそういうことなのかもしれないね」 梓「そうだね……」 ドッペルゲンガーだろうと、ちゃんと憂が憂のままなら構わない。私はそう言った。 憂が好きで、純が大切で。そんな私の感情に『ドッペルゲンガーだから』という理屈なんて入り込む余地はない。 たとえ純が明日ドッペルゲンガーになっていたとしても、私がそうなったとしても、私達の関係は何も変わらないだろう。 有り体に言えば大切なのは中身で、心なんだ。人とのふれあい、友情、愛情、絆というものはそういうもの。 憂「……ありがとう、二人とも」 純「いえいえ、こちらこそ」 梓「うん、こちらこそありがとう、だよ、憂。そして純」 ――互いを大切に思い遣る私達の関係は、絶対に終わらない。私達の誰もが、そう信じて疑わなかった。 でも、それでも周りは変わっていく。小さなところは変わっていく。私達の在り方の『核』を包むモノが、少しずつ変わっていく。 時が流れ、周囲の環境が変化する以上、それは仕方がなくて、どうしようもないこと。 そんな中で互いを思い遣る私達に出来ることは、その変化を良い方向に持っていくことだ。 良い方向に変わろうと努力する。それは私と憂の関係にも言えるし、純を含めた三人にも言えることだった。 7
https://w.atwiki.jp/devilchildren_br/pages/137.html
LV? ドッペルゲンガー つねにたいせんあいてとおなじデビルをつかう 1戦目 2戦目 3戦目番号 デビル 番号 デビル 番号 デビル ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ????????
https://w.atwiki.jp/devilchildren_br/pages/438.html
LV? ドッペルゲンガー つねに対戦相手と同じデビルを使う 1戦目 2戦目 3戦目番号 デビル 番号 デビル 番号 デビル ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ????????
https://w.atwiki.jp/devilchildren_br/pages/136.html
LV? ドッペルゲンガー つねにたいせんあいてとおなじデビルをつかう 1戦目 2戦目 3戦目番号 デビル 番号 デビル 番号 デビル ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ????????
https://w.atwiki.jp/devilchildren_br/pages/423.html
LV? ドッペルゲンガー #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Bclass08_B.png) つねに対戦相手と同じデビルを使う 1戦目 2戦目 3戦目番号 デビル 番号 デビル 番号 デビル ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ????????
https://w.atwiki.jp/taleswikiwiki/pages/17.html
マップ名 MAPリンク 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 てんぷら ▲ ▼ 1 1-1 1-2 1-3 1-4 1-5 1-6 1-7 1-8 1-9 1-10 1-1 1-2 1-3 1-4 1-5 1-6 1-7 1-8 1-9 1-10 ▲ ▼ 2 2-1 2-2 2-3 2-4 2-5 2-6 2-7 2-8 2-9 2-10 2-1 2-2 2-3 2-4 2-5 2-6 2-7 2-8 2-9 2-10 ▲ ▼ 3 3-1 3-2 3-3 3-4 3-5 3-6 3-7 3-8 3-9 3-10 3-1 3-2 3-3 3-4 3-5 3-6 3-7 3-8 3-9 3-10 ▲ ▼ 4 4-1 4-2 4-3 4-4 4-5 4-6 4-7 4-8 4-9 4-10 4-1 4-2 4-3 4-4 4-5 4-6 4-7 4-8 4-9 4-10 ▲ ▼ 5 5-1 5-2 5-3 5-4 5-5 5-6 5-7 5-8 5-9 5-10 5-1 5-2 5-3 5-4 5-5 5-6 5-7 5-8 5-9 5-10 ▲ ▼ 6 6-1 6-2 6-3 6-4 6-5 6-6 6-7 6-8 6-9 6-10 6-1 6-2 6-3 6-4 6-5 6-6 6-7 6-8 6-9 6-10 ▲ ▼ 7 7-1 7-2 7-3 7-4 7-5 7-6 7-7 7-8 7-9 7-10 7-1 7-2 7-3 7-4 7-5 7-6 7-7 7-8 7-9 7-10 ▲ ▼ 8 8-1 8-2 8-3 8-4 8-5 8-6 8-7 8-8 8-9 8-10 8-1 8-2 8-3 8-4 8-5 8-6 8-7 8-8 8-9 8-10 ▲ ▼ 9 9-1 9-2 9-3 9-4 9-5 9-6 9-7 9-8 9-9 9-10 9-1 9-2 9-3 9-4 9-5 9-6 9-7 9-8 9-9 9-10 ▲ ▼ 10 10-1 10-2 10-3 10-4 10-5 10-6 10-7 10-8 10-9 10-10 10-1 10-2 10-3 10-4 10-5 10-6 10-7 10-8 10-9 10-10 ▲ ▼ てんぷら Lv○○ 素DEX○○ 装備補正DEX○○ 必中 取得経験値○○ 通常アイテムドロップ個数○~○個 こういう具合でかける範囲でおねがいします(´・∀・`) ▲このページのトップへ
https://w.atwiki.jp/devilchildren_br/pages/424.html
LV? ドッペルゲンガー #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Bclass08_R.png) つねに対戦相手と同じデビルを使う 1戦目 2戦目 3戦目番号 デビル 番号 デビル 番号 デビル ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ????????
https://w.atwiki.jp/devilchildren_br/pages/439.html
LV? ドッペルゲンガー #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Sclass03_R.png) つねに対戦相手と同じデビルを使う 1戦目 2戦目 3戦目番号 デビル 番号 デビル 番号 デビル ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ????????