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前ページ次ページゼロニスター トリスタニア郊外のとある空き地。 マスクで口元を隠した1人の少年が、得物を手にした少年達に進路を塞がれていた。 「どいてくれないか。主人に借りた本を返しに行かないといけないんだ」 マスクの少年の言葉に立ちはだかる少年達は、 「聞いたか? 本返しに行きてーんだとよ」 「じゃあボコるのはまた今度にしといてやるか」 「……なんて言うとでも思ったかーっ!!」 「やっちまえーっ!!」 「いくらてめーが気合の入った奴だろーが、この人数にはかなうめー!!」 とときの声を上げてマスクの少年に襲いかかる。 「むうん!!」 「ぐえっ!」 マスクの少年の左ストレートが眼帯をした少年の顔面に炸裂した。 「ギャア!」 今度はモヒカン頭の少年を小脇に抱える形で締め付けたまま、左腕で坊主頭をつかんだ少年の腹部に膝蹴りをお見舞いする。 「く……、くそっ!! 本当に強えぞ、こいつ!!」 圧倒的実力差ではあるものの圧倒的物量差に嫌気が差して、迂回すべくマスクの少年は方向転換する。 「ちっ、いちいち相手してられないぜ!!」 「逃がすんじゃねーっ、捕まえろーっ!!」 「うらあっ!!」 走り去ろうとするマスクの少年に、逃がしてなるかとばかり何人もの少年達がしがみつく。 しかしそれでもマスクの少年は足を止める気配を見せない。 「うおおおお、こ……こいつ!! 歩くのをやめねーぞ!!」 「もっと乗っかれーっ!!」 しがみついている少年の数が3人になり4人になり、とうとう後方からはマスクの少年の姿が見えなくなったが、まだマスクの少年の歩みは止まらない。 「意地でも行かせねー!! ちゃんと勝負しろ、サイトー!!」 「うるせー、降りろこら!! 前見れないだろ。それと人の名を気安く呼ぶな」 マスクの少年・才人がそう言いつつ空き地の外の道に足を踏み出した時、 「!!」 ――ゴオオオ…… 大型馬車が少年達に向かって突進してきた。 「うおおおおお!!」 「あ?」 少年達が驚愕の叫び声を上げ、才人も訝しげに馬車の方向に視線を向けるが時既に遅し。 ――ブチャブチャブチャ…… 「ぎゃっ!」 「がふぁ!」 「おげえ!」 馬車は生々しい音を立てて才人も少年達もまとめてひき潰した。 トリスタニアの住宅街にあるアパートの一室。 「サイト君、遅か……」 そう言いかけて、部屋から顔を出した中年男性は言葉を失った。 玄関先に立っている才人の体は頭の右側が割れて脳髄が露出し、ちぎれた右腕の断面からは肋骨が、腰に空いた大穴からは内蔵が飛び出ているという悲惨な状態だったからだ。 「………!! ちょっと待ってください、サイト君……!!」 「すいません、コルベールさん……。本……、汚れちゃいました……」 そう言って血みどろになった本を差し出した直後、才人はその場に倒れ込んだ。 「サイト君っ!!」 決して助かる怪我ではなかった。才人の人生はここで終わる……はずだった。 だが才人を召喚した主人・「コルベール」は……、使い魔の悲惨な運命を黙って受け入れるような男ではなかった。 そしてさらにコルベールは……、ある研究において天才的な頭脳を持ち合わせていた。その研究の発想はあまりに子供じみていたため、コルベールにとっての真の理解者は才人1人だった。 「サイト君……。私は子供の頃によく人造人間ごっこをやっていたのですよ……。私はメイジ役で幼馴染みは……。くっ……、現実になってしまいました……!!」 ハルケギニア最強殺人鬼決定戦会場・才人の控え室。 部屋に通された才人に、スタッフの少女が本選の概要を説明していた。 「ハルケギニア最強殺人鬼決定戦、間も無く本選でございます……。こちらはミスタ・サイトの控え室となります。対戦の順番はその都度くじで決まるので、名前がコールされて10分以内には試合場へ……」 「聞きたい事がある。本選には何名が出場する?」 解説を遮っての才人の質問に少女が答える。 「ミスタ・サイトを含め、計13名でございます。凶悪な殺人鬼揃い……」 「『首にチャンネルが付いている奴』はいなかったか?」 「は?」 才人の質問の意味が理解できず少女は首を傾げる。 「円盤型で出っ張りのあるチャンネルが首に付いている奴で……、体格はお前と同じくらい小柄だ。見なかったか?」 「さあ……? なぜその者にこだわるので?」 「『コルベール』さんっていう俺の主人が……、『そいつに殺された』。敵を討たないと申し訳が立たねえ。コルベールさんは俺の命の恩人でもある人だからな」 『「虚無壺の会」主催による「ハルケギニア最強殺人鬼決定戦」、間も無く始まりまーす!! お集まりいただきましたハルケギニア各国のセレブの皆様!! あんたも好きね~っ!! なんちゃって!! 「虚無壺の会」が古代闘技場(コロッセオ)に倣って建設しました本会場は、標高1200メイルの険しい山岳地帯に位置しております!! つまり部外者の介入は心配無用でございます!! 飛び散る鮮血に心置きなく歓喜の声をお上げくださいませーっ!!』 古びて見えるように細工が施された山中の円形闘技場に、マジックアイテムで増幅された女性スタッフの声が響いた。 『なお、皆様より大会についてのご質問が幾つかございました!! 大会を心から楽しんでいただくためにも!! この場を借りてあらかじめお答えしたいと思いーす!! では質問その1!!』 客席に座っているルイズ・ナックルスター・シエスタは、体をすっぽり覆う白い服に目の部分だけが空いた白い三角頭巾の集団に囲まれていた。 「早く始めろーっ!」 「高い金払ってんだ!! 楽しませろよーっ!!」 (おかしい……!! この人達完全におかしいです……!!) どこ吹く風という態度のルイズ・ナックルスターとは対照的に、白装束達の剣呑な野次にシエスタは完全に怯えていた。 『「ほぼ全員の観客が白装束なのはなぜ?」 これは「作者が描写するのが簡単だから」ではございません!! 本大会は闇ルートの映像商品として撮影・記録されるため、(カメラ)に映る皆様方の社会的立場を安全なものとするためでございます!!』 見ると、確かに会場内各所に映像記録用と思しき大型のマジックアイテムが設置されている。 『その2!! 「普段隠れてるはずの殺人鬼達をどうやって見つけたの?」 お答え致します!! まず初めにハルケギニア中の衛兵機関内部の人間から情報を「買う」のでございます!! 「盗む」場合ももちろんございます!! それらに加えて衛兵機関が「胡散臭い」と敬遠する技術!! 例えば占星術等のオカルト的手段!! 施術者の人選さえ誤らなければ、これらの方法も有効なのでございますよ!!』 「……どうしたの、シエスタ。気分悪いのかしら?」 顔色を悪くして説明を聞いているシエスタに、ルイズが声をかけた。 「言っとくけど、これ以上は戦いたくなければ降りてもいいんだよ」 「え……?」 続いてナックルスターからかけられた予想外の言葉に、シエスタは目を丸くした。 「あたし達があんたを連れてきた理由はね……、……まあ『パシリがいてくれるといいな』ってのもあったけど……、あんたに自身を付けさせてやりたかったのさ」 「予選だけでも相当な修羅場だったでしょ? あれを思えばシエスタはこの先どこで誰に挑まれてもやっていけるはずだわ」 「ミス・ヴァリエール……」 そこまで言うと、ルイズはくわえた葉巻に火を点け真剣さを増した口調で続ける。 「でもね、シエスタ。逆に言えばここから先は……、流石に私も保障できないわ。おそらく予選とは次元が違う……!! それに加えて、バトルは基本的に1対1になる」 「……つまり、わかるわね? あんたが敵に殺されそうになっても、あたし達は助けてやれない……!!」 「……!!」 2人が語る本選の過酷さに思わず息を呑むシエスタ。 「対戦はくじ引きで戦う人間が決定されるらしいから、自分の名前が呼ばれるまでに『参加』か『辞退』かを考えておきなさい。私は一応後者を勧めるけどね……」 「う~……」 進むべきか退くべきか、シエスタは頭を抱えて思い悩む。 (どうしましょう……!! 自分の力を試したい気持ちが無いと言えば嘘になります……。でも、参加すれば殺されるかも……!! それに普通の夢からも遠ざかりそうな気が……) そうこうしているうちに、第1試合参加者を決める抽選が行われていた。 『それでは皆様、お待たせしました!! 第1試合参加者のくじ引きを行いまーす!! 誰かな♪ 誰かな~♪』 そんな事を言いながら箱の中から取り出したボールに書かれていた参加者名は……、 『えー……、まずは「暴走メイド・シエスタ」ーっ!!』 「げーっ!!」 『どはははははは!!』 読み上げられた第1試合対戦カードの片割れの名に、シエスタは驚愕の絶叫を上げ、ルイズ・ナックルスターは爆笑した。 「おお!! お嬢ちゃんが戦うのか!!」 「頑張って殺されろーっ!! ぎゃははは!」 さらに周囲の観客からも無神経な野次が飛ぶ。 「何でお二人とも笑うんですかあーっ!!」 「いや……、この流れはある意味離れ技だと思って……」 「とりあえずこうしなさい。試合開始と同時に『参りました』って言えばいいのよ。これなら恥はかいても死にはしないわ」 「シエスタ様、どうぞこちらへ!」 女性スタッフに先導されて闘技場に下りていくシエスタ。 「頑張れよーっ!」 「死ねーっ!」 「………」 そんなシエスタの姿を才人は無言で眺めていた。 続いてシエスタの対戦相手抽選に入る。 『えー、対しましては……、「アサッシン・バリー」!!』 言葉と共に、会場の奥に続くゲートから小さな人影が現れた。 その身長は彼から上着を受け取った女性スタッフの腰より高いかどうかという程度だ。 『彼の名のスペル「Bully」とは、「いじめ」を意味します!!』 「……!!」 バリーの姿に才人ははっとした。 「アサッシン……!? ……のわりに随分小柄だな。120サントぐらいか」 「何だ、『Bully』って。昔いじめられていたとか?」 「おい! 奴の首を見ろ」 「あれは……?」 「旧式『遠見の鏡』のチャンネルのような……」 その言葉を聞いて、才人はバリーを目の部分にはめ込まれているガラスに亀裂が入らんばかりに睨みつける。 闘技場の地面に描かれた線上に立つシエスタに視線を向けつつ、バリーももう1本の線に向かう。 「ほお……、そっちも素手か。いい度胸をしている」 するとその時、 「ちょっと待てえ~っ!! うおーっ!!」 「きゃーっ!!」 叫び声と共に才人が闘技場に乱入し、シエスタは悲鳴を上げた。 「サイト……!!」 「今度は何やらかす気だ、あの馬鹿……!!」 (あいつ……、どこかで見た事が……) 才人の乱入にルイズ・ナックルスターは思わず声を漏らし、バリーはどこか既視感を覚えていた。 「譲ってくれ!! 俺に譲ってくれ!! 頼む、シエスタ!!」 「!? !?」 「奴と戦うのを俺に譲ってくれ!! 俺が奴と戦う!!」 大変な剣幕で自分に詰め寄る才人に訳ありの匂いを感じ、シエスタは尋ねる。 「あの……、サイトさん、意味が……」 「俺は奴に主人を殺されたんだ……!!」 「え……?」 「俺の命の恩人でもある主人……、『コルベール』さんを……!!」 馬車にひかれた才人が目覚めた時、彼の肉体は全身金属鎧と言うべき姿になっていた。 「ちょっとコルベールさん、何ですかこれは……!?」 「サイト君の元の体から抽出した脳のデータを、私の自作人造人間にそっくり転送しました。サイト君を助ける前提で作った物ではありませんから、デザインが気に入らなかったらすいません。まあ次を作るまでの仮のボディーと考えてください」 マグカップ片手にコルベールがそう説明した。 「もう1度言いますよ。何ですかこれは……!?」 才人の困惑・憤怒がない混ぜになった言葉を後目に、コルベールはマグカップの中身を飲みつつ説明を続ける。 「毎日1時間専用アダプターでエネルギーチャージする必要があります。水はなるべく浴びないでください」 「コルベールさんっ!!」 万力のごとき鋼鉄の腕でコルベールの胸倉をつかみ締め上げる才人。 「痛いですよ、サイト君」 「俺を……、俺を実験台に使ったんですかーっ!?」 「これを見てください」 そう言ってコルベールが指差した先には、ぼろ雑巾という比喩が生易しいほど損傷して瞳の光が無くなった才人の肉体が横たわっていた。 「部屋に戻ってきた時のサイト君の体です。冷静に考えてどちらがましですか!?」 「………」 自分の体だった物の惨状に才人は言葉を失った。 ──新しい体に慣れるため、俺は夜の闇に乗じてしばしば外出するようになった。 ──けどある夜、コルベールさんの部屋に戻った時……、 「………!!」 才人が扉を開けると室内は炎上していた。 滅茶苦茶に荒らされひっくり返された家具の横には血まみれのコルベールが倒れていて、部屋の窓にはこちらを振り向く小さな人影が見えた。 その人影が消えたのを確認して、才人はコルベールに駆け寄る。 「ぐ……、サイト君……ですか……」 「コルベールさん!!」 「私はもう駄目です……、出血が致死量です。今逃げた奴は……、おそらくプロの殺し屋……」 「殺し屋……ですって!?」 「雇い主は心当たりが多すぎて見当がつきません……。名を変え姿を変えて教師になる前は、軍でいろいろ汚れ仕事をしていましたからね……」 「待っててください!! 医者を呼びます!!」 「君の修理やメンテナンスはもうできませんが……、方法はデータとして君の体内に保存してありますから心配しないでください。最期に……、サイト君に見せたい物があります」 と言って、コルベールは1枚の古びた紙を才人に差し出す。 紙には子供っぽい字で「さいきょうのじんぞうにんげん」と書かれていて、今の才人の姿に似ていなくもない絵と様々な設定が書き込まれていた。 「子供の頃に私が描いた『人造人間設計図』です。『最強』という設定です。いかにも子供の発想ですが。ですがねサイト君……、考えてもみてください。もしも今のあなたが本当に最強の存在なら、その設計図を子供の頃既に描き上げていた私は……まさしく天才だったという事になりませんか?」 「………!!」 才人の過去にシエスタは驚愕の色を隠せなかった。 「では……、サイトさんが……、殺人鬼達から恐れられていたミス・ナックルスターに奇襲をかけたのは……」 「『最強』を証明するためだ!! コルベールさんの設計図に嘘は無い!!」 そう力説して拳を握り締めた才人に、観客席のルイズ・ナックルスターは納得の表情を浮かべる。 (納得だわ……) (道理であたし達にボコられても絶対に負けを認めないわけだ) そこへ女性スタッフが1人シエスタの所に歩み寄ってくる。 「シエスタ様、いかがなさいます? サイト様に譲られますか? シエスタ様は予選でメダル10枚を得たシード選手、多少の要望は通りますが……。とはいえ、シエスタ様がくじに当たった事に変わりはありません。サイト様とバリー様がまず戦い……、勝者がシエスタ様と対戦していただく形になります」 「俺は別にかまわんぜ。どっちでもいい。『2人連続で戦う事に』なろうが問題無い……」 「………」 そう横槍を入れてきたバリーに激しさを増した才人の怒りのオーラに気圧される形でシエスタは、 「譲ります!! サイトさんに!!(2回戦目で降参しましょう)」 と宣言して闘技場の隅に退場する。 「恩に着るぜ」 すれ違いざまシエスタにそう声をかけ、才人は先程まで彼女が立っていた線に向かっていく。 『試合時間は無制限!! どちらかが降参・意識喪失・あるいは死亡するまでとする!! 周囲の手出し・物理的干渉はこれを禁止とし、破った者は処刑も辞さない!! なお敗北者の身の安全については、「虚無壺の会」は一切関知しないものとする!!』 才人・バリーが睨み合う中、会場にはルール説明のアナウンスが流れた。 「……てめえの首に付いてるチャンネル、アクセサリーにしちゃ間抜けだな」 「これか? これは精神的なスイッチさ……」 才人の挑発を薄笑いを浮かべつつ受け流し、チャンネルをひねるバリー。 次の瞬間、バリーの背中から指のように見えなくもない5本の肉の柱が生えてきた。 「俺は……『多重人格者』ならぬ……たっ……たじゅ……、『多重体格者』……!! そっ……外に出る体格を……チャンネル……で……切り替え……!!」 「え……!?」 シエスタも彼女に試合順の変更が可能だと伝えた女性スタッフも、呆然とバリーの変貌を眺めている。 『そ……、それでは、だ……だ……第1試合……』 そうアナウンスしている間にもバリーの変化は進み、背中からは指だけでなく肘まである腕が1本、さらにもう1本の手首が生えてきていた。 『はじめーっ!!』 「オオッ!!」 と声を上げつつ才人に迫るバリーは、歪ながらも巨大な人型になっていた。 「!? こ……、こいつ!?」 前ページ次ページゼロニスター
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247 名前:魔法具『操りの真珠』 ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2007/01/02(火) 03 07 26 ID dqoXakDp 才人は、『操りの真珠』というアイテムに心惹かれた。 それは黒と白の掌に収まるほどの大きさの玉だった。 「この真珠はな、黒と白が対になっているんだ」 魔法具屋の主人はそう言って、黒い真珠を軽く握った。 すると、白い方が軽く震え、その震えは少しすると収まった。 そして、主人が握った黒い真珠を上に上げれば上へ、横に振れば横へ、まるで白い真珠が見えない糸で吊られているかのように動く。 「なかなか面白いだろう?大道芸人には人気のアイテムだ。 ただし値段は大した事ないけどな」 だからこそ才人にタダで譲る気になったのだが。 そして主人は、あまり離れすぎると効果がないこと、使いすぎると動作しなくなることなどを才人に教え、その『操りの真珠』を才人に手渡した。 なるほどー、大道芸に使うのが普通の使い方かぁ…。 才人は真珠の入った小箱を見ながら考える。 …全く違う使い道を思いついた俺はやっぱり…。 真性の変態かもしれない。 才人が学院に帰ったのは、夕刻になってからのこと。 学院に帰った才人を最初に出迎えたのはシエスタだった。 「お帰りなさい、サイトさん」 どうやら掃除は終わったらしく、絞った雑巾のかかった空のバケツ手に提げていた。 「ごめんなシエスタ。本当なら一緒に買い物行ってもよかったんだけど」 才人は申し訳なさそうに頭をぽりぽりと掻く。 「いいえー。私気にしてませんよー。 あ、でも今夜はちょっと濃い目がいいかなー、なんてー」 言って頬を染め、「きゃっ」と視線をそらすシエスタ。 そういえば今日はシエスタの日だっけ…。 シエスタの『ちょっと濃い目』は正直『超濃縮』なのだが。 才人はそれを予想してちょっとげんなりする。 …ん?待てよ…。 才人はあることを思いつき、シエスタに尋ねる。 「シエスタ、このあと仕事は?」 「えっと、厨房で夕食のお手伝いをしなきゃいけないんですけど」 それを聞いた才人は、シエスタの手を取ると、廊下の柱の影にシエスタを引っ張っていった。 「あ、あの、サイトさん?どうしたんですか?」 いつもと違う才人の様子に戸惑うシエスタ。 そんなシエスタに構わず、才人は辺りに人影がないのを確認すると。 いきなりシエスタを抱きしめた。 248 名前:魔法具『操りの真珠』 ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2007/01/02(火) 03 08 10 ID dqoXakDp 「え、あ、あの、サイトさん?」 嬉しさ半分、驚き半分の顔で、シエスタは戸惑う。 才人は、そんなシエスタの背中に左手を回すと、メイド服のスカートを捲り上げた。 シエスタのドロワーズと脚が、むき出しになる。 「え、そんな…こんなところで…」 真っ赤になって、それでも抵抗はせず、シエスタは言う。 そ、それにこれからお仕事だしっ!やっぱりまずいんじゃないかしらっ! などと心の中で葛藤していると。 才人は右手だけで器用に『操りの真珠』の小箱を開け、白い真珠を床に落とした。 そして、黒い真珠を握り締めると、白い真珠が震え、動作し始めたことを才人に伝える。 才人は白い真珠を操り、シエスタのブーツのカカトに真珠を当てた。 そして、シエスタの脚に沿って動かし、ドロワーズの中に白い真珠を放り込む。 「えっ…!?なにこれ…?」 下半身に感じる違和感に、シエスタの顔が驚愕に染まる。 才人はそんなシエスタの唇をいきなり奪った。 「んッ…」 そして、器用に真珠を動かし、シエスタの入り口に押し当てる。 「んんーっ!」 シエスタは身をよじってそれから逃げようとするが、才人に抱きしめられていてはそれも適わない。 才人は真珠を押し上げ、ついにシエスタの中にそれを入れてしまった。 「んんー!んんんーッ!」 身体の中に入ってきた異物に、シエスタは軽いパニックに陥る。 しかしそれが才人の仕業とわかると、唇を離して半眼で才人を睨みつけた。 「サイトさん…何入れたんですかっ!」 その抗議に、才人は真珠を軽く振動させた。 膣内でなにかが蠢く感覚に、シエスタの雌が反応する。 「ふやぁっ!」 そのするどい刺激に、思わずよろめき、才人にもたれかかってしまう。 才人は、そんなシエスタを見て満足そうに微笑む。 「大丈夫、身体に悪いものじゃないから。 今日の夜までそれ入れててよ。そしたら、たっぷり可愛がってあげるから」 そして、真っ赤になったシエスタの頬に口づけする。 シエスタは少し考えていたが、やがて、頬を染めて上目遣いで答えた。 「や、約束ですよ…?」 「ああ。それじゃあ仕事がんばってね、シエスタ」 249 名前:魔法具『操りの真珠』 ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2007/01/02(火) 03 09 14 ID dqoXakDp サイトさんは、身体に悪いものじゃないって言ってたけど…。 私はおなかのあたりを押さえながら、厨房に向かう。 確かに、何か硬いものが入っている。 たぶん、魔法の道具か何かだろうけど…。 それは、アレ以来まったく微動だにしていなかった。 おかげで、助かってるけど…。 「おーいシエスタ、こっち来てシチューの加減見ててくれんかー?」 あ、マルトーさんが呼んでる。 私はすぐに呼ばれた鍋のところへ行って、大きな木のさじでシチューをかき回し始めた。 「ふぁっ!」 その瞬間、私の中で「何か」が動き出した。 「どうしたシエスター?」 私の声が聞こえたのか、マルトーさんが声をかけてくる。 「な、なんでもありませんっ」 私は慌ててそう応える。 その間にも、その「何か」は蜂の羽ばたきのように細かく震え、私に刺激を送り込んでくる。 「んッ…んふッ…」 私は必死に下唇を噛み締め、声を出さないようにする。 でも「何か」は動きを止めず、そのまま振動し続ける。 だめっ…シチューかき回さなきゃ…でも…。 思わず逝ってしまいそうになったとき、不意に振動が止んだ。 よ、よかったぁ…。あのままされてたら、シチュー焦がしちゃうところだった…。 私はそのまま作業を続ける。 でも。 「っあっ…!」 少し収まってきたと思った瞬間、また「何か」が動き出した。 私はかくかくと震え、シチューをかき混ぜていた手が思わず止まる。 「くぁっ…」 そしてまた、逝きそうになったとき、振動は止んだ。 「ふぅ、ふぅ、ふぅ…」 私は荒い息をつきながら、息を整える。 そして…。 その後、厨房での仕事が終わるまで、その「何か」は私に逝く直前まで刺激を与え続けた。 250 名前:魔法具『操りの真珠』 ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2007/01/02(火) 03 13 03 ID dqoXakDp 「はぁっ…はぁっ…」 吐く息が荒い。 気が狂いそう…。 何度も直前まで持ち上げられ、そして冷まされるのを繰り返して、心と身体が分かれたみたいになっていた。 なんとか仕事を終え、厨房を出る。 私は部屋に戻ろうと、頼りない足取りで廊下を歩く。 …今、私の身体は、内太股を擦り合わせるだけで、感じるようになっていた。 部屋への一歩一歩でさえ、刺激になっている。 そして歩くたびに中で揺れる「何か」が、私を少しずつ押し上げる。 そして、部屋のすぐ直前。 不意に。 「何か」が、今までにない動きをし始めた。 今まで入り口の直ぐ近くで留まっていたそれが…。 一気に…おくまで…っ! 奥に、奥にあたってるのぉっ…! 「んふぅっ!」 私はたまらず、廊下にぺたん、と腰を落としてしまう。 ごりゅりゅっ! あ、だめ、そんな、つきあげちゃっ! 「ふぅッ、んんッーーーーーーーーーーーーーーーー!」 私は必死になって袖を噛み締め声を抑える。 あ、だめ、だめ、いく、いっちゃうっ! 私は廊下の真ん中で身体を丸め、達していた。 283 名前:魔法具『操りの真珠』 ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2007/01/02(火) 20 04 45 ID dqoXakDp 「ダメだなあシエスタ、部屋までガマンできなかったの?」 俺は廊下でうずくまっていたシエスタを抱えて部屋に入った。 ちなみに、シエスタの日には、ルイズは他の生徒の部屋でお泊りすることになっていた。モンモランシーとか。 逆にルイズの日には、シエスタはメイドたちの共同部屋で寝ることになっている。どうやら二人で決めたらしい。 …ちょっとやりすぎたかな? で、シエスタはといえば、俺の腕の中でふてたように顔を背けている。 俺はそんなシエスタをベッドの上に座らせた。 …まだ顔背けてる…。 「ほら、怒らないでこっち見て」 俺はそう言ってシエスタの顎をつまんで、俺のほうを向かせた。 シエスタは怒ってなんていなかった。 潤んだ目で俺を見つめ、ぎゅっと抱きしめてくる。 「ガマンしてたのにっ…! 顔みせたら…っ!」 シエスタはそう言って俺の唇を乱暴に奪う。 そしてすぐに唇を離し、ベッドの上で…。 俺に背を向けて、下着を脱ぎ去ってしまった。 「もう、ガマンできないんですっ…!」 そして俺のほうにお尻を突き出し、自分でスカートを捲って見せた。 そこは。シエスタのそこは。 まるで透明な粘液でコーティングしたように、ベトベトになっていた。 「悪いと思うなら…早く…ください…っ!」 どうやら、真珠でひたすら愛撫されて、ガマンできなくなったらしい。 俺のほうにベタベタになったあそこを突き出して、ベッドの上で弱々しく腰を振っている。 …しょうがないなあ…。 「でも、その前に、コレは抜いておかないとね?」 俺は言って、黒い真珠を握り締める。 「ふぁっ!?」 どうやらシエスタの中の白い真珠が反応しているらしい。シエスタが声を上げる。 そのまま俺は、黒い真珠に白い真珠をシエスタの中から引き出すイメージを送った。 ちゅぽんっ 軽い水音とともに、白い真珠がシエスタのそこから飛び出てきた。 それと同時に。 「ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 シエスタの腰がガクガクと震えて、ベッドに突っ伏してしまった。 …え? 「シエスタ、もう逝っちゃったの?」 284 名前:魔法具『操りの真珠』 ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2007/01/02(火) 20 06 23 ID dqoXakDp 俺の質問に、しかしシエスタは肩で息をするだけで応えない。 どうやら真珠を抜く時のショックで逝ってしまったらしい。 ふーん、そっかあ…。 そして俺は、そのまま。 シエスタを一気に奥まで貫いた。 シエスタのそこはいつもよりずっとよくほぐれていて、何の抵抗もなく一番奥の壁にまで突き当たった。 それと同時に、シエスタのそこが俺を絞り上げるように動く。 「いやっ、またっ、またぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 どうやら何度も感じさせられているせいで敏感になっているらしい。 それだけでシエスタは二度目の絶頂に達したみたいだ。 じゃあ、リクエストどおり。 『濃い目』でいってみましょうかね? 俺は軽い嗜虐心とともに、激しく腰を使い始めた。 シエスタはもう何度目かもわからない絶頂に、枕を抱えて喘ぐしか出来ない。 もう身体のどこにも力が入らず、才人にされるがままだ。 その才人は一度中で達したものの、まだ元気らしく、今もまだ遠慮なくシエスタを後ろから犯している。 「らめぇっ、またきひゃうっ、ふぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 もうすでに才人の動きを止めるだけの力は膣道には残っておらず、シエスタの中は優しく才人に絡みつくだけだ。 そして、止まらない才人の律動が、シエスタをまた高みへと運んでいく。 「やぁっ、らめ、もうらめえ…ゆるひっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ…」 枕はすでにシエスタの涎でべとべとで、彼女の蜜壺から溢れ出た液体は、シーツにたくさのしみを作っていた。 しかし才人の欲望は留まる所を知らない。 彼は、才人をくわえ込む彼女の秘所の真上でひくつく、桃色の肉門に目をつけた。 「こっちも…欲しそうだね?」 言って才人は、その穴を指でほぐし始める。 「やぁ、おひり、ゆるひて、そこらめぇ…」 しかしシエスタの懇願を全く聞き入れず、才人は白い球体をそこに押し当てた。 それは、夕方厨房でさんざんシエスタを焚き上げた、『操りの真珠』だった。 「両方で感じさせてあげる」 285 名前:魔法具『操りの真珠』 ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2007/01/02(火) 20 07 16 ID dqoXakDp ぐちゅんっ! あまりにもあっさりと、白い真珠はシエスタの菊門に侵入した。 「やぁっ、もう、らめぇ、またいく、いくのぉ、らめぇっ!」 それだけで、シエスタはまた達してしまう。 しかし、才人は侵攻をやめない。 黒い真珠に意思を送り込み、シエスタの腸内で白い真珠を動かす。 それと同時に、自分の腰も激しく打ちつける。 その刺激にシエスタの締め付けが戻ってくる。 「ふぁ、なにこれ、なにこれぇっ!? おなかのなか、かきまわされてっ、ヘンに、へんになるぅっ!」 さらなる高みに昇ろうとするシエスタに、才人も限界を迎える。 「シエスタっ、また出すよっ!」 「ふぁ、だめ、なかでっ、こすれてぇっ! ふやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 シエスタの締め付けに、才人はシエスタの中に欲望を全部ぶちまけた。 286 名前:魔法具『操りの真珠』 ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2007/01/02(火) 20 07 51 ID dqoXakDp 目を覚ますとシエスタが怒っていた。 「ひどいです」 ベトベトになってしまった服とシーツは、洗物の籠の中に放り込んだ。 俺たちは裸で、シーツを取り去ったベッドの上で重なっていた。 「…ごめん」 俺は謝るしかない。 …シエスタも感じてたんだろうけど、半ば無理矢理だったしなあ…。 「あんなにメチャクチャされるなんて思いませんでした」 そう言ってシエスタは、頬を膨らませて俺の胸板に上半身を載せる。 …ああ、ここでそういうこと考えちゃいけないと思うけど。 やーらけー…。 「ほんと、ごめん。調子に乗りすぎた」 「あんなに感じたの初めてです…。 もう、ヘンなクセついたらどうするんですか…」 しかし、そう抗議しながらも、シエスタの顔は、だんだん笑顔になってきている。 「ごめん」 でもまあ一応、平謝りしておく。悪いの俺だし。 そんな俺に、シエスタはにっこり笑って言った。 「ヘンなクセついたら、責任とってくださいね?」 えーと…この場合責任って…。 しかし俺に考える間も与えず、シエスタは強い口調で言った。 「返事は『はい』ですよ!サイトさん!」 「は、はい」 俺は思わず、そう応えてしまう。 …あれ?なんか俺まずいこと言った? 混乱する俺に、シエスタは抱きついてきた。 「じゃあ、クセつくまでいーーーーーーっぱい可愛がってください♪サイトさん♪」 …まあいいか。 俺はそんなシエスタを抱きしめ…。 日が昇るまで、『シエスタの日』を楽しもうと心に決めた。〜fin
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255 名前: キミが主で使い魔が俺で ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日: 2007/09/21(金) 23 39 57 ID ++iDMQJT 昼を少し回った時間。 厨房の手伝いを終えて、シエスタは部屋に戻ってきた。 「ただいま戻りました〜」 そう言いながらノックをしてみるが、返事はない。 当然の事ながら、部屋の主人もシエスタの主人も、この時間帯に部屋にいるはずもない。 ていうか、食堂で必死に才人に『あーん』しようとして手が動かないルイズを見てきたばかりだ。 シエスタは部屋に誰も居ないのを確認し、メイド服のポケットから合鍵を取り出す。 才人のメイドであるシエスタが、才人の常駐するルイズの部屋の合鍵を持っているのは道理である。のだが。 実はこの合鍵、才人がルイズに渡され、それをコピーしてこっそりシエスタに渡したものだった。 そのことは当然バレて才人はルイズにボコられ、鍵を奪われた。 しかし。ルイズとシエスタが和解した時に。 『あ、あんたが先に帰ってくること多いでしょ!だから持ってなさい!』 と、ルイズから直接、合鍵を渡されたのだった。 そう言う紆余曲折もあって、今やシエスタはルイズの部屋に自由に出入りできるのだが。 「…あー、洗濯物出しておいてくださいってお願いしたのにぃー…」 部屋の隅にある洗濯籠の中には、洗濯物が溜まっていた。 シエスタは今朝早くから、人手の足りない厨房の手伝いに出ていた。 だから、今朝『お洗濯ものがあったら、籠に入れて洗い場に出しておいてください』と、ルイズに頼んでおいた。 少し前ならそんなお願い事などしようものなら『そんなのメイドの仕事でしょー!』とルイズは激昂しただろう。 しかし今朝は。 『しょうがないわねー。じゃ、出しとくからちゃんと洗っておいてね』と、快く了承してくれたのだった。 ま、しょうがないかぁ、とシエスタは明日洗濯しておこう、と籠の中身を確認する。 ルイズの制服が一そろいと、下着が二着。才人の下着が二着分。 それほど多くはなく、すぐ片付く分量ではあった。 広げたそれらを片付けるシエスタの手が、ふと止まる。 …この制服…。 よくよく見てみると、すっごく可愛いかも。 ちょっと広げて、自分の身体に合わせてみる。 胸の部分はかなり足りないカンジだが、その他のサイズは、あんまり差がないような気がする。 …ちょっと、試しに着てみようかな…。 シエスタの頭の中に、そんな誘惑の声が響く。 ちらり、と窓の外を見る。 日は中天にあり、ルイズの授業が終わる時間はまだまだ先だ。 「ちょっとだけ、なら…」 シエスタは結局、誘惑に勝てなかった。 256 名前: キミが主で使い魔が俺で ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日: 2007/09/21(金) 23 42 29 ID ++iDMQJT 結構、似合ってるかも。 私は姿見の前でくるりと回ってみる。 ミス・ヴァリエールの制服は、ちょっとあちこち足りなかったけど、着れないほどじゃなかった。 …まあ、かーなーり、胸の部分は足りませんから、ぱっと見ミス・ツェルプストーみたいになってますケド。 もう一度、私は姿見の中の私を覗き込む。 真っ白なシャツに、黒いプリーツスカート。私の黒髪と、結構いい感じのコントラストになっている。 でも、なんか足りない感じがします…。 あ、そっか。 私はある事に気付いて、ミス・ヴァリエールのクローゼットから、予備のアレを出す。 そう、マントだ。 マントを羽織って、もう一度、姿見の前で回ってみる。 くるり。 …。 ……い、意外と似合うかも? そこでふと、私は考える。 もし、私が貴族で。 ミス・ヴァリエールじゃなく、私がサイトさんを召喚してたら、どうなっただろう。 『ほらサイト、ちゃんと言う事聞かないとゴハン抜きだからね?』 …なんか、どっかの誰かさんと一緒のような…。 そうじゃなくて。 もし、私が貴族だったら、きっと優しくて物分りがよくて、平民にも寛大なはずだから…。 『サイト、遠慮しなくていいから一緒のベッドで寝ましょ?』 『え、でもそんな』 『私と一緒のベッドはイヤ?』 なんて、なったりして! で、で、で。 『使い魔とか平民とか、そんなのどうでもいいの。サイトが好きなの』 『ご主人様…いや、シエスタ…』 「抱いて…」 「……なにやってんのシエスタ?」 私が妄想を繰り広げながら姿見の前で自分を抱き締めていると。 そう言って、サイトさんが帰ってきた。 「っっっっきゃーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」 驚いた私は、思いっきり大声で叫んでしまった…。 475 名前: キミが主で使い魔が俺で ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日: 2007/09/24(月) 23 24 49 ID JZC8Hhi+ 「あっあのこれはですねっ!つい魔がさしてっ!」 目の前でシエスタが慌てている。 トリステイン魔法学院の制服で。 っていうかルイズの制服で。 目の前でぶんぶん手を振り回しながら、真っ赤な顔で。 「なんか似合うかもー、って思って!ミス・ヴァリエールとあんまりサイズも違いませんしっ!」 言い訳と一緒に振り回される腕と一緒に。 サイズが合わなくてこぼれそうなおっぱいがぽよんぽよんと揺れている。今にもこぼれそうなその物量はまさに過積載。 …なんというエロ可愛ゆさ。 「あ、あのー?サイトさん?」 はっ!? しまったヨダレがっ? ていうか俺は今相当アレな顔をしていたらしい。 シエスタは俺の方を心配そうに見つめている。 やべ、フォローしとかないと俺まじでへんたいさんですかっ!? 「い、いや、なんでもないよ! ていうか、シエスタその格好似合ってるよ。うん」 …とりあえず誤魔化してみる。 「そ、そうですか?」 褒められたシエスタは、えへへ、なんて嬉しそうに微笑んだ。 …よっしゃ成功。 とりあえず、ほっとして俺は続ける。 「うん、似合う似合う。 こんなご主人様なら俺喜んで使い魔やっちゃうよ」 その言葉に。 シエスタの目が鋭い光を放った、ように見えた。 …キノセイダヨネ? 476 名前: キミが主で使い魔が俺で ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日: 2007/09/24(月) 23 26 43 ID JZC8Hhi+ シエスタはしばらく才人に背中を向けて何事かぶつぶつ言った後、振り向いた。 そして、ちょっとぎこちない爽やか笑顔で、こう言った。 「え、えと、じゃあ、今からサイトさんが私の使い魔で、私がご主人様、っていうのはどうでしょう!」 その言葉に、才人の目が点になる。 「へ?」 しかしここで引いては、せっかくの妄想実現チャンスを不意にしてしまう。 シエスタは半分呆れ顔の才人に食い下がる。 「本当に、ってわけじゃないんです!ごっこですごっこ! ちょっとの間だけ、してみません?き、きっと面白いですよ!」 「そ、そういうもんかなあ」 鼻息がかかりそうな距離まで近寄って、必死にそうのたまうシエスタに、才人はちょっと引き気味だ。 シエスタはほんの少し焦ったが。 ようし、こうなったら! 「そ、そういうわけで今から始めます!はい!」 「え?え?え?」 ヘタレで女の子の押しには弱い才人のことだ。 ここで押されれば、きっと。 「…の、喉が渇いたわ。紅茶を持ってきて頂戴」 ちょっとルイズを真似て、すこし斜に構えて才人を見下ろすシエスタ。 …お願い、上手くいって…! 才人は少しの間、ほけっとシエスタを見つめていたが、少しすると微笑んで、 「…了解しました、ご主人様」 すたすたと、紅茶を取りに部屋から出て行ったのだった。 やったーーーー! シエスタは心の中で喝采し、部屋の中で小さく飛び跳ねたのだった。 114 :キミが主で使い魔が俺で ◆mQKcT9WQPM :2007/09/26(水) 21 56 58 ID hwUFNeCO しばらくすると、紅茶を淹れたポットとカップを持って、才人が帰って来た。 シエスタは、ちょっと緊張した面持ちで、テーブルの前の椅子に掛けている。 慣れていない衣装のせいだろうか。 「お待たせ、ご主人様」 才人はちょっと大きめのそのポットを机に置いて、紅茶をカップに注ぐ。 とりあえず、しばらくはシエスタに付き合ってやろう、とは思っていた。 「あ、ありがとう」 シエスタはカップを受け取り、紅茶を飲み干す。緊張のせいか、少し喉が渇いていた。 才人はすかさず、そこに紅茶を注ぐ。 「ずいぶん、喉渇いてんだね?」 「え、あ、はい」 思わずいつもの調子で返事をしてしまうシエスタ。 そんなシエスタに才人は思わず吹きだす。 「な、何がおかしいんですかっ?」 「いや、シエスタからやろうって言い出したのにさ。 タメ口でいいよ、ご主人様」 才人の指摘に、シエスタの頬が朱に染まる。 そ、そういえば、私から言い出したんだっけ…。 「え、えっと、じゃあ、サイト」 「何?ご主人様」 対面の椅子に腰掛けながら、才人は呼びかけてきたシエスタににっこり笑う。 シエスタは、才人の笑顔に、身体が浮き上がるような錯覚を感じた。 …これ…いいかも…。 「ううん。呼んでみただけ」 「なんだよそれー」 そして二人であはは、と笑い合う。 なんだか…使い魔とご主人様っていうより…。 恋人同士、みたい。 ちょっとお互いの立場が変わるだけで、こんな気分になるなんて。 シエスタはもっとその気分を味わいたくて。 不意に立ち上がり、ベッドに腰掛ける。 そして、自分の左隣をぽんぽん、と叩いて、そして才人に言った。 「サイト、ここに座ってみて」 才人は言われるままに、シエスタの隣に腰掛ける。 すると、シエスタは、才人にぴったり寄り添うと、その肩に頭を預けた。 「どしたの?」 「少し…こうしてたいから…」 言ってシエスタは目を閉じて、才人の手の上に、自分の手をそっと重ねた。 115 :キミが主で使い魔が俺で ◆mQKcT9WQPM :2007/09/26(水) 21 57 36 ID hwUFNeCO …やっぱり、ミス・ヴァリエールはズルいと思う。 私はサイトさんの肩の上で彼の体温を感じながら、ミス・ヴァリエールに嫉妬していた。 生まれが貴族で、可愛くて、伝説の虚無の担い手で。 サイトさんを使い魔として召喚して、いつも、こんなふうに一緒にいて。 ホント、ズルい…。 だから、今だけ、ほんの少しだけ、サイトさんを私だけのモノに…。 「あのさ、シエスタ、そろそろ…」 隣から、サイトさんがそんな事を言ってくる。 …このひとはー。ホントに空気読めないんだから…。 私は立ち上がってサイトさんの前に立つ。 そして、サイトさんの顔を両手で掴んで、無理やりキスをした。 もう、怒ったんだから。 「あ、あの、シエスタ?」 唇を離した私の表情を見て、サイトさんはあせった顔になる。 …たぶん、怒った顔をしていたから。 「『ご主人様』でしょ? ホント、使えない使い魔ね」 「あ、あのーぅ?」 サイトさんの目は、完全に怯えた仔犬のそれになっていた。 その目を見た瞬間、私の中の何かが、蠢き始めた。 「そんな使い魔には、お仕置きしなきゃね…」 言いながら私は、サイトさんの下半身に抱きつく。 そして、制服からはみ出そうになっている私の胸を・・・思い切り、サイトさんの下腹部に押し当てる。 そのまま上下に体を揺すると…。 ぶちぶちっ 胸元をかろうじて閉じていたボタンが外れて、私の胸がこぼれる。 露になった乳首が、コリコリ潰れて…。キモチイイ…。 「ちょっ、シエスタっ!?」 そこまでしてようやく、サイトさんは私の肩を掴むけど。 私の胸の下あたりで、サイトさんが、おっきくなってる…。 ホント、どうしようもないくらい、正直なカラダ…。 「『ご主人様』だって何度言わせるのかしら? それに…こんなにして…」 言いながら…私はいつものようにサイトさんのズボンの前を開けて…。 むっとするような湿気と、生臭い男の薫りが、私の顔を撫でる。 …もう、ガマンできない…。 「いっぱいオシオキ、してあげるね…」 私ははだけた胸で、サイトさんを挟み込んだ・・・。 116 :キミが主で使い魔が俺で ◆mQKcT9WQPM :2007/09/26(水) 21 58 47 ID hwUFNeCO なんでシエスタが怒っているのか、今の僕には理解できない。 とか言ってる間に。 俺の息子は、シエスタのおっぱいにホットドッグにされて、限界が近くなる。 そして。 シエスタは俺のさきっちょを胸の谷間から出すと、さきっぽを唇で咥えた。 そのまま舌の先で、俺のナニのわれめをくにくにする。 だめだ、もうもたない! どくどくどくっ! 俺は限界に達し、シエスタの口の中で弾けた。 「んっ!んくっ、んくっ…」 シエスタはそのまま俺を全部口で受け止めて、こくこくと喉を鳴らして飲み込む。 …エロス。 俺を全部飲み干したシエスタは、涙目で俺を見上げながら、言った。 「まだ…まだなんだからっ…」 そこまで言って、シエスタは咽こむ。さすがにあんだけの量をぶちまけられたらキツいだろう。 で、シエスタさんは『オシオキはこれから』とでも言いたいのかなー? しかし甘いのである。 ここまでされてしょーじき才人君キレました。 なんせ俺ゆとりだしィーっ! 俺はシエスタの腋に両手を差し込むと。 「きゃっ!?」 赤ん坊を高い高いするように一気に持ち上げて、くるん!とベッドに向けて回って。 どさっ! そのまま、ベッドの上にシエスタを押し倒す。 「ちょ、ちょっと、ご、ご主人様に何を・・・」 「もうそれヤメ。こっからはスーパーサイトくんタイムです」 キレやすい現代っ子の恐ろしさ、その身をもって味わうがE−! 俺は非難のまなざしを向けてくるシエスタを無視して。 シエスタの、黒いニーハイソックスに包まれた両足首を乱暴に掴んで。 そのまま思いっきりシエスタの脚をばんざいさせる。 「や、やだぁっ!」 くぱぁ。 やっぱし。 そして大方の予想通り。 シエスタさんはいてません。 黒い陰毛に縁取られたシエスタのワレメが、ヨダレをこぼしながらぱくぱくと口を開いていた。 「だ、だめえっ、恥ずかしいですっ!こんな格好っ!」 どうやらこの状態になってようやく、シエスタはいつものシエスタに戻ったみたいだった。 117 :キミが主で使い魔が俺で ◆mQKcT9WQPM :2007/09/26(水) 21 59 37 ID hwUFNeCO どうやらこの状態になってようやく、シエスタはいつものシエスタに戻ったみたいだった。 しかぁし。今更遅いのである。覆水盆に返らず。まんぐりがえしもとにもどらず!である! 「なぁにがだめなのかなぁ?」 言って俺は、一気にシエスタを貫く。 ずぶぅぅぅっ! 「ひゃぁぁっ!」 シエスタのそこはもう既にとろとろで、一気に奥まで差し込めた。 俺はシエスタの脚をV字に広げたまま、短いサイクルで奥をこつこつしてあげる。 「やぁ!らめぇ!おくこんこんしちゃやぁ!」 「イヤなわりには、中とろとろじゃん、シエスタっ」 まあ、無理やり脚を広げているせいでちょっと広がっちゃってるせいだとは思いますがー。 俺は容赦なく、シエスタの奥のほうをこんこん、ぐりぐりしてあげる。 「ちぁうのぉ!らめぇ!おしっこでちゃうぅっ!」 泣きそうな顔で、シエスタは俺にそう言ってくる。 …へ? そーいやさっき、シエスタ紅茶ガブ飲みしてたよなぁ。 そっかぁ、おしっこでちゃうかぁ。 そして俺は、とんでもない事を思いついた。 118 :キミが主で使い魔が俺で ◆mQKcT9WQPM :2007/09/26(水) 22 00 20 ID hwUFNeCO 不意に、才人の責めが止む。 シエスタは今まで襲ってきていた乱暴な快楽の波が止んだのを知り、体を起こそうとした。 しかし、それは叶わない。 才人は力の抜けたシエスタの体を抱き上げ、両膝の裏側に手を差し込み、背中からシエスタを抱え上げた。 ベッドの脇で、シエスタはまるで赤子がおしっこをするような格好で、才人に抱きかかえられる。 「え、ちょっ、サイトさ…」 シエスタが才人に訴える前に。 才人は、なんとシエスタの下腹部を右手で撫で回し始めた。 さらに、濡れそぼったシエスタの割れ目で、己をこすり始める。 なんとかもつと思っていた下腹の膨張感が、再びシエスタを襲う。 「だめですっ!おしっこ、でちゃいますっ!」 シエスタはそう抗議するが。 「しちゃえばいいじゃん」 言いながら才人はシエスタの下腹部を力を込めて撫で回す。 そして、己を更に強くシエスタにこすり付ける。 才人はシエスタを責めながら、少しずつ机の方に寄って行く。 「ひぃ!だめ!でちゃう!でちゃぅ!」 「ここに、しちゃいなよ」 言って才人は、シエスタを抱えたまま器用に左手で、机の端に置いてあったティーポットの蓋を開ける。 その中身は、先ほどシエスタがガブ飲みしたせいで中身が三分の一ほどになっていた。 「ほら、ガマンしないで、さ」 言って才人はトドメとばかりに、シエスタの下腹部をぐいっ、と押し込んだ。 「ひ!」 ちょぽっ…。 それは、シエスタの決壊する音だった。 才人はシエスタの身体が震えたのを確認すると、両手をシエスタの膝の裏に戻し、ポットめがけて大きく広げる。 シエスタは羞恥のあまり顔を覆い隠す。しかし、その程度で尿意は止まらない。 そして、シエスタの忍耐は限界を超える。 「やぁ!だめぇ!でちゃう、でちゃうっ!」 ちょろろろろろろろ…。こぽぽぽぽぽ…。 才人はシエスタのお漏らしを正確にポットに導く。 しかしその大きなポットが一杯になる前に、シエスタのおしっこは止まった。 「や…だぁ…恥ずかしい…よぉ…」 耳まで真っ赤にして才人に抱えられ、羞恥に震えるシエスタ。 しかし、才人は許さなかった。 119 :キミが主で使い魔が俺で ◆mQKcT9WQPM :2007/09/26(水) 22 00 56 ID hwUFNeCO ぶちゅぅ! 「ひぃ!」 尿と愛液に濡れたシエスタの割れ目に、才人が突き立てられる。 「じゃ、空っぽになったシエスタを、俺ので一杯にしちゃおっか」 「やぁ!あっ!ひぃ!」 ぐちゅ!ぐちゅ!ぐちゅ! リズミカルにシエスタを上下させながら、才人はシエスタを犯す。 シエスタの放尿を見て高められていた才人は、すぐに限界を迎える。 「だめぇ!サイトさんだめぇ!」 「くぅ!いくよっ、シエスタっ…!」 シエスタの制止も聞かず、才人はシエスタの最奥で欲望をぶちまける。 どくどくどくっ! 「ひ!ひぁ!サイト…さんっ…やぁ…っ!」 最奥を才人に焼かれ、シエスタも僅かに遅れて、絶頂を迎えた。 120 :キミが主で使い魔が俺で ◆mQKcT9WQPM :2007/09/26(水) 22 01 28 ID hwUFNeCO 「サ・イ・ト・さ・ぁ・ん?」 ベッドの上でくったりしていたシエスタは、起きるなり妙な笑顔で俺の名前を呼んだ。 …あれ?怒ってはる? 「…イヤだって言ったのに!何させるんですか!もう!」 言いながら俺をぽかぽか殴る。 …別に痛くはないんだけど。 「…いやだってさあ…なんか反撃したくなってさ」 …だってねえ。あのままやられっぱなしってのもねえ。 そして次のシエスタのセリフが、俺のハートをブチ抜いた。 「…サイトさんのへんたい」 ぐっは!まてまて! 「い、いや、チョットマテ!始めたのシエスタじゃんか!」 「でも、あんなへんたいなことされるなんて思いませんでしたっ」 わ、悪かったなー! よーし、こうなったら! 「なら、もう一丁へんたいなことしてやるぜーっ!」 逆ギレするっきゃないわけで。 俺はベッドの上で座り込む制服シエスタに襲い掛か 121 :キミが主で使い魔が俺で ◆mQKcT9WQPM :2007/09/26(水) 22 02 03 ID hwUFNeCO 「で、誰が誰にへんたいなことするって?」 背後から。 そう、丁度入り口の方から、とっても聴きなれた声がした。 俺は、その正体を知っていたが。 振り向かざるをえなかった。 ダッテ俺は、虚無の使い魔だから。 振り向くとやっぱりそこには。 「お、おかえりルイズ」 俺のご主人様がいた。 俺は即座に言い訳を考えようと 「聞いてくださいミス・ヴァリエールぅ!サイトさんが、サイトさんがぁ!」 した瞬間、シエスタが一瞬でルイズの横に立ち、今までの経緯を全部俺が悪いように改変して、ルイズに話し始めた。 …ゑ?チョットマッテ? 「ふーん…あんた、ずいぶんシエスタにひどいことしたのねぇ…?」 ゑ?待って?俺の言い分は? 「まあ私もシエスタのいう事鵜呑みにはしてないけどね?でも」 ルイズの目がシエスタをねめつける。 シエスタの格好は。 トリステイン魔法学院の制服を着ていて、あっちこっちに俺の精液がこびりつき、胸がおもいきり飛び出ている。 …ぱっと見レイプ後っぽいのは、事実なわけで…。 「まあとりあえず、アンタがオシオキされるのは決定事項だからね。 バ カ 犬 」 その言葉と一緒に飛んできた魔法が、俺と部屋の壁を、女子寮の外に吹っ飛ばしたところで、その日の俺の記憶は途切れたのだった。〜fin
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70 名前:オトコノコの役割 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 01 49 16 ID PY+9F486 ロマリアの研究者の書いた一冊の本がトリステインの一部で話題になった。 『始祖ブリミルはハルケギニアの人間と異世界の人間のハーフである』 研究者たちの仮説は誰しも悪い冗談として笑いの種としてとりあわなかった。 「なぁルイズ」 才人は窓の外の月をぼんやり見ながら言葉を続ける。 「ブリミルの親父は地球人なのかな」 ルイズはベッドの上で足をパタパタさせながら答える。 「六千年前の地球人はどうやってこっちにきたのよ」 才人は自分の言葉の矛盾に気付いて あ、と声をもらす。 「あんたが異世界からきたことは内緒だし、研究者たちの説だって妄想の塊なんだから気にすることないわよ」 才人は頷きながら六千年前の世界に思いを馳せていると、ルイズがベッドの下からワインを取り出した。 「とっておきなんだからね!これ飲んで早く寝なさい!」 才人はグラスについで飲み干すと枕が飛んできた。ベッドに入れという意味らしい。 枕を拾い、ルイズのもとへ歩こうとした時、才人の視界の景色が変わった。 床からルイズを見上げていた。 (なんだ?) ルイズが近づく。 (あぁ、転んだのか、あれ?動けねぇな) 71 名前:オトコノコの役割 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 01 50 06 ID PY+9F486 窓からフードで顔を隠した人影がふわりと入ってきた時に才人は自分の状態を理解した。 ワインの中に痺れ薬が仕込まれていた。 「ベッドに縛り付けて。ルイズ・フランソワーズ」 フードの人影はアンリエッタだった。 才人はまだルイズに一服盛られたこと、アンリエッタにベッドに縛り付けられた意味を理解してなかった。いや、頭の隅で理解していたが心が拒否していた。 「服をぬがせて」 アンリエッタは冷たく命令するが、ルイズは動かない。 「惚れ薬を使うのを拒否したのはあなたでしょう?ルイズ・フランソワーズ」 ルイズは才人に涙目で何度も何度も謝りながら服を剥ぎ取る。 ベッドの上で固定された裸の才人にアンリエッタは本を一冊みせて任務を伝える。 「ルイズから本の内容は聞いてるとおもうけど・・・・・」 ここから先の話は才人は聞こえてなかった。 ただ涙を流した。自分の格好はどうでもいい、アンリエッタの命令もおかしいけど、そんなことで涙を流してはいない。 裏切られた。ルイズに裏切られた。信じてたのに裏切られた。その一点だけが涙をあふれさせた。 ルイズもアンリエッタも服を脱ぐ、才人のソコが反応する。 72 名前:オトコノコの役割 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 01 51 01 ID PY+9F486 アンリエッタがぬめる液体を才人にぬりたくり、ルイズのソコが才人を飲み込もうとする。 「早くしなさいなルイズ・フランソワーズ。あなたの役目でしょう?」 ルイズは苦痛を抑えて腰をおとす。才人のソコが快感を認める。 ルイズはつらそうな顔をして動き続けた。 「出そうになったら交代ですよ?」 アンリエッタの言葉は冷たく二人に刺さる。 才人の心は抵抗できなかった。 ルイズと繋がるソコは嫌でも快感をはじき出す。 悔しかった。本当はこんな状況にならなくても好きで好きで繋がりたかった相手。 守り続けたかわいいご主人様。 生意気で泣き虫で意地っ張りで・・・それでも大好きなルイズ。 「ごめんね、サイト」 ルイズの涙声と同時に繋がる相手が代わる。 アンリエッタが才人の上で動き続ける。 材木を削るかんなのように同じ動きを繰り返す。 「早く子種を授けてくださいまし」 アンリエッタは才人の目を覗き込み陵辱する。 「抵抗しても無駄ですよ?この状態になった殿方はどんなに頑張っても子種を出してしまうものなのですよ」 73 名前:オトコノコの役割 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 01 51 45 ID PY+9F486 それは強姦だった。アンリエッタは才人の意志とは関係なく精を搾りとり孕む。生まれた子供は始祖と同等の魔力を持つ王になる。馬鹿馬鹿しい仮説の段階ではあるが否定できる根拠はなにもない。 才人は言うことをきかない体を心だけで支えて抵抗する。 アンリエッタの蹂躙は止まらない。 才人の体を廻る快感も止まらない。 まるで家畜の種付けだった。 抵抗しても抵抗しても快感は才人をあざ笑い、駆け巡る。 体だけが繋がって心は拒絶し、快感は笑い続ける。 「まだなの?ルイズ!!頭の上にまたがりなさい!!」 それで才人は陥落した。ルイズのソコが才人の顔に擦り付けられる。体温を感じる。匂いを感じる。味を感じる。感触を感じる。視覚が感じる。 才人はソコから精が出ていくのを止められなかった。 「ほら、無駄だったでしょう?ふふっかわいい」 アンリエッタは精を放出してる最中の才人の目を覗き込む。 おぞましい笑顔、おぞましい行為、おぞましい快感、すべてが不快だった。才人は心まで陵辱されたことに怒り、声をあげようとするが声が出ない。 74 名前:オトコノコの役割 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 01 52 28 ID PY+9F486 精の放出がおわるとルイズが才人に乗り、再び出そうになるまで動く。あとはその繰り返しだった。才人は快感を否定し続けて精をアンリエッタに与え続けた。 窓の外が白み始めた頃、薬が切れはじめ、アンリエッタは満足そうにまた今夜と言って帰っていった。 ルイズはベッドの横で謝り続ける。才人の心は絶望で満たされ聞こえない。 「食堂からなにか持ってくる」 縛られたまま黙る才人に申し訳なくて、怖くてルイズは側を離れる言葉をさがす。 ルイズの出ていった部屋で才人はひとり泣いた。 部屋の扉が遠慮がちに開く。シエスタが立っていた。シエスタが配膳用の台車をおして才人に近づく。無言で縛られたロープを切り、才人を台車の上に載せる。肌を隠すため白い布が被せられて台車はメイドの寮まで走った。 部屋につくとまず体を拭かれ、新しい服を着せられた。 ベッドに押し込まれ睡眠をとるようにいわれ、そのままに従った。才人は壊れた人形みたいになっていた。 夕方になって才人は目覚めた。知らない天井、知らない部屋、知っているのは横で椅子に座っているシエスタだけ。 75 名前:オトコノコの役割 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 01 53 14 ID PY+9F486 才人は思い出した。ここに寝ている理由、心が壊れた理由を。だから、だから泣いた、ひたすら泣いた。シエスタはそっと抱きしめてくれた。それでまた泣いた。泣いて、泣いて、少し吐いた。 「もう大丈夫、大丈夫ですよ」 シエスタは側についていてくれて、やさしくしてくれて、安心させてくれた。 もうルイズもアンリエッタも自分を子供を作る道具にしか見ていない、戻れば必ず同じ目に合う。 「俺さ、ルイズに召喚されてこの世界にきてさ、俺なりに何か出来るかを探したんだよ。だから貴族になったし副隊長の話も引き受けたんだ」 シエスタは黙って聞いてくれた。 「それがさ、今度は種馬だぜ?笑っちまうよな?必要なのは種だけで俺は種を維持するだけの存在なわけだ」 窓の外は雨が降り始め、才人の視界も涙でにじむ。 「平賀才人、17歳、初体験、縛られたままで二人から輪姦」 才人は自嘲気味に呟き泣きながら笑う。才人はすでに壊れていた。 シエスタは言葉が出てこなかった。目の前の才人はボロボロで今にも消えそうで、今にも爆発しそうだった。だから抱きしめた。強く抱きしめることしかできなかった。 76 名前:オトコノコの役割 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 01 54 24 ID PY+9F486 才人のからだにシエスタのからだが密着する。才人のソコは反応し、才人の頭はおぞましい感触の記憶を引きずりだす。 暗い中から黒い何かが頭をもたげる。 それは食欲の形をした何か、性欲の形をした何か、暴力の形をした何かだった。 頭の中はちりちりに焼け付き、ふわふわの高揚感とぴりぴりした冷静さが背骨をぐさりと貫く。 「ああそうか、シエスタも俺の子種が欲しくて側にいるんだっけ」 才人にはシエスタとアンリエッタの区別ができなくなっていた。 「そんなつもりは・・・」 「違わないさ!」 才人はシエスタを引き離し髪をつかんで床に押し倒す。 「子種が欲しいんだろ?くれてやるよ!始祖だかなんだかの血統書つきの子種をな!」 才人はシエスタの上にまたがり服をちぎる。ボタンが床に散らばり、布の破れる音が才人に火をつける。 シエスタの肩が、胸が、臍が、足が露わになる。才人はごくりと唾を飲み込み服を脱ぐ。 「・・・・・・」 シエスタは顔をよこに背けて目を瞑り、抵抗しなかった。 才人の制御できない欲望はシエスタを貫き、荒々しい息だけが才人を支配する。 窓の外は雨が勢いをましていた。部屋の中は雨の匂いと肉と肉を打ちつけ合う音が響く。 77 名前:オトコノコの役割 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 01 55 33 ID PY+9F486 その行為には情もなく、目的もなく、ましてや愛も存在しない。ただ欲望にまかせた強姦だった。 シエスタは才人が刻みつける痛みに耐えて抵抗しない。胸に才人の涙がぱたぱたと降ってくる感覚も荒い呻きも受け止める。 才人は混乱のなかシエスタの中に欲望を注ぎ込んだ。 才人の熱が急速に冷めてゆく。 「俺・・・俺・・・なんてことを・・・」 投げ出された足、荒い息をする胸、乱れた髪、床に点を作る乙女の証、才人は後退りつまづいてへたり込む。 自分が怖くて、シエスタも怖くて押しつぶされそうになった。 「落ち着きましたか?サイトさん」 破れた服を手で押さえて才人にゆっくり近づく。 「来るな!来ないでくれ!」 才人は部屋を出るべく立ち上がり扉に向かう。 「いま部屋を出ればあの部屋に連れ戻されますよ」 忘れていた。もう自分に居場所などないということを。才人は逃げるようにクローゼットの中に隠れて震えた。 シエスタは才人を救いたかった。許した訳ではないが怒らなかった。クローゼットに逃げる才人は弱った子犬のように震えている。 「男の子でしょ?逃げちゃだめです、サイトさん。」 クローゼットの中の才人を抱きしめやわらかく叱る。 78 名前:オトコノコの役割 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 01 56 39 ID PY+9F486 「サイトさんはサイトさんですっ!種馬なんかじゃありません!それに、縛られて動けなかったんですからしょうがないんですっ!」 「・・・・・・」 「わ、私のことは気にしないでください!あれは事故ってゆうか・・・いえ、嫌だった訳ではないのですが・・・」 シエスタは顔を朱色にして言葉につまる。 「サイトさん少し乱暴だったし、わたし初めてで・・・わ、わっ何いってんだろ私・・・とにかくっ!あんなのナシですっ!やり直しですっ!」 シエスタは自分で何をいってるのかわからなくなっていた。 「シエスタ、ごめん。助けてくれたシエスタに取り返しのつかないことしちゃった。ごめん。」 冷静になった才人は自分を責め続ける。 「俺、何か償うよ。シエスタのために何か償わせてくれよ」 シエスタの唇が才人の頬をつつく。耳もつついて才人の頭を手でぎゅっと寄せる。 「悪いのはお互い様なんです。ほんとはですね、ミス・ヴァリエールの部屋から追い出された時になんとなく気付いてたんです。だからおあいこです」 才人の唇がシエスタの唇に合わさる。 「・・・ごめん」 シエスタの唇が才人の唇を追いかけまた合わさる。 79 名前:オトコノコの役割 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 01 57 52 ID PY+9F486 「ふふふっおしおきです。サイトさん」 狭いクローゼットのなかシエスタの唇は才人をつつき、手は才人を撫で続ける。 才人のソコに細いしなやかな手がぎこちなく降りてきて緩やかやリズムを刻み始める。 才人の服の下で自己主張し始めたソコは風に撫でられる柳のようにやさしく揺すられる。 やがてシエスタの手は才人の手を握り、才人の手を胸の双球ヘ導く。吐息まじりの唇が才人の顔、首筋、ついばむ。 才人の手が双球の上で遠慮がちに動く、シエスタのからだに電気が走り熱い吐息が出る。 「サイトさん、大好き」 耳元にきたシエスタの唇は想いを奏で才人の返事を促すように甘く耳を噛む。 才人の答えはすでに決まっていた、才人の腕はシエスタを抱き寄せてシエスタをまっすぐ見つめる。 「俺もシエスタが大好きだ、愛してる」 お互いの唇は相手の形を探るように深く重なり、吐息だけがクローゼットの中の熱を伝える。 「なんだか順番が逆になってしまいましたね」 笑顔のシエスタがそこにあった。才人も恥ずかしそうにつられて笑顔になる。 「シエスタ、さっきのは夢中でなんだか・・・・アレと言うか・・・」 80 名前:オトコノコの役割 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 01 58 56 ID PY+9F486 才人はシエスタを見つめたまま赤くなり、覚悟をきめた顔にもどる。 「俺、あらためてシエスタを抱きたい」 それは才人の想いであり、覚悟であり、答えであった。才人の目はシエスタからの返事を待つ。 「優しくしてくださいね、サイトさん」 求め合う心は唇を求め重なり、腕はからだを離すまいと力を込める。 「ベッドにいこう」 才人の言葉にシエスタの胸は早鐘を打つ。「はいっ」 朱に染まるシエスタのからだはふわりと浮き上がる。お姫さま抱っこをされていた。 ベッドの上でシエスタは才人の手によってやさしく脱がされる。才人も脱いで二人とも一糸まとわぬ姿になる。抱きあいながらシエスタを見ると頬を少し膨らませていた。なにか言いたい事があるように見つめている。 「さっきみたいに・・・その・・最中に・・・悲しそうな顔で泣くのはなしですよ?」 少し考えた後、言葉は続く。 「無理に最後までしなくてもいいんですよ」 才人は目をそらさない。ただ普通に口づけをして、普通に話すようにシエスタに答える。 「愛しているんだ、シエスタ」 81 名前:オトコノコの役割 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 02 00 07 ID PY+9F486 その言葉だけで十分だった。 「もう、知らないですよ?わたし心も体も発情しちゃいますよ?」 そんなシエスタの警告は才人の唇によって遮られる。 才人の唇はシエスタの唇を出発点にして耳、首筋、鎖骨を探検しながらおりていく。 才人の唇はそこで何かを発見したように上に遡る。シエスタの腕をあげて唇と鼻をねじ入れる。 かわいい腋毛が生えそろっていた。深呼吸してシエスタの匂いを分析する。ふんわりとしたシエスタの匂いとメスの匂いがエタノールのように才人の頭をゆらす。心地よい匂いを鼻腔に詰め込んで腋毛を舐め擦る。シエスタの成分が才人をくすぐり返す。 才人の唇の旅は左胸に向かう、丸みの突端を中心として螺旋状に登頂を開始する。 唇が先端を征服し、唇ですっぽり覆い、吸う。シエスタの口から はふっと息が吸われて吐息にかわる。 右の胸もかわいそうになり唇は同心円を描いてから先端を吸い、吸ったまま転がす。シエスタの足がもじもじ動く。 先端が硬くなりシエスタがふるっ震えると唇は臍に向かって進路をとる。その窪みは柔らかく窪みに近づくとシエスタは はひゅっと声のような吐息をだす。 82 名前:オトコノコの役割 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 02 01 19 ID PY+9F486 唇で窪みをつついて背中をなぜるとシエスタのからだがぴょこりと跳ねる。 唇はシエスタの茂みに迷い込む。迷ったついでに鼻を差し込み深呼吸をする。シエスタが声をもらす。声と同時に鼻からシエスタのふんわりした匂いが入り込む。 懐かしいような、やさしいメスの匂いがした。舐め擦るとシエスタの腰が かくりと引っ込んだ。 唇の旅はシエスタの茂みの下へと降りていく、ソコにはオンナノコの証が唇を出迎えた。ソコの小突起は恥ずかしそうちょっとだけ頭を見せてはにかんでいる。唇は小突起に軽く挨拶をするとシエスタが声をもらして腰をねじる。 お礼に小突起を下から上に舐め擦るとシエスタの吐息は大きくなった。 嬉しくなって下に進み深い洞窟に舌を差し込むとシエスタのクレバスが開き始めた。 洞窟からのシエスタの匂いが濃くなってゆき、洞窟のすぐ上にある小さな穴をついばむころには甘い匂いにかわっていた。 もう一度小突起へ軽く挨拶するとまた腰が かくりと引っ込む。 楽しくなって吸ってあげると、小突起が顔を出す。仲良くなろうと思い円を描くように舐め擦るとシエスタは少し大きな吐息をあげて茂みと洞窟からメスのタンパク質の匂いを出す。 83 名前:オトコノコの役割 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 02 02 33 ID PY+9F486 唇はさらに下ろうとするとシエスタの手が遮る。その下の洞窟はだめらしい。諦めてオンナノコの証の周りをくるくる旅をして背中に向かい、道を探すと真ん中に道を発見した。 でこぼこした骨の道はつるつるの肌で舗装されて、ゆっくりと進むとシエスタは魚のように跳ねた。 唇は首筋へ戻り、匂いが強くなったのを満足そうに確認してからシエスタの唇へ戻る。 シエスタはとってもだらしないかわいい顔で涙ぐんでいた。 「サイトさんのいじわるっ」 シエスタは赤くなっていた。少しだけ反省して足を開いてあげて腰を近づけると入り易いようにシエスタの腰も角度を調整してくれた。 クレバスの潤滑油は白い潤滑油になっていた。才人のソコがあてがわれると抵抗を感じながらも ぞぶりと入った。 シエスタは少し痛そうな顔をしたが、しばらく動かないで待っていると大丈夫といって口づけをねだった。 才人のソコはシエスタを気遣うようにゆっくりと浅く動く。シエスタもそれにならって腰を動かす。ゆっくり、ゆっくり。 「ふぅぅぅうんんっっんんっっはぅっ」 シエスタのからだが硬直し震える。 シエスタは急に毛布で顔を半分だけ隠して真っ赤になってる。 84 名前:オトコノコの役割 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 02 03 51 ID PY+9F486 「もしかして・・・・・?」 才人の問いにシエスタはこくりと頷く。 シエスタは才人が自分のために一心不乱に腰を使っている姿に心と体が反応していた。軽い絶頂に浸っていた。 「次に気をやる時に いくって言って教えて」 才人はシエスタをいじめたくなっていた。 「だめですっ!女の子のはしたない所をみたいだなんて趣味わるいですっ!」 才人は絶頂に達したシエスタをもう一度見たかった。 「はしたなくなんてないよ。シエスタの最もかわいくて最もきれいな瞬間じゃないか!」 シエスタは はうぅと呻き毛布の盾を解いて才人に従う。 「わたしだけ見られるのは嫌ですっ!サイトさんの瞬間を見ますからねっ!」 シエスタは手を頭の後ろに置き、腋毛を見せつけ、腰をくねり抵抗した。 シエスタのソコは先ほどの絶頂で充血して膨らんでいる。才人はソコが柔らかく熱くなったように感じた。 才人のソコは浅いストロークを数回繰り返し、たまに一度奥深くまで届くストロークを刻む。どうやらシエスタは気に入ってくれたらしい。 85 名前:オトコノコの役割 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 02 04 59 ID PY+9F486 始めはゆっくり5回浅く1回深くのストロークはだんだんと速度をあげて9回浅く1回深くのストロークにかわる。シエスタの腰もそれについてくる。 すごく気持ちよかった。お互いに好き合ってるとここまですごいのかと思った。 シエスタの息が荒くなる。才人はシエスタの限界をソコの搾り具合から察する。絶頂の瞬間が近い。 シエスタも才人の絶頂を見逃すまいと目を開けてソコを揺すり続ける才人を見る。 荒い息のシエスタがついに才人を喜ばせる。 「いくっサイトさんっっ いきますっみててください」 才人も限界だった。 「おれも・・・・いくっ」 才人は精を打ち込みながらシエスタを見る。シエスタの瞳孔か少し広がり、虚ろな目になり荒い息を繰り返しながら腰を前に何度も突き出していた。 腰の動きはシエスタの意志で動いてないらしく、才人の精を奥深くで受け取るための前後運動と搾り方だった。 シエスタの絶頂姿はかわいくて、いとおしくて、はしたなくて、きれいだった。 シエスタも才人の精を打ち込む姿を真っ赤な顔で絶頂に震えながら見つめている。 二人はお互いに目を開けたまま絶頂を迎え、その姿を見せっこしながら果てた。 86 名前:オトコノコの役割 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 02 06 03 ID PY+9F486 「女の子の体に変な癖をつけないでください」 並んで寝てしるシエスタは頬を染めて抗議する。 才人は無言で手をオンナノコの部分をつつくとシエスタは電気が走ったように ぴくんと跳ねる。 シエスタはそんな才人を甘く優しく睨む。 才人もえへへと笑って応える。 「俺、シエスタを幸せにする。幸せにして俺も幸せになる」 それは才人の辿り着いた答えだった。 「タルブに行こう、シエスタ。二人で幸せになろう!」 シエスタの目が潤む。 「はいっサイトさん」 二人の唇は重なり、シエスタの熱い涙は才人の頬に移り想いを伝える。 窓の外は雨があがり、星がきらめき始めていた。 数年後、タルブの村のはずれの葡萄畑の丘に二人はいた。 「何事にも限度はあると思うんです」 嬉しそうにあきれるシエスタ。 「すまん」 全然すまなそうに笑う才人。 葡萄畑には二人の子供が9人。 「10人目だそうですよ」 シエスタはお腹をさする。 才人も楽しそうにお腹をさする。 「シエスタ」 「はい?」 「いま幸せか?」 シエスタは満面の笑みで才人を見つめ答える。 「はいっとっても幸せです」 才人もシエスタも嬉しそうに笑う。 「俺もだ、シエスタ」 葡萄畑に吹くそよ風は青い空から二人とその子供たちに微笑んでいた。 おしまい 87 名前:あとがき ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/23(木) 02 07 14 ID PY+9F486 オトコノコの役割 この物語はこれでおしまい。 次の物語は、またいづれ。 それではっ
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310 :もうガマンできな〜い ◆mQKcT9WQPM :2008/01/13(日) 20 30 19 ID Nv+sVZA8 最初に目が覚めたのは、シエスタの方だった。 時刻は、あれから一時間ほど経っているだろうか。表通りのざわめきは聞こえてこない。 そしてすぐ視界に入ったのは、半身血まみれの才人。 「サイトさんっ!?」 身体中に感じる気だるさを何とか振り払い、シエスタは才人の肩の怪我の具合を見る。 あれだけ流れていた血は、ガンダールヴの力によってか、完全に止まっていた。 だが、傷口が塞がっているわけではない。シエスタはスカートの裾を引き裂くと、それで才人の肩口をきつく縛って、傷口を覆った。 「これで…大丈夫だと思うけど…」 とりあえず、シエスタは一息つく。 そして、落ち着いた瞬間。 どくん。 心臓が大きく脈打ち、大量の血液を一度に全身の器官に流し込む。 その血液は、神経の伝達より先に、シエスタの身体中にある欲求を喚起させる。 使った力の反動。『武器』として、使われた力の補填。主人であるガンダールヴから与えられる糧を、シエスタの身体が、使い魔の本能が欲しているのだ。 頬が赤く染まり、体温が上がっていくのが分かる。鼻腔に届く路地裏の乾いた砂の香りに混じる、主人の体臭に、身体が反応する。 あまりの息苦しさに、熱い溜息が漏れる。腰の奥に存在する器官が蠢き、肉の渇きを訴える。 シエスタは、潤んだ瞳で才人を見つめていた。その呼吸は荒く、溢れる唾液に湿り気を帯びていた。 その視線が、才人の牡の部分に注がれた瞬間。 「まあ応急処置はこんなもんだろ。嬢ちゃん、早いとこ相棒をどっかあったかいとこで寝かせてやんな」 才人に背負われたデルフリンガーの言葉が、シエスタにかろうじてこびりついていたわずかな理性を目覚めさせる。 …サイトさんを…たすけなきゃ…。こんなこと、考えてる、ばあいじゃ…。 シエスタは必死に己の獣を抑え込み、才人の右腕を担いで、立ち上がらせる。 そして。 一歩足を踏み出した瞬間。密着した部分の体温に、シエスタの牝が吼えた。 ぴしゅっ…。 その体温と臭いだけで、シエスタは軽い絶頂を迎えてしまう。 ショーツの中で牝が潮を吹き、脚から力が抜けそうになる。 「ぁ…はぁっ…」 しかし気丈にもシエスタは耐え、そして、才人を引きずるように、裏通りを行く。 随分短くなったベージュのスカートの隙間から覗く太股の内側を溢れた粘液が伝い、シエスタの靴下に染み込んでいく。 おかしい…ヘン…。 身体の奥から沸きあがる欲求に、足元がふらつく。視界がふらつき、今にも倒れこみ、抱えた牡を貪りそうになる。 …もう、ガマン…できな…。 そんなシエスタに、救いがもたらされる。 「嬢ちゃん、あそこの倉庫なんかどうだ?」 デルフリンガーの声に、シエスタは前を向く。 裏道の途中に、扉の開いた倉庫が見えた。 才人をひきずり、シエスタはその中を確認する。意外に広い倉庫の中には、大量の粉袋が積み上げられていた。 どうやら、ここは粉問屋か何かの倉庫らしい。 シエスタは最後の理性を振り絞って、才人をその倉庫の一番奥、ベッドくらいの高さに積み上げられた麻の粉袋の上に、才人を横たわらせる。 そして。 シエスタは、床に積もった粉に脚を滑らせてしまう。 311 :もうガマンできな〜い ◆mQKcT9WQPM :2008/01/13(日) 20 30 51 ID Nv+sVZA8 「…あっ!」 とさ。 偶然、シエスタは才人の胸板に倒れこんでしまう。 きゅうぅっ!きゅきゅぅっ!ぷしゅぅっ! 「ひ、あっぁぁ、あ────────────────!」 主人の体臭と体温を感じた飢えた黒髪の使い魔の牝は、あっさりと決壊した。 臭いだけで達し、肉襞が何も入っていない膣に不満の咆哮をあげ、膣内に満たされた愛液をひり出す。 潮が容赦なくショーツを濡らし、限界まで飢えた使い魔の理性を完全に削り取った。 「嬢ちゃん?大丈夫か?」 デルフリンガーの声に、才人の胸板から顔を上げたシエスタは言った。 「もう…ガマン、できません…サイトさん、ごめんなさい…」 デルフリンガーはそのシエスタの顔を見た瞬間、喋るのをやめることにした。 情事に第三者は、ましてや剣は必要ない。 シエスタの目は完全に獣欲に曇り、頬は上気しきり、唇の端からはたらたらと涎を零していた。 白い指が才人のズボンのジッパーにかかり、一気に前を開ける。 気絶した才人のソレは、力なく、だらしなく垂れていた。 ぴちゃ…。ぺろ…。 シエスタはズボンからまろび出た脱力した才人のペニスに、啄ばむように口付け、労わるように舐める。 しかし。 才人の牡は反応しない。脱力したままだ。 もっと…強くしないと…。 そう考えたシエスタは、才人のズボンを脱がし、そして。 脱力した才人の両足の間に滑り込むと、才人自身の付け根に鼻を寄せる。 シエスタの鼻腔に漂う、たまらない牡の臭い。 きゅぅんっ…! それだけでシエスタの牝が再び吼える。 三度目の潮吹きに、シエスタのショーツからは雫が溢れ始めていた。 そして、シエスタは舌を伸ばす。 才人の不浄、肛門の穴に。 ぺちゃ…ぺちゃ…。 舌で肛門から裏筋の根元までを丹念に舐め上げ、そして指で柔らかく脱力した陰嚢を揉み解す。 その刺激に、才人の牡が反応する。 海綿体に血液が流れ込み、やがて才人の牡が天を衝く。 「あは…。サイトさんのおちんちん、たったぁ…」 完全に獣に支配されたシエスタは、嬉しそうに微笑み、才人の肉棒に更なる刺激を与える。 根元まで才人を咥えこみ、右手で陰嚢を揉み、そして左手の指を才人の肛門に突き刺し、内側から前立腺を刺激する。 312 :もうガマンできな〜い ◆mQKcT9WQPM :2008/01/13(日) 20 31 45 ID Nv+sVZA8 「う…なんっ…だぁ…?」 その刺激に、才人もさすがに目を醒ます。 …おはようございますぅ…サイトさぁん…。 口に才人を含んだままなので、シエスタは心の声で目を醒ました才人に呼びかける。 もちろん、心の奥から溢れる衝動も筒抜けで。 「ちょっ!うわっ!シエスタなにしてんのっ!?」 下半身を襲うとんでもない刺激からそれは予測できたが、才人は思わずそう口走ってしまう。 …お口でくわえてますぅ…サイトさんのせーえき、いっぱいくださぁぃ…。 言いながら一気に吸い上げ、ころころと精巣を転がし、そして、前立腺を押し込む。 その圧倒的な攻撃力に、才人の堰はあっという間に決壊した。 「ちょ、やば、も、もうだめだぁっ!」 どくどくどくっ! 才人の牡が、シエスタの口の中で吼える。 大量の精液が、シエスタの口内に吐き出される。 ごくっ、ごくっ、ごくっ。 最初の三口までは、一気に飲めた。しかし。 ごぼっ! 「えほ!えほっ!」 呑みきれなかった精液に咽込み、白い液体を吐き出すシエスタ。 才人の足元に跪き、唇の端から白い粘液を滴らせながら、シエスタはえずく。 才人はそんなシエスタを気遣い、シエスタの背中をさする。 「だ、大丈夫?シエスタ」 顔を上げたシエスタは。 涙と涎と精液に塗れ、瞳を潤ませ、頬を上気させていた。 その顔は、完全に発情した牝のそれだった。 あまりにも淫靡なシエスタの表情と視線に、激しい射精に萎えていたはずの才人の一物が一気に復活する。 313 :もうガマンできな〜い ◆mQKcT9WQPM :2008/01/13(日) 20 32 21 ID Nv+sVZA8 「さいとさん…おねがいします…」 そう言って立ち上がり、短いベージュのスカートをたくし上げる。 いつの間にか、ショーツは片足が抜かれていて、お漏らしをしたようにベトベトの割れ目を完全に晒していた。 シエスタはたくし上げたスカートを口にくわえ、そして尻の方から開いた脚の間に指を通し、蜜を溢れさせる陰唇を割り開いた。 ぬちょぉ・・・。 音すらたてて、シエスタの中に溜め込まれていた牝の樹液が零れ落ちる。 それは愛撫もしていないのに白く濁り、信じられないほどの粘性でまるで涎のように滴る。 ごくりと喉を鳴らした才人に、シエスタは心の声で呼びかけた。 いっぱい、シテください。わたしのいやらしい下のおくちに、サイトさんのせーえき、いっぱいのませてください…。 その心の声に、才人は。 左手だけで器用にシエスタをうつ伏せに押し倒すと。 まるで獣のように、乱暴に、何度も何度も、シエスタを犯した。 そして、シエスタはその一部始終をルイズに報告してしまうわけで。 「もう、あんまり激しくて腰が抜けると思いました♪」 「ふぅーん」 がつっ!どすっ! 「まだおなかの中、どろどろしてます…やだっ、もうっ♪」 「へぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ?」 ばき!どか! 「その後もですねー、今度は手とかでイかされちゃって♪」 「ほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」 ごす!ぼす!ぐりぐりぐり。 「結局、足腰たたなくなっちゃって、帰りは結局ずっと抱いてもらってたんです♪お姫様みたいに♪」 「ソレはよかったわねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?」 ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり…。 タバサが駆けつけてルイズを止めるまで、ルイズは才人をフミグリし続けたのだった。〜fin
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368 名前:1/16[sage] 投稿日:2006/10/07(土) 12 39 47 ID V6/sy8A0 「えーっと、ここだな‥‥」 赤茶色に錆ついた鉄の扉の前で、サイトはそう呟いた。 地下一階にあるその場所は湿っぽく、カビ臭かった。おまけにかなり暗くて、 灯りがなければ足元も見えない。サイトは何度もつまづき、そのたびに手に持っ た小さな灯篭で足元を照らしながら、ようやくここまでたどり着いたのだった。 「それにしてもルイズのやつ、こんな場所に何の用なんだ?」 サイトは不機嫌そうに呟きながら、右手に持った紙を灯りで照らした。 サイトの世界で言うところの、わら半紙のような紙。そこには羽ペンで、短く こう書かれていた。 『サイトへ 今夜、消灯時間が過ぎたら、学院の地下室へ来なさい。 遅れたらおしおきだからねっ! ルイズ』 「‥‥ったく、勝手な御主人様だよなあ。少しはこっちの都合も考えろよ」 サイトは頭を掻きながら、頭上にある窓を見上げた。 60サント四方の小さな窓から、かすかな月明かりが入っている。二つの月が 互いに寄り添うかのように、空高く浮かんでいた。 「いよいよ明日なんだな‥‥」 二つの月を見上げながら、サイトは感慨深げに呟いた。 369 名前:2/16[sage] 投稿日:2006/10/07(土) 12 40 46 ID V6/sy8A0 明日は、数ヶ月に一度の日食の日だった。伝承によると、日食の日はこの世界 と異世界とを繋ぐ扉が開きやすくなるらしい。シエスタの曽祖父も、日食の日に 異世界から飛ばされてきたという。それを聞いたサイトは、シエスタの曽祖父が 乗っていたという「竜の羽衣」、すなわち零戦に乗って、元の世界に戻ろうとし ていた。 チャンスは一度きりなのだから、万が一にも失敗は許されない。そのため、サ イトは念入りに計器のチェックを行い、メンテナンスを実施した。そして、お世 話になった学院の関係者にお礼を言いに回った。そうこうしているうちに日が暮 れて、消灯時間になったのだ。 一日じゅう動き回ったせいで、サイトの身体はぐったりと疲れていた。明日に 備え、早いうちに寝てしまおうと思った矢先に、ルイズからの手紙を見つけたの である。 正直、今夜は早く寝てしまいたかったが、ルイズの命令を断るわけにはいかな かった。ルイズを怒らせたら後が面倒だし、いちおう寝場所と食事を与えてくれ た恩もある。サイトは眠い目をこすりながら、仕方なしにここまで来たというわ けだった。 (しかし、こんな場所に呼び出して、いったい何の用なんだ‥‥? ま、行って みれば分かるか) サイトはノブに手をかけ、押した。扉を開けた瞬間、大量の埃が舞い上がり、 サイトは激しく咳き込んだ。 部屋に入ると、そこはかなり狭く、サイトの世界でいえば20畳ほどの広さし かなかった。見ると、錆の浮いた剣や傷だらけの鎧、割れた鉄兜などが、いくつ も乱雑に転がっている。どうやらここは、使用済みの武具を廃棄しておく場所の ようだ。 370 名前:3/16[sage] 投稿日:2006/10/07(土) 12 41 29 ID V6/sy8A0 サイトは机の上に灯篭を置いて、周囲に向けて呼びかけた。 「おーい。ルイズ、いるかー?」 だが、返事はなかった。サイトの声が、部屋の壁に反響するのみだ。 「あれ、おかしいな‥‥ルイズ、どこにいるんだー?」 「‥‥サイトさん」 サイトの呼びかけに応じるように、小さな声が部屋の隅から聞こえてきた。 だがそれは、ルイズの声ではなかった。ルイズよりやや大人っぽくて、落ち着 きが感じられる。そして何より、ルイズの特徴である高飛車な感じがなかった。 誰だ? と首をかしげるサイトの前に、一人の少女が現れた。それはメイド服 に身を包んだ、黒髪の少女だった。 「ようこそ、サイトさん。お待ちしていました」 「お前‥‥シエスタ? シエスタなのか?」 サイトの呼びかけに、シエスタはにっこりと笑って頷いた。その笑顔は、まる で花が咲いたかのように眩しく、美しかった。 「嬉しいです、サイトさん。わざわざこんな場所まで来てくれて‥‥」 「何を言ってるんだ、シエスタ‥‥? そうだ、ルイズを知らないか? あいつ、 オレをこの部屋へ呼んだくせに、姿が見えないんだ。あいつがどこにいるか、知 らないか?」 「ミス・ヴァリエールなら、ここにはいません。サイトさんがここにいることも、 ご存知ないはずです」 「えっ? でも、あいつはこの手紙を‥‥」 「それはミス・ヴァリエールが書いたものではありません。それは‥‥私が書い たんです」 「な、何っ?」 サイトは自分の耳を疑った。 まさかこの手紙は、シエスタが書いたというのか? わざわざルイズの筆跡を 真似してまで? シエスタはどうして、そんなことをしたんだ? 万が一ルイズ にばれたら、間違いなく罰を受けるというのに‥‥? 371 名前:4/16[sage] 投稿日:2006/10/07(土) 12 42 10 ID V6/sy8A0 あまりにもたくさんの疑問が浮かびすぎて、サイトは言葉を発せなかった。そ んなサイトに向かって、シエスタは言った。 「悪いとは思いましたが、ミス・ヴァリエールの名前を使わせていただきました。 サイトさんをこの場所へ呼び寄せるには、これしか方法がないと思ったんです。 あの方の命令なら、サイトさんも従わざるを得ないでしょうから」 「ど‥‥どうしてだ? どうして嘘をついてまで、オレをここに呼び出したんだ?」 その問いかけに、シエスタは何も答えなかった。代わりに切なげな眼差しでサ イトを見つめながら、シエスタは口を開いた。 「サイトさん。あなたは明日、異世界へ帰られるんですよね?」 「あ、ああ‥‥そのつもりだけど」 「私は今まで、何度もサイトさんに助けてもらいました。魔物に襲われたときも、 悪い貴族に売り飛ばされたときも、あなたは必ず駆けつけてくれて、私を守って くれました。今、私がここにいられるのも、みんなサイトさんのおかげです」 「いや、そんな‥‥大げさだよ」 「サイトさんには、とても感謝しています。なのに私は、サイトさんに何もして あげていません。このままお別れされたら、私はきっと後悔すると思います」 「そんな、気にするなよ。困ってる女の子を助けるのは、男として当然だろ?」 「いいえ、それでは私の気が済みません。サイトさんには、できる限りのお礼を したいんです‥‥だから‥‥」 シエスタは手を差し出し、サイトの両手を握り締めた。そして大きく息を吸い、 吐き出すと、はっきりとした声で告げた。 「私を、抱いてください」 「‥‥え?」 「抱いて欲しいんです‥‥あなたに、私の身体を」 「え、ええっ?」 サイトはまたも、耳を疑った。身体を抱いて欲しいって、まさか、そんな‥‥? 372 名前:5/16[sage] 投稿日:2006/10/07(土) 12 42 49 ID V6/sy8A0 「私は一介のメイドですから、財産と呼べるものはほとんど持っていません。た だ一つ価値のあるものといえば、この身体だけです。ならばせめて、この身体を、 サイトさんに捧げたいんです」 「ま、待ってくれ、シエスタ! そんなこと、軽々しく口にするもんじゃないだ ろ! そういうことは、好きな人に言うべきじゃないのか?」 「私はサイトさんが好きなんです。初めて会ったときから、ずっと」 「で、でも‥‥オレは、ルイズの使い魔なんだぞ? ルイズにばれたら、きっと ただじゃ済まないぞ!」 「構いません。サイトさんに抱いてもらえるなら、私はどんな罰でも受けます」 「だ、だけど‥‥」 「‥‥私では、サイトさんのお相手になれませんか?」 シエスタは、哀しげな声を発した。 サイトを見つめるシエスタの顔には、物憂げな表情が浮かんでいた。幼い頃か らメイドとして働いてきたシエスタは、他人に喜ばれること何よりも好きな性格 だ。逆に、他人を失望させることは、彼女が最も嫌うことである。自分ではサイ トに喜んでもらえないのか、サイトを満足させられないのか‥‥そんな思いが、 シエスタにこんな表情をさせているのだろう。 そんなシエスタの表情を見たサイトは、意を決したかのように、小さく頷いた。 サイトはシエスタの手を振りほどいて、自分の両手をシエスタの肩の上に乗せ た。そして言った。 「一つだけ約束してくれ。このことは、絶対誰にも言わないこと。いいな?」 「はい。約束します」 「‥‥分かった」 サイトはシエスタの顎に指をあて、その顔を上げさせた。 15サントほどの距離を隔てて、二つの視線が重なり合う。二人はどちらから ともなく目を閉ざすと、顔を近寄せ、唇を触れ合わせた。 373 名前:6/16[sage] 投稿日:2006/10/07(土) 12 43 32 ID V6/sy8A0 シエスタの唇は、かすかに震えていた。緊張のためか、それとも好きな人と口 付けしているという悦びのせいか。それは分からないが、必死になって身体の震 えを抑えようとしているように思えた。その健気さが、サイトの心を打ち、胸を 熱くさせた。 サイトはいったん唇を離し、もう一度触れ合わせた。今度は少し力を入れて、 シエスタの顔に自分の頭を押しつけるような感じで。不意に圧迫感を受けたシエ スタは、かすかに口を開いた。サイトはそれを見逃さず、シエスタの唇の隙間か ら自分の舌を差し入れた。 侵入したサイトの舌が、シエスタの口の中でうごめく。柔らかく、生温かい舌 の先が、シエスタの頬裏や歯に触れ、口内を蹂躙していった。 「んんっ、ん‥‥!」 シエスタは自分の頭が、ボーッと痺れていくのを感じた。サイトの舌が動くた びに、身体の感覚が麻痺して、何も考えられなくなっていく。だがなんとか気を 取り戻すと、シエスタは自分でも舌を動かし、サイトの舌に絡めあわせた。 ざらついた舌の感触が、情熱の炎を燃え上がらせた。唾液が混ざり合うピチャ ピチャという音が、部屋の中に響き渡る。サイトの口から溢れる熱い吐息を感じ たシエスタは、喉の奥で艶っぽい喘ぎ声を発した。二人は夢中になって、互いの 舌や唾液をむさぼった。 サイトはシエスタの肩に乗せていた右手を、下のほうへ滑らせていった。そし て胸の膨らみの上で停止させると、掌を回転させるように撫でまわした。二度、 三度と撫でてから、サイトは手に力を入れ、服の上から胸を握り締めた。 「あっ、ああ‥‥!」 シエスタは全身をビクンと震わせ、唇を離した。二人の唇の間を唾液の糸が紡 ぎ、やがてプツンと切れた。 サイトは巧みに指を動かし、何度もシエスタの乳房を揉みしだいた。そのたび にシエスタは敏感に反応し、甲高い声を発する。眉根を上げて喘ぐシエスタの表 情は、今まで見たこともないほど艶っぽく、サイトの興奮をさらに昂ぶらせた。 374 名前:7/16[sage] 投稿日:2006/10/07(土) 12 44 56 ID V6/sy8A0 サイトはシエスタの上着に指をかけ、ボタンを外そうとした。だがそのとき、 なぜかサイトの指が動きを止めた。 「? どうしたんですか、サイトさん?」 「いや、その‥‥メイド服を着た子にこんなことをするのは、ちょっと妙な気分 だな、って思って‥‥」 「えっ? サイトさんの世界には、メイドはいないんですか?」 「いや、いるよ。ただ‥‥ちょっと特殊な店にしか、いないけどね」 「特殊なお店‥‥?」 シエスタは、それがどんな店なのか聞こうとしたが、やめておいた。サイトは 異世界の住人なのだ。話を聞いたところで、理解するのは難しいだろう。それに 今は、そんな疑問を持つべきではない。今はサイトとの行為に集中して、少しで もサイトに喜んでもらわなければならないのだ。 サイトの指が、上着のボタンを一つずつ外していく。一番下まで外し終え、合 わせ目を左右に広げると、シエスタの上半身が露わとなった。少しでも早く、サ イトに自分の裸を見てほしかったのか、ブラは付けていなかった。 シエスタの肌は、絹のように滑らかで、おまけに雪のよう白かった。いつも家 事をしているためか、無駄な肉や脂肪はほとんどなく、ウェストが程よく締まっ て美しいラインを描いている。それに反するかのように、胸は豊かに膨らんで、 呼吸をするたびに上下に揺れた。そしてその頂きでは、薄茶色の果実がツンと屹 立していた。 375 名前:8/16[sage] 投稿日:2006/10/07(土) 12 45 39 ID V6/sy8A0 想像していた以上の美しさに、サイトは言葉を失った。そんなサイトに向かっ て、シエスタは囁くように言った。 「サイトさん‥‥私の身体、どうですか?」 「どうって‥‥すごく綺麗だよ。驚いたよ、シエスタの身体がこんなに綺麗だっ たなんて」 「ほ、本当ですか? 良かった、サイトさんに気に入ってもらえて‥‥」 恥ずかしげに顔をうつむかせていたシエスタは、サイトの言葉を聞いて、顔いっ ぱいの笑いを浮かべた。 その表情を見たサイトは、思わず苦笑いをしてしまった。これだけ美しい身体 のどこに、文句の付けようがあると言うのだろう? シエスタは自己主張をしな い性格だが、ここまで控えめな態度を取られると、サイトのほうが恐縮してしま う。もっともそれが、シエスタの魅力の一つなのだが。 サイトはシエスタの乳房の上に、そっと手を乗せた。指を動かすと、それに合 わせるかのように、シエスタの胸も形を変えた。ただ大きいだけでなく、マシュ マロのように柔らかくて、サイトにこの上ない心地良さを与えてくれる。さらに、 シエスタの胸はしっとりと汗ばんでいて、ちょっと触れただけで吸い付いてしま いそうだった。 シエスタの胸に指をうずめながら、サイトはもう片方の乳房に顔を近寄せ、そっ と口付けをした。 白く柔らかな乳房の上を、赤い舌が這い回る。サイトは乳房の頂きに唇を付け ると、小鳥が餌を啄ばむような仕草で、薄茶色の果実を吸い上げた。それから舌 先で、転がすように果実を舐めまわした。 376 名前:9/16[sage] 投稿日:2006/10/07(土) 12 46 21 ID V6/sy8A0 「んっ、あああっ‥‥サ、サイトさんっ‥‥!」 泣いているような声を発しながら、シエスタは首を激しく左右に振った。実は 彼女は、胸に触れられるとすぐに感じてしまう体質だった。その胸を重点的に攻 められ、今すぐにも全身から力が抜けてしまいそうだった。サイトの首に回した 両腕だけが、かろうじてシエスタの身体を支えている状態だ。 砂糖菓子を与えられた子供のように、サイトは飽きることなくシエスタの胸に 口付けをして、親指と人差し指で胸の果実をつまみ上げた。そのたびに敏感に反 応するシエスタの仕草が、たまらないほど可愛らしかった。 サイトは乳房をまさぐる手を止めて、下のほうへと移動させた。まだ身に付け たままのスカートの裾をたくし上げ、太股へと手を伸ばした。 シエスタの脚は、上半身同様に引き締まっていて、とてもしなやかだった。ほっ そりとしているけれど、か弱いという感じではない。カモシカのような脚とは、 きっとこんな脚のことを言うのだろう。 すべらかな感触を味わったサイトは、スカートの奥の下着に手を伸ばした。と、 「うっ、ああっ‥‥!」 サイトの手が下着に触れた瞬間、シエスタは身体を大きく震わせ、今まで以上 に大きな反応を見せた。それは、気持ちよいという感じではなく、何かに驚いた という感じの反応だった。 下着の上から秘部に触れたサイトは、シエスタの反応の意味を理解した。そこ は、布越しでもはっきりと分かるほどに、ぐっしょりと濡れていた。胸を触られ ただけで感じてしまったのか、粘り気のある液が下着の奥から染み出し、サイト の指にまとわりついていた。 サイトは、シエスタの顔を見つめた。シエスタは頬を真っ赤に染め、肩で息を していた。 378 名前:10/16[sage] 投稿日:2006/10/07(土) 12 47 08 ID V6/sy8A0 「ごめんなさい、サイトさん‥‥こんなはしたない姿を、見せてしまって‥‥」 「謝ることはないよ。女の子なら、こうなるのは当たり前だろ? それに、シエ スタがどんな反応を見せたって、オレは気にしないよ。オレは素のままのシエス タが、一番好きなんだから」 「あ、ありがとうございます‥‥ふあ、ああっ‥‥!」 シエスタの声が、よりいっそう大きくなった。サイトの指が下着の端から侵入 し、シエスタの秘部を直に触れてきたのだ。 サイトが指を動かすと、クチュッという音が鳴り、透明の蜜がまとわりついて きた。蜜は滾々と溢れ、シエスタの太股をつたい、足元へと流れ落ちていく。し かも指の動きに合わせるかのように、次から次へと溢れ出てきて、シエスタの股 間を濡らし続けた。まるで、尽きることを知らない水の泉のようだ。 サイトは手首に力を入れ、亀裂の間から内部へと指を侵入させた。充分に潤っ ていたそこは、あっけないほどあっさりと指を受け入れた。 指先でシエスタの温もりを感じながら、サイトは愛液で濡れた秘部を攻め立て た。亀裂の隙間から二本の指を出し入れするごとに、蜜が滑るいやらしい音が響 く。そしてそのたびに、シエスタの喉奥から、あっ、あっ、という切なげな声が 漏れた。 「だ、だめ‥‥そんな、強くしないでっ‥‥!」 か弱い声でシエスタは懇願したが、サイトは気にせず指を動かし続けた。言葉 とは裏腹に、シエスタの快楽はどんどん大きくなっていき、蜜が溢れ続ける。そ れが潤滑油となって、サイトの指の動きをいっそう激しくしていく。サイトを抱 きしめるシエスタの腕に、シュッと力が込められた。 「ああっ、だめ、本当にだめっ‥‥いや、あっ、あああーっ!」 シエスタは全身を痙攣させ、絶叫に近い声を発した。 背中が反りかえった体勢で、シエスタの身体が硬直する。直後、シエスタはそ の場に崩れ落ち、両膝を床につけた。 379 名前:11/16[sage] 投稿日:2006/10/07(土) 12 47 54 ID V6/sy8A0 「はあっ、はあっ‥‥はあっ‥‥!」 裸のままの胸に手をあてながら、シエスタは苦しげに何度も息を吐いた。それ を見たサイトは、慌ててシエスタの肩に手を置き、言った。 「シエスタ、大丈夫か? ごめん、オレ、つい調子に乗っちゃって‥‥」 「‥‥‥」 シエスタは何も答えなかった。肩を大きく上下させながら、呆然とした表情 でサイトの顔を見上げるだけだった。 二人の間を、奇妙な沈黙が覆った。だがその直後、シエスタは不意に膝を立 てると、サイトの腰に手をあてた。細く美しいシエスタの指が、ズボンのチャッ クに添えられた。 「な‥‥何、シエスタ?」 「今度は私の番です。サイトさん、そのまま動かないでください」 そう言うとシエスタは、サイトのズボンを脱がし、下着をずり下ろさせた。 屹立したサイトの分身が露わとなり、その先端がシエスタの目の前に突き付け られた。 「凄いです、サイトさん‥‥とても硬くて、逞しくて‥‥」 シエスタはサイトの分身にそっと指を添えると、口を開けてそれを包み込ん だ。そして上下の唇に軽く力を入れ、丁寧になぞるように、ゆっくりと出し入 れし始めた。 「うっ‥‥!」 サイトの喉から、声にならない声が漏れた。 口を使ったシエスタの奉仕は、例えようがないほど心地良かった。温かな口 に包まれながら、先端部を舌でチロチロと攻められる。その力加減は絶妙で、 すぐにでも達してしまいそうだった。だが、こんなに早くイッてしまっては、 男として格好が付かない。サイトは下半身に力をこめ、必死になって耐えた。 380 名前:12/16[sage] 投稿日:2006/10/07(土) 12 48 32 ID V6/sy8A0 シエスタはいったい、どこでこんな技術を覚えたのだろう? 控えめでおと なしい性格の彼女が、こんな大胆な行為に及ぶなんて、信じられない。もしか したらシエスタは、サイトに喜んでもらおうと思い、密かに勉強していたのだ ろうか? もしそうだとしたら、こんなに嬉しいことはない。シエスタみたい な可愛い子が、こんなに尽くしてくれるなんて‥‥。 そんな考えを巡らせていたサイトは、下半身に生じた感触に、我を取り戻し た。シエスタがくわえている己の分身が、今にも暴発しそうな勢いで膨らんで いたのだ。 「シ、シエスタ‥‥オレ、もう‥‥!」 「出してください、私の口に‥‥」 シエスタの言葉とともに、サイトの亀頭が跳ね、熱い粘液がほとばしった。 それはシエスタの咥内に飛び散り、喉や舌を汚した。 絶頂に達したサイトは、その場で崩れ落ちるように尻もちをつき、床に両手 の掌を付けた。 「ん、んっ‥‥」 シエスタは懸命に喉を動かして、サイトの放った液を飲み込んだ。唇の端か らこぼれ落ちた液も、舌を使って舐め取り、最後の一滴まで飲み干した。 全てを吸い込んだシエスタは、無言のままサイトの身体に覆いかぶさった。 シエスタの身体の下には、露わになったままのサイトの分身があった。たっ たいま放ったばかりだというのに、そこはまだ屹立していて、先っぽから透明 の液を滲み出していた。 シエスタはスカートの裾をめくり上げ、サイトの分身の先端に自分の花弁を あてがった。そこは充分に濡れていて、受け入れる準備は整っていた。 381 名前:13/16[sage] 投稿日:2006/10/07(土) 12 49 11 ID V6/sy8A0 「動かないでくださいね、サイトさん」 シエスタの問いかけに、サイトは無言のまま首を縦に倒した。それを見たシ エスタは、そっと静かに腰を落とした。 「ふあ‥‥あああっ‥‥!」 股間から脳天にかけて、痺れるような刺激が走った。弦のように身体を仰け 反らせると、シエスタの二つの乳房が、跳ねるように揺れた。 根元まで挿れると、無数の襞がサイトの分身にまとわりついてきた。シエス タの温もりが全身に伝わっていくような感じがして、身体中にゾクゾクと鳥肌 が立つような感覚が走った。 「サイトさん‥‥私の中、どうですか‥‥?」 「き、気持ちいいよ‥‥すごく締まって、絡み付いてきて‥‥!」 「私も、こんな感じ‥‥は、初めてっ‥‥!」 シエスタはサイトの胸板に両手を置きながら、身体を上下に動かし始めた。 猛々しく膨張した肉棒がシエスタの身体を串刺しにして、下から突き上げて いる。身体中に浮かんだ汗の滴が、二人の動きに合わせ、周囲に舞い散った。 シエスタはサイトの腕をつかんで、その手を自分の胸に導いた。幼げな顔に 似合わぬ豊かさを持った二つの乳房を、サイトはせわしなく揉みしだく。指先 で果実を弾くと、シエスタは敏感に反応して、両手をギュッと握り締めた。 「あっ、ん、はっ、ああっ‥‥サ、サイト、さんっ‥‥!」 「ううっ‥‥シエスタっ‥‥!」 二人の動きが、しだいに激しくなっていく。サイトは全力で突き上げ、シエ スタはそれに応えるように、肉襞でサイトの分身を締め付ける。気持ちよすぎ て、もう何も考えられなかった。二人は頭の中が真っ白になるのを感じながら、 本能のままに腰を振り、互いの身体に指を滑らせた。 382 名前:14/16[sage] 投稿日:2006/10/07(土) 12 49 53 ID V6/sy8A0 サイトの身体の奥から、熱いものが込み上げる。それは下腹部に集まり、今 にも暴発して溢れ出しそうだった。 「シエスタ‥‥オレ、もうっ‥‥!」 「私も‥‥もう、だめっ‥‥!」 「うっ、ああっ‥‥!」 「イクッ、イッちゃうぅっ‥‥あっ、あああーっ!」 シエスタが絶頂に達すると同時に、サイトの分身から情欲の証が放たれた。 さっきシエスタの口に放った以上の量の精液が、シエスタの膣内に飛び散り、 子宮まで届いた。 ドクッ、ドクッ、と波打ちながら、白濁した粘液が幾度も飛び散る。サイト 自身も経験したことのない量の射精が、シエスタの体内を汚した。そしてよう やく止まると、サイトは全身の力を失って床の上に横たわり、そこへ折り重な るようにシエスタが乗りかかった。 行為の激しさを物語るかのように、二人の顔や背中には大量の汗が浮かんで いた。荒々しく息を吐きながら、二人は放心状態で寝転んだ。一瞬のような、 永遠のような沈黙の時間が、二人の間に流れた。 そして‥‥シエスタは不意に起き上がり、床に散らかった服を身に着け始め た。無言のままでスカートを履き、ブラウスを着終えたシエスタは、まだ横た わったままのサイトへ向き直り、言った。 383 名前:15/16[sage] 投稿日:2006/10/07(土) 12 50 30 ID V6/sy8A0 「サイトさん、もう一度だけ聞きます。あなたは明日、異世界へ帰られるので すね?」 「ああ、そうだけど‥‥?」 「‥‥‥」 シエスタは無言のまま、口を真一文字に結んだ。 何かを考えるような感じで指を口元にあててから、シエスタは唇を歪めて笑 顔を浮かべた。だがそれは、無理矢理につくったような、極めて不自然な笑み だった。 「‥‥そうですよね。誰だって、自分の生まれた世界で暮らしたいですよね。 それを邪魔する権利なんて、誰にもありませんよね‥‥」 「シエスタ‥‥お前、何を言って‥‥?」 「離れ離れになっても、私は絶対にサイトさんのことを忘れません。こんなに 男の人を愛したのは、初めてですから。だからサイトさんも、私のことを忘れ ないでください。たまにでいいですから、私のことを‥‥思い出して‥‥」 ふと、シエスタは言葉を詰まらせた。両手で口元を覆い、顔を逸らせたシエ スタは、急に立ち上がって部屋の扉のほうへ走った。 ドアノブに手をかけたシエスタは、サイトの背を向けたまま言った。 「サイトさんと一緒に暮らした日々、本当に楽しかったです。すごく短かった けど、私にとっては何年分もの価値がある日々でした。サイトさんに出会えて、 私、本当に良かったです‥‥それでは私、そろそろ行きますね‥‥」 384 名前:16/16[sage] 投稿日:2006/10/07(土) 12 51 09 ID V6/sy8A0 「お‥‥おい! 待ってくれ、シエスタ!」 「最後に私を抱いてくれて、ありがとうございました。それでは‥‥さような ら、サイトさん!」 シエスタはそう言うと、部屋から走って飛び出していった。 その両目に涙が浮かんでいるのを、サイトは見逃さなかった。きっとシエス タは、愛する人に泣き顔を見られたくなくて、部屋を飛び出したのだろう。 「‥‥シエスタ‥‥」 一人、部屋に残されたサイトは、無言のまま天井を見上げた。薄汚れた灰色 の天井から、小さな埃が舞い落ちていた。 予定通りに事が運べば、自分は明日、元の世界へ帰ることになっている。ル イズや学園の関係者たちにも、そう伝えた。でも、本当にそれでいいのだろう か? そんなことをして、自分は後悔しないだろうか? たぶんシエスタは、サイトにこの世界へ留まってほしいと思っている。彼女 は控えめな性格だから、そのことを口に出せないでいるのだ。そんなシエスタ の思いを無視してまで、元の世界に帰っていいのだろうか? それが本当に、 自分の望んだことなのか‥‥? サイトは窓の外の夜空を見上げた。二つの月が浮かび、星が幾つもまたたい ていた。 日食が起こるのは、今からおおよそ半日後。そのとき自分は、どんな結論を 出しているだろう。予定通り、元の世界へ帰っているか。それともシエスタの 願いを受け入れ、この世界で生きていくのか‥‥。 その答えは、誰にも分からない。サイト自身も、まだ。 386 名前:覆面士 ◆d3ZM6glXx. [sage] 投稿日:2006/10/07(土) 12 53 52 ID V6/sy8A0 終わりです。アホみたいに長くなってしまい、すみません。
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「…!………!」 シエスタは混乱していた。 突然後ろから羽交い締めにされ、口を押さえられたのだ。 先ほどまでシエスタとギトーを案内していた男、アレキサンドルが、突然シエスタを押さえつけ、岩陰へと拉致したのだ。 後ろから羽交い締めにされたため、アレキサンドルの顔は見えない。 だが、獣のような呼吸音がシエスタの恐怖を煽っているのは確かだった。 「!……!…!」 身体を動かして逃げようとしても、アレキサンドルの腕はガッチリとシエスタを捕まえており、ビクともしない。 シエスタは、しばらく身体を動かしていたが、観念したように身体の力を抜いた。 だが、アレキサンドルは何もしない。 二秒、三秒、四秒……少し待っても何もしない。 服を脱がそうとする気配もないし、脱ぐ気配もない、何かがおかしい。 気が付くと、辺りには霧が漂っており、昼頃になるのに日差しが弱い。 「(日差しが…弱い?)」 シエスタの脳裏に、ある言葉が思い出される。 曾祖母がオールド・オスマンを助けたとき、何と言っていた? 確か、『人間の皮を被った吸血鬼』とか言っていた気がする。 辛うじて動くだけ首を動かし、アレキサンドルの顔を見る。 すると、まるで火傷のように皮膚が真っ赤になり、耳を澄ますと呼吸音の他にも、シュゥシュゥと何かが焼けるような音が聞こえてきた。 「(この人、まさか、食屍鬼…!?うそ…そんな、そんな…)」 シエスタの足が震えた。 怖い、怖いのだ、平民が貴族の学生に混じるのとはまた違う、生存本能的な恐怖がシエスタを襲った。 吸血鬼は、人間を食料としか思っていない。 自分は…食われてしまうのか?そんな恐怖感だった。 だが、シエスタの思考は少しずつ変化していく。 取り押さえられた時は恐怖一色だったが、考える時間だけはあるのだと気づく。 シエスタは呼吸を整え、血液の流れを意識し、呼吸の奥底から生まれてくる力を全身に巡らせた。 辛うじて動かせる左手で、アレキサンドルの脇腹に触れる。 身体の中を振るわせ、指先から音が発射されるようなイメージを描き、呼吸を繰り返す。指先へと十分にため込まれた『波』は、シエスタの指先から勢いよく放たれた。 バチバチバチッ! と、音がして、次の瞬間アレキサンドルの手から力が抜けた、シエスタは腕を払いのけ、前に跳躍してからアレキサンドルに向き直る。 すると、突然アレキサンドルは身体を思い切り反らせて、硬直した。 びくん、びくんと身体を震わせると、その身体から、シュー、シューと音を立てて、煙が吹き出した。 シエスタはその光景を呆然と見ていたが、すぐに気を取り戻し、呟いた。 「……成功、したんだ」 目の前の人間は、いや、人間だったものは、石膏細工のように固まり、そして砕け散った。 普通の人間ならこの光景を見てどう思っただろうか、異常な事態に驚き、腰を抜かしてしまうだろうか。 少なくとも、シエスタは違った。 呼吸を整えつつ、腰のベルトに下げた小さなアクセサリーを手に取って、それの中身を見つめていた。 直径3サント(cm)程のそれは、ワインの代わりに水の秘薬を少量溶かした水が入れられており、球体の半分ほどが水で満たされている。 オールド・オスマンが他のメイジに作らせ、シエスタに持たせたその球体は、ごく少量の波紋を流すことで内部の水面に小さな波が立つ。 一つの波は、自分から、もう一つの波は、おそらくギトーのもの、では、もう一つの波は… 少なくとも、服を残して風化していくアレキサンドルのものではない。 シエスタが周囲の気配を探っていると、上から何かの音が聞こえてきた。 「大丈夫か!」 ばさばさとマントを翻しながら、ギトーが岩山の上から降りて来た。 「ギトー先生!この辺りは危険です、早く戻りましょう!」 「ああ、わかっている」 と、ギトーは杖を取り出し、シエスタに向けた。 「君は危険だ」 一瞬、呆気にとられたシエスタだったが、ギトーの首に見慣れぬものがついていたのを発見し、背筋に強烈な悪寒が走った。 二つの傷跡。 あれではまるで、吸血鬼に血を吸われたようではないか。 「あの…ミスタ・ギトー…」 シエスタがおそるおそる話しかけた時、上から声が聞こえてきた。 「不思議な魔法を使うんだね」 シエスタが上を見ると、岩山の上から何者かがシエスタを見下ろしていた、ローブに包まれているせいかその顔は見えないが、それが何者であるかは予測が付いていた。 「…まさか、吸血鬼?」 フードの奥に隠れた顔が、くすりと笑った気がした。 「そうだよ、吸血鬼」 「なんでこんな時間に…霧が出てるからって、この明るさじゃ吸血鬼は表を歩けないはず…」 「そうだよ、霧を作り出して、皮のローブを着ても、熱くて仕方ないの。でもね…人間も同じ事をするでしょ?」 「人間と、同じ?」 「そうだよ、このあたりに生える薬草だって元々はふもとの方に生えてたの、人間がそれを採りすぎるから、こんな岩山の上にしか残ってないの」 「貴方も危険を冒して食料を得る……そう言いたいの?」 シエスタの言葉に満足したのか、吸血鬼はクスリと笑って頷くと、呪文を唱え始めた。 「”枝よ。伸びし森の枝よ。彼女の腕をつかみたまえ”」 先住の魔法によって伸びた枝が、ツタが、シエスタの足を拘束した。 「きゃぁっ! なに、何、これっ」 混乱するシエスタに追い打ちをかけるが如く、吸血鬼はギトーに命令する。 「ねえ、先生、その子の魔法はちょっと怖いわ、だから始末してくれない?」 「………」 ギトーは静かに頷くと、杖を振りかざした。 「あ、ちょっと待って、霧は吹き飛ばさないでね」 その言葉が聞こえたのか、ギトーは『ウインド・ブレイク』を詠唱するのを取りやめて、『エア・ニードル』を作り出した。 ギトーの杖に魔力が集まり、渦となって青白く発光する、それを見たシエスタは驚き戸惑ったが、かえってそれが冷静な思考へと導いた。 あの魔法を食らえば、人間の胸ぐらいは簡単に穿たれてしまう。 波紋はある程度肉体を強化する、しかし『エア・ニードル』を受けて平気だとは思えない。 ならば、まず第一に考えるのは、ここから逃げる方法だ。 「くっ…は、外れないっ…」 身体を動かそうとしたものの、手足は木の枝に掴まれてびくともしない。 もがいているうちに、ギトーが目の前にまで迫り、その杖の先端がシエスタの胸元に向けられた。 『波紋には、弾く波紋と吸い寄せる波紋の二つがある』 「!」 不意にシエスタの脳裏に、日記の一部が思い出された。 ギトーの杖がシエスタの胸に突き刺さろうとしたその瞬間、シエスタは自分の身体に『弾く波紋』を流した。 バチッ、と音がして手足を拘束していた木の枝が剥がれる。 すかさず身をかがめて、ギトーの腕を掴んだ。 「えーい!」 シエスタは後ろに転びながらギトーの腹に足を当て、ギトーを投げ飛ばす。 シエスタの曾祖父が見れば『巴投げ』と称したであろう動きは、まったく偶然の動きだった。 すかさすシエスタは体勢を立て直す。 だが一瞬早くギトーが身体を起こし、その杖をシエスタに向けていた。 「『エア・カッター』」 「きゃあっ!」 咄嗟に木の陰に転がったが、風の刃はシエスタの左肩をざっくりと切り裂いた。 「あうっ!痛っ…」 痛みのためその場にうずくまろうとしたが、そんな余裕は与えてくれなかった。 一瞬、視界に青白い光が見えたので、それが魔法による光だと気づいたシエスタは肩を押さえながら後ろへ転がった。 めきめきめき、と音を立てて、盾にしていた木が右横に倒れたのだ。 ギトーが『エア・ニードル』で、木ごとシエスタを切り裂こうとしたのだろう。 このままでは殺されると思ったが、シエスタの目にある物が映り、その考えは吹き飛んだ。 倒れた木の枝には、あるものが寄生していた。 特徴的な細かい葉に、曾祖父の日記に書いてあった通りの太さ、探し求めていた蔓草だ。 ずざっ、ずざっと足音を立てて近づいてくるギトーを見つめながら、シエスタは右の手で蔓草を握りしめる。 そしてありったけの『くっつく』波紋を流し込んだ。 シエスタの身体が一瞬だけ輝き、蔓草がまるで別の生き物のように手に巻き付いた。 ふっ、と短く呼吸をして波紋を練り、今度はギトーに向けて蔓草を向け、『弾く』波紋を流す。 ビシビシビシッ、と音を立てて蔓草がまっすぐに伸び、ギトーの顔の右脇をかすめた。 すかさず『くっつく』波紋を流すと、今度は蔓草が縮み、ギトーの身体を一瞬で拘束した。 慌てて『エア・カッター』の呪文を詠唱しようとしたが、それよりも早くシエスタが駆け、ギトーの頬めがけて握り拳をブチ当てる。 「サンライトイエロー・オーバードライブ!」(山吹色波紋疾走) 瞬間、ギトーの身体に電流のようなものが流れ、バチバチバチという連続的な破裂音が鳴り響いた。 そして、ギトーの身体は力を失い、どさりと地面に倒れ込んだ。 「はぁっ、はぁっ……」 シエスタは呼吸を整えつつ、木に寄生していたもう一本の蔓草を手に取った。 それを見下ろしていた吸血鬼は、驚き戸惑いながらも、シエスタを拘束すべく呪文を唱える。 「…何なの?その力は精霊魔法でもない」 「はぁっ……よくも、よくもギトー先生を!」 シエスタの形相が変わる、興奮によって怒りの感情をあらわにしたシエスタは、吸血鬼を睨み付け、歯ぎしりの音が鳴るほどに身体に力を入れていた。 「あなたの相手なんかしてられないわ、”枝よ。伸びし森の枝よ。彼女の腕をつかみたまえ”」 シエスタの身体に向けて木々の枝が伸びる。 枝がシエスタの身体に絡みついた所で、シエスタは『弾く』波紋を流した。 バチン!と音が鳴って木々の枝がシエスタを離れ、元の位置へと戻っていく。 「そんな…!?」 それを見た吸血鬼は驚いた、目の前にいるメイジは杖を持っていないのに、精霊魔法に干渉してしまうのだから。 「アレキサンドルさんの、かたきっ!」 驚く吸血鬼めがけて、波紋によって硬直した蔓草を投げる。 風を切る音を鳴らして、まるで吸い寄せられるように、槍のように硬直化した蔓草が吸血鬼の胸に突き刺さった。 「がっ! ……そんな、どうして、人間は、こう……」 岩山の上から逃げようとした吸血鬼は、まるで人形のように落下して、どすんと音を立て地面に衝突した。 吸血鬼の着ているローブがめくれ、その素顔が見えると、シエスタは驚いた。 「あなただったのね…まさか、吸血鬼だとは思わなかったわ。」 そこに居たのは昨晩村長の家で見かけた、幼い少女。 魔法の効果が切れたのか、次第に霧が晴れていき、太陽光が吸血鬼の素顔を照らす。 するとみるみるうちに顔が焼けこげていった。 「どう、して どうして、にんげんは、わたし を、きらうの」 吸血鬼が辛うじて絞り出したであろう言葉は、シエスタに不快感を与えた。 オールド・オスマンの言葉が脳裏をよぎる。 『吸血鬼を野放しにしておけば、タルブ村も一晩で全滅してしまうぞ』 そうやって何度も何度も、吸血鬼の恐ろしさを教え続けられたシエスタの言葉は、いつものシエスタからは想像も出来ないほど冷たく、そして自信に満ちていた。 「吸血鬼は人間の敵よ」 「………」 吸血鬼は何かを言おうとしていたが、太陽光に焼かれて骨を露出させた吸血鬼には、もはや語ることは出来なかった。 「う…」 吸血鬼が燃え尽きると、何処からかうめき声が聞こえた。 シエスタが声のした方を振り向くと、ギトーが苦しそうなうめき声を上げて、首をガクン、ガクンと揺らしていた。 「ギトー先生!? おかしいわ…太陽に焼けてない、もしかして、食屍鬼になっていないの?」 シエスタがギトーに駆け寄る、ギトーは蔓草に絡められたまま苦しそうにうめいていた。 ギトーの首筋に手を当てて、波紋を流す、左手で吸血痕に『くっつく』波紋を流し、右手で反対側から『弾く』波紋を流す。 すると、首筋の吸血痕から、ぴゅっ、ぴゅっと、血に混じってどろりとした別の液体が噴出された。 その液体は波紋を流しているシエスタの手に触れると、ジュウジュウと音を立てて蒸発していく、おそらく吸血鬼の『エキス』だろう。 シエスタは念のためにギトーを拘束したまま背負い、回収できる限りの蔓草を腰に巻き付けて、その場を後にした。 そして夜中、やっとの事で村に帰った二人が吸血鬼を退治したと告げると、村は蜂の巣を突っついたような大騒ぎになった。 ギトーをベッドの上で休ませ、念のため何度か波紋を流し、吸血鬼のエキスが残っていないのを確認する。 自身の傷も、途中で摘んだ薬草と波紋のおかげで出血は止まっている。 シエスタは興奮していた。 幼子の姿をした吸血鬼を殺した罪悪感もあったが、それを上回る興奮がシエスタの心を覆っていた。 メイジでも手こずると言われる吸血鬼を、まだ幼い吸血鬼だったとしても、それを打ち倒したのだ。 その上食屍鬼になりかけたギトーを殺さずに、生かすことが出来た。 シエスタは、メイジの使う魔法ほどの利便性はないが、吸血鬼退治に特化した『波紋』に言い様のない喜びを感じているのだ。 「『高いところにいる敵は自分を有利だと思っている』『相手が勝ち誇ったときそいつは既に敗北している』……日記に書いてあった通りね」 シエスタは晴れ晴れしい気分でベッドに身体を預けると、目を閉じた。 村人への細かい説明は明日にしよう、そう考えながら、シエスタの意識は闇に落ちていった。 To Be Continued → 23< 目次
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「本当に……行くのか?」 マルトーはシエスタの肩を揺する。シエスタは硬い表情ながらも決然とうなずいた。 彼女の手にはラ・ヴァリエール公爵からの要請状が握られている。メイドとしてシエスタを雇いたいという内容だ。給金は名家であることを割り引いてもかなり高い。そもそも、メイドを名指しで雇用したいという話自体、かなり特殊な話だ。有力貴族からのこの手の申し出の多くは、そのほとんどが妾を求めるものだ。 「ラ・ヴァリエール公と言えばちょうどシエスタの両親と同じ年頃の人だぞ?そんな男の……」 マルトーの言葉にシエスタは悲しげに、だが小さく噴き出した。 「私、サイトさんに仕えていたときにはミス・ヴァリエールのお世話も少ししているんですよ?お屋敷を訪問したときにも、むしろ子供扱いしかされませんでしたし」 言いつつもシエスタ自身も不安を感じてはいる。ただ、それはマルトーが予測しているような類のものではない。実は王宮から「ルイズを救ってくれ」という内々の伝言が来ているのだ。妾になるよりたちの悪い話かもしれない。 それでもシエスタは小指を見つめて思った。 (サイトさんに、お願いされたし) ルイズと友達でいてくれ。サイトが地球に帰ったときに言っていた言葉。最後はルイズの勝ちで、でも意味のない勝ちで。それでもサイトとの約束は守ろうと思う。サイトが帰って、ルイズが呆けた様子で公爵に連れられて学院を卒業してもう7年になる。 シエスタは使い慣れたメイド仕事道具一式を背中に背負うと馴染んだ学院をあとにした。 ラ・ヴァリエール邸に着くと、メイド長とともにシエスタを迎えたのはルイズそっくりの姉、カトレアだった。以前に会ったときには穏やかな感じだけだったが、今は憂いを帯びている。 「本当に待っていたわ、シエスタさん」 学院の生徒たちとは違う、しっかりした貴族の女性に声を掛けられるのはやはり慣れない。それにわざわざ「さん」をつけられる時点で恐縮してしまう。カトレアは小さく笑って言った。 「そんなの当然よ。あなたにはとても大変なお仕事をしてもらう予定だから……私やお父様、お母様、エレ姉様に出来なかった仕事を」 シエスタは唾を飲んでカトレアを見つめる。カトレアは言った。 「私はたまに覗くけど、もうお父様、お母様もルイズのこと……ルイズに会うのは7年ぶりよね……覚悟して、ついて来て」 カトレアはシエスタを案内する。数人のメイドと執事に哀れむような視線を浴びせられたのを敏感に感じ取る。シエスタは気後れしながらも、やはり逃げ出さないぞと腹に力を入れる。 「ルイズ、新しいメイドさん」 カトレアが部屋の前で声を掛けると、ドアがぎしり、と鳴る。木製に見えるが金属のような軋む音が聞こえた。カトレアはもう一度声を掛ける。 「たぶん、ルイズがそんなに、嫌いにならない人だと思うの」 少しの沈黙を挟んで、暗い声が聞こえる。 「死ぬわよそいつ。いや、一緒に死んでもらおうかしら」 再び爆音が鳴って、そして静まる。シエスタはうなずいて小さく「お任せください」とカトレアに囁くとドアノブに手を掛けた。それだけで室内に鬱屈した虚無の気配を感じる。だがそれでもシエスタは扉を開けた。室内はカーテンが締め切られて真っ暗だ。 「今日からお世話させていただきます」 「また生贄が来たの?」 「生贄じゃありません。馬鹿で根性なしで貧乳のお嬢様のお世話係です」 部屋の奥、ベッドの上で息を飲む気配を感じる。シエスタはベッド脇に進んだ。 「ミス・ヴァリエール。お久しぶりです」 「……シエスタ?」 闇に目が慣れてくる。目の前のルイズは少し大人になり、体は動いていないせいかむしろ小さくなったような印象を受けた。蝋燭に火を灯すと顔がよく見える。桃色の髪は以前より長く伸び、頬は若さの赤みを失っている。 「私に仕えたら、人生終わるわよ。引きこもりだし、苛立ち紛れでエクスプローション使うから今じゃ家の中ですら見捨てられてるし」 シエスタは頬を膨らませて言った。 「それでも家に引き篭もってられるだけいいご身分です!私なら食べてくために」 ルイズは手を振ってカーテンを指差した。シエスタはカーテンを開けようとして手が止まる。窓には太い鉄格子がはまっているのだ。ふと思って扉を振り返る。扉にも金属が打ち付けられ、魔法なのか怪しげな光を帯びている。 「これ、高級なのよ。外からは普通の窓にしか見えないの。扉だって木だと思ったでしょ。魔法で気づかれないように出来ているの。貴族の家系に都合の悪い人間が出て、でも死刑に出来ない場合に使うわけ。普通の貴族に仕えた程度じゃ見ることないわよ……座敷牢なんて」 シエスタは息を呑む。ルイズが顔を上げた。 「暴れたんだ。サイトに会いたいって異世界に行く道探すって騒いで……家のお金にちょっと手をつけて……それだけじゃなく、サイトを悪く言う執事を、虚無でやっちゃって」 「ミス・ヴァリエール……」 「反省しろとか言われて、そのときにまたサイトの悪口。暴れた。虚無で両親吹き飛ばして鎮静剤打たれて……気づいたらこの部屋。来るメイド来るメイド私を哀れむこと言って、でも外に言って言ってるの、壊れ姫って。窓際仕事、看守って!」 シエスタはルイズの肩に手をかける。ルイズは手を振って叫ぶ。 「あんたも早く逃げて!私また、馬鹿やるから!それに私についてたってぜっっったいメイド長なんて夢の夢なんだから!せめて」 再びシエスタはルイズの肩を抱き寄せる。ルイズは再び振り払おうとして、だが途中で力を抜いて泣きながら言った。 「サイトが、大事にしてた、メイドを傷つけるのだけは、やなの!」 ぱちん。ルイズの頬が鳴った。ルイズは呆然とする。シエスタの目に涙が溜まっていた。 「情けないです」 ルイズはぼんやりとシエスタを見上げる。シエスタは言葉を続けた。 「情けないです!私も、アンリエッタ陛下もティファニアさんにも勝ったあなたがこのていたらくなんて、私たちが情けないです!」 「……え」 「サイトさんが地球にお帰りになった際、私たち各々サイトさんに抱きつきましたよね。でも全員途中で押し戻されて、握手したんです……ギーシュ様やマリコルヌ様と同じように」 ルイズの目が大きく見開かれる。シエスタは無視するように言い募る。 「なのにあなたは、サイトさんに抱きしめてもらって。キスしてもらって。陛下ですら殿方と同じ扱いなのに!そんなあなたが自棄になってるだけなんて私たち、惨めすぎます!」 ルイズは目を目を落とす。シエスタは言った。 「今日すぐ、なんて言いません。でもこのまま座敷牢にいるなんて、私やアンリエッタ陛下への最大の侮辱、許しません」 やっとルイズは7年ぶりにかすかな笑みを浮かべた。 「すごいわよね、あの子」 「もしかして実は没落貴族で水魔法が使えるとか?」 「モンモランシ家の当主にまでお願いして治せなかった病なのよ?」 一年後。ラ・ヴァリエール家の魔法と関わらない事務の多くを処理するルイズと、それを支えるメイドは奇跡としてラ・ヴァリエール家の賞賛となっていた。 だが同時に二人、とくにシエスタには悪い噂がつきまとっていた。 「でもあの子、妾でしょ」 メイドたちがうなずく。一人は吐く真似をして言う。 「公爵様とか、他の貴族で老人とかぶ男なら我慢できるけど私は幾らお金あっても無理だわ。友達みたいな付き合いした、同性の妾なんて」 「プライドとかないの?それとも変態同士だからいいわけ?」 くすくすと笑う。変態メイド、と陰で笑われているのはシエスタ自身わかっている。だが、それを無理に否定はしない。なぜなら。 「シエスタ、今夜」 ルイズが上目遣いでシエスタの胸元を見て囁く。シエスタは暦を確認してうなずく。 月の日が近づくと狂いそうなほどうずくらしい。これだけは心が持ち直した今でも無理だ。コルベールが作った写真機で残したサイトの写真を抱きしめながら狂ったように自慰するルイズを思わず慰めてしまった。たった1回の過ちはそのまま定例になり、過激になっていった。 「シエスタ……」 荒い息でルイズが体を寄せる。その趣味はないシエスタは身震いするが、押し隠してルイズの体を抱きしめ、服をめくりあげる。唯一の救いはキスを求めないことだろう。キスは……サイトとしかしないそうだ。 下着を脱がせて手を股間の茂みに潜らせる。既に湿りを帯び、指先が滑り込みそうになる。ルイズの舌がシエスタの首筋を這い回る。シエスタもルイズの足の指先を一本一本、丹念に舐めてやる。 「シエスタ……サイトぉ」 ルイズの頭の中ではシエスタの舌はサイトの舌になっているのかもしれない。だがむしろその方がましかもしれない。本気でルイズに異性のように愛されるのはご免だ。シエスタは舌を次第にふくらはぎ、太股へと上らせていく。 牝の匂いが鼻をつく。シエスタはルイズの太股に歯を立てた。 「いっ!シエスタぁ……くふん」 中から蜜が流れる。口で受け止め、そっとベッドに吐き出す。ルイズも自分の白々しい行為はわかっている。ルイズもシエスタに愛されたいと思っているわけではない。友達であり、夜は……サイトの代わりでしかない。 「あふ、もっと、奥、舐めて」 シエスタは中心に舌を這わせる。マルトーの心配を思い出し苦笑したくなる。やってることは同じかもしれない。 「食べて、私のこと、食べて」 ルイズの言葉に、アヌスと尻を嬲る。ルイズの声が室内に響く。もう鉄格子も金属扉もないこの部屋では、聞き耳を立てられれば何の声を発しているか誰でもわかるに決まっている。シエスタは顔が濡れるのも構わずルイズの秘所を舐め続ける。 窓から二つの月が見えた。ふと、座敷牢に閉じ込められたのは自分かもしれないとシエスタは苦笑して、さらにルイズの秘所を嬲り続けた。 いつもの行為が終わり、ルイズは気だるげに窓の外を眺めて言った。 「ごめん」 シエスタは身支度を整えて頭を振り、そして言う。 「それほど嫌なら、お断りしていますよ」 「嘘。あなた終わった後……吐いてる日もある……ごめん。本当にごめんなさい」 シエスタはルイズの頭を叩き、そして背中から抱きしめて言った。 「今は……リハビリですよ。ただ、ちょっとこの部屋の壁は薄いのが気がかりですけど。虚無の魔法で叩いたらすぐ壊れそう」 ルイズはうん、と小さくうなずいた。と、ルイズは急に立ち上がった。 「まさか、あれって!」 ルイズは「始祖の書」に飛びつき、狂ったように読み始めた。シエスタは再び壊れたかと唇を噛んで背中を見つめる。だがルイズは上気した顔で言った。 「この呪文の意味、わかった!」 シエスタはルイズの顔を見つめる。ルイズはきゃっきゃとはしゃいで服を着ると自分でベッドの乱れを直し、慌てて化粧をして杖を握った。 「何を、するんですか」 「壁、壊すの!」 シエスタが怒鳴ろうとするとルイズは笑って言った。 「『世界破壊呪』。恐ろしい魔法だと思ってた。実際怖い魔法よ。でももう一度よく読んでみた。これは、世界の壁を壊せるの……サイトと、私を隔てる世界の壁だって!」 ルイズは狂ったように呪文を唱え始める。慎重に、と叫ぶシエスタを笑い飛ばし、恐ろしいほどの長い詠唱が淀みなく流れる。 (凄いわ。これは本当、いけるかもしれない) 部屋が発光を始める。周囲に魔法学者がいたら王室にトリステイン全軍の派遣を要請するに違いないほどの狂気的な魔力が邸内に満ちる。両親を始め邸内の人間が集まるが、あまりの魔力の奔流に誰も手を出せない。 最後の呪文を唱える。禍々しい闇の裂け目が空中に現れる。ルイズはまばたきもせずにその裂け目に手を突っ込む。 「サイト……サイト、会いたい、会いたいの。会いたかった、早く、早くサイト……」 部屋が暴発し、ヴァリエール邸の3分の1が消滅した。 「呼ばれて飛び出てなんとやら、じゃねえーか、なあ相棒!」 ふざけた声が土煙の中に聞こえる。シエスタは埃を払って土煙の向こうを見つめる。見慣れない服装の―地球で言うネクタイスーツ姿―の男がルイズを抱えて現れた。 「サイト、様?」 ルイズが独占欲の塊の目でシエスタを睨む。ああ、戻ったんだとシエスタは確信する。 「やっと営業ノルマいけるって思ってたら……ハルケギニア?」 「サイトぉ……」 ルイズはいきなりサイトの唇を奪った。周りの視線も構わずサイトの顔中にキスを浴びせる。サイトもルイズを抱きしめて、傍らのシエスタに声を掛けた。 「俺、こっちで仕事あるかな。向こうじゃ一人暮らしだから仕事辞めても迷惑にはならんけど」 「ルイズ様の騎士・助手が欲しいところです。あと」 シエスタがルイズに目を向ける。ルイズは一瞬口を尖らせて、だが目を輝かせて言った。 「トリステイン貴族としては私そろそろ行き遅れが目の前で……お婿さんも欲しい」 シエスタはルイズの頬をつねって言った。 「今までの埋め合わせ、ちゃんとして下さいね」 ルイズは笑って答えた。 「サイト以外の褒美なら、何でも」
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前の回 一覧に戻る 次の回 ゼロの飼い犬9 月夜の晩に Soft-M ■1 「……眠れねえ」 毛布を体の上からどかすと、身を起こしてベッドに腰掛ける。 色々あって体には疲れが溜まってるのに、目が冴えてしまって眠れる気がしない。 そういえば、数日前にもこんなことあったっけ。タバサと一緒に『月の涙』を 探しにいった夜だ。隣のベッドでギーシュが幸せそうに寝息を立ててるのも同じ。 違うのは、今日の宿はシエスタの実家だという点。宝探しの締めくくりとして 俺たちはシエスタの故郷であるタルブの村までやってきて、 シエスタの家に泊めてもらうことになったのだということ。 そしてもうひとつ。今度は”宝”が見つかったのだという点。 眠れないのはそのせいだ。色んな思いが胸の中にあって、興奮している。 思い出したら、余計に目が覚めてしまった。 俺はひとつ溜息をつくと、ベッドから降りてパーカーを着込んだ。 「どっか行くんかね、相棒」 目ざとく声をかけてきたデルフに、口の前に人差し指を立てて見せる。 「散歩だよ」と小声で言うと、デルフを部屋に置いたまま部屋を出た。 シエスタの実家から外に出て、森の木々のざわめきと虫の音しか聞こえない村道を歩く。 特に目的地を決めていたわけじゃないのだが、自然と足はある場所に向かっていた。 村近くの平原の片隅にある寺院。今日の昼間にシエスタに案内された、『竜の羽衣』が 安置されている場所だ。 寺院の中に入ると、『竜の羽衣』――いや、ゼロ戦に触れる。 この世界では明らかに異質な存在である、大日本帝国海軍の艦上戦闘機。 俺と同じく、地球の日本からこの世界に迷い込んだものであり、 そして俺以外にもこの世界に来てしまった人がいたのだということを証明するもの。 『固定化』とやらの魔法がかけてあるらしく、使用された当時のままの質感を 保っているのだろうその装甲を撫でる。レプリカでもなく、こんな綺麗な状態で 保存されているゼロ戦は地球にだって無いだろう。そう考えるとなんか不思議だ。 このゼロ戦を発見してしまったから。だから俺は胸がいっぱいになってしまって、 興奮しっぱなしになっている。それは、懐かしいとか故郷との繋がりを見つけたという 嬉しさだけじゃなくて……不安もある。 少なくとも、このゼロ戦と共にこの世界にやってきたシエスタのひいおじいさん、 海軍少尉佐々木武雄は地球へは帰れなかったのだから。 帰れなかったのか、帰らなかったのか。たぶん、両方だろう。 最初は当然帰るつもりで、でも方法が見つからず帰れなかったのだろう。 そのうち、この村に住むようになり、ここで働くようになり、奥さんをもらって。 シエスタの祖父か祖母にあたる子供もつくって……帰らないことを決めた。 でもこのゼロ戦を見るたびに思い出したはずだ。地球に想いを馳せたはずだ。 太平洋戦争はどうなったのか。日本はどうなったのか。家族や戦友はどうなったのか。 考えて、悩んで、でも知り得なくて、こちらの世界にも家族や生活ができて……。 ふう、と大きく溜息をつく。それって、もしかしたらこの後俺にも 繰り返されるかもしれないことなんだ。だから、こんなに不安になる。 「サイトさん?」 不意に寺院の外から声をかけられた。振り向くと、ゆったりした寝間着姿の影。 ■2 「シエスタ」 「あの、驚かせちゃってすみません。誰かが家を出ていく音が聞こえて気になったから。 どうしたんですか? こんな夜中に」 「いや、別に何か意味があったわけじゃないんだけど、眠れなくて」 寺院から外に出る。月の光に照らされて、艶やかな黒髪が輝いていた。 シエスタは実家に置いてあったらしい、薄手の寝間着に上着を羽織った姿だった。 学院でシエスタの部屋に泊まった時の格好に似ていて、思わずどきっとしてしまう。 「眠れなかったんですか? わたしもです」 「シエスタも?」 「はい。なんだか色々考えちゃって……。 夕方にサイトさんにあんなこと言ってしまった後だったから」 シエスタは気まずそうに視線を逸らして俯いた。その姿を見て申し訳ない気持ちになる。 彼女はこの村で一緒に住もうとまで言ってくれたのに、俺はそれを断ったんだから。 「シエスタ、それは」 「いいんです。一生に関わることですもの。いきなり言い出した私がいけないんです」 言葉を遮られてしまった。そのまま、二人でどことも無しに歩いていく。 やがて、夕方にシエスタと一緒に話をした、平原が見渡せる丘まで到着した。 遙か遠くの山々まで見えるその場所は、夜でも十分すぎるほどの絶景だ。 「やっぱり星がもの凄く一杯見えるな」 日本で言う満天の星空なんて言葉が馬鹿らしく思えるほど、無数に星が輝く夜空。 見上げると、そのまま吸い込まれてしまいそうな錯覚まで感じる。 「サイトさんの故郷では違うんですか?」 「ああ、夜でも街の明かりが消えないから、星はあんまり見えないんだ」 「そんな。星の光が消えちゃうほどの明かりなんて、つけられるわけないじゃないですか」 冗談だと思ったのか、シエスタは小さく笑う。 たぶん、夜なのに昼間みたいに明るくなっているのを想像したんだろう。 俺も苦笑して返す。そんな冗談みたいなことが実際あるんだよな、地球では。 ある意味そっちの方がよっぽど魔法みたいだ。 「でも、夜でもそんなに明るいなら、暗くて迷ったりすることはありませんよね」 何かを思い出したのか、シエスタは視線を遠くへ向ける。それから少しして。 「あの……わたしの、つまんない昔話聞いていただけますか?」 シエスタは草地の上に座り込んで、ぽつりとそう言った。 「どんな話?」 言いながら隣に座る。シエスタは話し始めた。 「いつだったかな。たぶん、まだ10歳にもなってないころです。 わたし、あそこに見える森……。あの森にイチゴを採りに行って、迷ってしまったんです」 シエスタはこの丘から見える、村の側から広がっている深い森を指して言った。 「日が落ちるのも早くなっていた時期で、どんどん辺りは暗くなっていって。 そのうち、右も左もわからないくらいになってしまいました。 お父さんやお母さんの名前を呼んでも返事が無くて。 疲れて、転んだり木や草に擦ったりして傷もいっぱいできて、もの凄く怖かった。 しまいにオオカミの遠吠えなんかまで聞こえてきて……」 シエスタは淡々としゃべり続ける。当時のシエスタの不安まで伝わってくるみたいだ。 「やがて歩く気力も助けを呼ぶ気力も無くなってしまって、木の陰に座り込んで 泣き出してしまったんです。その時思ったのが……」 シエスタは目を閉じて空を仰いだ。 ■3 「空が飛べたらいいのに、って。 その時のわたしでも、貴族という偉い方は魔法を使えるってことくらい知ってました。 それでも、ただ漠然と羨ましいなぁなんて思ってただけだったんですけど。 森で迷って木陰で震えているわたしは、もしわたしにも魔法が使えたら、 空を飛んであっというまにお家に帰れるのにって思って、悲しくなりました。 そう思ったら、自分がどれだけ弱くて何もできない存在なのかっていう自覚が どっと襲いかかってきて、ただ怖くて不安なだけじゃない、嫌な気持ちになったんです」 シエスタは大きく息をついた。胸の奥に溜め込んでいたものを吐き出すように。 「その経験からも来てるのかもしれませんね。わたしが空を飛んでみたいって強く思うのは。 もちろん、一番大きいのは『竜の羽衣』の話を聞いてたからだと思いますけど」 今の話でシエスタは”空を飛んでみたい”って気持ちになったことを強調したけど、 たぶんそれは正確じゃない。 それだけじゃなくて……その時初めて、シエスタは貴族――魔法使いに対する 羨望とか劣等感とか、あるいは畏怖を感じたんだ。 そしてその感情は、この世界の平民が遅かれ早かれ感じることになり、 平民が貴族に付き従うという社会制度をつくる下地のひとつとなるものなんだと思う。 この世界で貴族が平民より上の地位に立っているのは、地球での階級制度とは意味が違う。 貴族はただ権力があるだけじゃなくて、魔法が使えるから平民よりも上の立場にある。 魔法が使えるか否かという明確な差に加えて、それによって『平民は貴族に劣る』 という意識を生活の中で刷り込まれてしまうから、この社会システムがより堅固になる。 「わたし、魔法学院に奉公してますから、貴族の方の側にいる機会が多いです。 だから、いつのまにか当然だと思ってました。 平民は貴族の方よりも弱くて、劣っていて、命令をされても見下されても当たり前なんだって。 普段はそれを嫌だとか不満だとかも思わないようになっていました。でも……」 シエスタは顔を俺の方へ向けた。星空よりも深くて綺麗な、黒い瞳で見つめられる。 「やっぱり本心では悔しいとか、惨めだなっていう気持ちはあって。 平民だって貴族の方よりも弱いだけの存在なんかじゃないんだってことを示してくれる人が 現れないかななんてことを、心の底では考えてました。もちろん、ただの夢想だって知ってて。 『イーヴァルディの勇者』みたいなお話の中でしか有り得ないことだって、わかってたんですけど」 俺の顔を見ていたシエスタの表情が、不安そうに歪む。シエスタは俺の袖を掴んだ。 「だから……サイトさんが現れて、ミスタ・グラモンを負かしたって聞いたとき。 学院を襲った盗賊を捕まえたのは、本当はサイトさんの手柄なんだって聞いたとき。 わたし、夢みたいだって思ったんです。想像の、お話の中にしかいないはずの、 貴族の方を見返してやれる平民の人がいたなんて、本当に夢みたいで……」 シエスタは言葉をくぎるように続ける。 「夢じゃないですよね。サイトさんはここにいますよね。 でも、サイトさんがいつかは故郷に帰るんだって聞いたら、不安になって…… サイトさんの存在も、サイトさんがしてくれたことも、 少しの間だけの夢になってしまうんじゃないかって思って、怖くて……」 そこでシエスタは言葉に詰まった。 「ごめんなさい。こんな事言ったらサイトさん、故郷に帰りにくくなるってわかってるのに。 ただの自分勝手な泣き言だってわかってるのに。なのに……こんなこと言ってでも、 わたし、サイトさんに遠くへ行って欲しくないって思ってます。 我が侭ですよね。迷惑ですよね。でも、でも」 かけてやれる言葉が見あたらない。シエスタの気持ちが痛いほど伝わってくる。 シエスタは掴んでいた俺の袖を放して、俺の側に寄ろうとしてから、その体を自ら引き留めた。 そんな行為も、ただ俺を束縛するだけの我が侭になる思ったのだろう。 胸がぎゅうっと締め付けられる。今日の夕方、俺はシエスタに残酷なことを 言ってしまったのだということを、改めて理解する。 ■4 「ごめん、シエスタ。俺はずっとここにいるとは言えない。けど」 けど、何だよ。結局の所、俺はこんなに想ってくれるシエスタを置いて 日本に帰るつもりなんじゃないか。シエスタが悲しむのを見たくないから、何か弁明して 納得してもらうつもりか? 悪者になりたくないのか? 自分の気持ちに虫酸が走る。 「……謝らなくていいです。わかってます」 シエスタは気持ちにある程度整理がついたのか、ふっきれたように笑いながらそう言った。 「サイトさんにずっと側にいて欲しいって思うのは事実ですけど、 そのために好きになったわけじゃありません。サイトさんがいつかは故郷へ帰ってしまうんだと しても、それでもわたしの気持ちは変わりません。もちろん、もし帰る方法が見つからなかったら、 その時サイトさんの居場所になるのはわたしの隣であって欲しいですけど」 どきんと心臓が高鳴るような直球勝負の言葉をかけられて、頬が熱くなる。 「だって、サイトさんは今ここにいるんですから。夢なんかじゃないんですから。 だから、それが一番大事なんです。ごめんなさい、泣き言を聞かせてしまって」 シエスタはにっこり笑った。この世界に来てから何度も助けられた、魅力的な笑顔。 今言ったのが本気なのかどうかはわからない。けど、シエスタが俺の気持ちと、 自分の気持ちを眠れなくなるくらい考えて紡ぎ出してくれた言葉。 自分の心の弱い部分もさらけ出してくれた言葉。 そんな言葉を俺に向けてくれたことが、凄く嬉しかった。 「ありがとう、シエスタ」 「お礼も言わなくていいんですよ。わたしはサイトさんを困らせる我が侭を言っただけなんですから」 悪戯っぽく言うシエスタは、少なくとも表面上はいつもの調子に戻ったみたいだ。安心した。 「……ところでさっきの昔話だけど、道に迷ったシエスタはどうやって助かったんだ?」 「木陰で泣き疲れて眠ってしまって、次の日の明け方に探しに来たお父さんに起こされたんです。 実はそんなに深いところまでは行ってなかったみたいで。つまんない話だって言ったでしょう?」 俺とシエスタは顔を見合わせて笑った。 少しして、そろそろ家に戻ろうかといった雰囲気になった。 俺はちょっとしたことを思いついて、立ち上がったシエスタに声をかける。 「シエスタ、ここら辺で一番高い木ってどれかな?」 シエスタは不思議そうな顔をした後、首をめぐらせてここからそう離れてはいない、 森の入り口に立っている巨木を指した。 「たぶん、あの木だと思いますけど」 なるほど、ひときわ高い。しかも丁度良く高台にある森に立っている。 「ちょっとついてきて」 シエスタを手招きして、その木の下まで移動する。下から枝の様子を見上げると、 これならいけそうだと判断できた。 「シエスタ、ちょっと俺におぶさって」 背中を見せて屈み込む。 「え、どうしてですか?」 いいから、と強い調子で言うと、シエスタは遠慮がちに俺の背中に乗った。 さすがにタバサよりは重いけど、子供の時に誰かにおんぶしてもらうのに慣れているのか、 なかなか上手い具合にしがみついてくれた。 パーカーのポケットから、『月の涙』の探索の時に作った石器を取り出して意識を込める。 ルーンが熱を持ったのを感じると、俺は再び上を見上げ、木の枝を駆け上がった。 「わっ、わわわ、わあっ!!」 シエスタが慌てふためいた声を上げる。枝や葉に引っかからないよう気をつけながら すいすいと登っていき、あっという間に登頂近くまでたどり着いた。 丈夫で足をかけやすそうな枝の隣で止まると、シエスタは意図を察したのかそこへ降りる。 やはり子供の頃は木登りなんかも頻繁にしたのか、危なげない足取りだった。 ■5 「代わりと言っちゃ何だけど、まだ『竜の羽衣』は飛ばせないから」 俺も安全な足場に立つ。シエスタは呆然とした顔で、そこから見えるものに心を奪われていた。 ここら辺で一番高い木のてっぺんからは、シエスタの生まれ育ったタルブの村も、 その周辺の森も平原も、もっと遠くの山々も川も道も一望できた。 高さでいったら、山の上やタバサの風竜の上よりもずっと低い。 けれど、木の上から眺める景色というのは一味違う。俺も子供の頃経験がある。 「凄い……これ、いつも見上げてたあの木なんですよね」 シエスタが感極まった声を上げる。喜んで貰えたみたいだ。 「こんな風に見えるんだ。わたしの家があんなに小さい。すごいなぁ……」 シエスタは夢中になって景色を眺めている。切り揃えられた黒髪が風にたなびく。 その嬉しそうな横顔を見ていると、こっちも楽しくなってくる。 「星もお月様も、なんだか近くなったような気がします。手が届きそう」 「『竜の羽衣』……飛行機があればメイジじゃなくても、ここよりずっと高く飛べる。 風竜よりも、空に浮かんでるアルビオン大陸よりも。 魔法が無い俺の故郷で、それだけのことができてるんだ」 それどころか、月まで行けてしまう。まるで魔法のようで、魔法じゃない。 「だから、なんていうか」 魔法が使えなくたって、魔法より凄いことだってできる。 魔法の有無にかかわらず、もっとずっと色んなことができる。そこまで言ったら さすがに説教臭いだろうか。そう思って言葉に詰まると、シエスタは俺の方へ振り向いて、 「わたし、今すごく嬉しいです。ありがとうございます!」 この景色にも、星空にも二つの月にも負けないくらいの笑顔を見せてくれた。 それで十分だった。 「あの山を越えたら、魔法学院ですね」 ひとりきり眺めを堪能した後、シエスタは遠い山脈を指して言った。そうなのか。 「サイトさん、明日になったら帰ってしまうんですよね」 寂しそうに言うシエスタ。明日になったらギーシュのコネでドラゴンを借りて、 ゼロ戦を魔法学院まで運ぶことになっている。シエスタはここに残るという話だったけど。 「ああ」 答えると、シエスタはくすっと笑った。 「どうしたの?」 「いいえ、サイトさん、わたしが『帰る』って言葉を使ったら、自然に答えましたから。 サイトさんには故郷以外にも、帰る場所がもうあるんだなって」 そう言うシエスタの言葉に、俺ははっとした。 「サイトさんが『帰る』ところって、あのヴェストリ広場に作ったテントじゃありませんよね。 ミス・ヴァリエールのところですよね」 「それは……」 否定しようと思ったけど、否定できない。俺は魔法学院のことを思い出して、 最初にイメージしたのはルイズの部屋だった。もちろん、ルイズとセットで。 俺は無意識のうちに、そこに『帰る』つもりでいた。今はクビにされてるはずなのに。 「やっぱり、ミス・ヴァリエールが羨ましいです。 貴族だからっていうんじゃなくて、サイトさんと一緒にいられるから」 ルイズ。俺のご主人様。考えたらこの宝探しの間も、俺はいずれはルイズの所に 戻るつもりだったんじゃないか? 宝探しには『出かけている』つもりだったんじゃないか? 俺自身も気付いていなかったことを、シエスタが見抜いていた。 「サイトさん、今はミス・ヴァリエールと喧嘩なさってますよね。ミス・ヴァリエールのこと、 我が侭でわからずやな方だと思ってるんじゃありませんか?」 「まぁ、そりゃね」 頬を掻きながら答える。学院に戻って、どんな顔でルイズに会えばいいのかわからない。 ■6 「いいことを教えて差し上げます」 シエスタは内緒話をするいたずらっ子みたいな顔を、少し俺の方へ寄せた。 「ミス・ヴァリエールは、サイトさんが来てからすごく変わったんですよ」 そうなのかな。確かに俺に対する待遇は良くなってたけど、 外から見て明らかなほど変わっているようには思えない。 「疑ってますか? 確かに、サイトさんには『サイトさんが来る前のミス・ヴァリエール』 のことは知りようがありませんからね」 その通りだ。当たり前だけど、シエスタは俺より先にルイズを見知っていたわけだ。 「ミス・ヴァリエールはお気が強くて、他人に何でもずけずけ言うように 見えるかもしれませんけど……でも、サイトさんが来る前は違ったんです」 「ほんとに? あのルイズが?」 「ええ。ミス・ヴァリエールは学院の生徒の方の中でも特に高貴な身分ですから、 絶対に粗相が無いようにって顔と名前を覚えさせられました。 けれど、ミスはそれだけ高い身分の方なのに魔法が苦手でしたから。 だから孤立して、お昼休みも放課後も、ほとんど独りだったんです」 言われて、なんとなく頷けてしまった。そういえばルイズって友達らしい友達が まるでいない気がする。休み時間も昼休みも放課後も、俺にばっかり構ってくる。 「独りで、思い詰めた顔で本や教科書を読んでいて。 お勉強は頑張っているみたいなのに、やっぱり魔法はできないみたいで。 他の生徒の方がミスの悪口や陰口を言っているのをよく耳にしました」 それは俺も聞いた。でも、ルイズへの悪口はただのからかいじゃない。 ただ成績が悪いだけならともかく、ルイズは家柄が最高級なんだから。 そのプレッシャーと現実との差にルイズはピリピリして、周りと壁を作って、 孤立してしまったんだろう。 「それで、今年の新学期になってサイトさんがミス・ヴァリエールに召還されて。 それからです。ミス・ヴァリエールが今みたいになったのは。 ミスが怒鳴ったり暴れたりするなんて、それまではほとんど見なかったんですよ。驚きました」 今まで鬱憤が溜まっていたところに、明らかに目下な存在ができたからじゃないのか。 そう思うのは簡単だけど、きっとそれだけじゃない。 なんというか……俺は、ルイズにとっての”友達”でもあったんじゃないのかな。 一般的な意味での友人とは違うけど、遠慮なく物を言える相手。喧嘩できる相手。 「それって凄い事です。公爵家のミスと本気で喧嘩できる方なんて、貴族の方でも 滅多にいません。ずっと張り詰めてて、お友達もいなくて、独りでいたミスを サイトさんは変えていたんです。きっと、サイトさんにしかできなかった事です」 不意に、数日前の『月の涙』の谷での、タバサの言葉が蘇った。タバサは、ルイズが本気で 俺のことを犬同然だとは思っていないと言ってくれた。今のシエスタもそう。 俺とルイズが仲違いしていることについて、外からの視点で慰めと助言をしてくれている。 俺はルイズに裏切られたと思って、一方的にルイズを悪者だと思ってたけど…… 俺の方も、ルイズの本心を考えていなかった? 周りが見えていなかった? 「わたし、サイトさんはわたしが夢想していた『貴族を見返してくれる人』みたいだって 言いましたけど、本物のサイトさんはわたしの夢想よりもっと凄い人なんですよ。 サイトさんはただの平民の味方じゃありません。平民とか貴族とか、そういう立場とか身分に 関係なく物事を考えられる人です。だからミス・ヴァリエールを変えることができたんです」 かいかぶりすぎだよ。それができるのは、俺が身分差別の無い別の世界から来たから、 貴族だ平民だってのにピンと来ないだけ。空気が読めないからって言ってもいい。 でも、そのおかげでルイズが変われたっていうのなら、俺が日本から召還されたのは、 やっぱり何か意味があってのことなのかもしれない。 ■7 「だから……わたし、メイジじゃありませんから、使い魔と主人の関係がどういうものなのかは よくわかりません。けど、やっぱりミス・ヴァリエールには、サイトさんが必要なんだと思います」 シエスタの髪が風にふわりと流され、月の光を反射してきらきらと輝いた。 「あはは、わたし、何言ってるんでしょうね。昼間はサイトさんにこのままこの村で 暮らしてくださいなんて言ったのに。なんか矛盾してますね」 ううん、矛盾なんかしてない。シエスタは俺のことを思ってくれてるから。 だから言ってくれたんだろ。わかる。痛いほどわかる。 シエスタは自分の気持ちを押し殺しても、俺のために。 俺がルイズと仲直りしやすいように、言葉を連ねてくれた。 それが嬉しくて、同時に申し訳なくて。胸が締め付けられてたまらなくなる。 この女の子の気持ちに、応えてあげたくて仕方なくなる。 「シエスタ」 もう一度手製のナイフを握ると、シエスタを抱きかかえた。今度は背負うのではなく、 いわゆるお姫様抱っこ。ルーンの力を発動させると、シエスタの体は羽毛みたいに軽くなった。 トントンと枝から枝へ飛び降り、無事に地面へ降り立つ。 シエスタの体を降ろそうと思ったら、パーカーの前をきゅっと掴まれた。 「もう……本当に、夢かおとぎ話みたいじゃないですか、こんなの……」 薄暗い月明かりの下でも、シエスタの瞳が潤んでいるのがわかった。 その色っぽくも幻想的な雰囲気に、思わず心臓が高鳴る。 「じゃあ、せっかくだしこのまま家まで運びましょうか?」 芝居がかった口調で言うと、シエスタはふにゃっと顔を崩して俺の手の中から降りた。 「遠慮しておきます。だって、ここにいるサイトさんは夢でもおとぎ話でもないんですから」 シエスタは草原に駆け出すと、くるっと振り返って俺に笑いかけた。 シエスタの家に帰ってきた。物音を立てないように廊下を歩き、シエスタの部屋の前で止まる。 ここで俺はおやすみを言ってあてがわれた部屋に戻るべきなんだろうけど、 足に根が張ってしまったようにそれができない。シエスタとこのまま別れたくない。 シエスタは自分の部屋の戸を開けると、遠慮がちに俺の服の袖を摘んで引っ張った。 それだけでわかった。シエスタの方も同じ気分なんだ。 誘われるままに入った部屋は、物がいっぱいに積み上げてあった。 シエスタが学院に奉公に出てしまったので、物置代わりにされていたのだろう。 ベッドとその周りだけは片づいていた。シエスタが整理したのかも。 「あの……サイトさん、明日になったら学院に戻ってしまいますよね。 そうしたら、しばらく会えませんよね」 ベッドの隣まで来て、もじもじと肩を揺らしながらシエスタは口を開いた。 「その……だから、あの……」 自分の寝間着の胸をぎゅっと掴むシエスタ。薄暗い部屋の中でも、 その顔が真っ赤になってるのが想像できる。 そして、ここでシエスタが何をしてほしいのかわからないほど俺は馬鹿じゃない。 「シエスタ」 呼びかけると、シエスタは意を決したように俺の方へ顎を上げて、目を瞑った。 少し力が入って引き結ばれてしまっているその唇に、俺の方から唇を合わせた。 シエスタは一瞬身を震わせた後、体の力を抜いた。固くなっていた唇がとろけそうなほどに 柔らかくなる。シエスタとキスをするのは、確かこれで三回目。 「んっ…ふ、ぁ」 唇を離すと、シエスタは俺の首に手を回してきた。そのまま引っ張られそうになったところで、 シエスタは身を横に倒した。シエスタのベッドの上に、二人で倒れ込む。 ■8 「サイトさん……サイトさん、サイトさん……!」 俺の名前を呼びながら、今度はシエスタの方から何度も唇を重ねてきた。 今まで押し殺していたものを解きはなったみたいな、貪るようなキス。 ベッドに仰向けになった俺の体にのし掛かるような格好になって、 シエスタはそこにいる俺の感触を確かめるように、力を込めて抱きついてくる。 温かくて、柔らかくて、包み込まれてしまうようなシエスタの体。 抱きしめ返すと、シエスタは喉の奥から幸せそうな吐息を漏らした。 「っは……はぁ……やっぱり、駄目ですサイトさん……」 「え?」 シエスタはキスを中断すると、耳元へ口を寄せて甘えるように言ってきた。 「こんなの……こんなに甘くて、嬉しくて、気持ちいいこと教えて。 わたし、あの夜からサイトさんのことばっかり考えてるんです。 またキスして欲しいって。抱きしめて欲しいって。そんなことばっかり」 首筋に押しつけられた唇が上がってきて、耳たぶに触れた。 「こんなに素敵なこと知ったら、大好きな人に触れるのがこんなに幸せだって教えられたら、 どんなことしてても離したくなくなっちゃいます」 シエスタは俺自身を味わおうとするみたいに、そしてささやかな抗議をするみたいに、 耳たぶを甘く噛んだ。ぞくぞくする感触に背筋が震える。 シエスタの言葉に、心の奥が痛む。俺もそうだ。つい先日シエスタと一緒にお風呂に入って、 その後一緒のベッドで眠ったとき。その時のシエスタの温かさを知ってしまって、 俺はシエスタを離したくないと思ってしまった。欲しいと思ってしまった。 シエスタの前で俺はいつか故郷に戻るとはっきり言ったのに、 それでも俺を待ってくれると言ってくれるシエスタの言葉を嬉しいと思ってしまった。 それはつまり……帰れなかったときの次善策として、 シエスタをキープしておこうなんて思ったってことじゃないか。 「シエスタ、俺はそんな立派な人間じゃない。だって」 「いいんです。関係ないです。だってわたしだって綺麗じゃないですから。 心に汚いところがいっぱいあって、それをサイトさんに見せまいとしてるんですから」 言葉とは裏腹に、その内側に汚いところがあるなんてとても思えない潤んだ瞳が俺を見る。 「……サイトさん。今ここで、わたしにお情けをくださいますか?」 シエスタは目を細め、何も知らない少女みたいな笑顔で、とんでもないことを聞いてきた。 「え、その、それは……!」 俺がしどろもどろになると、シエスタは小さく吹き出した。 「わかってます。今はまだ駄目ですよね。それにここでそんなことになったら、 さすがに家族とかミス・ツェルプストーたちにばれてしまいます」 ほっとしたような、残念なような。 「でも、わたしだって不安なんですよ。わたしはただのメイドですから。 貴族の方に勝れるところなんてほとんどありませんから。 だから……はっきりした、証しみたいなものが欲しくなってしまうことだってあります」 「あ、証しって」 恥ずかしそうに言うシエスタに、俺はどう返していいのかわからなくなる。 「関係ないって! 前にも言ったろ、シエスタにはどれだけ感謝してもしたりないくらいだって」 「それでも不安なんです」 シエスタはずいっと俺の方へ体を寄せた。 何だかその顔は強ばっていて、勢いに身を任せてるような印象さえ見受けられる。 ■9 「あの……、その、だだ、だからですね」 口元に指を当て、所在なさげに視線を彷徨わせながら言うシエスタ。 そのまま深呼吸をすると、意を決したように口を開き、でも小声で、 「…………ご奉仕、させていただきたいんです」 そう言ってきた。 ……はい? 脳が一瞬思考停止する。 「え、それ、どういう」 「わかってるんじゃありませんか? サイトさん、意地悪です」 シエスタは涙目になって俯き、俺を上目遣いに見つめながら言ってきた。うぅ、可愛い。 いや、見とれてる場合じゃない。少し頭が飛んじゃったせいで素で聞き返しちゃったけど、 つまりその、ごごご奉仕って、えっちぃ意味でってこと? 考えがまとまる前に下半身に何かが触れ、ぞくりと刺激が走った。 「シ、シエスタ!?」 前にも同じ感触を味わったことがある。シエスタが俺のズボンの前に手を這わせたのだ。 「不安なんです。だってわたし、サイトさんに喜んで貰えるようなもの、 この身体しか持っていません。なのに、まだ愛してはいただけないから、だから……」 「そんなことない! シエスタは俺にもっと色んな事を」 シエスタの手から腰を引いて逃げながら、必死で言い返すと。 「わたしがしたいんですっ」 そう言い切られた。唖然としていると、シエスタは居直ったように俺の瞳を見返した。 「だっ、だから汚いって言ったじゃないですか。サイトさんに喜んで欲しいのは本当です。 サイトさんにわたしを好きになって欲しいのも本当です。 そのためにこんなことするのだって、汚いことだけど……それよりも、もっと汚くて」 シエスタは俺の胸に顔を埋め、頬を押しつける。 「私の部屋に泊まって貰ったあの日から、忘れられないんです。 サイトさんの声も、吐息も、匂いも、体の感触も。ずっと消えなくて、頭から離れなくて」 シエスタはすうっと息を吸い込んだ。まるで匂いでも確かめてるように。 「はしたないってわかってるのに。いやらしくて汚いのに。 なのに、サイトさんとまた同じベッドで眠りたいって、毎晩考えていたんです。 サイトさんの方から求めて下さらないかななんて、ずっと考えてたんです」 ほとんど自虐に近い口調で、シエスタは一気に吐露した。 「……こんな、サイトさんの気持ちも考えてない汚い子なんて、 愛して頂けるわけないんです。だからお情けなんて望みません。 わたしに……奉仕させてください。わたしがサイトさんのためにいるっていうしるし……」 「シエスタ、ちょっと待って……!」 シエスタは俺の制止も聞かず、それこそ一緒に眠った晩を繰り返すかのように ジーンズのホックに指をかけた。あの時と違うのはあっという間にそのホックが外され、 流れるようにチャックまで下ろされてしまったこと。おかしい。いくらなんでも手際が良すぎる。 「嫌ですか? でしたら逃げて下さい。こんな汚い子に触られるのが嫌なら、今すぐ」 陶然とした顔を向けてくるシエスタに、あの時と同じように問われる。 そう言われて、逃げられるわけがない。だって、嫌じゃないんだから。 こんな淫靡な表情で見つめられて、もう体は期待と興奮に支配されているんだから。 シエスタは俺の様子から全てを悟ったかのように、くすりと微笑んだ。 まるでその瞳に魅了の魔法がかかってるみたいに、心を鷲掴みにされ、動けなくなる。 ■10 「……失礼します」 シエスタは俺の下着をするりと下げ、壊れ物を扱うような手つきで中の物を取り出した。 ひんやりとした部屋の中の空気に、ガチガチに硬直したものが晒される。 シエスタにそれを眼前で直視されてしまい、何か致命的な一線を越えてしまったような 罪悪感が襲いかかってきた。 「凄い……こんな、こんな立派なの……」 譫言みたいに、シエスタは口の中だけで何か言った。そして先端を手で包み込むと、 全体の形を確認するように指を根本まで撫で下ろす。 緩い刺激が腰から背中を駆け上がり、意識せずに手がベッドシーツを握りしめる。 「あぁ、これです。あの時と同じ。熱くて、固くて、大きくて」 シエスタの瞳が無くしてしまった宝物を探し出した子供のように輝き、 指が根本から再び先端まで滑る。また降りる。それを数往復。 以前はそれを繰り返されただけで、シエスタの手の中に果ててしまった行為の再現。 あの時より無理がない体勢だから? 前よりずっと快感が大きい。 「あの……サイトさん、びっくりしないでくださいね。わたし、今から」 手で俺のペニスを擦るのを止めないまま、シエスタは聞いてくる。 俺はといえば、ただ手を上下させているだけのシエスタの与えてくる快楽に 必死で耐えていることしかできない。 「今から……たぶん、すごくいやらしいことしますから」 「え?」 これ以上いやらしい事って。それが何なのか聞く前に、シエスタは行動に移った。 横髪を耳の後ろに流すと、シエスタはすぐ眼前にあった俺のペニスにさらに顔を近づけ、 そのまま……先端に口付けた。 「あっ……!」 驚きと刺激に、短い悲鳴と同時に腰が跳ねる。揺れたペニスが唇をなぞって離れた。 「あん……動かないでください。初めてだから、危ないかもしれませんよ」 シエスタは弟のイタズラを咎める姉みたいな声でそう言い、 ペニスの根本を両手で固定する。そして改めて、その唇が亀頭の先端に触れる。 ちゅ……と粘膜同士が触れ合う微かな音がいやに大きく耳に飛び込んだ。 「ふっ……ぁ、シエスタっ……!?」 俺の困惑の声が届いていないのか、無視されているのか。 ついさっき自分のキスを重ねたシエスタの熱くて柔らかい唇の感触が敏感な部分に広がる。 それだけでも頭の処理が追いつかないような未知の感覚だったのに、あろうことかその唇が 割り開かれ、さらに熱い舌が鈴口に触れた。 「ひぁっ!」 まるで女の子みたいな情けない悲鳴が漏れる。ぴちゃりという水音と共に、 びりびりと痺れるような快楽が弾ける。そのままシエスタは唇を大きく開いて 亀頭の上半分辺りを覆うと、ストローで物を飲むみたいに吸い付いてきた。 「…………ッッ!!」 声にならない声を喉から漏らし、反射的にシエスタの頭を掴んでしまう。 ほとんど無理矢理押し退けたも同然な状態でシエスタの顔を離すと、その唇とペニスの間に 銀色に輝く唾液の糸が引き、ぽたたっ、とシーツの上に雫が落ちた。 「す、すみませんっ! 痛かったですか!? ごめんなさい!」 シエスタは口元に垂れた涎も、掴まれて乱れた髪も気に止めず、 こちらが驚くくらい頬を蒼白にして俺に謝ってきた。 「いや、俺の方こそ。いきなり頭を掴んだりして」 「いいの、勝手な事したのはわたしですから。それで、痛かったんですか? お嫌でしたか?」 粗相をしてしまったことで飼い主に許しを請う飼い犬のような怯えた目を向けられた。 その視線と態度に、俺の心中の暗い部分がぞくりと刺激されたのを感じる。 ■11 「いや、痛くはなくて、むしろ良すぎて驚いちゃったくらいなんだけど」 「そうなんですか? よかったぁ……」 シエスタは、今度は飼い主に誉められた子犬のように一転して瞳を輝かせ、 心底安堵したという風に相貌を崩した。そして、再び上体を俺の股座に戻す。 「あの、それじゃ、嫌ではないんですよね?」 その様子に、またも心の奥の部分が震えた。今度はその姿が、餌をお預けされている 飼い犬を連想させたからだ。何か、どこかでおかしい。ただ目の前の女の子が 熱心すぎる奉仕をしてくれているというだけじゃ済まないような気がする状況。 「じゃあ、続けさせていただきます」 その違和感の正体に気付く間もなく、シエスタは口を小さく開けて、 唇だけでペニスに噛み付くみたいに亀頭を挟んだ。 シエスタは首を横にすると、唇で竿を掃除でもするかのように唾液を撫でつけながら 根本まで顔を下ろした。俺の太股にぺたんとシエスタの頬が当たると、 今度はまた上がってくる。 歯を食いしばらないとまたみっともない声が出てしまうそうな刺激に震えていると、 亀頭のところまで登ってきたシエスタの口が、再びちゅるりと鈴口を吸った。 今度はシエスタの頭を掴んだりはしなかったけど、腰が跳ねるほど気持ちいい。 「ん、ぷはっ、はぁ…」 「ふぅ……はぁ、はぁ、はぁっ……」 シエスタはそこで顔を引き、唇を離すと、自分が今まで奉仕していたペニスを眺めた。 俺の方は、その様子をぼやけた視界で見ていることしかできない。 シエスタより俺の方が息が乱れているくらいだ。 「サイトさん、どうですか? わたし、よくわからないから、サイトさんの方から どうしたら気持ちいいのか言って頂けると嬉しいんですけど」 冗談だろ。シエスタの与えてくる快楽に耐えるだけでいっぱいいっぱいだ。 これ以上どうしろなんて言えるわけがない。むしろ手加減して欲しいくらいだ。 「そ、それより、どうして急にこんなこと?」 また吸い付かれたりしたら我慢する余裕もなくシエスタの口にぶちまけてしまいそうなほど 高ぶっていたので、熱を冷ます時間を得る意味も兼ねて聞く。 「言いましたよね? あの夜のことが頭から離れなくて、 サイトさんがわたしで良くなってくれたことを思い出すだけでたまらなくなってしまって。 それで、もっと良くなってもらうにはどうしたらいいのか勉強して」 「べ、勉強ですか」 シエスタは口を離して俺の様子を見ている間も、俺のペニスを掴んだ指を やわやわと動かしてゆるい刺激を与えてくる。まさか無意識にやっているんだろうか。 「あっ、もちろん、わたしサイトさん以外の殿方にこんなこと絶対しません。 その、同じ部屋の子に聞いたり、自分で想像したり……それだけです」 布団を持って行かれてしまった時といい、シエスタと同室の子って一体。 「それで、”これ”が男の人は凄く気持ちいいって聞いたから、ずっとして差し上げたくて。 してみたくて……。サイトさん、気持ちいいですか? ちゃんとできてますか?」 とろんとした目つきで、唾液に濡れたペニスをにちゃにちゃと扱きながら聞いてくる。 「……良い。凄く気持ちいい」 正直に答えると、シエスタは顔をほころばせて再び口を開いた。 「じゃあ、もっと良くなってくださいね」 今まで我慢していたような勢いでシエスタはペニスの先端に唇を当て、 そのまま……ずるりと奥まで飲み込んだ。 ■12 驚愕するくらいの感覚だった。口腔を通り越して喉まで 入ってしまっているんじゃないかというほど、シエスタの顔が腰に近い。 それに、ペニスがシエスタの口の中の、固かったり柔らかかったり、 どこがどこなのか判断もつかない部分に満遍なく触れている。 それだけでも頭がオーバーヒートしてしまいそうな感触だったのに、 さらに想定外の刺激が襲いかかってくる。 ペニス全体が、熱くてぬるぬるしたものの中にひたされている。 俺の持っている『人間の口の中』というイメージからかけ離れた感覚。 その理由に一瞬迷った後に気付いた。唾液が大量に溜められているんだ。 「んんぅっ……!」 じゅるじゅるじゅるっ、と下品と言っていいような水音を立てて、 シエスタはくわえ込んだペニスを先の部分まで引き戻した。 溢れた唾液が根本の方まで落ち、更に袋の方まで垂れてくる感覚に背筋が震える。 亀頭だけをくわえた状態になったシエスタは、俺の顔を見て少し考える様子を見せた後、 あれだけペニスに塗りつけて口の中から零したのにほとんど水気が減ったようには 思えない口腔の中で、口をゆすぐみたいに唾液をぐちゅぐちゅと動かした。 「あ……あ、あっ…!!」 どんな刺激が与えられるのか、漠然とでも予想できていればいくらかは耐えられる。 けど、これは想像を遙かに超えた感覚だった。 敏感な亀頭だけが、熱い頬裏や舌に擦られる。それだけならまだしも、 ぬるぬるの唾液によって攪拌され、翻弄される。 俺の口元からも、だらしなく涎が零れた。自分のものと比較して、改めて理解する。 シエスタは普通の人より間違いなく唾液が多い。平均の倍じゃ済まないんじゃないか。 さっきまで薄々感じていた違和感のひとつの正体はこれだ。 頭を掴んで引き離してしまったときに、水音を立ててシーツに落ちるほど零れた唾液。 まるで餌を待つ犬を連想してしまうほどに濡れていた口元。普通より明らかに多かった。 それに、ただ唾液が多いだけじゃない。粘度も高い。 まるで男を悦ばせるためにあつらえられたみたいな口腔が、再びペニスを中ほどまで 飲み込む。舌が裏筋を中心に竿に絡みつき、吸い付かれながら引き上げられる。 気持ちいい。良すぎる。目の前に火花が散るような刺激。 シエスタは目をきゅっと閉じて、頬を真っ赤に染めながら俺のペニスにしゃぶりついている。 聞いたり自分で考えただけ、と言っていた。たぶんそれは間違いない。 シエスタの口奉仕には熟練しているとか技巧があるといった雰囲気は感じられない。 ただ、一心不乱にしゃぶりついて、ぐちゃぐちゃとねぶっているだけ。 それなのにこんな、意識が飛んでしまいそうなほど気持ちいいのはシエスタの才能だ。 口を大きく開いて俺のものをくわえ込んでいるのに、えずいたり苦しそうになったりという ところが無い。鼻からの息継ぎだけで、ずっと行為を続けている。 それに、遠慮というものがない。最初は俺の反応を確かめるように少しずつ 舌や口の中を動かしていたけど、俺が”良さそう”な反応をする力の入れ方を覚えると、 次からは絶対にそれを下回らない。物足りないと感じるどころか さらに強い攻めを試してきて、あっという間に苦痛となるギリギリまで追い立てられる。 そして、多少無茶をしても緩衝剤となり、それどころかさらに快感を加速させる 大量で、かつ粘性の高い唾液。俺の物を簡単に飲み込めてしまう口腔と合わせて、 ただくわえられているだけでもすぐに果ててしまいそうなのに。 これで技巧なんてものが備わったらどうなってしまうのか恐ろしい。 いや、既に恐ろしい状態になっている。 その上……、時々薄目を開いて俺の顔を見つめるシエスタの表情には、 つらいことをしているとか、屈辱的なことをしているとか、そういう色が全く見えない。 俺のことを気遣って、俺の喜ぶことをして。それが何よりの幸せなんですと言わんばかりの、 いつものシエスタそのままの目。俺と目が合うと、恥ずかしそうに目を閉じる。 ■13 そんなシエスタの様子と、彼女が行っていることの乖離が混乱と背徳感を生むのと同時に、 俺の胸の中に暗い情動に火を灯す。この子は、シエスタは俺の物だ。 俺の為だけに存在する。 そんな許されるわけが無い、けれどもあまりに甘美な幻想が心の奥底に弾ける。 肉体だけじゃなく精神までがシエスタの与えてくる快楽に溺れていくうち、 次第にどこをどうされてるのかという感覚すら次第に失われて、 ただ快楽だけが腰から脳髄まで駆け上がってくる。シエスタの口の中で 俺のペニスは溶かされてしまったんじゃないか、なんて妄想すら浮かぶ。 ひょっとしたら、もうとっくに果ててしまっているのかもしれない。 だって、シエスタの口の中は粘性の高い唾液で満たされていて、射精してしまっても ほとんど感覚は変わらないのではと思えたから。 だが、そんな想像も長くは続かなかった。感覚がイレギュラーすぎて体の方が 混乱していたとしか思えない、そうでなければ今まで保ったことが不思議なくらいの 射精感が腰の奥に膨らみ、じわじわと登ってくる。 「シエスタ、シエスタっ……!!」 思わず、先刻そうしたようにその形の良い頭を掴んでしまう。 止めてもらわないと、そう思った。思ったはずだった。なのに体がそれを無視した。 俺の両手は、シエスタの頭を抱え持つと……それを引き寄せたのだ。 「んぶっ…!?」 驚いて目を見開くシエスタ。急に口の中に入っている部分が増えたため、 その分の唾液が溢れて腹の方にまで跳ねた。やってしまってから、 自分がとんでもない暴虐を働いたことに気付き、すぐさま腰を引こうとすると。 シエスタは逃げようとする俺を捕まえるかのように、腰の後ろに両手を回した。 そして何もかも受け入れた表情で目を瞑り、口の中に溜まった唾液を集めて吸い上げ、 ごくりと飲み込んだ。 それが、抵抗しようもない引き金だった。ペニスをシエスタの舌や唇や頬の肉、 顎や歯までが扱き、唾液ごとペニスもその中身も吸い込まれてしまいそうな感覚に、 我慢するという発想すら生まれる余裕すら与えられず限界が打ち破られた。 俺が放出したというよりも、シエスタの吸い出されたというような射精だった。 体の内側にドロドロと渦巻いていた衝動と快感が、一気にそこに集まって爆発する。 そして――俺は、意識が焼き切られてしまうような絶頂の快楽の間、 シエスタの頭を離さなかった。逃げる余地も与えず、そこで受け止めるのが当然だと 言わんばかりに、腰に引き寄せたシエスタの頭をそのままにしていた。 それに気付いたのは、全て吐き出してしまったのではないかと思えるほどの放出が 収まってきた時だった。 呆けそうなほどの余韻の中で俺は俺自身がしていたことに気づき、 心臓が跳ねるようなショックの後、今さら過ぎる中でシエスタの顔を解放しようとした。 けれども……シエスタは、抵抗した。自分の口の中に出させることに抵抗したんじゃない。 まだ射精の終わっていない俺のペニスから口を離すことに、抵抗した。 俺が押し戻そうとする手に髪を擦られるのも厭わず、竿の部分についた 唾液や精液を唇の裏でこそげ落とすように締め付けながらゆっくり顔を引き、 それを亀頭のすぐ下に来るまで続けたころ俺の射精が完全に終わったのを確認すると、 僅かに零すのすら勿体ないとばかりにちゅるんと音を立てて吸い上げながら 先端から唇を離した。 「あ、あの……シエスタ」 何と声をかけていいのかわからない。無体なことをしてしまったのに対して謝る? でも、シエスタはまるで不快や苦痛を感じているようには見えない。 それ以前に、その時のシエスタの、どこを見ているのかもよくわからない とろけきった表情の色っぽさに、意識を釘付けにされてしまっていた。 ■14 シエスタは軽く顎を上げ、口元に手を当てる。まさか、と思った次の瞬間、 ごくりとこちらまで聞こえる嚥下音をさせて、大量に口中に溜まったものを飲み下した。 「シエスッ…!!」 呼びかけるか呼びかけないうちに、シエスタは糸が切れたように ふらりと俺の方へ倒れ込んできた。太股へ頬をつけ、ぐったりと体から力が抜ける。 「え……シエスタ、どうしたんだよ!?」 シエスタの髪を流し、表情を見る。夢から覚めたようにシエスタは目を薄く開いた。 そして、その眼前にまだ萎えきっていない、半勃ち状態のペニスがあるのを確認すると、 よろよろと顔を上げてその竿に舌を這わせてきた。 「ちょっと! ちょっと待てシエスタ!」 今度ばかりはその肩を掴んで引きはがす。シエスタは俺のペニスを物欲しそうに 呆然と眺めていたが、唐突に瞳に生気を戻らせたかと思うと、はっとして辺りを見回した。 「あ……あれ、わたし……」 シエスタはこちらが唖然としてしまうほど”いつも通り”の様子で頬に手を当てた。 「良かった、どうしたのかと思った」 胸を撫で下ろすと、シエスタはその時初めて俺に気付いたかのように俺を見る。 「あれ、サイトさん。あ、わたしってば、ごめんなさい! 続けます」 シエスタは急に慌てたかと思うと、再び俺の腰の上に屈み込んでペニスに顔を近づけた。 「ええ!? 待った待った! それは終わったでしょ!」 そこを手でガードして言うと、シエスタはぽかんとした表情で俺を見て、 「え、終わったって…。あ、そうですね。わたし、サイトさんにお口の中に頂いて……」 何言ってんだ大丈夫なのかシエスタ、と思っている間に、シエスタはぼっと頬を赤くした。 「あっ、あああ、そうでした。終わっちゃったんでした……」 羞恥に顔を俯かせながら、自らの唇に指を当てる。その後、舌を出してその唇を ぺろりとなぞった。 「あの……ごめんなさいサイトさん。わたし、途中で何がなんだかわかんなくなってしまって。 サイトさんにご奉仕しなくちゃいけないのに、勝手な事。今度は、ちゃんとしますから……」 シエスタは今にも泣き出しそうな不安げな顔で、俺を見つめてきた。 「な、何言ってんだよ! 俺は滅茶苦茶良かったから。こっちの方こそ酷いことしちゃって」 「ほんとですか……?」 シエスタは半信半疑な様子。あんなに良くしてくれたのに、何が不安なんだろ。 「本当! ほんとにほんと! 信じられないくらい気持ちよかった」 シエスタを説得するために力説するも、かなり恥ずかしいことを言ってることに気付いて 思わず赤面。シエスタの方もはにかんで両手を胸の前でもじもじさせた。 「それなら嬉しいですけど……サイトさんにご奉仕してたら、わたしの方がその、 き、気持ちよくなってしまって。そのうち、頭がとろんとしてきて。 こんなんじゃご奉仕になりませんよね。次は、もっと頑張りますから」 頭がくらくらしてきた。まさか、意識もはっきりしない状態での行為であそこまで 翻弄されてしまうとは。もっと頑張られてしまったらどうなるのか、想像も追いつかない。 とりあえず、気を取り直す。俺はシエスタの肩に手を乗せると、こちらを向かせた。 今は、何よりシエスタに言わなければいけないことがある。 シエスタはまだ潤んだままの瞳で、俺を見返す。俺はコホンと一つ咳払いをして、 「その……ありがとう。シエスタのしてくれたこと、凄く嬉しかった」 一瞬間を置いて、シエスタは花が咲き開いたような笑みを見せた。 そのまま、俺の胸に顔を埋めてくる。 ■15 「えへ……良かったぁ」 誉められた子供みたいに甘えてくるシエスタ。柔らかな体を押しつけられて、 さきほど果てたばかりなのに、また体が興奮してくる。 「えっと、じゃあじゃあ、サイトさんもまたして欲しいって思ってますか?」 「う、うん。思ってる」 わざと恥ずかしいことを言わせたいのだろうか。シエスタはいたずらっぽく聞いてくる。 「また、していいですか?」 「うん……いいよ」 これは新手の虐めか。 「それなら、今これからもう一回っていうのは?」 「……それは遠慮しておく」 もぞもぞと手をお腹の方へ滑らせてきたシエスタを制止する。 今、俺はシエスタを本気で怖いと思った。色んな意味で。 翌朝。タルブの村の前の草原に、ギーシュの呼んだ竜騎士隊が到着した。 一匹でも迫力満点なドラゴンが何匹もそろい踏みしている光景に圧倒されつつ、 寝不足の目を擦る。 「何だね、堂々の帰還だというのに不景気な顔をして」 欠伸を堪えている姿を、ギーシュに呆れられてしまった。 結局寝たのは明け方になってしまった上、精魂尽き果てたというか吸い取られたからな。 ゼロ戦に着々とロープがかけられていく様を眺めていると、軽快な足音が迫ってきた。 「サイトさんっ!」 振り向くと、日の光の下に輝くシエスタの笑顔。どきっとするのと同時に、 昨晩の月光の下での妖艶な姿とのギャップに女の子の不思議さを実感。 ところで、シエスタも寝不足なはずなのに嫌に顔色が良くてツヤツヤして見えるのは 気のせいでしょうか。 「シエスタ、どうしたんだその格好?」 シエスタは明らかによそ行きな服装に、宝探しに持ってきた大きな荷物を提げている。 「やっぱり、学院に戻ることにしました。正式な休暇になったらここに帰ってきますけど」 「え、なんで急に」 聞くと、シエスタは含みのある笑顔を俺に見せた。 そして、ちらりとキュルケとタバサの様子を確認する。 「さて、どうしてでしょう? あ、そろそろ準備が終わるみたいですよ」 シエスタは『竜の羽衣』に向かって軽快に走り出す。 「ふむ……? あのメイドの子、なんとなく変わったかな?」 黒髪が揺れる後ろ姿を見ながら、ギーシュが顎に手を当てて言った。 「そ、そうかな? 俺にはよくわかんないけど」 「親しすぎると見えないこともあるものだよ。まぁ、女性は魔物だからね。 いついかなる姿に変わるかわからないものなのさ」 肩をすくめてしたり顔で言うギーシュ。こいつがどこまで女性のことを わかってるのかは怪しいが、ちょっと同感できる俺は苦笑するしかない。 でも、関係ないか。シエスタが俺にとって大事な女の子なのは間違いないんだし。 俺は荷物を担ぎ直すと、遠くで手を振るシエスタのところへ駆けだした。 つづく 前の回 一覧に戻る 次の回
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598 名前:ある日、森の中[sage] 投稿日:2006/09/05(火) 03 02 18 ID 5e8JB6gc 「どうしましょうか、サイトさん」 「どうしましょうかねー」 二人は火の入った暖炉の前で困っていた。 そこは、トリステイン魔法学院の近くにある、森の中だった。 突然降り出した大雨に、連れ立って歩いていた二人は近くにあった炭焼き小屋での雨宿りを余儀なくされた。 しかし、すぐに止むだろうと思っていた雨は、その激しさを増していた。 二人がここにいる理由はこうだった。 「親愛なるルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールさま。 この間、サイトさん貸してあげましたよね? だから今日は、サイトさん返してもらいますね。一日独占させてもらいます。 なお、この手紙は自動的に消滅します シエスタより」 という置手紙をルイズの部屋に残し、才人には「一緒にピクニック行きましょう、ミス・ヴァリエールから許可ももらいましたし!」と言い含め、シエスタは才人を連れ出していた。 しかし、時刻は既に夕方近い。このまま帰れないと、ここで夜をすごすことになりそうだ。 ちなみに既に部屋ではルイズがブチキレかけていた。 「ああああああの犬!かかかかか帰ってきたらお仕置きなんだからね!!」 ぞくっ。 才人の背中をイヤな悪寒が駆け抜ける。 この寒気はきっと雨のせいなんだ、そうに違いない。そうに決まった。そうであってくださいおねがい神様。 「サイトさん?」 身震いする才人を、隣に座ったシエスタが心配そうに覗き込む。 お約束だとこういう場合、裸かそれに近い格好で毛布に包まり暖炉の前で暖を取るものだが、残念ながら二人とも着衣のままであった。才人はいつものパーカー、シエスタもいつものメイド服。 雨の降り始めに、この小屋に避難できたからである。 雨のやろう、どうせなら一度に降って来いっての。 そうすれば「寒くない?以下略」だったのに。全く情緒というものが分かってない。 天候に文句を言っても始まらない。才人はシエスタに心配をかけないよう、笑顔で返した。 「大丈夫、ちょっと寒気がしただけだって。 …薪もうちょっと取ってくるわ」 そう言って才人は立ち上がる。薪は小屋の外にある。補充するには外に取りに行く必要があった。 しかし、立ち上がった才人の上着の裾を、シエスタの指が捕まえる。 「い、行かないで」 「…へ?」 何事ですか?、と振り向くと、シエスタが潤んだ瞳で才人を見上げていた。 まさかシエスタさん。 「さ、寒いなら私が、あ、暖めてあげますから」 なんてベタな。ベタすぎるよシエスタ。 心の中で突っ込みつつも、シエスタの上目遣いにぐらっとくる才人。 「メイドに手なんてつけたら、ああああああ足じゃ済まさないんだから!!」 ぞくぞくっ。 悪寒がさらに増し、才人の身体が震える。 「ほら、こんなに震えて!ダメですよ!」 そして自分も立ち上がり、才人の身体を抱きすくめる。 599 名前:ある日、森の中[sage] 投稿日:2006/09/05(火) 03 04 06 ID 5e8JB6gc まずは作戦その一。 シエスタは久々に会った従姉妹のジェシカとの会話を思い出していた。 『まず、大事なこと。殿方は「はいてない」に燃えるものよ』 『は、はいてないって…』 『下着に決まってんじゃない。上着の下は裸。コレ基本だからね?』 シエスタはそれを実践していた。今、彼女のメイド服の下は、生まれたままのシエスタだった。 だから、才人の胸に押し当てられたシエスタの双丘は、不自然なくらい形を歪ませていた。 「ちょ、シエスタ!」 や、やわらかい。 「な、なんかやわらかいのが当たってるんですけど!」 「あててるんですよ。ちょっとはその気になりました?」 「いやでもまずいってシエスタ!」 「なにがまずいんですか?ここにはミス・ヴァリエールはいませんよ」 「で、でも」 600 名前:ある日、森の中[sage] 投稿日:2006/09/05(火) 03 05 44 ID 5e8JB6gc この人はー、ほんとにもー。 あのナイチチ貴族がいいっていうの?私というものがありながら! あの降臨祭の夜以来、シエスタの中では「サイトさんは私のもの」という図式がほぼ出来上がりつつあった。 従って、ルイズになびく才人は浮気者なわけで。 でもサイトさんカッコイイからミス・ヴァリエールが惚れちゃうのもしょうがなくて。 でもやっぱり、二人っきりのときは私だけ見てて欲しいわけで。 作戦、そのニ。 「あの、サイトさん」 シエスタは一瞬だけ才人を抱きすくめる手を緩め、エプロンのポケットから小瓶を取り出した。 「サイトさん、ミス・ヴァリエールにバレるのが怖くて、何もしてこないんですね」 ぎく。 才人の身体が一瞬硬直するのを、シエスタは見逃さなかった。 やっぱり。 こーの、ヘタレがー。 「大丈夫です…。こんなこともあろうかと、私貯金してこういうものを買っておきました」 シエスタは言って、小瓶を才人の鼻先に突きつける。 「何、コレ?」 「記憶を奪う魔法薬です。飲んでから1時間程度の記憶が、なくなるそうです」 「え?それを俺が?」 「いいえ。私と、あなた。二人で飲むんですよ」 そう言ってシエスタはにっこり笑う。 「事の記憶がなくなれば、ミス・ヴァリエールにバレることもありません。 …だから」 そう言って見上げるシエスタの瞳はとても魅惑的で。覗き込んでいるだけで吸い込まれそうで。 じゃなくて。 やばい。まずい。確かに都合はいいけどなんかソレまずい。 才人がそうやって混乱していると、シエスタはとんでもない行動に出た。 小瓶の中の液体を口に含むと、そのまま才人の唇を奪ったのだ。 どうやら、口移しで飲ませる気らしい。 しかし、予想と裏腹に、才人の唇は閉ざされたままだ。 じゃあこうします。 シエスタは舌を伸ばすと、無理やり才人の唇を割り開き、才人の口内へ薬を流し込む。 そしてついでとばかりにさらに舌を差込み、才人の舌に自分の舌を絡ませる。 お互いの口の中で、唾液と薬が混じりあい、息をしようとするたびその混合物を飲み込むことになった。 しかし二人は、薬を完全に飲んだ後も、熱に浮かされたように、お互いの舌を絡めあった。 しばらく舌を絡めあって、二人はようやく唇を離した。 601 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/05(火) 03 07 09 ID 5e8JB6gc すいましぇん今日はここまでorz 617 名前:ある日、森の中[sage] 投稿日:2006/09/05(火) 12 49 20 ID 5e8JB6gc 「あ、あの、シエスタ…」 頭の芯がぼーっとする。これも薬の効果なのか? 「何も言わないで」 そっと、才人の唇に指を押し当て、言葉を遮るシエスタ。 「これからは、私とあなただけの時間。 私だけ見てて。私だけ感じて。私の全部で、感じて…」 その言葉はまるで魔法のように才人の頭に響き、才人の動きを封じた。 シエスタは才人の胸に身を預けると、そっと手を才人の下半身に這わせた。 「うあっ」 既に完全に屹立していた才人のペニスを、ズボンの上からシエスタの掌が撫で上げる。 「ふふ…もうこんなにして。イケナイひと」 言いながら今度は才人の首筋に舌先を這わせ、ちろちろと嘗め回す。 それはまるでいつものシエスタとは別人のようで。才人の理性をかき乱した。 これが作戦その三。 『いいシエスタ。これ見て台詞の勉強しときなさい』 『ってこれ、官能小説じゃない!』 『私が厳選したサイトくんの好きそーな内容のばっかり集めといたわ。 実践の際に、役に立つこと間違いナシ!』 ちなみに今用いているのは『魅惑の女家庭教師〜火蜥蜴婦人の誘惑』の一節、火蜥蜴婦人が、貴族のおぼっちゃんを篭絡する際に使った台詞である。 シエスタの細い指が、ズボンのジッパーを下ろす。 前に、才人が立小便をする際に、覗き見たのである。その時はなんでこんなとこが開くようになってるんだろう、とか思ったけど、確かに合理的ではあった。 すでに全身の血液を集められ、ズボンの中で限界まで膨らんでいたソレは、勢いよく外界にそそり立った。 サイトさん、大地に勃つ。 予想よりも大きくなっていたソレに、シエスタは軽く驚いた。 前見たときよりおっきい…。 しかし見入っている暇はない。このわずかな隙にも、才人の意識は冷静さを取り戻そうと躍起になっている。 618 名前:ある日、森の中[sage] 投稿日:2006/09/05(火) 12 50 36 ID 5e8JB6gc 「ちょ、シエスタ、ダメだって…」 それが証拠に、うわごとのようにそう言いながら、自分の手で勃起したソレを隠そうとする。 させません。 風のような速さで、シエスタの細い指が、才人の屹立した陰茎に絡みついた。 そしてそのまま、軽くむにむにと揉む。硬さを確かめ、今度はしごく。 「うあぁッ!」 才人の背筋を、電流が奔る。 なんだコレ。自分でやったときと全然ッ…! 思わず止めに入っていた手を、自分の身体を支えることに使ってしまう。 「コレがいいんですね?ほんと、いけないおちんちん…」 淫靡に笑うと、今度は先端を掌で包み、やわやわと揉みしだく。 そこは、透明な粘液で濡れていた。先走りである。 シエスタは才人の足の間に身体を入れると、今度は両手を使い、茎をしごき、先端を揉む。 「うああ!…し、シエスタ…っ」 自分の先端から与えられる快感に、才人はたまらなくなる。 ば、爆発しそうだ…! しかし、なぜか快感は不意に止んだ。 「え…?」 寸前で止められ、惚けたようになる才人。 下半身の方を見ると、シエスタがにっこり笑っていた。 「指で続ける?それとも、お口がいい?」 言って舌でぺろり、と張り詰めた怒張を嘗める。 「あうっ…!!」 指でしごかれていたときより、鋭い電流が才人の背筋を襲った。 シエスタってこんなにエッチだったのか…!! それが才人に喜ばれるために必死で勉強してきた成果だとも知らず、才人はそれがシエスタの才能なんだと思い込んでいた。 「ねえ、どっち…?」 今度は口付け。先端に、湿った桃色の柔肉が触れると、とろけそうな快感が才人を襲った。 「く、口でしてくれる…かな」 619 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/05(火) 12 51 54 ID 5e8JB6gc 仕事なので今日はココマデ。続きは後日で 6 名前:ある日、森の中[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 00 35 02 ID JXKAwJlz ででででで、この先どうするんだっけ。 顔では余裕を演じていたシエスタだったが、内心はかなりテンパっていた。 『火蜥蜴婦人の誘惑』ではこの後、ぼっちゃんが逃げようとして、そこを組み敷いて美味しくいただいてしまう、という展開なのだが。 口でしてくれ、なんて選択肢はその本にはなかった。 と、とりあえず、キス…。 先走りでてらてらと光る肉棒の先端に、シエスタはそっと口付ける。 「うっ」 才人はその快感に身を縮こまらせる。 あ、キモチいいんだ…。じゃあ…。 今度は裏筋に口付ける。才人の体がビクっと震える。 次は根元に口付ける。「うああっ」と才人が喘ぐ。 そうやって才人の男根にキスの雨を降らせて、反応を楽しむ。 サイトさん…カワイイ…。 目の前の牡の匂いを嗅いでいるうちに、だんだん、シエスタの頭の芯もボーっとしてきた。 気がつくと、右手をスカートの中に忍ばせ、自分自身を慰めていた。 「はぁ、サイトさん…」 シエスタは、サイトを逃がさないように左手で軽く茎を握り、先端を口の中に含む。そして、それを舌で嬲る。 「うああぁっ」 才人が切なげな声を漏らす。 サイトさん、キモチイイのね…? 茎をしごき、先端を吸い上げ、自らを慰めながら、シエスタは行為を続ける。 7 名前:ある日、森の中[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 00 36 46 ID JXKAwJlz 「も、もうだめだ、シエスタっ」 不意に、才人が声を荒げ、シエスタの頭を掴む。 突然の行為に驚くシエスタ。吸い上げる力が弱った瞬間に、才人は乱暴にシエスタの頭を抑えた。 才人の肉棒がシエスタの口内を犯し、喉の手前まで先端が届く。 次の瞬間、才人はシエスタの口の中に己の欲望を吐き出していた。 「ご、ごめんっ!」 ドクドクドクっ 「…!えほっ、えほっ!」 喉の奥に熱い液体を流し込まれ、思わずシエスタは才人から口を離し、咳き込んでしまう。 「ご、ごめんシエスタ!あ、あんまり気持ちいいもんだから、つい…」 涙目で咳き込むシエスタを、慌てて才人は介抱する。 「…ふぁ…んくっ…」 何かを言おうとしたシエスタだったが、口の中に吐き出された才人の欲望が、それを許さない。 …サイトさんのだ…。 シエスタはそれを、ゆっくり飲み干す。 「んっ…んふ…」 口の端から流れこぼれたひとすじも、指ですくって口に入れる。 その仕草はとても色っぽく、才人の視線を釘付けにした。 …こういうときは、どう言うんだっけ…。 たしか、こう。 「あは…サイトさんの…おいし」 涙目のまま、シエスタはにっこり微笑んでそう言った。 ずぎゅうううううううううん。 直撃。大当たり。本丸崩壊。 アパム!弾もってこいアパーーーーーム! シエスタのエッチ爆弾に、才人の理性本部はすでに壊滅寸前だった。 9 名前:ある日、森の中[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 00 37 29 ID JXKAwJlz 「あ…まだ、元気ですね…」 シエスタの目が才人の下半身に留まる。そこでは、先ほど欲望を吐き出し終えたばかりの才人が、ビクビクと脈打っていた。 シエスタはそのまま才人の体をまたぐと、エプロンドレスのスカートを、たくし上げた。才人の目にその中身が飛び込んでくる。 そこにあったのは、薄い恥毛に彩られたシエスタの割れ目から滴る粘液と、その粘液でぬらぬらと淫靡に光る内太股であった。 ごくり、と才人の喉が鳴る。 ゆっくりとシエスタは、立膝でその割れ目を才人自身の上に運んでいく。 「し、シエスタ…」 才人はもう抵抗しない。いや、できないのだ。 捕らえられた獲物に、狩人に対抗する術はない。 「サイトさん……ごめんなさい」 なぜ謝るんだ? 才人が疑問に思う前に、シエスタの秘裂が、才人の怒張を飲み込んでいた。 「うあぁっ!」 「サイトさんっ…!」 血は滲んだが痛みはない。薬のおかげだということをシエスタはよく知っていた。 そのまま快楽に任せ、腰を上下に揺する。 「サイトさんっ!いいですっ!キモチいいですッ!」 髪を振り乱し、シエスタは才人の上で悶え狂う。 目の前で、よく知った顔が快楽に溺れ、腰を振り、己の身体で快楽を貪り食らう。 それはまるで夢の世界の出来事のようで。才人の理性を吹き飛ばす。 才人は、つけてないせいで傍若無人に揺れるシエスタの胸に、手を伸ばした。 それは、シエスタの腰のリズムに合わせ、才人の手の中で踊る。 「サイトさんっ!サイトさんっ!」 惚けたように才人の名前を呼び、胸を揉む才人の手に自らの手を添えながら、シエスタは才人の上で踊る。 「シエスタ、シエスタ…っ!」 才人のほうも限界が近いのか、上半身を起こし、シエスタの胸に顔を埋める。 10 名前:ある日、森の中[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 00 38 36 ID JXKAwJlz 「ダメ、私もうっ…!」 「俺も…っ!」 どちらからともなく限界を告げ、最後の一刺しがシエスタの中を貫く。 どくどくどくっ…。 先ほどの射精にも倍する精液が、シエスタの中に注ぎ込まれる。 「うあぁっ…」 「あは…出てる…サイトさんの…」 繋がったまま、二人は折り重なって倒れた。 数十分後。 先に目を覚ました才人は異変に気がついた。 覚えてる。全部。 「ふふ…もうこんなにして。イケナイひと」「指で続ける?それとも、お口がいい?」 「あは…サイトさんの…おいし」「サイトさんっ!いいですっ!キモチいいですッ!」 頭の中ではっきりとコトの映像がリフレインできる。 しばらくおかずには困らないねー♪ じゃなくてっ! 才人は思わず真っ青になる。 そして、自分の上で寝息を立てるシエスタを揺さぶる。 「おい、シエスタ!」 「ふにゃ?あ、サイトさんだぁ…」 嬉しそうにふにゃっと笑い、シエスタは才人の首に手を回す。 「そうじゃなくて!記憶!シエスタは記憶どうなってる?」 無理やりシエスタを引き剥がし、才人はシエスタに尋ねる。 「あ、薬の話ですか?」 そうそう、と才人は首を縦に振る。 「アレ嘘ですから」 ぴきッッ。 まるで「硬化」の魔法にかかったように、才人の体が固まる。 「そんな都合のいい薬あるわけないじゃないですか。アレただの鎮痛剤ですよ」 ぴしっっ。 石像と化した才人にヒビが入る。 もちろんこれは計画的犯行であった。 雰囲気で酔わせ、都合のいい展開にして、落とす。 ジェシカの授けた手管であった。 だってこのくらいしないとこのヘタレはなんもしてこないし。 「大丈夫ですよ、誰にもいいませんから♪」 そう言ってシエスタは完全に固まっている才人の腕に絡みつき、胸を押し当てた。 でも、ミス・ヴァリエールには自慢しちゃうかもしれません♪ 心の中で恐ろしい事を呟きながら、シエスタは笑った。 〜fin 11 名前:あとがさ[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 00 41 28 ID JXKAwJlz 2スレ跨いじゃいましたごめんなさいorz 実用性重視でがんばってみましたがいかがだったでしょーか。かなり好み偏ってますがw ちなみにこの後続編も考えてます(ルイズ編) その前に、一本エロじゃないの書きたいんですが、そういうのってここにうpしてもおk?