約 2,840,857 件
https://w.atwiki.jp/dgrpss/pages/140.html
五回目の学級裁判が終わった後のことである 植物庭園の戦刃むくろの死体に触れているものがいた 黒幕、江ノ島盾子である… 「お姉ちゃん…」 江ノ島は実の姉である戦刃の死体を担いで死体安置室である生物室に 向かった… そして江ノ島は生物室の死体冷蔵庫に戦刃の死体を戻した… そしてドアを閉める前に…江ノ島は戦刃の顔をじっと見つめた… 焼き焦げている戦刃の顔を… その後江ノ島は戦刃の右手に写真を添えた… …記憶があった頃、戦刃が撮影した皆でバーベキューをした写真である… 「…これ…唯一あたしの顔がうつってある写真だよ…」 江ノ島の言うとおりその写真には他の写真にはうつっていない江ノ島の 顔があった… 「…覚えている?あのバーベキューの夜のこと… …あの時は二人でいろいろ語り合ったね… …お姉ちゃんがすごしていたフェンリルの事とか… …お姉ちゃんがいない間アタシはどうしてたとか…いろいろ…」 そういって江ノ島はにっこりと笑った… 「…そして1年たって…あの事件が起きたんだよね…そのあと皆の記憶を 奪ってさ…それからこの絶望の学園生活が始まって…アタシはお姉ちゃんを 見せしめに殺したんだよね…」 そして江ノ島は少し曇った顔になった… 「…お姉ちゃん…あの時アタシの気まぐれでに裏切られてどう思った… アタシに怒りが沸いた?裏切られて悲しかった?それとも…本当は… 心のどこかで予想して…それでも許してくれようって思ってた…」 そういって江ノ島は涙を流した…その涙は戦刃の顔に当たった… 「…なんで…なんでアタシって飽きっぽいのかなぁ…アタシがこんなに 飽きっぽくなかったら…大好きなお姉ちゃんが死ぬことなんてなかったのに… 絶望的に…飽きっぽいせいで…お姉ちゃんを…身勝手に殺して… ごめんね…」 その後江ノ島は死体冷蔵庫のドアを閉めてこうつぶやいて部屋を出た… 「…お姉ちゃんの絶望は…アタシが全部しょいいこんであげるから… お姉ちゃんは…あの世でも絶望しないでね…」 終わり
https://w.atwiki.jp/dgrpss/pages/395.html
エスパーだから、だなんて、本気で言っているわけじゃない。 人よりちょっと直勘が鋭いのと、ちょっと感情の機微に敏いくらいだ。 ただ何かしら芸風があった方が売れるし、と勧められて、デビュー当時はそういうキャラで押していた気がする。 もちろん売れてからは、そんなことをする必要などなくなったけれど。 けれど、未だに。 「…ゴメンなさい、シャーペンの芯は、私も切らしちゃってて」 「えっ、あ、……ホント、よく分かるよね、そういうの」 「エスパーですから。えっと…この時間だと、まだ購買は開いてますよね」 反応が楽しいので、彼の前で限定して、私はエスパーになる。 ――――――――――――――――――― 弾丸論破 ナエマイSS 『エスパー』 ――――――――――――――――――― 簡単に言うと苗木君の場合は、極端に考えていることが顔や仕種に出やすいのだ。 今だって、申し訳なさそうな顔をしながらシャーペンを手にとってやってきたなら。 だいたい、その用件はわかってしまうだろう。 それは例えば、先輩アイドルが煙草を指で遊ばせているそれに近い。 「火をつけろ」という合図。 もちろん私は煙草なんて吸わなかったけれど、そんなときのためにポケットにライターは忍ばせている。 「うーん、購買まで行くのもなぁ…他の誰かに借りるよ。ゴメンね、舞園さん」 なんて、彼が目と足を向けたのは、私の二つ前の席。 どこに忍ばせていたのか、魔法瓶から注いだ紅茶を優雅に啜る、セレスさん。 むっ、とする。 「…苗木君。そんなに今すぐ必要なんですか、シャーペンの芯」 「え?うーん…なんか、無くなったら足しておきたくなるというか」 「次の授業は体育だし、もう今日は使う授業は無いですよ」 「そっか…あ、でも」 「日誌、は、ボールペンで書けばいいんじゃないですか?」 言う前に言い当てられて、相変わらず驚きに目を開く。 その仕種がなんとなく可愛くて、私は頬を緩ませてしまう。 けれど。 (断られたからって、何も他の女の人の所に行かなくても…) 彼の方は、私の心なんて露とも察知してくれない。 そんな、人の裏を知らないような純朴な所も、まあ、その…素敵だけれど。 「まあ、舞園さんがそう言うなら」 納得したようなしていないような微妙な顔色で、彼は自分の席に戻っていく。 と、それに合わせたように、 「随分とご執心でいらっしゃいますのね」 皮肉と嘲笑を含んだ、いやに丁寧な声が前の席から届いた。 「…何のことですか」 「独占欲の強い女は引かれますわよ、と申し上げたのです」 つ、と紅茶を含みながら微笑されて、なんとも言えない気持ちになる。 考えを読まれる側に回るのは、怖い。 ――――― 「あ、舞園…さん」 休み時間をまたいで体育館に向かえば、苗木君が重そうなポールを一人で運んでいた。 「今日、バレーでしたよね。ポールとネット、先生が来る前に出しておきましょうか」 苗木君は目を合わせようとしない。 その割に、ちらちらと頻繁にこちらに視線を送っている。 視線の矛先は、言わずもがな。 この学校は、未だに体操着がブルマだ。 学園長の趣味だろうか。 中学までの私なら、嫌悪感から逃げ出してしまっていたかもしれない。 男子のそういう視線には、慣れていなかった。 けれどそれは、アイドルになる前までの私。 業界のセクハラの前では、山田君も泣いて逃げ出すだろう。 下着のズレを直すフリをして、わざと指を中に滑らせてみる。 耳まで真っ赤に染めながらも、苗木君は食い入るようにその仕草を見つめる。 汚らわしい、雌の高揚感。 ゾクゾクと、見せつけていることに背徳的な興奮を覚える。 視線を感じる。視線で感じる。苗木君の視線が気持ちいい。 ステージ上にいる感覚に似ている。 羞恥心が心地よい、鼓動が速くなる、体が熱くなる、もっと―― …と、いけない。 これじゃ、変態さんだ。 「…もう、どこ見てるんですか」 自分を棚に上げ、唇を尖らせて咎めると、ビク、と体を強張らせる。 小動物のような仕草はいっそ、可愛らしさまで感じてしまう。 「えっ、う、あ……ご、めんなさい…」 「苗木君、エッチです」 「ちが、違うんだ、これは、その…」 クスリと笑ってみせると、苗木君は少しだけ安堵したような表情を浮かべた。 「そ、そうだ!ホラ、早くバレーの準備しないと」 「うーん、なんか誤魔化されている感が…」 「僕こっちのネット張るから、舞園さんはそっちをお願い!」 「…ふふ、わかりました」 軽蔑、するだろうか。 私があなたの考えを覗いて、わざとあんな行為をしていると知ったら。 いや、するに決まっている。 気は弱いけれど、意外にまっすぐな少年だ。 私みたいなねじ曲がったような存在を、きっと許せない。 まだ少し残る興奮に蓋をして、私は彼の後を追う。 ――――― 「買い物、ですか」 「うん、どうせだから色々文房具とかそろえようかな、って」 放課後。 二人で帰ろうと提案すると、今日は本屋に寄るから遠慮すると言われた。 文房具>私 という式が真っ先に頭に浮かび、急いでかぶりを振って払拭する。 「じゃあ、私も一緒に行っていいですか?」 「え?」 「ダメ、ですか」 「いや、あの、もちろんいい…んだけど、僕に着いてきても、特に面白いこともないよ」 視線を反らしながら、ポリポリと頬を掻く。 む、と、思わず頬を膨らませそうになった。 卑屈なところというか、人に気を使いすぎるというか。 そういうところは、好きじゃない。 「私が着いて行きたいから、勝手に着いて行くんです。ホラ、早く」 「わわっ…」 手を取って、引っ張る。 もう少し男の子として頼れたら、引っ張ってくれたら、とは思う。 まあ、そういう遠慮も彼の優しさから出ているのだと思うと、魅力的だと思えなくもないけど。 ぐいぐいと手を引っ張ると、恥ずかしそうに苗木君がごねる。 「まっ、舞園さん、あの、手…みんなに見られるから…」 「え?なんですか?」 わざと聞こえないふりをして、掴んだ手に指を絡める。 ひゃっ、と苗木君が女の子みたいな声を上げるので、思わずクスリと笑いを洩らしてしまった。 「もう…舞園さん、わかっててわざとやってるでしょ」 「さあ、なんのことでしょうか」 「うぅ…そうやって僕のことからかうんだから」 からかってるわけじゃ、ないんだけどな。 結構本気でアプローチしてるのに、もうそろそろ真に受けてくれたって、 「あ、ホラ…着いたよ」 校門を出て、ものの三分。 握りしめていた手を振りほどくようにして、苗木君が文具屋を指し示した。 そして一人、先にその店の中に入って行ってしまう。 …もしかして本当は嫌われてるんじゃないだろうか、と時々思ってしまう。 ここまで何度も何度も、勇気を出して迫っているのに。 けれども嫌っている素振りもないし、ただ脈がないだけだろうか。 いや、脈がないっていうのもそれはそれで傷ついたりするんだけど。 「舞園さん?」 人の気も知らないで、入口からひょっこり苗木君が顔を出す。 「うー…今行きます」 「? うん…」
https://w.atwiki.jp/dgrpss/pages/258.html
「苗木君」 ある日の放課後、今日の授業で受けた教科のノートを鞄に詰めている最中、ボクは霧切さんに声をかけられ顔を上げた。 その霧切さんだが、どこか様子がおかしい。 無表情なのはいつもの事だけれど、今日は何故かロボットのようにぎこちなく右手と右足を同時に動かしている。 どうかしたんだろうか? 「この後、何か用事はあるかしら」 「えっと……」 言われてこの後の用事を思い出す。確か今日は…… 「無ければ、この後体育館裏まで来て欲しいのだけれど」 「ええと、ごめん。今日はちょっと――」 「それじゃ、待ってるから」 言うが早いか、霧切さんは競歩の選手も真っ青の超速度歩行で去っていく。 「ええぇ!ちょ、早――待って、霧切さ……も、もういない……?」 慌てて追いかけたボクの目に入ったのは、巻き上がった埃と誰もいない廊下だけだった。 仕方なく呼び出された体育館裏へ向かうと、そこにはもう霧切さんが待っていた。 霧切さんはどこか落ち着かない様子で、空を見上げたりせわしなく手鏡を開いたり閉じたりしてりる。 (面白い……) 滅多に見れない霧切さんの奇行をつい観察してしまうが、いつまでも見てはいられない。 「霧切さん」 「あ……」 声をかけただけで、彼女の表情がほっと和らぐのを感じた。 と思ったのも束の間、彼女の顔は再びこわばり、先ほどよりガチガチの酷い有様になってしまう。 「えっと、どうかしたのかな?こんな所で……」 「……これ」 彼女が手にしていた鞄に手を入れる。 何が飛び出てくるかと思わず身構えてしまうが、そこから出てきたのは――何の変哲もない一輪の花だった。 「あげるわ」 「これ……花?」 「……マーガレット。キク科の多年草で、カナリア諸島を原産地とした――」 「ああ、うん、ごめん、わかった。ありがたく貰うよ。でも、これをどうしてボクに?」 「……言わなきゃ、駄目かしら」 「?」 たまに言っている事がよくわからなくなる霧切さんだけれど、今日はそれに輪をかけてわかり辛い。 「ええと、できれば教えて貰えると……」 「それ、は……」 霧切さんは顔を俯かせると、言い辛そうに口ごもる。 その顔は全力疾走を終えた時のように真っ赤に染まっていた。 仕方なくボクは彼女が口を開いてくれるのを待つ。 その時、背後から草を踏む音が聞こえてきた。 「……苗木よ」 「あ、大神さん」 「――――!」 そこに立っていたのは、セーラー服を着た超高校級の格闘家、大神さくらさん。 「遅いので探しておったところだ」 「ごめん、ボクの方から特訓をお願いしてたのに」 「ふむ……霧切よ。何か苗木に用事か?」 ボクと向かいあっていた霧切さんに大神さんが問いかける。 俯いた長い髪が邪魔をして、その表情は窺えない。 「……ごめんなさい。邪魔をしてしまったわね」 「え、でも話があるって――」 「我は遅れても構わぬぞ、霧切」 「いいの……また、今度……」 「あ……霧切さ――」 「ッ――! 来ないでッ!!」 彼女に向かって伸ばした手が振りほどかれる。 その時、彼女の手にあったマーガレットがボクの腕に辺り、地面にぽとりと落ちてしまった。 「あ……」 「っ……!!」 彼女は地面に落ちた花を悲しそうな眼で見、そしてそのまま駆け出してしまった。 「霧切さん……」 「…………」 落ちていた花を拾い上げる。少しだけ砂で汚れてしまったけど、マーガレットは彼女の髪のように綺麗なままだった。 「……苗木よ」 腕を組んで成り行きを見守っていた大神さんが、ボクに声をかけてくる。 「霧切の元へ行ってやれ」 「でも、霧切さんは来るなって……」 「……その花」 「え?」 ボクの手にある白い花を指差し、大神さんは続ける。 「その花の意味について調べてみるがいい」 「この、花を?」 「我に言えるのはそこまでだ」 彼女はさっと踵を返すと、どこかへ歩いていく。 「無骨な我だが、そなた達の武運を祈ろう」 乙女の戦いも、また戦いなれば。 そんな言葉を残して、大神さんは去って行く。 一人残されたボクは、手の中の白い花を眺め、ぽつりと呟いた。 「この花の、意味……」 脇目も振らず駆けていた私は、寄宿舎の自分の部屋へ辿りつくと、こじ開けるようにして扉を開いた。 飛び込むように部屋に入ると、扉に背中を預けるようにして、そのまま座り込んでしまう。 「はぁ……はぁ……」 心臓が激しく脈を打っているのがわかる。 今の全力疾走と、それ以上にその前の出来事が原因で。 「っ……は、ぁ……」 そうして一人になると、先ほどの自分の行動に自己嫌悪が止まらなくなる。 少し冷静になればわかることなのに。 花言葉なんて、彼が知らなくても当然。 そんな事を頭に入れてなかった私が悪いだけなのに。 「ばか……」 私の、馬鹿。 冷静になれないんだ。彼の前に立つと。 「ごめん、なさい……」 今ここにいない彼に謝る。 彼に直接謝ることもできない、卑怯な私。 そんな自分にさえ自己嫌悪が沸いてくる。 そのまましばらく膝を抱えていると、部屋のインターホンが鳴った。 「……こんな、時に」 涙を拭い、できるだけ平静を装って扉を開ける。 「え……」 「やあ……霧切さん」 そこに立っていたのは――苗木君。 先ほど酷い事をしてしまった彼。 「なん、で……」 「ありがとう。花、嬉しかったよ」 彼の左手には、先ほど私が持っていた白いマーガレットがあった。 取り繕うように髪をかき上げる。 私は、いつもの顔が出来ているだろうか。 「別に、そんなの。ただ余っていたからあげただけよ」 「それは違うよ」 私の欺瞞に満ちた言葉が、彼に真っ向から切り捨てられる。 いつしか彼は、何時のもの子犬のような顔ではなく――強い意志を持った男の顔になっていた。 「『心に秘めた愛』――マーガレットの花言葉だね」 「……!!」 「ごめん。花言葉には詳しくなくてさ。今必死に調べてきたんだ」 彼は照れくさそうに鼻頭をかくと、真剣な面持ちで私に向き合う。 「ボクって何をやっても人並みで。鈍くて。だから霧切さんを悲しませてしまう」 だから、ごめん。 そう言って、苗木君は右手を――その後ろ手に隠し持っていた物を差し出してきた。 「これが、ボクの気持ちだよ」 「あ――」 彼の差し出す、青い花。 それの意味する所に気づく。 私は震える手を伸ばすと、それをそっと受け取った。 「これ……私に?」 「うん」 「私が、受け取っていいの……?」 「霧切さんに貰って欲しい。霧切さんじゃなきゃダメなんだ」 彼の想いがそのまま込められているかのような、青い花。 その想いごと抱き締められるよう、私はそっと胸に抱いた。 「……あり、がとう……苗木、君……」 「ぬうおおぉぉおおおおお!!」 裂帛の気合と共に繰り出された回し蹴りで、樹高20メートルはあろうかという巨木が蹴り倒される。 ここは市内の高台であり、希望ヶ峰学園を一望できる箇所にある。大神さくらお気に入りの修練所であった。 本来ならば今頃稽古を申し出てきた少年にここで武道の精神を教え込んでいた所だが、それも致し方ない。 果たして、あの二人は上手くいっただろうか。 「……む」 鷹の眼とも形容される彼女の眼が、遥か下方に位置する希望ヶ峰学園の校門を捉える。 手を繋ぎ、校舎を後にする少年少女。そして彼ら二人の手にある花を見て、さくらはふっと表情を綻ばせた。 少年の手に揺れる、白いマーガレット。 その花言葉は、『心に秘めた愛』。 少女の手に揺れる、青い勿忘草。 その花言葉は――
https://w.atwiki.jp/dgrpss/pages/225.html
朝日奈「さくらちゃん!! 食堂でメイド喫茶でもやってみない?」 大神「あ、朝日奈!? メイド喫茶と言うとメイドの服を着て 客を主人呼ばわりする…あれか?」 朝日奈「そうそう! さくらちゃんも知ってるんだ!!」 大神「そういえば聞いたことがあってな… されど、我にそのような服など着こなせるのだろうか…」 朝日奈「気合で大丈夫だよ!!」 大神「…そこまで言うのなら…」 数分後 食堂 山田「ふぅ…おなかが減ったであります… って、朝日奈葵殿っ!?」 朝日奈「おかえりなさいませ!!ご主人様!!」 山田「な、何故にメイド服を!?」 朝日奈「えへへ~、似合うでしょ~。」 山田「た、確かに似合いますが… まだまだですな。」 朝日奈「え?何で?」 山田「ありきたりすぎるのです!! テンプレどおり過ぎて刺激が足りないのです!!」 朝日奈「そ、そう?そこまで言われるとへこむなぁ…」 大神「そうそうへこむものではない、朝日奈…」 山田「へ、大神さくら殿もメイド服…」 大神「…似合わないのは承知だが、朝日奈がやれというのでな…」 山田「大神さくら殿のメイド服… なんか、キタ!!」 朝日奈・大神「!?」 山田「まるで「仮面のメイドガイ」のコガラシそっくりですぞ!! 創作意欲がわいてきますなぁ~… 少しだけ書き写させてもらいますぞ!!」カキカキ… 大神「…ま、まさかここまで興味をもたれるとは…」 朝日奈「さ、さくらちゃんすごい… それに引き換え私は…テンプレどおりで何のアレンジもできなくて…」 大神「それは違う!!(論破)」 山田「そ、それは苗木誠殿の台詞ですぞ!!」 大神「朝日奈よ、基本どおりと言うのも悪くないものだ。 基本どおりというのがなくては何も成り立たないからな… そこから自己流の変化をつければいい…格闘技と同じだ。」 朝日奈「…さくらちゃん…ありがとう!! よーしっ、超高校級のメイドめざして頑張るぞーっ!!」 大神「(朝日奈と少し仲良くなれたみたいだ) それと山田よ、もう少し人の気持ちも考えたほうがいいぞ。」 山田「し、しぃましェーん!! (しまった!!大神さんに対する僕のイメージが悪くなったみたいであります…) 朝日奈 (なんか、今日はやけに二人とも苗木のマネをしてるなぁ…)
https://w.atwiki.jp/dgrpss/pages/319.html
7月7日。七夕。夜。 「はぁ・・・」 腐川冬子は1人、屋上にいた。 ちらり、と横を見る。横には超高校級の植物学者だかが作った巨大な竹が風に揺られていた。 そこには、高校生にもなってはしゃぎながら書いていた短冊が吊るされている。 『背が伸びますように』 『ミュージシャンになりてえ!』 『もっと強くなりたいです。よろしくお願いします。』 という純粋な願いや 『金をくれたら、いつでも会えるようにしてやるべ』 『ドーナツいっぱい!おいしいよ!!』 『ぶー子たんハァハァ(絵付き)』 という願いなのかよくわからない落書きが、風になびいていた。 「はぁ・・・」 何回目のため息なのだろう。空を見上げながら腐川は思う。 ――悲劇の恋人だなんて、愛を伝えられるだけでいいじゃない ひねくれているな、と自分が嫌になる。けれどそう思いたい。 会えないだけで悲劇なのなら、思いを伝えられないのは何なのかと。 勇気がなくて思いを伝えられないのではない。伝えれるものなら今すぐにでも伝えたい。 違う、あたしは思いを伝える事を許されない存在なのだ。 無意識に左太ももをかきむしる。痛みなんてそんなの関係ない。 ―――悔しい。悔しくてたまらない。どうしてあたしが、何であたしが。 憎い。【あいつ】が。なんで【あいつ】はあたしなの?【あいつ】のせいであたしは何もできない。 家族と触れ合うことも、友達を作ることも、好きな人に思いを伝えることもできない。 何故か?それは怖いからだ。 心を許した相手が【あいつ】によって殺されてしまう可能性があるから。 それが嫌だから。誰かが死ぬのは嫌だから。 だからあたしは――― 「おい」 「っひっ!」 背後から声をかけられた。何かと思えばそこには 「と、十神君っ・・・!?」 十神白夜が立っていた。 「ななななな何!?」 まさかの状況に頭が混乱し、思わず強く言ってしまった。 後悔しかけた時、十神が横に来る。距離を保とうとするが足がもつれ、うまく動かない。 無理やり動いてこけた場合、【あれ】を見られると困る。 「っぐぅ・・・」 結局、十神と並んでいることになった。 「ふん、俺といるのが嫌か」 「そ!んなわけない・・・です」 「ふん、当たり前だな。この俺がわざわざ隣にいてやってるんだ。感謝しろ」 と、どや顔そのものでこちらを見る。 「う?あぇ・・・はい」 と一応頭を下げるほかない。 そして沈黙。沈黙。沈黙だけしかない。 「あ・・・のぉ・・・」 息苦しさから逃げ出そうと口を開いたのもいいが、何も話題が見つからなかった。 「あの・・・えっと・・・」 再び後悔しかけた時、腐川の視界に風に揺れる竹が写る。 「七夕・・・あっ、お願いは?」 十神はちらりと竹を見、口を上げながら答えた。 「世界征服だ」 「うぇ?」 冗談なのか本気なのか迷おうとしたが、十神の目はどう見ても本気だった。 「くく・・・短冊に願いなど子供の遊びだがな。仕方なしに付き合ってやったんだ。 俺の願いはただ一つ。十神の繁栄だけだ。 無駄に生き残ってるやつらがいるからな。そいつらが消えれば十神は繁栄する、 すなわち世界は十神一色、世界を征服することになる。」 「はぁ・・・」 「ふん、俺が答えてやったんだ。お前は何を願った?」 「あ・・・たしは」 見せれない。 子供みたいで、馬鹿みたいで、意味が分からない願いを書いてしまったのだ。 まさかこういう展開になるとは思わなかったため、つい書いてしまった。 やばい、かなりやばい。 答えようとしない腐川に痺れを切らしたのか、十神は飾っている短冊を見ようとする。 「だ、だめ!笑う!」 制止する腐川の手を振り払い、十神は一つ一つの短冊を見ていく。 しばらくすると、十神の動きが止まる。手には紫色の一枚の短冊があった。 十神はじっとその短冊を見つめている。 「あ・・・あの」 「ふん・・・笑う、だと?」 地が身は短冊から手を離し、腐川に背を向ける。 「人の願いなど誰にも笑う権利などない。それとも俺は笑うと思ったか?」 「そ、んな・・・こと・・・」 十神は「はん」と鼻で笑い、立ち去ろうとする。 が、立ち止まり振り向かずに行った。 「お前はお前だ」 「っ!」 「くく・・・独り言を盗み聞きするなどいい度胸だな。まぁ、それがお前だがな」 その言葉で何かが変わった、そんな気がした。 ずっと塞ぎ込んでいたものが蒸発するように消え、身体が軽くなる。 それが心地よくて、気持ちよくて、温かかった。 そして気付いた。自分は逃げていたのだ。【あいつ】から。 【あいつ】を理由にあたしはずっと逃げていた、なんて愚かなんだろう。 よりにもよって、一番バレたくない相手に気付かされるだなんて。 「あ・・・」 我に返ると、もうそこに十神はいなかった。 「十神君っ・・・」 考えるよりも身体が先に動く。どこにいるのかは分からない。だけど、言わないと。 何を?分からない。それでも、どうしようもない感情が腐川を動かしていた。 「あっ、腐川ちゃん!」 十神の部屋の前に朝日奈というおっぱい女が立っていた。 「探してたよ、ちょうどいい!後は・・・ね、十神知らない?」 「し、知らないわよ・・・」 むしろ探してるなんて言えない。何で探してるのとか聞かれるに決まっている。 「そっかー、どぉこ行ったんだろうね!」 「な、何。探してんの・・・?」 「うん!せっかくの七夕だもん!十神に彦星のコスプレしてもらおうと思ってさー」 「コ・・・スプレ?」 何故コスプレなのか。と、いうより・・・ 「おおおお織姫は誰なのよ」 「腐川ちゃん!」 「うぇえ!?」 聞いてない、そんなこと。というか、いつの間に決まったのだ。 「山田がね、勝手に決行したんだ。まー面白そうだからいいかなーと! 衣装は山田がちゃんと用意してるんだって。 ちなみにキャスティングはくじ引きです。引いたのは苗木ね」 まさかの展開。本人がいない間に何を勝手に決めて、しかも進めていたのだろうか。 「むむむむむむむ無理よぉ!!!」 そう叫び、腐川は走り去る。朝日奈の「あっ、まてー!」という制止など知らない。 ああ、分かった。何故と十神がわざわざ自分なんかと一緒にいたのか。 ただクラスメイトの魔の手から屋上に逃げてきただけだ。そこに偶然あたしがいただけのこと。 馬鹿馬鹿しい。だけど、どこか嬉しかった。 走りながら無意識に腐川は呟く。 「白夜、君・・・」 夜。屋上。 江ノ島盾子はにんまりと笑いながら仁王立ちで立っていた。 周りに誰もいないのを確認すると、深呼吸し叫ぶ。 「さあ、始まりました!ワックワクドッキドキのお晒しターイム!」 鼻歌を歌いながら、飾られている短冊を一枚一枚見ていく。 「まずは『背が伸びますように』。 あー・・・そうですよね・・・高校男子のくせに160cmなんて絶望ですよね・・・ 次は・・・『大切な人の病が治りますよう』。 大切な人、ふむ。素晴らしい願いですね。叶うかどうかは知りませんが。 次です。『レーション山盛り』。 あぁん、バレバレだよぉ!願いまで残念ってぇ、最高に絶望なお姉ちゃん! 次はぁー・・・ん?」 思わず素に戻る江ノ島。 そしてニタリと笑う。 「面白い願いだね・・・うぷぷぷ」 江ノ島が手にする短冊は紫色。そこには弱弱しい文字でこう書かれていた。 『自分』 そしてその裏には乱暴な文字でこう書かれていた。 『アンタはアンタ!だってアタシはアタシだもーん!』
https://w.atwiki.jp/dgrpss/pages/660.html
「やぁ、罪木さん。少し話しがあるんだけどいいかな?」 「な、なんですかぁ。私また何かしましたかぁ!?」 「いや、希望の象徴たる超高校級の君達に話を聞いて貰えるなんてそれだけで僕にとっては幸運だよ」 「うぅぅ・・・私なんかが超高校級の保委員でごめんなさぁぁぁぁい」 「いやいや、謝らないでよ。ところで話なんだけどね」 「うぅぅ・・・ゲロブタですみませぇん!」 「あの、聞いてくれるかな?罪木さん?」 「は、はぃ。な、なんでしょうかぁ?」 「実はね、日向君の事なんだけどさ」 「はいぃ・・・?日向さんがどうかしましたかぁ?」 「最近さ、彼とよく話をしているよね?」 「え、エヘヘ・・・。日向さんからよく話掛けてくださるんですぅ・・・。こんな事初めてで私・・・エヘヘ」 「そうなんだ?」 「は、はいぃ。私みたいなゲロブタに話掛けて下さるだけじゃなくてぇ、虐めたりしないんですぅ。むしろ私が怒られしまってぇ・・・」 「へぇ・・・。怒るってどういう風に?」 「えっとですねぇ・・・。お、『俺はそういう意味で言ったんじゃない!罪木と普通に話をしたいだけなんだっ!』ってぇ・・・。不思議な人ですよねぇ。わ、私、みたいな人に話し掛けるだけじゃなくて怒ってくれるなんて」 「ふふ・・・。彼の事を信頼しているんだね」 「あああわわわ、そ、そんな事思ってないですぅ!わ、私なんかが信頼したりしたら日向さんが困っちゃいますよぅ!!」 「ちょ、調子に乗ってごめんなさぁい・・・。あ、脱ぎましょうかっぁ!?好きな所に落書きしていいんですよぅ!?」 「い、いや遠慮しておくよ。そう言っても日向君を信用している罪木さんには酷な話かもしれないんだけどね。」 「え・・・?な、なんですかぁ!?」 「いや、日向君から最近相談を受けていてね」 「そ、そうなんですかぁ?」 「うん、その内容がね。『罪木の話を聞いてやってたら調子に乗って付き纏いだされた』ってね」 「あ、ああああの、ひ、日向さんがそんな事いう訳ないじゃないですかぁ・・・・」 「本当に酷いよね。表では罪木さんにそんな態度で振舞っておいて裏ではこれだよ?」 「・・・・ほ、本当なんですか・・・?」 「ボクは告げ口みたいで本当は言いたくなかったんだけどね・・・。事実だよ。なんなら録音してる音声でも聞かせようか?」 「・・・・け、結構ですぅ。わ、わたし・・・気分が悪いんでぇ・・・・ぅっ・・・部屋に戻りますぅ・・・・ぐすっ・・・・」 「大丈夫?ボクでよければ部屋まで送ろうか?」 「・・・・・・・っ・・・ひっ・・・・・」 「あーあぁ。行っちゃった。」 「・・・・・・・・・・・くっ・・・。ふっくっ・・・・ああはははははぁあああああああははあははははあはは!!! ごめんね、罪木さん。でも仕方ないよね?希望がより輝く為には多少の絶望という名のスパイスは必要なんだよぉ!!!!!」
https://w.atwiki.jp/dgrpss/pages/765.html
「おとうさまっ!」 ――ああ、またこの夢だ。 「ん? どうしたんだ響子?」 「あのね、抱っこして欲しいのっ!」 「ああ、いいよ。おいで」 あの、写真と同じ。 「わぁっ!」 「そらっ、どうだ響子? 高いだろう?」 「ほんとうだぁ! おとうさまより高い高いっ!」 ――カシャリ 不意に聞こえるシャッター音。 「おっ、写真撮ったのか?」 「ええ。凄くいい笑顔だったから」 「おかあさま、写真とったの? 早く見たいわ!」 「そうね。現像しないとけないから、ちょっとだけ待ってもらうことになるけど、いいかしら?」 「わかったわ!」 優しい母の声。 不意にそれは終わる。いつも、そう。 「やだっ……どうしておかあさまは起きないの? ねぇ、どうしてっ? おとうさま、どうしてなのッ?」 「おかあさんはね……もう起きないんだよ……起きられないんだよ……」 ベッドに横たわる、動かなくなった母。私は、覚えている。 でも、この後のことは知らない。記憶に無い。 「僕は探偵稼業を辞める」 「本気で言っているのか?」 「ああ」 「……それならば響子を置いていけ。それが条件だ」 「響子なら、僕よりも良い探偵になれるだろう……あの子には才能があることくらい僕にも分かる……響子を置いていくよ」 事実かどうかなんて分からない夢の話。 だけど、確かにこの後の私のことは記憶と一致する。 「おじいさま、おとうさまはどこへ出かけたの?」 「それは私にもわからないんだ。すまない響子」 「おとうさまは、いつ帰ってくるの?」 「もう帰ってこないんだ。あの父親のことは忘れても構わないよ」 幼いながらに、絶望したのを覚えてる。一度に二人を失った悲しみを覚えてる。 そして――夢の続きは、あの学園のあの隠し部屋での出来事へ。あの箱の中身が私の心を揺さぶる。 私はそこで目を覚ました。最近、よく見る夢。 夢だから、事実かどうかなんて信憑性なんてものはないはずだけれど、ほとんどが私の記憶と一致している。幸せだった頃の記憶と、絶望に突き落とされた記憶。 今更悲しくなんてないけれど、この夢を見た後は私の目からはいつも涙が溢れている。 「――どうか、してるわね」 私は涙を袖で拭うと、ベッドを降りた。いつもどおりにキッチンへ向かい、コーヒーを淹れる。 いつもどおりに規則正しい行動をすることで、乱れた気持ちを整えることが出来るから。 ◇◇ 「どうせなら、両親の記憶なんて忘れたままで良かったのに」 私が、そう言うと苗木君の視線を感じて私は彼の顔を見た。そして自分の失態に気がついた。 彼は人のことでも自分のことのように怒って傷ついてしまう、お人好しな人だったから。 「そんなこと言ったらダメだよ、霧切さん……」 「ごめんなさい……失言だったわ」 ――あなたの前ではだけど。 「……霧切さん、ボクは君に隠してることがあるんだ」 「隠してること? 一体何を隠してるの?」 「希望ヶ峰学園の、寄宿舎二階にロッカーがあったでしょ?」 そう言われてあの悲惨な状態だった風景を思い出す。 「ええ」 「学園を出る前に、ボクはあそこのロッカーを全部徹底的に調べたんだ。そして、ボクのロッカーにボク宛の手紙があったんだよ」 「手紙? 一体誰から――」 「学園長だよ」 ――あの人から、苗木君に手紙? 私はどうしてあの人が苗木君宛てに手紙を書いたのか、見当がつかなかった。 「内容は……見てもらった方が早いね。今から僕の部屋に来てくれる?」 「……わかったわ」 一体何が書かれているのか、気になった。謎があればとことん突き止めたいというのも探偵の性かしらね――なんて内心自嘲しながら、苗木君の後ろを歩いて彼の部屋へ来た。 部屋にはいると、机の鍵のついた引き出しから苗木君が白い封筒を取り出して、無言のまま私に手渡した。 「……読んでも、いいのかしら?」 「うん。君が読まなきゃいけないと思う」 「そう――」 私は何故か緊張して声が上ずった。そしてゆっくりと封筒から手紙を取り出し、開いてみた。そこには、あの人の直筆で心からの言葉と取れる内容があった。 『 苗木君、いつも響子を支えてくれてありがとう。本当に君には感謝しているよ。だから、私は君にはすべてを話しておきたい。 まず、知っていると思うが私は心から響子を愛している。たった一人の娘だ。家を出た後も片時も忘れたことはなかった。 正直、何度も霧切の実家に足を運んでしまいそうになった。しかし、出来なかったんだ。それは私の父親との約束でもあったし、何より響子の探偵としての素質、才能を潰したくなかった。 探偵という稼業を畏怖している私には、響子を立派な探偵に育て上げることは無理だと判断した。だから私の父親に響子のすべてを委ねた。 結果、本当に響子は素晴らしい才能を持った探偵になった。一人前の探偵となった響子が私の前に現れた時、卒倒しそうな程に嬉しく誇らしかったのをよく覚えているよ。その代わりに、父親として接することを犠牲にしてしまったけどね。 本音を言えば、誰の教えも必要ないほどに立派な探偵となった響子と普通の親子のように一緒に暮らしたいと思っている。けれど、それは無理だろう。 この想いだけでも本人に伝えられたら、と思ったこともあるがあの子からしたら図々しく虫の良すぎる話だろうから、私は胸に秘めたままこうして今まで来た。これからも言うことはないだろう。 だから、苗木君。これからも君が響子を支えてくれ。もし、私に何かあっても君だけは響子のそばに居てくれ。私の大事な愛娘を頼む 』 「……どうして、いつもいつも直接、その時に話してくれないのかしらね。あの人は」 「霧切さん……」 私は、初めて父の思いに触れることが出来たんだと思う。父の言葉で書かれた父の本当の気持ち。 「あの夢は、事実だったのね――」 「君は、ご両親にもお祖父さんにも確かに愛されていたんだ。だから、ちゃんと覚えていてあげて欲しい」 「……そう、ね。……苗木君、これを読ませてくれてありがとう。それと――」 ――親子揃ってあなたに支えてもらって、本当にありがとう。 終わり
https://w.atwiki.jp/dgrpss/pages/868.html
「な、なんで霧切さんがここに!?」 日付も跨ごうかという夜更け。 苗木誠は、目の前の光景にその日一日の疲れも忘れてしまったかのような声を出す。 某奇抜な髪型の元クラスメイトから頼まれた仕事、自分の残務処理諸々を漸く終えて帰宅したというのに “超高校級の幸運”なんてかつて言われた才能に、真っ向から反論したくなる出来事に頭の処理が追いつかないでいた。 「すぅ………」 霧切響子が、自分のベッドで眠っている。 普段の彼女からは想像もつかない無防備な姿。 苗木は急激に襲い来る緊張で喉を鳴らしてゆっくりと近づく。 瞼を閉じた霧切の目前で手を振るも当然反応はない。 「…寝てる……」 「どうして自分の部屋に?」という思いはあるものの、苗木は徐々に冷静さを取り戻していく。 霧切はとてもよく眠っている―――熟睡といってもいいのではないか、そのくらい眠りは深いようだった。 だからこそ起こすのに躊躇し、どうするべきかと思案する視線は無防備な――― 年頃の男なら、無意識にその体のラインに視線が吸い寄せられるだろう。苗木も例に漏れず、その一人だった。 未来機関で支給されるスーツ姿。普段良く見る姿なのに、艶かしさを感じてしまうのは いつも張り詰めた糸のような霧切が、その糸を緩めて、無防備な姿を晒しているからだろう。 胸元は呼吸の度に上下し、スーツの上からでもわかるくびれた腰は細く、 そこから伸びる女性らしい丸みを帯びたラインとそこから伸びる重なった太腿は肉感的で艶かしい。 (う、うわ…なんか霧切さん、いつもより………) 「っ、な、何考えてるんだボクは!」 熱くなる顔を振って芽生え出した下心を慌てて封じ込める。 彼女は大切な仲間で、今まで支えてくれた恩人で、そんな対象になってはいけないのだと、苗木は自分にそう言い聞かせ 「…起こそう。無防備に寝られると、色々困るしね…うん、色々…」 自分の情けなさに溜息を漏らしながら、眠る霧切の肩に手を置きその寝顔を覗き見る。 普段は理知的な色を宿す瞳は閉じられ、あまり緩む事のない頬は子供のように緩んでいる。 あどけない寝顔―――思わずその顔に、苗木は目を奪われてしまう。 (霧切さんの寝顔って、子供みたいで可愛いなぁ…) 肩に置いた手は、僅かに開かれた薄い桜色をした唇に引き寄せられ、指先で唇をなぞる。 初めて触れた異性の柔らかい唇の感触、規則正しく漏れ出る吐息が指にかかり、それは苗木の理性がグラグラと音を立てて崩れ落ちるには充分すぎる刺激だった。 頼りになる彼女の無防備な姿に唇に触れた手は頬へと添え、ゆっくりとお互いの顔が近づいていく。 端正で幼さの残る寝顔に見惚れながら苗木の瞼が閉じられ―――― 「!!!!!」 霧切の口から漏れる声に我に返った苗木は慌てて顔を離す。 (い、今、何しようとしたんだ…なにやってるんだよ!) とんでもないことをしでかす前に気づいて良かったという思いと、指で触れた唇に触れたいという矛盾した気持に、高鳴る心臓を抑えて後ずさる。 顔は茹で上がったように熱くなり、今霧切の目が開かないことに心から安堵した苗木は深呼吸をして自らの心を落ち着かせ 「き、霧切さん、起きて…!」 今度は細心の注意を払って欲望を戒めて、肩を揺さぶって声をかける。 「ん……ぅ……、……なえ、ぎ…君…?」 「はぁぁぁ、やっと起きた」 心から安堵した苗木は溜息を漏らし、その姿を霧切は寝ぼけ眼で見詰めた。 「…私は、あなたの部屋で寝てしまったようね」 「うん、一応ここ、ボクの部屋だね。えっと、どうして霧切さんがボクの部屋に?」 起きたばかりで、目の前に居る自分に動揺もしない。直ぐに状況を理解する霧切の様子に、苗木はこんな時まで感心していた。 「苗木君に会いたかった……なんて理由だったら、どうする?」 「え………えぇぇっ!?」 思わず動揺を露わにする苗木だが、対する霧切は唇を釣り上げて楽しげだ。 そこで漸く“からかわれて”いることに気づいた苗木は苦笑を浮かべながら頬を掻く。 「霧切さん、からかわないでよ」 「フフ、何のことかしら?」 「と、とにかく、どうしてボクの部屋で寝てたのか説明して――」 「これよ。忘れ物」 いつもの調子の霧切を追求しようと苗木は言葉を発するが、それはすぐに遮られた。 特に隠す気があったわけではないのだろう、言葉とともに差し出したのはベッドサイドテーブルに置いた書類だった。 あっ…と小さな声を漏らし、“忘れ物”との言葉に記憶から思い至った苗木はそれを受け取り、確認をするように文面に目を通して長い溜息を吐き出した。 「はぁ~~…ありがとう霧切さん、これ、大事な書類だったよ… ……あれ、でもなんでボクの部屋に?鍵は掛けておいたはずなのに」 「…………それじゃあ帰るわね」 「そこで帰るの!?」 苗木の疑問虚しく、表情も変えずにベッドから降りた霧切は足早に玄関へと向かう。 ―――と、脚がぴたりと止まり。 「この程度の鍵なら簡単に開くのよ、覚えておきなさい」 その言葉を残し、ドアを開けて部屋を出た。 「つまり、霧切さんには部屋の鍵も意味が無いってことなのか。 ……いや、ボクが知りたかったのはそういう事じゃないんだけど!」 苗木がそう叫んだ所で霧切はもう部屋の外。聞こえるはずもなく虚しく部屋に響くだけだった。 わけがわからないと溜息を付きながらベッドに腰を掛けると、スプリングが軋む音と共に鼻孔を匂いが擽る。 ふわりと、柔らかくてどことなく甘いような―――眠る霧切に顔を寄せた時に感じた、匂いそのもの。 「!!!!」 鮮明に蘇ってくる記憶に顔は真っ赤に染まり、苗木は悶絶しながら、片隅で思うのだった。 (今日眠れるかな…) 「ふぅ…」 苗木の部屋を後にした霧切は息を零す。 普段感情を表に出さないその顔は安堵しているようだった。 (苗木君の部屋に残ったあなたの匂いで安心して眠ってしまったなんて、言えるわけないもの) 苗木の部屋に入った当初は書類だけを置いて帰るつもりだった。 けれど、少し休むつもりでベッドに座ってしまい、そのまま眠ってしまったのだ。 「…っ!」 それを思い出してしまった霧切は頬の熱を止めることが出来ず、自室に向かう足は自然と早くなっていた。 今、誰にも会わないことを祈りながら、片隅で思うのだった。 (今日眠れるかしら…)
https://w.atwiki.jp/dgrpss/pages/783.html
罪木「日向さん! み、見てください! ジャバダイヤが出てきました!」 日向「おお! 罪木、よく頑張ったじゃないか!」ナデナデ 罪木「えへへ、日向さんに褒められちゃいました~」 七海「……」 七海「日向くん、見て、ダイヤが出てきたよ」 日向「へえ、この頃よく出てくるな。採集レベルが上がった成果かもな」 七海「……で?」 日向「は? で、って?」 七海「だから、それで?」 日向「それでって……えっと、頑張ったな!」 七海「……それだけ?」 日向「え? えっと……」 七海「むー、日向くんのばかっ」 日向「なんだよいきなり……何だかよく分かんないけど怒らせたら謝るよ」ナデナデ 七海「……まあ一応、許してあげる…と思うよ」
https://w.atwiki.jp/dgrpss/pages/301.html
「暑いわね……」 「それなら、手袋を外したら?」 「……苗木君。あなたは暑いからといってパンツを脱ぐの? 脱がないでしょう? つまりは、そういうことよ」 「さっぱりわからないよ、霧切さん」 「アイスを食べたら、少しは涼しくなるかも。苗木君、ここまで言えばわかるわね?」 「素直に買ってきてって言えばいいのに……」 数分後。 「はい、お待たせ」 「ありがとう。二種類買ってきてきたのね。じゃあお礼に、アイスを選ぶ権利をあなたに譲るわ」 「いいの? それじゃあコレ」 「チョコミント――歯磨き粉クラスの味と爽快感が売りのイロモノアイスね」 「それは違うよ! チョコが入っている分、歯磨き粉では得られないほのかな甘みと安らぎがこのアイスにはこめられているんだ!!」 「甘みはわかるけど、安らぎって何」 「食べてみればわかるよハイ!」 「そんなに勢いよく突き付けないでちょうだい……ん、そうね。なんとなく安らいだ気がするわ」 「適当に言ってない……?」 「それこそ気のせいよ。それより、私のレモンシャーベットも一口あげるわ。爽やかさにおいては、こちらも負けてはいないわよ?」 「ありがとう!……うん、おいしい。でもやっぱりミントの方が……あ。」 「どうしたの? 早く食べないと溶けるわよ」 「あ、や、その……」 「何?」 「えと……霧切さん、さっきこのアイス舐めたよね」 「ええ。それが?」 「こ、このまま食べ始めちゃうとさ、間接的なアレになっちゃう……よね?」 「…………」 「ね、狙ったわけじゃないんだ!! ただ純粋にオススメしたかったんだ無意識だったんだよ! ホントだよ!?」 「……苗木君。私はもう、シャーベットを食べ始めてしまったのよ」 「う、うん。そうだね。……おいしい?」 「他に言うことは?」 「えと……あ! キスってレモンの味って言う――」 「苗木君。あなたにかき氷いちご味をごちそうするわ」 「えっ?」 証拠品:血塗れの砕けた氷。元は一つの塊だったと思われる。 殺害動機:(いろんな意味で)アツかったから。 それこそカッとなって書きました。 反省はしている、後悔はしていません。