約 632,110 件
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/2228.html
※この作品はれみりゃとお兄さんシリーズの世界観です ※設定も準拠しております ※非常に短いです ※どちらの選択肢を選んでも後味は悪くならない…はずです よろしければどうぞ れみりゃ達のおねだり 今日も今日とて仕事が終わって自宅へ帰る俺。 れみりゃ親子に一秒でも早く会うべく素早く玄関の扉を開ける。 「ただいま~!」 「おかえりだぞぉ♪」 「だっどぉ♪」 ん? れみりゃとちびりゃが玄関で出迎えてくれている? 珍しい事もあったもんだ。 れみりゃが妊娠して以来、いつの間にかそういう習慣がなくなってしまっていたのだ。 「あぅ~♪あぅ~♪」 なんだ? ちびりゃが身体を摺り寄せてくるんだけど。 可愛いんだが…なんか変な感じだ。 「おかばんはれみぃがもつぞぉ♪」 「…は?」 れみりゃがニコニコしながら俺の方へ両手を伸ばす。 『おかばん』…言うまでもなく鞄の事だ。 れみりゃが俺の鞄を持ってくれる? そんなことを俺は頼んだことはないんだが…。 とりあえず断るのもどうかと思ったので、素直にれみりゃに鞄を差し出す。 「う!う~…♪おかばんはれみぃがあずかったぞぉ♪」 れみりゃの肉まんアームでは俺の鞄は重いだろうに。 無理に笑顔を作ってやがる。 れみりゃが俺の手伝いをしてくれるのは有難いんだが…。 突然過ぎて変だ。 「あぅ~♪あぅ~♪」 こっちはこっちでおかしいし。 こいつはそこまで俺に甘えてくるような奴ではなかったはずだ。 親であるれみりゃに甘えるように仕向けたのだからな。 おかしい。 おかしすぎる。 …とりあえず玄関で考えていても仕方ない。 中に入るか。 「ほら、ちびりゃ、中に入るぞ」 「あぅ~♪」 俺はちびりゃの身体を両手で持ち上げ、靴を脱いで部屋の中に入る。 あ~…やっぱ我が家の肉まん達は暖かいわ。 「あぅ~♪だっこはゆっくりできるどぉ♪」 俺の腕の中できゃっきゃと喜ぶちびりゃ。 たまには甘えられるのも悪くないな。 居間に入った俺達。 とりあえず床に座る。 ああ、疲れた。 「ねぇねぇ♪」 「…ん?」 「れみぃにおてつだいできることないかなぁ♪」 れみりゃがニコニコ笑いながら話しかけてきた。 お手伝い? 何を言ってるんだ? こんなこと言われたの初めてだから少しの間呆然としてしまった。 とりあえず何かないか考えてみる。 …う~ん。 風呂掃除でもさせてみるか? れみりゃに出来るだろうか? まあ、本人(本ゆっくり?)がやりたいって言ってるからやらせてみるか。 そんなに難しいことではないしな。 「よし、れみりゃ。じゃあ風呂掃除でもやってみるか?」 「うっう~♪どんとこいだぞぉ♪」 「まんまぁ♪ふぁいといっぱつだどぉ♪」 そんな言葉何処で覚えたんだちびりゃよ。 姉貴か?姉貴なのか? 「…で、スポンジにこの洗剤付けて、この風呂桶の中と床にこうやって泡をつけて最後にシャワーから湯を出して洗い流すんだ。わかったか?」 「うっう~♪れみぃにおまかせだぞぉ♪」 なんだかよくわからないが自信満々のれみりゃ。 得意そうに柔らかそうな肉まんハンドで自身の胸をぽんと叩いてる。 多分根拠はないだろう。 …やっぱ不安だ。 だけどいつまでもそんなこと言っていたられみりゃは何も出来やしない。 ここは一丁やらせてみるか。 「じゃあれみりゃ。頼むぞ」 「せいれんせんにのったつもりでいてねぇ~ん♪」 …それは安心しても良いのだろうか? どこかのドジっ子の虎を連想させるようなドジをやらかさないか逆に不安になってしまった俺であった。 約5分後… 「うぁ~!!おにいざんだずげでぇ~!!」 「あぅ!?」 「…やれやれ」 予想通りだ。 何をドジったのかはわからないが。 俺とちびりゃが風呂場に行くと、全身びしょ濡れになっているれみりゃの姿があった。 「うぁ~…びしょびしょだぞぉ…」 床を見るとシャワーが出しっぱなし。 床や風呂桶に疎らではあるが一通り泡は付いているので、まあ及第点か。 「れみりゃ、後は俺がやるから風邪ひく前に着替えてこい」 「う~…りょうかいだぞぉ…」 れみりゃは肩を落としながら風呂場を出て行く。 ちびりゃもその後に着いて行った。 恐らくれみりゃの肉まんハンドではシャワーの水圧を制御しきれなかったのだろう。 よく考えてみれば、普段はシャワーを使わないからな…。 ちょいと俺も配慮不足だったかもしれんな。 俺はそんなことを考えながられみりゃの後始末を始めた。 「う~…」 「あぅ~…」 風呂掃除を終わって居間に戻ってみると、新しい服に着替え終わったれみりゃとちびりゃが落ち込んでいた。 さっきのミスが原因なんだろうが…。 「れみりゃ、何も落ち込むことはないぞ?お前は俺の仕事を手伝ってくれたじゃないか」 「う~…でもでもぉ…」 れみりゃはそれでも納得がいかないらしい。 う~む…普段は自分から積極的に手伝いを申し出る奴ではないのだが…。 俺の言うことは素直に聞いてくれるんだけどな。 …ん? ちびりゃが何か紙を持ってる。 何だ? 「なあ、ちびりゃ。それ何だ?」 「あぅ!?」 ちびりゃはさっと手に持っている紙を背中の後ろに隠す。 いや、その仕草も可愛いけど…隠し事されるのは少し悲しいな。 といっても無理矢理見る理由もないんだよな。 とりあえずダメ元で頼んでみるか。 「なあ、ちびりゃ。俺にもそれ見せてくれないか?」 「あぅ…」 「う~…おちびちゃん…」 う~ん、やっぱり困ってる様子だ。 仕方ない、どうしても隠したいって言うのなら…。 「あぅ…これだどぉ…」 ん? ちびりゃが持っていた紙を差し出してきた。 見せてくれるのか。 「ありがとな、ちびりゃ」 「あぅ~♪」 帽子の上から頭を撫でてやる。 んで、これは…何だ、おもちゃ屋のチラシか。 何でこんなもん隠していたんだ? 「なあお前達、このチラシがどうかしたのか?」 「う~…」 「あぅ~…」 言いにくそうなれみりゃとちびりゃ。 何なんだ一体。 「そのかみみせてほしいんだぞぉ…」 「ん?ああ、わかった」 俺はれみりゃにチラシを手渡す。 そして、れみりゃはある部分を指差しながらチラシを俺に見せてくる。 これは…『れみりゃ専用 カリスマ☆グングニル』…だって? 価格は…うわ、5980円もするのか。 おもちゃにしては結構高いな。 でも高価なだけあって見た目は本格的だな。 にしても…手伝いを申し出たのはそういう訳だったのか。 こいつらもそういうこと考えるようになったんだなあ。 なんだか成長を感じる。 「う~…」 「あぅ~…」 れみりゃとちびりゃが俺に嘆願の眼差しを向ける。 無駄な出費は出来れば避けたかったのだが…。 う~ん…。 買ってあげる 今回は保留
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1398.html
「つきましたよ、ここです。じゃあ、さっき言った通りよろしく頼みますよ」 頼んだところで、言った通りにちゃんと動いてくれるとは、美鈴は思っていない。 見た目と仕草が可愛い人語を話す豚──と言うのが、れみりゃに対する彼女の評価だ。 「うー! わかってるどぉ~! れみ☆りゃ☆う~♪」 あまりわかっていない。言うまでもなく、当然だが。 下ぶくれのへちゃむくれな、人によってはブサキモ可愛いと思う顔面に、楽しそうな笑 顔を浮かべご満悦のれみりゃは、この種たちが「れみぃのぷりちーさに、みんなまいっち ゃうどぉー」と思いこんでいる仕草をしてから、ゆっくりと件の八匹が眠る朽木に歩み寄 る。 「ぎゃぁお~! た~べちゃ~うどぉ~! うっうー!」 れみりゃは八匹の不運なゆっくりが眠る巣穴を覗き込みながら、この種たちが「れみぃ のこわさに、みんなおちっこじょーだどぉ~」と思いこんでいる威嚇のポーズをする。 これを見て恐怖を感じる人間や妖怪は皆無と言っても良いが、ゆっくりに対しては非常 に効果的である。 「ゆっ! ゆゆゆぅ!? れ、れみりゃー! た、たいへんだよ~!」 「ゆゆゆゆゆゆっ! た、たすけておかーさぁーん! ごわ゛い゛よ゛ぉぉぉぉ!」 「ゆっ! ゆう゛ぐぐぐっ! ゆう゛っ……ゅ……」 「ま、まりさはおいしくないぜ! たべるなられいむをたべるんだぜっ!」 「ゆゆゆっ! ゆっ! たべていいのはれいむとありすだよ! まりさはみのがしてね!」 「ゆっ! ありす、ぱちゅりー! ゆっくりしてないではやくおとりになって、まりさた ちをにがしてね!」 「い゛や゛ぁぁぁ~! ぜっがぐい゛ぎのびだのにぎぃぃぃぃ! ごごでじぬ゛な゛ん゛ でぇぇぇ~!」 「むきゅっ! れみぃ! ぱちぇがぎせいになるから、れいむとありすはたすけてあげて!」 たちまち巣の中は大混乱。 それぞれの性格がよくわかる悲鳴を、ゆっくりたちは上げている。 れいむ母子は愚鈍で他力本願、まりさ母子は狡猾で薄情──と言う世間の認識通り、さ して新鮮みを感じない反応だ。 しかし、ありすとゆっちゅりーの反応は、型通りのものではなかった。 大多数のありすは、このような危機に直面しても「とかいは」のプライドで無意味に強 がるのだが、この一家のありすは早くも絶望に打ち震え嗚咽している。 ゆっちゅりーもまた、危機に瀕しては、混乱する仲間を落ち着かせるか、一緒に怯えて 混乱しクソの役にも立たないかのどちらかな場合が多いのだが、この巣に住むゆっちゅりー はいきなり自己犠牲である。 「なんなのかしらねぇ……れいむとまりさは普通なのに、ありすとゆっちゅりーは妙ね」 巣穴とは逆側の位置に控え、ゆっくりたちに姿を見せず声を聞いていた美鈴は、連中の 悲鳴を聞いて呟いた。 プランをちょっと変更しようかしら──考えながら、れみりゃが指示に外れた行動をし ないか監視する。 「うっうっー! いただきますだどぉ~!」 二匹いる子れいむのうちの一匹を、れみりゃは無造作に掴んだ。 「ゆぅぅぅぅぅっ! やべでぇぇぇ! たべばびでぇぇぇぇ! お゛があ゛さあ゛ん゛!」 母親にすがったところで、この危機を脱せるわけもないのに、捕らえられたれいむは無 駄な悲鳴を上げた。 「い゛や゛ぁぁぁ! れ゛い゛む゛の゛ごども゛があ゛ぁぁぁ! ゆ゛っ゛ぐり゛や゛べ でぇぇぇ!」 その身体の大きさならば、死も辞さぬの覚悟で体当たりすれば、運が良ければれみりゃ ぐらい撃退出来そうにも関わらず、無力で無能な母れいむはただ悲嘆にくれる。 姉妹が大ピンチで、母親が恐慌状態にある中、もう一匹の子れいむはと言えば、 「……ゆぅ……ゅ……ゅ……」 恐怖のあまり失神し、白目を剥いて少量の餡子汁を漏らし震えていた。 この一家のれいむたちは他力本願、臆病、無能、愚鈍と、仮に救おうとする者が現れた としても、生かす価値を見いだしてはくれそうにない体たらくである。 「お、おがぁざんっ! れいむがたべられてるうちにっ、に、にげようよっ!」 「ゆっ! そ、そうだぜっ! ありすとぱちゅりーにとつげきさせれば、まりさたちはに げれるんだぜっ!」 「はっ、はやくっ! ゆっくりしないではやくっ、にげようよっ!」 本人たちは小声のつもりだが、朽木の向こうにいる美鈴からも丸聞こえ大声で、まりさ 母子は一緒に暮らす家族を犠牲にして、自分たちだけが助かるための家族会議を行ってい る。 「うん、決めた。まりさはなるべくひどく殺そう」 不快感に眉を歪め、厚い朽木の壁の向こうで美鈴は呟いた。 元から彼女は、ゆっくりまりさが大嫌いである。 しょっちゅう強引に門を突破し、メイド長に叱責される原因をこしらえてくれる、あの 白黒の魔法使いと顔が似ているにも関わらず、本物の白黒が持っている美点を何一つ持た ず、悪いところだけをグロテスクに誇張したような存在であるため、美鈴は心の底からゆ っくりまりさを嫌悪していた。 「だべよ゛おあぢゅり゛ー! じびだぐなびげど、あ゛り゛ずがぎぜびに゛なずば! ど、 どう゛ぜ……い゛ぎででも゛づらい゛ごどばっがだじぃぃぃぃ!」 涙と鼻水と涎で声を濁音まみれに詰まらせながら、ありすはゆっちゅりーに言った。 「むきゅ! そんなことないわ! ありすはいきなきゃ! いままでつらいじんせいだった ありすには、しあわせになるけんりがあるの!」 頬を膨らませて、ゆっちゅりーはありすを本気で叱った。 「おあぢゅり゛ー……う゛う゛う゛っ、あ゛、あ゛じがどお゛ぉぉぉぉぉ!」 自らが分泌した液体でべしょぐしょな顔面を、ありすはゆっちゅりーに擦り付けながら 慟哭した。 たいがいのありす種は、このように肌と肌を接触させると、たちまち発情し淫乱ビッチ なセックスアニマルと化す事が多いが、このありすはただ身を震わせて泣くだけである。 そんなありすを優しく、愛おしそうにゆっちゅりーは受け止めて、 「むきゅ! ありすぅなかないでよぉ……げんきださないと、ゆっくりできないわよ」 顔に向かって舌をのばし、すごく汚らしい各種液体を舐め取ってやる。 とても微笑ましいが、見る人の感性によってはちょっとキモいと思う光景である。 「ますます妙ね……変なありすとゆっちゅりー」 気の流れを把握する事で、見なくともどのように動いているかを察知できる美鈴は、テ ンプレに外れた動きをするこの二匹に強い興味を覚えた。 「まぁ、まずは作戦を進めましょう……どうするかは後で考えよう」 この後の二匹の行動次第では、生かしておくもの面白そうだと美鈴は考えた。 「うっうー☆ あ゛ぁ~ん!」 大きく口を開いて、れみりゃは手に持った子れいむを、その中へ放り込もうとしていた。 このサイズのれいむならば、どうにか丸ごとに口に納められるので、全てを口に入れて からゆっくりと時間を掛けて咀嚼するつもりである。 「こらっ! 違うじゃないの」 プラン外の行動をれみりゃが取り始めたのに気付き、死なず肉体が損壊せず程度の威力 に手加減した気弾を二発放った。 「うあっ! あっぶないどぉ~!」 カッ! 「……えぇっ!」 なんと、れみりゃは美鈴の放った気弾をグレイズした……! 「し、信じらんない……なに、このれみりゃ……」 あまりの事に呆然となる美鈴。 本当は、うっかりと自機狙いではなく、対象の左右に広がる2way弾を放ってしまい、 それに対してれみりゃが片方に向かって鈍重に近づいたので、偶然グレイズとなっただけ の事なのだが、美鈴はその事実に気付かなかった。 弾の速度がもっと遅ければ、むしろれみりゃから当たって行くと言う結果になったのだ が、ちょっと弾が速すぎたのも、この希有な偶然の発生を助けたのである。 「う~、いそいでたべて、おうちかえるどぉ~! あむ゛っ!」 「ゆ゛っ!? ゆ゛ぎゃっ!」 れみりゃは手に掴んだ子れいむの頬にかぶりついた。 「むぐむぐ……あっまーいどぉー♪ うまうま♪」」 急いで食べるのならば、丸ごと口に入れるのが最も早いのにも関わらず、れみりゃは愚 かにも普通に一口ずつ食べている。 「ゆ゛ぎゃ! ゆ゛ぎぃぃぃぃ! い゛だい゛ぃっ! お゛があ゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛ん!」 表皮ごと中の餡子を食いちぎられる激痛に、子れいむはこの世の終わりが来たような悲 痛な叫びを上げた。不運な事に、この程度では致命傷には至らない。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ! べびぶの゛ごどぼがあ゛あ゛あ゛あ! だべな゛びでぇぇ ぇぇぇ! や゛べでぇぇぇぇぇぇっ!」 餡子をわけた子供が食われるという、親としてとても辛い光景を見せつけられ、母れい むは泣き叫び、我が子の助命を嘆願する。 ただ泣き、悲鳴を上げ、お願いするだけで、事態が好転するほど世の中は甘くないのだ が、身体の芯から甘い餡子で満たされている、この愚劣で下等な安息ばかりを求める生命 体は、そんな簡単な事もわからない。 この母子のように、れいむ種が悉く愚鈍で無能な虫けら並の存在と言うわけでもなく、 中にはもうちょっとはマシな個体も存在するのだが、大多数は似たり寄ったりである。 「いい? まりさがあいずしたら、いっせーのせでとびだすんだぜ?」 「ゆっ! わかったよ! あのれみりゃがれいむをたべおわって、おかあさんれいむにお そいかかったら、だね?」 「ありすとぱちゅりーは、ほんとうにやくたたずだね! まりさたちのためにたたかいも しないで……ここでゆっくりしねばいい! ゆっくりくるしんでしねばいいい!」 ゴミクズどもは、外敵がれいむを最初の標的としているのを察して、具体的な逃走プラ ンをほぼ完成させていた。 狡猾で薄情なこいつらは、その愚鈍さにつけ込んで、今まで散々に利用してきたれいむ 母子を生け贄とし、奴隷のようにこき使い罵倒し虐めてきたありすとゆっちゅりーを置き 去りにして、この場から疾く早く逃走する気でいる。 ちなみに、今ちょうどれみりゃに食われている子れいむは、母まりさが母れいむで性処 理した際に出来た子である。 子まりさは、母れいむが母まりさに命じられて、タチ役をやらされた際に出来た子であ るから、れいむ母子とまりさ母子は世間的に考えるならば普通に家族であった。 にもかかわらず、母まりさは妻であり夫である母れいむも、自らのタネ餡子粒によって 生まれた子れいむも、自分と自分が産んだ子のために積極的に犠牲にする気である。 母が母なら子も子で、自分たちを作る元になったタネ餡子粒を提供した母れいむと、母 体違いの姉妹である子れいむを、自らが助かるために容赦なく犠牲とする事に対して、何 の痛痒も感じていない。 「んっ、ぱちゅりー……ありがと……もう、だいじょうぶよ」 ゆっちゅりーの努力によって落ち着きを取り戻したありすは、こんな危機的状況には似 合わない微笑みを浮かべた。 「むきゅーん、ありすぅ……ぱちぇがんばるから、ちゃんとにげていきのびてね」 「ううん、むりしなくていいわ! ぱちゅりーがしんでありすだけいきのこっても、いみ ないよ! いっしょににげるのよ!」 相変わらず自己犠牲に固執しているゆっちゅりーを、今度はありすが叱咤した。 「むきゅきゅぅ~、うれしいけどそれはむりよ……あのまりさたちがいるから、ぱちぇと ありすはすていしにされるうんめいだわ……むきゅ……」 薄汚いゴミクズどもの卑劣な考えを見通しているゆっちゅりーは、ありすの楽観論に対 して否定的見解を述べ、悲しそうに目を伏せ涙をこぼした。 そんなゆっちゅりーを元気づけるように、 「……なかないで、ぱちゅりー……とかいはのありすががんばるから、ね! ぜったいだ いじょうぶよ!」 ありすは精一杯の虚勢を張って励ました。 だが、色々な逆境をこれまで味わい、辛酸舐めさせられてきたありすは、強がってはみ たものの弱気な本音を見せる。 「でも……もしだめだったら、いっしょにしんでくれる?」 「むきゅ? そんなこといわないでよ! しんじゃらめよぅ……でも、でも……しぬとき は、ぱちぇもありすといっしょがいいわ……むきゅぅん」 ありすの本音に触れたゆっちゅりーは、強い調子で叱りながらも彼女の気持ちを受け入 れた。 「ぱちゅりー……ごめんね、ありがとう……だいすき……」 「むきゅぅ~ん、ありす……こっちこそ、ごめんね……ぱちぇもだいすきだよ……」 二匹は今まで秘めてきた想いを告白し、どちらからともなく唇を重ね、お互いを慈しむ ようなキスをした。 こんな事態が訪れなければ、死ぬまで秘めたままであっただろう恋心を吐露した二匹は、 生命の危機が迫る中で得られた束の間の幸せを噛みしめながら、確実視される死への覚悟 をゆっくりと固める。 「うっまいどぉ~♪ あっまいどぉ~♪ おいっしいどぉ~♪」 子れいむの頬を噛みちぎって作った傷口から、でろっと緩慢にこぼれ出す餡子を、れみ りゃはぺちゃべちゃびちゃぐちゃはしたない音を立て舐めていた。 でろんと垂れてくる餡子を舐め取る姿は、まるでチョココロネを細い方から食べて、太 い方から垂れるチョコを舐める、某貧乳がステータスな女子高生を彷彿とさせる。 急いで食べる、と言った事はもう完璧に忘れている。 胴体が無いれいむやまりさたちは「ゆっくり」「ゆっくり」言う割には、こと食事に於 いては物凄く早食いなのだが、胴体と手足が備わっているゆっくりれみりゃは、このよう にゆっくりと食事をするのが大好きなのである。 「ゆ゛ぎぃぃぃぃ! や゛べでぇぇぇぇぇぇっ! べびぶのぉな゛がびぃ、な゛べな゛び でぇぇぇぇぇっ!」 痛い痛い痛い怖い怖い怖い──噛みちぎられた傷口は焼けるようにずきずきと痛み、少 しずつ生命の素が外へ奪われて行く恐怖が、休むことない絶叫を子れいむに強いる。 「お゛ね゛がい゛ぃぃぃぃ! べびぶの゛ごどぼ、ゆ゛っぐじじな゛びでばびゃぐばな゛ じでぇぇぇぇぇ! だぜがだずげでよ゛ぉぉぉぉぉぉぉっ! ばがぁぁぁぁぁ!」 我が子の苦しみを前にして、立ち向かおうともせず、ただ不明瞭な言語で泣き叫び、来 るあてもない助けを呼ぶだけの、愚鈍にして蒙昧な母れいむは、自らの無力を嘆くでもなく、 誰も助けが来ない事への不満を口にしはじめる。 「べびぶの゛っ! べびぶの゛がばびびごどぼがじに゛ぞう゛な゛の゛に゛! どぼぢでだ べぼだずげでぐれ゛な゛びの゛ぉぉぉぉぉぉ!」 「はーい、じゃあ助けてあげるわよ」 れみりゃにグレイズされたショックから立ち直った美鈴が、やっと動いた。 青竜刀を構え、彼女は跳ぶ──。 「うー? うっ……う゛う゛う゛う゛っ!?」 なんでれみぃのからだがみえるの? 地面に転がる生首となったれみりゃは、棒立ちしている自らの身体を見つめていた。 痛みは、全く無かった。 なのに何故か、首と胴が離れている。 「ふぅ……やっぱり弾幕よりも、こっちのが楽ね」 肉汁に汚れた刃を、美鈴はぺろりと舐めた。 一刀のもとにれみりゃの首を斬ったのである。 あまりにも疾い、一瞬の出来事であったため、斬られたれみりゃには何が起こったのか 全くわからなかった。 「い゛だい゛ぃよ゛ぉぉぉぉぉっ! だずげでよ゛ぉぉぉぉぉっ!」 首を失ったれみりゃの手に掴まれたままの子れいむは、目前の危機からは一応脱した事 に気付かず、相変わらず濁音が鬱陶しい悲鳴を上げていた。 「ゆ゛っ! なに? なにがおきたのっ?」 目の前で我が子をいたぶり食べていたれみりゃが、突然首無しとなったのを見て、母れ いむは驚きに目を見開いた。 「たすけがきたんだぜ! ひごろのおこないがいいまりさたちは、これでたすかるんだぜ!」 「そうだね! おかぁさん! これでゆっくりできるね!」 「でも、すみっこで、へどがでそうなさんもんれんあいげきやってる、やくたたずのあり すとぱちゅりーは、ゆっくりしんでほしいね!」 どう言うわけか普通の人間や妖怪よりも、こう言う時の状況認識だけは素早いゴミクズ 母子は、自分たちは助かったと思いこみ、安堵していた。 「ぱちゅりー……んっ……」 「むきゅぅん……ありすぅ……」 完全に二匹の世界を作っている、ありすとゆっちゅりーには、突然起こった状況の変化 などどうでも良かった。 どうやら救援に類するらしい事が起きた、と言うことはなんとなくわかっていたが、同 時に自分たちの命運はもう尽きているとも悟っていた。 れみりゃが倒されたなら、倒した者はそれより強大な存在である。 ならば、どうあがいたところで生き延びる事は不可能だと、ありすとゆっちゅりーは考 えるまでもなくわかっている。 生きようと苦労しても死ぬ。頑張っても死んでしまう。何をしても殺される。 不可避の死が迫っている以上、あがいて苦労するよりも、愛する存在と、このまま死が 訪れるまでゆっくりしていたいのである。 ──こうして、この二匹は現実からの逃避を選択した。 「う゛っ! う゛っ……う゛ぁぁぁぁっ! れ゛びぃのがら゛だがぁぁぁぁぁっ!」 やっと自分が斬首され、跳ねる事も転がる事も出来ない、無力な生首と成り果てた事に 気付いたれみりゃは、嘆き悲しみ絶叫した。 再生するまでは、ただ叫ぶしか出来ないれみりゃヘッドを、美鈴は無造作に拾い上げると、 「うるさい。黙れ」 と言って、気を送り込み失神させた。 自失の後に、グレイズされたのはきっと偶然だと結論付けたものの、やはりイレギュラー 因子は排除するのが賢明であると、美鈴は判断していた。 気の力で気絶させるよりも、ひと思いに潰して殺した方が早いが、最初かられみりゃは 生け捕りにして持ち帰るつもりでいたので、あえて殺さずに済ませたのである。 もうちょっと利用してから、手足を引きちぎって賞味したり、無理矢理それを食べさせ たり、下半身に性的な虐待を行ったりなどして、死なない程度に痛めつけ、苦しめて楽し む予定だったが、あっさりと美鈴は当初のプランを放棄していた。 「作戦通り状況が動くとは限らない、っと……もう気の向くままに進めましょ」 れみりゃヘッドを適当に投げ置き、まだ棒立ちのままのれみりゃボディに目を向ける。 「ゆ゛ぎぃぃぃぃっ! い゛だい゛ぃよ゛ぉぉぉぉっ! お゛があ゛ざあ゛ぁぁん゛!」 「ゆっ! れいむ! ゆっくりがまんしてね! もうれみりゃはしんでるから!」 遅ればせながら、強大な敵が何時の間にか無力化されている事に気付いた母れいむは、 傷の痛みを訴える子れいむを言葉で励ます。 相変わらず具体的に何か行動するでもなく、言葉だけでどうにかしようとしている。 「……口先だけの母性愛、か……」 忌々しげに呟くと、美鈴はゆっくりたちの巣穴に近寄り、 「もう、大丈夫よ! ゆっくりしていってね!」 見る者を温かく落ち着いた気持ちにさせる、とっておきの笑顔を浮かべた。 「ゆっ! おねえさん、ゆっくりできるひと? ゆっくりできるひとなら、まずれいむの こどもをたすけてね!」 母れいむは、れみりゃを倒してくれた礼を言うよりも先に、我が子の救助を要求した。 もっとも、今まで死なずにここまで大きく成長できたのが不思議なほど、すこぶる愚鈍 なこの個体は、れみりゃの首を刎ねたのが美鈴だと言う事には、まだ気付いていなかった。 「ゆゆゆっ! おねえさん、まりさをたすけてくれてありがとうだぜ! おれいにどうか ここでゆっくりしていってくださいだぜ!」 母ゴミクズは、早くも強者に媚びはじめた。 今までこのゴミクズが、どんな事を言っていたのか知らなければ、物の道理がある程度 わかっている「良いゆっくり」だと思えたかも知れない。 これが両棲動物の糞をかき集めて腐らせたような存在だと、美鈴は知っているので、そ の態度にますます嫌悪を強めた。 「ゆっくりしていってね!」 子ゴミクズのうち一匹は、無邪気な子供を装った。 自分の母には及ばないが、そこらの成体れいむよりは奸智に長けているこれは、外部の 存在の前では普通の子供として振る舞う。 もし生き延びられるならば、母を凌駕する天然記念物クラスのゴミクズになれるかも知 れない。 「ありすとぱちゅりーはゆっくりしね!」 美鈴の挨拶を無視して、もう一匹の子ゴミクズは、未だありすとゆっちゅりーの死に 執着していた。 奴隷同士が幸せに浸っているのが、とにかく気にくわないらしい。 いつもならば、こう言う時は母ゴミクズを煽動し、ありすとゆっちゅりーをいじめてゲ ラゲラ笑うのだが、れみりゃの襲撃中はそれが出来なかったため、非常に強い不満を抱え ている。 「ねぇ、ぱちゅりー……もしいきのびられたら、いっしょにくらしてよ……やくそく、し てくれる?」 起こるはずもなく、期待もしていない延命という奇蹟を、ありすは口にした。 叶うはずもない約束だが、こうすることで、死んでもきっと一緒にいられると、ありす は思ったのである。 「むきゅっ……いいの、ありす? ぱちぇはよわいから、あしでまといになるよ」 ありすが何を考えているのか、ほぼ正確に察しているゆっちゅりーは、それにあわせる 事にした。 「そんなことないわ! ぱちゅりーは、わたしなんかよりずっとつよいよ……だって、ぱ ちゅりーがいてくれたから、わたしはいきてこれたんだもんっ!」 「むきゅきゅっ……そんなことないわよ。ありすのおかげで、ぱちぇはいきていられたん だよ……だから、いきのびられたらいっしょにくらそうね。やくそくするよ、ありす」 こうして二匹は、全く期待していない奇蹟でも起きない限りは、絶対に叶わない約束を した。 一般的に死亡フラグとは、生存を前提としていると立つが、このように死を前提として いる場合は、どうなるのか……全ては美鈴が決める事である。 「ゅ……ゅ……ゆゅゅゅぅ……」 れみりゃの出現と同時に、恐怖のあまり失神した子れいむは、母をはじめとする家族全 員ばかりか、美鈴にもその存在を忘れられていた。 失神しているうちに、再び寝入ってしまったようで、今は安らかな寝息を立てている。 「ふふふっ、お姉さんは、すごくゆっくりできる人よ」 「ゆっ! それならよかったよ! さぁ、はやくれいむのこどもをたすけてね! ゆっく りするのはたすけてからだよ!」 ここにいるゆっくりたちの関係や、だいたいの性格など把握済みの美鈴は、まず最初の 標的を、この愚鈍で無能なれいむ母子にしようと決めた。 「あらあら、私はゆっくりできる人なんだから、まずゆっくりしたいのよ。助けるのは、 私がゆっくりしてからね」 まずは軽い言葉のジャブ。 「ゆゆゆっ! だめだよ、おねえさんっ! ゆっくりしたいなら、れいむのいうこときい てね!」 身の程を弁える、などという高等な事は、この愚母れいむには無理な相談だ。 「あら、どうしてあなたの指示に従わないといけないの? ゆっくり教えてね」 心の底からバカにして見下している存在が、多少強気に出たり失礼な事を言ったとして も、心に余裕があれば案外腹は立たないものである。 「ゆっ! おねえさん、あたまわるいねっ! ここはれいむのおうちなんだから、れいむ のめいれいはぜったいなんだよ! はやくりかいしてね!」 ぷくーっと頬を膨らませ、母れいむは美鈴を怒鳴りつけた。 危害を加えて来ない相手に対しては、とことんまで強気に出るのが、このゆっくりとい う生命体の基本である。 「おねえさん! そのれいむはうそつきだぜ! だって、ここはまりさのおうちなんだ ぜ!」 横から茶々を入れる母ゴミクズ。 この巣の主は、この家族のリーダーは、自分だと自負しているゴミクズは、母れいむの 「れいむのおうち」発言を聞き逃さなかった。 普段そんな立場を弁えないような事を母れいむが言った時は、体当たりをして肉体を痛 めつけてから、強引に生殖行為に及んで心を痛めつけ、その後は子ゴミクズとともに三重 奏で悪口雑言を浴びせると言う、厳しい折檻をしているのだが、今はれみりゃを簡単に屠 るような強者がいるので、それを利用する気だ。 「そうだよ、おねえさん! おかあさんのいうとおり、ここはまりさたちのおうちだよ! このれいむたちは、いつもうそつきでこまってるんだよ!」 「うそつきれいむにおしおきしてよ、おねえさん! あと、あっちのありすとぱちゅりー は、わるいゆっくりだから、ゆっくりくるしめてからころしちゃっていいよ!」 母ゴミクズをすかさずサポートする、二匹の子ゴミクズ。 他のゆっくりたちが相手の時、こうやって意見を合わせる事で相手を意のままに動かし て来たゴミクズたちは、今回もそれで行けると確信していた。 狡知に長けているとは言え、所詮ゆっくりはゆっくりである。自分たちの尺度でしか、 相手の事を推し量れないのであった。 「そうなの? それじゃあ、れいむ。あなたの言う事はきけないわね」 本当は今すぐにでも、ゴミクズ母子が汚らしい口を二度開けないように、永久に泣いた り笑ったり出来なくしてやりたいのだが、この先の事を考えて、あえてその口車に乗った ふりをしてみせる。 「ゆっ! なにいってんの! ちがうよ! れいむうそつきじゃないもん! うそつきは まりさだもん!」 心外だと言わんばかりに、強い調子で反論する母れいむ。 「ひどいぜ、れいむ。まりさは、いままでいっしょにくらしてきたかぞくなのに、そんな こというなんて、ひどすぎるぜ……ゆっ、ゆぐぐぐっ…… 母れいむにとっては当然の反論であったが、ゴミクズはさもショックを受けたように悲 痛な声を出し、涙を浮かべ泣き出した。 もちろん、嘘泣きであるが──。 「ゆっ! ひどいよ、おかあさんれいむ! そんなうそつくから、おかあさんないちゃっ たよ! ゆっくりあやまって、じっくりはんせいしてね!」 「かぞくにつみをなすりつけるなんて、さいていだね! おかあさんがかわいそうだよ! ひどいれいむは、ありすとぱちゅりーといっしょに、ゆっくりしね!」 すかさず二匹の子ゴミクズは、自分たちの母が正しく、母れいむは悪であるとアピール する。 ゆっくりでも人でも妖怪でも、人語を解する生き物は、どちらがウソか本当かわからな い事象に直面した際、多くの者が正しいと言った方を真実だと思いこみやすい。いわゆる 多数決の魔力である。 このゴミクズたちは、それを本能で知っていた──みんながいえば、うそもほんとうだ とおもわせられる──と。 「どに゛がぐだずげでよ゛ぉぉぉぉ! い゛だい゛ぃよ゛ぉぉぉぉっ! ごばびよ゛ぉぉ ぉぉぉ!」 「ゆっ! れいむはだまってて! おかあさんはいまだいじなはなししてるのっ!」 いつまで経っても助けて貰えず、硬直した首無しれみりゃボディの手に掴まれたままの 子れいむの助けを求める悲痛な叫びは、その母によって即座に却下された。 「あー、もう……そろそろ面倒になってきたわ」 所詮ゆっくりの母性なんかこの程度か──興が削がれた美鈴は、そろそろ直接的なアク ションに移ることにした。 「ゆっ! めんどうじゃないよ! だいじなことだよ!」 美鈴の言葉を聞きとがめ、すかさず母れいむが抗議した。 「何が大事なのよ?」 もう優しいお姉さんを装うのをやめた美鈴は、ぞんざいな調子で聞いた。 「ほんとうにおねえさん、あたまわるいねっ! れいむはうそつきじゃない! うそつき はまりさ! そして、れいむのこどもをはやくたすける! この……ひとつ、ふたつ、え っと……とにかく、それがだいじなことなのっ! りかいしたねっ!?」 数は二までしか数えられない。 「あっそ、じゃ助けるわね。ほいっ、と」 れみりゃボディに向かって両手をのばし、その左右の上腕部を無造作に掴むと、そのま ま腕を引きちぎった。目にもとまらぬ早さで、しかも左右同時にひきちぎったため、腕を 失った首無しれみりゃボディはバランスを崩すことなく、まだ倒れずに立ったままだ。 「ゆっ……ゅ~、ゆぅぐぐ~っ……」 れみりゃハンドに掴まれたままの子れいむは、美鈴が腕を引きちぎった際の衝撃で目を 回し、意識を失った。 「ほら、助けたわよ」 と言って、美鈴は母れいむの眼前に、引きちぎったれみりゃの両腕を手先を向けて突き つけた。 「ゆっ! ありがとう、おねえさん! でもれいむのこどもが、まだつかまれたままだよ! はやくそのきたないてをどかしてあげてね!」 それぐらい、近寄って口と舌を使えば難しい事ではない。 しかし、徹頭徹尾他力本願なこの母れいむは、自分が出来る事も他者任せである。 「うん、そう……だが、断る!」 れみりゃの腕を母れいむの眼に向かって、素早く突き出す。 「れみりゃぱ~んちだどぉ~……なんちゃって!」 ずぬっ! 「ゆ゛っ! ゆ……ゆ゛ぎゃぁぁぁぁっ! べ、べびぶの゛、べ、め゛がぁぁぁぁっ!」 眼窩にれみりゃの腕を突き刺され、両目は完全に潰された。 れみりゃアームは、母れいむの眼を潰しただけではなく、外皮よりも脆弱な目の奥の薄 皮も突き抜けて、中の餡子にまで達するほどに深く突き刺さっている。 「あははっ、目から腕を逆さまに生やしてるよ……はははっ!」 不格好なアンテナを生やしているようにも見える。 「ゆ゛ぎっ! ゆ゛ぐぁぁぁっ! ど、どぶじでぇぇぇぇ! べびぶの゛べぇぇぇぇっ!」 あまりの激痛に母れいむはのたうち回った。 動き回ると巣の壁や巣の中の雑多な物に、突き刺さったれみりゃアームがぶつかり、そ れが傷口を刺激し、さらには中の餡子までもかき乱すため、余計に多くの苦痛を味あわさ れる。 「どう、れいむ? あんたの大好きな子供、助けてあげたよ」 「ゆ゛びゃぁぁぁぁ! ごどぼがな゛ん゛がよ゛じっ、べびぶの゛べぇぇぇぇっ!」 こうなってしまっては、母性愛も何もあった物ではない。 「あらあら、ひどいわね。可愛い子供は、目の中に入れても痛くないはずよ……あははっ」 「う゛ぞぉぉぉ! ぞぶな゛の゛う゛ぞよ゛ぉぉぉぉ! べびい゛べばら゛い゛だい゛ぃ よ゛ぉぉぉぉっ!」 とにかく刺さっている物を抜こうと、母れいむは狂ったように身体を震わせる。 身体を振動させると、れみりゃアームも刺さったまま動くため、新たな痛みが生じるが、 じっとしていても痛い以上、動き回るしか方法が無かった。 「ゆ゛ぎぃぃぃっ! ぐら゛びよ゛ぉぉぉぉぉっ! い゛だい゛ぃよ゛ぉぉぉぉっ! ご ご、どごぉぉぉぉぉっ! お゛があ゛ざあ゛ぁぁん゛!」 れみりゃアームを抜こうとする母れいむの努力は、れみりゃハンドに掴まれたまま今ま で失神していた子れいむが目覚めると言う、この母子双方にとって歓迎できない結果とな った。 目が覚めたら、噛まれた傷は痛いし、周りは真っ暗だし、なんかぐらぐら揺れるしで、 れみりゃハンドに捕らわれた子れいむは恐慌状態に陥り、目茶苦茶に動き回り暴れ回った。 その甲斐があって、やっとれみりゃハンドの魔手からは開放されたが、その開放された 場所は──母れいむの餡子の中である。 「ゆ゛っ! だべぇぇぇっ! べびぶの゛な゛がで、あ゛ばべな゛びでぇぇぇっ!」 「な゛に゛ぃぃぃぃ! な゛ん゛な゛の゛ぉぉぉぉ! お゛がぁ゛ざあ゛ぁぁぁぁん゛! だずげでよ゛ぉぉぉぉぉぉぉ!」 母の声はすれど姿は見えず、周りは何か泥のような物で囲まれていて、真っ暗という状 況で、落ち着いてじっとしていられるわけも無く、子は母の姿を求めて動き回る。 「いいタイミングで起きたみたいね。ふふっ、目の中に入れた子供と、しばらく遊んでな さい」 外部から何か刺激するよりも、この場合は放置しておいた方が、れいむ母子をより長く 苦しめられると判断した美鈴は、次の標的をに照準を向ける事にした。 その次の標的とは、言うまでもなくゴミクズ母子である。 「さ、次はあんたたち……よ……あれ?」 ゴミクズたちが居た方向へ視線を向けた美鈴だったが、そこにはありすとゆっちゅりー が佇んでいる。 この二匹は巣の入り口から見て、もっと奥の方に居たはずなのだが、何故か先ほどまで ゴミクズ母子が居たあたりにまで移動してきていた。 「おねえさん! とかいはのありすが、ここはとうせんぼよっ!」 「むきゅっ! ありすだけじゃないわ、ぱちぇもいるわよ!」 キッと二匹は美鈴を睨む。別に怖くない。 「うん、それで?」 最終的な処遇を決めかねていた、どことなく変わっているこの二匹が、どのように行動 するか、美鈴は出方をうかがう事にした。 「むきゅ……きゅ……むきゅ……」 「……うん……わかった」 なにやら小声で、ゆっちゅりーとありすは相談している。 「…………」 期待を込めたまなざしを向け、美鈴は二匹の次のリアクションを待った。 「……えっと、しょせんちゅうごくははってんとじょうこく! あ……うん……そのちか らはとかいはの、にわりはちぶろくりんにもみたないのよっ!」 詰まった際に、ゆっちゅりーが耳打ちしたとは言え、ありすは長いセリフを最後まで言 えた。 「そこのもんばん! ぱちぇのおうちであばれないで! きょうはぜんそくもちょうしい いから、あんたといい、まりさといいきょうわやくびだわ!」 無理に継ぎ接ぎをして意味不明になっている口上を、ゆっちゅりーは述べた。 「……なるほど……」 予想外というよりも、予想の斜め上な事を喋った二匹に対して、美鈴は感慨深げに重々 しくうなずいた。 「つまり、あんたたちの後ろに、あれは隠れたわけね」 「ちょっと! よそうがいのりあくしょんはやめてよ! とかいはのありすでも、こまっ ちゃうわよ!」 「むきゅ! ありすのいうとおりよ! ここは『ゆっくりはたべてもいいまんじゅうだっ ていいつたえが……』とか、いうべきところよ!」 なんだか妙な雰囲気になってきた。 「そのセリフは負けフラグだからいいたくないのよ……と言うか、あんたら私と戦って勝 てると思ってんの?」 美鈴は右手に持った青竜刀を、ありすの目の前に突きつけた。 返答次第では、このままざっくりと殺さない程度に刺すつもりである。 「そんなさまつなことは、どうでもよかったのであった」 「どうでも良くない」 思い切り手加減して、左手でありすの顔面を殴りつけた。 本気で殴ればそれだけで、ゆっくりなんか砕け散る。 「ゆぐっ! う゛ぅぅぅぅ……ぐっ、ぐずっ!」 ありすは涙目になり、なにかを堪えるように小刻みにぷるぷる震えている。 「ぐっ、ぐじゅっ……い、いたくないわ!」 「うそつけ!」 再び左手で、今度も手加減してありすの顔面を殴りつけた。 次に、どう反応するか、美鈴はすでに予想している。 「ぐべっ! ゆ゛ぐっ……う゛ぅぅぅぅ……ぐじゅっ……か」 「かんじないわ? と言いたいの?」 言うであろうセリフを、先に言った。 「!? ……か……か、か……」 「ふふふっ……ほら、言ってごらんなさいよ?」 美鈴の予想は正しかった。 言おうとした言葉を先に言われて、ありすは言葉に詰まり、横目でゆっちゅりーを見る。 しかし、頼みの綱であるゆっちゅりーは、 「むきゅ……む~、むきゅ~ん……」 悲しそうな面持ちで左右に首──この場合は全身を振った。 「……ま、まいりました……ありすのまけよ……うっ、ひぐっ……う゛ぁぁぉぉぁん゛!」 火がついたような勢いで、ありすは泣いた。 「うん、なかなか面白かったわ……それじゃ茶番は終わりよ!」 恐怖を煽るように、これから何をするのかゆっくりわからせるように、非常に緩慢な速 度でありすに見せつけながら、美鈴は青竜刀を振り上げた。 ■つづく■ あとがき ご笑覧いただきありがとうございます。過日、18禁を投下しやがった者でございます。 またも美鈴です。美鈴大好きです。尻とか太ももとか。 だらだら書いていたら、かなり長くなってしまいましたので、とりあえず前編です…… 虐待がさわりの部分程度で少なく、すみません。 あと、メタ表現が多めで、苦手な方には本当に申し訳ありません。 校正や校閲がまたも手抜きで、みょんな箇所多く申し訳ございません。 先日投下した際に「途中まで400行書いたのがある」的なことを書きましたが、今回の ではなく別のやつです。 いくつか同時進行で、ちょこちょこ別の作業中の合間に書いてます。現在の所、これの 次を含めて6本ほど同時で……なお、全て東方キャラ×ゆっくりです。俺主人公は読むの 大好きですけど、今のところ自分で書くのは……加減を掴みかねてまして。 スレ見るのも作業中にちょい見な感じのため、ご感想いただいたのに反応できず申し訳 ありません。スレの流れが早いと、幽香の移動速度よりも鈍重な私では、流れに乗れない のでございます。 なので、この場にてご感想のお礼をいたします。ありがとうございます。 エロ投下もおkなようでしたら、スレの空気を頑張って読みつつ、大丈夫そうな時にま た18禁も投下させていただきます。 最後に……ゆっくりまりさ、別に嫌いじゃないですよ。むしろ大好きです。可愛い可愛いゴミクズですから大好きです。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4485.html
僕はこうして~の登場人物が登場 【登場人物】 息子:きめぇ丸と人間のハーフ。よくゆっくりに同族として扱われる。理想の父親像はクッキングパパ 父:息子の父。去年のゆっくりレイプ、ベストレイピスト賞の受賞者。理想の父親像は野原ひろし ボブ:ゆっくりレイプが趣味の黒人。ゆっくり分を持つ息子もレイプ対象になっている。理想の父親像はジョンQ 『ニュースです。今朝未明、ゆー物園に輸送中のドスまりさを載せたトラックが山中で横転するという事故が発生しました。 幸い運転手らに怪我はありませんでしたが、ドスまりさは檻から脱走。警察は近隣を捜索しましたが見つからず。先程捜索の打ち切りが公表されました』 「ドス狩りじゃああああああああああああああああああああああ!!」 「ドスガリジャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」 ハイテンションな父と黒人 「・・・・・」 その二人とは反対にローテンションな息子 三人がいるのはニュースで報道された山 自分達が住んでいる町からバスと電車で一時間ほどの距離にある 「滅多にお目にかかれないドスをレイプできると思うだけで、父さんの股間のサイバトロン戦士はトランスフォーム寸前です」 初っ端から下ネタ全開の父 「エンドリアーン!!」 握り拳を天高く突き上げてやる気の様をみせるボブ 「・・・・」 この二人とこれから行動を共にしなければならないと考えると、この時点で彼の不安は最高値に達していた 「ボブ、父さん」 「なんだ?」 「hi?」 「目的忘れてない?」 ~~~~~~~~以下、今日の朝の出来事~~~~~~~~ 親子の家に会長が尋ねてきた。飼っているきもんげとゆっくりてんこを連れて 「ゆっくりを使って違法に儲ける企業があったんですわ」 客間に通し最初に口を開いたのは、会長ではなくきもんげの方だった 「そのやり口がひっっじょ~~に胸糞悪いもんでしてな」 「まさか襲撃したんじゃ・・・」 会長の実家の職業を思い出し、息子は口を挟む 「ちゃうちゃう。もっと穏便な方法でっせ」 きもんげは手を顔の前でパタパタと振った 「その企業の株を多めに買って、ちょびっと空売りしただけや」 (十分やくざじゃないか) 経済のことはよくわからないが、それがうしろめたい方法だということは何となくわかった そこから先は会長が話し出した 「そしてその会社が潰れて不渡りを出した折に、大量のゆっくりも流れたんです。もちろんすべて私たちが引き取りました」 それこそが目的だった 「結構な数でしょうに?」 父はゆっくり達を受け入れる場所に対しての心配をする 「実家で所有している山がありまして、広いんですが長年使い道に困っていたんです。そこを使おうと思います、滅多に人も入りませんし」 「なら大丈夫そうですね」 「ただ一つ問題が」 会長の表情が若干暗くなるのを見て、父は眉を寄せる 「問題?」 「はい、先生が仰られた通りかなりの数です。人の手では管理が難しいとのことで、今のままですと・・・」 「つまり、そのゆっくり達を一つの群れとしてまとめる必要があると?」 「そうです。そのためにはドスが必要になります」 烏合の衆であるゆっくり達を統率するのにはドスの存在が一番手っ取り早いし確実である 「先生ならアテがあるのではと思いまして、今回お伺いした所存でございます」 そう言われた父は困った顔をして腕を組む。ゆっくりレイプの業界にかなり精通している父だが、ドスの物件はなかなか無いのが現状だった そんな折、丁度ドスまりさの一報が舞い込んできた ~~~~~~~~以上、今日の朝の出来事~~~~~~~~ 三人の目的はドスまりさの発見・勧誘だった ちなみにボブは父が声をかけて参加することになった なお、彼ら以外にもこの山には同好会の会員が捜索にあたっている 「でも。どうやって探そう?」 「良いものがある」 「何?」 父はザックを開けた 「テレテレッテレー♪ ゆ゛っく゛り゛は゛っけ゛ん゛き゛~~♪」 超だみ声の父が取り出したのはマイクが先端に繋がった小型ゲーム機のような機械 「カッチョイイ!! ドウヤッテツカウノ レプエモン?」 「そ゛れ゛は゛ね゛ほ゛ふ゛太゛く゛ん」 「なんだよボブ太って」 「ま゛す゛こ゛のマ゛イ゛ク゛・・・・・ごほっごほっ!! 無理、この声ムリ。ノブヨボイス無理」 「わかったから普通に喋って」 喉を鳴らして父は説明を再開する 「この機械の先の部分は臭いを検知する機能がある。空気中に漂うゆっくり特有の甘ったるい臭いを微量でも感知すると反応するようになっている」 「ソイツハスゲーゼ」 「でも、それじゃあ仮に機械が反応したとしても、ドスかどうかわからないんじゃない?」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 息子の発言の二人は数秒黙る 「なんで毎回毎回盛り下がる発言するかなお前は?」 「クウキヨモーゼ。ナ?」 (なんで僕が責められるんだろう・・・) 三人の探索は続く 「進め↑~~すっ進め↓~~~~クリ~~フハンガ↑~♪」 「ボウケ↑ーンタァ~~イ↓♪」 (歌のチョイス古いなぁ) 下らないやりとりをしながら進む一行 「タイチョウ!! ホクコウガアリマス!」 父に向かい踵を60°に揃えビシリと規範ある敬礼の姿勢をとるボブ 「なんだボブ隊員!」 「ユックリノ スヲハッケンシマシタ!!」 山道から離れた木の下の虚穴を指差す 「でかした! 家に来て妻をファックしても…」 「よくないから」 すかさず声を被せた 「そんなのに構ってないで。さっさとドス探そうよ・・・・って」 すでに二人の背中は遠く、薄暗い木々の生い茂る中へと向かっている 「行っちゃったよ」 後を追おうと茂みに入ろうとした瞬間 「 ? 」 右手の肘に違和感を感じた 服が木に引っかかったのかと思い右肘を見る 「う~~?」 何時の間にそこに居たのか、満面の笑みのゆっくりれみりゃ(胴つき)が彼の肘の部分を握っていた 虚穴の中にはれいむとまりさ夫婦とその子供達 「たべものをとってくるから、みんないいこにしててね!」 「がんばってねまりさ」 「「いってらっしゃいおとーしゃん!」」 愛する伴侶と子供がまりさを見送る 「ゆっくりりかいしたよ!!」 今日もまりさは家族を養うために、今日も狩りに出むく そのまりさが穴からピョンと飛び出た瞬間 「げっとぉぉぉぉぉぉ!!」 「ゆゆゆっ!!?」 すさまじい砂埃を立ててヘッドスライディングしてきた父にあっさり捕獲された 「ゆっくりできないからはなすのぜ!!」 「秘技“アクメ地獄”」 まるでイソギンチャクのようにウネる父の指が、まりさの体を舐めるように這い回る 「ゆ。くすぐったいよ! ゆっくりやめ・・・・ゆぎゅっ!!」 まりさの体が腕の中で大きく跳ねた 「まだまだぁ!」 父の手は止まらない 時に乱暴に、時に繊細に。指はまりさを撫で上げる 「うぐっ!! っあぁ! も、もぅ。やめぇ・・ゆがっ!!」 指が触れる度に、まりさは声を上げ小刻みに体を振るわせる 澱みなく流れる渓流のように 「ひぎっ!」 一流の指揮者が振るうタクトのように 「ゆげぇっ!!」 その無駄の一切無いきめ細かな動きはまさに芸術だった 「oh……God Finger」 その指使いに只々ボブは感嘆の意を示した ようやく解放されたまりさ 「よし準備運動、終わり」 「アレガジュンビウンドウダト・・・」 父の底知れなさにゴクリと唾を飲み込む 「ま゛りざああああああああ!!」 叫び気を聞き、れいむが巣から飛び出してきた 「ま゛りざにな゛に゛をしたあああああああああああ!!」 夫をこんな目に合わせた人間二人を睨む 「校長先生の朝礼が長かったせいで・・・」 顔に手を当てて俯く 「そんなわけないでしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!・・・・ゆ?」 叫ぶれいむは自身の体が浮いているのに気付いた 「おそらをとんで・・・・」 「ソクレイプ!」 「待つんだボブ!」 「what?」 手を前に出して黒人に制止をかける 「ドスに出す分が減ってしまうぞ」 相手はドス、万全な状態でなければ務まらない その為には我慢する必要があった。ここでの目的はウォーミングアップだとボブは知る 「ワカリマシタ」 「ぶべっ」 れいむを持つ手が緩んだことで、れいむは顔から地面に激突した 「しかしなんだろうこの気持ち・・・・AVの汁男優って毎日こんな気分なのか?」 「ツライ ショクギョウデスネ」 切ない気持ちになった 「おいおい。羨ましすぎるだろ」 「どこが?」 ウォーミングアップを済ませ、戻ってきた父は息子の状況を見て、奥歯に力を入れた 「ゆっくりしてくんだぞ~~♪」 「にぱ~~☆」 「とくべつにれみりゃのしつじにしてやってもいいんだどぉ~~」 「うーーうーー♪」 座り込む彼にゆっくりれみりゃがまとわり付いていた 両手にはそれぞれ胴付きがしがみつき、膝にも一匹、体を密着させ 頭には胴なしが一匹、上機嫌で乗っかっている ゆっくりに好かれ易い体質の彼だから起こる事態である 「いいなあ~~父さんもそうなふうにくっつかれたい。写メっとこ」 「見てないで助けてよ、これ結構重いんだから」 羨望の眼差しを向け、携帯電話のカメラのシャッターを執拗に切る 「よし。後でこれふーちゃんに見せよう」 「あ、コラッ!!」 「む、バックアップにと自宅のPCに送信しようと思ったがここは圏外か。まあ良い、次はムービーだ」 携帯のモードを動画に切り替えることで、画面に臨場感が加わった 父は二度三度、喉に手を当てて咳払いをする 「テレビの前の皆様はお気づきだろうか?」 「なにそのどっかで聞いたことのあるナレーションは?」 「今、一人の黒人が木に擬態していることに」 「はぁ?」 重量を感じる頭を後に向けると、ボブが両手を広げて立っていた。かなりの威圧感である 「次の瞬間」 「「「「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」」 ボブの長身が彼と彼をとりまくれみりゃに覆いかぶさった れみりゃ達はいっせいに叫ぶ だが黒人の狙いはれみりゃではなかった 「ちょっ! ボブ止め…耳噛むな!! 舌を這わすな!! 服に手を入れるなッ!!」 まとわりつくれみりゃが壁になり死角を作ったことで、父にはボブがれみりゃを性的に弄り、そのとばっちりが息子にも伝わっているようにしか見えなかった 「残酷に思えるかもしれないが、これもサバンナの掟なのである」 「どう見てもボブのエゴだろ!! ぅひゃぁ!! 」 れみりゃ達は最初こそ驚いたものの、何の被害もこうむっていないので今の姿勢のまま大人しくしていた 「ォゥ、グッドスメル」 「やめろおおおおおおおオオオ!!」 未知の感触に背筋を凍らせ、どうすることも出来ないこの状況 「と、ここでネタばらし。これには息子も苦笑い」 「もうそのナレーションいいから・・・・・・・ホントに。全然つながってないし」 「3ヵ月後、そこには元気に走り回るボブの姿が」 「もう良いっつってるだろッッ!!!!」 「こっちだど~~」 れみりゃに『ドスを見てないか?』と尋ねるとあっさりと情報が手に入った 羽ばたく4匹のれみりゃを先頭に、彼、父、首が45°曲がったボブの順に後に続く もちろんボブの首が曲がっているのは息子の制裁を受けたからである 案内された場所は谷の裾付近 「うーうー」 胴なしれみりゃが示した方角、絶壁となっている箇所に大きな窪みがあった 「確かに、あの広さならドスでも隠れられるな」 れみりゃの話の信憑性がかなり高まった 「父さん、ボブ。言っとくけどドスに手を出したら駄目だからね」 「ショッペーコトイウナヨ!!」 「おいおい。父さんに死ねってことか?」 「・・・・・」 やかましい二人を無視して窪みを覗き込む 「あれ?」 そこには何もなかった 少しだけ奥行きのある洞窟がぽっかりと口を開けているだけ 「移動したのかな?」 その時、父の携帯電話が鳴った 「30分くらい前のメールだ」 山の中で届かなかった電波が木々の開けた場所に移動したため、ようやく受信できた ディスプレイを見ると冒頭の文が目に飛び込んできた 『ドスが見つかりました』 「なんのためにあそこで禁欲したんだ・・・」 「ソリャネーヨ フジコチャン!!」 大袈裟なほどに落胆の素振りをする二人 「見つかったんだから。帰ろうよ」 息子が踵を返した時 「もうれみりゃで全然良い」 「ガマンガ マックス」 「は?」 ボブと父は荷物を下ろし、その場で準備運動を始めた 「これより“蝕”もびっくりなほど、ネッチョネチョの乱交したいと思います。 なお、ゴットハンドは出てきませんが。鷹はちゃんと光臨します・・・・まあ鷹といっても指使いの方なんですけどね」 贄はもちろんれみりゃ達である 「僕、先に帰るね」 「本当はお前も参加したいんじゃないのか?」 「全っ然」 「ふっふっふ。それはどうかな?」 「何が言いたいの?」 意味深に笑う父 「お前の中に眠るレイプ衝動が…」 「そんなの無いから。夕飯前には帰ってきてよ、じゃあね」 あっさりと会話を切られる 「あ。おい!」 れみりゃの群れと変質者を残し、彼は下山した 「なあボブ」 「ハイ」 「ルークに拒絶されたダースベイダーって、多分こんな気持ちだったんだと思う」 「シンチュウ オサッシシマス」 「ありがとう・・・・・・・だが今は、ゆっくりレイプ!!」 「マッテマシタ!」 それとこれとは話は別だといわんばかりにテンションを上げる 餓えた野獣のような、否、野獣の目が4匹のれみりゃを捉える 「う・・・・うーー!?」 「なんなんだどー!!」 「アーマーテイクオフッ!!」 「ナドレッ!!」 服をパージする二人 「ぐ、ぐるなああああああああああああああああああああ!!」 「ざくや゛ーーーーごあいびとがいる゛ううううううううう!!」 山の一部にれみりゃの叫び声が木霊した その日の夜 結局、彼は同居しているゆっくりふらんと夕飯を済ませた 父はまだ帰ってきていない 「ふーちゃん?」 風呂上り、頭にタオルを巻きリビングに戻るとソファで眠るゆっくりふらんを見つけた ふらんは胎児のように丸まり、穏やかな寝息を立てている 点けっ放しになっていたテレビから自分に関わりのあったニュースが流れた 『今朝、捜索を打ち切ったドスまりさですが。その後発見されて保健所に輸送されました』 (あれ?) その報道で引っかかる物を感じた (なんで保健所なんだ?) 保健所に送られれば、数日中には当初の予定通りゆー物園に送られることになる それではドスを群れに招くことが出来ない 同好会の根回しする力がいくら強大でも、行政で正式決定していることを覆せるとは到底思えない ドスを捕獲したなら、秘密裏に持ち去るはずである (捕まえたのは同好会じゃない? それとも何か考えがあって? 計画の変更?) 彼の中で想像できる様々な憶測を連ねる が、 「まあいいか」 自分には関係の無いことだと、そこで考えるのをやめた ソファに眠るふらんに再び目を向ける 「ここじゃ風邪ひいちゃうな」 依然、無防備な姿で眠っている 「父さんがいなくて本当に良かった」 自分が目を離した隙に何をしでかすかわかったものではない 「何がレイプ衝動だよ、馬鹿馬鹿しい」 山で別れる際に父が言ったことを思いだし、一蹴する そして彼女をベッドに移すために抱きかかえようと手を伸ばした瞬間 ―――れいぷしちゃいなよ 「へ?」 自分では無い誰かの『声』がした 周囲を見回すが誰もいない テレビの音声でも無い ―――すきなんでしょ、そのこのこと? 声は彼に話しかける まるで耳元で囁かれているような奇妙な感覚 人のものとは明らかに『何か』が違う、声 今まで一度も聞いたことの無い、不思議なトーンが頭の中を無遠慮にノックする ―――したいって、おもってるんでしょ? 「おもってない」 声の正体が良く分らないまま、彼は言葉を返した ―――いいや、おもってる。むぼうびなねがお、すかーとからのびるきれいなあし、こぶりなからだつき。おかしたくてうずうずしてる 「ふーちゃんをいちどもそんなめでみたことなんてない。ぼくは、とうさんとはちがう」 ―――おなじさ。いや、それいじょうのいつざいかも 「いいかげんにして」 ―――じぶんにしょうじきになりなよ。ねぇ、ほんとうはきづいてるんでしょ? がまんしてるんでしょ? 「うるさい」 ―――わかげのいたりで、きっとふーちゃんもゆるしてくれるさ。さぁゆうきをだして 「だまれ」 ―――こうどうのこんていに“あい”があるなら、だれもきみをとがめることなんて・・・ 「喋るな!!」 テーブルの上にあったリモコンを掴み、思いっきり背後に投げつけた ―――いでっ! それがカーテンの裏に隠れていた父に命中した カーテンから出て、痛そうに額をさする 「お前にwiiリモコンは一生触らせん!」 憤慨する父などお構いなしに息子は父に掴みかかる 「あの声は父さんだよね?」 尋ねられた父は持っていた機械(一見すると拡声器のような形状)のマイク部分を口に当てる ―――そう。でゅぇっす 機械を通して声が聞こえた 「何ソレ?」 「山で拾った。なんかゆっくりにしか聞こえない周波数の音が出せるみたいだ。お前にも聞こえるかと思って試したんだが・・・」 モスキート音ならぬ、ゆっくり音が出せる装置 調べた所、父が持っているゆっくり発見器を作ったのと同じメーカーらしい 「試し方が悪趣味すぎるよ。本気で怒りそうになった」 「じゃあさっさとふーちゃんをレイプしなさい」 「話聞いてた?」 一発くらいいいかなと思い。拳を高く上げる 「そうそう、一つ情報が。ドスまりさについてなんだが」 彼の拳が止まった 「ドスまりさは今、保健所にいる」 「それは知ってる」 「捕まえたのは同好会の人間じゃない」 「やっぱり。じゃあ誰が?」 「地元の学生だそうだ」 「は?」 思わず挙げていた拳を下ろした 「名前まではわからないが男子高校生と女子中学生の兄妹、そして女子高生の三人組だそうだ。案外、お前の知り合いだったりしてな」 「いやいや。そこまで世間は狭くないよ」 「そういえば、そろそろ保健所にふーちゃんの飼いゆっくりの手続きの更新に行かないといけないな」 「じゃあ明日の午前中に行ってくるよ」 「ついでにドスの様子も見れたら見てきてくれ」 「えーー」 その父の何気ない一言が彼を厄介事へと誘う第一歩だった 続く present by ゆっくりレイパー このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/2176.html
※この作品はれみりゃとお兄さんシリーズの世界観です。 ※不幸な目に遭ってしまうゆっくりがいる描写があります。 ↓よろしければどうぞ れみりゃとお兄さんの出会い(表) 「弟君、この子を預かってほしいの」 突然俺の部屋に訪ねてきた姉貴が、俺の部屋の玄関で放った一言。 久しぶりに聞く姉貴の声が遠い出来事のように感じた。 はっきり言って訳がわからない。 突然過ぎる。 姉貴の腕の中を見ると、人間の赤ん坊のような小さな生き物がいるのが見えた。 「う~♪う~♪」 満面の笑顔。 何かを求めるかのように、両手を必死に虚空に向かって伸ばしている。 「…これって…人間…なのか?」 俺はその生き物に手を伸ばしてみる。 指がそれの頬に触れる。 「う~♪」 暖かくて、そしてとても柔らかかった。 「弟君、これはゆっくりよ」 「…ゆっくりだって!?」 ゆっくりとは、最近日本に突然現れた生物たちの名称だ。 見た目は人間の生首にしか見えなく、さらに動き回るので、正直慣れてないと気持ち悪いところもある。 お偉いさんの間では、『安らぎを運んでくれる妖精』だの『人間の醜い部分だけを集めた妖怪』だの『単なる野生動物』だの、色々意見が分かれているとか。 どうでもいいことだがな。 今のところ、人間とゆっくりの住み分けが出来ているとは言い難い。 害虫のように潰されてしまう事も決して少なくないと聞く。 俺は勿論そんなことをしたことはないが。 ただ、やはり近寄りがたい印象は持っていたのは確かだ。 しかし… 「ゆっくりってのは生首じゃないのか?そいつ、どう見ても人間の赤ん坊にしか見えないんだけど」 姉貴は無言でそいつを持ち直し、その体を反転させる。 俺はそれを見て納得した。 そいつの背中には、黒く小さな翼が生えていたからだ。 「なるほど…確かに人間ではないみたいだな」 しかし、未だに腑に落ちない点はある。 勿論、『俺に預かってほしい』と姉貴が言ってきたことだ。 「なあ、何故俺の所に連れてきたんだ?」 そいつが可愛いのなら自分で飼えばいい。 何故俺の所に持ってくる必要があるんだ。 「…私じゃ…無理だから…」 姉貴が顔を俯かせて小声で呟く。 は? 何だって? 俺の中では姉貴はいつも元気というイメージがあった。 しかし、今の目の前にいる姉貴はとても小さく見えて。 触ったら砕けてしまうんじゃないかと言う風にさえ見えた。 「だから…お願い…弟君にしか頼めないの…」 はぁ…。 思わず溜息が出る。 やれやれ、そこまで言われて断ることなんてできないじゃないか。 「だが、俺は大学の授業にも出るぞ。その間はどうすればいいんだ?」 「あっ…うん。私は少しお休みもらってきたから。その間にこの子が一人で生活できるように色々と教えようと思う」 姉貴は安心したように笑った。 やれやれ。 ああいうのは勘弁してほしいもんだぜ。 「う~♪う~♪」 ゆっくりの鳴き声が響く。 何だか嬉しそうにも聞こえるな。 「ありがとう…弟君」 「お、おう…」 照れ臭いから勘弁してくれ。 「…で」 「ん?」 「そいつの…そのゆっくりの名前はなんて言うんだ?」 俺は姉貴とゆっくりを居間まで連れてくると、俺はさっきから気になっていたことを質問する。 ゆっくりは姉貴の腕の中のままだ。 「この子?へっへ~♪」 姉貴は得意そうに笑う。 こういう表情してこそ姉貴だろう。 「この子はね、れ・み・りゃっていうんだよ♪」 「う~♪う~♪」 ゆっくり…れみりゃは嬉しそうに両手を上げ、自己の存在を姉貴の腕の中でアピールする。 くそっ…結構可愛いじゃないか。 「で、そいつを一人で生活できるようにする…って話だったが。出来るのか?」 「う~ん…何とかやってみる」 姉貴の表情が曇る。 まあ、短期間では厳しいだろうな。 見る限りどう見ても赤ん坊にしか見えない。 「そいつの飼い方は?檻とか必要なのか?」 「ううん、出来れば家の中で放し飼いが良いと思う。檻の中はゆっくり出来ないみたいで…」 ゆっくりがゆっくり出来ないと大変だろうな。 なるほど。 これってギャグなんだろうか…。 「そいつの食べ物は?」 「甘味。特にプリンが好きみたい」 プリンが好きな野生動物なんて聞いたことないな…。 やっぱりこいつは妖精か何かなのか? 俺はれみりゃの頬を指先で触ってみる。 「う~♪う~♪」 嫌がってはいないようだ。 嫌われていないことに少し安心する。 これから生活するというのに、嫌われていたら色々と面倒だからな。 「じゃあ、弟君。私はこれから必要な物を買ってくるから、れみりゃのことを少し見ててあげてくれない?」 「えっ」 いきなりかよ。 ちょっとハードル高くないか? 教えてくれたら俺がひとっ走り買ってきても良いし。 「弟君もれみりゃもお互いに慣れてほしいの。弟君にはしばらく預かってもらう事になるんだし」 姉貴は俺の表情から何を思っているのか察したようだ。 やれやれ、姉貴にはすぐに俺の考えが読まれてしまう。 昔からそうだった。 しかし…こいつを預かるのか…。 改めてその重みを感じてしまう。 動物を可愛がるということと動物を飼うということは全く違うことだ。 こいつを動物と言っていいのか分からないが…今はスルーしてくれ。 …誰に断りを入れているのか分からんが。 まあとにかく、ペットを飼うという事は色々面倒なこともしなければいけない。 排泄物の世話とか、犬の場合には毎日のように散歩とか。 俺は動物は好きだが、実際にペットとして飼ったことはなかった。 そして、それは姉貴も勿論同じことのはず。 飼ってみたいという気持ちはあったが、親が許してくれなかったのだ。 そんな俺達に…いや、俺にこいつの世話が出来るのだろうか。 漠然とした不安に陥る。 やれやれ、我ながらネガティブな考えだという事はわかってはいるのだがな。 わかってはいるのだが…。 「大丈夫だって。可愛いから!!ほら、抱いてみて」 突然姉貴かられみりゃを手渡される。 うわっ、小さいけど暖かくて柔らかい! …でも、肉まん臭い…。 「う~♪う~♪」 れみりゃは俺の手の中で嬉しそうに鳴く。 何故そんなに嬉しそうなのか。 …と、ここにきて違和感を感じた。 「姉貴、ゆっくりってのは人間のように言葉を話すんじゃなかったのか?」 そう、ゆっくりは人間の言葉を話す。 それがゆっくりの最大の特徴だ。 それがあるからこそ、ゆっくりを安易に野生動物のカテゴリーに入れるか否かで争いも生じるのだろう。 しかし、このれみりゃは「う~」としか言葉を話さない。 赤ん坊だからか? まあ、言葉を話さなくても別に問題はないんだろうけど。 「…」 ん? またもや姉貴の表情が曇る。 何かあるのか? 地雷踏んだのか? 「その子が言葉をなかなか発しないのは…その子のお母さんのことが原因なのかもしれない」 「お母さん…?遺伝ってことか?」 俺の質問に姉貴が無言で頷く。 そういや、こいつの母親ってどこにいるんだ? 普通は母親が子供を世話するものじゃないのか? 「それと…ああ、いいや。何でもない」 姉貴が話の途中で言葉を濁す。 「何だよ、気になるじゃないか」 「ああ、う~ん…えっと…」 姉貴は言葉を必死に探しているようだ。 言いたくないならそれで良いんだけどな。 「まあいいよ。それより、こいつの母親は?言葉を話さなくても子供を育てることくらいは出来るんじゃないのか?」 「…」 姉貴が俯く。 何だよ。 また地雷か。 地雷だらけじゃないか。 俺はマインスイーパーは嫌いじゃないぞ。 暇つぶしに丁度良いし。 「その子のお母さん…お母さんねっ…」 姉貴の声が鼻声になった。 顔を見ると、涙を流しているのが見えた。 …何があったんだ? 「その子の…お母さんねっ…ぐすっ…」 姉貴は必死に言葉を紡ごうとしている。 が、あふれてくる涙のせいでなかなか上手くいかない。 「その子…れみりゃの目の前でね…」 目の前で? 目の前でどうしたんだよ。 「…死んじゃったの…」 「え…?」 思わず間抜けな声が出てしまった。 死んじゃった? まあ冷静に考えたらそれが自然なのかもしれない。 母親が生きていたなら、こいつの世話は母親がやることなんだろうから。 「ううっ…ぐすっ…」 姉貴のすすり泣く声だけが静寂の中に響き渡る。 …しかし、腑に落ちない。 姉貴やこのれみりゃがれみりゃの母親の死によってショックを受けたということはわかる。 しかし、それでれみりゃが話せなくなるということにどのように繋がるのか? それが俺には分からなかった。 「ゆっくりはね…ゆっくりしたいの…ゆっくりする為に生きているの…」 姉貴は泣き続けているも、必死に俺に話そうとしている。 俺は黙って聞くことにした。 「だから…あまりにもゆっくりできないことがあると…忘れようとするの…そして…それが大きなことだと…色々なことも一緒に忘れてしまうんだと思うの…」 なるほど、何となく俺の中で繋がった。 れみりゃは、ゆっくりしようとするあまりに言葉までも忘れてしまったってことなのか。 母親の死というゆっくり出来ない事実を忘れる為に。 …ふぅ。 母親が死んでしまうことを認識すること、母親のこと自体を忘れてしまうこと。 どっちの方が不幸なのかは俺にはわからない。 そして、この感情は憐れみでしかないのかもしれない。 母親の存在と共に言葉を忘れてしまったこのれみりゃへ対しての。 しかし…俺はこのれみりゃに何かしてあげたいと初めて思った。 可愛がるということと実際に飼うということは全く別の話だ。 動物を飼うということは生半可の覚悟で出来る話ではない。 だから、親も許してくれなかったのだろう。 今なら…何となくだけどわかる。 しかし、それでも…自分にその覚悟があるのかもよくわからないが…このれみりゃの為に何かしてあげたいと思った。 中途半端な憐れみは却って害悪だと言う奴もいる。 ならば精一杯憐れんでずっと一緒にいてやろうじゃないか、と今なら思う。 だが、その一方で冷静な自分も中にはいる。 これは俺の一時の感情にしか過ぎないのではないのだろうか。 飽きたら捨ててしまうのではないだろうか。 そんな言葉が俺の中で囁かれる。 俺は一体どうすればいいのだろうか。 姉貴の言葉のまま預かっていれば…俺とれみりゃの関係は長続きしないような気がしてきた。 俺はこいつと長い間一緒にいられるのだろうか。 色々な思惑が俺の中で駆け巡る。 「う~…?」 れみりゃが不安そうに俺の顔を見る。 察したのだろうか。 俺が迷っていることを。 「う~♪う~♪ゆっくりぃ~♪ゆっくりしていくんだぞぉ~♪」 れみりゃが不安そうにしているのは一瞬だけだった。 すぐに満面の笑顔を俺に向ける。 その小さな手を俺の顔に真っ直ぐに伸ばす。 れみりゃの手はとても暖かかった。 その笑顔を見て、俺は心が洗われるような感覚に陥った。 その満面の笑顔は、確かに俺の心に安らぎをくれたのだった。 この笑顔を守りたい、心からそう感じた。 それだけで良いんじゃないか。 それだけでれみりゃと一緒に暮らしていけるんじゃないか。 そう思った。 「れみりゃは…今…とってもゆっくり出来ているんだと思う」 姉貴の口調は先程よりも幾分しっかりしたものとなっていた。 涙も止まっていた。 「私の前では…言葉を全く話さなかったから」 俺は姉貴に言われて気付いた。 れみりゃが『う~』以外の言葉を発したことに。 確かに『ゆっくりしていくんだぞ』と言葉を発した。 だが、俺が何かをした訳じゃない。 それとも、れみりゃは俺を選んでくれたのだろうか。 俺と一緒なら、ゆっくり出来ると思ってくれたのだろうか。 「私では…れみりゃをゆっくりさせてあげられない…」 姉貴が何故そう思うのか俺にはよくわからなかった。 れみりゃの母親を死なせてしまったことに対する自責の念だろうか。 「お願い…れみりゃをゆっくりさせてあげて…」 姉貴が頭を下げる。 一般的に言う土下座の体勢だ。 … 先程までは姉貴が頼むから、そのような理由でれみりゃを預かろうとしていた。 しかし、今は違う。 「う~♪う~♪ゆっくりぃ~♪」 俺の腕の中で、俺の顔に小さな両腕を必死に伸ばそうとするれみりゃ。 満面の笑顔で。 この笑顔を守ってやりたい。 この笑顔を見ていたい。 それがこいつを預かる…いや、一緒に暮らす理由だ。 姉貴に頼まれるまでも、ましてや頭を下げられる謂われはない。 「姉貴、頭を上げてくれ」 姉貴は俺の言葉に下げていた頭を上げる。 そして、俺は姉の顔を正面から見据えて言った。 「姉貴、俺にこいつと一緒に暮させてくれ」 まだまだれみりゃと暮らしていくには沢山障害があるのだろう。 しかし…どんな障害に陥ろうとも、れみりゃを見捨てることだけは絶対にしない。 それが俺の覚悟だ。 そして、俺が一方的にこいつに何かをしてやる訳ではない。 こいつが満面の笑顔を見せてくれることで…俺自身がゆっくり出来る。 れみりゃに俺をゆっくりさせてほしい。 あの心が洗われるような感覚を一度経験してしまった以上、こいつを手放す気など毛頭なかった。 これからもずっと俺をゆっくりさせてほしい。 「う~♪う~♪ゆっくりしていくんだぞぉ~♪」 その一言から、俺とれみりゃの生活が始まった。 後書 この話は大人なれみりゃとちょっと子供なお兄さんの何年か前の話です。 ずっと書きたいと思っていた話です。 一方的に与える関係ではなく、精神的なギブアンドテイクの関係が一番理想だと私は思います。 お姉さんとれみりゃのお母さんの間に何があったのか。 それが気になる方はこちらをご覧ください。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1176.html
捕まりゆっくり 63KB 親子喧嘩 越冬 群れ 捕食種 自然界 独自設定 『尋ね人ゆっくり』の外伝です ※独自解釈が満載です。 ※虐待してないですね、これ…… ※過去最長。……これでも削ったんですよ? ※『ふたば系ゆっくりいじめ 410 お尋ねゆっくり』の外伝みたいなお話です。 書いた奴:一言あき 山の裾野に広がる森とは広い平野を挟んで反対方向にある寂れた農村。 その一角にある大きな家の土蔵の中は、今日もゆっくりさせて貰えないゆっくり達の悲鳴で騒がしかった。 「さくやぁぁぁぁっ!ざぐや゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ゛!!」 「はなすんだどぉおおおお!!れみぃはこーまかんのおぜうさまなんだどぉおおおおお!!」 「ぼぅやじゃああああ!!おうぢがえるぅううううう!!」 「う゛ー!!う゛ー!!」 そこそこ広い土蔵の中を埋め尽くすかのように置かれていたのは、無数の金属で出来た檻。 猛犬等を入れておく為に設計されたそれは、今は本来の主の代わりにある生物(なまもの)を体内に収めている。 俗にZUN帽と呼ばれる不思議な形状の帽子を被り、背中に一対の蝙蝠の羽根を持つそれはゆっくりれみりゃと呼ばれていた。 「あがぢゃぁああああん!!うまれちゃだめなんだどぉおおおおお!!」 抵抗もむなしく、十字に組まれた拘束台の上でもがく胴付きれみりゃから一匹の赤れみりゃが生まれ落ちる。 胎生にんっしんっで生まれた為か、生まれたての割には充分子ゆっくりと呼べるサイズの赤れみりゃは、母親にご挨拶をするべく口を開き、 「う゛~っ☆まんまぁ~☆ゆっく「おっ、ちゃんと生まれたな?じゃあ早速回収だ」ゆ゛っ゛!?」 母の姿を一目見る事無く、無造作に伸びて来た手に掴まれてどこかに消え去った。 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!れ゛み゛ぃ゛の゛お゛ぢびぢゃ゛ん゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 嘆く間もなく、れみりゃの体に注射針が刺さる。 音を立てて注入されていく液体から動かない体を必死に揺らして逃れようとするれみりゃ。 「ぼう゛や゛じゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!あ゛がじゃ゛ん゛う゛み゛だぐな゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 泣き叫ぶれみりゃに構わず、最後の一滴まで注ぎ込まれると同時にれみりゃに劇的な変化が起こる。 ゆっくり特有の下膨れ気味な顎の下辺りがみるみる内に膨らみ、それが胴の方へ移動していく。 「あがぢゃぁああああん!!うまれちゃだめなんだどぉおおおおお!!」 そして同じ光景が繰り返される。 よく見れば拘束されているのは所謂胴付きばかりではない。 胴無しと呼ばれる、通常のゆっくりに羽根を付けただけの種も同じく拘束され、同じように子供を生産している。 そう、『生産』だ。 先程の注射器の中身はにんっしんっ促成剤と精子餡の混合液である。 そうして生まれたれみりゃ達は生まれ落ちた瞬間に親から隔離され、人間について徹底的に仕込まれる。 人間はれみりゃよりも強い、人間に逆らってはいけない、人間に生意気な事を言ってはいけない等々。 教育の過程で駄目出しされたれみりゃは、他のれみりゃ達の目の前で容赦なく叩き潰され見せしめにされる。 最初は反抗的な態度を取るれみりゃも、同族の無惨な死を見せつけられる内、次第に人間に従順になってくる。 そうして特に見込みのあったれみりゃを先程の蔵に拘束し、赤ちゃんを『生産』させるのだ。 これを繰り返す事で、ゆっくり達の中枢餡に『人間への絶対服従』を刷り込み、労働奴隷に仕立て上げる。 それがこの研究の目的だった。 『捕まりゆっくり ~あるいは彼女達を取り巻く状況について~』 『検体二十七号(三世代目)』と書かれた檻の中で拘束されている胴無しれみりゃも、例に漏れず出産を間近に控えていた。 ゆっくりのにんっしんっ期間は植物性で約三日、胎生でも約七日程度。 それを促進剤で無理矢理半日に短縮した上、休み無しでにんっしんっを繰り返しているのだから母体に掛かる負荷は尋常ではない。 「う゛ーっ!!う゛う゛ーっ!!!」 ここに繋がれてからもう十日、同族の姿は見えない。壁の向こうから聞こえてくる阿鼻叫喚だけが一人ではないことを実感させてくれる。 自慢の羽根をいくら羽撃かせても、拘束された体は動かすことも出来ない。れみりゃの世界は鋼鉄と悲鳴と慟哭で塗り潰されていた。 ここはいやだ、おそとにでたい、あかちゃんはもう、うみたくない。 必死に訴えるれみりゃの言葉は悲鳴に掻き消され、誰にも届かない。 もういやだ、どうしてこんなことに、れみぃはなにもわるくないのに。 それでも尚、れみりゃは叫び続ける。我が身に降り掛かった不運を嘆くように、恨むように。 たすけて、だれか、たすけて。 声にならない助けを祈る。ゆっくりには祈るべき神など居ないと言うのに。 だがその日、どこに居るかも解らない神はれみりゃに微笑んだ。 「おい、二十七号の様子が変だぞ?」 「……ストレスみたいですね。にんっしんっはしてるようですし、一度ここから隔離して見ますか」 「おいおい、今更ストレス程度で特別扱いかよ?ここじゃ衰弱死だって珍しくなかろうに」 「今孕んでる分だけですよ。こいつはもう限界でしょうし、生まれたら母体は処分の方向で」 「……おっかないねぇ。虐待派の俺でさえ引くわ」 「いちいち実験動物に感情移入してどうします?結果が出なければ生ゴミも同然でしょう、こんなの」 「……解った解った、んじゃこいつは隔離ってことで良いな?拘束外すぞ」 「ああ、今移送用のケージ持って来ます……ってもう外してるし」 「ん?このまま持ってけば良いんじゃないのか?どうせ逃げられないだろ」 「……まあ良いです。それじゃ、本棟の方に移送しましょう」 「本棟ったって、俺ん家の母屋じゃねーか」 「れみりゃ使うのだって貴方が言い出しっぺなんですから、それ位我慢してくださいよ」 「しょうがねぇな。んじゃ持ってくぞ……痛ぇ!!」 「ああっ!?何やってるんですか!!急いで捕まえないと!!」 「くっ、この!ちょろちょろとしやがって!!」 「窓!窓閉めてください!!急いで!!!」 「馬鹿!何やってんだ!!そこじゃない、天窓だ!天窓!!」 「あっ!?……くそ、逃がしたか!!」 「……悪い。まさか噛み付いてくるとは思ってなかった」 「事前教育の成績は悪くなかったんですがね。環境の激変で我を忘れたんですかね?」 「……教育どうこう言うより、ここに居るのが耐えられなかったんじゃないか?結構必死だったぞ」 「まあ仕方ありません。それより怪我は大丈夫ですか?」 「これ位なら大したことは無ぇよ」 「それはよかった。じゃあ欠けた分を補充して来てくださいね」 「……また第一世代から仕込むのか?非効率だろそれ」 「たまに餡統をリフレッシュしないと出生率が落ちるんです。丁度良い機会ですし、あの森で二、三匹ぐらい………」 胴無しれみりゃは身重の体を抱え、必死になって羽撃く。 赤ちゃんが生まれていないのにれみりゃを閉じ込めていた檻が開き、体を縛り付けていた拘束が外され、人間の手に抱えられて運び出される。 何がなんだか解らなかったが、今が逃走の好機であることは理解できた。 自分を抱える人間に噛み付き、両手の拘束を振り払って換気のために開けてあった小窓から飛び出す。 日が沈みきって夜闇が広がり始めた時間帯であったことも幸運であった。 尤も、日光溢れる時間に窓を開けたりすれば蔵の中のれみりゃが全滅するので、換気はいつもこの時間に行われているのだが。 折角、千載一遇の大チャンスを捉えたのだ。ここで無にする訳にはいかない。 背後で騒ぐ人間を振り切るように、れみりゃは一目散に逃げ出した。 人間に捕まる訳にはいかない。捕まったら最後、再びあのゆっくり出来ない所に押し込められてしまうだろう。 人間の居ない所に、人間が来ない所に!! れみりゃは無意識のうちに、夜の闇に浮かぶ木々の影を目指して飛んでいた。 山の裾野に広がる森の奥地、木々が密集して昼なお暗い陰鬱な場所に生える一本の老木。 長い年月風雨に晒され、腐れ落ちた痕に出来た大きなうろの中で、れみりゃは出産の時を迎えていた。 ここにたどり着けたのはまたしても幸運だった。何やら自生していたキノコが邪魔ではあったが、今はそれがマット代わりになってくれる。 夜露を凌ぐ程度には過ごし易く、何より周囲を囲む木々のお陰で朝日が遮られ、れみりゃに届かない。 昨晩から続く幸運の連続を、れみりゃはただ当たり前の如く享受するのみだった。 ゆっくりには神は居ない。 それは『ゆっくりにご利益を授ける神が居ない』事を意味するのではなく、『ゆっくりには感謝や懺悔を捧げる対象が居ない』事を表しているのだ。 神への感謝は謙虚な心を育て、神への懺悔は反省の心を促す。信仰とは即ち、道徳心を育むための土台なのだ。 しかし、ゆっくりにはそれがない。 ただ怠惰にゆっくりすることを望む彼女達には、反省も、謙遜も、善悪の区別さえも不要だからだ。 れみりゃもまたそのあり方のままに、幸運への感謝も自然への畏敬も無く、只腹の中の子を産み落とすことだけしか頭に無かった。 余りにも傲慢なその姿に、流石に幸運を授けていた神も憤慨したのだろうか? 普段よりも数倍に増した陣痛に耐え、生まれた胴無しれみりゃの子供は、 「う~☆まんま~☆ゆっくりするんだどぅ~☆」 「う゛う゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?!?!?」 下膨れの顔の下に人間を思わせる胴体を付けた、胴付きれみりゃであった。 胴無しから胴付きが生まれる、あるいは胴付きから胴無しが生まれる可能性は低くない、らしい。 『らしい』と付くのは、野生においてそんな親子関係が成立しているゆっくりが居ないからだ。 人工繁殖の際に確認された事例から、親と違う種が生まれる『取り替え子現象』よりは多い程度だと思われる。 このれみりゃはその決して多くはない確率に含まれてしまったのだ。 それはこの親子の悲劇の幕開けであった。 「うーっ!うーっ!」 「まんまがなんていってるかわからないんだど~!」 何故自然界でそんな親子関係が見られないのか、その答えがこれだ。 胴無しと胴付きの会話は成立しないのだ。 元々捕食種は薄皮饅頭をベースとする被捕食種と違い、皮が厚めの中華まんをベースとすることが多い。 その分、餡子に値する具材の量が同じ大きさの被捕食種に比べ少なくなる傾向にある。 そして必死に逃げるゆっくりを捕まえる運動能力にその大部分を割かれてしまう為、人語を理解する能力を持たないのだ。 その為、胴無しは『うー』という唸り声で会話をする。他の種には理解できなくても、同種同士の会話には不自由しない。 一方、胴付きは運動機能を胴体の具材に割り振っている。 そのため餡子に余裕があるので人語を理解できるが、代わりに胴無しの会話が理解できなくなった。 日本で育った外国人が、母国語を忘れるようなものだろうか。 親子間での会話が成立しないという、最悪にゆっくり出来ない事態に直面した親の選択は一つしかない。 生まれた子供を間引くこと。ゆっくり出来ないものを拒絶するゆっくりなら簡単に選ぶであろうそれを、 このれみりゃは選べなかった。 あの蔵で生まれた子供達、ご挨拶も出来ずに奪われた子供達の分まで、この子を育てよう。 少し変わっているけれど、大切な自分の赤ちゃんなのだ。必ず立派な『おぜうさま』にして見せる。 れみりゃの決意を言葉にするならこうなるだろうか。この日から、たった一人での子育てが始まった。 季節は巡る。 日々秋の気配が深まっていくある日の夜更け。 虫さえも寝静まる真夜中、胴無しれみりゃと胴付きれみりゃの親子は獲物を探して森を徘徊していた。 獲物とは勿論ゆっくりである。 日光に弱いれみりゃ種の狩りは大抵日が落ちると同時に行われるが、この親子はうっかり寝過ごした所為でこの時間に狩りを始めたのだ。 当然、出歩くゆっくりなぞ何処にも居ない。 そうこうしている内に東の空が薄らと明るくなっていく。夜明けの前兆だ。 日光に弱いれみりゃ達にはこれ以上は危険だ。時間切れである。 大慌てで引き返し、ねぐらである老木のうろに到着した頃にはすっかり明るくなっていた。 「う~☆おなかすいたんだどぉ~☆」 「う~!」 結局獲物が見つからないまま一晩中飛び回ったため、子れみりゃが空腹を訴える。 それを宥めながら、親れみりゃはうろの奥から大きな塊を引っ張り出す。 「…………!………………!!」 それは舌を引き抜かれ、大きな石で口を塞がれたれいむであった。 片方しか無い目を限界まで見開き、子供のようにしーしーを漏らしながら、体を左右に振ってれみりゃの拘束から逃れようとしている。 「ごはんはおとなしくしてるんだど~☆えいっ☆」 「………っ!!!」 もがくれいむを両手で押さえつけて、子れみりゃは満面の笑みを浮かべながられいむに噛み付いた。 「いっただきますなんだど~☆がぶっ☆」 「!!!!!!!!!」 れいむの一つしか無い瞳が絶望に染まる。音を立てて吸い上げられて行く餡子。 徐々に力を失っていく体が突然痙攣し出した辺りでれみりゃは口を離した。 「う~☆こいつはもうおしまいなんだどぉ~☆」 「う゛ーっ!?」 親れみりゃが慌てて近寄るが、既にれいむは事切れていた。 こうなってしまっては仕方が無い。渋い顔で残った餡子を啜る親れみりゃに、子れみりゃがふてぶてしい笑顔でお代わりを要求した。 「う~☆なんだかまたおなかがすいてきたんだど~☆まんまの『おりょうり』、おかわりするんだどぉ~☆」 「う~!!」 再び巣の奥に飛ぶ親れみりゃが引っ張り出して来たのは、両目のあるまりさだった。 だがその舌は引っこ抜かれておらず、石の代わりに毒々しい色のキノコが大量に詰められていた。 「もがぁああああ!!むがぁあああ!!」 まりさの目は焦点を結んでおらず、盛んに何かを叫んでいる。 その姿はまるで何かと戦ってるようにも見えた。 「……この『おりょうり』はまだできあがってないんだどぉ~☆」 「……うー、うー」 暴れるまりさを見た子れみりゃが母に抗議するも、親れみりゃも首を横に振るばかり。 「……ひょっとして、『おりょうり』はこれでおわりなんだど!?」 「うー……」 この親れみりゃ特製の『おりょうり』とはゆっくりを生かしたまま捕らえ、動けないように痛めつけてから巣へ運び、 うろに自生するキノコを詰め込んでから石で口を塞いで放置すると言うもの。 たったこれだけなのだが、この処置を施したゆっくりの餡子は非常に美味になるのだ。 決め手はうろに自生するキノコにある。 このキノコ、実は幻覚作用を持つ毒キノコなのだ。 以前、産後の肥立ちが悪くて狩りに出られず、空腹に耐え切れず食べてしまった親れみりゃが昏倒し、幻覚に襲われたことがある。 親れみりゃが見た幻覚、それはあの蔵に閉じ込められた日々を延々と繰り返すものであった。 このキノコは食したもののトラウマを幻覚として見せる作用があるらしい。それに気付いた親れみりゃが思い付いたのがこの使い方だ。 ゆっくりの餡子は苦痛を与えれば与える程に甘くなり、味わい深くなる。 身体への直接的な苦痛でもいいのだが、甘くなりきる前に死んでしまうことも多い。 その点、このキノコなら精神的な苦痛を断続的に与え続けるため、余程のことが無ければ死ぬことは無い。 キノコを食わせる事で飢え死にする事も無い。じっくり甘くなりきるまで生かしておけばそれでいいのだから、まさにお手軽な料理法だと言えるだろう。 キノコを食べさせるゆっくりは何でもいいのだが、たまに見掛ける片目の無いゆっくりを使うとより味に深みが増す。 どうやら普通のゆっくりよりも深いトラウマがあるらしく、キノコの幻覚が与える苦痛が並ではないのだ。 しかし、片目の無いゆっくりは『おりょうり』するまでもなく美味なため、この森の捕食種達は我先にと競って捕まえようとする。 その上普通のゆっくり達と違って中々に手強いのだ。現にこのれみりゃも先日片目の無いまりさを取り逃がしている。 そういう入手しづらい材料を使うので、今回のように切らしてしまうことも珍しくない。 その為、一回で喰い尽くすのではなく何度も小分けにして餡子を啜り、生かさず殺さず長期に渡り保存していたのだが……… 「なんでなんだどぉ!!まんまはれみぃがかわいくないんだどぉ!?」 「う゛ー!!う゛ー!!」 短い手足をばたつかせ、子供のそれを数倍醜悪にしたような駄々をこねる子れみりゃを必死で宥めようとする親れみりゃ。 尤も、泣きたいのは親れみりゃの方であったが。 親れみりゃはこの『おりょうり』を冬の蓄えにするつもりであった。 それでなくても簡単に手に入らない貴重なゆっくりを使っているのだから、可能な限り長持ちさせたいというのが本音である。 しかし子れみりゃはそれを理解しない。今回のようにまだ使える『おりょうり』すら一食で喰い尽くすのだ。 それを諌めようとしてもまた別の問題が立ち上がる。 子れみりゃの言葉は親れみりゃに問題なく通じている。問題はその逆だ。 自分の意思を子れみりゃに伝えようとしても、『なにいってるのかわからないんだどぉ~☆』で終わってしまう。 言葉が通じないと言うハンデは、親れみりゃが思ったよりもずっと重い現実となってのしかかって来ていた。 「おなかすいたんだどぉ~!!このままじゃうえじにしちゃうんだどぉ~!!」 ジタバタと駄々をこね続ける子れみりゃ。先程ほぼ一匹分の餡子を啜った事などすっかり頭から抜け落ちている。 最初こそどうにか宥めようとしていた親れみりゃだが、余りの我侭っぷりに堪忍袋の緒が切れたようだ。 「うわぁああ!!さくやー!!ざぐやぁああ「う゛ー!!」ぶぴっ!?」 泣き叫ぶ子れみりゃの顔面に、親れみりゃの体当たりが決まる。 体当たりとは言っても極々軽いそれを受け、子れみりゃが目を白黒させて泣き止む。 「う~、まんまぁ……、もしかして、おこってるんだどぅ……?」 怖ず怖ずと問いかけてくる我が子に、『う゛ー!!』と肯定を示す親れみりゃ。 普段は柔和に微笑んでいるその顔に怒りを浮かべ、自分を睨みつけてくる母の姿に子れみりゃが折れる。 「……ごめんなさいだど、まんま。れみぃ、もうおやすみするんだど……」 「……う~、う~」 神妙な表情を浮かべて大人しく寝床に向かう我が子の姿に、親れみりゃは溜め息を吐く。 会話が通じないこの親子にとって、先程のような遣り取りは日常茶飯事だ。 足りない部分はボディランゲージで補っているのだが、この通り非常に荒っぽいため親子の会話がDV気味になってしまう。 こうなる事は分かっていた。それでも子れみりゃを育てる事を選んだのは自分である。 立派な『おぜうさま』にする為には甘やかすだけでは駄目なのだ。 それが分かっていても、立ち塞がる障害の困難さに親れみりゃの決心は挫けそうであった。 一方、子れみりゃもまた現状に不満を持っていた。 (……きっと、まんまはれみぃがきらいなんだど!だからでなーもすくないんだど!!) 胴無しはその素早さや小回りの良さを活かし、群れから逸れた獲物を追いつめる方法で狩りを行う。 一回の狩りで得られる獲物は多くて三匹。親子が暮らすには充分だ……普通の胴無し親子なら。 胴付きの食事量は胴無しより多い。胴体を維持するため、かなりの栄養が必要になるからだ。 その分、力や器用さの点に置いて胴無しに勝る胴付きの狩りは、群れの襲撃などの大規模な方法になる。 今日のように獲物が見つからない事も考えると、子れみりゃが必要とする栄養には全く足りていない。 決して親れみりゃの狩りが下手と言う訳ではないが、そこら辺の事情を知らない子れみりゃには愛情の欠如に見えてしまうのだ。 その上、親子のディスコミュニケーションが更なる拍車を掛けた。 親れみりゃの言葉は子れみりゃには理解できない。 精々『うー』という鳴き声のイントネーションの違いで喜怒哀楽を聞き分けるのが精一杯だ。 それでは到底ゆっくり出来ない。 生まれた直後からゆっくり出来ない環境に取り囲まれていた子れみりゃのストレスも、親に負けない勢いで溜まっていた。 互いにゆっくり出来ない思いを抱えながら、凸凹親子は眠りに着いた。 「もがぁああああ!!むがぁあああ!!」 未だ幻影と戦い続けるまりさの叫び声を子守唄にして。 季節は巡る。 森の奥に密集する木々の合間から白いものが漏れてくる冬の朝。 あちこち朽ちた老木にさえ霜が降りる程冷え込んだ空気も、れみりゃ親子が暮らすうろの中には届かなかった。 「う~☆さむくないんだどぉ~☆」 「う~♪」 正確には届いては居るのだが、親子の周りに置かれたそれが寒波を防いでいたのだ。 巣のあちこちで蠢く影の正体、それは口を塞がれた大小様々なゆっくり達であった。 今年の秋は例年に無く寒くなるのが早かった。賢いゆっくり達はそれを察知して冬籠りの準備を早めた。 しかしれみりゃ親子にとってこれが初めての冬籠りになる。当然、そんな事に気付く筈も無かった。 そして周囲の捕食種達が冬の準備を終わらせたのを見たれみりゃ親子が慌てて準備を始めた頃には、殆どの群れが冬籠りに入ってしまっていたのだが……。 幸運にも冬籠りの準備もせず遊び呆けていたゆっくりの群れを見つけ、ちょくちょく襲っては片っ端から『おりょうり』したのだ。 そして全くの偶然ではあったが、多めに作った『おりょうり』達は防寒具としての役目も果たしてくれた。 幻覚と争い、無駄に体力を消耗してくれるおかげで巣の中は過ごし易い環境になっている。 出口辺りに配置したゆっくりは凍り付いていたが、うろの中にはまだまだ沢山のゆっくりが居るので問題ない。 「う~☆はやくはるになるんだど~☆」 「う~♪う~♪」 春の訪れを心待ちにする親子。しかしその心中は大きく食い違っていた。 (……はるになったら、れみぃもりっぱな『おぜうさま』なんだど~☆そうしたら、れみぃの『こーまかん』をみつけるんだど~☆) 子れみりゃは既に巣立ちの覚悟を決めていた。 ゆっくりの成長は早い。生後一月もすれば赤ゆ言葉も抜け、半年もすれば一人で狩りも出来るようになり、一年経てば成人したと見なされる。 人間に例えるなら、生後一月は赤子から小児、生後半年までは小学生から中学生、一年経つ頃が大学卒業に値するようなものだろうか。 春になる頃、子れみりゃは生後半年を迎える。 先程の例で言えば高校に入学したばかり、まだ巣立ちには早すぎる年頃だ。子れみりゃとて無謀な事である事位は察しがつく。 それでも言葉の通じない母の元で暮らすよりマシであろうと、一人で気ままにゆっくりする事を決めたのである。 (れみぃのけいかくは、まんまにはないしょなんだど~☆おしえないんだど~☆) こんな事を母に打ち明ければ、また体当たりを喰らって止められるだろう。 だから子れみりゃは、母に内緒で巣立ちを行うつもりであった。所謂、家出である。 自分をゆっくりさせない母から解放される日を夢見ながら、子れみりゃは春の訪れを待ち望んでいた。 親れみりゃは悩んでいた。 我が子の様子が明らかにおかしい。冬に入る前まであんなに我侭一杯に振る舞っていたのに、今は嬉々として自分の言う事に従っている。 ひょっとして、今までの教育の成果が現れたのだろうか?だとしても急すぎる。こんな短期間で豹変する程ゆっくりしていたようには見えないのだから。 真意を問いただそうにも言葉の通じない自分達では不可能だ。 だが何にせよ、我が子が素直な『おぜうさま』になってくれるのなら喜ばしい事だ。親れみりゃはそう思って心にわだかまる不安を振り払った。 今はただ春を待とう。春になったら子れみりゃを連れてもう一度あのゆっくり達で狩りをしよう。 あれだけの規模の群れだし、きっと大勢生き残っている筈だ。子れみりゃも満足できるだけの獲物を狩れるし、一緒に狩りをすれば母の苦労も分かってくれる。 我が子との楽しい日々に思いを巡らせながら、親れみりゃも春の訪れを待ち望んでいた。 名残り雪を融かす春の木漏れ日に誘われて、越冬を終えた蟲や獣達が森のあちこちで目を覚ます頃。 老木のうろを利用した『こーまかん』に住むれみりゃ親子もまた越冬を終え、後片付けを開始していた。 「う~☆まんま~、こいつもいいんだどぉ?」 「う~!」 母の許可を受けて、子れみりゃは生き残った『おりょうり』に牙を突き立てる。 冬の間は貴重な食糧だったので生かしておいたが、残った『おりょうり』は皆一様に活きが悪いものばかり。 だが冬の間生かさず殺さずを続け、フラストレーションの溜まっていた子れみりゃにとっては啜り放題である事自体が最高のスパイスだ。 嬉しそうに餡子を啜る子れみりゃの脇で、親れみりゃは冬の間に凍り付き、春になり解凍されてぐちゃぐちゃに崩れた『おりょうり』達を捨てる作業に没頭していた。 「………ゅ゛っ゛!!」 溶け出した時に出た水分で帽子と髪が癒着してしまったまりさを突き落とし、親れみりゃは一息入れた。 この老木は結構背が高い。他の木々も同じ位あるからこの老木が特別と言う訳ではないだろうが、それでもゆっくりにとっては致命的になる高さだ。 先程のまりさのようにまだ息のある『おりょうり』もいるが、こんなになってしまっては如何に味が良くても食べる気にはならない。 老木の根元は潰されたゆっくりで大惨事になっているが、巡り巡って老木の滋養にもなるのだからエコロジーな処分方法には違いない。 幽かに響いてくる『おりょうり』の断末魔を聞きながら、親れみりゃはこれからの予定を立て始める。 今『こーまかん』にある『おりょうり』を食べ尽くしたら、早速狩りに行かねばならない。 冬になっても遊び呆けていたあの丘の群れを狙おう。結構大きな群れだったし、簡単に捕まえる事が出来るから労力も少ない。 親れみりゃはそこまで考えると、夜に備え自分も腹を満たすべく子れみりゃの元へ向かった。 夜。通常種達が夢の中へ旅立つこの時間こそが、捕食種にとっての狩りの時間だ。 獲物に気付かれないよう、れみりゃ親子は無言のまま木々の合間を縫いながら飛んで行く。 やがて森が開け、闇夜に丘のシルエットが薄らと浮かぶのが見えた。 れみりゃ親子はじっくりと獲物を探して廻り、バレバレの偽装が施された大きめの巣に狙いを定めた。 親れみりゃが勢子となって巣に侵入し、巣の出口で待ち構える子れみりゃに捕らえさせる。 素早さに優れた胴無しと、力で勝る胴付きのコンビであるこの親子にだけ可能な方法であった。 (……う~っ!) (わかってるんだど~!ここでまってるんだど~!) 互いの役割を確認し、親れみりゃが巣の中に侵入する。 星明かりすら届かない地中に掘られた巣穴は中々広いが、ゆっくりの姿は見えない。 もしや、奥の方にいるのか?そう考えた親れみりゃは音を立てないよう慎重に巣の奥へ向かう。 今気付かれたら巣の奥に立てこもられて、親れみりゃはともかく子れみりゃでは手が出せなくなってしまうだろうから。 しかし、何処まで行っても巣の奥に辿り着けない。やがて巣の奥から星明かりが差し込むのを見た親れみりゃは思わず舌打ちした。 この巣には出入り口が二つあったのだ。そしてれみりゃの侵入に気付いたこの巣の主はまんまと裏口から脱出したのだろう。 獲物に出し抜かれた事に腹を立てつつ、親れみりゃは入口で待つ子れみりゃの元へ飛んで行く。 そして巣穴の外に出た親れみりゃの目に飛び込んで来たのは、 「ま゛ん゛ま゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!だずげでぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」 「ゆっ!れみりゃがでてきたよ!みんなでせいさいするよ!」 「「「「「ゆっゆっお~!!!!!」」」」」 ボロボロになった我が子と、それを取り囲む十匹程のゆっくり達だった。 突然の光景に理解が及ぶよりも早く、リーダーらしいまりさの命令と共に飛び掛かるゆっくり達。 怖れる様子も見せず高く跳ね上がるゆっくり達の体当たりをまともに喰らい、親れみりゃは地面に叩き付けられた。 「う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛っ゛!?!?!?」 「ま゛、ま゛ん゛ま゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!?」 子れみりゃが挙げる驚愕混じりの悲鳴を聞きながら、親れみりゃは必死に状況を把握しようとしていた。 親れみりゃが巣穴に忍び込んで少し経った頃、入口で獲物を待ち構えていた子れみりゃに何かが投げ付けられた。 「う゛っ!?いたいんだど!?」 涙目の子れみりゃが拾い上げたのは小石。 角張っていて痛そうなそれを手に、子れみりゃは投げ付けられたであろう方向へ目を向ける。 「ここはまりさたちのゆっくりプレイスだよ!れみりゃはいますぐここからでていってね!!」 そこにはバレーボール程の大きさのまりさが居た。ゆっくり独特の体を膨らませる威嚇のポーズで子れみりゃを睨みつけている。 「……おまえがれみぃにいしをぶつけたんだど~!?ゆるさないんだど~!!」 生意気な獲物に腹を立て、子れみりゃはまりさに躍りかかった。 だがまりさは身を翻してそれを避ける。勢いが付きすぎていた子れみりゃがたたらを踏んだ瞬間、まりさが叫んだ。 「いまだよ、みんな!」 「「「「「ゆぅうううううう!!!!」」」」」 それに応えるようにあちこちの暗がりから何匹ものゆっくりが現れる。 まりさ、ちぇん、みょん、少ないながらありすも居る。それらが一斉に体勢を崩した子れみりゃ目掛け突進して来たのだ。 「うわぁああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!?」 母の庇護のもとで育って来た子れみりゃにとって、このような逆境は初めてである。 パニックに陥り手足をばたつかせて抵抗するが、ゆっくり達は怯まず体当たりを繰り返してくる。 「……まりさおねーさんのいったとおりだね、こうやってみんなでたいあたりしていれば、れみりゃはおそらをとべない。 おそらをとべないれみりゃはぜんぜんこわくないよ。それにほんとうにまりさたちよりおばかみたいだしね」 その様子を見ていたリーダーを務めるまりさが安心したように独り言を漏らす。 この巣は、まりさがとあるアドバイザーの助言を受けて作った罠なのだ。 去年の秋に大人達が全滅して子供しか居ないこの群れにとって、れみりゃ等の捕食種から身を守る術の確立は急務だった。 身体能力に勝る捕食種と正面切って戦うのは無謀だし、素早く逃げ出そうにも子供だけでは不安がある。 そこで考え出されたのが、偽の巣穴を作って捕食種を騙す作戦であった。 トンネル状に掘った巣穴に不自然な偽装を施して見張り役のゆっくりを置き、襲って来た捕食種を誘い込む。 トンネルは広く長く掘られており、忍び込んだ捕食種に気付いた見張りが脱出して群れに伝える程度の時間は稼げる。 見張り役のまりさから連絡を受けて現場に急行したまりさ達が、罠の前で立ち尽くしている子れみりゃを見て即座に考え出したのがこの作戦だった。 作戦の内容はこうだ。 まず、まりさが小石を吹き付けてれみりゃの注意を引き、挑発する。 そして突っ込んで来たれみりゃをギリギリで躱し、体勢を崩した所で待ち伏せていたゆっくり達の体当たりで地面に叩き落とし、皆で取り囲んで攻撃する。 反撃の機会を与えないよう休みなく繰り返してぶつかり、飛び立てないうちに仕留めるのだ。 れみりゃが本当に馬鹿であるなら、見え見えの挑発であってもあっさり引っ掛かるだろうし、きっと待ち伏せにも気付くまい。 そう考えての作戦だったが、思った以上の効果があったようだ。 捕食種への恐怖で怯えていた仲間達も、実際にはれみりゃがそれ程強くない事を知ると、 「まりさがれみりゃをやっつけるんだぜ!!」 「れみりゃはよわいんだねー!わかるよー!」 「『はくろーけん』のさびにしてやるみょん!」 「れみりゃってばいなかものね!とかいはのありすがやっつけてあげるわ!」 と調子に乗って攻撃を続ける。 その間、子れみりゃも黙って攻撃を喰らい続けた訳ではないが、 「やっ、やべるんだど!!れみぃはこーまかんのおぜうさまなんだどぉ!!」 何度も反撃を試みるも、地に落ちたまま体勢も正せない状態ではどうしようもない。 獲物に過ぎないゆっくり達に手も足も出せない自分、それは子れみりゃのプライドを砕くには充分に過ぎた。 「ま゛ん゛ま゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!だずげでぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」 とうとう心が折れた子れみりゃが母に助けを求めた丁度その時、親れみりゃが外に出て来たのだった。 親れみりゃがゆっくりの一撃を喰らって地に堕ちたのを目にしたとき、子れみりゃは只唖然とするしか出来なかった。 言葉が通じなくても親である。きっと自分の苦境を救ってくれる筈だと子れみりゃは信じていた。 だがその信頼はあっさりと崩れ去った。 抵抗らしい事もしないままに地面に叩き落とされ、再び空に舞い上がる事も出来ずに袋叩きになる母。 その情けない姿を見ているうちに、子れみりゃの心に沸々と怒りがわき上がる。 あれが誇り高き捕食種の姿だというのか?『こーまかん』の主の姿だというのか? (……あんななさけないやつ、まんまじゃないど!!) 母と同じく餌に反撃を受けて抵抗できない自分の姿を棚に上げ、心中で子れみりゃは母を激しく罵る。 怒りに任せて手足を振り回し、しつこく集ってくるゆっくり達を強引に振り払うと、即座に子れみりゃは空へと逃げ出した。 「ゆっ!?みんな、おおきいれみりゃがにげるよ!!」 「なかまをみごろしにするんだねー!!わかるよー!!!」 「れみりゃってばよわむしね!!とんだいなかものだわ!!」 「う゛う゛ぅううううううう!?」 口々に挑発してくるゆっくり達と、自分を見捨てる我が子に驚愕する親れみりゃを尻目に、子れみりゃはそのまま森の奥へ飛び去っていく。 何故、見捨てる?立派な『おぜうさま』にする為に頑張っていたのに、我が子はそれを分かってくれなかったのか? 一度も振り返らないまま遠ざかる子れみりゃの姿に、親れみりゃが絶叫する。 「う゛わ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!!!!!」 それが子れみりゃを呼び戻す為なのか、今までの苦労や決意を完全否定された事に対する絶望から来たのか…… おそらく親れみりゃ自身にも分からなかったに違いない。 長い長い絶叫が終わると、親れみりゃは一切の抵抗を止めた。 突然の絶叫に驚いたゆっくり達が攻撃を中断しても、親れみりゃは地に伏せたまま動かなかった。 その虚ろな目に、とどめを刺すべく駆け寄って来たまりさの姿を映しても尚、親れみりゃは逃げ出す素振りすら見せる事は無かった。 「……まりさ、にげたれみりゃはどうする?」 「……いいよ、ほっとこう。それより、みんなにけがはない?」 「みんなけがしちゃったけど、しんだりじゅうしょうになったりしたこはいないよ!!」 「……よかった……もういちど、わなをしかけておこう。きょうはもうおそってこないだろうけど、けいかいはひつようだからね。 ……あと、そのれみりゃはうめておくよ。ほっといたら、もりのどうぶつさんをひきよせちゃうからね」 「「「「「わかったよ、まりさ!!」」」」」 ……暫くしてゆっくり達が引き上げた後、そこには何も残っていなかった。 再び季節は巡り、夏。 子れみりゃは未だ老木のうろで暮らしていた。 元々母から逃げ出す為に独り立ちしようとしていたのだ。母が居なければここから出て行く必要は無い。 「れみ☆りゃ☆う~☆」 出鱈目に手足をばたつかせるだけの『かり☆しゅま☆だんす』を踊りながら、子れみりゃは『おりょうり』を喰い散らかす。 「……………っ!!」 舌を引き抜かれ、口一杯に例のキノコを詰め込まれたありすの無言の断末魔をBGMにしながら、子れみりゃは一人暮らしを満喫していた。 だが、子れみりゃは決して今の生活に満足している訳ではない。 「あのなまいきなやつらをやっつけるんだどぉ~☆おぜうさまをばかにしたばつなんだど~☆ ……でもあいつらはてごわいんだどぉ。れみぃだけじゃかてないんだどぉ……」 子れみりゃは母の仇を取りたい訳ではない。自分達を侮辱した生意気な獲物を制裁したいだけだ。 その為には奴らを圧倒する力を整えなければならない。そう、数で勝る奴らを蹂躙する力が。 だが子れみりゃは一人だった。親れみりゃもその特殊な育ち故、仲間と共に過ごす事は無かった。 子れみりゃは自分が弱いとは思っていなかったが、一人だけであの群れに勝てるとも思っていない。 姉妹も家族も居ない自分だけではどうしようも無い。 「どうすればいいんだどぉ……」 八方塞がりの手詰まり状態に、子れみりゃは餡子脳をフル回転させて対策を練る。 「う~……おもいつかないんだどぉ…………こんなときはあまあまをつかまえてでなーにするんだど!」 が、五分もしないうちに考える事を止め、狩りに向かう子れみりゃ。 あの襲撃の夜からずっとこのパターンを繰り返しているのだ。 因みにこの他には寝る、食べる、踊るの選択肢しか存在しない。これでは名案が浮かぶ訳も無い。 詰まる所、子れみりゃはいたずらに時間を浪費していたに過ぎないのだ。 今日もまた、子れみりゃはいつもと同じ日常を繰り返す。 「う~☆はじめまして、なんだどぉ~☆」 「うぅ~っ!?」 だが、今日はそこに少しだけ変拍子が加わったようだった。 森の奥地に広がる鬱蒼とした密林は、同時にこの森の捕食種達の楽園でもあった。 子れみりゃも狩りなどの際に他の捕食種と面識はあったものの、実際に会話をする程親密な関係にはなっていない。 それは胴無しである親れみりゃの存在の所為でもあったが、子れみりゃ自身が母以外会話する事さえ無い箱入りであった事も大きかった。 その母とでさえ碌に会話が成り立たなかったため、子れみりゃは生まれてから今に至るまでまともな会話をしなかった事になる。 それ故、一人暮らしとなってからも積極的に仲間や友達を得ようとはしなかったのだ。 「れみぃはれみりゃたちのことをよ~くしってるどぉ☆いつかおともだちになりたかったんだどぉ~☆」 「……わかったんだどぉ~☆きょうかられみぃたちはおともだちなんだどぉ~☆」 狩りに向かう途中、突然自分と同い年位のれみりゃに話し掛けられ、なし崩し的に友誼が結ばれた後、子れみりゃはある集会に案内された。 捕食種は群れを持たずに家族単位で暮らすものだが、それでは自分達を取り巻く状況に取り残されてしまう。 それを防ぐ為にそれぞれの種毎に集まって、情報交換を行うサロンの役目を果たすのが集会である。 件のれみりゃの紹介で、子れみりゃは森の奥に住まう胴付きれみりゃ達のコミュニティの一員になった。 とはいえ、所詮れみりゃの集まりである。 ふらふらと集まったれみりゃ達が思い思いに踊り狂って、それを見たれみりゃがやっぱり思い思いに評価を下す。 実にグダグダな集まりであったが、子れみりゃにとって有益な収穫も幾つかあった。 自分を追い詰め、母を殺したあの群れは結構有名だったらしい。 かつて森中にその名を知られた『おかのおいしゃさん』と呼ばれたぱちゅりーが率いる群れ。 襲撃するも事前に察知され、即座に隠れてしまう為に殆ど獲物にならず、いつしか誰も襲わなくなったのだと言う。 代を重ねるに連れて昔の鋭さを無くしていたらしいが、去年の秋頃に群れが激減したのを切っ掛けに再び以前の手強さを取り戻したそうだ。 ……それも、随分凶暴な方面に。 「れみりゃだけじゃないど……れみぃのすてでぃーも、あいつらにかえりうちになったんだど……」 どうやらあの群れの被害を被ったのは、れみりゃ親子だけではないらしい。 話を振ってみれば出てくる出てくる、あちこちから噴出する怒りの声と賛同する声。 何時しか武勇伝を語る場となっていた集会の皆の話を聞いているうちに、子れみりゃは恐るべき事に気付いて青くなった。 (あいつら、だんだんつよくなってるんだどぉ~!?) れみりゃ達の話を時系列毎にまとめると、どうも一番最初の被害者はれみりゃ親子であったようだが、時を経るにつれ手強くなって来ているらしい。 子れみりゃ達はだまし討ちの上で数十匹がかりのリンチだったが、徐々にその数が減っている。 やがて三匹掛りで抵抗して来るようになり、ごく最近に至ってはなんと一対一で負けたものが出たそうだ。 やり方も非常に巧妙で、子れみりゃのように罠に掛かったものも居れば、狩りの最中に待ち伏せされて袋叩きになったものも居る。 一対一で負けたものなどは、挑発されて必死に追いかけ回した挙げ句、空も飛べない不利な地形におびき出されて返り討ちになる始末。 このままでは何れ手に終えなくなると直感した子れみりゃの脳裏に、ある名案が浮かぶ。 「……あいつらはなまいきなんだどぉ!!このままじゃ、れみぃたちのごはんがたりなくなるんだどぉ!!! だからそのまえに、みんなであいつらをねこそぎやっつけてやるんだどぉ!!」 子れみりゃの提案とは、この森のれみりゃ達全員であの丘のゆっくりを狩り尽くすと言うものだった。 これ以上手強くなる前に潰す、単純ではあるが最も有効な手段である。 問題は、コミュニティのれみりゃ達にそれを理解できる頭が無かった事だった。 「なんで、れみぃがおまえのいうことなんかきかなきゃいけないんだど~!」 「やりたかったらじぶんだけでやるんだど!れみぃはかんけいないんだど!」 このコミュニティは群れと言う程の強制力を持たない、情報交換という噂話や互いのダンスを披露する場のようなものである。 長などの役職も存在せず、従うべき掟も無い。 新入りの子れみりゃがいくら声を張り上げても、それを聞き入れる義理は無いのだ。 子れみりゃの主張に耳を傾けるゆっくりは居なかった。 それでも子れみりゃは諦めなかった。 森のれみりゃ達を片っ端から訪問して廻り、丘を襲撃する必要性を説得して廻る。 自分一人だけでは勝てないなら、襲撃する頭数を増やせば良い。 それが多ければ多い程有効なのは違いないのだから。 「おねがいなんだど!!れみぃといっしょにあいつらやっつけるんだど!! ……だれか、れみぃのはなしをきくんだどぉ~!!!」 そんな子れみりゃを、コミュニティは次第に敬遠するようになった。 集会でダンスを披露して盛り上がっていても、子れみりゃが空気を読まずに騒ぎ立てて場の雰囲気をぶち壊す。 あまつさえ『こーまかん』に押し掛けては同じ事を繰り返すのだ。ゆっくり出来る筈が無い。 そもそも新参者が自分達に指図するなど、生意気にも程がある。 子れみりゃは再び孤立してしまった。 子れみりゃの村八分が始まって二週間程が過ぎた。 その日、最早完全にシカトされていた子れみりゃの『こーまかん』である老木に、珍しく来客があった。 「れみりゃ、げんきにしてるかだどぉ~?」 村八分にされて『こーまかん』に引き篭ってしまった子れみりゃを、集会に誘ったれみりゃが様子を伺いに来たのだ。 しかし誰にも話を聞いてもらえなかったために、重度のゆっくり不信に陥っていた子れみりゃは顔も見せない。 「れみりゃ、げんきだすんだどぉ~☆れみりゃがげんきないと、れみぃもさみしいんだど~☆」 それでもれみりゃは諦めなかった。老木のうろを利用した『こーまかん』の外から励ましの声を張り上げる。 東の空が明るくなるまで、れみりゃは声援を送り続けた。 次の晩、れみりゃは再び子れみりゃの元を訪れた。 昨晩と同じく『こーまかん』の外から声援を送り、夜明け前に帰っていく。 引き蘢る子れみりゃにとって、ただウザいだけの無意味な行動。 狩りに向かう以外、外界へ一切の興味を持てなくなった子れみりゃには迷惑千万な話でしかなかった。 翌日もれみりゃは来た。昨日と同じように声援を送り、昨日と同じく夜明け前に帰る。 翌日も、そのまた翌日も、れみりゃは毎晩子れみりゃの元へ通い続けた。 子れみりゃは相変わらず一切無視していた。 森がすっかり紅く染まり、木々の合間を吹き抜ける風が段々冷たさを増してくる頃、れみりゃはぱったりと現れなくなった。 とうとう諦めたのか、と子れみりゃは安堵し、冬籠りの準備に専念する。 冬の合間の食糧兼防寒具となる『おりょうり』を作るため、沢山の獲物を集めなければならない。 子れみりゃは他のれみりゃ達と顔を合わせないよう、薄暗い森の奥と言う地の利を生かして日中に狩りを行っていた。 今日の獲物である元の姿が解らない程ズタボロだった禿饅頭を抱えて『こーまかん』に向かう道すがら、子れみりゃは疑問に思う。 (なんで、ほかのれみりゃがいないんだど~?) 子れみりゃが日中に活動しているのを差し引いても、全然見掛けないのは異常だ。 密集した森の木々に日の光が遮られ、昼尚暗い森の奥地で日中に活動するれみりゃは少ないながらも存在する。 流石に子れみりゃのように狩りを行うものは居ないが、ダンスの特訓や子供に太陽の危険性を教えるには絶好の立地条件だからだ。 なのに、子れみりゃが冬籠りの準備を始めてから全く姿形も、狩りの痕跡さえ見られないのだ。 競争相手が居ないのは喜ばしいが、何とはなしに不安が沸き上がってくる。 (……きっと、れみぃよりもはやくふゆごもりしてるんだど~☆そうにきまってるんだど~☆) 漠然とした不安感を押し殺し、子れみりゃは冬の準備を続行した。 子れみりゃは気付かなかった。いや、気付けなかった。 初めて出来た仲間との接し方が解らなかった為に、一方的に自分の主張を通そうとして村八分にされていたから。 初めて出来た友達への接し方を知らなかった為に、心配してくれた友達から向けられた好意を無視し続けたから。 既に森の奥に住まうれみりゃ種は、子れみりゃを残してほぼ壊滅状態であったと言う事実を、引き蘢っていた子れみりゃには知る術が無かったのだ。 切っ掛けは、子れみりゃの元に日参していたれみりゃであった。 集会に集まるれみりゃ達の中でも一番の社交性を持っていたこのれみりゃは、多くの友達を得る事を生き甲斐にしていた。 そんな折、胴無しと一緒に暮らす胴付きれみりゃを見掛けたれみりゃは早速友達になろうとした。 胴付きと胴無しでは会話が通じないにも拘らず、胴無しと胴付きでコンビを成り立たせているこの親子にその秘訣を教えてもらおうとした訳だが…… よくよく観察してみると、この親子はコミュニケーションが完全には成立していなかった。 体当たりと罵声で一方的に言うことを聞かせている親れみりゃを、れみりゃは次第に嫌うようになり、子れみりゃを助け出したいと考え始めた。 実際には親れみりゃは子れみりゃを虐げてるつもりは全く無く、体当たりも只のボディランゲージだったのだが。 そしてあの夏の夜、子れみりゃが一人で狩りに出ているのを目撃したれみりゃは早速声をかけ、友達になった。 聞けばあの胴無しれみりゃは狩りの最中に丘の群れに手を出して死に、今は一人で暮らしているという。 これは良い機会だと集会に子れみりゃを紹介して、あの丘のゆっくり達の情報を教えた途端に子れみりゃの様子が一変。 『こーまかん』に押し掛けてまであの丘のゆっくりの殲滅を訴える子れみりゃに、流石にれみりゃも呆れて村八分に加担する事にしたのだ。 だが時間が経つにつれ、れみりゃにも子れみりゃが何故執拗にあの群れを滅ぼそうとしたのか、だんだん解って来た。 最早誰も奴らには手を出せなくなっている。 罠、囮、待ち伏せ。捕食種との能力差を埋める高度な戦術を用い、丘に侵入する捕食者は次々と撃退される。 こうなる前に潰すべきだったのに、それを主張した子れみりゃが新入りだったからと言う理由で黙殺してしまった。 あまつさえ今の状態を予期して助言してくれた子れみりゃを、よりにもよって厄介者扱いして除け者にしていたではないか! なまじ高い社交性を持っていた為に、己の行動が重大な背信行為である事に気付いたれみりゃは、謝罪しようと子れみりゃの元へ赴き、拒絶された。 それも追い返されたり、罵声を浴びせられるでもない、全くの無反応という形で。 れみりゃは諦めなかった。 次の日も、その次の日も、そのまた次の日も、れみりゃは子れみりゃの元を訪れ続けた。 れみりゃ種の持つ悪癖に『かりすま』がある。 自分は特別な『おぜうさま』だから、自分がゆっくり出来るよう他の全てが傅くのは当然、と思い込むものだ。 他の種にも存在する悪癖だが、れみりゃ種のそれは群を抜く。 何かと言うと出てくる『さくや』も、従者が居て当然という思い込みの賜物。 手足を振り回すだけの『だんす』すら、見てもらうのでは無く『見せてやる』つもりでいる。 『かりすま』が全ての免罪符だと信じて疑わないのだ。 れみりゃ達が群れを持たないのもこれが原因である。 何処までも自分しかない我侭尽くしの集団が、群れなどという高度な社会を維持できる訳が無い。 精々集会で情報を出し合うのが関の山。それすら少しでもそりが合わなければ容易く崩壊する程度のものだ。 そんなれみりゃ種の中にあって、このれみりゃは自分をある程度わきまえている珍しい個体だった。 友達が多かったのも、我侭を言い合って衝突することが無かった為である。 それを見込まれ、集会の進行役や諍いの仲裁等を頼まれる事の多かった彼女を持ってしても、子れみりゃの拒絶という壁はなお高かった。 しかし、悪いのはこちらであるという負い目が彼女を突き動かしていた。 だが、毎晩子れみりゃの元へ向かっても顔すら見せてくれない現状はれみりゃの精神を鑢掛けしたかの如くに磨り減らして行く。 夏が過ぎ、秋の気配が深くなるにつれてそろそろ冬に備えなければいけない時期になる頃、彼女は限界に達した。 「わかったんだどぉ!あのおかのやつらをれみぃがやっつければ、きっとれみりゃもゆるしてくれるんだどぉ!!」 れみりゃは遂に正気を失った。 わきまえていた筈の自分への評価も、今やあの丘の群れはこの森一番の実力派になってしまった事実も、錯乱した彼女には通じない。 全てはあの丘の群れが原因に違いない、だから彼女達を滅ぼせばきっと子れみりゃは許してくれるに違いない筈だ。 そんな妄想に取り付かれたれみりゃは周囲の制止を振り切って、たった一人であの丘へと乗り込んだ。 れみりゃが丘に辿り着いたのは夜半を過ぎた頃であった。 夜の闇に乗じて辿り着いた丘はひっそりと静まり返り、いつかと同じくゆっくりの寝息が聞こえて来る。 早速れみりゃは獲物を探し始める。これもいつかの焼き直しのような風景。 あの親子と違うのは、それが捕食の為ではなく殺害を目的にしている事であろう。 そんなれみりゃの目に飛び込んで来たのはバレバレの偽装が施された大きめの巣。 まともな状態であったなら、これが罠である事位は気付ける程度の知能はあっただろう。 尤も正気を失った今のれみりゃに、そんな冷静な判断が下せる筈もなかった。 「みつけたんだどー!!いますぐみなごろしにしてやるんだどー!!」 あの夜とは対照的に、絶叫と共に巣穴へ突入するれみりゃ。 巣穴は大きめに掘ってあるが、それは通常のゆっくりに合わせての事。成体の胴付きれみりゃでは潜り込むのが精一杯だ。 それでもれみりゃは強引に突き進み、巣の最奥に開けられた脱出口に辿り着いた。 「にがさないんだどー!れみぃがおまえたちをぼっこぼこにしてやるんだどー!!」 れみりゃが通るには狭すぎるそれを強引に突破し、地表に現れた彼女を待っていたのは、 「ゆっ!れみりゃがでてきたよ!!」 「じゃあ、いつものじんけいでいくよー!!」 「ぺにーす!!」 待ち構えていた三匹のゆっくり達であった。 たった三匹とはいえ、この群れに属するゆっくりである以上は強敵に違いない。 侮る事は出来ない、筈だった。 「そこをうごくなだどぉおおおお!!いますぐころしてやるんだどぉおおおおお゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 精神の均衡を失ったれみりゃには、そのような考えが一切浮かばなかった。 侮る、侮らない以前に、そのような理性的な行動が取れなくなっていたのである。 目の前にいる獲物を殺す。もっと殺す。もっともっと殺す。もっともっともっと殺す。 既に彼女の脳裏にはこの丘のゆっくりを殺し尽くす事しかなかったのだ。 三匹のゆっくりが縦一列に並んで相対した意味にさえ気付かないまま、れみりゃは馬鹿正直に真っ正面から躍りかかった。 「いっくよー!えーい!!」 「うあ゛っ゛!?」 だが渾身の一撃は、先頭に立っていたちぇんの体当たりで不意にされてしまった。そのまま無様に地面に転げ落ちる。 ちぇん種はゆっくりの中でも最高の瞬発力を持っている。 最高速度ではまりさに負けるにしても、スタートダッシュならどのゆっくりにも負けはしない。 その瞬発力が最大に活かされるのが、俗に『ぴょんぴょん』と呼ばれる跳躍なのだ。 通常のゆっくりが八十センチ程度跳ねるのが限界であるのに対し、ちぇんは一メートル以上飛び跳ねる事が出来る。 空中にいるれみりゃを地上に撃墜するのに、正にうってつけの種と言えよう。 しかし、その一撃は到底れみりゃを倒し切れるものではない。 「……よくもやってくれたんだど~!!れみぃのいかりがうちょう『ゆぷっ!』ぴぎぃいい゛い゛い゛い゛い゛!?!?!?」 悪態をつきながら起き上がろうとするれみりゃの目に激痛が走る。二番手に控えていたまりさが吹き付けた小石が命中したのだ。 石吹きはゆっくりにとって体当たりと並ぶ重要な攻撃手段である。 ゆっくりの皮は饅頭と同じ小麦粉を練った生地だが、人間で言えば肌に当たる外側はむしろ大福に使われる求肥に近い。 『ぷくーっ!』や『のーびのーび』等で表面積を二倍近く膨らませる事が出来るのはその恩恵だ。 そしてそれだけ膨らむと言う事は、同時に『風船のように大量の空気を溜めておける』と言う事でもある。 それを最大限活用したのが石吹きだった。 時にガラスすら突き破る程の威力を発揮出来るそれが、このまりさの必殺技だった。 れみりゃはそれを喰らったのである。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!れ゛み゛ぃ゛の゛ぶり゛ぢー゛な゛お゛べべがぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!」 「……ちーんぽ−……」 そして最後尾に控えていたみょんが、激痛にのたうち回るれみりゃに向けて踏み出した。 みょん種には不思議な習性が幾つかある。 『ちんぽ』、『まら』、『ぺにす』等の男性器を表す隠語で会話するのもその一つだが、最大の特徴は『武器を使う』事にある。 鋭く尖った長い枝を『ろーかんけん』、短めの枝を『はくろーけん』と呼び、口に銜えて戦うのだ。 驚くべき事に原始的ながら体系付けられた剣術まで存在しており、ゆっくりの中で一番の武闘派な種と言われているのも頷ける。 大抵の群れで荒事担当になる実力は伊達ではない。 「……まらっ!!」 「う゛ぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!!!!!!!」 勢い良く振り抜かれた『はくろーけん』は、れみりゃの右頬を深く斬り裂いた。 厚めの皮を具材が覗く程深く抉った傷口から肉汁を撒き散らし、れみりゃは絶叫しながら苦しみ悶える。 「もういちどいくよー!!」 「こんどこそとどめだよ!!」 「ぺにーす!!」 霞む視界の端に再び陣形を整えるちぇん達を捉えた瞬間、れみりゃの心は折れた。 我を忘れる程の怒りも、子れみりゃへの罪悪感さえも跡形なく吹き飛ばされ、残ったのは『死にたくない』という思いだけ。 生存を望む本能に突き動かされ、れみりゃはためらいなく逃走を選んだ。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!ざぐや゛ー゛!!じゃ゛ぐや゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 何処にそんな力が残っていたのか、一瞬でちぇんすらも届かない高度まで飛び上がり、れみりゃは一目散に逃げ出した。 「ゆっ!?れみりゃがにげるよ!?」 「きょこん!?……びっぐぺにす!!!」 「まって!まりさたちだけじゃあぶないよ!!みんなをよぼう!!」 慌てて追いかけようとするみょんとちぇんを、まりさが引き止める。 まりさ達はこれが初陣だ。群れで鍛えられた実力は疑うべくも無いが、用心に越した事はない。 まりさは自分達だけで追うよりも、経験豊富な群れの仲間と共に追撃を掛けた方が確実だと判断したのだ。 「ぜんいんでおいかけるんだねー!じゃあ、ちぇんはれみりゃのあとをつけるよー!めじるしをおいておくから、それをたどってきてねー!!」 「きをつけてね、ちぇん!」 「いんけい!!」 背後に聞こえるまりさ達のやり取りすら耳に入らずに、れみりゃは只々必死で森の奥へ逃げていった。 木々が鬱蒼と生い茂る森の奥地は騒然としていた。 皆の制止を振り切ってあの丘へ向かったれみりゃが、瀕死になって戻って来たからである。 錯乱していたとはいえ、交友関係の広かったれみりゃだけに人望も厚い。緊急の集会が開かれ、近隣の胴付きれみりゃの殆どに招集が掛けられた。 とはいってもそれ程数は多くない。二十に満たない人数でぐるりと輪になって口々に勝手な事を言い張っていく。 「れみりゃのかたきをとるんだど!!みんなでかかればこわくないんだど!!」 「でも、あいつらはてごわいんだど…………れみぃはあいつらとかかわりたくないんだど……」 やがて集会の意見は『全員で敵討ち』派と『無視を決め込む』派の真っ二つに分かれた。 しかし敵討ち派とて丘の群れの強さは理解しているし、無視派にしてもれみりゃを虐めた奴らへの仕返しはしたいのが本音だ。 互いに決め手に欠け、会議は踊るを地でいく終わりなき対立に夢中になっていたれみりゃ達は、大木の影から様子を伺うちぇんに全く気付けなかった。 それが彼女達の命運を尽きさせた事にも。 「……なんか、いいにおいがするんだど~☆」 「う~?……あまあまのにおいだど~☆」 集会の外周に陣取っていたれみりゃがその前兆を嗅ぎ取った時には、既に状況は詰んでいたのだ。 「……いまだよ!うちかた、はじめ!!」 「「「「「「「「「「ぷしゅっ!!」」」」」」」」」」 突然四方から吹き付けられる石礫。 闇に乗じてれみりゃ達を包囲した丘の群れが、一斉に石を吹いたのだ。 「いじゃっ!?」「う゛あっ!?」「な、なんなんだどぅ!?」 いきなりの事にれみりゃ達が大混乱に陥る。状況が全く把握できないまま、痛みに転げ回る彼女達目掛けて更なる石礫が降り注ぐ。 唯一、逃げ帰って来たれみりゃだけが、何が起こっているのかを理解できた。 「あ、あいつらだど!!れみぃをおいかけてきたんだど!!」 数刻前、手も足も出せずに一方的な敗北を喫した記憶が甦り、れみりゃの体を恐怖で縛る。 抉り切られた右頬の激痛が恐怖と共に増していくような錯覚が、れみりゃの戦意を拉ぎ折る。 「ぼぅやじゃああああ!!じゃぐやぁあああああ!!」 幼子のように泣き叫んでその場に蹲るれみりゃの目は、石礫により満身創痍となった集会のれみりゃ達に飛び掛かるゆっくり達の姿を映さなかった。 山の裾野に広がる森の中心、ぽっかり開いた場所にある小高い丘。 朝靄にけぶる丘の稜線が見えて来た事に安堵しながら、まりさは後続のゆっくり達を顧みる。 「みんな、もうすぐおかにつくよ!ぱちゅりーたちにおくすりをよういしてもらってるから、いちばんひどいけがをしてるこからみてもらってね!」 「「「「「「「「「「ゆぅ~……」」」」」」」」」」 後続のゆっくり達の様子は酷いものだった。 何かに殴られたような跡を残すもの、大事なお飾りを破かれてしまったもの、中には髪の毛を引き千切られたり目を潰されたりしたものさえ居る。 重傷軽傷あらゆる怪我人を揃えた見本市のような有様。夜を徹しての戦闘行為で、疲労もまた限界に達しつつある。 だが、全員が何処か誇らしげで、喜びに堪えない表情を浮かべていた。 それもそのはず、このれみりゃ追撃での戦死者はゼロ、全員が見事生還できたのだから。 (あんなにたくさんのれみりゃとたたかったのははじめてだけど、なんとかみんなでかてたよ! ……もうそろそろ、おかあさんたちのかたきをうてるかな?) この群れがこれ程の実力を身に着けた理由、それは復讐であった。 昨年の秋の終わりに群れを襲った不幸、その元凶を打倒するために過剰とも言える戦闘力を欲していたのである。 だが相手は余りにも狡猾で強大な相手だ。下手をしたら今の群れでさえ勝ち目はないかも知れない。 後一つ、何か決め手でもあれば良いのだが。 今後の動向を練りながらまりさは丘の麓に辿り着き、そこで待ち構えていた人影に気付いて立ち止まった。 「むきゅ、おそかったのね」 「……ただいま、おさ」 そこに居たのは厭らしいニヤニヤ笑いを浮かべたぱちゅりーだった。現在のこの群れを率いる長である。 今度のれみりゃ追撃、まりさは危険すぎると反対したのだが長ぱちゅりーは断行を決定し、全面指揮をまりさに任せて自分は丘の後詰めに付いたのだ。 「それで?れみりゃはやっつけたのかしら?」 「……ばらばらににげたさんにんいがいは、みんなやっつけたよ。にげたれみりゃもけがしていたから、もうここにはこないとおもうよ」 「ほら、ごらんなさい!ぱちぇのさくせんにまちがいはないのよ! まりさもおくびょうものにしてはよくやったわ!とくべつにぱちぇにさからった『おしおき』はやめてあげるから、かんしゃなさい!!」 「……うん、ありがとう。おさ」 まりさの報告を受け、長ぱちゅりーは嬉しそうにふんぞり返った姿勢のまま、まりさの労をねぎらう。 だが、その上機嫌もぱちゅりーの言葉をまりさが無表情で受け流し、怪我した仲間を治療する指揮を執るべく振り返るまでだった。 「むきゅっ!どこいくの、まりさ!?」 「……みんな、おおけがをしてるんだよ。 ぱちゅりーにおくすりをつくっておいてって、れみりゃたちをおいかけるまえにおねがいしてるから、それをもらいにいくんだよ」 「ぱちぇはそんなこときいてないわ!」 「……おさのことじゃないよ。まりさのともだちのぱちゅりーだよ」 まりさの言うぱちゅりーとは、『がっこう』で同期だったぱちゅりーのことである。 主に薬草を中心とした医療知識が豊富で、まりさも何度か世話になっている位だ。 「むきゅうぅうううっ!そうじゃないわ!ぱちぇのありがたいおことばをさいごまできかないなんて、どういうつもり!?」 どうやら長ぱちゅりーが問題にしているのは『自分の話を遮られた事』だったようだ。 一瞬だけ苦い草でも噛んだような顔をしたまりさだが、すぐに元の無表情に戻って言い返す。 「……みんなおおけがをしてるんだよ。すぐにちりょうしないとしんじゃうこもいるかもしれないよ。 そうしたらきょうのかりができなくなって、ごはんさんがとれなくなるんだけど………おさはそれでいいの?」 理路整然とした反論に、長ぱちゅりーが一瞬怯む。 すかさずまりさは畳み掛けるように言葉を続けた。 「ちがうよね?かしこいおさはそんなゆっくりできないこと、いわないよね?まりさのおもいちがいだよね?」 単なる否定では済まさずに、あくまでも長を持ち上げるまりさ。 長ぱちゅりーはそれに気を良くしたのか、再びふんぞり返ってまりさに命令を下す。 「むきゅ!そのとおりよ!はやくみんなをちりょうしてあげなさい!そのかわり、きょうのかりののるまはにばいよ!」 「…………わかったよ。じゃあ、まりさはいくね」 疲労困憊の状態で、普段の二倍もの獲物が集まる訳がない。だが、それを指摘して時間を取られては本当に死者が出てしまう。 出掛かった拒否の言葉をぐっと飲み込み、無茶な命令を承諾したまりさは傷ついた仲間達の元へ急いだ。 長とは言っても、このぱちゅりーは群れに何の貢献もしていない。実質、群れを統率しているのはこのまりさであった。 しかし群れの誰一人として現状に疑問を挟まない。皆、長ぱちゅりーの我侭に黙って従っている。 その事実に満足している長ぱちゅりーは増々増長し、どんどん堕落して行く。 それこそがまりさや群れの目的である事に気付かないまま、長ぱちゅりーは今日も砂上の楼閣で虚栄を貪っていた。 広大な森を睥睨する山がすっかり雪化粧に覆われた、冬のある日。 鬱蒼とした森の奥地に生える一本の老木の中で、子れみりゃは寒さと飢餓に震えていた。 「なんでさむいんだどー!!なんで『おりょうり』がすぐにしんじゃうんだどー!!」 子れみりゃが用意した『おりょうり』は去年の半分程。 日中の狩りで集めていたので、森の奥地に迷い込んで来たゆっくり位しか獲物が居なかった所為である。 しかもその数は段々減っていく一方だ。 原因ははっきりしている。子れみりゃが死ぬまで餡子を吸い尽くすからだ。 子れみりゃもなるべく生かしておこうとするものの、あっさり限度を忘れさせてしまう。 現在、何とか生き残ってる『おりょうり』は十匹ほど。これだけで春までの数ヶ月を生き延びねばならない。 死が身近になった今になって、子れみりゃは親れみりゃが何故あれほど厳しく接したのかようやく理解し始めた。 「まんま……ごめんなさいだど…………ゆるしてほしいんだどぉ…………」 子れみりゃは親れみりゃと同じ言葉が話せなかった。だから子れみりゃは親れみりゃが自分を嫌っていると、憎んでいると思い込んだ。 だが、本当は逆だった。母の言葉が理解できなかった子れみりゃこそが、親れみりゃを嫌っていたのだ。 母が必死で教え込もうとしていた『おぜうさま』の教養、それはいずれ独立するであろう子が一人で生きる為の知恵そのもの。 狩りの方法、『おりょうり』の作り方、冬籠りの時期やその準備等々……。 一人で冬籠りを始めてから半月も経たない内に、子れみりゃは母から教わった筈のそれらを殆ど覚えていなかった事に気付いたのだ。 (まんまはゆっくりできないど~☆れみぃはこーまかんのおぜうさまだからゆっくりするんだど~☆) 思い返せば、母の教育を受けている間に考えていたのはサボる事ばかり。これでは教わった事が身に付く訳がない。 それが解っていたからこそ、親れみりゃは時に暴力に訴えてまで子れみりゃを矯正しようとしていたのだ。 「れみぃがわるかったんだどぉ……まんま、たすけてなんだどぉ…………」 尤も、今更気付いた所で後の祭り。 母を見殺しにしたのは他でもない子れみりゃ自身なのだから。 後悔先に立たずを体現しながら、子れみりゃは只ひたすら春を待った。 うーん、いい天気だなぁ。 ……おや?三軒隣の御仁井さんじゃないですか。こんな所でどうされました? 俺ですか?いえ、一寸ふきのとうを集めにね。 ……れみりゃの捕獲?またですか? 確か秋頃にもそんな事言ってませんでしたか? ……れみりゃの数が激減してる? それはまた……、乱獲がたたったんですかね? ……へ?それだけしか捕まえていないんですか? ……あ、そりゃそうですね。 言われてみれば、あいつらが食べるからゆっくりの数は増えない訳ですし、乱獲なんかしたら畑の被害はもっと深刻になりますよね。 ……にも拘らず森全体でれみりゃが急速に数を減らしてると。今回の捕獲は生態調査を兼ねた頭数の確認なんですか。 いつもながらご苦労様です。 ……あれ?でも御仁井さんの所でれみりゃ増やしてますよね? ほら、あの土蔵を改造した研究室で。あいつら放してやれば…… ……人間の生活環境に合わせた人工繁殖だから、自然では生きられないと? 成程、そりゃ道理だ。まして調子に乗り易いゆっくりなんかじゃ、弱肉強食の環境で生き残れる筈もありませんし。 ……そう考えると、何であいつら絶滅しないんでしょうね? 弱っちい癖にすぐ人間を怒らせるし、餌と見れば喰い尽くすし、雨に溶けるし、頭悪いし…… 正直、ここまで数を増やせた事自体が有り得ないと思うんですが。 ……それを研究していた学者が軒並み失踪した? 書き置きに『あいつらは悪魔だ』って書き残して? ……どんなホラーですかそれ。 ……それ以降、学会でゆっくりの研究はされていない、と。 へえ、今ゆっくり研究をしてるのは民間の研究者だけなんですか。 まあ、学者さんが匙を投げたんだったら、自分達で調べるしかありませんものね。 俺たち百姓にとっちゃ只の厄介な害虫ですし、ゆっくりの駆除法さえ解れば充分ですよ。 ……ええ、それじゃ。頑張ってくださいね。 ……はぁ、やれやれ。 しかし御仁井さんも凄い人だねぇ。私設の加工所持ちは伊達じゃないんだな。 ……れみりゃの激減か……案外、今まで喰われていた連中が反撃を始めたとかだったりして。 ……………そんな訳無いか。有り得ないにも程があるっつうの。 ……ん?そういや、秋の終わり頃に森へぶん投げたぱちゅりーがそんな事言ってたよな…… ……いやいや、それは無い。あんな死に掛けの戯言、いちいち付き合ってられるかよ。 さて、続き続き。ふきのとうって灰汁抜きしないと渋いのに、ゆっくりはこれも喰い尽くすからな。 あいつらが冬籠りしてる間にさっさと集めないと…… 山の裾野に広がる森の奥地、木々が密集して昼なお暗い陰鬱な場所に生える一本の老木。 長い年月風雨に晒され、腐れ落ちた痕に出来た大きなうろの中で、子れみりゃは瀕死になりながらも越冬を成功させた。 「…………っ!!!!!」 「…うぅ……ごちそうさまなんだどぉ………」 うろに残った最後の食糧である禿饅頭を生クリームの一滴も残さず啜り、残った皮さえ貪り尽くした子れみりゃは溜息を吐く。 これでもう食糧は尽きた。狩りに出なければ明日の月すら拝めまい。 時刻は太陽が燦々と降り注ぐ真っ昼間。しかし森の奥地ならこの時間でも活動は出来る。 問題は、子れみりゃ自身が最早限界だった事だ。 「…うぅ……あれっぽっちじゃ、たりないんだどぉ……」 元々足りなかった『おりょうり』だが、冬籠りの半ばを過ぎた頃には先程の禿饅頭一匹しか残らなかった。 たった一匹、それも死なさないように節約しながらでは一日分の量などたかが知れている。 子れみりゃは完全な栄養失調に陥っていたのだ。 「……おなかが…………すいたんだどぉ…………」 ふらふらした足取りでうろの外へ向かう子れみりゃ。 うろの縁に足を掛け、背中の羽根を羽撃かせて空へ飛び出し…… そのまま老木の根元に墜落した。 最早飛ぶ力さえ残されていなかったのだ。 「……ぴぎゃっ!?」 結構な高さから地面に叩き付けられたにも拘らず、子れみりゃは死ななかった。 原因は老木の根元に積もったゆっくり達の死骸。 栄養豊富なそれを苗床に育った様々な植生が、子れみりゃを受け止めたのだ。 正に幸運。それは、親れみりゃが人間の元を逃げ出せたのと同じ位の幸運であった。 「……う゛ぅ゛……な゛ん゛でれ゛み゛ぃ゛がごん゛な゛べに゛…………」 しかし、命を救った奇跡や幸運に、子れみりゃは感謝の気持ちなど一片たりとて湧かなかった。 あったのは自らの境遇を嘆く怨嗟の声だけ。悲劇のヒロイン気取りの、与えられたものを怠惰に受け取るだけの傲慢の表れ。 ……母と同じ醜い性根の発現に、仏の顔が尽きたのか、それとも神の博愛が尽きたのか、あるいは単に子れみりゃの悪運が尽きただけだったのか。 子れみりゃの元に、死神が降り立った。 「……ゆ゛わ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 「う゛ぁ゛っ゛!?!?!?」 半ばやけくそで捨て鉢な雄叫びと共に跳んで来た物体にぶつかって、子れみりゃの体が跳ね飛ばされる。 栄養満点な状態であればなんて事は無いであろうそれは、今の子れみりゃにとって正しく致命傷となり得るものだった。 立ち上がろうと両足に力を込めるも、弱り切った足は時折痙攣するように震えるのみ。 せめて何が起きたのかを把握しようとぶつかって来た物体に目を凝らすが、霞む両目の視界は丸いシルエットを捉えるのが精一杯。 「おばえの!おばえのせいで、ばりざは………!!ぜったいに、ぜったいにゆるさないのぜ………!!」 子れみりゃに決死の体当たりを敢行したのは、一匹のまりさだった。 だが、子れみりゃの目がまともに働いていたとしても、それをまりさとは認識できなかっただろう。 まず、まりさ種の特徴であるお帽子が無かった。 更には頭頂部の金髪がごっそり抜けて地肌を晒しており、その顔は無数の痘痕のようなもので覆われている。 長い間風雨に晒された落武者の晒し首を金髪にすればこうなるだろうか。 見るものに恐怖すら覚えさせる程の壮絶な有様であった。 「ゆぐぐ……!!ばりざのおぼうぢと、がみのげざんのがたき……!!じねぇえええ゛え゛え゛え゛え゛え゛っ゛!!!!!」 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!?!?!?」 既に立ち上がる力さえ失った子れみりゃに猛然と飛び掛かるまりさ。 そのまま子れみりゃを踏み付け、何度も飛び跳ねる。 「じねっ!じねっ!!じねっ!!!じねっ!!!!じねっ!!!!!じねっ!!!!!!じねっ!!!!!!!」 「ゆぎっ…ゆぶっ……ゆべっ………ゆがっ…………ゆげっ……………ゆばっ………………ゆぐっ…………………」 執拗に踏みつけられる子れみりゃの悲鳴が段々小さく、弱々しくなっていく。 断末魔の言葉さえ放つ事が出来ないまま、子れみりゃのゆん生はあっさりと幕を閉じた。 「じねっ!じねっ!じねっ!じねっ!じねっ!じねっ!じねっ!じねっ!じねっ!じねっ!じねっ!じねっ!」 子れみりゃが永遠にゆっくりしても尚踏み付けを止めない禿まりさ。 禿まりさがようやく子れみりゃの死体から下りたのは周囲を夜の闇が覆い始めた頃だった。 「ゆぐっ……まりさのゆっくりしたおぼうし…………まりさのきれいなきんぱつさん……………」 しゃくり上げながら、禿まりさは自慢のお帽子と髪を一遍に失ったあの日の事を思い返していた。 禿まりさがまだ普通のまりさだった頃、彼女は八人姉妹の末っ子だった。 れいむとまりさというスタンダードな番であった両親が『はやくあかちゃんがみたい!』と願った結果、 充分に育ち切らず未熟なまま生まれ落ちたまりさは、良心を咎めた両親と姉妹から過保護なまでに甘やかされて育ち…… 増長して一人で狩りに出た所を胴無しと胴付きのれみりゃ親子に捕まった。 そのまま一冬をれみりゃ達の巣で過ごし、春先に高い木の上から突き落とされたのだ。 冬の間に凍り付き、春の日差しで溶け出した際に癒着してしまった髪とお帽子は、突き落とされた拍子に気を失っている間に無くなっており、 クッションとなってまりさの命を救ってくれた無数の屍の上で、餡子塗れのお顔を皮ごと蟻に喰われる痛みで目を覚ましたまりさが半狂乱になって探しても見つからなかった。 そして、何とか自分の群れに辿り着いたまりさを待っていたのは、餡子のつながった実の両親と姉妹からの冷たい拒絶と、故郷のゆっくり達からの迫害だった。 「やべてぇえええええ!!ばでぃざはばでぃざだよぉおおお!!わぎゃらないのぉおおおおお!!!」 「うるさいよ!れいむはあかちゃんがしんじゃったかわいそうなれいむなんだよ!!そんなれいむをだまそうなんて、げすなはげまんじゅうはせいっさいっするよ!!」 「まりさのおちびちゃんはきれいなかみのけさんとりっぱなおぼうしがついてたんだぜ!!おかざりもないはげまんじゅうが、まりさのおちびちゃんなわけないぜ!!」 「「「「ゆっくりできないはげまんじゅうは、ゆっくりしないでしね!!」」」」 「「「ゆっくりしね!!」」」 「ゆぅううう!!ゆっくりできないやつがいるよ!みんなでやっつけるよ!!」 「「「「「「「「「「ゆ~!!!!」」」」」」」」」」 身の危険を感じたまりさはそのまま逃げ出した。 そして行く先々で迫害に遭いながらも冬を越し、当ても無く彷徨っていた時に見覚えのある胴付きれみりゃを見つけたのだ。 なにやら弱っているれみりゃに勝機を見出したまりさは決死の思いで体当たりをぶつけ、地面に転がった所へ容赦ないストンピングを浴びせて、 元の姿が判別できないまでグチャグチャに踏み潰したのである。 一時の激情が過ぎ去り、少し落ち着いた所で禿まりさはそれを見た。 先程自分が作り出したれみりゃの成れの果て。原形を留めていないそれを見て、彼女は確信した。 (まりさはれみりゃよりつよいのぜ!まりさこそがゆっくりのおうさまなんなのぜ! ……あんなゆっくりできないやつらなんて、おやでもおねーちゃんでもないのぜ!まりささまがじきじきにせいっさいっしてやるのぜ!!) ミンチと化したれみりゃの死体の中で、唯一残っていたZUN帽。 無くしたお帽子の代わりにそれを禿頭に被り、まりさはその一歩を踏み出した。 ……邪悪な笑みに歪んだ顔のままで。 ※お久しぶりです。……忘れられてるかも。 前作のラストに出てきた化け物まりさの過去話です。……メインはれみりゃですが。 これでこのお話も後一話で完結です。 ……これを書いてる途中でいろいろネタが湧いて来たんですが。 もし、この群れの興亡史をまだ読みたいという奇特な方がいらっしゃいましたら、番外編と言う形で続けたいと思います。 ……時間はかかると思いますが。 何はともあれ、お読みいただき有り難うございました。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ん~私は個人的に好きな内容。感想は人それぞれで良いとは思うけど、合わなかったのは仕方ないとして称賛をタダタダ見下す様なでいぶ様は加工所にお帰り頂くかアンコの交換をお願い申し上げます。っと全く関係の無い話をして失礼致しました。個人的な感想としてはゲス(例 パチュリー)、人間など出てくるキャラの個性や性格等がアンコ脳の私でもゆっくり理解出来て非常に入りやすいストーリーで楽しいです。此れからも楽しみにしてます頑張って下さいね。それでは『ゆっくりしていってね!』 -- 2016-05-19 03 03 25 ここは普通を味わう場所じゃない -- 2016-03-29 03 47 26 しかしこの作者すごいなあ… ただその時その時悪役を出すだけじゃなくて、それぞれに ちゃんと背景が与えられてるって もはやこれゆっくり大叙事詩といっても過言ではないなw -- 2016-01-17 01 57 22 荒れてる元になってるコメントしてるやつって、 前にも似たようなコメしてたやつかな? 自分の考えたお気に入りの~ってフレーズ好きだね ゆっくりSSで何考えて書こうが自由だし、 読み手にとっては~つまらないSSって 勝手に代表されても困るよねえw 第一これだけ楽しんでる人がいるのに…w -- 2016-01-17 01 53 08 アハハハハハハハハハハハ -- 2014-08-10 20 51 36 ↓↓てめぇのコメで殺意が沸きました お前が死んでくれれば解決するよ 何が、「権利は誰もない」だよ てめぇが権利出すなよ屑が! いっそ、さっさと死ね -- 2014-01-04 01 39 35 ↓アンタのそのコメント見て不快になった訳なんだが、その辺りどう思う? -- 2013-05-12 01 26 56 他人が不快になる発言はやめましょうって言ったって作品に対する感想ならそれを否定する 権利は誰にもなくね? 作者を誹謗中傷してるわけでもないし、それを見て不快になるのは不快になる奴の勝手じゃん -- 2013-04-28 01 30 29 饅頭風情が捕食種に抗ってんじゃねーぞ・・・ -- 2012-10-03 20 35 01 悪い、↓↓↓↓に対するコメントだったか でもその書き方はゆっくりできないぜ? それこそゲスかでいぶかもりけんと同じレベルになっちまうから -- 2011-11-28 00 03 35 ↓※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! ……これ、違うのか? -- 2011-11-27 14 35 13 そんな注意書きが必要だなんてどこにもかいてないぜ?せいぜいてめーのくだらねえあんこ脳の中にあるぐれーだよ -- 2011-11-27 14 27 10 ↓↓ゆ虐SS見てるのになんでこんなゲスゆっくりみたいな自分本位のコメント出せるのかわからん -- 2011-08-19 21 07 47 普通に読めば十分面白いだろ ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! -- 2011-03-18 20 40 22 過剰贔屓してる群れが出てくるなら最初にきちんと断りましょう 作者にとっては自分の考えたお気に入りの群れなんでしょうが 読み手にとっては過剰贔屓された群れが作者の満足で活躍するだけの つまらないSSとしか思えませんから -- 2011-02-08 17 18 56
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3864.html
『はだかのれみりゃ』 15KB いじめ 観察 自業自得 群れ ゲス 捕食種 希少種 現代 虐待人間 独自設定 やや希少種優遇ありです 初めまして。初投稿です。 直接的虐待は少ないです。どちらかというと自滅? ゆっくりのセリフに読みづらい箇所がありますが、ご容赦ください。 独自設定があります。それでもいいという方、お読みください ※作中では人間のセリフ『』 ゆっくりのセリフ「」で表記しています。 ある晩秋の休日の朝、僕は郊外のとある森に来ていた。趣味の虐待をするためである。 人間を恐れる都市のゆっくりに比べ野生のゆっくりは反応が新鮮だからだ。 しかしもう一つ大きな理由がある。 それは、この森は他の土地に比べ“胴付き”れみりゃが多いからだ。 ~はだかのれみりゃ~ この森は周囲に人家はなく被害もないため一斉駆除をされていない。そのため常に一定以上の数のゆっくりがいる。 すぐ外には道路があって車にひかれてしまうため、森から出ようとすることもない。 常にゆっくりが豊富にいるため、当然捕食種も数が増える。 そのうえ、ふらんのような希少種はすぐに人間に捕まるため、れみりゃの数が増える一方だ。 このように、思う存分ゆっくりできるこの場所では胴付きが多いのだろう。 その結果、知る人ぞ知る胴付きれみりゃの虐待スポットとなっているのだ。 森に入り耳を澄ませながら歩く。 れみりゃは(ゆっくり全般にも言えるが)野生生物としての緊張感がない。 どこでも「うあうあ☆」と歌っている。 (おうたといえばれいむだが、さすがに捕食種には注意するようだ) 「うっうー☆うあ☆うあ☆ れみ☆りゃ☆う~~!!」 予想以上にすぐ見つかった。 不快な歌声をまき散らして歩いている。 ちょうど虐待しやすい開けた空間にいる。都合がいい。 とりあえず声をかけようとすると… 「う?」 こちらに気が付いたようだ。 予想以上に醜いれみりゃだ。 欲望に任せゆっくりをむさぼり続けているからかブクブクに太っている。 動くたびに顔と腹の肉がぶるんぶるん震える。 また、服や帽子もところどころ破けていてボロボロ。 髪の毛も当然ぼさぼさと、とてもじゃないがかりすまとは言えない。 ちなみにれみりゃは性格についてもひどいものである。 胴なしの時はうーうー言ってるだけだが、胴が付くと途端に高慢かつわがままになるのだ。 よって一部の金バッジ以上を除き、飼いゆとしても人気は低い。(食用としてはそこそこ) 唯一胴なしより価値の低い胴付きでもある 『おはようございます、おぜうさま』 とりあえず下手に出る。 「う~!れみりゃのめしつかいなんだど~!あいさつするなんて、よいこころがけなんだど~!!!」 初対面でめしつかいあつかいとは、これがれみりゃクオリティか…! 「でもぉ~、じゅうしゃならおぜうさまにかしづかなくちゃだめなんだどぉ~!」 ビキィ!とくるが、ここは我慢だ。 『申し訳ありません、おぜうさま。どうぞお詫びにこれを…』 野菜を差し出す。今朝家庭菜園で採ってきたものだ。 「うー!おぜうさまはまじゅいおやさいなんてたべないんだど~!!」 「くちゃいおやさいはポォーイ☆っだどぅー!!」 れみりゃは野菜を投げたと思うと、それを踏み潰し始めた。 きっと「いやなおやしゃいをじぶんからつぶすなんて、おぜうさまはえらいんだどー!」とでも思っているのだろう。 もし、こんなれみりゃが町にいたら5分以内に潰される。 「なってないじゅうしゃだど!!おぜうさまがたべるものはぷっでぃ~ん!にきまってるんだど!!」 期待通りの反応とはいえイライラしてきた。 「ぷっでぃ~ん!!ぷっでぃ~ん!なんだど!!はやくよこすんだど!!」 「おそいど!!まだなのかど!!」 「ぷっでぃ~ん!ぷっでぃ~ん!!ぷっでぃ~ん!!!」 暴れるれみりゃよ。おまえはぷっでぃ~ん中毒患者か。 『でもおぜうさま、その前に 「う~?きっとれみりゃのかりすまぁ~なだ・ん・すがみたいんだど?」 暴れるのをやめたと思うと、的外れなことをいいだした。 「しかたないんだど~!みせてあげるどー!」 言うや否や、うあうあ歌いながら醜く尻を振りながら、もたもたぼてぼて踊っている。 どんだけ踊りを見せたいんだ。それにしても、とても蹴り上げたい尻だ。 「うーー…!」 突然こちらに尻を向けて動きを止めた。 『どうかなさいましたか?おぜうs 「れみ☆りゃ☆ぶーーー!!!」 ぶばぁ!! れみりゃは激しい音と共に、盛大に屁をかました。 あまりの臭いに目が染みる。 ゆっくりゆかりんの少女臭ほどの臭いではない。 しかしこちらに向けて放屁するという行為から、不快感はそれを遥かに凌ぐ。 「う~~!でちゃったどぉ~!」 悪びれもせず言い放つ。これもかりすま☆な行為だと信じているのだろう。 「さぁ、だんすをみたんだからぁ~、ぷっでぃ~んもってきてぇ~ん!!」 「たぁ~くさんもってきたら、なでなでしてあげるんだどぅ~!めったにないことなんだからぁ~ん☆」 だれがお前なんぞにプリンを!といいたくなるが、ここで態度を崩しては台無しだ。 『おぜうさま、あなたはとってもカリスマですよね?』 「そんなこともしらないのかどぉ~!なってないど!! ばーか!ぶわぁ~か!!」 ここまで馬鹿にされるとは思わなかったが、おおむね予想通りの反応だ。 『それならば、もっとふさわしいおべべとおぼうしがあるんですよ?』 「う?そうなの?でもそのまえにぷっd 『真のカリスマなら目先のぷっでぃんにはとらわれないものですよ?』 畳み掛ける。 「う、う~!!そ、そんなのとうぜんだっどぅ~。あるじとしてじゅうしゃをためしただけなんだど~!」 胴付れみりゃは“カリスマ”という言葉に弱い。簡単に乗せることができるのだ。 『さすがはおぜうさまですね。さあ、主としてご飯の前に身なりを整えないといけませんね!』 「う~!はやくきがえさせるど~!」 『わかりました。それではまずおべべを脱ぎましょうか。』 れみりゃの服を素手で触りたくはないので、手袋を装着する。 (これについては「おぜうさまのやわはだは、おまえごときがすででさわっちゃだめなんだど!」と機嫌は良かった。) 服を脱がせようとするが、太りすぎで脱げない。気づかれぬよう少し破いてなんとか脱げた。 帽子を脱ぐのに少し渋ったが、例の“カリスマ”で簡単に渡してくれた。 そこにはれみりゃのドロワーズ一丁の醜い裸体があった。 「いやぁ~ん!えっちぃ~ん!」体をくねらす。 と思うと即いつも通りの態度に戻った羞恥心はないらしい。 服を着ていてもわかったが、その肉体は見るにたえないほどだらけきっている。 たるんだ腹に垂れた胸。背中までだるんだるんである。 人間では再現不能なレベルの体だ。 ゆっくりだからこそここまでひどい有様になったのだろう。 裸を見て、良いことを思いついた。 「はやくおべべとおぼうしをもってくるんだど~!」 『おぜうさま、その前にカリスマなタトゥーをしませんか?』 「たとぅ~☆ってなんだど~!なんだかかりすまなひびきだど~。」 『はい、タトゥーというのは体に絵を描くことです。』 「からだにおえかきなんて、なんかきちゃないんだどぉ~」 こいつ以上に汚いものは肥溜めくらいなものだ。 『とんでもございません!真のカリスマだけに許された神聖なものなんですよ?』 「う~!うっかりわすれてたど~。おぜうさまにもふでなあやまりだど~!」 弘法に謝れ。 『誰にでも間違いはあって当然ですよ。それではさっそくタトゥーをいれましょうか』 タトゥーといっても本当に彫るわけではない。本当にやったら痛みで大暴れするだろう。 そこで偶然持っていた油性マジックで文字を書き込む。 ゆっくり界最底辺といわれる知能では、文字も絵も区別がつかないだろう。 「う~!くちゅぐっちゃいどー!」 身をよじらして書きにくい。 『我慢してください』 なんとか書き終えた。 「う?これはなにをかいたんだど?」 『それはカリスマなおぜうさまをイメージして書いてあるんですよ。』 明言は避けたが、カリスマと言われ満足したようだ。 れみりゃの腹には大きく “バ カ” と書いてやった。ひねりはないがこの上なく的確だと思っている。 ドロワ一丁の薄汚れた、腹にバカと書かれたれみりゃ。実に酷い姿だ…。 【かりすまなたとぅ~☆】に喜んで、だばだば足を踏み鳴らすれみりゃに 『さあ、新しいカリスマなおべべを着る前に古いおべべは処分しましょうね!』 笑顔でれみりゃに言う。 「う…うあ? で、でもすてるひつようはないど?」 さすがのれみりゃも、今まで来ていた衣服を捨てるのはためらうようである。 『おぜうさま?真のカリスマは古いものには執着しないものですよ?』 「う、うあっ、う~!し、しってるにきまってるど~!こいきなじょーく☆なんだど~。すぐにポォ~イ☆するんだど!」 “カリスマ”は絶大な効果を発揮している。 『ですよね!さぁ早速破いてしまいましょうね!!』 口を挟ませないように、手早く服と帽子をビリビリに破く。 他のゆっくりに違わず、脆いものである。 「う…うわぁぁあぁああぁああぁあ!!!」 突然大声を出した。どうしたというのか。 「な、なんでもないんだど~☆いきなりびりびりでおどろいてなんかないんだど~!」 『そうですよね!カリスマおぜうさまたるもの、こんなことで驚きませんよね!』 「う~…」 悲しみはあるようだが、立ち直りは早い。 「うー!おわったらさっそくあたらしいおべべとおぼうしをもってくるんだど~!!」 『なにをおっしゃるのですか?お洋服ならここにあるじゃないですか。』 「う!?」 もちろん嘘だ。 『まさかおぜうさまにはみえないのですか!?この真のカリスマにしか見えないこの服を!』 「う~!うっかりみのがしてたんだど~!とぉ~ってもカリスマなんだど~!!」 思った通りの反応だ。 今まで何回も“カリスマ”でれみりゃをコントロールしてきた。 それで確信したのは、カリスマといえばれみりゃはそれを本当のことと思い込むのである。 ほかのゆっくり同様の“思い込みパワー”である。 しかし真のカリスマにしか見えないということは、自分以外には見えないという意味とわかっていないのか? 『それにバカにもみえないんですよ』 「う!?」 特に言う必要はない。 『さあ、早速お着替えしましょうね!』 れみりゃに服を着せるまねをする。 「う…う~…」 なんだか様子がおかしいが気にしない。いざとなったらカリスマと言えば良い。 『さあ!終わりましたよ!』 当然、服など着ていないはだかのおぜうさまがそこにいるだけだ。 「う…うあ…おわったの~…?」 『ええ!いや実にすばらしい!!』 「う?う?」 『ここについたフリルなんかとても美しいですよ!』 「れみりゃ…かりしゅま…」 『さすがカリスマ!堂々とした着こなs 「うっぎゃあああぁぁぁあぁぁぁあぁぁっぁああっぁあああああぁぁあ!!!」 突然れみりゃが気でも違ったように叫びだした。 『いったいどうかなさいm 「でびりゃはがりずまだんだど!!どっでもずでぎなんだど!!」 れみりゃは自分の髪をむしり始めた。 「ぞでにばかでぼないんだど!!がしごぐてちてぎなごーまがんのありゅじなんだど!!」 ついに髪はほとんど抜けてしまった。 『お、おい!どうしたんだお前!』 つい素にもどってしまうがれみりゃの耳には届かない。 「ぞでなのにみえないだんで、ぜっだいうぞなんだど!ありえないんだど!」 今度は全身を掻き毟りはじめた。 「ごんなのいやだんだど!ゆべにきまっでるんだど!!」 今度は翼が抜け落ちた。多大なストレスがかかっている証拠だ。 「もうおぼうじもおべべもびりびりだんだど!!でびりゃのだいじだいじが!!」 どれだけ強く掻き毟ったのか、ところどころ中身の肉がはみ出している。 「ざぐや!じゃぐや~~!!はやくれみぃをおだずげじでぇ~…」 ついにさくやを呼び始めた。 「うっぶ!エレエレエレエレエレ…」 某ぱちゅりーもかくやと言わんばかりにエレエレしだした。 肉を吐いているが、餡子や生クリームに比べて少しリアルで気持ち悪い。 「ばがじゃ…ないど…がりずまなんだ…ど…」 れみりゃはついに倒れて動かなくなった。 『いったいなんだってんだよ…』 本来彼は、裸のれみりゃをそのまま森に返すつもりだった。 このれみりゃは存在しない洋服をきっと自慢するだろうと考えた。 そしてそれを見た他のれみりゃに変なおぜうさまとしていじめ殺されるのを観察しようと思ったのだ。 それなのにこんな結末になっては驚くのも当然だろう。 ではなぜこんなことになってしまったのか? それは彼の胴付れみりゃの虐待経験の浅さから来ているのだ。 彼は“カリスマ”といえばれみりゃはその通りに思い込んでくれると考えていた。 しかし、それは間違いなのである。 胴付きれみりゃは他のあらゆるゆっくりに比べてプライド(笑)が圧倒的に高い。 自分の考えに絶対の自信があるれみりゃ。それを何度も否定され、あるいは無知の露呈した。 言い返そうにも、カリスマを持ち出されては何も言えない。きっとプライドはずたぼろであっただろう。 とどめは“バカには見えない真のカリスマだけにしか見えないお洋服”である。 どんなに目を凝らしても見えない。 すでにボロボロのプライドだったが、自分がカリスマでないバカであると突きつけられた気がした。 今まで信じてきたカリスマ(笑)が粉々に砕けたストレスから、自傷行為に走ったのである。 その結果、現実に絶望してついに死んでしまったということだ。 彼の虐待計画は失敗した。 だが仕方のないことなのだ。 胴付きれみりゃは価値が低い(食用除く)とはいえ、あまり多くいるゆっくりではない。 かってにはえてくる通常種しか虐待していなくとも当然なのである。 『あー、驚いた。まあ、面白いもの見れたしこれでいいか。』 彼も気にしてはいなかった。 この世の全ての恐しいものでも見たかのような表情のれみりゃの死体をみて良いことを思いついた。 彼は早速作業に入った。 『やあ、みんな!ゆっくりしていってね!』 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 僕は大きな袋を背負いながら、森の中で先ほどみつけた群れに来ていた。 バカのれみりゃ以外から隠れる必要がないからか、簡単に見つけられた。 都合よく全員そろっているようだ。 『この群れの長はいったい誰かな?』 「ゆぁあ~ん?なんなのぜぇ?くそにんげんがまりささまのむれになにかようなのかぜ?」 あからさまなゲスまりさが出てきた。長がこれならたいした群れではなかろう。 「ゆっ!でいぶはねてたのにおきちゃったよ!ばいっしょうっとしてあまあまをようきゅうするよ!」 「む~っきゅっきゅ!!にんげんはまぬけそうなかおをしてるわね!けんじゃのぱちぇとはおおちがいだわ!」 「つまらないようだったらせいっさいするんだね~わかるよ~」 「にんげんはとかいはじゃないわね!!」 「ち~んぽ!!びっぐまら!ぺにす!!うらすじ!!!」 明らかにゲスどもの群れであった。これなら容赦はいらない。 『これから越冬だろう?その前にたくさんぜいたくをさせてあげようと思ってね。』 『君たちにあまあまなごはんをプレゼントに来たんだ!』 「ゆっ?あまあまさん!?はやくちょうだいね!たくっさんっでいいよ!!」 「むきゅ!けんじゃたるぱちぇがたべるべきよ!いそぎなさい!」 「あまあまはやくよこすんだよ!!わかれよー!」 「あまあまなんてとかいはね!とかいはのありすにぴったりだわ!」 「たまぶくろ!かりうら!!まいさん!!!」 「あみゃあみゃ!はやくよこちぇ!!」 食いつく食いつく。 さっそく背負った袋から中身を出す。 さきほどのれみりゃだったものを地面に落とした。 我先にと群れの連中がよってきた。 服も帽子も髪も翼もないれみりゃは、もはや食べ物にしか見えないのだろう。 ためらいなく近づく。 「ちょっとまつんだぜ!!」 さきほどの長まりさが叫ぶと、ほかのゆっくりは動きを止めた。 「ひょっとしたらどくがはいってるかもしれないのぜ?どくみをするべきなのぜ!」 ゲスとは言えなかなか賢いまりさである。 しかし毒見とはおれがやるのか?食いたくないな…。 「どくみはどれいにやらせるのぜ!おい!くそどれい!とっととくるのぜ!!」 奴隷?お飾りをなくしたやつらか? 「は、はい…わかりました…」 なんと、そこにいたのは飼いゆ人気No,1のさなえであった! 数の少ない希少種。そのうえ力の強くないものが野生で奴隷にされるのはたまに聞く話だ。 実際目にするとは思わなかった…。 森の方から来たのを見ると、どうやら労働力として酷使されていたようだ。 幸運にもすっきりー!はされていないようである。 長まりさはさなえを伴って、れみりゃだったもの(以下エサ)に近づく 「さぁ、こいつのどくみをするのぜ!おまえがしんだってだれもかなしまないのぜ!」 「わ、わかりました…」 さなえはもう何もかも諦めたかのような表情で、エサを口にした。 「あぁぁ…ん… むーしゃ…むーしゃ………、し、し、し、し、し!しあわしぇ~~!!」 さなえは、天国にいるかのような表情を浮かべていた。 ひさびさに美味しいものを食べたのだろう、なおさら美味しく感じるだろう。 つ、次の瞬間 「どくのぜ!あまあまさんはまりささまにたべられるべきなのぜ!!どれいがたべるべきではないのぜ!」 「きゃっ!」 長まりさはさなえを突き飛ばし、エサをむさぼり始めた。 「がーっつ!がーっつ!しぃあわしゅぇ~~!!!」 「うっめ!これめっちゃうんめ!まじぱっねぇ!!!」 「こんなのはじめてなんだよー!わかるよー!」 他の奴らもエサに突進し始めた。 あっ、ぱちゅりーと赤ゆっくりが全員つぶれてる。 恐ろしい勢いで減っていくエサ。これでれみりゃを無駄にしなくてすんだ。 そんな彼らを尻目に 『ねえ、さなえ。ぼくのかいゆっくりにならないかい?』 泣くさなえに話しかける 「ほ…ほんとうですか?さ、さなえなんかでいいんですか?」 『もちろん!君だからいいんだよ!あんなやつらよりずっとね!』 エサをむさぼる群れの奴らを指さして言う。僕は希少種には愛で派なのである。 「しあ…わせにぃ…、なれるんですね…!うれ…しぃです、ありがとお…ございます!」 うれし泣きをするさなえ。 『さあ、僕と一緒に帰ろう、さなえ。』 「はいっ!にんげんさん!」 群れの連中を無視して、僕たちは群れを去った…。 例のエサについてであるが、あれにはある虐待グッズを使っている。 れみりゃの体には加工所謹製{味覚破壊しあわせー!ガムシロップ}を塗りたくり、中身にも染み込ませたのだ。 甘い肉まんなんて、正直食べたくはないがゆっくりの味覚なら問題ない。 ただでさえ肉まんなんて、野生のゆっくりが食べることはまずないのだ。 そのうえあまあまときたら舌を肥えさせるには十二分以上だ。 しかもこれから越冬直前の今、大したエサはない。 ゆっくり達に残された道は、なぜか食べられないまま飢えて死ぬか、共食いで何とか生き残るかだけ…。 肥えすぎて共食いすらできないかもしれない。 男は一週間後にまた来て、群れの惨状をみるのが楽しみであった。 『とりあえず家に着いたらしばらくはげろまずフードで味覚を矯正しなくちゃな!』 「げろまずっ!!??」 さなえが本当に幸せになれるのはもう少し先のようだ…。 ‐完‐ あとがきだど! 最後まで読んでいただいて、ありがとうございました! ところどころおかしいところもあるかもしれませんが、ご勘弁を…。 書き始めた理由は、最近胴付きれみりゃの虐待が減っているように思い、自分で書けばいいと思ったためです。 その割には後半はれみりゃ関係なくなりましたが… 今後作品を書く機会がありましたら、その時はまたよろしくお願いします。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3053.html
アップローダコメントより:原作キャラ注意 「ようこそお越し下さいました、当店はどなたでもウェルカムです」 男はやってきた女性に仮面を渡す 渡された女性もそれが当然のように仮面を付ける 「それでは、ご案内いたします」 ウェイターが現れ女性を奥へと案内していく 扉を開けたその先はカジノであった だが、ここは普通のカジノではない 女性はまずコインを購入する ここまでは普通のカジノと一緒である。 最初に向かったのはルーレットだった ディーラーがルーレット回転させるとそこに玉が投入される 「ゆ!ゆ!」 その玉はなんとゆっくりだった そう、ここはゆっくりカジノ 店内全てのギャンブルがゆっくりを使用したものとなっている特別製 先ほどのようにゆっくりを玉にしたゆっくりルーレットから自分のゆっくりを持ち込み可能なものまでそれこそ様々なものがある また、この店はプライバシー保護のためお客さん全てに仮面を付けることを義務づけている これは世間体の問題でもある この様な場所に公に来られないものなどのために設けられたシステムだ また、ゆっくりを連れてくる場合必ず防音用のケージに入れ、このカジノ場所が分からないようにするという決まりがある 入口は人間の里に6箇所ほどあり、そこから地下通路を通ってこの地下ゆっくりカジノへとやってくる仕組みだ 奇しくもこのカジノは上白沢慧音の寺子屋の丁度真下にあたる 彼女はこの様な行為は反対するため、秘匿義務も発生する ギャンブルは楽しく行わないといけない 先ほどゆっくりルーレットではルーレットの回転が止まり玉であるゆっくりれいむが赤の23番のポケットに入る それを見たコインを賭けていたもの達から歓声と落胆の声があがる 早く倍率分のコインを得ようとしたとき 「れーみゅはこっちのあなさんのほうぎゃゆっきゅりできるよ!」 ゆっくりれいむが隣のポケットへと移動してしまった そこは白の3番で、丁度勝ち負けが逆転することとなった これがゆっくりルーレットの醍醐味である 玉として使用されるゆっくりが気分次第でポケットを移動する また、時折回転に酔ってしまいエレエレしてしまうゆっくりが出るとそのポケットにはもう入らない ちなみに、ディーラー総取りのポケットは特別ゆっくりがゆっくりできるようになっている 「ちょっと、なんで移動するのよ!ふざけてんの!ばかなの?死ぬの?!」 「おいよせよ…ここじゃあこういうルールなんだぜ」 紅白の衣装を身に纏い仮面を付けた女性がゆっくりの移動に思わず罵声を浴びせる そしてそれを隣の白黒の衣装に仮面の女性がなだめる 彼女たちは時折訪れており勝ちと負けが7:3という好成績を誇っている その後紅白の女性は黒白の女性と別のゲームへ参加しに行った 続いてはゆっくり丁半をご紹介しよう 丁半博打と言えば二つの賽子を使い目の合計が偶数か奇数かを当てるゲームだ ゆっくりでそんなことはできるのか?という疑問もあったがそれを革新的な方法で解決した このコーナーにも客が集まっており、それぞれ偶数か奇数かと選んでいる その真ん中には二つに仕切られたゆっくりのケージがあり丁度客はそれを囲っている形となる 中ではゆっくりまりさがとてもゆっくりしている。ちなみにマジックミラーのため中から外は見えない そして選考時間が終了するとケージの中にそれぞれれいぱーありすが投入される 「「ゆげええ!ありずぅぅぅぅ!!!」」 仕切られた壁の奥からも同じ声がこだまする 二匹のゆっくりまりさのケージにありすが入れられる 「「むほおおお!!まりざあああああ!!!」」 同じく声をハモらせながらありすは凄まじい速度でまりさに肉薄し押し掛かる 「やめてね!まりさはすっきりしたくないよ!!」 「まりさったらツンデレねええ!!ツンデレもずきよぉっぉぉお!!!」 「い”や”だ”あ”あ”あ”!!!!」 「「む”ほ”お”お”お”お”!!す”っ”き”り”ー”!」」 ありすが精子餡を注ぎ込み終わるとまりさの頭に茎が生え子供が出来る 一匹目のまりさから出来た子どもは4匹 そして二匹目は…なんと7匹で合計11匹の奇数! 電光掲示板で結果を伝えられコインが配当される なお、この赤ゆっくりは回収され選考されたのちカジノで使用される れいぱーありすもこのゲームのために回収される そしてまりさも苗床扱いで回収する この親まりさの教育次第でどのゲームに使用されるかが変わってくるのだ また別のコーナーではゆっくり同士による戦いが行われていた 現在はれみりゃVSゆっくりみょんで倍率が×2と×40である 開始当初れみりゃ優勢かと思われていたが、みょんが素早い動きで翻弄し愛用の加工された木の棒でれみりゃの目を抉ったのだ 「れみりゃのぎでいなおべべがあああ!!!」 悲鳴を上げるれみりゃに観客達は盛り上がる 「ああ、れみりゃ様があああ!」 と、別の声をあげる者も 「みょん!」 トドメとばかりにみょんは喉に棒を突き立てる それで勝負あり れみりゃはもはや何もできなくなりただ「ざぐやぁ〜!ざぐやぁ〜!」と泣き叫ぶだけになった 女性はそれを悲しげに見つめ連れ添いのチャイナドレスの綺麗な女性に慰められている 「まあまあ、あれはウチのれみりゃじゃないんですから」 「それはそうだけど…」 女性はれみりゃ愛好家なため負けたれみりゃを気にしていたのだ しかし、それも次に巻き起こる歓声にかき消されてしまう 「お待たせいたしましたぁぁ!本日のメインイベントォォォ!」 闘技場で司会をしている男性がマイクを使い盛り上げる この闘技場は広いのだ 「漆黒の流星ゆっくりまりさVS白銀の弾丸ゆっくりれいむの試合を行います!」 「「「わああああああああああああああ!!!!!!」」」 まるで厨二のような二つ名を付けられたゆっくりがリングに凄まじい熱狂ぶりを見せる この二つ名にはワケがある。ただカッコイイとかでは断じてない この場は一応非公式なため、誰が育てか、と言うのを公にはできない そのためゆっくりを区別する必要がある場合にはこの様に二つ名を使って区別する また、二つ名持ちとそうでないゆっくりを一緒に戦わせるという試合もある その場合どちらも普通にまりさやれいむとしか紹介されない いざ始まれば試合前人気とは打って変わってのバトルロイヤルが開催されるため人気ゲームの一つである そして今は二つ名持ちによる一匹VS一匹の勝負である まりさを育てた鬼意燦とれいむを育てた鬼意燦がそれぞれゆっくりにアドバイスを送る 「れいむ、相手の動きに惑わされるなよ!」 「とにかく序盤は相手の攻撃をよけるんだまりさ!」 そして試合開始のゴングがなる 漆黒の流星の二つ名を持つまりさは流星の名にふさわしい機敏が動きを見せる 野生のゆっくりちぇんを凌ぐスピードでれいむの周りを縦横無尽に駈け巡る 対するれいむはじっと待ちかまえる れいむにはまりさほどのスピードが無いため追うだけ無駄だと理解している そしてまりさが正面に来た瞬間、ありったけのパワーを脚にかけての体当たり これが弾丸の異名の由来だ まりさの体にれいむの体当たりが掠る それだけでまりさは体制を崩してしまった 「今だれいむ!一気にたたみ込め!」 「まりさ、離脱しろ!」 二人の鬼意燦が指示を飛ばす 動いたのはれいむの方が速かった ジャンプすると全体重をかけまりさに落下する まりさはボディプレスを受けて何度も顔をリングに打ち付けられる そうして幾度目かのボディプレスを受けるかと思われたとき 「ゆ?」 れいむがジャンプした瞬間まりさはゴロンと横に転がりそれを回避した 今度はれいむがリングに打ち付けられる 「まりさ、今がチャンスだ!」 鬼意燦の声を聞きまりさは連続攻撃を仕掛ける 攻撃しては間合いの外まで行きまた攻撃するヒットアンドアウェイ これぞ必殺チャージアンドアサルトだ 「…ゆぎゅぅん」 こうして最初は優勢だったれいむが倒れた 「勝者、漆黒の流星、ゆっくりまりさぁぁぁ!!!!」 レフェリーが勝利を告げるとまりさは鬼意燦の元へと戻っていく このゆっくりは鬼意燦の持ち込んだゆっくりである まりさの用に試合に出るようになるためにいくつかの審査を通らなければならない そのため出場するゆっくりは皆優秀なゆっくりだ また、れいむも鬼意燦に回収され治療を受けている この鬼意燦はまだ善良だが負けたゆっくりをその場で殺してしまう鬼意燦も存在する 敗者に未来を選ぶ権利はない このゲームは特に男性の支持を得ている その逆に女性の指示を得ているのがすぃーを使ったゲーム このゲームではすぃーにゆっくりを乗せてレースを行わせる そしてその着順を当てることで倍率分のコインをもらう仕組みだ 余談ではあるがこのレースに出場するゆっくりはまりさ種が多い それはまりさ種の悪知恵でレースを盛り上げるためである 「ゆっへっへっ!まりさがいちばんだぜ!」 丁度レースが始まろうとしていたが3番のすぃーに乗ったまりさがフライングスタートをしてしまった これもこのすぃーレースの魅力の一つだ しかし、腐ってもこれはルール上でのギャンブル。 ゆっくりと言えども反則行為は許されない 独走状態の3番まりさだったが突如下から何かに突き上げられてすぃーから落ちてしまう 「ゆぐぐ…いたいんだぜ…」 コースには様々な仕掛けが施されており、先ほどフライングしたゆっくりを制裁する仕掛けが作動したのだ それを見てスタートの合図が出される 3番以外のまりさが一斉にすぃーを走らせる 「ゆっくりとまるんだぜ!まりさをひいちゃだめなんだぜええええ!!」 3番まりさはコース上に取り残されたままだ 他のまりさ達はそれぞれ罵声を浴びせてまりさを轢いていく 「ふらいんぐするやつゆっくりしんでね!」 「おぉ、ぶざまぶざま」 「ずるしたらこうなることもわからないの?ばかなの?しぬの?」 「ゆぎゃあああ!!いだいいい”い”い”い”!!!」 こうして3番まりさは他のゆっくりに轢かれてあえなく失格となった 先頭集団が第1コーナーを曲がるとそこには数本の柱がそびえ立っていた ちょうど連続ヘアピンコーナーをイメージしてられていてこの柱の間を曲がりながら避けなければいけない 「すぃーはきゅうにとまれないぃぃぃぃ!!」 5番のまりさはスピードの出し過ぎでそのまま柱に激突してしまった 後続集団はすぃーのスピードを落として連続ヘアピンを超えていく そうして高低差のあるコースを越えて6番まりさ、1番まりさ、そして5番まりさの順でゴールに入る なお、三連複までしか無いため4位以降のゆっくりはゴールできないしようとなっている 3着が確定するとゴール前に落とし穴ができるのだ 「やべでええ!!ばりざはおぢだぐないいいい!!!」 4着のまりさが穴へと落下していき他のまりさも次々と落下していく 「ゆっへん!とまればあなにおちないよ!」 最後に残ったまりさが穴の手前で止まりすぃーから降りる 穴を見下ろして落ちていったゆっくりを嘲笑する しかし、そんなことが許されるはずもなくこのディーラーがスイッチを押すとこのまりさは下から突き出てきた針によって串刺しにされた 「もっどゆっぎゅりぢだがっだよ…」 また、別室ではこのカジノの作った河童が天狗と将棋を行っていた これはカジノではなく来賓用の別室で行われているため人目には付かない 河童が金の役目を持ったゆっくりを動かす 天狗はそれを受けて桂馬の役割を持ったゆっくりを動かす 「みょん!」 天狗が今し方動かした桂馬はみょんである この将棋の駒は全て脚を焼いたゆっくりを使用しそれぞれコマとしての役を与えられている 今行われている対局ではれいむが歩、ちぇんが香車と飛車、みょんが桂馬と角、ありすが銀でぱちゅりーが金、そしてまりさが王将だ「まりささまをまもるんだぜ!」 王将まりさは将棋のルールを何となくだが理解していた それはとにかく他のコマが自分を守ればいい。そして、れいむは真っ直ぐに一歩ずつしか動けないこと 河童、河城にとりは歩れいむを一歩前進させる 「のろまなれいむなんてこわくないんだ!さっさとちぇんかみょんにやられるんだぜ!」 この将棋には二通りの楽しみ方がある 一つは純粋に将棋を行うこと そしてもう一つがゆっくり達の反応を見ることである 先ほどからわめいてる王将まりさはゲスなため中々愉快な反応をしてくれている 天狗、犬走椛は金ぱちゅりーを動かして王将まりさから遠ざけていく それを見てにとりは角みょんや飛車ちぇんをすぐに椛の王将まりさの近くに動ける場所へと移動させる 「なにやってるんだぜ!まりさのまわりにはやくありすたちをもどすんだぜ!」 王将まりさは自分が取られると負けることを知っているために騒ぎ出す 「おねえさんまけたいの?ばかなの?」 この将棋では相手の駒を取っても自分で使用することはできない どちらかと言えばチェスよりのルールを採用している 何故かというと 「いやだあああ!れいむとられだくないよぉぉぉ!!」 「わかるよーれいむはちぇんにたべられるんだねー」 椛が飛車ちぇんを動かし歩れいむを取るとちぇんがれいむを食べていく 「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」 「でいぶばじあわぜじゃないいいい!!!」 このように食べられてしまうため駒であるゆっくりは必死に打ち手に勝つように叫ぶ 王将まりさは自分が盤上で一番安全だと思っているが実は一番危ない どちらが勝つにせよ王将は絶対に取られるので50%の確立で食べられてしまうのだから それに比べるとまだ他の駒は生き残れる可能性がある ちなみに虐待好きの打ち手はわざと全滅させる場合もある そうして王将まりさの周りに駒が無くなった 「まりさはおいしくないんだぜ!たべるならみょんをたべるんだぜ!」 だが、にとりは飛車ちぇんを動かして王手を掛ける 「ばやぐまりざをにがぜえええ!」 が、椛は歯牙にも掛けず歩れいむを逃がす 「いやあああああ!!」 王将まりさの叫びを無視しにとりは角みょんを動かした 「ばかなおねえさんだぜ!かてるちゃんすをのがしたんだぜ!おねえさんのちぇんはまりさがいただくんだぜ!」 「わからないよー!どうしてまりさをとらないのおおお!!」 しかし、椛が次に動かしたのは銀のありすだった 「とかいはなありすがいどうしてあげるわ!」 「やべろおおお!ばりざをたすげろおおお!!!」 こうやってこのようなゲスゆっくりの反応を楽しむのが今の二人のお気に入りだった そうして何度も何度も同じ事を続け、王将まりさの周りは前一マスを除いて全て埋め尽くされてしまった 王将まりさはがくがくと歯をならす ここに来て他のゆっくりも打ち手の趣向を理解したらしくニヤニヤとまりさを見つめている 「まりさがとられたらまけなんだぜ…おねえさんはまけたくないはずなんだぜ…」 そうして開いてる場所にのろまと罵った歩れいむが動かされた 「ゲスなまりさはゆっくり取られてね!」 「でいぶううう!!じねえええ!!!」 「むーしゃむーしゃしあわせ〜♪」 「やべどおおお!!いやだああ!ゆっぐりじだいいいい!!!」 結局王将まりさは最後に歩れいむに食べられて対局終了となった 「なかなか面白いッスねこれ」 「うーん、でも正直喧しいのよねぇ」 椛は楽しそうだがにとりは思案する 職人として納得がいかないようだ 「けど、売上は上々って聞いてるッスよ?」 この将棋は一部の虐待派に人気の商品だ 駒のバリエーションもゆっくりの数だけあるので反応がそれぞれ楽しめるとのこと 「次は麻雀にでもしようかなぁ」 にとりはゆっくりをつまみ上げてあんよを眺める ここに牌の模様を入れればゆっくり麻雀ができるだろう 「それじゃ次は普通に将棋をやるッスよ」 椛は別の駒を用意して対局を促す 今度も駒はゆっくりだが将棋のルールを教え込まれた利口なゆっくりを採用した駒だ 先ほどと違って反応を楽しむためではないので駒をちゃんと取って使う こちらはゆっくり達がそれぞれ自分がどう動けるか、今動けば誰が取れるか、と言うのを教えてくれるものだ 「考えても仕方ないね」 にとりはお茶請けとして先ほど駒として使ったゆっくりをつまむと再び将棋盤へと向かう 「なんでありずがだべらでどぅのおおお!!!」 ここ寺子屋ではちょうど慧音と妹紅が昼食を取っていた 「妹紅、最近何やら騒がしくないか?下から何か聞こえるような気がするのだが…」 「気のせいじゃないの?最近は神社に間欠泉ができるくらいなんだしさ」 慧音は納得しなかったが箸を進める よもや寺子屋の真下に巨大なカジノが作られていて妹紅がそこに出入りしてるとは思いもしないだろう
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2906.html
※普通のゆっくりでないゆっくりが出てきます ※普通のゆっくりがいじめられます ※お兄さん分や人間分はありません ※おうち宣言があります ゆっくり勝負 「「ゆっくりしていってね!」」 とある巣穴の前。一組のゆっくりが穴に向かって声を上げる。 ゆっくりれいむとゆっくりまりさだ。 「「ゆゆ、ゆっくりしていってね!」」 中からも声がして、こちらもまた一組のゆっくりが出てくる。 外から来たゆっくりと同じれいむとまりさだ。 「「きょうからここはれいむとまりさのおうちにするよ!」」 定番のおうち宣言をする外のゆっくり。 「「なにいってるの?ここはれいむとまりさのおうちだよ!」」 それに反論する巣のゆっくり。 お互いに自分の主張を繰り返すが中々勝負が付かない。 「そうだ!ゆっくりしょうぶでどっちのすかきめるよ!」 ふと、外のれいむが提案した。 「ゆっくりしょうぶ?」 「どっちがゆっくりしてるかくらべるんだよ」 「どうやるの?」 「まりさとまりさ、れいむとれいむがおたがいにゆっくりしているかみるんだよ」 互いに向かい合った状態になり、どれだけ長くゆっくりしていられるか競うという事らしい。 ゆっくりできないと言う=ギブアップらしい。 「ゆゆーん、それなららくしょうだよ、まりさとれいむいじょうにゆっくりしたゆっくりはいないんだよ!」 「このしょうぶ、れいむたちのかちだね!」 余裕綽々な顔をする内ゆっくり。 元からそんな顔をしているという突っ込みは敢えてスルーしておく。 そんなこんなでゆっくり勝負がスタートした。 以下、巣のゆっくりを内れいむ・内まりさと 外から来たゆっくりを外れいむ・外まりさと呼ぶことにする。 開始10分 「ゆっくりしてるね!」 「まりさもゆっくりしてるね!」 思う存分ゆっくりする内まりさと内れいむ。 「ゆっくりぽかぽかだね!」 「ゆっくりきもちいいね!」 対する外れいむと外まりさも非常にゆっくりしている。 しかしまだ勝負は始まったばかりなのだ。 1時間後 「ゆっくりできてるね!」 「これなられいむたちのかちだね!」 すっかり勝利を確信している内れいむ、内まりさ。 「かぜがきもちいいね!」 「ゆっくりできるね!」 内ゆっくりに負けないくらいゆっくりしている外ゆっくり。 この対決は長期戦になりそうだ。 3時間後 「ゆぅ、おなかすいてきたね」 「ごはんたべたいね」 内ゆっくりはどうやらお腹が空いてきた様だ。 顔が困り気味になってきている。 「ゆ、つらそうだね、ゆっくりできないの?」 「れいむたちはこんなにゆっくりしているのにね」 外ゆっくりは2匹とも表情一つ崩さずゆっくりしている。 「ゆゆ!?ぜんぜんそんなことないよ、れいむたちはゆっくりしてるよ」 「そうだよ!そっちこそそろそろこうさんしないの?」 やせ我慢をしつつ反論する内ゆっくり達。 それでも根を上げないところ、まだまだ勝負が続くようである。 5時間後。 両者とも未だにゆっくりしている、らしい。 というのも内ゆっくりが相当辛そうだからである。 「ゆぅ、ゆぅ…まだまりさたちはゆっくりしてるよ」 「いいかげん、こうさんしてね…」 対する外ゆっくりは顔色一つ変えない。 「どうみてもゆっくりしてないね!」 「あたらしくまりさたちがそのすをつかってあげるからおとなしくゆっくりしてないってみとめてね!」 形勢は外ゆっくりに傾きかけていた。 その時である。 「かわいいまりさぁぁぁぁぁ!!!みつけたわぁぁぁぁぁ!!!」 「「ありすだぁぁぁぁぁ!!!」」 内ゆっくりが悲痛な叫び声を上げる レイパーアリスの乱入である。 「んほぉぉぉぉぉ!!!!」 「やべでぇぇぇ!!!ずっぎりぃぃぃぃ!!!」 「いやぁぁぁぁ!!すっきりぃぃぃぃぃ!!!」 「べとべとする〜」 「きたないよ〜」 あれよあれよという内に4匹のゆっくりに纏わり、ありすは4回すっきりした。 1匹につき1回である。 それに満足したありすは「またあいてしてあげるわね!」と満足そうに去っていった。 この時内ゆっくりに変化が起きた。 頭からにょきにょきと蔓が生えて、小さな丸いものが蔓からでき始めたのである。 本来なら悲しみに暮れる所である…のだが。 「そ、そうだ!あかちゃんはゆっくりできるんだよ!」 「あかちゃんができたれいむたちはゆっくりできてるんだよ!」 「あかちゃんができてないれいむとまりさはゆっくりできてないね!」 ここぞとばかりの反撃である。 赤ちゃんはゆっくりできるという考えから外ゆっくりに対して優位に立ったと思ったのだ。 「それじゃ、そのあかちゃんがゆっくりできてるかゆっくりしながらみるよ!」 「まだまだまりさたちはゆっくりしてるよ!」 勝負がついたと思いきや、まだまだ決着に時間は掛かりそうだ。 8時間後。 辺りはかなり暗くなってきている。 この時間は捕食者の活動時間だ。 「ゆ、ゆぅ、ゆっくりねむくなってきたよ…」 「だめだよれいむ!ねたらまけちゃうよ!」 見るからにやせこけはじめている内ゆっくり。 子供に餡子を吸われているのだろうか、食事も摂っていない事もくわわりかなりゆっくりできていない状態である。 「ゆぅ…ねむいよ…」 「もうすこしゆっくりしたらおうちがてにはいるよ!だからゆっくりしようよ!」 対する外ゆっくりも眠気に追いやられ始めている。 このまま引き分けで終わり、かと思われたその瞬間。 再び状況は変化する。 「うーうー」 「「れみりゃだぁぁぁぁ!!!」」 またも叫び声を上げる内ゆっくり。 それも無理は無い。捕食種のれみりゃが現れたのだから。 「あまあまー」 「やべてぇぇぇぇ」 かぷりと内れいむの蔓に生った赤ん坊を口に含んでいく。 「れいむのあかちゃんがぁぁぁぁ」 「れいむとまりさはさわいでゆっくりできてないね!」 捕食種がいるというのに外ゆっくりは意に介さないでゆっくりしている。 「こっちもあまあま…うー、こっちはふかふかー」 れみりゃは外ゆっくりの感触が気に入ったようで暫く掴んだりはむはむして戯れていた。 「れみりゃはゆっくりしてるね!」 「こんなゆっくりできるれみりゃがゆっくりできないなんていうゆっくりはゆっくりできてないね!」 「ばだだよ、ばだでいぶだぢばゆっぐりでぎでるよ!」 「おぶぢばわだざないがらね!」 自分の家を守ろうとする内れいむと内まりさ。 ここまで来るともう誰が見てもゆっくりできていないと見えるのだろうが、そんな事を考えている余裕も無かった。 それでもギブアップ宣言をしていないのでまだ勝負は続くのだ。 絶対に勝つ、内ゆっくりはその為だけに耐えていた。 空腹にも無理矢理すっきりさせられた事に対しても、れみりゃに赤ちゃんを食べられた事も。 いつしかれみりゃは空の彼方へ飛び去っていった。 それでもまだゆっくり勝負は決着がつかない。 10時間後。 「ゆ、ゆがぁぁぁぁぁ!!!」 「もうゆっくりしょうぶなんていいよ!ゆっくりつぶれてね!」 遂に内ゆっくりがキレた。 内まりさは外まりさを押しつぶそうとし、内れいむは外れいむに体当たりをする。 「ゆ!?ゆっくりできないんだね?こうげきするなんてれいむとまりさはゆっくりできてないんだね!」 突然の体当たりに驚きながら、しかし全然効いていないらしくケロッとした顔で外れいむは問い詰める。 「ゆっくりしてるよ!ゆっくりしながらゆっくりできないれいむとまりさをおいだしてるんだよ!」 もう滅茶苦茶な言い分である。 殆ど体力が無いながらも、しゃにむに内まりさと内れいむは外ゆっくりの2匹に攻撃を仕掛け続けた。 「ゆっくりできてないまりさとれいむはつぶれてね!」 これでゆっくりと巣に帰って食事してぐっすり眠れる。 この2匹はそう考えていた。 そして―決着の時がついにきた。 ポタ。 ポタ。 ポツッポツッ ザーザーザーザー 空から落ちてくる無数の雫。 雨の到来である。 「あめさんがふってきたよ!」 「あめさんはゆっくりできないからゆっくりおうちにかえるよ!」 今まで色々な物に耐え、無茶な事を繰り返してきた内ゆっくりもこれには耐えられない。 何しろ雨に当たり続けていると死んでしまうのである。 レイパーのすっきりも捕食者のむーしゃむーしゃもまだ助かる道はあった。 しかし雨となれば話は別である。 もう勝負は付いた、そう思い込んでいる2匹は攻撃を止めて巣穴に戻ろうとして―外ゆっくりに弾き飛ばされた。 「たいあたりしてくるくせにゆっくりしてるなんてれいむはうそつきだね!」 「あめさんをゆっくりできないなんていうなんてまりさはくずなんだね!」 「どぼじでいぎでるのぉぉぉ!!!」 内ゆっくりは潰したと思った外ゆっくりのピンピンした姿に顎をゆがーんと空けていた。 「たいあたりやのしかかりくらいでれいむたちがしぬとおもったの?ばかなの?」 「それにあめさんがゆっくりできないっていったね?だからこのおうちはまりさたちのものだよ!」 勝負は元々巣に住んでいたゆっくりの負けで幕を閉じた。 この雨の中、散々体力を奪われた2匹は、巣を奪い取った2匹が見守る中どこに行く事も出来ず溶けていった。 「あめにとけるなんてだめなゆっくりなんだね!」 「おうちでおみずさんをぬきだそうね!」 この2匹がゆっくり勝負で勝てた理由。 それはスポンジだからである。 勿論スポンジケーキではない、台所や風呂場で使われているスポンジである。 それでもふてぶてしい顔やふんぞり返るような本能はゆっくりそのままだ。 勿論互いのスポンジをすーりすーりしながら交換する事で赤ちゃんだって作れる。 違いはあるが些細な事ばかり。 食べられる事はない、水に溶けない、ぱちゅりーは赤ちゃん用スポンジだったりする。洗剤で泡立つ。 アストロンで金だわしになる、火にすこぶる弱い、食べ物には困らない、潰しても元に戻る。etc。 そんな、饅頭ではないゆっくり。 あとがき 当時真っ二つにされたら分裂するゆっくりを見て、中身が不思議に思った人はどれだけいるのでしょう。 今でこそ餡子が一般的ですが、その前にこうだったのかな、と思う所を少し入れ込んでみたり。 そこに今のゆっくり分を混ぜ込んでみたらこんなのになりました。 普通のゆっくりではすぐ潰してしまう鬼意山でもきっと全力で虐待できることでしょう。 あ、お風呂場にあるスポンジってすぐカビますよね! 今まで書いたもの 博麗神社にて。 炎のゆっくり ゆっくりを育てたら。 ありす育ての名まりさ 長生きドスの群 メガゆっくり ゆっくり畑 益ゆっくりと害ゆっくり ゲスの行き着く先 つかれたまりさ 噂・ゲスの宿命 決断
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/383.html
やぁ俺はフランク、ジャーナリストってことはもう知ってるよな。 さて、俺は妙な街に取材に来てしまった。 なんというか、生首饅頭がうごめく街? ほらそこ笑うなって、たしかにポップコーン食べながら見るような感じだけどさ。 キラートマトとか兎男とかあるんだからよ、ちょっとはびびろうぜ? まぁ、ともかく俺はガンショップを出たんだ、すると無線が入ってモニターに何か映ったとかいって引き戻された。 んで確認のために行ったんだが……。 まぁそれは面倒なので後で説明するけどそのあと博士みたいな人を捕まえて怪我してるからってんで薬をとってこようとモール内のスーパーに入ったのさ、そしたら…… 俺はライフルを持ってスーパーの中に入った。 内部はクーラーが聞いていてひんやりとしている。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~♪」 食料品の所にゆっくりたちが集まっている。 やつらも人間と同じ物を食うのだろうか。 近寄ってみると袋入りされた菓子だけが食われており、肉や魚などのナマモノには手は付けられていなかった。 (ふぅ、一応食料はあるみたいだな) 俺は安心しているとどこからかべちゃり、という奇妙な音を耳にする。 あたりをきょろきょろ見回していると、生肉が並んでいるところであのれみりゃを見つけた。 「うー♪ おにくいりゃない! ぽいするの♪」 見れば、生肉の入ったトレイを開けて中身を取り出し地面に捨てている。 慌てて俺は走り出しライフルを構える。 「うー?」 音に気づいたのか俺の方向を見た瞬間、俺は引き金を引いた。 渇いた銃声がモール内に響く。 「あ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!い゛だい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛」 ちょうど良い具合に肉を持っていた手が吹き飛び、地面に自分の体の肉をばら撒く。 その音に気づき、ゆっくり達が一斉に俺を見た。 「ゆ! あのおじさんはゆっくりできないよ!」 「ゆっくりしね!」 ゆっくり達が群がってくる。 「う゛ー♪ ぶぁーが! ゆっぐりだぢな゛ら゛お゛ばえなんがやっづげじゃうんだどぉー♪」 俺はれみりゃを見て愕然とした。 こいつ、再生するのか。 ちぎれた腕はそのままに、新しい腕がれみりゃの腕に付いている。 「くそっ」 銃を構えた瞬間、三匹同時タックルをくらい、俺はこけた。 銃も取り落としてしまう。 周りに武器がないかと手探りで探していたら、長い棒のようなもの触った感覚があった。 引っ張ってみてみると、それは。 「フランスパン!?」 焼き立てではなくカチカチに固まっているフランスパンだった。 たしかに固いがゆっくり達に効果はあるのだろうか。 「せいっ」 再びタックルしようとしてきたゆっくり達をフランスパンでなぎ払う。 「ぶぇっ!」 「ゆ゛」 吹っ飛ばされたゆっくりは地面に叩きつけられ破裂して死んだ。 なるほど、パンでも威力はあるようだ。 「せぇやっ!」 思い切り叩きつけたりなぎ払ったり。 ゆっくり達はなす術もなくつぶされて行く。 残ったのは金髪のゆっくりと黒髪のゆっくりだった。 「ごべんだざい゛! れ゛い゛む゛がお゛ぞお゛う゛っでい゛っだん゛でず!」 「ゆっ!?」 金髪ゆっくりが何か言うと、黒髪ゆっくりが驚いたような顔をした。 「わるいれいむはしんでね!」 「ゆっ、れいむわるいことしてないよ! さいしょにいったのまりさだよ!」 れいむ? なるほど、黒髪の方はれいむというのか。 んで、この金髪のほうはまりさまりさって呼ばれてるからゆっくりまりさ。 とりあえず奇妙な二匹を写真に収めた。(エクセレン!) 「おじさん! ゆっくりれいむをいじめていいからまりさは見逃してね!」 「びどい゛よ゛ま゛り゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! どうじでごんだごどずるどお゛!?」 れいむが泣き叫んでいる。 うるさいので黙らせようと俺はれいむに手を伸ばした。 ちらりとまりさのほうをみると、唇を吊り上げて人を馬鹿にしたような顔をした。 ちょっとむかついたのと、こいつを食べた事が無かったので俺はれいむからまりさを掴む。 「ゆっ!? ちがうよおじさん! いじめていいのはれいむだよ!」 なんか言ってるがわからん。 とりあえず口の中に手を突っ込んでみる。 「おごあがががあががががががが!」 やわらかい感覚が腕に絡み付いていてちょっと気持ち悪い。 中身を引っ張ってみると、中から黒いどろっとしたものが出てきた。 確かこれを舐めると甘かったんだよな。 手に持っていたフランスパンにそれを塗って食べてみる。 「yeah!」 結構イケル、売ったら繁盛するかも。 うまかったのでついまりさを落としてしまった。 「ゆべっ」 「あ、しまった」 慌てて拾おうとしたとき。 カラカラカラカラカラ……。 なんの音だ? カラカラカラカラカラ……。 ショッピングカート? 「いらっしゃいませー!!」 「うおわっ!」 耳元で叫ばれ、俺はしりもちをつく。 立ち上がって相手を見る、それはこの店のロゴが入ったエプロンをつけた小太りの男だった。 「あの……あなたは?」 「俺はここの店長だ! そしてここは……!」 男がショッピングカートに手をかける。 一瞬だけ確認できたが、カートの先端にナイフとフォーク、そしてバーナーが備えられていた。 「ここは俺の店だぁー!!」 俺は命の危険を感じて逃げた。 あ、しまった。 ゆっくりまりさの事忘れてた。 「ゆ゛ぎあぢぃぎぃだぐえっ!」 言葉にもなってない悲鳴が聞こえた。 恐らくカートに踏み潰されたのだろう。 俺は銃を取りに戻り、カートをターンさせて突っ込む男に向けて放った。 肩と胸に命中したが、ひるむ様子も無く突っ込む。 「ゆ゛っぐり゛ぃ゛!」 「ぢんぼおおおおおおおおおっ!」 巻き添えになりフォークに突き刺さっていたり、バーナーで焼かれ黒焦げになるゆっくり。 「うー♪ うー♪」 後ろでれみりゃが踊っていた。 俺はとっさにそいつを抱きかかえる。 「うー、だっこー♪」 れみりゃは何を勘違いしているのか腕の中ではしゃぎだす。 俺はそのままカートに突っ込んだ。 「い゛だい゛よお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!ざぐやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 いくら凶器をつけたカートでも刺さらなければ意味がない。 俺はれみりゃをクッションにしてわざと突き刺したのだ。 「うおっ」 一瞬慌てた様子の男に向かって俺はライフルを放つ。 ちょうど心臓辺りを貫いた。 カートから離れると、肉汁まみれのゆっくりゃがカートの凶器に顔面から刺さったまま痙攣していた。 「ごべんだざい! ぼうじまぜんのでゆるじで!」 相変わらず意味不明だ。 俺はそいつを放り投げて頭を打ちぬいた。 「ぎぇ゛っ!」 あっけない悲鳴と共に、れみりゃは死んだ。 そんなことより、と俺は男に近づく。 男は必死にレジへ向かった。 男は店長だったらしい、最後まで客の心配をしていた。 そして…… 「6番レジへどうぞ!」 と言い残し、息絶えた。 ■■■ とりあえず薬を渡し、生存者を探してモールに向かう。 今度は玩具屋が立ち並ぶところだった。 「武器でも集めるか……」 さすがに、ライフルだけでは先程のように落としかねないので違う武器を探す。 その途中、本屋を見かけたので入ってみた。 漁るのは動物図鑑などだ。 「ない、ない……ない、か」 見当たらない。 やはり新種か。 荒らしていると、『Japanese Conversation』と書かれた本を見つける。 翻訳本らしいので、やつらの言葉がわかるかもしれない。 その時、ばさっと本が落ちた。 何かいるのかと、とっさに銃を構える。 「むきゅー」 どこからか変な声がする。 落ちた本を恐る恐るめくってみる。 すると、そこには紫色をしたゆっくり達より一回り小さいタイプのがいた。 俺はさっき拾った翻訳本をめくって、試してみる。 「アナタノ、ナマエハ、ナンデスカ?」 片言なのはしょうがないが、この際笑われてもいいのでこいつらのことを少しでも知りたかった。 「わたしはゆっくりぱちゅりーよ よろしくね」 何を言ってるのか分からないので翻訳本を見せる。 手が無いので舌と体をつかって一生懸命ページをめくる。 「『I am P.A.C.H.U.R.Y』……パチュリー?」 俺が尋ねるとこくこくと頷いた。 どうやらこのぱちゅりーとやらは知能が幼児より少し上らしい。 先程見たれいむやまりさ、れみりゃなどは子供レベルだったが、ぱちゅりーの場合は一味違う感じがした。 たのしくなったので、俺はもっと聞いてみる。 「アナタ、ドコカラ、キタンデスカ? ……I don't know。知らないか……」 ちょっとがっかりする。 じゃあ最後に、と俺は本を開く。 「ユックリシテイッテネ、ッテ?」 それにはピンと来たのか急いでぱちゅりーが本を開く。 そして必死にそこを舌で示していた。 「take it easy? ゆっくりしていってね?」 なるほど、あいつらはずっとゆっくりしていけと言ったのか。 何の為だかは知らないけど。 「モウイクネ? バイバイ」 片言で言うと、ぱちゅりーは相槌を打った。 あの程度の思考なら、まだ手に負えるかもしれない。 それに何かと役に立つ。 上を見ると、ジェットコースターが動いていた。 ……ん?動いている? 俺は二階に上がる。 するとそこには一人のピエロがいた。 「ウヒヒヒヒヒ! ようこそ!」 ピエロが笑みを浮かべた。 ちょっと怖い。 「おい、どうしてコースターは動いたままなんだ?」 「見てよ! 子供達がゆっくりたちに殺されちゃったんだ!」 話がかみ合わないが、相手に合わせる。 「殺された?」 「皆で遊んでただけなのに、いきなりやってきて子供を集団で踏み潰しちゃったんだよ……」 コースターを見ると、切り刻まれたゆっくりが恐怖の表情で乗っていた。 俺がコースターの方へ向かうと、ピエロが笑いながらやってくる。 「コースターを止めちゃダメだよ! ゆっくりたちが来ちゃうからね!」 するとピエロがチェーンソーでジャグリングを始めた。 それを見ていたゆっくりたちが興味を示して集まってくる。 「ウヒヒヒイヒヒヒヒヒ!!」 結局戦うのか……。 「ウヒィ!」 ピエロが小型チェーンソーを二刀流で振り回す。 振り回すたびにゆっくり達が切り刻まれた。 「な゛ん゛でごん゛びゅぇ゛!」 「が……ぺ、ぺぺぺっ」 俺はライフルで応戦しようとする。 が、ガチンいって弾は発射されない。 「弾切れ!?」 「うひょひょひょ!」 目の前にピエロが現れ、チェーンソーを振り上げる。 俺はとっさにゆっくりまりさを捕まえて盾にした。 「ゆっぐぢい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!! い゛だい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!」 目と口の真ん中を真っ二つにされる。 だが、チェーンソーのリーチを侮っていたため、俺も手のひらを切ってしまった。 応戦する手立てがないので俺は逃げた。 その時、骨董品店が目に付く。 その中に中世の斧やら侍のつかう日本刀が置かれていた。 中に入って斧を取り出し、再びピエロのところへ戻る。 「おりゃああっ!」 重いため、大ぶりになる。 ピエロはさっと避けた。 だが、その後ろにいたゆっくりれいむは逃げられなかった。 「い゛ぎぇ! が、ばっ……!」 目玉を飛び出し、口を大きく開けて絶望の表情を浮かべるゆっくり。 俺はそれを気にすることなく引き抜く。 「ひょあー!」 飛び掛ってきたピエロに対し、俺はゼンガーよろしく横ぶりで叫ぶ。 「チェエエエエエエエストオオオオオオオオオオオッ!!」 ピエロのわき腹をえぐり、ピエロは地面に落ちた。 しかもその先にはチェーンソー。 「い゛ぎぇへへへへへ!」 最後まで笑いながら、ピエロは死んだ。 俺はとりあえずコースターを止める。 すると、席に乗っていたゆっくりれいむが跳ねて俺のところにやってきた。 「おじさんどうしてはやくたすけてくれないの! ゆっくりしね!」 そう言ってタックルしてくる。 意味はわからなかったが、タックルで敵意があることがわかった。 せっかく助けたのになんてやつだ。 俺はゆっくりを持ってピエロの服を破って紐を作り、縛ってコースターの線路に置く。 「ゆ!? おじさんこれじゃゆっくりできないよ!?」 構わず俺はコースターのスイッチを押した。 ごとんごとんと音を立ててゆっくり加速を始めるコースター 。 「ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛! ばやぐだづげでね゛!」 しかし、俺がコースターを止める暇も無くゆっくりれいむは轢かれた。 「ゆ゛っぐげおげげげえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛」 さらに車輪に引っかかったのか、ゆっくりれいむの体を引きちぎりながらコースターは進んで行く。 液体が俺の肌に飛び散ったので舐めて軽い栄養補給も欠かさない。 「おーい、助けてくれぇ」 コースターにも人がいたらしく、俺はコースターを止めた。 生存者は引きちぎれたゆっくりれいむを踏み潰して俺のところへ来た。 そうじゃないと上がれなかったんだもの。 「ありがとう」 「いや、とりあえず警護室へ……」 ■■■ 生存者を助けた後、俺は日用品店へ向かう。 スポーツ用品から家庭品までそろっているところだ。 しかし、入ってみるとそこは酷いありさまだった。 天上にはゆっくりたちの死骸が吊るされており、皆恐怖の表情を浮かべていた。 「貴様! 階級と所属を名乗れ!」 後ろから何かを突きつけられる。 俺はジャーナリストなので階級も糞もない。 「答えられなければベトコンだぁ!」 危険を察知して俺は避ける。 何度もこう避けられるとは俺も運がいい。 見れば、老人が赤いスカーフをつけてハチェット(鉈、マチェット)を持っている。 (戦争体験者か) 俺はまず走ってくる老人をかいくぐり、上に吊るされたゆっくりの死骸を撮る。(エクセレン!) 写真を撮り闘いに戻ろうとしたとき、老人の姿は無かった。 「どこへいったんだ……?」 迂闊に歩けば危険なので、壁際にあとすざる。 その時、背後から鉄がきしむ音がした。 「はっ!」 気づいたときには遅く、俺の足に激痛がはしる。 どうやら男は下から襲ってくるらしい。 ならば……と俺は店をでてゆっくりたちに声をかける。 「ユックリシテイッテネ」 片言で言うと、それでも反応してくれた。 「ゆっくりしていってね!」 そして俺は手招きをしてゆっくりを呼び寄せる。 だが、日用品店の天上にいるゆっくりを見てびびってしまった。 「おじさんとはゆっくりできないよ!」 「トモダチ、ユックリ、ツカマッタ、オレハ、ナカマダ」 正直日本語ってきつい。 日本語がぺらぺら喋れる奴等がうらやましい。 ゆっくりは自分達の仲間が捕まっている事を知り、聞き入る。 どうやら罠にはまってくれたみたいだ。 「ワルイヒトヲ、タオスニハ、アソコノウエデ、jumpシテ」 ジャンプの部分だけアメリカなまりになってしまったがしょうがない。 それでもゆっくりたちはうなづき、鉄の扉の上でジャンプした。 「わるいひとをやっつけるよ!」 「やっつけるよ!」 がんがんと老人が通っていた扉を叩く。 これで老人は俺がどこにいるか分からないだろう。 扉が開く。 「ゆぶぢゃ!」 扉の上にいたゆっくりがつぶされる。 俺はその瞬間をつかい、老人を引き抜いた。 「おらっ、おらっ、オラァッ!」 パンチを三発食らわせると、老人は倒れてしまった。 気絶しているみたいなのでそっとしておく。 「ゆっくりしね! ゆっくりしね!」 その老人に向かってゆっくりが体当たりをしていた。 俺は近くにあった芝刈り機をつかう。 そしてそのままゆっくりを轢いた。 「ぎゃぎゅぎゅぎゅぎゅゆ゛っぐり゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!」 芝刈り機が通り抜けると、綺麗にゆっくりが四等分される。 だが、これではあまりおもしろくない。 俺はなにかないか探してみた。 そして……俺は面白いものを見つけた。 「うっうー♪ うぁうぁ♪」 ひょこひょこと呑気に踊っているれみりゃ。 俺はそこに秘密兵器で突っ込む。 ギュルルルルルル! 機械音にれみりゃは驚いてこっちをみた。 が、すぐにドリルの餌食になる。 「う゛ぐぇぎゅがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 ドリルはれみりゃの顔をちょうどいい具合に突き刺さる。 れみりゃは頭をぶち抜かれ即死して動かなくなったが、ドリルは動き続けているためぐるぐるとれみりゃの死体がまわる。 それをもったまま俺はゆっくりたちに突っ込む。 「うわあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! ごわい゛よお゛お゛お゛お゛お゛お゛」 ゆっくり達は悲鳴を上げる。 だが俺はつっこむ。 れみりゃの死体の足に弾かれ、饅頭共は壁にぶつかり破裂する。 「どおじでごんだごどずべっ!」 「わ゛がら゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛」 どいつもこいつも皆吹っ飛んで破裂する。 俺は愉快でしょうがなかった。 しかし自然とおなかが減ってくる。 俺はフードショップへ行くことにした。 そして、そこでゆっくりを一匹捕まえる。 「ゆ? おじさんなにするの?」 間抜けな顔で俺を見ている。 そいつをミキサーへ入れた。 通常サイズより一回り小さかったからか意外とすんなり入った。 「おじさん! ここせまいよ! ゆっくりはやくだしてね!」 そして俺はその中にオレンジジュースを加える。 「ゆ! あまあま!」 さっきまで文句を垂れていたのにオレンジジュースを入れると上機嫌になるのか。 俺は蓋を閉めてミキサーのスイッチを入れる。 「い゛だい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!! ごごがら゛だじでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」 ぐるぐる回転しながらも悲鳴が聞こえる。 1分くらいすると、何も聞こえなくなった。 そしてミキサーの中身をコップに移して飲んでみる。 「oh...♪」 なんともいえぬ味に俺は声を漏らす。 ゆっくりがオレンジを吸収したのか、オレンジの味はしなかったが、かわりに食べたときとはまたちがうほんのりとした甘さが舌に広がる。 「やっぱりこいつらうまいな」 俺がゆっくりジュースを飲み干し、店を出たときだった。 「ゆっかりしていってね!」 また、新種か 俺はこいつをカメラに収めた(ファーンタスティック!) あとがき ミキサーの話もでてたので。 次回はゆっかりんとまだ出てきてないのが来ます。 ストーリーをなぞりたいですがover timeまでやっちゃうとえらい面倒なので途中で切り上げることもありえます。 爆発エンドとかな。 エロも書いてるから両立きかねーよ、エロ書いてるのに虐待になりそうだぜ 過去に 霊夢の怒らせ方 ゆっくりデッドライジング を書いております ゆっくりデッドライジング3へ
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1437.html
このSSには罪の無いゆっくりれいむ、ゆっちゅりー、体つきゆっくりゃが虐待されます。 また、ゆっくりめーりんが登場します。 嫌な方は見ないで下さい。 ゆっこーまかん 前編 ここは幻想郷の森の中、かの有名な紅魔館から少し外れた暗い森の中。 人がやっと一人入れるような小さな洞穴があった。 洞穴の中にはヒカリゴケの明かりがともされ、少し埃っぽい空気で満ちていた。 その洞穴の中に鎮座するは人でもなく動物でもなく、虫や魚でもなく漬物石ほどの大きさの 奇妙に蠢き奇声を挙げる存在が3つあった。 「ゆっ!そのごほんをれいむにちょうだいね!」赤いリボンの下膨れの饅頭のような物体が かくもたどたどしい言葉で、かつ中途半端に枯れた汚い言葉遣いをしている。 これがゆっくりれいむ、幻想郷で近年話題の人間の特徴を備えた饅頭妖精の一種である。 「むっきゅ!~!!??ちょれはぱちゅりいのだよ!かってにもってがなぁ~いでっ☆」 シュークリームの皮のような帽子らしき物体を被ったそれは目が半分しか開いておらず舌を だらしなく垂らしては引っ込める。不気味に結ばれた紫の紫蘇と思しき髪の毛に相当する部分は ぼいん、と動くたびに不可解なリズムで揺れる。 「うぎゃおー!ごごはれみぃさまの「ごーまがん」だどっ!やかましくするなー!きぃーーーーー!!!!!!」 誰よりもやかましい物体はなんと人間の幼児ほどの体をそなえたゆっくり、ゆっくりゃ(ゆっくりれみりゃ)である。 これまた肉まんのような帽子を被り、ババクサイ服を着てへらへら笑いながら手を絶妙なリズムでスライドさせながら 踊っている。背中に付いたお飾りの羽もつられて踊っている。この種は体つきになると羽が使えなくなるのだが 本体の意思に応じてご都合主義的に動くことができるのだ。もっとも、空を飛ぶほどの力は無い。 「ゆっ!くっせえ!めっちゃくせえ!ゆちゅりーこのごほんきたなくてくっさいよ!じちょうしてね!」 れいむはそういって口に咥えた本を振り投げて捨て去る。 「むっ牛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」 「むっ牛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!ユヂュディのでえじなでえじな「ごぼん」があああああ!!」 号泣するゆちゅりー。 「むーぎゅー♪ぱちぇはがーわいーいどー♪」 汚いダンスを続けるゆっくりゃはまるでこの狂想曲を指揮しているかのようである。 「じゃあお☆じゃあお☆ぱっどちょーじゃあお☆」 そこにのこのこと現れたのは辛そうな赤い髪をしたゆっくり、ゆっくりめーりんである。 「ごっ、メーディンいーどごおいで。デイブとぱちぇがじぇんがしているど♪」 どうやらゆっくりゃは「来たね」と「おいで」を勘違いして使っているらしい。 知能が幼児並というゆっくりの中でもとりわけアホのゆっくりゃはコミュニケーションに必要な最低限の能力すら欠如しているようだ。 「じゃあお☆れいむう。ぱあちぇ。ジェンガはやめるんじゃお☆」 めーりんもやはり「けんか」を「ジェンガ」と勘違いしている。 そもそもゆっくり種が人里へ出ることは何らかの手段で処分されることを意味しているので 何でゆっくりが人語を解する上喋ることができるのか、理由は謎に包まれたままである。 「ゆっ!ゆっくりしていってね!!」 「むっ。むっきゅりしていってね!」 「うっ!たーべちゃーうぞー♪しゃくやー♪」 れいむに続いてゆちゅりーもゆっくり種に固有の挨拶「ゆっくりしていってね!!」を唱和した。 しかしゆっくりゃだけは相変わらず自分の世界から抜け出さない。 この種は何かゆっくりとは違った存在なのかもしれない。もっと恐ろしいものだ・・・!! 調停するジャオ。 「じゃおじゃお」 「ゆゆ?」 「ウジャジャ、じゃーお、じゃーお、じゃじゃーん!」 「ゆゆっ!ゆー☆ゆゆんゆさいぱちゅりー!」 「むっ。わかればいいのよ」 さも当然な表情をするゆちゅりー。 イライラしてきた一人ぼっちにされたゆっくりゃはストレス発散に叫ぶ 「んー・・・・ぎゃおー!れみぃさまはごーまがんのおぜうさまだど♪うあうあ♪」 「じゃおお。それはりくつがおかしい」 冷静な表情で反論するジャオ。 「じゃおー!デヴィのいうどおりにずるどー!!」 きれたゆっくりゃは汚い涙を溜めながらジャオを豚みたいな手で殴る。ヒヅメ付きだから結構痛い。 パシッ「じゃ」 ぺちっ「ジョン!」 どすっ「JAOOOOOO!!」 こめかみにヒヅメがクリティカルヒットした。ジャオは悲しそうだ。 「わじゃじゃじゃ・・・!!」 涙が溢れ、口角を上げようと必死でこらえている。 「・・・・・・・!!!」 「うっうー♪プリンをちょうだい?さくや!」 「ゆっ!れみいは言葉が上手くなったね!」「むきゅ。これはちんぽだわ」 「進歩」をあられもない言葉と言い間違えたゆちゅりー。 「ゆっ!ぱちぇ今のはちんぽじゃないよ!ちんぼだよ!」 「むきゅ?むぅ~、ち~んぼっ!わかったわむきゅきゅ」 クールに笑おうとするゆちゅりー。ますますひどい。 りん。 「・・・・・ゆ?」 鈴の音がする。 りん。シャン。りん。 その音は近づいてくる。 「ゆっくりだれかがきたよ?」 「うー?デヴィのおうぢにおきゃくざま?」 その少女は現れた。美しい着物に身を包んだ黒髪の美少女。 稗田阿求、通称AQNである。 「うふふふふふ・・・ここね・・・ついにつきとめたわ」 AQNは体のあちこちに色々な植物や森の障害をくっつけて微笑んでいる。 彼女はゆっくりを殺すことに生きがいを感じていた。異常性癖と言えるがそれは限られた命が可能にした一瞬の輝きである。 「ゆ?おねーさんはゆっくりできるひと?」 「なによ、ごほんよみにきたの?」 「うーうー!こんやはたのしいよるになりぞーで!」 「じゃおお!ここはとおさないぞ!」 様々な反応を見せるゆっくりたち。AQN嬢は微笑んだまま動かない。 「うふふふ・・・そうね・・・いいわ・・・。」 「・・・はあ・・・はあ・・・はあ・・・・・・ねえ、おねえさんをゆっくりさせて?」 「ゆ?ゆっくりしていってね!」 「むっきゅりしていってね」 「ぎゃおー!ぶっでぃ~ん☆ぷりんをちょうだい、さくや?」 「わじゃじゃじゃじゃじゃwww」 どうやらゆっくりしたいという意思表示だろうと安心した様子のゆっくり達。しかしそれは違っていた。 むんずっ 「じゃお?じゃあい!おそらをとんでるみたいじゃお!」 嬢はジャオを掴んでいた。人間から見てサッカーボールほどの大きさしかないそれを掴むのはとても容易い。 重さも2キロくらいで丁度持ちやすい。ジャオは自分に迫る危機に気が付かないで浮かれている。 「じゃじゃじゃwwwわじゃじゃじゃじゃじゃwww」 下品な表情で楽しそうにしているジャオを見たAQNは感じていた。 自分の核心が心臓の鼓動と共に脈打ち、隆起してくるのを感じた。 「・・・・・はぁ・・・・あぁ・・・・・ねぇ、おねえさんの方向いて?」 「じゃん!」 ジャオはうれしそうに向いた。 ドシャ 瞬間、ジャオの体は嬢の手に隠し持っていた飛び出し式鉤爪で引き裂かれた。 これは厚い皮を誇るジャオですら内部から全て8片に刻む優れものだ。 「むじゃ~あああん、ジョオオオオオオン!」 目は飛び出し、赤い髪は地面に落ちる。ジャオの最後はあっけなかった。 「ゆ、じゃ・・・お・・?」 「むきゅ、じゃお・・・?」 「うー?・・・ジャオ?ジャオおおおおおおおおおおお!!!??」 三匹の叫び声が木霊した。嬢は爪を舐める。 「ああ・・・この醤(ジャン)の味・・・ふぁっ!」 ビクン 嬢の核心が大きな快楽で震えている。脊髄を通る快感に嬢は打ち震えた。 「ゆ~~~~~~!!どぼじでじゃおをごろじだのおおおおお!!!」 「むぎゅぎゅぎゅぎゅ!!!じゃおをあのよへもっでがないでええええ」 「んー!んー!デヴィがだべだがっだのにいいいい!」 3匹は大きく泣いていた。 「んふ、あん、・・・ふぅ。気持ちいいわ。こんなのやめられるわけないじゃない。さ、次はどのこにしようか・し・ら☆」 ゆっこーまかん 中篇 ジャオの醤を指に付け、物欲しげな雌の目で人差し指、中指をしゃぶる少女、AQN 涎にまみれた指をいとおしそうに見つめながらゆっくり達へ目を移した。 「はあ・・・はあ・・・・はあ・・・ああ・・・こんなにかわいらしい本棚があるわね」 「むきゅっ!それはぱちゅりーのごほんでつまっているよ!」 ゆちゅりーが目を潤ませながら嬢の袴を掴んで止めようとする。振り返って嬢は 「あら?そういえばこんなところにとてもちっちゃなむらさきもやしさんがいたのね」 「むきゅん!ぱちゅりーはむらさきもやしなんかじゃないよ!」 「あら?否定するとどうなるかわかる?・・・んふふ・・・」 そう言うと嬢はおもむろに本の一つを取り出しめくる。破り捨ててやろうという魂胆である。 中身はスーパーの広告チラシや電話帳の切れ端で作られていた。 所々クレヨンか何かで落書きされた跡がある。嬢は不思議に思って尋ねた。 「あら、・・・ねーぇ、もやしちゃん?」 「む~きゅ~??なあにお姉さん?・・・っぱぱちぇはもやしじゃないよ!」 ゆちゅりーはもやしと言われても否定をし忘れた。 「このぉ、・・・ご本は何が書いてあるのォ?・・ねぇ、お・し・え・て?」 「むっきゅん!しょれはね、ぱちぇのだいじなでえじなけんきゅうざいりょうなんだよっ」 「研究・・・材料?ここは何が書いてあるの?」 嬢は広告の「特選土用うなぎ 1980円」の部分を見せた。 「むっきゅん!それはね・・・とくせいのおやつでぱちゅりいがみりょくてきないせいになるには・・・」 ぶちっ 嬢の中で、何かが切れた。ゆちゅりーから本を取り上げる。 「むきゅ!まだごほんよんでるの」「しゃああああらくうううせえええええいいい!!!!」 ビリビリビリ! 「ぶぎゅううううううん!!!!」 嬢は本をビリビリと破き、地面に落とした。 ゆちゅりーは半月状の目から溢れんばかりに涙を流し、地面の本に駆け寄る。 「どぼじでやぶっぢゃうのおおお!!!ばぢぇのでえじなでえじなごぼんが」「カスが」 嬢は興奮が止まらず、本、いや紙くずを踏みにじる。紙が泥と砂でぐしゃぐしゃになっていく。 ぱちゅりーがだいじにしていた、とくせいびようほうのかかれたごほんが・・・・。でえじにしてたひみつのむきゅりかたがよめないよお・・・・・・・・・・ ゆちゅりーの無い頭の中で思いのようなものが蠢く。 ゆちゅりーは足が震え、嬢の前に跪くと紙くずを寄せ集めようと必死になった。 「むきゅ、むきゅ、・・・っげふんげふん!むきゅむきゅ。・・・げふん!むきゅ。」 「ゆぢゅりいいいいい!!ゆっぐりだずげるじょ!!!」 「ああ・・・いい声ね・・・。むふっ、私・いけないこだわ・・・あぁん☆」 嬢はそういって股間に手を寄せて微妙な振動を与える。 一方喘息の発作を起こしたゆちゅりーの元にそれまで呆然としていたゆれいむが慌てて駆け寄る。 ゆれいむはゆちゅりーの頬を舐めてなだめる。 「ゆ。ゆ。ゆ~~!ぱちぇははやくげんきになってね!れいむがたすけるよ!」 「むきゅ。・・・ありがちょ。」 「・・・ふあああああん!!・・・ぁあ~、イッちゃったわ・・・さて、と」 「ゆっ。まかせてね!ってぎょおおおおええええええ!!!??」 誇らしげなゆれいむの頭の先を頂点を迎えた嬢が持っていたナイフですっと切り取る。 りぼんはかろうじて外れないで餡子だけを上手く露出させることに成功。 「むっぎゅううううううん!!??(>.<Uつo でいぶどぼじだのおおおおお!!?」 「ゆゆゆゆああああああ!!!!ゆ~・・・ゆ~・・・ぱちぇでいぶあだまのざぎがおがじいよおおおおお」 「むっぎゅん!!はやくよぐなっでな!よぐなでえええ!」ぺちょ・・・ぺちょ・・・ ゆちゅりーは訛りながらゆれいむの頭を舐める。実は甘いことに気づいたゆちゅりーは舐める速度を早くする。 「べちょっ!うっめむきゅ!これめっちゃうめむきゅ!べろべろベッチョン!」 「ゆああああああああ!!!」 ますます苦しむゆれいむ。それを見た嬢は思いついた。 「・・・あらあら・・・んふっ☆・・・イイこと思いつーいたっ。」 嬢は地べたに座り、袴をたくし上げて少女の秘部を露出させる。 それはいかなる文学的な表現を以てしても喩え尽くす事の出来ない楽園である! 弛まぬ人類の歴史を通して幾兆の男達が夢見、そして目指した偉大なる目的。 それは花びらを飛び立つ蝶の一片の燐粉ですら覆い尽くす事の出来ない幻の愉悦。 ああ、このいとおしく、かつ悩ましい存在のためにどれだけの文学が現れては消えていったことか!! ひとまずそこまでにして、嬢はゆれいむの餡子を指ですくう。 「ゆげっ」 「ごめんねー。治療するからね。」 「むきゅ!わたしのれいむになにをするの!?はしたないよ、おねえさん!」 「・・・んふ。私、そんなにぃー、・・・・・・はしたないかしら?」 「そうだよ、はしたないむきゅ!」 「れいむを治してあげたいわよね?」 「むきゅ!当たり前だよ!」「ゆぐう!はやぐなおじでねええええ」 「じゃあ治してあげる。今からおねえさんの言うとおりにしてね?」 「むきゅ!何でも手伝うよ!」「ゆぶぶぶぶぶ」 れいむは口から泡を吹いている。嬢はその餡子をおもむろに秘部に塗りたくった。 「むきゅきゅ!!??なにじでるのおねいざん!むっきゅりなおじでね!?」 「はぁ・・・はぁ・・・じゃあ、ングッ、・・・じゃーぁ・・・・おねえさんの餡子にまみれたここ、舐めてくれるぅ?」 「むぎゅ!!?ほんとになおるの?げふんげふん」「パ・・・ヂュディ・・・」 つづく このSSに感想を付ける