約 1,094,579 件
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/51201.html
【検索用 とっへるけんかあ 登録タグ 2022年 CeVIO しゃいと と カトレア 星界 曲 曲た 殿堂入り】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:しゃいと 作曲:しゃいと 編曲:しゃいと 絵:カトレア 唄:星界(CeVIO AI) 曲紹介 「曰く付きのアイデンティティ」 曲名:『ドッペルゲンガア』 しゃいと氏の46作目。 無色透名祭参加作品。 歌詞 (作者コメントより転載) 所詮は名も無き道化師さ お気に召すよう欺け 或いは浅ましき魔女のよう 此処で拍手喝采 飽くなきブラッディショー 止まらない断罪誰の所為 枯れ腐ったエゴの末 翳した自覚さえないまま 今捻った生命さえ気付かない 死屍累々累々 無知の弾丸と デジャブの目撃者 故に大炎上 クライシスの末路 誰もが指差す方へ あたしドッペルゲンガア掻い繰って 掻い繰っていけナナメのステージ 切り刻んで継いで接いで 冤罪悪魔の証明へ ドッペルゲンガア苛んで なんてなんて なんて下らないんだ どっち付かず正体も知らないで 「アイツみたい」 「あの子みたい」 此処で息をしてるあたしは紛い物? ひと目以外は見もしない 軋むアイデンティティ真っ暗々 アイデンティティ真っ逆様 ドッペルゲンガア囀って 囀っていけ無意味なフレーズ 切り刻んで継いで接いで 足りない存在証明へ ドッペルゲンガア苛んで なんてなんて なんて下らないんだ とっ散らかす享楽に浸らないで 知らないあたしが 今日もあたしを殺していく 死屍累々累々 価値の氾濫と 無垢なる冒涜者 故に大合唱 避雷針のメロディ 誰もその罪は知らないで ドッペルゲンガア這いずって ドッペルゲンガア間違って 間違っていけ不埒なセンス 否定しないで淘汰しないで どうかあたしを見ないで ドッペルゲンガア苛んで なんてなんて なんて不甲斐ないんだ 呆気のない愛なんて歌わないで いつかドッペルゲンガア蝕んで なんで?なんで? なんで?って縋っていた 「何番煎じ?」 もう要らないや サヨナラ コメント 星界ちゃんにかっこいい歌歌わせるなんて反則すぎ…!!かわいい -- どくり (2023-03-07 20 01 10) 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
https://w.atwiki.jp/talewiki/pages/9653.html
ドッペル(ティチエル) 編集 attachref 最弱Lv50,弱Lv94,中Lv122,強Lv170,最強Lv237 ▲サンライズ!!! (標的中心範囲,7hit,中距離,付加【MP減少】)▲ボルトシャワー!!! (範囲,1hit,中距離,付加【感電】)【取得EXP】 -323 (弱)【取得EXP】 1504 (最強)備考:DOP森=ドッペルゲンガーの森 マナP(中) 名誉の証(ティチエル) (2),(3)-4リペアキット(小) (2)-1,(3)-4天使の加護 (2)-1 †上級-水晶の杖 (4.58) (1)-1 †ミスリルスタッフ (4.66) (2)-1 †レッドスパー (4.58) (2)-2 †サードニックス (4.89) (2)-2 †魔法師のローブ改 (4.37) (1) 最弱:DOP森(1)-1弱:DOP森(2)-1中:DOP森(2)-2,(3)-3強:DOP森(3)-4最強:DOP森(3)-1
https://w.atwiki.jp/talewiki/pages/9649.html
ドッペル(イスピン) 編集 attachref 最弱Lv42,弱Lv77,中Lv134,強Lv200,最強Lv243 ●殺!!! (単体,1hit,近距離)●ダブルクロススラッシュ!!! (単体,4hit?,近距離)【取得EXP】 -264 (弱)【取得EXP】 1887 (最強)備考:ダブルクロススラッシュのダメージ表示なしDOP森=ドッペルゲンガーの森 イチゴジュース 名誉の証(イスピン) (3)-4 回避のクッキー (4.05) 完全回避の薬 (4.33) †ベレー帽 (5.03) (3)-1†フィランギ (4.77) (1)-1 †シャベイラ (4.36) (2)-1 †アシュレッド (4.80) (2) †スパークメイル (4.58) (1)-1 †ピュリヘルアーマー (4.58) (2)-1 †エカトルシールド (5.00) (3)-4 †コーンリスト (4.77) (3)-4 ? 最弱:DOP森(1)-1弱:DOP森(2)-1中:DOP森(2)-2,(3)-3強:DOP森(3)-4最強:DOP森(3)-1
https://w.atwiki.jp/talewiki/pages/9652.html
ドッペル(ジョシュア) 編集 attachref 最弱Lv?,弱Lv85?,中Lv?,強Lv?,最強Lv? ●ハッ!!!! (単体,hit?,中距離,付加【?】)●いやあ!!!! (ターゲット,?hit,中距離,付加【?】)【取得EXP】 -287 (弱)【取得EXP】 1055 (最強)備考:DOP森=ドッペルゲンガーの森 イチゴジュース 名誉の証(ジョシュア) (2),(3)-4 完全回避の薬 (5.00) (3)-4 †カルラボルグ (4.58) (1)-1 †クシポス (4.65) (2)-1 †ムーンストーンワンド (5.00) (1)-1 †深遠の目 (4.56) (1)-1 †デモンラクリマ (4.55) (2)-1 †破滅の書 (4.97) (2)-1 †ダークネス (4.58) (1)-1 †コーラルフーラウォリー (4.85) (3)-4 最弱:DOP森(1)-1弱:DOP森(2)-1中:DOP森(2)-2,(3)-3強:DOP森(3)-4最強:DOP森(3)-1
https://w.atwiki.jp/cfvg/pages/3677.html
ダークイレギュラーズ - ゴースト グレード〈1〉 ノーマルユニット (ブースト) パワー 7000 / シールド 5000 / クリティカル 1 起【R】:[CB1]あなたの《ダークイレギュラーズ》のヴァンガードがいるなら、SC1する。そのターン中、この能力は使えなくなる。 フレーバー:君に全てをあげよう。君の全てをおくれ。 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 使ってみたいと思う 0 (0%) 2 弱いと思う 0 (0%) 3 強いと思う 0 (0%) 4 面白いと思う 0 (0%) その他 投票総数 0 Rのシステムカードはまずいと思ったので能力変更。 (2013-10-27 22 34 01) コメント
https://w.atwiki.jp/testest-umigamedb/pages/745.html
2020年10月14日 出題者:耳 タイトル:ドッペルゲンガー 【問題】 まったく初対面の人と、ピッタリ息の合った動作をとることができる? 私はできる。きっとあなたも。 どんな動作? 【解説】 + ... 道を歩いていて、向こうから人が来たから、 右に避けよう・・・と思うと、その人も同じ方向に動いた。 あ、と思って左に動くと、その人も同じタイミングで同じ方向に・・・ 結局2往復ほど同じことを繰り返してしまって、苦笑しながら私たちは別れた。 《瞬殺》《全年齢向け》 配信日に戻る 前の問題 次の問題
https://w.atwiki.jp/devilchildren_w/pages/112.html
LV? ドッペルゲンガー #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Bclass08.png) つねにたいせんあいてとおなじデビルをつかう 1戦目 2戦目 3戦目番号 デビル 番号 デビル 番号 デビル ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ???????? ????????
https://w.atwiki.jp/cardxyz/pages/481.html
トッペルゲンガー コスト なし 自分トークンエリアにトッペルゲンガー(HP1 AP0 DP0 種族 ?)を置く。 トッペルゲンガーが受けた[[ダメージ]]は相手も受ける。 メンテナンスフェイズ毎に維持コストL2を支払わなければトッペルゲンガーは破壊される。 このトークンはカードとして扱う。 更新者 鴉乃 戦闘ダメージ反射効力を持つトークンを1体召喚するカード。 トークンにしては珍しく、維持コストを持っている。 相手のアタックを抑止する効力がありそうだが、そもそも相打ちを狙われたら反射ダメージは1にしかならない。 相手が久瀬やフランドール・スカーレットで攻撃したなら良いが、古河 渚などでアタックしてきたのなら何の得が少ない。 このカードの利点はトークンをカードとして扱う点。 C1のコストはこのカードで払える。 また、種族が?のカードなので援軍から沙耶をサーチすることも出来る。 何かと使い道の多いカードである。
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/1403.html
相変わらず旧校舎は埃まみれで、天井には蜘蛛の巣が光っている。蒼魔はできるだけ大きく息を吸わないようにしながら、そっと歩く。 ……別に、疑ってるわけじゃないさ。と自分に言い聞かせるが、もしもの時のためにできるだけ物音を立てないようにしていた。 忌憚研究部の部室を通り過ぎて、突き当たりまで歩く。そこから一つずつ、教室をしらみつぶしに開けて探すつもりだった。 古ぼけた木製のドアを静かに引く。しかしドアはいくら力を入れてもびくともしなかった。 (鍵がかかってるのか) 蒼魔はなんだか肩透かしをくらったような気持ちになって、隣の教室に移動した。 (まあ、旧校舎だしな。誰も使わないからそりゃあ、鍵くらいかけるよな) となると、響が部室以外の教室に捕らえられているとして、どうやって鍵を開けたのだろう? 忌憚研究部の人間なら、簡単だ。部室が使えなくなって隣の教室を使うから鍵を貸してほしい、などと言えばすぐに貸してもらえるだろう。 (でも、同じ事をドッペルゲンガーだってできるはずだ) 蒼魔は今一度、頭を振る。いやな考えを振り切るように、ドアに手をかけた。 (えっ……開いた?) 期待せずに力をいれたら、ドアはすんなりと、ガタガタと音を立ててスライドしていく。 教室の中は長年使われていなかったのだろう、机やら椅子やらが窓際に全て寄せて積み上げられていた。床やロッカーに大量の埃が散っている。 その中心で、静かに響が立っていた。 「……水無瀬?」 蒼魔はそっと、体を半分だけ教室に入れて響を呼ぶ。しかし響は振り向かなかった。蒼魔は強い違和感を感じていた。 彼女の体には縛られた跡はない。それどころか、鍵もかかっていなかった。鍵の開いた教室の中に、一人で佇んでいる響。最早何がなんだか、蒼魔には理解が及ばなかった。 「水無瀬……お前は水無瀬なのか?」 蒼魔の言葉に、響は小さく笑う。 「どういう意味……? 私は、一人しかいないよ」 「じゃあ、なんでさっき逃げたんだ? それになんで、こんなところにいるんだ」 「……二人きりで話がしたかったから。誰も来ないところで……」 「それなら普通に言えばよかっただろ。それに、俺がお前の携帯に電話をかけなかったらどうするつもりだったんだよ」 「その時は私からかけたよ。それに……屋上には人がいたような気がして、旧校舎に行こうなんて言ったら変な噂が立っちゃうと思って」 理屈に無理がありすぎる。蒼魔はため息をついた。 「……下手な嘘ばっかりつくのはやめろよ。お前はツーマンセルの事を知らなかった。俺や水無瀬は緊急招集を頻繁に受けてて、調査がツーマンセルで行われる事は常識になっていた。それを知らないなんてありえない」 「あの時ね、本当は私、一人じゃなかったんだ」 響の表情はまるで能面のように硬いままだった。口調もどことなく冷ややかで、いつもの穏やかな話し方ではない。蒼魔は違和感を感じたまま、響の言葉に耳を傾ける。 「斑鳩先輩と一緒に儀式があったらしい場所を調査していたんだけど、斑鳩先輩が急に……お腹が痛いって言い出して。先に帰るから、後は軽く調査だけして私も帰ってくれって言われたの。斑鳩先輩も女の子だから、やっぱりこういう事、あんまり人に言ってほしくないかなと思って。私一人で調査していたことにしたの」 「嘘だな。それなら途中で体調が悪くなったから別れたとでも言えば済む話だ。忌憚研究部の原則を無視してまで隠すほどの事じゃない」 即座に看破されて、響は初めて顔色を変えた。悔しそうに唇を噛んでいる。 「なあ、水無瀬。いい加減、嘘をつくのはやめてくれ。俺に……本当の事を言ってくれよ」 「本当の事?」 「お前はドッペルゲンガーなんだろ。ドッペルゲンガーの都市伝説が実体化したラルヴァ」 「ドッペルゲンガー? 私が、ラルヴァだっていうの?」 響は可笑しそうにクスクスと笑う。 「ラルヴァにだって人語を解するヤツはいる。皆のドッペルゲンガーに対する思念が現実化して、お前を生み出したんだ」 「馬鹿なこといわないで。もし私がドッペルゲンガーだとして、何の目的でこんな事をしているの?」 「水無瀬になりすまして、学園生活を送る為に」 響はさも可笑しそうに鼻で笑い飛ばす。 「そんな事、本当にできると思っているの? それに、そうする事で一体そのラルヴァに何のメリットがあるの?」 「都市伝説が実体化したんだから、ただ単にそれをなぞるのが目的なんだろ? ラルヴァっていうか、幽霊みたいな、そんな存在だ」 「じゃあ、私は幽霊なワケね。その幽霊が、今こうして君と話している。水無瀬 響のフリをして。今後そのまま、水無瀬 響のまま、生活を続けるのね。皆と一緒に都市伝説を解決して。ねえ、これっておかしくないかな? ドッペルゲンガーは、人と会話なんてできないって言われてる。それにドッペルゲンガーを見た本人は死ぬか、ドッペルゲンガーに殺されるかしてもう二度と姿を現さなくなるっていう噂なのよ。そもそも、ドッペルゲンガーなんて噂がここ最近で急に流行ったりしたの? 何故このタイミングで都合よく実体化するの?」 蒼魔はそう言われて、言い返せなかった。ドッペルゲンガーという噂について詳しく調べたわけではない。ただ単に未央から聞いて、そうかもしれないと、都合よく真実をなすりつけただけだ。 だが違うとしたら、一体今ここにいる、目の前で話している彼女は何者なのか? 「そもそも、貴方の言う本当って何? 本当の私って何? 水無瀬 響って、一体何者?」 「哲学の話かよ」 「そうじゃない。貴方は私を疑ってる訳だよね。ドッペルゲンガーというラルヴァにしろ、そうでないにしろ、『私が本物の水無瀬 響かどうか』を君は今疑ってる。じゃあ、本物の水無瀬 響って何? 何をもって、本物とするの?」 「それは……」 「そもそも、水無瀬 響って何? 魂? 体? 性格? 言動? もしくは、これら全て? ……私を疑う理由は、忌憚研究部の原則であるツーマンセルを知らなかった、と言ったけど。私がウッカリ忘れていたって事はないかな? 本当にあの時、斑鳩先輩がお腹をこわして、それを隠す為に私は慌てて緊急招集が、と君に言った。その後、急に君に問い詰められて慌てた私はウッカリ忘れていて一人で大丈夫だったから……と下手な言い訳をしてしまった。それを更に問い詰められて、恥ずかしくなって逃げ出した。そんなことを私がするはずないかな?」 「……」 蒼魔は押し黙ってしまう。確かに、聡明で常に冷静な彼女がそんなことをするはずがない、とは思う。でも、彼女だって人間だ。そういうミスもするかもしれない。 ただ。それを目の前にいる「水無瀬 響」に言うのは、何故かいけない気がした。彼女という人間の実像を他人の蒼魔が決めてしまう事に、躊躇しているのか。響はその様子を見て、静かに微笑んだ。 「私という人間を確証づけるものなんて存在しないよね。東堂 蒼魔ってなんなの? この問いに、君だって答えられないはず。アイデンティティなんて、自己満足の域を出ないでしょう? 自分を位置づけるのは自分でしかないのよ。他人の位置づけなんて、他人にとっての都合のいい虚像でしかないんだから……」 その通りだと思った。自分の存在がなんなのか、まるで分からない蒼魔にとってその質問は鬼門だった。決して、絶対に答えられない永遠の命題。おそらくは死ぬまで解けることのない難題。 自分は間違っていたのだろうか。ただ単に彼女を疑って、その連鎖にハマって全ての物事を疑った。ただ単に、自分が醜かっただけなのか……。 「東堂君。一つだけ……自分が自分のままでいられる方法があるよ」 響は邪悪な笑みを浮かべて、ゆっくりと蒼魔に向かって歩き出す。青ざめたまま笑みを浮かべる彼女のその顔は、まるで生気が宿っておらず、不気味だった。 彼女は感情がこもっていない声で静かに言葉を続ける。 「ここで終わらせればいい。今あるもの全て失う前に、ここで自分という存在を確定させればいい」 そう言って響は、すうっと右手を背中に回し、制服の中に手を差し込む。するりと取り出したそれは、銀色に光る刃物だった。 (出刃包丁……?) 「全てを終わらせましょう」 その言葉で蒼魔は、ハッと自分の頭が一つの真実を掴むのを感じた。彼女の狙いは自分だ。あの時襲ったのも、彼女自身になりすます為ではなく、蒼魔が狙いだったのだ。 つまり本物の水無瀬 響は、やはり別に存在する。こいつは偽者だ! 「お前、やっぱり偽者か!」 蒼魔がそう叫ぶと、響(の姿をした何か)は口元を更に歪めた。しかし瞳は何の色も示さない。 「アハハハハ! バカだなあ、東堂君。私は、アンタとは違うのよ。普通だの特別だのとウジウジして、自分の存在意義を自ら捨てて不幸ぶってるアンタとは、違うのよ!」 響は出刃包丁を天高く振り上げると、蒼魔の首筋に向かって勢いよく振り下ろした。蒼魔は慌てて後ろに下がる。 「お前……何だ。一体、なんなんだ。ラルヴァなのか?」 「さあね。でも、キミもバカだよねえ。オレをラルヴァだと疑っているなら、何で一人で来たんだ? 殺してくれって言ってるようなもんじゃないか……」 響の姿をした何かが放つ口調は、最早男のものになっていた。声だけは彼女のままで、荒々しい口調と過激な発言を繰り返す様は見ていて非常に気味が悪い。 「それとも……オレを倒すつもりだったのか? オマエ一人でさあ。ハハハッ、そんなの、できる訳、ないよなあ」 「……どうかな。でも、お前を探してるのは俺一人じゃないぜ。他の忌憚研究部のメンバーも探してる。もうすぐ、こっちにも来るかもな」 「なんだよ、情けねえなあ。ハッタリでもオレ一人で充分だとか何とかいえねえのか? まぁ、お人形遊びしかできないんだから、それもしょうがねえか」 響の姿をした何か、はこちらを見るとまた邪悪な笑みを浮かべた。 「奏(かなで)」 「え?」 「俺の名前だよ。名前がなけりゃ、アンタは不安で不安で仕方なくなっちゃうだろ? 響に奏、いいセンスだとおもわねえか? ハハッ」 奏と名乗った彼女は、面白おかしそうに笑いながら、出刃包丁を構えて蒼魔を捉える。その表情には殺気も生気も感じられない。 「つまり、オマエはラルヴァだったんだな。水無瀬のフリをして、俺を殺そうとした……そういう事か?」 「ククク、そんなに答えが欲しいのか? オレから与えられた答えを知って、オマエはどうするんだ? 敵の言う事を信じられるのか? 自分で答えも導き出せない、誰かに言われないと行動できない、弱い人間だな。」 「……そんなんじゃないさ。ただ、その方が正当防衛って事で後味悪くならないだろ」 蒼魔は静かにそう言うと、奏に向かって魂源力を送り込む。今にも蒼魔に襲い掛かろうとしていた奏の動きが止まった。 「へえ……いいのか? オレに同調(シンクロニシティ)なんてつかっちまって。オレとオマエの魂源力は同等だ。オレがオマエを逆に乗っ取る事もできるんだぜ」 「負けないさ」 蒼魔は強く、奏を睨んで右手を振り上げる。 「水無瀬の姿をしなければ俺を倒せない、お前には決して負けない」 奏は蒼魔が何をするつもりなのか、瞬時に理解したらしい。すぐさま自らの腹につきたてられるであろう右手の動きを止めるべく意識を集中させる。 蒼魔が右手を自らの腹に振り下ろした時、奏の腹にはその出刃包丁が突き刺さっている事だろう。おそらく彼女がラルヴァだとして、カテゴリーデミヒューマンであることは間違いない。 出刃包丁を持っているところを見ると、実体はあるはずだ。したがって物理的な攻撃も通用する。蒼魔は右手に強く籠められた奏の魂源力を振り切ってじわじわと振り下ろしていく。 「ぐっ……」 奏の顔が徐々に余裕のないもになっていく。やはり、ダメージはあるのだ。蒼魔は更に魂源力を籠めた。少しずつ彼女の魂源力が弱まっていくのを感じた。 蒼魔は一気に押し切る。パァン、と弾ける音と共に、蒼魔と彼女の右手が振り下ろされた。どすん、と蒼魔の腹に衝撃が走る。 「……くっ、ククククク」 しかし奏は、不気味な笑みを浮かべるのみだった。見ると、包丁は確かに彼女の腹を貫いている。しかし、そこには血液も傷跡も見当たらなかった。 「オレが焦ったから、本当に包丁が刺さってダメージになると思ったか? つくづく、お前は人の反応を見なけりゃ何もできねえんだなあ?」 奏は疲労した蒼魔の同調を弾いて、出刃包丁をゆっくり構えなおす。彼女を振り切るのに力を使いすぎた蒼魔は、そのまましりもちをついて動かない体を必死に動かそうとしていた。 「悩むのにも、もう疲れたんじゃないのか? 自分を探すのにも、もう飽きたんじゃないのか? オレが終わらせてやるよ……東堂 蒼魔のまま、お前をここに残してやる。喜べよ、アハハハハハハハ!」 奏は心底嬉しそうに笑いながら、一歩、一歩と蒼魔に近づいた。出刃包丁がまた、天高く振り上げられる。くるりと回転して、今度は蒼魔の胸に突き刺せるように逆手持ちに持ち替えた。 (……俺は死ぬのか、ここで) 彼女の言葉に、蒼魔はなんら否定できなかった。弱い自分を、自ら不幸を被ろうとしている自分を、彼女は逆に看破したのだ。 (これは完全な負けだ。力でも、精神でも、俺は奏に勝てなかった。奏の正体を突き止めるなんて、俺には不可能だったんだ……) 何もかもを成し遂げられずに、蒼魔の人生はここで終わる。後悔と、憎しみを残したままで。 しかしそれも、蒼魔には当然の結末だと感じられた。奏の言うとおり、蒼魔は自らを否定し続けていたのだ。父親からの虐待、という根拠だけで。 そうして自らが傷つけ続けた自分が、幸せになどなれるはずもない。……こうして迎える終わりは、至極当然なのかもしれない。 薄笑いを浮かべたまま、振り下ろされる奏の右手を見て、蒼魔は目を閉じた。このまま死ぬのも、俺が俺を辞めていた結果だ、と。 その刹那に、ドアの向こうで、凛とした声が響いた。あの時、悪夢から自分を救ったあの声だった。 「光よ……っ!」 言葉と同時に光が放たれる。数秒後に蒼魔が目を開くと、奏の姿は忽然と消えていた。宙に取り残された出刃包丁が、カラリと床に落ちる。 「……水無瀬!?」 そこには響が立っていた。蒼魔を見ると、彼女は申し訳なさそうな、複雑な表情で顔を俯ける。 「ごめんね……東堂君。もう、大丈夫だから」 「いや……俺は平気だけど。水無瀬こそ大丈夫なのか?」 「うん、私は大丈夫」 響はそう言って、蒼魔に手を差し出す。白くて細い彼女の手は、思ったよりも暖かかった。 「……水無瀬。どこかに、捕らえられていたのか? さっき俺の電話に出たのは、お前だよな?」 「ううん。拍手君達と別れた後、女子トイレで捕まったの。気を失って、気がついたら旧校舎の教室にいた。この一つ横の、突き当たりの教室ね」 蒼魔が先程あけようとして、鍵がかかっていた教室だ。やはりあそこに響は居たのだ。 「目が覚めたら、最初はどこの教室か分からなかったけど、隣から東堂君と私みたいな声が聞こえて。縛られたりはしてなかったし、内鍵がしまってるだけだったから」 奏には実体がなかった。となると、内鍵をかけてそのままドアをすり抜ける、なんてこともできるかもしれない。 出刃包丁を持っていたのは、右手にだけ魂源力を集中させて実体化させたのだろう。そして響の霊具から放たれる光で消滅したところを見ると、彼女はカテゴリーエレメントだったのだろうか? 「じゃあ、昨日の裏山のは……」 「東堂君を助けたのは私。実はね、あの時、私の姿をした誰かがいるって事が分かって、斑鳩先輩からメールをもらったの。緊急招集って言ったのは、その方が分かりやすいと思って……似たようなものだったし」 そうだったのか。つまり、裏山に蒼魔を誘い出したのは「奏」で、それを追って消滅させたのは紛れもなく「響」だったと。 「なら、あの時の攻撃は……」 「多分、そのラルヴァの攻撃じゃないかな。私が光を放つと、ぱっと消滅したから……」 蒼魔は尻についた埃を払って、響を見る。響は穏やかな笑みを浮かべている。いつもの響だった。 「もう大丈夫、これであのラルヴァは倒した。……東堂君、戻りましょう? 忌憚研究部の皆にも、無事を伝えないと」 そう言って響は廊下を歩いていった。彼女の背中をみながら、蒼魔は複雑な感情をくすぶらせていた。 (でもな、まだ……まだ解けてない謎があるんだよ、水無瀬) それは彼女に対する疑問だ。裏山で精神攻撃を受けた蒼魔を救った時、彼女は蒼魔の義理の父、白川 総司郎からの虐待の事を口走った。 夢壊しの事件の時、確かに蒼魔の過去、虐待の過去は忌憚研究部のメンバーに知れ渡ってしまった。だが、「忌憚研究部の顧問白川 総司郎が、蒼魔の義理の父である」という事は知られていなかった。 蒼魔がその事実を話したのはただ一度、奏に連れられて裏山に向かっていたときだ。 奏しか知りえない事実を、響が知っていた。更に、彼女は「忌憚研究部の皆にも、無事を伝えないと」と言ったが、先程まで捕まっていた彼女が何故、忌憚研究部のメンバーが響を探している事を知っていたのだろうか? ぼんやりとした意識のまま、蒼魔と奏の会話を聞いていたのだろうか。隣の教室とはいえ、そこまでくっきりと会話が聞こえるものなのだろうか? それに、精神攻撃が奏のものなのだとしたら、何故先程の戦闘では出刃包丁をつかってきたのだろう。精神攻撃を仕掛けて、その隙に刺し殺せば済む話ではないか? この謎にどんな意味があるのか、蒼魔には検討もつかない。だが、彼女に直接問いただすのは、得策ではないように思えた。 自分にはまだ、知らない事がたくさんある。この忌憚研究部で、それを明らかにしていく必要がある。 そうすることで自分を否定してきた過去を、洗い流せるような気がするから。 埃まみれの廊下を走って、蒼魔は響の背中をおいかけた。 つづく トップに戻る 作品保管庫に戻る
https://w.atwiki.jp/83452/pages/17504.html
憂「や、やり直しっ! もう一回!!」 梓「あ、あはは……気持ちはわかるけど」 私の手元には、頬にキスされてらしくないほど驚いている憂の写真……がたくさんシールになっている。 もちろん写真の中の私もとんでもないことをしているわけで、恥ずかしがる気持ちはよーくわかる。こんな写真、誰かに見られたら飛び降りてやる。 けど、まぁ、見られなければいいわけだし。二人きりの秘密としては及第点じゃないかな。 梓「恋人としてはいい思い出だよ。ね?」 憂「全然よくないよっ!!」 梓「そ、そんなに?」 憂「そうだよっ! せっかく梓ちゃんからキスしてくれたのに!」 梓「……そっち?」 憂「そうだよぉ……もっと、ロマンティックというか、ムードが欲しかった……」 ……確かに、ちゃんと初めて私からしたキスがサプライズキスというのはちょっと配慮が足りなかったかもしれない。 でも初めてだったからこその驚きだとも言えるわけで…… 梓「……く、唇にするときはちゃんと言うから……ね?」 憂「………ホントに?」 梓「うん、ホントに。頑張る」 憂「……絶対だよ?」 梓「はい……絶対忘れません」 憂「…待ってるからね?」 梓「……なるべく急ぎます」 憂「じゃあ…いいよ。許してあげる」 言い分とは裏腹にとても嬉しそうに笑うから、私も返せる言葉がない。 でも……そうだ、私はその笑顔が見たかったんだ。そういう意味では全て上手くいった。 梓「ねぇ、憂」 憂「ん? なぁに?」 上手くいった今なら、告げることができるよね。 梓「……言うよ。私達が隠してる事」 憂「っ!? な、なんで今……」 梓「……今なら、憂に信じてもらえると思うから。隠し事をしても、それでもこうして憂と上手くやれるって証明できた今なら、憂は私の言うことを信じてくれると思うから」 もちろん言葉通りの意味じゃない。憂は私の言う言葉自体を疑いはしない。 憂が疑うのは、その裏で私が無理してるんじゃないか、ということ。自分が背負わせているものが重荷なんじゃないか、と。 憂は自分を責めすぎる。それは家での会話からも明らかだ。きっと自分が他の人と違うってことがずっと胸の奥にあるからだと思うけど。 だから私は憂を笑わせようとしたんだ。 憂に関する事全てが、私にとって重荷じゃないと証明するために。 仮に重荷だとしても、それを抱えてなお憂を笑顔にしたいと思ってる私のことを信じてもらうために。 そして、そこまで全部言葉にしなくてもわかってくれるくらいには憂は聡くて、私の事をわかってくれている。 憂「……そっか、そうだね。梓ちゃんは強くなったんだね」 梓「…憂のためだからだよ。そして、憂がいてくれるから」 そう、全てはそんな憂のため。そんな憂がいてくれるから。 梓「……だから、憂がいなくなった時は、何も出来なかった――」 全て、語った。 憂がいなくなり失意の底にいたこと。就職も進学もしなかったこと。純が助けてくれたこと。同じように唯先輩を失った澪先輩達も落ち込んでいたであろう事。そして、この前の電話で誘われたこと。 全て、包み隠さずに。 憂「……本当に、断るつもりなの?」 梓「……少なくとも今はそのつもり。先輩達にも心配と迷惑かけたのは確かだから、そこを突かれたら断りきれるかわからないけど……」 例えば、目の前で泣かれたりしたら。土下座されたり縋られたりしたら、さすがにそんな先輩達を無碍にできる自信はない。 でもだからといって簡単に流されてしまうつもりもない。憂を好きという気持ちだけは何があっても譲れないから。 だからもしそうなったら悩んで、考えて、ちょうどいい落とし所を探そうとすると思う。どんな形になるかは想像もつかないけど…… 憂「……気遣うようなこと、言って欲しくないんだよね?」 梓「…そうだね。憂が隣に居てくれれば、それでいいよ」 憂「……正直に言うと、気持ちがね、半分半分くらいなんだ」 梓「半々?」 憂「うん。梓ちゃんが私を悪くないって言ってくれたのも理解してる。でもその上でもやっぱり原因は私だから、っていう気持ちが半分。それと……」 語りながら、私にもたれかかるように腕に抱きついてきて。 憂「……本当に、本当に心の底から好かれてるんだなぁって、嬉しい気持ち。いろいろあっても揺らがないその気持ちは、すっごく安心できて、すっごく嬉しい」 「いろいろあった本人からみれば微妙な気持ちかもしれないけど」と付け加えてくれるけど、そんなことはない。 悩んで、苦しんで、悲しんで、それは確かに辛い記憶だけど、そんなものでも憂が喜んでくれるならそれでいいかと思えてしまう。それくらいには憂が好きだから。 それに憂は罪悪感を捨て切れていない。私の力不足とも言えるけど、それは憂の優しさでもある。私に完全に甘えきらないで私を気遣ってくれる優しさ。それに何度も助けられてきたんだ、私は。 案外、今のバランスが最善なのかもしれない。そう思わせてくれる程度には、私は……満たされている。 梓「……幸せだよ、憂。今が、すっごく」 憂「……私もだよ、梓ちゃん」 梓「……ふふっ」 憂「えへへ……」 ……二人寄り添い、笑い合う。 この瞬間が幸せでなくて何だと言うのか。 【#16】 ◆ ――数刻前に家を出た鈴木純はそのまま大学構内の図書館に足を運んでいた。 机の上に本とノートを広げ、右手でシャープペンシルを華麗に回転させながら左手でページをめくる。 純「……んー……」 読み終えたと思しき本は数冊積み上げられているが、ノートの方には文字が一切記されていない。白紙のままだ。 ちなみに本のタイトルは『オカルト科学分析』『都市伝説100選』のような胡散臭いものばかり。そもそも調べているモノがモノだから仕方ないのだが。 そう、言うまでもなく調べているモノは『ドッペルゲンガー』だ。 彼女の苦労も虚しく、聞き込みでは成果は上がらなかった。もっとも、体験したことのないものには想像すらつかない現象なのだから仕方ないとは言える。 だが勿論、だからといって諦める彼女でもない。故に次は書物を漁ることにした、というわけだ。 純「……あー、ダメだ。これもロクなこと書いてない」 周囲の迷惑にならぬ程度の声量でボヤき、本をもう一冊積み上げる。怪しい本は大体読み終えたことになるのだが、彼女にとって真新しい情報というのは皆無だった。 ドッペルゲンガー。聞いたことがない人はいないであろうその名称。だがそれ故にイメージはほぼ万人共通で凝り固まってしまっている。 そのイメージを書籍にしたのか、あるいは書籍から得たイメージが人々に浸透したのか。どちらが先にせよ、今や皆の知るドッペルゲンガーという定義から大きく外れた情報というのは転がっていないのだ。 ただでさえ人一倍サブカルチャーを好む鈴木純という少女にとっては尚の事。 それに加え、彼女が欲している情報はそういう一般認識程度の物ではない。 言葉の意味や由来、初出の推測、医学的分析などならいくらでも出てくるが、事実として直面している人間が欲しがるのはそういうものではない。 事実として直面している人間が欲しがるものは、事実として直面した場合の対処法なのだ。 しかし当然、オカルトや都市伝説に分類されているものにそのような項目が記されているはずがない。 こと現代社会において、『科学的に解明されていない事象』というものはそれだけで信憑性を欠くものとして定義される。故に書物などに記されることは稀である。場合によっては記すだけで罰せられるのだから。 もっとも、仮にそのような『信憑性を欠く』情報が手に入ったところでそれは眉唾物であり、何の保証もないことには変わりないのだが。 それでもそのような情報にすら縋らざるを得ないほどに未知のことなのだ。それが事実であり、そしてその事実を見つめているのは鈴木純、ただ一人。 純「……憂本人に聞いてみるしかないかな…期待できそうにないけど」 白紙のままの大学ノートを抱え、本を棚に戻しながら次にすべき行動について考える。 結局のところ、彼女が知りたい情報は言ってしまえば『人間との相違点』に尽きる。人間にとっては無害でもドッペルゲンガーであるが故に危険な存在などが仮に存在するとしたら決して近づけてはいけない。 彼女だって当然、再会した友人をみすみす失いたくはないのだ。だから知識を集めている。平沢憂の身を守り、中野梓と自らの心を守るために。 しかし、そのために必要な知識を平沢憂本人に聞いたところで有益な情報が得られるとも思っていない。彼女は自らの存在以上に大切なものを持っており、それしか目に入っていないように映るから。 それしか目に入れないようにして、自らが『違う』ということから目を逸らそうとしているようにさえ見えるから。 ……もっとも、真っ当な人間でさえ様々なものから目を逸らして生きている。最も情報共有のしやすい『人間』という種族にありながら、この世の全ての危険を知識として頭に入れている人など存在しない。特異な境遇である彼女達だけを責めるというのは酷なもの。 それに加え鈴木純はそれでいいと思っている。いろいろなものから目を背けても、最終的に最も大切なものを見失わないでいてくれればそれでいいと心から思っている。 二人に見失わないでいてほしいから、彼女は奔走している。 純「……ネットにでも縋ってみますかね。あ、図書館内ではケータイ禁止だっけ」 天井からぶら下げられた、携帯電話に斜線の入ったマークを一瞥して図書館を後にする。 調べ物に集中したいが為にマナーモードにしていた携帯電話を取り出し、画面を見る。そして一つの通知アイコンに気づく。 純「メール…? 梓からだ。ついさっきじゃん……」 【#17】 ◆ 純「――ぷはー! 食った食った!」 梓「さすがにひくわ」 眼前でオッサンくさい言葉を大声で口にする親友に釘を刺す。でもきっと刺したところで効かない。ぬかに釘。 ちょっとは周囲の目を気にして欲しいものだけど。 憂「あはは。もう少しゆっくりしていこうか」 隣に座る憂はそう言い、コップの水を一口飲む。 夕方のちょっとだけ背伸びしたオシャレなカフェにその姿はよく映える。眼前のオッサンも黙ってればそこそこなのに。勿体ない。 純「にしても、なんで急に外食?」 梓「まぁ……いろいろ話したいことがあったから。三人で」 純「……家でもいいじゃん?」 梓「今日は私のオゴリだよ?」 純「デザートおかわり行っていい?」 梓「それはダメ」 純「ちぇー」 憂「ふふっ」 なんて適当に誤魔化したけど、一応いろいろ理由はあったりする。 たまには憂を休ませてあげたい、今日いろいろあってそう思ったりとか。今まで隠し事に付き合ってくれた純に対するお詫びとお礼とか。単純に給料日が近いとか。ここはいつか三人で来てみたかった店だったとか。 でもどれもこれも要は、今もこうして変わらずに三人で居られること、それに対する感謝ということになりそうな気もする。 たった一年でいろいろありすぎたけど、今までとは真逆の方向でいろいろありすぎたけど、こうして今も一緒に居られるなら逆に未来を信じられる、そんな気さえする。 決して将来を楽観してるじゃない。けど、どんなことがあっても三人で一緒に居られる、それだけは信じられる。 梓「……これから、どうしようかな」 純「ん、そういう話?」 梓「まぁ、そうとも言えるかな。あ、憂には全部話したから」 純「…えぇー、それそんな軽く言うこと?」 梓「うん。あくまで結果論だけど、何も変わらなかったから」 憂「変わらないように梓ちゃんが頑張ってくれたんだよ。純ちゃんも、今までありがとうね」 純「……変わってるよ。なんか余計仲良くなってる」 梓「そうかな?」 純「そうだよ」 憂「でも、そういう変化なら純ちゃんは喜んでくれるでしょ?」 純「……さっきから言い方が卑怯だよ、憂は」 拗ねたようなその言葉に憂が微笑みを返すと、純も純で「私も恋人作ろうかなぁ」とボヤく。 私よりも社交的な純は、きっとその気になればすぐに恋人の一人や二人作れるはずだと私は本気で思っている。同性異性問わずに。 それでもそうしないのは、純もまだ私達と一緒にいる時間のほうを選んでくれているのか、それとも…… 梓「……ねぇ、純」 純「んー?」 梓「……私と憂は、そんなに危なっかしく見える?」 純「見える見える。とーっても危なっかしい」 ヘラヘラと告げられると、どこまでが本気か量りかねるけど。 それでも純は、きっと私達の事を心配している。いつまでもずっと心配している。 梓「……純が安心して恋人を作れるくらいにはちゃんとしないとね、私達」 憂「……そうだね」 純「……ふーむ…」 梓「……?」 ちょっとだけマジメな顔になった純の次の言葉を待ったけど、その先が紡がれることは無かった。 ――しばらくして「そろそろ出ようか」と切り出したのは純だった。 あの後は恋人がどうとかを絡めてちょっとだけ先の話をしたけど、とりあえず純は大学を卒業するまでは私のやることに干渉するつもりはないようだ。 憂と一緒に音楽の道を追ってみたい、と告げたらちゃっかり「私も一口噛ませて」とは言っていたけど。まぁ元より拒む理由はないし。 結局のところ、私達は私達のまま何も変わらない未来を望んでいるのかもしれない。今の延長線上にあるだけの未来を望む、それだけなのかもしれない。 私達それぞれの関係が変わらない、互いを想う気持ちが変わらない、そんな未来を。 そして、そんな未来は望めば手に入る。 大切にすることを忘れなければ手に入る。 そう、この数日間で実感した。 ―――はずだったのに。 【#19】 梓「――お疲れ様でしたー」 「うん、おつかれさまー」 今日も今日とて純は大学、私はアルバイト。新しい週を迎えても私達はマイペースにゆっくりと前へ進む。 もう見慣れた風景となったコンビニからの帰り道を歩きながら、今日は何をしようか、何を弾こうか、何を話そうか。考えることが沢山あって、それ自体が幸せで仕方ない。 そういえば何故か純から恋人としての進捗状況を聞かれたっけ。きっとこの前のキスの件で憂がソワソワしてるからかな。 でもこういうことに悩めるのもまた幸せな気がしてしょうがない。私達の周囲には幸せしかない気がするくらいに。 だからかな。 近づかれるまで、気づけなかった。 「――ねぇ――」 梓「………?」 その姿に。 その顔に。その声の正体に。 もしも、私が先に気づいていれば。 「―――あずにゃん―――」 気づいていれば。 気づいて逃げていれば、何かが変わったのだろうか。 11