約 632,148 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/963.html
おかあさんのおくちのなか ある日私が買い物から帰ると、ゆっくりの一家が居間を占領していた。 私の姿に気が付いた一際大きいれいむ、恐らく母親であろうれいむが、ぽよーんぽよー んと跳ねながら近付いてくる。 「ゆっくりしていってね!」 どうやら、私が鍵をかけ忘れた台所の窓から侵入したらしい。 どうしたものかと眺めて居ると、その後から親れいむの子供と思しき小型のゆっくり達 が、あるものはぽいんぽいんと軽快に飛び跳ねながら、あるものは転がりながら母親の周 りに集まった。 「ゆゆ? おにいさんはゆっくりできるひと?」 「ここはれいむたちのゆっくりぷれいすだよ! ゆっくりできないおにいさんはゆっくり しないでさっさとでていってね!」 「ゆっくりできるおにいさんなられいむたちにあまあまさんをちょうだいね!」 「「「「「「ちょうりゃいね!」」」」」 「ゆっくりしないではやくあまあまさんをもってくるんだぜ! でないといたいめをみる んだぜ!」 「「「「みりゅんだぜ!」」」」 おお、出て来るは出て来るは、直径40センチ程の親れいむに、子れいむが5匹、子まりさ が2匹、赤れいむ8匹、赤まりさ6匹の大家族だ。これまでの巣穴が手狭になり、子連れで引っ 越して来たのだろう。 床が三分にゆっくりが七分と言う壮大な眺めにしばし圧倒されていた私は、ふと常々疑 問に思っていたゆっくりの或る生態に関する疑問を解明しようと思い立った。 「勿論さ、僕はゆっくり出来るお兄さんだよ。その証拠にほら、沢山のあまあまを持って 来たよ!」 私はそう言いながら、先ほど「おかしのまちおか」で買ったお徳用チョコレートの袋を 買い物袋から取り出して見せびらかす。 「ゆゆ! そのあまあまさんをゆっくりはやくちょうだいね!」 「さっさとそのあまあまをまりさにちょうだいね!」 「りぇいむにもちょうらいにぇ!」 「ゆゆーん あまあまさんれいむのおくちにゆっくりおちてきてね!」 「ぐずなじじいはさっさとそのあまあまをおいてどっかにいくんだぜ!」 「ゆー♪ あみゃあみゃしゃんはしゅごきゅゆっくちできりゅよ! むーちゃむーちゃ…… ちあわせー!」 「ゆぎぎぎ、やめてね、おちびちゃんおねえちゃんのほっぺたたべないでね!」 「おちびちゃんきがはやいよ! ゆっくりまってね! おにいさん、さっさとそのあまあ まをかわいいれいむとれいむのおちびちゃんにちょうだいね!」 「ゆげぇ、おきゃーしゃんまりしゃをふみゃにゃいでにぇ!」 お菓子の袋を前に大興奮の一家。早くも我を忘れて押し合いへしあいだ……おいおい、 中には半分潰れてる赤ちゃんもいるぞ。 こんなところで数を減らされては、実験に差し障りが有る。私はお菓子の袋をしまいな がら、親れいむに向って話しかけた。 「お菓子をあげる前に、少し教えて欲しいんだ。れいむは敵が来ると赤ちゃんや子供を口 の中に隠すよね? あれって、何人まで入るのかな?」 あまあまへの期待によだれで顔中をべたべたにしていた親れいむは、急な質問に戸惑う。 確かに口の中におちびちゃんを隠すのはゆっくりの習性だ。しかし、意識してやっている わけではないので、改めて何人入るのかと聞かれても困る。 「ゆう……そんなのやってみないとわからないよ……」 「そう、それだ! 是非ここで何人のおちびちゃんが入れるか、試して貰いたいんだ。そ うしたら、このあまあま一袋はみんなのものだ」 「ゆゆ! ゆっくりりかいしたよ!」 ついに夢にまで見た人間のあまあまが手の届く距離に。興奮したれいむは、自分の周囲 に居た赤ゆっくり達に声を掛ける。 「おちびちゃん、おかあさんのおくちのなかにゆっくりはいってね!」 「「「ゆゆ! わきゃったよ!」」」 ゆっくり特有の長い舌を伸ばし、赤ゆっくりを一匹一匹口の中に運ぶ親れいむ。赤ゆっ くり達も親とのスキンシップが楽しいのか、 「ゆゆーん、おしょりゃをちょんでるみちゃいー」 「おきゃーしゃんのおくちのなかはしゅごくゆっきゅりできりゅよ!」 「ここはまりしゃのゆっくちぷれいしゅなんだじぇ!」 等と舌に巻かれて運ばれたり、口の中に入るのを楽しんでいる。 こうして五匹のあかちゃんが口の中に入った時点で、親れいむは舌をしまい、私に向き 直る。 「おにいさん、れいむのおくちのなかにはいるおちびちゃんは……たくさんだよ!」 「ああ、ゆっくりは3以上数えられないんだっけ。えーと、五人か。結構入ったね」 「ゆっへん!」 「……本当に、もうこれ以上は入らないのかい?」 私の質問に少し怯む親れいむ。確かに、ゆっくりのバカでかい口の中にはまだ余裕があ る。しかし、これ以上おちびちゃん達を入れたら自分もあかちゃんもゆっくりできないし、 あまあまを前に我慢も限界だ。 「そうだよ! もうおにいさんのごようはすんだんでしょ! やくそくどおりあまあまを ちょうだいね!」 「さっさとよこすんだぜ!」 「ぐずなじじいだね! もうれいむはおこったよ! ぷくー!」 親子揃っての大合唱に、このままでは実験の続行は不可能と見た私はお菓子の袋を破り、 地面にバラ撒く。 「みんなありがとう、ゆっくりたべていってね!」 一斉にお菓子に群がるゆっくり一家。親れいむは流石に口の中に赤ゆっくりを仕舞い込 んでいるのでお菓子に駆け寄ったりせず、子供達を舌で運び出している。まぁ、目はお菓 子に釘付けで口からはよだれがだらだらと垂れており、心ここにあらずといった様子では あるが。 「あかちゃんたちはゆっくりおかあさんのくちからでていってね!」 「ゆゆ! あまあまさんゆっくりれいむにたべられてね!」 「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」 「ゆががが、それはりぇいみゅのあまあまさんだよ! ゆっくりかえしてね!」 「へっへっへ、はやいものがちだぜ!」 ゆっくり達の注意がお菓子に集まったところで、ゆっくりの退路を断つべく部屋の戸じ まりを確認。すかさず別室に行き、こんな事もあろうかと用意して置いた新しいアイテム を持って来た。実験第二段階のスタートだ。 「うっうー! れみりゃだどー! たーべーちゃーうーぞー!」 私が持って来たのは、ゆっくりれみりゃの帽子である。これを被りながら、れみりゃの 真似をしてゆっくり達に声を掛けると…… 「「「「!!!? うわあああああああ! れみりゃだー!」」」」」 「ゆう、ゆぅ、やっちょたべれちゃよ……むーちゃむーちゃ、ち、ちあわせぇぇぇーー!」 私をれみりゃと誤認し、本能に従って硬直するゆっくり達……中にはお菓子に気を取られ るあまり気が付かないものもいるが、私が手近でむーしゃむーしゃしている赤れいむを踏み つぶし、そのままれみりゃのダンスの真似を始めると、慌てて逃げ出した。とはいえ、ここ は森の中ではなく私の家の居間であり、逃げ道はない。自然とゆっくり達は部屋の隅に集ま り、母親を中心に固まってしまった。追い詰められた事を悟ったのか、比較的大きめの子ゆっ くり達が膨らんで威嚇を始める。 「ぷくー! ゆっくりできないれみりゃはゆっくりしないでさっさときえてね!」 「ゆっゆっゆ、ままままままりささまはれれれれれみりゃなんかこわくないんだぜ!」 うーん、がんばるなぁ。私が親子愛に感心しているその隙に、親れいむは赤ゆっくりを舌 で巻き取り、口の中に入れてゆく。 「おちびちゃんたち! おかあさんのおくちのなかにかくれてね!」 「ゆゆ! おきゃーしゃんのおくちのなきゃならあんじぇんだにぇ!」 「れみりゃがきえるのをゆっくりまちゅよ!」 次々と親の口の中に隠れてゆく赤ゆっくり。遂に全部の赤ゆっくり─当初14匹、私が先ほ ど一匹踏み潰したので、現在は13匹─が口の中に隠れた。流石に親れいむは苦しそうで、脂 汗でぬとぬとになりながらも、表情だけは不敵に 「ゆゆーん、これでばかなれみりゃはあかちゃんたちにてがだせないよ! ゆっくりりかい してね! わかったらゆっくりしないでさっさとしんでね!」 と私に勝ち誇った態度で命令して来た。 「なんと……まだ喋る余裕が有るとは!」 私はれいむのぼせい(笑)に感動して思わずひとりごちてしまった。よし、これなら更に 実験を進める事が出来る。 「うっうー、おくちのなかににげたあまあまはたべれないんだどー! でも、ほかのあまあ まをたべればいいんだどー!」 親れいむの周囲で「ぷくー」と膨らみながら威嚇を続ける子ゆっくり達をオーバーアクショ ン気味に指差す。 「「「「どぼじでぞうなるのおおおおおおおおお」」」」 これまでは、狙われているのは赤ゆっくりだと若干高をくくって油断していた子ゆっくり 達は、自分を標的にされて恐慌状態に陥り、或るものは砂糖水の涙を流しながら立ち竦み、 或るものは震えながら母親に体を摺り寄せ、兎に角少しでも私から離れようと足掻く。 その内、子まりさの一匹が目を輝かせながら姉妹たちに提案する。 「ゆ! そうだ! まりさたちもおかあさんのおくちのなかにいれてもらうんだぜ!」 「ゆゆ!? それがいいね! おかあさんゆっくりいれてね!」 「ゆう……でもおかあさんのおくちのなかはもうおちびちゃんたちでいっぱいだよ……」 赤ゆっくり13匹を口に入れ、もう限界に近い親れいむ。しかし、危険におののく子供達を 前に、やめてね! とも言えずに困惑気味だ。そこで私はダメ押しとばかりに、れみりゃダ ンスを踊りながら近付く。 「うー、おくちのなかににげられたらこまるどー! はやくたべるどー!」 ついでに、先ほど口の中に入るのを躊躇っていた親孝行な子れいむを踏み潰す。これがきっ かけになり、子ゆっくり達もおかあさんの口の中に体を突っ込んで行く。 初めの内こそ「おちびちゃんたち、ゆっくりおくのほうにいどうしてね!」とか「おねえ ちゃんたちはそろーりそろーりはいってね! おちびちゃんたちをふまないでね!」等と子 ゆっくり達を受け入れて居た親れいむだったが、その内口を閉じて子ゆっくり達を阻み出し た。勿論それで諦める子ゆっくりではなく、 「ゆー、もうすこしではいれるんだぜ!」 「まりさ! ゆっくりしないでいそいではいってね!」 「ゆぎぎぎ…おねえじゃんおざないでぇぇぇ」 と言う具合に体というか頭をひねりながら、ぐいぐいと親れいむの唇をめくり上げ、歯を こじ開けて中に入って行く。当然、先客の赤ゆっくり達は奥に向けてぎゅうぎゅうと押し込 まれ…… 「ゆぎぎぎぎぎぎ……まりしゃおねえじゃんおざないでええええええ! でいぶのあんごが ぶべぇ」 「みゃみゃだじゅげぶべら」 「ゆげぇ……もっちょゆっきゅりじだがっだよ……」 親れいむの口の奥深くで、新たに三匹の赤ゆっくりがくぐもった悲鳴を上げながら潰され た。無残に飛び散った餡子は、その周辺で矢張り押しくらまんじゅうをしていた赤ゆっくり の口に飛び込む。突然の甘味に驚いた赤ゆっくり達は姉妹の亡骸を「ゆゆ!? あまあましゃ んがありゅよ」とばかりに食べ始めてしまった。普段ならそうした同族食いは親や姉によっ て止められるのだが、ここは真っ暗な親れいむの口の中、咎める者はいない。 「あまあましゃんすごくゆっくりできりゅよー!」 「むーしゃむーしゃ、ちあわしぇー!」 「ゆゆ、にゃんだかひろくなっちゃようにゃきがするんだじぇ!」 こうしてあまあまを食べれば自分のスペースも確保出来ると気付いた赤ゆっくり達は、遂 に目の前に広がる突き当りの壁、即ち親れいむの餡子を食べ始めた。 自分の体内で恐ろしい事が起こっていると気付いた親れいむだが、既に口の中には10匹の 赤ゆっくりに加え、5匹の子ゆっくりが入り込み、とても声を出す余裕はない。最早脂汗で表 面をてらてらぬらぬらと光らせながら、「ゆぎぎぎ」とか「ゆががが」とか意味の無い呻き 声を出すのみだ。 そして今、最後の子れいむがお尻だけを親れいむの口に突っ込んで顔だけを出しながら 「ゆっへん! これでれみりゃもこわくないね!」と得意顔を浮かべた。 ……そう、遂に全部の子供がれいむの口の中に入ったのだ! れいむのぼせい(笑)がこ れほどまでとは!! 知的好奇心をすっかり満足させた私は、この子供思いの優しい親れいむを賞賛すべく、れ みりゃの帽子を取ってこれまでの非礼を詫びた。残念ながら親れいむは気絶していて反応は 無かったが、口から顔だけ出した子れいむが 「ぷくー! れいむをだますなんてひどいね! おにいさんはおわびにあまあまをもってきてね!」 と言うので、手近にあった餡子を掬って嘗めさせてあげたら許してくれた。優しくて聞き 分けの良い子で助かった。 その後、私は子れいむの案内に従って親れいむを彼女たちの本来の巣穴の近く(近所の森 だった)に帰すと、新たに生じた疑問──果たして、まりさのすてきなおぼうしの中には、 何匹の「おちびちゃん」が隠れられるのだろうか──を解明すべく、今度は成体まりさを探 す事にした。 私の知的探求の旅は、まだ始まったばかりなのである。 おまけ 『ゆゆ!? ここはどこなの?』 親れいむが目を覚ますと、そこはあの暖かくて広い「ゆっくりぷれいす」ではなく、すっ かり日も暮れて真っ暗な森の中であった。一体何が有ったのか? れみりゃが急に襲って来 て、おちびちゃん達をお口の中に隠した所までは覚えているのだが……そうだ、おちびちゃ ん達を早くお口から出さなければ! おちびちゃん達、暗くて狭い場所に閉じ込めてごめんね! 「ゆげえっ! ゆげげげっ!」 親れいむが激しくえづくと、愛しい我が子達が飛び出して来た。どの子も唾液まみれだが、 幸い体がふやけて死んでしまいそうな子供はいなかった。 「ゆゆ! おかあさんゆっくりしていってね!」 「ゆぐぐ、ごわがっだよおおおお!」 「ゆげぇ……やっど……ひろいどごろにでられだよ……」 1、2、3……たくさん、とてもたくさん。全員の無事を確認した親れいむは、長く続い た悪夢のような一日がやっと終わったのだと思い、子供達にぺーろぺーろやすーりすーりを して落ち着かせる。 「でいぶのがわいいあがぢゃんだぢにごわいおぼいをざぜでごべんでえええええ!」 「みゃみゃー、ぺーろぺーろ」 「すーりすーり……それにしても、あのおうちはれみりゃがでてぜんぜんゆっくりできない おうちだったよ……」 「あんにゃおうちはまりしゃしゃまにふしゃわしくにゃいんだじぇ!」 「ゆわーん、もうおうちかえりゅ!」 どうやら今回のお引っ越しは失敗のようだ。仕方が無い、元のおうちに戻ろう。親れいむ はそう判断し、子供達を促して巣の方に移動しようとしたが、その瞬間黒い影が視界を横切っ た。 「うーっ! うーっ!」 「「「「「「「「れみりゃだああああああああ!」」」」」」」」 今度は人間の変装等では無い、本物の胴なしれみりゃだ。子供達は咄嗟に母親に近寄り、 母親がその頼もしく長い舌ですくい取って口の中に匿ってくれる事を期待したが、親れいむ は歯を食い縛って決して口を開けなかった。 「おきゃーしゃん、おくちにいれてえええええ」 「れみりゃごわいよおおおおお」 親れいむは口に向かって擦り寄ってくる赤ゆっくりを跳ね飛ばすと、 「ごめんね……おちびちゃんたちをおくちにいれると、ゆっくりできないよ! ゆっくりり かいして、がんばってついてきてね!」 と言い捨てて、巣穴の方に行ってしまった。どうやら実験のトラウマのせいで、赤ゆっく りを口に入れる事が出来なくなってしまったらしい。子ゆっくり達も慌てて親に従って去っ てゆく。赤ゆっくり達は一瞬呆然としたが、すぐにれみりゃの脅威が迫って居る事に気付き、 親を追って必死に飛び跳ねる。 こうして「おかああさんのおくちのなか」と言う最大のゆっくりぷれいすを失ってしまっ た彼女らに、安息の日は有るのか? 赤ゆっくり達の苦難のゆん生は、まだまだ始まったばかりだ。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2476.html
『こぜうさまとさくや』 ============================ (前書き) 一部、捉えようによっては微妙な表現・展開がありますが、 決して何か他意や風刺したい物事があるわけでは、ございません。 以上、ご了承ご容赦ください。 ============================ 「うぁぁー! ふらぁぁーーん!!」 「うーー! おねぇさまぁーー!!」 今、2匹のゆっくりが、天然の洞の奥に閉じこめられ泣いていた。 片方は、ゆっくりれみりゃ、もう片方はゆっくりフランだ。 互いを慰めるように抱きしめ合う2匹は、義理の姉妹でもあり同時に"つがい"でもあった。 そんな2匹の前に、黒い帽子をかぶったゆっくり達が現れた。 「へへへっ、かんねんするんだぜ」 「おまえらは、これからまりさたちのえさとして、いっしょーここでくらすんだぜ」 「これでもう、ふゆのえさもしんぱいないんだぜ……まったくドスのあたまのよさにはおそれいるんだぜ」 "だぜ"口調のゆっくりまりさ。 俗に"だぜまりさ""ゲスまりさ"と呼ばれる種類だ。 「だせぇー! おぜうさまをここからだずんだどぉーー! ぎゃおー! ぎゃおー!」 「うーー! ここからだせ! ゆっくりしね!」 れみりゃとフランは、敵意を剥きだしにする。 だが、この捕食種達の叫びを、まりさ達は涼しく受け流してニヨニヨほくそ笑んだ。 二つの理由から、まりさ達に恐怖は無かった。 まず、れみりゃもフランも体中ボロボロで、羽と両足は既に食いちぎられた後だったから。 そして、自分達には、れみりゃとフランをここに捕まえた強大なリーダーがいるとわかっていたからだ。 『ゆぅ~? さわがしいけど、どうかしたの~?』 洞の入口に居座る巨体。 それは、このまりさ達の群れの長、ドスまりさだった。 「どすぅ~、このえさがなまいきなんだぜぇ~♪」 「まりしゃたちをいぢめるのぉ~♪」 まりさ達は、先ほどまでとは態度を一変させ、気味の悪い猫なで声をあげる。 そのわざとらしい豹変ぶりは、れみりゃ種やふらん種からしても辟易するものだったが、このドスまりさは違った。 まりさ達の言い分を全面的に受け入れ、絶対的な信頼をおくっていた。 『もう! まだ立場からわからないようだね! やっぱりれみりゃ達は頭がわるいね! ぷんぷん!』 ドスまりさは頬を膨らませ眉をしかめさせると、どうにか体がおさまる洞の中へ入ってくる。 その圧倒的な威圧感に、れみりゃとフランは怯え、まりさ達は薄ら笑いを浮かべた。 眼前に迫ったドスまりさの影が、絶望の暗闇となって、れみりゃとフランを覆う。 れみりゃは辛うじて動く手で、フランの手をぎゅっと握った。 「うー、ふらん……なにがあってもずっといっしょだどぉー……」 「うー、ふらんも……おねぇーさま……だいすき……」 「うー? ふらん、はじめてだいすきっていってくれたどぉ♪ れみりゃもふらんのことだいすきだどぉー」 「うー、しってる……おねぇーさまとふらんずっといっしょ……だからだいすき」 「うれしぃーどぉー♪ また、いっしょにあそぶどぉ♪ ひさしぶりにぶーぶーごっこするどぉ♪」 「うーうー、ふらん……とってもたのしみ……」 絶望的な状況を前にして、れみりゃとフランは、これまでの日々を思い返していた。 そして、その苦しいこと楽しいことを思い出して語っては、目に大粒の涙をためて微笑むのだった。 その顔は、とても安らかで、とてもゆっくりしていた。 『うーうー、うるさいよ! ぶさいくな肉まんとあんまんはゆっくりしていい権利はないよ!』 れみりゃ達のゆっくりとした様子にイラついたドスまりさが、2匹へのお仕置きを開始する。 殺さないように、されど生かさないように、ドスはねちっこく2匹を傷つけていく。 生かさず殺さず捕まえておけば、その再生能力故に貴重な食料源となる、れみりゃとフラン。 その2匹を捕まえて群れのみんなで食べようと提案したのは、このドスまりさだった。 そして、このつがいの2匹は、最近生まれた子供達のために、 より美味しい"あまあま"を探して遠くまで狩りに出たところを、運悪く標的にされてしまったのだ。 れみりゃとフランといえど、数十匹の成体ゆっくりとドスの集団の前では分が悪い。 群れにも相応の被害が出たが、結局こうして生け捕りにされ、"あまあま"のエサにされようとしていた……。 エサとなるための調教、それはとてもゆっくりと、いつまでも行われた。 ドスが疲れて出て行ってからも、群れのゆっくりが交代でやって来ては、嫌がらせをしていく。 その調教は、結局すべてのゆっくりが眠る深夜まで続いたのだった。 「……うぁ……うぁ」 「……う、うー」 れみりゃとフランは、辛うじて生きていた。 けれど、瞳は傷つけられ、再生するまでは、互いの顔を見ることもできない。 2匹にできるのは、暗黒の中で、潰された咽の奥から嗚咽をもらすことのみだ。 そこへ、2匹にとってのかすかな希望がやってきた。 「お、おぜうさま……い、いもうとさま……おおお、おいたわしやぁ……」 それは、2匹が狩りに連れてきた従者……しばらく前から一緒に暮らし始めたゆっくりさくやだった。 「……うー、さくや?」 「は、はいぃ! おぜうさまーおきをたしかにぃー!」 さくやは、捕食種ではなく、再生能力も持たない。 そのため、れみりゃ達が捕まってからは、この群れに奴隷同然にこき使われていた。 一般種の中では知力体力ともに優れたさくや種ではあったが、敬愛する主達が囚われては、逆らいようもなかった。 「さ、さぁ、おぜうさま、いもうとさま! おしょくじですわ! さくやを"ちぅちぅ"してくださいまし!」 さくやは、れみりゃ達への食事係も任されていた。 だが、群れの食料をわざわざ"エサ"に与える義理は無い。 さくやの中の"あまあま"を吸わせるのが、れみりゃ達への食事だった。 「うー……」 「ど、どうなさったのですか!?」 だが、れみりゃもふらんも、さくやに牙を突き付けることはなかった。 正確に言えば、突き付けることが出来なかった。 2匹とも、能動的に物を食べられるような状態ではなかったのだから。 「ど、どうすれば……」 「うー……さくやぁー、おねがいがあるんだどぉー」 「は、はいっ! なんなりと!」 困り果てるさくやに、れみりゃが力無く話しかける。 さくやは、そのか細い声を一言一句聞き逃すまいと意識を集中する。 「ここから、にげてほしいんだどぉ……」 「ゆっ!?」 「うー、こーまかんでおるすばんしてるあかちゃんたちがしんぱいだどぉー」 「うー、ふらんからも……おねがい……」 そう、れみりゃ達がこうなったのも、元はと言えば愛しい我が子達のためであった。 だが、子供達はまだ幼い。お歌もダンスもパタパタも、あまあまの捕らえ方も知らないのだ。 誰かが、守り導いてやらなければならない。 それこそが、このれみりゃとフランの共通にして最大の懸念事項であり、 同時にこの状況下で持てる唯一の希望であった。 「で、でも、それでは、おぜうさまたちが……」 「……だ、だいじょーぶだどぉー、れみりゃもふらんもおつよいどぉー♪ あまあまどもなんて、のうさつ☆してやるどぉ♪」 「……うー、あいつらゆっくりしぬ……ふらんあいつらゆるさない……」 「お、おぜうさま……いもうとさま……」 れみりゃとフランが無理をして強がっているのは、ゆっくりのさくやとて理解できた。 それ故に、さくやは溢れだす涙で視界を滲ませて、決意する。 「わ、わかりましたわ♪ おぜうさまたちのおこさまのこと……こぜうさまたちのことは、さくやにおまかせください!」 「うーうー♪ たのんだどぉー♪ えれがんとでかりしゅま☆あふれる、かーわいい子にしてあげてねぇーん♪」 「も、もちろんですわ! さくやがんばりますわ!」 「うっうー♪ かならずおかえりするから、れみぃーとふらんちゃんといっしょに、ゆっくりまっていてねだどぉ♪」 これが別れとなることを否定するように、必死に明るい声を出そうとする、れみりゃとさくや。 だが、いつまでものんびりしているわけにはいかない。 さくやは、れみりゃとふらんに礼をしたの後、その洞を後にした。 そして、眠りこけている群れのゆっくり達の間隙を縫って、その場所から逃げ出すのであった。 「ゆぁぁぁーー! ゆぁぁぁぁーーーっ!」 必死に跳ねながら、さくやは誓いを立て、己を鼓舞して叫んだ。 「みていてくださいっ! こぜうさまたちは、さくやがりっぱなおぜうさまたちにしてみせますわぁーっ!!」 * * * それから、時は流れ……。 「う~う~☆うぁうぁ~♪」 「ぷぅ~ぷぅ~☆ぱっぽぉ~♪」 さくやが月に叫んでから1年後。 春の香り満ちる花畑で、れみりゃとフランの姉妹が、楽しげに歌いながら花を積んで遊んでいた。 この2匹は、あの晩さくやが託された子ども達であった。 2匹とも体はまだ50cm程度と小さかったが、健やかにスクスク育ち、実にゆっくりとした日々を謳歌していた。 一方、1年前まだ赤ちゃんだった2匹をここまで育てた功労者は、 2匹から少し離れてその平和な様子を眺めていた。 「……こぜうさま、こもうとさま」 ゆっくりの群れから逃れて以降、 さくやは己のゆっくり人生を捧げて、れみりゃとフランの姉妹を守ってきた。 あの群れの追っ手が来るのではと懸念もあったが、 あれから1年、そのようなこともなく平和な日々が続いてた。 旅のうーぱっくから聞いたところによると、近頃ドス級ゆっくりに率いられた群れが、 "歌とともにやってくる山のように巨大なゆっくり"に襲われ壊滅することが度々起きているらしい。 因果応報。あの群れもきっと、その末路を辿ったのだと、さくやは結論づけた。 となれば、自分が果たすべきことは一つ。 いつか約束通り帰ってくるだろう主人達を、立派に育った子供達とともにむかえることだ。 さくやは、そのように考えて、よりいっそう気合を入れて姉妹を育ててきた。 「……おふたりとも、げんきにせいちょうされて、なによりですわ」 しかし、その言葉とは裏腹に、さくやの顔は優れなかった。 それどころか、まるで何かを嫌悪するように、いらだってさえいた。 「う~♪ おはなのかんむりなのりゃ~☆ふりゃんにあげるのりゃ~♪」 「ぷ~♪ おねぇーたま、ありがとぅ☆」 れみりゃとフランの姉妹は、実に仲が良かった。 それは、さくやにとっても喜ばしいことだ。 だが……。 「うぁ~♪ ふりゃん、おひめちゃまみたいなのりゃ~♪」 「ぷぁ~♪ おねぇーたまにも、これあげるねぇ~♪」 「おはなのくびかざりなのりゃ~♪ とってもしゅてきなのりゃ~♪」 「おねぇーたま、とぉってもかりしゅまだよぉ♪ きれぇーきれぇー☆」 ……れみりゃとフランの会話に、さくやは何だか我慢ならないものを覚えていた。 何かが違う。こんなのは違う。自分が敬愛した"おぜうさま""いもうとさま"ではない! さくやは、湧き上がる感情を抑えきれずに、姉妹を呼び寄せた。 「こぜうさま! こもうとさま! こっちへきてくださいまし!」 「う~? しゃくやぁ~なぁ~にぃ~?」 「ぱっぽぉー☆しゃくやもいっしょにゆっくりしよぉ~♪」 一緒にゆっくりしよう……その言葉は、親愛の情に他ならない。 けれど、このさくやは、ぷくぅーと頬をふくらませて、どすどす体を跳ねさせた。 そして、れみりゃとフランの前まで来て、さくやは叫んだ。 「そんなのちがいますわぁーーっ!!」 さくやの鬼気迫った大声に、花畑の空気が一変する。 れみりゃとフランは、きょとんと目を開いて首を傾げた。 「う、う~~?」 「しゃくや、どぉーちたのぉ?」 さくやは、体を跳ねさせ地団駄を踏んだ。 「ものおぼえのわるいかたたちですわぁー! きのうまでのれっすんがだいなしですー!」 「うぁー、でもでも、しゃくやのいうことよくわからないのりゃー……」 「ぽっぷぅー……ごめんなさい……」 楽しかった空気もどこへやら、れみりゃとフランは困ったように目を伏せる。 この姉妹、自分たちを育ててくれたさくやのことは大好きだったし、感謝もしていたが、 いかんせんさくやの言う"れっすん"だけは理解できなかった。 「いいですか! こぜうさまたちは、"えれがんと"で"かりしゅま"なれでぃーにならなきゃいけないんです!」 「……うー」 「……ぷー」 まくしたてるさくやに、れみりゃとフランは不承不承返事をかえす。 姉妹は思う、"れっすん"なんていいから、一緒に楽しくゆっくりしたいのにと。 しかし、そんなゆっくりらしい想いにひたる姉妹に、さくやは叱咤激励を飛ばした。 「しっかりしてください! おぜうさまたちもみていますよ!」 「……ぱぁーぱぁ?」 「……まんまぁー?」 殆ど記憶にない両親のことを、さくやから聞くのは、姉妹にとって楽しみの一つだった。 そして、自分達ががんばってレッスンをこなせば、いつか両親と会うことも出来るかもしれない…… 根拠はなかったが、姉妹はそれを合い言葉にさくやのレッスンを受け続けてきた。 「ですから、へんじはおおきく! がんばりますわよ!」 「う、うーうー!」 「ぷ、ぷっぽー!」 真剣な表情になり、元気よく返事をする、れみりゃとフラン。 その様子に、さくやはウンウンと頷き、キッと眉根を引き締める。 「よろしいですわ! それじゃきょうの"れっすん"をはじめますわ!」 「うー! れみぃーがんばるのりゃー!」 「ぷっぷー! ふらんもー!」 ドン! 「うっ?」 「それが、ちがいますわぁー!!」 さくやは、れみりゃとフランの足にドンドンと、体当たりをする。 「うぁ~! しゃくや~、いたいのりゃ~!」 「ぷぅ~~! やめてぇ~~!」 まだ体の小さい姉妹は、さくやの体当たりを受けて尻餅をついてしまう。 「だ・か・ら! なんどいったらわかるんですのー!? そんなしゃべりかたぜんぜんえれがんとじゃありませんわぁー!」 さくやは、目を赤くして叫んだ。 そこには、何回自分が懇切丁寧に指導しても、しゃべり方一つ身につけない姉妹に対しての苛立ちが混じっていた。 「いいですか! おぜうさまは、そんなふうにしゃべりません! いまからさくやのみせるおてほんをまねしてくださいね!?」 「う~~、おねがいするのりゃ……」 コホンと、さくやは咳払いをしてから、くわっと目を見開いた。 「"れみりゃはごーまがんのおぜうさまだどぉー! わがっだらざっざどぷっでぃ~ん☆もってくるんだどぉ~♪"」 「れ、れみぃーはこーまかんのおぜうさまなのりゃ……わかったらプリンもってきてほしいのりゃ……」 「ち、が、い、ま、す、わぁー!!!」 ドン! さくやの体当たりが、れみりゃのお尻にぶつかる。 「うー、いたいのりゃ……」 「ちがぁーう! "ぶっぎゃあ! いったいどぉー! ざぐやぁー!"ですわぁーっ!」 ドン! ドン! ドン! さくやの体当たりは、まるで折檻の尻叩きのように、れみりゃに対して続きられた。 それは、教育熱心というレベルを越えていた。 さくやの情熱は、敬愛する主の命を果たさねばという使命感によるものだ。 故に、さくやは、目の前の姉妹を見ているようで見ていない。 その目に映るのは、自分の思い出の中の"おぜうさま"と"いもうとさま"の像だ。 その結果、本当に重要な指導内容や指導方針の是非について、さくやは考えがおよばないでいた。 「ぷぅーっ! しゃくやぁー、おねぇーたまいたがってるよぉー!」 「こ、こもうとさまも、こもうとさまですわぁー!」 ドン! 「きゃん!」 「いもうとさまでしたらそんなしんぱいはしません! むしろ、そっせんしてこうなさいます!」 ズドン! 「う、うぁー、れみぃーのおかおがぁー! ひりひりするのりゃー!」 「こうです! いもうとさまでしたら、もっとかげきになさいます!」 さくやは思い切り跳躍し、れみりゃの顔に体当たりをした。 さくやの思い描くイメージは、フランが拳をれみりゃの顔に埋め込んでいる姿だった。 「お、おねぇーたまにそんなひどいことできないよぉー」 「きぃー! なんでわからないのです! あいことばは"しね! ゆっくりしね!"です!」 さくやのスパルタ教育に、れみりゃとフランは、肩を抱き合って涙ぐむ。 頬をすり合わせ、互いを愛おしむ姿に、息を荒げるさくやも本能的に頬をゆるませた。 「……こくごのじゅぎょーはここまでですわ。おしょくじにしますから、ついてきてください」 踵を返して跳ねていくさくや。 れみりゃとフランも、浮かぬ表情のままその後を歩いてついていく。 本当は、空を飛んだ方が速いのだが、 以前さくやから「おぜうさまが、そんな速くパタパタなさるなんてはしたない!」と折檻されてしまったため、 こうして歩いていかざるを得なかった。(ちなみに、さくや曰くフランは飛んでもよいらしく、それがなおさら姉妹を混乱させた) また、歩き方も、よったよったのったのった歩いていかなければないと、怒られる。 曰く、そうやって歩くのが、"えれがんとなれでぃー"の立ち振る舞いらしい。 そして、これから始まるご飯の時間も、マナーの教育が待っている。 さくやと一緒にゆっくり"でぃなー"を食べたいのに……そんな姉妹の願いがさくやに届いたことはなかった。 * * * さくやのレッスンは続いた。 楽しく姉妹でダンスを踊っていたところ、 さくやが血相を変えてやって来て、歌もダンスも、あえてリズムを外すよう言ってきた。 そして、フランにはダンスは踊らず、れみりゃを殴るように指導した。 れいむ種やまりさ種のことを区別してはならず、 いっしょくたに"あまあま""おまんじゅう"と呼ぶよう、さくやは教えた。 れいむ・まりさの姉妹と友達になりそうだったので、さくやはその日のうちに"あまあま"どもを調理した。 れみりゃには、人前で"ぶぅーぶぅー"放屁をするように繰り返し練習させた。 フランには、場所や相手を問わず"ゆっくりしね!"で感情表現するように訓練を課した。 「むにゃむにゃ……みていてください……こぜうさまたちはさくやめが……」 さくやは、"こーまかん"と名付けられた廃屋の中で眠っていた。 そこは、さくやの主たる、"あの"れみりゃとフランの夫婦が森の中で見つけて築いた巣だった。 いい夢を見ているだろうさくやを横目に、 れみりゃとフランの姉妹は、こーまかんをそっと抜け出し、夜のお花畑に繰り出すのだった。 「うっう~☆うぁうぁ~♪」 「ぷぅ~ぷぅ~☆ぱっぽぉ~♪」 れみりゃとフランの姉妹は、誰に邪魔されることもなく自由に楽しくゆっくり踊った。 さくや種と違い、れみりゃ種フラン種は夜型の活動を好む。 そのため、さくやが寝てからのこの時間は、姉妹の秘密のお楽しみだった。 「うぁ!?」 「ぷぅ!?」 突如、れみりゃが自分の足に足をひかっけ、倒れてしまう。 しばらく前までは無かったことだが、さくやのレッスンのよって、おかしなリズムを体に刻み込まれてしまった影響だった。 「う~いたいのりゃ~……なんだかおかしいのりゃ~……」 「ぽっぷぅー……おねぇーたまだいじょーぶぅ? やっぱりしゃくやにいったほうが……」 「だ、だいじょーぶなのりゃ♪ れみぃーはつよいこのなのりゃ♪」 「おねぇーたま……」 「ふりゃんは、とってもやさしいこなのりゃー♪ いっしょにがんばって、ぱぁーぱぁーとまんまぁーにあうのりゃ♪」 「う、うん! がんばろうね、おねぇーたま☆」 「うーうー♪」 姉妹は、満月を見上げて、微笑んだ。 頑張ればきっといつか……きっといつか、両親と姉妹とさくやとでゆっくりできるはずだ……。 れみりゃとフランは、そう信じて優しいハグをかわした後、夜のレクリエーションを切り上げた。 「……ふりゃん、おやすみなのりゃ」 「……おねぇーたま、おやすみ」 * * * 「さぁ! きょうのれっすんをはじめますわ!」 高らかに宣言する、さくや。 れみりゃとフランは、その後ろで体を屈めている。 今日、3匹は人間の里近くまで降りてきていた。 茂みの中に隠れる3匹のすぐ先には、人間の畑が広がっている。 「うー? こんなとこきてなにをするのりゃ?」 「……こぜうさまは、あれをごぞんじですか?」 そう言って、さくやが目配せした先には、人間が育てた作物が実っている。 「うっうー☆れみぃーしってるのりゃー♪ あれはーにんげんしゃんのはたけなのりゃー♪」 「そのとおりです。それでは、いまからこぜうさまには、あのはたけへいっていただき……」 「うー?」 「はたけのおやさいさんを、"ぽぉーい♪"してきていただきます」 「う、うー? そんなのことしちゃだめなのりゃー! にんげんしゃんがゆっくりできないのりゃー」 ドン! 「うーっ!」 「お、おねぇーたま!」 さくやの突進が、屈んでいたれみりゃの顔に直撃した。 目尻にうっすら涙を浮かべる、れみりゃ。 フランは、ひりひり赤くなった顔の真ん中を、さすってあげる。 「なんとなげかわしい! おぜうさまにとって、にんげんなどぷっでぃ~ん☆をもってくるじゅうしゃにすぎません!」 「う~~~でもぉ~~~」 「でもじゃありません! へんじは"ゆっくりりかいしたどぉ~♪ れみりゃってはやっぱりてんさいだどぉ~♪"です!」 怒りで顔を膨らませるさくやに対し、れみりゃは表情を曇らせながらも立ち上がる。 「お、おねぇーたま……」 「ふりゃん、れみぃーはがんばるのりゃ! それじゃ、いってくるのりゃ♪」 心配する妹に笑顔を送って、れみりゃはパタパタ茂みを越えて畑へ飛んでいく。 れみりゃは気が乗らなかったが、昨晩フランとかわした励ましを胸に、畑へ降り立った。 「うー、こんなのえれがんとじゃないのりゃ……」 チラっと茂みの方を見る、れみりゃ。 そこには不安気なフランと、「さぁ!」と催促するさくやがいた。 「う~~! にんげんしゃん、ごめんなさいなのりゃ~~!」 れみりゃは目を瞑り、眼前にあった緑色の丸い葉野菜を、思い切り引き抜いた。 「うぁ!」 れみりゃは勢い余って後ろに倒れ、尻餅をついてしまう。 その横で、引き抜いた丸い野菜が泥まみれになって転がっていった。 土で汚れた自分の手と、たったいま引き抜いた野菜を見比べ、 れみりゃは無性にやるせない気持でいっぱいになった。 「う~~なんなのりゃ~。なんで、こんなことしなきゃいけないのりゃ~~」 こんなことはさっさと終わらせよう。 帰って、さくやのごはんを食べよう。 帰って、フランと一緒に遊ぼう。 「う~~っ、う~~~~っ」 れみりゃは、半ば自棄気味になって、野菜を引き抜いてはあたりに転がしていく。 「こんなのいやなのりゃー! こんなきもちいらないのりゃー! ぽぉーいするのりゃ! ぽぉーい!」 気づけば、れみりゃの周りの野菜は、全て泥まみれで転がっていた。 はぁはぁと息を荒げながら、れみりゃはその光景を見回す。 ふと茂みの方を見ると、さくやはれみりゃを見て、満足そうに笑っていた。 (や、やったのりゃ!) れみりゃは、はじめて"れっすん"で笑っているさくやを見て、嬉しくなった。 大好きなさくや、これできっと一緒にゆっくりしてくれるに違いない。 これで、いつかきっと両親も帰ってきてくれるに違いない。 れみりゃは、微笑み茂みへ戻ろうとパタパタ羽を動かす。 そして、フワリと浮いたところで、違和感に気づいた。 「うー? パタパタできないのりゃ?」 「そりゃー、そうだろうな」 「うっ!?」 れみりゃは、自分の羽が何かとても大きな生き物に掴まれていることに気づいた。 そして、それがこの畑の持ち主、すなわち人間だと気づいた時には、地面に投げつけられていた。 「いたい~~! いたいのりゃ~~!」 顔を土まみれにして、れみりゃは泣き叫んだ。 その痛みは、さくやの体当たりや"あまあま"のかみつきなど比較にならなかった。 「あーあ、ぜんぶダメにしちまったのか……」 男の顔は、怒っていなかった。 ただ、一切の表情を失って、愛情込めて育てた野菜の末路を眺めていた。 れみりゃは、とても恐かった。 怒っているはずのその男が何も言わないのが、 さくやのように頬を膨らませないのが、とても恐かった。 「ご、ごめんなさいなのりゃ……おやさい、だいじょーぶなのりゃ?」 「……だいじょぶなわけ……ねぇーだろがっ!!」 「ぷっぎゃぁー!」 れみりゃは、顔を蹴られ悶絶する。 痛い痛い痛い。 恐い恐い恐い。 その感情が沸点に達し、無意識にれみりゃは叫んでいた。 かつてさくやに教わりながら、違和感があってどうしても言えなかった台詞を。 「ざぐやぁーーたじゅげでぇーーー!」 だが、その"いかにもれみりゃらしい"言動は、逆に男の怒りに油を注いでしまう。 「ふざけんじゃねー!」 男は、れみりゃの頭を踏みつける。 「生きるために食うケモノどもならまだわかる! だってのにてめぇーらは遊びで!」 "ごめんなさいごめんなさい" "でも、ちがう、ちがうの" "れみりゃは、ゆっくりしたくて" "ふりゃんとまんまぁーとぱぁーぱぁーといっしょにいたくて" 「このクソやろうが! 楽に死ねると思うなよ!」 「う、うぁ……うぁ、うぁぁ……」 れみりゃのボロボロになった顔が、恐怖で染まる。 その、恐怖の顔を見て、いてもたってもいられなくなっている者がいた。 他でもない、茂みの中で隠れていた、フランである。 「ぷぅーぷぅー!ぷぅーぷぅー!」 「だめです! いもうとさま!」 フランは、人間が近づいてきた頃から、姉を助けようと飛びだそうとしていた。 けれど、それをたびたび止めたのが、さくやだった。 今も、フランの足に噛みついてまで、茂みから出るのを止めている。 「はなちて! おねぇーたまが!」 「いいえ! こぜうさまはりっぱです!」 「ぷぁ!?」 フランは、さくやの言葉に目を丸くした。 立派、さくやは確かにそう言った。 「しゃく、や?」 「ああ、すてきです! そのぶさまなやられぶり! ぶたいかのちくしょうぶり!」 フランは、わけがわからなくなっていた。 さくやが自分を止めていたのは、てっきり自分やさくやに危険が及ぶからだと思っていた。 しかし、さくやは、危機に瀕している最愛の姉を見て、目を輝かせいた。 悦楽で顔を火照らせ、鼻血をだしていた。 「こぜうさま、りっぱですわぁー! それでこそおぜうさまです!」 「な、なにいってるの!? おねぇーたまがたいへんなんだよ!?」 「いいえ! あれこそ"れっすん"のせいかですわ!」 「そ、そんな!?」 「あのまま、いじめられたり、たべられたりしちゃうんですわ!」 「な、なんで……そんな……」 「だって、それでこその、おぜうさまですわぁー!」 さくやからこぼれる狂気じみた言葉。 それが、フランの体にザクザクと刺さっていく。 「そう、いじめられていじめられて! さいごはみじめなエサにされてしまう! それがわたくしのおぜうさまぁーーっ!!」 「ぷぁ!?」 このさくやの心は、とうの昔に壊れていた。 敬愛する主人達が、侮蔑すべきゆっくりの群れの敗れた時に。 主人達が、ゲスなゆっくり達のエサとして調教された時に。 けれど同時に、このさくやは、崇拝する主から命を受けた。 それは、呪いとなって、さくやを今日まで生かし続ける原動力となっていた。 "こぜうさまを、おぜうさまのように" "こもうとさまを、いもうとさまのように" さくやは、ただそれを忠実に実行しようとしていたのだった。 「……しゃく……や」 「おぜうさまー! すてきです! まるでいもむしみたいですわぁーっ!」 「!!!???」 その狂ったエールを聞いた瞬間。 フランは、自分の中で何かが弾ける音を聞いた気がした。 「……し……しね」 「……ゆ? こもうとさま、いまなんと?」 「……おねぇーたまをいじめるさくやは……ゆっくりしねぇーーっ!」 フランは、さくやの頭に渾身の拳を打ち付ける。 柔らかい感触が拳に伝わったのと同時に、さくやから大量の"あまあま"が飛び出した。 「こ、こもうと……さま?」 「しね! ゆっくりしね! ゆっくりしないでしね!」 フランは泣いていた。 さくやが好きだったから。 一緒にゆっくりしたかったから。 だが、それ以上に大好きで、掛け替えのない存在への想いが、 フランの中に眠っていた種の本能を解放させる。 「ぷぁぁぁぁ--っ!」 一方的な暴行が終わり、フランが自我を取り戻した時、 目の前には、食べ散らかした時の"あまあま"そっくりなものが、転がっていた。 「り、りっぱですわ……それでこそ、いもうとさまです……」 その"あまあま"の残骸は、死を前にして微笑んでいるようだった。 「おぜうさまも……いもうとさまも……さくやのもとからりっぱにそつ……ぎょう……」 そのまま、さくやは何も言わなくなった。 「しゃくやぁー……ゆっぐりちたがったよぉー……」 嗚咽をこぼし、"あまあま"の塊の前で跪く、フラン。 けれど、あまりゆっくりしていてはいけないことを、フランは本能的に理解していた。 「お、おねぇーたま……」 フランは立ち上がり、手で涙をぐしぐしぬぐう。 そして、フワリと空に舞い上がると、全速力でれみりゃの下へ飛んでいった。 「おねぇーたまをはなせぇー!!!」 フランは、全力の突撃で人間の男へ飛びかかる。 ……だが、その攻撃はあっさりと受けとめられてしまう。 「あん?」 「ぷぁー! ぷっぽー! おねぇーたまをいじめるなぁー!」 体を押さえられながらも、べちんべちんと人間を叩くフラン。 だが、"あまあま"や"さくや"を無慈悲に葬ってきた攻撃も、人間相手には通用しない。 やがて、フランもれみりゃ同様に、地面に投げつけられてしまう。 「ぷぁーー!」 「……ったく、仲間がいたのか。おどろかせやがって」 「ぷぁーーぷぁーー、しね、ゆっくりしねぇ……」 「ちっ、うすきみわるい奴だぜ!」 「ぎゃっ!?」 男はフランの体を蹴飛ばし、ボロボロとなって動かなくなったれみりゃの下へ転がした。 「……う、うぁ? ……ふ、ふりゃん?」 「……ぷ、ぷぁ……お、おねぇーたま」 れみりゃとフランは、ぷるぷると震える手をのばし、 互いの手をとりあって温もりを確認しあう。 「……ふりゃん……いつまでもいっしょなのりゃ……れみぃーはふりゃんがだいしゅきなのりゃ♪」 「……だいしゅきだよ……おねぇーたま☆」 ガシッ! 「うぁぁ!」 「ぷぁぁ!」 手を重ねたまま悲鳴をあげる、れみりゃとフラン。 男が、重なり合ったれみりゃとフランの手を踏みつけたのだ。 「ふん、そんなに一緒にいたいなら、そうさせてやるよ……」 男は、大八車を引っ張ってくると、乱雑にれみりゃとフランを放り投げた。 そして、口元を歪めながら、大八車をガラガラ引いていく。 「たまに買い出しに来る守矢の風祝がお前等みたいのを集めてるらしいからな…… お前等はあそこへ奉納してやるよ……そこで妖怪どもに食い尽くされちまいな!」 男の言葉は、れみりゃとフランにはわけのわからないものだった。 だが、男が自分達を憎んでいること、きっと酷い目にあわせようとしていることだけは、理解できた。 「うぁぁー! ふりゃーーん!!」 「ぷぁぁー! おねぇたまぁー!!」 動かぬ体でれみりゃとフランは、ただ泣き叫ぶしかなかった。 ただ唯一、滲んだ空に両親の顔が見えた気がした……。 幕 ============================ 何か似た設定のSSがあったとしても、それはそれ、これはこれ。 関係なく、少しでも楽しんでいただければ幸いです。 なお、ラストの姉妹の届け先に関しては……これも有りかなと。 後日、もしかした加筆修正するかもしれません(しない可能性も有りますが) by ティガれみりゃの人 ============================ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2390.html
ゆっくり罠地獄その1 畑を荒らすゆっくりどもの対策には無視できないほどの労力と金が必要だった。 村人総出で群れを潰すのが手っ取り早いのだが残念なことにこの村のほとんどは老人だった。 年寄りがゆっくり狩りなどは危険すぎた。 ある農家では紫外線耐性をつけたれみりゃを加工場から買い、逃げ出さないように畑全体をカバーできる程度の紐を くくりつけ用心棒にした。 罠を仕掛けた当初は効果てきめんだった。 だが数日もすると悪知恵を働かせたまりさが紐のレンジ外から石を吹き付けて殺してしまった。 高い授業料となった。 ある農家では潰したまりさやれいむの帽子やリボンを柵にぶらさげて寄せ付けないようにした。 これも当初はその死臭を恐れたゆっくりどもを寄せ付けなかったが、これまた数日もすると風雨に晒されたせいか 臭いが薄れてしまったようで何の効果も発揮しなくなった。 つぶれたゆっくりは掃いて捨てるほどいるので見つける度に補充はしたのだが、どうも夜中にゆっくりれみりゃが その臭いに寄せ付けられて持っていってしまうらしい。これでは意味が無い。 ある農家では柵の手前にわざと野菜を置きその中に大量の唐辛子を混ぜ込んでおいた。 初回にやってきたゆっくりどもはうまいこと食いつき、その辛さにもんどりうって餡子を吐き出し死んだが、 ゆっくりどもは無数にいる。その都度トラップ野菜を仕掛けるのでは経済的によろしくない。 更には唐辛子入り野菜を川まで運び洗って食うゆっくりも出現しだした。どうやらゆっくりぱちゅりーの入れ知恵らしい。 ある農家では落とし穴を掘り毒液を満たしておいた。 このトラップにひっかかるのはいいのだが、狂ったように暴れるゆっくりがその勢いで穴を飛び出し畑の中で派手に踊るらしく、 野菜にも毒液が付着しとても食えたものじゃない。 そんなこんなで男に白羽の矢が立ったというわけだ。 村の中では一番若く、昔とった杵柄で工作や土木工事が得意だからというのも理由だろう。 罠なんてこれまで一度も作ったことがないがやるしかない。 単純なトラップではすぐに効果が無いことはこれまでの経験で分かっていたので、どうしたものかとかなり悩んだ。 それほど労力もかからず、なおかつ効果的で、それでいてゆっくりに大していつまでも有効。 そんなトラップあるのだろうか? 夜遅くまで図面とにらめっこした結果、一つの作品、といってもいいだろう。 対ゆっくり用罠1号が完成した。 仕組みはこうだ。 50cm x 100cmぐらいの長方形の穴を掘り、そこをゆっくりがやってくる側の唯一の柵の切れ目に仕掛けておく。 深さは70cm程度だ。次に奥行き100cmを50cmずつ2エリアに区切るように立板を差し込む。 その2エリアにはそれぞれ5cm間隔で先を尖らせておいた木の棒を突き刺しておく。 ふたは2枚にし、それぞれ50cmずつをカバーするように上からかぶせる。手前のふたはゆっくりの重みで外れる程度のものだ。 そして奥のふたは手前のふたより重さに耐えられるようにしておく。 つまり落とし穴をダブルで設置することになる。一発目のトラップにひっかかりつがいのうち一匹は死ぬだろう。 そこで恐れをなして戻ればいいのだが、おそらく残った親がトラップが無いことを確認するために石か何かを奥に投げて 確認するだろう。だが2枚目はそれくらいじゃ外れない。石を投げても穴は無いと勘違いする、 そして立板があるから奥の杭も見えない。もうトラップは無いと勘違いして引き続き落とし穴をジャンプで越えて進入を試みる だが助走をつけて飛び込んだ親の重みには耐えられない。 そのまま飛び跳ねて2匹目もドカンだ。 よしいける!男は一人ほくそ笑んだ。 早速夜が明けてすぐ作業を開始した。土木工事の経験がある男にとっては難なく完成させることができた。 ご丁寧にトラップの横の柵には虐待され餡子が飛び出したまりさとれいむの絵を書いた看板を設置しておいた。 わざとらしい方がかえって奴らの注意をひくだろう。 そして翌日の早朝 男は早く起きだし納屋の中に隠れ窓の隙間から様子を伺っていた。しかけた罠のすぐ横に建ててあるので 罠もはっきりと確認できる。 そろそろゆっくりどもが野菜を荒らしに来る時間だ。 「そろーり、そろーり」 程なくして男の予想通り間抜けな声が聞こえてきた。馬鹿共ご一行様の到着だ。 親まりさと親れいむ、小ゆっくりが二匹。 「おちびちゃんたち、おとをたてないでね。これからおいしいおやさいたくさんたべられるからね!」 おまえが一番うるさいだろうと思ったが男はじっと見つめていた。 「ゆっ!おかーちゃん!おとーちゃん!あぞごにごわいのがあるよぉぉぉぉっ!」 ズタボロになったまりさとれいむの絵を見つけてブルブルと震える小れいむと小まりさ。効果があったか? 「おちびちゃんたち!だいじょうぶだよ!あれはばかなにんげんがかいたえだよ!だまされちゃいけないよ!」 「ゆぅ・・?だいじょうぶなの?いたくないの?」 まだ少し涙を流しながら小刻みに震える小ゆっくり達。 「まかせておくんだよ!こんなのこわくもなんともないよ!」 そう言って看板にドンドンと体当たりをする親まりさ。そのまりさを見てうっとりする親れいむ。 おいおい、静かにしろと言い聞かせておいてどんだけお祭り騒ぎだ。 看板に無意味な攻撃をして満足したのか親まりさは入り口の方を向き直り直進する。よし、いいぞ。 ズボッ! 「ぎゃぶばびゅっ!!!」 親れいむと小れいむの前でまりさが消え気色悪い声が聞こえてきた。 突然のことに目を見開き硬直する親まりさと小ゆっくり達。 「ぐげぇ・・・・ぐぞおおおお!!・・・・ぢぐじょう・・・にんげんべ・・・・!!」 納屋の窓から穴を覗き込むと体のあちこちから杭を突き出しあんこをゲロゲロと漏らしている親まりさが見えた。 (ヒット!) 男は心の中で叫んだ。 「ゆがあああ??!!!ばでぃさぁぁあああああ?!どぼぢでええええ!!!???」 穴の中を見て半狂乱になる親れいむ。うっしっし。 「でいぶ・・・おぢびぢゃんだぢ・・・・だのんだよ・・・ばでぃざはもう・・・びゅぶぶぶっぶっ」 事切れたようだ。 「ウがああああああああああああ!!!!!!!!!ばでぃざ!!!!!」 ぬらぬらとした体液を目や口から垂れ流して親れいむが絶叫する。小ゆっくり達は白目をむいて気絶している。 嗚呼美しき夫婦愛家族愛哉。 「ゆぐぐぐぐぐ!ばでぃざのしはむだにじないよ!!!」 目を吊り上げて怒りを露にする親れいむ。おお、こわいこわい。 親れいむは目から汚い汁を垂らしながらも野菜をゲットする気満々だ。そうこうなくちゃな。 数歩後ろに下がった親れいむ。おや、怒りのあまり罠を確認しようとはしないのだろうか。 まぁ別にそれは構わないのだが。 「おがあぢゃん!もうがえろうよぉ!!!!」 泣き叫ぶ小ゆっくり達。 「あんだだぢはだまっでなざい!!!ごごでひぎざがっだらばでぃさがなぐよ!!!ばでぃざのぶんまで やざいをたべるんだよ!!!」 親れいむに鬼の形相でにらまれた小ゆっくり達はビクッとして黙る。 そして1mほど後ろに下がり既に開いている第一の罠をジャンプして飛び越す。 しまった!ゆっくりのジャンプの距離を間違えたか?! 男がそう思うくらい親まりさは必死になって飛び跳ねていた。 ガシッ 第二の罠を超えたあたりに着地成功・・・ッ・・・・か? いや違う、ふたと地面の丁度境目あたりに親れいむは着地した。 「おかあちゃんかんばれ!がんばれ!」 必死に応援する小ゆっくり達 れいむは思っていた。 (あいするまりさのしをむだにしてはいけない。のこされたおちびちゃんのためにもやさいをてにいれるひつようがあるんだ。 おちびちゃんたち、みてなさい、おちびちゃんたちもこうやって・・・・えっ?) ガタン 第二のふたが着地の衝撃で内側に開く。 「ゆ"っ・・・・?!ゆがっっ?!!」 れいむの体はゆっくりらしくとてもとてもゆっくりと後ろに傾いていた。 「ゆぐべらっ!ゆびびゅぶぶぶべらっ!!!!」 鋭利な杭の先がれいむを突き刺す。目を貫通していた杭もあった。一瞬たくさんの針で頭の中身を刺されたような 痛みがれいむに走る。何かを喋ろうとすると口から餡子が噴出してきた。 もはやこの親れいむは長くは無いだろう。 「ゆがっ・・・・がっ・・・・」 その様子を目の前にし、小れいむは大量の餡子を吐いて皮だけになって動かなくなっていた。 小まりさは白目のまま硬直していた。 「イェーイ!!」 男は納屋の戸をバンと開けると浮かれた声を上げながら飛び出してきた。 その勢いはBGMにサンバの調べが聞こえてくる気がするぐらいに。 「おちびちゃんはこの畑100匹目のゆっくりでーす!おめでとうございまーす!嘘だけど!」 男は嬉しさのあまり馬鹿丸出しの声をあげ小躍りしている。 小まりさはまだ白目をむいて小刻みに痙攣したままだ。 「98匹目と99匹目のおとうさんおかあさんは残念でしたー!残念賞をあげまーす!」 男はそう言いジッパーを下ろすと串刺しになっている親まりさと親れいむに じょぼじょぼと放尿を始めた。 まだ生きている親れいむは男の放尿を受けて 「ゆぐっ・・・ゆぐっ・・・」と唸っている。口にも杭が刺さっておりまともに会話はもうできない。 目からはぬらぬらとした液体が溢れていた。そして動かなくなった。 穴の下に向かって放出されていた尿が徐々に角度を上げて行き当たりに飛び散るようになる。 穴のふちにいたため男の放尿をまともにくらった小まりさは気絶から覚醒し「ぐぎゃあああああ!!!」 と叫びながら森の方へと逃げていった。 快感に包まれていた男はそれを潰すことをすっかり忘れていた。 「あ、しまった、逃がしちゃった」 我に返った男は穴の中で死んでいるゆっくり二匹を棒で取り出し川に放り投げる。 小れいむの死体は適当に足ですりつぶしておいた。 「よし、とりあえずこの罠は成功だな、明日も別のゆっくりどもが来るかもしれんし元に戻しておくか」 男は尿の臭いを消すために水を撒き臭いの強い野菜くずを適当に穴の底に撒いておき、ふたの仕掛けも 元に戻しておいた。 「小便なんかしなきゃ良かった。ああめんどくさい」 そしてその晩は安心して朝までぐっすり眠った。 翌朝 「どうしてだ・・・・」 目の前に広がる畑は見事に荒らされていた。 全ての野菜がほじくり出され、残っていたのは硬い芯や破片だけだった。 男は罠の方に走っていった。そして思わず「あっ」と叫んだ。 ダブルの罠にはどちらにも成体まりさとれいむが詰まっており髪の毛が見えている。 合計四匹。底の方には深く杭が突き刺さり餡子を飛び散らせているれいむ二匹。その上には貫通はしてないものの 深く刺さったまりさが二匹ひっかかってた。よく見ると上に重なっているまりさのうち一匹はまだかろうじて生きている。 「おい、何があった、どうして四匹も穴に落ちてるんだ!」 男はそういい生きているまりさに問いただす。 「ゆぐ・・・・ばでぃざはなにぼじでないのに・・・・どぼじで・・・・びどい・・・・」 男はまりさを穴から引き上げた。足の方には下で死んでいるれいむを貫通した杭が刺さった穴がいくつも開いている。 この傷で放置されたのだからもう助からないだろう。 「ばでぃざは・・・おぼうじなぐじだの・・・・だがら・・・ごのあなに・・・ぶでぃやり・・・・」 そう言うとまりさは餡子をぶりっと吐いて死んだ。 おそらく昨日逃がした小まりさが別の家族にここの罠のことを知らせたのだろう。 そしてこの罠の仕組みを知ったそのまりさ一家が帽子やリボンをなくしていじめられていたゆっくりを 無理やり連れてきてこの中に叩き落し、杭が露出しないことを確認してその上を悠々と渡り畑を荒らしたようだ。 ゆっくりをみくびっていた。男はがっくりと膝をついた。 噂には聞いたことがあるが、ゲスまりさというゆっくりはこういった悪知恵も働くらしい。 「しまった・・・俺の完敗だ・・・・」 男は昨日の自分の浮かれようを思い出し、そしてただ悔しさに土を拳で何度も叩いた。 しかし数分後、男はすくっと立ち上がる。既に落胆の表情は無い。 いやむしろ不適な笑みさえ浮かべている。 そしてぼそっと呟いた。 「次は戦争だ」 ~続く~ =====あとがき====== 2作目の虐待SSです。 トラップネタを書きたいなぁと漠然と思ってるところにfuku3373.txtが投下されたので触発されました。 この話を思いつく前からかなり長い話を書いてるのですが、ちょっと内容に行き詰っているので 気分転換に短い話を書いてみました。しかし続編アリになってしまった・・・ また勃起してますね。 これまで描いた話 【うんうんの報い】 by ゆっくりジェントルマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/752.html
※オリ設定満載 ※現代社会にゆっくりがいます ※東方キャラ登場注意 ※fuku2200.txtの人物が登場しますが、読まなくても多分大丈夫です。 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そして僕はそんな不思議に満ちた生命体の研究や飼育用の商品の開発に携わっている“ゆっくりカンパニー”のしがない一社員だ。 僕は社長命令でゆっくりの地下施設『闘技場』の視察に訪れていた。 あるビルの地下にあるその施設は古代のローマの闘技場を髣髴とさせる造りになっていて、中央にはゆっくり達が戦うものと思しきフィールドがある。 また客席に目をやると後方の客のためだろうか、四方に巨大なモニターが設置されていた。 そこでは観客らが制服を着た男にお金を渡し、代わりにチケットを受け取っている。恐らく賭博行為だろう。 付け加えるならば、その賭博は間違いなく違法であり、それゆえに警備が異常に物々しい。 「なんで僕がこんな仕事を・・・」 先輩にでも押し付けて逃げれば良かったな、と内心毒づいていると、試合の時間がやってきた。 それと同時に闘技場内の明かりが消え、代わりに照明の熱い光とギャラリーの眼差しがフィールドへと注がれる。 むせ返りそうなほどの熱気の中、一つの影が佇んでいた。影の正体は大柄な男。 総合格闘技やボクシングのレフェリーの正装に似た衣装を身にまとったその男が顔を上げ、手にしたマイクを口元に近づけると観衆は静まり返る。 「紳士淑女の皆様、わざわざこのようなむさ苦しいところにお集まりいただき誠にありがとうございます! 皆様もご存知のとおり、この闘技場はゆっくりどもを情け容赦なく殺し合わせるための施設でございます。 ですから、もしそのような行為を残酷だ、可愛そうだと思われるようなお客様がいらっしゃいましたら直ちにお帰りください。 ここはゆっくりどもを!たとえ愛するものでも!我が身を痛めて産んだ子供でも!一片の慈悲も無く殺し合わせる場所です! この空間に同情の言葉など不要!我々が望むものは殺せ殺せの大合唱と!飛び散る餡子と!血湧き肉躍る殺し合いだけなのです!」 開会宣言と思しきその言葉を聞いた観客達は一斉に立ち上がり、惜しみない拍手を送っていた。 「なるほどなぁ・・・」 ゆっくりの殺し合いを見せ物にするのは違法だろうか? 正直、先輩や紫社長ののように優秀ではないし、その辺の知識も乏しい僕には判断しかねる。 しかし、賭博行為は間違いなく違法だろう。これくらいは僕にだってわかる。 とはいえ、そんなことを声高に叫ぶのが僕の仕事ではない。 と言うか、正直何をすればいいのかさっぱりわからない。 仕方が無いので今日は素直に闘技場ライフを満喫することにした。もちろん、賭博は無しの方向で。 試合は8匹のゆっくりによるトーナメント制で、賭けに参加する場合は優勝者を当てるらしい。 初戦のカードはゆっくりれいむ(倍率8.90倍)とゆっくりまりさ(倍率2.03倍)。 「ゆふううううううううううん!!ゆうううううううううう!!」 ゆっくりれいむはドーピングによって強化されているらしく、試合開始前から異常に興奮していた。 「・・・・・・ゆぅ」 一方のゆっくりまりさは非常に落ち着き払った態度で、しかし目にうっすらと涙を浮かべながらそのれいむを見据えていた。 近くのギャラリーの話によるとあの2匹は元々夫婦で、れいむはまりさとの試合を拒んだ結果、過度のドーピングを受けて明日の朝日を拝めないことが決定しているとか。 「さあ、2匹とも・・・準備はよろしいですね?・・・・・・では、ファイッ!!」 レフェリーの掛け声と同時に勢い良く飛び出したのはゆっくりれいむ。その足取りは普通のゆっくりのような秒速25センチメートルの鈍足ではない。 1回の跳躍で70センチメートルは前進し、次の跳躍に移るまでの時間もかなり短い。間違いなく通常のゆっくりの2倍以上の速度で動いていた。 しかし、まりさは微動だにしない。こちらもれいむと戦うのを拒否しているのだろうか? そんなまりさを尻目に、薬物の力によって狂わされたれいむはどんどん距離を詰めて行く。 そして、あと50センチほどでまりさに届くところまで詰め寄ると、上方に跳躍した。 「た、高い!?」 最高到達点は恐らく1メートルを越えていた。そして、落下地点にはまりさが・・・いない。 いや、それが当然なのだろう。日頃から殺し合いばかりさせられている生き物が来るとわかりきっている攻撃を受けるはずが無い。 れいむの落下地点から30センチほど離れた場所にいるまりさの口にはいつの間にか小さな竹槍がくわえられている。 そして、れいむの着地にあわせて放たれた竹槍による一撃であっけなく決着がついた。 竹槍を貫通させられたれいむは一瞬で絶命し、二度と動くことは無かった。また、勝者であるはずのまりさもしばらくそこから微動だにしなかった。 そして、しばらくれいむだったものに寄り添って嗚咽を漏らしていたまりさはおもむろにその亡骸を食べ始めた。 その光景に沸き立つ観衆。どうやら、これがここの名物らしい。 その後も様々な試合が展開された。 小刀の扱い方を身につけたゆっくりみょん(倍率4.06倍)と常時発情しているゆっくりありす(倍率3.79倍)。 耳の部分に丈夫な角らしき何かをねじ込まれたゆっくりさくや(倍率3.98)とかなり鍛えられたゆっくりれみりゃ(倍率3.36倍) 尻尾に毒針をつけたゆっくりちぇん(倍率3.64倍)とドーピングされたゆっくりぱちゅりー(倍率108.29倍)。 どの試合も勝者は敗者の死肉を喰らい、そのたびに観衆は狂喜した。 「そう、良い報告だったわ。ありがとう」 「え、ええ・・・そうっすか?そんな大した報告してないですよ」 「くすくす、その通りね。良くわかってるじゃない?」 「はい?でも、さっき・・・」 「貴方にしては上出来と言うことよ。もっと高度なことのできる人は相応の場所に回すものでしょう?」 「え、ええ・・・はい・・・」 終始笑顔で「この仕事は無能な貴方でもできそうだったから任せたのよ」と言わんばかりの言葉を並べる社長。 この人は本当に美人なので一部には罵られても嬉しいという社員もいるのだが、あいにく僕にそっちの趣味は無い。 なので、落ち込むことしかできないのだが、そんな安易なことをしないのがカリスマ社長。 「あら、落ち込むことも恥ずかしがることも無いのよ?確かに貴方の先輩は優秀だったけど、あれは特別だもの」 「はあ、そうですか・・・」 「でも、それだけに有名になりすぎた。この業界では知名度が高すぎて、アングラな世界に送り込むことなんて出来ないのよ」 「それは・・・そうですよね」 「だから、私は貴方に頼んだのよ。彼以外は似たり寄ったりの中で、私が、直々に、貴方に、この仕事を任せた。その意味がわかるかしら?」 社長は扇子で口元を隠したまま、ずっと胡散臭い笑みを浮かべている彼女の内心は良くわからない。けれど、それなりに僕を評価していくれているらしいことだけはわかった。 「は、はいっ!ありがとうございます!」 少し恥ずかしくなった僕は丁寧にお辞儀をしてから、退室した。 「なるほど、そりゃ久々のスーパーゆかりんタイムが拝めるかもしれないな」 「なんすか、すーぱーゆかりんたいむって?」 闘技場のこととその後の報告のことを先輩に話すと、おかしなことを言い始めた。熱でもあるんだろうか? 「いや、お前は知らんだろうけど、あの人を怒らせると、というかあの人に敵と認識されると必ずと言って良いほどエライ目に遭うんだよ。 ゆー園地の建設反対派と揉めた時のアレは本当に恐ろしかった。で、今回の件は多分初戦のゆっくりれいむの行動がまずかったんだろうよ」 「ドーピングっすか?」 「いや、ドーピングは違うな。問題はドーピングされているのに試合開始まで攻撃しなかったことだ」 「・・・あ!興奮していたにしては理性的っすね。拘束とかはされてなかったし」 「そういうこと。で、薬物で過剰に興奮しているゆっくりでもパブロフの犬よろしくの条件付けで行動を正誤することが出来るんだよ」 「でも、その実験の情報って・・・」 「ああ、社外秘だ。理想的な飼いゆっくりを自由に作れるとんでもない情報だからな。でも、持ち出した馬鹿がいる」 「でも、偶然見つけただけかも知れないっすよね?」 「だとしても神隠しに遭ってお終いだよ。おお、こわいこわい」 そう言いながら立ち上がった先輩はにやりと笑うと、最後にこんなことを言い残して立ち去っていった。 「ところで、今回の闘技場潜入は俺に漏らしていい話だったのか?」 ---あとがき--- 虐待作品と言うよりも虐待の方法やシステムの紹介だよ、これじゃ。 本当はじっくりと戦闘や調教シーンをしっかり書けばよかったんでしょうが・・・。 まあ、その辺は土下座衛門氏の復讐のゆっくりまりさでも読んで補完してください。 【どうでもいいおまけ】 みょんVSありす・・・瀕死のみょんを執拗にレイプし続け、ありすの勝利。 さくやVSれみりゃ・・・装備していた角がいい具合に羽に刺さりさくやの勝利。 ちぇんVSぱちゅりー・・・戦いが始まったときには既にぱちゅりーは死んでいた。ちぇんの勝利。 まりさVSありす・・・先の試合ですっきりしすぎて疲労困憊のありすを瞬殺し、まりさの勝利。 さくやVSちぇん・・・角が毒針を上手いこと受け止めてくれたおかげでさくやの勝利。 まりさVSさくや・・・ゴリ押しでまりさの勝利。2連覇。 byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4397.html
台車に乗せられた檻の中にいるのは10匹の胴体の無いゆっくりれみりゃ。 この最もメジャーな捕食種は、空を飛ぶことでゆっくりとしてはでたらめな速さで移動することが出来る。 その高い機動力と旺盛な食欲を武器に通常種を追いまわし、蹂躙する恐るべき存在。 「うー!うー!」 「ううーーー!」 「ぎゃおー!」 人語を話すことの出来ない彼女達は一見すると楽しそうな笑顔を浮かべながらもここを出せと訴えてくる。 そんな要求を適当に聞き流しつつれみりゃ達をゆっくり達の姿が見えるところまで連れてゆく。 白い牙を光らせて、いっそう元気良く鳴いた直後、れみりゃ達を檻から解き放った。 「うーうー!」「うーっ!」 「れれれ、れみりゃだあああああああ!?」 「れびりゃいやああああああ!」 これが本能のなせる業なのか、生気を失った瞳で怯えていたゆっくり達は蜘蛛の子を散らしたように逃げ始める。 もはや絶望しきって微動だにしないのではないかとも思っていただけに、これは嬉しい誤算だった。 しばらく餌を与えていなかった10匹のれみりゃは涎を垂らしながら獲物めがけて一直線に飛んでゆく。 「うーうー!」 「や、やべでえええええええええ!?」 「ま、まりざああああああ!?」 最初に襲われたのは1匹の成体のゆっくりまりさ。 彼女の頭に食いついたれみりゃは本能の赴くままにその中身を吸い上げる。 そして、まりさが襲われたためについ足を止めて振り返ってしまったれいむ目掛けて2匹のれみりゃが牙を剥いた。 「ゆぐっ!いぢゃ、いだぃい!?やべでね!ゆっぐぢやべでね!?」 「「うーっ!」」 「ゆっぐ・・・やめでよぉ、ゆっぐぢぃ・・・!」 毒による理解不能の死や人間による不条理かつ一方的な暴力とはまた違った恐怖がゆっくり達を包み込む。 毒ならば、人間相手ならばもはや諦めるしかなかった。 しかし、れみりゃならば逃げれば死なずに済むかもしれない。 「ゆっぐぢやべでね!あでぃず、ゆっぐぢぢだいわ!?」 「おちびちゃんはまもるよ!ぷくうううううう!」 「「おかーしゃん!?」」 若いありすが喚く傍らで1匹のれいむが頬を膨らませてれみりゃを威嚇していた。 恐らく子どもを守るためなのだろうが、空を飛べるれみりゃに通常種が一対一で勝つ事は不可能。 1匹のれみりゃが彼女の頭に噛み付いている隙に、別のれみりゃが子ゆっくりに迫る。 「おぢゃああぢゃ・・・ぎゅ!?」 「うーうー!」 「ゆゆっ、おちびぢゃ!?やべでね、ゆっくぢはなれでね!?」 が、そうそう簡単に食うものと食われるもの関係が変わるほど世の中は甘くない。 何とか対抗策を考えようにもそれを仲間に話す前に食われ、よしんば話してもうまく実行できる保証も無い。 ましてや、こんな平坦で開けた場所でれみりゃを相手にするなど自然では愚の骨頂でしかない。 「ゆ゛っ・・・」「まぢざぁ・・・」 「おきゃ、ゆびぃ!?」 「おぢびぢゃあああ、ゆぎぃ!?」 「ごんなの!どかいはぢゃ、ないいいいい!」 そうこうしているうちにも全てのれみりゃが適当なゆっくりを見繕ったらしく、満面の笑みを浮かべて食事に取り掛かる。 彼女達は狡猾にも上から覆いかぶさるようにして食いついているので他のゆっくりから攻撃を受けにくい。 もっとも、幸いにも狙われなかったゆっくり達は離れたところで固まって怯えるばかりなのだが。 「ゆっぐ・・・れいぶのおぢびぢゃ・・・ゆ゛っ」 「ぢんぼおおおおおおおお!?まらっ!?まらっ!?」 「むっきゅううううううう!」「ゆげぇ・・・」 やがて最初に襲ったゆっくりを食べ終えたれみりゃ達は次の標的を探し始めた。 うーうー!と先ほどよりも力強い声で鳴きながらふらりふらりと飛び回る。 それを見たゆっくり達の中には立ち向かおうと頬を膨らませるものもいたが、大半は逃げ惑う。 「ごわいよおおおお!ゆぐっ、おみずざっ、やべっ・・・やべでぇ!?」 「おびずざん、どがいはぢゃないわああああ!?」 「ゆゆっ、やべでね!こっぢごないでね!?」 逃げ惑う最中に柵のあった場所の外側にはみ出してしまい、3匹ほどのゆっくりが落とし穴に落ちた。 それを見た他のゆっくり達は方向転換しようとするが、前が見えていないゆっくり達とれみりゃが行く手を阻む。 こうして思うように身動きが取れなくなったところに更にれみりゃが悠然とゆっくり達の頭にかじりついた。 「ゆ゛っ!や、やべでねぇ!?」 「ゆっぐりぃ!ゆっぐりぃ!?」 「ゆっくりやべでね!ゆっぐぢぢでね!?」 必死になって許しを請うゆっくり達。 しかし、れみりゃ達にそれに応じる理由がない以上、止めるはずがない。 それどころか、悲鳴を楽しむためにいっそう勢いづいてしまった。 「うーうー!」 「やべでー!でいむのあがぢゃああああん!?」 「おきゃああああぢゃあああああ、びぃ!?」 あえて死なない程度に衰弱させてから子どもを狙うれみりゃ達。 身動きひとつ取れない彼女達の前で、必死に助ける子ども達が無残にもれみりゃの中に消えてゆく。 そして、喪失感に絶望する親達は落とし穴の中の水へと落とされた。 「やめぢぇえええええ、びゅ!?」 「あぢずのおぢびぢゃああああああん!?」 「やべでね!おびずざんはゆっぐぢでぎないよ!?ゆぐぅぅぅ!?」 「わきゃりゃに゛ゃいよおおおおお!?」 流石は捕食種とでも言うべきだろうか。 自分とさほど変わらない大きさの成体を含めた相当の数のゆっくりがあっという間に消えてゆく。 れいむ、まりさ、ありす、ぱちゅりー、ちぇん、みょん・・・いろんな味を楽しむかのように。 「ゆひぃ!こっち、ごないでね!」 「「おきゃあああぢゃあああ、まっぢぇえええええ!?」」 「もうやだ!れいむおかーさんやだあああああ!?」 中には恐怖のあまりに子どもを見捨てて逃げ出すものもいた。 しかし、そういった個体を追うときはあえて子ゆっくりを狙わず、とにかく成体の捕獲に全力を上げる。 恐らく、そうやってじっくり恐怖を味あわせることで甘味が増すことを理解しているのだ。 「ゆっぐ・・・もうやだ!おうぢがえる!?」 「「おきゃーしゃあああああん!」」 「うーっ!!」 こうして次々にゆっくり達の中身を吸い出し、あるいは面白半分に嬲り殺してゆく。 哀れな餌達はなすすべもなく食われ、時には食われることさえなく次々にはかない命を奪われる。 その、傍目には間抜けだが凄惨な宴は10匹のれみりゃが遊びつかれておりに戻ってくるまで続けられた。 「ゆゆっ!なんだかへんなこがいるよ!」 「ゆぅ・・・なんだかゆっくりできないよ・・・」 「りーぐるんるん!」 れみりゃが去って一息ついたゆっくり達に新しい脅威が差し向けられる。 その名もゆっくりりぐる。成体でも赤ゆっくりの半分ほどの大きさしかない希少種のゆっくりだ。 彼女達の特徴はその小ささと、古いゆっくりが持っていたとされる壁のぼりの能力を受け継いでいる点。 そして・・・・・・ 「ゆゆっ、やめてね!?れいむのおくちにはいら・・・ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!?」 「ゆ?・・・れ、れいむ?!」 「やめちぇね!れーみゅ、ゆぐっ!?」 何よりも特筆すべきは相手の体内に侵入し、中から食い破ると言う恐ろしい捕食方法だろう。 真っ先に標的にされたれいむ親子がりぐるの集団に進入を許し、内側から食い破られていた。 泡を吹き、白目を剥いた恐ろしい形相で呻きながらのた打ち回り、やがて赤れいむの皮を破ってりぐるが飛び出してきた。 「りーぐるんるん!」 「おくちをとじるよ!むん!」 「むーしゃむーしゃ!」 そう言ってまりさは思いっきり口を瞑った。 しかし、りぐるは口内で生成される微量の鬼胃酸でいとも容易く皮を破って体内への侵入を試みる。 結局、まりさはその拍子に声を上げてしまい、他のりぐるの口からの侵入を許してしまった。 「ゆぐっ!やべでね!まぢざ、おいぢ、ぢぢ・・・ぢ、ぢ・・・ゆ゛びぃ!?」 「りーぐるんるん!」 「ゆぅぅぅううう!そうだわ!」 その凄惨な光景に驚愕し、多くのゆっくりが逃げ惑う中、1匹のありすが敢然とりぐるに飛び掛った。 圧倒的な体格差に物を言わせてのボディプレス。 平地であることが幸いしたのか、りぐるはくぼみに身を隠して攻撃をかわすことが出来なかった。 「ゆゆっ!いっぴきやっつけたわ!」 「「「「りーぐるんるん!」」」」 「ゆゆっ!どおぢでー!まだいっばいいるよおおおおお!?」 が、解き放たれたゆっくりりぐるの数はおよそ100匹。 あっという間に取り囲まれてしまったありすは、わずかな隙にりぐるに侵入される。 こうなってしまえば後はただ食われるばかり。 「ゆ゛っ!いだっ、いだいいいいいい!?ごんなの、どかいはぢゃないわ!?」 「「「りーぐるんるん!」」」 「や゛べ・・・でぇ・・・」 またたく間にありすの柔らかい皮は外と内から溶かし、食いちぎられてみるも無残な姿になってしまう。 破れた皮からカスタードが漏れ出し、彼女がもはや助からないことを示している。 10秒後、中に侵入したりぐるが飛び出してきたときには、ありすはすでに息絶えていた。 「「「「「りーぐるんるん!」」」」」 「「「りーぐるんるん!」」」 「ゆうううう!ゆっくりしね!」 カサカサと地面を這いながら逃げ惑うゆっくり達に近づいて行くゆっくりりぐるの群れ。 衝動に任せて若いまりさがその群れの中に飛び込んで行くが、2匹ほど潰しただけで大半が健在。 今度はそのまりさに目を付けたらしく、彼女の周りをくるくる回りながら、歯と酸でじわじわと嬲る。 「ゆぐっ!いだいよ、やべでね?!」 「りーぐるんるん!」 「ゆぶぅ!やべでえええええ!?おぐぢさんはまりざのゆっぐぢぷれいずだよ!?」 が、必死の抵抗もむなしく、まりさもまた中と外から食い破られてずっとゆっくりしてしまった。 その後もりぐる達は今までと同じように集団からはなれた個体を襲う戦法を繰り返した。 その度に数を減らしながらも1匹1匹確実に食い散らかしてゆく。 「むきゅ・・・ここまでね。でも・・・!」 「「「りーぐるんる、びぃ!?」」」 「さあ、ぱちぇのおくちにはいってきなさい!」 集団の中にいてこそ力を発揮するはずのゆっくりぱちゅりーが意外な奮戦を見せていた。 どうやら彼女は現在のりぐるの戦法が最善のものでないことに気づき、身をもって仲間に戦い方を示しているようだ。 小さなりぐるがその力を遺憾なく発揮するのは一箇所に固まっている集団の中に潜り込んだその時である。 「む゛ぎゅ・・・」 「「りー・・・ぐ、るん・・・る・・・」」 「「「!!?」」」 何故かぱちぇを食い破って出てきた仲間が虫の息であることを知ったりぐる達は驚愕した。 1匹はぱちゅりーに食われ、もう1匹は彼女があらかじめ含んでいた土を彼女の中で被って痛手を負わされた。 平坦な場所で、死を覚悟して戦えば体の弱いぱちゅりーでさえも5匹は倒せる。 その事実がゆっくり達を励まし、りぐる達を恐怖のどん底へと陥れた。 「れいむ、おちびちゃんのためにがんばるよ!」 「まりさもゆっくりがんばるよ!」 「わかるよー」「ちーんっぽ!」 生き残ったゆっくり達の中でも勇敢な数匹がぱちゅりーの遺志を継いで、りぐる達めがけて飛び跳ねてゆく。 一方のりぐる達は一応抵抗するものの、先ほどまでの勢いは微塵もなく明らかに逃げ腰だった。 「ゆっくりふまれてね!」 「「ゆぎっ!?」」 「「「りーっぐるんるーん!?」」」 れいむの一撃で2匹のりぐるが潰され、続く2度目の踏みつけで更に1匹のりぐるが潰される。 りぐるの攻撃には先ほどまでのキレも統率の取れた動きもなく、それがさらにれいむ達を優位に立たせる。 こうして、たった1匹のれいむを倒すために最終的に9匹ものりぐるが犠牲になった。 「ゆーっ!ありすもいくわ!」 「むきゅ・・・ぱちぇもがんばるわ~」 「りーっぐるんるーーーーん!?」 更に続々と参戦するゆっくり達を前にりぐる達は完全に戦意を失って逃げ惑う。 が、必死の逃亡も逃げられない状況ではジリ貧を招くだけ。 1匹、また1匹と潰されながら徐々にその数を減らし、更に10匹ほどのゆっくりを道連れにりぐるは全滅した。 「ゆふぅ~ん、ゆうかすっきりしたいわ!」 「ゆゆっ!ゆうかだよ!?」 「ゆうかがたくさんいるよ!ゆっくりぃ?」 思った以上に不甲斐なかったりぐるの代わりに、今度は発情しているゆうかを20匹ほど差し向ける。 ゆっくりゆうか。何故か畑を耕すことを好むゆっくりで、一般に捕食種とされている。 しかし、正当防衛でもない限り積極的に他のゆっくりを食べようとしない彼女の捕食種たる所以はあまり知られていない。 「ゆっくりしていってね!ねえ、まりさ、ゆうかとすっきりしましょ?」 「ゆゆっ!?ま、まりさは・・・ゆ、ゆっくりぃ・・・?!」 「まりさのほっぺ、とってもすべすべでゆっくりできるわ!」 本来ここまで積極的な種ではないのだが、すでに発情しているがゆえにすぐにすっきりーを求めるゆっくりゆうか。 まりさはその申し出にためらうが、ゆうか種は総じて美ゆっくりとされている。 このゆっくり出来ない地獄の中でそんなゆうかに積極的に迫られて抗うことなど出来るはずもなかった。 「ゆぅ~ん!ゆ、ゆうかのほっぺもとってもゆっくりしてるよ!」 「す~りす~り」 「す~りす~り・・・ゆっくり~」 ゆうかの美貌を間近で目の当たりにしたまりさはもう彼女の虜。 他のゆっくりの目もはばからずにすりすりに興じる彼女の頬はとてもだらしなく緩んでいる。 今、柵?の中ではそんな痴態が差し向けられたゆうかと同じ数だけ繰り広げられていた。 「ゆぅ~ん、ゆうかおーねちゃんとってもゆっくりしてるね!」 「れいむもとってもゆっくりしてるわ!す~りす~り」 「ゆぅぅうん・・・とってもとかいはだわ!」 最初は軽いスキンシップ。 その行為を徐々に激しくしていくと、頬をこすり付けあう2匹の体から汗のようなものが噴き出す。 汗のようなものをお互いの頬に練りこむように、いっそう激しく頬を擦り付ける。 「ゆ~ん、ゆふん・・・ゆぅぅぅうん・・・」 「ゆぅ・・・まりさぁ~、ゆっくりぃ~♪」 やがて、2匹の頬が赤く染まり、体温も若干上がって本格的にすっきりーの体勢に入る。 と言っても人間の目には今までの頬ずりを体が湿った上体で続けているだけにしか見えないのだが。 それでも2匹にとっては情熱的な愛の舞踏であることに違いはなく・・・お互い、徐々に昂ぶって行く。 「ゆっ!まりさぁ・・・ゆっくりぃいいぃぃい!」 「ゆぅぅぅぅうん・・・ゆうかぁあぁぁ・・・!」 「「すっきりー」」 お互いのゆっくりした気持ちが最高潮に達した瞬間、同時にすっきり宣言をした。 直後、まりさの額からにょきにょきと茎が生え、そこにいずれ赤ゆっくりとなる小さな実が実る。 他のゆっくり達もゆうかでないほうの種がにんっしんっしたらしく、それぞれ額に赤ゆっくりを実らせていた。 「ゆゆ~ん・・・すごくゆっくりしたあかちゃんだよ~♪」 「ゆうかとありすのとかいはなあかちゃんだわ!」 「みんなとってもゆっくりしてるね!」 本人達ばかりでなく、周りに居た他のゆっくり達も子どもの誕生を祝福する。 こんなゆっくり出来ない場所でようやく見つけたゆっくりをかみ締め、分かち合うように・・・。 後のことを考えていないのか、考えたくないだけなのか、ただ目の前のゆっくり出来るものを眺めながら微笑んでいる。 「ゆぅ・・・ゆうか、みんながみてるよ!ちゅっちゅははずかしいよぉ」 すでに公開交尾をしているにも関わらずゆうかにキスを迫られて照れる彼女のつがい達。 しかし、その表情はまんざらでもなくあっさりとゆうかのキスもといちゅっちゅを受け入れた。 「~~~~~~~っ!!?」 「おああああああ!?」 「うあ゛あ゛ーーーーっ!?」 直後、ゆうかと口づけを交わしたゆっくりがろれつの回っていない悲鳴を上げた。 当のゆうかは涼しい顔をしてつがいから引きちぎった舌を地面にはき捨てると、再びパートナーに擦り寄る。 そして、茎を折らないように彼女達をひっくり返すと、底部を容赦なく食いちぎり始めた。 「あ゛あ゛あ゛・・・!?」 「う゛い゛い゛いい゛ぃ!?」 「ゆゆゆっ!や、やめてあげてね!いたがってるよ!?」 周囲のゆっくりはその凶行を必死に止めようとするがゆうかは一向に止めようとしない。 何匹かは力づく止めようとしたが、ゆうかの方が圧倒的に身体能力が高くそれも叶わなかった。 そうこうしているうちにも茎を生やしたゆっくり達の底部は二度と使い物にならないほどに傷つけられていった。 「う゛う゛・・・うい゛ッ!?」 「・・・ゆっくりかんせいしたわ」 「ゆえーん、ぎょわいよおおおお!?」 今や周囲のゆっくり達はゆうかに近づこうとすらせず、遠巻きから様子を伺いながら怯えるばかり。 が、ゆうかは舌と底部を失いただの鉢植えとなってしまったつがいを眺めながら満足げに笑っている。 それから傷を付けすぎて中身が漏れ出している場所がないかを念入りに確認し終えると、大事な鉢植えに頬ずりをした。 「ゆうかのあかちゃん・・・ゆっくりうまれてね」 総勢20匹、もとい20個のゆっくり植木鉢というのは中々の壮観で、虐待家にとっては悪くない光景だろう。 しかし、今回の目的はあくまで虐殺。そんな有様になったゆっくりを生かして嬲るというのは目的外。 と言うわけで、全力で植木鉢どものそばまで駆け寄ると彼女達を踏み潰し、放り投げ、水の中に落として処分した。 「ゆゆっ、ゆうかのあかちゃ・・・ゆ゛っ!?」 「なにするの、ゆっくりやめて・・・ぎぃ!?」 ついでに文句をたれてきたゆうかも処分し、いつの間にやら100匹以下にまでを数を減らしたゆっくり達と向かい合った。 (その5へ)
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1052.html
注意書き 人間に飼われるゆっくりがいます うーぱっくが登場します さらにうーぱっくは自分の脳内設定全開です あとすこし人間、飼い主虐めな部分もあるかもしれません では、本編行きます 「おにいさん!まりさはゆっくりいってくるよ!!おひさまがしずんだころにはかえるからね!!」 「ああ、ゆっくり気をつけてな」 畑で農業をやっているお兄さんに大切に飼われているこのまりさは毎日朝ごはんを食べた後は夕方、日没まで外で遊ぶのが日課になっていた。 「ゆゆ!きょうもゆっくりたんけんするよ!!」 このまりさは人間に家から出してもらえない飼いゆっくりのために家の外の楽しいもの、面白いもの、怖いものを見聞し、ゆっくり集会で発表するのが楽しみだった。 今日もその集会のネタ探しのために里のはずれの野原まで跳ねていった。 「ゆ~、おひさまがちもちいいね!!」 目的地の原っぱについたまりさは原っぱのど真ん中で日向ぼっこをしていた。 ここは飼いゆっくりや野生のゆっくりがたまに訪れるゆっくりプレイスであり、ここに来る野生のゆっくりは温厚なものが多いため野性と飼いゆっくりの衝突もほとんど起きていなかった。 今日は自分以外のゆっくりがいないな?そうまりさが思ったとき、自分の後ろから声が聞こえた。 「う~、たべちゃうぞ~」 「れ、れみりゃだぁー!!」 なぜ昼間にれみりゃが居るんだ? まりさにはその理由は分からなかったがそこにれみりゃがいることは確か、まりさは全力で森の中へ逃げ出した。 このれみりゃは昨日の夜から餌を探していたが餌が見つからなかった、一日ぐらいなら我慢できたが二日も餌が見つからないと空腹で辛くなる、 そのためれみりゃは本来活動時間ではない昼間も起きて餌を探していたのだ。 ちなみにれみりゃが白昼堂々飛んでいるのを見た周囲一帯のゆっくりみんなが巣にこもってしまい逆に餌が取りにくくなったことは言うまでもない。 まりさは何とかれみりゃの攻撃をかわしていた。 もともとれみりゃは旋回性能が低い、全速力で飛んでるときは致命的なまでに。 河に流されていたれいむを救ったれみりゃが目の前の電柱をかわしきれない…そんな絵はかなり有名なので見たことがある人も多いと思う。 そのためれみりゃは「たべちゃうぞ~」とゆっくり達の恐怖心を刺激し、恐怖したゆっくりは直線コースでしか逃げようとしないためれみりゃにつかまってしまう。 だがある程度成長したゆっくりや、飼いゆっくりはれみりゃの欠点を知っているためれみりゃの進行方向に対し垂直に動くことでれみりゃの攻撃をかわすことができるのだ。 「う~逃げると食べちゃうぞー!!」 何度も自分の突撃をかわすまりさにしびれを切らしたれみりゃは全速力で突っ込んできた。 「まりさはれみりゃになんかたべられないよ!!ゆっくりしね!!」 れみりゃの牙がまりさに刺さる直前、まりさは横にはねた。 「う~?うああぁぁぁぁ!!!」 目の前にいたまりさがいなくなったと思ったら目の前には切り株、れみりゃはよけることも止まることもできずに正面から激突してしまった。 「う~…」 そのまま白目をむいて気絶するれみりゃ、これで一安心だ、しばらくは目を覚まさないだろう。 「ふぅ、これでやっとゆっくりできるよ…ゆ?」 そのとき、まりさはある事に気づいた。 「ここ゛どこ゛お゛ぉぉぉぉ!?!?」 そう、まりさはれみりゃから逃げるのに夢中になり、森の奥深くに入った結果、道がわからなくなってしまったのだ。 さらにもう夕方じゃないか、このまま日がくれればれみりゃの時間になる、もし複数のれみりゃに襲われれば自分は簡単に食われてしまうだろう。 お兄さんとの約束を破って怒られるのは怖くなかった、悪いのは自分だからだ。 でもお兄さんにもう二度と会えないと思うと震えが止まらなかった、れみりゃに食われることよりもお兄さんの方が大事だったのだ。 その時、饅頭に神がいたかどうかは知らないがまりさのすぐ近くを通りがかったうーぱっくがいた、あれに乗ればゆっくりできる!そう思ったまりさはうーぱっくを呼びとめた。 「ゆゆ!そこのうーぱっく、ゆっくりとまってね!!」 「う~?」 「まりさはみちにまよっちゃったの!かえりたいからゆっくりのせてね!!」 「うー!うー!」 うーぱっくから了承を得たまりさはうーぱっくの上に飛び乗った。 うーぱっくが上昇してくれたおかげでまりさはなんとか里の方向を特定した、まりさはうーぱっくに目的地と方角を告げるとうーぱっくの中へ入って行った。 「ゆぅ…これでゆっくりできるよ…」 これで家に帰れる、つく頃には真っ暗になっているかもしれないがそれで怒られるのなら仕方がない。そうまりさは思った。 そういえばうーぱっくにあげるお礼、持っていないな…お兄さんにお願いしなきゃ… そのまままりさはうーぱっくのなかで眠ってしまった、きっと精神的な疲れと肉体的な疲れがどっと溢れたのだろう。 「まったく、まりさのやつ遅いな…いったい何をやっているんだろう?」 お兄さんはそう呟きながら家の前を左右に何往復もしていた。 いままでまりさがこんな遅くまで帰ってこないことはなかった、もしかして怒られると思ってすぐ近くで様子をうかがってるのかもしれない、まったく自分には起こる気なんてないのに… 「おい、まりさー!!出て来いよー!!俺は怒ったりはしないぞー!!」 うん、出てこない。 もしかしたら本当になにかあったのかな?お兄さんは胸騒ぎのようなものを感じた。 その時、満月をバックにこっちに飛んでくる物体が目に入った。あれはうーぱっくだ、あの特徴的なシルエットは鳥とか蝙蝠ではないだろう。 「あの糞段ボール…ついに来たか!!」 男は急いで家の中に「ある物」を取りに行った。 うーぱっくは目的地の人間の家を視界に収めた、載せているまりさのいった特徴そっくりだからあそこで間違いないだろう。 「うー、うー!」 うーぱっくが中で寝ているまりさを起こそうとしたとき、自分のすぐそばを何かが通過した。 「う?」 気がつくとうーぱっくの角が削れていた。 「う、うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ!!」 その悲鳴でまりさも飛び起きた。 「ゆゆっ!?どうしたのうーぱっく、ゆっくり!!ゆっくりしてね!!」 「糞段ボールがぁ!!こっちに来るんじゃねぇよ!!」 パチンコを連射していたお兄さんが叫んだ。 彼は飼っているゆっくりを愛してはいるがゆっくり愛護派というわけでもない、畑を荒らすゆっくりは今まで撃退しているし、罠にかかった野生のゆっくりは加工所に売り飛ばしている。 しかしうーぱっくはゆっくりを載せ、畑のど真ん中に着地、そのまま畑を荒らし、飛んで去っていく。今までの対ゆっくり用の罠の殆どがうーぱっくのせいで無効化されるのだ。 彼はまだこのうーぱっくを使った畑荒らしの被害は受けたことはなかったが、知り合いから話を聞いて何時自分のところにも来るかと警戒していたのだ、 そして対策用ネットの準備が整うまでの間パチンコで迎撃することにしていたのだ。 当然あのうーぱっくの中には畑を荒らそうとする糞饅頭が入っている、お兄さんはそう信じて疑わなかった。 ふつう畑荒らしの際、うーぱっくは野菜を持って帰る個体が随伴する、つまり最低でもうーぱっくは二匹いるのだが…知り合いから話を聞いただけのお兄さんは知らなかったのだ。 「うー!うー!」 「ゆっくり!!ゆっくりしてねー!!」 うーぱっくは何とか体を左右にずらし回避行動をとろうとするが飛んでくるパチンコ玉はどんどん近くを通るようになってくる。 「う、うー!!」 うーぱっくは引き返そうと思った、指定の位置に積み荷を降ろせないことはうーぱっくの沽券にかかわることだがこのままあの家の前に着陸しようものならあの人間に殺されかねない。 中のまりさには悪いが少し離れた所から歩いてもらおう、そう思い、高度を上げて離脱しようとした。 「逃げる気か糞段ボールが!!」 しかし、人間は許してくれなかった。 「直撃させる!!」 なんか額から火花のようなものを出しながら放ったパチンコ玉。 お兄さんの全力全開のパワーを一身に受けたそのパチンコ玉はうーぱっくの後頭部を突き破り、中のまりさの後頭部を突き破り、眉間から飛び出て、うーぱっくの目と目の間から飛び出した。 「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…」 「まり゛さの゛な゛か゛み゛があ゛あ゛ああ゛あ゛ぁぁぁぁ…」 うーぱっくは飛行能力を失い近くの小川へ墜落していった。うーぱっくのほかにゆっくりまりさの悲鳴も混ざっていたがお兄さんには聞こえなかった。 「ふぅー、すっきりしたぜ!!」 うーぱっくが逃げようとしたときはどうしようかと思ったが撃墜できてよかった、あの高度から落ちたんだ、中のゆっくりも死ぬだろう… 「しかし…まりさは遅いな…」 明日になって帰ってこなかったら、近所の飼いゆっくり達にまりさを見なかったか聞いてみよう、そう思いお兄さんは家の中に入っていった。 結局、飼いゆっくり達の捜索作業にもかかわらずまりさは発見できなかった。 最愛のゆっくりを失ったお兄さんはこの後、堕落していくことになるがそれはまた別のお話 あとがき 自分の脳内設定うーパックについて少し… 内部は空洞、飛行中も中に乗ったゆっくりはうーぱっくの頭の上に乗って周りの風景を見ることができます。 このSS内では説明不足の部分もあるかと思うのでその時は質問してくだされば大抵のことにはこたえようと思います。 8月31日 0111 セイン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1337.html
≪DANGER!!≫ このSSはスプラッタシーンは存在しませんが、“[[ゆっくり]]”をいたぶる作品のため、好みが分かれます。 なお、作中に○○と●●が登場しますが、○○の方は『春巻きリリー』に登場する○○です。 区別するため便宜的にそうしました。御了承下さい。 因幡てゐは、今日も今日とて竹林に遊んでいた。 昨日は誰も罠にかけることはできなかった。というか、●●と鈴仙のせいで未然に防がれてしまったのだ。見破られたのは悔しかったが、そのあとでいろいろお話が出来、愉しかったからとりあえず満足したといえる。外界から来た●●の話は、鈴仙も言っていたが、なかなか面白いのだ。 普段は竹林に迷い込んだ人を、自然な流れで外へと誘導するのがてゐの仕事だ。しかし、竹林の奥に何かがあるのだと決めつけ(実際、永遠亭があるのだが)、何度も潜入する人間も中には紛れ込んでいる。てゐは主にそうした人間を罠にかけているのだ。だが、その後処理をしないが為に、屡々鈴仙や●●に叱責されてしまう。罠にかけられれば、その後その人間は竹林に現われることが減るのでその方が楽であるし、なにより楽しいのでそれがいいと思っているのだが、永遠亭ではそちらのほうが迷惑らしい。どうにも腑に落ちないてゐだった。 ふと、遠くで何かが動いたように見えた。目を凝らしてよく見ると、兎の耳が付いていた。ザコイナバたちがこんなところに来ることは怱々無い。たぶん、師匠の言いつけに従っててゐを連れ戻そうとしている鈴仙だろう。 てゐは、鈴仙をからかいたくなった。昨日のリベンジを果たすのも、悪くない。そう思った。 まず、そばにあった手頃な太さの竹を蹴る。長く、まっすぐに天空へと突き刺さらんとする勢いで伸びた竹はほどよい撓りを持っている。上に付いている葉同士が擦れ合って、大きな音を立てる。時にリズムを取りながら、時にリズムを崩しながら。風が弱い今日の竹林では、この手の音がよく響くのだ。そして、これは何者かの手でないと起こりえない音だ。 当然のように鈴仙は立ち止まる。そして大きく揺れている竹の葉を見ると、こちらへ向かってきた。しかし、鈴仙にしては慎重すぎるほどの速度で寄ってきた。一気に駆け寄った方が捕まえやすいのに、とてゐは他人事のように思った。 だが、誘いに乗った鈴仙は負けが確定したも同然だ。あとはてゐがゆっくり追い込むように罠の位置へと誘導すればいいだけの話。 ――そう思っていたのだ。 『ガササササ!』 途端に竹林の中を、不穏な摩擦音が通り抜け、それと同時にてゐの正面で何かが急上昇していった。そして、先ほどまでこちらへ向かっていた鈴仙の姿が地表から消えた。 そういえば、あのあたりにも罠を仕掛けていたのだ、とてゐは思い出す。あの罠は明らかにばれてしまうような失敗作で、●●にも「てゐにしては、拙い罠を作ったもんだな。あれは誰も引っかからないぞ」、と貶された。自分でもそう思う。罠を作って以来、最低水準のものだ。鈴仙には内緒だぞ、と言いながらも協力してくれた●●との共作の罠にかけてやろうと思ったが、その罠が日の目を見るのはまたの機会に持ち越しになってしまったようだ。 ――だが。 そんな下等な罠に鈴仙が引っかかるだろうか? どうも納得がいかない。確かに少し抜けたところのある鈴仙・優曇華院・イナバだが、あんな罠に引っ掛かるのだろうか。そう思ったてゐは罠の下へ急いだ。 罠に近づくにつれ、ひっかかったのは鈴仙ではないのではないか、という疑問が頭を擡げてくる。もちろん●●でもないだろう。イナバかとも思うが、その線も無さそうだ。況してや、永琳や姫が引っかかることはありえない。そもそも姫は出歩くことがほとんどない。 疑問は、罠の下で解決した。 確かに第一印象のとおり、大まかな容貌は鈴仙のそれではあった。茶色のブレザー。赤いネクタイ。灰色のスカート。兎耳。 しかし、自分よりも背が高いはずの鈴仙の身長ではない。下手をすると、否、明らかに自分よりも小さい。耳も短く、太い。顔も丸く、下膨れ。身体も明らかな幼児体型。 そして、身体を小刻みに震わせながら「ぶえええええぇぇ」などという気持ち悪い泣き方は、鈴仙はしないはずだ。 てゐは、その泣いている“鈴仙”を無視し、永遠亭へ走った。背中にかかる気持ち悪い声を振り払いながら、走った。 永遠亭に着けばすべてがわかる。そう信じて走った。 ○ 縁側で二人が談笑していた。てゐが竹林から勢いよく飛び出したのを見て、その二人はてゐに駆け寄った。ただならぬ状態である、そう感じたようだ。 「てゐ、どうしたんだ。そんなに慌てて、お前らしくもない」 「何かあったの?」 訊いてきたのは、●●と、鈴仙だった。 「あはは……」 てゐは小さく笑って、支えを失くしたようにしゃがみ込む。●●はそれを辛うじて支え止めた。外傷は見たところ無さそうだが、妙に疲れているようだ。しかし、顔は笑っている。 「おいおい……。少し落ち着いてからでいいからな。何があったんだ?」 「ふう……。心配しないで、何とか大丈夫だから。ちょっと、竹林で、予期しないことがおきちゃってね」 「てゐ、予期しないことって何?」 鈴仙が子供にでも尋ねるようにてゐの目の高さに合わせて言う。するとてゐは、その鈴仙の肩を握るようにして掴んだ。鈴仙は何事か分からない、目を見開くしかなかった。 「ねえ。鈴仙って、今日はずっとここに居たの?」 戯けたような訊き方では無い。深刻な事態が起こっていて、そのための尋問。鈴仙はそのように思った。 「ええ。ずっと師匠と居たわよ。今しがた●●と休憩をし始めたところ」 てゐは安心したように肩を撫でおろす。そしてすっと立ち上がった。心配そうに●●が支えようとしたが、その必要は無さそうだった。 「二人とも、ちょっとついてきてくれない?」 「私はいいけど……」 「俺も構わないよ。じゃあ、永琳に伝えてくるよ」 程無くして戻ってきた○○だったが、興味を示した永琳も付いていくことになった。総勢四人で、てゐを先頭にして竹林に入っていった。 ○ ●●は顔を歪めている。気持ち悪いものを見たときのそれだ。 冷戦は嫌悪感に満ちた視線で見上げている。 永琳は、この二人より伊達に長く生きていないせいなのか、然したる感慨を持っていない様子で見つめている。その視線がこの三人の視線の中で一番怖い、とてゐは思った。 その視線の先では、助けを求めて醜い身体を動かしながら「ぶえええ、ぶえええ」と泣いている“モノ”が居た。 「ねえ、てゐ」と、鈴仙が言う。「アレ、何なの?」 てゐも分からない。だからこそ、永遠亭に戻ったのだ。 ちらりと、その恐ろしい視線を“モノ”に向けていた永琳を見ると、人の良さそうな笑顔をてゐに向けた。その視線のままでこちらを向かれるのも嫌なものだが、そこまで手のひらを返したように表情を変えられても、なんだか気分が悪い。だが、それを口に出すほどてゐは馬鹿では無い。 「あれは、確か“ゆっくりれーせん”よね」 永琳がぽつりと、口から何かを零す様に呟いた。 「ああ、あの霊夢とか魔理沙とかの顔によく似た『ゆっくりしていってね』とか言ってぽんぽん飛び跳ねる喧しいあれですか?」 「妙に説明口調だね、●●」 てゐがさりげなく言うが、●●は聞かなかったふりをする。 「でも、鈴仙のやつもいるんですね。しかもこいつ、胴体があるし」 「……気色悪い」 鈴仙が誰も気付かないほどの声量で呟いた。 「それで、どうするんだ? お前の罠に引っ掛かったんだから、お前が自由にしていいんだぞ」 てゐは●●を見た。そして、違和感を覚えた。いつもなら、すぐに放してやれ、などと自分を叱るはずの●●が、今日は叱るどころか笑顔を浮かべている。引き攣ったものではあるが。 「なぁ、鈴仙」 「ええ、そうね。私の“ゆっくり”がいるのは少し驚いたけど……」 言葉を区切る。だが、静寂は訪れない。なおも「ぶえええ、ぶえええ」と飽きること無くうざったい泣き声を上げている“ゆっくりれーせん”のせいだ。 鈴仙が言葉を切ったところに滑り込むように、永琳が口をはさむ。 「そもそも、“ゆっくり”なんて、幻想郷には不必要よね」 「“ゆっくりれいむ”とかは、餡子をとるのに便利らしいですよ。加工所もあるらしいですし」 「でもね、●●。それを必要としているのは里に住む人間、しかもそれの極一部よ。甘い物が特別好きで、他の物は要らない、なーんて言う者が居ないんだから、永遠亭にはそんな奴必要ないでしょ? ねえ、ウドンゲ?」 「その通りです、師匠」 鈴仙にしては、意思が色濃く込められた応答に、○○とてゐは怪訝そうに見つめる。そして、同時に鈴仙を見つめた二人は、首を傾げながら視線を交わした。 「だから、私も●●さんと同じ意見。てゐの好きなように扱っていいわよ」 「あ、私も同じ意見ね。てゐの好きなように、今みたいに罠にかけたり、思う存分扱ってあげなさい」 「それで……。俺たちをここに呼んだのは、“ゆっくり”が原因なのか?」 てゐは●●の言葉に小さくうなずいた。それを見た三人は、今度は永琳を先頭にして永遠亭へと戻っていった。三人は一度もこちらを振り向かなかった。 ○ 「ぶえええ、ぶえええ」 いい加減聞き飽きた。三人が視界から消えてからしばらく見ているが、“ゆっくりれーせん”は助けて、とも解け、とも言わず、ただ「ぶえええ」と泣いている。 てゐもゆっくり加工所のことは耳にしていた。兎の耳はなめたらいけない、とは言わないが、そうでなくても加工所の存在はかなり有名だった。 そこの“ゆっくり”たちは(大半が“ゆっくりれいむ”と“ゆっくりまりさ”らしい)、檻の中に閉じ込められており、誰かが来ると必死になってその醜い顔(身体全体だが)を震わせ、本人が恐らく一番可愛く見られると思っている表情で、「はやくだして、おうちかえる」などと叫ぶそうだ。そして完全無視を極め込んだ飼育員というか係員が立ち去ろうとすると、筆舌に尽くしがたいほどの醜い声と顔で叫ぶらしい。“筆舌に尽くしがたい”というのは、閲覧に年齢制限がかかるほどにスプラッタな光景であるとか、そういうことではない。――ただ、〈“あ”に濁点〉とか〈“よ”に濁点〉とか、活字では表現できない文字を使わなくてはならなくなるからだ。 「ぶえええええええ!」 何故か声量が大きくなった。てゐが見上げると、“ゆっくりれーせん”もこちらを見ていた。今頃存在に気がついたのだろうか。だとしたら、こいつは相当な頭の悪さとみていいだろう。いくら、あの腐った脳細胞をもったチルノや、何度春巻にされても翌年にはまた春巻になっているという噂のリリーホワイトと比べても、これは相当なバカといえる。 それを感じ取ったてゐの思考は、瞬時に黒くなっていく。 てゐは罠に使っている蔦を少し弄る。すると、それに連動するように“ゆっくりれーせん”も揺れ動く。最初は小刻みに、徐々に振幅を大きくし、最後は残像が見えそうなほどに早く、大きく。 遊んでもらえていると勘違いした“ゆっくり”は泣き止み、一瞬笑いそうになる。だが、それを見極めたように、てゐは振れ幅を大きくする。そうすると、“ゆっくり”はまた先ほどのように「ぶえええ」と泣きはじめる。玩具になったも同然だった。 ひどい泣き方になったところで、てゐは再び蔦を弄る。今度は罠が解放されるように。 てゐの目論見通り、“ゆっくりれーせん”は自由落下を始める。その真下でてゐは手を伸ばす。キャッチしてくれるのか。と“ゆっくり”はその阿呆な脳細胞で結論付けたらしく、安堵の表情が漏れる。 しかし、そこで手を伸ばしているのは、他でもない。因幡てゐである。 手に触れるか触れないか、非常に際どいところでてゐは急に手を引っ込め、いわゆる“気を付け”の状態になった。“ゆっくりれーせん”は無論速度を上げたまま、地面へと顔面から落ちた。顔の右側には若い筍が顔を出しており、“ゆっくり”の顎は、それに当たった。 ――一瞬の静寂。 しかし、聞き慣れた「ぶえええ」は聞こえなかった。 声を上げる前に、てゐは“ゆっくりれーせん”の首を踏みつける。丁度筍の感触が足に伝わるあたりを、ぐりぐりと捻じ込む様に踏みつけた。もちろんこんな序ノ口でくたばられても困るので出せる力の二割ほどしか出していない。それにも関わらず、“ゆっくりれーせん”は泣き声を上げることも出来ないらしい。 いい加減痛いか、と思い、今度は脇腹を蹴ってうつ伏せの体勢を仰向けに変える。その時も鳥肌が立ちそうなほどに気持ち悪く“ゆっくり”特有の顔が、ぼうよぉん、と震えた。 苛々の無限回廊だ、とてゐは思う。 見ているだけで腹立たしくなってきて絶対虐めてやりたくなるのよ、と以前アリス・マーガトロイドが●●に言っていたらしい。彼女は脱走した“ゆっくりまりさ”を、四角いガラスケースに閉じ込めて一月以上放置したことがあるらしい。その間、「はやくだして」などと喧しかったそうだが、最後の頃には穢れた泣き声で「だじでよおおおお」と叫んでいたそうだ。全く腹の立つ存在だと感じたてゐは、その意見に賛同する。 鈴仙は、てゐの目から見ても可愛いと思う。だが、今目の前にいるこの“腐った饅頭”は、どこをどうみても鈴仙の可愛らしさに共通するところはない。服装だけで似せようだなんて、甘えた考えだ。先ほど鈴仙が“ゆっくりれーせん”を睨むような射抜くような視線で見ていたが、恐らく同じ心境だったに違いない。あの表情は、まさしく。 不細工な顔で涙を流す姿を真上から見下してみる。自分の目を限界まで開いて睨み付けると、一瞬ビクリと震え、また泣き始めた。手を股間の前で組み、仰向けでただ涙を流している。気色悪いことこの上なかった。 てゐは“ゆっくりれーせん”の顔の側にしゃがむ。そして、泣き喚く赤子をあやす様に頭を撫でた。頭の天辺まで柔らかい。“ゆっくりれーせん”は最初ぐずっていたものの、暫く続けただけで泣き止み、仕舞いにはゲラゲラと笑い始めた。あろうことか、てゐの耳を指差しながら。 てゐも当初は泣き止むとどんな顔なのか、気になったためにあやすことにした。どうせ不細工なのだろう、とは思っていたが、案の定気持ち悪い顔は泣こうが笑おうが気持ち悪いのに変わりは無かった。だが、そのまま撫でていると。今度は笑い出した。人を(てゐは兎だが)バカにするかのような表情で笑っている。やはり喜怒哀楽、すべてが気持ち悪いのだと結論付け撫でる手を離そうとしたとき、ゲラゲラと声をあげ、あろうことか自分を指差しながら馬鹿笑いを始めたのだ。 α波が一瞬で切れた。 てゐは撫でていた手を離して“ゆっくりれーせん”の身体を起こし、立たせる。なおもゲラゲラと笑うところへ拳を振り下ろし、“ゆっくりれーせん”の脳天を強く叩いた。そのままの流れで両頬を強烈に摘み、一気に千切れそうになるまで引っ張った。 予想通り、“ゆっくりれーせん”は自分の身に何が起こったのかわからないようだったが、流石に慣れたのだろう。口を“への字”に歪ませ、スカートの裾をきつく握り締めて、皮(顔、という表現をあえて回避)を赤くし、涙を一雫零した。だが、どれだけ抓っても“ゆっくりれーせん”は痛いとは言わない。もしかすると、言語的知識を持たないのかもしれない。アリスのところの“ゆっくりまりさ”や、野生の“ゆっくりれいむ”のように色々と話すのなら面白かったのに、とてゐは心境を自分の手へと直接伝える。“ゆっくりれーせん”の皮もそれに従って伸びていく。餅の様だった。 一分以上は抓り続けた。流石に手の筋肉が悲鳴を上げ始めようとしている。てゐは手を離し、両手で“ゆっくりれーせん”の鎖骨(有るのか解からないが、自立できているので骨はあるのかもしれない)のあたりを突いた。 呆気なくも、“ゆっくりれーせん”の身体は吹き飛び、真後ろに生えている一際太い竹に後頭部から突っ込んだ。そして、思い出したようにまた「ぶええええ、ぶえええええええ!!」と泣き始めた。 短い足を投げ出し、自分がぶつかった竹に寄りかかって「ぶえええ、ぶえええ」の独唱。走り去る様子も無かったが、用心深いてゐは先ほどの罠に使われていた蔦で竹に縛り付けた。縛れている間も泣き声が治まることはことは無かった。 「うーん……」 てゐは腕を組んで唸る。 正直、飽きた。飽きてしまった。反応性に乏しく文句を言わないが、ただ泣き声と顔が気持ち悪い。別に、ここでこいつを八つ裂きにしてしまっても構わない。構わないのだが、日頃遊んだり罠を仕掛けている場所に穢れが生じてしまうような気がして、そうするのは憚られる。鈴仙や永琳も自分に“処理”を一任してくれたが、正直な話をすれば、もう相手をしたくなかった。 “ゆっくりれーせん”を括目する。 一分。 二分――。 五分―――――――――。 そして、十二分経って、てゐはひとつの結論を見出し、手近なところにあった竹の細いものを手に取った。縛っていた蔦を竹から解き“ゆっくりれーせん”の縛り方を変える。かつて●●が話してくれた『かちかち山』という昔話の中で、白い兎がおばあさんを苛めたいたずらたぬきを縛り上げたときの方法だ。 結び終わって一息つく間もなく、てゐは永遠亭に向かった。鈴仙たちに、料理人をしている○○のところへ行ってくると伝えると、●●はすべてを察したようで香霖堂から持ってきたという“タッパー”をてゐに渡した。てゐは微笑み、目的地へと走っていった。「ぶええええ!」という醜いサイレンを残して。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/145.html
ゆっくりアリスの一団が暗い山の中を移動していた。 昨日の内に、ゆっくり家族がたくさん住んでいた場所で繁殖を終えたからだ。 親子合わせて五十は下らないゆっくり魔理沙と霊夢は、各々数個のゆっくりの赤ちゃんをぶら下げて朽ち果てた。 この、親を知らないゆっくり達は、村や家や畑に忍び込んで人間達の糧になる。 そんなことを知ってか知らずか、六匹のゆっくりアリスは仲良く山の中を移動する。 「とかいはのありすは、れいむがいちばーんだいすきなの!!」 「とかいはのありすは、まりさがいちばんだいすき!!!」 「……ありすはありすがだいすきだよ……」 山の中腹まで来た時に、突然大きな叫び声がアリス達の耳に飛び込んできた。 「うーーー!!! ざぐやーーー!!!!」 それは、何故かこんな所をほっつき歩いているゆっくりれみりゃ。 大方、また紅魔館を抜け出してきたのだろう。 「ゆ? ゆっくりーーーー!!!」 突如近くから聞こえたゆっくりの声、その方向に向かって一同が叫ぶ。 「うわーーー!!! ざぐやーーー!!! ざぐやーーー!!!」 相手が逃げようが何のその。 こんな獣道では、とてとて歩きのれみりゃよりも饅頭ゆっくりの方が格段に早い。 あっと言う間に距離が詰まられるかと思った。 が、運良くすっ転んだれみりゃは勢いに任せて地面を転がり始めた。 これでは流石に追いつけない。 「……くんくん……!!! こっちだよ!!!」 しかし、一匹のアリスが懸命にゆっくりれみりゃの匂いを追ってゆく。 山を降り終え川辺に、そしてゆっくりの匂いが強く出ている所へ。 「くんくん! こっちからゆっくりのにおいがする!!!」 一帯が盛り上がった場所、れみりゃが巣を作ることはしないので大方散歩していて偶然見つけた巣であろう。 ともあれ、場所は特定できた、後は全員で襲うだけだ。 バサっという音とともにアリス達が中に入ると、そこにはずうずうしくも人の巣の中ですすり泣いているれみりゃの姿。 しかし、入ってきた姿を確認すると、一転口元を緩ませる。 「うーー!!! ? う~?」 どうやら、餌だと思っているのだろう、しきりにどれを先に食べようか思案している。 酷い顔が更に酷く動く。 「う~♪ たーべちゃうぞ~♪」 漸く、その顔面運動が止み一匹に狙いを定め襲い掛かかろうとしたれみりゃ。 しかし、相手は集団のゆっくりアリスである。 「れ!れ!れみりゃ~~~!!!!!」 「う~♪ !!!!! うわーーー!! うわーーー!!!」 勢いよく、れみりゃに向かってアリスが飛びつく。 押し倒されたれみりゃに更に群がっていくアリス達。 それらは、必死にれみりゃの顔に自分の顔をすりつけ振るわせる。 段々と顔が赤くなってゆくアリス達、口から出る涎はれみりゃの服をべたべたに汚している。 「ざぁぐやー!!! どごーー!! れみりゃをだずげでぇーーー!!!」 対するれみりゃは興奮などしていない。 唯、自分の面倒を見てくれている者の名前を挙げて泣き叫んでいるだけだ。 「れみりゃでもいいよ!!! れみりゃもだ~いすき!! まりさや、れいむやぱちぇりーやありすのつぎにだーいすきだよーーーーー!!!!」 そう、アリス達は相手が興奮しようがしまいが関係ない。 何故なら自分がれみりゃを好きだから。 それ以上に相手も自分を好きになってもらいたくて、執拗に体を摺り合わせている。 「「「「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!!」」」」」 「うがぁっ!! う゛あ゛ああああああああぁ!!!」 いよいよ交尾も終盤、加工場のように一匹のゆっくりに対して複数のゆっくりアリス。 普通のゆっくり以上の負荷のかかる為、既にれみりゃは白目を剥いて痙攣している。 「れみりゃも!! ありずどのごどもがんばっでうんでねーー!!!!!」 一匹のアリスの声が引き金になり、次々とすっきりしていくアリス達。 「「「「う~♪ すっきり~~~~♪」」」」 全員がすっきりする頃にはれみりゃは完全に気絶していた。 起きたら、数匹の自分の赤ちゃんと一緒に紅魔館に帰るのだろう。 なんともメイド長だけが喜びそうな光景ではあるが、……。 「ゆ~! そろそろありすたちもおうちをさがさないとね!!」 「そうだね! とかいはのありすたちは、のじゅくなんてできないもんね!!!」 「はやくぺんしょんをさがそうね!!」 そそくさとゆっくりの巣を後にする。 山に舞い戻り、自分たちがゆっくり出来そうな場所を探し出す。 「ゆ! こっちにいいおうちがあるよ!!」 割とあっさり見つかった洞穴とでも言うかのような大き目の洞窟。 ゆっくりアリス達は大きさに惹かれたのか、一匹、また一匹と惹かれるように中に入ってゆく。 「ゆゆ!! ここはれいむのおうちだよ!! もうくらくなってゆっくりできないからありすたちはゆっくりでていってね!!」 どうやら先客が居たようだ。 ゆっくりれいむの大家族、全員で輪になってゆっくり話していたところに来たお客さん。 もともと温厚なゆっくり霊夢だが、家族でゆっくりしている時に来られたら流石に一緒にはゆっくりできないようだ。 「ふーん……。なかなかしくなおうちだね! まぁ、このくらいのおうちだったらありすたちがとまっていってあげるよ♪」 ありすたちはそんなことは関係ないとでも言うかのように、ズイズイと奥に入り込んでくる。 「ゆゆ!! せまいよ!! ゆっくりできないならでていってね!!!」 居場所を奪われた一家は勿論抗議するが、はいそうですか、と聞くゆっくりありすではない。 「おきゃくさまにいいせきをかくほするのは、とかいはのきほんじこうだよ!! れいむたちもこいきなとかいはだったら、ゆっくりりかいしてね!!!」 そういって霊夢達を段々と奥へ奥へと追いやったアリス達は、一家が頑張って蓄えてきた食べ物を発見するとものすごい勢いで貪り始めた。 「ゆゆ!! こんなにたべものがあるよ!!!」 「きょうはごうかなでなーができるね!!」 「ふーん、こんなへんぴなところで、こんなものがたべられるなんて!」 「ぱーてーだね!! ここにひろげようね!!」 本人達は上品に食べているつもりだが、生憎手足が無いので食べ方は傍から見ると他のゆっくりと大差ない。 むしろ、食べ物を撒き散らして食べる当たり、他のゆっくりより意地汚いのかもしれない。 「やめてね!! それはれいむたちがあつめたごはんだよ!! ありすたちのじゃないよ!!!」 「ゆっくりやめてね!! みんなであつめたんだよ!!!」 「ゆっくりちてね!!」 一家が必死になって抗議したのが効いたのか、アリス達の動きがパタと止まった。 それだけではない、全員が体を震わせなにやらボソボソ呟いている。 間違いなく、お腹がいっぱいになったゆっくりアリスたちが交尾に入る準備だった。 「れっ!! れいむーーー!!!!」 「だいすきだよーー!!!」 「そのりぼんなかなかかわいいね!!!」 「くりくりのひとみもかわいーよ!!!」 「ゆ!! やっやめてね!! みんなでゆっくりしようね!!!」 「「「「「おかあさんれいむがいうならしかたないね!!! こどもたちもみんなでゆっくりすっきりしようね!!!!!」」」」」 スイッチが入ったアリス達は、手当たり次第に巣の中のゆっくり霊夢に擦り寄っていく。 子供達はその様子にパニックになり、身動き一つできないで居る。 「ゆーー!!! おかーしゃーーん!! おかーーしゃーーん!!!!」 「ゆ!! れいむもみているだけじゃなくていっしょにすっきりしようね!!!」 「!! いやだぁーー!! ゆっくりちたいー!!!! ゆっ! ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!!!!」 「はぁはぁ、れいむ!! ちいさいのにせっきょくてきだね!! そんなにありすのことだいすきなんだね!!!」 「ゆゆゆ……!!! ゆ゛っ゛ぎゃ゛ら゛ーーーーー!!!!!!!」 「……! すっきりーーーー!!!!」 既に朽ち果てた赤ちゃん霊夢には目もくれず、数人が相手をしているお母さん霊夢の元へ駆け寄る。 子供達がドンドン朽ち果てている中、このお母さん霊夢は必死にアリスを追い出そうとしていた。 「ゆゆゆゆゆ!!!! やめでね!! ゆゆゆゆゆ!!! おうちからでていってね!!!」 「れっれいむーーーー!!!! つんでれなれいむもだいすきだよーーーー!!!!」 「!!!!!!!」 先ほどのアリスのが加わり一気に勝敗が決まった。 「ゆゆゆゆゆゆゆ!!!! ゆっぐりじでだけっかがごれだよ!!!!!」 「「「れいむーー!!! ありすとのかわいいこどもいっぱいうんでね!!!!!」」」 「……!!!」 そこからは、アリスたちの声にかき消されて霊夢の声は全く聞こえなかった。 ……。 翌日、残っていた食事を取ってアリス達が出て行った巣には、沢山の赤ちゃん霊夢が生まれていたという。 しかし、その日のうちに濃厚な餡ペーストとなってしまったが……。 「れいむはやっぱりかわいいね!!」 「とかいはのありすたちのてくにっくでめろめろになってたね!!!」 「なかなかのおうちだったね!」 霊夢の巣を出発し、思い思いの感想を話し合っていると、いつの間にか人里に出ていたようだ。 周りにはちらほらと家が立ち並び、人々は遠くの畑で精を出していた。 「ゆゆ!!! にんげんのおうちだよ!!!」 「やっぱりとかいはのありすたちはこういうおうちにすまないとね!!!」 「どのおうちにする?」 「!! あのおうちにしよう!!!」 他の家よりも一回りほど大きく、入り口には大きな門も建っている。 ゆっくりアリスでなくとも、なかなか裕福な家だと言うことくらい分かるだろう。 「ふーん……。まぁまぁのおうちだね」 「はやくはいろうね!!!」 周りをグルグル回り、ちょうど入れそうな隙間を見つけ中へ入っていく一行。 「ゆーー!!!!」 予想通り、農村には珍しく綺麗な家だった。 モノはきちんと整理されており、清潔感が漂っている。 「うん! なかなかきれいなおうちだね」 「でも、すごいいなかくさいね!!」 「せっかくとかいはのありすたちがとまるんだから、とかいふうにこーでねーとしてあげよっか!」 「「「うん、せっかくだからそうしてあげよう!!!」」」 ……。 「なんだよ、これ……」 帰ってきた男の第一声はそれだった。 綺麗にしていたはずの玄関は靴が全て出されて乱雑に並べられており、ご丁寧に全て泥まみれになっている。 そこから続く廊下も綺麗に土が敷き詰められており、決して靴を脱いでは上がれない状況だった。 仕方がなしにそのまま家に上がる。 すると、居間の方から賑やかな声がする。 そう思った男は、勢いよくドアを開け放った。 「ゆ? おかえりなさい! ありすたちがとかいはにこーでねーとしてあげたよ!!」 「これからしばらくのあいだ、ここでいっしょにくらすことにしたの」 「るーむめーとっていうんだよ!!! おじさんしってた?」 「しかたがないから、とかいはのありすがるーむめーとになってあげるよ!!!」 男はそれだけ聞いてもう一度室内を見て回った。 ここにも土がしいてある、おそらくほかの所も同じだろう。 花瓶は床に庭に落ちて割れていた。 花は、おそらくアリス達が頭につけているものがそれであろう。 置物、掛け軸、本等は全て囲炉裏にくべられている、消したつもりだったがくすぶっていたのだろうか、殆どが灰になっていた。 台所は、……見るも無残。 全ての食材がぶちまけられ、食べられた痕も見受けられる。 二階の寝室、布団は土に埋まり、着替えも全て泥の中。 「どろはせいけつなんだよ! ありすたちはとかいはだからなんでもしってるんだよ!!」 と、ここまで、ずっとこのアリス達は男の後ろをついて回っていた。 その瞳は期待に満ち溢れている。 大方、流石都会派だね! とでも言って欲しいのだろうが。 「おじさん! きょうはありすたちがでなーをじゅんびしてあげるよ!!!」 「ありすたちはおりょうりもうまいんだよ!!」 「おいしいおはなやこんちゅうをいっぱいしってるんだよ!!」 「さっききっちんをみたでしょ!! ありすたちがいっしょうけんめいじゅんびしてあげたんだよ!!」 「みんなでゆっくりしようね!!」 「……。そうかい、でもねぇ、人間は土の上で生活しないし、服も泥だらけにしないし、食べ物もきちんと閉まっておくんだよ」 ポツリポツリとアリス達に向かって話しかける男、勿論更生させるつもりは全く無い。 「ゆゆ! おじさんはほんとにいなかものだね!! とかいのみんなはちゃんとこうしt……!!」 一匹の煩いアリスの口を強引に塞ぐ。 方法はいたって簡単。 口を引っ張って釘を打ち込むだけだ。 幸い、アリス達がボロボロにしたモノの中から釘はすんなりと見つかった。 「!!!! んんーーー!!!」 「ゆゆ!! おじさんなにするの!! ありすにあやまってね!!!」 「これだがらいなかものはきらいだよ!!!」 「そうかい? でもねぇ、俺の家をめちゃくちゃにしたのはお前らなんだから、きっちり責任を取ってもらうよ?」 「だぁかぁらぁー! アリスたちがせっかくとかいはのおうち!! んびゃぶ!!!」 「うるさいなぁ。……これ以上なんか喋ったら、この二匹と同じようになるぞ?」 「「「!!!!」」」 男の宣告に、残っているアリス達は押し黙る。 それからは誰も口を開こうとはせず、二匹の声にならない悲鳴だけが辺りを包んでいた。 「それじゃあ聞くけど?」 沈黙を破るように男が口を開く。 「人間はどんなお家で生活するんだっけ?」 あくまで疑問系で尋ねてはいるが、その口調は有無を言わせぬものが有った。 「にんげんのおうちはきれいにかたずいてるよ!!」 「かびんもきれいにかざってあるよ!!」 「おいおい! さっきお前達は全く逆のことを言ってなかったか?」 「「!!!」」 「ごめんなざい!!! とかいはのありすたちのおうちみたいに、おじさんのおうちをきれいにしたかったんです!!!」 「おじざんによろごんでもらいだがったんです!!!」 「にんげんとおどもだじになりだがったんです!!!」 プライドを捨てて、必死に説明するアリス達。 先ほどの威勢は何処に言ったのか、ゆっくり霊夢や魔理沙の泣き方よりも随分酷いものだ。 「そうか。わかってくれたかい?」 「「「「うん!! ゆっくりわかったよ!!」」」」 男は、二匹の釘を抜いてやった。 それを見たアリス達の顔に笑みが戻る。 助かった、やっぱり都会派の人間は優しい……。 「じゃあもういいよ。ゆっくりしてね」 「ゆ? !! ゆっぐりんびゃってい!!!!!」 手近に居たアリスを捕まえて体を縛る。 絶対に外れないように、それはもうキツキツに。 その処理を、全てのゆっくりに済ませた後、庭に連れて行き柱にしっかりと結び付けておく。 「うごけないよ!! はやぐなわをほどいてね!!!」 「ありすはどかいはなんだよ!! こんなことするいなかものはゆっくりできないよ!!!」 全く気にすることも無く、芋煮用の大きな鍋にたっぶりと水を入れ薪を入れる。 後はゆっくりアリスを入れてしばし待つだけだ。 「ゆ! あったかい!! おふろだよ!! おふろだよ!!」 「ゆっくりできるよ!!」 「おじさん!! はーぶかゆずをいれてね!! とかいはのありすはただのおふろなんてはいれないよ!!」 普通ならこのまま釜茹でだが、40度前後を保ちながらゆっくりとアリス達を浸からせる。 「いいゆかげんだね!!」 「さいこうのばすたいむだね!!!」 顔がほんのり赤みを帯びてきたら頃合だ。 「ゆ!! おじさん!! ありすはまだつかっていたいよ!! ひとのばすたいむはじゃましちゃいけないよ!!!」 一匹を捕まえて準備しておいた寸胴へ。 「ゆ? んぎゃらっぱいん!!!!!」 額に穴を開けて吊るしておく。 見ると、熱で柔らかくなったカスタードがドンドン流れ落ちていく。 「ゆ!! ありすのあんこが!!! とかいはのありすのあんこが!!!」 都会派ならカスタードくらい知っておけよと突っ込みたくなるが、自分の体から流れるカスタードを見て焦り、恐怖を覚えるアリス。 これならドンドン美味しくなるだろう。 「ゆゆ!! やっぱりいなかもののおうちじゃゆっくりできないよ!!!」 「!!! でれないよ!!! おふろからでれないよ!!!!」 丁度他のゆっくり達からも見える位置で作業しているので、慌てふためいて逃げ出そうとするアリス達。 しかし、つながれている縄は中に沈んでいる重しに結びついているので、逃げたくても自由に体の向きすら変えることができない。 これも中身を美味しくするコツだ。 「ゆ~~~~!! れいむぅ~~!! まりさぁ~~!! たいせつなおともだちのありすをたすけt……」 どうやら、餡子がなくなったようだ。 居るはずの無い友達の名前を呼びながら、中身を全て出して死んでいった。 それを見ていたアリス達も一様に騒ぎ始めた。 「ありずーー!!! どーじでとがいはのありずたじにこんなごとするのーー!!!」 「ありずたちはなにもめいはぐかけでないよーー!!!」 「ここはおじさんのおうちだよ!! とかいはのありすたちだからるーむめーとになってあげたのに!!!」 さぁて。 「さぁて、次は一番の都会派のアリスにしようかな?」 「「「!!!」」」 アリス達の震えがお湯に伝わり、大きな波を立てる。 「あっ、ありすはあんまりとかいはじゃないよ!!!」 「ありすもだよ!! ありすもあんまりとかいはじゃないよ!!!」 「ありすはじょーきょーぐみだよ!! だからとかいはじゃないよ!!!」 「……。そうか、君達のいう事はよく分かったよ」 「「「ゆ♪」」」 「そういえば、都会派の君たちが俺のお家を綺麗にコーディネートしてくれたんだもんね。みんないっぱしの都会派だって事忘れてたよ」 じゃあ次は君から。 「!!!」 一匹のアリスを掴んで、男は作業を再開した。 ……。 翌日、男は昨日集めたカスタードを持って近くの街のまで来ていた。 取引のある屋台の店主に、カスタードを買ってもらうためだ。 「やぁ、今日は店を出してないんですか?」 屋台が出ていなかったので店主の家へ、そこには店主とゆっくりれみりゃの親子、そして金髪のきれいな女性がお邪魔していた。 「いやぁ、昨日コイツラが店の商品をめちゃくちゃにしてね。麺棒でブッ叩いて家まで運んできたんだが、そこで良い考えを思いついてね」 それを、ご贔屓にさせてもらってるそこの魔法使いのお嬢さんに話したら、ぜひとも協力させてくださいって言われてさぁ、と店主は言葉を続けた。 「そうだったんですか。実は家も昨日ゆっくりに酷くやられましてね。幸い、本当に貴重な品は無事だったんですけど、他はこっぴどくやられてしまいまして。それで、今日はこれを買い取ってもらいたいんですが……」 申し訳なさそうに、カスタードが入った寸胴を差し出す。 店主は一口味見をした後、気前よく買い取ってくれた。 男の言い値より遥か高く。 「気前がいいですね?」 「いや、あの調教が終わったら高収入間違えなしだからね。そうだ、味見をしてみるかい?」 「いいんですか?」 「もちろん! ありすさん、一回やってみてもらっても大丈夫ですか?」 「ええ」 奥で泣き叫んでいた親れみりゃを無理矢理引きずりながら、アリスと呼ばれた魔法使いがこちらにやってきた。 「うあーーーー!! ざぐやーーー!! こわいひどがいどぅーーー!!!」 「少し待ってくださいね」 業務用の大きな鍋に水を張り、一瞬で沸騰させる。 その、ボコボコいっている鍋の中へ一匹の子れみりゃを迷い無くぶち込む。 「う!! !! あじゅいよーー!! まぁまぁーー!! ぼごっ! ……まぁmうぐっ!!」 箸を器用に動かして、ころころと中のれみりゃを動かす。 「うーー!! れみりゃのぷりでぃーーなあがじゃんがーー!! うーー!! たべちゃうぞーー!!!」 テコテコと歩きながら近づいてきたれみりゃを、アリスが凄い音を立てて蹴り返す。 「うーー!! !!? うっぎゃらぺっちゃーーー!!!」 後ろに居た人形に五寸釘で受け止められた、もはや喜劇にしか見えない。 「さてと、これくらいで良いかしら……?」 茹でたこのように、顔を真っ赤にしたれみりゃを魔法で運んでいく。 男達の下ではなく、お母さんれみりゃの下へ。 「うわーー!!! あがじゃん!! あがじゃん!!!」 すっかり傷が再生したのか、急いで子れみりゃの元へ駆け寄っていくれみりゃ。 しかし、移動速度は歩いている時と殆ど変わらない。 「はいはい! ……っしょっと! ほら、さっき教えたとおりにやってみなさい」 「!!! うぎゃーー!! いだいよーー!! まぁまーー!!!」 「うー!! うー!!!」 親れみりゃの手に載せられたのは子れみりゃの腕。 目の前で自分の子の手を引きちぎられて親も子供同様大パニックだ。 「ほら! さっさとしなさい」 「うーー!! いやだぁーー!! れみりゃのぷりでぃーなあがじゃんがーー!!!」 「うるさい!! 言うこと聞かなかった罰よ」 人形がまた親れみりゃに五寸釘を刺す。 今度は先程とは違い、体中満遍なくだ。 「うっじゃーーー!! いだい!! ざぐやーー!!! ざぐあ--!!!」 「ほらほら、さっさとやらないともっとお仕置きよ?」 「うう! う~♪」 ドガッ。 腹部に蹴り、思いの他効いたようで口から餡を吐き出す。 「返事は、ハイ、よ!」 「ハイ!! ハイーーーーー!!!」 そこからは、泣きながらの料理だった。 たどたどしく、腕を手で開いて餡を取り出す。 残った皮を捏ねて再度成形する。 そこに先ほどの餡を入れて形を成形。 出来上がったのは肉まんだった。 「んー!! うじゃ!!」 黙って男にその肉まんを差し出そうとした矢先、またしてもアリスの蹴りが鳩尾に入った。 「だれが、そんな事を教えたかしら?」 「うーー!! れみりゃの、れみりゃのぷりでぃーな!! んびゃお!! ……れみりゃのごどもだじがらつぐったにぐまんです!! どぉぞぉ~!!!」 散々蹴られながら、何とかそれだけ口にして男に肉まんを差し出した。 「へぇー。肉まんが作る肉まんですか」 「おう、どうやら紅魔館近の中でくそ大切にされていたれみりゃらしい。その子供も味は格別だぞ」 「そうですか。では、頂きます」 一口かじった男は、暫く口の中で咀嚼した後、賞賛の声を上げた。 「うまい! これはすごく上手いですよ!!」 「だろ、これは間違いなく良いビジネスになるぞ」 「うーー!! ぞれはれみりゃのあがじゃんだのーー!!」 「いい加減煩いわ……」 話に割り込んできたれみりゃに向かってアリスが弾幕を放った。 綺麗に首から下を吹っ飛ばされたれみりゃは何が起こったのか分からず、襲い来る痛みだけを絶えていた。 「あぁあーーー!! いだいーー!!! れみりゃのがらだがーー!! れみりゃのきゅーどぅなからだが!!」 「ちがうでしょ。何回も教えたわよねぇ。こういう時はなん言うんだっけ?」 「!! ぐずっ!! ……れみりゃどぉー、あがじゃんがらずぐったにぐまんをおいじくたべでもらっでありがどうございまじだぁーー!!!!!」 「そう、それでいいのよ……」 やはり、魔法使いというものは恐ろしい。 男達二人は、それじゃあ続けて調教しますからと言って奥の部屋へ消えていったアリスを、静かに見送った。 「……。そういえば、カスタードって事はゆっくりアリスの集団だったのかい?」 何とか話題を作ろうと、店主が男に尋ねた。 「えぇ。他のゆっくりよりも酷いモンでしたよ」 「はは、あいつらは何故か好き好んで人間の家に入ってくるからな。入ってくる割合はほかのゆっくりより多いんだぞ」 「そうなんですか?」 「あぁ。でも、あいつらはお前さん家みたいにめちゃくちゃにするから、殆どの住人は直ぐに踏み潰してしまうのさ。だから、カスタードもあんまり出回らないんだよ、加工場も増えた奴を間引きするくらいでね」 「へぇ、ところで……」 どうやら、これがきっかけとなり会話が続いていくようだ。 「うっぎゃーー!! ざぐやーー!! だずげでーー!!!」 「「「「まぁまぁーー!!!」」」」 「ほらほら、そんなにとろとろしてたら冷めちゃでしょ? 90秒以上掛かったらまたお仕置きよ!」 奥では、アリスが生き生きとれみりゃを調教している。 この商売が成功する日も近そうだ。 ……。 ゆっくりアリスは集団でゆっくりを襲う。 しかし、できるのは殆ど襲われた側のゆっくりの赤ちゃんであり、もし生まれたとしても親は居ない。 そして、その性格ゆえ人間の家に入って集団ごと根絶やしにされる。 それゆえに、アリスが増えすぎたと言う報告はこれから先も出ては来ないだろう。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1553.html
(満月の夜) 夜。小高い丘の大樹の根元。月の灯りに照らされた小さな影が五つ。 影の正体はゆっくり。車座に座り仲間の帰りを待っていた。 「ちーんぽっ!ちーんぽっ!」 「れいむとぱちゅりーがかえってきたんだね!わかるよー!」 「うー!おかえりーだどー!」 「・・・・・・」 「ただいまー!ゆっくりかえったよ!」 「おそかったんだぜ!それより『やまのぬし』とのはなしあいはうまくいったのか?」 「ええ、ばっちりよ。『やまのぬし』ゆっくりかなこは、わたしたちのだしたじょうけんをのんだわ。」 「それはよかったぜ!じゃあいよいよあしたからさくせんかいしだぜ!」 丘の上に集った七匹のゆっくり。彼女達は流れ者のゆっくりだった。 ある目的の為にこの地にやって来た。それぞれ餡子の繋がりは無いが、親子より深い絆で結ばれていた。 一般的な成体のゆっくりより一回り大きい、まりさ、れいむ、ありす、みょん。 大きさこそ平均的だがどのゆっくりよりも知恵が回る、今回の計画の立案者ぱちゅりー。 他の六匹と同じ年に生まれたにもかかわらず、子ゆっくりほどの大きさしかないちぇん。 そしてこの地方には生息していない希少種、他のゆっくりを捕食する体付きのれみりゃ。 七匹は円陣を組むと自分達の作戦の成功を祈り、出陣の儀式を始めた。 「じゃあいつものをやるぜ!このまんげつにちかう!わたしたちななひきのゆっくりは!」 「たとえうんでくれたおかあさんがちがっても!」 「きょうだいのちぎりをむすんだからには、こころをおなじくして。」 「おたがいたすけあうんだどー!」 「そして、ゆっくりするときはななひきいっしょにゆっくりするんだね!わかるよー!」 「ちーーーーんぽっ!」 「・・・・・・」 「「「「「いっしょにゆっくりしようね!!!」」」」」 (翌日 人間の里に隣接するゆっくりのコロニー) 七匹の仲間のぱちゅりーとありすは、この一帯の森と平原を支配するゆっくりぱちゅりーの元へ向かった。 この群れのボスであるぱちゅりーは身長が1m以上ある巨大ぱちゅりーだった。 その体躯もさる事ながら、ぱちゅりー種特有の知識をもって周りの信頼を集め、 千を超える配下のゆっくりからは『もりのけんじゃ』と讃えられていた。 「みなれないゆっくりだね!ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね。わたしとこのありすはたびのゆっくりなの。 たびのとちゅう『もりのけんじゃ』のうわさをきいてね。あいさつをしにきたのよ。」 「あんないするよ!ゆっくりついてきてね!」 「おはつにおめにかかります『もりのけんじゃ』。ぱちゅりーともうします。 たびのとちゅうにあなたのうわさをきき、あいさつにまいりました。」 「よくきてくれたわね。ゆっくりしていってね!ところでそちらのゆっくりは・・・?」 「このこはわたしのつれのありすです。うまれつきめがみえず、くちがきけないのです。」 「・・・・・・」 「そうだったの。」 「じつはおねがいがあってきたのです。ながたびのつかれでわたしもありすもからだがまいってしまいました。 しばらくのあいだこのむれにおいてもらえないでしょうか? ゆっくりから『もりのけんじゃ』とたたえられるあなたなら、きゃくじんをむげにはあつかわないはずです。」 「もちろんしごとはいたします。わたしもありすもかりはにがてですが、こどものせわくらいはできます。 みなさんがかりにいくあいだ、こどもたちのめんどうはわたしがみましょう。 そのかわり、ねどことごはんをていきょうしていただきたいのです。」 「おやすいごようだわ。きょうからよろしくね!ぱちゅりー、ありす!」 「さすがは『もりのけんじゃ』ありがとうございます。」 「・・・・・・」 (同日 森の小道) 七匹の仲間のまりさは道の真中で居眠りをするふりをして、ゆっくりが通りかかるのを待っていた。 そこへ狩りに出かけた森のゆっくり達がやって来た。 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 「あれ?こんなところでねてるゆっくりがいるよ!ゆっくりしていってね!」 「ゆ!ゆっくりしていってね!ふぅ。おなかがいっぱいだったんで、ついいねむりしちゃったんだぜ。」 「ゆ?そんなにおなかいっぱいたべたの?れいむたちにもごはんがあるばしょをおしえてね!」 「おお、おやすいごようだぜ!まりさのあとについてくるんだぜ!」 ゆっくり達はまりさに連れられて人間の里に向かう。ゆっくりが畑の作物を食べ始めたのを確認すると まりさは森に戻り、またゆっくりが通りかかるのを居眠りのふりをしながら待つ。 畑でむーしゃむーしゃとやっていたゆっくり達は当然畑の持ち主に殺される。 元々森のゆっくり達は人間の畑を襲ったりはしていなかった。 ゆっくり達のテリトリーである森や草原には食料が豊富にあり、危険を冒して人里に出る必要が無かったからだ。 人間もそれを知っていたので畑の周りに何の対策もせず、さらにゆっくり撃退に関する知識も不足していた。 突然畑を荒らすようになったゆっくりに、里の人間達は頭を痛めた。 (数日後 人間の里) 人々は里の集会所に集まり、近頃畑を荒らす様になったゆっくりにどう対処するか相談していた。 里全体を板塀で囲おう。→それだけ大量の木材をどうやって調達する?それに手間が掛かり過ぎる。 罠を仕掛けたらどうだ?→どんな罠が有効なのか。そもそも罠だけですべてのゆっくりを捕まえるのは無理。 巣を叩き全滅させよう。→ゆっくりが森からやって来るのは解っているが、巣が何処にあるかはわからん。 ゆっくりについての知識がまるで無い人々の会議は、踊るばかりで一向に進まない。 そこへ七匹の仲間のれいむ、みょん、ちぇん、れみりゃがやって来た。 「おじゃまします!ゆっくりしていってね!!!れいむたちがおてつだいするよ!」 「なんだお前ら?わざわざ殺されに来たのか?」 「ちがうよ!れいむたちはひとにめいわくをかけるゆっくりをたいじする、いいゆっくりだよ!」 「へー。ゆっくりには良いゆっくりや悪いゆっくりがいるのか?」 「そうだよ!れいむがわるいゆっくりをたいじするほうほうをおしえるよ! まかせて!ゆっくりのことはゆっくりがいちばんよくしってるよ!」 「まぁ確かにそれは一理あるが・・・いったい何が狙いなんだ?」 「れいむたちはたびのとちゅうだよ!でもちょっとたびにつかれちゃったの! しばらくのあいだここでやすませてね!たべものはもりでとってくるからしんぱいないよ!」 「ふーん。まぁ畑の物に手を出さないって言うなら里の中に置いてやってもいいよ。 今は使ってない物置が一つあるから、そこで休むといい。」 「ありがとうおじさん!じゃあ『わるいゆっくりのげきたいほう』をおしえるよ!」 「ごーにょ、ごーにょ、ごーにょ・・・」 「はぁ?そんな事でいいのか?それくらいなら今日中に準備できるが・・・」 「うん!それだけやってくれたらだいじょうぶだよ!あとはれいむたちにまかせてね!」 (翌朝 里のはずれの畑) れいむ達が出した指示は実に簡単なものだった。 まず畑の周りをロープで囲う。数mおきに杭を打ちロープで囲っただけ。 板塀で全体を囲うより遥かに経済的だが、もちろん下を潜ったり上を飛び越えたりできる。 こんなもので本当に撃退できるのかと、里の人々は不安に思った。 次に森から近い所に一か所、ロープで囲っていない偽の畑を造る。これには今年作物を植えなかった畑を使った。 そして適当に雑草を刈り、食べ残しの大根の葉を植えていく。 人間の目から見たら一目で解る簡単な偽装。これにゆっくりが引っかかるのだろうか。人々の不安は尽きない。 最後に深さ1m奥行き1mの堀を造る。里全体を囲うのではなく、偽の畑の近くに10m掘っただけ。 底には30cmほど水を貯めておく。これが一体なんの役に立つんだ? 人々は疑問に思いながらもすべての準備を済ませた。 昨日のうちに準備されたこれらの設備に満足したれいむ達は、それぞれ配置に就く。 ちぇんは森の入口に。残りは農機具をしまう小屋の陰に隠れる。 後は奴らが来るのをゆっくりと待つだけ。 (同刻 ゆっくりの群れ) 群れのボスの巨大ぱちゅりーが何やら深刻な顔で考え事をしている。 そこへやって来る七匹の仲間のぱちゅりー。 「どうしたんです?ゆくえふめいのゆっくりたちのことをかんがえているんですか?」 「そう・・・あのこたちどこへいってしまったのかしら?かりにいったこたちがかえってこない。 きのうまでにいなくなったぐるーぷは5つ。ぜんぶで25ひき。みんなまいごになったとはかんがえにくいわ。」 「そうさくたいをだすべきですね。いなくなったぐるーぷがたんとうしていたばしょをちゅうしんに。」 「いなくなったこたちは、にんげんのさとのちかくをたんとうしていたのよ。」 「だったらにんげんにきいたらなにかわかるかもしれません。さとにそうさくたいをはけんすべきです。 ねんのため、ふくすうのぐるーぷをいっしょにこうどうさせて。」 「そうね。とりあえず、4ぐるーぷではけんしてみるわ。ありがとうぱちゅりー。そうだんにのってくれて。」 「どういたしまして。(ふぅ・・・まったくおばかさんね。まぁ、そのほうがたすかるのだけど。)」 (数刻後 里のはずれ) 物見に出ていたちぇんが帰って来た。他のゆっくりとは比べ物にならない速さでぴょんぴょん跳ねてくる。 「みんなー!やつらがきたよー!せんとうじゅんびだね!わかるよー!」 「ゆゆっ!きたね!みょん、れみりゃ、じゅんびはいい?」 「ちーんぽっ!」 「うーー!まかせろだどー!」 自分達を退治する為にれいむ達が待ち構えている事など、まったく知らない捜索隊はゆっくりと近づいてきた。 「おーい!みんなどこにいるのー!」 「れいむー!まりさー!いたらへんじしてー!」 「むかえにきたよー!いっしょにゆっくりかえろう!」 「ゆ!あそこにおいしそうなたべものがあるよ!」 「ほんとだ!ちょっとよっていこうよ!」 「そうだね!あるきすぎておなかがすいたよ!」 「ゆゆっ!たべもののまわりにかこいがしてあるよ!だれかいじわるなひとがいるね!」 「だいじょうぶだよ!あそこはかこいがしてないよ!」 「ゆー!まりさがいちばんにたべるよ!いただきまー・・・」 「そこまでだよ!」 「!」 「ひとのはたけをあらすのはよくないよ!そんなゆっくりはれいむがゆるさないよ! さとのはたけをまもる(ほんとはちがうけど)ため、ゆっくりしんでいってね!!!」 「なにをいってるの?ばかなの?」 「これはまりさたちがみつけたんだからまりさたちのものだよ!」 「20ぴきのゆっくりをあいてにひとりでなにをするつもり?じさつしがんしゃなの?」 「ふふふ・・・みょん!でばんだよ!」 森のゆっくり達がれいむを罵倒するのに夢中になっている隙に、みょんはゆっくり達の背後に忍び寄っていた。 その口にくわえられているのは肥後守。里の人間から借りたものだ。 スパッ!スパッ!スパッ!立て続けに三匹のれいむのリボンを切り落とす。 「ゆーーー!れいむのりぼんがあああ!!なにするのおおおおお!!!」 「ゆ?」「ゆ?」「ゆ?」「ゆ?」 「ゆ?みんななにしてるの!れいむのりぼんきられちゃったよ!みんなであいつをやっつけるよ!」 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 「ゆぶっ!やめっ!やめてえええ!!!どうじでぞんなごどずるのおおおおおおお!!!!」 「ゆげっ・・・どう・・・し・・て・・・」 「ゆ~?いったいなにをやってるの?じぶんのなかまをころすなんて。ばかなの?」 「ゆーーーーーー!!!まりさたちいったいなにしてたのおおおおおお!!!!」 「れいむ!しっかりして!れいむーーーーー!」 「どうじでこんなごどにいいいいいいいいい!」 「おお、おろかおろか!さっきまでのいせいはどこへいったの? そっちがこないならこっちからいくよ!れみりゃ!でばんだよ!」 「うーーーーーー!!!たーべちゃーうぞーーーーーー!!!」 混乱しているゆっくり達に向かって、れみりゃがドスドスと駆け寄っていく。 初めて見る体付きのゆっくりに怯え、ゆっくり達はれみりゃと反対の方へ逃げ出す。 そこで待っていたのはちぇん。 「みんなー!こっちだよー!いそいでにげるよついてきてー!」 水が張ってある堀の方へ誘導するちぇん。堀の前まで来るとぴょーんと堀を飛び越える。 1mを超える跳躍などちぇん種の中でもこのちぇんにしか出来ない芸当だ。 しかしそんな事を知らないゆっくり達は、次々と堀を飛び越えようとして失敗する。 「ゆーーー!どうしてとびこえられないのおおおお!!!」 「ゆっ!たいへん!みずだ!れいむたちみずのなかにいるよ!!!」 「ああああ!!!からだがとけちゃうううう!!!だれがだずげでええええええ!!!!」 20匹で編成された捜索隊は全滅した。しかし、これで終わりでは無かった。 次の日も、次の日も、捜索隊はやって来て前の隊と同じ道を辿る。 知恵者のぱちゅりーにいい様に利用されている無能な巨大ぱちゅりーのせいで。 (小望月 人間の里、れいむ達が住む物置小屋) 「ちーんぽっ!ちーんぽっ!」 「まりさがきたんだねー!わかるよー!」 「うー!まりさー!こっちだどー!」 「おお、ひさしぶりだぜ!どうやらじゅんちょうにいってるみたいだな!」 「うん!まりさのほうはどう?『やまのぬし』のむれはちゃんとじゅんびしてた?」 「ああ!いまひっこしのじゅんびをしてる。それにやくそくどおりごはんをたくさんあつめてたぜ!」 「まあ、ごはんをあつめるのはどうでもいいんだけどね!てまがはぶけるのはいいことだけどね!」 「かえりにぱちゅりーにもこっそりあってきた。むこうもじゅんちょうだっていってたぜ! いよいよあしたがやくそくのひ。すべてけいかくどおりだぜ!」 「いよいよあした、いや、あさってになったらすべてがてにはいるね!」 「ああそうだぜ!ちぇん、あしたはがんばるんだぜ!すべてはちぇんのえんぎりょくにかかってるんだぜ!」 「わかるよー!あしたはまかせてよー!」 「うー!がんばるんだどーーーー!」 「ちーーーーーんぽっ!」 (約束の日の朝 巨大ぱちゅりーの群れ) ちぇんが走って来る。七匹の仲間のちぇんだ。体中に擦り傷を付けて叫びながら駆けて来る。 「たすけてー!たすけてよー!」 「ゆ?どうしたの?ゆっくりしていってね!!!」 「たいへんなんだよー!『もりのけんじゃ』にあわせてほしいんだよー!」 「いまあんないするよ!ゆっくりついてきてね!」 「ゆ?どうしたの?そんなにあわてて。それにからだがきずだらけじゃないの。」 「にんげんにつかまってたんだよー!みんながきょうりょくしてにがしてくれたんだよー! そして『もりのけんじゃ』にたすけをもとめるようにいわれてきたんだよー!」 「みんな?」 「このもりにすんでるゆっくりだって、『もりのけんじゃ』のいちぞくだっていってたよー! みんなにんげんにつかまってるんだよー!はやくたすけてあげてー!」 「いなくなったこたちはみんな、にんげんにつかまっていたのね。 どうするの『もりのけんじゃ』?とうぜんたすけにいくわよね?」 「ゆーーーーーー!!!とうぜんよ!!!なかまをさらったにんげんはゆるせないよ!!!」 「にんげんはてごわいあいてよ。おとなのゆっくりぜんいんでいったほうがいいわね。 こどもたちのことはわたしとありす、それにこのきずだらけのゆっくりにまかせてくれたらいいわ。」 「ゆ!ありがとうねぱちゅりー。」 「どういたしまして。わたしたちはたたかえないもの。これくらいのことはしないと。 こどもたちのことはしんぱいしなくていいわ。(すぐにあとをおわせてあげるから・・・)」 巨大ぱちゅりーはすべての大人ゆっくりを集めるとこう言った。 「みんな!せんそうよ!!にんげんをたおしてつかまっているなかまをたすけるよ!!!」 「ゆーーー!!!にんげんをやっつけるよ!!!」 「まっててねみんな!いまたすけにいくからね!!!」 「にんげんなんかまりさがみんなやっつけてやるよ!!!」 いなくなった仲間たちがまだ生きている、そして人間に捕まっている、と勘違いをした森のゆっくり達。 気勢を上げ人間の里に向かって行くゆっくり達を眺めるぱちゅりーとちぇん。 「ふぅ・・・そろいもそろってばかばっかり・・・いなくなってくれてせいせいするわ。」 「わかるよー!あいつらのあいてをするのにつかれたんだねー!」 「まぁしかたないんだけどね。これがわたしのやくわりだったし。 さあ、ありすをむかえにいきましょう。さいごのしごとがのこってる。」 「わかるよー!ありすのしごとがいちばんらくだよねー!」 「そんなこといわないの。かのじょにしかできないしごとなんだから。」 (人間の里のはずれ) 「ちーんぽっ!ちーんぽっ!」 「ん?どうしたの?みょん。ぐあいでもわるいの?」 「うー・・・ちぇんがいないとなにいってるかよくわからないどー。」 「ちんぽっ!ちんぽっ!ちんぽっ!」 その時地響きを立てながら『もりのけんじゃ』の群れが里のはずれに到着した。 「ああ、『やつらがきた!』っていいたかったんだね!」 「ちーーーーーんぽっ!」 「ごめんだどー。わからなかったんだどー。」 「じゃあれいむはにんげんにしらせてくるね!ここはまかせたよ!こんやあのおかでしゅうごうだよ! てきとうにたたかったらはやくにげてね!しんじゃだめだからね!」 「ちんぽーーーーーー!」 「まかせるんだどー!れみりゃとみょんがくんだらつよいんだどー!」 「ゆっ!あなたたちここでなにしてるの?あなたたちもにんげんからにげてきたの?」 「うー?なにいってるんだどー?れみりゃとみょんはにんげんのみかただどー! あいてになってやるからさっさとかかってくるんだどー!」 「ちんぽっ!」 「ゆー!!!ゆっくりなのににんげんにみかたするなんて!みんなこいつらからやっつけるよ!!!」 戦闘が始まる。みょんがれいむ種のリボンを切って混乱を起こし、 れみりゃはゆっくり達を掴むと堀のなかにぽーいと投げ捨てていく。 初めのうちこそ優勢に闘っていたれみりゃとみょんだが、やはり多勢に無勢。しだいに追い詰められる。 「うー。このままじゃまずいどー!」 「ちんぽ~」 「おーい!ゆっくり達!加勢に来たぞー!遅れてすまない!」 手に手に棒やクワをもった男達が駆け付けた。男達は手に持った武器や足で次々にゆっくりを潰していく。 森のゆっくり達も仲間を助けるため人間に襲いかかる。こうなればゆっくり達が全滅するのは時間の問題。 自分達の仕事が終わったれみりゃとみょんは、混乱の隙をついてさっさと逃げ出した。 (同刻 巨大ぱちゅりーの巣) 「みんなおちついて。ありすのまわりにゆっくりあつまるのよ。にんげんがくるかもしれないわ。」 「ゆー。こわいよー。」 「だいじょうぶ。わたしがにんげんからまもってあげるわ。(ありすからはまもってあげないけどね・・・)」 「こどもはみんなあつまったみたいだよー!これでぜんぶだよー!」 「そう。じゃあこれでわたしとちぇんのしごとはおしまいね。あとはありすのしごと。 ありす、もういいわよ。つかれたでしょう。めがみえずくちがきけないふりをするのは。 もうがまんすることないわ。ぞんぶんにやっちゃって。 わたしたちはちょくせつゆっくりをころすことができない。これはあなたにしかできないしごとだわ。」 「・・・・・・」 「あら?どうしたの?」 「うっひょおおおおお!!!!もうがまんできねえええええええええ!!!!!!!! ちっちゃいゆっくりもかわいいよおおおおおおおおおお!!!!!! いっしょにすっきりしようねえええええええええええええ!!!!!!!!」 「うわ・・・」 「わかるよー。がまんしすぎてすこしこわれちゃったんだねー。ちょっとこわいよー・・・」 「ゆーーー!!!やめてええええ!!!ありすおねえちゃん!!!やめてええええええ!!!!」 「いやーーー!!!!すっきりしたくないいいいいい!!!!しんじゃうううううう!!!!」 「やめちぇね!ゆっきゅりやめちぇね!れいみゅはまだしゅっきりしたくにゃいよー!」 「いきましょうかちぇん・・・ここにいたらわたしたちもあぶないかも・・・」 「そうだねー・・・ありす!こんやあのおかでしゅうごうだよ!まってるからね!」 「いぃぃぃぃやっほおおおおおおおおおおう!!!!!!!!!! すっきりーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」 (満月の夜) 夜。小高い丘の大樹の根元。月の灯りに照らされた小さな影が六つ。 影の正体はゆっくり。車座に座り仲間の帰りを待っていた。 「おそいぜありす。どこほっつきあるいてたんだ?」 「ああごめんなさい。ひさしぶりにすっきりしたものだから・・・ こうふんをしずめるためにゆっくりしてたのよ。あら?もしかしてあなたもわたしとすっきりしたかった?」 「い、いや。それはえんりょしとくぜ。」 「でしょう?だからおちつくまでひとりでいたのよ。」 「ゆー。ありすはあいかわらずだね!」 「そうだよー!ちょっとこわかったんだよー!」 「ふふふ。だいじょうぶよ。わたしたちはこのよにたったななひきだけのなかまじゃないの。 おやはちがっても、ゆいいつのかぞく。かぞくとむりやりすっきりしようなんておもわないわ。」 「うー!そうだどー!みんなだいじなかぞくだどー!」 「ちーーーーーーーーーーんぽっ!」 「まぁこんかいもうまくいったわね。ところでれいむ『やまのぬし』は?もうひっこしはすんだの?」 「ゆ?もんだいないよ。いまごろかなこのむれは、ひっこしいわいのえんかいのさいちゅうだよ。」 「そう。よるおそくまでえんかいをして、あしたはきっとひるすぎまでおきてこないわね。 あとはあさいちににんげんたちにやつらのすのばしょをおしえるだけ。 それでここらへんのゆっくりはすべてきえる・・・ もりも、そうげんも、やまも、このへんにあるたべものは、すべてわたしたちのもの・・・」 「さすがぱちゅりーがかんがえたけいかくね。すべてうまくいったわ。」 「れいむ、にんげんのほうはどうなんだ?まりさたちのことをかんぜんにしんようしたのか?」 「だいじょうぶだよ!ひとつきちかくはたけをまもったからね! やさいをわけてあげるからいつでもあそびにおいで、っていってたよ! れみりゃとみょんがしにものぐるいではたけをまもってるところをみせたからね!」 「そうだどー!がんばったんだどー!」 「ちーーーんーーーぽっ!!!」 「それはよかったぜ。まえのところではゆっくりをぜんめつさせるのはせいこうしたけど、 そのあとにんげんにおいだされてしまったからな。こんかいはだいじょうぶだな!」 「ええ。これでこころおきなくゆっくりできるわ。たくさんたべて、たくさんゆっくりして。 わたしはもっとかしこくなるわ。」 「まりさとれいむ、ありす、みょんはもっとおおきくなるぜ!」 「うー!れみりゃももっとつよくなるんだどー!」 「ちぇんはもっとすばやくうごけるようになるんだねー!わかるよー!」 「そうね。わたしたちもっとつよくならないと。あいつらにふくしゅうするため・・・」 「ゆ!そうだよ!れいむたちをおいだしたあいつらにふくしゅうしないと!!!」 「そう。あいつらだけはにんげんのてをかりず、ちょくせつやらないときがすまないわ。」 「さぁ、けついもあらたにしたところでいつものやつをやるぜ!」 「このまんげつにちかう!わたしたちななひきのゆっくりは!」 「たとえうんでくれたおかあさんがちがっても!」 「きょうだいのちぎりをむすんだからには、こころをおなじくして。」 「おたがいたすけあうんだどー!」 「そして、ゆっくりするときはななひきいっしょにゆっくりするんだね!わかるよー!」 「ちーーーーんぽっ!」 「そしていつか、わたしたちをおいだしたやつらを・・・ははのかたきをかならずころす・・・」 「「「「「「いっしょにゆっくりしようね!!!」」」」」」 end 作者名 ツェ 今まで書いたもの 「ゆっくりTVショッピング」 「消えたゆっくり」 「飛蝗」 「街」 「童謡」 「ある研究者の日記」 「短編集」 「嘘」 「こんな台詞を聞くと・・・」 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3353.html
※無茶設定あり ※虐待薄いかも注意 ぽよん・・・ぽよん・・・ 人里から遠く離れた森の獣道を俺は必死に跳ねていた。 跳ねる度に腰に備えた愛刀の小太刀がぺちぺちと体を打ち付け痛い。 その動きはまるで不思議饅頭生物ゆっくりのようだ。 俺は人間だ。 いや、人間「だった」。 単刀直入に言うと俺はゆっくりになってしまったのだ・・・。 ゆっくりになった男1 「生きるために跳ねろ」 もっと前から話そうか。 人間の里で樵をやっていた俺はあの日、注文のノルマに間に合わなかったため 予定を延ばし、日が暮れるまで木を切っていた。 それがいけなかった。 護身用の小太刀を常に携帯しているのでいざという時は何とかなると思っていたのだが・・・。 流石に妖怪相手では武器なんて無力だった。 迂闊だった。 最近妖怪は人間よりもゆっくりに興味を持っているということで 人間が妖怪に襲われることはほぼゼロとなっていたため、 人間がゆっくりを食うように、妖怪も人間を食うということをすっかり失念していたのだ。 この幻想の地においてそんなことはあってはならないのだが こうなってしまうともう後の祭りである。 どこぞの魔王のごとく俺のはらわたを食い尽くしたその妖怪は満足したのか 去っていったがどてっぱらに大穴が開いている俺の体はもはや這いずる事しか出来なくなっていた。 というかあの状態でよく動けたなと思う。 しかしやはり大量出血状態である以上、 長くは持たないのは確定的に明らかであって だんだんと意識が遠のいていった。 まだ二十代なのに・・・ まだ結婚もしてないのに・・・ まだ食べたいものがあったのに・・・ まだ死にたくない・・・ そう思いながら。 俺は目が覚めた。 初めはあの世に着いたのかと思ったがどうも違うらしい。 痛みも無いし、無事なようなので立ち上がろうとする。 立てない。 というか足が動かない。 両足を縛られたような感覚だ。 というか嫌に視点が低いような気もする。 気を取り直して周囲を見渡す。 妖怪相手に歯が立たなかった小太刀が転がっている。 刃は鏡のように周囲の風景を映している。 とりあえず体がどうなってるかが見たいので必死に這って小太刀を覗き込んだ。 そこに映るのは俗に言うゆっくりまりさというゆっくりの姿。 え? もう一度覗く。 やっぱり映るのはまりさ。 夢か? そう思ったとき脳が直接響くように声が聞こえた。 「大丈夫ですかー?」 どこかのんきそうな女性の声だった。 一体誰だ? 「私はちょっとした医者です。森の中で死に掛けたあなたを見つけてですねー まだ生きたいとか言ってたから助けたんですよー」 助けた? じゃあなぜ俺はいまゆっくりなんだ? 「あんたの体もうズタボロで使い物にならなかったから 勝手ながらそこら辺にいるゆっくりに脳の情報を移植させていただいたんですよー」 よりによってゆっくりとは・・・。 ゆっくりでもきめえ丸とかなら空とか飛べて便利だったのに・・・。 ところであんたはいったいどこにいるんだ? 「私はあなたの居場所からかなり離れたところであなたのもとの体を修復してあげているんですよー。 そうですねぇ・・・アンタがその体で一年間生き残れたら体を元に戻してあげなくも無いですねー」 は? 一年だとふざけるな! こんな森の中で一年間もこのゆっくりの体で生き残れるわけ無いだろ! 冗談はやめて早く助けてくれ! 「冗談じゃないですよー。 それにその体はただのゆっくりじゃないですしー。」 ただのゆっくりじゃない? どういうことだ? 「いきなり新しい体で生き残れというのは無理があるから いろいろと手を加えさせてもらったんですよー。」 何だって? 「まずその体は再生能力を高くしてあるから 捕食種に襲われた程度では死なないし 水に浸かっても平気ですよー。」 自殺防止の気もしなくもないがいいな。 もし生身(?)のゆっくりだったらちょっとしたことで死にかねない。 「それから腕が無いと不便だろうから あるゆっくり科学者が作ったといわれる「あんこあーむ」を つけてあげましたよー。 原理は気にしないでねー」 あんこあーむ? 腕を顔の前に伸ばしてみる。 餡子色の触手のようなものが見える。 これがあんこあーむか・・・キメェ。 「あんこあーむは他のゆっくりが見ても 気味悪がらないみたいだからあんしんしてくださいねー でも物はつかめても直接殴るだけの強度はないことも教えておきますー。 じゃ、健闘を祈りますー」 おいちょっとまて!! プッ っという音とともに声は聞こえなくなった。 どうやらこの体、通信機みたいなのも内蔵されているらしい。 立った今切れたみたいだが。 一年か・・・。 いろいろ考えても仕方がない。 どうにかなるだろう。 ということで俺はこうして跳ね進んでいるのだが 遅い。 亀やバッタといい勝負だ。 情けなくて涙が出てきた。 「ゆっくりしていってね!」 急に叫び声が聞こえた。 前を見るとれいむがいる。 「ゆっくりしていってね」 軽く返す。 元人間であるが今はゆっくりの身だ。 同属からはぶられることは避けたい。 「ゆゆーん!まりさはゆっくりしてるね!まりさはひとりなの?」 あんな軽い返事でも満足してくれたようだ。 そういや俺の姿まりさだったっけ・・・。 ああ、一人だけど? 「ゆっ!それじゃあれいむたちのむれにこない?れいむたちとゆっくりしようよ!」 むれ?ゆっくりの群れがあるのか。 とりあえずホームレス状態はいろいろと危険なので 群れに入って巣でも作りゆっくりとすごすのも悪くないな。 群れに連れて行って欲しいな。 「ゆー!じゃあれいむにゆっくりついてきてね!」 ぽよんぽよんと駆け出すれいむ。俺も後を追う。 しばらく跳ねること十数分くらいだろうか。 時計が無いのでよくわからない。 まあ仕事柄時計無しでもある程度の時間が把握できるからいいが・・・。 群れらしき広場に着いたようだ。 木の下の空洞などを巣にしている。 「ゆっくりあたらしいなかまがきたよ!」 れいむが群れに向かって叫ぶ。 ゆっくりゆっくりと言いながらゆっくり達が集まってきた。 数はざっと見て10〜15匹程度。 かなり小さな群れのようだ。おそらくできたばかりなのだろう。 「むっきゅん!おさのぱちゅりーよ!よろしくね!」 一回り大きいぱちゅりーが自己紹介をする。 かなり長生きのようで、パチュリー種にしては大きく健康的だ。 「まずはすをみつけないといけないわね! だれかのすにすまわせてもらうのがいいとおもうわ! な、なんならああありすといっしょにすんでもいいのよ!」 顔を赤らめながらありすが俺に問いかけてくる。 結構だ。俺は一人でのんびりするのが好きなんでね。(ありすがレイパー化しても困るしな) 巣だってこの小太刀がスコップになるだろうからすぐに作れるさ。 ああ、食べ物も自分で見つけるからいいよ。 「おとななんだねーわかるよ〜」 ちぇんが感心している。 「みんなああいうじぶんのことはじぶんでできるゆっくりしたおとなになってね!」 「「「「「「ゆっきゅりりかいちたよ!」」」」」」 子連れのまりさが俺を摸倣するように子供に言い聞かせている。 なんだか照れくさいや。 「ゆっくりまりさのかんげいかいをひらくよ!」 れいむが叫び、それに答えるようにゆー!という声がこだまする。 『かんげいかい』の準備は数分で終わった。 というかレジャーシートのつもりなのか大きい葉を地面に敷き、 その上に木の実などを広げただけなのだが。 「まりさのかにゅうをいわって、ゆっくりかんぱい!」 「「「「「「「「「「ゆっくりかんぱい!」」」」」」」」 ゆっくりの世界にも乾杯の概念があったのか。 小さな宴が始まった。 お立ち台のような平たい岩の上で、ゆっくり達がかわるがわる芸のようなことをしていた。 れいむはゆーゆーと調子の外れた(ゆっくりにとっては上手いらしい)歌を歌い、 まりさ一家はかがみゆっくりといって鏡餅のように縦に積み重なり、 ありすはとかいはのダンスといって適当にくるくるまわったり、 ちぇんは二本の尾を器用に使い、木の実をお手玉していた。(正直これに一番驚いた) そうして宴が終わり、皆で狩りに出かける。 俺はよくカブトムシなんかが吸ってる木の蜜を小太刀を使い集めたところ、 かなり群れに褒められた。 よく考えてみるとは物が無いと滅多に取れないしな。 自然では貴重な甘味だ。 狩りが終わると俺はすぐさま家作りに取り掛かり、 木下に穴を掘り日が暮れる頃にはゆっくりにしては立派な住居が完成した。 もうあたりはすっかり暗闇だし新築住居にごろんと横になる。 今まで畑を荒らす害獣とか野山を駆け巡る野生動物とかでしかゆっくりを見ていなかったが なかなか奥が深く話のわかる連中じゃないか。 願わくばこのまま平和に一年間過ぎて元の姿に戻りたいところだが 今は春だが季節が巡って冬になったら越冬をせねばならない。 ゆっくりの越冬率はかなり低いと聞くし、いささか不安が募る。 中々床が土だと寝付けないもんだな。 そういえば俺はゆっくりみたいな幼い口調ではなく普通に喋ってるが違和感は無いようだ。 俺としても口調をゆっくりと同じにすると自身を見失いそうで怖いのだが・・・。 まあいいや、寝よう。 次の日から俺は群れの連中との生活を始めた。 元人間である俺の知識は野生生活では使えないものも多かったが、 ゆっくりの視点では気づかない多くのことに役立ったようだ。 共に狩をし、会話をしたり時にはゆっくりしたりと、 この一ヶ月間は非常にゆっくりとした生活が送れていた。 あの日が来るまでは。 日差しに若干熱さを感じるようになった夜、俺はいつものように狩りでの成果を皆と分け合った後 ゆっくりが作るよりも巧妙なカモフラージュで入り口を隠し、眠りに着いた。 ぅー ぅー・・・ぅー・・・ 俺は外から変な音がしたので目を覚ました。 時間的には深夜である。 初めは強風でも吹き荒れてるのかとおもったが・・・ てね・・・だよ・・・ あ”あ”あ”あ”・・・・ぅー・・・ぅー・・・ もっと・・・・・くり・・・・・・・た・・・ 悲鳴のようなものも混じって聞こえる。 俺は胸騒ぎがして小太刀を抱え外に飛び出した。 おかしい・・・・ 今日は晴れてたから月明かりでぼんやり明るいはずなのだが まるで月明かりなど感じられない。 俺は駆け出した。 すでに群れは地獄となっていた。 空を覆いつくす胴付きれみりゃの群れ。 地上で群れのゆっくりをいたぶるれみりゃの団体。 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”ばじぇのあんごずわないでえええええええええ!!!!」 牙を刺され餡子をすわれている長のぱちゅりー。 「ゆびゃ!!」 「ばりざのあがじゃんがあああああああ!!!」 「おねえええじゃあああああああん!!!」 「やべでええええええええええええええ!!!」 れみりゃに子まりさが食われる様を目の前で見せ付けられるまりさの一家。 「あまあまだど〜」 「みんなでたべるど〜」 「ぐっちゃぐっちゃ」 「がががががががが」 十数匹に一気にたかられてもはや原形を保っていないちぇん。 「あまあまみつけたど〜!これはでびりゃのだど〜☆」 「いやおぜうさまのれみりゃのだど〜」 「うーうーみんなでわけるど〜!」 後から声がしたので振り向くと三匹のれみりゃが俺に向かってきていた。 「あまあまはたべられるんだど〜」 れみりゃが噛み付いてくる、が れみりゃの牙は俺の体にわずかに刺さるだけで留まった。 確かに丈夫な身体だ。 「う〜〜〜〜〜?ぐびょら”っ!」 ハテナマークを浮かべていたそいつに兜割をお見舞いする。 頭から真っ二つになりスライスチーズの写真の如く左右に裂けるれみりゃA 「あ”あ”あ”あ”あ”でびりゃのいもうどがあああああああ!!!」 「でびりゃをごろずな”ま”い”ぎなあまあまはじねええええええええええええええ!!!」 れみりゃBとCがAを殺された怒りをあらわにして挟み撃ちの形で左右から襲い掛かってくる。 「「ぎゃぶっ!!!」」 横に避けたら案の定正面衝突して両方気絶した。 起き上がらないようにれみりゃたちの首をはねると俺は群れの仲間を救出しに行った。 ぱちゅりーを掴んでいたれみりゃの腕を切り飛ばす。 「でびりゃのぷりちーなおててがああああああああ!!!ぶびゅっ!!!」 わめき散らしているうちに背中に小太刀を突き刺しそのまま上に返す。 スライスれみりゃとなり巻き割のまきのように倒れる。 おい!大丈夫かぱちゅりー! 既にぱちゅりーは事切れていた。 ゆっくりとしての生活のノウハウを教えてくれたぱちゅりーが死んで悲しいが、 いつまでも悲しみに暮れている暇は無い。 俺は次の目標に向かって駆け出した。 「もっど・・・ゆっぐり・・・じだがゆべえええ!!!」 ちょうど俺が着いたときは辞世の句を最後まで言い終えることが出来ずに 子供を全部殺された一家の親まりさがれみりゃに高等部に穴を開けられ死んでいたところだった。 穴を開けた本人はつぼに入っている餡子を食べるかのように親まりさの中身を手で掬って貪っていた。 頭部のちょうど真ん中を斜めに切り落とす。 断末魔も上げないままれみりゃは居合い切りされた竹のように倒れた。 なぎ払い蹴散らし切り倒す。 群がるれみりゃをあらかた蹴散らすと、適わないと判断したのか れみりゃは空に逃げていった。 ようやく刺した月明かりに照らされて、群れのゆっくりの死骸が見えた ちぇんは底部以外跡形もなくなっていた。 ありすは性器のあたりをめちゃくちゃに引きちぎられて死んでいた。 そのほかのゆっくりも、ばらばらにされていたり木の枝で串刺しにされていたりと散々な有様だった。 俺はゆっくりの一人も助けられないのか・・・・。 初めこそは生きていくために群れに入ったが、 時間が流れるにつれて、群れの皆は共に生きる仲間となっていった。 こいつらとなら一年間生きていけると思っていた。 「・・・ま・・・・・りさ・・・・・」 かすかに声が聞こえた。 俺を村に案内してくれたあのれいむの声だ。 おい!しっかりしろ! れいむは方目を失い、穴の開いた頬から餡子がゆっくりと漏れていた。 「ま・・・・りさ・・・・ゆっくり・・・・しすぎだよ・・・・・」 すまないれいむ。俺は一人も助けることは出来なかった。 「しょうが・・・ないよ・・・まりさは・・・ひとりでたたかっていたんだもん・・・・ でも・・・むれのためにたたかってくれた・・・・・まりさはひーろーだよ・・・」 もう喋るな!まだ助かる! 「れいむは・・・もう・・だめだよ・・・・・ まりさ・・・・まりさは・・・・ゆっくりを・・・ゆっくりさせられるちからがあるよ・・・・・ そのちからで・・・・たくさんのゆっくりできない・・・・・ゆっくりを・・・・ ゆっくり・・・・させてあげて・・・・・・ このむれのように・・・・・ならないように・・・・まもってあげ・・・・て・・・・・」 それかられいむは「ゆげぇー」と一塊餡子を吐くと、それっきり動かなくなった。 朝、群れのゆっくりの亡骸を土に埋め弔った俺は、 わずかな食料と小太刀を手に群れだった場所から東にゆっくりと跳ね始めた。 一年間、自分のためにじっとしているわけにはいかない。 いろんな世界を見て回ろう。 そしてゆっくりすることができない善良なゆっくりを救おう。 生きる目的を見つけた俺は、身体全体を使って大きく跳躍した。 To Be Continued... あとがき どうもアサシンの人です。 ながいあいだ暖めてたねたを書こうとしたら長編になりそうな予感・・・ 人間がゆっくりにになったらどうなるかを書こうとした結果がこれだよ! ちなみに主人公のお兄さん=まりさは身体は丈夫ではあるが、 高いところから落ちれば死ぬし、餓死もするし溺死もする。無敵ではありません。 次があったら続きを書きたいです。 今まで書いた作品 「ゆっくり兵」 「アサシンゆっくり〜お兄さん遊び編〜」 「ゆっくり焼き串」 「ゆっくり護身術」 byアサシンの人