約 439,965 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2277.html
7話 「……それで、生徒たちはどうじゃね?」 「既に眠りの鐘の効果は解けています。ただ……」 「ただ?」 「ギーシュ・ド・グラモンが昏睡状態です」 「……そうかね」 ロングビルの報告を受けたオスマンはそれだけ言って、深いため息をついた。 その横にいるコルベールもいつになくこわばった表情をしている。 『間違っていたと分かった時には全てが手遅れでしょう』 コルベールが言っていた言葉だ。 まさにその通りだった。 ギーシュはあの亜人の手にかかり、未だ意識不明の状態。 幸い怪我などはないようだが、あったとしてもこの状態の前では全てが小事だったろう。 「それとオールド・オスマン。『眠りの鐘』を使用したのは誰か、と教師たちが騒いでおりますが……」 「いたずらネズミが宝物庫の中で鐘をひっくり返しでもしたんじゃろ。 気にせんように言っておきなさい」 「かしこまりました」 「ああ、それとミス・ロングビル」 「何でしょう?」 「ミス・ヴァリエールを呼んできてくれるかね?」 「かしこまりました」 ロングビルが学院長室を出ていくのを見届けて、オスマンは再度口を開いた。 「コルベール君。あの亜人は……『ガンダールヴ』だと思うかね?」 「どうでしょう。まだ力を隠しているようですし」 「と、言うと?」 「私から言い出しておいてこんな事を言うのもなんですが、『あれ』は武器を使っていません。 ガンダールヴはあらゆる武器を駆使して戦い、1000人の軍隊を一人で壊滅させたそうですが、 『あれ』は自分の肉体と技術だけで、7体のゴーレムを制圧しました。 とはいえ技術だけでは到底1000人を相手にするのは不可能です。ゆえに……」 「自分が満足する程度のレベルで戦ったと、そういうことかね?」 オスマンがコルベールの言葉を引き継いだ。 「恐らくは」 それにコルベールは短く答える。 「ふうむ……」 オスマンは指を組んでため息をつく。 「コルベール君。軍隊が『壊滅する』とはどういうことを言うのかね?」 「軍隊の戦力としての無力化、および組織としての無力化がそれに当たりますが……まさか!」 「そうじゃ、コルベール君」 オスマンが重々しい口調で言う。 「軍隊は武力だけで壊滅するとは限らん。欺き、騙し、脅すことでも壊滅するのじゃよ」 そして、そのルイズの部屋では。 「ねえ、ホワイトスネイク……」 ベッドに腰掛けたルイズが遠慮のかかった声でホワイトスネイクに声をかける。 だがホワイトスネイクは返事をしない。 椅子に座ってギーシュから奪ったDISCを頭に差し、さっきからずっとその中身を見ているのだ。 「……あんた、一体何したの?」 再度ルイズが問いかける。 しかしホワイトスネイクは答えない。 「……へ、返事ぐらいしたって」 「スゴク『イイ』」 「……は?」 「私ガ全ク知ラナイ世界ノ記憶……スゴク『イイ』ナ。 タッタ一人ノ記憶ナノニ、ソコカラ多クノコトガ読ミ取レル……多クノコトヲ学ベル……スゴク『イイ』感ジダ」 「あんた……何言って……」 「コレマデ私ガ見テキタ記憶ハ必ズシモ何処カデ他ノ世界ト明確ナ繋ガリガアッタ。 シカシコノ記憶ニハソレガナイ。……ソレガスゴク『イイ』ンダ」 熱に浮かされたような口調で淡々と言うホワイトスネイク。 ルイズの言葉が届いているとは、どうにも考えにくかった。 「……オット、ココデ終ワリカ。100万倍速ダッタガ見タコトニハ変ワリハナイ……コレデヒトマズハ安心デキルナ」 ホワイトスネイクはそう言って頭からDISCを抜き取り、またそれを腕に差し込んで収納した。 「……あんた、ギーシュに何したの?」 またルイズが聞く。 「『記憶』ヲ奪ッタノダ」 心底面倒臭そうにホワイトスネイクが答える。 「『記憶』を奪う……って……」 ルイズの脳裏にある言葉が思い出される。 『オ前ガソノ半年ノ間ニ私ニ認メサセルダケノ者ニナッタナラ、オ前ノ勝チダ。 ダガナレナカッタナラ……オ前ノ記憶ヲ貰ッテイクゾ』 『オ前ノ記憶ヲ貰ッテイクゾ』 『記憶』 「……ああっ!!」 思わず立ち上がるルイズ。 「思イ出シタヨーダナ」 「あんた、わたしにあんなことをする気で……」 「ソウナッタノハタッタ一ツノシンプルナ理由ノタメダ」 「何よ!?」 「オ前ハ私ヲ怒ラセタ」 あまりにもシンプルで、しかし重い言葉だった。 ルイズが何か言い返すには、重すぎた。 「……わたし、あんたが怖いわ」 ぽつりとルイズが呟いた。 「ギーシュがね、まだ目を覚まさないみたいなの。 確かにギーシュはやり過ぎたわよ。ワルキューレを全部出して、その上あんなに武装させて……。 でも、別にここまでしなくたって」 「ソンナノジャアナイ」 「どういうこと?」 「私ハ決闘スルト決マッタ時カラ、アノ小僧ノ記憶ヲ奪ウツモリダッタ」 「じゃ、じゃあ最初にギーシュにいちゃもんつけられたときから怒ってたってこと?」 「ソレモ違ウ。決闘ハタダノキッカケダ。 決闘ガ起キナカッタトシテモ……私ハ他ノ誰カカラ記憶ヲ奪ッテイタサ」 「な、なによそれ……。っていうか、あんた、知ってるんじゃないの? 記憶を奪ったら、どうなるかって!」 「記憶ヲ奪ワレタ者ハ生キル目的ヲ失ウ。 ソレト並行シテ全身ノ筋肉ハアットイウ間ニ衰エ……ソシテ死ニ至ル」 こともなげにホワイトスネイクは言ってのけた。 「そ、そんな……じゃあギーシュは!」 「ソノウチ死ヌ。コノ世界ゴ自慢ノ魔法ガイツマデ持タセラレルカハ分カランガ、1週間持テバイイ方ダローナ」 そう語るホワイトスネイクの口調には、何の深刻さもなかった。 「明日は雨が降るだろうな」とか言うのと同じぐらいに軽かった。 そのことに、ルイズはゾッとした。 「あ、あんた、一体何やってるのよ……早く、返さなきゃ! ギーシュの記憶、まだあんたが持ってるんでしょ!」 「……」 「なにボケっとしてんのよ! 早く行くのよ! 行かないと……」 「ドーモ、オ前ハ勘違イシテルラシイナ……」 「……え?」 「オ前……私ノコトヲ『実はいいやつだ』トカ思ッテナイカ? アルイハ『本当は話の分かるやつだ』 トカ思ッテナイカ?」 「ど、どういうことよ!」 「オ前ハ甘ッチョロインダヨ、ルイズ」 「なっ……」 うろたえるルイズを前にホワイトスネイクは立ち上がり、さらに言う。 「私ガ何ヲシタト思ッテイル? 『記憶』ヲ奪ッタノダ。 奪エバドーナルノカ、全部承知ノ上デヤッタンダ。 ツイデニ魔法ノ才能ダッテ奪ッテヤッタ」 「さ、才能!? それって、あんたが今朝言ってた……」 「ソウダ、アノ小僧ノ魔法ノ才能ダ。 コレハオ前ノ頭ニ差シ込メバ、今日カラオ前モ『立派なメイジ』ダナ。 アンナチンケナ人形ヲ7ツ作レルダケデモ、『ゼロ』ニ比ベレバズット立派ダローナ」 「あんた、何てことを……」 ルイズは絶句した。 「『何てこと』? 今『何てこと』ト言ッタカ? 甘イナ、ルイズ。ヤハリ甘スギル。 『この程度』ノコトデ『何てこと』ダト? 私ガコレヲ何回ヤッテキタト思ッテイル? 私ガコレヲ何年続ケテキタト思ッテイル? 私ガ一体、何人殺シテキタト思ッテイル? 言ッテミロ、ルイズ!」 「あ、あんたは……あんたは……」 「……ヤハリ、コノ程度カ。ナラバ……」 ホワイトスネイクはそう言うと、おもむろに自分の腕から一枚のDISCを抜き取った。 そして―― 「オ前ガ、自分デ見テクルンダナ」 それを、ルイズの額に差し込んだ。 その瞬間ルイズの視界は真っ暗になり、そして――光に包まれた。 目を開けたルイズが見たのは、見たことも無い光景だった。 どうやらどこかの室内らしい。 壁は石造りのようで、滑らかで灰色。 天井にはルイズが見たことも無いような、光を放つランプに似た道具。 でもその輝きはランプの火とは違う。 ランプよりもっと強い輝きを放っていて、それでいて無機質な光だ。 そして壁には――血まみれになった男が一人、荒い息で壁に背を預けて床に座っていた。 深い傷を負っているらしくぐったりとしている。 男の数メイル先には、なにやら金属で出来ているような、黒光りする道具が転がっている。 そのあまりにも奇妙な光景にルイズは言葉を失い、ただ目を見開いてそれを見るばかりだった。 そうしてこの光景に目を奪われていると、男が何かを喋り始めた。 誰かに話しかけているようだ。 だがどこかノイズがかかっているようで、何を言っているのかはよく聞こえない。 「やっ……たな……。……を止め……るスタ…………いに! 手に入れ……。 そして………は死んだ。弾が………ブチ込んで……よ」 しかしそれに答える声は、あまりにも鮮明で、あまりにも聞き覚えがありすぎた。 そしてその声がするほうを見て、ルイズは絶句した。 「アア……目的ハ全テ手ニ入レタ」 声の主は、ホワイトスネイクだった。 (え……? ちょ、これって……ど、どういうこと? 何でホワイトスネイクが? それにそもそもこの場所は一体何なの? この血まみれの男は一体何なの?) そう自問して、ルイズはあることに気づく。 (あいつ……『別の世界から来た』って言ってた……。 だとしたらこれは、あいつが前にいた世界……ってことなの……?) 夢の映像はルイズの疑問に答えるかのように淡々と続いていく。 「君ノオカゲダ、ジョンガリ・A! 我々ハ本当ニイイコンビダ」 「フフ……頼む………に連れて行ってくれ………しちまった」 血まみれの男がホワイトスネイクに何か頼み事をしている。 どうやらこの男とホワイトスネイクは仲間らしい。 だがよく聞こえない。 やはり途切れ途切れになって聞こえるだけだ。 そしてホワイトスネイクはそれを意にも介さず――床に転がる、黒光りする道具を手に取った。 それを、男に向かって構える。 (ち、ちょっと、ホワイトスネイク! あんた一体何する気よ!? あの血まみれの男の人をさっさと助けなさいよ! 仲間なんじゃないの!?) ルイズは必死に声を張り上げる。 だがその声は、二人には全く聞こえていないらしい。 いや、違う。 声さえ、出せていなかった。 恐怖のせいなのか、あるいは別の何かのためなのか。 ルイズが心で思ったことは、言葉として出てこなかった。 「なあ……俺の銃………ないか?」 男がキョロキョロしている。 さっきの道具を探しているらしい。 だが次の瞬間―― 「ココダ」 ドシュッ! ホワイトスネイクの手に握られた道具から放たれた弾丸が、男の喉を貫いた。 男は、声も上げずに死んだ。 (こ……殺し、たの? ホワイトスネイク……あいつ、今! 仲間なのに……っていうか、さっきの会話! あいつ、もしかして……) 混乱するルイズを尻目に、夢の映像はやはり淡々と続く。 男を殺したホワイトスネイクは、ゆっくりと男の死体に近づき、そして男の手に、先ほどの道具を握らせた。 そして薄ら笑いを浮かべながら、言った。 「ケネディヲ暗殺シタ犯人モ……コウヤッテ人生ヲ終エタ。 ……リー・ハーベイ・オズワルド……ダッケ? 確カ……。 『死人ニ口ナシ』。ダカラ歴史ハ丸ク治マッタ……。 私ノ正体ヲ知ル者ハオマエダケダシ、『看守殺シ』ノ罪モ、オマエ一人ノ仕業ダ……」 (もしかして、仲間のフリして利用して、それで殺したの……?) そこで映像は暗転した。 そして次々と、いくつもの場面を映していく。 心に闇を抱えるものにつけ込み、利用するホワイトスネイクを。 他人の欲望を利用するホワイトスネイクを。 そしてホワイトスネイクが付き従う、浅黒い肌をした黒服の男を。 エンリコ・プッチを。 エンリコ・プッチは、まさしくそれまでに映されたホワイトスネイクの人間版であった。 相手の心の闇を利用し、欲望を利用し、そして使い捨てる。 そしてそればかりではなかった。 敵と戦えばどんな姑息で卑怯な手段も平気で取った。 相手にとって何よりも、命よりも大切なものをエサにして逃走し、 追い詰められれば醜く命乞いをし、スキあらば一瞬で命乞いをした相手を殺す。 ホワイトスネイクは、そんな男に付き従っていたのだ。 そして、それらの行動をその身をもって支えていた。 そのことが、ルイズの心に一つの感情を灯していった。 そして、また一つの映像に行き着いた。 そこでエンリコ・プッチは、再び醜く命乞いをしていた。 神だの大いなる意思だの、わけのわからない大義を持ち出して、 相手がさも無知であるかのように高説を振るっていた。 しかし相手の少年は命乞いを聞き入れなかった。 男はこれまでに重ねた邪悪な行いの全ての報いを受けるかのように頭を潰され、全身を砕かれ……そして死んだ。 その映像を最後に、また視界が真っ暗になった。 「ドウダ? 何カ分カッタカ?」 ルイズの額から抜き取ったDISCを収納しながら、ホワイトスネイクが言う。 「……ええ、分かったわ。すごく……よく分かった」 「ソウカ、ソレハ何ヨリダ」 ルイズは心の奥底からふつふつと湧き上がる感情に驚いていた。 たとえ魔法が全然成功しなくても、たとえゼロとバカにされても、こんな気持ちにはならなかった。 「ソウ言エバ……ソーダナ。モウ一ツ試シタイコトガアッタ」 ホワイトスネイクはそう言ってまたDISCを一枚取り出すと、それをルイズに投げた。 ギーシュの魔法の才能のDISCだ。 ズギュン! そしてそのDISCは音を立ててルイスの額に差し込まれた。 「一人ノ人間カラ取リ出シタ魔法ノ才能ハ果タシテ別ノ人間ニ扱エルノカ、ッテコトダ。 イクラ才能トシテ取リ出セテモ、実際ニ使エナケレバ意味ガ……」 そう言うホワイトスネイクの言葉をまるで聞いていないかのように、ルイズは短くルーンを唱えて杖を振る。 するとルイズの目の前の床から、床から一体のワルキューレが一瞬で出てきた。 植物の成長を超高速で早回ししたような感じだった。 「オット、上手クイッタヨーダナ」 ホワイトスネイクが口端に笑みを浮かべて、椅子に腰掛ける。 だがそれを無視して、ルイズはまた杖を振った。 さらに床から二振りの剣が伸びる。 ワルキューレはそれをおもむろに手に取った。 「ホーウ……中々上手クヤルモノダ。 魔法ガ成功スルノハ、コレガ初メテダッテノニ」 「もう何も言わなくていいわ」 「何ダト?」 聞き返すホワイトスネイクに、ルイズは噛み締めるように言った。 「もう、何も、言わなくっていいって、言ったのよ」 その直後だった。 ルイズの前にいたワルキューレが素早く二刀を振り上げ、そして―― ドピュウゥッ! ホワイトスネイクに斬りかかったッ! 「ヌゥッ!」 ホワイトスネイクは座っていた椅子を素早く持ち上げて盾にする。 ワルキューレの攻撃は椅子をバラバラにしたが、しかしそのためにホワイトスネイクには届かなかった。 そしてホワイトスネイクは素早くワルキューレから間合いを取る。 しかし、ホワイトスネイクに焦りは見られない。 「フフフ……ソレデイイ。ソレガ満点ノ回答ダ、ルイズ」 むしろ、これこそがホワイトスネイクが望んでいたことだったのだ。 「さっきまでは……あんたへの怒りより、あんたへの恐怖の方が強かった。 わたしもギーシュみたいになるんじゃないかって。そのことばっかりが怖かった。 でも……今は違う! 心の底から! あんたを許せないって思いが湧き上がってくるッ!」 「ソレデ……ドースル気ダ? 私ヲ殺スノカ?」 「違うわ。殺すんじゃあない、勝つのよ」 ホワイトスネイクは何も言わなかった。 何も言わずに笑みを浮かべ、構えを取った。 ルイズも何も言わずにワルキューレを構えさせ、さらに二体のワルキューレを作る。 ニ体とも剣と盾で武装した、オーソドックスなタイプだ。 そしてニ刀のワルキューレとホワイトスネイクが、同時に動いた。 To Be Continued...
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/626.html
翌日。いつものようにフレイムをギアッチョの監視に行かせたキュルケは、彼らが馬に乗ってどこかへ出掛けた事を知った。ここ数日でギアッチョを危険だと感じた事はなかったし、もうぶっちゃけ監視とかしなくてよくね?時間の無駄じゃね?と思いつつあったキュルケだが、学院外に出るという今までに無いパターンだったので念の為もう一日だけ監視を続行することにする。 キュルケが急いで支度を済ませて廊下に出ると、ルイズの部屋の前で棒立ちしていた男と眼が合った。松葉杖をつき、服の下からは包帯が見えている。ギーシュ・ド・グラモンその人であった。 「・・・あなた何してるの?」 キュルケはいぶかしげに尋ねる。 「・・・や、やあキュルケ ちょっとルイズに用があるんだが・・・まだ寝てるのかここを開けてくれなくてね・・・」 ギーシュはばつの悪そうな顔をしながら答えた。 「用?あなたがルイズに?またあの子に何かしようとしてるんじゃないでしょうねぇ」 「そ、それは違う!僕はただルイズに謝ろうと・・・」 聞けばギーシュは二股をかけており、そいつがバレた上にビンタでフられてムカムカしていたところにルイズとぶつかってモンモランシーの為の香水がブチ割れて、彼は怒りで周りが見えなくなってしまったのだという。 「・・・呆れた 完全に逆恨みじゃない あなた貴族としてのプライドってものがないの?」 二股のくだりだけはキュルケに文句を言われる筋合いはないはずだが、概ね正論だったのでギーシュは黙って耐えた。 「それで、謝りたくてやって来たんだが・・・」 「ルイズならもういないわよ」 「な、なんだってーーー!?」 物凄い顔で驚くギーシュにキュルケは溜息を一つついてから、 「ルイズと一緒にギアッチョもいるんだからどっちか一人は気付くでしょ 常識的に考えて・・・」 とのたまった。その「ギアッチョ」という言葉に、ギーシュの体がビクリと反応する。 「・・・そ、そそそういや彼もいるんだったねぇ・・・ハハハ・・・ハ・・・」 ギーシュにとってギアッチョは相当トラウマになっているようだった。ヒザが滑稽なぐらいガクガク笑っている。 あんな目に遭っておいてトラウマになるなというほうが無理な話ではあるが。 「私はこれからタバサに頼んでシルフィードでルイズ達を追いかけるつもりだけど・・・あなたはどうする?」 キュルケの助け舟に、「是非とも一緒に・・・」と叫びかけたギーシュだったが、 「・・・ちょ、ちょっと待ってくれたまえ ルイズ『達』ということは・・・」 「勿論ギアッチョもいるわよ」 ビシッ!と心臓が凍った音が聞えた。ギーシュは「・・・あ・・・あう・・・」とまるで懲罰用キムチでも食らったかのように呻いている。 そんなギーシュを見てキュルケは更に溜息を重ねると、 「どの道ギアッチョはルイズの使い魔なんだから、いつでもあの子と一緒にいるでしょうよ ルイズが一人になる隙をうかがうよりは今特攻したほうがスッキリすると思うけど?」 生きていればね、と小さな声で付け加えてギーシュを見る。 「き、聞えてるぞキュルケ!やっぱりダメだ・・・ここ、こっそりルイズに手紙を渡して人気の無いところへ呼び出して・・・」 常軌を逸した怯え方である。殺されかけたという事に加えて、自分の魔法をことごとく破られ跳ね返されたという事実が彼の恐怖を加速させていた。 キュルケは呆れを通り越して哀れになってきたが、いい加減出発しないとシルフィードでもルイズ達を見失うかもしれない。 これを最後にするつもりでキュルケはギーシュに発破をかけた。 「あなた少しは男らしいところ見せなさいよ こんなところをあの使い魔が見たらまた『覚悟』が無いとか言われるんじゃあないの?」 「――!」 その言葉に、ギーシュは動きを止めた。彼は何かを考え込むようにわずか沈黙し、真剣な眼でキュルケを見る。 「・・・ねぇ君 『覚悟』って一体何なんだろう」 先ほどまでのヘタレ具合とは一転、彼の眼には苦悩の色が浮かんでいた。 「あの男――ギアッチョに言われたことがずっと耳から離れないんだ 『覚悟』って何なんだ?彼と僕と、一体何が違うんだ? ギアッチョと僕を隔てる、絶対的な何かがあるのは解る だけど一体それが何なのか、いくら考えても答えが出ない」 ギーシュの懊悩は、キュルケには解らない。あの男の真の凄み、そして恐ろしさは、対峙してみなければ理解は出来ない。ギーシュはそう知りつつも、誰かに疑問をぶつけずにはいられなかった。例えギアッチョと同等の能力を持っていたとしても、 自分は永遠に彼に勝つことは出来ない。そうさせる何かが、あの使い魔にはある。 自分にはそれがない。その事実がただ悔しかった。 「あの決闘で――自分がどれほど自惚れていたのかを思い知らされたよ」 ギーシュはうつむいて言葉を吐き出す。 「・・・そして どれほど愚かだったのかも」 なまじっか顔と成績がいいばっかりに、高く伸びていたギーシュの鼻をヘシ折れる生徒は存在しなかった。そのギーシュを完膚なきまでに叩きのめしたのは、タバサでもキュルケでも、マリコルヌでもモンモランシーでもなかった。 ゼロと蔑まれていた少女、その人間の、しかも平民の――加えて言うならば顔もよくはない――使い魔だったのである。 ギーシュのプライドは粉々にブチ割れた。そして同時に、自分がどれほど他人を見下していたかを理解した。 「こんな屈辱に――ルイズはずっと耐えてきたんだ ・・・僕は 僕はどうしようもなく馬鹿だった」 彼女に謝罪しなければならないと言うギーシュの眼は、紛れもなく本気だった。 タバサはキュルケ達の頼みを快諾した。他でもない唯一の親友キュルケの頼みだという事もあるが、あのギーシュがそりゃもうジャンピング土下座でもしそうな勢いで頼み込んで来たのである。 それも己の利益の為ではなく、純粋に少女への謝罪の為とくれば、いくら虚無の曜日とはいえタバサも力を貸すにやぶさかではなかった。 そういうわけで彼女達は今タバサの使い魔である風竜、シルフィードに乗ってルイズ達を追っている。竜の背中でタバサは中断していた読書を再開し、キュルケはしきりとシルフィードを褒め称え、ギーシュは勢いで飛び出してきたもののやっぱりギアッチョが怖いらしく、時折キュルケの口からギアッチョの名が出る度にビクビクと震えていた。 「ギーシュ あなたいい加減腹をくくったら?」 ちょっと男らしい事を言ったかと思えばこれである。キュルケはまたも呆れていた。 「そ、そんなこと言ったって怖いものはしょうがないじゃないか!自分の魔法で全身蜂の巣にされる恐怖が君に分かるかい!?」 ギーシュがまくし立てると、 「自業自得」 タバサが活字に眼を落としながら呟く。それを聞いたキュルケが思わず噴き出し、ギーシュはもういいよとばかりにがっくりと肩を落とした。
https://w.atwiki.jp/mahoroa/pages/941.html
作る? ゼロの調律とは? これの事である。 作品 零〜月蝕の仮面〜 概略 Wiiで発売された元サードタイトルのホラーゲーム「零」の曲。ボーカルは天野月子。ゲーム音楽と言い切れないが、あってもいいんじゃないかな? 関連 新BGM投票 BGMリスト コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2291.html
八話 前衛に二振りの剣を構えるワルキューレ、そして後衛に剣と盾を装備したニ体のワルキューレを置くルイズ。 対するホワイトスネイクはゆるりと構える。 時刻はすでに午前二時を回った。 部屋を照らすのは薄明るい魔法灯だけ。 部屋の壁には5つの影がゆらゆらと踊り、しかし空気は張り詰めている。 さながら嵐の前の静けさのように、ルイズとホワイトスネイクは静かに対峙していた。 直後、ルイズの操るニ刀のワルキューレがホワイトスネイクに斬りかかる。 ホワイトスネイクは素早く一歩引くことで回避する。 ワルキューレはその後を追わない。 後衛のワルキューレニ体が即座に切り込める位置ならば、 昼間ホワイトスネイクが見せたあの「体術」も使えないだろうが、 そうでなければ一瞬で無力化される。 いくらホワイトスネイクが丸腰で、いくらワルキューレが剣二振りで武装していようと、 ホワイトスネイクの体術は侮れない。 「……踏みこんでこないの?」 ルイズが緊張した声で言う。 「踏ミ込メバニノ太刀デ串刺シ、ダロウ? 見エ透イテルゾ、ルイズ」 あっさりと策を看破され、思わずルイズは唇をかんだ。 前述したように、後衛に二体のポーンを配置したのはホワイトスネイクの隊術を封じるためだが、 ルイズが考えた投げ技封じの策は、実際には二段構えだった。 そのために前衛のワルキューレにふた振りの剣を持たせているのだ。 目の前にいるワルキューレの得物が一振りだけだったなら投げ技も十分可能だったろうが、 この二刀のワルキューレの初太刀をいなして踏みこんでも、ニの太刀で串刺しにされるのがオチだろう。 そういう策だった。 だがそんなことぐらいホワイトスネイクだって分かっていた。 だから踏み込まなかったのだ。 「ツイデニ言ウナラ……後ロノ『ポーン』ニ体ハ私ニプレッシャーヲカケルタメニ置イテルダケダナ? ソノ人形ドモヲ全部同時ニ操レル自信ガナイカラッテ、セコイ真似ナンカシテ。 ミミッチイナ、ルイズ……ソンナノデ私ヲ殺セルノカ? イヤ……『勝つ』、ダッタカ?」 後方に控えるニ体のワルキューレの意義まで看破された。 思わずルイズは動揺する。 こいつ、なんてヤツなの? こんなヤツに……わたしが勝てるの? 「一瞬考エタナ」 「え?」 思わずルイズがそう聞き返したとき、すでにホワイトスネイクは二刀のワルキューレとの間合いを詰めていた。 慌ててルイズがワルキューレを動かしたとき、すでにホワイトスネイクはルイズの目の前にいた。 そしてルイズがそれを理解したとき、すでにホワイトスネイクは貫手を引き絞っていた。 その狙いは、ルイズの額。 「ソノ差ガ命取リダ」 ドシュゥッ! 空気を切り裂き、ホワイトスネイクの貫手が迫る。 思わず目をぎゅっとつむるルイズ。 悲鳴は上げなかった。 いや、上げるヒマさえなかった。 ただ、貫手が自分の頭を砕き、貫くのを待つだけだった。 だが、その瞬間はいつまでたっても訪れなかった。 ルイズが恐る恐る目を開けると、ホワイトスネイクの貫手は、ルイズの額の紙一重手前で止まっていた。 ホワイトスネイクは、最初からルイズを殺す気などなかったのだ。 「……どういう、つもりよ」 震える声でルイズが言う。 「私ハルイズニ『立チ向カウ感覚』ヲ手ニ入レテ欲シカッタノダヨ」 「ど、どういう意味よ!」 「ドートイウコトハ無イ。 私ニ対シテ使イ魔ダ何ダト威張リクサッテイル小娘ガ、 肝心ノソノ使イ魔相手ニビビッテルンジャア話ニナランカラナ」 「な、何ですって!?」 「ソウ、ソレダ」 「へ?」 「ルイズハ一見気ガ強ク勇敢ナヨーニ見エルガ、ソノ実タダ強ガッテイルニ過ギナイ。 犬ガ吠エテルノト同ジナンダ。 本気デ立チ向カウ気ナンカ無イクセニ、チッポケナ自分ヲ満足サセルタメニナ」 ホワイトスネイクの言葉はあまりにも残酷だった。 遠慮のカケラさえもない言い草だった。 だが……ルイズは言い返せなかった。 事実として、自分は昼間の決闘でのホワイトスネイクを「怖い」と思った。 そればかりではない。 ホワイトスネイクがやられそうだと思った時には目も背けた。 いつもは「貴族らしく」とか考えてるくせに、実際の自分はちっとも貴族らしくないのだ。 ついさっきだってそうだ。 ホワイトスネイクが自分に貫手を打ちこむ瞬間、目をつむった。 勝つとか倒すとか大言壮語ばっかり吐いたくせに、結局自分は自分が大事だった。 貴族らしさなんて、どこにもなかった。 それが分かってしまった。 だから、言い返せなかった。 「トハ言エ……サッキハ『勝ツツモリ』ハアッタヨーダカラナ。昼間ニ比ベレバ立派ナ進歩ダ。 ソレニ免ジテ……ソーダナ……」 ホワイトスネイクはそう言うと、ルイズの額から一枚のDISCを抜き取った。 それと同時に、ワルキューレが大きな音を立てて地面に倒れこむ。 抜き取ったDISCはギーシュの魔法の才能だった。 そして、さらに腕から一枚のDISCを抜き取った。 「ギーシュ・ド・グラモンノ魔法ノ才能、ソシテ記憶ノDISCダ。コレヲオ前ニクレテヤル」 「え? そ、それって!」 「サッキ言ッテタヤツダ。 コイツヲギーシュノ額ニ差シ込ンデヤレバ、スグニ目ヲ覚マスダロウ。 サッサト奴ノトコロニイッテ、元ニ戻シテヤルンダナ」 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」 「何ダ?」 「あ、あんた一体、どういうつもりよ! 自分のことを悪党みたいに言ったくせにこんなことして、あんた一体何が目的なの!?」 「目的……カ。ソーダナ……」 ホワイトスネイクは考え込むように顎に手を当てる。 「トリアエズハオ前ニ成長シテモラウコトダナ」 「何よそれ! っていうか何であんたが私のことを気にしてんのよ!」 「スルニ決マッテイル。私ハルイズカラスタンドパワーヲ貰ワナケレバ生キテイケナイノダカラナ。 私ハ『精一杯努力したけど結局立派なメイジになれなかったルイズ』カラ記憶ヲ奪ッテヤルノヲ 当分ノ生キ甲斐ニスルカラ、ソレマデハ生キ続ケナキャアナラナイ」 「結局……自分のため、ってこと?」 「当タリ前ダ。何故ナラ私ハ、」 そこで言葉を切ってルイズの顔に覗き込むようにして自分の顔を近づけると、 「悪党、ダカラナ」 そう言って、ホワイトスネイクは音もなく消えた。 ホワイトスネイクが持っていたギーシュの二枚のDISCが軽い音をたてて床に落ちたのと、 「ミス・ヴァリエール、起きていますか?」 軽いノックとともにミス・ロングビルの声がルイズの部屋の中に投げかけられたのはほぼ同時だった。 「起きていますか、ミス・ヴァリエール? オールド・オスマンがお呼びです」 再びロングビルの声が響く。 だがルイズはそれに答えない。 「……入りますよ」 そう一言言ってロングビルがドアを開ける。 「どうしました、ミス・ヴァリエール? オールド・オスマンがあなたをお呼びです。聞こえていたでしょう?」 「……今から、行きます」 ロングビルの問いにルイズはただ短く答えた。 それをロングビルは少し不審に思ったが、何も詮索せずに「ついてきてください」とだけ言って部屋を出た。 ルイズはその後に続いた。 爪が手のひらに食い込むほど、拳を握り締めて。 こぼれおちそうになる涙を、必死で目の中に留めて。 何もできなかった。 何も言い返せなかった。 「勝つ」だなんて大きいことを言っておいて、結局何もできずに負けただけ。 勝ち取って得るはずだったギーシュの記憶も才能も、 金持ちが乞食に残飯を恵んでやるかのような形で「与えられた」だけ。 結局自分は口ばっかりで、臆病で、無力で、「ゼロ」だった。 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 勝負の上でも、そして精神の上でも、生まれて初めて完全に敗北した夜であった。 To Be Continued...
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/677.html
「まもって守護月天!」のシャオリン ゼロの守護月天 1 ゼロの守護月天 2 ゼロの守護月天 3 ゼロの守護月天 4 ゼロの守護月天 5 ゼロの守護月天 6 ゼロの守護月天 7 ゼロの守護月天 8
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1683.html
「DRAGON QUEST―ダイの大冒険―」のポップ ゼロの大魔道士-1 ゼロの大魔道士-2 ゼロの大魔道士-3 ゼロの大魔道士-4 ゼロの大魔道士-5 ゼロの大魔道士-6 ゼロの大魔道士-7 ゼロの大魔道士-8 ゼロの大魔道士-9
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/553.html
少女が使い魔召喚の魔法を唱えると案の定爆発が起こりました。 さすがゼロのルイズ! と級友たちは囃し立てましたが、その爆煙の中から現れたものを見て目を剥きます。 現れたのは、鉄の馬に跨った旅人でした。 足の代わりに二つの車輪を持つその鉄の馬はドルンドルンと低く嘶き、あまつさえ「あれ、ここはどこだろう?」などと言葉を話します。 いったい何物なのか、見たこともない生き物でした。 鉄の馬に跨っていた旅人は、精悍な顔つきをした少年のような少女でした。 皮製のジャケットに皮製のパンツを履き、腰には二つの筒を差しています。 貴族の少年の一人が言いました、「あれは銃だ」 「あれ、おかしいな。さっきまで街道を走っていたはずなのに。エルメス、ここがどこか分かる?」 「わかんないよキノ。でも周りには人がいるみたいだし、聞いてみたら?」 「ああああ、あんたたち、一体なんなのよ? というか誰なのよ?」 「ああ、ちょうどいい。そこのお嬢さん、ちょっとお伺いしたいんですがね」 声をかけた少女に応じる旅人と鉄の馬。 しばしの事情説明の後、満足の行く食事と寝床の提供と引き換えに使い魔になる件を承諾した旅人は、少女と契約のキスを交わします。 契約を承諾したとはいえ、まさかキスされるとは思っていなかった旅人は、何故かは不明ですがちょっとだけショックを受けたようでした。 「うわあ、やったねキノ。ちょっと人より遅いかもしれないけどファーストキスおめでとう」 「エルメス、うるさい」 それに問題はそこでもありません。 ともあれ、こうしてルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは念願の使い魔を手に入れたのでした。 そしてその三日後、使い魔は国を出て行きました。 当然です、使い魔である旅人は同じ国には三日以上留まらないというルールを自分に定めているのですから。 使い魔に逃げられた情けないメイジというレッテルを張られた少女は、使い魔の後を追って旅に出ました。 こうして後に「ゼロの旅」と名づけられることになる物語は始まったのです。 ちなみにトリステインはゲルマニアとの同盟が破綻してアルビオンに滅ぼされました。 おわり。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2267.html
5話 「食ベナイノカ?」 「うん……」 「何ヲ気ニ病ンデルカハ知ランガ、ルイズガ空腹ダト私モ困ル」 「何でよ?」 「今朝言ッタガ、私ハルイズカラスタンドパワーヲ貰ッテ生キテイル。 コノスタンドパワーハルイズノ体調ガ万全デナイト供給ガ不全ニナルノダ」 「何よ……結局あんたの都合じゃない」 「ソウデナケレバ何モ言ワナイ」 「……さっきの話も、そうだったわね。『自分に関わる』とか、言ってたし」 後ろに立つホワイトスネイクに背中越しに言葉を放ると、ルイズはまたもそもそと食事を続けた。 気が重かった。 ホワイトスネイクの話のせいだ。 今のルイズにはどちらも選べなかった。 でも、今すぐにどちらかに決めてしまいたい自分が存在することをルイズは分かっていた。 でも……結局決められない。 そうしたときに失うものが、あまりに大き過ぎて。 心中に渦巻いている思いにため息をついて、ルイズはワインを一口飲んだ。 一方、ホワイトスネイクはルイズの後ろに立ちながらも周囲をあちこち見まわしていた。 朝食のときは予想外の屈辱に怒った勢いで消えてしまい、結局見ないままになってしまったからだ。 (小僧ト小娘ノ集マリニシテハ、皆ソレナリニ『作法』ヲ理解シテイルヨーダナ) ホワイトスネイクの第一印象は、それだった。 どの生徒も食事中に騒ぐようなことはせず、静かに、そして音を立てずに食事をしている。 たまにホワイトスネイクをちらちら見る者がいたが、それに関してホワイトスネイクは気にしなかった。 (マントノ色ガテーブルゴトニ違ッテイルナ) 次にホワイトスネイクは生徒たちのマントの色の違いに気づいた。 確かにテーブルごとに着ているマントの色が違う。 学年ごとで分かれているのだろう、とホワイトスネイクは推測した。 (シカシ使用人ドモハ私ニ目ヲ向ケナイナ。教育ガシッカリシテイルラシイナ) ホワイトスネイクの言葉通り、食事の配膳をするメイドたちはホワイトスネイクには目もくれない。 仮にも某ハードゲイ顔負けのどぎつい服装のホワイトスネイクを見ようともしない。 いや…… (見エテイナイ、トデモイウノカ……?) そう考えた方が自然なくらいの有様だった。 そして、ホワイトスネイクがメイドたちから別のものへ興味を移そうとしたとき―― (……何ダ、アイツハ……?) 顔を真っ赤にしてホワイトスネイクをガン見するメイドが、部屋の隅――ちょうど厨房とつながる場所にいた。 手を顔で覆ってはいるが、指の隙間から見る物(ホワイトスネイクのことである)は見ている。 メイドの髪の色は黒。 他のメイドは金髪、茶髪ばかり、生徒の中にも黒髪はいなかったことからも、ここでは珍しい色のようだ。 (ドウ見テモ……アイツハ私ガ見エテイル……) 注意深くそのメイドに目を向けるホワイトスネイク。 するとメイドは、見ていることがばれたとでも思ったのか、すぐに厨房に引っ込んでしまった。 (少シ……興味ガ湧イタナ) そう思うと、ホワイトスネイクはルイズの傍を離れて、メイドが入った厨房へと足を向けた。 幸い距離は18、あるいは19メートル。 中を覗くぐらいなら可能だろう。 そして歩き出して数歩で、足に何かがぶつかった。 「ン……?」 拾い上げると、それは中に何か液体の入った小壜だった。 ふたを開けてみると、中から少しきつめの芳香が立ち上った。 「香水、カ。誰ガ落トシタンダローナ……?」 そう呟いてあたりを見回すホワイトスネイク。 前述したとおり、ホワイトスネイクは凄まじく目立つ。 その服装については既に述べた通りだが、なによりデカイのだ。 身長2メートルは伊達ではない。 そんな身長2メートルのハードゲイ(に見えなくもない大男)が小壜を片手にあたりを見回せばどうなるか。 「おい、あいつが持ってるのって……」 「ああ間違いない、モンモランシーの香水だ!」 「でも何であいつが持ってるんだ?」 「あいつ、なんか探してるみたいだぞ……うわ、こっち見た!」 「香水の持ち主を探してるのかもよ?」 「そうだとしても、何であいつが……」 ホワイトスネイクを見てひそひそと話す生徒たち。 あんなシーンを見てしまったからには、もはや作法のへったくれもないのだ。 そしてホワイトスネイクを見て、またそういったひそひそ話を聞いて、顔を青くしている男がいた。 香水の持ち主、ギーシュ・ド・グラモンである。 あの香水はモンモランシーからギーシュへのプレゼントのようなものだった。 本人は「余ったからあげるだけよ!」と言っていたが、 あんな可愛らしい小壜に入れて渡してくれるからにはプレゼントに相違あるまい。 なのに、なぜギーシュがさっさと名乗り出て、取りに行くことをしないのかというと……。 「ギーシュさま、どうしたんです? 顔色がよくないですわ」 「い、いや……なな、なんでもないよ、ケティ」 心配そうな顔でギーシュを見上げる少女――ケティがそばにいたからだ。 つまりこのギーシュ、二股をかけていたのだ。 モンモランシーに愛を語っておきながら、同じ口でケティを口説いていたってわけだ。 ……実に罪深い話ではないか。万死に値する。 それはさておき、ギーシュは決断を迫られていた。 正直言ってあの亜人は凄まじく目立つ。 もうどうしようもないくらいに目立つ。 目立つってことは、仮にモンモランシーがここに来た場合、 「モンモランシーが自分に渡したはずの香水を何故かあの亜人が持っている」という状況にすぐ気付くってことなのだ。 そうなれば二股のことがバレるのはあっという間だ。 本来あの香水を持っているべき自分の姿を探し、そして自分を見つけると同時にそのすぐ傍にいるケティにも気付く。 つまりこの状況…… (『モンモランシーが来るより早く香水を取り戻さなければならない』 『香水を取り戻したことをケティにバレてはならない』両方やらなくっちゃあいけないってのがつらいところだな……。 だが覚悟は……) そこまで考えた瞬間だった。 「ちょ、ちょっと! なんであんたがそれを持ってるのよ!」 聞き覚えのあり過ぎる声。 まさか……と思い、声のした方向に目を向けるギーシュ。 「オ前ノ物ナノカ?」 (よし! いいぞ……そのまま渡すなよ! モンモランシーに絶対渡すなよ!) 「違うわよ。これは人にあげたものなの。 あたしが渡してくるから、さっさと返しなさいよ!」 「ソウカ。デハ頼ム」 (何だってェーーーーーーーーッ!!) そう言ってホワイトスネイクは小壜をモンモランシーに手渡した。 ギーシュの祈りは、全く通じなかった。 そしてモンモランシーはまわりをきょろきょろと見回して、すぐにギーシュを見つけた。 そしてつかつかと近寄ってくる。 「モンモランシー、えっと、これには、深い理由が」 全部言いきらないうちに、グラスに入ったワインを顔にをかけられた。 「二股かけてたのね! 最低! もう二度と顔を見せないで!」 そう言ってモンモランシーが去っていったのもつかの間、今度は瓶入りワインを頭からどぼどぼかけられた。 「ギーシュ様……信じていたのに!」 そう言ってケティも去っていった。 後にはギーシュだけが残った。 その様子をホワイトスネイクは平然と見ていた。 (クダラナイナ) 小壜の件もカタがついたし、はやくさっきのメイドでも見に行こうと思ってホワイトスネイクが歩き始めた矢先、 「待ちたまえ!」 声がかかった。 ホワイトスネイクが声の主に目をやる。 そこにはキザったらしい仕草で顔を拭うギーシュがいた。 「何ダ?」 「君が香水の小壜を持ってうろうろしてたせいで、二人のレディの名誉が傷ついた。 どうしてくれるんだい?」 「知ルカ。二股カケテタオ前ノ責任ダ。 ソレニ私ハ小壜ヲ拾ッテカラ一歩モ動イテイナイ」 周囲の生徒たちがくすくす笑った。 「だったら、何で不用意に小壜を拾ったんだい? 君は床に落ちてるものだったら何でも拾うのか?」 「私デナクトモ他ノ誰カガ拾ウダロウ。 オ前ハソンナコトニモ気ガ付カナイ程ノ馬鹿ナノカ?」 くすくす笑いが、爆笑に変わる。 「ふん。ああ、そう言えば君は……『ゼロ』のルイズの使い魔、しかも亜人だったな。 亜人に人間の、しかも貴族の礼儀なんてものを期待した僕が馬鹿だったよ。 もう行きたまえ」 「イヤイヤ、気ニスルナ。 コッチモ人間ノ小僧如キニ正シイ口ノ聞キ方ナンカ期待シテイナカッタカラナ」 また周囲が大笑いした。 いつもキザでカッコつけてるギーシュが謎の亜人に散々にバカにされる有様が楽しくてしょうがないのだ。 一方、ギーシュの挑発は昨晩のルイズのヤケクソの大言壮語に比べれば屁でもないレベルだった。 よってギーシュの挑発でホワイトスネイクを怒らせることなど不可能なのだ。 そして挑発をことごとく挑発で返され、散々笑い物にされたギーシュが顔を真っ赤にして呟いた。 「どうやら、君は貴族に対する礼儀を知らないらしいな」 「ソレハサッキ言ッタロウ。 オ前ハ自分ガ何秒カ前ニ言ッタコトモ覚エラレナイクライノ馬鹿ラシイナ」 再三再四湧き上がる笑いに包まれて、ギーシュは怒りで体を震わせた。 「いいだろう……君に礼儀を教えてやる! 決闘だ!」 決闘。 その単語に周囲がざわめいた。 「決闘カ。面白イナ。場所ハドコダ? マサカココジャアナイダロウ?」 「当然だ。貴族の食卓を亜人ごときの血で汚すわけにはいかないからね。 ヴェストリの広場で待っているよ」 ギーシュはそれだけ言うと、マントを翻して去って行った。 他の生徒たちがわくわくした様子で立ち上がり、そのあとを追っていく。 退屈な寮生活では他人の決闘の観戦も大事な娯楽のひとつなのだ。 一方のホワイトスネイクはルイズのところへと戻っていた。 ヴェストリの広場の場所が分からないし、分かったところで自分ひとりでは行けそうにないからだ。 「ルイズ」 「……何よ?」 うつむいたままルイズが答える。 余程悩んでいたのか、さっきの一悶着には全く気付かなかったようだ。 「決闘スルコトニナッタ。今カラ『ヴェストリの広場』トカイウトコロニ行カナキャアナラナイ」 「ふーん、決闘するの……って、なんですってえええええええ!!!」 「ダカラ言ッタトオリダ」 「ちょちょ、ちょっとあんた何やってんのよ! っていうか相手は誰!?」 「金髪ノキザッタラシイ小僧ダ」 「金髪、キザったらしい……ギーシュじゃない! ギーシュはドットでそんなに強くないけど、でもメイジ何だからあんたよりはずっと強いわよ!」 「ドウカナ……アイツハチットモ強ソウニ見エナカッタガナ」 「そういう問題じゃないわよ! メイジに外見は関係ないの!」 「ドッチデモイイ。トモカク、決闘シナクチャアナランノダ」 「ダメよ。謝ってきなさい。今なら多分間に合うわ」 「フザケテルノカ? コノ状況デ」 「ふざけてるのはそっちじゃない!」 そこまで言ってルイズはため息をつくと、 「もういいわ。好きになさい。ヴェストリの広場までは連れてってあげるけど、そこからはどうなっても知らないから」 そう言ってむすっとして歩いて行ってしまった。 ホワイトスネイクはそのあとに続く。 (サテ……決闘カ。スゴク面白クナッテキタナ。 メイジノ実力、ソシテ今ノ私ノ能力……実証スベキコトハイクラデモアル。 ソレニ……ルイズハ『好きにしていい』ト言ッタカラナ。 サセテモラウサ……私ノ好キナヨーニナ……) To Be Continued...
https://w.atwiki.jp/mangaaa/pages/297.html
22 名前:はちさん ◆hachi1HAJI [sage] 投稿日:2006/09/19(火) 00 07 37 ID 5eELFXkJ lア′ \ _/\ . / / / . . j . . \ ヽ ∨ _/ 〉 / / . ./ . . .; イ. . / \ . . .. 丶 l ∨ _/ __,/ ⌒ヽ /\. ./ . . . ./ |. . . ! . . ヽ .\ . . l ∨{/| \ / `、 . .! . . . /ト、. . . / {. . j{ . . . . |ヾ . }ヽ イ´ . . | !´ ト、 7 ∨. | . / .|. .\/ l . 八. . .. ... . .jハ. l/l . lヽ .. . l |__/ \ i .... l. .l . , j. .__/\ j / \ . . / /! _j / jl . | | . . . . . . . ー―‐ | . .. | . | .{,>〃テFミ\/ } . //チF千ヾ<| .; . |¨ ̄`ヽ . . . . . ∧ | . Ⅳヘi{ !{ヘ `トヽ_/ 、ノ ´{iヘ } ! }ハ l/. . | ー‐=≦仏 l . .ハ. ヾ V ヽイj V ヽイ/ / . . | . _// ∧ |\_ ヽ _ ゞ‐= ゞ=- _ /. . . | つ、通報すますたっ! / /_/_イヽ /{ . .} /. . . . | 厂 |{ .ヽ .八 __ -―=  ̄ ヽ /.. . . . | / __ | \ ..∨. . .l丶、 ∨ ̄ 〉ィ/.. . . . . ヽレ ´ ̄ ̄ / _`ヽ{/ ` . .\ | iく_> 、 _____, <r /. . . . . . { . . . . . . . ヽ /´ `\} / .. \ ヽ\__ ,>ー< ノ, .. . . . . . . ヽ . . . . . . . . . ,イ |/ .. ヽ、__〕/_____ `< i.. . . . . . . . \ . . . . . . │ ! ........................ ) } |.. . . . . . . . \. . . . │ .. { ,、 _/ / l . . . . . . . . .. \ . ゼロの使い魔 ルイズ 23 名前:はちさん ◆hachi1HAJI [sage] 投稿日:2006/09/19(火) 00 10 04 ID WRfRT5Tp . . . | ハ .. ヽ l. { . . . . . ヽ . . }/ .}ヽ. .ヽ .. . . .l. . } . . . | . | l . . .j{ . | . , . . . . . .. |ヽ/ 厶<ヘ. . .|. . . /|. / . . . l . . │l . . ハ . l . .l\, . . . . . ... レ lィ仗ヽ}ヾト |. . l. / j/ . . -―ヘ . . 十j ./ーl .‐七弋"ヘ . ヽ . . . イ圦 _ハ jN. /K ハ . . .. マ. 7/ "仟テ¨ヽ`トヽハ . l. . . / V イ j j/ .{小、 . . . . . . ∨ヘ {仗 ハ V} ./ ゝ彡′ {\| { ヽ __ . .∧ . . . . . ∧、 ∨f -イ j j/  ̄ , .. l . \ `ヽ . . . ∧ . . . . . .. ゝ=彡’ ヽ } . l . . .. \ . . /. . . . . . . .. ヽ イ . 八 . . . . . .. \ / . . . . ヽ . . . . . . \ _. -っ /. . . . . ヽ . . . . . . . ..\ . . . . . . . . ∧ . . . . . . \U ‘ー_ ´ /l. . . . . . . ... \ . . . . . . . . ... . . . . . . / .ハ!. . . . . . ヽ / ヘ . . . . . . . .... \ . . . . . . . . .. . . . . . / //l . . . . . . . ト __,.イ ヽ \ . . . . . . . . \ . . . . . . . . . . . . . / .}i . . . . . .. j__ | / \ ヽ . . . . . . . .. \ . . . . . . ゼロの使い魔 ルイズ 56 名前:( ∀ ) ◆GNVTT/AHYA [sage] 投稿日:2006/12/10(日) 22 39 20 ID EK8O17Gn ゼロの使い魔 キュルケ / ヽ / ハ /⌒ヽ/⌒ヽ / / ! ヘ ハ { }ト、_ ン,// / i l l ヽl i _ \ / ヽ、 ̄ / i l l ! l ∧,. -ヤ ‐!、 ヽ ! / `i _ r‐- .._ ,、. \/ ,.-、`ー´{ /| l、 ! | { ト、 ! ´ヽ- lヽ ! ` } ! ! ´ `i `,≧=‐ 込 マ、 (⌒ / lレヘl,∧ |l l、 l ヽ {. "下Zlヽl l / l lヘ l /,. -‐,オツl い. `ヽ/ . / / lヽl いl ヽ! \, -込タ/,ル1 ,/| / l ヽ ノ `¨´/ラ仁}! .l l. l ,. ´ /,∠._l,小、{ / l/ | ! | ヽ , -― ´ l 仁lヘ { l ,. < // ,4. iヽ、 、_, ,/ / | l i ´ - 、 l 仁{ ヽ、 { ´ / / Z! ! | ヽ ` ,. rイ / l l ! /⌒V´ l l仁l ノ V ,/ i }y, / !、゙i` ´ ト l l‐-z,ハ ヽヘ { 从 仁l´ j、 ∨ ,/ l / / / ヽl / ! l lニて⌒ヽ. ヽ. `ヽ、 / }ヘ /シ r ァ‐ ´∧ V ! ,.. < / ` ´  ̄ l ! !ヽ{_ ! \ ヽ/ / l {スi´/ ./ ,ハ ヽ> ´ ,≠ `. . ∨ヽ ヽ、` - l_ ヽ ` 、_ _,ノ ,! , ´ / ハ,. -― ´ ,.≧チ lrz、 l/´ __.V \ 、 \ \  ̄ ,/ / ´ / / / ,.- 久ミフ;-、_ ヾ,L_ , r-‐tY_ヒ.入 `ー- ニ_ `ヽ ヽ / -‐ ´/ / / / l }ミヲ 」 `ヽ TY七7,..ャ ´ スヽンーr-- _ヽ V ヽ- __ン ./ / i ,/ Yミ了;レ >/`セ_ ̄ 7 }ニヨ ! ! `ヽ ! ヽ ‐y′ / ! ,/ ヾラ V ,不、ト、 _」 コ 弓 / , l } l ヘ / / l,ハ /l !,y ^ァ ´i ;l/`ーr、/ r仁.コ/ ! l ,/ ! ハ i i | 丶._,ァ´ / / /// ヽヾ `ー- kニタ ! l / ハ i ! | l l l 了マ ./ i´l _} ヽ - 仁ク ,Lニン /- .._ l ! l l l l ,!仁厂 | `ヘ `ヽ__j ヾ 仁ヌ _∠__,/´ / ,.-‐≧ 十 、 l l l l l ∨ l /仁l ! ヾ `モァァテ> ´ //=〈/,.z `i..l ! j l l l V ´ 乃シ´ ! \ `;彡´ ,.ィ´/アT// ,. - {! l! ! .ハ ヘ X ;xFシ ; ` 、 / ,.. チ /≠l_r化.∠_,. -‐ ,.ィ ..八 ハ ヽ ヽ ヾシ´ ; / ,... ´ ´ イ二不´l ヽ. ´ \ ヽ、 \{\ メ __ン} / l ! / ̄ ̄ ̄`ヽ 《Zリ ト、_フ >=-― チァへ、_ _,.> ´ ;/ l ! /´ Y `YヲV ,.ィ彡イ  ̄ シ l / l }乂 ./ 仁Zフ ; - ´ l ! l 仁7 /二Y ;>― マ ´ ハ. ヘ l ム ァ 乙ニ;{ ; ィ ´ ヽ ヽ\> / 牝ム (ニ之 / / ヽ / ヽ / アイ んミツ l l ヽ / ヽ / lツ 286 名前:はちさん ◆hachi1HAJI [sage] 投稿日:2006/09/19(火) 00 14 10 ID WRfRT5Tp ゼロの使い魔 シエスタ /! ヾ`ー──┐ / │ -――――――‐- 、  ̄  ̄O | / .| / `ヽ、 °| / | . . / \ | / / / \/ ,′ / ./ / / ヽ | ∨ l / / / / / l | / / / // . / / ! . . . ヘ l | . / /_ /-‐ // / ..__/| / ! / ヘ l |  ̄{/ /∠.// / ../`7メ、 / / .. l l ! 厶f≦テ千ト //xz≠< / / .. /. / , ‐<⌒ヽ l . | l Ⅳ { ヘ__,ィ/ ´7ヘ _,ハ/ / . _/ / / \ \ i . l ハ 弋_ 少 r 托/ ァー‐<{ / / く ヽ ヽ___}! . ハ . / ヘ、. . `ー / ... | ´ >―‐- 〉 .ヾ∧ .. ヽ. / ___ヽ . . / _ l-、 / ⌒く/ { }∧ f ´ ´ ̄ _} r―-, //  ̄`l Vヘ / ゝ l_∧ | ´ ヽ_` ー ´ __イ⌒ヽ | Vヘ / ヽ lヽ∧ | / l_ r<⌒l \ ヽ | ∨ . / | l | ヽ l ノ/ / { { .l ` ハ l / | l | | r _// ∧ ! / \ |\ 531 名前:鬱挫気ブー ◆DEBU/qWbig [sage] 投稿日:2006/08/17(木) 10 05 33 ID 9/an/pqo ルイズ / ゙ /;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙/; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;"` ; 、 i; ; ; ; , ` /;;;;;;;;;;;;;;;;; /; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;/; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;l; ; ; ; ; ; ; ;;`;、 i; ; ; ; ; ; //;;;;;;;;;;;;;;;;;; / / /`/` l ; ; ; ; ; ; ; ; ;ヽl ; ; ; ; ; ; ; ゙ .i; ; ; ; ; l ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;i, , ; l ; ; ; ; ; ;i ; l; ; ; ,i , , ` ヽ` ` 、 i !; ; ; ; ;l \;;;;;;;;;;;i ; l ; ; ; ; ; ; |; ;l ; i ヽ ; ;l ; ; ; ; ; ; ; ヽ, , , i; ; ; ; ; ; ;l i; ; ; ; ;| \;;;;;;l l; ; ; ; ; ; ; | l ; | ヽ; ;;l i ; ; ; ; ;ゝ ; i; ; i;; ; ; ;| .i; ; ; ; | \/ i; ; ; ; ; ; ; ;| i lヽ |ヽ lヽ| ; ; ; | l ; l; ; |; l ); ; ; ;| /l i i; ; ; ; ; ; ;| `` ‐、;;l \ l ; ;/l /ヽ l ; ;ll;/ ノ; ; ; ;l ; / ヽ l l; ; ; ; ; ; ;i ;・;; ""ii ヽ、・、\| /,イ |/・| ノ / /l/ /; ; ; ; ;| ; ; / / | ヽ; ; ; ; ; ;;l "i ;; ;i // , ii, ! iヽl / / ,;"; ; ; ; ; ; ;l ; ; / / l ; `; ; ; ; ; ;i ! .;; ;;"/ l ;;;; / / / ; ; i; ; ; ;;; ; ; / | ; ヽ; ; ; ; ;l "" 、 ゙ "´ l; ; l ; l; ; ; ; ; ; / l ヽヽ; ; ; ; ;l , -ー-,,__ i; ; i " l; ; ; ; ; ; / l ヽヽ; ; ; ; l / ;;;;゙/ ノ; ; l ...i i / l ヽヽ; ; ; ;lヽ、 ー;;;;;;;;;;;;;;; / ,, - " ; ; ;l ヽl; ; ; ; /..i.... -""" l i ;ヽ; ; ;l,,,,,` -、 ,- "i ; ; ; ; ;ヽ ; ヽ; ; ; l イ l ヽ ヽ; ;ヽ;;;;;;;;; / ` i ; ; ; ; ;ヽ ; ; ヽl l / l ヽ; ヽ; ; l ` ( l ; ; ; ; ; ;ヽ ; ; ; ; ) l l i ヽ; ヽヽ _,, ´ ヽ .... ..; ; ; ; ;ヽ ; ; ; ; ノ l i ヽ .ヽ; ; ヽ ! l ヽ .... ; ; ; ;ヽ ; ノ; ; ノ; ; i l 人.. ヽ; ; ヽ l l ハ .. ゙ヽ / ;;;/; ; ; | ノ ヽ .... ; ; ;ヽ; ; ヽ | |ノ ; ; ; , , ) 550 名前:名無しさん@├\├\廾□`/[sage] 投稿日:2006/08/18(金) 08 06 03 ID lcZh1eAK / . . /. . / / ゙丶、 i . .// / / .. . . l ヽ l . 、 / ../ l l . . l. . l l ゙、 . l l. . \ l . / l .l . . .l . . . ヽ. 、 , , l. . . . .\ l . .l l. .l . . . l.l. .l. l . . . ヽ . l . .. l , l. . . . . . . \l. . .l +ハ_. . . l l. .l. . ト、!. . . i }. . . l . . . l .l i. l. . . . . . . . ハ. . l . !/ _l、士_、jヽ. ヽ!. . . /lハ-‐l. . . l / / l. .. . . . ./. . 冫l. . l フ/¨7r=ハ‐- l. . /,、-、‐jノ. イ. /レ / l. . . . ./. /. 、!. .l l ^、. l、 し! jノ イヽイ ´l / l/ ´ . . . .. . /. . . . .l. . .l l. _ゝ-‐ !、シ" / . | .. . . l . . /. . . . . . . l. . . l l ~"__ 丶 "゙i l . . . . . l . / . . . . . . . .l . . . l l / ¨ヽ7 l l . . . . .l . ./ . . . . . . . . . . .l. . . . .l l 、 ヽ、_ _ _!/ ,,. " l . . . . . l . /. i . . . . ,. -…-l. . . . . l ト、`丶、 ,,. イ. . . . . ゙、 . . . . . ヽ . . . l. . . ./ . l. . . . . .l ト、`_7. . ¨ ;. . . . . . \ . . . . ゙、. . l . . ./. .. l. . . . . . . l l. . ..! . . \. . . .. . ヽ . . . . } . l . . .i . . . l. . . . . . . .ヽ ;. .i " l\. . . . . . ヽ _, . . ./ . .l. . l. . . ,. . . . . . . . ヽ , !. l iヽ. . . . . ゙、 88 名前:名無しさん@├\├\廾□`/[sage] 投稿日:2006/07/24(月) 21 23 00 ID awNizZxK アニメ「ゼロの使い魔」よりキュルケとルイズ _ / / j l i { i . i . ヽ . ! . . / / l . ./__ヽ . l . . . . . . } . Τ 7.ー 、/ l | . l . } i. . 、 V . . ハ、_ノ厂/,丕≦=≦} ! . . . . . . , . / / イ `ハ、 l! . ヽ . l! .l . ハ }ヽ . { ィ/´ ,. 7 、 }ハ ! . . . . . / . , / ∠ノ_ く、 ハ ト、 . V i__,厶 = .┼ 、 ! ! .ト . . l il! Vヽヽノ} / !イ . . . . / . / l l≧r=== <、ヽ{ヽ . ┼7/ i / i . ! | . \ 、 _弋_シ } . . . // | l |! , ィー ヾ、ヽ V /≠三云l_ /! / . Ⅳ | `ヽヽ /. . // . . . ハ ! { ハ_ノ! ノノ. // ,r‐ッ 7ハ/ / /. / . . ! | j \ / イ . . . . . . . . l ヽ{ 、弋___ノ__, く_ / f {_,ィ/ /V / / / / . . . l ! 〈 l . . . . . . . . ! \  ̄ ̄ ̄  ̄ 戈_ソ_ /イ / // . . lノ l . . . ./. . . ハ ヽ /イ/"/l . . . . ,i 、__, 、__ l . . ./ . . . .ハ / / ヽ . . {ヽ . . l ゝ⌒ノ /! . /. . . . . ハ _ , i \l |\ . ! ー / / /. . . . . . ハ ゝ- ’ / l V. . . ヽ. {\ / ,./ . . . . . . ハ 、 ─ _. l | . . . . . ` . .\ .l丶 、 , //. . . . . . ハ ` 、 _. ィ ´ ,l l . . . . . . . . . . . . .l_ - > --´\ /. . . . . . . ヽ ` ー, -- ´ l l l . . . . . . . . . . . . . l ヽ /. . . . . . . . . ヘー _ / l l ,l . . . . . . . . . . . . . .! ∨. . . . . . . . . ハ `く\ l { l . . . . . . . . . . . . . . l /. . . . . . . . . . ハ f|「} ,l l l . . . . . . . . . . . . . . .l /. . . . . . . . . . . . \/ | l ,l l l . . . . . . . . . . . . . . . |\ /. . . . . . . . . . . . 86 名前:河豚 ◆8VRySYATiY [sage] 投稿日:2006/07/24(月) 20 44 53 ID VKPrLqxT アニメ「ゼロの使い魔」よりキュルケとルイズ _!_ / { ! ! ! ヽ / /´ } リ \ ! i 7ー- .__ノ ヽ. ! i ヽ !ヽ ´ _r= ̄ ̄ヾ\! | / ノ / ノ 人 、 Y }、 } | | { y/ Y⌒L,Y り / ! { /// ヽ !_,.‐ノ-1―‐j- 、 ! ! ヽ、 ヽ、 乂 ノ | / { iヾr⌒`"`\ ゝヾ }// ! ノ ! |リ i 、 \ ー‐¨ー " | , イ !. | | . Y⌒Y ` )/ },.,――-}、/} ,/ ! | \ \ / / | . {ハ. | { ㌍} 丿 ノ ,Y⌒j /ノi/ / / | | ! `ー― i | ! { |, `ー`― ―  ̄ ̄ {. ㌣ ! /ノ ノ // ! ! | . | ヽ !  ̄ ̄¨ i /_/ .|! |リ | / ∧ // ヽ. |! | 丶 ̄_ヽ { / ∧ / { \!∨ | イi/ i\ ∠⌒) / i i \ { イ ノ ,∧. \ _ ノ .| | \_ヽ> イ / ∧. > . 、 _,r< | | _> _ <i / ∧ -,_ ィ ´ i ! !__,..―-¨ .} / i.ヽ、 / ! | .| !/ . }  ̄`ヽ .ノ |. ! / | /||`l. / | ト / 10 名前:はちさん ◆hachi1HAJI [ 1乙カレー♪ sage] 投稿日:2006/11/01(水) 17 43 37 ID MYn+eP9K r‐┐ /\ | | うるちゃい!うるちゃい!うるちゃい! \ \ |_| \ \/ ゼロじゃないもん \ __ ヽ _ / ´ `ヽ ゼロじゃないもん 〃 \ / { \ ヽ /イ l 从 }l l レ | l |ハ l| l`トム l仏匕l | r┴-、`、 ∧ lV}ィ=ミヽ リ ィ=ミ / {こノ_j_ ヽ / `l ⊂⊃ _ ⊂⊃〈`ー ´| \ , -=彳 j{ ゝ、 {´ ヽ / ∧. | \ { /⌒)_ヽ 丁丈千/ /_ ,ィ┘ ヽ ゝ-、_ヽ _(ノ )_ノ ノヒ乂ツ/ `ヽ l ノ f ∨ /> ⌒ヽ‐介‐-ゝ=ァ / l / ヽ ヽ ´ ∨/ /  ̄≧ ヽ { _ -‐ ==ヘ } /ハ 人えI 、 `T¬ー ´ \ ヽ _ \ ゝ=∠ _}ィヘ ̄/⌒ヾi>┘〈_ \ _≦_ .  ̄ ̄ ̄ ̄`7¨ヽ ヾ/ 、_Zフ′ ̄ \ > { \/ , ´  ̄ ̄ ̄ ̄ ヽ ヽ / } / ゝ _/ ルイズ 8 名前:迂闊 ◆UKATsU/nx. [sage] 投稿日:2006/11/01(水) 16 11 59 ID vpaw3W9k _ , -‐ ´ `ヽ / `丶 / ヽ / / / 、ヽ ヽ 、 ハ { , i_i」Li 、 L,」__ } } | l { i´lzL」_ト、 iソリ_」Lリ` l l ∧ヾ〈.代ラj }ノ .代ラj.〉! / ト、 / 〉 ヘ ゞ- , ゞ- / ト、 \ 〈 / .iヘ "" r‐‐y ""イ / ヽ } ___ ) / / /`ト ,_‐ _,.イ/ ∧ \_ ノ . /´ ̄ __ノ / { /i/ ,r‐ 7´ ! ヽ `ヽ、 { /´ _,.イi ! |不,/´{ | } ヽ _ ヽ } / /ヽ、,_!|,/_, -ヽ ヾ / ノ ((__ノ__,ノ } ヾ ;/ ,.不ニ ;; _;; ゝ, ∨ / / , / ! ,.イ/ |! 〉 ヽ / . { / , -z__ノ_,. - 、ト、ノ〈/ |ト、 ヽ / }ヽ ヽ、 _ ´{,/ {/ ,.イ } / i」 ヽ; `{ / \ ノ ´  ̄ /_,. ! / l メ、 、 ゝ、_ `ー-、 ヽ ,.イ ´ } レ ー- __ /. .| \ )イ i }リ } _ -‐ ". . .! ´ 〈 __ `ヽ, l . .l `ト、 ノリイノ ノ . . . . . . . . .∧/ Y´ `Y _ノ∨、 ,.イ. .\∨ ,.イ . . . . . . . ./ ヽ、/ 〈__,.ィ=ャ,. -‐r‐ i 〈 `,.イー - 、ヾ, {、_,ゝ . . . . . . ./_, - 、\_`ー! ヽ‐ + 〉 L`´,ノ 三) .ヾ-‐ . . . . . ./ ∨ ヽ i i | ! |,} i レ `ー ヽ,_ヾ ̄. . . . . .\ . . . . ./ /`ヽ ``i」jlノヾ,-- ‐ " . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .ヽ . ./ / } /. . .\ヽ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .ヽ ´ ノ レ . . . . . . . . ヽ\. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .ヽ ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール(ゼロの使い魔) 60 名前:(゚д゚)y~プハァ ◆PuhalUWQ0A [sage] 投稿日:2006/01/31(火) 06 37 45 ID OOhwZXr/ / ̄  ̄ ` / 〉 /l / \ ヽ/ / |/ rェ‐-、 ヽ 〈_.. -- .._ ニト、 >‐-- -- .._ / ` 、jノ __ , / ハ \ レ i lハ . / \i \ ─-- ...._ ノl l iトl/ _ヽ l .| ,、─ " ヽ l |j _リ l─-- ..._ / / l ,. "〉 / l \ i / /ハ > " ./l l .ヽ l 〈 〈 .l ヽ `ゝ ∠ /l l l i ` ‐ ヽ ヽ .ヽ l ` i " 〈 / lヽl l ヽ ` -`、 l ヽ〉 r "j l .l ヽ ヽr‐、 ` ‐--- ヽ/ l. / , l レ ヽ -==- ノ ) l. / -- 、 i ト、 ヽ \ r‐、 / / / に} / l l. ヽ \ ` ‐、 レ l/ ハ  ̄ ノ j i  ̄ ̄) } r "レ "-i〉-、. l ヽ ( / , / / i ゛i YレXノ乂i/ヽl ` ─-、 { i r "/ /! /lノ〈j花は〈lコ/l〈ニヽ l /⌒i l ヽ{ / l /〈lコ〉〉ムズカシイヨ〈ロ〉ノ〈ロ〉-、_.ハ ハ !ヽ ノヽ! ヽ レl/Xノ〈ロ〉〈ロ〉{乂ノi〈ロ〉 " ̄ < Yハ , _.. -‐  ̄ くニ/〈ロ〉乂〈ロ〉乂〈ロ〉ヒソ` ‐ "> l. , i \\ レY〈ロ〉〈ロ〉乂〈ロ〉〈ロ〉乂_.../-- .....ヽ-‐‐ , 〉 〉 lハノl/l>ヽ/ \ノ l.... _ 〉、 // l l/ハ/ / ̄l  ̄ ̄ ̄ ̄ { <__/ レ ハ/ / lヽ、〉... _ { i‐-- ... _ l/ ヽ--、 /| l. / `‐- ニニ} 〉 〉 〈 ノ/l〈 l | l \ \ 〈 { Y/ l | l , ヽ r " ̄` ‐- } j l l l \ \`-‐ "  ̄ / l l. l \ ` .. _ / ! l. l ヽ  ̄ ─-- / ! l l ` .. _ ゼロの使い魔 ルイズ・フランソワーズ 56 名前:(゚д゚)y~プハァ ◆PuhalUWQ0A [sage] 投稿日:2005/12/08(木) 23 43 02 ID 6YTFG5OA ,、 -‐──- .._ / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .` 、 , . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .ヽ / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . / . . . . . . . . . . . ヽ i . . . . . . . . . . i . . . . . . . . . . . . ./ . l . . . . . . . . . . . . , . l . . . . . . . . . . l . . . . . . . . . . . ./ . / . . . . . . . . . . . . . i i . . . . . . . . . .l,、 . i""" /l . / l . . . . "" .. . . . l l . . . . . . . . . .l . . l l . . . ../ // l . ./ / . . / . . . .i ! . . . . . . . . . .l . .l | . ._/、〃 l . /l/レ-、 . . . , . i . . . . . . . . . .l .レ " .C ` l/ ィ . c. 〉 . / , . . . i . . . . . .lハ . . .ノ / じ ゛, . / , . .l. . . . . . .l.  ̄ i ./ , . .l . . . . . . i ゝ ノ , , .l . . . . . . .ト r‐ァ イ. , ,ト . i、 . . . l. > ..__.. イl . /l ./ ! ヽ!ヽ . . レ ! . // i / l , __ _.. -‐‐‐ ! ヽ .i レ ゛ l " リ ヽ " . . ヽ! __ .. i ` ‐ 、 , " ! 、 , l , ヽ / i . , , . . ヽ. , ..._ , , ヽ Y⌒ヽ ヽ , , , r - 、\ヽヽ.iヽ , i . . i . . .レ-、\ヽ. リ i , ! / ` -ヽ.ノ , , ヽ /.. . . . . . . . . . / ゼロの使い魔 シエスタ 10 名前:はちさん ◆hachi1HAJI [ 1乙カレー♪ sage] 投稿日:2006/11/01(水) 17 43 37 ID MYn+eP9K r‐┐ /\ | | うるちゃい!うるちゃい!うるちゃい! \ \ |_| \ \/ ゼロじゃないもん \ __ ヽ _ / ´ `ヽ ゼロじゃないもん 〃 \ / { \ ヽ /イ l 从 }l l レ | l |ハ l| l`トム l仏匕l | r┴-、`、 ∧ lV}ィ=ミヽ リ ィ=ミ / {こノ_j_ ヽ / `l ⊂⊃ _ ⊂⊃〈`ー ´| \ , -=彳 j{ ゝ、 {´ ヽ / ∧. | \ { /⌒)_ヽ 丁丈千/ /_ ,ィ┘ ヽ ゝ-、_ヽ _(ノ )_ノ ノヒ乂ツ/ `ヽ l ノ f ∨ /> ⌒ヽ‐介‐-ゝ=ァ / l / ヽ ヽ ´ ∨/ /  ̄≧ ヽ { _ -‐ ==ヘ } /ハ 人えI 、 `T¬ー ´ \ ヽ _ \ ゝ=∠ _}ィヘ ̄/⌒ヾi>┘〈_ \ _≦_ .  ̄ ̄ ̄ ̄`7¨ヽ ヾ/ 、_Zフ′ ̄ \ > { \/ , ´  ̄ ̄ ̄ ̄ ヽ ヽ / } / ゝ _/ ルイズ 8 名前:迂闊 ◆UKATsU/nx. [sage] 投稿日:2006/11/01(水) 16 11 59 ID vpaw3W9k _ , -‐ ´ `ヽ / `丶 / ヽ / / / 、ヽ ヽ 、 ハ { , i_i」Li 、 L,」__ } } | l { i´lzL」_ト、 iソリ_」Lリ` l l ∧ヾ〈.代ラj }ノ .代ラj.〉! / ト、 / 〉 ヘ ゞ- , ゞ- / ト、 \ 〈 / .iヘ "" r‐‐y ""イ / ヽ } ___ ) / / /`ト ,_‐ _,.イ/ ∧ \_ ノ . /´ ̄ __ノ / { /i/ ,r‐ 7´ ! ヽ `ヽ、 { /´ _,.イi ! |不,/´{ | } ヽ _ ヽ } / /ヽ、,_!|,/_, -ヽ ヾ / ノ ((__ノ__,ノ } ヾ ;/ ,.不ニ ;; _;; ゝ, ∨ / / , / ! ,.イ/ |! 〉 ヽ / . { / , -z__ノ_,. - 、ト、ノ〈/ |ト、 ヽ / }ヽ ヽ、 _ ´{,/ {/ ,.イ } / i」 ヽ; `{ / \ ノ ´  ̄ /_,. ! / l メ、 、 ゝ、_ `ー-、 ヽ ,.イ ´ } レ ー- __ /. .| \ )イ i }リ } _ -‐ ". . .! ´ 〈 __ `ヽ, l . .l `ト、 ノリイノ ノ . . . . . . . . .∧/ Y´ `Y _ノ∨、 ,.イ. .\∨ ,.イ . . . . . . . ./ ヽ、/ 〈__,.ィ=ャ,. -‐r‐ i 〈 `,.イー - 、ヾ, {、_,ゝ . . . . . . ./_, - 、\_`ー! ヽ‐ + 〉 L`´,ノ 三) .ヾ-‐ . . . . . ./ ∨ ヽ i i | ! |,} i レ `ー ヽ,_ヾ ̄. . . . . .\ . . . . ./ /`ヽ ``i」jlノヾ,-- ‐ " . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .ヽ . ./ / } /. . .\ヽ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .ヽ ´ ノ レ . . . . . . . . ヽ\. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .ヽ ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール(ゼロの使い魔) 115 名前:一手義雄 ◆YYYYeqzEEE [sage] 投稿日:2006/06/12(月) 02 12 12 ID qv3fZ8Av ___ _ , ィ´,. - ´ `> / !/ i `丶、 / /-‐′ \ ′ / _/__ .ハ \ ′ .| | `メ、./ ! / ヽ._ / ! ィォ=ミ、′/ /__ィ !`T´ . / /| | 弋zり /-‐ "_ /`/ ./ . / /∧∧ \ ヽ fリノイイ/ / /,. -- 、ヘ ト、!,.へ._ / イ ,、__ ,. ---一 ´ / ,. -‐ ミ| !、{__)ノ _,ノ /! / ,.、, `ヽ , -/ / / \| |ヽエT ´ | ∧ヽ /ノ//,.ィ ,ハ  ̄`ヽ / ハ | / ! ! f⌒ヽ! | |、` ̄! ./,/_/_/´/_/ ヘ ヘ /| / ヽ l / | l ゝ._,ハ! ! \! //./ l ヘ ハ ヾ、 ./ | | ,.イ| |\ヾ //ァ/ l ハ キ \ \ / / | l/ l||| // |/ .ハ ヽ ハ i . __二ニュ ヽ! / .| ||||//l ! l .ハ ヘ ハ ! ´ ノl / ヽ、 ljく/、 _| ,.! .ハ ハ ハ ! / / / /`ヽ \ !` . | \ .∨ ハ ハ | ,.イ / // /|`T i ノ ノ ! ヘ ヽハ ヘ ハ ! 、l ! | く//| / | ∨ / ヽoヽ ハ lハ ハ| . ヽ | 乂// } ! /,イヽ / ヽ_∨ ` ー---一 !¨ヘ ハ、 . `/´ ! | | ヽ! ∨!_/ ./ /./ ′ `、 ハ ヽ rォ ´ || ! L/_/, ´ ,′ .′ ゙、 キ \ / // | i X___/| ′ l , l \ / / | l/ ,.イ l| .′ !ハ l\ ヽ / / ヽ /.! / r ´ | ヽ , i l、 `丶、 / `ト---一ァ´ ,.-一ヽ ノ ´ / ハ ′ ∠--、 ! ! .` ー- / ,rァ´ ̄`` ー‐j //´ ̄/ / } ノー一 ´ ハ ! | | ⊂´-r‐一__,. -‐ く f´ 、 !_, ´ _/ | ,ム ! !  ̄ ヽ_ 、 \ j / i \ //ヽ ! __,. ----一`ー-へ _ ヽ ノ ヽ \ く` ヘ ヘ _,. -‐ ´ ` ̄ ̄´ \ >、 ヽ 入 \ く \ ` ̄ ノ ` ー‐---- 、 \ `  ̄´ ; ` ̄ ` ー-、 ` ー一 ´ _ _ _ _ _ ,. --―一 ´ ー-、 ,. -‐ ´ ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール(ゼロの使い魔) 116 名前:一手義雄 ◆YYYYeqzEEE [sage] 投稿日:2006/06/12(月) 02 12 49 ID qv3fZ8Av ___ /´ ̄ ̄`ヽ ,. ´ ``丶、 ,.イ-――‐- 、 | . / -- 、 \ ____, ´/_,. ---- 、 ∨ . / / \ \ 、 `丶、_ / - 、 \ / { \ `丶、 ヽ.` ー一  ̄ \ ./ .| . 、 \ー/-- 、 !ヘ ,. -―-ヽ i | ! \\ ゙vrニミヽ!| `丶、 /,. -―-、 | | ! . .><ー---、 !、 ハ ! \ `  ̄,.イ ´ー- 、 ∨ | | . \ヘ.,rァニミ、 ヽ| ヾZソ |! ` ー一 ´/ ‐- 、 `ヽ | | ヘ. ト{ { ハ , ハ. ,∠_ ヽ . ! \\ゞZソ ⌒ヽ // \ _ /,. -‐ ヘ、 . ! l ヽ. \丶、 ヽ._ ノ,.イ ,. ´ /‐-、 `ヽ、! j ヘ \ \_≧ニ7スア⌒ヽ´ / ヽ `丶、 \/ ヽ. `二二..__ `ヽ、 丿--- ヽ ヽ. `丶、 \  ̄__/__ >、 ヘ. .`===キ== . ヽ \ } 「 /ヘ. }==、、 -- ヽ-、 !‐ァ-― ! . / ,ハ / |/ キキ `== ハ ` ̄∨ l / ,.イ---‐一ァ ´ハ、 . ヘ _ハ / l ./,.イ / ,. - ´ / く ハ. ヽ `マ j l / |/ ,.イ / . / ヽ ム-‐ ` <`丶、 j、 ! / ´ / /⌒ヘ !// ヘ. . |ー-、ソ´ ヽ.! / / \ くl . ヘ. | . . . . >ー-- 、 | ヽ. / ` ー ! . 〉、 ハ . . . . . . . . . . ./ヽ . ! l`丶、 /7 ∨. . .` .ー-、i_ ヘ . . . . . . /、 . . . l| l `卞、 /,ハ、 /| . . . . . . . . . . . 7iヽ ./ \ .\ . | ! l | `ー 7| . \`丶、 / . ! . . . . . . . . . /´ .| . .`ヽ, \ . ! ! ! ! 〈 | . . . . `丶、ヽ . . .ヘ ____/\〈 . . ./ _ l | ! l ⊂!、 . . . . . . . . .`ヽ . . . ヽ!,.-‐人 `¨ /´ ! ! l | l .ヘ .\ . . . . / ! . . . . . Y ´ . . .ヽ. / . l l ! l . . .ヘ . . . . ./\ l . . . /!\ . . . . . \ / . ! ! | | . . . .ハ . . / `¨´ | . ,.ヘ/ ̄ ヽ .i ! | ! . . ___/ ,. ---- 、 |/ /\ .! l | ヒ´_ _ ! / `| / \ | ! ! l./ !  ̄ ̄ ̄ \ ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール(ゼロの使い魔)
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/606.html
ギーシュは薔薇の杖でギアッチョを指して言う。 「何も知らない平民のためにあらかじめ言っておいてやろう」 何が何でも言葉でイニシアチブを取りたいようだ。聞かれてもいないのに ギーシュはべらべらと自分の力を喋る。 「僕の二つ名は『青銅』 青銅のギーシュだ 従って――君の相手はこいつが する・・・行けッワルキューレ!」 ギーシュが造花の薔薇を一振りするとその花弁が一枚宙を舞い、 ズォオォオッ!! 青銅の甲冑に姿を変じた。ギーシュはキザったらしい仕草で杖を下ろすと、 眼の前の平民がいかに驚くかを観賞しようとギアッチョを見るが、 「おもしれーもんだな」 と呟くギアッチョの表情には何の変化も起こらなかった。 「・・・ッ、平民が・・・!余裕ぶっていられるのも今のうちさ!ワルキューレッ!!」 自慢のワルキューレを前にして何ら取り乱さないギアッチョに、ギーシュは もういいとばかりにワルキューレを襲い掛からせた。 猛然とこちらに向かってくるワルキューレを見据えて、しかしギアッチョは 眉一つ動かさない。 ――ホワイト・アルバムを身に纏い、そのまま奴まで歩いていって直に発動 させる・・・オレがその気になりゃあ30秒もかからねーが、それじゃつまらねぇ こいつは「恐怖」と「屈辱」を存分に与えた上で殺すッ!! などとギーシュをいたぶる戦略を練っていると、 「ギ、ギアッチョさん!!逃げてくださいっ!!」 動かないギアッチョにシエスタが叫ぶ。しかし時既に遅し、ワルキューレはもう ギアッチョの懐に潜り込んでいた。そしてその右手がギアッチョの腹に―― スッ ドガシャアア!! 当たることはなかった。ギアッチョは引きつけたワルキューレから最小限の 動きで身をかわし、青銅の騎士はその勢いのまま地面に突っ込んだ! 「てめーの自慢の魔法はよォォーー この程度なのか?え?マンモーニ」 ギアッチョはギーシュに向き直ると、感情のないままの眼で彼を見る。 「一度攻撃を避けただけで何を得意になっているんだい?」 しかしギーシュもその程度で焦りはしない。自分のワルキューレはまだ何体も いるのだ。ギーシュは薔薇を振って更に2体のワルキューレを呼び出した。 二体の騎士は土を蹴ってギアッチョに向かって突進し、そっちにギアッチョが 気を取られている隙に、さっき倒れた一匹目がギアッチョの足に飛び掛って 引きずり倒す!・・・はずだった。しかしワルキューレが彼の左足を捕らえる 瞬間その足はスッと持ち上げられ、一体目はまたも惨めに大地へ倒れた。 続く二体目の突進を一体目をまたぐステップでかわし、その後をついて 走ってきた三体目は折り重なって倒れる先の二体にぶつかって動きを止めた。 オォォォ、とギャラリーにどよめきが走る。 「どーやらよォォ~~~ もったいぶった外見してやがるが・・・単に遠隔操作 出来るだけのスットロいデク人形だったみてーだなぁあぁ メローネの ベイビィ・フェイスの足元にもおよばねーぜ」 合間にギーシュを侮辱することも忘れない。とはいえ、普通の人間なら一体目の 一撃を腹に受けて一瞬でくたばっているはずだ。ギアッチョがそれを回避出来た 理由は、彼が幾百の修羅場を潜り抜けて来たからに他ならない。スタンドなど なくても、ギアッチョにはワルキューレの一挙手一投足が予測出来ていたのである。 ギーシュにはギアッチョが何を言っているのかよく分からなかったが、自慢の 騎士達をデク人形呼ばわりされたことだけは理解出来た。 「・・・少し素早いからと言って調子に乗らないでもらいたいね平民!!ここまで 頑張ったことは褒めてあげよう だがこれで終わりだッ!!」 いくら避けられるからといって魔法に平民が勝てる道理などないのだ。・・・と、 ギーシュはそう思っている。その自信から出た勝利宣言であった。 「漫画みてーな陳腐なセリフ吐いてる暇があんならよォォ~~・・・とっとと次の 手を披露してみろよ マンモーニよォォーー」 「まだ言うかッ!!行けッワルキューレ達!!」 ギーシュが造花の杖を、一回、二回、と振り下ろす。薔薇の花弁はそれに 合わせてひらひらと舞い落ち、彼の造花から全ての花弁がなくなると同時に、 更に四体のワルキューレが姿を現した。四体のワルキューレ達は主人を 守りつつギアッチョを囲い込むように布陣し、その間にいつのまにか 起き上がってきた最初の三体がギアッチョの後方を固めた。 「ああっ・・・囲まれた!!」 「ギアッチョぉ!!隙が空いてるうちに逃げ出せッ!!」 たまらず叫んだのはシエスタとマルトーである。しかしギアッチョは今度も動く 気配を見せず、代わりに首だけをひょいと彼女達に向けると、 「心配は無用だぜ それよりよォォーー ちゃんと見てろよマルトー! シエスタ! おめーも眼をそむけんじゃあねーぜ」 と言い放った。ギーシュは「遺言なら今のうちに言っておくことだね」などと喚いて いるが、全く意にも解さない。自分などここにいないかのように振舞うギアッチョに ギーシュの怒りはとうとう頂点に達した。 「もうッ・・・もういいッ・・・!!貴族を侮蔑したことを悔やみ・・・絶望に身をよじり ながら死んでいけッ!!!」 その言葉を合図に、全方位に布陣したワルキューレ達は一斉にギアッチョに 襲いかかり、シエスタ達の悲鳴をバックコーラスにその剣を振り下ろ―― 「ホワイト・アルバムッ!!」 ギアッチョがその名を叫んだ瞬間、全ては動きを止めた。ギャラリー達は―― ルイズやキュルケですら――目の前の異常な事態に声も出せなかった。 ギーシュは半ば状況を理解したのか、口をぱくぱくとさせているが――これも また声になっていない。 ギアッチョを取り囲んでいたワルキューレ達は、ギアッチョが何かの名前を 呼んだ瞬間、青銅と氷の彫刻と化して動きを止めた。そして輪になった オブジェ達の凍った頭部を、「何かに包まれた」ギアッチョの右腕が、一体、 また一体と粉砕してゆく。誰もが無言のままオブジェの破壊は続き、頭部を 失った哀れな人形達がまるで花を開くように外側に倒れていくのを破壊者は 色をなくした眼で見下ろし。ワルキューレだったものを踏み越えて、男が花の 外側へゆっくりと姿を現した時、 ギャラリーはパニックに陥った。 泣き叫ぶ者、もんどりうって逃げ出す者、呆然とその場に立ち尽くす者。彼らの 悲鳴と足音でヴェストリの広場は一瞬にして阿鼻叫喚の様相を呈した。無理も ない、男がやってのけたのは一瞬にして八体もの物体の動きを完全に停止 させるほどの氷結である。おまけに停止させたのはただの物体ではない。 「青銅」のゴーレムが「殺す気で」剣を振り下ろしているのである。それを 一瞬で完全に停止させて男は平然とギーシュを睨んでいるのである。彼らが 恐慌に陥るのも無理からぬことであった。 「あの男が・・・これをやったっていうの・・・?」 愕然としてギアッチョを見るキュルケだが、ふとルイズに眼を向けると、 「あいつ・・・こんな物凄い力を持ってたの・・・!?」 彼女もまた衝撃を受けていた。今朝の部屋ごと冷却事件の時点で気付くべき だったかもしれないが、とにかくルイズは今改めてとんでもない男を召喚して しまったと思った。常に無表情なタバサもこれには驚きを隠し切れないらしく、 わずかに眼を見開いていた。 「バカな・・・・・・ただの平民のくせに・・・・・・そんな・・・嘘だ・・・・・・」 ギーシュはうわごとのように否定を繰り返している。そんなギーシュに今の ギアッチョの関心は微塵も向いていなかった。 「青銅ってよォォ~~ 「青い」銅って書くんだが・・・実際の青銅は 大体緑色してんだよォォォーーーー なんで緑銅じゃあねーんだァァオイ!! ナメやがってこの言葉ァ超イラつくぜェ~~!!クソッ!クソッ!コケに してんのかッ!!ボケがッ!!」 またしてもよく分からないことを喚きながらワルキューレの残骸を踏み つけている。ギーシュはそれを見ながらぶつぶつと何か呟き続けていたが、 次第に我を取り戻すと自分はまだ負けてはいないということに気付いた。 花弁の無くなった杖を構えると、ギアッチョを睨んで叫ぶ。 「いつまで遊んでいるんだ平民ッ!!勝負はまだ全然ついちゃあいない!!」 そうとも貴族が平民に負けるわけがない!長年の間に染み付いた選民意識は そう簡単には変わらない。ギーシュはまだまだ勝てると思っていた。 「僕の魔法がワルキューレだけなんて思わないで欲しいね!!」 そう言い放つがいなやギーシュは呪文を唱え出した。 「くらえッ!石礫をーーッ!!」 言うがはやいか、ギーシュのかざした杖の先に出現した大量の石塊が ギアッチョめがけて降り注いだ! 「チッ・・・!」 ギアッチョは走って身をかわそうとするが、広範囲に撃ち出された石の雨は とても避けきれるものではない。石の一つがギアッチョの左足に直撃したッ! 「ぐッ!!」 石に片足をつぶされ、ギアッチョは思わず膝をついた。そんなギアッチョを 見下ろしてギーシュは今度こそ確信した。 「ハハハハハハハッ!どうだッ!!これが僕の力さ!!平民如きが偉そうに してくれたが・・・今度は僕の番だッ!!体中を穴だらけにしてやr」 「あーあー ちょっといいかギーシュさんよ 靴の紐が解けちまったみてーで よ・・・ 今から結ぶんで少々待っちゃあくんねーか」 もはや走ることも出来ないというのに、ギーシュの口上をさえぎってギアッチョは のんきに靴をいじりだした。 「こッ・・・この男・・・!!あの世で詫びろ!!喰らえ石礫ーーーッ!!」 キレたギーシュは石礫を跪くギアッチョ目掛けて発射し、 「全くよォォ~~ バカとハサミは使いようってやつだよなァアァ」 その瞬間ギアッチョは薄く笑って後方に飛びのいた! バガガガガッ!! ギアッチョを狙っていた石礫はその全てが地面に命中し、その衝撃で辺りは 土煙に包まれる! 「何ィィィーーーーッ!?奴はこれを狙っていたっていうのか!?な、何も見え ないッ!!」 土煙はギアッチョの姿を完全に覆い隠した。ギーシュはギアッチョのいた 場所から距離をとると、石礫をいつでも発射できるように呪文を唱えて杖を 構える。そして彼が呪文を唱え終る辺りで、 「さぁ姿を見せろ・・・お前は走れない、この一撃で終わりだ・・・ッ!!」 徐々に煙は薄れ・・・そして、ギアッチョが姿を現した!! ギアッチョは先ほどまでと殆ど変わらない場所に立っている。 ――何かをするつもりか・・・!? とギーシュは考えたが、 「しかしこっちのほうが早いッ!!」 ギアッチョが動く前に速攻で石礫を撃ち出した!!石礫は目にも留まらぬ 速さでギアッチョに飛来し、そして命中―― ギュインッ!! 「・・・何の・・・音だぁぁ~~!?」 ギアッチョは変わらずそこに立っている。そして何かの音だけが不吉に響きだした! ギアッチョはギーシュにだけ聞える声で答える。 「この煙がいい・・・おかげでギャラリーに姿を曝すことなく・・・一瞬だけ発動できた・・・」 バヂッ!!ギュイン ギュイン!! 「な・・・何の事だ・・・ッ!?」 ギュイン!!ギィンッ!! 「ジェントリー・ウィープスッ!スタンドパワーは使うがよォォ~~ いい感じに固定出来たぜ・・・」 ギィンッ!!ギュインッ!! 「だ・・・だから何の事なんだッ!!」 ギュイィンッ!!ギィィン!! 「眼をこらすんだな・・・てめーには見えないか?止まった空気が 見えないか!?よく見ろよッ!!」 バッギィィイーーーーーンッ!!! 「バッ・・・バカな・・・」 ドスドスドスドスドスドスドスッ!!! 「ガフッ!!」 飛来した無数の石の弾丸は、ギアッチョの周りに作られた凍った空気の壁に 遮られ、ギーシュ自身の元へと跳ね返ったッ!! 「反射魔法・・・!?ねぇルイズ!あいつ一体何者なのよッ!!」 キュルケはルイズに問い詰めるが、 「そんなこと私だって知りたいわよ!!」 ルイズにも答えることは出来なかった。ギアッチョのいた世界やその境遇などは 一通り聞いたが、ギアッチョの使っている能力については、「スタンド」という 名前であるということしか教えられていなかった。ルイズにも彼の力の正体は 分からなかったのである。冷静に戦況を見ていたタバサでさえ、ギアッチョの 「反射魔法」の正体は分からなかったのである。 「どんな感じだァ?てめーの魔法でやられる気分ってのーはよォォ~~」 ギアッチョは無慈悲にギーシュを見下ろしていた。ギーシュの全身には 血まみれの穴が穿たれているが、彼はまだかろうじて意識を保っていた。 しかしギアッチョは容赦をしない。おもむろにギーシュの首をつかむと、 グイッ!と持ち上げた。 「オレはてめーに言ったよなァアァーー・・・ 殺される『覚悟』は出来てんのか ってよォォォ え?どうなんだオイ『覚悟』は出来てんだろーなァァア!!」 「・・・う・・・うう・・・ ぼ・・・僕が・・・悪かった・・・謝る・・・き・・・君にも・・・ ルイズ・・・にも・・・ だから・・・た・・・助けてくれないか・・・お願いだ・・・」 その言葉に、ギアッチョの眼に明確な殺意が宿る。 「人をよォォ・・・殺そうとしておきながら・・・ え? 何なんだそりゃあ? まさかとは思うがよォォーーー 貴族だから殺されるはずがない・・・なんて 思ってたんじゃあねーだろーなぁあ」 ギーシュは朦朧とする意識の中で、必死に命乞いをする。 「・・・あ・・・ああ・・・思って・・・いた・・・ 僕が・・・悪かった・・・ だから 頼む・・・ お願いだ・・・死にたく・・・ないんだ・・・」 「人に道を作るのは『覚悟』だ・・・ てめーは負けて死ぬ『覚悟』がなかった ばかりか・・・ルイズに対して責任を取る『覚悟』すらねぇ・・・ 『覚悟』がない てめーはよォォーーー・・・! その命で責任を果たしてもらうぜェー!!」 ギアッチョはギーシュの首に力を込める! 「待って!やめてギアッチョッ!!」 声の主はルイズだった。ギアッチョはギーシュの首をつかんだままルイズを見る。 「何故止める?こいつは『覚悟』もなくおめーの命を侮辱した・・・ 償いは てめーの命でするべきだ」 「そうね・・・私は凄く悔しかったわ・・・だけどだからって殺すのは違うわ ギアッチョ、ここはあなたのいた場所じゃない・・・日々『覚悟』を持って 生きてる貴族なんかどれほどもいやしないわ あなたが思っているより ここはずっと甘くて怠惰な場所なの 常に『覚悟』と『責任』を果たさせようと するあなたはここでは異質な存在なのよ ・・・異質な平民の噂が宮中に 届けば・・・決闘だろうがなんだろうが関係ない あなたが何かをしでかす 前に 貴族を殺した罪で処刑されてしまうわ」 ギアッチョは色のない瞳でルイズを見つめる。 「・・・それに 私はギーシュに侮辱を償ってもらいたいんじゃないわ いつか魔法を使えるようになってこいつを見返してやりたいのよ」 それを聞いたギアッチョの双眸に、スッと色が戻る。そして、 ドサッ! ギーシュを投げ捨ててギアッチョはルイズに向き直る。 「しょーがねぇなぁぁ お嬢様の頼みとあっちゃあ仕方ねー これで 勘弁してやるとするぜッ マンモーニ!!」 ギアッチョがそう宣言すると、ギャラリーからどっと安堵の息が漏れ、 そして彼らを掻き分けるようにして派手な金髪の少女がギーシュに駆け寄る。 モンモランシーだった。