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(ある日差しの穏やかな午後) ゆっくりプレイス。そこはとても広い草原だった。 そこに集まったおよそ100匹のゆっくり達は思い思いにゆっくりしていた。 草を食む者、バッタを追いかけ遊ぶ者、あるいは日向ぼっこを目一杯楽しむ者。 そこに現れた男が二人。背には竹籠、手には鉤付きの棒を持っていた。 ゆっくり達に緊張が走る。しかし誰も逃げ出さない。 あの人間達は自分達を捕まえに来たのかもしれない。 しかし、単に自分達と一緒にゆっくりしようとやって来たのかもしれない。 事実、そんな人間も中にはいるのだ。そして彼らは決まって自分達に甘いお菓子をくれる。 不用意には近づけない。しかしお菓子は欲しい。ゆっくり達は態度を決めかねていた。 「うーん。本当にゆっくりがいなくなってるとはなぁ。 森にもいない。巣にもいない。池や川のほとりにもいない。 いつもならこの草原に沢山居る筈なのにやっぱりいない。 あの先生の言ってた事は本当だったんだなぁ。」 「だから言っただろう。先生に頼めば一発だって。 先生はこの近くに住んでいる人の中で一番頼りになる人なんだよ。美人だし。 不思議な能力を持ってたり、綺麗な弾幕を張ったりだって出来る。それに美人だし。」 「・・・。ま、まぁ確かに美人だな。しかしまさか一晩でゆっくりを消すだなんて。 一応狩りの用意をしてゆっくりを探しに来たがとんだ無駄足だったなぁ。」 「まったくだ。俺達のじいさまの代から駆除しても駆除しても増え続けたゆっくりを たった一晩で全部消してしまうなんて。その上美人だし。」 「(もういいって・・・)」 男達は里に住む農家だった。畑に悪さをするゆっくりに困りはて人外の先生に駆除を依頼したのだ。 先生は里に住む全ての人間を集め『一晩ですべてのゆっくりを消す』と宣言した。 この二人はそれを確かめるためにゆっくりを探していたのだった。 「いやーしかし、今までここにはゆっくり狩りでしか来たこと無かったから気付かなかったが いいところだなぁ。ゆっくりに占領させておくのはもったいない。 日当たりはいいし、風も気持ちいい。奴らがゆっくりしたくなる気持ちもわかるよ。 俺達もすこしゆっくりしていこうか。」 「ははは、馬鹿なこと言ってんじゃねーよ。カミさん達に畑任せっぱなしなんだぞ。 しかしまあ一服くらいしてもバチは当たらんだろ。」 そう言うと男達は笑いながら煙草をくわえ火を付けた。 「ゆー。あのひとたちはどうやらゆっくりできるひとのようね。」 「やっぱりぱちゅりーもそうおもう?あのひとたちなんだかゆっくりしてるみたいだよ。」 「あっなにかたべてるよ。れいむたちももらいにいこう!」 談笑中の男の足下に集まるゆっくり達。 「ゆっくりしていってね!!!」 「いっしょにゆっくりしようね!」 「まりさにもそのたべものをちょうだいね。」 しかし男達は足下のゆっくりに気付かない。無視しているのではなく本当に気付いて無いのだ。 だが無視されたと感じたゆっくり達は体をふくらませ威嚇し始めた。 「どうしてむしするの!ゆっくりできないひとだね!」 「ゆっくりできないひとはでていってね!」 「はやくそのたべものをくれないとほんきでおこるよ!」 ついに男の足めがけて体当たりを始めるまりさ。 「じゃあそろそろ行くか。今度は家のちび共も連れてピクニックにでも来よう。」 「そりゃいいな。たまには仕事ばかりじゃなく子供とも遊んでやらんとな。」 男の一人が咥えていた煙草を足下に落とす。それを見たまりさは大口をあけてとび跳ね そのままぱくんと飲み込んでしまった。 「!!!!!!!あああああぢゅいいぃぃぃぃいぃぃ!!!!」 「おいおい、煙草の火はちゃんと消さないと駄目じゃないか。火事でも起きたらどうする。」 「おっと。あぶねぇあぶねぇw」 「き゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛ま゛り゛さ゛を゛ふ゛ま゛な゛い゛て゛え゛え゛ぇ!!!」 グリグリと頭を踏みつけられたまりさは餡子を吐きながらピクピクを痙攣する。 それを見た仲間たちは男の前にたちはだかり次々に叫びだす。 「まりさになんでごとするのおおおお!!!」 「おじさんはゆっくりあやまってね!」 「こんなことするおじさんとはゆっくりできないよ!」 しかし次の瞬間。 「ぎゃああああああ!!!」 「やめて!なんでこんなkぶびゃああああ!!!」 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!ゆっkぐへぁあああああ!!!」 歩きだした男達に踏まれ罵声は悲鳴に変わる。 男達が去った後。そこには餡子を吐き出し苦悶の表情を浮かべ息絶えたゆっくりと その周りでただ泣くことしか出来ないゆっくりが残った。 (数日後 人間の里の畑) 「ふぅ・・・またか・・・」 そこには荒らされた自分の畑を見てため息をつく老いた一人の農夫がいた。 つい先日、先生がすべてのゆっくりを消してくれたおかげでゆっくりが畑を荒らす事はなくなった。 しかし、今度はべつの生物が自分の畑を荒していたのだ。 「今度の奴はいったいなんなんだ。きっと恐ろしく頭のまわる奴だぞ。 罠はすべて起動しているのに死体が一つも残ってないなんて・・・」 農夫が仕掛けた数々の罠。落とし穴や毒入りのエサ、対ゆっくり用の超小型地雷。 そのすべてがまったく機能していない様に見えた。 「こりゃぁ新しい罠を考えなければならんのぉ」 またため息を一つつくと農夫はとぼとぼと家路についた。 一方落とし穴の底では。 「ゆぎゃああああ!!!いだいよおおおぉぉぉおおぉぉ!!!!」 「だれがだずげでええええ!!!このままじゃじんじゃうよおおお!!!」 「のぼれないよ!だれかゆっくりたすけてね!こんなところじゃゆっくりできないよ!」 穴の底に仕掛けてあった杭に串刺しにされたゆっくりや 運よく杭を逃れたものの上に登れず泣き叫ぶゆっくりの姿があった。 「れ゛い゛む゛の゛あ゛か゛ち゛ゃん゛か゛あ゛あ゛あ゛!!と゛う゛し゛て゛な゛の゛お゛お゛お゛!!」 「あ゛ん゛こ゛か゛と゛ま゛ら゛な゛い゛よ゛お゛お゛ぉぉぉぉ!!!」 地上もまた地獄だった。 毒を食らい青黒くなって息絶えた子供たちの前で絶叫する母れいむ。 少し離れたところには地雷を踏み破れた皮から餡子を流し続けるありすがいた。 しかしゆっくりにとっては確かに地獄であったがこれは里の人間にとっては日常だった。 唯一いつもと違う点は人間達にゆっくりの姿が見えず声が聞こえない事だけだった。 (さらに数日後 虐待おにいさんの家) 「どうしても行くのか?」 「ああ、行く。この里のまわりに住むゆっくりはすべていなくなってしまった。 それどころか家で飼っていた虐待中のゆっくりもだ。 ゆっくりを虐められないなんて・・・この状況は僕には耐えられない。 だから僕はゆっくりを求めまだ見ぬ土地へ旅に出る。他の土地ならまだ生きたゆっくりがいるはずだ!」 「そうか・・・決意はかたいんだな。しかしこの部屋の散らかり具合はいったいどうしたっていうんだ?」 おにいさんの友人は部屋中に散らかった虐待グッズを見てあきれ顔で聞いた。 「ははは。いやぁ実はどの虐待グッズを持って行ったら良いか悩んでしまってね。 どれもこれも素晴らしい逸品なんだがすべては持っていけないからねぇ。」 「はぁ・・・」 その時開け放たれていた縁側からゆっくりれいむの一家が部屋に入ってきた。 「ゆ!ここにはおもしろそうなおもちゃがたくさんあるね!」 「みんな!きょうはここでゆっくりしていくよ!」 「「「はぁ~い!」」」 「そういうわけだから、おにいさんたちははやくれいむのうちからでていってね!」 早くも自分の家宣言をするれいむ。 しかしおにいさん達はそれにまったく気付かず持っていく道具の吟味を続けていた。 「これなんてどうだ?透明な箱。やっぱり基本は外せないんじゃないか」 「うーん。僕もはじめはそう考えたんだが・・・これって結構かさばるんだよねぇ。それに・・・」 「それに?」 「基本中の基本だからさ、わざわざ持って行かなくてもゆっくりがいる土地なら必ず店で売ってると思うんだ。」 「なるほど。そうなると持っていくのは小さくて他では手に入らない物か。 そういやこれはなんだ?店では見たこと無い。ひょっとして自作した物?」 「ちょっとおにいさん!れいむのことむししないでね!はやくでていってね!」 「もういいよおかあさん!それよりこのへやにはおもしろそうなものがたくさんあるよ!」 「ああこれね。これは僕が作ったやつ。ゴム製の疑似餌だよ。 ゆっくりが好きな果物だよ。しかも香り付きだからゆっくりはすぐだまされるんだ。」 「ほぅ。」 「例えばこんな風に箱の中に入れてさ。」 おにいさんが近くにある透明な箱の中にゴム製の疑似餌を入れる。 「ゆ!!!おいしそうないちご!!!」 「いただきま~す!!!」 二匹の子れいむがそれにつられて箱の中に入る。 「そしてその中にゆっくりが入ったら蓋を閉じるのさ。」 「ふむ。」 おにいさんが箱の蓋を閉じる。母れいむが大声で抗議するが二人には聞こえない。 子れいむは疑似餌に夢中で気づかない。 「ふたりでゆっくりわけようね!ゆ?」 「どうしたの?」 「ゆうううう!!!なんでええぇぇ!!かみきれないよおおおおお!!!」 「なにいってるの!うそつかないでね!はやくれいむにもわけてね!」 「うそじゃないよおおお!!!たべれないのおぉぉ!!と゛う゛し゛て゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「ゴム製だしね。当然ゆっくりはこの餌は食べられないよ。 そして『と゛う゛し゛て゛え゛え゛え゛え゛!!!』とか言いながら泣き出すのを見て楽しむのさ。」 「うーん。わからんなぁ。ただ五月蝿いだけなんじゃないの?それって。」 「君にはまだ早いかもね。いずれ解る日が来るよ。」 「(いや、一生わからんと思うが・・・)」 おにいさんはゆっくりが入った箱を本棚の上にしまう。 「まっでっでねえ゛え゛ぇぇ!!!いまだすげるがらあ゛あ゛あ゛!!!」 「な゛に゛し゛て゛る゛の゛お゛ぉぉ!は゛や゛く゛あ゛か゛ち゛ゃん゛を゛お゛ろ゛し゛て゛ね゛ぇぇ!」 母れいむは届くはずのない箱に向かって懸命に飛び続ける。 一方おにいさんは残りの疑似餌を床に無造作に置いてあったトラバサミの上に置く。 「こんな風にもつかえるんだ。」 「なるほど。餌につられたゆっくりがこれを踏むとこれに捕まるわけか。」 「ゆ!みんな!おいしそうなぶどうがあるよ!」 「まって!これはれいむがたべるよ!れいむはむこうのぶどうをたべてね!」 「おいしそ~!いただきま~す!」 「「「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!!!!!」」」 一斉に子れいむを捕まえるトラバサミ。挟まれ絶叫する子れいむ。驚くおにいさん達。 「な、なんだぁ!急にトラバサミが!」 「おいおい、大丈夫なのかこれ?なんもしてないのにいきなり挟んだぞ。」 「ゆ゛き゛ゃあ゛あ゛あ゛!!!い゛た゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「お゛か゛あ゛ち゛ゃあ゛あ゛あ゛ん゛!!!た゛す゛け゛て゛え゛え゛ぇぇぇぇ!!!」 「ゆ゛っく゛り゛て゛き゛な゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」 「おっかしいなあ~。今までこんな事無かったのに・・・」 「不良品なんじゃねーのコレ?」 「えー。お値段以上印のにとり製だぜ。しかも結構高かったのに・・・」 「しかしこんなんじゃ危なくって持って行けないな。」 「うーーーーーん。」 しばしの間考え込む二人。その間にトラバサミに挟まれた子れいむ達はすべて息絶えた。 わずかな間にすべての子を失った絶望により、母れいむはただ虚空を見つめ もの言わぬ人形の様になってしまった。本棚の上で泣き叫ぶ我が子の事も忘れて。 「やっぱり道具なんかに頼っちゃだめだって事なんじゃないか? ゆっくりごとき痛めつけるのに両手両足があれば充分だろ。 それにお前いつか言ってたじゃないか。『僕はなんとかの虐待技を使える』って。」 「ああ。48の虐待技の事?」 「そう。それ。ちょっと見せてよ。あれを使ってさ。」 男が指さす先には呆然とする母れいむの姿が。奇跡が起こったのか。 おにいさんは見えないはずの母れいむに向かって歩き出す。 「え?これ?これはちょっとなぁ・・・高かったんだよこれ・・・」 奇跡・・・では無かった。男が指さしていたのは母れいむのすぐ後ろ。 ゆっくりの皮に綿を詰めたゆっくりクッションだった。 「じゃあ、まぁふりだけでもさ。」 「う、うん。そうかい・・・じゃあふりだけね・・・」 その時本当の奇跡が起こる。ゆっくりを捕まえるふりをしたおにいさんの腕に母れいむが。 「ゆ?なんなの?はやくゆっくりおろしてね!」 突然人間に捕まえられ我に返る母れいむ。だがおにいさんの二の腕からは逃れられない。 「こうやってゆっくりを捕まえてさ。」 「それから?」 「ゆううぅぅぅぅ!!ぐるじいよ!はやくはなじでね!!!」 「ゆっくりぃぃぃぃ!愛してるよぉぉぉ!!ふんぬらばっっっ!!!」 「ゆ゛き゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 「なにそれ?ただ絞め殺しただけじゃね?」 「う・・・ま、まぁ素人にはそう見えるかもね・・・」 「(こいつ、今適当に考えてやったな・・・)」 (さらに数日後 里の集会所) 「先生、実は今日お越しいただいたのは畑を荒らす謎の生物の事なんです。 先生のおかげでゆっくりは消えましたが畑の被害はまったく減らない。 しかもこいつがかなり頭の良い奴で。罠を仕掛けてもまったくかからんのです。」 「先生、またお力をお貸し願えないでしょうか。もちろん今回もお礼は致します。」 里の人間達から見つめられた先生と呼ばれる人物は「うっ・・・」と一言呟くと、 後ろにいた兎耳を付けた弟子となにやらボソボソと相談し始めた。 「ど、どうしよう。うどんげ。」 「どうしようじゃありませんよ師匠。だから私は反対だったんです。」 「だって・・・里の人達が困ってる様だったし。お礼くれるって言うし。家の家計は火の車だし。」 「だからって!私の力で知覚不能にするだけなんて、根本的解決になってません!」 「あ、あの、先生?」 「あ、ああ、ご心配なく。未知の生物は私が必ず退治して見せましょう。 そのかわりお代は前回と同じという事で・・・」 「おお!やって下さいますか!ありがとうございます!」 「さすが八意先生だ頼りになるなぁ。」 「師匠!!!!!!」 「しょ、しょうがないでしょうどんげ。こうなったら殺るしかないわよ。」 「まさか・・・」 「では皆さん。私が明日、皆さんを困らせている生物を退治してきます。 皆さんは明日一日家から出ないように。」 「おお!ありがとうございます!」 「・・・・・。どうなっても知りませんよ。」 (翌日 日差しの穏やかな午後) ゆっくりプレイス。そこはとても広い草原だった。 そこに集まったおよそ100匹のゆっくり達は思い思いにゆっくりしていた。 草を食む者、バッタを追いかけ遊ぶ者、あるいは日向ぼっこを目一杯楽しむ者。 そして気づかれないようにゆっくりと進む影が二つ。 背には竹籠。手には鉤付きの棒を持った蓬莱の薬師と弟子の兎が・・・ end このSSに感想を付ける
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幻想卿の夏祭り 人間の里では毎年この時期になると夏祭りが行われる。 夜、村の大通りには沢山の屋台が並ぶ。 焼きそば、わたあめといった食べ物をだすお店、 射的や輪投げ、金魚すくいといった遊べるものを出すお店、 その日は、他の里や離れた場所からも多くの人が訪れ、里は大いに賑わう。 しかし今年の出し物は例年とは少し違うものだった。 幻想卿に訪れた小さな変化、ゆっくり饅頭が現れ人々の暮らしぶりは少し変わっていた。 「ゆっくりの踊り焼き」暖簾にそう書かれた屋台が立っている。 屋台には大きな鉄板が一枚、店主はお好み焼きを焼くようなヘラを持っている。 「へいらっしゃい!」 「おぢさん、ゆっくり焼きひとつちょうだい!」 「はい、よろこんでー!」 店主は屋台の裏手に置いてあった箱のふたを開け中から野球ボールほどのゆっくりれいむを一匹取り出す。 「ゆっ!?」 後頭部をつままれ持ち上げられたれいむは、何が起きたのか判らずに驚きの声を上げる。 「ゆっ!?ゆっ!?」 体を振りあたりを見回そうとするれいむ、良くは判らないが自分が空中に浮いていて背中を何かにつままれ動けない事だけは判った。 「は、はなしてね!れいむはゆっくりおかしをたべてるよ!!」 何かに向かって話しかける。 屋台の裏手に置いてあった箱には沢山のゆっくりとお菓子が入っていた。 つままれているれいむも、そのお菓子を食べてゆっくりしている所だった。 「おじさん、それどうするの?」 「それはね、こうするんだよ。」 れいむは希望通り開放されスーと下に落ちていく。 「ゆー、ありg・・・!!!」 ポトン、ジュウウウ・・・ 「あ”あ”あ”あ”!!!あ”ち”ぃ”ぃ”ぃ”い”い”よ”お”お”お”お”」 熱く熱せられた鉄板の上でれいむが踊る。 「ゆ”う”う”う”う”!!ち”ぬ”!ち”ん”し”ゃ”う”!!!」 熱さから逃れようと鉄板の上をピョンピョンはね回るれいむ、 とにかく鉄板の上から出ようと一直線に外を目指すがあと少しの所で鉄ベラが立ちふさがる。 「ゆ”き”ゅ”う”ぅ”ぅ”」 突然現れた壁に顔から突っ込んでしまうれいむ、そして鉄板の中央に向かって弾かれる。 ペシッ!ジュウジュウジュウ・・・ コロコロと転がってまだ焼けていない所が鉄板に振れるたびジュウジュウといい音がしてやけめが付いていく。 「や”め”て”よ”ぉ”お”お”!ゆ”っ”く”り”さ”せ”て”え”え”え”え”!!!」 鉄ベラに弾かれながらも必死に外を目指そうとするれいむ。 「ゆ”う”う”う”う”う”う”」 「や”へ”っ”!や”へ”て”え”え”え”え”え”え”」 「ち”に”た”い”く”な”い”の”!お”う”ち”か”え”し”て”え”え”え”!!」 れいむは抵抗する力を無くすと、熱に身を任せ鉄板の中央で短く鳴くだけになった。 「ゆ”ぅ”・・・ゆ”ぅ”・・・ゆ”ぅ”・・・ゆ”ぅ”・・・。」 「おじさん!おもしろいね!」 「そうだろう?ここからが仕上げだよ。」 そういうと店主は鉄ベラでれいむを平らに潰す様に押さえつける。 「ゆ”?ぅ”ぅ”ぅ”ぅ”ぅ”ぅ”ぅ”ぅ”!!!」 ジュウーと焼ける音と連動するようれいむは声を挙げた。 押さえつけたまま良く焼いてから、慣れた手つきでひっくり返す。 ジュウー、表の面も同じように良く焼く。 「っ”っ”っ”っ”っ”っ”っ”っ”っ”っ”!!!」 れいむは声を上げられずに、ただブルブルと体を揺らすだけ。 十分に焼いたところでもう一度引っくり返す。 「はい、できあがり!」 「おー」 れいむは平べったく固まったまま焼き上がり、店主はそれをすくって紙に包む。 「おまちどうさま」 「ありがとう!おじさん!」 ゆっくり焼きを受け取った少年は、その食べ物をマジマジと見つめる。 れいむと目が合う。ゆっくりは中の餡を失わない限りそう簡単には死なない。 おいしく焼きあがった後も意識はハッキリとしていた。 「いただきまーす。あーん」 少年はゆっくり焼きを口に運んでいく。 「・・・や・・・や”へ”て”ぇ・・・。」 力なく命乞いするれいむ、しかし良く焼けた口は思い通りに動かない。 1噛み。 「あっ!熱っい!」 余りの熱さに思わず口を離す。れいむの噛まれた部分には歯型が付いていた。 「ははは、できたてほやほやだからね。すこし冷ましたほうがいいよ。」 そういわれると少年はフーフーとれいむに息を掛けて覚まそうとする。 「・・・ゆ?・・・たすけてくれるの?」 フーフーと息を掛ける。食べごろはそれが教えてくれる。 「・・・すずしくなってきたよ・・・つぎはおみずをもってきてね!」 アーン 「ゆ?」 パクリ 「ッ!!」 れいむの体に激痛がはしる。痛みのまま悲鳴をあげる。 しかし、れいむからは悲鳴はあがらず、かわりに少年の口が悲鳴を上げる。 「い”い”い”い”い”た”た”た”あ”あ”あ”あ”あ”あ”い”い”い”い”い”い”。」 一口で丸ごと持っていかれたれいむの口が少年の中で悲鳴をあげる。 「や”め”て”え”え”え”え”!か”ま”な”い”て”え”え”え”え”え”え”。」 「ハフハフ、おじさん口の中でなんかうごくよ!」 「おもしろいだろ?それを踊り食いって言うんだよ」 「あとは目玉の部分がおいしいんだよ。噛むと中から甘酸っぱいシロップが出てくるからね」 「おーい、山田ー!こっちこいよ!」 遠くで少年を呼ぶ声がする、少年は呼ばれたのを聞くと友達のもとに走っていった。 「あ!・・・しまったな。」 「御代をもらい忘れたな。あっはっはっは!」 その年の祭りも例年通り大いに盛り上がった。
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※お兄さんが一番餡子脳 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅちちていっちぇね!」 狭いケースの中に響き渡るスピーカーから流れ出した音声 それに律儀に返事をするのはケースに閉じ込められた赤いリボンの1匹の赤ゆっくり 彼女の名前はゆっくりれいむ。正確には彼女の種族はゆっくりれいむか ゆっくりと呼ばれる下膨れ生首型餡子生命体の中では極めてオーソドックスな存在である 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅちちていっちぇね!」 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅちちていっちぇね!」 スピーカーからその音声が聞こえてくるのは常に3回 れいむは本能の命ずるままに毎回ちゃんと笑顔で返事をする 直後、床の一角が開き、そこから少量のゆっくりフードと水がせり出してきた 「むーちゃむーちゃ・・・ふしあわちぇー」 しかし、ゆっくりフードは無味乾燥な上に水も少々苦い 何とか生命を維持できる最低限度のものでしかないこんな食事で満足できるはずも無かった 「ゆぅ・・・ゆっきゅちちたいよぉ・・・」 ご飯を食べ終えたれいむは俯き、涙をこぼした その後もいつもと同じ全然ゆっくりできない一日を過ごした お店が開いたら上っ面だけの笑顔を浮かべて、やってきたお客さんに精一杯愛想を振りまく 全然美味しくない昼食と夕食を食べて、閉店後は1匹の子ゆっくりが人間さんとゆっくりしている映画を視聴する 「ゆぅ・・・れいみゅもゆっきゅちちちゃいよぉ・・・」 子れいむが飼い主の男性と外でボール遊びしている姿を見ていると、思わずそう呟いてしまった ブラウン管の中で笑顔を浮かべる子れいむは心の底からゆっくりしているように見えた ある日、れいむは必死に愛想を振りまいた甲斐あって、ある男性に飼われる事になった 彼はれいむを見て優しそうに微笑んでくれた 「やっちゃあ!こりぇでゆっきゅちできりゅよ!」 れいむは幸福に満ちた暮らしに思いをはせて、喜びのあまりに思わず飛び跳ねて天井に頭をぶつけた 「やめちぇ!やめちぇね!いちゃいよおおおお!?」 ある日、れいむは飼い主から厳しい折檻を受けていた 理由は飼い主のお茶碗に体当たりをして、その拍子にお茶碗が割れてしまったから 当然、ゆっくりと割れ物をテーブルの上に置いた飼い主にも非はある しかし、ゆっくりを教育する上でそのような理由で譲歩する必要は無い 「れいむ、お前はどうして怒られているんだ?」 そう言って飼い主の男性はれいむの底部、もとい“あんよ”をプラスチック定規で打ち据える れいむはその痛みから逃れようとするが、輪ゴムで別の定規にうつ伏せに固定されているのでそれも叶わない 「わかりゃにゃいよおおおお!れいみゅ、にゃにもちてにゃいよ!」 「いいやしたよ。お前は俺のお茶碗を割った」 そう言って飼い主は泣きじゃくるれいむに一部の欠けてしまったお茶碗を見せた そして、「お店でもそう教えられたはずだろ?」と眉間にしわを寄せて再びあんよを叩く 「ちらにゃい!れーみゅ、ちらにゃいいいい!?」 が、れいむは自分の非を一切認めようとはしない 念のため言っておくと、これは別にれいむがゲスだと言うわけではない 割れたのがれいむの目の前ではなく、テーブルの下だったことがまず理由として考えられる つまり、れいむが落とした、落としたから割れた。ゆえにれいむが割ったという論法がれいむの中で成立しないのだ 「やめちぇね!ごめんなちゃいしゅるかりゃ、もうゆっきゅちさせちぇね!?」 だきゃらやめちぇね!というれいむの要求が飼い主を更に怒らせてしまった 動物のしつけは大抵「~すると叩かれる」という単純なパターンを理解させること 今後、れいむは恐らくお茶碗に近づかないようにするだろうからしつけとしては十分である 「ゆっくりしたいから謝るんじゃ駄目だろ。悪い事をしたからお仕置きされているんだよ?」 しかし不運にもゆっくりは人語を喋り、人語を解してしまう そのせいか、こういった訴えが反省していない証拠と捉えられいっそう厳しいお仕置きを受ける事が多々ある 人間の価値観を押し付けてしまうために、ゆっくりの思考能力や判断の基準を無視してしまうのだ 「ちゃんとペットショップでもそう教えられているはずだよ?」 「ちらにゃいよ!れーみゅ、おはなしゃんわっちぇにゃいよ!?」 「訳の分からない事を言わない!」 飼い主はいっそう力強くれいむのあんよを叩いた が、れいむの言っている事はれいむにとってはそれなりに意味のあることである “おはなさん”とはペットショップで見た子れいむが割ってしまったお茶碗の柄の事なのだ ゆっくりはお茶碗に何の価値も見出せないが、お花はとってゆっくり出来るもの だから、店で子れいむが叱られている映像を見たとき、「おはなさんをこわしたのがわるい」と認識したのだろう 「ご、ごめんなぢゃいいいい!れーみゅがわりゅかっちゃよ!だきゃら、ゆっぐ・・・ぼう、やめぢぇえ・・・」 「仕方ないな。もう許してやるから、今度はお茶碗を割るんじゃないぞ?」 「ゆっぐ・・・ゆひぃ・・・ゆっぐぢぃ・・・」 その後もれいむはガラスのコップなど、手を変え、品を変えて、色んな物を割ってはその度に折檻を受けた 酷いときには、あんよが真っ赤にはれてしばらく跳ねる事が出来ないことえあった 「もうやじゃぁ・・・れーみゅ、てーぶりゅしゃんきりゃいだよ!」 れいむにとっては理不尽極まりない折檻は、れいむがテーブル嫌いになるその日まで頻繁に繰り返された もっとも、テーブル嫌いになったその日もそれが原因で折檻を受ける事になったのだが・・・ 「やめちぇね!いちゃい!いちゃいよ!?」 ある日、またしても折檻を受けた 理由は彼に「お友達が欲しい」とわがままを言ったから 男性はいつものように定規でれいむのあんよを叩きながら呟く 「わがままは駄目って教えられなかったのか?」 もちろん、れいむだってそんな事は知っていたし、だからお菓子をよこせなどと言った事はない なら、どうしてれいむが友達が欲しいなどと口にしたのか 理由はこれまたペットショップでしつけ用に何度も見せられていた映像にあった 「だっぢぇ、おとみょだちはゆっきゅちできりゅっちぇ・・・」 「言い訳しない!」 その理由を言おうとした瞬間、思いっきりあんよを叩かれる しつけ用の映像の子れいむは途中から子まりさと一緒に飼われ、いつも2匹で遊んでいた だから、映像で見た怒られることをしてはいけないのが当然であるのと同様に、お友達は無条件に与えられるはずだと思っていたのだ 「だっぢぇ、れいみゅ・・・ゆひっ・・・!」 「わがまま言うな。俺には2匹目を飼う余裕はない」 なのに、男性はもう一匹のゆっくりを飼う事はおろか、公園などのれいむを連れて行くことさえしなかった 公園に行くにしても彼にはそのような時間的余裕も、ペットに手間をかけるつもりも無かった そういったゆっくりを安価で一時的に預かってくれる施設もあるのだが、彼はそういった施設の存在を知らない 「ゆえーん、どうぢぢぇ・・・れーみゅ、いいきょに、ゆっぐ・・・」 「良い子はそんなわがまま言わないよ」 「ゆあ゛っ!・・・ゆぴぃ!」 あるいは近所のゆっくりを飼っている人に預かってもらうと言う手もあるのだが、彼にはそんなネットワークも無い 元々あまり外交的な人ではないのだろう。だからゆっくりを飼おうと考えた、飼い主の男性はそういう人物なのだ だから、人間はおろかそれ以外の相手に対しても想像力が働かず、れいむの気持ちを汲み取る事ができない 「それに、いつもちゃんと遊んでやってるだろ?」 「ゆっぐ・・・でみょぉ・・・」 「デモもストもクーデターも無いだろ」 そう言いながら、何度も何度もれいむのあんよを定規で殴打する 彼の言う事は間違ってはいない。確かに彼は仕事から帰ってくるとれいむが起きていればかならず遊び相手になっていた しかし、そもそもゆっくりと人間では全く別物であり、人間はゆっくりの代わりにはなれない また、飼い主への気兼ねや、何かの拍子に怒らせたら・・・という不安のせいで、彼が思っているほどにれいむはゆっくり出来ていなかった 「ゆひぃ・・・ご、ごめんなちゃい!れーみゅがわりゅかっちゃよ!ゆっぎゅぢあやまりゅよ!」 「分かったならよろしい」 こうして、れいむは結局友達を紹介してもらう事も、お外に連れて行ってもらうことも叶わなかった そして、ゆっくり出来ない思いばかりを募らせながら、家の中だけの世界でゆっくりと成長していった しかし、お外にでて友達を作りたいと言うこの願望は後に予期せぬ形で実現する事になる 「ゆゆっ!とびらさんがあいてるよ?」 3ヵ月後、れいむはもう成体サイズと言っても差し支えないほどの大きさになっていた 用事で出かけた飼い主がドアを閉め忘れている事に気がつき、つい出来心で外に出て行った 障害物を避けながら進んでゆくと急に視界が開け、人間やゆっくり、その他の動物が行きかう通りに出た 「すごいよ、すごくたくさんだよ!」 「ゆゆっ!なんだかとってもゆっくりしたれいむだよ!」 「ゆぅ?」 初めての外に浮かれるれいむに声をかけたのは1匹の野良まりさ 恐らく、れいむの魅力に惹かれて思わず声をかけてしまったのだろう 飼いゆっくりは健康管理やケアが行き届いているので野良の目には大抵美ゆっくりに映る 「ゆっくりしていってね!まりさはまりさだよ!」 「ゆっくりしていってね!れいむはれいむだよ!」 お約束の挨拶を交わす2匹 まりさにとっては本当に何気ない挨拶だが、れいむにとっては産まれて始めての他のゆっくりとの挨拶 そのあまりのゆっくり出来る感覚に思わず涙がこぼれる 「ゆっぐ・・・ゆぅ・・・」 「ゆゆっ!?どうしたの、れいむ?ゆっくりしてね?」 「ぢがうよ!でいむ、ゆっぐぢぢでるよ!・・・ゆっぐ」 そうは言うものの、れいむの意思とは無関係に涙は溢れ出してくる もちろん、嬉しさの余りに感極まっての落涙だ それに気付かないまりさはれいむの目の前でおろおろと右往左往しながら、れいむが泣き止むまで 「れいむ、ゆっくりしてね?」 「ゆっくりしてよー」 「ゆっくりだよ!」 と、頬ずりをしたり、顔を舐めたりしながら彼女を慰め続けた 「まりさ、ゆっくりありがとう!」 「れいむ、ゆっくりしてる?」 「とってもゆっくりしてるよ!」 やがて、何とか涙の収まったれいむはまりさに満面の笑みを浮かべて感謝を口の言葉にする 飼いゆっくり故の美貌をもってこんな事を言われたまりさはもうれいむに首っ丈 「れれれ、れいむ!まっ、まりさとずっといっしょにゆっくりしてね!」 はやる気持ちを抑えることができず、まりさはれいむに求婚した 初めて会ったゆっくりにいきなり求婚を受けたれいむはしばらく呆けていたが、やがて嬉しそうに飛び跳ねて 「れいむもまりさとずっとゆっくりしたいよ!」 「やったぁ!これでゆっくりできるよ!ずっといっしょにゆっくりしようね!」 と、あまり彼女の言葉の意味も理解せずにプロポーズに応えた そして、まりさはれいむと一緒に男性の家に入り、そこで初めてのすっきりーを行った もちろん、れいむも初すっきりーで、2匹とも至らぬところはあったが・・・ 「「すっきりー!」」 「ゆゆっ!まりさ、あかちゃんだよ!」 「ほんとうだね!とってもゆっくりしたあかちゃんだね!」 無事、すっきりーする事ができ、れいむはまりさの子どもを額に生えた茎に宿した 「なんだ、こいつは?」 「おかえり、おにーさん!まりさはれいむのだーりんだよ!」 「ゆっくりしていってね!まりさはまりさだよ!」 その後、帰ってきた飼い主の男性に挨拶を済ませ、まりさは正式にれいむのだーりんとなった 飼い主の男性は思いのほかあっさりとまりさの同棲を認めてくれ、にんっしんっの事も素直に祝福してくれた 「ふっひっひ・・・俺達は怖い怖い泥棒さんだ!」 「お金を盗みにやってきたぞ!おや、こんなところに可愛いゆっくりが!?」 「「ゆゆっ!?」」 翌日、2匹が明るい未来に思いを馳せながらお喋りに興じていると、突然妙な男達がやってきた しかし、この家で一番強い飼い主の男性は現在外出中で、家にはまりさと身重のれいむしかいない 「だめだよ!おかねさんとったらおにーさんがゆっくりできないよ!」 「ここはまりさたちのおうちだよ!ゆっくりでていってね!ぷくぅぅぅううう!」 2匹はそれでも一生懸命泥棒2人組を説得、あるいは恫喝して追い払おうと試みる が、人間相手にそんなもの何の効果もあるはずがない 「おやおや、おうち宣言とはゲスまりさがいるぞ?」 「それにこのれいむ頭に子どもを生やしてるぞ?」 「「なんかむかつくなー」」 えらい棒読みで喋る2人は手際良くまりさを捕まえると、いつの間にか取り出した透明の箱に放り込んだ まりさの身動きを封じると、れいむを両頬を押さえつけるように捕まえて、一人の膝の上に乗せる それと並行してもう一人はえらく巨大な半田ごての準備を始めていた 「おやー、相棒。それは何かなー?」 「これは去勢用の器具だ。これを使われたゆっくりは二度とにんっしんっ出来なくなるんだ」 「それをこのれいむに使うつもりなんだな。おお、怖い怖い」 酷い説明口調でその太めの半田ごての使用方法を説明するとれいむとまりさの顔が真っ青になった ゆっくりにとって赤ちゃんを作る事は至上の喜びだと言われており、レイパーの子でも育てる事からこれは周知の事実である もっともにんっしんっしたゆっくりの中である種の餡内麻薬が分泌され、それによる錯覚だとも言われているが とは言え、どのような理由があったとしても当人達にとっては子は宝であり、それ以外の何者でもないのだ 「ゆゆっ、やめてね!あかちゃんをゆっくりさせてあげてね!?」 「んー・・・どうしようかなー?そうだ、まりさに聞いてみよう!」 れいむの懇願を聞いた泥棒の一人は突然まりさの方に振り返り、彼女に話しかけた 「れいむはああ言ってるけどさ。まりさちゃんはどうよ?」 「ゆゆっ!そんなの・・・「まだ喋るな!」 れいむにも聞こえるような大声でこれ見よがしにまりさに話しかける泥棒 しかし、突然小声で喋り始めた 「もし、れいむと赤ちゃんを助けて欲しいなら俺の言うとおりにしろ」 「・・・・・・ゆぅ」 「俺が次にお前に話しかけたときにれいむに向かって『まりさは人間さんに飼われたかっただけだよ!れいむと赤ちゃんは勝手に死んでね』って言うんだ」 「ゆっ!いや「断ったら全員死ぬだけだぞ?」 「ゆ、ゆっくりりかいしたよ・・・」 まりさの返事を聞いた男はれいむにも聞こえるように再び大声で話し始める 「さあ、まりさちゃん!君はれいむと赤ちゃんを見殺しにしてでも生き延びたいよね!」 「ゆゆっ!なにいってるの!まりさはれいむのだーりんなんだよ!?」 そう言って男の言葉に抗議するれいむだが、彼の背中が邪魔でまりさの顔を伺うことが出来ない それゆえに、わずかばかりの不安を覚えながら、まりさに話しかけようとするが・・・ 「まりさはにんげんさんにかわれたかっただけだよ!れいむとあかちゃんはかってにしんでね!」 「ゆがーん!?どほぢでぞんなごどいうのおおおお!?」 れいむの期待を完全に裏切る非常で無常な言葉がまりさの口から放たれた その直後、れいむを取り押さえていた方の男が彼女の額の茎を乱暴に引き抜いて、もう一人の男に投げ渡す それを受け取った男はまりさの額に乱暴に穴を開けると、そこに茎をねじ込んだ 「ゆぎぃ!?」 「そんなこと言うゲスにはこれくらいの制裁は必要だよねー。俺は別の部屋でも物色するかー」 「ああ、そうだなー。さあて、俺は今から去勢するぞー」 もう一人の男が部屋を後にするのを見届けた男はそう言いながらいつの間にやら熱しておいた半田ごてをれいむの額にねじ込んだ 瞬間、れいむは目を大きく見開く 全身から脂汗のようなものをだあだらと流しながら、必死になって男の腕から抜け出そうともがく 「い゛ぎぃ!?ゆびぃ・・・!ゆ゛ゆ゛っ!!」 「はっはっは・・・無駄無駄無駄」 しかし、男の手から逃れられるはずもなく、瞬く間に室内に皮や餡子の焼けた匂いが充満する 数十秒後、ようやく男が半田ごてを抜いたときにはれいむは力泣く震えながら嗚咽を漏らす事しかできなかった そんなれいむを気遣ってか、男はれいむの額にどこから取り出したゆっくりの皮を貼り付けた上で、オレンジジュースを浴びせた 「ゆっぐ・・・ぼう、やべでぇ・・・ゆっぐぢぃ・・・」 「残念だが、まだひとつ残っている」 そう言うが早いか、今度は下あご付近に半田ごてをねじ込まれるれいむ そこはぺにまむと呼ばれる器官の存在する部位で、ここを焼かれてしまうと胎生での出産ができなくなる 男の意図に気づいたれいむはオレンジジュースのおかげで幾分か回復した体力を振り絞って抵抗する が、最初の時点で敵わなかった相手に敵うはずもなく・・・ 「やべでぇえええええ!?あがぢゃんうべなぐなっぢゃうううう!?」 「そのためにやってるんだよー。ふっひっひ」 こうして、にんっしんっ出来なくなったれいむに先ほどと同じような治療を施すと男はそそくさと部屋を後にした 2人の男がれいむのつがいのまりさを連れて男性の家から出ると、目の前に家の主の姿があった 彼の姿を認めたまりさは安堵の笑みを浮かべ、彼に向かって叫ぶ 「ゆゆっ、おにーさん!このひとたち、わるいにんげんさんだよ!」 「ふーん、そうか」 「ふぅ、去勢作業と居ついた野良の駆除、終わりましたよ」 「ありがとうございます」 が、男性は泥棒2人に感謝の言葉を口にすると、懐からお金を取り出して彼らに手渡した まりさはわけがわからないといった様子で首を傾げるが、直後の彼らのやり取りで全てを理解することになった 「いやぁ、れいむがいれば十分だったんで助かりましたよ」 「勝手に子どもやつがいを作られると飼い主としては面倒ですからねぇ」 「ところで、そのまりさはどうされるんですか?」 「こいつですか?こいつは飼いゆっくりに手を出した害ゆとしてしかるべき場所で社会貢献してもらいます」 男たちが出て行ってから数分後、悲嘆にくれるれいむだけの家に飼い主の男性の声が響いた 「ただいまー・・・れいむ、どうしたんだ?!」 「ゆっぐ・・・お、おに゛ぃざあん・・・でいむ、あがぢゃんうべなぐなっぢゃだよぉ・・・」 「どういうことだ?それに、まりさもいないな?」 「まりざぁ・・・ゆわああああああああああああああああああん!?おにいいざあああああん!?」 れいむは男性に飛びついて気が済むまで泣き、それから全ての事情を説明した せっかく、赤ちゃんが出来たのに、お兄さんにも赤ちゃんを見せてあげたかったのに・・・ そう言ってめそめそと泣くれいむの頭を男性は優しく撫で・・・ 「気にするな。どんなになってもれいむはれいむだし、何よりれいむが無事で良かった」 そう言いながら優しく微笑んだ この日以来、れいむはまりさと違ってどんなになっても自分を受け入れてくれる飼い主に全幅の信頼を置くようになった 悪いゆっくりのいる外に出ることも、外に行きたいとわがままを言うこともなく、毎日家の中で男性の帰りを待つ そして、帰ってきた男性に思う存分甘える 彼に嫌われないためにも悪いことは絶対にしない こうして、れいむはペットショップで見せられた映像の中のれいむにも勝るとも劣らない幸せを手に入れた ---あとがき--- たとえ飼い主が虐待愛好家じゃなくても無知で身勝手だったり、 ゆっくりに対して変な勘違いや幻想を持っていたり、 過剰に厳しかったりするとゆっくり出来ないんだろうなぁ・・・ このれいむの今わの際の言葉はきっと「もっとゆっくりしたかったよ」だろう byゆっくりボールマン このSSに感想をつける
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前 (@BGM 『熱情の律動』) 『盛り上がってまいりました! 開始早々決勝進出に王手をかけたF大付属。丁寧な仕事で反抗の意志を奪い、 一網打尽かと思われましたが、時間をかけた仕上げがアダとなり西日暮里高校の介入を許しました!』 『西日暮里高校の機体、テイクイットEZ8。無骨な鉄の塊を思わせるデザイン、低重心で肩幅広く、 鉄機やマトリックスのザイオン防衛メカを連想させます。 西日暮里が準決勝のメインアームに選んだのはサブマシンガン。命中率よりも戦場により多くのBB弾をばらまく ことに重点を置いたチョイス。左手にはもうおなじみとなったドリル。鈍色の塗装がストイックな外観と相まって、 森とゆっくりのメルヘンチックなフィールドで一際異彩を放っております!』 『そしてなによりもおどろきなのは、西日暮里、機体にゆっくりれいむを搭乗させております』 『ただいま入りました情報によりますと、この子ゆっくりれいむ、西日暮里高校の操縦担当・大沢君が 個人的に飼育している飼いゆっくりのようです!!』 『なんということでしょう・・・・・・。戦場にもちこんでしまったゆっくりはたとえ滅失しても文句は言えません。 不退転の決意のあらわれか西日暮里高校・大沢!!』 『れいむの、まりさのあかじゃんをだすげでねええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!』 『おねがいねえええええええええええええええええええええええええええええええ!!!』 子ゆっくり達を背に、メカゆゆこと対峙するEZ8。その操縦席で不敵な微笑みを浮かべるれいむ。 逆さま状態から復帰したメカゆゆこは、半開きの口から触手をチラつかせて威嚇する。警告音。サイドワインダー。 その音響にゆっくりたちは震え上がる。だがEZ8に搭乗するれいむは違った。不敵な微笑はそのままに、勇ましい目つきを崩さない。 『にらみ合いが続いております』 『両者の体格差は一目瞭然ですね。メカゆゆこがバランスボールだとすると、EZ8はせいぜいXBOX360程度。 力比べでは太刀打ちのしようがありません。ここはローラーダッシュでかく乱しつつ刻んでいきたいところ』 『しかしサブマシンガンではメカゆゆこの外皮を貫くことは困難でしょうし、押し付けなくては効果が発揮されない ドリルは球体のメカゆゆこを相手取るには不適格と思われます』 『準々決勝で見せた狙撃銃や、切り札と公言していたパイルバンカーであれば対抗できたかも知れませんが……。 天秤はいまだF大付属に傾いている!』 そのとき、両者が動いた。 EZ8は後背に位置するゆっくり達をかばう様、直進しつつサブマシンガンを連射。 メカゆゆこは触手を勢いよく地面に突き立てると、 その反動を利用して大きく後ろに跳び、茂みの中へと消えた。 EZ8が急停止する。 茂みの向こう、メカゆゆこが立てる物音が急速に遠ざかっていく……。 (@BGM 停止) 『おっと……? これは意外な展開です。メカゆゆこが撤退しました。有利とおもわれていたF大付属、 ゆっくりの群れを前にして逃げてしまいました……?』 『向かう先に他の群れがいるようです。相手ロボとの戦闘よりも、ゆっくり回収力で勝負しようという作戦ですね』 『なるほど! メカゆゆこはゆっくりを体内に溜め込むことができますが、EZ8はそうはいきません。 自軍拠点にゆっくりたちを連れて行き、回収口まで誘導する必要があるのです』 脅威が去った。テイクイットEZ8はゆっくり達に向き直り、しゃがみこんだ。 「ゆ! だいじょうぶだったかい!?」 その言葉に、ゆっくり達の目に涙が溢れた。 「「「ありがどうううぅぅぅぅ」」」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 「「「おやさいあげるね!」」」 「ざんねんだけどまだゆっくりはできないね! やつはまだゆっくりをねらっているよ! れいむはほかのゆっくりもたすけなくちゃいけないんだよ!!」 「「「おいでがないでええええぇぇ!!」」」 「だいじょうぶだよ! れいむがあんぜんなところまでつれていくよ! みんなはそこから だっしゅつしてね! そとはもうゆっくりプレイスだよ! だからゆっくりしないでついてきて!!」 EZ8が立ち上がる。ゆっくりの一団はそれぞれやさいのかけらをくわえ、EZ8の先導に従って森に入っていく。 『ご覧ください! 感動的な光景です。救世主ゆっくりに導かれ、ゆっくりの生き残り達が救助されようとしています』 『ゆっくりいそいでかえってきてね!』 『どこのれいむかしらないけどありがとうね!』 ほろほろと感謝の涙を流す親ゆっくり。すでにケースの下には涙がたまって水位を上げつつある。 また、酷くいらだたしい微笑みを浮かべて解説者二人をちらちらと横目でみやる。まるで勝ち誇っているかのようだ。 解説者は笑っていた。 『さあ、ベースに戻ってまいりました西日暮里高校。助けられたゆっくりたちが列を成して回収口に 入っていきます。おお? お礼の野菜をEZ8に差し出しました。しゃがみこんでドリルで受け取るEZ8。紳士です』 『ここで避難口の様子を見てみましょう』 暗く狭い通路。ベルトコンベアになっているそこを、助けられたゆっくり達が流れていく。 救出の喜びを分かち合い、助けられなかった同胞を嘆き、憎いメカゆゆこに復讐を誓う。 悲喜こもごもを乗せて、ベルトコンベアは進み、暗幕の向こうへ。 そこには水平にすえられた刃があった。 流れていくゆっくり達は、暗幕を潜って直ぐのところにある刃で滑らかに、何も知らないうちに分割された。 顔のある方は刃の上のコンベアに、餡子の過半数を有する下膨れ部分は下の廃棄溝に。 餡子のほとんどと切り離されたゆっくりは偽りの救出に顔をほころばせたまま、動かなくなった。 頭部だけを乗せてベルトは流れてゆく。 『・・・・・・・・・・・・』 『・・・・・・・・・?』 解説席の親ゆっくりは急激な状況の変化についていけなかった。 感激の涙を流しながら、ベルトコンベアで運ばれてゆくもの言わぬ顔だけになった子供達を目で追っていた。 さっきまで動いていた子供達。助けてくれたロボに感謝していた子供達。 いまは一様に、中空を見据えたまま動かない。 その様子に疑問を抱いたのか、少しずつ表情が曇っていく。 『はい。動かないように処理したゆっくりは、手作業で飾りを回収します』 『12個? 12個ですね。西日暮里高校、一挙12得点です! 決勝進出確定にはあと4個の飾りを回収する 必要があるため油断は出来ませんが、F大付属に大きく水をあけたと言っていいでしょう』 画面下にテロップが表示される。"ゆっくりの死骸はこの後ミキサーにかけ、肥料にいたします" 『しかし西日暮里高校・大沢。無垢な飼いゆっくりれいむを餌にしてゆっくりたちを騙し切りました。 友釣りの要領です。これまで手練手管を使い、人型ロボの汎用性・応用性を最大限に生かして、性能的 に上位の相手をことごとく下してきました。』 『そら恐ろしくさえありますね。大会的にはロボットの製作技術で白黒つけてもらいたいところではあるのですが』 『奇しくもゆっくり型対人型の対決となりました。知恵を使って自分達より強い獣を倒して繁栄してきた のがわれわれ人間ですから、どうも西日暮里のEZ8を応援したくなりますね。 ゲストの親ゆっくりさんはどうでしょう。どちらが勝つと思われますか?』 両サイドからマイクを向けられ、うろたえる親ゆっくり。 うつろに、取り繕うように微笑みながら、解説者達の顔を見回し、助かったはずの子供達の様子がおかしいことについて尋ねた。 『ゆっくりのこどもたちは……?』 解説者がマイクを自分に向ける。 『それは上半分ですか? 下半分ですか?』 『じねえええええええええええええええぇぇぇっぇぇぇぇっぇ!!!』 箱の中で親まりさが咆えた。親れいむは微笑みのまま白く燃え尽きていた。 『ごろじでやる! おばえらなんかゆっぐりじゃない!! にどどゆっぐりでぎないようにぢでや』 両サイドの解説者が同時にボタンをおした。箱の中の親ゆっくりは同時に机の中へと落ちていき、空の透明箱が残された。 『ここでお邪魔ゆっくりを2体投入します。親ゆっくりの飾りは得点になりませんので注意してください』 場面変わって森の中、球体が茂みを縫って移動している。 『F大付属、新たな群れを発見したようですね。おっとしかし……?』 メカゆゆこの進行方向に、6匹ほどの子ゆっくりがいた。 ゆっくりたちはすでにメカゆゆこの迫る方向に視線を向けていて、慌てた様子で四方に跳ねていく。 『先んじて逃げられました。これはどういうことでしょう。物音に警戒したというのでしょうか』 『これは死臭でしょう。むせかえるような餡子と黒蜜の匂いが危険を知らせてしまった……。 雲行きがあやしくなったF大付属。そつなく2匹を平らげたものの、ようやく6点。西日暮里の半分です』 『対する西日暮里は……。すでに次の群れに取り入っている! その数2体、いや、3体です!』 膝を付いたロボから話しかける飼いれいむに、3体の子ゆっくりれいむはめろめろになっている。 やがてうごきだしたEZ8に導かれて避難口へと向かう。 『勝利確定には届きませんが、限りなく勝利に近づくことのできる点数です』 『ご覧ください。自分達を処刑台に連れて行く執行者に、嬉々としてついていくゆっくりたち。その晴れやかな表情……』 『TVをご覧のお子さんにとって、極めて優秀な反面教師になると思います。知らないおじさんについていっては、だめですよー』 『では遠足気分のかわいいゆっくりたちをしばしご覧ください』 ロボットとゆっくりの一団は森を抜け、見晴らしのいい草原へ。西日暮里側の拠点、死境内へのエスカレーターが見えてきた。 「みんな、もうすぐそこだよ! ほかのゆっくりたちもまってるからね!」 「ゆ! おねえちゃんたちにあいたいよ!」 「ゆ! もうすぐゆっくりできるね!」 導かれる子ゆっくりたちは荒い息を押してゴールへと跳ねていく。 「そこまでだぜ!!」 勇ましい声と共にEZ8の上に影が落ちた。 操縦席のれいむが頭上に視線をやると同時、激しい衝撃が機体を襲った。 「ゆ"う"ううううううううううううううう!?!」 EZ8が吹き飛び、転倒する。 驚愕する子ゆっくりたちの前にぼってりと着地したのは、親ゆっくりまりさだった。 「りょうてのぶきをあたまのうえにあげるんだぜ! ゆっくりとね!!」 「おとーさん!?」 「どうしていぢわるするの!? あのれいむはみかただよ!!」 「ちがうの! あいつはにんげんのなかまだよ! いまおかあさんもくるからうごいちゃだめだよ! おまえたちのことはおとうさんがまもりぬくからね!! いまはただしんじてね!!」 親まりさの剣幕に子ゆっくり達は言葉を失う。ただ不安そうな顔で身を寄せ合った。 起き上がるEZ8。その動きに反応した親まりさが、子供達を背に隠す。 パイロットの飼いれいむは泣きながら地団太を踏む。 「どうじでじゃまするの! れいむはただ、みんなをたすけようとしただけだよ! あやまってね!」 「ふざけないでね! やくたたずのうらぎりものはまりさがたおすよ! ゆっくりじぶんのしたことをこうかいしてしんでね!」 EZれいむと親まりさの間で、敵愾心が膨れ上がっていく。 雷ばしるような緊張感のなか、先に動いた親まりさが、背後の子供達に告げた。 「・・・おとうさんのせなかを、よくおぼえておいてね……!!」 「ゆっ……」 「おとさん……」 か細い呼びかけを振り切るように親まりさは飛び出した。 視線の先には鉄の四肢をもつ裏切りれいむ。 敵うはずもない強大な敵に敢然と立ち向かう。 後ろに残した子供達、今なおどこかで逃げながらえている子供達、そして無残に殺されていった子供達のために――。 「ゆうううううううううううううううぅぅぅぅぅぅ!!!」 気合の叫びと共に突貫をかける親まりさ。ひらひらと舞い降りる赤い蝶。頬をかすめた蝶には目もくれず、一直線に相手の下へ――。 「ゆうううううううう……う……?」 その突進が、ゆっくりと減速して、止まった。 「…………」 親まりさは、振り返った。 子供達が心配そうに見ている。それはいい。親まりさの歩みを止めたのはそれではない。 すれ違った赤い蝶。その違和感だった。 蝶は草の上に落ちていた。 紅白の蝶。 ゆっくりれいむのリボン。 それも子どもサイズではない、親ゆっくりのサイズ。 親ゆっくりれいむのリボン。 それは、いつのまにか姿を現していた。 子ゆっくりたちの背後、死刑台に続くエスカレーターの入り口、その上に。 満月のように、メカゆゆこが鎮座していた。 『なんたることでしょう!! 西日暮里のゆっくり投入口の上にメカゆゆこが陣取っています!!』 『ゆっくりたちが脅えています。これではポイント還元が出来ません。 EZ8には格納機能がありませんから、ポイントを得るには投入口に入れないと……』 『こ、これはーーーーーー!!!?』 投入口前のメカゆゆこが、若干空を仰ぐように視線を上に。 するといままで隠れていた部位があらわになった。 メカゆゆこの口の真下にある小さなすぼまり。 地獄の門のようにゆっくりと開いた。 『これは! 間違いない!! 間違いないです!!』 『これは間違いないですねー! とんでもない隠し玉を持ってきましたF大付属!』 『解説も憚られるような光景が繰り広げられています! 悪趣味ここに極まった! いま西日暮里高校の投入口、唯一のポイント源であるゆっくり投入口が、あんこのトグロで埋め立てられてゆくーーー!!』 『も、最悪でしょう・・・…』 『実際のゆっくりにこのような生理現象はありませんのでご注意ください。 ともあれ、もうこの投入口をゆっくりがくぐることはないでしょう。西日暮里は追加点のチャンスを永遠に失ったことになります。』 親まりさは、ひりだされる餡子と黒蜜の混合物を見ていた。 明らかに餡子の量が多かった。子ゆっくり10匹でも足りないほどに。 そしてごみのように捨て置かれたれいむのリボン。 ゆっくり袋の緒が切れた。 「よぐもれいむおおおおおおおああああああああああああああああああああ!!!」 中身を吐く様な叫びと共に親まりさが飛び出した。 その動きを受けてEZ8、ローラーダッシュを用いて親まりさに追従する。 『西日暮里高校、先行した親ゆっくりを盾に、近づこうとしています』 1匹と1機の接近に際し、メカゆゆこは動かない。まったく余裕の笑みを浮かべたまま迎え撃つ構えだ。 「ぢね! おまえがいるがらゆっぐりでぎないんだああぁぁぁぁ!!」 親まりさの渾身の体当たり。そしてその影から飛び出したEZ8が銃口をメカゆゆこに向けた。 だが電光石火の触手舌が親まりさの体を下から上へ容赦なく貫く。 「ゆべぇ!?」 その隙を狙って放たれたEZ8の射撃だが、メカゆゆこはゆっくりを盾にし全てのBB弾を受け止める。 「いべべべべべいだいやめでいだいぃぃぃぃぃぃ!!!」 『おーっと、後頭部にBB弾の雨あられ。生地にめり込んでいます!』 『蓮コラみたいできもいですね。それか転んだあとの膝小僧に砂が食い込んでる感じ』 『あぁ~、あれキモイよねー。子供の頃ショックだったわ~』 EZ8は旋回し、盾の向こうの標的を狙う。 メカゆゆこもまた回り込むように移動、盾を十二分に生かし一向に被弾しない。 ぐるぐると旋回する2機。その中央にいる親まりさは広がる傷口から黒蜜を迸らせて号泣している。 「おろじでえええぇぇぇ! もうおうちかえるうううううううう!!」 『でましたゆっくりのおうち帰るコール。さっそく限界のようです! 饅頭は骨がない!』 『それにひきかえ骨太の攻防を繰り広げる両者。予断を許しません!』 こう着状態に陥ったかと思われた矢先、EZ8の銃が玉切れを起こした。 距離をとるためのバックダッシュを行いつつ手動でのマガジン交換を敢行する。 その隙をメカゆゆこは見逃さない。 大きな体を波打たせ、次の瞬間はるか上空へと跳躍した。 『これは高い! ゆゆこの跳躍、ボディプレスかーーー!!』 「ごわいおろじでえええええええええ」 メカゆゆこの影が、地表のEZ8を覆う。 装填を終え、空を仰いだEZ8の飼いれいむめがけ、ハンマーの如く振り下ろされる親まりさ。 間一髪、EZ8は回避に成功し、親まりさは地面に叩きつけられた。 「おとーさ」 「ゆ!?」 ぷち。 ぷち。 ぷち。 ZUNという衝撃音と共に固い土に叩きつけられた親まりさ。 砂塵が巻き上がり、そしてゆっくりと散ってゆく。 重体だった。 後頭部が破裂して中身の黒蜜が放射状に飛び散っていた。その飛び散り半径の広さを見れば、いかに強く叩きつけられたのかが解るだろう。 だが親まりさは悲鳴をあげなかった。 あげられなかったわけではない。 小さな音が悲鳴を飲み込んでしまっただけだ。 小さな感触が全身打撲の痛みを超えただけだ。 ぱぱー。 ぱぱー。 きょうもゆっくりしようねー。 晴れ渡った草原、記憶の中の風景。 元気に飛び跳ねるわが子ゆっくりの姿。 瑞々しい蛇苺を、口づけるようにくわえた横顔。 雨宿りの木の虚で、小さな体を摺り寄せてきた、そのぬくもり。 その感触が、たった今、自分の下で弾けた。 ・・・ オ ト ウ サ ン ノ セ ナ カ ヲ 、ヨ ク オ ボ エ テ オ イ テ ネ ――――――。 「い゛や゛ぁべでぇええええぇぇぇぇえええええええええぇぇぇ!!!!!」 瀕死の体で親まりさは絶叫した。声も涙も黒蜜も、出せるものは全て出しつくしての咆哮。 あらん限りの力で暴れ狂う。それでも、乗り上げた体勢のメカゆゆこをどかす事はできない。 それどころか、メカゆゆこは全ての体重をかけてのしかかった。 ぷち。ぷしゃ。 「どいでねえええ!!! ゆっぐりじないでおりでねええぇぇぇぇ!!」 あまつさえ、独楽のように回転をし始める。地面におしつけられた親まりさも一緒に回転することになる。 べろ。べろべろ。 「ぃいやあああああああああああああめでねぇえええええええええええええええええ!!!!!!!」 黒蜜の泡を飛ばしながら親まりさは絶叫した。 『おっとぉ? どうしたことでしょう』 『親まりさが自分の子供を潰してしまったようですね。これは不幸。人間社会にこのような不幸が訪れないことを祈るばかりです』 親まりさはかろうじて生きていた。 般若の形相で硬直しながら涙を流して痙攣している。 自らの流した黒蜜に塗れ、今なお口から吐血のように流れ出す命の源。 落下の怪我による中身の流出が酷いが、晴天のゆっくり治癒力ならばあるいは、という瀬戸際の怪我だった。 メカゆゆこはまりさから降り、触手に絡みつくつぶれ饅頭を放り捨てた。 その下から出てきた子ゆっくりの圧殺死体から帽子をふんだくり口の中に放りこむ。 『3点獲得で9点でしょうか? 我々はF大付属が親ゆっくりれいむを捕食した瞬間を確認していません。 もしそのときまでに3匹以上の子ゆっくりを獲得していれば、この時点で同点・逆転ということになります』 『時間的にも残りの子ゆっくりを探す余裕はありませんし、唯一の得点方法を失った西日暮里高校は、 敵ロボットの撃破を狙っていくしかないでしょう』 振り返るメカゆゆこ。 ゆっくりと歩行して近づくEZ8。 EZ8のむき出しの操縦席でれいむが頬を膨らませている。 「とってもわるいやつだね! いぢわるなおばさんまりさはともかく、こどもゆっくりにまでてをだすなんて!」 のしのしと接近しつつそんな悠長な台詞を言い放つ。 メカゆゆこは応じず、横方向に回転移動し始める。EZ8を中心にした円の軌道だ。 『始まりました。ロボ同士の肉弾戦です。単純な性能ではメカゆゆこが有利。試合序盤にも見せた旋回移動で相手を牽制します』 『EZ8は持ち前の機動力と自由度を武器に立ち向かわなければなりません。 もし此処で逃げられて回収力勝負になるともう勝ち目はありません。 その点、F大付属が真っ向勝負を選んでくれた事はチャンスでもあります』 『残り時間は3分を切りました! どちらが先に仕掛けるのか!』 回転半径を狭めつつ速度を上げるメカゆゆこ。EZ8は背後をとられることを警戒している。 「ゆ! ゆっくりいきのねをとめるね!」 EZ8は前方へと走行、左手のドリルを回転させつつ振りかぶる。 旋回のメカゆゆこが迫るタイミングを見切り、高速ドリルを突きこんだ。 しかし表皮をわずかに削りはしたが、衝撃によってメカゆゆこは弾かれ、距離が開いてしまう。 すかさずサブマシンガンのめくら撃ちを放り込む。吸い込まれるように全弾命中するも、メカゆゆこの動きはいささかも衰えない。 『懸念された通り、EZ8の攻撃がメカゆゆこに届きません!』 『万事休すか西日暮里高校大沢!』 攻撃方法を失ったEZ8にメカゆゆこの巨体が容赦なく襲い掛かる。 高速で突き出される触手が右肩の付け根をえぐり、右腕が吹き飛んだ。 「ゆっ!? まずいよ! おにいさんしっかりよけてね!」 パイロットれいむが悲鳴をあげる。当然のことながら、ロボットの操縦は人間が遠隔操作で行っている。 バランスを崩して尻餅をついたEZ8。その脚を潰すようにメカゆゆこがのしかかる。 『あー! マウントをとりました』 メカゆゆこはにんまりと笑うと、触手による乱れ突きを繰り出した。 それはコクピット付近の装甲をえぐり、金属片を撒き散らした。 しきりに身をよじりEZ8はコクピットへの直撃を避けようともがく。 「いやあああああああ! やべでぇ! あぶないがらあああああああ!!」 『大沢君の飼いれいむが鳴いております! いやいやをするように顔を振っています! 泣き叫びながら飼い主に助けを求めております! なんとか助けることが出来るのか大沢!?』 『これはむごい展開もあるかもしれませんよ!』 触手の狙いは正確ではなかったし、EZ8も最大限回避に努めた。 だがそれでも、延々と繰り返される攻撃を最後まで避け続けることはできなかった。 そのうちの一撃が、むき出しのコクピットを襲った。 「やべでええええ――ぐぃげぇえええええええええええええ!」 飼いれいむの顔面を貫く銀の舌。 狭い棺おけの中、れいむは激痛に打ち震え、けいれんを繰り返した。 『決まったーーーーーーーーー!! 残酷なディープキス! 深く深く差し込まれた楔が飼い主との絆を断ち切ったーーーーーーーーーーー!!』 『ズキュウウンですね! わかります!』 「おっ、おべっ、おべ……」 だんだんと白目をむきだす飼いれいむ。勝ち誇ったように笑うメカゆゆこ。 しかし、勝負はまだ決してはいない。 EZ8のコクピットが閉じた。 上下から現れた鋼鉄の歯が、一瞬のうちに噛み合わされたのだ。 それは死に始めの飼いれいむと共に、メカゆゆこの触手を万力のように締め付けた。 『おおおおおおおおおおっ!これはああああ!?』 『トラップです! これ見よがしの飼いれいむは、ゆっくり誘導のためばかりでなく、 メカゆゆこに対するブービートラップだったのか!? コクピットの圧殺機能がメカ ゆゆこの触手を封じました! 懸命にさがろうとするメカゆゆこ、動けません! 逆にその動きがEZ8を助け起こしてしまったーーーー!!』 立ち上がったEZ8。 左手のドリルを振りかぶり、再びメカゆゆこへと繰り出した。 激しい金属音と共に装甲がえぐれ、メカゆゆこが吹き飛ぶ。 ――だが捉えられた触手が伸びきり、それ以上の後退を許さない。 『EZ8、逃がしません! 触手を捉えたまま旋回し、メカゆゆこを振り回します! そのまま樹にぶつけてきた!』 『さらに天高く放り上げました! 時間後僅か逆転なるか!』 高々と飛ばされたメカゆゆこが重力によって地面に叩きつけられ、運悪く下敷きになった親まりさは物も言わずに死んだ。 仰向けに地面にめり込み、動けないでいるメカゆゆこ。 その上に、逆襲とばかりに踊りかかったEZ8がドリルを突き立てた。 固定された相手に対し、ドリルは最大の効果を発揮する。 激しい火花が2機を覆い尽くした。 『ドリル決まったああああああああああ!! これは逃げられない! 削りきるのか西日暮里! 逃げ切るかF大付属!』 『もう時間がありません! 5・4・3・2・1……タイムアッーーーーープ!』 ブザーが鳴り響いた。 メカゆゆこの損傷は、大破には至らないと判断された。 2機はそれぞれ、互いの本拠地へと戻り、回収された。 『現在、獲得アクセサリー数を計算しております。得点計算には少々お時間がかかりますので、その間、フィールドのクリアリングを行います』 『クリアリングを行いますのは、品種改良された対ゆっくり用ゆっくり・きめありすです。芸術とも言われるその妙技をご覧ください』 アナウンスと共に会場に優雅なクラシック音楽が流れ出した。 フィールドの地面の数箇所がせりあがり、そこから成体ありすの群れが飛び出す。 あきらかに発情中と解る移動速度。しかし、一切の声を発さない。 つりあがった目をギラギラと輝かせ、獲物を探して視線を縦横に走らせる。 湧き上がり続ける涎を溢すまいと唇を引き結びながらも、まだ見ぬ生贄を思うがあまり口の端はつり上がり笑みを形作る。 口の中いっぱいに蓄えられた唾液は跳ねるたびに勢いよくこぼれだしている。 フィールドをくまなく走査するきめありすは、ついに逃げ延びていた子ゆっくりを発見する。 それは地面に叩きつけられたようにつぶれている親まりさにすがりつく子まりさだった。 泣き喚き、あたりに何が起きたのかも解らぬまま肉親の死に打ちのめされている。 その子まりさの背後からすべるように近づいたきめありすは電光石火の早業で子まりさをひっくり返し、 そのつるりとした下面に覆いかぶさるように乗り上げるやいなやもはや肉眼では捉えられない速度で 滑らかに円運動、自身の底部をこすり付けだした。いわずと知れたゆっくりの性交渉である。 下敷きにされた子まりさはまず状況の変化に戸惑い、次いで自らの感覚を犯すなにかに怖気をふるい、あまりにも強引なやり方に泣き叫んだ。 きめありすは一方的に達すると、潰れかかっている子まりさを捕食した。 うっとりとした表情で口腔の子まりさを舐め転がし、口蓋に押し付けて潰した。 捕食による一体化を究極の愛と定義するのがきめありすの特徴だった。 きめありすは地面で広がっている親まりさの死骸に対してもゆっくり性交渉を行い、たいらげた。 一時も休むことなく次の獲物を探し始める。 それがフィールド全体で繰り広げられ、逃げ延びていた子ゆっくり達は処理された。 BGMのクラシックが終わると、きめありすはありすらしい優雅さを取り戻し、そそとした所作で退場していった。この間、約5分。 『はい、掃除が完了いたしました。集計もおわりましたので見てみましょう』 『得点は……西日暮里高校! 12点! 対するF大付属……12点!! 同点です!』 『これは珍しい……。引き分け再試合、サドンデスということになるのでしょうか?』 『え? ……ちょっとまってください。はい、はい……』 『えー、ただいまの試合、12対12の引き分けと発表されましたが』 『F大付属の獲得アクセサリの中に、大会側の用意したものではないれいむのリボンが含まれておりましたため、』 『11点と訂正させていただきます』 『12対11! 買ったのは西日暮里高校です! 凶獣メカゆゆこを下し、テイクイットEZ8決勝進出ーーーー!!』 『代表者の大沢君に話を窺いましょう。今のお気持ちはどうですか!?』 『はい! とても、厳しい、その、戦いでした勝ててよかったです。』 『飼いゆっくりが潰されてしまいましたが?』 『優勝したとき、皆さんの前で潰してやる予定でしたでもこの準決勝でだめになってそれがあんな形で 役に立つとは思わなかったです役に立ってよかったです』 『ハイ! ありがとうございました!』 『古豪、西日暮里高校が決勝に駒を進めました。CMの後は準決勝第二試合です――――』 ゆっくりロボコン 終 このSSに感想を付ける
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「おい、こっちにれいむ種がいたぞ!」 「殺せ!!逃がすなっ!」 森を、怒りに満ちた声が飛び交う。 数十人の男たちが1匹のゆっくり霊夢を追いかけていた。 「ゆー!!やめてね!!れいむはゆっくりしていただけだよ!?」 ぼよんぼよん。 情けない音を鳴らしながら逃げるれいむ。 「殺せ!殺せ!!」 男たちの声が、れいむの後頭部をビリビリと震えさせる。 「ごわいぃいい!!!ゆっぐりできないぃいっ!!! ――ゆっ!?!?」 次の瞬間。 れいむの眼前に木製バットが飛び込んできた。 「ゆぴぃっ!!」 そのままバットはれいむの上半分を吹き飛ばしてしまった。 待ち構えていた男がフゥフゥと息をつく。 そして、やってしまった、といった顔に変わる。 「バカ野郎!!!何してやがんだ!!!」 ようやく追いついた男たちに、バットを振るった男は怒鳴りつけられる。 「す…すみません………!!つ、つい……!!」 「つい、で済むかバカ野郎!!急いでかたずけろ!!」 「早くしねえとまた湧いて出てくるぜ!?」 「急げ!!時間がねぇっ!!」 男の一人が辺りに飛散した餡子を指さし、別の男が手際よく回収していく。 それもかなり念入りに。 餡子が触れた部分の土は、スコップで掘ってビニル袋に入れる徹底ぶりだ。 吹き飛んだれいむの餡子はかなり多く、その後3時間に渡って回収、消毒作業が行われた。 「………昨日の件でお話が」 男は村長に深々と頭を下げた。 彼は昨日、バットでれいむを潰した男だ。 「………わかっておる。この音を聞けば、な……」 村長が、耳を塞ぐポーズをとる。 見ようによっては頭を抱えているようにも見える。 「……すみません」 小さな謝罪。 それは外から聞こえる騒音にかき消されてしまった。 二階の窓から見える地面は、赤と黒で染まっている。 ぞわぞわと、波のように動きながら。 「……堤防は大丈夫だろうな」 「はい……そちらはなんとか」 大地を埋め尽くすモノ。 それらは全て、れいむ種の赤ちゃんゆっくりだ。 村を取り囲む堤防がなければ、今頃村は赤れいむであふれかえっていたことだろう。 「ワシが子供の頃は、ゆっくりはここまで繁殖力旺盛ではなかったというのに………」 うつむいたまま、村長は呟いた。 ゆっくりには、植物型妊娠と呼ばれる出産方法がある。 自身から茎を生やし、子を成すものだ。 いつからか、ゆっくりは交尾なしでも出産するようになった。 人間による駆除活動に対抗するため、多産を強化したのかもしれない。 そして人間は、それに対抗して駆除回数を増やした。 それが原因かはわからないが、ゆっくりはさらに増殖するための能力を得た。 今の凄惨な現状がその結果だ。 「………俺が餡子をブチ撒けたせいで…………!!クッ……」 ゆっくりの体内の餡子。 これが地面に放置されると、芽が出るようになった。 ほんの少しの量でも確実に芽が出る。 その芽は周囲の大地から養分を吸い取り、わずか12時間~24時間で1メートルほどにまで成長するのだ。 もちろん、それに赤ちゃんゆっくりが成る。 1本の茎から100匹近くの赤ゆっくりが実るとも言われている。 産まれた赤ゆっくりが、潰されるか何かする。 そうするともう手の着けようがないレベルで増殖する。 大量に増えると、草や木は根こそぎ食べられてしまう。 そして茎が土の養分を吸うので、土地が枯れる。 1匹のゆっくりを撒き散らすだけで、死の大地ができてしまうのだ。 世界中のゆっくりがある日を境に究極の進化を遂げてしまった。 害獣ゆっくりとしての最終進化だ。 生殖行為を行わずとも爆発的に増え続ける究極の生命。 それから間もなく人類は滅亡した。 このSSに感想をつける
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『真冬のゆっくり対策』 「この時期に色々と対策を取ったほうがいいですよ」 ある村で会議が開かれていた。この村はゆっくりによる農作物の被害が多かった。 「確かに今が一番いいわね。今ならみんな冬篭り中だし手こずる事も無いでしょう」 ちなみに今は真冬。ゆっくりは冬篭り中で村には出没していない。そのうちにゆっくりの数を減らしてしまおうというのだ。 「春になったらまた子作りしますよ。そうしたら被害が増えるだけだ」 「ドスまりさも冬は動けませんよ。やるなら今です」 「しかしこの村の人数ではな…」 「でしたら周りの村や町にも応援を頼みましょう。虐待好きな方も動員しましょう」 「わざわざ来てくれるかね」 「どこも真冬はゆっくりが少なくて虐待が中々できないそうですよ。この辺りはゆっくりが多いようですから見つけやすいんじゃないですか? 喜んできてくれますよ。」 「いや…そっちの人のことを言ったんじゃないんだが…」 何はともあれゆっくり駆除の募集が行われた。 「ふ~ん…ゆっくり駆除ね」 新聞を読みつつ虐待お兄ちゃんは呟いた。 "ゆっくりを虐めたくてうずうずしてませんか?" 「してる。この時期は粋の良いゆっくりがいないんだよなあ」 彼の住んでいる村のそばだけでなく大抵の場合冬になるとゆっくりを見つけるのに少々手間取ってしまう。手間をかけてまでゆっくりを捕獲し 虐める人はそんなにいない。たまに自宅に忍び込もうとするゆっくりを捕まえて虐待するくらいだ。 「そういえばこの村は結構ゆっくり被害が多かったな」 "報酬はあまり出せませんが特産品をご馳走します" 「あ、この村確か良い酒があったんだ。結構高いやつ」 村の経済状況ではそれが精一杯だった。 "いつでもお越しください。ご協力お願いします" 「人助け&酒&虐待。良いこと尽くめじゃないか。早速出かけよう」 「うう…寒いわ」 虐待お兄ちゃんは村に着いた。彼が住んでいる村とは違い雪が積もっていた。 「そうか…雪がよく降るところだから米が良くて酒が美味いんだな」 彼の他にも多くの人達が着ていた。 「皆様、遠いところから良くおいで下さいました」 「この村はゆっくりによる被害が多くて困ってます。力を貸してください」 「無理はなさらないでください。夕方には戻ってきてください。夕食を用意いたします」 「ドスはここからかなり遠いところにいるので遭遇する心配はありません。ご安心ください」 「皆様お願いします」 彼らは準備を整え山へ向かった。 虐待お兄ちゃんは木の根っこの辺りを探していた。まずゆっくりが巣にしているのは木の根っこの下である。 「うーん…あ、ここ怪しい」 ゆっくりは冬篭りをする時入り口に草や石などを詰め寒さを防ぐという。不自然に石が固まって置いてある場所は巣の可能性がある。 「手ごろな大きさの石はないかな…」 彼はブロック程の大きさの石を見つけた後シャベルで木の根っこの辺りを掘り出した。 巣の中- 「ゆぅ…きょうはさむいね」 「おきゃあしゃん!しゅりしゅりすりゅちょ、ちょっちぇもあっちゃかいよ!」 「まりさともすりすりしてね」 「れいむも、れいむもすりすり~」 巣の中は典型的な幸せ家族であった。まりさとれいむに子れいむ、赤まりさ、赤れいむの5匹だ。巣の中は5匹と貯蔵している食糧でギリギリ といったところであった。 「せまくてごめんね、らいねんはもっとひろいおうちにすもうね」 「そんなことないよ。まりさががんばってつくったおうちだもん。とってもゆっくりできるよ」 「しょうだよ!まりしゃちょっちぇもゆっきゅりしちぇるよ!!」 そんな幸せムードもここまでだった。 「……で……~。は……す…よ…」 「ゆ!なにかきこえるよ」 「ゆ!なんだかさむくなってきたよ!!」 「しゃみゅいよお」 「はるですよ~!!!!!」 「「「「「ゆゆゆ!!!!」」」」」 入り口が壊され虐待お兄ちゃんが巣の中をのぞいていた。 「はるですよ~。なんちゃって」 「きょきょはまりしゃたちのゆkk…ゆぴいいいいい!!!しゃみゅいいいい!!!!」 「おちびちゃんたちはおかあさんのおくちのなかにはいってね!!」 「おじさん!!ゆうう!!!ここはまりさたちのおうちだよ!!さっさとでていってね!!!さむうううう!!!!!」 「あれ、まさか冬篭り中だったかい?」 「そうだよ!!!!だからゆっくりしないででていってね!!!!ゆううう!!」 「すまないねえ。なあ、ゆっくりと遊びたいんだけどこの辺りにゆっくりはいないかい?」 「ゆっくりしないででていってね!!!いりぐちなおs…ゆぴいいいい!!!!」 「早く教えてよ。いないんだったら君達と遊ぼうか」 「となりのきにありすがいるよ!!!まりさもいるよ!だからはやくでていってね!!」 「そうか、それはどうも。お礼に入り口埋めてあげるよ」 「ゆっくりしないでね!」 「じゃあ奥に入ってくれ」 「わかったよ!れいむ、おちびちゃんおくにいってね」 ゆっくり達が奥に入ったのを確認すると彼は石を巣の中にぶち込んでいった。 「丁度すっぽり挟まったね。これなら大丈夫だね」 彼は隣の木に向かった。 「ゆううう!!!!おじさん!!!ふさがってないよ!!!」 「もう…まりさがふさぐ…ゆゆゆ!!いしさんがじゃまでまえにすすめないんだぜ!!!」 「さむいよおおおおお!!!」 「ゆっきゅりできなああいいい!!!!」 「ゆんしょ…ゆんしょ…ゆうううう!!!!!」 「さて、多分ここだな。ここがありすのおうちか。今度はベーシックにいこう」 彼はシャベルで掘り始めた。 「はるですよ~。はるですよ~。でてきてね~」 巣の中- 「むきゅ…きょうはひえるわね」 「ぱちぇ、まりさとくっつくんだぜ!まりさがあっためてあげるんだぜ!」 「むきゅ~ん…ほかほかするわ」 「ぱ…ぱちぇ…まりさは…まりさはぱちぇとすっきりしたいんだぜ!!!」 「だめよまりさ。ごはんがすくないわ。あかちゃんなんてうめないわ」 「はるまでまてないんだぜ!!」 「まりさ……むきゅ!いりぐちがこわれてるわ!!」 「ゆ!」 「おうおう、おアツイねえ。あれ、ありすじゃねえ」 彼は巣を覗きニヤニヤしていた。 「おじさん!まりさのあいのすになんのようだぜ!!!」 「さむいわ!!ゆっくりできないわ!!」 「いやはや、おアツイところを失礼したよ。でもアツすぎると赤ちゃん産んじゃって冬越せなくなっちゃうよ。頭冷やそうね」 彼は巣の入り口を滅茶苦茶に壊していった。 「やべでえええ!!!!!あいのずがごわれぢゃううううう!!!」 「ゆぴいいいいい!!!!さむくてゆっぐりできなあいいい!!!!」 入り口どころか巣は修復不可能なほどに壊されてしまった。 「これなら少しは冷静になるね。じゃあね」 「むきゅううううう!!!!!!!」 「おじざん!!!!!!ゆうううう!!!!!おうぢなおじでええええ!!!!さむくでゆっくりできないよおおお!!!!」 「どうじだらいいのおおおお!!!!!」 「おうぢなおずんだ…ゆぴいいいいい!!!…ゆうう!!!ごはんがかぜでとばされでるんだぜええ!!!」 「今度こそありすのおうちはここだな」 巣の中- 「みんなごはんにするよ!」 「ゆっくりできるよ」 「きょうはむししゃんがたべちゃいよ」 「きょうはとくにひえるからとかいはならんちにしましょう」 「やったね!ごちそうだね!」 「「「「「むーしゃむーしゃ…しあわせぇ♪」」」」」 こちらも幸せな家族団欒であった。ありすとれいむの若干珍しい組み合わせ。子ゆっくり2匹と赤ゆっくり1匹だ。 「こんやはもっとひえるからよくたべてねましょうね」 「さむいよおお」 「だいじょうぶだよおちびちゃん。れいむおかあさんとす~りす~りしましょうね~」 「「す~りす~り」」 「ありちゅもしゅ~りしゅ~りしちゃ~い」 「ありすもす~りす~り」 突然だった。 「ゆ!なんだかすうすうするよ!!」 「おきゃあしゃん!おしょちょがみえちぇりゅよ!」 「とかいはなおうちをこわすいなかものはだれ!!!!さむいっ!!!!」 「ビンゴ。ありすだ」 「ここはありすたちのとかいはなおうちよ!!!いなかものはでていってね!!」 「しょーだしょーだ!」 「おかあさん!!さむいいいい!!!!」 「ハハハ。悪い悪い。プレゼント持ってきたんだけど余計だったかな」 「ぷれぜんと!」 「あまあまさん?おにいさん!あまあまさんくれるの?」 「べ…べつにぷれぜんとなんかでつられないわよ!だけど…あげたいならもらってあげてもいいわよ!」 「じゃあみんな、巣の奥に入って目を瞑っててね」 「ゆっくりおめめつむるよ」 「さみゅいきゃらゆっきゅりしにゃいでね」 「あまあまさん…あまあまさん…」 ドサアア!!!! 「ちべだあああいいいいい!!!」 彼が巣の中に入れたのは雪だった。 「遠慮するな。どんどん入れてあげるから」 「ちゅめちゃいよ!!!」 「やべでええ!!!ありすのとがいはなおうちがああ!!!!」 「それそれ!それそれ!」 「やめ…むぐうううう!!!…っぺっぺ…やべでええええ!!!!!むぐううううう…」 「いやあああああ!!!!ゆきさんこっちごないでええ!!!!」 「ほれ。トントンっと」 巣の中が雪でいっぱいになるとパンパンっと雪を固めて入り口を塞いだ。 「一面銀世界だなんてなんて都会派なんだろうね!!」 彼は次のターゲットを探したが中々見つからなかった。実は木の根っこを冬篭り用の巣にするゆっくりは少数らしい。 というのも巣が広げにくく食糧が貯めにくい事と雪の重みで入り口が壊れてしまうケースがあるからだ。 「あ、ここも空っぽだ。仕方ない根っこは諦めるか」 春になったら戻ってくるゆっくりもいるらしい。彼は山の奥の方へ向かった。 虐待お兄ちゃんがいなくなってから数分後- 「「ゆんしょ…ゆんしょ…」」 「おきゃあしゃんがんばっちぇね!」 「あかちゃんさむくない?す~りす~り…」 「しゅ~りしゅ~り…ゆうううう…しゃみゅいよおお」 石で入り口を中途半端に塞がれた家族である。 「ゆうううう!!!いしさん!!おうちからでていってね!」 「これじゃだめだよ…みんな!てつだってね。みんなでがんばればいしさんをどかせるよ!」 「まりしゃもぎゃんばりゅよ!」 「あかちゃん、がんばろうね」 「「「「「えいえいゆー!!」」」」」 「「「「「ゆんしょ!ゆんしょ!…」」」」」 微かに石が動いた。 「ゆ!うごいたよ!」 「みんながんばってね!」 「「ゆうう…みょうちゅかれちゃよ…」」 「れいむももうだめええ」 3匹が力尽きた時だった。 「「ゆべっ!!!!」」 「おかあさん!!」 「「ぎゃああ!!!!」」 親ゆっくり2匹が石に潰されてしまった。 「ばりざのあんよがああああ!!!!」 「でいぶのおがおがあああ!!!」 もうこの家族は冬を越せないだろう 「ゆびゅううううう…どうじよう…」 巣を壊されたまりぱちゅ。なんとか巣をそれらしい形にまでは戻したが寒気は容赦なく巣の中に入ってくる。食糧も大半が風で飛ばされてしまった。 「む…き…ゅ…」 「ぱちぇえええ!!!しっがりじでええ!!!!」 「もうだめだわ…ぱちぇは…もう…」 「ゆっくりしようよ!!!!!まりさといっしょにゆっくりいいいい!!!!」 ビュウッ!!!!! 強めの風が吹いた。 「ゆがああああ!!!!おうぢがあああ!!!!」 巣が壊れてしまった。さらに 「ゆああああ!!!!!まりさのぼうじがああ!!!!!ぼうじざんまっでえええ!!!!」 まりさの帽子が飛ばされてしまった。まりさは帽子を追って巣から出て行ってしまった。 「…ま…りさ…ぐ…ずっ…ひどいわ…」 まりさが帽子を取り戻し巣に戻ってきた頃にはぱちゅりーは死んでいた。まりさも直にぱちゅりーのもとへ逝くだろう。 「「「「「………………」」」」」 巣の中に雪を詰められた家族はみな固まってしまい動いていない。 「「「「「………………」」」」」 凍死ではなく仮死状態のようだ。解けた雪が体を溶かすより早く意識を戻すことができるのだろうか。 つづく by 虐待おにいちゃん
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※他作者様の設定を使わせていただいております。 ※下品な表現がありますので、それが嫌な方は今すぐに回れ右してください。そう、今すぐに、です。 ゆちゅりーのゆっくりアイス 暑い。 とにかく暑い。 今年の夏は例年以上に暑く、ここ毎日最高気温を更新していた。 そんな中、俺は冷房を28度に設定した部屋の中で、ゆっくりと「ゆっくり宇治金時」を食していた。 うん、今流行のクールビズってやつだね。電気代も高くなっているそうだし、一人身はちょっとお財布の紐を硬くしておきたいのさ。 といっても、我が家の電気は全て「ゆっくり回し車」で発電しているから問題ナッシングネスなんだけどね。苦労するのはゆっくりだけだし。 「んまーい♪」 絶望と恐怖で凍りついた表情を張り付かせたままの、ソフトボールくらいの大きさのゆっくりれいむの頭頂部を外し、しゃくしゃくと気持ちの よい音をさせながら、凍った抹茶餡を崩して口に運ぶ。さらりとした甘さの抹茶餡が溶けながらのどを滑り落ちていく。 ゆっくりれいむはまだ息があるのか、「ゆ”…ゆ”…」とか細い声を上げながら、命の源が少しずつ少しずつ削り取られていく恐怖におびえていた。 「流石自家養殖の新鮮なゆっくりれいむは味が違うねー」 このゆっくりれいむは、我が家および公営スキー場の雑草処理係の内の1匹として、つい1週間前までは元気に飛び跳ねていたのである。 雑草だけを純粋に食べるよう調教されたゆっくりの餡子は、通常の粒餡から、小豆を残したまま濃い緑色をした抹茶餡へと変化する。 餌によってゆっくりの中身が変化することは知られているが、まだまだ未解明な部分が多かった。ある地方で捕獲されたドス・まりさの中身は、 濃い黄金色をした、濃厚な栗餡に変化していたという報告が出ているし、とある家庭で飼われていたゆっくりれいむの中身は、鮮やかな紫色を した紫芋餡へと変化していたという。 もともと謎の多いナマモノであるゆっくり。突然出現したこれが、人家や農作物に被害をもたらし害獣認定されてから3年。 その3年で、さまざまな研究が行われて、ゆっくりの生態などが解明されてきたが、まだ未知の領域が残っているのである。 うん、ロマンに満ち溢れているナマモノだね、ゆっくり。おいしいしね。ウザイけど。 「ゆっくりれいむとゆっくりまりさは餡子が変化するんだけど…そのほかの通常種はどうなんだろ」 すっかり中身のなくなったゆっくりれいむの皮を飲み込むと、俺はそう呟いた。 「たとえば、ゆっくりぱちゅり。あれの中身は生クリームなんだけど…他のに変化するのかな。たとえばイチゴ味とか。よし、試してみるか」 そう思い立ったら吉日。 俺は部屋を飛び出し、炎天下の町へと繰り出していった。 1時間後。 いろいろと買い込んできた俺は、慣れた手つきでゆっくり専用拷問部屋の中に機材をセットした。 今回の犠牲者…もとい、犠牲ゆっくりになっていただくのは、つい昨日捕獲されたばかりの野生のゆっくりぱちゅり3匹。 大きさはちょうどハンドボールくらいで、成体になる1歩手前だろうか。 加工所で購入してきた、3匹のゆっくりぱちゅり、通称ゆちゅりーをわが社の新商品「ちょうきょうくんG」に、起こさないように顔をを上向きにして入れる。 このクソ暑い中でも目を覚まさないなんて、加工所の仮死状態維持システムは凄いね。 そして、DVDプレイヤーから伸びた音声出力コードをドルビーサラウンド5.1チャンネルアンプを介してから、ちょうきょうくんG下部にある音声入力端子につなげる。 「うし、これで準備完了ーっと。でわでわ逝きますかー」 微妙なニュアンスを含んだ一言を呟き、俺は魔法の言葉を大声で叫ぶ。 それは、愛しのお姫様を目覚めさせる魔法の言葉。それは、悲劇のヒロインを絶望のどん底に陥れる呪いの魔法。 「ゆっくりしていってね!!!!!!!」 「「「ゆっ…ゆっくりしちぇいってね!」」」 そういうと、ほぼ同時に3びきのゆちゅりーが目を覚まして言った。 「おじさん、ここはぱちゅりたちのゆっくりぷれいすにするわ」 「わかったらゆっくりでていってね」 「ごはんとごほんをゆっくりとはやくよういしてね」 うんテンプレどおりっ!ははは、何も知らないって無知だね。といっても、生クリーム脳じゃ理解できないんだろうけど。 知能が高いと言われているゆちゅりー。でも、それは他のゆっくりと比べてであって、やっぱりゆっくりでした!ごめんなさいっ! 「透明な箱に入って何言ってるのかなベイビー?ここはお兄さんの家で、君たちはこれからお兄さんの実験につきあってもらうんだよ。ユーアンダスタン?」 これから始まるであろう惨劇を想像してぞくぞくする俺。やべぇ、少しおっきしてきた。 俺、もしかしてドSのHENTAIさん?いや、違うっ!紳士という名のッッッHENTAIなのだッッッッッ!!! 「なにいってるのおじさん?ばかなの?しぬの?」 「はやくごはんとごほんもってきてよね」 「さっさとゆっくりでていってね。ここはゆちゅりーのゆっくりぷれいすにするんだから」 人を小ばかにしたようなこの言い草。自分が生態系の最底辺に位置する完全被捕食生物であることを理解していないみたいだね! よし、ではこれからそれを思う存分思い知らせてあげよう! 「うん、また、なんだ。この映像は僕のおごりさ。でも、これを見たときに、君たちは確かなゆっくりを感じることができると思う」 ニコニコしながらそういいつつ、俺は傍らにあった液晶ディスプレイをゆちゅりーたちの目の前に設置し、スイッチを入れる。 と同時に、ちょうきょうくんGのふたを閉めて、南京錠できっちり鍵を閉める。 それと同時に、ある映像が流れ始めた。 主演はもちろん、この俺。 俺が、大小さまざまなゆっくりれいむやゆっくりまりさ達を、惨殺し、喰らい、拷問している映像だ。 今年の春に、社食に現れたゆっくり一家にキレた俺が、ついつい暴走したことがあった。そのときの隠し撮り映像(撮影:同僚A)である。 今では、加工所でゆっくりの仕上げに使われているという。 くそう、楽しみにしていた特盛ダブルカツカレーとイチゴの洗面器パフェ台無しにしやがって。ちょっとむかついてきた。 画面の中のゆっくりは、あるものは後頭部から喰らわれ、あるものは核ごと手刀で撃ち貫かれ、あるものは正拳突きで核を引き抜かれ、あるものは左右5つの 穴から餡子を噴出しながら、のたうちまわっている。おまけには生き赤ゆっくりの焼き饅頭だぜフゥハハハー。 まさに血しぶきならぬ餡子しぶき飛び散るスプラッタ映像。心臓の悪い人やお子さんは見ちゃいけないぞ!お兄さんとの約束だ! でも、その音は外部には聞こえてこない。静かなものだ。だがしかーし、箱内部のゆちゅりー達にはその音が、ゆっくり達の命乞いや断末魔の叫び声と、俺の狂った 笑い声が生々しく聞こえているはずだ。その証拠に、ゆちゅりー達はひくひくと痙攣しながら体中の穴という穴から謎の液体を噴出している。 このちょうきょうくんGは、優れた防音性を持ちながらもゆっくりを痛めつけないように優れた環境維持性能を持っている。 その上、内部に直接音声を流すことによって、ゆっくりたちに確実な恐怖を与えることができるのだ。 うむ、そろそろ頃合かな。 俺はDVDの再生を止め、ふたを開ける。 そして、ひくひくと痙攣しているゆちゅりーに声をかける。 「おーい、生きてるかー?」 「ゆ”…ゆ”…あ”か”ち”ゃんた”べないでぇ…」 「い”や”…い”や”…こ”な”い”でね”ぇえ”え”えっ!!」 「ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”」 「生きてるな。簡単に死んでくれたら困るんでなー」 そう言いつつ、今度はゆちゅりーの口をこじ開けて中に管を挿入する。 管の先には、2リットルのペットボトルの中にイチゴ牛乳を入れたものがつながっていた。それを3匹に1つずつつなげ、口の皮をガムテープで寄せて固定する。 「さて、あまーいイチゴ牛乳ですよー。たくさんあるからゆっくり全部飲んでね!!!」 そういうと、管をはさんでいた洗濯ばさみを取り去る。管を伝って勢いよくイチゴ牛乳がゆちゅりー達の中に流れ込み、その衝撃で飛びかけていたゆちゅりー達の意識が 戻ってきた。 「「「ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”」」」 目を見開き、恨めしそうに俺を見るゆちゅりー達。 「うんうんそうかそうかー。おいしいかー。おにいさんうれしいなー」 見事なまでの棒読みで相槌を打つ。 すると見る見るうちにゆちゅりーの体が膨らんでいく。2リットルのイチゴ牛乳が全て入り終わるころには、ゆちゅりー達の体はもともとよりふた周りくらい膨らんでいた。 すげえ、全部入っちゃったよ。つーか、ちょうきょうくんGにみっちり詰まってやがる。 デジカメで写真を撮り、ついでにガムテープをはがして管を抜いてやる。 「ゆ”っ…ゆ”っ…ひ”どい”よひ”どい”よ”お”おぉおぉぉっ!!」 「こ”のし”し”い”、ゆ”っく”りし”でえ”ぇぇぇぇぇっ!」 「asawsedryguhnjiko lp +*!!!!!」 憤怒と憎悪の形相で、俺をにらみつけるゆっくり達。しかし、徐々にその体が赤らんできた。心なしか、そわそわしているようにも見える。 「どうしたのかなー?もしかして、出ちゃうのぉー?」 この上なく棒読みで、ニヤニヤした笑みを浮かべながら聞く俺。しかし、ゆちゅりー達は、そんな余裕はない様子だった。 よく見ると、あごの下にあたる部分に、黒い穴が開き始めていた。 あー、こりゃすぐポロロッカ状態になりそうだな。 ゆっくりは、基本的に排泄行為を行わない。口に入れたものはほとんど全てが内臓器官で消化される。 しかし、何らかの理由で、1回に内蔵で処理しきれないほどの水分を摂取してしまった場合、体内の餡子が解け出てしまうのを防ぐために、体の一部を変形させて一時的に 排水を行うことができる。 その際には、人間でいう下顎周辺に新たに排泄口ができ、そこから排水を行う。そして、排水が終了すると同時に閉じるのである。 俺は、そこに手早くシリコン製のチューブを体の奥まで差し込んだ。そして、反対側のチューブを口の奥まで差し込み、舌の上にガムテープで固定する。 「「「い”だあ”あ”あ”あ”いいい”ぃぃぃっ!!!!!!!!ぼじざんな”に”ずるのぉぉぉぉ!!!」」」 「ごめん、手が滑った。それよりいいのかい?おしっこ出ちゃいそうなんでしょ?すっきりしたいんでしょ?お兄さんのことは気にしないで、すっきりしたら?」 「ゆっ!?」 「このままじゃすっきりできないでしょ?」 「ゆっゆっ!そうだったね!」 「はやくすっきりするよ!」 「ぱちゅもすっきりするの!」 排泄のための穴に管を挿入された痛みもすっかり忘れたのか、ゆちゅりー達は口々にそう言った。やっぱりゆっくりはゆっくりだね。 そう言い終えたゆっくりの口を、俺はすかさず再び閉じ、ガムテープで厳重に目張りをする。ゆっくりの下の世話をするのは嫌だからね。 そうこうしている内に、ピンク色の液体が管を勢いよく流れていく。おー、そのまま出るのか。俺の予想どうりじゃないか。 そして!行き着く先はッッッ!もちろんゆちゅりー達の口の中だああぁぁぁぁぁ!!!!! 「「「ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”」」」 苦しそうに目を白黒させて悶えるゆちゅりー達。うわ、すげー嫌そうな顔してる。てか、お前ら下手なところできれい好きなのかよ。ゴミ饅頭の癖に生意気な。 ま、俺も飲尿趣味なんてないから、ごめんこうむりたいけどな! さてさて、なぜ俺がこんなHENTAIじみたことをしたのか種明かしといこう。 ゆっくりは、常に同じ種類の餌を摂り続ける事によって自身の中身を変化させる。 だから、雑草だけを食べ続けたゆれいむの中身が粒餡から抹茶餡に変わっていたのだ。 今回の実験は、同じものを摂り続けたゆちゅりーの中身(生クリーム)が、別のもの(イチゴクリーム)に変わるかどうかを確認することが目的である。 しかし、イチゴなんてものはこの季節には売っていないし、例え手に入れることができたとしても高価なもの、ゆっくりごとき下等生物にやろうなんて気はさらさらない。 ならばどうしたらいいか。 ゆっくりは、過剰摂取した水分をそのままの形で排水する。そして、消化器官で吸収できる分はゆっくりの体内に吸収され、栄養となり消費される。 つまり、餌となる成分の含まれた水を過剰摂取させ、それの排出→摂取→吸収というサイクルを確立させれば、餌やりも特別いらず、かつ同じ種類の餌を続けて供給できる ことになるのである。 もちろん、ゆっくりに人権なんぞないわけで、こんなひどい仕打ちをしても問題はないわけで。 「さてと、このままションベンが出なくなるまで、君たちにはそのままでいてもらうよ!もちろん、キミの食事は自分のションベンだけだからね!嫌でも飲まなきゃ死んじゃ うから、頑張って飲み続けてね!それじゃ…たっぷりゆっくりしていってね!!」 そう言うと、俺はゆちゅりー達の入ったちょうきょうくんGのふたを閉めて南京錠で開かないように固定した。 ゆちゅりー達の憎しみと恨みと怒りが篭ったうめき声を聞きながら、俺はゆっくり専用拷問部屋をあとにした。もちろん、ドアにはきちんと鍵をかけてね! それから20日後、ようやくゆちゅりー達の水分排出が止まった。 そこから逆算すると、ゆちゅりーが1日に必要な水分の量は100ミリリットルとなる。大体コップ半分くらいだね。多いように見えるが、実際には食事からも水分を摂っている ため、水分単体で見るとそう多くはない数字だ。 うちのゆっくり回し車の参考になるなと思いながら、俺はゆっくり専用拷問部屋に入った。いくらか成長したのか少し窮屈そうにちょうきょうくんGに入っているゆちゅりー達。 「ゆっくりしていってね!」 開口一番そう声をかけたが、ゆちゅりー達は虚ろな目で明後日の方向を見ながらかすかな呻き声をもらすばかりだった。 「ありゃ、こわれちゃったか。でも、これからお亡くなりになってもらうんだし、どうでもいいか」 そう言うと、俺はちょうきょうくんGのふたを開けて、1匹目のゆちゅりーを取り出した。 丁寧にガムテープやら管やらをはずす。そして、手にしたぺティナイフでことさらゆっくりとした手つきで、帽子と髪ごと後頭部を切り開く。 生きたまま体を切り開かれる痛みに、ゆちゅりーの目が大きく見開かれるが、声は出ない。かすかな呻き声が出るだけ。 「おー、いい色に染まってるじゃないの。実験成功したじゃん」 ゆちゅりーの生クリームは、見事薄いピンク色に染まっており、甘いいい匂いを放っていた。 俺は、スプーンでそれを一口すくうと口に入れた。 口の中にイチゴの芳醇ないい香りと甘い味が広がる。 「どれどれ、他のはどうかなー?」 2匹目、3匹目のゆちゅりーも同じように切り開いて確かめてみる。 結論から言うと、2匹目3匹目のゆちゅりーも、1匹目と同じように中身がイチゴクリームに変化していた。 これで、ゆちゅりーも同じ餌を摂り続けることによって、中身が変化するということが証明できたわけである。 「よーし、忙しくなるぞー。とりあえずは、研究レポート持ち込んで上の連中を説得するか!」 そう言うと、俺はすっかり廃ゆっくりとなってしまったゆちゅりーたちをお盆に載せて部屋を出て行った。 それから数ヵ月後。 クリスマス商戦にあわせて、加工所から新しい商品が売り出された。 その名も「ゆちゅりーのゆっくりアイス」である。 ゆちゅりーの中に、ゆちゅりーのクリームをそのまま固めたアイスが詰まっているというこの商品。 それぞれのゆちゅりーの中に、異なった味のゆちゅりーアイスが詰まっているということもあり、大家族用夜パーティー用に売れたとか。 おしまい あとがき マイサンがおっきしてくれた勢いで書いてしまった人生初の投稿SS、楽しんでくれたならば幸いです。 粒餡が別の餡子に変わるのならば、生クリームも変わらないはずがない!と、単純な思考かつ短絡的なネタです。 おいしいですよね、アイス。暑いときにはぴったりですよ。私はかき氷も好きですがね! でわ、また気が向いたら投稿するやも知れません。そのときは生あったかい目で生あったかく見守ってやってください。 ご意見、ご感想などお待ちしております。 ゆっくり虐待スレ29 レス番号602の人 このSSに感想を付ける
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前 ※若干オリあり? ※虐待度はやや低め ※若干罵詈雑言気味 ※読むに堪えない文章は仕様です というわけで、あっという間に出産日。 ボールの中ではさすがに出産なんて出来ないので、2週間ぶりにゆっちゅりーを外に出す。 圧迫感から開放されたものの、2週間も食事もろくにとれず、コミュニケーションも満足に出来ずの状態だったわけだから相当ぐったりしている。 「も、むきゅ・・・うぅ」 「ぱちゅりー、だいじょうぶ?ゆっくりしていってね」 そんな彼女に寄り添うゆっくりまりさ。実に健気で、美しい光景だ。 見てるとなんだか腹が立つくらい美しい。 「ゆっくりしてる場合じゃないだろ?早く子供を産んであげないと!」 腹が立ったので水を差してやった。 「むきゅ・・・そうだね、ゆっくりするならあかちゃんをうんでからだよね」 「ゆ!ぱちゅりー、ゆっくりいそいでうんでね!」 「矛盾しとるぞ、まりさくん」 などと突っ込みを入れていると、ゆっちゅりーが突然うめき始めた。 「む、むぎゅぅぅぅぅぅ・・・!?」 どうやら本格的に陣痛が来たらしい。 今までボールの中にいて全く見えなかったが、彼女の口の下には産道らしき穴がある。 まるで人間の女性のそれのようでちょっぴりいやらしい。思わず赤面しちゃったさ。 「ぱちゅりー!どうしたの?!」 「う゛うばれりゅ・・・!?」 「もうすぐらしい。まりさ、君は少し離れていなさい」 それでもなかなか離れようとしないまりさを抱き上げ、ゆっちゅりーから少し距離を置く。 「ゆ゛うううぅぅううう・・・」 出産は想像以上に難航しているようだ。 ボールで圧迫されていたせいで胎内の子供がすでに死んでいるのかもしれない。 生きていたとしてもまともに歩けないような重度の障害をわずらっている可能性もある。 「ぱちゅりー・・・ゆっくりがんばってね!」 俺の隣では自分が出産しているわけでもないのに苦悶の表情を浮かべるまりさがゆっちゅりーを励ましている。 実に微笑ましい光景だ。さっきからこんなことばっかり言っているような気もするが、むかつくくらい微笑ましい光景だ。 それと同時に、この微笑ましさの分だけ子供の姿を見たときに絶望するんだと思うと鳥肌が立ってくる。 「なあ、まりさ。俺の話をゆっくり聞いてくれよ?」 「なに、おじさん?」 「もし、ゆっちゅりーの子供が未熟児や奇形児だったらその子を口の中に隠してほしいんだ」 「ゆ!?それってまりさにk」 「静かにする!」 「ゆぅ・・・」 「安全なボールの中にいたから大丈夫だとは思うんだけど、万が一の可能性がある。あんな狭いところで我慢したのに、ようやく生まれた子供が元気じゃなかったら可哀そうだろ?」 「ゆ!おじさんのいうとおりだね」 流石ゆっくり。こんなこじつけも同然の話に素直に納得してくれる。 「それにまりさも知っていると思うけど、ゆっちゅりーは子供を産むと死んでしまうだろ?」 「ゆぅ・・・」 目を背けていたかった事実を突きつけられあからさまに落ち込むまりさ。 でも、本当に落ち込みたいのはこっちなんだぞ、このド畜生饅頭が。 「だからさ、それまで隠し切れれば良いだけの話なんだ。口の中に隠すときにはゆちゅりーの目を隠すし、他のフォローもお兄さんがするから」 「うん、わかった。ゆっくりくちのなかにかくすよ」 「ありがとう。よし、それじゃ、素早く隠せるようにゆっちゅりーのそばに行こうか?」 そう言って立ち上がると、出来る限り柔和に微笑んだ俺の表情を見たまりさは「ありがとう、おにいさん」とまりさらしからぬ殊勝な言葉を口にすると、ゆっくりゆっちゅりーの傍へと跳ねて行った。 「おにいさん、か・・・」 結論から言えば、赤ちゃんは明らかに奇形で、その上未熟児だった。 もっとも、まだおなかの中にいるのでゆっちゅりーには見えていないが、俺とまりさにはその赤ちゃんの異形がはっきりと確認できる。 いわゆる結合双生児というやつだ。しかもその子ゆっくりはまりさの右目とゆっちゅりーの左目が完全に一体化しているかなり異様だった。 ボールによる圧迫の影響で産道が小さかったこともあるだろうが、蔓から生まれてくるものよりもやや小さいくらいの未熟児なのに難産になったのはこれが原因だろう。 「ゆっぐりぃぃぃぃ・・・」 「ゆぎぃいぃぃぃ・・・」 2つの口からそれぞれに呻き声が漏れるが、その違和感にゆっちゅりーはまだ気付いていない。 産みの苦しみのせいで、そんなことを気に留めている余裕がないのだ。 「むぎゅぅう゛・・・・」 「がんばれ、ぱちゅりー!」 自分はすでに残酷な現実を突きつけられているにも関わらず、まりさはそれをゆっちゅりーに気取らせまいと、必死でわが子の安産を願う親を演じる。 本当に健気な奴だ。ちょっと前に独善的で思い上がりの激しい自信家だなんて言った自分が恥ずかしく思えてくる。 「ぎゅうううぅぅう・・・」 「もう少しだぞ、ゆっちゅりー!!」 あと少し・・・あと少しでゆっちゅりーの子供が産道から飛び出す。 俺はすぐにゆっちゅりーの視界をさえぎるべく彼女の後ろに回りこみ、まりさは子ゆっくりを口の中に隠すための準備に入った。 あと少し、あと少しで産まれる。 「む、むきゅううう!!」 俺とまりさが固唾を呑んで見守る中、ゆっちゅりーが悲鳴にも似た声を上げると子ゆっくりたちが飛び出した。 「「ゆっきゅりちちぇちぇね!」」 舌っ足らずで、あまり声も大きくなかったが紛れもなく、子供達はこの世界に生れ落ちた。 本当ならその誕生を心から祝福したいだろう。 子供達をゆっちゅりーの傍に連れて行って、彼女をねぎらってやりたいだろう。 きっと並のゆっくり、喚起のあまりにさっきの約束を忘れてそうしていただろう。 だが、このまりさは違っていた。自分のすべきことは何か?それをわきまえて、わき目も振らず2匹の、いや1対の子供を自分の口の中に丸呑みした。 「・・・まりさ、なにしてるの・・・?」 しかし、その賢明さが仇となった。子供を口の中に入れたまりさがこっちを振り返ったとき、俺はゆっちゅりーの視界をさえぎるどころか子供をしっかり見られるように彼女を抱きかかえていた。 「んぐ!?」 目の前の光景に、1週間とは言えゆっちゅりーの安産という共通の目的のため協力し合ってきた俺の予定以外の行動に動揺し、硬直するまりさ。 そして、この俺がその瞬間を逃がすはずがない。 「この腐れゆっくり!何をしやがるんだ!!」 怒鳴りつけるが早いか、飛び掛るのが早いか。まりさを捕らえた俺はさっきまでゆっちゅりーが入っていたゆっくりボールを手に取り、その中に子ゆっくりを食べた悪いゆっくりまりさを放り込んだ。 「だから・・・だから勝手に妊娠なんてしてほしくなかったんだよ・・・ッ!」 涙ながらに床をたたきつけ、すでに虫の息のゆっちゅりーを怒鳴りつける。 「ご、ごめん、なさい・・・むきゅ・・・う」 子供が奇形だった上に、夫とも言えるまりさに食べられてしまう瞬間を目撃してしまった以上、反論なんて出来るはずもない。 「お前が謝ったって仕方ないだろ?悪いのはお前を騙したこのまりさなんだから・・・」 「むむー、あいああおうあおおううう・・・」 「うるさい!」 抗議しようとするボールの中のまりさを蹴飛ばし、涙をぬぐう。 我ながら名演技だ。ゆっちゅりーが死ぬのが悲しいのは事実なんだけどな。 「こんな奴と交尾したばっかりに・・・何の罪もない子供が奇形の未熟児なんかに・・・!」 そういって更にボールの中のまりさを蹴りつける。 本当は俺が適当なこと言ってあんなボールに閉じ込めたからなんだけどな。 「挙句の果てには喰われる羽目になって・・・!」 怒鳴り散らしながら何度も何度も蹴りつける。 「ゆうぅぅぅ・・・」 ゆっちゅりーは複雑そうな表情でその様子を見守っている。 一度は愛し合ったまりさを助けるべきなのか、それとも“本当に自分を気遣ってくれていた”ご主人の悲しみと怒りを理解すべきなのか、判断しかねているらしい。 しかし、戸惑っているうちにも死が近づいてくる。どんどん体が動かなくなっていく。 「ゆ・・・ゆぅ・・・」 面白がってまりさを蹴りまくっているうちに、もはや喋ることすら間々ならなくなってしまったゆっちゅりー。 実はビッチだったことや俺の純情を踏みにじったことは今でも腹立たしいが1年近くも一緒に生活してきたんだ。 最後くらい、きちんと見送ってあげよう。そう思った俺は彼女をひざの上に乗せ、頭をなでながらお別れの言葉を口にした。 「もう最後だから言うけど、実は・・・お前の子供があんな風になったのは・・・お前がゆっくりボールに入ったせいなんだ」 このときの俺の表情は、きっと満面の笑みだったろう。 ・・・ゆっちゅりーは旅立った。実に良い表情で。そして、居間には俺とまりさだけが残された。 ボールの中のまりさの口の中には奇形の子供が1対。勿論、まりさを世話するつもりなんて微塵もない。 あいつ自身の口の中に少量ながらも食料が保存されているから、すぐに上で苦しむ出すということはないだろう。 死ぬまでボールの中で俺の嫁に手を出したことをゆっくり反省してもらおう。どんなおしおきが効果的だろうか? 振動を与えて発情させ、すっきりする前に止めてから、ゆっくりアリスの群れの中に放り込んでやるのも面白いかもしれないな。 すっきり出来ない苦痛と、アリスに囲まれている恐怖と・・・どっちで気が狂うのだろうか? そして、俺の膝の上には物言わぬゆっちゅりー。 よく見てみると子供を産んだ際に出来た産道が塞がっていない。死んでしまったから再生能力も失われてしまったのだろう。 ゆっくりと人間では交尾の方法が根本的に違う。だから人間とゆっくりが交尾をすることは不可能だ。 たまに咥えさせたり、体に空けた穴に挿入したりする者はいるらしいが、そんなものは交尾とは呼べない。 やっぱり、自然にある穴に挿入してこそ夫婦の営みだと思うんだ。そして今、膝の上にいる彼女には普段のゆっくりにないものが付いている。 そんなことを考えた直後、まりさの最初のおしおきが決定した。 もっとも、ただ見ているだけで良いのだからこんなものをおしおきと呼べるかは正直怪しいところだけど。 ---あとがき?--- ホスト規制で7回はイってしまったぜ。 今までに比べたら若干虐待描写は多めだと思います。 しかしそれでも少ないのは、作者がそのものを見せるより想像力を掻き立てるほうが良いと考えているからです。 まあ、こんなしょっぱい文章じゃ想像力なんて掻き立てられないでしょうが。 最初のお仕置きは言うまでもなく目の前でゆっちゅりーを屍姦ですね。なまじ頭が良くて義理堅いこのまりさだからこそ効果のありそうなものです。 お兄さん変態すぎます。しかも、ゆっちゅりーは好きだけど別にゆっくりが好きなわけではないとか、訳が分からん。 ホスト規制で書き込めないのでここで色々。 ゆっくりを野球に使いたいときはゴム製ゆっくりボールをご使用ください。 使い方は簡単! テニスボールサイズで、中が空洞のゴム球の中に一箇所だけ開いている穴から子ゆっくりを入れてください。 ただし、その際には背中から押し込むようにして穴の部分が口のところに来るようにするのをお忘れなく。 ゴム餡子の流出を抑えてくれるので死ぬことはありません。また、穴が開いているので窒息することもありません。 一つだけ残念なのはがっちり抑えつけられるせいでゆっくりたちの阿鼻叫喚があまり聞こえないこと。 サッカーやその他球技の場合でもfuku1391.txtにあるその競技にあったサイズのボールにゆっくりを入れて、 安全のためにゴムカバーをかければ問題ありません。さあ、皆様、ゆっくりボールでゆっくりスポーツライフをお楽しみください。 このSSに感想を付ける
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※虐め成分はかなり薄くなってしまいました、人間のおっさんメインです ゆっくり和三盆 数年前、ここ幻想郷にゆっくりなるしゃべる饅頭のようなものが現れた。 動物か植物か、あるいは生物かすら怪しいそんな奇妙な存在。 人間はそんな彼女達を最初は疑問に、あるいは恐怖に感じていたが今ではそんなこともなくなってしまった。 あるものは農業や日々の作業を手伝い、人間と友好的な関係を築いた。 あるものは人間の家や田畑を襲撃し、そのため人間に駆逐されるような敵対関係を築いた。 あるものは食料や労働力を目的とし捕獲され、一方的な搾取を行われる支配関係を築いた。 その形は様々であるがゆっくり達は人間社会に浸透してゆき、その結果人々の生活は概ね豊かになっていった。 これは、そんな彼らと正面から向き合うある真摯な1人の男の物語である・・・ 「実録、ゆっくりにみる! ~ある伝統工芸者の挑戦~」 砂糖職人の朝は早い・・・ まだ日も上がらぬ暗いうちから男は床を立つ。 彼は砂糖職人「鬼井 三郎さん」54歳である。 砂糖職人とはその名の通り、日々砂糖を作ることを生業にしている。 だが勘違いしないで欲しい。砂糖を作ると言ってもその仕事は多種多様で実に複雑である。 中でもこの鬼井さんは特に技術を必要とされる和菓子専用の高級砂糖、「和三盆」の作り手なのだ。 それでは実際にその作業を見ていこう。 「おはよう、ゆっくりしていってね!」 「ゆゆ!ここからゆっくりだしてね!」 「はやくださないとひどいんだぜ!いまならゆるしてやるんだぜ!」 作業場に着いた鬼井さんは籠に閉じ込められているゆっくり達に挨拶をする。 籠に入れられているゆっくりはれいむ種とまりさ種、この2種の餡子が砂糖の精製に最も適しているらしい。 「まずは朝の挨拶からはじめるんです、これでゆっくり達の健康状態を確認するんです。」 「素材のゆっくりが元気でないと、砂糖も元気になりませんからね。」 そう言って鬼井さんは微笑む。 そうして次に数匹のゆっくり掴み出し、おもむろに彼女達の装飾品を外し始めた。 「ゆぅ!? れいむのおりぼんとらないでね!??」 「じじぃ!! まりさのぼうしとっととかえすんだぜぇぇぇ!!!」 この際ゆっくり達から容赦なく暴言が降りかかる。だが鬼井さんは涼しい顔で作業を進める。 「いつ何時も平常心、心の乱れは砂糖にも現れますか。」 そう語る鬼井さんの顔はにこやかだ、だがその目は鋭く研ぎ澄まされさながら業物の日本刀の様である。 そうして飾りを外したゆっくりを片手で固定しつつ、開いた手にナイフのようなものを用意する。 その外観はやや肉厚な剃刀と言ったところか、長い付き合いなのか年季を感じるがその刃は美しく輝いている。 「こいつが気になりますか? 私達はナガタって呼んでます。長い付き合いですから、道具というより腕の一部ですね。」 そう語ると静かにゆっくりの頭にナガタを走らせる。 音も無く刃が過ぎるたびにゆっくりが不思議そうな顔をする。 そして、鬼井さんが手を止めナガタの柄で軽くゆっくりをこずく。 「ゆ”!?」 その瞬間、さながら滝の様にゆっくりの頭から髪の毛が流れ落ちた。 剃られたまりさは目を見開き固まってしまっている、だがそれも仕方無いだろう。 何せ取材陣ですらその光景が理解出来なかったのだ。 そして、もしその光景を一言で述べるなら只美しいとしか言えない。 流れ落ちる髪は、さながらイチョウ舞う晩秋の滝と言ったところか。 穢れを知らない清流を、美しくイチョウが飾りそして滝壺へと還っていく。そんな情景を思い浮かべて欲しい。 飾りを取られた他のゆっくり達も静まり帰っている。無論恐怖からではなく純粋に魅入っているのだ。 鬼井さんに頼んで剃られたまりさを見せて頂いたところ、毛はもちろん毛根まで溶かし尽くしたような美しさであった。 撫でてみたところ、まるでもとから何も無いような、もちもち且つスベスベな肌触りであった。 その後、残りのゆっくりも全て髪を剃り落としたところで作業は次の工程に入る。 髪の無くなったハゲゆっくり、それらを詰めた籠を持って来たのは大きな水槽である。 そして、数匹ずつハゲゆっくりを麻袋に詰め込みそれをおもむろに水に沈めた。 「ゆぎぃぃぃ!! つめたいいぃぃぃ!!!」 「あぶぶぶ、とけぢゃうぅぅぅ!!?」 袋からは叫びが聞こえていたが完全に水に漬かるとそれも無くなった。 「ここでゆっくりに水を含ませ、糖分を分離させやすくするんですね。」 「この水は山から引いた湧水です。手間はかかりましたが良い水を使わないと雑味が入りますから。」 そういって水を一杯差し出した。コレを頂いてみたところ、まるで山が体に広がってゆくような感覚を覚えた。 「飲んでもおいしいでしょ? 私も作業の傍ら飲むんです。これがこの仕事の楽しみの1つでもありますね。」 「それに湧水は年間通して温度が一定なんです。夏は冷たく冬暖かく、これも砂糖作りの秘訣ですかね。」 このゆっくり達は午後の休憩明けまで漬からせておくらしい。 その間別の作業を行うというので、私達はつかの間の休憩を終え移動を開始した。 そうして来たのは何やら重石の積み重なる部屋であった。 そこで鬼井さんが重石をどかすと、そこから麻袋が現れた。 そして袋に手を突っ込んで何やら黒いものを取り出した。 「これが2日目のものです。」 2日目? 何のことかと私達が疑問を顔にすると 「ああすいません、実はこれゆっくりなんですよ。」 と鬼井さんは笑いながら説明してくれた。 作業工程が前後してしまうから解りにくくて申し訳ないが・・・そう鬼井さんは話はじめた。 「水に漬けたゆっくりに、これから行う作業をするとこのようになるんですよ。」 そういいながらその黒いゆっくり流水に晒す。 そうするとベロベロに伸びきったゆっくりが顔を現した。 そしてこれを盆と呼ばれる大きな台座に乗せておもむろにこねはじめたのだ。 「これがいわゆる『こね』と呼ばれる作業です、これを3度盆の上で行うことから和三盆の名が来ているんですよ。」 いいながら鬼井さんは全身の体重をかけて、ゆっくりをほぐしてゆく。 「中の餡子が均等になるよう丁寧にこねます、ただこの時皮が破れないよう注意が必要です。」 ゆっくりの皮はとても破れやすい、私達がコツは何かと訪ねたところ『こればかりは経験です』ど笑っていた。 そんな作業を見つめる中、私達はあることに気付いた。 なんとゆっくりが生きているのだ!! これだけこねられて潰されても生きている!! 一体どういうことなのだ!? 「ゆっくりは餡子が無くならない限り死なないですからね、上手く扱ってやればこれくらいは平気です。」 「それにゆっくりの餡子は恐怖や痛みを感じるほどに旨さがますんです、よって最後の仕上げまでは心も体も殺しません。」 何でも無い事と鬼井さんは語るが、そこには熟練した神業が伺える。 私達がこれを行うならものの数秒でダメにしてしまうだろう、これが匠の技なのか。 よくよく注意してみると全てのゆっくりが微かに震え、また声を発しているのがわかる。 「やべ・・・・で・・・・」 「ころ・・・・・せ・・・」 どうやら精神においても正気を保っているようだ、流石としか言いようがない。 全てをこね終えた鬼井さんはこれを麻袋へ戻す。 そしてこれを来た時と同じように台座にセットし、その上に重石を乗せた。 「ゆべぇっ・・・」 微かに声が聞こえた。 それを聞いた鬼井さんは満足そうだ。 「こうしてこの作業を5回、つまり5日かけて行うんです。」 「本来トウキビから作る場合は3度でも充分ですが、何分ゆっくりは餡子ですから雑味が多くてね。」 そして鬼井さんは昔の話をしてくれた・・・ 私もゆっくりが現れる数年前までは、トウキビから砂糖を作っていたんですよ。 だがゆっくりが現れた翌年、トウキビ畑がゆっくりの襲撃を受けてしまいまして大不作になってしまったんですよ。 あの時は砂糖が作れなくなって本当に困ってしまいましたよ、ええ。 何が困ったって私の生活もそうですが、皆が菓子を食べられなくなってしまったんです。 私はこの仕事に誇りを持っています、皆が嬉しそうにお菓子を食べている顔を見るのが堪らなく好きなのです。 そこで、わたしはゆっくりを用いた砂糖づくりの研究を重ねたのです。 そして半年後、試行錯誤を繰り返し今の形に至ったわけです。 もっとも、その時は落ち着いたらゆっくりからトウキビでの砂糖作りに戻るつもりでしたがね。 ゆっくりの出現によって甘味が増えたため、トウキビを作る農家さんが減っちゃってね。今ではこっちがメインですよ。 あっはっはと豪快に笑う鬼井さん。 ゆっくりは恨んでいません、むしろ感謝していますよ、彼らのおかげで高価だった甘味が庶民的なものになりましたから。 多くの人々が喜んでくれる、それだけで私は幸せですよ。自分で言ってなんですが、臭い話ですけどね。 私は加工所が出来た頃、この砂糖の精製方を持ち込んだんです。これでより多くの人が手に入れやすくなると。 ただ、加工所ほど大きなところでは作業効率を重視されており、機械化されている部分も多いんです。 それは決して悪いことではありません、しかし和菓子に使うような繊細な砂糖はどうしても出来なかったんですよ。 そこで私は三度、和三盆作りに戻ることになったんですね。 砂糖について語る鬼井さんは実に生き生きとしている。 作業中の鋭い目も、この時ばかりは夢を語る無邪気な少年のようだ。 そうして加工所における上白糖や三温糖、私達のような小規模な工房での専門糖作りに分類されるシステムが出来上がったんです。 おや、長々と話してしまいましたね。年を取るとどうもね。いやいやすみません。 苦笑しながら謝罪する鬼井さんに、こちらこそ貴重な話を有難うございますと営業抜きの純粋な笑みを返した。 ここで、いい時間ですからと一旦昼休憩を取ることにした。 昼休憩の後、作業は再開された。 まずは朝漬け込んだゆっくりに「こね」を行ってゆく。朝見た2日目のものより元気があり、また形もゆっくりらしい。 それが終わると3~4日後のものまで、同じ工程を繰り返した。 3日目のものに取り掛かる際あることに気付き鬼井さんに尋ねてみる。 「いいところに気付きましたね、ゆっくり達が白くなっているでしょう?」 そうなのだ、心なしかゆっくりが白くなっているのだ。 「さっき重石をかけた時、袋が黒くなっていたのを覚えてますか?」 「餡子を均等に伸ばした後、重石をかける事により雑味を含んだ余分な糖分を搾り出すんです。」 なるほど、そのためゆっくり達が白くなっているのか。 ちなみに絞られた糖蜜(黒い汁)は、飼料用として加工所が回収に来るらしい。実に無駄のないことである。 作業を繰り返すこと数時間、今日の仕事もついに最終工程へと入った。 最後に手をつけるのは5日目のゆっくり、最終日とあってその肌はかなり白い。 このゆっくりを濯いだあと盆にのせる。ここまでは変わりないのだが、盆に上げてから何やら今までと違うのだ。 こねてはいるのだが此処までの工程と若干手つきが違う。 今までは均等に餡子を伸ばしていたのだが、今回はまるで中央に集めているような・・・。 そんなことを考えていると、鬼井さんは突如ゆっくりを掴みあげ傍らの器にゆっくりを向けたではないか。 「せいやっ!!」 「ゆかっ!?」 そして鬼井さんはゆっくりの背を人差し指と中指で押した。 すると次の瞬間ゆっくりは口から何やら吐き出し、完全に動かなくなってしまった。 ここにおいてようやく絶命したらしい。 「・・・ふぅ、これで完成です。」 器の中を見せてもらうと、中には少量の雪のように白い粉が入っていた。 「これが『ゆっくり和三盆』です、よろしければ味見してみますか?」 私達は鬼井さんの行為に甘えさせていただき、ゆっくり和三盆を口にした。 それはもはや砂糖ではなかった。口に入れてすぐは、正直甘さを感じず物足りないとさえ思った。 だが次の瞬間、舌の上から突如として和三盆が消えたのだ! 溶けたのではなく消えた、生まれて始めての経験であった。 そして同時に口内全体に広がる優しく暖かな甘み。何とも淡く上品である。 それは口から鼻、喉、腹へとサァーっと広がってゆき、そしてスゥっと消えていった。 言われなければとても砂糖だと気付かないだろう。 「和三盆は癖がなく甘さも控えめなので、そのままでも充分食べられるでしょう?」 ふと鬼井さんの声で我に帰る、思わず放心してしまったらしい。 「和三盆は粉末での販売もしていますが、型に入れて押し固めた固形の物も作っているんです。いわゆる落雁(らくがん)ですね。」 いかんいかんと気を取り直す。しかし驚いた、まさか砂糖で放心する日が来るとは思っていなかったのだ。 それほどまでに和三盆の味は衝撃的であった。 そうして、ひとしきり説明してくれた鬼井さんは残りのゆっくりから和三盆を取り出していった。 「これで今日の仕事は終いです、出来上がった和三盆や糖蜜、残った皮なんかは5時ごろに業者が取りにくるんですよ。」 そう言う傍から業者がやってきた、どうやら大型のちぇん種を用いた『ゆっくり車』により運搬を行っているようだ。 「さて、一日の仕事を見ていただいていかがだったでしょうか。記事になるに値すればいいんですがね。」 私達は心からのお礼を述べた。 「ははは、有難うございます。そう言って頂けると疲労も報われます。」 「何せ私も年ですから、結構きついんですよ。」 笑う鬼井さんの姿は疲れなど感じさせないが、体力を使う仕事のため実際いつまで続けられるものか難しいのだろう。 「私には2人せがれがおりまして、1人は菓子職人を、もう1人は加工所職員をやっているんです。」 「家内が早くに亡くなりましてね、男手一つで育てのは良かったんですが、どうも多少ひねくれたようでして。」 鬼井さんはやや自傷気味に笑う。私が何と答えようか言葉を選んでいると 「だが最近は私の仕事に興味を持ち始めてくれましてね、加工所の方のせがれが近々帰ってくることになったんですよ。」 「菓子屋のほうのも、流通や経営、あるいは現場の声なんかを聞かせてくれるんでかなり助けられています。」 一転して笑顔を見せてくれた。 私達も思わず笑顔が溢れた、この一家がいる限りこれからも砂糖業界は安泰だろう。 「最後にいいですか?もしこの記事をみて砂糖に興味を持たれた方が居ましたら内へいらしてください。」 「どんなに些細なことでも構いません、修行をしたいという方も歓迎します。」 「砂糖は身近な物ですし、甘いものが嫌いな方も多いでしょう。ですがこの機会に深く考えてみてください。」 鬼井さんはそれを伝えると頷いた、そして私も頷き返した。 私は改めて鬼井さんと握手した、だが今度は温もりだけでなく、職人としての力強さも感じとれた。 鬼井さんは今日も暗いうちから床を出て砂糖作りに励む。 目的は多くの人に甘味の幸せを感じ、ゆっくりして欲しいから。 砂糖職人の朝は早い。 終われ 作・ムクドリの人 これまでのSS ゆっくりディグダグ ゆっくりディグダグⅡ みかん キャベツ このSSに感想を付ける
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「ゆっへっへっへ、これだけあれば冬もゆっくりできるんだぜ!」 朝からの初雪で白く染まった人里外れの森。 大木の根元を掘り下げた洞窟で少し大きめのゆっくりまりさは高く詰まれた食料を前に下卑た笑みを浮かべていた。 「ゆっ。 じゃあれいむたちもう人間から食べ物を取ってこなくていいんだね?!」 「ああ、いいぜ。 これだけあればこの冬も越せるんだぜ。」 この洞窟にはこの少し大きなゆっくりまりさとその家族と他にゆっくりれいむの家族が住んでいた。 ただ数も多く、身体も皆大きいまりさの家族が穴の中心で踏ん反り返っているのに大して、れいむの家族は部屋の隅でお互いを寄せ合うようにしている。 この住処の力関係は歴然だった。 「やったねおかあしゃんこれであんしんしてゆっくりできるよ!」 とはいえこれでこの冬は一安心だと思ったのか、れいむの家族も安堵していた。 「ああ、ゆっくりできるぜ! ただしお前らは外でだけどな!」 「ゆっ!?」 言うが早いかまりさの家族は総がかりでれいむ達を体当たりで外にはじき出してしまった。 このまりさ一家、秋の終わりにこのれいむ一家の住んでいた洞窟に入り込んできて我が物顔で居座ると、 その大きな身体でれいむ一家を脅しては自分たちの食料を集めさせていた、いわゆるゲスまりさと呼ばれる種類であり、さらに最近ではもっと美味しいものをと言い出しては危険な人里から人間の食料を調達させていた。 「お前らはもう用済みなんだぜ! そこでゆっくり凍え死ぬといいんだぜ!」 『ゲラゲラ!』 ゲスまりさ一家は洞窟の入り口でそんな勝ち誇り、下品な笑いを吐いている。 れいむ一家は仕方なく雪の中せめて、住処だけでも見つけられないかと洞窟を後にした。 一方人里。 「かさはいらんかね~ かさはいらんかね~ 丈夫なかさだよ~」 年の瀬で皆忙しく買い物をする中、傘を売る老人がいた。 もっとも忙しい年の瀬、雪が降り出しているとはいっても今傘を買おうなんて思う人間はいない。 それでも老人は自分の年の瀬の用意をしなければと懸命に声を出しながら商店街を歩いていた。 …と、突然肩を乱暴にどかされ足腰の弱い老人はそのまま転倒してしまった。 「おいジジイ、マジ邪魔なんだけど。」 雪に倒れた身体を持ち上げて声のする方を見ると食料を乗せた荷車を引く青年の姿がある。 「へえ、すみませんでさぁ。」 この青年は里の庄屋に奉公に来ていたが素行も悪く、問題ばかり起こす事で有名だった。 とは言え忙しい年の瀬。 そんな青年でも何とか使わなければ手が回らないと、庄屋の番頭は仕方なく青年を買い物に行かせていた。 「はあ? マジすみませんじゃねえよこのボケ!」 「ぐうっ!」 この寒い中使いに行かされ、重たい荷車を引かされていた青年は機嫌が悪く、その捌け口を蹴りという形で老人にぶつけた。 もっとも、奉公に来ているからには仕事をこなすのは当たり前。 機嫌を悪くする時点でどうかしているのだが…。 「たくっ、傘なんざマジ売れもしねえのに歩いてるんじゃねえよ、マジ邪魔だっつーの。」 トドメとばかりに痛みで動けない老人に唾を吐いて尚もブツブツ言いながら去っていった。 人間にもゲスはいる。マジで。 しかし、確かに傘が売れないという点は青年の言うとおりだ。 老人は起き上がるとトボトボと商店街を後した。 「おかーしゃんさむいよお…」 「ごめんね、ゆっくりがまんしてね。」 激しさを増す雪の中、れいむ一家は住処も見つけられず、しだいに降り積もる雪に体力を奪われ、力尽きようとしていた。 「おや、ゆっくりかい。 こんな雪の中に何でまた…。」 人間だ、相手は老人だが今の自分達は戦うことは愚か逃げる事も出来ない。 れいむ一家は死を覚悟した。 老人は百姓である。 ゆっくりと言えば百姓にとっては田畑を荒らされるので目の敵なのだが、 この老人の畑はゆっくりの生息地からは遠かったので特に荒らされたりすることも無く、老人はゆっくりにそれ程嫌悪を抱いていなかった。 だからこれが普通の青年や他の農家だったらトドメを刺している所だが、元々人が良く、心優しい老人はそうはしなかった。 「ゆっくりと言えどこんな雪の中じゃ寒いじゃろうて、こんな物でよければどうじゃろうか?」 それどころか彼はれいむ達に頭の雪を払いながら売れなかった傘を被せていく。 散々いたぶられて殺されるかと思っていたれいむ達は予想外の老人の行動に呆然とし、全員に傘を被せてくれるまでじっとしていた。 幸いある程度大きくなったれいむ一家は全員サイズも違わず、傘はいい具合に頭を覆ってくれる。 「おじいさんありがとう!」 「おじいさんはゆっくりできるひとだね!」 れいむ達のお礼を聞いて老人は満足そうに笑うと、雪の中姿を消した。 「あークソ、マジだりいよ。 あのジジイもうちょっとマジぶん殴っておくんだったなあ。 つーかあの庄屋のオヤジとかありえねえだろマジで。 マジこんな雪の中使いに行かせんなつーの。 マジさっさと死ねや。」 商店街から庄屋の家に向かうには人通りの少ない人里の端のを進まなければいけない。 青年は相変わらずやたら「マジ」の入った頭の悪そうな文句を一人垂れ流しながら荷車を引いていた。 ガコンッ 「ん?!」 唐突に荷車に違和感を感じ、青年が後ろを見ると荷車がかなり傾いている。 雪の中、積雪に隠された岩に乗り上げたのだろう。 普通ならこんな物に気づかないワケ無いのだが独り言に夢中だった青年は気づかず、荷車は今にも横転しそうな所だった。 「ちょっ、うわマジやべえって! うわ…!」 そんな倒れた荷車の角に頭をぶつけて青年は気絶してしまった。 傘を貰ったとは言えれいむ一家の事態はそれ程好転しない。 住処が見つからない以上ほんの少し死期が伸びたに過ぎなかった。 「ゆっ、おかーさんあれ何?!」 視界の悪い雪の中子供の一匹が青年の倒した荷車を見つける。 幸いにも青年はまだ気絶していた。 「おかーさんごはん一杯だよ!」 「ゆっくり運び出そうね!」 れいむ達は思わぬ幸運にはしゃぎながら、横転して荷車から落ちた大量の食べ物を寄り添って使える面積を大きくした頭の上に乗せた。 傘は一匹だと斜めになっているので物を乗せられないが、何匹も寄り添えば元々面積は広いので多くのものが運搬出来る。 長い間ゲスまりさにこき使われていたれいむ達は運搬に慣れていたのでそういった知恵も働いた。 「ってててて… マジ(い)ってえわ。 何なんだよマジで…ってうおい! マジどうなんってんだよ?!」 雪の中目を覚ました青年が荷車を見ると荷物がはほぼ全て無い。 急いで辺りを見ると雪の中帽子に荷物を載せて遠ざかるゆっくりの影があった。 「てめえらマジなにやってんだよ!? オイ、マジ待ちやがれ!」 急いで後を追おうとするが荷車に着物の一部が挟まって中々起き上がれない。 落ち着いてやれば簡単に外れるのだが半ばパニック状態の青年にそれはマジ無理な相談だった。 「くっそ、マジぶっ殺す! マジ一匹残らずぶっ殺してやっからマジ覚えていろよ!」 雪の中後ろからする青年の憎悪の声を振り切り、落ち着いたところでれいむ達は休む事にした。 大量の食べ物は手に入ったがこのままこれを持っていても住処がない以上どうしようもない。 「おかーさん、このままじゃれいむ達ゆっくり死んじゃうよ!」 「そーだよ、だから死ぬ前にせめてゆっくりおなか一杯になって死にたいよ!」 子供たちに言われ母れいむは考えた。 ここで食料を食べ続けても雪がしのげない以上はいずれは死ぬ。 それも食料がある分ゆっくりと凍え死ぬだろう。 ゆっくりするのはいい事だがなるべくなら自分達も子供達も苦しまないであの世に行きたかった。 物を食べれば半端に体力が続いて苦しむことは母れいむには分かる。 「ゆっくり待ってね! この食べ物はあのやさしいおじいさんにゆっくり届けてあげよう!」 「ゆっ! おかーさんどうして?!」 「そーだよれいむ達どうせ死ぬならゆっくりお腹一杯食べて死にたいよ!」 「ゆっくり考えてね! ゆっくりいい事をすればてんごくに行けるんだよ! そうすればあの世で一杯ゆっくり出来るんだよ!」 「ゆっ、そうなの?!」 「じゃあみんあでいいことしてゆっくり天国にいこうね!」 「お帰りアンタ。 どうだい傘は売れたかい?」 「いや、それがのう…。」 雪の中家に着いた老人は妻の老婆にゆっくりの一家に傘をあげてしまった事を話した。 「すまないねばあさん。」 「何言ってんだい。 どうせ売れなかったら邪魔になるだけなんだからあたしゃ何にも言わないよ。 それにアンタがそれでいいと思ったんだからあたしも悪いなんて思わないさ。 何、年の瀬は贅沢出来なくても冬の間の買い置きは十分。 二人でゆっくり年越ししようじゃないか。」 子にも恵まれず寂しく年を越すよりはせめて贅沢にと二人で作った傘を売りに行った老人は、 それをゆっくりにあげてしまった事を咎められると思っていたが、老婆はその選択をやさしく受け入れてくれた。 自分にはこの妻がいれば幸せなのだと涙する老人に 「いやだよアンタ年甲斐もなく泣いちゃって。」 と笑う老婆。 そんな暖かな老夫婦の家の戸を叩く音があった。 「おや、誰だろうね、こんな雪の中…。」 老婆がいそいそと戸を開けるとそこには 『ゆっくりしていってね!』 「殺す!マジ殺す! マジ一匹残らず殺してやるかんな、あのマジクソ饅頭が!」 庄屋の番頭にこっぴどく叱られ、腹いせにあのゆっくり達に復讐してやろうと雪の森を歩く。 青年には心当たりがあった。 最近人里で食料が盗まれる事が多い。 現場の様子からして犯人はゆっくりで、住処の検討も着いているからそれを掃討しようという話を青年は知っていた。 話の内容から巣の位置もそれなりに見当がつく。 マジで理不尽な怒りを燃え滾らせる青年はズカズカと雪の振る森を歩いていった。 「む~しゃむ~しゃしあわせ~♪」 れいむから奪った巣の中ゲスまりさ一家は早速食料を食い漁っていた。 「それぐらいにしておくんだぜ! 沢山あるけどせつやくしなきゃまた誰かに取りにいかせなきゃならないんだぜ!」 「ゲラゲラ、あんなの簡単なんだぜ!まりさ達は無敵なんだz…ゆべっ!」 「マジ見つけたぞオラア!」 突然洞窟に青年が入り入り口近くのまりさを蹴り飛ばして壁に餡子をぶちまけた。 「ゆっ、おにいさんここはまりさ達の…ゆぶえ!」 続けて抗議しようとした二匹目を踏み潰す。 「マジるっせえよこのクソ饅頭が! マジテメエらだろ俺の荷物や里で食いモン盗んでたのはよぉ!」 「ゆっ、それは違うんだぜ! 盗んだのは全部れいむ達なんだぜ! まりさは盗んでないんだぜ、分かったらゆっくりあやまっておかしを…ゆぎぎぎ…ゆぎあ!」 更に弁解と謝罪の要求を始めたまりさをマジ二つに引き裂いた。 「はあ?マジ何言ってんのオマエ。 俺マジお前らが逃げてく所見ているんだけど? 帽子被っているのなんてマジお前らしかいねえだろうがよ! しかもマジ何よその食い物、マジ全部里のモンじゃねえか! わかったらマジ死ねやゴルア!!!!」 「ゆげええええ!!! なんでなんだぜえええええ!!!!!!」 雪はすっかり溶け、レティも姿を消した頃、百姓夫婦と共に農作業をするゆっくりれいむ一家の姿があった。 「おじいさん、これ何処におけばいいの?!」 「ああ、それはこっちに。 ああ、そこはもうそれぐらいでいいじゃろう、あっちにお茶菓子用意しておいたからゆっくり休みなさい。」 『ゆっくり了解したよ!』 「おじいさん達も一緒にゆっくりしようね!」 元々寂しかった老夫婦は雪の中恩返しに重たい食べ物を運んできてくれたれいむ一家を受け入れ、正月をにぎやかに過ごした。 れいむ一家はその後老夫婦の農作業を手伝いながらゆっくりと充実した日々を過ごしている。 運搬が得意で虐げられて来た為か根性とモラルが備わったれいむ一家は老人達にとっても孫のような存在になった。 老夫婦にとっても身の回りがにぎやかになり、寂しくはない。 「はるですよ~♪」 幻想郷の春は妖精リリーの能天気な呼び声で始まった。 このSSに感想を付ける