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三面鏡の少女 33 冬休みも明けたある日の事 いつも通り騒がしい教室の隅の席で、静かに本を読んでる三面鏡の少女 中学から付き合いがある友人は学校内に何人かいるが、高校に入ってから積極的に友達を作ってはいない 都市伝説同士は引かれ合う 事実、それまで全く縁の無かった都市伝説事件が、自らが契約者となってからはそれなりの頻度で起こるようになったからだ 彼女自身が巻き込まれた場合は、黒服Hが裏で立ち回り知らぬ間に解決している事も多いのだが 深くもなくかといって疎遠という程でもない、友人という間柄が目も手も届かなく一番危険だと思うようになっていた だから彼女は、都市伝説に関わりの無い友人を作りたがらないのだ そんな事を知ってか知らずか、彼女の担当である黒服Hは彼女を都市伝説契約者に積極的に関わらせようとしなかった 元より何かに長けた能力があるわけではないので、無闇に関わらせても危険があるだけなので当然の判断ではあるのだが 「逢瀬、ちょっといいか?」 「ふぇ!? ご、ごごご獄門寺くん!?」 少女はその声に聞き覚えがあった あらかさまに動揺し、机に膝をぶつけ本を落としそれを拾おうとして椅子から転げ落ちそうになる 「いや、そういう反応をされても困るんだが」 「あ、あはは、そうだよね? うん、き、気を付ける」 「それより、ちょっといいか? 話したい事があるんだが」 「あ、うん。何かな」 「正月の時の件なんだが」 少女はごしゃんと音を立てて、椅子ごと転がった 「大丈夫か?」 「あ、あはは、うん、大丈夫大丈夫」 打ち付けた額を赤くしながら、転げた椅子を起こし立ち上がる少女 「教室で話すのも難な内容だし、ちょっと場所を変えていいか?」 「うん、できればあたしもそうして貰った方が助かるかも」 じんわりと頬を赤らめ、声を抑えて周囲の様子を窺いながらこくこくと頷き 二人は休み時間の喧騒の中、教室を出て行った 二人の気配が遠ざかっていったのを確認して、それまで無関心を装っていた5~6の男子連中がざざっと一箇所に集まってくる 「おい、獄門寺って委員長と仲良くなかったっけ?」 「妹も可愛いんだよなあいつ」 「小学生ぐらいの子とよく一緒にいるのを見掛けるぞ」 「中学生の子じゃなくてか?」 「それが妹だろ?」 「小鳥遊とも最近親しげだな」 「それでいて逢瀬にも手を出すつもりか」 「しかも何か満更でもなさそうなあのリアクションは何だ」 「あんな逢瀬、初めて見たぞ俺」 「……ちょっと待て。小鳥遊って確か男だろあいつ」 「バカだなお前、あんな可愛い子が女の子のはずないだろ」 「それもそうか」 「待て、お前ら色々と待て。ツッコんでいいところかそこは」 「ああ、かなりツッコミたいな」 「むしろツッコまれてもいいな」 「よしお前ら心の病院行ってこい。脳の病院でもいいぞ」 「そうだぞ、男はもっと筋肉質であるべきだ。そういえばこないだ公園で実に良い男と出会ってだな」 「お前も病院行ってこい」 ――― 「あの、お正月の時の話って……えーと、アレ自体は色々と誤解があると思うんだけど」 「いや、趣味は人それぞれだしそれは問題じゃないんだが」 「問題だよ!? 誤解されっ放しなの!? あの時も目一杯説明したよね!?」 「あの時は特殊なプレイ中だったわけじゃないって言い訳が中心で、事情は説明されてなかったからな」 「いや、その……えーと……」 「あの時は気のせいか、あの黒服のせいだと思ってたんだが」 ひょこりと獄門寺の陰から顔を出す、小さな女の子――花子さん 「みー、やっぱり蛇さんなのですよ。『トイレから出てくる下水蛇』に似てるのです」 「にゃ? その子って……たまに教室に入ってきてたりしたけど」 「花子さんに気が付いてるって事は、都市伝説絡みだと確定か」 困ったような、呆れたようなそんな口調 「花子さんって……獄門寺くん、もしかして都市伝説とか詳しい?」 「そう聞いてくるという事は、都市伝説について説明はいらないな。俺は……詳しいというか、この花子さんと契約してる」 「けーやくしゃなのです」 にぱーと笑う花子さんに、思わず微笑み返しをする少女 「それはともかくとしてだ。正月に一体何があったんだ? もしかしてあの時の黒服のせいか」 「うーん、話せば長くなりそうなんだけど……」 ちらりと視線を腕時計に落とす少女に、つられて獄門寺も時計を見る 「休み時間終わりそう」 「それじゃ続きは放課後だな。用事とかはあるか?」 「ううん、別にこれといっては無いけど……獄門寺くんはいいの?」 「構わない。周りにある面倒事は、ややこしい事になる前に解決しておきたい性分なんだ」 「ん、わかった。でも経緯はめんどくさいけど、そんな大事じゃないからね?」 暗に心配しないでと言っているとすぐに理解し、とりあえず頷いて返しておく 「それじゃ、教室戻ろっか。花子さん、またねー」 笑顔で手を振る少女と、嬉しそうに手を振り返す花子さん 「……大人しい奴だと思ってたけど、結構テンション高い方なんだな、逢瀬」 「そ、そんなにテンション高いかな!? 騒がしかったらごめんね!?」 「普段が普段だから、まあ少し驚いたな」 「うう、誤解が解ければこんなノリにならなくて済むのにー」 前ページ次ページ連載 - 三面鏡の少女
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学校街内、とある廃ビルの一室にて 黒い影が、ひそひそと話し合っていた 「…A-No.666め、ドジを踏みやがって…」 「どうする?私達まで処分されるかもしれないぞ」 彼らは、「組織」の黒服 強行派、もしくは過激派に所属する者達 彼らが口にした、A-No.666の、非人道的実験に関わっていた者達 …その数、20程 自分達が、一箇所に集まる事は危険だとわかっている それでも、何故、彼らは集まっていたか? ……それは、まだ、A-No.666の企みが判明し…彼が殺された「直後」と呼んで良い時期だったからだ たとえ、自分達がA-No.666の実験に賛同し関わっていたとしても、「組織」が彼らに処分を下す判断が降りるまでには、まだ時間がかかる 穏健派が動いているからには、なおさらだ 穏健派は、その考え方故、非情な判断には時間がかかる事が多いのだから 「とにかく、姿を隠すべきだ」 「サイコメトリー系や思考探知系能力者が尋問を行えば、我々の行いもすぐに知られる」 「「組織」から離れる事も考えた方がいいだろう。いっそ、「アメリカ政府の陰謀論」にでも移って…」 そうやって、今後を話し合っていた黒服達 ふと…一人が、壁の向こう側を、見た 透視能力保持者であったその黒服が、壁の向こうに見たもの それは、外の風景に混じって……こちらに向かって飛んでくる、天使 それも、若い外見の、可愛らしい、ミニスカ天使達で その、天使達が、可愛らしい外見に似合わぬ、ゴツく、物々しい重火器を持っていた、姿で… 直後 彼らのいた部屋は、重火器の一石攻撃を受けて、爆砕した 「…やったか?」 モンスの天使達が、一斉攻撃を仕掛けている様子を、天地はやや離れたところから確認していた 天地の契約しているモンスの天使は、重火器で武装した天使達を召喚するというもの 天地自身は、まったく強化されない よって、戦闘スタイルは、目標からやや離れたところで天使達を召喚 そこから移動させ、攻撃させるというものだ 今、天地の指示を受けたモンスの天使達は、無邪気に、A-No.666の実験に協力していた黒服達が集まっていた廃ビルを攻撃し続けている …上の許可? そんなもの、知るか 自分の派手な攻撃能力では、都市伝説の存在を隠しきれない? 知るか どうせ、自分は始末屋だ 「組織」の始末屋 どうせ、相手は「組織」の意図に反する行為を行っていたのだ 始末しても構うまい どうやら、少しは上の立場らしい女黒服が、責任は自分が取ると言っていたが、それはあまり気にしていない 自分は、勝手にやるだけだ 天使達の一斉攻撃が終わった 片がついたか、と天地が顔をあげると …天使達が攻撃していた、その廃ビルから 黒い影が飛び出したのが…見えた それは、天地のいる方向に向かって、まっすぐに飛んでくる 廃ビルに向けて飛ばした天使を呼び戻しても、間に合わない 素早く、目前に新たな天使を召喚する 召喚されたモンスの天使は、天地の指示を待つことなく、主を護るべく、迫る危険に対して、ロケットランチャーを発射した それは、迫ってきていた黒い影に命中 しかし、その直前に、その背中に乗っていた数名の黒服が飛び降り、地面に着地してくる 「…4人…いや、5人残ったのか」 ロケットランチャーを受けた影は、衝撃に飛ばされたはしたものの、ダメージなし すぐ傍の電柱の天辺に止まり、天地を見下ろしてくる あの20人の、それぞれの都市伝説を思い出す あの攻撃の中、生き残れそうな者の名前をあげていく 目の前に居るのは、そいつらに違いない 「くそ…っ!門条 天地!何故、お前が我々に攻撃する!?」 「わかってるだろ?」 しらばくれさせなどするものか こちらを睨んでくる黒服を、天地は鋭く睨み返す 「「組織」の在り方に反する行為を行ったお前達を、始末する」 「っちぃ……!」 廃ビルへ向かわせていた天使達が、戻ってきた スカートの中を覗かれる事など一切気にする様子なく、上空から、生き残った黒服達相手に攻撃を仕掛けていく べちゃ!!と 銃撃を受け、一体の黒服の体が、ゲル状になって崩れた スライムに飲まれたそれは、ぐじゅぐじゅと不気味に蠢きながら、天地に向かってくる 他の三体と、電信柱の上にいた化け物の姿をしたそれも、驚異的な反射神経で、銃撃を回避 それぞれが、天地に攻撃を仕掛けようと迫ってくる 西洋系の顔立ちの黒服の体の表面に、白い鱗が現れ始め…その顔が変化し、服が破け、白い鰐へと変化する 一人の黒服がスーツの内側から缶のコーラを取り出し、一気に飲み干して身体能力を強化させて駆ける 中学生ほどの顔立ちの女黒服の下半身が消え、地面を高速で這い出した 白い鰐、コーク・ロア、てけてけ それぞれに飲み込まれた黒服達が、一斉に天地に攻撃を仕掛けてくる だが 「甘いんだよっ!」 ばらばらと何かをばら撒き、二人の天使に抱えられ、上空に逃れる天地 直後、ばら撒かれたそれ……自らが召喚したモンスの天使から渡されていた手榴弾が、一斉に爆発した 爆炎の中、コーク・ロアが消滅した様子を確認する 「あぎょうさん、さぎょうご」 聴こえてきた、不気味な声 あの黒い化け物が、ビルの壁を這って、迫ってくる モンスの天使がすかさず銃撃するが、当たってもダメージを受けたようには見えない 「あぎょうさん、さぎょうご」 せまるそれに、天地は叫ぶ 「----嘘!!」 あぎょうさん、さぎょうご あ行3、さ行5 う、そ 嘘 あぎょうさんとは、そのような都市伝説 その正体を、見抜かれれば… 「………ぁ」 化け物の姿が、ただの黒服に、戻った 壁を這う力も失われ、その体は地面に落下していき…そこを容赦なく銃撃され、穴だらけにされて べちゃり、地面に落ちた時には…ただの、肉片へと変わっていた 地面に戻ろうとすれば、ボロボロになったてけてけが、一矢報いようと迫ってくる しかし、傷つきスピードの落ちた体は、天使の攻撃を避けきれず、狙い撃ちされていく あぎょうさんと同じように、それはただの肉片へと姿を変えた (あと2体…!) 白い鰐と、スライム …どこへ逃げた!? 辺りを見回した直後、そばにあったマンホールの蓋が、突然、汚水で押し上げられた 白い鰐が汚水を纏って出現し、大口を開けて天地を飲み込もうと襲い掛かる ----っが!と その攻撃を、一人の天使が阻止した その大口に、つっかえ棒のようにライフル銃を差し入れ、口が閉まらないようにする その口内に…ぽい、と 投げ入れられた、爆弾 天地が離れた直後、白い鰐は体内から爆砕され、消滅していく 残り一体 スライムだけだ どろ ぐちゃり ゲル状のそれは、状況不利、と見たのだろう ずるずると、白い鰐が蓋を開けたマンホールから、下水道へと逃げていこうとしている 逃がさない 懐から小さなペットボトルを取り出し、天地は中身をスライムへとぶちまけた 構わず、マンホールへと入っていく天地 次に取り出したのは……ライター まだ少し中身が残っているそのペットボトルを、天地はそのマンホールから下水道へと投げ捨てて そして、しゅぼ、と ライターを点火して……同じく、投げ入れた 素早く、離れる 直後、そのマンホールの下で、小さな爆発音と、何かが燃やされ、もがき苦しむ絶叫が響き渡った 液体の正体は、ガソリン スライムの強靭な生命力は、しかし、炎など、焼いてくる攻撃には、弱いのだ 標的である20人の黒服達が、どんな都市伝説に飲まれた存在だったか、全て把握していた だから、その対処は完璧にしてきた 誰一人、生かして逃がす気などなかったから 「………ふぅ」 これで 全員、始末し終えた …終わりだ 「お疲れ様ですー!」 「デストロイ終了ですー!」 「皆殺ししましたー!」 「…あぁ、お前らも、ご苦労さん」 天地に褒められ、嬉しそうな天使達 とても、先ほどまで殺戮を繰り広げていたようには見えない、無邪気な笑顔 天地は、天使達の姿を消させると、ふらり、夜の町中に消えていった …この直後 天地は、友人たる直希から連絡を受け、「首塚」の本拠地へと移動 天倉姉妹に、今後の事について、話すこととなる to be … ? 前ページ連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者
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4月某日 喫茶店 ルーモアにて 「…そうか。「日焼けマシンで人間ステーキ」の青年のアルバイト先にも、悪魔の囁き感染者はいなかったか」 「はい、今のところではありますが」 黒服とTさんは、悪魔の囁き騒動に関する事で、情報交換を行っていた 電話でも話せる事ではあるが、直接顔を合わせて情報交換を行うのが一番だ 「朝比奈 秀雄の三つ目の都市伝説に関しましては、まだ、正体が確定できません。いくつか、心当たりはあるのですが…」 「…怪力に高い防御力、炎と毒のブレスか……心当たりはあるが、それでだけはあってほしくない、と考えたいところだな」 Tさんの言葉に、全くです、と小さく苦笑する黒服 …「組織」内部でも、これでは、と予測は立てられ始めている…の、だが まだ、核心できるほどの情報は少ないのだ もっとも、朝比奈 秀雄の最後の都市伝説がそれであると「認めたくない」だけなのかもしれないが 何せ、それは……あまりにも、強力すぎる都市伝説だ 単体契約でも、それと契約した瞬間に飲み込まれる可能性が高い それを含めた多重契約をしているのなら……朝比奈自身の「器」は、はたしてどれだけ強大なのか それを考えるのが、恐ろしいのかもしれない 「それと…朝比奈 秀雄に、都市伝説の契約書を横流ししていました「組織」の裏切り者が、判明しました」 「…「コーラにはコカインが含まれている」の支配型の契約者が増大した原因を作った者か」 「はい…H-No.9。「病は気から」に飲み込まれた存在です。私は担当部署が違いますので詳しくは知りませんが、元々は研究班に所属していたようですね」 …「13階段」の契約者たる広瀬 辰也にとっては、因縁のある相手である事を、この黒服も把握している 彼が、今回のその事実を知ったならば…H-No.9が「組織」から離脱し、討伐対象になっている事を知ったならば…復讐の為に、先走った行動をしなければ良いのだが この黒服は、それを心配する 「それと……その、朝比奈 秀雄の目的なのですが。翼の実家の権力以外にも、狙っているものがある可能性が、出てきました」 「……それはもしや、「小瓶の魔人」か?」 Tさんの口から、「小瓶の魔人」と言う単語が出て 黒服は、思わず眉をひそめた …まさか、だが 「あぁ、朝比奈 マドカから聞いたんだ」 「…やはりですか」 彼女の軽率さに、かすかに頭痛のようなものを覚える 相手が、Tさんだから良かったものを あのような存在については、あまり口外すべきではない 「黒服さんも、それについて知っていたか」 「…日景家を訪問した際に、その小瓶を拝見しました。小瓶の中から、威圧感を感じる程の強い都市伝説の気配を感じました…あまり、長くそばにいると、その威圧感に押しつぶされるのではないかと言う錯覚を覚えましたよ」 「なるほど、本物か」 はい、と頷く黒服 …朝比奈 秀雄が、その存在を把握している可能性がある 朝比奈 マドカが、その存在を口走ってしまっている可能性が高いからだ こう言っては悪いが、彼女は後先を考えない部分がかなり、あるようだから そうじゃなくとも、酒の勢いで口走ってしまった可能性も、高い 「…Tさん、申し訳ありませんが。その事は、できればご内密に」 「あぁ、わかっている。願いをかなえる都市伝説を保有している、と言うのは………不幸を招く情報だからな」 自身も、そう言った経験をしているからだろうか 神妙な表情のTさん 「「日焼けマシンで人間ステーキ」の青年は、その情報は」 「把握しています。あの子も、朝比奈 秀雄はその小瓶も目的としている可能性が高いのでは、と言っていました」 だからこそ、翼は余計に、朝比奈 秀雄を倒さなければ、と考えている …たとえ、その命を奪う事になろうとも だが、優しい翼の心が、肉親殺しと言う業に耐えられるとは思えない ……だから いざと言う時は、自分が、翼の代わりに手を下そう 黒服は、そう決意する 「……黒服さん。背負い込みすぎないようにな」 「はい。お心遣い、ありがとうございます」 黒服の表情から、何かを感じ取ったのだろうか Tさんの言葉に、黒服は小さく苦笑して答えた さて、あと、Tさんに伝えていない情報は何であったか 黒服が、情報を整理していると …からん…ころん… 「あ、いたいた。Tさーん、黒服さーん」 「おにいちゃーん」 店内に、Tさんの契約者の舞と、リカちゃんが入ってきた そして、舞の後を付いて来るように、ゴスロリ服の少女が入り込んでくる その少女の姿に覚えがある黒服は、おや、と小さく声をあげた 「ヘンリエッタさん?」 「おぉ、D-No.962か」 「…あれ?黒服さん、知り合い?」 首を傾げた舞に、はい、と答える黒服 てとてと、舞達は黒服とTさんの席へと近づいてくる 「私の上司が担当しております、契約者さんです」 「うむ。そして、望の友達なのじゃ!」 どこか誇らしげに、ない胸をはってそう言ったヘンリエッタ ヘンリエッタの声に、Tさんが聞き覚えがあるような表情を浮かべたのだが、黒服は気づいていない 「なぁ、Tさん。あのユニコーンの兄ちゃん、やっぱり、悪魔の囁きにとり憑かれてたみたいだぞ」 「…!また、遭遇したのか?」 頷く、舞とリカちゃん 黒服も、眉を潜める 「…また、悪魔の囁きにとり憑かれている者が、現れたのですか?」 「うむ、妾が調べたのだから、間違いないのじゃ!」 再び、胸を張って言うヘンリエッタ 黒服は、難しい表情を浮かべる 「…近頃、「リア充爆発しろ」の能力によるものと思われる爆発事故が多発していまして。「組織」としては、その契約者が悪魔の囁きに騒動に関連している可能性を調べていましたが……ユニコーン、ですか」 ユニコーンは、貴重な都市伝説だ 確か、ヨーロッパでも数えるほどしかユニコーンと契約した存在はいない 後で、「薔薇十字団」に問い合わせれば、何かわかるかもしれない 新たな情報を手にして、黒服は思考をめぐらせるのだった to be … ? Tさん「コーク・ロア:お嬢さん」へ 前ページ次ページ連載 - とある組織の構成員の憂鬱
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夜の空を魔女が飛ぶ 箒にまたがる魔女一人 街を見下ろし、飛び回る 「ひっひ……相変わらず、夜もきらびやかだねぇ?」 繁華街の上空を飛びながら、魔女は1人、そう呟く 北区などはそうでもないが、この繁華街の辺りは、夜でもきらびやかで、まるで昼間のように明るく感じる …人間は文明を発達させ、夜を恐れなくなった 夜の暗闇を作り出した光で照らし、恐れなくなっていった 本当に、恐れていない? それは違う、と魔女は思う 本当に恐れていないのならば…都市伝説は、生まれやしない 人間が本能的に闇を恐れるからこそ、都市伝説は生まれ続ける 少なくとも、魔女の一撃たる彼女はそう考えていた だからこそ、夜の明るい街の上空を飛ぶのが楽しいのだ …畏怖すべき対象から目を逸らし、明るさを保つ事でそれを忘れようとしているその様子が、滑稽で仕方なくて それでも、適当に飛んで見下ろしたら、後はすぐに帰るだけだ 目撃されても面倒である ………ただ この日は、いつもと違った 迫ってきた気配に、感じた悪寒 急浮上し、超スピードで接近してきたそれを避けた まるで、竜のような巨大な生き物が、一瞬前まで魔女が飛んでいた場所を通過していく その尻尾の先では、ちろちろと赤い炎が燃えていた 「ひっひっひ……話に聞いている、カイザーとか言う都市伝説かい!」 ぐぉおおおおおおおおん!! 魔女の言葉に答えるように、竜……カイザーが吼えた 背中には、誰も乗せていない だが、カイザーの契約者は、恐らくこちらが見えている位置にいるだろう、と魔女は推理した どうやら、契約者が指示を出す必要がある都市伝説であるらしいから、相手がこちらを見えていなければ意味がない …もっとも、カイザーと契約者が視覚を共用できると言うのなら、別なのだが… おぉおおおおおん!! カイザーが吼える その口の中で、ちろちろと炎が燃えていた 「…っひっひっひぃ!まともに戦っても勝ち目はなさそうだねぇ?」 ならば まともに戦わないに、限る 魔女は、懐から小さな子瓶を取り出すと、カイザーに向かって投げつけた 炎が吐かれる直前にカイザーに当たった小瓶は、ぱりん、と割れて薬品をカイザーにぶちまける ぐぉおん!? 途惑った鳴き声をあげるカイザー 体の自由が利かなくなったのだろう、飛び方がおかしくなる 魔女が投げつけたのは、麻痺薬だ しばし、体が痺れてうまく動けない事だろう ……うっかり、地上に落ちたらどうするのか? まぁ、その時はその時だ 多分大丈夫だろう、多分 万が一の時は、「組織」がどうにかするだろうし そう、他人事のように考えながら、魔女はさっさと逃走しようとした …………しかし ぐぉおおおおおん!!と再び聞こえてきた咆哮 直後、魔女を灼熱の炎が掠った 「おぉっと!?………もう、回復したってのかい!?」 見れば、カイザーは既に体の自由を取り戻していた …おかしい いくらなんでも、早すぎる ぎらり、爪を剥き出しにして、飛び掛ってくるカイザー ひらり、ひらり アクロバティックに飛び回りながら、魔女はそれを避けて…再び、麻痺薬を投擲した ばりん!と小瓶がくだけ、薬がカイザーを襲う 再び、体の自由を奪われたカイザーだったが… …ぴろんっ♪と どこからか、電子音のような音が、響いた様な気がした どこからか現れた、小さな薬瓶 その中身が、カイザーの口に注がれて 次の瞬間、カイザーは体の自由を取り戻す!! 「っちぃ!!…ゲーム系の都市伝説、とか言ってたねぇ。まさか、ゲーム自体と連動しているのかい!?」 ゲームから生まれた都市伝説 もし、その本体が、ゲームの中に存在するとしたら? 傷ついても、毒や麻痺を喰らおうとも …ゲームの中でアイテムを使えば、回復する? 「冗談じゃないよっ!?」 ますます、自分では歯が立たない 魔女は、何とか逃げ道を確保しようとするのだが、カイザーは執拗に魔女に襲い掛かってくる 契約者を探すのだが…どこにいるのか、わからない 恐らく、繁華街のどこかのビルの屋上辺りから見ているのだろうとは思うのだが… どうする? 仲間に助けを求めるか? だが、空中にいる自分を助けられる仲間など… ………いや 「…ひっひ。いいタイミングで来てくれたねぇ?」 空が、曇りだす 雲一つなかった夜空が、暗雲で埋め尽くされていく ばちっ、ばちっ、と その雲の中で…かすかに、雷が光った 「----サンダーバード!!」 魔女の一撃の呼びかけに、答えるように カイザーに向かって、特大の雷が落とされた ばちばちと、雷がカイザーの体を焼いた 雄叫びを上げて、カイザーはビルに向かって落下していく 「……っとと!?」 雷の衝撃は、あまりにも大きくて その衝撃破に、魔女の体も吹き飛ばされた 慌てて、体勢を整える 「---っぶな……ひっひ、でも、助かったよ」 空を見上げて礼を言うと、ごろごろと雷が鳴った …とりあえず、助かったようである ほっと、息を吐いた 「わたしゃ、ただ空を飛んでいただけなのにねぇ?………問答無用とは酷い相手だよ、まったく」 ……とまれ 相手が、想像以上に厄介らしい事はわかった 恐らく、サンダーバードの雷で焼かれたとは言え……また、復活してくるだろう 魔女の一撃は、さっさと教会まで逃げ帰る事にしたのだった そして 魔女の一撃の予想は、当たっていた 「げんきのかけら」 ぴろんっ♪ 「まんたんのくすり」 ぴろろんっ♪ 黒焦げになったカイザーだったが…契約者たる竜宮がゲーム内でカイザーにアイテムを使っていくと、それに連動するように、カイザーの傷が癒えていく あっと言う間に、元の姿に戻る 「ドラゴンタイプも持ってるから、でんきタイプの攻撃にも強いんだけどなぁ……うーん、もっと気をつけないと駄目だね」 ぴこぴこ、旧式のゲームボーイを弄り、カイザーのステータスを見ながら、竜宮は考え込む 「「そらをとぶ」は秘伝技だから忘れられないとして…んー、「かえんほうしゃ」「きりさく」「はかいこうせん」じゃなくて、技を入れ替えてみようかな…?」 むむむ、と少年は1人 己の契約都市伝説の技の選択に、悩むのだった to be … ? 前ページ次ページ連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち
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「・・・・・・は?」 「いや・・・その・・・スマン!」 黒服は呆然とし、翼は黒服に土下座してる 中々にカオスな状況だけど仕方ないだろう 「・・・・・・」 「・・・・・・」 私が二人居るんだから 事の起こりは冬休みの最終日 翼と一緒に参加した都市伝説退治のバイト 内容はとある小学校の『写った人を引きずりこむ鏡』 本当はもっと別の都市伝説かもしれない けど、今現在の情報じゃそれ位しかわからない そんな都市伝説の鏡を壊すのが私達の仕事だった 「でも、鏡って事は非生物よね?普通に割って終りじゃないの?」 「多分それでいい筈だ・・・ただ、不気味だから誰もやりたがらないってだけだろ」 成る程ね まぁ、そのお陰で私達に仕事が回ってくるんだからありがたい事なのかもしれない 「気になるとすれば・・・『鏡を処分して来る』って言い残して出て行った教員が戻ってきた時には鏡の事を忘れてたって所か」 「・・・記憶を操作する?」 「かもしれねぇな」 そんな事を話しながら怪談を登ったその先に あった 「見た感じは普通の鏡だよなぁ?」 「でも、確かに都市伝説の気配はするわ」 今のところは何の変哲も無いただの鏡 だけど、其処からする気配は確かに都市伝説の物で・・・ 鏡に映っている私の顔が ニヤリ と笑った 「っ翼!!」 「な!?」 鏡に映る私が腕を伸ばし 鏡から生えた腕に腕を掴まれ引っ張られ引きずり込まれそうになった所で ガシィッ と翼が私のもう片方の腕を掴んだ 「翼!!」 「ちょっ!?踏ん張れ!!」 今、私は右腕を鏡に物凄い力で引っ張られ 左腕を翼に全力で引っ張られている状態で 下手するとそろそろ足が地から浮きそうな訳で そんな状態の私に踏ん張れは幾ら何でも無茶振りってそんな事言ってる場合じゃない!? このまま引きずり込まれる訳には・・・あ 「・・・翼」 「んだよ!?」 「先に謝っとく・・・買って嬉しいはないちもんめ!!」 「なぁ!?」 人間の身体にはリミッターが付いていると言う そのリミッターを外した状態が俗に言う火事場のクソ力と言う奴らしく 対象の肉体を操る事に関してはかなり強力な部類に入る『はないちもんめ』の能力なら 翼のリミッターを外す位は造作も無い ただ、絶対明日辺りに筋肉痛で苦しむだろうけど・・・翼が 何はともあれ 火事場のクソ力を発揮した翼が、物凄い勢いで私を引っ張り スポンッと言う音と共に 私達は後ろ向きに倒れた 「ったぁ・・・大丈夫か?」 「何とかね・・・」 とりあえず翼の上から退く 「成る程、確かにこの鏡さっさと処分した方が良いな・・・」 「確かに・・・あんな簡単に引きずり込めるなら、何で行方不明者が出て無いんだろう?」 「さぁな・・・ん?」 怪訝そうな翼の声 何かあった? 「なぁ・・・その右腕の・・・何だ?」 「え?」 言われて気付く そう言えばまだ、右腕を掴まれてる様な・・・「あいたたたた・・・」ん? 右側を向くと 「あれ・・・?」 「は・・・?」 私がもう一人居た 「「はぁっ!?」」 「って事があってな」 「スイマセン、全然状況が判りません」 黒服が頭を抱えながら言う そりゃそうだ、私だって全然判らないんだから 「つまり簡単に言うとね、あの鏡は『引き摺り込んだ相手に成り代わる鏡』だったのよ だから犠牲者が出ても鏡の中から偽者が出てくるから誰も行方不明者が出てなかったのよ で、今回も本当ならそこの『私』を引き摺りこんで私が成り代わる筈だったんだけど、引きずり込む所か逆に引っ張り出されちゃったからこんな愉快な事になったって訳」 得意顔で説明する私の偽者・・・何か腹立つわね 「取り合えず鏡本体は割って処分したんだけどな・・・コイツはその・・・望と同じ顔してるし退治するのは躊躇われたと言うか何と言うか・・・」 「私としては即刻処分して欲しいところだけどね」 「酷いわね?一応私は貴女なのよ?」 「同じ顔で同じ声のが目の前にいるのが凄い気持ち悪い」 不気味ってレベルじゃないわ 「黒服ぅ!!本体が苛める~!!」 がしっと半泣きで黒服に抱きつく偽者 何処からかピシッと音が鳴った 何の音かしらね? 翼、何でそんな脅えた顔してるの? 「いや・・・その・・・処分は流石に可哀相ですし、少し様子を見「何?黒服は偽者の味方なの?」いえ、味方とかでは無く」 黒服が珍しくあたふたしてる・・・本当に珍しい 「黒服って優しいよね 私、黒服のそういう所好きよ?」 黒服にしがみ付いたままそんな事をのたまう偽者に 次はブチッと音が鳴った 「黒服・・・取り合えずその子から離れましょうか「え?いや、その」良いから「・・・はい」 私から離れた黒服詰め寄る本体を他所に私は翼の隣に移動していた 「お前・・・」 「流石は私の本体、アノ位でヤキモチなんて可愛いわよねぇ?」 「わざとか、わざとなのか」 「当然でしょう?私はあの子と違って年上趣味は無いの、どちらかと言うと年下・・・ショタ派よ」 「聞いて無ぇよ・・・結局お前は何なんだ?」 「写った相手に取って代わる鏡の都市伝説が、あの子を写した事で出来上がった『写った時点での望のコピー』よ」 「・・・わかんねぇ」 「翼の頭には少し難しいかもね」 良くわからないと言った風な顔をする翼を小馬鹿にする様に言ってやると、翼は絶句した どういう因果か、折角鏡の外に出られたのだ 精々、現世を楽しませてもらうとしよう 続く? 御神楽 詩織 鏡から出て来たもう一人の望 顔も声も同じなのに名前まで同じだとややこしいので望の本名である詩織を名乗っている 望より少し素直で少し意地が悪い 身体能力も望と全く同じ 『はないちもんめ』の支配権行使だけ使える よって、望の様に金を渡した相手を新たに支配下に置く事はできないが、望が支配下に置いた相手なら操れる 後は『鏡を使った移動』 あらゆる鏡に出入りできる 都市伝説なので基本的に成長しないが、望が鏡に映る事で更新される 望とは利き腕が逆
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企画目録 はじめに 念のため、15歳以上推奨 恋愛表現の隔離については特に無しです。地雷が多い方にはおすすめしません。 最強設定キャラなどいわゆる「チート」の投稿は可能ですが、他の参加者はそれらの設定を無視する事ができます。 概要 現代になってもたくましく生きる都市伝説をモチーフにしたキャラ、 それを取り巻く環境や一般人を描いたり、書いたりするゆるい身内企画です。 身内企画と言ってもお友達のお友達のお友達…でもOK。 この目録を見つけて興味が出た方は暇つぶしにでも参加どうぞ。 都市伝説のモチーフ被りはOK。(全国各地に出没しているので) 基本的にはTwipic・その他画像アップロードサービスにイラストや漫画を投稿したり、 Twitterで企画に呟いたりその他諸々するだけの企画です。 交流等は必須ではなく、キャラ地蔵したり自キャラマンセーしたり交流したりお好きなように 一応pixivにも目録を置いてますので、 文章で投稿されたい方はpixiv小説のほうにタグを付けて投稿するのも可能。 イラスト、漫画についても同じく。 舞台 現代。 外国でも日本でも、基本的に現代であればOK。 過去や未来の話として別の時代について創作していただいても結構です。 都市伝説キャラにはキャラクターシート、文章のみで参加の方もキャラ設定には出没場所を書いてください。 都市伝説が海外旅行して何が悪い キャラクターについて こちらのページに。 性的表現・残酷表現等 twipicが18禁投稿が禁止のため、15禁まで。 それ以上を描きたい場合はpixivで「R-18」「R-18G」タグを付けて投稿、もしくはR-18投稿可なサービスを使用して下さい。 恋愛交流について 異性・同性恋愛は禁止していません。IFも可能。 過激な表現を投稿する場合は上記に従います。 タグ pixivでは、投稿の際に 必須タグ:【本当にあった都市伝説】 作品タグ:【本当にあった都市伝説】記録 キャラクター設定、キャラシタグ 【本当にあった都市伝説】都市伝説 【本当にあった都市伝説】一般人 念のためR-18・R-18Gを投稿、自主的に恋愛交流を隔離したい人用のタグ ※上記タグと併用は禁止 【ほんとーにあったとしでんせつ】エロ 【ほんとーにあったとしでんせつ】グロ 【ほんとーにあったとしでんせつ】BL 【ほんとーにあったとしでんせつ】GL 【ほんとーにあったとしでんせつ】男女 Twitter #企画X本当にあった都市伝説 twipicに投稿した場合、pixivに投稿した場合、企画について喋る場合等には 極力上記のハッシュタグを付けて呟く事を推奨。 どこまでのネタで付けて良いかどうかは各々の良心におまかせします 投稿する場合はコチラもお読みください。
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「嫉妬少年のその後」 ウーウー… 消防車のサイレンが響き渡る。その様子を小さく震えながら眺める少年、妬見女疾風 「一体何があったんだい?」 そう聞かれる疾風。都市伝説の力で爆発した、なんて言っても信じてもらえる訳がない 疾風「車…を見てたら…突然…爆発…して…」 震えながら声を絞り出すように答える疾風。これでいくらか誤魔化せたはずだ 帰り道 疾風「…「あるお方」に協力、ね…どうするかなー」 『美味シイ思イガデキルッテンナラ、協力シテモイーンジャネェノ?』 疾風「でもなーリア充だって言ってたからなぁ…。妬ましいし…」 『ソウカ…マァ好キニスリャイーンジャネーノ?』 疾風「そう。それじゃあ協力すんのはやめとこうかな。全リア充は僕の敵だし」 『ジャア敵対スンノカ? オソラクアイツニ狙ワレルゼ』 疾風「うーん…あの人は同志だからね…まぁ僕はリア充を爆破していくよ」 どうやら協力する気はないようだ。リア充は今までどうり爆破するようだが そして、帰り道の途中…部員に出会った 蒼介「ゴホゴホ…あ、疾風君」 疾風「あ…蒼介君」 同じ部員で帰る方向も同じだったので、一緒に帰ることにした 不幸「へぇ…同じ都市伝説の契約者と出会ったんだ…」 疾風「うん。何か協力しないかって言われたんだ」 幽夜「へぇ…それで君はどうするんだい?」 疾風「誘いには応じないことにしたよ」 こんな会話をしていた。すると… <着メロ> 蒼介「ゴホ…メールだ。差出人不明?」 564219 蒼介「!!? みんな、やばい。都市伝説に狙われた…ゲホッ」 「「「!?」」」 すると蒼介の背後に包丁を持った男が現れ、…刺した 蒼介「ゲホッ…ゴホッ」 蒼介を襲ったのは『564219』。ポケベルに564219という数字が出て…という都市伝説である 不幸「ちょ…蒼介君大丈夫? 生きてる?」 蒼介「大丈夫…傷はやばいけど、死なないから…ゴホ」 蒼介は新しい都市伝説と契約していた。それは『病弱は生存フラグ』。彼が何らかの病気にかかっている間、彼は死なない 蒼介「おそらくコイツは『564219』。契約してる可能性があるから気をつけて…ゲホッ」 不幸「フフフフフフ…それじゃ…僕らで何とかしますか…」 疾風「どこからともなく現れて攻撃できる能力…妬ましい」 幽夜「夜じゃないと戦いづらいけど…がんばるかぁ…」 3人が臨戦体制に入る。 不幸「…『564219』の契約者は僕たちとの戦いが終わったら、結婚…するんだ」 不幸が今使ったのは『一級フラグ建設士』の能力。対象者に自由にフラグを立て、回収したり折ったり出来る。これで『564219』の契約者に死亡フラグが立った そして、幽夜がピューと口笛を吹く 幽夜「まだ夕方だからこれくらいしか出ないかぁ…」 そういって鬼火を呼び出す 疾風「ああ…妬ましい。爆発しろ」 『564219』を爆破する疾風 だが、契約者がなかなか見つからない すると… トゥルルルルルルルルルルルルル… 蒼介の携帯に電話がかかってきた 蒼介「知らない番号…? いや、どこかで見たような…ケホ」ピッ 「もしもし、私メリーさん。貴方達がずいぶん困ってるみたいだから、加勢してあげるわ。あ!勘違いしないで。あの時の借りを返すだけだから」 蒼介「ああ、うん。ありがと」 蒼介「皆、朗報だよ…ゲホ。『メリーさん』がべ○ータ的な理由で一時的に加勢してくれるらしい」 疾風「ベ○ータ? ああ、ツンデレか。…妬ましい」 疾風は少し嫉妬するが、何とか抑えた メリー「まぁ、私に任せなさい! 『564219』の契約者を探してるんでしょ?」 そういうと、メリーさんは電話をかける メリーさん「もしもし、私メリーさん。今、私“達”貴方の後ろに居るの」 メリーさんがそういうと、疾風たちは男の背後にワープしていた 不幸「フフフフ…見つけた。それじゃ、『フラグ回収』」 不幸がそういうと、車が走ってきて…『564219』の契約者が…轢かれた 疾風「え? 倒した? それじゃあ救急車を」 疾風が救急車を呼び、皆はもう帰ることにした こうして、初めての契約者もちの都市伝説との勝負は、幕を閉じるのであった… つづく
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三面鏡の少女 83 宮定怜吏(みやさだ・れいり)という男がいる やや鋭い目付きの神経質そうな顔付きで、背は高いがやや痩せており貧弱そうなイメージを漂わせている 宮定繰の父親であるこの男は、学校町の出身ではあるが都市伝説というものに遭遇した事が無い にも関わらず、だ 「奴には近寄るな、絶対にだ。だが監視は怠るな」 過去、彼の存在を知った『アメリカ政府の陰謀論』ジョン・スミスは、苛立たしげに煙草を灰皿に押し付けながらそう部下に通達していた 『第三帝国』の『総統』達同様の措置を取り、『MI6』でも歴代長官に伝達事項として引き継がれている だが小規模な組織の構成員や、大組織故に命令が行き届かない末端の構成員も存在する 様々な組織が危険視しながらも手を出さない存在 好奇心、腕試し、嫌がらせ、様々な理由から彼に接触を図ったり、攻撃を仕掛けたりした者は現在までに多数存在した だが、その結果を知るものはほとんど居ない ――― 「そんな強そうには見えないし、都市伝説と契約してるわけでもないんでしょ? なーんでそんなに恐がるかなぁ」 何処の組織に所属しているのか、黒いスーツとサングラスという典型的な『メン・イン・ブラック』の女 目標のいる建物すら視認できない距離で、女は小さなデリンジャーを懐から抜き出して 引き金を引くと同時に響いた小さな破裂音 雲一つ無い晴れ渡った空に向かって撃ち出された銃弾は、女の頭上でぴたりと静止する 「撃ち抜け、『魔弾』」 その言葉と同時に、命令を受けた猟犬のように弾丸が疾る 一切の物理法則を無視して空気を切り裂き飛翔する弾丸は、ビルを避け、樹木の枝葉の間をすり抜け、更に更に加速していく 音も衝撃も残さずに瞬殺無音で迫る弾丸が、ターゲットである怜吏の眉間に狙いを定め 距離にして22kmを駆け抜けた弾丸は加速を続け、銃声すらとうに置いてきぼりにしてターゲットに命中した 命中は、したのだ だがその弾丸は跡形も無く消え去っていた 怜吏の体に触れた瞬間、その質量も、衝撃も、一切合財が初めから存在しなかったかのように 「……へ?」 その結果は、攻撃を行使した黒服の女にも伝わってくる そして 「え、な、何っ!?」 弾丸が通った軌跡を正確になぞるように 『弾丸が通ったという事実が消滅していく』 「ひっ、ぃっ!?」 弾丸が疾り抜けた速さで迫り来るその事実に、黒服の女は悲鳴を上げた 銃を捨て、足を縺れさせながら転がるようにその場から逃げ出すが、それは無意味だった 弾丸が通ったという事実が消滅し 弾丸が発射されたという事実が消滅し 銃そのものが消滅し 銃を投げ捨てたという事実が消滅し 銃を投げ捨てた者も消滅した 跡形も何も残らない そこには初めから何も存在しなかった ――― 「都市伝説?」 「ええ、先生は学校町の出身でしょう? 何かそういう話とか聞いた事とか無いんですか?」 狙撃をされた直後、何事も無かったかのように いや、何事も無くなって 隣を歩いていた教え子の女子大生の問いに応える怜吏 「馬鹿か君は。そんなものは存在しない」 「でも学校町って行方不明者とか原因不明の死傷者が多いって話も聞きますよ」 「妙な噂が多いから、精神的に不安定になった折にそういった妄想に囚われやすくなるだけだ。一度そんな関連付けが発生すれば、連鎖的に感染拡大する。あんなものはただの精神疾患、集団ヒステリーだ」 「でも実際に起きてる事件とかはどうなるんですか? 未解決事件の数、凄く多いそうじゃないですか」 「日本中、世界中で未解決事件など山のようにある。あとは、あの町の警察組織が殊更無能なだけだろう」 「先生って夢が無いんですね」 「そんなものは現実には必要無い」 「ええー、それじゃあ……」 楽しそうに纏わりついてくる女子大生を淡々とあしらいながら 強固かつ絶対の精神力と意思力、そして知識と理論により都市伝説の一切合財を否定する男は、次の講義のために教室へと向かう 彼に近付く都市伝説はいない 彼に近付ける都市伝説はいない それ故に彼の意思は、理論は、より強固にされていくのだった 前ページ次ページ連載 - 三面鏡の少女
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学校町東区中学校連続飛び降り事件 犠牲者は全部で10名…………そう言う事になっている が、最後に飛び降りた「土川 咲李」に関しては、犠牲者と呼ぶべきかどうか、判断に迷うところである この事件は、犯人である土川 羽鶴が契約していた都市伝説の力によって、次々と生徒が飛び降り自殺をしていった事件である しかし、咲李は、都市伝説の能力を受けて飛び降りたのではない 自らの意思で屋上へとあがり、飛び降りたのだ それでも、土川 咲李の名前がこの事件の資料において「犠牲者」の欄に名前が書き連ねられているのは、彼女もまた、この事件の犠牲者である事は間違いなく、事実であるからだろう 咲李は、この事件に幕を下ろすために、中学校の屋上から飛び降りた。戦い、全てを終わらせるために飛び降りたのだ ………しかし、結果は、失敗 彼女は、今までの犠牲者達と同様、都市伝説に取り込まれ、その一部になったに過ぎなかった 失敗、と断じていいかどうかすら、この後の経緯を思うと微妙なところでもある 彼女が土川 羽鶴の契約都市伝説に取り込まれたからこそ、獄門寺 龍哉を始めとしたあの子供達の一部が怒りを爆発させ、羽鶴を完全敗北させるに至ったのだから……………最も、約2名が暴走したせいで、そちらの方が大変だった、と言う事実はさておき 「………「笑う自殺者」に「富士の樹海の自殺者の幽霊が、人間を引き込んで自殺させる」を組み合わせた、か。本当、物騒な使い方しやがる」 資料に目を通しながら、慶次はぼそりと、そう呟いた 土川 羽鶴は二つの都市伝説を組み合わせ、次々と生徒を自殺させていった そして、自殺した生徒達は都市伝説に取り込まれ、彼の意のままに操る事ができていたらしい 正直、かなり胸糞悪い事件であった 羽鶴は、己の娘が飛び降りてもなお、己の行為を悔やむことすらせずに、犠牲者を増やそうとしていたのだから 彼は娘が何を思って飛び降りたのかすら、気づけなかったのだ 咲李は二通、遺書を残していた そのうちの一通は間違いなく土川 羽鶴へとあてられた物 羽鶴は見つけたその遺書を読むことすらせず、ゴミ箱へと捨てていた あんな親が、この世の中には存在するのだ ……思い出すだけで、ムカムカとする あの男が犯人だとわかっていれば、自分が殺しに行ったと言うのに (………元々、自分の娘なんてどうでも良かったのか。それとも、「狐」の誘惑に乗って、頭がおかしくなっていたせいなのか………) …どちらにせよ、胸糞悪い事実に、代わりはない ぱたん、と、資料を棚に戻した、その時 「何をしているんだい?」 と、郁に声をかけられた 小さく舌打ちして、慶次はそちらに視線を向けた 「昔の事件の資料を見てたんだよ。悪いか?ここの資料は、「組織」関係者は閲覧自由だろう」 「そうだがね………資料室に入るなら、ここを管理しているCNoにきちんと許可をとってからにしてくれ。特に、君はANo所属なんだしね」 「警戒しなくとも、資料ちょろまかしたり、変に手を加えたりはしねぇよ」 …どうにも、このゴスロリ好きの黒服は苦手だ 関わり始めたのは三年前の連続飛び降り事件の際からだが、その時抱いた苦手意識という第一印象は、今も変わらずそのまま慶次の中にあった 話していると、背筋がざわざわしてくる 「じゃ、用済んだし、俺はこれで」 「そうかい………このところ、「狐」や「バビロンの大淫婦」の事で周囲はピリピリしている。怪しまれるような行動は、謹んだほうがいいよ」 「うっせ、わーってるよ」 郁から逃げるように資料室を後にした 本当は、もう少し調べたい事があったのだが………仕方ない、またの機会にしよう (三年前の事件の黒幕は「狐」。そして、それが今、学校町にいるなら…………見つけて、始末してやる) 自分が手柄を上げれば、風当たりの強い強硬派も、少しは見直されるかもしれない ……「三年前」に強硬派が、愛百合が犯したミスの埋め合わせができるかもしれない 考え込みながら歩き去っていく慶次は、誰かの視線が己に注がれていることに、気づくことはなかった to be … ? 前ページ次ページ連載 - 次世代の子供達
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「コーク・ロアに支配された人間が、なぁ」 適当に獲物を物色した帰り、マッドガッサーは似非関西弁の女性と合流し、並んで歩いていた 時刻は、そろそろ深夜を回る こんな時刻に、ガスマスクの男が若い女性と並んで歩いていても通報されなこの街は、本当にありがたい 「爆やんも、二回くらい襲われとるやん?相当数が増えとるんちゃう?」 「…支配型で、支配している対象を増やしてるんだよな?だとしたら、あいつが狙われたのは完全に能力目当てだろ。コーク・ロアの能力で支配された状態でも、契約している都市伝説の能力は使えるからな」 …やはり、この街は危険か? いや、だが、同時にここまで動きやすい街はない ここを逃さない手はないのだ ……それに、魔女の一撃の契約者は、この街に住んでいるとある対象に、異様に執着している そっちの目的が叶うまでは、この街にいたいところだが… 「………だとしても、やばいかね?」 「…ヤバイんちゃう?」 …気配が 二人に、ゆっくりと近づいてきていた ざわざわと、何かが近づいてくる感覚 「…走るぞっ!」 「りょーかいっ!」 言うが早いか、二人は駆け出す しゅるしゅると、背後から迫ってきていた気配が、途端に隠す事をやめた 漆黒の闇の中、黒いそれが迫ってくる 「げ、この髪は…………うぉわっ!?」 「んみゃっ!?」 しゅるり 髪は、何時の間にか、二人の真正面からも迫ってきていて あっと言う間に、二人の体を絡めとった 「-------っ!!」 ごがっ!! 「マッドはん!?」 マッドガッサーの体が、塀に叩きつけられる その衝撃で、からんっ、と……被っていたガスマスクが、落ちた 「おや、こりゃまた……随分と、可愛らしい顔してたんだな」 すたん、と 塀の上に降りる影…髪をわさわさと不気味に伸ばす、黒服 「ってめ……」 「よぉ、また会ったな」 ニヤリ、その黒服はマッドガッサーを見下ろして笑った 髪は、完全にマッドガッサーと似非関西弁の女性を束縛し、その動きを封じている 「あー、そんなに睨むなや。殺すんじゃなくて、お持ち帰りするよう言われてんだから……生け捕りとか、そう言う方針で行くならいくで、もっと早く決めとけってのな」 「生け捕りて……マッドはんに何する気や!?」 「さぁ?俺は聞かされてないし、っつか、具体的には聞きたくねぇや」 似非関西弁の女性の言葉に、その黒服は肩をすくめてみせた …生け捕りにしたマッドガッサーを、「組織」はどうするつもりなのか? 正直、考えたくもない 突然変異の個体、その特殊な研究対象を、「組織」がどうするか…考えなくとも、大体想像はつく 「…そう言や、マッドガッサーは生け捕りにしろって言われてっけど、その仲間に付いては指定受けてないな…どうすっかねぇ」 「!」 黒服が何気なく呟いたその言葉に、ぴくり、マッドガッサーが反応したように見えた …そうだ、マッドガッサーの仲間については、何も指示が出されていない つまりは、処分しろと言う事なのだろうな、と黒服は考えた 特に、「13階段」に対しては、そうなのだろう 「組織」の裏切り者で、しかも、あんまりよろしくない…今ではもうなかった事にされている計画の、生き証人のようなものだ 見つけ次第始末しろ、といわれてもおかしくない …個人的に、ちょっと可愛がった事もある対象だから、自分が「13階段」を追う事にはなりたくないものだ、黒服はそう考えていた ついでに……今、捕まえている似非関西弁の女性 そっちも、始末は勿体無いよなぁ さて、どうにかならないものか 考えていて……マッドガッサーが自分を睨みつけている事に、黒服は気づいた 「---っは、いいね、その目。人を殺した事がある奴の、殺意交じりの眼差し、ってか?」 はっきりとした、敵意、殺意 自分の大切なものを護ろうと言う、獣の目 今のマッドガッサーの眼差しは、そう言う目だった 「仲間が大切か?…………都市伝説の癖に、契約者でもない人間と仲良く、とは珍しいもんだ」 「お前だって、都市伝説だろうが」 「あぁ、そうだよ?」 そうだ、自分も、都市伝説だ くっく、と黒服は笑う 「元人間の…都市伝説に飲み込まれて、都市伝説と言う化け物になっちまった存在だよ?」 すたん、と塀から降りて、マッドガッサーに近づく 髪によって動きを束縛され、しかし、マッドガッサーは鋭く黒服を睨み続けていた …かつて、殺戮を行った経験がある者の、殺意の眼差し それを、黒服は真正面から受け止める 「どうせ、都市伝説なんざ、人間から見りゃあ化け物だ。そんな化け物と契約してくれる人間だって希少だってのに……その化け物と、契約もしてないのに、一緒に行動するような人間がいるなんてな。どんな手を使ったんだか」 「…ッマッドはんの事、悪く言わんといてや!」 あぁ、随分と慕われているじゃないか 都市伝説の癖に、化け物の癖に 俺はうまくいかなかったってのに、こいつはうまくいきそうだってかい? ……気に食わないねぇ? 「まぁ、そう言いなさんなや?……今、俺はあんたらの命を握ってる状態なんだぜ?」 「……彼女だけでも、放せ」 黒服を睨みつけたまま、マッドガッサーが低い声で告げてくる 完全に動きを束縛された何もできない状態だと言うのに、それでも護ろうとでも言うのか? 「嫌だ、って言ったら、お前さんはどうする?」 「…そう、だな」 …ぎりっ、と 束縛された腕を、マッドガッサーは無理矢理動かそうとする 無駄なことを 黒服は、マッドガッサーを束縛する力を強めていく 「無理に動かすと、腕が引きちぎれるぜ?」 「…マッドはん!」 ぎり、ぎり……と マッドガッサーが動かそうとするその腕を、束縛し続ける ……しかし 「-------っ、う、ぁ」 「っ!」 ぶちり 束縛していた黒服の髪を、半ば引きちぎるように…その腕に髪を食い込ませ、肉を、骨を切らせ出血しながら…マッドガッサーは、無理矢理に右腕をうごかした その指を、口元まで運んで ぴぃいいいいいいいい…………----------------- 高い、口笛の音が、周囲に響き渡った ひゅうっ、と 風の音が、辺りに響いて 直後、激風が黒服に襲い掛かった 「っく……!?」 立つ事すらままならない、激風 まるで、竜巻が自分の場所にピンポイントで直撃してきたかのようなその風に、黒服は体勢を崩した その拍子に、マッドガッサーと似非関西弁の女性を束縛していた髪の力が、緩む 叫び声のような、何かの鳴き声が、風の音に混じって響く 再び襲い掛かってきた激風に、黒服は体を飛ばされ、塀に体を叩きつけられた 直後、目の前を…何か、巨大な、巨大な 鳥のような生き物が、通り過ぎていったのを、確認する 「ぐ……くそ、何だってんだ…?」 …風が、やんで マッドガッサーの姿も、似非関西弁の女性の姿も、消えていた 残っているのは、引きちぎられた髪の毛と……マッドガッサーが流した血痕だけだ 「…まさか、さっきのが…例の、巨大都市伝説か…?くそ、マジでマッドガッサーの仲間かよ」 舌打ちする 事実を確認できたのはいいが…これは、やっかいだ 今回は逃走に使用したようだが、あれに暴れられては洒落にならない 流石に、報告するしかないだろう 黒服はため息をついて、懐から携帯を取り出した 「怪我はないか?」 「うちは平気や…それより、マッドはん、腕」 「都市伝説だから平気だよ。後でジャッカロープの乳でも分けてもらうさ」 ぶらり、半ば使い物にならなくなった腕をぶら下げつつ、マッドガッサーは似非関西弁の女性にそう答える 彼女に怪我がなかった事実に、酷くほっとしている自身に、マッドガッサーは気づいていた 「なぁ、アレが、ひょっとして前に話とった秘密兵器?」 「あぁ。あいつがいりゃあ、いざとなりゃどこにでも逃げれるぞ」 「って、逃げる専用かいっ!?」 「約束なんだよ、荒事には手を出させないっつぅ」 ばさり 二人を逃がしたその巨大な存在は、翼をはばたかせ、高く、高く飛び上がっていっている それは、軽く見積もっても軽飛行機くらいの、巨大な存在 これがヘタに暴れれば、何がおきるかわかったものではないし…それこそ、本格的にあちこちの組織に目をつけられる 「マッドはん?…考え込むのもええけど、まずは早よ教会に入って治療しよや?」 「ん……あぁ」 …自分は、「組織」には生け捕りにされようとしている だが、仲間は…どうなるか、わからない それこそ、始末でもされかねない それを、改めて自覚する …だからと言って、今更計画を諦めるつもりもなく ……いや、半ば、その計画など、どうでもよくなってきているはずなのだが しかし、それを手放す気にもなれず 「…しばらく、潜むぞ」 「うん?……おおっぴらに動かん、って事?」 「あぁ、多少は動くが……ちまちまやっても、目をつけられていくだけだ…………一気に、やってやる」 それだけの知識を、自分は思い出している …この学校町を全体を、一気にガスで包み込んでやる その準備が、必要だ 「…後で、他の連中にも言うつもりだが………身を引きたくなったら、いつでも引けよ?俺がこれからやろうとしている事は成功するかどうかわからないし、何より…他の都市伝説契約者たちにかぎつけられたら、本格的に戦いになるだろうしな」 「……今更、何言うとるん」 苦笑してくる、似非関西弁の女性 …あぁ、本当に今更だな、と 感覚がなくなってきた右腕の事など忘れながら…マッドガッサーもまた苦笑したのだった to be … ? 前ページ次ページ連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち