約 632,111 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1063.html
レミリアが夜の散歩をしていると、ゆっくりれみりやを追い回すゆっくりフランを見つけた。 別にゆっくりに思い入れはないが、なんとなくムカついたのでゆっくりフランを捕まえようとするレミリア。 噛み付かれたのでブン投げる。木にぶち当たり口から餡を吹き出してびくびくと痙攣するゆっくりフラン。 「う゛あ゛……」 羽をもぎ取ってしばらく観察してみる。 吹き出した餡の甘いにおいに誘われてゆっくりれみりやが寄ってくるが、ゆっくりフランの顔を見るなり逃げ出してしまう さらにムカついたレミリアだが、いいことを思いついた。 ゆっくりフランの帽子を取り、髪の毛を力任せにもぎとる。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 またゆっくりれみりやが寄ってきた。 今度はさすがにゆっくりフランだと分からないらしく、至福の表情でゆっくりフランを貪り食う。 これを見てやっとレミリアは満足した。 「姉より優れた妹などいねぇ!」
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/63.html
ここは職人がSSを書くため、パーツごとに分解した設定を置いています。 レゴブロックのように色々組み合わせて楽しいSSを作ってください。 ここにある設定を避けることで斬新な物語を作ることもできます 読者の方も見ていただけると参考になると思います。ついでに編集者が喜びます。 ※組み合わせによっては深刻な矛盾が生まれる場合があるので注意してください。 ここは過去の設定をまとめているだけです。ここの設定に従う必要はまったくありません 記載ルール 設定は出来るだけ具体的、かつパーツごとに分割して組み替えが効くようにしてください。出来れば反対の設定パーツも追加しましょう。 基本の文体 基本となる設定その設定から更に一歩踏み込んだ設定 ゆっくりの中身 ゆっくりの食べ物 肉食のゆっくりの食べ物と人間の関係 ゆっくりの身体的特徴 ゆっくりの大きさ ゆっくりの身体能力 ゆっくりの繁殖方法 ゆっくりのグループ構成・社会 ゆっくりの暮らし方 ゆっくりの住みか 冬の過ごし方 ゆっくりの知能や思考、行動パターン 個別の性格や特徴の設定 現在確認されているゆっくりの種類 ゆっくりの飼い方 舞台設定 ゆっくりの中身 ゆっくりの中身は基本的につぶあん、れみりゃとフランは肉まん姉妹。こしあんのゆっくりは希少、自然には存在しないとも考えられる。 食べ物によって餡を変化させることが可能。(野菜を食べさせ続けて抹茶餡など) れいむ・まりさは小豆餡、ありすはカスタード、ぱちゅりは生クリーム、ゆかりんは納豆またはナチュラルチーズなど、種によって様々。 恐怖や絶望、苦痛を与えたゆっくりはより甘く美味しくなるといわれている。人の愛情を存分に受け、苦しみを知らないゆっくりは不味い。 屠殺の直前まで最上の環境でゆっくりとさせると味に深みが出るといわれている。 赤子のゆっくりは非常に美味で、高値で取引される。逆に成熟したゆっくりはパサパサとして不味い。成熟したゆっくりの中心部の餡は特別に美味。 ゆっくりの食べ物 お菓子や甘いものを食べる。お菓子や甘いものしか食べないので野生では生きていけない。 草や花、ちょうちょ、お菓子などメルヘンっぽい物を食べる。 昆虫や肉など何でも食べる雑食。飢えに迫られれば肉親も平気で喰う。 共食いはタブー、強制的に食べさせても吐き出してしまう。ゆっくりは自分たちの中身を知らないため、何らかの偶然が働かない限り共食いという発想に至らない。 虫や小さな鳥を好む肉食、その愛らしい姿と共に農家に大層愛されている。 にとりなどの水中型ゆっくりは魚を捕って食べる。 ゆっくり幽々子・レティ・れみりゃ・フランは他のゆっくりを食べる。 光合成で栄養を得ている。 かまって貰うことが栄養源、他のゆっくりや人間と一緒にゆっくりすると元気になる。 噛む力の弱い赤ちゃんは親に咀嚼して貰った物を食べる。 植物性出産の赤ちゃんの最初の食べ物は、自分が実っていた茎。茎をそのままかじって食べる。 茎の中身(母体から赤ちゃんに送られていた栄養)を吸い取る。 植物性出産の赤ちゃんの最初の食べ物は、自分を覆っていた保護膜。ソフトシェル型(ゼリー等)の場合、産まれる前に保護膜をちゅるんと飲むように、膜の一部または全て食べる。膜を食べるのは覚醒後、または覚醒前(反射と同じ類)、落果前、落果後、これらの組み合わせで複数のパターンがある。 ハードシェル型の場合、産まれる前に自身が膜から出れる程度をかじって落果。落果後に膜の全てまたは一部を引き続き食べるか、落果後は食べない。 膜を食べるのは覚醒後、または覚醒前(反射と同じ類)、落果前、落果後、これらの組み合わせで複数のパターンがある。 肉食のゆっくりの食べ物と人間の関係 ゆっくりを狩る捕食種の矛先は人間にも向けられる。 ゆっくりを狩る捕食種の矛先は人間には向けられない。ゆっくり除けや狩りのために捕食種が飼われることがある。 ゆっくりを狩る捕食種の内、ゆゆこやれてぃなど大型種は人間を襲う。 ゆっくりの身体的特徴 下膨れた顔が特徴的。鼻と耳は見当たらないが嗅覚・聴覚は正常に働いている。体内に嗅覚器・聴覚器にあたる部分がある。 長時間水に入ると水を吸ってぶよぶよに膨張して膨らむ。水に浸かりすぎると皮が溶け、餡子が流れ出して死ぬ。 なぜか溺死しない。魚についばまれたり皮が自然にちぎれることで死に至る。 ゆっくりまりさは水上に浮かべた自分の帽子に乗り、水を渡る事が出来る。 ゆっくりにとりは自由に水中を泳ぎ回って魚を食べることが出来る。 ぴょんぴょん飛び跳ねて移動する。 ずりずりと体を地面に付けたまますり足(?)で移動する。足にあたる底面を傷つける、もしくは焼いて弾力性を奪う事で移動が出来なくなる。 弾力があって、手で押すと水風船のようにぽんぽんと跳ね返る。 もちもちしていて餡の重みがある。10メートル以上の高さから落ちるとべちゃっと潰れる。 皮はそれほど強くなく、ハンマーなどで何度か殴打すると破れてしまう。 皮はものすごく弾力があり、よく伸び、刃物を使っても破るのに苦労する、特殊な技術が必要。 生まれつき帽子やリボンなどの特徴的な飾りをつけている。飾りは布製、なぜ生まれた時から付いているのかはなぞ。飾りはゆっくり同士の個体識別に必要で、飾りを失ったゆっくりは群れから追い出される。死んだゆっくりの飾りをつけたゆっくりは他のゆっくりに執拗に攻撃される。死んだゆっくりの飾りをつけたゆっくり同士は攻撃することはない。 死んだゆっくりの飾りはゆっくりに対する毒性を持つ。 ゆっくりの飾りを奪った者は一生ゆっくりに付きまとわれる。 飾りは皮が変化したもの、取り外すことは出来ない。(取り外す=皮の大部分がなくなる) 飾りは体の成長と共に大きくなるので、取り外した状態で成長させると体は大きいが飾りは小さいままとなる。 治療には、オレンジジュースをかける・水で溶いた小麦粉を患部に塗る・失った餡の代わりの餡を詰めるなどの手段が有効。別のゆっくりの餡を詰めると、その餡のゆっくりの記憶や特徴などが混ざる。中身を白餡に入れ替えると清く正しい人格になる。 餓死直前まで痩せ細ると、皮がしぼみ中の餡が透けて見え、泥団子のような姿になる。 歯は飴細工製or砂糖菓子製。あごの骨が無く柔らかい饅頭なので、噛む力は強くない。 髪はセルロースで食べる事が出来る。 ゆっくりの大きさ 赤ちゃんがタバコの箱より小さく、普通でバレーボール、母親でサッカーボール程度。 赤ちゃんがバレーボール程度で、普通で50cm程度、母親は1mを越えることも。 妊娠中の個体は子供の分だけ肥大化する。 栄養状態や突然変異によって際限なく大きくなることもある。生命活動に最低限な栄養しか与えなければ大きくならない。 ゆっくりの身体能力 人がゆっくり歩くよりまだ遅い、どうやって野生を生き抜いているか不明。 人間の子供と同じくらい、天敵から隠れつつひっそりと暮らしている。 壁を転がることで7階と同じ高さから降りる、木に登る、野生を生きるに十分な能力。餡子の重さを利用した樹上からの奇襲で首の骨を折られる事があるため猟師はとても慎重。 場合によっては普通の人間を撃退する。 内部のあんこが3割以下になると死ぬ。妊娠中などで肥大化した場合はその限りではない。 あんこを吐き出すのは死の兆候。 怒るとほほに息をため、風船のように球状にふくらんで威嚇する。自分の口で「ぷくぅぅ!」と擬音を喋りながら膨らむ。頬を押して空気を吐き出させると「ぷひゅるるるる」と擬音を喋る。 ゆっくりの繁殖方法 基本的に雌雄同体。性交時にはパートナーを襲う“タチ”と襲われる“ネコ”に分かれる。タチとネコのどちらが仔を成すか、どちらの種の仔になるかは様々なパターンがある。 タチネコの仔を成す側と生まれる仔のパターンは決まっている。 振動により性欲が喚起される。 体表に粘液を分泌させてお互いの体をこすり絡めあう。(ショゴス?) 両頬等、顔正面を重点的にマッサージする事で発情する。この場合、振動を加えても嘔吐するだけである。 密着状態からタチが激しく震えネコに体をぶつける。 あごの辺りにぺにぺにとまむまむがあり、タチのぺにぺにをネコのまむまむに挿入する。まむまむの皮を裏返して体外に露出する事でぺにぺにになる。 受精が完了すると悲鳴を上げて朽ち果てた後茎が生え、それに3~4匹が実る。 茎の中身は母体の中身が茎で濾過された砂糖水。 15匹程度が実る。 ゆっくりお母さんをアリスが立て続けに犯して十数本の茎と50匹のゆっくり霊夢を実らせた。朽ち果てた母体の残りは、一部の昆虫のように子供たちの栄養となる。 母体が死ぬと茎に結実している子供たちも死ぬ。 性交をした両方が朽ち果て、お互い自分と同じ身をつける。雌雄同体なのでタチネコの区別は無い。 性交後、数時間や1、2日で生まれる。(早熟、クイック型) 性交後、1~2週間で生まれる。(晩成、熟成型) お互いに熟成したゆっくり同士の性交はゆっくり和やかな物でどちらも朽ちない。受精が完了すると「すっきりー!」という声を上げる。 ゆっくりお母さんから茎が生えて子供が実り、愛に包まれて成長する。 熟成が足りないゆっくりがレイプされると朽ち果ててしまう上、泥団子のような未熟児しか実らない。(オレンジジュース等の栄養を摂取させ続ける事で、朽ち果てずに出産が可能 レイプ等、愛の無い性交によって受胎した場合、親が朽ち果てて無くても子供は未熟児しか実らない。それ以前に茎が生えても直ぐに枯れる。 胎生。完全に熟成した場合は体内に妊娠して口の下の穴から吐き出すように出産する。野生では妊娠可能なほどの熟成に至ることが出来るゆっくりは珍しい。 卵生。片方が小さな卵を大量に吐き出し、もう片方が粘液を吐き出し受精させる。受精後、粘液(精液)が受精膜と共に殻の役割を果たす。 受精後も殻は無く、膜しかない。鋭利なもので突付けば中身(卵黄+卵白?)が出てくる。 卵生。通常通りの性交後、胎生と同様に体内に殻を持つ卵を宿す。一定期間後卵を口の下にある穴から産卵する。壁などにくっつく粘着性の有る卵を産卵する。 壁などにくっつかない、粘着性の無い卵を産卵する。母体は数個の卵を産卵する。親は死なない。 母体は多数の卵を産卵する。親は死ぬ。親等による保温が必要。 ある一定温度が保てれば親が居なくても出生する。 分裂する。母体となるゆっくりが均等に分裂し母体が事実上消滅する等分裂と、母体が半分位、残りを子供とし、その残りを等分裂して生まれる不等分裂がある。 ウイルス型。母体のゆっくりの中で子供が形成され、ある程度成熟すると母体を突き破って出生する。母体はそれに伴い皮と僅かな餡になり、死ぬ。子供は母体を食べるか食べないかは出生時の状況による。 どこからともなくやってくる、何処から来るのか誰も知らないし繁殖方法も分からない。 ゆっくりのグループ構成・社会 それぞれ同じ顔をした英雄の家に一匹づつ+数匹程度しか居ない。 ゆっくりの数は少なくれいむ・まりさが50匹程度、それ以外は1~2匹づつしか居ない。 害になるくらい沢山居る、最も多い種類は数千匹に到達する。彼岸では大量に生まれ大量に死ぬゆっくりの処理に死神や閻魔が頭を悩ませている。ゆっくりは一見生物のようだが、全ての生物が持つはずの魂が無い。 種類の違う友達と3~4匹の小さなグループを作る。 お母さんと赤ちゃんで構成された家族を持つ。 ゆっくり魔理沙をリーダーとした群れになって畑を荒らす。 仲間の死体を踏み越えて柵を越えるファンタズムトゥルーパーズ。 ゆっくり同士でのコミュニティを持ち、種類の違う仲間同士で協力している。 ゆっくりは妖精の一種なので、普段は妖精と一緒に暮らしている。 ゆっくりの暮らし方 普通に可愛がられている、咲夜さんがれみりゃを溺愛している。 加工場で生産されるゆっくりは幻想郷の甘味の中心となっている。繁殖力や雑食性を生かし、生きたままストレス解消器具やゴミ箱などにも加工される。 皮の高質化等の技術によって、家具や雑貨にも加工される。 加工場などは存在せず、ゆっくりは食べ物とは考えられていない。 人畜無害な草食動物、森の奥でひっそりゆっくり暮らしている。貴重な珍味と見なされて捕獲される。 子供や妖精の遊び道具。 その旺盛な繁殖力と食欲のせいで駆除される。 街にやってきて畑や家屋を荒らし回る害獣。 ゆっくりの住みか 朽ち木のうろ等を一時的な雨よけとして利用することはあっても特定の巣を持たない。 数人の種類の違う仲間といっしょに、ゆっくり出来る場所を求めて一緒に移動している。 自分で掘った穴や、岩盤の横穴に親子で一緒に住んでいる。 博霊神社、霧雨魔法店、紅魔館など同じ顔の英雄が住んでいるところに同居している。 木の上にロープを渡してハンモックにする、草の家を造るなど樹上で暮らしている。 冬の過ごし方 冬が近づくとゆっくり達は冬ごもりの準備を始める。冬を知る野生のゆっくりは秋の終りに冬ごもりのため、巣に枯葉や木の枝や小石などの資材や食料を集め始め、巣を持たない場合は他の家族の巣に居候させてもらう。逆に冬を知らないゆっくりのほとんどは冬ごもりの準備をせずに死んでしまう。ゆっくり的な考え方のため、冬ごもりの準備が遅すぎて餓死や凍死の憂き目に会うゆっくりも多い。 知能の高いぱちゅりや冬に強いれてぃか、経験豊富なゆっくりが群れにいる場合は、ほぼ問題なく群れ全員が冬を越せる。 ありすが群れにいた場合は冬にも繁殖行動を起こしてしまうことがままあり、最悪全滅してしまうこともある。 冬ごもりの間も、晴れた日には外に出て追加の資材やえさを探す。 ゆっくりブレインは冬ごもりなど考えないため、野生のゆっくりは冬を越せずに死んでしまう。幸運が重なって冬を越せたゆっくりがいても次の冬には完全に忘れているため、人に教育されたことのあるゆっくりをのぞいて野生のゆっくりに2年以上生きている個体はいない。 冬を越せないため(または冬を越す能力が無い場合)卵を産むことで春の自然孵化を待ち、成体は死に絶える。 体温の低下で強制的に冬眠状態になる。(旺盛な食欲の為、冬眠状態にならないと食料が持たない)冬眠状態の記憶は無い。ゆっくり本人はしっかりと備蓄したから越冬出来たと思い込む。 自分で習性として冬眠にはいるゆっくりがいる。おもに北方の寒い地域に多い。一度満腹になるまで食いだめし、数週間から1ヵ月ほど冬眠し、目覚めた後また食いだめを繰り返す。この方法の場合期間が同じなら消費する食糧の量は普通の冬ごもりに比べて少なくなる。このため冬の長い雪国でも冬を越せる。性質上一度目覚めるとまた食いだめしないと冬眠できないため何らかの要因で短期間に何度も起こされると餌を爆発的な勢いで消費してしまうことに。 性質上晴れようが雪が降ろうが資材やえさの補充に出かけることがない(出かけても雪国では成果が少ない)ので、冬ごもり型に比べて巣は非常に頑丈に封鎖される。そのため、冬眠型と越冬型が一緒に冬を越そうとすると高確率で失敗する。だが冬眠型と越冬型が混在する地域では冬になる前にお互いの冬ごもりの方法を伝え合うことでうまくやりくりしている。 ゆっくりの知能や思考、行動パターン 「ゆっくりしていってね!」という言葉を聞くと、反射的に動きを止め同じ言葉を返す。 素直な子供のようで人を疑うことを知らず、思いやりもある。一人寂しく生きていた老人にゆっくり寄り添って彼の人生の最後を優しく看取る。 仲間の危機になると自分の身を顧みず勇敢に立ち向かう。 きれい好きで家に入る時は泥を落とし、食事はゆっくり舌ですくって汚さず食べる。 ひねくれたガキのようで常に上から目線で身勝手なことばかり言う。ゆっくりしようね!という言葉とは裏腹に騒がしく、餌もものすごい速さで食い散らかす。 人間の家(または他のゆっくりの巣)に勝手に入り込み「自分の家」宣言をして居座る。本当は人間の家と認識している為、痛めつけて問いただすと泣いて謝る。 ゆっくり出来ない(自分の要求が受け入れられない)とすぐ大泣きして逃げる。相手が弱いか小数と見れば暴力に訴える。相手の実力を測るほどの知力が無いため、人間相手でもまずは襲い掛かる。 図々しく、うかつに譲歩したり優しくすると際限なく付け上がる。 下手に賢く良心を持った個体は、同属に道具扱いされたり爪弾きにされる。 人間と同レベルかそれ以上の思考能力を持つ。知恵を持つゆっくりは“長命種”と呼ばれ、常に薄笑いを浮かべ「おおこわいこわい」を口癖とする。長命種の知能も人間に比べればたかが知れている。 永遠亭の実験によって人間以上の知能を持つゆっくりが生み出された。 昨日のことさえ覚えていない動物未満の知力。危機意識が際立って鈍い。少し気持ちよい感覚を味わっただけで、目前の危機を忘れはしゃぎだす。 良いことだけを記憶し、嫌なことや悪いことはすぐに忘れてしまう。一応トラウマだけは残るため、躾にはトラウマを刻み付けてやるのが効果的。 訓練すれば二桁の足し算引き算、九九ぐらいは覚えるが割り算は覚えられない。 大人であればひらがな程度は読める。子供でも人間に訓練されれば読める。生まれたときから成体に近い知能を持つ。(あるいは成長しても知力は殆ど向上しない) ぱちゅりを母体とした赤ちゃんぱちゅりは親の知識を引き継いだ状態で産まれる。 短い妊娠期間を経て生まれた子供は、親の知識を僅かか、全く引き継げない。また、下種な部分(野生生活する上で良い判断事例)ばかり受け継ぐ。当然、下種発現が起こりやすい。更に妊娠期間が短い=親が苦労した期間が短い為、親もいざという時は見捨る。子供をゆっくりする為の、唯の"道具"や、寂しさを紛らわす為の、唯の"手段"と見ている点がある。 長い妊娠期間を経て生まれた子供は、親の知識をある程度引き継げる(胎生には劣る)。下種な部分(野生生活する上で良い判断事例)も受け継ぐが、他の情報に中和され、発現しにくい。更に妊娠期間が長い=親が苦労した期間が長い為、いざという時は親が犠牲になる事がある。 胎生は植物型より引き継げる知識の量が多い。出生時から(モノにもよるが)子供クラスの知能が有る。お腹を痛めてまで産んだ為、いざという時は親が犠牲になる事が多い。 野生のゆっくりに文字という概念はない。 ゆっくり文字というゆっくりのみに通用する文字が存在する。 個別の性格や特徴の設定 魔理沙、友達思いで行動力のあるリーダー、仲間のために自分が犠牲になることも。 魔理沙、ずる賢く自分が助かるためならどんな事でもする汚い性格。 霊夢、純真無垢で人を疑うことを知らない優しい子。 霊夢、群れて調子に乗る上に我が儘ですぐぐずるウザいまんじゅう。 お母さん霊夢、子供達を心の底から愛し、最後まで子供を守る優しいお母さん。 お母さん霊夢、自分が飢えると子供を食ってしまう般若に変身するお母さん。 アリス、とかいはを自称しプライドが高いが、ツンデレで面倒見もいい。 アリス、一考えてることの逆を言う習性があるようだ。 アリス、とかいはとかいはと無駄にプライドが高く、自分を他より特別な存在と思い込んでいる。 アリス、発情すると子供はおろか死体にまで性交を試みる色欲の塊。 パチュリー、病弱だが知識は他のゆっくりより高く、群れのブレーンを勤める。 パチュリー、病弱な振りをし同情を誘おうとする汚い性格。 パチュリー、チラシの類でも本と認識するらしい パチュリー、識字能力は他のゆっくりと大差は無い パチュリー、部屋に文字のある物があると、その部屋を自分のとしょかんと言い張って読みたがる。(体つきに主にみられる特徴) みょん、ちーんぽっ! ちぇん、わかるわかるよー ちぇん、虐待厨は死ね!に始まる罵詈雑言を浴びせかけてくる。 レミリア、うーうーとしか言えないおしゃまなお嬢様。希少種だが紅魔館付近には多く生息する。 レミリア、ぷでぃんぷでぃん煩く、困ると咲夜に助けを求める。自身を紅魔館の主と思い込んでいる。 フラン、残虐非道なハンター、獲物をなぶり殺す事を最大の快楽とする。 レティ、巨大で鈍重なハンター、素早く動く舌で器用に獲物を捕る。頬に獲物を溜める性質も。 幽々子、巨大だが俊敏なハンター、恐るべき速度で移動しながらゆっくりをむさぼり食う。 幽々子、俺の胃袋は、宇宙なんだよ… 幽々子、こぼねー ゆうか、綺麗な花が咲く所によく見られる。 のうかりん、田舎に住んでいる幽香の母親。時々収穫物を幽香に送る。 のうかりん、スレ住民にらっきょうを育てる方法を教えてくれる。 天子、ブロント様。 天子、ドM。 きめぇ丸、強いものには逆らわない、ゆっくり種が大嫌い。 きめぇ丸、突如首を高速で振動させるという奇癖を持っている。 美鈴、何かを守る習性を持つ他のゆっくりを思いやる優しいゆっくり。「じゃおおおん!」と鳴く。 美鈴、ずっと寝てばかりいる癖に報酬は要求する怠け者。 チルノ、お馬鹿だけど優しく花も育てたりするゆっくり。息は冷たく、ゆっくり程度なら凍らせられる。 チルノ、後先考えずに行動するから他の生き物に迷惑をかけるゆっくり。 神奈子、背中にオンバシラという飴を背負い、それを飛ばして攻撃する。 神奈子、しめ縄っぽいのはドーナッツ。うめぇ、めっちゃうめぇ! 諏訪湖、ゆっくりを食う帽子を被り、ゆっくりを食べさせたり自分が食べられたりしている。 現在確認されているゆっくりの種類 通常種 全ゆっくりの約8割が分類される。総じて雑食かつ、ほかのゆっくりより自己中心的かつ知能が低い。ゆっくりれいむ 野生のゆっくりの3~4割がゆっくりれいむで、全ゆっくりの中で一番個体数が多い。他のゆっくりに比べて家族意識が強く、大規模な群れを作ることも多い。家族が危機に逢うと助け出そうとするがすぐにそれを忘れるだけの知能の低さも併せ持ち全ゆっくりの中でも知能は最低クラス。 ゆっくりまりさ ゆっくりれいむ同様個体数が多い(後述する性格のためかれいむより若干個体数が少なくゆっくり魔理沙のみで群れを作ることはあまりない)通常は複数の種類のゆっくりのリーダーを務めることが多いが、一度危機が迫ると「ゆっくりしんでね!!!」と言い残しいとも簡単に仲間を見捨てる狡猾さをもっている。その性格からか野生のゆっくりの中では生存率と知能が高く、そのために群れのリーダーを務めることが多いといわれている。その知能の高さからか一部のゆっくり魔理沙は違う種類のゆっくりを命がけで守ろうとするほどの「ゆっくり思い」になることがある。また生まれもって所持している飾りが大きな帽子なため他のゆっくりより若干雨に強い。たぶん性格の個体差が一番多い。 帽子の代わりに貝殻を被ったまりさつむりは陸上/水中両方で生活が出来、水に強く溶ける事が無い。 ゆっくりアリス 三番目に数が多いといわれるゆっくり。いつもは群れを作りたがらないがひとたび欲情すると周囲すべてのゆっくりと交尾してしまう(交尾したゆっくりから生まれたばかりのゆっくりをも襲い殺してしまうため一匹のアリスがひとつの群れを全滅させたという報告もある)ため、大人のゆっくりにはれみりゃ等の捕食種以上に恐れられている存在である、また魔理沙を好んで遅いぱちゅりやれいむは発情中でも後回しにすることが多い。知能はゆっくりれいむとほぼ同等といわれる。一部に理性で性欲を抑えれるアリスがいるが、それらは非常に頭がよく頼りになるゆっくりとして群れに招かれることがある。 ゆっくりぱちゅり 「むきゅー」という独特の鳴き声を上げる。通常種の中では一番数が少ないため希少種とされる。数の少ない理由に生まれつき喘息(あるいはそれに近い症状)を持ち、他のゆっくりに比べ運動能力が低いためである。そのためか全ゆっくり中最高の知能を持ち、ゆっくりに共通の「すぐに自分の家宣言」、「謝りはするが何が悪いのか理解しない、反省しない」や「相手の力を考えずに攻撃する」といった行動を比較的簡単にやめさせることが出来る。そのため全ゆっくり中一番ペットにしやすい またほかのゆっくりにない特徴として冬以外の季節にも梅雨や食糧不足に備えて食料を備蓄しようとする習性(その知能から考え出した生きる知恵ともいわれる)を持つが、ぱちゅりのみの群れでは病弱さからほとんど備蓄できず、備蓄してもほかのゆっくりに強奪され、複数種からなる混群ではほかのゆっくりがぱちゅりの警告を理解しないことが多く備蓄に成功している野生のゆっくりはほとんどいない。やたらと「ごほん」を欲しがり、手に入れた「ほん」を読むふりをして賢さをアピールする。その際に(手が無いから)唾液で「ほん」を汚して読みにくくする、文明の破壊者的な側面がある。 ゆっくりみょん 「ちーんぽ!!!」と独特の下品な鳴き声を放つゆっくり。通常種の中では二番目の珍しさと最強の戦闘力を持ち、それゆえの過信からか捕食種に立ち向かい返り討ちにあうことが多い。一部農家では畑を荒らすゆっくりへの対抗策としてみょんの養殖、訓練を行おうとしているが数がれいむ、魔理沙の二種にくらべて個体数が少なく、ちぇんに移動力で劣るため成功例はほとんどないが、養殖に成功した農家では毎日畑を襲うゆっくりを撃退するみょんが見られる。 ゆっくりちぇん 全ゆっくり中最小の大きさと最高の素早さ(といっても所詮はゆっくり)をもつゆっくり。「わかるよー!」「わからないよー!」などの発言をするが正確に理解していることはほとんどない。その小ささと素早さから捕食種に捕まることは少ないが他の普通種との争いに負けてそのまま死んでしまうことも多い。 捕食種 主に他のゆっくりを捕食するゆっくり 知能の低いものが多いがその多くは訓練しだいで高い知能を持つようになり、他のゆっくりを駆逐することから農家の間でペットにされることが多い。また、「ゆっくりしていってね!!!」をほとんど言わないのが特徴。ゆっくりれみりゃ 一番個体数の多い捕食種。背中に一対の羽をもち飛行が可能。おもに夜行性で巣のない普通種などを捕食する。「うー!うー!」「れみりあうー!」などの鳴き声を放つ。再生能力が異常に高く、ほとんどの怪我を数日で完治させる。 ゆっくりふらん れみりゃ同様羽をもち、全ゆっくり中最強の戦闘能力を誇り、さらに獲物をいたぶってから食べる習性をもつ残虐なゆっくり。「ゆっくりしね!」を連呼することも特徴の一つ。獲物の数が多い時などに交尾をしなくても四匹に増える(一定時間たつと最初の一匹を残して消えてしまう)習性を持つため対ゆっくり用ゆっくりとして大きな人気を持つが、少し教育を怠ると同種すら攻撃してしまうためペットとして飼っているところはほとんどない。れみりゃ同様再生能力が異常に高い。なお、ゆっくりの中では最強と言われているがその戦闘力は5~6歳の子供と同程度である。 ゆっくりれてぃ 全ゆっくり中最大の大きさを誇る。他のゆっくりが成体でせいぜいサッカーボール大なのに対し成体で雄に1メートルを超す。また、その巨体とそれに見合わない他のゆっくりと同様の移動能力を持っているため、餌がなくて餓えたり他の捕食種に捕獲されることがほとんどない全ゆっくり中最高の防御力と雨に対する適応性を持っている。加工場などで飼育されているれてぃは常にあんこを抜かれているため、手当たり次第にゆっくりを捕食するが野生のレティはあんこの量が多いためか知能、記憶容量が高めで面倒見がよく、他の捕食種とは違い自分の子供なら通常種でも食べることはせず、一家を口に入れて守りながら移動し、他の捕食種から家族を守ることある。 ゆっくりゆゆこ 他の飛行可能なゆっくりと違い羽がなくても飛行可能なゆっくり。無限の食欲を持ち、一度食事を始めると寝るか周囲にゆっくりがいなくなるまであらゆるゆっくりと周囲の小動物、植物を食い尽くす。そのため人間にとっては一番、ゆっくり達にとっては発情したアリスの次に迷惑なゆっくりである。その食慾のためか捕食種では一番数が少なく、飼育に成功した例もほとんど無い。 希少種 れみりゃとふらんの亜種と思われるもの、人間の子供のような胴体と四肢をもち、移動方法が跳躍から歩行に変わったこと以外に習性や戦闘力などれみりゃやふらんとの違いはない。紅魔館周辺にのみ生息し、非常に数が少ない。れみりゃには稀に怪獣の着ぐるみを着たようなのも確認にされているがそれが与えられたものなのか成長過程で形成されたものなのかは不明。 特種 他のゆっくりと大きく生態が違う、目撃例が異常に少ないなどのゆっくりはここに分類されるゆっくりにとり 非常に珍しい水生のゆっくり。おもに魚ときゅうりを主食としていることが分かっているがゆっくりの中でも動きが早く(水中でのみ魚以上に機敏に動ける)他のゆっくりと大きく異なることもあって捕獲例自体が少なくはっきりしたことは分かっていない。 ゆっくりれいせん 希少種同様胴体と四肢をもつ。「ゲラゲラゲラ」と、癪に障る笑い方をすること以外はほとんどわかっていない。 ゆっくりゆうか 非常に珍しい「人と利害対立することが少ない」ゆっくり。ゆっくり以外の生物を自ら積極的に育てようとしたという報告もあるがやはり発見例が少なく詳しいことはほとんどわかっていない。 人型のゆうかも確認されていて自ら植物を育てるなど高い知能を持つ。植物を荒らされるためか他の種を敵視していることもある。ゆうかとは別種という話もある。 きもんげ 胴体と四肢ばかりでなく、人間以上の知性と確かな人格を持つ。関西弁(あるいは広島弁)を使い、常に金儲けを考えている。加工場の社長。そもそもゆっくりではなく、鈴仙・優曇華院・イナバの裏の姿という噂もある。 ゆっくりめーりん 皮が厚く、ゆっくりの中では体が丈夫。「じゃおおん」という独特の鳴き声を発する。人語を理解できるが話すことは出来ない。おとなしく、攻撃を受けても丈夫な皮で守りに徹する。そのため通常種から愚図呼ばわりされリンチを受けることも多い。皮が厚いぶん餡が少なく低能ともいわれるが、通常種と同等以上の身体能力・知性があるともいわれる。防御本能の強さと忠実さから人間に番犬代わりに飼われることもある。 ゆっくりの飼い方 ごく一部にゆっくりを飼う人がいる。研究機関を除けば虐待するかペットにするかのどちらかである。 虐待するために買うのは簡単、とにかく逃げれないようにしてあとはご自由にお楽しみください。 ペットにするには「恐怖」を与えてペットにするか「愛」を与えてペットにするかのどちらかである。 ペットにするのに向いているゆっくり。ゆっくいれいむ ペットにする難易度は低、数がおおいため捕獲の時点で簡単 純真無垢、悪く言えば無防備。知能が低く愛を与えてペットにするのは少し困難。 ゆっくりまりさ ペットにする難易度は中~高、そのずる賢さから何度も生意気な口をきく、すきを見て脱走するなど恐怖を与えるにも愛を与えるにも困難が付きまとう。ごくたまにいる「仲間思い」のまりさならペットにしやすいが仲間と離れたがらない、新しい仲間が増えるのを嫌うため、仲間を失ったばかりのまりさを捕まえることができればぺっとにするのはかなり簡単。 ゆっくりありす ペットにする難易度は高 自称「とかいは」からくる無駄に高いプライドは飼い主の逆鱗を買う。中途半端に知能が高いこと、ほかのゆっくりをレイプすることもあり、ペットにしない方がいい。繁殖目的で他のゆっくりと交配させる目的で飼うには良い。 ゆっくりぱちぇ ペットにする難易度は低、知能が高く人のルールを覚えること、人とほぼ同等のコミュニケーションをとることが容易なため「愛」も「恐怖」もOKなペットにしやすいゆっくり。 ゆっくりみょん ペットにする難易度は中、ゆっくりの中では比較的恩義に厚いため自分に育てられていると納得すればすぐにペットになる。 ゆっくりちぇん ペットにする難易度は低、数はそこそこ居る事と性格が素直な点、れいむに比べればそれなりに頭もよいし躾もし易い。愛を与えてペットにするのには最適。 ゆっくりらん ペットにする難易度は中、数は少なく他のに比べたら頭は良い。ちぇんが居ると親代わりになって育てることが分かっているのでちぇんが居ると飼いやすい。 ゆっくりれみりゃ ペットにする難易度は高、身勝手と生意気が増幅したような存在なためペットにできたという例はほとんどない。他のゆっくりを気絶させるくらいの臭気の放屁を放つ種類も確認されている。 ゆっくりふらん ペットにする難易度は高、他のゆっくりをいたぶるという性格が災いしてペットにするのはかなり困難。瀕死(再生が困難なレベル)か、生まれたばかりの状態のを保護し、他のゆっくり達に慣れさせれば群れでの飼育も可能である。知能は高めで懐けばかなり言う事を聞く。 「恐怖」を与える場合、捕獲したあとしばらく自由にさせる、すると数分で「自分の家から出ていって!」「おなかすいた!」などの自己中心的な言動や人の物を壊す、暴れるなどの行為をしたらそれはいけないことだと言い聞かせながら拷問していく。物を言い聞かせるときは「相手を掴んで苦しい思いをさせる」「透明な箱の中に入れるなどペットを隔離した状態でほかのゆっくりの無残な死にざまを見せつける」などの意識ははっきりしているが自分がいくらあがいても何も変わらない状況で行うのがベスト。これを数週間から数カ月繰り返せば従順なペットが完成する。が、知能の低さゆえに自分の経験を忘れる。そのずる賢さで何とか反抗しようとする(おもにまりさ)。プライドの高さから怖いけど反抗する(おもにありす)などの要因で一度ペットにした後もなかなか教育を終わらせることが出来ない。また万が一ゆっくりの外出や家にほかの野生ゆっくりの侵入、接触を許すと最初は追い出そうとするがすぐにほかのゆっくりとともに行動し始める(解放されたと思い込むためか怖い飼い主からは逃げようとしない、飼い主のことすら忘れる)ため、厳重な管理が必要である。 「愛」を与える場合成功すれば飼い主、ゆっくりともに幸福を得られるが飼い主は何度も自分の怒りに堪えなくてはならない。餌は自分と同じものか、農場で働かせるなら生野菜を与えるのがいいとされている。そしてやってはいけない事や、この家の持ち主、(農場では)野菜の育て方などをやさしく教えていくが最初はゆっくり故の傲慢さ、愚鈍さからまず、理解してもらえず、飼い主の逆鱗に触れ殺されるゆっくりも多いが、プライドの高いありす、わがままな子供がさらに百倍生意気になったれみりゃ以外は期間の差こそあれ飼い主のパートナーになることが確認されている。ある農家ではれてぃ、ふらんをリーダーとした100匹規模のゆっくりの群れがゆっくりのみで(無論水路の整備などゆっくりには出来ない仕事は人間が手を貸す)農場を運営し、作物を生産していくことが可能になった例も有り(このとき生産された作物とお菓子や肉類などの等価交換を持ちかけよう)、積極的に飼い主を手伝うパートナーになってくれる。その関係を維持したまま成体になれば他のゆっくりにルールを教え、生まれた子供も飼い主の家族として暮らしてくれる。ここまで来るとゆっくりは飼い主に飾りの洗濯やさらなる飾り付け(主にまりさの帽子に刺繍をするなど)を要求してくることがあり、短時間なら飾りを取られることすら我慢することがあるという。注意点としてはここまで関係が発展したゆっくりは、野生生活ではまずあり得ない経験を繰り返すからか非常に知能が発達し、大規模な群れでも自分の子供を理解出来るようになる。また、人間の貨幣制度にも理解を示すため、飼い主はゆっくりにお金を持たせて買い物をさせることがあるがゆっくりを見ただけで殺す人間もいるため、ペットであることをアピール出来るようにすることが重要である、殺す人間はゆっくりがうざいため殺すのがほとんどなため、ペットだとわかれば皆親切である(最近では通常ゆっくりのつけない飾りを通常の飾りのほかにつける、飾りにさらなる飾りつけをする、買い物かごに手紙を貼り付けておくなどの処置がとられることが多い)。また、飼い主への信頼にこたえるために、不法侵入してきたゆっくりの群れを追い払おうとし、死ぬまで抵抗することもあるので(特に農場で仕事するゆっくりは群れの仲間と飼い主以外に作物を取られうことを絶対に許さない)他のゆっくりとの接触には注意を払う必要がある。大規模農場では戦闘力の高いふらんやれてぃ、みょんなどを群れに混ぜ野生ゆっくりと戦わせているところもあり、撃退するたびにゆっくり達の絆も深まり、肥料も得ることが出来るため一石二鳥だという。 舞台設定 加工場、幻想郷の中にあるゆっくりを加工して甘味を作る加工場。現代人が牛や豚がどういう殺され方をされているか知らないのと同じく、幻想郷の一般人は加工場の中を知らない。 現代社会に何故かゆっくりがいる。細かい設定は抜き。 農場、ゆっくりに集団で襲われる。持ち主が撃退や復讐に挑む。 永遠亭、日々ゆっくりに対する様々な実験が行われている。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2619.html
ゆー血鬼 ※俺設定全開 ※外の世界のちょっと昔の農村、みたいな 1、始まり 「ゆぎゃあああああ!」 暁にはまだ早い時間、夜空にゆっくりの悲鳴が響く。 「あまあま~☆」 悲鳴の出所は崖の中腹にある横穴。ゆっくりれみりゃの巣の中だ。 れみりゃは、はしたなくも“おやしょく”を召し上がっていた。 この間の狩りが大猟だったので、気まぐれに一匹のゆっくりれいむを“ぷりざーぶ” しておいたのだ。れいむの足、底部をかじって巣の奥に放置しただけだが、 恐怖と苦痛によって餡の味は随分と良くなっていた。 それでもおぜうさまの気まぐれには敵わない。 「れでーのおやしょくはひかえめ~。おまえはもうぽーいだどぅ♪」 巣から放り出されたれいむは崖下へと落ちていった。それを見ていたのは、金色の満月だけ。 餡の大部分を失って痙攣するれいむを、月のスポットライトが照らしていた。 もうすぐ夜が明ける。れみりゃにとっては眠りに就く時だ。 「うう…まんまぁ…」 ひとり横たわり、身を丸める。眼尻にはうっすらと涙が浮かんでいた。 このれみりゃはたったひとりで暮している。 近くには他のれみりゃも、ふらんも、さくやもいない。 家族と過ごした遥か昔を思い出せるのは、眠りの中でだけ。 目覚めればあっと言う間に消えてしまう。 ゆっくりを襲う時、れみりゃが味わう高揚。そこには姉妹と遊んだ思い出、 仲間が欲しいという渇きが隠れているのだ。あのれいむをしばらく生かしておいたのも、 巣に置いてあげれば遊んでくれるのではないか…そんな思いがあったのかもしれない。 だから今夜も、れみりゃは狩りに行く。 「おはようだど~☆ きょうもたくさんあそぶど~」 巣から飛び立つと、すぐ下に丸い影が見えた。ゆっくりだ。こんな時間、こんな場所にいることは 普段ないのだが、れみりゃは全く気にしない。まっすぐそのゆっくりへ向かうと、両手で抱えあげた。 「うー! とったどー!」 今夜は絶好調! と思ったれみりゃだったが、奇妙なことにそのゆっくりは抵抗もせず、 泣き叫びもしなかった。 「うー?」 くるっと回して顔を見てみる。 「ゆー! ゆー!」 ふてぶてしい笑顔。れみりゃに捕まっても怖がる様子すらない。それどころか楽しそうだ。 「おまえ…なんだどぅ~?」 こんなゆっくりを見たことはなかった。 ゆっくりれいむにそっくりだが、目が赤い。肌が青白い。そして、口元からのぞく小さな小さな牙。 「れいむはれいむだよ!」 それは、れみりゃが半分食べて捨てたれいむだった。 れみりゃに餡を吸われながらも生きていたことと、満月の光によって、 れいむはゆっくりの吸血鬼―――ゆー血鬼になったのであった。 「れいむはおぜうさまとゆっくりしたいよ!」 おぜうさま! そう呼ばれ、れみりゃの体が熱くなる。 それはれみりゃを絶対的に肯定する言葉であり、れみりゃの中に眠っている吸血鬼としての本能を 呼び起こす鍵でもあった。 崖の下の開けた所で、れみりゃとれいむは遊んでいた。 「ぽ~いぽ~い☆ たかいたか~い☆」 「おそらをとんでるみたーい!」 れみりゃがれいむを、バレーボールのように投げ上げる。ぼよよん。ぼよよん。 ゆっくりにしては規則的な動きが、ふと横にぶれた。 「ぎゅっ!」 張り出していた木の枝で、れいむの頬がざっくりと切れてしまった。 れみりゃが慌ててれいむを受け止める。 「れいむ~!」 れいむの傷口から、赤味がかった餡…ワイン餡がこぼれ出た。 「うあー! じんじゃだべー! れいぶじんじゃだべー!」 「ゆ…もっとゆっくりした…ゆゆっ!?」 れいむの頬の皮がジュワジュワと音を立てて泡立ち、みるみるうちに傷口を覆っていく。 れみりゃがれいむの頬を恐る恐る拭うと、もちもちとした皮にはもう痕さえ残っていなかった。 「じゃーん!? ゆっくりなおっちゃったー!?」 これにはれみりゃもびっくりである。れいむもびっくりしている。 それからのひと月、れみりゃと“ゆー血鬼れいむ”―――鬼れいむは楽しく過ごした。 駆け回って、踊って、空を飛んで、月の光をたっぷり浴びて。 でも決して、鬼れいむは他のゆっくりを食べようとはしなかった。れみりゃが狩りをする時は 巣穴でじっと待っていた。“おみやげ”のゆっくりには背を向けて、その顔を見せなかった。 “おみやげ”たちはそんな鬼れいむへの呪詛を吐きながら、れみりゃに食われていった。 そのゆっくりたちの悲鳴よりも、鬼れいむの押し殺した嗚咽の方が、れみりゃにははっきりと 聞こえていた。 れみりゃにはわかっていた。鬼れいむも、ひとりきりなのだ。れみりゃは決して物覚えがいいとは 言えない頭に、れいむが鬼れいむになった夜のことを刻みこんでいた。 忘れないように忘れないようにと、毎晩思い出して。 夜ごとに月が膨らんでいき、ついにまん丸になった。 「れいむ…れいむのおうちにいきたいど…いいど…?」 鬼れいむは無言でうなずいた。これからする事がいい事か悪い事かなんて、れみりゃにはわからない。 ただ、もう二度と寂しい思いはしたくなかった。 鬼れいむを抱え、空を飛ぶ。鬼れいむを捕まえたのは川べりだったので、 巣がどこにあるかれみりゃは知らなかった。鬼れいむが時折進路を指示する他に、会話はなかった。 「この下がれいむのおうちだよ。れみりゃはかくれててね」 鬼れいむをそっとおろし、れみりゃは木の上に身をひそめた。 「…」 鬼れいむにとってはひと月ぶりの故郷。辺りには誰もいない。みんな巣の中で眠っているのだろう。 故郷の森が、月の光と夜の眼ではっきりと見える。でもその景色がよそよそしく感じられて、 鬼れいむの餡がきゅっと痛んだ。 鬼れいむは何度か深呼吸すると、全身を震わせる大声で叫んだ。 「 ゆ っ く り し て い っ て ね ー ! 」 「「「ゆゆゆっ!?」」」 森のあちこちから戸惑いの声がする。こんな夜中に一体何だろう、と。 「れいむだよ! れいむがかえってきたよ! ゆっくりしすぎてごめんね!」 ちらりちらりと、鬼れいむの姿をうかがうゆっくりの影。 その中から、とんがり帽子が一匹、歩み出た。 「れいむ…? 本当にれいむなの…?」 鬼れいむ…いや、かつてのれいむと一番仲が良かったまりさだ。 「ゆっくりぷれいすをさがしてたら、おそくなっちゃった」 その言葉に、まりさの目から涙があふれ出した。鬼れいむに飛びつく。 「れいぶのばがあああ! ばがああああ! れいぶのいないゆっぐりぶれいずなんで ゆっぐりぶれいずじゃないよおおおお!」 ぼむっ、ぼむっと体をぶつける。鬼れいむはそれを優しく受け止め、目を閉じた。 小さな涙が、鬼れいむの頬を伝っていった。 「ごめんね、まりさ。でも、ゆっくりぷれいすをみつけたよ」 涙でぐしゃぐしゃに乱れたまりさの顔に、鬼れいむはそっと口づけをした。 「いっしょにきてくれる?」 「うん…いぐよ…もう、おいでがないで」 見つめ合い、互いの将来を約束する。 にわか一陣の風が吹き―――満月の光が、鬼れいむの赤目と牙を光らせた。 ※ ※ ※ 2、幸福 とてもゆっくりしたゆっくりの群れがいた。その群れはとても変っていた。 『夜が怖くない。怪我がすぐ治る。すっきりし過ぎても死なない。 自分たちはなんてゆっくりしてるんだろう!』 確かにゆっくりしているだろう。だがそれはもはやゆっくりではなく、ゆー血鬼の群れだった。 夜の森に響く享楽の声――― 「むきゅうん、むきゅっ、むきゅうぅぅ!」 「んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んほぉぉぉぉぉ! んんんんんんんほおおおぉぉぉぉぉ―――――っ!」 なんと鬼ぱちゅりーが積極的にすっきりしている。しかも鬼ありすを相手に。 鬼ぱちゅりーの貴重な喘ぎ声は実になまめかしいが、鬼ありすの雄叫びで台無しである。 どうやらすっきりしてもにんっしんっしない体質が、彼女らの性欲を完全に開放させているようだ。 「さあ、おめしあがりになって!」 「きょうもありがど~☆ たーべちゃーうど~☆」 こちらでは、なんとゆー血鬼どもが自らをれみりゃに捧げている。れみりゃは手近な鬼ありすを 抱えると、その下膨れに牙を立て、中身を吸い出す。 「ゆはあああああああん…」 しぼみながら、なんともピンクな声を上げる鬼ありす。青白い肌がほのかに火照っている。 「ありすあまあま~♪ おいしかったど~☆」 れみりゃの手から離れると、鬼ありすの顔に生じていた皺が、しゅるしゅるっと内部に 引き込まれるようにして無くなった。 「とかいはとしてさいこうのえいよです! またおめしあがりくださいませ!」 鬼ありすは一回り小さくなったが、活動にはまったく支障が無いようだ。 れみりゃの周囲には、吸われる順番待ちの列ができていた。鬼めーりんが仕切っている。 喋れぬのは変わらぬようだが、彼女をいじめる者はいない。 本家本元よりきびきび働いているように見えるのは、気のせいか。 そこに勢いよく、二匹のゆー血鬼がやってきた。 「れみりゃ、にんげんのはたけがあるんだぜ!」 「まりさとれいむがみつけたんだよ!」 あの“さいしょのれいむ”とまりさだった。 二人が強奪してきた野菜を見て、ゆー血鬼たちは歓声を上げた。 何故か胸をちくりと刺されるような感触を覚えたれみりゃだったが、すぐに忘れてしまった。 二人の報告から数分後、全会一致で人間の里を襲うことが決まった。なにしろこちらはゆー血鬼。 人間なんかちょろいちょろいと思っているのだ。 「よーし、いくさだど~! ぜん☆ぐん☆とつげき~♪」 ※ ※ ※ 3、戦い 森からほど近い人里。ここでは“夜やってくるゆっくり”の話題でもちきりだった。 ゆっくりが畑を荒らすのは昼間と相場に決まっている。だから夜間は見張りもいない。 だが夜中のうちに、野菜を盗んでいくモノがいた。罠や棘の柵があっても平気で乗り越えている。 現場に残っているのは、赤黒い物体。初めは血肉かと驚いたが、よく調べると、 それは紛れもなく餡だった。 餡ならば、ゆっくり。確実な証拠である。実はれみりゃに報告されるまでに、 こっそり野菜を盗んでいたゆー血鬼どもがいたわけだ。さらにそのうちの一匹が、昨夜捕獲されていた。 薄暗い土蔵の中。 「ゆっゆっゆっ! まりささまになにをしてもむだなん…ぎゅべっ!」 縛り付けられたゆっくりまりさの、頭半分が吹っ飛ぶ。 夜番の一人が畑で捕まえたゆっくり―――の形をした何かだ。 ジュワジュワジュワ…醜悪な音とともに、破壊された部分が完全に再生する。 ゆっくりは多少動植物の常識を無視した性質を持っているが、これは尋常ではない。 「だからむだ…ごびょっ!」 縛った上に何本もの杭で板に打ちつけられ、なんとか固定されている。 だがそれも、目を放すと再生した餡と生地によって抜けそうになる。 逃がさないように破壊し続けているのである。 「もうやべで…ぶぎゅるっ!」 “吸血鬼”と名乗るこいつは、いったい何なのだろうか? 年を経たゆっくりが特殊な能力を持つ。そういった話は聞いたことがある。 しかし今回のゆっくりはそれとは違う、禍々しささえ感じさせる何かだ。まさか本当に吸血鬼か? 吸血鬼だとしたらいったいどうすればいいのだろう―――何ができるというのだろう――― 朝から寄り合いが開かれたが、話が進まぬまま日が落ち、また夜になった。 「やつらが! ゆっくりの大群が森からやってきます!」 伝令に、里全体がざわつく。みな、覚悟はしていた。この僻地、助けを求められる相手はいない。 だがなんとしてもこの里だけで被害を食い止める。そう、もし自らが“吸血鬼”になったならば…。 一組の男女が、最後になるかもしれない会話をしていた。 「実は俺、ゆっくりを虐待してたんだ。黙ってたけど…」 男の表情は苦渋に満ちていた。 「でも、あいつらが来たのはあなたのせいなんかじゃないわ!」 「そうかもしれない。けど俺はただ、新しいゆっくりを虐待してみたい。 こんな時なのに…血が騒ぐんだ」 罪悪感を持ってなお、男は罪を重ねることを止められずにいた。 「…そう、止められないのね」 女は懐から銀のペンダントを取り出し、男の首に掛けた。 「私の母のものよ。一応銀製だし、十字架だから…」 吸血鬼に十字架、それは迷信かもしれない。だが、女は信じることにした。 「…ありがとう。こうか? こんなの着けるの初めてだな」 「全然似合わないわね。…必ず、返してよ」 「ああ。汚れても怒んないでくれよ」 櫓の鐘が乱打される。いよいよバケモノどもが里に近づいてきたのだ。 戦いに向かう青年の胸元で、銀の十字架が光っていた。 ※ ※ ※ 残された者の中でも、比較的動ける者は里の外れ、森との境界地で野営を張っている。 そうでない者は里の中心部、最も堅牢な建物に集まって隠れていた。 女子供も含め、全員が刃物を持っている。自害の為である。 息を潜め、朝が来るのを身じろぎもせず待っていた。 かなたから聞こえる声も、いつしか消えていた。 やがて、何人もの足音が森の方から響いてきた。野営地に据えられたかがり火が照らしだしたのは、 全身を暗赤色に覆われた青年たちの姿だった。血を思わせるその色が、見る者の心を絶望に染める。 「そんな…みんな…嘘でしょ…」 膝をついたのは、あの十字架の女。青年の帰りを待っていたのだ。それを止める者はいなかった。 「違う! 俺だよ俺! ほら、これ」 紅色の餡に覆われた青年が示したのは、首にかけた銀の十字架。“吸血鬼”ではない証。 戸惑う人々。青年たちは顔を見合わせると、餡だらけの顔をくしゃくしゃにして、大声で笑い始めた。 「えーっと…ゆっくりは吸血鬼になってもゆっくりだったわ」 そう言った青年に、女が抱きつく。 「ったく…こっちはこんなのだってのに。不公平だねぇ」 別の青年が、腕の中に抱えたものを里長に差し出した。 「びどりはやだ―――! れびりゃのどもだぢがえぜ―――!」 紐で縛られ、麻袋に入れられたれみりゃ。じたばたと暴れている。 「そいつが元凶か」 「ええ、おそらく」 「こんなものが…」 里長がため息をつく。他にも、数匹のゆー血鬼が生け捕りにされていた。 「びゃあああああ―――! がえぜ――――!」 顔を見合わせる村人たち。 声が枯れても、れみりゃは袋の中で泣き続けた。 ※ ※ ※ 4、終わり れみりゃはひとりではなくなった。きれいな家に住んで、おいしいご飯をもらう。 満月の晩ごとに、人間が連れて来たゆっくりをゆー血鬼に変える。 その子たちとは次の満月までしか一緒にいられないけれど、それでもれみりゃは幸せだった。 れみりゃにとってもはやどのゆっくりも同じだったから。 でも、あの“さいしょのれいむ”の事を思い出す時だけ、なんだか不思議な気持ちになる。 あの穴ぐらに住んでいたころの気持ちに。 生け捕りにされたゆっくり…ゆー血鬼たちから自身の秘密を聞き出した里長は、 それを遠くの街の“加工所”に売り渡すことにした。 うまくワイン餡を生産できればかなりの収入になると思ったものの、 里の者には荷が重いと判断したのだ。 その時の報酬は農具や建物の修繕などに当てられ、相変わらずの長閑な生活が営まれている。 里の外れにひっそりとたたずむ小さな石碑。たまに、里の者が野の花を添えているのを見られるという。 作 大和田だごん スレで出ていたHELLSINGネタより。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2731.html
『奇跡を信じて』 秋も暮れ始めた山奥の森で、2匹のゆっくりが毒づいていた。 「ちきしょー! どいつもこいつも"おりきゃら、おりきゃら"ってよぉ!?」 「ほんとさぁー、ほうじょーのゆっくりなめんな!ってはなしだよなぁ、あねきぃー」 ゆっくりらしからぬ言葉で悪態をつく2匹。 だが、この2匹とて、最初からこうだったわけではない。 そして、この2匹に特別な落ち度があったわけでもない。 ……強いて言うならば、時代か。 時代の趨勢が、この2匹をゆっくりさせないでいた。 「「ほんとやってられんわぁー」」 が、2匹が声をあわせて溜息をついたその時だった。 2匹の下に、聞き慣れぬ声が届いた。 「ゆっくりしんこうしていってね」 「「ゆゆっ!?」」 突然の声に、振り向いて身を強張らせる、2匹のゆっくり。 そこには、最近この山に移住してきた1匹のゆっくりが立っていた。 緑色の髪と、ふくよかな下膨れ顔。 その下には、一部の捕食種などと同じく胴体がついており、白と青を基調とした巫女服を着ている。 そのゆっくりは、自らのことを"さなえ"と呼んだ。 「ぬすみぎきたぁー、しゅみがわるいのぉー」 「じょーちゃんはかわええのぉー……きっとみんなからチヤホヤされとるんやろうなぁー?」 さなえは、端から見ても可愛らしく、その佇まいはゆっくりしていた。 それが、荒んだ2匹のゆっくりの心をささくれ立たせる。 一方、当のさなえはといえば、思いがけぬ言葉を、2匹のゆっくりに投げかけるのだった。 「しんこうすれば、だいじょーぶ!」 信仰……そう言うと、さなえはどこからか画用紙とクレヨンを取り出した。 「ゆっくり☆びっくり☆みらくる~みらくる~☆」 画用紙を前に、歌とも呪文ともつかぬ文言を唱えだす、さなえ。 そのトランスしたともいえる様子に、2匹のゆっくりは唖然とする。 一方さなえは、クレヨンをグーで握って、画用紙の上に何やら文字を書いていった。 そして1分後、さなえは満足そうに「ふぅー」と息を吐き、2枚の画用紙を頭上に掲げた。 「はい☆できましたぁー!」 さなえの掲げた画用紙。 そこには、"しずは""みのりこ"と幼い平仮名で書かれていた。 「「おおっ!」」 その紙を見て、反射的に叫ぶ2匹のゆっくり。 なるほど、この紙を持っていれば、この紙を掲げれば、 きっともう誰も"おりきゃら"等と呼ばなくなるに違いない。 「そう、そうよ……わたしたちは"おりきゃら"なんかじゃない……」 「そうだよ、おねぇーちゃん……わたしたちは……」 2匹のゆっくりは、さなえから名前の書かれた画用紙を受け取り、しきりに感謝を繰り返す。 その表情は柔和で喜びに満ちており、さきほどまの毒は嘘のように消えていた。 そんな2匹のゆっくりの姿を見て、さなえもまた顔をほころばせるのだった。 「これぞ、しんこうのきせきです☆」 それから、さなえは多くのゆっくりを助けていった。 くぼみに落ちて泣いていた赤ちゃんれいむを、救出してあげた。 風に飛ばされ木の枝に引っかかってしまった帽子を、まりさに返してあげた。 病気で苦しむぱちゅりーの子どものために、山に生えている薬草を取って来てあげた。 そして、その度に、さなえは"しんこう"の素晴らしさを説いていった。 ゆっくり達は、さなえに感謝した。 そして、難しいことはよくわからなかったが、 とにかく"しんこう"はゆっくり出来るものらしいと認識するのだった。 ……しかし。 数日後、ゆっくり達は"しんこう"などどうでもよくなるほどの衝撃を受ける。 巣を留守にしていた間に、何者かによって、備蓄していた食料が半分以上奪われていたのだ。 「ゆぅーー!? どぉーしてぇーー!!」 山奥のゆっくり達が悲鳴を上げて混乱する一方で、 ふもとの里山から、さなえの楽しげな歌が聞こえてきた。 「み~み~みらくる~☆しんこ~しんこ~☆」 さなえは、リズムにのって体をゆらしながら、里の道を歩いていく。 今日は、山を降りて、里山のゆっくりや人間達に"しんこう"を説こうと思っていた。 一人で里山まで遠出するのは心細さもあったが、 それ以上に、頑張って信仰を広めなければならない理由が、さなえにはあった。 「うー! うーうー!」 「もりゃ?」 さなえは、どこからか聞こえてきた声に足を止め、ふと周囲を見回す。 すると、道の傍ら、人間が作った畑の隅で、罠にかかっているゆっくりがいた。 それは、胴体無しのゆっくりれみりゃだった。 羽を除いた顔の大きさは、30~40cm程。 まだ大人になりきっていない子どものれみりゃが、目に涙を浮かべて、地ベタでパタパタ羽を動かして足掻いている。 「なにか、おこまりですか?」 「う、うーうー!」 近づくさなえの姿を見て、れみりゃは顔に希望を灯らせた。 見ると、れみりゃは農家の人が仕掛けたトリモチの罠に捕らわれていた。 「うぁーうぁー! たすけてぇー!」 必死に懇願するれみりゃの頼みを、さなえは快く引き受ける。 トリモチに注意しながら、れみりゃの顔を引っ張る、さなえ。 「うーんしょ、うーんしょ!」 「う~~! いたいーいたいー!!」 引っ張られ、びよーんと伸びるれみりゃの下膨れ。 痛みで号泣する寸前、どうにかれみりゃの体はトリモチから逃れることが出来た。 「うぁー! れみりゃのえれがんとなおかおがぁー!」 「ふぅ~これでもうだいじょーぶ、これもしんこうのおかげです☆」 ベリベリとトリモチから離れた影響で、下膨れをヒリヒリ赤く染めて泣き回るれみりゃ。 一方、さなえは"しんこう"に感謝し、れみりゃにも"しんこう"を説こうとした。 が、れみりゃは"しんこう"どころでなく、ひとしきり泣き終わると同時に、力なく地面に落ちてしまった。 「……う~~~っ」 「もりゃ?」 さなえは、オロオロしながらも、どうしたのかとれみりゃに問う。 弱りきった様子で、れみりゃはボソボソ口を開いた。 「ふんふん、おなかがすいてるんですね?」 れみりゃは、何時間も前にトリモチに捕まってしまい、 そのまま暴れたり泣いたりするうちに、エネルギーを使い果たしてしまったらしい。 そんなれみりゃに対して、さなえは太陽の如きまぶしい笑顔を向けた。 「しんこうすればだいじょーぶ☆」 「うー?」 怪訝がる、れみりゃ。 さなえは、そんなれみりゃの前で、"えーい"と奇跡を起こす呪文を唱える。 「ゆっくり☆びっくり☆みらくる~みらくる~☆」 「うぁ?」 実際のところ、それは奇跡を起こす呪文などではなく、 あくまでさなえ自身にとっての雰囲気作り的なところが大きかった。 だが、事実がどうあれ、さなえにとって、それは間違いなく信仰の奇跡を起こす呪文なのだ。 ある意味では、れみりゃ種の"のうさつ☆だんす"や"かりしゅま☆しんぽう"に通じるだろう。 「はい、どーぞ☆」 呪文を唱え終わったさなえは、疲れ果てたれみりゃを抱え上げて、 自らの柔らかなほっぺたに噛み付くように促した。 当初は、警戒していたれみりゃも、 捕食種の本能と空腹には勝てず、がぶりとさなえの頬に牙を突き立て、中身をチューチュー吸い上げる。 「うー♪ あまあまー♪」 さなえの"あまあま"は、今まで食べたこともない、とってもジューシーでフルーティーな味がした。 その初めて体験する美味に、れみりゃは感嘆の声をあげる。 それは、まさしく疲れを吹き飛ばすほどの味だった。 元気を取り戻すれみりゃを見て、痛みに耐えてうっすら涙を浮かべながらも、さなえは微笑んでいた。 これできっと、このゆっくりも"しんこう"をしてくれるようになるだろう……さなえはそんな青写真を描いていた。 「よかったですぅー、じゃあそろそろ……」 「うーうー♪ うまうま♪」 「も、もりゃ!?」 いくら献身の心が強くとも、いつまでも食べられていてはかなわない。 さなえは、れみりゃにそろそろ離れて欲しいと頼むが、れみりゃは一心不乱にさなえを吸い続けてしまう。 「うぁうぁ☆ふるーちゅふるーちゅ♪」 「もりゃー! もう、やめてぇー!」 流石に、さなえも恐怖を感じ出し、れみりゃに対して抵抗を試みる。 だが、れみりゃの牙はしっかり頬に突き刺さり、離れそうにない。 また、体こそさなえの方が大きかったが、体力を取り戻したれみりゃの力は、さなえよりもずっと強かった。 「うー! たーべちゃうぞぉー♪」 「やだやだぁー! やめてぇーやめてくださいぃー!」 おうちへ帰りたいと涙ぐむさなえをよそに、れみりゃはとんでもないことを言い出した。 「うっうー♪ まんまぁーにもふるーちゅ♪」 「もりゃー!?」 さなえの頬から牙を抜く、れみりゃ。 けれど、さなえがホッとするより早く、れみりゃはさなえの襟を咥えて、さなえを宙に持ち上げ始める。 「おぜうさまたるもの、ごおんはわすれないんだぞぉ~♪ さなえはーれみりゃとまんまぁーといっしょにくらすぞぉ~♪」 れみりゃは、さなえを自分の巣まで運ぼうとしていた。 そして、そこで母親と一緒に、さなえの味を堪能しようと考えたのだ。 しかも悪いことに、このれみりゃは幼く我侭であるにも関わらず、さなえに対してキッチリ恩義を感じていた。 故に、"かりしゅまおぜうさま"な自分達と優雅に暮らす特権を与えるのだと、勝手に話を進めてしまっていた。 れみりゃに咥えられ、動けぬまま空中を漂う、さなえ。 多くの人は、こういう時こそ神への祈りを捧げるのかもしれない。 しかし、気づくとさなえは、信仰でも奇跡でもなく、ただ自分にとってかけがえの無い存在を呼んでいた。 力の限り、大事な家族の名前を……。 「うぁーん! かなちゃーん! すぅーちゃーん! たすけてぇー!」 だが、さなえの叫びは、夕焼け空に吸い込まれて、むなしく消えていく。 必死に呼んだ助けが、さなえの下に来ることは無かった。 何故なら…… 「ゆぅー! ついにはんにんをみつけたよ!」 「かえしてね! まりさのごはんをかえしてね!」 「むっきゅー! げんこうはんたいほなのよ!」 さなえが助けを求めた相手、さなえが"しんこう"を集めて助けてあげようとした相手は、 とあるゆっくりの巣で、食べ物を奪われた大勢のゆっくり達に囲まれ、今まさに袋叩きにされようとしていた。 怒るゆっくり達の中心にいたのは、2匹のゆっくり。 盗み出そうとした食べ物を口に咥えた、ゆっくりかなこと、ゆっくりすわこだった。 この2匹のゆっくりと、さなえは、一緒に暮らす家族だった。 けれど、この3匹のゆっくりは、最近この山に移ってきたばかりで、冬を間近にして勝手がわからないでいた。 そこでさなえは、ゆっくり達の"しんこう"を集めて結果的に好意の形で庇護を得ようと考えた。 これは、前に住んでいた山で行っていたことでもあった。 けれど、さなえよりずっと長く生きてきた、かなことすわこは知っていた。 所詮、ゆっくりから信仰によって得られる寄付や御布施など、たかが知れているということを。 現に、前に住んでいた山を引っ越すことになったのも、十分な信仰が集められなかったからに他ならない。 だから、さなえに悲しい思いをさせないためにも、 かなことすわこは、自分達が寄付を集めなければならないと考えた。 ……例え"ゆっくりできない"手段を使ってでも。 「さなえとゆっくりしたかったけっかがこれだよ……」 「けろ……」 ゆっくり達の怒りの津波を前にして、かなことすわこは瞼の裏に大好きなさなえの姿を浮かべた。 せめて、さなえにはゆっくり生きてもらいたいと……。 月明かりが照らす、森の外れの岩肌の隙間。 その奥からは、毎晩ゆっくり達の声が聞こえてきた。 「ゆっくり……びっくり……みらくるみらくるー……」 生気の薄れた瞳を虚ろに揺らし、さなえは今日も"しんこう"を説いていた。 ろくに言葉の通じぬ、頭や頬に噛み付いている捕食者たちに。 「うーうー、あかちゃんありがとぉー♪」 「う~♪ まんまぁーふるーちゅおいしぃー♪」 2匹のれみりゃは、親子だった。 子どもが持ち帰った珍しい味のゆっくりに、親子ともどもご満悦だ。 ジューシィーなフルーツの味を楽しみながら、れみりゃの親子は歌いだす。 さなえはその歌を聞きながら、大好きな家族のことを思い出しては微笑むのだった。 「「うーうーうぁうぁー♪ ゆっくりゆっくりぃー♪」」 「……ゆっくり……しんこう……していってね」 →BadEnd or Continue? 作者当てシリーズ* 作者当て企画参加作品 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11995/1227272050/ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4925.html
人間は少ししか出ていません。 色々と脱線します。 「ゆっゆっゆ~♪」 まりさはとてもゆっくりした気分で家路に着いていた。 友達のれいむ達ととてもゆっくりしてきたからだ。 頑張ってご飯を集めたから一日位はゆっくりできる余裕が出来たのだ。 思う存分ゆっくりして今家に帰宅しているのだ。 「ゆゆッ!!?」 しかしまりさはある異変に気付いた。 自分のお家のカモフラージュされた入口が破壊されているのだ。 「どうしていりぐちがこわれてるのおぉッ!!?」 急いで住み処である洞穴に入っていく。すると、 「む~しゃむ~しゃしあわぜ~!!」 「むっきゅ~ん!」 「ゆ、とってもとかいはね!」 蓄えていたご飯が中にいたゆっくりれいむとぱちゅりーとありすに食い荒らされていた。 「な、ななななにじでる゛のお゛お゛ぉッ!!?」 思わず叫ぶまりさ。 「ゆ?ゆっくりしてってね!! ここはれいむたちのおうちだよ!かんけいないまりさはでてってね!」 「むっきゅ~ん、ごはんをくれるならいっしょにゆっくりしてもいいわ」 「べ、べつにごはんがほしいわけじゃないんだからね!」 と中にいた三匹は好き勝手言っていた。 「ちがうよ!ここはまりさのおうちだよ!そのごはんもまりさのだよ!!」 まりさは叫んだ。必死に集めたご飯を好き勝手食われて、しかも自分のお家だと 宣言までされたのだ冷静ではいられないのも無理はない。 だが、 「なにいってるの!ここはありすたちがみつけたとかいはなおうちよ! うそをつかないで!」 「そうだよ!ここにあるごはんもれいむたちがみつけたかられいむたちのだよ! !」 「むっきゅ~ん!!」 三匹は譲らない。 バリケードされた入口を壊して、虫とかが集められていようとも自分達が見つけ たから自分達のものなのだ。疑問すら浮かばない。 だから、 「うそつきなゆっくりできないまりさはしんでね!!」 言い掛かりをしてくるまりさを成敗する事にした。 まずれいむがまりさに体当たりする。 「ゆぎゃ!?なにずるのぉ!!?」 「うるさいよ!うそつきなまりさはしんでね!!」 不意打ちで動揺したまりさにれいむは追撃する。 「そうよ、いなかものはしになさい!!」 そこにありすも加わった。 これでまりさに勝てる可能性は万に一つも無くなった。 「ゆぎゅ!?やべ!?ちぇ!?どぼぢで!?」 体当たりをされて死にいくまりさには訳が分からなかった。 自分のお家にいる悪者にゆっくり出来なくされている。 さっきまでとてもゆっくりしていたのに…。 こんなことならもっとれいむ達とゆっくりしてればよかった。 「もっちょ…ゆっきゅりィイッ!!?」 最後の言葉を言い切る事なくまりさはれいむに潰されて餡子の飛沫を撒き散らして死んだ。 「むきゅ、せいぎはかつ、よ!!」 盗っ人猛々しいとはよく言ったものだ。 ま、この場でそれをツッコむ者はいないが…。 「これでゆっくりできるね!」 顔に返り血ならぬ返り餡を付けたれいむは笑顔で言った。 「れいむ、かおがよごれているわ。とかいはなありすがとってあげるぺ~ろぺ~ ろ♪」 「ゆゆ、くすぐったいよ♪」 「むきゅ、ぱちゅりーもなめてあげるわぺ~ろぺ~ろ♪」 れいむの顔の返り餡を舐める二匹。 すると、 「うめ!これめっちゃうまい!」 「むきゅ、ほんとね!」 何時しかれいむの返り餡を舐めている内にまりさの残骸を夢中になって食べてい た。 こうして、まりさは影も形も無くなってしまったのだった。 あれから二、三ヶ月後。 「むっきゅ~!」 「がんばってぱちゅりー!」 「とかいはならこんなところでへこたれないわ!」 冬が近付いて来た為越冬用のご飯を三匹は集めていた。 順当にご飯を貯めてこのままいけば十二分に冬を越せる、そんな量まで備蓄は完 成していた。 そして今日も沢山のご飯が収穫できた。 「これならふゆさんもゆっくりできるね!!」 れいむは笑顔でぱちゅりーとありすに言う。 これだけのご飯があれば冬籠もりの間もとてもゆっくりできる。 輝かしい未来を想像して、れいむ達はとてもゆっくりしていた。 それもこれもゆっくりできる巣を見つけられたからだ。 今いる巣は最初ゆっくりできない壁さんがあったけど中にはとてもゆっくりでき るご飯が沢山あってとても素晴らしいゆっくりプレイスだった。 こんなお家を見つけられる自分達は天才に違いない、とそう自分達の偉業を思い 起こしていた。 その巣が他のゆっくりのものであったなど露ほどにも考えていない。 そこの主であったまりさの事など記憶の隅にも残っていなかった。 今彼女等はとてもゆっくりしていてゆん生の絶頂期だった。 故に絶頂の後は降るしかないのだ。 「むきゅ!?ぱちゅりーたちのおうちのいりぐちが!!?」 れいむ達の住み処をカモフラージュしていた入口が壊されていた。 「ゆゆぅ、どうじでぇ!!?」 れいむは顔を蒼白させて住み処の中へと入っていった。すると、 「む~ちゃむ~ちゃちあわちぇ~♪」 「とってもゆっくりしてるねおちびちゃんたち♪」 十匹程の赤ちゃんゆっくりと普通のゆっくりよりも大きい巨大ゆっくりれいむが そこにいた。 「ゆ、だれ?ここはれいむとまりさとおちびちゃんたちのおうちだよ!! ようがなければごはんをおいてでてってね!!!」 巨大れいむが中に入ってきたれいむに対して宣言する。 それはあまりにも堂々としていた。 まるで最初から自分のものであったかのように…。 れいむは思わず反射的に、「ちがうよ!ここはれいむたちのおうちだよ!!」と 叫んだ。 「ゆ、なにいってるの? ここはれいむがみつけたおうちだよ?だかられいむのものだよ。そんなこともわ からないの?ばかなの?しぬの?」 「うしょはよきゅないんじゃよ!!」 「しょーだしょーだ!!」 かつてのまりさが相対した自分達と同じく全く取り合わない。まるで焼き直しのようだ。 「むきゅ、うそじゃないわ! ここはぱちゅりーたちがみつけたおうちよ!! でていくのはそっちよ!!」 ぱちゅりーも続いて叫ぶ。 「そうよ!いなかもののほうがでてってね!!」 ありすもそれに続く。 「うしょちゅきゅなぁ!! おきゃあしゃんたちがみちゅけたおうちをとりょうとするげしゅはゆっきゅりち ねぇッ!!」 「ゆぴぃ!?」 両者共自分の家だと譲らない平行線に痺れを切らした赤ゆっくりれいむが体当たりを三匹組のれいむに仕掛けた。 だが所詮赤ゆっくりの攻撃。 三匹組のれいむを驚かせたものの、有効なダメージにはならなかった。 「ゆうぅ!よくもやったね!おかえしだよ!!」 「ゆぴゃあ゛あ゛あ゛!!?」 あっという間に返り討ちになり、潰されてしまった。 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛お゛ちびじゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛ッ!!?」 巨大れいむの悲痛な叫びが響く。 「ゲラゲラゲラゲラ!!! れいむたちのおうちにかってにはいるからこうなるんだよ!!」 「むっきゅっきゅ、いいざまね」 「いなかものにはじごうじとくなまつろね!」 好き放題言う三匹。 だが笑ってられるのはそこまでだった。 「ゆっぐりじぬええッ!!!」 突如背後から声が聞こえ、 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!?」 突然ありすが身体半分を押し潰された。 「ゆ…ゆぅ…?」 何が起こったかわからない。 そういった顔をしてありすは痙攣し始めている。 完全に死ぬのも時間の問題だろう。 「よくぼばりざのおぢびじゃんをおおおおおッ!!!」 ありすを潰したのは狩りに出掛けていた巨大れいむのつがいの巨大まりさだった 。 「ゆるさないよッ!!!」 まりさは叫ぶと三匹組のれいむに体当たりをする。 「ゆぐぇッ!!?」 そのまま転がり壁へとぶつかる。 「ゆぅ…いちゃい…」 成体のれいむでもサイズの違う巨大まりさの一撃は強烈だった。 そんな隙だらけの状態を見逃す筈が無かった。 「おちびちゃんをころしたゲスはゆっくりしねッ!!!」 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛ッ!!?」 巨大れいむにのしかかられ、かつて自分が殺したまりさのようになって死んだ。 「むっきゅ…」 一方最後の一匹となったぱちゅりーは顔面蒼白となり、震えていた。 仲間はあっという間に死んでしまった。 二人よりも弱いぱちゅりーが勝てる訳がない。 だから…、 「むきゅ…ご、ごめんなさい。 こ、ここはまりさたちのおうちよ…。 おとなしくでていくから…」 「う゛る゛ざい゛ッ!!」 「むぎゅう゛う゛ッ!!?」 退却という手段を使おうとするが時既に遅し。 ぱちゅりーはれいむと同じように巨大まりさの体当たりを受けて壁に当たる。 「むぎゅう…えれえれ…」 口から中身の生クリームを吐き出す。 だが死ぬ量にまでは至っていない。 むしろそこで死んだ方が幸せだったにもかかわらず…。 「おちびちゃんたち、かたきをとるんだよ!!」 「「「「ゆおおおおー!!!」」」」 巨大れいむが宣言すると九匹の赤ゆっくりがぱちゅりーに噛み付いて食べ始める 。 「む゛ぎゅう゛う゛ッ!!? やべでぇ゛え゛え゛え゛ッ!!!?」 「うみぇ!きょれめっちゃうみぇ!!」 「む~ちゃなむ~ちゃちあわちぇ~♪」 死体に群がるハゲタカのようにぱちゅりーは赤ゆっくり達に食われていく。 ゆっくりの身体は全て食べられる。 よって無駄がないのだ。 「もっちょ…ゆっきゅり…」 ぱちゅりーが息絶えた。 それでも食欲旺盛な赤ゆっくり達は止まらない。 結局ぱちゅりーを帽子を含めて食べ切り、死んだまりさとありすの残骸を食べ切るまで赤ゆっくり達は 止まらなかった。 こうして、ぱちゅりーとれいむとありすの三匹は自分達が奪った住み処の持ち主であったまりさと 全く同じように影も残らず巨大ゆっくり一家の体内に収まった のだった。 それから数日後…。 辺りは一足早い冬の訪れを告げていた。 あの巨大ゆっくり一家も入口を塞いで家族で春をゆっくり待っている…、 「おきゃあじゃんたじゅげでえ゛え゛え゛え゛え゛ッ!!!」 ……訳がなかった。 閉じられた巣の中、そこには新たに来た訪問者がいた。 「う~あまあまでりしゃすだど~♪」 「う~、ゆっくりしね!!」 捕食種の胴ありゆっくりれみりゃと胴ありゆっくりふらんだった。 捕食種である二匹はこうやって越冬中のゆっくりの巣を乗っ取ってそこにいたゆ っくりを餌にのんびり春を待つのだ。 この巨大ゆっくりの一家は下手な巣の塞ぎ方をしてしまったがためにれみりゃ達に 見つかってしまったのだ。 この巨大ゆっくり一家はあまり頭が良くないのをあまりある身体の大きさで補っ てきたから慢心していたのだ。 そりゃ冬籠もりの準備をする頃に赤ゆっくりが十匹もいるような家族だ、利口とは言えない。 その結果捕食種の餌として地獄の冬の生活を過ごさなければならなくなった。 「う~みゃんみゃ~♪」 巨大ゆっくり二匹に赤ゆっくり九匹という捕食種にとっての大物はれみりゃ達に子供を作る余裕まで与えていた。 「たずげでぇ…」 散々ふらんに虐められて傷だらけの巨大まりさが来もしない助けを求め続ける。 いくら巨大ゆっくりでも捕食種が相手ではひとたまりもない。 巨大といっても成体以上ドス未満のサイズなのだから。 九匹いた子供はもう一匹も残っていない。 あるのはかつて子供達であった帽子と皮だけだ。 「う~はやくそれたべる」 ふらんが不機嫌そうに言う。 巨大まりさ達からすればかわいい子供の形見であっても、ふらんからすればあまあまの残り滓。 邪魔でしかない。 「おねがいじまず!!これだけはのござぜで…!!」 「う~うるさい!」 ふらんは巨大まりさの嘆願を一切取り入れず殴打で返した。 「ゆぎゃあ!!?」 「ゆっくりしね♪ゆっくりしね♪」 ボール遊びをする猫のように何度も何度も殴ったり蹴ったりするふらん。 勿論口ではああ言ってるが殺すつもりはない。 痛め付けて遊んでいるだけだ。 冬の間の大事な食料兼玩具をそう簡単に壊すほど愚かではなかった。 もっとも愚かであった方が巨大まりさには幸せであったが。 「たちゅけでおきゃあ゛あ゛あ゛じゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛んッ!!?」 「う~おいしいんだど~♪」 一方れみりゃの方は新しく巨大れいむに作らせた赤ゆっくりに子供達と一緒に舌鼓を打っていた。 「おでがいじばずぞのごだぢだげはゆるじでぐだざい~!!?」 食べられていく赤ゆっくりの助命を必死に巨大れいむは嘆願するが、 「う~、うるさいんだど~!」 「ゆぎゃあ゛!!?」 ふらんと同じように暴力で黙らせる。 「う~ふらんもあそぶ~」 「れみりゃもあそぶんだど~♪」 「ゆ、やめで…ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 親れみりゃの殴打を遊びと勘違いしたまだ胴のない子れみりゃと同じように胴のない子ふらん達は 巨大れいむを餡子が出ない程度に甘噛みしていたぶる。 「もう…やだぁ…」 素晴らしいゆっくりプレイスだった住み処はれみりゃ達のせいで地獄になってしまった。 どうしてこんな事になったのか…わかりもしない疑問を何時までも巨大れいむは 考え続けていた。 それに対してれみりゃ達はとてもゆっくりしていた。 美味しいあまあまに可愛い子供達。 狭いお家の中では存分に飛び回ったり出来ないけれどそれも春まで我慢すればい い。 まさに幸福の絶頂だった。 そうなればもう下っていくしかなかった。 「う~!!?」 突然物音がしたと思ったら塞いだ筈の入口が壊されだしていた。 そして、 「お、いたいた。 やった!ゆっくりれみりゃじゃねえか!!ふらんもいる!! 大当りだぜ!!」 穴の外からこちらを覗き込む人間の男の顔がれみりゃ達に見えた。 そして、 「う゛あ~はなぜ~!?」 瞬く間に赤れみりゃを掴んだ。 「一、二、三…おお八匹もいるじゃねえか!」 巨大ゆっくり二匹を除いた合計を数え、男は笑う。 「うーゆっくりしねええッ!!!」 捕まえられた赤れみりゃを助けようと親ふらんが突撃する。 「うっさい」 「うぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!?」 空いている片手で親ふらんを殴って黙らせる。 まるでさっきまで親ふらん自身がやっていた事のように。 「ぱあぱあ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!?」 親ふらんの状態に暴れるのを忘れて叫ぶれみりゃ。 「腹減ってるし…一匹位いっか…」 そんなれみりゃを見て人間の男、すなわちお兄さんは呟き、 「いただきまーす♪」 「うぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!?」 赤れみりゃにかじりついた。 「れびりゃのおちびじゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!?」 一瞬にして顔の半分をかじり取られた赤れみりゃ。 「う゛…う゛ぁ…」 いくら再生力の高いれみりゃ種でも成長しきっていない赤れみりゃには致命傷だ。 だがまぁ瀕死だろうとそうでなかろうと二口目には全部お兄さんの胃の中だが。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おちびじゃんをがえ゛ぜえ゛え゛え゛え゛え゛ ッ!!!」 子供の駄々っ子のようにお兄さんに向けてポカポカパンチをする。 ダメージにもなりはしない。 通常種には驚異的な存在であっても人間に対してはあまりに脆弱だった。 「はいはい、腹ごしらえも終わったし回収回収♪」 「う゛あ゛あ゛はなぜえ゛ッ!!!?」 ポカポカとパンチを繰り返す親れみりゃをお兄さんは難無く掴み、後ろに用意し ていた麻袋に入れた。 「う゛あ゛~だぜえ゛え゛え゛ッ!!?」 袋の中で暴れるがゆっくりが暴れた程度で破ける程麻袋は脆くはない。 お兄さんは気にせず親ふらんを掴んで麻袋に放り込む。 親を捕まえておけば子は逃げられない。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぱあぱあ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!?」 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 泣き叫ぶ赤れみりゃ。 こちらに敵意を向け、攻撃してくる赤ふらん。 ふらん種は嗜虐性が高い上に変に攻撃的だから圧倒的実力差であろうとも逃げよ うとせず攻撃して来るから捕まえやすい。 「はいはい御苦労さん」 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 お兄さんは難無く赤ふらんを麻袋に入れる。 残ったのは赤れみりゃのみ。 ここまで来てようやく逃げるという行動を起こし始める。 雪が降る中逃げ出すのは安全と言い難い。 だけどこのままじゃ捕まってしまう。 捕まったらゆっくりできなくなりそうだ。 そう考えた赤れみりゃ達は一か八か逃亡を試みる。 お兄さんが待ち受ける入口を一斉に飛び出せば何匹か助かるかもしれない。そう 本能的に考えたのだ。 「う~ざぐやあ゛あ゛あ゛!!」 「はなじでええ!れみりゃはおぜうざまなんだどおおおおッ!!?」 「はいはい偉いですね。 偉いおぜうさまは袋に入って下さいね」 だがお兄さんはそんなれみりゃの一か八かの賭けを嘲笑うかのように難無く全匹 捕まえて麻袋に突っ込んだ。 そして袋の口を紐でゆっくり縛る。 そうして宣言した。 「君達はこれから加工所でさっきのれみりゃみたいに人間のご飯になります。 ゆっくり理解してね!」 途端、 「やだどお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ!!?」 「ざぐやあ゛あ゛あ゛あ゛はやぐだずげでえ゛え゛え゛え゛え゛ッ!!?」 「ゆっぐりぢね゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ッ!!?」 麻袋の中から叫び声が一斉に上がり、袋が揺れる。 だが悲しいかな麻袋を素手で破壊なんてゆっくりに出来る訳が無い。 袋の口も強固に結ばれ、今や透明な箱に入っているのと同じようなものだった。 それにしても今や加工所は捕食種にしても恐怖の対象のようだ。 ここで狙われ慣れている通常種は苦しまないように親ゆっくりが子を殺すのだが 今まで自分よりも強い圧倒的脅威に晒されていない捕食種は隙を見て逃げ出すと か、不意打ちで倒すとか下手に抵抗する手段を思いつき、希望を持ってしまい、 子供を苦しめないで済む最後のチャンスを逃したのだった。 「さて残りはっと…」 お兄さんは奥の方で転がっていた巨大ゆっくり二匹を発見した。 「ゆ、ゆゆ…にんげんさん…」 疲れ切り、ボロボロになった巨大まりさを掴んで穴から出す。 もはや抵抗する気力すらないのだろう。 「こりゃ売れねえな…」 傷だらけで何度もふらんに攻撃された巨大まりさはもはや何の価値も無い。 「…たすけて……」 まりさは消え入りそうな声で呟く。 ゆっくりできないれみりゃ達を捕まえたお兄さんは巨大まりさからすれば救世主 だった。 だが、 「しょうがない、殺しとこう」 「ゆ?…ゆげぇ!!?」 容赦無く地面に落として踏み潰した。 「どぼ…ぢで…」 まりさには訳が分からなかった。 ふらん達を捕まえてくれた救世主と思っていたらその人間に踏み潰されたのだ。 最初から救世主などではなく、巨大まりさが勝手に思い込んだだけなのだが巨大 まりさには裏切れたと勘違いも甚だしい事を思い込んだながら死んでいった。 「ゆ!やめではなじでえ!ゆびゃあッ!!?」 巨大れいむも同じように殺して残骸を洞穴に詰めて雪で入口を塞いでおく。 「これでよし」 お兄さんは笑う。 そして洞穴の上にある木に刻まれた十字の傷痕を見る。 「それにしてもこいつ等…巣が明らかに人の手が入ってるって気付かないもんか ね…」 お兄さんは小さく呟く。 そう、この洞穴はお兄さんが作ったものだったのだ。 ちょっとやそっとじゃ崩れない頑丈な穴はわざわざお兄さんが木の骨組みで固定 してあるのだ。 ゆっくりにとってお家は大事なものだ。 狩られる側の多いゆっくりは身の安全を保証してくれる頑丈な場所を求める。 よってお家争いは熾烈を極めるのだ。 夜になれば捕食種にも狙われる。 雨が降れば溶けてしまう。 ゆっくりにとってお家は死活問題であり強さの象徴、権威でもある。 それを考慮すればお家に関して躍起になるのも無理はない。 だが所詮ゆっくりの作れる家などたかがしれている。 だから、人間の家を奪おう等という愚作を考えつくゆっくりが後を絶たない。 その結果はここで言うまでもないだろう。 「ならこっちで家(罠)を用意すりゃ楽にゆっくり捕まえられるんじゃないか? 」と考えたのがこのお兄さん。 お兄さんが山の持ち主から任された山の管理の仕事の片手間に、駆除を名目に簡 易的な洞穴にカモフラージュした壕を複数作成した。 ゆっくりが入れる程度ならば一週間かそこらで完成出来た。 人間の家ですら勝手に入って疑問も感じずお家宣言するゆっくりだ。 余程頭のいい個体でもない限り気付く訳が無かった。 そうしてお兄さんはゆっくりが確実に巣に篭り、まだ餌が足りなくなって共食い を始めるような事のならない冬の最初の時期を狙い、お兄さんの作成したお家で 越冬中の栄養を溜め込んでゆっくりして甘さが凝縮しているゆっくりを捕まえて 加工所に売ったりしているのだ。 この巣はゆっくりからすれば丈夫でとてもゆっくりできるらしい。 だから当然お家争奪の頻度も高くなる。 だから冬の時期にこの巣にいるゆっくりはお家争奪を勝ち残った強者といえるの だ。 強固で栄養価が高い。 そんなゆっくりが高値で売れない筈がない。 「さて、と…いきますか」 お兄さんは種類別に幾つかある麻袋を担いで歩いていく。 熾烈な争いを生き抜いたゆっくりはこうして人間に食われるというゆっくりでき ない末路を迎えたのだった。 数ヶ月後。 ゆっくり達には待ちに待った春の季節だ。 これを望んで叶わなかったゆっくりは沢山いる。 「おかあさん、おせわになりました!!」 「ゆっくりがんばるんだよ!!」 「こまったらすぐたよっていいからね!」 こちらにいるのは春を迎えて子ゆっくりまりさが巣立ちを迎えるようだ。 「ゆ、ゆ、まずはゆっくりできるおうちをさがすよ!!」 巣立ったまりさは手頃な巣が無いかゆっくり探していた。 するとあのお兄さんが作った巣が見えた。 春を迎えたので塞がれていた雪が溶けて見つけられるようになっていたのだ。 「なんだかあそこはゆっくりできそうだよ!」 ぴょんぴょんとその巣の中に跳ねていく。すると、 「ゆ、ゆおおおおおッ!!?」 巨大ゆっくり達の越冬用の食糧と巨大ゆっくり自身の残骸が残っていた。 寒い冬の自然が冷凍庫の役目をして餌をそのままの状態にしていた。 それは独り立ちしたまりさにはとんでもないご馳走だった。 「ゆゆう、きめたよ! ここをまりさのおうちにするよ!!」 入って一分もしないでまりさはここをお家にする事に決めた。 まだ先に住み始めたゆっくりがいなかった為、難無くこの住み処はまりさのお家 に(まりさの頭の中で)決まったのだった。 「それじゃゆっくりはらごしらえするよ!!」 まりさはそう言って巨大ゆっくりの残骸を食べ始めた。 「む~しゃむ~しゃ、しあわしぇ~!!!」 このまりさがいつ頃までこのお家の主としていられるかはわからない。 だがどんなに頑張っても今年の冬を越える事は出来ない事だけは確実だった…。 それを知らずまりさは束の間の幸福を満喫していた…。 「ここはまりさのおうちだよ!! ゆっくりりかいしてね!!」 そしてまた何処かで熾烈なお家争奪戦が始まったのだった…。 END おまけという名の蛇足 最初のまりさとゆっくりしてたれいむ達のその後。 「ゆっゆっゆ~♪」 れいむはごきげんだった。 友達のまりさとみょんと存分にゆっくりしていたからだ。 思う限りのゆっくりを満喫して家路に着いていた。 れいむは他のゆっくりが作ることの出来ない素晴らしいお家を見つけ、そこに住んでいた。 それが一体どんなお家なのか言うまでも無いだろう。 「ゆっくりかえったよ!!」 「ゆっくりおかえり!」 お家に帰るとそこには姉妹のゆっくりありすがいた。 勿論れいぱーではない。 れいむは広いお家にありすと一緒に住んでいたのだ。 とても丈夫なお家はまるで人間さんのお家のようだ。 「おねえちゃん、おなかすいたよ!」 「ゆ、そうだねごはんにしようね!」 「きょうはありすがごはんさんをあつめたんだよ!!」 「とってもおいしそうだね! すごいよありす!!」 「ありすはとかいはだもの!とうぜんよ!」 両親と他の家族がれみりゃに襲われて死んでしまってから二匹で暮らしてきた。 いつもはれいむがまりさと一緒にご飯を集めるのだが今日はありすがご飯を集め ていつもの感謝としてれいむにゆっくりしてもらったのだ。 「ゆっくりたべるよ!」 「いただきます!!」 とても美味しそうに食べている。 何時死ぬかわからないゆん生。 一瞬一瞬を後悔の無いように楽しむのだ。 そう例え数秒後に死ぬとしても…。 「ゆ…ゆげえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ッ!!?」 「う゛げえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ッ!!?」 いきなり餡子とカスタードを吐き出すれいむとありす。 ありすの集めた草花に毒があったのだ。 れいむはいつもまりさと共に狩りをしていたからまりさのおかげで毒のある植物を とらずに済んだのだがありすはそうではなかった。 れいむもまりさに頼り切りで毒のある植物に対しての知識を溜め込まなかった。 本来ならその知識を教えてくれる親はれみりゃに食われてしまい、教える事が出来なかった。 ありす基準で集めたご飯はきらびやかな毒のある植物のオンパレードだった。 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛…」 比較的体積の少ないありすが先に皮のみになり力尽きる。 「まりざぁ…だず…」 れいむはもう巣を占拠していたれいむ達に食われたまりさに助けを求めながら力 尽きたのだった…。 そして翌日、 「まりさたちおそいみょん…」 約束の狩りへいく集合の時間からしばらく経つのに集合場所にはみょん以外誰も いない。 当たり前だ。二匹共既に死んでいるのだから。 「しかたないみょん、おうちまでむかえにいくみょん」 みょんはそう言って近くのれいむのお家まで行く事にした。 「ゆううう!?れいむううう!?」 れいむがいる暗い洞穴にたどり着いたみょんが見たのは皮のみとなったれいむと ありすに散らばった餡子やカスタードだった。 「しっかりすりみょん!げんきだすみょん!」 既に完全に死んでいるれいむに駆け寄るみょん。 それがいけなかった。 「ゆ?」 暗い洞穴から何かゆっくり出来ないものが現れた。 れいむの死体に気を取られていたみょんはそれに対して反応が遅れてしまった。 「ゆう゛う゛う゛う゛ッ!!?」 みょんがそれに反応した時には遅かった。 それは蟻。 れいむの遺骸から放たれた甘いニオイに誘われた蟻達だった。 れいむの吐いた餡子を巣に回収しようとしていたその時に現れたみょんは新たな 餌でしかなかった。 「みょ…たすげ…まり…」 瞬く間に黒い塊に変化していくみょん。 もはや逃げることも出来ずゆっくりと蟻に食い殺されるしかなかった。 こうして、仲の良かった三匹は一日で仲良く死んでいったのだった。 巣を守れてもこうやって勝手に自滅していくゆっくりも多い。 「ここはゆっくりできそうだね!ちぇんにはわかるよー!!」 「そうだね!れいむとちぇんのあいのすにぴったりだね!!」 しかしいなくなってもすぐ別のゆっくりが住み着くので何の問題もない。 ただ…、 「ゆ!?ありさんこっちにこないでね!!」 「いだいよおおおおおお!!? わがらないよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ!!?」 すぐにまたいなくなる事も多かったが…。 先程のれいむ達を餌にする事によって蟻が味を占めたようだ…。 その結果この洞穴からは毎日のようにゆっくりの悲鳴が響く事となったのだった …。 おまけ2 春に独り立ちしたまりさの両親 「やったねれいむ…」 「そうだねまりさ…」 二匹は寄り添ってほしい跳ねていくまりさを見届ける。 苦労して育てたまりさが今巣立っていった。 自分達がやり遂げた事を感動していたのだ。 思い起こせば生まれた他のまりさの姉妹はれみりゃに食われ、帽子で川を渡る練 習をしている最中にミスして溺れ死んだりし、帽子をなくしたせいでゆっくりで きなくさせたり、冬籠もりの最中にご飯が足りなくなったので食ったりして今や 一匹しか残らなかったのだ。 まぁつまりこいつ等は親としては無能だったという事だ。 「れいむ、またあかちゃんゆっくりつくろうね!!」 「ゆ、そうだね! こんどはちゃんとそだてようね!」 しかし反省の色は全く無く、何の準備も無く同じ愚を犯している。 所詮はゆっくりである。 「「すっきり~!!」」 二匹のすっきりの声がしたのはまりさが出て行ってから僅か数時間後の事だった 。 「じゃあゆっくりいってくるよ!」 「ゆっくりいってきてねまりさ!」 「「「「いってらっしゃいおちょうしゃんッ!!」」」」 数日が経過し、すっきりによって生まれた赤ゆっくりれいむ種とまりさ種半々の 四匹もそれなりに成長していた。 まりさが狩りをして、れいむが子供の世話をする典型的なゆっくりの生活の姿だ った。 「それじゃおちびちゃん、きょうもゆっくりしようね!」 「ゆっきゅりちゅるよ!!」 親れいむの言葉に笑顔で答える子れいむ。 かつて先に生まれた姉妹が親であるれいむに食われた事も知らず幸せそうに暮ら していた。 今は春真っ盛り、これから暑い夏に向けてゆっくりご飯を沢山食べて大きくなろ うとしているのだろう。 だが考えて欲しい。 春になって食べ盛りなのは何もゆっくりだけではないのだ。 「ゆぴぃいッ!!?」 親れいむが巣に戻ろうと子供達に背を向けた瞬間、子ゆっくりの悲鳴が聞こえた 。 「ゆう!?どうしたのおちびちゃん!!?」 するとそこには、 「たじゅげべぇッ!!?」 振り向くとそこには可愛い我が子であるれいむが目の前にいる動物、野犬に食わ れていく姿があった。 もはや子供は二匹食われてしまった。 その動物の正体を親れいむが知る由も無かったが危険だというのだけはわかった 。 だがそれでも遅かった。 というかここまで接近を許してしまった時点でもうどうしようもない。 「おちびちゃんたち、おうちのなかにかくれてね! ぷくうぅ~!!」 それに気付かずれいむは勝てる訳も無いのに口を膨らませて威嚇する。 だが、 「ゆ!?ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 迷い無く野犬は親れいむに噛み付く。 喉元を狙うのが定石だが喉なんてゆっくりには無いので身体を挟み込むように噛 み付く。 流石に成体サイズだと一口では噛みちぎれず何度も噛み直すことになる。 「ゆぎぃ!?ぺぴぃ!? ごび!?」 噛む力を弱めて噛まれ、弱めて噛まれを繰り返す。 それは中身が固形物に近い餡子であるれいむには痛みだけ続くなかなか死ねない 拷問だった。 だがそれも終わりは来る。 「も…と…ぴぃいいッ!!!」 最後に大きく一声鳴くとブチブチ、とれいむの身体がちぎれて地面に散乱した。 野犬はれいむの残骸もしっかりと食いきり、向くのは生き残った子ゆっくりがい る穴。 犬の鼻がそこにまだ獲物がいると告げているのだ。 成体ゆっくり一匹と赤ゆっくり二匹は結構な量だが犬は元来食い物を拒否すると いう事をしない。 満腹感はあるが人間よりも鈍く、食いだめの性質がある。 食える時に食っておく。 そんな野犬が目の前の獲物をわざわざ逃がす訳が無かった。 「おきゃあしゃんのぶんみゃでゆっくちしようね…」 「ゆうぅ…」 穴の外から話す声でそこにいるのは犬じゃなくてもわかるが当のゆっくりにはわ かりはしなかった…。 穴は犬の頭くらいなら簡単に入るサイズだったので簡単に侵入出来た。 「ゆうぅ!?どうしておうちにはいってくるのおおおおおおッ!!?」 「きょないでね!!まりしゃおいちきゅにゃいよ!! たべるりゃられいみゅおねちゃんにしぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!?」 赤ゆっくりの悲鳴が断末魔に変わるまでそう大した時間はかからなかった…。 一方狩りに行ったまりさは…、 「これできょうはゆっくりできるよ!」 ぴょんぴょんと跳ねながらお家へと跳ねていく。 頭の上にある帽子は餌でいっぱいだ。 お家に帰って家族でゆっくりするのを楽しみにしながら跳ねているのだろう。 家族は野犬に身を捧げて野犬をゆっくりさせて野犬のお腹の中で一つになった事 も知らずに…。 「ゆっくりただいま!!」 暗くなっていた為かつてれいむだった残り滓に気付きもしないでお家である洞穴 に戻ってきた。 だがいつもなら「ゆっくりおかえりまりさ!」というれいむの声が聞こえるはず なのに何も返って来ない。 「みんな?ゆっくりす~やす~やしちゃったの?」 まりさはもう誰もいない、一人きりの洞穴の中で薄ら寒い予感を否定するように 明るく喋っていた。 「ゆゆ!わかったよ!かくれんぼさんだね! おと~さんがおにさんだね!! みんないじわるなんだから…ふふふ」 一人気付いて一人納得して一人いもしない家族を探し始める親まりさ。 すると敷き詰められた葉っぱの奥に赤いリボンを見つけたのだ。 れいむ種の持つリボンだ。 「ゆっゆ~そんなところにいたんだね。 でももうみつけちゃったよ!!」 そう言ってまりさはリボンを加えて引っ張りあげる。 たしかにそれはれいむのリボンだった。 ただ一つまりさの予想と違ったのはリボンから下の頭の部分と、左目の辺りの一部のみの 残骸であったという事だ。 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!?」 それは可愛い我が子の成れの果て…完全な死体だった。 思わず赤れいむの成れの果てを投げ捨ててしまうまりさ。 捨てられたれいむの残った左目とまりさは目が合う。 赤れいむのおめめは無機質にまりさへ向けられていた。まるで助けなかったまりさを責め、 呪っているようでもあった。 これは完全なまりさの被害妄想だがまりさは突然の事に訳も分からずパニックに なり、混乱していた。 その結果目の前の残骸がまるで自分を今も殺そうとしている被害妄想まで生み出 してしまった。 「こっちみないでね! まりさをみないでね!!」 恐怖でガタガタと震えるまりさ。 かつて我が子を食べた時は先に潰してぐちゃぐちゃにしたから食べたからあまあ まとしか考えてなかった。 しかし、今の赤れいむは中途半端に形を残してしまっていた。 だからまりさも我が子だと理解してしまったのだ。 「みるな゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!? 」 赤れいむの残骸に恐怖し、我を忘れ、赤れいむの残骸に背を向けて巣から飛び出 すまりさ。 辺りはすっかり暗くなっていた。 今外に出るのは危険であるがそんなのまりさにわかりはしなかった。 「みんな゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ででぎでよ゛ぼお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ ッ!!!?」 夜の森の中をぴょんぴょん跳ねていくまりさ。 「まりざにいじわるじないででてぎでよおおおッ!!! おとうざんおごるよ゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ!!!」 もはや何処へ向かっているのかまりさ自身わからない。 しかしぎゃーぎゃー騒いで跳びはねていくまりさは捕食種の恰好の餌食だった。 「ぎゃお~、たべちゃうぞ~♪」 「ゆ?ゆわあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛どうじでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ッ!! !?」 それにまりさが気付いた時にはもう手遅れだった。 野生の胴有りれみりゃに身体を掴まれてしまった。 「いただきますだど~♪」 「ずわないでぇえ゛!! ばりざのあんごをずわ゛ないでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ッ!!!?」 泣き叫ぶまりさを無視してれみりゃはまりさの中身の餡子を吸い尽くす。 「ゆ…べぇ…」 結局まりさは家族に何が起こったかわからないまま、訳も分からずれみりゃに食 べられたのだった。 「う~、おなかいっぱいだど~♪」 成体サイズのゆっくりは流石に結構な量だったらしくれみりゃは満足したようだ 。 れみりゃいわく“かりしゅま☆だんす”を踊り始める。 そして、 「う~?だれなんだど~?」 目の前に現れた動物に気付いた。 「う~、いまれみりゃはかりすま☆だんすをおどってるんだど~! あっちいくんだど~!!」 れみりゃはそう言って両手を上げて威嚇する。こんな暗い夜の森じゃ意味がない のにも気付かない。 目の前に現れた動物は皮肉にもれみりゃが食ったまりさの家族を食べた野犬だっ た。 住み処で眠っていた所をれみりゃのだんすで出た肉汁のニオイに気付きやって来 たのだ。 グルル、と唸り野犬は飛び掛かるタイミングを計る。 そうとも知らずれみりゃは野犬が自分の“かり☆しゅま”に恐れを抱いたと勘違 いし、調子に乗る。 「う~れみりゃのかり☆しゅまにおそれをなしたんだど~♪ けどいまさらおそいんだど~☆ さくやにやっつけてもらうからかくごするんだど~♪」 そう言いながら不用意に近付いていく。 れみりゃの頭の中だけに存在する従者“さくや”の存在が守ってくれると信じ切 っていた。 そんな隙だらけのれみりゃに野犬は、 「う~ば~かば~ぎゃぐべぇッ!!?」 首とおもわしき部分に噛み付いた。 と言っても首だけでなく胴体も噛み付いていたが。 「げひゅ!?…ど…ひへぇ…」 いきなりの痛みに訳がわからないれみりゃ。 身体がビクンビクン痙攣している。 「う?…うぁぁ…」 逃げようと痙攣する身体を動かそうとするが野犬の牙は深く食い込みれみりゃを 逃さない。 「たひゅ…げ…」 涙を濁流のように流してれみりゃは助けを求めるが誰も助けはしない。 野犬は辺りを確認するとれみりゃをくわえたまま寝床へと戻り始めた。 危険な森のど真ん中ではなく安全な寝床でゆっくりと食事を楽しむつもりだろう 。 再生力の高いれみりゃはなかなか死ぬ事も出来ず、生きたまま野犬に貪り食われ るだろう…。 結局、おうちがあろうとなかろうと、通常種か捕食種どちらであろうと、ゆっく りがゆっくり出来る可能性等殆ど無いという事だけは確かだった…。 本当にEND。 あとがき おまけというか蛇足が変な方向に行ってしまった…。 過去に書いたもの 梟 前・後 ありすを躾けよう 前・後
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1243.html
「ゆっくり想像妊娠」(後編) 前 まりさは……日に日にやつれていった。 表皮の張りは失われ、目は乾き、帽子はボロボロ。 けれども、そんなことに気を留める余裕すら、まりさにはなかった。 「も、もうゆっくりできないよ……れいむがごはんをとりにいってね…」 「どぼぢでそ゛ん゛な゛ごどい゛う゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!??れいむとあかちゃんがだいじじゃないのおおおおおおお!!??」 「ゆゆゆゆ……ゆっくりごはんをたべるy――― 「まりさのぶんもゆっくりれいむがたべるよ!!あかちゃんのためだよ!!」 「ゆゆゆ!??まりさのごはんがああああぁぁぁぁあぁああ!!!!」 「ぜんぜんたりないよ!!まりさはあかちゃんのためにごはんをとってきてね!!それがまりさのしごとだよ!!」 「あかちゃん……まだゆっくりしてるの?ゆっくりしないでうまれてね……」 「そんなこといわないでねぇ!!!れいむとあかちゃんはもっとゆっくりするべきだよ!!」 「ゆぅ……いくらなんでもゆっくりしすぎだよぉ……」 「ゆっくりしたほうがいいにきまってるでしょ!!まりさはぜんぜんゆっくりできてないね!!」 「まりさはゆっくりしないでごはんをとってきてね!!あかちゃんのためだよ!!」 「ゆ……もうやだ!!まりさもゆっくりしたいよ!!」 「ゆゆっ!?まりさのせいであかちゃんがうまれてこないんだよ!?ゆっくりりかいしてるの!?」 「ゆぎゃっ!!やめてね!!ゆっくりごはんをとってくるよ!!だからいたいのはやめてね!!」 日の出から日没まで、ひたすら草原を駆け回って食料を集める毎日。 つかの間の休息をとろうと食料に口をつければ、“赤ちゃんのため”と言ってれいむに奪われてしまう。 反抗しようとしても、同じ成体とは思えないぐらいの体格差を覆すことは出来ず、容易くれいむに弾き飛ばされてしまった。 そして、ある日。 「ゆっ!!まりさはゆっくりしすぎだよ!!あかちゃんがゆっくりできないでしょ!!」 満足な量の食料を取ってこなかったまりさを、れいむは容赦なく巣の外へ弾き飛ばす。 まりさは餡子を繰り返し吐き出しながら、よろよろと体勢を整える。 「ゆっぐ……ゆっぐじやめでね……まりさが…ゆっくりできなくなっちゃうよ……」 「れいむはあかちゃんをゆっくりさせてあげたいよ!!まりさもそうでしょ!?あかちゃんがだいじでしょ!?」 巣の半分以上のスペースを占めるまでに成長したれいむは、さも当然のようにまりさに問いかける。 自分は赤ちゃんが大事だ。じゃあ、まりさも赤ちゃんを大事に思っているに違いない。実に天晴れな思考である。 「ゆっぐ……いいかげんにしてね……」 巣の外で、まりさはか細い声で反論する。 「あかちゃんなんて……さいしょからいなかったんだよ……れいむはうそをついてたんだよぉ!!」 「どぼぢでぞんなごどいうのおおおおおお!!??あかちゃんはいるんだよおおおおおおおお!!?? あやまってね!!おなかのなかのあかちゃんに!!ゆっぐりあやまっでね゛ええ゛え゛え゛え゛!!!」 ぶるんぶるんとお腹を動かすことで、赤ちゃんの存在を泣きながらアピールするれいむ。 だが、そんな挙動ひとつひとつもまりさにとっては無意味だった。 「そんなの……れいむがゆっくりおなかをうごかしてるだけだよ…ぜんぶうそなんだよ!!まりさにゆっくりあやまれっ!!!!」 「ひどいいいいぃぃいいぃぃ!!!すっぎりでぎないまりさのくせにぃ!!!あかちゃんにゆっくりあやまってねぇ!!!」 “すっきりできない、まりさのくせに” れいむにとっては、頭に浮かんだ言葉をそのまま口にしただけだった。 その言葉を聞いた瞬間、まりさは即座にれいむに背を向けた。 心の深いところに大きな傷を負ったまりさは、乾いた笑みを顔に張り付かせている。 「ゆっ!?はなしがおわってないよ!!れいむとあかちゃんにあやまってね!!」 れいむの怒声を黙殺して、まりさはゆっくりと地面を這って離れていく。 無言の決別。もはやれいむに対しての愛情も、赤ちゃん達への愛情も持ち合わせていなかった。 「ゆん!!ゆっくりはんせいしたんだね!!まりさはたくさんごはんをもってきてね!!」 その様子を見ていたれいむは、まりさが反省したのだと思い込んで、満足して巣の奥へと戻っていった。 巣に貯蔵してあった食べ物をむしゃむしゃ食いながら、れいむはいつ生まれるかも分からない赤ちゃんに語りかける。 そんなことをしながら、まりさの帰りを今か今かと待ち続けるのだ。 「むーしゃむーしゃ♪あかちゃんはゆっくりおおきくなってね!!おかーさんはがんばってごはんたべるからね!!」 結論から言うと、まりさは帰ってこなかった。 昼になっても、夜になっても、次の日の朝になっても、まりさは帰ってこなかった。 まりさが帰ってこなかったということは、つまり……“食べ物が来なかった”ということだ。 「ゆっ!!あかちゃんたちをまたせるなんて!!おやとしてのじかくがたりないよ!!ぷんぷん!!」 れいむの予定では、まりさが休まず昼も夜も食べ物を持ってくる筈だった。 だから巣に残っていた食料など、全て綺麗に食べつくしてしまったのだ。 「ゆぅ!!おなかがすいたよ!!あかちゃんたちもおなかをすかせてるよ!!」 昼になっても、夜になっても、次の日の朝になっても、まりさは帰ってこない。 「まりさはゆっくりしすぎだよ!!かえってきたらおしおきだね!!」 昼になっても、夜になっても、次の日の朝になっても、やはりまりさは帰ってこない。 「おなかがすいたよ!!……どうしてごはんをもってごないのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!??」 いくらぶくぶく太った身体をしていても、空腹はやってくる。 我慢の限界に達したれいむは、巣の外に出て自らご飯を探すことにした。 ついでにまりさも見つけて、ボコボコにしてやるつもりだった。 だが、一ヶ月以上巣の中でゆっくりしていたれいむは、今になって初めて重大な事実を知った。 「ゆっぐ!!ゆっくりでるよ!!……ゆゆ!?ゆっくりでられな゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!??」 巣の中で殆ど動かず、することと言えば食う事と寝る事だけという生活を続けていたれいむ。 おかげで、巣の外へと続く細い穴を通り抜けられないぐらい、れいむの身体は肥大化していたのだ。 ぐいぐいとお腹から外に出ようと、全体重をかけて前進しようとする。 だが、お腹の中に赤ちゃんがいることを思い出して、れいむは力を弱めた。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!おながすいだよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 空腹を解消できないと知って、れいむは絶望の叫びを上げる。 この巨体では、どう頑張っても巣の外に出ることは出来ない。やせ細るのをゆっくりと待つしかないのだ。 食料を断たれてから、一週間が経った。 一度肥大化した身体が小さくなる気配は無く、空腹感だけが日に日に増していく。 「ゆっぐ……おなかすいたよぉ……あかちゃんがしんじゃうよおおおぉ……」 かつてのまりさのように、力ない声を出すれいむ。 そんなれいむが閉じ込められている巣の入り口に、一週間ぶりにまりさが戻ってきた。 「ゆっ!!れいむ!!ゆっくりしてる?」 「ま、まりざあああああぁあぁぁぁぁ!!??」 巣の中から見たまりさの姿は、とてもゆっくりしていた。 髪の毛はもとの艶を取り戻しており、皮の張りも、目の潤いも、かつて元気だったまりさそのものだった。 「ゆっくりしすぎだよおおおおおおお!!!あかちゃんがかわいそうでしょおおおおおおおおお!!??」 れいむの叫びは巣の全体に響き渡り、巣の外まで届いた。 自分がこんなに苦しんでいるのに、どうしてお前はそんなにゆっくりしてるんだ!! 抑えきれない怒りで、れいむの心は破裂しそうだった。 「ゆっくりはいってきてね!!まりさにはゆっくりおしおきするよ!!」 頬をぶくっと膨らませて、怒りを露わにする。まりさを徹底的に痛めつけて、二度と逃げる気にならないようにしてやるつもりだった。 しかし、それを見てもまりさはまったく脅えることなく、にやにやと巣の中のれいむを見つめている。 痛いことをされると分かっていて、自分から巣に入っていくほどまりさはバカではない。 「ゆ~!!つかれたからおそとでゆっくりするよ!!」 まりさは、帽子の中からたくさんの食料を取り出し、れいむに見せ付けるようにして貪り食う。 うっめぇ!!まじぱねぇ!!と、下品極まりない声を上げながら食べかすを飛び散らした。 その様子を見たれいむは、下唇を強く噛んで悔しがる。 「ゆぎいいいいいいっぃぃ!!!まりさばかりずるいよ!!れいむにもたべものをもってきてね!!あかちゃんのためだよ!!」 「ゆっ?あかちゃん?そんなのいないよ!!ゆっくりりかいしてね!!でぶれいむ!!!」 「でぶじゃな゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!これはあかちゃんな゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 全身の余分な餡子を震わせながら、涙を流して否定するれいむ。 デブといわれたことより、赤ちゃんの存在を否定されたのが悲しかった。 「ぱちゅりーにゆっくりきいてきたよ!!れいむにあかちゃんなんていないんだよ!!」 「ゆゆっ!?そのぱちゅりーはうそをついているよ!!!れいむをゆっくりしんじてねぇ!!!」 何が何でも、自分のお腹の中には赤ちゃんがいる、そのことを受け入れて欲しかった。信じて欲しかった。 けれど、まりさは哀れむような笑みを浮かべて、れいむの言うことを一欠片も信用しようとしない。 「ゆ?うそをついてるのはれいむだよ?ゆっくりりかいしてね!!!」 帽子から出した食料を全て食べ切ったまりさは、口の中に残っていた野菜の芯をぺっと吐き出した。 「ゆっぐ!!ゆっぐりぃ……あがぢゃんがだいじじゃないのおおおおおお!!?あがぢゃんがゆっぐじでぎないよおおおお!!??」 「まだゆっくりりかいしてないんだね!!あかちゃんなんて――― と言いかけて、背後に何者かの気配を感じたまりさは、ゆっくりと後ろを振り向いた。 「がおー!!!」 「ゆっ!!???」 そこに立っていたのは、ピンク色の古臭い服を着た胴付きゆっくり―――ゆっくりれみりゃだった。 「うー!!たーべちゃーうぞー!!!」 「うがああああぁっぁあぁぁあ!!!れみりゃだあああぁぁああぁぁ!!!!」 食物連鎖の上位に位置するれみりゃを見て、まりさの本能が危険だと告げていた。 とにかく逃げなければならない。何よりも逃げる事が最優先だ。考える前に、身体が動いていた。 そう、考える前に、身体が動いてしまった。考えないで、身体を動かしてしまった。 だから、普通に考えればタブーだと分かることを、まりさはしてしまったのだ。 「ゆううううぅぅうぅぅぅ!!!れいむううううぅぅううぅぅ!!!ゆっぐりだずげでねぇえぇぇぇぇぇええええ!!!」 まりさは一番近くにあった巣穴……れいむが閉じ込められている巣穴に、迷わず飛び込んだ。 その穴は、れみりゃが入れないほど小さいものではない。そして、当然ながらゆっくりの巣穴の出入り口は一つ。 つまり、まりさは本能に身を任せてしまったばかりに、自ら袋小路に逃げ込んでしまったのだ。 「うー?にげてもむだだぞー!!!たーべちゃーうぞー!!!」 「うわああああぁぁぁあっぁあ!!!まりざはおいぢぐないよおおおおおぉぉぉぉぉ!!??」 れみりゃが伸ばす手から間一髪で逃れて、巣穴の奥へと逃げ込もうとするまりさ。 しかし、その退路を……空気を吸い込んでぷくぅっと膨れたれいむが塞いでしまった。 「ゆっ!?なにをするの!?ゆっくりたすけてね!!」 「あかちゃんにひどいことをいうまりさはゆっくりしね!!」 ぐいぐいとまりさが全体重をかけて奥へ進もうとしても、れいむの巨体を押し退けることはできない。 まさに、壁だった。れいむのお腹は、何者の侵入も許さない防壁だった。 「どぼぢでぞんなごどい゛う゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!??まりさのぴんちなんだよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!??」 れいむが苦しむ様を見て笑っていたときの面影は、もうなかった。 ただひたすら涙を流して、まりさは“壁”を退けるよう要求する。それでもれいむは、お腹を退かそうとはしなかった。 「もうおまえはれいむのまりさじゃないよ!!!れみりゃにたべられてあのよではんせいしてね!!!」 「いやだぁあああぁあっぁあぁ!!!だべられだぐないいいいぃぃいいぃぃ!!!!」 れいむの腹にすりすりと頬を擦りつける形で、なるべくれみりゃの手から逃れようとするまりさ。 ゆっくり同士の友情を確認する手段である“すりすり”だが、今のすりすりには何の気持ちよさも無かった。 ただ、逃げたいだけ。助かりたいだけ。そこには友情も愛情も無い。あるのは生への渇望だけだった。 「おねがいだよおおおぉ!!!あがぢゃんのごとわるぐいわないがらああぁあぁ!!!だがらだじゅげでねえええぇえ!!!」 「もうておくれだよ!!!ゆっくりたべられてしね!!!」 ぼよん!! お腹に力を込めて、れいむは腹部に張り付いているまりさを弾き飛ばした。 ぼてっぼてっと地面をバウンドするまりさ。ボールのように弾むまりさを、追いついてきたれみりゃが受け止めた。 「うー!!まんじゅうがころがってきたぞー!!たーべちゃーうぞー♪」 「ゆっくりやめてね!!まりざはおいぢぐないよ!?たべるならあっぢのれいむを――― 両手でまりさを掴みあげたれみりゃは、大きな口を開けてがぶっとまりさに噛り付いた。 「うげっ!?あぼっ!!?あろろろろろ!!?いびあいびあいばいいばいばいいいば!!??」 一気に身体の半分以上を失ったまりさは、正常な悲鳴すらあげる事が出来なかった。 片目を失い、口を半分失い、帽子を半分失い、餡子を半分失った。 大きな断面から餡子が漏れる暇も与えず、れみりゃは残り半分もぱくりと一気に口に放り込む。 「うー♪おいしかったぞー♪ぷっでぃーんよりおいしいぞー♪」 「おばおおあおおああおぁああぁぁあっぁあぁぁぁぁぁぁ――――― 意味を成さないまりさの悲鳴が、れみりゃの身体の中に吸い込まれていった。 「ゆっ!!ばかなまりさはあのよでゆっくりはんせいしてね!!」 まりさの最期を見届けたれいむは、満足した様子で巣の奥へと戻っていく。 素晴らしき饅頭思考。れいむは、まりさを襲った危機が自分に降りかかるとは……これっぽっちも考えていなかった。 「うー?あっちにでっかいまんじゅうがあるぞー?あれもたべるんだぞー!!」 「ゆっ!?どうしてこっちに゛ぐる゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!??」 デブれいむでは通り抜けられない穴も、成体れみりゃなら通り抜けられる。 巣の奥へと逃げ込んだれいむを追い、れみりゃも巣の奥へと入り込んでしまった。 「うー!!すごくでかいんだぞー!!これならおなかいっぱいたべられるんだぞ~♪」 「どぼぢでええぇぇえぇぇぇ!!??まりざをたべだの゛に゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 「あんなちいさいまんじゅうじゃ、ぜんぜんたりないんだぞ~♪う~♪」 一ヶ月近く巣の中に引き篭もっていたれいむが、まともに動けるわけが無く…… れいむは呆気なくれみりゃに捕まってしまった。れみりゃ相手では、巨体を生かして押し勝つことも難しいのだ。 「う~♪でっかいまんじゅうたべちゃうぞ~♪」 「うわぁあぁぁぁぁぁぁやめでねええぇぇぇええぇ!!!そごにはあがぢゃんがいるのおおおおおおぉぉぉぉ!!!」 れいむの腹を鷲づかみにしたれみりゃに向かって、れいむは涙を流して懇願する。 だが、その言葉はれみりゃの好奇心を刺激するだけで、何の役にも立たなかった。 「う~♪それならおなかからたべるんだぞ~♪あかちゃんおいしそうだぞ~♪」 「やめでねえええぇえぇぇ!!!!れいぶのあがぢゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 ずりずりと後ずさって、少しでもお腹の中の赤ちゃんをれみりゃから守ろうとする。 大粒の涙を流しながら助けを請うも、れみりゃの手を止めるには至らなかった。 れいむのお腹のど真ん中に両手を突っ込み、れみりゃは力を込めてその穴を両側に広げた。 びりびりと皮が破れて、その隙間からじんわりと餡子が漏れていく。 「いっぎゃあかかかあかかかああ!!!?いびびびあいあいあおいあおいおあ!!??」 生まれて初めての激痛だった。身体はれいむの制御下を離れ、痛みに反応して無秩序に微動する。 腹の中の餡子を抉られる痛みと、赤ちゃん達を蹂躙される悲しみに、れいむは涙を止める事が出来なかった。 れみりゃはニコニコ顔でれいむのお腹の中を覗き込み、お目当てのものを手探りで見つけようとする。 だが、どんなに探しても赤ちゃんらしきものは見つからない。 繰り返し餡子を穿り返しても、出てくるのは餡子だけ。 れみりゃが楽しみにしていた赤ちゃんゆっくりは、どこにも入っていなかった。 「う~!?あかちゃんなんていないんだぞー!!??うそつきはこうだぞ~!!??」 騙されたことに腹を立てたれみりゃは、大きく口を開けてれいむの目に噛り付いた。 ―――え?あかちゃんが……いない…って……うそ…だよね……? そんな思考が出来たのも、一瞬だけだった。れいむの餡子脳は、すぐにれみりゃの攻撃によって痛みに染まる。 れみりゃの怒りを買ったれいむは、それはそれは惨たらしい食われ方で、身体を失っていった。 赤ちゃんなど一匹もいないお腹はズタズタに引き裂かれ、目は勢い良く噛み千切られ、 「これはまじゅいからぽいするの!!」 と、リボンと髪の毛は乱暴に取り去られた。 身体の至る所を貪り食われ、命が絶えつつあっても……れいむは赤ちゃんの存在を信じて疑わなかった。 「あがぢゃんはぁ……れいぶのあぎゃだんは……いるんだよおおおぉぉ……」 「う~?またうそをついてるぞ~?うそつきはどろぼうのはじまりだぞ~!!」 がぶがぶと美味しそうに、れみりゃはれいむの身体を噛み砕いて呑み込んでいく。 餡子を失い、痛みすら感知できず、正常な思考すら困難になっても、れいむはただ赤ちゃんのことだけを考え続けた。 れいむは、たくさんの赤ちゃんとゆっくりしたかっただけなのに…… どうしてれいむと赤ちゃんがこんな目に遭うの!?どうして!?もっとゆっくりさせてよ!! ごめんね…れいむの赤ちゃん……ゆっくりさせてあげられなくて、ごめんねぇ!!! 「あが…ぢゃん……ごべん……ね…」 「う~♪あまあま~♪」 最後の一口が、れみりゃの口の中に放り込まれた。 「う~♪おいしかったぞ~!!まんぷくなんだぞ~♪♪れみ☆りゃ☆う~♪」 デブれいむを食べつくしたれみりゃは、よくわからない呪いのポーズをとって満足げな笑顔を浮かべる。 お腹がいっぱいになったので、今日はごーまがん(という名の巣穴)に帰って眠ろう……と、巣穴から出ようとしたのだが。 「う!?でれないんだぞー!?おかしいんだぞぉー!!??」 巣穴から出られなかったデブれいむを、残さず食ったれみりゃ。 デブれいむ一匹分の餡子が収まったれみりゃのお腹は、小さな巣穴に見事に引っかかってしまったのだ。 「うああああああぁぁぁぁぁ!!!ざぐやああぁぁぁぁぁ!!!れびりゃをだじゅげでええええええ!!!!」 誰かを呼んでいるようだが、こうも発音が不明瞭では誰も聞き取れないだろう。 巣から脱出する手段が思いつかないれみりゃは、ゆっくりと待つことになった。 「ざあああああぐううううううやああああぁぁぁぁあぁぁ!!!!!」 飢え死にするか、ゆっくりふらんに食われるか。二つに一つ。 れみりゃは、とてもゆっくりできない最期を、待つことになった。 (終) あとがき ゆっくり虐待52(実質:ゆっくり虐待スレ53)の582,589あたりから強烈な電波を受信して。 良い子は、想像妊娠なんかしちゃダメですよ! 結末はいろいろ考えたけど、腹切り開いて「中に誰もいませんよ」をやりたかったので、れみりゃにご登場願いました。 れいむ餓死エンドは、話が相当長くなりそうだったので止めました。 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/2192.html
※この作品はれみりゃとお兄さんシリーズの世界観です ※ゆっくりがいじめられてしまう描写があります ※この作品はフィクションであり、実在の人物及び団体とは一切関係ありません お姉さんシリーズ第二弾です。 こちらを読む前に、出来れば前作のれみりゃとお兄さんの出会い(裏)をお読みいただきたいと思います。 ↓大丈夫ならどうぞ れみりゃのはじめてのぱたぱた 「うっう~♪」 私の隣をれみりゃが嬉しそうに歩いている。 うん、今日も満面の笑顔だ。 本当は手をつないで歩きたいが、そうすると私は屈まなければいけない。 無念だ。 「うぁうぁ♪」 今日も良い天気だった。 「うっう~♪こうえんについたっぞぉ♪」 目的地である公園に着いた途端、れみりゃが私の目の前で踊り出す。 手をフリフリ、頭をフリフリ、お尻もフリフリ。 やばい、涎が出てきた。 踊っているれみりゃを見ていると抱きしめたくなってくるが、そうするとれみりゃを怒らせてしまう。 踊りの邪魔をしてはいけないようだ。 無念だ。 「うっう~♪うぁうぁ♪」 れみりゃの踊りを黙って見守ることにする。 これを毎日でも見ていたいが、私は明日帰らなければいけない。 明日で有給休暇が終わってしまうからだ。 弟やれみりゃと過ごしているうちに、れみりゃを連れて帰りたくなることは何度もあった。 しかし、同時に親れみりゃの死体をどうしても思い出してしまう。 あの時は私が原因だとしか思えなかった。 …今では…どうなんだろう。 もしかしたら、私がゆっくりの死体を見たくないだけかもしれない。 れみりゃと一緒に暮らして、れみりゃが死んでしまうところを見たくないだけなのかもしれない。 私にも自分のことがよく分からなかった。 「れみ!りゃ!う~!!!」 くだらないことを考えているうちにれみりゃの踊りが終わってしまった。 思考に現を抜かしれみりゃの踊りを見逃してしまった。 無念だ。 後でれみりゃにもう一度踊ってもらおう。 …が、今はそれよりもやることがあった。 「れみりゃ、始めましょうか?」 「うっう~♪れみぃがんばるぞぉ♪」 「今日はどうするの?最初から一人でやるの?」 「れみぃだけでがんばってみるぞぉ♪」 無念だ。 あの小さくて可愛い翼を今日も触りたかったのに、 後でこっそり触るか。 …ちなみにこれから何を始めるかと言うと… …見ていればすぐにわかるか。 「う~!!」 れみりゃの気合の入った叫びと共に、背中の小さく黒い翼が動き始める。 ゆっくりと、しかしその動きも少しずつ速くなってくる。 「頑張って!れみりゃ!」 私は声援を送る。 いや、それしか出来なかったという方が正しいか。 「う~!!」 その叫びと共にれみりゃの体が浮く。 少しではあるが、確実にその体は宙に浮いていた。 「…やった!れみりゃ!飛んでるよ!」 「う~!!う~!!」 れみりゃは必死に翼を動かす。 その高度を3m程度まで上げることに成功する。 まさかここまで上がるとは思わなかった。 「う~…れみぃ…つかれ…ぞぉ…」 しかし、その高度も段々下がってくる。 滞空は出来るが、まだまだ飛行というところまでは行かなかった。 しかし、産まれて一週間程で、しかも親の助けも借りずにやったのだから十分凄い話だと思う。 ちなみに、れみりゃが飛行訓練をやっているのは弟には内緒だ。 だから、これをやるのは弟が大学に出かけている間だ。 特に理由はないが…まあ、驚かせてやることくらいはできるかもしれない。 「う~…」 そして、れみりゃの可愛い靴が地面に辿り着く。 それと同時に私はれみりゃの元へ駆けだす。 何をするかって? 勿論れみりゃを抱きしめる。 当然の話だ。 「れみりゃ~頑張ったね~偉いよ~」 「う~?れみぃえらいえらい~?」 「うんうん!れみりゃはとっても頑張ってるよ~!ゆっくり出来てるよ~!」 「うっう~♪れみぃほめられちゃったぞぉ♪うっれしいぞぉ♪」 私はれみりゃの全身を持ち上げ、頭を帽子の上から撫でまわす。 たまにはれみりゃの頭を直に撫でまわしたいが、れみりゃは帽子を取られると泣いてしまう。 まあ、泣き顔を見るのも悪くないのだが…たまに怒ってしまうこともあるから迂闊にはできない。 その怒った顔を見るのも悪くないが、口を聞いてもらえないのはさすがに堪える。 だからやらない。 無念だ。 まあ、それは良いとして… れみりゃが飛行訓練を始めたのは数日前に遡る。 本当ならば飛行というものは親から教えてもらうものなんだろうが…。 れみりゃの親は…私達の目の前で死んでしまった。 だから、私が手伝ってあげる必要があった。 数日前の話だ。 弟が大学に行っている時間の話だ。 私はれみりゃにある提案をしてみたのだった。 「れみりゃ、そろそろ飛んでみない?」 「…う~?とんでってなんだぞぉ?」 突然の私の提案にれみりゃは不思議そうな顔をする。 予想通りれみりゃは気付いていなかった。 自身が飛行できることに。 恐らく、自身の翼も今まで何に使用するのかも理解できていなかったのだろう。 「え~っとねぇ…れみりゃのその黒くて可愛い羽根さんを動かしてぱぁ~たぱぁ~たって飛ぶんだよ」 「う~?ぱぁ~たぱぁ~た…なのぉ?」 れみりゃは今までは飛行する必要性はなかった。 いや、もしかしたらこれからも必要がないのかもしれない。 それでも私はれみりゃに飛んで欲しかった。 れみりゃの本来の姿が見たかった。 れみりゃがれみりゃらしく生きることが…あの親れみりゃの願いだったと思うから。 「う~?」 れみりゃは自身の翼をその柔らかそうな手で触りながら不思議そうな顔をしている。 恐らく、動かそうとしても動かないのだろう。 やはり私が手伝ってあげる必要があった。 あの親れみりゃが生きていたら、どういう方法で飛行のやり方を教えるのかを考えてみる。 う~ん…。 私は考える。 やはり感覚から叩きこむ方が良いのだろうか。 私はれみりゃの背後に回り込み、れみりゃの黒く小さく可愛い翼に触ってみる。 れみりゃの翼はひらひらとしていたが、やはり暖かかった。 これは…ずっと触っていたくなってくる。 … 失敬。 ちょっと涎が出た。 「ティッシュ、ティッシュ…と」 私は一度れみりゃの翼から手を離し、手近にあったティッシュを一枚掴み、口元を拭く。 ちなみに私はハンカチなんて高尚なものは持ち合わせていない。 理由は簡単。 面倒だから。 ハンカチなんてハンカチ落としくらいにしか使った記憶がない。 親には「あんたは女の子なんだから」と何度も言われたが、ハンカチと女が関係あるのだろうか? 社会人になった今でもハンカチなど持ち歩いてはいなかった。 まあ、それはどうでもいい。 私はれみりゃの黒く小さく可愛い翼を再び掴む。 … やばい、また涎が出てきた。 「ティッシュ、ティッシュ…」 「う~?おね~さんなにしてるのぉ?」 …本当に私は何をしているのだろうか。 無限ループって恐い。 れみりゃが私の顔を不思議そうな顔で見ている。 そんなに見つめないでほしい。 食べたくなってしまうじゃないか! 性的な意味で。 そうだ、れみりゃが可愛過ぎるのが悪いのだ。 れみりゃが私を魅了するから悪いのだ。 私は悪くねぇ!私は悪くねぇ! 「う~?」 れみりゃが頭を抱える私を不審そうな眼で見ている。 …早く始めるか。 あまりれみりゃを待たせる訳にはいかない。 れみりゃの可愛さを考えるのはいつだって出来る。 今はれみりゃにその翼の意味を教えるのが先だ。 私は三度れみりゃの黒く小さく可愛い翼を掴む。 鼻血と涎が出そうになるが我慢だ。 これ以上グダグダな展開にする訳にはいかない。 私はれみりゃの翼を掴んだままの手をゆっくりと左右に振る。 「これがぱぁ~たぱぁ~た、よ。わかる?れみりゃ」 「う~?これがぱぁ~たぱぁ~た…なのぉ?」 「そうだよれみりゃ。この感覚を忘れないで」 「う~」 私はれみりゃの翼をゆっくりと動かし続ける。 自分で動かせるようになるまでは補助してやるべきだろう。 しばらく左右に動かしていると、れみりゃの翼がにわかに震えだした。 これは…れみりゃが翼を動かし始めている。 自分の意思で。 「れみりゃ。頑張って!動いているよ!動いているから!」 「う~!!う~!!」 れみりゃの翼は震えたままだ。 しかし、その震えは小刻みに早くなっていく。 あともう少しだ。 もう少しで…れみりゃの翼が動き出す。 れみりゃ自身の意思で。 「う~!!」 れみりゃの必死な叫び。 それと同時に、翼を掴んでいた指先に違和感を感じる。 これは…勝手に動いている? 私は翼から手を離す。 それでも、それでも翼はゆっくりと、しかし確実に動いていた。 「…やった!!」 「う~!!う~!!」 私の歓喜の叫びとれみりゃの必死な叫びが交差する。 れみりゃは…自分で自分の翼を動かせたのだ。 まだ飛ぶには至らない速度ではあるが。 「れみりゃ!そのまま動かし続けて!その感覚を忘れないで!」 「う~!!う~…!つか…れ…ぞぉ…」 れみりゃの翼の動きは徐々に小さくなる。 そしてやがて完全に止まってしまった。 翼を動かしたのはこれが生まれて初めてだったのだ。 疲れるのも当然だろう。 「れみりゃ!やったね!」 「うあっ!?」 私はれみりゃの背中に抱きつく。 れみりゃの驚きの声が聞こえるが気にしない。 れみりゃは相変わらず柔らかくて暖かかった。 私は嬉しかった。 れみりゃがわずかにだが確実に成長したことに。 親れみりゃが見ていればきっと喜んでくれたであろう。 そして… 「ふふふ…ふにふに…ふかふか…」 「うぁぁ!?なんかきもちわるいぞぉぉぉ!?」 私はれみりゃの背中に顔を埋め、首を左右に振る。 暖かくて柔らかくて肉まん臭くて…とてもゆっくり出来た。 ん? なんか鼻の奥が…鉄臭くなってきたような…? 一度れみりゃの背中から顔を離す。 先程まで私が顔を埋めていた部分に紅い液体が…? これは…まさか…? 私がそれが何かを認識した途端… 「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」 私の鼻から紅い液体が噴水のように飛び出した。 まさか… 「うぁぁぁぁぁぁ!?れみぃのかりしゅまなおようふくがぁぁぁぁぁぁ!?」 こんな… 「まっかっかになっちゃったぞぉぉぉぉ!!!」 ベタな展開になるとは… 「うぁぁぁぁぁ!!れみぃのはねさんもぉぉぉぉぉぉ!?」 目の前には服と翼を真っ赤にしながら泣き叫ぶれみりゃ。 ああ、れみりゃの洋服と翼が私の鼻血と合体してしまった。 私は背徳感と満足感を何故か感じながら… 「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!れみぃのおようふくとはねさんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 意識を失ったのだった。 意識を取り戻した後、れみりゃの機嫌をとるのは大変だった。 鼻血が付いたれみりゃの服を強引に脱がし、れみりゃの服を洗濯に入れたのだから。 れみりゃが怒るのも無理はないだろう。 しかし、私にドロワーズ一丁の姿を見せながら顔を真っ赤にして恥ずかしがるれみりゃは非常に可愛かった。 今でもあの姿を思い出すと興奮してしまう。 れみりゃ万歳!おぜうさま万歳! … …ふぅ。 ちなみに、翼に付いた鼻血はウェットティッシュで拭けば何とか取ることが出来た。 あの時はさすがに焦ったが、結果オーライって奴だろう。 ん?使い方が違う? … まあいいや。 話を戻すが、れみりゃは翼の扱いをみるみる上達させていった。 やはり感覚を最初に叩きこんだのが良かったのだろう。 次の日にはなんと自身の身体をその翼で滞空することが出来るようになった。 そしてれみりゃが翼を動かし始めてから3日目。 私とれみりゃは公園まで出かけるようにした。 部屋の中はやはり狭い。 れみりゃも広々とした場所の方が翼を動かしやすいと思ったからだ。 まだ飛行する、とまでは行かなかったが、滞空時間は2日目より伸ばすことが出来た。 高度も私の身長と変わらない程度まで上げることが出来た。 そして、それが昨日の話だ。 今日はれみりゃが翼を動かし始めてから4日目。 れみりゃはもう私の手助けなしに翼を動かせる。 それが私にはとても嬉しかった。 まさかここまで成長が早いとは思わなかったが。 「う~♪う~♪きょうはおに~さんにもぉ♪れみぃのぱぁ~たぱぁ~たをみせてあげるんだぞぉ♪」 私の腕の中にいるれみりゃが嬉しそうな声を上げる。 そう、私達は今日、弟にもれみりゃの飛行している姿を見せようと思っていたのだ。 今は弟は大学に行っている時間だ。 あと10分くらいしたら大学の授業が終わる時間だ。 その時間になったらメールをしてこの公園に来てもらうつもりだった。 「そうだね~♪お兄さん驚くよ~♪」 「うっう~♪おにいさんはぁ♪れみぃのぱぁ~たぱぁ~たでゆっくりできるかなぁ♪」 「間違いないよ!自信を持って!」 「うぁうぁ♪ありがとねぇ~ん♪」 れみりゃは私の腕の中で嬉しそうに両手を頭上に上げる。 恐らくバンザイのつもりだろう。 これも私が教えたものだ。 … バンザイをするれみりゃ…可愛過ぎる…。 「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」 ん? れみりゃの叫び声が聞こえる? 私はれみりゃの様子を見ようと視線を下に向ける。 そこには… 「うぁぁぁぁぁぁぁ!?なにこれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」 私の鼻からいつの間にか血が滴り落ちていたようだ。 幸いれみりゃの身体にはかからなかったが、れみりゃは大層驚いたようだ。 「またまっかっかだぞぉぉぉぉぉぉぉ!?」 驚くれみりゃもやっぱり可愛かった。 「…ふぅ」 私は今、水飲み場にいる。 手に鼻血が付いてしまった。 さすがにこんな手でれみりゃに触る訳にはいかない。 この公園に来るまで歩いたことと、先程まで翼を動かしていたことで、れみりゃもかなり疲れてしまっていたようだった。 れみりゃにはベンチで休んでもらっている。 短時間であるし大丈夫だろう。 よし、綺麗になった。 服に鼻血が付かなくてよかった。 さて、そろそろ弟の授業が終わる時間だ。 ぼちぼちメールを… 「うぁぁぁぁぁぁぁぁん!!やめでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 !? 今の悲鳴は…? まさか!? 私はれみりゃの方へと振り返る。 この公園はそれほど広くはない。 端から端まで見渡すことが出来る。 「…!!」 私は走る。 先程までれみりゃがいたベンチには… 複数の少年が群がっていた。 「こらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 私はれみりゃの方へ走りながら大声で叫ぶ。 このクソガキ共はれみりゃに何をしていると言うのか。 「うわっ!?」 「なんだあのオバサン!?」 「誰がオバサンだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 私はまだ20代前半だ! オバサンと呼ばれる年齢では決してない! 「に、逃げろぉぉ!!」 「ま、待ってよぉぉぉ!!!」 クソガキ共が逃げ始める。 はっきり言ってこんなクソガキ共はどうでもいい。 れみりゃの無事が確認できればそれで良い。 クソガキ共が散らばると、その中心にいたれみりゃの姿も見えた。 れみりゃはベンチの上で頭を抱え込んだ状態のまま震えていた。 「れみりゃ!!」 私はれみりゃの全身を持ち上げる。 「うっ…うっ…いだいぞぉ…」 れみりゃの泣き顔が視界に入る。 頬のところにいくつか手の平形の痣が出来ていた。 恐らくここが先程のクソガキ共にやられたところだろう。 …大丈夫だ、中身は出ていない。 れみりゃの中身は肉だ。 中身が餡子のゆっくりよりも頑丈だ。 れみりゃの帽子を一度取り、頭も確認したが大丈夫そうだった。 「もう大丈夫だから…大丈夫だからね…」 私はれみりゃを抱きしめる。 れみりゃが安心できるように。 「うっ…うっ…うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」 れみりゃが大声を上げて泣き出した。 気が済むまで泣いてほしい。 そして、また私の前でゆっくりしてほしい。 私が今望むのはそれだけだった。 「あ…あのぉ…」 ん? 背後から声を掛けられ振り返る。 そこには…先程のクソガキ共の一人がいた。 それを認識すると私の機嫌が急降下してしまう。 何をしているんだろうか。 さっさと視界から消えてほしい。 「…なに?」 「ひっ…!!」 返事をしただけだと言うのに怯えるとは何て失礼な奴だ。 と、思っていたら…少年の顔が歪みだした。 これは…泣いているのか? 「ご、ごめんなさい!そ、その子を叩いちゃったの僕なんだ!本当はやりたくなかった!ごめんなさい!」 「…は?」 クソガキ…もとい少年はそれだけを言って泣きだした。 いや、ちょっと待て。 これでは私が何かやったみたいではないか。 「「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 どう収拾を付ければいいのだろうか。 私は2人が泣きやむのを黙って見ているしかなかった。 「ひっく…ひっく…ごめんなさい…」 「君は…どうしてこんなことをやったのかな?」 少年が少し落ち着いてきたところを見計らって私から話しかける。 私も少し落ち着いてきた。 出来るだけ優しく話しかける。 「僕…僕だって…やりたくなかった!でも!あいつらが!クラスメイトが!そのゆっくりを殴れって!!」 「…え?」 これは本当のことを言っているのだろうか。 …いや、多分本当だろう。 自主的に殴ったのなら、こうやって私の元へ残って謝る必要などない。 他のクソガキと一緒に逃げているはずなのだ。 「じゃあ…れみりゃに謝って。悪いことをしていると思うのなられみりゃに謝って」 この少年が言っていることが本当であろうと嘘であろうとれみりゃを叩いたことには間違いない。 どちらにせよ謝らせるべきだろう。 私はその場にしゃがみ、まだ私の服にしがみついているれみりゃと少年の顔の高さを合わせる。 まあ、れみりゃは未だに私の服に顔を埋めたまま泣いているのだけれど。 「ごめんね…痛かったよね…ごめんね…」 「う~っ…う~っ…」 少年がれみりゃに向かって謝る。 一方のれみりゃは服に顔を埋めたままいやいやと首を振る。 自分を叩いた人間の顔など見たくもないと言うことなのだろうか。 まあ、れみりゃがそれを望むのならそれでいいだろう。 それより少年に聞きたい事があった。 「他のクソガ…もとい、クラスメイトに無理矢理やらされたって?」 「うん…あそこにゆっくりがいるから叩けって…」 … 「どうして?」 「え?」 少年は私の言葉にきょとんとした顔をする。 「れみりゃは…いえ、ゆっくりは何故いるだけで叩かれるの?ゆっくりが君達に何をしたの?」 私が以前から子供に聞いてみたかった言葉。 子供がゆっくりを虐める光景は珍しくはない。 彼らが何故ゆっくりを虐めるのかは何となくわかる。 恐らく、『それは悪いことではないから』ということなのだろう。 それでも子供の口から直接聞きたかった。 「それは…」 少年は言いにくそうにしている。 しかし、私の顔を見据えて強い口調で話し始める。 「僕の学校では…ゆっくり退治が流行ってるの」 「…ゆっくり退治?」 「うん、ゆっくり退治」 …物騒な言葉だ。 その言葉を聞くだけでどのようなことをするのかはわかる。 しかし、私はその行為の内容を聞きたいのではない。 何故そうするのかを聞きたかった。 「君達は…ゆっくり退治をして…何かいいことあるの?」 「…ゆっくり退治をすれば…クラスの中でヒーローになれるんだ」 …なんてことだ。 子供達がゆっくりを虐めることに罪悪感を抱かないと言うことは予想出来ていた。 しかし、まさかゆっくりを虐める行為自体を正しいことだと思っているとは。 そのようなことが広まってしまっては、元々ゆっくりに興味がなかった子にもゆっくり虐めが広がってしまってもおかしくはない。 彼らにとってのゆっくりはロールプレイングゲームの中に出てくるモンスターみたいなものなのだろう。 事態は私が考えていたよりも深刻だったようだ。 「…ふぅ」 思わず溜息が出る。 ゆっくりを虐めれば勇者になれるということか。 子供が考えそうなことだ。 胸糞が悪い。 「わかった…それで、君も?」 「ぼ、僕はやりたくなかったんだ!でも…でも…やらないと…僕は…皆から…」 …そうか。 クラスメイトのほとんど…いや、彼一人を除いてゆっくりを虐めていた可能性が高い。 ゆっくりを虐めないとクラスから孤立してしまうと言うことか。 孤立することは誰だって怖い。 この少年にそれを断われと言うのも酷な話なのだろう。 勿論だからと言って、れみりゃ…いや、ゆっくりを叩いていい訳ではないが。 「ねえ、君は…ゆっくりを叩いたりするのはこれが初めて?」 「え?あ、うん。そ、そうだよ!ゆっくりってそんなおかしなものじゃないと思うし!」 少年は慌てた調子で私の問いに答える。 恐らく嘘は言っていないだろう。 ここまで教えてくれた少年の言うことを信じたかったし、それに何より彼の瞳がそれが真実だと言うことを語っていた。 「…わかった…じゃあ、これからは出来る限りゆっくりを虐めないであげて」 「え、あ、うん!」 本当は可愛がってあげてと言いたかったが、さすがにそれは酷なのかもしれない。 もしゆっくりを可愛がっているところをクラスメイトに見られたら…彼はクラスの中で孤立してしまうだろう。 この少年にこれ以上何かをさせるのは酷だろう。 この少年には何も出来やしない。 大人がやらなければいけないことなのだ。 ゆっくり達の扱いの…改善を。 「じゃあもう行っていいよ。色々お話聞かせてくれてありがとう」 「あ、ううん!こちらこそごめんね!じゃあね!」 少年はそう言って走り去っていく。 そうして、その場には私と私の服にしがみついたまま泣き続けているれみりゃだけが残された。 憂鬱な気分になる。 ゆっくりを虐めれば何がヒーローだ、バカバカしい。 しかし、全ての子供を一人一人捕まえて説教をするのも無理がある。 どこか大きなところで変える必要があるのだろう。 ゆっくりの扱いを。 …私には何か出来ないだろうか。 「う~…う~…もういったぁ…?」 「ん?」 れみりゃが私の顔を不安そうに見上げていた。 その瞳には怯えの色が宿っている。 そうか、自分を叩いた少年が恐かったのか。 そのことに気付かなかった自分に腹が立つ。 「うん、もう行ったよ。もう大丈夫だからね」 「う、う~♪」 私が笑顔で話しかけると、れみりゃも笑顔で返してくれる。 涙は止まったようだった。 「こわいこわいはぽぉ~いだっぞぉ♪」 とはいえ、そろそろ腕が疲れてきた。 れみりゃが如何に軽いとは言え、長時間持ち続けるのもあまり腕によろしくない。 私はベンチの上にれみりゃを下ろす。 「うっう~♪うぁうぁ♪」 れみりゃはベンチの上で踊り始める。 私も…弟も…この笑顔を守っていかなくてはいけない。 しかし、れみりゃがこの笑顔を続けて行くにはこの世はあまりにも非情過ぎる。 このままではいつまた先程のような出来事に巻き込まれるかわからない。 私にも何かできないだろうか。 れみりゃだけではなく、この世のゆっくりの扱いを改善させる為に何かできないだろうか。 法律など待ってはいられない。 一刻も早く動きたかった。 しかし、どう動けばいいのだろう。 「うっう~♪おにいさんにぃ♪れみぃのぱぁ~たぱぁ~たをみせるんだぞぉ♪」 しまった、そのことをすっかり忘れていた。 左腕の腕時計を見る。 時刻はすでに弟の授業時間を過ぎてしまっていた。 もう帰宅しているかもしれない。 …どうするか。 「れみりゃ、弟君呼ぶ?それとも帰る?もう弟君の授業が終わる時間だけど」 一応れみりゃに確認する。 れみりゃはやる気満々にしか見えなかったが。 「う~♪おにいさんにもぉ♪れみぃのぱぁ~たぱぁ~たみせたいぞぉ♪」 そのような可愛らしい笑顔で言われてはこちらは何も言えない。 私は上着のポケットから携帯を取り出す。 「じゃあ…弟君呼ぶね」 「うっう~♪よろしくねぇ~ん♪」 私はメールの本文を書きこむ。 私はあまりメールというものが得意ではない。 どうせ相手は弟だ。 簡潔で良いだろう。 『今すぐ近くの公園に来てね お姉さんより』 これでいいだろう。 そうしたら弟も間もなくここにやってくる。 「うっう~♪うぁうぁ♪」 れみりゃが私の目の前で再び踊り出す。 その踊りは私を非常にゆっくりさせてくれた。 私に何が出来るのか分からない。 しかし…誰かが始めなければ誰もやらないだろう。 ならば私が先駆者になってやろう。 ゆっくりの扱いを改善する為に。 私はれみりゃの踊りを眺めながらこれからのことを考え始めた…。 後書 どうもお久しぶりです。 最近書く為の時間がなかなかとれなくて…間が空いてしまい申し訳ございません。 このシリーズは、れみりゃと一緒にゆっくりするお兄さんとつらい現実に立ち向かうお姉さんという対比になっております。 大人なれみりゃとちょっと子供なお兄さんでは、すでに人間にとってのゆっくりの扱いは改善されておりますので、バッドエンドということはありえないと思います。 いつ完結できるか分かりませんが、読んでいただけると幸いです。 最後に、これのお兄さんサイドの話を当初予定しておりましたが断念。 何故かというと、ちびりゃのはじめてのぱたぱたと完全に展開が被ってしまうからです。 ですので、そちらはおまけということで用意させていただきました。 短い上に相変わらずクオリティは低いですが、お読みいただけたら幸いです。 お姉さん≒十六夜咲夜・・・? -- 名無しさん (2011-02-05 02 59 58) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/251.html
ゆっくりるーみあ 「なのかー」 夕闇の空のなかゆっくりるーみあが空を飛んでいた。 美しい金髪、紅く燃える瞳、ゆっくり種の中でも段違いに白く美しい肌。 ゆっくりるーみあは肉食種であるが、基本的にのんびりとしていて実にゆっくりらしい性格である。 「わはー」 笑顔ではねるゆっくりるーみあ。 宵闇ゆっくりとも言われるゆっくりるーみあにとって夕闇の時間帯は一番心躍る時間帯であるのだ。 これから来る楽しくて心地の良い夜。 西の空を眺めながら完全な日没を心待ちにしている。 地面にうつるゆっくりるーみあの影が徐々に長くなっていく。 辺りは暗さを増し、徐々に徐々にと闇が支配していった。 今夜は雲一つ無い美しい夜である。 月の蒼い光に美しい肌と金髪が生える。 さほどお腹が空いていなかったため原っぱでゆっくりと月光浴をすることにしたゆっくりるーみあ。 「きょうは満月なのかー」 紅い瞳が楽しそうに気持ち良さそうに笑う。 ゆっくりるーみあにとってここまで心地の良い夜も久しぶりだった。 ゆっくりるーみあが時を忘れ月光浴を楽しんでいると、月に黒いシルエットが横切る。 一つ、二つ、三つ、四つ。 「とりなのかー」 ゆっくりるーみあは小型の鳥も食べる。 もし捕食できるサイズだったら晩飯でもいいなと思いながらゆっくりと眺めていると、 影がこちらへと近づいてきた。 宵闇ゆっくりであるゆっくりるーみあは夜目が利く。 長く伸びた牙、奇妙な形の翼。 近づいてくるそれらがゆっくりフランであることに気づく。 「危険なのかー」 ゆっくりるーみあも肉食種であるが、同じ肉食種の、れみりゃ、フランに比べると段違いにゆっくりるーみあは弱い。 下手をすればゆっくり霊夢の群れに負ける程である。 慌てて逃げ始めるゆっくりるーみあ。 相手は肉食種最強の四匹のゆっくりフランである。 当然るーみあに勝ち目は無い。 飛び出すものの、その速度は実にゆっくりで、高スピード、高攻撃力が売りのアサルトゆっくりの異名をもつゆっくりフランから逃げ切れるはずは無い。 「ゆっくりしね!!」 上の方から叩きつけられ、錐揉み回転しながら落ちていくゆっくりるーみあ。 「やーーー、なっ!!」 鈍い音をだして叩きつけられるゆっくりるーみあ。 他のゆっくりよりも頑丈なため一命は取り留めるもののダメージは大きい。 「もうだめなのかー」 ゆっくりるーみあはもう諦めていた。 この四匹のゆっくりフラン達に食い裂かれるのだ。 ゆっくりフラン達が近づいてくる。 「うー、うー」 それぞれ楽しそうに声を上げるゆっくりフラン。 「いだぁあ!!」 ゆっくりフランがゆっくりるーみあの背中に噛み付き引きずっていく。 「うー、うー」 刺すような痛みの中捕食される恐怖に震えるるーみあ。 四匹のゆっくりフランがゆっくりるーみあを取り囲む。 ゆっくりるーみあにとっては本当に恐怖である。 「うー、うー」 首狩族のようにゆっくりるーみあの周りで声を上げながら反応を楽しむゆっくりフラン。 ゆっくりフラン、その性格が残虐と言われるのは、獲物を捕食前に甚振るのが所以である。 嗜虐心を煽るゆっくりるーみあのその様子はゆっくりフランにとって何よりのご馳走だった。 突然、ゆっくりるーみあの体に衝撃が走る。 「飛ばされるのかー」 そのまま地面に落ちころころと転がる。 「うー」 ゆっくりフランが転がってきたゆっくりるーみあに体当たりを加える。 「また飛ばされるのかー」 再び宙に舞うゆっくりるーみあ。 蹴鞠のように弄ばれるゆっくりるーみあ。 「うー、うー」 「ゆっくり死ね、ゆっくり死ね」 歓喜の声をあげるゆっくりフランとは対照に擦り傷を増やし、声をか細くしていくるーみあ。 「やめてー」 もういっその事一思いに食べて欲しかった。 残酷なゆっくりフランの仕打ちに心身ともに甚振られていく。 残酷な蹴鞠はしばらく続き、もうゆっくりるーみあは傷だらけで偶に声をあげる程になっていた。 これで仕上げとばかりに大木に向かって一匹のゆっくりフランが大木に当たるよう目一杯体当たりをする。 「ゆっくりしね!!」 渾身の体当たりを受け飛んでいくゆっくりるーみあ。 薄れ行く景色のしかしの中で迫ってくる大木が見えた。 「も、もうだめなのかー」 その様子を楽しげに見守るゆっくりフランたち。 そのとき、突然突風が吹いた。 ゆっくりるーみあは突風にその進路を変えられ、木の枝に一度引っかかったあと墜落した。 仕損じた。 その様子を見て、落下地点へと駆け寄るフランたち。 どうやら茂みに落ちたらしいが、直ぐに場所の見当が付いた。 ゆっくりるーみあがつけていたと思われる真っ赤なリボンが茂みに引っかかっていたからである。 「うー、うー」 それを見つけ仲間達を呼び寄せる。 もう、逃げる体力はあるまい、そう踏んで余裕たっぷりに茂みに集まる四匹のゆっくりフラン。 みな、にやにやしながらこれからの残酷な宴の想像をしていた。 突然茂みから黒い影が猛スピードで飛び出す。 「うーーーーーーー!!」 ゆっくりフランのうちの一匹が大きな悲鳴を上げた。 仲間達が悲鳴の先を見ると、リボンが外れたゆっくりるーみあがフランに喰らい付いている。 「がっ、がっ」 何故弱小種であるはずのゆっくりるーみあが仲間を? 三匹のゆっくりフラン達が呆然としている間に、ゆっくりるーみあがゆっくりフランの頬を噛み切った。 「うーーーーーっ!!」 今まで外敵に攻撃など受けたことの無いゆっくりフランである。 大きな混乱に包まれていた。 口の端から餡子を漏らしながら美味しそうに咀嚼するるーみあ。 仲間が固まっているうちに、震えるばかりのゆっくりフランに噛み付いては、引きちぎり、噛み付いては引きちぎり。 もうゆっくりフランは見る影も無く、皮と餡子の塊に成れ果てていた。 「ゆっくりしてくのかー」 先ほどとは別ゆっくりのような様子のゆっくりるーみあに突進していく一匹のゆっくりフラン。 このゆっくりフランはゆっくりるーみあに同胞が負けたのは奇襲のせいだと踏んだのだ。 遺されたフランたちは判断を誤った。 「うーーー」 一直線にゆっくりるーみあに向かっていくゆっくりフラン。 衝突すると思った次の瞬間。 「うっ!!」 ゆっくりるーみあは消え冷たい土の感触。 「うっ!? うっ!?」 混乱しながら辺りを見回すゆっくりフラン。 そのとき上に気配を感じた。 「う?」 上を見上げたときにはもう遅い。 上空から自重と重力を利用して突っ込んでくるゆっくりるーみあ。 「ぶべぇ!!」 二匹目のゆっくりフランも醜く餡子を漏らし潰れた。 一瞬で最強種といっても過言ではないゆっくりフランを絶命させたゆっくりるーみあ。 「あわわわわわわ」 目を見開き、口を広げ震える二匹のフランに向き直るゆっくりるーみあ。 真っ赤に燃える瞳は地獄のよう。 普通のゆっくりるーみあとはもはや別種と言っていいほど、雰囲気が変わっていた。 ゆっくりるーみあには震えながら羽を広げる姿が十字架のように見えた。 「フランは磔にされました?」 そう笑い声を上げるゆっくりるーみあ。 ゆっくりフランが別々の方向へと逃げ出した。 「ううーー、うー」 そのゆっくりフランは全速力で夜の闇を飛んでいた。 理解できなかった。 なぜ弱小種であるるーみあにここまでフランたちが圧倒されたのか。 そのときゆっくりフランは初めて恐怖という感情を覚えた。 いままで、自分達に追い詰められた獲物は成す術も無く甚振られ死んでいった。 反撃を試みてくる種もいたが、全て一蹴にした。 なのになぜ、あいつは、あいつは。 「うーっ!!」 遠くから、同種のものと思われる悲鳴が聞こえた。 どうやら自分はターゲットにされなかったようだと、安堵のため息をつくゆっくりフラン。 自分は助かった。 当分は湖周辺に篭ろう。 そうだ、ゆっくりれみりゃたちを苛めて楽しく過ごせばいいのだ、 「なんで、逃げるの」 突然後ろから声がした。 忘れもしないあのゆっくりるーみあの残酷でよく通る冷たい声。 緊張で再びピーンと羽を広げるフラン。 くすくす、という笑い声の後 「フランは磔にされました」 それがゆっくりフランが聞いた最後の音であった。 ゆっくり大辞典:ゆっくりるーみあ 夜行性かつ肉食だが大概のるみーあ種はのんびりとした性格で ゆっくりを捕食するよりも小型動物や昆虫を食し、月夜の晩にゆっくりとしていることが多い。 しかし、頭部のリボンが外れた場合、運動能力が増し上位肉食種と拮抗して戦闘する事例も報告されている その日も綺麗な満月だった。 リボンをつけていないゆっくりるーみあは月光を浴びながら、原っぱで気持ち良さそうにゆっくりとしていた。 written by TAKATA
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/367.html
おれ設定込みです。 以前スレに出ていたネタ、絵を元ネタにしています。 「いいかめーりん、頼んだぞ」 「じゃおおおおん!!」 勢いよく答えたのはゆっくりめーりん 丈夫な肉体と「何かを守る」習性をもつゆっくり 「気をつけるんだぞ、腹が減ったら野菜を食べていいぞ」 「じゃおおおおん!!」 そう言って主人は人里へと出かけて行った。 小料理屋を営む弟の婚礼のため今日は夜まで戻らない。 その間この畑を戻るのがめーりんの仕事 「じゃおおおん!!」 柵の切れ間の門に立ち畑番の任務が始まった。 数時間後 「ZZZ…ZZzzz…」 堂々と午睡を取るゆっくりめーりん これさぼっているのではない。計画的休息である。 畑番という集中力と根気を要する任務をこなすためには この「しえすた」が必要なのだ。少なくともめーりんはそう考えている。 「う~!たーべちゃーうぞ~!!」 そこに飛来したのは「こーまかんのおぜうさま」ことゆっくりれみりゃ そのお目当ては 「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせ~♪」 「おいちいね!!」 御食事中のまりさの親子 少し前に「しえすた」中のめーりんに 「ゆっくりしていくね!!」と元気よく挨拶して入ってきた。 なおこの畑はゆっくり達に「めーりんのところ」という名で知られる 有名なゆっくりスポットであることを記しておく。 「た~べちゃ~うぞ~!!」 「ゆゆ!!ゆっくりにげてね!!」 「まりさはおいちくないよおお!!」 れみりゃから逃れるべく畑中を駆け回るまりさ親子 小石を蹴とばし畝に突っ込み猛烈な勢いで逃げていった。 「ZZZzzz…ZZzzz…」 この状況においても「しえすた」を続ける胆力の持主ゆっくりめーりん 畑番を任されるゆっくりは一味ちがうのだ。 「うっうー!!おーいしかったどぉー♪」 まりさ親子を平らげたらしく畑に戻ってくるゆっくりれみりゃ 次なるお目当ては 「ZZZzzz…zzz…」 皮の厚さに定評のあるゆっくりめーりん 計画的休息はいまだ続行中である。 「うあうあ♪あかあか♪」 めーりんをひょいっと持ち上げるれみりゃ 「じゃおっ!?」 この状況でついに覚醒したゆっくりめーりん 「じゃおおおおおおおおおおお ついにその実力が発揮 「う~!」 されなかった。平然とめーりんにかぶりついたれみりゃ だが様子がおかしい。 「んガ・が・がgがgg…」 肉まんフェイスを真っ赤に染めて悶えだす 「ghががdcgガg…」 「じゃお・・・??」 「がらいどおおぉおおおぉ!!じだがびりびりずるどぉおお!!」 めーりんの中身はぴりりと辛いピザまん、れみりゃには少々きつい 「ざぐやああぁ~!!ざぐやああぁ~!!」 そのまま飛び去っていくれみりゃ 「じゃおおおおん!!」 ゆっくりめーりん、勝利の瞬間である。 振り返れば自分以外が齧った痕のある野菜がいくつか目につくはずであるが 常に前を見続けるめーりんが気づくはずもない。 あるいは見てもわからないかもしれない。 ゆっくりめーりんが加工場で扱われないのは「皮が厚い分餡が少ないから」 丈夫な肉体に対しておつむのほうはさっぱりなのだ。 「皮の商品化に漕ぎ着ければあるいは…」というのがある加工場研究部員の談 「じゃおおおおおん!!」 悪辣なるれみりゃを撃退し意気軒昂なゆっくりめーりん たっぷりとった「しえすた」のおかげで疲れもない。 まさに気炎万丈といった様子 と、そこに近寄ってくる一匹のゆっくりまりさ 何やらにやついた笑みを浮かべている。 「めーりん!」 「じゃおおおん!!」 勢いよく返事をするめーりん 「きょうからここはまりさのゆっくりぷれいすだよ!!」 「じゃおっ!?」 「だからめーりんはでていってね!!」 いきなりやってきてとんでもないことを言うゆっくりまりさ 「じゃおおおおおん!!」 当然臨戦態勢にはいる激烈なるな闘争心の持主ゆっくりめーりん。 「とられるのがいやならこのまりさをたおしてね!!」 と叫んだまりさは 猛烈な勢いで逃げ始めた。 「じゃおっ?」 理解できない行動に困惑するめーりん たたかうはずなのになんでにげるの?うしろむきでたたかうの? この不測の事態に直面しためーりんは 「じゃおおおおおん!!!」 逃げるまりさを追いかけ始めた。攻撃は最大の防御である。 何か重要なことを忘れているような気もしたがめーりんには関係なかった。 まりさとめーりん 二匹の姿が見えなくなったころ 「むきゅ、うまくいったわね」 物陰から出てきたのはゆっくりぱちゅりーとその子供達 先ほどのまりさの家族である。 噂に名高い「めーりんのところ」に来てみたところ 「簡単に入れる」「邪魔するめーりんはいっつも寝てる」という噂に反して れみりゃを撃退するほどの実力者が番をしていた。 ここでぱちゅりーは一計を案じた。 その結果がこれである。 「むきゅ、みんなゆっくりしていくわよ。」 「「「ゆっくりちていくよ!!」」」 一方まりさを追跡するめーりんは岩だらけの川辺に来ていた。 追っていたまりさは先ほど見失った。 いったいどこへ…と辺りを見まわしためーりんは途轍もないものを目にした。 まりさが泳いでいる!! 「じゃ、じゃお!!??」 あの特徴的な帽子がすいーっと水面を流れていくのである。 帽子に乗って下っているのではないことにめーりんは驚愕した。 まさかまりさが泳ぐなんて!! 「じゃおお~ん!! 激烈なるな闘争心の持主ゆっくりめーりんは猛烈な勢いで追い始めた。 「ほんとうにあのめーりんはばかだね!!」 「むきゅ、かんたんにひっかかったわね」 しばらくのちの畑の会話 逃げたはずのまりさもそこにいる。 「あのぼうしのもちぬしのおかげだわ」 ゆっくりめーりんを撒くために使ったのは ここに来る途中で拾った帽子に小石を詰めたもの うまくやれば沈むことも転覆することもないいいおもちゃになる。 ゆっくりはお互いを帽子で識別する。 動く帽子の中に誰もいないことに気づくのはいつになるやら 「ばかはあつかいやすくてたすか…」 「むきゅ?どうしたの」 固まったまりさの視線の先に目を向けるぱちゅりー そこにいたのは 「う~!しかえしにきたどぉ~!」 「やられたままじゃこーまかんのめんつにかかわるどぉ~!」 数匹のゆっくりれみりゃ どうやら先ほどのれみりゃが姉妹を連れてきたらしい。 れみりゃには珍しい仲間意識の持ち主のようだ。 「う~!でもあかいのがいないど~」 「でもまんじゅうはいるど~」 「「「でなーだど~!!」」」 夕刻の迫る畑にゆっくり一家の断末魔が響いた。 その日の夜遅く すでに高く上った月の下 主人は人里から帰ってきた。 「いや、すまないなめーりん。遅くなっちまった」 だが畑にはいくつかのゆっくりの帽子が転がるのみ めーりんの姿はない。 「まさかやられちまったのか?」 だが畑の被害はあまりない。ではめーりんはいったいどこへ? 「じゃおおおおおおおおおおおん!!!!」 「めーりん!」 盛大な叫び声をあげて泥まみれになりながら駆けてくるのは 大いなる忠誠心の持主ゆっくりめーりん その口にはしっかりとゆっくりまりさの帽子が咥えられていた。 「そうか入ってきたやつを追ってたのか。」 「じゃおん!!」 「よくやったぞめーりん。今度も頼むな。」 「じゃお~ん!!」 ゆっくりめーりんは今日も畑に立ち続ける。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1533.html
※読後感の良さはあまり無いと思われます。ご注意下さい とある人里に、年若い夫婦がいた。 夫は優しくて力持ちを体現したかのような働き者で、妻もそんな夫を支える理想的な伴侶だった。 そんな二人の間に子供ができた。それはそれは元気な女の子だった。 ある日の事。 夫は村の男衆と共に、最近現れたと噂される巨大ゆっくり対策のための会合に 妻は近所のお婆さんの家に自家製のお漬物をお裾分けしに行っていた。 赤ん坊はすやすやと昼寝をしていたので、少しの間だしお婆さんの家はすぐ近所だからと妻は赤ん坊を家で寝かせておくことにた。 お裾分けをし、少し話し込んでしまったと妻が早足に家に戻った時だった。 家の中から子供の泣き声が聞こえたので、妻は急いで家にあがっていった。 留守にしている間に起きていて、近くに母親が居ないので泣いていたのか、と。ごめんね、すぐ戻るつもりだったんだよ、今すぐお母さんが行きますからね、と。 妻はそこで信じられないものを見た。 それは妻と同じぐらいの背丈を持つ、巨大なゆっくりれいむ。膨れた下顎が嫌悪感をもたらす薄汚れた饅頭だった。 そして、妻の子供の泣き声が、巨大れいむの口の中から聞こえてくる様だった。 「ゆゆっ? おねぇさん、かってにれいむのゆっくりぷれいすにはいってこないでね!」 妻に気付いた巨大れいむが頬を膨らませて威嚇しながら抗議の声をあげた。 そしてその声に重なって聞こえるは赤ん坊の泣き声。少しくぐもってはいるが、それは間違いなく巨大れいむの口の中から響いていた。 「……返して」 「ゆっ?」 「返して!! 私のっ、私とあの人の赤ちゃん! 返して!! その子を返せっ、化け物!!!」 妻は我を忘れて巨大れいむに飛び掛った。 妻の中にあるのは愛しの我が子を化け物から取り返すということだけ。一刻も早く救い出さなければという思い。 しかし、飛び掛る妻に巨大れいむは体当たりを返した。 双方が正面からぶつかりあった時、重い方が勝つのが道理。背丈は同じでも、横幅が人間よりも太く、中に餡子の詰まった巨大れいむの方が当然強い。 妻は巨大れいむの体当たりを真正面から受けて畳の上にひっくり返った。 「ゆっ! なにいってるのおばさん! このこはれいむがたすけてあげたんだよ! とつぜんあらわれてなんなの? かってにれいむのおうちにはいってきてわけわかんないこといわないでね!」 巨大れいむは倒れた妻にそう吐き捨てると、ドシンと妻の上にのしかかった。 妻はあまりの重さに呻き苦しんだ。骨まで響くかのような落下の衝撃に、呼吸もままならなかった。 「すてられたかわいそうなこのこはれいむがそだててあげるんだよ! れいむならこのこをとってもゆっくりさせてあげられるよ! れいむはこそだてのたつじんなんだよ! らんぼうなおばさんはそこでゆっくりしていってね!」 巨大れいむは妻の上で再び跳ねた。その巨体が再び妻の体を押しつぶす。ミシミシと骨が軋む音がした。 巨大れいむはそれで満足したのか、ボスボスと跳ねながらその場を去っていった。 入ってきた時に壊したのか、無惨な状態になっている障子を更に壊し、縁側から外へ出て行った。 妻はそれを追うことが出来なかった。巨大れいむののしかかりにより、意識を保つこともやっとだったのだ。 立ち上がることもできず、意識を失っていく妻の耳には、我が子の泣き声だけがこびりついていた。 「かえ……して……」 涙を流し呟く妻は、そのまま気を失った。 夫が全てを知ったのは、日が暮れてからだった。 家に帰った夫が見たのは、荒らされた室内と倒れた妻だった。赤ん坊はいなかった。 夫は慌てて妻を抱き起こし、医者へと連れて行った。ケガとしては肋骨が折れていたそうだ。 妻を医者の家で寝かせてもらい、夫はすぐさま我が家へと戻った。赤ん坊を探しに行ったのだ。 しかし、家の中のどこを探しても我が子は見つからなかった。 たまに子供を預かってもらっていた近所のお婆さんの家や親友の家にも行ってみたが、子供の行方は知らないという。 やがて夜が更けた頃、一人の男が夫に妻が目を覚ましたことを告げに来た。 急いで夫は妻のもとへ向かった。 妻は泣いていた。ただ涙を流していた。 夫はどうしたことかと、なにがあったのかと問うた。妻は嗚咽をこらえながら、途切れ途切れに語った。 長い時間をかけて夫は全てを聞いた。 巨大れいむの事。連れ去られた我が子の事。妻が襲われた事。 全てを聞いた男は、すぐさま医者の家を飛び出した。 「おい、お前どこへ行く気だ!」 「決まっている! 巨大ゆっくりを殺して子供を取り返しに行くんだ!」 親友の制止の声も振り払い、夫は鍬と棍棒を持ってゆっくりが多く生息するという森へと向かおうとした。 「待て待て! 相手は人間ほどの大きさもある巨大ゆっくりだぞ! 夜も更けているし、一人じゃ危ない!」 「じゃぁどうしろって言うんだ! 子供は諦めろと言うのかっ!!」 「そうは言っていない! …………待ってろ、今皆に呼びかけてくる」 夫の親友はそう言い残すと里の中心へと走って行った。恐らく里中に今回のことを知らせに、そして巨大ゆっくりの駆除と赤ん坊の奪還を呼びかけに行ったのだろう。 妻の話では巨大れいむは赤ん坊を育てると行っていた。ならばすぐには死んでいないだろう。 だが野生のゆっくりが生息する劣悪な環境に小さな赤ん坊が長く耐えられるとは思えない。 夫は待ってろという親友の言葉を無視して、一人森の中へと駆けていった。 「やべでぇぇぇ!! でいぶのあがじゃんをつぶざないでぇぇぇぇ!!!」 「まりざのあがじゃんがぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」 夫の目の前には子供を潰されて泣き喚いているゆっくりれいむとまりさの番がいる。 そして夫の足元には潰れた子ゆっくりの跡と思われる潰れた餡子があった。 そして夫の手には一匹の子れいむがいた。 「やめちぇぇぇぇ!! はなちちぇぇぇぇぇぇ!!」 じたじたと夫の手の中で身を捩るが、当然逃れられない。夫は子れいむを持つ手をわずかに強くした。 「さぁ、これが最後の子供だ。もう一度聞くぞ。巨大れいむはどこにいる?」 「ぢらないよ゛ぉぉぉ!!! ぞんなゆっぐりでいぶぢらないよ゛ぉぉぉぉ!!」 「ぞんなごどいいがらばりざのあがぢゃんがえぢでねぇぇぇぇ!!!」 「本当に、知らないのか?」 「ぢらないっでばぁぁぁぁぁ!!!」 「やべでっでいっでるでじょぉぉぉぉぉ!!!!」 ブチュリ 子れいむは夫の手の中で潰れ、餡子が飛び散った。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「まりざのっ、ばりざのあがぢゃんがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 これ以上有益な情報は得られないと判断し、夫は持っていた棍棒で親れいむと親まりさを叩き潰した。 子ゆっくりを一匹ずつ潰す尋問にも関わらず、一切巨大れいむのことについて言わなかったことから、本当に知らないのだろう。 だが、だからと言って生かす理由は無い。もうこの夫の中ではゆっくりはすべからく駆除すべき対象として映っている。 ここでこのゆっくりを逃し、後々巨大ゆっくりにまで成長したら、また同じ悲劇が起こるかもしれないとそう思ったのだ。 自分の子がさらわれたのに他人の子を殺すのはいいのか、と思うかもしれない。 しかし今夫にはまともな思考は残っていない。頭の中にあるのはただ我が子の事だけだ。 いや、たとえ冷静になって思考を取り戻したとしても、変わらないだろう。 相手は人間ではない饅頭だ。それに、もう夫は自分の子供を救うためならば犠牲は厭わないつもりだった。 自分勝手だと、自己中心的だと言いたければ言えばいい。そんなことは百も承知。 夫はもう、ただ、愛すべき我が子を救うためならば、それが障害となるならば人間だって殺しかねない。 「ちくしょう、あの馬鹿! 待ってろって言ったのに!」 夫の親友は松明を持って森の中を駆けていた。その後を同じように数人の青年が続いていく。 親友の呼びかけに、殆どの里の男衆は集まってくれた。人間の子供を攫った害悪な饅頭を駆除し、赤子を救うために集ったのだ。 夜の森は危険だ。里の者達は数人ごとに班を組み各々分かれて巨大れいむと、それに夫を探していた。 一人では夜の森は危険だし、もし巨大れいむに会ったとしても怪我をし、最悪死ぬ恐れもあるのだ。 「お、おい、これって……」 「あぁ、あいつがやってるんだろう」 親友の後に続いていた男が言った言葉に親友は断じる。 男が言及したのは、森の至るところで見られるゆっくりの死骸だった。 木にこびりついた潰れた饅頭。体の半分以上を失い瀕死で呻いている饅頭。 巣だったろう木の洞の中で潰されていた饅頭の一家。地面に散乱している饅頭の死体。 恐らくここだけではないだろう。 その饅頭の死体を辿ってかけていると、前方からうめき声が聞こえた。 「う~」と聞こえたその声に親友は聞き覚えがあった。それは捕食種であるゆっくりれみりゃのものだった。 「おい、今の!」 「あぁ、あっちだ!」 一向は声のする方角へ向けて駆けて行った。 そしてその先で、れみりゃの首を掴んで木におしつけ、片手の棍棒を上に振りかぶっている夫の姿を見つけた。 れみりゃの四肢は潰れ、原型を留めておらず、顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃ。対する夫の顔はまさしく修羅の如し。 「最後にもう一度だけ聞く。巨大れいむは何処だ?」 「うわ゛ぁぁぁ!! じらないんだどぅ~!! れみりゃじらないんだ────」 言葉は途中で潰された。夫が持っていた棍棒でれみりゃの頭を潰したのだ。 ボタボタと返り肉が夫の顔にへばりつく。よく見れば夫は全身に餡子を浴びていた。 夫は持っていた手を離した。両手足頭を潰されたれみりゃの死体は、ボトリと地面に落ちた。夫も持っていた棍棒を取り落とした。 一向はその光景にしばらく言葉を失っていたが、親友がいち早く正気に戻ると夫に詰め寄った。 「おい、お前! 一人で行くなって──」 「───だよ」 「え?」 「いないんだよ……、見つからないだよ……、あいつが……」 「…………」 「あいつが通った跡も見つからない! 森のゆっくりは何も知らない! あの子の助けの声も聞こえない! あの子はきっと泣いている! 助けを呼んでいる! 助けてって、お父さん助けてって! なのに、なのに俺は!!」 「落ち着け、落ち着けって!!」 静かにつぶやいてから唐突に暴れだした夫をなんとか親友は押さえつけて押し留めようとした。 しかしあまりにも強い夫の力に振り払われ、がむしゃらに振るっていた拳に顔を殴られた。構わず再び押さえつけようとする。 他の男達もそれでようやく我に帰ったのか夫を押さえつけようとする。 「くそ! ド饅頭め!! 薄汚れたクズ饅頭め!! 返せ!! あの子を返せ!! 殺してやる!! 貴様だけはっ、いや、貴様らだけはっ!!!!」 「だから落ち着け!! 頭を冷やせ! 見つかるものも見つからない! これだけ暗いと探せない! 明日、明日陽が昇ったら里の皆で探すから! まずは落ち着け!!」 「これが落ち着いていられるか!!!」 夫は押さえつける男たちを力任せに振り払い、落ちていた落ちていた棍棒を持って夜の森へ駆けていった。 その後も親友達は男を捜したが、見つからず、あまりにも夜が更けていたので仕方なく一度里に戻った。 そして翌朝。里の男衆が捜索隊を結成し、いざ探しに行かんとしたその時だった。 森の中から、全身餡子まみれで、餡子にまみれた棍棒をひきずりながら夫が帰ってきた。 「いない、いない……」と呟きながら、目は前を見ていなかった。 親友は慌てて夫に駆け寄ったが、夫はその場で倒れた。極度の疲労で体力の限界だったのだ。 その後夫は医者のもとに預け、一向は森へ巨大れいむと赤ん坊を探しに行った。 夫の側には妻がついていた。 しかし、その後一日中探し回ったが、巨大れいむは見つからなかった。 それから一ヶ月、ほぼ毎日捜索隊が結成され、捜索範囲を広げながらも捜索は続いた。 さすがに里の男衆全員とまではいかず、日替わり交代での捜索隊だったが。 そしてその間夫は、一日も休むことなく森や山に入り巨大れいむを探し、毎日餡子まみれになって帰ってきた。 だんだんとその頬はこけていき、体も心も病んでいるように親友には見えた。 「おい、お前大丈夫か?」 「あぁ、大丈夫だ。今にも苦しんでるあの子のことを思えば、これぐらい……」 そう応える夫の目は焦点があっておらず、虚ろだった。 「殺してやるさ。全部。そうさ、全部のゆっくりを根絶やしにしていけば、いずれ会える。 いつか、絶対に見つけ出して殺してやるさ。あぁ、そうさ、全部だ」 そう言う夫の視線は、完全に親友には向いてなかった。誰に言ったのか、己に言ったのか、ゆっくりに向けて言ったのか。 夫は、完全にゆっくりに心囚われていた。 二人揃って里への帰り道を歩いていると、目前にゆっくりまりさが現れた。 それは夫の腰のあたりまでの大きさを誇るやや巨大なゆっくりだった。 「ゆゆっ!? 人間っ!?」 こちらに気付いたゆっくりまりさは逃げようとした。恐らく、近隣のゆっくり達が殺されまわっていることを知っているのだろう。 住処を移動させる途中だったのかもしれない。 親友は巨大れいむのことについて訊こうとした。だが、親友が反応するより早く夫が先に動いていた。 一瞬で逃げるまりさに追いついた夫は、棍棒を振るい、まりさを横合いから殴りつけた。 「ゆぎゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」 痛みに転げまわるまりさ。夫はそのまりさの動きを、棍棒で底部を貫くことで止めた。 「巨大れいむは何処だ? 言え」 「ゆ゛っ゛!? なんの゛ごどぉぉぉぉ!?」 「とぼけるな。人間程の大きさの巨大なゆっくりれいむだ」 「まりざ、じらないよ!! ぞんなれいむ゛みだごどもぎいだごどもない゛よぉぉぉ!?」 「本当か? 言わないとお前のためにならないぞ」 「だがらじらないっで────」 潰された。夫は棍棒を引き抜くと無慈悲にまりさの頭を叩き潰した。一撃でまりさは絶命した。 「…………お、おい」 「畜生……」 「…………」 「なんでだよ……。なんで、見つからないんだよ、畜生……」 立ち尽くしたままボロボロと涙を流す夫に、親友はかける言葉が見つからなかった。 その次の日、夫は姿を消した。二度と戻ってこなかった。 きっと、巨大れいむと、我が子を探しに行ったのだろう。 そして六年後、その子供は帰ってきた。親友はまるで奇跡だと思った。 遠い里で一人の青年が見つけたというその子供は、全ての行動においてゆっくりを真似た、まさしくゆっくりに育てられた状態だった。 それでも、生きて戻って来たことに里の者達は皆喜んだ。ただ、その中にその子の父親の姿はなかった。 親友はきっと、夫の執念が奇跡を起こしたのだと、そう思った。 ───────── あとがきのようなもの 思考停止。餡子脳と言われるかと思いますが、私は今回キングれいむをこのようなゆっくりとして書きました。 そしてこの物語はフィクションです これまでに書いたもの ゆっくり合戦 ゆッカー ゆっくり求聞史紀 ゆっくり腹話術(前) ゆっくり腹話術(後) ゆっくりの飼い方 私の場合 虐待お兄さんVSゆっくりんピース 普通に虐待 普通に虐待2~以下無限ループ~ 二つの計画 ある復讐の結末(前) ある復讐の結末(中) ある復讐の結末(後-1) ある復讐の結末(後-2) ある復讐の結末(後-3) ゆっくりに育てられた子 byキノコ馬 このSSに感想を付ける