約 2,160,313 件
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4560.html
「戦う漫画家達」 中央高校、漫画研究部の部員の一部は、歩きながら漫画のネタを探している 「貴様等ッッ! 何か良いネタは見つかったか?」 独特の立ち方と独特な台詞回しそう言うのは部長の新希浩彦(あらきひろひこ)。好きな漫画はジョジョの奇妙な冒険、である 「私は、まらみちゅかってにゃいぃわ」 呂律の回らない喋り方で答える彼女は部員の御佐倉 南乞(みさくら なんこつ)。好きな属性はふ●なりである(しかし作者がふ●なりに全く興味がない、というか寧ろ苦手な上、エロを書く気が全くないため、この設定が生かされることはないだろう。この学園では設定なんてなんの意味も持たない) 「相変わらず呂律が回ってナイナイナイアガラね…」 綾乃ギャグでツッコむ彼女は七森海月(なもりみつき)。好きな漫画はゆるゆり、そして本人もレズビアンである 「俺も見つかってないわ。つーか漫画描くのめんどくさい。いや寧ろ生きていくのがめんどくさい。チーズ蒸しパンになりたい」 ダルそうにぼやく彼は宙智栄昭(そらちひであき)。好きな漫画は銀魂である。甘いものとマヨネーズと辛い物が好きな生活習慣病予備軍である 「僕もまだ見つかってないよ。何か見つかるといいけど」 冷静に言う彼は大庭洋(おおばひろし)。好きな漫画はDEATHNOTEと、とっても!ラッキーマンである 「ティヒヒ、わたしもまだ見つかってないですよー」 不思議な笑い方で言う小柄な彼女は碧城優女(あおきうめ)。好きな漫画はひだまりスケッチ、好きなアニメはまどか☆マギカである 「だけどオラワクワクしてきたぞ! どんな面白ぇネタが見つかるのか!」 やけにテンションが高い彼は酉岾彰(とりやまあきら)。副部長で、好きな漫画はドラゴンボールとドクタースランプアラレちゃんである 優女「きゃあ!?」 突然優女が何者かに襲われた。赤い毛布に包まった怪しい男だ。その男の毛布に優女が包まれた 南乞「うめひゃぁん!」 しかしそんな南乞の叫びも遅く、優女は魔界に連れ去られてしまった ―魔界― 『ケケケケケケ! これでまた俺のコレクションが一つ増えた…。さぁ、俺の玩具にしてやるよ』 優女「こんなのってないよ…あんまりだよ…」 『じゃあ先ずは大人しく喰らっとけ』 そういって、どこからか取り出した刃物を投げる『赤い毛布』 優女「っ…え、えいっ!」 突然、優女の体が麺のようなもの…焼きビーフンに変わって散らばり、刃物を全てかわしてしまった 『チッ…! てめぇ契約者か…!』 優女「うん。そうだよ。『蒼樹うめの主成分は焼きビーフン』っていうの」 『くそ…だが! レッドフレイム!』 何故か『赤い毛布』の手から炎が飛び出し、優女を襲う 優女「きゃ…! うぅ…熱いよ…」 『ここは魔界だ。そして俺はここの主だ。俺は! 俺が許可した人物だけは! この世界で魔法が使えんだよ!』 ―現世― 浩彦「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ! 『俺は赤い毛布に包まった怪しい男を見た思ったらいきなり碧城が消えていた』 な…何を言っているのかわからねーと思うが俺も何が起きたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった… 催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」 洋「まぁ、恐らく『赤い毛布』って都市伝説で、その能力で魔界に連れ去ったんだと思うけど」 彰「それならオラに任せてくれ! オラの契約都市伝説『鳥山ロード』。オラとオラの許可したものだけが通れる目的地までの道を作り出せるからな!」 『鳥山ロード』。漫画家、鳥山明は愛知から空港で出版社と原稿のやり取りをしていたわけだが、その空港への往復が不便だったため、上京を考えていた。 しかし、巨額納税者である鳥山が愛知から離れるのは困るため、とある自治団体が鳥山の自宅から空港へ直結する専用の道路を作った…そんな都市伝説である 栄昭「んじゃどうするよ。無論優女は助けるとして、あの『赤い毛布』のヤローは?」 南乞「もちろん私達のぉおお優女ひゃぁんをしゃらったんらもん。ボコボコにしゅるのぉおおよお゛お゛お゛ぉ」 海月「ちょっと何言ってるのか分からナイナイナイアガラよ…。でも決まってるわ。みつき達の仲間を傷つけた奴は一人残らず――」 海月「――罰金バッキンガムよ」 ―魔界― 優女「…でも。魔法が使えるのは貴方だけじゃないんだよ。マミさん!」 「ティロ・フィナーレ!」 優女が叫ぶと、どこからか中学生にしては胸の大きい、金髪ツインドリルの少女が現れ、『赤い毛布』をリボンで縛って巨大なマスケット銃で撃った 『かはっ…なんだ!?』 優女「ティヒヒ、知らないの?『見滝原町のモデルは群馬県』なんだよ? 」 『見滝原町のモデルは群馬県』。まど☆マギの舞台、見滝原町は現実の群馬県がモデルである、という都市伝説。 これにより優女は、まどマギに登場する魔法少女や魔女を、最大で5人まで召喚することができるのだ。しかし、ワルプルギスの夜とクリームヒルトはそれ1体までしか召喚できず、ワルプルギスは2週間に1回、クリームヒルトは1ヶ月に1回しか召喚できない。 また、女神まどかは召喚すると、戦った後酷い頭痛と疲労と筋肉痛に襲われ、2週間は寝込んでしまう。しかも、2ヶ月に1回、一人しか召喚できない。また、自分が魔法少女になることもできる 『ぐ…毛布のお陰で痛くはねぇ…。痛くはねぇけど許さねぇ! 来い!』 『赤い毛布』が叫ぶと、どこからともなく沢山の魔物がやってきて…優女に襲い掛かった 優女「っ! ほむらちゃん! 杏子ちゃん! さやかちゃん! 織莉子ちゃん! 数が多すぎる…!」 黒髪ロングの暁美ほむら、赤髪ポニテの佐倉杏子、青髪ショートの美樹さやか、銀髪ロングの美国織莉子が現れ、魔物と戦う 『ケケケケケケ! 全然足りねぇよ! このままじゃジリ貧だなぁ?』 そんなことを言いながら、瞬間移動で『赤い毛布』は優女の後ろに現れ、蹴飛ばした 優女「きゃあ!」 『ケケケ! どうやら不意打ちだと『蒼樹うめの主成分は焼きビーフン』とやらは使えねぇみたいだなぁ? じゃ、死ね』 魔法少女達が捌ききれなかった魔物たちが、怯む優女に容赦なく襲い掛かる 『ケケケケケケケ! ま、形くらいは残してやっから安心しな!』 醜く嗤いながら叫ぶ『赤い毛布』。優女は能力を発動しようとするが、間に合わない… ???「…時よ止まれ! ザ・ワールド! …そして時は動き出す」 瞬間、優女を襲っていた魔物は皆ナイフで貫かれていた 『!? チッ、仲間が来やがったか…。だが、幾らなんでもやられるのが早すぎる…!』 催眠術や超スピードなんてチャチなもんじゃ断じてねぇ早さで退治された魔物達。 結論から言ってしまえば、これをやったのは新希浩彦である。『荒木はスタンド使い』。ジョジョの作者荒木飛呂彦はスタンド使いである、という都市伝説。浩彦はこれにより、ザ・ワールドの時間停止を使って魔物を撃退したのだ 浩彦「貴様かッ? 俺達の仲間の優女を攫ったのはッ!」 彰「返答しだいでは容赦せんぞ…!」 洋「君は…僕が裁く」 海月「みつき達の優女ちゃんに酷いことしたわよね? 罰金バッキンガムされる覚悟はできてるんでしょうね?」 南乞「絶対に許しゃにゃいぃ!!」 栄昭「俺達の大切な仲間を襲う奴ぁ…黙って見過ごす訳には行かねぇ!」 とんでもなく格好良く登場する漫研部員達 優女「みんな…助けに来てくれたんだ…!」 海月「ええ! 優女ちゃん、これで安心アンコールワットよ! さぁ、みつきの胸に飛び込んでおいで!」 栄昭「やってる場合か!」 『な…なんだてめぇら…?』 あまりの濃すぎるメンバーにたじろぐ『赤い毛布』 浩彦「おっと! 自己紹介がまだだったなッ! 漫画研究部部長、『七人目のスタンド使い(ラッキーセブン)』、新希浩彦だッ!」 彰「オッス、オラ同じく副部長の酉岾彰! 『竜が如く(ドラグーンロード)』って呼ばれてるぞ!」 洋「同じく部員、『三國無双(トリプルミーニング)』の大庭洋だよ」 海月「みんなのハートにドッキューン☆ 『光の4剣士(セルフカルテット)』七森海月だぴょん♪」 「「「「…………」」」」 空気が凍った。 海月(あれー…? もしかして今のは…痛い?) 栄昭「こほん。えー…上に同じく『未来神話ジャーヴァス(フューチャーパーソン)』、宙智栄昭だ。よろしくゥ~…」 南乞「お゙ぉおォおんにゃじく、『白川三姉妹におまかせ(ミサクランゲージ)』御佐倉南乞(みしゃくらにゃんこちゅ)らよお゛お゛お゛ぉ」 優女「そして同じく、『天外魔境(チダマリスケッチスイッチ)こと碧城優女だよっ!」 『なんだ!? 最後から二番目の奴は全く聞き取れなかったぞ!? …まぁ、どうでもいいか 何人増えたところで同じことだ! ここは俺の魔界(フィールド)! 端っからてめぇらに勝ち目はねぇんだよ!』 大きく叫び、炎の魔弾を飛ばす『赤い毛布』 浩彦「『ウェザー・リポート』ッ! 天気は大雨暴風!」 突如、大雨と暴風が巻き起こり炎を消してしまった。新希浩彦の契約都市伝説、『荒木はスタンド使い』の能力である 『なっ…畜生…毛布がぬれて上手く動けねぇ…』 海月「えへへへへ、今がチャンスよ! 食らいなさい、なもブレード!」 唯の出刃包丁である 『な…な… ケケケ! 引っかかったなアホが!』 そう言うと、至近距離で毛布から棘を飛ばした 海月「きゃあ!?」 南乞「きゃぁあああ あぉ! みちゅきひゃぁん!」 『まだまだぁ! ズタズタに引き裂いてやる! 魔剣・レッドクロス!』 毛布の中から取り出した、特に何の変哲もないサーベルで海月を切り裂く『赤い毛布』 海月「きゃ、あ…」 『ケケケケケケケケケ! 一人死んだなぁ? どうだよあの痛いレズ女がやられた気分は!?』 彰「痛いレズ女…海月の…海月のことかァああああああ!!! 『鳥山ロード』!!!」 『ケケケケ…ぐはっ!』 突如、目の前に現れた彰に殴り飛ばされる『赤い毛布』。『鳥山ロード』の能力で『赤い毛布』までの自分専用の道を作ったのだ 海月「みんなー!みつきまだ死んでないよ!? なもトリプルキック!」 『グボァ!!!』 上空から突然現れた海月が『赤い毛布』にとび蹴りをした。三人で 『な…てめぇ…生きてやがったのか! …だが、確かに剣で切り裂いたはず…!』 海月「『なもりは4人いる』のよ? 一人死んだくらいじゃ死なないわ。さらに言わせてもらうとね…。みつき達は、斬ったくらいじゃ死なないわ!」 海月「「なもアタック!」」 『がはぁ!』 今度は、さっき斬られて死んだはずの海月たちが2人で『赤い毛布』に体当たりした 『な…なぜ生きてるんだ! ふざけるな! 人間の分際で…!』 海月「『なもりは分裂するクラゲ型生物』なの。じゃ、改めて名乗らせてもらうわね…」 海月A「見えざる不憫な主人公! なもレッド!」 海月K「主人公以上に主人公な影の主人公…というか光の主人公! なもイエロー!」 海月Y「クールなイエローのストッパー。なもブラック」 海月T「ブラックに憧れるガチレズ腹黒乙女! なもピンク!」 海月「…って言っても全部みつきだけど! 5人揃って…」 海月’s「「「「「ゆるゆり戦隊、なもレンジャー!!!」」」」」 後ろでカラフルな爆発は…なかった 『ふざけやがって…! 死ね!』 海月Aに向かって魔弾を飛ばす『赤い毛布』。しかし… 海月A「\アッカリーン/」 魔弾は海月Aの体をすり抜けた 『何!? コイツ攻撃が当たらないのか!?』 海月K「食らえ!」 『ぎゃあああ!!』 海月K「…安心しろ。峰打ちだ」 海月Y「倒せよ!」 『てえめぇらァ…なめやがって…! 俺は都市伝説だぞ! てめぇら人間ごときに…!』 そう叫び、今度は栄昭に炎を飛ばすが… 栄昭「よっと」 簡単に避けられてしまった 『ちっ…外したか…。ならこれで…どうだ!』 爆発する大量の魔弾を飛ばす『赤い毛布』 (ケケケ…バーカ、この魔弾はフェイクなんだよ。コイツが魔弾に気をとられてる隙に後ろから…) 栄昭「…バレバレなんだよ」 後ろから奇襲をかけようとした『赤い毛布』に、栄昭の木刀が炸裂する。『空知は未来人』の能力で未来予知をしたのだ 『がはぁ!!! て…てめぇええええええ!!! もう怒ったぞ! ここは俺の魔界! 全滅呪文をとにゃえてへぇええぇ゙やるのぉおお!!』 叫ぶ『赤い毛布』の呂律がおかしくなる 『にゃ…にゃんらこれは!? うまく喋れねぇ!』 南乞「『みしゃくら語』よお゛お゛お゛ぉ。他人のぉおお口調をみしゃくら語にしゅるのぉおおことがれきるのぉおお」 『にゃにいぃってるかわからねぇ!』 非常にシュールな会話である 洋「安心しなよ。君の言葉も聞き取れないから。じゃ…『キラー・クイーン』!」 洋の姿が浩彦そっくりになる。そして、洋の投げた岩が『赤い毛布』に当たり…爆発した 『ぁあああ あぉ゛ぁあああ あぉ゛ぁあああ あぉぁあああ あぉぁあああ あぉ゛! てめぇ…何しやがったのぉおお…』 洋「何でもかんでも人に聞こうとせず、少しは自分で考えたらどうだい?」 洋の契約都市伝説、『大葉つぐみ=ガモウひろし=鷹野常雄』。自分が見たことのある人間、及び人型都市伝説に変身し、その能力をコピーできるのだ いわばFEシリーズの『コマンド』のようなものである。ちなみにバグることはない 優女「洋さんすごい! わたしも頑張っちゃうよ! 」 そう叫ぶと、見る見るうちに優女が巨大な怪物に変身し…歩いていく 『にゃ…何らよこれは! 俺は都市伝説らぞ! 『赤いぃ毛布』らぞ! てめぇら人間にゃんかに…人間にゃんかにぃいぃぃぃっよぉおお゙いぃぃぃっよぉおお゙!』 優女「ウェヒヒヒ、『赤い毛布』さん、さよなら!」 『あ』 ぷちっ。『赤い毛布』は優女に踏み潰された。あっけない決着である 浩彦「どうやら倒したようだな。よくやったぞ碧城ッッ!」 優女「ティヒヒ、ありがとうございます」 彰「んじゃ、帰るか!」 こうして、『赤い毛布』を倒した戦う漫画家達は、『鳥山ロード』に乗って家に帰っていくのであった… 続く…
https://w.atwiki.jp/legends/pages/3379.html
【拝戸直の人殺し 第十四話「サンジェルマンの悩み」】 「7001 0000 7002 0000 1210 800D 1220 800C…………。」 組織の施設内部、薄暗い部屋の中。 パソコンの前で数字をぶつぶつと呟きながらキーボードで打鍵を続ける女性。 上田明也の契約する都市伝説【赤い部屋】である。 「都市伝説をデータ化するなんて……。 本当に出来るのかなあ、確かに私たち都市伝説は人の噂を母体にしてるけど……。」 パソコンに突き刺さっているのはDの文字が刻まれたUSBメモリ。 そのUSBメモリとパソコンをグルッと囲むように複雑な文字の書かれた護符が貼ってある。 「茜さん、作業の調子はどうですか?」 「まあ進捗度15%ってところですかねえ、明也さんはどうしてますか?」 「何やらCOA世界で面倒に巻き込まれているようです。」 「むぅ……、じゃあ私も助けに行きましょうかね。」 「流石の彼でも貴方がいきなり現れたら心配やら心労やらで胃に穴が空くと思います。 今は貴方一人の身体じゃないのですから。 本来はこの解析作業やらプログラミングやらして頂いているのもどうかと思っていて……。」 「でもまあ私だけニートしてる訳にもいかないじゃないですか。 橙さんが現実世界の情報収集、彼方さんが現実での戦闘、明也さんが……事務処理。 となったら私が電脳関係担当するしか無いじゃないですかぁ。 ていうかあれです、私じゃなくて私のキャラで助けに行けば良いですしー。」 そういって赤い部屋は再びエメラルド色のパソコンに向かう。 「そのパソコンの調子はどうですか?」 「ああー、すごく調子良いですぅ。 強いて言えばもうちょいグラフィックメモリをですねえ……。」 「……ネトゲの為ですか。」 「これだけはやめられない!」 「止めませんけどね。パソコンから出る電磁波もお腹の子供に悪影響な可能性が……」 ブツッ 赤い部屋はパソコンの電源を躊躇いなく切った。 強制終了である。 このパソコンはサンジェルマンが自らの都市伝説「オーパーツ」内部の都市伝説を利用して作ったパソコンで、 これを彼は自分の友人の著作から名前を取って「エメラルド・タブレット」と呼んでいた。 対都市伝説攻撃を防ぐために素材の一部に霊石を使った無駄に豪華なパソコンである。 当然壊れたら大変だ。 だが赤い部屋は容赦なくそれを強制終了した。 「ちょっと引きこもってきますね。」 「…………ちなみにノーパソの電磁波程度なら問題無いそうです。」 「じゃあノーパソバージョン作っておいてください。」 「……はい。」 赤い部屋は迷うことなく彼女の空間に引きこもってしまった。 サンジェルマンはUSBメモリ内部の「死神」の状態の確認と、 パソコン内部の作業中のデータが壊れていないかの確認を開始する。 無事だった。 サンジェルマンはため息を吐いた。 「くそ……、明也さんが落ち着いたと思ったら! 直さんの殺人癖が眼着けられるし! なんでこんなに問題が続くんだ! くそっ!くそっ!くそっ!」 『どうしたんだい、ご機嫌斜めだね。』 『まあそれも仕方ないか、そもそも異常な人々は居るだけで社会の秩序を乱すんだ。』 『だから幾ら問題が起きても仕方ないと思わないか?』 「ああ、フェリシアですか。」 『人間の私にはどうにもこの組織ってのは居づらくてね。』 『ていうかなんだいあのトイレは?トイレと思えぬ嬌声が響いてるんだけど。』 引きつった笑みを顔に貼り付けて表れたのはフェリシアである。 彼女はサンジェルマンの契約者だ。 「何って……、トイレですけど。」 『あんなのハッテン場じゃないか!』 「トイレってハッテン場じゃないんですか……?」 『もうやだこの組織!出て行かせて貰うぞ!』 「あ、逃げないでええええええ!」 フェリシアは泣いて走り去ってしまった。 彼女も一応乙女である。 恐らく女子トイレで怖い思いをしたのだろう。 しかしそれよりも仕事が溜まっている。 サンジェルマンは彼女を追いかけることを断念して仕事をすることにした。 F-№に割り振られている分の任務をそれぞれの黒服に再び割り振る仕事である。 一つ間違えると簡単に死人が出るので結構熟慮せざるを得ない。 「これは……、久しぶりの戦争に対する介入か。 №5師弟に割り振りますかね、めっちゃバトりたがってましたから。 次は調査系の任務、№6ですね。 地味な都市伝説退治は……、№77に任せましょうか。 COA関係の任務はE-№が受け持ってるのか……。 まあ私の仕事はもう終わってますからね、聖杯の確保とユティさんの安全確認ができた以上、 私がやることはありません。 最悪でも上田さんがなんとかするから大丈夫、かな。」 書類を分けて次々に判子を押すサンジェルマン。 伝説の錬金術師とは思えない地味さ加減である。 「鵺の討伐任務もさっさと終わらせないとな……。 でもなんで私の所にこの任務来たんでしょうか。 まあ直くん使えば倒せる相手では有ると思いますが、まあ私は任務こなすだけですし。 別に良いか。」 突然、サンジェルマンの机の上の電話が鳴る。 電話をかけてきたのはCOA内部のE-№を手伝って働いているF-№の黒服だった。 F-№はトップと一般黒服の距離が性的な意味でも近いアッー!トホームな職場なのだ。 「やばいっす№0!」 「どうしたんですか№555」 「COAのユグドラシル内部に今すげえ人が来てるっす! ていうか話しちゃった!」 「誰ですか?」 「なんかA-№0と話しちゃったっぽいっす!」 「え゛?」 「その上自分ってばA-№0に雑用を命じちゃったっぽいっす!」 「……555さん?」 「なんすか?」 「貴方にお誂え向きの任務があるので帰ってきてください。」 「解ったっす!あとまだすごい人が居たンすよ! 伝説の中華の鉄人が屋台で店だしてたんスよ! あの麻婆豆腐は……」 サンジェルマンは通話を終えると深くため息を吐く。 またC-№辺りに何か言われるに違いない。 そうなったら 「トップが現場に出て仕事をすることは組織全体の士気上昇につながります!」 とか 「トップが現場の実情を知ることはとても重要なことです!」 とか言い訳することにしよう、とサンジェルマンは決めた。 「それはそうとこれじゃあ研究もおちおち出来ませんねえ。」 学校町には沢山の問題がある。 教会勢力、行方不明者の増加、COA。 さらに日本中の様々なところで今日も都市伝説による事件は起きている。 もっと言えば日本だけではない、世界中で同様の問題が起きているのだ。 これでは彼の望む“異常”の研究などできるわけがない。 再び電話が鳴る。 二人同時に連絡だ。 「こちら913、アメリカに潜入してたんですけど大量の兄貴に囲まれてしまいました。」 「こちら333でーす、なんか南極で巨大な兄貴を発見しました。」 「掘られてきなさい。」 「「良いんですか!?」」 「ええ、貴方には休憩が必要です。 しばらく仕事のことを忘れてハッテンなさってください。」 「うわああああい!やったぜ!」 「こんな大きいのだと壊れちゃうよう!」 「良いなぁ……。」 通話を終える。 サンジェルマンは今日も忙しい。 本日三度目のため息を吐いた。 「さて、死神の契約書の改良を始めましょうか。」 そう言ってサンジェルマンは引き出しから工具を取り出した。 【拝戸直の人殺し 第十四話「サンジェルマンの悩み」fin】
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1597.html
○月×日 21:00 保健室 保健室に乱入してきた少女が、白い鰐の首を素手で刎ね飛ばした にわかには信じがたい光景ではあるが、彼女が都市伝説契約者である事を推測すれば、さほど問題ではないのだろう とまれ…白い鰐という脅威は消えた あとは、鼠だけだ 白い鰐が倒されたその衝撃で、鼠たちの間に一瞬の動揺が走る ……ちゃりんっ!! 「ちゅ!?」 一匹の鼠に絡みつく鎖 それは、5円玉や50円玉が連なった、鎖で 「勝って嬉しい はないちもんめ!!」 少女が、高らかと歌い上げる …この教室にいた、鼠たちが 彼女の支配下に、落ちた 「やっと捕まえたわ」 ふぅ、と息を吐くはないちもんめの少女 ちゅうちゅうちゅう!! 鼠は束縛から逃れようとじたばたするのだが、ガッチリ絡んでしまって脱出不可能だ 「他にも鼠がいたら厄介ね。この鼠たちを向かわせておくわ」 「すみません、お願いします」 …ようやく、保健室の寝台から降りる事ができそうだ ちゅうちゅうちゅう、保健室から出て行く鼠の群れを見送り…黒服は、自分たちの危機を救ってくれた少女達に視線をやった 確か、彼女たちは… 「「怪奇同盟」に所属していらっしゃる方々、でしたでしょうか……危ない所を、ありがとうござました」 小さく、頭を下げる黒服 手についた血を、その辺りに投げ出されていたシーツで拭いていた鰐の首を刎ねた少女…姫さんが、黒服の言葉に首をかしげる 「え?知っているの?」 「あなたのお姿は、「首塚」の宴会の時も、少々拝見しましたから」 そう、遠目にではあるが、見覚えがある 確か、あの時は… ………… …うん、頭頂部が寂しい同僚に勝負を挑んでいた姿については、忘れよう 「やはり、「怪奇同盟」も動きましたか」 「はい。今回の事は、都市伝説の存在を広く伝えてしまいかねませんから」 答えてきたのは、もう一人の少女 彼女からは、都市伝説の気配がする この少女も、「首塚」の宴会の時に、ちらりとだが姿を見た覚えがあった 「服装から推察しますに、「組織」の黒服さん、ですね?あなた方がどのくらい、この状況に関して情報をお持ちか、教えていただきたいのですが」 「はい…こちらとしましても、あなたたちが把握しております情報を伝えていただけると、ありがたいです」 思った以上に、この保健室で足止めを食ってしまった その間に、どれだけ状況が動いたかわからない 今は…少しでも、情報が欲しいのだ 黒服は、少女達との情報交換を開始した ○月×日 21:10 3年生教室 情報交換をしつつ、普段、授業が行われているのであろう、その教室まで移動した 途中の廊下で戦闘の跡を確認 食堂方向が、かなり破壊されているようだった 途中、Tさんらしき人の声も聞こえたような気がするから…Tさんが、向こうで戦闘を行っていたのだろう 何とか、合流できれば良かったのだが 「…あの子の位置は、わかりますか?」 鎖で縛り上げた鼠をぶんぶん振り回しているはないちもんめの少女に、黒服はそう尋ねた 目が回るのだろう、鼠はちゅうちゅう、嫌がって悲鳴をあげている 「………2階、ね。傍に誰かいる……」 「2階ですか…」 「13階段」を警戒している、この状況 あまり、階段は使いたくない だが、そうなると二階にあがる手段は限られてくる 「あなたたちのお仲間は、窓を破って侵入したのですね?」 「はい。2階より上はそうでもしなければ、侵入しようがありませんから」 …どこかの木か、体育館の壁でも登ってその屋根から、2階に侵入するべきだろうか? いや、外に魔女の一撃がいることと……巨大飛行都市伝説の存在がある 外をそうやって移動するのは、危険だ 「怪奇同盟」のメンバーが、攻撃を受ける事無くそうやって2階以上に侵入できたのは、恐らく幸運もあったのだろう …そして、自分達に、その幸運がもたらされるとは、限らない 何とか、手段はないものか 「……………え?」 …と、その時 はないちもんめの少女が、驚いたような声をあげて…振り回していた鎖を、止めた 「どうなさいましたか?」 少女の様子に、黒服はやや心配して声をかけた 彼女は、支配権を握った都市伝説の状態を感知したり、出会った事のある都市伝説の気配を感じ取れたりできる 何か、不味い都市伝説でも近づいているか 「…チャラ男が、気絶した」 「…………え」 「…気絶、してるはずなのに……どんどん、移動してる」 …気絶? マッドガッサーの一味と接触して、交戦状態になった? それとも、先ほどまで自分達が交戦していた鼠と? 「え?待って、気絶しているんでしょ?なのに、どうやって移動してるの?」 二人の会話を聞いていた姫さんが、疑問の声をあげる もっともだ 気を失っている、と言うのなら…どうやって、移動できると言うのだ 「……誰かに、担がれて、連れて行かれてる」 「-------っ」 それは マッドガッサーの一味に、捕まった可能性が、高い 早く、助けに行かなければ 「どこに移動しているかわかりますか?」 「外に出てる。多分、ここの窓から出て追いかけるのが早い」 位置は、はないちもんめの少女が把握できる ならば……追える! 「すみません、私たちは、家族を救助に向かいます…あなたたちが、マッドガッサー達を止める事を優先なさるのでしたら、別行動です」 姫さん達に向き直り、黒服はそう告げた 後悔が、黒服を支配する どうして、もっと早く辿り着けなかった どうして、もっと早く、あの子と合流できなかった 後悔していても、仕方ない 状況がそのように動いてしまったのなら、自分はあの子を救うだけだ 自分などと契約してくれた、あの青年を 自分は、なんとしてでも救わなければならない 「…………」 黒服は、気づいていない はないちもんめの少女が…「日焼けマシン」の契約者を連れ去っている、その気配の正体に わずかに、気づいているかのような様子を、見せている事に to be … ? 前ページ次ページ連載 - とある組織の構成員の憂鬱
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4280.html
「鷽月頼也、その過負荷(マイナス)」 さて、皆さんは異常(アブノーマル)というものをご存知だろうか? 幼女、乳児、人形、昆虫等、普通でない物に好意、愛情、恋愛感情、性的関心を抱く特殊性癖…ではない 一部の人が生まれながらにして持つ、一種の才能、体質、性質のような物だ。その才能が普通とはあまりにもかけ離れている、普通に考えてありえない、故に『異常』… 主な例だと、拝戸純の『囚納』、花房真樹の『異常、都市伝説に対する異常なまでのスルー・ステルススキル』、 上田明也の『言葉を操る異常』、任天堂寺の『異常なまでの認識・処理・記憶能力』(…良い機会なので『完録(ブルーレイメモリーカード)』とでも名付けよう。) 羨道望の『才念調』、拝戸直の『他人の限界が分かる異常』などである では、過負荷(マイナス)はご存知だろうか? 過負荷(マイナス)―異常と違い、その人の育った環境、性格なんかが影響して発現する。そしてその能力は理由も理屈も存在しない。無意味で無価値で無関心で無責任な屁理屈である…詳しくは漫画『めだか箱』を読んでくださいな はてさて、『マイナスの会(仮)』のリーダーである鷽月頼也もまた、その身に過負荷を抱えている。『大負号』…あらゆるものの『負の側面』を増幅させる、そんな過負荷 頼也『まーそんなそれはそれとして! 僕は歩いているのだ』 『あは!』『球磨●禊がモデルだから大嘘憑きか却本作りが僕の過負荷だと思った?』『甘ぇよ。』『…が、その甘さ』『嫌いじゃないぜ』 鷽月頼也、数話ぶりの登場である 頼也『それにしても、本家球磨さんはしばらく僕が登場しないうちに丸くなったよなー』 そんなことを言いながら歩いている。負のオーラをまき散らしながら 『Hey! Guy!』 低い声の男が、話しかけてきた 頼也『何かな? 僕に何か用?』 『これ…英語でどういう意味だ?』 低い声で、自分の胸の位置を指差しながら尋ねる男。そこには大きく“台所”の文字が…。奇抜すぎるデザインの服である。“台所”って。なんでそれをチョイスしたんだ 頼也『キッチンだよ! それにしても、その服格好悪いね!』 『…だ』 頼也『え?』 『誰が“チキン”だ! 』 そう叫び、思い切り頼也を殴ってきた男。『kitchin』。キッチンをチキンと聞き間違えて滅茶苦茶殴ってくる都市伝説である 頼也『!?』 巨体で殴られ、吹っ飛ばされた頼也 頼也『い』『ったーい』『うわー右腕が動かないー』『呼吸もなんだか苦しいぞぉ』 『鎖骨が折れて肺に突き刺さったかなー』『一生後遺症が残るなーこれは!』 殴られた体を持ち上げながら言う頼也 頼也『あーでも痛くなくなってきた?』『治る兆しかなー』『それとも壊死する兆候かなー』 『まっ』『どっちでも似たようなもんかあ!』 巨大な螺子を取り出し、『kitchin』に攻撃を仕掛ける頼也。これは、ポケットから取り出した普通のプラス螺子を嘘の都市伝説『チパッ草』の『虚栄』で巨大化―虚大化させた物である 『うぁあああああああ! 殺す! 殺す! コロス!』 しかしなおも殴り続ける『kitchen』 頼也『ぐ…ッ』 鳩尾に入ったようだ 頼也『はぁ、はぁ、はぁ』『今度は内臓が破裂したんじゃないかなー』『お腹が裂けるように痛いや!』 『ま、それでも』『僕は君を“螺子”伏せる』 そう言って両手に螺子を出現させ、投げる頼也 『あ゛あ゛ああああああああああああああ!』 しかし、それはかわされ、『kitchen』は更に殴りかかってきた。しかし、飛ばされた螺子は、後ろの固い塀に深々と突き刺さった… 塀は固く、頼也の筋力も弱いため、螺子を突き刺すことは普通は不可能である。では、何故刺さったのか。答えは単純明快。これが頼也の『過負荷』ということである 学校町に昔からあった塀なので、“硬い”が当然“古い”。そう、その“古い”こそがこの塀の欠点(マイナス)。頼也はそのマイナスを肥大化させ、螺子が触れる部分だけを、螺子が簡単に突き刺さるほどに古く脆くした、というわけである 『はぁ、はぁ、なかなかタフじゃねぇか。だが、俺をチキン呼ばわりしたお前を俺は許さねぇ…!』 やっとまともに会話する気に…なっていなかった 頼也『だからkitchenだって。』『ま、』『やられっぱなしってのも癪だし!』『僕も本気を出そうかなー』 すると、みるみるうちに殴られた傷が…否、傷だけでなく、服の汚れや傷さえも、治って…否、戻(なお)っていった 『!? どういうことだ!? それがお前の都市伝説か!? くそっ、なんて回復力なんだ…』 戦き、慄き、戦慄する『kitchen』 頼也『おいおい、それじゃあまるで僕の能力が回復能力みたいじゃないか』『回復能力のように前向き的な都市伝説と』『僕が契約するわけないだろう?』 『事実(すべて)を虚偽(なかったこと)にする』『それが僕の『僧文是』だ――――つまり! この傷も、この汚れも、“全部嘘(オールフィクション)”ってね!』 と、頼也はキメ顔でそう言った――――― 『『僧文是』だと…? ふざけるな! 無敵すぎるにも程がある…!』 頼也『おいおい、騒ぐなよ』『弱く見えるぜ?』 『んじゃ』『まー終わりにしようか』『さようなら!』『噛ませ犬君。』 今度は大量に投げられた頼也の螺子が、『kitchen』の身体に深々と突き刺さり…文字通り、螺子伏せた 頼也『あ、ちなみに『まつ、かなう、そ』も嘘に関わる都市伝説だからね』 …誰に言っているのだろうか? まぁ、そんなこんなで、負完全・鷽月頼也は都市伝説を一体螺子伏せたのであった… 続く…
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2317.html
「足売り婆さん」 やあ、久しぶり。娯楽遊だよ☆俺ってさ、部活系の話にしか出てないよね。一応契約者なのに。そうそう、最近この辺で都市伝説 を見たって情報が有るんだ。これって俺の出番だよね☆ 遊「この辺で出るって聞いたんだけどなぁ」 そんなことを言いながら歩いていると、お婆さんの声が聞こえた 「足は要らんかえー足は要らんかえー」 この声、この台詞。間違いなく『足売り婆さん』。足は要らんかと聞いてきて、要ると答えれば足を無理矢理付けられ、要らないと答えれば 足をとられる、と言うものである。 遊「足売り婆さんか。…いくよ、サーカス☆団!」 遊はそう言ってポケットからテントを取り出した。そしてそこから… 「団長~呼びました~?」玉乗りをしながらジャグリングするピエロが 「アンタ達、団長がお呼びよ!」「「ガウ!!」」熊やライオンを従える猛獣使いが 「団長」「あたし達に」「「お任せ下さい!!」」空中ブランコを華麗に操る男女が 「……がんばります」綱渡りをする男が、飛び出してきた。 遊「よし、今回のターゲットはそこにいる『足売り婆さん』だよ☆」 足婆「足は要らんのかえ?」 ピエ「そこにいるやつですね~」 猛獣「生憎、足なら間に合ってるわ」 足婆「要らんのなら…寄越せ!!!」 猛獣使いのその言葉に反応し、足売り婆さんが飛び掛ってくる。しかし、 ピエ「危ないですよ~婆さん」 その攻撃はピエロの大玉で阻まれてしまう 足婆「な……」 空中「僕たちの」「絆を」「「見せてあげる」」「よ!」「わ!」 空中ブランコの男女が足売り婆さんを高く飛ばす。 綱渡「……!」 綱渡りの男が棒で足売り婆を突き上げる 猛獣「レオ、あの火の輪を潜りなさい!」「ガルル!!」 猛獣使いに命令されたライオンが火の輪に飛び込む。…足売り婆を巻き込みながら 足婆「ぐ…熱い…焼けるぅ……!!」 当然、足売り婆の体は燃え上がる。 遊「よし。ここまですればもう動けないよね。さ、〈勧誘〉してやって☆」 ピエ「了解しました~」 遊がそう指示すると、ピエロたちは足売り婆を紐で結んだ。そしてピエロたちは目の前に不思議な穴 のようなものをつくり…そこに足売り婆を放り込んだ 遊「さ、これでお前も僕のサーカス団の仲間入りさ☆『サーカスは人拐い』…これが俺の契約した都市伝説だよ☆」 ピエロたちが放り込んだのは異空間にあるサーカスの楽屋。そこに入れられれば強制的にサーカス団の一員となるのだ。 遊「ふぁーあ。お前たち、もう戻っていいよ☆」 「「「「「では、お言葉に甘えて」」」」」「「ガウッ!」」 こうして娯楽遊の都市伝説退治が終わるのでした 続く
https://w.atwiki.jp/legends/pages/3152.html
【上田明也の協奏曲32~月夜に踊る踊る踊る~】 俺の契約する都市伝説にはまだ進化の余地がある。 これから戦いがよりいっそう激しくなることが予知される現在、俺はその進化をせねばならない そう結論した俺は夜中こっそりバイクで事務所を抜け出して特訓をしようとしていた。 努力をしなければ進化なんて、より強くなるなんてありえないからだ。 「…………さて、」 とは言ったものの何をしよう。 真夜中に一人で近所をうろうろするって完全に痛い高校生じゃないか。 夜の散歩で己の影に向かう俺かっこいいーってか? おお寒い寒い。 ――――――――――真面目に考えると 都市伝説の能力でまだ使ってない部分を引き出すか もう使っている部分を更に強化するか 自分がやれることはそのどちらかである。 自分は都市伝説の中でも“操作系”の都市伝説能力の扱いに適正があるらしい。 更に“操作系”に対する飛び抜けた才能から説明のしようがない系統の都市伝説能力も引き出せるそうだ。 逆に何かを“変化”させる能力や 有りもしない物を“作り出す”能力、 そして自らの身体を“強化する”能力も引き出しづらいらしい。 さて自分は都市伝説の“操作する”能力を引き出したが、それ以外には大して何もしていない。 ならば自分は操作系以外の能力を試しに引き出してみれば良いのではないだろうか。 「月の綺麗な晩だなあ……。」 何の気無しに空を見上げると月が綺麗だった。 赤くて黄色くて青くて黒くて白くて明るい丸い月。 さっきまで自分は何を考えていたのだかも忘れてしまいそうだった。 そうだ、俺は月夜の晩に散歩するといつもなにか出会いがある。 今日もそれを待つとしようか。 「イヤアアアアアアアアアアアアア!」 ああ、どこかで誰かが襲われている。 まあとりあえず助けに行ってみるか。 本当に助けるかどうかは襲われている人間見てから決めればいいし。 そもそもあれが今日の俺に与えられた出会いかもしれない。 俺は悲鳴の方向にバイクを走らせた。 俺が見たのは芥子色のセーターを着た女性に襲いかかる首無しライダーだった。 暗くても俺にはよくわかる、あの変態的なファッションセンスを除けば中々好みのタイプだ。 いいやむしろ! 可愛い女の子はちょっと変人なくらいの方が萌える! なぜなら親しみが持てるから! 俺は女性を守るようにその首無しライダーを奴のバイクごと我が愛車IMZ・ウラルwithサイドカー(戦闘仕様)で挽き潰す。 目前の敵の骨を粉砕撃滅するいい音が響いた。 「ライダー!ヴィア・エクスプグナティオ!? 私がマスターにでもなるの?」 何を言っているのだろう、頼むから日本語で話して欲しい。 「……ライダーって、仮面ライダー?」 「え、あ、……何でもないです。ってあれ? よく見たら貴方は…………。」 「お久しぶりです看護婦さん。お変わりありませんか?」 「今は看護師なのです。」 ――――――――――ていうか、知り合いだったのだ。 彼女は俺が先日起こした病院破壊事件で病院の建物が崩落する所に巻き込まれた看護婦だった。 俺が思わず助けてしまった後、精神が錯乱していたので放っておいていたのだが……。 「いやあそれにしても探偵さんには二回も助けられてしまいましたね。」 「なに、趣味でやってるから気にしないでください。 それよりもこの辺りは危ないですから……良ければ送りましょうか?」 「いやいや悪いですよ。 三回もお世話になってちゃ申し訳ないです。」 「それを言ったら俺だって前に病院で迷った時に道案内して貰っていますから。」 「ああ、そうだ! そういえばあの患者さんは今日退院でしたよね!」 「そう……ですね、まあ忙しくて中々あれ以来見舞いにも行けなくて……。」 「それは駄目ですよ、あの子……純ちゃんでしたっけ? 絶対探偵さんのこと好きですよ、罪な人ですねえあんな小さい女の子にまで好かれるなんて。」 「ははは……そうなんですかね?」 「そうですよそれは。」 「なのかなあ?あ、こっちのサイドカーに乗ってください。」 「わぁ、サイドカーなんて始めて乗ります!」 サイドカーに乗り込む看護婦さん。 ところで、サイドカーは運転席より少々低いところにある。 セーターで解らなかったが、上から見ると中々どうしてたゆんとしていらっしゃる。 素晴らしいことだ。 胸は無くても良いが有っても良い。 どちらにせよ均整のとれた麗しい形であれば良いのだ。 でも、この大きさは素晴らしい。それだけで一つの美として認めざるを得ない。 偶然にも立ったこのフラグは大事にせざるを得ないだろう。 修行なんて後回しだ。 友情・努力・勝利とか目の前のおっぱいに比べたら犬の餌なのだ。 「住所は?」 「えっと、北区の外れですね。ハッピーピエロ北区店の近くです。」 「了解。」 バイクは静かに走り出す。 月をかげらせる雲が伸びて辺りは急に暗くなっていた。 「そういえば探偵さん、探偵さんって何者なんですか? ビルを爆破してみたり空飛んでみたり……。」 「え、俺は探偵ですよ。ビル爆破したり空飛ぶだけの。」 「そうですか。」 「そうですね。ところで俺だけ質問されるのもあれなので俺から質問しても良いですか?」 「はい、どうぞ。」 「看護婦さんの名前を教えてください。」 「看護婦さんは看護婦さんです。」 「俺が聞いたのは名前です。」 「そうですか、じゃあ倉光とでも呼んでください。」 「解りました看護婦さん、じゃあそういうことにしておきます。」 「それじゃあ今度は私の質問です。 私をさっき襲った首の無い人は何者だったんですか?」 「都市伝説と呼ばれる物です。あれは首無しライダーかな?」 「なるほどなるほど……。」 何時の間にか質問合戦のようになっている。 面白い、俺と質問合戦しようなんて俺を知る人間は考えない。 だが今俺の前の前にいる彼女は俺をあまり知らないのだ。 ならば良いだろう、どうせだからとことん遊んでやろう。 まずはどれくらい狂っているのかを試すか。 「看護婦さん、あの事件の時に貴方は人命は軽いと言っていましたが……。 本当にそうなんでしょうか?」 「それはそうですよ、だってあんな良い人だった院長先生が死んでしまうんですもの。 だったら人間の一人や二人、簡単に死んでも構いませんよね。」 交互に質問をするというルールを無視してたたみかける。 「人間の一人や二人死んでも良い、それは正しいのでしょうか? 貴方はさっき襲われて悲鳴をあげた。 前に貴方を助けた時も貴方は恐怖だけでなく安堵の色を見せていた。 貴方自身は死にたくないんじゃないですか?」 「それはそうですよ、私はまだ死にたくないです。」 「貴方は人間じゃないですか。」 「ええ、人間です。人間だけどそれ以前に私です。」 「ふぅん……、そうですか。」 「じゃあ私からの質問を……。」 「ああ、【ちょっと待って】ください。」 狂う素質が有るかどうかのテストは及第点だ。 バイクを運転しているくせに隣に座っている彼女の瞳を覗き込んでお願いをする。 決めた、この娘で遊ぼう。 「もう、仕方ない探偵さんですね。」 「ありがとうございます。いや、【貴女に興味が出てきた物ですから】。」 言葉が浸透していく。 俺の言葉が、俺の気持ちが、相手の意志を無視して浸透していく。 相手は内側へ入り込んできた俺の気持ちを何時しか自分の気持ちと取り違える。 そして俺は相手のわずかな言葉から相手の気持ちを想像し、自分の中に取り込む。 勝手に想像して勝手に取り込んだ物を相手の内側にまた流し込む。 フィルターを使って都合の良いものだけを抽出するような作業。 「貴女は人間だけどそれ以前に自分は自分だと言いましたね。 だから人間が死んでも良いけど、自分は死にたくない。 ふむ、そうですよね。 世の中なんて無くなっちまえ、ただし自分除いて。 良くある話だ。 でもね、無くなっちまえとか、死んでも良いとか、 そんなこと考えている時にそう思っている対象って大抵人間全体じゃないんですよ。 むしろ人間ですらないことが多い。 貴女だって本当に無価値に思えたのは人間の命じゃない。」 「じゃあなんなんですか?」 「都市伝説のような非日常ですよ。 貴女が尊敬していた太宰院長の命を、尊い命を容易く奪った非日常。 貴女が非日常と言う言葉にどんな価値を認めていたか私には解らない。 でも心優しい一人の老医師の命をあんな簡単に奪う物ならば、 非日常という存在には価値なんてない。 そんなものただただ陰惨で残酷なだけだ。 そう思って貴女は非日常に絶望した。 でもそれを認めたくないから、貴女は人の命の価値がないと言うことにした。 …………なんて、戯れ言ですよ。探偵って仕事やってるとつい、こんな馬鹿なことを言ってみたくなる。」 自分で言っておいてあれだが自分は何を言っているのだろうか。 非日常の無価値さを認めたくないから、人の命の価値をおとしめて自らの平衡を保った。 だとしたら彼女はどれだけ非日常に夢を抱いているのだ。 「…………じつは、そうなのかもしれません。」 え゛っ? ……えっ? ―――――――ええええ!? どんだけ非日常に夢抱いちゃっているのこの子!? 「私、小さい頃から絵本が大好きだったんです。 お伽噺には何時でも出てくるじゃないですか、白馬の王子様。 ああいうのが何時か自分にも来てくれると信じて生きていたら何時の間にか大人になっていて……。 今も実家に暮らしていて両親に迷惑かけ続けで…… 趣味なんて絵本の代わりに何時の間にか嵌っていたゲームしかなく……。 女子力ダウンってレベルじゃない残念な現実ですよ。 そしてそこから逃げる為にまたゲーム等に逃避して……。」 たゆん 再びチラリと胸を見る。 あなたの女子力はどうみてもMAXです。 完全にカンストどころかオーバーリミットしてメーター振り切れているので安心してください。 「でも看護婦さん。俺思うんですが逃避するって悪いことですかね?」 「えっ?」 「俺なんてそこそこまともな家の生まれだったのですが家業が嫌で逃げ出しました。 商才だけは両親に似たらしくって探偵事務所は切り盛りできているんですけど…… まあこれも逃げですよね。 あと昔付き合っていた女性が最近結婚するらしいんですけど、 その結婚相手が俺のことをある理由から滅茶苦茶恨んでいてデスねえ……、、 なんていうかこのまま放っておくと後々面倒になりそうなんですけど俺は何も出来ていません。 まあこれもまたまた逃げですよええ。 とまあ学校町の名探偵と名高い笛吹さんですらこれですよ。 人間ってのはむしろ逃げない方が難しい。」 「名探偵……?」 「さっきの首無しライダーみたいなの退治して回っているんですよ。 料金は応相談、名刺には書いてませんけどね。 ちなみに暇な時は浮気調査やら失せ物探しやら人探しやらやってます。 都市伝説っていうかそっちの筋ではそこそこ有名なんです、そこそこ。」 「へぇ……。」 「で、まあさっきの逃げる逃げないの話に戻りますけどね。 現実から逃げるのは決して悪くないです。 ただ追いつかれるだけなんですから。 ただ追いつかれた時に痛い目に遭うだけですから。最悪振り切ればいい。 此処で問題なのはまたも貴女の言葉が貴女の心理を正確に表していないことなんです。 あなたは貴女が逃げているのは現実じゃなくて日常です。 ストレスの多い普段の生活から逃げたいと思っているだけです。 でも、貴女が逃げ道にしていた非日常も今回の事件で最低だと解ってしまった。 だから貴女は人の命の価値を切り捨ててまで非日常という自分の為の逃げ場を維持しようとした。」 「探偵さん、気になるんですけど……。」 「なんですか?」 「探偵さんが私を分析したことで私は日常にも非日常にも逃げ場がなくなっちゃったんじゃないですか?」 「いいえ、貴女はこれからも非日常を逃げ場にし続けたらいい。」 「え、だって私がもう非日常にも絶望しているって言ったじゃないですか。」 「ええ、でも日常と非日常は違います。 非日常は自らの意志で変えてしまいやすい。 日常は貴女以外にも沢山の貴女と関係有る人間が干渉してきます。 家族とか友人とか同僚とかですね。 そうするとそれを変えることに遠慮するでしょう? でも非日常ならそんな心配要らない。 なんせ貴女の非日常を知るのは私と貴女だけだ。 貴女は貴女の望むように貴女の非日常を楽しめばいい。 たとえば……、コスプレしてさっきみたいな都市伝説を倒してみるとか。 軽くヒーロー気分ですよ?」 「そんなの無理ですよ、だってあんなお化けみたいなの倒せる訳無いじゃないですか!」 「それが】【貴女の】【思い込みだ。」 なんとなく、遊びが最終段階に入ったと感じる。 あと少し方向性を示すだけで彼女は完全に狂う。 「そもそも都市伝説を倒すなんて簡単だ。 貴女も都市伝説の力を借りればいい。 いいや、それすら必要ない。 たとえば銃弾で眉間をぶち抜く。 もしくは毒薬でこっそりと命を奪う。 あとは俺みたいな人間を騙して都市伝説を無料で倒させても良いかもしれない。 まあ方法は任せますけど。 ありとあらゆる都市伝説について調べ抜いてその攻略法を探求していけば…… 極論ですが、只の人間でも都市伝説は倒せる。 そもそも妖怪だのお化けだの都市伝説の元になったもの達は 『人間に退治される為に生まれた』存在だと言われていますから。 彼等も所詮人間の望みから生まれた以上、人間に消されるのが宿命なんでしょうね。」 「…………なるほど。」 「わかってくれましたか? 只の人間だからって非日常に巻き込まれるだけである必要は無い。 むしろ楽しまないといけません。 物事は何でもハレとケがあります。 非日常を自分の望むように変革すれば、きっと楽しい人生を送れますよ?」 俺は微笑む。 彼女の顔が輝く。 眼と眼があってそこに一瞬の間が生まれた後、彼女は口を開いた。 「なるほどなるほど……そうですね! 最初からそうすれば良かったんだ、ありがとうございます!」 ――――――――――――――ああ、完璧だ。 もともと狂気に陥る素質が有る人間を完璧に堕とすのは何時でも楽しい。 だって彼等が本当に幸せそうにしてくれるから。 俺の作業が終わるとそこから先はたわいもない世間話をした。 お気に入りの中華料理店とか、お気に入りの麻婆豆腐とか。 そうやって話している内に何時の間にか彼女の家の前までついていた。 「困ったことがあったら何時でも言ってください。 これ、私のプライベートの方のメールアドレスと携帯の電話番号ですから。 都市伝説の倒し方までなら無料で教えられますし。」 「わぁ、ありがとうございます! あれ……今携帯もって無いんですか、赤外線通信の方が早いですよ?」 「そういえばそれもそうか。あんまりやったこと無いんだよなあ……。 これで大丈夫ですか?」 「はい、ばっちり登録されました!」 おいおい、白衣の天使のメアドゲットできちゃったよ。 流石俺、流石名探偵俺。 故意……じゃなくて恋の行方も操作……じゃなくて捜査しちゃうぜ!ってか。 「それじゃあ今日はここのところで。」 「はい、今日は本当にありがとうございました。 今度こそお礼させてくださいね、その中華料理店とかでご飯でもごちそうさせてください。」 「良いんですか?嬉しいなあ、無駄遣いして今週ピンチだったんですよ。」 今週ピンチとか当然嘘ですごめんなさい。無駄遣いなんてする性格じゃないです。 自分が持っているビルのテナント代も入っているのでほくほくです。 でもちょっとだらしないところを見せた方が良いじゃないですか、可愛らしく見えて。 心の中で看護婦さんに謝りながら俺はMZ・ウラルで事務所に向けて走り出した。 【上田明也の奇想曲32~月夜に踊る踊る踊る~fin】
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4506.html
『もしもし!私、メリーさん!あなたの恋人になってあげるから、私と契約して、都市伝説契約者になってよ!』 「だが断る!!」 この一連の流れ、もう何度目だろうか 数えるのも馬鹿らしく、覚えてすらいない? 『どうして?こんな可愛いメリーさんが契約してあげるのに?』 「お前の姿見た事ねぇよ、声しかわかんねぇよ」 電話でしか接触してないから、姿がわからないと言うに 声的に幼女なのはわかるが……いや、声は幼女だが、実際は婆な可能性は否定できない その年齢でその声…だと、な声優さんがいらっしゃるのもまた事実 『この間、写メを送ってあげたじゃない』 「どアップすぎてどんな顔かすらわかんねぇよ」 改めて、確認してみる うん、やっぱりどアップでわからない 「っつか、メリーさんってのは、電話をかけた相手を殺すのと違うのか」 『メリーさんのお話で、メリーさんが人を殺すとは断定されてないの』 「まぁ、それはそうだが。そっからどうして俺の恋人になるとか俺が契約するとかそういう話になる」 『私は都市伝説だから、契約してくれる人が欲しいの!絆がほしいの、ぬくもりが欲しいの。存在を確立していきたいの!』 よくわからんと言うに それに、第一 「俺は女だから、幼女の恋人はいらん」 『大丈夫、メリーさんは幼女である以前に人形だから!』 「大丈夫じゃねぇよ」 『もしもし!私、メリーさん!あなたの恋人になってあげるから、私と契約して、都市伝説契約者になってよ!』 「だが断る!!」 この一連の流れ、もう何度目だろうか 数えるのも馬鹿らしく、覚えてすらいない? 『どうして?こんな可愛いメリーさんが契約してあげるのに?』 「お前の姿見た事ねぇよ、声しかわかんねぇよ」 電話でしか接触してないから、姿がわからないと言うに 声的に幼女なのはわかるが……いや、声は幼女だが、実際は婆な可能性は否定できない その年齢でその声…だと、な声優さんがいらっしゃるのもまた事実 『この間、写メを送ってあげたじゃない』 「どアップすぎてどんな顔かすらわかんねぇよ」 改めて、確認してみる うん、やっぱりどアップでわからない 「っつか、メリーさんってのは、電話をかけた相手を殺すのと違うのか」 『メリーさんのお話で、メリーさんが人を殺すとは断定されてないの』 「まぁ、それはそうだが。そっからどうして俺の恋人になるとか俺が契約するとかそういう話になる」 『私は都市伝説だから、契約してくれる人が欲しいの!絆がほしいの、ぬくもりが欲しいの。存在を確立していきたいの!』 よくわからんと言うに それに、第一 「俺は女だから、幼女の恋人はいらん」 『大丈夫、メリーさんは幼女である以前に人形だから!』 「大丈夫じゃねぇよ」 大丈夫じゃない どう考えても、大丈夫じゃない 恋人以前の問題だろうが 人形を愛する趣味はない 『えー、エロエロな事をしても問題ないのに』 「したくねぇよ。っつか、お前は女が恋人でもいいのか」 『私は男も女もどっちもいける口なの』 ぶつっ 通話を切った うん、変態だ どう考えても変態だ 都市伝説とか言っているが、もしかしたら幼女声の痴女からの電話なのかもしれない よし、非通知に……… ~♪~ 皆がいるから よっこらせっくす ~♪~ 『もしもし!私、メリーさん!突然通話を切ってくるなんて酷いわ』 どうして、勝手に通話がつながるんだよ畜生 どうなってんだ、この怪奇現象 幼女声の変態から電話がかかり始めて一週間 俺は、窓からこっちを覗いてきている人形に気付かぬふりをしながら、このやり取りを続けているのだった 終われ 「単発もの」に戻る ページ最上部へ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2438.html
とある昼下がり 学校町の繁華街に存在する、ウェイトレスの制服のデザインがちょっとアレな事で有名なファミレス「フェアリー・モート」にて ことん、と 机の上に置かれた小さな子瓶 中には、液体…薬品が入っている 「これが、悪魔の囁きを体外へと排出させる薬かい?」 「あぁ。つっても、深く憑かれた奴には、一発じゃ効かねぇからな。そう言う奴には、数度に渡って投薬するか、投薬前に説得なりなんなりして、悪魔の囁きを少しでもそいつから引き剥がす必要がある」 「第三帝国」所属のドクターと、マッドガッサー一味の1人である広瀬 辰也 この二人はとある理由から協力しあっており、時折、こうやって薬品類の譲渡などを行っている 辰也が、本来はドクターのような研究者の類を毛嫌いしている事を考えれば、随分と異質な光景である 「こっちでは、ひとまず、魔女が精製に成功した。だから、それはそっちで好きに使え」 「あぁ、それでは、そうさせてもらおう」 薬品の入った小瓶を、懐に仕舞うドクター その表情には、やや疲れが滲んでいた 「また、ロクに休んでねーのか、お前は」 「…何せ、沙々耶が襲われてしまったからね。彼女を護る為の対処もしなければならないからな」 「…悪魔の囁き契約者の、口封じか」 ドクターの研究の成果によって、悪魔の囁きから人間になった少女、沙々耶 だが、彼女から、悪魔の囁きであった頃の記憶が消えた訳ではない …契約者であった存在に、彼女はいつ、口封じされてもおかしくないのだ 人間となった今、その気配を探る事もできないであろうから、彼女が過敏に犬を怖がっていなければ、ほぼ、バレなかったはずなのだが 「朝比奈 秀雄。かなり冷酷な人物のようだね」 「…冷酷どころか、人間のカスだ」 ぼそり、低く呟く辰也 朝比奈 秀雄と言う男の経歴その他を調べた結果わかった事実は、ただでさえ、仲間が悪魔の囁きに憑かれて暴走したり、悪魔の囁き憑きに襲われて負傷した事実から彼が抱いていた怒りに、油を注いだ 辰也にとって、朝比奈 秀雄と言う男は、どこまでも憎悪の対象でしかなくなっていた 「相手の戦力その他は、こっちのメモに纏めといた。「第三帝国」が連中に対してどう言う態度に出るかは知らねぇが、使えそうだったら使っとけ」 「ありがたく、その情報も頂こう……こちらとしては、総統が無茶な事をしでかさない事を祈るばかりだよ」 小さく苦笑するドクター …そうなのだ 朝比奈の、クールトーとの契約による、犬を操る能力 それは、「第三帝国」総統日本支部代表にとって、まことに嫌悪すべき能力である 無茶な事をしでかさないでほしい 本当に、祈るばかりである 「…それにしても、これくらいのやり取りなら、診療所で行っても、良かったのではないかね?」 コーヒーを口にしつつ、そう尋ねるドクター まぁ、この店のウェイトレスの制服は、目の保養になるのでこれはこれでいいのだが …ドクターが尋ねたその言葉は、辰也は難しい表情を浮かべた 「……つってもな。診療所にあの餓鬼がいる時は、なるべくこう言う話はしたくねーんだよ」 「エニグマ姉妹の、妹の事かね?」 あぁ、と頷く辰也 あの少女から、何らかの都市伝説の影響を感じて以来、辰也はずっと、彼女を警戒し続けていた なるべく顔を合わせようとせず、彼女の前ではいかなる情報も口にしようとしない 徹底したさけようである 出来うる限り、恵を彼女に会わせないよう努力も忘れていない 「何の都市伝説の影響か、わかったもんじゃないからな。悪魔の囁きの可能性だって捨てきれないし……万が一、「アメリカ政府の陰謀論」の影響なんざ受けてた日にゃ、洒落になんねぇだろ」 「まったく、君は警戒心が強いな……まぁ、悪い事ではないと思うがね」 辰也の生い立ちや今までの経験を考えれば、むしろ、その警戒は当然の事と言えよう 自身の身の安全のためにも、仲間の安全の為にも 彼は、強い警戒心を持って、行動しているのだ …その辺りに関する知識は、恐らく一部…どころか大半が、あの黒服から受け継いだ知識なのかもしれないが 「複数の都市伝説組織と敵対してんだ。警戒は当たり前だろ」 ドクターの予想通り、そう口にする辰也 そうだな、とドクターも頷く 「…君が身につけているピアスが、ミスリル銀製なのも、一部都市伝説の不意打ちを警戒してかい?そのピアスならば、「ピアス穴の白い糸」の効果は受け付けないだろうからね」 「……よくわかったな。これがミスリル銀だって」 ちらり、普段は肩の辺りまで伸ばされた髪に隠れてよく見えない、その耳 そこにつけられた一対のピアスは…確かに、ドクターの言う通り、ミスリル銀製だ その存在自体が都市伝説であるそれは、他の都市伝説の影響を受け付けない 「組織」にいた頃に、黒服Hから渡された物だった ……また、あれに世話になっている事実に気づかされ、辰也はやや、面白くない 「…とにかく。あいつについてる都市伝説、さっさと確認した方がいいんじゃねぇのか?」 「……そうだな。君の言うとおり、「アメリカ政府の陰謀論」の影響を受けていたら…それは、問題だ」 …もっとも、それ以上に問題なのは 彼女についているのが「アメリカ政府の陰謀論」だったとして…それが判明した時、どうするか? それが、非常に重い問題として、存在してしまっている それが、ドクターを憂鬱にさせた 「もしもの時は、こっち経由であの双子の餓鬼の引き取り先、探すぞ?」 「…気持ちだけ受け取っておこう。こちらの問題は、こちらで始末をつけるさ」 …それが、最悪の結果になってしまわないように、努力するだけだ ドクターはそう、口の中で小さく付け足したのだった to be … ? 前ページ次ページ連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4168.html
光彦「よぅ正義、[明美(アケミ)]。元気にしていたか。」 駅から出ると、懐かしい声が聞こえる。そう、正義の父親、[黄昏光彦(ミツヒコ)]である。 正義「あ、お父さん!」 半年と軽く言うが、それも結構長い時間。正義は嬉しそうに父親に駆け寄った。 しかしいつかのように抱きつくでなく、ただ話しかけるだけ。そう、正義はもう中学生なのだ。もう子どもではない、という事らしい。 正義「お兄ちゃんとはどうだった?」 光彦「あぁ、飯は上手だったな。少なくとも、明美以上だな。」 明美「えぇ、ミツ、それは酷いんじゃない?」 大王「(いつまでこの会話は続くんだ?)」 少々長かった団欒も、ふいに正義の母の言葉で止まる。 明美「そろそろ家に行きましょうよ。足が疲れちゃった。」 光彦「まったく、親子の再会をじゃまするとは。」 明美「なによ。それなら私も裂邪と感動の再会をさせてよ。『ママぁー!』『裂邪ぁー!』って。」 正義「えー、お兄ちゃんはそんなんじゃないよ。」 約2名の笑いが起こったところで3人を、いや、【恐怖の大王】を含めて4人を乗せた車は走り出した。 大王「(思えば、俺が世界征服に乗り出せないのは、この両親の所為でもあるな。子ども思いで、明るくて。おかげで少年もこの始末か。)」 正義「そういえば、なんでお兄ちゃんは来なかったの?」 光彦「また散歩と言って出て行ったよ。よほど正義に会うのが恥ずかしいんだろうな。」 明美「いや、きっとこの綺麗な私に会うのが」 光彦「そういえば正義、学校はどうだったんだ?」 正義「楽しかったよ!あ、そういえば修学旅行のお土産まだだったね。あとで渡すよ。」 明美「もう、マサヨシまで無視?お母さん寂しいんですけどぉ。」 ―――なんだかんだで、これから正義が住む事になる家に着いた。 光彦「よし、じゃあ荷物を家に入れるか。」 正義「ねぇ、お兄ちゃん探しに行ってもいい?」 光彦「ん?別にいいが、なんでだ?」 正義「だってお土産、一緒に渡したいから。じゃあ行ってきまーす。」 明美「いってらっしゃーい。気をつけるのよ。」 光彦「(まぁ、大丈夫だろうな。)」 外へ出て少し経った頃に、大王が正義に話しかけてくる。 大王「少年。あんなやつに、プレゼントを渡すのか?」 正義「・・・別にいいじゃん。『罪を憎んで人を憎まず』って言うしさ。」 大王「煮込む煮込まないは分かったが、アメと鞭は大事だと思うぞ。俺なら良い事をしてから、だと思うが。」 正義「『悪い子だからあげない』って言っても逆に悪くなる方が多いよ。それより、『少年』って呼ぶのはもう止めてよ。」 大王「あぁ分かったよ、『少年』。」 正義「だから!もうボクは中学生だよ!子どもじゃないんだよ。」 大王「そう言っているうちは子どもだ。そうだな、俺が大人になったと認めた時に『少年』と呼ぶのを止めてやる。」 正義「うぅ、うん、分かった。でもどうやったら認めるんだよ?」 大王「無論、『幹部になったら』だ。」 正義「やっぱり大王には認めてもらわなくていい。まだ世界征服狙ってたのか。」 大王「(まったく、いつまで経っても少年は『少年』のままだな。)そういえば、何故『大王』なんだ?」 正義「え?大王は大王じゃん。」 大王「友やコインは『くん・ちゃん』付けだろ。なら俺は『大王様』、少なくとも『大王さん』じゃないのか?」 正義「えぇ、じゃあ大王が世界征服を諦めたら“バッサァァァ・・・”考えてあげても・・・。」 突如、目の前に謎の生物が現れた。都市伝説である事はすぐに分かる。 しかしゴミ袋かと思っていたら赤く光る目があり、蛾のような羽があり、さらに脚がある、というリアクションに困る姿をしているのだ。 いったい何の都市伝説なんだ?考えている暇もなく奴は急降下して攻撃をしようとしてくる。 ?都市伝説「・・・、喰、う。」 大王「・・・、戦うのみだな。」 正義「そうみたいだね。大王、いくよ!」 その言葉に反応し、大王が上空に黒雲を広げる。 大王「さて、何で行く?」 正義「んと、『槍の日』で行こう。あれなら避けられないはず。」 大王「なるほど、では行くか!」 黒雲にスパークが走り、大量の槍が降ってくる。まさに『槍の日』。しかしあの都市伝説は槍をするすると避けていく。 大王「これを避けるとは、なかなかだな。」 正義「でも、これならどう!?」 正義はおもむろに降ってくる槍の1つを手に取り、敵へと投げつける。 正義「(上に気を取られている隙に横から来る、下手に避ければ上の攻撃に当たる。これを避けられるか?)」 正義の作戦さえも、あの都市伝説は軽く避けてしまう。遂に雲の外に出てしまった。 大王「くっ!想像より速いようだな。もっと量が多ければ避けられんだろうが、修行不足か。」 不意に向こう側、おそらく槍を投げた方向から、悲鳴のような叫びが聞こえる。 大王「ん?さっきの槍が通行人にでも当たったか?」 裂邪「正義ィ!お前か!?こんな所で槍投げんな!」 その声は、どう聞いても正義の兄、裂邪の声だった。その声に正義が反応するが、 ?都市伝説「あ゛、さっきの・・・。」 正義「あ、お兄ちゃんいたのッ、って増えてるゥ?!」 声の方を向くと、裂邪の後に都市伝説と思わしきものがシェイドの他に3体ほどいた。 正確には火の玉、謎の小動物、あと正義が反応している事から、おそらくあの小学校高学年ほどの少女も都市伝説だろうか。 裂邪「無視すんな!まぁいい、そこの【モスマン】もろとも―――」 ?小動物「なぁ主、あのおっさんは誰バク?」 大王「(まさか更に契約したというのか?それともあの少女も契約者なのか?って)『おっさん』?!」 シェイド「アイツカ?【恐怖の大王】ダ。」 ?都市伝説×3「えッ!?【恐怖の大王】ッ?!」 大王の正体を知ると突然、あの3体が慌てふためきだした。何故かは黄昏兄弟とシェイド、大王も分からなかった。 大王「ん?俺はそんなに有名なのか?」 正義「コインちゃんも知ってたからね。最近生まれた都市伝説は知っている、とかかな。」 シェイド「落チ着ケ。契約者ニ恵マレズ、今デハタダノ『おっさん』ダ。」 大王「だから何故『おっさん』なんだ!?」 相手にされないのでつまらなくなったのか、急にあの【モスマン】という都市伝説が裂邪に向けて目からビームを放つ。 裂邪「あっつぅ!」 正義「お兄ちゃん!」 大王「目からビーム、か。少々厄介だな。」 モスマン「・・・、腹、減った・・・。」 裂邪「チックショウ、モスラかよ!シェイド![バク]![ウィル]!」 その命令に反応し、シェイドは長い爪のような姿に変形して裂邪の右手に付き、[バク]と呼ばれる小動物は熊ぐらい大きさのキメラのような姿に変身し、 [ウィル]と呼ばれる火の玉は急に増え、1列に連なり鞭のようになって左手に付いた。 正義「かっこいい・・・。」 大王「言うと思った。いいから戦うぞ!」 正義「分かった。大王、変身だ!」 大王「無茶を言うな!行くぞ。」 そう言うと、黒雲から剣が2本降ってくる。大王は普通に手に取り、正義は手にとってから、すぐに【モスマン】に向かって行った。 正義「てりゃあぁぁ!」 【モスマン】はゆっくりと、上へ飛翔していった。「あ。」という声は既に遅く、“ゴンッ”という鈍い音が鳴る。 向こう側からやってきた裂邪に正義がぶつかって、尻餅をついた。正義は涙目になりながら打ったところを撫でていた。 裂邪「ッつったぁ~!正義!どこ見てやがる!?」 正義「もう!策もなしに突っ込んできて!」 裂邪「バカか!俺はお前と違って大人なんだ!何の考えもなしに敵に突っ込むかバーカ!どうせお前はこの1年間なんの成長もしていないんだろ!? 俺がいなくなった後も都市伝説に説教かまして、彼女とイチャイチャしてたんだろ?!」 正義「成長したよ!もうボクは中学生だよ!?それに説教は大事な事だし、ボクには彼女なんていないし!」 大王「・・・、やっぱり、子どもだよな。特に兄の方が。」ボソッ 空腹で苛立っているのか、【モスマン】は空中からビームを乱射する。 正義と大王は修行のおかげもあって、難なく回避する。裂邪は、ふとみるとバリアで守られているようである。 大王「“チッ”便利な都市伝説だな。誰の能力だ?」 正義「あの女の子だよ。シャボン玉みたいにバリアを張ってた。」 大王「あいつも契約者か。シェイドと火の玉のを武器、そして盾付きとは豪勢だな。」 正義「ほんとだよ、いざって時に手に負えなくなりそう。でもあの子は都市伝説みたいだよ。」 大王「そうか、では4体と契約か?飲み込まれてても知らんぞ。」 裂邪はウィルを鞭のように扱うが、攻撃は一向に【モスマン】には命中しない。 こちらも策を練るが、あいにく大王は飛び道具を降らす事はできず、雷は外れた時のこちらへの被害が不安、なかなか良い手が出ない。 裂邪「―――そうだ、おいおっさん!雨降らせ!」 大王「またおっさんだと!?それが人に物を頼む態度か!」 正義「(お兄ちゃんの事だから、やはり何か手が?ここはおとなしく聞いておこうか。)大王、ここは。」 大王「・・・、仕方がないか。」 大王は上空に、太陽も隠れるほど黒雲を広げ、大量の雨を降らせる。 大王「これでお望みの量か?!」 裂邪「ウヒヒヒヒ、よくやった!ウィル!『百物語』!」 裂邪の命令に反応し、ウィルが何十体にも増え、周りに散らばり、まるで蝋燭の灯火の様になる。 ふと、少女が歌を歌いだす。おそらく『さっちゃん』であろう、おそらくそのはずだ。 ウィル「「うおぉぉぉーん!バナナ半分なんて可哀想で~い!」」 周りから鳴り響く叫びと共にウィルの炎の色が青くなる。 大王「まさか、『さっちゃん』を聞いて泣いているのではないだろうな?」 正義「あれ、寒くなってきた?あ、霧!?」 気がつくと、周りにだんだんと霧が立ち込めてきた。おそらくこれが裂邪の作戦なのであろう。 正義「この霧で視界を悪くして、隙を突く、かな?」 大王「なるほど、完敗だ。あの火の玉のに周りを冷やす能力があったのか。能力をよく理解している。」 しかし正義は霧の中を注意深く見回し、【モスマン】を探す。 正義「でも・・・、あそこか。緑色の光も見える。たぶん火の玉のやつだね。」 大王「おい、まさか横取りする気か?それは良くないんじゃないのか?」 正義「悪いけど、『同じ事』を、そう何度も繰り返させない。」 ゆっくりと放った、その言葉の重みは、誰よりも大王が知っていた。あえて黙認し、正義を【モスマン】のところへ向かわせた。 正義は駆け足で【モスマン】のところへ向かう。その姿がだいぶ見えた時、その影に跳びかかる。 正義「てぇえりゃあぁぁー!」ブン! ベシィッ! その剣を、正義は力強く、【モスマン】の頭に叩きつけた。峰打ちとでも言おうか。そのまま【モスマン】を霧の外へと弾き飛ばした。 【モスマン】は軽く気を失っているようだったが、ゆっくり起こし、そのまま説教が始まるのであった。 正義「―――だから人を食べるなんて絶対にダメ!だからといっていくら空腹でも他人の物を奪うのもダメだよ。 困っている人を助けたりしてそのお礼として食べ物を貰うんだよ。分かった?―――。」 大王「(このご時世にお礼に食事を与えてくれる、心優しい人間などいるのだろうか?)」 なにか悔しそうにしている裂邪を余所に説教は終わり、【モスマン】はフラフラと空へと戻っていった。 正義「これからは人のためにがんばるんだぞぉー!」 モスマン「分かっ、た・・・。」 正義は手を振り終えると、すぐに兄の方を向く。無論『あの悲劇』を繰り返さないためである。 あの時目を離したから、犠牲者が出た。だから次は絶対に目を離さない。それが正義の『誓い』である。 大王は、正義の気持ちや考え、今かすかに目に溜まった涙の訳は、長く共にいるためだいたい分かる。 だからこそ、その次の行動に驚かざるを得なかった。正義が、裂邪に抱きついたのである。 正義「お兄ちゃん、久しぶりぃ!」ガスッ 裂邪「“ゴキッ”おごぉ!あ・・・ばら・・・ぼね?つ・・・っか・・・足・・・痛・・・」 正義「お兄ちゃん、寂しかった?また一緒に暮らせるからね!」 シェイド「平和ダナ。」 大王「・・・?あぁ。」 大王は何故こんな事をしたか分からなかった。攻撃をするために飛びかかったのだとさえ思った。『兄だから』という理由もすぐに出たが、 なにかそれでは片付かない違和感がある。大王の疑問の回答は帰ってくる事はなく、正義は質問を投げかける。 正義「ところで、やっぱりその女の子達と契約したの?」 裂邪「・・・まぁな、『夢幻泡影四天王』、俺の世界征服のための俺の仲間だ。」 正義「まだそんな事言ってたの!?お父さんと一緒だったのに世界征服を諦めてないなんて!」 裂邪「悪いか!すぐに諦められる夢なんて見ねぇよ!俺は一生諦めない!人の夢は終わらねぇ!」 正義「最後の言葉どっかで聞いたよ?!」 やはり口喧嘩が始まった。しかし『いつも通り』ではなく、若干正義の歯切れが悪い。なにか・・・。 大王「もういいだろ、兄を見つけたんだから。親も心配するぞ?」 正義「あ、そうか。お兄ちゃん、もう帰るよ。」 裂邪「シェイド、『シャドーダイブ』で[ミナワ]達を先に俺の部屋に。」 裂邪の命令により、シェイドの能力で自分の契約している都市伝説は影の中へと溶けるように入っていった。 大王「どういう事だ?お前は帰らないのか?」 裂邪「お前らが迎えに来たんだから、俺が部屋に帰ったら不自然だろ?それに親父達にミナワ達を見られる訳にはいかんし。」 大王「ん?契約者以外でも見えるタイプなのか?」 裂邪は数分硬直し、驚いたように言葉を放つ。 裂邪「見えないやつもいるのか!?」 正義「え?う、うん。例えば幽霊系は、基本的に契約者か都市伝説の被害者にしか見えないらしいよ。」 大王「俺も見えない、はずだ。」 裂邪は何故か黙りこくっていた。考え事でもしているのだろうか。 正義「ほら、もう帰るよぉ?」 こうして、3人はゆっくりと家へ帰るのであった。 光彦「おぅ、帰ってきたか。」 正義「ただいまぁー!」ガラガラ 明美「おかえりぃ、裂邪、マサヨシ。」 裂邪「あ、母さん久しぶり。」 少々雑談があった後、正義が父親と裂邪にいつかのお土産を渡す。 正義「そしてこれが、修学旅行のお土産。水族館で買ったんだ。はい。」 そう言って、ガラスの中に白い線で作った水中生物が入っている置物を出した。父親にはイルカが、兄にはクラゲが入っているものを渡す。 光彦「ん、面白いな。何なんだこれは?」 裂邪「あら綺麗!・・・ありがとう。」 正義「ふふん。」ニコッ 光彦「ところで食い物はどこだ?クッキーとか無いのか?」 明美「もう、今いいところなのに。腐ると危ないからって買ってません。」 光彦「うっ、すまんすまん。ちょっと分からんかった。」 明美「裂邪が『ありがとう』って言ったのよ。信じられる?」ボソボソ 光彦「本当か?まいった、聞き逃したなぁ。」ボソボソ 家族が団らんしている部屋の外では、大王が考え事をしていた。何故少年とその兄の会話が変だと思えるのか?何かが違う。 本当に些細な違いだが、まるで少年らしくなく感じる。 ふと、もう1つある事に気付く。こんな事を考えているようでは世界征服なんてしていられないと。 どうやら少年の甘さがうつったようだ。ゆっくり甘さを忘れていかなければならないな。 ―――世界征服への道は遠い。 第2話「初仕事」―完― 次回予告4コマ――― ☆資料をまとめ☆ ???「『若者の骨粗しょう症に迫る』『キスをすると骨がもろくなる?』『牛乳のススメ』・・・。」 ???「おそらくこの事件によって沸いてきた記事だろうが・・・。本当にこの事件はその程度のものなのか?」 ???「何人もの人間が同じ事にあっているんだぞ。いったいどういう事なんだ?」 ―――教えてくれ 都市伝説よ――― ●謎の人物現る?!真相は、webで!(コラ では第3話に続きます。 前ページ次ページ連載 - 舞い降りた大王
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2617.html
4月某日 喫茶店 ルーモアにて 「…そうか。「日焼けマシンで人間ステーキ」の青年のアルバイト先にも、悪魔の囁き感染者はいなかったか」 「はい、今のところではありますが」 黒服とTさんは、悪魔の囁き騒動に関する事で、情報交換を行っていた 電話でも話せる事ではあるが、直接顔を合わせて情報交換を行うのが一番だ 「朝比奈 秀雄の三つ目の都市伝説に関しましては、まだ、正体が確定できません。いくつか、心当たりはあるのですが…」 「…怪力に高い防御力、炎と毒のブレスか……心当たりはあるが、それでだけはあってほしくない、と考えたいところだな」 Tさんの言葉に、全くです、と小さく苦笑する黒服 …「組織」内部でも、これでは、と予測は立てられ始めている…の、だが まだ、核心できるほどの情報は少ないのだ もっとも、朝比奈 秀雄の最後の都市伝説がそれであると「認めたくない」だけなのかもしれないが 何せ、それは……あまりにも、強力すぎる都市伝説だ 単体契約でも、それと契約した瞬間に飲み込まれる可能性が高い それを含めた多重契約をしているのなら……朝比奈自身の「器」は、はたしてどれだけ強大なのか それを考えるのが、恐ろしいのかもしれない 「それと…朝比奈 秀雄に、都市伝説の契約書を横流ししていました「組織」の裏切り者が、判明しました」 「…「コーラにはコカインが含まれている」の支配型の契約者が増大した原因を作った者か」 「はい…H-No.9。「病は気から」に飲み込まれた存在です。私は担当部署が違いますので詳しくは知りませんが、元々は研究班に所属していたようですね」 …「13階段」の契約者たる広瀬 辰也にとっては、因縁のある相手である事を、この黒服も把握している 彼が、今回のその事実を知ったならば…H-No.9が「組織」から離脱し、討伐対象になっている事を知ったならば…復讐の為に、先走った行動をしなければ良いのだが この黒服は、それを心配する 「それと……その、朝比奈 秀雄の目的なのですが。翼の実家の権力以外にも、狙っているものがある可能性が、出てきました」 「……それはもしや、「小瓶の魔人」か?」 Tさんの口から、「小瓶の魔人」と言う単語が出て 黒服は、思わず眉をひそめた …まさか、だが 「あぁ、朝比奈 マドカから聞いたんだ」 「…やはりですか」 彼女の軽率さに、かすかに頭痛のようなものを覚える 相手が、Tさんだから良かったものを あのような存在については、あまり口外すべきではない 「黒服さんも、それについて知っていたか」 「…日景家を訪問した際に、その小瓶を拝見しました。小瓶の中から、威圧感を感じる程の強い都市伝説の気配を感じました…あまり、長くそばにいると、その威圧感に押しつぶされるのではないかと言う錯覚を覚えましたよ」 「なるほど、本物か」 はい、と頷く黒服 …朝比奈 秀雄が、その存在を把握している可能性がある 朝比奈 マドカが、その存在を口走ってしまっている可能性が高いからだ こう言っては悪いが、彼女は後先を考えない部分がかなり、あるようだから そうじゃなくとも、酒の勢いで口走ってしまった可能性も、高い 「…Tさん、申し訳ありませんが。その事は、できればご内密に」 「あぁ、わかっている。願いをかなえる都市伝説を保有している、と言うのは………不幸を招く情報だからな」 自身も、そう言った経験をしているからだろうか 神妙な表情のTさん 「「日焼けマシンで人間ステーキ」の青年は、その情報は」 「把握しています。あの子も、朝比奈 秀雄はその小瓶も目的としている可能性が高いのでは、と言っていました」 だからこそ、翼は余計に、朝比奈 秀雄を倒さなければ、と考えている …たとえ、その命を奪う事になろうとも だが、優しい翼の心が、肉親殺しと言う業に耐えられるとは思えない ……だから いざと言う時は、自分が、翼の代わりに手を下そう 黒服は、そう決意する 「……黒服さん。背負い込みすぎないようにな」 「はい。お心遣い、ありがとうございます」 黒服の表情から、何かを感じ取ったのだろうか Tさんの言葉に、黒服は小さく苦笑して答えた さて、あと、Tさんに伝えていない情報は何であったか 黒服が、情報を整理していると …からん…ころん… 「あ、いたいた。Tさーん、黒服さーん」 「おにいちゃーん」 店内に、Tさんの契約者の舞と、リカちゃんが入ってきた そして、舞の後を付いて来るように、ゴスロリ服の少女が入り込んでくる その少女の姿に覚えがある黒服は、おや、と小さく声をあげた 「ヘンリエッタさん?」 「おぉ、D-No.962か」 「…あれ?黒服さん、知り合い?」 首を傾げた舞に、はい、と答える黒服 てとてと、舞達は黒服とTさんの席へと近づいてくる 「私の上司が担当しております、契約者さんです」 「うむ。そして、望の友達なのじゃ!」 どこか誇らしげに、ない胸をはってそう言ったヘンリエッタ ヘンリエッタの声に、Tさんが聞き覚えがあるような表情を浮かべたのだが、黒服は気づいていない 「なぁ、Tさん。あのユニコーンの兄ちゃん、やっぱり、悪魔の囁きにとり憑かれてたみたいだぞ」 「…!また、遭遇したのか?」 頷く、舞とリカちゃん 黒服も、眉を潜める 「…また、悪魔の囁きにとり憑かれている者が、現れたのですか?」 「うむ、妾が調べたのだから、間違いないのじゃ!」 再び、胸を張って言うヘンリエッタ 黒服は、難しい表情を浮かべる 「…近頃、「リア充爆発しろ」の能力によるものと思われる爆発事故が多発していまして。「組織」としては、その契約者が悪魔の囁きに騒動に関連している可能性を調べていましたが……ユニコーン、ですか」 ユニコーンは、貴重な都市伝説だ 確か、ヨーロッパでも数えるほどしかユニコーンと契約した存在はいない 後で、「薔薇十字団」に問い合わせれば、何かわかるかもしれない 新たな情報を手にして、黒服は思考をめぐらせるのだった to be … ? Tさん「コーク・ロア:お嬢さん」へ 前ページ次ページ連載 - とある組織の構成員の憂鬱