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もってい~け♪ その夜、かがみの部屋で携帯電話が鳴った。 「はーい、もしもし。こなた?」 「かがみ……」 「何よ暗いわね。ゲームのデータでも飛んだのかー?」 「私もう……どうしたらいいか、わかんなくて……」 「ちょ、ホントにどうしたのよ?」 「お願い……助け」 ブツッ 「? こなた? こなた!?」 かがみは思い出す、最近こなたの様子がおかしかったことを。 話しかけても上の空で、ボーとしていることが多かった。 なにか悩んでいるのではないか、みゆきがそう言った時、どうせ大した事じゃないと、 笑い飛ばした。 気付けなかった、気付こうとしなかった、友達なのに。 かがみは何も持たず部屋を飛び出し、こなたの家へと向かう。暗い夜道を、自転車に 乗り全速力で。 「ってなわけで、どうしようか悩んでたんだけどさ、アニメの録画時間被る分かがみに入 れてもらえばいいじゃーんってね」 「ほほう……それで、なんであの電話になるんだ?」 「んーなんとなく?」 悪びれる様子もなくこなたは言う。いや、こなた側としては何も悪いことをしたつもりは ないのだ。 お願いするために電話をしたら、かがみが勝手に飛んできたのだから。 「なんで、途中で切ったのかしら……?」 「あーあれね、あれはね携帯の電池が切れたんだよ~。家からかけ直しても出ないから 困っちゃってね」 そこでこなたは、ビデオテープとメモを差し出す。 「てことで、はいこれ。入れるテープと時間書いたメモね。野球とかでずれないの選んど いたから――ってかがみ?」 「ふ、ふふふふふ。そう……そうなの……それで、ね……ふふふふふ……」 「かっ、かがみ様……?」 俯いていたかがみは、ゆっくりと顔を上げる。 地獄の閻魔か、世界を滅ぼす魔王か。 「ちょくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」」 哀れな少女の叫びが、夜の闇へと消えていった――。 -暖かくなってきました- かがみ「…ふぅ」 こなた「ん、何?悩み事?」 かがみ「え、いや、そんなんじゃなくってね…わたしって恵まれてるなって思って…」 こなた「ふーん…例えばどんな風に?」 かがみ「そりゃもう、つかさが妹でこなたが嫁でみゆきが愛人。もうなんてーか、ハーレムよね」 こなた「………春だねえ…」 みさお「別にそっちの気はねえんだけど、名前上がらねってのは悔しいよな」 あやの「あら。みさちゃんは名前出なくて当たり前よ」 みさお「な、なんでだよ…?」 あやの「だってみさちゃんは、わたしの愛人だもの」 みさお「…さ、やる事無いし帰ろっかな」 あやの「…うぅ…そんな冷たいみさちゃんも好きよ…」 こなた「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」 かがみ「ちょおまっ! なんて格好してるのよ!」 つよし「お巡りさん、あそこです!」 警察官「コラー! 君っ! わいせつ罪で逮捕だ!」 こなた「うわっ」 かがみ「ち、違うんですお巡りさん! これはあれこれこういうわけでしてぇ──」 つかさ「なんでお酒も飲んでないのに、こなちゃん服脱いじゃったの?」 みゆき「いえ、お酒を飲んだからと言って、服を脱ぐとは限りませんが・・・」 つかさ「そっかー」 かがみ「まったく! 私が居たから良かったものの、ホントだったら捕まってたんだからね!」 こなた「一人じゃこんなことしないよぅー」 かがみ「とにかく、もう二度と人前でこんなことしないことっ! 分かったらさっさとスカート穿きなさいよね」 こなた「うぅ・・・そんなに怒鳴らなくったって良いじゃん・・・」 つかさ「まるで親子」 -よく分からない二人- こなた「んっふっふー。大漁、大漁」 かがみ「また、豪快に買い込んだわねぇ。アンタ一体、趣味関係に今まで幾ら注ぎ込んだのよ?」 こなた「かがみ…キミは今まで食べたポッキーの数を覚えているかい?」 かがみ「四千七百三十六箱」 こなた「………参りました」 かがみ「嘘に決まってるでしょ。そんなの一々数えてないわよ」 こなた「…う…うわ~ん、ばか~…かがみの嘘つき~…」ポカポカ かがみ「あははは、ごめんごめん。痛いって、こなた~」 つかさ「えーっと…なんなんだろ…?」 みゆき(…なるほど) -さらに分からない二人- つかさ「ちょっと流行って、すぐ使わなくなった言葉っていっぱいあるよね…ほら、イナバウアーとか」 みゆき「そうですね」 つかさ「クラスの子から聞いたんだけど、アレって技を作った人の名前なんでしょ?」 みゆき「はい、時の戦国武将、稲葉右安ですね」 つかさ「………嘘だよね?」 みゆき「はい、嘘です」 つかさ「………」 みゆき「あ、あれ…?」 つかさ「………」ムッスー こなた(いや、つかさ怖いって…) みゆき(うう…なんでこうなるのでしょう…) かがみ(…なれない事するから…) -冷蔵庫- かがみ「『あたかも』を使って文を作りなさい、ね…さ、やってみて」 こなた「冷蔵庫にプリンがあたかもしれない」 スパーンッ!! かがみ「…古いネタやってないで、真面目にやれ」 こなた「…うぅ…スリッパ結構痛い…」 その夜 ゆたか「ねえ、こなたお姉ちゃん。冷蔵庫に入れてた、わたしのプリン知らない?」 こなた「…え?」 かがみ「まさかホントにあるとは」モグモグモグ album 「そ、それは勘弁してください」 「いいじゃないの、みなみちゃん。かわいいわよ」 「そうだよみなみちゃん、恥ずかしがることないよ」 私は今大変困っている。それは10分前から始まった。 「こんにちわ、みなみちゃん」 「みなみさん、こんにちわ」 私がゆたかと部屋でおしゃべりを楽しんでいると、私の家にみゆきさんとその母ゆかりさんが遊びに来た。 ゆかりさんは母とリビングでおしゃべりを始め、私達三人はその横のソファでおしゃべりを始めた。 昔の話をしていたゆかりさんと母はあろうことか私の昔のアルバムを持ってきて広げた。そしてそれに気づいたゆたかが興味心身に覗き込み、それにつられてみゆきさんもアルバムを見始めて、私は大変恥かしい思いをしている。母とゆかりさんがまたページをめくった。 「あ、これはみなみが幼稚園に入ったときの写真ね」 「このころ、ほんとにみなみちゃんとみゆきはべったりひっついてて仲がよかったわね~」 写真には私が幼稚園の服を着て、みゆきさんに甘えている様子が写っていた。私はさらに顔が赤くなった。 「みなみちゃんって高良先輩が大好きなんだね」 「うふふ、懐かしいですね。今ではこうして甘えてくれないのが少し寂しいですけどね」 そしてまページがめくられた。そこには泣きじゃくる私の写真があった。 「みなみちゃん、泣いてるね。何かあったんですか?」 ゆたかが母に聞いた。 「これはみなみがおもらしをしちゃって泣いちゃったときに取ったのよ」 「そ、そうなんですか」 ゆたかはそれを聞いて苦笑している。私は今すぐこの写真のように泣きたい気分になった。…もう勘弁してください。 「小さいころのみなみさんはよく泣いていましたね」 みゆきさんからさらに追い討ちがかけられた。…はぁ、もうどうにでもしてください。 私は小さなため息をついて、窓の外に目を向けた。そこには小鳥羽を伸ばし飛んでいる一面の青空が広がっていた。 私の隣ではまたページがめくられたようだ。 「あ~、この写真、懐かしいわね~」 あ!その写真は!これ以上はヤバイ…なんだか色々な意味で… 「その写真はですね…」 みゆきさんが写真の説明を始めた。…そ、それは本当にやめて…。 私はいつか泉先輩と一緒にみゆきさんのアルバムの鑑賞会を行おうと心に誓った。 こなた「今日も雨か・・・」 つかさ「こなちゃん元気無いね」 こなた「この時期になると、あの子を思い出すなぁ」 つかさ「・・・誰?」 こなた「昔さ、小学生の2、3年位の頃に犬を飼ってたんだよ。」 かがみ「へぇ、なんてゲームで?」 こなた「育成ゲームじゃないよ!本当に飼ってたんだって!」 かがみ「・・・・・意外ね」 こなた「私その犬をそれはもうしっかり育てたよ。学校が終わったら毎日走って帰って真っ先にその子に話しかけてあげるんだよ。ホント、かわいかったなぁ・・・」 つかさ「それで、どうなったの?」 こなた「ちょうど梅雨の時期の今日みたいな日に散歩に連れていったんだけどね、・・・・・・まぁ、その、私の不注意で、車に・・・・・・」 かがみ「そんなことがあっただなんて・・・・」 こなた「思えば、私がお父さんの影響を酷く受け始めたのもその頃からだったかなぁ」 そうじろう「で、それがこいつ、ラッキーなんだ」 ラッキー「ワン!」 こなた「私の不注意で車に愛着を感じるようになっちゃって」 つかさ「スゴーイ、カワイイー☆」 かがみ「車を運転する犬なんて世界中探しても居ないんじゃない!?」 そうじろう「カワイイー☆」 -互いの想い- そうじろう(…俺達ももう高校生だ。今日こそきっちり告白して、幼なじみという関係に終止符をうつんだ) かなた「なに、そう君?大事な話って」 そうじろう「…俺がオタクでギャルゲ好きなのは知ってるな?」 かなた「ええ、痛いくらいに」 そうじろう「それはな、実はお前のせいなんだ」 かなた「…え?」 そうじろう「お前が振り向いてくれないから、俺はギャルゲ好きな男になったんだー!」 かなた「………え」 そうじろう(やば!滑ったか!?) かなた「あ、あれ?私達って付き合ってなかったっけ?私、もう付き合ってるとばっかり…わ、私、勘違いしてた?え?あれ?」 そうじろう「…えー」 そうじろう「そんな感じで割とあっさり恋人に」 こなた「…なんだかなー」 -さん- こなた(たまにはみゆきさんを呼び捨てするのも、フレンドリーで悪くないかな) こなた「あ、いた。おーい、みゆきー」 みゆき「『さん』を付けろよこのアホ毛が」 こなた「………」 みゆき「かがみさん!かがみさーん!何処ですか!?」 こなた「…うぐっ…ひっく…」 みゆき「ネタ振ったら泉さんが喜ぶって、泣いちゃったじゃないですかー!かがみさーん!!」 かがみ「いやいや、みゆきGJよ。いい絵が撮れたわ」 つかさ「…いや…お姉ちゃん、どんだけ…」 柊家の午後 「かがみんや。腕をあげたのう」 「あんた相手に、いつまでも負け越してるわけにもいかんからのう」 かがみとこなたは、古いテレビゲームで対戦中。 「あー、メシはまだかい?」 つかさがそういうと、 「はいはい」 いのりの娘が茶碗に少量のごはんをよそってもってきた。 「はもはも」 つかさは、本日5回目の昼食である。 「つかさもすっかりボケてしまったな」 「つかさがボケてるのは、昔からじゃん」 「そりゃ、ボケの種類が違うわ」 「あー、メシはまだかい?」 「はいはい」 本日6回目の昼食。 「はもはも」 「いつもすまないね」 かがみが、いのりの娘にそういうと、 「これぐらいなら、まだいい方ですよ。まつりおばさんに比べれば」 「確かに、まつり姉さんは酷かったな」 弁護士事務所をたたんだかがみが実家に身を寄せたのと、夫を亡くしたつかさが同じく実家に身を寄せたのは同時だった。そのときには、先客としてまつりもいた。 かがみは独身のため、他に頼るところがなく。 まつりは一人娘が嫁いでいった相手方が転勤族。つかさの場合は、二人の娘のうち姉が大阪で弁護士をしていて、妹は嫁に行った先が転勤族。いずれも親の面倒を見れる状態ではなかった。 いのりとまつりはもうこの世にはない。 いのりは死ぬ直前までしっかりとしていたが、まつりの晩年はボケが酷くていのりの娘も手を焼いていた。 現在、神社は、いのりの娘が婿さんと一緒に切り盛りしている。 「泉さんは、今日も夕食はうちでいいですか?」 「お願いするよ」 「メシ代とるぞ」 テレビ画面上では、かがみの分身が猛攻をかけていた。 「かがみんのケチ」 こなたの分身が軽くそれをいなしていく。 「あんた、最近うちにたかりっぱなしじゃろ」 「いいですよ、かがみおばさん。一人ぐらい増えてもたいしたことはありませんし」 「いつもすまないね」 「あー、メシはまだかい?」 「はいはい」 「はもはも」 柊家ののどかな午後は、こうして過ぎていく。 田村ひよりという人物 田村ひよりがどういう人物かといえば、腐女子である(でもある)というのが、とりあえず適切な表現なんだろうけど。 ただ、それだけでは言葉が足らないのも事実。 一般的な腐女子のイメージとは違って、彼女はとても接しやすい人物だ。 相手にあわせて話題を選ぶし結構気を使うところもあるから、一般人にとっても付き合いやすい。実際、オタク・腐女子・一般人の別を問わず、友人は多い。 でも、ある程度親しくなってくると感じるのが、彼女との間の距離だろう。彼女は、わずかに半歩ぐらい引いた位置というかそういうのを確保しようとする。間合いというべきか、彼女が適切だと判断したその距離を常に維持し続ける。 一度その距離が定まってしまうと、それを縮めることは難しい。彼女は、ことさらに意識するまでもなく、自然にその間合いをとるからだ。 だから、彼女には本当に親友といえるような相手は皆無なんじゃないかとも思える。どんなに親しい相手であっても、最小限の距離はきっちり確保しているから。 部活の先輩としての私に対しても、親しい友人である小早川さんや岩崎さんに対しても、ディープな部分を共有できるオタク仲間であるパティや泉先輩に対してさえも、彼女はそうだ。 自分の本当の意味でのプライベートな部分へは誰にも足を踏み入れさせない。そんな態度。 腐女子であるという自意識が強いからというよりは、むしろ腐女子であることが彼女にとって自分と一体不可分であるほどに自然であるからなんだろうと思う。 だからこそ、そんな態度を意識するまでもなくごく自然にとる。 それは、男に対しても変わらない。 彼女は、オタク男子から見れば、結構理想的な女である。 オタ趣味に充分すぎるほど理解があって、とっても気が利く付き合いやすい性格で、容姿だって(当人は無頓着だけど)磨けば光るタイプだ。 だから、密かにモテてるのだが、当人はその方面には興味なさそうに見える。自分が主体となる恋愛関係なんて、最初から想定外なんだろう。 腐女子にまっとうな恋愛なんて無縁といったところか。これもまた、強く意識するまでもなく、彼女にとってはそれが当たり前なのだ。 彼女に好意を寄せる男性諸氏にとっては、これは困ったことだった。 フラグをへし折られるという以前に、フラグを建てることすらできない。充分すぎるほどの間合いがとられてるため、フラグを建てられる距離までなかなか近づけないのだ。 それでいて、友人・仲間として接するならば、関係はきわめて良好。これは、しんどい。 たいがいの男子は、それに耐え切れずに諦めてしまう。 直接フッてしまうよりは優しいのかもしれないが、ある意味では残酷でもある。 ときどきその距離を強引に突破して直接コクる勇敢な男子もいないではなかったが、彼女から返ってくるのは丁重なるお断りの返事だ。 今、私の隣の席でズーンと沈んでいる男子(クラスメイトであるとともに、アニ研の仲間でもある)が、ちょうどその犠牲者だった。 「八坂~。俺の何がいけなかったんだろうなぁ」 「別にあんたに悪いところがあったわけじゃないよ。気にするな」 いさめにもならない言葉をかける以外にやることもない。 別に彼の何が悪いわけでもない。誰がコクったって結果は同じだっただろう。 腐女子にまっとうな恋愛なんて無縁──ひよりにとってのその常識を覆せるほどの男でもない限りは。 終わり 泉家にて写真閲覧中 みなみも一緒に パティ「これがコドモのコロのコナタデスか~」 そうじろう「道場に通ってた頃だなー 幼稚園の年長時代だな」 こなた「隣に映ってるのはゆーちゃんだよ 昔からよく会ってたよね~」 ゆたか「うん、そうだったよねお姉ちゃん」 みなみ「…お二人とも可愛いですね…(特にゆたか)」 パティ「コナタはナンだかオトコのコみたいデスね~」 こなた「恰好もそうだし髪も短かったからね~」 そうじろう「そういえばこの頃のゆーちゃんはこなたのこと男の子だと思ってて 『こなたお兄ちゃん』って呼んでたな―」 こなた「ムフフー何度思い出しても萌えるね~」 パティ「ユタカ、GJネ」 ゆたか「え、えー/////そうだっけー/////」 そうじろう「いや~たまらんかったな~」 みなみ「!?」 妄想発動 『みなみお兄ちゃん遊んで~』 『みなみお兄ちゃんと一緒にお風呂入る~』 『みなみお兄ちゃん一緒に寝よ~』 みなみ「ウッキョォォォォォォォォ!!!」 一同「!?」 -スラッグな季節- かがみ「はあ…」 つかさ「ふう…」 こなた「どったの、二人とも。ため息ついて」 かがみ「ほら、いま梅雨でしょ?でるのよ」 こなた「なにが?」 つかさ「ナメクジだよー。お父さん、趣味が園芸だから、庭にたくさんいるの…」 こなた「あー、なるほど」 かがみ「塩まいて回るには数が多くて…みゆきーなんかいい方法ないのー?」 みゆき「そうですね…ビールを小皿に入れて、ナメクジの沢山いる場所に置いておくのはどうでしょう」 つかさ「え?それなんの意味があるの?」 みゆき「ナメクジはビールが大好物なんです。ですから、そうやって小皿に集まったところを一網打尽に出来ますよ」 こなた「へー」 みゆき「ただ、長く放置しておくとナメクジに餌を与えるだけになってしまいますので、タイミングに注意ですね」 かがみ「なるほどね。帰ったらさっそくやってみましょうか」 こなた「みゆきさんはやったことあるの?ソレ」 みゆき「はい、ありますよ…ありますけど…」 こなた「けど?」 みゆき「…思ってたよりたくさん集まってしまいまして…ナメクジがウネウネしている小皿に近づけなくなりまして…」 こなた「…わーお」 つかさ「…お姉ちゃん…お父さんにやってもらおうよ…」 かがみ「…そ、そうね」 -誕生日- こなた「今日は七夕だねー」 みゆき「そうですね」 こなた「…んー」 みゆき「どうかなさいましたか?」 こなた「いやね、なにか七夕の他に何か大事なことがあったような…」 みゆき「言われてみれば…なんでしょうか…」 かがみ「ういーす」 つかさ「おはよー」 こなた「お、おはよ(二人の誕生日だった!)」 みゆき「お、おはようございます(お二人の誕生日でした!)」 かがみ「今日は七夕よね」 こなた「そ、そうだね」ドキドキ みゆき「そ、そうですね」ドキドキ かがみ「でも、他になんかあったような気がするのよねー」 つかさ「うん。わたしもそんな気するよー…なんだったっけ」 こなゆき「「当人達も忘れてるー!?」」 かがみ「…で、その夢で思い出して今頃やってきたと」 こなた「…はい」 かがみ「まったく…まあ、いいわ。みんな待ってるから上がって」 こなた「あ、あれ?怒んないの?」 かがみ「誕生日くらい寛大になるわよ………ま、絶対来るとは思ってたけどね」 こなた「え?なに?」 かがみ「なんでもないわよ」 -紙- そうじろう(またしてもトイレットペーパーがきれている…) そうじろう(一階のトイレにはあるのだろうが…また下半身裸のまま誰かにかちあうかもしれん…) そうじろう(どうする…どうする、泉そうじろう!) ガチャッ パティ「ハーイ、パパさん。おトイレチュウしつれいしマース!トイレットペーパー、ここオいときますヨー」 そうじろう「…あ、ありがとう…」 パティ「ソナえあればウレいなしデス。ビヒンのカクニンはツネヒゴロからバッチリとデスヨ」 そうじろう「…そ、そうだね…」 パティ「デハ、しからばゴメン!」 パタン そうじろう「………えーっと」 こなた「流石アメリカ人はオープンだねえ…」 ゆたか「そ、そういう問題かなあ…」 -重なる- こなた「ほい、お父さん」 そうじろう「ん、これは?」 こなた「誕生日プレゼント…昨日買い物いった時に、ちょっと思い出したからついでに買ったんだよ。わざわざ用意訳じゃないからね」 そうじろう「いや、別になにも言ってないんだが…」 こなた「と、とにかくそういうことだから!」 そうじろう「…ああ、ありがとうな」 こなた「…ふー」 ゆたか「お姉ちゃん、去年もそうだったけど、もうちょっと普通に渡したほうがいいんじゃないかな…」 こなた「いやー…わたしは普通に渡したいんだけどねー。これ、意外と恥ずかしいし」 ゆたか「…え」 パティ「ツンデレサービスですネ」 こなた「ま、そういうこと。お父さんのリクエストでね」 かなた(…そう君、まだやってたんだ) こなた「お母さんも、こういうことやらされてたのかねー」 かなた(やらされてたわ…ホント恥ずかしいのに…でも) こなた「まあ、あれはお父さんの…」 かなた(…あれはそう君の) 『照れ隠しだよね』 こなた「…あれ?」 ゆたか「どうしたの、お姉ちゃん?」 こなた「いや、なんだろ…今誰か…気のせいかな」 そうじろう「今年もこなたは俺の誕生日祝ってくれたよ… 昨日はかなたの誕生日もしっかり祝ってくれたよ… かなた… 俺もちゃんと親してるだろ? そう言って欲しいよ… かな…た…」 こなた「お父さん… お母さんには敵わないけど私は… お父さんが大好きだからね」 かなた「(娘にそう言われる親なんて滅多にいないわよ そう君… 大丈夫… こなたは真っ直ぐ育ってるわ…」 こなた「8巻出たね。中身は、角川Hot Lineでページ数稼いでる感じだけど」 ひより「それは仕方ないっスよ」 こなた「それはともかく、表紙登場おめでとう、ひよりん」 ひより「いや、私はあくまで先輩方の引き立て役っスから」 こう「なに言ってんだ、ひより。堂々のセンター正面だろ。私らの方が引き立て役だな。三年生組は本編でも出番少なかったし」 こなた「それに比べたら、ひよりんは本編でも大活躍。いやぁ、感動したよ。あれだけ気配りできるオタクなんてそうそういるもんじゃない」 ひより「おだてても何も出ないっスよ、先輩」 いずみ「実際、すごく助かってるわ。でも、友達を腐った視点で見るのは止めた方がいいと思うよ?」 こなた「おっ、若瀬さんもツッコミが板についてきたね」 いずみ「いえいえ、そんな」 こなた「若瀬さんといえば、ひより兄やみさきち兄を差し置いて、お兄さんとお母さんが本編登場してたよね。お兄さんとも仲がいいし、若瀬さんってオタクにとっちゃ結構理想的な妹なんじゃないかな?」 ひより「それは言えるっスね。私のお兄ちゃんたちがうらやましがるかも」 ななこ「委員長はなぁ、委員長としては及第点やけど、成績がなぁ」 いずみ「うっ……」 こなた「先生、みゆきさんと比べるのは酷ってもんですよ」 ななこ「まあ、そうなんやけどなぁ。少しはがんばりぃや」 いずみ「はい……」 こなた「先生も結構出番ありましたね」 ななこ「そうやなぁ。でも、海水浴はハブにされたけどな」 こなた「うっ……。あっ、そういえば、カバー裏で天原先生のチェックが入ってたのって、健康診断の結果票かなんかですか?」 ななこ「そうや。ビールひかえろいうてもなぁ。こればっかりは止められへんで」 ラーメン屋台にて ラーメンを音も立てずに上品に食べるその姿は、ここが屋台であることを忘れそうになるほどだった。 それを横目に、自分はビール片手にギョーザをつまむ。 「いつも思うんだが、よくすすらずに食えるもんだな」 「小さなころからの癖でして」 そんな会話は、過去何度となく繰り返してきたものだった。 本来なら、お抱えの料理人が作ったフランス料理なんかをナイフとフォークで食べてる方が似合ってるようなお嬢様だ、こいつは。 それをこんなところに連れてこれるのは、親友の特権である。 何の得があるのかと問われれば答えもないが、それが特権であることには違いない。少なくても、こいつに対して多少なりとも下心があるだろう同僚男性教諭陣(野郎ども)がうらやむに値するほどには。 ラーメンを食べ終え、まるで茶の湯のように上品に日本酒に口をつける。 どう考えても、こいつにビールは似合わんよな──つくづく、そう思う。和なら日本酒、洋ならワインだ。それ以外は似合わない。 見かけによらず、こいつは酒はいくらでもいける方だ。そんなに飲むことはめったにないというだけで。そんな事実を知ってるのも親友の特権である。 財布を取り出し、屋台のオヤジに金を払う。今日は、自分のおごりだ。 「ご馳走様でした」 こいつに丁寧に礼を言われると、どう返していいものやらも分からず、つい黙ってしまう。昔からそうだった。 友情は利害得失ではかるものではないとはいえ、どう考えても自分の方が受け取っているものは多いのだから。 以上 こう「誕生日おめでとう!はいプレゼント!」 やまと「ありがと…でもしっかり遅刻はするのね」 こう「あは、あははは…」 やまと「まぁいいわ。去年みたいに、プレゼントの買い物につれ回されてお金貸す事になったあげく布一枚よりマシだもの」 こう「布ってひどいなぁ。あれからずっとしてくれてるのに、その髪結んでるリボン。気に入ってくれたんでしょ?」 やまと「別に、たまたまよ。校則とかひっかからない柄だし手元に置きやすいからいつも使っちゃうだけであって、気に入ってるわけじゃないわ。最近色落ちしてきてるし」 こう「んじゃカラオケ行こっか」 やまと誕生日おめでとう!
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「…あたしさぁ、追っかけられてんだよね。」 「……はぁ。」 らっきー☆ちゃんねるの収録前の楽屋で、あきら様はそう言った。 追っかけられてる。 おいかけっこの類いですか、と聞こうとしたが、あきら様の顔が深刻そうなので、止めた。かわいい。 「歩いてたら後ろからついてくるし、止まると足音も止まるんだよね、あれなんだろうね。」 「……ストーカー、ってやつ、ですか?」 「たぶんね。」 飲み終わったジュースの缶を、ぺっこん、ぺっこん、手持ちぶさたにやっている。 あぁかわいい。 「…人の話きいてんの?」 「も、もちろんです!」 でね、と付け加えた。 話が飛んだり長かったりするので、要約すると、こうなる。 ・仕事の後、必ずついてくる ・マネージャーがいるときは、いない ・足音がこつこついう 「…不気味、ですね…」 「でしょ?昨日もそうでさぁ…ふぁ…」 「昨日?お仕事でしたよね、確か…クイズ番組の。」 「あ?あぁ、そうね。」 あきら様は首を傾げる。かわいい。 「あんたに言ったっけ、クイズ番組って。」 「…はりきってたじゃないですか、クイズ番組出るって。賞金とるって。」 「あー、言ったわ、ハワイ行きたいって言ったわ。」 「取れたんですか?」 「OAまで待ってね(きらっ☆)」 ……この格好…!! 「んで、帰ったわけよ。」 あ、話戻った。 「そしたら、こつ、こつこつ、ってついてきて。」 「たまたま同じ方向だったとかじゃないんですか?」 「違うわよ、あんたね、人が話してるのに腰折らないの。」 「はぁ、すいません。」 「で、郵便受けに、これが。」 ひらり、と舞い落ちる花びら。 真赤な薔薇の、花びら。 「これが、ぎっしり。」 「花びらだけ、ですか?」 「そ。」 大変そうだな、花びらだけ入れるって。 まずばらさなきゃならないしね、薔薇だけに。 「で防犯カメラをみたのよ。しっかり写ってたんだけどね、」 「証拠あるんですね、捕まえられるじゃないですか!」 「うん、でもね…」 何か問題でもあるのだろうか。 写っているなら問題はないはずだ。 「その人、メイド服なの。」 「……は?」 メイド服?コスプレによく使われる、あの? 「ピンクのメイド服に化粧して、茶髪のロングのカツラつけててさ、全然顔がわかんないの。」 「それじゃ監視カメラの意味、ないじゃないですか…」 「そうよ、もうまいっちゃってね…」 はぁ、とあきら様はため息をつく。 「あの、じゃぁ、今日、僕と帰りませんか?」 「は?あんたと?なんで。」 「マネージャーさんと一緒の時はいないのであれば、僕はどうなのかな、って。」 「う~ん……」 腕組みをして1分ほどだろうか、ゆっくり考えてから、僕に指を向けて宣言する。 「いいわ、そうしましょ!ただし!」 「ただし?」 ぷい、とあきら様はそっぽをむく。 なにか少し、困ったように、泣きそうな顔で。 「……き、今日は白石の家が良いの。」 「なっ…なんでですか?」 「…帰れない、事情があるのよ。色々ね。」 「は、はぁ…」 多分、これ以上触れてはならないんだろう、僕は勝手にそう考えて、 それ以上の質問は止めた。 それは、僕に対する、罠のひとつに過ぎなかった。 「ここ?」 「えぇ、ちょっと、ぼろっちいですけど…」 「へぇ~、確かにぼろっちいわね」 「うぐ…」 築30年と言われたアパートにたどり着いた。 ここが、僕の住んでいるところ。 2DKだが所々ガタがきているので、そんなに心地良い、とは言えない空間だ。 まぁまだ外見だけだが。 「中もぼろっちいの?」 「まぁ…」 こつこつ、2つのローファーが音をたてて階段を昇る。 僕はその後ろを着いていくだけだ。 そう、着いていくだけ。 「ここ?」 「えぇ。」 僕はあきら様に、鍵を渡す。 「開けてもらえますか?」 「うんっ!」 ドアノブに手をかけて、鍵を回す。 鍵が空いた瞬間。 「……!!」 目の前で、彼女の膝が折れる。 ぐったりした彼女を抱き抱えて、僕はドアを開ける。 彼女が目を覚ますのは、まだ先だろう。 僕はスタンガンを靴箱にしまい、彼女をベッドへと下ろす。 声が漏れる。 笑いが止まらなくなった。 彼女の頬をそっと撫でてはまた、首の白さにみとれていた。 やっと、手に入れたんだ。 僕だけの、貴女を。 「お目覚めですか?あきら様。」 彼女は目をゆっくり開ける。 僕を見上げている。 「じゃ、電気、つけますね、まぶしいかもしれませんけど、我慢、ですよ?」 ぱちり、電気をつける。 「おはようございます、あきら様…」 彼女は自分の置かれた状態に、目を白黒させていた。 それから、抵抗するように、全てを剥がすように、手足をばたつかせる。 縄で机の脚に大の字に繋がれた、その可愛らしい手足を。 「あぁ…可愛いですよ…その、怯えた目も、僕を軽蔑するような目も、全部…」 声にならない声をあげる。 猿轡のせいで喋れないから、仕方ないのだけれど。 目に涙がたまっていく。 僕はそれをじっと眺める。 最初の涙が落ちたのと同時に、僕はそれを舐めとろうと、唇を近づけた。 顔を、背けられた。 「そんな、避けないでくださいよ、寂しいなぁ…」 彼女が部屋を見渡して、悲鳴をあげる。 「あ、これですか?あきら様の写真、ですよ?」 壁に、机に、ベッドに、至るところに貼り付けた、「あきら様」の写真。 どれも「あきら様」らしい表情を浮かべている。 「あきら様は相当驚いているみたいですね。まぁ1mmの隙間もなく貼られているから、驚くのも無理はないのかもしれないですけど。」 壁の写真を指さして説明する。 「これは1回目前の顔合わせ、これは数学の授業中、これは9回目、これは…4時間目が終わった直後、ですね。」 ぶるぶると、首を横にふる。 僕に対する恐怖? それとも、何? 僕が、おかしい? 「そんなに首ふったら、首が取れちゃいますよ?」 僕は彼女に覆い被さるように、彼女の上に四つん這いになる。 と、右足に感じる違和感。 彼女のポケットの中のものが、当たったらしかった。 それを抜き出す。 <通話中> 秒数はどんどん進んで行く。 また1秒、また1秒。 その通話終了のボタンを押すと、時間が表示された。 <1時間46分34秒> そんな前から録られていたなんて気付きもしなかった。 通話履歴を開ける。 目に飛び込んできた名前に、心臓が、止まりそうになる。 まさか、あなたに筒抜けとはね。 「始めから、解っていたんじゃないですか。」 彼女の猿轡を外す。 それが、唾液でべちゃべちゃになって光っている。 「なにが、よ、」 「僕が、あきら様のこと愛してるって。だから、どれもこれも、僕がやった、と。」 「違う、そんなの、ちゃんとした愛なんかじゃない!」 それを舐める。 彼女の味がして、また舐めたくなる。 「嘘。僕はあきら様のことをこんなに愛してる。」 「違う、違うよ、白石…」 「僕はあきら様だけを見てる。あきら様のことだけ考えてる、だから」 「だからってあたしは」 「だからあきら様にも僕のことを考えて欲しい見て欲しい、僕だけのことしか考えて欲しくない。」 「白石、どうしちゃった、の…?」 「どうして、伝わらない…何故、わからないのですか!!」 涙が、止まらない。 悔しくて、情けなくて。 そして、愛されていないのが嫌で。 愛して欲しくて。 僕を、愛して欲しくて。 階段をかけあがる音。 女性のヒールの音。 こんな下品な音をたてて走る人なんて、他にいない。 僕は、その音が鳴り止む前に。 カッターで彼女を切りつける。 僕の痛みを全部わからないなんて。 わかって貰わなきゃ困る。 これが、憎しみ? 僕にはわからない。 彼女を愛してるのか、 愛しすぎて憎いのか。 「しら、いしっ、痛い…!」 「まだ、まだ軽いじゃないですか。」 「いっ、やだ…痛いよ…」 「大丈夫ですよ、僕はこれ以上痛い思いをあなたにされたんだから。」 カッターを振り上げて 血飛沫。 悲鳴。 「白石…なんで…」 「かはっ…ひ…あき…げほっ」 目の前が真っ赤に染まる。 言葉が、喋れない。 ドアが乱暴に、開く音。 「あきら!白石!」 一足遅い。 遅いよ、ゴットゥーザ様。 僕はニヤリ、彼女に笑いかける。 あきら様、 僕は貴女を、 愛してるから。 誰にも、渡さない。 僕だけを、見ていて…
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こなたはまだ眠っている。先程の戦いの疲労がたまっているのだろう。 私はまだ信じられないでいた。さっき起きた事や、この力の事。なぜ私達なのか?そんな事を考える。 私達以外の生徒はどうなったんだろうか。気付くとここは学校であって、学校じゃなかった。空は暗く、灰色を描いていた。風が冷たい。 あまり人気が感じられないこの場から離れようとしたとき 神?が私達の前にあらわれた。ていうか本当なんなのコイツ? 神「どうやら無事のようだな。安心した」 こなた「なんでゆい姉さんが襲ってきたの?」 神「あれは成美ゆいではない。皮を被った偽物だ。おそらく魔王の手下だ」 こなた「またゲームみたいな・・・それはそれとして、さっきと学校の様子が違うみたいだけど?」 神「・・・もう闇の浸食が始まったか・・・。今この一帯はやつの闇によっておおわれている。おそらくお前達以外の人間はもう残っていないだろう」 こなた「それじゃあ・・・ゆーちゃんやみなみちゃんも?ゆい姉さんも先生もここにはいないって事?」 神「彼女達には、 神がそう言い掛けた時、校舎から数人の影が見えた。 その影は小早川ゆたか、岩崎みなみ、田村ひより、パトリシア・マーティン、黒井ななこだった。 神「・・・見ての通りここにいる。彼女達にも私が力を与えた。」 ゆたか「こなたお姉ちゃん!!」 ゆたかがこなたに飛び付く。 かがみ「?日下部と峰岸は?いないの?」 確かにそこに二人の姿はなかった。 神「彼女達には別に動いてもらっている。いわゆる脇役だが・・・まあいいか」 みゆき「ところで・・これから私達はどうしたら?」 全員(一部除く)が揃った中みゆきが言った。 神「率直に言おう。魔王を倒してほしい。やつを倒さんとこの世界も天界も壊れてしまう。」 ななこ「で?どいやったらええんや?ウチらにしかできへんのやろ?」 こなた「先生なにげにノリノリですね。」 ななこ「だってこんなゲームみたいな事一生に一度もないやろ?一度やってみたかっんやこんなん。泉は楽しくないんか?」 こなた「そりゃあゲームの世界なんて体験できないですし楽しいですよ」 ななこ「なら楽しも!な?みんな?」 こなた「おー!!ささ、みんなも!」 ゆたか「お、おおー!!」みなみ「・・・ぉぉー・・・」 ひより「いいネタになりそうッス!」パティ「ファンタジーですネ」 つかさ「あはははは・・・」 かがみ「あんたらなぁ・・・もっと真剣に」 みゆき(これで出番増えたらいいんですが・・・) 話が一段落ついた所で、 神「君達にはそれぞれに分かれてもらう。あー・・・そうだな・・・」 神はみゆき、ななこ、パティを指さし、 神「君達三人は東京にある魔王の本拠地にむかってくれ。確かラジオが収録されてた場所のはずだ。」 三人はうなづくと東京方面に向った。 神は次に、こなた、みなみ、ゆたかを指さした。 神「君達にはこの空間の解除を頼みたい。確かアニ〇イトとか言う店だったかな?そこに向ってくれ。」 こなた「了解。そこならよく行くからまかせたまへ。んじゃかがみ、つかさ、ひよちゃん、バイニー。」 こなたはそう言うとアニ〇イト方面に向った。ゆたかとみなみがこちらを見て一礼をかわして後をおった。 そして・・・つかさ、かがみ、ひよりが残った。 神「君達は・・・成美ゆいを探してもらう。」 かがみ「成美さんならさっき私達が倒した・・・」 神「あれは見かけだけだと言っただろう?成美ゆいの本体はまた別だ。」 かがみ「じゃあどこに・・・?」 神「実はこの学校の中にいるのだが・・・魔王の手先が封印の魔物を・・・」 神がそう言いかけてかた時地面が揺れた。地響きで立っていられない。 神「来たか・・・すまないがやつを倒してくれ」そう言うと神は消えた。 かがみ「ち、ちょっと!?」
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非常の中の日常 成実ゆいは、警察署で当直勤務をしていた。 何か起きない限りは、特にやることもない。 音量を抑えたテレビを漫然と眺めていた。ときおり入る地震速報のテロップには、もうすっかり慣れてしまった。 同じく当直の後輩は、パソコンでお役所仕事的などうでもいい書類を作成していた。 3月11日の大地震発生から1ヶ月以上が過ぎていた。 埼玉県内の親類の無事は、3月11日中に確認できた。 従妹のこなたは「本とフィギュアがめちゃくちゃになったよ」と嘆いていたが、怪我がなかったのは幸いだった。両親も妹もおじさんもみんな無事が確認できた。 問題は、東北地方に単身赴任している夫のきよたかだった。なんとか連絡がついたのは二日後。無事だと分かったときは思わず泣きそうになった。 夫は、被災した工場設備の復旧作業のためしばらくは帰ってこれないという。夫が勤めている工場が生産しているものは現地の復興には欠かせないもので、その復旧はなんとしても優先されなければならないことだった。 ゆいは、すべてを放り出して現地に駆けつけたい思いをぐっと押さえ込み、「体には気をつけて」と言って電話を切った。 私情を挟まず自分の持ち場で本分を尽くすのが公僕の務めだ。それをいまさら放棄するわけにはいかない。 それ以来、こちらから連絡することはしていない。夫が日々の激務で疲れ果てていることは分かっているから。 夫から電話がかかってきたときは、いつもどおりの成実ゆいとして日常と変わらない会話をかわした。「がんばって」とも「無理しないで」ともあえて言わない。 地震発生直後は、信号機・標識等の損害状況の巡回点検、地震に伴って発生した交通事故の処理などで奔走した。 その後は、東北地方に支援物資を運ぶ民間車両への「緊急輸送車両確認証明書」の発行手続や、輪番停電で信号機が停止した主要交差点の交通整理などで忙しかった(「無計画」停電のせいで翻弄されっぱなしだったが)。 それらの仕事も今はもう落ち着いている。 被災地への災害派遣は機動隊が中心で、交通課の警察官にはお呼びはかかっていない。 「余震等に伴う不測の事態に備え非番の場合も自宅待機せよ」という命令はいまだに解除されてないが、仕事はルーティーンワーク中心の通常態勢に戻りつつある。 後輩が作成した書類を回してきた。たいして中身も読まずにハンコを押して、課長席に置いておく。 「しかし、これって本気なんですかね?」 後輩が、ホチキス止めされた分厚い資料の束を掲げた。表紙には「部外秘」とスタンプが押されている。表題は「重大事態における県民の避難誘導について」。 中身はパラパラと読んだが、愉快な内容ではない。 最悪の場合には県民すべてを県外に避難させることとされており、その場合における埼玉県警の具体的な行動計画が記載されていた。その規模の避難誘導となれば、当然、交通課の警察官も総動員ということになる。 避難の方向は西が想定されていた。となれば、「重大事態」の内容も見当がつくというものだ。埼玉県から北東方向を見れば、今回の震災ですっかり有名になってしまった原発がある。 「上の方は本気なんでしょ。じゃなきゃ、こんなもん配らないよ」 「杞憂ですんでほしいですけどね」 「誰か偉い人が言ってなかったっけ? 起きる可能性のあることはいつか必ず起きるって」 「マーフィーの法則ですね」 「そう、それ。そういうのは、交通事故だって原発事故だって変わんないよ」 違うのは頻度だけ。 あとは、どこまでを想定して、どこまで準備しているか。想定を超えた場合にも対応できるだけの余裕があるか。その違いでしかない。 突如、警察無線から音声が流れてきた。 「こちら、サイケンツウカン。サイケンツウ5、応答せよ」 ゆいは、無線を手に取って応答した。 「こちら、サイケンツウ5。サイケンツウカン、どうぞ」 「事故発生……」 事故発生の場所・時刻、判明している状況などが告げられた。人類滅亡のその瞬間でさえ決して変わらぬであろうと思わせる淡々とした声で。 「サイケンツウ5、了解。現地向かいます」 節電の影響かどうかは定かではないものの、交通事故件数は徐々に増え始めている。ほとんどが物損事故だが。 ゆいは、後輩とともにすばやくパトカーに乗り込み、サイレンを鳴らしながら、夜の闇の中へと消えていった。 終わり コメント・感想フォーム 名前 コメント
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泉こなたの消失 ・ a href="http //www34.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/978.html" 第一章 /a
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こなた「なるほどなるほど。言霊(ことだま)だとこうなるわけねw」 ただお「そうだねぇ。こなたちゃん、覚えが早いね」 みき「お父さ~ん、電話よ~?」 ただお「はいはい。ごめんね、こなたちゃん」 こなた「また来るよ~。あじゅじゅしたぁ~」 かがみ「あれ?こなたは?」 つかさ「帰ったみたいだよ?」 かがみ「(ちっ!)」 みき「(どこの女よ!?)」 ただお「いたっ!何も足を蹴らなくても・・・」 みゆき『もしもし?あ、柊のおじ様。実は妖魔について・・・』 ただお「その通り。物覚えが早いね、つかさに見習わせたいよ」 つかさ「(はぁ!?)」 ――― 小一時間 ただお「ごめんごめん。電話長引いてしまって…って」 かがみ「お母さん、誰か来たよ?」 みき「あら、知らない人ね?帰ってもらいなさい」 つかさ「ごめんね”おじさん”!勝手に入ってこないでね~」 ただお「・・・」 そうじろう『今は我慢!我慢ですぞ!』 ただお「うん(涙」
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今回のお題「」 エントリーNo.01: エントリーNo.02: エントリーNo.03: エントリーNo.04: エントリーNo.05: エントリーNo.06: エントリーNo.07: エントリーNo.08: エントリーNo.09:
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やまと・こう「どうもー、やまとなでしこでーす」 こう「最近暖かくなってきましたねー」 やまと「そうですね……」 こう「なんすかーエラい元気ないやないですかー」 やまと「実は寝不足で……」 こう「ねぶそくー?夜何やってたんすかー?」 やまと「一人タイタニック」 こう「え?」 やまと「一人タイタニック。これ」バッ こう「いややんなくていいですから。てかそれで一夜明かしたんすか!?」 やまと「意外と興奮するよ」 こう「せんでええから!」 こう「んやーそれにしても春ですわー。そういや春ってったらこんなんありますやん」 やまと「ん?」 こう「『ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ』」 やまと「ああカップヌードルのCMね」 こう「いやいや!CMこんなのないから!百人一首ですよ百人一首!」 やまと「あー百人一首か」 こう「そうそう百人でね、こう……」 やまと「一人の首をはねてく」 こう「恐ろしいな!ちゃいますって、一人ずつ歌を詠むんですって!」 やまと「ああそっか」 こう「そうですよー」 やまと「実は私詳しいんですよ」 こう「え、ホンマっすか?おーわかるやないですか」 やまと「百首全部言えますもん」 こう「えーそれ普通にすごいわー!何々、例えば一首言ってみてくださいよ」 やまと「『秋の田の かりほの庵の とまをあらみ 我が衣手は 露にぬれつつ』」 こう「おー最初のやつですなー。じゃ次のは?」 やまと「『春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天の香具山』」 こう「おーすごいやないですかー。他には?」 やまと「『あっふらぽんぽんちょん」 こう「ちょい待て。何それ?」 やまと「確か六十番目くらい」 こう「いやいやありまへんがなそんな歌!」 やまと「えーもしかしたら冥王星に置き去られたかなー」 こう「何言ってますねん。他に何か知っとんすか?」 やまと「うん。『生麦生米」 こう「ちゃうやろそれ!早口言葉ですやん」 やまと「えーでも確か七十番目くらいに」 こう「ありまへんて!」 やまと「もしかしたら天王星に置き去られ……」 こう「だから何言ってんすか!」 こう「あーそうそう、百人一首ゆーたら」 やまと「うん」 こう「枕詞ってありますやん」 やまと「あー、ありますね。『頭に気持ちよくフィット!』とか」 こう「それは枕のキャッチフレーズ!ちゃいます、ほら『あしびきの』とか」 やまと「あーそういうのか」 こう「しっかりしてくださいよー。これ他にもありますよね」 やまと「『あかねさす』」 こう「おお」 やまと「『からころも』」 こう「そうそう。知ってますなー」 やまと「実は私オリジナルの枕詞考えてきたんですよ」 こう「えーそうなんすか。どんなん?」 やまと「『ぶよぶよの』」 こう「……はあ。で、何が続くんすか?」 やまと「桜」 こう「ぶよぶよの桜!?どんなんすかそれ!」 やまと「まだあるよ」 こう「はあ。どんなんすか?」 やまと「『チョメチョメの』」 こう「……何かヤバそうやな。で、何が続く?」 やまと「桜」 こう「またかい!てかチョメチョメの桜て何やねん!」 やまと「まだある」 こう「……はあ。何?」 やまと「『激ヤバの』」 こう「もうその時点でおかしいやろ!んまあ一応聞いとくけど、何が続くん?」 やまと「桜の幹」 こう「幹かい!激ヤバの桜の幹てどんなや!」 やまと「こんな感じ」バッ こう「タイタニックかい!分かれへんわ!」 やまと「最後にもう一個ある」 こう「はあ。何すか?」 やまと「『ダメだこりゃ』」 こう「今のまんまやんけ!辞めさせてもらうわ」 やまと・こう「どうも、ありがとうございましたー」
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洗面所に入ると、バスタオル1枚の妹が鏡の前でヘンなポーズをしていた。 「あ、お姉ちゃん。お風呂先にいただいたよ」 「つかさぁ~……何よ、その奇怪なポーズは……新手の首の運動か/?」 もしこの場に、彼女……こと、柊かがみの友達がいたら、 『首に星型のアザでもついてるのかと思ったよ』と 言ってそうなくらい、腰に負担がかかる姿勢だった。 「あのね、ココ、首のところにキズみたいなのがあるの。 今まで全然気がつかなかったけど」 そう言って襟足の髪の毛をかき上げると、たしかに後頭部から うなじの部分にかけて縦に一筋の傷痕が見える。 数センチはあるだろうか……傷自体はかなり大きいが 盛り上がっているようには見えない。 ほとんど治りかけているあたり古いもののようだ。 「へぇ……コレは明るいところでよく見ないと、気がつかないんじゃない? 普段は髪の毛がかかって完全に隠れちゃってるし」 「うん。触っても、全然分からないし」 「それにしても、よく気がついたわね。こんなところにあるキズ」 「今日美容室に行ったら、美容師さんが『痛くなかったですか?』って聞いてきて 私もね、最初、何のこと言ってるのか全然分からなくって」 「うん……私も今までちっとも……」 先ほどから少し陰のある表情を見せていたかがみは、突然何かを 思い出したように口をつぐんだ。 やがて、しばらくの沈黙のあと、申し訳なさそうに小さく一言呟いた。 「あの時の痕、残ってたんだ……」 「ねえ、お姉ちゃん。ホントは知ってるんでしょ?」 「何のこと?」 ベッドで寝転がりながら、ラノベの新刊を読むかがみ。 つかさの問いにそっけなく答える。 「ココのキズのことだよ。何か知ってるよね?」 そう言って風呂上りの濡れた髪を撫でて、かがみを促す。 「さっさとドライヤー使いなさいよ」 かがみは読書中に話しかけられるのを極端に嫌がる。 普段のかがみなら、つかさのことを軽く一蹴しているだろう。 しかし、この時は読書に身が入らず、上の空といった感じで ベッドのそばに腰掛けたつかさの質問を、気にかけているようだった。 「ねえ……気になるよ……」 つかさを横目で見ながら、やがてかがみは諦めるように呟いた。 「しょうがないわね……あんた、そういうとこって昔から頑固よね…… 話せばいいんでしょ? まあ、もう『時効』だろうし……」 「『時効』って?」 「だってもう10年くらい前の話よ。私たちが小学校に行ってた時だと思うから、 8、9歳の頃。もっと前かもしれないわ」 「へぇ、そんなに前なんだ。どうりで私、全然覚えてないはずだよ」 「私はよく覚えてるわよ。すごく怖かったから…… それに、元はと言えば私が原因だしね」 「えっと……私がココ怪我したのって、お姉ちゃんのせい?」 「そうだとも言えるし、仕方が無かったとも言えるわね」 「なにそれ? 全然答えになってないよー?」 「話は最後まで聞きなさいよ……その頃のあんたってね、 今以上にすごーく甘えんぼでね。お父さんもお母さんも、お姉ちゃんも、 親戚の人もみんな、つかさのことばかり可愛がってたの」 「わ、わたし、そんなに甘えんぼじゃないよぅ……」 つかさが顔を赤らめて言う。 「でもね。あの頃は本当に、みんながつかさの方ばかりかまってたのよ。 少なくとも、その時の私にはそう思えた。 『かがみはしっかりしてて偉い』とは言ってくれたけど、 同じ双子なのに……って、子供心にとても寂しかった……」 トゲをふくんだ言葉尻には、少しばかりの嫉妬と羨ましさが見え隠れしていた。 以前、友達に言われた「かがみは寂しがりやのウサちゃん」という言葉は 実は、思った以上に当たっているのかもしれない、とかがみは思った。 「あ、あの……なんていうか。ごめんなさい、お姉ちゃん」 かがみは大げさにため息をついてみせる。 「だからぁ~……そ~ゆ~風にすぐ謝っちゃったりするところとか、 その性格だからなのよねぇ……みんなに可愛がられるのはさ ま、今は全然気にしてないからね……とにかく、話を戻すわよ」 「そうそう、私のキズのことと全然関係ないよー」 「あんたがいちいち話を腰を折るから悪いのよ。最後まで黙って聞いてなさい」 「むー……」 「あれは、夏のすごい暑い日の昼下がり。たぶん気温は35度を超えてたかしら 本当に気が滅入るほど暑かったのを覚えてる。 確か、お父さんは仕事で関西の方に行ってて、お母さんは町内会の何かの集まりに行ってた。 だからお姉ちゃん達に『私たち2人の面倒を見るように』って言ってたはず。 でもお姉ちゃん達は『かがみ、つかさのことよろしくね』とかなんとか、友達と一緒に 遊びに行ったりとかしてたの。まったく。いいかげんよね、ウチの姉妹って。 『なんでこのクソ暑いのに、手のかかるコイツの面倒を見なきゃ……』って、 私は内心毒づいてた……って。ちょっ、何その今の小動物が怯えるような目は!? 凶暴なのか? 今の私そんなに凶暴だった? ……とにかくね、その日の午後は、家に私たち2人だけだった。 それで境内でかくれんぼとか鬼ごっことかして、遊んでた。全く、子供ってホントにバカよね。 そんな日は、おとなしく家の中で遊んでればいいのに。 で、そんなことをしてるうちに、裏のお堂のところへ言ってみようって 私が言い出したの……ほら、裏庭を竹林のほうに抜けてたとこ、 そこに小っちゃいお堂があったの、覚えてる? 昔あそこで遊んだじゃない。 今はもう壊されちゃってて無いけど。 あそこの軒下のとこにミツバチの巣があるから、見に行こうって誘ったのよ。 まったく、救いようが無いくらいバカよね、子供の考えることって。 あんたはすごく嫌がってたのを、私が無理やりに連れてった。あんたのこと、 少し怖がらせてやりたかったんだと思う。 真夏の炎天下の下、草がぼうぼうの小道をしばらく歩いって、開けたところに古い祠があった。 なんの神様を祭ってたんだっけなぁ……昔お父さんに聞いたんだけど。 犬神だったっけ? 何か、あそこは今まで歩いてきた来た道と空気が違った。私はそう思った。 なんとなくひんやりしてるというか、じとっと湿った感じがするというか…… セミがうるさいのに、ひっそりとしてて静かで……全然そんなことは無いはずなのに。 お目当ての蜂の巣はちゃんとあったわよ。それもすごく大きな立派なの。 近くに行かなくても、あの蜂の羽音がぶんぶん聞こえて。周りを飛んでる蜂は数匹なんだけど。 すごい威圧感ってヤツよ。しばらく遠くから見てたんだけど、私はさ、よせばいいのに 石とか投げ始めた。 もうね、出てくるのよ、蜂が。ものすごい数の。 私のやってるシューティングの弾幕よりたくさんの。 黒い雲が音を立てて襲いかかってくるみたいだった。 私は逃げたわ、あんたを放っといて。ひどい話よね。 とても怖かったからよく覚えてないんだけど、転びそうになりながらも、必死で 家の中まで逃げ込んだ。気がついたら、足とか擦り傷や切り傷だらけだった。 落ち着いたら、つかさのことが気になりだした。 どうしよう、つかさに何かあったらすごく怒られるに違いない。 お母さんやお姉ちゃんたちが帰ってくる前に、つかさを連れてこないと、って…… しばらくして、暑さのピークを過ぎて陽が陰りはじめた、 夕暮れも近くなった頃、あのお堂へ恐る恐る行ってみた。 蜂はもう大人しくなってたけど、私は近寄らないようにした。 つかさの姿は何処にも無かった。 何処いったんだろう……あの子はドンくさいから、逃げ遅れたのかな…… 家の方に戻ったはずは無い、一本道だから出会ってるはずだし、 そもそもこんな時間だ。とっくに家にたどり着いているはずだ……。 子供の頭で、私は必死に考えた。そして1つの恐ろしい結論にたどり着いた。 あのお堂からは、もう一本の道が開けているの。 その道をしばらく進むと、急な崖に出るわ。 崖といっても、3、4メートルだから、たいした斜面じゃないのよ。 子供の足でも、気をつければ降りられるくらいだもの。 とはいえ、蜂の大群をかわしながら駆け足で降りられるかどうか、さすがに その保障はなかった。 それが運動神経ニブくてドンくさい子供だったら…… あまり想像したくなかった…… 私は最初、つかさが逃げるときにその崖から落ちて、足でもひねって 動けないんじゃないかと考えた。もし蜂に刺されてたりでもしたら大変だし。 なんにしろ、たいしたことは無いだろうって、 何のコンキョの無い希望的観測をしてたわ。 さっさと助けに行って、家に連れ帰って、私の分のお菓子でもあげて、 家族には黙っててもらおう。それで万事OK! そんなことを考えてた。 『背筋が凍る』って言うでしょ。そういう光景を見るとね、 背中に凍ったミミズを入れられたみたいに、体温がスゥーって下がるのよ、ホントにね。 つかさはそういう経験ある? 崖の下で、つかさは冷たくなってた。 すぐ思い直した。きっと足を滑らせて崖を転げ落ちて気絶してるだけだ、って。 でもね、死人ってのは、寝てるだけの生きた人間とは全然違うのよね。 呼吸とか、肌の色とかだけじゃなく、周りの空気がそこだけ違うのよ。 でも私は、そんなのはただの錯覚に違いないって、しつこく思い続けた。 つかさの顔のまわりをまとわりついて蠢いているハエは、黒い塊みたいになったし、 片足は、膝あたりから変な方向に曲がってたけど。 また、希望的観測というヤツ。 でも、そんな私のささやかな希望も すぐに音を立てて崩れたわ。 つかさの頭を起こそうとした瞬間、耳からドロッて赤い液体が流れて落ちた。 血って言うより、すごく赤黒かったから、ブルーベリーのジャムみたいだなって思ったけど、 『あ、これ血なんだ』って気づいてらびっくりして、つかさの頭を離してた。 ゴンッて地面に落ちて頭を打ったけど、あんたは全然反応が無かった。 かわりに何処からってくらい、ものすごい量の血ががドバーッて出たわ。 アレの日なんて目じゃないくらい。砂場にジュースを落としたみたいに、 あたりの乾いた土にすぐ吸い取られて、まわり一面赤黒くなった。 ……ヒトの血の量はね、体重の13分の1。その3分の1の出血が致死量なの。 それで小学校低学年の子の体重って30キロぐらいでしょ…… 致死量は……770ml……250ml缶3本ちょっと、ってとこでしょ? 2lペットボトルぐらい真っ赤な血がドロドロって噴き出してた。 どうしたの? つかさ? 顔色が悪いわよ? 冗談でしょ、だって? まあ待ってよ。 ここまで話したんだから、最後まで聞きなさいよ。 じゃあ続きを話すわよ。 それでね、もうだめなんだ、つかさは死んでるんだ、 血が止まらなくて、全く動かないつかさを見て、私はそう判断した。 でね、次に何を考えたと思う? 『つかさがいなくなったから、みんな私のことをかまってくれるようになる』 一瞬そう思った。それくらいあんたは大切にされてたから。 でもそんな大切なつかさを殺した私はどうなるのかしら? そう考えた。 みんなすごく怒るだろう。神社の神具を悪戯したときより怒るだろう。 きっと謝っても許してもらえない。私も殺されちゃうんだ。 私はつかさの死体を隠すことにした。 ところで、あの崖から離れたところに『墓地』があるのって知ってる? 『ヒト』のお墓じゃないわ、ペット専用の墓地よ。 鳥とか猫とか、でも犬が一番多かったみたい。 誰が始めたのか知らないけど、すごい数のお墓があって、 墓標があるのだけでも100以上かしら。ネットでもすごく有名なのよ。 私はそこにつかさを埋めることにした。 同じくらいの体格の人間を運ぶのは、すごく大変だったわ。 意識の無い人間はね、おんぶするときみたいに、バランスを取ってくれないから。 何度も転びそうになって、汗だくだくになりながら、 血生臭さで吐きそうになりながら、つかさを背負った私は墓地にたどり着いた。 最近切られたような切り株があったから、座って一息ついた。 ところでその墓場には、ちょっとした怪談ってか都市伝説みたいなものがあってね。 埋めたペットが生き返る、のよ。ふふ、笑っちゃう話でしょ。 でも私のクラスメイトの子が、ペットの犬が生き返ってったって言ってたのを思い出したの。 まあ私は、似たような犬を親が買ってきたんだ、って言い返してやったけど。 昔っからそーゆーオカルトなのは信じないのよ、私は。 あーでもぎょぴちゃんやタマが死んだら、私だって『ペットの墓地』で生き返らせたいかも。 大人だってそんな迷信に頼りたくなるくらい、哀しいのよね。ペットロスってのは。 ……都合がいいことに、墓にはちょうど、掘り返したような大きな穴が開いてた。 あ、もしかしたら、あの穴はすでに何かが『出てきた跡』だったのかもね…… つかさを穴に下ろして、その辺の板切れか何かで土をかぶせた。 何だか息苦しそうで可哀想だな、って思いながら。 それから……あまり覚えて無いけど、家に帰った頃にはもう夕方だったはず。 服は汗びっしょりで、つかさの血がすこし付いてたけど、 着替えもせずに、すぐにベッドの中にもぐって、ずっと震えてた。 つかさは一人で遊びに行った、だから何も知らない。そう答えれば大丈夫だ。 たとえ死体が見つかっても、自分が殺したなんてバレるはずは無い…… そんなことを考えながら……あとは、今日の出来事の夢を見ていたと思う。 夢の中で、崖から落ちるつかさを、私が映画みたいに助けたりして、 ああ、こっちが現実なんだって思ったらそこで目が覚めて、またすぐ眠って…… それを何度も繰り返してた、時間の感覚が無くなるくらい。 『ご飯だよー』ってお姉ちゃんの呼ぶ声がした。目が覚めたら夜だった。 私はいつもどおりにキッチンへ行ったけど、内心ブルブル震えていた。 心臓も鼓動が聞こえるんじゃないかってくらいドクドクしてた。 お母さんはまだ帰ってきてなかった。 そこには、いのり姉さんとまつり姉さん、そして……つかさがいた。 マジでビックリしたわ。だって、あんたヘーゼンとご飯を食べてるんだもの。 もしかして、昼間の出来事は本当に私の夢だったんじゃないかって疑うくらい。 寒いの? つかさ? さっきからずっと震えてるわよ? お風呂入ってそんな格好してるからよ。 でも夢なんかじゃなかったわ。私の服には血が付いてたままだし、洗濯機の中には 血だらけで赤黒くなったつかさの服が放り込んであった(これは私が始末した) 次の日見に行ったら、昨日死体を埋めた場所はぽっかり穴が空いてた。 昨日、つかさは確かに死んで、ソレが生き返った証拠ってわけよ。 それだけなら、土の中で、仮死状態とか何かで意識を失った状態から回復して ただ戻ってきただけかもしれないわね。 といっても、あれだけ大量の血を失っても平然としてるなんて絶対おかしいでしょ? それに何と言ってもね、その日からあんたの様子がちょっと変になったの。 犬っぽくなった。 べつにシッポふったり、舌出したりとかじゃなくて ちょっとしたしぐさで、子犬を連想するみたいな感じ。 たとえば人との接しかたとか、お母さんと一緒にいるところなんか 飼い主とペットみたいでね。 でも、もともとつかさってさ、そういうところがあったし 私も最初は気にしてなかったのよ、あんたがあんなことをするまではね。 ところで、昔、私たち文鳥を飼ってたの知ってる? 覚えてないの? あんたって忘れっぽいわね。 物置に鳥かごがあるじゃない。あれで飼ってたの。 真っ白で可愛くてね。よく懐いてたわ。 こうやって手を出すと、腕に乗ったりしてね。 あ、言うの忘れてた。さっき言った、私の友達の生き返った犬、 柴犬かなんかの雑種の子犬だったかな、見せてもらったんだけど、 普通の犬にしか見えなかった。 友達が言うには、ペットを生き返らせてもね、半分しか戻らないんだって。 『魂』が半分しかないのよ。 魂が半分だと、目つきがどこ見てるのか分からなくなったり、鳴き声が変になったり 歩き方がすごく変だったり、食べる量が異常に減ったりとか、 とにかく半分なの。元通りには戻らないの。 犬でさえそうなんだから、人間が元通りになるかなんて分からない。 『何が』半分入ってるのかだって知らないし。 文鳥の話はどうなったかって? 突然いなくなったのよ。私が学校から帰ると、かごが倒れて扉が開いてて あの子はいなくなってた。 縁側に置いておいたから、たぶん猫かなにかに襲われて扉が開いたんだろう、 お父さんはそう言ってた。 でも本当は違うの。 あの日、私はあきらめきれずにあの子を探しに出かけた。 逃げた鳥を追うなんて、見つかるはずも無いのにね。 でもね、あの文鳥はすぐ見つかったの。裏庭の草の茂みで、つかさがあの子を握り締めてた。 ちょっと正確じゃないわね。あんたが『文鳥だった』物体を持ってたのよ。 赤い何か、ひもだか布みたいなものが垂れ下っていた。 口の周りとブラウスが真っ赤で、周りの草もケチャップかけたみたいだった。 あたりにはぷんと鉄のにおいがした。そばに噛み千切られた鳥の頭が落ちてた。 濁ったガラス玉みたいな、焦点の合ってない目で、私を見てた。 あんたが持っていたのは、首の無い鳥の死体。真っ白だった体が血で赤くまだらになってた。 私はつかさを平手で殴った。手が痛かった。 それでも、あんたは悪びれもせずに『なんで?』って顔をしてた。 叱られた犬みたいだった。 この子には、半分しか魂が無いんだ。きっと心は獣同然なんだ。私はそう思ったわ。 器のせいで、今は人間みたいだけど、きっとそのうち本性を現すに違いない。 だから、私はその前になんとかすることにした。 ねえつかさ? 私の話、聞いてる? さっきから苦しそうだけど? 息ができないほど怖がらなくてもいいんじゃない? 私のクラスメイトの子の犬は、どう見ても普通の犬だった。 『半分なのに、どうして普通なの』って聞いたら、『もう一回埋めたから』って言ってた。 1/2+1/2。その時、まだ分数はやってなかったけど。 その子の犬はまだ子犬だったからね。生き埋めにするのも、それほど難しくなかったみたい。 中型犬とかでも、大人の男だって無理なんじゃないかしら、生きて埋めるなんて。 同じくらいの体格の妹なら、もっと難しいに違いない。 だから私は武器を持ってったの、あんたを例の墓地まで連れ出す時に。 一振りの鉈。古いけどつくりはしっかりしてるし、 重心が扱いやすいようになってて、子供でも振り回せるのよ。 ついでに冷蔵庫から豚肉のパックを持ってった。 真夏の昼さがり、やっぱり暑い日、墓場についたら、 せがむつかさに生肉を放り投げてやった。 がつがつとむさぼり食う姿は、私の妹ではなく、ただの一匹の獣に見えた。 それを見たから、罪悪感は沸かなかった。 峰で殴って気絶させるだけのつもりだったのよ。 肉にむしゃぶりつくつかさの後ろに回って、私は鉈を振り上げた。 つかさはすばやく振り向いた。太陽に背を向けてたのが失敗だったわ。 殺気立った影で気付かれた。つかさは私に飛び掛ってきた。 それからしばらくは取っ組み合いが続いた。服は土で汚れるし、 身体のあちこちを打って、上下左右もわからないくらい、 お互いに掴みかかりながら転がり続けた。 つかさは細い身体に、どこにこんな力があるんだってくらい、 私の首を締め上げてきた。 本当に殺されると思って私も必死だった。 殺し合いは突然、耳をつんざくようなつかさの悲鳴で、終わりを告げた。 気がつくと、私はつかさの頭をなにかに叩きつけたらしかった。 私の服に血がべったりとついてる。つかさの吐いた血だった。 つかさの動きは、生きている人間のそれと違う。 手を離しても、つかさは起き上がってこなかった。 切り株の、切られた鋭い枝が首を突き破って、つかさののどから生えていた。 不規則な痙攣、目を見開いて、血を吐いて、やがて動かなくなった…… 私はつかさを引きずって、元の穴に埋める作業を始めた。 心臓は動いてるから、どうやらまだ死んではいないようだったわ。 刺さった枝は抜かなかった。また出血するかもしれなかったし…… あんたの頭の傷は、その時の傷ってわけ」 「どう?」 かがみはつかさに問いかけたが、反応が無い。 涙とヨダレを流して目を空ろにしている。 「あんたって結構、抜けてるでしょ? きっとアタマが3/4しかないのよ だって私が『半殺し』にしたから! あははっ! なんちゃってねっ!」 反応無し。 「あの……つかさ……?」 「……んおねぇええちゃあああんんんんんあqwせdrf!!!!!1 やだああああ!!!わだじいぬやだああああ!!!!」 「ちょwwおまwwwフィクションですから! この物語は」 恐怖で幼児化していたつかさは泣き止まなかったし、納得もしてくれなかった。 例の傷は、小さいころに境内の石段でぶつけたと言っても信じてくれなかった。 (私は覚えていたが、つかさはサッパリ忘れていたようだ。 怪我の時も、頭から血を流しているつかさ本人はヘーゼンとしていて、 私のほうが怖くて泣いていたという始末だった) 両親にも説得してもらって、ようやく落ち着いた。 「しかし、作り話であれだけ怖がるとは…… 私もなかなか物語を作る才能があるんじゃないかな? (某映画と小説のパクリだけど) それにこれじゃあ、ラノベというか、角川ホラー文庫だ。 私はもっとファンタジーなのが書きたいんだが…… でも、ちょっと怖がらせてやろうと思っただけなのに、失敗だったな……。 作り話って言ったけど、「つかさのことが羨ましかった」のは本当だよ。 ずっと大切にしてもらって、幸せだね。 羨ましかったから、ちょっと悪戯したかったんだ」 「こわがらせて、ごめんね。おやすみなさい、つかさ」
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401 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/06(日) 21 12 22.84 ID iteRdoSO 400ゲットでみなみん