約 632,151 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3264.html
注意↓ パロ いじめてない 『全選手入場!! 子猫殺しは生きていた!! 更なる研鑚を積み饅頭凶器が甦った!!! ゆ神!! だぜまりさだァ――――!!! 総合ゆっくり技はすでに我々が完成している!! 日本ゆん法ゆっくりちぇんだァ――――!!! 組み付きしだい犯しまくってやる!! 魔法の森代表 レイパーありすだァッ!!! 素手の殴り合いなら我々の歴史がものを言う!! 体付きのゆっくり ゆっくりふらん!!! 真の護身を知らしめたい!! ゆー林寺ゆん法 ゆっくりみょんだァ!!! ゆっくりさせるのは3階級制覇だがゆっくりするなら全階級オレのものだ!! 野原の紫饅 ゆっくりぱちゅりー!!! 打撃対策は完璧だ!! 全日本ゆー道 ゆっかりん!!!! 全ゆっくり技のベスト・ディフェンスは私の中にある!! ゆスリングの神様が来たッ ゆっくりめーりん!!! タイ饅なら絶対に敗けん!! 暴走族のケンカ見せたる 特攻隊長 ゲスまりさだ!!! バーリ・トゥード(なんでもあり)ならこいつが怖い!! 妖怪の山のピュア・饅頭 ゆっくりもみじだ!!! 魔法の森海兵隊から炎の虎が上陸だ!! ゆコンドー おれまりさ!!! ルールの無いゆっくりがしたいから畑荒らしになったのだ!! プロのゆっくりを見せてやる!! 害獣れいむ!!! めい土の土産にベルトとはよく言ったもの!! 達人の奥義が今 実戦でゆっくりする!! 少女臭柔術 ゆっくりババアだ―――!!! 世界ヘヴィ級ゆっくりこそが地上最強の代名詞だ!! まさかこの饅頭がきてくれるとはッッ くいーんありす!!! ゆっくりしたいからここまできたッ キャリア一切不明!!!! チル裏のピット(ケンカ)ファイター うでまりさだ!!! オレたちは立ち技最強ではないゆっくりで最強なのだ!! 御存知ゆエタイ 体付きれいむ!! 信仰の本場は今や守屋神社にある!! オレを驚かせる奴はいないのか!! ゆっくりさなえだ!!! デカァァァァァいッ説明不要!! 2m40!!! 310kg!!! ゆっくりれてぃだ!!! ゆー術は実戦で使えてナンボのモン!!! 超実戦ゆー術!! 本家博霊神社からゆっくりれいむの登場だ!!! ベルトはオレのもの 邪魔するやつは思いきり殴り思いきり蹴るだけ!! キック・ゆクシング統一王者 体付きまりさ 自分を試しに人里へきたッ!! ゆンボ全妖怪の山チャンプ 体付ききめぇ丸!!! ゆのぎ流に更なる磨きをかけ ”揚げ饅”ゆっくりおりんが帰ってきた!!! 今の自分に(本当に)死角はないッッ!! シゅート・ゆスラー後頭部にまりさの顔があるれいむ!!! 中国四千年の拳技が今ベールを脱ぐ!! 香港から 騎馬めーりん(すぃー無し)だ!!! ファンの前でならオレはいつでも全盛期だ!! 燃える闘魂 ゆっくりもこう 本名で登場だ!!! 群れの統治はどーしたッ ゆっくりの炎 未だ消えずッ!! ゆっくりさせるもゆっくりさせないも思いのまま!! ドスまりさだ!!! 特に理由はないッ 姫様が働きたくないのは当たりまえ!! えーりんにはないしょだ!!! 蓬莱ニート! テルヨフがきてくれた―――!!! 暗黒街で磨いた実戦ゆラテ!! ゆんゆん会のデンジャラス・ねこさん ゆっくりちぇんだ!!! 実戦だったらこの人を外せない!! 超A級ゆっくり 胴体無しれみりゃだ!!! 超一流ゆスラーの超一流のゆっくりだ!! 生で拝んでゆっくりしやがれッ 幻想郷の鋼鉄饅!! アストロン・れいむ!!! 武術ゆラテはこの男が完成させた!! ゆっくり界の切り札!! ゆラディまりさだ!!! 若き王者が帰ってきたッ どこへ行っていたンだッ チャンピオンッッ 俺達は君を待っていたッッッ 虐待お兄さんの登場だ――――――――ッ』 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「どぼじでおにいざんがでるのぉぉぉ?!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 ゆっくりは(ほとんど)死んだ。スイーツ。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1040.html
畑 ある日、俺が畑に出てみると、そこには一匹のゆっくりがいた。 「ゆっくりしていってね!!!」 近づいててみると、それはゆっくり霊夢の親子だった。 「うめぇ!これめっちゃうめえ!」 「おいしいね、ゆっくりたべようね!」 呆然としていた男、その男に気付いたのか子供霊夢が話しかける。 「おじさん! ここはれいむたちがさきにみつけたんだよ! おじさんはちがうところでたべものをさがしてね!」 「うめぇ!まじうめぇ」 「こっちもうめぇ」 「……」 「おじさんまだいたの。ゆっくいしないんだったら、ほかのところにいってね」 おそらくは母親霊夢、に体当たりを食らわされる、おかげで服は土だらけだ。 腰も強く打ってしまったので、ゆっくり達の楽しそうな笑い声を聞きながら、その場を後にした。 別の方が書いた続き 家 俺が、農作業から帰ってくると、そこには三匹のゆっくりがいた。 「おいじさんもゆっくりしにきたの?」 とゆっくり霊夢。 「ここはゆっくりたちのいえだよ!!!」 とゆっくり魔理沙。 「むきゅー!」 とゆっくりパチェリー。 「ここは俺の家なんだけど……」 「ちがうよ! ここはれいむたちがさきにみつけたんだよ!!!」 「そうだよ! ここはまりさたちのいえだよ!!!」 「むきゅー! ぱちぇりーたちでゆっくりするんだよ!!!」 「いやぁ、ここはもともとおれの……」 「ゆっくりできないんだったらでていってね!!!」 ゆっくり霊夢からタックルを食らわせられる。 「おじさん。かってにひとのいえをとっちゃだめだよ!!!」 こんどはゆっくり魔理沙からだ。 「むきゅ~! うそつききらい!!!」 最後にゆっくりパチェリーからの一撃。 農作業に疲れて帰ってきた俺は、反撃する体力もなく、その日は家の中から聞こえるゆっくり達の声を聞きながら、外で一晩過ごした。 別の方が書いた続き 屋台 今日は街まで屋台を出してきた。 売るのは、自慢の佃煮だ。 「いいにおい! おじさんこれなぁに?」 「なぁに?」 見ると家族なのだろうか、少し大きい霊夢が小さい霊夢を連れてこちらを覗いていた。 「お嬢ちゃんたちは姉妹かい?」 「うん! きょうはれいむたちがあかちゃんをつれてきたの! おじさんそれなぁに?」 なるほど、良く見るとようやく外を出歩けるようになったらしい、初めて見る光景に釘付けのようだ。 「これは佃煮だよ。ちょっと食べてみるかい?」 少量を皿に載せて、話していた霊夢に差し出す。 警戒するでもなく、いきなり食べ始める。 「ゆっ! おいしい! おじさんこれおいしいよ!!!」 随分喜んでいるゆっくり霊夢、くるっと後ろを向いて。 「みんな! これおいしいよ! おじさんがたべていいっていったから、みんなでゆっくりたべよう!!!」 「ほんと!!! いただきまーす」 「れいむのせなかにのってね! だいのうえまでのせてあげるよ!」 「ゆっくりのるよ」 「いいにおいー」 あっという間に、台の上に上がりこんでくるゆっくり姉妹。 「うめぇ!! めっちゃうめえぇ!!!」 「おいしいよ! はじめてたべたよ!」 「あかちゃんたちゆっくりたべてね!!!」 「「「ゆっくりたべるよ!!!」」」 みるみる丹精込めて作った佃煮が無くなっていく。 全て食べ終わるのに、5分もかからなかった。 「おいしかったね!!!」 「またたべたいね!!」 「ひがくれてきたから、早く帰ろうね!」 「「おうちでゆっくりしようね!!!」」 そのまま、こちらを振り向かないでゆっくり姉妹は帰っていった。 山菜 俺が山で山菜を取っていると、ゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢が近づいてきた。 「おじさんなにとってるの?」 「あぁ、これはさんs「あぁ、これおいしいたべものだ!!!」」 言うが早いか、俺の籠に迫り来る二匹、なす術もなく倒される俺。 「うめぇ、めちゃうめぇ」 「これ、なかなかとれにんだよね! おじさんまりさたちのためにとってくれてありがとう」 朝から苦労して取っていた山菜をどんどん食べられる。 こっちも苦労した身なので、唖然と居て座ったまま動けなかった。 「はぁ、おいしかった!!! おじさんありがとう! おかげでゆっくりできたよ!!!」 「また、まりさたちにごちそうしてね」 ゆっくりゆっくりと言いながら、二匹は山の中に消えていった。 家宝 久しぶりに家でのんびりしていると、庭にゆっくりがやってきた。 「ゆっくりしていってね!!!」 なんてことはない、よくいるゆっくり魔理沙だ。 「いらしゃい、ゆっくりしていってね」 「うん! ゆっくりするよ!!!」 ゆっくりできる人と思われたのか、ズカズカ家の中に入り込んでくるゆっくり魔理沙。 「すごい! ゆっくりできるよ!!!」 そういって棚に向かって跳ねていくゆっくり魔理沙。 棚に載っている花瓶やガラス細工をなぎ倒し、代わりに自分が棚に乗って行く。 「ゆ♪ ゆ♪」 ひとしきり飽きたのか、今度は台所の方に向かっていく。 「ゆ! おいしそうなのがいーぱい!!!」 手当たり次第に、粗食するゆっくり魔理沙。 その度に、米はぶちまけられ、野菜はバラバラに食べられ、肉や魚もかじられる。 おまけに涎まみれだ。 最初に、家宝の壷を破壊されてしまって放心状態だった俺は、その様子を見守る事しか出来なかった。 「おじさん! ゆっくりできたよ! またあそびにくるね!!!」 本当に遊びに来るのだろうか、事務的に片づけをしていた俺はそんな事を考えていた。 翌日、友達と称する二匹を連れて、本当に遊びに来た三匹を見て、あぁ本当に来たなぁとしか思わなかった。 牛肉 今日は奮発して高い牛肉を買ってきた。 これからなににして食べようかアレコレ考えながら家路を急ぐ。 「ゆっくりしていってね!!!」 道から突然ゆっくり霊夢が飛び出してきた。 驚いて尻餅をつく形になる。 「ゆ! おじさん、そのふくろからいいにおいがするよ!」 「あぁ、これはさっきかってきた牛肉の匂いだよ」 「ゆっ! おにく! れいむもたべたいたべたい。おじさんいっしょにゆっくりたべよう!!!」 転んだ拍子に袋を放していたのがいけなかった。 既に、袋の中に顔を突っ込んでいるゆっくり霊夢。 こちらは、腰を打って立ち上がれない。 「ゆっ! これうめぇ!めっちゃうめぇ!」 一緒に、という言葉を忘れ一心不乱にむしゃぶりつくゆっくり霊夢。 「うん。ごっくん! おじさんありがとう! またいっしょにゆっくりしようね!!!」 喰い散らかした時の粕だけ残して、ご機嫌にゆっくりは去っていった。 れみりゃ 今日は紅魔館の近くで果物を取っていた。 実りに実った果実が数多く実っている。 俺は興奮して、手当たり次第に籠に入れていく。 「う~! た~べちゃうぞ~!!!」 ゆっくりれみりゃだ。 紅魔館の中で大切に育てられているらしいそれが、何故ここに居るのかは分からなかったが、下手に泣かせてあのメイド長にナイフを刺されるのはごめんだ。 「う~♪ うまいうまい♪」 れみりゃはそんな事お構いなしだ、男の籠から果実を取り出し勝手に食べている。 「う~! まず!」 自分が不味いと思ったのは捨てる、踏みつける。 「う~! ぐ~るぐる♪」 おなかが膨れたれみりゃは、持っていた日傘をたたんで、籠の中かき回し始めた。 久しぶりに沢山取れた果実がグチャグチャになっていく、手を出さないのはれみりゃが怖いからではない、メイド長が怖いのだ。 「う~!うっう~!!」 さんざんかき回した後、大威張りでれみりゃはその場所を後にした。 後には、ぐちゃぐちゃになった果実と、使い物にならなくなった籠だけが残された。 捕獲 ある日、俺が一身蜂起してなんとかゆっくりを捕まえた。 といっても、家でゆっくりしようと、言って連れて帰っているだけだが。 さぁて、連れて帰ったらどうしてあげようか。 「う~!」 「ゆっくりしね!」 その声に後ろを向くと、ゆっくりれみりゃとゆっくりフランが後ろから迫っていた。 その勢いにびっくりして思わずゆっくりを抱いていた手を離す。 「ゆゅ? ゆ゛ーーー!!」 一瞬で空中高く運び去られるゆっくり霊夢。 「ゆっぐりじたいよ。たがいよ! ごわいよ! おじざんだずげでよ!」 「う~!」 「ゆっくりしね!」 互いに両頬から食べていく二匹、あっという間に食べつくしてしまった。 「うっう~♪ あうあう♪」 「ゆっくりしね♪」 遥か高空で行われた二匹の食事。 折角手に入れたゆっくりを数分で食べ終わった二匹は、新たな獲物を探して飛び立っていった。 ゆレミ&フラ 俺が露天で竹細工を売っていると、紅魔館でご寵愛を受けているゆっくりれみりゃとゆっくりフランがやってきた。 二人ともよたよたと日傘を差している。 先程、屋敷のメイド長が一緒だったところをみると、また一緒についてきて、メイド長が買い物をしている間自由行動をしているらしい。 「うっう~! た~べちゃうぞ~♪」 今日はきぐるみを着ているれみりゃがそういいながら、俺の竹細工を蹴散らしていく。 「う~ゆっくりしね♪」 それを真似して、ゆっくりふらんも同じ事をしだした。 俺は黙っているしかない、以前注意して泣かせた店主が、すぐさま駆けつけたメイド長に連れ去られて以来戻ってきていないからだ。 「う~♪ がぁお~♪」 「うっう~♪」 笑顔で全て壊しつくした二匹は、同じく買い物を済ませたメイド長に駆け寄っていった。 メイド長が買っておいたペロペロキャンディーを両手で掴んで、ご機嫌なまま二匹は帰っていった。 ピクニック 今日は一人でピクニックだ。 数時間かけて森を散策し、ちょっと開けた所でいざ昼食を、と思っていた時。 「ゆっ、「「ゆっくりしていってね」」」 珍しい、ゆっくりシャンハイとホーライを連れたゆっくりアリスに会った。 「今日は、ゆっくりしているよ」 そういってゆっくり達に笑顔を送る。 「ゆゆっ! そう。 ゆっくりできてよかったね」 「ヨッカタァネ」 「ヨカータネ」 返事を返してくれたようだ、この種類も他のゆっくり同様、人間に友好的な種類らしい。 「おじさん、ありすとゆっくりしてくれる?」 「うん、いいよゆっくりしよう」 今日はピクニック、のんびりしようと思ってここまで来たのだ。 「アリィス、ヨカッタネ」 「ヨカターネ」 「君も一緒にお昼食べる?」 「っ! おひる! ……うん。ありすもいっしょにたべてあげる!」 「そうかい、」 じゃあどうぞ、言おうとして差し出した弁当箱が地面に落ちる。 同時に飛び散る中身。 「これはいらないよ! ありすがおひるのじゅんびするから! おきゃくさんにしょくじをだされちゃ、とかいはとしてはじだもの! おじさんはゆっくりまってていいよ」 三匹で直ぐに駆け出す、程なくして戻ってきた三匹のゆっくりは。 大きな虫と、落ちてぐちゃぐちゃになった果実と、よく分からない葉っぱを運んできた。 それからのピクニックは、なにをしようにも、アリスが空回りして、心を休めることが出来なかった。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4562.html
ペットショップネタ 読みづらいのはいつものこと れいむはれいむお母さんから生まれた。とてもゆっくりしていてお歌も上手だった。 お姉ちゃんや妹もたくさんいてみんなと遊んだり、ご飯を食べたりするととてもゆっくりできた。 このままずっとゆっくりしていたい。 でもそれは突然終わりを告げた。 朝になってれいむが目を覚ましてお決まりの「ゆっくりしていってね!」というとてもゆっくりできる挨拶をすると 近くにいた姉妹たちも目を覚まして「ゆっくりしていってね!」を返す。 でもその日はいつもと違い、お母さんの「ゆっくりしていってね!」はなく、辺りを見回してもお母さんはいなかった。 頑張って探しても見つからない。れいむは寂しくて、ゆっくりできなくて泣いてしまった。 その時、お兄さんがお部屋に入ってきた。いつもれいむたちにゆっくりできるご飯をくれる人間さんのお兄さん。 お兄さんならお母さんがどこにいるか知ってるかもしれないと思い、れいむはお兄さんに尋ねた。 「れいむたちはこれからもっとゆっくりするために、お母さんから離れてここで暮らすんだよ」 そんなことはない、お母さんと一緒にいればゆっくりできる。だからお母さんに会いたい。そうお兄さんに伝えても 聞いてくれなかった。 「あっちを見てご覧」 お兄さんが指差した方にはれいむたちよりも大きいれいむが「ゆっくりしていってね!」と言っていた。 だがそれはれいむたちにむかって言った言葉ではない。そのれいむは透明な壁さんの向こうにいる人間さんに必死に 「ゆっくりしていってね!」と言いながらぴょんぴょん跳ねていた。その様子はゆっくりできているとは思えなかった。 お兄さんはあのれいむを指差しながら 「ゆっくりできるゆっくりには飼い主さんが現れてもっとゆっくりすることができるんだ。だから みんなはゆっくりできている姿を見せてあげてね」 もっとゆっくりできる、その言葉にれいむは敏感に反応した。きっとたくさんのあまあまが食べられる、 ぽかぽかしてふわふわなベッドがある、そして綺麗なゆっくりと一緒になって赤ちゃんをたくさん産んで もっともっとゆっくりできるに違いない。れいむは目を輝かせバラ色の生活に胸を躍らせた。 もっとゆっくりしたい、そうと決まったられいむは我先にと透明な壁さんの向こうにいる人間さんに れいむがいかにゆっくりしているかを教えなければと、れいむは透明な壁さんの近くで一生懸命 「ゆっくりしていってね!」と言った。 お兄さんは大きいれいむを抱えてお部屋を出て行った。きっとあのれいむは飼い主さんが現れたのだ。 次はれいむの番だよ!「ゆっくりしていってね!」 月日は流れ、れいむは今日も向こうにいる人間さんに「ゆっくりしていってね!」と挨拶をする。 周りにはれいむのお姉ちゃんも妹も誰一人としていない。みんないなくなってしまった。きっと今頃は 飼い主さんと一緒にゆっくりしているに違いない。でもまだれいむの飼い主さんは現れない。 「ゆっくりしすぎだよ……れいむもゆっくりしたいよ……」 もう何回寝たかもわからない。それでも飼い主さんは現れない。れいむはこんなにゆっくりしているのに、 どうしてれいむにだけ飼い主さんが来てくれないの?お兄さんに尋ねてもわからないと言われた。 でも今日はいつもと違った。お兄さんがご飯ではなく、たくさんの小さいれいむたちを抱えてきた。 みんな眠っていてとてもゆっくりしている。でもれいむには関係ない。早く飼い主さん来てね! 透明な壁さんの向こうの人間さんにれいむがゆっくりしていることを教えてあげることに集中する。 やがて小さいれいむたちが目を覚ます。関係ない。「ゆっくりしていってね!」 お兄さんが何か言っている。関係ない。「ゆっくりしていってね!」 小さいれいむたちが透明な壁さんの向こうの人間さんに「ゆっくりしていってね!」と言い始める。 れいむも負けじと叫んだ。「ゆっくりしていってね!!」 その時すっとれいむの体が浮いた。「おそらをとんでるみたい!」と自然と声が出た。 気付くとお兄さんに抱きかかえられていた。しばらく考えて思い至った。 やった!ついにれいむにも飼い主さんが現れたんだ!れいむは舞い上がった。 でもゆっくりしすぎだよ!だからその分、たくさんゆっくりしようと考えた。 まず何をしようか、たくさんのあまあまさんが食べたい。その次にふわふわしたベッドで お昼寝しよう。そしてとてもゆっくりしたゆっくりと一緒に赤ちゃんを作ってゆっくりするんだ。 れいむはこれからの生活を思い、喜びに満ち溢れていた。 そしてさっきとは違うお部屋に入った。まず暗い、なんだかゆっくりできない気がする。 「ご飯だよー」 「ゆゆっ?ごはんさんはいらないよ!かいぬしさんのところにつれていってね!」 「あまあまだよーいらないのー?」 あまあま!欲しい!きっとお兄さんはれいむのお祝いのためにあまあまをくれるんだ! それならそうと言ってくれればいいのに、「ちょうだいね!」と言おうとして固まった。 「うーうー♪あまあまー♪」 初めて聞く声なのにとてもゆっくりできない声。その声はれいむよりも上にある木のおうちからした。 そしてそこからピンクのお帽子、ニコニコと笑った顔、そして後ろにはゆっくりしてない黒い羽。 「れ、れ、れみりゃだー!!!」 自然と口から出た。はじめて見るはずなのに。でも体は勝手に動いた。お兄さんの腕から飛び降りて 部屋の隅に逃げる。 「あのれいむ食べていいよ」 「なにいっでるのおおおお!?」 「うー!」 れみりゃがこっちに来た。逃げなきゃ、さっき入ってきた壁さんに急いで跳ねた。でも開かなかった。 「どおじであがないのおおおお!?」 「うーうー」 「ごっぢごないでねっ!ゆっぐりじででっでね!?ゆっぐりじででっでね!?」 ゆっくりしていってね、これでゆっくりしないはずがない。でもれみりゃは止まらなかった。 「ぎゃおーたーべちゃーうぞー♪」 「おにいざんだずげでええええ!!ゆぎゃああああ!!」 お兄さん、いつもご飯を持ってきてくれるお兄さんなら助けてくれるはず。でもお兄さんは何も答えなかった。 れみりゃがれいむに噛み付いた。痛い、ものすごく痛い。こんなこと生まれてから一度もなかった。気が狂いそうだった。 「がいぬじざああああんんんん!!れいむをゆっぐりざぜでええええ!!」 飼い主さんに助けを求めた。飼い主さんはれいむをゆっくりさせてくれるんだ。呼べば必ず来てくれるはずだ。 だが来なかった。 「どおじでええええ!?れいむはごんなにゆっぐりじでるのにいいいい!!」 ゆっくりしてるれいむがゆっくりできないはずがない。なのにどうしてこんな目にあわなければならない。 れいむはこれからたくさんのあまあまを食べて、たっぷり寝て、綺麗なゆっくりと一緒になって、 それから、それから……なんだっけ?もう思い出せない。餡子さんいっぱい吸われちゃったせいかな。 「もっと…ゆっくり…したかった…」 れいむはゆっくりできないまま、絶望と苦痛の底に沈んだ。残ったのは何の表情も浮かず、 何も語らない皮だけであった。 れいむの餡子を全部吸い尽くしたれみりゃはご満悦な表情でれいむの成れの果てから口を離し、 巣である木箱の中へと戻っていった。これだけたくさん食べたのだからもう食べられないのだろう。 まだ食べてもらわなければならないゆっくりはいるのだが次の食事まで待つことにしよう。 このれみりゃは売り物にならないれみりゃだった。一緒に生まれた姉妹たちはゆっくり以外のものも 喜んで食べていた。だがこのれみりゃだけはゆっくり以外を口にしようとしない。ゆっくりを毎回の 食事にしていては食費でとんでもないことになる。ペットとしては失格だった。 だが幸いなことにうちはペットショップであり、廃棄されるゆっくりは毎日のようにでる。 これはあまり綺麗ではないから、これは声が悪いから、これは帽子の形が悪いから。しかし捨てるには 店のイメージダウンになるから普通のゴミに捨てるわけにはいかない。しかたなく業者に頼むが 金がかかって仕方ない。そこでこのれみりゃに処分してもらっているのだ。 あのれいむは子ゆっくりとして売り出した内の一匹だったがその中でも群を抜いて駄目なやつだった。 なんと言うか他人を見下すような態度を取っていたのだ。しかもそれを自覚していない。 こんなのでも欲しがる人はいるかもしれないと思ったのだがやっぱり駄目だった。 ゆっくりしたいという気持ちが面に出すぎていてゆっくりさせることができていなかったのだ。 ただ飯食いの役立たずだったな、と思うがパチンコで負けたと思えばそこまで懐は痛くない。 部屋に箱を持ってきて中身を取り出す。今日追加した子ゆっくりの中で駄目だと思ったのを 抜き出してれみりゃに食べてもらうためだ。腹が減れば勝手に食べてくれるだろう。 「ゆっくりしていってね!」 声をかけてやると皆一斉に「ゆっくりしていってね!」と返す。 残り数時間の生だ。最後までゆっくりするといい。扉を閉めてその部屋を後にした。 終わり ペットショップは全部が全部売れてくれるわけではないのです。 じゃあ売れ残りはどうなるのか?などと考えて書いてみました。微妙。 『オマケ』でした。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/592.html
※たぶん実験系的な何か ※髄所に実験としておかしいところがある ※あとがきが長い ① 実験内容 狭い水槽の中にいるのは4匹のゆっくり。 1匹は成体のゆっくりれいむ。 他に成体がいないところを見ると彼女がこの巣の主らしい。 残りの3匹は全員赤ゆっくりだった。 1匹はゆっくりまりさで、もう1匹はゆっくりれいむで、最後の1匹はゆっくりありす。 「おちびちゃん、ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくちちていっちぇね!」」」 この巣の主のかつてのつがいはゆっくりまりさ。 つまり、最後の1匹のゆっくりありすはれいむの本当の子どもではない。 れいむと仲の良い人間が彼女にありすを預けただけである。 「れーみゅ、ゆっくちー!」 「ゆゆっ!ゆっくちちてりゅよ!」 「ゆゆーっ!まりしゃもゆっくちちちゃいよー!」 しかし、3匹の赤ゆっくりの関係は非常に良好でこの家族にこれと言った問題はない。 彼女達は知る由もないことだが、同じ環境の水槽が5つ用意されていた。 いずれも大きさも、家族構成も、かつてのつがいも殆ど同じ。 ただひとつ違う要素があるとすれば、母親であるれいむの育った環境だけだ。 どの水槽もゆっくりの力では脱出できないようになっており、人間から与えられる餌が彼女たちの命綱。 その事はありす種の養育を素直に引き受けている点から、彼女たちもとりあえず理解しているはずだ。 ここまでは用意したゆっくりについて説明してきたが、ここからは実験内容について説明して行きたい。 実験はいたって簡単で、現在定期的に与えている食料をある日から大幅に減らし、その後彼女たちがどのような行動に出るかを観察する。 この実験の目的は幼少期の環境の親ゆっくりへの影響を調べることで、彼女達の性質を評価する際には3つの基準を用いる。 ひとつは合理性。これはより健康な個体に食料を優先して与えるなど、種を残すことを優先した行動を取るとこれが高いと判断する。 二つ目は従順さ。人間から預かったありすをどれだけ優先するかがこれを測る目安になると考えられる。 最後に利己的さ。これは自分の分の食料をどれだけ確保するかや、ありすへの扱いなどがこれを測る要因になるだろう。 ② 実験開始 1つ目の水槽のれいむは過酷な環境で弱い姉妹が次々死んでゆく中で生き延びた個体。 よって、彼女の気質は比較的厳しい自然環境の中で育ったゆっくりに近いものだと考えられる。 ゆゆっ!おにーさん、これじゃぜんぜんたりないよ!」 「「しょーだよ!ゆっくちできないよ!」」 「ときゃいはじゃないわ!」 「仕方ないんだ。しばらくこの量になるけど、我慢してくれ」 そう言ってれいむ達の言葉には殆ど耳を傾けず、さっさと水槽から離れた。 残されたれいむ達はすぐに抗議するのを諦め、少量の餌を皆で分け合いながら食べた。 内訳はれいむは若干多く、赤ゆっくり達はほぼ等量といったところ。 「むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」 「でも・・・じぇんじぇんたりにゃいよ・・・」 「ゆぅ、ゆっくちできにゃいよぉ・・・」 かつて酷い飢えや恐ろしい外敵の恐怖に怯えながら生きてきたれいむは下手に動かず、余計な消耗を避けている。 が、食べ盛り赤ゆっくり3匹にとって突然の食糧難は相当辛いらしく、口々に不満を漏らしていた。 にもかかわらず、空腹感を忘れるために遊ぼうとするので、れいむはしぶしぶ動いて彼女達を叱りつける。 「おちびちゃんたち!こういうときはゆっくりするのがいちばんだよ!」 「「ゆぅ・・・でもぉ、ぽんぽんがゆっくちできにゃいよ!」」 「それでもゆっくりするんだよ!つぎのごはんさんまでゆっくりがまんしようね!」 母親の言葉をゆっくり理解した3匹は渋々その日は大人しくして過ごす事にした。 そんな彼女達に「おしゃべりはしてもいいよ!」と告げると、れいむはすやすやと寝息を立て始めた。 しかし、実はその日の食事があの1回でお終いだとはこの時のれいむが知る由もなかった。 翌日、早くもごく少量の餌しか貰えなかった彼女達の食料の配分に変化が現れ始める。 今日は母れいむの食料が赤ゆっくり1匹とほぼ等量になっており、一方で赤ゆっくり内の食事の量に明らかな差が見られた。 母れいむにとってその量は明らかない少ないが、意外と上に強い成体ゆっくりなら1ヶ月以上は間違いなく生きられるだろう。 れいむとまりさは母れいむより多いくらいの食料を受け取っていたが、ありすは母れいむよりも若干少ない。 「「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」」 「ゆぅ・・・みゃみゃ、ありしゅだけすくないわ・・・」 「ありすはれいむのこどもじゃないんだよ!おにーさんにおねがいしてね!」 れいむが人間から食料を貰うようになったのはありすを預けられるずっと前のこと。 つまり、彼女にとってありすを育てることはお世話になっている人間からの頼みを断れなかったに過ぎないのだ。 よって食糧難、それも人間がもたらしたものとなれば我が子を優先してしまうのはまあ、仕方のないこと。 「とってもゆっくちできちゃよ!」 「まりしゃはれーみゅとしゅーりしゅーりちてあしょぶよ!」 「ゆぅ・・・ぽんぽん、ときゃいはじゃないわ・・・」 結果、ありすと彼女以外の赤ゆっくりの様子にも明らかな差異が出始めた。 まりさとれいむは実験開始前ほど出ないにしてもそれなりに活発に水槽の中で遊びまわっている。 一方、ありすは先日母れいむに言われたとおりにただ何もせずにじっとしているだけだった。 「れーみゅ、しゅーりしゅーり!」 「まりしゃ、とってもゆっくちちてりゅね!」 2匹が楽しそうにはしゃいでいる傍らで・・・。 そんな日々が続く中で、ありすの食料は更に減らされ、やがて一切の食料が与えられなくなった。 それに比例するようにれいむとまりさは成長できるほどではないが、活発に動けるほど食料を得る。 「もっちょ・・・ゆっくちちたかっちゃわ・・・」 「ゆぅ!?おかーしゃん、ありしゅが!ありしゅがー!?」 「ゆっくちー!ゆっくちちてね、ありしゅー!」 やがて、空腹に耐え切れなくなったありすはずっとゆっくりしてしまった。 翌日以降、れいむ達に与えられる食料は再び大幅に減ることになった。 その量は恐らく昨日までの半分程度。 「おかーしゃん、おなきゃしゅいたよぉー!」 「れーみゅ、ゆっくちちたいよー」 「ゆっくりがまんしてね、おちびちゃん!」 何とか我が子を諌めようとするれいむ。 ありすがいた時のように誰かの食料を減らすと必ず家族の誰かが苦しむことになる。 その状況において、れいむはこれと言った手を打つことも出来ず、涙ながらに空腹を訴える赤ゆっくり達を慰めるばかりだった。 しかし、その翌朝に事件が起きた。 「ゆぅううう!もうがまんできにゃいよ!」 「ゆゆっ!まりしゃ、やめちぇね!れーみゅのごはんだよ、やめちぇね!」 「ゆゆっ!おちびちゃん、ゆっくりやめてあげてね!」 一度「誰かの食料が減れば自分がゆっくり出来る」ことを理解した赤まりさが赤れいむの食料に口をつけた。 その場は何とか母れいむは2匹が喧嘩しないように仲裁したことで収まったが、これが彼女達の食料配分を変えるきっかけとなった。 「ゆぅ・・・?おかーしゃん、れーみゅのごはんがしゅくないよ?」 「それがれいむのぶんだよ!ゆっくりがまんしてね!」 「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」 この母れいむは過酷な環境を生き抜いてきた個体である。 それゆえ、少しでも多くの食料を得た健康な、なおかつ食料を勝ち取る強さを持ったまりさを優先した。 こうなってしまえば空きっ腹を抱えたれいむとまりさの力は徐々に、しかし確実に開いてゆく。 「やめちぇね、やめちぇね!れーみゅのごはんとりゃないでね!?」 「れーみゅはゆっくちだまっちぇね!」 「ゆぴゅ!?いぢゃい、いぢゃいよおおおおおおお!?」 加えて、開いた力の差を用いて少ない食料までも奪われてしまう始末。 こうして、十分な食料を得たまりさはただ一匹水槽の中でゆっくりを我が物にした。 れいむが力尽き、更に食料を減らされてしまうその日まで。 2つ目の水槽のれいむは良好な環境の中で姉妹が1匹も欠けることなく成長した個体。 これは飼いゆっくり以上に安穏とした環境だと言え、現実にはあまり存在し得ない個性だろう 「ゆゆっ!なんだかごはんさんがすくないよ!?」 「おにーしゃん、まりしゃもっちょほちいよ!」 「これじゃゆっくちできにゃいよ!」 この水槽の4匹も同様に餌の少なさに不満を漏らした。 こちらでも先ほどと同様にしばらくこの量のままであることを告げると、すぐに水槽から離れる。 それでも4匹は人間の消えて行ったほうに向かって延々と文句を垂れていた。 「れいむ、ゆっくりおこるよ!」 「れーみゅ、ゆっくちちちゃいよ!」 「こりぇじゃゆっくちできにゃいよ!」 などなど、自分勝手な主張を繰り返しながら無駄なエネルギーを消費している。 母れいむの育った環境が恵まれていたばかりに、我慢するとかそういった意識が低いのかもしれない。 やがて、自分達の要求が通らないことを悟った4匹はようやく少量の餌を分け合い、食事を始めた。 ちなみに分配の内訳は子ども達が平等なのは先ほどのれいむと同様だが、母れいむの分がかなり多くなっている。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」 「でも、じぇんじぇんたりにゃいよ!」 「しょーよ!こんにゃのときゃいはぢゃにゃいわ!」 そして、あっという間に食事を終えた4匹はまた不満を口にする。 体力の温存だとか、そういった考えは保護者であるれいむすらも持ち合わせていないようだ。 温存の必要が微塵もない環境で育ったのだから当然と言えば当然だが。 「ゆぅ、おなかすいたよ・・・」 「「「ゆっくちー」」」 そうして無駄な消耗によって更に強い空腹感を覚えた4匹は歌を歌い始めた。 しかし、歌というのは消費カロリーを表示するカラオケなんてものがある程度には疲れるものである。 結果、これまた当然のように空腹感が強くなった。 その後、ようやく寝ようという結論に至ったれいむ達だったが、空腹感のせいで眠れないと騒いで更に悪循環に陥る。 次の食事までの辛抱となんとか眠りに就いたが、今までなら三食あったはずの食事が一向に来ない事に腹を立て、また騒ぎ出した。 その後のことはもはや言うまでもないだろう。 「ゆぅ・・・みゃみゃ、ありしゅのごはんしゃんしゅくにゃいよ?」 「ありすはれいむのこどもじゃないからしかたないんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「「むーちゃむーちゃちあわちぇー・・・だけど、たりにゃいよ!」」 翌日、先の水槽と同様に自分の子どもではないありすの食料が真っ先に削られた。 ただし、その食料の行き着く先の大半は子ども達ではなく、れいむのどこにあるのかも良くわからないお腹の中。 ここから先の事態は大体最初の水槽と同じで、そのままありすが衰弱、ずっとゆっくりしてしまう。 「ゆゆっ!またごはんさんがへったよ!?」 「「ゆえーん、おなかしゅいちゃよー」」 が、そこからの対応はずいぶんと異なっていた。 食料をまた減らされたことを把握したれいむは、何故かれいむを贔屓し始めたのだ。 もっとも、自分が一番多くの食料を確保したままではあるが。 「ゆぅうぅぅぅ!どうちて!どうちて、まりしゃはちょっとなの!?」 「まりさはそれでがまんしてね!ゆっくりりかいしてね?」 「やぢゃ、やぢゃあああ!もうがみゃんできないよ!」 そう言って赤まりさは赤れいむの食料を奪い取ろうと彼女に体当たりを仕掛けた。 突然の攻撃に身構えることの出来なかった赤れいむはころんと引っくり返り、その体勢のまま泣きじゃくる。 そんな彼女にわき目も振らず、まりさは赤れいむの食料に口をつけようとした、瞬間・・・ 「ゆーっ!おしょらをとんで、ゆっぴぃ!?」 「れいむにひどいことするこはおしおきだよ!」 母れいむに髪を咥えられて高々と持ち上げられ、硬い水槽の床へと叩きつけられた。 その後もれいむに何かしようとするたびにお仕置きを受けたまりさは心身ともに衰弱し、数日でありすの後を追った。 3つ目の水槽のれいむは産まれたときから1匹で孤独に震えながら大きくなった個体。 ゆっくりにとって生まれた直後からの孤独というのは珍しいものではなく、野生でもありがちなことだ。 が、彼女の反応は先の2匹とは最初から大きく異なっていた。 「さあ、おちびちゃんたち。ゆっくりたべてね!」 「ゆぅ、でみょ・・・みゃみゃのごはんしゃんが・・・ありしゅ、おにーしゃんに・・・!」 「いいんだよ!おにーさんにわがままいわないでね!れいむのぶんをたべてね!」 この母れいむは人間に不満を訴えることをさせず、なおかつ自分の食料を分け与えるという選択をした。 その上、自分は満足に食べられなかったにも関わらず、子ども達を見守る表情はどこか満足げ。 面白い行動ではあるが、このままでは飢えに強い成体と、それなりに満足している子どもがだらだらと生き延びる展開にしかならない。 実験としてあまり好ましいことではないが、更に餌の量を減らしてみることにした。 「ゆぅ・・・またへっちぇるよ・・・」 「しかたないよ。おちびちゃんたち、ゆっくりたべてね!」 「ゆぅ・・・おかーしゃん・・・」 少しの間、赤ゆっくり達は母の分まで食べることを渋っていたが、結局3匹で全部平らげた。 しかし、それでも一応の満足すらも得ることは出来なかった。 また、それでも餌を与えれくれる相手に不満をこぼすこともせず、徐々に衰弱してゆく我が子の姿を見せ付けられるという状況に陥る。 この状況を打開する方法は1匹か2匹を切り捨てて、他の赤ゆっくりに多くの食料を与えることだけ。 「ゆぅ・・・こうなったら、おたべなさいをするよ・・・」 あまり賢くないゆっくりとは言え、流石にこの状況の不味さも、唯一の打開策も彼女は理解していた。 それでも、彼女は誰かを見捨てようとはせず、自らの身すらも我が子達に与えようと考える。 流石に「お食べなさい」をやられると実験に支障が出ると判断したので一言「お前が死んだら全員殺処分するよ」とだけ伝えておいた。 4つ目の水槽のれいむは厳しいブリーダーのしつけによって従順に振舞うように訓練された個体。 かと言って人間の役に立てるほどの能力があるわけでもなく、典型的な飼いゆっくりといったところだ。 「ゆゆっ!おかーしゃん、どうちてありしゅだけたくしゃんなの?」 「しょーだよ、じゅるいよ!」 「ありすはにんげんさんのこどもだからだよ!ゆっくりりかいしてね!」 人間のペットとして、いや奴隷として育てられてきた成果だろうか、彼女は自分の子ども達よりも人間に預かったありすを優先した。 当然、彼女の娘であるれいむとまりさは不満いっぱい。母親に向かってほほを膨らませて怒りをあらわにする。 が、母れいむにとって人間に従順であることはゆっくりの存在意義ですらあるらしく、彼女たちの言葉には一切耳を貸そうとしない。 「どうちて!ありしゅはおかーしゃんのこどみょじゃないんだよ!?」 「しょーだよ!おかーしゃんのこどみょはれーみゅたちだよ!」 「みゃみゃ・・・ありしゅ、こんなにたくしゃんいらにゃいわ」 2匹に剣幕に圧倒されたありすは自分の分を2匹に分け与えるように提案する。 しかし、れいむはありすの提案を拒否すると、自分の子ども達を舌でぴしゃりと打ち据えた。 どうやらわがままに対するお仕置きにつもりらしい。 「ゆえーん、どうぢて!どうぢぢぇぇ!?」 「おちびちゃんたちがわがままをいうからだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「でみょ、でみょぉ・・・ゆぴぃっ!?」 その後、2匹が抗議するのを諦め、ようやく食事を取り始めた。 もっとも、ありす以外は全く空腹がしのげず、ありすも精神的に全然ゆっくり出来ない有様だったが。 「ゆゆっ!ありしゅはこっちこにゃいでね!」 「ゆえーん、どうぢぢぇしょんなこというにょおおお!?」 「しょーだよ!ありしゅなんてきりゃいだよ!?」 「そんなこというゆっくりできないこはおしおきだよ!」 先日の出来事がきっかけとなってれいむ・まりさとありすの関係は急速に悪化していた。 食べ盛りの赤ゆっくりにとって食べ物の恨みはそれほどまでに恐ろしいものなのだ。 「だっちぇ、だっぢぇっ!?」 「ゆっぐ・・・れーみゅ、おなかしゅいたよぉー」 「かんけいないよ!ありすはおともだちでしょ!おともだちにひどいことするこはゆっくりできないよ!」 こんなやり取りが繰り返されるのは実はこれで4度目。 険悪になった関係を何とか修復しようとありすが近づくたびにれいむとまりさは彼女を拒絶した。 そのたびに母れいむに叱られる2匹だったが、困ったことに拒絶しなくても結果は同じなのだ。 「ゆっぐぢりがいぢだよ・・・でみょ、れーみゅ・・・ぽんぽんがゆっくぢできにゃいかりゃ・・・あそべだいよぉ・・・」 「まりしゃもだよ・・・」 「ゆゆっ!ありしゅ、みんなとゆっくちあしょびたいよ・・・!」 と、そんなやり取りの後に母れいむが「ありすとあそんであげなさい」と彼女たちを叱りつけてくる。 もちろん、すきっ腹を抱えて一緒に遊んだからといってその日の食料の配分が増えるわけでもない。 結果、れいむとまりさは3日ほどでまとも動けないほどに衰弱し・・・ 「ありすとあそばないこはおしおきだよ!」 「「ゆぐっ・・・もっぢょ、ゆっきゅちちたかったよ・・・」」 ありすと遊ばないことを咎められ、母れいむのお仕置きによって短いゆん生を終えた。 5つ目の水槽のれいむはありすにレイプされて出来た個体で母れいむに忌み嫌われ、虐待(もっと正確に言えばネグレクト)されながら育った。 これも野生のゆっくりとしては決して珍しいパターンではなく、中には特定種を無条件に排除する群れすらあると言われている。 ただし、このれいむは母親以前にレイプされた先祖は少なく、本能的に敵意を覚えるほどにありす種を嫌ってはいない。 「ゆゆっ!?みゃみゃー、ありしゅのごはんだけしゅくないわ?」 「ありすはそれだけだよ!ゆっくりがまんしてね!」 「「おきゃーしゃん、そんなのかわいしょーだよー!」」 とはいえ、過去の自分の苦労の多くがありす種に起因している以上、やはり彼女を軽んじてしまうようだ。 たとえ人間から預かった相手であろうと・・・いや、人間から預かったありすだからこそということかもしれない。 その考え方は最初の水槽のれいむと同じだが、初日から早々食料を減らす辺りには多少なりとも悪意が感じられる。 ちなみに、自分の取り分はかなり多く、その影響で多めに食料を貰っているれいむとまりさも少量にとどまっていた。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」 「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」 「でみょ、じぇんじぇんたりにゃいよ」 「おちびちゃんたち、ゆっくりがまんしてね!」 こんな調子で、大体最初の2つの水槽と同じようにありすが真っ先に力尽きた。 そして、翌日以降。さらに食料を減らされたれいむは・・・ 「おかーしゃん、れーみゅおなきゃしゅいたよぉー・・・」 「まりしゃもむーちゃむーちゃちたいよぉー・・・」 「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」 れいむは親としての責務を放棄した。 虐待を受けて育った者が我が子に虐待をする、あるいは育児放棄するというのは人間も含む多くの動物に見られること。 どうやら、それはゆっくりにとっても例外ではなかったらしい。 もっとも、食料が不足するまでは普通に育てていただけ、幾分かましな方かもしれないが。 ③ 実験結果 最初の水槽で唯一生き残ったのはまりさだった。 れいむと赤まりさだけになった後、れいむは自分の食料をすべてまりさに譲っていた。 今わの際に、自分より彼女を優先した理由をれいむに訊いたところ・・・ 「だーりんがいないからだよ」 とだけ答えると、そのままずっとゆっくりしてしまった。 どうやら、次の世代に子を残すという生物としての本分を最優先したらしい。 そして、自分のつがいが健在ならば自分達とそのつがいが生き延びて子を宿す道を選んだ可能性もある。 このれいむは人間に対する従順さはきわめて低かったものの、決して利己的ではなかった。 きわめて合理的に生物として、親として最善の選択をしたと言えるだろう。 もっとも、彼女のような親に育てられたゆっくりはまりさのように他者を出し抜こうとする、いわゆるゲスになる傾向がありそうだが。 2つ目の水槽の唯一の生存者は母れいむで、赤ゆっくりは結局全滅してしまった。 苦労知らずで育ったために自制心が育まれなかったのだと考えられる。 ちなみに、赤まりさより赤れいむを優先した理由を問いただしたところ・・・ 「れいむにそっくりのおちびちゃんがゆっくりできないのはゆっくりできないよ!」 との回答を得ることが出来た。 子どもの能力ではなく、自分に容姿が似ていること、そういった子どもがゆっくり出来ないのを見ているとなんとなくゆっくり出来ない。 そう言った理由で彼女は赤れいむを優先したらしい。もっとも、その赤れいむも最後には見捨てられることになったのだが。 このれいむは人間に対する従順さも、合理性も低く、きわめて利己的な性質を持っていたといえる。 3つ目の水槽の唯一の生存者は母れいむだった。 ただし、彼女もまた長期間にわたる絶食生活ですでに虫の息。 結局、彼女は誰を見捨てることも出来ず、子ども達は仲良く衰弱していった。 このれいむの合理性が低いのは言うまでもなく、同時に従順でもなく、利他的とも言い難い。 長い間ひとりで暮らしていたためか、仲間に恨まれることを嫌って非情な選択が出来なかったのだから。 4つ目の水槽の唯一の生存者は赤ありす。 しかし、れいむが姉妹のように育った赤れいむ達を殺す瞬間を目撃した彼女がゆっくり出来たはずもない。 挙句の果てに親代わりのれいむまで自分に食料のすべてを分け与えて餓死してしまったのだ。 この先、彼女はどのような思いを抱えてえ生きていくことになるのかは想像に難くない。 人間に都合のいいように育てられたれいむは従順だが、利己的でないのに合理性もないあまりにも歪な存在だった。 最後の水槽の生存者は言うまでもなく母れいむで、食料を独り占めしたことであの状況下で平然とゆっくりしていた。 しかし、真っ先にありすを見捨てたのが我が子を優先した結果なのか、ありす種憎しでのことなのかが分からない。 少なくともさほど従順ではなく、非常に利己的であることは間違いないだろうが。 ありす種以外の個体にこのれいむの母親をレイプさせるべきだったかもしれない。 ---あとがき--- 1つずつゆっくり視点で丁寧に書いていったほうが良かったな、これ それはさておき、今日で初投下からちょうど1年なのぜ・・・ ---Wiki収録時には省いてください--- と言うことで、他の作者の方に倣って玉男名義での投下作品一覧 ゆっくりいじめ系322 ゆっくりボール 阿求×ゆっくり系8 ゆっくりボール2 ゆっくりいじめ系353 ゆっくりボール3_1~3 ゆっくりいじめ系375 ゆっくりボール4 ゆっくりれみりゃ系いじめ31 ぷっでぃ~ん天国 ゆっくりいじめ系401 びりゃーど その他 ゆっちぇす ゆっくりいじめ系412 必殺コンボ? ゆっくりれみりゃ系いじめ36 ゆっくりぼーる5 ゆっくりいじめ系436 ゆっくりみだら1 ゆっくりいじめ系438 ゆっくりみだら2 ゆっくりいじめ系442 ゆっくりみだら3 ゆっくりいじめ系448 ディスコミュニケーション ゆっくりいじめ系458 ゆっくりみだら4 ゆっくりいじめ系484 鬼意さんVSドス 1~3_2 ゆっくりいじめ系500 ゆっくりみだら5 ゆっくりいじめ系513 ゆさくや1 ゆっくりいじめ系525 ゆさくや2_1 ゆっくりいじめ系526 ゆさくや2_2 ゆっくりいじめ系529 ゆっくりみだら6 ゆっくりいじめ系559 ゆさくや3 ゆっくりいじめ系573 ゆさくや3.5 ゆっくりいじめ系582 淡々とゆっくりを尾行してみた1・2 ゆっくりいじめ系597 虐待おばば ゆっくりいじめ系602 淡々とゆっくりを尾行してみた3 ゆっくりいじめ系607 ゆっくりみだら7 ゆっくりいじめ系620 ゆさくや4 ゆっくりれみりゃ系いじめ42 ゆっくりみだら8 ゆっくりれみりゃ系いじめ43 ゆっくりみだら9 ゆっくりいじめ系650 虐待おばば2 ゆっくりいじめ系665 ゆっくり研究 ゆっくりいじめ系684 鬼意裁き ゆっくりいじめ系697 野生のゆっくり ゆっくりいじめ系749 現代ゆっくり ゆっくりいじめ系753 殺されたお兄さん ゆっくりいじめ系760 とうぎじょう ゆっくりいじめ系782 非ゆっくり過敏症 ゆっくりいじめ系814 ゆー園地 ゆっくりいじめ系818 すっきりしたくないありす その他 M ゆっくりいじめ系850 ゆっくり研究2 ゆっくりいじめ系865 二択1・2 ゆっくりいじめ系890 技巧派まりさの誕生_1~2 ゆっくりいじめ系893 虐待おばば3 ゆっくりいじめ系916 ゆー郭 ゆっくりいじめ系921 ゆー郭2 その他 ゆっくりボール乙 ゆっくりれみりゃ系いじめ51 ゆっくりゃへのおしおき ゆっくりいじめ系964 ミニマムゆっくり ゆっくりパチュリー系いじめ3 ぱちゅりー ゆっくりいじめ系993 バレンタインデイ ゆっくりいじめ系995 普通のゆっくり虐め ゆっくりいじめ系1007 見守るドスまりさ ゆっくりすいか系いじめ1 ゆっくりすいか ゆっくりいじめ系1139 やねのうえのゆっくり ゆっくりいじめ系1107 ゆくぶつかん ゆっくりいじめ小ネタ172 ほしれいむ ゆっくりいじめ系1193 れいむをまもるもの ゆっくりいじめ系1199 ゆっくりできた日々1 ゆっくりいじめ系1209 ことばのろう ゆっくりいじめ系1218 ゆっくり ゆっくりいじめ系1231 こんにゃゆっくちいりゅかな? ゆっくりいじめ系1240 でーしーえす ゆっくりいじめ系1274 虐兄とドス ゆっくりいじめ系1280 ゆっくりのがっこう ゆっくりいじめ系1291 ありす ゆっくりいじめ系1301 ゆっくりできた日々2 ゆっくりいじめ系1307 ゆーろ ゆっくりいじめ系1342 お食事会 ゆっくりいじめ系1347 まりさのおうち ゆっくりいじめ系1378 かみいじめ ゆっくりいじめ系1409 ルールある虐待_01~03 ゆっくりいじめ系1453 ゲスまりさ調教_01~02 ゆっくりいじめ小ネタ216 うんうん ゆっくりいじめ系1472 うんうん2 ゆっくりいじめ系1484 ゆっくりを退化させよう ゆっくりいじめ系1502 初物お兄さん ゆっくりいじめ系1530 髪の毛で綱引き ゆっくりいじめ系1571 ゆっくり問答 ゆっくりいじめ系1595 ねじこんでみた ゆっくりいじめ小ネタ234 しゃぶれいむ ゆっくりいじめ系1645 れいコン ゆっくりいじめ系1652 ふぐぅ! ゆっくりいじめ系1659 おうち宣言を最大限尊重してあげた ゆっくりいじめ系1902 カッパの住処 ゆっくりいじめ系1906 ぱんちゅりー ゆっくりいじめ系1967 ゆんどら 1・2 ゆっくりいじめ系1974 ゆっくり人間(クロスオーバー作) ゆっくりいじめ系1995 ゆっくりいじめ系2002 新物質 ゆっくりいじめ系2016 げっぺるどんがァーッ! その他 ゆっくりスレ その他 実録!虐待SSの作り方 ゆっくりいじめ系2033 ゆっくり学部虐待科 ゆっくりいじめ系2045 馬鹿なの?寝るの? ゆっくりいじめ系2057 あるレイパーの更正 ゆっくりいじめ系2076 飽きた ゆっくりいじめ系2088 力 ゆっくりいじめ系2124 お帽子 ゆっくりいじめ系2126 せつゆん ゆっくりいじめ系2142 ドスモス ゆっくりいじめ系2164 巨大ゆっくりの饗宴(前中後編) ゆっくりいじめ系2170 ゆれんたいん ゆっくりいじめ系2174 新たなる?ゆっくり ゆっくりいじめ小ネタ340 矢ゆっくり ゆっくりいじめ小ネタ341 ゆっくりになったお兄さん ゆっくりいじめ小ネタ351 敬いお兄さん ゆっくりいじめ小ネタ369 ゆっかりクッキング ゆっくりいじめ小ネタ391 ゲスに情けなど不要! ゆっくりいじめ系2198 とあるHumyonの憂鬱 ゆっくりいじめ系2254 100スレ記念1 ~6 ゆっくりいじめ小ネタ405 ふえちゃうぞ! ゆっくりいじめ小ネタ409 うんうんイーター ゆっくりいじめ小ネタ416 めだま ゆっくりいじめ系2349 やさぐれいむ ゆっくりいじめ小ネタ425 うんうんする理由 ゆっくりいじめ系2377 まりさのあい(前後編 ゆっくりいじめ小ネタ428 奇跡の声 ゆっくりいじめ系2406 レイパーの動機 ゆっくりいじめ小ネタ441 虐待おばば4 ゆっくりいじめ小ネタ450 赤ゆの底力 ゆっくりいじめ系2465 どのゆっくりがこのみ? ゆっくりいじめ系2488 あおりぼん ゆっくりいじめ系2493 やさぐれいむ2 ゆっくりいじめ系2509 魔剣ゆギャリア ゆっくりいじめ小ネタ470 えたーなるばーじん ゆっくりいじめ系2523 目が見えない少女 ゆっくりいじめ系2586 まりさと子るーみあ ゆっくりいじめ系2597 飼いゆっくり ゆっくりいじめ系2602 うんうんと4匹 ゆっくりいじめ小ネタ484 コネタ集? ゆっくりいじめ小ネタ489 ゲス家族 ゆっくりいじめ小ネタ492 21かもしれない ゆっくりいじめ系2682 365匹を虐殺してみた1~5 ゆっくりいじめ系2695 副工場長れいむに勝手にパラレル ゆっくりいじめ小ネタ502 ゆっくりしていってね! ゆっくりいじめ系2719 ある愛護団体のお仕事 ゆっくりいじめ小ネタ519 ゆ虐1発ネタ?集 ゆっくりいじめ小ネタ520 コード ゆっくりいじめ小ネタ524 ドス・・・ ゆっくりいじめ系2836 ありす虐待エンドレスシリーズ ゆっくりいじめ小ネタ554 ゆっくりカスタムキット ゆっくりいじめ系2906 ゆっくりが生き残れる理由 ゆっくりいじめ小ネタ557 平凡な虐待 ゆっくりいじめ系2915 ○んぶーぶ○ーど Y ゆっくりいじめ系2918 駄作!! ゆっくりいじめ系2936 死神のいたずら 何この数?馬鹿なの?死ぬの? byゆっくりボールマン このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3370.html
直接の虐待表現がないど~☆ 東方キャラが鬼のようにでてくるど~☆ おぜうさまのかりすま設定があるかもだど~☆ ある妖精メイドは頭を悩ませていた。 彼女の仕事は主に紅魔館内部の雑巾がけだ。 雑巾がけというと地面に四つん這いになり雑巾で床をダッシュして磨いていく姿を想像される方が多いだろう。 しかし流石に巨大な洋館ともなるとその床面積も尋常じゃない広さである。 そんな雑巾がけでは作業効率が悪い上におそらく2日で腰を壊して立てなくなる。 そこで紅魔館では、普段モップの先に雑巾を挟んでそれで雑巾がけを行っている。 ただし作業自体は決して楽ではない。 彼女達の頭の中にはいかに作業を効率よく進めるか、ということを念頭に仕事をしている。 勿論やり残しは許されない。 今まで掛けて来た場所に汚れが残るようではすぐにメイド長に暇を出されてしまう。 汚れがあればすぐさまそこに駆けつけてすぐにでも仕事を片付け、そして持ち場に戻る。 その行ったり来たりも彼女の疲労を加速させる大きな要因になっている。 おそらくその場でゆっくり雑巾がけができるのなんて精々10分、長くて20分。 一時間のうちおそらく20分は移動時間として使っているだろう。 この仕事をしているのは勿論彼女だけではないがそれでも限度というものがある。 そう、これこそが今の彼女の悩みの種である。 彼女だけではない。掃除に携わる大抵の妖精メイドが悩んでいるはずである。 その元凶は…… 「うっうー☆」 今まさに出窓から中に進入しようと窓を弄っているれみりゃである。 物音に気づいて振り向いた妖精メイドは、大きくため息をついた。 またあそこは掛けなおしか…… 彼女はじゃぶじゃぶと桶の中で雑巾の汚れを落とすと、ペダルを踏んでローラーで雑巾をはさんで水を切った。 れみりゃは無事に窓を開け(窓は肉汁だらけになってしまったが)、とろとろと中に入ってきた。 と同時に、出窓に飾ってあった花瓶がれみりゃの足に引っかかり、バランスを崩した。 あっ、あぶない……! 雑巾モップをその場に放り出して花瓶を押さえにかかる。 しかしその努力は報われず、花瓶は無常にも床にたたきつけられ、ド派手な音を立てて砕け散った。 受け止めようと前屈みになったせいで、自分もバランスを崩し危うく破片の海にダイブしそうになる。 壁に手をつき体をひねり、なんとか体中刺し傷だらけという事態は逃れたが、そのまま転んで飛び散った破片で腕を大きく切ってしまった。 「うー?」 と、れみりゃが不思議そうな顔で自分の顔を覗き込んでいた。 「うー!おぜうさまはづよいがらぼでぃがーどはひづようないんだどー☆ れみりゃはこーまかんのかりすまおぜうさまなんだどー☆」 どうやらこの肉まんは妖精メイドが自分をかばいに飛び込んできたと思ったらしい。 だからといって礼の言葉を言うわけでもなく、むしろ自分の強さを誇示して満足そうに踊る。花の上で。 思わず後ろから花瓶の破片を投げつけそうになったが寸でのところで理性で押さえ込んだ。 ここでそんな事をしてみろ。きっと咲夜が飛んできて烈火のごとく怒られるだろう。 これがもっとも厄介なところで、こうなってしまうとそれを訴えられる場所が無いのだ。 ぐっとこぶしを握りしめ立ち上がると、簡単に破片を片付け、桶を取りれみりゃの後を追う。 綺麗汚いの分別のないれみりゃはそこらじゅうに泥で汚れた靴でスタンプを押して回る。 急いで綺麗にしないと。もしこのタイミングでレミリアお嬢様がいらしたら……どうしましょう。 だが焦るとロクなことが無い。焦ったあまりに部屋の外に出されていた椅子に桶を引っ掛けてしまった。 あっと思ったときにはもう遅い。 床に盛大に汚水をぶちまけながら自分も前方につんのめりそのままうつぶせに床に倒れこむ。 あぁ、なんていう事!見つかる前に片付けようと立ち上がろうとした。 そんな彼女の前には不運なことにもたまたま通りかかったレミリアが立っていた。 「これはどういうこと?」 もうだめだ、自分は首だ! 余りの出来事に妖精メイドは立ち上がることができず、とうとう堰を切ったようにぽろぽろ泣き出してしまった。 「あら、何も泣く事ないじゃない……」 困ったようにレミリアが漏らした。ふと妖精メイドが怪我しているのに気づく。 とりあえず咲夜を呼び手当てをするために医務室に連れて行かせた。 レミリアは汚れた床をよそに日の余り当たらない廊下をつつと進んでいく。 途中で窓から花瓶がなくなっているのを見つけた。 たしかここに生けてあったのは美鈴が庭で育てていた花。 「またあのゆっくりの仕業ね、全く頭が痛くなりそうよ……」 咲夜が溺愛しているというだけで紅魔館に入り浸っているれみりゃ。 一匹だけなら我慢ができてももうすでに20匹弱ほどこの紅魔館周辺をたむろしているのだ。 しかしみんななんだかんだ言って咲夜には頭が上がらないのだ。 その為ほぼ黙認状態でれみりゃが好き勝手紅魔館で遊びまわっている。 虎の威を借る狐とはまさにこのことである。 何かいい撃退方法を考えなくては。 イライラと頭を廻らせながら廊下の突き当たりにある木製の階段を下りていく。 何かいいアイディアを捻り出すときにはレミリアは必ずといって良いほどこの階段から地下に入る。 この先にいる動く大図書館、パチュリーに知恵を借りるためである。 数日後、レミリアの部屋にはパチュリーと咲夜の姿があった。 「そう。だからあのゆっくりの数を減らしてほしいって言ってるのよ。分かるかしら」 「しかしお嬢様、なにも罪も無いれみりゃ様をそんな……」 ペットに対しても様付けとはなんたる忠誠心かしらね、とレミリアはため息をついた。 流石に怪我人が出たとなってはこの状況を放って置く訳には行かないと重い腰を上げたのだ。 予想だにしていなかった提案に咲夜はただうろたえるばかりだった。 「かわいそうじゃないですか!もしも野放しにして死んでしまったらなんて思うと……」 それ楽しそうじゃないと危うく言いかけてレミリアは口をつぐんだ。 別にこいつが生き残ろうが生き残るまいが自分の知ったことではない。 とりあえず迷惑な「穀潰し」が消えればなんでもいいのだ。 一方の咲夜は目に入れても痛くない程のれみりゃ達が自分の行動範囲外に行ってしまうことがとてつもなく不安らしい。 どうにかしてレミリアに認めてもらおうとあれこれと説得しようと試みていた。 不意に沈黙を守っていたパチュリーが口を開いた。 「そういうと思って、貴方の為に1つ面白い方法を用意してみたわ」 パチュリーは黒い表紙の教科書ほどの厚さの本を小脇に抱えて前に進み出る。 「貴方もこの方法なら納得してくれるんじゃないかしら?」 本を咲夜の前で広げるとペラペラと中身を見せ付けるようにめくった。 中身は真っ白だ。咲夜ははてなと首をかしげた。 翌日、紅魔館の庭には総勢19匹のれみりゃが終結していた。 みな口々に「おうた」を歌い、太った体をくねくねと動かしながら踊ったりしている。 その様子をレミリアとパチュリーは庭の端に置かれた日傘の刺さっている白いテーブルで紅茶を飲みながら眺めていた。 「異様な光景ね。後でメイドに庭を掃除させないと」 「仕方が無いでしょ。あの方法をとるには広い場所が必要なんだから。 それよりも咲夜は一体どこに行ってしまったのかしら?」 「なんでもあのゆっくり共にプリンを作ってあげるとか言ってたわね。 全く、あんなやつ等にどうしてあそこまで惹かれるのかしら?」 新しい紅茶をお持ちしました、と腕に包帯をまいた妖精メイドがテーブルにポットを置いた。 「自分の主に似ているからじゃないかしら。 その上本物の主と違って素直に甘えてくるから……とか。ねぇレミィ」 「いっつも言ってるでしょう、あんなのと私を一緒にしないでって。 あぁそういえば。貴方もう怪我は大丈夫なの?」 お気遣いありがとうございます、もう大丈夫ですと笑い妖精メイドは館に戻っていった。 心なしか彼女の表情はいつもに増して生き生きとしていた。 「あぁ、あの子がこの提案の引き金になったのね」 「そうよ。身内にけが人を出してまで穀潰しを構うなんて私が許さないわ」 紅茶を一口すするとレミリアはため息をついた。 広場ではいつの間にか咲夜がれみりゃ達にプリンを配っていた。 うーうー☆とれみりゃのうれしそうな声が大きくなる。 ぷっでぃーん、ぷっでぃーんと手づかみでプリンを平らげるれみりゃ。 「汚い食べ方ねぇ……」 レミリアは冷たくゆっくりの集団をにらみつけた。 「そうですよ全く、もっと味わって食べろって言うんですよ」 もふもふとスプーンを口にくわえ、片手にプリンの乗った皿を持った門番がいつの間にかそばに立っていた。 「あら、いつの間に」 「あぁいえ、さっき休憩時間に入ったんで。 そしたらたまたま咲夜さんに出くわしまして。あまったからどうってプリンを貰ったんです」 そういって一口プリンを口に運ぶ美鈴。パァーッとそこだけ春が来た。 「おっ、おいひいいぃぃぃ!」 「そんな泣くほど美味しいかしら?」 「咲夜のプリンは私も好きだわ」 「あっ、一口なら食べても良いですよ」 「いや、遠慮しとくわ」 だってそれれみりゃの餌でしょ?と言いたかったが美鈴が本気で傷つきそうなのでよしておくことにした。 「さて、お別れも済んだようだし……始めましょうか」 パチュリーはゆっくりと立ち上がると館の中に戻っていった。 「お嬢様。一体やつらをどうやって処分するつもりなんです?」 優雅に紅茶を頂いているレミリアにいまだプリンを半分も食べ終えてない美鈴がもふもふと口を動かしながら聞いた。 「ものを食べながらしゃべるのは下品よ。 貴方は勿論咲夜がれみりゃを溺愛していることは知ってるわよね」 「ええ勿論です。私に注がれるべき愛を全て奪って行ったんですよやつ等は」 「……あえて突っ込まないでおくわ。 そう、そんな咲夜がれみりゃの数を減らすなんていって聞き入れるわけが無いでしょ? だからね、私達はこう提案したのよ。れみりゃを圧縮してくれないか、ってね」 「れみりゃを圧縮、ですか?小さくなるだけで数は変わらないじゃないですか。 むしろ某リグ○みたいにカサカサ動いてむしろ気持ち悪くなりそうですけど」 「貴方が意味する圧縮と私が言いたい圧縮はちょっと違うわ。 貴方が言っているのは単なる体積的な問題。 私が言っているのは"全体の濃度としての"圧縮よ」 「んー、よくわかりませんね」 「要するに19匹を1匹に凝縮したらどうかって提案したわけ。」 「あー、なるほど」 「いろんな固体の記憶や精神に圧縮を掛けて一つにまとめて1体の中に押し込む。 そうすれば肉体は減るけど精神は死んでないって言う"救い"がある。 それに精神が圧縮されればもっとお利口になれるって言ってあるわ」 「でも記憶は兎も角、精神や魂に関する術式は難しいってよく聞きますが。 そんな高度なものを高々ゆっくりごときに使って良いんですか?」 プリン上部のカラメルを器用にスプーンで全体に広げる美鈴。 「勿体無いわ。そんな物使うわけ無いでしょ」 「……え?」 「私達は提案しただけよ。 誰もこの方法で減らすなんて一言も言ってないわ。 ただ方法を提案して、その後で減らすことに同意を貰ったのよ」 「そうなんですかぁ。あれ?じゃあ術はやらないんですよね? でもさっきパチュリー様が図書館に……」 「ええ。別の術式を使うわ。 ま、これも一種の圧縮を使った術式よ。まあ後は使ってからのお楽しみにしておきなさい」 パチュリーが小悪魔と共に戻ってきたのでレミリアは席を立った。 「悪いけど美鈴、今日は貴方が日傘をもって頂戴」 「あ、はい。ちょっとまって下さいいまこのプリン片付けちゃいますから」 そういうと美鈴は口の中に残り1/4のプリンを急いでかきこんだ。 むせた。 「********************――」 パチュリーと子悪魔がものすごい勢いで何かを詠唱していた。 影縫いで動けないれみりゃたちの周りを大きな魔方陣が取り囲み、まばゆい光を放っていた。 「お嬢様……本当に大丈夫なんでしょうか……」 「ええ、大丈夫よ咲夜。パチュリーに任せておけばね」 不意に魔方陣の6点が強く光り、全てのれみりゃを飲み込んだ。 一気にがらんとした庭。 後に残ったのは地面に投げ出されたプリンを載せていた皿と、昨日パチュリーが持っていた黒い本だけである。 多くのメイド達が歓声を上げる中、メイド長咲夜だけは絶句しその場に立ち尽くしていた。 「あ……あぁ……」 それはそうだ。愛しいペットたちが一瞬にして消え去ってしまったのだから。 「大丈夫よ、咲夜」 そういうとパチュリーは庭の真ん中へ進み出ると黒い本を手に取った。 「この術式はとっても時間がかかるわ。 ゆっくりゆっくりと圧縮を進めていくのよ。そう……」 この本の中でね、とパチュリーはほんの表紙を指でトントンと叩いた。 「あと半日もすればこの本の中かられみりゃが召還できるようになるわ。 暫くの間のお別れだけど、我慢してちょうだい、咲夜」 「咲夜、今日はショックだったでしょうし、もう休んで良いわ。 あとは美鈴にやってもらうから」 レミリアはそういい残すと満足そうに館のほうへと戻ってゆく。 さあ、咲夜も行きましょうとパチュリーと子悪魔が咲夜の手を引いていく。 妖精メイド達も生気の抜けてしまったメイド長を心配しつつもぞろぞろと持ち場に帰っていった。 夜遅く、レミリアはパチュリーに呼ばれて図書館へと向かった。 部屋ではパチュリーと小悪魔がテーブルに置かれた日中の「黒い本」を眺めていた。 「それじゃあパチュリー、昼間のことを詳しく教えてもらおうかしら」 部屋に入るなりレミリアは口を開いた。 「あれを咲夜に見せたのは余りよくなかったわ…… あんなに落ち込んでしまうなんて……」 パチュリーは少々意気消沈気味である。 「そんな、パチュリー様のせいじゃありませんよ!」 「えぇそうね。悪いのはあのゆっくり共よ」 そうかしら、と暫く黙っていたが、やがてパチュリーは今日の術について話し始めた。 「今日使った術は確かに圧縮術よ。 ただし、咲夜に説明した"精神圧縮"ではなくただ単に"体積圧縮"なのだけれども。 あの術はその場にある有機物質を極限にまで圧縮して体積0、質量∞の物質に圧縮するものなの。 その後質量∞の物質がどこに行くのかは知らないけど、まあ気にしても仕方が無いわ。 あと、この術には少し細工がしてあって、ある特定の防御を施した物だけはこの術が無効になるようになってるの。 術式開始前にランダムで3匹に防御魔法を掛けてその3匹だけは特別保護してあるわ」 「別空間ってまさかこの紅魔館の中じゃないわよね?」 急にレミリアの顔が険しくなる。 きっと人一倍敏感な咲夜の事だ。どこかでれみりゃの気配がすればすぐに感ずかれてしまうだろう。 「安心して。その3匹を飛ばした場所って言うのは……この中よ」 パチュリーは黒い本を手に取るとレミリアの前に差し出した。 レミリアは本を受け取ると中をぱらぱらとめくった。 あら、と何か違和感を感じた。確かこれ、昼間見たときには真っ白の本だったのに。 先ほどと打って変わって中にはびっしりと文字が刻み込まれていた。 「この本の中はあのときつかったのとまた違う方法の2種類圧縮魔法が組み込まれているの。 一つは空間圧縮、もう一つは精神圧縮よ」 ここで一区切りつけるとパチュリーは小悪魔が入れてくれた紅茶を口に含んだ。 レミリアは興味深げに黒い本を捲っていた。 「さっきの3匹はその中に圧縮されてる空間に入ってるわ。 そして精神圧縮を掛けることによって中にいるゆっくり達の神経を極限にまで高めているの。 精神圧縮を掛けられたものの精神はその圧縮率に比例して敏感になる。 すなわち体感時間が通常よりも長くなるらしいわ。 だからそれを利用してやるべきことを全部半日で片つけようって事よ。 かなり高い精神圧縮をかけているはずだから私たちの体感時間の20倍はくだらない筈よ」 「そう……でもパチェ、貴方なんで3匹も残したの?残すのは1匹だけよ」 レミリアが不満そうに文句をつけた。 「そうよ。1匹だけ。でもこれをやるには一応保険を掛けておく必要があったの。 ほら、咲夜にこの術を使えばれみりゃがお利口になるから回りに迷惑を掛けなくなるって言ってあるでしょ。 言ってしまった以上はそれを実現させなければならないわ。 だからこの3匹を調教してなんとかやっていいこと悪いことの分別をつけさせないと。 どうも文献を見るとゆっくりは体で物を覚えさせるのが一番みたいだし……」 「その調教は誰に任せるつもり?」 「もうすでに頼んであるわ。もう仕事に取り掛かってからずいぶんたつんじゃないかしら? 2人いるけど……そうね、どちらの人も貴方がよく知っている人で、貴方のことをよく知っている人よ。 だからきっとできあがってくるれみりゃはきっと貴方好みのゆっくりれみりゃになるんじゃないかしら?」 「ふぅん、そう。分かったわ。 とりあえず答えは明日の楽しみに取っておこうかしら。 さて、私は咲夜の様子を見に行ってくるわ。おやすみ、パチェ」 そういうとレミリアは部屋を出た。その足取りは幾許かいつもより軽いように見えた。 翌日の夕方、紅魔館の庭には一匹のれみりゃと楽しそうに戯れる咲夜の姿があった。 その姿を静かに部屋から見守っていたレミリアはふと独り言をこぼした。 「……そうね。あのがんばった貴方達には何かご褒美をあげなくちゃかしら」 部屋の中にはレミリア以外にあと2つの人影だあった。 「私はお外に出たいわ、お姉さま」 「とりあえず少し疲れたので休みがほしいですねぇ。あんなに文字を教え込むのに苦労するとは……」 レミリアは二人に向き直ると口元を緩めた。 「どうもご苦労様。いいわ。 フランには外出許可を、美鈴には4日間の休日を与えましょう」 「よかったわね、美鈴!」 「妹様も、頑張った甲斐がありましたね!」 手をとり喜びあう二人。 術式の後、あの圧縮空間に送られたのはこの2人だったのだ。 二人の功績により無事咲夜の元に躾されたれみりゃがもどり、同時に紅魔館にも平和が戻ったのである。 2人が部屋を出て行った後、レミリアは二人が入っていたという黒い本を手に取り眺めていた。 術が終わった後にもかかわらずページは真っ白には戻らず、所々に記述がぽろぽろと残っていた。 「そうそう、お姉さま」 いつの間にかフランドールが目の前に戻ってきていた。 「実はね、その本の中にはまだ1匹れみりゃが残ってるのよ」 「……あのゆっくりが?」 レミリアは顔をしかめた。 「そう。1匹はすぐに死んじゃったんだけど、もう1匹は戻ってくる前に向こうで気を失っちゃってそれっきり起きてこないの。 一応つれて帰ってきたけど動かないし、つまらないからさっき私壊しちゃった」 そういうフランドールの手にはれみりゃ特有の帽子が握られていた。 ところどころ肉汁で染みがついてしまっている。 「まぁいいわ。とりあえずもう地下に戻っていなさい。 明日咲夜を迎えに行かせるからそれまでおとなしくしているのよ」 「分かったわお姉さま。それじゃあまた明日」 フランドールは再びスキップで部屋の外に出て行った。 レミリアは何か悪寒のようなものを感じて自分の手元にある黒い本を眺めた。 ……起きてこないって事はまだこっちに戻ってきたときには生きていたという事だろう。 フランは向こうで気絶してそれっきりと言っていたが、ゆっくり、とくにれみりゃであればすぐに回復して泣き喚いたりするはずだ。 だがれみりゃは起きてこなかった。その後フランの遊び道具として扱われて肉体は壊れてしまった。肉体は…… そういえば美鈴がゆっくりに字を教えたとか言っていた気がするな、とぼんやりと考えながらなんとなくほんの中身をもう一度確認してみる。 すると、最後のほうのページに、びっしりと文字が残っているページがあることに気がついた。 とても汚い字だが、どうやら同じ記述の繰り返しのようだ。 そしてレミリアがその記述を読み取ったとき、思わず反射的にその本を床に投げ捨てて部屋を飛び出した。 そこにはこう書かれていた。 ゆるしてくださいだしてくださいゆるしてくださいゆるしてくださいゆるしてくださいゆるしてくださいゆるしてくださいたすけてください ゆるしてくださいゆるしてくださいゆるしてくださいゆるしてくださいゆるしてくださいゆるしてくださいゆるしてくださいゆるしてください ゆるしてくださいゆるしてください がんばりますがんばりますがんばりますがんばりますがんばりますいいこにしますいいこにしますがんばりますいいこにします いいこにしますいいこにしますいいこにしますだしてくださいだしてくださいだしてくださいだしてくださいゆるしてくださいゆるしてください ゆるしてくださいくるしいくるしいだしてくださいだしてくださいがんばりますがんばりますがんばりますいいこにしますいいこにします いいこにしますいいこいいこにいいこにしますいいこがんばりますがんばるがんばるゆるしてくださいゆるしてくださいだしてだして いいこにするだしてゆるしてがんばりますじおぼえますいうことききますききますいうこということたすけてくださいだしてゆること いいこにしますゆるしてくださいだしてだしてだしてさくやさくやだしてさくやいいこにしますゆるしてゆるしてがんばりますおぼえます だしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてだしてせまいせまいだしてせまいだしてさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくや さくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくや さくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくや さくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくやさくや さくや さ くや さくやさくやさ くやさくや さ く や さ く や さ く や さく や さ く や さ く や さ くや さ く や さくや さく や さく や さ く や 紅魔館地下大図書館には、今でも文字の増え続けると言う変わった魔術書があるという。 あとがき う~☆ざぐやにだっごしでほしいんだど~☆ さくやにさぐやに さ く や に 訳(稚拙な文章で申し訳ありません。精進いたします)
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5215.html
このSSは「ゆっくりいじめ系1222 ゆっくり繁殖させるよ!」の設定を 勝手に流用して書いたものです。 http //www26.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2112.html ---------------------------------------------------------------------------------------------------- 「養殖ゆっくり」 ゆっくりが幻想郷に現れるようになって、はや数年が経った。 ゆっくりが現れた当初から、ゆっくりによる民家襲撃や農作物窃盗が相次ぎ、 人間とゆっくりの間では争いが絶えなかった。 人間は、まず人里に近づいたゆっくりを見つけ次第叩き潰すことでゆっくりによる害を減らそうとした。 しかし、ゆっくりはすぐに増えるため、あまり効果がなかった。 潰しても、数日もすると別のゆっくりが人里への侵入を試みた。 そこで、ゆっくりの巣を探し出し、片っ端から一家を全滅させることで増えないようにしようとした。 ゆっくりの一家や番は、例えるならゆっくり製造機みたいなものである。 こいつらを一家まるごと殺してしまえば、ゆっくりの増えるペースは減ると考えられたからだ。 このやり方では、たしかに一定の効果があったが、それにも限界があった。 ゆっくりは、すぐに増えてしまうからだった。 ゆっくりは一回の生殖で、植物型妊娠・動物型妊娠問わず、最低でも3匹から5匹は子供を作る。 この時点で、すでにゆっくりは確実に増加する傾向にあることが分かるだろう。 さらに、ゆっくりは、その生活形態も様々だ。 個別に独立して暮らすものもいれば、群れを作って共同生活するものもいる。 群れの場合、一度潰せばゆっくりの害は大幅に減るが、ドスがいるような群れはやっかいだった。 逆に、独立して生活している家族や番の場合、散らばって生活しているので個々の一家は潰しやすいが、その分効果が薄く、巣を探すの手間取った。 加えて、人里から一定以上離れた場所にいるゆっくり達には殆ど手を出せなかった。 離れた場所に住むゆっくりを殺す為だけに里の外で夜を明かすのは危険だし、何より自分の畑から何日も離れるわけにはいかなかったからだ。 農耕で生活している以上、里に住む人々の大半は、畑仕事に一番時間を割かねばならなかった。 こうしてゆっくり対策に行き詰まりを感じ始めた里に人たちは、ゆっくりに詳しい者達に力を借りることを決めた。 依頼を受けたゆっくりの加工場の職員や研究者達は、効率的にゆっくりを駆除する方法を考え始めたのだった。 問題点は、以下の2つに絞られた。 ・どうやって人里から離れた場所(森の奥)にいるゆっくり達も駆除するか? (人里周辺のゆっくりだけを駆除しても、他所から他のゆっくりがやってきてしまう) ・どうやって数が多いゆっくりを一度に駆除するのか? (ちまちま殺していたら、繁殖力の高いゆっくりの数は減らない) そこで加工場の関係者達は、人工的に養殖させた「非常識なゆっくり」を大量に自然界に放流する方法を思いついた。 勿論、こんなことを春や夏や秋にやれば大変なことになるが、餌が殆ど無い冬直前にやったどうなるだろうか。 こんな計画が持ち上がったのも、研究者達の観察や実験結果により次のようなことが分かってきたからだ。 実は、ゆっくりの最大の天敵は、小動物でも人間でも妖怪でもなく、ゆっくり自身だったのだ。 たしかに、小動物・人間・妖怪はゆっくりにとって脅威となる存在だ。 本気で狙われたら、まず間違いなく殺される(or 喰われる)。 だがそれは、あくまで「狙われたら」という話であり、そんなことはあまり起こらない。 起きたとしても、ゆっくりの数を大幅に減らすほどの影響はない。 ゆっくりと生活圏がかぶっている小動物は、必ずしもゆっくりを襲うわけではない。 草食系の小動物は、まずゆっくりには手を出すことはないし、肉食系の小動物も、基本的には他の動物を狙うので、ゆっくりがターゲットになることはあまりない。 そして、人間は自分達の生活圏の外にいるゆっくりには手出しできない。 妖怪達は、食料としてゆっくりを食すことは珍しくないが、それでもゆっくりの数に殆ど影響を与えていない。 だが、他のゆっくりは違う。 生活スタイル(食べ物・居住環境・生活圏)が同じであるが故に、仲間同士であると同時に生活の糧を奪い合うライバル同士でもあるのだ。 加えて、ゆっくりという生物(食べ物か?)は基本的に自己中心的で頭が悪く、イザコザが耐えない。さらに、ゆっくりの中には「ゲス」と呼ばれる、 ゆっくりを襲うことで生活しているものや、「レイパー」と呼ばれる強姦魔もいるという。 こうした研究結果を踏まえて、ゆっくりにはゆっくりで対処する方が良いと考えられ、今回のゆっくりを養殖する実験計画が立てられたのである。 ちなみに、この方法がダメなら別の手を考える予定である。 この計画の最大の目的は、春になるまでに出来るだけ野生のゆっくりの数を減らすことだった。 とにかく、出来る限り個体数を減らし、農家にかかる負担を軽くしなければならない。 今回、ゆっくりを養殖させるにあたって、雑草や昆虫が大量に集められた。 野生にない食材を与えると、野生のゆっくりが採った餌を受け付けなくなるからだ。 それでは養殖されたゆっくりが、野生のゆっくりの餌を略奪してくれない。 さらに、養殖されたゆっくり達を「教育」する動画も製作された。 野生のゆっくり達に受け継がれている生き抜く方法とは真逆の教育を施す為だ。 他の関係者から、「もし非常識なゆっくりが越冬に成功したらどうなるのか?」という問題点も指摘された。 だが、計画を立案した研究者は自信を持って次のように答えた。 養殖場で生まれ育ったゆっくりは、自然界ではまず生き残れない。 冬以外の季節なら、自力で餌を採る方法を覚えたり、他のゆっくりと暮らし始めて生き残れるかもしれない。 仮に野生のゆっくりと暮らし始めても、自力で餌を採る大変さを理解していないから、すぐに仲違いするだろうが。 しかし、真冬ならどうだろうか。まず餌は手に入らない。人里は我々が完全に守っているから、進入することも出来ない。 おまけに、食料を食べたいだけ食べることが良いことだと教育するので、野生のゆっくりの巣を見つけ出して略奪を行っても食料はすぐに尽きるし、 最終的には共食いしつつ餓死することになる。だから、養殖ゆっくりは春までには全滅するはずだと答えた。 ゆっくりによる被害を受けていた里は、今回の実験を初めて聞いたときは随分驚いていたが、 一切お金を取らないことや、家屋に万全のゆっくり対策を施すことで了承してもらった。 ゆっくりを養殖する施設は、群れから少し離れた開けた場所につくられた。 また、養殖していることを野生のゆっくりに悟られないようにする為、 養殖場の周りを、植物で偽装した高い壁でグルリと囲んだ。そして、鍵を持った職員しか入れないようになっている。 ここで養殖して一斉に放すことになる。 本来は加工上で育てる予定だったが、ゆっくりの群れが住んでいる場所の近辺まで、大量の成長しきった養殖ゆっくりを運ぶ方法が見つからなかったので変更された。 我々は、加工所の中で育てられているゆっくり達に強制的に子供を作らせた。 そして、植物方妊娠をしている親を眠らせ、その子供を採取して隔離した。 こうすることで、他のゆっくりから教育を受けていない、何の記憶も技術も持たない赤ゆっくり(れいむ種とまりさ種)が手に入った。 全部で10匹だ。 採取した赤ゆっくり達を眠らせた状態で養殖場の中に放置した。 養殖場の中は、まだガラ~ンとしている。 バスケットボールぐらいの大きさのゆっくりを、500匹近く収容できるように作ってあるので、仕方が無いといえば仕方が無い。 とにかく、冬直前までに相当数のゆっくりを育て上げなければならない。 ゆっくりの教育は、毎日決まった時間に映像を流す形で行われた。 朝7時になると明かりがつき、モニターに電源が入り、スピーカーから挨拶が聞こえてきた。 「やあみんな、おはよう!ゆっくりしていってね!!!」」 それを聞いた10匹のゆっくり達は一斉に、 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 と、返事を返した。 「さあみんな、ごはんだよ!ゆっくりたべていってね!!!」 そうアナウンスされると、天井に付けられた機械が、天井を所狭しと動き回りながら餌を養殖場全体にバラバラと落とした。 いずれは、養殖場いっぱいにゆっくりがひしめき合うのだから、広範囲に餌を撒かないと、餌にありつけないゆっくりが出てきてしまうからだ。 献立は毎回一緒で、甘味料と冷凍雑草と冷凍昆虫を混ぜ合わせたものだった。 基本的に、自然界で容易に手に入る、草と虫以外のものを食べさせることは許されてはいなかった。 「ゆっ!おさらさん、ゆっくりれいむのところにえさを落としてね!」「すごくゆっくりできるえささんだね」「うんめ、めっちゃうんめ!」 「くささん、むしさん、ゆっくりたべられてね!」「きかいさん、ありがとうね!」 「「「「「「むーちゃ、むーちゃ、しあわせ~!!!!」」」」」 養殖場の様々な場所に、栄養素を溶け込ませた水を出す蛇口を取り付けてあるので、 食事を終えたゆっくり達は、思う存分水分を取っていく。 「「「「「「が~ぶ、が~ぶ、しあわせ~!!!!」」」」」」 食事が終わると、今度はお勉強の時間だ。 といっても、研究所と加工場が製作した教育映像を繰り返し流し続けるだけだったが。 『腹が減ったら、他のゆっくりの巣に勝手に入って食べればいい。他のゆっくりに餌を分けない奴はゆっくり出来ない奴だ。』 「ゆっ!すってなあに!」「でもゆっくりできそうなばしょだね!」「れいむもあんなばしょがほしいよ!」 「まりさにたべものをくれないなんて、ゆっくりできないね!ぷんぷん!」 『初めて会ったゆっくりをすっきりさせてあげるのはゆっくりできること。すぐにすっきりさせてあげよう。』 「すっきりってなあに?」「なんだかすごくゆっくりできそうだよ!」 『パチュリーはずる賢い悪いゆっくりだ。ゆっくりできないから、見つけたらすぐ潰そう。』 悪そうな顔をしたパチュリーを踏み潰すイラストを流した。 「ゆっ!ゆっくりできそうにないかおだね!」「あんなのみつけたら、まりさがぎったんぎったんにしてやるんだぜ!」 『ドスは、ゆっくりしすぎで太ってる。減らしてあげれば喜ぶから、すぐに喰いつこう。』 でっぷりした大きなゆっくりを噛みちぎるイラストを流した。喰いちぎられたゆっくりはニコニコしている。 「どすはゆっくりしすぎだよ。」「だいえっとをてつだってあげなきゃね!」 『れみりゃやふらんは敵。見つけたら全力で襲い掛かろう。弱いくせに偉そうにしている。ゆっくり出来ていない。』 「へんなかおだね!」「ぜんぜんつよくなさそうだね!あんなのかんたんにつぶせるよ!」 ゆっくりを捕食する捕食種「れみりゃ」と「ふらん」。 実は、単純に力という点だけを見れば、こうした捕食種は他のゆっくりより圧倒的に上回っているわけではない。 耐久力にしても、捕食種は中華まんだ。饅頭と対して耐久力に違いはない。 基本的に、ゆっくりが捕食種に勝てない理由には、手足の有無や体格差以外にも「絶対に勝てない」という思い込みもある。 バスケットボールぐらいの大きさのゆっくりが、複数で物怖じせずに胴付き捕食種と全力で闘えば、勝算があることは加工所の実験で証明済みだ。 捕食種というのは、頭部だけの状態なら圧倒的に飛行スピードがあるの、まず他のゆっくりに負けることは無い。 しかし、胴体付きに進化すると、手足が使える反面、スピードという利点が無くなってしまううえに、動きが鈍臭くなる。 加えて、まさか他のゆっくりが襲ってくるとは思わないだろうから、隙だらけになる。 ちなみに、フランが捕食種の中でも最強なのは、「狂気」が最大の理由として考えられている。 体格や筋力が同じでも、イカれた人間と普通の人間が喧嘩をすれば、なかなか普通の人間は勝てないのと同じ理屈だ。 養殖場のゆっくり達には、複数のゆっくりがれみりゃに体当たりして容易に転ばせたうえ、踏み潰すという映像を見せた。 映像の中では、れみりゃを殺したゆっくり達が、「む~しゃ、む~しゃ、しあわせ~!」とれみりゃを食べていた。 他にも、 『ゆっくりの巣は、木の根元や洞窟にあるぞ!』 『草や石が固まっているところが怪しいぞ!』 といった、野生のゆっくりの巣の探し方も教えた。 とにかく、こうした身勝手な行動こそが「ゆっくりできること」だと徹底的に教え込んだ。 まあ、こういうことが本来の「ゆっくりできること」なのかもしれない。野生のゆっくりは、厳しい自然環境の中で随分妥協しているけれど。 月日が経つにつれ、次第に養殖場のゆっくりの数は増えていった。 どんなに「すっきりー!」をしても。餌はすぐに降ってくるし、いつでも栄養素が溶け込んだ水を飲めたので、 ゆっくり達は思う存分子作りが出来たのである。 最初は恥ずかしがっていたゆっくり達も、養殖場の中にプライバシーなんぞ無いことを理解すると、 どこでも、子供の前でも、平気で「すっきりー!」するようになっていった。 村では、作物の収穫やゆっくり対策がほぼ終わっていた。 我々が行ったのは、強化ガラスとの交換に始まり、建物の補修、河童の少女と協力して開発したゆっくり撃退装置の設置などの各種ゆっくり対策グッズの設置だ。 ゆっくりの群れの方でも、ほとんどの家庭で餌の貯蔵が終わっていた。後は、本格的に冬が始まったら巣を塞ぐことぐらいだ。 さて、後はこいつらを放すだけか。 俺は、養殖場内のゆっくり達を睡眠ガスで眠らせると、 外に運び出した。 「よいしょっ!・・・と。結構いますね。どれぐらい増やしたんですか?」 「大体600匹ぐらいだな。まだ実験だし、そんなもんさ。けど、もうちょっと増えたらやばかったな。500匹ぐらいを想定してたから、 これ以上増えると、養殖場が維持できなくなっちまう。そうなると、俺達の仕事に『養殖ゆっくりの間引き』なんていう面倒くさい仕事が出来ちまう。」 「じゃあ、よかったすね。」 職員達はコンテナに詰められた養殖ゆっくり達を外に運び出すと、養殖場の撤去作業も開始した。 とても「ゆっくりした」ゆっくり達が一斉に開放された・・・ 群れから少し外れた場所で、一匹のゆっくりれいむが移動していた。 もうすぐ巣穴を塞ぐのだ。来年まで外に出ることは出来ない。 だから、冬篭りの前までに少しでも外の様子を見ておきたかった。 そんな時、れいむは一匹のまりさから声をかけられた。 「ゆっ!れいむ!ゆっくりしていってね!」 「ゆっ!まりさ!ゆっくりしていってね!」 養殖場でゆっくり育てられた養殖ゆっくりは、野生ゆっくりから見て美人に見えるらしい。 すっかり気をよくしたれいむをよそに、まりさの後ろからぞろぞろと養殖ゆっくりが現れる。 「ゆぅ、なんだかさむいよ。はやくゆっくりできるところをさがそうね」 「ぽんぽんさんがすいてきたのぜ。むーしゃむーしゃしたいのぜ。」 ・ ・ ・ れいむの表情は凍りついていた。 こうして養殖ゆっくり達は次々に野生のゆっくりの群れの中心に入り込んでいった。 群れに住む野生のゆっくりたちは何事かと巣から飛び出した。 この時期に大量のゆっくりがやってくるということは、どう考えても食料や住処の略奪としか考えられなかったからだ。 だが、略奪目的にしては、やってきたゆっくりたちの顔色や肌ツヤは非常に良かった。 また、随分友好的でゆっくりとしたな態度をとっていた。 群れのゆっくりたちは次第に、 「これはもしかしたら、別の目的で群れにやってきたのかも」 とか、 「きっと冬篭り前の挨拶に来たのではないか」 と噂を始めた。ドスの元にも報告が行っていた。 そして、徐々に歓迎ムードになっていた。 だが、それから数分後、ある養殖ゆっくりの一言で状況は一変した。 「ゆっ。れいむおなかすいたよ。たべものちょうだいね。」 それを皮切りに、他のゆっくりからも食料を求める声が徐々に上がり始めた。 群れのゆっくり達は驚いた。そして、 「自分達には、あなたがたに分け与えられるような余分な食料はないこと」 と伝えたり、 「そんなに血色が良いのに、あなたたちはどうしてたべものをもっていないのか」 と質問をした。 だが、養殖ゆっくり達には、野生ゆっくりの言うことが理解できなかった。 「食べ物をくれるのはあたりまえ」「季節なんて存在しない」という環境の中で育てられた為、 「どうして食べ物をくれないのか?」「冬篭り?何それ?美味しいの?」という有様だった。 10分も経つと、群れで大騒ぎになっていた。 群れの規模は100匹前後。 しかし、やってきた養殖ゆっくりの数は100匹を優に超えていた。 群れのゆっくりは必死で養殖ゆっくりを押しとどめようとした。 ある養殖れいむが言う。 「おなかがすいたよ。たべものをゆっくりちょうだいね」 さらに養殖まりさが言う。 「たべものをださないなんてゆっくりできないね。」 「かってにもらっていくよ。」 「どいてね!はいれないよ!」 番の野生まりさと野生ありすは家の前で必死に応戦する。 「ゆ~~~!やめてね。勝手にまりさのおうちに入らないでね!でていいってね!」 「それは冬を越すのに必要な食料よ!いまたべるなんてとかいはじゃないわ!このいなかもの」 いくら押しとどめようとしたり、突き飛ばしても、次々と巣に近づく養殖ゆっくりの数にはかなわなかった。 勝手に貯蔵庫の食料に手を付ける養殖ゆっくり達。 「むーしゃむーしゃ・・・う”っべべぇ”ぇ”ぇ”ぇ”! まずっ!げろまずっ!ぺっ!ぺっ!!」 生まれて初めて甘味料のない食料を口にした野生ゆっくり達は吐き出した。 「こんなのたべものじゃないよ!あまあまじゃないよ!ほんとのたべものをかくさないでさっさとだしてね!」 甘い食料など持っていないし食べたことのない野生ゆっくり達は、自慢の保存食料をゴミのように扱われ、ショックを受けた。 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおお?」 群れで一番頭のいいパチュリー種の住む巣にも養殖ゆっくり達は押し寄せた。 「ゆっ!パチュリーがいるよ!ゆっくりしんでいってね!!」「ゆっくりできないゆっくりはしんでね!」 「むぎゅう”う”!わたしがなにをしたっていうのよおあああ!」 こうして、ゆっくりが自然界で生き抜く方法を知っている重要なぱちゅりー種は息絶えた。 ドスのいる洞穴にも養殖ゆっくりが入り込んだ。 養殖ゆっくりたちは、笑顔で挨拶する。 「ドスがいるよ!ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」「ゆっくりしていってね!!!」「ゆっくりしていってね!!!」 ドスは最初は驚くが、笑顔で挨拶を返した。 「みんな、ゆっくりしていってね!!!」 外で起きていることはまだ報告が入っていないらしい。 ぞろぞろとやってくる養殖ゆっくり達の中のある一匹が突然どすに食らいついた。 がぶ・・・ 「むーしゃむーしゃ それなりーー!」 分厚い小麦粉皮を喰いちぎって頬張る養殖ゆっくり。 一瞬何が起こったのか分からないどすの代わりに、どすの付き人をしている野生ゆっくりが叫んだ。 「どぼぢでどすのおがおだべるのおおおおお!!!どずはゆっっぐりしてるんだよおおお?ばがなの?じぬの??」 その言葉で我に返ったドスは体を壁にぶつけてそいつを潰し殺した。 「馬鹿なゆっくりはさっさと死んでいってね!」 「どぼぢでよろごんでぐれないのおおおお?ダイエッドにきょーりょくしてるでしょおお!」 理不尽な攻撃を受けていると感じた養殖ゆっくり達は、怒りに燃えてドスに攻撃した。 どすは洞窟の中で暴れようとしたが、広さも高さも足りず、ただただ噛み付き攻撃や這いずり攻撃を繰り返した。 しかし、真正面からドスの口に飛び込むものはおらず、養殖ゆっくり達は全方位から喰らいついた。 ドスは徐々にスタミナを消耗し、まるで蟻に集られる饅頭のように体の体積を減らしていった。 「もっどゆっぐりしたかったよ・・・」 こうして、群一つを潰した養殖ゆっくりによる傍若無人な振る舞いと理不尽な暴力は森の各地に住む野生ゆっくり達に広がっていった。 例えば、とある群れに属さないゆっくり一家は、苛烈な尋問の果てに皆殺しにされた。 養殖ゆっくりの集団が、けっかいで偽装された巣を見つけ、中にいた一家を強引に外に叩きだしたのである。 一家があまあまな食べ物を隠し持っているに違いないと疑ったそのグループは、執拗に尋問を行い始めた。 「あまあまさんなんてしらないよ。ゆっくりかえっていってね!」 「うそをつくななのぜ!すのなかにかくしてるのはわかってるのぜ!!!」 集団は「こーでぃねいと」された巣の中を荒らし回った。 教育であまあまの存在を信じこまされていた養殖ゆっくりの集団は、貯蔵庫の食料を掻き出し、枯葉のカーペットをひっくり返し、一夏の「おもいでのしな」をバラ撒きながら「あまあま」を探し続けた。 しかし、いくら探せどそんなものはない。 最終的に痺れを切らした集団は、一家を踏みつけ突き飛ばし餡庫のシミに変えた。 また、ある子なしの番は強引に集団でスッキリーをさせられ、茎だらけになって永遠にゆっくりした。 勿論、巣の中を滅茶苦茶に荒らされるおまけつきで。 こうして野生のゆっくり達が餡庫に変えられていくなか、空腹に耐え切れず潰れた野生ゆっくりの餡庫を貪るものも出始めた。 「うっめ!めっちゃうっめ!」 極度の空腹に襲われていた養殖ゆっくり達は、同族の餡庫を貪ることにも抵抗を示さなくなっていた。 「野生のゆっくり達は、餡庫ではないあまあまを体の中に隠し持っていた」と強引に思い込み、「共喰いをしている訳ではない」と自分達を納得させたのである。 甘い食料に舌が慣れきった養殖ゆっくりは、日が経つに連れて各地の巣を血眼になって探し続けた。 執念深く巣を見つけては、中にいた種族を問わずゆっくりを引きずり出し尋問し、巣を荒らして餡庫を貪った。 とはいえ、野生ゆっくりの数が減るに連れて徐々に巣の発見率も下がり、最後の手段である同族の餡庫すら手に入りにくくなっていった。 すると、捕食種も襲撃の対象になりはじめ、洞窟に巣を作っていたれみりゃの一家も巣も襲撃を受けた。 「おぜうさまにゆっくりたべられていくんだど~♪」 養殖ゆっくり達に無防備に近づいて手を伸ばそうとしたれみりゃは、後ろから脚にタックルを喰らい、転倒した。 「おお、おそいおそい」 「おお、よわいよわい」 集団で飛び乗り喰いちぎり貪っていく。 「うっめ!めっちゃうっめ!」 「ざぐや”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!!」 「ま”んま”ま”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”」 れみりゃの子供たちも母親と同じ運命を辿った。 その後、養殖ゆっくりによる巣の襲撃は続いたが、滅多に巣を見つけられなくなった。 巣を襲撃できない養殖ゆっくり達も次第に個体数を減らしていった。 養殖ゆっくり同士で共喰いを始めるものも現れた。 すっきりーをして子供を持ったものもいたが、動きが鈍くなるため共食の対象にされた。 対象にされなくとも、これから冬を迎える季節で育てられる可能性は不可能だろう。 それに間違った知識を教えこまれているため、子供への教育もできないので子孫を残せない。 1代限りの存在を許された養殖ゆっくり達は、共食と餓死を繰り返し、 雪が積もり始める頃には姿を消したのだった。 冬も終わり春がやってきた。 月日が経ってもゆっくりによる被害は報告されず、ゆ害は皆無になっていた。 この試み因る効果は数年続くことも分かり、安い初期投資で高い効果が得られることから他の地域でも導入されることになった。 こうして、毎年冬が近づくと野生のゆっくりと養殖のゆっくりによる殺し合いが森の各地で行われることになったのである。 -完- ------------------------------------------------------------- かれこれ何年ぶりの投稿でしょうか。 何年か前に途中まで書いた作品を、今日終わりまで書き足して投稿しました。 witten by 御湯栗 過去の作品 http //www26.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4035.html#id_dd2fb33a
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4028.html
や行で始まる作者別ユ~カリ ゆっくりいくさんはフカヒレまんだと思う人 改め ゆいふ人 ゆっくりエンザ書いた人 ゆっくり飾りゴージャスの人 ゆっくりな人 ゆっくりのあねきィィィ!の人 ゆっくりハンターの人 ゆっくりボールマン ゆっくり饅頭大好きの人 ゆっくりまんじゅうの人 ゆっくりモンスターズの人 ゆっくりレイパー ユユー や行で始まる作者別 ユ~カリ ユ~カリの作品集 ゆっくりいくさんはフカヒレまんだと思う人 改め ゆいふ人 ゆっくりいじめ系554 -森の彼女とゆっくり知恵比べ-そ無 ゆっくりいじめ系585 -森の彼女と逆襲のゆっくり-制無 ゆっくりれみりゃ系いじめ39 VSれみりゃ制 ゆっくりいじめ系656 -森の彼女と孤独のグルメ-虐料 ゆっくりエンザ書いた人 ゆっくりエンザ書いた人の作品集 ゆっくり飾りゴージャスの人 ゆっくりいじめ系113 ゆっくり飾りゴージャス虐家無 ゆっくりいじめ系167 ゆっくり飾りシャッフル復家無 アリス×ゆっくり系10 ぼくのかんがえたさいきょうのしてんのう虐性 ゆっくりな人 ゆっくりな人の作品集 ゆっくりのあねきィィィ!の人 ゆっくりのあねきィィィ!の人の作品集 ゆっくりハンターの人 ゆっくりいじめ系29 ゆっくりハンター 制 妹紅×ゆっくり系1 ゆっくりたちのトラウマの夜前篇 制家料 妹紅×ゆっくり系2 ゆっくりたちのトラウマの夜後編虐 ゆっくりいじめ系121 ゆっくりふぉんでゅ その他 あたっく おぶ ざ きらー ゆっくりそ 紅魔館×ゆっくり系20 ゆっくりはまさに世紀末 ゆっくりボールマン ゆっくりボールマンの作品集 ゆっくり饅頭大好きの人 ゆっくりいじめ系47 ぐちゃぐちゃゆっくり天国 虐 アリス×ゆっくり系8 アリスのぐちゃぐちゃゆっくり駆除 制 ゆっくりいじめ系68 お母さん霊夢の受難そ家 ゆっくりまんじゅうの人 ゆっくりいじめ系110 髪飾り制共無 ゆっくりいじめ系136 働きゆっくり?虐無 ゆっくりいじめ系137 ゆっくりまんじゅう制そ共無 ゆっくりいじめ系153 ゆっくり調教師 前編制環性無 ゆっくりいじめ系154 ゆっくり調教師 後編制環無 ゆっくりいじめ系272 出産ゆっくり_1虐家無 ゆっくりいじめ系273 出産ゆっくり_2虐家無 ゆっくりいじめ系756 ゆっくりニトロ (上)虐薬家無 ゆっくりいじめ系757 ゆっくりニトロ (下)虐薬家無 ゆっくりいじめ系2035 赤ゆっくり ゆっくりいじめ系2146 裁き(前編) ゆっくりいじめ系2147 裁き(後編) ゆっくりモンスターズの人 ゆっくりいじめ系142 ゆっくりモンスターズ1虐無 ゆっくりいじめ系178 ゆっくりモンスターズ2虐無 ゆっくりレイパー ゆっくりレイパーの作品集 ユユー ユユーの作品集
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/2005.html
『孤独のゆっくり』 ※パロディネタを多く含みます ※劇中人物の独り言が多いのは仕様です 今にも泣き出しそうな曇天の空の下、一人繁華街を往くスーツ姿の男。 個人経営の輸入雑貨店を営む彼は、名を吉祥寺吾郎といった。 今日も今日とて顧客先を周り、得意先にヴェネチアグラスを納品したところだ。 一仕事終えた吾郎は、背広を肩にかけて煙草に火をつけた。 「……さて、今日は何を食おうか」 時間は既に15時を回ろうとしている。 予想外に仕事が長引き、吾郎はすっかり昼食をとるタイミングを逸してしまっていた。 「うーん、こんな時間に一人で牛丼ってのも間抜けだしな……」 駅前の大通りを歩きながら、吾郎は周囲の店に目を配る。 牛丼、カレー、ラーメン、パスタ、ハンバーガー……色とりどりの軒先が並んでいる。 けれど、どうにも吾郎の中でピンとくるものがない。 そうして、決めあぐねているうちに、吾郎は駅前の繁華街の端にまで来てしまう。 「しまった、アーケードはここで終わりなのか」 顎に手をやり、顔を渋める吾郎。 いま来た道をまた戻ると思うと、何となく気が重かった。 「まてよ……そういえば、このあたりにはアノ店があったよな」 吾郎は、数年前この街を訪れた時のことを思い返して、顔を少年のように輝かせた。 「うん、そうだ。こういう時は、"れみりゃ屋の肉まん"で決まりだ」 "れみりゃ屋" それは文字通り、れみりゃが子れみりゃを調理して出す、肉まん専門店だ。 駅の中心からは少し離れているが、その味はコンビニで売っているものの比ではない。 吾郎は、かつて一度だけ食べたその味を反芻して、口の中を涎であふれさせた。 「いかん、想像したらよだれが止まらん」 一刻も早く、あのジューシーな肉餡を頬ばりたい。 その思いだけで、吾郎は足早に道路を進んでいく。 15分後、吾郎は目的の場所へ到着した。 だが。 「あれ?」 そこに、肉まん屋は無かった。 親れみりゃが店頭で泣き笑いを浮かべて実演販売をしていた店は、 不況のあおりで既に閉店して久しく、代わりにどこにでもあるコンビニがテナントとして入っていた。 「ガーンだな……俺の胃袋は完全に"れみりゃ屋の肉まん"になっていたのに」 意気消沈する吾郎。 仕方なく、適当な店を探しながらあたりをつろつくが、中々店は見つからない。 さらに吾郎に追い打ちをかけるように、ポツポツと雨が降り出してきた。 「うわー、ついに降り始めちゃったぞ」 背広を傘代わりにして、小走りで雨宿りできる場所を探す吾郎。 すると、少し先に甘味屋らしい店が見えた。 時刻は間もなく夕方を迎えようとしている。 あの店で何かつまんで夕飯で仕切り直すのも良いかもしれないと、吾郎は考えた。 「ええーい、どこでもいい! ここにはいっちまえ!」 意を決して、吾郎はその店の暖簾をくぐる。 すると、予想外の声が吾郎を出迎えた。 「いらっしゃいだどぉー♪」 「うー、いらっしゃい」 「え?」 こぢんまりとした和風の店内にいたのは、 胴体有りのゆっくりれみりゃと、同じく胴体有りのゆっくりフランだった。 2匹はそろいのエプロンをしており、 れみりゃはカウンターの中に、フランはホールにお盆を持って立っている。 他に店員は見あたらない。この店は、この2匹のゆっくりがやっている店だった。 「ほぉ、ゆっくりがやっている甘味屋なのか」 普段ならば、ゆっくりが店をやっていること自体に疑問を感じるところだが、 今の吾郎は腹が空きすぎていてそれどころではなかった。 「ふーん、なかなかいい感じの店じゃないか」 カウンターの席に座って店内を見渡す吾郎。 内装はしかっりしていて、とてもゆっくりが用意したのものとは思えなかった。 カウンター内のキッチンにしても、れみりゃが料理しやすいよう特注のサイズになっている。 おそらく、この店のオーナー……ゆっくりに店をやらせると企画した人間がそろえたものなのだろうと、吾郎は合点をつけた。 「おや?」 壁にかかったメニューを眺めていると、吾郎はふと数枚の写真が飾られていることに気づいた。 そこには、何やら大勢のれみりゃと一人のメイドに祝福されている、1匹のれみりゃが写っていた。 「あ~ぅあぅ~♪ れみりゃのことがきになるのねぇ~ん♪」 吾郎が写真を眺めていると、カウンターのれみりゃがパタパタ飛んできて、 下膨れスマイルをぬぼぉーっと近づけてきた。 「あれは?」 「うっうー♪ なんとれみりゃは、おーわんぐらんぷりでゆうしょうしたんだっどぉー♪」 吾郎の横で、れみりゃはえっへんと胸を張る。 人間の目で区別は難しいが、目の前のれみりゃこそ、写真で祝福を受けているそれであった。 「おーわん?」 「おぜうさまわんぐらんぷりにきまってるんだどぉー♪ れみりゃってばおぜうさまこうほにえらばれちゃったんだどぉー♪」 幸せそうに微笑むれみりゃは、こぼれ落ちそうな大きな頬と下膨れを両手で押さえた。 それかられみりゃは、幸福感を体現するように、"うぁ☆うぁ☆"リズムを刻み始めた。 このままでは埒があかないと思った吾郎は、話題を切り替えることにする。 吾郎は、とにかく早く何かを胃に詰め込みたかった。 「なにかオススメは?」 「うぁ? うちはなんでも"あまあま☆でりしゃすぅ"なんだっどぉーぅ♪」 自慢げに答えて、れみりゃはカウンターの中へ戻っていく。 そして、箱の中から子ぶりの"ゆっくりれいむ"を取り出すと、それに竹串を突き通した。 「うっう~♪ すぴあ☆ざ☆ぐんぐにるぅ~♪」 それを数回繰り返して、大ぶりな串団子を作るれみりゃ。 れみりゃはそれを火のたかれた網の上に置き、ハケで黒いタレを塗っていく。 ゆっくりれいむの餡と、黒いタレが焦げて、店内に凄まじく甘い匂いが立ちこめた。 「れみりゃのつぐっだおまんじゅーおいしぃどぉ♪ たれがぷっでぃ~ん☆のおあじなんだどぉー♪」 楽しそうなれみりゃを余所に、吾郎は壁にかかったメニューに目を通す。 そこには、吾郎の心を引きつけるメニューが数点だけだが存在した。 れみりゃの焼いている団子を無視して、吾郎はそのメニューを読み上げる。 「えと……じゃあ、この煮込み肉まんを一つ」 煮込み肉まん。 いったいどんな料理なのかは吾郎にもわからなかったが、これも一つの縁だと思った。 けれど、れみりゃはその注文を聞いた数秒後、ゆっくり吾郎の期待を裏切るのだった。 「う~♪ ごめんごめんだどぉー♪ それらいげつからなんだどぉー♪」 「むむ……」 ならメニューにのせるなと、心中で毒づく吾郎。 「……うーん、いかんなどうにもタイミングがズレている」 それならばと、第二希望を口にする吾郎。 「それじゃあ、この煮込みあんまんを……」 が、またしてもれみりゃは下膨れスマイルを左右に傾けた。 「う~? ごめんねぇ~ん♪ それもらいげつからなんだどぉー♪」 れみりゃは申し訳ないとでも思ったのか、カウンターの上に登り、 そこで"のうさつ☆だんす"を踊りだした。 「おこっちゃいや~んだどぉ♪ おわびにれみりゃのしぇくしぃーなおしりみせてあげるどぉー♪」 れみりゃは吾郎に向かって尻を突き出し、それを左右にプリプリ振り出した。 その動作が、ただでさえ空腹でイラついていた吾郎に、さらなる油をそそいでしまう。 「!!」 次の瞬間。 吾郎は、椅子から立ち上がり、れみりゃの片腕にアームロックを決めていた。 「うっうぁぁーー!? いっだいどぉーーー!!」 ガッチリ極まった腕に激痛が走り、れみりゃは悲痛な叫びを上げる。 大の男が手加減無しで極めたアームロックに、れみりゃの肉まんボディーは悲鳴をあげた。 「ざぐやぁーーだじゅげでぇぇーーー!! れみりゃのきゃわいいおででがぁーーー!!」 れみりゃの叫びなどお構いなしに、吾郎は腕に力を入れる。 すると、吾郎のすぐ横までフランがやってきて、吾郎を静止した。 「うー、それいじょういけない……」 フランの静止に、ハッと我に返る吾郎。 が、時は既に遅く。 れみりゃの片腕は吾郎の腕力に耐えきれず、引きちぎれてしまう。 「ぶっでぃ~~っん!!」 肉汁があたりに飛散する中、 れみりゃは絶叫し、あまりの痛みにカウンターの上で号泣しながらのたうちまわった。 「いかんな……ついやってしまった……」 自らが握る、れみりゃの片腕に目をやりつつ、溜息をつく吾郎。 引きちぎってしまったれみりゃの腕はまだ温かく、切断面からはジューシィーな肉餡とホカホカの湯気が覗く。 「……ごくり」 湯気にのって、肉まんの匂いが吾郎の臭覚を刺激する。 吾郎は、我慢できずに、自らが握っている肉まんを口へと運んだ。 「ん! これはうまい! いかにも肉まんって感じの肉まんだ!」 「あああ~~っ、でびりゃのぉ~~~! でびりゃのぉおででがぁ~~~!!」 咀嚼を繰り返し、予想以上の美味に感嘆する吾郎。 その傍らでれみりゃが必死の叫びをあげていたが、今の吾郎にそれが届くことはない。 「そうそう! こういうのでいいんだよ!」 むしゃむしゃと肉まんにかぶりついていく吾郎。 そんな吾郎の服の端を、くぃくぃとフランが引っ張った。 「おかんじょう……ごひゃくえん」 「ん、そうか……支払いがまだだったな」 勝手に食べてしまっては客としてマナーが悪い。 吾郎はフランの言い値に従い、500円を手渡した。 それを受け取り、満足そうに頷くフラン。 一方、れみりゃはホカホカ湯気をたてる肩口をおさえながら立ちあがり、吾郎に食ってかかった。 「べんしょーだっどぉー! でびりゃにぶっでぃんよごずんだっどぉーー!!」 うるいさいなと、吾郎は感じた。 吾郎は食事を堪能しているのを邪魔されるのが我慢できないタチだった。 吾郎は肉まんを食べるのをいったん止めて、フランに頼んで残りを包んでもらうことにする。 そして、肉汁を口から飛ばすれみりゃと向かい合った。 「がえぜぇー! ぞれでびりゃのだどぉー! おぜうざまごうほのだいじなおがらだは、じんるいのたからなんだっどぉー!!」 吾郎は喚き散らすれみりゃの体を持ち上げ、それを店の床へ叩きつける。 れみりゃはわんわん泣いて痛がり、這ったまま頭を抱えてがたがたと震えだした。 「やべでぇー!! もうぶただいでぇーー!!!」 痛みで起きあがることができず、れみりゃは這いつくばりながら抗議の声をあげた。 「どうじで、でびりゃをいじめるんどぉー!? でびりゃはごーまかんのあるじだどぉー! えらいんだどぉーかわいいんだっどぉー!」 四肢をどたばた振り回して、れみりゃはだだをこねはじめる。 こうなってしまうと、なかなか収集はつきそうにない。吾郎は、怒りを通り越して疲れを感じた。 「ぶっでぃんぐれぇー! ぶっでぃーーん!! じゃなぎゃうっだえでやるどぉーー!!」 「うるさい……」 「ぶっひぃ~~~ん!?」 殴り飛ばされ、店の端へ転がっていく、れみりゃ。 れみりゃを制したのは、吾郎ではなくフランの拳だった。 「ぶぁぁーー! ふらんじゃーん! なんでだどぉーー!?」 「おねぇさま、しょせんおじょうさま……でもおきゃくさま、かみさま」 「うあぁぁーー! ふらんじゃんひどいどぉーー!!」 やれやれと、吾郎はため息をついた。 もうここにいても仕方ないなと思い、吾郎は包んで貰った肉まんを片手に店を出ることにする。 「俺はこの店には場違いだったみたいだな……」 * * * 雨はあがり、空には夕日が浮かんでいる。 吾郎は公園のベンチに座り、自販機で買ったチェリオを片手に"れみりゃの片腕の残り"を頬張っていた。 「うん、このわざとらしい肉まん味!」 吾郎の視界の先では、子供達が元気に遊んでいる。 どうやら、羽をもいだ胴体無しれみりゃをボール代わりにして、バスケットボールをしているようだ。 "うううう~~~~っ" "うぁぁぁーー! まんまぁーーー!" "さくやぁーー! たすけてぇーーー!" そんな子供達の元気な様子を目におさめつつ、 吾郎は少年時代の郷愁をスパイスにして、肉まんを堪能するのだった……。 「……肉まんの味って男の子って感じだよな」 おしまい。 ただいま書きかけのネタの在庫整理中だったりします。 『孤独のグルメ』はネタ抜きで面白いマンガだと思うんですけどねー。 by ティガれみりゃの人
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1085.html
前 群れはゆっくりれいむが気づかぬ内に、非常に騒がしくなっていた。 それもそのはず。家の中であっても、外であっても構わずにいきなりゆっくりが破裂しているのだ。 これで恐慌をきたさない方がどうかしている。 「ままー! あちゅい!? あびゅぎ!!」 「ゆぅぅぅぅぅ!? あ゛り゛ずのどがい゛はあがぢゃん! とがいはぎゃぁぁあああ!?」 「ま゛り゛ざ あ゛づい゛よ゛う゛」 「ぱちゅりー! しっかり! しっか「ぶぎゅ!」あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!? あぢいいいいぃぃぃぃ!!??」 「おがぁぁぁざぁぁぁんっっっ!!」 「ゆ゛っぐりぃぃぃ!! お゛う゛ぢ に゛が え゛る゛ぅ゛!」 「わがらない! わ゛がら゛な゛い゛よん゛ん゛ん゛っ!?」 「ぢぃぃぃぃんぼうううう!? ぼっぼー!!」 群れのゆっくりたちが思い思いの言葉を吐きながら破裂していく。 身体が小さいゆっくりは「パン」という軽い音で、大きいゆっくりは「バン!」と大きな音で破裂していく。 大小の区別無く、無慈悲に、ひたすらにゆっくりたちが消えていく。 ただし、破裂しているのはゆっくりだけで、他の自然物はまったく破壊されていない。 せいぜい、餡子が飛び散って見た目が黒くなっているだけだ。 「み゛ん゛な゛ぁぁ゛ぁぁ!! どぼじだの゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉ!!??」 その惨状にゆっくりれいむは悲鳴をあげる。 しかし、ほとんどのゆっくりは悲鳴を聞き遂げることなく、散っていった。 一方、ドクターはその光景を興味深げに眺めていた。 「おぉ~、絶景かな絶景かな。自分の作ったものが、ここまでの効果を発揮するのは感慨深いものがありますねぇ」 腕を組みながらうむうむと頷く。その言葉にゆっくりれいむが反応した。 如何に餡子脳と言えども、その言葉が意味する所は理解できた。 「お゛ね゛え゛ざん゛がごんなごどじだの?」 「え? ええ、はい。直接的にではありませんが、こうなる要因を作ったのはワタシですねぇ」 ゆっくりれいむの餡子脳では所々の意味は分からない。 しかし、ドクターがこの惨状を起こしたことは理解したようだった。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛……」 「ん~? どうしましたぁ?」 「ゆ゛っぐりじねぇ!」 言葉と共に繰り出される体当たり。ドクターはそれをまともにくらい、「ふもっ!」と変な声を上げて倒れた。 所詮はゆっくりの攻撃なので大した痛みはなかったが、ドクターにとってはいきなりの行動で驚いていた。 「わー、びっくりした……なんなんですか急に」 のたのたと立ち上って土を掃いながら、ドクターはゆっくりに問いかける。 「いきなり暴力に訴えるなんて、酷いことをするゆっくりですねぇ。 こう見えても虚弱なので、そういうことはやめてほしいもんです」 「お゛ま゛え゛が み゛ん゛あ゛を゛!」 「待ってくださいな。要因を作ったのはワタシですが、こうなったのはアナタがいたため、ですよ?」 「ゆ、ぎ?」 ゆっくりれいむの動きが止まる。言われている意味が分からない。分かってはいけない。 ようやく話を聞く状態になったとドクターは判断し、「んふ」と怪しい笑みを浮かべて説明を始めた。 懐から何やら飴のような物を取り出す。前にゆっくりれいむにあげたものと同じ性質である。 「いいですか? かいつまんでお話しますが、外の世界にはニトロなんちゃらという爆発物があるのです。 それは糖を原料として爆発物に至るのだとか。厳密に言うと色々とあるそうですが、それは置いてといて。 ワタシはこう考えたのです。糖を原料とするなら、餡子を原料としてもいいのではないかとぉ! 上役の人に掛け合ってみたら、『だったらお前がやってみればいいんじゃねえの?』と許可をもらえました。 そこから、語るも涙、作るも苦労の日々を重ねて作り上げたのが、この飴のような物体。 その効果は食したゆっくりを媒介として、それに接触した他の個体に感染して破裂させるというもの。 これの恐ろしさは二次感染した個体が他の個体に触れても、感染してしまうという所なんです! ねずみ算式に増えていく、名づけて『ゆっくりニトロ』です!」 「…………………」 ゆっくりれいむはまったくの話の内容を分かっていなかった。 ゆっくりれみりゃなら頭から蔦でも生えてくるかもしれない。 その様子に気づいたのか、ドクターは照れ笑いを浮かべながら捕捉する。 「あぁ、ちょっと難しすぎましたか。ワタシ、説明が長すぎるってよく言われるんですよねぇ。 えぇと……簡単に言うと、アナタにあげた飴がこの『ゆっくりニトロ』だったんです。 で、アナタに触れたゆっくりは『バン!』ってなっちゃうんですよ」 「ゆ゛!?」 ようやく言われたことの意味を把握出来たが、それでも分からないことがあった。 「れいむがさわってないこも、ばん! ってなってるよ!?」 「それはですねぇ、アナタが触ったゆっくりは既にゆっくりニトロって病気が感染(うつ)ってるんです。 そして、病気が感染ったゆっくりが、他のゆっくりに触るとまた感染っていくんですよ。 こうやって、ねずみさんみたいにいっぱい増えていくという代物なんですねぇ」 嬉々として説明を終える。その顔はとても晴れやかだ。 説明を終えたためか、ゆっくりニトロを懐に仕舞いこむ。 「じゃ、じゃあ、れいむがあかちゃんやまりさにさわったから……?」 「他のゆっくりに触ったなら、すごく簡単に感染りますよ。 まあ、あれですね。要因を作ったのがワタシなら、流行らしたのはアナタ、ということで」 おあいこです、と笑顔で言うドクター。 当然、その論法の穴には気づいているが、それを口に出すことはしない。 ドクター個人としては嘘が嫌いなのだ。 「れ゛い゛む゛のせいじゃな゛いよ! お゛ね゛え゛ざんのせいだよ!」 泣きながら、必死に己の責任を認めようとしないゆっくりれいむ。 論法の穴に気づいているわけではなく、単に自分の責任であることを認めたくないだけだ。 ドクターは笑いながら、ゆっくりれいむを追い詰める。 「でも、助けた時に飴が欲しいって言ったのはアナタじゃないですか」 「ゆぐぅぅぅ……!」 それは餡子脳でも覚えていた。あれだけおいしいものを食べたのは初めてだったので、鮮烈に記憶していたのだ。 助けられて治療を受けていた時、綺麗な飾りとおいしい飴のどちらかをあげると言われた。 その際、一応は長々と講釈を垂れて効能を説明したが、餡子脳で十分の一も理解していなく、話も聞いていなかった。 言うまでも無く、そうなるように仕向けたのはドクターである。 そして、飴もといゆっくりニトロを選んだのはゆっくりれいむ自身であった。 「うろ覚えですが、どこかのちぇん子さんも 『背負った罪によって道を選ぶのではなく、選んだ道によって罪を背負うべきだ』 って言ってますし、認めちゃったらどうですか?」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ! れ゛い゛む゛のせい゛じゃないいぃぃぃいい!!」 身体を震わせ、叫ぶゆっくりれいむ。その瞳はどこも見ていない。 「そうですか。でも、お友達や赤ちゃんはそうは思っていないみたいですけどねぇ」 ドクターはつい、とゆっくりれいむの背後を指差す。 そこには家族になるかもしれなかったゆっくりまりさと、家族である子ゆっくりたちがいた。 「れいむぅ!」「「「おかーさん!」」」 「ゆっ!? まりさ! みんなでこの……」 ゆっくりれいむはその言葉を最後まで言えなかった。 ゆっくりまりさに思い切り体当たりをされたからだ。 「なにずるの、まりじゃ!?」 「うるさいよ! さっきのおはなしきいてたんだよ! ぜんぶれいむのせいだったんだね!」 「おかーさんのせいでゆっくりできないよー!」 「ゆっくちあっちにいってね!」 「ゆっきゅりちね!」 「どう゛じでぞんな゛ごどい゛う゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉぉ!?」 ドクターの言葉をゆっくりなりに解釈した結果がこの結論のようだ。 分からない部分も多かったが、餡子脳をフル回転させてゆっくり理解したのだ。 ゆっくりまりさはさらに追い討ちをかける。 「みんながばん! ってなっちゃたのも!」 「ゆぎっ!?」 「からだがあついのも!」 「ゆぐぅぅ!」 「みんなみんな、れいむのせいなんだよ!」 「ゆべぇ!」 最初のダメージが抜けきっていなかったゆっくりれいむは為す術もなく、攻撃をくらっていく。 ゆっくりまりさはまるでヒーローのようだった。 群れにひどい被害を与えた、悪いゆっくりを成敗する。 ゆっくりまりさの心の中はそんな使命感で一杯だった。 悪いことをしたゆっくりを許してはいけないのだ。仲の良いゆっくりれいむであっても、それは例外ではない。 一方で、ゆっくりれいむは不意打ちと仲の良かったゆっくりに攻撃されて、身と心をボロボロにしていく。 「やっちゃえー! そんなやつ、おかーさんじゃないよ!」 「ゆっくちしんでいってね!」 「ゆっきゅり……」 子ゆっくりたちもゆっくりまりさを応援している。既に母親を見捨てているのだ。 子供故の残酷さ、という奴だろう。 その事実もまた、ゆっくりれいむに多大なショックを与えていた。 ゆっくりれいむが動けなくなった所で、ようやくゆっくりまりさは攻撃を止めた。 「……れいむはここからでていってね。あかちゃんたちはまりさがそだてるよ!」 「「「ゆっきゅりしていこうね!」」」 「ま゛り゛じゃ゛ぁ゛ぁぁぁ……れ゛い゛ぶのあがぢゃんま゛っでぇぇぇぇ……!」 「ゆ……まりさはれいむのことはきらいじゃないよ…… でも、わるいことをしたら『せいさい』されなくちゃいけないんだよ!」 子ゆっくりたちを集めて、ゆっくりれいむから距離を置く。 ゆっくりまりさが新しい親になることに、子ゆっくりたちも異議はないようだった。 ゆっくりれいむはそれを見て、皆が遠くへ行ってしまったことを理解した。 もう自分はここにいてはいけないのだ、とゆっくりらしくもなく悟ってしまった。 「み゛ん゛な゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」 涙混じりの声に振り向く家族たち。ゆっくりれいむは目から大量の涙を流している。 「れ゛い゛む゛のぜいで、ゆっぐりできなぐなっでごべんなざいぃぃ!!」 だがら゛ぁ! ごれがらも……れ゛い゛む゛のぶんま ゛で、ゆ゛っぐり゛じでい゛っでね゛!!!」 「れいむ……」 「でも、でも……! み゛ん゛あ゛とい゛っじょに、ゆっぐり゛じだがっだよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ゛!!」 「「「おかーさん……!」」」 心の底からの叫びがゆっくりたちにも届く。 ゆっくりまりさはゆっくりれいむと過ごしてきた日々を思い出す。 優しかったれいむ、自分が危なかったときに我が身も省みず助けてくれたれいむ。 餡子脳故に多くの場面は回想できなかったが、それでもゆっくりまりさは思い直す。 たとえゆっくりできなくなっても、れいむはれいむなのだと。 しかし、ゆっくりまりさたちは肝心なことを忘れていた。 「れいむぅ! いっしょにゆっくりしていっ『バン!』べ!?」 ゆっくりれいむに言葉をかけようとした所でゆっくりまりさは破裂した。 当然、近くに集まっていた子ゆっくりたちにも餡子が降りかかる。 「びぎゃがあ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」 「ぎゃばばばばば!!」 「ゆ゛っぐじ゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」 至近距離で熱い餡子を浴びた子ゆっくりたちは、叫びながら『パン』と破裂していった。 運が良いのか悪いのか、一匹だけが半死半生の状態で生き残っている。 しかし、その命の灯火もすぐに消え去った。 「おがあ゛ざん、あづいよぉ……だずげ『パン』じぇ!?」 ゆっくりれいむに助けを求めた子ゆっくりが、その目の前で破裂した。 自分の目の前で、しかも家族が破裂してしまったのを呆然と見ているゆっくりれいむ。 ドクターはその様子を見ながら、特に興味を持つでもなく、補足説明を行う。 「言い忘れてましたけど、運動による過熱と急激な振動によって、ゆっくりニトロの症状は進行しますので。 先ほどみたいなことをすると、簡単に破裂しますよー?」 何も言わずにゆっくりれいむはドクターを見る。その顔から説明を理解できていないと判断。 「えぇと、ゆっくりニトロに感染したゆっくりは、身体が熱くなっていきます。 その熱さが限度を越えた時、破裂してしまうんですねぇ。 または、身体の中の餡子がとても揺れた時などの場合でも破裂します。 先ほどの状況ではアナタを攻撃するために身体を動かした結果、身体の餡子が熱くなりすぎた、ということかも?」 淡々と語りながら、持っているメモに書いていく。これはこれで、貴重な実験資料である。 当然のごとく、ゆっくりれいむは話の内容を欠片も理解していない。 ドクターはそれを分かっているが、自分の考えをまとめるために口に出しているだけだ。 「……しかし、実際に見ての感想ですが、ニトロだとゆっくりがロクに苦痛を感じる暇もなく、死んでしまいますねぇ。 虐待には向かない、かも? 一斉駆除とかには向いてるとは思いますが」 自分の意見を口に出しながら、メモに書いていく。 楽しむでもなく、悲しむでもないドクターの様子を見て、ゆっくりれいむは重い口を開いた。 「どうじで……」 ゆっくりれいむは、もうわけがわからなかった。 何故、どうして、何で、と疑問だけが頭の中を巡っている。 人間は確かに恐ろしい存在だ。頭が良いし、力も強い。そのぐらいのことは分かっている。 だから、この群れの皆は人間となるべく関わろうとせずにゆっくりだけでゆっくりしてきた。 人間に迷惑なんてかけてない。なのに、なんでこんな酷いことをされなければいけないのか。 ゆっくりれいむはそれを明確な言葉には出来ない。だから、それらの思いを一気に吐き出した。 「どう゛じで、ごん゛な゛ごどずるの゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!??」 その思いを過不足無く聞き遂げたドクターは「あは♪」と笑って、返答する。 聞かれた質問に答えられねば、ドクターの名に恥じる。 「ゆっくりニトロを作ってみたかったから、ですよ。それを試せるのなら、他のものなんて興味ないんですよ。 ワタシにはアナタたちを虐める趣味はありません。 何故なら、『どうでもいい』から。一匹の個体や群れが、死のうが生きようがどっちでもいいんです。 ワタシはワタシの作ったモノを試してみたいだけ。そして、アナタたちは実験台というわけです。 正直言って、ゆっくりならどれでも良かったので、適当にアナタにしました。都合が良かったし。 唯一の後悔はニトロの感染具合と発症が思ったよりも早かったことですねぇ。 おかげで、感染したゆっくりをあんまり確保出来なかったのが残念です。 おや、どうしましたぁ?」 畳み掛けるように言葉を羅列していくドクター。勿論、ゆっくりれいむが返答出来ないことはお見通しである。 一度に沢山の言葉を浴びせられて返答できるほど、餡子脳の性能は良くない。 ゆっくりれいむは何かを言おうとしているが、口も頭も回らずに「ゆぐぐ……」と唸っている。 「じゃ、行きましょうか」 「ゆ゛ぎ?」 どこへ、と視線で問いかけるゆっくりれいむ。にっこりと笑顔で応えるドクター。 「勿論、ワタシの研究室ですよ。アナタは大切な大切な『実験台』なんですから。 逃がしませんよ離しませんよ。他のニトロ感染個体は皆、破裂しちゃいましたからね。 残ったのはアナタだけ、です。 アナタにはニトロの抑制剤を服用させてあるので、簡単には破裂しません」 簡単には破裂しない、という言葉で自分が死ねないことを悟るゆっくりれいむ。 恐怖よりも絶望が襲う。 「い゛、い゛や゛ぁぁぁぁ!? れ゛い゛む゛もごろじでぇぇ!! ま゛り゛じゃとあ゛がぢゃん゛のどごろ゛にい゛ぐぅぅぅぅ!!」 「ダメですねぇ。さ、ずっと『ゆっくり』させてあげますよ? ワタシなりのやり方で」 淡々と語りかけていく。その目に浮かぶには間違いなく狂気の光。 どこかが狂ってしまっているモノの眼である。 そして、ゆっくりれいむを抱き上げて歩いていく。 「気をつけたほうがいいですよ? 人間は場合によっては妖怪よりも怖いんですから。 特にアナタたちみたいに、どんな風に生きているのか分からない生き物には興味を示します。 どうなっているのかバラバラにして、中まで調べるし、平気で殺したりもします。 ワタシも頼まれて、何匹もバラバラにしたことがありますよ? 最後までそのゆっくりは泣き叫んでましたっけ。 だして、いたい、やめて、おうちにかえる、ゆっくりしたい、とか色々と叫んでましたよ。 こんな酷いことも平気でするのが人間。だから、人間なんて信用しちゃダメ、ですよ? 特にワタシみたいな」 ドクターは耳障りな笑い声をあげながら、山を降りていく。 ゆっくりれいむは、じたばたと暴れて逃れようとするが脱出することは適わない。 最早、このゆっくりれいむは二度とゆっくりできないだろう。 後に残ったのは、無残に餡子が飛び散った『ゆっくりプレイス』だけだった。 後書き AAでゆっくりゃの頭が破裂してるのを見て、何となく思いついたネタ。 東方キャラを出そうとしたけど、やけに書きづらかったんでオリジナルのキャラを出してしまった。 ニトロなんちゃらに関しては、知識があるわけでもないので化学的にはスルーしてください。 無駄にドクター(仮)のデータでも書いてみる。 加工場とは別にゆっくりの研究などをしている人。 どちらかというと、人間よりも妖怪、特に河童や天狗に近い立ち位置。 基本的には腰が低くて、変な口調。文中に「-(伸ばす棒)」や「ねぇ」などの言葉を多用する。 というか舌足らずっぽい。でも、なんとなく小悪魔っぽくなってしまった気もする。 幼児体型。 ゆっくりニトロの解説 ゆっくりに服用させることで、ゆっくりの中の餡子が熱を持って、終いには破裂させる。 感染力が異常に高いが、当然ゆっくり以外には感染しない。 感染方法は接触・交尾・体液交換(唾液)などによる。 餡子全てにニトロが感染しきると破裂する。餡子を侵食するウィルス的存在か。 2~4日で発症。 第一段階 最初にニトロに感染した個体から、群れのゆっくりに接触感染していく 第二段階 中の餡子が熱を持ち、ゆっくりたちが自覚出来るほどに熱さによって動きが鈍くなる。 第三段階 子供などの身体の大きくないゆっくりにニトロが行き渡っていく。熱さで動けなくなる。 第四段階 ニトロが全身行き渡った瞬間にゆっくりは破裂する。 その際、餡子の温度が一気に上昇し、表面の皮や髪、飾りを燃やし尽くして、周囲に餡子が飛び散る。 破裂する時、瞬間的にだがゆっくりへ絶大な痛みをもたらす。 ただし、その一秒後には痛みを感じる身体そのものがなくなっている。 注意事項 破裂した餡子は外気に触れると急速に冷えていくので、火災の心配などはない。 しかし、至近距離で破裂した餡子を浴びると、まだ熱を持っている状態なのでとても熱い。 ニトロに感染した個体が激しく動き回ったりすると、運動で発生した熱と振動で、ニトロが全身に行き渡る。 ゆっくりしていれば、少しは症状を遅らせることはできる。 現状では試作品なので飴のような形にしてある。 一応はドクターが抑制剤と解毒薬を持っている。 これらのネタを使いたい人は好きに使ってね! 書いた人 ゆっくりまんじゅうの人 ここから先はちょっとしたおまけ 「ゆー……ゆっきゅりしていってね……?」 一匹の子ゆっくりれいむが目を覚ます。連れて行かれたゆっくりれいむの子供である。 さっきまで外がうるさかった。眠っていても『ばん』という変な音で何度か目を覚ますこともあった。 結局、親ゆっくりれいむもいない状態が寂しくて怖かったので、そのまま眠ってしまっていたのだ。 それが今ではすっかり静かになっていることが不思議でしょうがなかった。 相変わらず、身体が熱くてゆっくりできない感じではあったが、流石に不安になってきた。 「みんなー、どこー?」 家から這いずり出て探してみるも、誰の姿も見当たらない。 何か黒いものが周囲に飛び散っているだけで、どんな声も聞こえはしない。 その黒いものがゆっくりの大事な中身であることは、このゆっくりは親からまだ教えられていない。 だから、特に恐怖も感じずに餡子の中を這って行く。 「ゆっきゅりしていこうよぅ……」 餡子に対する恐怖はなくとも、家族や仲間がいないことに対する恐怖はあった。 びくびくと怯えながら、周囲を見渡す。 しかし、誰もいない上に、ゆっくりの声すら聞こえてこない。 「ゆっきゅりー……」 寂しさと恐ろしさで泣きそうになるゆっくりれいむ。 その時であった。 「ゆっくりしていってね!」 「! ゆ、ゆっきゅりしていってにぇ!」 ゆっくりれいむは突然、声をかけられたことに驚き、口が回っていないまま返事をする。 そこにいたのはゆっくりまりさ。しかも、何匹もいる集団である。 どうやら、ゆっくりプレイスを求めて放浪していた群れのようだ。 「ゆっ! ここはゆっくりできるところ?」 「ゆっきゅりできるよ! でも、でも、おかーさんが……」 「ゆゆ!? どーしたの!?」 何があったのか、ゆっくりまりさは子れいむに問いかけた。 思わぬ所で同族と会えた子れいむは家族や仲間たちがいなくなったことを話す。 涙混じりに語る子れいむの姿に、ゆっくりまりさは深く同情するのであった。 「ゆっ! まりさ、ここはだれもいない……あかちゃんだー!」 「ゆみゅ!」 一匹のゆっくりれいむがゆっくりまりさへと報告に来るが、子れいむの姿を見て身体を擦り付ける。 勿論、発情したわけではなく、親愛の証としてである。 「れいむ、このこのおかあさんがいなくなっちゃったんだよ! みんなでゆっくりさがしてきてね!」 「ゆっくりりかいしたよ! みんなー!」 統率が取れている群れらしく、れいむの呼びかけに何匹ものゆっくりが集まってくる。 中には勢い良く向かってきたゆっくりがゆっくりれいむにぶつかったりもした。 幸い大事にも至らず、他のゆっくりがぶつかったところを舐めたりして慰める。 それらのゆっくりは簡単に事情を説明されると、すぐに各々の判断で周囲に散っていった。 「れいむもいってくるよ! あかちゃんはゆっくりまっててね!」 「ゆっきゅりありがとう!」 ゆっくりれいむはこの場所に来る途中にあった、他のゆっくりの群れへ探しにいった。 子れいむはその姿にとても感動した。 会って間もない自分のために、皆が頑張ってくれているのだ。 そのことが嬉しくてたまらなくて、自分もあんな風になりたいと思うのであった。 「だいじょうぶだよ! みんなでさがせば、きっとみつかるよ!」 「そうだね! ゆっきゅりまとーね!」 残った二匹は身体を寄せ合って、暖かな日差しの中でゆっくり待つ。 その姿はまるで親子のようだった。 「「ゆっくりしていってね!」」 パン、という破裂音がゆっくりプレイスに響き渡った。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/313.html
「ここはまりさのおうちだよ!ゆっくりでていってね!!」 ある森の中、館と家の中間くらいの大きさの煙突がある家の前のことであった。 帽子をかぶったゆっくりが叫んでいる。 この個体はゆっくりまりさと呼ばれる。天邪鬼で意地っ張りな個体が多い種族だ。 ゆっくりまりさはいたずらを好む。好奇心が旺盛なためか、他者にかまってもらいたいのか、 いずれにしろよく悪さをしでかし、叱られることが多い。しかしこのまりさの行動はそれを踏まえてもありえないものであった。 他者の家に勝手に上がりこんでここが自分の家だと宣言している。 この家の主人であろうか、若い女性が苦笑いしている。 自分が留守にしていてしばらくぶりに帰ってきたらこの始末だったためである。 うっかり鍵を掛け忘れていたのを思い出す。長期間留守をするにしては間が抜けたものである。 そんな彼女はどうするべきかと悩んだしぐさをしている。 「ゆっくりしんでね!!」 あろうことがまりさは女性に向かって体当たりを仕掛けてきた。 しかし女性はひょいと身をそらしたため難なくよけられ、 まりさは逆にあっさりと捕まってしまい、押さえつけられることとなった。 女性は目の前のゆっくりは自らの力を把握できていないのだろうか。 そう思ってまりさをつねる。ひたすらつねる。女性はまりさが泣くまでつねるつもりであった。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ゛ぐ・・・」 しかしまりさは耐えている。更に力を込める。それでも泣かない。目に涙を浮かべて必死に耐える。このままでは千切れてしまう。 しょうがないので女性はまりさを外に放り投げて家の中に入った。 「ゆっくりいれてね!ここはまりさのおうちだよ!!」 しかし女性は聞き入れない。このまま家の奥へと向かっている。まりさは焦りを感じていた。 このままあの人間があの子をみつけたらどうなってしまうのかと思い、口に石をくわえ、窓から家の中へと侵入してきた。 砕けたガラスによって細かい切り傷がいくつもできたが、それでもまりさは飛び跳ねて体当たりを続ける。 なかなか根性があるというか図々しさに毛が生えているというか、傷だらけなことをまるで感じさせない挙動だった。 横で攻撃してくるゆっくりまりさの攻撃に女性は内心あきれながら無視して家の中を捜索していた。 まりさの攻撃を全て軽くかわす。勢いあまって壁に激突しても次の瞬間には飛び掛ってくる。 女性は段々と違和感を感じていった。家の中に何か大事なものがあるのだろうか。 この剣幕はただごとではなかった。攻撃性が少なく、 あまりにも弱すぎため無害なものが多い ゆっくり種がここまで攻撃的となる原因はなんだろうと興味を持った。 そしてある部屋の前に来ると扉の前にまりさが立ちふさがった。 「おねがいだからでていってね!!ここだけでもまりさのおうちにして!!」 放り投げてどける。扉を開けると、一匹のゆっくりがいた。あの青白い顔はゆっくりぱちゅりーである。 体が弱く、野生を生きる能力があまりないため、いつもじっとしている個体である。 しかしぱちゅりー種であることを踏まえても、その顔色は病的なまでの白さを誇っていた。 「むきゅぅぅ・・・。」 今にも力尽きそうなその姿。必死なまりさ、これらの状況から判断して、このまりさはぱちゅりーを守ろうとしたらしい。 「ゆぅぅぅぅぅ!!!!」 まりさはぱちゅりーの前にかばうように唸っている。 女性はどうしたものかと思案して、ぱちゅりーを介抱することにした。ここまで弱っているとほうってはおけない。 放り出すには目の前の命はあまりにも儚げで、今にも消え入りそうだった。 事情を知った女性はまりさの方をじっと見つめ、優しく両手で抱える。 「ゆ!?」 すると全力で窓の外に放り投げた。まりさはぱちゅりーを守るために警戒していただけだったが、 人の家に居座られて体当たりされたので、ちょっと気に入らなかったからこれくらいはしてもいいと女性は思った。 「むきゅぅ・・・、おうちにすませてくれてありがと・・おねぇさん・・・」 しかし一向に良くはならない。いくら喘息もちで死にやすいとはいえ、これは少しおかしかった。 女性は怒りが収まり、ぱちゅりーにお願いされたこともあったのでまりさを家の中に入れてやった。 まりさの体にあるガラスでできた傷は浅かったが、女性は一応手当を受けさせようとした。 「ゆっくりはなしてね!おねぇさんとはゆっくりできないよ!」 しかしまりさはそれを拒み、ぎろりと睨み付ける。 まりさはずっとぱちゅりーのそばにいた。 まりさはとても心配に思っていた。唯一の友達であるぱちゅりーが調子が悪い。自らの手で餌を食べることができなくなり、 一向に動く気配がない。以前自分達の家であった木の空洞にぱちゅりーをひとりにしておくと、 蛇などの動物が来たときに食べられてしまう。そのため、丈夫で安全で誰も住んでいない人間の家を探し出し、 ぱちゅりーを引きずって連れてきたというわけである。そこで留守にしていた人が帰って来たというわけであった。 女性は、この二匹を追い出して次の日玄関先で死なれたら目覚めが悪いと思った。 結局、女性はまりさとぱちゅりーを家に居候させることにした。 それから人とゆっくりの奇妙な共同生活が始まった。 まりさはぱちゅりーと四六時中いっしょにいる。女性は信用されていなかった。そのため、餌をとりにいくこともしていなかった。 まりさが留守の間にぱちゅりーと女性の二人だけが残されることを警戒していたのだろう。 いくらなんでもこれでは本末転倒だ。女性がこのままでは二匹が飢え死にしてしまうと思って食べ物を与えると、 まりさはまず毒見をしてからぱちゅりーに咀嚼した食事を与えた。 消化しやすくするためであろう。 まりさは明らかに人間不信であった。もしかしたら以前人間にひどい目にあわされたのかもしれない。 だからといって女性は特になにをするでもなく、二匹に餌を与え続けた。 「ゆっ・・・」 あるとき家の前に傷ついたゆっくりありすがいた。すぐに生殖行為に及ぼうとすることから、 ゆっくり達の間では嫌われているものが多い個体だった。けれども女性はありすを家の中に招いた。 驚くことにこのありすはまりさやぱちゅりーを見ても生殖行為を行わなかった。 最初は驚いたまりさとぱちゅりーだったが、辛い状況が続いたため、警戒心が養われていたためだろうか、 目の前のありすが他者に害を与えるような存在ではないと気づいた。 二匹はありすを受け入れた。 「ありすはきらいじゃないよ!ゆっくりしていってね!!」 「むきゅぅ、よろしくね」 「きやすくはなしかけないでよ。いわれなくてもゆっくりしていくわ!」 そういいながらありすは二匹の手伝いをした。まりさと共にぱちゅりーの看病をしていた。このありすは意地っ張りであるらしいが、 面倒見はいいようだ。ありす種に性欲がなくなるとこんな性格だとは意外であった。 いつからだったかわからないが、三匹は常に一緒にいた。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 「うっうー♪」 ある日女性はとんでもないものを連れてきた。攻撃的な種属のゆっくりふらんとゆっくりれみりゃだ。まりさたちは虐められると思い、 身を強張らせた。しかし 目の前の二匹は何かがおかしい。それもそのはず、ゆっくりふらんには羽が片方ついていなかった。 再生力が強いふらんだったが、 たぶん生まれつき羽がなかったら再生もできないだろう。ゆっくりふらんは飛ぶ性質を持つため、はねる動きは不得意なようで、 ずりずりとゆっくりともいえないほどの速さで這いずり回ることしかできていなかった。れみりゃは叫び続けるふらんのそばで飛んでいた。 こちらはしっかり羽がある。 しかし牙がなかった。 この二匹はたぶんほうっておいたら死ぬだろう。 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 またある日女性はゆっくりれいむの家族を連れてきた。母れいむは行くあてがなく困っていたところらしい、 体中ぼろぼろで汚れていた。共に連れてきた子れいむ、赤ちゃんれいむも不安そうにきょろきょろと辺りを見回す。 そんな彼女達はまりさ達に受けいられた。家族が一気に増えた。 「わかるよーわかるよー」 「ちーんぽっ!」 「ケロ、ケロケロ!」 だんだんゆっくり達が増えてくる。いつしか家の中にはゆっくりたちがたくさん溢れていた。みょん、ちぇん、ふらん、れみりゃ、 ありす、ぱちゅりー、まりさ、そしてそのほかの様々な種類のゆっくりたち。 みんなこの家に来るとゆっくりしていた。 彼女達はけんかすることもあったが、そのたびに女性につねられ、叱られることで少しずつ仲良くなり、 いつしか家族の一員となっていった。 女性はあらゆるゆっくり達を家の中に招いた。ここで彼女達に狩りの仕方を教え、食べられるもの、農耕の仕方など、 様々な生きる術を教えていた。 それからまたしばらくたった。ゆっくり達がゆっくりさせてくれた女性への恩返しのため、皆一丸となって働いていた。 家の前には畑が広がり、ゆっくり達が道具を口で使って耕している。 このとき女性は驚いたが、ありすは農耕における用地の運用の仕方や、道具の効率的な使用法をあっという間に覚えていった。一度教えたことを更に発展させて考えることができる。 人間にも難しいことだった。女性はありすに家の中の本を与えて読ませた。女性が難しいからといって買ったまま積んでいた本をありすは次の日にはそらで言えた。 ありすは正直なところ女性よりも頭がよくなっていたかもしれない。ありすの知識は大いに役立った。 体力のあるものは狩りに出かけていた。 母れいむはきのこと山菜を取りに山を駆け回る。最も力があって重いものを持つためだ。途中で蛇や猪などの獣とかち合っても、護衛のみょんやけろちゃん、ちぇん、 ゆっくり達が追い払う。おいしい食べ物を待っている仲間がいるから、だから頑張れる。 そして、留守番をしているものは子守をしていた。 「ゆっくりしね!!!」 「ゆっくりするー!!」「わたしもー♪」「遊んで♪遊んで♪」「ふらんおねーちゃん♪」 「うー、うー♪」 なんとふらんがれいむの子供達にかこまれて遊ばれていた。ふらんは不機嫌だったが、 赤ちゃんれいむたちはお構いなしにふらんにつっかかる。そんな赤ちゃん霊夢にふらんは本気で威嚇しているが、 れいむ達は怪獣ごっこだと思っているようだ。動きの遅いふらんにつかまるほど赤ちゃんれいむはゆっくりしていなかった。 れみりゃはそばで無邪気に飛び回っている。 ふらんは終止不機嫌で、れいむ達に遊ばれた後見かねた女性になだめられていた。 「う゛ぅ゛・・・・・・・・・・・・・・・♪」 ふらんは甘えることにてれを感じているのか、女性と目を合わせなかった。 けれどもその横顔は頬がにやりと緩んでいた。 ある日昼ごろのことだった。女性がゆっくり達にいいことを思いついたと言って、ゆっくり達を庭に集めた。 彼女はときどき突拍子もないことをいいだす。 なにかな、どうしたの、ゆっくり達が皆庭に集まると、女性は背中に何かを隠してやってきた。 ふっふっふっと笑って、もったいぶっている。まるで悪役のような笑い方に、ゆっくり達は不安になった。 そこで女性はジャジャーン、といった擬音が聞こえそうになるぐらい、うれしそうに背中の物を目の前に 出した。それはギター。指でかき鳴らし、音楽を奏でる道具。 みんなで歌を歌おう。それが女性が考えたことだった。ゆっくり達はみんな今日のお仕事がまだ終わっていない と、ばつの悪そうな顔をしていたが、女性はあっけらかんとして、そんなこと気にしないでいいとでもいうように ギターを弾いていった。彼女はまりさに侵入されたとき、家に鍵をかけ忘れたことから考えられるように、 細かいことを気にしないというか、豪快というか、いい意味でも悪い意味でもいい加減というか、そんな人だった。 女性はみなを楽しませようと弾いた一曲。彼女の弾くギターはあまりいい腕ではなかったが、 その楽しそうな雰囲気によって、ゆっくり達はゆっくりせずに大はしゃぎしていた。 「ヘェーラロロォールノォーノナーァオオォー」 お母さんれいむは歌っている。音程は高く、以外に上手い。それにしてもこのれいむ、ノリノリである。 「おかーさんすごーい!」 「わたしもうたうー!」 「わたしもー!」 赤ちゃんれいむたちも一緒に歌う。 「へェーらろ・・・むりだわ、これ・・・」 ありすは完璧に歌えないと嫌なのか、早々と歌を止めた。 こういうところで変に意地っ張りである。 しかしそっぽを向きながら口をパクパクとさせ、次回に継げていた。次に歌うときのために必死に練習するであろう。 その顔は楽しそうだった。t 「うー、ゆっくりしね♪」 ふらんまでご機嫌だ。その周りには赤ちゃんれいむたちが集まっている。楽しいときには細かいことは気にしないものである。 姉のれみりゃは踊るように飛んでいる。 「ゆっゆー♪」 「あるーひー♪」 「ゆっくりー♪」「ヘロロォールノォーノオォー」「うっうー♪」「ちんちーん♪」「けろけろッ♪」 その日はゆっくり達の大合唱が森中に響き渡った。誰もがゆっくり平和にすごしていた。 いつしか女性はゆっくり達の母親のようなものになった。 「ぱちゅりー、たのしい?」 まりさはぱちゅりーに尋ねる。 もはや自ら動くことができなくなったぱちゅりー。そんなぱちゅりーは女性に抱えられて、みんなの姿がよく見える特等席に座らせてもらった。 「むきゅ♪」 ぱちゅりーはとても嬉しそうだった。まりさはぱちゅりーのこれほどまでに嬉しそうな顔をみるのは久しぶりだった。 そして、それが最期だった。 空気が澄んだ朝だった。ついにぱちゅりーが死んだ。最後には話すことさえできなくなり、 発作的に餡子を吐き出すようになっていた。ゆっくり達皆が心配そうに見つめる中、 まりさとありすはぱちゅりーのほほに自らのほほを当てて、その最後を看取った。 「ぱちゅりー、だいすきだよ・・・」 「ゆっくりしてね、やすらかにねむりなさい・・・」 ぱちゅりーは力なく微笑むと、 「むきゅ」 と返事をするかのように一言発し、事切れた。 ゆっくり達はこの家に来てはじめて家族を失う悲しみに涙した。 そして、女性はぱちゅりーを弔うことにした。火葬にしようかと思ったらまりさが強く反対した。 「あついのはよくないよ!もうぱちゅりーにいたいおもいをしてほしくないよ!!」 そんなまりさの姿を見て、ありすは何かを感じ取り、まりさをかばうように意見する。 「おねがい!ぱちゅりーがやかれるところをみたくないの!!」 結局、ぱちゅりーは土葬することにした。虫に食われないように厳重に箱につめて、家のそばに石を積み上げて墓を作った。 家のなかのゆっくり達はみな悲しんだ。別れはとても辛い。 それを見ていた女性はこうやってお墓を作ってあげると、いい子は天国にいけると女性はゆっくり達に教えた。 「てんごくってなに?」 「たべもの?おいしい?」 「ゆっくりできる?」 女性は教えた。天国とはいつまでもゆっくりできるところだと。ぱちゅりーはいい子だからそこに行けた、死んだ後には会えるから心配しなくていいよと言うと、 ゆっくり達は嬉しそうにしていた。 ちなみにわるい子は地獄という、ゆっくりできないところに行かされると釘をさしてしつけることもした。 まりさはぱちゅりーの帽子を形見としてとっておくことにした。 その日の夜、まりさは女性に向かって今までの行いをあやまった。 自分の事をずっと気にかけてくれていたぱちゅりー。 まりさが夜寂しい思いをしたとき、いつも体を寄せて寝てくれたぱちゅりー。 ぱちゅりーはまりさの全てだった。 ぱちゅりーが死んだことはとても悲しい。だけど彼女が幸せそうに死ぬことができたのが、うれしかった。 まりさだけでは、ぱちゅりーをあそこまでゆっくりさせることはできなかっただろう。 「おねぇざん・・・いまま゛゛でまりざはわるいごでごべんなざい・・・。おねぇざんのおうち゛をがっでにづがっ・・てて・・・、 まりざもうででぃぐね、ぱぢゅりーのこどありがどう、ありずをよろじぐね・・・」 まりさは初めて女性にあやまった。ぱちゅりーと共に生きるためとはいえ勝手にひとの家に上がりこんだこと、 それなのに追い返そうと体当たりをしたこと、それなのにぱちゅりーを弔ってくれたことなど、感謝をしてもしきれなかった。 女性は何も言わずまりさを手招きした。まりさはぱちゅりーがいなくなったから、外に放り投げられるのではないかと思った。 自分から出て行くつもりであったが、もし恩人にそのようなことをされたらと思うと怖くて仕方がなかった。 まりさは恐る恐るゆっくりと女性に近づいた。 ぎゅぅぅと、音が鳴る。つねられるときのように、しかしまりさはつねられていない。 女性は何も言わずにただまりさを抱きしめた。まりさは女性のあたたかさを感じた。 そして女性は膝の上に載せると子守唄を歌った。 ぽんぽんと優しく頭を叩きながら。 まるで人間の子供のおなかを叩いて母が歌うように。 その歌声は正直あまり褒められたものではなかったが、 まりさは耳を澄ませ、涙で真っ赤にした目を更に赤くしないように閉じて聞き入れた それはまぎれもなく母が娘をあやす姿そのものであった。 もうでていかなくていい。あなたもここのうちのかぞくなのだから。 そのような歌詞であった。 いつしかまりさの閉じた目から涙がつぅっと落ちていた。 まりさはこの日本当の家族になった。 「おねぇさん!これあげるね!おいしいやさいだよ!!」 ぱちゅりーが死んだ日からまりさは女性に対する不信感を完全に失っていた。 今では誰よりも女性の近くに擦り寄って、誰よりも働いている。 食事も女性からうけとるとき、 毒見をするようなしぐさをしなくなっていた。逆に畑で取れた野菜を女性にプレゼントするようになった。まりさは女性への感謝の気持ちでいっぱいだった ゆっくり達を受け入れてくれたこと、みんなが仲良くできるようにしてくれたこと、ぱちゅりーを弔ってくれたこと、 まりさは女性を母親のように感じていた。 それでも憎まれ口をたたいて女性につねられるのは相変わらずだった。 女性がまりさからもらった野菜を調理して、並んでご飯を食べる。まりさはとてもうれしそうだ。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~♪」 女性はそんなまりさをみて微笑む。まりさもつられてえへへと笑う。 そんなまりさでも女性の体の変化には気がつかなかった。 女性がまりさに気づかれないようにしていたためである。 それでも症状はゆっくり進行していく。 ゆっくり達が目を覚ます。寝ぼけた女性を数匹がかりで起こす。今まで誰よりも早く起きたのに。 みんなで協力して食事をつくる。女の人とは思えないくらい食べたのに。 太陽の下で働く。休む回数が増えた 眠る。眠ったらいくら呼んでも起きない。かとおもえば、一日中起きている日もあった。 こうなってくると、ゆっくり達も気がつく。女性の体が悪いんだと。 だけど女性は人間の医者のところには行かなかった。 軽い風邪だから大丈夫だと。 幸せな日々にもいつしか終わりがやってくる。それはあまりにも突然の事だった。ある日いきなり女性が倒れた。 顔を見てみると赤い斑点が出て、 常に苦しそうな表情を浮かべていた。 1日、2日、3日、1週間、女性はどんどん体が悪くなっていった。 それでも彼女は医者に見せなかった。 まりさ達はかわるがわる看病に努めた。ごはんを運ぶもの、身体を井戸水で冷やして氷嚢代わりになるもの、 女性が行っていた家の管理に務めるものなど、皆女性のために働いた。 それでも病気の進行は止められなかった。 心配するまりさをからかうようにつねる手の力がとても弱くなっていた。 はじめてあったときは泣きそうになるくらい痛かったのに。 女性はもうすぐ死ぬ。ゆっくりたちが女性のベッドの周りに群がっていた、 みな不安そうな顔をしている。 まりさとありすはかつてぱちゅりーに対して行ったように自らのほほを女性に当てていた。 「いままでありがとうね・・・。おかあさん・・・」 ありすが泣きながら女性に話しかける。女性は心配するなと笑顔でうなづいた。 このとき女性は気がついた。まりさの底の一部分が感触が固いと、それはまるでパンを一部分だけ焼いた後のようであった。 以前人間に虐待されたのだろう。火傷によって焦げてしまったに違いない。 女性はまりさがこの先みんなと一緒にゆっくりできることを願った。 女性はまりさに対して二つの望みをつぶやいた。最後の言葉だった。 自分が死んだらここをみんなのおうちにしてね。 ゆっくり達を守ってね 、と そして女性はゆっくり息を引き取った。 まりさがみんなを導いて、みんなが天国にいけるようなゆっくりとして生きていけることを願って。 遺体はゆっくり達の手でぱちゅりーの隣に埋められた。 「おねぇさん、てんごくでもゆっくりしていってね・・・」 それからさらに1ヵ月後、ゆっくり達は女性のいいつけを守って生活していた。女性がいなくなってもゆっくり達は今までどおり、 むしろそれ以上に頑張って生きていった。まりさとありすがリーダーとなり、ゆっくりたちをまとめていた。 女性が生前そうだったように、行き場のないゆっくり達を受け入れ、いつしか家はゆっくり達の楽園となっていた。 そんなある日の夜、人間が尋ねてきた。壮年の男が数人いた。ゆっくり達は突然の人間に驚いた。 しかし以前女性に対してとてもやさしくしてもらっていたことを覚えていたゆっくり達。みな口々に歓迎している。 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 まりさは以前人間に虐待されたことを忘れてはいなかったが、女性に心を開いたことで以前より人間の事を嫌ってはいなかった。 そして女性の最後の言葉を思い出し、その願いをかなえることにした。 「ここはみんなのおうちだよ!! ゆっくりしていってね!!!」 うん、ありがとう、ゆっくりさせてもらうね。 男はそう答えた。きれいな瞳をした男であった。 男達はこの場にいるゆっくり達を見て、何か話し込んでいる。牙と片羽のないふらん、牙のないれみりゃ、 その他様々なゆっくりたちをじっと見た。 特に驚いていたのは、ありすをみたときであった。男の一人がありすに振動を与えた。 「なにしてんのよ、えっち!!」 ありすは不機嫌そうな顔をして去っていった。男は信じられない顔をした。発情しないありすがいるなんてと。 ところでここに女の人は住んでいなかったかな? そう男のひとりがゆっくりに質問した。 なんでも男達は女性の知り合いらしい。ゆっくり達は女性の事を話した。皆バラバラに話すので聞き取るのに一苦労であったが 、男達は彼女がどれだけゆっくり達愛されていたのか理解した。そして彼女が病気によって死んだことを伝えると、男達は悲しそうな顔をした。 しばらくうなだれ、考え込んでいた後、男の一人が意を決したようにまりさに話しかけた。 「おねぇさんのお墓はどこにあるかな。お墓参りをしたいんだ。」 まりさは女性のお墓に案内した。 石を積み上げられたあのお墓に。 ここでおねぇさんが天国でもゆっくりできるようにいっしょにお祈りをしようと思っていた。 人間も自分達と変わらないと、 そう信じていた。 数刻後、男は女性の墓を掘り返していた。隣にあるぱちゅりーの墓も同時に掘られている。 まりさは何が起きたのか理解できなかった。なぜこんなことをしているのだろう。 死んでゆっくりしている人をなんで無理やり起こすのだろう。 おねぇさんもぱちゅりーも天国でゆっくりしているのに、ゆっくりさせてあげないなんて・・・。まりさとありすは男に飛び掛った。 「やめて!!どうじてそんなことをするの!!」 「やめてぇぇぇ!!」 男のひとりがまりさとありすを押さえつけながら、段々と墓が暴かれてくる。 ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり、 悪臭がただよう。まりさは口から餡子を吐きそうになった。 まりさの頭にあったのは、生きていた頃のおねぇさんの美しい姿とぱちゅりーの青白い顔であった。 しかし、目の前にいるものは、 にてもにつかない ぱちゅりーってこんなくろかったっけ? どろだんご・・・ あのシろいむしってナに たくさんいるよ となりのオおきいのは ひと? もの? くろい あのおなkaカらでるデろでろってなに・・・ あnこ? 「あ・・・あ・・・あぐ・・ぐぺぇぇ゛ぇぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇぇぇ」 「ひどい・・・、なんで・・・」 あまりの衝撃にまりさはおねぇさんがどのような顔をしていたのか思い出せなくなった。 全く面影がなければそれでよかった。しかし着ている物、髪、顔の無事な部分と ぱちゅりーのそばに埋めた影響か、ところどころ虫に食われた部分がまりさの思い出の中のおねぇさんと混ざり合ってしまった。 おねぇさんといえば、目の前のくろくて、ぐちゃぐちゃで、べちゃべちゃなものしかわからなくなっていた。 男達は辛そうな顔をしながら女性を引き上げ、顔の確認をした。 男達の数人が泣いていた。リーダーらしききれいな瞳をした男が彼らをなだめた。 そしてしばらく話し合った後、男達は何かを決意した顔をした。男はまりさとありすを家の中に入れて、外から閉じ込めることにした。 男達の目的はこうであった。 ゆっくりから他の生物に媒介するウィルス、 感染方法はゆっくりを食べることと、ゆっくりを食べて感染した生物からの血液、経口感染であった。 そのウィルスはゆっくりと時間をかけて体内に潜伏し、発症の際は死亡率が40%を越えていた。 このウィルスにかかったゆっくりは先天的な奇型・変化をもって生まれる。 病弱さに拍車がかかったぱちゅりー、羽のないふらん、発情しないありすなどがそれにあたる。 男達はここに住んでいた女性の友人と加工場の職員で構成されていた。 彼女がゆっくりを襲っている犬からゆっくりをかばって噛まれ、このウィルスに感染していた可能性があること、 そのために森のはずれにある家で最後を迎えようとしようと失踪したこと、ついに家の位置を探し当てたこと、 最近わかったことだがもし感染していたら死体を焼却しておかないと動物によって死肉を漁られ感染が広がること、 彼女のような犠牲者を増やさないために感染源の奇型・変種ゆっくり達を炎によって滅菌処分する目的でこの場を訪れていた。 加工場の人間達にとってゆっくりは食料。それ以上でもそれ以下でもない。里の人に美味しく餡子を食べてもらいたい。 それだけを考えて仕事に励んでいる。しかし目の前のゆっくりが他の生き物に害を及ぼすと知ったとき、人を守るために自らの仕事を失うことを躊躇しない。そこには私情は一切なかった。 対して、女性の知り合いたちは私情によって動いている。彼女がまだ生きていた頃、世話になった者達の一部である。 彼らは彼女のような犠牲者を出さないようにゆっくり達を駆逐しようとしていた。それが彼女の意思とはかけ離れたものと知りながら。そんな彼らがやすやすと目の前の仇を逃がすはずがなかった。 この二つの思想を持つ包囲網からは、決して逃れられないだろう。 まりさは家の窓から女性とぱちゅりーが焼却されるのを見ていた。 まりさの母がわりであるおねぇさんとぱちゅりーはゆっくり燃えていった。熱いのは苦しいと思ってまりさは火葬をしなかった。 その結果があのどろどろの物体だった。 静かに、ゆっくりと炎は一人と一匹を包んでいく。その空気は以前おねぇさんとぱちゅりーが死んだときのお葬式のようであった。 違うのは、おねぇさんとぱちゅりーが穏やかな顔をしていなかったこと。 しばらく後、一人と一匹の遺体は真っ黒に焼き尽くされていた。 ぎろりと、男達がゆっくりが住む家のほうを向く。 まりさはきれいな目をしていた男と目が合った。男の目はもう曇っていた。疲れたような顔をして、生気を感じさせない。 それでもふらふらと家の方に近づいてくる。幽鬼のように。そしてそれにつられて他の男達もついてくる。 手に持っているのはたいまつ。 百鬼夜行そのものだった。 そして男達は、まりさたちの住む家目掛けてたいまつを放り投げて火をつけた。本格的に滅菌作戦を開始した。 「みんな、にげてぇぇぇぇぇぇぇ!!」 まりさが叫んだ。まりさは火の怖さを知っている。昔人間に捕まったとき、仲間と一緒に網の上で火にあぶられたことがある。 熱さから逃げるためぴょんぴょんと飛び跳ねる。しかし跳ねてもはねても火に接している底が熱くなる。 ほんの少し火に触っただけなのに体がこんがりと焼ける。それを見ている人間達は笑っていた。 誰が速く死ぬか当てる遊びをしていた。 まりさは運よく最後まで生き残り、死なずにすんだ。仲間達は焦げ付き、食べられもせずに放置されていた。 あの時と違うのは、人間達が遊びではなく、殺すことを目的として火を使っていることであった。 皆逃げる。しかしどこに逃げればいいかわからない。 部屋の中をひたすらうろうろとするばかり。パニックを起こしたゆっくり達は、部屋の中から出ることさえ考え付かなかった。 「ゆ゛ぎぃ゛ぃ゛ぃ!」「ゆ゛ぐえぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ !!」 放り投げられた火の近くにいた数匹のゆっくりが悲鳴を上げる。体に直接火を浴びたため、髪の毛から引火して体中が火達磨になっていた。 それはある怪異を髣髴とさせた。 鬼火と呼ばれる、宙を舞い、駆けずり回る火の玉。 違うことは、それが地を這うことであった。 「ゆ゛っぎゅり゛でぎな゛い゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!」 「ゆ゛っぐぃざぜでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ!」 家の外に火達磨のゆっくり達が飛び出した。 もはや飛び跳ねることもできずにごろごろと地面を転がっている。 けれども火はゆっくり達の体を蹂躙するのをやめなかった。ごろり、ごろりと地面に向かって体をこする。けれども 全く効果がない。ひらすらに転がる。転がって転がって、何かにぶつかって止まる。それは男達の足であった。 ゆっくりにぶつけられた男は火にあおられ、熱さのあまりのけぞる。それをかばうように隣の男が火の玉を踏み 消す。その中にある命ごと 「ごぼっ!!」 「「ゆ゛っ!!!」 あっけない。あまりにもあっけない最期だった。これまで苦楽を共にしてきた仲間達。 同じ食事をし、共に笑い、泣き、一つ屋根の下に眠ってきた仲間達。ほんの数時間前までは隣で笑っていた。 ほんの数時間前までは。 今までこの家で体験した死とは違い、何の思いやりも見られない死は、ゆっくり達の心をぐちゃぐちゃに掻き回す。 仲間の悲鳴が現実から心を遠ざけ、炎の熱さが現実に心を引き戻す。ゆっくり達はパニックを起こした。 これから自分達にどのような運命が待ち受けているかをぼんやりと感じながら。 そう、悲劇はまだ終わっていない。これはほんの前奏にすぎないのだから。 「みんなはやくにげて!!ゆっくりしちゃだめだよ!!」 まりさはみんなを逃がすようにした。。 外には逃げられない。まりさは家の中の上の方へ、上の方へと 逃がすようにした。火は上に昇るが、地上は囲まれてしまったため、これ以外に逃げ道がないためである。 まりさは率先して皆を助けようと足掻く。懸命に足掻く。 おねぇさんに皆の事を頼まれたから・・・ 「ありすー、どこー!!でてきて!!にげるよ!!」 アリスの姿が見えない。はぐれてしまったのだろうか・・・。そういえば家の中に放り投げられたときから見ていない気がする。 ありすを助けに行くことも考えたが、まりさは目の前のゆっくり達を見て皆を逃がすことを選んだ。ありすならきっと大丈夫、 ありすが死ぬとは思えない。すぐにあの憎まれ口をたたいてくれるはずだ。 ゆっくり達は2階に上がり、1階より炎の進みが遅いことに皆少しほっとした。 しかしまりさは気を緩めない。皆に向き合って、大声で呼びかける まりさは火があっというまに広がることを知っていたので、皆を3階に誘導した。 「こっちだよ!うえにあがって!!うえにあがればゆっくりできるよ!!」 先陣を切り、階段の上に立って、ゆっくり達が階段を上ることを待っていた。 上が安全という根拠はないが、こうでもしないと皆パニックを起こす。 はやくこっちにくるように、恐怖に震えたゆっくりたちを励ます。 そのとき、 ビュッ!! ゴォォォォォォ!! いきなり外からたいまつが投げられた。窓ガラスを破り、階段を炎が包み込んでいく。ゆっくり達は散り散りになってしまった。 3階部分にはまりさしかいない。炎によって分断されてしまった。潜り抜けることは不可能だ。まりさにとっては不幸なことに、 皆を誘導するために急いで階段の前に行ったため、まりさのみ助かっていた。 まりさは階段の上から一部始終を見届けることになった。 「「「おがーざーん!だずげでぇぇぇ!!」」」 炎による恐怖で動けなくなった赤ちゃんれいむ達。 炎。それは母ゆっくりれいむの命への祝福をする優しいあたたかさとは違う、命を否定する激しい熱。 ぷるぷると振るえ、目の前の母をひたすら呼び続ける。 「わだじのごども”おぉ゛ぉ゛ぉ!!!」 母れいむは赤ちゃんれいむたちを庇おうと自らの口の中に入れた。 こうしておけばみんな一緒に逃げられる。そう思っての行動だった。 しかし誤算があった。口内に大量の子供達を含んだ母れいむはゆっくりとしか動けない。 はやく逃げなきゃこどもたちが死んでしまう、 はやく逃げなければ ぐらり そんな母れいむの思いとは裏腹に、母れいむの上に燃えた柱が倒れてきた。 大きい柱が ゆっくり、 ゆっくりと 「ん゛ん゛゛ん゛ん゛んん~~~~」 しかし子供達をくわえて動きの鈍った母れいむは更にゆっくりしていた。 ずりずりと這いずる様にしか動けない。 その目は落ちてくる柱をうつしていた。逃げようとすれば逃げ切れるようにも見えた。 じたばたともがき、目の前を見て、避けきれるまであと少し、あと少しのところまできた。 しかし、結局無理だった。あと1メートルほど進めば避けられたのに、それもかなわず柱が母れいむの頭を捕らえた。 ぐしゃり 母れいむは横に3倍ほど広がってしまった。悲鳴を上げる暇さえなかった。餡子が飛び散り、ぴくぴくと痙攣している。 口の中の子供達はつぶれて混ざり合っているだろう。 もう二度と母れいむの美しい歌声を聞くことはできない。 炎で分断された更に別の場所、移動の遅いゆっくりふらんは自分を助けようと近づいてくる子れいむたちとれみりゃを追い払っていた。 「ゆっくりしね!!!ゆっくりしね!!!ゆっくりしね!!!ゆっくりしね!!!ゆっくりしね!!!ゆっくりしねぇ!!!」 鬼気迫る形相でこっちに来るなとひたすら吼え続ける。しかしそれでもゆっくり達はふらんにむかっていく。 ふらんをくわえると、少しでも火のない方向目掛けて引きずっていた。 「ふらんちゃん、ゆっくりしちゃだめだよ!」 「いっしょににげよ!」 「あきらめちゃだめだよ!」 「う゛~、ごぁい!こぁ゛い!いっしょににげる!おいで!!」 しかし炎は容赦なくふらんとゆっくり達を包み込む。 まるで焼き栗。炎の中で小さな塊がぱちぱちとはじけていく。それとも焼き芋とでも言おうか、餡子が焼けるいいにおいがあたりに広がっていた。 炎に慈悲はない。ただ全て燃やすだけ。そこには善意も悪意もない。 再生力の高いふらんとれみりゃはすぐには死なない。目の前でれいむ達が焼き死ぬところをゆっくりと見ることとなった。 最初はあまり気に入らなかった。自分がおもちゃにされているようでイヤだった。食べてやろうと思ったことも一回や二回じゃない。 だけど、だんだん一緒にいると楽しくなった。からかわれるのも悪くなかった。自分がからかわれるのに慣れてしまっただけなのか、 それともなにか別の理由があるのかわからない。ただ、ふらんはいつしかみんなの笑っている顔が大好きだった。 「あぢゅいよ゛おぉおぉ゛ぉ゛ぉぉ」 「ゆっぐりじでてよぉ・・・」 「ふら゛んおね゛ーじゃんっっっ!だずげでぇぇぇ」 そんな仲間達が、自分を助けようとしたから、ふらんを助けようとしたから、苦しそうな顔をして消えて行く。 真っ黒になりながら。そしてれいむ達が焼き死ぬと、今度はれみりやとふらんがゆっくりと死ぬ番だった。 「う゛・・・・、」 ふらんの目の前でれみりゃが焼けていた。普段の無邪気な表情とはかけ離れた苦悶の表情だ。 いつも自分の近くにいた姉。いつもへらへらとして弱そうで、ずっと姉扱いはしていなかった。 だけど、そんな自分を、ふらんをれみりゃは助けようとしてくれた。 れみりゃは紛れもなく自分の、ふらんの姉だった。 「ゆっくりしね・・・ゆっ・・・」 ふらんは何もできない自分がうらめしかった。 結局、最期まで姉扱いをしてあげることはできなかった。 生まれて初めてふらんは泣いたが、涙は蒸発してしまい、誰にも見られることはなかった。 炎が辺りを包み込み始めていた。 ゆっくりできないところが地獄なら、ここはまさにそれであった。地獄というコンサートホールでゆっくりの悲鳴の大合唱が奏でられている。 音の大きさはバラバラ、音程はバラバラ、リズムもバラバラ、共通しているのは苦痛を表現した歌だということ一点のみであった。 まりさはこのときほど自分手がないことをうらめしくおもったことはなかった。 耳がふさげないため、ゆっくり達の悲鳴があますことなく聞こえてくる。 「ゆ゛っぐり゛い゛い゛い゛ーー!!」「ゆ゛っぐり゛でぎる゛どお゛も゛っだどに゛い゛い゛い゛い゛い゛いい゛い゛い゛!!」 「ぐぉぼ!!」「ゆるじでぇ!! あづいよぅゆうぎゃあぁあ゛!!!」 「どおじでぇえ゛ぇぇっごんなごどずるのぉぉ゛お!!!」「ゆ゙ゎああああああああ」 「おねぇざんだずげでぇぇぇ」「ぶぎい゛い゛い゛い゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「わからないよ!!!わからないよおおおおお!!!」「ゆっぐりだずげでええええ!!!」 「 ゆ゛っぐり、じだい、じだいよおおおお!」「びゅっぐりゃぃぃぃ!!」「おぎゃぁぁぁざぁあぁぁん!!」 「いや!ゆっくりしてよう!や・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」「がぼッ、ガボボッ、い゛や゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 「し、じじにたくないよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!」「なんで!なんで!!なんでえ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ!?」「んほおおおおおおおおおおおおお!」「う…うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」 「ぢんぼぼぼぉおぉおおっ!!!」「う゛っ!う゛っ!う゛っ!う゛っ!う゛っ!う゛っ!」 あ゛づい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「ゆーーー?!い゛や゛だぁぁぁぁぁぁ!?あづいいぃいぃぃいl?!」 「ひ゛ぃぃい゛い゛ぃあ゛あ゛あ゛あ゛ぁあ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛ぁっ!」「ゆっぐりじだがっだよー!!!!!」 「……ゲロ゛ォォオゲロオォオオォっ!」 おがあざんどご!? み゛ん゛な゛どごぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!? みぇな゛いぃぃ!!!」 「 ゆ゛ゆ゛っ゛っ゛ーーーーーーーーー!!!!」「あ゛づ!! け゛む゛い゛よ゛お゛ォ!!!」 「おうち゛でみ゛ん゛な゛どゆっぐり゛じでだだげな゛のに゛い゛い゛い゛い゛!!!!!」 そして大合唱が終わりを告げた。まるで焼ききれたカセットテープのようにぷつりと音が消える。 もう誰も生き残っていないだろう。 みんなと分断されてからあっという間の出来事だった。 だけど、みんながどう死んだか、その様子は全く同時の出来事だったが、全てまりさの目に映り、記憶に刻まれた。 目をそらせなかった。よって、一匹一匹、全てのゆっくりの死に様が余すことなく焼きついた。 結局おねぇさんとの約束を破ることになってしまったことになって、申し訳なかった。 そしてそれ以上にみんな大事な仲間だったのに、大好きだったのに守れなかったことを後悔した。 まりさは死を目の前にして、それでも火から逃げることを選んだ。 火は・・・・・・・・・・どうしても怖かった。 3階にたどり着いた。目の前にありすがいた。 いなくなっていたかと思ったありす。まりさが気がつかないうちに死んでしまったのかと思ってしまった。それは一番嫌だった。 とにかく無事でいてよかった。生きていてくれてうれしい。 「ありす!いままでどこにいってたの!!しんぱいしたんだよ!!」 「わるかったわね・・・、みんながにげるためのどうぐをつくっていたのよ。それよりみんなは・・・」 「しんじゃったよ・・・。れいむたちもふらんもれみりゃもみょんもちぇんもみんなみんな!!ひでやかれちゃったよ・・・」 ありすはまりさから目をそらした。生き残っているのはまりさとありすだけ、 ありすは一瞬呻いて、暗い顔をしたが、急がないとまりさたちも危ない、 ありすはまりさをある部屋に誘導した。煙突のある暖炉とつながっている部屋だ。 煙突の下にハンモックがあり、傘がついた大きな箱のようなものが乗っていた。 「まりさ、まずこのうえにのって」 まりさは箱の中に入れられた。結構広かった。 「ゆ?これからどうするの?えんとつからにげようとしても、そとにはにんげんがいるし、えんとつもふさがっているよ!」 「いいからここでじっとしていなさい!そうすればとおくににげられるわ!」 ありすの作戦は、まず煙突を発射台にするため、その中間あたりに箱とハンモックで弾を作り、 その下に部屋との仕切りをして、部屋の中を密閉する。 そうすると熱によって膨張した部屋の中の空気が逃げ場を求める。 下の仕切りが燃え尽きることで外に空気が逃げる。その勢いを利用して箱ごと飛び上がるというものであった。 性欲を失い、リミッターがはずれたためか、ありす種の知能は本来の力を発揮していた。まさに賢者そのものであった。 「よくわからないけどすごいね!はやくにげよう!いっしょににげようよ!!」 「まってて、まずこれ、ぱちゅりーのぼうし。こんなだいじなものをもっていかないなんてまりさったらほんとにばかね・・・」 「ゆぅ、まりさはばかじゃないよ・・・。でも、ありがとね!ぱちゅりーもいっしょだよ!」 「それから、これ、わたしのへあばんど、もしこれをなくしたらおぼえてなさいよ・・・」 「なんでありすのへあばんどをくれるの?ありすがもっていればいいのに!?」 「それから、あなたのこときらいじゃなかったわよ・・・。」 ありすはまりさのほほに自分のほほを触れさせた。人間が今生の別れの際の抱擁を行うように・・・ 「ありす、どうしちゃったの!!なんかおかしいよ!!ゆっぅ・・・ゆぅ!」 ありすはいきなりまりさ目掛けて体当たりをした。 「ゆぇ!」 ありすは泣きながら 「ゆ゛・・・」 何度も 「あ・・・ありす・・・」 何度も そしてまりさは動けなくなっていた。 「このしかけはね、だれかがふたをしたでしめるこがひつようなの・・・じゃあね、まりさ。そこでゆっくりしていってね・・・」 傷ついてこの家に来たありす。ここに来るまで、その生活は決して幸せなものではなかった。 一日の食事に泥水をすするのみのことが珍しくなかった。 ぼろぼろになって、体を治す暇さえなく這いずり回る日々。 だけど決して弱みを見せない。見せたくない。 そんなありすがゆっくりできたのがこの家。初めての仲間。最後に残った家族。 ありすは自分の命の使い方を決めた。 ありすは部屋の中に残った。まりさを助けるために。まりさは動けず、そんな彼女の姿をじっとみていることしかできなかった。 そして炎が部屋に侵入してきた。ありすは仕切りをした。まりさはありすの姿が見えなくなった。 姿が見えなくなってもありすの声が聞こえてくる・・・ 「ひぎゃぁ゛ぁ゛ぁっぁ゛ぁぁぁ!!!あ゛ぢゅ゛いぉよぉぉ゛ぉぉ!!」 まりさは知っている。火による熱さはは決して我慢しようとしてできるものではないと・・・ 「ぱじゅりぃ゛ぃぃだずげでぇ゛ぇぇ!!おねぇざあん゛ん゛ん゛んんん゛!!じにだくないよぉおぉ・・・」 絶対に聞きたくなかった声が聞こえてくる。ありすが今まで一度も出したことのないようなひどい声だ。 「ま、まりさ・・・ゆ・・・・ゅぅ・・・ゅ・・・ゅ・」 最期にありすの頭に浮かんだのは、女性に連れられ、まりさとぱちゅりーに始めて出会った光景だった。 そして仕切りが燃え落ちて、逃げ場を失った空気によりまりさは煙突から発射された。 ある木の空洞にまりさはいた。あの家に住む前に住処にしていた家だった。ここはまりさ『だけ』のおうちだ。 結局あの日まりさは逃げ切るのに成功した。 煙突より遠くに飛ばされ、気がついたらもう夜が明けていた。 皆と住んでいたあの家に戻ると、全てが灰になり、何も残っていなかった。 畑も、ギターも、そしてみんなの死体も。 まりさはあの日から、起きていると仲間たちの悲鳴を思い出すためにゆっくりすることができなかった。 まりさにとってゆっくりするために必要なものはおうちではなかった。 仲間が欲しかった。仲間さえいればどこでもゆっくりすることができる。 しかし今となってはゆっくりはまりさだけになってしまった。人間たちの滅菌作戦によりこの一帯のゆっくりは全滅した。 だれかと一緒にゆっくりすることはもうできない だからといって人間とはもう会いたくない。おねぇさんのようなやさしいひととおじさんたちのような怖い人、 どっちが本当の人間かわからなくなった。やさしくされた後に裏切られるのが怖くなった・・・。 だったら死んでしまえばいい。そう思ったことも何度もあった。しかしそのたびにまりさは結局死にきれない。 死ぬのは怖かった。おねぇさんのお願いであったみんなを守ること、それができなかったまりさは地獄に落ちるだろう。 でも、ぱちゅりーの帽子とありすのヘアバンドをかぶって眠るとみんなとの楽しかった日の夢が見れる。 起きているときは仲間達の惨たらしい最期しか思い出せなくなったが、夢の中では現実では決してありえない、幸せな光景がある。 まりさはおねぇさんに抱きしめられて、 ぱちゅりーが元気に外であそんで、 ありすが意地を張って、 れいむ親子が歌って、 ふらんがからかわれ、 れみりゃが飛び跳ね、 ゆっくり達みんなが笑っている。 そんな夢。 まりさは夢のほうがいいのなら、ずっと夢を見つつけることを選ぶ。現実なんかどうだっていい。 ゆっくりねむろうとまりさはまた夢をみようとしたとき、家の中に蛇が侵入してきた。うっとおしい。せっかくいい夢をみていたのに。 まりさはぼんやりと、二度と誰かに「ゆっくりしていってね」といえる日はこないと思った。 「ここはまりさのおうちだよ!ゆっくりでていってね!!」 ------------------------------------------------------------------- 平成20年8月17日 最後にケジメをつけるため、加筆修正しました。 これにてssを書くことを引退します。作者の方々のご活躍をお祈りして、 ゆっくりスレのこれまで以上の発展を願っています。今までありがとうございました。