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わたしは人より恵まれてるという事に、小さなころから気がついていました。だからわたしは、欲というものが人よりも少なかったのです。知識を得る事は好きでしたが、欲というほどのものではありませんでした。 けど、稜桜学園に通い始めてから、わたしに一つの欲が生まれました。それはわたしの中でとても大きくなり、自分では押さえることはできなくなっていったのです。 - Desire - 出会いは一年生の時。正直に言いますと、当時のわたしは彼女が少し苦手でした。気まぐれで奔放、わたしと合う要素など何もないと思っていました。 でもなぜか、わたしは徐々に彼女が気になり始め、その行動を目で追うようになりました。そして、少しだけでも彼女と話がしたいと思い、その機会を持とうとしましたが、なかなか上手くいきませんでした。 そうこうしてるうちに、彼女に仲のいい友達ができた事を知りました。同じクラスのその子と彼女は、お昼ご飯も共に食べるようになったようで、楽しそうな声をよく耳にするようになりました。 それから少し経ち、彼女とお昼を食べる友達がもう一人増えました。委員会で話した事のあるその人は、わたしを見かけると「一緒に食べない?」と誘ってくれました。しかしわたしは、何故か「少し用事がありますので」と断ってしまったのです。彼女と親交が持てる、願ってもないチャンスだったというのに…。 その年の夏休みは、溜息ばかりついて過ごしていました。考える時間が増えると、どうしても彼女の事を思ってしまうのです。どうしてここまで彼女にこだわるのか、いくら考えても答えは少しも見えてきませんでした。 二学期が始まり、また毎日学校で彼女と会うことができるようになりました。しかし一度距離を置いてしまうと、どうしても近づく事ができなってしまいました。気ばかり焦り、無駄な時間が過ぎていきました。 再び機会が訪れたのは桜藤祭の時でした。彼女とその友達の班の進行がひどく遅れていたのです。彼女自身は悪い意味で適当で、その友達は頑張ってはいるのですが、不器用というか要領が悪いというか…わたしは実行委員として彼女達を頻繁に手伝うようになりました。そしてごく自然に親交を持つ事ができたのです。 こうしてわたしは彼女とその友人、泉こなたさんと柊つかささんかがみさんと友達になる事ができました。 それからの学校生活はとても充実していました。泉さんと友達となる事ができた。ただそれだけで、こうも自分の気持ちが高ぶるとは予想もしていませんでした。でもそれを知られるのはとても恥ずかしく思え、わたしはいつも一歩引いた位置で泉さん達を見ていました。 泉さんは日常の些細な疑問をよくわたしにぶつけてきました。友達となる以前から、泉さんはオタクと呼ばれるような人だとは知っていましたから、会話が大変なのではと勝手に思っていました。ですが泉さんは時々わたしが理解できない事を話すものの、ほとんどはわたしがたまたま答えを知っているような質問ばかりを振ってきました。 しばらくして、泉さんは泉さんなりにわたしとの接点を探っていたのではないかと思うようになりました。わたしが最初泉さんを苦手だと感じていたように、泉さんもわたしに苦手意識を持っていたんじゃないか。その溝を彼女なりに埋めようとしてるのではないかと、思ったのです。 二年生になり、泉さんの事が少しずつ分かるようになってきました。知らない人にも物怖じしない。言いたいことは少しも遠慮せずに言う。意外と友達思いな面もある。コミュニケーションやスキンシップなどの方法に少し問題があって、かがみさんに良く怒られている…そんな泉さんのおかげで、わたしは退屈など感じることなく過ごす事が出来ていました。 少し経ったとき、わたしは前々から考えていた事を実行してみました。今まで泉さんと名字で呼んでいたのを、こなたさんと名前で呼んでみる事にしたのです。かがみさんやつかささんは名前で呼んでいるのに、泉さんだけ名字はおかしい等理由は有りましたが、急に呼び方を変えたことで泉さんがどういう反応を見せるのかを見たい。それが一番の理由でした。 しかし、泉さんは特に反応を示す事はありませんでした。というか、わたしが呼び方を変えたことすら気付いていないようでした。結局わたしは数日で呼び方を元に戻しました。 泉さん自身は自分がどう呼ばれるのかをほとんど気にしない人のようでした。わたしは泉さんが友達の中でわたしだけさん付けで呼んでいる事を、少し気にしていました。しかし、少し考え方を変えたときから、それは気にならないどころか嬉しい事だと思えるようになりました。わたしは友達の中で泉さんだけを名字で呼んでいる。そして泉さんはわたしだけをさん付けで呼んでいる。それはつまり、わたし達はお互いを特別な呼び方で呼んでいるのではないか、と思ったのです。もちろん、わたしのただの自惚れに過ぎないかもしれせんが。 二年生も終りに近づく頃、わたしは自分の中に今までにないような気持ちが膨らむのを感じていました。泉さんの事をもっと知りたい。少しでも多くの時間を共に過ごしたい。そう思うようになってきたのです。一年生の当初からあった欲、泉さんを知ったときに生まれた欲、それは友達になった事では少しも満たされていませんでした。その時に初めて、わたしはとても欲深い人間だという事に気がついたのです。 三年生になり、受験生となったわたしの周囲は、とても慌しくなってきました。その中でも泉さんは自分のペースを崩すことなく過ごしていました。かがみさんはその事についてよく泉さんに意見していましたが、泉さんはあまりちゃんと聞いていないようでした。進路や受験をまるで他人事のように受け止めている泉さんを、わたしも少し心配でした。このまま進路も決まらずに卒業するのではないか?など、よからぬ考えが頭から離れませんでした。 二学期が始まってすぐのある日の放課後、わたしは委員会の人に「いつまで泉さんと付き合っているの?」と聞かれました。わたしはその質問の意図がつかめず、どういうことなのかと問い返しました。その人は泉さんの成績の事を持ち出してきました。そして、あまり良くない生活態度の事も。そして、それがわたしにとっての悪影響になると。その人は言いました「友達は選んだ方がいいよ」…わたしは頭の奥の方が熱くなるのを感じていました。 冗談じゃない。わたしが嫌々泉さんに付き合ってるとでも言うのか。泉さんと友達でいる事を決めたのはわたしだ。あなたじゃない。泉さん自身にならともかくあなたにそんな事を言われたくない。泉さんの事を何も知らないくせに。 その人がその場からいなくなった後も、わたしの頭の熱はなかなか冷めませんでした。これほどまでに人に強く意見した事などいつ以来だったでしょうか。少し頭が冷えるのを待って、私はその場を離れようとしました。その時にばつの悪そうな顔でこちらを見ている泉さんに気がつきました。 わたしが声をかけるより早く、泉さんが「みゆきさん、大丈夫?」と話しかけてきました。わたしはその質問には答えず、逆に泉さんにどこから聞いていたのかを質問していました。泉さんはわたしから目を逸らして、最初の方から聞いていたと素直に答えてくれました。わたしが何を言うべきか迷っていると、泉さんがもう用事がないなら一緒に帰ろうかと、誘ってくれました。 泉さんの提案で、わたし達はバスを使わず徒歩で駅に向かう事になりました。そして、気がつきました。泉さんと二人きりで下校するのは、これが初めてではないかと。 しばらくは二人とも無言で歩いていました。わたしは、先ほどの事を泉さんがどう思ってるのかそればかり考えていて、何か適当な事も話す事は出来ませんでした。 「さっきのアレ、わたしのために怒ってくれたのかな?」 駅まで半分ほど来た辺りで、泉さんは唐突にそう聞いてきました。わたしはは黙ってうなずきました。そのわたしを見て泉さんは目を瞑ってしばらく考えるような仕草の後、いつもと同じ笑顔を浮かべわたしに向かって親指を立てて見せ、こう言いました。 「いやーおしい。女同士じゃなかったらコレ絶対フラグ立ってたね」 わたしはそんな彼女に対し、苦笑するしかありませんでした。 そこまで書き終えると、みゆきはシャーペンを置きノートを閉じた。 「こんなの書いて、どうするんでしょうね…」 自嘲気味に呟くと、ノートを引き出しの奥の方にしまいこむ。 未だに自分は満たされていない。それどころかどんどん乾いていくようだ。 「まるで恋みたいですね」 恋愛経験など皆無だというのに。ましてや自分たちは女同士だというのに。なぜかみゆきはそう感じた。そして、そう思った自分が可笑しくなり、クスクスと控えめに笑った。 泉さん達はどうなのだろう。みゆきはふとそう思った。彼女たちも自分と同じように、欲を満たすために友達としているのだとうか。 きっとそうだ。妙な確信を持って、みゆきは自分の考えを肯定した。四人が四人とも欲を満たそうと求め合うからこそ、わたし達はここまで友達でいられたのだろう。そしてこれからもそれはきっと、変わりはしないだろう。 みゆきは晴々とした気分で消灯をし、布団に潜り込んだ。今日はきっといい夢が見れる。そして、明日もきっと。 明日は卒業式。旅立ちの時、巣立ちの日と人は言う。 違う道を歩んでいこうとも、欲深いわたし達は望むがままにお互いを求め合うのだろう。 満たされることなく、いつまでも。 - 終 -
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【デュエルパート2】 ここまでの状況を説明しよう。 こなたの手札は3枚、フィールドには『泉そうじろう』攻撃2200、『泉こなたLV6』攻撃2500、『田村ひより』守備1900。ライフは8000で、デッキは28枚。墓地は5枚で除外されたカードは『パトリシア・マーティン』1体だ。 かがみの手札は3枚(内1枚はいのり)。フィールドには『柊みき(タダオカウンター1)』攻撃1500。ライフは7000で、デッキは26枚。墓地は9枚で除外されたカードは『柊つかさ』1体だ。 そして今はかがみのターン。余程すごいカードを引いたらしいのだが、果たして……。 「魔法カード『幸せ未来日記』発動! デッキからモンスターを選択し、そのモンスターに必要な生贄をデッキ、または手札から墓地に捨てることで、次の私のスタンバイフェイズに選択したモンスターを特殊召喚できる」 かがみはデュエルディスクからデッキを取り出し、モンスターを選ぶ。 「私は、私自身『柊かがみ』を選択」 「やっぱりかがみは上級モンスターだったか……」 「私のレベルは7つ、生贄に必要なモンスターは2体だけど……」 「……?」 「ここで手札のいのり姉さんの効果発動、光属性のモンスターを生贄召喚する場合、このモンスター1体で2体分の生贄とすることが出来る!!」 「そんな効果が……!」 手札から『柊いのり』を墓地に捨てる。 「でも、このターン召喚出来る訳じゃないんでしょ? 次の私のターンで差を付けさせてもらうよ」 「そうね、でもまだ私のターンは終わりじゃないわ」 かがみは最後の手札をこなたに見せ付ける。 「それは?」 「これがさっきドローしたカードよ」 このデッキは、使用するプレイヤーに合ったデッキになる……。 「魔法カード――」 故にこんなカードがあっても、不思議ではない。 「『同性愛』発動!!」 「同性愛……なんか嫌な予感が……」 カードには、ツインテールの少女と長髪の少女が唇と唇を合わせている絵が描かれていた。それってつまり……。 「こなたぁ、キスしよっか(///)」 「…………はぁ!?」 驚くのも無理はない。どこの世界にデュエル中キスする奴がいるというのか!? 「な、何言ってんのさ! 今はデュエル中だよ!」 「キスしてくれないの……?」 「だ、だって……」 「この際だから聞いておくわ、こなたって私の事……どう思ってるの?」 今度はどこぞのカップルの別れ話か? かがみが何故こんな話をするのか……それはきっと確かめたいのかもしれない、こなたとの愛を……。 「どう思うって……」 「私ね、薄々は気付いてたの。こなたが私の事、迷惑に感じてるんじゃないかって……」 「いや……」 まさにその通りなので、何も言えないこなた。 「こなたにどうアタックしても、いつも逃げられちゃうしね……」 「…………」 「だからね、もう諦めてこなたと一緒に死ぬつもりだった」 「え……!?」 一緒に死ぬ、それはつまり、よく漫画とかであったりする「君を殺して僕も死ぬ!」と言うキチガイの台詞を意味するのか……。改めて『コナタニア症候郡』は恐ろしいと思うこなたであった。 「でも、そんな事を考えてたとき、調度良いタイミングでこのデュエルに会えたの」 キッと、こなたに真剣な眼差しを見せ付ける。 「だから決めたの、これを最後の賭にしようって」 「かがみ……」 ということは、こなたがデュエルを持ち掛けなければ、今日の夕方にでもかがみはこなたを殺して、自分も死ぬつもりだったということか。ホント恐ろしい病気である。 「でも、その前に確認したいの! こなたの気持ち……、こなたが私の事迷惑に思うならキスしなくて良い。でもこなたが私の事……、迷惑に思ってないなら……キスして……」 かがみは泣いていた。こなたはそれを見てどうしようか迷っていると、 「こなた、これはかがみちゃんの為でもあるの。可哀相だけど、心を鬼にしなくちゃダメよ」 「う、うん……」 こなたもまた、キッと真剣な眼差しでかがみを見る。 「ごめんかがみ」 「!?」 「かがみの気持ちは嬉しいよ。でもこういうことは、お互いの気持ちが重なり合って初めて出来ることだよね? 別にかがみが嫌いなんて言ってないよ? かがみは友達として好きなんだ。だから私はこのデュエルに勝って――」 「あっはははははは」 「かがみ?」 突然、何かが吹っ切れたように渇いた笑いをするかがみ。 「もういい、もういい! これ以上こなたの口からそんな言葉聞きたくない!!」 「ちょ、かがみ……」 両耳を塞ぎ、目を閉じ叫ぶ。 「聞かなきゃ良かった……聞かなきゃ良かった!! そうすればこんな思い……!!」 かがみが目を開け、こなたの方を見たと思ったら、急に静かになった。そしてその顔は次第に険しくなる。 「何?」 「あんたね……あんたが邪魔してるのね……!!」 「え?」 突然何を言い出すのかと思い、かがみと目を合わせようとするが、その視線はこなたに向けられたものではなかった。 そう、かがみの視線の先にいたのは……。 「私が……見えてるの?」 かなたであった。かなたはこなたにしか見えないはずなのに、何故……? 「どうしてお母さんが……」 「……恐らく、症状が悪化して、見えないものが見えるようになったのかも知れないわ」 はて、こういう設定……どこかで見たことがあるぞ。という読者の方もいらっしゃるかも知れないが、ここは目をつむっておいてほしい。 「知ってるわよ、あんた……闇こなたね」 闇こなたって……所謂『もう一人の僕』ってことだろう。かなたが持ってきた飴の効果には、そんな知識まで増えてしまうようだ。 「闇こなたって……かがみはお母さん見た事あるはずなんだけど……」 以前、かがみが泉家に遊びに行ったとき、アルバムでこなたの母を確認している。どういうことだろうか? 「多分だけど、今のかがみちゃんには私が悪者にしか見えてないのよ。症状が悪化している証拠ね」 「かがみ……」 かがみを救おうと、遥々天界からやってきたかなたが、かがみには悪者に……闇こなたに見えてしまうなんて……つくづく厄介な病気だ。 「こなたは騙されてるのよ、そんな悪魔の囁きに耳を貸しちゃダメ」 「……」 「あ、悪魔なんかじゃないよ!! かがみこそ、いい加減に自分の言ってることが――」 「もう心も支配されてるみたいね……、可哀相なこなた。今助けてあげるからね」 「かがみのバカ! なんでそうなるんだよ……」 もはやこなたの言葉は、かがみには通じないようだ。 「こなた……」 「私、絶対負けない。勝ってかがみを取り戻してみせる」 こなたの瞳には、かがみを救うという決意が見て取れた。 「魔法カード『同性愛』の効果。相手がキスに応じなかった場合、私は手札が5枚になるようデッキからドローする!」 「な……5枚ドロー!?」 かがみの手札は現在0枚。よって、5枚ドローすることが出来るのだ。 相手がキスに応じなかった場合って……なんという禁止カード!! 「因みに相手がキスに応じた場合は、私の手札を全て捨て、デッキの上から10枚カードを墓地に送るっていう効果だったのよ。キスすれば勝てたかも知れないのに、残念だったわね、闇こなたさん?」 確かに、残りのデッキ枚数を見て10枚も墓地に送れば、キーカードが無くなり勝率は上がるかもしれない。しかし常識的に考えてデュエル中に握手なら未だしも、キスはないだろう。 「私はここでみゆきを攻撃表示で召喚!」 「みゆきさん?」 フィールドに『高良みゆき』が「お恥ずかしながら」と笑いながら姿を表す。 攻撃力1500、守備力1500。☆×4。 「みゆきの効果発動! 1ターンに1度、カードの種類を1つ宣言する。相手の手札を1枚選択し、宣言した種類のカードだった場合、そのカードを墓地に送り、相手ライフに1000ポイントのダメージを与える!」 「1000ポイント!?」 「私は魔法カードを宣言するわ」 こなたの手札は3枚。その中に魔法カードがあったとしても、当たる確率は3分の1だが、果たして……。 「真ん中のカードよ」 「うっ……」 「どうしたの、見せなさい」 「くっ……」 こなたは渋々とカードを見せる。そのカードは魔法カード『ごみ箱から元に戻す』、『泉こなた』を復活させることが出来る重要なカードだった。 「当たりね、しかもその厄介なカードだったなんて運が良いわ」 「くそぅ……流石みゆきさん、何でもお見通しか……」 カードを墓地に捨てる。 「更に1000ポイントのダメージを受けてもらうわ!」 「うっ」 ここでこなた初のダメージ、8000から7000へ。かがみのライフと並んだ。 「私はお母さんを守備表示に変更し、カードを2枚伏せてターンエンドよ」 『柊みき』の守備力は2500、『泉こなたLV6』の攻撃力と同じ数値だ。更に攻撃を1回防ぐタダオカウンターが1つ乗っているので、倒すのは困難だ。そして『高良みゆき』は攻撃力1500の下級モンスターだが、伏せカードが2枚もあるので迂闊に攻撃できないだろう。 除去カードがあれば別なのだが……。 「私のターン、ドロー」 「この瞬間、罠カード発動!」 「え!?」 「『背景放題やりほーだい』!!」 「ちょ……」 カードには背景コンビ(主にみさお)がドンチャン騒ぎをしている絵が書かれていた。 「墓地の日下部と峰岸をゲームから除外することで、3つの効果の内1つ選択する」 「“やりほーだい”ってそーゆー事か」 かがみの墓地から「みゅ~ん」と情けない声が聞こえた。除外された誰かさんの断末魔だろう。 「私は3つの効果から“相手の手札を1枚墓地に捨てる”を選択。右端のカードを捨てなさい」 「な、ちょ……えぇー……」 顔を片手で抑え、あちゃーと仕種するこなた。 「あら、よっぽど大事なカードだったようね」 墓地に捨てられたカードは魔法カード『授業中に何してんねん!!』というカード。効果は、相手の魔法・罠カードを1枚破壊でき、更に手札から1枚カードを捨てる事で、もう1枚破壊できる優れたカードだった。 もし、このカードが捨てられなかったら、これを使い、罠を警戒せずに攻め込むことが出来たのだが。 「さぁ、どうするのかしら? こなたのモンスターならみゆきを倒すことは可能よ?」 「……」 明らかに誘っている。この事から、かがみのもう1枚の伏せカードは罠だと確信するこなた。しかし今ここで『高良みゆき』を倒さなければ、次のかがみのターンで、またあの効果を使われてしまう。どうするこなた!? 「こなた、あれは罠と思い込ませる罠かも知れないわよ?」 「はったりって事でしょ? それに賭けてみよっかな……どっちみち、このままターンエンドするわけにはいかないしね」 こなたは2枚の手札を見つめ、思考する。 「魔法カード『チョココロネ』を私、『泉こなたLV6』に装備。チョココロネを装備した私は、戦闘で破壊したモンスターの守備力分ライフを回復できる」 フィールドの『泉こなたLV6』がチョココロネを包装袋から取り出し、剣の様に構える。 「ふぅん、ライフをいくら回復したところで私には勝てないけどね」 「そんなのわからないじゃん。バトルだよ!」 勢いよく『泉こなたLV6』が攻撃! と見せ掛けて……。 「念のために、先ずはお父さんで攻撃! ごめんね」 親で罠を確かめるなんて……なんて娘だ! といっても実物じゃないのでそれほど酷くはないがな。 『泉そうじろう』が『高良みゆき』に突っ込む! 「その選択は失敗ね! 罠カード発動『ツンデレ』!!」 「ツンデレ……?」 「ターン終了時までモンスター1体の攻撃力は、自分フィールド上・手札のカード×200ポイントアップするわ」 かがみの手札・フィールドのカードはそれぞれ2枚で、合わせて4枚だ。よって『高良みゆき』の攻撃力は800ポイントアップして、2300。『泉そうじろう』を上回った。 「げ……」 「返り討ちにしてやりなさい! ウィキペディハリケーン!」 『高良みゆき』の背後から、無数の文字列が『泉そうじろう』に向かって襲い掛かる。ポケモンを知らない人には申し訳ないが、これは『みwiki版アンノーン達の突進』と言っても良いだろう。 「あぁ、お父さんが……」 「そう君……」 今の戦闘でこなたのライフは6900になってしまった。 「この効果を受けたモンスターが相手モンスターを破壊した場合、相手はカードを2枚ドローすることが出来る。早くドローしなさい」 「なるほど、それで『ツンデレ』か……」 素早くカードをドローし、確認する。 「あんたが罠を警戒して、おじさんで攻撃してくれて助かったわ」 「くそぅ……」 かがみの言う通り、最初から『泉こなたLV6』で攻撃していれば、貴重なモンスターを減らさずに済んだのである。 「でもまだ私がいるもんね! 行け、チョコレートブレイバー!!」 『泉こなたLV6』が持っているチョココロネの中のチョコが溢れ出し、剣の様に形を作る。そして『高良みゆき』を切り付けた。 切り付けられたと言っても、剣がチョコなのでグロ描写は無いが、『高良みゆき』の制服は血の代わりにチョコがびっしりと付いてベタベタになってしまった。 「うーん、チョコレートプレイ?」 「知るか!」 やがて「ひっく……ひっく」と啜り泣く声が聞こえ、「着替えてきます」と共に自ら墓地に向かって行った。 「何だろう、この罪悪感は……」 「あんなにチョコが付いたら洗濯が大変そうね」 「いやいやお母さん、あれは立体映像だから……」 この戦闘でかがみのライフは6800に。 「『チョココロネ』の効果により、みゆきさんの守備力分のライフを回復するよ!」 『高良みゆき』の守備力は1500、つまりこなたの残りライフは8400だ。先程受けたダメージを、余裕で取り返している。 「せいぜい今のうちに回復しておけばいいわ。直ぐに削ってやるんだから」 「……私はモンスターを守備表示でセットし、カードを1枚伏せてターンエンド」 このターン、なんとか厄介な能力を持つ『高良みゆき』を倒せた(撤退させた?)が、まだまだかがみの驚異は終わらない。 「私のターン、ドロー!」 ここから、かがみの大進撃が始まる……。 「このスタンバイフェイズ『幸せ未来日記』の効果により、私自身『柊かがみ』をデッキから特殊召喚する! 出て来て、もう一人の私!」 フィールドに日記帳が現れ、ページの真ん中ぐらいが開く。するとページが光だし、その中から『柊かがみ』が出てきた。日記帳はそこで消える。 攻撃力2700、守備力2500。☆×7。 「これが……かがみ」 『柊かがみ』の容姿は今までのモンスターは違い、特別な格好をしていた。見た目は巫女服なのだが……肌の露出が多く、上着はジャケットの様な物一枚で、胸は包帯で巻いて隠してある。へそも丸見えだっ! 袴の隙間から見える股からは「穿いてない」という言葉に相応しい美脚が見て取れる。しかも! 袴を穿いてる位置が超ギリギリというか、後少し下にずらしたら――。 「解説さん? 少し自重してください☆」 ……とにかく、今までと明らかに違う容姿、もはやコスプレレベルだ。右手には剣……特大ポッキーを装備している。 「このカードは戦闘で破壊されない」 「攻撃力2700で戦闘で破壊されないモンスター!?」 「それだけじゃないわよ、このモンスターが攻撃する度、ダメージステップ終了時に攻撃力が300ポイントアップする」 ダメージステップというのは、攻撃終了時と思ってくれれば良い。 「まだあるわよ、このカードが戦闘以外によって破壊され墓地に送られたとき、墓地の『柊』と名のつくカードをゲームから除外することで、このカードをフィールド上に特殊召喚することが出来るのよ! 私の墓地には『柊いのり』がいるわ、つまり私の分身を倒すには最低2回倒さないとならないのよ」 「…………」 「驚いて声も出ないかしら? もっとも、最後の効果はデュエル中、1回しか使えないのだけれど」 例え1回でも、その驚異的な能力は恐ろしい。このモンスターを、こなたは攻略出来るのだろうか? 「私はこんな一方的なデュエル、本当はしたくないわ……だけどこれもこなたを救うため……私は心を鬼にする! 覚悟しなさい、闇こなた!!」 こちらは勘違いして心を鬼にしていらっしゃる。こういう状態の奴には何を言っても通じないというのがお決まりである。 「随分と恨まれてるのね、私……」 「気にしちゃダメだよお母さん。絶対勝って見せるから」 「頑張ってね、こなた」 果たして、本当に勝てるのだろうか? こなたのフィールドには『泉こなたLV6』と『田村ひより』と裏守備モンスター、それに伏せカードが1枚だ。『柊かがみ』の攻撃目標は『田村ひより』の厄介な能力を警戒して確実に『泉こなたLV6』を狙うだろう。そうすると多少のダメージは喰らうが、『田村ひより』の守備力を超えるモンスターは『柊かがみ』以外いないので、このターンを凌ぐ事が出来る。まだ勝つ希望はあるかもしれない。 「何その顔は? まだ勝機があるとか思ってるんじゃないでしょうね?」 「思ってるよ、私は最後まで諦めない」 「ふん、甘い、甘いわね。ポッキーみたいに!」 「な、何でさ!?」 呆れたように溜息を吐くかがみ。 「じゃあ教えてあげるわ! 魔法カード『夜逃げでリセット』」 「!?」 「つかさがゲームから除外されてるとき、ライフを2000ポイント払って発動。ゲームから除外されたレベル4以下のモンスターを可能なかぎりフィールドに特殊召喚できる!」 「な、なんだってーっ!!?」 『柊つかさ』は魔法カード『双子の絆』の効果によってゲームから除外されていたのである。 かがみのライフは6800から4800へ。 「私は除外されているモンスター、つかさ・日下部・峰岸をフィールドに特殊召喚する」 「あはは」「あいよー」「うふふ」とそれぞれの特徴ある声と共に、『柊つかさ』・『日下部みさお』・『峰岸あやの』が、かがみのフィールドに攻撃表示で再び姿を現す。 「更に峰岸の効果により、峰岸を日下部に装備!」 これにより、『日下部みさお』の攻撃力は2200になった。 「あ……」 攻撃力が2000を超えるモンスターが2体……、壁であった『田村ひより』が倒されてしまう。 「まだ終わりじゃないわよ。私はこのターン、通常召喚をしていない……」 「うぐ……」 「私は、まつり姉さんを召喚!」 『柊まつり』の召喚で、かがみのフィールドには5体のモンスター。物凄い迫力だ。 攻撃力1700、守備力1100。☆×4。 「そんな……」 絶望……、これを防ぐ手段はないといった、そんな顔をしていた。 「私はカードを1枚伏せ、バトルよ!」 「っ!!」 「その伏せカードが気になるけど……何かしらね?」 「さぁね、教えるわけな――」 「はったりね」 「!!」 確信を突かれたのか、一瞬顔に出てしまった。まるで最初から分かっていたかのように断言するかがみには驚ざるをえない。 「図星みたいね、行け! 私でこなたに攻撃、一直切断猪口零刀!!」 なにやら凄い技名である。『柊かがみ』が一直線に『泉こなたLV6』に向かいジャンプする。「イヤァーッ!」と掛け声をし、切り掛かる。『泉こなたLV6』はチョココロネで防ごうとするが、やはりそこは攻撃力の差。腹に思い切り叩き込まれ(ポッキーなので切れない)「ぐふっ」と悲鳴を上げ、その場に倒れ消えてしまった。 こなたのライフは8200に。 「何度やっても、こなたを倒すなんて嫌な気分ね。もう復活しないでよ?」 「……そういうわけにも行かないよ」 「今の攻撃で私の攻撃力は上がったわ」 『柊かがみ』、攻撃力が2700から3000に。 「続いて日下部で田村さんを攻撃、ヴぁーストボイス!」 強烈な電波ボイスにより、『田村ひより』は跡形も無く消し飛んでしまった。 「くっ……、でもひよりんの効果でみさきちは2ターン攻撃出来ないよ!」 「分かってるわよ、続いてまつり姉さんで裏守備モンスターを攻撃! 祭だわっしょい!」 フィールドで『柊まつり』が「変な技名付けるな!」と悪態をつきながらも、こなたのモンスターを攻撃する。すると「オーノー!」と叫びが聞こえ、そのまま破壊されてしまった。裏守備モンスターの正体は『パトリシア・マーティン』(2枚目)だったようだ。 「まつり姉さんの効果、まつり姉さんがモンスターを破壊したとき、デッキから魔法カードを1枚選択して手札に加える」 かがみはデッキからカードを選び、手札に加える。 「私は『狂気のバルサミコ酢』を手札に加えるわ。もっともこの効果で手札に加えた魔法を使用する場合、500ポイントのライフを払わなければならないから使わないかもしれないけどね」 「…………」 こなたは自分が窮地に立っている事を自覚し、かがみの説明に相槌を打つ余裕すら失くなっているのだろうか……。 「とにかく、これで壁はいなくなったわね」 「やばっ……」 「つかさでプレイヤーこなたに直接攻撃(ダイレクトアタック)よ! マヨネーズアタック!」 『柊つかさ』がこなたの目の前に立ち、ニコっと笑う。 「何……?」 すると、セーラー服の中からマヨネーズを取り出し「こなちゃん、マヨネーズかけるよ?」と言い放ち、こなたの返事も待たずにマヨネーズをぶっかけた。 「うわあぁぁぁぁ!!」 「こ、こなた!?」 どうやらプレイヤーの直接攻撃は文字通り本人に直接降り懸かるようだ。かなたもそれは知らなかったようで慌ててハンカチを取り出す。現実の人間に被害を齎す立体映像……天界の技術は素晴らしく発達しているようだ。 「お、おいしそう……」 この呟きは誰の者かは言わなくても分かるだろう……。この戦闘でこなたのライフは7000に。 「ありがと、お母さん。まだベタベタするけど……」 「さぁこなた、この状況をひっくり返せるかしら?」 「…………」 やはり黙り込んでしまう。手札は1枚、フィールドにははったりとバレた使い道の無い(?)罠が1枚……。さっきも言ったが絶望的だ。 「降参しちゃいなさいよ? これ以上こなたを苦しめたくないわ」 「…………嫌だよ」 「へ?」 「まだライフは残ってるんだ、諦めるもんか!!」 先程の状態からは考えられない、力強い声でかがみに返す。そう、こなたにはまだ、友を救うという強い意思があるのだ。その意思が砕かれない限り、こなたは沈むことは無い!! 「こなた……」 「ふぅん? なら手加減はしないわ、私もこなたを救い出すために必死なんだから」 こちらは勘違いなのだが、こなたと同じぐらい強い意思を感じる……。半分は邪(よこし)まな意思も感じるが……。 「私はこれでターンエンドよ」 「私のターン、ドロー!」 こなたはここから逆転できるのだろうか!? デュエルパート3 へ
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かなた「ふっしぎし~ぎ~摩~訶不思~議~る~わ~…」 こなた「!?…悪寒が…」 ゆたか「友(ひより、パティ、いずみ)よ、君達は何故、悪魔(ヲタク)に魂を売ったのか?!」 ひより「…じゃ私オブラーで」 いずみ「ずるい!じゃ私は爆弾抱えて突撃する」 ひより「パティは…ギルドスかな…」 いずみ「ブッチーじゃないわね…って仙田と月形がいないわね」 ひより「アニ研の先輩にでも…そんで」 こう「誰がビアスなのかなぁひよりん」 やまと「誰がガードノイドなのかしら、ひよりちゃん」 ひより「ギャー!」 みなみ「慣れないネタフリは…しない方がいい…」 こなた 「 吸血鬼に血を吸われている時って性的な快楽を得られるんだってぇ~。 」 ゆたか 「 や~ん お姉ちゃんえっち~ でも何か見た目的には痛そうだよねぇ~。 」 いずみ 「 ・・・・・・・・・。 」 ゆたか 「 ・・・ ? 若瀬さんどうかしたの・・・ ? 」 いずみ 「 ・・・・・・うぅ・・・。 」 こなゆた 「 ・・・・・・ ? 」 いずみ 「 うぅ・・・う・・・うあああああああっ !!!! 」 こなゆた 「 !!! 」 ゆたか 「 ど、どうしたの若瀬さん ?! 」 いずみ 「 ううぅ・・・血・・・血が・・・。 」 ゆたか 「 えっ ? ち・・・ ? 」 いずみ 「 ・・・血が・・・吸いたい・・・。 」 こなゆた 「 えっ・・・。 」 いずみ 「 私だけじゃ寂しいわ・・・。 貴女達も私の仲間になってよ・・・。 私が貴女達の血を吸えば貴女達も私と一緒・・・。 一石二鳥でしょ・・・ ? 」 こなた 「 え、え~と と・・・とりあえず落ち着こうか・・・ ! そ・・・そのぉ・・・ 若瀬さん・・・ ? 」 ゆたか 「 がくがくがくがく 」 いずみ 「 ・・・ええ・・・。 私は落ち着いてますよ・・・ ? さあ・・・ 観念なさいっ !!! 」 こなゆた 「 ああああああ・・・・ !!! 」 その後三人は仲良く吸血鬼になりましたとさ。 めでたしめでたし。 こなた「あー…だるい…」 かがみ「またあんたは…」 こなた「五月病ってのがあるなら、二月病ってのもあるんじゃないかなってふと思った」 かがみ「…なんだそりゃ」 こなた「受験やら就職やら、将来への不安が今まさに渦巻いて、精神に苛酷なダメージを…」 かがみ「やめい!生々しい!…ってかあんたに将来の不安とかあるの?」 こなた「んー…とりあえず、佐〇急便がちゃんと荷物を届けてくれるかどうか」 かがみ「将来って言わんわ、それ」 隠し味は愛 かがみ「ほら、チョコよ」 かがみは手作りチョコをこなたに手渡した こなた「えっ?かがみが?私の為に?」 かがみ「いらないならいいわよ!!わ、悪かったわね!!形がイビツで!!」 こなた「いやいや、味とか形云々の前にかがみが作ってくれたのが嬉しいのだよ」 かがみ「ばっ…バカじやないの!!何を言ってんのよ!!別にそんなんじゃないんだから!!」 こなた「表向きはこう言っているかがみんではあったが、実はとても嬉しいのだ」 かがみ「お前は何を言っているんだ」 つかさ「(言えない…こなちゃんに言えないよ~…)」ブルブル それは一体、何なのであろうか? こなた「つかさ?」 回想 つかさ「あれ?台所の明かりがついてる。何してるんだろ?」 かがみ「♪いつだって、真っ直ぐに走れLOAD OF THE SPEED」 つかさ「お姉ちゃん?」 つかさは台所にいるかがみを覗き見した。その時である!! かがみ「こなた…こなたハァハァ…隠し味~、隠し味~♪こなた…ハァハァ…///」ハァハァ かがみは何かをしていた。それは一体、何なのであろうか? つかさ「(お姉ちゃぁぁぁぁん!?何それ、何の隠し味!?)」ガタガタ 回想、おしまい こなた「どったの?つかさ」 つかさ「(言えない…言えないよー!!お姉ちゃんがあんなモノを隠し味に使うなんて…)」 こなた「…つかさ?」 かがみ「……こなた……ハァハァ……///」ボソ こなた「ん???」 誕生日と黒歴史 たまき「やさこ、誕生日おめでとう!これ私と毒さんから」 こう「ありがと……って今度出来た店の食べ放題券?うれしいけど、なんでまた?」 みく「あれ、アクセサリだったんじゃないの」 たまき「いやいや、『ぱくちゃん』ならこれかなって」 こう「…山さん、怒らないからそのアダ名誰から聞いたか答えてくんない?」 たまき「あっはっは、偶然入ったお店でね~」 みく「また気まぐれ起こしたのか…」 こう、誕生日おめでとう みゆき「そうして、節分の時には柊の枝に鰯の頭をつけるようになったんですよ?」 こなた「へーさすがみゆきさん (じーっ」 かがみ「何よ?」 こなた「いや別にぃ」 かがみ「あんた今、私に鰯の頭つけようかなぁってなんて思ってたんじゃない?」 こなた「思ってない思ってない」 かがみ「あんたは嘘つくとアホ毛が小刻みに揺れるのよ」 こなた「Σっ!?え、嘘!」 かがみ「やっぱり思ってたわね」 こなた「あ、ひどい!みゆきさーん、かがみんがね、かがみんがね」 みゆき「まぁまぁ、よしよし」 こなた「よし、学校でチョコを売ろう」 かがみ「いきなり何を言い出すんだ…」 こなた「いやね、バレンタイン当日に、みゆきさんに売り子してもらったら、チョコ貰えなかった男子が慰みに買っていくかなって」 かがみ「…あのな」 こなた「さらに最初の何個かには、限定版と称してみゆきさんの秘蔵ショットを封入すれば…おおっなんか売れる気がしてきたよっ!」 かがみ「いいから、やめとけ…」 バレンタイン当日 つかさ「こなちゃん、ホントにやるのかな?」 かがみ「まさか…ってかみゆきが引き受けないでしょ」 みゆき「はーい。お買い上げありがとうございます…チョコいかがですかー?」 つかさ「ってゆきちゃん普通に売り子してるっ!?」 かがみ「引き受けたのかっ!?ってかどうやって言いくるめたんだ!?」 こなた「あ、おーい二人共見て見てー。限定版買えたよー」 かがみ「ってお前も買ったのかよ!」 つかさ「こなちゃんが売ってるんじゃなかったの!?」 こなた「だって限定版…」 かがみ「それ設定したのお前だろ!自分で引っ掛かるなよ!ホントその言葉に弱いな!」 みゆき「つかささんも、お一ついかがですか?」 つかさ「え…えーっと…(なんでゆきちゃんこんなに楽しそうなんだろ…)」 まつり姉さん、トランスフォーマーアニメイテッド出演決定記念 かがみ「まつり姉さん、こなたから伝言があるんだけど」 まつり「こなたちゃんから?どんな伝言?」 かがみ「『トランスフォーマーアニメイテッド出演決定オメ』だって…」 まつり「は?トランスフォーマー???」 かがみ「何で私じゃないのよ…私が出てたら、こなたに『かがみーん、トランスフォーマーアニメイテッド出演決定オメ』とか言ってもらえるのに…」ボソボソ まつり「……かがみ?」 -つかもうぜ- こなた「ついにドラゴンボールが七つ揃ったよ!早速、いでよ神龍わたしの願いをかなえたまへー!」 神龍「我が名は神龍。さあ、お前の望みを言うがいい」 こなた「わたしをみゆきさんのような、ナイスバディにしておくれ!」 神龍「その願いは我の力を超えた願いだ」 こなた「………マジで?」 こなた「…ってな夢を見ましてな」 かがみ「…神龍超えるか」 つかさ「…ゆきちゃん凄いね」 みゆき「あ、あの、それはあくまで夢ですから…その、わたしそんなに凄くは…」 こなた「チョココロネってホラ貝にも見えるよね」 かがみ「いきなりだな。まぁ、見えなくもないが・・・」 こなた「吹いてみたり・・・」フーフー チョココロネ「ぶおぉ~~ぶおぉ~~~」 こなた「え?」 かがみ「は?」 ドシン! ドシン! かがみ「なに? 地震!?」 こなた「ちょ! 外!!」 こ な た ん イ ン パ ク ト 登 場 ! ! こなた「なにあれ私――ってうわぁ!」 かがみ「こなた!?」 こなた「飲み込まれ――」 かがみ「こなたぁぁぁあぁぁぁぁぁ」 がんばれコナタン3 柊かがみんの萌え萌え卍がため 好評発売してない!! ~色々ショック受けたんで勢いで書いた~ ひより「委員長、パティから借りたDVD間違ってなかった?私の頼んだやつと間違えたらしくて…」 いずみ「…コレでしょ?はい」 ひより「なんか暗いけど…(ボソッ)家族の前で見たとか?」 いずみ「違うわよ。ただね、中身でね」 ひより「中身?」 いずみ「…ジースタッグが…ブラックビートの部下で…アゲハがニンジャレッドとタイムファイヤーに…星獣剣で斬られて…ドルに…乗り込むなんて…」 ひより「こっちが本物ですよ」 たまき「ありがとひよりん。やっと見れるよ」 こう「なにそれ」 みく「パワーレンジャーワイルドフォースのDVDだって」 こう「あぁ、前に言ってた歴代レッドが出てるやつか」 ひより「委員長が『スパイダーマンの復讐にちがいない』とか呟いてましたけど…」 みく「しょぼい復讐だね」 たまき「毒さん、今度こそ一緒にみよう」 こう「…うーん」 ひより「こうちゃん先輩、ED集聴きながらどうしたっスか?」 こう「いや、泉先輩が歌ってるとこなんだけど…なんでキョーダインで泣いてアクマイザー3は平気なのかなぁって」 ひより「確かに泣いてましたけど…アレなんでっスか?」 毒島「キョーダインのラストは主人公二人が敵に特攻したりとか自分達のオリジナルを名前で呼んだりとか、結構泣けるとこ多いんだよ」 ひより「なるほど。ならアクマイザー3は?」 山辺「たしかね~、ボスは主人公3人が相討ち覚悟の技でなんとか倒すんだけど。裏ボスにその魂を封印されてTHE END」 ひより「駄目じゃないっスか!」 山辺「でもだからこそ悲壮感漂うじゃんか」 こう「だよね。平和党三人の最後とか、残されたダイアナやノッペラーJrとか」 ひより「でもボスが無事なのは」 毒島「いや、倒したけど」 ひより「え゛」 毒島「倒したって。次のヒーローの『超神ビビューン』が」 こう「ああ、一話でアクマイザー3の魂を引き継いだ三人だっけ」 ひより「ってな話を部活でしてまして」 こなた「…(超神ビビューンって何?)」 口直しのネタ かがみ「そういえばあんたの髪の毛のアホ毛が直っているのを見たことないんだけど」 つかさ「そうだね~」 みゆき「言われてみれば…そうですね。いつからだったのですか?」 こなた「お父さんによると髪の毛が生え始めたころからだって。」 みゆき「直そうとは思わなかったのですか?」 こなた「思ったことはあるんだけど、お父さんがどうしても許さなくてずっとこのまんまなんだよね。 自分でやろうとしたところでどんなワックス使っても直らないし。」 かがみ「ためしに押さえつけてみようか。こなたは私の髪で遊ぶこと結構あるから許してくれるよね?」 こなた「ん~、いいよ。何か分かるかもしれないし。」 かがみ「じゃあ遠慮なく・・・(あれ?根元のほうがなんかかたい。えいっ。)」 ガタン かがみ「今『ガタン』っていわなかったか?」 こなた「…あれ?ここは…こなたの学校?何がどうなっているの?」 みゆき「少しの間目をつぶっていただけませんでしょうか?」 こなた(?)「これでいい?」 ガタン こなた「…ハァ、あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ! おれはアホ毛をいじられていたと思っていたらお花畑のど真ん中にいた な… 何を言ってるのか わからねーと思うが おれも何が起きたのかわからなかった…」 頭がどうにかなりそうだった… テレポートとか臨死体験とかそんなチャチなモンじゃ断じてねぇ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」 三人 「…」 かがみ 「 いい加減あんたの雰囲気にはウンザリさせられるわ・・・。 そのアホ毛といい、 腑抜けた顔といい・・・。 どうも盆暗に見えて仕方がないわ ! 」 こなた 「 そ、そんなぁ・・・ ! 酷いよかがみん ! 」 かがみ 「 顔はまず問題無しとして、問題はそのアホ毛ね ! どうも鬱陶しいわ ! 毟り取ってやる ! 」 こなた 「 毟るって・・・ !? ひいいいぃぃぃっ !? 止めてよぉぉっ ! 」 かがみ 「 Shut up, asshole !!! 」 ブチリッ !! かがみ 「 HAっHAっHAっ ☆ 無様な ! 」 こなた 「 ・・・・・・・・・。 」 かがみ 「 ・・・ ? こなた ? どうしたの・・・ ? 」 こなた 「 ・・・あら ? ここは・・・ ? それと・・・何方様でしょうか ? そ、そうだ、貴女そう君を知らない ? 」 かがみ 「 げっ !!! な、何と !! こんな秘密があったとは・・・ ! 」 つかさ 「 でも泣き黒子はそのままなんだねぇ~。 」 こなかが 「 あ・・・。 」 -堅い- かがみ「最近、堅あげポテトってお菓子にはまっててねー」 みゆき「かがみさんのお気に入りなら、美味しいのでしょうね。今度わたしも食べてみますね」 みゆき(…美味しいのですが、かなり堅いですね)バリッバリッ みゆき(結構強く噛まないとかみ砕けないです…)バリッバリッ…ガキンッ みゆき(………) みゆき「………」 こなた「で、銀歯かみ砕いちゃったみゆきさんが、口きいてくれない、と」 かがみ「…うぅ…これってわたしのせい?わたしのせいなの?」 かがみ「ふふふっ、お題は『二人』…さぁこなた!私と二人きりの愛の世界…へ……って」 こう「もぅ一回!もぅ一回お願いします泉先輩!」 こなた「なんどきても無駄無駄無駄」 やまと「…格闘ゲームという名の二人の世界に没頭してるわね」 かがみ「こ……こなた………」 やまと「みじめね」 かがみ「アンタはどうなのよ!」 やまと「…親友が楽しそうにしているのを見るのは、悪くないわよ」 こなた「さて、かがみさんや。今回のコンクールは、投下数が少ないのではないかという懸念があるわけなのですが」 かがみ「うん」 こなた「奮起を促すためにも、我々が一肌脱がねばなるまいかと思う次第でありますよ」 かがみ「また変な事する気か…」 こなた「つーわけで…コンクールの大賞受賞者に、好きな女性キャラのツンデレをプレゼントーっ!」 かがみ「いや、なにをどうするのかわかんないんだけど、ツンデレという言葉に凄く嫌な予感がする」 こなた「大丈夫だよかがみー。かがみのツンデレなんてありきたりなんだから、みんな意外性のあるキャラリクエストするって」 かがみ「ふーん…例えばこなたとか?」 こなた「は?え?わ、わたし?…い、いやわたしのツンデレなんてつまんないって!へ、変な事言わないでよー」 かがみ「はーい、みなさん頑張って作品書いて、こなたを指名してやって下さいねー」 こなた「うわーん!煽るなー!かがみのバカー!」 かがみ「…それはそうと、最下位の人にはまた店長?」 こなた「あー、それは…」 兄沢「呼んだか!?呼んだな!?呼んだよな!?アニメ店長参上!この俺がアニメ店長としての全てをかけて、貴様に最高のツンデレを叩きつけてやろうっ!」 こなた「…これ書いてるアフォが『野郎のツンデレなんざ書きたくねぇ』とほざいてるので、ソレは無しの方向で」 兄沢「んなにぃぃぃぃぃぃぃっ!?」 かがみ「…なるほど、それで女性キャラ限定なのか………つーかこんな小ネタ書いてる暇あるなら作品進めろっての」 ピュ.ー ( =ω=) <これからも私を応援してよね(=ω=.)。 =〔~∪ ̄ ̄〕 = ◎――◎ 泉こなた 727:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2010/06/01(火) 15 12 48.77ID EyrQzMSO -今日は何の日?- こなた「朝にカレンダー見て知ったんだけど、今日は写真の日なんだって」 つかさ「へー」 こなた「それで、みんなの写真を撮ってみたよ」 かがみ「いつの間に…」 つかさ「どんなの?」 こなた「えーっと、かがみが背のびした時におへそが見えたのとか、つかさがこけた時にパンツ見えたのとか、みゆきさんがしゃがんだ時のブラチラとか…」 つかさ「…えー」 かがみ「…それ、どうするつもりなの?」 こなた「PCの壁紙にでもしようかと」 かがみ「みゆき。このデジカメのデータ全部消去して」 みゆき「了解しました」 こなた「せっかく撮ったのに!?…わ、わたしが下着で昼寝してる写真あげるから勘弁してくれない?」 かがみ「よし、許す」 つかさ「…ゆるしちゃうんだ…」 みゆき(というか、その昼寝の写真はどなたが撮られたのでしょうか…) こなた「ねぇ、お父さん」 そうじろう「なんだ?こなた」 こなた「この掲示板見てよ、あたしやかがみにそっくりな人達が出て来てるよ」 そうじろう「ほんとだなぁ、口調とかそっくりだww」 こなた「あたし思ったんだけどー」 そうじろう「うん?」 こなた「つかさそっくりな人は頻繁に出て来るのに、どうしてみゆきさんそっくりな人は余り出て来ないんだろう?同じ天然系なのに」 そうじろう「そりゃああれじゃないか?博学な人物を画くには、それ相応の知識が無いとダメだからじゃないか?」 こなた「ということは、ここに書いてる人達は余り調べて無いってこと?」 そうじろう「いゃぁ、そうとも限らないかな。もう一人の天然系キャラが色々と吸収し易いからかもしれんぞ」 こなた「ふぅ~ん、お父さんならどっちを書く?」 そうじろう「そうだなぁ、両方書いてみて気に入った方かな」 こなた「あたしのことは書いてくれないんだ…」 そうじろう「いや!紙に書いたりしてないだけで書いてるぞ!」 こなた「書いてるんだ…」 そうじろう「いや、え~と…」 こなた「冗談だよ(笑)ちょっとからかっただけ♪」 そうじろう「親をからかうんじゃありませんっ!」 こなた「地震に備えて、念のためにカロリーメイトと水買ってきた。意外と美味しいねコレ。パサパサしてるから水も買ってきて正解だったよ」モグモグ かがみ「今食べちゃ意味ないだろ!」 つかさ「ほんとだね、こなちゃん美味しいね♪」 みゆき「なかなか美味しいですね」モグモグ かがみ「みゆきもか!?」 みゆき「…詰め物が取れてしまいました(泣)」シクシク かがみ「ご愁傷様」 こなた「きっとさ、私たちの中には『もう一人の自分』がいてさ、 例えば勉強してるときに『勉強したくないー』って言ってる自分がいたり、 マンガ今日は買うのはやめとこうって決めたのに『やっぱ買いたいー』とか言ってる自分がいたり、 外出てるときふと気づいたら目の前に自分がいたり」 かがみ「いやいや、ドッペルゲンガーなんている訳ないでしょ」 -梅雨の定番- つかさ「昨日、後で食べようって置いてたお饅頭にカビがはえてたの…」 こなた「うへ…」 みゆき「この時期は大変ですね…」 かがみ「美味しかったらいいんだけど、食べてもまずいだけだしね…」 つかさ「え」 こなた「え」 みゆき「え」 かがみ「え?なに?」 こなた「そういえばみゆきさんって家はネットにつながってないの?」 みゆき「あ、はい、つなげていませんが…… この時世にはつなげていない家庭の方が珍しいと聞きますね」 こなた「つなぐ予定とかはないんだ?」 みゆき「今のところありませんが……つなげた方が良いのでしょうか?」 こなた「ああいやいや、つなげてほしいわけじゃないんだけどね」 みゆき「?」 こなた(みゆきさんが万が一にもニコ動なんかにはまっちゃったら…… ものすごい勢いでスラング覚えそうで怖いし) -ぶっとばせ ゆい姉さん- たいへん 町の銀行が強盗に襲われたよ いったいどうなるの? 強盗「おらー さっさと袋にカネ詰めろ―!!」 行員「は、はいぃぃぃぃぃー」 ゆい「やめなさい!!」 強盗「な、なんだてめー!? 動くんじゃねー!!」 ゆい「おとなしく銃を置いて両手を挙げなさい!! さもなくば、この爆弾を爆発させる!!」 強盗「!?」 ゆいの体には驚くほど大量のプラスチック爆弾が巻かれていた 強盗「お、おい!! そんな事したらどうなるか判ってるのか!?」 ゆい「んー、ここにいる人たちはおろか建物ごと木端微塵になるかな?」 強盗「て、てめーそれでも警察か------!?」 何度かノリと勢いでスイッチを押しそうになるゆいを強盗は必死に説得した その間に警官隊が突入し強盗を取り押さえた 強盗は抵抗しなかった… ゆい「ってな感じでこの前は大活躍だったんだよ」 こなた「それって脅迫じゃないの? そもそも姉さん交通課でしょ?」 ひより「この前4コママンガに挑戦してみたんだけど意外と難しくてね~」 ゆたか「そっかー大変だったねー」 ひより「この前4コマ描いてみたんだけどね~」 みなみ「そう……」 ひより「そんでこの前4コマとかやってみたんスけど……」 こう「あー、あれ難しいよねネタとか詰まるし」 ひより「うおおおやっぱりわかってくれるのはこーちゃんだけッス!!」 こう「なんだなんだ、なんか鬱なことでもあったのかー」 ニコニコ動画 こなた「おっ追ってるシリーズの新作が来てる」 こなた「早速チェック……」カチカチッ 『動画に接続できませんでした』 こなた「えーウソ? ちぇっリロードして……」ポン 『動画に接続できませんでした』 こなた(チクショー!! これは運営(ニ◯ンゴ)の罠かっ!?) おめえに見せる動画はねえという罠かーーーっ!?) みさお「拙者の顔に照り映える、月の光が、お主のこの世の見納めでござる!…なんて昔やってたなぁ」 かがみ「チャンバラしてた上に渋いことしてたんだな」 こなた「お、円月殺法?いいねぇ。乱舞の太刀よかそれだよね」 かがみ「…まて、お前元ネタの方だって理解してるか?」 あやの「柊ちゃん、ヲタクをよく理解してるのね。私さっぱりわかんないんだけど」 -麺- こなた「………」ズルズル つかさ「………」ズルズル みゆき「………」ズルズル かがみ「…ねえ」 こなた「………」ズルズル つかさ「………」ズルズル みゆき「………」ズルズル かがみ「坦々麺だからって、淡々と食べなくてもいいと…思うん…だけど…」 こなた「………」ズルズル つかさ「………」ズルズル みゆき「………」ズルズル かがみ「………」ズルズル 本スレ見れないのでこっちに投下 みさお「なぁ、あやの~。」 あやの「なに、みさちゃん。」 みさお「さっき教室であの眼鏡ちゃんがコスプレしてたんだってヴぁ。」 あやの「何のコスプレ?」 みさお「フレッシュプリキュア!のキュアパッションだってヴぁ。」 あやの「あれ?みさちゃん、プリキュア見てるの?」 みさお「そりゃ、戦隊→ライダー→プリキュア→DB→ワンピースは普通だぜ。」 あやの「そういえば、みさちゃんは『二人はプリキュア』って見てた?」 みさお「当たり前だぜ!今でもなぎさは私の兄貴だぜ!」 あやの「私も見てたよ。あれはナージャやどれみとは違う意味で熱いよね!」 みさお「あやの!私たちも一度やってみねぇか?コスプレ。」 あやの「いや・・・髪の色が合ってないし・・・。」 みさお「そういうときこそちびっ子に相談だぜ!」 数日後 みさお・あやの「「二人はプリキュア!」」 かがみ「私の周りはプリキュアコスする奴しかいないのか・・・?」 -盆- こなた「お盆かあ…なんか、もの哀しいね…」 そうじろう「…そうだな」 かなた『…こなた…そう君…』 こなた「いつも読んでる漫画週刊誌が全部お休みなんて」 かなた『そっち!?』 そうじろう「いや、まったく」 かなた『そう君まで!?』 -缶コーヒー- こなた「うー…眠いー…」 かがみ「また夜更かししてたのか…缶コーヒーだけど飲む?」 こなた「ありがと………んー」 かがみ「なに?それ、嫌いな銘柄だった?」 こなた「あーいや…この『ご褒美ブレイク』ってのが『ご褒美プレイ』に見えたわたしはもうダメなのかなと…」 かがみ「いや、あんたはそれで平常運転だ」 -てもちぶたさ- かがみ「みゆきとつかさ、遅いわね」 こなた「そうだねー」 かがみ「もっと周りになんかあるところで待ち合わせたらよかったわね。てもちぶたさになっちゃうわ」 こなた「そうだねー」 かがみ「…こなた」 こなた「なに?」 かがみ「わたしを掴んでるその手はなに?」 こなた「これがほんとのてもちぶたさん…なんちゃって」 かがみ「………」 こなた「………」 かがみ「それはわたしへの宣戦布告と判断していいのかしら?」 こなた「いや、その…怖い、怖いって…かがみその顔マジ怖い」 -動物- ゆたか「…でね、みんなを動物に例えたらどうなのかなって話になったの」 いずみ「へー。どんな感じになったの?」 ゆたか「えーっと、こなたお姉ちゃんが狐で、かがみ先輩が兎で、つかさ先輩が犬で、わたしがリスで、みなみちゃんが鷹で…」 ひより「ふーむ、結構いい線いってるような…」 ゆたか「…高良先輩がう…え、えっと羊、だったかな…」 いずみ「…う?」 ひより「…もしかして牛って言おうと…」 パティ「ホルスタインですネ」 みなみ「………」 ゆたか「みなみちゃん?どうしたの?」 みなみ「ううん、なんでもない…ゆたか、今日ちょっと用事があるから先に帰ってて」 ゆたか「うん…」 つかさ「お姉ちゃん、何か視線を感じるんだけど…」 かがみ「き、気のせいじゃないかな…(なんでみなみちゃんがデジカメ持って後をつけてきてるのー!?)」
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こなた「おはよー!つかさ、みゆきさん!」 みゆき「おはようございます、泉さん」 つかさ「こなちゃん、おはよー。今日は遅刻ギリギリだね~」 こなた「いやー、ちょっとだけのつもりでネトゲに手を出したら、明け方まで盛り上がっちゃってさ」 つかさ「そうなんだ~」 みゆき「夜更かしは体に障りますから、程々にされた方がいいと思いますよ」 こなた「わかっちゃいるんだけどねー……ところで、かがみはもう自分の教室に戻ったの?」 つかさ「それがね、お姉ちゃん今日はお休みなの」 みゆき「どうやら、風邪をひかれてしまったとかで」 こなた「へぇ、そうなんだ。つかさのがうつっちゃったのかねぇ?風邪はうつすと治るって言うし」 つかさ「ひどいよ~、こなちゃん」 ~さらば!怪傑かがみん!~ まさか、つかさに続いて私までもが風邪で倒れてしまうとは思わなかった。 昨日つかさに『この時期に風邪なんて気がゆるんでる証拠よ』なんて言うんじゃなかった。 漫画じゃあるまいし、注意したそばから倒れるなんて、姉としての面目が丸潰れだ。 それにしても、やることが無くて困る。 昼食後に薬を飲んでひと眠りしたらだいぶ調子は良くなったが、ベッドを抜け出してウロウロする訳にもいかない。 ベッドの上でも出来る事といったら読書くらいだが、今は頭がボーっとしていて大好きなラノベも読む気にならない。 四の五の言わずに寝ていればいいのだが、私はつかさと違ってそう何時間も寝てはいられない人間なのだ。 そんなことを考えながらじっと天井の一点を見つめていると、ふと先週の出来事が思い出された。 みゆきは怪傑かがみんの正体についてどう考えているのだろうか。 みゆきの発言を額面どおりに捉えれば、みゆきはその正体が私だとは思っていないことになる。 しかし、もしかしたらアレは正体に気が付いた上での私への気遣いなのではないかとも考えられる。 常識で考えれば、目の前で自白して衣装を身にまとったのだから正体に気が付かない訳がない。 ……もっとも、本当に本当の常識ってヤツで考えれば一番最初の時にバレてるハズなんだけど。 それともう1つ。 最後にみゆきが私の事を『親友』と表現したあの発言は、正体に気付いている事を踏まえての発言ととれる。 『私は、正体がかがみさんだと気付いていないフリをさせていただきます』という意味にとれなくもないのだ。 さすがにコレは深読みのし過ぎかもしれないが、あの時のみゆきの表情からはそうとしか考えられないから困る。 そういう風に考えていくと、みゆきだけじゃなくこなたも正体に気付いている可能性がある。 自白こそしていないものの、私はこなたの目の前で着替えをした事があるのだ。 あいつも普段はバカっぽい事ばかりしているが、他人の思惑なんかに対して妙に鋭い節がある。 バカと天才は紙一重なんていう言葉があるが、こなたは紙一重で天才の方なのかもしれない。 だとしたら、私の趣味がコスプレだと決め付けてバイト先であんなことをしたのも、あいつなりの気遣いということだろうか。 『私は、正体がかがみだって気付いていないフリをさせてもらうヨ』という考えに基づく行動だと、とれなくもない。 もしかして『ダブル怪傑かがみん』の写真を撮るという2人の行動は、秘密を共有することへの覚悟、或いは気遣いなのだろうか。 仮に、仮に私のこの考えが当たっていたとしよう。 その場合、私が怪傑かがみんを演じる必要はほとんど、いや、まったく無くなってしまうのではないだろうか。 正体がばれているのなら、柊かがみという人間の想いを伝える代役の存在意義は0に等しい。 それにみゆきはあの時――彼女が正体についてどう考えているにせよ――怪傑かがみんにではなく、私、柊かがみに感謝の言葉を捧げた。 怪傑かがみんは必要ないのだろうか。 考えることに少し疲れたので、私は天井を見つめながらボーっとすることにした。 扉が控えめにノックされるのが聞こえたが、面倒なのもあってわざと返事をしない。 しばらくして、遠慮がちにお母さんが部屋の中に入ってきた。 み き「かがみ、入るわよ……あら、起きてたの?調子はどうかしら?」 かがみ「うん、だいぶ良くなったみたい。明日には学校に行けると思うわ」 み き「そう?無理しなくていいのよ?」 かがみ「別に無理なんかしてないって」 み き「ならいいんだけど。辛くなったらすぐに言いなさいね」 かがみ「うん、ありがと……ねえ、お母さん」 み き「なあに?」 かがみ「お母さんも私と同じ様に17歳の頃から怪傑の力を使い始めたんでしょ?」 み き「そうだけど、急にどうしたの?」 かがみ「ただ、この間のお父さんの反応から考えると最近は力を使ってなかった」 み き「ええ、そうよ。あの時はずいぶん久しぶりだったから緊張したわ」 かがみ「何か理由があったの?」 み き「理由?何の?」 かがみ「怪傑の力を使わなくなった理由。何か特別な理由とかきっかけみたいなものがあったのかなって」 み き「そうねぇ……忘れちゃったわ。ずいぶん昔のことだから」 お母さんは少しだけ考える仕草をしてから、笑顔でそう答えた。 かがみ「結構大事なことだと思うんだけど、本当に忘れちゃったの?」 み き「そんなことより、お友達がお見舞いに来てるわよ。起きてるなら、あがってもらってかまわないわね」 かがみ「お母さん、私の質問に――」 み き「あら、いけない。そういえば、お鍋を火にかけっぱなしだったわ」 かがみ「ちょっと、お母さんってば……ああ、もう。まだ話は終わって無いってのに」 逃げられた。おそらく私の質問に答える気は無いということだろう。 まあ、お見舞いに来ている友人を放ったままにしておくにはいかないし、今は答えを追求するのは諦めよう。 数分後、お見舞いの品と思しきぽっきー1箱を携えて、こなたが姿をあらわした。 こなた「やふー、かがみ。元気してたー?」 かがみ「風邪ひいて学校休んでる人間が元気なわけ無いだろ」 こなた「うむ、なかなかの反応だネ。元気そうで何よりだよ」 かがみ「人の体調をどこで判断してるんだ、あんたは」 こなた「――でさ、つかさはまた携帯電話を没収されたってわけなんだよ」 つかさ「うわああ、こなちゃん。それはお姉ちゃんには言わないでって言ったのに~」 こなた「あれ?そだっけ?」 かがみ「ふふ。まったく、つかさはしょうがないんだか……ケホッ、ケホッ」 つかさ「お姉ちゃん、大丈夫?まだ喉が痛むの?」 かがみ「ああ、心配しなくても大丈夫よ。ちょっと違和感が残ってるだけだから」 こなた「ちょっとしゃべり過ぎちゃったカナ?とりあえず、何か飲んだ方がいいんじゃない?」 つかさ「そうだね。私、何か飲み物もってくるよ。こなちゃんも何か飲むでしょ?」 こなた「あー、おかまいなく」 つかさ「遠慮しなくていいよ。お茶がいい?それともコーヒーがいいかな?」 こなた「んー、じゃあかがみと一緒のでいいや。ありがと、つかさ」 つかさが台所へと降りていき、こなたと2人きりになった。 私の喉を気遣ってか、こなたは何もしゃべらずに部屋の中を見回したりしている。 かがみ「ねえ、こなた」 こなた「んー?」 かがみ「変な遠慮しなくていいから、何か話しなさいよ」 こなた「あ、ばれてた?」 かがみ「まあね」 話を仕切りなおすためか、それとも照れ隠しのためかはわからないが、こなたはアハッと笑った。 こなた「そだねー、じゃあ何を話そうかな」 かがみ「私が休んでる間にあった事とかでいいじゃない」 こなた「もうほとんど話しちゃったよ。後はみゆきさんが、かがみにくれぐれもお大事にって言ってたくらいかなぁ」 かがみ「おい。それって一番最初に言わなきゃダメだろ」 こなた「まあまあ、忘れずに言ったんだからいいじゃん」 かがみ「おまえなぁ……みゆきに申し訳ないとは思わんのか?」 こなた「あー、それとさ、かがみがいない間に怪傑かがみんは1回も登場しなかったから」 かがみ「は?」 こなた「ん?」 かがみ「えーっと、何でその情報を私に言う必要があるんでしょうか、こなたさん?」 こなた「え?だって、かがみはコスプレするくらいにあの人の大ファンなんでしょ?気になるかと思って」 どうやらこなたは紙一重でアレの方だったようだ。 せっかくだから、少し試してみようか。 かがみ「ごめん、こなた。ちょっとトイレいってくる」 こなた「いってらー」 つかさの私服を無断借用して着替えを済まし、こっそり持ち出した仮面とマントを身に着ける。 部屋に戻ると、都合の良い事に中にはこなた1人しかいなかった。 どうやら、つかさはまだ飲み物の準備をしているみたいだ。 当のこなたはやることが無くて余程ヒマだったのか、私の机の周りでなにやらゴソゴソしていた。 こなた「うわっ!?か、かがみ、コレは違うんだよ!?別に家捜しとかしてたわけじゃ……あれ?」 こなたは扉の前に立つ私をもう一度よく見る。 こなた「か、怪傑かがみん!?」 怪傑K(あー、やっぱりそうなっちゃうんだ。この間、目の前で着替えた時は柊かがみって認識してたのになぁ) こなた「な、何でここに?私、今日は別に悩み事なんて無いですよ?」 怪傑K(完全に気が付いてないな、あの表情は。とりあえず、これでこなたはシロだって確認できたわね) こなた「もしかして、私じゃなくてかがみに用があるんですか?」 怪傑K(残るはみゆきか……いっそのこと、今週末にでも家に招待して同じように試してみようかしら) こなた「おーい」 怪傑K「はっ!?……な、何か用かしら?」 こなた「それはこっちの台詞なんですけど」 怪傑K「あ、ああ、ええっと……その、今日は柊かがみに会いに来たんだけど、どうやらいないみたいね」 こなた「そうですか。かがみならすぐに戻ってきますから、待ってたらどうですか?」 怪傑K「え?い、いや、そうもいかないのよ。ほら、こっちにも事情ってもんがあるし」 こなた「むー……?」 怪傑K「な、何よ、そんなに私の事をじっーと見て。何か変かしら?」 こなた「いや、いつもと何か違うなーって思いまして」 怪傑K「ち、違うって、どこが?」 こなた「髪型がツインテールじゃなくてストレートなトコとか、服装が制服じゃなくて私服っぽいトコとか……」 怪傑K(ヤバッ、バレるかも!?どうしよう、今更だけどこれはコスプレだってことにしようかしら……でもそれもなんか嫌だな) こなた「ああっ!?もしかして!?」 怪傑K(まさか、バレちゃった!?とりあえず否定しなきゃ!!) こなた「2号?」 怪傑K「違うの!!……は?あれ?2号って?あれ?」 こなた「違うんだ。じゃあ、あなたは誰なんですか?」 怪傑K「あれ?え?……え、ええ~っと、私は、その……そう!V3よ!怪傑かがみんV3!」 こなた「V3!?ということは3人目!?」 怪傑K「ま、まあ、そうなっちゃうわね」 こなた「かがみにも教えてあげなきゃいけないね、怪傑かがみんは3人いるって。ってことは、いずれ3人揃ったところとかも見れるのかなぁ」 怪傑K「ええっ!?そんなの無理に決まってるじゃないッ!!……あ、えっと、そうじゃなくって。違うのよ。3人もはいないから」 こなた「ふぇ?なんで?だって、あなたはV3で、3人目の怪傑かがみんなんですよね?」 怪傑K「それは、ほら、アレよ、アレ。まあ、アレっていったらアレしかないじゃない?」 こなた「アレ?」 怪傑K「だから、アレよ、アレ……そ、そう!消えたの!1号と2号は消えちゃったのよ!」 こなた「な、なんだってーーーーー!!!?」 かがみ「はぁ~……なんか、ものすごい墓穴を掘ってしまった気がするわ……」 困っている人々を救うため、悪の組織に立ち向かうことを決めた怪傑かがみん1号と2号。 V3にすべてを託し、彼女らは組織の本拠地へと乗り込んでいった。 そして彼女らの活躍により組織は壊滅し、その本拠地も謎の大爆発により消え去ったのだった。 しかしそれ以降、1号と2号の姿を見た物はいない。 勢い余ってそんな話をしてしまった。 とりあえず、つかさの部屋で再び着替えて自分の部屋へと戻る。 扉を開けると、こなたは目をキラキラと輝かせながら興奮気味に話しかけてきた。 こなた「かがみ!すっごい情報を入手したよ!」 かがみ「わ、わかったから、少し落ち着け。何よ、すごい情報って?」 こなた「怪傑かがみんってさ、なんと3人もいたんだよ!」 かがみ「へ、へえー、本当に?」 こなた「本当だヨ!力の1号に技の2号、そのすべてを受け継いだ力と技のV3!彼女らは世界をまたにかけ、地球征服を企む巨大な悪と闘ってるんだって!」 こいつ、もう話に尾ひれをつけてやがる。 なんだよ力と技って。地球征服って。 こなた「――でね、ついに1号と2号はその身を犠牲にして、悪の首領もろとも炎の中へと消えていったんだってさ!いやー、燃える展開だよねー!」 かがみ「はいはい。どうせまた、何かのネタかなんかでしょ?まったく信じらんないわよ、そんな話」 こなた「えー、少しくらいは信じようよ。せっかく教えてあげたのに」 かがみ「はいはい。もうわかったから……それにしても、つかさ遅いわね。何やってんのかしら?」 こなた「言われてみれば、結構時間たってるよね。ちょっと見てこようか?」 かがみ「いいわよ。そのうち来るでしょ」 それから数十分後、心なしか元気のない顔をしたつかさが飲み物を持ってきた。 戻ってくるまでやけに時間がかかったし、台所で何か失敗でもしたのかしらね。 私は飲み物を口にしながら、再びこなたが『怪傑かがみん』の最新情報をつかさにまくしたてる姿を少し呆れて眺めていた。 コメント・感想フォーム 名前 コメント
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それはお盆の一歩手前頃、昼でも夜でも関係なく、サウナのように空気の湿気と温度が異常なほど高い日の出来事だった。 双子の姉の方の部屋に女友達が四人集まって、高い気温と湿度に対抗すべくクーラーがうんうんうなりを上げるのをBGMにしながら、わいわいガヤガヤと何をするでもなく何かをしていた。 ちょうどその時は青くて長い髪のちびっ子が、友達の双子に対して、これ以上暑くするなと言いたくなるくらいの熱気のこもった会話をしていた。 「もうさ、インドア派の私にとってはこ~んなに暑いのいやなの!私としてはクーラーをガンガンに効かせた部屋にこもって、ネトゲして、マンガ読んで、積みゲーして、DVD観てるのが一番性にあってるとは思うだけどね」 これに対し、双子の妹の方が黄色いリボンを垂らすほどに深くうなづいて言った。 「そうだね~、私もかんかん照りのお昼に、出掛けようなんて思わないもん。こなちゃんらしいと思うよ」 「うむ、つかさ、賛同ありがとう。そんなぐ~たらな生活も悪くは無いし、実際今までそうやって過ごしてきました。しかし否!夏休みと言うイベントは限られているのです!今年の夏休みは残るは半分しかない!残りの短い期間をどうにか活用したいと思うわけです!」 双子の姉は、ちびっ子のあまりに唐突な言い草に、正直付いていけないな~、と冷ややかな目線を向けながら言った。 「はぁ……、あんたの言う事だからコミケにでも行こうとか言うんでしょう?誘われても行かないからな?」 「かがみ~、それはそれでもちろん付いてきて欲しいとは思ってる訳なんだけど、残念ながら私が今強く思っていることとはまた少し違うのだよ」 丸い眼鏡を掛けた美少女が、双子の姉とは対照的に興味津々とばかりに、眼鏡の下の瞳を、まるで少女マンガのヒロインのようにきらきらと輝かせて言った。 「では、こなたさん。残りの夏休みを使って何をしようと言うんですか?」 するとこなたは、待ってました、と言うように口元がニヤけ、猫のような口の両端が釣り上げていく。 「むふ……、むふふふふふ……。夏休みの恒例行事であり、夏休みを120%楽しみつつ、しかも高い確率でフラグを立てる驚きビックリ行事と言ったら……?はい、みゆきさん?」 突拍子の無いこなたの難問に対して、みゆきはしどろもどろながら答える。 「フ、フラグと言ったら旗ですよね?えーと……。自衛隊の基地祭でしょうか!?」 「いやいや、みゆき。こなたのふざけた質問なんて真面目に答えなくてもいいのよ」 「さすがナイスみゆきさん!GJGJ。でもそうじゃなくてさ、夏と言ったら、そう、肝試しだよ!」 すると、つかさがすかさず眉毛をハの字にして、今にも泣きそうな顔をして震える声で言う。 「え、え~。やだよ~……。私、そういうの苦手だよ」 「ほらほら、泣かないのつかさ。そんなもん、こなた一人でやってればいいのよ」 かがみの、もう関わりたくない、と言いたげな捨てぜりふにもこなたは動じることはなかった。 「え~?みんなやろうよ~。つかさが驚かす役をやってみても良いんだよ?悪戯気分でたまには誰かをビックリさせてみようよ!みゆきさんも、基地祭もいいけど肝試し、やるよね?」 こなたのやる気と誘惑に、つかさとみゆきの魂には何か熱いものが宿りはじめていた。それは外気温などよりも遥かに熱く、メラメラと燃え上がる錯覚を覚えるほどであった。 しかしかがみだけは、やる気にはなれなかった。こなたのやる気は、かがみにはむしろ逆効果のようで、こなたが熱くなれば反対にかがみはどんどん冷たくなる。それはまるで冷蔵庫の中と外のような関係であった。 こなたはそれでもあきらめる気にはならず、子供っぽくかがみの腕を両腕でガシッと掴んだ。 「ねぇえ、かがみ~。一緒に肝試ししよ~うよぉ。たのしいからさ~あぁ」 かがみはまた別のことを考えていた。 こなたに掴まれたかがみの腕が、こなたのぺっちゃんこの胸に当たっていた。その胸があんまりにツルペタで、貧相で、悲しくて、最早かがみは同情せざるをえなかった。 「わかったわよ、付いて行ってあげるわよ……」 日がくれて、嵐が過ぎ去ったかのような疲労感をかがみに残し、みゆきとこなたが去って行った。 「つかさ~?受験が近いんだし、勉強もしなきゃダメよ?あんたただでさえ大学に入れるのか怪しいんだから……」 「う、うん。わかってるよ。でも肝試しおもしろそうだし、気晴らしに行ってもいいよね」 「もう……」 最近、つかさに甘いような気がすると、かがみは思った。 と言うよりも、双子の妹が受験生なら自分も受験生な訳で、簡単に言うと妹の事まで頭が回らない程度にかがみは受験勉強が忙しいのだった。 だからつかさに分からない問題を教えられるほどの余裕はないし、いちいち聞かれるのも鬱陶しいと感じるようになっていた。 つかさもかがみが発するその雰囲気を敏感に感じ取っていて、かがみに対し少なからず距離を置くようになり、今までと様子が違う事に疎外感を感じていた。 勉強は個人の戦いになる。誰かと協力しようとしても、中学の頃と違い理系や文系などの教科の内容のずれの問題があるし、個人のレベルの差があってもいけない。 レベルの高い側は、低い側に勉強を教える事ばかりに労力をささげなくてはならず、自分の学習としては効率が悪い。 つかさとかがみのレベルの違いは大きい。中学の頃なら、目指す高校が同じだったからまだ、その差は大きくは無かったのだが、今は違う大学を目指している。 このレベルの差が、受験勉強という触媒によってかがみとつかさの心の壁を大きくさせていった。 次の日の夕方、こなたを中心とした怪しい女子高生四人組は、小高い丘の上へやって来ていた。 四人の目の前には、うっそうと茂った雑草と、その隙間から背の低い松の木がにょきにょきと生えただけの、一面何も無い荒野が広がっていた。 ここにやって来る際にこなただけが「立入禁止」と書かれた札が立っていた事に気づいたが、話をややこしくしてしまうので、もちろんそんな事は誰にも話さない。 夕日が四人の肌をハチミツ色に染め上げ、若い少女たちの美肌を更に美肌に見せている、様な気がした。 「ここが今日、肝試しの舞台になる場所だよ。多分、こんなのところに人が来るのは、数ヶ月に一度あるかどうかだろうね……。なにかあってもぉ、助けは来ないからねぇ~~~?」 「えぇえぇ……?大丈夫かな。」 気づくとつかさはみゆきの腕を抱きしめていた。いつもなら姉のかがみにする事なのに、無意識のうちにみゆきの腕を抱いていた。 いつものかがみの腕よりもやわらかく、抱けば誰もが幸せになれそうな腕だったが、つかさはかがみを裏切ってしまったような気がして怖かった。 そんなつかさの思いなど知らないこなたは、壮大にして厳戒な計画を遂行しようとしていた。 「みんな、ビックリドッキリな小物は持って来た?」 つかさは慌ててみゆきの腕から離れると、大きな犬の顔の柄がデンと真ん中に描かれたリュックを肩から下ろしはじめる。 「持って来たよこなちゃん!うんしょ……」 「おおっと待った!まだ何を持って来たのかはお互い内緒だよ!肝試しの間、誰がどんな小物を使いどんな策略で、獲物をハンティングするのか!それは各々のスキルとセンスを尊重して、実際に使用されるまでは誰にも打ち明けてはならないのだよ」 こなたの狂人じみた異常なハイテンションに一向に付いて行けないかがみは、もうどうでもいいやと思い始めていた。しかしその考えがこなたに読まれてしまうのもなんだか嫌だった。 この様に、かがみのツンデレの属性は発揮される。 「はいはい、分かったわよ。まだ明るいんだからゆっくりすればいいじゃない」 それから日が完全に暮れるまで、みゆきが持って来ていたレジャーシートに四人は座り、雑談が八で、これからの戦いの計画の話し合いが二の割合で会議をした。 辺りが真っ暗になり、いよいよそれらしい雰囲気を滲み出し始めた荒野。 ちょっと足元に気を付けていないと、腐った死体の腕がガバッと足首をつかみかかって来るかもしれない。ちょっと前を見ていないと、目の前にUFOが降りてきてエイリアンに連れ去られてしまいそうだ。 「う、うぅぅう……。こ、こなちゃんの嘘つき~!」 暗闇に独りぼっちになってしまったつかさは、涙が出るくらい後悔していた。 かがみがもう直ぐここを通って行くため、つかさが持って来た「糸こんにゃくを竿から糸で吊るしたヤツ」を使って脅かさないといけない。 しかし、見つからないようにするため唯一闇を照らせる懐中電灯を付けられず、完全な闇の中でかがみが来るまでの数分間は一人で茂みの中に隠れていなければならない。 つかさの直ぐ隣には、周りの荒野では一際目立つほど、大きく背の高い松の木がそびえていた。何に使われたのかロープが垂れ下がっていて、風でプラプラと揺れ動くのでつかさの恐怖をあおった。 脅かす側ならばこれが当然の事だったのだが、つかさには皆をビックリさせてやろう、という事のみしか頭に無かったため、脅かす側までこんな怖い思いをするとは気が付いていなかった。 「ひう、うぐっ……、お姉ちゃん……」 そうつぶやいてみて、そう言えば今日はかがみと会話らしい会話をほとんどしていなかったなと、恐怖でいっぱいになった頭の片隅で思い出していた。 多分、今日だけではなかったはずだ。昨日も一昨日も、もっと前からずっとだった、とつかさは記憶を掘り返す。 人は成長すればいつかは独り立ちし、家族や友人たちに甘えたりかわいがってもらったり、そういうものから断ち切って行くだろう。これが大人になると言う事なら、大人になんてなりたくない。 これは現実逃避かもしれないとも思いながら、つかさはそう願った。 カサカサ……。 「ヒッ!!」 突然、つかさの背後で何かが動き、草が擦れる音がした。 実はそれが、ここら辺を寝床にしていたのに人間がいて邪魔だなぁ、と猫語で喋っている一匹の三毛猫だとは知らず、つかさは何もかもがパニック状態におちいり、脳味噌がフリーズしてしまい、ムンクの叫び状態のまま暫く一時停止していた。 ガサッ! すると、また別の方角からも音がする。もう何もかもに絶望したつかさの顔は、さながら灰色で目の大きな、グレイタイプの宇宙人のような顔になってしまっていた。 ……ペチャ…… なんの気配もさせないまま、つかさの首筋に何か、冷たく濡れた、とてもいやな感触のものがさわった。 「イヤァァァアァァ―――――――――――――!!!!!!!?」 実はそれが、つかさ自身が持っていた「糸こんにゃくを竿から糸で吊るしたヤツ」がゆらゆら揺れてたまたまつかさの首筋に触れただけだとは知りもしなかった。 物音を聞きパニックになったつかさ。とどめに何か冷たいものが首筋に当たり、完全に混乱していたつかさの瞳に確かに映し出された、ある筈のないもの。 首をぶんぶんと振り回し、景色が上も下かも分からないようにして目の前の情景を否定したが、その視界の中に確かに一瞬だが写った、この松の木に掛かる二本のロープにぶら下がる、まるでコピーのようにお互いがそっくりな、白い肌の二人の少女を。 ロープが二人の首を締め付け、絶対に助かるはずがないと思えた彼女たちと目が会い、にこりと身の毛のよだつ笑顔をしたのを確かにつかさは見たのだった。 一方こちらは先ほどの音の原因であるかがみ。 「はぁ、まったく……。酷いところね……。ひっ、何今の悲鳴!?」 悲鳴にすくみ上がるかがみ、奇声を上げて突進してくるつかさ。二人は運命的で情熱的な再会を果たし、頭突きとも思えるほどに激しく抱き合った。 もちろん、二人ともなにが起こったのかわからないまま、即倒し、意気消沈した。 「遅いな……、まったく。かがみんめ、ビビッて泣いてんじゃないかな~?クヒヒ……」 こちらはこなた。藪に隠れ続けてはや十数分になり、そろそろ蚊が鬱陶しくなり始めていた。昼の間はあまり見かけなかったが、どうしてこうも夜になってウヨウヨし出すのだろう。 いくらなんでも遅いと、こなたは苛立ち始めていた。 いつものように携帯電話を携帯してなかったがために、みゆきと連絡が取れないのは正直痛い。 そういえば蚊はO型の人間の血を好むと聞くけど、O型のみゆきさんは大丈夫だろうかと、少々考えが横道にそれながらも心配になって来た。 スタート地点からここまで普通に歩いて5分で来れる距離の筈だ、いくらなんでも遅すぎると、こなたはいてもたっても居られなくなりスタート地点まで戻る事にした。 途中でつかさとみゆきが待機している筈だが、彼女たちとも合流しながらかがみの様子をうかがおう。 藪を掻き分けすすむこなた。しかし、自分で好き好んで設定した場所でも、いざ夜に一人で歩くとなると実に恐ろしいものだと痛感する。 あの二つ丸みをおびた岩、まるでみゆきの胸をそのままデザインしたかのような岩の裏側に、みゆきが隠れていたはずだった。驚かせないようにそっと懐中電灯でそこを照らしながら、みゆきの名前を呼んだ。 「お~い、みゆきさ~ん」 「あれ?泉さん、どうしましたか?かがみさんがまだ来ていないんですが……」 みゆきが腕をぽりぽり掻いているのを見ながら、手遅れだったかとやや後悔しながらこなたは話を続ける。 「そうなんだよね。私の所にも来てなくて、どうしたのかと思ってさ。みゆきさんの所にも来てないなら、もっと前の方で何かあったんだね、つぎのつかさの居るところまで戻ろう」 こうして二人は大声でかがみを呼びながら、さらにスタート地点に近づいていく。 コースはそれほど長くは無いのだから、よほどおかしな方向へ迷わなければ直ぐに声が届く筈だった。 しかしかがみからの返事は聞こえない。二人の心配はますます増して行った。 「うお!?つかさ、かがみ!?」 こうして、ノックダウンしたつかさとかがみを、二人は発見する事が出来たのだった。 「ひ~い~ら~ぎ~。なあ、宿題見せてくれよ~」 伸び切ったラーメン、いや、そうめんのようにぐてぇとした日下部みさおが、かがみの机にずうずうしくもあごを乗せてかがみに懇願する。 「はぁ?いやよ。あんた昨日も同じ事言ってたじゃないの。ちょっとは学習しなさいよ」 「ちぇ~、ならあやのに見せてもらうからいいぜ。それより柊、ちょっと太った?」 「なっ!?そんなわけないでしょ!?」 「いひひひひひ!冗談だぜ!じゃあな柊!」 チャイムが鳴り、社会の授業が始まる。黒井先生の授業は途中で暴走することがあるので、授業としてどうなんだろうとかがみは疑問に思うのだが、ただ嫌いでもなかったので適当に楽しんで授業を受けていた。 みさおの方はあやのに宿題を見せてもらったようで、何食わぬ顔で平然と授業を受けていた。 これが二時間目で、あと三時間目で昼休みだ。空は透き通るように青く、気持ちのよさそうな風が吹いていた。 チャイムが鳴り、あっという間に二時間目が終わった。次の三時間目はここの担任である桜庭先生の理科の授業なので、理科室まで行かなくてはならない。 理科室に行く途中でみさおに「あかんべ」をされたが、まったく気にする事はなかった。 チャイムが鳴り、三時間目の授業が始まる。桜庭先生が何かを言っている様だが、その言葉一つ一つがただ意味を持たないものに聞こえて、頭の中に情報として何も入って来ようとしない。 しかしそれが不思議な事だとか、これじゃあ授業にならないだとか、もしかして耳が悪くなったのかだとか、そういった事について一切考える事はなく、なにも気にする事はなくなんとなく授業を聞いている。 そう言えば二時間目の黒井先生の授業のときもそうだった気がする。今日の授業で何を習ったのか一切何も覚えていなかった。 今日の朝、何をしていたのかも思い出せない。昨日、何をしていたのかも思い出せない。と言うよりも、思い出そうとする頭が働かず、なんとなく夢心地で何もかもが現実でないように思えてしまう。 桜庭先生が黒板をパンパン叩いていると、突然、理科室の戸が勢いよく開かれるとつかさが、困ったような今にも泣きそうな顔であたりを見回していた。 つかさがかがみと目が合うと、周りの生徒の目線全てを無視して一直線にかがみの直ぐ前まで走り寄り、かがみの腕を強くひっぱる。 「お姉ちゃん!来て!」 かがみは訳もわからないままつかさに引っ張られ、桜庭先生の制止を無視して理科室を抜ける。 それでもなおつかさはかがみを引き、そのまま誰もいない女子トイレへかがみを連れ込んだ。 「お姉ちゃん、私が誰だか分かるよね?」 「つかさでしょ?」 「お姉ちゃん!しっかりして、どうして私たちがここにいるかわかる?」 こんなの時にも今だにぼーっとした顔をするかがみに、つかさは食って掛かった。 「何?なんのこと?」 かがみには悪気はなかった。ただ、なにが起こっているのか理解できない。なぜつかさは授業中に私を連れ出したのか。つかさが何が言いたいのか。 「そんな……。やっぱり、私一人なんだ……。うっく……、うぅ……」 「なんなの?どうしたの?泣いてちゃ分からないじゃない、私に分かるように説明してよ」 「んっ、じゃあ、お姉ちゃん。今まで私たちが何してたか覚えてる……?こなちゃんが企画した肝試し。分かる?」 肝試し、肝試し、肝試し、肝試し、肝試し、肝試し、肝試し、肝試し、肝試し、肝試し、肝試し……。 なんだろう、この懐かしいような、切ないような……。本能が大切なものを思い出さなくてはならないと言っている。 かがみの肩がピクリと動き、青い瞳に真っ赤な炎が灯されたかのように、体中から生命力が溢れ始めたようだった。 つかさはかがみのその様子を、不安そうに眺め続けた。 「そうだ……。私たち、肝試しをしてたのよ!え?どうして?なんで私たちこんな所にいるの?まだ夏休みだったはずじゃない!」 「そうだよっ!お姉ちゃん、思い出してくれたんだっ!こなちゃんたちは知らないって言うの。だから、私がおかしいのかも知れないって思えてきて……」 「大丈夫よつかさ。私も思い出したわ。それよりつかさ、これは一体どうなってるの?」 「私もわかんないよ……。ボーっといろいろ考えてたら、突然思い出して……。このままだったらずっと忘れちゃうところだったよ」 「そうね。肝試しから今日までの思い出がすっぽり抜けてるのよ……。う~ん……、肝試しで、私が最初に肝試しする番で、歩いてて……、それからどうしたから?」 「私も、肝試しをしてて……、そうだ、物音がしたから慌てて走り出したら、何かにぶつかって、それから覚えてないんだ!」 「ん?ぶつかってって言うなら私もだわ。ん?あれ?ぶつかって来たのあんたじゃなかった?」 「ふぇ!?わ、私?う、うーんと、えへへ、そうだったかも……」 つかさは己のあまりの惨めさと、かがみへの申し訳なさでどんどん小さくなっていくようだった。 「ま、いいわ。学校が終わったら、肝試しをしたあの丘に行きましょう」 「う、うん。わかった」 一方こちらは。こなたとみゆき 「あちゃ~、完全に伸びてきってるよ」 「大丈夫でしょうか?」 「いびきまで掻いてるし、寝てるのかな?お~い、かがみん、つかさ~?起きろぉ!……ダメだ、起きない」 「どうしましょう……。ここからなら、小早川さんのお宅が近いですよね?成美さんの自動車で迎えに来てもらえませんか?」 かがみの上につかさがのしかかり、なんとも仲がよさそうに眠っているので、みゆきは二人を起こすのは悪い事のように思えて仕方がなかった。 「仕方ないなあ。ちょっと電話してみるよ……。おぉ?携帯忘れたんだった……、みゆきさん、貸して?」 ここだ、とつかさは思う。 かがみとつかさは学校が終わると、唐突に記憶が途切れてしまった場所である、丘の上の荒野に足を運んでいた。 太陽が傾き、荒野の草木は日に当たる面と影になっている面の明暗がはっきりしており、まるで色を失った白黒画面を観ているようでとても不気味に感じた。 「たしかこっちだよ!私が隠れたのはあの高い松の木なんだ」 「うん。ねえ、つかさ。私たちが今、どうやってここに来たのか、その前に、学校で何の授業をしたのか覚えてる?」 かがみがつかさにトイレまで連れて行かれる直前までの授業も、これと同じように、ぽっかりと授業中に何を学び何が起こったかを忘れているのだ。 いや、忘れているのではない。 「え?電車?たしかこなちゃんたちと一緒に……。ううん、違う。それは前に始めてきたときの思い出だね。今日、どうやって来たの?あれ?思い出せない……。わかんないよぉ!」 「落ち着いてつかさ。私も思い出せないのよ……。まるで、時間と場所を突然ワープさせたみたいで、その継ぎ目がすごく曖昧で、まるで夢の中みたいで」 忘れたのではない。いや、忘れたと言う方が相応しくない。 かがみは、自分たちがここへ移動した、というストーリーが無かったのではないかと思った。授業も、授業中のストーリーが存在していなかったのではないかと。 「お姉ちゃん、ここだよ。ここが私が隠れてた。藪だよ。ほらこの木が目印なんだ……。ここにロープが垂れてるでしょ?」 そう言って、つかさはある重大な記憶を呼び戻した。その情景がフラッシュバックのように、一瞬にして映像が再生され始める。 ロープに首をかけてぶら下がる、二人の少女の、この世のものとは思えない、不気味な笑顔を……。 かがみが何気なく松の木に触ろうとすると、松の木の上から気配がするのに気がついた。 「ダメ、その木に触らないで……」 「何も気づかずに過ごしていれば幸せだったのに、バカなヤツ」 かがみは背中に冷水の血液が流れたかのような、一瞬で体を駆け巡る悪寒を感じ、つかさはなぜ今まで忘れていたのかと後悔した。 松の木の枝に二人の少女が座り、かがみとつかさを見つめていた。 一人は枝の上に立ち、もう一人の背中に体半分を隠しながらオドオドとつかさとかがみの様子を警戒しながら覗いている。 枝に腰掛けているもう一人の勝気な少女は、不適に微笑みながらつかさとかがみを見下ろしていた。 かがみは木の上の二人を驚きながら見つめ、何を言えばいいのか分からなかったが、硬唾をごくりと一つ飲んでから捲くし立てる様に一気に言葉を吐いた。 「なによあなた?あんたたち何か知ってるのよね!?それともあんたたちが私たちをここに連れて来たの?」 「お姉ちゃん……」 勝気な少女は首をかしげながらも、しかし尊大に話した。 「あなたたち、本当に私たちとそっくりだわ……。私たちも双子なのよ?ふふ、懐かしいわ。ここで遊んだのはもう、十年も前の事よ。私の後ろで隠れているのが私の妹よ」 つかさは彼女の後ろに隠れるもう一人の少女が少し前までの、中学生くらいのかがみに隠れる自分に似ているような気がした。 「あの、私たち、どうしちゃったの?」 「ここは、あなたたちの夢の中よ。もっともあなたのお姉さんの方は、うすうす気が付いていたみたいだけどね。あなたの本来の体はまだ丁度この辺りで眠っているわ」 「何がしたいのよ」 「それよ。私たちの体はもう存在しない。だからあなた達の体を借りるのよ。魂は夢の中に閉じ込めて抜け殻になりながらも依然生き続ける体を、私たちは自分の体として使わせてもらうわ。私の妹のために」 少女の妹は、黙ったままこちらを向いている。 ここは夢の中。だから授業を受けても自分の知らない知識は得られないし、現実のように不必要なストーリーはカットされてしまう。 「や、やだよ、そんなの!私、こなちゃんが好きだし、ゆきちゃんも大好きなの。だから、また遊びたいし、おしゃべりしたいよ……」 「ゆ……ちゃん…、だいす……」 こなたが電波を探しながらやぶの奥の方へ歩いていく中で、みゆきは地べたに横たわるつかさとかがみの様子を心配そうに伺っていた。 みゆきは確かに今、つかさが自分の事を大好きだと言っているように聞こえた。 徐徐にみゆきの高校生とは思えないほど出来のいい端整な顔が、あっという間に桃のような髪の毛と同じ色に染まり始め、とてもうれしいような恥ずかしいような、みゆきにはなにか特別感情が芽生えはじめていた。 「夢の中でも出来るじゃない。ここが夢の中なのかそれとも現実なのかなんて、あなたたちに分からない事よ。現実って、見る人によって変わるものだと思うのよ。あなたが見た世界、私が見た世界。どっちが正しいかなんて誰にも分からないのよ」 「違うよ!私は本物のゆきちゃんとこなちゃんに会いたいの!」 「だから言ってるじゃない。夢の中のあなたにとって、本物のお友達は夢の中にいるのよ。現実もそう、あなたが勝手にそれが本物だと認識してるだけで、誰もこれが現実の世界の本物のお友達かなんて証明出来ないのよ?」 「そんな……」 「怖がる事はないは……。あなたが望んだ世界なんだから。永遠に大人になる事がない、ネバーランドなのよ」 「つかさは私が守るのよ!帰りましょう」 「え?う、うん……」 気がついたときには、すでに自分たちの家に帰っていた。 二人の母親も姉たちも、皆何事も無く平然とこの家で暮らしており、あの双子の姉が言うようにこの世界を自分たちが認めてしまえば、完全に世界が入れ替わるだろうとかがみは思った。 普段と変わらない、いつもどおりの生活が実現される。成長せず新しい事も起こらず、永遠に平穏な閉じた世界で暮らして行くのだ。 「おねえちゃん、どうやって帰るの?あの子たち、何言っても聞いてくれないし、少し考えようよ……」 「き……す……よう」 みゆきは確かに今、つかさがキスしようと言っているように聞こえた。 頭の中では白雪姫の物語が、リアルに再現されており、もしかしたら、自分がつかさにキスをすれば目が覚めるのではないかと、みゆきのとても優秀で完璧な脳が訴えている。 しかしお互い女同士であり、本来このような行為をするべきではないことは承知していたが、しかし女の子同士でふざけ合ってキスすると言うのは、たまに見かける行為であり、なにもそれほどまで特別する必要も無かろう。 みゆきはそう、結論付けた。 「あの姉妹、姉が妹のためにこんな事をしてるって言ってたわ」 「うん、私たち今魂だけになってて、あの丘に置き去りの体を乗っ取ろうとしてるんだよね……」 「たぶん、姉の方は私の体を、妹の方があんたの体を取ろうとしてると思うのよ」 「それと、魂だけの私たちが、こっちの世界で生きていないと、現実の肉体が生きていられないらしいね」 「……」 かがみは押し黙ると、何かを決意したような表情のまま母親が立つ台所へと歩み寄る。 つかさにはかがみが何をしようとしているのか想像できなかった。 「つかさ、いままでありがとう。これからもずっと一緒だからね」 かがみの手には、包丁が強く握り締められており、ギラリと輝くその刃先はつかさの方へと向けられていた。 「お、おねえちゃん!?」 「信じて!」 かがみは大きく足を踏み出し、ためらいも無く力強く床を蹴り、目はつかさの目を見つめたまま突進して行った。 つかさはかがみが何をしようとしているのか分からなかったが、かがみが言った、信じてと言う言葉を信じた。 ここまで来るのに長かった。姉と徐徐に疎遠になっていくのがとても辛く、悲しい事だと思っていた。 やっとかがみを信じて、姉の願いを聞き入れる事が出来るのだと、つかさは強く思った。 きっと、あの双子にも自分と同じような事があったのかもしれない。 少女の妹の方は、姉に全てを任して自分は何もせず、ただ甘えているだけに見えて、それが自分と重なるような気がした。 もう、甘えずに、姉を信じ、そして自分も姉のために何かを努力しなくてはと、つかさは思った。 かがみの直ぐ目の前まで迫り、強靭がつかさの腹に触れるまであとほんの10cm、7cm。 人が死ぬ直前は走馬灯と言うものが見えるだとか、過去にあった様々な思い出が次々に脳裏に描かれるだとか、いろいろ言われているが、つかさは今とても時間が長く感じていた。 かがみが目の前でのろのろと自分の方へ近づいてくるのを、目を大きく見開きながら見つめていた。 これが自分の内なる声なのか、天のお告げなのか、それとも双子の声なのか。 「避けて!まだ間に合うよ!」 ~やだ、避けたくない!邪魔しないでよ、私はおねえちゃんを信じてるんだから!~ 「どうして?避けないと死んじゃうんだよ?」 ~何があったって、私はお姉ちゃんのやりたい事を聞き入れたいんだ。甘えてばかりじゃだめなんだ~ 「そう……。私には出来なかった事、あなたなら出来るのかな?」 ~わかんないけど、きっと信じれば、出来ると思う~ 「信じれば……」 こなたは年の離れた従姉妹の成美ゆいに、車を近くまで迎えに来てもらえるよう伝える事が出来た。こんな山奥の偏狭の地を電話で伝えるのにどれだけ苦労しただろう。 やれやれとかがみたちが眠っている現場に駆け寄ると、家政婦(コスプレ喫茶のメイド)は見た! みゆきがつかさの唇まであとほんの10cm、7cm……と徐徐に近づいていく。まさかみゆきの想い人がつかさだったとはと、こなたは今までに無い衝撃を受けた。 事実は小説よりも奇なりという言葉があるが、まさか百合なギャルゲー、いやエロゲー並みの展開が今目の前で行われようとしているとは、まったく考えた事もなかった。 みゆきの顔がますます赤くなり、後ほんの数mmと言うところまで来たとき。 かがみが唸りを上げた。 「う、う~ん。ここは……?」 「ふ、あああぁぁあぁ、おはようございます!かぎゃみさん!だ、大丈夫でしたでしょうか?」 「まぁ……。つかさは?」 「え?べ、べべべ別に、そんなつもりは!許してください!」 こなたはニヤニヤを止めることが出来ず、三人の前には歩み出せなかった。 そんな折につかさも目を覚ました。 「ふぁ~~、お、おはよう……」 「つかさ!無事だったのね。ごめんね、怖かったでしょう?妹が乗っ取るはずの体の魂を危険な目に会わせれば、姉が絶対に何かすると想ったの。本当にごめんなさい、ごめんなさい……」 つかさは実際には妹の子が、夢から出してくれたのだと知っていたが、これはあの子と私だけの秘密にしようと心に決めた。 こうして、二人は無事に何事も無く家に帰る事が出来た。 みゆきの行動はこなたしか知らないが、これからみゆきが期待以上のことをしてくれるはずだと、こなたは待ち望んでいた。 結局、あの双子がなんだったのかはっきりとは分からなかった。 あの丘の松の木で、首吊り自殺をしたのだろうとは、おおよそ検討は付くがいったい二人に何があったのかは知る事は出来なかった。 その日の夜、つかさは夢を見ていた。 双子が仲良く、階段を登っていく夢だった。 双子の姉が言っていた、何が現実で何が夢かは誰にも分からないとは、こういう事だろうと思った。 これが現実だと思えばきっと現実なのだ。 つかさはもう一つの世界を見続けた。 コメント・感想フォーム 名前 コメント 面白いです。 読みづらいです。 -- 名無しさん (2012-11-03 11 32 33)
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今回のルールは『600文字以内』で、なおかつ『みwiki祭』『春風』という2つのキーワードを両方ともSSに入れることです。 なお、改行は一文字として数えません。 ID BxjDOE60氏 みwiki祭りとは、春風薫る四月の一ヶ月間にわたって全国で行われる祭りである。 この世のあらゆる知識と、知識の女神であるみwiki様を愛で尊び敬うことを趣旨とする。 この祭りでは、満開の桜のもとで花見客に桜や花見に関する薀蓄をたれたり、新入生や新社会人を前に長々と講釈をたれたり、おもちうにょ~んしたりといった行事が行われる。 これらの行事は所構わず空気を読まずに行われるため、うざがられることも多い。 しかしながら、この祭りにもメイン会場は存在する。 それは東京都の高良邸であり、祭りの時期は、「メガネっ娘☆激Love」などとプリントされた装束をまとったみwiki信者が多く訪れ、みwiki様のありがたき三文知識を賜る光景が見られる。 出典:アンチフリー百科事典「Unたからpedia」(2009/04/01 06 55) ID yjRlywSO氏:『祭り上げ』 泉家で開かれた勉強会。みゆきはみんなからの質問に、一つ一つ答えていた。 勉強ができる事を誇るつもりはない。ただ、答えた時に見せてくれる友人達の笑顔が、彼女にとって他の何にも替え難い喜びなのだ。 「みwikiさん、ここ分からない…」 「春風駘蕩の候、ですね」 「みwiki、ここはこれで大丈夫かしら?」 「はい、問題ありませんよ」 「wikiちゃん、ここはどうするの?」 「ここは、こちらの公式を使えば楽ですよ」 なんとなく、みゆきは違和感を感じた。 「あの…先程からのみwikiとは…」 「大体なんでも答えてくれるからみwikiさん」 「そうそう、wikiちゃん凄いよね」 「うん、頼りにしてるわよ、みwiki」 「え…あ、あの…」 「よし、勉強も一段落ついたし。今からみんなでみwiki祭よ!」 「おお!かがみ、ナイス提案!」 「わーい!」 「ええー…いや、その……わたしは…みゆきです…クスン」 (やば、涙目のみゆき可愛すぎる) (ああーもう。これだからみゆきさんいじりはやめられないよー) (ゆきちゃん、可愛いよゆきちゃん…ハァハァ) 友人達にとっても、みゆきは他の何にも替え難い喜びである。 ID 1HfGsRI0氏 「最近だんだん暖かくなってきたネ」 「そうね。春って感じがしてきたわ」 「という訳で、一句詠んでみたよ」 『春風よ かがみのパンチラ みせてくれ』 「んなっ!?何言ってんだ、おまえはっ!」 「むふふー。春らしい萌えでいいじゃない」 「まったく。小学生じゃあるまいし、もっとマシな句を詠みなさいよね」 「ほほう。そこまで言うなら、かがみも詠んでみせてよ」 「えっ!?わ、私が?」 「そう。かがみが。なんかこう、春だなーってカンジのを頼むよ」 「わ、わかったわよ……ええっと」 『夜半過ぎ みwiki祭りの 笛の音』 「へ?……なにそれ?」 「何よ。文句でもあるの?季節感溢れる仕上がりじゃない」 「え、えーっと。文句があるというか、なんというか」 「かがみさん。泉さんが首をかしげるのも仕方ありません。みwiki祭りは初夏を表す季語ですよ?」 「そうだよ、お姉ちゃん。去年の祭りも梅雨明けくらいだったじゃない」 「あ、あれ?そうだっけ?」 「はい。さらに言えば、祭りの迫力がいまひとつ伝わってきませんね」 「うーん、言われてみればそうね。みゆきならどう詠む?」 「そうですね。こういうのはどうでしょう」 『丑の刻 地獄や地獄 みwiki祭り』 「わあー。あのお祭りの感じがよくでてるよ。さすが、ゆきちゃん」 「そうね、いい句だわ。私も、早く祭りの日がこないかなー、なんて思っちゃった」 「ありがとうございます」 「えーと……話についてけないのは私だけ、なのかな?」 ID .6BP3UAO氏:『ラプラスの悪魔「みwiki様」』 春風が涼しいある日、みwiki様がご覚醒なされ、みwiki祭りが開かれた。 「深夜アニメが終わる2時28分9秒に、おやつのために取っておいたコロネを食すため泉さんがキッチンへ上がります」 みwiki様は過去現在の全てを把握し、これから起こるであろう事象を寸分の狂いもなく予測する。かがみは問うた。 「私はどうすればいいのでしょうか」するとみwiki様が答えた。「泉さんが降りて来ましたら、かがみさんはコロネを目の前で食べなさい」 次の日の深夜 「かがみん!?」 「ふぁ、こにゃた」モグモグ 「うわ~ん!」 「ひょっ、ひょっと!」」ガッシャーン かかみに覆い被さるこなた 「あ……」 新しい展開がここに。 すべてはみwiki様のなせる業。 ID .6BP3UAO氏:『:これぞ日本のみwiki祭り』 私の神社の桜が綺麗なのでこなちゃんやゆきちゃんを呼んでお花見をしました。 「すごい!」 「えぇ、春風を感じます」 「やあやあ、妹達がお世話になってます。お母さんが饅頭くれたよ」 「まつり姉さんありがとう。ここに座ったら?」 まつりお姉ちゃんはゆきちゃんの隣に座りながら言いました。 「これぞ日本って感じだよね」 「そうですね、元々は梅の花を見る事か…」 ここでこなちゃんが突然立ち上がって叫びました。 「みゆきさんがWikipediaのごとくウンチクを話して、まつりさんがそれを聞く!まさに『みwiki祭り』!!」 「こなちゃん、なんのこと?」 「…いえ、なんでもございません…。うん、この饅頭おいしっ」 とても楽しいお花見でした。 ID Btzt0N20氏:『卒業式とお祭りと』 みWiki祭り、それは生徒会と一部の生徒達が主催した、卒業式後のイベントだった。 最後に皆で思い出を作りたい、 心の底から卒業を祝いたい、 それから送りたい。 そう考えていた生徒は少なくはなかった。 式が終わって数刻後のホール、照明の落とされた薄闇の中、生徒会長の開催の弁も早々に、 エレキギターがかき鳴らされた。 壇上は今や軽音楽部の独壇場、卒、在校生混成のライブ会場と化していた。 この日には似つかわしくないと教師達は嘆いたかも知れない。 でもホールは、彼等への声援で色めき立っていた。 幾つもの部活が続け様に作品を披露し、祭りは大盛況の内に閉幕した。 こなたとかがみはお別れを言いに行ったつかさとみゆきを校庭で待っていた。 「にしても、あっという間だったよね。たかが三年、されど三年」 「ほんとよね。明日起きたら制服着そうだわよ」 「つかさはやりそうだけどね」 「ほんとに」 「さてかがみさん」 「ん?」 「私は今、桜の袂にいます」 「そうね」 「今日は卒業式です」 「で?」 「言う事は?」 「卒業おめでとう、こなた」 「……かがみん、これ、EDだよ?ハッピーエンドになるか、バッドエンドになるか、瀬戸際なんだよ?」 「何の話よ」 「私から言わせないでよ……バカ」 「……ごめん、冗談だろうけど、私、そういう趣味、ないから」 「遅くなってごめーん!」 そこにつかさとみゆきがやってきた。 春風がこなたの切なげな顔を優しく撫でた。 (……かがみの……バカ) ID Btzt0N20氏:『晴心』 夜半、こなたはベッドの上で携帯を見ていた。 画面に写るのは、記念にと撮った幾枚もの写真だった。 教室に校舎、先生に級友、つかさとみゆき、その2人の間で白石がこちらにVサインを送っていた。 「相わらずウザイな、セバスチャンは」 覇気のない呟き。 帰宅するやこなたは、呟きと溜息ばかり吐いていた。 画像を送るこなたの指が止んだ。そこにははにかむかがみの画像があった。 他には誰もいない、かがみ1人だけの写真。 「冗談でもさ、悲しくなっちゃうじゃん」 次の画像も、また。 「キモいだろうけさ……」 こなたの瞳は揺れていた。 「傷つくよ」 次も……。 「何やってんだろ。現実とゲーム混同して」 電源に指を置いたその時、着信音が鳴り響いた。 かがみの名を画面に明滅させて。 「……もしもし?」 『こなた?あんたにさ、聞きたい事があるんだけど』 「聞きたい事?」 『昼間の、アレ、本気だったの?』 「何でまた」 『あれからあんた、元気なかったじゃない?』 「……ほ」 『こなた?』「本気なわけ、ないじゃん。私だってそんな趣味、ないよ」 『……そう。……あ、あのさ、映画のチケット貰ったの。○×、あんた好きでしょ?今度一緒に、どう?』 「……」 『……こなた?』 またかがみといられる、それが何より嬉しかった。 だからこなたは、ありったけの元気で答えた。 「うん!行く!」 2人の心の曇雲を、春風がかき消していた。 「そうそう、今日のみWiki祭りでさ!」
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【デュエルパート3】 簡単に今の状況を整理しよう。 こなたの手札は2枚、フィールドには伏せカードが1枚だけ。ライフは7000だ。 かがみの手札2枚、内1枚は『狂気のバルサミコ酢』、フィールドには守備の『柊みき(タダオカウンター1)』、攻撃の『柊かがみ』、『柊つかさ』、『日下部2200(あやの合体)』(2ターン攻撃出来ない)、『柊まつり』の5体と、伏せカードが1枚だ。ライフは4800。 そして、今はこなたのターン。どう動くのか!? 「私はみなみんを召喚!」 『岩崎みなみ』がフィールドに現れる。 攻撃力1500、守備力1300。☆×4。 「攻撃表示? 何考えてるの?」 「みなみんの特殊効果、このカードを生贄に捧げることで墓地のゆーちゃんを裏側守備表示でセットすることが出来る」 「!? またあの娘!?」 『岩崎みなみ』が墓地の『小早川ゆたか』を連れ出し、軽く応急処置をする。そして自分は墓地へと退場して行く。 フィールドには裏側守備表示の『小早川ゆたか』がセットされた。 「私はこれでターンエンドだよ……」 「打つ手が無いみたいね、この勝負もらったわ! 私のターン、ドロー!」 『小早川ゆたか』の効果は、戦闘で破壊されないという効果だ。そして裏から表になったとき、デッキから『泉こなたLV4』を特殊召喚できる。 まだ逆転のチャンスはある。 「戦闘で破壊されないなら効果で破壊すれば良い。私はつかさのもう1つの効果を発動!」 「もう1つの効果!?」 「そうよ。このカードを墓地に送ることで、レベル4以下の『柊』と名のつくカードを1体、デッキから裏側守備表示でセットすることが出来るの」 『柊つかさ』が「なんじゃこりゃあぁー!?」と墓地へ消えていく。 「裏側守備……まさか!?」 「そのまさかよ! 私はデッキから2枚目のつかさをフィールドにセット! この意味、分かるわよね?」 「くぅっ……」 『柊つかさ』は裏から表になったとき、相手フィールド上のモンスターを破壊できる効果を持っている。そして、今のこなたにはそれを回避する手段がない。 だが、セットしたターンは表に出来ないので、このターンは凌ぐことが出来る。 「まつり姉さんで守備モンスターを攻撃!」 「な、破壊されないのに!?」 「承知の上よ」 まつりの攻撃により、ゆたかが姿を現す。 「その娘の効果でデッキから『泉こなたLV4』を攻撃表示で特殊召喚するはずよね?」 「う……ばれてたか……」 フィールドに2枚目の『泉こなたLV4』が現れる。 「これを狙ってたのよ! 『柊かがみ』で『泉こなたLV4』を攻撃! 究極の愛」 「えぇー! さっきと技名違うー!」 『柊かがみ』が荒い息を上げながら『泉こなたLV4』に襲い掛かる! 「え、永続トラップ発動! 『幸せ願う彼方から』」 「何ぃ!?」 「手札を1枚捨てることで、モンスター1体を1度だけあらゆる破壊から免れることが出来る」 「あら、やっと私が出てきたわね♪」 カードの絵柄は、こなたとそうじろうの背後にかなたが居るという図だ。 「でも戦闘ダメージは適用されるでしょ!」 「くっ……」 こなたは1300のダメージ。ライフは5700に。 「今の戦闘で、私の攻撃力が更に上がるわ」 「攻撃力3300……」 戦闘するたびに攻撃力が上がる……正に柊強暴伝説の名に相応しいカードだ! 「私は手札から捨てた『こなたの携帯電話』の効果を発動! このカードのみが他のカードの効果によって手札から墓地に行ったとき、デッキからカードを2枚ドローする」 「私はこれでターンエンドよ」 相変わらず二人の有利、不利が交互に入れ代わるこのゲーム。しかし、これは良い試合でもあるのだ。見てる分には退屈かもしれないが、やってる本人達にしてみれば、一方的に攻められるよりも断然良いだろう。 さて、だいたいデュエルの流れは解って来たと思う。ここからは解説無しのこなた視点でお送りさせていただく。 ―――――― 「私のターン、ドロー!」 このカードは……! まだ、私には勝機がある!! 「魔法カード『ポイント使用』! 場のレベルを持つモンスター1体と墓地のモンスター1体をゲームから除外する事で効果発動」 「……」 見せてあげるよ、私の真の姿をね! 「デッキからレベルを持つモンスターを、召喚条件を無視して特殊召喚できる!」 「召喚条件を無視!?」 「場の私と墓地のパティをゲームから除外して、『泉こなたLV9』を特殊召喚!」 ようやく私の最強カードが使えるのか、どんな姿なんだろ……。 「うぉっ!? まぶしっ」 私のフィールドが光に包まれる。やがて後ろ姿が見えてきた。 「…………」 ん? 何でそんなに見とれてるの? ま、いつもの事か……。 「…………」 さりげなくお母さんを見ると、お母さんもかがみと同じ様にフィールドの私に見とれていた。 「ちょ、お母さ……泣いてるの?」 「ごめんね、まさかこんな形で見られるとは思わなかったから……」 お母さんが感激するほどの姿なのか……、一体どんな――! 再び前を向くと、光は消えていて、その姿が確認できた。その姿とは……。 「う、ウェディングドレスー!?」 「ふつくしい……」 「素敵ね、こなた」 そこには白のウェディングドレスを着て、手に花束のブーケを持っている私が居た。しかもお化粧までしてるし……。 攻撃力3300、守備力2500。☆×9。 って、強っ! かがみと同じ攻撃力じゃん! 「相手は……?」 「へ?」 「こなたの相手は勿論、私よね!!」 うわぁーい……。ま、予想通りの反応だけどね。 「何言ってるんですか、こなたの相手はそう君に似たカッコイイ男の子に決まってます!」 「アンタに聞いてないわよ!」 「むむ……」 ちょっと、二人とも……デュエルを続けますよー。 ふむふむ、どうやらレベル9は今までの貫通能力じゃないみたいだ。でもこの能力ならこのターンで勝てる! やるぞ! 「『泉こなたLV9』の効果! 手札を1枚墓地に捨てることで、ターン終了時まで相手モンスターのコントロールを得ることが出来る」 「はぁ……こなたぁ……」 「聞いてないし」 心を鬼にするとか言っといてこれだよ……。いいや、聞いてないなら勝手にやっちゃうもんね。 「手札を1枚捨てて効果発動! その効果により、『柊かがみ』のコントロールを得る!」 よし、これで勝ち……。 「ERROR! ERROR!」 「え!?」 エラー!? そんな事って……! 「ん? 何かしたの?」 「かがみに私の効果を発動したらエラーになっちゃったんだよ!」 「ん~、そりゃそうよ」 「なんでさ」 まさか、かがみ……デュエルディスクに細工を!? いつの間に……。 「言うの忘れてたけど、お母さん『柊みき』の効果よ」 「って、効果モンスターだったの!?」 「このカードがフィールド上に存在する限り、このカード以外の『柊』と名のつくモンスターカードは、相手モンスターの効果を無効にすることが出来るの」 「そ、そういうことは先に――」 「聞かないのが悪いんでしょ? 教えるなんてルールはないんだし」 「うっ……」 確かにそうだけどさぁ……むむむ。 そーなると、コントロールを得ることが出来るのは『柊みき』本体と『日下部みさお』だけか……。みさきちはひよりんの効果で、まだ攻撃できないから意味ないし……かがみのお母さんは弱いし……。 「さぁ、誰を奪うのかしら?」 「うー……」 「こなた、その効果は手札があれば何回でも出来るのよね?」 「え? あ……」 そうだ、この効果は1ターンに1度なんて書いてないじゃん! 私の手札はまだ1枚ある、つまり……! 「アドバイスありがとう、お母さん!」 「いえいえ、役に立てて嬉しいわ」 「よーし、先ずは『柊みき』のコントロールを貰うよ」 「……」 『柊みき』がかがみのフィールドから私のフィールドに移る。 「更に手札を1枚捨てて、今度は『柊かがみ』のコントロールを得る!」 「ちっ、気付いたか……」 これで私のフィールドには、攻撃力3300のモンスターが2体となった。まだこのターンで勝つことは出来ないけど……やれるだけやってやる!! 「バトル! 『柊かがみ』で……」 ここはやっぱり攻撃力が高いモンスターを倒した方が良いよね。 「みさきちに攻撃だ!」 「……!!」 かがみがみさきちに攻撃するが、峰岸さんが前に出て代わりに破壊された。合体したみさきちの効果だね。 「峰岸と合体した日下部を倒すには、2回攻撃しなきゃダメなのよ」 「分かってるさ、でもダメージは受けてもらうよ」 今の攻撃でかがみのライフは3700だ。やっと半分近くに減ったよ……。 「峰岸を破壊したことで私の攻撃力は300ポイントアップするわよ」 攻撃力3600か……。このターンしか使えないのが惜しいね。 「次に、私LV9でかがみのお姉さん……『柊まつり』を攻撃! ハイ――」 「幸せな未来へのロード!!」 「ちょ、お母さん……」 「一回言ってみたかったの♪」 フィールドを見ると、かがみのお姉さんは居なくなっていた。なるほど、幸せな未来へのロードか……。がんばれ! 立体映像だけど。 これでかがみのライフは2100!! もう一息だ!! 「やってくれるわね! 罠カード発動!」 「え!?」 そういえば伏せカードの存在を忘れてた!! 「『ふざけんじゃないわよ!』。これは自分モンスターが破壊されたとき、相手モンスターを1体破壊する効果を持っているわ!」 「!!」 「私は……もったいないけど、こなたを破壊!!」 物凄い爆音と共に、私のLV9は跡形もなく消えてしまった。 「そ、そんな……!!」 そして私は気付く。これを避ける手段があったことに……。 永続罠『幸せ願う彼方から』の効果を使えば良かったんだ。 このターン、私の効果を使わずに、私とかがみが相打ちをする。手札を1枚捨てて私は破壊を免れる。かがみも自身の効果を使い復活するだろうけど、攻撃力は元の2700に戻る……そうすれば次の私のターンで倒すことが出来たのに!! 私の効果の魅力に負けず、手札を残していれば……! 「これでこなたのエースモンスターは無くなったわね。次のターンで私の勝ちよ!!」 「……『泉こなたLV9』が戦闘以外で破壊されたとき、フィールドに『アホ毛トークン』を1体、守備表示で召喚する……」 フィールドに私と同じアホ毛が現れる。守備力1100……壁にもならないよ。 「ターンエンド……」 「モンスターは返してもらうわ。私のターン」 「…………」 「つかさをリバースし、効果発動! ゆたかちゃん撃破よ!」 「くっ……ゆーちゃん」 これで私を守るモンスターは『アホ毛トークン』だけ……! やばいって!! 「これで終わりよ、お母さんを攻撃表示に変更! バトル!」 「――っ!?」 「つかさで『アホ毛トークン』に攻撃!!」 壁が……失くなった。 「続いて、お母さんでこなたに直接攻撃! 高等祓い術!」 かがみのお母さんが私の目の前に来て、なにやらお祓いを始めた。……良かった、これなら直接攻撃でも痛くな―― 「ああぁぁぁぁっ!!」 「お母さん!?」 お母さんがもの凄く苦しんでいる。まさか……幽霊だから!? 「お母さん! お母さん!!」 「はぁ……はぁ……、大丈夫よ……」 「あら、闇こなたには効果抜群のようね」 「かがみ……!! いい加減に目を覚ましなよ!!」 「目を覚ますのはそっちでしょ! 『柊かがみ』で直接攻撃!! 一刀両断ry」 ちょ、そんなの喰らったら死ぬって……!! 「ぐぁ……!!」 「安心して、峰打ちだから」 ポッキーに峰打ちなんてないと思うけど……。 「こなた……大丈夫?」 「はは……何とか……」 残りライフは600か……。手札もない、フィールドには永続罠が1枚だけ……絶望的だ……。 「今の攻撃で『柊かがみ』の攻撃力が3900になったわ。ま、もう意味ないでしょうけど」 この状況でどうやって勝つ? 「日下部も次のターンで攻撃出来るようになるけど意味ないわね。私はこれでターンエンドよ」 「……」 無理だ……。 「こなた? どうしたの? 早くドロー……」 「勝てないよ……」 「え?」 「勝てっこないよ……。手札はゼロ、フィールドにはもう役に立たない罠カードが1枚、この状況でどうやったら逆転できるの?」 「……」 「無理でしょ? エースモンスターも殆ど墓地に行ってるし、ライフの差だって……これでどうやって勝てって言うんだよ!」 「こなた……」 思わず声を荒げてしまう。出来ないと分かったら難癖付けて……まるで子供だね私……。 「でも、こなた――」 「良いんだよ、もう……私はかがみと幸せに暮らすよ、この世界の人達だってホントはそれが望みなんでしょ? 私それほどかがみは嫌いじゃないし、もうこのまま――」 「こなた!!」 頬がひりひりする……、お母さんに叩かれた……? 私は叩かれた頬を抑えて呆然としていた。そしてお母さんを見ると、泣いていた……。 「こなた、自分が何を言ったか分かってる?」 「……」 「お母さんがここに来た理由は最初に言ったでしょ? それをどうしてちょっと負けてるからってそんなに自暴自棄になるの? 世界の人達がそんなこと望んでる訳無いでしょ……それに、こなたは何の為に今まで戦ってきたの?」 「ぁ……」 そうだ、私はかがみを助けるために……。あの楽しかった日々を取り戻すために……! 「お母さん、ごめん。私どうかしてたよ」 「お母さんの方こそごめんね、痛くなかった?」 「平気だよ。それに嬉しいよ」 「……?」 「お母さんに叱ってもらってね」 「ふふっ……叱ってもらって嬉しいなんて普通の子供じゃ言わないわよ♪」 「はは……」 だってお母さんに叱られるなんてもう二度と来ないかもしれないもんね。 「こなた、アヤメの花言葉は知ってる?」 「信じる者の幸福、最後まで諦めるなって事だね!」 「頑張って!」 まったく私らしくない。そうだよ、私が今までゲームでかがみに負けたことがある? 答えはノー。どんなゲームでも負けたことはない、それはこのデュエルでも同じ!! 「私は完全に空気ね」 「行くよ、私のターン! ドロー!!」 「いくらなんでも、そのカード1枚で逆転なんて不可能よ。ターンエンドして私の勝ちね♪」 「ふふふ、それはどうかな? かがみぃ~ん」 「な、何よ……急に余裕になったじゃない」 さぁ、読者の諸君! お決まりのBGMを脳内再生の時間だよ!! 「魔法カード『アホ毛サーチ』を発動! 墓地からモンスターを3体デッキに戻し、その後カードを2枚ドローする」 「手札を増やしたところで――」 「魔法カード『親子の絆』発動! 墓地に『泉そうじろう』・『泉こなたLV4~9』があるとき、ライフを半分払い『泉そうじろう』と『泉こなたLV6』を特殊召喚する!」 「そんなカードが出てきたところで私の『かがみ』には――」 まさかこんなカードがデッキに埋まってたとはね……行くよ、お母さん!! 「フィールドに『泉こなた』・『泉そうじろう』・『幸せ願う彼方から』の3枚が揃っている時、『幸せ願う彼方から』を墓地に送る事で手札から『泉かなた』を特殊召喚!」 フィールドに天使の翼を生やしたお母さんが現れる。 攻撃力0、守備力0。☆×10。 「自分とそっくりなモンスターがフィールドに居るなんて、なんだか不思議な気分ね♪」 「ふん、どんなモンスターが出るかと思えば……攻撃力0の雑魚モンス――」 「お母さんの効果、ライフを半分払い、全フィールド上のモンスターの攻撃力を0にする!」 「な、何よそれ!」 私のライフは300から150へ、でもそんなのもう気にしない!! 「そして効果の対象になったモンスター全ての元々の攻撃力を足した数をこのカードの攻撃力にする事が出来る!」 フィールドのモンスターの元々の攻撃力は……お父さん2200、私2500、かがみのお母さん1500、かがみ2700、つかさ1200、みさきち1700……つまり……。 「攻撃力11800のモンスターですって!?」 ありゃ、流石かがみ。早いね。 「かがみ、勝ちに急いで何も伏せなかった事を後悔するんだね!」 「そんな……、ありえない……!!」 「お母さんで『柊かがみ』に攻撃! 行くよお母さん!」 「えぇ!」 「「スターライトエクスプローション!!」」 『泉かなた』の翼が広がり、そこから光のビームが『柊かがみ』に直撃する。かがみの攻撃力は0なので、実質ダイレクトアタックと言っても良いかもね。 「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」 オーバーキル!! 遂に勝ったんだ!! 「勝ったぞぉー!!」 「よく頑張ったわ、こなた」 長いようで短かったけど……ようやく終わったんだ! この達成感は異常だね。 「私が負け……た?」 「かがみ!?」 ドサッとその場に倒れてしまったかがみ。どうしたの? まさか……!? デュエル終了、そして……
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つかさ「ねぇこなちゃん・・・」 こなた「ん?なぁにつかさ?」 つかさ「こなちゃんはさ・・・もし・・・もしだよ?明日死んでしまうって宣告されたら」 つかさ「こなちゃんは・・・最期に何をしたい?」 こなた「いきなりそんなこと言われても実感わかないなぁ~・・・うーん・・・」 こなた「やっぱりネトゲかな~心行くまでプレイするかなぁ~」 つかさ「そっか・・・」 こなた「つかさは?もしそうなったらどうしたい?」 つかさ「え?私・・・?私は・・・」 つかさ「私は・・・みんなと一緒にいたい・・・かな・・・」 こなた「ふぅ~ん、なんかつかさらしいや」 つかさ「私がいて、お姉ちゃんがいて、こなちゃんもゆきちゃんもいて・・・」 こなた「・・・・・・・・・」 つかさ「お母さんも、お父さんも・・・先生も一緒にいて・・・」 つかさ「みんなで・・・笑って・・・すご・・・したい・・・ぅうっ」 こなた「おぉわ、つかさ、何も泣かなくても・・・」 つかさ「ごめ・・んね・・ごめん・・・あは、なんで泣いてるんだろうね、私・・・なんで・・・涙・・・」 こなた「つかさ・・・?」 つかさ「あの・・ね・・・こなちゃん・・・私・・私ね・・・病気・・・なんだ・・・」 こなた「・・・え?」 つかさ「お医者さんが言うにはね・・治らないんだって・・・手遅れ・・なんだって・・・」 こなた「つか・・さ・・・?」 つかさ「それでもね・・少しでも長く生きるために・・・入院するんだって・・・明日から・・」 こなた「・・・」 つかさ「私は・・・私は・・・もっとみんなと・・一緒に・・いたいよ・・」 つかさ「もっとみんなと・・笑っていたいよ・・・この・・・教室で・・・」 こなた「つかさ・・・」 つかさ「入院なんてしたくないよぉ・・・うっぅ・・・」 こなた「・・・わかった」 つかさ「・・・え?」 こなた「あたし達、毎日お見舞い行くよ!学校ある日も、休みの日も、雨の日も、風の日も!たまに学校さぼっちゃったりなんかして!」 つかさ「こな・・ちゃん・・・」 こなた「かがみも、みゆきさんも、クラスのみんなも、先生だって!一緒にお見舞いに行くよ!」 こなた「つかさが病院にいてもさびしくないように、あたし達がんばるよ!だから・・・」 つかさ「こなちゃん・・・」 こなた「だから、つかさも入院したくないなんて言わないで!がんばろうよ!」 こなた「少しでも長く!あたし達といられるように!」 つかさ「こなちゃぁん!私・・・がんばるよ!もっと・・みんなと一緒にいたいから・・・私、がんばるから!」 ―――――病室内にて――――― つかさ (今日はいつごろきてくれるかな・・・) つかさ (あ、みんなが来てくれるまえにご飯食べちゃわないと!) ―――カランカラン つかさ (うあ、いっけない手が滑ってスプーン落としちゃったよ・・・うぅ~) つかさ「・・・・・・滑っただけ・・・だよね・・・」 つかさ「ふぅー、ご馳走様でした・・・っと」 つかさ (今日はお休みの日だから、そろそろみんな来てくれるころかな?) ―――ガラガラ こなた「やほーぃ!つかさー元気してるか~ぃ!?」 かがみ「ちょ、こなた病室なんだから静かにしなって!」 こなた「えぇ~いいじゃん~この病室つかさだけなんだからー、細かいこと気にしてるとはげるよかがみ~ん」 かがみ「だーからあんたはねぇ――――」 つかさ (ふふ、またやってる・・・仲いいなぁ~二人とも) つかさ (私も・・・あの輪に入れたらな・・・) かがみ「ぁ、つかさごめんねー。ちょっと遅くなっちゃったかな」 つかさ「うぅん来てくれるだけでうれしいよ、ありがとうお姉ちゃん、こなちゃん」 こなた「いやいや礼には及ばないよ~」 かがみ「だからあんたは・・・あ、みゆきは今日ちょっと用事があるらしくって来れないって」 かがみ「伝言:今日は行けなくてごめんなさい。明日は必ず―――だってさ、ほんとみゆきは礼儀正しいわねぇ」 こなちゃん達に打ち明けてから一週間が経ちました。 こなちゃん達は、約束どおり毎日病院に来てくれています。 嬉しいんだけど・・・ちょっと負担になってたりしないかな、大丈夫かな・・・。 学校のある日は、その日学校で起きた出来事だったり、ゆきちゃんの萌え要素?をこなちゃんが語ってくれます。 お姉ちゃんは、治ったときの為に私に勉強を教えてくれてます。 ゆきちゃんは、いつもお見舞いにきてくれると美味しいフルーツとかたくさん持ってきてくれます。 みんなで「おいしーね」って言いながら食べるんだ。 みんな優しくて、私も楽しくて・・・なんだかすごい幸せなんだ。 ―――でも、楽しい時間はあっという間に過ぎていくんだよね。 ―――12月になりました。 ―――――入院生活も早いものでもう2ヶ月目です。 かがみ「でさー、そん時のこなたがさ―――」 こなた「それ言ったらかがみんだって―――」 つかさ (・・・少しだけ、寂しいんだ) つかさ (贅沢なことだって分かってる。毎日みんなが顔を見せてくれるんだもん) つかさ (けど・・・私もその場に・・・いたい・・・) みゆき「つかささん、あまり考え込んじゃいますと、お体に悪いですよ」 つかさ「え?あ、そういうのじゃなくて、んとね、ボーっとしてた・・・かな、アハハ・・・」 みゆき「そうですか?それならいいのですけど・・・あまり無理はなさらないようにして下さいね」 みゆき「リンゴをカットしておきましたので、どうぞ召し上がってください」 つかさ「うん、ありがとう。ゆきちゃん」 こなた「つかさは相変わらずボーっとしてるんだねー、何か病気にかかる前と変わってない感じがするよ~」 ――――カンカラン 私の指から滑り落ちる小さいフォーク。 最悪のタイミングだよ。みんなといるときは今まで大丈夫だったのに。 病室の中に広がる一時の静寂。そして――― かがみ「つ、つかさ!?だ、大丈夫!?」 つかさ「うん・・・だいじょうぶ・・・だよ」 こなた「ほんとに大丈夫なの!?」 つかさ「うん、いつものこと・・・だから・・・ウッ」 ―――痛い ――痛い痛い痛い ―イタイイタイイタイイタイ つかさ「イヤアアアアア!!!」 みゆき「ナ、ナースコールを―――」 かがみ「つ、つかさ!しっかり―――」 こなた「大丈夫!?つかさ!!つかさ―――」 つかさ (ぅ・・・ん・・・) つかさ「え・・・ここ・・・なんで・・・?」 目を覚ました私は驚く以外の反応ができませんでした。 つかさ「なんで・・・?なんで・・・?」 見間違えるはずもありません。そこは・・・私の自室でした。 柊家の・・・柊つかさの部屋でした。 状況がつかめないまま、私はとりあえず居間へ向かいました。 そこには――― かがみ「あれ、つかさ今日は早いのねー珍しい。たまには朝ごはんしっかり食べなよー」 つかさ「え・・・え、なん・・・で?」 かがみ「んー?どしたの?そんなとこで固まっちゃって」 つかさ「私・・・病気で・・・病院に入院してたはずじゃ・・・?」 かがみ「何言ってるの?熱でもあるの?大丈夫?」 つかさ「う、ううん。何でもないよ!さーって、朝ごはんたべよっかなー」 かがみ「そーしなー」 つかさ「・・・・・・・・・」 つかさ (間違いない・・・私の家。戻ってこれた?病気にかかってない私に?) 心が躍った。私は、苦しく、つらい生活から解放されたらしい。 つかさ「やったーーーー!!!」 かがみ「ちょ、何急に叫んで!?やっぱあんた病気!?」 つかさ「違うよお姉ちゃん、私、病気から解放されたんだよ!」 ??「――――状態は良好ですが・・・意識は戻るかどうか・・・」 かがみ「そんな!?先生、どうにかならないんですか!?」 医者「こればっかりは・・・本人の回復力次第・・・としか」 こなた「つかさ・・・」 みゆき「つかささん・・・」 かがみ「ぅ、うぅあぁぁぁ―――」 その日は雨だった。まるで、あたしの気持ちに同情してくれるように、雨はザァザァと降り注ぎ続けた。 あれから数日。つかさはまだ目を覚まさない。 あたしはというと・・・学校を休んで、ずっとつかさの側にいてあげている。 基本的に病院なのでとても静かだ。 たまにこなたが来るとにぎやかになるけど・・・。 つかさも寝心地がよさそうだ。 勘違いかもしれないけど、つかさがたまに薄っすらと笑みを浮かべる。 きっと幸せな夢を見ているに違いない。 かがみ「少しくらい、休んでいいから。休んだら、帰ってきてね・・・つかさ」 こなた「ウィース!WAWAWAわっすれもの~」 かがみ「ぉぃどんな登場の仕方だそれは」 こなた「かがみん知らないの~?遅れてるよ~」 かがみ「知るかっ」 こなた「・・・つかさの様子は?」 かがみ「全然。こっちの気持ちもしらないで幸せそうな寝顔浮かべてるよ」 こなた「そか、んーしかしほんとつかさの寝顔は可愛いね~。萌えだね」 かがみ「ったく、あんたはほんとーにしょーもないわね」 こなた「ほえ?なんでー?」 かがみ「ほら、前にあたしが休んだときお見舞いに来てくれた事あったでしょ」 こなた「おぉ、そういえばそんなこともあってねぇ」 かがみ「あのときも、あんたあたしの寝顔覗き込んでたでしょ、まったくあんたは」 こなた「いやあれはー、まぁ不可抗力っていうかーアハハ」 かがみ (こなたってば、こういうとこ素直じゃないんだよなぁ) 今なら、みゆきの言ってたこなたなりの元気付けってのも納得できるかな。 かがみ「やっぱみゆきにはかなわないわねー」 かがみ「ありがと、こなた。あんたがいるから、あたしもずっとつかさの側にいてやれるよ」 こなた「うぉぅ、まさかかがみんからそんな言葉が出るとは・・・」 かがみ「人がまじめに言ってるんだから素直に受け止めろや」 こなた「あはは、ごめんごめん。なんか改めて言われるとこっぱずかしくて」 かがみ「・・・ま、あんたにお礼言うことなんてもう二度とないかもね~」 こなた「ぐ・・・」 かがみ (でも、ほんとにありがとね・・・こなた) ====学校・お昼==== みゆき「やっぱり、かがみさんもつかささんもいらっしゃらないと少し寂しい感じがしますね・・・」 こなた「んーまぁそうだねぇやっぱりかがみんが大きいかな・・・アム」 みゆき「つかささんの病気のことで、色々と調べてみたのですが・・・」 こなた「何か分かったの?」 みゆき「それがさっぱりなんです・・・すみません」 こなた「いやいやみゆきさんが悪いんじゃないんだし、謝らなくていいって」 みゆき「ですけど―――」 こなた「あ!」 みゆき「え?」 こなた「今ピコーンって出た!閃いた!頭の上に電球ついた!」 みゆき「え?え?」 こなた「鶴だよ!鶴!千羽鶴折ろうよ!つかさのために!」 みゆき「千羽鶴・・・ですか。いいですね!早速今日のHRに少し時間をお借りして皆さんに協力してみましょう!」 HRでの千羽鶴の審議は異議を唱えるものもなく、我ながら見事な策であった。 これは孔明もびっくりですよ奥さん。 黒井先生「一日一個クラスみんなで鶴折ればすぐやすぐ!みんなおもっきしがんばりやー!」 一同「「はーい」」 黒井先生「あ、白石ー、お前は休みの人の分も折ってなー」 白石「えぇ!?」 つかさ「おねえちゃ~ん、ここ分からないんだけど~」 かがみ「またぁ?まったくもうしょうがないわねあんたはー」 こなた「かがみんかがみん、あたしもこっからずっとわかんない」 かがみ「お前はもう少しまじめにやれ!」 こなた「なんだよ~つかさにだけ甘いんだもんなーかがみんはー」 かがみ「あんたももう少しまじめにやってくれれば教えようって気になるんだがな・・」 新しい(といっても元に戻っただけなんだけど)生活はとても楽しいです。 病院にいたころが嘘みたいに体が軽いんです。 つかさ「ねぇお姉ちゃん」 かがみ「んー?またわかんないの?」 つかさ「私、戻ってこれてよかったよ」 こなた「んあ、つかさ、何言ってんの?」 かがみ「何かこないだからたまに変なこと言うのよねーこの子」 かがみ「変なものでも食べたのかしら?」 つかさ「あはは、違うよ~。でも、戻ってきたんだよ。私。ずっと一緒だよ」 かがみ「まったくこの子は。甘えん坊さんなんだから」 こなた「フラグ?これフラグ?」 かがみ「アホなこと言ってないでさっさと問題解きなさい」 つかさ (そういえばゆきちゃんはこないのかな・・・?) つかさ「ねぇお姉ちゃん、今日はゆきちゃんこないの?」 かがみ「ゆきちゃん?誰よそれ。漫画キャラか何か?」 つかさ「え・・・?」 こなた「つかさ~、あたしですら二次元と三次元の区別はできるっていうのに~」 つかさ「え?え?みゆきちゃんだよ。高良みゆきちゃん。同じクラスの!」 こなた「高良みゆき・・・?そんな人うちのクラスにいないよ?」 つかさ「えぇ!?眼鏡かけて、おっとりしてて、いつもこなちゃんが天然記念物っていってるゆきちゃんだよ!?」 かがみ「つかさぁ~、あんた夢でも見てたんじゃないの?夢と現実ごっちゃにしちゃだめよ~」 つかさ (ゆきちゃんが・・・いない・・・?) つかさ「冗談・・・だよね・・・?ゆきちゃんがいないなんて・・・嘘・・・だよね・・・?」 かがみ「つかさ・・・あんたほんとに大丈夫?ちょっと混乱してるんじゃない?」 つかさ (そうだ、これは夢なんだ。寝ておきたらきっとゆきちゃんもいるはずだよ。うん) つかさ「あは、はは。そうかもしれないから、ちょっと横になってくるね。ごめんねこなちゃん、お姉ちゃん」 こなた「お気になさらずにー。ちゃんと正気に戻ってよー」 かがみ「ゆっくり休んでらっしゃーい」 そうだよ。これは夢なんだよ。 ・・・どこからどこまでが夢なんだろう。 もしかしてこの世界自体が夢・・・? ・・・そんなはずないよ。みんなここにいる。私もここにいるもん。 早く寝て、起きて、夢を覚まさなきゃ! つかさ「・・・・・・ぅ、うん」 つかさ (朝・・・きっとこの世界は本当の世界だよ。ゆきちゃんもいるはずだよ、うん) つかさ「あ、お姉ちゃんおはよー」 かがみ「お、つかさ早いねー、おはよう」 つかさ「え・・・?早いって、今日学校の日だからいつもの時間だよ・・・?お休みじゃないよね・・・?」 かがみ「へ?学校?何それ?」 つかさ (えっ・・・!?な、なんで!?) つかさ「な、何って学校だよー、やだなーお姉ちゃんとぼけてるの~?」 かがみ「学校・・・学校・・・?がっ・・・こう・・・?」 つかさ (・・・とぼけてるっていう感じがしない・・・まさか、夢の中のゆきちゃんの時みたいに・・・) かがみ「が・・・こう」 つかさ 「・・・っ!?」 本能的に・・・危ない感じがしたんです。 だから、私は逃げることにしました。 逃げる・・・私は何から逃げてるの・・・? 私が逃げてるのは――――― 分からないよ・・・私は何から逃げてるの・・・? 大分走ったと思います。けど、おかしなことにきづいたんです。 ある地点までたどり着くと、元の場所に戻ってしまうんです。 そして何より、もっと不気味なのは・・・人に誰一人として会わないんです。 つかさ「なんで!?なんでこんなことになっちゃったの!?」 つかさ「私の!私の世界を返してよ!!なんで私から世界を奪っちゃうのぉ!」 つかさ「どうして!?わかんないよ!!誰か教えてよ!!!」 ???「「「もうわかっているんでしょ?」」」 つかさ「っ!?だ・・・だれ・・・?」 みゆき「つかささんが逃げているから、こんなことになっちゃったんですよ?」 つかさ「ど・・・どういうこと?」 こなた「あたし達が看病してるのに、つかさ一人だけ逃げちゃうなんて・・・ズルイヨネ?」 つかさ「・・・っ!?」 かがみ「つかさ・・・」 つかさ「お、お姉ちゃん・・・たすけ」 かがみ「これはね、罰なのよ。つかさ。だから、我慢してね?」 つかさ「お・・・ねぇ・・・ちゃん・・・?」 つかさ「イヤアアアアアアアアアア!!!!!」 かがみ「!?つ、つかさ!?どうしたの!つかさ?待っててね!すぐお医者さん呼んでくるから!」 その日、つかさの容態が急変した。 今まで何もなかったのに、どうして今になって突然・・・。 つかさは、集中治療室へ連れ込まれた。 あたしは・・・ただ祈るしかできなかった・・・あの子の無事を・・・。 かがみ (そういえば、こなたが千羽鶴を折ってるって言ってたな・・・) かがみ (今なら・・・千羽鶴にだってすがりたい・・・お願い・・・あの子を助けて・・・) 医者「一命は取り留めています。ですが、まだ危険な状態であることには――――」 絶対安静、面会謝絶・・・以前よりも容態は悪化してしまったらしい。 こなたが来たらなんて説明しよう・・・。 ====学校==== こなた「998・・・」 みゆき「999・・・」 こなた&みゆき「1000!!!」 こなた「できたぁぁ!」 みゆき「やりましたね!こなたさん!」 こなた「うん。早くつかさのとこへ持って行ってあげよう!」 ====再び病院へ==== こなた「か~がみ~ん!できたーーー!!!って何で廊下に出てるの?」 かがみ「病院で大声だすやつがいるか!」 かがみ「・・・張り紙してあるでしょ・・・容態が悪化して、面会謝絶なのよ・・・」 こなた「むむむむむ・・・」 こなた「そんなの関係ないさ!あたしはこの千羽鶴を届ける為に来たんだから!」 かがみ「で、でも・・・」 みゆき「・・・そうですね、千羽鶴を渡すくらいなら、大丈夫じゃないですか?」 かがみ「みゆきまで!?」 かがみ「んんんん・・・しょうがないわね・・・」 こなた「よし、決まりだね!じゃあ行こうー!」 かがみ (つかさ・・・がんばって・・・) つかさ「ぅ・・・う、ここ・・・は・・・?」 つかさ「みず・・・うみ?綺麗・・・」 つかさ「あれ、水面に誰か写ってる・・・これは・・・?」 みゆき「つかささん、ファイトです!」 みゆき「つかささんはきっと良くなりますよ、かがみさん。元気出してください」 つかさ「ゆきちゃん・・・」 こなた「つかさの寝顔も可愛いねぇ~」 こなた「つかさなら、なんとかしてくれる!みたいなね・・・元気だして、かがみん」 つかさ「こなちゃん・・・」 かがみ「つかさ・・・早くよくなって・・・一緒に・・・」 かがみ「ずっと一緒にいるからね・・・」 つかさ「おねぇちゃん・・・」 つかさ「私・・・私・・・」 つかさ「みんな・・・ごめんね・・・私・・・私だけ逃げてた・・・!」 つかさ「みんなだって辛かったよね!苦しかったよね!なのに、私・・・!」 つかさ「ごめんね・・・ごめん。私が間違ってたんだよね・・・」 つかさ「私・・・・・・りたい・・・」 つかさ「私!もといた世界に帰りたい!!」 つかさ「辛くても、苦しくても、病気でもいい!みんなと一緒にいたい!!」 つかさ「わたしも!!みんなといっしょにいたいよ!!!」 ・・・瞬間、景色が大空の大パノラマに切り替わった。 その中で、いくつもの思い出が切り替わりながら私は落ちていく。 途中、幾度と鶴の大群に出会った。切り替わる景色の中、変わらずに彼らはいた。 まるで、こっちだよこっちだよと誘導するように。 次に目を覚ました時、私は病室のベッドの中にいた。 お医者さんの話では、意識を取り戻したのは奇跡としかいいようがないらしい。 おねえちゃんは泣いてました。もちろん私も泣いてました。 こなちゃんも、ゆきちゃんも。みんな私の為に泣いてくれました。 私もみんなと一緒に泣きました。だって、いつでもみんなと一緒だから。 窓の方に目をやると、クラスで作ってくれたという千羽鶴が飾ってありました。 窓の外には・・・まるで千羽の鶴が羽ばたいているかのような雪景色が広がっていました。 これで、私の闘病記を終わります。この後の事は私にもどうなるかわかりません。 もしかしたらすぐ死んじゃうかもしれないし、生きながらえるかもしれません。 けど、ひとつだけいえることがあります。それは・・・ もう、逃げ出さない。いつでもみんなと共に・・・。 つかさ「みんな、ありがとう」
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日曜の午前中、私は街中を散歩をしていた。 昨日の大雨が嘘のような青空、私の心とは反対に雲ひとつ見えない。 普段なら家でネトゲでもしていただろう。でも、家にいてもかがみのことばかり考えて、辛くなるから。 気分が少しは晴れるかなと思ったけど、私の予想とは360°違った。 ……って、一周してるや。180°ね。 時間が経てば、季節が変われば、いずれ忘れられると思っていたけど、胸に刺さったトゲは、未だに抜けないまま。 歩いていくうちに、町外れの公園に着いていた。 誰もいないのが逆に嬉しかった。誰にも干渉されず、一人でゆっくりできるから。 「ふう……」 家からこの公園までは結構キョリがあり、疲れ切った足を癒すためにブランコに座った。 それからしばらく、ずっと空を眺めていた。かがみへの気持ちは、収まらない。 「……大好き」 ついに我慢できず、空に向かってそう呟いた。誰もいなくて、本当に良かったと思う。 「……私は……かがみのことが……大好き」 でも、呟いたからといって、何かが変わるワケもなく。私の心を虚しさが通り抜けていった。 ――少しくらい、私達に相談してもいいのよ? 私達は―― その後、かがみが何を言おうとしていたのかは、なんとなくわかる。 言われなくて、よかった。『親友』なんて言葉を聞いていたら、確実に暴走していただろうから。 だけど……なんで、言わなかったんだろう? 本当に恥ずかしかったのか、それとも…… どのくらい時間が経っただろう、チャプンという音と足の冷たい感触で我に帰った。 「あ……」 ブランコの下の窪みにあった、昨日の大雨でできたのであろう水溜まりに、私は足を突っ込んでいた。 靴を履いてはいるものの、隙間や足首から水がしみ込んでくる。 靴の中がグショグショで気持ち悪かったが、不意に笑みが零れた。それは、自虐の笑い。 晴れ渡った町で、私の靴だけびしょ濡れ。それが私を表しているようで、なんだかおかしかった。 〈Love is the mirage... ~せつない恋に気づいて~〉 このままここにいてもしょうがない、私はグショグショな靴のまま家に帰った。 ゆーちゃんが元気よく「お帰りなさい」と言ってきたけど、私は靴下を洗濯機に放り込み、無言のまま部屋へと戻った。とにかく一人になりたかったから。 「ふう……」 ベッドに仰向けに寝、思わず溜め息がこぼれる。疲れもあったのだろうが、原因はそれだけではなく…… 「やっぱり、諦めきれないんだな……」 諦めようと思えば思うほど、余計に心が痛む。 本当は、諦めたくない。かがみと付き合いたい。でも……諦めるしか、出来ないじゃない。 私の思いは、絶対に届かないんだから…… 「こなたお姉ちゃん、入ってもいい?」 ドアをノックする音とゆーちゃんの声。 「いいよ。何の用?」 身体を起こして返事をすると、ゆーちゃんが不安そうな顔で入ってきた。 「こなたお姉ちゃん、何かあったの? 元気がないみたいだけど……」 「……なんでも、ないよ……なんでも……」 「嘘。こなたお姉ちゃん、何か悩んでるんでしょ? 前から溜め息ばっかりだし」 ゆーちゃんはかがみ並みに……いや、それ以上に、私をよく見ている。 これが普通の悩みなら、相談するんだけど…… 「言っても、ゆーちゃんにはわからないよ」 「……」 帰って、と言わんばかりに横になる。実際、早く出ていって欲しかった。 「確かに、私にはわからない悩みかも知れないけど……一人で抱え込むより、少しは楽になると思うな」 「え……」 横になったまま顔を動かして、ゆーちゃんの顔を見る。 その顔は真剣そのもの、いつもの優しいゆーちゃんの顔ではなかった。 「それに私、こなたお姉ちゃんに頼ってばかりだもん。たまには私を頼って欲しいな」 ……負けた、かな。ゆーちゃんの親切心に、私の心が。 そう言われると、頼らなざるをえないじゃん。卑怯だよ。 でも、負けは負け。私は身体を起こしてゆーちゃんの顔を見る。 「ゆーちゃん。今から言うことは、全部本当のことだから、覚悟して聞いてね」 「う、うん……」 私の言葉に、ゆーちゃんが身構える。私は小さく息を吸い込み……覚悟を決めた。 「私、かがみのことが……好きなんだ。友達としてじゃなく、恋愛感情で」 「……え……?」 予想だにしてなかったのだろう、私の言葉を聞いたゆーちゃんが驚きで口をおさえた。 「私はかがみが欲しい。かがみとずっと一緒にいたい。だけど、私もかがみも女の子……」 「……」 スカートの裾をギュッと握り締めたままのゆーちゃんを無視して、私は喋り続ける。 最初は喋るのに抵抗してたけど、一度喋り始めると止まらなくなるから不思議だね。 「私は、かがみに告白したい。でも、かがみは私を友達としか見てくれてない至極まともな女の子。告白したところで、受け入れてくれるはずもない。 断られて、元の生活に戻れるとは思えないし、もしかしたら、私を軽蔑するかもしれない。そうなったら……傍にいることはできない」 小さく溜め息をつき、天井を見る。特に意味はないけれど……なぜだか、ゆーちゃんの顔を見たくなかった。 「いくら思ったって、私の恋は、絶対に叶わないんだ。だから諦めようとしてるんだけど……諦め切れないんだよ……」 瞳から、涙が溢れた。我慢してはいたけれど、涙腺が耐えきれなかったみたい。 「……どうして、諦めなくちゃいけないの? そんなの、会う度に辛くなるだけだよ」 その言葉に驚いた私は、ゆーちゃんの顔を見た。 さっきまでの顔はどこへ行ったのだろう、なんだかイラついているようにも見えた。 「やってもいないのに、なんで諦めてるの? まだわからないじゃない」 「わかるよ。常識的に考えて。同性に恋をするなんて、おかしすぎるじゃない」 「……何を持って常識なんていうの? 同性結婚が認められてる国だってあるんだよ?」 前言を撤回しよう。ゆーちゃんは、本当にイラついているみたい。 こんなゆーちゃん……初めて見る。 「芸能人と一般人との結婚もある。日本人とアメリカ人との結婚だってある。だから不可能なんてないんだよ。やろうと思えばなんだってやれる けど、こなたお姉ちゃんは何かしようとした? 何もしてないでしょ? ただ怯えてるだけなのを『常識』っていう言葉のせいにしてるだけでしょ!?」 ものすごい剣幕で言い寄ってくるゆーちゃんに、私は何も言えなかった。 しかも……ゆーちゃんの言葉は、まさにその通りだったから。 「かがみ先輩だって、告白したくらいじゃ軽蔑しないと思うよ。もしそうだったら、友達にだってなってないよ それに……もし何かあったとしても、私はずーっと、こなたお姉ちゃんの味方だから」 ゆーちゃんの言葉の一つ一つが、私の心の傷を塞いでいく。 気付けば私は、ゆーちゃんに抱きついていた。大粒の涙を流しながら、きっとあざが出来てしまいそうなくらい、強く。 「ひゃわ!?」 「ゆ……ゆーちゃ……あ、あり……が……ああああぁぁ……!」 痛がる素振りも、嫌がる素振りも見せずにゆーちゃんは、ただ私の頭を撫でてくれていた。 「私、頑張るよ。頑張ってかがみに告白して、かがみと付き合う」 あれから数分後、私はゆーちゃんの目の前で誓った。 ゆーちゃんが教えてくれたことは、諦めるよりも、何かを求めて傷つく方が良いということ。 私を励ましてくれたその気持ちを、踏み躙るわけにはいかない。 「じゃあ、約束だね」 ゆーちゃんが左手の小指を出してくる。指切りなんて、何年ぶりだろう。 そう思いながら、私も小指を出してゆーちゃんのと絡ませる。 『ゆ~びき~りげ~んま~ん、う~そつ~いた~ら……』 そこで、二人の声が途切れる。どうやら、同じことを考えていたようで。 「本当に針千本飲ませるわけにはいかないよね、さすがに」 「何か他にないかな……約束を破った場合……」 「あ、じゃあさ……」 ゆーちゃんがほんの少しだけ顔を紅くしてこっちを見てきた。 「私と付き合うっていうの、ダメかな?」 ……………はい? 「え、えと、だから、かがみ先輩と付き合えなかったら、私と、付き合うっていうの……ダメかな……//」 耳まで真っ赤になった顔を見て、やっと私は気付いた。 私がかがみに恋心を抱いているように、ゆーちゃんも、私に恋心を抱いていることに。 でも、ゆーちゃんの言っていることは…… 「いい、の……? だって、もし告白が成功したら……」 「いいの。一番大事なのは、こなたお姉ちゃんの気持ちだから。こなたお姉ちゃんが幸せなら、それでいいから。だって、こなたお姉ちゃんが……好きなんだもん」 ……ああ、なんで私はあんな程度のことで悩んでたんだろうか。 同性の友達に恋をした私なんかよりも、同性の『血縁者』に恋をしたゆーちゃんの方が、よっぽど辛い思いをしてたはずなのに…… それでもゆーちゃんは、私を…… 「ありがとう、ゆーちゃん……」 それだけでは、感謝の思いを伝えきれないけれど、優しく微笑んでくるゆーちゃん。多分、わかってくれてるんだと思う。 「あ……あれ……?」 刹那、瞼が重くなった。さっき泣いたせいだろう、ゆーちゃんの顔がぼやけて見えてきた。 「お姉ちゃん、眠くなっちゃった?」 「う……うん……」 私は睡魔を我慢できず、そのまま床に倒れそうになった。 固い床の衝撃がくると思いきや、柔らかく温かい感触が顔を包み込む。 言うまでもなく、そこはゆーちゃんの胸の中だった。 「いいよ、ここで寝ても」 「ありがと……ゆー……ちゃ……」 意識が遠くなる瞬間に見たゆーちゃんの瞳は、濡れていた。 夢を見た。 私がかがみと出会ってからの出来事を、まるで走馬灯のように。 二人で過ごした幸せな時。辿れば、眩しく光っている。 もう二度と、あの頃には戻れない。だけど、それは悲しいことなんかじゃなかった。 少し前までは絶望の道が広がっていたけれど、ゆーちゃんのおかげで、新しい道が開けた。 それは、決して絶望の道なんかじゃなくて…… 全てを決めるのは、他ならぬ柊かがみ。 私の運命が良い方向に行くか、悪い方向に行くか。それは、かがみの返答次第。 例え二人の距離が離れていったとしても、私はそれを受け入れる。 だってそれが、私が選んだ道なのだから。 ――柊かがみ。私の、最愛の人―― どんな結末が待っていようとも。 私がかがみを愛していたことに変わりはない。 かがみを忘れてしまうほどの恋が胸を焦がすまで。 私はずっと、かがみの幸せを祈り続ける――
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■ルール■(今回は大幅に変更) ・冒頭に続けて文章を書く(冒頭はすぐ下) ・長さは3レスまで ☆冒頭☆ パラリ、パラリ。 紙の捲れる音が小さな部屋にこだまする。 「ああ、あった」 私は探している物を見つけ、安堵する。そして考える。 ……何をしているか説明しよう。 簡単に言うと、辞書を引いているのだ。 辞書を引き、目的の語句を見つけては、左手のシャープペンシルをすらすらと動かしている。 普段勉強などそっちのけでネトゲにのめり込んでいる私が、何故真面目にもこんなことをしているのかって? 実はこれには深ーいワケがあるのだ。 ID LyHnAQSO氏:後悔 「こなたー、まだー?」 「こなちゃん早くー」 「泉さん。時間はありますから、焦らなくても大丈夫ですよー」 …責っ付かせたり、なだめたりする声が背後から聞こえる。 ようするに、賭に負けたわたしはみんなの分の宿題をやらされているのだ。 お泊り会の余興にと、変な事提案するんじゃなかった。 ってか、つかさに負けるとは思わなかった。 ついでに、みゆきさんまで乗ってくるとは思わなかった。 『後悔先に立たず』 開いた辞書に、そんな言葉が載っていた。 ID ZJ5JuAAO氏:合成魔法 「こなた!合成魔法まだなの!?」 「もーちょっとー!」 この魔界、いつ魔物が現れてもおかしくないというが、まさか自分の部屋に現れるとは思わなかった。 そして私は今、強力な合成魔法を作り魔物を倒すため呪文辞典で呪文を探しているのである。 合成魔法のエキスパートが倒れてしまった今この魔物を倒せるのは私しかいない。 「こなた早くしてー!」 「・・・・・あ・・・あった!」 「よし、その呪文を掛け合わせるのよ!」 ・・・・・・。 こなたは硬直してしまった。 「・・・・・・ごめん、この呪文のこことここってどうやって計算するんだっけ・・・」 「は?」 「やっぱり普段から勉強しとくのって大事なんだなー・・・」 ズバッ バタッ 『GAME OEVR』 かがみ「ちょっとこなた!あんたのせいで負けちゃったじゃない!」 こなた「ごめんごめん、合成魔法ってはじめて使うから・・・」 かがみ「え?アンタこのゲーム結構やりこんだって言ってたじゃない?」 こなた「魔法の合成だけは数学みたいでやる気にならないんだよねー」 かがみ「別に合成くらい攻略本のこの表見れば一目瞭然でしょ?」 こなた「いや、攻略本は見ない主義なんで」 かがみ「一生終わらんぞ」 おわし ID Flp/hsSO氏:頑張って考えたんだよ ――翌日。 「やっほーかがみん。かがみ昨日さ、金魚の名前で悩んでたよね」 「え、うん。でm、」 「それでね私昨日かがみの為に凄い名前考えたんだ! しかも超かっこいいんだよ!」 「こな、」 「その名も『宇宙金魚の朱き龍』!」 「お、」 「宇宙金魚の朱き龍と書いて、『Space goldfish red dragon スペースゴールドフィッシュレッドドラゴン』って読むんだよーっ! カッコイイ! もうこれで決まりでしょ!?」 「……いや、もう名前決まってるから」 「え? あ、そうだよね……」 その後、こなたは自分のアホ毛に『一点集中蒼髪海流神 ワンポイントブルーリヴァイアサンヘアー』と名付け、一人盛り上がっていたという……。 ID bjl35kDO氏:だって一緒にいたいじゃん! 「ほな、来週までに進路調査表提出な~」 「むぅ~進路か~どうしようかな~」 と、そんな風にいかにも悩んでますという雰囲気を醸し出しながら周りの皆に進路先を聞いていた高3の春… 「私?私は弁護士が夢だから◎△大学行くわよ?」 「私はお姉ちゃんと同じ大学がいいけれどやっぱり私の学力じゃ…」 「お恥ずかしながら留学を考えておりまして…」 なんて皆しっかり将来考えてるんだなぁって思ってた けれど夏休みが明けたあたりから皆で同じ大学に行くことになった みゆきさんとかがみんの秀才コンビに私とつかさはスパルタで勉強した …が 「お姉ちゃん!あった!あったよ!私も!」 「おめでとうございます、つかささん、これで残るは泉さんですね」 「どう?こなた?あった?」 「ぃ…」 「え?」 「ない…私……落ちちゃった、まぁ、普段勉強しない私が急にやったって受かるはずないよねーははっ、いやーつかさに負けたのは悔しいけどしかたないか…ごめんねみゆきさん、かがみ、あんなに教えてくれたのにダメだったや」 「泉さん…」 「こなちゃん…」 「こなた……」 「なんや?落ちたんかいな?」 「Σっ!先生!」 「まだあきらめるのは早いで泉ぃ~後期が残ってるで、ま、さらに厳しいかもしれへんけど」 「……。」 「え?どないした?ウチなんか変なこと言うた?」 「そうよ!こなた!後期があるじゃない!」 「そうですよ!泉さん!これから私もさらに力を入れて教えますからがんばりましょう!」 ……ってな理由 「あぅ~頭が…」 「こなたーかがみちゃん達が来たぞー」 「待ってました!先生!」 受験まであと2週間…絶対受かる! ID bjl35kDO氏:代役 「と言うわけで臨時の方が見えるまで明日、あさっての2日間だけどなたか…」 あの時や…あの時に視線が合うてしまったからや… 英語の担当が急に病気になったさかい、代わりがくるまで代役をゆうてウチが選ばれたんや 「つまりや、訳すとこれは…あれ?toss aboutってなんや?」 さっきから調べては訳し、訳しては調べての繰り返しや あーもうあかん!なんでウチが生徒らの問題解かなあかんのや… 「そや!ネトゲで英語できるやつおったわ、さっそく聞いて…」 【ただいまメンテナンス中】 そやな、そううまく世の中は回らんわな… 「うだうだ言うてもダメや!よっし!やったるでぇ」 時刻は夜中の3時すぎ… 独身の淋しい夜が今日もまた更けていく ID g01gamoo氏:キャラ崩壊~ep.0~ 話は1週間前の日曜日にさかのぼる。 その日、ネトゲを寝落ちした私の夢の中にお母さんが降臨してこう言った。 『ゲームばっかりしてないで、勉強もしなきゃダメよ』 今思えば、この忠告は素直に聞いておくべきだった。 その時の私は若気の至りというやつで、母に反抗的な態度をとってしまったのだ。 「えー。だって、お父さんもしてるじゃん」 『そう君は、あれでも一応は立派な社会人だからいいの。こなたは、まだ学生でしょう?』 「そうかもしれないけどさぁ」 『やっぱり、素直に聞いてくれないのね……仕方ないわ、本当はこんなことしたくなかったけど』 「ふぇ?なに?なにするつもりなの?」 『かわいそうだけど、最後の手段をとらさせてもらいます。大変なことがおきるけど覚悟してね、こなた』 「えっ!?うそ!?最後の手段って……まだそんなに話し合って無いじゃん!!大変なことってなにさ!?」 『問答無用です!え~いっ!』 私はこれをただの変な夢だとしか思っていなかったのだが、そうではなかった。 翌日、確かに大変なことが起こったのだ。 「おはよー、かがみにつかさ」 「……誰よ、あんた?つかさ、知ってる?」 「……ううん。初めて会ったけど」 「えっ?……ちょ、ちょっと、変な冗談はやめてよ、かがみ」 「お姉ちゃん、同じクラスの人とかじゃないの?」 「自分のクラスの人間の顔くらい覚えてるわよ」 校舎の前で会ったかがみとつかさに、私達の関係を完全否定されてしまったのだ。 それだけではなかった。 「おはようございます、みなさん。どうかされたのですか?」 「おはよう、みゆき。ちょっとね、変なヤツにからまれちゃって」 「ゆきちゃん、おはよー。えっとね、この人が私達に挨拶してきたんだけどね……」 「み、みゆきさん!みゆきさんは、私のことわかるよね!?」 「ええ。同じクラスの泉さんですよね。こうして言葉を交わすのは初めてですが」 「そっ、そんなぁ……」 「あの、大丈夫ですか?顔色が優れないようですが?」 「あ、うん。大丈夫……です……」 その後、かがみとつかさ、それにみゆきさんは私を置いて3人で校舎へと向かった。 何も考えられなくなった私は、その日は学校に行くことをやめた。 まっすぐに家へと戻り、シャワーだけ浴びると、すぐにベッドにもぐりこんだ。 何もする気が起きなかったから。 やがて私が眠りにつくと、前日と同じように夢の中にお母さんが降臨した。 『こなた、少しは反省したかしら?』 「……うん」 『そう。それじゃあ、ちゃんと勉強も頑張るって約束できる?』 「……うん、約束するよ。だからさ、かがみ達を元に戻してよ」 『わかったわ。こなた、両手を出しなさい』 その言葉に従って差し出した手の上に、広辞苑レベルのやたら分厚い本が置かれた。 表紙には、何故か私の名前が書かれている。 『その辞書には、あなたの記憶がその記憶を表すキーワードと一緒に刻まれているの。もちろん、かがみちゃん達との思い出も』 「それで、私はこれをどうすればいいの?」 『あなたが取り戻さなければならないすべての記憶、その記憶にまつわるキーワードをこのノートに記しなさい』 そう言って、お母さんは3冊のノートを取り出した。 ノートにはそれぞれ、柊かがみ、柊つかさ、高良みゆき、と名前が書かれている。 「えっとさ、こんなこと言うのアレなんだけどさ……もっと簡単に戻せないの?こう、どばーっと一気に」 『別にいらないって言うのなら、このノートはあげないし、辞書も返してくれていいのよ?』 「うう……ごめんなさい。自分で招いた結果なのに、楽をしようと考えた私がバカでした」 『よろしい。それじゃあ、これをあげるわね。猶予は明日の朝4時よ。頑張ってね、こなた』 「ええっ!?ちょ、それなんて無理ゲー!?短すぎるよっ!!」 私は母の姿が消えた直後に目を覚ますと、慌ててベッドから飛び起き、時計だけ確認してすぐに机にむかった。 そして、手に持っている辞書を猛スピードで捲り、最初のキーワードとなる『偶然』や『出会い』という単語をみんなのノートに描き込んだ。 ☆ そして、現在の時刻は深夜2時。 辞書を引き始めてからかれこれもう14時間にもなる。 ここにきて、ようやく最後のページを捲り終えた。 「やった……やっと、終わった……」 半日以上にわたり集中力フルパワー状態で体と頭を酷使し続けたせいで、もうくたただ。 すべては終わった。もう寝よう。 そう思いベッドに向おうとしたその瞬間、私の脳裏にふとすばらしい考えがひらめいた。 コホン。えー……諸君、心して聞いて欲しい。 間に合ったと言う達成感。 そして、今日経験した絶望的な寂しさから抜け出せると言う喜び。 さらには、安堵感からくる眠たさ。 これらのことから、今の私は正常な思考ができる状態ではないと言えよう。 だから、これから私がやろうとしていることっていうのは、ほんの出来心な訳で。 神のいたずら的なアレというか、小悪魔の囁き的なアレというか。 つまり、私は悪くないし、これだけ頑張ったんだから、ご褒美くらいあってもいいし。 私がかがみのノートに今からある言葉を書き込んじゃうのは、偶然と言う名の必然と言う名の偶然。 誰も悪くない。もちろん、私も悪くない。オーケー? えいやっ、と辞書に無いはずのキーワードをかがみのノートに書きなぐってから、私はベッドに飛び込んだ。 どうか、私がこんなことしたのをお母さんが見ていませんように、と願いながら。 ……見ててもいいから、見逃してくれますようにっ! ☆ 翌日、というよりは私が寝てからほんの数時間後。 かがみとつかさは、いつもの集合場所で私のことを待ってくれていた。 「おはよー、かがみにつかさ」 「おっす。こなた」 「こなちゃん、おはよー!」 よかった。2人が私のことを認識してくれた……んだけど、つかさの様子がおかしいような……? 「つかさ、今朝はなんだか元気――」 「こなちゃん!そんなテンションじゃ、俺より強いヤツを探してる人とか全方位において負けが無い人達に負けちゃうよ!?」 「……か、かがみ、つかさはどうしちゃったの?壊れたの?」 「え?何が?いつも通り元気でつかさらしいじゃない」 「うひゃーっ!わたし、なんだかワクワクしてきたよっ、こなちゃん!引かない!媚びない!省みない!我が生涯に一片の悔いなーしっ!」 あああああ。つかさが頭髪を金色に輝かせて、天に向ってオーラを立ち上らせて、凄い動きをしながら「師匠ー」って叫んでる…… 漫画が違うよー。こわいよー。 「ところで、こなた。今日の放課後さ、体育館の裏に来て欲しいんだけど……ダメ?」 「え?……い、いや、別にいいけど」 「何よ、その態度。イヤなら別に断ってくれたらいいのよ?」 「べ、別にイヤじゃないよっ!むしろ、喜んで行くよっ!」 壊れてしまったつかさはどーでもいい。 今の私は、かがみのことが非常に気になるのだ。 何故なら、私は昨日かがみのノートに…… 「そう?そんなに乗り気なら、放課後じゃなくて今でもいっか」 「ふぇ!?い、今デスカ!?……ひ、人がいっぱいいるじゃん。恥ずかしいよ。告白はやっぱり人気の無いところのほうが……」 「ああ、大丈夫よ。私がしたいのは告白とかじゃなくて、もっと肉体的かつ直接的なスキンシップだから」 「ふわぁっ!?ぬ、脱いだ!?かがみが脱いだっ!!……た、助けてぇーっ!お母さぁーんっ!」 かなたはノートから目をはずすと、悲鳴をあげて全裸のかがみから逃げ惑うこなたの姿を天上から覗いて、溜息をついた。 『自業自得……かしらね。もっと勉強させなきゃダメかしら』 かなたはそう呟くと、こなたが昨晩必死で書いたノートに視線を戻し、今現在の騒動の原因となった単語を改めて見つめなおす。 眠たさゆえか、学力のなさゆえか、はたまた凡ミスか……こなたが間違って記してしまった単語を。 みゆき:無的 つかさ:天燃 かがみ:変 ID C5N4Q2AO氏:無題 かがみ「珍しいわね、アンタが辞書片手に書き取りしてるなんて」 こなた「さすがに私も何時ももれなく遊んでるわけじゃないよー」 つかさ「私手伝っていい?」 こなた「え・・・いや・・・その・・・・・・、私一人の力でやりたいんだよ!」 つかさ「え、そうなんだ・・・」 かがみ「遠慮しなくていいわよー♪」グイッ こなた「アッー」 かがみ「ん?・・・・・『エッチ』・・・変態の意。hentaiの頭文字をとったもの。・・・陰・・・男子の生殖器の一部で、さおのように伸びたりする部分。・・・強姦・・・・・・・・・」 こなた「いやー暇な時辞書があるとついそんな単語ばっかを・・・」 かがみ「お前は思春期の中学生か」 ID E39Zayw0氏:ネトゲのためなら 数日前のこと。 ネトゲもやりつくして退屈だった私は、お母さんの部屋をたずねた。 世間にはラノベ作家として有名なお母さんだけど、その辺のオタクたちが束になってもかなわないほどのスーパーオタ女でもある。 そんなお母さんなら、マイナーだけど面白そうなネトゲでも知ってるかもしれないと思ったのだ。 部屋に入ると、お母さんはちょうどパソコンに向かってネトゲ中。 画面をのぞいてみると、そこはカオスだった。 アルファベットや日本語、中国の漢字、ハングル文字、なんかミミズのようなよく分からない文字までがごたまぜになったチャットが、ものすごい勢いでスクロールしてる。 お母さんは、鼻歌まじりに、そのカオスなチャットと戦闘コマンドを神速のキーパンチでこなしていた。 モンスターを倒すと、チャットのスピードがやや落ちた。 お母さんは、パーティメンバーとのチャットをこなしながら、 「ん? どしたの?」 「お母さん、これ、何言ってるか分かるの?」 「分かるよ。最初は苦労したけどね。基本的な会話とスラングとアスキーアートさえ分かれば、とりあえずは大丈夫」 このネトゲは、世界でも難易度最高クラスのMMORPGで、世界中のディープなネットゲーマーたちが集っているそうだ。 コンピューターが扱える文字なら使用言語は自由というルールのため、ゲーム上の会話は国際色豊かすぎるカオス状態。 「いやぁ、世界中の文字を表示するのに、フォント入れまくったよ。エリアごとにモデルの国があってね。NPC(ノンプレイヤーキャラクター)は、そのエリアの言葉で話すんだよね。新しいエリアに行くたびに、辞典めくりまくり」 お母さんは、「旅先でよく使う各国語会話辞典」なる本を手に取った。 「ちなみに、このエリアはスワヒリ語だね」 なんという凝った設定だ。 泉こなた──我が母は、ついにこの域にまで到達してしまったのだ。 お母さんは、朝までそのネトゲで遊び続け、私は後ろからその画面を眺めていた。 チャットの内容はさっぱり分からないけど、雰囲気は伝わってくる。 なんだかとても楽しそうだった。 ネトゲからいったん落ちたお母さんが、 「やってみるかい?」 「チャットが大変そうだよね」 「大丈夫だよ。古参は初心者相手なら英語であわせてくれるし、『English OK』モードにすればNPCの会話もみんな英語になるから。初心者用の練習エリアもあるしね」 お母さんはことなにげにそういったけど、私の英語の成績からすれば、それは最高難易度だといってもいい。 というわけで、私は英語をマスターすべく辞典をめくっているのである。 スラングやネトゲ用語はネットで検索するとして、基本的なところはよく使う文章を辞典を見ながら訳して覚えるしかない。 とりあえず、流れるような英語の会話を見た瞬間に理解できるようにならないと。 その後、私の英語の成績が急にあがって、クラス担任の黒井先生を驚愕させたというのはまた別の話。 ID J7t352SO氏:意地 「ねえ、お母さん…無理しなくていいんだよ?」 後ろから、何と言うか気遣うような声。 「…無理してないよ。いいからお母さんに任せなさいって」 その声の主が自分の娘ってのが、なんとも情けない。 「もう…変なところで意固持なんだからあ」 娘が呆れた声をあげる。 そりゃ意地にもなろうというもの。 『たまには親を頼りなさい』なんてカッコつけて娘の宿題を手伝いだしたのだから、この泉こなたの名にかけても、やり遂げなければならないのだ。 「…こんなの習ったっけ…」 名をかけても、解らない所はやっばり解らない。 こんな事なら、学生時代にもう少し真面目にやっとけばよかったよ。 「…お母さん…頭から煙りでてるよ」 「うるさい、気が散る。少し黙ってて」 「…もう…提出間に合うのかな…あ、ちゃんと読める字で書いてね」 誰に似たのか、生意気な子だ。 「…こんな無理してくれなくても、お母さんの事好きなのにね」 …ホント生意気な子だ。