約 1,352,356 件
https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/9474.html
「さあ来なさい!幻想モンスターサクリファイス!」 週刊少年ジャンプで連載された高橋和樹の漫画『遊☆戯☆王』に登場するモンスターの一体。 王国編のラスボスであるペガサス・J・クロフォードが「トゥーン・ワールド」と並んで切り札とするカードで、 儀式魔法カード「イリュージョンの儀式」によって召喚される儀式モンスター。 高火力カードが持て囃されていた当時の章では異例の、攻撃力・守備力0というあまりにも異質なステータスにより、 他の決闘者の切り札達とは全く異なる不気味な存在感を読者に見せ付けたモンスターであった。 ちなみに、サクリファイス(sacrifice)とは「生贄」や「捧げもの」を意味する言葉で、 『遊戯王』的には「スケープゴート」も元々は古代ユダヤ教におけるヤギを用いた生贄の一種である。 宗教的な意味が強いため、海外では「Relinquished(打ち棄てられたもの)」と言う名前になっている。 サクリファイスはステータスが低い代わりに、 1ターンに1度、対戦相手の召喚したモンスターを取り込んで取り込んだモンスターの攻撃力を得る 自分が攻撃対象にされた場合、吸収したモンスターを盾にする事で生存する(戦闘ダメージは吸収したモンスターの元々のプレイヤーが受ける) という非常に強力な効果を持っている。 これにより、劇中では闇遊戯は攻撃はおろか下手にモンスターを出せなくなり、防戦一方となってしまう。 しかし遊戯のフィールドのモンスターを吸収し尽くしたペガサスは、「2ターン後に自分の場のモンスターを破壊し攻撃力分ライフを減らす」効果を持つ、 タイム・ボマーというモンスターを出し、自爆コンボを試みる。 この効果でサクリファイスが倒されても、サクリファイスの元々の攻撃力は0なのでペガサスのライフが減る事は無いが、 これを受けると吸収された遊戯のモンスター達も巻き添えを食い、その攻撃力分のダメージがモンスター達の本来の持ち主である闇遊戯に発生し、 確実にライフがゼロになってしまう。 しかもタイム・ボマーは破壊耐性があり、攻撃も魔法除去も通じない。 ところが闇遊戯に吸収していたブラック・マジシャンを「死のマジックボックス」で奪還され、 代わりにタイム・ボマーがブラック・マジシャンと入れ替わる形でサクリファイスに吸収されてしまう。 この状態でもタイム・ボマーの自爆効果は有効なため、ペガサスは余裕を保っていたが、 「洗脳-ブレインコントロール」でサクリファイスごとタイム・ボマーを奪取され、 さらに闇遊戯が発動した「カオス-黒魔術の儀式」の効果で、タイム・ボマーが「破壊」ではなく「リリース」要員にされる事で場から離れたため、 自爆コンボが不発したばかりか、ブラック・マジシャンが儀式の効果で「マジシャン・オブ・ブラックカオス」に強化される (原作のルールではサクリファイスを儀式のリリース要員にはできなかった模様)。 ターン終了と共にブレインコントロールの効果が切れたためサクリファイスはペガサスの元へ戻るが、 先刻の儀式召喚にサクリファイスが吸収したモンスターを全て使用されたため、攻撃力は0に戻っている。 サクリファイスの効果であれば、マジシャン・オブ・ブラックカオスも吸収がは可能だが、 「それを知っている遊戯が無策でモンスターを出すはずはない」とペガサスは考え、 遊戯が用意しているであろうサクリファイス対策を潰すため、千眼の邪教神をサクリファイスに融合させて、 強化した「サウザンド・アイズ・サクリファイス」の効果でモンスターの行動を封じてマジシャン・オブ・ブラックカオスを吸収しようとする。 だが、戦力外と見なしていた弱小モンスターのクリボーが遊戯の発動した魔法「増殖」により増えて盾代わりになってしまい、 マジシャン・オブ・ブラックカオスの代わりにサウザンド・アイズ・サクリファイスに吸収され、 しかもクリボーが持つ触れると爆発する「機雷化」の効果のせいでクリボーが体内で爆発しまくったため、 サウザンド・アイズ・サクリファイスの拘束効果の要である邪眼が潰され、効果が無効となってしまう。 そのターンの吸収効果を使い切り、拘束効果も使えなくなったサウザンド・アイズ・サクリファイスは、 マジシャン・オブ・ブラックカオスに為す術なく倒され、ペガサスは敗北したのであった。 なお、デザインをよく見ると、胴体の上の方にスポーンにそっくりな顔(マスク?)が付いている(後述する派生カードも同様)。 『遊戯王』という作品自体(特に初期)にアメコミの影響を受けた要素が多々見られるのに加え、 サクリファイスの使い手であるペガサスがカートゥーン趣味のキャラであるため、 恐らくは意図的なオマージュとしてデザインを組み込んだ物と思われる。 ちなみに、原作初期に作中作のヒーローとして登場し、『OCG』でカード化もされた「ゾンバイア」も設定やデザインにスポーンの影響が指摘されている。 『OCG』における性能 儀式・効果モンスター 星1/闇属性/魔法使い族/攻0/守0 「イリュージョンの儀式」により降臨。 1.ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。 その相手モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する(1体のみ装備可能)。 2.このカードの攻撃力・守備力は、このカードの効果で装備したモンスターのそれぞれの数値になり、 このカードが戦闘で破壊される場合、代わりに装備したそのモンスターを破壊する。 3.このカードの効果でモンスターを装備したこのカードの戦闘で自分が戦闘ダメージを受けた時、相手も同じ数値分の効果ダメージを受ける。 吸収できるモンスターが1体限定という点を除けば、漫画版の性能はほぼ再現されている。 加えてステータスの低さから、サーチやサルベージが容易なのも強み。 ただし盾効果が1度しか使えないため、敵の大量展開に弱い。 加えて、サクリファイス自身には魔法・罠の耐性が無く、負ける時はあっさり負ける。 実戦では儀式魔人(リリースして召喚した儀式モンスターに効果を付与する)との併用が望ましい。 関連カード サウザンド・アイズ・サクリファイス 原作でペガサスが使用した、「千眼の邪教神」との融合強化形態。 「このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカード以外のフィールドのモンスターは表示形式を変更できず、攻撃できない」 という効果で原作の千眼呪縛を再現している。 ただし味方の行動も阻害するため、布陣が整ってからリンク召喚などの素材にして退場させるか、 レベル5以下の融合モンスターを特殊召喚する「簡易融合」で耐性持ちの除去に使うなどの工夫が求められる。 登場当時としては相手の行動を制限するロック性能がかなり高く、それが原因で融合モンスターとしては初の制限・禁止カードとなった経歴を持つが、 現在では環境の高速化で制圧戦術のメインに据えるにはあまり馴染まなくなり、吸収能力による相手モンスターの除去をメインに使用される。 余談だが、魔法カード「召喚制限-エクストラネット」や「サモン・ゲート」のイラストから、一時期禁止カード行していた際に、 同時期に禁止行になったゴヨウ・ガーディアンと友人関係となったことが描写されている。 これらのイラストでは焦って汗をかいたり単眼のウジャト眼をにっこりさせるなど、普段の不気味な姿とは裏腹なコミカルな面を見せている。 ミレニアム・アイズ・サクリファイス サウザンド・アイズ・サクリファイスのリメイクモンスター。 同じくサクリファイスを融合素材とするが、相方は「千眼の邪教神」から「効果モンスター」へと拡大している (なお元々の素材である「千眼の邪教神」は通常モンスターなので素材にできないが、 そちらのリメイクにして「サクリファイス」モンスターのサポートカードでもある「黄金の邪教神」は効果モンスターであるため素材にできる)。 イラスト面では「ミレニアム・アイズ」の名の通り、胴体部を除いた全身の目が千年眼になっているのが特徴。 吸収できるのは効果モンスター限定だが、吸収対象と同名のカードの攻撃と効果を無効化する効果があり、 同一モンスターを大量展開するデッキには厄介なメタとなる。 吸収効果自体も大幅に変化しており、吸収できる範囲がフィールドだけでなく墓地にも拡大し、 相手がモンスター効果を発動した場合に誘発する形で発動するようになった。 自発的に吸収できなくなってしまったが、代わりに相手ターンでも条件さえ満たせば発動できる。 主な使い方としては、相手がモンスター効果を発動した際に、それにチェーンする形で吸収効果を発動、 効果を発動した相手モンスターを吸収することで効果を無効化する、というものだろう。 墓地のモンスターも吸収できるため、効果を発動するためのコストとして墓地に移動するカードも無効にできる。 この性質上、所謂「手札誘発」と呼ばれるカード群をも無効にできるのはこのモンスターの大きな強みであり、 相手の手札誘発をケアするために簡易融合とともに出張採用されることもある。 サクリファイス・アニマ リンクモンスター。 素材はレベル1という制約があるが同時に1体と低コストで、 上向きマーカーのみ&リンク先のモンスターを吸収するという、出しやすさは本家より上だが制約も多いカード。 身代わり効果もないので本家以上に倒されやすい。 このカードの真の強みは、レベル1以外に素材指定がないリンクモンスターであること。 リンク素材としてレベル1モンスターを即座に墓地へ送れるため、墓地で使える効果を能動的に狙えるのだ。 もちろん、その上で相手モンスターの位置によってはそのまま吸収して除去もできると、シンプルに汎用性が高い。 同じレベル1モンスターを素材とするリンク1モンスターとしては、 原作でサクリファイスを突破する鍵となったクリボー、その派生形態である「リンクリボー」も存在する。 あちらは防御および展開に寄った効果となっており、こちらの除去および攻撃寄りな効果とは対照的。 どちらを重視するかによって効果を決めるとよい。EXデッキの枠に余裕があるならば、両方入れてしまうのもアリである。 MUGENにおけるサクリファイス chuchoryu氏による手描きドットで製作されたキャラが2種類存在。 なお、いずれもReadmeの類が付属していないため、各種コマンドはcmdファイルを開いて確認する必要がある。 + chuchoryu氏製作 サクリファイス chuchoryu氏製作 サクリファイス MUGEN1.0以降専用。 元々はchuchoryu氏の製作したコンプゲー用のキャラだが、キャラ単体も某所で公開されている。 必殺技は前方と斜め上に撃ち分け可能な飛び道具と、前後にワープする無敵移動技の2つのみと少ないが、性能自体は中々優秀。 超必殺技は禍々しい波動を放つ全画面攻撃で、ガード不能な上に4割以上持っていくという凶悪な性能を誇る。 反面しゃがむ事が出来ず(下段ガード自体は可能)、通常技も貧弱なので接近戦は不得手。 一応ブロッキングを所持しているので全く戦えないというわけではないが、やはり遠距離戦が主体となるだろう。 AIはデフォルトで搭載済み。 ワープで撹乱しつつ飛び道具を軸に攻撃してくるが、とにかく上記の超必殺技が脅威。 + chuchoryu氏製作 サウザンド・アイズ・サクリファイス chuchoryu氏製作 サウザンド・アイズ・サクリファイス MUGEN1.0以降専用。現在は公開先であった動画が削除されているため入手不可。 同じくchuchoryu氏によって製作されたサクリファイスの融合強化形態。 通常形態の2倍以上はありそうなサイズを誇り、気合の入った描き込みと相まって凄まじい威圧感を放つ。 技構成自体は通常形態と変わらず、超必殺技の威力がほぼ半減しているなど火力面では弱体化しているが、 一部を除き投げと飛び道具が無効という新たな特性が備わっており、凶悪さはむしろ増している。 AIはデフォルトで搭載済み。 立ち回り自体は通常版と大差無いようだが、上記の特性により相性が出やすい。 出場大会 「[大会] [サクリファイス]」をタグに含むページは1つもありません。
https://w.atwiki.jp/1548908-card/pages/447.html
サクリファイス:Relinquished 儀式・効果モンスター 星1/闇属性/魔法使い族/攻 0/守 0 「[[イリュージョンの儀式]]」により降臨。 1ターンに1度、相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択し、 装備カード扱いとしてこのカードに1体のみ装備する事ができる。 このカードの攻撃力・守備力は、このカードの効果で装備したモンスターの それぞれの数値になる。この効果でモンスターを装備している場合、 自分が受けた戦闘ダメージと同じダメージを相手ライフに与える。 また、このカードが戦闘によって破壊される場合、代わりにこのカードの効果で 装備したモンスターを破壊する。 解説 関連カード イリュージョンの儀式 サウザンド・アイズ・サクリファイス 奈落との契約 地獄戦士 ヴォルカニック・カウンター カイザー・サクリファイス サクリファイス・ソード サクリファイス・ロータス バイロード・サクリファイス サクリファイス・スパイダー ゲーム別収録パック No.64631466 DS2011パック:パック:-(P)11 PSPTF6パック:パック:-(P)TF6 WiiDT1パック:パック:-(P)DT1 XBOXLiveパック:パック:-(P)XBL1 DS2010パック:パック:-(P)10 PSPTF5パック:パック:-(P)TF5 DS2009パック:パック:-(P)09 PSPTF4パック:パック:-(P)TF4 DS2008パック:パック:トゥーン・ファントム(P)08 PSPTF3パック:パック:-(P)TF3 DS2007パック:パック:-(P)07:-(P)07 DS SSパック:パック:-(P)SS DS NTパック:パック:-(P)NT PSPTF2パック:パック:-(P)TF2 PSPTF1パック:パック:-(P)TF1 PS2TFEパック:パック:-(P)TFE OCGパック:パック:ペガサス・J・クロフォード編(SD):BEGINNER S EDITION 1(第7期)(OCG):BEGINNER S EDITION 1(OCG) OCGパック:パック:DUELIST LEGACY Volume.1(OCG):Magic Ruler -魔法の支配者-(OCG) ご購入はこちら クリック! 遊戯王&トレカ販売 カード&ホビー「KeyGrip」
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/9208.html
このページはこちらに移転しました サクリファイス 作詞/366スレ205 全部理想どうりにはならない どうせ投票箱は無駄 糞の足しにもなりはしない こんなに苦しいのは 低学歴だから? 低賃金だから? 奴らは皆腐ってる ああ、サクリファイス 俺たちはサクリファイス きっと俺たちはむごい犠牲
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/188.html
「死ねよ!」 クリフはそう絶叫し、内なる意思を外界に投射する。 空間はそれに応え、その形を捻じ曲げてレッドへと襲い掛かる。だがその攻撃の先には、もはやレッドの姿はない。 「当たるか、馬鹿が!」 硬質化させたブレードを振るい、正面から切りかかる。それはクリフが反射的に展開させた力場に阻まれ、空中で静止した。 「……なんだよ、その腕は。君は化物なのか?」 「てめえにゃ負けるよ」 言いざま、脚でクリフの首を蹴りつける。意表を付かれたクリフはそれをまともに食らい、地面にもんどり打った。 間髪いれずにもう一発蹴りが飛んでくるが、クリフはその脚ごと念動力で受け止め、弾き飛ばす。 その勢いで壁に叩きつけられたレッドへ向けて、もう一度思念の波が向かう。 そのことを予測していたレッドは即座に飛びのいてそれをかわし、床と壁だけが無残に亀裂を走らせた。 (なんつー威力だ……だが、分かってきたぜ) 不可視の力場による広範囲攻撃、それは確かに脅威だったが、肝心のクリフに戦闘経験がまったくないことが致命的だった。 どんなに鋭利な剣でも、相手に当たらなければ意味がない。 クリフの攻撃パターンはまるで単調であり、さながらモグラ叩きのごとく視認した場所へ向けて攻撃するだけで、 なにも考えていないに等しかった。 戦闘の流れというものを理解していない以上、クリフ・ギルバートに勝ち目はない。そう思えた。 「くそ……なんで死なないんだ、レッド」 レッドは超能力者ではない。なので、サイコキネシスを振るうことが術者にとってどれほどの負担になるか想像もつかない。 だが素人目にもクリフは疲弊しきっていた。汗をだらだら流し、息は荒く、こめかみがぴくぴくとチック症を引き起こしていた。 わずか数分の戦闘ですら、彼の意識に多大な精神的負荷を及ぼすらしい。 限界が近い。小刻みに動き回って攻撃を避け続ながらそう判断したレッドは、 勝負を決めるべく両腕の刃に振動波を流し込んだ。 先のクラーク・ノイマン少佐との死闘で獲得した、分子結合を破壊するバイブレーションであった。 果たして、がくりとクリフの身体が崩れ、周囲に渦巻いていたサイコキネシスが消失する。 「もらった!」 交差する両腕をスライドさせながらクリフに飛び掛り、その時、 「ユーゴー……」 虚脱状態にあるクリフがつぶやく。 その一言はどんな念動力よりも強くレッドを揺さ振った。 「人の心が分からないんですか」とレッドに言った少女、 「わたしはレッドを理解しようとしている」と寂しそうにつぶやくセピア、 寄り添って泣く二人。 そんな意味のない光景がレッドの脳裏に蘇り、その切っ先が鈍る。 ──それが正しかったのか、間違っていたのか、それは誰に分からないだろう。 だが、その鈍った一瞬こそは、両者にとって取り返しのつかない時間だった。 クリフの内部から、強大な力が突如として爆発的に膨れ上がる。 床を叩き割り、壁に穴を開け、周囲のありとあらゆるものを飲み込んで肥大してゆく。 その奔流に為すすべなく吹き飛ばされながら、レッドは己の思い違いに気づく。 限界が近い。 そう、それは間違っていない。 だがその限界とはあくまで「能力を制御できる限界」であり、その一線を見失ってしまったクリフ・ギルバートは、 ひたすらに破壊を振りまくだけの、暴走する怪物と成り果てたのだ。 それはさながら、知性も気高さもなく、妄念のみでこの世の暗黒から這い出る──魔王のように。 「僕は……人間だ……」 定まらぬ視線でつぶやくクリフの目には、もはやなにも映っていないだろう。 無数の刃で身体を切り刻まれたレッドは、壁に背中を預け、それでも立ち上がろうともがく。 「モルモットなんかじゃない……『ヴィクティム』なんかじゃない……」 ナノマシンの修復が追いついていないレッドにとって、この虚無と絶望が形をとったような空間は ただいるだけで生命の危険にさらされるほどの苛烈さを備えていた。 ぎょろり、とクリフの見開かれた瞳がレッドを捉える。瞳孔は開ききっていた。まるで闇夜の中を彷徨っているかのように。 「なんで……生きているんだ? 駄目なんだよ……死なないとさあ……」 おおん、と空気が鳴いた。 「みんな殺してやるんだ……そして……僕は……ユーゴーと二人で……」 レッドに言葉はない。クリフの精神の深淵を、この世の暗黒を、純粋な悪意の表出を目の当たりにし、ただ驚いていた。 今や、それは目に見えていた。 クリフの感情が世界を歪ませ、その歪みは空気を乱し、光を曲げていた。 「…………」 ふと、クリフがなにかに気づいたように辺りに視線をめぐらせる。それより数秒遅れ、レッドもそれに気がつく。 遠くから、地面を揺るがす響きが近づいていた。火の爆ぜるような、石を割るような、そんな奇妙な音がした。 次いで、鼻を刺すオゾン臭が立ち込める。 「ぐぅっ!」 レッドの両腕が激しく震えた。それは通常のARMS共振とは比べ物にならない、圧倒的なものだった。 「また負けているのか……レッドよ」 瓦礫の山と化した医療セクションの廊下の向こうから、何かが近づいてくる。 それは巨大な怪物だった。 「だが……やはりそいつは危険な実験体のようだな……」 髑髏のような異形、薄紅に淡く輝く爪、スパーク発光と過熱された水蒸気を身にまとい、 「そんな出来損ない相手では張り合いがなかろう……クリフ・ギルバート……このオレが直々に殺してやろう」 人間の面影を一欠けらも残さない、悪魔そのものの姿だった。 「この……『ブリューナクの槍』と……『マッドハッター』がな……!」 第八話 『魔』 了
https://w.atwiki.jp/anzrtrpg/pages/232.html
前へ GM: まず、全員が集まってる所でグランドEDでもやりますか クリフ: 犬さんのシナリオで一番の危機を感じたのは、木下シナリオ クリフ: うぇーい GM: 結界を解除するということでよろしいですか? あんな: そうしますか クリフ: では、クリフが法力を解除して結界を外します GM: では、工場のまどからこちらをうかがっていたハルカが、結界が解けたとみて転がるようにこちらに走ってきますね GM: 「良かった……! 本当に良かったぁ!」 あんな: 「終わったよ、はるかちゃん」 GM: 「うん……・うん、ありがとう、あんなちゃん」 クリフ: 「何とかなるものですね。いやぁ、今回は本当に死んでしまうかと思いました」 クリフ: 後ろで首をこきこきやりつつ GM: 「ごめんなさい、わたしの所為で……」 エレナ: 「悪い人をやっつけるのが私の仕事だから何も問題ないです!」 イシュト: 「天が試練を課すのは乗り越えられる男だけだ、問題ない」 クリフ: 「ははは。そんな事を気にするものではありません。私は神の使徒ですしね」 GM: と、ここまで言ったところで、ふとハルカは残骸に埋もれる結晶に目を止めます GM: 「……これ……」と拾い上げます あんな: 「それは?」 GM: 金属質の結晶で、ぱっと見、傷一つない金属球のように見えます GM: が、ハルカが拾い上げると、それは強い光を放ちはじめます GM: 「声が聞こえる……みんなの……」 GM: その光の波動を浴びると、皆さんにも見たはずのない記憶が、風景が脳裏に蘇ってきます クリフ: 「……・……」 黙って、その光景を噛み締める GM: それは、荒廃した大地と、崩れかけたビル街。荒んだ景色の中で、それでも力強く生きてきたロボットと一人の少女の物語です GM: 厳しく、何よりも孤独な……だけど、その日々は決して不幸せなものではありませんでした GM: ハルカの瞳から、涙が一筋こぼれます。 クリフ: ハンカチを懐から取り出して、ハルカに差し出す GM: 頬を伝った涙が、結晶に零れ落ちて弾けた時 クリフ: 「似合いませんよ、それは」 GM: 貴方がたはその結晶から、とてもなじみ深い波動を感じますね GM: 「ありがとうございます……クリフさん。そうですね、私、泣いてなんていられません」 GM: 「……私、やっぱり帰ります。帰らなきゃいけないんです。あそこが、私の地球なんです」 クリフ: 「……頑張ってください。そこでの希望を、貴方が紡ぐのです」 GM: と、涙の乾いたその瞳に、強い意志を宿して、今、新たなクエスターがまた一人誕生したのでした。 GM: という辺りで、グランドED終了。次、個別に移ります あんな: 1話に1人誕生してる気がするな! クリフ: 言うなスネーク! GM: さーて、これやりたいって事がある人からやりましょうか GM: なければこっちが勝手に指定していきますが イシュト: まったく無いなw クリフ: そっちで指名しとくれ あんな: おまかせします エレナ: お任せです GM: うむ、では、イシュトさんから始めますか イシュト: はーい クリフ: ハリウッドエンディングですね。分かります GM: かくして藤宮市に巣くっていた奈落の野望は潰えました GM: しかし、つかの間訪れた平和の中に、貴方の姿はありません イシュト: 「果てなき黒の渇望で、俺は前へと突き進む」 GM: なぜなら、奈落の陰謀が尽きることはなく、貴方の使命もまた終わることはないのです。 GM: しかし、その日、貴方は何故かふと空を仰ぎ見ました GM: 視界の隅で、空に向かって奔る一筋の光芒を貴方はとらえます イシュト: 「・・・頑張れよ」 GM: と呟いたところで、シーンを閉めましょう GM: さて、次、エレナさん エレナ: はい GM: 結構前の話なので、忘れてるかもしれませんが、この埋葬のきっかけは、ブラックロータスからの依頼でした GM: というわけで、ブラックロータスに任務達成の連絡を入れているところということでよろしいでしょうか? エレナ: 電気を盗む悪い人を懲らしめに行く話しでしたね。「という訳ではるかちゃんという子がとても良い子だったんです!」と報告をしています。 GM: 「なるほど、異世界からの追跡者というわけか。恐らく、電力を使って自己修復を試みていたのだろうな」 GM: 「追跡者の残骸に関しては、こちらで回収しておいた……技術部がよだれを垂らしているよ」 GM: 「……エレナ・スクーデリア、今回の一件において些細な予兆から奈落の跳梁を未然に防いだ功績は大きい。ついては何らかの褒章が与えられる予定だが、何か希望はあるか?」 エレナ: 「わぁ、んーと、でしたら、技術部さんがその機械で、いつかはるかちゃんの世界と通信出来るようになったりしたら素敵ですね」 エレナ: 「ロボットさん達が居ると言ってもずっと一人は寂しいですから」 GM: 「分かった。希望に沿うような成果物が完成したら、君に連絡を入れよう」 エレナ: 「はいっ!えっと、その時はあんなちゃんにも使わせてあげたいのですが良いでしょうか?」 GM: 「まあ、出来上がったモノの危険性次第だが、おそらく問題はないだろう」 エレナ: 「ありがとうございます!あんなちゃんもきっと喜びます!」本人も無論嬉しそう GM: 「そうか……さて、エレナ、次の任務までゆっくり休息するといい」 エレナ: 「はいっ!ブラックロータスさんもお仕事、根を詰めすぎないで下さいね?」 GM: 「分かっているよ」と苦笑するブラックロータスの声を通信機の向こう側から聞きながら、シーンを閉じましょう エレナ: はい GM: つーぎー、なのですが GM: ハルカの身元って誰が保護しますか? クリフ: こっちで保護しよう GM: 了解 あんな: クリフさんところにどんどん人が…… GM: では、先にあんな あんな: ういー クリフ: だって孤児院みたいなところもあるし! GM: あんなの日常ですがー、まあ、あまり変わりません。ハルカは相変わらず公園にいます……入学手続きがちょっとかかるようですね あんな: 「おはようはるかちゃん」毎日声をかけるよ GM: 「おはよう、あんなちゃん」 GM: と必ず挨拶を返してくれますね あんな: 帰るにしても帰る手段が無いんでしたっけ GM: まあ、放課後時間のある時なんかは、一緒に遊んだりしてるということで? あんな: ですねー あんな: キャッキャしてる GM: はるかはとても楽しそうにあんなと遊んでます。まあ、今まで同年代の女の子どころか有機生命体に会ったこともなかったので新鮮なのでしょう GM: まあ、そんな風にして何日かが過ぎていくわけですが GM: 今日も散々遊んで日が暮れたので、そろそろお開きにしようかというところです あんな: 「もうこんな時間……はるかちゃん、また明日」 GM: 「うん、あんなちゃん、バイバイ」 GM: いつものように笑って、いつものように手を振って、はるかは教会の方に帰っていきます あんな: (いつまでも、はるかちゃんが笑顔で居られると良いな) クリフ: ここは繋げた方がらしいかな GM: うむ、そんな感じはありますね GM: では、エンディングシーン続行 GM: クリフさん クリフ: 「はるか。もうそろそろ、ですか」 クリフ: 帰ってきたはるかに、一言 GM: 「……!」ビクッと一瞬体を震わせます GM: 「え? な、何のことですか、クリフさん」 クリフ: 「帰るべき場所へ、帰るのでしょう?」 GM: 「……はい」 GM: 観念したのか、素直に認めますね クリフ: 「誰もそれを咎めはしません。そして、引き止めようとする子もいるでしょうが、根っこはわかっているでしょう」 クリフ: 「ただ、貴方が胸を張って生きられる世界である事を、私達は望みます」 GM: 「はい、ありがとうございます」 クリフ: 「頑張りなさい。はるか。いつだって、私達は貴方を応援していますから」 GM: 「はい……みんなに胸を張ってまた会えるように、わたし、頑張ります……頑張って、きっと素敵な世界にして見せます……」 GM: 「だから、行ってきます」 クリフ: 「では、神のご加護があらんことを……」 クリフ: 十字を切って GM: 「はい!」 クリフ: 「いってらっしゃい」 クリフ: と、笑顔で GM: その祝福を受けた瞬間、ハルカは強く自分のシャードを握りしめます GM: 光が溢れて、空へと昇っていきますね クリフ: 「……いい子、でしたね……」 GM: 恐らくその光芒の続く先に、あの荒廃した大地が待っているのでしょう クリフ: と、ぐし、と目を擦って あんな: 多分少し離れた場所から、その光を眺めてるんだと思います GM: では、そのあんなの姿を遠景に納めたところで、シーンをしめたいと思います GM: お疲れ様でした 前へ
https://w.atwiki.jp/aaarowa/pages/440.html
第113話 頼れる相棒,守るべき妻子,愛しき女神の元へ (前編) レザード・ヴァレスの目が開いた時、彼の目に最初に入ったのはレナス・ヴァルキュリアの死に顔だった。 この時レザードはまだ、まどろみの中に居た。レナスの死に顔は、彼に眠りに落ちる直前の映像を連想させた。 輪魂の呪を発動させ、ハーフエルフの肉体にレナスの魂を転生させる事に成功した後、その肉体が立ち上がろうとしていた映像だ。 魂の再構築が完了するまでの間は決して目覚める事が無いはずの肉体が立ち上がるという、有り得ない出来事。 これは夢、もしくは幻覚だったのだろうか、それとも―― 「――っ」 レザードは瞬時に覚醒した。 「ヴァルキュリア――」 そして名前を呼び、振り向いた。その先には、誰もいない。 「――!?ヴァルキュリア?」 慌てて辺りを見回すが、レナス(ルーファスの肉体)の姿は見当たらない。先程の映像は夢や幻覚などではなかったのだ。 「…あれが幻覚では無い?馬鹿な、いくらヴァルキュリアであろうと魂の構築が成されない内に動ける訳が――」 そこまで考えた時、辺りを見回していたレザードは、レナスだけでなくドラゴンオーブまでもが無くなっている事に気が付いた。 そして眠りに落ちつつある時、立ち上がったレナスが自分の側に近づいて来たような、ごく僅かに感じた気配を思い出す。 「ドラゴンオーブの魔力…ドラゴンオーブならば魂を再構築中の肉体でも意識を取り戻させる事も可能…か。 いや、それ以外には考えられん。そして意識を取り戻したヴァルキュリアは、おそらくソフィア達を助ける為に 金龍との戦闘に戻って行った…」 レザードは時計を出して時刻を確認した。既に深夜0時を回っている。 レナスが金龍との戦闘に戻ったのだとしても、あれからかなりの時間が経過している今では、既に決着がついていると考えて良い。 おそらくレナスが金龍の所へ辿り着いた頃には、ソフィアとクリフは既に殺されていたはずだ。 そうなればレナスは金龍と1対1で戦う事が出来、負ける事はまず有り得ないだろう。 ただし、レナスが通常の状態であるならば。 レザードには案じている事が有った。 それは、ドラゴンオーブの魔力がどのような形でレナスに影響したか、だ。 ドラゴンオーブの魔力が魂の再構築を早め、完了させる方向で働きかけたのならば良い。 そうではなく、その魔力が魂の代わりとなり、魂の再構築が途中である内にレナスに意識を取り戻させた場合、 何らかのきっかけ――例えばドラゴンオーブを身体から離す、魔力が尽きる等――で 再びレナスが魂の再構築の状態、つまり昏睡状態に陥る危険がある。 もしそうなったら、そしてそれが戦闘の最中であったなら、レナスは確実に命を落とす事になるだろう。 「急がねば…」 レザードは地面に置いてある荷物をまとめ、移送方陣を試みた。 だが発動する様子はない。やはりドラゴンオーブが無ければ失伝魔法クラスの術や、 能力制限をかけられた術は使用出来ないようだ。 レザードはレナスの死体を名残惜しそうに見つめた。非常に惜しいが、移送方陣の使えない今、この肉体は捨てて行くしかない。 金龍がまだ生きている可能性は0ではない事を考えれば、この肉体を保存する、または屍霊術で操る事に魔力を使う事は出来ないのだ。 レザードはレナスから脱がせた鎧をデイバックにしまうと、 後ろ髪を引かれる思いを強く感じながら、金龍と戦っていた場所、D-5東部を目指して走り出した。 「全く…貴女はどこまでも私を困らせるのがお好きなようですね、ヴァルキュリアよ…」 追って来る気配を感じボーマンが振り返ると、金髪がボーマンに向かって走ってくるのが見えた。 気のせいか彼の顔は先程よりも緊迫しているように見える。 (あの野郎――確かクリフとか呼ばれてたな――こっち来やがったか。 素直に術師の嬢ちゃんのところに戻ってりゃ良いものを…) 手を合わせた感じでは、クリフがダメージを負っている今ならば勝てない事はない。 とはいえ、正面からまともにやり合えばボーマンも五体満足では済みそうにないのも実証済みだ。 クリフがこの島で最後の生き残りだと言うのならまだしも、 参加者がまだ20人以上居る現在、自分が大きな負傷をする危険を冒すのは出来る限り避けたい。 ボーマンが一人でも確実に、そして安全に勝利を収めるにはやはり何かしらの決定打が必要だ。 その決定打を手に入れる為に、鎌石村役場に置かれたという支給品を目指して走り出したのだが、 走り始めてから1つ問題を思いついてしまった。 新たに支給品が配置された場所には、当然それ目当ての参加者が集まってくるだろう。 つまり、そこに向かえば必然的に他の参加者と接触する可能性が高くなるのだが、問題とは「接触する参加者のスタンス」である。 最初は「他の参加者と鉢合わせた場合はクリフを戦わせてボーマン自身は逃げれば良い」と考えたのだが、 その参加者が殺し合いに乗っていなかった場合、同じく乗ってない(と思われる)クリフと協力されてしまう可能性も有り、 「鉢合わせた参加者とクリフを戦わせて、自分は逃げる」という作戦は成り立たなくなる。 その場合、戦闘になればボーマンに勝ち目は無いだろう。 それでも逃げるだけなら可能かもしれないが、その場合にはボーマンがマーダーだと他の参加者に広められる可能性が高く、 なるべく利用出来る仲間を増やしたいボーマンにとっては相当不利な状況になってしまう。 そうならない為にも、役場に着く前に何か対策を考えておかなくてはならない。 (奴が引き返してくれてりゃあ、他の参加者に出会っても逃げれば良いだけなんだがな… アシュトンなら奴が戻るまでには術師の嬢ちゃんを始末してるだろうし、チェスターも奴が相手なら動いてくれるだろ) ボーマンのこの考えは希望的観測に近いのだが、ある程度正しい。 確かに先程の紋章術師との戦闘では2対1の有利な状況にも関わらず、予想外に苦戦をした。 だがそれは相手が詠唱も無しに呪紋を発動してくるという、 ボーマンもアシュトンも初めて戦うタイプの術師だったからと言うだけの事にすぎない。 弱点とまではいかないが、エクスプロードのような強力な呪紋は詠唱無しでは使用出来ない(らしい)事や、 その強力な呪紋の詠唱スピードもセリーヌ程には早くない、という、付け入る隙も見つけた。 連発出来るのがそれほど威力の高くない呪紋のみならば、呪紋の回転率にさえ慣れてしまえばどうにでもなるだろう。 ましてや、戦ってるのは炎と吹雪を吐けるギョロとウルルンまで憑いてるアシュトンである。 紋章術への対処はさほど難しくないはずだ。 (金髪は俺との決着をお望みのようだが…俺を見失っちまえば戻ってく可能性も有るか?) ボーマンはクリフの位置を確認する為にもう一度振り返る。 先程よりも距離が離れているようだ。暗闇でハッキリしないが、クリフはどうやら立ち止まっているらしい。 (ん、諦めたのか?…何だか知らんが振り切るなら今だな!) そう決断して1つ大きく呼吸をする。息を止めると、全力で駆け出した。 (くそったれ、あのオヤジなんつー足だ!さっきから速え速えとは思ってたけどよ、これ程かよ!) 鎌石村方面に逃げていくボーマンを追いかけ始めたクリフだったが、 一向に相手との距離が縮まる様子はなかった。それどころか徐々に離されていく一方である。 (どうにかして止まらせねえと。閃光手榴弾…は駄目か) クリフは一瞬閃光手榴弾を使う事を考えた。 閃光手榴弾を相手の側で作動させれば、相手を5、6秒はショック状態にさせる事が出来、足止めにはなる。 だが、閃光手榴弾も通常の手榴弾同様、ピンを抜いてから作動するまでに数秒かかる。 数秒あればボーマンの足なら50、いや下手すると100メートル近くは進めるかもしれない。 そうなれば閃光手榴弾を確実にボーマンの側に落とすのは不可能に近く、この状況では使えないだろう。 そう考えている間にも、ますますボーマンとの距離は離れ、既に相手の姿は朧気にしか見えなくなっている。 (ちぃ、追いつけねえ) まだ追いかけ始めたばかりだが、このまま走っても追いつけない事を悟ったクリフは走るのを止めて立ち止まった。 直接的な戦闘だったならば、例え実力が劣っていても駆け引き次第で差を埋める事も可能だろうが、 「足の速さ」のような単純な勝負となると、能力差が顕著に結果に反映される。 クェーサー戦の疲労も残るクリフには今、走って逃げるボーマンに追いつく手段は何一つ無い。 (だが、あのオヤジは絶対に逃がせねえ!) ボーマンが向かう先には負傷しているミラージュが居るのだ。 追いつけないので逃げられてしまいました、などと子供の言い訳みたいな事は言えない。 何としてもここで止めなくては。 (俺は追いつけそうにねえんだったら…) そう、「走って逃げる」ボーマンには。 クリフは腰を落とす。そして左腕に闘気を溜め始める。 (直線的に逃げてくってんなら…) ボーマンの姿はもう見えない。だが方向は分かっている。 辺りの空気が闘気に呼応し、まるで呼吸しているかのような音を立てている。 (こいつに追いついてもらうぜ!) 立ち止まったのは追いつく為。 クリフの左腕が輝きだす。 『マックス・エクステンションッ!!』 ボーマンの走り去った方向に向かって巨大な光弾が撃ち出された。 ボーマンは全力で走り出してから、辺りの様子に違和感を感じていた。 何かおかしい。周りの草木が妙にざわめいているような、そんな気配だ。 背後から何かの音が聞こえる。音は徐々に大きくなり、それに伴い周囲が明るくなってくる。 「何だ?」 気になって振り返ると、巨大な光弾がボーマンの方に一直線にカッ飛んで来ていた。 「うぉぉ!?」 光弾がボーマンを飲み込もうとする直前、咄嗟に右側に飛び込んだ。地面を数回転した後、中腰の体勢で止まる。 光弾はボーマンが今居た場所を通過して行き、 前方に生えていた樹を『ベギベギベギ…』と派手で大きな音を立てながらへし折り、飛んでいった。 軌道がもう数メートル程ボーマン寄りだったら避けきれなかったかもしれない。 (危ねぇ!なんっつう事しやがる) クリフを振り切るつもりで加速していた事が功を奏した。 無傷でかわせた事に一瞬安堵したが、ボーマンにそんな余裕は与えられなかった。 『禁止エリアに抵触しています―――』 北の方から『メキメキメキ…』と樹が折れているような倒れているような音が聞こえてきて、レザードは立ち止まった。 音のする方角を振り向くと、巨大な光が西方向へ飛んでいく様子が見える。 「あの光と音…巨大な魔力が樹を薙ぎ倒して進んでいるといったところか?」 レザードは辺りの樹に手をかざした。 「この辺りの樹木と同じ様な太さの樹木を薙ぎ倒して飛び続けているとしたら、なかなかの破壊力、持続力を持つ光だが… 誰かが戦闘中という事か。まさかヴァルキュリアか?…行ってみる価値は有るな」 このエリアはC-5とD-4の2つの禁止エリアに隣接している。 そうそう違う参加者が集まり戦闘を行っている可能性も低いだろう。 それに、金龍と戦った場所よりも今の光の場所の方が距離が近い事もある。 レザードは少しの間考えを巡らすと、まずは今の光の場所へ向かう事にした。 クリフがマックス・エクステンションを放った目論見は3つある。 1つは当然命中を期待しての事だ。 いくらボーマンの足が速かろうと、飛び道具より速く走れはしない。 クェーサークラスの敵ならともかく、ただの人間がマックス・エクステンションに直撃すれば無事では済まないだろう。 クリフの本音では、戦闘が早く終わるに越した事は無いので出来れば命中していてほしいのだが、 大体の方向が分かっているとは言え、姿は見えない、距離も離れていた、何よりあれだけ素早く動く相手だ。 まともに命中する可能性は低いのは分かっている。これはあくまでも「あわよくば」の話だ。 本命は残りの2つ。 一つ目は、まずマックス・エクステンションを「避けさせる」事でボーマンの足を止める事。 二つ目は、マックス・エクステンション自体の照らす光でボーマンの位置を「確認」する事だ。 マックス・エクステンションを放った後、クリフは走って距離を詰めながら光弾の軌道を注意深く観察していた。 光弾は自ら発する光で辺りを照らしながら飛んでいく。 (あの野郎、まだ見えねえ。そろそろギリギリだが…) クリフが一瞬作戦の失敗を考えたその時、マックス・エクステンションを避けるボーマンが見えた。 しかも転がり込むように避け、体勢を崩している。クリフが考えるベストの状況が生まれた。 (見えた!この距離だと際どいがやるしかねえ!) 『バーストタックル!!』 『バーストタックル』=闘気を爆発させ、炎の闘気と爆風のような突進力で敵に体当たりをくらわす技だ。 その最高速度は瞬間的にはマックス・エクステンションよりも速い。 そう、クリフは正確には追いつける手段は持っていた。バーストタックルなら追いつくだけなら可能だったろう。 しかし正確に当てられなければ一時的に追いつけたところで、再び逃げられてしまう。 この暗闇で、しかも走っている相手にクリーンヒットさせるのは難しく、自信は無かった。 だからボーマンの動きを止める必要が有ったのだ。自身の最大奥義を利用してまで。 クリフは赤い闘気を身にまとい、砲弾のような勢いでボーマンに突っ込んでいく。 ボーマンがクリフの方を振り向いた。その顔が異常なまでに引きつる。 『――に抵――――まで―――』 禁止エリアに進入し、首輪から警告音が発せられる。 しかし目の前のボーマンに集中しているクリフの耳に、その警告音は入らなかった。 「ッラァァァァァァッ!」(もらった!ぶっ飛びやがれ!) 『―――首輪爆破まで後30秒』 (禁止…いや、それより野郎は!?) 禁止エリアの警告に僅かに狼狽えたが、30秒以内に出れば何も問題は無い事は確認済みだ。。 それよりもここでクリフへの対処を間違え、禁止エリアの奥へと吹っ飛ばされでもしたら本当に命を落とす事になる。 そう考えるとボーマンはクリフの方を振り向いた。 「ッラァァァァァァッ!」 そこには赤い闘気を纏い、ミカエルのような勢いでボーマンに突っ込んで来るクリフが見えた。 (スピ…!?やべっ!) 瞬間、ボーマンは自分の後方に跳躍を始める。 同時に両手で白衣をたくし上げると身体を水平に倒し、突っ込んできたクリフの左顔面を狙いドロップキックを放つ。 炸裂音が辺りに響いた。 ボーマンのドロップキックはクリフの左肩に命中した。インパクトの瞬間にクリフが身体を捻ったせいで狙いが逸れたのだ。 なんとかクリフを蹴り飛ばしたがバーストタックルの威力は相殺しきれず、錐揉み状態で吹っ飛ばされた。 体勢を立て直す事も出来ずに近くの樹に背中から思い切り激突し、一瞬ボーマンの意識がブラックアウトする。 衝撃で樹から大量の木の葉が辺りに舞い落ち、木の葉と共にボーマンの身体もずり落ちていった。 (…はっ…スピキュールじゃねぇのかよ…紛らわしい技を使いやがって) 若干似たような技ではあるが、無論スピキュールではない。だがさっきのボーマンにはそう見えた。 一瞬本気で死を覚悟したボーマンだったが、 かつての冒険で培ったトラウマ…いや、経験がボーマンの身体を突き動かした。 白衣をたくし上げ、身体を水平にしたのはガソリンまみれの上半身を炎から護る為、 後方への跳躍からの跳び蹴りは反動で禁止エリアから脱出する為。 どちらも考えて行った事ではない。刺激された生存本能が行ったのだ。 ただ、その代償は高くつく事になるのだが… ボーマンが顔を引きつらせたのを、クリフは「避けきれないと判断して焦っている表情」だと解釈した。 クリフ自身も「確実に命中するタイミング」だと思った。 タックルを当てる為に身体を捻ったその瞬間、ボーマンが跳躍する。 (跳んだ!?) ガードしてくるくらいは予想していた。そしてバーストタックルならガードごとぶっ飛ばせる自信があった。 だが、まさか動かれるとは思っていなかった。 (知るか!) ボーマンの跳躍の高度は低い。ならば充分当てられるはずだった。 が、クリフのバーストタックルにボーマンのドロップキックがカウンターで炸裂した。 バランスを崩したクリフはバーストタックルの勢いのまま、十数メートル程うつ伏せに滑り、倒れこむ。 (あそこで跳び蹴りだと?どんな反射神経してやがるんだこのオヤジは) カウンターを合わされたとはいえ、攻撃された場所は肩。大したダメージは無い。 それよりも今、うつ伏せに倒れているクリフはボーマンの位置を見失っている。 また逃げられたら今度こそ本当に追いつく手段は無いだろう。その事に気付くとクリフは慌てて立ち上がった。 「何処だ?」 ボーマンの位置を確認しようとした時、何かが激突したような音が聞こえた。 音がした方向を振り向くと樹からズルズルと落ちてくるボーマンが見えた。どうやらタックルで吹っ飛ばされて樹に激突した様子だ。 「おし、逃がすかよ!」 追撃に走ろうとした時、クリフの首輪から音声が流れてきた。 『禁止エリアに抵触しています。首輪爆破まで後20秒』 「んだとぉ!?」 つい声を上げ、首輪に手を当てる。 実はバーストタックルで突進している最中に1度目の警告音は鳴っていたのだが、 ボーマンをぶっ飛ばす事に集中していたクリフの耳には警告音など入って来なかったのだ。 そして、クリフは目覚めてから今の今まで、禁止エリアの事などすっかり忘れていた。しかしそれも無理も無い事ではある。 クリフの起き抜けには既に戦闘状態だったし、ミラージュの事を思い出してからのクリフの思考は 「ミラージュを護る為にボーマンを倒す」事で埋め尽くされていた。 冷静に考えれば、そして「首輪爆破までの猶予時間」の存在を知らないのであれば、 C-5とD-4を禁止エリアで塞がれているこのエリアから役場方面に逃走されたからといって 通り抜ける事など出来るとは考えられないのだ。取り乱す理由など何も無い。 だが、クリフは動揺した。ミラージュの為に動揺した。それだけミラージュはクリフにとって掛替えの無い人物だった。 (ちぃ、このエリアはC-5か?…だよな?合ってるよな?だったら…) クリフは自分の走ってきた方向と今いるエリアを頭の中で確認すると、 (こいつの方向に行く分には問題ねえ!) ボーマンに向かって突っ込んでいった。 少し間が空いてしまったが、ボーマンはまだ激突した樹の下に居た。何故か白衣を脱いでいるところだ。 クリフは助走のついた跳躍から跳び蹴りを放った。 その時、クリフはボーマンのある異変に気付いた。 ボーマンは跳び蹴りを避けるつもりのようだが、何故かボーマンの動きが鈍っているのだ。 (遅え?これなら!) クリフは蹴りつけた。 『ドゴォ』と衝撃音を立て、クリフの跳び蹴りはボーマンの背後の樹に命中した。間一髪で回避されたのだ。 (チィ、外したか。だが、今の鈍さ…どうやらバーストタックルで足を痛めたみたいだな) ボーマンは着地すると、まず自身の身体を動かしてダメージを確認した。 (背中は痛むが…筋肉の断裂は無いな。足は…折れてはない、動かせるな。良し、問題ない。動ける) 派手に吹っ飛ばされはしたが、幸いボーマンに骨折等の大きなダメージは無い。 クリフの方を見ると、首輪に手を当てて何やら喚いていた。どうやら禁止エリアに入った事に驚いているようだ。 やぶれかぶれのドロップキックのダメージは少ないらしい。 一瞬、禁止エリアを利用してクリフを殺せないかと考えたが、結局それには直接戦闘する必要がありそうだと気付き、却下する。 今はあのような手で追いつかれはしたが、状況は走り出す前に戻っただけなのだ。 つまり、また役場に向かえば良いだけの事。クリフの手の内がいくつか分かった今は、先程より有利に逃げられる。 (バカでかい気弾は避けるしかねえが、スピキュールもどきには対策を思いついたぜ。次は完璧に逃げ切れる!) スピキュールもどき(バーストタックル)はスピキュールではないにしろ、炎を纏っているのには変わりは無い。 次に繰り出してきたら、ガソリンが染み込んでる白衣を投げつけてやれば良い。そうすれば逆に炎に包まれ自滅するだろう。 ボーマンはそう考えると白衣を脱ぎ、いつでも投げられる様に丸めてデイバッグの中に突っ込んだ。 そこにクリフが跳びかかってくる。 (ほぉ、普通に突っ込んでくるのかよ。もう手が無いなら役場に向かわせてもらうぜ?) ボーマンはクリフの攻撃をサイドステップで避けたら、そのまま再び走り出そうと考えた。 しかしその時、ボーマンに異変が生じる。 (!?…何だ!?) 何故かボーマンの足が重いのだ。 (遅ぇ!?) クリフの跳び蹴りが迫ってくる。 が、間一髪で回避が間に合った。『ドゴォ』と衝撃音を立て、クリフの跳び蹴りはボーマンの背後の樹に命中した。 樹は2度目の衝撃により、ミシミシと音を立てて倒れる。倒れた振動で辺りの空気が軽く揺れた。 (何だ!?今の感覚は!?) ボーマンには理解出来なかった。 先程までならば余裕で避けていたであろうタイミングでサイドステップをしたのだ。 それなのに足がついてこない。回避出来たのはギリギリだった。一体何故? とりあえずクリフとの距離を離そうとバックステップを試みる。が、 (やっぱり遅ぇ!何だっつーんだ!?) 自分の身体がスローに感じる。 身体にダメージはほとんど無い。それは間違いないのだ。それなのに何故か動きが遅い。 クリフが指を鳴らしながらゆっくりと近づいてくる。 クリフの威圧感と自分に起こっている異常への不安感がボーマンを思わず後退りさせた。 「オッサン、どうやら足を痛めたみたいだな。悪いが待たせてる奴がいるんでね、そろそろケリつけようじゃねぇか」 (足を痛めた…?) 「あん?俺はまだ27なんだよ。オッサンとか言ってんじゃねぇよ」 (痛みなんかねぇぞ) ボーマンはそう思いつつも気になって足元を見る。そして愕然とした。 (げ、こいつ27かよ。ミラージュとタメじゃねえか) 瞬間的にクリフは、ミラージュを「オバサン」と呼んで インフィニティアーツ→キャノンブレイズのリンクコンボでお仕置きされている自分を連想してしまった。 (チッ、この野郎。余計な事考えさせるのが上手いじゃねえかよ。姑息な野郎だ、ますます許せねえ) これについてはボーマンに何一つ非は無いのだが、クリフはボーマンを「姑息な野郎」と認定した。 「…ま、どうでもいい。決めさせてもらうぜ!」 暗いのでハッキリしないが、クリフにはボーマンの足はボロボロになっているように見えた。 やはりバーストタックルを蹴り返した事で痛めたのだろう。 実際に動きは相当鈍くなっていたのだ。ようやくクリフに勝機らしい勝機が見えてきた。 とは言うもののクリフ自身も疲労困憊、満身創痍の状態だ。 大技ならば後1、2回撃つのが限度。それは何としても決めなくてはならない。 そして、確実に決める為にはもう少しボーマンを痛めつけ、更に動きを鈍らせる必要がある。 ボーマンが再び後退りをする。それが合図であるかのようにクリフは動いた。 ワンステップで距離を詰め、左ジャブで牽制する。ボーマンはそれをバックステップで避けるが、 「遅えよ!」 クリフは容易くそれに追いついた。これならば自分の射程外に逃がす事は無い。 それを改めて確認したクリフはボーマンの顔面に左ジャブ、右ストレート、左ストレートの3連打を1呼吸で放った。 ボーマンは後ろに下がりながらそれらを避けるが、やはり動きが鈍い。 クリフは距離を離される事なく食らいつき、追いながら更に顔面を狙い連打を繰り出す。 クリフの連打はことごとく空を切る。だが、徐々に拳とボーマンの距離は縮まってきている。 ボーマンはクリフの拳を避けるのに手一杯で、反撃する余裕は無いようだ。 しっ、と掛け声と共に、おもむろに水面蹴りを仕掛けた。クリフの足がボーマンの足に引っかかる。 転倒はしなかったものの、ボーマンはバランスを崩してグラついた。 立ち上がる勢いで胸元に掌打を繰り出す。ボーマンは避けきれず両手でガードし、ついに足が止まった。 「オラオラオラァ!」 こうなればこちらのものと言わんばかりに、クリフはガードの上からでも構わず攻撃を仕掛けていく。 ボーマンはガード一辺倒。先程まで攻撃を避けていた得意のフットワークはやはりもう使えないようだ。 クリフの攻撃は両手でガードはされているが、元よりヒットを期待してはいない。ガードをこじ開けるつもりも無い。 更にボーマンの右側に走りこみ右裏拳、左ストレートのコンビネーションを放つ。ボーマンはこれも両手でガードした。 (ここだ!) クリフは渾身の右ローキックを放った。まともに当たれば人間の脚など簡単にへし折れる威力だ。 両手を右上半身のガードに使い、両足を負傷しているボーマンにこの蹴りを防ぐ手立てはない。 そう思った。思ったのだが。 命中する、と思った瞬間、ボーマンは跳躍をしていた。全力を込めていた蹴りは避けられ、バランスを崩してしまった。 (んなバカな!?ろくに動けもしねえ足だろうが!?) 足を痛めている様子など微塵も感じられない跳躍だった。 一瞬の動揺、そして隙。ボーマンは見逃してはくれない。そのまま顔面に跳び蹴りを食らわされた。 「ぐはっ!」 「おぉぉぉっ!!」 ボーマンが吼える。仰け反るクリフに拳のラッシュが入れられた。 鳩尾、胸部、顔面に両拳が突き刺さる。アッパーで更に仰け反ったところに勢いのついたドロップキックが炸裂し、 クリフは吹っ飛ばされた。なんとか足を地面に擦りつけてブレーキをかけるが、踏ん張る身体に激痛が走る。 クェーサー戦で折れたあばらを再び痛めたようだ。 (……関係ねえ!) そんな痛みはどうでもいい。今はボーマンだ。追撃に備えて立ち上がり構えをとる。が、それは無意味。 クリフが構えた方向にボーマンの姿は無い。代わりに別の角度から竜巻が飛んできていた。 「断罪者か!?てめえは」 ツッコミを入れる体力があるのは良いが、ガードも避ける事も出来そうに無いタイミングだ。成す術もなく巻き込まれてしまう。 なんとか巻き上げられる事は堪えられるが風圧で身動きが取れない。 しかも大量の砂埃と木の葉を巻き込んでいるこの竜巻の中では視界が全く効かなかった。 (くそっ目が開けられねえ…野郎どこまで姑息なんだ!) 技自体に直接的な攻撃力は無いが、風圧を堪える事であばらが痛み、体力を消耗させられる。 ボーマンのラッシュで切れた口に砂が入り込み、地味に痛む。だが、今は耐えるしかない。 数十秒程そうして居ただろうか。竜巻が僅かに弱まってきたのが感じられる。 これなら動けると判断したクリフは屈み込むと地面を蹴り、転がるように竜巻を脱出した。 (野郎は!?) ボーマンを探して辺りを見渡す。しかし姿が見えない。気配も感じられない。 「…逃げやがった…」 ボーマンは苛立っていた。現在彼は、とある作業中である。 (まだ腕が痺れてやがる!あんのゴリラ野郎が!) クリフの攻撃をガードした腕が痺れているせいで作業がしにくい。その事が彼を苛立たせていた。 いや、これは些細な事に過ぎない。苛立つ最大の原因は他にある。 バーストタックルをドロップキックで防いだ後からボーマンの動きは鈍くなっていた。 クリフは「タックルで足を痛めた為」だと考えたがそれは違う。 鈍さの原因、そして現在ボーマンが苛立っている最大の原因は「バーニィシューズが壊れてしまった事」にあった。 元々バーニィシューズは戦闘用に作られたものではない。 走る時の衝撃程度は吸収出来ても、攻撃の衝撃に強い造りにはなってないのだ。 クリフのバーストタックルとボーマンのドロップキックの衝撃を受け止めて耐えられる訳がなかった。 しかし、ガソリンまみれのボーマンがバーストタックルの炎を防ぐ事が出来たのは、 ガソリンが全くかかっていなかったバーニィシューズでバーストタックルを受け止めたからである事も事実。 バーニィシューズを犠牲にしなければ今頃は焼け死んでいただろう。 そして意図した事ではないが「足を痛めた」とクリフに誤解させ、大きなダメージも負う事無く戦闘を乗り切れた事も考慮すれば、 使い捨てのアイテムと割り切るなら相当な効力を発揮したと言える。 だが、バーニィシューズが無くなった今「支給品を手に入れる為に役場に向かう」という作戦は変更せざるを得ない。 到底一番乗りは不可能だろうし、他の参加者と出会ったら逃げ切れる保証も無い。 ならばどうするか。答えは既に決まっていた。 (バーニィシューズを壊した責任は取ってもらわねぇとな) 第112話← 戻る →第113話(中編) 前へ キャラ追跡表 次へ 第110話 クリフ 第113話(中編) 第110話 ボーマン 第113話(中編) 第103話 レザード 第113話(中編)
https://w.atwiki.jp/gamebeat3/pages/190.html
スカウト名 対応選手 ピンチクリフ エドガーチャールズシアラーバンググリーンスロブセンモーアレッカーケルガン
https://w.atwiki.jp/gamebeat04/pages/190.html
スカウト名 対応選手 ピンチクリフ エドガーチャールズシアラーバンググリーンスロブセンモーアレッカーケルガン
https://w.atwiki.jp/medadictionary/pages/232.html
サクリファイス 登場 2 3 4 navi 5 G BRAVE DS 7 8 9 S サクリファイス 技概要 技説明メダロット2〜メダロット5 メダロットBRAVE メダロットDS メダロット7 メダロット8 メダロット9 メダロットS メディアミックス作品での描写漫画「メダロット再〜リローデッド〜」 番外 漫画「メダロット」 類似した技 技概要 メダロット2初出の、強大な破壊力を持つ攻撃。 シリーズを通じて、その高い攻撃力により使用パーツが反動で壊れるため、扱いが難しい。 名前のサクリファイス(英 sacrifice)とは犠牲・生贄の意味。 その効果は正に、生贄を捧げるかの如きものである。 技説明 メダロット2〜メダロット5 使用したパーツを破壊して攻撃する。 基本的に威力が高く、貫通能力を持つ。 ただし攻撃を回避されても使用した自分のパーツは破壊してしまう。 復活やファーストエイドと併用してつかうといい。 ダイレクト特性を持つため、援護・構え・トラップ行動の影響を受けずに攻撃できる。 メダロットBRAVE 使用したパーツを破壊して攻撃する。 基本的に威力が高く、貫通能力を持つ。 ただし攻撃を回避されても使用した自分のパーツは破壊してしまう。 ブレイク同様、弾が壁抜けできる。 メダロットDS 本作より、「ダイレクト」特性が廃止されたため防御されてしまう様になった。 元々のパーツの威力値に使用パーツを犠牲にすることで装甲分のダメージを追加する。 当然、使用前にパーツがダメージを負っていると威力は減少する。 スキルがねらいうちだと攻撃を外してもパーツが崩壊してしまう(アビスグレーターの両腕)が、 がむしゃらだと攻撃を外してもパーツが崩壊することはなくヒットした時のみ崩壊する(ベルゼルガの両腕)。 パーツが崩壊する程のエネルギーを放出するねらいうちと、 殴った反動でパーツが崩壊するがむしゃらというニュアンスの違いだろう。 メダロット7 元々のパーツの威力値に使用パーツを犠牲にすることで装甲分のダメージを追加する。 またDSからの反省点か、がむしゃら行動でもヒットの有無に関わらずパーツが崩壊するようになった。 wifiでダブルドライブとの併用による荒らしが横行したためか更新データVer.1.1で調整が入り 使用パーツの装甲値の半分をダメージに追加する仕様に変更され、大きく弱体化された。 メダロット8 7ver1.1の仕様で続投。 メダロット9 メダロット9では射撃スキルのサクリファイスは貫通特性を持ち、サブスキルが存在しない。 一方、格闘スキルのサクリファイスは貫通特性を持たない代わりに、がむしゃらのサブスキルを持つと差別化されている。 余談だが本作にて、ハイカラメイツがメダチェンジ後のドライブAでサクリファイスを使用出来る様になった。 コレにより、ゲームにおいて初となるメダロットそのものが自爆するという、衝撃の事例が登場した。 なお、サクリファイスで自爆するメダロットをリーダー機にして相手リーダー機を機能停止させた場合、攻撃側の勝利となる。 この仕様はメダロットSでも踏襲された。 メダロットS パーツ育成機能が存在する本作では、パーツランクに応じて威力値に加算される残り装甲値の割合が変化する。 加算される割合はパーツランク×10%で、ランク☆5時は+50%の数値が威力値に加算される。 命中の有無に関わらずパーツが壊れてしまう代わりに、格闘・射撃どちらにおいても冷却中デメリットは存在しない。 これはマイクロウェーブ、マイクロショック、インフェルノも同様。 また、本作では格闘サクリファイスの貫通特性が復活している。 成功値の低さが欠点なので、格闘ならファイトブースト、射撃ならシュートブーストと併用されるケースが多い。 敵対時にはガード技を使用するのが最も安全だが、相手がデストロイやディザスター、ビッグバンを持っていないかは確認しておこう。 本作の自壊技は使用後にCGが25溜まる(内訳は被ダメでCG5、パーツ破損でCG20)ので、CG依存の技や脚部特性と組み合わせやすいのも特徴。 特に、ゴースト、ゴーストショットとの組み合わせはシンプルながら強力。 アサッシンがクロスショックの台頭などで下火になったのに対し、こちらは単純な威力の高さやメダリーグの一部仕様変更もあってか、現在でも愛用するメダロッターは少なくない。 メディアミックス作品での描写 漫画「メダロット再〜リローデッド〜」 本作では、ファントムがサクリファイスを使用。 ビームを発射した後にその反動で腕パーツが破損される描写がなされていた。 また、使用後にはゲーム中のドット絵および3Dモデル同様にパーツが跡形も無く消えていた。 番外 漫画「メダロット」 タイヨウが操っていたブラックメイルは攻撃時に、自身が耐えられないほどの力のせいでパーツがひしゃげていた。 サクリファイスは、この描写が元になって生まれた技なのかも知れない。 類似した技 壊れる幻想、自壊技 サクリファイス 己を生贄に捧げてもたらす破壊 アサッシン 仕留め損ねたならば先はない マイクロウェーブ 相手も自身も吹き飛ばす電磁波 マイクロショック その衝撃は相手も自身も破壊する インフェルノ 敵も己も焼き尽くす地獄の業火
https://w.atwiki.jp/osimakai/pages/201.html
クリフレイシ Thais (Reishia) kyteistina 秋の浜 -5m