約 632,148 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3353.html
※無茶設定あり ※虐待薄いかも注意 ぽよん・・・ぽよん・・・ 人里から遠く離れた森の獣道を俺は必死に跳ねていた。 跳ねる度に腰に備えた愛刀の小太刀がぺちぺちと体を打ち付け痛い。 その動きはまるで不思議饅頭生物ゆっくりのようだ。 俺は人間だ。 いや、人間「だった」。 単刀直入に言うと俺はゆっくりになってしまったのだ・・・。 ゆっくりになった男1 「生きるために跳ねろ」 もっと前から話そうか。 人間の里で樵をやっていた俺はあの日、注文のノルマに間に合わなかったため 予定を延ばし、日が暮れるまで木を切っていた。 それがいけなかった。 護身用の小太刀を常に携帯しているのでいざという時は何とかなると思っていたのだが・・・。 流石に妖怪相手では武器なんて無力だった。 迂闊だった。 最近妖怪は人間よりもゆっくりに興味を持っているということで 人間が妖怪に襲われることはほぼゼロとなっていたため、 人間がゆっくりを食うように、妖怪も人間を食うということをすっかり失念していたのだ。 この幻想の地においてそんなことはあってはならないのだが こうなってしまうともう後の祭りである。 どこぞの魔王のごとく俺のはらわたを食い尽くしたその妖怪は満足したのか 去っていったがどてっぱらに大穴が開いている俺の体はもはや這いずる事しか出来なくなっていた。 というかあの状態でよく動けたなと思う。 しかしやはり大量出血状態である以上、 長くは持たないのは確定的に明らかであって だんだんと意識が遠のいていった。 まだ二十代なのに・・・ まだ結婚もしてないのに・・・ まだ食べたいものがあったのに・・・ まだ死にたくない・・・ そう思いながら。 俺は目が覚めた。 初めはあの世に着いたのかと思ったがどうも違うらしい。 痛みも無いし、無事なようなので立ち上がろうとする。 立てない。 というか足が動かない。 両足を縛られたような感覚だ。 というか嫌に視点が低いような気もする。 気を取り直して周囲を見渡す。 妖怪相手に歯が立たなかった小太刀が転がっている。 刃は鏡のように周囲の風景を映している。 とりあえず体がどうなってるかが見たいので必死に這って小太刀を覗き込んだ。 そこに映るのは俗に言うゆっくりまりさというゆっくりの姿。 え? もう一度覗く。 やっぱり映るのはまりさ。 夢か? そう思ったとき脳が直接響くように声が聞こえた。 「大丈夫ですかー?」 どこかのんきそうな女性の声だった。 一体誰だ? 「私はちょっとした医者です。森の中で死に掛けたあなたを見つけてですねー まだ生きたいとか言ってたから助けたんですよー」 助けた? じゃあなぜ俺はいまゆっくりなんだ? 「あんたの体もうズタボロで使い物にならなかったから 勝手ながらそこら辺にいるゆっくりに脳の情報を移植させていただいたんですよー」 よりによってゆっくりとは・・・。 ゆっくりでもきめえ丸とかなら空とか飛べて便利だったのに・・・。 ところであんたはいったいどこにいるんだ? 「私はあなたの居場所からかなり離れたところであなたのもとの体を修復してあげているんですよー。 そうですねぇ・・・アンタがその体で一年間生き残れたら体を元に戻してあげなくも無いですねー」 は? 一年だとふざけるな! こんな森の中で一年間もこのゆっくりの体で生き残れるわけ無いだろ! 冗談はやめて早く助けてくれ! 「冗談じゃないですよー。 それにその体はただのゆっくりじゃないですしー。」 ただのゆっくりじゃない? どういうことだ? 「いきなり新しい体で生き残れというのは無理があるから いろいろと手を加えさせてもらったんですよー。」 何だって? 「まずその体は再生能力を高くしてあるから 捕食種に襲われた程度では死なないし 水に浸かっても平気ですよー。」 自殺防止の気もしなくもないがいいな。 もし生身(?)のゆっくりだったらちょっとしたことで死にかねない。 「それから腕が無いと不便だろうから あるゆっくり科学者が作ったといわれる「あんこあーむ」を つけてあげましたよー。 原理は気にしないでねー」 あんこあーむ? 腕を顔の前に伸ばしてみる。 餡子色の触手のようなものが見える。 これがあんこあーむか・・・キメェ。 「あんこあーむは他のゆっくりが見ても 気味悪がらないみたいだからあんしんしてくださいねー でも物はつかめても直接殴るだけの強度はないことも教えておきますー。 じゃ、健闘を祈りますー」 おいちょっとまて!! プッ っという音とともに声は聞こえなくなった。 どうやらこの体、通信機みたいなのも内蔵されているらしい。 立った今切れたみたいだが。 一年か・・・。 いろいろ考えても仕方がない。 どうにかなるだろう。 ということで俺はこうして跳ね進んでいるのだが 遅い。 亀やバッタといい勝負だ。 情けなくて涙が出てきた。 「ゆっくりしていってね!」 急に叫び声が聞こえた。 前を見るとれいむがいる。 「ゆっくりしていってね」 軽く返す。 元人間であるが今はゆっくりの身だ。 同属からはぶられることは避けたい。 「ゆゆーん!まりさはゆっくりしてるね!まりさはひとりなの?」 あんな軽い返事でも満足してくれたようだ。 そういや俺の姿まりさだったっけ・・・。 ああ、一人だけど? 「ゆっ!それじゃあれいむたちのむれにこない?れいむたちとゆっくりしようよ!」 むれ?ゆっくりの群れがあるのか。 とりあえずホームレス状態はいろいろと危険なので 群れに入って巣でも作りゆっくりとすごすのも悪くないな。 群れに連れて行って欲しいな。 「ゆー!じゃあれいむにゆっくりついてきてね!」 ぽよんぽよんと駆け出すれいむ。俺も後を追う。 しばらく跳ねること十数分くらいだろうか。 時計が無いのでよくわからない。 まあ仕事柄時計無しでもある程度の時間が把握できるからいいが・・・。 群れらしき広場に着いたようだ。 木の下の空洞などを巣にしている。 「ゆっくりあたらしいなかまがきたよ!」 れいむが群れに向かって叫ぶ。 ゆっくりゆっくりと言いながらゆっくり達が集まってきた。 数はざっと見て10〜15匹程度。 かなり小さな群れのようだ。おそらくできたばかりなのだろう。 「むっきゅん!おさのぱちゅりーよ!よろしくね!」 一回り大きいぱちゅりーが自己紹介をする。 かなり長生きのようで、パチュリー種にしては大きく健康的だ。 「まずはすをみつけないといけないわね! だれかのすにすまわせてもらうのがいいとおもうわ! な、なんならああありすといっしょにすんでもいいのよ!」 顔を赤らめながらありすが俺に問いかけてくる。 結構だ。俺は一人でのんびりするのが好きなんでね。(ありすがレイパー化しても困るしな) 巣だってこの小太刀がスコップになるだろうからすぐに作れるさ。 ああ、食べ物も自分で見つけるからいいよ。 「おとななんだねーわかるよ〜」 ちぇんが感心している。 「みんなああいうじぶんのことはじぶんでできるゆっくりしたおとなになってね!」 「「「「「「ゆっきゅりりかいちたよ!」」」」」」 子連れのまりさが俺を摸倣するように子供に言い聞かせている。 なんだか照れくさいや。 「ゆっくりまりさのかんげいかいをひらくよ!」 れいむが叫び、それに答えるようにゆー!という声がこだまする。 『かんげいかい』の準備は数分で終わった。 というかレジャーシートのつもりなのか大きい葉を地面に敷き、 その上に木の実などを広げただけなのだが。 「まりさのかにゅうをいわって、ゆっくりかんぱい!」 「「「「「「「「「「ゆっくりかんぱい!」」」」」」」」 ゆっくりの世界にも乾杯の概念があったのか。 小さな宴が始まった。 お立ち台のような平たい岩の上で、ゆっくり達がかわるがわる芸のようなことをしていた。 れいむはゆーゆーと調子の外れた(ゆっくりにとっては上手いらしい)歌を歌い、 まりさ一家はかがみゆっくりといって鏡餅のように縦に積み重なり、 ありすはとかいはのダンスといって適当にくるくるまわったり、 ちぇんは二本の尾を器用に使い、木の実をお手玉していた。(正直これに一番驚いた) そうして宴が終わり、皆で狩りに出かける。 俺はよくカブトムシなんかが吸ってる木の蜜を小太刀を使い集めたところ、 かなり群れに褒められた。 よく考えてみるとは物が無いと滅多に取れないしな。 自然では貴重な甘味だ。 狩りが終わると俺はすぐさま家作りに取り掛かり、 木下に穴を掘り日が暮れる頃にはゆっくりにしては立派な住居が完成した。 もうあたりはすっかり暗闇だし新築住居にごろんと横になる。 今まで畑を荒らす害獣とか野山を駆け巡る野生動物とかでしかゆっくりを見ていなかったが なかなか奥が深く話のわかる連中じゃないか。 願わくばこのまま平和に一年間過ぎて元の姿に戻りたいところだが 今は春だが季節が巡って冬になったら越冬をせねばならない。 ゆっくりの越冬率はかなり低いと聞くし、いささか不安が募る。 中々床が土だと寝付けないもんだな。 そういえば俺はゆっくりみたいな幼い口調ではなく普通に喋ってるが違和感は無いようだ。 俺としても口調をゆっくりと同じにすると自身を見失いそうで怖いのだが・・・。 まあいいや、寝よう。 次の日から俺は群れの連中との生活を始めた。 元人間である俺の知識は野生生活では使えないものも多かったが、 ゆっくりの視点では気づかない多くのことに役立ったようだ。 共に狩をし、会話をしたり時にはゆっくりしたりと、 この一ヶ月間は非常にゆっくりとした生活が送れていた。 あの日が来るまでは。 日差しに若干熱さを感じるようになった夜、俺はいつものように狩りでの成果を皆と分け合った後 ゆっくりが作るよりも巧妙なカモフラージュで入り口を隠し、眠りに着いた。 ぅー ぅー・・・ぅー・・・ 俺は外から変な音がしたので目を覚ました。 時間的には深夜である。 初めは強風でも吹き荒れてるのかとおもったが・・・ てね・・・だよ・・・ あ”あ”あ”あ”・・・・ぅー・・・ぅー・・・ もっと・・・・・くり・・・・・・・た・・・ 悲鳴のようなものも混じって聞こえる。 俺は胸騒ぎがして小太刀を抱え外に飛び出した。 おかしい・・・・ 今日は晴れてたから月明かりでぼんやり明るいはずなのだが まるで月明かりなど感じられない。 俺は駆け出した。 すでに群れは地獄となっていた。 空を覆いつくす胴付きれみりゃの群れ。 地上で群れのゆっくりをいたぶるれみりゃの団体。 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”ばじぇのあんごずわないでえええええええええ!!!!」 牙を刺され餡子をすわれている長のぱちゅりー。 「ゆびゃ!!」 「ばりざのあがじゃんがあああああああ!!!」 「おねえええじゃあああああああん!!!」 「やべでええええええええええええええ!!!」 れみりゃに子まりさが食われる様を目の前で見せ付けられるまりさの一家。 「あまあまだど〜」 「みんなでたべるど〜」 「ぐっちゃぐっちゃ」 「がががががががが」 十数匹に一気にたかられてもはや原形を保っていないちぇん。 「あまあまみつけたど〜!これはでびりゃのだど〜☆」 「いやおぜうさまのれみりゃのだど〜」 「うーうーみんなでわけるど〜!」 後から声がしたので振り向くと三匹のれみりゃが俺に向かってきていた。 「あまあまはたべられるんだど〜」 れみりゃが噛み付いてくる、が れみりゃの牙は俺の体にわずかに刺さるだけで留まった。 確かに丈夫な身体だ。 「う〜〜〜〜〜?ぐびょら”っ!」 ハテナマークを浮かべていたそいつに兜割をお見舞いする。 頭から真っ二つになりスライスチーズの写真の如く左右に裂けるれみりゃA 「あ”あ”あ”あ”あ”でびりゃのいもうどがあああああああ!!!」 「でびりゃをごろずな”ま”い”ぎなあまあまはじねええええええええええええええ!!!」 れみりゃBとCがAを殺された怒りをあらわにして挟み撃ちの形で左右から襲い掛かってくる。 「「ぎゃぶっ!!!」」 横に避けたら案の定正面衝突して両方気絶した。 起き上がらないようにれみりゃたちの首をはねると俺は群れの仲間を救出しに行った。 ぱちゅりーを掴んでいたれみりゃの腕を切り飛ばす。 「でびりゃのぷりちーなおててがああああああああ!!!ぶびゅっ!!!」 わめき散らしているうちに背中に小太刀を突き刺しそのまま上に返す。 スライスれみりゃとなり巻き割のまきのように倒れる。 おい!大丈夫かぱちゅりー! 既にぱちゅりーは事切れていた。 ゆっくりとしての生活のノウハウを教えてくれたぱちゅりーが死んで悲しいが、 いつまでも悲しみに暮れている暇は無い。 俺は次の目標に向かって駆け出した。 「もっど・・・ゆっぐり・・・じだがゆべえええ!!!」 ちょうど俺が着いたときは辞世の句を最後まで言い終えることが出来ずに 子供を全部殺された一家の親まりさがれみりゃに高等部に穴を開けられ死んでいたところだった。 穴を開けた本人はつぼに入っている餡子を食べるかのように親まりさの中身を手で掬って貪っていた。 頭部のちょうど真ん中を斜めに切り落とす。 断末魔も上げないままれみりゃは居合い切りされた竹のように倒れた。 なぎ払い蹴散らし切り倒す。 群がるれみりゃをあらかた蹴散らすと、適わないと判断したのか れみりゃは空に逃げていった。 ようやく刺した月明かりに照らされて、群れのゆっくりの死骸が見えた ちぇんは底部以外跡形もなくなっていた。 ありすは性器のあたりをめちゃくちゃに引きちぎられて死んでいた。 そのほかのゆっくりも、ばらばらにされていたり木の枝で串刺しにされていたりと散々な有様だった。 俺はゆっくりの一人も助けられないのか・・・・。 初めこそは生きていくために群れに入ったが、 時間が流れるにつれて、群れの皆は共に生きる仲間となっていった。 こいつらとなら一年間生きていけると思っていた。 「・・・ま・・・・・りさ・・・・・」 かすかに声が聞こえた。 俺を村に案内してくれたあのれいむの声だ。 おい!しっかりしろ! れいむは方目を失い、穴の開いた頬から餡子がゆっくりと漏れていた。 「ま・・・・りさ・・・・ゆっくり・・・・しすぎだよ・・・・・」 すまないれいむ。俺は一人も助けることは出来なかった。 「しょうが・・・ないよ・・・まりさは・・・ひとりでたたかっていたんだもん・・・・ でも・・・むれのためにたたかってくれた・・・・・まりさはひーろーだよ・・・」 もう喋るな!まだ助かる! 「れいむは・・・もう・・だめだよ・・・・・ まりさ・・・・まりさは・・・・ゆっくりを・・・ゆっくりさせられるちからがあるよ・・・・・ そのちからで・・・・たくさんのゆっくりできない・・・・・ゆっくりを・・・・ ゆっくり・・・・させてあげて・・・・・・ このむれのように・・・・・ならないように・・・・まもってあげ・・・・て・・・・・」 それかられいむは「ゆげぇー」と一塊餡子を吐くと、それっきり動かなくなった。 朝、群れのゆっくりの亡骸を土に埋め弔った俺は、 わずかな食料と小太刀を手に群れだった場所から東にゆっくりと跳ね始めた。 一年間、自分のためにじっとしているわけにはいかない。 いろんな世界を見て回ろう。 そしてゆっくりすることができない善良なゆっくりを救おう。 生きる目的を見つけた俺は、身体全体を使って大きく跳躍した。 To Be Continued... あとがき どうもアサシンの人です。 ながいあいだ暖めてたねたを書こうとしたら長編になりそうな予感・・・ 人間がゆっくりにになったらどうなるかを書こうとした結果がこれだよ! ちなみに主人公のお兄さん=まりさは身体は丈夫ではあるが、 高いところから落ちれば死ぬし、餓死もするし溺死もする。無敵ではありません。 次があったら続きを書きたいです。 今まで書いた作品 「ゆっくり兵」 「アサシンゆっくり〜お兄さん遊び編〜」 「ゆっくり焼き串」 「ゆっくり護身術」 byアサシンの人
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/641.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 294 れみりゃとさくやと時々フラン/コメントログ」 「れみさく」は最高ダネ! -- 2010-06-16 10 32 25 れみさくは王道! -- 2011-08-24 08 12 57 凄く可愛くて平和なゆっくるレミ咲でした(*´∀`*)もっと続きが見たい!続編こっそり期待しときます -- 2012-04-26 00 26 20 続きみたいです~! -- 2015-09-09 18 38 28 平和 イイね! -- 2016-10-06 16 48 41
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/202.html
里から少し離れた平原に、ゆっくり達の一大集落があった。 この平原では、天敵となる鳥獣が余りいない上に、餌となる草花、虫達が数多くいたためである。 今日も、仲の良い、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙が仲良く虫を捕まえたりしながら遊んでいた。 「むーしゃ、むーしゃ幸せー」 蝶を口に入れると幸せそうな顔で咀嚼するゆっくり魔理沙。 魔理沙も小さな花を口に入れると山高帽を揺らしながら味わう。 「今日もゆっくりだねー、魔理沙」 そういうと自分の身長程の高さまで跳ね上がるゆっくり霊夢。 「おー、ゆっくりだね」 ゆっくり魔理沙も楽しそうに跳ねる。 微笑ましい光景だった。 他の場所では加工所職員に追われたり、駆除される危険を冒してまで食料を口にしているのに対して ここのゆっくりたちは食料や外敵の心配をすることなく、ゆっくりと過ごしていた。 「ゆー、ゆー」 小さなゆっくり霊夢が五匹、二頭の下へ駆け寄ってきた。 「おねーちゃん、あそぼー」 そういうと小ゆっくりはゆっくり霊夢に頬ずりする。 最近生まれた妹達だ。 「うん、ゆっくりしようね」 そしてゆっくり姉妹とゆっくり魔理沙が仲良く遊びだした。 「ゆーーー」 まだ幼いゆっくり霊夢がコロコロと転がっていく。 「ゆっ!!」 すかさずゆっくり魔理沙が受け止めた。 「魔理沙おねーちゃんありがとう」 嬉しそうに跳ねる小ゆっくり。 この集落には恐らく500頭前後のゆっくり達が生息しているが、ゆっくり種を超えたコミュニティとなっていた。 ゆっくりれみりゃ等の肉食種が何故か生息していないことも幸いしているのだろう。 「むきゅー」 「わかるよー」 途中からゆっくりパチュリーやゆっくりちぇん達も混じりだした。 本当にここはゆっくりの楽園である。 ふと、ゆっくり魔理沙が空を眺めると、なにやら見慣れないゆっくりがひらひらと飛んでいた。 饅頭のようなシルエットは他と一緒なのだが、丸い帽子とひらひらと棚引くながい飾り。 空を飛んでいるので、一瞬ゆっくりフランかと思って体を硬直させたが、すぐにフランではないことに気づいた。 翼もないのにフワフワと飛んでいた。 「ねー、あれなんだろー」 その言葉に仲間達の視線が空を飛ぶゆっくりに集まる。 「なんだろー」 「きれいだねー」 ゆっくり達の言う通り、空をひらひらと飛ぶゆっくりの姿は美しかった。 そのゆっくりは飾りを風になびかせながら、ふわりと平原に降り立った。 「ゆっくりしていってね」 「むきゅー」 「ちーんぽ」 口々に歓迎の言葉をそのゆっくりに浴びせる。 ここのゆっくり達は環境に恵まれているため新しくきたゆっくりを基本的に受け入れる。 しかし、そのゆっくりはそれらの言葉を気に留めることなく、静かに口を開いた。 「ここは危ないです。すぐここを捨てて逃げるのです」 地上に降り立ったゆっくりは、珍種中の珍種、ゆっくり衣玖であった。 その特徴的な飾りをつけた帽子を被るゆっくり衣玖は、どこかからゆっくり達に起こる災害を知り、地上のゆっくりたちにそれを知らせるのである。 あくまで、ゆっくり衣玖が発する警告はゆっくり達のためである。 しかし、ゆっくり達はゆっくり衣玖の言葉の意味がわからずに、呆然としている。 それはそうだろう。 折角楽園に住んでいるのに、そこを捨ててどこかに行けなどと受け入れられるはずがない。 「ここは霊夢達のゆっくりポイントだよ」 そう主張するゆっくり。 「むきゅー、むきゅー」 「わからないよ、わからないよー」 口々に文句を言うゆっくり達。 それでもゆっくり衣玖は 「ここを離れるのです。大変なことが起こるのです」 と要領の得ない事を繰り返すのみである。 しばらくの間、ゆっくり霊夢達とゆっくり衣玖の間で押し問答が続く。 そして、一頭のゆっくり魔理沙が大声で言った。 「そいつは、魔理沙達のゆっくりポイントを横取りする気だー」 その言葉に他のゆっくり達も呼応する。 「そうだー、そうだー」 ゆっくり達が気色ばんでくる。 「ゆっくりできないなら帰ってね」 「ちーんぽ!!ちーんぽ」 いつの間にか20頭程のゆっくり達がゆっくり衣玖を取り囲んでいる。 「ここは危険なので、およよっ!!」 一頭のゆっくり魔理沙がゆっくり衣玖に体当たりをした。 突然体当たりを食らったゆっくり衣玖がはじき出される。 「およよーー」 コロコロ転がっていったゆっくり衣玖に 「ゆっくりしんでね」 ゆっくり霊夢が体当たりする。 「ゆっくりしんでね」 「ちーんぽ」 ゆっくり衣玖を輪になって弾きあう。 はじかるれるたびにゆっくり衣玖は 「おっおっおよよー」 と悲鳴を上げるのである。 ゆっくりリンチがある程度続き、綺麗だった帽子と飾りが泥まみれ、ゆっくり衣玖もあざだらけになった。 突然、頭に桃をつけたゆっくり天子がゆっくり衣玖に圧し掛かった。 「およー」 ゆっくり天子の重みにゆっくり衣玖が悲痛な声をあげる。 「この天人属性の私を怒らせるとは……どうなるかわかってるのか」 ゆっくり天子が威圧する。 「いいぞーやっちゃえー」 「ゆっくりできない、ゆっくりはしんでね」 野次を飛ばす他のゆっくり達。 もう、ゆっくり衣玖は涙目だった。 「お前は苦しむ、そうだ、このま……うっあ!!」 突然、晴れていたはずなのに、雷がゆっくり天子に落ちる。 野次を飛ばしていたゆっくり達も混乱し、空を見たり、キョロキョロとしたりと俄に混乱しだした。 少し黒こげたゆっくり天子がうめき声をあげる。 「お前らにこの天人属性の痛みがわか、うぼぉ!!」 再び雷鳴。 人間ならば致命傷を追うことはないが、ゆっくり達には致命傷である。 ゆっくり天子が黒焦げになる。 もう、声を上げなかった。 「いやぁぁっぁ」 その様子にゆっくり達の悲鳴が上がった。 「とらぼるた!!」 ゆっくり衣玖が叫ぶとゆっくりみょんの塊に雷鳴が落ちた。 「ちんぼーーーーーー」 炸裂する稲妻にゆっくりみょんたちがはじけ飛ぶ。 ある者はその場で感電死し、ある者は宙高く弾け飛んだ後に地面に叩きつけられる。 「いやぁぁぁあ、ゆっぐりじだいよぉーー」 逃げ惑うゆっくり達。 それを他所にゆっくり衣玖は笑顔を作る。 「灸を据えねばならないのです」 そういうと大きく息を吸った。 ちりぢりになって逃げるゆっくり達。 「ゆっくりふぃーばーしていってね」 ゆっくり衣玖の叫びと共に辺りに雷鳴が轟く。 凄まじい轟音と共に吹っ飛ぶゆっくり達。 「ゆっーーーー」 「ゆっぐりぃ、ゆ」 「むぎゅ」 辺りに広がる香ばしい香り。 声を出す間もなく吹っ飛ばされるゆっくり達。 「ゆっくりふぃーばーしていってね」 ゆっくり衣玖の号令と共に地獄絵図はその悲惨さを増していく。 「ゆー、ゆー」 騒ぎを聞きつけた母ゆっくり達も雷が広がっているために近づくことが出来ず、ただ子供達が吹き飛ばされていくのを見ているのみである。 そのときである、雷鳴轟く平原へ一頭のゆっくり霊夢が突進していった。 「ゆっくり助けるね」 奇跡的にその母ゆっくり霊夢は雷を避け動けなくなっている我子の元へとたどり着いた。 「おがぁあざぁあああん、ごわかったよー」 涙で顔中濡らしながら母に駆け寄るゆっくり霊夢。 「ゆっ」 それを受け止める母。 周りを見回すと本当に凄惨な状況になっていた。 黒こげでピクリとも動かないゆっくりパチュリー。 雷鳴の直撃を回避したものの、電流にやられ、痙攣しているゆっくりちぇん。 惨状に目を背け我子を口に加え、撤退しようとしたそのとき 「とらぼるたーーーー」 ゆっくり衣玖の叫び声がしたと思うとピンポイントで狙いを定められた稲妻が親子を直撃した。 「ゆーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」 断末魔の声をあげる母ゆっくり霊夢。 てっぺんから弾ける母ゆっくり霊夢。 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁあl」 小ゆっくりも流れてきた電流で絶命した。 あとに残るは煙を上げる焼き饅頭。 永遠とも思える時間続いたそれは突然終わった。 「ふぅ、わかりましたか。大きな災害が来るのです。早く逃げるのです」 満足げな顔をすると気が済んだのかゆっくり衣玖はひらひらと飾りを棚引かせて雲に吸い込まれていった。 後に残ったのはまだ燻っている草達と、甘ったるい香りを発する、黒こげとなった無数のゆっくりだった物たち。 母子ともども黒焦げにされたゆっくり、もう動かない友を揺さぶるゆっくり、正に地獄絵図だった。 五日後 まだ、平原のあちらこちらに焦げ後は残っているものの、ゆっくり達はその逞しい繁殖力からすでにその個体数を回復させていた。 再び、広がるゆっくりの楽園。 仲の良い、ゆっくり霊夢の大家族が遊んでいる。 跳ねたり、転がったり、虫を捕まえたりと楽しそうだった。 そのとき、幼いゆっくりが見慣れない虫を見つけた。 それはバッタのようようであった。 舌を伸ばし口に入れる。 「むーしゃ、むーしゃ」 幸せそうな顔で咀嚼した。 「ひどいなこりゃ」 慧音は里から少し離れた平原でため息をついた。 平原、いや平原だった場所。 イナゴの大発生により、その場所は草一本残っていなかった。 なんとか里は慧音たち里人が一丸となり、被害を最小限に納めたが、幻想郷内でこのように壊滅的な打撃を受けたところは少なくない。 「まぁ、ゆっくり達も全滅したみたいだし、よしとするか」 500頭も居たゆっくり達はイナゴの大発生により全滅していた。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1297.html
慧音先生とゆっくり。 上白沢慧音は里で寺子屋の教師をしている。 まだ、幼い子供達に文字を教えたり、計算を教えたりしていた。 そんな彼女のもとに、ある子供がゆっくりを連れてきた。 ゆっくりとは生首のような生物で、ぴょんぴょん跳ねたりして移動する。 足という部分もあるらしいが、詳しい事はよく分かっていない。 中身が餡子なだけに、美食家達からも重宝されている。 しかし、ゆっくり達にはある欠点がある。 それは恐ろしいまでの知能の低さだ。 なぜか頭に付いている帽子を外すと、仲間と認識できなくなり攻撃する。 さらに、自分の妻が産んだ子供を自分が生き残るために殺したりする。 これは動物界では珍しい事ではないと言われるかもしれないが、なにせこいつら、言葉を話すのだ。 簡単な言葉ばかりで、難しい話をすると頭を傾げるが、大抵の事は理解する。 このゆっくりの中の種類にゆっくりまりさというものがいるが、そいつが典型的な裏切り者だった。 逆にいえば悪知恵が働くと言うが、時々人間らしさを見せるゆっくりが子供を見捨てたり、理不尽な事を言って仲間のゆっくりを攻撃しているのを見れば、並大抵の人間は怒りを覚えるだろう。 しかしこの慧音、ゆっくりと言う生物をあまり知らない。 大抵里に行くときは授業のためだし、家に帰れば残った仕事をするので、あまり接する機会が無かった。 「これが、ゆっくりって奴か」 慧音は興味深そうにそれを見つめる。 子供が持っていたのはゆっくりれいむで、うまく育てれば普通の家庭でも育てられる。 他にいる、まりさ、ありすも育てようと思えば育てられるが、まりさは何をしでかすかわからないし、ありすは異常性欲と言う特性をもっているので、あまり飼おうとは思わない。 ゆっくりれみりあなど例外だ。 この他にもゆっくりはいるのだが、それは省略する。 「おねーさんこんにちわ! ゆっくりしていってね!」 れいむは慧音に向かって挨拶をする。 「ああ、こんにちわ」 慧音は優しく挨拶をする。 彼女は、最初ゆっくりは害獣だと聞かされていた。 畑をあらし、民家に侵入しては食い物を荒らす。 そしてあたかも自分の家としてふるまう。 やることだけなら山賊に近い生物だ。 (なんだ、ゆっくりって結構礼儀のある奴もいるんだな) 「慧音先生、ゆっくりっておもしろいんだよ!」 そう、生徒の一人が言う。 「ほう、何か芸でも覚えているのか?」 慧音が尋ねると、生徒の一人がれいむを机の上に置いた。 そして、いきなり指を目の上に突っ込むと、そのまま目玉をくりぬいた。 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 「お、おい! 何してるんだ!」 突然起きた生徒の行動に、慧音は叫ぶ。 だが、生徒は手馴れたようにもう一個の目玉をくりぬいた。 「ゆ゛っぐえ゛!」 目玉を両方失ったれいむの目が合った場所から、涙のように餡子が流れ出ている。 「はい慧音先生、目玉の部分はぷるぷるしてて中に餡子が詰まってて美味しいんだよ」 そう言って、生徒は固めを慧音に差し出した。 しかし、彼女は受け取らず生徒をしかりつけた。 「何してるんだ! 仮にも生き物だぞ!」 生徒は怒られた事にびっくりしていた。 まるで、なぜ怒られたんだと言うような目だ。 「で、でも……」 「でもじゃない! 生き物を大切にしない奴は私は大嫌いだ! 出て行け!」 慧音は怒鳴りつける。 生徒は、裏切られた気持ちで半べそを書きながら、目玉の無いれいむを連れて出て行った。 しかし、他の生徒から非難を浴びる。 「先生ひどいよ! あの子は先生においしいお菓子を食べさせようとしたんだよ!」 「そうだよ! 先生はゆっくりの事なにも知らないの?」 「うるさい、ゆっくりがどんな生き物だろうと私はああやって悪戯に命を奪う奴が大嫌いなんだ」 結局、慧音は怒ってその秘の授業を全部自習にした。 竹林を抜けて、慧音は家へ向かう。 「まったく……近頃の子供は命の尊さというものを知らないのか」 怒りながら進んでいくと、人並みくらいにでかい物体が竹林を抜けていた。 ゆっくりと進むそれは、巨大なゆっくりまりさだった。 「ゆ? おねーさんはゆっくりできるひと?」 その質問に、慧音は笑顔で返す。 「ああ、できるぞ」 「ゆゆ! じゃあおねーさんたべものちょうだいね!」 通常、妖怪おにいさんだったら攻撃するか策略を練っていたぶるだろう。 だが、相手はゆっくりを知らぬ慧音だ。 「ああ、腹が減ってたのか。 昼の残りならあるぞ」 そう言って食べ切れなかった握り飯を巨大まりさに与える。 すると、どこに隠れていたのか寺子屋で見たときと同じくらいの成体ゆっくりがわらわらと現れた。 「おかーさん! それちょうだいね!」 「まりさにはこどもがいるからさきにちょうだいね!」 握り飯を分けても足りないくらいに成体がいる。 そこで、慧音はある提案を出した。 「そうだ、私の家にくれば少しだけだがあげられるぞ」 「ゆっ!?」 その言葉にまりさは警戒心を強める。 まるでまたかとでも言うような感じだ。 「おねーさんはうそつきだね! そうやってまりさたちをいじめようとしてるんだね!」 「ち、違うっ。私はそんな事思ってない!」 慌てて慧音は言う。 そして思った。 (こいつらは人間達にいじめられてきたのか……かわいそうに) 「わかった、ここでその親と待っててくれ。私が持ってくれば文句無いだろう?」 「ゆっ……わかったよ、でもうそだったらおねーさんつぶすからね!」 巨大ゆっくりは警戒心剥き出しでそういった。 確かに、この質量のゆっくりにつぶされれば人間ならひとたまりも無いだろう。 「安心しろ、約束は守る」 そう言って、慧音は家に戻り自分の分を残したあまり物の野菜などをまりさ達に持っていった。 「ゆっゆっ! このおねーさんうそつきじゃなかったよ!」 「まって! やさいにどくがはいってるかもしれないからまりさがさきにたべるよ!」 巨大まりさは慎重に言う。 確かに、おにいさん達なら睡眠薬やら入ってただろう。 「だからそんなもの入ってないぞ」 困った風に慧音が笑う。 そして巨大まりさが食べ終えた。 「だいじょうぶだったよ! このおねーさんはいいひとだからみんなでごはんたべようね!」 その言葉を合図にまりさたちは一斉に野菜を取り囲んだ。 成体ゆっくりが野菜をくわえ、その後ろにいる子供にも分け与える。 そして他人の子にも分けていた。 どうやら群れで行動しているゆっくり達は団結力が強く、みな家族だと思っているようだ。 そういう触れ合いを見ていると、慧音も嬉しくなる。 どこまでも甘い人だ。 そこがいい所でもあるのだが。 「おねーさんありがとう!」 「「「「ありがとう!」」」」 「ああ、どういたしまして」 慧音は笑顔で去っていくまりさたちに手を振った。 ちなみに、この時彼女は里の襲撃を防いだということは後に分かる事である。 ■■■ しばらくして、慧音の家に一匹のまりさが来た。 なんでも、パーティをやるからおねーさんも食べ物を持ってきて一緒に来いとの事だった。 慧音は自分の分の食料しかなかったが、それを半分にして持っていくことにした。 ぴょんぴょん跳ねるゆっくりまりさ、慧音はその後をついていく。 しかし、山の近くである事件が起きた。 「う゛~♪ だ~べちゃ~うぞ~♪」 ゆっくりれみりあが襲い掛かってきたのだ。 れみりあ種はゆっくり達を食べる種類なのでまりさ達は恐れていた。 「おねーさんたすけてね!」 「あ、ああ……」 見た目は頭が以上にでかい子供なので、いささか抵抗があった。 しかし。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ま゛り゛ざのぼうじがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 丁度、ゆっくりれみりあがこけてまりさの後ろに倒れたときだった。 闇雲に振り回した腕が、ちょうどまりさの帽子を引き裂いたのだ。 「くそっ! この!」 軽く蹴飛ばして、ゆっくりれみりあを追い払う。 半べそをかいてざぐやざぐやと叫んでいた。 「大丈夫か?」 「ゆぅ……大丈夫だよ」 傷ついたまりさを抱えて慧音は山を登った。 巣に着いたらうんと楽しませてやろう。 この傷が少しでもいえるように。 そう慧音は思っていた。 「ここだよ! ここにまりさのおうちがあるんだよ!」 「そうか」 慧音は山の中にできた洞窟に入る。 元々ここら辺には山賊がいて最近妖怪に食われたと言う話を以前聞いたのでたぶんここがその砦だったのだろう。 ついた頃にはもう日が暮れていた。 「おかーさん! おねーさんを連れてきたよ!」 すると、中にいた成体ゆっくり達が一斉に帽子のないまりさを見る。 そして案の定非難の声を浴びせた。 「ゆ! ぼうしのないやつはまりさじゃないよ!」 「しらないゆっくりはゆっくりしんでね!」 その光景に慧音は困惑する。 「お、おい……これはお前達の仲間だぞ?」 「そんなぼうしのないまぬけなまりさはしらないよ!」 そういわれてぼうしのないまりさは泣き出す寸前だった。 その時。 「みんなばかだね! あれはまりさたちのまりさだよ! おかーさんにはわかるよ!」 洞窟の奥から巨大ゆっくりまりさが現れた。 そして帽子なしまりさは希望に満ちた顔をする。 「ありがとうおかーさん! きづいてくれたんだね!」 「みんながばかでごめんね! あとでぼうしつくってあげるからね!」 多少の違和感があるが誤解は解けたようなので慧音はほっとする。 しかし、その瞬間慧音の袋に入れた野菜がかすめとられた。 「!?」 「そしておねーさんもばかだね! みんな! あとでおねーさんのおうちにあんないするよ! ここよりとってもゆっくりできるよ!」 いきなり手のひらを返したように罵倒してきた帽子なしまりさに慧音は唖然とする。 「は?」 そうしている間に、慧音に数匹のゆっくりがタックルしてきた。 もう帽子なしまりさを仲間と認識したようで、いつもの団結力だった。 一匹だけならマッサージ程度にはなっていたが、数匹になると子供に突き飛ばされたくらいの痛みがあった。 「きゃっ」 慧音は地面にしりもちをつく。 そして馬鹿にしたように巨大まりさが舌を出した。 「おねーさんはほんとばかだね! あたらしいおうちをおしえてくれてありがとう! ゆっくりしね!」 巨大ゆっくりは転がって慧音の足をつぶす。 折れはしないものの、とても痛い。 「ぐっ!?」 さらに膝。 太もも、胴。 巨大まりさに体をつぶされていく。 (なんで……どうして、パーティをするんじゃなかったのか) 慧音は裏切られた気持ちになる。 そして、何とか動こうと頭を動かしたとき、月が目に入った。 「!!」 慧音の体から動物本能が目覚める。 上白沢慧音はハクタクと呼ばれる妖怪のハーフで、満月になると本来のハクタクの姿となるのだ。 「ぐが、おおおおおおおおおっ!!」 裏切られた怒りと悲しみとで、力任せに巨大まりさの体に腕をねじ込む。 「ゆぐっ!?」 通常のゆっくりより耐久力のある巨大まりさだが、妖怪の本気に勝てるわけが無い。 そのまま足を引き裂かれ、体の中に腕が侵入する。 「あ゛がががががががががが!!!! ゆ゛っぐり゛でぎだい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 そして侵入させた腕に力を込め、弾幕を発射した。 弾はまりさの餡子脳を突き破り、天井を削る。 しばらく弾を浴びせた跡、まりさは破裂して弾けとんだ。 「お゛がああざあああああああああああああん!!!」 「ゆ゛ううううううううううううう!!!」 成体ゆっくりが叫び声をあげる。 びちゃびちゃと雨のように降る餡子の中、慧音は月夜に照らされて手についた餡子を舐める。 その姿には、普段の生真面目さがない獣のような獰猛な姿であり、妖しく美しくもあった。 「ひぃいいいいいいっ!!」 一匹のまりさが恐怖にかられて洞窟から出ようとする。 だが、慧音に捕まり握りつぶされた。 「ゆびげぇ!」 目玉を飛び出し、歯を食いしばりながら死んでいくまりさを見て、慧音は楽しいと思った。 なぜ、こんな下衆のような奴等に餌を与えてしまったんだろう。 それだけが悔しかった。 「まりさはおいしくないよ! ほかのまりさをたべてね!」 そう言って子供のまりさを差し出す。 「ゅー! ゅー!」 小さなまりさは怯えている。 慧音は再び殺意を覚えた。 「子供を差し出してまで自分が助かりたいかぁっ!!」 拳を唸らせ、差し出したほうの成体まりさを潰す。 さらに、集団でタックルし、逃げる機会を作ろうとまりさが飛び掛る。 だが、慧音の手刀で横に薙ぐ。 すると、食らったまりさの横顔が歪み、皮が破れて餡子が飛び散る。 あとは怯えているまりさたちだけだった。 「……おまえら、もうだれも騙さないと誓えるか?」 「ぢがいまずううううううう!! おでがいでずううううううう!!!」 慧音はもう殺す気など起きなかった。 こんな下衆野郎は殺すに値しない。 だが。 「せいぜい暗闇の中、その私から盗んだ野菜で生き延びるがいい」 そう言って洞窟を出て指をパチンと鳴らす。 背後で爆発音がしたかと思うと、土砂がくずれて洞窟を塞いでしまった。 「はぁ……今日は妹紅の家に泊めて貰おう」 妙にむしゃくしゃした気分が晴れないまま、慧音は山を降りていった。 ■■■ それから。 「なぁ、君」 「は、はい……」 教室の中で先日叱った子供を呼んだ。 「その……すまない。酷い事言って……私が間違っていた」 両手を合わせて頭を下げる。 すると生徒は笑って許してくれた。 嬉しくなって慧音は生徒を抱きしめる。 なんとうらやまし、もとい感動的な光景だろうか。 しかし、代わりにゆっくりの目玉が食べたいと言った。 「よしまかせろ、先生の習性については最近よく知ったからな」 こうして、しばらくは課外授業として生徒達と慧音のゆっくり狩りは続いた。 そしてその中で、慧音は一生ゆっくりまりさの事を嫌いになったそうな。 あとがき 即興で書いたからって言い訳にしませんよ。 生徒、俺と代われ、その乳は私のものだ! このアホが作った作品。 霊夢の怒らせ方 ゆっくりデッドライジング1~3? 霊夢のバイト 作:神社バイト このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/853.html
かわいいゆっくりゲットだぜ!!3-中(脱出) 前作かわいいゆっくりゲットだぜ!!3-上の続き ゆっくりれみりあ(れみりゃ)の捕食種設定ありです。俺設定もありです ひどいあつかいのゆっくりと性格の悪いゆっくりや悪魔のような性格(?)のゆっくりがいます ゆっくりの出番は少ないです。私(主人公)の出番が多いです ゆっくりに対する暴力シーンと捕食シーンと戦闘シーンがあります。 店員さんの話は、他の方の作品・ゆっくりを飼うときに気をつけることを基にしています。パクリに見えたらすみません ゆっくりの値段は、ペットショップでゴールデンハムスター680円なので卸値を200円の俺設定です 個人的には、子供のれいむ・まりさ・みょん・ありす・1000~2500円、ちぇん5000円、ぱちぇ2万円、胴無しのれみりゃ2万円、 ふらん2万5千円、胴体付きなどの希少種時価が俺設定です。 (しつけ済みは2・3倍…犬のしつけが訓練所に3ヶ月預けて15万円だったので) しつけ前の赤ん坊や成体や飾りなし傷つきも1000円以下ぐらいかと考えています それでもよければどうぞよんでください では、駄文開始です。 「…じぇんじぇんわきゃらにゃいよー…」 やっと落ち着いてくれたのだろうか我が家のちぇんが騒ぎ疲れてらんのひざの上で眠っている 話は約1時間ほど前にさかのぼる 「じぇんじぇんわきゃらにゃいよー!! じぇんじぇんわきゃらにゃいよー!!」 「…お、お、おちつくてんこ!」 「むきゅー、おちついてちょうだい。ちぇん!」 「こぁ、ゆっくりおちついてください!」 「じぇんじぇんわきゃらにゃいにょー!! れみりゃはゆっくりできにゃいんだよー!! おいだしてよりゃんしゃま!!」 「てんこ…ごしゅじんがかいたいというからむりだ。てんこ…」 「むきゅ! れみぃはゆっくりできるわたしたちのじまんのこどもよ! こわくないわ!!」 「じぇんじぇんわきゃらにゃいよー!! れみりゃはちぇんのおきゃーしゃんちゃちをころしたんだよ!! ゆっくりできないよ!!」 「それはほかのれみりゃであってれみぃとちがうわ!!」 「れみりゃはぜんぶおなじだよ!! ゆっくりできるれみりゃなんきゃいないんだよ!! おいだしゃなきゃいけにゃいんだよ!!」 はあ、このれみりゃを拾ったのは間違いだったのだろうか。 家にれみりゃをつれて帰ると普段のんびりしているちぇんが混乱して大騒ぎを始めたのだ。 私は大切なことを忘れていた。 ちぇんは家族をれみりゃに食べられて1人になったときにらんに拾われたのだ。 ちぇんにしてみれば、親のかたきであるれみりゃが来れば大騒ぎをするのも当然だ。 小さい時のことだから覚えていないのかもしれないと思っていたが… しっかり覚えていたのか。れみりゃは処分をしなければまずいのかもしれない… 問題のれみりゃ本人はというと、育ての親に会えたうれしさとちぇんに責められる悲しみが混ざって混乱が全身を支配してしまい、 結局その場でだだっ子のように四肢をジタバタさせることしかできなかった。 その顔は、涙と鼻水らしきものでぐしゃぐしゃになっている。 「どぉーじでだどぉー! うぁーーん! さくやぁー! さくやぁーどこぉーー!? うっぐ、ひっぐ……どぉーじてだどぉー……れみぃ、わるいこじゃないんだどぉー……おまんじゅうはもうたべないんだどぉ!! まんまぁー!! れみぃは、いいこにするからまんまぁーたちといっしょにいたいんだどぉ!!」 「…!! わっきゃるよぉーー!! やぱっりれみりゃはゆっくりをたべんちゃうんだよ!! ゆっくりできないいんだよ!!」 この状況を打破するにはどうすればいいのだろうか私に答えを思いつかないでいた。 とりあえず、2匹を一緒の部屋にいてはいけない。 そう考えて、別々の部屋に分けて現在に至るという状況だ。 ちぇんとれみりゃは育ての親にあやされて泣きつかれたのか眠っている。 私はたたみの上に大の字に倒れ、2匹の育ての親の様子をみた。 ちぇんやれみりゃほどでではないが、2匹もどうすればいいか迷ってしまっているようだ。 「私の知り合いにゆっくりをペットとして扱っている店がある。そこにれみりゃを譲ろうと思うのだが?」 「てんこ! らんはそれがいちばんいいとおもうてんこ!」 「むきゅー…それじゃ、れみぃがかわいそうよ…」 「そこに君とこぁも引き取ってもらえるか、相談しようと思うんだ?」 「むきゅー…」 「君達、家族全員だったら仲良く暮らせるのではないかい?」 その言葉にぱちぇは悩むように、むきゅ、むきゅ、と独り言をはじめた 私の考えている方法は、もうひとつあった。 ぱちぇを追い出した問題のゆっくり達がいなくなったのだから巣に戻ればいいのではと考えてもいる あれ、何かを思い出しそうだ …問題のゆっくり…赤ゆっくり…大工の小屋…頼まれごと…わすれていた!!! しまった。取ってきてくれと頼まれた大工の道具箱を持ってくるの忘れていた。 それに小屋の鍵も開けっ放しだ。 赤ゆっくり達も本棚に閉じ込めたままだ。 あそこまで歩いて1時間半はかかる…仕方ないからあれを使うかな 「すまない。急用を思い出した。少し出かけるから二人は対策を考えておいてくれ」 れみりゃを念のために犬のゲージに入れて外から鍵を閉めると私は家の裏にある物置に向かった。 外の世界では折りたたみ自転車と呼ばれているものをだすと背中に野菜などを入れるかごを背負って、 林の中の小屋に向かって走り出した。 道の悪い土の道路とはいえ約30分ぐらいで小屋についた。 私は中に入ると急いで大工の箱を探し始めた。 畳の下の引き出しをあけてみると隠したのだろうか子ゆっくりの死体が何匹か落ちていた 大工箱は無事なようなので別の引き出しに入っていた、布で拭いておいた。 他に生きているゆっくりがいないかを探しながら死体は外に掘ってある穴に埋めていった 隠れていそうな場所を探し終えたので穴を埋めた。 本棚に閉じ込めたゆっくりたちはスヤスヤと眠っていたのでかごに起きないように入れていった。 大工箱とかごを自転車にくくりつけると私は人間の里に向かって自転車を押し始めた。 大工の若者に大工箱を渡して知り合いのゆっくり屋にいくつもりだ。 自転車を押しながら家に残してきたゆっくりたちのことを考えていた。 ちぇんとれみりゃのどちらか手放すならば、やはりれみりゃだよな。 ちぇんと住み始めてから3週間だが仕事をの疲れをどれだけ彼女に癒してもらったことだろうか ねずみのおもちゃに、じゃれつかして遊んでみた事 悩み事を相談して「にゅん、にゅん、わきゃるにょ!」といってもらった事 一緒に歌を歌って楽しんだ事 えーりん!えーりん!を一緒にした事 寝ている姿を見たり、膝に乗せるだけでだけ心が癒された事 睡眠をとるだけだった私の家が楽しくなったのはちぇんとらんのおかげだ。 ぱちぇには申し訳ないがれみりゃは手放すことにすると決心をした。 人間の里につくと夜になる直前だった。 大工の若者には、大工箱を渡して小屋に壊れた穴から動物が入って暴れたようだったので、 本棚を動かして穴を隠した事と散らかっているから明日にでも掃除にいったらどうかと伝えた。 餡子のシミに関しては、動物の糞とだけ伝えてごまかしておいた 珍しいのか自転車についていろいろ聞かれたが森の近くの店で購入したと伝えておいた。 お礼だと野菜を分けてくれたので後にとりに来ると頭を下げた。 大工の若者の家を出ると『ゆっくり屋』と書かれている店に入っていった 「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」 「ゆっくりを引き取ってもらいたいのですが?」 「種類は何でしょうか?」 「このかごの中を見ていただければわかると思います」 そういうと私はかごの中からプチトマトからからトマトぐらいのゆっくり達が数十匹を取り出していった れいむ種、まりさ種、みょん種、ありす種などのゆっくりだ。 「普通種が中心ですからまとめて1万円ぐらいでどうでしょうか?」 「いや、ただで結構です」 「いいえ、こちらも商売ですからお金は受け取ってください」 「でしたらゆっくりの相談をしたいのですがよろしいでしょうか?」 「構いませんが、どういった内容でしょうか?」 私は彼に経緯を相談した。 先週、この店を出た後にぱちゅりーとこぁの家族をひろった事 今日、75センチぐらいの胴体付きれみりゃをひろった事 もともと飼っていたちぇんと喧嘩してしまった事 理由はちぇんの家族がれみりゃに襲われて亡くなってしまった事 店員はうんうんとうなずきながら私の話を聞いてくれた。 「多頭飼いをする場合は、なるべく相性がいい種族同士で組み合わせてやる事が重要ですよ」 「どういうことですか?」 「元になった英雄同士の相性が影響します。例えば、らんや、ちぇん、或いはまりさとれいむ、 などの組み合わせは相性がよく、非常に『ゆっくりできる』組み合わせなのです」 「なるほど」 「逆に捕食種と通常種は一緒の環境で飼育する事は、お互いの為にならないので止めておくべきです。 要は『ゆっくりできない』為に飼い主にもゆっくり同士にもストレスが蓄積するからです」 「猫と犬、猫とハムスター、の組み合わせという事ですか?」 「その通りです。表面上は仲がよくても内心では『いつ、襲われるのか』『いつ、襲ってしまうか』と考えてしまうのです」 「ぱちゅりー種とれみりゃ種が住んでいたのはどうしてですか?」 「それは元になった英雄が一緒に住んでいるからではないでしょうか?」 「そうですか…話は変わりますがれみりゃ種の胴体付きを引き取っていただけないでしょうか?」 「胴体付きですから1万円でどうでしょうか? らんもつけてくれれば10万で」 この人はお金でものを考えなければとてもいい人なのにな… ペットショップもそうだし仕事だから仕方ないか 「代金は結構なので…今度の給料日にでもゆっくりハウスを買うのでその時にでもまけてください」 「わかりました。では、れみりゃを連れてきて頂けるのを楽しみにしていますよ」 諮問等をし続けても仕方ないので赤ゆっくりの代金はもらうことにした。 私は赤ゆっくりの代金1万円を受け取るとかごを背負って大工の若者の家によっていった。 野菜を入れようとした時にまりさ種の赤ゆっくりが残っているのでどうしたものかと悩んでいると大工の若者が譲って欲しいというのであげた。 れみりゃのことをどうやって切り出せばいいのかと思いながら家に帰ると大騒ぎが起きていた。 てんこ! ちぇんいなくなったてんこ。 とか。 ちぇん、おいしごはんですよ~でてきてくださいー。 とか。 むきゅ! ゆっくりしないででてくるのよ! とか言っている声を聞こえてきた。 おい待てよ!ちぇんがいなくなったってどういうことだよ!! 俺は急いで家の中にはいるとゆっくり達に事情を説明させた。 一方、その頃のちぇん 「…じぇんじぇんわきゃらにゃいよー…」 最近幻想卿で見られるようになった生きたまんじゅう、ソフトボールぐらいぼいゆっくりが里のハズレをとぼとぼと歩いている。 緑色の帽子とネコミミと茶色の髪の毛と2本の尻尾が生えたゆっくり、ゆっくりちぇんだ。 彼女は自分の親を殺した捕食種のゆっくり、ゆっくりれみりあ(れみりゃ)と暮らすのが嫌で家を飛び出してきたのだ。 だが、彼女に頼る相手もおらず本能のままにさ迷う様に歩いていた。 気がつくと彼女は、川のほとりの土手を歩いていた。 そこには木を十字に立てられている彼女の家族が眠っている場所があるのだ。 「…じぇんじぇんわきゃらにゃいよー…りゃんしゃま…おにいさん…ぱちぇ…おきゃーしゃん」 彼女には本当にわからなかったのだ。 ちぇんは昔を思い出していた。 この土手には、少しだけ土が盛り上がり、落ち葉でうまく偽装してある巣があった。 そこでの自分を大切に育ててくれた両親、可愛がってくれた姉、ゆっくりと幸せに暮らしていた日々 そんな冬のある日だった。 どこかで飼われていたのか野生なのかわからないがあいつが来たのだ。 そのれみりゃは、冬の冬眠時期だというのにエサを探していた。 川の土手におかしな点を見つけた。少しだけ土が盛り上がり、落ち葉でうまく偽装してある巣があった。 ただ、うまく偽装できているものの、冬の時期に葉が大量に落ちているのは不自然であった。 近くにも似たような状態の巣があったが特におかしな点がなかったので気付かなかった れみりゃは手を使い簡単に偽装素材をどかし、数秒のうちに巣穴がぽっかり口をあけた。 「う~♪ あまあまのすをみつけたどぉ~♪ 」 巣の入り口から中を見渡すと眠ったままのゆっくりが3匹もいた 「う~♪ でなーのじかんだどぉ~♪ 」 れみりゃの目前には3匹のゆっくりが笑顔で眠っていた。 食べやすく味も手ごろな大きさのゆっくりを見てれみりゃはニコニコと、えがおを浮かべている。 れみりゃは上半身を巣穴に突っ込んだ。人間のようなふくよかな手それに捕まって母親は巣の中ら取り出されてしまった。 「がお~♪ たべちゃうんだどぉ~♪ 」 「…いたいんだよー…たべないんでほしんだよ!!」 「う~♪ あまあま~☆ ちょこあじなんだどぉ~☆」 「わがらないよー! もっどゆっぐりじだよお゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!だずけでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!」 母ちぇんの悲鳴を聞き、家族の意識はようやくはっきりとした。 「わかるよー!! れみりゃがきたんだよ!! ちぇんがおとりになるからこどもはにげるんだよ!!」 「わきゃらにゃいよ! おとーしゃんはどうなるの!!」 「もっと あまあまいただくんだどぉ~☆」 そんな中でもちぇんは枯葉の下でぶるぶる震えていた。 それが幸いしてれみりゃに気付かれなかったのは幸運だったのだろうか その間にも、父親、姉の悲鳴と断末魔が聞こえてくる。 「わがらないよー!・・・ゆっくり・・・したかったん・・・だよ。」 死ぬ間際にゆっくりすることを望みながら、姉ちぇんは死んでいった。 「おいしかったんだ・・・。」 トントン と肩をたたかれる感触にれみりゃは後を不機嫌そうに後ろを向いた時 「う~!いったいだれだ・・・。」 「ゆっくりできない。れみりゃはゆっくりしね! てんこ!」 ボスッ! 後ろへ振り向いたれみりゃの顔には先の尖った木の棒が突き抜けていた。 「うっぐ、ひっぐ!うぁ~!いたいんだどぉ ぉ !」 始めは大泣きしていたれみりゃであったが、危害を与えた主の姿を見てれみりゃは余裕の笑いをした 相手は、胴体付きとはいえまんじゅうだ。自分が負けるはずがないのだ。 その相手、ゆっくりらんも同じことを考えていた。 素早い胴体無しならともかく胴体つきで木が貫通した状況ならば自分にでも勝算は充分にあるはずだと。 「てんこ! てんこ!」 余裕の笑みをうかべていたたれみりゃにらんは容赦なく攻撃を繰り出す。 顔に突き刺さった棒に集中して攻撃するだけでれみりゃに激痛が走り続けた。 「うあぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !やめるんだどぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !」 れみりゃは痛みに怯え、らんの攻撃を一方的に受けることしかできなかった。 「うっぐ、ひっぐ! おぼえているんだどぉー!!」 そういうとれみりゃは川のほうにパタパタと飛んで逃げていった。 らんは後は追いかけずにゆっくりの巣の中に顔を突っ込むと 「ゆっくりしていってね!! だれかいないかてんこ!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 「ゆっきゅりしていっちぇねぇ!! 穴の中から1匹、自分の後ろから2匹のゆっくりの声が聞こえた。 うしろにはれいむ種とまりさ種のゆっくり、中からはチョコレートまん程度のゆっくりちぇんがでてきた。 「りゃんしゃまーー!! おとーしゃんちゃちわ!?」 「てんこ…」 「「…」」 大人のゆっくり3匹はどう説明すればいいのか困っていた。意を決してれいむがはなしかけた。 「ゆっくりりかいしてね! ちぇんのかぞくはてんごくにいったんだよ!」 「じぇんじぇんわきゃらにゃいよー! ちぇんはおきゃーしゃんちゃちといたいんだよ!」 「よくきくてんこ! ちぇんがしあわにせないならないと、ちぇんのかぞくはしあわせになれないてんこ!」 「…わきゃたにょ! りゃんしゃま、ちぇんぎゃんびゃっちぇいきるよ!」 「てんこ、らんはもりのなかにあるゆっくりぷれいすをめざしているてんこ!」 「にゅん、にゅん、わきゃるにょ! ちぇんもいっしょにいきゅよ!」 二人は家族の死体を埋めると特に見える森の中にあるというゆっくりプレイスを求めて旅に出たのだ。 途中にゆっくりできる場所(犬小屋)を見つけたのでそこで休むことにした。 そして、今の飼い主のお兄さんに拾われたのだ。 れみりゃさえ来なければ自分が家を出ることもなかった…家族を失うこともなかったのに… 何で自分がこんな目にあうのだろうかとちぇんは悩んでいた。 その様子をみている影が月に映し出されているのをちぇんはしらなかった 下かわいいゆっくりゲットだぜ!!3-下へ続く 【あとがき】 作者名無しです。 文章がまとまらず書くのが遅くて困っています 次もかわいいゆっくりゲットだぜ!! 書いたもの かわいいゆっくりゲットだぜ!! 1・2・3 外伝1 監禁した上で売るって・・・。何という鬼畜 -- 菜 (2009-02-27 06 37 04) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3112.html
(編注:3ファイルのものをスレッド内で示された作者の意向により統合) 1. 「ゆ〜♪ゆ〜♪」 ゆっくりまりさは、上機嫌に餌を狩っていた。 愛する妻・ゆっくりれいむの為に。 昨日、ゆっくりまりさの告白によって夫婦となったのだ。 愛する妻は、巣作り中だ。 「ゆ!ただいまだぜ、れいむ!!」 「ゆゆ!おかえり!!れいむたちのおうちができたよ!!」 「ごはんをたくさんとってきたんだぜ!!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 会話がちぐはぐな気がするが、スルーしておこう。 ゆっくり夫婦は、楽しく笑い合っていた。 そして、この夫婦の幸せを壊そうとしている者がいた。 「うっはw滅茶苦茶楽しそうw虐待してーw」 口調の最後にwをつけるほど、ニヤけている男。 そう、彼はゆっくり虐待が趣味の男なのだ。 「やるか」 男はそう言い、たった今完成したゆっくり夫婦の巣へと向かった。 「ねぇ、君達」 「ゆゆ!れいむはなれるんだぜ!!にんげんはあぶないんだぜ!」 「大丈夫、僕は何もしないよ。」 嘘だ。何もしないで普通巣に来るやつなんかいない。 だが、夫婦は簡単に騙された。 「ゆゆ!おじさんゆっくりできるひと?」 「うん。ほら、おかしあげるよ」 そう言って、巣の入り口にお菓子を置いてやった。 「ありがとうだぜ!もっともってくるんだぜ!!」 「ゆっくりもってきてね!!」 「うーん。僕の家にならあるよ? 広いし、ゆっくりできるからおいでよ!」 「ゆゆ!いこうよ、まりさ!」 「ちょっとこわいけど、おかしをくれるんならいくんだぜ!!」 「じゃあ行こうか」 (ククク、準備完了かな?) そう言って俺は、ゆっくり夫婦を腕に抱え自宅に向かった。 俺は自宅に着いた途端、ゆっくり夫婦を虐待専用部屋に放り投げた。 二匹は勢いよく飛び、床で顔全体を擦ってしまった。 「ゆゆ!いたいよおじさん!」 「あやまるんだぜ!あとおかs・・・」 バタン 俺は、虐待専用部屋のドアを閉めた。 防音加工の部屋なので、耳に入っていたゆっくりまりさの声も途切れた。 「うははははは、準備完了だ!!」 俺は作戦成功を喜んだ。 そして、虐待専用部屋のコントロールルームへ向かった。 エアコン温度の調節、スピーカーから音を出したり、証明のオン・オフなど すべての操作ができる部屋だ。 俺は、困惑しているゆっくり夫婦へスピーカー越しに話しかけた 『やぁ、元気かい?』 「ゆゆ!お兄さんどこにいるんだぜ?!」 「ゆっくりしないであやまってね!!」 『おお、恐い恐い(笑) これから君達には地獄を味わってもらうよ。』 「なにいってるんだぜ!!」 『ま、明日から始まるからゆっくり休んでね。』 そう言って俺は、「ホラー」と書かれたスイッチを押した。 虐待専用部屋の照明が突然消えた。 「ゆ!くらくてみえないよ!!」 「れいむ!どこにいるんだぜ!?」 『キャアアアアアアアアアアアアアアアアアア』 「「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆ!?!?!?!?」」 突然何処からか聞こえた女性の悲鳴に、ゆっくり夫婦は驚いた。 『ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア』 今度は、虐待専用部屋の壁にグロ画像(ホラー系の。)が映しだされ 男の悲鳴が聞こえるのだ。 「ゆゆ!こわいよ!まりさたすけて!!」 「おれもこわいんだぜ!!」 そう。男が押したスイッチは、ホラーで精神を痛めつける仕掛けを発動するスイッチだったのだ。 仕掛けは単純。女性や男性の悲鳴が様々な方向から聞こえ、 そして壁全体に、さまざまなグロ画像(ドッキリ系の画像、同族ゆっくりの殺された画像など。)が映るのだ。 これは、普通の人間でも精神が病んだり痛んだりしまうであろう。 ゆっくりにとっては、人間よりも苦痛だろう。 「「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」」 二匹とも、泣きながら絶望に浸るしかない。 「ゆゆゆゆゆっ、ゆっくりさせてね!!!」 「ゆっくりしていってね?!?!?!?!?!?」 壁に映るグロ画像に向かって、ゆっくりしていってね、と呼びかける。 機械に話しかけても無理だ。 「あ”あ”あ”あ”あ”、ゆ”っぐり”ざぜでえ”え”え”え”え”」 「ゆ”う”う”う”う”う”う”う”う”う”」 しばらく経ってから、音と画像の嵐が去ったかに見えた。 照明も付いて最初と同じ状態だ。 ゆっくり夫婦も、嵐が去ったことに気づき お互いに心配をしあった。 「………… ゆ・・・?まりさ!!こわかったよ!! だいじょうぶだった?」 「………… だいじょうぶだぜ!!れいむは?」 「れいむはだいじょうぶだよ!!」 「くそじじいはさっさとしね!!」 「ゆっくりしないであやまってね!!」 どうやら、俺からの謝罪を求めているようだ。 四方八方へ謝罪しろ、死ね、と叫んでいる。 あー、その部屋のどっかに俺がいると思ってるのか。はずれ。 俺は、ゆっくりのコールがウザったく思ったので 催眠ガスを撒いてやった。 「ゆぅ・・・、なんだかねむくなってきたよ・・・!」 「おれはねるんだぜ・・・」 「「ゆっくりねてね」」 Zzzz...Zzzz.... これから、この夫婦の愛が壊れるとは ゆっくり二匹は知らなかった。 2. 二匹は眠りについてしまった。 よぅし、と俺は思い次の作戦へと移った。 二匹は、数時間後、深い眠りから覚めた。 今が朝なのか、それとも夜なのか、 この部屋に窓が無い為、それがわからない。 「ゆ!まりさおはよう!」 「おはようだぜ!」 二匹は顔を向かい合って寝ていたため、 部屋の変化が分らない。 ゆっくりれいむが、周囲を見渡すと地獄が広がっていた。 「ゆ”う”う”う”う”う” な”ん”でい”る”の”お”お”お”お”」 「どっがい”ぐん”だぜ!!」 そう、ゆっくり夫婦の周りには 数十匹のれみりゃがいたのだ。 「うー♪たべちゃうどー♪」 同族の仲間がいるためか、れみりゃ達はご機嫌だった。 「うー♪」 一匹のれみりゃが、ゆっくりれいむへと手を伸ばした。 「ゆ”う”う”う”う”う”う”う” ゆ”っ”ぐり”ざぜでえ”え”え”え”え” ゆ?」 「う”ー!なんでれみりゃたべられないのー!」 れみりゃがもう一度手を伸ばしたが、れいむがつかめない。 何故なら、ゆっくり夫婦が寝ている隙に男が 「ビックサイズ・透明な箱」にれいむとまりさをいれたのだ。 透明なため、その場所にいるかに見えたが、 実際には箱の中である。 「ゆ・・・?れみりゃはばかなんだぜ!!」 「そこでゆっくりおびえてね!!」 昨日のホラーをれいむが覚えていたのか、 ざまあみろと、勝ち誇ったように言う。 お前だって同じ部屋にいるんだから、ホラーを味わうことになるんだぞ。 まぁいい、と俺は思い、エアコンの温度を上昇させた。 今は夏であり、エアコンをかけなければとても暑い。 なおかつ、虐待専用部屋は窓が無い為、換気をしたり出来ない。 結論、虐待専用部屋はとても暑い。 「ゆ!なんだかあついよ!」 「れみりゃあづい”い”い”い”い”」 「ゆっくりしないですずしくしてね!おにいさん!」 ゆっくりまりさは、媚を売るように発言した。 この野郎。さっきまではくそじじいとか言いやがって。 おいおいおじさんはないだろ、これでもまだ二十歳なんだぜ? 数分経つと、れみりゃ達は一か所に集まった。 集まると余計暑いのに。 「れ”み”り”ゃ”・・あ”づい”の”い”や”ぁ”・・・」 「う”ー」 れみりゃたちも熱で滅入ってるのか 呻きながら喋っている。 中には、倒れている奴もいる。 室内の温度は、42度。 冬場に入るとちょうどいいお風呂の温度ぐらいだ。 だが、ゆっくり達には耐えられない。 だんだん、体が乾いてくるのだ。 「ゆ”・・・れ”い”む”の”か”ら”だがあ”・・・」 「ま”り”さ”も”だぜ・・・」 ふはははは、と思い、最後の仕上げをすることにした。 今さっきまで、ゆっくり夫婦を囲んでいた透明な箱を外すことにした。 俺は室内に入りたくないので、機械が自動的に取ってくれる。 「ゆ”!な”ん”がどれ”だよ”!!」 「う”・・・!う”ぅ”・・・・・」 れみりゃは、れいむ達を食べようとしたが いつもの狩りを実行するほどの元気がない。 室内のゆっくり達が、暑さでぐったりとしていた。 俺は、放水スイッチを押した。 なんと、天井から水が降ってくるではないか。 「ゆ!おみずおいしいよ!」 「うー♪」 「れみ・りあ・うー♪」 「だけど、溶けそうなんだぜ!!」 突然の水に戸惑ったが、すぐさまゆっくり達は水を飲み始めた。 だが、体にも水がかかる為、体が解け始めた。 「ゆぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」 「れみりゃのぷりちーなからだがぁぁぁぁぁ」 ドロドロである。 アイスを砂漠に置いたみたいに、どろどろと溶けている。 そろそろか?と、思い俺は放水を止めた。 ゆっくり達は、元気を取り戻したものの、体がどろどろな為 さっきと同様、動けなくなってしまった。 とどめだ!と思い、俺は室内に入室した。 「ゆ!おにいさん!まりさをたすけてね!」 まりさは助かりたいのか、気持ち悪い笑みで助けを求めた。 そんな偽りの笑顔にだれがだまされるか。 どろどろのからだを粉砕しないようにデコピンをした。 「ゆ”ぅ”っ”!」 そして俺は、ゆっくり達全匹を中心に集めた。 れみりゃの一匹がゆっきりましたを食べようとしたから 羽をもぎ取ってやった。 「あ”あ”あ”あ”あ”あ” れ”み”り”ゃ”の”ぶり”ぢーな”お”ばね”があ”あ”あ”」 (れみりゃのぷりちーなおはねがあああ) ざまあみろ。 もぎ取った羽の根の部分を、羽なしれみりゃの目に突っ込んでやった。 「ぶり”ぢーな”お”め”め”があ”あ”あ”あ”」 うわすっげ。 俺は任天堂64のスティックを動かす様に、ぐりぐりと動かした。 「う”う”う”う”う”ざぐや”ー!!だずげでぇ”ぇ”ぇ”」 目的を忘れるところだった。 ゆっくり達の溶けた体を、もう一度、一か所に集め、 小麦粉を降り注いでやった。 体が解けているためか、小麦粉はスムーズに付着した。 全体が小麦粉で覆われると、オレンジジュースをかけてやった。 「じゃあな」 そう言い残し、おれは部屋を出た。 数時間後。 部屋を開けると、すごかった。 これまでいた数十匹のれみりゃと、ゆっくり夫婦が合体していたのだ。 塊魂で出てくる玉の様だった。 読者の方は、ゲームソフト「塊魂」をご存じだろうか? ご存じない方は、yahooやgoogleなどで調べてもらいたい。 「う”ー!う”ー!!」 一匹のれみりゃが、背中にくっついたゆっくりまりさを食べようとした。 だが、他のれみりゃの頬とくっついてしまい、腕を動かすことができない。 「う”ぅ”ぅ”ぅ”ぅ”ぅ”ぅ”」 今さっき、暑さのせいで倒れていたれみりゃは、ゆっくりの塊の玉の一番下にいた。 ちょうど、うつ伏せに寝ていたため、顔や体などに、ゆっくり全体の重さがかかっていた。 声も十分に出せず、呻いている。きもちわるい。 俺は、どうしよう・・・。と思い、食べてみることにした。 ゆっくりゃは、肉まん、ゆっくりれいむとゆっくりまりさは、餡子 二つの食材が合体しているのだ。 正直ミスマッチな気がする。 そう思い合体している、れみりゃの足の部分とゆっくりれいむの頬を食べてみることにした。 ちなみに、このゆっくりゃは今さっき目を潰したやつだ。 「ゆぎゅっ!」 「う”ー!いだいんだどぅぅぅぅ!!」 二匹にとっては苦痛だったのか、とても辛そうな顔をしていた。 食べてみると、ミスマッチだった。 れいむは、昨日のホラーと今日の虐待が原因で あんこが、とても甘くなっていた。 ゆっくりゃは、餌も食べられず目を潰され羽をもぎ取られた所為か 肉汁がしたたり、内部の肉がぎっしりしていて まるで高級ステーキを食べているようだった。 まずい。 俺の味覚ではそう感知していた。 だが、頬だけ。足だけ。の場合はとてもおいしかった。 他にも面白いことはないかな?と思い見渡してみると 俺は重大な事を発見した。 今さっき食べられそうだったゆっくりまりさの目の前にゆっくりゃの顔があるのだ。 いいことを思いついた! 3. いいことを思いついた! そう思った俺は、すかさず実行した。 「ゆっ?!くそじじい!!」 今さっきまで虐待されていた事を覚えていたのか ゆっくりまりさは怯えた。 俺はゆっくりまりさの両頬に、両手の両指を付けた。 「はなせ!!くそじじい!!ゆっくりしないでたすけろ!!」 ゆっくりまりさは、助かる為には仲間を見放したり 媚を売ったりするのだが、そんな事をしなかった。 珍しいな、と思いながら指で頬を啜ってやった。 「ゆ!ゆ!ゆ!ゆ!ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ」 発情し始めた。 続いて、れみりゃにも同じことをしてやる。 「うー!うー!すっきりさせるんだどぉぉぉぉぉぉ!!」 発情し始めた。 作戦成功。 案の定、ゆっくりまりさとゆっくりゃは交尾を始めた。 普通ではありえない。 だが、この状況では気が狂ってしまったのか お互いの性欲を解消すべく交尾をし始めた。 それを眺めながら、片方頬が千切れたゆっくりれいむに話しかける。 「おい。お前の夫、浮気してるぜ?」 「ゆ!そんなことないよ!! まりさはれいむのことだいじにしてるっていったもん!!」 「じゃああれを見てみろよ」 俺は、交尾し合ってる光景を見るようにれいむに言った。 「ゆ・・・」 れいむは黙ってしまった。 愛しの夫が、天敵であるれみりゃと交尾しているのだ。 しかも、妻の目の前で。 れいむは口を開けっ放しに交尾を見ていた。 交尾の光景を移す目は「ありえない」と言っている気がした。 ちょっとだけ、千切れた頬の部分から餡子をすくいだして食べてみた。 うん、さっきより甘い。こんなの毎日食ったら、体脂肪率が一気に上がりそうだ。 「「すっきりー!」」 二匹が交尾を終えた。 まりさの頭から、茎が出てきた。 まりさやれみりゃの、赤ちゃんが見える。 「おいみろよ。茎はやしてるぜ。しかもあいつ夫だろ」 「・・・」 れいむは、黙ってしまった。 あんなに仲良かったのに・・・。 一緒に遊んだのに・・・。 同じ餌を分け合って食べたのに・・・。 「ゆ・・・。こどもができたんだぜ・・・。」 「うー♪」 一方、まりさとれみりゃはご機嫌に話し合っていた。 天敵との会話、交尾、そして友好関係を築くこと どう考えてもありあえない。 「ゅ・・・ゅ・・・ゅゅゅぅぅぅぅぅぅ!!! まりさ!!どういうこと!!」 「ゆ!どうしたんだぜれいむ!?」 「あたまのうえになんであかちゃんがいるの!!」 「ゆ・・・これは・・・」 「うー♪れみりあとのこもどだどぅー♪」 「そうだぜ!」 「いっしょにくらそうっていったじゃない!!」 「・・・」 まりさは戸惑った。 れいむのことをすっかり忘れて、すっきりしてしまったのだ。 だが、まりさ種の悪い癖が出た。 「ゆ?・・・れいむだれ? まりさはしらないんだぜ!!」 「うー♪」 「そんな・・・」 れいむは唖然とした。口を開いたままだ。 俺はまた頬をほじくり、餡子をなめてみた。 おえぇ、と吐きそうなぐらい甘い。 ちょっとー。これお茶ないとくどいよー。 「わけわからないこというれいむはそこでゆっくりしぬんだぜ!!」 「ゆゆ!」 れいむは、精神をズタボロにされた為か 最後の言葉を発して失神してしまった。 またまた餡子を舐めてみると、これまで味わったことが無いぐらい甘かった。 すげえ! 「うー♪たべちゃうどー!」 れいむの隣にいたれみりゃが脅かすように言った。 だが、体が動かず食べることができない。 ああ、こいつもストレスたまってるんだろうなぁ。 しかし、れいむの反応はない。 俺は、よし。と思い、加工場へ持っていくことにした。 ここまで美味しいゆっくりはないだろう、と判断したからだ。 加工場にとっても、 新種のストレスを溜める方法、とても美味しいゆっくりと言う事で 大変うれしいだろう。 そう思い、俺はゆっくりの塊を蹴りながら加工場へ向かった。 サッカーの練習みたいだ。 ああ、これもストレスが溜ってるんだろうなぁ。 時折、塊が回転して塊の一番下にいたれみりゃの顔が見えた。 すごかった。 顔がつぶれてるし、発せられる声も潰れた「う”」ぐらいしか出ない。 これを渡したら、多額の金額が貰えそうだ!! あとがき ごめんなさい。ゆるして。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/493.html
ゆっくりチルノの一日 紅魔館の前に広がる巨大な湖。 正確な大きさすら分からぬその湖畔には妖精からゆっくりまで、様々な生物が生息している。 それは生態系ピラミッドの下層に位置するゆっくりにとっては天敵も多いという事実を示しているが、 それでもやはり豊富な水や食料と言うのは捨て難い魅力らしく、ゆっくり達は日々危険にさらされながらも ゆっくりとした生活を送っていた。 そんなゆっくり達のうちの一匹、水色の髪に薄い色の羽、 氷精を模したゆっくりであるゆっくりチルノは今朝も狭い巣穴の中で起床の一声を挙げた。 「おはよう!あたいってばゆっくりね!」 近くには誰もいないのだが、そんなことは気にせずに伸びをする。 「ん~~~っ!」 さて、さっそく朝食を取ってこよう そう思ったゆっくりチルノは草むらに穴を掘っただけの小さい巣穴から元気よく飛び出す。 実は昨晩のうちに明日の朝食にしようと思って巣穴に木の実をいくらか蓄えていたのだが、 そんなことはもう忘れてしまったらしい。 まぁしょうがないよね!⑨だもの! 夏の暑い日差しもこんな朝早くは厳しさを感じさせない。 だが晴れ渡った青空はその日も暑い一日となることを告げていた。 そんな日差しの射す湖畔をぴょんぴょんととび跳ねるゆっくりチルノ。 しかし空腹に悩まされているその体はあまり元気がない。 「う~~………あたいってば腹ぺこね……」 誰にともなく呟きながら餌を探すゆっくりチルノ。 そもそも燃費の悪いゆっくりにおいて昨晩から何も食べていないのだから元気がないのは当然であった。 しかしどれだけ探しても餌となりそうな虫も花もなかなか見つからず、段々とその足取りは重くなっていく。 実際は探し方が悪いだけでそこら中に食べられる物はあったのだが、 ゆっくりの中でも極めつけの餡子脳、ゆっ⑨りブレインではそんなことは分かるはずもなかった。 あたいってばここで死ぬのかしら、とゆっくりチルノ空腹で朦朧とした意識で考え始めていたその時、 急に足場を踏み外して湖の近くの池とう(小さい池みたいなもの)に突っ込んでしまった。 「1+1=11!!?」 意味不明な⑨ソウルを叫んでぷかぷかと池とうに浮かぶゆっくりチルノ。 早く上がらなきゃ、と僅かに残った意識が警鐘を鳴らすが最早そこから脱出する力は残されていなかった。 頭の中に走馬灯が流れ始める。 記憶力が無いので1秒で終わった。 「ゆっくりした結果が⑨だよ……!」 ⑨なこととゆっくりしていたことはあまり関係ないのだが、 それはともかくそんなつぶやきとともにゆっくりチルノの意識は闇に沈んだ。 「ゆっゆっゆ~♪ゆゆゆ~ゆ~♪ゆ~ゆゆ~♪」 何やら音痴な歌声が聞こえてきてゆっくりチルノは意識を取り戻した。 体は相変わらず池とうに突っ込んだままだが、先ほどと違って空腹は満たされ、体は元気に充ち溢れている。 「んっぷはっ!あたいってばゆっくりね!」 何で元気になったのかはよく分からないが、とにかく元気になって復活したのだ。 あたいってばひょっとして最強に運が良いのかもしれない。 と幸せ脳回路で考えたゆっくりチルノ元気いっぱいな叫び声とともに池とうから抜け出した。 実際は運が良いとか何か特別なことがあったとかいうわけではなく、 ただ単にゆっくりチルノの体が氷でできており、池とうにはまったことで体が勝手に水分を吸収して 回復しただけなのだが、そんな理屈は当の本人は知る由もなかった。 だって⑨だもの。 因みにゆっくりチルノの氷は微妙に糖分を含んでおり、溶かすと砂糖水になっておいしいらしい。 ここでなんで氷のくせに常温で溶けないんだとか、そもそも氷が動くわけないだろとか言う突っ込みは、 饅頭が生きている世界においては野暮である。 さて、池とうから上がったゆっくりチルノは音痴な歌声の方に向かって跳ねていく。 「あたいってばゆっくりね!」 向かった先には予想通りゆっくりがいた。 それも一匹ではなくゆっくりれいむの家族である。 ゆっくりチルノよりも二回りは大きな母れいむ一匹に4匹の小さい赤ちゃんで構成されたその家族は、 歌を歌いながらお散歩を楽しんでいる最中のようだ。 「「ゆ?ゆっくりしていってね!」」 ゆっくりチルノに気付いた一家がお決まりの挨拶をする。ゆっくりチルノもそれに応えて 「ゆっくりしていってね!れいむってばゆっくりね!」 と返す。 「ゆ?おねえさんゆっくりできるちと?」 赤ちゃんれいむの問いかけに 「あたいってばゆっくりね!一緒にゆっくりしようね!」 とゆっくりチルノが楽しそうに返す。 「「一緒にゆっくりしようね!」」 あっという間に仲良くなった一家とゆっくりチルノは一緒に遊び始めた。 「ゆー。それにしても暑いよ!ゆっくりできないよ!」 しばらく遊んだあと、体中から汗を流しながら母れいむがいった。 太陽は既に天頂近くまで上っており、夏の暑い日差しがぎらぎらと降り注ぐ。 先ほどまではキャッキャッと楽しそうに遊んでいた子れいむ達も今は暑さに疲れて ぺたんと地面にへたり込んでいた。 「あたいってば暑くてもゆっくりね!」 そんな中、氷でできたゆっくりチルノだけが元気にしていた。 「ゆ?おねえちゃんつべたい?」 ふと一匹の子れいむがゆっくりチルノから発せられる冷気に気づき、側に近づいて行く。 「ゆー!おねえちゃん涼しくて気持ちいいよ!ゆっくりできるよ!」 「ゆ?ほんと?」 「れいむも涼しくなりたい!」 「ゆっくりさせてね!」 一匹の子れいむの言葉を皮切りにして次々と他の子れいむたちもゆっくりチルノに近づいて行った。 「ゆ!ほんとだ!とっても涼しいよ!ゆっくりできるね!」 「おねえちゃんすごいよ!」 「ゆっくりさせてね!」 そう言いながら4匹の子れいむはゆっくりチルノを取り囲んでその冷気にあたり、ゆっくりし始める。 「あたいってばとってもゆっくりねっ!」 ゆっくりチルノもわけはわかってないがとにかく子れいむ達が自分を頼ってくれるのが嬉しいようだ。 一方母れいむは 「おかあさんも入れてね!おかあさんもゆっくりさせてねっ!」 とその周りをぴょんぴょん飛び跳ねている。 自分も冷気にあたって涼みたいようだ。 しかしすでに4匹の子れいむで囲まれたゆっくりチルノの周りに巨大な母れいむが入る余裕はなく、 何とか押し入ろうと子れいむ達をぐいぐい押し始めた。 「ゆゆっ!どいてね!おかあさんも入れさせてね!」 しかしそんな母の態度に子れいむたちから非難の声が上がる。 「ゆゆっ!おかあさん押さないでね!」 「そんなにされたらゆっくりできないよ!」 「おかあさんはあっちでゆっくりしててね!」 「ここにおかあさんのはいる場所はないよ!ゆっくりりかいしてね!」 「どうしてそんなこというのぉぉぉ!!?」 一家が危うく親子げんかに発展しかけた時、ひらひらと何処からか蝶が飛んできた。 「ゆ!ちょうちょさんだ!ゆっくりしていってね!」 さっきまで押し入ろうとしていたのも忘れて蝶を食べよう追いかける母れいむ。 「ゆっ!ゆっ!ゆっくりして言ってね!早く食べられてね!」 何とか飛び跳ねて捕まえようとするもうまくかわせれてなかなか捕まえることができない。 そんな母の様子を、子れいむ達はゆっくりチルノの近くで涼みながら見ていた。 「ちべたいねー」 「きもちいねー」 「あたい!」 と、母親に追い立てられた蝶がふらふらとゆっくりチルノの方に飛んでいき、その顔の中心に止まった。 蝶の方も暑かったのかもしれない。 しかし突然の事に驚いたチルノは対応できず 「ゆっゆっゆ……ゆっくし!」 とくしゃみをしてしまったのだ。 本人は自覚していないがくしゃみはゆっくりチルノ最強の武器である。 体の奥の冷たい冷気と水滴を同時に飛ばすことによって向いている方向の物を一瞬にして凍らせてしまう 破壊力を持つのだ。 その冷気はゆっくりレティやゆっくりもこーでも無ければ耐えることはできないだろう。 上手く活用すればあっという間にゆっくりチルノはゆっくりピラミッドの上位まで 上り詰める事が出来るかも知れない。 最も意図してくしゃみしたりなんて出来ないので意味ないんだけど。 さて、そんなわけでその行動は本人の意思にかかわらず相応の結果をもたらす。 すなわち、その時ゆっくりチルノの正面にいた子れいむの凍結という結果を。 「ゆっ!」 短い悲鳴を上げて驚愕の表情をして凍結した子れいむを見てその場にいた他のゆっくりたちの表情も凍りつく。 茫然としたゆっくり達が凍った子れいむを見つめる凍った時間の中で、 くしゃみに驚いた蝶だけが時間が動いているようにひらひらと飛んで行った。 数秒後、我にかえった母れいむが激昂してゆっくりチルノに掴みかかる。 「れっ、れいむの赤ちゃんになにするのおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!??」 その叫び声を受けて他のゆっくり達の時間も動き出す。 「ゆっ、こんなことするおねえちゃんとはゆっくりできないよ!」 「ゆっくりどっかにいってね!」 「ゆっくりしね!」 今まで涼ませてもらっていたことも忘れてゆっくりチルノを罵倒しながら母れいむの陰に逃げ込む子れいむ達。 一方激昂した母れいむはゆっくりチルノを責め続ける。 「赤ちゃんを元に戻してね!早く元に戻してね!今すぐ元に戻してね!直ちに元に戻してね! マッハで元に戻してね!元に戻せたら許してあげてもいいよ!」 「ゆ、ゆー……」 一方責められているゆっくりチルノ。 さすがに自分が悪いことは分かっているのか申し訳なさそうにしていて何も言い返さない。 だが、凍ってしまった子れいむをすぐに戻す方法など思いつかなかった。 「黙ってないで何か言ってね!早く溶かしてあげないと二度とゆっくりできなくなっちゃうよ! それでもいいの!?」 「ゆ……ゆ!?」 ーその時、ゆっくりチルノに電流走る―! 溶かす!そうだ、溶かせばいいのだ! ゆっくりチルノはそのゆっ⑨りブレインにも関わらず、水に沈んだゆっくり達がどうなるか知っていた。 そう、水に「溶ける」のだ。 ちょうど近くには大きな湖がある。そこに入ればすぐにでも「溶ける」だろう。 色々と間違っているがとにかくゆっくりチルノにとってこれは名案に思えた。 この子れいむを元に戻すことが出来ればまた一家と仲良くゆっくりできるに違いない。 あたいってば天才ね! さて、そうとなれば善は急げ。ゆっくりチルノは母れいむに言い放った。 「分かったよ!あたいがこの子を「溶かし」て元に戻して来るよ!あたいに任せてゆっくり待っててね!」 そう言うと凍った子れいむを口にくわえ、一目散に湖に向かって走って行った。 湖畔に辿り着いたゆっくりチルノは、さっそく湖に凍った子れいむを浮かばせた。 ここで勢いよく落として氷を砕いてしまうような真似はしない。 同じ過ちを犯さないなんてあたいってば天才ね! ……実際このゆっくりチルノにそんな経験はないのだが、多分平行世界の記憶でも流れ込んできたのだろう。 とにかく、これで子れいむは氷が溶けて元に戻るに違いない。 戻った時にはきもちよく「すっきりー!」という声を聞かせてくれることだろう。 そう、「すっきりー!」という声が聞ければいいのだ。 ゆっくりチルノはゆっ⑨りブレインにそう刻み込むと、凍った子れいむがその声を聞かせてくれるのを 今か今かと待ちわびた。 落とされた凍結子れいむはぷかぷかと浮かんだあと、はたしてゆっくりチルノの思惑通り融解しだす。 その様子を見て得意満面のゆっくりチルノ。 「やっぱりあたいってばゆっくりね!」 表面の氷が溶け、やがて子れいむ本体にも水温が伝わりその体が徐々に熱を取り戻し始める。 「…ゅ…さむいよ……ゆ…?」 ついに子れいむが意識を取り戻した。 無事子れいむが生き帰ったことに全身で喜びを表すゆっくりチルノ。 すぐに元気になって「すっきりー!」という声を聞かせてくれるに違いない。 しかし聞こえてきたのは予想と真逆の悲鳴だった。 「ゆ……ゆ!?い、い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!み゛ず!み゛ずがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 急に寒くなって意識を失い、意識を取り戻したらそこは地獄だった。 子れいむの経験を端的に表すとこうなる。 本能的に水の危険性を知っている子れいむは、何とか岸に上がろうともがくがもがけばもがくほどその体は 岸から離れていく。 「ゆ?れいむってば何してるの?遠くに行かないで早く戻ってきてね!」 予想と違った状況にゆっくりチルノは慌て始める。 どうしてだろう、子れいむを「溶かせ」ばいいはずなのに。 「お゛ね゛え゛ち゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛ん゛!!だずげでえ゛え゛え゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 ゆっくりチルノの姿を認めた子れいむは必死に助けを求め始めた。 しかしどんどん離れていく子れいむはもはやゆっくりチルノが届く範囲とはかけ離れた位置にいた。 「なんでえええええええ!?!?どおじでだずげでぐれないのおおおおおおおお!?!?」 幸運なことにゆっくりチルノは知っていた。 ゆっくりは水に「溶ける」ということを。 そして不幸なことにゆっくりチルノは知らなかった。 ………自分は水に入っても溶けないという事を。 「ゆ、ゆー。」 母れいむに責め立てらてた時のような困惑の声をあげるゆっくりチルノ。 助けにいこうとすれば自分が溶けてしまう。 何がいけなかったのだろう、自分は母れいむが言ったとおり子れいむを「溶かし」ただけなのに。 「ゆぅー!早くこっちに来てね!あたいが引き上げるよ!だから早くこっちに来てね!」 「ぞんな゛あああああああああああ!!!!だずげでよおおおおおおおおおお!!!」 ゆっくりチルノにできるのは応援の言葉を贈るだけだった。 やがて水を吸った子れいむの皮がぶよぶよと伸びはじめ、体内から餡子が漏れ始める。 その事に気づいた子れいむが涙と絶望と恐怖と後悔にまみれた悲鳴を上げた。 「いやだああああああああああああああああああああ!!!じにだくない!じにだくないよおおおおおおお!!! も゛っどゆっぐりじだいよおおおおおおおお!!まだゆっぐりじだいごとだぐざんあ゛っだのにいいいいいいい!! ぎょうはがぞぐみんなでどっでもゆっぐりずるはずだっだのにいいいいいいいい!!! まりざとあじだあぞぶやぐぞぐもじでるよおお!がまんじでどっでおいだりんごまだだべでないよおおおお!! ほがのおいじいものももっどもっどだべだいよおおおおお!!いつかどおぐまでおざんぽじだがっだよおお!! おうだももっどうまぐなりだがっだよおおおお!!ぶゆのゆぎもみだがっだよおおおおおお!! ぞれにいづがおがあざんになっでおがあざんとれいむどこどもだぢでゆっぐりしたがっだよおおおおおお!! それなのにどおじでれ゛いむ゛がごんなめ゛に゛あう゛どおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?!? なにもわるいごどじでないのでぃいいいいいい!!おがじいよおおおおおおおおおおおお!! ゆめならざめでええええええええええ!!どうじでざめないのおおおおおおおおおおおお!?!? がみざま!もうゆるじで!ゆっぐりじでないでれいむをだずげでよおおおおおおおお!!! おがーざん!おねーぢゃん!まりざ!だずげでええええええええええええええええええええ!! どおじでだずげでぐれないのおおおおおおおおお!?!?もうやだおうぢがえるううううううううううう!! ゆっぐりじだいいいいいいいいいいいいい!ゆっぐりざぜでええええええええええ!!! ごんなどごろでじにだぐないのにいいいいいぃぃ…ぃ……あ、あんごが……あ………ぁ…………」 胸の内の全てを吐露するようなうざくてクソ長い断末魔の後子れいむの声は聞こえなくなっていった。 やがで皮も餡子も全て水に溶け、残されたリボンだけが子れいむの生きた証であるかのように水面に ぷかぷか浮かんでいた。 「ゆっ……うっうっ……」 その一部始終を見届けていたゆっくりチルノは耐えられない悲しみに涙を流し始める。 涙なのか氷が溶けてるだけなのかハタから見ると良く分からないが本人は泣いているつもりである。 「うっうっ……うあああああああああああああああああああああああ!!!」 耐えきれずついに大声をあげてゆっくりチルノは泣き始める。 どうして、どうして。そう聞きたいのはゆっくりチルノの方だった。 自分は子れいむを助けるために湖に落としたのに。 何で子れいむは死んでしまったのだろう。 母れいむの言うとおり「溶か」そうとしただけなのに。 わからない。わからない。 ただ悲しかった。さっきまで一緒に遊んでいた子れいむが死んでしまった事が、ただ悲しかった。 「うえええええええええええええええええええええええええんんん!!!!!」 あたりにゆっくりチルノの悲壮な鳴き声が響き渡った。 そしてひとしきり泣いた後 ゆっくりチルノは泣いていた理由を忘れた。 精神の防衛本能なのかとにかくなぜ自分が泣いていたのかすっぱり忘れてしまった。 さすが⑨!俺達に出来ない事を(ry そしてその後に残ったのは思う存分泣いてすっきりしたという感覚のみ。 「すっきりー!」 思わず声に出して叫ぶゆっくりチルノ。 そういえばよく覚えていないが確か自分は「すっきりー!」という声を聞きたがっていた気がする。 素晴らしい。目的は達成されたのだ。 何となくうれしい気分になるゆっくりチルノ。 「あたいってばゆっくりね!」 と思わず叫ぶ。そして湖に背を向け、戻ろうとしたその時 「やっと見つけたよ!」 という声が響いた。驚いてそちらを見ると先ほどのゆっくりれいむ一家だった。 いきなり子れいむをくわえて走り去ったゆっくりチルノをずっと探しまわっていたのだろう。 母はともかく子供たちはやや疲れた表情をしている。 「れいむの赤ちゃんはどこ!?早くれいむに返してね!」 母れいむがゆっくりチルノの側に娘がいないのを見て急いで詰め寄る。 しかし当のゆっくりチルノは困惑の表情を浮かべるばかり。 何故ならこの一家のことも既にゆっ⑨りブレインからは消え去っていたからだ。 「おねーさんだれ?なにいってるのかわからないよ?」 正直に自分の気持ちを言ったゆっくりチルノだったがその言葉を聞いた母れいむは驚愕の表情を浮かべたあと、 体(顔?)中を怒りで真っ赤にしてゆっくりチルノに詰め寄った。 「な゛っ……ふざけるのもいい加減にしてね!今すぐ赤ちゃんを返してね!じゃないと本当に許さないよ!」 そう言ってゆっくりチルノに軽く体当たりをする。 「ゆっ!?なに!?」 突然ことに後ろに転げるゆっくりチルノ。それを視線で追った母れいむはその先に信じられないものを見た。 湖に浮かぶ子れいむのリボンである。 「あ、あ、あ、あ……」 信じられない、といった表情で母れいむが体を震わせる。そして次の瞬間感情が爆発した。 「れいむの赤ちゃんに何したのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?」 ようやく体勢を立て直したゆっくりチルノにゆっくりとは思えぬ勢いで体当たりする母れいむ。 しかも今度は手加減抜きの全力である。 「れいむの赤ちゃんをどうしたの!?今すぐ答えてね!!赤ちゃんはどこ!?」 涙を流しながら激怒の表情でゆっくりチルノを問い詰める。 それを見て他の子れいむ達も状況を察したのか、ゆっくりチルノに攻撃を始めた。 「れーみゅをかえせええええええええええ!!」」 「よくもおねーちゃんを殺したなああああああああああ!!」 「ゆっくりしねえええええええええええええ!!!」 一家の総攻撃が始まる。 氷でできたゆっくりチルノは比較的硬いのでダメージは少ないが、それでも袋叩きはたまったものではない。 まるで抵抗できずに 「あたいは何も知らないよ!本当だよ!信じてよ!」 ただ必死に弁解をするだけだ。 「れいむの赤ちゃんを返せえええええええ!一緒にゆっくりしてた、これからもゆっくりするはずだった 赤ちゃんを返せええええええええ!!」 「「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」」 ひたすら体当たりを続けるゆっくり一家。並のゆっくりならとっくに餡ペーストになっているだろう。 「れいむってばゆっくりしてないよ!今すぐ辞めてよ!」 ゆっくりチルノは責められる心当たりがないものの必死にやめるよう懇願する。 やがてただ攻撃してもあまり効果が無い事に気づいたゆっくり一家は新たな行動に出た。 「「「ゆっくり落ちてね!」」」 ゆっくりチルノを湖に突き落したのである。 「ゆっ!?やべで!だずげてよ!」 先ほどの子れいむの凄絶な死にざまを覚えているわけではないが、それでも水はとても危険なものだと 頭に刻まれている(本当は何ともないのだが)ゆっくりチルノは必死にもがく。 しかし子れいむの時と同じようにもがけばもがくほど体は岸から離れていってしまう。 「あたいってば水だめなのおおおお!いやああああああああ!!!助けてえええええ」 必死に助けを請うゆっくりチルノ。 それに対してゆっくり一家は罵声を浴びせる。 「そうやってたすけをもとめてたれーみゅを殺したんだね!」 「おねーちゃんと同じくるしみを味わってしね!」 「おねーちゃんの仇、ゆっくりしね!」 「死ぬまでここで見ててあげるよ!感謝してね!だから苦しみながらゆっくり死んでね!」 「⑨~~~~~~!?!?!?」 ついにゆっくりチルノはパニックに陥る。 本当はゆっくりチルノは羽を使って飛ぶことができるため、簡単に水から脱出する事が出来るのだが、 パニックに陥った彼女はそれに気づくことができなかった。 例え冷静であっても自分が飛べる事を思い出せたかあやしいが。 「「ゆっくりしね!ゆっくりしね!ゆっくりしね!!」」 もはや一家は完全にゆっくりしねコールだ。 どうやらゆっくりチルノが溺れ死ぬまでそこで鑑賞し続けるつもりらしい。 だが溺れることもなく、また脱出する方法も思いつけないゆっくりチルノはいつまで待っても死ぬことはない。 このままではいつまでもコールを続けることになっただろう。 そしてその事に気付けなかったのが、ゆっくり一家の命取りとなった。 ゆっくりチルノを湖に落としたらさっさと立ち去っていればよかったのに、大騒ぎを続けたせいで、上空を 飛んでいた天敵に自分たちの存在を気づかせてしまったのだ。 「うー?」 気分よくお空を飛んでいたれみりゃは下の湖面が騒がしい事に気づいた。 自分のご機嫌なお散歩を邪魔するなんて許せない。食べちゃうぞ。 そう思って下降しながら湖面に近づいていくれみりゃ。 そこによく見るゆっくりれいむの一家とあまり見かけない青いゆっくりを見つける。 何やら騒いでいるようだがれみりゃにとってはどうでもいい。 それよりお腹がへってきた。やっぱりみんな食べちゃおう。 そう思って一気に狩りの態勢に移るれみりゃ。 ゆっくり一家が気付いた時には、すでに手遅れだった。 「れみりゃだぁぁぁぁーーーー!!」 一匹の子れいむの叫びで一家が慌てて空を見上げた時、もうすぐそばまでれみりゃが近づいていた。 逃げる間もなく、二匹の子れいむがれみりゃの両手に捕われる。 「い、いやあああああああああああああ!!はなしてえええええええええええ!!」 「れーむ食べられたくないよおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 悲鳴を上げる子れいむ達。 残った一匹の子れいむは訳もわからず一目散に逃げ出して行った。 それに対して一瞬ためらいを見せたものの果敢にれみりゃに立ち向かう母れいむ。 もう一匹たりとも自分の赤ちゃんを死なせたりするものか。 「れーむの赤ちゃんをはなせええええええええええええええええ!!!」 その瞳には強い決意が宿っていた。 だがれみりゃにはそんな母れいむの気持ちは分からない。 両手の小さいれいむを見て、自分に向かってくる大きいれいむを見て、それから考える。 ―両手が塞がっていては大きいれいむが食べられない― 大きいれいむを捕まえて食べるためには両手を空ける必要がある。 ではどうするか。 そこでれみりゃが取った行動は小さいれいむをさっさと食べて両手を空けるという合理的な方法 ――ではなかった 「うー!小さいのはいらないからぽいするの!ぽい!」 そう言って両手の子れいむを湖に投げ込んだのだ。 「み、みずいやああああああああああああああ!!れーむ死んじゃうよおおおおおおおおおおお!!」 「おねーちゃんみたいになりたくないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 水に放り込まれた子れいむ達が絶叫を上げる。 それを見て母れいむは慌てて方向転換して子れいむ達に向かって突進する。 「待っててね!今すぐ助けるからね!」 そして湖に飛び込もうとジャンプした瞬間れみりゃの手に捕われた。 「ゆ!?ゆっくりしないで離してね!赤ちゃんが死んじゃうよ!」 慌ててれみりゃの手の中でもがく母れいむ。 だがその訴えはれみりゃの耳を右から左に抜けていった。 れみりゃが考えるのは別のこと。 ―大きいれいむも片手で持てる― つまりそれはもう片方の手にもう一匹持つことができるということだ。 どうせなら両手に持たないともったいない。 そう考えたれみりゃはのこったゆっくりの物色を始める。 「うー♪一番おいしぞうなのをだべるどぉー♪」 結果、れみりゃが選んだのは残ったゆっくりの中では一番大きく珍しい、ゆっくりチルノだった ゆっくりチルノは既に自分が何で水の中にいるか忘れていた。 もがくのも疲れたので顔を水につけて水の中を見ながらぷかぷか浮いている。 「おさかなさんがいっぱい!あたいってばゆっくりね!」 もごもごと泡を出しつつ誰にも聞こえないつぶやきをもらす。 「!?」 と、急にその体が持ち上げられた。れみりゃである。 「う~♪あっかいぷでぃんとあっおいぷでぃん~♪」 楽しそうなその歌声の間違いに突っ込むものはこの場にはいなかった。 ただ両手にゆっくりを抱えて楽しそうに飛び上っていく。 「はなじでえええええええええええええ!!!あがぢゃんが!れーむのあがぢゃんが死んじゃうううううううう!!」 「あたいってばお空を飛んでるみたいね!」 対照的な声音を上げつつ、れみりゃに抱えられた二匹は空に上がっていった。 「おがあざああああああああああんん!!いがないでえええええええええええええええ!!」 「どおじでだずげでぐれないのおおおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?」 絶望の声を上げる二匹の子れいむを残して。 飛び上がったれみりゃはさて、どっちから食べようかと二匹のゆっくりを眺めた。 かたや 「れーむの赤ちゃんが……なんで……どうじでごんなごどにいいぃぃ……」 悲しみに暮れて嗚咽を漏らすゆっくりれいむ。かたや 「たかい!たかい!あたいってば最高ね!」 自分の危機的状況を理解していないのか、楽しそうにしているゆっくりチルノ。 ちょっと悩んだ後、れみりゃはとりあえず大きい方から食べることにした。 「う~♪おっきいぷでぃんをだべちゃうど~♪」 「ごべんねえええええええ……守れながっだおがあざんをゆるじんぶぎゅっ!?」 自分の世界に入り込んでいた母れいむにいきなり走る激痛。 れみりゃが後頭部を齧り取っていた。 「いだいいだいやべでえええええええええ!!れーむまだあがぢゃんづぐるんだがらああああああああああ!! たべぢゃらめえええええええええええええええええ!!!」 「うっ♪うっ♪うぁうぁ~♪」 絶叫を上げる母れいむに楽しそうなれみりゃ。 ―こっちのぷでぃんはなかなかの甘さだ。もう片方のぷでぃんはどうだろう― そう思って今度はゆっくりチルノを食べることにするれみりゃ。 どうやらこのれみりゃは本物のプリンを食べた事が無いらしく、 食べ物の総称としてぷでぃんと言っているらしかった。 「う~♪あ~ん♪」 大口を開けてゆっくりチルノに噛み付く。 がぶっ その瞬間二つ分の悲鳴が上がった。 「い、いだいいいいいい!あだいってば食べられないいいいいぃぃぃぃ!」 「う゛あ゛ぁぁぁぁぁ!ざぐや゛ああああああああああぁぁぁぁ!!」 何度も述べているようにゆっくりチルノは氷である。 当然固い。そして冷たい。 そんなものに思いっきり噛み付けば……痛いに決まっている。 「ざぐや゛あああああああああああ!!ざぐや゛どごおおおおおおおおお!?!?」 噛み付いた歯から頭に響く冷たさと痛みにれみりゃは悲鳴を上げて見知らぬ人物の名を呼ぶ。 そして勢いのまま抱えていた二匹を放り出し、何処かに飛んで行ってしまった。 「い、いやああああああ!!!!いがないでええええええええええええ!!」 「あたいってばおぢぢゃうのおおおおおおおおお!!」 放り出された二匹はたまったものではない。 さっきまで離してと言っていたのに今度はそのれみりゃに助けを乞う。 が、その願いが聞き入れられることはなかった。 「もっどゆっぐりじだがっだよおおおおおおおおおおお!!!」 「アイシクルウォールイーーーーーズィィィィィィィ!!」 重力に任せて二匹はばらばらに落ちていった。 さて、ここで場面は変わってさきほどの襲撃から逃げ出した子れいむである。 パニックになって逃げ出してしまって家族と離れ離れになったが、今は何とか落ち着きを取り戻していた。 そしてその落ち着きを取り戻した餡子脳は先ほどの襲撃の一つの結論を導き出していた。 ―もう自分の家族はいない― れみりゃの恐ろしさは子れいむもよく知っている。 あの状況で他の家族が助かったとは思えない。 これからは、自分はひとりで生きていかねばならないのだ。 「ううっ、おかーしゃん……おねーちゃん………」 ついさっきまでみんなでゆっくりしていたのに、いきなり自分一人になってしまった。 その悲しみはいかほどのものであろうか。 「みんなともっとゆっくりしたかったよ……でも……これからはみんなの分までれーむがゆっくりするね……」 新たな決意を胸(顔?)に子れいむが顔をあげた時、上から懐かしい声が聞こえてきた。 「ゆううううううううううううううううううううっっっ!!!!」 「おかーしゃん!?」 その声に驚いて上を見上げる子れいむ。そこには空からものすごいスピードで 自分に向かってくる母の姿があった。 「ゆ!?おかーしゃん!てんごくから会いに来てくれたんだね!とってもうれしいよ!またいっしょに ゆっくりしようね!!」 喜びでぴょんぴょん飛び跳ねつつ母へと言葉を投げかける子れいむ。 そんな娘の姿に母れいむも気付き、思わず喜びのあまり落下と言う絶望的状況を忘れる。 「ゆ!れいむの赤ちゃん!生きててくれたんだね!とっても嬉しいよ! もうほかの赤ちゃんはいないけど一緒にゆっくりしようね!」 親子の感動の再会である。 二人の距離はどんどん近付いていく。 そして…… 「おかーしゃあああああああああんぶべっ!?!?」 「れえええええええええええむぎゃあっ!!!!!」 天文学的な確率で二人の距離が0になった瞬間、お互いの名を叫びつつ仲良く餡ペーストになった。 一方同じように投げ出されたゆっくりチルノ。 重力に引かれどんどん地面が近づいてくる。 「あたいってばゆっくりしてないいいぃぃぃぃぃ!!!」 ゆっ⑨りブレインでもこのままでは死んでしまうことは分かる。 ゆっくりチルノの頭にこれまでの楽しかった思い出が走馬灯となって流れ始めた。 その走馬灯は……今度は0.5秒で終わった。 楽しかった思い出も忘れてしまうゆっ⑨りブレインの悲劇である。 そしてそんな事とは関係なく死という現実が迫ってくる。 「あたいってば幻想郷最速ねぇぇぇぇぇぇっ!」 どこぞの天狗が聞いたら怒りそうな事を叫びつつ、ゆっくりチルノは恐怖で目を閉じる。 加速された体は地面に向かって一気に落下し激突――-―― しなかった。 「ゆ?」 疑問の声を上げてゆっくりチルノが恐る恐る目をあけると、何と自分の体が浮かんでいるのではないか。 そう、この危機的状況でゆっくりチルノの本能が彼女の羽を無意識に羽ばたかせるという行動をさせたのだ。 何という奇跡!生命の神秘! 次第にゆっくりチルノも自分が飛んでいることに気づいたのか、喜びの声を上げ始める。 「すごい!あたいってば飛べたのね!」 しばらくパタパタと低空飛行を楽しんだ後、着地するゆっくりチルノ。 ふぅ、と一息ついて空を眺める。 あれほど太陽が輝いていた空は、いつの間にか夕焼け色に染まっていた。 よく覚えていないけど今日はもう疲れた。 さっさとおうちに帰って休もう。 そう考えたゆっくりチルノはゆっくりとおうちに戻っていった。 おうちの場所を忘れて3時間ほどさまよった後、 ようやくゆっくりチルノは自分のおうちを見つけることができた。 途中で自分が何をしているのかも忘れたりしたため余計に時間がかかった。 「ふぅ、あたいってばゆっくりね!」 そう言って巣穴に潜り込むゆっくりチルノ。 しかしそこには………先客がいた。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪……ゆっ?だれ!?ここはまりさのおうちだよ!」 ゆっくりチルノが蓄えていた木の実を頬張っていた黒帽子のゆっくりが振り向き、自分のおうち宣言をする。 一瞬呆気に取られるゆっくりチルノだが、しかしさすがのゆっ⑨りブレインでもこれには黙っていない。 ここは頑張って自分が掘った巣穴なのだ。他人に渡すわけにはいかない。 「何言ってるの!ここってばあたいがつくったおうちよ!その木の実もあたいが集めたものだよ!」 「ふざけないでね!この木の実は最初からここにあったんだよ!ここはまりさが先に 見つけたからまりさのおうちだよ!」 傍若無人な事を言うゆっくりまりさ。 普通のゆっくりならここでさらに強く言い返すところだが、ゆっくりチルノの頭は既に混乱し始めていた。 ―そういえば勢いで言ってみたけど、自分がその木の実を集めた記憶はない。 このあたりは草が茂っていて場所が分かりにくいし、もしかしたら本当に巣穴の場所を間違えたのかも… そうだとするとここはこのまりさのいうとおり自分のおうちじゃないんじゃないんだろうか― うーん、と悩むゆっくりチルノにゆっくりまりさの言葉がとどめを刺した。 「ここはまりさのおうちだよ!でも今すぐ出ていくなら木の実を少し分けてあげてもいいよ!」 既に傾きかけていたゆっくりチルノにこの言葉は決定的だった。 ―自分がおうちを間違えてとても失礼なことをしたのに、食べ物を分けてくれるなんてなんて親切なんだろう― 「ごめんね!間違えちゃった!あたいってばゆっくりね!」 照れるように笑ってゆっくりチルノが言う。それを聞いてゆっくりまりさは 「分かったのならさっさと出て行ってね!もう来ないでね!」 そういっていくつかの固い、食べかけの木の実をゆっくりチルノの側に投げた。 「ごめんね!ありがとね!」 ゆっくりチルノは礼を述べると木の実を口に詰め込み、巣穴を抜け出していった。 後にはニヤリと笑うゆっくり魔理沙が残された。 「むーしゃむーしゃ、⑱ー!」 巣穴の側で木の実を食べてよく分からない叫びを発するゆっくりチルノ。 18は9の2倍なので2倍幸せと言う意味である。 こんなギャグを思いつくなんてあたいってば天才ね! と自己満足に浸りつつゆっくりチルノは木の実を食べ終えた。 色々あったとは言え何度も水没したことで既に必要な食事量はほとんど満たしていたので、 少ない木の実でもゆっくりチルノは満腹だった。 しかしそろそろ本当に急いでおうちを探さなくてはならない。 もうすでにまんまるのお月さんが浮かんでいる。 「あたいってばゆっくりしてらんないわ!」 慌てておうち探しを再開する。 が、いくら探しても自分のおうちはみつからなかった。 さきほどの巣穴が本当のおうちなのだから、当然である。 さらに一時間ほど涙目で巣を探し続けたがついに見つからず、 ついにゆっくりチルノは木陰にばったりと倒れ伏した。 「あたいってばゆっくりしすぎね……」 もう仕方が無い。きっと巣穴の場所を忘れてしまったのだろう。 今から巣を掘ったり探したりなんてできないし、今夜はこの木陰で眠ろう。 きっと明日になったら巣の場所も思い出すに違いない。 そう考えたゆっくりチルノは木の側で隠れるように横(縦?)になった。 しかし瞼を閉じ、いざ寝ようとすると頬にあたりがなにかかさかさするものがいる。 何かと思って目を凝らしてみると、それは蟻の行列だった。 「あたいってばラッキーね!」 目を輝かせながら目の前の蟻をパクンと食べるゆっくりチルノ。 何匹か食べたところで今度は蟻たちに息を吹きかけ始めた。 「ふーっふーっ」 本来、ゆっくりチルノが他の生物を凍結させるほどの冷気を出すにはくしゃみをするしかないが、 蟻ぐらいの小さい生き物相手であればただ息を吹きかけるだけでも凍結させることが可能なのである。 こうして蟻を冷凍保存しておき、明日の朝起きたら食べよう、と言うのがゆっくりチルノの考えだった。 20個ほど蟻の氷塊を作ったところでゆっくりチルノは眠ることにした。 そして、その氷塊を眺めながら、これなら明日の朝ご飯はごちそうね!と幸せな気分で眠りに就いた。 しかしそこはゆっくりチルノ、ちゃんと作戦に穴が開いている。 いくら凍らせたとはいえこの夏の熱帯夜、小さな氷塊などすぐ溶けてしまう。 ゆっくりチルノが熟睡した後、溶けた氷塊から蟻たちが抜け出していくのに、気づくものはいなかった。 そして翌朝。 水色の髪に薄い色の羽、氷精を模したゆっくりであるゆっくりチルノは今朝は 木陰で起床の一声を挙げた。 「おはよう!あたいってばゆっくりね!」 そして昨日作った朝食用の氷塊など当然のように忘れ、また朝食探しに飛び跳ねていく。 果たして今日はどのような一日になるのだろうか。 夏の青い空は、昨日と変わらぬ晴天の色を湖畔に住む生き物たちに伝えていた。 あとがき 今まで何度もSSを書きかけて途中で挫折したけど、初めて一つ書き上げる事が出来ました。 こういうの書く時は勢いって大事ですね。 しかしおかげで貴重な時間が6時間ぐらい潰れてしまった。 ゆっくり虐待してた結果がこれだよ! あれ?そういえばあんまり虐待はしてないような…… このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/530.html
前 ※※「ぱちぇ」と「ぱちゅ」で表記揺れがありますが、こういうものだと思ってください。 ゆっくりパークの春夏秋冬 part 8 後編 午前六時。戸の隙間から光が差すだけの薄暗い室内に、母れいむの声が響く。 「ゆっくりしていってね!!!」 すると、部屋のあちこちでもぞもぞと丸い影が動き出す。 「むきゅ、ゆっくりしていってね!」 れいむの隣では、ぱちゅりーの親子が。 「こほん、ゆっくりしていってね!!!」 本棚の最下段では、新参のありす一家が。 「ゆっくりするよー!!!」「ゆっくりするぞ!!!」 台所の椅子の上では、ちぇんとらんの夫婦が。 「うっう゛~ん……よくねたんだぞぉ……」 戸棚の上のカゴでは、れみりゃの親子が。 「ゆっくりしていってね!!!」ちていっちぇね!」 「「「ちーんぽ!!!」」」 コタツの中からは若いれいむとまりさを始め、子供づれの家族がぞろぞろと現れた。 俺は起き出して雨戸を開けた。差し込む柔らかな日差しが、大勢のゆっくりたちを照らした。 「よう」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 居候どもが、朗らかに答えた。 あの事故から二週間。 涙に暮れていたゆっくりたちも、もともと立ち直りの早い連中だけあって、すでに元気を取り戻している。 住みかを失った四十数匹全員が、今では俺の小屋で仲良く暮らしていた。 それぞれ割り当てられたねぐらから出てくると、にぎやかに遊び始める。 そこらじゅうにぽよぽよころころと饅頭が転がって、足の踏み場もなくなる。 「ゆっくりしていってね!!!」 「れいむもゆっくりしていってね!!!」 「ゆゆ、れいむはゆっくりしているよ!!!」 「ちぇんもだよー!!! げんきになったよー!!!」 「すりすりしたいよ! すりすりしようね!!!」 「ゆっ、すーりすーり!!!」 「「すーりすーり!!!」」 「ゆふふっ、まりさはきもちいいね!」 「れいむもゆっくりしてるよ!」 「もっとすりすりしようね!!!」 「「「「すーりすーり!!!」」」 「ゆ、きょうはまりさはおすもうをするよ!!! ゆっくりあつまってね!!!」 「おちゅもう! おちゅもう!」 「ゆっこい! ゆっこい!」 「やめなちゃいよ、ありちゅたちがおちゃ会をちゅるのよ!」 「そうよ、ゆっくりおちゃ会をするのがしゅくじょのたしなみよ! さんかするひとは?」 「ちーんぽ!!!」 「とかいでぎじゃないわぁぁ!!!」 「むっぎゅう、みんなしずかにしでぇ、ご本がよめないわ!!! けほんけほん」 「おかあさま、しっかりしてね! ゆっくりやすんでね!」 「ゆぐぐぐ、みんなさわぎすぎだよ! もっとゆっくりじでね! ゆっぐり! ゆっぐりじでねぇぇぇ!!!」 「「「れいむがいちばんうるざいよ!!!!!」」」 にぎやかすぎる。 まあ根に持たない連中なので、ケンカになっても、分けてやればすぐ忘れる。 着替えて顔を洗うと、俺は裏の物置へ向かう。枕ぐらいある丈夫な紙袋が置いてある。 そこからザクザクと中身をすくい取って、洗面器で持ってくる。 「ゆっ!」 「ゆゆっ?」 「まま、ごはんだよ……!」 「ゆっぐいたべたいじょー!」 「おなかちゅいた!」 「しーっ、ゆっくりまつのよ!」 気配に気づいたゆっくりたちが、そわそわとこちらに目を注ぐ中、ありったけの皿を床に並べて、食事を盛ってやった。 献立は圧扁大豆とメーズフレークだ。といってもなんのことかわからないだろう。 心配無用、俺もわからない。袋の横に書いてある文字をそのまま読んだだけだ。 これらは農家から分けてもらった飼料なのだ。その正体は乾燥させた大豆とトウモロコシである。 それを盛り付け終えると、よだれを垂らして集まってきたゆっくりたちに、家族ごとに配ってやった。 「ほいよ朝ごはん。いいかー? みんなちゃんと集まったか? じゃあ、いただきます!」 「「「ゆっくりいただくね!」」」 四十数匹が、ワッと皿に群がって、いっせいに食い始めた。 「むーしゃ、むーしゃ!」 「ぽーり、ぽーり!」 「おまめ、おまめ!」 「かりかり、おいしいかりかりだよ!」 「うっめ、めっちゃうっめ、ふっぐはっぐもっさもっさ」 「ゆっゆっ ゆっゆっゆっゆっ」 「「「しあわせー!」」」 俺も試しにかじったことがあるが、これらは要するに味の薄い枝豆とコーンフレークである。 栄養はあるし、そこそこ食えるが、極上の美味というわけではない。 それでもゆっくりたちはにこにこと笑顔を見合わせて食べている。 ま、好きな家族と食事ができれば、なんだってうまいわな。 身の危険はないし、巣穴よりよほど暖かい。 部屋中に満ちていた、ぽりぽり、サクサクという音が一段落するまで、十分もかからなかった。洗面器一杯分の雑穀が消えたということだ。 「ぽんぽんいっぱいだよー!」 「ゆっくりおいしかったよ!」 まるまると膨らんだ小さなボールたちが、あっちでもころん、こっちでもころんと転がる。 そこへ母親や相方がぺろぺろすりすり。食後の一服といったところだ。 なんともこう、見てる側まで、ひじょうにゆっくりしてしまう光景だ。 それを眺めながら、俺はようやく自分の食事に取り掛かった。 もちろん米と味噌のきちんとした献立だ。いくらなんでもこいつらと同じ物を食いはしない。 「ぽーりぽーり、おしんこ、と……」 うつってやがる。何かと同居すると、そうなるよな。 俺が一人でぶつくさ言いながら食べていると、横からぽむぽむと叩かれた。 「ん?」 見れば、ゆっくりれいむだ。リボンの端に黄色い洗濯バサミをつけている。 これは前からいる母れいむである。れいむ種はメチャクチャ増えてどれが誰だかわからなくなったので、目印をつけることにした。 「どうした、ママれいむ」 「ゆう、れいむはお兄さんとゆっくりおはなしがあるよ」 「メシ時だ。終わってからな」 「れいむもそのほうがいいよ。ふたりでゆっくりはなしたいよ」 「ん?」 妙なセリフに思わずれいむを見直した。れいむはゆっくり集団のほうを気にしているようだ。 メシを食べ終わると、俺はれいむを抱えて流しに行き、窓際に乗せた。皿を洗いながら言う。 「ここなら大丈夫だぞ」 「ありがとうだよ! それで、れいむはおもったんだけど」 「なんだ」 「このままだと、食べものがゆっくりたりないよ」 ツルッ、と手が滑った。皿が流しにガシャンと落ちる。れいむがビョッと跳ねる。 「ゆゆっ!? 気をつけてね! びっくりしたよ!」 「すまん。おまえ、子供はいいのか? まりさのでっかいのに潰されてしまわんか」 「こども? こどもは……だいじょうぶだよ、ぱちゅりーがみているよ!」 「そうか。それはよかったな。ぱちゅりーはお前には過ぎた嫁さんだ。大事にしろよ」 「もちろんだよ! ゆっくりなかよくしているよ!」 俺は皿洗いに専念する。れいむは首をかしげている。 「ゆーっと、ゆーっと……ゆ、そうだよ! 食べもののはなしだよ!」 チッ、思い出しやがった。こいつ饅頭のくせになかなか手ごわいな。 「れいむはだいじなことにきづいたよ。このままみんなで食べていくと、あのおいしいおまめがなくなっちゃうよ」 「そんなことがなんでわかる」 「わかるよ! だってれいむはふゆごもりをしたことがあるもの。 かぞくのかずと、食べもののりょうがあってないと、なんだかゆっくりできないきがして、ちゃんとわかるんだよ!」 「ふーむ」 生返事をしながら、俺は考える。 ゆっくりは大きな数が数えられないから油断していた。しかし、そういう本能は、あって当然だな。 「おにいさんがわかってないといけないから、ゆっくりおしえてあげたよ!」 「そうかそうか、すまんな」 俺はまたも生返事。ゆゆぅ、とれいむが顔を曇らせる。 「おにいさん、ちゃんとはなしをきいてね! これはだいじなことなんだよ! たべものがたりないと、みんなゆっくりできなくなるよ!」 「わかったから静かにしろ。その点は大丈夫だから」 「だいじょうぶってどういうことなの? ゆっくりおしえてね!」 「持ってきてやるから。人里でな」 「ゆ! あたらしいごはんをかってきてくれるの?」 「買う? ああ、狩るか。まあそんなとこだ。おまえらは心配せんでよろしい」 「ゆうう、それならよかったよ。れいむたちもだけど、おにいさんのほうがさきにたべものがなくなりそうだったからね!」 「なに? おまえ、なんで俺の食料の残りを知ってる?」 「おにいさんのしょくりょうこをゆっくりのぞいたよ!」 「覗くなよおめーは」 れいむの額に、デコピンする。ゆきゃっ、と目を閉じたれいむが、怒って叫んだ。 「みただけだよ! たべてないよ! ゆっくりあやまってね!」 「はいはい、ごめん」 答えて皿の水を切りつつ、俺は感心していた。 俺の食料まで心配するとは、ずいぶん気が利くようになったもんだ。 前は「ゆっくりした人」呼ばわりしていたのにな。 皿洗いを終えると、俺は手を拭いてれいむを再び抱き上げた。そして上から聞く。 「ときに、れいむよ」 「ゆ、なあに?」 「おまえ、もういいのか」 「なんのはなし?」 「いや、つまり……娘のことだが」 きめぇ丸に嫁に行ったれいむの上の娘は、死んでしまった。 ちなみに、下の娘は、旦那のまりさと一緒に救助されて、今向こうで楽しそうに「おぼうしとりかえっこ」をしている。 「ゆう」 れいむは心持ち、前かがみになった。 「れいむのことは、今でもかなしいよ……」 「だろうな、いや、すまん」 「でも、すぎたことをくよくよしてもしかたないよ! くよくよしてると、ゆっくりはゆっくりできなくなるよ!」 「微妙にトートロジーな気もするが、まあそうだろうな」 「みんなでゆっくりして、あったかくなったらまたお墓まいりにいくね!」 「それがよかろう」 俺がうなずいていると、ずりずりとぱちゅりーがやってきて見上げた。 「れいむ、おにいさんとなんのおはなし?」 「ゆ、さくばんぱちゅりーにもはなしたことだよ!」 「きゅう……たべもののおはなしね」 俺がれいむを抱いたままベッドに腰を下ろした。ぱちゅりーがむきゅっと隣へ登ってくる。 「それはなんとかなりそうなのかしら?」 「ゆ、だいじょうぶだってきいたよ!」 「そう、それはよかったわ」 ぱちゅりーが俺を見つめる。いかん、こいつ勘がいいから気付くかもしれん。 俺は話を逸らすことにした。 「そうそう、おまえらに聞きたかったんだが」 「むきゅ?」 「きめぇ丸の居所はわかるか。あれきり姿を見せないが」 「ゆぅ?」「むきゅ?」 二匹は顔を見合わせる。 「ぱちゅりーしってる?」 「きゅ、ぱちぇはあんまりそとにでなかったから……」 「れいむもしらないよ……」 「仮にも娘の旦那だ。奴もここに住まわせてやりたい。しかし、そもそもあいつは無事なのか?」 そのとき、母ぱちゅの帽子の縁から、もぞもぞと何かが出てきた。 「きゅっ、きめぇまるのおはなしね?」 「おお、子ぱちゅはそこか」 ちびっこい紫団子は、嬉しそうにうなずいた。 「ぱちぇはきめぇまるがだいすきよ! きめぇまるはぱちぇをつれて、おそらをとんでくれたもの!」 「そうかそうか、よかったな」 俺が適当に返事をしていると、母れいむが言った。 「みんなにゆっくりきいてみるよ!」 「お? ああ、うん、やってみろ」 俺がうなずくと、きめぇ丸はゆっくりたちのほうへ向いた。 「みんな、ゆっくりきいてね! きめぇまるのいばしょを、だれかしらない?」 ざわざわとゆっくりたちが顔を見合わせる。すると、意外な奴が手を上げた。 「れみりゃがしってるぞぅ!」 戸棚の上の母みりゃだ。周りを見回して、自分だけだと気付くと得意げに踊りだす。 「うっう゛~、ぷりっでぃーな~ おぜうさまは~ なんで~も~ ごぞんじっ!」 「おまえ、なんだそれは」 フラダンスとランバダとええじゃないかを足して二・五で割ったような奇怪な踊り……とでも言えばわかっていただけるだろうか。 いや、そんなことはどうでもいい。 「きめぇ丸の居場所を知ってるのか? どこだ?」 「うー、ごーまかんのほうへスーッていって、ぱらそるすぎがみえたら、ぐるってまがって、けーきいわまでいくんだぞう」 「それ、空からの道順か」 「あったりまえだぞぅ!」 こいつが勝手に名づけたらしいパラソル杉やケーキ岩など糞くらえだが、とにかく道筋はちゃんと覚えているようだ。 「じゃ、ちょっと案内してくれ。行ってみたい」 「ぷっでぃん、くれるぞぉ?」 「Sサイズ一つだな」 「ばけつのぷっでぃんがいいぞぉ!」 この肉まんめ、一度やったら味を占めやがった。いかん、あんな贅沢をそうそう許せるか。 「小さいプリン一つに飴三つだ。いやならやらん」 「うう゛う……わかった、それでてうちにするぞぉ」 「よし、決まりだ。さっそく……」 出かけよう、と言いかけた時、誰かが叫んだ。 「まって!」 ぱちゅりーだ。俺に向かって伸び上がり、小声で言う。 「よしたほうがいいとおもうわ」 「なんでだ」 「きめぇまるは、おにいさんのことがにがてだとおもうの」 「知ってる、苦手っつーかはっきり嫌われたよ」 「そうでしょう、だから、おにいさんがいっても、きめぇまるはでてこないとおもうわ」 「じゃあどうすりゃいいんだ。ほっとけって?」 「ぱちぇが行ってみるわ」 「おまえが?」 俺が驚くと、ぱちゅりーと、頭上の子ぱちぇが、むきゅん、とうなずいた。 「なくなったれいむは、れいむのこだけど、ぱちぇのこでもあるんですもの。おなはしをききにいっても、おかしなことはないわ」 「ぱちぇも、おねーちゃんのことをききたいわ!」 「おまえら……」 俺は二匹を見て、勘案した。 確かに、こいつらの言うとおりだ。俺よりこいつらが行くほうが、きめぇ丸も話しやすいだろう。 それに、俺としては、勘のいいぱちゅりーをこの場から遠ざけてもおきたい。 「よし、お前たちに頼もう。だが気をつけろよ」 「むきゅ、まかせてちょうだい!」 俺はれみりゃに上等のショール(だとだまくらかしたバスタオル)を着せてから、マフラーでぐるぐる巻きにしたぱちゅ親子を渡して、送り出した。 「さて、と」 よく晴れた空を、パタパタと遠ざかっていくれみりゃを見送ると、俺も防寒着を着て、裏からリヤカーを引っ張り出した。 天気がいいので外で遊ぼうと出てきたゆっくりたちが、周りを取り囲む。 「ゆ、おにーさん、どこへいくの?」 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりまりさたちとあそぶんだぜ!!!」 「済まんがちょっとお出かけだ」 「「「ゆうう~!?」」」 俺は手荷物を確かめながら、不満そうなゆっくりたちに言った。 「里へ出てくる。届け物や買い物がいろいろと溜まってるんでな……。 夜までには戻る。おまえたちも早めに中へ入れ。 誰か人間や妖怪でも来たら、ここの地主は巫女だって言ってやれ。 まずケツまくって逃げ出すから」 「ゆぅ……」 「ゆっくりわかったよ!!!」 「じゃあな」 「「「ゆっくりいってきてね!!!」」」 饅頭の見送りを背に、俺はリヤカーを引いて歩き出した。 丘を下り、まずは博麗神社に向かう。人里は神社のさらに先、深い森の中の向こうだ。 ギシギシと車を引きながら、俺は先行きを考えて、重いため息をつく。 れいむもぱちゅりーも、まったく勘がいい。 うちにはもう、ゆっくりの食べ物がないのだ。 用意してあったのは二十五キロの袋が四つ。暮れにれみりゃたちが同居し始めた時に買ったものだ。 その後、れいむとぱちゅりーたちが加わったが、春まで十分持つと思っていた。 しかし、いきなり頭数が四倍に増えたとなると、話は別だ。 連中は一食で洗面器一杯、三キロ近いメシを食う。 朝夕二食にさせているとはいえ、この二週間でどれだけ消費したか、ちょっと計算していただきたい。 まったく、動物は軽い気持ちで飼うもんじゃない。 だからといって、放り出すわけにもいかん。 「頭下げる程度で、なんとかなるかなあ……」 里には知り合いの農家がいて、安く飼料をわけてもらえる。 だが、小売をやっているわけではない。五十キロも百キロも横から持っていくのは気が咎める。 そもそも金がない。自分の分でさえかつかつだ。 人間のお野菜が、ゆっくり並みにありがたく思えるほどだ。肉など長いこと見ていない。 「……まあ、いざとなりゃ、まだ手はあるか」 このリヤカーをかたに金を借りるとか、柴でも刈ってきて手間賃をもらうとか。 ……ほんと、いくらにもならんが。 「ええい」 俺は頭を振って、雑念を追い払った。考えてもしょうがない。できることをやるだけだ。 頭上を見たが、空は澄み切って、雲ひとつない。空気はシンと穏やかに静まり返っている。 天気のよさがせめてもの救いだ、と思った。 神社の石段下を通り過ぎ、俺は里へ向かった。 * * * * * 同じころ、冬空をぱたぱたと飛ぶ小さな影があった。 ぱちゅりー親子を抱いたゆっくりれみりゃ。男の小屋を出て、きめぇ丸を探しに行くところである。 小高いところにある一本杉を見て旋回し、三十分ほど行くと、森の中から大きく突き出す、船の舳先のような岩が見えてきた。 れみりゃが歓声を上げる。 「あれがけーきいわだぞぉ! あそこにきめぇまるがよくいるんだぞぉ!」 「むきゅ! さすがはれみりゃね、もりのことをよくしっているわ!」 「うっふ~ん、それほどでもあるんだぞぉ」 くねくねと身をひねって照れるれみりゃの腕に、軽くすりすりをして、ぱちゅりーはねぎらった。 それからふと、自分の境遇に思いを馳せた。 考えてみれば、なんておかしな半年だったんだろう。 人間に捕まっていじめられたのが、夏の前だ。痛くてひどいことをされて、死ぬかと思った。 苦労してそこから逃げ出した後に、今度は世にも珍しい、ゆっくりだけのゆっくりプレイスにたどりついた。 出会ったれいむとの恋愛、結婚、出産(子供たちを産んだのはぱちゅりーだ)。 ゆっくりの守り神、ドスまりさとの突然の遭遇もあった。 そういえば、ドスはいまでも自分たちを監視しているんだろうか。 そして極めつけにおかしなのは、男と、天敵ゆっくりれみりゃとの同居。 年中ゆっくりしているのが信条のゆっくりとしては、破格に忙しい半年だったと言えるだろう。 (それもこれも、あのおにいさんのおかげだわ!) ぱちゅりーは灰色の生クリーム脳でむきゅむきゅと考える。 (あのおうちはどうやら、もうすぐたべものがなくなるみたいだわ! それなのにしんぱいさせまいとしているんだわ!) 男の見抜いたとおりだった。 やはりぱちゅりーは食料の欠乏に気付いていたのだ。 (もらってばかりでわるいわ。おにいさんにもゆっくりしてほしいわ……) ぱちゅりーが考えている間にもれみりゃは降下していき、やがて大岩の上に降り立った。 「きめぇまる、でてくるんだぞぉー!」 れみりゃが叫び、踊りだした。ぱちゅりーはポムッと岩の上に降り立ち、きょろきょろと辺りを見回す。 すると、岩の端から空に向かって生えている、ひょろっとした松の木の枝に、丸いものが乗っていることに気付いた。 「きめぇまる! きめぇまるなのね? れいむのつまのぱちゅりーよ、ゆっくりおりてきてね!」 枝の上の玉が、くるっとこちらを向いた。確かにきめぇ丸だ。だが、降りて来る様子はない。 かまわず、ぱちゅりーは続けた。 「きめぇまる、ここではさむいでしょう。ぱちぇたちのおうちにいらっしゃい! あそこはとってもゆっくりできるところよ!」 食い扶持が増えてしまうが、それは今考えることではない。ぱちゅりーは懸命に訴える。 「れいむのおかあさんのれいむも、きめぇまるをしんぱいしていたわ! それにおにいさんもよ!」 すると、それを聞いた途端、きめぇ丸がバサリと飛び上がった。矢のように降りてきて、ぱちゅりーのすぐ前に着地する。 「おお、ぎぜんきぜん」 「きゅっ? なんですって?」 きめぇ丸は嘲笑するように、頭をヒュンヒュンと振った。 ぱちゅりーは吐き気を催すが、懸命に耐える。 「むっぷ……き、きめぇまる、そんなことをいうものじゃないわ! おにいさんはぎぜんしゃじゃないわ!」 「しょせん……にんげんにんげん」 きめぇ丸が動きを止める。その斜に構えた虚無的な姿に、単なるポーズ以上のものを、ぱちゅりーは読み取る。 きめぇ丸は泣いていた。 あの死んだれいむとの間には、他のゆっくりのうかがい知れないつながりがあったのだろう。 それはぱちゅりーにさえ、想像するのが難しい。 ましてや、人間のあの男にわかってもらえるわけがない――。 黙りこんだきめぇ丸の心がひしひしと感じられて、ぱちゅりーも言葉に詰まった。 視界の端に、少し離れたところでぴよぴよと汗を飛ばしながら見つめているれみりゃの姿が映る。 こちらの険しい雰囲気を察して、入り込めないのでいるのだろう。かえってありがたい。 だが、れみりゃが邪魔をしようがしまいが、どのみちきめぇ丸の心を溶かすのは難しそうな雲行きだった。 ぱちゅりーは懸命に話の糸口を求める。 「むきゅ……ならせめて、たべものだけでももっていくといいわ。いまはおにいさんはいないから、きてもはちあわせはしないわ」 「おお、ふようふよう」 彼女にしてはゆっくりと首を振った後で、きめぇ丸は冷ややかなまなざしを向けた。 「うえからめせん、うえからめせん。からから」 「うえからめせん、ですって」 この一言に、ぱちゅりーはカッと頭が熱くなった。 「むっきゅう、きめぇまるはなにもわかってないわ! おにいさんがえらぶってほどこしをするつもりだとおもっているのね!」 「おお、そのとおりそのとお――」 「とんでもないおもいちがいだわ! おにいさんはじぶんのたべものだってまんぞくにとれないのに、ゆっくりにわけてくれているのよ! おにいさんはゆっくりのなかまなのよ! それもわからずばかにするなんて、きめぇまるはさいていだわ! さいていにゆっくりしてないわ! きっとしんだれいむにばかにされるわ!」 「ゆ……ゆっくり?」 「そうよ! きめぇまるはやっぱりゆっくりしてないゆっくりなのよ! ばかよ! おもにかおがきめぇのよ!」 「おお……おおおお」 勢いに任せて喚きたててから、ぱちゅりーはぜえぜえと息が切れ、そこで我に返った。 きめぇ丸が後ろへ転びそうなほどそり返り、ギリギリと歯を噛み締めてにらんでいる。 怒らせてしまったか――と、ぱちゅりーは血の気が引いた。きめぇ丸が本気で怒ったら、自分など一瞬で生ゴミにされる。 だが、それはぱちゅりーの見誤りだった。きめぇ丸は悔しそうな表情のまま、顔を伏せたのだ。 「おお……ゆっくり、してない……」 どうやらその一言が、きめぇ丸に大きな痛みを与えたようだ。カラス天狗のゆっくりは、うつむいてぶるぶると震えてしまう。 そのとき、ぱちゅりーの頭の上から、何か小さなものがポトッと岩の上に飛び降りた。 ころころん、と転がってから、きめぇ丸の頬に当たって止まる。 「きめぇまる、ゆっくりしていってね!」 「ぱちゅりー……」 自分から出て行った子ぱちゅを見て、母は思わず呼び戻そうとした。 だが、思いとどまった。 「おお……? ぱちゅりー?」 「きゅっ! おぼえててくれたのね!」 きめぇ丸は目を動かしてジロリと見ただけだが、それでも子ぱちゅは嬉しげにぴょんぴょんと跳ねる。 そして、きめぇ丸の耳のそばでひそひそとささやいた。 「きめぇまるは、れいむおねえちゃんのことが、とってもすきだったんだよね! あのひ、ほんとうにいっしょうけんめいとんでいたものね! それなのに、おねえちゃんがしんじゃって、かわいそうだったね!」 そう言うと、子ぱちぇは目を閉じて、何度も優しく頬ずりした。 「すーりすーり、すーりすーり。……よくがんばったね、きめぇまる!」 「ぱちゅりー……」 母ぱちゅりーは、言葉を失った。 ゆっくりの一番の親愛の表現である、すりすり。 それを自分は、この子がやるまで思いつきもしなかった。 きめぇ丸がほしがっていたのは、言葉や食べ物よりも先に、それだったのかもしれないのに……。 ゆっくりしていないのは、自分のほうだったかもしれない。 「すーりすーり、すーり!」 繰り返し頬ずりを続ける子ぱちゅりーを、母も、きめぇ丸も、黙って見つめていた。 だが、やがて母ぱちゅりーが口を開いた。 「ぱちゅりー、ゆっくりいらっしゃい」 「むきゅ? ぱちぇはもっとすりすりしたいわ!」 「もうじゅうぶんよ。きめぇまるにはちゃんとつたわったとおもうわ。ね、きめぇまる?」 きめぇ丸はジト目の冷たい表情のまま、何も言わない。 正直にいって、ぱちゅりーもそれほどの確信はなかった。 しかし、じきにきめぇ丸はゆっくりと背を向けてから、言った。 「おお……かんしゃかんしゃ」 「きゅっ! よろこんでもらえて、うれしいわ!」 子ぱちゅりーが小さく飛び上がって喜んだ。 きめぇ丸のひとことを聞いたとき、母ぱちゅりーはここへ来た目的が達せられたことを悟った。 これ以上ここにいるのは、かえってよくないことも。 「さあ、ゆっくりかえるわ。ぱちゅ、いらっしゃい。れみりゃ、おねがいね!」 「きゅう? ぱちぇはもっと、きめぇまると……」 「いいから、ね」 未練たらたらの子ぱちゅを頭の上につまみあげて、ぱちゅりーはれみりゃの腕に体を預けた。 「ゆっくりいってちょうだいね!」 飛び上がったれみりゃの腕の中で、最後に一度、ぱちゅりーは振り返る。 きめぇ丸が飛び上がり、どこかよそへ向かったのが見えた。 だが、彼女が逃げ去ったのではないことを、ぱちゅりーは知っていた。 続く おお…おお… -- 名無しさん (2009-04-08 20 05 16) おお、かんどうかんどう -- 名無しさん (2010-05-17 14 55 14) くたばりやすいゆっくりが、死んだつがい程度のことでこうもくよくよするのは腑に落ちんが、 丈夫な種であるきめぇ丸だからかな? -- 名無しさん (2011-07-24 21 01 44) 今更ですが、「「「ちーんぽ!!!」」」と言っているのは誰のゆっくりですか? -- 名無しさん (2012-03-30 12 45 28) みょんことゆっくり妖夢です -- 名無しさん (2012-04-01 22 30 50) 「みんなにゆっくり聞いてみるよ!」と言った後に「きめぇまるはゆっくりたちの方を向いた」とあるのはれいむのことと受け取っていいんでしょうか -- 名無しさん (2013-06-15 15 45 29) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4569.html
(前編より) 「う゛~う゛~!?」 唯一無事な子れみりゃは羽根をパタパタさせて子れみりゃにとっての全力で逃げ る。 親れみりゃが子れみりゃを潰した時点で唯一無事な子れみりゃは一目散に逃げ出 した。 姉や妹は助からない。 そう判断した子れみりゃは森の中を飛んで行く。 後ろを振り返りもしない。 『いやだどー! れみりゃはこうまかんのおぜうさまなんだどー! こんなところでしぬようなきゅうけつきではないんだどー!!』 ただただ子れみりゃは死にたくなかった。 れみりゃ達はこうまかんのおぜうさまだ。 こんな所で死んでいい存在ではない。 だから動けない親を見た時迷いなく逃げた。 ここにいては危険だ。と判断し、梟が親れみりゃに気を取られている隙に逃げ出 した。 家族を見捨てた後ろめたさはない。 むしろ“おぜうさまのためにしねたのはみにあまるこうえいだ”としか思ってい なかった。 ゲスゆっくり特有の自分本位。 窮地に立たされた子れみりゃがそれに目覚めたのだ。 「うー、れみりゃはみんなのぶんまでゆっくりするんだどー!」 逃げ切ったと安心した子れみりゃはゆっくりと地面に座り休む。 襲われた場所からずっと飛びっ放しだったのだが疲れて当然だ。 しかもそれが今日の初めての狩りまで巣から出た事のなかったのだから尚更だ。 「う゛ー」 逃げ切って安堵するが、今まで夢中で逃げていたから気付かなかった孤独に苛ま れはじめる。 「うー、さみしいんだど~。 さくやーはやくくるんだどー!」 家族を見捨てた子れみりゃが頼れるのは“さくや”だけだった。 さくやに頼めば大丈夫。 そんな根拠も何もない考えで子れみりゃは楽観していた。 初めて巣から出たばかりの子れみりゃは狩りの仕方もわからない。 『さくやにたのめばだいじょうぶだどー。 そうでなくともれみりゃのかりすまをもってすればじゅうしゃになりたがってみ んなあまあまをくれるだどぉー』と自信過剰な考えを持っていた。 その上今の子れみりゃには自分のいる場所すらわからないのだ。 巣に戻る事等出来はしない。 だが自信過剰で無意味にプライドの高いれみりゃ種にはそれに気づけもしなかっ た。 「さくやーおそいんだどー! じゅうしゃしっかくだどー!」 今まで一度も姿を見せた事のないさくやに対して怒り出す子れみりゃ。 『きたらおきゅうをすえてやるんだどー!!』 現れる事のない従者に対して怒りを募らせる子れみりゃ。 しかしいくら待ってもさくやは来ない。当たり前だ。 「もうさくやなんてしらないんだどー!! くびにしてやるんだどー!」 長い間(子れみりゃ換算での話で実際は一分しか経過していない)待たされた子 れみりゃは遂に痺れを切らした。 「れみりゃはつよくてこうきだからひとりでもいきていけるんだどー!!」 絶望的な状況なのに子れみりゃは楽観している。 満足に狩りもしてないのに自分は出来ると信じて疑っていない。 それは先程の食されたれいむ達が原因だった。 身動きも出来ずに放置されていたゆっくりれいむとまりさが梟による罠だと未だ にこの子れみりゃは気付いていない。 だから、あのれいむ達を見つけたのは自身の実力だと子れみりゃは信じていた。 そのため、初めての狩りでにんっしんゆっくりなんて大物を見つけた自分は天才 だと思い込んでしまったのだ。 この子れみりゃは自身が梟の標的に自分達を選ばせた原因であったが子れみりゃ がそれに気付く事はなかった。 「う~う~」 身体を休めていたら段々と眠くなってきた。 まだ休み始めて二分程度なのにもう眠り始めたのだ。 雨風をしのぐものもない森の中で無防備に眠り続ける子れみりゃ。 全くの考えなし。外の危険を知らない温室育ちだからこそ出来る芸当だ。 今のれみりゃなら通常種でも倒せそうだ。 もっとも、この子れみりゃは自身が招いた死神から逃げ切ってなどいなかったの だが。 「う゛ッ!!!?」 子れみりゃの身体が突然何かにぶつかり吹き飛ぶ。 目が覚めた眼前にはあの子れみりゃの家族を殺した元凶の鳥がいた。 二つの丸い双眸がこちらを見ている。 首がありえない方向に動く梟の頭と無垢そうな瞳に子れみりゃは恐怖を感じた。 「く、くくくるなだどー!! れみりゃはしにたくないんだどー!!」 目を見開き、歯をガチガチと震わせながら逃げようとする。 だが逃げられる訳無い。 鈍重な子れみりゃが敏捷な梟から逃げられる筈がない。 梟は瞬く間に子れみりゃを脚で掴んだ。 「やだやだいやだどー!! れみりゃはこうまかんのおぜうさまなんだどー!! れみりゃにてをだしたらさくやがだまってないんだどー!!」 恐怖から逃げようとするが羽根以外上手く動かせない子れみりゃでは梟から逃れ らない。 梟はそのまま他のれみりゃと同じように羽根を毟る。 「うぎゃああああああ!!?」 激痛に子れみりゃは叫び声を上げる。 どうしてこんなめに? 子れみりゃはずっとそう思い続けていた。 自分はこうまかんのおぜうさまだ。 “えれがんとなひびがまっているはずなのだ”と、ずっと信じていた。 初めての狩りで外に出た時は嬉しかった。 初めてあまあまを見つけた時は嬉しかった。美味しかった。 これから色々な美味しいものを食べられる、カリスマをもって従者を率いて栄華 を極めて幸せな生活を送る。そんな未来が来ると信じきっていた。 だが、それはもう叶わない。 元から叶う訳が無いが。 「やだやだざくやだずげでー!! れみりゃまだぷっでぃんたべてないんだどー!! かりすま☆だんすもおどってないんだどー!! おどなになっでえれがんどなあかじゃんづぐりたいんだどー!!」 泣き叫び、必死に欲求を垂れ流す子れみりゃ。 命乞いにもなりはしない。 梟は無言で羽根を毟った後、皮を破く程度に嘴で啄んだり、脚の爪で引っ掻く。 「いだい…いだいんだど…だずげで…ざくや……」 どうしてれみりゃがこんなめに…? れみりゃはこうまかんのおぜうさまだ。 つよいんだ。えらいんだ。 なのにだれもたすけてくれない。 おかしい。こんなのまちがってるんだど…。 どこにいるんだどざくや…。 皮が破け、肉汁をしたらせながら子れみりゃは逃げようとする。 無論逃げられる筈もなく、梟は子れみりゃを掴んだまま飛び立った。 親れみりゃがいる場所へと。 「な…んで…こないんだど…」 突如現れた来訪者、胴有りのゆっくりふらん達に親れみりゃは戦慄する。 「ふふふふらんだどー!!」 「うー、しね!」 うるさいとばかりにふらんは親れみりゃを殴る。 「いだいどー!!たすけでざくやー!!」 「ゆっくりしね!しね!」 そのままマウントポジションのまま殴打を続ける。 その横で別のふらんが親れみりゃの腹を蹴る。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 「ざぎゅや~ぶげ!」 こういう時はれみりゃ種の高い再生力が災いする。 普通のゆっくりなら殴打されている内に死ぬがれみりゃは高い再生力のせいで致 命傷にならない。 このまま暫くは親れみりゃはふらんにリンチされ続けるだろう。 そして残りの二体は百舌鳥のはやにえのようになった一番下の子れみりゃに襲い 掛かった。 「う゛…う゛ぁ…」 もはやまともに声も出すことも出来ないまでに一番下の子れみりゃは衰弱してい た。 梟に襲われた子れみりゃの中で唯一無事な羽根をパタパタさせて何とか脱出しよ うとしたが無駄骨に終わった。 朦朧とした意識の中、中身が肉汁以外漏れていない為高い再生力で未だに死ぬこ とが出来ないのだ。 『まんまぁ…ざくや…だれがだず…げで…』 もはや目も機能しなくなり真っ白な景色にしか見えない。 もう痛覚以外に子れみりゃの五感は機能しなくなっていた。 それはつまり今残る外界との繋がりは枝に貫かれた痛みのみだ。 今も激痛が走る。だが慣れてしまっていた。 そんな中、 「う゛ぎゃ!!?」 貫かれたのとは別の、強烈な激痛が走る。 何が起きたかわからない。 ただ耐え難い痛みが走っただけだ。 その痛みがもはや機能しなくなった五感を一時的に回復させた。消える前に大き く燃え上がる蝋燭の火のように。 子れみりゃの眼前には見た事もない胴有りのゆっくりがいた。 どこと無く母親に似た外見に子れみりゃは救いを感じた。 『きっとまんまのおともだちなんだど~♪ かわいいれみりゃをたすけにきてくれたんだど~♪』 初めて狩りに巣から出た子れみりゃはゆっくりふらんを知らなかったのだ。 そこに現れたのが天使ではなく死神である事に…。 「…う゛~…だすげ「ゆっくりしねぇ!!」」 子れみりゃがふらんに助けを求めようとしたその時、ふらんは拳を握り、子れみ りゃを殴った。 『ぶげぇ!?』 助けに来てくれたと思い込んでいた子れみりゃにはショックだった。 それと同時に子れみりゃが最初に起こった痛みとも合致した。 子れみりゃを攻撃したのはふらんだったのだ。それを子れみりゃは理解した。 子れみりゃが勝手に勘違いしただけだが下手な希望が絶望を倍増させたのだ。 「ゆっくりしねぇ!!」 「ゆっくりしねぇ!!」 『やべっ…で…』 五感が回復しても来るのは容赦無いゆっくりふらん二匹の殴打。 もはや摩耗した精神では絶叫を上げられもしない。 『どう…じで…』 何で自分がこんな目に…? 思い浮かぶのは他の姉妹が同じように浮かべた疑問…。 『ざぐやぁ…だずげでぇ…』 そして同じように行う絶対に成就しない助けを求める嘆願。 『…う?』 突然ふらんの攻撃が止む。 助かった…? 木に固定された子れみりゃは前方にいたふらんが突如消えたために一瞬そう期待 してしまった。 だが違う。 「「ゆっくりしね!!」」 姿を消したふらんの声が響くと子れみりゃの両側から引っ張られる激痛が走った 。 『いだいいだいいだいどー!!! れみりゃざげぢゃううううう!!!』 子れみりゃに突き刺さって枝の部分からゆっくりと亀裂が走っていく。 今日初めて外に出た子れみりゃには殺意と攻撃とは無縁だった。 故に痛みとも無縁だった。 怪我としても姉妹とじゃれあってする些細なものだけだった。 かつてはそれだけでも泣き叫び、親れみりゃに慰めてもらった。 今それを遥かに凌駕する激痛が子れみりゃの身を包む。 『いだいいぎゃああああああああああああッ!!!』 「しねぇ!」 亀裂が入り、子れみりゃの顔面に縦一本の線が入ったように見える。 子れみりゃの意識が朦朧としてくる。 痛みすら和らいできたその時感じたのは安心ではなく今まで感じたことのない明 確な身近に迫った死への恐怖だった。 『しぬ…れみりゃがしぬ…?』 痛みが薄れた事で朧げにも考える余裕が戻ったのが子れみりゃとっては不幸だっ た。 自身の最期を否応なしに突き付けられたのだから。 最期まで痛みに狂えていたら恐怖を感じる暇もなく逝けたかもしれなかったのに …。 子れみりゃの脳裏に浮かぶのはかつて見た姉の残骸。 まるで母から出されたでぃなーを食い散らかした後のようだった。 それは親れみりゃが捕まえてきたゆっくり達だったが、自分達がそんな風になる なんて考えもしなかった。 自らが最強という自負がそのような思考へと至らせなかったのだ。 自分達が狩っても狩られる事なんてないと思い上がっていた。 だが身近に迫る死に子れみりゃは自らの立場を痛感する羽目になった。 『やだど~! あんなふうになりだぐないど~!!』 最後の力を振り絞って死の恐怖から逃れようとする。 といっても身をよじるだけだが。 だがそれが逆に自らの亀裂の拡大を早める事になった。 たちどころに広がり、亀裂は口に至る。 「あぎゃぐびゃぇええええええッ!!!?」 消える寸前に強く燃え上がる蝋燭の火のように最後の力を振り絞り何を言ってる んだかよくわからない奇声を上げる。 白目を向いた目はもはや生物としての機能を放棄したようにも見える。 『いだいじにだぐないいだいじにたくないいだいじにだぐないいだいじにだぐな いいだいじにだぐないいだいじにだぐないいいいいいいいいッ!!!』 「ざぐゅびゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!」 断末魔なのか誰かを呼ぼうとしたのかよくわからない絶叫を上げて子れみりゃは 真っ二つに裂けたのだった。 「うー、しね!」 ふらんは子れみりゃを裂いただけでは飽き足らず真っ二つに裂けた子れみりゃの 残骸を木に叩きつけて遊びだした。 「しね!しね!」 もう一匹もそれに倣う。 これはいつもふらん達がよく行う遊びに過ぎない。 れみりゃ達が他のゆっくりを喰らうのと同じようにふらん達のれみりゃ遊びはい つもの事…こんな日々がずっと続くと疑い無く思っていた。 だがこの時ふらんは一刻も早くここから脱出すべきだったのだ。 れみりゃ達にとっての死神はふらんにとっても同じだったのだから…。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 梟が戻ってみるとれみりゃが胴ありのゆっくりふらんに虐められていた。 四体いるが珍しく群れるタイプなのか親子なのかそれとも四体に分裂したものな のか梟にはわからないがどうでもいい。 邪魔なら排除するだけだ。 はやにえとなっていた子れみりゃも真っ二つにされて既に死んでいた。 梟はそれを見て怒りを覚えた。折角の獲物を台なしにされたのだ。 意外と親に依存する傾向だったれみりゃが単身逃げ出すという我が身可愛さの行 動するという考えが至らなかった梟は不本意ながらも獲物から一時離れた。 見つけたものは逃さないと決めていたから。 すぐに戻ってきたし、例え餌を奪われていてもそれは自分のミスだと思っていた 。 残っていれば種類によって新たな獲物にすればいい。 だがこのふらん達は獲物を玩具にした。 それは自身が策を巡らし、作り上げた“作品”を汚されたのだ。 その上ふらんの中身はあんまんだ。 梟の好む肉類ではないため餌にしにくい。 それが梟の怒りは頂点に達しさせた。 自分の食事を台なしにしたのはよりにもよって食えもしない愚図だった…。 親れみりゃはまだ生きているが殴打の末に顔は見る影もなくなっていた。 梟は一旦地面にもう満足に動けない子れみりゃを置いてまずは親れみりゃを殴打 しているふらんの始末に取り掛かった。 無益な殺生はこの梟は好まなかった。 だがこれは食事を台なしにした愚図だと判断した梟の殺す為の行動は速かった。 親れみりゃを殴打していた一匹のふらんを瞬く間にのしかかる。 「ゆっぐりじぎゃあッ!!!?」 のしかかると同時に梟はふらんの頭と身体を引きちぎる。 そして嘴でくわえていた頭を放り投げる。 そのまま口をパクパクさせていたふらんの頭は木にぶつかり、あんまんの飛沫に なった。 「うー、ゆっくりしねぇッ!!!」 ふらんが梟に殴り掛かる。 だが梟はそれを嘲笑うかのように跳躍して拳を回避し、ふらんの顔面に着地した 。 「ゆっぐりじね!ゆっぐびゃあ!?」 中身があんまんであるふらんの頭は梟の勢いと重量に耐え切れず潰れた。 十秒もかからず四体の内二体が死亡した。 流石に状況を判断した既に死亡している子れみりゃの残骸を虐めていたふらん二 匹もやばいと理解して梟に対して攻撃を開始した。 ゆっくりの中では高い身体能力を持つふらんには退却という手段は思い付かなか ったのだ。 しかしいくら強くても所詮ゆっくり。 長い年月を生き、妖怪紛いにまでなりかけた梟に勝てる訳がなかった。 襲い掛かってくるふらんを掴み上げ、かつて子れみりゃにやったように枝に突き 刺す。 「ぎゃああああああああ!!!?」 初めての激痛にふらんはみっともない叫び声を上げる。 枝は深く突き刺さっておりふらんの手では抜けない。 「う゛ー、じね!じね!」 ふらんがジタバタと暴れるが抜ける気配はない。 もうこいつは終わりだ。 長い枝の根本深くに胴体が突き刺さったのだ。 放っておけば中身を出し続けて死亡する。 食べるならまだしもただ邪魔をした相手、なおかつ餌としてはあまり上等ではな いのだからこれ以上手だしする気もない。 それよりも優先するのは最後の一匹だ。 「う゛ー!じね!じね!」 最後のふらんが襲い掛かるがいちいち相手するのが面倒になってきた。 梟は鼻歌でも歌うかのような感じでふらんの羽根を毟る。 「う゛~、じねえ!!」 羽根を毟られた痛みを感じながらもふらんは暴れる。 だが梟はそんな抵抗を嘲笑うかのように空高くふらんを脚に掴み飛ぶ。 そして、 「ゆっぐりじねぇ!ゆっぐぢじね!じね!」 泣き喚くふらんを放した。 そのまま羽根を失ったふらんは自由落下していく。 見慣れた空の景色が今まさに自分に牙を向けようとしている。 「う゛ー!う゛ー!」 事態を理解し、パタパタと手足を振り回していつものように飛ぼうとする。 だが羽根が無いためどうしようもない。 あんな羽根じゃそもそも飛べる訳がない。 ふらんが飛べるのは羽根ではなく飛べるというのに思い込みだ。 だから本来は羽根が無くても飛べるのに思い込みの激しいゆっくりは羽根が無い から飛べないという結論になってしまった。 「う゛ー!?」 野生のふらんには見られない大粒の涙を流して手足を振り足掻くが意味はない。 「う゛ああああああああああッ!!!?」 そうしてふらんは地面に墜落し、自らの身体を四散させたのだった。 「ゆっ…じ…ねぇ…」 もはや原形も保てずあんまんである中身を飛び散らせ、左目から上が欠損してい る。 どう考えても助からない。 むしろ今生きている方がおかしい。 ゆっくりという単純な構造のせいで痛みのみが長続きしてなかなか死ねないのだ 。 確かにふらんは強い。 ただしゆっくりにしては…だ。 逃げるという手段を用いないふらんはこうして必要以上の敵意をぶつけて返り討 ちに遭う為数が少ないのだ。 そしてその光景をふらんより弱い親れみりゃは見せ付けられた。 れみりゃが万全な状態でも勝てないふらんを一分もかからず殺戮してみせた梟に 対してどうしようもない絶望を感じたのだった。 「じね…ぇ…」 ふらんの虚ろな目が親れみりゃを見つめている。 「う゛…」 それに親れみりゃが恐怖する。 ふらんの目は何を見ているのか親れみりゃにはわからない。 先程まで捕食する筈だった存在に対して助けを求めようとしているのかそれとも 未だに襲おうとしているのか親れみりゃにはわからなかった。 「ゆっぐじじべぇ…!」 力無く呻き声を漏らしていたふらんの頭が踏み潰される。 「う゛ッ!!?」 ふらんの頭が完全に潰される光景を親れみりゃは見せ付けられる。 「ホー」 そして親れみりゃは見る。 ふらん達を殺し、自分の家族を殺戮した抗いようのない怪物に…。 あの暗闇の中に光る月のように丸い二つの双眸を…。 「う゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!?」 そのあまりの恐怖に親れみりゃは肉汁のしーしーを漏らしながら発狂したかのよ うに絶叫し、その意識を手放した。 「う゛…だ……ざ…!」 気絶していた親れみりゃの耳に何か声がする。 『うるさいど~。 おぜいさまのしぇすたをじゃまするなんてふとどきせんばんだど~』 意識が戻り始めた親れみりゃは聞こえる声に不満を抱きながらも眠ろうとする。 「やだ…かえ……おう…!!」 聞こえてくる声はどんどん大きくなる。 何だか聞き覚えがあるがそんな事より親れみりゃは寝たかった。 野性に生きるものにあるまじき行動だ。 『さわがしいんだど~! さくやはなにをやってるんだど~!!』 居もしない従者に対して不満を持つ。 「まんまぁ~!だずげでー!!」 『う゛!?』 今度の叫びはしっかり聞こえた。 しかもそれは絶対に間違えるはずのない我が子の声だった。 さっきまで完全に忘却の彼方だった可愛い我が子の悲鳴に寝ている場合じゃない とようやく判断したのだ。 『おちびちゃんいまたすけるど~ッ!!』 親れみりゃはこうして目を覚ました。 「だずげ…!」 親れみりゃが目を覚ましたその先には子れみりゃがいた。 だがそれは凄惨な状態だった。 羽根はボロボロ、帽子は何とかあるのがわかる程度の有様で、皮は剥げて剥き出 しになった左目の眼球が今にもこぼれ落ちそうだ。 そんな状態の中必死で子れみりゃは逃げている。 羽根を失い飛べなくなった身体で必死に跳びはね…いや頃がって逃げている。 「う゛…れみ…は…おぜ…なんだ…ど…」 必死の形相で逃げる子れみりゃは自分の立場が未だに理解できないのだろう。 そんな子れみりゃを追う毛が生え揃った小鳥達。 「ぶぎゃ!…やめ…」 ボロボロの子れみりゃに小鳥がのしかかり啄んでいく。 だが不慣れなせいか暴れ回る子れみりゃを押さえ付けられず子れみりゃは逃げ出 す。 その時爪で引っ掛かれたのか横に長い一本の線のような傷痕が出来ていた。 そこから溢れ出す大量の肉汁。 「やめるんだどーッ!!!」 思わず親れみりゃは叫んだ。 小鳥達に襲い掛かろうとする。 「う゛、う゛う゛ー!?」 しかし微塵も動けない。 どうしても動けない。 親れみりゃが手足を動かそうとしても羽根をパタパタさせようとして何も起こら ない。 「う゛ー!どうぢでうごがないんだどー!?」 目の前にいるおちびちゃんを助けなくてはいけない。 どうして動かないのかそれがわからない。 だがその要因にようやく親れみりゃは気付いた。 目の前に手足の残骸と衣服の切れ端が転がっているからだ。 それを親れみりゃは理解した。 それは間違いなく自分の身体なのだから。 「うぎゃあああああああああああああああああッ!!!?」 親れみりゃの頭に過去の痛みがフラッシュバックされる。 親れみりゃが意識を失ったのは二回。 一度目は梟に対する恐怖で。 二回目は巣に連れてかれた後、首から下をひきちぎられたからだ。 あまりにも機械的に首から下を分離させられた親れみりゃはその激痛で意識を失 ってしまった。 それから目覚めてさっきまで忘れていただけの話だ。 親れみりゃの胴体を取り除いたのはれみりゃの放屁が厄介だからだ。 今子れみりゃを襲っているのはあの梟の子供達だ。 そしてここは巣の中。 木の中に作られた出入口一つだけの巣では臭い放屁を放たれたら最悪子供達が死 んでしまう。 屁で死ぬなんて笑い話にしもならない。 だから胴体から下をとったのであった。 「や…やじゃ…」 あまりにも残酷な現実に親れみりゃは思考を放棄していた。 親れみりゃは僅かな時間で子供をほぼ全て失い、そして今や自分はただの肉団子 に等しい。 昨日までの幸せな日々が嘘のようだ。 そして、今目の前にいる最後の我が子の命も潰えようとしていた。 「いぎゃああああああああああッ!!?」 れみりゃの目がえぐり出される。 皮は剥げ、もはや子れみりゃは肉の塊に等しかった。 「う゛…う゛…う゛…」 もはやまともに声も出すことも出来ずに子れみりゃは痙攣していた。 目玉は梟のお気に召さなかったのだろう瞼を喰われただけだった。 だがその瞳が真っ直ぐに親れみりゃに向けられていた。 『どうじでだずげでぐれながったの?』 空虚な瞳はそう物語っていた。 それは親れみりゃにとっては筆舌にしがたい恐怖となった。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!」 この瞬間親れみりゃの心は折れた。 最後の子供が逃げた報いかのようにじわじわと恐怖を味わいながら死んでいくの も気付かずありとあらゆるものに親れみりゃは恐怖した。 そしてその心の折れた眼に映るのは梟の丸い双眸…。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!?」 梟の嘴に舌を抜き取られ喋れなくなるまで親れみりゃは叫び続けた。 必死に目の前の現実から逃れようとする為に…。 しかしもう親れみりゃに逃げる事は出来ない。再生の続く限り親れみりゃは梟達 の保存食として生きていくのだ。 そこにもう家族と共に生きる幸せな日々は何処にもない…。 これから先親れみりゃ…いや既に子を亡くしたただのれみりゃが何時死ぬかはわ からない。 だが確実なのはこれから先れみりゃにとって幸せな未来は何一つ無いという事だった…。 月明かりが森を照らす夜。 梟は木の上にいた。 その下には泣き叫ぶゆっくりれいむとゆっくりまりさの家族。 「たしゅけておきゃあああしゃあああんッ!!」 「やめておちびちゃんをたべないでええええ!!」 「うー♪うー♪」 「やべてね、たべるなられいむにしてね!!」 「どぼぢでぞんなごどいぶのおおおおおおおおおッ!!?」 今日もまた、餌がかかったようだ。 梟は羽根を広げ、獲物へ向かい飛び立ったのだった…。 あとがき ただ梟無双がしたかった。 結構長くなってしまった上に後半のグダグダ感が否めない。 誰か助けて…。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3814.html
☆虐待成分薄いです ある日、一人で町を歩いていたれみりゃは、とってもゆっくりした男の子に出会いました。 「とっても、えれ☆がんとなにんげんさんなんだどぉー。どうしたんだどぉー」 「学友に頼んで、都会を一度見てみたいと頼んだのですが、はぐれてしまって」 それに全身から漂う上品なオーラ。 紅魔館のおぜうさまであるれみりゃも、舌を巻くほどだ。自分の飼い主もそれなりに エレガントだったが、レベルが違う。たとえるならば、王子様だ。 実はこのれみりゃは数日分のエサ代を与えられて、飼い主から捨てられたのだ。 「こーまかんのかり☆すま、れみりゃがいっしょにさがしてあげるどぉ~」 「はい、よろしくお願いします……」 「おにいさんはなんて、なまえなんだどぉ~」 「僕の名前は長いので。短く「誠くん」とお呼び下さい」 どれだけ長いのか? れみりゃの頭には『すかーれっと』だの、『まーがとろいど』だのが思い浮かんだ。 「そーなのかだどぉ……じゃあおにいさんはれみりゃについてくるんだどぉ~」 そう言うとれみりゃと男の子は歩き出しました。 「ところで、おにいさんのおうちはどこだどぉ?」 「このすぐ近くに、東京の中心にあって、結構大きいのですよ」 「すごいどぉ~、こーまかんのちかくにおうちがあるなんて、」 「あの……、さきほどから気になっていたのですが、「こうまかん」とは何でしょうか?」 「こーまかんをしらないど? とーってもえれがんとなところなんだど、れみ☆りゃがあんない してあげるどぉ~!」 「おねがいします」 「じゃあ、れっつ☆ご~だどぉ~」 そう言って、れみりゃが案内したのはメイド喫茶だった。 飼い主の趣味でよく連れて来られたのだ。れみりゃにはメイドが『さくや』に見えるので、 来ては”う~う~♪、さくやがいっぱいだどぉ~”と喜んでいた。 「お帰りなさいませ、おぜうさま!」 「クリームソーダみっつ~、れみりゃがふたつでおにいさんにひとつ~」 そう言うと、れみりゃとおにいさんは窓際のテーブルに腰掛けた。 「ところでおにいさん? どうしてこっちにこようとおもったんだど?」 ストローに口をつけてクリームソーダを一気に飲み干す。あっという間に1杯目のグラスが空になった。 「おにいさんみたいな、えれ☆がんとな、おう☆じ☆さまならいつでもこれるんだどぉ~、けらいをつれて~」 椅子の上に立ち上がって、のう☆さつだんすを踊る。おにいさんはどう反応すればいいのか、困惑気味だ。 よく踊る癖と飼い主のことを”けらい”と呼ぶ、この傲慢さがれみりゃが捨てられた理由だろう。 「僕は、いつもお稽古事なのですよ、その上いつも皆さんに見張られておりますから……」 「ひどいどぉ~」 王子さまが幸せとは限らない、確かにれみりゃの飼い主は金持ちではないがそこそこ幸せだった。 自由というのはそれほど重要なのか、そうれみりゃは2杯目を空にしつつそう思った。 「わかったどぉ~、ようやくおゆるしがでたのかど?」 「いえ、学友に頼んで、勝手に抜け出してきたのです」 「あぶないどぉ~、おとうさまやおかあさまがしんぱいするど! おにいさんのけらいも!」 「大丈夫です。お祖父様も学生のころよく抜け出したと聞いておりますから」 「うんうん、わかったど。だから、きょうはお☆ぜう☆さまといっしょにたのしむんだど!」 「ええ」 その後二人はゆっくりショップに寄ったり、ケーキ屋に寄ったりした。 れみりゃは、遠い星からやってきたような何も知らない男の子の保護者気取りで、何でもおごってあげた。 気づけば、飼い主から貰ったエサ代は遊興費に消えていたが、楽しかったので気にしていない。 しかしどういうことだろう? さっきから気になったが町や店でたくさんの人の視線を感じた。 「きょうは、とってもたのしかったどぉ~」 「ええ、外の世界にはこんな楽しいことがあるのですね」 ファンファンファン 「うるさいど~、あのしろくろであかいぴかぴかのくるまはゆっくりできないど~……」 そういえば視線のことだけではない。 さっきから、れみりゃの周囲に黒い服を着た『おまわりさん』が配置されているような…… 「な、なにがあったんだどぉ~。お☆ぜう☆さまはこわいどぉ~」 そう言って近くにいたおまわりさんに、れみりゃが近づいた。 おまわりさんが、れみりゃの顔を確認した瞬間―― 「いたぞ! こいつだ!」 「お、おうじさまになんてものいいだどぉ~! れみりゃはこうまかんのおぜ――」 「誘拐犯を発見した! ただちに応援を求む!」 「ゆうーがいはんってなんだどぉおおおおおおお! れみりゃはおぜうざまだどおおおおおおお! ざぁぁああああぐやああああああああああああ!」 すると一緒に楽しんだおにいさんが近くにいたおまわりさんに連れて行かれ、 何やら「お怪我はありませんか?」などとしきりに声をかけられている。 同時にれみりゃは数人のおまわりさんに囲まれて、逃げようと抵抗を試みたが、警棒で滅多打ちにされた。 服はボロボロになるまで打ちのめされ、肉まんの汁で汚れた。 顔は二倍ほどにはれ上がり、歯は硬質プラスチックの棒で全部へし折られた。 手足は動けないように、本来曲がらない方に折られ、さらに手錠をかけられた。 一週間後、とある大学生の部屋での話だ。 「全くゆっくりの考えることは分からんな。よりによって、あの方を誘拐するとは……」 「この国にも王様がいたんだ、俺は知らなかったよ」 「そもそも、饅頭ごときが『やんごとなき方々』に近づくことなど、言語道断だぜ」 「そういえば最近は、右翼団体が都会の野良ゆっくりを襲撃しているんだって?」 「ああ、おかげで町が住みやすくなったがな。自販機で飲み物買うたびに、よこせと言われないだけで どれだけ楽になったことか」 「同意するよ」 後の世の人はこれを「秋れみ事件と呼ぶ」 終わり 誠くんは架空の『やんごとなきお方』です。。