約 632,131 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1380.html
「まりしゃ!これからもずっとゆっくりしようね!」 生まれたときから一緒だった。 「まりさ!これとってもおいしんだよ!」 一緒に行動して一緒の物を食べた。 「まりさの髪ってとってもきれいだね!うらやましいよ!」 私の金髪が綺麗だといつもほめてくれた。 「まりさ・・・!がんばってかわいい子供をつくろうね!」 家族になることを決めたときから大家族を目指していた。 「まりさは狩りが上手だね!いつもごちそうありがとう!」 子供が生まれてからは持ち前の運動神経でたくさんの虫や木の実を巣に持って帰った。 「まりさ!だいすきだよ!」 いつも言ってくれた愛の言葉。いっつもいっつも。 私だって好きだった。愛していた。嫌いだったわけが無い。 確かに喧嘩もしたしそっぽ向いたりもしたけど傷つけたいなんて思わなかった。ましてや殺したいなんて思うわけが無い。 思ってなかったのに・・・見捨てた。私は自分の子供を、れいむを見捨てた。見捨ててしまった・・・!!! それに嘘もついた。些細だったはずのその嘘はあの時、子供達にとって唯一の希望だった。 見られもした。顔を見られ、背中も見られた。 違うんだよ。違うんだって。別に嘘は・・・言ったけど・・・あの状況とは違ったから。 仕方ないじゃない・・!私がいてどうなったの?ただ一緒に食われるだけじゃない!助けられるわけが無かったんだよ!! そんな目で私を見ても無駄!呼びかけても無駄!助かろうとすることが無駄! じゃあ私が逃げたことは無駄じゃなかったの? え・・・?なんで?なんでそういうことぉおおおおおおお!!!! 「無駄なわけないよおおおおぉ!!!そんなこと言わないでよおぉおおおおお!!!」 私とれいむは赤ん坊の頃から仲がよくいつも一緒に遊んでいた。 他の子とも遊んではいたけどお互い二人きりで遊ぶのが一番楽しかった。 遊んでいる途中に食べ物を見つけたりすれば二人仲良くそれを分け合った。 れいむは私の周りのゆっくりの中で唯一私の髪をほめてくれた。人間らしい感情だなどと馬鹿にされるかもしれないが そのれいむの言葉は私の体にとても響いた。 ゆっくりという簡単な生き物にとってそういう縁は次第に愛へと変わっていく。 月日が流れるのは早く、私たちが成体へと育った頃にはお互いにそういう意識をし合っていた。 その後の展開は早かった。ご多分に漏れず、私とれいむも将来を誓い合う仲へと発展していた。 交尾、妊娠が終わりれいむの頭に子供が生り始めると私たちは将来の子供達とのゆっくりライフを語り合った。 子供は何匹欲しいだとか、巣はどこに作ろうかとか、人間達に対する意識の持ち方を教えてあげようとか。 突拍子も無い夢や目標を語る私にれいむはいつも微笑んでくれた。それは赤ん坊だった頃から変わること無い笑顔だった。 一ヶ月後、新しく新調した巣には元気な子供達が20匹程騒いでいた。 特別賢くもないが格段に馬鹿なわけでもない、ただ無邪気な子ゆっくり達を見て私は毎日癒された。 母親であるれいむは子供達の世話を必死にこなしていた。 好奇心に負けそうになり巣から出そうになる子供を止めたり、泣き止まない子供に歌を歌ってあげる等 その姿は正に母親の鏡だった。 一方の私はというとひたすら食料集め、狩りに力を注いでいた。 もともと運動は得意だったから普通のゆっくりよりも多くの珍しいごちそうを巣へと運んでいた。 私がそのごちそうの山を運ぶ度にれいむと子供達は目を輝かせて私とごちそうを交互に見比べたのだった。 おいしそうに虫や木の実をほおばる私の家族。 それを見るだけでもまた、私の狩りの疲れはスーッととれていった。 そう、私にとっては家族の幸せが何よりの食事だったのだ。そうだ。そのはずだ。 だからこそ私は体が泥だらけになってもおいしいごちそうを持ってきたのだ。ほらね。間違ってない。 そんな私をれいむはもちろんのこと、子供達も尊敬していた。当たり前だけどね。 「おとーさんはすごいなあ~。こんなにおいしい食べ物をいつもとってくるんだもん!」 「湖で遊んでた子達にまりさ達のお食事の話をしたらみんなだらだらよだれを垂らしてんだよ!」 「ねーどうしておとーさんはそんなにすごいの?」 子供達はいつも私に質問をしてきた。それは大きくなったら私のようになりたいという思いからきていたのだろう。 「ゆっ!それはね~」 軽い気持ちだった。別に信じてもそんな場面が実際にあるわけないとタカをくくっていたのだ。 「おとーさんはれみりゃ二匹をいっぺんに倒してゆっくりと食べことがあるからだよ~!」 「ほんとー!?」 「ゆぅぅ!!すごいよおとーさん!」 「れいむ今度友達に自慢するよ!」 「だめだよ!これを知られるとれみりゃが嫉妬してその子達を襲っちゃうかもしれないからね!この話は誰にも内緒だよ!」 「ゆぅ・・・わかったよ、おかーさんにもいわないよ!」 「誰にも内緒だよ!」 「ゆっ!みんな良い子だね!」 これでこの嘘は誰にもバレずに私は子供達からより多くの尊敬を集めることができる。 親ならば一度はやるであろうそんな行為。ただそれだけのちょっとした嘘だった。 あの日。 私はいつも通り巣からちょっと遠出し、子供達のためにごちそうを集めていた。子供達の為に。 夕方、捕食種も出てくるこの時間にまともなゆっくりは出歩いたりはしない。 だが、私は捕食種からも逃げ切れるだけの逃げ足を持っているのでこの時間ギリギリまで食事を集めていた。 それでももう日も暮れはじめている。ここが瀬戸際だ。 私は口の中いっぱいにごちそうを詰め込み家路につこうとした。そのときだった。あれは、私の5m程先を飛んでいた。 「「「う~う~かりかり~♪」」」 捕食種の代名詞ゆっくりれみりゃ。通称れみりゃ。我がままで団体行動がまともにとれないくせに他のゆっくり種よりも 攻撃性、腕力がある為に捕食種として幅をきかせている、正直腹立たしい生き物だ。 そんなれみりゃが・・三体?どうして? 野生のれみりゃなら一匹でも十分食事は確保できるはず。一匹で行動する方が手慣れているれみりゃが三匹とはいえ群れを作るなんて。 だがその時はそんなことは大して気にならなかった。 重要なのは彼らが私に気づかずにどこかに消えてくれることだった。 息をひそめてれみりゃが見えなくなるのを待った。 人でいう五分程だろうか。れみりゃ達は私の視界から完璧に消えた。 今日も生き残ることができた、緊張から解き放たれた私はふぅと一息吐いた。口の中から虫の足がひょっこりと出てくる。 ああそうだ、このごちそうを早く子供達とれいむに食べさせてあげないと。私も早く帰らないと。 木陰から這い出た私は再び家路につきはじめた。 ここで気づく。今私が進んでいる道。この道は・・・あああこの家路はああああ 今れみりゃ達が進んでいった道だああああああああああ!!!! 私は急ごうとした。れみりゃ達よりも速く家に着こうとした。だけど・・だけどお!!! 進んだられみりゃが前にいるぅ!!三匹もいるから回り込んでたら気配で気づかれるよぉ!!! 私はその場で立ちすくんだ。進めばれみりゃ、止まれば家族が・・・ どうしようどうしようどうすればどうすればどうすれば ああああああああああああああああああああああ 待とう。 今行ったられみりゃに食べられる。そしたら家族には何も伝えられない。そうだ、この判断は正しい。 普通のゆっくりには到底思いつかない冷静な判断だ。そうだそうに違いない。 れいむも子供達も同じことを言うだろう。よし待とう、そうしよう。 こうして私はその場所ですこーしだけゆっくりした。別に怖かったわけではない。これは作戦だ。 家に着いたばかりのれみりゃ達の虚をつく。私ならできる。そうだあれは作戦だったのだ。そうに違いない。 だから私が一眠りしてしまったのも作戦だったのだ。体力温存の為の作戦。そうに違いない。 目を覚ますと外はもう夜だった。綺麗な月が出ていたこと、それが三日月であったことは覚えている。 ただ、そこからどうやって家族のもとへ行ったのかは覚えていない。 気づいた時には体中傷だらけで自分の巣である木から10m程離れた所の木陰にうずくまっていた。 私は静かに巣の様子を覗いた。あのれみりゃ達がここをスルーしてくれていることを願って。 だがそこには奴ら三匹が当然であるかのように立っていた。 そして聞こえる笑い声、叫び声、泣き声。 あぁ、一体何匹が犠牲になったんだろうか。せめてその中にれいむは、れいむだけはいないことを願うしか無い。 暗い夜が三日月の光のおかげで幾らか明るんでいる。 いつもだったら子供達と一緒に軽くこの辺をお散歩しようと思う程のいい夜だった。 だが今日は違う。一緒にお散歩ができる子供達が今や1、2、3、・・・ あれ?全員確認できる。子供達どころかれいむもはっきりと生きている。 じゃあいったいれみりゃ達は何をしているんだ。まさか遊びにきているわけではないだろうに。 この瞬間、私はさっき聞こえていた叫び声と泣き声を完璧に忘れていた。 その二つの声が遊んでいる時に聞こえてくるわけが無いのに。 しかし、その甘い考えも次に聞こえてきた悲鳴で軽く吹き飛ぶことになった。 「いやあああああ!!!おくちがあああああああ!!!」 「う~!お口もっとかぱかぱしろ~!」 その悲鳴はれみりゃの一匹が私の子供の口を限界以上に開こうとした時に我が子から発せられたモノだった。 一体そんなことをして何になるのか。れみりゃは執拗に子供の口をカバの様にしようとしているらしい。 「いはあああああああ!!!おふひがはけふうううううう!!!」 「なれ~!かばさんになれ~!う~!!」 「ふ、ふりだよ~!ほれいほうひらはなひよぉ~!!」 「わっからな~い♪なにいってるのかわっからな~い♪う~!うぅぅぅぅ~!うっ!!」 あぁ!とうとう力任せにれみりゃが子供の口を引き裂いた!れみりゃの手にピピッと餡子が小さく飛び散る。 当然子供はその痛みに黙って耐えられるわけが無い・・ 「いはああああああんんんっっむごああはあああああんんっむごはあああああ!!!!」 「うっう~!ぱかぱかぱかぱか~♪」 叫び続ける子供におかまい無しに口をぱかぱかと閉じたり開いたりさせるれみりゃ。 止むことの無い子供の叫び声がれみりゃの手によって滑稽な声へと変わっていく。 「う~あきた~う~」 もう飽きたのか子供の口の開閉を止めるれみりゃ。そのままここから立ち去ってほしい。 そんな願いが届くわけが無いことは今日彼らを見たときから分かっていた。 「おめめぶちゅ!」 おもむろにれみりゃは口裂けの子供の眼に指二本を差し込んだ。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 まるでお化け提灯の様に口が開きっぱなしの子供にはそれ以外の叫び声ができなかった。 その痛みが私の耳を通して共感できる程に、その叫び声は痛ましい。 「ぱかぱかがこれでりゃくりゃく~!れみりゃてんさい!う~!!」 眼に指を引っかけることができるので握る手間が省けた、ただそれだけで私の子供の眼を奪ったというのか・・・ 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おがあああざあああんはあ゛あ゛あ゛あ゛!!!おどーざあああああんはあ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 やめて。呼ばないで。今は助けにいけない。まだそのチャンスはきていない。それが来るまでここで待たなきゃいけない。 「おどおおおおざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛んんはあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 無理、助けにいけない。その場の空気がまだ適した物じゃない。 「どおおおおおおおおおおざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛はあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 無理だって・・・!気づいてよ・・!れみりゃ三匹が戦闘態勢にすぐにはいれるこの・・・並び・・布陣?そう、布陣。 それがしっかりしている今は助けにいけない。今は耐えて・・・! 「どお゛お゛お゛お゛お゛はあああああ・・・・」 声が止んだ。 「う~ねむっちゃった~」 「じゃあつっぎ~♪」 「いやああああ!!どおしでええええ!!!どおしてこんなことするのおおおおおお!!?」 れいむの叫び声が聞こえる!そうだ、何ですぐ食べないでこんなことをわざわざ三匹でするんだ! 「にんげんにきいた~♪」 「たっくさんいじめると~ゆっくりはとっってもおいしくなるって~♪」 「だかられみりゃたちでいじめるの~♪おいしいゆっくりあまあまするため~♪」 そんな・・・私たちにそんな恐ろしい呪いの様な特徴があったなんて・・・ ということはあそこにいる皆今の子供みたいに酷い目にあうことになるの・・? 改めて目を凝らす。 10匹しっかりといる子供の五匹はもう既に大地に寝そべっている。 皆どこかしらからか餡子を少し垂れ流している。 あれで生きてるなんて。余程このれみりゃ達は手慣れているのだろう。 じゃあ、私が今あそこに躍り出ていったら。 まだその時期じゃない。チャンスを待つんだ、チャンスを。 「おねがい!もうやめて!れいむがなんでもしますからぁ!!!」 え?何いってるのれいむ。そんなこと言ったら! 「なんでも?」 「なんでもぉ?」 「なんでも~♪」 あああほら調子乗ってきたじゃないかああああああ やめてれいむ。れいむがいなくなったらそれこそ耐えられない。それだけはだめなんだよ。それだけは。 他の子達は・・・いや、それは言ってはいけない。それも言ってはいけないんだ。 「おくちあ~んしておくち!」 「ゆっ・・!わかったよ!あ~ん!」 「よいしょ!」 あっ、一匹のれみりゃが手近にあった、いや、いた私の子供をぎゅっと掴んだ。 「ぐゆっ!?ななななに!?ゆっくりはなしてね!」 「ぽーい!!」 当然れみりゃは子供の声に耳も貸さない。そのまま思いっきりれいむの口の中に子供を放り投げた。 「うごぇ!!?むぐぅうう!!!」 口に入った途端他のれみりゃがれいむの口を強く抑えた。まさか共食いさせる気じゃあ・・・ 「うー!これかられみりゃ達がれいむをぼこぼこにするよ!お口の中の子を潰さなかったられいむのかち~」 「でも潰したられ見りゃたちの勝ち~!」 「お口から子供だしたら、そのときはすぐにあまあま~ね♪」 「!!!!!!」 れれれれいむをぼこぼこにする!? いや、やめてえ!!そんなことしてなんになるのお!! 「それじゃあすたーとぉ!!!」 「・・・!んぐぅ!んぐっ。んぎぃ!!?んごぉ!!」 「ぼっこぼこ~ぼっこぼこ~れいむのおかおをぼっこぼこ~♪」 「おいしくな~れ!おいしくな~れ!」 三匹がかりで前後左右に均等に拳をれいむに沈めていくれみりゃ達。 口の中の子供に多少の衝撃が伝わるのかうっすらと幼い悲鳴が聞こえてくる。 「ゆぎぃ!?おがーしゃんなにぃ!!?だして!暗いよ!ゆっくりできないし・・ひぃっ!?」 れみりゃの拳がどずんどずんと音を立てる。最初よりペースを上げているのだろう。 人間にとってはとるにたらないその幼い攻撃も、れいむやその子供にとってはまるで鉄球の様に響くのだろう。 「おがーさああん!!くらいよお!!うるさいよお!!だしてええええ!!」 くぐもった声は止まるのをやめない。その情けない声は助けを呼んでいるだけだ。 これだから子供はだめなんだ。私だったら隙をみてすかさずれみりゃ達に攻撃を仕掛けるだろうに。 そう、私だったらあの真正面のれみりゃが手を引いた瞬間に・・・ 「おどーざあああんん!!!おどーざあああああん!!!おどおおおおおおおざああああああああんん!!!!」 「おとーさん・・・そうだよ!おとーさんがきたらお前らなんかやっつけてもらうんだからね!」 「おとーさんは強いんだよ!れみりゃ達なんてぽんぽーんだよ!」 「お前らなんか明日の朝ご飯になっちゃえ!」 れいむが子供達に訴えかける様に睨みつけている。その顔は今まで私ですら見たことが無い程の緊張感と喪失感に満ちている。 れみりゃ達の手が止まった。 「れみりゃたちよりつよい~?」 「ぽんぽ~ん?」 「あしたのあさごは~ん?」 「「「それじゃ~あ!」」」 各々のれみりゃ達が一匹ずつ子供達を握り 「「「今日の夕御飯を~!!」」」 「いや!やめてえ!うんぐ!!?」 それを・・・あああ、れいむの口の中に放り込んでぇえ 「「「はやめにするう~!」」」 三匹でまた殴りはじめたぁ!!! 「うぐぅ!?おぶ!!うぎい!ぐんぐ!!ぐうううううううう!!!」 「いやあ!!暗い狭い!!なんで入ってきたのお!!?びゅ!?」 「いだいいい!ちゅぶれりゅううううう!!」 「おがーさんのおお!!!おがーざんの歯がささっだああああ!!!」 「れいむのりぼんがあ!!おかーさんの喉のんぎゅ!!?べへぇ!?れいむあんこがぁぁぁ!!!」 さっきの4倍の体積がれいむのお口の中に入り込んでる・・・! あれじゃあ子供達どころかれいむの餡子もでてきちゃうよおお!! 動くしか無い。作戦なんてどうでもいい。ただれいむを助けたい!ここで止まったらゆっくりがすたる。 いくぞまりさぁ!これがほんとのゆっくりだまし・・ 「あぁ!おとーさんだぁ!!!」 え 「ゆっ!?おとーさん?」 ばか 「本当だ、おとーさんだあ!!」 バカァ 「おとーさん!はやくれみりゃ達を明日のご飯にしちゃってね!!」 馬鹿馬鹿馬鹿ぁ・・・ 「うっう~♪おっとーさんを~みっけたみっけた~!」 バカアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!! 倒す前にばれっちゃったじゃないかあああ!!こんなんで倒せるわけないよおおおお!!!! これだから馬鹿な子供はだいっきらいなんだよ!!しね!さっさと死んでね!!! でも、れいむ、れいむをたすけないと!! 「・・・んぐ・・!むぃさぁぁ・・・」 れいむ・・・口を開けられないのにそれでもまりさに助けを求めてるんだね。わかったよ、今すぐ 「おとーさん!おかーさんの口かられいむ達を助けてね!」 「はやく!はやくだしてぇ!」 「でてるぅ!まりさの体からあんこがぁ!!」 「れいむのぉお!れいむのリボンがぁああ!!!」 うるさいよ!!馬鹿な子供達は少し黙っててね! そもそもお前達が騒ぐからタイミングを失ったんだよ!そのままれいむに食べられちゃってね! 「がお~た~べちゃ~うぞ~♪」 うわあああああきたあああああああ!!! 作戦作戦作戦作戦さくせんさくせんさくせんさくせんサクセンサクセンサクセンサクセンskすかうsっkすあkすえかう 「「「がお~!!!」」」 むりいぃいぃぃぃぃ!!!!いやあああああああああああああああああ!!! 「おとーさん!?」 「どーじでにげるのおおおおおお!!!」 「まっておとーさん!まってええええ!!!!」 「・・・・・・!!!!むぃ、むぃさあ!?まりさあ!!」 「あ!おくちあけたあ!えいっ♪」 「ゆぎゅう!?おがあざ・・・」 「ああああああ!!!れいむのおおおおおおお!!!」 走りながら気持ちを落ち着けていくまりさの後ろで二つの悲鳴が聞こえた。 ああ、れいむの悲鳴も聞こえる。でも大丈夫。悲鳴が聞こえるって言うのは生きてるってこと。 今はまず自分の安全の確保だ。 「またみえた!えいっ!」 「いぎゃあ!!いやああああああ!!!」 「おがーざんおくちしべてえ!!!」 「はやくはやくぅう!!!」 「ああああああああああ・・・」 「うっう~あまあm・・・・」 声が次第に遠ざかっていく。待っててねれいむ。きっと助けるからきっと。 「まてぇ~オトーサーン♪」 「朝ご飯にしてみろ~♪」 だれかたすけてぇ!!!だれかぁ!!!! 二匹のれみりゃがまりさをおってくるよぉ!! こんなに頑張ってるのにあの二匹はまるで諦めない。羽で空を飛んでるのに森の木々をすいすい避けていく。 ずるいずるい!まりさもお空を飛んでにげたいよぉ!! 今まりさの願いが叶うなら翼をください!ゆっくりの神様ぁ!! ゆっ!これは・・・!目の前の景色は、神様が願いを叶えてくれたのだろうか。そうこれなら飛べる、とても高く素早く!でも・・・ 崖じゃあ生きられないよぉ!!がみざまぁ!!! 「うっう~おいつめたぞぉ~!」 「めいどのじかんだぞぉ~!」 追いつめられたぁ!! おねがいじまず!子供達はあげるからまりさはたべないでくだざい!おねがいじまず! 「子供達はたべちゃうよ~」 「でもおとーさんもたべちゃうよ~」 やめでえ!!まりさはおいしくないからあ!ウンコみたいな味がするからあ! 「じゃあおとーさんのいじめ方はぁ」 「馬乗りでぼっこぼこ!」 いやあ!だずげでえ!!うぎゅぅ!?なにもみえないよぉ!!? 「あごの方は短くて乗れないからお目めに乗っかってぼっこぼこ!」 いやああああああああああああああ!!!!いやだあああああああああああああああああああああ!!!!! あれ?なぐられない? どうしたんだろ。怖くて目をつぶっちゃったけど今は暗闇を作った元凶も消えてみるみたい。 何か聞こえる。ちょっと目を開けてみよう。フェイントだったらイヤだよぉ・・・ 「・・・・ぎゃ・・・・ああああ・・・・・」 ゆっ!?れみりゃがれいむの上で痛がってる!? 叫んでるみたいだけどれみりゃの両足がまりさの耳をちょうど押さえつけていた何を言ってるのか分からないよ。 あ、どいた。 「いっぎゃああああああ!!!おめめがあぁ!!」れみりゃのお目めがぁ!!!!!」 叫んでいるれみりゃが手で押さえている目を見るとそこはぶくっと大きく腫れている。 一体何が怒ったのか。私は今までに出したことが無い様な大声で叫んだだけだ。それがダメージにでもなったというのだろうか。 その謎は私の足下にある物が解決してくれた。 そこにはお口に入れてたごちそうの数々、山菜、木の実、ダンゴムシ、ムカデ。 「ささったぁ!!おめめに虫さんがささったぁ!!!」 そう、れみりゃの目には私が叫び声とともに勢いよく吐き出したムカデの顎がうまい具合に刺さったのだ。 「う・・うぅ~?う・・うー・・・!」 今までに無い程騒ぎわめく仲間に戸惑いを隠せないもう一匹のれみりゃ。 チャンスだ。これこそ私が求めていた絶好の機会だった。 静かにもう一匹のれみりゃの背後に回った私は絶好の機会の中の最高の機会をじっと待った。 声を出しては終わりだ。だが心配は無い。私はあの子供達の様に愚かでは無いのだから。 そして今、二匹のれみりゃが私と崖の直線上に揃った。よしっ! 「ゆっくりしねええええええええ!!!!」 スッ !?交わされた!馬鹿な!タイミングはばっちりだったのになんで!? 「うっう~ば~か!そんな大声だしたら・・・」 「いだいいいい!!!たずけでえええ!!!」 「う~!じゃま!どいてえ!!うー!!」 眼を押さえるれみりゃがもう一匹のれみりゃにまとわりつく。未だに痛みは引かないらしい。 むしろ激しくなっているのだろうか。その動きはこの場所の地形を全く忘れた動きだった。 「いやー!はなしてえ!!押さないでえ!いやー!!」 「いだいよお!!れみりゃのおめめだれかなおしてえ!!!ああ・・・ああああああ」 「「あああああああああああ!!!!!」」 抱き合ったまま奈落へと吸い込まれていく二匹。 片方が飛ぶことを忘れたままもう一匹に抱きついている為互いに空を飛ばずに仲良く落ちていった。 しかし・・・夢ではないだろうか。このゆっくりまりさである私が捕食種二匹相手に見事に勝ち星を奪ったのだ。 そうこれは、あの、子供達についた、些細な嘘が、現実になった瞬間なのだ・・・ ぃぃぃいやったあああ!!!勝ったよれいむ!みんな!まりさはとってもつよいつよいおとーさんだよ! ゆぅー!これでれいむにも嘘つきだなんて思われないよ!子供達もよりいっそう喜んでくれるだろうね! たのしみだなあ、ゆっゆっー!! 『すごいなあーおとーさん!』 『れいむ今度ぱちゅりーにじまんしちゃお!』 『まりさもおとーさんみたいになりたいよぉ!』 『さすがまりさだね、かっこいいよ!』 ゆっふっふ。皆の喜ぶ姿が目に浮かぶよぉ。 ただいまぁれいむぅ!ゆっ? 現実に戻された。 私の家はいつもより茶色な土壌、気にこびりついた子供達、こちら側に背中を向けて直立しているれいむと一緒に私を出迎えてくれた。 直立・・・いやまて、本当にれいむは生きているのだろうか。既に顔がないということもあり得る。 私は酷く冷静なままれいむの顔をゆっくりと直視しにいった。そこには あった。いつもとは違い歪にぼこぼこになったれいむの顔が私をしっかりと見つめていた。 た、ただいま。れいむ 私はなるべくれいむの体に差し障りの無い様に静かに帰宅の言葉をつぶやいた。 いつもの様にゆっくりしていってねと言っては本能のままに体を動かしてしまうかもしれないと思ったからだ。 今のれいむの状態ではそれだけでもダメージになりかねない。いやあ、賢い私。 「どうして」 ん? 「どうして帰ってきたの」 何を言っているのか。ここは私たちの家だから帰ってきたのだ。 「どうして帰ってこれたの」 また馬鹿なことを、いつも住んでいるんだから道ぐらい当然知っている。いったいどうしたっていうんだ。 「どうしてかえってこれたのおおおおお!!!!」 えっ!? 「あんなに子供達がまりさのことを信頼してたのになんであそこで逃げたのぉ!!! 皆おとーさんおとーさんって必死にさけんでたのにぃ!!!それなのにぃ・・・ぞれなのにぃ!!!!」 ま、まってれいむ。口から餡子が飛んでるよ。 あれ?れいむ、口の中は別に怪我してない。ってことは・・・ 「はじめてきいたよ!まりさ、れみりゃを二匹も倒したことがあるんだって!?」 ゆっ!どうしてしってるの!?そうだよ、さっきそこの崖で見事に私が、 「なんでそんな嘘をこどもたちについたのお!!」 ゆっ!? 「あんな嘘を聞いてなかったらまだ希望を持たずに楽になれたろうに・・・! あんな嘘のせいで子供達は余計な期待を抱いてしまったんだよ!! れみりゃ達に敵うはずのおとーさんがなんで私たちをおいて逃げたの? おとーさんは私たちのことが嫌いなの?って叫びながられいむに聞いてたよ!!!」 いや、嘘じゃないよ!まりさは本当に 「みんな!みんなぁ!!!みんなしんじゃっだああああ!!!れいむのこどもだぢいいいいい!!! まりさが助けにきてくれればどうにかなったかもしれないのにぃ!!!まりさながおとりになってくれればぁ!!!」 な、なんてことを言うの!!ひどいよれいむ!! 「まりさなんて食べられちゃえばよかったんだぁ!!!家族を守れないまりさなんて大嫌いだ!! しねぇ!!!ゆっくりしねえええええ!!!」 なんて言ったの今。 しね?れいむがまりさにむかってしね? 違う・・・そんなことれいむは言わない。そんなひどいことれいむは言わない。 そんな汚いことをれいむはいわない。絶対に言わない,れいむは言わない。 一緒に遊んだれいむは 一緒にごはんをたべたれいむは 髪をほめてくれたれいむは 家族になったれいむは 狩りをほめてくれたれいむは 大好きだと言ってくれたれいむは そんなこと・・・そんなことおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお 「おまえはれいむじゃない!!まりさのれいむなんかじゃない!!しねえ!!さっさとしねええ!!!!!」 ぼこぼこのれいむに体当たりをかましその上でストピングを始めるまりさ。 もうれいむ自身に抵抗する力は無かった。 「おまえは偽物だ!かえせ!!本物のれいむをかえせえ!!」 「そう思ってれば!まりさは一生そうやって自分の都合のいい様に生きていけば!!?」 「だまれえ!!れいむの偽物はだまってしねえええ!!!」 「ごめんね、皆・・・こんなおとーさんを選んだれいむが馬鹿だったよ・・・」 「だまれぇ・・・!だまれえええええ!!!!」 「次に生まれるときはぱちゅりーと結婚しようね。」 「だまってよおおおおおおおおおおお!!!!!!」 れいむが潰されているにもかかわらず、まりさとれいむとの会話はまるで電話での会話の様にスムーズに進んだ。 1時間後、まりさの足下には餡子一粒の隆起さえ見当たらなかった。 それでもストピングを続けるまりさは気づかない。気づけない。 「だまれ!だまれ!!だまれえええ!!!」 誰に言ってるのか。少なくとも後ろのモノに対してではなかった。 「だまってってばあああああああ!!!れいむうううううううう!!!!」 崖の下の惨状を見たそのモノはまりさを食料とすら思っていない。 ただ必死に叫び続けるまりさをどうやって苦しめるか考えていた。 そうだ、こいつがはねるのをやめたら・・・ 「だまってえええええええええ!!!おねがいいいいいいいいいいいい!!!!」 半日後、まりさは自分の嘘を完璧に立証することになる。 まりさが勝てたのはやはり二匹までだったのだ。 完 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/223.html
ある男のゆっくりレポートのおまけ ゆっくり霊夢一家の越冬(誤算編) ゆっくり霊夢一家は師走の寒さの中家路を急いでいた。 「さむい! さむいよおかあさん!」 「おうちにかえったらゆっくりしようね!!」 そんな返事しか出来ないお母さんゆっくり。 それも当然だ、今までこの時期は巣の中で皆でゆっくりしていたのだ。 しかし今年はそれが出来なかった、出来なくなってしまった。 「いそいでかえってゆっくりしようね!!!」 ともかく家路を急ぐ事しか出来ない、雪に埋まってうまく進めない中、懸命に家まで進んでいく。 日が完全に落ちようとしていた頃、ようやく自分達の巣に到着できた。 「ゆー?」 中を覗いてみるが気配はない、入り口にはドアを塞ぐのに毎年使っている石と松葉が転がっていた。 しかし、既に外気にさらされて冷え切っているが、確かに先ほどまではゆっくり魔理沙一家が居た形跡が感じられた。 「いまのうちにうちにはいろうね!」 のんびりもしていられない、雪の中を進んできた体は凍りそうなほど冷たくなっていた。 今か今かと待っていた母親の号令で、急いで中に入る一家。 お母さんとお姉さん達が急いで入り口を塞いでいく。 何時もならゆっくりしながら数日かかる作業が、あっという間に終わり入り口は綺麗に塞がれた。 これで外気が入ってくる心配はない。 依然として寒い室内だが、だんだんと暖まってきている。 次第に、一家の顔にも暖かさが戻ってくる。 「よかったね!」 「あったかいね!」 「はるまでゆっくりしようね!!!」 「はるになったらみんなでゆっくりしようね!!!」 無事に巣が戻ってきたことが嬉しいのだろう、口々に出るのは越冬の間の楽しそうな計画と、春になってからのゆっくりする計画だった。 「いっぱい歩いて疲れたからごはんにしようね!」 お母さんゆっくりが提案する。 ふと、ゆっくり魔理沙一家が蓄えておいた食糧はどこだろう、と巣の中を見渡す。 綺麗な鳥の羽、大きくて綺麗な石、そんな素敵なものは多々あったが肝心の食料は何処にもなかった。 「たべものがないよ!」 焦るお母さんゆっくり、何時もなら冬の前に実り豊かな山の幸をたっぷりと蓄えて冬を越す。 いや、蓄えなければ途中で凍死か餓死してしまう。 その大事な備蓄が今年は出来なかった、何時までも暖かい部屋に居た所為で季節感覚が狂ってしまっていたのだ。 「おかあさん、たべものならあるよ!!」 「ゆっくりできるよ!!」 今年生まれた子ゆっくり達だ。 当然、この六匹はまだ越冬を経験していない。 明日にでも取りに行けば良い位に思っているのだろう。 「だめだよ! それたべたらゆっくりできないよ!!!」 あの男から貰ってきた綿菓子の袋に口を伸ばそうとしたところを、お姉さんゆっくり達が止める。 小さくても、越冬の経験だけは頭に残っているらしく皆の表情は必死だった。 「これはれいむがもらったおかしだよ!!」 「れいむのだもの!!!」 口々に文句を言ってくる、お母さんゆっくり達が何とか今の状況を伝えようとするが、なかなか伝わらない。 「あしたになったらみんなでおさんぽにいって、そのときにあつめればいいよ!」 「あしたゆっくりあつめるよ!!!」 「それよりも、おうちさむいよ!!!」 「すとーぶをつけてね!!!」 「おかあさんすとーぶつけてゆっくりしようよ!!!」 「すとーぶ♪ すとーぶ♪」 お母さんゆっくりは困り果てた、どうしても今の緊急事態が理解してもらえなかったからだ。 今も、お姉さんゆっくり達が懸命に説明しているが、おそらくは徒労に終わるだろう。 「おねえちゃんたち、れいむのおかしかってにたべようとしてるの!!?」 「ずるい! ずるいよ!」 「ゆっくりできないなら、おうちからでていってね!!!」 同時に、お姉さんゆっくりに飛び掛る。 妹とはいえ、既に十分成長したゆっくりの攻撃を食らった数匹のお姉さんゆっくりは壁まで吹っ飛んだ。 「ゆ!! このおかしは、ゆっくりできるれいむたちがたべるんだよ!!!」 「おかあさんたちは、ゆっくりできないからたべれないよ!!」 プンプン、と再びお姉さん達に襲い掛かろうとする。 「ゆっくりごめんね!!!」 吹っ飛ばされたのは襲い掛かろうとしていた子ゆっくりの方だった。 「ゅー、ぃたいよ……ゆっくりでぎないよぉ!」 「どうじでゆっぐりざせてくれないの! ゆっくりじだいよぉ」 弱々しく呟く子ゆっくり達、既に大半の餡子は外に飛び出していた。 半ば瀕死のそれを、躊躇なく踏んでいく大きなゆっくり。 先程まで、子ゆっくりと残りのゆっくりを天秤にかけていたお母さんゆっくりだった。 「ほかのゆっくりがゆっくりできなくなるから、ごめんね!!!」 必要以上に潰してくお母さんゆっくり、姉たちも真意を理解したようで母に倣って他の子ゆっくりを潰していった。 その一方的な虐殺は、あっという間に終わりを迎えた。 先程とは打って変わって静寂が辺りを包む。 泣き叫ぶ子ゆっくりは見る影も無く、床に転がっている皮と餡子が混ざった物体がその名残を残しているだけだ。 「あのこたちのぶんも、ゆっくりふゆをこそうね」 「うん、ゆっくりこそうね」 今や十匹ほどに減ったしまった巣の中で、お母さん霊夢と他の霊夢達がお互いに口々に話す。 残念ながら、そこに罪悪感が有るのかは窺い知る事は出来ない。 それから数日が経った。 既に潰れた子ゆっくりの餡ペーストを少しずつ食べながら、越冬するゆっくり一家。 少なくなったことで室内の温度は下がってしまったが、それでも越せないことは無い。 去年と同じ人数になっただけだ。 どのゆっくりもそう思っていた。 だから、誰も不満も言わずじっと寒さに耐えていた。 大寒時、美味しかった餡ペーストも後僅か。 その頃には、子ゆっくりとその餡ペーストを結びつけるゆっくりはいなかった。 殺したことは覚えているが、今食べているこれが野山を駆け巡っていたとは、既に思っていないのだろう。 巣の中も当初は寒かったが、段々となれてきた一家には徐々に口数も戻ってきた。 「おいしいのすくなくなってきたね」 「だいじょうぶ! もうすぐさむいのおわるから!!!」 「でもこれだけだと、あたたかくなるまえにゆっくりできなくなるよ」 「おじさんからもらったおかしがまだのこってるよ。これだけあればゆっくりふゆをこせるよ!!」 「じゃぁこのおいしいの、いまたべちゃってもだいじょうぶだね!!」 「おかあさん、たべていい?」 「ゆゆ……。 ! なんとかぶじにふゆをこせそうだから、きょうはゆっくりおいわいしようね!!!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 久しぶりにお腹いっぱいご飯を食べれるゆっくり達はご機嫌だ。 「むしゃ、むしゃ、おいしいよ♪」 「むっしゃむしゃ♪ ゆっくりできるね!!!」 「ゆっくりたべようね!!!」 床がピカピカになるまで舐め終えて、その日の楽しい食事は終わった。 最後の晩餐は、とても賑やかなモノになったようだ。 翌日、お昼頃に目を覚ましたゆっくり達は食事を取ろうと、あのわたあめの袋を運んできた。 一日半分ずつ食べれば間に合う、長年の経験からお母さんゆっくりはそう思っていた。 本当に袋の中にそれに見合うだけの中身が入っていたならば。 「ゆゆ!!?」 「ないよ! ないよ!!!」 大きな袋の中身は殆どなく、そこには微かに甘い香りのする中に、米粒程の塊が入っているだけであった。 「なんで!? なんでないの!?」 「これじゃあゆっくりできないよ!!!」 「おいしいわたあめがないよ!!!」 おじさんの所で出された中でも、特に美味しかったわたあめ。 そのおいしかったわたあめが、袋の中に入っていない。 ゆっくり達には無くなった理由など分かるはずもなく、巣の中はパニック状態だ。 「お、おがしがないよー!!!」 「れいむのおがしがーーー!!!」 「もってでるときはあっだのにー!!!」 必死で他の袋も開け始める、勢いよく飛びつき袋を食い破るゆっくり達。 が、全て同じ、小さな塊が出てくるだけだ。 ボロボロに引き裂かれた袋、訳が分からず叫び続けるゆっくり一家。 丼一杯にも満たない塊、これが今この家にある全食料だった。 それから、数日が経った。 既に一家の顔は青白くなり、目もトロンとしている。 「しんだ、ゆっくりたちの、ために、ゆっくり、ふゆを、こそうね」 「「……ゆっくり、こそうね」」 まるで合言葉のように、死んでいった仲間のためにも、と呟きながら懸命に寒さと空腹に耐え続ける。 この頃には、自分達で殺した子ゆっくり達が他の原因で死んだと思っているらしい。 いつもはゆっくりゆっくり騒がしいゆっくりの巣だが、今は雪が降り続ける外の方が賑やかなくらいだ。 次第に意識が朦朧としてきた、目に映るのはぼんやりとした家族の姿。 それが、段々と輪郭を失っていく。 「……ゆ!」 輪郭を完全に失ったそれは、大きな饅頭の姿になってゆっくりの目に映りこんだ。 「たったべもの!!! ゆっくりできるよ!!!」 一匹が力を振り絞ってもう一匹にかぶり付く、周りでは同じように数匹がかぶり付いていた。 「ゆ! いだいよ! れっ、れいむはたべものじゃないよ!!!」 「やめて! ゆっくりやめてね!」 「むしゃむしゃ、はぁはぁ、うめぇ、めちゃうめぇ!!!」 「ごくんっ! はぁはぁ、ゆっぐりたべるよ!!!」 既に正常な判断が出来なくなっているゆっくり達は、ただ生きるために目の前の饅頭に貪り付いていた。 家族なんてものは関係ない、まさに弱肉強食、たべれれている方が霊夢や魔理沙で食べているほうがれみりゃやフラン、それと同じことだ。 「やめてね!!! みんなでゆっくりしようね!!!」 お母さん霊夢が大きく膨らんで残った数匹の子供達を隠す。 ゆっくりが子供を守る時の常套手段だった。 「うっめぇ! このおおきいまんじゅうもうっめぇ!!!」 「これだけあればゆっくりできるよ!!!!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛! み゛ん゛な゛でゆ゛っぐり゛じでよ゛ーーーー!!!」 突進するでもなく、殴りつけるでもなく、ただただその大きな饅頭を食べていく。 後ろに隠れていた子供達も、段々と母親の声が小さくなっていくのが分かる。 か細くなっていく声、それがあるときぴたりと止んだ。 今聞こえるのは何かを咀嚼する音のみ、その音はどことなく、ゆっくりれみりゃのそれと酷似していた。 「……ぷはぁ!」 「!!!」 今まで守ってくれていたお母さんゆっくりの背中から、ゆっくり霊夢が顔を出した。 一匹、また一匹とその数は段々と増えていく。 おそらく全員が顔を出したのだろう、一匹のゆっくりがこう叫んだ。 「みんなでゆっくりしようね!!!」 「…………!!!」 巣の中にはゆっくりが数匹、これが巣の中に残っている全ての食料だ。 「むっしゃむっしゃ♪ う~すっきり~!!!」 最後の一口を綺麗に食べ終え、ご満悦のゆっくり霊夢。 どうやら、これで最後の晩餐が終わったようだ。 だが、ユダさえも居ない一人さびしい晩餐だった。 「!! おかあさんたちどこ? どこにいるの?」 正気に返った霊夢は辺りを見回すが、母親達の姿はない。 皆、お腹の中に入っているのだから。 「わかった! たべのもさがしにいったんだ! れいむはゆっくりまってるよ!」 キラキラと目を輝かせて部屋の真ん中に佇む。 時折、体を揺らしてリズムを取りながら母達の帰りをワクワク待つ。 このゆっくり霊夢が犯した間違いは二つ。 一つは、家族は全て自分が食べてしまったという事。 二つ目は、大事な食料を何の考えもなしに全て食べ尽くしてしまったという事。 「ゆっくりまってるから、はやくかえってきてね♪」 雪が津々と降る二月の山の中、あと一ヶ月以上も続くこの冬は、彼女をいったい何時まで生かしておいてくれるのだろうか。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5064.html
みなさんはゆっくりがおそれるゆっくりをどこまで知っているだろうか ゆっくりれみりゃ?メジャーですね ゆっくりふらん?それもメジャーですね れてぃ?ゆゆこ?それも比較的有名ですね ですが、ゆっくりがれみりゃ以上におそれるゆっくりがいます。 そいつの名は・・・・ 恐るべきゆっくり 「ゆ~~、ゆ~、ゆ~~~~~~!!!」 「「「ゆ~~、ゆ~、ゆ~~~~~!!!」」」 れいむ親子の音痴な歌がれいむ親子のお家に響き渡る。 ここはドスが治めるゆっくりの群れである。れいむ親子はドスの群れに所属するどこにでもいる ゆっくり家族であった。 夫のまりさは今は狩りにいっており、妻のれいむは子供たちとゆっくりできるお歌 の練習をしている。 「ゆっゆっゆ~~~~~~」 「「「ゆっゆっゆ~~~~~~」」」 雑音がようやくフィナーレを終え、れいむは子供たちを褒め称えた 「ゆ~~ん、さすがれいむとまりさのおちびちゃんだよ!! とてもゆっくりできるおうたさんだったよ!!」 「ゆん!!とうぜんだよ!!れいむはぷろのあーてぃすとなんだよ!!」 「れいみゅおねえちゃん、とてもおうちゃがうまっきゃったよ!! れいむのあきょがれだよ!!」 「さすがまりさのいもうとだよ!!」 家族はにぎやかにとてもゆっくりできたよと誉めたたえあった。 特に長女れいむはゆっくりからしたらとても歌がうまく、皆の歌姫であった。 群れのゆっくりからは将来の歌姫だよ!!と期待を寄せられていた。 「ゆっくりただいまだよ!!」 家族がわいわくと談話していると一家の大黒柱である親まりさが帰ってきた。 口は大きく膨らんでいる。どうやら今日は大漁だったようだ。 「「「ゆわ~い、おとうさんおかえりなさい!!!」」」 子ゆっくり達は父親の姿を見るや否や親まりさへと駆けて行った。 親れいむも夫であるまりさに微笑みで返した。 「おかえりなさいまりさ!!かりはじょうじょう?」 「もちろんだよ!!まりさはもりいちばんのかりうどさんなんだよ!!」 そうまりさが返答すると、口を大きく開け今日の狩りの成果を広げた。 出てきたのは食べられる山菜やキノコなどなどゆっくりから見れば御馳走の山だった。 「「「ゆわ~~い、ごちそうがいっぱいだよ!!」」」 大はしゃぎする子ゆっくり達。三匹とも美味しそうな御馳走に我先と駆けだしたが 親れいむが子供達を止めた。 「だめだよおちびちゃんたち!!ちゃんとわけてからね!!」 そういうと親れいむは均等になるように御馳走の山を分けて行った。子ゆっくり達も納得し、 率先して母の手伝いを始めた。実に微笑ましい光景であった。 そうこうしているうちに配分が終わり、一家はきれいに整列した。 「それじゃあおちびちゃんたち!!きょうもがんばってかりをしてきてくれたおとうさんに ゆっくりおれいをしてからいただきますをしようね!!」 「「「ゆ!!ゆっくりわかったよ!!」」」 子ゆっくり達は親まりさの方を向いた。 「「「おとうさん!!きょうもおいしいごはんをありがとう!! ゆっくりいただきます!!!」」」 「「ゆっくりいただきます。」」 親ゆっくりのいただきますを皮切りに御馳走の時間が始まった。 美味しそうな木の実にキノコ、山菜、どれもゆっくりにとっては御馳走であった。 ただ一つ、長女れいむのごはんに白い木の実があった。 「ゆ?」 長女れいむは今まで見た事もない白くて大きな木の実に気が付き父に聞いた 「おとうさん!!このしろいしろいさんはなぁ~に?」 「ゆ?それはね、おとうさんがにんげんさんからもらったごはんだよ!! むかしにね、それとおなじようなごはんがあったんだけどねもうどくがあったんだよ!! でもね、このしろいしろいさんはおとうさんがどくみをしたからだいじょうぶだよ!!」 長女れいむはそれを聞いて安心し、おそるおそる口に含んだ 「む~しゃ、む~しゃ・・・・・し、しあわせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!! ヘブンじょうたいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 長女れいむはあまりのおいしさに飛び跳ねながら叫んでいた。 「おちびちゃん!!おしょくじちゅうにおぎょうぎわるいことしちゃだめでしょ!!」 親れいむは長女をたしなめようとしたが、聞く耳持たずだった。 あまりに革命的なまでにおいしかったのだろう。 「ゆぅ~~、おねえちゃんだけじゅるい!!れいみゅもたべちゃいぃぃぃ!!」 妹れいむが駄々をこね始めた。だが、あの白い木の実はすでに長女が平らげてしまっていた。 親れいむはどうにかしてなだめようとしたが、耳に入る様子もなかった。 「しょうがないね!!あしたおとうさんがにんげんさんからまたもらってくるから がまんしてね!!」 親まりさがそういうと妹れいむはピタっと泣きやみ大喜びで跳ね始めた。 「ゆぅ~~、まりさも!!まりさも!!」 長女まりさも欲しがっていたようだ 「しょうがないね!!みんなの分をもらってくるよ!!」 「「「ゆわ~~い!!おとうさんだいすき!!」」」 子ゆっくり達は皆大喜びであった。 かくして一波乱食事は終わり、辺りを片づけた後皆床に着くことにした。 「それじゃあ、ゆっくりおやすみ!!」 「「「「ゆっくりおやすみなさい!!!」」」」 家族はそれぞれのベッドに健やかな眠りにつき始めた。 ベッドといっても枯れ葉や落ち葉を敷き詰めたものなのだが。 「ゆぴー、すぴー」 「しろいしろいさん・・・・れいむにたべられ・・・・」 「まってねぇ~~・・・・」 子ゆっくり達は皆幸せそうに寝ていた。 一方そのころ、とある暗い所で新しい命が誕生した。 「・・・・・・・」 ソレは辺りを見回し始めた。黒くて生暖かいものが辺りに敷き詰められていた。 否、自分が埋まっていたのだ。 ソレは本能的に分かっていた。ご飯だ。 ソレは生まれたばかりの小さな口を小さくあけ、少しずつ食べ始めた。 本当にほんの少しの量を何度も回数を分けながら食べて行く。 少しずつ食べて行くと腹はさすがに満たされ、ソレは生まれた所から少しずつ移動を始めた。 「・・・・・・・」 目の前にあるご飯をかき分けながら進むと自分と同じ生き物がいた。 ソレは本能的に分かった。あれは自分の姉妹だ。 ソレは少しづつ姉妹に近づいて行った。姉妹の方も気づいたらしく、自分の方へと寄ってきた。 少しずつ、少しずつ。 そしてお互いが頬ずりが出来る位近くにたどり着いた。 ソレと姉妹はさっそく信頼の頬ずりを始めた。 あまり空間がないのにも関わらず、姉妹は器用に頬ずりをしていく。 そして本能が呼びかける。子孫を残せと 姉妹の方も本能の呼びかけに答えたらしく、ゆっくりと後ろを向いた。 どうやら「受け」をやってくれるようだ ソレは姉妹と交尾を始めた… 1時間後、姉妹の腹は非常に大きく膨らんでいた。 ソレは交尾の成功に満足したのか少し眠りについた。 さらに数時間後、ソレは目が覚めると姉妹のお腹はさらに膨れ上がっていた もうそろそろ頃間であると本能が語り始めた。 ソレは姉妹にそろそろだという事を伝えると姉妹は適当な空間に生殖器を向けた。 姉妹は体に力を入れ始めた。必死に力を入れているのが見て分かるぐらいに顔を歪めていた。 そして ぼん!!ぼん!!ぼん!! 姉妹は空間目掛けて何かを自分の生殖器から射出した。 それは非常に早く何か良く分からなかったが白い物体にであるように見えた。 ぼん!!ぼん!!ぼん!! 姉妹はまだ射出を止めない。腹の中にそれだけ大量の物が詰まっていたのだろう、今だに止む気配がない 結局、射出が止まったのは100個ほど飛ばしてからだった。 朝、ゆっくり一家はゆっくりと目を覚ました。 とある一匹は除いて 「ゆ~ん・・おかあさん・・ぽんぽんさんがいたいよぉ・・・」 昨日しろい木の実のような物を食べてヘブン状態になったあの長女れいむだった。 翌朝起きるとお腹が痛く、食事もほとんど取れない状態になった。 「おねえちゃん、いたいいたいさんはやくなおってね・・・」 「れいむぅ・・・」「おちびちゃん・・・」 親まりさは狩りをお休みして長女れいむの看病したり、腹痛に効くお薬を飲ませても一向に 良くならなかった。 それどころか、痛みが少しずつ増してきているようだった。 「おかあさぁぁぁぁぁん、ぽんぽんがゆっくりいたくなってきたよぉぉぉぉぉぉ!!!」 娘の状態が一向に良くならないどころかますます悪化してきたことに親達は、このままではまずい と考えぱちゅりーの診療所に長女を連れていくことにした。 長女れいむは大きな葉っぱの上に横になり、両親はその両端を咥えゆっくりと運び始めた。 姉妹の子ゆっくり達は横について長女れいむを励まし続けていた。 「おねえちゃん!!もうすぐびょういんだからね!!」 「ゆっくりだいじょうだからね!!」 だがそんな励ましの声も今の長女には届かなかったようだ。 長女の顔色はますます青白くなっていき、呼吸は少しづつ小さくなっていった。 「ゆぅ・・・・ゆぅ・・・・」 必死に痛みに耐える長女。だが、その緊張した空気は突然の悲鳴に打ち砕かれた 「ゆぴぃ!!ゆぷぅ!!」 長女の苦しみ方が変わった。今までは痛みに耐えるような様子が尋常ではない痛みに苦しむものに かわったのだ。 「ゆぷぅ!!うbひfふsぅvfvふぃおwぇjjjねいぁj」 突如として発せられる解読不能な言語。これには両親はただ事ではないと悟り 歩みが自然と速くなっていた。 「jkhbtkぶjひlすぇrbふlうぇr・・・fykhうぇjkbち・・・・ふ」 病院に近づくにつれ、長女の叫びは少しづつ小さくなっていった。 駆けること30分、一家はどうにか群れ唯一の診療所にたどり着いた。 長女はぐったりとしており、両親は心配そうに戸を叩いた 「ぱちゅりー!!おちびちゃんがたいへんなの!!たすけてあげてね!!」 2,3度叩いた辺りでぱちゅりーが出てきた 「むきゅ!!こんなあさはやくからどうしたの?」 「おちびちゃんがたいへんなの!!はやくたすけてね!!」 ぱちゅりーは群れの中でも歌姫として有名な子れいむの身になにかあった事を理解し すぐに家の中に家族を招きいれ、容態を見た 長女の体は青白くなり、呼吸は停止しており、瞳孔も開ききっていた… 「むきゅ……、もうえいえんにゆっくりしちゃっているわ…」 ぱちゅりーは少し悩んだが、素直にそう告げた。 家族はそんな馬鹿なという顔でポカンとしていた。 「ぱちゅりー…なにいってるの…ぽんぽんがいたいだけでしんじゃうなんてそんなこと ないでしょ…」 親まりさはそうか細い声で喋った。 だが、ぱちゅりーは辛い現実を続けた 「残念だけど…もうえいえんにゆっくりしちゃってるわ…さわってみなさい…もうこんなにつめたいわ…」 信じられないような顔をしながら両親は頬ずりをした。とても冷たかった。 昨日あんなにゆっくりしていたのに…たった一日で…たった一日で皆に愛されていたおちびちゃんが …おちびちゃんが!! 「おちびちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」 「どぼじでごんなごどにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」 両親の叫びが残りの姉妹に全てを語っていた。 「しょんな…うしょだよね!!おねえちゃんがえいえんにゆっくちちちゃうわけないよね…」 「うそだぁぁぁぁ!!ばりざのいぼうどがじぬわげないんだぜ!!」 言葉ではそうはいっているものの、目には涙が溜まっていた。 姉妹はその場で耐えきれなくなり、両親と一緒に泣きだしてしまった。 「おねえぢゃぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」 「でいぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」 家族はわんわんと泣きだしてしまった。 両親は頬ずりしながら泣き、姉妹はその場で両親以上に泣きだしてしまった。 あんになゆっくりしていたのに…死んだなんてうそだ… あんなに群れのみんなに愛されていたのに… あんなに(ゆっくり基準で)きれいなお歌を歌っていたのに… そんな思いが錯綜する中、あり得ないことが起こった。 むくっ… 死んだはずのれいむが体を起こしたのだ。 体を器用に動かし、何事もないように起き上がったのだ。 この光景にぱちゅりーは驚き、家族は喜んだ。 「ゆ?おぢびぢゃぁぁぁぁぁぁん!!いぎがえっだんだねぇぇぇぇぇ!!」 「よがっだよぉぉぉぉ!!よがっだよぉぉぉぉ!!」 「おねえぢゃんがいぎがえっだぁぁぁぁ!!」 「ゆぅゆぅ…ゆわ~~~ん!!」 家族は大喜びでれいむにすり寄り、さっそく頬ずりしはじめた。 だが、ぱちゅりーは見逃さなかった。 そう、れいむは間違いなく死んでいた。 瞳孔は完全に開いており、すでに死臭が漂い始めていた。 つまり、れいむは死んでいるはずなのになぜか起き上がったのだ。 家族はれいむが起き上がった=生き返ったとみなして大喜びのあまりその事実を完全に 見落としていた。 ぱちゅりーはあり得ない光景に目を丸くしてその様子を見守るしかなかった。 ぱちゅりーが見守っていると、一瞬ではあるがれいむの腹がふくらんだ。 「むきゅ!?な、なに!!」 れいむの腹から何かが出ようとしているように見えた。 れいむの腹は一瞬膨らんだらすぐしぼむを繰り返し、さすがの一家もただ事でないことに 気づいた。 「ゆうぅぅぅぅ!!どうしたのおちびちゃん!!」 「またぽんぽんいたいの?いたいの!?」 「おねえちゃん、ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 「こわいことしないでねぇぇぇぇぇ!!」 家族は皆恐慌状態に陥った。 そして一拍おいてれいむの腹が裂け、中から何かが出てきた。 それは…… とりあえず前半はここまで あとがき ここ最近書いていなかったせいか腕が落ちた気がします。 ですので一旦ここでとめて数日後に後半を挙げます。 作者 アイアンゆっくり 過去作 まりさの馬鹿 ゆっくり地縛霊 れいむ親子の場合 ゆっくりおしえてね!! 1~2 世界で一番短い虐待 ゆっくり地縛霊 まりさ達の場合 鬼斬 1~ 怪奇現象 ゆっくり自縛霊 ありすの場合 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/610.html
切り替えできてる? -- (名無しさん) 2009-01-12 20 30 27 抹茶アイスさんご配慮ありがとうございます。 レスが遅れて申し訳ありません。 一つ弁解させていただけるならば、 聖者の途は救済の話ではなく、 受け取った命のバトンの重みの話でした。 あのおうちの中に、そういったものがあると信じたからこそのお話でした。 抹茶アイスさんのゆっくりには夢想ではなく、息遣いのようなものを感じてしまったのです。 ですから、そういった意味で抹茶アイスさんの「ゆっくりまりさとおうち」から全てはじまりました。 聖者の途の成立不成立にかかわらず、抹茶アイスさんにはゆっくりとめぐり合わせていただいた意味で、深く感謝しています。 拙い文でしか伝えることが出来ず、申し訳ありません。 本当にレスを頂けるとは思っていませんでした…… お忙しいとの事でしたが、寒い時分、お体にはお気をつけください。 ありがとうございました。 -- (むの人) 2009-01-13 06 15 34 切り替えおつ -- (名無しさん) 2009-01-13 10 34 02 「読者が知ると便利なこと」と「お約束」を少し編集しました。 「読者が知ると便利なこと」…第1項目の後半。 「お約束」…句読点付けとか細かい推敲とか敬語表現とか。 PC環境にもよると思いますが、自分のPCだと ○とか■とかの全角記号がつぶれてしまう…。 かといって全部まとめてAA指定すると文面が見づらくなるという罠。 1個1個指定しろと言うのか…? あと、AAの吹き出し部分の線はまっすぐにならないものか…。 -- (名無しさん) 2009-01-13 22 50 40 愛でるにせよ、なんにせよ、気楽にいきましょうよ、真顔でこんなくだらないことについて議論する人をみると引くわー -- (名無しさん) 2009-01-14 00 15 35 トップページを変更しました。 新頁「過去のTOPAA」を試験的に追加しました。 その名の通り、過去のTOPAAを補完することを目的とした頁です。 -- (Jiyu@管理人) 2009-01-14 00 52 52 -- (Jiyu@管理人) 2009-01-14 00 52 52 乙です。 早く全キャラ一週してみんなゆっくりできるといいですね。 -- (名無しさん) 2009-01-14 01 12 33 愛でロダのデータが初期化されてしまうようなので、 その前にwikiに収録されていない、uljp00376.txt「ゆっくりもこうと家族」を収録したいのですが このお話って、「ゆっくりもこうを飼おう その2」から続いたものなんでしょうか? もし、そうであるなら、タイトルは「ゆっくりもこうを飼おう その3」のほうがいいのかな? -- (名無しさん) 2009-01-14 06 43 34 タイトルは「〜家族」にして、本文の一番最初に「〜その3」と書く。これでどうでしょう? -- (名無しさん) 2009-01-14 08 46 46 >2009-01-14 08 46 46 編集してみました。 -- (名無しさん) 2009-01-14 13 43 21 聖者の途は救済の話ではなく、 受け取った命のバトンの重みの話でした。 うそこけ~ まりさは不死身になり、捕食種と通常種が仲良く墓参りし、嫌いな人間は妖怪の手で粛清しているじゃあないですか。 これが命のバトンの重さなら、とんだブルジョア趣味だ。 -- (名無しさん) 2009-01-14 15 53 04 2009-01-14 15 53 04 まぁ、あんたの意見は判ったが、そういうアンタは さぞかしご立派なブルジョア趣味じゃないものを見せてくれるんだよな? -- (名無しさん) 2009-01-14 17 23 13 触れないの。 「気に入らないなら自分で作ればいい」 の風潮が強い創作系スレッドのまとめwikiで、 ここまで挑発的な批判・文句を言ってる時点で察して下さいね。 -- (名無しさん) 2009-01-14 18 00 00 失礼した。 上のうそこけ~の、書き込みをしたものです。 「あからさまな嘘」と、「格好つけた理由」が嫌いなもので、あの様に書き込んだ。 別にあの作品が気に入らないわけじゃあないんだ。引退者が後任者を評価するのはルール違反(byガリ事務総長)な気がするが、抹茶アイス様からも「お好きに」と言っていただいているのに、わけのわからん弁明をしたのが可笑しくなっただけのことです。 さいなら。 -- (名無しさん) 2009-01-14 18 15 12 最近ほんと愛での作品も増えてきたな~ と感慨に浸ってみる -- (名無しさん) 2009-01-14 20 25 16 2009-01-14 20 25 16 バリエーションができていいよね。 それに、作者によって作風が全然違うから面白い。 シリアスと下ネタの落差もすごいけどね。 どっちも好きだが。 -- (名無しさん) 2009-01-14 20 31 46 最初は本当に少なかったですしね。 6スレ目さんの、ゆっくり姉妹の後編がいつ出るのか楽しみにしてたのが懐かしい……。 -- (名無しさん) 2009-01-14 20 33 01 期末考査が来週なのにここに入り浸っている今日この頃。 来年就職できるんだろかあっし……。 -- (名無しさん) 2009-01-14 20 41 32 2009-01-14 20 33 01 ゆっくり姉妹とえろほんシリーズが同じ作者のものとは思えんな。 いつの間にかギャグ作家化したし。 2009-01-14 20 41 32 リアルを優先すべきときは優先した方がいいよ。 とは言うものの、追い詰められたときに読むssや漫画ってホント面白い。 現実から逃げる分、より物語の中に入り込めるしね。 -- (名無しさん) 2009-01-14 20 45 44 そういえば思い出したんですが、検索すると出てくる 「ゆっくりれみりゃとレミリア」と「ゆっくり姉妹」は 全く同じ話ですよね? -- (名無しさん) 2009-01-14 20 55 05 うん。 最初は「ゆっくりれみりゃとレミリア」で発表してたんだけど、タイトルを直したみたいです。 実はこれ、6スレ目さんが別の所で書いた作品に加筆・修正して出来た作品でね。 その原型のタイトルが「ゆっくり姉妹」でした。 ちなみに、その原型の方はゆっくりまとめwikiに載ってます。 普通にタイトル直したのかと思ったら、新規ページ作ってたんだ……。 Jiyuさん、「ゆっくりれみりゃ〜」の削除をお願い出来ますか? -- (名無しさん) 2009-01-14 21 23 37 2009-01-14 06 43 34ですが、2009-01-14 13 43 21さん SS収録乙です。ありがとう。 -- (名無しさん) 2009-01-14 22 23 29 >ゆっくりれみりゃ〜」 三つとも削除しました。 -- (Jiyu@管理人) 2009-01-14 22 47 32 管理人さん乙です。 あと、「Treasure Chirdren 前編」のスペルミスの修正 (Chirdren→Children)も直せませんでしょうか? -- (名無しさん) 2009-01-14 22 52 38 >Chirdren→Children 直しました。 Childrenは私も未だにこんがらがります。 英語って難しいですね。 -- (Jiyu@管理人) 2009-01-14 23 02 28 「れみぃとあそぼ!!○S」・・・? ttp //ameblo.jp/haruhisa-lunar/ -- (名無しさん) 2009-01-15 04 15 47 「過去のTOPAA」を更新しました。 -- (Jiyu@管理人) 2009-01-15 12 28 20
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1019.html
※fuku2383.txtの続編です ※人間、妖怪等は出てきません ※俺設定あります 母を失ってから数日後、まりさ達姉妹は何とか無事に全員生き延びていた。 今は六匹揃って仲良く草原を移動しているところだ。 この数日、まりさは身も心も休まる日が無かった。れみりゃに襲われたと思ったら次はありすに犯された。 あの日以来ずっと旅を続けているが、安全にゆっくりできる場所はまだ見つかっていない。 だからまりさ達は今もゆっくりプレイスを探して自然の中を歩き続けていた。 日も暮れてきた頃、自分たち以外のゆっくりを見つけた。 それは大きなれいむが一匹、小さなれいむが十数匹の家族だった。 「ゆ! おねーちゃん、ほかのゆっくりがいりゅよ! あいしゃつちようよ!」 一匹の妹れいむが目の前の家族を見つけて言った。 まりさも家族連れなら安心だと思い、みんなで声を合わせてれいむ一家に挨拶をした。 「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」 「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」 れいむ一家も笑顔で返し、母親と思われる大きなれいむがまりさに尋ねた。 「このへんじゃみかけないこだね? まりさたちはどこからやってきたの?」 「ゆ…それが」 まりさは親れいむに自分達はゆっくりプレイスを探していることを説明した。 そしてそれを見つけるにはどうすれば良いか見当もついていないことも。 そのことを聞いた親れいむはまりさ達に言う。 「じゃあれいむたちのむれにくるといいよ! きっととてもきにいるよ!」 まりさは少し考えたが、今日はもう遅く、妹達もずっと歩き続けて疲れているので、 とりあえずゆっくりできる場所が欲しいと思った。 「ゆ! じゃあおねがいするよ!」 「うん! さあ、おちびちゃんたち! もうかえるよ! まりさたちもゆっくりついてきてね!」 周りの子供達を連れ、親れいむは群れへと帰る。 まりさ姉妹もれいむ一家とお喋りしながらついていった。 「ゆ! ようこそ! ここがわたしたちのゆっくりぷれいすだよ!」 そこはまさにゆっくりプレイスという言葉がふさわしいような場所だった。 森の木々に囲まれた適度な大きさの広場。 巣は周りの枯れた木の中や根元、自然にできた段差に穴を掘って作っているのもある。 周囲の森には木の実や昆虫も豊富で食糧にも事欠かない。 そこでは数多くの様々な種類のゆっくり達が幸せに暮らしていた。 「すごい…!」 今までゆっくりの群れというものを見たことが無かったまりさは感嘆の声を漏らした。 ゆっくり同士が助け合って生きている。これほど素晴らしい場所があったなんて! その様子を微笑みながら見ていた親れいむは言った。 「きょうはもうおそいし、つかれてるでしょ? こんやはれいむのおうちでねるといいよ!」 その言葉を聞いたまりさは一瞬ありすの事を思い出したが、今回は大丈夫だと思った。 このれいむは信頼できる。それに群れの中にいるから万が一何かあっても大声を出せばいいので安心だ。 そう考えたまりさは親れいむの家で休ませてもらう事にした。 れいむの巣へ入り、皆で晩ご飯を食べる。 「むーちゃむーちゃ、しあわしぇー!」 「すっごくおいちいね!」 「こらこら、そんなにいそがなくてもごはんはたっぷりあるからね!」 総勢二十匹ほどにも及ぶ大人数での食事。 騒がしかったがとても楽しい。こんな愉快な食事は久しぶりだとまりさは思った。 夕食後。しばらく遊んでいたまりさの妹達も、れいむの子供達も寝静まった。 まりさは親れいむに感謝の意と、これまであった事を話した。 母親がれみりゃに殺されたこと、ありすに酷い目にあわされ、妹達も死んでしまったこと。 それから眠るとき以外はほとんど休む暇もなく、ずっと森を歩き続けていたこと。 「それはつらかったね。でもここはだいじょうぶだよ。みんなやさしいからね」 それを聞いた親れいむはまりさに優しく頬擦りをした。 交尾ではない、心温まる抱擁。 親れいむに母親の姿が重なり、まりさの中にかつて家族で過ごしていた頃の記憶がフラッシュバックする。 とても優しかったお母さんもこうしてくれたっけ。 と、心の底から安心したまりさの瞳に涙が浮かんだ。 それは次々と溢れ出し、まりさの意思と関係なくこぼれていく。 そんなまりさに、親れいむは母性溢れる笑顔を浮かべながら優しい頬擦りを繰り返した。 「よしよし、いいこだね。きょうはゆっくりおやすみ」 その日、まりさは久しぶりに心の底からゆっくりできた。 翌日。親れいむは群れのゆっくり達にまりさ姉妹を紹介した。 皆歓迎してくれたことがまりさにはとても嬉しかった。 まりさはこここそが自分のゆっくりプレイスだと思い、群れに入れてもらう事にした。 その日のお昼。秋がやってきた証である涼しい風が吹いていたこともあり、赤ちゃん達は元気に外で遊んでいる。 「ゆー! まりしゃのかちー!」 「ゆゆっ!ちゅぎはれいみゅもまけないよ!」 「まりしゃのおねーちゃんはとってもしゅごいんだよ!」 「れいみゅのおかーしゃんもしゅごいよ!」 「すーやすーや」 かけっこをするもの、お喋りをするもの、お昼寝をするものと様々にゆっくりしていた。 そんな中、一匹の蝶々が三匹でゆっくりしていた赤ちゃん達の元へとやってきた。 「ゆ! ちょうちょしゃんだ!」 「おいしそうだにぇ!」 その三匹の赤ちゃんゆっくりは全てまりさの妹達だった。 まりさ種が一匹にれいむ種が二匹である。 三匹の妹達は飛んできた蝶々を食べようと、ぴょんぴょんととび跳ねた。 だが赤ちゃんゆっくりの跳躍力では届かず、そのまま蝶々は森の奥へとひらひら飛んで行く。 「ゆ~! ちょうちょしゃん、ゆっきゅりまっちぇね!」 「まりしゃがおいちくたべちぇあげりゅよ~!」 慌てて三匹も蝶々を追いかけて森の奥へと進んでいった。 一方そのころ、まりさはれいむの巣の中でこれからのことについて話し合っていた。 自分達の暮らす場所についてやこの群れでのルールについてだ。 巣については空いているおうちを貰う事にした。 そして今は『群れで絶対にやってはいけないこと』について親れいむはまりさに話している。 他のゆっくりから食料を奪ってはいけない、喧嘩は仕方がないがそれが原因で群れに迷惑をかけてはいけない等々である。 それらについて一通り説明し終わった後、それから最後にもう一つ、と親れいむは言った。 「さっきいもうとちゃんたちにもいったけど、もりのおくにはぜったいにいっちゃだめだよ! ゆっくりできないものがいるからね!」 「ゆっくりできないもの? それはいったいなんなの?」 「それはね――」 親れいむは真剣な顔でまりさに"ゆっくりできないもの"について説明し始めた。 森の奥。まりさの妹達は暗く、じめじめした場所へと迷い込んでいた。 遊びに行く前にれいむから言われたことは、蝶々を追いかけているうちにすっかり記憶の彼方へ消えていた。 本能に従って食べ物を夢中で追いかけ、気が付けば自分達は知らない場所にいた。 「ゆ~、ここどこぉ~?」 「くりゃいよぉ~、ちょうちょさんもどっかいっちゃったよ~」 「もうやだ! おうちかえりゅ!」 だが他に返事を返してくれる者はいない。 普段は穏やかに聞こえる鳥のさえずりも、今は不気味な怪音でしかなかった。 ゾクゾクと赤ちゃんまりさ達の背中に寒気が走る。 ここは怖い、ゆっくりできない。 恐怖により赤ちゃん達は早足になっていた。 しばらく木々の間を行ったり来たりしていると、どこからか寝息のようなものが聞こえてきた。 「ゆ! だりぇかがおねんねしちぇるよ!」 「いっちぇみようよ!」 三匹はその音を頼りに、森を進んでいく。 そしてようやくその寝息の正体を見つけた。 「ゆ! みたことないおねーしゃんがいりゅよ!」 「ほんちょだ! しゅごくゆっくちしちぇるね!」 森の奥で眠っていたのは一匹のゆっくりだった。 綺麗なピンク色の髪を持ち、頭には三角形が付いた青い帽子を被っている。 寝息が聞こえるので当然だが、彼女は現在眠っており、口の端からは涎が垂れていた。 赤ちゃん達は怖い森の中でやっと出会った自分達以外のゆっくりに安堵感を覚えていた。 「ゆ! おねーしゃんおきちぇよ!」 「れいみゅたちをまりしゃおねーちゃんのところにつれちぇって!」 だがいくら叫んでもそのピンク髪のゆっくりは全く起きる気配がない。 痺れを切らした赤ちゃん達はついに体当たりしはじめた。 「ゆー! れいみゅをむちしゅるなー!」 「ゆっきゅりしすぎなおねーしゃんはゆっくりしにぇ!」 ポスポスと体当たりを続ける赤ちゃん達。 しばらくすると、そのゆっくりは目を覚ました。 そして寝ぼけ眼でしばらく辺りを見回す。 「ゆ! おねーしゃんやっとおきちゃね!」 「れいみゅたちをゆっきゅりちゅれていっちぇね!」 だが桃色髪のゆっくりはまるでその言葉が聞こえていないかのように大きく欠伸をした。 否。ように、ではなく本当に彼女の耳には赤ちゃん達の声は入っていなかった。 何故なら。 「こぼねーーーー!」 目覚めたゆっくり――ゆっくりゆゆこは寝起きでとてもお腹がすいていたからだ。 「ゆゆこ?」 「そう! それがゆっくりできないものだよ!」 親れいむに"森の奥のゆっくりできないもの"について説明を受けていたまりさは聞いた。 「それはそんなにゆっくりできないの?」 「すごくゆっくりできないよ!」 まりさが聞く限り、そのゆゆことやらは自分達と同じゆっくりらしい。 だが違うのはそれが自分達を餌にするゆっくりということだ。その話を聞いてまりさはれみりゃを思いだした。 なるほど、確かにそれはゆっくりできない。 「それがちかくにすみついちゃったの?」 「そうなの! でももりのおくのほうにいるからむれはあんぜんだよ!」 親れいむの言うとおり、ゆゆこのいる場所は群れからそれなりに離れていた。 それに群れとは反対方向の森には食べ物が沢山生えている。 これはゆっくり達がわざと残したままにしているものだった。 もしゆゆこが目を覚ましてもそちらの方向へ進んでいくだろうと考えての事だ。 だが万が一、という事も考えて群れの皆はゆゆこに近づかないようにしている。 「むれのいどうもかんがえたんだけど、もうこんなゆっくりぷれいすがあるかわからないし――」 と、そこで親れいむの言葉が途切れた。 群れのぱちゅりーが慌てて巣に入って来たからだ。 全速力で走って来たのか、はちゅりーは肩で息をしている。 「ゆ! どうしたのぱちゅりー!」 「む、むきゅ、たいへんよれいむ! あ、あいつが…ゆゆこがこっちにむかってるらしいわ!」 その言葉を聞いてれいむとまりさは巣を飛び出した。 一見、辺りは何の変わりもない。しかし群れのゆっくり達はパニックに陥っている。 "あれ"が起きたのは本当なのか? 本当だとしたら一体何故? ゆゆこが目を覚まし、群れの方向へと移動している。 それは先程、たまたま上空を飛行していたうーぱっくが知らせてくれた情報だった。 嘘か本当かわからないその話によって群れはとてもざわめいている。 そんな混乱した状況の中で、何とかまりさは妹達を探し出した。 だがその数が少ない。五匹いた妹は二匹のまりさ種だけになっている。 「ゆゆっ!? ほかのいもうとたちはどうしたの?」 「そ、それがきがちゅいたらいなくなっちぇちぇ…」 「どお゛していっしょにいな゛いの゛おぉぉぉぉぉ!!」 妹達を叱りながらまりさは辺りを見回すが、どこにも他の三匹の姿が見当たらない。 一体どこへ行ったんだろう、と考えているまりさの耳に、探していた声が聞こえてきた。 「お゛に゛えぇぇぇぇぇぇぇぢゃんだずげでええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 見ると、居なくなっていたまりさの妹れいむが涙を流しながら森の奥から必死に走って来た。 だが一匹だけだ。他の二匹はどうしたんだろう。 まりさがそこまで考えたとき、それは森の奥から現れた。 「こぼねー!」 「「「「ゆ、ゆゆこだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」 まりさの妹の後ろからゆっくりゆゆこが飛行しながらやって来た。 本来なら赤ちゃんゆっくりなどすぐに食べられてしまうだろう。 事実、他の妹二匹は既にゆゆこの腹の中だった。 しかし、周囲のありとあらゆる"食べられる物"を喰らいながらゆゆこは進んでいるため、この赤ちゃんはなんとかここまで逃げてこれたのだ。 群れの場所へと帰ってこれたのは偶然か、それとも生存本能のなせる業か。 ともかく赤ちゃんれいむは優しく頼りになる姉の元へと戻って来た。 それが最悪の結果をもたらすことも知らずに。 「こぼねー!」 「「「「い゛や゛あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」 その姿を確認するや否や、群れのゆっくり達は反対方向へと一斉に駆け出した。 だがそれがいけなかった。 ただでさえ群れのゆっくりが全て巣から出ており、周囲に所狭しと並んでいた。 それらが一度に同じ方向に向かうという事は――。 「だずげでええぇぇぇぇぇぇ!!」 「ごわ゛い゛よ゛おぉぉぉぉぉぉぉ!!」 「ぶべっ! や、やべでえぇぇぇ! ふま゛ないでええぇぇぇぇ!!」 地獄、とはまさにこの事だとまりさは思った。 ゆっくりがひしめき合い、我先にと逃げ出す。 当然進むのが遅い老ゆっくりや赤ちゃんゆっくりなどは次々と踏み潰されていった。 だがそれを気にかけるものはいない。というより気づいてすらいない。 皆自分が生き残るのに必死だった。 そんな中、親れいむが自分の子供達を口に含んだ。 「ゆ! おちびちゃんたち! ゆっくりしないであんぜんなおかあさんのおくちにはいってね!」 「ゆっきゅりはいりゅよ!」 それを見たまりさも同じように近くにいた妹まりさ二匹を口に入れ、一目散に逃げ出す。 ゆゆこに追いかけられている妹も助けたかったが、状況がそれを許してくれなかった。 「どおおおしち゛ぇれいみ゛ゅを゛おいちぇいぐの゛お゛お゛ぉぉぉぉぉぉ!?」 森から完全に姿を現したゆゆこは移動するのを止め、その場に着地した。 一体何をする気だろう、とまりさは逃げながら振り向く。そして見た。ゆゆこが大きく口を開けるところを。 刹那、まりさの正面から突風が吹いてきたように感じた。 しかし、それは風ではない。押す力ではなく引っ張る力。 まりさが感じたそれはゆゆこの恐るべき吸引力だったのだ。 「おね゛え゛ぢゃんのばがあ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 自分を見捨てた姉を罵りながら、ゆゆこの一番近くにいた妹れいむが真っ先にその口内へと吸い込まれた。 ゆっくりゆゆこ。捕食種の中では非常に性格の大人しいゆっくりである。 身体能力自体ではれみりゃにも劣る。だが真に恐ろしいのはその食欲。 一度お腹がすくと、自分の周辺のありとあらゆる"食べられる物"を喰らい尽す恐るべきゆっくりだ。 れみりゃだろうが何だろうが一度でも捕食の対象となれば逃げられない。 獲物が多い時は口を大きく開き、驚異の吸引力で周囲の食べ物を全て吸い込んでしまう。 「ゆ゛うぅぅぅぅぅぅ!?」 「い゛や゛あああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「もっぢょゆっぐちじちゃかっだよおおぉぉぉぉぉ!!」 まずは力のない赤ちゃんゆっくりが吸い込まれていく。 それから子ゆっくり、老ゆっくり、ぱちゅりー種と踏んばる力の弱いものから順々にゆゆこの口内へ収まっていった。 「ゆ゛う゛うぅぅぅぅぅぅぅ!!」 体全体が引っ張られ、飛んで行きそうになる。 だがまりさは堪えた。なんとしてでもこの場を生き残る。 近くの太い木に口でしがみ付き、帽子が飛ばないように木と頭で挟む。 ふと横を見ると、親れいむや他の大人ゆっくり達も同じようにして耐えていた。 体が引き千切られそうな痛みを感じながらまりさは思った。 なんだあの化け物は、と。 まりさは捕食種と聞いて、てっきり"ゆゆこ"もれみりゃのようなゆっくりかと想像していた。 だからいざという時は自分が囮になり、妹達や群れの皆が逃げる時間ぐらいは稼ごうと考えていた。 攻撃を避けることに徹していれば時間稼ぎぐらいはできるだろうと。 だがこの化け物は囮がどうとかそんなレベルの話ではない。 大人も子供もれいむもまりさもぱちゅりーも…全て平等に一度に喰らっていく。 誰も逃げることなど出来ない。その場から少しでも力を緩めるとあっという間にゆゆこの口の中なのだから。 「い゛や゛あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「わ゛がらな゛い゛よお゛おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 「ぢぢぢぢぢーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんぽおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 地面から足の部分が離れたゆっくりの悲鳴が次々と聞こえてくる。 その声を聞きながら、れいむはどうしているだろうと思ったまりさが再び横を見た瞬間にそれは起きた。 ベリッ という大きな音と共にまりさの隣で木にしがみついていた親れいむの体の後ろ半分が千切れた。 千切れた半身はすぐにゆゆこの口の中へと吸い込まれていく。 自分の身に何が起こったのかわからず、呆然とする親れいむ。 だがそれだけでは終わらなかった。 「ゆううぅぅぅぅぅぅ!? どおちてえええぇぇぇぇぇぇぇ!?」 「たちゅけでえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「あんじぇんだっていっだのに゛いいぃぃぃぃぃ!!」 「おがーしゃ゛んのうぞづぎいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」 親れいむの切断面からぽろぽろと口の中に保護されていた赤ちゃん達がこぼれ出し、吸い込まれていく。 体半分と最愛の子供達を失い、親れいむの心は砕けた。 「うふ…あはは…あひゃひゃひゃひゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」 木にしがみ付くのをやめ、狂ったように笑い声を上げる親れいむ。 支える力を失った彼女もまた、子供達と同じようにゆゆこの口の中へと姿を消した。 そんな親れいむを皮切りに、次々と木に噛み付いて堪えていたゆっくり達の体が千切れていく。 ベリッ、ベリッベリッ、ベリリッ、と不規則に皮の引き千切れる音が周囲に響いた。 否が応でも聞こえてくるその音を耳に、まりさは目を瞑ってひたすら吸引に耐えた。 飛び交う小石や枝がまりさの体に衝突し、切り傷や打撲を与えてく。 それでもまりさは涙を流しながら必死に堪えた。 どのくらい経っただろうか、突然まりさの体が地面に付いた。 それはゆゆこが吸い込むのをやめたことを意味する。 「こぼねー♪」 満足したのか、それともただ単に最後に残ったまりさには気が付かなかっただけなのか、 食事を終えたゆゆこはボロボロのまりさを残して上機嫌でどこかへ飛んで行った。 まりさに生き残った安堵感が押し寄せる。だが周囲を見回し、絶望がそれを塗りつぶした。 群れのゆっくりは全てゆゆこに吸い込まれ、食べられていた。 周りにあるものすべて…草も綺麗な花もキノコも全部なくなっている。 ついさっきまで群れのゆっくり達が心の底からゆっくりできていたゆっくりプレイス。 それが今や、草花や昆虫の命も何一つ無い荒れ果てた大地となってしまっていた。 まりさは涙を流した。せっかく理想のゆっくりプレイスにたどり着いたと思ったのに。 たくさんの優しいゆっくり達と巡り合えたのに。 と、そこで口に入れている妹達がやけに大人しいのに気づき、まさかと思って急いで吐き出した。 幸運なことに、まりさの最悪の予想は外れていた。 二匹の赤ちゃんまりさはすーやすーやと幸せそうに眠っている。 こんな時に呑気なものだ、とまりさは思った。 だがそれと同時に、せめて無事に生き残ったこの妹達だけでもしっかり守っていこうと心に決める。 まりさは妹達を再び口に含み、ゆっくりとその場を後にした。 それからまた数日が経った。 まりさと二匹の妹はたくましく生きている。 妹達は赤ちゃんゆっくりから子ゆっくりへと成長し、きちんと物を考えて行動する事が出来るようになっていた。 まりさはというと、完全に大人ゆっくり並みの大きさである。 本来、ゆっくりがこれほどの早さで成長するのはあり得ないが、これも進化の恩恵か。 季節は初秋。夏の暑さも身を潜め、涼しい風が吹き始める時期である。 現在、まりさ姉妹は木の根元の小さな窪みで眠っていた。 すやすやと寝息を立てながらの寝顔はとても幸せそうである。 やがてそんな彼女らを日が照らし、まりさは目を覚ました。 「みんな! あさだよ! ゆっくりしていってね!」 「「ゆっくりしていってね!」」 まりさの朝の挨拶に反応し、二匹の妹達も目を覚ます。 近くの水辺で体を洗い、まりさ達は今日もゆっくりプレイスを探して歩き始めた。 それからしばらく進むと、大きな川が目の前に現れた。 どうやらここで行き止まりらしい。 どこかに川を渡れる橋のような物がないかとまりさは辺りを見回す。 だがそんな物はどこにも無く、ただ大きな川が広がっているだけである。 ここから先に進むにはこの川を渡っていくしかないとまりさは思った。 「ゆ! いまからこのかわをわたるよ! ゆっくりぼうしをとってね!」 まりさ種は帽子を使って川渡りをすることができる。 勿論それはこのまりさ姉妹も例外ではない。 まりさはれいむ種だった母親からは一度もその方法を教わった事が無い。 しかし、それはまりさ種の本能に刻まれていた。 だからまりさも二匹の妹も、迷わず近くにあった適当な木の枝を拾い、帽子を川に浮かべてその中に乗り込んだ。 幸いこの川は流れがそれほど激しくはない。 子ゆっくりでもきちんと進めば向こう岸に辿りつくことができるだろう。 「じゃあいくよ! ふたりとも、まりさのあとについてきてね!」 長女まりさが最初に漕ぎ始め、妹達が後に続く。 それほど激しくないとはいえ、ゆっくりにとっては決して穏やかではない流れである。 それでも何とか三匹は向こう岸を目指して一生懸命に進んでいく。 しかし、丁度半分ほどまで進んだ頃、まりさ達を絶望に陥れる声が周囲に木霊した。 「うー! おいしそうなのがいるぞぉー!」 「たーべちゃうぞぉー!」 「「「!?!?」」」 バサバサと羽音を立てて、それらは舞い降りてきた。 現われたのは二匹の体無しれみりゃ。 無邪気な笑顔を浮かべながら、彼女らは獲物へと近づいていく。 一方、まりさ達は突然訪れた命の危機にパニック状態になっていた。 「た、たすけでええぇぇぇぇぇ!!」 「れ゛みりゃいや゛ああぁぁぁ!!」 「ごわ゛い゛よおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 叫びながら今まで以上に必死で川を渡っていく三匹。 特に長女のまりさはれみりゃの恐ろしさを身をもって体験している。 今ここにいるのは体付きではないが、それでもあの時の恐怖は忘れる事が出来ない。 圧倒的な力で掴まれ、なす術もなく食べられそうになった。 母に助けられ、何とか生き残ることができたが、その代償に母がれみりゃに食べられてしまった。 もうあんな怖い思いはしたくない。そう思ったまりさは我を忘れ、無我夢中で進む。 だが突如聞こえた悲鳴がまりさを現実に引き戻した。 「い゛や゛ああぁぁぁぁぁぁ!! やべでええぇぇぇまでぃさをたべないでええぇぇぇぇ!!」 それは最後尾にいた妹まりさの声だった。 まりさが振り返ると、そこには頭を一匹のれみりゃに咥えられ、宙に浮かぶ妹の姿があった。 鋭い牙を獲物の頭部に食い込ませながら、れみりゃはにこにこと笑っている。 「うー! れみりゃはこっちからたべるぞぉー!」 もう片方のれみりゃが妹まりさの底面を咥えた。 妹まりさの体に激痛が走る。涙を流しながら放してと訴えるが、二匹の捕食種は笑顔のまま無視している。 まりさはこれから起こるであろうことを考え、目をそむけた。 「も゛っどゆ゛っぐりじだがっだよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 断末魔と共にビリビリと皮の裂ける音が聞こえた。 妹まりさは体の上下をれみりゃに引っ張られ、綺麗に真っ二つに千切れたのだった。 二つになった妹まりさをれみりゃ達はむしゃむしゃと幸せそうに咀嚼した。 「うー! おいしいぞぉー!」 「もっとたべるぞぉー!」 その言葉を聞いて、まりさと残ったもう一匹の妹まりさに再び恐怖が訪れる。 「ゆっ、ゆっくりしないではやくすすもうね!」 何とか平静を装い、まりさは最後の妹に声をかけた。 だが妹まりさはそれどころではなかった。 自分の真後ろで姉妹が食べられてしまったのだ。 パニックに陥った妹まりさは、れみりゃから逃れようと無理に体を動かし――。 ボチャン とバランスを崩して川へ落ちてしまった。 「あぶぇびゅぁっ! お゛、お゛ねぇえぢゃん! だずっ、だずげでええぇぇぇぇ!!」 溺れながら必死の形相で姉に助けを求める。 だがまりさにはどうすることもできない。ただ頑張ってと声をかけるしか出来ないのだ。 川の流れには逆らえず、そのまま最後の妹まりさは下流へと流されていった。 「うー! かわにおちちゃったんだぞぉー!」 「おいかけるんだぞぉー!」 二匹のれみりゃは妹まりさの流された下流へと進んでいく。 残されたまりさは涙を流しながらその隙に川を渡っていった。 ようやく岸に着き、何とか帽子を被り直して心を落ち着かせる。 これで姉妹は自分一人になってしまった。そう思うとどんどんと涙があふれてくる。 ごめんね守ってあげられなくてごめんね、とまりさは俯きながら何度も何度も呟く。 そんな彼女の耳に、恐ろしきハンター達の声が再び聞こえてきた。 「うー! けっきょくたべられなかったんだぞぉー!」 「もったいないぞぉー! ぷんぷんだぞぉー!」 二匹のれみりゃが羽を動かし、すいすいと空中を泳ぐかのようにして戻って来た。 どうやら溺れた妹まりさを食べることができなかったらしく、少々いらついている。 「じゃああのまりさをたべるんだぞぉー!」 「うー! まるまるとしてておしそうだぞぉー!」 次の標的は自分。 そう察知したまりさは一目散に正面の森へと逃げ出した。 全速力でまりさは走る。何とかれみりゃを撒こうと小さな木々の隙間等を利用して進んでいく。 だが小回りの利く体無しれみりゃは、木にぶつかることもなく恐るべきスピードで難なくまりさを追跡してきた。 これが体無しれみりゃの特徴だ。 力こそ体つきより少ないが、そのかわりに飛行スピードがとてつもなく速い。 目の他にも、うーうー!と鳴くと同時に発する超音波の反響によって進行方向の障害物の位置を特定し、綺麗に避けることが出来る。 怖い怖い怖い怖い怖い。あれに捕まったら死あるのみだ。 片や地面を蹴って進むしかないゆっくり。片や障害物も関係無く飛行しながら進むことのできるゆっくり。 追いつかれるのも時間の問題だった。 「うー! いただきまーすだぞぉー!」 やがて一匹のれりみゃがまりさに襲いかかった。 地面へと滑空し、涙を流しながら逃げるまりさの後頭部に噛み付く。 ブスリとまりさの皮に鋭い牙が食い込み、そのまま引き千切られた。 「うあ゛ああぁぁぁぁぁぁ!! いだい゛よ゛おおぉぉぉぉぉぉ!!」 滝のように涙を流しながら、まりさは悲鳴を上げた。 あまりの痛みにまりさは足を止めてしまい、その場でのたうちまわる。 「ひぃっ! い゛だい゛ぃぃ! だずげでおがあぁぁざぁぁん!!」 亡き母の姿を思い浮かべながら、まりさは涙で顔をぐしゃくじゃにした。 そんな彼女を二匹の不気味な笑顔を浮かべた捕食者が取り囲んだ。 片方のれみりゃは今しがた齧りとったまりさの一部をむしゃむしゃと食べている。 だがどういうわけか、それには餡子が付いていなかった。 「うー? あまくないぞぉー? でもおいしいぞぉー!」 「うー! れみりゃもたべたいぞぉー!」 「じゃあ…」 「「ふたりではんぶんこするぞぉー♪」」 うーうーと鳴きながら二匹は獲物を挟み撃ちにしようと移動した。 まりさの正面と背後にれみりゃ達がそれぞれ回り込む。 そしてまりさの前方にいるれみりゃが口を開けて急降下してきた。 迫り来る死。もうすぐあの鋭い牙が自分を捕えるだろう。絶望がまりさを襲う。 と、そこでまりさは考えた。どうせ死ぬなら最後のあがきぐらいはしてみようと。 無駄かもしれないが何もしないで死ぬよりはマシだ。 「う゛…う゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 目を瞑り、捨て身の覚悟でまりさは正面から迫ってくるれみりゃに突進した。 そして。 ドガッ 「う゛あ゛ーー! いたいぞぉーーー!!」 「…ゆ?」 大きめの衝突音の後、まりさが聞いたのは自分以外のものの悲鳴だった。 ふと眼を開けて確認すると、自分へ向かってきたれみりゃが地面の上でもがいているではないか。 顔を苦痛にゆがませ、涙を流しながら地上で羽をバタバタさせている。 同じような大きさの捕食種に通常種が力で勝るなど、本来はあり得ない。だからこその捕食種だ。 だがこのまりさは違う。何万、何億分の一の確率で突然変異…いや、進化をしたまりさなのだ。 普通のゆっくりよりもその皮はいくらか分厚く、また力も強い。 死に物狂いだったこともあり、油断しきった体無しれみりゃになら打ち勝つほどの力をまりさは得ていた。 それと同時に自然治癒力も高くなっていた。 その証拠に先程れみりゃに噛み千切られた後頭部はまず餡子まで届いていないし、傷も既に再生し始めている。 れみりゃが食べたのはまりさの皮の部分だけだったのだ。 目の前でジタバタするれみりゃを見たまりさは一瞬呆気に取られたが、すぐに思考を切り替えた。 今なられみりゃに勝てる! そう判断したまりさは高く跳躍し、体重を乗せてれみりゃへと飛びかかった。 「うあ゛ーーーーーーーーーーーーーーー!!」 ブチュリと音をたてて潰れ、れみりゃは絶命した。 飛び散った肉汁の感触が気持ち悪かったが、気にする暇もなくまりさは背後を振り返った。 そこには笑顔ながらも困惑の汗を流した、もう一匹のれみりゃが空を飛んでいる。 その残るれみりゃへと、まりさは大きな声を放った。 「なんだ! れみりゃってよわいんだね! きっとそっちのれみりゃもよわいんだろうね!」 「う゛ー…」 れみりゃは混乱していた。 今までの経験から、まさか獲物が反撃してくるなどとはれりみゃはこれっぽっちも考えていなかったのだ。 自分は余裕をもって追いかける存在で、相手は必死に逃げる存在。それがれみりゃの中での常識だった。 それに、自分達は獲物よりも強い力を持っている。 たとえ反撃されたとしても、返り討ちにできるほどの力を。 だから目の前で起きた事が信じられなかった。 獲物は今まで何度も食べて来たような何の変哲もない弱っちいはずのゆっくりまりさである。 それが相棒を殺したなど信じてたまるか。 「どうしたの? まりさがこわいの? れみりゃのくせにおくびょうなんだね!」 まりさの言葉にれみりゃはカチンときた。 弱いくせに! 食べ物のくせに! 激怒したれみりゃは牙を剥き出し、全速力でまりさへと突撃した。 かかった! まりさは心の中で自分の計画が上手くいったことに喜んだ。 いくられみりゃの片割れを倒したとはいえ、このまま逃げても再びもう一匹に追いつかれるだけだろう。 むしろ体力を無駄に消耗させるだけだ。そうなれば今度こそ食べられてしまう。 そこでまりさは、ここでもう一匹も殺すことにしたのだった。 だがいくらまりさが強くなったとはいえ、普通に戦えば勝負は五分五分といったところだ。 だから相手を挑発し、わざと怒らせようというのがまりさの考えだった。 そしてそれは見事に成功した。 単純な挑発に頭の悪いれみりゃはいとも簡単に引っかかった。 頭に血が上った相手ほど倒しやすいものはない。 真っ直ぐに突っ込んできたれみりゃにタイミングを合わせ、まりさは再びれみりゃを踏み潰した。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーー!!!」 れみりゃの断末魔と共に、ブチュリと肉が潰れる感触がまりさの足を伝う。 その気持ち悪さと、あのれみりゃに打ち勝った嬉しさ、そしてそれ以上の妹達を全員失った悲しみがまりさの中に渦巻いた。 家族は皆死んでしまった。優しい母も、可愛い妹達ももういない。 幸せだったころの家族の記憶が頭に浮かび、どんどんと涙が流れてゆく。 だがいつまでも悲しんでばかりはいられない。 確かにもう家族はいない。だから自分だけはしっかりと生き残らなければならない。 姉妹最後の一匹となったまりさは決意を胸に、新たな一歩をしっかりと踏み出した。 続く あとがき 私ね、捕食種って結構怖いと思うのよね。 ゆっくりは人間や自然災害がなくてもゆっくりによってゆっくりできないと思うのですよ。 それにしても、れみりゃはまだしも、このゆっくりゆゆちゃんは人間にとってもかなり迷惑そうな存在である。 今まで書いたもの それいけ! ゆっくり仮面 ゆっくり仮面の憂鬱~邪悪な心~ お兄さんの逆襲 前後編 ゆっくりれいむの悪夢 あるゆっくりまりさの一生 前編 by.ダイナマイト横町 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1279.html
前 ※人間、妖怪等は出てきません ※俺設定あります ※某ゆっくりがとても美化されております 春も中盤にさしかかった。まりさの子供達は順調に育っている。 まりさと同じく、普通のゆっくりでは考えられないほどのスピードで成長していた。 今では既に全員大人ゆっくり並みの大きさになっている。 この一ヶ月余り、まりさ親子は不幸に見舞われながらもその度生還した。 ある時は発情していたありす達に襲われてはそのコミュニティを壊滅させた。 ある時は牙を剥いてきた数匹の体無しれみりゃを難なくやっつけた。 ある時は周りのゆっくり達に迷惑をかけていた体長2mほどもある巨大ゆっくりを倒した。 皆で力を合わせれば怖いものなんて無い。自分達は無敵だ。 何度もやってくる危機は、まりさ達に過剰ともいえる自信を与えていた。 そんなある日の事。 まりさ達親子は草原でかけっこをしたりお昼寝したりしてゆっくりしていた。 そして日も沈みかけたころ、まりさの耳にこの世で最も憎い声が聞こえてきた。 「う~! た~べちゃうどぉ~!」 忘れることなど出来ようか。 それはかつて幸せだった自分達の家族を引き裂いた存在。 声のした方向にまりさは目を向ける。 そこにはあの日と同じように、にこにことした笑顔を浮かべる体つきれみりゃがいた。 勿論、以前とは違う個体だろう。だがまりさはその姿を見るだけで、心の奥から憎しみが湧きあがってくるのを感じた。 「れみりゃはおなかがすいてるんだどぉ~! おまえたちはれみりゃのでぃな~になるんだどぉ~☆」 両手を天に掲げ、れみりゃはまりさ達に向かってくる。 以前と同じ光景。母を失ったあの時と。 だが自分はあの時とは違う。あれから沢山の出来事を体験した。 何度も何度も死にかけたし、家族を持ち幸せな時間も過ごした。 体も大きく強くなったし、自分と同じぐらい強く逞しい子供達もいる。 いくら体付きれみりゃであろうと、自分達が力を合わせればどんなゆっくりにも負けはしない。 まりさはそう信じている。 「ゆっ! みんな! あのれみりゃをやっつけるよ!」 「「「ゆーーー!」」」 まりさの掛け声を号令に、子ゆっくり達は散らばり、れみりゃを取り囲む。 それが何を意味しているのか、れみりゃのお馬鹿な頭では全く理解できない。 「う~? あそんでないではやくれみりゃのでぃな~になるといいどぉ~!」 れみりゃは一番近くにいた子まりさに手を伸ばした。 非常にゆっくりした動作。故に子まりさはそれを難なく避ける。 そして空いたれみりゃの脇腹へと勢いよく体当たりした。 ドガッという音と共にれみりゃの顔が苦痛に歪む。 「う゛あ゛~~~!! い゛だいどぉ~! な゛にずるんだどぉ~~!!」 突撃した子まりさは再び元の位置へと戻り、体勢を立て直す。 それからは同じような事の繰り返しだった。 れみりゃの空いた背中や脇腹へまりさ達は体当たりをし、そして定位置へ戻る。 実に単純な攻撃。だが頭の悪いれみりゃ相手には効果的な戦法だった。 何度か繰り返すと、漸くれみりゃの体に負担が来たようで、彼女はその場に膝をついた。 ぜーはーぜーはーとれみりゃは息を荒げている。 その様子を見てまりさは再び子供達に号令をかけた。 「ゆ! いまだよ! みんなでとびかかるよ!」 周りを囲っていた子まりさ達が一斉にれみりゃへと飛びかかる。 不意打ちを食らったれみりゃはその衝撃でうつぶせに倒れた。 まりさ達はそのままれみりゃの体へと飛び乗り、体重をかけてプレスする。 「う゛あ゛~! や゛め゛る゛んだどぉ~~!!」 れみりゃが手足をジタバタさせて暴れる。 その力はとても強く、まりさ達は体から跳ね飛ばされて地面へと着地した。 だがれみりゃが立ち上がる前に再びその体へ乗って飛び跳ねる。 しばらく繰り返すと、れみりゃは疲労と痛みが蓄積したのか、横たわったまま全く動かなくなった。 息はしているので死んではいないようだ。 まりさ達もまりさ達で既に満身創痍だった。 途中何度か、れみりゃのジタバタ攻撃によって子供達もダメージを受けてしまっていた。 攻撃を受けた部分がへこんだり痣になったりしているが、幸い命に別条はないようだ。 「うぅ…いたいよぉ…!」 「だいじょうぶ!? がんばったね!」 一対多数とはいえ相手は捕食種、それも最上位にランクする体付きれみりゃである。 いくらまりさ達が進化したとはいえ、誰一匹も死なずに済んだのは幸運としか言いようがない。 まりさは子供達を励ましたあと、近くの木にあった太く長い蔦を数本れみりゃに巻きつけた。 無事な子供達にも手伝ってもらい、身動きできないようにしっかりと結びつける。 「う゛~! これをほどくんだどぉ~! さもないとたべちゃうどぉ~!」 話せる程度に回復したれみりゃは体を動かそうとするが、足首までしっかり結ばれているため全く身動きできない。 移動する事も出来ないので、まりさ達を食べることはできない。 とうとうあの体付きれみりゃをも倒せるようになった。力を合わせた自分達は無敵だ、とまりさは思う。 それと同時に優しい母の顔を思い浮かべ、涙を流した。 お母さんの仇はとったよ、と。 思えばあれから色々な事があった。何度も何度も辛い経験もし、その度に自分の無力さを嘆いた。 だがこれからはもう大丈夫だ。自分達に怖いものはない。 早くゆっくりプレイスを見つけて、可愛い子供達と一緒にゆっくりと暮らそう。 と、そこでまりさはお腹がすいているのに気が付いた。 「ねー、おかあさん。おなかすいたよ!」 「なにかたべものをさがそうよ!」 子供達も先程の戦いで疲れたのか、空腹なようだ。 とは言っても周りに食べ物は無い。 やはりこれから探しに行かなければならないか、と思ったところでまりさはいい匂いがすることに気づいた。 食欲を刺激する肉の香り。それはどうやられみりゃから発せられているらしい。 少しためらったが、まりさは試しにれみりゃの指を食べてみた。 「う゛あ゛ーーーーー!! や゛め゛る゛んだどぉーーーー!」 刹那、まりさの口内に肉汁が染み、具の肉まんの旨みが広がった。 何て美味しいんだ! まりさは子供達にもれみりゃを食べてみるように言った。 最初は恐る恐るだった子供達も、一口れみりゃの一部を口に含むととても幸せそうな顔になる。 「「「「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」」」」 まりさ達の合唱と、れみりゃの悲鳴が周囲に響いた。 蔦で縛っている部分を避けながられみりゃを食べていると、まりさはある事に気が付いた。 何と、食べて無くなったれみりゃの体の部位が再生してきたのだ。 「ゆ! すごいよ! すぐにもとどおりになるよ!」 「これならいくらでもたべられるね!」 むしゃむしゃと再び生えてきたれみりゃの部位を食べるまりさ達。 食べられては再生し、再生しては食べられるという恐ろしいループへと陥ったれみりゃは泣き叫ぶしか出来ない。 それからまりさ達はお腹いっぱいになると、そのままゆっくりと眠り始めた。 こんなところで堂々と眠っていたら捕食種が襲ってくるかもしれないが、それでも自分たちならば負けないという自信があった。 しばらくすると、まりさは大きな叫び声で目を覚ました。 どうやらその声は縛られているれみりゃが出しているものらしい。 どういうわけか、れみりゃは元々不細工な顔をさらに涙でぐしゃぐしゃにしながら泣き叫んでいた。 「う゛あ゛ーーーーー!! はやぐれみ゛り゛ゃをじゆう゛にするんだどぉーーーー!!」 その声はいつもの呑気な様子はなく、切羽詰まった声色である。 恐らく先程の出来事を思い出して泣いているのだろうとまりさは思った。 「むにゃむにゃ…なんだかうるさいよ」 「ゆー…おかーさん、どうしたの?」 れみりゃの悲鳴を聞いてまりさに続いて子供達も目を覚まし始めた。 まりさは子供達に起こしちゃってごめんねと言い、れみりゃには静かにして、と怒鳴る。 だがそれでもれみりゃは一向に叫び止む気配がない。 「うあ゛ーーーーー!! だずげでぇーー!! ごごがら゛に゛げるん゛だどぉーーーー!!」 「しずかにしてね! ねむれないよ!」 と、そこでまりさはおかしな事に気づいた。 れみりゃは先程の光景を思い出したか、またはこれからの事を考えて泣き叫んでいるのかと思っていた。 だがれみりゃは自分を見ていない。顔を上げ、遥か上空に視線を定めている。 一体何なんだ、とまりさが言おうとした瞬間――。 ゾクリ とまりさの背中に凄まじい悪寒が走った。 一刻も早くこの場から逃げ出したくなるような、刃物で体内を滅多刺しにされたような感覚。 れみりゃは何を見ているんだろう。 そう思ったまりさは自分も振り向こうとする。 だがゆっくりの本能が訴えかけていた。見てはいけない、さっさと逃げ出せ、と。 それでもまりさは何とかれみりゃの視線の先――自分の背後の夜空を見た。 まりさは三つの間違いを起こした。 一つ、さっさとれみりゃを処分しなかったこと。 一つ、あまりにも自分の力を過信していたこと。 そして――『それ』の存在を知らなかったこと。 れみりゃとまりさが見つめる先、美しく光を放つ満月を背に『それ』はいた。 煌めく金色の髪を風になびかせながら、『それ』は無機質な目で下界を見下ろしている。 見た目はれみりゃに似ている。しかし、れみりゃを出来損ないのぬいぐるみと例えるなら、『それ』はまるで職人によって精巧に作られた人形のようだ。 何よりその圧倒的な威圧感はれみりゃなぞには出せはしない。 ゆっくりの一種ではあるが体が存在し、その背からは一対の優雅に輝く羽が生えている。 れみりゃの匂いに惹きつけられ、やって来た『それ』――最強にして最凶の捕食種、ゆっくりふらんは今宵の獲物を確認すると二マリと口を開いた。 「ゆっくりしねっ!!」 その言葉が周囲に響くやいなや、空中のゆっくりふらんの姿が消える。 「ゆゆっ!? どこにいったの!?」 まりさが困惑していると、彼女の後ろから悲鳴が聞こえた。 「う゛ぎゃ゛ぁ゛ぁぁぁぁーーーーーー!! い゛だい゛どぉぉぉーーーー!!」 その声の主はれみりゃの様だ。恐る恐るまりさは振り返る。 そこで見た光景は。 「や゛べでぇ゛ぇ゛ぇ゛ーー!! ざぐやーーー!! ざぐやーーー!!」 「ゆっくりしねっ!!」 ふらんが後方かられみりゃの頭を齧っていた。ゆっくりふらんは一瞬にして地上まで急降下し、肉に噛みついたのだ。 真正面から見ているまりさの眼には、涙や肉汁でぐしゃぐしゃになったれみりゃの顔と、その頭を頂点から鋭い牙で削り、咀嚼する楽しげなふらんが写る。 それを見たまりさの背中に冷たいものが走った。 れみりゃは縛られているため身動きができず、ただただ泣き叫ぶことしかできない。 「あ゛あ゛あ゛ーー!! れみ゛り゛ゃはだべもの゛じゃな゛い゛どぉーーー!! ざぐやーーー!! だずげ」 「うるさいっ!!」 「ぶべ゛ぇっ!?」 ブチッ、という大きな音。それはふらんが齧りついていたれみりゃの頭部をそのまま力任せに胴体から引き千切った音だった。 「びぃぎゃあ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!?」 「うるさいれみりゃはさっさとしねっ!!」 ふらんは頭だけになったれみりゃを手に持ち直す。 既に元の三分の二ほどの大きさになった顔の正面から、彼女は大きく口をあけてそれを喰らった。 無数の細く、鋭い牙がれみりゃの顔面を一瞬にして削り取る。 くちゃくちゃとふらんが肉まんを噛む音が辺りに木霊した。 断末魔を上げる暇もなく、れみりゃはこの世のものではなくなった。 「あーーん」 と、ふらんは口を開けて後ろ半分だけになった頭部を両手で掲げ、絞るように力を入れた。 顔だったモノの断面から肉汁が滴り落ち、それを咽の奥へと導く。 「んぐっんぐっ…ぷはっ」 肉汁を完全に絞りとり、全て飲み終えてから水分の無くなった頭部を捨てる。地面に叩きつけられ、乾いた後頭部は粉々に砕けた。 唇の周りに付着した肉片や肉汁を紅い舌で丁寧に舐めとった後、ふらんは未だにピクピクと痙攣しているれみりゃの体を食べ始めた。 ほんの数分の出来事。しかし、まりさ達にとってそれは永遠とも感じる時間だった。 彼女たちの目の前であのれみりゃがなす術もなく見たことないゆっくりに食べられていった。 逃げなければならない。本能はそう告げるが体が動かない。 体を震わすまりさたちの目線の先では、ふらんがれりみゃの体をむさぼっていた。 まりさ達にとって恐るべき天敵だったものの四肢を引き裂き、胴体両腕と次々にその体内へ取り込む。 皮を齧りとり、中身を喰らい、肉汁をすする。 「けふっ、たべたべた」 最後に残った右足を食べ終え、満足そうにふらんは言う。彼女の前にはれみりゃを縛っていた数本の蔦しか残っていなかった。 ガクガクと本能的な恐怖で震えるまりさ達。 そして次はそんな彼女たちが標的にされることとなる。 「うー、まだたりない」 ふらんが体勢を整え、まりさ達に目を向けた。 それはまるで蛇と蛙。その場にいる時点で決着がついた、食う者と食われる者。 どんな生き物でも、自分の運命を受け入れるしかないと考えるような状態。 だがまりさは違った。今までの経験から、自信が付いていたまりさは今回も大丈夫だという確信があったから。 皆がいれば何も怖くはない。 怯えを捨てて勇気を振り絞り、まりさは子供達に言った。 「だいじょうぶだよ! まりさたちはつよいんだから! あんなやつ、かんたんにやっつけれるよ!」 母親の言葉に励まされ、子まりさ達も闘争心が燃え上がる。 そうだ、自分たちは進化した強いゆっくりなんだ。たとえどんな相手でも負けるものか、と。 「そうだよ! おかあさんのいうとおりだよ!」 「あんなれみりゃみたいなやつなんかにまけるはずないよ!」 れみりゃの時と同じように、まりさ達はふらんを取り囲む。 まりさ達は進化した。 れいむやありすは勿論、あの巨大ゆっくりや体付きれみりゃでさえも力を合わせた自分たちに勝てはしない。 それに、いくら見たことがないゆっくりだからって所詮大きさはれみりゃ程度しかないじゃないか。 だから今回もいつも通り、自分達は負けはしない。そう思っていた。 しかし――。 「しねっ!」 「ゆ゛ぶぅ゛っ!!!」 一匹の子まりさがふらんに飛びかかった瞬間、その体が鋭利な爪で引き裂かれた。 輪切りになって絶命する子まりさ。 高い再生能力を手に入れたといっても所詮はゆっくり、頭の中心部、中枢餡子が完全に破壊されてしまえば再生など出来なかった。 「ゆゆっ!?」 まりさ達は一瞬何が起こったのかわからなかった。 れみりゃの時のように誰が飛びかかり、相手の体がぐらついた時に全員で跳びかかれば簡単に倒せる。 まりさ達はそう思っていた。だから今目の前で起こった事を脳が処理できない。 そしてふらんの足元に転がり、ぴくりとも動かぬ子まりさを見て、まりさ達はゆっくりと理解した。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ま゛り゛さのこども゛がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 「お゛ね゛え゛ぢゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃん!!」 「な゛んでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ゛!!??」 スライスされた家族の姿を見てまりさ達は号泣する。 自分が生んだ可愛い子供。今までも、そしてこれから一緒にゆっくりしようと誓ったとても大切な家族。 それを失ったまりさの悲しみは大きく、次々と涙をあふれさせる。 その様子をふらんはニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながら見ていた。 まりさは涙を流しながらも般若のような形相になる。 「よ゛ぐもま゛り゛さのごども゛ををををををををを!!!」 我が子を殺され、怒り狂ったまりさがふらんに突進する。そのスピードは尋常ではない。 さらにこのまりさは皮が分厚く、中身も通常より重いため、その突撃の威力は恐ろしく高い。 「まりさのこどもをころしたやつはゆっくりじね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇ!!!」 怒涛の勢いでふらんへと体当たりするまりさ。 そのまま自分の攻撃でふらんは倒れるだろうとまりさは予測していた。 しかし、残念ながらその予想は外れてしまう。 「うー!」 「ゆっ!?」 ガシッとまりさの体は何の苦労もなくふらんに掴まれた。 「ゆー! ゆっくりはなしてね!」 まりさは何とか拘束から逃れようとするが、がっちりとホールドされていて全く動けない。 一体この華奢とも言える腕のどこにそんな力があるのだろうか。 「ゆっ! まりさをはなしてねっていってるんだよ!」 「あー、うるさい」 「ゆぶぶぶべっ!?」 ドゴッとふらんはまりさの頬を軽く殴った。それだけでまりさは意識が飛びそうになる。 今まで受けたことのないような威力の攻撃。 たった一発殴られただけでまりさの皮は破裂し、餡子が噴き出す。 さらにその衝撃が体内を波のように伝わり、激しい嘔吐感に襲われて口からも餡子を吐きだした。 ふらんはまりさを掴みながら羽を使い、宙に浮く。 そして勢いよくまりさを近くの大木の枝に突き刺した。 「あ゛ぎゃ゛ゃ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 芯がしっかりしている枝は、まりさの体を深々と貫通した。 何とか中枢餡子は傷つかなかったものの、体内を引き裂かれる痛みにまりさは声を上げた。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい゛だい゛よ゛おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「おかあ゛あ゛さぁぁぁぁぁぁぁん!!」 「まっでて、いま゛たすけであげるから!」 子まりさ達は身動きできない母に近づこうとする。 しかし、そんな彼女らの前にふらんが立ちはだかった。 そのドス黒い笑顔にはどんなゆっくりも怯えるしかないだろう。 だが子まりさ達は違った。 「ゆっ!? そこをどいてね!」 「おかあさんをたすけるんだから!」 子まりさ達とふらんが睨み合い、緊張が張り詰める。 とその時、この場に予期せぬ来訪者が現れた。 「う~! おいしそうなにおいがするんだどぉ~!」 「あのきからにおってくるどぉ~!」 「う~! た~べちゃうどぉ~!」 緊張感の欠片もない声を上げながら低空飛行でやってきたのは、三匹の体付きれみりゃだった。 さっきの一匹といい、どうやらこの辺りにはれみりゃの巣があるらしい。 木に突き刺さったまりさの餡子の匂いに誘われてきたのだろう、その顔には何の危機感もない。 そしてまりさは思った。あの体付きれみりゃが三匹もいるならあの金色の化け物にも勝てるに違いない。 だからまりさはやって来たれみりゃ達に向かって叫んだ。 「れみりゃたち! そこのゆっくりをやっつけてくれたらまりさをたべさせてあげるよ!」 それを聞いた子まりさ達は困惑した。 何故お母さんはそんな事を言うのだろうと。 だが同時に、お母さんに何か考えがあるのだろうと思って黙っていた。 子供達の考え通り、まりさにの頭の中では既に計画が完成していた。 まず三匹のれみりゃにあの恐ろしい金髪のゆっくりを始末させる。 それから自分を食べやすいようにとの理由をつけて、れみりゃに木から下ろして貰ったところで奇襲をかけようと。 三匹もいるが、れみりゃなら倒すことができることがつい先程証明された。 子供達と力を合わせ、各個撃破していけば何とかなる。 それがまりさの考えだった。 「う~? そこのゆっくりってどれだ…ど…!?」 まりさの言葉を聞き、辺りを見回したれみりゃ達はそこで初めてふらんの存在に気が付いた。 刹那、れみりゃ達の体に恐怖が湧きあがって来る。 それは捕食種の中でもとても強い自分達をも喰らう究極の捕食種。 れみりゃ達は命の危機を感じ、普段なら有り得ないような高さまで飛び立った。 しかし、ふらんは目にも止まらぬスピードで先頭のれみりゃの前へと先回りする。 そして両手でれみりゃの手首をそれぞれ掴み、力任せに引き千切った。 「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! い、い゛だいどおおぉぉぉぉぉぉ!!」 肉汁が飛び散り、地面へと降り注ぐ。 それを浴びながら、ふらんは千切り取った両腕を放り捨てると、右手をれみりゃの顔面へと突き刺した。 さらにれみりゃが悲鳴を上げる暇もなく傷口へと左手も抉りこませ、そのまま左右に引き裂いた。 顔を二つに裂かれた両腕のないれみりゃの死体が地上へと墜落し、グチャリと音を立てて潰れる。 休む暇なく、ふらんは別のれみりゃへと襲いかかった。 「う゛あ゛ーーーー!! ごわ゛いどぉーーーー!! ざぐやーー!! ざぐやーー!!」 何とか逃げようとするもふらんのスピードに敵うわけはなく、あっさりと捕まって羽を毟り取られた。 飛ぶための機能を失い、バランスを崩したれみりゃは先程のれみりゃと同じように落下し始めた。 だが幸いにもこのれみりゃは飛行していた高度が低かったため、そのまま落ちたなら命は助かりそうである。 「うー♪ なんとかたすかりそうだどぉ~~♪」 そのまま落ちたなら。 「う゛あ゛っ!?」 「うー♪」 落下しているれみりゃの後頭部へと、ふらんは足を乗せた。 そのまま体重をかけ、地上へと墜落する。 地面とふらんの足に挟まれたれみりゃの頭は潰れ、肉まんの具を周囲に飛散させた。 ふらんは潰れた頭部から足をどけ、れみりゃの体からまだ温かい右手を引き千切って再び飛翔した。 残るれみりゃはあと一匹。 その最後の生存者は顔をぐしゃぐしゃにして必死にこの場から遠ざかろうとしている。 しかし努力空しく、すぐにふらんに追いつかれ、その手に持っていた仲間の右腕で頭を思い切り殴打された。 「う゛あ゛゛ああぁぁぁぁぁぁぁぁ!! い゛だいっ! でみり゛ゃのぷりぢーなあ゛だまがぁぁぁぁーーーーーー!!」 頭がへこみ、ショックと痛みで声を上げるれみりゃ。 そんな彼女の胴体を、ふらんは両手で掴んで飛行する。 その目的地は一本の大木、そこから突き出ている太い枝だった。 「う゛あ゛ーーーーーー!! やっ、やべべべべべっっ!!」 最後まで言い終わらぬうちに、れみりゃの顔面に枝が突き刺さった。 鋭く尖った枝はそのままれみりゃの体内を楽々と通り続け、股間から貫通する。 「れみりゃのくしざしいっちょうあがり♪」 ピクピクと動くれみりゃの右足をもぎ取る。それを食べながら、ふらんはまりさ達の近くへと戻って来た。 一部始終を見ていたまりさ達は先程より大きくガクガクと体を震わせている。 木の枝に突き刺さっているまりさはもとより、子まりさ達もあまりの恐怖に動くことが出来ない。 あのれみりゃを一瞬にして三匹も屠り去ったゆっくりふらん。 圧倒的な力による一方的な虐殺。 まりさ達は漸くその恐ろしさと力の差を真に理解した。 ゆっくり、ゆっくり、とふらんは不敵な笑みを浮かべながら子まりさ達との距離を詰める。 「う゛…う゛わ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 金縛りが解けた子まりさ達は一斉にバラバラに逃げた。 体を震わせながらも、それを見ていたまりさはいい考えだと思った。 いかに強くても相手は一匹だけ。様々な方向に逃げだせば助かる可能性が高い。 運悪く標的にさたなら命はないだろうが、全滅するよりはましだ。少しでも多くの子供に生き残って欲しい。 だがその願いも無残に打ち砕かれる。 「しねっ!」 何と、ふらんが掛け声をあげた直後、その体が四つに増えたのだ。 これぞゆっくりふらんの特性。自分の分身を三匹まで作り出すことが出来る。 四匹のふらんはそれぞれ素早く移動し、四方から子まりさ達を取り囲んだ。 ガチガチと歯を震わせ、子まりさ達は涙を流す。 と、その中の一匹が勇気を振り絞って言った。 「お、おまえなんてこわくないよ! まりさたちがちからをあわせればまけるはずないもん!」 声は震えていたが、その言葉で子まりさ達は皆勇気を出し、それぞれ捨て身の思いで数匹ずつ目の前のふらんへと飛びかかった。 そして――。 「うー、しねっ! しねっ!」 まりさ達は進化した。 だが悲しきかな、そんなことは彼女たちの目の前にいる怪物には全く関係がなかった。 ゆっくりふらんとゆっくりまりさ。両者の差は数字で例えると1と0。それは極めて近く、それと同時に果てしなく遠い距離。 どれだけ強くなっても、どれだけ餡子の質が良くなっても、どれだけ数が多くても、それが自然から生み出されたものである限り、 ゆっくりまりさがゆっくりふらんを超えるなど不可能だ。 0が何倍になろうとも、0がどれだけ集まろうとも、『1』という最小の数字さえ超えることが出来ないのだから。 ある子まりさは地面に叩きつけられ餡子を飛び散らせて死んだ。 ある子まりさは顔の中心部から引き裂かれて死んだ。 ある子まりさは勢いよく踏みつけられて死んだ。 ある子まりさは顔の上半分を噛み千切られて死んだ。 ある子まりさは餡子をじわじわ吸い取られ、皮だけになって死んだ。 ある子まりさは―――。 死因は様々。だがその全てに共通しているのは即死ではなくゆっくりゆっくりと死んだことだ。 ふらんは子まりさ達をすぐには殺さず、だからといって生き残ることは出来ないぐらいの絶妙の力加減で攻撃していたのだった。 そのどれもこれもが中枢餡子を破壊され、再生もできなくなっていた。 これがゆっくりふらんの性格。獲物を出来る限り痛めつけて殺すという恐ろしき習性。 「い゛だい゛い゛だい゛ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!! や゛め゛でぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!! だずげでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 「ゆっぐり゛でぎな゛い゛ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 「どぼじでごんな゛こどにな゛っだの゛おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ぐべっ……ゆ゛ぐべべべべ…っ…」 「ああ…あ゛あ゛…」 まりさは滝のように涙を溢れさせてその様子を見てることしかできなかった。 目の前で次々と子供達が無残に殺されていく。絶望がまりさを覆い、もう叫ぶこともできない。 もういい、このまま死んでしまいたい。 思考するのをやめ、意識が深い闇へと沈み始めたその時。 「い゛や゛あああぁぁぁぁ!! お゛がぁざぁぁんたすけてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 その言葉にはっと我に返るまりさ。 見れば、最後の一匹となった子まりさをふらんが右手で掴んでいた。 ほとんど大人ゆっくりと同じ大きさの子まりさはふらんの片手に収まるような大きさではない。 だがふらんの圧倒的な握力によって体をねじ曲げられ、無理やり手の中に押し込まれていた。 既に周囲に分身はおらず、元のふらん一匹だけに戻ったようだ。 「もうさいご。つまらない」 「おがぁぁぁぁぁぁざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」 泣き叫び、自分を呼ぶ愛しの我が子。その声にまりさの中に再び気力が燃え上がった。 ふらんは徐々に握る力をあげていく。 子まりさの表皮が黒ずみ、今にも目や口から餡子を吹き出しそうだ。 「ゆっくりしね――」 「まって!!」 突然のまりさの声にふらんは力を加えるのを止める。結果、ぎりぎりで子まりさは握り潰されずに済んだ。 ふらんはギロリと目をまりさに向ける。 その眼光にまりさは背筋が震えたが、何とか声を絞り出した。 「ま、まりさはどうなってもいいから、まりさのこどもをにがしてあげてね!」 状況は圧倒的に不利。というより有利不利などというものは無い。相手は一方的な惨殺者、こちらの言うことなど聞く必要はない。 しかしそれでもまりさは言った。自分は死んでもいいから子供だけは生き残って欲しい。 たとえどれだけ確率が低くても、可能性があるならそれに賭けてみたかった。 ふらんは考えるように沈黙し、暫くして口を開いた。 「いいよ、ちびはにがしてあげる。やくそくする」 それはまりさにとって信じられない言葉。しかし、確かにふらんはそう言った。 まりさは喜びで飛び上がりそうになったが、同時にあまりに上手くいきすぎるとも感じた。 「ぜったいだよ! やくそくだからね!」 「だいじょうぶ、やくそくはまもる」 そう言ってふらんは子まりさを握る右手を緩めていく。その手つきは優しく、先ほどまでの荒々しい様子はない。 それに安堵したのか、まりさの顔に笑みが浮かぶ。 さらにふらんは空いている左手でまりさの刺さっている枝を根元から折り、そのまままりさを地面へと置いた。 子まりさは寂しそうな顔をしているが何も言わない。いや、言えない。 完全にふらんの手から握力が無くなり地面に落ちると、最後の子まりさは親の元へと駆け寄った。 「ゆー…おかあさん…」 「おかあさんはだいじょうぶだよ! でも、これからはいっしょにいられないからひとりでいきてね! まりさのこならだいじょうぶだよね!?」 暗い表情の子供に対して、まりさは少しでも元気を出してあげようと笑いながら明るい声で言う。 「うん…、まりさがんばるよ!」 それに励まされ、少し表情が明るくなる子まりさ。 親子は頬を擦り合わせて、最後になるであろう抱擁を交わす。 その様子をふらんは微笑みながら見ている。今度は純粋な、まったく害のない笑みだった。 そんなふらんの笑顔を見てまりさは完全に安心した。良かった、もう子供は大丈夫だ、と。 しかし、まりさは気付かない。優しく微笑むふらんの口から、わずかに緑色の光が漏れているのを。 「ゆっ…じゃあそろそろいくね!」 子まりさは決心した。 おそらくもう母親には会えない。でももう大丈夫だ。母が助けてくれたこの命、大切にしよう。 子まりさの言葉に、まりさは無言で、しかし力強く頷いた。 子まりさは背を向け、数歩進み――勢いよくふらんの口から放たれた弾幕が直撃し、爆散した。 辺り一面に飛び散る餡子。その破片がまりさの頭にべったりと張り付く。 おそらく子まりさは自分が死んだ事も認識できずにその生涯を終えただろう。 まりさは何が起きたのかわからない。 自分の子供はどこにいったのだろう。何故ふらんは楽しそうに口を開けているのだろう。 一体この顔にかかった黒いものは何なんだろう。 そして降りかかった餡子が顔を伝い地面に落ちた時、まりさは漸く理解した。 「どぉぉぉじでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!! や゛ぐぞぐはま゛も゛るっでいっだのに゛ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」 「やくそくはまもった。 ちびをにがしてあげた」 「でぇぇぇぇぇも゛お゛お゛ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 その言葉にゆっくりふらんはとびきりの、悪意の塊のような素敵な笑顔で答えた。 「でも…ふらんはちびをころさないとはいってない♪」 「う゛…う゛あ゛…」 まりさは震え、そして爆発した。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!! じね゛っ!! じね゛っ!! ゆっぐり゛じね゛ぇぇぇぇぇぇぇぇ ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!こ゛ろ゛す゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!! こ゛ろ゛し゛でや゛る゛っ!! じね゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」 まりさが動けないことなど関係なく、その場にいたものならどんなゆっくりでも、 例え捕食種のれみりゃであっても逃げ出すであろう、怒り、憎しみ、絶望…あらゆる負の感情を孕んだ咆哮。 だがゆっくりふらんは全く物怖じすることなくケタケタと笑っている。 当然だ。いくら負の感情をかき集めたとしても、そんなものは本物の純粋な悪意の前では何の意味もなさない。 「さて、そっちもやくそくをまもってもらうよ」 そう言うと、ふらんは呪詛を吐き続けるまりさの底面からその体を貫通している太い枝を抜き取った。 ぐちゃぐちゃと音をたて、枝がまりさの体内を通過していく。 「ひ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 体を内部から引き裂かれるような痛みがまりさに走る。そして数秒後には彼女は空を飛んでいた。 ふらんはまりさを帽子の上から鋭い爪を食い込ませて固定させている。 飛翔してから数秒後、枝が貫通していた穴が早速再生し始める。それを見たふらんは新しいおもちゃを見つけた子供のような顔をした。 悪意が充満した純粋な瞳をキラキラと輝かせている。 「すごいすごい、まりさなのにかいふくする」 「はな゛ぜぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「あー、うるさいなぁ」 そう言うとふらんは指でまりさの右目を貫いた。そのままぐりぐりと指を回し、少し曲げて引っこ抜く。 ボコリと音をたて、まりさの目玉がえぐり出された。空洞となった部分から餡子が漏れだす。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ま゛り゛ざのめ゛がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 無くなった右方の視界。残る左目には自分の目玉を食べるふらんが写る。 頭の片隅で、そう言えば以前もこんなことがあったな、とまりさはどこか冷静に考えていた。 あの後はぱちゅりーに出会ったっけ…。 それをきっかけに、これまでの記憶が次々と浮かんでは消えていった。 母に祝福されて生まれた。可愛い妹達と一緒に旅をした。美しい妻と出会い、自分の家庭を持った。 そしてそれらはすべて壊された。その後に出来た子供も、今自分を掴んでいるこの化け物に全て殺された。 どうしてこんなことになったんだろう。自分はただゆっくりしたかっただけなのに。 しばらくするとまりさの右目は再生し始め、五分もすると元通りになった。 「うー、おもしろい♪」 今度は右手の指をVの字にし、まりさの両目に突き刺すふらん。 痛みと視界が無くなった恐怖でまりさは絶叫する。中途半端に高い再生力のせいで気絶することも出来なかった。 あと数分もすれば失った両目も完全に元通りになるだろう。 美しく輝く満月を背に、ゆっくりふらんが夜空を舞う。 その手に持つは両の目の無いゆっくりまりさ。 それからまりさにとって地獄のような日々が始まった。 ふらんの巣の中に動けないように固定され、何度も何度も痛めつけられる。 ある時は髪を千切られ、ある時はおやつとなり、ある時は両目や口を引き千切られ、それでもその度に体は再生して元通りになる。 こうしてまりさはその命が終きるまでゆっくりできることなどなく、ふらんのおもちゃとなるのだった。 終わり あとがき ふらんちゃんの すごい 無双。 前中編で影も形もなかったのでオチはバレバレだった気がしますが。 あまり捻った話が書けなくてごめんなさい。 こんな長い駄文を最後まで読んでくださった読者様、有難うございます。 どうでもいい質問コーナー Q.これ別に進化させなくても、普通のまりさで良くない? A.ぶっちゃけ強さよりも再生力が欲しかっただけです。 Q.何でゆふらんが普通に喋ってるの? あと厨スペックすぎね? A.かわいいから仕方ない。 今まで書いたもの それいけ! ゆっくり仮面 ゆっくり仮面の憂鬱~邪悪な心~ お兄さんの逆襲 前後編 ゆっくりれいむの悪夢 あるゆっくりまりさの一生 前中編 by.ダイナマイト横町 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3271.html
れいむが逃げて行った直後、まりさはありすと共に絶頂を向かえ、望まぬ我が子を頭に宿すことになった。 「ゆっぐ・・・ゆぅううぅ・・・どうぢでばりざが、ゆっ・・・」 「んほおおおおお!ばでぃさああああ!もっどずっぎぢぢまぢょおおおおお!!」 「ゆ゛っ!やべっ!やべでぇ!?もうずっぎぢぢだぐないいいいいい!?」 必死で抵抗しようとするも、すっきりさせられたショックと子どもに餡子を奪われた疲労で抵抗することすらままならない。 ありすのなすがままに犯され、注がれ・・・4度目の絶頂を迎えるその直前に、まりさは黒ずんで朽ち果ててしまった。 「もっと・・・ゆっくり、したかったよ・・・」 「ゆふぅ・・・すっきりー」 もはや物言わぬ饅頭となったまりさを相手に最後のすっきりをしてありすは満足した。 「ゆぅ?まりさったら、すぐにへばっちゃうなんて、いなかものね!」 「・・・・・・ゅぅゅぅ」 「ゆほっ!かわいいあかちゃんがいるわ!」 そして賢者モードに突入したありすはまりさの事など気にも留めずに、我が子の誕生を喜んだ。 それは母になる喜びでは断じて無かった。 可愛いまりさがいっぱい、4本の蔦に4匹ずつ、あわせて16匹も居ることが嬉しかったのだ。 すぐに死んでしまう赤ちゃんでも1回くらいはすっきり出来るから、まりさで16回もすっきり出来る。 「ありすのとかいはなあかちゃん、ゆっくりいそいでうまれてきてね〜」 勿論、ありすをすっきりさせるために。 ありすのほうはどうしようか? そうだ、れいむにでも育てさせてあげよう。 あの子は可愛いものが大好きだから、きっと泣いて喜ぶに違いない。 それから、ご褒美に1回くらいすっきりの相手をしてあげよう。 「ゆふふふっ」 すっきりがいっぱいのありすの素敵な未来予想図。 想像するだけで涎が溢れ出てくるような最高の生活。 しかし、それが叶うことは永久になかった。 「うっうっー♪」 「ゆがっ!?」 「うー」という聞き慣れない鳴き声とともにありすを襲撃したのは幼児体系の胴体を持つゆっくりそっくりの顔をした生き物だった。 ゆっくりれみりゃ。ゆっくりでありながら災厄とともに封印され、昨夜、箱から解き放たれたその怪物はゆっくりを好んで喰らう恐ろしい存在である。 まるっとした2本の腕を伸ばしてありすを掴み、鋭い牙の生えた口へと彼女を誘う。 大きく開いた口はありすにとっては地獄の入り口も同然。 ひとたび閉じてしまえば、彼女は二度とこちらの世界に帰ってくることが出来なくなってしまった。 「うまうま〜♪」 「がっ・・・い゛っ、やべでぇ・・・いだい゛いぃぃぃいい・・・!?」 「うるさいんだど〜、がぶっ☆」 「あ゛っ・・・もっど、どど・・・い゛っ・・・」 ゆっくりにとっての悲願であるゆっくりすること。 それに対する悲壮なまでの欲求を如実に表すあの断末魔を口にすることさえも許されずに、れみりゃの口の中へと収まった。 「う〜・・・ちいちゃいのはもってかえ゛っ!?」 ありすを食べ終えて満足したれみりゃは赤ゆっくりを生やしたまりさを巣にもって帰ろうとする。 が、彼女は失念していた。自分もまた脆弱なゆっくりであり、しかも他の動物を惹きつけやすい匂いを放っているということを。 ワォーン!とでも記述すればいいのだろうか。 とにかく、そのような鳴き声とともに姿を現したのは群れることのない変わり者のあの野犬だった。 最初の奇襲同然の一撃だけでれみりゃの右腕を食いちぎり、思いっきり突き飛ばして近くの、木の幹に叩きつけた。 「うぶふっ!?」 失った腕から、そしてたたきつけられた時に背の低い木の枝に刺さり、そのまま千切れた右足から、そして口から肉汁を漏らす。 そう、ゆっくりの多くが饅頭であるように、れみりゃは動く肉まんであった。 立つことはかなわない、反撃することも当然不可能。なす術のないれみりゃは取った行動は・・・ 「ごーばがんのおぜおうさばになにずるんだどー!?」 実際にはここまではっきりと喋れていない。 痛みと恐怖でろれつが回らず、ぼろぼろになった口内は思うように音を発してくれなかった。 よって、犬には「ぼーばばんほおへーふぁふぁ、ひ・・・はひふはほー!?」くらいにしか聞こえていない。 もっとも、ちゃんと喋れたところで言葉は通じないのだが。 「うぎゃああああああ!?」 問答無用で今度は左手を噛み千切る野犬。 それから左足を、背中の羽を噛み千切り、痛みで気を失って静かになったところでれみりゃと傍にあったまりさだった饅頭を巣へと持ち帰った。 れいむがちぇんの巣に到着した時、巣の入り口付近にぱちゅりーが横たわっていた。 「ぱ、ぱちゅりー!どうしたの、ゆっくりしてねっ!?」 「む、むきゅう・・・れいむ、く・・・るしいわ・・・ゲフッゲフッ!?」 ぱちゅりーは喋るたびに咳き込み中身のクリームを吐き出す。 辺りを見てみるとちぇんの巣の傍にあるぱちゅりーの巣からクリームの跡が点々と続いていた。 恐らく、ちぇんに助けを求めるために、まともに動くこともかなわない身体でここまで這いずってきたのだろう。 「ぱちゅりー!ゆっくりしてね!ゆっくりしてよー!」 「む、むきゅぅ・・・・・・ゲフゲフ!?」 喋るたびに、ではなかった。 苦しみのあまりに呻くたびに咳き込み少量ながらも中身を吐き出してしまう。 なのに、これだけ入り口で騒いでいるにも関わらず、ちぇんが姿を現す気配は一向にない。 「ぱちゅりー!ゆっくりしようよー!?」 そう言ってぱちゅりーの頬をさするれいむ。 そうやって刺激を与えることが危険なのだが、混乱しているれいむにそのことに気付く余裕はない。 「やべ・・・やべtゴホッゲホッ!?」 「ぱ、ぱちゅりー!?」 ぱちゅりーは今までの中で一番盛大にクリームを吐き出した。 そして二度と彼女が喋ることも、動くことも、咳き込むこともなかった。 涙と吐き出したクリームに塗れ、長い髪はくしゃくしゃで、げっそりとやつれた正視に堪えない死に顔だった。 「ぱちゅりいいいいいいいいいいい!?」 「だめだよ!ゆっくりしないでゆっくりしようね!」 「ゆっくりしちゃだめだよ!ゆっくりしてよー!?」 「ゆっくりしたらゆっくりできないよおおおおお!?」 「ゆっくりしようね!ゆっくりー!?」 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってねー!?」 「ゆっくりー!ゆっく、ゆっぐりぃ・・・・」 れいむはぱちゅりーだった饅頭に頬擦りをし、顔を舐めながら呼びかけるが、彼女が返事することはなかった。 そして、数十分後。 れいむは頬を膨らませながらちぇんの巣の中に入っていった。 当然、入り口でぱちゅりーがゆっくり出来なくて苦しんでいるのに助けようとしなかったことを叱るために。 「ちぇん!どうしてぱちゅりーを・・・?」 が、巣の中の光景を目の当たりにしたれいむは怒ることを忘れてしまった。 食い散らかされた餌、巣の中に散乱するちぇんの宝物。そして、部屋の隅でぶるぶると震えるちぇん。 何か恐ろしい化け物にでも襲撃されかたのような惨状。 「ちぇ、ちぇん・・・?ゆっくりしていってね!」 「ゆ゛っ!ゆっぎぢぢでいっでね!?」 反射的に返事したちぇんだったが、れいむの顔を見るや否や恐怖に青ざめて再び震え始めた。 「ちぇん、どうしたの?」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 「おこえがちいさいよ!それじゃゆっくりきこえないよ!」 そう言いながらちぇんの傍に這いずって近寄るれいむ。 ようやくちぇんの言葉が聞こえたとき、れいむはまたしても呆然とする事しか出来なかった。 「ぎゃくたいおにーさんがくるよー、わからないよー」 「おにーさんがぎゃくたいおにーさんだねー、わかるよー」 「ちぇんはぎゃくたいされたくないよー、わかってよー」 「すっきりさせられるんだよー、わからないよー」 「ちぇんもすきですっきりしてるんじゃないよー、わかってよー」 「すきだけどそーじゃないんだよー」 「どうしてちぇんにゆっくりできないこというのー、わからないよー」 「やめてねー、あかちゃんいぢめないでよー」 「ちぇんはあかちゃんとすっきりーしたくないよー」 「やらないところすんだねー、わかるよー」 「したくてすっきりしたんじゃないんだよー、わかってよー」 「しんだらゆっくりじごくにいっちゃうんだねー、わかるよー」 「ゆっくりじごくはもっとゆっくりできないんだねー、わかるよー」 「どうしてもゆっくりできないよー、わからないよー」 「うまれかわってもきっとゆっくりできないんだよー、わからないよー」 何がなんだかよく分からないが、途轍もなくゆっくり出来ないことをぶつぶつと口走っていた。 結局、れいむはちぇんが怖くなって、巣からそそくさと立ち去った。 れいむは森の中を必死で駆けていった。 何故か森の中は全然ゆっくり出来なかった。 見たこともない体つきのゆっくりが、そいつと良く似た空を飛ぶゆっくりがれいむ達を襲い喰らっていた。 昨日まではれいむ達に食べられるばかりだった虫さんが、群れを成してれいむ達を食べていた。 濁った目をしたまりさ種がれいむ種を犯し、蔦になった子ども達を食い漁っていた。 焦点の定まらない目をしたありす種が涎を垂らしながらまりさを犯し尽くし、犯されたまりさは黒ずんで死んだ。 ぱちゅりー種は道端でクリームを撒き散らしながら野垂れ死んでいた。 そして、その亡骸に幼いちぇん種やみょん種が我先にと喜び勇んで食いついていた。 「「「んほおおおおおおおおおおおおおおお!」」」 「やべぢぇええええええええええええ!?」 「なにいってるの!?れいむはかわいそうなんだよ!」 「れいむをゆっくりさせないれいむはゆっくりしね!」 「いなかものをすっきりさせてあげるありすはすごくとかいはだわ!」 「「ばりざああああ!ありずごずっぎぢぢましょおおおおおおおおお!!」」 「「ずっぎぢぢだぐないんだじぇえええええええ!?」」 「「「うっう〜」」」 「やめちぇね!れーみゅたべにゃいでにぇ!?」 「たべりゅんなられーみゅにちてにぇ!?まりしゃはにげりゅよ!」 「「「どほちちぇしょんなこちょいうにょーーーーー!?」」」 「「「うっめ、これめっちゃうめぇ!」」」 「「「「おきゃーしゃんのきゅじゅ!にょろみゃ!おきゃーしゃんにゃんてゆっきゅちちね!」」」」 「そんなこというゆっくりできないこはれいむのこどもじゃないよ!ゆっくりしね!」 「「どほぢちぇしょんなこちょいうにょおおおおお!?」」 「むきゅぅ・・・もってかないでー・・・」 「「むーしゃむーしゃ、しあわせ〜!」」 「「「ちーんっぽ!!」」」 もはや、れいむの住んでいた森はかつての最高のゆっくりプレイスではなくなっていた。 同族が同族を傷つけ、家族同士で罵りあい、他の種族や生き物に蹂躙される脆弱なゆっくり達。 それを尻目にれいむは必死に逃げた。 お兄さんに助けてもらうために。お兄さんとゆっくりするために。 「おにーさあああああん、こわいよおおおおおおお!?」 あまりの恐怖にいつの間にか涙は垂れ流しで見栄も体裁もない有様になっていた。 それでもれいむは必死に跳ねる。 川まで行けば少しはゆっくり出来る。川を流れていけばお兄さんに会える。 その願いに一縷の望みを託し、れいむは運良く川まで到着した。 が・・・・・・ 「ゆゆっ!なんだかへんだよ!?」 「どほぢででいぶどげでるのおおおお!?」 「ごんなのどがいはじゃないわあああああ!?」 「まりささまはぼうししゃんにのるぜ!・・・どうほぢでおみずさんはいってぐるのおおおお!?」 川も全然ゆっくり出来ない有様へと変貌してしまっていた。 穏やかな流れに浮かぶ無数の饅頭はどれもふやけ、やがて破れていった。 破れた饅頭からは餡子やカスタードが漏れ出し、川を醜く染めている。 「ゆゆっ・・・さすがまりささまだぜ!おぼうしさんで・・・やべでええ、ばりざをたべないでえええ!?」 「「「「うーうー」」」」 運良く、何かの上に乗ることのできたゆっくりも上空を飛び回る顔だけのれみりゃ達の餌食となった。 その光景を、絶望に満ちた面持ちで見守ること約10分。 れいむ達はすっかり忘れていたことだが、れみりゃ達は日光を嫌う。 れいむは幸運にも、見つかる前に日の光が降り注ぎ、れみりゃ達は森の奥深くへと退散していった。 「ゆ・・・ゆぅ・・・かわさん、どうぢでゆっくぢしてぐれないのぉ・・・」 川の中のの地獄絵図を目の当たりにしたれいむにそこに飛び込む勇気などあるはずもなかった。 数時間後、れいむはお腹を空かせながら、底部の痛みで涙目になりながらもなんとかお兄さんのおうちまでたどり着くことが出来た。 とっくに昼を過ぎ、日も沈み始める頃、お兄さんはいつものように軒先でのんびりとくつろいでいた。 「ゆぅ・・・やったぁ、これでゆっくりできるよぉ・・・」 そう呟く彼女の頭の中にかつての友人達の存在はない。 忘れたいのか、ゆっくり欲が全てを忘れさせているのか、そんなことは定かではないが。 それともお兄さんに会えた喜びで記憶が軽く飛んでしまったのか。 重い足を引きずって、ゆっくりゆっくりとお兄さんの家へと這いずって行く。 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・ゆっくりついたよぉ・・・」 数十分後、れいむはようやくお兄さんの家の目の前へと到着し、ほっとため息を吐いた。 が、そこで、れいむは信じられないものを目撃することになる。 「ゆ゛っ・・・・・・!?」 お兄さんの家と畑の周りにはゆっくりの死体が散乱していた。 成体も子どもも赤ちゃんも、れいむもまりさもありすもぱちゅりーも、皆ぼろぼろのぐちゃぐちゃの酷い有様だった。 「ゆひぃ・・・・・ゆっ・・・」 耳を澄ませば、死体の中から嗚咽のようなものが漏れてくる。 が、駆け寄ってみるとどのゆっくりもいつ死んでもおかしくないような姿だった。 目はうつろで、餡子が大量に漏れ出している死体同然の仲間達。 助けを求められても、れいむは足がすくんで何も出来なかったし、すくまなくても結局何も出来なかっただろう。 「おい、クソ饅頭」 唖然とするれいむの頭上から聞こえてくる声。 それは紛れもなくれいむの大好きなお兄さんのもの。 しかし、今までに聞いたことのない餡子が凍りつきそうな冷たい声だった。 「お、おにーさん・・・ゆっくりしていってね!?」 「うるせぇんだよ!!」 振り返って、何とか笑顔を浮かべたれいむは問答無用の蹴りが浴びせられ、そのまま意識を失った。 夕暮れ時の薄暗い森の中を男は歩いていた。 彼の向かう先にあるのはゆっくり達の集落だった場所。 「ゆゆっ!ばかなにんげんさん!ここをとおりたかったら、ゆげぇ!?」 行く手をさえぎり通行料を要求しようとしたまりさを踏み潰し、男は歩き続ける。 それから、いちいち絡んでくるれいむを、ありすを、みょんを踏み潰し、男はあるゆっくりの巣へと到着した。 「ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね・・・どうぢでおにーざんがいるのー、わがらないよー!?」 「勿論、虐待しに来たのさ。れいむがあんまりいい声で泣くものだから目覚めちゃったよ、ははは」 「あわないようにおうぢにいだのにー!」 それだけ告げると問答無用にちぇんの尻尾を掴み、巣を後にした。 が、その時、男はどこからか妙な声が聞こえてくることに気がついた。 「ん・・・?」 耳を住ませてみると、その声はかなり近くから聞こえてきている。 そして、夕暮れ時にこんなところまでやってくる男は言うまでもなく物好きの部類であり、それゆえにその声に興味を示した。 「お前は・・・・・・」 声の出所をたどって到着した洞窟にはあの野犬の姿があった。 男の姿を確認した野犬は低い声でうなる。が、男とて森に入る以上用心のために農具の一つくらい持っている。 その得物の恐ろしさを野生の勘で理解した野犬は決して飛び掛ってこない。 ただ、じっと男の出方を伺っている。 ((((((((((いにゅしゃん・・・ゆっきゅちがんばっちぇね!)))))))))) 赤ゆっくり達が目を覚ました時、そこには夜の闇と薄暗い洞窟と、ふさふさの体毛をもつ野犬の姿があった。 赤ゆっくり達はまりさ種が16匹とありす種が16匹の計32匹。 対する野犬は成体が1匹とその子どもと思しき小さな犬が5匹の計6匹。 仔犬は母親に目いっぱい甘え、母親もまんざらでもなさそうな様子で対応している。 その幸せそうな光景を見ながらまりさ達は思った。 まだ喋ることもできないけれど、まだ動くことも出来ないけれど。 生まれたら真っ先におかーさんに甘えよう。 何度も何度も「ゆっくりしていってね!」って挨拶しよう。 みんなで一緒にずっとゆっくりしよう。 そして、今、目の前では野犬が大きな生き物と対峙している。 その大きな生き物の手にはありす達と同じゆっくりが握られていて、とてもゆっくり出来ない表情をしていた。 これだけの状況証拠があれば十分。 きっと、犬さんはありす達を守ろうとしてくれているんだ。 そう勘違いしたありす達は心の中で野犬にエールを送る。 「ん・・・?」 しかし、野犬は突然、男に背中を向けて洞窟の中へと戻ってゆく。 ((((((((((ゆゆっ!いにゅしゃん、はやきゅあいちゅやっちゅけちぇね!)))))))))) (((((ときゃいはにゃありしゅたちのいうこちょをきいちぇね!))))) (((((やきゅたたじゅはゆるしゃにゃいよ!ぴゅんぴゅん!))))) そんな野犬の行動を訝しがる男と赤ゆっくり達。 そんな両者を尻目に犬はまりさの頭の蔦の一本を食いちぎった。 (((((((((ゆぴゃあ!?))))))))) (((((((((どうちちぇしょんなこちょするのおおおおお?!))))))))) 赤ゆっくり達は物言えぬ口で悲鳴を上げ、あるいは必死に抗議する。 が、その声は誰の耳にも届くことなく、野犬は男にその蔦と、蔦に成った赤ゆっくりを差し出した。 「・・・くれるのか?」 くぅーん・・・と、野犬は肯定するように鳴いてみせる。 その振る舞いにただならぬものを感じた男は農具を下ろし、目をこらして洞窟の奥を見て、全てを理解した。 「そうか、お前・・・子どもが居たんだな・・・」 そう呟き、一気に差し出された赤ゆっくり達を食べると、口内に上品な甘みが広がった。 野犬はれみりゃという安定して手に入る食料を得たことで男の畑を荒らす必要があまりなくなった。 男もまた、ゆっくりという非常食を得たことで多少畑を荒らされても笑って許せるようになった。 もっとも、最近では野犬が男の家に来れば、犬の食べられそうなものをあげる関係になっているので、荒らされる事など全くないのだが。 「お、今日はれみりゃの腕を持ってきてくれたのか?」 「じゃあ、ちょっと洗って、温めるからそこで待っててくれよ」 男は野犬の持って来たれみりゃの腕を抱えて台所へと駆けていく。 5匹の仔犬を連れた野犬は涎を垂らしながらも男が戻ってくるのをお利口に待っている。 一緒に美味いものを食べ、持ちつ持たれつの関係を気付いた一人と一匹と、その子ども達は今では最高の友人同士だった。 「「ゆっくりしたいよぉ・・・・・・」」 「「「「「「「ゆぴぇーん・・・どうちちぇゆっきゅちできにゃいのー・・・」」」」」」」 「「「「「わきゃらにゃいよー・・・」」」」」 そんな両者の幸せそうな姿を底部を焼かれて身動き一つ取れないゆっくり達が羨ましそうに見つめていた。 【おまけ?】 「どほぢではござんあげぢゃっだのおおおおおおお!?」 ゴッドスまりさはれいむの愚考に怒り心頭だった。 せっかくゆっくり出来ないものを全て封印してあげたのに。 我を忘れて怒り狂うゴッドスまりさはどすんどすんと飛び跳ねる。 「鬱陶しいぞ、まりさ?」 そう言いながら、何者かが跳ね回るゴッドスまりさの頭を掴んだ。 恐る恐る振り返ると、封印にクレームをつけた別の神様が陰険な笑みを浮かべている。 そこでようやくゴッドスまりさは彼が何の神であるかを理解した。 かつて、きめら丸を拳一つで倒した男がいた。 彼は生涯のうちに318匹のドスまりさを己の肉体だけで痛めつけ、102匹のりおれいむを嬲り殺した。 年老いてなお森の賢者ぱちゅりーを、ティガれみりゃを、ありとあらゆる巨大種を虐待し続けた。 勿論、通常種も伝説とすら呼べるほどの勢いで殺し尽くした。 死後、彼はゆっくり虐殺の咎で地獄に落とされた。 しかし、それでも彼は地獄を抜けだしてはゆっくり地獄に赴き、ゆっくりを殺し続けた。 その常軌を逸した虐待中毒ぶりは、鍛えすぎた肉体も相まって鬼すらも手が付けられず、秦広王を苦笑させた。 初江王も、宋帝王も、五官王も匙を投げ、閻魔王の長い説教すらもどこ吹く風だった。 そして、五道転輪王の「ここまで来るとある意味悟りを開いてね?」という一言によって彼は人を超えた存在としての地位を得た。 そう、彼こそ虐待お兄さんの神だったのだ。 「ひゃっはー、我慢できねぇ・・・虐待だぁ!!」 「ごれぢゃゆっぐぢでぎないよぉ!?」 ちなみに、他の神様達は関わるのも馬鹿馬鹿しいので無視を決め込んだ。 ‐‐‐あとがき‐‐‐ パンドラの箱の中に残っていたのはもっとも恐ろしい災いで「それが外に出なかったことだけが唯一の希望」という解釈があるそうです。 で、そのもっとも恐ろしい災いというのが絶望であり、もっと詳しく言うと予兆、つまり未来を知ってしまい、なおかつそれが不可避であることを理解してしまうことだそうな。 ちぇんがラリっていたのはその最後の災いを食べてしまったからです。もっとも、元々ゆっくりに予知能力なんてないような気もしますが。 この説明で訳が分からないという人はJOJO6部のブッチ神父の最後のスタンドのを思い出すと分かりやすいかも。 あのスタンドの発想はニーチェか仏教に通じるものがあるような気がするが、何にせよ神父が口にする主義・主張ではないんだよー。 というか、そんな壮大な絶望を覚悟一つで吹き飛ばせるわけがないんだよー。 byゆっくりボールマン
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/419.html
今までに書いたもの 神をも恐れぬ 冬虫夏草 fuku4385(タイトル付け忘れた……) ※注意事項 人間は介在しません。 登場するゆっくりは全滅しません ぼくのかんがえたさいきょうゆっくりが登場します。 ……最強っていうか、ゆっくりしろよ的ゆっくりか。 ここは、人里から遠く離れた博麗大結界に間近い山の中。 妖怪の山からも遠い幻想郷の外れでは、人間どころか妖怪の姿さえほとんど目にする事はできない。 そんな幻と現の境界地帯の主は、大きく分けて二種類だった。 一つには、結界の内外いずれの側にも満ち溢れた自然の具象である妖精たち。 そしてもう一つには、生き物と食べ物の境界に位置するナマモノ――ゆっくりと呼ばれる生き饅頭たちだ。 山際に残る朱の色が、月が高くに上ると共に紫へと塗り替えられてゆく。 冬の太陽は早くに沈む。日のある内はまだ温みを残していた山の空気も、空に紺と紫の領域が増すに連れて 突き刺すような冷気で地上を満たし始めていた。 野山から生けるモノの気配が極端に少なくなる、死と静寂に満ちた季節。厳しいこの時期をやり過ごす為、 巣穴に閉じ篭るという習慣は捕食種のゆっくりにとっても例外ではない。 「うー! よるがきたどぉー!」 ここは、厚く堆積した柔らかい土壌を掘り進めて作られたれみりゃ一家の巣穴である。 もともとは、彼女らのモノではない。先住者は子連れのれいむとまりさのつがいだった。その先住者はこの秋、 老幼あわせて十匹残らずこの冬の入りにれみりゃ一家の保存食となっている。 晩秋、より中心部――紅魔館の近くに適当な住処を見つけられず、辺境を流れ流れてここまで来た家族だった。 「みゃんみゃ〜、にぇみゅいぢょぉ〜」 「うりゅさきゅちぇよくねむれなかったぢょぉー……」 親に続いてもそもそと起き出してくる、体のない子れみりゃや赤れみりゃ、その数五匹。 器用に羽根で眠い目を擦る。どうやらまるで寝たりないらしい。それは両親――体つきと体なしのつがいだった――も同じらしく、 二匹揃ってみっともない大あくびをすると疎ましげな眼差しを入り口へと送る。 「ふぁ〜。まんまたちもねむいんだどぉ〜……」 「らぶり〜なれみりゃをゆっくりさせないなんて、ひどいかぜさんなんだどぉ〜」 ぐるぐる頭の中をかき回す眠気のせいで、楽しい家族の会話もどこへやら。きちんと戸口の閉じられた巣穴は 地中の温もりもあって眠気を覚ますほどの寒さもない。家族揃って言葉もなく、じーっと扉の様子を見詰めてみる。 ばたん、もしくは、ごつん。 静かになった部屋の中は、木の皮を引っぺがして接着用餡子で固めた扉は、今もガタガタいってる物音だけに 支配されてしまった。 今日は日中ずっとこんな感じだった。夜もこんな感じのままなのかもしれない。うるさいのは扉が立てる音ばかり ではなく、外の枯れ葉が擦れあう音、モノが落ちたり転がったりするような物音なんかも同じこと。 きっと、今日はとても冷たい風さんがゆっくりしていない一日なのだ。 さすがに閉じた戸をわざわざ開けてまで外の『かぜさん』に抗議する気にもならず、れみりゃ家族は寒気の 差し込まないおうちの奥からせめても大声を張り上げて呼びかける。 「かぜさん、ゆっくりするんだどぉ〜♪」 「ゆっくりしなきゃ、あとでさくやにいいつけるどぉ〜♪」 「「「ちゃくやにいいしゅけるどぉ〜♪」」」 ……と。 まるで、間延びした二匹の呼びかけをまるで理解したかのように、戸を叩く音が一時に止まった。 もちろん、れみりゃたちが風をどうこうできる訳もないのだが、餡子脳は全てを都合よく解釈するものだ。 「う〜♪ かぜさん、れみりゃがこわくてだまったんだどぉ〜」 「おちびちゃんたち、これでまんまぁとゆっくりできるどぉ♪」 「「みゃんみゃ、しゅごいんだどぉ〜♪」」 勝ち誇る両親に、それを真に受けて褒め称える子供たち。 万が一にも風の妖精がれみりゃの言葉に従ったのだとしても、それは引き合いに出された『さくや』が怖かったんじゃ? なんて謙虚な発想はゆっくりにはないわけで。 「「おちびちゃん、すーりすーり♪だどぉ〜♪」」 「「「すーり、すーり♪しゃわしぇだどぉ〜♪」」」 勝利の余韻に浸った家族、一頻り体を寄せ合わせる。 既に変な空気になった餡子脳の中では『かぜさんもさからえないこうまかんのおぜうさま』は伝説にすらなっているらしい――が。 ―――どがあぁぁんっ!!――― 伝説、粉砕。文字通りに。 「うーっ!?」 「と、とびらさんがこわれたどぉぉ!?」 「みゃんみゃーっ!? さささっ、さむいんだっどぉ〜!!」 「ゆぐっ、ゆっぐぢぢだい゛どぉ〜……」 いったい、何事が起きたのか。 突然入り口から大きな破壊音が響いたと思うと、薄く立ち上った土煙の向こうに壊れた扉と真っ暗な空が見えた。 お外とおうちの間を遮るものはすでになく、びゅうびゅうと吹き込んでくるのは、冬の夜の容赦ない寒気。 両親れみりゃには一つ思い当たることがあった。こんな時期、 「う〜っ……もしかして、れてぃがきた!?」 「れてぃやだどおおぉぉっ!!?」 「「みゃんみゃぁ、きょわいどぉ〜!!」」 地中の巣に篭っていたのでは、長く伸びるれてぃの舌からは逃げられない。 かといって、出口が一つしかないこの巣では、外に出るのはわざわざ「おたべなさい!」するのと同じ事だ。 進むは地獄、引く事は出来ず。まさしく進退窮まった状態で、一家はお星様が綺麗に覗くおうちの入り口から 長く伸びる死への誘いがやってくるのを、ただ身を寄せ合い震えながら待ち受ける。 両親はせめて子供だけでもと、背中、巣の奥に子供たちを押し込めて守るが……蟷螂の斧、報われるまい。 「……う〜?」 「う〜、う〜?」 そう、親子揃って観念して、しばらく縮こまっていた。 扉が壊されてからすぐ。れてぃの舌は入ってこない。 扉が壊されてからちょっと。れてぃの舌は入ってこない。 扉が壊されてから少し。れてぃの舌は入ってこない。 扉が壊されてから大分。れてぃの舌は入ってこない。 扉が壊されてからしばらく。れてぃの舌は入ってこない。 扉が壊されてからかなり。れてぃの舌は、入ってこなかった。 「……う〜? れてぃ、ちがったどぉ?」 「うっう〜♪ ちびちゃんたち、もうしんぱいないどぉ〜」 「「「……う〜?もうだいじょうぶだど?」」」 さすがにこれは、れてぃではないらしい。 恐怖がゆっくり溶け、疑念に変わり、安堵に移り変わるまでたっぷり十分ほどは待った。 最後まで、れてぃの舌が入ってくることはなかった――怖がる必要なんてなかったのだ。 「うっう〜♪ おぜうさまのれみりゃにこわいものなんかないどぉ♪」 「みゃんみゃはとてもつよいんだどぉ〜♪」 「つよいまんまぁはおうちのとびらもさくやがいなくてもなおせるんだどぉ〜♪」 「みゃんみゃはなんでもできるんだどぉ〜」 そうと知ると、一転して強気である。餡子脳には先ほど見せた自分の(親の)みっともない姿なんて欠片も残ってない。 扉が壊れた原因を、突き止めようという考えすらなかった。 ただ、そんな餡子脳でも流石に扉を直さなければというぐらいの思考はあるらしく、両親を先頭に寒気厳しい外界との 入り口に向かう。一応野生で生きてきたれみりゃである。扉の作り方、治し方ぐらいは知っている。 「……とっ、とびらさんがどこかいくんだどぉ〜」 ただ、一から作るとなるとさすがにこの時期、面倒だ。 壊れた扉に逃げられては困る。だから真っ二つに割れた扉の片割れが、急に巣穴の外の方へと動き出したことにれみりゃは 少し慌てて這う速度を上げる。 「う〜、おいかけっこだどぉ〜♪ とびらさん、ゆっくりまつんだどぉ〜♪」 「はやくつかまえるんだ……どぉ?」 どうして扉が動き出したのだろうか。 風の仕業だろうか? そんなはずはない。扉は中から外に動いているのに、風は外から中に吹き込んでいる。 巣穴が斜面になっているから? それなら滑り落ちる方角が逆だし、巣穴はそんなに急な角度で地面に潜っている訳ではない。 その答えを知らず、考えもせず、家族は無防備に入り口近くまで近づいた。 「どうした……う〜?」 「「「うゅ〜?」」」 そしてそこで目にした光景に、全員が思わずぽかんとした。 巣穴の入り口、そのすぐ側。覗き込む顔がいくつも、いくつも。見知ったものばかり並んでいたからだ。 「う〜!? あまあまがいっぱいいるどぅ〜♪」 「あまあまがいっぱ……い……」 やがてれみりゃたちの口から漏れたのは、喜び半分、驚き半分。 巣穴から見えるのは、れいむが三匹にまりさが四匹。 喜びはおいしいあまあまが向こうから巣の近くまで来てくれたからで、驚きはこんな冬場に外をうろつくゆっくりがいる なんて思っていなかったからだ。 「……う〜☆ たべきれないんだどぉ〜♪」 「「「うー! たーべちゃうぞー!!」」」 よく考えたら起き抜けで、ちょうどおなかがすいていたところだ。 親れみりゃと子れみりゃたちは、みんなそろってお決まりの台詞をごはんになってくれるあまあまたちに投げかけた。 もそり、もそもそ。 ……反応が、おかしい。まるで恐れる様子のない獲物たちの様子が、ちっぽけなれみりゃの肥大したプライドに小さな 棘となって突き立った。 「……? あまあまのくせに、さからうつもりなんだどぉ〜?」 のそり、のそのそ。 反応は、変わらない。 恐れるでなく、猛るでなく、のっぺりとした笑顔を浮かべたままで蠢くだけ。 まるでこちらの存在を軽視――むしろ無視するかのようなその態度。自分が軽んじられていることを自覚するに至って、 ようやく状況に思考が追いついた。 扉を壊したのは、こいつらではないか。 おひさまがある間から、おうちの周りでがたがた物音を立てていたのもこいつらではないか。 たかがあまあまが。 このこうまかんのおぜうさま相手に。 勝てるわけもないのに、一体なんのために? 「……う〜。どっちでもいいどぉ〜」 「はやくごはんにするどぉ〜♪」 「「「うっう〜♪ ごはんだどぉ〜♪」」」 その理由がなんであるにしても、食ってしまえば同じことだ。それ以上小難しいことを考えるのは、れみりゃの脳には 手に余ることだった。 もういい、めんどうだ。何匹いるか知らないが、こいつらをご飯にしよう。みんなおなか一杯になってもまだ残るなら、 この冬の保存食としてありがたく巣の奥に保管させてもらえばいいのだから。 早々に思考を打ち切って、両親れみりゃは子を引き連れて寒い巣穴の外へと這い出していく。 そして、外の空気にじかに触れたれみりゃ家族の体はたちまちのうちに凍りついた。 「……だれつかられみりゃたちのごはんになってくれる……んだ……ど……?」 いや、凍りついたのは体ではなく心だ。だぶついた顔からは、満面の笑みが凍って砕けて消し飛んでいる。 巣穴を、出た。 外の景色が見渡せるようになった。 見渡す限りに、あまあまがいた。 そう、見渡す限りに。 数十、といった数ではない。 成体のれいむとまりさを中心に、百を軽く超えるゆっくりがひしめいていた。 れみりゃが空を飛ぶことを思い出していれば、百や二百で利かない数と、ずらりと敷かれた陣列の後ろの方にみょん種や めーりん種の姿がある事にも気が付いたかもしれない。 だが、どうせ三つ以上の数を数えられない餡子脳だ。『とてもたくさん、いろんなあまあま』ぐらいにしか考えられなかった かもしれないが……。 それでも。同じ高さで目の前に見える数しか把握することができなくても、流石に今なにが起ころうとしているかぐらいはわかる。 襲うものと襲われるもの。 その逆転が、今まさに起ころうとしているのだ。 「……っ。あまあまは、たべられるものなんだるどぉーっ!!」 気付かなければいいのに、察してしまった。 知性などないに等しいれみりゃなのに、気付かされてしまった。 心の中に急激に広がる真っ暗な何かを、知ってしまった恐怖を振り払う為に親れみりゃは叫んだ。 叫ばなければ、子供の為に立ち向かう意志が挫けそうだった。必死の形相へと変じた顔色からは、狩猟者としての精神的 優位など疾うの昔に消え去っている。 まるで風のように、親れみりゃたちは奔った。 父れみりゃの正面すぐ近くにいたれいむの顔面が弾け、突き抜けた腕がその後ろのちぇんの眼球を抉り出した。死んだれいむの 両脇にいたまりさとれいむが振り向くより早く、二匹の側頭部を父れみりゃの左右の腕が貫いていた。 母れみりゃの側方、仲間のれいむやまりさを挟んでやや間合いを取っていたぱちゅりーは、跳躍して直上から襲い掛かる 母れみりゃに踏み潰され、あっさりと大量の生クリームを吐いて死んだ。その周囲を固めていた四匹のれいむとまりさも、力尽くの 強襲にろくに抵抗することもできないままただの動かぬ饅頭へと変えられた。 両親れみりゃが進むところ、たちまち取り囲むれいむやまりさ、ちぇんやぱちゅりーはただの中身を垂れ流す饅頭へと変えられてゆく。 両親れみりゃが進むところ、たちまち取り囲むゆっくりたちの陣列に穴が開く。 両親れみりゃが進んだ後には、たちまち孤島を取り巻く潮の満ち引きのごとく、取り囲むゆっくりに新たなゆっくりが補充される。 声もなく屠られ、声もなく足されてゆく。 それはれみりゃと同じゆっくりというナマモノではなく、ただのゆっくりという記号、数字として親れみりゃの前に分厚く、 冷たく立ち塞がった。 「う、ひぁっ……!」 一体、あまあまはどれほどの数がいるというのだ。 幾ら殺しても目の前の獲物がまったく減らないという事実にやっと気が付き、父れみりゃが乱れた息にやがて来るべき破局への 怯えの色を滲ませた。 夫婦それぞれ十を潰し、十を引き裂き、十を貫き、十を噛み破り、その全てを容赦なくばらばらの餡子の塊へと変えた。その間、 無言で襲い掛かる無言のゆっくり達を蹴散らし寄せ付けず、れみりゃは傷一つ受けていない。 でも、あまあまは逃げない。逃げずに、最初のゆっくりできない笑顔を浮かべたままで突出した二匹を取り巻いている。 にこにこではなく、にやにやと。一様に作ったような、相手を、獲物を。 れみりゃという、狩られるべき獲物を、明らかに作られた笑いを一様に浮かべて。 「ゆっくりしていってね!」 ただ、明るい呼び掛けが返ってきた。 散々仲間を殺されたというのに、何の心も篭らない、無駄に明るい呼びかけだった。 ああ、と両親れみりゃはようやく理解する。 こいつらには、怒りはない。恐怖も知らない。笑顔を浮かべているけど、楽しいことすら知らない。 役割以外の何も知らないから、何もかも失っても平気なのだ――命を失うことの恐怖すら、この連中は知らないのだ、と。 「うぎゃああぁぁっ、まんまぁああぁぁぁあっ!!」 「だずげでええええええぇぇぇっ!!」 愕然として棒立ちになるれみりゃ夫婦の後ろの方から、求める子供たちの悲痛な叫びが聞こえたように思う。 気が付けば、すでに巣穴から遠い。意図したものか、そうではないのか……いずれにしても、戦ううちに両親と巣穴は遠く離れ、 子供たちは敢え無く敵の手に落ちてしまったのだ。 悲鳴は長く、しかし元気に続いている。 どうやら子供たちはその身柄を抑えられただけで、すぐに危害に晒されているわけではないらしい。 でも、今の両親にとってもうそんなことはどうでもよかった。 「……うっ……うぅっ、うううううぅぅぅああぁぁぁっ!?」 「ぐるな゛っ、ぐるな゛っ! じゃぐや゛! じゃぐや゛あああぁぁぁっ!!!」 死が、あまりにも確実な死が、自分たちの目の前にも迫っていた。 例え今は捕まるだけでも、後で必ず殺されて食べられる。飛んで逃げるにしても、間合いがあまりに近すぎた。体がふわりと 浮かんだと思った瞬間には、無防備な足や腹に食いつかれ、力尽くで地上に引き降ろされるだろう。 そうなった時にはもう戦う力も残っていない。そこから先は、なぶり殺しだ。 その確実な未来を、目の前の『生きていない』笑顔の群れが担保している。 無機質な笑顔を連ね、瞬きのごとに縮まる彼女らとの距離。それはれみりゃたちが三途の川へたどり着くまでの道のりに等しい。 どれほどれいむを殺しても、どれほどまりさを壊しても、ただの黒ずんだ餌になったあまあまたちからすらその不気味な笑いを 消し去ることはできない。 それを、思い知ってしまった。何もかもが無駄だと、すでに二匹は知ってしまったから。 「ウサウサ☆ミ」 「ゲラゲラ☆ミ」 連中の作り出した分厚い壁、後ろの方から聞こえる二組の笑い声。その声にだけ、意志の存在がはっきりしていた。 そしてその二匹の意志が、ここにいる全てのあまあまの意志を支配している。そのことに、母れみりゃも気付いた。 それと気付いた所で、この分厚い壁がある以上どうなるということでもないのだが。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりさせてあげるね!」 「ひめさまをゆっくりさせてね!」 「ゆっくりしね!」 ――虐殺がはじまった。 一斉に、だがばらばらな内容の言葉を叫んで無数のゆっくりが全周囲で動いた。 不気味な笑顔は崩れない。まるで同じ笑いを浮かべた連中が、れみりゃたちを『ゆっくり』させるために襲い掛かる。 「でびりゃのおべぶぇぼびゅぁっ!?」 「ゆっくりしね!」 「ゆっくりしね!」 心がほとんど折れかけていた父れみりゃは、その動きに反応することができなかった。 前から飛びついたれいむに腹を噛み破られ、服を毟り取られてようやく我を取り戻すがもはや遅い。 後頭部にちぇんが、肩口にまりさが、左右の足にまた別のまりさが、次々と食いつくゆっくり達の中にたちまちれみりゃの 体が消えてゆく。 「でっ、でびりゃのでびりゃがあああぁぁぁ!!」 母性の役割を受け持ったれみりゃの性質だろうか、まだ生きる意志を強く失わなかった母れみりゃが、襲い来るゆっくりを 力任せに振り払いながら、目にした惨状に何度目かの絶叫を上げた。 連れ合いに食らい付いたゆっくりが歪な形に固まって、その姿はまるで葡萄の房のよう。 中の様子をうかがい知ることはできない、だがもはや生きてはいないだろうことは母れみりゃにも容易に知れた。れみりゃ種の 再生力といっても、限度はあるのだ。 「ゆっくりかむよ!」 「ぎや、いぎゃっ! ご、ごろじでやるううぅぅ!」 「ゆっくりひめさまにもってかえるよ!」 右の腕を噛み砕かれ、羽根を食い千切られ、あられもない悲鳴をあげて、なおいきり立つ。 捕食種のプライドではない。囚われた子を救う為でもない。殺された伴侶の仇だからでもない。 ただ単に、そうしないと、生きられないから。 早くも再生を始めた傷口から迸る肉汁。それが一張羅を汚すことを気にする暇もない。 残った左腕でなぎ払い、叩き落しためーりんを踏み潰し、咥えた枝を顔面に突き立てようと襲い掛かってきたみょんを 真っ向から噛み潰す。 「う゛あああぁっ!! ごろずっ、ごろじでやるううどおぉぉ!!」 「ゆっくびゅべっ」 口を餡子まみれにして、天に向かって吼え猛る様はまさに獅子奮迅――だが、悲しいかな。もはやれみりゃは単騎であった。 さらに不用意に近づいたみょんを蹴り飛ばす間に、今度は左腕が噛み千切られた。両腕がなくなると、腹と足が噛み千切られる まで一瞬だった。 「ううぅぅぅっ、う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!」 もはや立つ事もできなくなった体をパージして顔だけとなり、それでもなお前へ、前へと目指す。 そこに、さっき聞こえた笑声の主がいるはずだった。この群れの意志を支配する存在がいるはずだった。 そいつさえ殺せば、そいつを殺す事にしか、この場を切り抜ける可能性をれみりゃは感じとることができなかった。 そして、その可能性は結局の所、ほんの欠片ほども残ってはいなかった。 「うううぅっ……うびゅいいぃぃぃっ!!」 「うさっ♪」 「げーら♪」 頭をパージして、二度ジャンプした。 二度ジャンプしただけで、両脇から飛び掛ってきたゆっくりにプレスされ、地べたに落ちた。 「う゛ぅぅ……う゛ーっ! う゛っう゛う゛ぅ゛ぅ゛!!」 最初に感じたのは潰された痛みと、地面に打ち付けられた痛み。 それを圧倒したのは、助かる見込みが完全にゼロになったという恐怖。 「ぼうやべべええぇ、おでがいじまづうぅぅ!!」 聞き入れられることなんかない、そう知りつつれみりゃは命乞いを叫んだ。 自分が何匹殺したか、自分の家族がどれだけ殺されたか、そんなことは頭の中になかった。 「うさうさ☆ いいよやめてあげるよ♪」 「……うー?」 一瞬、痛みと恐怖が消し飛ぶかと思った。 次の一瞬に、それが錯覚だったと思い知った。 「……これいじょうばらばらにして、あんたまでおうちでひめさまのごはんになるまえにしなれちゃこまるからね♪」 「げーらげーら!!」 それくらいなら、まだしなないでしょ。 うさぎ耳のゆっくりたちは、そう冷たく囁いて笑っている――当たり前の事だが。母れみりゃの最初の予感が、正しかったのだ。 「ぃ……ィやだどおおおおおぉぉぉぉぉぉ……!!」 「れいむのおくちのなかでゆっくりしていってね!」 「ばらばられみりゃをうんぱんするね!」 「ゆっくりひめさまのごちそうになってね!」 泣き喚くれみりゃの体に数多のゆっくりが群がり、その体を手際よく解体していく。 れみりゃの強力な生命力も見越して、生死のぎりぎり、中身が漏れぬよう、適度に塞がるよう。 周囲を削り取るように、抵抗力を完全に奪って運ぶのだ。 「ゆっくり!」 「ゆっくり!」 作業が進むにつれ、長く響いていた泣き声は徐々に擦れ、小さくなり、ゆっくりたちの声の中に消えてゆき。 やがて一際大きなれいむの口に収まる程度にまで縮小される頃には、限界ぎりぎりまで体を剥ぎ取られたもうれみりゃの声は 聞こえなくなっていた。 五体ばらばらにした母れみりゃ、肉片となった父れみりゃ、完全に怯えて抵抗の意志も見せない赤れみりゃ。 そして両親れみりゃに殺された、百に迫る仲間のゆっくりたちの死体。 その全てを『獲物』として、未だ数百を数えるゆっくりたちの隊列は『おうち』への帰路に着く。 「……んーっ。かなりへったかな」 「げらげら!」 「まあもんだいないよね」 「げらげら!」 わかっているのかいないのか。 同じように仲間――というより配下の隊列を後ろから眺めながら、ただげらげらと笑うだけのうどんげに構わず、てゐは体を 前に傾けて頷くような仕草を見せた。 「うーん、だよね。へったぶんは、ひめさまとおししょうさまがつくればいいんだし」 「げーらげらげら!」 少し、うどんげの笑い方が変わった。何か意味のある内容なのかもしれない。 それの証拠にゆっくりてゐのウサギ耳がぴょこんと動き、彼女はにんまりと皮肉っぽい笑顔を見せてうどんげの方に頷いた。 「うさうさ☆ じゃ、かえろっか」 * * * 「ゆっくりしないでね!」 「ゆっくりいそいでね!」 既に季節は冬の入り。本格的な降雪はまだだが、外界には既にろくな食べ物がない。 本来なら、ゆっくり達は既に餌を巣穴に溜め込んでゆっくり冬篭りに入っていなければならない季節のはず。 となると、今聞きなれた挨拶の声に送られて落ち葉に埋もれた巣穴から飛び出してきたみょんとちぇんの二匹は、十分な食べ物を 集め損ねた怠け者ということになる。 ここが普通の巣であるなら、という但し書きがつくのだけど。 「ちんぽー!」 「わかるよー、ゆっくりいそぐんだねー!」 凍月は既に山の上に上り、飛び出したみょんとちぇんはちっともゆっくりしてない忙しなさで一直線に走り去ってゆく。 周囲の様子には脇目も振らない二匹の表情には、どこかしら作り物めいた笑顔が張り付いていた。 愛で派と呼ばれる人々からは愛くるしいと、虐待派と呼ばれる人々からはふてぶてしいと称されることの多い大きな双眸には意志の 存在が見られない。 生き饅頭がゆっくりと呼ばれる所以、『こころ』の存在が、どこにも感じられず――しかしこの生き饅頭たちもまた、ゆっくりと 同じように喋り、飛び跳ね、駆けて行くのだ。 「ゆぅ……もんだいなくおわれば、いいのだけどね」 全速力で徐々に遠ざかっていく二匹の姿を見送って、入り口に佇むえーりん種がぽそりとかすれた呟きを洩らした。 このえーりん種は、ゆっくりであると確かにいえる。見詰める両の眼差しには、確かな意志と知性の力が宿っているからだ。むしろ ゆっくりにしては不相応なほどの強い光を宿した両眼を不安に揺らがせ、えーりんはその場を動かない。 「じゃお?」 まるでアストロンでも掛かったかのように身動きを止めたえーりんに、背後に控えるめーりんが気遣わしげな声を掛けた。 どうやらこの巣穴の門番らしい。その気遣いはえーりんの様子というよりはこの寒い中に開け放たれたままの入り口へと向けられて いるのだろう、自分と『扉』――枯れ枝と枯葉を組み合わせ、少量の餡子で固めたもの――を見交わすめーりんに冷ややかな一瞥を投げ、 えーりんはわざとらしい溜息を一つ吐く。 「……ゆっ。わかったわ、しめてちょうだい」 「じゃおっ!」 きびすを返すえーりんの後ろで、手馴れた様子で数匹のめーりんが手早く扉を閉ざしていく。 扉が覆う面積を増すに伴って巣穴の中を照らす光量は乏しくなり――だがしかし、ゼロにはならなかった。 ぼぉっと巣穴を包み込むのは、月のように淡く儚い金緑色の光。 その光が照らし出すのは、深く深く、冥府まで招き入れるような外界の光を拒む大きな洞穴。 「ひめさまにほうこくしないと」 その光――巣穴(それは既に洞穴に近い)一面にヒカリゴケが生み出すエメラルドの輝きに照らされて、えーりんはゆっくり二匹が 行き交えるほどの道を急いだ。 目指すはこのコロニーの長、何もしない支配者、『ひめさま』と称されるゆっくりかぐやの下である。 真社会性動物、という生き物の一群が、外の世界には存在している。 というよりも、幻想郷の中にもそれらはいる。スズメバチやアリの仲間がその代表で、哺乳類にもネズミの仲間が一種のみ存在する。 名前に社会性とあるように、その特徴は多数の同種で共同社会を作り上げて生活する点にあるが、真社会性動物は人間他の哺乳類の ような社会性動物とは幾つかの点において違っている。 一つには、繁殖活動を行う個体と行わない個体がカーストとしてはっきり分かれていること。 一つには、共同して子供の養育を行うこと。 一つには、複数の世代に渡って共同生活を営むこと。 少なくともこの三点、特に不妊の個体が存在する事が重要な要素となる。 繁殖個体は目的にあわせて数多くの子を生む。 生むだけで、育てない。子を育てるのは、ある程度育った他の子供。その中でも労働カーストに育った個体だ。 兵隊カーストも育児や餌集めには参加しない。その代わりに、巣穴の防衛という重要な任務がある。 この巣穴に暮らすゆっくりの群れも、まさにその真社会性に区分される成り立ちから形作られた群れだった。 辺境にしか住まない上、地中でその生活の大半を過ごす生態のために、一つの群が大きい割には人にはその存在を知られていない。 ゆっくり達も、辺境地域の群れ以外はあまり知ることはないだろう。 実際、不幸にして中央から流れてきたあのれみりゃの家族はこんな存在を知らないがために、安易に彼らが支配する領域に 住居を構えてしまったのだ(もちろんこの地にも彼らの巣の先住者のように、家族単位で暮らすゆっくりも多くいるのだが)。 全てのカーストに属するゆっくり達が、ほとんど例外なく目的別に産み分けられた親族だ。真社会性を持つゆっくり種は、女王が どの種であるかに関わりなく、作業目的によって子を産み分けられるらしい。 働きゆっくりはれいむやまりさ、ぱちぇりーやちぇんなどに。 兵ゆっくりはめーりんやみょん、より上位の個体としててゐやうどんげに。 昆虫や鼠に比べれば多少の知恵を持つゆっくり独自の特徴的な例として、知的労働階級としてえーりんが存在する。 そして繁殖階級即ち女王として――まあ、この巣では女王はおらず、ひたすらに怠惰な姫君が代わりに君臨しているのだけれど。 「ひめさま」 「ゆっ。えーりん、ゆっくりしなさい。おいしいれみりゃはてにはいった?」 報告に入るなり、奥の間から掛けられた言葉に側近のえーりんは脱力する思いだった。 もともと、この冬場に働きゆっくりと兵ゆっくりを大勢繰り出してれみりゃ狩りなんぞを試みたのは、完全にこの引き篭もりの姫君が 唐突に言い出したわがままのせいである。 最大で数千にもなるこの種のゆっくりの巣だが、通常種でも同種を捕食するようになる特性にあわせて、枯れ葉と排泄物を混ぜ合わせた 『畑』で巨大キノコを栽培するなどして食料状況に問題はないのだ。 ……支配者の気まぐれでこの手の贅沢を言い出さない限りは。 普段はほぼ先天的に自由意志を奪われた働きゆっくりの姉妹を馬鹿にしながらも、こういう理不尽に付き合わされる時ばかりは 自由意志があるばかりに直面させられる悩みに苦しむえーりんである。 「ゆっ、今はそれどころじゃないの。じゅんかいの『つきのししゃ』が、よそのむれにこうげきされたのはおぼえてる?」 目標を捕獲した、という情報は入っていたが、えーりんはとりあえずその問い合わせを一蹴した。 れみりゃを捕獲したうどんげとてゐの狩猟部隊が、同時にもたらした報告のほうが何倍も重要だったからだ。 つきのししゃ――かぐやの巣では、兵ゆっくりはそう呼ばれる。冬場であるにも関わらず、縄張りの巡回に借り出された『ししゃ』が 正体不明のゆっくりに襲撃されたのは、一週間ほど前のことだった。 正確には最初に次々と襲われたのは働きゆっくりで、兵ゆっくりは生き残りの連絡を受けて見回りに出かけたところを襲われたという 順番である。 ただ、地上に出かけた働きゆっくりが天敵に襲われて連絡を絶つなんて事はいつものことなので、生き残りの報告が出るまで誰も問題 だとも思っていなかっただけだ。 この群れのゆっくり達は、かぐや種とえーりん種以外の生命の維持に関心を払わないのである。 「ゆぅ? おぼえてるけど……もこうのしわざじゃなかったの?」 そのことは、かぐやもまだ覚えていた。しかし、同時にすでに解決したものだとも思っていた。 このかぐやの巣から森を一つ挟んだ向こうに、やはり真社会性を持ったゆっくりもこうを女王とする群れの巣穴があった。 かぐやの群れとは代々縄張りを巡って対立し、何度かお互いの巣の奥深くにまで攻め入るほどの激しい戦い――増えすぎたゆっくり 人口の調節という側面を強く持つ――を交えた宿敵と呼ぶべき相手だ。 お互いに同等の勢力を持つ群れである為に、屋外の戦いで勝利しても相手の巣穴を攻め切るまでには至らないまま泥沼の抗争が続いて いる両者が、そろそろ前の戦いから随分時間が経っている。 そろそろあちらの動きがあってもおかしくない頃合だから、どうせまた小競り合いでも起きたのだろうと思っていたのだが。 「それもかのうせいとしてはきえていないけれど……」 「ゆぅん。べつのよそものがみつかったのね」 言いよどむえーりんの様子に、かぐやはその先を察して面白そうに口の端に笑みを灯す。 かぐやもえーりん同様、ゆっくりにしては知性の高い種だ。普段は何事にも面倒くさがりな正確が災いして通常種ゆっくり以下の 鈍重さを見せるのだが、興味が沸いたことには積極的になることもある。 「どこからきたかしらないけど、ながれゆっくりをみつけたわ。ドス、とかいうまりさがじょおうらしいの」 ドス、という言葉を口にした時、えーりんはまるで知らない未知の何かについて話す人特有のあいまいな表情をした。 ゆっくりかぐやにしても、人間が首を傾げるように頭部しかない体をやや右に傾けて、聞きなれない言葉が意味する所を探りあぐねている。 二匹は『ドス』が何を意味するか知らなった。通常のゆっくりと異なる習性に生きる彼女たちに、ドスとなる個体は存在しない。 繁殖種はゆっくりを他のゆっくりさせる存在ではなく、他のゆっくりにゆっくりさせられる存在だからだ。 だが、群れの経験が培ってきた知識としては知らずとも、どこかざらついた感覚が『ドス』について思うたびに餡子脳を這い上がる。 なにか、ゆっくりとしての本能というべき部分が二匹に強く訴えかけていた。それと戦うべきではないと。 それはただ大きいだけではない。まともに正面から戦ってはいけない存在だ。 戦いを挑めばゆっくりできなくなってしまうかもしれない、と。 「……ゆぅ。どうせふゆなんだし、ゆっくりしすぎたやどなしなんてほっておいてもいいんじゃないの?」 「いいえ、ながたびでよわってるみたいだもの。いまたたかったほうがらくにかてるわ」 だがその本能から来る警告が二匹に齎した結論は、まるで正反対のものだった。 即ち、根が怠惰なかぐやが選んだのは、いずれ消え去るだろう存在をはじめから無視するという選択肢。 即ち、根が慎重なえーりんが選んだのは、或いは生き延びるかもしれない存在をあらかじめ除去するという選択肢。 どうして、とは聞かない。理由ならお互いわかっているから。 相反する結論を得た二匹はお互いにしばし無言で見詰めあい、沈黙の中に相手の反応を待ち続ける。 「……ゆゆ。わかったわ、えーりんにまかせる」 ……ほどなく、先に折れたのはかぐやだった。 この群れの『ひめさま』であるかぐやの役割は、考えることでも決断をくだすことでもない。それはえーりんの役割だ。 だから、かぐやはえーりんの判断にことを委ねた。 そうだ。群れでのかぐやの役割は、知的労働ではない。 「わかりました。ではひめさま……なにを?」 兵ゆっくりや働きゆっくりに新たな指示を出す為、ひめの間を辞去しようとしたえーりんが、当惑を隠さぬ声で問うた。 それもそのはず、いつの間にかえーりんのすぐ側に寄り添ったかぐやが彼女の頬を甘噛みしてきたからだ。 「ゆっくり、していきなさい」 「かぐや、いまはそんなこと」 「ちいさいけど、いくさなんでしょう?」 かぐやは、繁殖相手としてえーりんを求めているのだ。このゆっくりできそうにない忙しい時に。 えーりんもこの世代が一つ下の主君とは、もう長い付き合いである。呆れと共に姪の意図を理解して、とんっと軽く突き放す。 だが窘めようとするえーりんにさらに体を寄せて、ゆっくりの姫君は蕩けるような笑みを血縁でいえば叔母にあたる腹心へと向ける。 「ししゃのかずがへるぶん、かわりをつくっておかないと……ね?」 「……もう、かぐやったら」 かぐや種は同種に働く強力なフェロモンを持つという。 それでなくともかぐや種と強い相互依存性で結ばれたえーりん種が、その誘いを拒むことはゆっくり離れした知性をもってしても難しい。 それ以上えーりんは拒絶の言葉を口にすることなく、かぐやを受け入れた。 ヒカリゴケの燐光の中、二匹の影が一つに重なる。 明日には多くの働きゆっくりの実が、かぐやが長く延ばした茎に連なるだろう。 そして巣は何事もなかったように日常を続けるのだ。 一握りのゆっくりを、ひたすらに他のゆっくりがゆっくりさせ続けるだけの日常を。 続
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5159.html
精神的にゆっくりをいじめたい話 (なまぬるいよ!) 「はい!今日は待ちに待ったれみりゃの特別な日です!」 「うーっ♪」 「何の日かわかるかなぁー!?」 「う?うーうー!」 「人の言葉を喋れよ豚まん!」 ドゲシッ 「うえええええん!!!」 「あ、泣いてしまった。まあいいか、エムっけあるしこいつ」 やあ。僕は虐待お兄さん。 エムっけのあるれみりゃを飼っているよ! 今日はゆっくりを精神的にいじめるトレーニングをしよう! 虐待お兄さんたるもの、トレーニングはかかさないよ! じゃあ、一つ目いってみようか! このトレーニングでは、れみりゃと、適当なれいむやまりさを使うよ!飼っているれみりゃに協力してもらうことにしよう! さて、今回使うれいむとまりさは、番だけども、 このまりさ、一度試したことがあるからわかるけど、れみりゃに襲われたりしたら番を見捨てちゃうんだ! 前のお嫁さんはそれで死んじゃったんだよねー。 じゃあ、早速虐待部屋にれいむとまりさを放そう! 虐待部屋はバカがつくほど広いんだ。虐待お兄さんたるもの、虐待ビデオでお金を稼いだりもするから虐待部屋は広くて損はないよ! 「ゆゆっ?おにーさん!なにここ?ゆっくりできるの?」 「ゆっくりできるんだぜ?」 「ゆっくりできるよ。ほら、草もいっぱい生えてるし、ちょうどいい洞穴だってあるよ。ほら、あっちに」 「ゆゆ!!まりさたちはここをゆっくりプレイスにするんだぜ!!」 どうやら気に入ってもらえたらしい。 虐待部屋は自然に近い状態にするのもアリだと思うよ。 ま、洞穴のとこは、火炎放射器とかを壁に隠してあったりするけどね…。 「ゆっ!まりさ!きょうはれいむがごはんさんとりにいくよ!」 「いいのぜ?」 「れいむにまかせてね!」 「わかったぜ。いってらっしゃいのぜ!」 ぜっぜぜっぜうるさいなあ。あ、監視カメラやマジックミラーでの観察は必須だね。状況がよくわかるから。 しかしれいむは健気だね。新居に移ったその日から食料集めかあ。 「ゆゆーん!おいしそうなりんごさんだよ!」 「ゆ?あまあまさんだあああ!!わーいわーい!ゆっくりできるよぉ!」 リンゴを見つけたか。栄養たっぷりだぞ、ふふふ。 え?あまあまさん?あ、レイパーれいむを3ヶ月かけて作り出した時に犠牲になったゆっくりの亡骸が残ってやがった! 「まりさ!これできょうとあしたはゆっくりできるよ!」 「あまあまさんもあるのぜ!れいむはすごいのぜ!」 「ゆふふふー、まりさには負けるよぉ」 「ゆふふふふ」 結構仲いいのな。さて、1日ゆっくりさせたら、翌日まで放置していて大丈夫。 あ、レイパーれいむの話でもしようか? レイパーれいむは、お兄さんが秘蔵の妄想自作マンガや工口画像を見せたり、 すりすりしまくったりした結果に出来たものだよ。 完成した後は虐待部屋でテストしたんだけど、レイパーありすと違って警戒されないから、どんどん犠牲になっていくんだよ。 でも一応母性が強いれいむだから、レイパーありすと違い、犠牲になったゆっくりの子供には子守唄を聞かせたり、 朽ちた犠牲者の中身を食べさせたりするんだよね。なんか偽善者っぽくて笑える。 この前はゲスなドスの群れに潜入させたっけな。 さて、朝になったられみりゃを放して虐待部屋のゆっくりを蹂躙! といきたいところだけど、 れみりゃと適当なれいむをセットで放す。 放すタイミングが重要で、そうだな、今回はれいむが出てきた時にしよう。 そら、出てきた。二匹とも!!いけ!!! 「ゆ〜、きれいなおそらさんだよぉ〜♪」 「ゆ?なにかきこえるような?」 「ゆぎゃあああああ!!!いだいよおおおお!!!」 「う〜♪う〜♪」 「ゆっ…れみりゃだ!見つかるまえににげるよ!」 このれみりゃにはわざとセットになったれいむのみ食べるように言ってあるけど、 野良れみりゃとかにやらせるとトレーニングの予定が狂うこともあるので、気を付けないとね。 「まりさぁ!!れみりゃがいたんだよ!!」 「なにいってるんだぜ?ここはゆっくりできるはずだぜ?」 「でもほんとにいたんだよぉ!!」 「ゆう…ゆっくりできないのぜ」 「だいじょうぶかなぁ、みつからないよね…?」 「だ、だいじょぶにきまってるぜ!まりさはさいきょうだからみつかってもたおせるぜ!」 「そそそそうだよね!大丈夫だよね!」 2匹に「ゆっくりできないれみりゃがいる」と思わせるのが先の行動の目的さ。 では、2匹とも出てくるまで待とう。 出てきたら、少したったぐらいでれみりゃを放す。 れみりゃには「れいむを頭に乗せて一緒に遊んでやってくれ」と言ってある。 ここが今回のトレーニングの要さ! 「ゆゆーん、すてきな花だよぉ」 「れいむにあげるのぜ!」 「ゆっ!すてきなぷろぽーずだね!」 「ゆへへへへ…」 「うー♪」 「「どぼじでれみりゃがいるのおおおおおおおおおお!!!」」 「れ、れみりゃだよ!まりさ!」 「わわわかってるのぜ!!でも、でも…まりさはたたかわないのぜ!!!」 「ゆううう!?どぼじでえ!」 「れいむがおとりになって、まりさをにがしてくれるからだぜ!あばよ!!」 「ゆぎゅうううう!おいてかないでよおお!ひどいよ!うらぎりものぉ!!」 想定通り、まりさはれいむを見捨てたよ。語尾にぜが付くまりさはこういう行動が多いんだよなあ。 「うー♪」 「ゆうう…ひとりでもたたかうよ!」 あれ、勇敢だな。ボインボインとれみりゃに体当たりしているぞ。 「うー!」 「きいてるの!?きいてないの!?わからないよおお!ううう!!」 そんなちぇんみたいなセリフを喋らなくても。 「うー」 「…ねえ、たべないの?どうして?」 「うー!」 「ゆー、ふしぎなれみりゃだよ!」 「うー♪」 「のっけてくれるの?」 よしよし。 「おそらをとんでるよお!すごいよ!れみりゃはゆっくりできるよ!!」 「うーうー♪」 それじゃ、ここでお兄さんが登場だ。 「れいむ、楽しんでるね」 「ゆゆっ!お兄さん!ちょっとこわかったけど、ゆっくりできるれみりゃもいるんだね!!」 「そうだよー。実はそのれみりゃはお兄さんが飼っていたんだよ」 「じゃあおともだちになれるの!?」 「なれるよ。あ、心配しなくてもいいよ。れいむをエサになんかしないから」 「あんしんしたよ!!ゆ、でも、あのまりさは…」 「せっかくだからからかってやろう!」 「いいあいであだよ!!れみりゃ!まりさをおいかけてね!」 お兄さんは退室して、また外から様子を見るよ。さあクライマックスだ! 「ゆっぐ、ゆっぐ、ばかれいむはぎせいになったのぜ!まりさはいきのびるのぜ! ごはんもひとりじめできるし、ばかれみりゃさまさまなのぜ!!」 「まりさ!ゆるさないよ!」 「どぼじでれいむがいるのおおおお!!ばかれみりゃにのってるじいいいいい!!」 「れみりゃがのっけてくれたんだよ!ひどいまりさはれみりゃものせないっていってるよ!!」 「う゛ー!!」 「ぢぐじょおおおお!!!ばがでいぶどもどもぶっごろしでやるうううううう!!」 「うーーーー!!!」 「どぼじでだいあだりあだらないのおおおおおお!!」 いいぞ!れいむと一緒にまりさの攻撃をよけ、自分から手は出さない! 精神的に追い詰めるんだ! 〜30分後〜 「ゆ…ゆ…つかれた…」 「うー」 「まりさはゆっくりれっとうかんをかんじてね!」 「ゆ…ゆ…もうやだ…」 まりさはかなりストレスがたまっているはずだ! もう少しだ! 「まりさはもうたのまれてもけっこんしてあげないよ!」 「ゆ…ゆ…ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆっゆゆyっゆゆゆゆゆゆゆうゆゆゆゆゆいうるゆゆるうゆうゆゆゆゆゆゆゆゆ」 「ゆ?まりさのあたまがおかしくなったよ!」 「うー♪」 「そうだね!おにいさんのところにいこうね!」 フィニッシュだ!まりさはストレスのあまり気が狂った! しかし、トドメがあの一言か。まりさも一応れいむの事を好きではいたようだなあ。 あ、れみりゃきた。 「おまえたちはれいむの部屋で一緒にゆっくりしててね」 「うん、わかったよ!」 乗せてしかも飛んだまま移動しているって不思議な光景だわ…。 さて、後始末はお兄さんがやらないとね。 「YUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYU」 「まりさ」 「湯があああああああああああああああああああああああああああああ愛wf呪医あああああああああああああ ああh著tvwskkhvwヂvhfdvgfgvhsfsgrjjtbsjvレkjjkレjjgレjjgレjhgrhケvkレwjvgkjvgrケtvkレvghレvhレgvjレvgレkvgレkvgレkゲrkj」 「死ね」 ブチッ 「……ゆ゛っ゛…」 悲しい最後だなぁ。それじゃあ二つ目いこう。 二つ目のトレーニングは、シンプルに、レイパーありす50匹をつめこんだ部屋に適当なれいむを入れるんだ。 レイパーありす50匹は一歩間違えれば危険な代物。トレーニングが終わったら、潰すなり、鎮めるなり、 はたまた君がHENTAIならその性欲を自らの性欲でうちたおすのもアリだよ! ともかく、れいむを入れる前に、ありすのいない空間を作って、外から入れないように仕切りを作るんだ。 そうしないと、こうなる。 「ゆっくりしていっでねえええええ!?でぎないよおおおお!!!」 「はあっ、はあっ、はあっ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 3匹のありすにこすられまくって、犯し殺されてしまうよ。 運が悪いと、子供が生えたのに反応してキモいことを口走るよ。 「はあ、はあ、ありすとれいむのあいのけっしょうなのねえええええ!! さらなるあいをあたえてあげるわあああああああああああああああ!!!」 と産まれてもいない子供に突進。これはひどい。死ね。 本番といこうか。 「ゆっくりしていっで…エレエレエレエレエレエレ」 「はいてるれいむもがわいいいよおおおおおおおおお!!!!」 周りを囲むレイパーに気付いた瞬間、激しく嘔吐した。 一応れいむがいる場所を居住空間として、嘔吐物やうんうん、しーしーをする穴(穴の先は排泄物置き場。これはまた別の虐待に使うこともあるよ!)や、 水飲み場、おふろ(浅いものじゃないと溺れちゃいます)、遊具やベッド、緊急時のオレンジジュースを用意しておこう。 「はあ…はあ…おれんじじゅーすさんがあるよ…ゆ、ゆう、あぶなかったよ…」 「はあはあはあはあ…どぼじでれいむにごのあ゛いをづだえられないのがじらあああああ!!!!!」 「こ、こないでね!!!…あれ?これって、ありすはこれないの?」 「ううううううううううううううう!!!!ぐるじいいい!!あいをおおお!!!」 「ゆ、ゆう…うるさいしきもちわるいからゆっくりできないけど、これならやっていけそうだよ」 と、まあ、ありすを放置プレイしつつ、れいむに普通に生活させる。 一度でもお兄さんとか元の母親の姿をみているゆっくりだと、ストレスですぐにさっきのまりさのようになるから気を付けて。 さて、ここでこのトレーニングのターゲットを明かそう。 そう、ターゲットは実はれいむではなくレイパーなんだよ! レイパーは実はその愛(笑)を受け止めてくれる相手がいないと…おっと、これはヒミツ。 それじゃ、一日1体、ゆっくりを投下するよ。 「ゆっ?レイパーだああああ!どぼじでごんなにいるのおおおおおお!!!」 「まりさああああああ!ありすがあなたをほねぬきにするからねええええ!!」 「やべでよおおおおおお!ずっぎりじだぐないいいいいい!!」 五日経ったら、二日に1体にシフトするよ。 さらに三日経ったら、一気に1週間に1体にする。 こうなると、ありすは阿鼻叫喚。 「ぐるじいいいいい!!!!」 「ゆゆう、きもちわるいよ!こっちこないでね!」 「でいぶうううう!!ごっぢぎでずっぎりじまじょうよおおおお!!」 「やだよ!あっちいってね!」 人間のようにはいかず、一人では性欲をためこむばかり。 レイパーどうしですっきりはしないので、どうにもならない。 ありすたちが不満を口にし始めたあたりで、まりさをれいむの居住スペースに投下。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!ゆ!?レイパーだ!!!」 「大丈夫だよ!こっちにはこれないから!ゆっくりしようね!」 「ゆ、ゆ!ほんとだ!ゆっくりしようね!」 しばらく置いて、仲良くなったら照明を薄暗くする。 夜のような感じでね。 「ゆ…夜なの?」 「でもいままで夜にはならなかったよ?」 「ゆゆう、まあいいよね」 「そうだね。…ねえまりさ…」 「ゆ?なに?」 「れいむ、あかちゃんほしいよ」 「でいぶうううううう!!!まりざああああああああ!!!!わだじの゛ごどもはらんでええええええええ!!」 「…むししようね。うん、いいよ。」 ありすの目の前ですっきりをさせるというわけ。 「「すっきりー!」」 「ああああああああああああああああああああああああずっぎりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいじだいいいいいいいいいい」 「ゆゆう、いきなりレイパーがいたら怖がらないかな?」 「たぶん、目を開ける前にあんぜんだっていってあげたらだいじょぶだよ」 「そうかなあ」 さて、これでゆっくりした家族生活をはからずもれいむとまりさは見せつけることになる。 ありすは、性欲がたまって、だんだんヤバい状態になる。 「ゆげっ、ゆげっ、、ずっぎり、ずっぎり!!!」 「ゆげじ!!ずぎ!ずぎり!あい!あい!」 「あかちゃん、あれがれいぱーだよ」 「ゆ?きょわいよお!」 「ゆっくりできるよ。あんしんしてね」 「ゆっきゅりちゅるよ!!」 「あぎゃ!!!ずううう!ぎぎぎい!」 これをお兄さんは自爆症候群と呼んでいるよ。 自爆症候群とは、ありすがすっきりできなすぎて自爆することをいうよ。 あ、ほら… パァン!!! 「ゆげええええええええげげげげげげっげえ!!!」 パァン!!!!! 「あああああああ!あいがだりないのおおおおおお!」 パンッ!! しかし中にはあまりのキツさや本来の家族愛を目にして正気に戻る者もいる。 「ああああああああああ!!!……ゆ…ゆ?どぼじでれいぱーがいるのおおおおお!?」 「ゆげっ!ずぎり!ずぎり!」 「いなかもの!ずっぎり!じだくないよおおおおすっきり!!うわあああああすっきり!」 正気に戻ると最早同種ですっきりするのも厭わないようで、即犠牲になる。 このような犠牲者から生えてきた茎を、素早くマジックアームで確保。 オレンジジュース漬けにして素早く赤ゆっくりとして誕生させる。 それら全てがありすであり、またレイパーと元レイパーの子ということで、 ちょっとすりすりしてやったら性欲狂いになる超過敏な爆弾だ。 これを、成長を早める薬を使用しつつ、 レイパーをその愛でうちたおすことを教える。 「ゆゆ!ときゃいはのありしゅがいなかもののれいぱーにときゃいひゃのあいをおしえりゅのね!!」 まあ自覚のないレイパーということで。 大きくなったらレイパーありすの部屋に投下。よく見たらもうありすが30匹ぐらいになってるな。 「あがぢゃあああああああん!!!!ありずのあいをうげどめでえええええ!!!」 「ゆっ!いなかものね!ほんとうのあいをおしえてあげる! んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 「っ゛!!!っ゛!!!っ゛!!!…もっ…っ゛!!!ずっぎ…!!!」 レイパーをレイパーが犯し殺す。不思議な光景である。 また、普通のレイパーとは性質が違うので、なんか、こう、ものすごい。 犠牲になったレイパーの頭からは茎が50本生えている。うわあ。 「すっきりー!!ふう、いなかものはいなくなったわ!!」 「たしかにいなくなったけど、やっぱりきもいよおおおおお!!」 「どぼじでぞんなごというのおおおおおおおおおおお!!」 パァン!!! 成長を早める薬は、精神的な面での成長が遅くなるという欠点を持つ。 ようするに豆腐メンタル、いや饅頭メンタルということで、罵倒されると素早く爆発する。 レイパーが全滅したら、れいむとまりさの家族の待遇は自由だ。 トレーニングの一環として、殺すことにしよう。 「ゆっ!おにいさん!ゆっくりしていってね!」 「うん!ゆっくりしていくよ!れみりゃも仲間に入れてね!」 「え?」 「うー♪」 れみりゃにエサをあげよう! 「れみりゃはむりだよおおおおお!!」 「うー!!」 「いだいいだいいだいいだいいだい!!!!!」 「おかあしゃあああああん!!!」 「うあー!!」 「ああああああああああ!!!」 「うーうー♪」 全滅したぞ! さて、トレーニングはここまで! みんなもゆっくりトレーニングしていってね!!チャオッ☆ 「おにーさん、なんなのこれ…」 「虐待お兄さんに捧ぐトレーニングビデオ 第一弾!らしいけど…」 「なんか…やだ…」 「…もう借りるのやめるよ」 「それがいちばんだよ…」 終 [[このSSに感想をつける 感想フォーム]]
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3973.html
注意 パロディあり 自分設定有り。 れみりゃザウルスと遊んであげました 俺は気まぐれでれみりゃを育てていたんだが、いつのまにかれみりゃザウルスになっていた。 こんなはず無かったのにな? 「う~♪れみりゃはつよぐなっだどぉ♪」 コイツもいつも以上に調子に乗りおって。 「う~♪おいわいにぷっでぃ~んちょうだい♪」 普通お祝いってのは頼んで貰うものではない。 そんなの一般常識だぞ? 元俺のペットのれいむだって…あれ? れいむって誰かに殺された気がする…あ!アイツに殺されたんだ! そんで信頼させてから殺す計画を立てていたんだ! そうだ!そうなんだ!何て俺は物覚えが悪いんだ! ヒャッハァ!!拷問だ!! まず俺は、爪楊枝を持って笑顔でれみりゃザウルスに話し掛けた。 本当はスタンガンでバチィと行きたいけど、某2Pじゃあるまいし、スタンガンないし、 なんとなく不謹慎だし(某2P的な意味で)、着ぐるみが分厚くて電気が通り切らない可能性もあるのでやめた。 「おいれみりゃ。お前何度も言わせるんじゃねェよ」 「う?なんのことだどぉ?そんなこといいからくそじじぃはさっさとぷっでぃ~んもってくるどぉ☆」 「言う事きかねぇクソゆっくりなんかこうじゃ!」 グサァ れみりゃザウルスの目に爪楊枝が刺さった。当然れみりゃザウルスは悲鳴をあげる。 「あがぎゃああああああ!!ざぐやぁああああああ!!」 まあな。俺は癪に障りつつも優しく接してきたからな。 コレは頑張った自分へのご褒美(笑)ってやつだな。自分らしさの演出(笑)とかともいうらしい。 「あームカツク…」 とりあえず爪楊枝を抜く。 「いだいどぉ!はやくおぜうさまのためにおーきゅーそちをするどぉ!!」 うるせぇ。ちなみにおーきゅーそちじゃ無くて応急処置だからな。肉餡脳に刻み込んどけ。 ていうかそんなこと言ってっと逆に虐待されるよーわかってねーと思いながら鋏を持ってきた コレでおててをちょん切ってやるぜ! 「お前が俺の大事なれいむを食ったんだろ!?な?」 チョキン☆ 「ぐぎゃあ!ざぐや!!」 いまだ謎だった着ぐるみの中身は無かった。 そう。着ぐるみが皮だったのだ。 何故わかったって?それは、切った着ぐるみの皮には普通の皮が無く、直接肉餡が入っていたからだ。 「ふーん。れみりゃザウルスってこんなのだったんだ」 そんな暢気なことを言いながら口に放り込んでみた。 「むーしゃ♪むーしゃ♪」 れいむがご飯を食べるときの様に…ってあれ?目から汗が出てきた… 「うああああ!!!まずい!!!ぺっ☆するのぺっ☆」 目から汗を出した理由はれいむのこととあまりのまずさの二つだった。とても差があった。 「うるぜぇ!れびりゃはまずくないどぉ!」 「あらあら。おぜうさまがそんなこと言っていいんですかァ~www」 「れ~みりゃはおぜうさまだがらぁ~ゆるされるんだどぉ♪」 調子に乗りやがって。そんなれいむ以下の希少種なんてコレだ! バチィ! なぜかあったスタンガン。 そしてそれをれみりゃザウルスの肉餡に直接当てた。 「あぎゃあ!ざぎゅぎゃあ!!!なんでごねぇんだどぉ!!」 れみりゃザウルスはジタバタしながら騒いでいる。 糸冬 by.名前ってなんですか? 蛇足 今だにれみりゃのSSしか書いた事無い人間です。 いろいろとヤバかったアレのもうひとつのバージョンです。 こっちは特にヤバくもなく、ザウルスであることをちょっとだけ生かした作品です。 正直、アレについては反省してます。コピペ改変の話で無駄な事書いたしね。 でも私は悪くないんですよーわかってくださいー …すいません。ではここら辺で。