約 495,180 件
https://w.atwiki.jp/macrossf-eparo/pages/156.html
360 :助太刀、矢三郎 +アルシェリ+:2008/12/21(日) 17 19 59 ID Ajs7mc3l 「シェリル......」 切なげに掠れたアルトの声がそう広くない部屋に響く。 「アルト......」 お互いを見つめる瞳は潤んで熱を孕んで輝いている。 「...いいか?」 眉を少し寄せて苦しそうにするアルトにシェリルはドキドキしながら頷いた。 膝立ちになったアルトの、知識としては知っていたが実際見た事のないモノに シェリルの瞳は吸い寄せられる様に視線は固まり、一瞬後に青ざめた。 熱く潤んだ場所に熱く固いものが宛がわれ、慌てたシェリルは腰を引く。 「だ、駄目!待って!そんなの入らない!」 軽くパニックになってるシェリルは傍にあったシーツを掴み後ずさった。 「シェリル?」 ちょっと情けないままの格好のアルトはどうしようかと思案顔だ。 ズルズルと襖の所まで行くとイヤイヤと言う様に首を振る 「無理よ!そんなの入らない!」 シェリルがそう言い切ったと同時に襖が開き、思っても見なかった人物が登場する。 「大丈夫ですよ、シェリルさん。女は受け入れられる様になっているんです」 あっけに取られる2人を傍目に矢三郎はシェリルの背後に回ると後ろから羽交い締めにする 「なっ!兄さん?!」 「ちょっと何?! 矢三郎さんっ?!」 慌てるアルトを無視してシェリルを布団まで連れ戻し、アルトの前に座った。 「いいですか、アルトさん、閨事の時くらいは男らしく振る舞いなさい」 あっけにとられる2人を前にいつもと変わらぬ淡々とした口ぶりで言葉を続ける 「ああ、アルトさんがぼやっとしてるから乾いてしまってるではないですか」 シェリルの下肢の付け根に手を伸ばし、慣れた手つきで嬲る。 「乙女を散らす時は、必要以上に濡らしてあげないと相手が可哀相です」 しなやかな手つきはアルトの優しいが無骨な動きとは違い確実にシェリルを高めていく。 「ちょっと!や、めなさっ、あっ、やめっ、っ...ぁ!」 的確な場所を責められて抵抗していたシェリルの力も段々抜けていく。 惚けるアルトの手を取りシェリルの弱い所へ導く。 「女性は此処が弱いんです。中を弄りながらも、此処を舐めたり弄ったりすると 女性は気をやってしまうんですよ。シェリルさんを痛い目にあわせたくないでしょう?」 矢三郎はシェリルの足を開き、アルトを導いた。 「やっ、アルト!!駄目、汚いっ」 抵抗と言えない抵抗をしてシェリルは拒否を示した。 「ふふ、普段生意気なアルトさんに大人しく奉仕させるのもいいものですよ? あなたも気持ちよくなれるし一石二鳥ではないですか」 耳元で宥める様に、だけれども蠱惑的に囁く。 「っ!!!」 矢三郎に促されるままにアルトはシェリルの珊瑚色の膨らみを捉え舐る。 パチンと何かが弾ける様な感覚にシェリルは震えた。 きゅぅっとアルトの指を締め付ける様に蠢くと弛緩する。 「シェリル?イッたのか?」 驚いた様で、少し嬉しげなアルトの声が自分の足下から聞こえてくる。 シェリルは恥ずかしくて、真っ赤になり穴を掘ってでも入りたいと思った。 「ふふ、イきましたか。アルトさん、見てご覧なさい。シェリルさんの肌が 桃色に染まって艶かしい。それに......これだけ濡れていれば準備は十分でしょう」 「や、アルト。見ないで」 イッたばかりのそこに無遠慮に手を伸ばし、ワザと音を立てる様にして 矢三郎はシェリルの羞恥心を煽った。 「物欲しそうに涎を垂らして、可愛らしい人ですね」 「や...やだ」 「ほらアルトさん、挿れて差し上げて下さい」 「だけど.....」 矢三郎の言葉に乗ってしまったが嫌がる事はしたくないアルトは迷いを見せた。 「...煮え切らない人ですね。シェリルさんはどうなんです?アルトさんが欲しくありませんか? ほら、此処が疼くでしょう?指だけで足りますか?痛いのは最初だけです 回数を重ねる事にちゃんと気持ちよくなれます。愛する人を内側で感じられるんですよ? こんな素敵な事を怖がるなんてもったいないですよ。ね?欲しいでしょう?」 耳元でシェリルの心もくすぐりながらも内側の絶妙な所を撫でて弄る。 「ん、ぁ....っ」 チロチロと欲望の炎を燻り、煽り立てる矢三郎の声はシェリルの脳内に溶けていく。 「ぁ...っアルト.....来てっ」 「ほら、アルトさん。シェリルさんもこう言ってる事ですし」 いつもと変わらぬ微笑にいつもと変わらない口調でアルトを導く 「シェリル....」 矢三郎に凭れ掛かりながらも、熱に浮かされた様にアルトを見つめるシェリル その唇にキスを落として熱く泥濘きった場所へと己を差し入れた。 「っ痛!!」 「やめるか?」 矢三郎に流されたシェリルが言ったものの、やはり無理強いはしたくない。 「駄目、やめないで」 と涙を浮かべるシェリルにアルトはきゅん、となり抱きしめた。 「力抜け、締め付けられたら入れられない」 「そうですよ、シェリルさん、後は力を抜いてアルトさんに全て任せなさい さて、私もここで失礼します。後はお若いお二人でごゆっくり」 そう言うといつも通りニコニコと襖の奥へと去っていった。 「......」 「......まだ居るのかしら?」 気が抜けた様にシェリルが呟くとアルトは苦笑しながら頬や額に張り付いた シェリルの髪を撫で付けてやり、流れのまま柔らかい髪を梳いた。 「母屋に帰っただろ、かすかに引き戸の音したし」 「....ねぇアルト、どさくさにまぎれて裸見られたんだけど」 怒った様にシェリルが呟くとアルトもむっとした表情を見せたが内心 少し兄さんに感謝していた。あのままだったら進むものも進まなかっただろうから。 「...ムカつくけどきっと兄さんはなんとも思ってないさ。あの人は女形の研究の為に 女性関連の研究は稽古の一部としか思ってない人だから」 「そう....でもあたし...っ!!!!!!」 半分繋がったまま会話を続けるつもりもないアルトは不満げに呟くシェリルの 内側が少し緩んだ瞬間シェリルの腰を引き寄せ一気に貫いた。 声にならない悲鳴をあげたシェリルは背を反らし、跳ねた。 「っ、シェリル...締め、付けるな」 「痛いわねっ!!何すんのよ!馬鹿アルトっ!」 涙を浮かべながらもこっちを睨みつけてくるシェリルはもう既にいつものシェリル さっきまでの色気は一体何処へ消え去ったんだろうか 「お前な、ちょっとはロマンチックに振る舞ってくれ」 「ロマンチックって!アルトが悪いんでしょっ」 「....悪かったよ。それは今後の課題にすればいいだろ」 「っ今後って何よっ」 「段々慣れてきたらきっとマシになるさ」 「マシって......」 「シェリル......限界。動いていい?」 「し、仕方ないわね、.....痛くしたら許さないんだからね」 くぐもった声は次第に艶を帯びて、切羽詰まった声へと変化していく。 恋人達の夜は始まったばかり。 「 困った事があればいつでもお呼びを。 矢三郎 」 次の日廊下にそんな置き手紙を見つけた2人は顔を合わせて赤面した。
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/40.html
5スレ23 St.Valentine Day 23 名前:St.Valentine Day 投稿日:2009/02/01(日) 23 00 03 「たっだいまーーー!!」 「・・・・・お前、何時だと思ってるんだ?」 玄関先で響いた上機嫌な声に、アルトの眉根が寄る。 時刻はAM1:20 通常なら誰もが夢を見ている時間だ。 外の世界の照明は落とされ、頼りになるのは街灯の光だけという静かな夜の世界。 歩く人どころか、数台の車さえ走っていないような夜には実に似つかわしくない声だ。 ふらふらとなんとか歩を進める様子から彼女が正気でないことが見て取れる。 まっすぐ歩こうする努力は見られるものの、身体が左右に大きく揺れるためその歩みは遅い。 酔っているな。 それも、結構ひどく。 言葉にこそ出さないが、アルトは顔を顰めたまま心の内で悪態をつきたくなる。 空けておいてっと言われた日に軍の訓練が入ってしまったことは確かに申し訳なかったと思う。 申し訳ないと思ったから、訓練の終了と共に急いで帰り支度をして、遊びに行こうという同僚からの誘いを振り切り、ほとんど飛ぶようにして家に帰ってきた。 侘びのつもりで夕食にはシェリルの好きなものを並べたし、きちんと謝罪もしようと思っていた。 全ての準備を整え、帰ってくるのを今か今かと待っていたというのに、当のシェリルが帰ってくる様子はなく、連絡を取ろうと携帯端末をコールしても返ってくるのは『ただいま、お返事できません』という自動端末の声ばかり。 待てども、待てども連絡はなく、何かあったのかと心配し、警察に連絡しようかと悩んでいた時に ようやく届いたメールには『遅くなる。』っというたった一言のメッセージがあるだけだった。 時間もどこにいるのかも、何にも書いていないそのメールに『待ってるから、急いで帰って来い』 とメールを返しすでに5時間が経過していた。 ちなみに、その間の連絡は一切なしだ。 自分が悪いのは分かっていたのだが、それでもこの仕打ちは理不尽だと思う。 アルトは盛大に顔を顰めたままで、シェリルを出迎えるとそのままさっさと先ほどまで自分がいた 寝室まで戻ることにした。 が、それも阻まれることとなる。 ドサッという音に振り向けば、見事にシェリルがしゃがみこんでいた。 どうやら家に帰りついたことで安堵し、力が抜けたらしい。 心の中でもう一度理不尽だ!!っと呟いた後、アルトは仕方なく目の前の女王様を抱き上げた。 お姫様抱っこと呼ばれる方法で寝室まで運び、動かないように言いつけてから酔い覚ましの薬と水を台所まで取りに行く。 戻るころには落ちている可能性の高さを感じ、その行為の無意味さに軽く息を吐きつつ戻ると、 予想外なことに、シェリルは自分を同じ姿勢のまま待っていた。 「ほら。」 「ん。ありがとう。」 勢いよく突き出された冷たい水に律儀に礼を返し、受け取ろうとするシェリルの手が震えている。 その様子にもう一度深くため息をつくと、アルトは自らもベットへと上がり、シェリルを背後から支えてやる。 コクッという音と共に薬が流されたのを見届けるとアルトはコップをサイドボードへと移した。 「あると」 「何だ?」 酒のせいで呂律が回っていない。 空色の瞳も酒の為に潤み、先ほど水を飲んだせいで唇もキラキラと輝いている。 抱いたむき出しの肩は熱く、肌からは甘い香水が香る。 なんとも魅力的な姿だ。 ワンピースの胸元から覗く白い肌から視線を引っぺがし、頭の中で宇宙物理学の難しい公式をいくつも 思い出しながらその誘惑に耐え、アルトはシェリルに寝るように言う。 すると、シェリルがフルフルと頭を振った。 「・・・・シェリル?」 「んっ!!」 「??」 「ん~~~!!」 シェリルの言いたいことが分からず、戸惑うアルトにシェリルが先ほどまで持っていた鞄を指差す。 不思議に思いながらそれを拾ってシェリルに渡すと、シェリルがすぐに中から小さな箱を取り出した。 そして、それをアルトへと突き出す。 「・・・・くれるのか?」 そう訊ねるアルトにシェリルがにっこりと笑い、頷いた。 「・・・・ありがとう。」 そう言い、取りあえずサイドボードにそれを置きなおすと、シェリルが再びそれを取ってアルトへと押し付けてくる。 開けろということだろうか? 「・・・・明日の朝の楽しみにするから、今日はもう寝ろ。」 「・・・・・・・」 正直言って眠かった。 だから、シェリルにそう言い、もう一度それをサイドボードへ置いた。 ベットの脇についているランプに灯りを点し、部屋の電気を消して戻ってくると、先ほどアルトが置きなおした箱をシェリルが再び手にしている。 それだけじゃなく、勝手にリボンも解き始めていた。 おいおいおい。 俺宛じゃなかったのかよ。 心の中で突っ込み、額に手をやる。 いったい何がしたいのかと、半ば呆れながら目を開くと、目の前には小さく丸い物体を摘んだシェリルの白い指があった。 「・・・・・チョコレート?」 自らが呟いた言葉に、アルトの肩がピクリっと震え、一つの可能性が頭を過ぎった。 慌ててベット脇に置かれたカレンダーを確認すると、日付は2月15日となっている。 どおりでシェリルがこの日をあけておけと言ったわけだ。 そして、急に軍の訓練が入ったり、同僚がしきりに声を掛けてきたわけも分かった。 バレンタインデーだったのだ。 ようやく繋がった真実にアルトは急いでシェリルの膝元に置かれた先ほどの箱を取り上げる。 中身が零れないように、注意してその箱の裏書を見ると、その製造場所が『マクロス7』だということが分かった。 朝早くからシェリルがいなかったのは、コレが原因だったのだ。 「お前・・・・」 呟くようにしてそう言ったアルトとシェリルの視線が交わる。 アルトの呟きにふんわりとシェリルが微笑んだ。 「ハッピーバレンタイン。あると」 そう言って差し出されたチョコレート。 落としてしまわないようにとシェリルの手首を掴み、顔を近づけた瞬間、シェリルの手からチョコレートが滑り落ち、 シェリルの胸元を滑ってベットへと転がった。 シェリルの肌の熱に、チョコレートが解けたのだ。 「あっ・・・。」 転がったチョコレートを拾い上げたシェリルの指ごと口に含み、舌の上で蕩けていく感触を楽しむ。 口内に広がる甘ったるい香りは、本来アルトが好きなものではないけれど、今日のそれは不思議とおいしく思えた。 チョコレートが消えてしまうと、アルトはチョコレートの後が残るシェリルの指先捕らえ、今度はそれに舌を這わす。 指先から舐め上げてやると、くすぐったいらしくシェリルが身をよじった。 意地悪のつもりで、丹念に何度も何度も舐め上げてやると、徐々にシェリルの口から熱い吐息が零れだす。 それを頬に感じたアルトは両腕を捕らえたまま、今度はシェリルの胸元へと唇を寄せた。 先ほど転がったチョコレートが残した後を舐め取ると、いっそう潤んだ空色とアルトの視線がぶつかる。 そのままそっと唇を啄ばむと、今度はシェリルが軽いキスを返してくれた。 お返しにと、アルトが再び唇を合わせるとシェリルも同じように返してくる。 小さい子供のイタズラのようなキスを戯れに何度も、何度も繰り返すうちに、だんだん深いものへと変わっていく。 舌と舌が絡まると、口内に少しアルコールの苦味を感じた。 大方、このチョコレートに合うシャンパンでも探して、色々飲み比べていたのだろう。 もともとそんなに強くないシェリルが自分の為にそこまでしてくれたのが嬉しくて、アルトの口元が知らず知らずのうちに緩む。 そのままシェリルをベットへと押し倒し、馬乗りになりながら何度も何度も舌を絡めた。 貪るアルトの”熱”がゆっくりと上がりだす。 荒く息継ぎを繰り返しながら、深く、深くもとめ、シェリルの着ていたワンピースの小さなボタンを外してゆく。 腹の辺りまで一気に外し終えると、一瞬の沈黙が部屋へと降りた。 部屋に響くのは、互いの呼吸だけ。 瞳に映るのは、互いだけ。 求めるのも、たった一人だけ。 「アルト。・・・・・シ、て」 静寂を破ったのは、熱に侵された甘い声。 アルトはゆっくりと目の前で上下する白い胸元へ顔を埋めた。 柔らかな肌の丸みと感触を楽しみながら覆う下着を外す。 それから、アルトはその首筋に優しく噛み付いた。 口付けて、舌を滑らせて、軽く吸って赤い花を咲かせる。 乳房を煽り、口に含んで愛撫すると、シーツにいくつもの新たな波が引かれる。 滑らかな肌に触れ、茂みに舌を這わせ、零れてくる愛液を丹念に舐め取った。 中へと押し入った指が中の熱さをアルトに伝える。 「シェリル。」 耳元で囁かれた甘い声に、シェリルの背中がぞくりとした。 押し当てられた"熱"に貫かれる感覚が思い出され、腰が震えた。 「ちょう、だい。・・・・アルトの。」 自らが口にした言葉に、シェリルの熱が上がる。 けれど、それを止める理性なんてもう、どこにも残っていなかった。 ゆっくりと身体を下へと動かし、自ら"アルト"を飲み込んでいく。 「・・・・大胆だな。今夜は」 シェリルの行動に、アルトが笑う。 そして、自分もその感覚を追うために、一気に腰を進めた。 零れ落ちるたくさんの愛液が潤滑油に代わり、中へ侵入するのを助けてくれる。 自分を包み込む熱い身体に、アルトが詰めていた息をゆるゆると吐き出す。 「シェリル。動くぞ?」 「う・・ん。きて・・・」 甘い誘いの言葉。 アルトはそれに優しく微笑み、なめらかな額に軽いキスを送った後、律動を開始する。 ぐちゅりっという淫乱な水音と嬌声が部屋を満たしていく。 「…んっ………あ、…ふっ、あっ」 「シェリ、ル・・・」 突くたびに身体が跳ね、声が生まれる。 極限まで潤んでいたシェリルの瞳からは、涙が零れ落ちる。 扇情的なその光景が、アルトをさらに熱くする。 組み敷き、何度も何度も揺らしながら、そっと頬に触れると濡れた双眸が開いた。 そのまま優しく唇を吸い、溶かしていく。 自分の頭を大切そうに抱きこむ腕に一度身を寄せ、逃げ出してもう一度その喉元に舌を這わす。 自分を追い詰めようとする快楽の波から逃げるようにいやいやと首を振る様子に、アルトが笑う。 「シェリル。」 「ん・・・きゃぁ!!」 名前を呼んで抱きしめ、繋がったままでくるりと身体を入れ替えると、シェリルから小さく悲鳴が上がった。 「シェリル。動いて?」 「・・・・っ//////////」 耳元で、いつもの甘い声が響いたと思ったら、目の前にアルトの顔があった。 先ほどと違うのは互いの位置。 いつの間にか、自分がアルトの上にいる。 アルトの胸に手をつき、慌てて身体を起こしたシェリルの身体が大きく跳ね、背筋が反った。 同時に、今まで感じたことのない感覚に襲われ、シェリルから一際高い声が漏れる。 そして、くたりっとアルトの上へと倒れてきた。 それを抱きとめた状態のまま、アルトが優しくシェリルの髪を梳く。 何度も、何度も優しく撫でてやりながら、アルトはシェリルを揺り起こす。 2,3回名前を呼ぶと、シェリルがうっすらと目を開けた。 「・・・アルト?」 「おはよう。」 まだとろんと蕩けた視線にアルトが苦笑し、唇をゆっくりと合わせて絡めてやると、徐々にシェリルの瞳が光を取り戻していく。 それを間近に見ながらアルトはシェリルの右手を取り、その甲に見せ付けるようにキスをした。 慌てて起き上がろうとするシェリルの手を掴み、それをゆっくりな動きに変えてやる。 目の前で苦笑するアルトの表情と裸に、ぼんやりとしていたシェリルの頭から一気に靄が引き、状況をようやく把握させた。 自分がアルトの上に"乗って"いる。 そして、アルトに見られている。 顔が、一瞬にして熱くなった。 「動いて。」 掛けられる言葉は前と同じ。 そして、それは甘く響き、シェリルの脳をくらくらとさせる。 下から、自分を見上げるアルトの視線が恥ずかしくてたまらない。 顔を隠そうにも、片手はすでに捕らえられ、片方は自身を必死に支えているから無理だ。 恥ずかしさに、目頭まで熱くなってくる。 「シェリル?」 優しい声がシェリルをさらに追い詰める。 情けなく、へにょりと歪んだ口元と潤んだ瞳のシェリルからはいつもの強気な感じがしない。 急にいつもの数倍可愛らしくなってしまったシェリルに、アルトの口元が緩んだ。 掴んだままのシェリルの手に唇を寄せて軽く甘噛みし、空いているもう片方の手でピンクの髪をそっと引く。 視線を捉えたままの状態で小さく『大丈夫だ』っと伝えると、シェリルの唇がきゅっと引き結ばれた。 アルトの胸に両手を当ててバランスを取りながら、ぎこちなく腰をゆるゆると動かしだす。 不安そうな瞳に、気持ちいいことをアルトが伝えるとシェリルがくしゃりと笑った。 徐々にシェリルが成れてきたらしく腰が大胆に動き始める。 片肘で身体のバランスを取りながら、もう片方の手や唇でシェリルの胸をアルトが愛撫し、煽る。 「んんっ。」 時々キスを交わしながら互いを愛した。 シェリルから零れ落ちる愛液がアルトを伝い、シーツを汚す。 「シェリル、交代。」 「・・・・イヤ。」 どうやら、自分がアルトをイかせられないのが嫌らしい。 熱い吐息を零しながら、腰を動かし続けるシェリルを止めるべく、アルトが下から突き上げる。 「ゃんっ!!」 深く、深く打ち込まれたアルトの"熱"に、シェリルの身体が力を失う。 倒れてきた身体を受け止め、自分との位置を入れ替えると、アルトは優しく前髪を梳いてやる。 「続きは、今度な。」 「・・・・バカあると。」 「・・・・・・・・」 返って来た悪態に苦笑しつつ、アルトはゆっくりと律動を早めていく。 すぐにシェリルにも快楽の波が迫りだした。 「やだ!!アルト、ゆっくり!!・・・まっ・・」 「待てないっ・・・」 アルトの声にも余裕が感じられない。 激しさを増していくアルトの腰に、シェリルの思考が蕩けていく。 自分が何を言っているのかももう、分からなかった。 熱い肌に、時々走るシーツの冷たい感触が心地よく、アルトから落ちてくる汗がシェリルを濡らす。 無我夢中で手を伸ばし、アルトの背中に腕を回すだけで、もう限界だった。 「シェリルッ!!」 熱い吐息が首筋をなぞった。 一気に引き抜かれたと思ったら、今度はその逆。 最深部を突いたアルトに、シェリルが熱い声を上げた。 そして、熱がシェリルの中へと注がれる。 自分の中に広がるいつもの感覚に、シェリルはうっすらと微笑んだ。 自分の横には肩で荒く呼吸を繰り返すアルトが転がっている。 その閉じられた瞳が見たくて、シェリルは優しくアルトに触れた。 額と鼻先にキスをして擦り寄る。 瞳を開けたアルトが笑い、シェリルを腕の中へ閉じ込めた。 独特の倦怠感が二人を取り巻くけれど、それを嫌だとは思わなかった。 部屋の空気は静かで、甘い。 「HAPPY VALENTINE, ALTO」 独特の発音で紡がれた言葉に、アルトは優しいキスを返す。 そのまま二人は、ゆるやかな眠りへと落ちていった。 St.Valentine Day それは、甘い愛の日。 以上です。ありがとうございました!!
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/61.html
250物語7 儀式 234 名前:えっちな18禁さん[sage] 投稿日:2009/04/05(日) 05 50 05 ID 5k/IFSnD0 250物語。久しぶりなので文体が変わってるかも知れません。 突然始まりますが、端折ってる部分は適当に補ってください。エロまで到達してません。 儀式の場は、暗い洞窟内に移った。 シェリル、祭司達に続いて、神官や近衛兵たちが入っていき、 アルトもそれに倣い洞窟内に足を歩みを進め、儀式の進行を見守った。 洞窟の中央で白い薄布の長衣を着たシェリルが祭司から渡された捧げ物を 神への言葉とともに祭壇へと捧げている。 たいまつに薄暗く赤い灯りではアルトからの距離ではあまりよく見えないが、 神官に儀式の意味を学んでいたので、シェリルの一挙一動を興味深く観察していた。 ふいにシェリルが白く輝きだした。 天井の穴からちょうど頂点に上った満月がシェリルを照らしているのだ。 その姿、動きや表情、支配される場の神々しさにアルトは息をのんだ。 白く浮かび上がったシェリルが祭司の声に唱和し、洞窟内にこだましていた。 その歌にも聞こえる澄んだ音声に身をゆだねようとしていたところ、 ふと、アルトはシェリルをはさんで対角線上の近衛兵が じわりと中央へと近づくいていくのを目にした。 きらりと、持っていないはずの刀が明りを反射したのが見えた瞬間、 アルトは反射的に走り出した 「シェリル!」 「この、あばずれめ!」 アルトは刀を振り上げた男とシェリルの間に割って入り、 たいまつで刀を受けたが、2分され失速した刃がアルトの左腕を切り裂いた。 男の勢いを殺した隙に、アルトが男を足でけり飛ばすと、 他の近衛兵が近づき、取り押さえた。 アルトがシェリルを振り返ると、儀式を続けていたシェリルがちらりと目をやり 目と目があった。 うなづくようにまばたきで合図を送ると シェリルは再び儀式に無心な、まるで憑依されたかのような表情になった。 シェリルが無事儀式を続行するのを見届けたアルトは 神官に連れられ、傷の治療のために洞窟を後にした。 幸い、毒は塗られていないようであったが、 傷により治療後から発熱し始めたアルトは、儀式へ戻ることなく、床へ臥した。 目を合わせるだけで存在を感じ合えるシェリルの 人でないかのように神々しい女王の表情を思い出し、胸がざわりとしたが 夜遅いこともあり、熱にうなされたアルトの意識は次第に遠のいていった。 怪我が大きなものではないことを見てはいたが、 儀式を終え、首謀者洗い出し捜査の指示を出したシェリルは アルトの下へと急いだ。 アルトの命に別状はなく、眠っているとの報告を聞いたが、 それでも彼の顔が見たい。 熱と痛みにうなされてはいるが、うす明りに照らされたアルトの血色は良く、 ほっとしたシェリルは体の力が抜けていくのを感じた。 シェリルは、自分が十分な世話が出来ないことを分かっていたので 看病をしている女官を下がらせることも出来ず アルトに縋るたい気持ちを抑え、ただアルトの枕もとに静かに坐した。 自分の近くにいれば、いずれアルトを危険にさらしてしまうとは分かっていたが いざその時が来てしまうと、怖くて、悲しくて、悔しくて仕方がなかった。 眠る愛しい男の顔を眺めながら、 別れの時を決断しなければならないのだろうかと、 シェリルは疲れた頭でぼんやりと考えた。 神がいるとしたら、とても残酷な存在だ。 泡沫の幸せを与えておきながら、それを自らの意思で破壊させるのだから。 しかし、自分の幸せに縋りついて、彼を道連れにすることはきっと、もっと苦しい。 #### 日が高くなり始めた頃、アルトが目を覚ました。 馴染みの蒼い瞳を目にしたアルトから安堵の笑みがこぼれた。 「シェリル……陛下、お怪我は召されませんでしたか?」 シェリルがベールとマスクをしているのに気づいたアルトは とっさに女王陛下への会話に切り替えた。 「ええ、おかげ様で。礼を言うわ。無事、儀式も終えることができました。」 シェリルの瞳が微笑み返してくれたが、マスクに覆われない顔が見たい。 抱きしめてその無事を実感したい、と思い、アルトは周囲の者を下がらせようとしたが シェリルが制止した。 「目を覚ましたばかりです。まだ暫くはゆっくり休みなさい」 シェリルがすっと立ち上がり去っていくのを 留めたい気持をもてあましながら、アルトは見送った。 病床でかいた汗を流してすっきりしたアルトは、 腹が空いていることに気づいた。 もともと、怪我をしただけなので、食欲は旺盛なのだ。 女主人として客人はもてなすとのことで このオアシスについてから儀式で同伴できない場合を除いて 毎食をシェリルとともにしていたが 今日はさすがに無理だろうと思いながら、アルトは食卓へ向かった。 シェリルと最後に食事をしたのは一昨日の夜で、大して時間は経っていないのだが 明るい食卓がやけに懐かしく感じられた。 オアシスに来て初めて、シェリルと食卓を囲んだにも関わらず その温かさがアルトの心に沁みついていたのだった。 シェリル不在の食卓にアルトが無自覚に意気消沈していたところに、シェリルがやって来た。 入口でマスクとベールを外し、テーブルへ向かうシェリルは、 光のもとで色素の薄さが際立ち、絵画の中の妖精のようだ。 アルトは妖精の羽を捕まえに行きたい焦燥感を我慢し、その挙動を見守った。 「何よ?」 久しぶりに会うのがくすぐったいのか、アルトに見つめられるのが落ち着かないのか シェリルが照れ隠しにしたふてぶてしい態度で羽が消えた。 「…い、いや!…無事で良かった。儀式、最後まで見れなくて悪かったな」 「いいの。依頼の件ならどうにでもなるわ。そんなことより、アルト、怪我はいいの?」 包帯の巻かれたアルトの左腕を心配そうにシェリルが見やった。 「このくらいの怪我は珍しいものじゃない。 そんなに、心配するなよ、シェリル。」 表情を曇らせるシェリルを抱きしめに行こうとしたアルトの腹が鳴り、 二人は顔を見合わせて笑った。 「そうね、いっぱい食べて、怪我を治さないと」 食卓についたアルトは、用意された水でひとまずの乾杯を促した。 「お水で乾杯?」 「お前、昼は酒飲まないだろ」 「それはそうだけど」 クスクスとシェリルが笑い、アルトの釣られて笑った。 「「カンパ~イ」」 「まずは、「お疲れ様!」」 水で喉を潤し、二人は陽の光りを存分に浴びた食事を開始した。 「あの洞窟の仕組みは良く出来てるな。 ちょうど夜半に月光が射すのに合わせて天窓が開けてあった。 …美しかった。儀式の時はどんなこと考えてたんだ?」 「神の恵みと民と国家の平安と繁栄を、と言いたいところだけど、 残念ながら、次の手順で頭がいっぱいよ。ある意味、無心ね」 「まあ、そんなもんだよな…」 「ふふっ。洞窟はなかなか良かったでしょ?これが王家の歴史の重みよ。 あんた一人だけで調査が終わるとは思ってないから、 ぼちぼちやって引き継げるようにしておいてちょうだい」 アレこれと会話を交わしつつ食事をしていたアルトは 視界に干し肉をつまむシェリルの指先が入り、どきりとした。 そして、シェリルが肉を口にするのを意識してしまう。 (禁欲は終わったんだな) アルトは、自分の考えた事に、心の中で苦笑いをした。 肉を食む唇さえ、妖美だ。 食事を終える頃になり、シェリルがうとうととし出した。 昨晩は一睡もしていなかったらしいので 疲れのたまった心身には無理もない。 「シェリル、もう寝ろ」 「ん~~~~、口を清めたら」 眉根を寄せて、目をしょぼしょぼとさせる 滅多に見られない幼い様子が、愛らしい。 不純な自分を申し訳なく思いながら、アルトはシェリルを洗面場へと連れていった。 握った手も、手を添えた華奢な肩も漂う甘い香りも、悩ましかった。 耐えきれずアルトがシェリルを後ろから抱きすくめると、 ふわりと今にも眠りそうなシェリルの顔がほころんだ。 その可憐な様子を見て、今は休ませてやらなければ、と ほとんど表に出てきそうな、己の奥に燻る欲を押さえてアルトは決心した。 ともすると寝込みすら襲ってしまいそうだったので シェリルの世話を女官に任せて、後ろ髪をひかれつつアルトは離宮を離れた。
https://w.atwiki.jp/macross-lily/pages/41.html
これ、機体の上に二人で寝そべってるんだけど、シェリルの手は自分のおっぱいの下です、残念ながら… しかし、ランカブラジャーしてないのか、この画像ランカだけ乳首たってるんだよね… シェリルに何かされた後だったんかもしれないな… 画像リンク:http //blog-imgs-26-origin.fc2.com/a/n/s/ansokuwww/mf1_101.jpg シェリル「うふ…この後撮影よ?そんなふらついた足で大丈夫?」 ランカ「もう!そうしたのはシェリルさんじゃないですか…」 シェリル「ふふ、そうね、じゃぁいくわよ」 ランカ「あ、シェリルさん、私のブラジャー返してください!」 シェリル「ん?だーめっ…そのままよ」 ランカ「シェリルさんのドs…」 ~撮影~ カメラマン「はーい、じゃぁ何枚か取りますね」 シェリル「ランカちゃん…胸、大丈夫?」 ランカ「ちょっとすーすーするけど…なんとか」 シェリル「そうなの?ちょっとつまんないな…んーそうだ」 ランカ「?」 シェリル「(耳元で)…ランカちゃん、今すぐランカちゃんにキスしたくなっちゃった」 ランカ「へ、、、へ!?しぇ。しぇりるさん!?」 シェリル「あら、想像して興奮しちゃった?乳首たっちゃったわね…うふ、私の責任だから、後でいっぱい償ってあげるわ」 ランカ「もうっ…シェリルさんたら…」 カメラマン「おっ、ちょっとはにかんだ表情が良いねー!」 こんな感じっすか。
https://w.atwiki.jp/macross-lily/pages/30.html
―――――――――シェリル サイド 軽く用事を済ませて、時間通りにスタジオに向かうシェリルの気分は上々だった。 コンサート後の疲れを癒す為にと、この2日間、強制的に休みを取らされたのである。 おかげで、ランカと会うのも2日ぶりだ。これで、機嫌が悪くなる筈が無い。 本当は、約束でも取り付けることが出来れば良かったのだが、 よりによってランカが兄達と約束をしていたので、シェリルは遠慮したのである。 休みをゆっくりランカと過ごす事が出来なかったのはシェリルにとって不本意だが、 その寂しさの裏で、ランカが家族と大切な時を過ごせているのだと思えば、苦ではない。 それに、2日ぶりに会うランカは、いつにも増して、輝いて見えるだろうから。 なのに、スタジオ前でシェリルが出会ったのは、落ち着かない仕草をしているエルモだった。 「おはようございまーす。……って、どうしたのかしら? 社長さん」 「あぁ、シェリルさん、おはようございマス。 いや、ちょっと困ってマシて」 「機材のトラブルでもあったの? それに、ランカちゃんは?」 普段なら、ランカはシェリルよりもずっと早く、現場に入っている。 エルモが何に困っているのかは知らないが、シェリルが気になるのはランカの不在の方だ。 しかし、シェリルがランカの名を出した途端、エルモが更に慌てた素振りを見せる。 「そそそ、そのランカちゃんなのデスヨ、問題ハ!」 「ランカちゃんがどうかしたの? まさか倒れたとか?」 エルモの口から飛び出たランカの名前に、シェリルはすかさず反応する。 ランカに問題が起きた。となれば、気になるのはランカの中にあるバジュラとの繋がりだ。 幾度となく重ねられた検査の結果、ランカの健康にはなんら問題がないと結論が出ているが、 何せバジュラの研究はまだ中途だ。想定外の何かが起きても不思議ではない。 すぐに体調不良を疑ったシェリルに、エルモは首を横に振った。 「いいえ、多分、健康に問題はないようデス。 パッと見ただけでは、特に落ち込んでいる風でもないのデスが。 ついさっき、歌の練習をされていたのを聴いていたら、その調子がね、ヘンなんですヨ。 いつものランカちゃんじゃないんデス」 「……分かったわ。ランカちゃんの様子を見てくるから、場所を教えて?」 「分かりまシタ」 エルモからランカの居場所を聞いて、シェリルはスタジオの裏に回る。 出来て間もないスタジオの裏側は、あまり整えられたとは言い難い、自然そのものの庭だ。 そこへ近づくにつれ、シェリルの耳に、愛しい声が聞こえてきた。 ―――それなら 私の唇の 日記には 貴女の名前 何回呼んだか書いてある ランカが正式にデビューしたシングル、「ねこ日記」だ。 ランカらしい、可愛い恋の歌なのに。今は、聞く者の胸を詰まらせる切なさがある。 シェリルは足早に裏庭に近づくと、ランカの後姿に声をかけた。 「こんな所でどうしたの、ランカちゃん?」 「シェリルさん!」 「もうすぐ歌の収録時間よ。と言っても。今の貴女に、それが出来るとは思えないけど」 「どうしてですか!? 私、今もこうしてちゃんと歌って」 「確かに歌ってはいるわね。でも、歌とそれに乗せる感情が、まるで合ってないの。 歌はね、時に言葉より表情よりもずうっと、饒舌なのよ。 ……何か、あったんでしょう? 話して、ランカちゃん」 シェリルは水を向けるが、ランカから返ってきたのは沈黙だった。 ワンピースの生地を両手で強く握り、俯く姿は、まるで何かに耐えているかのようだ。 ランカのそんな様子を見ていたくなくて、シェリルは更にランカに近づく。 あと一歩で、腕を伸ばせば触れる距離に入る。その寸前で、ランカが拒絶するように言った。 「ごめんなさい。話せないんです、シェリルさん」 その一言に、シェリルは足元が不安定になったような錯覚を受けた。 初めて会った時から、ランカはシェリルに懐いていたし、 シェリルもまた、そんなランカを可愛く思っていた。 何もかも話せる程、親密だったという事ではないけれど。 歌を通じて、気持ちを分かち合っていたのは間違いない。 そんなランカが、急に遠くに感じられてしまうのはこれで2度目だ。 「話せないだなんて。そんなの許してあげないわよ、ランカちゃん」 「……」 「フロンティアを飛び出していった時も、貴女は私に何も言ってくれなかった。 もう、あの時みたいなのはコリゴリなんだから!」 ランカがフロンティアを去ったと聞いた時の衝撃を、シェリルはまだ忘れられない。 大きすぎる消失感と、おきざりにされた寂しさとで、どうにかなりそうで。 あんな思いは、2度としたくない。その一念で、シェリルはランカの手を取った。 ―――――――――ランカ サイド 隙を突いて掴まれた腕を解こうとしても、解けない。 伝わってくるシェリルの熱い体温を感じながら、ランカは視線を上げた。 ランカの腕を掴みながら、シェリルがいつになく真剣な表情でこちらを見ている。 真剣というより、焦っている、というべきか。 「でも、私……」 話せる筈が無い、とランカは心の中で叫ぶ。 ランカの心が乱れている原因は、シェリルにあるのだから。 このスタジオに入る少し前。時間が余っているからと、寄り道をしたのが悪かった。 通りに面したカフェで、シェリルがアルトと会っているのを見てしまったのだ。 2人が何を話していたのかは知らない。 ただ、シェリルが満面の笑みを浮かべていた光景だけがランカの脳裏に焼きついている。 「ランカちゃん。お願い、話して」 「ダメです。話せません!」 シェリルがアルトを好きでいるなんて、分かりきっていた事だ。 なのに、コンサート初日の帰りにシェリルが囁いた言葉を、ランカが間違って解釈して。 たったそれだけの事で、勘違いしてしまった。 シェリルもまた、ランカに想いを寄せてくれているのではないかと、甘い夢を見てしまった。 だからこれは、自業自得なのだ。 「……分かったわ。何があったかは、聞かない事にする。 でも、何か私に出来る事はないの?」 「え?」 強情なランカに、シェリルがようやく諦めたと思えたのも束の間。 新たに問われた内容に、ランカは虚を突かれた思いだった。 ランカがシェリルにして欲しいこと。そんなもの、あり過ぎて困るくらいだ。 私を見て。私を抱き締めて。私にキスして。私が触れるのを許して。私の思いを受け止めて。 ……そんなの、言えるわけがない! 「私に出来る事。手伝える事があったら、何でも言って?」 「……じゃあ、この腕、離してください」 「そう……分かったわ」 極力平静を装って、ランカは言う。 これ以上、シェリルの体温を感じていたら、泣きついてしまいそうだったから。 僅かな間を置いてシェリルの手が離れた時、ランカは安心と寂しさとに同時に襲われた。 つづく。
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/171.html
690 :最後のデート [↓] :2013/12/02(月) 00 54 45.16 待ち合わせはサンフランシスコ中央駅。 アルトは相変わらず、SMSのジャケットのインにはタンクトップでカーゴパンツにブーツの出で立ちだった。 初めてのデートでは制服を着ていて、まだ全然学生だった彼も、今では精悍なパイロットになっている。 「わた~しの彼は、パイロォト」 「んだよ、悪いかよ」 すぐに気がつくという事は、アルトも気にはしているらしい。 「悪いなんて言ってないわよ?他の服持ってないのかしら可哀相に、なんて思ってないわよ?あんたらしくて気が抜けたわ」 「服を選ぶとか苦手なんだよ。そうだ、お前が選べばいいんじゃないか?文句ないだろ?」 「今日はゼントラモールに行くんだから、ぜ~んぶ、ぶかぶかね?」 「なら、次は服屋に行こうぜ」 ファッションに興味がないのかと思っていた彼からそんな言葉が聞けるとは、平和になったものだとシェリルは思った。 しかし、彼と次の約束をする事は出来ない。 「あ、あのホットドッグスタンドに寄りたかったの」 シェリルは、彼の言葉をはぐらかして、駅を出たところにあるホットドッグスタンドへと彼を引っ張っていった。 「ハンバーガーにたこ焼きにケバブにタコス。ファーストフードは学校帰りに一通り食べさせられたな。『ジャンクフードはもう良い』って言ってなかったか?」 放課後に彼と二人きりで行ったり、空き時間にみんなで行ったりしたのは、一年もたっていないのに、遠い思い出のようだ。 「あの時もホットドッグを食べたから、懐かしくなっちゃったの」 「…スーパーチリチリドッグは食わねえぞ」 ちょっと焦ったアルトを見て、シェリルは笑いがこらえられない。 「ないわよ。お店が違うもの。でも、でかるちゃーチリ…」 「おれはそれは食わないからな!」 「わかったわよ」 アルトの作る料理は繊細で上品な味が多く、アルトの舌は繊細なのだろうと、シェリルも今なら分かる。 「じゃあ、私はこのやっくでかるちゃーチリドッグとスイートレモンソーダS」 「おれは、普通のドッグとかばうしミルクソーダM」 二人とも、右手にはドッグ、左手にはドリンクを抱え、それぞれに味わった。 「ん~おいし~」 「…一口…」 美味しそうに食べているシェリルに釣られてアルトも興味がわいたようだ。 「食べてみる?」 シェリルの差し出したドッグにかじり付いた後のアルトのリアクションは、まるきり、あの時と同じだったので、懐かしさの涙を隠すようにシェリルは笑った。 「やっぱり、おっきい~」 フォルモに辿り着いた二人はマイクローン用のルートを通ってショッピングモールを廻る。 このおとぎの国を出る時に、私は夢から覚めるんだわ。 だから、今だけは恋人ごっこに浸ってもいいわよね? シェリルはそっと彼の手を握った。 気付いた彼は、シェリルの手を握り返し、そっと顔を伺うと、照れた顔を前に向けて、シェリルの手を引っ張って前へ進んだ。 これじゃ、保護者と子供みたいだわ。 でも、結局それが私たちの関係だったのかも。 世話焼きお母さんの仕事も今日で終わりだからね? そして、食器売り場の前に辿り着いた。 大きなゼントラン用の食器に感激したのは、遠い昔のように感じる。 シェリルが感慨にふけっていると、ふと、アルトの手が離れた。 「見つけられるもんなら、見つけてみろよ!」 アルトが走って食器売り場へと向かっていった。 アルトが子供の頃にしたって言ってた「かくれんぼ」って遊びよねと、 ゼントランサイズの食器を楽しみながら、シェリルは彼を捜して歩いた。 目に入るようなペアのカップやカトラリーに憧れていたが、家族同然だったグレイスに裏切られて初めて、アルトと一緒に使うことが出来た。 たまたま、アルトがいろんな初めてだったってだけで。 ペア食器だって、きっと、またいつか、誰かと使う時が来るはず。 私みたいな良い女が放っておかれる訳ないじゃない? 家事も結構覚えたし、恋も知った。 愛する事も知った。 シェリルは、食器売り場を余す事なく歩き回ったが、中々、彼が見つからない。 今ここで置いていかれる事はないと、頭では分かっているが、シェリルはだんだん不安になって来た。 彼が側になくなったら、本当にひとりぼっち。 いいえ、私はきっとすぐに新しい恋をして、寂しさなんて上書きしちゃうんだわ。 アイツは私こと思い出して、もったいないことしたなーってちょっとくらい後悔すれば良いんだわ。 そして、彼女と幸せになるといい。 それが、バトルフロンティアで別れた時の私の願いだった。 予定よりちょっと遅くなっちゃったけど、新しい生活の準備を手伝ってもらっただけ。 明日からの、彼のいない生活。 きっと平和で、穏やかで。 とても、さみしい。 ひとりぼっちにしないで。 突然、シェリルは後ろから引っ張られて、体勢を崩した。 「アルト!?」 シェリルは重力がひっくり返っているのが分かった。 彼がかぶさっている。 場所はカップの中。 「おまえ、かくれんぼ弱過ぎだろう。探すの諦めるの早いぞ!」 隠れながら、シェリルの挙動を伺っていたらしい。 「捕まえた!」 ぎゅっとシェリルが抱きついた。 「こ、こら!ずるいぞ!それが作戦かよ!」 そう。私は、諦めかけた私を助けてくれたあなたを捕まえるズルをしたんだったわ。 本当は怖くて寂しい。 こうやってあなたの腕の中にいるとそれを忘れる事が出来た。 シェリルはつい凍えた心の暖をとるように彼の胸に縋り付いてしまう。 「シェリル?」 シェリルの様子いぶかしんだ彼の声が、逆に、しっかりしなくてはと、シェリルを奮い立たせる。 この腕を離して、あなたの胸は彼女に返す。 ゼントラモールの中央に位置する広場を歩いていると、シェリルの視界の端に、見覚えのある緑色がかすめた。 無意識に目で追うと、紛れもなくランカであった。 シェリルが驚いて立ち止まってしまった事にアルトが気付いた。 「シェリル?」 自分と出かけているアルトをランカが見たら? シェリルの固まった表情の目線の先をアルトが追った。 「ランカか!凄いな、まるであの時みたいだ!」 偶然ランカに出会って、アルトは嬉しげだ。 いくら心優しい少女とて、彼に思いを寄せる自分が彼と二人きりで出かける事を快くは思わないだろう。 彼を少女の下に返そうと思っていたのに。 ランカに見つからないように立ち去りたいシェリルの思いと裏腹に、アルトはシェリルと繋いだ手を離して、ランカの方へと駆けていった。 シェリルは隠れる事も出来ず、立ち止まったままだったが、アルトは興奮気味にランカへと向かっていく。 手を離して、私に背を向けて、アルトが行ってしまう。 覚悟していた事だけれど、胸が酷く痛い。 シェリルが呆然とアルト達を眺めていると、アルトが手を振って来た。 我に返ったシェリルだったが、脚がすくんでどうする事も出来なかった。 シェリルの様子を認めたアルトが再びシェリルの下へと駆け戻って来た。 「どうした?気分が悪いのか?」 アルトが心配げにシェリルの肩に手を添えて顔を覗き込んだ。 遅れてやって来たランカは複雑げな笑顔を浮かべていた。 「シェリルさんたちも、フォルモに来てたんですね」 「え、ええ。新しく出来たって話題だったでしょう?」 シェリルは平然を装って答えた。 「またお前とたまたまゼントラモールで会うなんてな」 アルトが嬉しげにランカに話しているのを見ると、シェリルは申し訳ない気持ちになった。 そんな裏腹な3人の会話に近づいて来たブレラが割って入った。 「ランカ、そろそろ映画の時間だ」 「あ、いっけな~い。時間ギリギリだったんです。また、ゆっくりお話しして下さい!」 可愛らしく首を傾げると、ランカは兄と早足で場を離れていった。 「元気そうだったな」 少女を見つめるアルトの瞳は優しい。 「シェリル?疲れたのか?」 黙り込むシェリルをいぶかしんでアルトの表情が曇った。 ここで否定しても、余計にアルトが気を使うだけだと、無言でシェリルは頷いた。 「そうだよな、ごめん。少し座って休んだら帰ろう」 終わりのときが、近づいて来た。 休憩の場として選んだのは、初めてのデートの別れの時に見たような夕暮れに照らされた噴水の側のベンチ。 ぼんやりと噴水を眺めて座るシェリルに、買って来たレモンティーを渡して、アルトは隣に座った。 顔をあげると、天蓋越しに見えるバジュラ星の夕空を二人でぼんやりと眺めた。 あの向こうには彼の焦がれた大気のある空。 自由に生き生きと飛ぶ彼を心に描いてシェリルは決心した。 ここで彼を自由にしよう。 シェリルは意を決して、アルトの方へ向き直り、はっきりとした声で話しかけた。 「アルト、イヤリングを返して欲しいの」 シェリルの真剣な様子を感じ取ったアルトは驚くと、間を置いて小さくつぶやいた。 「ああ…そうだな」 胸元のお守り袋を取り出すと、中からイヤリングを取り出した。 受け取ろうとしてシェリルが手を差し出そうとしたが、アルトはシェリルの右耳に手を伸ばし耳に触れると、イヤリングを添えてゆっくりネジを締めた。 まるで出撃前のバトルフロンティアの控え室での時のようだった。 あの時は、自分が彼にイヤリングをつけた。 これで最期だと思っていた。 歌って燃え尽きて終わるのだと、もう二度と会う事はないと思っていた。 だから、最後まで笑っていられた。 「お前と初めて出かけた時、フォルモの噴水で別れただろ」 イヤリングを見つめながらアルトが語りかける。 「お前、ギャラクシーに帰っちまうんだなって、そういうもんなんだって、思ってた」 アルトの綺麗な顔が眉を寄せている。 こんなに近くで彼を見れるのもこれが最後かもしれない。 そう思うと、シェリルは切なくてこぼれそうになるになる涙をこらえた。 アルトがつけ終わったイヤリングから目を外すと、見つめていたシェリルと目が合った。 それをきっかけにアルトがシェリルを抱きすくめた。 「イヤリングをちゃんと返しに帰って来たんだ。お前が言ったようにランカだって助けた。 俺の話を聞く約束だったよな?」 苦しげに続ける彼の言葉で、降下作戦前の控え室での約束だと、シェリルは思い出した。 きっと歌えなくなるほど苦しくなるような言葉だ。 例え別れを惜しみながら苦しんで自分から彼に別れを告げなくても、結局彼から真実を告げられれば、魔法も解けるのだと シェリルは拍子抜けして、全身の力が抜けた。 後は、彼の言葉を受け入れるだけ。 「これからも、ずっと一緒にいよう、シェリル」 ぎゅっとシェリルを固く抱きしめたまま、彼は続けた。 「もう離れたくない。俺はお前がいないと飛べないって言っただろ。 イヤリングが帰って来たから、一人でどっか行っちまおうとか、考えるなよ」 アルトなりに、最近様子のおかしいシェリルが何を思っているのかを考えていたのだった。 シェリルは彼に強く抱きしめられたまま、呆然としていた。 彼の言っている事の意味が暫し飲み込めなかった。 「お前にとっては、一時の『恋人ごっこ』のつもりだったかもしれないが、俺は真剣だったんだ」 病身のシェリルとともにいた時、自分がシェリルにするように、 いや、もしかしたらそれ以上にシェリルは自分を愛し慈しんでくれていた。 それなのに、「恋人ごっこ」と言い放ったシェリルの心中を、アルトはあれからずっと考えていた。 恋人には戻れないかもしれないと覚悟はしていたものの、 戦後、シェリルは案外すんなりと自分を受け入れてくれた。 そうして、シェリルとの甘い生活を送るうちに、 失い続けた彼女の孤独を癒せるのは自分しかいないと、そう思うようになっていた。 それも、どんな時も彼女が自分を愛し続けてくれたからだ。 予防線を張って心を守っている強く儚いシェリルをアルトは愛おしく思うようになった。 「逃げないでくれ。怖がらなくていいんだ」 シェリルがどんなに虚勢を張っても、大切な事は彼に見透かされていた。 鈍いようでいて、敏く清らかな人。 まっすぐに私を見つめてくれていた。 心の鎧を脱げば、あなたと直に触れて抱き合う事が出来たのかしら? まだ、間に合うの? 抱きしめていた腕を緩めて、アルトがシェリルの顔を覗き込むと、青い双眸には涙があふれていた。 「泣くなよな」 アルトは涙をこぼす恋人をあやそうと再び抱きしめると、今度は彼女の腕がまわされてしっかりと抱きしめ合う形になった。 「俺たちは生き延びたんだ。俺を置いていかないでくれ」 シェリルを失う恐怖と戦っていたかつてを思い出して、胸が詰まってアルトも涙が出そうになる。 腕の中の愛しい人は更に涙を流して止まりそうにない。 広場のベンチで固く抱きしめ合う恋人達を茜色の夕日が染めていた。 泣き止んだシェリルが腕を放すので、アルトは再び顔を覗き込んだ。 目も鼻も赤くて、美人が台無しだが、無防備な姿がとても愛しかった。 顔を拭ってやると、アルトは、シェリルに問いかける。 「シェリル、返事は?」 しっかりと返事をさせなくてはと思っても、自然と優しい声が出た。 たまにしか見せない、幼げな様子で、シェリルが口を開く。 「私、多分、暫くはいなくなったりしないのよ?」 「ああ。良かった」 「私を本気にさせたらきっとただじゃ済まないわよ?」 不穏な言葉とは裏腹にシェリルは申し訳なさそうに言う。 「今まで本気じゃなかった方がショックだな。てっきりお前は俺のだと思い込んで張り切ってた俺がバカみたいじゃないか」 「ううん、あなたがそうやって私に勇気をくれたから、私、今ここにいるの」 額を寄せ合って語り合う二人の間の空気が柔らかに流れていく。 シェリルが改めて、アルトに返事をすべく、ぎゅっと結んでいた桜色の唇を開いた。 「ずっと、あなたの、傍にいたい」 涙がようやく止まったシェリルの瞳が再び潤んできたが、アルトは嬉しくて微笑んで頷いた。 「ん」 アルトの微笑みで安心したシェリルは、ずっと心に閉じ込めていた言葉をようやくアルトへと向けて紡ぐ。 「アルト、大好き」 シェリルの気持ちを聞いたアルトの微笑みが深くなる。 「俺も。お前を愛してるよ」 口角をあげて笑ったアルトが、大きく頷いた。 「今は外だから」 早口にささやくと、アルトは溢れる愛しさを込めてシェリルの頬に口づけた。 フォルモの噴水の前で立ち去る時、シェリルは自分の頬にキスをして手を振っていった。 今、自分がシェリルの頬に口付けし、比翼の鳥であることを誓っている事にアルトは運命の不思議さを感じた。 あの時の別離の切なさとは違う幸せな切なさがアルトを包み込む。 イヤリングが見つからなければ、シェリルと別れたまま別の人生を歩んでいたなんてこともあったのかもしれない。 決して安楽ではなかったが、大空のように決められた道のない人生の中で、愛する人と巡り会い、結ばれた数奇の縁にアルトは感謝した。 惑星の空にうっすらと星座が輝きだしていた。 おわり 加筆・修正 201406
https://w.atwiki.jp/rankatyuuhigaisya/pages/14.html
中立のフリをしてランカageシェリルsageをする(例:俺どっち派でも無いけどシェリルはビッチだと思う・ランカをそこまで叩く事ないんじゃないかな) ランカに自己投影してるためランカが叩かれる=自分が叩かれていると思ってしまいアンチに過剰反応をする。 アルトを叩くのに最後はアルランがいいなどのアルトを優勝トロフィーとしか思って無い発言。 シェリルアンチスレで過剰なランカage 何故かランカアンチヲチ。ランカアンチ=シェリル厨しかいないと決めつけ、ソースの無いシェリル厨被害報告をし、注意するまともなアンチをシェリル厨・自治厨と決めつけ追い出す。 ランカファンスレで絵を無断転載、18禁スレを貼り、注意するまともなランカファンをシェリル厨・自治厨と決めつけ追い出す。 ランカに都合の悪い意見や普通のシェリルファン全てをシェリル厨と認定し攻撃 ランカ厨の悪行をシェリル厨がやった事にして叩くなど事実の捻じ曲げ、捏造。その挙句に「ランカ厨なんて見た事ない、いるのはシェリル厨だけ」と妄言を吐く
https://w.atwiki.jp/macross-lily/pages/40.html
(このスレ的に)キレイなアルトに感銘を受けて シェリル「それで、ランカちゃんったら酷いのよ!」 アルト「・・・人の休日潰しておいて第一声がそれか」 シェリル「何よ、こっちも休日潰してあんたに相談に来てるのよ?」 アルト「電話とか、他の奴に相談するとかすればいいだろうに」 シェリル「悔しいけど、私の次の次の次の次位にランカちゃんを理解してるのはあんただし。それに下僕だし」 アルト「人を何だと思ってるんだ」 シェリル「うるさいわね、あんたを支える翼になってやってるんだからこれくらい大目に見なさい」 アルト「くっ、こんな時ばっかりそれ引っ張り出してきやがって」 数分後 アルト「・・・・・な、なるほどな、それでランカと喧嘩したと」 シェリル「そう!同じアクセサリーを気に入ったんだけど、ランカちゃんの方が似合うからって勧めても断るのよ!?」 アルト(くだらねぇ―――!!) シェリル「何回言っても『シェリルさんの方が似合います!』って聞かないんだから!もう、こういうとき頑固なのよね!」 アルト(頭痛が・・・・ん?) 着信:ランカ アルト「もしもし、ランカか?」 シェリル「!」 ランカ『もしもし!アルト君!?ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど!』 アルト「・・・・・・・・・・ほら、お前にだ」 シェリル「え・・・・もしもし?ランカちゃん?」 ランカ『シェ、シェリルさん!?』 また数分後 シェリル「ええ、そうね。いっそのことお揃いにしましょうか」 ランカ『そうですよね!あはは・・・なんでこんなことでムキになってたんだろ・・・ごめんなさい、シェリルさん』 シェリル「いいのよ。私の方こそごめんなさいね、ランカちゃん」 アルト(やれやれ・・・元鞘に収まったみたいだな・・・・全く、こいつらはホントに・・・・・) シェリル「だから!それはランカちゃんに譲るって言ったでしょ!?」 アルト「は・・・・・・?」 ランカ『駄目です!あのワンピースはシェリルさんの方が似合ってます!』 アルト「お、おい・・・」 シェリル「アルト!」 ランカ『アルト君!』 アルト「ヒッ!?」 シェリラン「『ランカちゃんの方が(シェリルさんの方が)似合うわよね(よね)!?』」 アルト「もう勘弁してくれえええぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 お粗末
https://w.atwiki.jp/macross-lily/pages/78.html
ねぇ、グレイス、知ってた? 私、あなたのことが大好きだったのよ。 ああ、それは知ってたかも知れないわね。 じゃあ、その大好きが『愛してる』の方だったってことは? なによ、その「なんでもお見通し」みたいな笑顔。 もっと驚きなさいよ。 このシェリル・ノームが『愛してた』って言ってるんだから。 ねぇ、グレイス、聞いて。 あなたがランカちゃんを選んで、裏切られて、とても悲しくて、恨んで憎んだ。 でも、恨みよりも何よりも、差し伸べてくれた手の温もりと、笑顔を信じたくて。 心では『行かないで』って・・・『私をみて』って・・・ずっと思ってた。 笑えるわよね。 結局、最後まで言うことはできなかったけど・・・。 もし言ってたら・・・何か変わってた? あなたは、私を見捨てないで、最後まで利用してくれた? 最後まで一緒に連れて行ってくれた? ねぇ、グレイス・・・ 最後の戦いの時、私はあなたに『サヨナラ』を告げることを決めたの。 その道を自分で選んだの。 最後の戦いの時、あなたに告げたいことがあった。 酷い裏切りも受けたし、絶望に落とされたりもしたけれど・・・ それでも・・・私は、あなたに『感謝』してるって。 『ありがとう』って。 結局、『サヨナラ』も『ありがとう』も言えなかったけど。 もし、そう言えてたら、あなたはどんな顔をしたかしら? もう一度、微笑んでくれた? それとも、『バカな娘』ってあきれたかしら? その答えは『永遠』にわからないけれど、わかったことが1つあるの。 私には、あなたしかいなかったのよ。 傍にいてくれる人も・・・帰れる場所も・・・ あなたがいなくなったら、全部なくなってた。 ねぇ、グレイス・・・あなた今・・・どこにいるの? 「じゃあ、ランカちゃん、アルト、また明日ね。」 シェリルは笑って2人にそう言う。 「ああ、また明日な、シェリル。」 「シェリルさん、明日は学校終わりで一緒にお仕事ですねっ!!!」 アルトの言葉に笑みを返して、ランカの言葉と嬉しそうな笑みに、その綺麗な緑の髪を撫でるシェリル。 「なぁに?ランカちゃん、そんなにあたしと一緒が嬉しい?」 「はいっ!!だって、シェリルさんは私の憧れで、大好きな人ですからっ!!」 ランカの言葉に、シェリルは一瞬、動きを止める。 その表情に自分が何を言ったのかを気づいたランカは、真っ赤になると、慌てて両手を振って弁明する。 「ち、違うんですよっ!!!変な意味じゃなくてっ!!!その・・・好きって言うのはその・・・」 あわてふためくランカに悪戯な笑みを浮かべるシェリル。 「違うってことは、あたしのことが嫌いなの?ランカちゃん。」 少し寂しそうにして見せて、そう言ったシェリルに、ランカは俯きかけていた顔を上げた。 「ち、違います!!!違うんですけど・・・その、純粋にシェリルさんが好きってことで・・・」 必死に言い訳をするランカがかわいらしくて、シェリルは声を上げて笑い出す。 「ランカ・・・お前、いい加減、こいつの性格に気づけよ。」 アルトが溜息を吐きながら呆れたようにそう言って、ランカはやっと自分がからかわれていた事に気づいた。 「シェ・・・シェリルさん!!!」 真っ赤な顔でその名を呼び、頬を膨らませるランカ。 シェリルは小さく舌を出して見せて、「ごめんね」と謝り、ランカの額に口づけを落とした。 「ふぇ・・・」 「お詫びの印に。」 そう言ってランカの目の前で、シェリルの綺麗な顔が微笑むと、ランカは真っ赤になってへたり込む。 「あら?ちょっと刺激が強すぎたかしら。 でも、ダメよ、ランカちゃん。こんなことくらいでそんなになってちゃ。 プロはいかなる時でも毅然としてなきゃ・・・」 ふと、脳裏をよぎった言葉とその笑顔にシェリルの動きが止まる。 『いい?シェリル。 あなたはこれからプロになるんだから、どんなことが起きても、毅然としていなさい。 何があってもあなたは歌うの。 喜びも悲しみも怒りも憎しみも・・・ あらゆる全ての感情を自分の力にかえて歌うのよ、シェリル。 あなたなら、それができるわ。』 それは、歌を始めた頃に言われた言葉。 大好きだった、一生、離れることのないパートナーだと思っていた人の言葉。 止まってしまったシェリルに、アルトとその手を借りて立ち上がったランカが、顔を見合わせて首を傾げる。 「おい、どうした?シェリル?」 「シェリルさん?」 2人の呼びかけに我に返ったシェリルは、笑みを浮かべてその背を向けた。 「なんでもない・・・って、大変っ!!! もうこんな時間じゃない!!みんながあたしを待ってるから、行くわね。 じゃあ、ランカちゃん、アルト、また、明日。」 背を向けたまま振り向くことなく、シェリルは手を振り去っていく。 その背を、アルトとランカは不思議そうに見送った。 「あいつは・・・いっつも急な奴だな。ん?どうした、ランカ?」 アルトの問いかけにランカはシェリルの背を見つめたまま答える。 「アルトくん・・・シェリルさん・・・なんか変じゃなかった?」 「変?あいつが変なのはいつもだろう。」 笑ってそう言ったアルトに、ランカは曖昧な笑みを浮かべて応え、 それからシェリルに視線を戻す。 「シェリルさん・・・」 小さく呟くその名は、夕暮れに吹き抜ける風に攫われていった。 さよならは自分から。 しかも、とびきり明るく振る舞って。 絶対にランカたちの背を見送らないように。 それはシェリルが決めたことだった。 自分が『独り』だと気づいた時に。 自分で自分を守るために決めたことだった。 それに気づいてしまったのは、ふとした瞬間。 戦いが終わって、それぞれが目まぐるしい日々を送っていた。 そんな中で、シェリルとランカは、人々に希望を与えるべく歌い続けていた。 いろんな場所を2人で一緒に回って。 護衛には、自らがそれを望んだ、アルトとブレラがついて。 しばらくの間は、ホテル暮らしでずっと一緒だった。 シェリルの目の前には、当たり前のように大好きな人たちの姿があった。 けれど、その生活が少し落ち着いた時、それは訪れた。 ぶつくさと言いながらも、その顔はどこか穏やかで嬉しそうに。 アルトは家族の待つ実家に帰っていく。 ランカとブレラは、仲睦まじく、時折、言い合いをしながら。 オズマとキャシーが待つ自分たちの家に。 それぞれに笑って帰っていく姿に、1人、取り残されてしまうシェリル。 笑顔でその背に手を振りながらも、漠然とした恐怖と寂しさがシェリルを襲った。 誰もいないホテルの1室。 そこに帰り着いた時、シェリルはその漠然とした恐怖と寂しさを理解する。 大きな窓に映るはずのない、幼い自分の姿が映る。 そして、シェリルは気づいてしまった。 帰れる場所もどこにもない。 傍にいてくれる人もいない。 自分は『独りぼっち』の存在なのだと。 『独り』だって気づいて、最初に呼んだのはあなたの名前だった。 アルトでもランカちゃんでもなく。 あなたの名前だったのよ。 グレイス。 あなたが夢に出てきたの。 優しい笑顔で『シェリル』って呼んでくれた。 だから、私は呼び返した。 『グレイス』って。 目を覚ました私は、ホテルの部屋中を探し回った。 でも、どこにもあなたはいなかった。 当たり前よね。 それで、ほんとに気づいたの。 私には、あなたしかいなかったんだって。 アルトのことがほんとに好きだと思ってたのに・・・ ランカちゃんたちがいる中で、自分の居場所を見つけたと思ったのに・・・ 違ったのよ。 あなたがいなくなったら『独り』だったわ。 傍にいてくれる人も、帰れる場所も・・・ 気づいたら、何もなくなってて・・・ 『独り』になった時に、『傍にいて欲しい』と思ったのはあなただったの。 だって私は、あなたを大好きだった。 どこの誰よりも愛してたんだから。 グレイス・・・ 手を伸ばせば、アルトやランカたちに触れられる。 笑えば、笑い返してくれる。 自分も笑っていられる。 それなのに。 『独り』じゃないと感じれば感じるほど、シェリルの孤独は膨らんでいく一方で。 『独り』になることに、言い知れぬ恐怖と寂しさを感じて。 けれど、それをランカやアルトたちには知られたくなくて。 シェリルは自分を偽り始める。 そこにいるのは、『銀河の妖精 シェリル・ノーム』 誰しもが憧れ、羨望の眼差しを送る“歌姫”と呼ばれる存在。 シェリルは、誰の前でもそうあることを決めた。 そして、『独り』を感じる間もないくらいに仕事をこなす。 そうやって、シェリルは偽りの自分を作り上げていく。 日に日に危うくなっていく“シェリル・ノーム”という存在に、 気づける者は、今はまだ、誰もいなかった。 「今日も素晴らしかったですよ、シェリルさん。」 エルモの言葉に笑みを浮かべるシェリル。 「当たり前しょう。あたしは、シェリル、シェリル・ノームなんだから。」 いつもの答えに、エルモは微笑む。 「しかし、ここのところ、連日お仕事ですが、そろそろお休みを入れた方がよいのでは?」 「大丈夫よ、エルモ。自分のことは自分が一番わかってるから。 今がベクタープロにとっても、フロンティアにとっても大事な時期でしょう? ここを超えたらしばらく休暇をもらうわ。」 エルモに笑ってそう言って、ウィンクしてみせるシェリル。 シェリルにそう言われてしまっては、エルモも返すことができず、笑って頷いた。 「わかりました。ですが、無理だけはしないで下さいね。」 「わかってるわ。心配性ね、エルモは。」 くすりと笑ってそう言い、明日のスケジュールの最終確認をすると、シェリルは車を降りた。 「送ってくれてありがとう、エルモ。気をつけて帰ってね。」 エルモにそう声をかけて、シェリルは車を見送ることなく、自分の部屋へと帰っていく。 その背がマンションの中に消えて行くのを見送って、エルモは車を発進させた。 誰もいない暗い部屋に明かりをつけると、シェリルはリビングにあるソファへと倒れ込んだ。 「自分のことは自分が一番わかってる・・・か・・・」 天井を映す視界を右腕で遮ると、シェリルの口元が少し斜めに歪む。 「よく言ったものだわ・・・」 自嘲的にそう言って、シェリルは笑った。 明らかにオーバーワークであることは、シェリル自身が一番よく分かっていた。 けれども、シェリルはそれを表に出すことなく仕事をこなす。 『独り』になってしまうことを恐れて。 それでも、訪れる『独り』の夜には、部屋に灯りをつけて、リビングのソファで眠った。 「グレイス・・・」 音のない部屋に、シェリルの弱く、でも透き通るような声が響いて消える。 呼んでも返事など返ってこない。 わかっていても、シェリルはその名をもう一度呼んだ。 「グレイス・・・」 遮った視界の下で、さらに瞳を閉じる。 彼女の面影を求めて。 自分の記憶をたどって。 「グレイス・・・」 あんなに酷く裏切られたのに。 自分を捨て、ランカを選び。 簡単に『死ぬ』と告げられて。 全ては、彼女たちがしくんだことで。 自分を拾ったのは、ノームの血に復讐をするためで。 何もかもわかっているのに・・・ それでも、シェリルの中で一番に思い出されるのは、グレイスの笑顔だった。 銀河の妖精と言われ、確固たる地位を築き上げたその道程には、いつもグレイスがいた。 傍で叱って、笑ってくれていた。 幼い頃には、苦しい時にその手をずっと握っていてくれていた。 初めての楽曲で1位をとった時には、 喜びあって、一緒に寝ようっていう子どもじみたシェリルの願いを受け入れて、 1つのベッドで寝てくれた。 グレイスといる時、シェリルは『独り』ではなかった。 グレイスの隣が、シェリルの帰るべき場所だったから。 ねぇ、グレイス。 どうして、傍にあなたはいないの? ずっと、傍にいてほしかったのに。 叶わないとわかっていても、願わずにはいられなかった。 小さい頃なんて、自分の瞳にあなたが映るだけで、とても幸せだったんだから。 あなたが差し伸べてくれた手も、握っていてくれた手も。 とても優しくて・・・温かくて・・・ だから、一緒にいられるならなんでもよかったのよ。 ただグレイスと一緒にいられることが宝物だった。 それだけで、どんな痛みも傷も怖くなかった。 利用するなら、最後までもっと上手く利用してくれればよかった。 最後まで騙して、それを真実にして欲しかった。 少し意地悪で優しいあなたの記憶だけを残していたかった。 もっとちゃんと、確実な方法で、あなたの手で殺して欲しかった。 一緒に・・・連れて行ってほしかった。 私はきっと、あなたとの『永遠』が欲しかったのよ・・・グレイス・・・ 「よかったわね・・・グレイス。あなたの復讐は大成功よ・・・」 震える声でそう告げると、シェリルはその身を丸く縮こませる。 「おかげさまで・・・ノームの血を引くあたしは、こんな惨めな姿を晒してるわ。」 誰もいない部屋にシェリルの声だけが小さく響く。 「今頃、笑ってるんでしょう?いい気味だって。 でもね、グレイス。こんな姿を見せるのは・・・ここでだけよ・・・ 人前では『銀河の妖精』であり続けるわ、絶対。 そうよ、グレイス・・・ 何もかもがあなたの思うようになるなんて、思わないで・・・」 ソファの上でさらに小さく丸まるシェリル。 「あたしは・・・『独り』だけど・・・あたしには『歌』があるんだから・・・ それを、教えてくれたのは、他でもない、あなたよ、グレイス。 だから、あたしは歌い続けるわ・・・銀河の妖精、シェリル・ノームとして・・・ どこでも・・・どんな場所ででも・・・その全てを力にかえて・・・歌ってみせるんだからね・・・」 小さく、小さく、その身を丸めて、シェリルは『独り』きりの絶望の淵で眠りを求める。 「ねぇ・・・グレイス・・・」 シェリルの声が震え、涙声に変わる。 「今・・・どこにいるの・・・?」 『永遠』に還らぬ命にそう尋ね、シェリルは丸めたその身を自分できつく抱きしめる。 まだ自分が生きていることを確かめるように。 自分の・・・シェリルという存在を確かめるように。 疲れすぎのシェリルは、気を失うように眠りに落ちる。 そうなるように、シェリル自身がしていた。 そうでないと『独り』の恐怖と寂しさで眠れなくなってしまうから。 眠りに落ちるほんの一瞬。 シェリルは祈るように願う。 せめて夢では、愛しい人が傍にいてくれるように。 自分の瞳に愛しい人の笑顔だけが映しだされるように。 そして、 いつかこの絶望の淵で、また、誰かの温かな手に出会えるように。 シェリルの閉じた瞳から、涙が零れ、流れ落ちた。 おわり
https://w.atwiki.jp/macross-lily/pages/88.html
シェリルのラストライブと対バジュラの戦闘とがそれぞれの形で終わりを見た後、 ランカはシェリルに引っ張り込まれる形で、会場の裏側へと足を踏み入れた。 入り組んだ道を迷いなく進むシェリルの背中を懸命に追いながら、ランカは問いかける。 「あの、いいんですか? シェリルさん。私、ただの観客なのに!」 「何を言ってるの? 舞台の上で一緒に歌うのが『ただの観客』? それに、貴女だって今回の功労者なんだから。少し楽屋でゆっくりしていきなさい。 この混乱じゃ、どうせすぐには家に帰れないでしょ」 戦闘は終わっても、すぐに事態が収拾される筈も無い。 怪我人の搬送、破損箇所の修復、何より住民の動揺が収まるまで、時間がかかるだろう。 ランカだって、表面上は落ち着きを取り戻しているが、内心は穏やかでない。 身体的疲労も相まって、シェリルの提案は非常にありがたいものだった。 「じゃあ、お言葉に甘えて」 「素直でよろしい。さ、その辺に座って。 飲み物はあるから、好きなものを飲んでいいわよ」 「ありがとうございます」 連れてこられた楽屋は、舞台となった船の下、海中にある一室だった。 楽屋と言っても、使うのは銀河の妖精シェリル・ノーム。 ランカが普段営業で使っているような狭い物置小屋とは違って、 たっぷりの空間に、洒落たソファ・化粧台・クローゼットなどが整然と並んでいる。 これでベッドがあれば、一流ホテルの部屋だと言われても信じる程だ。 微妙な居心地の悪さを感じながら、ランカは小型冷蔵庫からジュースを取り出し、 ソファに浅く腰掛けた。ちょうど、化粧台に向かうシェリルを鏡越しに覗き込める位置だ。 「何なら、後で軽い食べ物でも用意させましょうか?」 「いえ、そこまでは……。 あの、ひとつ訊いてもいいですか?」 「なぁに?」 「あのステージで、シェリルさんが言ってた事、その意味を知りたいんです。 ひとりぼっちじゃないって、分かったから……って」 「あぁ……」 鏡に映る、シェリルの表情が曇る。 それを見て、ランカは少し、自分の問いかけを後悔した。 シェリルがデビューした頃から、ランカはずっとシェリルを追いかけてきたから。 長い間、シェリルを見ていたけれど。それは所詮、一方通行な繋がりでしかない。 2人が本当に知り合えたのはごく最近。交わした言葉はほんの少し。 顔見知り程度の人間に、深く踏み込まれても、きっとシェリルを困らせるだけだ。 「ごめんなさい! 変な質問を」 「いいの。貴女とアルトに、私の思いを伝えようとしたのは私自身なんだもの。 その意味をちゃんと伝えなきゃ、いけないわよね。 そう、私はずっと、ひとりぼっちだった。寂しかった」 鏡の中で、シェリルが暗い面持ちをしている事に、ランカは目を瞠る。 ランカが知っているシェリルは、まさに銀河の妖精だ。 その行く先には大勢のファンが押し寄せ、ライブはいつも大盛況。 画面越しに見えるシェリルは、いつだって数多の人間に囲まれていて、輝いている。 しかし、今のシェリルの表情は、銀河の妖精らしい、とはとても思えない固いものだ。 信じ難いものを目の当たりにして、ランカは小さな声で問いかけた。 「銀河の妖精……なのに?」 「銀河の妖精、だから、よ」 はぐらかすように答えて、シェリルが自嘲気味に笑う。 それ以上は訊かないで、と言いたげな様子に、ランカはしばし言葉が出なかった。 俄かには受け入れがたい事実だが、とにかくシェリルは、ずっと孤独だったのだ。 どんなに周りから熱い視線を注がれようと。歓声を受けようと。 多くのファンに愛されている歌姫は、その中で長い間、孤独を感じていた。 それはどれ程、耐え難いものだっただろう。 周りにたくさんの人がいるのに、どうしようもなく、ひとりぼっち。 想像しようとしてできなくて、ランカの手に力が込められる。 「色んな人達に会っても、大切に扱われても、私は1人なんだって、ずっと感じてきたわ。 でも、さっきね。ようやく、私は1人じゃないんだって、思えたの。 あの馬鹿アルトと、ランカちゃんのおかげ」 「アルト君と、私?」 「そう。アルトは、離れていても私の為に力を尽くしてくれた。 そして、ランカちゃんの歌が、私の中に響いたの。 ランカちゃんの歌声が、私の中で反響して。 自然と私の声と混ざり合って、もっと素敵な歌になって。 これまでだって、誰かと一緒に歌う企画はあったのにね。 あんな感覚、初めてだった。あの……繋がっている感じ」 一度言葉を止めて、シェリルが振り返る。 その顔は、焦がれていたものに、ようやく出会えた喜びに満ちていた。 今まで見てきたどんなグラビアより、映像より、素敵な笑顔。 それをもたらしたのは、他でもないランカ自身と、アルトであるらしい。 信じられない……という事はなかった。 たった少し、同じ歌を紡いだだけ。それだけなのに、全てを知り尽くしあえたような感覚。 不思議な共感覚を得ていたのは、ランカの方も同じだったのだから。 「まぁ、またすぐに会えなくなっちゃうから、寂しくなるけどね」 「……え?」 「戦闘でそれどころじゃなくなったけど。これ以上、此処でのライブは無理な気もするの。 またバジュラに狙われても困るし、次の仕事もあるからね。 落ち着いたら、フロンティアを離れるわ。 それでも、2人がココにいる事、ちゃんと分かっているから。 そう考えるだけで、孤独がどんどん、薄れていくような気がするのよ」 最も、疑惑のある私を、フロンティアが放してくれない可能性はあるわね。 そんなシェリルの軽い冗談を、ランカは既に聞いていない。 ただただランカは、自分の中に強い衝動を感じていた。 身体の中心から湧き上がる、熱く不思議な気持ちに突き動かされて、ランカは立ち上がる。 「わ、私! これからずっと、シェリルさんを思って歌います!」 「へ?」 「私の歌が、少しでもシェリルさんに響くなら! シェリルさんの寂しい気持ちを、少しでも和らげることができるなら。 私はいつだってシェリルさんの事を考えながら、歌います。 そして、シェリルさんが何処に行ても、私の歌が届くように、お仕事も頑張ります! そうすれば、私の歌、シェリルさんに聞いてもらえる可能性が高くなると思うんです」 大声で語りかけながら、ランカは自分自身の発言の意味を深く考えてはいなかった。 呆気にとられているらしいシェリルはひとまず置いておいて。 頭に浮かんだ言葉をそのまま、口にする。 「私が、シェリルさんを独りぼっちになんて、させません! 私はずっと、シェリルさんと一緒です!」 胸に手を当てて、そう宣言してから数秒後。 ランカはようやく、自分の発言を顧みるだけの自我を取り戻した。 いくらシェリルにこうして楽屋に受け入れてもらえたとは言え、 ランカはまだ、シェリルの1ファンに過ぎないのだ。 大それた事を言ってしまったと、ランカは顔を紅潮させる。 シェリルを怒らせたのではあるまいか、とまで考えたが、それは杞憂だった。 「ふふ……あははははっ!」 「シェ、シェリルさん?」 「戦闘中に1人で駆け出した時と言い、アイモを知っている事と言い……。 貴女って、本当に私を驚かせてくれちゃうのね。 この銀河の妖精をこんなに振り回す人なんて、滅多にないわよ?」 「振り回すなんて、そんなつもりじゃ」 笑い出したシェリルが、やがて椅子から立ち上がると、ランカのすぐ目の前に立った。 その顔に浮かんでいるのは、怒りなどではない。 例えるなら、ようやく頼れる誰かに巡り合えた、迷子の子どものような。 泣き出しそうで、それでも安堵して笑っている。 そんなシェリルに見つめられ、ランカは先程とは別の意味で、胸が熱くなった。 「ありがとう。ランカちゃん」 「そんな、感謝されるような事は、なにも」 無言で首を横に振って、シェリルが1歩、踏み出してくる。 その白い両腕が伸ばされ、気付けばランカはシェリルに抱きしめられていた。 慣れない香水の香りと、微かに汗の匂い。 その2つを感じつつも、ランカは緊張のあまり動けない。 「……本当に、ありがとう。楽しみにしてるわ。貴女の歌声を、遠い何処かで聴く時を。 そしてまた、いつか一緒に歌いましょう。ね?」 「は、はい」 シェリルの囁きが、耳から身体全体に染み渡る。 ランカはようやく緊張から抜け出すと、シェリルの背に手を回した。 腕に力は込めない。それでも伝わる温もりを感じながら、ランカはようやく気付く。 自分がこの妖精を、愛しく、恋しく、想い始めていた事に。 おわり