約 1,362,604 件
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/204.html
キース・グリーンは始終不満げだった。 「まったく……なんで僕が……」 拗ねた子供のように口を尖らせながら、壁に手を付いて嘆いている。 この世の終わりが来たわけでもあるまいし、なにからなにまで大げさな奴だ、とレッドは嘆息した。 「見損なったよ。あれだけ大見得切っておきながら、僕の瞬間移動能力を当てにするなんて」 「うっせーよ。オレたちは急いでるんだ。馬があれば馬を使う、電車があれば電車を使う、 キース・グリーンがいればキース・グリーンを使う。勝手に見損なってろ」 「あのなあレッド、僕は……」 「それにな、これはブラックの命令なんだぜ」 それが彼にとってのマジックワードだったらしく、はあっ、と溜息をついて壁から離れた。どうやら諦めがついたようだった。 「グリーン兄さま、ごめんなさい」 セピアが恐縮して頭を下げるのへ、グリーンは苦笑しながら肩をすくめた。 「いや……いいんだ。僕と君とは兄妹なんだ。助け合うのは当然のことさ。 それより本当にいいのかい? 君のARMSは戦闘向きじゃないんだよ。 他の任務ならいざ知らず、シルバー兄さんの戦闘領域に割って入るなんて正気の沙汰じゃない」 「ありがとうございます。でも、大丈夫です。レッドがいますから。それに」 「それに?」 「レッドはわたしがいなとダメダメですから」 なんの衒いもなく、セピアはそう言ってのけた。 あまりにもきっぱりと断言したので、グリーンは「そうなのか?」とレッドにお鉢を回す。 「……オレに訊くな、オレに」 その時、慟哭するようなARMSの共振波がその場の三人に走る。それは間違いなくキース・シルバーのものだった。 「──ボヤボヤしてる暇はないみたいだ。レッド!」 グリーンは両手を二人に向けて差し出した。この手をつかめ、ということらしい。 レッドとセピアは互いにうなづき、それぞれに手を重ねた。 グリーンの手は少し汗ばんでいた。 「レッド、これは貸しだからな。こればっかりは必ず返してもらうぞ」 「……ま、期待しねーで待ってろや」 そして、グリーンのARMS『チェシャキャット』特有のARMS共振波が直に伝わってくる。 先ほどのシルバーのそれとは違って、攻撃的な感触は無かった。 「グリーン兄さま」 「え?」 「優しいんですね」 その言葉を最後に、セピアとレッドはグリーンの視界から消える。 一人になった廊下で、キース・グリーンはぎこちなく肩をすくめた。 「優しい……僕がか?」 目を開けると、そこはもうカリヨンタワー下層域だった。 グリーンの能力を体験するのは初めてだったが、これほど奇妙な能力もないだろう。 空間それ自体に干渉し、空間転移や空間断裂を操るARMS……どれだけ大掛かりな装置を使っても、 現在の科学技術では再現不可能な現象だ。 ARMSとは一体なんなのか。それはレッドのような下っ端には知らされていない。 理解できないものを身に宿し、それを使う。その不気味さを今更ながらに思う。 セピアも似たようなことを考えていたのか、 「すごいね、グリーン兄さまのARMSって」 「……グリーンには『兄さま』付けなんだな」 ぽろっと口にしてから激しく後悔した。 それはなんの気なしの感想だったのだが、それでもセピア本人に向けて言うことではなかった。 案の定、セピアは満面にいやらしい笑みを浮かべてレッドの肩をばしばし叩く。 「えぇ? なーに、それ? もしかして嫉妬してるの? もーやだー、レッドってば意外と可愛いとこあるんだー? お望みならそう呼んであげましょうか? 呼んで欲しい? ねえねえ、ねーってば」 言うべきではなかった。その思いを新たに、レッドは例によってうめく、 「勘弁してくれ──」 最後の「よ」は言えなかった。 鼓膜を破かんばかりの轟音とともに、フロア全体が上下に揺さ振られたからだった。 レッドは浅く舌打ちし、セピアを振り返る。 「セピア、二人の位置を割り出せ」 「うん、やってる……シルバーお兄さまはこっちの方向。だいたい七〇メートル向こう。 クリフはほとんど正反対のあっち……ちょっと遠いかな、三〇〇メートルくらい」 あっちとこっちで指差し、セピアはさらに詳しく探ろうとARMSを解放した。 胸元から放射状に走る幾何学紋様が、頬のあたりまで伸びてくる。 「今はお互いに見失ってるみたい……二人ともうろうろして、ときどき出鱈目な方へ攻撃してるみたいなの。あ、ほら」 遠くから、ずしんと微かな震動。 「クリフの精神フィールドが不安定気味になってるわ。なんていうか、不整脈みたいな感じ? このままだときっと、シルバーお兄さまよりクリフが先にダメになっちゃうと思う」 セピアからもたらされた情報を元にレッドはしばし考え込み、 「……分かった。クリフを先に押さえるぞ。あんまりはっちゃけられて死なれても困るからな。 もしかしたらシルバーも、攻撃対象がいなくなれば暴れるのを諦めるかも知れない」 「もし、諦めなかったら?」 「そんときは──」 レッドが言いかけた瞬間、セピアがいきなり膝を付いた。 「あ──!」 自分の身体をきつく抱き締め、苦しそうに声を漏らす。 「シ、シルバーお兄さまが……こっちに気が付いた……」 それに遅れて、レッドの『グリフォン』もシルバーのARMS共振をキャッチする。 それは非常に激しく攻撃的で、痛みすら感じた。尋常ではない雰囲気を、そこから受け取る。 額に玉の汗をかきながら、セピアが喘ぎ喘ぎ、続ける。 「うぅ……す、すごく怒ってるわ…………邪魔……排除……障害……出来、損ない……」 それはシルバーの思っていることなのか、という疑問を差し挟む余地はなかった。 セピアはその口にする言葉ひとつひとつに傷つきながら、それでも懸命に言の葉を零す。 「獲物(ヴィクティム)……被害者意識(ヴィクティム)……」 はあっ、と引き攣った息を吐き、セピアが背を折り曲げた。 『実験体(ヴィクティム)風情が……!!』 その声は重なっていた。 振り返ると、髑髏の亡者がほんの十メートル向こうにいた。 戦の神のごとき無慈悲さを全身から放ち、『マッドハッター』の凶眼はレッドに定まっていた。 「──が……オレの邪魔をするのか……!?」
https://w.atwiki.jp/other72world/pages/56.html
imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (ここにアップロードした画像ファイル名) 種族: 人間 年齢:17歳 性別: 男性 身長:166cm 体重:53kg 役職: 亡国の王子 イメージCV: 宮野真守 「ボクは、ボクは・・・・、一体どうすれば・・・。」 属性:氷 筋力: C 耐久力:C 魔力: S 素早さ: SS 持久力: C 運: D 戦闘スタイル: 剣のグリップを媒体に氷魔法で刃を生成し、接近戦を中心とした戦い。 設定 亡国【リシュテンブルグ】の王子。性格はおとなしく、礼儀正しく、生真面目すぎる程だが、箱入りだった事もあり抜けていて世間知らずなところもある。 国王である兄「イディオ・アマルティア」と幼い頃から暮らしてきたが、年齢を重ねるごとに兄の政治下に置かれた国民の悲痛な叫びを知ることとなり なにか出来ないかと自ら自警団を設立、「クリフ」他メンバーを率いて兄の目の届かぬよう飛躍してきた。 しかしある日、国内に突如として現れた魔族、ウィズダムの奇襲を受け、自警団のメンバー大半を失い、兄・イディオにも見つかり、一時拘束の身となる。 後、ボロボロの身体でウィスダム奇襲時に手を貸したザカート・ザーヴェイトに「依頼」として国を出たいと願い成立の元「スチーム・バイス」に身を潜めることとなる。 兄と暮らしてきた彼は鬼畜と言わんばかりの兄の行動の末に、感情を抑え込む癖があり、度々その感情の不安定さを見せる。 ザカート・ザーヴェイトに全福の信頼を寄せており、アリス・ザーヴェイトを羨ましく思っている。(自分の得られなかった兄と言う人物像を二人を見ることで重ねている。) 関係者 イディオ アーロンの実兄。アーロンを愛していると言う情報以外殆どが謎に包まれている ザカート(創作者:ダンタリオン平賀) アーロンが身を潜めているスチーム・バイス幹部の男性。なぜかアーロンは彼が女装趣味を持っていると勘違いしている。 クリフ(創作者:シーモン) 自警団メンバーの生き残りの一人。アーロンへの忠誠心は固く、熱い男。謎の呪いによりアレがこうなりヤバイ事になる。 カノレア(創作者:シーモン) アーロンが唯一まともに接触できる女性。理由はわからないが、いつも構ってくれる彼女に少々気にかけている 小ネタ 女性という存在はアーロンにとって未知であり、その女性に迫られると点で弱い。 一応、経験済み。(なにがとは言わない) 創作者 アメミヤ ショーコ
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/52.html
クリフトとアリーナの想いは Part4.2 34 :1/7:2006/01/26(木) 01 17 47 ID QPBNOmLZ0 「姫様。具合はいかがですか?」 宿のベッドに横たわるあたしに、そっと声をかけてきたのはクリフト。 「んー……」 思わず、気だるそうな声で答える。 三日ほど前から、身体がだるくて、熱が下がらなかった。 重い身体を、少しだけ持ち上げた。 「クリフトぉー。りんご、むいてぇー」 「はい」 クリフトは優しく微笑むと、テーブルに置かれた籠からりんごを 取り出した。 さくさくと、簡単に皮を剥いていく。器用だなー、クリフト。 ちょっとワガママ言っても、病気だと、クリフトはなんでも言うことを きいてくれる。 嬉しいなー。このまま、病気でもいいかもなー。 「はい、どうぞ」 小分けにされたりんごをお皿に盛って、フォークを添えて、あたしに 手渡そうとする。 ……そうだ。 「あーん」 「……は?」 クリフトの手が、ぴたっと止まった。 「食べさせてー。身体がだるくって……」 今まで、あたしのどんなワガママにも応えてくれたクリフトが、 初めて戸惑いをみせた。 もう一度、言ってみる。 「あーん」 「……」 少し難しい顔をしたクリフトが、フォークにりんごを刺した。 震える手で、あたしの口にりんごを運ぶ。 「おいしーい」 「……今日、だけですよ……」 クリフトは少しきょろきょろとして、小さな声で言った。 「今、みなさんはパデキアを取りに行ってますから……」 え。それって、あたしのため? やだ、クリフトみたいな酷い病気じゃ ないのに……。 「……今、クリフトとあたししか、いないの?」 「……はい」 クリフトがもうひとつ、りんごをあたしの口に入れた。 「……なんか、まだ、だるくって寒気がするの……」 あたしはいくつかりんごを食べた後、布団にくるまって横になった。 「もう少ししたら、みなさんが戻ってきますから。それまで、ごゆっくり お休みください」 残っていたりんごを、クリフトがひょいと口に入れた。 「でもさー。パデキアって、苦いんでしょ? やだな……」 「そうですね。私もあんなに不味いものは初めて口にしました」 ちょっと。満面の笑みで脅さないでよー。 「……では、隣の部屋にいますので、何かあったらお呼びください」 「……待って、クリフト……」 ドアノブに手をかけたクリフトを、あたしは思わず呼び止める。 「ねえ、ひとりでいると心細いの。ここにいて」 クリフトの肩が、ぴくっと動いた。 「……だめ?」 わざと、弱々しく、聞いてみる。 「……構いませんよ」 振り返ったクリフトは、笑顔。 ベッドの脇にある椅子に、腰を下ろした。 今日は、ソロのバタバタという足音も聞こえない。 ライアンが剣を振るときの掛け声も聞こえない。 マーニャの甲高い笑い声も聞こえない。 ミネアがマーニャを叱る声も聞こえない。 トルネコが弾く算盤の音も聞こえない。 ブライのお説教も聞こえない。 聞こえているのは、クリフトの優しい息遣いだけ……。 こんなに、世界って、静かだったんだなー。 「ん……」 あれ。いつの間にか、暗くなってる。クリフトがランプに火を灯していた。 「目が覚めましたか、姫様」 暗い部屋の中に、やわらかなランプの灯り。その中にクリフトの姿が浮かぶ。 なんだか、急に、心細くなってくる……。 「クリフトぉ」 「なんでしょうか」 あー、ちゃんとクリフトはあたしの声に応えてくれる。 そんなちょっとしたことなのに、安心する。 「ねえ。寒いの。一緒に寝よ」 あたしは布団を捲って、クリフトを誘う。 「……はぁ!?」 素っ頓狂な声。そんな声を聞いて、思わずもっとクリフトにワガママを 言いたくなる。 「そ、そのようなことは……ちょっと……」 「……ダメなんだ。あたし、寒くって、心細くって……このまま、 死んじゃうのかなあ……」 「何をおっしゃっているのですか、もうすぐみなさんがパデキアを 持ってきてくださいますよ」 ベッドの上から、クリフトがあたしを覗き込む。ベッドについた手を、 あたしはそっと握った。 「ねえ、みんなが帰ってくるまででいいから」 「……」 暗くって、クリフトの顔が見えない。きっと、ものすごく困った顔を してるんだろうなあ。 「……今日、だけですよ……?」 クリフトが、やけにゆっくりとした動作で、ベッドに入ってくる。 「うふふっ」 クリフトはお祈りをするときみたいに手を組んで、ぎゅっと目を閉じたまま 上を向いている。 「ねえ、クリフトぉ」 「……なんでしょうか」 「うでまくらー」 「……今日、だけですよ……」 さっきとおんなじ言葉。クリフトは左腕を、あたしの頭の下に入れた。 あったかいなー。 あたしは思わず、クリフトの方を向く。 そのとき。クリフトも、あたしの方を向いた。 右腕で、あたしの身体をしっかりと抱きしめる。 「……今日、だけですよ……」 その言葉は、クリフトが自分に言い聞かせてるみたい。 「……姫様」 「なあに?」 「もう、熱は下がっているようですけど?」 あちゃー。 「……ばれた?」 「はい」 「……怒ってる?」 「いいえ」 あたしを抱きしめる腕に、力が篭る。 ──あたしとクリフトの息が、触れ合った。 りんごの、優しい香りがする。 「……姫様、あの」 「……クリフト、あのね」 思わず出た言葉まで、触れ合った。 そのとき。 バタバタっと、大きな音がした。 クリフトが慌ててベッドから飛び起きる。 「アリーナー! パデキア持ってきたぜー!」 ああ、この足音、ソロの足音だあ。 ライアンがなんだか叫んでる。 マーニャは相変わらず大きな声。 ミネアは病人がいるんだから、とマーニャを叱る。 トルネコは余分に取ってきたパデキアで商売を試みているみたい。 ブライはいまにも、姫様! なんてお説教を始めそう。 みんなに心配かけちゃったなあ。 ごめんね。 ……でも、たまには病気もいいよね。 ふわっと、優しいりんごの香りと、クリフトの温もりが残っていた。
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/23.html
クリフトとアリーナの想いは その2 907 :886:05/01/24 23 33 14 ID 65b1ESz/ 彼らが一つの洞窟を抜け、外に出るとそこには一面の銀世界が広がっていた。 思えばここに来るまで様々な苦悩があった。 殺された幼馴染、滅ぼされた王国、愛弟子に殺された父親。 旅を続けてきた中でこの痛みが癒えることはなかった。 敵を討つことの虚しさを覚えた。悲しさを覚えた。 でも、楽しいこともあった。この汚れ一つ無い大自然の雪原を見ているとまさにそのことが思い出されるようだった。 その絶景は馬車外で戦ってきた4人にのみ与えられた。 聖職者の村に突然出来た穴。その奥にあったのがこの雪原だ。 この雪原がどこにいくかはわからなかった。それでも雪原には珍しい快晴の青空。 目的はすぐに見つかりそうな気がした。 「わーっ、綺麗」 洞窟の外の世界、すなわち光の世界では決して見られることのない絶景を目の当たりにして立ち尽くす四人の中、アリーナという名の少女が口を開いた。 その隣にいたアリーナの付き人、聖職者であるクリフトがこう返した。 「光の世界ではこのような雪は滅多に見られません。雪原では同じ風景が続くので遭難しやすいので気をつけましょう。」 この男は今のように真面目に発言することもあるのだがたまに変なことも口走るので困る。 この前もアリーナがいない時一人でどこから持ってきたかも分からないアリーナのプロマイドをじっと眺めていた。 それを偶然部屋に入ってきた旅の仲間に見られた時のクリフトのリアクションはおかしくてたまらなかった。 クリフトは一国の王女であり、世界一の旅の武道家でもあるアリーナを慕っていた。 たまにそのようなこともするが、相手の反応も悪くは無い。 端から見ても気持ちの良いカップルと呼べるのではないだろうか。 しばらくして、彼らのリーダー各であろう「天空の勇者」と呼ばれる男が声をかけた。 アリーナ、クリフト、そして共に旅をしてきた仲間の戦士・ライアンは仕度を終え、雪原をすすんだ。 しばらくして、雪が降り始めた。 それは徐々に勢いを増してまたたく間に吹雪へと変わった。 アリーナが無意識のうちに自分の腕を抱え、自分を暖める動作をした。 洞窟の向こうにこんな世界があるなんて思いもしなかったから誰も防寒対策はしていない。 特に、寒いのが大の苦手であるアリーナにとってこの格好は耐えられなかった。 そんなアリーナの様子を見ていたクリフトは自分が着ていた神官着をアリーナに渡した。 「あっ、ありがとう」 ぎこちなく礼を言うとアリーナは暖かいそれを羽織った。 アリーナのそんな動作を見て、勇者は歩く速さを上げた。 軽装のアリーナはもちろん、クリフトも寒さを感じてきた。 重装備の勇者とライアンはあまり寒さを感じなかったが、吐く息が白くなるのを見ると相当寒いのだろう、と思った。 会話が絶える中、そいつは表れた。 彼らの前に現れた怪物が大きなこんぼうをこちらに振り回してきた。 勢いよく振り回されるそれがアリーナの体にぶつかる。 倒れるアリーナをその化け物がひょいとつまみあげると遠くへ思い切り投げ飛ばした。 飛んでいくアリーナの悲鳴を聞くとクリフトはアリーナの体を目で追うようにして一目散に走っていった。 クリフトの頭はすでにアリーナの身の安全でいっぱいでさっき言ったことなど忘れていた。 その内吹雪はさらに勢いを増し、クリフトとアリーナの体を冷やしていった。 勇者達は悪天候の中、なんとかその怪物に勝利し、炎の呪文で日を作ると二人を探しに出た。 「姫様!」 クリフトが雪原の真ん中で吹雪に打たれているアリーナを見つけると呼びかけた。 アリーナの返事は無かった。クリフトが顔を近づけると顔が赤くなり、息が荒くなっていることを感じた。 危険を察したクリフトはすぐに回復呪文をかけたが、熱は下がらなかった。 「ク・・・リフト」 困惑しているクリフトにアリーナのかすかな小声がかかった。 「どうなされたのですか?私はここにいます。」 クリフトが泣き喚きながらアリーナに話しかけるとアリーナも声を振り絞って「寒い」と答えた。 わかっていたことだが、改めてそう言われるとさらにクリフトは慌てた。 しかし、落ち着きを取り戻してからクリフトは勇者の元へ合流しようと考え、 「失礼します」と言い放ってからアリーナを抱きかかえた。 クリフトに抱きしめられるとアリーナはクリフトの腕に抱きついていった。 女性の免疫が無い、ましてやその女性がずっと前から想っていた少女なのだからクリフトは気が気でなかった。 「クリフトの体、暖かいよ」 そんなことを言われてクリフトは熱があるアリーナに負けないぐらい顔が赤くなった。 歩くスピード上げると、いつか勇者とめぐり会った。 事情を話すと勇者はリレミトの呪文を唱えてくれた。 こうして雪山での冒険は幕を閉じた。 アリーナの体調が戻ったらまた行くそうだ。 アリーナは皆と顔を合わせると申し訳なさそうに頭を下げたがすぐに薬を飲み、ベッドで安静にした。 クリフトはというと、アリーナを抱きかかえた時の感触が忘れられなく、アリーナの前ではずっとうつむいていた。 夜、寝静まる時間になると、クリフトはアリーナの具合を見るために彼女の寝室に入った。 部屋に入ると寝ずに窓の外を眺めているアリーナの姿が目に入ったので声をかける。 「姫さま、お布団に入っていないと駄目じゃないですか」 ノックの音に気付かなかったのか、声をかけられて初めてクリフトが入ってきたことに気付く。 アリーナは少し戸惑って言葉を選んだ後、クリフトに話した。 「もう薬飲んだから楽になったわよ。それに、あの時クリフトが助けてくれたから。」 そういうとアリーナもクリフトも照れくさくて赤くなる。そんな中、アリーナが口を開く。 「でも、本当にあの時クリフトが来てくれて良かった。寒かったし、痛かったし、怖かった。」 そういうアリーナの姿はいつものお転婆なアリーナ姫ではなく、どこか哀愁の漂ったお嬢様、という感じだった。 「あの時クリフトがすぐ来てくれなかったら私死んでただろうね。いつもそう。だから私より弱いクリフトに助けられるっていうのは始めは嫌だったんだけどね。 今日は私は倒れている時クリフトを求めてた。だからクリフトが来てくれて嬉しかった。いつもありがとうね。」 礼を言われてますます赤くなるクリフトだが、冷静を取り戻すとこう言い放つ。 「こちらこそ、いつもありがとうございます。とにかく今日は早く寝てください」 「そうね。明日はあの怪物をボコボコにしてやるんだからっ!」 そう意気込むアリーナをクリフトが止める。 「いけません。しばらくは安静にしていないと。明日は私と一緒に留守番していましょう。」 実はクリフトは昨晩勇者に頼んで自分達の休養を貰っていた。 しかし、そんな言葉に納得できるはずもないアリーナはクリフトに飛びつくように返す。 「なんで?私はもう元気なのよ?」 まだ言葉を続けたいアリーナにクリフトが口を挟む。 「姫さま、私がミントスで倒れた時のことを覚えていますか?」 急に昔のことを話し出したクリフト。 『「もう無理はしないで。心配かけないで。」』 昔のことが二人の頭の中に同時に蘇るとアリーナも自分の言った言葉には責任を持ち、素直にクリフトの言い分を聞くことにした。 アリーナの説得に成功したクリフトは再びアリーナを寝かしつけた。 数分会話を交わした後、アリーナはようやく眠りについた。 長い長い洞窟を歩き、クリフトは疲れ果てて今にも眠りそうだったが、流石アリーナは体力にものを言わせなかなか眠らなかった。 クリフトは疲れがたまり、眠りそうになるのを堪えて起き上がる。 アリーナの寝室の机の上で薬の調合をしながらふとアリーナの寝顔をちらちらと見る。 その美しさはまるで花畑に包まれている乙女のような姿で、近くまでいったらまたいけないことを考えてしまいそうだった。 アリーナのことを考えつつもクリフトは薬の調合をする。 しかし、部屋は防寒をしているので暖かく、クリフトの眠気を増すには十分だった。 薬の完成間近で、クリフトはとうとう机の上にうつぶせて眠ってしまった。 しばらくしてクリフトが目を開けると、自分は楽な体勢で横になっていた。 布団もていねいにかけられ、何よりも暖かかった。 でも、クリフトが目を覚まして驚愕したことがある。それは、アリーナが自分の隣で眠っていること。 その光景に腰を抜かしたクリフト。 隣にいるアリーナの寝息がクリフトの体にもふきかかる。 さらに、アリーナの腕はクリフトの左腕に抱きついたという感じで胸をクリフトの体に押し当てていた。 「うっ・・・」 あまりの光景に自分を失いそうになるクリフトだが、自分のもう数少ない意識を懸命に残そうとする。 眠たがらないアリーナを無理に寝かしたこと、わざわざ机で眠っていた自分を運んでくれたであろうアリーナを起こすのは気が引けたが仕方なく起こした。 「姫さま、姫さま」 アリーナを揺さぶる動作には自然に力が入る。 クリフトに起こされても全く動じないアリーナ。最初からおきていたのだ。そして笑う。 「ぷっ・・・あははは」 突然笑い出すアリーナにクリフトはまた驚く。 「だって・・・クリフトそんな赤くなって。おかしい。」 そんなことを言われてクリフトは更に顔を赤くしてうつむいた。 クリフトが顔を上げ、一言いってから部屋を去ろうとしたらアリーナが面白がって止める。 「一緒に寝ようよー」 いたずらっぽくそういうとクリフトは今までになかったほど顔を真っ赤に染め上げ、裏返った声で 「すいません!」 と言うと足早に去っていった。 恋愛に全く関心がないアリーナ姫、いつまでたっても思いを告げないクリフト神官。 彼らが結ばれる日は果たしてやってくるのでしょうか。 それは時間だけが知っています。
https://w.atwiki.jp/vipdeyoyo/pages/681.html
クリフ メーカー Caribou Lodge Yo-Yo Works ベアリングサイズ ジャム大径 レスポンス CLYWサイズ ボディ・リム材質 メタル 重さ 67.7g 直径 59.4mm 厚さ 44.8mm ギャップ幅 ?mm 大きいためか重量程の重さは全く感じない。 -- 名無しさん (2013-05-17 19 17 51) スピードプレイするには向いてないけど、軽いしスイスイ動いてくれるのでシグネ主のようなふわっとしたプレイがしやすい -- 名無しさん (2013-05-17 19 20 46) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/286.html
2008.02.19の続き クリフトとアリーナへの想いはPart9 518 名前 泡沫の恋 1/10  Mail sage 投稿日 2008/10/16(木) 01 24 09 ID bjEy6Nuq0 クリフトは、薪を集めて火を起こすと、黙々と当番の夕食を作り始めた。 1人、ジャガイモの皮をむきながら、時々ため息をつく。 以前は、食事の用意をするときはアリーナが常にまとわりついて、 楽しそうにあれやこれや話しかけてきたものだ。 しかし、ここ最近、アリーナのクリフトに対する態度は、明らかにおかしかった。 クリフトと偶然に顔を合わせると真っ赤になり、その場を逃げ出す。 食事の場などでは、いままで通りクリフトの隣に座ってくれるが、 クリフトの方を見ようともせず、動きもギクシャクと不自然だ。 ―――やはり、先日、目を開けたことを怒ってらっしゃるんですかね…。 先日、アリーナに目をつぶれと言われ、「目を開けちゃダメ」と念を押されたのに 自分は思わず途中で目を開けてしまった、という出来事があった。 そのときには、目の前にアリーナの顔があって思考が吹っ飛んだのだが、 我に返った後、これは大方、マーニャか勇者が絡んでいるに違いないと見当をつけた。 そこで、あの日の夕方、勇者の腕を捕えると馬車の裏に引っ張って 「ソロさん。今日の昼の姫様の行動、何か心当たりがおありじゃないですか。」 と満面の笑みを浮かべて尋ねたのだ。 クリフトの笑顔に青くなった勇者が、しどろもどろに説明したところによると、 あれは目をつぶった相手にどこまで顔を近づけられるかというゲームだったらしい。 勇者の説明が要領を得ないためルールは良く分からなかったが、とにかく、 クリフトが途中で目を開けてしまったために、アリーナは負けたということだった。 ―――しかし、あそこで私が目を開けなかったら、一体どうなったと思うんですか。 悪ふざけも大概にして欲しいものですね! そのおかげで、こちらは、あれ以来ずっと姫様に避けられる始末だ。 クリフトは忌々し気に、馬車の御者席にノホホンと座っていた勇者を睨んだ。 勇者はクリフトの視線に気がついたようで、慌ててこちらに背を向けた。 不機嫌でも、夕食はきちんと作る。 その日のメニューはクリフトの得意料理、おおにわとりのシチューだった。 皆がおいしそうに舌鼓を打つ中、クリフトの隣のアリーナのスプーンは動きが鈍かった。 クリフトは心配そうにアリーナを眺めやった。 アリーナが自分を避けていることも、もちろん気になるのであるが、それ以上に 最近、アリーナが、どうも元気がなさそうな様子であることが気がかりであった。 しかし、アリーナに避けられているために具合を聞くこともできない。 ―――せめて、沢山召し上がっていただくよう、姫様の好物を作ったのだけど…。 「姫様、そのようにお食事を残されては、体力が持ちませんよ。」 アリーナに向かって、優しく諭すように呼びかけると、アリーナは飛び上がった。 「そ、そう、よね…。」 アリーナは、クリフトの視線を避けたまま、頬を赤くして慌ただしくスプーンを動かし始めたが、 スプーンは皿の底を掻きまわしているだけで、口に運ばれることはなかった。 クリフトは、アリーナに聞こえないよう、そっとため息をついた。 それから日々は過ぎて行ったが、アリーナの余所余所しさに変化は見られなかった。 クリフトは、落胆しながらも、アリーナの態度に、どこか心騒ぐような感覚を覚えていた。 ―――なんだろう、この不安な…いや、不安とも違う、落ち着かない気持ちは…。 しかし、同時に、頭の片隅で、その原因を突き止めてはいけないと警報が鳴っていた。 クリフトは、頭を振ると、その感覚については、それ以上突き詰めて考えないようにした。 アリーナの挙動不審は、徐々に、その戦闘能力にも影響を及ぼし始めていた。 戦闘中に、しばしば集中力を欠くようになってきたのである。 当然、怪我も増えるのだが、アリーナは戦闘中もクリフトを避けようとしているため、 いつもに比べて、どうしても回復が遅れがちになる。 とうとう、今日は痛恨の一撃をもろに食らい、途中で戦闘不能の状態となってしまった。 「姫様!!」 クリフトが叫んだが、アリーナはクリフトの方を見ようとしない。 勇者はそれを見て舌打ちをすると、アリーナに駆け寄って回復呪文を唱えた。 戦闘が終わって皆が一息ついているとき、勇者がアリーナに歩み寄った。 「アリーナ。お前、しばらく待機要員だ。」 アリーナは、はっと顔を上げたが、勇者は厳しい顔でアリーナを見据えていた。 「自分の感情をコントロールできない奴に、背中は任せられないからな。」 アリーナは、端からはっきり分かるほどに青褪めた。 クリフトは、心配そうにアリーナを見やった。 闘うことを何よりも誇りとし、喜びとするアリーナが、この措置に傷つかないわけがない。 ―――しかし、姫様は、いったいどうされてしまったのだろう…。 うつむくアリーナに、クリフトはどう慰めの言葉をかければよいか分からずにいた。 そのとき、ふと気付くと、マーニャがクリフトをきつい目で睨んでいた。 その隣で、ミネアも眉をひそめてこちらを見ている。 見回すと、他の面々も、クリフトを非難がましい顔で見ているような気がした。 ―――な、なんだ…?皆、どうして私をそんな目で見る? クリフトは、訳が分からないながらも、何となく居心地が悪くなり、 皆から顔を背けるように帽子を目深にかぶりなおすと、足早にその場を立ち去った。 翌日からの戦闘には、アリーナの姿はなかった。 戦闘に出ない日々が続くにつれ、アリーナは、だんだんと無口になり 以前のような笑顔も見られなくなっていった。 そして、笑いの中心だったアリーナが沈み込んでいるせいで、 パーティ全体のムードも湿りがちなものになっていった。 そんなある日、難しい顔をした勇者がクリフトを呼び出した。 「おい、クリフト、話がある、ちょっと顔貸せ。」 勇者は森の外れにクリフトを呼び出すと、いきなり尋ねた。 「お前、アリーナがあんな状態になってんのに、何で放っておくんだよ。」 クリフトは面食らった。 「放っておくって…そもそも、ソロさん達が、あんなゲームなんかするから…。」 答えながらも、クリフトは、胸の中のざわめきが大きくなってくるのを感じていた。 勇者は、クリフトの答えに目を細めた。 「おい…お前、本当に分かってないのか?」 クリフトは心臓の鼓動が早くなっていくのを感じながら、ゆっくりと答えた。 「分かってない、って……何を、ですか?」 「ゲームだなんて、お前、本当にそんな話、信じてるのか?」 「…ですが、ソロさんご自身がそうおっしゃって…。」 「ゲームくらいで、あそこまでアリーナがお前のこと避け続けるか?」 「え…。」 勇者はため息をついた。 「鈍いとかそういう問題じゃねーよ。あのライアンでさえ気付いてるんだぞ。 ……お前、わざと、自分をごまかして、分からない振りしてないか…?」 クリフトは、勇者の顔を呆然と見つめたまま、立ちすくんでいた。 いまや、心臓は、うるさいくらいに早鐘を打っていた。 勇者はなおも続けた。 「お前たちの問題だから、俺は口を出すのはやめようと思ってたけど、こんな調子じゃ…。 いいか、クリフト。アリーナは、お前を」 「ソロさん!」 クリフトは、大声で叫んだ。 クリフトは、今まで、心を騒がせていたものの正体をやっと悟った。 それは、気付いてはいけない事実―――聞いてはならない言葉だった。 「…いけません、それ以上は、言っては…。」 そう言ってクリフトは勇者から目をそらした。 「なんでだよ?お前だって、アリーナのことを」 「ソロさん!…お願いです。それ以上は、何も言わないで下さい。」 再びクリフトに遮られ、勇者は、かっとしたようにクリフトの胸倉をつかんだ。 「ふざけるな!お前、アリーナの気持ちも、何もかも分かってて、逃げる気かよ!」 クリフトは、胸倉をつかまれたまま、苦しげな表情で目を閉じた。 「姫様は、…何か、勘違いをされているんです。しばらくすれば、元に戻ります。」 クリフトの答えを聞いて、勇者はクリフトを突き飛ばした。 「お前…あんな状態のアリーナ見て……戦うことさえできないんだぞ!? それでも、あれが、勘違いだっていうのか?」 クリフトは、ゆっくりと体を起こしながら、低い声で答えた。 「…ええ。勘違い、です。…勘違いでなければ、ならないんです。」 勇者は、もう一度怒鳴ろうと口を開けたが、自分を見上げたクリフトの表情を見て 口をつぐむと、こぶしを握って下を向いた。 「お前は、自分勝手だよ…それは、単なる独りよがりだ。」 そして、クリフトに背を向けると足早に立ち去った。 一人残ったクリフトは動かず、唇を噛み締めてうつむいていた。 ―――ソロさん。あなたには、分からない…。 想いだけでは、どうしようもないものも、あるのです。 一行は、沈んだ雰囲気のまま、補給のため街に入った。 夕食後、勇者たちは気分転換に飲みに行ったが、クリフトは早々に部屋に引き取った。 部屋で一人、就寝前の祈りを捧げていたクリフトの部屋のドアを叩くものがあった。 「ソロさん?鍵は開いてます、よ…」 ドアを開けたクリフトは、息を飲んだ。 クリフトの前に立っていたのは、アリーナであった。 「ひ、めさま…。」 「クリフト、ちょっといい?」 そう言って部屋に入ってこようとするアリーナを、クリフトは慌てて押しとどめた。 「い、いけません、夜分にお1人で男性の部屋にいらっしゃるなど。」 アリーナは足を止めてクリフトを見上げた。 「…だったら、外に行くから、一緒に来て。」 そのまま、さっと踵を返すと先に部屋を出て行った。 クリフトは、訳が分からず呆然と突っ立っていたが、アリーナが立ち止まり こちらを見ているため、小さく吐息をつくと、のろのろとアリーナの後ろに続いた。 小川のせせらぎと虫の音が聞こえてくる中、アリーナはクリフトに向き直った。 「クリフト。私ね、自分の気持ちをすっきりさせることに決めたの。 このままじゃ、私、お父様やサントハイムを救うこともできそうにないもの。」 笑顔こそなかったものの、そう言うアリーナの表情には持ち前の明るさが戻っていた。 反対に、アリーナを見つめるクリフトは青褪め、顔をこわばらせていた。 アリーナはクリフトの表情を見て少し悲しそうな顔をしたが、明るい声で続けた。 「クリフトの答えは、もうだいたい分かってる。正直に言ってもらっていいわよ。 答えを聞いたら、この場限りで全部忘れるから。 明日からは、元のアリーナに戻って、デスピサロを倒すことに集中する。」 クリフトは、かすれた声で答えた。 「姫様、一体、何を…。」 アリーナはクリフトの目を見ると、きっぱりと言った。 「私、クリフトのことが、好きよ。…友人や、臣下としてじゃなく。 だから、クリフトの気持ちが知りたいの。お願い。はっきり答えて。」 クリフトは、アリーナを見つめたまま固まっていた。 この場で答えるべき模範解答は、いく通りも頭の中に用意してあった。 曰く「私は、国民の皆と同じように姫様を敬愛しております。」 曰く「姫様は、心細くなっておいでなのです。陛下やお城の皆がお戻りになられれば、 そのようなお気持ちは忘れてしまいますよ。」 曰く「姫様ともあろうお方が、そのようなことを考えるべきではありません。 今考えるべきは、サントハイムを魔物から取り戻すことです。」 しかし、アリーナの真剣かつ明快な問いかけは、そのような言い逃れを許さないものだった。 クリフトは、アリーナの強い意思を持った瞳に、自分の中の箍が外れかけているのを感じた。 そのとき、ふと先日の勇者の言葉が胸の中に蘇った。 ―――お前は、自分勝手だよ。…それは、単なる独りよがりだ。 確かに、その通りかもしれない。 アリーナは、こうやって、全身全霊でぶつかってきてくれている。 それに対して、これ以上逃げるのは、卑怯なのかもしれない。 ―――それに、姫様は、この場限りで全部忘れるとおっしゃった。 クリフトはそのアリーナの言葉を自分自身への言い訳にすると、心を決めた。 「…姫様…。」 クリフトは、アリーナの前に跪くと、その手を取った。 そして、真っ直ぐにアリーナを見上げた。 「姫様、私は…私の方こそ、昔からずっと、姫様をお慕いしておりました。 この想いは、一生姫様に告げることはないと思っておりましたが…。 ここでこうやって姫様にお伝えすることができて、私は…。 私は、この場で死んでも本望でございます。」 今度は、アリーナが固まる番だった。 アリーナは、手を取られたまま、呆然とクリフトを見つめていた。 「え、と、あ、あれ…?クリフト、私のこと、好き、なの…?」 「はい。」 「…私が好きって言ったから、無理して嘘ついてるんじゃなくて?」 「いいえ。私のこの想いは、ずっと昔から、正真正銘の本物です。」 クリフトはアリーナを見上げて微笑む。 アリーナの表情がだんだんと理解の色を深めていき、そして、次の瞬間、 アリーナは輝くような笑顔を浮かべてクリフトに抱きついた。 「クリフト!嬉しい!!どうしよう、私、すっごく嬉しい!!」 クリフト、大好き!と繰り返すアリーナの頭をなでながら、クリフトは囁いた。 「…姫様。でも、今のことは、この場限りでお忘れくださいね。」 アリーナが不思議そうにクリフトを見上げた。 「どうして?」 「どうして、って…姫様、先ほどそうおっしゃったじゃないですか。」 クリフトは慌てた。 「だって、それは、クリフトが私のこと好きじゃないって思ってたからよ。 クリフトが私のこと好きでいてくれるんだったら、忘れる必要なんかないわ!」 「な…!」 満面の笑みで返すアリーナに、クリフトは眩暈を感じた。 アリーナの性格を考えれば、この展開は読めたはずなのに…自分は何と愚かだったのだろう。 アリーナが、クリフトの様子を見て笑顔を消した。 「クリフトは?…今日のこと忘れたいの?」 「―――!!」 切なそうな瞳で見上げられ、クリフトは思わずアリーナを引き寄せた。 腕の中で、アリーナが息を飲む気配がする。 「そんなわけ、ないじゃないですか…!」 ―――むしろ、この瞬間で、時が止まってしまえばいいのに…! アリーナを抱きしめていた時間は、一瞬にも永遠にも感じられた。 クリフトは、二度とこの腕を放したくないと切に願った。 しかし、やがて川のせせらぎと虫の音がクリフトを現実に引き戻した。 理性を総動員すると、クリフトはアリーナを抱きしめる手を離した。 アリーナが上気した顔でクリフトを見上げる。 クリフトは眩しげに目を細めると、一歩後ろに下がり、息を吸い込んだ。 感情に流されてはいけない。 自分の立場を忘れてはいけない。 「…姫様。」 「なあに?クリフト。」 「…我々は、サントハイムを取り返す旅の途中です。 2人のことだけにかまけるわけにはいきません…分かりますか?」 「…そう…そうね!クリフトの言うとおりだわ!」 アリーナは、大きく頷いた。 「何よりも、サントハイムを取り戻すことが優先よね! クリフト!旅が終わるまで、私我慢する! その代わり、皆を取り戻したら、一緒にお父様に報告に行きましょうね!」 クリフトの手を取って笑うアリーナに、クリフトは寂しげに微笑んだ。 サントハイムを取り戻し、元の生活が戻ってくれば、 自分がアリーナの隣にいられる可能性はほとんどないだろう。 今の関係は、旅の間の泡沫の夢に過ぎないのだ…。 1人考えに沈んでいるクリフトの袖をアリーナが引っ張った。 クリフトが何か、とアリーナを見ると、アリーナは赤い顔をしていた。 「…あのね、クリフト。」 アリーナがもじもじとクリフトの袖をこねくり回した。 「明日からは、ベタベタしないから、今だけ、あのね、キ、キス、して欲しいの…。 この間は、結局、その、できなかったし…。」 いじらしいその姿を見て、クリフトは、愛しさと切なさに涙が出そうになった。 アリーナは、目を潤ませながら期待を込めてクリフトを見ている。 どんな理由があろうと、これを拒むことなど、クリフトにはできなかった。 ―――神様。今、この場で一度だけ、姫様に触れることをお許し下さい…。 心の中で神に祈りながら、クリフトは身をかがめた。 そして、目を閉じて睫を震わせているアリーナの唇に、軽く触れるだけの口付けを落とした。 唇が離れると、アリーナは花が綻ぶように微笑み、再びクリフトに抱きついた。 アリーナの頭をなでながら、クリフトは心の中で呟いた。 ―――これからも私の姫様に対する立場は、変わらない。 命がけで姫様をお守りしていくだけだ。…そう、今までと同じように…。
https://w.atwiki.jp/1548908-tf4/pages/392.html
ノーマネー弥生:蠍座の黒2 攻略 ※チェック・50待ち 合計40枚+00枚 上級02枚 黒蠍-強力のゴーグ×2 下級18枚 キラー・トマト×3 クリッター 黒蠍-棘のミーネ×3 黒蠍盗掘団 黒蠍-逃げ足のチック×2 黒蠍-罠はずしのクリフ×2 首領・ザルーグ×3 番兵ゴーレム×3 魔法09枚 大嵐 おくびょうかぜ 黒蠍 愛の悲劇 黒蠍団召集 サイクロン 死者蘇生 増援 団結の力 ハリケーン 罠11枚 強制脱出装置×2 激流葬 死のデッキ破壊ウイルス 聖なるバリア-ミラーフォース- ダスト・シュート 旅人の試練×2 ニードル・ウォール×2 必殺!黒蠍コンビネーション エクストラ00枚
https://w.atwiki.jp/1548908-tf3/pages/1144.html
首領・ザルーグ(DU):蠍の鋏 合計42枚+00枚 上級03枚 黒蠍-強力のゴーグ×3 下級16枚 黒蠍-棘のミーネ×3 首領・ザルーグ×3 番兵ゴーレム×3 黒蠍-逃げ足のチック×3 黒蠍-罠はずしのクリフ×3 メタモルポット 魔法16枚 大嵐 おくびょうかぜ×2 黒蠍 愛の悲劇×2 黒蠍団召集×2 サイクロン 死者蘇生 増援×2 団結の力 早すぎた埋葬 ハリケーン 光の護封剣 ライトニング・ボルテックス 罠07枚 黒蠍団撤収 激流葬 聖なるバリア-ミラーフォース- ダスト・シュート ニードル・ウォール×2 必殺!黒蠍コンビネーション エクストラ00枚
https://w.atwiki.jp/magamorg/pages/7543.html
パーフェクト・サクリファイス 闇 R コスト 4 呪文 ■自分のクリーチャーをすべて破壊する。その中にパーフェクト・ハートがあれば、自分の墓地からクリーチャーを1体選び、コストを支払わずにバトルゾーンに出してもよい。 (F)「より強い力が欲しければお前のすべてを捧げろ。安心しろ。アトモスが集めた魂はそんな奴らよりはるかに強力さ。」----兵極将タクティクス・フレイマー 作者:セレナーデ 収録 星戦編 第二弾 裏世界の強者達(バック・オブ・ストロング・コマンド) 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/202.html
クリフトとアリーナの想いはPart7 416 :子猫1/3 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/22(火) 20 25 36 ID 0PuqldL20 クリフトとブライと3人で旅に出てから1ヶ月が経った。 お城をこんなに長い間離れていたのは初めてで、何もかもが新鮮で最高! ある日、川で顔を洗っていると、どこからか、か細い泣き声がした。 辺りを見回すと、木の上で降りられなくなったらしい、小さな子猫。 お城のミーちゃんの小さい頃を思い出させるような、真っ白な子猫だった。 私は思わず地面を蹴って枝に飛び上がると、子猫をそっと抱き上げた。 「ダメです、姫様。動物を連れて旅などできません!」 子猫を連れて戻ってきた私に、クリフトは早速お説教モードだ。 「でも、ここら辺魔物も多いし、この子、食べられちゃうかもしれない!」 私の抗議の声にこたえるように、子猫がニーーと鳴いた。 それを見て、クリフトの表情がちょっと柔らいだ。 チャンス! 私は、すかさず子猫をクリフトに押し付けた。 「わっ!姫様、何を!?」 子猫も、びっくりしたみたいにクリフトの神官服に爪をひっかけた。 「こら、爪を立てるんじゃありません!服がほつれる!」 クリフトは文句を言いながらも、子猫が落ち着くように抱えなおした。 その表情はすっかり緩んでいる。 ほーら、クリフトが猫好きだってことは良く知ってるんだから。 こんな可愛い子、一度抱きしめたら、もう手放せないでしょ。 案の定、クリフトは咳払いをするとしかつめらしい顔で言った。 「…仕方ありません、このまま、魔物の餌食にするのも見過ごせませんね。 でも、次の街に着くまでですよ。街に着いたら放しますからね。」 えへへ、やったね!私って知能犯! ブライはぶつぶつ文句を言ったけど、2対1では勝てっこない。 白い子猫、命名しろちゃんは、私達の旅の仲間になった。 数日もすると、しろちゃんは、クリフトにすっかりなついてしまった。 いつも、気がついたらクリフトの膝の上で丸くなっている。 クリフトも、それが嬉しいらしくて、大人しくしろちゃんのベッドになっていた。 今も、膝の上で寛いでるしろちゃんの背中を、指先で優しく撫でてあげてる。 へー、あんな顔もするんだー、クリフト。 とろけそうな顔っていうのは、こういうことを言うのかしら。 旅に出てから、クリフトのこと、けっこう剣が得意とか、寝癖がつきやすいとか、 いろいろと新しく発見してるけど、こんなクリフトも、初めて見るなぁ。 …。 ……。 なんか、面白くない。 そもそも、私が助けてあげたのに、なんで、クリフトにばっかりなつくのよ! と、私の後ろから、くつくつ言う笑い声が聞こえた。 振り向くとブライがおかしそうな顔をしてクリフトとしろちゃんを見ている。 「ブライ、何がおかしいの?」 ブライは、クリフトをこっそり指差した。 「あやつが、お休み中の姫様を見ているときと同じ顔をしているのがおかしくて…。」 ほんに、分かりやすい奴じゃ、とブライはまたくつくつと笑った。 ………。 へ、へー……。クリフト、私のこと見てもあんな顔するんだー…。 私、年下だから、クリフトの中では子猫扱いってこと? 何となく釈然としない気もするけど、そっか、へー。 クリフト、あんな顔で、私のこと見てるんだ…。 私は、クリフトのところに駆け寄ると、すとんとその隣に腰を下ろした。 「…どうされました?」 クリフトがしろちゃんを撫でる手を止めて、怪訝そうに私を見る。 「えへへへへ。」 私は、何となく笑って、クリフトの手を引っ張ると、私の頭の上に乗せた。 「姫様!?」 クリフトが赤くなって手を引っ込めようとしたけど、だめ、放してやらない。 「ね、クリフト、私のことも撫でて!」 「!?!?」 クリフトは真っ赤な顔に?マークをいっぱい貼り付けてたけど、言われたとおり頭を撫でてくれた。 はじめはぎこちなかったけど、だんだん、ゆっくりと柔らかい動きになってくる。 気持ちいーい。 私は、しろちゃんがやっていたみたいに、目を細めてみた。 と、クリフトの顔が視界の端に入った。 クリフトは、さっきのしろちゃんを撫でてたときと同じ目をして私を見ていた。 えへへへへ。 なんか嬉しい。なんでか嬉しい。 ニー。 クリフトの膝で、しろちゃんが抗議の声を上げた。 ごめん、もうちょっと待っててね、しろちゃん。 あなたがクリフトになつく理由、よく分かったわ。 クリフトに撫でてもらうのって、こんなに気持ちいいんだね。 向こうの方では、ブライが何故だか赤い顔をして、私達を見ていた。 そんな、昼下がり…。