約 495,183 件
https://w.atwiki.jp/macross-lily/pages/82.html
『敵は13cm』 「はい、ランカちゃん。」 夕暮れ時、サングラスに帽子で少しだけ変装して。 事務所で待ち合わせて、シェリルさんの家に向かう。 そんな休日前の仕事帰りに立ち寄った本屋さん。 私たちにとってもちょうどいい時間だったのか、人もまばらな店内で。 シェリルさんは雑誌コーナー。 私はと言えば、ナナちゃんが 『少し前の本ですけど、面白かったですよ』 と言っていた本を探しに小説コーナーへ。 見つけたそれは、本棚の上の方にあって、届くか届かないかの位置だったから、 とりあえず背伸びをしてみた。 指先がその本にふれる。 だからいけるというか・・・とってやるというか・・・ そう思って高さと格闘していると、 後ろから伸びた手がいとも簡単にそれをとってしまった。 そして、上から降ってきた綺麗な呼び声。 振り返って見上げれば、そこにはシェリルさんの姿。 「言ってくれればとってあげるのに。」 余裕の笑みを浮かべてそう言うシェリルさんが、 なんだか憎らしくて、頬を膨らませてみせた。 「ちゃんと、とれる予定だったんです。」 「あら、そうなの?そうは見えなかったけど?」 意地悪な笑みを浮かべるシェリルさんが憎らしいけど、素敵で。 頬を膨らましながらも、その顔に魅入ってしまった。 156対169・・・ その差、13。 それが、“身長差”という私にとっての敵。 この前の一緒の撮影の時。 10cmのヒールをはいて、やっと少し追いつけたと思ったら。 敵は7cmのヒールをはいて、突き放してきた。 それが悔しくて、その差を恨めしそうに睨んでいたら、 それに気づいたシェリルさんに笑われた。 絶対、子どもだって思われた。 なんだか恥ずかしくなって俯くことしかできない私。 そんな私の前に立ったシェリルさん。 顔を上げると、セットされた前髪をやんわりとかき分けて、 シェリルさんが額に口づけてきた。 思わず真っ赤になって両手で額を押さえる私。 「ちょうどいいと思うの。」 「ふぇ?」 「ランカちゃんの額にキスするには、ちょうどいい“身長差”だと思わない?」 そう言って笑ってくれたシェリルさんは、大人っぽいのにかわいくて、素敵だった。 だから、そうかも・・・なんて少し・・・ホントはだいぶ、思ってしまった。 うー・・・“身長差”め・・・なかなかやるんだから・・・ 手渡された本を両手で持って、そんなことがあった日のことを思い出す。 そうやって、また敵のことを考えていると、 シェリルさんがにっこり笑って、私に手渡した本を再び自分の手で取り上げた。 「これで、いいのね?」 「え?あ、はい。」 尋ねられて素直に答えてしまう私。 「じゃ、さっさと買って、帰りましょう。」 そう言って、シェリルさんが自分が手にしていた雑誌の上にそれを乗せた。 「シェリルさん?」 「ついでだから。」 背を向けてレジに向かう足に、その意味を理解して、私は駆け寄る。 「い、いいですよ。自分で買います。」 「ついでよ、ついで。」 「そんなこと言って、この前もご飯、ごちそうしてくれたじゃないですか。」 「そうだったかしら?ご飯を食べたことは憶えてるけど、 そのことは忘れちゃったわ。」 言って笑いかけてくれたその笑顔が、悪戯好きの小さな子どもみたいで。 あまりにかわい過ぎて、思わず足が止まってしまう。 それをいいことに、シェリルさんはレジへと足を進めて行くと、 そのまま買い物を済ませてしまった。 気づいた時には、袋に入った本を手渡されて。 「じゃあ、ランカちゃんが荷物持ちね。」 「シェリルさん・・・」 「人生はそんなに甘くないのよ、ランカちゃん。ギブアンドテイク。」 笑いながらそう言って、私の額を人さし指で小突くと、 出口に向かい先を行くシェリルさん。 そこにもやっぱり“敵”はいた。 少し見下ろすような感じで、シェリルさんの優しい瞳に見つめられる。 それは、とても魅力的で素敵なことで。 それだけで、私は動けなくなってしまう。 うぅ・・・“身長差”め・・・悔しいなぁ・・・ たぶん赤くなっているだろう顔で、小突かれた額を右手で押さえながらその背を見つめた。 (13cmかぁ・・・) ものさしで見たら、そうでもなさそうなのに。 けれど、その背があまりにも大きいように思えて。 おまけにシェリルさんときたら、ときどき、すごく大人で頼りがいもあって。 それなのに、わがまま言ったり、悪戯する時は、子どもみたいにかわいいところもあって。 (ずるいなぁ・・・シェリルさん・・・) そんなことを思いながら、その背を追ってシェリルさんの横に並ぶ。 やっぱりそこには敵がいて。 「この次は、絶対、私がシェリルさんの分も払いますからねっ!!!」 「楽しみにしてるわ。」 少し見上げて隣を歩く私を少し見下ろして、悪戯っぽい笑みをくれるシェリルさん。 実はこのやりとり、もう、何度目かわからない。 いつだって、シェリルさんに先手をとられてしまう私は、未だその言葉を実現したことはなかった。 「絶対ですよっ!」 「ええ。」 「絶対ですからねっ!!」 「はいはい。」 「ほんとに絶対ですよっ!!!」 「聞きあきたわ、ランカちゃん。」 呆れたように肩を竦めてそう言うシェリルさんの顔が笑っていたから。 つられるように私も笑ってしまう。 「だって、シェリルさん、いーっつも、ずるいじゃないですか。」 「私がずるいですって?ランカちゃん、それは聞き捨てならないわね。」 「絶対、ずるいです。」 「どこがどうずるいっていうの?」 「ゼンブです、ゼンブ。」 互いの顔に笑みを浮かべて、そんなやりとりをしていると、 シェリルさんがさりげなく、私の手を握ってくれる。 少しびっくりして見上げたら、 優しい瞳に微笑を浮かべて、私を見下ろすシェリルさんに出会った。 ほら、私の敵を味方につけて・・・そういうところ、やっぱりずるいじゃないですか。 シェリルさんの少しひんやりとした手の感触。 それなのに、繋いだ手があったかく感じるのは、それがシェリルさんの手だから。 それが嬉しくって、その手を握り返す。 陽も落ちかけて街灯が照らす道を、シェリルさんの家へと手を繋いで帰る。 それが、すごく幸せで、嬉しくて。 繋いだ手はそのままに、シェリルさんにピッタリと寄り添ってみせた。 「ねぇ、ランカちゃん。」 「なんですか?シェリルさん。」 「こうやって歩くのにも、ちょうどいいと思わない?」 「何がですか?」 「“身長差”」 言って、こっちを少し見下ろして笑いかけてくれたシェリルさんが、 綺麗でかわいくて・・・どうしようもなく、愛しくて。 うー・・・“身長差”め・・・敵ながらあっぱれ過ぎる・・・ 緩みきってしまう頬をそのままに。 私は足を止めた。 それに倣うように、シェリルさんも足を止めてくれる。 「どうかした?ランカちゃん。」 少し不思議そうなシェリルさんの声には何も答えずに、辺りを見回す。 「ランカちゃん?」 近くに誰もいないことを確かめると、顔を上げてシェリルさんに微笑んでみせた。 「なんでもないです。ただ・・・」 繋いだ手はそのままに。 あいた片方の手をシェリルさんの肩に置く。 それから、少しだけ背伸びして。 シェリルさんの柔らかな唇に触れた。 何が起こったのか理解できていないシェリルさんが、きょとんとしている。 そんなかわいらしいシェリルさんに、やっぱり微笑んで。 「ただ・・・こうやって、少し背伸びして、シェリルさんの唇にキスするのにも・・・」 シェリルさんの頬が少しピンクに染まってるのがわかると、自然と笑みが深くなった。 「ちょうどいい“身長差”だな・・・って、思っただけです。」 そう言った私に、シェリルさんが微笑んでくれる。 だから私も、それに微笑んで応えた。 それからまた、手を繋いで笑いながら寄り添って歩き出す。 “身長差”は強敵だけど、でも、なんとなく、嫌いじゃない気がするから。 これからは、うまくやっていける方法を考えてみようかなって。 少しだけそう思った、そんな幸せな帰り道。 私とシェリルさんは、その帰り道を、いつにもましてゆっくりと帰っていった。 おわり
https://w.atwiki.jp/macross-lily/pages/94.html
「シェリルさん。」 少しだけ前を行く背中に小さく声をかけた。 「なに?どうかしたの?ランカちゃん。」 振り返ったシェリルさんが、小さく首を傾げてそう尋ねてくれる。 届くかどうかわからない声が、届いたことが嬉しくて自然と顔が綻ぶのが自分でもわかった。 「なによ、ランカちゃん。どうして笑うの?」 「笑ってませんよ。」 嘘。 ほんとは笑ってること。 自分でもわかってる。 「ランカちゃんがわかってないだけよ、笑ってるわ。」 「笑ってませんよ、シェリルさんの方が笑ってます。」 「私は怒ってるの。用もないのにランカちゃんが呼ぶから。」 それも嘘。 だって、シェリルさん、笑ってる。 すごく嬉しそうに。 それだけで。 この寒い中、クリスマスのイルミネーションを見下ろしに。 微調整リハーサルの合間を縫って、屋上に来たかいがあるというものだ。 シェリルさんの子どもみたいな笑顔はとても貴重だから。 「用がなくても、呼びたくなるんです。」 「何よ、それ。」 「シェリルさんだって、私のこと呼ぶじゃないですか。用もないのに。」 「私はいいの。シェリル・ノームだから。」 笑いながらする、他愛もない言葉のやりとりが。 まるで小さな音色みたいに。 冷たい空気に響いて、流れて。 夜の空にとけていく。 そうしたら。 溢れる思いが胸の内に生まれて。 「大好き。」 びっくりするくらい自然に。 自分の口から零れた言葉が、シェリルさんに届けば。 少しだけ驚いたような顔をして。 それから“ふっ”と、シェリルさんが顔を綻ばせた。 一歩。 シェリルさんが私の方に近寄って。 少し背の高いシェリルさんを見上げれば。 綺麗なシェリルさんの顔が、ゆっくりと近づいてくる。 だから、私も。 ゆっくりと目を閉じた。 少しだけ。 触れあう唇の温もりに。 うるさいくらい早くなる鼓動。 寒さを忘れるくらい熱くなる体。 そして、溢れだす。 泣きたくなるくらいの嬉しい気持ち。 (シェリルさんも・・・同じなのかな・・・同じだといいな・・・) そんなことを思いながら、ゆっくりと目を開けば。 そこにシェリルさんがいて。 「そろそろ、戻りましょうか。」 「・・・そうですね。」 何事もなかったみたいに交わす言葉。 けど。 繋ぐ手には互いに力がこもって。 すぐにまた。 シェリルさんに届けたい気持ちが溢れてくる。 その気持ちを伝えるみたいに。 繋がれた手に、もう少しだけ力をこめた。 そんな出来事があったのは昨日のこと。 今日はそのライブの本番で最終日。 厳かだけれど、熱く盛り上がって。 いつものライブと同じようで。 少し違うようで。 盛り上がるのだけれど、帰るみんなの心には。 少しの切なさと、寂しさ。 そして、心に蝋燭みたいに灯る温もりをプレゼントする。 そんなクリスマスライブが。 今日、12月24日に最終日を迎えた。 撤収作業があって、全員揃っての打ち上げは後日やることになっているから。 裏で小さな打ち上げクリスマスパーティーをした。 とは言っても、食事もケーキもそれなりに豪華で。 会場を出る頃にはクリスマスイブがクリスマスに変わってしまっていたけれど。 シェリルさんと2人で乗り込んだ車から見える、イルミネーションを眺める。 同じように。 窓に映るシェリルさんが、イルミネーションを眺めているのを見つけて。 なんだか嬉しくなって。 隣にいるシェリルさんの手に、ソッと手を重ねた。 互いに、窓に映る表情で視線を交わして、遊ぶ。 振り向いて顔を合わせることはなくて。 でも、重ねた手の温もりは確かなもので。 嬉しくなって微笑む私に。 窓に映るシェリルさんは。 呆れたように、でも、優しい瞳で笑ってくれていた。 『主催者の方が、お2人のために最高級ホテルのスイートをご用意してくれたそうですよ!!!』 エルモさんが鼻息荒くそう言っていたことは本当で。 「うわぁ~」 驚きの広さに、声をあげて。 はしゃぐ気持ちに思わず駆け出してしまう。 目に入る全てが新鮮で。 そして何よりも。 大きな窓から一望できる夜景に感動して魅入ってしまう。 「売りにするだけあって綺麗なものね。」 いつの間にか隣に立っていたシェリルさんはそう言って、見上げる私に微笑んだ。 その微笑みに赤くなって少し俯き加減になってしまう私。 そんな私にシェリルさんが、話しかけてくれる。 「ねぇ、ランカちゃん。」 「な、なんですか?シェリルさん。」 少し上ずってしまった声に、恥ずかしさを感じながらも、顔を上げれば。 そこには窓からクリスマスに彩られた街を眺めるシェリルさんの横顔。 「昨日も思ってたんだけど・・・意外と、クリスマスって楽しいわね・・・」 「え?」 「こういう光も、うかれる街も、ずっと私には関係ないと思ってたけど。」 そう言って、シェリルさんが私に向かって微笑んでくれた。 「シェリルさん・・・」 名を呼んで、言葉を探す。 ただ笑い返せばいいだけなのに。 なんだかそれができなくて。 そんな私の頭に手をやって、ソッと撫でてくれるシェリルさん。 「きっとランカちゃんが傍にいるからね。ありがとう、ランカちゃん。」 思わぬ言葉に驚きを見せると、シェリルさんは少し頬を赤く染めて、視線を窓の外へ移した。 「クリスマスを楽しむのも・・・悪くないわね・・・」 その視線の先には、窓から見える景色じゃなくて。 何か他のものが見えているみたいで。 その先に見えているものが、少しだけわかって。 それがなんだか、せつなくて、痛くて。 シェリルさんに言いたいこと、伝えたいこと。 たくさんあるのに、言葉にできなくて。 でも、想いは溢れて。 だから私は、それを歌で伝えることにする。 『私の声が聴こえますか あなたに届いてますか』 突然歌いだした私に、驚いているシェリルさんに微笑みかけて。 私は歌を続ける。 想いをこめたこの歌が。 シェリルさんに届くように。 瞳を閉じたシェリルさんが、静かに私の歌を聴いてくれている。 『あなたを今すぐ抱きしめたいの なんにもいらないから 強く強く強く』 『すべてを抱きしめたい それが私の願い』 静かに歌い終えた私は、シェリルさんの傍に寄って。 その身をただぎゅっと抱きしめた。 「サンタクロースなんて・・・信じたこともないけど・・・」 少しだけ、震える声が私に言ってくれる。 「今日は信じてもいいかもね。目の前にこんなかわいいサンタさんがいるなら。」 私より少し背の高いシェリルさんが抱きしめ返してくれると。 私の方が抱きしめられるみたいになって。 だから。 私も負けじと、ぎゅっとぎゅっとシェリルさんのことを抱きしめた。 しばらくそのまま抱きあって。 ゆっくりとその身を離して、小さく声を上げて笑いあって、手をつなぐ。 2人でお風呂に入って、洗いっこして。 相変わらず、濡れた髪をろくに拭かないシェリルさんを引き止めて。 綺麗な髪が痛まないように、丁寧に拭いて、ドライヤーで乾かして。 出来上がりに満足していたら、今度はシェリルさんが私の髪を乾かして、整えてくれる。 互いに零れる笑みはそのままに。 両手があけば、どちらともなく手を繋いで。 寝室へと向かった。 スイートルームの寝室には、豪華で大きいベッドが2つ。 でも、使うのは1つ。 同じふかふかのベッドに潜りこんだ、お布団の中で。 子どもみたいに騒いで、笑って。 じゃれあうみたいにキスをして。 あったまったお布団の中から顔を出せば、2人して息が上がっていて。 顔を見合わせて、肩を揺らしながら声を上げて笑う。 天井を眺めて、しばらくボーっとしていたら、思い出したことがあって。 繋いだ手をぎゅっと握って合図を送れば、シェリルさんがこっちを向いてくれる。 そんなシェリルさんににっこりと微笑んで。 「メリークリスマス、シェリルさん。」 きょとんとしたシェリルさんの唇にソッと口づけて。 そうしたら、シェリルさんは少しだけ赤くなって、笑ってくれる。 「メリークリスマス、ランカちゃん。」 お返しと言わんばかりに。 シェリルさんもそう言って、キスをくれたから。 私も緩みきった笑みを浮かべて。 シェリルさんに抱きついたら。 シェリルさんも私に抱きついてきて。 互いの温もりに包まれながら。 やってきた睡魔に、その身を委ねて眠りについた。 おわり
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/130.html
オリンピア設定~とか思いながら、途中まで考えたんだけど、暑さに脳が沸いてこんなんなったorz これ以上はもう無理…。そっと投下するだす|д゚)エイッ 「おわっ…、ちょっ!」 SMSの隊服の襟元を引っ張られ、アルトは体制を崩す。 しかし、シェリルはそれに構うことなくスイートルームのドアを開けた。 「…入んなさいよ」 チラとアルトを振り返り、シェリルは不貞腐れたように呟く。 「あぁ…そちらのあなた、もう帰っていいわ。お疲れ様」 アルトの背後でオロオロしている年若いSMS隊員を一瞥すると、シェリルはアルトを力任せに室内に引き入れた。 ドアが締まると同時に、シェリルはアルトの身体をドア横の壁に押し付ける。 「お、おいシェリル!」 慌てたようなアルトの声色に、シェリルは半目でじとりと彼を睨んだ。 「…なによ」 「なによ…って、どうしたんだよ」 強引なシェリルの行動に、アルトは困惑の表情を浮かべる。 「…なんで分かんないのよ」 「は」 シェリルの地を這うような低い呟きに、アルトは間の抜けた声を上げる。 「…は、じゃない!なによ、2週間も会えなかったのよ!触れたいに決まってるじゃないの!」 半ば叫ぶように言うと、シェリルは壁に押し付けたアルトに噛み付くような口付けをした。 「…なに、そのにやけた顔」 自分から仕掛けた深い口づけに、少々息を上げながらシェリルは唇を尖らせてアルトを見上げる。 一方のアルトは強引なシェリルに驚きつつも、緩む頬を隠せない。 「え?いやぁ…だって、そりゃ」 「もう…ホント馬鹿。信じられない。2週間ぶりだって言うのに、シレーっと護衛なんかしちゃって」 「そりゃ…仕事だから……」 珍しいシェリルの言い分に、アルトはオヤ?と目を瞬かせる。 どんな時でも仕事とプライベートはきっちり分ける歌姫が珍しい、と。 「それは分かってるわよ、もう!でも、あんたにそばに引っ付かれてずーっとドキドキしてたあたし、馬鹿みたいじゃない!」 悔しい!と子供のように鼻の頭にシワを寄せて言うシェリルに、アルトは苦笑いを浮かべる。 「…俺が平然と護衛してたと思うのか?触れたかったに決まってるだろ」 そう言うと、アルトはシェリルの身体をグイと引き寄せ、腰を押し付けた。 「…あっ」 「お前に引っ張り込まれてからこんな状態。明日も仕事だからって我慢してたのに…。どう責任とってくれるんだよ」 誇張した股間をシェリルに押し付けながら、アルトは甘い声で囁く。 脳髄を痺れさせるようなアルトの声に、シェリルはぶるりと身震いした。 その声は反則だ。 耳元で囁かれた声だけで濡れてしまって、シェリルは不貞腐れたように頬を染めた。 「…して、あげるわ」 アルトの前に跪くと、シェリルは徐にアルトの前を寛げていく。 「え。……ちょっ」 「なによ、出来るわよ」 慌てたようなアルトを無視し、さっとベルトを外すと、ファスナーを下ろし下着の中から屹立を取り出す。 勢いよく飛び出してきたアルトの雄に、シェリルはうっとりとした溜め息を漏らす。 そして、迷うことなく切っ先に唇を寄せた。 温かくぬめる口腔内でアルトの雄を育て、舌を這わせ、唾液と一緒に扱く。 歯を立てないように慎重に、アルトが悦ぶ箇所を重点的に。 あまり巧いとは言えない口淫だが、それでもアルトが喜んでくれるのは知っている。 「…おい、シェリルッ!」 一心不乱にアルトの屹立に愛撫を施すシェリルの頭に添えられた彼の手が、ストロベリーブロンドのひと房をグッと引いた。 くっと息を詰めるアルトの声に、シェリルは視線だけを上向かせる。 「も、出ちまう…」 上目遣いに見上げてくる空色を、快感に細めた瞳で見つめ返せば、うっとりと微笑まれ、直後、先端を思い切り吸い上げられた。 「うっ…く…」 突き抜けるような射精感に耐え切れず、アルトはシェリルの咥内に白濁を放った。 注がれる男の熱を全て飲み干そうと喉を鳴らしていたシェリルだが、止まらない勢いに思わず顔を離した。 「あっ……やん」 シェリルの小さな顔を、熱い飛沫が汚す。 シェリルは口を開けてそれを受け止めた。 「…うわ、わりぃ……」 己の白濁に塗れたシェリルの上気した顔を見つめ、アルトは眉を下げる。 なんとも情欲を掻き立てる姿だ。 そっと手を伸ばし、シェリルの頬に放ってしまった欲を拭う。 シェリルは小さく笑いながら、白濁を拭ったアルトの長い指を口に含んだ。 「…んっ、すごくいっぱい、ね…」 チュッと音を立てて指を吸うと、シェリルは惚けたように笑う。 「そりゃ、溜まってたから…」 「2週間分?」 「ん」 照れくさそうにコクンと頷くアルトに、シェリルは小首を傾げ小悪魔のような笑みを浮かべ問う。 「しなかったの?」 「は?」 「自分で」 「しねぇよ」 「そっか」 アルトの反応に、うふふとシェリルは機嫌良く笑う。 「お前は?」 「え?」 「したのか?ひとりで」 ニヤニヤとしながら聞いてくるアルトの言葉に、シェリルは頬を膨らませて答えた。 「しないわよ」 「どうだか」 「なっ…、あっ、キャッ」 アルトはシェリルの両脇に手を差し入れると、勢いよく引き上げる。 思わずアルトの胸に縋り付くシェリルの柔らかい身体に、言い知れぬ安堵感を得ながら、アルトは彼女の下肢に手を伸ばした。 「……お前。しゃぶってて感じちゃった?」 クチュと水音を立てるそこを覆う下着は、すでに用を為さぬ程に濡れていた。 「…だっ、誰のせいよ!」 先程、妖艶な女の顔で口淫を施していたとは思えぬ程に、羞恥に頬を染め初心な少女のような反応。 これだから、堪らない。 「俺のせい、だな。2週間触れられなくて寂しかった」 「も、ずるいわよ!ばか…!」 柔らかな身体をギュッと抱きしめて囁くと、シェリルは眉を下げ、声を震わせた。 お互い堪らなくなって、ぶつかるように口づけた。 深く、長く。息の根すら止めてしまいそうな口づけ。 漸く唇を離すと、アルトが微妙な表情を浮かべ呟いた。 「…………苦い」 「…え、あぁ。アルトの味、よ?」 シェリルの口腔にたっぷり放った己の白濁も、シェリルの唾液と一緒に絡めてしまった。 苦々しい表情を浮かべたアルトだが、頬を上気させたシェリルを見下ろしニヤリと笑う。 「……自分の味なんて覚えたくもねぇ。…お前のならいいけど」 「バカッ!」 かぁっと頬を染めるシェリルが可愛くて、その身体を抱き込むと壁に押し付けた。 「続き、するか」 「明日も、仕事デショ?」 「今更止める気ないだろ?」 額を合せ、見つめ合う。 「2週間分、可愛がってくれる?」 「もちろん。覚悟しとけよ、妖精さん」 お互いのセリフに笑いながら、唇を合わせた。 END 後編へ
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/38.html
4スレ747 250物語4 747 名前:fusianasan 投稿日:2009/01/29(木) 23 32 13 予想外に甘くなった、250物語。というか、メロメロアルトくん。 シェリルも多分満足してるぞw 5日ぶりにアルトはシェリルの部屋へ向かっていた。 初めて部屋に通されて以来、アルトは毎夜語りに行っていたので こんなに長くシェリルと会わなかったのは初めてだった。 この5日間、夜伽に向かうことを恋しく思ったりはしていないが シェリルの部屋へ向かうこんな月夜というものも悪くないものだ。 心が高ぶり、頬が緩んでいるような気がする。 まったく、俺も女王様に飼いならされちまったかな、とひとりごちて、 自分の事ながらアルトは赤面した。 事の発端は、アルトがシェリルとの新たな取引で、 国の貿易部門の次官補佐官を始めたことにある。 代わりに得るものは、女王の発行する通行証である。 仕事を始めて3日目、シェリルの部屋を訪れたものの、 「あ、つづき考えてなかった」 「あのねぇ、あんた何しに来たのよ。 私はいいわよ、あんたが旅に出るのが遅くなるだけ。 慣れない仕事で疲れてるんでしょう。ま、今日は帰って寝なさい」 このまま帰るのも物足りないので、 お互いの仕事の話やそれまでの仕事経験の話などでからかい合ったりと 安らぎの時間を楽しんでアルトはシェリルの部屋を後にした。 翌日は、物語の構想をしようにも、アルトの意識は仕事行ってしまい、 物語が十分に練れなかった。 その点、厳しいシェリルからは非常に不評で 「一応、今回だけはカウントしてあげるけど、 毎度こんな話聞かされるんだったら、取引き自体なかったことにしてもらうわよ」 シェリルに仕事の相談をすると、いいアイディアをもらったので、 自宅に帰ると夜遅くまで仕事をしてしまった。 さらに翌日、寝不足がたたり、話している途中で アルトはシェリルのベッドで眠ってしまった。 目を覚ますと、どうやらシェリルを抱き枕にしていたのだった。 空が白んでいて、こんなに遅くまでシェリルの部屋にいたのは初めてだな、などと考えながら、 シェリルを起こさないように、アルトは静かにベッドを後にした。 その日の昼も近い頃、アルトの職場に女王の親書が届いたのだった。 『物語が出来るまでは部屋に来なくていいわ。 早く旅に出たいなら、仕事はやめなさい。 もし、やる気ならちゃんと責任は果たしなさい』 国の各地域の特性や貿易相手国の特性や関係も知れる興味深い仕事なので、 少しくらい旅立ちが遅れてもいいだろう。 女王から貰える通行証の今後の長旅への利益と比べるとたかが知れているし、 仕事自体が旅の下準備にもなる。 『仕事は続ける。物語が出来てなくても、部屋には行く』 使者にとっさに渡した返書が干渉を忌避する自分らしくなく、 後で思い出してアルトは恥ずかしさに悶えた。 あの寂しがりの女王のためなのか、それとも、自分のためなのか…。 そんな疑問が一瞬頭をよぎったが、 シェリルの肉体の与える快楽を求めるのは男として当然、という理由で アルトは納得することにした。 『部屋には行く』と返書を送っていながら、それから5日が経過してしまっていたのだ。 仕事に夢中だったので、当然ながら、物語は出来ていないのだが、 仕事がひと段落した夕方、ふと我に返ると、 アルトはあの空間に足を踏み入れたくてたまらなくなった。 シェリルのいるあの夜の部屋。 きっと、「遅いわよ!」とか言って頬を膨らませて、照れ隠しをするに違いない。 日が沈むのが待ち遠しかった。 はやる気持ちを抑え、何事もないかのように装ったアルトは シェリルの寝室へ足を踏み入れて、落胆した。 シェリルが寝ている。 初夜の翌日のように自分を待った様子も全くなく、 それはもう、しっかりとぐっすりと眠っている。 (あの時、起こせって言ったよな?起こしても怒るなよ) うす灯りをつけて照らされたシェリルの寝顔にとろけるような気持になりながらも その頬をつついたが、起きそうにない。 「シェリル、起きろよ」 (そう言えば、姫が王子のキスで起きる伝承があったなぁ。 いつか、話に盛り込んでやろう。 コイツ、似合わずロマンチックなの好きだからな) アルトは自分だけが触れられる女王様の寝顔にアルトは唇を落とした。 シェリルの長いまつげが揺れる。 「シェリル、起きないならイタズラするぞ」 「あんた、久しぶりに来てイタズラとはいい度胸してるじゃない」 眠そうなシェリルが瞼を開いた。 自分のキスでシェリルが起きたことが何だか恥ずかしくて、おかしくてつい顔に出てしまう。 「何よ?何、笑ってるのよ?」 むっとした表情でシェリルが頬をつまんでくる。 大して痛くはないが「ひゃめろほ~~」とアルトがオーバーにリアクションをすると シェリルが笑いながら両頬を撫で上げて、肩をすくめた。 「やっと出来たの?物語。早くしないと、もう忘れちゃうわ」 「実は作ってきてない」 「じゃあ、何しにきたのよ」 「・・・」 アルトは答えに困り、頬を染める、それを見たシェリルも頬を染め、目をそらした。 「し、仕事の相談に来たんだ!」 「あんた、また仕事なの?仕事してくれるのは、女王としてはありがたい限りだけど…。 ま、いいわ。大先輩が相談のってあげようじゃない」 二人は、ベッドの上で壁を背に、並んで話をした。 お互いの声は耳に心地よく、ちらりと相手を見やると、 柔らかにこぼれる笑みが胸を締め付ける。 耐えかねたアルトが手を伸ばしシェリルの手を握ると、 シェリルは一瞬びくりと反応したものの、変わりなく会話は続いていった。 アルトがシェリルの横に向かい合うように座って腰を抱くと シェリルが肩に頭を預けてきたので、柔らかな髪の匂いがアルトの鼻腔をくすぐった。 「貿易国としては某国はアレだけど・・・」 お互いの鼓動も体温も伝わっていて、もう、誤魔化しようがない。 シェリルが顔をあげると、二人は噛みつくように、お互いの唇を貪った。 アルトがシェリルのネグリジェの肩ひもをするりと下ろし豊満な乳房を弄ぶと、 アルトも脱ぎなさい、とシェリルがアルトの前ボタンを外し始めた。 シェリルもようやく行為に慣れてきて、余裕が出てきたところだったのだ。 裸で抱き合って、二人は横になった。 アルトがシェリルの首元を唇で愛撫でしながら、背中を撫で上げると シェリルもアルトの男を優しく擦りあげた。 シェリルが愛撫が出来るようになったのは、ごく最近で キレ者の女王を処女から染め上げていった支配感で、アルトはさらに興奮した。 アルトはシェリルからの刺激を名残惜しく感じながらも、 体を下にずらし足をからめてシェリルの熟れてきた乳首を吸い上げた。 足に触れるアルトの熱さと、胸へ送られる刺激だけでなく、 アルトの頭と一緒に動いてくすぐる長い髪、肌の湿り気、粗い息、 感じる刺激の全てがシェリルの体を蕩けさせていった。 シェリルの肌を存分に味わった頃には、シェリルの中は十分に潤っており、 指でその襞の柔らかさと締め付けを存分に確認したアルトは、 今までないくらいに急峻に脈打つ己をシェリルへと埋めていった。 名を呼び合い、キスを送り合い、お互いのリズムが心地よく同期してくると シェリルの締め付けがきつくなってきた。 「ヤ…!アル、ト。なんか、ヘン!! イイけど…、ッ、怖い…!」 しがみついてくるシェリルを抱きしめ、耳元で教えてやる。 「『イけ』よ、シェリル。肉の悦楽を上り詰めろ」 「あ、あッ…、ッ!」 声にならない喘ぎとともに、シェリルの中がきつく波打ち緩んだ。 何とか吐精感を耐えたアルトは、男としての満足感で満たされた。 しかし、この欲も見たしてもらわなければ。 更に敏感になったシェリルは、ちょっとした抉りで大きく声を上げる。 アルトが狙えるようになってきた内部の弱いところを突くと、 シェリルは瞳も泉もぐしゃぐちゃにして、四肢の行き場がないかのように悶える。 アルトも、もはや上り詰め、シェリルを抱え込むと、 腰の速さを上げ、二人で一気に駆け上がった。 見たことないくらいに乱れ、湿気を含んだシーツの上で息を整えた二人だったが、 先に息が整ったと思ったアルトがシェリルを抱き込んだ。 触れられるだけでシェリルが息をのんだのがアルトにも分かったが、 そのまま優しく撫で上げながら、謝罪した。 「しばらく来なくて、ごめんな。 話は必ずまたちゃんと練ってくる。 でも、今日はお前も随分悦かったみたいで、来てよかった。 お前が悦いと、俺もイイんだ…。 だから…勘が覚えられるように、もう一回…」 シェリルの口から言葉が発せられる前に、アルトの口がそれを封じた。 おわり 事情があるとはいえ、これでくっつかないって どれだけ意地っ張りなんだこの二人。 続きで「初めてのバック」が書きたかったんだが 長くなってきたので、次回にします。 ネタとSSの真ん中くらいの微妙な文章ですみません。 Aに刺激されて他の職人さんも来てほしいなぁ。妄想、妄想。 おいらは、ネタをみんなに考えてもらってるので楽しいし、楽です。
https://w.atwiki.jp/macrossf-eparo/pages/72.html
101 名無しさん@ピンキー sage 2008/06/13(金) 10 51 03 ID DacrMZ+J 自分的エロ的に不発だったので、りべーんじ 1-846の話の続き アルト×シェリルで投下。 テーマは純情可憐なフェラチオ。 著者の筆力と妄想力がテーマに追い付いているかどうかは、読者諸賢の判断に委ねます。 102 バスタイム sage 2008/06/13(金) 10 52 33 ID DacrMZ+J シェリルの仮住まい、スウィート・ルームへ来たアルトとシェリル。 「もう、髪がベタベタ」 シェリルがストロベリーブロンドの髪を手櫛で梳こうとすると、潮で貼りついているので指が引っかかる。 「自分で海に飛び込んだんだろ。俺だって…」 アルトの黒髪も同様だ。 半乾きの服の上にも塩が浮き上がっている。 「判った判った。洗ってあげるから、お風呂入りましょ」 「え、ええっ……風呂って」 「服もクリーニングしなきゃ。手配しておいてあげるから」 「そ…そうか」 「先に入ってて。フロントに連絡しておくわ」 大理石をふんだんに使った浴室は、いつも使っているSMSの宿舎のユニットバスに比べれば、 細部まで配慮が行き届いた、寛げる空間だ。少なくとも、自分ひとりで独占している限りは。 「ふぅ……」 シャワーで、ざっと潮っ気を洗い流し、バスタブにつかる。 ドアが開く気配がして、シェリルが入ってきた。体に大きめのバスタオルを巻いている。 「ふふ、ちょっとがっかりした?」 「何を今さら……もう隅々まで見た」 「えっち」 「お前だって見た癖に」 シェリルはシャワーのカランを手にとった。 「さあ、お姫さま。お髪(ぐし)を洗ってさしあげますわ。そこのヘッドレストにもたれなさい」 バスタブの頭に当たるところには、ヘッドレストが作りつけてある。 アルトが、そこに首を乗せると、シェリルはシャワーで黒髪を濡らしてゆく。 部屋に備え付けのアメニティから、シャンプーを手にあけた。髪になじませて泡立てる。 「どう? かゆいところ無い?」 「あ、ああ。なんか美容院ゴッコみたいだな」 「そうね。いつもしてもらう方だけど、こんなのも悪くないわ」 シェリルは体を乗り出した。 アルトの目と鼻の先で、タオルの結び目が解ける。 「あっ…」 豊かなバストがまろび出る。 アルトは顎を持ち上げ、色の薄い乳首を唇に含んだ。 唇で挟み、舌先で突くと、堅くなる。僅かに海水の味がした。 「バカ……ん」 シェリルの声が震えている。シャンプーの泡にまみれたままの手でアルトの頭を抱きしめた。 「続けられなく…ん……はぅ」 アルトの手がシェリルの背中にまわされた。かろうじて肌に乗っていたタオルを引いて取り去る。 指がシェリルの背筋をたどった。 「はぁ……ふ……ぅん」 アルトの手のひらが尻の丸みを撫でる。その狭間に指を滑り込ませた。 「ね…ぇ……」 声に懇願する響きが混ざった。 アルトは手探りでバスタブの栓を解放し、湯を抜く。 乳首から唇を離すと、僅かに色が濃くなっている。 「来いよ」 アルトは両手を伸ばして、シェリルのくびれた腰を抱き上げた。 シェリルも力の入らない足で、バスタブの縁を跨いで入ってくる。 すでに猛っているアルトの男性に、シェリルが濡れた視線を向ける。それに手を添えて、腰を降ろしてゆく。 アルトもシェリルの腰に手を添えた。 「ああ……んっ……」 一つになると、シェリルは長いため息をついた。 アルトはシャワーを手に取ると、それでシェリルの肌を濡らした。 いくつもの水滴が、薄いピンクに染まり始めた肌の上を流れ落ちてゆく眺めは、美しくもあり、 めちゃくちゃにしたくなるほど凶暴な欲望を育むものでもあった。 「やだ、イタズラしないで」 アルトがシャワーのカランで、張りつめた胸の膨らみを愛撫する。 シェリルの手がカランを払いのけると、アルトはバスタブの底にカランを放置した。 そして、ボディーシャンプーを手に取る。 「あ…ん……それじゃなくて、こっちを…」 シェリルが手を伸ばして、備え付けではない別のボトルを手にとってアルトに渡した。 「これは?」 「私の体質にね…ぁ……合わせてチューニングされているの……ん……それ」 アルトが手のひらにボディーソープをあけると、パール状の光沢を帯びた液体だった。 それをシェリルの肩から胸へと手のひらで塗りこめる。 つながっている場所が、きゅっと締め付けてきてシェリルが高ぶっているのが伝わってきた。 「やだ……体を洗うのがこんなに……こんなに……ん」 滑る液体にまみれたアルトの手が、バストをこねまわす。 手は胸から腰へすべり、淡い茂みの中で尖っている芽を撫でた。 シェリルの体がガクガクと不規則に震える。 「ひぅん……」 高い声をあげた。 指で、そこを念入りに愛撫すると、体を起していられなくなって、アルトの胸にくずおれた。 「見てるの? アルト……ああ……私の……」 「焼き付けてる…ん」 「イイわ…見て……全部……そ、そしたら…」 「そうしたら?」 「もっと綺麗になれ…んっ……気がする」 アルトはシェリルを抱きしめた。喘ぎに揺れる背中に泡をぬりこめてゆく。 時間をかけて交わっていたが、最後まで達することなく二人は体を離した。 「アルト、見せて」 目元を染めたシェリルがねだった。 アルトはバスタブの縁に腰かけて、足を開く。 その間にシェリルはペタンと座り込んだ。 「やっぱり不思議」 自分の体の中に収めていたものに触れながらシェリルは呟いた。 「アルトに、こんなのがついているなんて」 「こんなのは無いだろ」 シェリルの手が、そっと握った。シャフトに沿って上下に動く。 「ね……これって、普段は小さくなってるのよね?」 「ああ」 「大きくなるところ、見たいわ」 「おま……」 アルトは絶句したが、シェリルがキラキラした目で見上げて来たので、小さくため息をついた。 「えーと、だな」 何か手段はないかと周りを見渡した。シャワーのカランガに目がとまった。冷水に切り替える。 「冷たいから離れてろよ」 アルトは自分のものに水を浴びせた。 「きゃっ」 冷たいしぶきが飛んできて、身をすくませるシェリル。 「冷やしたら小さくなるの? タンコブみたいなのね」 「た、タンコブかよ」 言っている間に、萎えてきた。 「どうだ、これでいいか?」 シェリルはコクンと頷いた。顔を近づけてしげしげと観察する。 「…可愛い形になるのね」 アルトは憮然とした。 「ごめんね、冷たい思いさせて」 シェリルはまるで、男性自身に話しかけるように言った。萎えたものを手にして、そっと自分の胸に押し付ける。 「温かい?」 「あ、ああ……」 肌のぬくもりが伝わってくると、徐々に回復してきた。 「あ、もう大きく……ふふっ、何だか嬉しい」 「嬉しい?」 「私に反応しているんでしょう?」 シェリルは先端にキスした。 「あ、またピクってした」 「そりゃ、そんなことされたら…」 「感じるのね?」 シェリルは先端や、シャフトにキスを繰り返した。 指と唇の刺激に、先走りで濡れてくる。 「あ……これ」 「男も濡れるんだ」 「そうなの」 シェリルは小さく舌を出して、舐めとった。 「んー、なんか変な味……変な味だけど、嫌じゃないわ」 「シェリル…」 アルトはこらえきれなくなって、シェリルの頭を引き寄せた。その頬にぴったりと勃起したものが押し付けられる。 「うん」 シェリルはアルトを見上げて頷いた。 小さく出した舌で、ソフトクリームを舐めるように控え目な愛撫をする。 「どうやったらいいか、判らないから……嫌だったら言ってね」 「すごく……ドキドキする」 アルトの手のひらが頬を撫でると、シェリルは微笑んだ。 その表情が無邪気さと色っぽさを同時に備えていて、アルトの胸が高鳴った。 「あむ……」 唇を開いて、先端を含む。舌先が過敏な部分を愛撫した。 ぎこちない動きは、しかしアルトの快感を高めるのに十分だった。 「指も……使ってくれよ」 アルトはシェリルの手を取って導いた。シャフトを握って扱く動きを伝える。 「ん……」 先端がシェリルの唇の中で膨れ上がる。 「もう……っ」 アルトは欲望を抑えきれずに、解放してしまった。 「ん…くっ……」 シェリルは口元を押さえて離れた。しばらく、そのままじっとしていたが、やがて喉が小さく動いた。嚥下している。 「お前……」 「ふふっ」 シェリルはアルトを見上げた。トロンと焦点が合ってない視線をアルトの顔の辺りにさまよわせる。 「やっぱり、変な味」 <終>
https://w.atwiki.jp/macrossf-eparo/pages/213.html
954 :名無しさん@ピンキー : 2009/02/06(金) 10 35 49 ID 5VBQ4AgQ ブレシェリGJ! 自分には書けないシリアスめいた内容だったので楽しませて貰いました。 次スレになってからにしようか迷いましたが、バレンタイン過ぎたら 困るので投下。 ようやく完成したアルシェリのバレンタイン話ですが余りエロくないので、 エロが足りない作品は嫌!って方はスルー願います。 955 :二月十五日の幸福 : 2009/02/06(金) 10 44 29 ID 5VBQ4AgQ 「はぁ!?バレンタイン!?」 唐突に出された話題にアルトは思わず間抜けな声をあげた。 「そっ。男の人が愛する恋人に贈り物をする日だって雑誌に載ってるのよ。」 「そうか、それじゃオレには全く関係ないイベントだな。」 女性向けファッション雑誌のバレンタイン特集を興味津々に読みながら シェリルが説明すると、関わりたくないとばかりにアルトが言葉を返す。 「ちょっと何言ってるの? 愛する恋人 のアタシに贈り物するべきでしょ。」 シェリルはムッと唇を尖らせて、細めた視線をアルトに突きつけた。 「……。言っとくがな、オレの知るバレンタインはまるきり逆だぞ。」 「逆って、何が?」 既にげんなりとした表情を浮かべながらアルトが告げた反論に、シェリル は首を捻る。 「バレンタインは、女が想いを寄せる男にチョコレートを渡す日だ。」 「ハァ!?何でアタシがアンタにチョコレートあげなきゃならないのよ!」 続けて説明したアルトに、すぐさまシェリルが不満げに食ってかかった。 「オレだってお前に贈り物なんか冗談じゃない。」 アルトも負けじと溜め息混じりに文句を吐き出すが、お互い意地になって いるらしく主張を譲らない。 「アンタが贈り物しなさい!」 「お前がチョコを渡せ!」 「「絶対嫌(だ)!」」 そんな下らないやり取りから一週間、今日はバレンタインデー当日。 空が暗くなり始めた頃アルトの携帯に伝言を残し、シェリルは早めに 入浴を済ませた。 そして現在、その間冷蔵庫で冷やしていたチョコレートをいそいそと ラッピングしている最中だ。 大きなハート型のチョコにホワイトチョコペンで描かれている歪んだ アルトの似顔絵を満足そうに眺めながら作業を続ける。 ランカから電話で教わった作り方は、溶かしたチョコをハートの型に 流し込み固めるだけという初歩的なものだった。 …にも関わらず、チョコを刻む際に指を切ったり、溶かす際にお湯を そのままかけたりと失敗は多々あった。 一番簡単な作り方を教えたランカの気遣いは正しかったらしい。 「よしっ、こんな感じかしらね。」 リボンで可愛らしく完成させた包みを両手で持ち上げたところで扉を 開く音が聞こえた。 シェリルは慌ててそれを背に隠して玄関まで足を向けると、開口一番 に文句を告げる。 「随分遅かったじゃない。」 「お前なあ…、何なんだよあの勝手な伝言は。」 「あら、アタシがわざわざ呼んであげたんだからありがたく思いなさいよ。」 「思えるかっ!」 S.M.Sの制服を着たままのアルトは、急いで来た事を早くも後悔しながら 反論を喚いて持っていた紙袋を床に置いた。 「なぁに、それ。」 「ああ、チョコレートだよ。ランカとか、S.M.Sの女性陣に貰った。」 「えっ!?」 淡々と返されたアルトの説明にシェリルは耳を疑ったかのような表情を 見せる。 それもそのはず、シェリルには 義理チョコ の知識がなかったのだ。 「シェリル?おい、どうし…――ッぶっ!」 そのまま押し黙るシェリルを不思議に思ったアルトが口を開いた瞬間、 飛んできた固い物体が顔面に直撃した。 アルトが自分以外からの告白を受け入れたと勘違いしたシェリルは、 背に隠していた包みを思い切り投げつけたようだ。 理不尽な攻撃を受けたアルトは包みを片手に眉を寄せる。 「…ってぇな、いきなり何すんだよ!」 「アタシ一人浮かれてたってワケね……、アンタの為にチョコなんか作るんじゃなかったわ!」 ギュッと拳を握りながら絞り出すように気持ちを吐き出したシェリルは、 アルトが何か言う前にベッドルームへ駆け込んだ。 「ちょっ…おい、待てよシェリル!」 そこでようやくシェリルの誤解に気付いたアルトも慌てて追い掛けるが、 内側から鍵をかけられていて開かない。 「シェリル、開けろって!」 「イヤよ!」 「お前何か勘違いしてないか?ランカ達に貰ったのは義理チョコだぞ。」 「……ギリチョコ?」 ベッドに突っ伏したまま聞く耳持たずだったシェリルは、アルトの 口から出た聞き慣れない単語に思わず顔を上げた。 シェリルの口調が和らいだ事に気付いたのか、アルトは早口で続ける。 「バレンタインチョコにはな、普段お世話になってる人とか友人に渡す 義理チョコっつー種類もあるんだよ。」 「え…っと、つまり?」 「つまり恋愛云々は関係ないチョコって事だ、全部お前の勘違い。」 誤解が解けたらしい様子にアルトがホッと胸を撫で下ろすと、遠慮がちに 開いた扉からシェリルが姿を現した。 アルトは片手に持ったままの包みを軽く揺らしながらわざとらしく 尋ねる。 「…で、コレはオレに?」 「~~っ。言わなくたって分かるでしょ!」 照れ臭いのかフイッと顔を背けるシェリルをそっと片腕で抱き寄せ、 アルトは柔らかなピンクブロンドに顔を埋めて一言囁いた。 「サンキュ、すげー嬉しい。」 二人並んでベッドに腰掛けながら、アルトが包みを開けて中のチョコを 覗く。 型を使ったにも関わらずなぜか不格好なハート型のチョコに、アルトは 思わず緩む口元を片手で押さえた。 「この似顔絵、オレ…か?」 「上手く描けてるでしょ、この髪型大変だったんだから感謝しなさい。」 「髪型がなけりゃ何だか分かんねぇな。」 「こういう時くらい素直に喜びなさいよバカっ、女心が解ってないわね。」 気恥ずかしさから出たアルトの言葉が気に入らなかったシェリルは、 片手でバシッとアルトの頭を叩く。 「…っつ~。お前もこんな時くらい汐らしくしろっての。」 「自業自得よ。それよりホラ、早く食べてみて?」 「割っちまうのは勿体ないが、まあいいか。」 叩かれた部分を撫でていたアルトは、シェリルに促されるままハートの 端っこを指先で少しだけ割って口に含んだ。 シェリルはすぐさま身体を乗り出して尋ねる。 「ね、ね、どう?美味しい?」 「………。」 「ちょっと、黙ってないで何か感想…――ッン!」 無言で口を動かすアルトに痺れを切らしたシェリルが文句を告げる途中、 アルトはシェリルの後頭部に回した片手でグッと顔を引き寄せ、唇を塞いだ。 自分の咥内にある少し溶けたチョコの塊を舌に乗せ、シェリルの咥内へ舌先ごと運ぶ。 「んっ……ン………。」 自然と瞼を伏せて鼻にかかった甘い声を洩らすシェリル。 シェリルの咥内にチョコを塗り付けるように舌を這わすアルトは、チョコが 完全に溶けた事を確認して唇を離した。 「…っ…ハァ……、は…ッ。」 「ごちそーさん、両方とも美味かったぜ。」 「ばっ…バカ、アルトの癖に生意気。」 「何とでも言え。」 勝ち誇ったかのように余裕っぷりを見せるアルトだったが、シェリルの 潤んだ瞳を見た瞬間ドクンと鼓動が跳ねるのを感じる。 「アルト…?」 突然自分の肩を力強く掴む両手に疑問を浮かべたシェリルがアルトを 覗き込むと、そのまま噛み付くようなキスをされて二人重なったまま ベッドへ倒れ込んだ。 「はぁ…っ、ァッ、んっ、ゃぁ。」 「シェリル……っ。」 グチュグチュと卑猥な音が響く室内で、生まれたままの姿になった二人 が躯を繋げる。 「ぁっ、あァッ…もっとゆっくり……、ぁンっ。」 「……ッ、んな声出されたら…抑えらんね…っ。」 激しい打ち付けに、シェリルは両手でシーツを乱しながら必死に悶える。 アルトは顔を歪めてその淫らな表情を見下ろすと、熱い息を吐きながら、 更に腰の動きを速めた。 「ァッ!?ぁっァッ、んぁっ、ゃ…アルトっ……ゃっ!」 「……っく、…シェリル。」 何かを求めてさ迷うシェリルの両手をシーツへ縫い止めるように、 アルトは自らの両手を重ねて指を絡める。 「も…ダメぇ……ッ、ぁっ、あっ、あぁァんッ!!」 「…――ッン……っ。」 膣内がキュッと狭まると同時一際大きくシェリルが躯を跳ねさせて絶頂を示し、 それを追うようにしてアルトもブルリと躯を震わせながら欲望を吐き出した。 そのまま脱力した様子で荒い呼吸を繰り返す。 「ハァ……ハァ…っ。」 「……シェリル………。」 口付ける為顔を寄せたアルトの唇に指先を宛てて制止したシェリルが、 囁くように問い掛ける。 「ね…ぇ、アルトはあたしにプレゼント……ないワケ?」 「有るわけないだろ、お前が急に呼び出すから買う暇なんかなかった。」 「前もって買っておきなさいよね、全く気が利かないんだから。」 「オレが悪いのかよ…。」 最早何を言っても無駄だと判断したアルトは諦めたように溜め息を吐くと、 唇に宛てられたシェリルの指腹をペロリと舌先で舐めた。 「ひゃンッ!?」 突然の甘い痺れに思わずシェリルが指を離し、アルトもまた予想以上の 反応に再び欲望がムクムクと顔を出した。 「やっ、やだアルト…またおっきくな…――ッきゃあ!?」 「シェリル…、もう一回。」 アルトがシェリルを抱き上げて対面座位の形に体勢を変えると、接合部に 隙間がなくなる程深く深くアルト自身が挿さる。 「んっ……ぁ、ゃぁッ、奥に当たって…っ。」 「………ッ、動くぞ。」 小刻みに震えながらアルトの首に腕を絡めて堪えるシェリルを余所に、 アルトは一度息を吐いた後シェリルの腰を両手で掴み勢いよく下から突き上げた。 「あぁっ!ァッ、イヤっ、そん…な、奥突いちゃ……っ。」 「シェリル……っ、すげ…絡み付いてくる。」 突き上げる度柔い肉壁がアルト自身に絡み付き不規則な収縮で刺激を 与えると、快楽をもっと感じたくてアルトは容赦なく子宮口を攻め立てる。 「はァっ、ぁっ…ソコ…ゃあっ、んっ。」 「…っく、……シェリ、ル。」 「ンッ…ぁっ、ハァっ、アル…ト……アルト…ぉ!」 強くしがみついているせいかシェリルの甘い喘ぎは直接アルトの耳元に掛かり、 それが更にアルトを煽った。 「シェリル…、……っ。」 突き上げを強めながらアルトはシェリルの両頬を包み込み、恍惚とした その表情を捉えてから角度をつけて深く口付ける。 「…ンッ……んぅ、…ハァ。」 「………ン…っ。」 篭もる吐息を零す最中、唇を離したアルトが一気に子宮最奥の壁を先端で突いた。 「ひぁンッ…――ァあっ!!」 「………っ……出る…ッ!」 唐突な強すぎる刺激に躯全体を大きく痙攣させたシェリルは背中を反らして 快楽の波に身を委ねた。 欲を搾り取るように自身を締め付けられたアルトも、同じ波に飲まれながら 子宮に大量の熱を注ぎ込む。 「……ッはぁ、シェリル…。」 どうやら気を失ってしまったシェリルの躯を強く抱き締めたまま、アルトは 緩く腰を揺すり射精の余韻に浸った。 眠るシェリルの柔らかい髪をフワフワと指先で弄びながら、アルトは 無邪気な寝顔を眺めて思わず眼を細める。 暫くしてベッド下に脱ぎ捨ててある自分のジャケットを片手で拾い上げ、 ポケットからリボンの付いた小箱を取り出してラッピングを解いた。 「……こんなモン気取って渡せるかっての、ミシェルじゃあるまいし。」 小箱を開き親指と人差し指で小さな指輪を摘み上げると、照れ臭いのか 小さく独り言を呟いてシェリルの左手を取り、その華奢な薬指にそっと嵌める。 「ピッタリだな、良かった。」 安心したように表情を綻ばせながらシェリルの瞳と同じブルーの宝石に口付け、 温もりを抱いたままアルトも眠りについた。 翌朝シェリルが左手薬指に輝くアルトの愛に気付いたのは、いつものように 目覚めたばかりの情けない顔を洗った時だった。 満面に幸せそうな笑顔を浮かべた妖精が、未だ呑気に眠るアルトのもとへ飛び込むまであと十秒。
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/49.html
6スレ583 Oui 583 名前:えっちな18禁さん[sage] 投稿日:2009/03/01(日) 02 33 25 ID e5/VQNsi0 485の続き。エロくなくてゴメンナサイ。尻切れでゴメンナサイ。途中で切れたらゴメンナサイ。 「んんっ。」 少し肌寒さを感じて、暖を取ろうと側にあった温かいものへ擦り寄ると、そんな音が聞こえた。 擦り寄ったモノはがっしりとして、つるりとしていた。 そして、いい匂いというか、あったかい匂いがするような気がした。 毛布でも、シーツでもないその感触を不思議に思っていると、今度はその温かいものが自分に触れ、 大きく引き寄せられ、ぎゅっと抱きしめられる。 その感覚がなんだか嬉しくて、くすぐったくて、クスクス笑っていると不意に視界が開けた。 ぼんやりとした瞳に映ったのはきれいな黒髪とその下にあるキレイな顔立ち。 長いまつげが影を落とした様子や少しだけ薄い唇、すっと通った鼻が、昔みた童話の挿絵を思い出させた。 (キレイね) そう思い微笑んで、手を伸ばそうとすると外気に触れた肌が少し震える。 それが一瞬にしてシェリルを一気に覚醒させ、靄がかっていたような思考が一瞬にして吹き飛んだ。 サイドボードに置かれたランプに灯る小さな光を頼りに、時計を確認すると6時が少し前だ。 ゆっくりと身体を起こし、外を見るけれど、カーテンの隙間からも外の光は見えない。 ベットを揺らさないように軽く伸びをして、眠るアルトの頬に軽く口付けると、シェリルはそっとベッドを抜け出す。 流石に何も身に付けずにいるのは落ち着かなかったから、サイドボードの引き出しを開け、アルトの夜着を上だけ拝借した。 そのまま、そっと台所まで歩き、冷蔵庫からペットボトルを2本取り出す。 備え付けの食器棚から同じようにコップを二つ取り出すと、その一つにだけ水を半分ほど注ぎ、軽くレモンを絞る。 そして、それを一気に飲み干した。 乾いていた身体に冷たい水が通っていくのを感じる。 「ぷはぁっ!!」 男らしく一息をつくと、シェリルはそのボトルを冷蔵庫へと戻し、残りのボトルとコップを持って寝室へと戻っていった。 部屋には相変わらず、スヤスヤという穏やかな寝息だけが響いている。 柔らかな光に照らされる寝顔は無防備で、まるで小さな子供のようだ。 夜はあんなに意地悪なくせにっ!と心の内で悪口を叩きながらシェリルがクスクスと笑う。 携帯で写真でもとって、どこかにばら撒いてやろうかしらっなどと考えながら、シェリルはサイドボードにコップとボトルを置くと、自身も寝直そうとベッドに腰掛けた。 っと、何か液体のようなものが足を滑っていくような感触がする。 慌ててその後を追うと、やはり何かヌルリとしたものが手に触れた。 不思議に思いながらその手を見つめたシェリルの顔が、その数秒後に真っ赤に染まる。 急いでティッシュに手を伸ばし、数枚抜き取るとその後を慌しく拭っていった。 羞恥にその表情も歪むけれど、そんなことを気にしている場合ではない。 何度も何度も確認して、床には零れていなかったことにとりあえず安堵し、外に零れていた分もきちんとふき取ったことを確認するととシェリルはほっと息をついた。 このまま、シャワーを浴びてしまった方がいいだろうか? そう考えるものの、ベッドに腰掛けたことで戻ってきはじめた睡魔の誘惑は捨てがたい。 シャワーを浴びてしまったらきっと目が覚めてしまうだろうし、アルトの腕の中で眠る時間はなくなるだろう。 「・・・・・」 数分悩んだ後、シェリルはもうどうにでもなれという勢いで、ベッドへと潜り込んだ。 ごそごそと布団の中を移動し、アルトの腕の下へ潜り込むとそこからひょこっと顔を覗かせる。 間近に迫るアルトに嬉しそうに笑い、ちゅっと軽い音を立てて唇にキスをするとシェリルは、そっと目を閉じた。 直ぐに温かい空気が身体を包みだし、心地よい空間が生まれる。 通常ならば、それにつられていつの間にか眠ってしまうはずなのに、なぜか今はそうならない。 少し歩いてしまったからだろうかと不思議に思いながら、シェリルはぎゅっと目を閉じた。 カチ、コチ、カチ、コチ カチ、コチ、カチ、コチ 「・・・・眠れないわ。」 いつもは気にも留めない時計の小さな音が嫌に耳につく。 小さく寝返りを打ってみても、布団の中へ潜ってみても状況は変わらなかった。 そうなってくると、隣でスヤスヤと眠るアルトが少しうらやましく、少し妬ましくもなってくる。 「バカあるとぉー」 退屈代わりにちょっと呟いてみた。 コレくらいなら罰は当たらないだろう。 相槌を打つように、時計の秒針がカチコチと鳴る。 それに、小さく噴出すとシェリルは布団の中へと戻りアルトの腹部にぎゅっと抱きついた。 人には絶対見せられない姿だ。 温かい体温を感じながら、起こさないようにと最善の注意を払ってペタペタと触る。 自分よりも硬い肌や柔らかさがない胸が、なんとなく興味深かった。 「んっ」 試しにペロリと舐めてみるとアルトの身体がピクリと震える。 今度はへその辺りを舐めてみる。 くすぐったかったらしく、シェリルの側から離れるようにアルトが逃げた。 その様子をシェリルが面白がって追いかけ、もう一度ペロリと舐めると、今度は逆にアルトが動く。 シェリルを捕まえようとしたのか、アルトの手がシェリルの肩辺りを掠めたけれど、いつもより随分下にいるシェリルを抱きしめることはできなかった。 手を伸ばしてくれたことにシェリルが喜び、そのお返しにと再び抱きつく。 ぴったりと身体を寄せると、温かい感触が伝わる。 けれどシェリルは自身の腹部に違和感を覚えた。 胸はアルトの肌と重なり、足もアルトと絡まり合っているというのに、シェリルのお腹は違った。 "何か"が当たっている。 なんだろうと逡巡したシェリルの顔が一瞬にして熱くなる。 位置と触れる形からして、"ソレ"に間違いなかった。 ゆるゆると立ち上がっていたソレにシェリルがそっと触れる。 ソレはいつものような硬度を保ってはいなかったけれど、やはり少し硬くなっていた。 「・・・・どうして?」 シェリルの発した不思議そうな声が布団の中でくぐもる。 昨晩は確かにアルトと重なったけれど、お互いに満足して果てたはずだ。 そして、その後少しだけ話をして、その後は二人して眠ってしまったはずだ。 (・・・・・足りなかったのだろうか?) 頭に浮かんだ疑問に、シェリルがはっとする。 自分は確かに眠ったけれど、アルトがどうだったかまではきちんと思い出すことができない。 自分を引きずる睡魔によって、ふわふわとしていた後の記憶は一切ないのだ。 ひょっとすると、アルトは一度では足りなくてまだ"熱"を持て余していたのではないだろうか? 「・・・・・私が寝ちゃったから?」 なんとか導き出した答えに回答をくれるものは誰もいない。 突っ走りだした思考を止めるということもなかなか自分でできるものではないし、シェリルには自身のすべき事を全うするというプロ根性がグレイスによって構築されていたからなおさらだ。 さらに、昨日の経験も"熱"を持て余す辛さをシェリルに突きつけてくる。 選択の余地など、シェリルにあるはずもなかった。 「んっ・・・」 真っ暗な視界で全てを感に頼るしかない。 アルトの"ソレ"を両手で支えながら、シェリルはそっと先端を口に含んだ。 つるりと柔らかい感触が唇を通して伝わる。 "ソレ"もう少しだけ銜え込みペロリと舐め上げると、ピクンと小さな反応が返ってきた。 (気持ちいいのかしら?) アルトに触れられたとき、自分もそうやって震えることを思い出したシェリルの頬が少しだけ熱くなる。 それを押し込めるように、シェリルは慌てて"ソレ"を深く銜え込んだ。 少し息苦しくなる。 行き場をなくした唾液が口内へと溢れてくる。 それを塗りこめるようにして、シェリルは何度も何度も舌を這わせた。 「んんっ・・・・はぁ・・・」 奥まで銜え込み、何度も何度も舐め続けていると、流石に顎がだるくなってくる。 けれど、"ソレ"はゆっくりと硬度を持ちつつあるのだ。 もう少しだけ、もう少しだけっと何度も心の中で繰り返し、愛撫を続けるけれど、流石に少し限界だった。 休憩代わりに唇を離し、舐めるだけにする。 先端からまっすぐ舌を滑らせ根元をチロリと舐め上げる。 アルトの形を舌で覚えこむように、シェリルは丁寧に丁寧に舌を這わせた。 何度も、何度も繰り返す内に、シェリルの手が自身の唾液に濡れてゆく。 シェリルはアルトがしてくれるように、濡れた跡に指を滑らせる。 くちゅ、くちゅという水音が生まれる度に小さく震える"ソレ"が愛おしく思えてきた。 最初はまだ柔らかさを残していたけれど、それは次第になくなり、ゆっくりと昂ぶってゆく。 「・・・・もう、少しかしら?」 少し荒い息を整えながら、シェリルは再び先端を口に含んだ。 先ほどと違いドクドクという音がする。 そして、大きさを増したのか、少し苦しさが増した。 先ほど指を滑らせたようにして一気に根元まで銜え込むとアルトの身体が大きく跳ねる。 それをアルトからの合図だと思ったシェリルは何度も、何度も銜えこみ、唇を滑らせた。 そして、時々アルトの先端を舌先で丁寧に拭う。 口内に少し青臭い匂いが広がったような気がしたけれど、アルトが返す反応の一つ、一つに全てを持っていかれ、気にする余裕はなかった。 「んっ・・・はっ・・・んん――ーッ!!」 立ち上がってから随分経つような気がするのに、なかなかアルトをイかせられない。 いったいどこが悪いのだろうかと思いながら一生懸命したを這わせていたシェリルの上にかけられていた布団が一気に、捲りあがった。 突然の事態にシェリルは固まり、それを見たアルトも同時に固まる。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 奇妙な沈黙が部屋に降りた。 「・・・・お前、何やってんだ?」 「えっ、えっと・・・・」 アルトの問いかけにシェリルが慌てる。 起き抜けの自分の下半身に女の子がいて、しかも、自身の"モノ"を銜えているという状況は誰がどう見てもおかしい状況だ。 自分の責任だと思い込み、どうにかしなければっと慌てたまでは辛うじてよかったのかもしれないが、冷静になって考えてみると、かなり自分は可笑しいことをしているかもしれないということにシェリルはようやく気づき始めていた。 そうなってくると、流石に気まずくなってくる。 熱かった頬は別の意味で熱を上げ始め、それがゆっくりと全身に広がっていく。 「・・・・足りなかったのか?」 「ち、ちがっ!!!それは、アルトの方っっっ・・・・・」 「・・・・俺?」 呟くようにして言われた一言に慌ててシェリルが首を振り、咄嗟にアルトの名前を挙げた。 シェリルの発言にアルトが不思議そうな顔になる。 別に昨日に満足してないわけではないのだから、当たり前だ。 きょとんっとするアルトの表情に、自分の暴走であったことを暗に諭され、シェリルは益々いたたまれなくなってくる。 なんとか分かってもらいたくて、シェリルは俯いたまま早口に先ほどみた状況を説明した。 「・・・・・・・」 「・・・・・・・」 再び、部屋に沈黙が降りる。 「・・・・シェリル。続けて?」 「・・・・・ふぇっ?」 アルトの声に返ってきたのは、シェリルにしてはなんとも珍しい気の抜けた声だった。 「さっきお前が見たのとは意味が違うけど、それをこんなにしたのはお前だろ?最後まで責任とれよな。」 「責任って・・・・」 「・・・・シて?」 優しい声が耳に届き、甘く響く。 その響きにシェリルの背筋がゾクッと痺れた。 数秒迷った後、その声に誘われるように"ソレ"を口に含もうとすると、アルトからのストップが飛ぶ。 どうしたのだろうかと思っていると、アルトが動き、ベットの端に座った。 そして、シェリルにベットを降りるように言う。 言われるままに、アルトの足元に跪くとシェリルは再びアルトを銜え込んだ。 「ん。そうっ・・・・そのまま、動かして。」 アルトの指示通り、アルトの"モノ"を銜え込んだシェリルがゆっくりと動き、アルトを高めていく。 苦しそうな呼吸の合間に、ぴちゃぴちゃと先端から先走る液を舐め取る音が混ざり、さらに、時々シェリルの舌が沿って根元までを愛撫する。 アルトの呼吸が段々と上がり、シーツがぎゅっと握られる。 「・・・・しぇり、るっ!!」 「?」 いきなり名前を呼ばれたと思ったら、強い力がシェリルを押した。 けれど、アルトをイかせることだけに集中していたシェリルがその動きについていけるはずもなく、アルトとシェリルの動きには、数秒の誤差が生まれる。 思ったより強い力で押してしまったことと、突然の行動に驚き、見開かれた空色の瞳に、アルトが一瞬気を取られたのもいけなかった。 受け止めるために伸ばされた手が遅れ、零れたアルトの欲望の一部が飛沫となってシェリルへと降る。 生暖かい白濁がシェリルの顔を汚し、ストロベリーブロンドを汚し、着ていた服までをも汚した。 「あっ・・・悪いっ、シェリルッ!!」 「・・・・・・・・」 アルトの言葉にシェリルの身体が一度ピクリッと跳ねたけれど、その後の反応が返ってこない。 慌てて手を拭い、尻餅をつくような形で座り込んでいるシェリルへと視線を合わせると、驚きに見開かれていた瞳が軽く瞬いた。 ドロリッとした液体がシェリルの前髪から滴り、その頬を滑り落ちてゆく。 まだ、何が起こったのか分からないようなシェリルはそれを夜着の袖でそっと拭った。 「シェリルッ?!」 「あっ、ルト?」 ようやく反応を返せるようになったというのに、未だに動きはぎこちない。 まだ、現状を把握できていないようなシェリルの夜着のボタンを外し、それを脱がせると、アルトはそれで丁寧に汚れた顔や髪を拭った。 「大丈夫か?」 「うん。ちょっと、驚いただけよ。」 そういうとシェリルはじっと自分の手を見つめる。 そこには未だにふき取られていないアルトの跡があった。 アルトがそれに気付き、拭ってやろうと手を伸ばした瞬間、シェリルがそれをペロリと舐め上げる。 そして、見る間にその眉根が寄り、固まっていたアルトに向けて「にがーい」と舌を出した。 その行動に、アルトが脱力する。 っと指の隙間から覗いた先に、シェリルの白い太ももが映った。 咄嗟とはいえ、確かに自分は先ほどシェリルが着ていた夜着を剥ぎ取ったのだ。 知らず知らずのうちにアルトの喉がごくりとなった。 ゆっくりと顔から手を外しシェリルを見つめる。 サイドボードに置かれたランプの柔らかい光が、シェリルの白い裸体を照らしていた。 ふわふわして、甘く香るストロベリーブロンドが肌を滑り落ち、微かに身体を隠している以外何もない。 柔らかそうな肌の質感や、丸み、腰のくびれなどが薄暗い部屋でより絵画のような印象を与えた。 誘われるままにシェリルの頬を包み込み、軽く唇を吸うと、シェリルの甘やかな香りが胸いっぱいに広がる。 そのまま唇を割ると、今度はシェリルの腕がアルトの首筋に巻きついた。 一糸纏わぬ二人の肌が重なり、互いの熱が交換される。 温かい。 その印象は、静かに二人の頬を緩ませた。 「・・・・アルト。大きくなってる。」 「まぁ、こんなことをしてちゃそうなるだろうな。」 「どうするの?」 「どうしてほしい?」 挑発的な声に返された言葉に、シェリルの瞳が面白そうに笑う。 けれどそれには応えず、シェリルは唇をアルトの唇へと近づけた。 触れ合うまでの距離はわずかに1センチ。 シェリルの唇はその位置から動かず、唇は重ならない。 意地っ張りめっとアルトが噛み付こうとすると、今度はシェリルが逃げる。 お預けを食らわされたアルトの目がじっとりとシェリルを睨みつけるとシェリルがクスクスと笑った。 「"Est-ce que vous voulez m embrasser?"」(Do you wanna kiss me?) とびきり甘い声がアルトの耳を擽り、吐き出される吐息が唇に暖かな風をぶつける。 シェリルの両腕は、アルトの首に巻かれたままだ。 言って?というように、小首を傾げて問うシェリルにアルトは白旗を上げる。 そして覚えたてのフランス語で『Oui』っと返した。 アルトの返答にシェリルが驚き、目を丸くする。 そして、嬉しそうに笑うとそっと唇を重ねた。 チュッという軽いリップ音が鳴る。 そして、重なる時間がゆっくりと増えていく。 わざと唇を重ねず、舌のみをアルトの中へと差し入れると、甘く噛まれ、今度はアルトがそれを真似する。 外気との温度差が心地いい。 猫のように何度も、何度も繰り返して口内を擽り合った。 つづく
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/136.html
書くつもりはなかったオリンピア編本番w 一応、色々萌え、滝にポロポロ投下してたSSから繋がってるよ シェリルの柔らかな身体を壁に押し付け、貪るような口づけを交わす。 アルトは強引にシェリルの膝を割り開くと、彼女の愛液に濡れたショーツ越しに己の太腿を押し付けた。さらに、すっかりと熱を取り戻した劣情をシェリルの下肢に擦り付け、ゆっくりと腰を揺らす。 「……あっ」 敏感な秘所と、ガーターストッキング越しの太腿への焦れったい愛撫。 縋り付くように、アルトのジャケットの肩口を握り締めていた白い手が、高く結い上げられた彼の絹糸のような髪をクイッと引いた。 頭皮に走るむず痒いような感覚に、アルトは一旦濡れた唇を離し、シェリルの潤んだ青い瞳を見つめる。 「…ん、なんだよ……」 言いながらも、シェリルの下肢に挟まれてしまった己の足を引き抜き、代わりに不埒な指をシェリルの秘所に這わせた。 溢れ出したシェリルの愛液が染みて、アルトのボトムスの太腿部分は、濃く色を変えている。 ぐっしょりと濡れ、張り付くショーツの上から秘所を撫で上げると、鈍い快感にシェリルは身体を震わせた。 「…あっ、ん…。あると、やだぁ…」 「何が、やなんだ?」 意地悪く笑って、アルトは問う。ショーツの上を往復する指はそのままに。 「…さわっ、て……ちゃんと、触って…」 熱を孕んだ上擦った声で、欲に濡れた瞳で、シェリルはさらに先を懇願する。 アルトは背筋を這い上がる衝動に、ぶるりと身体を震わせた。 焦らしたつもりが、煽られた。 「そんな煽って…知らねぇぞ…」 チッと舌打ちをして、アルトはシェリルのショーツの隙間から指を差し入れる。 「…はは、大洪水……」 シェリルの下の唇から潜らせた指は、蠕動する内部に奥へ奥へと導かれる。 アルトの指から愛液が滴るほどに潤っているシェリルの内部だが、久しぶりのせいかいつも以上にきつい。 「あっ、あっ…ん」 中を探るアルトの指に、シェリルはさらに刺激を求めて腰を揺らす。 堪らなくなって、シェリルはアルトの熱に手を伸ばした。 「…あ、る…と、もう…がまん、出来、ない…」 先走りに濡れるアルトを先端から撫で下ろし、シェリルは熱い吐息を彼の耳元に零した。 「…っおま、…どこで、そんなこと、覚えてくるんだ……」 シェリルからの愛撫に、ともすれば射精してしまいそうになったアルトは、熱を散らすように、ゆっくりと息を吐いた。 「挿れるにも、多分、まだきついぞ?」 「いいからぁ……」 ゆっくりと中に挿れた指を動かしながら気遣うアルトの言葉にも、シェリルは首を振る。 立ち昇る女の色香にアルトはゴクリと喉を鳴らすと、濡れた指を引き抜きシェリルのショーツのサイドストリングを解いた。 そして、シェリルが触れている己の熱に手を伸ばしかけ、アルトはハッと動きを止める。 「…あ。あー…、ダメ、だ」 天を仰いで溜め息を吐くアルトに、シェリルは瞳を瞬かせた。 「……え?」 「シェリル、俺今日、スキン持ってないわ…」 欲を押し殺すように、細く息を吐きながらアルトは言う。 思わず触れたままのアルトの雄に目をやり、ハッと我に返って頬を染めたシェリルは、一瞬のあと、顔を俯かせて頷いた。 「…いい、わ」 「え」 「そのまま、して。…ツアー中は、ピル、飲んでるって、…知ってるデショ」 頬を染めたままアルトから視線を外し、シェリルは少し唇を尖らせて言う。 「…そうだけど」 「いいの!…中に…、欲しいの…」 自棄になって語気を強めて言うも、言葉尻は羞恥に震える。 耳朶まで真っ赤に染めながら雄を強請るシェリルに、アルトは理性をかなぐり捨てた。 「……ほんとに、お前は……っ」 吐き捨てるように呟いて、アルトはシェリルの片脚を抱え上げると、その身体を壁に押し付け、一気に灼熱を突き入れた。 「…あぁっ…!」 待ちわびた男の熱に、シェリルは白い首を仰け反らせて嬌声を上げる。 容赦ない突き上げに、つま先に引っ掛けた華奢なヒールのミュールが脱げ落ち、毛足の長い上等な絨毯敷きの床が、それを優しく受け止めた。 「あっ、あん…ある、と…っ」 背中は壁に押し付けられているが、細いヒールのミュールを履いた片脚だけで身体を支えるには不安定で、シェリルはアルトの首に腕を回し必死にしがみつく。 「アルト、ある、と……!」 ギュッとしがみつかれ思うように動けないアルトは、片脚で身体を支えガクガクと震えているシェリルの膝裏に手を差し入れると、力任せに抱き上げた。 「あっ……あぁぁ…!」 両脚が宙に浮いた状態になり、自重でアルトを最奥まで銜え込むことになったシェリルが、一層高く声を上げる。 身体の中心を貫く楔に深い安堵を感じながら、シェリルはアルトの動きに合せぎこちなく腰を振る。 高く響く水音と、肌を打ち合う音が響く。 「…アルト、どうしよ…もう、いっちゃう……っ」 熱く荒い吐息と共に耳元で零された言葉に、アルトも下腹部をブルリと震わせる。 「…あぁ、俺も…もう」 「アルト、あっ…あぁ…ん」 「シェリル…、中に、出していいか?…お前の、中……」 子宮口をこじ開けるような勢いで突き上げてくるアルトに、シェリルは必死に頷いた。 「いい、いいから…!アルト、中に、出してぇ…!」 啜り泣くようなシェリルの嬌声に、アルトはグッと息を詰めると、彼女の子宮めがけて熱い飛沫を迸らせた。 「あっ、…あぁぁ!」 腹の中でビクビクと跳ねる肉棒を銜え込んだ内部が、最後の一滴までも搾り上げるかのように蠕動し、シェリルも気を放った。 子宮を満たす白濁に、恍惚とした笑みを浮かべながら。 触れ合わせた胸から、早鐘を打つ心臓の鼓動がおさまらない。 アルトは抱え上げていたシェリルの両脚をゆっくりと床に下ろす。 「…平気か?」 「…ん」 腕と腰を支えて立たせながら、ふと足元に視線を落としたアルトは刮目する。 「うわぁぁ……。これ、怒られるか?」 「え……?」 アルトの視線を追って、己の足元に目をやったシェリルはかぁと赤面した。 「……アルトのせいじゃない」 「俺かよ!」 シェリルの白い脚を滴り伝った愛液と白濁が、絨毯に染みを作っていた。 そのそばに、挿入時に剥ぎ取ったショーツとミュールが絨毯の上に転がっている。 そういえば、服など何一つ脱がしていない。 あまりの余裕のなさに、お互い気恥しくなって俯いた。 「…お前、今日はどうしたんだ?」 情事後の気だるくも心地好い空気の中、優しくシェリルの髪を梳きながらアルトがぽつりと口を開く。 結局、お互いの熱が冷めやらず、ベッドに雪崩込んで二回戦を始めてしまったわけだが。 「…なにが?」 「あんなに積極的なの、滅多にないだろ」 「………別に」 アルトの言葉に、シェリルはシーツを被る。 「なに拗ねてるんだよ。言ってみろよ」 からかうようなアルトの物言いに、シェリルは唇を尖らせる。 「……アルトが悪いんだから」 「へ?」 ぽつりと零れたシェリルの言葉に、アルトは間の抜けた声を上げる。 「アルトが悪いのよ。久しぶりに会えたのに、女の子たちにキャーキャー言われて…」 アルトに非がないことは分かっているから、言葉尻が弱い。 「え。言われてたか?お前が、じゃなくて?」 シェリルの言葉に、アルトはきょとんとして首を傾げる。 2週間振りにアルトが護衛に付くことになってシェリルは浮かれていた。 午前中はツアーラストのオリンピア公演に向けて、スタッフと打ち合わせをし、昼から夕方にかけて雑誌のインタビューを数本受け、そして最後がウェブマガジン用の動画撮影だった。 紙媒体とは違い、ウェブ物は撮影しチェックが済めばすぐにアップ出来るのが楽でいい。 今回の動画も来週末には配信される予定だ。折角だからと、シェリルは季節に合わせ衣装に浴衣を選んだ。 「へぇ、浴衣、ですか?」 「えぇニホンの夏と言えば浴衣、なのよ?」 得意気なシェリルの言葉に、ヘアメイクの女性は感嘆の声を漏らす。 「シェリルさんの和装って、想像つかなかったけどいいですね!ご自分で着付けされたんでしょ?どこで習ったんですか?」 「うふふ。ヒミツ」 悪戯っ子のように笑って、シェリルはその話題を煙に巻く。 病気療養中に早乙女邸で過ごしたときに着付けを習ったなどとは、誰にも教えるつもりはない。 振袖も問題なく着付けられるのだから、浴衣の着付けなど朝飯前だが。 「でも…ちょっと着付け大胆すぎたかしらね…」 姿見の前でくるりと回ってシェリルはしばし考える。ここはやはり大先輩の意見を聞くべきだ。 「アル……早乙女大尉」 「…はい」 「ちょっと…」 控え室のドアを開け、シェリルが廊下で待機していたアルトを呼び寄せる。 「どうした?」 護衛として付いているので、必要以上に親しい素振りは出来ないが、アルトは優しい声を潜めシェリルを見る。 「うん…。あのね、これどう思う?」 向けられる眼差しの優しさに胸をときめかせながら、シェリルはアルトの前でもくるりと回ってみせた。 「へぇ…。その浴衣の意匠に兵児帯を合わせたのか。斬新だけど、悪くない。お前らしくていいよ」 濃紺の浴衣の裾には、白い藤の花が大胆にあしらわれている。 大人っぽいシックな浴衣に、薄い紅色と金地のふわふわの兵児帯の重ね付けが、シェリルの女性らしさを引き立てる。 アルトの言葉にシェリルが小さく笑を零すと、アルトも瞳を細めて柔らかく笑う。 その瞬間、シェリルの肩越しに、撮影スタッフの女の子たちの黄色い歓声が聞こえた。 耳聰いシェリルがそっと背後に聞き耳を立てる。 何あのイケメン!やだ、なにあの笑顔、超美人!っていうか、SMSの隊服着てるってことはシェリルさんの護衛?え、彼氏じゃないの?でも、超お似合い。もしフリーだったら連絡先聞いちゃおうかなぁ 聞こえてきたのは、アルトを讚美する言葉たち。もちろん、シェリルも悪い気はしないのだが。 「……シェリル?どうした?」 「………なんでもない」 なぜか途端に気持ちが急降下し、シェリルは唇を尖らせた。 婚約のことは内緒だから、SMSでもフロンティアの一部にしか知られていない。 その証拠に、急用が入ってしまったクランの代わりに護衛に付いた、オリンピア支部の年若い隊員は、シェリルとアルトが醸し出すそこはかとない色気に当てられ、今日一日ずっと居心地の悪そうな顔をしていた。 あーぁ、早くアルトのお嫁さんです!だから、アルトに手を出さないでね!って大声で宣言したいのに…と、シェリルは心の中で溜め息を吐いたのが、数時間前のこと。 「んもう!どうしてそう自覚がないの!」 「だって、ほかの女なんて興味ないし…」 「アルトが興味なくったって、女の子たちは興味津々なのよ、もう!アルトはあたしのなのに……っ」 そこまで言って、シェリルはしまったと口を噤む。 「…俺がお前の、なんだって?」 ポロリと零れたシェリルの可愛い本音に、アルトはニヤニヤと緩む頬を撫でながら問う。 「なんでもない!」 かぁっと頬を染めて背中を向けてしまったシェリルに、アルトは相好を崩す。 「馬鹿だな、お前」 「なんですって!」 笑みを滲ませる声色に、シェリルは思わずアルトを振り返り、声を上げる。 「…なにも心配することなんてないのに、婚約者殿」 ふわりと笑って、アルトはシェリルの首から下げられた華奢なネックレスに指を絡める。ペンダントトップ代わりに付けられたのは、エンゲージリング。 「…分かってるもん」 アルトがあたししか見てないのは。 それでも、自分の婚約者が女の子たちに騒がれるのは誇らしくあるが、面白くはない。 複雑な乙女心なのだ。 拗ねた振りをして、自分の胸に顔を擦り付けてくるシェリルに、キスの雨を降らしながらアルトは言う。 「あのさ、なんだかんだ忙しくて大まかにしか話進めてなかったけど…」 「うん?」 「…お前、来年は音源製作中心にするんだよな?」 「…うん」 「ん、良かった。スケジュール変わってなくて。俺も来年は長期休暇取れるから、さ。そろそろ、式の準備始めないとだろ?お前が憧れてたジューンブライドだ」 「…ジューンブライド」 いつかの病室で憧れだったと教えたことがある。それをずっと覚えていてくれたアルトに、シェリルは幸せそうに瞳を細めた。 「そう。ウェディングドレスのデザインもするんだろ?…あれ、一年近く猶予あるから、準備間に合うんだよな?」 なんせ初めてだから段取りが分からないと眉を下げるアルトに、あたしだって初めてよ!とシェリルは笑う。 「そっか、ジューンブライド…。あ。ね、アルト」 「ん?」 「白無垢!」 「え?…あぁ」 子供のようにキラキラと目を輝かせるシェリルに、アルトは笑みを零す。 「白無垢着たいわ!アルトのお母様の…。お義父様にお見せしたいの!」 「……そこで、親父かよ」 愛しい婚約者の口から零れた言葉に、アルトはガックリ肩を落とす。 「…なによ」 「先ず、俺に見せたい、だろ?」 「あら」 拗ねたように唇を尖らせるアルトに、シェリルは小悪魔の笑みを浮かべる。 「…ね、あたしがフロンティアでのライブで会場にした、教会ステージ覚えてる?」 「そりゃ…。忘れるわけ、ないだろ」 「ふふ。あそこ、バジュラ本星に移築保存されたらしいんだけどアルト、知ってる?」 「いや…俺たちがオリンピアに移ったあとのことだから、直接見てはいないけど…」 そう言えば矢三郎兄さんが言っていたな、とアルトは思案する。 「あのステージ、使えないかしら。…あたしが子供の頃に、花嫁を夢見て過ごしたギャラクシーの教会を模してるの……」 「あぁ、そうだったな。いいかもな。もともとお前のステージ用に作られたんだ、新政府軍に申請出せばすぐに許可降りるんじゃないか?」 「白無垢は、早乙女のお屋敷でお義父様や矢三郎さんに見てもらって…。ウェディングドレスは、大切なお友達だけを呼んでホームパーティーみたいなお式で着るの!」 どう?と夢見るような瞳に見つめられて、アルトは優しく微笑み返す。 「そうだな。婚約は内密にしたけど、結婚式は、多少のパパラッチくらいなら我慢してやるか。なんせ、銀河の妖精の挙式だからな。全銀河の野郎どもに、俺の嫁だ!って宣言しなきゃだな」 「そうよ、アルトは幸せ者なのよ!」 数時間前、ひとり拗ねていたことを思い出してシェリルは瞳を潤ませる。 アルトは全部、分かってくれているのだ。 「あぁ。銀河一幸せな亭主だ」 すんなりと告げられた言葉に、シェリルは思わずきゅんとして眉を下げ、慌てたように言葉を繋げる。 「じゃ、じゃぁ、次のオリンピア公演が終わるまでに、ドレスのデザイン纏めなきゃ!」 善は急げよ!と今にもベッドを抜け出して画用紙に向かってしまいそうなシェリルの身体を抱き寄せ、アルトは苦笑する。 「おいおい。今日は、このままゆっくり…だ」 なんならもう一回戦出来るぞ?とシェリルの白い背中に下腹部を押し付けるアルトに、シェリルはぴくっと肩を揺らした。 「……来年は、もうピル飲むのやめようかな」 そっと背中を振り向き、チラと上目遣いに呟かれた言葉に、アルトはかぁっと赤面した。 「…お前、不意打ちすぎる……」 思わず口元を抑えて唸るアルトに、シェリルも頬を染めて笑い返した。 END
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/115.html
111 名前:fusianasan[sage] 投稿日:2011/03/06(日) 14 38 39.65 「ただいま、シェリル」 「遅いじゃない」 ようやく抱きしめた愛しいヒトと初めて重ねた唇は柔らかった。 恋の衝動。 舞台の上では知っていた。 シェリルと出会ってから、何度も突き上げてきては、どんどんと強くなる、抗えない力。 軽く重ねた唇を離すと、笑いあってるのに、間近にある青い瞳から滴がこぼれた。 胸が締め付けられ、ついそのしずくを吸いに顔を近づけてしまった。 他人にこんなに近づいたり触ったりしたことなんてなかったのに、 何もかも感じたくて、大胆に動いてしまう。 わずかな塩味を吸い取り、顔を離すと、白い頬に手を這わせた。 その感触も滑らかで心地よい。 「あんた、ぼろぼろね」 「お前こそ、やつれたんじゃないか」 まだ涙をうっすらとたたえるシェリルの微笑む顔を見ると、喜びが体の底から溢れて来る。 「無事でよかった」 シェリルをもう一度抱きしめて、ふと目の前のカレンダーに目が止まった。 「って、今日、9月3日かよ!」 「えええ」 カレンダーの日付をみて二人で驚愕した。 「俺、あれからすぐ帰って来たんだぞ!」 「私だって、あんたが消えてから覚えてないわ!」 フロンティアにデフォールドしたアルトは、SMSに連絡し、 シェリルの意識がなく入院していることを聞くと、病院に直行してきた。 脱いだ壊れかけのExギアは屋上に置いて、シェリルの病室へと駆け込んだのだった。 「アルト!」「アルト先輩!」 「シェリルさん!」 仲間たちが駆けつけてきた。 (俺たちは、一人ぼっちなんかじゃないんだ、シェリル。) 見まわすとシェリルの病室は、見舞いの花で埋まっていた。 ** あれから7日。 「ねえアルト、いい天気ね。お散歩に行きたいわ」 窓からの風を受けてシェリルが眩しそうに笑った。 アイランド1がバジュラ星に降りてから、アイランド1の外気はバジュラ星に通じている。 気温も悪くない。 眠りがちなシェリルの座っていられる時間も長くなってきた。 「辛くなったらすぐ言えよ」 許可を取ると、シェリルを車いすに乗せ、病院敷地内の公園へと向かった。 頭上には本物の空が広がっていた。 アイランド1は丘の多い地形をしていて、見舞客には迷惑な話だが、この病院は見晴らしのいい丘の上にあった。 それゆえ、公園からはアイランド1が見下ろせ、その向こう側にはうっすらとバジュラ星の緑が見えた。 「わあああ」 顔を輝かせるシェリルの横顔を見て、アルトはシェリルに負けないくらいの喜びを感じてた。 木陰に陣取ったところでシェリルが両手を伸ばして何やらアルトに訴えた。 「ん!」 「あ?」 「ん!!」 両手をバタバタとふって、頬を膨らませている。 かわいらしさについ、笑いが漏れてしまう。 「なんだよ」 「下ろして!」 「お前まだほとんど立てないだろ」 「地面に座るの」 「汚れるぞ」 といいつつも、シェリルを抱えると、アルトは細く手折れそうだが柔らかな肢体を感じながら 木陰におろしてやった。 金髪を輝かせて満面の笑みを浮かべるシェリルをこのまま見ていたい気もするが、やはり体が心配だった。 後ろに座り、いつでも寄りかかれるよう、アルトはシェリルの後ろに抱え込んむように座った。 胸と腕にシェリルの温かさを感じる。 いつもキスの時に感じる心地よい香りがアルトの鼻腔を刺激した。 今までにない密着度にシェリルが顔を赤らめている。 「あの、えっと」 「どうした?」 アルトはシェリルの髪を弄んで何事もないかのように問うた。 基本的に、シェリルをいじるのは好きだ。 「座りたいって言っただけよ!」 「座ってるだろ」 シェリルは気が強いようだが、覗きこんだら目を逸らしたりもする、カワイイところがある。 「そうじゃなくて・・・何であんたまで座ってんのよ」 「俺には立ってろっていうのか?」 「そうじゃなくて!」 「だって、こうした方が、お前、体が楽だろ?ほら、もっと寄りかかれよ」 言葉がうまく選べないシェリルをクスリを笑うとアルトはシェリルを引き寄せ自分に寄りかからせた。 「・・・うん」 恥ずかしいような嬉しいような、かわいらしい頬笑みを浮かべるとシェリルが素直にアルトに体を預けた。 愛しさに駆られたアルトは腕の中のシェリルをぎゅっと抱きしめた。 「アルトはもう、バジュラ星には出たの?」 「ああ」 「本当の空は飛んだ?」 シェリルが腕をあげ、飛行機をまねてた手が空を舞う。 「ちょっと物運んだだけだけどな」 アルトも寄り添って飛んだ。 「そっか」 自分のことのように喜んでくれるシェリルが愛おしい。 「どうだった?」 「広かった。青かった。大気があったよ。それと、重力」 アルトを見つめる瞳のように美しい青だった。 「ソレじゃよく分からないわ」 「じき飛べるようになったら、一緒に飛ぼう」 「うん」 シェリルが背中から抱えるアルトにすり寄った。 胸が締め付けられるような幸せに心が酔っているようだった。 公園には自分たちのように語りあう人たちや遊ぶ子供たちがいた。 子供のころから注目を浴びなれていて、今はそばにはあのシェリルがいる。 時折、こちらを見ては、話題にされていることを感じてはいたが そんなものはどうでも良くなっていた。 シェリルの顎に手をかけ、上を向かせるとアルトは唇を吸った。 いつも、病室で数回目にするように、シェリルの舌を探り、自分の口の中に導いた。 くちゅくちゅと水音が立つ。 一瞬抵抗したシェリルだったが、観念したのか、両腕をアルトの首にまわし、 アルトに舌を絡め、唇を吸い、甘い口付けに身をゆだねた。 周りにいる人間全員が、一瞬は目をとめ、そして呆れるくらいに唇を重ねていた二人が ようやく、顔を離した。 「なにも、こんなところでしなくても良いじゃない」 「こんなところじゃなかったら良いんだな?」 「・・・良いわよ!」 赤らめた顔で拗ねたシェリルがアルトを睨みつけた。 あんなパフォーマンスをするくせに、こう見えてシェリルが初心なのは知っている。 そのギャップがたまらない。 嬉しくてにやける口元を思わず隠す。 「ごめん。やっと腕の中に抱きしめられたから、つい」 ベッドの上のシェリルとはどうしても、物理的に距離が開いてしまう。 病み上がりシェリルを労わってしまって、長く一緒にいることもできないでいた。 手を握って、頬を撫でて、キスして。 キスだって、初めは触れるだけだったのがどんどん大胆になって来たけど、 抱きしめる時だって、ベッドに上がり込むこともできなくて、正面から抱きしめるだけ。 シェリルが生きてて、笑ってくれるだけで良いなんて思った時もあったけど ホントはもっともっとシェリルに触れて感じたい。 そんな悶々とするアルトを知ってか知らずか、 ふと、シェリルが何か思いだしたように真面目な表情をした。 そして、顔を赤らめる。 そんなシェリルの変化も見逃すことなく、表情豊かだなぁと 可愛さをかみしめながらアルトが眺めていると、 シェリルはアルトから身を離し、改まって正面に向かい合って座りなおして、 思案する表情で口を開いた。 「私、大事なこと、忘れてたわ」 「ん?」 「この前の、返事」 「どの?」 嬉しいような、でもちょっと真剣な?表情でシェリルがアルトを見据える。 「なによ!忘れたの!?良いわ、耳かっぽじってよく聞きなさい!」 耳を澄ますと、風に運ばれて、遠くの喧騒が聞こえてくる。 「私も、アルトのこと、愛してる」 「あ、うん・・・」 シェリルは美人だなぁ、眉は髪より少し色が濃いよな、とか思いながら目の前の少女を見つめていたアルトは なんだか、徐々に照れが出てきて、目が泳いでしまう。 「ちょっと、アルト!ちゃんとしなさい!」 逃げたいくらい恥ずかしいのを我慢して、シェリルがアルトを見つめる。 シェリルに応えてアルトが、じっと見つめ返す。 真剣にしようとしても、演技ではないのだから、顔のにやけは消しようがなかった。 あの時は必死だったんだなあと、今の状況に感謝して、でも甘えないように、気持ちを落ち着けた。 「こほん。お前のこと、愛してるから、帰ってこれた。 だから・・・ずっと、一緒にいよう」 「遅いわよ、バカ!」 どちらからともなく、二人は固く抱きしめあった。 やっと抱きしめた温もりを離さないように。 翌週の週刊誌は各社写真付きで「銀河の妖精、婚約!」と紙面が賑わっていた。 おわり
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/47.html
6スレ429 Je vous aime foever バレンタイン 429 名前:えっちな18禁さん[sage] 投稿日:2009/02/25(水) 16 44 46 ID ee4TaYs30 そうなのか。 ようやくバレンタインネタ上がったので投下します。 家へと帰宅する車の中でシェリルは上機嫌だった。 前々から作っていた曲が書きあがったし、仕事も予定どおりに終えることができた。 家ではアルトが待っていてくれているだろうし、自分の隣の席にはファンから送られたバレンタインチョコが紙袋に入れられ、今にも溢れそうになっている。 そんなシェリルをさらに上機嫌にさせたのが、膝に乗っている小さな箱だ。 数日前からクランと計画を練り互いのパートナーに内緒で作ったそれは、思いのほかよくできていたから、早く渡してその反応をみてみたかった。 「驚くかしら?」 そっと呟いた言葉は誰にも聞かれることなく、空気に溶けていく。 ドキドキする心を押さえ込むように、シェリルは手をぎゅっと握り締めた。 「どうかされましたか?」 「なっ、なんでもないわ。大丈夫よ」 急に下を向いて黙り込んでしまったシェリルに具合でも悪くなったのかと運転手から心配そうな声がかけられる。 不安そうな声に急いで顔を上げたシェリルは、自分の浮かれ具合が恥ずかしくなりそれを誤魔化すために、慌ててチョコレートの入った紙袋をガサゴソとかき回しだした。 「ねぇ、食べても大丈夫?」 「はい、大丈夫ですよ!!・・・・それにしてもすごい数ですね」 「そうね。全部食べきれるかしら?」 シェリルの問いに愛想よく答え、うらやましいですね。と言ってくる運転手に、嬉しそうに笑うと、シェリルは早速一つを選び出す。 有名なスイーツの店の名前が入ったものもあれば、手作りのものもある。 一つ一つを嬉しそうに見つめながら、シェリルはゴールドの包装紙でラッピングされた一つに決めた。 巻かれている上品な茶色のリボンを解き、包装紙を破ると、中から両手に収まるくらいの白い箱が表れる。 ドキドキしながら箱を開けると、中にはトリュフのようなものが全部で9個入っていた。 「凄いわね。コレ・・・・」 箱のどこを見ても店の名前が書いていないことから、手作りであるということが分かる。 その完成度の高さに驚いていると、中にメッセージカードらしきものが入っていた。 中を読むと、自分のファンであることと、一生懸命作ったこと、それからチョコレートに仕掛けがしてあるので楽しんでくださいということが書いてある。 その他にも一文があり文末にピンクのハートマークが書いてあるのだが、それはシェリルの知らない文字で書かれているため、読むことができなかった。 「アルトなら読めるかしら?」 アルトの実家で見かけた本に、同じような形があったようなことを思い出し、シェリルは後で教えて貰おうとそれをスカートのポケットに大切そうにしまった。 そして、どれから食べようかとうきうきしながら吟味する。 取り合えず端っこにあったピンク色の粉がかかったチョコレートを手にし、口の中へと放り込んだ。 「んっ!!おいしいっ!!」 口内で蕩けだしたチョコレートに、シェリルの口から歓声が上がる。 チョコレートの外にかけられていたパウダーからは微かにイチゴの酸味のようなものを感じ、その後すぐにイチゴの甘い香りが広がった。 どうやら、面白い仕掛けとはチョコレートの中にあるコレらしい。 甘いシロップで煮詰められた果実とチョコレートの相性は良く、シェリルはいそいそと次に手を伸ばす。 先ほどのとは違って茶色のパウダーがかかったものからは、甘いバナナの味がした。 口の中で蕩けるチョコレート以上に、煮詰められたバナナがとろりとする食感を与える。 「んーーーーー!!」 初めて味わう感覚に、再びシェリルの口から歓喜の声が漏れ、そのおいしさにシェリルの顔が綻ぶ。 もう少し食べてしまいたい気持ちもあったけれど、アルトやクランにも分けてあげたい。 そう思ったシェリルは盛大に後ろ髪を引かれながらも、箱を閉じた。 「着きましたよ。お疲れ様でした。」 「ありがとう。お疲れ様」 「チョコレート、どうします?運びましょうか?」 「大丈夫よ。そんなに重いものではないし、エレベーターで上がるだけだから」 「そうですか。では、お疲れ様でした」 「えぇ。貴方もお疲れ様」 家まで送ってくれた運転手に別れを告げ、シェリルは大きな紙袋を両手に提げてフラフラと進む。 先ほど運転手に言ったように重くはないのだが、その量が問題だった。 零れ落ちないようにバランスをとりながら進み、エレベーターのボタンを押す。 幸いなことに、すぐにドアが開き自宅まで戻ることができた。 「ただいまー。」 「お帰り。時間通りだな。」 「私だもの!!」 すかさず、そう答えたシェリルにアルトが苦笑する。 それから戯れに唇を触れ合わせた。 「・・・甘いな」 「えぇ。チョコレート貰ったのよ。ほらっ!!」 「・・・・・・」 自慢げに紙袋を見せるシェリルをアルトがじっと見つめる。 その視線の意味に気付きながらも、シェリルは分けてあげるから、心配しないでっ!と笑った。 自分の言いたいことが伝わらなかったと思い込んだアルトはせめてもの抵抗にと、抱きしめていたシェリルの身体を引き離し、再び台所へと戻っていく。 シェリルも着替えるためにくるりっと身を翻し、寝室へと向かった。 うきうきと軽やかな足取りで動くシェリルの背中に、少しだけ怒ったような口調で、『すぐに食事だから、余計なものは食べるんじゃないぞ!!』という声がかかる。 その声に、苦笑しながらシェリルは『はーい!!』っと返事を返した。 寝室に向かったシェリルは急いで紙袋の中から、小さな箱を取り出す。 うまく隠し通せたことを喜びながら、シェリルは次の隠し場所を探し始めた。 「どこがいいかしら。」 ブツブツとそんなことを呟きながら、部屋を見渡す。 アルトが見つけられるところがいい。 そして、自分がその様子を見られる場所がいい。 本棚はあからさま過ぎる。 クローゼットでは反応を見損なう心配がある。 机の上には隠す場所がない。 目につくもの全てにその可能性を考えるけれど、なかなかいい場所が見つからない。 ため息を付き、半ば家具を睨むようにしながら部屋の真ん中でくるくると回るシェリルの目がベットを捉えた。 フラフラとそこまで歩き、枕のあたりをまさぐっていたシェリルの目がキラキラと輝きだす。 「ココがいいわっ!!」 小さくガッツポーズを取りながらシェリルはいそいそと枕の後ろにチョコレートの箱を隠した。 上から枕を置いてしまえば簡単に見つかることはないし、絶対に眠るときはベットを使うから、アルトが来るのは間違いない。 問題は枕の裏をアルトが探すかどうかだけれど、たいていはうつぶせて眠る癖があるから、枕を抱き込んだときに気付くだろう。 完璧だっ!といわんばかりの満面の笑みを浮かべたシェリルは着替えに向かう。 急がなければアルトに感づかれてしまう可能性がある。 そう思ったシェリルは勢い良くお気に入りの青いワンピースを脱ぎ捨てた。 下着の上にブラウス一枚を羽織った姿で、クローゼットを漁る。 ライトグリーンの服と黒のホットパンツをクローゼットから引っ張りだすシェリルは今にも歌いだしそうなくらい上機嫌だった。 っと一瞬シェリルの視界が揺らぐ。 「?」 不思議そうに周りを見回すシェリルの身体のどこかがドクンッと大きく跳ね、下から突き上げられる ような感覚にシェリルの身体がバランスを失った。 次の瞬間には床に膝がついた。 けれど、それだけでは終わらない。 体中から力という力が抜け落ち、ペタリっと床に崩れ落ちる。 「何、コレ・・・・」 口元を覆った左手が恐怖に震える。 アルトを呼ぶべきだろうか? 頭がパニック状態に陥り、ゆっくりと思考を停止させていく。 何を考えるべきなのか分からず、何を考えているのかもよく分からなくなっていた。 何か支えるものはないかっと、不安げに部屋を見回すシェリルの瞳に、先ほど持って帰ったバレンタインチョコ入りの紙袋のすぐ側に自身の携帯端末が写る。 下肢に力が入らず、立つこともできなかったことから、シェリルはそのままの姿勢で必死に右手を伸ばした。 微かに指先が端末に触れる。 触れるたびに紙袋の方へ寄っていってしまうことに、内心苛立ちを感じながらも何とかリボンの端を掴み、引っ張る。 っとバランスを崩した紙袋が倒れ、先ほど空けてしまった箱の中身が床へと零れ落ちた。 「あぁっ・・・・」 そのショックに、シェリルの口から小さな悲鳴が上がる。 せっかく、皆にも食べさせてあげようと思っていたのに、それもできなくなってしまった。 しゅんっと小さくなったシェリルを励ますかのように、手に握られた携帯端末が震えだす。 通常ならば、すぐに通話ボタンを押すのだけれど、今日はそれができなかった。 震える度にゾクリッとする感覚が、シェリルの背中を駆け上がっていく。 その感覚に耐え切れず携帯を放すけれど、落ちた先は自分の太ももの上。 「やぁぁっ―――!!!」 シェリルの瞳からは涙が零れ、身体が支える力を失って床へと倒れこんだ。 冷たい床の感触を心地良く感じたシェリルは、はっと我に返る。 自分は、今何を考えた? 床の冷たさが心地よいということは、自身が"熱"を持っているということだ。 「ウソ、でしょう?!」 思わず漏れた声が震えた。 確かに自分はアルトとキスをしたけれど、こんな風になるくらいのキスはしていない。 それに、今の今までそんな兆候すらなかったのだ。 自分の身体がどうなってしまったのだろうという不安がシェリルの頭を一杯にし、信じたくない気持ちが、頭の中がぐちゃぐちゃにしていく。 そして、ソレをゆっくりと覆うかのようにして情欲がシェリルを支配していく。 身体が自分の思うように動いてくれない不安。 急に起きた変化。 そして、靄がかった思考がゆっくりと色欲に飲み込まれていく感覚。 自分がこれからどうなってしまうのか分からなくて、怖かった。 いつの間にか、ポロポロと涙まで零れだした。 「シェリル?」 「!!」 「・・・・・・」 急にかけられた声に、ビクリッとシェリルの身体が震えた。 おそるおそる視線を向けると、目の前にはアルトがいて、シェリルの格好に言葉を失っていた。 当然だろう。 目の前の彼女が脱ぎ捨てたワンピースの側で、ブラウス一枚でへたり込んでいるのだ。 着替えをしているわけでもなく、そんな格好で座り込まれていたら、反応に困るのは当たり前だ。 ドアの開閉音にも気付かなかったほど同様している自分を恥ずかしかく感じたけれど、それ以上にこんな情けない姿を見られることも嫌だった。 ブラウスの裾を一生懸命引っ張りながら肌を隠し、羞恥に顔を真っ赤にしたシェリルが必死でアルトから遠ざかろうとする。 けれど、力のほとんど抜けてしまった足がさほど動くはずもなかった。 「何、してるんだ?」 「触らないでっ!!」 心配そうに伸ばされた腕を静止するように、シェリルからキツイ言葉が飛ぶ。 その言葉の強さに驚いたような顔をしていたアルトの表情が少し歪んだ。 自分がアルトを傷つけたのは分かったけれど、それをどうフォローするべきか分からずシェリルは慌てる。 「俺、すぐ食事だって言ったよな?」 「あっ、アルト・・・・」 シェリルが謝罪の言葉を紡ぐより早く、いつもより数段低いアルトの声がシェリルに向けられた。 その固い声にビクリッと震えながら、恐る恐るその瞳を見上げるものの、本気で怒りだした様子のアルトにシェリルの頭が恐怖に染まり、さらに混乱する。 言葉を発しないシェリルにアルトがさらにイラつき、その瞳がさらに床に転がるチョコレートに注がれ、その視線の先にあるモノに気付いたシェリルの表情からさぁっと血の気が引いた。 「余計なものも食うなって言ったよな?」 「あっ、アレはっ!!」 「それに人を待たせて、心配させたのに、言うことはそれかよっ!!」 「ちがっ、違うのっ!!」 「・・・・・・飯いらないなら、最初からそう言えよな。」 「アルトッ!!」 シェリルの呼びかけにも応じず、アルトはくるりと背を向けてしまう。 何度呼んでも振り向いては貰えず、シェリルは焦った。 どうすればいいのか分からす俯き、ぎゅっと手を握ったシェリルの耳に、無情にもドアの閉まる音が響く。 悔しくて、悲しくて、たまらなくて、再びポロポロと涙が溢れ出した。 今日は一番楽しい日になるはずだったのだ。 アルトのご飯を食べて、チョコレートを渡して、驚かして、頑張って素直になって、気持ちを伝えようと思っていたのだ。 『ありがとう』と、言いたかったのだ。 『大好き』と、伝えたかったのだ。 なのにどういうわけか自分たちは喧嘩をして、お互いを傷つけあっている。 これでは予定と真逆ではないか。 胸が痛くて、苦しくて、たまらなかった。 「なんでっ、こんな、コト、に、なるのよぉ・・・」 思わず漏れた一言は涙のせいでかすれていた。 次々に溢れる涙が呼吸に絡み、さらに喉を詰まらせた。 視界が揺らぎ、呼吸が熱い。 涙がぽたぽたと床を濡らした。 それでも、身体の火照りは増してゆく。 ドキドキと煩い心臓も、上がる呼吸もシェリルを苛立たせる。 アルトを傷つけてしまったことが悲しかった。 何も言えなかった自身が悔しかった。 そして、こんな状況下でもアルトの身体を求める心が自身にあることが嫌だった。 その衝動を抑えることもできない自身を心底嫌いだと思った。 「・・・・・・・泣くくらいなら、ちゃんと言えよ。」 「・・・・・アルト。なんで?」 「誰も出て行くなんていってないぞ?ドア締めただけだ。・・・近所迷惑だからな」 涙の後を優しく拭いながらアルトはそう言って、笑った。 その言葉に再び瞳に涙の粒が膨れ上がる。 くしゃりと歪んだ表情のシェリルに、アルトは優しいキスを落とす。 涙を含んだそのキスは先ほどと違い、少しだけしょっぱかった。 「ん、・・・・ふ、ぁ」 普段からすれば、まだまだ軽いキス。 それなのに、頭の中がふあふあとしてくる。 自分を支えることができないシェリルは力の入らない手で精一杯、アルトのシャツを握り締めた。 身体が熱い。 アルトに触れたくて、触れてほしくてたまらなくなる。 高ぶった感情はいつもより遥かに早く、シェリルの理性を壊していく。 心の中でシェリルの欲望に火が灯り、やがて全てを支配した。 「・・・・・シェリル?」 いつもと違うシェリルの様子に、アルトが不思議そうにシェリルを見つめ、それからはっと目を見張った。 涙で濡れた瞳の奥に、欲に浮かされた熱っぽい視線が絡んでいる。 ブラウス越しに触れた身体は、熱を持て余していた。 「・・ねぇ・・・アルト。・・・シ、よ?」 切ないほどの声で呼ばれ、アルトの耳元を熱い吐息が掠める。 その熱さにアルトの身体がぞくりと震えた。 驚きに動きを止めたアルトの唇にシェリルの唇が重ねられ、すぐに割られる。 口内へと侵入してきたシェリルの舌が、アルトの舌に触れペロリっと舐めると、アルトも誘われるままに舌を絡める。 触れた舌からは微かに甘いチョコレートの味した。 その味を分け与え合うように深く、深く口付け、貪ると、ぐらりとシェリルが揺らいだ。 咄嗟に左手で支えつつ、シェリルの頭へと手を移動させ、息をもつかせぬ勢いで何度も、何度も口内を蹂躙する。 飲み込みきれなかった唾液が、シェリルの顎を伝い、ブラウスの胸元を濡らし、むき出しのふとももを汚した。 一度唇を離し、ソレを舐め取ると、シェリルの身体がその感触に小さく跳ねた。 その様子に笑いながら、アルトは再び唇を味わうことに専念する。 「・・・んっ、・・・何か、・・はぁっ・・・あ・・っ・・たのかっ?」 キスの合間にアルトが訊ねた。 呼吸音とチュッという軽いリップ音がその間に挟まり、それがさらに互いを興奮させていく。 呼吸の整わないままの状態でふるふると首を振って返事を返すシェリルの胸元からリボンが抜かれた。 性急にブラウスの小さなボタンを外してその胸元を甘く噛み、舐め上げると、シェリルの体が震える。 そのまま舌を滑らせつつ、、空いた手で乳房の先端あたりをくるくると軽くこねると、シェリルの口から熱い吐息が零れた。 「足。」 「?」 急に呟かれた一言に、頬を真っ赤に染めたシェリルが首を傾げる。 「・・・開いて」 言葉少なにそれだけいうと、シェリルの動きが止まった。 いつも強引に"コト"を進めるのはアルトだから、そんなことをしたことがないのだ。 羞恥に頬を染めたシェリルがまっすぐに見つめるアルトの視線から逃れるように、俯く。 それでも、アルトは許さなかった。 「・・・止めるぞ?」 その一言に弾かれたようにシェリルが顔を上げる。 脅えたシェリルの表情に少し心が揺れたけれど、それをおくびにも出さずに、アルトはじっとシェリルを見つめる。 静かな沈黙が下りた。 耐え切れなくなったのはもちろんシェリルが先。 泣きそうに口元が歪んだのが見えたけれど、アルトはじっと返事を待つ。 『止めるか?』っともう一言かけようとした瞬間、おずおずとシェリルが膝を動かした。 「・・・・・もっと。それじゃ触れない。」 動いたのは5cmくらい。 アルトの要求にシェリルの肩が再度震える。 アルトがそれでは許してくれないことを悟ると、シェリルはゆっくりとその幅を広げていく。 10cmくらいになったところでアルトが手を伸ばすと、シェリルがアレだけ隠していたわけが分かった。 (・・・濡れてる) まだ、キスしかしていないというのに、そこは下着の上からでも分かるくらいに濡れそぼっていた。 アルトが触れると同時にシェリルがはっと息を呑んだのが伝わる。 そして、シェリルの身体がわずかに硬くなった。 「・・・シェリル。・・・・いい子だ」 アルトの言葉にピクンッとシェリルの身体が跳ね、そしてアルトの次の一言にわずかに弛緩した。 言葉どおり、小さい子をほめるようにアルトがシェリルの頭を撫でるとシェリルの顔がくしゃりと歪む。 泣きそうになるのをこらえるためにへの字に曲がった唇を軽く啄ばみ、左手で胸に抱き寄せながら、アルトはシェリルの秘部を侵す。 トロリっとした愛液が指に触れ、アルトの指がくちゅという音を立てて中へと入っていく。 シェリルの背中がわずかに反り、アルトにも緊張が伝わった。 「シェリル」 小さく名前を呼び、俯いていた視線と絡むまで待つ。 空色と褐色が交わるとその緊張を溶かすように重ね、優しく唇を割る。 もう何度目か分からないキスは密かにアルトの心を焼いた。 潤んだ瞳に柔らかく笑い、アルトはシェリルの背中と膝裏に手を回す。 このまま愛撫を続けてもよかったのだが、力の抜けてしまったシェリルはどこかに身体をぶつけてしまいそうで少し怖かったのだ。 シェリルから伸ばされた腕がアルトの首に絡まり、それを確かめたアルトがシェリルを抱き上げる。 女性にしては高めの身長なのに軽々と持ち上がってしまうことに、アルトは少し苦笑した。 っと、シェリルの手が先ほどまで身につけていたワンピースも一緒に持ち上がる。 シェリルの手が引っ掛けてしまったのだ。 一度跪いてそれを取ってやると、ポケットから覗いていたピンク色の紙が落ち、ヒラヒラと宙を舞う。 不思議と目に付いたので、アルトは落ちたそれをシェリルを抱いたまま拾いあげ、ベッドへ向かった。 降ろした後で、目元と唇、鎖骨と胸元を軽く啄ばみ、シェリルに少し待つように言う。 もちろんボタンを解かれたブラウスで肌を隠さないようにとも言い含めた。 シェリルが自分の言いつけを守り、動かないでいるのを確認した後、拾った紙を広げる。 二つ折りにされたそれはメッセージカードのようで、甘いチョコレートの匂いがした。 先ほど見た床に散らばったチョコレート倒れた紙袋から大量プレゼントが零れていたのを思い出したアルトは、アレに付いていたのかと納得し、それを開く。 書かれた内容を読み進めるごとに、アルトの眉根にしわが刻まれていった。 「アルト?」 不安そうな声でシェリルがアルトを呼ぶ。 その声に、はっと我に返ったアルトが慌てて表情を取り繕った。 「お前、コレ読んだのか?」 「?」 アルトの問いに不思議そうにしながらシェリルは頷き、最後の一文が読めなかったことを伝える。 その一言に、アルトははぁっと息を吐き、ゆっくりとシェリルに覆いかぶさった。 「お前、今"変"になってるだろう?」 「?」 言われた意味が良く分からず、シェリルの瞳が丸くなった。 それを見たアルトの瞳はシェリルをまっすぐ見つめたままだ。 自分の問いかけにアルトからの答えが得られないことがシェリルの不安を煽った。 また何か自分は変なことを言ったのだろうか? 熱のために潤んだシェリルの瞳が揺れる。 その様子に苦笑するとアルトは安心させるように優しく唇を啄ばんだ。 そして、そのまま首筋を辿り、柔らかな胸元に顔を近づけていく。 ぺろりっと舐めあげると小さな声が聞こえた。 「ア、ルト」 「黙ってろ。」 「・・・・・」 答えをくれないアルトが何か隠していることを感じとったシェリルがアルトの名前を呼ぶ。 返ってきたのは少し固い声だったけれど、シェリルに触れる手は優しかった。 「あの・・・・ゴメ、ン、・・・ナサイ。」 とりあえず、自分が何かをしてしまったことは確からしい。 巻き込んでしまったことを謝るために、珍しくシェリルが謝罪を言葉を述べるとアルトが固まった。 反応を返してくれないアルトにシェリルが動揺する。 不安からもう一度服の裾を引くと、今度は優しくキスをしてくれた。 「っん・・・・ぁっ・・・んんっ・・・」 唇を重ねる合間に、胸を覆う下着が外す。 アルトの手には少し手に余るそれを片手で揉みしだきながら、もう片方の先端を口に含み舌先で転がすと、ぷっくりと立ち上がってきた。 今度はそれを舌先で潰す。 唾液によってぬめる乳房が淫乱に光を照り返す様子に、アルトの熱が上がった。 そのまま下へ、下へと降りていく。 「やぁ・・・・・んっ、・・・あぁっ・!!」 眉根を寄せていやいやと首をふるシェリルが、さらにアルトを煽った。 愛撫の合間に太ももの内側も丁寧に舐め上げ、そっと所有印を刻んでいく。 くちゅりっという水音が上がる度に、シェリルの体がピクリっと跳ね、自身を煽る波から逃げようと、シーツをぎゅっと握り締めると、シーツに新たな線が引かれた。 「アルッ・・・っぁ・・・んっ・・・・あっ、はぁ・・・」 呼ばれる名前は、途中で途切れて意味を成さない。 けれど、自分を求める声は、耳にする度にアルトの中にくすぶる黒い感情をゆっくりと溶かしてゆく。 アルトは声を引き出そうと夢中でシェリルを煽った。 先ほどのカードに書かれていたのは卑猥なメッセージ。 送り主の願いが透けて見えるようなソレは、シェリルがこうなってしまうのを想像しながら作られたのだろう。 そして、そうなったシェリルを自分がどうするかも想像しながら。 シェリルが芸能人という立場にある以上、そういう対象として見られることもあることは分かっていたつもりだった。 けれど、やはりそれは分かっていただけで、理解できていたわけではなかった。 自分以外の誰かがシェリルに触れたり、"そういうこと"をしたいと思うだけでも面白くないと感じる。 懐が狭いと自分でも思うのだが、それでもこの感情に箍はかかってくれなかった。 「シェリル?」 「アルッ・・・ト、っ・・ぁ・ん」 自分一人でいいのだ。 シェリルに触れるのも、こんな姿を見れるのも。 自分ひとりがいいのだ。 頼られるのも、甘えられるのも。 どんな立場であってもそれが自分とシェリルを繋ぐものなら譲りたくないと思ってしまう。 声がききたくて、名前を呼んでほしくて、自分ひとりだといってほしくて、夢中だった。 自分のことだけ考えてほしくて、感じてほしくて、求めてほしかった。 「アルト?」 シェリルの不安そうな声が、アルトを引き戻す。 見つめた先にあったのは、自分をじっと見つめるシェリルのまっすぐな瞳だった。 「あっ・・・・」 何か言わなければならないと感じたものの、アルトの口からは何も出てこない。 焦るアルトを不思議そうに見つめた瞳が、不意に優しく微笑んだ。 力の入らない腕を必死に伸ばしてアルトを抱こうとする。 慌ててその身体を抱きしめると、シェリルがアルトへと擦り寄り、愛しそうに何度も頭を撫でた。 「アルト、も、一緒じゃなきゃ嫌、よ?」 そう耳元で囁かれ、唇を塞がれた。 そのまま胸の中へ崩れ落ちたシェリルが優しくアルトの頬に触れ、そして恥ずかしそうにはにかんだ。 「シ、よ?一緒に。」 熱烈な誘い文句に、アルトが噴出し、敵わないなと笑い出す。 その様子に少しだけ唇を尖らせたシェリルも次の瞬間にはクスクスと笑った。 そして、交わされたのは甘い、甘いキス。 一瞬にして部屋の空気が甘く変わった。 戯れるように互いに触れ、そして気の向くままにキスを落としあう。 手が絡み、舌が絡み、お互いの熱が絡む。 触れる唇がくすぐったくて、舌がこそばゆくて、まるでイタズラをしあう子供のようになる。 「大好きよ。アルト」 「・・・・俺もだ」 嬉しさから零れた言葉は、いつもと違って素直に紡ぎあうことができた。 満たされる感覚。 身体だけでなく、心の内側から、温かいもので満たされていく感覚。 愛しく思う気持ちが、どんどん、どんどん大きくなって、それはやがて笑みへと変わっていく。 触れる全てが愛しくて、心地よくて、幸せだと思った。 「シェリル、入れるぞ」 「うん」 極限まで張り詰めていた自身を宛がい、中へとゆっくり押し込んでいく。 侵される感覚にシェリルの身体が一瞬こわばったけれど、それはすんなりと先を飲み込んだ。 「・ぁ、んっ・・・・」 全てを収めてしまうと同時に動きだしたアルトに向けて、シェリルから声が上がる。 普段ならここで少し時間を貰えるはずだということを覚えこまされていたシェリルはその急な動きについていけなかった。 ぎゅっと目をつぶり、押し寄せては返る波をなんとかやり過ごそうとシェリルは必死に身をよじる けれど、それでアルトが止まるはずもない 揺さぶられる度に声が零れ落ち、ゾクリとする感覚が背筋を擽り上げていく。 自分の内側をぐちゃぐちゃに掻き回される感覚を目の前にいる人物が与えてくれているのだという 事実はシェリルを密かに嬉しくした。 浮かぶ涙も、上擦る声も、全てアルトのせいだ。 アルトのせいで、アルトが与えてくれるのだ。 引き抜かれ、押し込まれる度にガクガクとシェリルの身体が震える。 もっと、もっとアルトがほしくて、でも、もっと、もっとこうして繋がっていたくもあった。 「あ、あ、あ・・・・ぁあ・・・ッん」 絶え間なく喘ぎが零れるのと同様にアルトの律動もその速さを増していく。 快楽の波はもう寄せるばかりで、引く時間を与えてはくれない。 それでも、決定的な刺激はもたらされないから意識を飛ばすことも敵わない。 頭はもう、真っ白で手に触れる温かい感触だけしか考えられなかった。 「アルッ・・・・も、・お願・・ぃ・・・・」 やっとの思いで零した願いは、ちゃんと言葉になっていたのだろうか? 深さを増していく突き上げにその言葉が届いていればいいなと思った。 ギリギリまで引き抜かれ、そして奥を突かれる。 その何度目かの突き上げに、シェリルは耐えることができなかった。 「あぁあ・・・・・ッ!」 組み敷いた白い裸体が一際大きく跳ねたと同時にぎゅっと締め付けられ、アルトも熱を吐き出す。 熱いものが身体の中に温かいものが広がっていく感覚はどうしてこうも自分を嬉しくさせるのだろうとシェリルは思った。 隣に力なく横たわった身体にぴったりと寄り添うと、うつ伏せたアルトの目が開く。 それににこりと微笑んでシェリルも身体を反転させた。 二人して同じ格好をしてベットに転がり、手を繋ぐ。 力は余り入らなかったけれど、その分アルトが握り返してくれたから嬉しかった。 温かなお互いの体温と疲労感がゆっくり睡魔を引いてくる。 ゆらゆらと心地のいい感覚にシェリルの意識が遠ざかっていく。 けれど、ぎゅっと繋いだ手の感覚はちっとも揺らがなかったから、それがとても幸せだと思えた。 「・・・・シェリル?!」 「ん?」 ほとんど眠りに落ちかけていたシェリルの意識が揺り起こされる。 寝ぼけ眼の瞳を開くと、そこにはアルトの驚いたような顔があった。 手にはシェリルの作ったチョコレートの小さな箱がある。 アルトの驚いた顔が見れたことに、シェリルは嬉しそうに微笑んだ。 「何でしょう?」 「・・・チョコレートか」 「ふふ。」 アルトの問いかけにシェリルは答えず、楽しげに笑うだけだ。 その様子に、アルトは急いで掛けられていたリボンを外す。 中から出てきたのは、なんとか丸くしましたといわんばかりの不器用な形をしたチョコレート。 わくわくする視線を送ってくるシェリルの要望に応え、それをアルトは口の中へと放り込んだ。 「・・・・うまい。」 当然でしょ?という表情の前にちらりと見えたのは、嬉しそうな笑顔。 そのことに、素直じゃないなとアルトが苦く笑い、その鼻先を軽く摘んでやった。 「お前、意地悪だな。」 そう言うアルトにシェリルがクスクスと笑う。 きっと、一生懸命作ってくれたのだろう。 そして、自分を驚かすのを楽しみにしていたのだろう。 容易に想像できるその姿がアルトの笑みを誘った。 「半分やるよ。」 そう言って、ほとんど蕩けかかったチョコレートをシェリルの口の中へと押し込む。 そして、なくなる直前に「やっぱり返せ。」っと言って残りを攫ってしまった。 剥れるシェリルにアルトが意地悪く笑う。 そして、その甘い余韻だけを与えようとシェリルに優しく口付けた。 溶けてしまえばいい。 このチョコレートのようにドロドロに溶けて、一緒になってしまえたらいいのに。 甘怠い感覚の中に未だに残る小さな黒い感情を消し去るように腕の中で眠る存在をぎゅっと優しく抱きしめる。 シェリルの温かい体温と香りに満たされる感覚に幸せそうに笑いながら、シェリルと 共に意識を手放した。 寝静まった部屋にカサリッという何かが落ちる音がする。 小さな白いカードに書かれていたのは、 "Je vous aime foever" そして、"Merci pour tout. Je ne l'ai jamais dit, mais je vous ai toujours apprecies." (I love you foever.) (Thank you for everything. I've never said it, but I've always appreciated you.) 以上です。 やりたいネタ一杯あったけど、挫折しました。 シェリルの作ったチョコレートをアルトがシェリルに塗りたくって舐めるとか、 2回戦とか行ったり、リボンでイタズラとかもあったのに、無理~!!! だれか、やってください。お願いします。 長々とすみませんでした。 そして、たくさん支援していただいてありがとうございました。 ちなみに、連投(連投でなくとも)は10回で規制されます。30分後に一度解除。 そのあと、少し長めの規制が入るみたいです。