約 1,871,753 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1051.html
半壊になった教室をルイズは一人で掃除していた。 姿をくらました使い魔をどう叱ろうか授業中ぼんやり考えていたら 教師に目を付けられ、錬金の魔法を前に出て実践することになったのだ。 結果を一言で表すなら、惨劇が起きた。自分で言うのもなんだが日々破壊力に磨きがかかっている気がする。 実はキュルケが掃除を手伝おうかと言ってきたのだが断っておいた。 どうせ裏があるに違いないと思ったからなのだが よく考えたらキュルケは、ルイズに使い魔がいないのは自分のせいだといまだに思っているようなのだ。 そう考えると無下に断ったのは逆に悪かったかもしれない。実際はルイズの使い魔はピンピンしているのだから。 まぁもう少し黙っとこう。そのほうがおもしろい。 そう、それよりも問題はブラック・サバスのほうだ。 もし他の生徒が同じ事を言いつけられたら、使い魔にでも手伝ってもらうのだろうが ブラック・サバスは朝ルイズの下着入りの洗濯カゴを持って(というか食べて)どこかへ消えてしまった。 まさか本当に洗濯に行ったとは思えない。もし本当に洗濯してたらはしばみ草でもアバ茶でも食べてやる。 (帰ってきたらエサ抜きね!) そんなことを考えながら机の破片を拾い集める。 いや、でもあれ何食べるんだろう。まさか下着を口の中に入れたのは本当に食べるために… (もしそんなことしてみなさいよ…エサ一週間抜きにしてやるんだから!) いや、でもあれ何食べるんだろう。 ルイズはポケットから『箱』を取り出す。 壁の一部が無くなり、日の光がいつもよりずっと多く入る教室には影になる部分も多い。 それを確認すると『再点火』してみる。 だが使い魔は現れなかった。 呼ぶためには他の条件がいるのか、はたまたもう呼ぶことさえできない遥か遠くに行ってしまったのか。 ルイズは嘆息で火を消すと、どこで何をやっているのか分からない使い魔のことは一旦諦め、掃除を再開した。 学院の中庭にあるベンチにキュルケは一人で座っていた。 雲ひとつ無い空を眺め、ひとつ嘆息。 それは自分の美貌の為にはよくないことだし、自分のキャラじゃないとは思っているのだが、つい出てしまう。 自分の格好のおもちゃであるゼロのルイズ。それに大きな貸しを作ってしまった。 ツェルプストー家とヴァリエール家の伝統とも言える因縁も含めて、キュルケはルイズをある意味特別視していた。 ルイズとは会えば口げんかするし、しょっちゅうからかってはおちょくる犬猿の仲。 だけど本当に馬鹿にしたことは決してなかった。 特にルイズの日頃の努力を最も知っている自分にそんなことはできない。 だからサモン・サーヴァントへ向けて気合を高めるルイズを心の中では応援してたし 最初ルイズが箱を召喚した時は、またおちょくるネタができたとニヤニヤしつつも とりあえず成功させたことにほっとしていた。 ルイズだってうれしかったはずだ。何度も何度も失敗してとうとう現れた使い魔。 だがそれがあっさり死んでしまった。いや、殺されてしまったのだ…。 気配を感じて視線を空から前方に移す。 ああダメだ。あまりにも悩みすぎて幻覚を見ているようだ。 昨日自分が殺したルイズの使い魔が、キュルケの使い魔のフレイムの尻尾を握ってこっちを見ていたのだ。 (幽……霊?こういうのはあの子のポジションでしょ) 一瞬、無表情な青い髪の親友の姿を思い浮かべる。 そこでキュルケの意識は途絶える。 学院の中にある図書館でタバサは一人本の世界に入り込んでいる……はずだった。 タバサは嘆息する。本当に小さく、本で隠すように。 ここは図書館で自分以外誰もいない。司書の先生すら用事で抜けているようだ。 いつもこの時間帯はこんなものだ。 なのにさっきからずっとこっちに向かって声をかけてくる存在がいる。 基本的にタバサは読書に没頭しはじめると、周りのことなど眼中になくなる。 だが、さすがに同じ事を30分間近く話しかけられ続けると、いいかげんうっとおしくなる。そこで。 「チャンスをや…………」 タバサは本から目をそらさず、手だけ動かし前にいる存在にサイレンスの魔法をかけ音を消した。 一時間後、本を読み終えたときにはすでに声の主も消えていた。 シエスタには嘆息をするような余裕はなかった。今は夕食の準備の真っ最中。 厨房は戦場と化していた。自分の仕事をテキパキとこなしていかないと間に合わなくなる。 (あ、お皿用意しなくちゃ) 頭をクルクルと回転させ、やるべきことを次々とこなしていく。 これは普段のシエスタの仕事ではないのだが、今日は他の使用人に病欠が多いため回ってきたのだ。 なんでも真昼間から幽霊と遭遇して、気分を悪くし寝込んでいるらしい。 マルトーさんは何を馬鹿げたことをと笑っていたが。 (幽霊……そういえば結局朝の使い魔はなんだったんだろう) 作業する手を休めず、朝の出来事を回想する。 唐突に現れた使い魔は、唐突に消えた。なぜかシエスタの洗濯物といっしょに。 使い魔も主人の……確かミス・ヴァリエール……の洗濯に来ていたようだったから 間違えていっしょに持って帰ってしまったのかもしれないが…… できれば返してもらいたかったのだが、あまりあの使い魔にもその主人にも関わりたくないというのが本音だった。 あの使い魔の不気味さは言わずもがなだし、その主人であるミス・ヴァリエールの噂も知っていたからだ。 つまり『ゼロ』のルイズは魔法が使えないくせに、やたらプライドは高いと。 「お前にチャンスをやろう」 後ろから声が聞こえヒッと悲鳴をあげてしまう。あわてて後ろを振り向く。 そこには黒い帽子に黒いマント、人間とはとうてい思えない顔と体、そしてその右手にはなぜかエプロン。 今度は見詰め合うこと数十秒。 「あ、あの…お返しに来てくださったんですか?」 使い魔はシエスタの問いに、エプロンを持つ手を差し出すことで答えた。 「あ、えと、わざわざありがとうございます」 「…………」 「ちゃんと乾いてる。干してくださったんですね」 「…………」 「あ、あの。本当にわざわざお越しいただいたのにスイマセン。今から夕食の準備に取り掛からないといけないんです。本当にありがとうございました」 やっぱKOEEEEEEEEEEEEE。思わず下唇を歯でかみそうになりながら、逃げるようにシエスタは食器棚に向かった。 皿を何枚も重ねて、お盆に乗せる。 一枚、一枚は大した事なくても、生徒の数だけそろえると相当の重さとなった。 両手に力を入れ、よいしょっと持ち上げる。なんとか持てそうだ。 しかしそこで使い魔が道を塞ぐように立っていることに気づく。 「あ、あの……」 不安になりながら尋ねる。すると使い魔は無言でシエスタに両手を差し出したのだ。 (これは手伝ってくれるって事?) 使い魔の差し出された両手の位置からは「お盆を持ちますよ」という意味にしか取れない。 「あの大丈夫です。これは私の仕事ですから」 やんわり断るが使い魔は全く反応しない。きっとお盆を渡すまでその場からテコでも動かないだろう。そんな『凄み』を感じる。 「ありがとうございます。それではお言葉に甘えさせていただきます。向こうの机まで運んで下さいませんか」 そう言うと使い魔はお盆を掴もうとさらに手を伸ばしてきた。 二人の手が触れ合う。予想と違って普通の人間と同じような温かさをその奇妙な手から感じる。 「じゃあ、あの、手を離しますよ?ちゃんと持ってくださいね?」 シエスタは何度か使い魔に確認し、手を離した。 そして使い魔の手に渡ったお盆は、そのまま下へ落下していく。 「どらあ!」 それに即座に反応したシエスタは気合の叫びとともにお盆を空中でキャッチする! 「つつつつつつ使い魔さん!ちゃんと持って下さいっていったじゃないですか!」 半腰に皿の乗ったお盆を両手で抱えるという、かなり無理のある体制のため 足をプルプル震わせながら、上目遣いで使い魔に非難の声を上げる。 「つかんだ!」 使い魔はそれだけ言うと、再びお盆に手を掛けて持ち上げようとするが…全く持ち上がらなかった。 思わず貧弱、貧弱ゥ!と叫びたくなる。どうやらこの使い魔はシエスタより力が弱いらしい。 (やれやれだわ…………) シエスタは思わず心の中で嘆息した。 To Be Continued 。。。。?
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/710.html
発明! コルベールエンジンとタバ茶三号 長い円筒状の金属の筒に金属のパイプが延び、パイプはふいごのようなものに繋がり、円筒の頂上にはクランクがついていて、そしてクランクは円筒の脇に立てられた車輪に繋がっている。 という文を写していてよく解らない形状の物体を見て生徒達は首を傾げた。 何だこれ? と。 それはコルベールが持ってきたカラクリであった。 「これは私が発明した装置で、油と火の力を使い動力を得る装置です」 意味不明な説明を聞きまたもや首を傾げる生徒達。 油と火で動力って何よ? どういう理屈で何の役に立つものですか? つかこれ本当に魔法の授業? おもちゃ遊びするなら授業料返せ。 そんな冷たい視線を浴びてもコルベールはそしらぬ顔をしていた。 というか自分の発明品に酔い、生徒達の眼差しに気づかなかった。 自信満々に装置の説明を続ける。 「まずこの『ふいご』で油を気化させる。 するとこの円筒の中に、気化した油が放り込まれるのですぞ」 慎重な顔でコルベールは円筒の横に空いた小さな穴に杖の先端を差し込む。 呪文を唱えると断続的な発火音が聞こえ、続いて気化した油に引火し爆発音に。 「ほら! 見てごらんなさい! この金属の円筒の中では、 気化した油が爆発する力で上下にピストンが動いておる!」 すると円筒の上にくっついたクランクが動き出し、車輪を回転させ、箱についた扉を開く。するとギアを解してぴょこっ、ぴょこっと、中から蛇の人形が顔を出した。 「動力はクランクに伝わり車輪を回す! するとヘビ君が顔を出してご挨拶!」 終始意味不明理解不能の説明を聞き終え、キュルケが呆れた声で質問する。 「で、それがどうしたっていうんですか?」 紙タバコ製作のスポンサーにさえ理解されず、コルベールはようやく落胆した。 「えー、今は愉快なヘビ君が顔を出すだけですが、 例えばこの装置を荷車に載せて車輪を回させる。 すると馬がいなくても荷車は動くのですぞ! 例えば海に浮かんだ船の脇に大きな水車をつけて、この装置を使って回す! すると帆が要りませんぞ!」 「そんなの魔法で動かせばいいじゃないですか」 「諸君! よく見なさい! もっともっと改良すれば、何とこの装置は魔法が無くても動かす事が可能になるのですぞ! ほれ、今はこのように点火を『火』の魔法に頼っておるが、例えば火打石を利用して断続的に点火できる方法が見つかれば……」 コルベールは興奮した調子でまくしたてたが、生徒達は全員呆れていた。 このおっさん、いよいよボケたか? てな感じである。 だが一人だけ、講釈を終えたコルベールに拍手を送る者の姿があった。 承太郎だ。 「驚いたぜ……まさか本当に『エンジン』を作っちまうとはな」 それを聞いてコルベールは目頭を押さえ、涙をこらえた。 ああ、やっと解ってくれる人がいた。まあ承太郎なら解って当然だが。 「ダーリン。その『エンジン』ってすごい物なの?」 キュルケが訊ねると、承太郎はうなずいた。 「エンジンを発展させれば……馬より速く走る馬車や、風石なんぞに頼らず鳥よりも速く空を飛ぶ船だって作れる。 それこそメイジの魔法なんぞ子供騙しに思えるほどの物をな……」 「ふーん? とてもそんなすごい物には見えないけど……」 承太郎のフォローを聞いても、キュルケはいまいち理解できなかった。 あの蛇の人形が挨拶するだけのおもちゃが、そんなすごい物になるのか? 他の生徒達も同じような反応だ。 承太郎が異世界から来た事を知るルイズでさえ。 「ううっ、ジョータロー君。いつか君が言ったように、 この装置を使ってもっとすごい事をできるようにしてみせるよ。 君が話してくれた『クルマ』や『バイク』のようにね」 くるま? ばいく? 結局誰一人コルベールの偉業を理解できぬまま授業は終了した。 昼食の時間になると、承太郎だけじゃなくギーシュも食堂に現れなかった。 どうしたんだろう? ルイズはちょっぴり疑問に思う。 承太郎は多分厨房でメイドからご飯をもらっているんだろうけれど……ギーシュは? ギーシュは厨房の片隅で、余り物で作ったサンドイッチを食べて「ううむ」とうなった。 「これは……ンマ~い! ずるいぞジョータロー、いつもこんなおいしい物を独り占めか」 「やかましい。てめー等は食堂に出てる豪勢な料理があるじゃねーか」 「あっちよりこっちの方がおいしいのだ。むううっ、そこのメイド、おかわりだ」 空の皿を出されたシエスタは、快く返事をして新たにサンドイッチを作ってきた。 「いや、うまい、ホント、とっても美味、グルメに目覚めそうだね」 「で、こんな所で飯を食ってる理由は何だ?」 承太郎もサンドイッチをおかわりする。 「ああ、それなんだがね。あの『エンジン』とやらに君も関わってるそうじゃあないか」 「まあ……な」 「それで、本当なのかなと思ってね。メイジの力を使わず、馬車よりも速く馬を用いない馬車だとか、空を鳥よりも速く飛ぶ船だとか。 君の話ではすでにそういう物があるかのような物言いだったが……」 「信じなくていーぜ」 どうでもよさげに承太郎は答えたが、おかわりを持ってきたシエスタが瞳を輝かせた。 「ジョータローさん、ギーシュ様、いったい何の話ですか? メイジの力を使わずに、その、空を飛ぶ船とか、よく解らないんですけど」 やれやれだぜ、と承太郎は帽子のつばを下ろす。 「……一応、俺の故郷にはそういう道具があるんでな」 「ホントかね? 信じがたいが、いったいジョータローの出身はどこなんだ? 名前や服装から相当離れた場所から召喚されたようには思うが。まさか東方?」 「私、もっとジョータローさんの故郷の話が聞きたいです!」 二人にせがまれ、承太郎は面倒くさがったが、 久々にじっくり日本の事を思い返すのも悪くないと思って語り出した。 『異世界』『地球』『日本』といった単語は使わず曖昧に『故郷』の話として。 半信半疑ながらも結構驚きつつ話を聞くギーシュ。 全面的に信じてすっごく驚いて話を聞くシエスタ。 興味津々といったように瞳を輝かせつつコップを交換するタバサ。 話し疲れてコップの中身を一気飲みして盛大に吹き出す承太郎。 「ゲホッ!? ガハッ! グフッ! ……し、シエスタ。水を……!」 「えっ!? は、はい! 今入れ直してきます!」 シエスタは大慌てでテーブルから離れていった。 咳き込む承太郎と、顔にかけられた緑色の水をハンカチで拭うギーシュ。 「失敗」 テーブルの下から声がして、二人の視線が集中する。 そこには承太郎の水を飲みながら残念がるタバサの姿があった。 タバサが承太郎の水を飲んでいるという事は、承太郎が飲んだ水はいったいどこから現れたのだろうか? ギーシュは承太郎がテーブルに置いたコップを取って鼻を近づけてみる。 「この匂いは……はしばみ草だ」 「タバサ! どういうつもりだ!?」 承太郎に怒鳴られ、タバサは無表情のままテーブルの下から出てきた。 「……タバサ特製はしばみ茶三号」 略して『タバ茶三号』だ。そこ、変な想像しない。 「はしばみ草の絞り汁に甘い果汁を加えて飲みやすくアレンジ」 「……つまり……俺にはしばみ草を食わせたかった、って事か?」 うなずくタバサ。呆れるギーシュ。水を待ち焦がれる承太郎。 と、そこにシエスタが戻ってきた。 「お、お待たせしましたジョータローさん。……あれ? ミス・タバサ、いつの間に」 シエスタの疑問を無視して、タバサは厨房から立ち去ってしまった。 それに構わず承太郎はシエスタから水を奪い取り、一気に飲み干す。 「……ぐっ……はぁ、はぁ」 「あ、ジョータローさん。大丈夫ですか? キャッ!」 ジョータローが椅子から転げ落ち、床に這いつくばるという屈辱的な姿をさらす。 「頭痛がする。は……吐き気もだ……くっ……ぐぅ……。 な……何て事だ……この俺が……気分が悪いだと? この俺がタバサに茶を飲まされて……立つ事が……立つ事ができないだと!?」 「大袈裟だなジョータローは。そんなにはしば――」 「スタープラチナ!」 ギーシュが持っていたはしばみ茶のコップが猛烈な勢いでスタープラチナに掴まれ、さらにもう一方の手がギーシュのあごを掴んで無理矢理押し開きはしばみ茶を流し込む。 「ガボガボッ! ゲホゥ! み、水ッ!」 「え、ま、またですか!? 少々お待ちを!」 シエスタはスタンドが見えないのでコップが宙に浮いているように見えたが、とりあえずギーシュの危機と察し大慌てで再び水を汲みに向かった。 戻ってきたシエスタは、ギーシュに水を渡しつつ、承太郎が倒れた理由を訊ねてきたが、承太郎は頑として答えず、ギーシュにも厳重な口止めがなされ、コップも洗われたため、結局シエスタは承太郎が倒れた理由を知る事はなかった。 それが後にひとつの小さな奇跡を起こす。 でもそれはまだ先の話。 ちなみにギーシュは無事授業に復帰したが、承太郎はルイズの部屋で一日中寝込んだ。 すると夢の中で誰かが「貧弱! 貧弱ゥ!」と言ってきたので、そいつの口にはしばみ草のサラダをたらふくぶち込んで再起不能にしてやった。 夢から覚めてもそいつが誰かは思い出せなかったので、忘れる事にする承太郎だった。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6359.html
前ページ次ページ雪と雪風_始祖と神 アルビオン艦隊は、戦列艦はわずかに一隻、全てを合わせても五隻という、不自然なまでに少数の布陣であった。 しかも、旗艦を除けば全てが輸送艦という、定石を無視した布陣である。 いかにアルビオンが空軍強国とはいえ、トリステイン艦隊が相手だとしても、数の論理で圧倒されかねない。 そしてその旗艦、レキシントン号の艦尾に近い一角、艦長室の隣には、二人の少女が話の花を咲かせている。 「それでね、ミューズ。ワルドったら昨日もわたしの部屋に来て、なんて言ったと思う? "ルイズ、この花はね、死が二人を分かつまで、ともに咲き続けるんだ。そして、どちらかが命を失えば、もう一方も枯れてしまう。 愛しいルイズ、どうか、受け取ってくれないだろうか。僕と君とを死が分かつまで。ああ、愛しいルイズ、可愛いルイズ――" もう、最後のほうなんてわたしの名前を呼ぶばっかりで、仕方ないから、エア・ハンマーで吹き飛ばしてやったわ」 ミョズニトニルンは相槌を打ち、愛想笑いを浮かべる。 「あなた、男運ないわねー。それと、そのミューズってのやめなさい。ハルヒでいいわ。べつに、ミス・スズミヤでもいいけど」 ルイズの話に耳を傾けるのは、ミョズニトニルン、涼宮ハルヒであった。 表面上は意気投合したように見せかけているが、はっきり言って、 涼宮ハルヒにとって、ルイズの話、それ自体はつまらない。まったくもって、聞く価値もない。 それは、ルイズもまたハルケギニアの常識的な人間だったからかもしれないし、 今のルイズが操られていたからかもしれない。 しかし、それでも涼宮ハルヒがルイズの傍にいたのは、 ひとえにルイズが、伝説の虚無の使い手であるということを、ジョゼフやワルドから聞かされていたからであった。 涼宮ハルヒは始祖のオルゴールを託され、虚無の発動の鍵を握っている。 しかし、その大役が完全に自身の意思によるものではない、 任務として与えられたものであることが、彼女に割り切れない感情を抱かせていたのではあるが。 「つまんない……、わね。ハルケギニア……」 「そう? わたしは、これ以上に素晴らしい世界なんてないと思うけど?」 「そりゃあ、ルイズがそう思うのは自由よ。だけどあたしにとっては……。 魔法使いっていう超能力者だらけなんだもの。食傷気味にもなるわ。それに……ね」 「それに?」 「な、なんでもないわっ!」 「そう、ハルヒも、いるのね、そんな人が」 「そんなの気の迷いよ。体を持て余してるだけ」 「そう、かしら……」 ルイズは窓から、遠くトリステインの方角を見やった。 いっぽう、隣の部屋では、ワルド子爵がくだを巻いている。 「想定外……だった。アンドバリの指輪……、始祖の力で人の心をも操るというが、 言われてみれば確かにその通り、ルイズはアルビオン神聖皇帝に惹かれたのであって、 この僕に魅力を感じてなど、これっぽっちもいなかったのだ……。愛しいルイズ……、振り向いてくれ、ルイズ……」 ワルドは三本目のワインを空けた。 + + + アルビオン艦隊がトリステインへ向かっているとの情報が公式にもたらされたのは、 翌日の昼過ぎのことであった。急遽トリステイン全土から兵がかき集められる中、 魔法学院にも伝令の使い魔が飛ばされ、その事実が学院中に知れ渡ることとなる。 「来たな……。あとは、どこを上陸地点に選ぶかだが……」 タバサの部屋には、タバサと長門、才人の三人が集まっている。 「二つ考えられる。一つは、ラ・ロシェール。港湾設備を奪取する。 もう一つは、トリステイン各地に点在する草原地帯のうちどれか。無防備な点から攻める」 「そんなところか……。ただ、艦隊がどこに向かうかが分からないと、俺たちも動けない。 スヴェルの月夜を過ぎて、アルビオンからトリステインまでは、それなりに時間がかかるだろうけど」 「状況は常に動いている。すぐにでも動けるよう、準備しておくべき」 「――そうだな。馬の準備はしておくか……」 三人は連れ立って、女子寮塔の階段を降りる。 すると塔を出たところで、ばったりとギーシュに出くわした。 「よっ、ギーシュ」 「やあサイト。両手に花じゃないか」 「なあギーシュ、分かってて言ってるのか?」 「すまない……今のは失言だ。ところで、聞いたかい? 今、ギトーとシュヴルーズが話していたのを聞いたんだが、 やっぱりアルビオンの艦隊は、ラ・ロシェールに向かっているようだ」 「……そうか、やっぱりな」 「――サイト、きみは、戦場に向かうんだろう?」 「へっ、いや、俺は……」 「隠してもお見通しさ。なに、きみが薔薇だとすれば、その香りはルイズのためにあるようなもの。 どうせ、きみはルイズを助けに行くんだろう?」 「薔薇って言われても、俺はお前みたいな趣味はないぜ。ま、やろうとしてることは正解、ギーシュの言う通りだ」 タバサが才人の服の裾を引く。 「話しても大丈夫だって。ギーシュに見透かされてるくらいじゃ、隠したって仕方がないよ」 「な、なにを言うんだい、サイト!」 「まあまあ。それで、どうするんだ、ギーシュは? トリステインに殉じるために、アルビオンを迎え撃ちにでも行くのか?」 「……すまないが、遠慮させてもらうよ。僕には僕で、守らなければならない女性がいるからね」 「モンモンか?」 「そうやって簡単に名前を出すものではないぞ、サイト。――ただ、僕も、きみとルイズが学院に戻ってくることを、祈ってるよ。 ……ミス・タバサ、ミス・ナガト、サイトとルイズを助けてやってはくれないか」 タバサと長門は、決まりきった動作で小さく頷いた。それが、彼女達なりの、意思の示し方なのだろう。 ギーシュは右の手の平を高く掲げる。そして才人と手を打ち合わせ、乾いた音を立てると、塔の中へ去っていった。 「……ていうかギーシュ、女子寮塔に入ってったな。まあいいか――。でも、これで行き先は決まった。ラ・ロシェールへ――」 + + + 三人が馬を借りると、厩舎の外にはもう一人、馬に跨って待ち構えていた人物がいる。 「――キュルケ、やっぱり行くのか?」 「あたしもルイズを助けるのに協力するって言ったでしょう? もう、これ以上置き去りはごめんよ」 「ああ、悪かった……。そういやアルビオンに行ったときも、後から追いかけてきたんだもんな……」 「それで、ルイズはアルビオン艦隊についてきてるの?」 「ああ。長門さんが教えてくれた」 「そう――。さすがね、ユキ」 長門有希はキュルケに目を合わせるだけで、言葉を返さない。 しかしキュルケは、彼女のそんな様子に満足し、にっこりと微笑みかけた。 「……それじゃあ、みんな揃ったところで、出発するか」 その言葉に呼応し、タバサは自ら杖を掲げた。 才人はデルフリンガーを、キュルケと長門は杖を掲げ、馬上の四人は、ルイズを助け出すことを、改めて誓ったのだった。 + + + しかし、四人がラ・ロシェールへの道のりの半分ほどを走ったところで、 なにやら前方から、長く蠢く人の帯が近付いてきたではないか。 「なんだあれ。ラ・ロシェールから逃げてでもきたのか?」 「……そうでもないみたいよ。――あれは、トリステインの旗……ね?」 「軍隊」 「どうしてこっちに?」 その間にも、馬に跨った貴族の大群は、土煙を立て四人のいる場所へと向かってくる。 「ダーリン、とりあえず避けましょう」 「あ、ああ」 踏み跡から馬を除けると同時に、轟音とともに、馬の波が街道を埋め尽くす。 四人はただ、彼らが通り過ぎるのを見守ることしかできない。 「――あれは姫様?」 「ウェールズ王太子もいたわよ」 そして後には、元通り四人だけが取り残された。 いや、軍団が駆け抜けた後にも、ぽつぽつと隊列から落伍した貴族たちが通り過ぎている。 「キュルケ、タバサ、長門さん。次に馬が来たら、どこへ向かうのか聞いてみよう。 アルビオンの艦隊を向かい撃ちに行くはずだ」 才人の言葉に、他の三人も同意する。 痩せ馬に跨る下級貴族が近付いてくるのを見つけると、 四人の中で唯一、家格を名乗ることのできる貴族であるキュルケが併走し、事態を問い質した。 「ミスタ、いったいどうされましたの? ずいぶんと急いでおられるようですけど?」 下級貴族は息を切らせつつ、 「……ああ、謀られたんだ。もはやアルビオン艦隊には追いつけまい」 「何があったの?」 「奴ら、ラ・ロシェールに上陸すると見せかけて、素通りしたのさ。おそらく、兵を上陸させられる、適当な草原にでも降り立つつもりだろう」 「草原、ね。トリステインの方ではどこに目星をつけていて?」 「とりあえず一番近い、タルブの村に陣取るつもりだが、おれはもう本隊に合流できないな、はぁ……」 「ほらほら、頑張りなさいな。あなたも貴族でしょう? ――それじゃああたしは先に行くわ。ありがとね」 キュルケは、速度を落とし離れて走っていた三人の元に戻り、得た情報を伝える。 その内容に驚いたのは才人である。 「タルブだって?」 「あら、行ったことあるの、ダーリン?」 「いや、その、知り合いの平民が……」 「――しどろもどろになるってことは、女の子ね」 「ああ……、そうなんだ――」 「あらあら、ダーリンもこれで結構、情熱的なところがあるじゃないの」 「そんなんじゃないって。俺はルイズを助けに――。 だけど、シエスタにも世話になりっぱなしなんだ。放っちゃ置けない」 「それでいいのよ、ダーリン。その代わり、二人とも守るのよ」 「ああ。とにかく、俺たちもタルブへ向かおう。手遅れになる前に」 四人はもと来た道を引き返し、途中、別の街道へと折れる。タルブまではそう遠くはない。 + + + 四人よりも先に到着し、タルブ村にほど近い平原に陣取っていたトリステイン軍は困惑していた。 なぜなら、空中に浮かぶ五隻のアルビオン艦が、トリステイン軍を見下ろしつつも、兵も降下させず、何の攻撃も放ってはこないのだ。 かといって、地上からの攻撃も、高度をとるアルビオン艦隊には届かない。 「アンリエッタ、どのような事情があるかは知らないが、このまま事が運べば、こちらの艦隊が間に合うかもしれないな」 「ええ、ウェールズ様。ですが、これが罠でなければよいのですが――」 いっぽう、アルビオン旗艦、レキシントン号。 事実、五隻という少なすぎる艦隊、そして、攻撃を仕掛けないこと自体が、罠の筈であった。 そして作戦は、伝説の系統・虚無に、完全に依存し切っていたのである。 「ねえ、ルイズ、その箱って本当にオルゴールなの? あたしには何も聞こえないけど」 「わたしには聞こえるわ。蓋を開けると、虚無の魔法が歌になって頭に流れ込むの。それになんだか、心地よくなるような……」 「まああなたが聞こえるって言ってるんだから、聞こえてるんでしょうけど。 ジョゼフが言うには、それが聞こえるのが虚無の証拠だって言うけど、なんだか胡散臭いわねー」 ルイズとミョズニトニルン――涼宮ハルヒは、甲板に出て、トリステインの軍勢を見下ろしていた。 「あら、なんなら、イリュージョンの一発でも見せればいい?」 「あっ、それはダメ。ジョゼフに、最初の一発をトリステイン軍に放つまで、 絶対に他の魔法を使わせるなって言われてるの。ルイズ、精神力は大丈夫ね?」 「ええ。始祖のオルゴールを受け取って以来、何の魔法も使ってないわ。 アルビオン神聖皇帝のためだもの、多少の不便は忍ばなくちゃ」 涼宮ハルヒは、おそらく心の底からそう考えているのであろう、ルイズの発言に戦慄する。 そして、自身がなぜか存在している、この夢のような、理解しがたい世界に対して溜息を漏らすのであった。 「純粋ねー、ルイズは。――そろそろトリステインの竜騎士隊や幻獣隊が来るでしょうけど、 そっちは無視して、トリステインの艦隊が来るまで待つのよ。小物はワルドに任せればいいわ。一旦、中に入りましょうか」 二人が甲板の下に引っ込むと同時に、トリステイン側の竜、グリフォン、ヒポグリフ、マンティコア、それぞれの部隊が、 空を埋め尽くさんばかりに、アルビオンの五隻の艦へ突進するのを偵察員が確認する。 しかし、その情報が全艦に伝達されると、アルビオン側、旗艦を除いた四隻の輸送艦は、艦にある全ての開口部を開け放ったのである。 その中には、詰め込める限りの、アルビオンが誇る竜騎士隊が待機していた。 旗艦からは黒い風竜に跨ったワルドが飛び立ち、竜騎士たちの先頭に立つ。 「ルイズ、見ていてくれ、僕の戦いを。そして、忘れないでくれ。きみには、きみを守る騎士がいることを――」 しかしその頃ルイズは、ミョズニトニルンのハルヒとともに、ティータイムの真っ最中であった。 突如としてアルビオン艦隊を覆った竜騎士に、トリステインの空中各部隊は、半ば恐慌状態に駆られていた。 「まさか……、艦隊決戦を捨てて、われわれだけを潰しに来たとでもいうのか――?」 一説によれば、この戦法は後年、 ハルケギニアにおける大艦巨砲主義の終わりを先取りしたものであるとも指摘されているが、その評価は後世の歴史家に任せるとしよう。 + + + そして、遅れて到着したタバサ、長門、才人、キュルケの四人は、まさにその大空中戦を、真下から見上げる形になった。 「始まってる、か――」 「どうするの、ダーリン?」 「まず村に向かう。この調子じゃ、相手の兵士が降りてくるのも時間の問題だろう」 才人たちには、相手が端から降下を考えてなどいないことなど、知る由もない。 しかし一行がトリステインの隊列から逸れ、タルブの集落にたどり着くと、村の人々は既にほとんど出払い、 わずかに大荷物を抱えた村人が、森の中の小道へ分け入っていくのを目にするのみである。 才人はそのうちの一人に問いかける 「あの、どこに行くんです?」 「兵隊さんでしょうか?」 「うーん、ま、そんなもんかな」 「おお、よかった、よかった。これでこの村も守っていただける」 「ああ――、それで、村の人たちは、どこへ? 知り合いを探してるんだ」 「知り合いで?」 「シエスタっていうんだけど――」 「お、シエスタの知り合いですか。ということは、後ろの貴族様は、魔法学院の学生さまで?」 「ああ。俺は平民だけど」 「そうですか、そうですか。シエスタも、村の皆も、この奥のほこらに隠れておりますです。 着いてきてくだされ。馬は、引いてくれば大丈夫です」 四人は、村人に連れられ、村の裏に広がる暗い森へと進み入った。 しばらく木陰を進むと、突然視界が広がる。するとそこには、石造りながら、 それでいてどこか、才人や長門の世界の言葉でいえば、東洋風の雰囲気がただようほこらが鎮座しているではないか。 「ここが、村の守り神、竜の羽衣を祀ったほこらです」 「あ、ああ。ありがとう、案内してくれて」 村人は一礼して去っていった。 「サイトさーん!」 四人を見つけ、代わりに駆け寄ってきたのはメイドのシエスタである。 「シエスタ! よかった、無事か」 「ええ。……あの、助けに来てくれたんですね」 シエスタは才人の両手を取る。 「え、ああ……、まあ……」 するとシエスタは、才人の考えを見通していたように、 「ふふっ、分かってますよ。サイトの一番大切な人は、ミス・ヴァリエールですものね。 ――でもわたし、嬉しいです。サイトさんが来てくれて。そう思うのは構わないですよね?」 「あ、ああ。……ごめん、シエスタ」 そんな二人を観察しつつ、キュルケはタバサと長門に聞かせるようにして呟いた。 「あのメイドの娘、長生きするわね。燃え上がるような炎は感じないけれど、こうもしたたかだと、逆に尊敬しちゃうわ――」 「でもシエスタ、大丈夫なのか? いくら森の中とはいえ、上空から見たら、隠れていることになんてなりやしないぜ?」 「それは――、だいじょうぶなんです。竜の羽衣が、守ってくれていますから」 「竜の羽衣?」 「ええ。このタルブの村を守る、ご神体です。――こんなときですけど、見ていきますか? あのほこらの中です」 才人は三人へと振り向き問う。 「どうする?」 「いい。どちらにせよ、わたしたちは艦隊まで達する手段を持っていない。無為に過ごすより――」 「タバサの言うとおり、見上げるばかりでどうしようもないんだよな……。見せてもらってもいいか、シエスタ」 「はい!」 + + + シエスタに連れられほこらに入ると、家財道具を抱えた村人たちが、不安そうに身を潜めていた。 しかしそれよりも才人が釘付けにされたのは、ほこらの中央に安置されていた、竜の羽衣である。 長門有希でさえ、ぴくりと眉を動かす。 「これが……、竜の羽衣」 「はい」 才人は思わず手を伸ばし、ご神体に触れる。すると、その武器についての情報が、波となって頭に流れ込む。 「こいつ……、動くみたいだ……」 才人の得た情報を解説するかのように、長門有希が後ろで呟いた。 「……零式艦上戦闘機五二型」 「――タバサ、キュルケ、長門さん。この竜の羽衣があれば、ルイズを助けに行けるかもしれない」 「……あの、サイト――さん?」 「……シエスタ。これは、いったい?」 「はい、これは、わたしのひいおじいちゃんのもので……」 シエスタは、曽祖父から何度も話し聞かされた昔話を、才人に語った。 かつてこの飛行機に乗って戦争に行き、気が付いたらハルケギニアのタルブに不時着していたということ、 タルブに骨を埋め、その曾孫がシエスタだということ――。 「そうか――。シエスタ、率直に言う。シエスタのひいおじいさんは、俺の国の人だ」 「――ええっ!?」 「驚くのは分かる。だけど、この竜の羽衣は、元々俺のいた世界にあった、空を飛ぶ武器なんだ。信じられないだろうけれど――」 「……サイトさんの言うことなら、わたし、信じます。でも、一つだけ、確かめさせてもらっても、いいですか?」 + + + 四人とシエスタは、ほこらを出、その脇にある、石造りの墓の前に立っていた。 「――海軍少尉佐々木武雄、異界に眠る……」 ほぼ同時に、才人と長門有希の口から、墓に記された文面と全く同じ言葉が漏れ出た。 「……シエスタ、俺の世界の言葉だよ、これは」 才人は小さく漏らす。 長門有希も懐から一冊の文庫本を取り出すと、シエスタに差し出した。 「ミス・ナガト――? これは……。ええ……、わたしには読むことができませんが、 間違いなく、曽祖父が書き残したのと同じ文字です――。わたしたちには読めない文字で書かれた日記がありました……。 サイトさん、ミス・ナガト、やはりあなたたちは、ひいおじいちゃんとおなじ……」 「……ああ。このハルケギニアに迷い込んできたのは、俺や長門さんだけじゃなかったんだ」 長門有希は皆から離れると、木陰に咲いていた小さな花を摘み取り、墓前へ供えた。 「長門さん……。俺もなにか……」 すると長門有希は、地面に落ちていた小枝を拾い上げ、杖を差し向けると高速言語を詠唱する。 小さな枝は緑褐色の、細長い棒へと姿を変えていた。 「これを」 「……これは、お線香? ――キュルケ、火、借りていいか?」 「え、ええ。これでいい?」 キュルケの杖の先に灯った火に、線香の先をかざす。 才人は線香を墓石の前に奉げると、両手を合わせる。長門有希も同様である。 「ダーリン、これは?」 「……俺の国の風習だよ。キュルケたちも、祈ることってあるだろう?」 「ええ……、そうね」 始祖に祈るときと同じ形ではあるが、キュルケとタバサ、シエスタも、跪き、シエスタの曽祖父へと祈りをささげた。 「――サイトさん。ひいおじいちゃんの遺言があるんです」 「遺言?」 「はい。この墓の文字を読めたものに、竜の羽衣を与えるように、って。 ……竜の羽衣は、才人さんとミス・ナガト、二人のものです」 「……いいのか? シエスタ。もちろん、この零戦があれば、俺はルイズを助けられるかもしれない。 だけど、君の、いや、君だけじゃない、この村の皆が大切にしているものを、俺が――」 「いいんです。サイトさんは、愛するミス・ヴァリエールを救おうとしているじゃないですか。 ひいおじいちゃんも、そのためならば、許してくれるはずですよ。――わたしが小さい頃、言ってました。 ひいおじいちゃんは、竜の羽衣で戦争に行ったそうですね。だけど、自分が戦ったのは国のためでも、 ましてや敵が憎いからでもない、守りたい人がいるからだ、って。 サイトさんには、守るべき人がいます。ただそれだけで、十分です」 「……わかった。シエスタ。きみのひいおじいさんの命、俺に預けてくれ」 + + + シエスタが村人に事情を説明する中、才人は零戦に乗り込み、ほこらの扉が観音開きに開放される。 操縦桿を握ると、才人の全身に零戦の情報が流れ込んだ。 半世紀を経てなお、零戦の動作は完全である。唯一、燃料の残量を除けば。 「……長門さん、燃料がないんだ。ガソリンを錬金できないか?」 「――可能。タンクに水を詰めて。情報を再構成する」 「ちょっと、ユキ、水と油だなんていちばん遠いもの同士じゃない。そんな錬金、聞いたことないわよ?」 キュルケの言葉は、メイジにとっては通常の感性に基づくものである。しかしタバサが、彼女の肩に手を置く。 「ユキを信用して。だいじょうぶ、できる」 「サイトさん、これでいいですか? ほこらに隠れるために運んであった飲み水です」 「……ああ、ありがとう。すまない、村の大切なものなのに。――見ててくれ、竜の羽衣が飛ぶ姿を」 「ええ!」 長門有希がタンクの口に杖を差し込むと、タンクを満たした水が瞬間にガソリンへと変わる。 「……エンジンの始動を」 「よし……。生き返れ、竜の羽衣、そして俺に力を貸してくれ!」 竜の羽衣は六十年の時を忘れたかのように、爆音とともに巨体をうならせる。 そして、才人がスロットルを開けると、ほこらに吹き荒れる強風とともにゆっくりと動き出した。 緑色に輝く竜は、再びその姿を太陽の下へ露にする。 「竜の羽衣……、動いてる――」 村人たちとともに、シエスタもまた、初めて目にする生きた竜の羽衣の姿に言葉を失う。 だが零戦がほこらから出ると、才人は風防を開け、皆へと叫ぶ。 「……滑走距離が全然足りない! 飛ぶために広い場所が必要なんだ。なんとかならないのか?」 すると長門有希が進み出た。 「わたしが空間を作る。許可を」 「……行ってきて。ルイズをよろしく」 「了解した。平賀才人、同行する」 長門有希は零戦によじ登ると、操縦席の後ろに身を滑り込ませた。 「ダーリン、ユキ、頼むわよ! ルイズは目の前にいるんだから!」 「ああ! 三人で帰ってくるよ! 長門さんもだ。俺が守る」 そしてタバサは、零戦へと歩み寄り、杖でエンジンエンジンカバーの上をなぞった。 するとそこには、一行の文字が浮かび上がっている。 「タバサ、それは?」 「シルフィード、風の精霊。空に舞う者への加護を」 「……そうか、ありがとう、タバサ」 才人は、手を高く掲げる。 「よし、長門さん、頼む。やってくれ」 「了解した」 長門有希が言葉を囁くと、竜の羽衣は、ほこらの前から消失していた。 「消えた……? ダーリンもユキも、いったい……」 「ユキの力。二人は絶対に戻ってくる」 + + + 才人と長門は、地平線の霞む、灰色の空間にいた。しかしその中に一本、光の点が線となって伸びている。 「長門さん、ここは……?」 「わたしの情報制御下にある空間。この線が滑走路。この飛行機械が高度をとると同時に、もといた空間へ飛び出す。発進を」 「……わかった。行くぞ、長門さん」 二人を乗せた零戦は、一条の誘導灯に沿って速度を上げていく。 そして着陸輪が地面を離れ、脚が引き込まれたところで、二人の眼前に青空が広がった。 前ページ次ページ雪と雪風_始祖と神
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/126.html
学院! メイジとメイド その③ 承太郎がシエスタに案内されたのは、食堂の裏にある厨房だった。 コックやメイド達が忙しそうに働く様は、地球のそれと変わりはない。 厨房の隅の椅子に座らされた承太郎に、シエスタはシチューを持ってきてくれた。 「貴族の方々にお出しする料理の余り物で作ったシチューですが……」 「……ありがとよ、礼を言うぜ」 こっちの世界に来て初めて他者から優しく承太郎は、初めて精神的休息を取れた気がした。 そしてシチューを一口。 「ほう、こいつはうまい。色々な国を旅してみたが、こんなうまい物は初めてだぜ」 「ジョータローさんは他の国からいらしたんですか?」 「まあな。ちぃーと遠い所から、いきなり召喚されちまったって訳さ」 「大変ですね……。トリステインはどうですか? いい国でしょう?」 「まだ学院から出た事がねーから何とも言えねぇな……。 すまないがもう一杯もらえるか?」 「ええ、いいですよ。でもどうしてご飯抜きにされちゃったんですか?」 「メイジってだけで威張りちらしてやがるから、軽くケチつけてやっただけさ」 「勇気がありますわね……」 シエスタは唖然とした顔で承太郎を見つめた。 承太郎は空になった皿をシエスタに返し、ルイズにすら見せた事のない微笑を見せる。 「うまかったぜ、ありがとよ」 「よかった。お腹が空いたらいつでも来てくださいな。 私達が食べてるものでよかったら、お出ししますから」 「そいつは助かる。ついでにもうひとつ頼み事があるんだが……」 「何でしょう?」 「…………洗濯を、頼みたい」 「洗濯ですか? 他の方の分のついででよろしければ……」 「いや、洗濯してもらうのは俺の服じゃなく……俺を召喚した奴の物だ」 「ミス・ヴァリエールの?」 冷静沈着な承太郎も、さすがに頼みづらそうな口調で言った。 「学院の洗濯物はあんた達が洗濯しているとキュルケって奴から聞いてな、 そこであいつの服……も、洗濯してくれるとありがたいんだが」 さすが下着という単語を出すのははばかられた。 ポルナレフなら多分不自然に咳き込みながら小声で言いそうだが、 自分はそういうキャラクターをしていないという自覚が承太郎にはあった。 「はぁ……ですが生徒の皆様はご自分の魔法で洗濯していらっしゃいますが? いえ、ミス・ヴァリエールは、手洗いしているらしいですけど」 「……使い魔の仕事だと言われて、押しつけられちまってな。 言う事を聞くつもりはねーんだが……やっかい事もごめんなんでな」 「貴族の方のご指示でしたら、従うべきだと思います」 「…………」 承太郎は、目の前の無垢なメイドの言い分についに白旗を上げる。 こんな屈辱は多分、生まれて初めてだ。 ザ・サンのスタンド使いに騙された時より馬鹿らしい。 「だが……俺が女の下着まで洗うっつーのは……」 「あっ、ああ、それは確かに……わ、解りました。 ミス・ヴァリエールに下着……いえ、洗濯物を渡されたら、私に渡してください」 シエスタは赤面し、しどろもどろになりながらも了承してくれた。 こういうトラブルは自分のキャラクターじゃない、 ポルナレフのキャラクターだ、と承太郎は強く思った。 そして、仲間がいた幸福がどれほど素晴らしいものだったかを実感する。 もしここにポルナレフがいたら、彼が代わりにトラブルに遭っていただろう。 「すまねえ……心から感謝するぜ」 「いえ、困った時はお互い様です」 シエスタのしとやかで気配りのある対応に、承太郎は大和撫子を見た気がした。 「シエスタ。あんたに世話になりっぱなしってのも申し訳ねー。 もし俺に何か手伝える事があったら何でも言ってくれ、力になるぜ」 ルイズの身の回りの世話なんかお断りだが、シエスタの手伝いならしてもいいと思った。 「なら、デザートを運ぶのを手伝ってくださいな」 ケーキの並んだトレイを承太郎が持ち、シエスタがひとつずつ貴族に配っていく。 そんな事をしていると、金色の巻き髪に薔薇をシャツに刺したキザなメイジがいた。 周りの友人が口々に彼を冷やかしている。 「なあ、ギーシュ! お前、今は誰とつき合っているんだよ!」 「誰が恋人なんだ? ギーシュ!」 「つき合う? 僕にそのような特定の女性はいないのだ。 薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」 貴族っていうのはみんなこうなのかと承太郎は呆れたが、 彼のポケットからガラスの小ビンが落ちるのを見ると、一応教えてやった。 「おい、ポケットからビンが落ちたぜ」 しかしギーシュは振り向かない。 無視か? それとも単純に気づいてないマヌケか? 承太郎は床に落ちた小ビンを………………爪先で蹴飛ばした。 コツン。ギーシュのかかとに小ビンがぶつかる。 そこでようやくギーシュが振り向き足元を見た。 「落し物だぜ色男」 「これは僕のじゃない。君は何を言っているんだね?」 ギーシュが否定したため、事実彼のポケットから落ちた物だとしても、 これ以上とやかく言わ必要は無いだろうと承太郎は判断した。 だがギーシュの周りの友達が騒ぎ出す。 「その香水は、もしや、モンモランシーの香水じゃないのか?」 「そうだ! その鮮やかな紫色はモンモランシーが調合している香水だぞ!」 「つまりギーシュは今、モンモランシーとつき合っている。そうだな?」 「違う。いいかい? 彼女の名誉のために言っておくが……」 ギーシュが言い訳しようとすると、茶色いマントの女子生徒がやって来て泣き始めた。 「ギーシュ様……やはり、ミス・モンモランシーと……」 「彼等は誤解しているんだ、ケティ。僕の心の中に住んでるのは君だけ……」 パチン。ケティと呼ばれた少女がギーシュの頬をはたく。 「その香水が何よりの証拠ですわ! さようなら!」 ケティが去った後、今度はモンモランシーがやって来た。 「モンモランシー。誤解だ。彼女とはただ……」 「やっぱりあの一年生に手を出していたのね?」 モンモランシーはテーブルに置かれたワインをギーシュの頭にドボドボとかけた。 「嘘つき!」 と怒鳴ってモンモランシーは去り、沈黙が流れた。 ハンカチで顔を拭いたギーシュはなぜか承太郎を睨む。 「君が軽率に香水のビンなんか拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。 どうしてくれるんだね?」 「知るか、二股かけてるてめーが悪い」 ギーシュの友達はドッと笑ったが、ギーシュは眉を釣り上げた。 「いいかい? 給仕君、僕は君が香水のビンを蹴った時、知らないフリをした。 話を合わせるくらいの機転があってもいいだろう?」 「てめー……頭脳がマヌケか? 知らないフリをされた後、俺は一言も喋ってねーぜ」 また、ギーシュの友達がドッと笑う。 「それと俺は給仕じゃねぇ、服装で解りやがれ」 「ああ、確かゼロのルイズが呼び出した平民だったな。 平民に貴族の機転を期待した僕が間違っていた、行きたまえ」 「二股かけるてめーが悪いんだろうが。勝手に責任転嫁すんじゃねえ」 「どうやら君は貴族に対する礼を知らないらしいな」 「貴族ってだけで威張り散らす能無しに払う礼儀なんざ知らねーな」 「よかろう、君に礼儀を教えてやろう。ちょうどいい腹ごなしだ」 「おもしれぇ……やってみな」 ルイズは女だから殴らなかった。だがギーシュは男だから殴る。 旅をして大人になった承太郎だったが、売られた喧嘩から逃げるような真似はしない。 ギーシュはくるりと背を向けると、キザったらしく言った。 「ヴェストリ広場で待っている。ケーキを配り終わったら、来たまえ」 そう言ってギーシュは友達を連れて立ち去る。 承太郎はヴェストリ広場の場所をシエスタに聞こうとして、 彼女の表情が強張っている事に気づく。 「あ、あなた、殺されちゃう……。貴族を本気で怒らせたら……」 そう言い残し、シエスタは逃げ出してしまった。 入れ替わるようにルイズがやってくる。 「あんた、何勝手に決闘の約束なんかしてんのよ!」 「成り行きでな」 「あんた、謝っちゃいなさいよ。今ならまだ許してくれるかもしれないわ」 「……やれやれ。あいにく売られた喧嘩から逃げた事はないんでね」 「解らずやね。絶対に勝てないし、あんたは怪我するわ。 いいえ、怪我ですんだら運がいい方よ!」 「メイジとやらの腕前を見るいい機会だ。なぁに、何とかなるさ」 「メイジに平民は絶対に勝てないの!」 「ヴェストリ広場ってのはどこだ?」 ルイズを無視して、承太郎は自分を見張るために残っていたギーシュの友人に訊ねた。 「こっちだ。平民」 ケーキの乗ったトレイをテーブルに置いて、承太郎は彼に案内されるまま広場へ向かう。 メイジ……どの程度の実力かは解らないが、まだ半人前の学生が相手だ。 腕試しには丁度いいし、ギーシュをぶっ飛ばせば平民としての自分の評価も変わり、 待遇も改善されるだろうという考えもあった。 「ああもう! ほんとに! 使い魔のくせに勝手な事ばかりするんだから!」 承太郎の真の力を知らないルイズは、承太郎の敗北を確信しながら後を追った。 使い魔のご主人様であるという責任感を持って。 戻る 目次 続く
https://w.atwiki.jp/mimatsu/pages/82.html
ルイズ:釘宮理恵 平賀才人:日野聡 シエスタ:堀江由衣 ギーシュ:櫻井孝宏 タバサ:猪口有佳 キュルケ:井上奈々子 アンリエッタ:川澄綾子 モンモランシー:高橋美佳子 デルフリンガー:後藤哲夫 オスマン:青野武 ロングビル:木村亜希子 コルベール:鈴木琢磨 ヴェルダンデ、フレイム、ロビン、コウモリ:新井里美 マリコルヌ:時田光 フーケ:木村亜希子 ワルド:志村知幸(若い頃:鈴木達央) ウェールズ:山中真尋 スカロン:後藤哲夫 ジェシカ:樋口あかり クロムウェル:斉藤次郎 マリアンヌ:すずき紀子 タバサの母:土井美加 シュヴルーズ:すずき紀子 ケティ:鈴木久美子 ペリッソン:鈴木達央 スティックス:武虎 マルトー:魚建 モット伯爵:松本保典 チュレンヌ:魚建 ペルスラン:田原アルノ シエスタの父:魚建 1話 オスマン:青野武 ロングビル:木村亜希子 コルベール:鈴木琢磨 シュヴルーズ:すずき紀子 マリコルヌ:時田光 ヴェルダンデ:新井里美 ケティ:鈴木久美子 ベリッソン:鈴木達央 スティックス:武虎 男子生徒:山中真尋 女子生徒:樋口あかり 3話 デルフリンガー:後藤哲夫 マルトー:魚建 マニカン:井上剛 エイジャックス:山中真尋 4話 モット伯爵:松本保典 バグベア:新井里美 5話 衛士:武虎 6話 フーケ:木村亜希子 衛士:武虎 ゴーレム:今野康之 7話 スカロン:後藤哲夫 ジェシカ:樋口あかり チュレンヌ:魚建 コウモリ:新井里美 客:武虎、鈴木達央 妖精:鈴木久美子 8話 タバサの母:土井美加 ベルスラン:田原アルノ 9話 クロムウェル:斉藤次郎 10話 ワルド:志村知幸 水の精霊:高橋美佳子 若きワルド:鈴木達央 11話 ウェールズ:山中真尋 宿屋の主人:武虎 12話 マリアンヌ:すずき紀子 13話 シエスタの父:魚建 作品一覧 さ行
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7464.html
前ページ次ページ失われた世界から新世界へ 「多分、ここだと思うけど……」 眼鏡をかけた少年が、ドアの前で立ち止まった。彼の後ろには、ギーシュを肩に担いだモヒカンの超戦士が居た。 「多分ってな、どう言うこった」 怪訝な表情で超戦士が聞き返す。 「水の塔は、3階から6階までが医務室だからね」 そう言いながら、ドアを開ける少年。 「あ、いたいた」 室内に並ぶベッドの一つに、人が数人集まっていた。 ベッドに寝かされたルイズ、ルイズに向けて杖をかざしている教師らしき年かさのいった女、 椅子に座ってルイズの手を握るシエスタ、そして、ベッド脇の壁に背をもたせ掛けて腕組みをする金髪の超戦士。 「んじゃ、俺はこれで」 「ああ、ありがとよ」 モヒカンの超戦士の脇をすり抜けて立ち去ろうとした少年が、思いついたように足を止めた。 「ああ、それと」 「うん?」 超戦士が振り返ると、少年は指で眼鏡を押し上げて、 「こいつの事なんだけど──」 と、ギーシュを顎で示す。 「こんなんでも友達でね。イヤなヤツだけど、悪いヤツじゃないから、ね」 そう言って、少年は苦笑いした。 超戦士は、笑いもせずに淡々と答える。 「俺たちがこれ以上どうこうする事ぁねえさ。ま、お嬢ちゃんがどうするかは、知らねえがな」 その言葉に、小首を傾げ肩を竦めて応え、少年は踵を返した。 立ち去る少年の背中から、まだ白目を剥いているギーシュの顔に視線を移し、一度肩を竦めた後、超戦士は医務室に入った。 ノシノシと彼がルイズのベッドに近づいていくと、金髪の超戦士が顔を向けた。 「よう。どうだった」 相方の問いかけに、モヒカンの超戦士はニヤリと笑った。 「プレゼントがことの外気に入ったみたいでな。はしゃぎ疲れて、お休みになってるぜ」 そう言いながら、ギーシュをルイズの横のベッドに放り出す。つぶされた蛙のようなうめき声が出た。 「そいつぁ何よりだ」 苦笑いを返す金髪の超戦士。 「お嬢ちゃんは?」 真顔に戻って、モヒカンの超戦士が尋ねる。 ベッドに横たわるルイズは、苦しそうな顔をするでもなく、ただ眠っているように見える。 「心配ねえ。秘薬を使った魔法で、今夜には動けるようになるとよ」 「首の骨がやられてたのにか? 魔法ってのはすげえもんだな」 驚いたように、モヒカンの超戦士は口を開けた。 相方のその反応に、金髪の超戦士は肩を竦めて同調する。 「まったくだ。シルフィーの治療だって、こうはいかねえだろうよ」 声を立てて笑いあう二人の超戦士。 その時、ルイズが小さなうめき声を上げた。途端に声をひそめ、彼女の様子を伺う一同。 しかし、目を覚ます様子は無く、一同からため息がもれる。 「ミス・ヴァリエール……」 シエスタが、ルイズの手を握った両手を胸元に引き寄せ、祈るように目を閉じた。 それを見たモヒカンの超戦士が、怪訝な顔をして声を掛ける。 「ところで、メイドさんよ。お前さん、仕事があるんじゃないのか?」 すると、金髪の超戦士が困ったような顔をして肩を竦めた。 「俺もそう言ったんだがな……」 「私のせいなんです! 私があの時、声を掛けたから……。声を掛けなければ、よけられたかもしれないのに……。 私、ミス・ヴァリエールが完治するまで看病します! ううん、一生、一生お仕えします!」 最後の方は涙混じりになって言うシエスタ。 「……という事らしい」 やや呆れた声で、ため息混じりに金髪の超戦士が言う。 モヒカンの超戦士は、言葉に迷うようにうなった後、肩を竦めて、「ま、好きにするさ」 そう言うと、ギーシュの寝ているベッドに腰を下ろして足を組んだ。 この時、ギーシュが薄目を開けていた事には誰も気づかなかった。 ルイズが目を覚ましたのは、学生寮の窓から漏れる明かりがまばらになった頃だった。 軽くうめき声を上げて目を開いた彼女は、傍らで自分の顔を覗き込む三人に気づいて目を瞬かせた。 「な……なに?」 「良かった、気づかれたんですね!」 感極まったように言い、シエスタがルイズの手を強く握った。 「え? えーと……?」 いまだ醒めきらない目で三人の顔を順繰りに見ていくルイズ。 そんな彼女に、超戦士たちが笑顔を向けた。 「よく眠れたか? お嬢ちゃん」 「首の具合はどうだ?」 「首? ……ああ、そっか」 きょとんと丸くなっていた彼女の目が、暗く沈んだ。眉間に皺を寄せて目を瞑り、首に手をやる。 「痛むか?」 金髪の超戦士の問いに、ルイズはゆっくりと、確かめるように首を横に振る。 「痛くは……ないわ……」 「そうか、そいつぁ何よりだ。だが、しばらくはあまり無理はしない方がいいぜ」 「ああ。特に、ケンカまがいの無茶はな」 そう言って、モヒカンの超戦士がにやりと笑う。 その言葉を聞き、ルイズは閉じていた目を開いた。 「……あいつ──ギーシュは?」 「ここで寝てるぜ」 モヒカンの超戦士が一歩横に動き、後ろのベッドに顎をしゃくって見せた。そこには、放り出された時の 格好のまま、ギーシュが横たわっていた。 それを見とめると、ルイズは驚いたような顔になった。 「どうして……?」 「遊び疲れちまったみてえだな」 ひょいと肩を竦めて、モヒカンの超戦士が言う。 「はあ?」 困惑を顔に出して、ルイズが呆けた声を出す。 「使い魔さんがやっつけてくれたんです!」 そう言うなり、シエスタはルイズの手を離し、弾かれたように立ち上がった。 「ミス・ヴァリエール! 私、その、申し訳ございませんでした!」 そして深々と頭を下げる。 「え? え?」 ルイズの顔の困惑の色がさらに濃くなる。 「私が不躾に声を掛けたばかりに、ミス・ヴァリエールに大怪我をさせてしまって……。庇って頂いた恩も あるのに……」 ガバッと体を起こすと、今度は跪いて祈るように手を組む。 「どのような罰でもお受けします! どうか私を罰してください! そして、もしお許し頂けるのならば、 お仕えさせてください! ミス・ヴァリエールに生涯尽くします!」 そう涙ながらに訴えるのだった。 「ちょ、ちょっと待って……」 相変わらず困惑した顔のまま体を起こしたルイズは、制するように片手を挙げ、もう一方の手を額に やって目を瞑った。時折小さく頷きながら黙考していた彼女だったが、ようやく目を開けると、まず 超戦士たちに厳しい視線を向けた。 「あんたたち、貴族に手を出したの?」 ひょいと肩を竦めて小首を傾げるモヒカンの超戦士。 ルイズの眉間に皺が寄り、口が開いた。 「あのねぇ──」 「私のせいなんです!」 「ちょ──」 超戦士たちに小言を言おうとしたルイズにかじり付くように、シエスタが身を乗り出した。思わず のけぞるルイズ。 「使い魔さんたちは何も悪くありません! 罰するなら私を、どうか私を打ってください!」 「お、落ち着きなさいよ、あんた!」 涙を飛び散らせながら迫るシエスタに、顔を引きつらせながら押し返すルイズ。 二人がそんな押し問答をしていると、医務室の扉が開けられた。 「騒がしいですぞ。医務室では静かになさい」 そう言いながら、コルベールがルイズのベッドに歩み寄る。 それまで泣き喚いてベッドにのしかかっていたシエスタが、さっと身を引いて控えた。 「怪我の具合はどうですか、ミス・ヴァリエール」 ベッドサイドに立ってそう尋ねるコルベールに、ルイズは沈んだ声で応える。 「障りありません。ご心配をおかけしました」 うん、と一つ頷いて、中年の教諭は眼鏡を掛け直した。 「では、今回の件について処分が決まりましたので、申し渡します」 ルイズが唇を引き締める。 「ミス・ヴァリエール、ミスタ・グラモンの両名に、固く禁じられている決闘行為に及んだ罰則として、 三日間の謹慎処分を課します。それに加え、ミス・ヴァリエールについては、使い魔が貴族に対して 危害を与えた事による罰則として、七日間の謹慎処分を課します。今後、風紀を乱す行為を厳に慎み、 使い魔の管理を徹底すること。以上」 「寛大な処置に感謝すると共に、このような不祥事を起こした事を心から謝罪し、深く反省いたします」 目を瞑って胸元に手を当て、深く頭を下げるルイズ。 それを見てもう一度頷き、コルベールは踵を返した。 「ちょいと待ってくれ」 ドアに向かって歩き始めた教諭を呼び止めたのは、モヒカンの超戦士だった。その顔には、困惑の色が あった。 「この坊やに手を出したのは俺だぜ? なんで俺はお咎め無しでお嬢ちゃんが罰を受けるんだ」 足を止め、振り返るコルベール。こほん、と咳払いをして、彼は話し始めた。 「使い魔の手柄は主人の手柄、使い魔の不始末は主人の不始末、という事です。このトリステイン、いえ、 ハルケギニアでは、使い魔の賞罰はそのまま主人の賞罰となります」 モヒカンの超戦士が盛大に舌打ちした。 「余計な事しちまったって事かよ」 「そう言う事よ。謹慎七日間なんて、軽いほうだわ。下手すればあんた、打ち首になってたかも 知れないのよ?」 刺々しくそう言って、ルイズが睨む。 「悪かった。謝るぜ」 「早いとこ、ここの水に慣れねえとな。お嬢ちゃんに迷惑を掛けちまう。荒事ばかりやって来た根無し 草にゃ、ここの澄んだ水は上等すぎて気後れしちまうが」 重くなった空気を変えるようにそう言い、金髪の超戦士はコルベールに声を掛けた。 「ところで、コルベールさんよ。俺たちの事を調べると言ってたが、何か分かったか?」 「ええ! それがですな──」 顔を輝かせてそこまで言ったコルベールだったが、そこではたと口をつぐみ、ばつの悪そうな顔に なって咳払いした。 「ゴホン……えー、いえ、残念ですが、これと言って何も、と言いますか、えー……」 怪訝な顔をする超戦士たちの視線を避けるように泳ぐコルベールの目が、シエスタを捉えた。 「あ、ああ! 君、君はシエスタですな?」 突然声を掛けられ、目を丸くしながらも、シエスタが返事をする。 「は、はい」 「メイド長が君の事を探していましたぞ。早く戻った方がよろしい」 シエスタの顔から、音を立てて血の気が引いた。口元に手を当て、よろめく。 「おっと、どうした?」 金髪の超戦士が、そのまま倒れそうな彼女の肩を掴んで支えた。 コルベールがしかつめらしい顔つきで首を振る。 「いやぁ、あのメイド長は厳しいことで有名ですからな。君が無断で仕事を抜けた事に、相当お冠の 様子でしたよ」 そう言ってから、彼はわざとらしく笑顔を作った。 「ですが、話の分からない人ではない。君にも事情があるようですから、私からとりなしてあげましょう。 ささ、行きますぞ」 これで話は終わった、とばかりに踵を返し、コルベールは足早にドアに向かった。いまだに顔色の 戻らないシエスタも、慌てたように後を追う。しかし、あ、と小さく声を出して振り返ると、ルイズに向かって 深々と頭を下げた。 「本当に申し訳ありませんでした。失礼いたします」 部屋を出てドアを閉める際にもう一度深く頭を下げ、シエスタは去っていった。 「……変な子」 遠のいて行く足音を聞きながら、ルイズがポツリと呟いた。 「責任感があるんだろ。いい事さ」 「ま、ちょいと思い込みが激しすぎるがな」 ニヤリと笑ってモヒカンの超戦士が言うのへ、ルイズが睨みを飛ばす。たじろいだように、超戦士が 口をへの字にして肩を竦めた。 深く大きなため息をつき、ルイズは毛布を払ってベッドから降りた。 「部屋に戻るわ」 そう言いながら、靴を探すために下げていた視線を戻した彼女は、隣のベッドを見て動きを止めた。 ギーシュは、寝息すらほとんど立てずに横たわっている。 「……こいつの怪我は?」 ルイズの視線を追ってギーシュを振り返ったモヒカンの超戦士は、ルイズに向き直ると口元に笑みを 浮かべて言った。 「心配ねえ。ちょっとしたむち打ちだ。そいつは医者が治療して、今はただ寝てるだけさ」 「そう……」 答えを聞く間も、ルイズはギーシュから視線を外さない。口を引き結び、拳を握る。 「どうするんだ? 横槍が入っちまって、決着はまだついてねえだろう」 彼女の緊張した様子に、金髪の超戦士がそんな風に水を向けた。 ルイズは彼に目を向けたが、何も言わずに顔をそらし、窓を見た。 「決着はついたわよ。わたしの負け。あの時、あんたたちが来なかったとしても……」 「……そうかい。ま、お嬢ちゃんが納得してんなら、それでいいやな」 つづく 前ページ次ページ失われた世界から新世界へ
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2245.html
ゼロと使い魔の書 第六話 かちゃり、とスプーンを置く音が、活気ある厨房の中でやけに大きく聞こえた気がした。 「ありがとう、とてもおいしかった」 琢馬はいつもと変わらぬ様子で、隣のシエスタに告げた。 「ふふ、お粗末さまでした。また食事を抜かれてしまうようなことがあったら、いつでもいらして下さい、タクマさん」 「恩に着る。ところで何か俺でも手伝える事はないか?ご馳走になりっぱなしというのも気が引ける」 今まで他人に気を遣うといったことがあっただろうか。この世界にきてから色々と初めての体験が多い。それら全ては、 その時抱いた感情とともに革表紙の本にあますことなく記されていく。できれば、後から読み返したくなるような記述を残したいものである。 「そうですね……でしたら、デザートを運ぶのを手伝ってくださいな」 手伝いの内容は過去の体験を思い返す必要もない、シエスタがケーキを配る間、銀のトレーを持っているというごくごく簡単なものであった。 中央のテーブルに差し掛かったところで、耳障りなはやし声が聞こえてきた。 「なあ、ギーシュ!お前、今は誰と付き合ってるんだよ!」 取り巻きの中央の金髪の少年に、その言葉は向けられていた。 少し、意外に思った。中世の貴族が付き合うといったら結婚前提で、軽々しく誰それに乗り換えるなんてことは絶対にない事だと思っていたが、どうやらここら辺の事情は今までいた世界とあまり変わらないらしい。 「つきあう?僕にそのような特定の女性はいないのさ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」 肩をすくめる動作と共に吐き出されたセリフに周りの友人がややあきれたような笑みを返しているところを見ると、一夫多妻というわけでもないらしい。 友人の反応まで総合すれば、普通の高校の教室でも充分ありえそうな光景である。 彼らの盛り上がりが最高潮に達したのと、シエスタが彼らにケーキを配るのとはほぼ同時であった。 大げさな身振り手振りを交える金髪の少年のポケットから見覚えのある小瓶が落ちる。確かモンモンランシーという女学生が昨日廊下の影で彼に渡していたものだ。 「シエスタ、一人で配るのは大変かと思うが、先に行ってくれるか?」 シエスタは小瓶に視線を落とし状況を理解したようで、軽くうなずくと一人でケーキ配りを続けた。 「落とし物です。旦那様」 拾ってよく見ると、きらきらと朝の光を反射した紫色の液体はとても美しかった。 しかし、金髪の少年は自分が思ってもみなかった行動に出た。 「これは僕のじゃない。君は何を言っているんだね?」 声色や表情から、そしてThe Bookの記述から、はっきりと嘘だと分かった。 この金髪の少年が何を考えて今のようなことを言ったのか。大方この小瓶が誰かと付き合っている証拠となるような代物で、それを誰にも知られたくないがために嘘をついたといったところだろうが、 別にそんな経緯には興味がない。が、ここでただ引き下がるのは自分の記憶力を否定されたようで面白くない。 「失礼しました。私はてっきり、昨日モンモランシー様が『あなたのために調合したの……愛しているのなら受け取って、ギーシュ』というお言葉と共にギーシュ様に渡されて、 『もちろんさモンモランシー。薔薇のように美しい君からのプレゼントを受け取らなかったら、きっと始祖ブリミルの怒りに触れてしまうだろうね』とギーシュ様がおっしゃったものだと思っていましたが、 私の勘違いのようで、申し訳ありません」 金髪の少年の顔は始め赤くなり、続いて青くなり、最終的ににごった白色になった。 「意外!それはモンモランシー!」 「気取ったこと言ってると愛想つかされるぜ!」 「違う。いいかい?彼女の名誉のために言っておくが……」 再び喧騒に包まれるかと思われたが、茶色いマントの一年生がギーシュのところまで来て涙目で恨みがましい視線を向けたことで一瞬にして沈下した。 「ギーシュ様……やはり、ミス・モンモランシーと……」 「彼等は誤解しているんだ、ケティ。僕の心の中に住んでるのは君だけ……」 「このきたならしい阿呆がァーーッ!!」 その一年生は外見からは想像できない嫉妬に狂った咆哮をあげると、何も入っていないワイングラスで金髪の少年を殴りつけた。 幸いというべきか、ガラスの破片は少年だけに突き刺さったようだった。 一年生が元の席に戻るのと入れ違いになるように、金色の巻き毛の少女が少年のもとにやってきた。 ガラスで切ったらしい傷を押さえながら、少年は続いてやってくる人物に目を見開いた。 「モンモランシー。誤解だ。彼女とはただ……」 「やっぱりあの一年生に手を出していたのね?」 「いや、だから……」 「この二股かけて遊んでる堕落した男がァーッ!!」 少女は空の皿で少年の頭を殴りつけた。広間の誰もが注目するようなひどく大きい音と共に皿は割れ、少年はテーブルへ突っ伏した。 静寂が食堂の一角を支配する。 取り巻き達が囃し立てるかと思ったが、彼らはお互いの顔を見合わせるばかりで何も言おうとしない。さすがにいたたまれなかったらしい。 「あのレディたちは、薔薇の存在の意味を理解していないようだ」 ポケットからハンカチと薔薇を取り出すと、少年は顔の血を拭い、こちらを睨みつけた。 「おい、君、こちらへ来たまえ」 薔薇を軽く振りながら言った。 一歩踏み出すと同時に、少年はいきなり拳で殴りかかってきた。よけられたが、よける必要性を感じなかった。クレイジーダイアモンドのラッシュを受けた自分にとっては ものの数には入らない。 拳が左頬に入る。鈍い音がしたが、大したことはなかった。しかし造花のとげで切ったらしく、一筋の血が頬を流れる。 「痛いか、平民。君はその程度の怪我で済んでいるが、君のおかげで二人のレディが傷ついてしまったんだぞ?」 短い、息を呑むような音が聞こえた。見るとシエスタがこちらを見ていたらしく、口を手で覆っていた。心配そうな顔をしていたので、とりあえず落ち着かせることにした。 「おい、なんて顔してる。不安なのか?ケーキ配りなら、悪いがもう少し待ってくれ。俺はちょっとこのマンモーニと話があるんだ」 彼女を仕事に戻そうとしたら、少年が割り込んできた。 「おい、今なんて……」 「まあまてよ。新しくいくつか言葉を覚えたからって、人の話に割り込むのはマナー違反だ。落ち着いて彼女に説明させてほしい。あとでちゃんと君の話は聞いてあげよう。それともなにか?いそいでいるのか?専属のベビーシッターでも待たせているのかい?」 そう言うと、少年の顔に血管が浮き出てきた。どう反応するか少し興味があったが、怒り方は貴族も何も関係ないらしい。 もう一回殴りかかってくる、かと思いきや、少年は無理に落ち着けるように肩を上下させ深呼吸すると、憎しみがこもった視線を自分へ向けただけだった。少し意外だった。 「いいだろう……貴族に対するその口のききかた、勇気だけは認めてやろう。だがお前、『覚悟』はあるんだろうな?」 少年は薔薇を琢馬へ突きつけた。 「これからお前に『決闘』を申し込む。五分後、ヴェストリの広場でだ。よもや逃げたりしないだろうね?」 「五分だな。わかった」 気取ったしぐさで立ち去る少年を眺めていると、後ろから声をかけられた。 「タ、タクマさん、あ、あなた殺されちゃう……」 シエスタだった。もうケーキは配り終えたらしい。 「それほど、強いのか?」 「貴族の方を本気で怒らせたら……」 「なら、シエスタは人に責任を押し付けるような人間に、命乞いするべきだと?」 シエスタは唇を噛んで迷うような素振りを見せた。きっと、この世界では貴族と平民の格差は絶対なのだろう。自分と住んでいた世界が違うこの少女はおそらく、自分の問いに答えることができない。 だがそれでも考えを変えるつもりはなかった。 「命乞いするような人間は、一生負け犬なんだ」 琢馬はシエスタに背を向けた。 ヴェストリの広場がどこにあるかは知っていた。一瞬、ルイズのことが頭に浮かんだが、関係ないと考え直し、食堂の出口へと向かった。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2604.html
前ページ次ページゼロと聖石 脱出艇が無事にラ・ロシェールに付き、安堵する間も無くシルフィードを王都に向けて飛ばす。 その道のりでふと思う。 シエスタのサジタリウス然り、アルビオンの宝物庫にあったアクエリアス。 そして私のヴァルゴ。 もしかして、これら聖石以外もなにかこちらの世界に来ているのかもしれない。 たとえば、アルテマの知識にある旧文明の遺産とか。 なーんて、そんなわけ無いか。 若干気楽に考えつつ、シルフィードの上から景色を楽しむのだった。 一方そのころ学院では。 「これは、一体?」 「へぇ、畑から出てきたんでさぁ。何か分からないから調べてくれんかのぉ」 コルベールの前に転がっているのは巨大な鉄球。 所々に穴が開いていたり突起が出たりしている。 近くある農村の畑から掘り起こされたものを解析の為に持ち込まれたものだ。 杖で叩くと金属独特の音が響きわたる。 かといって鉄のような音はしない。 ためしにフレイムボールを当ててみるが、焦げ目一つ無い。 大丈夫なのか? と触ったこっちが手のひらを火傷してしまう有様だ。 畑から掘り起こす際にクワで思いっきりぶつけたが、クワのほうが折れたと言っている。 すなわち、鉄以上に硬い物質ということになる。 私はそんな物質を見たことが無い。 ふと気になって、窪みの一つをよく見てみる。 どこかで見覚えのある模様がペイントされている。 どこかで見覚えのある記号――― 思い出した、ミス・ヴァリエールの召喚した石だ! そう思った瞬間、彼はこの鉄の塊を研究室に運ぶように指示しておいた。 あらかじめ情報を収集しておいたので、王宮上空の飛行禁止を知ることが出来た。 もしもシルフィードで飛んでいったら最悪撃墜だろう。 城の入り口で身分と謁見理由を尋ねられたので、素直にヴァリエール家の三女、「手紙の件」とだけ伝えておいた。 アンリエッタ様ならそれだけで謁見を許可するだろう。 案の定、謁見許可が下り、私だけが部屋へと案内される。 「待ってください、ルイズ様。皇子様は名誉に殉じたと、お伝えください」 分かっている。 私が眠らされている間にそんなやり取りがあったのだろう。 ウェールズ様は、シエスタに誇りを託したのだろう。 本来なら私ではなく、シエスタが伝えるべき言葉を噛み締める。 「必ず、伝えるわ」 待合室に皆を待たせ、私は謁見室へ向かった。 「そうですか、あの子爵が裏切り者でしたか…」 アンリエッタ様に事のあらましを説明する。 ラ・ロシェールの奇襲、ウェールズ様との会話、そしてワルドの裏切り。 全て語り終えた後、アンリエッタ様は深くため息を付いた。 そして、私は手紙と風のルビーを渡す。 さまざまな思いの篭った指輪と手紙が、思いを届けたい人の下へと渡った。 「ウェールズ様は名誉に殉じたと。この場には居ない、一人の騎士が受け取った最後の言葉です」 この思いも、彼女の元へと還っていった。 この言葉を彼女がどう取るかは、全て彼女しだいだ。 私に出来ることは無い。 一礼し、机の上に水のルビーを置こうとして、止められる。 「それは貴女が持っていてください、ルイズ。私が貴女に与えられるのはそれだけですから…」 断ろうとしたが、押し切られてしまったので結局持って出てきてしまった。 待合室に戻るとシエスタが真っ先に駆け寄ってきて、伝えられたかどうか聞いてきた。 間違えることなく伝えたといって、待合室を後にした。 ギーシュが僕のことは話していたかい? と聞いてきたので片鱗すら出なかったと言っておいた。 灰になっていたが気にしない。 ミス・ヴァリエールはオールド・オスマンからの指示で公欠扱い。 同じような石を持っているシエスタも同じく休暇扱い。 いきなり八方塞がりだ。 聖石にどこまでの力があるか知らないが、これに取り付けたらどうなるのだろうか? いや、その前に私の魔力で動かせないかどうか調べてみよう。 杖を模様部分に当て、全力で魔力を注ぐ。 血管が、浮き出るくらいにまで全力を費やす。 超えろ、コルベール! 自らの限界を超えるんだ!! ぬずうぉりゃああああああああああ!!! 動き始めた! 球体が震え、内部に格納されていた何かが飛び出す。 足だ、するとこれはゴーレムだったのか! これは大発見だ!! と思った瞬間に緊張の糸が切れた。 魔力が完全に切れ、全身から力が抜ける。 恐る恐るゴーレムの方を見やると、止まっていた。 球体から足を生やした状態で。 それを見て思わず笑ってしまう。 このゴーレムは一体どんなものだろうかと、期待に胸を膨らませつつ。 さすがにシルフィードの移動速度は速い。 あっという間に学院に到着。 シルフィードを撫でてやり、オールド・オスマンに経過報告をしに行こうと思った瞬間、 「ミス・ヴァリエール! シエスタ君!」 人型の輝く物体、コッパゲが接近してきた。 いや、コルベール先生だ。 全体的にくたびれてる様に見える。 というかいつもより頭の輝きが薄い。 「ぜひとも見てほしいものが! 急いで来てください!」 私達はそのままコルベール先生に引きずられていった。 キュルケは一眠りするといい、ギーシュはモンモランシーに会って来ると言って別れ、ついてきたのはタバサだけだった。 コルベール先生の研究室は一言で言うと、臭い。 カビとか埃とかそういったものが発する臭いだ。 あたりには秘薬や標本などが散らかっており、いかにもズボラな人の部屋といった感じだ。 そして、その部屋の中央にある奇怪なオブジェ。 球体に足を生やしたような不思議な物体。 「見てほしいのはこれなんだ。魔力を動力とするゴーレムらしいのだが、私の魔力を費やしても動かせなかった」 そのことに興味を持ってタバサが観察をしている。 「模様が刻まれている窪みに杖を当てて、魔力を込めると動くのですが―――」 タバサが魔力を込めると、軽く震えるように動き始めるが、それ以上の変化は無い。 「このように、並大抵の魔力では動かないんだ。どうも調べてみると君の召喚した石が関係あるようだが…」 私はその模様を見ようとして、聖石がいきなり煌いた。 それも、強力な魔力を放って。 窪みの模様と聖石の模様は違う。 ためしにはめてみたが、反応は無かった。 それを見て、シエスタが近づくと、胸元からより一層激しい魔力波と光を発する。 ただ、それはシエスタの持つ聖石の緑ではなく、淡い水色。 胸元からシエスタが聖石を二つ取り出す。 一つはいつもの緑色の聖石、もう一つは淡い水色の聖石。 「ウェールズ様からいただいたアルビオンの聖石、アクエリアスです」 私にその聖石が渡される。 私がはめろという意味か。 窪みに聖石、アクエリアスをはめる。 周囲にまぶしい光を放ちつつ、足だけのゴーレムから手が生え、頭が出てくる。 ずんぐりむっくりした体を動かし、余剰魔力を光として排出する。 そこに立っていたのは、旧文明の遺産、鉄のゴーレムだった。 「システム セットアップ カンリョウ! カクブ イジョウナシ!」 いきなり平坦で微妙に抑揚の無い声で喋りだした。 これは魔力の充電を終了したという合図なのか? 「ゴメイレイヲドウゾ、ゴシュジンサマ!」 コルベール先生は狂喜乱舞しながら各部を観察している。 タバサはコルベール先生と共に観察しているが、落ち着いている。 「ルイズ様、何か命令を出してみては?」 「そうね……踊ってみなさい!」 その言葉にコルベール先生がずっこける。 タバサもこっちをアホの子を見るような視線だ。 「み、ミス・ヴァリエール、その命令はいくらなんでも」 「でも踊ってる」 タバサの発言にゴーレムを見ると、確かに踊っている。 命令を聞く、ガーゴイルに近い特性を持つマジックアイテムなのか? しかし、それだったらなぜアレだけの魔力を蓄えた聖石が動力源なのか? 疑問は尽きない。 「でも、このゴーレムって強いんでしょうか?」 「ワタシハ トテモ ツヨイデス!」 強いと自己申告されても、正直反応に困る。 自称強いにろくなものがない。 だから、いたずらの意味も込めて、 「コルベールをやっつけろ☆」 「ル、ルイズ様、いくらなんでもそれは」 「リョウカイシマシタ! タイショウ コルベールヲ ショリシマス!」 へ? と思うのもつかの間。 胴体から大砲が三門せり出し、コルベール先生に向かって魔力の光を放つ。 着弾、爆風。 爆煙が消え、そこには倒れ伏しているコルベール先生。 シエスタは顔を青くし、タバサは冷静に今の攻撃を解析している。 私はというと、 「わーっ! フェニックスの尾! フェニックスの尾!!」 慌ててフェニックスの尾を道具袋から取り出すのだった。 前ページ次ページゼロと聖石
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/144.html
あの後ルイズは、駆けつけた他の教員によって、罰として魔法を使わずに教室を掃除するように言いつけられた。 と言っても、『ゼロ』であるルイズにとってはあまり意味はなかったが。 シュヴルーズは医務室に運び込まれて、その日は二度と教壇に立つことはなかった。 (また……やっちゃったんだ…私) ルイズは煤だらけになった教壇を拭きながら思った。 いつものパターンだった。 クラスメイトがルイズを『ゼロ』とバカにするのはいつものことだった。 ルイズだって、そんな中傷にいちいち反応すべきではないと分かっている。 だが、一度スイッチが入ってしまうと、歯止めが利かなくなってしまうのだ。 昔からそうだった。 内側から沸々と湧き上がる暗い感情を抑えられない。 ルイズは自分の未熟に自己嫌悪した。 これもいつものことだった。 つまり、いつもとなにも変わっちゃいないのだ。ルイズは教壇を拭きながら、自分の使い魔を垣間見た。 机にめり込んでいる小石を1つ1つ器用に抉りだしていた。 ルイズはこの時だけは、人型の使い魔を召喚したことを感謝した。 拭き掃除があらかた終わったルイズは、雑巾を絞りながら、DIOに聞いた。 「これでわかったでしょ。私がどうして『ゼロ』って呼ばれてるか…」 DIOは最後の石粒を抉り出しながら答えた。 「あぁ、十分に分かったとも。仮初めとはいえ、君が私の『マスター』にとしての資格ありということが…」 「はぁ?なに分けわかんないこと言ってんのよ…?アレ見てそんなこと思う要素があったわけ?」 もちろんだとも、とDIOは答えた。 「…ルイズ。君はもっと、自分を解放する術を磨くべきだ」 ルイズの頬に、さっと朱がさした。 見られていたのだ。 ニヤつきながらシュヴルーズを蹴り回していたルイズを。 「あ、アレは…!その、その場の空気というか、勢いというか…と、とにかく私の本心じゃないんだからッ!」 しどろもどろで否定するルイズに、DIOはニヤリと笑い、教室を出ていった。 「掃除は終わったな、『マスター』。先に食堂に行っているよ」 DIOの言葉が教室に響いた。 『だが、『マスター』。君には資格はあっても、権利なんかないのだよ…』 雑巾とバケツを両手に持ったまま、DIOを見送ったルイズは、1人ぼやいた。 「あいつ、やっぱり私のこと馬鹿にしてるでしょ…」 食堂にたどり着いたルイズは、DIOの横にドカッと座った。 テーブルはDIOが座っているところから前後左右二つずつスッポリ開いていた。 遠くのクラスメイトは"平民の分際で…"と囁きあっていたが、自分からDIOにそこをどけと言いつける勇気はないようだ。 ぼーっとDIOの食事模様を眺めるルイズは、DIOが食べているのは早退したマルコリヌの分だとばっかり思っていたが、どうやら違うということに徐々に気づいた。 何というか、自分たちの食事の内容と比べて、幾分質が高い気がする。 ていうか明らかに質が高い。 うまそうだ。 それに気づいたルイズは"ご主人様を差し置いて"と怒鳴りつけたが、DIOはそれをあっさり無視した。 やることなすこといちいち完璧なDIOにムカついて、ルイズはワインを飲んだ。 ―――そして、顔をしかめた。 いつものと違って、少し酸味が強すぎる気がすると思ったのだ。 本当にわずかな違いだったので、気のせいだとも思った。 しかしこれは…… 「…………………」 判断がつきかねて、ウンウン唸っているルイズを、DIOはじっと見つめていた。 そうこうしていると、ルイズの背後から1人のメイド服を着た少女が近づいてきた。 そのメイドは、DIOの横に歩み寄ると、恭しくお辞儀をした。 その手には籠が下がっており、中には一本のワインボトルが入っていた。いかにも高級そうなボトルだった。 「失礼いたします、DIO様。ワインをお持ちしました。アルビオンの四十年物でございます。 料理長のマルトーが、お出しするようにと」 お口に合えばよろしいのですが……、と言うメイドに、DIOは黙ってグラスをメイドの方にやった。 トクトクと軽やかな音をさせながら、ワインが注がれた。 DIOは一通り香りを楽しんだ後、クイとグラスを傾けた。 少しの沈黙の後、DIOは一言うむ、と頷いた。メイドは深々とお辞儀した。 「なかなか良いのを置いているじゃあないか。気に入った」 「光栄でございます。料理長も喜びましょう」 「彼によろしく伝えておいてくれよ」 「かしこまりました」 再びお辞儀をするメイド。 ルイズはそのやりとりに、あんぐりと口を開いた。 頭がフラフラした。 開いた口がふさがらない。 こいつの高慢ちきぶりには慣れたつもりだったが、これはもう予想外だ。 なにをやってるんだこの使い魔は……。 ルイズはとりあえず、DIOの横に相変わらず控えているメイドに怒鳴った。 「ち、ちょっと平民!何勝手に人の使い魔を餌付けしてるのよ!」 その怒鳴り声で、初めてルイズに気づいたというように、メイドはルイズに体を向けた。 DIOがメイドに何やら伝えると、そのメイドはスカートの端を摘んで礼儀正しくお辞儀をした。 「これは、ミス・ヴァリエール、失礼を。 ……わたくし、DIO様の身の回りのお世話をさせていただいております、シエスタと申します。どうぞ、お見知りおきを」 ルイズはうぐっと言葉に詰まった。 憎々しいくらいに完璧な礼だった。 隙のないシエスタを責めるのは不利と判断したのか、ルイズはその矛先をDIOに向けた。 「DIO!なによ、このメイドは!召喚されて早々女の子に唾付けてたってわけ!?」 DIOはグラスを置き、やれやれと言った風にルイズに答えた。 「あぁ…彼女か?宝物庫に入る時に知り合ってね。 色々運び出すのを手伝ってもらったんだ。その時からのよしみさ」 石像を部屋に運んだのも、彼女だよ、と言うDIOに、シエスタは"恐縮です"とお辞儀した。 ウソッ!?とルイズはシエスタを見た。 線の細い、華奢な体をしている。 姿勢正しくピンと背筋を伸ばしている。 胸は……デカい。 しかし、とてもあの重そうな石像を運べるほどの腕力があるとは、思えなかった。 ていうかアイツはうちの食堂で奉公しているはずじゃなかったか? ルイズは目の前の状況について行けそうにもないと思った。 頭がどうにかなりそうだった。 (えぇい、無視無視!!私は何にも見ていない!) ルイズは現実逃避を決め込み、昼食に集中することにした。 ちょうどその頃、ルイズ達の席から少し離れたところで、数人の貴族が1人のキザそうな貴族を冷やかしていた。 取り巻きなのだろうか、彼らは口々にそのキザな 少年に話しかけていた。 「なあ、ギーシュ!お前、今誰と付き合っているんだ?」 「誰が恋人なんだ?ギーシュ?」 キザな少年はギーシュというらしい。 彼はすっと唇の前に指を立てた。 「つきあう?僕にそのような特定の女性はいないんだ。 薔薇は、多くの人を楽しませるためにあるんだからね」 自分を薔薇に例えているあたりが救いようがなかった。 ふと、ギーシュのポケットから、ガラスでできた小瓶が転がり落ちた。 中に紫色の液体が揺れるその小瓶は、コロコロと、DIOのほうに転がっていった。 だが、小瓶がDIOの足にぶつかる直前に、シエスタがそれをすっと取り上げた。 無感情な視線をギーシュに向け、シエスタは彼に近づいた。 「小瓶が落ちました。ミスタ・グラモン」 お辞儀をして、小瓶をギーシュの机の上に置いた。 そのお辞儀は、先ほど彼女がDIOにしたものに比べると、随分と素っ気ないものだったのだが、ギーシュは彼女の言葉を否定した。 「これは、僕のじゃない。君は何を言っているんだね?」 しかし、その小瓶の出所に気づいたギーシュの友人たちが、大声で騒ぎだした。 「おお?その香水はもしや、モンモランシーの物じゃないか?」 「そいつがギーシュのポケットから落ちてきたってことは、つまりお前は今、モンモランシーと付き合っているんだな?」 「違う。いいかい、彼女の名誉の為に言っておくが……」 ギーシュが何か言いかけたとき、後ろのテーブルに座っていた一年生の少女が、ギーシュの方に歩いてきた。 そして…… 「ウソツキッ!」 少女はギーシュが言い訳をする前に、彼の頬をひっぱたき、走り去っていった。 ギーシュは頬をさすった。 すると、遠くの席から、金髪の見事な巻き毛の少女が立ち上がった。 俯いて、表情が見えないまま、かつかつとギーシュの席までやってきた。 「モンモランシー。誤解だ。ケティとはただいっしょに、ラ・ロシェールの森へ遠乗りしただけ…」 ギーシュが言い終わらないうちに、モンモランシーはその目からポロポロと玉のような涙を流し始めた。 ギーシュはてっきり叩かれるものと思っていただけに、モンモランシーの反応が意外だった。 モンモランシーは俯いて泣きながら、一言「ひどい……」と呟いて、そのまま走り去っていった。 普段の快活で強気な彼女を知っているクラスメイトたちは、モンモランシーが周りを省みずに泣き出したことに衝撃を受けた。 彼女がよほどショックを受けているのだということが容易にわかった。 クラスメイトはギーシュに非難の目を向けた。 刺すような視線を感じながら、ギーシュは居心地が悪そうに言った。 「あのレディたちは、薔薇の存在の意味を理解していないようだ」 モンモランシーたちに責任を転嫁するギーシュに、クラスメイトは呆れた。 シエスタは一通りの出来事を無関心に見届けると、DIOの側へ戻ろうとした。 が、 「待ちたまえ」 ギーシュが引き止めた。シエスタは再びギーシュの方へ向き直った。 「君が軽率に、香水の瓶なんかを拾い上げてくれたお陰で、二人のレディの名誉に傷がついた。どうしてくれるんだね」 どうやら全ての責任をシエスタに押しつけるつもりである。 シエスタは眉一つ動かさずに言った。 「は?おっしゃる意味が、分かりかねます。ミスタ・グラモン」 全く動揺しないシエスタに、ギーシュは段々いらつき始めた。 「ふん!平民如きに、貴族の機転を期待したのが間違いのようだな」 「……もうしわけございません、ミスタ・グラモン」 事務的なシエスタの返答が鼻についたのか、ギーシュは頬を痙攣させながら、杖を取り出した。 「そこに跪きたまえ。貴族に対する礼儀をおしえてやろうじゃないか」 「……………………」 シエスタ無言で跪いた。 (あーあ、ありゃ完璧切れてるわね) ルイズはその様子を肘をつきながらぼんやりと見やった。 ま、私には関係ないけど、と思いながら、ルイズはチラッとDIOの方を向いた。 「どうするの?あなたの専属のメイドさんが大ピンチよ?」 からかうように言うルイズに、DIOはワインのグラスをテーブルに起きながら、ニヤリと笑った。 「…そうだな。メイドの不始末は、主人の…このDIOの責任だろうよ」 白々しいと思いながらも、DIOの言葉にルイズも笑った。 奇しくもDIOと似たような笑みだった。 「さ、私がどれだけ苦労してるのか、せいぜい実感してくるといいわ」 ルイズの言葉を皮切りに、2人して同じ調子で 「「クックックックッ」」と笑った。 影がゆっくりと立ち上がった。 to be continued…… 21へ
https://w.atwiki.jp/moejinro/pages/1372.html
4日目 Navi さわやかな朝がやってきました 自宅にて jinjahimeさん の遺体が見つかったようです… 3 (GREEN) ROWLEYS ありがとうございますー 2 (ゾンビ部屋) PEPPERMINT ほー 5 (お肌ケア) Mrチキン あぶねぇぇぇぇ 3 (GREEN) あまる ww 3 (GREEN) リュファ TELL係きめとくべきかも。 jinjahime ( ゚∀゚)・∵. グハッ!! Navi 村人の皆様、今日もがんばってください Navi 昼の部スタートです 1 (なび村) リュファ 【おはよう占い】水晶球には、ひるねをする蜜蜂が映っています・・・ちゃわんむしさん、○です!! 2 (ゾンビ部屋) メギ 狼は狐探しっぽいですねぇ 1 (なび村) みずもぐら 【占いCO:シキワロス ○】 1 (なび村) ちゃわんむし ええ!?うーんなんでそこなんだろう?私をあやしく見せるためとしか… 1 (なび村) シキワロス おはようっす! 1 (なび村) みずもぐら 占い理由:占いは2~3日後にローラー?って発言してる、かつちょっと寡黙なシキワロスさんが気になったので占い。ちょっとあからさますぎるから違う気もするけど 1 (なび村) amotan じんじゃさんが・・・ 1 (なび村) シキワロス んー・・・ 1 (なび村) BBL 正直メタ無しでもROWさん寡黙気味で気になっていたので吊ってみたいです 1 (なび村) ちゃわんむし ええええううう!?これ、なんか嬉しkうないよー!? 1 (なび村) yukomac ううむ・・・ 1 (なび村) みずもぐら 占い履歴:るりな○ シキワロス○ 1 (なび村) ROWLEYS ( ´゚д゚`)エー しゃべってるよぅw 1 (なび村) シキワロス 俺に○か・・・ 1 (なび村) ウツボン まとめ役か・・・ 1 (なび村) Lumiya 白いですな 2 (ゾンビ部屋) jinjahime めいどいーん 1 (なび村) こるくびん また白進行ですね 1 (なび村) ラエスリール んー 1 (なび村) ちゃわんむし うーんとじんじゃさん昨日は 1 (なび村) BBL あとちゃわんむしさんも怪しかったんだよな 1 (なび村) glimmakin そうですねー 1 (なび村) ちゃわんむし 私とラエスさん疑ってたです 2 (ゾンビ部屋) jinjahime そろそろ噛まれると思ってた 1 (なび村) ラエスリール リュファさん理由 1 (なび村) ちゃわんむし ログみましたが信頼云々てやっぱりわからないですー・・・ 1 (なび村) こるくびん 理由がほしいところ 1 (なび村) あまる まずROWさん吊ろうぜ、で、次はチキンさん 1 (なび村) xあいx どうもリュファさんは理由が無い 1 (なび村) cozy 身内切りで信頼度アップですね 1 (なび村) ちゃわんむし あからさますぎますー!!。・゚・(ノД`)・゚・。 1 (なび村) るりな 身内切りで信頼度大幅ダウンです 2 (ゾンビ部屋) ナイトコスモ つりは2回とも失敗ぼいですね 1 (なび村) ROWLEYS (((( ;゚д゚))))アワワワワ 2 (ゾンビ部屋) ナイトコスモ いらっしゃい 1 (なび村) シキワロス メタよくねぇww 1 (なび村) glimmakin wwwwwww 1 (なび村) MB ROWLEYSさんを黙って吊りたい 1 (なび村) シキワロス っと。 1 (なび村) glimmakin それいっちゃらめwwww 1 (なび村) ちゃわんむし こるくさん・あいさんは発言少なすぎです 1 (なび村) ラエスリール 確かに信用云々が謎だったんで聞きたかったんですが、噛まれてしまいましたねえ 1 (なび村) Mrチキン 2日目から人外アピールして、ちょっとあやしめのリュファさんから○だされてるのがミエールさん囲い疑惑 1 (なび村) こるくびん メタは推理放棄でもありますしねー 2 (ゾンビ部屋) jinjahime メギさんはステだったけど村目だなぁ 1 (なび村) リュファ あ、理由は昨日霊媒の件でもめてたからです。 1 (なび村) cozy 信頼度上げたいの? 1 (なび村) シキワロス 俺に○ってことはいつ食われるかわからないから 1 (なび村) ちゃわんむし 昨日も確認くらいしか喋ってません、ここを吊りたいです 1 (なび村) シキワロス 【漆黒の闇】 霊 媒 C O ! 【真実の光】 1 (なび村) Mrチキン 3日目か 1 (なび村) Lumiya メタはあれですがROWさん吊りはありですのう 1 (なび村) yukomac !? 1 (なび村) xあいx お? 1 (なび村) るりな とはいってもほおっておけんですw 1 (なび村) みずもぐら 推理つぶやきか、会話か分からんから、占うより吊りたいかなー 1 (なび村) Lumiya おやおや 1 (なび村) glimmakin え、ここで? 1 (なび村) BBL いやメタなくてもROWさん潜伏気味だから吊ってみたいです 1 (なび村) こるくびん あれ、結構喋ってるつもりなんですけどね 1 (なび村) あまる お 1 (なび村) ちゃわんむし 【霊媒CO】ナイトコスモ●メギ○ 1 (なび村) みずもぐら メタ部分でこういうのは好きじゃないが 1 (なび村) こるくびん あれ? 1 (なび村) あまる 黒でも出たの? 1 (なび村) yukomac なんだと!? 1 (なび村) シキワロス 二人とも○だったけど。潜伏死はやだからね 1 (なび村) glimmakin むむ 1 (なび村) あまる あれ 1 (なび村) みずもぐら はい 1 (なび村) リュファ え? 1 (なび村) amotan おや 1 (なび村) シエスタXX 会話的に微妙だったね 1 (なび村) amotan 二人? 1 (なび村) ラエスリール ほー 1 (なび村) Lumiya あら、ダブルで霊媒? 1 (なび村) xあいx はい? 1 (なび村) みずもぐら 黒出てるのに 1 (なび村) ウツボン ROWさん吊り推しの理由は寡黙だから? 1 (なび村) ROWLEYS エー、これでも結構しゃべってるんだけどなぁ 1 (なび村) あまる ちゃわんむしさん霊媒!? 1 (なび村) ちゃわんむし まさか対抗がここで出るとは…もうちょっと潜伏してたかった 1 (なび村) Mrチキン え?●? 1 (なび村) glimmakin ちゃわんむしさん偽かなw 1 (なび村) シキワロス ナイトコスモ○ メギ○ 1 (なび村) yukomac すでに●吊れてるだと! 1 (なび村) みずもぐら 昨日は出てこないの 1 (なび村) ラエスリール ちゃわんむしさん、黒なのに出なかった理由をどうぞ 1 (なび村) MB あぁ 死んだ霊候補2人ですからここでCOもありだと思いますよ ただ、できれば朝一がいいですが 1 (なび村) xあいx ●で何故出なかった? 1 (なび村) MB え 1 (なび村) ちゃわんむし はい。実はもう一人黒が出るまで隠れてようとおもってました 1 (なび村) シキワロス おほwww対抗でてた 1 (なび村) BBL ですね ROWさん吊り>ウツボンさん 1 (なび村) Lumiya なんじゃこれ 1 (なび村) ウツボン ●なら霊媒出てくださいよー 1 (なび村) こるくびん それで噛まれたらどうするつもりだったの 2 (ゾンビ部屋) jinjahime ちゃわんむし狐かな~ってきがするんだよね 2 (ゾンビ部屋) PEPPERMINT いらはい 1 (なび村) ちゃわんむし 一回目の段階で出ていれば確実に狼さんにぱくりです 1 (なび村) リュファ いっぺんに2人・・・ 2 (ゾンビ部屋) jinjahime おじゃまします 2 (ゾンビ部屋) メギ 基本的に私は村でも狼でもそんなに言動が変わらないタイプですが 1 (なび村) ちゃわんむし それならまだ潜伏していたほうが安全だろうと思いました 1 (なび村) yukomac やばいぽあにっく 1 (なび村) xあいx 発表前にぱくりも考えられたでしょ 1 (なび村) シキワロス そろそろ○噛んでくる時期だからさ。●はないけど出たんですよ。 1 (なび村) MB ちゃわんむしさんから果てしない狂アピっぷりを感じますが… どうしましょうか 1 (なび村) みずもぐら 個人的にちゃわんむしさんは信用度0だな 1 (なび村) BBL ちゃわんむしさん信じられないな 1 (なび村) シエスタXX おなじく 1 (なび村) こるくびん とりあえず放置でいいと思いますが 1 (なび村) るりな わるいこ! 1 (なび村) glimmakin 信用はもぐらさんから白貰ってるシキさんの方が圧倒的ですねw 1 (なび村) ちゃわんむし これはあからさまに相手のほうが囲いです!うわーーーんリュファさん真とか信じたくなかったー!! 1 (なび村) ウツボン それにナイトさん黒○のときCOする時間はたっぷりあったじゃないですかー 1 (なび村) Mrチキン これ、シキワロスさんが真 ちゃわんむしさん狼く リュファさんが囲いくさい気が少しします 1 (なび村) ラエスリール 両占い師の占い対象が霊媒だったとか笑えないですね 1 (なび村) みずもぐら ナイトさんが狼なら、あの次点で霊能COして吊り回避してもいい状況のような 1 (なび村) ちゃわんむし あからさますぎますってー! 2 (ゾンビ部屋) jinjahime だから、ちゃわんむし占ってほしいとあれほど 1 (なび村) ちゃわんむし みんな冷静に考えてー! 1 (なび村) あまる なんか混乱してきた 1 (なび村) ROWLEYS 会話おっかけるだけで精一杯だけど、ちゃわんむしさんが霊COってことなんですよね 1 (なび村) シエスタXX 他に霊でないの? 1 (なび村) xあいx 冷静に考えたら、それこそ●で出るでしょ 1 (なび村) BBL 2日目にあれだけ霊媒COすべきとか聞いていたのに●出て出ないのはおかしいと思います 1 (なび村) MB なんでちゃわんむしさんは対抗を占ったみずもぐらさんが偽とか言ってるんですかね 1 (なび村) あまる シキワロスさんも霊媒COしてます 1 (なび村) ちゃわんむし こるくさんとあいさんの寡黙はどうお考えですか? 1 (なび村) yukomac 最初から●出たら出にくいような気もするけど・・・ 1 (なび村) ちゃわんむし だって偽以外のなんでもないじゃないですか・・ 1 (なび村) ウツボン シキワロスさん一応霊媒結果張っといてもらえますか 1 (なび村) シキワロス ナイトコスモ○ メギ○ 1 (なび村) xあいx 寡黙といわれてるけど、発言してるよ? 1 (なび村) ちゃわんむし 私白のリュファさん真で。 1 (なび村) こるくびん それでもちゃんと出ないと 1 (なび村) シキワロス 一応二回目っすね。 1 (なび村) Mrチキン むしろ寡黙寡黙って情報もってる狼がおしていってるようにみえます 1 (なび村) cozy 個人的にはって、もぐらさん視点シキさん真霊媒じゃないですか? 1 (なび村) MB 対抗狂がないとおもってるってことですか?>ちゃわんむしさん 1 (なび村) るりな ぶっちゃけメモがおいつかんです 1 (なび村) ちゃわんむし さすがにヒトコトも喋ってないひとは村じゃないですよ 1 (なび村) ラエスリール 対抗狂人だったラもぐさんが真でもあり得るよね、ちゃわんむしさん視点 1 (なび村) ちゃわんむし はい、そうです<MBさん 1 (なび村) BBL ●出たと言う貴重な情報を出さない理由は何だと思いますか?>yukomacさん 1 (なび村) あまる まさか霊媒二人とも人外ってことないよね? 1 (なび村) MB なんでだ 1 (なび村) シエスタXX なんか騙りが少ないねぇ 1 (なび村) yukomac 一気にロラ開始が早まった 2 (ゾンビ部屋) jinjahime ん~あいさん、狼目でみてるんだけど・・・ 1 (なび村) こるくびん 個人的にちゃわんむしさん吊っちゃいたいな 1 (なび村) glimmakin あーそれもありえますけど 1 (なび村) シキワロス 二人そろって人外だと思うならロラでもいいっすよ 1 (なび村) ちゃわんむし これ絶対狐さんいるですよー! 1 (なび村) glimmakin そうするとシキさんは狂ってことになるかな? 1 (なび村) ラエスリール 霊媒に狂人がいることを考えるとどちらが真とも言い難い。 1 (なび村) BBL シキさんは真か狂で見ています 1 (なび村) ちゃわんむし ローラーはじめるならしてもいいです…一人黒でましたから 1 (なび村) Lumiya 霊媒潜伏死で両方騙りってこともありますのがなんとも 1 (なび村) こるくびん どうします? 1 (なび村) シキワロス どうだろ。俺が狂人だったとしたらできすぎた話でいってるといわせてもらうかな? 1 (なび村) シエスタXX コスモさんが●なら狼騙りにでれないのかな 1 (なび村) ちゃわんむし それで偽物がつれるなら本望です! 1 (なび村) ラエスリール ロラならちゃわんむしさんからだけど 1 (なび村) yukomac ロラは3日後くらいに開始がいいかな 1 (なび村) glimmakin もし狂ならベストポジションですけど大勢に影響は無いですねw 1 (なび村) xあいx いや、一人の●でロラを許容されても困るんだよ? Navi 5分経過(後2分) 1 (なび村) Mrチキン ちゃわんむしさん吊りたいな 1 (なび村) ウツボン ロラするにしても後2日泳がせられるね 1 (なび村) glimmakin 真目で見てます 1 (なび村) yukomac 役職は少しでも生かしておくのです! 1 (なび村) ちゃわんむし じんじゃさんがなぜ噛まれたのかよくかんがえてください! 1 (なび村) あまる 今回狼って3匹だっけ? 1 (なび村) ROWLEYS 今日から3日後にロラってことですねん 2 (ゾンビ部屋) jinjahime ラエスンが人外くさいなぁ 1 (なび村) ちゃわんむし ラエスさん保護も考えられませんか? 1 (なび村) シキワロス 俺視点4匹 1 (なび村) ROWLEYS 4匹だったかと 1 (なび村) BBL 時間が少なくなってきたので指定をお願いします 1 (なび村) amotan 4匹だったかと 1 (なび村) あまる あえれ 1 (なび村) yukomac 3か4 1 (なび村) リュファ 4匹ですよ。 1 (なび村) みずもぐら 狼3 1 (なび村) あまる まちがえたーー 1 (なび村) みずもぐら あれ 1 (なび村) みずもぐら 4? 1 (なび村) ラエスリール とりあえズ共有さんの意見も見たいかな 1 (なび村) るりな 4でしょ 1 (なび村) ちゃわんむし 狼は4のはずですー 1 (なび村) みずもぐら GMどっち 1 (なび村) BBL 狼4ですよ 1 (なび村) こるくびん とりあえず吊りをきめたいな 1 (なび村) シエスタXX 4だよ 1 (なび村) ラエスリール 4ですね 1 (なび村) みずもぐら 4か 1 (なび村) glimmakin 4ですよー 1 (なび村) xあいx 最悪4を見たい この状況だと。 1 (なび村) こるくびん 4です 1 (なび村) yukomac もともと狼は4です 1 (なび村) ウツボン それに信頼度の関係上、ロラしなくてもいいかもしれないしね・・・ 1 (なび村) ちゃわんむし みずさんそれはないよー 1 (なび村) ちゃわんむし 真なら狼把握しててください。真ならね。ないけど 1 (なび村) BBL どちらを真で見ているのですか? 1 (なび村) MB どっちにしてもちゃわんむしさんをものすごく釣りたいです でもその前にROWLEYSさんの霊判定を見たい 1 (なび村) ちゃわんむし くーもぐらさん真だとおもってたのに 1 (なび村) cozy rowさん吊りでいいんでしょ 1 (なび村) Lumiya とりあえず吊り指定をっ 1 (なび村) glimmakin まあもぐらさん=シキさん本線でいいと思います Navi あと1分 1 (なび村) yukomac 今日はROWさん吊り? 1 (なび村) ちゃわんむし 指定おねがいしますー… 1 (なび村) ウツボン そういや今まで1人指定だったけど、2人くらい指定した方がいいかな? 1 (なび村) MB ちゃわんむしさんがみずもぐらさんを偽で決め打ってるのが村側視点に見えない 1 (なび村) ラエスリール ちゃわんむしさん、ラエス保護ってどういうことかな 2 (ゾンビ部屋) メギ なんか今回のラエスさんは 決定を先送りにしてる印象ですかね? 1 (なび村) ラエスリール 説明求む 1 (なび村) ちゃわんむし はい、昨日じんじゃさんは 1 (なび村) シエスタXX 一人でいいよ 1 (なび村) BBL 時間ないのでとりあえず決めましょう 1 (なび村) cozy もぐらさんが私を占うかどうかは、もぐらさんに任せます 1 (なび村) みずもぐら 二人指定は、潜伏露呈するのはやいよ、共有の潜伏 1 (なび村) ちゃわんむし ラエスさんと私のライン?を疑っていました 2 (ゾンビ部屋) PEPPERMINT あやしいっちゃーあやしいですね! 1 (なび村) シキワロス もし、指定ができないならロラでいいっすよ。 1 (なび村) あまる ちゃわんむしーもぐらライン? 1 (なび村) ウツボン チキンさんとBBLさんの2択でおねがおそんます 1 (なび村) ウツボン お願いします 2 (ゾンビ部屋) jinjahime ですね。よくわからないところに、話題振ったり 1 (なび村) ラエスリール はい? 1 (なび村) glimmakin ちゃわんむしさん視点もぐらさんの真偽不明なはずですよねw 1 (なび村) シキワロス あ、了解 1 (なび村) あまる 了解 1 (なび村) こるくびん 了解ですー 1 (なび村) BBL 指定了解しました 1 (なび村) Mrチキン いいけど、わたし? 1 (なび村) ちゃわんむし ラエスさん狼なら納得がいくかみなんです Navi 20秒前 1 (なび村) ちゃわんむし 指定把握 1 (なび村) Lumiya あら、2択 1 (なび村) xあいx 指定了解です 1 (なび村) yukomac COありますか! 1 (なび村) ラエスリール 二択了解 1 (なび村) ちゃわんむし じんじゃさんがかめれば私をSGにできて 2 (ゾンビ部屋) jinjahime ペパーさんほどじゃないけどね! 1 (なび村) glimmakin 二択? 1 (なび村) Mrチキン いえ、なんでかなーくらい、時間ないのでいいです 1 (なび村) ちゃわんむし ラエスさんからも疑いをそらせます 1 (なび村) リュファ 2 1 (なび村) シエスタXX COないのか? 1 (なび村) amotan 二択なのか Navi 夜まで時間がありません 皆様今日の尊い犠牲をお選びください(会話はストップです) Navi 投票は私に直Tellでお願いします 3 (GREEN) Navi 会話可能時間スタート 3 (GREEN) Navi ---------------------------------------- 1 (なび村) Navi -------------------------- 1 (なび村) Navi 4日目終了 1 (なび村) Navi -------------------------- 3 (GREEN) あまる どっちにしましょうか (T) こるくびん > BBLさんをー 3 (GREEN) ROWLEYS あれ? 3 (GREEN) あまる よかったねー 3 (GREEN) Lumiya ちと超展開すぎてなにがなんだか 2 (ゾンビ部屋) jinjahime すもさんは狐疑われてかまれたのかなぁ 3 (GREEN) あまる チキンさんかBBLさんの二択 3 (GREEN) リュファ できるだけこちらに都合がいいほうを・・・ (T) シエスタXX > BBLさんかねぇ (T) シキワロス > 共有さん・・・ごめん・・・俺は対抗にいれるよ・・・「リュファ」さんでお願いします (T) ウツボン > BBLさんでお願いします・・・これはやっちゃった系orz 3 (GREEN) ROWLEYS ばびったけど、これいずれ吊られますよねw (T) amotan > 投票チキンさんで (T) MB > あ やばいROWLEYSさん共有かも そうなるとCOZYさんはなんなんだろう 【BBLさんに投票します】 (T) BBL > 指定するってことはチキンさん共有はないのか Mrチキンさんに投票します 3 (GREEN) あまる チキンさんは狼っぽい誤爆をしているんだっけか 3 (GREEN) Lumiya とりあえずちゃわんむしさんは偽ってことはわかった 2 (ゾンビ部屋) jinjahime 初日発言なくてわからん狩った 3 (GREEN) あまる うむ 3 (GREEN) リュファ チキンさんとBBLさん。 (T) シキワロス > あ 3 (GREEN) あまる 狐かもしれないので油断はできないけどね 3 (GREEN) ROWLEYS ちゃわんむしさんは狂と思います (T) みずもぐら > んー、BBLさんは情報引き出そうとする辺りちょっと村っぽく見たいな、だからチキンさんに吊りをいれよう (T) yukomac > Mrチキン様に投票 公正なダイスロールの結果です 2 (ゾンビ部屋) ナイトコスモ 狐と狩人ねらうのがセオリーですからね 狼の噛み (T) Mrチキン > BBLさんでお願いします (T) シキワロス > 間違えたちゃわんむしさんで!。 (T) BBL > 初めて吊り候補になった 何か感動 2 (ゾンビ部屋) メギ 狐も狩人も寡黙になりやすいから そこ狙った感じですかね レリック こんばんわっす 3 (GREEN) ROWLEYS うちはチキンさんに入れたい。後に残しておくとやっかいそう (T) ちゃわんむし > どどどどどっちがいいんだろう、・・・・BBLさんでおねがいします 3 (GREEN) あまる チキンさんに入れる人多そうだから、よせようか jinjahime なび村 ゾンビ部屋 レリック さんきゅ (T) ラエスリール > チキンさんで シエスタXX こんばー 3 (GREEN) ROWLEYS 了解です(’∇’) (T) あまる > Mrチキンさんに投票します 3 (GREEN) Lumiya んではチキンさん吊りますか シキワロス コンバンハ! (T) xあいx > Mrチキンさんでお願いします (T) > シキワロス 変更了解です 3 (GREEN) リュファ 狐っぽい気がしますけど・・・ローラーになるので考えなくてもいいでしょう。 3 (GREEN) ROWLEYS はーい あまる またパンダが増えた!? こんばんは Lumiya ブラザーが増えた・・・! (T) ラエスリール > ちゃわんむしさん臭いけど、人外と言い切れるレベルではないかなあ。混乱してる村にも見えるけど (T) ROWLEYS > チキンさんでお願いします (T) るりな > ちゃわんむしさんにしておきますかねぇ。。。 3 (GREEN) リュファ チキンさんですね? (T) ラエスリール > んーー。正直グレーが見えない (T) リュファ > チキンさん。 3 (GREEN) ROWLEYS うん、TELLしました (T) Lumiya > 投票 > Mrチキンさん ナイトコスモ こん (T) cozy > BBLさんに1票 2 (ゾンビ部屋) PEPPERMINT にんじゃまめちしきも19回目かあ 3 (GREEN) リュファ では占うのは今回吊られなかった方にしましょうか? 3 (GREEN) あまる ですねー 3 (GREEN) ROWLEYS とするとBBLさんかな 2 (ゾンビ部屋) PEPPERMINT きりがくれさいぞうはフィクションだったのか 2 (ゾンビ部屋) PEPPERMINT ためになるにんじゃまめちしき 2 (ゾンビ部屋) メギ 真田十勇士って全員フィクションでは? 2 (ゾンビ部屋) jinjahime にんじゃまめ知識とかシリーズなのかw 2 (ゾンビ部屋) PEPPERMINT シリーズです! (T) glimmakin > チキンさんでお願いします BBL7 Mrチキン11 ちゃわんむし2 Navi さよなら Mrチキンさん …あなたの勇姿は忘れない 2 (ゾンビ部屋) メギ 三好清海入道は実は三好政康だったという説があるとかって話も聞きますが…… Navi 日が沈み始めました よい子も悪い子も寝る時間です Mrチキン 今日は静かに焼き鳥されます Navi 役職の方は私にTellお願いします 4 (パリっ子) シエスタXX 大変そうねw 3 (GREEN) ROWLEYS 生きた心地しない(ノД`)シクシク 4 (パリっ子) ウツボン ステっぽい人の候補が思い浮かばなかったから・・チキンさんごめんなさい (T) シキワロス > 焼き鳥を食べにきました。 2 (ゾンビ部屋) Mrチキン なんか納得いかねー (T) みずもぐら > あまりに潜伏過ぎて、気が付かなかったおとなりのamotanさんを豆太調査! 4 (パリっ子) ウツボン BBLさんも今日発言増えてきてるもんなー 2 (ゾンビ部屋) メギ おつかれさまです 2 (ゾンビ部屋) jinjahime おつかれー 4 (パリっ子) シエスタXX うーん投票の誤爆が早かったから 4 (パリっ子) ウツボン ステ候補こまめに更新していかないと・・・ 2 (ゾンビ部屋) PEPPERMINT おつかれー 2 (ゾンビ部屋) Mrチキン おちかれさまです 2 (ゾンビ部屋) PEPPERMINT そんな日もある 4 (パリっ子) シエスタXX チキンさんむらだと思ったんだが (T) みずもぐら > 占いたい先が多くて、分身したいでござる 2 (ゾンビ部屋) Mrチキン 発言するーされてる気がする! 4 (パリっ子) ウツボン ああ誤爆があったのね 2 (ゾンビ部屋) Mrチキン ちゃんと怪しい人とか理由いってるのにw 4 (パリっ子) シエスタXX 狼だと相談するから (T) > シキワロス 焼き鳥はとてもおいしそうな村鳥だったでしょう!○ 2 (ゾンビ部屋) ナイトコスモ いらっしゃい 2 (ゾンビ部屋) PEPPERMINT 狼がスルーに仕向けてるんじゃね?w 4 (パリっ子) シエスタXX 投票はおそくなるんだけど (T) シキワロス > 了解。とてもおいしかったです。御馳走様でした 4 (パリっ子) ウツボン ふむふむ 2 (ゾンビ部屋) Mrチキン ちゃわんむしさんの昨日の寡黙だった発言の誘導を共有さんが妙にしんじちゃってるからなー 2 (ゾンビ部屋) メギ そういえば今回の共有「相方生存」て報告しませんね 4 (パリっ子) シエスタXX まあキツネかもしれんしね 3 (GREEN) Lumiya うーん、噛み場所が悩む 3 (GREEN) ROWLEYS 噛み先はどうしましょう…ちゃわんむしさん残したい気もするけれど。 (T) るりな > シキワロスさんを守ってみますか 2 (ゾンビ部屋) jinjahime らえすんとちゃわんむしで狼狼-狼狐あると思うんだよなぁ (T) > みずもぐら amotanさんにゆっくり近づき鼻を鳴らす豆太…これは村人に違いありません!○ 4 (パリっ子) ウツボン 急いでたから2択にしちゃったけど明日から逝った区にもどすかなー 3 (GREEN) あまる ちゃわんむしさんは残したいね 4 (パリっ子) シエスタXX 寡黙は吊る 2 (ゾンビ部屋) Mrチキン ちゃわんむしさんはほぼ確定●でみてます 3 (GREEN) リュファ ミエさんはローラーになるので・・・ 3 (GREEN) Lumiya 霊媒は後々ローラーになりそうだし放置で (T) > るりな しっかり守ってあげてね! 3 (GREEN) あまる glimさん噛んだら露骨すぎるかな 3 (GREEN) ROWLEYS あ、そか。 4 (パリっ子) ウツボン 一応amotanさんROWさん辺りかな (T) みずもぐら > んー、潜伏に狼いないのかしらん 3 (GREEN) ROWLEYS シエスタさんはどうでしょう 4 (パリっ子) シエスタXX あいさんも少ない気がするけど 2 (ゾンビ部屋) ナイトコスモ このまま失敗がつづくと狐有利か 3 (GREEN) あまる あーシエスタさん、さっきも名前出てたっけ 3 (GREEN) あまる 噛みましょう 4 (パリっ子) ウツボン あ、あいさんもか 4 (パリっ子) シエスタXX ぶっちゃけ全部追えてない気がするw 3 (GREEN) リュファ 誰か、いなくなってこちらに都合のいい流れになりそうな人を・・・ 3 (GREEN) あまる あと候補としてはあいさん 2 (ゾンビ部屋) Mrチキン 狼が全然やれてないからむしろ狼有利に見える 4 (パリっ子) ウツボン その3択の中から明日の発言見て決めよう・・・ 2 (ゾンビ部屋) Mrチキン 誘導されてるくさいし 3 (GREEN) Lumiya 勘なので当てにならんかもしれませんがっ<シエスタさん 3 (GREEN) あまる 寡黙じゃない><って反論してたから 4 (パリっ子) シエスタXX もしかしたら意味のある発言はしてるかもだけど 2 (ゾンビ部屋) jinjahime ちゃわんむしは人外だなぁ。狂人はないと思うが。リュファ狐だったりしてね。 2 (ゾンビ部屋) メギ ラエスさんは狼よりも狐っぽい気もしますね なんとなくですが 3 (GREEN) あまる 狐かもしれない 4 (パリっ子) シエスタXX そうだねぇ 3 (GREEN) Lumiya ふむふむ 2 (ゾンビ部屋) jinjahime たしかに、よってる感じ強いからな 3 (GREEN) ROWLEYS yukoさんもなにげに怖いけど、噛んだらモロバレしちゃうかなぁと。 4 (パリっ子) ウツボン 寡黙吊り推しなら、なんで寡黙な人を全員上げてくれないのか・・・これがステマってやつなんだな! (T) ラエスリール > あいさんは村かなぁ 3 (GREEN) あまる うむー 4 (パリっ子) シエスタXX ステマちがくね?w 4 (パリっ子) ウツボン ROWさんだけ推されてるのになんか違和感があったんだよ 2 (ゾンビ部屋) PEPPERMINT ニンジャーは最近あやしいそぶりをみせるようになったよなあ 3 (GREEN) ROWLEYS あいさんかんでみて、もし狐だったら告発してもいいかもですよね 4 (パリっ子) ウツボン 狼のステマ・・・かも 4 (パリっ子) シエスタXX ROWさんごばったからなぁ 3 (GREEN) あまる と、私は思います 2 (ゾンビ部屋) メギ 個人的に 狼=村の意見を間違った方向に誘導 狐=村の意見をかく乱して纏めさせないようにしようとする 4 (パリっ子) ウツボン あ、ほんとだ (T) ラエスリール > amotanさんほぼ完ステ。 2 (ゾンビ部屋) メギ という印象があるので 4 (パリっ子) シエスタXX いやきづけw 3 (GREEN) リュファ シエスタさんいいかもです。 4 (パリっ子) ウツボン 誤爆の悲しみはよくわかるよ・・・ 2 (ゾンビ部屋) jinjahime ニンジャーはわざわざ、CO引っぱって人外出させようとする印象があるなぁ>動画でも 4 (パリっ子) ウツボン ログ追いに必死でしたorz 4 (パリっ子) シエスタXX 俺もROWさんは吊りたいが 3 (GREEN) あまる どっちにしましょうか 2 (ゾンビ部屋) PEPPERMINT そんなニンジャーが好きだー! 3 (GREEN) Lumiya あいさん噛んでみますか? 3 (GREEN) ROWLEYS 狐狙いであいさんいってみたい気もするけど、シエスタさん言い出したの自分だしなぁ。悩む。 2 (ゾンビ部屋) jinjahime そして取れない信頼 3 (GREEN) あまる あいさんいきます (T) あまる > あいさんを 2 (ゾンビ部屋) PEPPERMINT まあw 3 (GREEN) Lumiya はいな 3 (GREEN) ROWLEYS ですね。賭けてみてもいいかと。 3 (GREEN) リュファ はい。 4 (パリっ子) シエスタXX まあ明日ねー (T) > あまる おいしくたべてね! 2 (ゾンビ部屋) jinjahime 真ならためらう必要ないですもん 4 (パリっ子) ウツボン 明日はROWさん候補・・・でいいのかなぁ 3 (GREEN) ROWLEYS で、もし狐だったら狼COします 3 (GREEN) あまる よろしく 3日目へ 5日目へ