約 579,029 件
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/532.html
かなり長い間 野宿が続いていた。久々の宿屋で取れた部屋は4人一緒の大部屋。何はともあれ、モンスターに襲われる心配のない場所でぐっすり眠れるのはありがたいことだ。「……ちょっ、クク、なに―――」「シッ。…あいつらに気付かれる」しかし、夜中に襲ってくるのはモンスターだけとは限らない。むしろモンスターより何倍も厄介な男に、ゼシカはベッドの上に組み敷かれていた。「気付かれるって…当たり前でしょ!何やってんんんんっ」「だから静かにしろって。じっとしろ」「んんん!?」手で口をふさがれ、ゼシカは目を丸くして目の前の男を見上げる。男の目は本気だ。この「本気」の凶悪さを、ゼシカは何度か身をもって味わっている。…………嫌な予感しかしない…………。 *それからしばらくすると、小さく小さく押し殺したような呻きが断続的に聞こえ、盛り上がった布団の中で、2人分の身体がモゾモゾと動いているのだった。「んんんん…ッ、…ん、ふぅ…っ」大きな手の平でガッチリと口を押さえられているので、ゼシカは鼻からもれる息だけで必死にわきあがる喘ぎをやり過ごしていた。横抱きにされ、背中から回された腕。その指先はもうずいぶん長いこと胸の頂きをなぶり続けていて…。「あぁ…ホントにたまんねぇわ…お前の胸だけは」ククールのため息混じりの囁きは、恍惚とすらしている。ゼシカを悦ばすためだけではなくて、単にククールはゼシカの胸を意味もなく延々と触るのがもともと大好きだ。曰く「感触が至高」、らしい。もちろんゼシカがその快楽に特別に弱く、いじればいじるほどイヤらしさを増すことも、もう一つの大きな目的ではあったが。おかげでゼシカは息苦しさで意識が朦朧としてきた。普段は自分のあられもない喘ぎを恥じるのに、今はせめて思う存分声が出せればと切に願っている。声を出せないことがこんなに苦しいとは思わなかった。そして声を押し殺すということが、禁じられた行為を強いられていると強烈に実感させ、それがさらに快楽のスパイスとなってゼシカを乱れさせる。仲間が、いるのだ。すぐそこに。自分達がこんな淫らな行為をしていることがバレたら…「苦しい…?…ごめんな。でも、ゼシカが望んだんだから仕方ないだろ?」そう告げるククールの表情は、謝罪とは程遠い欲望に満ちた笑みで満たされている。背後からの囁き声に、ゼシカは羞恥を噛みしめた。確かに、…望んだ。「抵抗したってヤる」。「エイト達が起きたってかまわずにヤる」「アイツらにお前のグチャグチャに感じてる姿見せつけて、あいつら追い出してでもヤる」「死んでもヤる」…とまで言われ、獰猛な肉食獣に対面したウサギのように身体が竦んでしまった。その隙を、男は決して見逃さない。本気で嫌なら、それでも断固として抵抗すればよかったのだ。『お願いだから口をふさいで』などと懇願する前に。 「…ッ!ぅふ…っん!」後ろから拘束された身体は狭いベッドの上でろくに動けず、されるがまま。胸の硬い尖端をそれはもう器用にもてあそぶ指先が、それまでの優しくぬるい刺激から打って変ったように、キツく、強く、ギュッと力を込めてそれを絞り、角度をつけてつねった。ゼシカは目を見開いてビクン!と身体を跳ねさせる。それを押さえつけ、ククールは自らの下半身の滾りを、彼女の片足だけ曲げられた太ももとお尻の間の、キワどい場所にグリ、とこすりつけた。ズボン越しでもハッキリと伝わる、その火傷しそうな熱さ。「…………イけよ」明らかな揶揄の含まれたひどいセリフだ。ククールはこの状況が楽しくてたまらないらしい。ゼシカの目に急激に涙がたまり、シーツに顔を押し付けて必死で首を振った。今だってこんなに苦しいのに、口をふさがれたままで絶頂に達するなんて、あまりに辛い。ククールはきっと、私に声を出させたいのだ、とゼシカは思う。それで仲間に知られてしまうことなんてどうでもいい。ただ、私に恥辱を味あわせたいだけなのだと。いつの間にかズボンの中から引きずり出されたククールの欲望が、直にゼシカの下半身を這い回った。ぬめりを持ったその熱い塊に、否応なしに股間がひくつく。行為が久々なのは、ゼシカも同じだ。度合いは違えど、飢えているのはククールだけじゃない。昼間は意識もしない性欲が、ククールのしつこい愛撫によって久方ぶりのあの絶頂を思い出し、いつもより何倍もゼシカの体を敏感にしていた。股間はずっとひどく、ひくついている。だけど。ゼシカは経験上、嫌というほど知っている。だけど、まだまだ延々と快楽の地獄は続くのだ。こんな、絶対に声も上げられない状況で、それでも無理やり幾度となくイかされ、焦らされ、あの熱い塊に貫かれても、なお…「あっつ…」布団の中の狭い密室は異常に暑くなっていた。ククールはふぅ、と息をついて汗を拭う。ゼシカが嫌がっているのは重々承知の上で、強引にイかせてやりたかったのだが、彼女がギリギリのところでなんとかこらえているのを感じ、ククールは苦笑した。(ぶっちゃけ、アイツらにはもうバレてんじゃねーかなー…なんて)今のところ可能性は五分五分というところか。邪魔さえしてくれなければ、ククールにとってはバレてようがバレてまいが、正直どっちでもいいのだが。それでも必死な努力を続けるゼシカが可愛くて可愛くて、…イジメたくてたまらない。硬く張りつめている己自身を取り出して、ゼシカの腰やお尻や太ももになすりつけた。自分の快感を得ると同時に、コレの存在を強調することでゼシカの興奮もいや増すはずだ。ゼシカはいやいやをするように、小さく顔を振った。小刻みに震える身体。…ふと気付くと、ゼシカの瞳から涙がこぼれ、彼女の口元を覆うククールの手の平にまでツッ、と雫が伝ってきていた。「…ゼシカ」内心少し焦って、愛撫の手を止める。後ろから前髪をかきあげなだめながら目尻に口付けて、ゆっくりと手を離し、塞いでいた口唇を解放した。「…大丈夫…か?」今さら過ぎてなんだか情けないが、聞かざるを得ない。やりすぎたか。ククールは若干の不安を抱いて、身を乗り出し、彼女の顔をのぞきこんだ。はぁ、はぁ、と荒い息。飲み込めない唾液が赤い口唇から滴り落ちてシーツに染みを作る様がいやらしい。涙は生理的なものだったようで、嗚咽が聞こえてこなかったことにククールは安堵した。しばらくすると、ククール、と吐息のような呼びかけ。続いて紡がれた言葉に、ククールは息をのんだ。「――――…………もう…ッ、……入れ、て…」 ゼシカに与えられた選択肢はあまりにも少なくて、それは苦渋の決断だった。自らそんな風にねだることも。誰かがいる場所でセックスすることも。声を押し殺して達することも。したことなんてない。全て、今唐突に突きつけられ、強要されているようなもので。ぜんぶ、死にたいほどに恥ずかしい行為で。それでも、選ぶしかなかった。「…もう…いい、から…ッ。…いいから今すぐ…入れて……」顔を真っ赤にしながらそんな懇願をする恋人の姿に、男が欲情を煽られない方がおかしい。ククールは即座にその意図を悟って、下卑た笑みを浮かべ、横抱きの体をキツく抱きしめた。「…まだ指も入れてねぇけど?…ココ」「いいからッッ!!早く…ッ」早く―――“終わらせて”。口走ったその言葉に、ククールはさらに口角を釣り上げた。そういうことか、と。「オレ、さすがに今夜はかなりデカいけど」卑猥な言葉は羞恥を煽るばかりで、聞きたくなくてゼシカは目をつぶり身を固くする。ククールはほくそ笑み、痺れるような低音を彼女の耳に直接吹き込んだ。「………いいの?突っ込んで。………………痛いよ?」恐らく大丈夫だろうと、ククールは考える。胸が敏感なのは百も承知だし、十分いじりまくって感じさせたあとだ。直接触れていなくても、挿入に問題ないくらいに濡れていることは間違いない。だけど、そんなことゼシカには判断のしようがないだろう。痛みを感じる時と感じない時の区別がつくほどの乱暴な扱いをした覚えは、ククールにはない。…ただ、卑怯な男の脅しに怯えるゼシカが見たかっただけだ。案の定ゼシカはビクリと反応し、泣きそうな顔で押し黙った。どうするだろうと反応を見ていると、しばらくして、ゼシカはおずおずと、片足を自分の腹に付くほどに深く折り曲げた。必然的にさらけ出されるのは、まさに「入れて」と願ったその場所。柔らかい双丘の狭間にのぞいたその淫らな光景を後ろから見せつけられて、ククールは思わずゴクリと生唾を飲み込んだ。…いいから、と、蚊の泣くようなゼシカの声。「…………もう…濡ら、さない、で……ぃぃ…」痛みなら、いい。痛いのは我慢できるから。でも、こんな状況で、発散できない快楽はもはや苦痛だ。気持ちよくなくていい。痛くてもいい。ただ、ククールが欲望を満たせるなら。早く入れて。早くイってしまって―――羞恥に顔をゆがませ、自ら秘所をさらけだしてそう懇願する様のなんと健気なことか。そう、そういうことだ。彼女は自分の快楽は打ち捨てて、オレが一刻も早く果てることだけを優先した。ここは要望通りに早く終わらせてやるのが、優しさというものだろう。頭ではそう思いながら、笑いがこみ上げるのを押さえきれないのは、どうしてだ―――。「…そんなこと言われたら」「!?」ふいに、ククールの指が、火照った割れ目にピタリと当てられた。「―――濡らしたくなる」「…ッ!!!やめ、―――んぅ――っっ……!!!!!」驚いたゼシカの口を再び手の平で覆って、ククールの指がその中にズルリと侵入した。思った通り、問題なく濡れて、キツく張り付いてくる。ゼシカの瞳は動揺のあまり涙を浮かべ、こみあがる声を抑えることで必死だ。なるべくゆるい刺激で、とは思うが、知り尽くした性感帯と敏感な内壁は、お互い無意識に気持ちいいところを貪ってくる。ゼシカの腰がじりじりと揺れた。イイ所を擦るたびに、ビクビクと身体が跳ねる。苦しそうな表情はククールの困った性癖をやたらとくすぐって、どうしようもなく興奮させた。…痛みで快楽を軽減なんて、させてやるわけがない。…死ぬほど気持ち良くして、もっとオレとのセックスに堕落させてやる。今どういう状況でこんなことをしているのかもすっかり忘れ、ククールはそんなことを考えながらゼシカが嫌がりながらも自分で腰を振って、ひどく感じている淫らな様に夢中になった。 「…っやべぇ…限界…。…ゼシカ…入れる、から…」「―――ッッ!!」「…足あげて…」ゼシカが後ろを振り返るのと同時に、折り曲げた太ももに手をかけ持ち上げ、ひっくり返される勢いでククールの欲望がのめり込んできて、思わず悲鳴があがった。「ひゃ、あ、あぁぁっ――――あっ、ダメ…!!」「大丈夫たぶん…そんなにもたないから…」「いやあ、あっ、あっ…んうぅ、んん…」「ごめん、ちょっと強くするけど…我慢して」「んんん―――ッッ!!ん、ふ…っう…んう…」また同じように口を塞がれ、枕に顔を埋めて指の間から漏れる息を抑え込む。律動は激しく、最初から絶頂に向かう動きでお互いを一気に追い詰めた。ゼシカは涙と唾液で口を覆うククールの指を濡らした。綴り泣きのような声を漏らしながら、シーツにしがみついて、彼が自分の中で達するのを待った。自分の下半身はもうバカみたいになっていて、ジンジン痺れた感覚が身体の中心に広がり霧散するのだけが、ひたすらに繰り返されるのみだ。息ができなくて、苦しくて、早く終わってと祈りながら、高まっていく最後の快感に思考回路がめちゃくちゃになっていく。イって。イかせて。苦しい。叫びたい。キモチイイ。もっと。もっと。早く。イって…イかせて。…あと数回突かれたら、気を失っていたかもしれない。そんな瀬戸際で、ククールの手がゼシカの口をそっと解放した。いつのまに終わったのか。ゼシカは多分何度も達していて、いつが最高潮だったのかもわからない。気がつくと内股とお尻が彼の放ったもので汚されていて、あとには2人分の荒い息だけが響いていた。ようやく息を整え、あまりの暑さにふとんをめくってしまって、ゼシカの体を仰向けにし覆いかぶさり、久方ぶりにその顔を正面から見る。「……ゼシカ。……大丈夫か……?」未だ胸を荒げて大きく息をしつつ、ゼシカが呆けた顔で見上げてくる。「…マジごめん…やりすぎた…辛かっただろ…」囁いて優しく口付けすると、ゼシカの顔が徐々に歪み、またたくまに大粒の涙を流し始めた。「――――っひ…っ、…ば、かぁ…っう、ひぅ…」「うわ、ごめんごめんホントに…よしよし」ククールは大焦りで顔じゅうにキスの雨を降らせ、泣き声を抑えるためにもぎゅっと抱きしめた。「風呂入ろうな。キレイにしてやるから」「クク、の…ばか…きらい…ぅぅ…」「ごめんごめんごめんごめん…」 **その後数日かけてククールはゼシカのご機嫌をとる羽目になるのだが…と同時に、すっかりバレていることを「ゼシカには黙っててやる」という条件の元、仲間たちの精神的苦痛の慰謝料を、パシリという形で支払うことにもなる色男だった。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/306.html
936 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/11(土) 23 25 00 ID 8t/hr1Jd0 普段髪を結んでいる同志、お互いに相手の 髪を降ろした姿とかに見惚れてしまえばいいよ。 風呂上りに鉢合わせしてしまうのも善し、 戦闘で乱れた髪を結びなおすために 一旦解いている所を発見してしまうでも善し、 戦闘中に敵の攻撃で髪を結んでいたものが壊れ その場で解けた髪が舞って靡くのも善し。 937 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/12(日) 00 33 19 ID qPJ279ee0 私は寝坊したククの髪を結うゼシカとかその逆も萌える(;´Д`)ハァハァ 938 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/12(日) 01 48 05 ID sqvOW/mS0 お互いにお互いの髪を結び合うカップルとか… 939 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/12(日) 17 08 34 ID 29+M8f0b0 ククールの髪って女以上にさらっさらな気がする。 それを羨ましがるゼシカがククの髪を触らせてもらい感嘆の声をあげる、 ゼシカに自分の髪を弄られて何故か凄くドキドキしてしまうクク。 俺ばっか触られて不公平だから俺にもゼシカの髪触らせてよとか言って 今度はククがゼシカの髪を弄り始める。 今までになかったシチュエーションとお互いの距離に ドキドキが止まらない恋人未満な関係のククゼシ二人 940 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/12(日) 22 19 48 ID +3jxWQZl0 個人的な希望だけど髪降ろしたゼシカを始めて見たククは暫く見惚れた後 わざと似合わないだのゼシカが怒るような事を言って普段と同じ髪形にさせ 心の中で俺以外の男には見せたくないなんて思ったりして欲しい 941 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/12(日) 23 16 16 ID 4UKMVnZo0 4コマでゼシカの髪ちょい触らせて♪って言ってブラッシングしてるククあったな 髪ほどいたゼシカはあんまり想像つかないけどイメージ変わってすごい大人っぽくなるよね多分 ツインテールってだけで幼さ倍増だし 940 それは公式だ 私の心のディスクにはそういうエピソードがあった 942 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/13(月) 00 02 37 ID cCNa1CgIO 朝なかなか起きてこないゼシカの様子を見に行ったククが 寝起きでちょっと乱れた降ろし髪+無防備なゼシカと対面 雰囲気がまるで違うゼシカに呼吸も忘れるくらいの勢いで固まるが、 ゼシカが時間がないからとそのまま仲間達の元へ行こうとしたので慌てて阻止 943 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/13(月) 00 16 14 ID 8h6k/QUx0 「なんで止めるのよ…急いでるんじゃないの?」 「いいから座れ」 「はぁ?」 「す わ れ。オレが結ってやるから」 「な… ………ボサボサで悪かったわねッ!!」 「いいからジッとしろ!」 「けっこうよッ どうせ私はアンタみたいに綺麗な髪じゃないわよ!!」 「うるせぇ!お前がかわいすぎるからオレが嫌なんだよッ!!大人しくいつものにしとけ!!!!」 思わず言っちゃったクク 944 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/13(月) 00 54 58 ID JfkYxCktO 943 思わず言っちゃったクク萌えるw 「な、何言ってんのよ…!…バカ…」って顔を赤らめ俯くゼシカと なんとなーく気まずい空気の仲間ゼシカの髪を結い始めるクク… (俺ってなんで、ゼシカ相手だとこうも決まんねえーのかな…。情けな…)と心の中で溜め息 945 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/13(月) 03 58 46 ID wNKQUrHi0 「本当、ゼシカには調子狂わされっぱなしだよ…」 ゼシカの髪を梳かしながら大げさな溜め息を吐くククール。 それに対しゼシカは鏡越しにククールを睨みながらムッとする。 「なによ、それはこっちの台詞なんだから」 「これだもんなあ。人の事色々と振り回しといてさ、全く自覚ねーんだもん」 「それもこっちの台詞よ!ククールはいつだって余裕綽々じゃない。今だって…」 「全く。どれだけ人の事を無自覚に翻弄すれば気が済むんだろうね、このお譲ちゃんは」 「嘘!全然翻弄されてなんかいないじゃない!何でいつも私ばっかり、 こんなにククールにドキドキさせられなきゃなんないのよッ!!!…あ」 便乗妄想してしまった 今度はゼシカが思わず失言とか 946 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/13(月) 14 31 44 ID Xkg0RquD0 なんだか告白大会なククゼシいいなw それにしてもククはよく、寝起きの髪を降ろしていて無防備なゼシカを見て その場で押し倒してしまわずに踏みとどまっていたよ… 947 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/13(月) 21 34 43 ID Ej3ioFVU0 まあその辺はククさんの鉄壁の理性の勝利という事で。 これが混浴温泉や泉で水浴び中に思わぬ遭遇とかだったら さすがにやばかったでしょうが。 948 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/14(火) 20 41 41 ID bP+MKKyQ0 945 唖然としたあとニヤ~リと笑うクク。真っ赤なゼシカに「へぇ?ドキドキしてるんだ?」などとからかいまくり 後ろから抱きしめたりうなじや肩にキスしたり噛み付いたり耳許に囁いたり息ふきかけたり舐めたり 恥ずかしくて振り返れず鏡越しに口だけで弱々しく抵抗するゼシカにもう萌え萌えしちゃうククール 辛抱たまらず色々と触りかけたところでドアバーン!!「2人とも朝っぱらから何やってんの行くよ!!」 つかここまでくると完全なセクハラだな。初々しさがないぜごめんクク 950 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/14(火) 20 51 44 ID JZO2KaRK0 948 萌えたw嬉しさのあまり調子に乗っている感じのククいいw もう当初の目的(髪を結う事)なんてすっかり頭にないんだろうな その2人を目の当たりして驚くでもなく当然の事のように流している主人公がまたww 951 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/14(火) 23 13 29 ID Fc21QGHl0 948 結局いいところで邪魔が入るククゼシw だけどもう両思いを確信してしまったククールはその後も自然に 恋人のような感覚でゼシカに対応して、ゼシカの事を戸惑わせそう 949 慣れない格好で恥ずかしそうに「ど、どうかな?」と聞いてきたゼシカに ほとんど思考停止状態の中なんとか「胸きつそうだな」とだけ返すククール 954 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/15(水) 23 36 54 ID HAaPMDFT0 今朝ジャマした責任を取れとククにつめ寄られた主人公は その晩の宿でククゼシが2人部屋になるように仕組まねばならなくなる。 そんな事は露知らないゼシカは夜、宿の部屋割りに驚愕するはめとなった。 955 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/15(水) 23 46 57 ID i2scuhQZ0 そして翌朝焼け焦げた焼死体が宿屋から運び出されたという。 …昔むかーしのおはなしじゃ 956 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/16(木) 01 31 14 ID sVt83jbM0 おおククールよ 死んでしまうとは情けない 957 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/16(木) 13 53 36 ID apsoX0qJ0 それとなく両思いを自覚した二人で甘い一夜を過ごしたんじゃなかったのかw 958 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/16(木) 20 38 05 ID Sgef0nRU0 百戦錬磨(多分)なククにとって ゼシカほど手強い女の子はいないんだろう(多分) 他の女の子だと喜ぶような事をしてもゼシカは怒るかそっけない そうかと思えば何でもないような行為で めちゃくちゃ喜ばれたりして呆気に取られる 両思いだと思って手を出したら黒焦げにされる 955 959 名前が無い@ただの名無しのようだ[]2008/10/16(木) 20 44 39 ID OtHtHnOwO おおククールよ 死んでしまうとは情けない 961 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/17(金) 00 43 46 ID LicxmQta0 958 クソ萌えた そうかと思えば何でもないような行為で めちゃくちゃ喜ばれたりして呆気に取られる かわいいなぁこいつら んで「あ゛~~~!!なんなんだよコイツわけわかんねぇー!!!!もう知らねぇよ!!」 と切れてきびすを返した途端、ぎゅっとマントの裾を掴まれて「やだ、行かないでよ…」 と上目遣いでお願いされる。「驚いただけじゃない…ククールって強引なんだもん。………バカ」 そしてまたあああああぁぁぁぁあっっっとメロメロになるわけですね
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/81.html
その日の午後、彼らは無二の親友とその花嫁を乗せた馬車が去り行くのを遠く見守っていた。 サッヴェラ大聖堂の空は遠く澄み渡り、太陽は優しい光を降らせており、辺りは喜びに満ちあふれている。結婚を祝う鐘の音はいつまでも鳴り響いていた。 「素敵。」 ゼシカは長く苦難をともにした親友―――エイトとミーティアがやっと手に掴んだ幸せを想い、うっとりと呟いた。 「こんな日が迎えられて本当、良かったよね。馬に姿を変えられてたミーティア姫も気丈で偉かったけどさ、エイトもずっと馬の姿の彼女をレディとして扱ってたじゃない?笑われても貶されても。 もし彼女が人間の姿に戻る事が出来なかったとしても、エイトの愛は変わらなかったと思うわ。」 ゼシカは風に流される髪を押さえながらそう言って、隣に立つククールを見た。 ククールもまた満足げに腕を組んで馬車を見送っていたが、ゼシカへの答えは素っ気ないものだった。 「惚れてんなら当たり前じゃね?そもそも人の姿かたちなんて移ろいやすいもんだろ。馬ってゆーのは中々ないだろうけどさ。」 「当たり前……って、よくゆーわ。アンタ、自分の姿かたちとやらに一番こだわってるじゃないの。」 「惚れてる相手なら何でも許す。オレの場合は別。顔だけが取り柄なんです。大事にしないと。」 ゼシカは返す言葉を失ってククールの横顔を見た。 愛があれば相手の外見の変化は厭わない、と言うククール。自分は外見しか価値がない、と言うククール。 ククールは自分が言ってる事の悲しさがわかってるんだろうか……とゼシカは眉を曇らす。 急に元気がなくなったゼシカの顔をククールは覗き込む。 「何?」 「ううん。何でもない。」 「何だよー。言えよ。」 「笑うもん。」 「笑わないから言えって!」 「うーん……。ねえ?私、馬になってもククールが好きだよ。」 真直ぐに自分の瞳を見ながら、あっさりとすごい事を言うゼシカに、ククールは目を丸くする。しばらくの間、大真面目な相手の顔をまじまじと見ていたが、突然爆発的に笑いだした。 「いや、好きって言うのは……なんだ?ホラ、アレよ……。もうっ!笑わないっていったじゃない!」 こんなに笑われるなんて、言わなきゃ良かった。大体、アンタが寂しいコト言うから……と、ゼシカは内心で憤慨する。 ククールはなんとか笑いの発作を押さえ込むとゼシカの手を引き、無理矢理自分の腕の中にその体を収めると、力を込めてギュウッと抱きしめた。 「く、苦し…!」 ゼシカが堪らずに訴えるが、ククールはそれを無視してその耳元に囁きかける。 「……馬になっても、カエルになっても虫になっても?」 確かめようとするその言葉を聞いて、ゼシカはククールの腕の中で目を見開いた。 ……ほーらね、アンタだってやっぱりそーゆーのが欲しいんじゃない。 ゼシカの口元が穏やかに緩む。仕方がないので、もう一度言ってやる事にする。 「馬になっても…鳥になっても、石ころになっても…ね。」 「なるほど……かなり嬉しいな。それは。」 ククールは腕の中の体温を確かめるように目を閉じた。 ゼシカは情は深いが、半端な嘘は付かないし、誰にも媚びたりはしない。だからこそゼシカの子供の様な陳腐な言葉は、誰の口説き文句よりもククールの心を温めた。 ―――不器用で可愛いゼシカ。自分の一挙一動がいちいちオレの心を掻き回してる事なんて、知らないだろう? ヤンガスは、やや離れた所で、二人のその様子をポカーンと見ていた。そんなヤンガスをゼシカの頭ごしに発見したククールは、ウインクを送りながら、どっか行けシッシッ、と手を前後に振る。 「………。」 ヤンガスは黙って後ろを向くと、小石を蹴りながらトボトボと歩きだした。 ―――兄貴はあんなだし、コイツラはこんなだし。 ゲルダに会いてぇなあ、と何となく思うヤンガスだった。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/529.html
***マルチェロの策略によって煉獄島に投獄され、そこからようやく脱出できた時、世界は一変していた。いや…半ば予想通りだったのか。新法王就任式までは、なんとか数日の猶予があった。一か月間も劣悪な環境に耐え、みな弱り体力が著しく低下していた。こんな状態で乗り込んでいっても結果は見えている。話し合いの末、ギリギリまで体力を回復し、万全の状態で戦いに挑もうということになった。ここ数日のククールは、誰も話しかけられないほど荒れていた。体力回復など待たなくても今すぐ戦える、悠長なこと言ってないで早くアイツを倒すんだ、と。ククールは一刻も早く、この世でただ一人の肉親の暴挙を止めたかった。だけどやはり現実的にそれは無茶な話で、結局、彼の意見は受け入れられず。―――ドニ。ククールはこのところ毎晩、酒場で飲んでいる。馴染みの顔に囲まれて、わざと、完全に悪酔いしている。仲間たちはそれを知りつつ口出しはできずにいたが、ある日、今日もドニに向かおうとするククールに、見かねたゼシカがついに声をかけた。「私も連れて行って」と。その頃、ククールとゼシカは何度か体を重ねている、恋人同士といってもいい関係になっていた。飲み始めの頃はククールを諌めながら酒の量を制御させていたが、元々機嫌が最悪な彼とは当たり前のように何度も口論になり、酔いも手伝ってまともな会話はできなかった。それでもゼシカは決してキレず、なんとか最後までククールを見守る気でいたが、ククールに「酒がマズくなるから帰れよ」と言われた瞬間、何かをあきらめてしまった。まだ宵の口にもなっていなかったのに、ゼシカは席を立ち、一度宿に戻る。それでもキメラの翼で仲間たちの元に帰る気持ちはなかった。それから何時間か経って、深夜になる前に、燃やしてでも宿に連れ帰る気で彼を迎えに行ったが。――ゼシカは結局、また一人で帰ってきた。大きな息をつきながら扉を閉め、ベッドに倒れるようにうつ伏せる。頭の中はぐちゃぐちゃで、どうしたらいいのか答えの出ないまま、逃避するように瞼が降りる。 次にゼシカが目を開けたのは、身体をまさぐる不埒な手の感触に気づいたからだった。ぎょっとして身を起こそうとすると、身体を仰向けにされ、手首をシーツに押しつけられる。「……ククール」うわずった声には驚きと戸惑いが入り混じり、そして咎める視線。ククールは見下ろし、すぐにかまわず彼女の服に手をかけた。「ちょっと…!やめて」ゼシカはその手を強く払いのけた。見下ろしてくる目は正気とは言い難い。…かなり、酔っている。「やめなさいよ…酔ってるくせに」「酔ってねぇ」「ウソつかないで。酔っ払いとこんなことする気、ないわ」抵抗しようと思えばどうにでもしようがある。殴ってもいいし蹴り上げてもいいし、いざとなれば魔法だ。だけどその前に、ゼシカは言葉でククールを説得にかかった。「…ククール。こんなことでごまかさないで、ちゃんと話しましょう」「……」「したいなら…あとで、………する、から。今は」「うるさい」ククールの瞳に瞬間的な怒りがよぎったのを感じたと同時に、口唇を口唇でふさがれた。無遠慮にゼシカの服の中に侵入してきた大きな手の平に、素肌を撫でられてゾクリと鳥肌が立つ。「…んう…ッ―――ッイヤ!なんなのよいきなり…ッ」今度こそ暴れる。このまま力づくで事に及ぶつもりなのだ。今までのククールは、ゼシカが本気で抵抗の意思を見せたら、それ以上は決して強要しなかった。酔っているからなのか、それとも他に理由があるのか。今のククールはゼシカの抵抗などおかまいなしだ。攻防は、ほんの数分で片が付いてしまう。片手でまとめた両手首を渾身の力で握られ、太ももを挟むように上からのしかかれば、上半身も下半身も、ゼシカにはどうもがいてもその拘束から逃れることはできなかった。本気を出されたら、こんなにも抵抗できなくなるのかと、あまりの力の差にゼシカは愕然とする。ギリギリと手首にかけられる力が痛い。ゼシカが痛がっているのをわかっているはずなのに、ククールはそれを緩めようとはしない。「…つ…っ…ククール、やめて」「抱かせろよ」「いや」「じゃあ、犯す」信じられない一言にゼシカは目を見張る。ククールは空いている片手で上着をずり上げ、ブラジャーの上から胸を乱暴に揉んだ。「やめてよバカッ!!や―――んぅうっ…!」キスで叫びを封じられる。抱かれるのではなく、犯される。考えただけで身の毛がよだつ。ゼシカは心の中で絶望に近い嘆きを叫んだ。 でも、ともう一人の自分が冷静に、乱暴をするククールを見つめている。でも、彼はきっと本当はこんなことがしたいんじゃない。それがわかるから、苦しい。押し隠された彼の本心を考えるだけで、切ない。―――誰だって、弱いから。どうしようもない時だってある。こんな方法でしか思いを発散させられない時だって。怒りや苛立ちや悲しみを、誰かにぶつけなければ壊れてしまう時だって、あるのだ。ただの逃避でしかないとしても、その相手に私を選んでくれただけでもいい、と自分に言い聞かせる。ククールのそれを受け止めてあげるのが私の役目なら。理解してあげるのが私の役目なら。そう。仕方ない…そんな風に、彼を…赦す。受け入れる。ゼシカは抗うのをやめた。全身から力を抜き、されるがままに白い素肌を晒した。ゼシカの変化を感じ取り、ククールは声を抑えるためだけの口付けをやめ、口唇をそのまま耳元へ、首筋へ、鎖骨へ、胸へと、すべらせていった。歯型とキスマークを何度も付けられ、ゼシカは神経質な痛みに眉をひそめる。いつもだったらこんな場所に痕はつけない。ゼシカが本気で怒るのを知っているからだ。つまりククールも、ゼシカが彼を「許容」したのをわかっているのだ。「…ククール…」ゼシカは彼の頭を愛しむように抱いた。もう完全に、ゼシカはククールにその身の全てを捧げる気持ちになっていた。―――ふいに鼻孔をつく匂いに、まどろみかけたゼシカの意識がピクリと反応する。不快な、どうしても気になってしまう、その匂い。お酒の匂いよりもよっぽど強烈にゼシカの嗅覚を刺激する。気にしないフリをしようと思った。気付かないフリをできればよかった。けれど、視線の先には、シャツからはだけた彼の胸元が見えて…「―――イヤ」最初とはうってかわって従順にククールの愛撫を受けていたゼシカが、唐突に体を捻った。ククールは気にもせず、再び強引に先を進めようとするが、ゼシカは再び抵抗した。「イヤ…やっぱり…いや」「…なんだよ、今更」「……シャワーくらい浴びてきて」「うるせぇな」黙らせるためだけに、ククールの指先がスカートをまくり上げゼシカの下着に手をかける。咄嗟に、ゼシカの平手がククールの頬に飛んだ。逸らされた顔をゆっくりと正面に向けたククールの冷徹な視線に、ゼシカは恐怖を感じた。…今のククールは、ただの「男」でしかなかった。愛情よりも、欲望だけを優先する。目の前にいる女を、思いのままにすることしか考えていなかった。 「ちょっ――イヤ…!!!!」抵抗など簡単にいなして、下着の上から割れ目を深くなぞる。「なんだよバカみたいにイヤイヤって、ハジメテでもねぇくせに」わざと羞恥を煽ると、案の定ゼシカは顔を真っ赤にして声を詰まらせた。触れたゼシカのそこは、湿り気がある程度で、まだ濡れているというほどではない。しかしククールは耳元で低く笑いながら、揶揄する。「…もう濡れてるぜ?もしかして抱かれるより犯される方が、お前、好み?」―――――――!!!!!!!いきなり頬をかすめた鋭い刃の正体が氷だとわかり、さすがにククールは押し黙った。ゼシカが瞳に涙をあふれさせ、それをこらえながら睨み上げてくる。その表情は、それはそれで色っぽかった。酔いはまだちっとも覚めていない。なんだか、ヤケになっている。何もかもがバカらしい。めんどくさいめんどくさい。全部全部バカみたいだ。くそ、くそ、くそ…ゼシカ、お前もオレを認めないのか?お前すらオレを受け入れてくれないのか?オレのこと好きなんだろ?ならヤらせろよ。アイツのこと忘れさせてくれよ。そんな言葉が渦を巻いて、意味を伴わずククールの脳内を飛び回る。体の下でまるで処女のように震えている女の、見上げてくる視線が無性に癪に障った。ククールは薄ら笑う。それにゼシカは無意識に怯える。「………………そんなに、嫌かよ。オレとヤるのは」「……アンタがイヤなんじゃ…ない」「そうか?お前が嫌がらなかったことなんか、今まで一度もねぇだろ」「それは…」単なる照れ隠しだ。ククールだってそれはわかっているはず。ゼシカが何も言えないでいると、ククールが はっ、と鼻で笑った。「…そうだよな、お前オレしか男知らねぇもんな。だからわかんねぇんだよ、オレの良さが」「………なによ、それ」「オレはよくわかるぜ?他の女と比べてお前とのセックスがどれだけ相性いいのか。どれだけ度を超えてキモチイイのかがな」ゼシカがカッと全身を染めた。それに気を良くしたククールが、ニヤリと笑う。「――――お前も、一回オレ以外の男と寝てみたら? そしたらわかるだろ、オレとのセックスの良さが」 そう言ってから、ククールはハッとした。ゼシカの表情を見て、気付く。――――――言ってはいけないことを言ったと。ゼシカは蒼白な、しかし無表情で、ククールをじっと見上げていた。ククールは視線を逸らし、小さく舌打ちした。何も言い訳が浮かばない。最悪だ。腹が立つ、ゼシカに?違う、自分にだ。何か言えよ。そしたら言い返してやるから。気まずい空気の中に、ゼシカのかすれた声が聞こえた。「……。…………本気で言ってるの?」その声が想像よりもあまりに感情がなくて、彼女の真意がわからずククールは声を詰まらせる。視線を合わせるのすら怖くて彼女にまたがったまま黙っていると、ゼシカが無言でククールの体を押しのけて起き上がり、静かにベッドを降りた。服装の乱れを直すその後ろ姿に、ククールは触れることも、声をかけることもできないでいた。このままでいれば、ゼシカが離れていくことはわかっているのに、体が石のように固まって動かない。のどが張り付いて声が出ない。立ちつくしたゼシカの後ろ姿はいつものようにしゃんと伸びて、後ろの人物に確固たる離別を決意しているように感じられた。その華奢な背中が、今にも「さよなら」と告げそうな幻想に襲われて、ククールは背筋を凍らせる。咄嗟にベッドを飛び降りその腕を力任せに掴み、振り向かせた。「―――――あのなぁ!!本気なわけ…っ」しかし掴んだ途端それを力の限りに振り離され、ククールは弁解すら最後まで言えなかった。あらゆる負の感情がないまぜになり、カッと頭に血が昇りまともな判断ができなくなる。ククールは自分が何をしたかったのかを忘れ、衝動的に彼女を壁に押し付け、強引に口唇をふさいだ。「―――ッッ!!!」ゼシカは貪られるような口付けを屈辱にすら感じ、悔しさを必死で耐えた。堪え切れずあふれた涙をボロボロこぼしながらでは、抗う指に力は入らない。そう、それは悔し涙だった。薄目を開けて、ぼやける視界の中で2人の目が合った時、ゼシカは全てを拒絶した。ガリ、と嫌な音が脳内に響く。2人の口の中で血の味がする。ゆるんだ拘束と同時にゼシカはククールを思い切り突き飛ばし、部屋を飛び出した。 かなりの間、言葉も出ず呆然としていた。しかし自分の両手を見つめ、失ったぬくもりを実感するにつれ、残された自分のみじめさに気付く。「―――――クソ…ッッ!!!ああぁあッッ!!!クソ…!!!」床を踏み鳴らして、ククールは吼えた。何度も何度も叫んで、このやり場のない苛立ちを発散させようと。だけどどうにもならない。何も変わらない。アイツは帰ってこない。……あんな風に泣かせるつもりはなかった。怒鳴って、殴って、燃やしてくれたならどんなにラクだったろう。怒りながら泣かれたなら、こんなに胸がつぶれるような思いはしなかった。―――キスしているのに。それなのになぜ、あんな目をするんだよ。あんな…諦めきった…絶望したような目を。酔っ払いの相手なんか適当にしてくれればよかったんだ。大人しく抱かれてくれれば、オレだってこんな…「…………クソ…………」ククールは顔を覆ってベッドに座り込んだ。酔いなのか、なんなのか、思考がぐちゃぐちゃで吐きそうだ。後悔で、吐きそうだ…追いかけなくてはならないとわかっている。だけど怖い。今のオレに何を言う権利があるだろう?もしかしてこれで「終わり」なんじゃないのか。少なくともアイツの中で、オレとの関係はあの瞬間に終わったんじゃないのか?あんな目をしていた。傷つけたんだ。ひどく傷つけた…自分が傷ついていたから、一番大事な奴をそれ以上に傷つけて、同じ場所に堕としたかったんだ。―――最悪だ。 *** 傷つけた・後編
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/43.html
ベルガラックでの、ある暑い夜。 今日は戦闘がまるで無かったせいか、ゼシカは寝付けずにいた。 エイトとヤンガスはもう寝息を立てているようだ。 そしてククールのベッドはーーー今日も空だった。ククールは、滅多に自分のベッドで休まない。 行く先々で女の子に袖を引かれているから、その中から見繕ったコとそのコのベッドで楽しんでいるのかも知れない。 ーーー『オンナノコト・タノシム』 ゼシカは自分の考えに嫌悪して眉をひそめた。 『オタノシミ』というのがどういう事なのかは、ゼシカも知識としては知っていた。 若い健康な男が生理的にそれを必要とする理屈もなんとなくわかっている。 それでも、旅の中で自分をエスコートしてくれるその手が、どこの誰とも知らない、行きずりの女のからだに絡み付いていると思うと、喉に詰め物をされたかの様に息苦しくなる。 最近では町で寝具が整った宿に泊まるより、野宿のほうが気が休まるくらいだ。外には魔物はいるが女はいない。 『あーもう!何考えてるのよ。私は!』 ーーーこんなにもいらつくのは暑さのせい。胸がざわざわするのも、なんだか悲しい気がするのも、この暑さのせい。 なんとか寝直そうと頑張ってみるが、目は冴える一方だ。 『ーーー酒場にでも行ってるのかも・・・。』酒場はこの建物のすぐ下だ。 『ちょっとだけ見てこよう。』 ゼシカはベッドから降りた。 明るいピアノ曲と人のざわめき。 ククールはカウンター席にいた。右隣に座るバニーガールがしなだれかかるように誘い文句を囁いてくる。 ククールはそれに曖昧に答えながら酒を飲んでいた。 「ねぇ、私の部屋に行こうよ。」 「ダメ~」 「なんでよ~。ククールからお金取ったりしないわよぉ?」 「そういう事じゃなくてさ」 今日はずっとこのやりとりだ。面倒くさい。かったるい。今日は暑くて・・・いつものサービス精神は湧いて来ない。 ククールが河岸を変えようかと思い始めた時、背後で聞き慣れた声がした。 「マスター、お酒ちょーだい。隣の紳士と同じやつ。」 驚いてを振り向くと取り澄ました顔のゼシカが頬骨をついてこちらを見ていた。 「ゼシカ・・・なにしてんだよ。」 「お酒飲みにきたのよ。」 「ばっか・・・お前、女の子がこんな時間に一人でウロウロしてんじゃないよ。」 「そうね、ククールが居てくれて丁度良かったわ」 ゼシカは悪怯れずに笑って見せた。 ククールは脱力し、大きなため息をついた。目を見ればわかる。ゼシカはご機嫌が悪いらしい。 「お前いつも酒なんて飲まねーじゃ・・・」 「おまちどうさま」 マスターがカウンターにカクテルを置く。 「ありがとう」 ゼシカはそれを一口啜り、甘くて美味しいわ、と全て飲み干した。 「・・・ねェ、ククール・・・そのコなんなの?」 忘れられたバニーガールが存在を主張しはじめる。 「なに?オンナ付きだったの?早く言いなさいよ。こっちだって仕事あるってのに!時間、無駄にしちゃったじゃない―――バカにすんじゃないわよ!」 一瞬にしてククールの眼中から除外されてしまった事を悟ったバニーガールは、一気にまくしたて立ち上がった。 「振られちまったじゃねーか。」 足早に去って行くバニーガールを眺めながらククールがつぶやいた。 「ごめェん」 少しももすまなそうでないゼシカの前に、新しいグラスが置かれた。ゼシカはかなり赤くなって、手元も呂律も怪しくなっている。 「・・・マスター、このオンナ、何杯飲んだ・・・?」 ニヤつくマスターを睨み付け、ククールはこめかみに指をあて何度目か分からないため息をついた。 「ククールはぁ、みんなと・・・一緒にいるの、嫌い・・・なのぉ?」 「そんな事ないさ」 「じゃーあー・・・なんで・・・ククールは夜になると、そ・・・と・・・外に・・・出ちゃうのよ。じ・・・自分だけは・・心配されない・・とでも思ってンの?」 「・・・・・」 ゼシカの物言いはストレートだ。 「・・・お前酔ってるだろ。もう部屋に帰ろう。」 ゼシカの腕を掴み、立ち上がろうとすると、その手を振り払われた。 「それで・・・?ククールはさっきのバニーさんの部屋に行くわけ?」 ゼシカは気分が悪くなったのか、カウンターにうつぶせてしまった。ククールがもう一度その手を掴む。 「ククールはそんなんでいいわけ・・・?相手は誰でもいいの・・・?愛し愛される人は・・・いらないの・・・?―――メチャクチャ寂しがりやの癖に・・・!」 思わずカッとなり、ゼシカの腕を掴む手に力が入る。 ゼシカの恐い所はこういうところだ。感情に火をつけられる。ポーカーフェイスを崩される。 「好きなコがかわいーカオして寝てるのに、隣でグースカ寝れる程,出来た人間じゃないんだよ!オレは!!」 むかついた。お前は無神経だ。バカゼシカーーー言葉が止まらなくなる。 「いつか、きっと、どうにかしちゃうぜ?ゼシカの事。」 そこまで言うと突っ伏したゼシカから、すーすーと寝息が聞こえてきた。 「・・・ったく。最後まで聞けよ・・・。」 「お客さんお熱いですね。」ニヤニヤとマスターが笑った。 「いいなあ。こんな可愛いお嬢さんと・・・。」 ククールはマスターをバカヤローと心中で罵り、ゼシカを抱き抱えて店を出た。 無題10-後編-
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/523.html
潮時・翌朝の時系列のククゼシ ※開発未満1※・※開発未満2※・※開発未満3※・※開発未満4※・※開発未満5※・※開発未満6※ 「……仰せのままに。…もう焦らさないから、思いっきりイっていいよ」「え?―――…ッッアアァ!!」身構える間もなく、割れ目の上で触れられるのをずっと待ち焦がれていた小さな突起が強く抓まれ、ゼシカの快感は一気に限界まで登りつめる。堪えようと股間に力を入れると、まだ中に飲み込んでいたククールの長い指の存在を否応なしに感じ、微妙なしこりを自ら刺激してしまう。そんな健気な抵抗を無駄な足掻きとばかりに、ククールの口唇が痛いほどに張りつめた乳首に噛みついた。「~~~ッッンン―――ッッ!!!!!!」そしてゼシカは優しくイかされる。ビクビクと何度も繰り返し跳ねた身体はククールに強く抱きしめられ、しばらく硬直したあと徐々に弛緩して、ベッドの上にドサリと全てを投げ出した。「…ぁっ、ぁ…っ、ハ…ッ…はぁ、はぁ、…ん…っ」絶頂の余韻が尾を引き、ゼシカはイったあとも小さな喘ぎ声がずっと抑えられない。キツく閉じられた瞳から新たな涙が頬を伝い、ククールは嬉しそうに微笑みながらそれを舐め取る。「……ぁ、ぅ……クク……クク……。……気持ちいぃ……」小さな喘ぎに交じる、うわ言のような囁き。快感を口にすることを何よりも恥じ入るゼシカが、耐えきれず泣きながらそれを訴えてくる…ククールはもう前置きは必要ないと悟った。…ちがう、むしろこれ以上の前置きなど、自分が我慢できない。ゼシカに負けないくらい、とっくの昔にククールの下半身も限界間近なのだ。「…じゃあ、…次はオレを気持ちよくして、くれよ…」ベルトを外しズボンを下ろす間も惜しく、おざなりに引きずり出してゼシカにわざわざ見せつけると、これ以上ないくらい顔を赤くして泣きそうになるゼシカの反応があまりに望んだ通りのもので、ククールは最後の理性がいともたやすくぶち壊されるのを感じた。解放され、そして怒涛のように溢れ出すのは、自分でも制御できない男の本能のみだ。 ククールは口唇の端を釣り上げて、視線を逸らそうとするゼシカの顔を覗き込む。「もっと見ろよ。お前コレ大好きだろ?」「……ッ!!」「隠すなよ。一回挿れたらめちゃくちゃ締め付けてなかなか離してくれないくせに」「やめ…ッ」「今サラ恥ずかしい?こんなに毎日ゼシカの中に挿れてやってるのに、まだ慣れない?」慣れる慣れないの話じゃなく、この先どれだけ回数を重ねようとも、このゼシカがこんなものをまじまじ見れる日はやって来ないと、ククールは断言できる。「…じゃあゼシカが慣れるまで、ずーっと挿れててやってもいいんだぜ…?」――かわいそうだ、という感覚がなくなる。やりすぎだ、という自制もなくなる。ひたすら小さく首を振り続けるしかない純情なゼシカをどうしようもない下品な言葉でいたぶって、ククールはお互いの興奮を極限まで高めていくことだけに夢中になる。「まさかゼシカのココは、さっきのでもう満足したってことないよな」「あっ…んぅ、ア…」指の数をさらに増やしてゼシカの中で蠢かすと、イったばかりで敏感になっている内壁は満足どころかさらなる快感を催促するように無意識にククールの長い指を締め、濡らした。ゼシカ自身も、それに気づいていないわけがない。セックスという行為に慣れつつある身体は一度イかされたこの後に、指ではなく今まさに見せつけられている“コレ”によってどれほどの悦びがもたらされるのか、すでに教え込まされているのだから。ゼシカはわけもわからず啼く。本能が羞恥心を凌駕し、思考などまともに働かない。「…まだ…だめ…ダメ……ッ、ぁ、…もっと…やだ、もっと…」「もっと?」「だって、まだ、…もっと…気持ちいいの…ある、から、ぜんぜ…っ足りない…」「気持ちいいのって…?」ゼシカはククールが自分に何を求めているのか敏感に感じ取り、目まいのようなぐるぐるした感覚を味わう。―――恥ずかしい、恥ずかしい…でも、もう逆らえない。鼓動がどんどん増していく、酸素が、足りない。ゼシカが2人の下半身の間におそるおそる手を差し入れた直後、ククールがピクリと反応した。「いちばん気持ちいいのは、…コレ…だから…。…おねがい、ね……クク…」「……ッ」ククールが苦しげに片目を細め、息を止めた。つい先日までセックスのセの字も知らなかった純粋培養だとは信じられないくらい、…エロかった。濡れる身体も、絞り出されるような声も、恥辱にまみれた表情も、快楽に堕ちた仕草も、そして、…そそり立つククール自身を撫であげる無邪気なはずのその指先が、あり得ないほどエロい。もうほんの少し油断していたら、この不意打ちに爆発していたかもしれないほどの、淫らさ。やっぱりこの天然小悪魔は恐ろしい。こっちが踊らされないうちに、さっさと快楽の虜にしてしまおう。しかしククールの賢明な判断もむなしく、脅威はここで終わらなかった。 「………?………ねぇ、ククールも…」「…なに?」「…………ぁ…、……ククールも、……濡れる、の…?」「!」遠慮がちに尋ねながらゼシカが先端に指を這わせそっと握りしめた瞬間、ククールは高速でその手を掴んで自身から強引に引き離した。(だから純真そのものみたいな顔でそういうこと訊くのは ヤ メ ロ !!)…と心中で悲鳴をあげながら。全てをリードしてしかるべき経験豊富な男が、性の知識などまるで皆無な小娘に急所を突かれてのたうっている、ある意味滑稽な光景。追い詰めているはずが、いとも簡単に立場を逆転させられる。(今のはキタ…ッ!ヤバイくらいキタ…ッ!やっべ、マジでなんか今ヤバかった…!!)心臓がドックンンドックン脈打っているが、色男のプライドにかけて死ぬ気で動揺を抑え平静を装うと、びっくりしているゼシカににっこりと笑ってみせる。「…この淫乱」「えっ!?」本音がポロリと零れつつ、ククールは不気味に笑みを張り付けたまま取り上げた手をゼシカの口に近づけた。細く白い指先は、己が欲望の証によってわずかに濡れている。「舐められるよな?」「えっ、…えっ!?待…っ…ご、ごめんなさい、私変なこと言っ…」「いいから」問答無用で口唇に指先を押し付けると、ゼシカの顔がますます真っ赤に染まる。眉をハの字にして困惑するが、ククールの正体不明な笑顔の圧力に抗えるわけもない。赤い舌先で、差し出された自分の指を…いや、指先を濡らすソレを、…チロリと舐める。それを見ていたククールは、怒りに似た表情でもはや開き直り、我慢できず先走っているその“液体”を掬い取って自分の指に存分にからませ、ゼシカの目前に示して見せた。「……。……ん、ぅ」ほんの少しの躊躇があったが、言われるまでもなくゼシカはククールの指をスルリと銜えこむ。暖かい口腔内に長い指をまとめて飲み込み、舌を動かしてすでに濡れている指をさらに濡らすように。元々の味などわからなくなるほどにとにかく懸命にしゃぶっていると、水音が脳内に反響し、変な気分になる。なんだかよくわからないけど、とてもいやらしいモノを舐めているという自覚はある…ゼシカは指を深く飲み込んだまま、不安げな上目づかいでククールを見上げた。これでいいの?とでも言うように。…ククールは笑う。そんなわけはないのに、絶対にコイツはオレを誘っていると決めつけて、笑う。 **「……ゼシカのとおんなじ、オレのやらしー汁……おいしい?」「んふ…っ!……ッ」言われた瞬間 急激に我に返り、ゼシカは思わず口から指を引きずり出していた。糸を引いた唾液を口元でぬぐいながら、真っ赤になって横向き、枕に顔を埋める。ゼシカによって存分に濡らされた指をこれ見よがしに乳房になすりつけながら、ククールは笑みが抑えきれない。「お前のその顔、ホントたまんね…」「んあっ!!!」いきなり先端で入口のヒダをいじられてゼシカは思わず声を出した。片足を高く持ち上げられると、何一つ隠すことはできない。晒された割れ目を、滲み出る“やらしー汁”でぬめりを持ってくすぐってくるソレがもたらす最高の快楽を唐突に思い出した身体が、素直に、淫らに、反応した。ゼシカは、奥が急激に疼き出し何かがドクリと溢れ出て、下肢を伝っていったのを感じた。はぁはぁ、と荒い息を、お互いもう隠せない。ゼシカが懇願する。「クク、クク…もぅ…もう、ダメ、いじわる、しないでぇ…ッ、…おね、がい…!」物欲しげに開閉し、一人で濡音すら響かせている入口はあまりにも淫らで、ククールの我慢もここが限界だった。「…クソ、前置き長すぎた…ッ、……あんまもたねぇかも…ッ…!」「ア、アッ、……や、―――あああぁぁっっ!!!!」歓喜の悲鳴と、獣のような呻き声。しかし解けきった秘部が飲み込むように男の欲望をなんなく受け入れたのも途中までで、感じすぎた内壁は逆にそれを拒むかのように内をキツく締め付け、それ以上スムーズに進まない。ククールは怒張を中程まで挿入したところで舌打ちした。「お、まえ…ッ、感じすぎ、だろ…」「アッ、だっ…んあ、アッ、あ、あん、あっ」「…ヤバイって…っ、…クソ…」苦し紛れにククールは体制を変える。ゼシカを抱き起こし膝の上に乗せると、少し前かがみに自分にもたれさせ、細い腰を自身に押し付けるように抱きこむ。「―――ひゃ…っ!」ズル、という音が聞こえた気がした。 「ヤァッ、あっ、ダ、メッ―――くぅ、ぅ…ッッ!!」 敏感な両壁を強引に引き裂かれこすられる快感と、最奥を突かれた快感が一度に襲いかかり、ゼシカは小さな絶頂を迎えてしまう。大量の蜜が新たに湧き出て男の欲望をぬるりと包み込み、強い締め付けのあとに激しく痙攣し続ける入口はククールに拷問のような強烈な快感をもたらす。「…ぅぁ、…こ、の…淫乱…ッ!」「あぁっ、アッ、アッ…っあん、ダメッ、ダメぇ、クク…!!」ククールは怒声を上げながら顔を歪ませ、最初から激しい律動をしかけた。率直に、なんの余裕もない。ゼシカも今までに見たことがないほど乱れ、自らもぎごちなく腰を揺すっている。あらゆる蜜をないまぜにした粘り気のある水音がやたらと大きく響き、2人の耳を犯した。ゼシカにぎゅうと抱きしめられると、お互いに最強と認める豊満な胸があり得ない柔らかさでまったく無自覚に顔面に押し付けられ、ククールは上下に跳ねる身体と共に激しくうねる両の乳房を鼻先でかき分けるようにして谷間に舌を這わせ、乳首にも跡が残るほど強く吸いついた。「アァァッ…!!ダメ、ま…た、あっ、んぅ…ッッ!!」胸が弱いゼシカは、ビクビク身体を跳ねさせそれだけでまた小さく達する。そのたびに思い切り締め付けてくるキツい内壁はククールのすべてを逃すまい、絞り取ろうとするかのように淫猥にからみつく。ククールはもう一度ゼシカを押し倒し、両腿を押さえつけて最大限にまで開かせてから、容赦なく注挿を開始した。…正直入れるのも抜くのも、色んな意味でキツい。しかしもうここまできて駆け引きなど必要ない。あとはクライマックスに向けて頭を空っぽにするだけだ。 ※開発未満1※・※開発未満2※・※開発未満3※・※開発未満4※・※開発未満5※・※開発未満6※
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/273.html
895 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/08(火) 21 02 32 ID nWUtTNbu0 ククゼシのゼシカは「やきもちやく」より、ED通り「あんたはぁぁ~~!!!」って怒る方がらしい。 ククも、ナンパされて警戒心薄く簡単に肩に手回されてるゼシカに、妬くっていうより 「お前さぁ、なんでそんなに鈍感なわけ?バカじゃねーの」とか半分呆れ半分怒りながらも 一応助ける、っていう方がらしい。 それで丸焦げになったりケンカしたりしてるのがこいつら流の痴話喧嘩 …単に、とにかく反発し合ってるのになぜか突き放せない関係を想像して萌えただけw 896 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/08(火) 22 11 26 ID QFblL03J0 反発し合ってるのになぜか突き放せない関係 この一文だけでも萌えるw お互いに「ありえない」と思いつつもお互いから目が離せない関係っていいな ケンカップル好きだww 普段は水と油みたいに反発し合うのにたまに素直になったり、 一度馴染むとパズルのピースみたいにかちりと当て嵌まって 「コイツしかいない」としみじみと感じ合うとか 897 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/08(火) 23 25 22 ID PZgbbk0VO ゼシカに怒るククールっていいなぁ…w 普段女の子には甘い台詞しか吐かないであろうククールが、 ゼシカに対してだけ「無防備すぎるんだよ、お前は!もっと自分自身の事自覚しろ」ってキレる。 ゼシカがあぶないビスチェやバニースーツ姿で街中歩いている時は一日中むっつりと不機嫌 898 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/09(水) 02 44 15 ID gu8IVxE+0 でもゼシカはいつもとちがう開放的な服をたくさん着られてご機嫌 「こういうの着てみたかったの!ねぇねぇ、似合う?ククール!」と満開の笑顔で聞かれるも 不機嫌なククさんは一喝、「無防備すぎるんだよお前は!もっと自分自身の事自覚しろ!!」 いきなり怒鳴られてワケワカメなゼシカ。乙女心も傷つく。 「…いきなり何よ!!見たくもないもの見せちゃって、悪かったわねッ!!私、先に行ってるわ!!」 と涙目で飛び出していった彼女に「あオイ待て、そんなカッコで一人で歩き回んな!!」 と大慌てで追いかけるククール。やれやれと肩をすくめる主人公とガス。 こんな感じですか 900 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/09(水) 21 36 06 ID gP4w9gPiO 主人公とヤンガスの方も最初は反発し合う二人に戸惑ってオロオロ 徐々に「またかよ…」という呆れに変わって行き、 途中から慣れて「まーたやってるw」「兄貴、止めないで良いんでがすか?」 「面白いから暫らく観察w」となり、 最後の方は飽きて「兄貴、あの二人また…」「んー、どうせいつも通りククールの方がすぐ音を上げて終わるよ。ほっとこ」 「…夫婦喧嘩は犬も食わねえって言葉をあの二人に送りたいでげす」とすっかり夫婦扱い。 901 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/09(水) 22 43 02 ID 96Oc31Zi0 898の後の展開を考えてみる。 「ピュー♪(口笛)お嬢さんいいカラダしてるねぇ。一緒に遊ばなーい?」と 危ない男数人連れに絡まれ、きゃぁぁぁぁ!と絶叫するゼシカ。 そんな危機一髪のところでククールがさっそうと登場、 「俺のスケに手を出すなばっきゃろう!」とバギ系の魔法を駆使して危機脱出! 「…ぐすっ…わぁぁぁぁん!…ごめんなさい…!!ぐすっ…」と泣きながら ククールの胸で泣きじゃくるゼシカ。 そんな彼女を「はは、いーのいーの。よしよし」とゼシカの頭を優しくナデクリするククール。 …というのが少女漫画的王道なんだろうけど、 「…ふんっ、バカ!何で助けに来たのよ!余計なおせっかいしないで!」 「はぁっ!?せっかく助けてやったのに何だよ!?かわいくねーな!」 「あんなチンピラぐらい私一人で何とか出来るもん! それに私はね、一方的に守ってもらうより ククールと一緒にやっつける方がずっと好きなの!それが一番よ!」 「…(苦笑)w …ったく…どこまでオテンバなんだよ…このお嬢さんは。 そんなハネッカエリじゃ嫁のもらい手がねーぜ?」 「大きなお世話よ!」「まっとうな忠告をしてやってんだろーが!」 …てな調子でエンドレスで、毎度ながら呆れる主人公はじめ一行。 なんて方がよりゼシカらしいんじゃないかとも思ったりする。 902 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/09(水) 22 56 18 ID ImDzKaIJ0 901 少女漫画王道パターンに吹いたw ククゼシであってククゼシでないのがwww だけどククゼシの場合やっぱり下のパターンが美味しいな。 「嫁の貰い手がねーぜ?」なんて憎まれ口叩きながらも ククールから隠し切れない愛情が滲み出ている気がするw 903 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/09(水) 23 33 11 ID Z1tYIxvnO お色気スキルを限界まであげたゼシカさんなら 「そんなんじゃ嫁のもらい手がねーぜ?」 「そしたらククールがもらってくれるでしょ?」 「ああ──…って、え?ゼシカ…、い、今の…」 「冗談よ。ふふ」 「──!(……まいったな。オテンバと見せ掛けてとんだ魔性だよ…)」 なんてククを翻弄したりしなかったり。 この後カリスマスキルでククのリベンジ編なんかもきっとあるはず。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/508.html
☆☆☆最初に気づいたのはゼシカ。何か変、何か変、身体が熱い、何これ、意味がわからない、どうしよう、やだ、助けて、やだ、やだ、やだ自分で自分をぎゅうっと力の限りに抱きしめながら、縋るように見上げたそこには。「…ゼシカ?」床に座り込んで足を投げ出して酒を飲んでいたククールは、それまでこれはオイシイこれはニガイと少量ずつ飲み比べをしていたゼシカが、急に黙り込んだのでふと振り向いてみた。そこには。今まで見たことのない表情をしたゼシカが信じられないくらい熱っぽい瞳で自分を見上げていて。その瞬間、つま先から頭まで、凄まじい勢いで血が駆け巡った感覚に襲われた。心臓が ド ク ン と動き、そして…止まった。「……オ、イ?」平静を装って声を出してみたものの、舌が上手く動かない。ゼシカの濡れた瞳、濡れた口唇、薔薇色の頬、絶対的に視界に入りこんでくる胸の深い谷間。気づくと細い白い指が、自分のシャツの裾を震えながら掴んでいた。「…ッ、ク、ク、なに、これ、やだ、ねぇ、…ッたすけ…」どこか舌っ足らずな口調。舌が回らないのは彼女も同じ。その顔を凝視するククールの目は、ゼシカの果実のように可憐で小さな口唇の合間からチラチラと覗き見える、濡れた舌に釘付けになった。「ねぇ…っ!!ククール…!!」固まっているククールに焦れ、ゼシカはさらに身体を彼に近寄せた。投げ出されている長い脚に手をおいて、身を乗り出すように顔を覗き込む。「なんかへんなの…っ!!なに、これ…!?ねぇ、たすけ、クク、わたし、どう…」赤い舌。濡れて、オレを誘っている。その小さく花弁のような口唇の中に隠された、柔らかく蠢くエロティックな粘膜。誘っている。確実に誘っている。頭の中がむちゃくちゃになる。―――待て!そんなわけはない、何を考えているんだ。ゼシカの様子がおかしい、そうだ、ちゃんと答えてやらなければ。何をする気だったんだ、キスの経験もろくにないゼシカに、処女のゼシカに、何をオレは―――その時。ゼシカが小さな手の平には到底収まりきらないボリュームの自分の胸に手を当て、指と指の間に先端を挟みながらわずかに揉みあげ、ぎごちなく蠢かせているのがククールの目に飛び込んだ。―――――-嘘だろ。頭の中でもう一人の自分が驚愕する。呼吸も荒く何かおかしくなっているゼシカは、おそらく自分が何をしているのかの自覚はないのだろう。どうしたらいいのかわからない、ただ身体が勝手に動くけれど、自分が何をしたいのかはわかっていない。だがククールにははっきりとわかった。ゼシカを襲っている凄まじい感覚の正体。本人の意思を凌駕した、強烈な性欲。じゃなきゃ説明がつかない、ゼシカが自分で自分を慰めようとしているなんて――― 脳内でそう言葉にした瞬間、その事実をはっきりと認識して再びドクンと心臓が跳ねた。頭に血が昇る。だめだ、ふざけんなやめろ。何も考えるな、馬鹿な真似はするななぜこんなことになっているのか、ちゃんと確かめないと――このままではゼシカが…ゼシカはオレに、助けを求めて…突然沸き起こった未知の欲望に怯え、その扱いがわからないでいる―――――ここでオレまでがその欲に飲み込まれれば、どんなことになるのか目に見えてるだろう?もう一人の自分がほくそ笑む。頭の中が真っ黒になる。ククールは額に手を当てて苦しげに嘆息した。そうだ、だから、流されてはいけない。オレにはわかる、この欲望を解消する方法が。だからこそ。だから こそ…「…ッはぁ、ねぇ、ククー…ル…たす、けて、おねがい、どうにか、して…」―――完全に無意識の行動だったのだろう。自分がとったその行為の意味が、何を意味するのか…どんな事態を招くのか、全くわからないままに。ゼシカは、ククールの手を取って、自分の大きな胸に押し付けのだ。常にそこにあって、しかし触れたことなど一度もなかった、最高の造形美と感触を誇る彼女の胸。あまりにも柔らかく指に吸いつく、罪深いその感覚がククールの最後の理性をぶち壊した。わかっていた 本当はオレも とっくにおかしくなってる――ククールは己の性を誘惑してやまない強張った彼女の舌を誘い出し、奪い取らんとするかのように吸い上げ、自らの舌で彼女の中を好き放題にかき回した。時折 口唇を放す合間に、ゼシカが自分の名を途切れ途切れに呼ぶのに耐えきれないほど興奮した。今すぐ抱きたい、ゼシカの中に突き入れたい、狂うほどに喘がせて、何回でも出したい。己を咎める声はもうほとんど聞き取れなかった。何かがおかしいのだ、わかってる、でも、抱きたい。抗うことなんか最初から無理だったんだ。これはオレの奥底にずっとあった、汚れた望み。ゼシカを、オレのものにしてしまいたい。美しく真っ白なゼシカを、最初にオレが汚してしまいたい。隠されていたやましい切望はいまやなんの罪悪感もなく行動を促し、取りつかれたような激しいキスを続けながら、手は服とビスチェを強引にずり下げ、露わになった彼女の胸を荒々しく揉んだ。「あっ、あっ、あっ!クク、わたし、アッ、…ッン、クク…ねぇ、おねが…イ…ッ」ゼシカは、今自分を襲っている凄まじい感覚が性感だということを理解していない。ただ口の中を蹂躙される心地と、弄られている胸からこみあげる、泣き出したくなるような全身を駆け抜ける刺激こそ、今の自分が狂おしいほどに求めているものだと朧げにわかるだけだ。ククールは蛇のようなゼシカの舌の誘惑から逃れると、待ち焦がれていたかのように張りつめ震えている、彼女の胸の頂きに躊躇なく噛みついた。 ゼシカが声にならない悲鳴をあげる。全身が跳ね、硬直する。口と指先と手の平全体で両方の乳房をまんべんなく捏ねまわしながら、ククールは片方の手をもう一つの目的のために動かしていく。コルセットの紐をほどき、緩んだスカートを徐々に、そして大胆に剝ぎとり、エロチシズムを感じさせる黒いタイツも抜き取って、ゼシカがまるで気付かないうちに、彼女の下半身を下着だけにしてしまった。未だいじめられ続けている胸への責めに、ゼシカは意味をなさない喘ぎをこぼし続けている。そしてのしかかるククールの足の下で、しきりに両腿をこすりあわせているのを視界の端に見て、ククールはニヤリと笑った。「…ゼシカ…。気持ちいい…か?」「は…あ、や、ン…な、に…?ッ、ヤだ、ククール…やめな、いで…ッ」「ずっと、ココだけ弄られてたい?」ギュッと先端を掴まれて高い悲鳴があがる。「ココだけでいい?他に触ってほしいとこ…あるだろ?」「や、なに、わか、んな…」ククールはピッタリと閉じ合わされたゼシカの膝を左右に強引に割った。ゼシカが混乱しつつも羞恥におののくのがわかる。何もかもが隠すことを許されず剥き出しで、男の視界に晒される。性感を得るのもはじめてなはずなのに、異常とも言えるほど濡れそぼっている身体の中心。ゼシカは足を広げられ、はじめてそれを実感させられた。卑猥な音すらさせて蠢くソコが、なぜこんなに濡れているのか理解できない。―――ただ、晒されたこの場所を意識した瞬間、欲望の根源をそこにはっきりと感じた。「―――ッッ!!!!ククール…ッッ!!!!」悲痛で切ない叫び声と同時に。待てなくなったククールが、再び口唇を激しく奪いながら、下着を剥ぎそこに指を突きいれる。「――――ッッアァ……ッッ!!!!」はじめて異物の侵入を許したその場所は、もはやなんの痛みも伴わずに十分すぎる潤いを保ちながら、ククールの増えていく長い指をどんどん飲み込んだ。そしてゼシカの汚れを知らないその場所がククールの凶器によって犯されるまで、時間はかからなかった。お互いの病的な息遣いと、呼び合う名前と、水音以外に、もう何も聞こえない。予期せぬ事態により身体の性感を極限まで高められてしまった2人は、今や達しても達しても泉のように湧きあがってくる性欲を発散させるだけの生き物となっていた。―――それでも。少なくとも男にはわかっていた。これがどんなに罪深い行為なのかということが。罪は深ければ深いほど、蛇の誘惑は狡猾で、楽園の林檎は甘い。罪と知っていても。のちにどれほど後悔することになろうとも。2人はお互いを抱いたその腕を、最後まで解こうとはしなかった。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/149.html
女盗賊ゲルダとの、キャプテン・クロウのお宝探し勝負。 先に海賊の洞くつの最奥まで到着したゲルダだったが、亡霊になってたキャプテン・クロウに伸されちまって、結局宝箱の中身を手にしたのはオレたちの方だった。 そんな勝負は初めからどうでも良かったオレとしては、宝を手に入れたことよりも、ゲルダが一人でサッサと戻っていった事の方が気になった。 「おい、いいのか? ほっといて」 よけいなお世話とは思いながらも、ついヤンガスに訊いちまった。 「ゲルダのやつ、一人で帰しちまって大丈夫なのか? アジトまで送ってってやれば、いいじゃねえかよ」 ヤンガスだけでなく、エイトもゼシカも、変な目でオレを見る。 ・・・そりゃあ、柄にもなくおせっかいだとはわかってるけど、揃いも揃ってそんな珍しいもの見るような目をしなくても、いいんじゃねぇの? 「美女の味方のオレとしては、ほっとくわけにはいかないね」 何となくいたたまれなくなって、軽口でごまかす。 ・・・そしてオレは、こうやって自分で自分のイメージを固めていくわけだ。 カジノがまだ再開してないのが残念なところだが、最近は旅が一段落ついてゆっくり休みたい時は、ベルガラックに泊まることにしている。 町全体に活気があるし、ホテルの部屋数も多い。ここでならゼシカに一人部屋をとってやれるから、オレとヤンガスも時間を気にせず飲みに行ける。エイトだけは変わらず律義に、姫様とトロデ王の相手だがな。 「お前、よく平気だよな。ちゃんとアジトに帰れたのか、心配にならないのか?」 ホテルの地下のバーで、つい昼間の話を蒸し返しちまった。 「ん? ゲルダのことか?」 最近ヤンガスは、オレと二人でいる時は語尾に『げすがす』付けない。 オレはその方が落ち着くし、ヤンガスの心の兄貴はオレじゃなくエイトだから、何となく自然にこうなった。エイトはよく、こんなおっさんに『兄貴』呼ばわりされて、変な敬語使われて、平気でいられるよな。器がデカいよ、あいつは。 「ククールにしては珍しくおせっかいだったよな。あれか? やっぱりゼシカと関係あんのか?」 「だから、何でお前もエイトも、何でもかんでもゼシカと結び付けようとすんだよ」 図星な分だけ、妙にくやしいぜ。 メディばあさんを殺し、犬の分際で羽を生やして飛び去っていったレオパルド。 暗黒神の復活を阻止するために、あんな化け物を追いかけて、つかまえて、戦って倒さなきゃならない。 それ構わないんだが、あんなものとゼシカが戦わなきゃならないってことが、どうにも腹が立って仕方がない。 「大事に思う女に、魔物と戦うなんて危ないマネしてほしくないって思うのは、おかしいのかね。普通のかよわい女性とは違うんだってのは承知してるけど、目の前でケガなんかされたりすると、もうたまらなくなる。その辺り、お前はどうなのかって気になっちまったんだよ」 「やっぱり、ゼシカのことじゃねえか」 うるせえよ、と言いたいとこだが、ここで否定してても話は先に進まない。 「そうだよ、悪かったな。オレの気持ちは今言った通りだ。お前がどうなのか聞かせてくれよ。今更ゲルダはそんなんじゃないとか言うのはナシだぜ。あいつがやられた時、動揺しまくってたのは見てんだからな」 「・・・ゲルダのことはともかく、ゼシカに危ないことさせたくないってのは、もっともだと思うぜ。男だったら誰でもそう思うはずだ。お前はまともだ、心配すんな」 ・・・何か、微妙に話をそらされた気がする。 「ゼシカに言ってやったらどうだ? 心配だから、あんまり無理なことするなって」 簡単に言ってくれるぜ。そんな単純な問題じゃねえよ。 「無理すんな程度じゃ済まねぇんだよ。こんな旅やめて、家に帰れとまで言っちまいそうで困ってんだ」 そうやってゼシカが待っててくれるのなら、相手が暗黒神だろうが何だろうが、必ずオレが倒してやるのに・・・。 「それ、私のこと?」 背後からの声に、一瞬体が固まった。何でゼシカがこんなとこに・・・。 何か言わなくちゃならないのは、わかりきってるのに、気の利いた言葉が何一つ浮かばない。 「違う、今のは・・・」 ようやく振り返って口を開いたオレの声は、ゼシカの言葉に遮られた。 「私、帰らないから。誰が何て言ったって、絶対帰らない。覚えておいて」 それだけ言ってゼシカは踵を返してしまった。そのまま階段を上がっていってしまう。 静かな声と足取りが、却って怖い。 滅多に酒なんて飲まないくせに、何だってこんな時に限ってバーになんて来るんだよ。 よりによって、一番ゼシカに聞かせたくない言葉を聞かれちまった。 「ゼシカのねえちゃん、いつの間に・・・」 ヤンガスのお約束の言葉に、思わずコケそうになった。 こんな時に、何アホなこと・・・。 ・・・いや、こんな時だからこそか。 「悪いな、気ィ遣わせて。・・・行ってくる」 いい感じに体の力は抜けた。今、傷ついてるのはゼシカだ、オレが深刻ぶってる場合じゃない。 「ちゃんと話せばわかってくれるさ、しっかりやれ」 ヤンガスの言葉は短いけど、不思議と心を軽くしてくれる。 本当はオレなんかより、こいつの方がよっぽど聖職者に向いてるよな。懺悔とか聞くの、上手そうだ。この外見じゃ教会勤めは無理だろうけど。 借りは早めに返してやるよ。明日、朝一でゲルダのアジトに寄るように、エイトのヤツに言っといてやるからな。ホントは心配なくせに、意地張りやがって。 階段を上りながら考える。 ドルマゲスやレオパルドのように、完全な化け物になってしまわずにゼシカが戻ってきてくれたことは、奇跡のような幸運だったんじゃないかって。 一歩間違ってたら、この手でゼシカを殺さなければならなかったのかもしれないと想像すると、心臓が凍るような思いがする。 それを考えれば、どんなに危険なことだろうと、ゼシカが自分の信じた道を進んでいる今を邪魔するなんて、できるわけがない。 オレが勝手だった。 自分の心を偽らずに、ちゃんとゼシカと向き合おうとし始めた途端、失言の連続だ。 怒らせるようなことや、悲しませるようなことばかり言ってる気がする。 向いてねえのかな、心のままに生きるなんてこと。 ・・・でも、もう昔の自分には戻りたくない。ゼシカはちゃんと気づいてた。以前のオレが誰も心の中に入りこませようとはしていなかったことを。そして、そのことで傷ついていた。 信じてもらえないことの寂しさは知っていたはずなのに、自分がゼシカに全く同じ思いをさせてたなんて、最低だ。 そんなオレでも許してくれて、変わらない信頼を与えてくれるゼシカを、二度と突き放すようなマネはしない。 さっき言った言葉は、紛れもない本心だ。だから撤回はしない。 でも、もう一つの本心をわかってもらわなくちゃならない。 わかってはいるんだ。戦うことが今のゼシカの支えになってるってことは。 兄の仇であるはずの暗黒神に、いいように操られて利用された。そんなこと、屈辱以外の何ものでもない。 もしそれが自分だったらと考えると、想像しただけで耐え難い。 なのにゼシカは逃げずに受け止めて、戦って前に進むことを誓って、まっすぐ立ち向かっている。 本当に強いと思う。心から尊敬する。 本懐を遂げさせてやるためなら、どんなことでもしてやりたいと思う。 どこへだって一緒に行くし、どんな手を使ってだって、暗黒神の復活は止める。 そのために邪魔なものは全て排除する。イカサマしたって構いやしない。 それが終わらない限り、本当の意味でゼシカに平穏は訪れないからだ。 いらないものを押し付けられてる余裕なんて、今のゼシカにはない。 『男』としてのオレなんて必要ない。『仲間』であることに徹する。それが今のオレがゼシカにしてやれる最良のこと。 最近、ゼシカが甘えてくれるようになったもんだから、つい考え違いしちまった。ゼシカはオレの『庇護』なんて望んでない。必要としてるのは『力』だ。 寄せてくれる信頼も、オレが一緒に戦うことを約束したことから来てるってのに、戦いから遠ざけようなんて、ずいぶんアホな考え持ったもんだ。 もう少しで忘れるところだった。これはゼシカが望んで進んでる道だってこと。オレはただそれに付いていってるだけ。オレみたいな人間は、自分のために生きたってロクなことにならない。すぐに迷って、何もかも失うだけだ。 そんなオレでも必要としてくれるのなら、黙ってゼシカの意志に従う方がいいに決まってる。それなのに自分の方が守ってるつもりになるなんて傲慢だった。 何度も救われてきたのはオレの方だっていうのに、ホントにバカだ。 ・・・だけど、やっぱり大事にしたいし、守ってやりたいって思っちまう。傷つくところは見たくねえんだよな。 我ながら、どうしようもないくらい矛盾してるぜ、ホントに。 勝手-後編
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/167.html
自分でも呆れるほど早かった。ラプソーンを倒してから、ものの五分もかからなかったと思う。 オレが自分を見失うまでの時間のことだ。 レティスの背中に乗りトロデーンに向かう途中、ゼシカが口にした言葉で、オレはわかりきっていたはずのことに、改めて気づかされた。 「ふう・・・。これでやっとポルクとマルクに報告できるわ。あと、サーベルト兄さんにも、ちゃんと報告しなきゃ・・・。私、自分の信じた道を進んで、ここまで来たのって」 ゼシカには故郷があって、旅の目的を果たした今、その大事な故郷に戻るべきなんだってことだ。 急速に自分の中の何かが冷えていくのがわかった。 だけど皆が喜んでるっていうのに、それに水を差すこともできなくて、何とか言葉を振り絞る。 「・・・やれやれ。我ながら、とんでもないところまでつきあわされたもんだな」 スカした口調で、キザったらしく前髪を掻き上げる。 「さすがのおっさんも、ここまでは来られないようでがす!」 ヤンガスの言葉に笑い声をあげる仲間たち。 だけどオレの心だけが取り残されて、一緒に笑うことができなかった。 少しずつ、ゆっくりと剥がしてきたはずの冷たい仮面は、外すためにかけた時間をあざ笑うかのように、あっさりと元に戻ってくれていた。 姫様やトロデ王が元の姿に戻り、城も、城の住人も呪いから無事に解放された。 それは素直に良かったと思えるけど、宴を楽しむ気分にはなれない。 せっかくドニの安酒とは段違いの上等なワインが振る舞われてるっていうのに、城の壁にもたれて、それをグラスの中で遊ばせてるだけだ。 『終わった後の事を考えろ』『それもできるだけ楽しいこと』 偉そうにゼシカに忠告してきたくせに、いざ戦いが終わってみたら自分がこのザマだ。 最後にもう一つ付け足すのを忘れてたのが失敗だった。 『ただし、現実味のあることにしておけ』ってやつをな。 ラプソーンを倒して目的を果たしたら、ゼシカに想いを打ち明けるつもりでいた。そして・・・。 そして? 笑い話だ、その後を考えてなかった。 戦いが終わった時に、ゼシカの頭に真っ先に浮かんだのは故郷のこと、そして兄のサーベルトのこと。そこにオレの入り込む余地なんてない。 本当に筋金入りのブラコンだよな。まあ、だからってゼシカの兄になりたいとも思わんがね。 トロデ王は嬉しそうに宴を仕切り、エイトは同僚らしき奴らに、次から次へと話を聞かれてる。ヤンガスはとにかく食いまくり。ミーティア姫は飲み慣れてないのか、顔を赤くしながらワイングラスを傾けている。 そしてゼシカは子供になつかれて、魔法を見せてやってるようだ。 そういえば故郷のリーザス村でも、ずいぶんガキ共に慕われてたみたいだもんな。 ゲルダの家みたいなところで一人で暮らしたいなんて言ってるけど、ゼシカには無理だ。 何だかんだいって、あいつも寂しがりやだからな。オレも同じだからよくわかる。 やっぱりゼシカは故郷に帰るのが一番いいんだ。 「あの・・・」 声のした方に顔を向けると、栗色の髪を後ろで束ねた女性がワインのボトルを持って立っていた。どうやら注いでくれるつもりらしい。 女性の勧めを断るのは失礼だから、とりあえず今グラスに入ってる分は飲み干した。 「私、エイミといいます。このお城の厨房で働いています。・・・あなた、まだこの城が茨に覆われていた時に、エイトと一緒にいらしたことがありませんか?」 ワインを注いでくれながら、その女性が訊ねてきた。 「ああ、ここの図書室に用があったりで、何度か」 「その時、祈ってくださってましたよね?」 「どうして、そのこと・・・」 まさか、あんな姿に変えられながら、この城の人間には意識があったっていうのか? その可能性に気がついた途端、胃の辺りを何かにつかまれたような気分になった。 苦しいなんてもんじゃなかったろう。一体オレたちは何カ月、時間を無駄にしてきた? ああ、でも大半はエイトの寄り道のせいだ。いいヤツではあるんだけど、度外れたマイペース野郎なんだよな、あいつ。 「ああ、やっぱりそうでしたか。私、呪われていた間、ずっと夢を見ていたんです。真っ暗な世界で一人で取り残されていました。でも、あなたが祈ってくださった時、世界が急に明るくなったんです。 エイトやお仲間の姿も見えました。そうしたら、自分を助けてくれようとしている人達がいるんだってことが伝わってきて、とても勇気づけられたんです。 すぐにまた真っ暗な世界に戻ってしまいましたけど、そのことはずっと私の支えになってくれました。こうしてお礼を言える日が来るのを信じることが・・・。本当にありがとうございます」 あの時のあれは、別にそういうつもりじゃなかった。もちろん助けたいとは思ったさ。でもその手段は戦ってドルマゲスを倒すことであって、祈ることなんか気休めにしかならないと思ってた。神頼みなんか意味がないと思った。 でも・・・ああ、認めるよ。本当は祈ることは、ガキの頃からずっと嫌いじゃなかった。気は休めてくれるんだ、確かに。焦りや恐れは薄めることが出来る。根本の部分は解決されないにしても、その安らぎが必要な時だってあったんだ。 そんな自分のための祈りに、支えられたなんて言われると、正直ちょっと困る。 「少しでも・・・お役に立てたのなら何よりです」 騎士の礼をとって応えた。ラプソーンを倒したら騎士は廃業だと思ってたのに、身に染み付いたものは、なかなか取れない。 目を上げると、エイミさんは何やら様子がおかしくなっていた。何ていうか、オレを見る目がさっきまでとは違う。 「・・・何か?」 声をかけるとエイミさんは驚いたように飛び上がり、持っていたボトルが手を離れた。 下は芝生が生えているから割れはしないと思ったのに、運の悪いことにそのボトルは、剥き出しになっている石畳の上に落ちて砕け散った。 咄嗟にエイミさんの身体を引き寄せ、ガラスの破片から守る。 「す、すみません、大丈夫ですか?」 服のすそに少しワインがかかった程度で、今更ガラスでケガするほどヤワじゃない。慌てるエイミさんに、オレは笑顔を向ける。 「このくらい平気さ。それよりエイミさんは?」 「ええ大丈夫です。あなたがかばってくださったから・・・」 まただ。エイミさんの瞳が熱を持ち、そわそわと落ちつかなげだ。 ・・・ああ、そうか。何のことはない。この美貌と、洗練された立ち居振る舞いで魅了しちまっただけのことだ。 このところ、あんまりにも靡いてくれない女のことばっかり考えてたから、これが一般的な反応だってことを忘れてた。 「キミにケガがなくて良かった。美しいレディを守るのが、騎士の務めだからね」 「やだ、そんな、美しいなんて・・・」 その時だった。オレンジ色の火の玉がとんできて、すぐ横の壁に見事な黒焦げを作ってくれたのは。 どうしてゼシカは、こう乱暴者なんだろうな。 潔癖なゼシカにしてみりゃあ、女性と見れば誰にでもいい顔するのが気に入らないんだろうが、もう力を合わせなきゃならない戦いは終わったんだ。オレが何しようがゼシカには関係ないはずだ。 「ゼシカ! そうやって簡単に人に向けて・・・」 『魔法なんて放つな』そう言うつもりだった。 だけどゼシカの方を振り返ったオレは、言葉を失った。 気の強い顔で、軽薄な男に嫌悪と怒りを示している姿をオレは予想していた。 だけど今、オレの目に映っているゼシカは、悲しいような恨めしいような目をして、唇を噛み締め、スカートのすそを握り締めている。 今にも泣き出しそうなその姿に、オレはようやく気づいた。 ・・・ゼシカ、まさか、オレのことを・・・? 「ごめんなさい! 本当にごめんなさい」 さっきからゼシカはあちこちに謝りまくりだ。 オレやエイミさんはもちろん、城を焦がした件でトロデ王やミーティア姫に。驚かせたからって、周りにいた人たちや子供たちに。 これに懲りて、人間に向けて魔法を放つのは控えるようになってほしい。自分の魔力がシャレにならないレベルだってこと、わかってないんだもんな。 ちなみに、エイトとヤンガスにはオレが怒られた。鈍いのにも限度があるってな。 あいつらに言われるのは腑に落ちないけど、確かにそれはその通りだった。 オレはまだ諦めグセが直ってなかったんだ。 気持ちを伝える前からゼシカの気持ちを決めつけて、拒絶されることを怖れて勝手に諦めた。 つくづく自分の鈍さに呆れる。 ちゃんと意識してゼシカの様子を見ていたら、好きでもない男には絶対しないだろう言動のオンパレードだった。思えば結構前からそうだった気がする。 ゼシカ自身に自覚がないらしいのが、せめてもの救いだ。 ・・・今更気づいたところで、もう遅いからな。 三日三晩続いた祝宴も終わりを告げ、それぞれが元の生活に戻ることになった。 エイトはもちろんトロデーンの復興に。ヤンガスはエイトと一緒にいるのかと思いきや、パルミドに戻った。もちろんその前にゲルダの所に怒りの鉄球を返しに行くって言ってたけどな。 いい加減観念して、そのまま住み着いちまえばいいのによ。 そして今、オレはゼシカと二人で世界を回ってる。 リブルアーチや聖地ゴルド、焼け落ちてしまったメディばあさんの家。その他にも暗黒神に命を奪われた人達に、敵討ちが終わった報告と墓参りをして回りたいとゼシカが望んだからだ。 ゼシカは全部の場所に花束を供え、オレは一応僧侶として祈りを捧げる。 失われた命は決して戻ってこないけど、ラプソーンを倒す前よりは、静かな気持ちでその場に立つことは出来た。 ゼシカも同じように感じてると思う。悲しみは伝わるけど、救えなかった人達への罪の意識や、それがもたらす痛みは大分薄れてるとわかる。 こんな華奢な女の子が、よくあんな化け物と最後まで戦い抜いたと思う。それどころか、最後の方は間違いなく人類最強だったからな。 ・・・こうしてると、自分がラプソーンを倒した後、どうするつもりだったのか、漠然と考えてはいたのに気づく。 きっとこんなふうに二人で世界を旅したかったんだ。墓参りなんかが目的じゃなく、気の向くままに、自由にな。・・・ほんと夢みたいな話だぜ。 移動方法はほとんどルーラだから、三角谷で一泊しただけで、行きたいとこには全部行くことが出来た。 かなりハイペースだったとは思うけど、出来るだけ早く済ませちまいたかったからだ。 ルーラでリーザス村の入り口に着いた時も、まだ陽は落ち切っていなかった。 「ありがとう、いろいろ付き合ってくれて。私、ルーラ使えないから助かったわ。疲れたでしょう? 少しうちで休んでいって」 せっかくのゼシカの勧めだけど、オレは首を横に振った。 「いや、そんな疲れてもないさ。遠慮しとくよ」 今は少しでも早く、この場を離れたい。オレが取り返しのつかない行動に出る前に。 本当は、こんなふうに二人きりになることも避けたかった。 でもゼシカ一人で世界を回らせるなんて出来るわけがなく、オレがお供するって言ったらゼシカも喜んでくれて、他に選択肢なんて無かった。 「・・・あの、ククール? だいぶ前になるけど、覚えてる? 敵討ちが終わったら、リーザス村に来ること考えてほしいって約束したの・・・考えておいてくれた?」 ・・・この話が切り出される前に、姿を消したかったんだ。 考えたさ、もちろん。この何日か、そのことばかり考えてたって言ってもいいくらいな。 でも何度考えたって答えは変わらなかった。 オレには無理だ。この村で暮らす自分なんて、とてもじゃないが想像つかない。 気づく順番が逆なら良かったんだ。ゼシカの、故郷や兄への思いと、オレへの想い。そうしたらゼシカを離しはしなかった。リーザス村になんて近づきもせずに、二人でゆっくり気ままに世界中を旅して回ってた。 そうしてる間はうまくやっていける自信はある。つまらないことでケンカしたりもするだろうけど、それでも仲良く過ごせただろう。 だけど、そんな時間はいつまでも続かない。いつかはどこかに落ち着きたくなる日が来て、そして思い出すんだ。大事な人が暮らしてる、生まれ育った故郷があったってことを。懐かしんで、帰りたくなる日がきっと来る。 でもきっとそうなっても、オレはこの村では暮らせない。 どうしてなんだか理由はわからないが、ゼシカの母親にも嫌われてるみたいだしな。 いや、理由なんて簡単だ。普通に考えて、母親として娘に近づいてほしくないタイプの筆頭だよな。軽薄な女好きで、なまじ美形なもんだから女の方からも寄ってくる根無し草。 そんなのが、美人で世間知らずで、男に免疫のない良家のお嬢様の相手なんて、どこかの捻りの無い芝居の脚本みたいで、本気だなんて受け取ってもらえるはずがない。 そして板挟みになって辛い思いをするのは、ゼシカだ。そんなことにはさせられない。 「・・・考えてはみたけどさ、やっぱりやめとくよ。こんな酒場も無いような健全な村で、オレが暮らせると思うか? どう考えても無理だろ? 気持ちだけもらっとくよ」 ゼシカもオレの答えは予測してたんだろう。少し寂しげではあるが、ショックを受けた様子はない。 「うん・・・そうよね。でもたまには遊びに来てね。そりゃあ遊ぶところなんて無いけど、私、いつでも待ってるから」 このまま何も考えず、何もかも振り切って、どこかにゼシカをさらって行きたい衝動にかられる。 でも、ゼシカの身体越しに教会が目に映り、ふと会ったこともない男のことが頭をよぎる。おかげで頭は冷えてくれた。 思いを馳せたのは、ゼシカの兄のサーベルトのことだ。 仲の良かった妹が、か弱い女性の身で、暗黒神なんてものを倒すために命懸けの戦いに身を投じる。 お嬢様育ちなのに、野宿もザラな旅を続けて、周りにいるのは空気読めない寄り道好きの呑気者と、思考がメルヘンなむさ苦しい悪人顔と、下心のある何やらせても半端な頼りない男。 そして可愛い妹がそんな道を選んだのは、自分が死んでしまったことが発端だなんて、たまったもんじゃなかっただろうな。 つまらないことで嫉妬して、ブラコン呼ばわりしてゼシカをいじめたりして、本当に悪かったと思ってる。 生きて力を貸せたことが、どれほど幸運なことか、わかってなかった。 辛いよな、死んじまったら何もできない。大事な人間が傷ついてても泣いてても、そばにいてやることさえ出来ない。 そんな簡単なことに今になってようやく気付けるほど、オレは勝手な人間なんだ。 ・・・ちゃんと返すよ、あんたの大事な妹。 『守る』なんて大口叩いたけど、オレはほとんど上手くやれなくて、それでも何とかなったのは、ゼシカ自身が強かったからだ。逆にオレの方が随分救われてきた。本当に感謝してる。 「サーベルトは・・・死にたくなかっただろうな。可愛いゼシカを残して」 オレがサーベルトの名前なんて出すもんだから、ゼシカは少し驚いてる。 「でも、幸せだったとも思う。その大事な妹が、自分を慕ってくれたこと。・・・その点だけは羨ましいよ。オレもゼシカみたいな妹、欲しかったな」 オレにとっては嘘つくことなんて簡単なことで、自分の本音を晒すことの方がずっと難しかった。でも今は、こんな心にもないことを言うのが、やけに苦しい。 まっすぐ見つめてくるゼシカの視線が耐え難くて、逃れるためにゼシカの前髪を掻き上げ、その額にそっと口づけた。 「・・・何?」 ゼシカはとまどったような顔をしている。 「ラプソーンと戦う前、生きて帰ってきたら、キスしていいって言ってただろ? まさか忘れたのか?」 「・・・あれは、キスしていいなんて言ってない。そういう話は帰ってからにしてって言っただけよ・・・」 悲しそうな、困ったような顔。オレの態度に混乱してるのがわかる。 結局オレはこうなんだな。ゼシカを戸惑わせる存在でしかない。オレと一緒にいたってゼシカは幸せにはなれない。 わかってたはずだ、棲む世界が違うって。それなのに、すっかり忘れて勘違いして、一緒に生きていけるもんだと思い込んだ。 ・・・でも無かったことにはしたくない。 顔だけが取り柄じゃないと言ってくれたこと。いつも心配してくれてたこと。迷わずに信頼してくれたこと。たくさんの小さな優しさ。そしてこんなふうに誰かを大切に思える気持ち。 ゼシカはオレに大切なものをたくさんくれた。それだけでもう充分だ。オレの全てを捧げると思う気持ちに変わりはない。たとえそばにはいられなくても。 「しばらくはドニの町にいるから、何か困ったことがあったらいつでも来いよ。必ず力になるから。ゼシカはほっとけないからな・・・世話のやける可愛い妹みたいでさ」 数秒しか経ってないのに、さっきよりずっと楽に嘘が言えた。 「ゼシカ姉ちゃ~ん!」 いつも村中走り回ってるガキ共がゼシカの姿に気づいて、走りよってきた。 「ポルク、マルク」 ゼシカもそれに気づいて振り返る。 「じゃあな、ゼシカ」 そのスキにオレは数歩後ろにさがる。もう一度あの真っすぐな瞳に見つめられたら、抑えが効かなくなってバカなマネしちまいそうだ。 「えっ、ちょっと待って・・・」 ゼシカに止める間も与えず、オレはルーラの呪文を唱えた。 お互いのためにこれが一番いいんだと、自分に言い聞かせて。 そして-後編