約 632,059 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/326.html
短いけど書いてみた。 「ゆっくり相撲」 最近里の子供達の間ではやっている遊びがある。 「ゆっくっゆぎゅれいむゆっくりおちていってね!」 「ゆぶっゅべっゆっぶっまりさこそゆっくりおちていってね!」 里の寺子屋、裏返したタライの上で二匹のゆっくりが互いを押し合っている。 といっても別に発情しているわけではない。 虫の代わりにゆっくりを使った「ゆっくり相撲」をしているのだ。 周りを里の子供達が取り囲み「つぶせっ」だの「おしだせ!」だのと囃し立てている。 ゆっくり相撲とは、種類の違うゆっくりを捕まえて来て取っ組み合いをさせる遊びだ。 「ゆっくりできる場所を教えてあげる」「美味しい食べ物をあげる」等といえば殆どのゆっくりは疑いもせずついて来る。 その後タライに乗せ「押し合いをして、勝った方には特別なご馳走をあげる」と言えば、割と簡単に押し合いを始める。 時々、言う事を聞かずご馳走だけを強請って五月蝿いゆっくり達もいるが、全員で蹴り飛ばしながら脅せば大概言う事を聞くのである。 今日捕まえてきた二匹はどうやら親友同士らしく 連れてくる途中「ゆっくりたのしみだねー」「どんなところでゆっくりできるんだろうねー」と声を掛け合っていた。 だが、子供達はゆっくりさせる気もなければご馳走をあげる気もない。 負けた方のゆっくりを勝ったゆっくりに特別なご馳走として無理やり食べさせるのである。 この間は姉妹同士のゆっくりを争わせた。 勝ってご馳走が食べれるとはしゃぐ姉、ずるいずるいと騒ぐ妹。 ご馳走をあげると言い、互いを向き合わせ、目の前で妹を踏み潰してやった。 目の前で潰され、息絶えた妹ゆっくりを見て半狂乱になる姉ゆっくりを見て大笑いをしながら、潰れた妹を無理やり食わせる。 「い”も”う”と”を”か”え”し”て”ぇ”ぇ”ぇ”」「ゆ”っ”く”り”で”き”な”い”ぃ”ぃ”」だのと喚き散していたくせに、口の中に捻じ込むととたんに「うっめ、メッチャうめ!」「しあわせー」と喜ぶゆっくりを指差して腹を抱えて笑った。 あの後、日が暮れるまで残った姉を皆で蹴り回して、適当な木の枝に刺して帰った。 次の日に鞠代わりに蹴り飛ばして遊ぼうと木を見たら木の根元に少量の餡子とリボンが落ちていた。ゆっくりれみりゃにでも食べられたのだろうと皆で残念がった。 「ゆゅっゆっおちちゃうよっゆっくりおちちゃうよっ」 「ゆっくりおちてね!ゆっくりおちてね!」 もうすぐ勝負がつく。ご馳走にありつくゆっくりも決まりそうだ。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1360.html
ゆっくりれみりゃが空き家に住んでいた。 空き家でもそれなりに丈夫な外観、そしてまだ綺麗な状態のベッド。 自称紅魔館のお嬢様を自負するれみりゃのぷっでぃん脳では、随分と豪華なお屋敷に映っている事だろう。 「う~♪ さくや~だっご~♪」 起き掛け、一人空き家でそんな事を言うれみりゃ。 れみりゃは取り合えず朝はこう言って起きる、たとえ咲夜が居なくても。 しかし、このれみりゃは違った、きちんと咲夜がいたのだ。 「おぜうさま!! さくやがまいりましたぁ!!!」 勢いよく寝室に入ってきたのは、一匹の饅頭。 青紫の髪の毛にカチューシャ、そして青い瞳。 ニコニコとれみりゃに話している顔。 その外見的特長からゆっくり咲夜と呼ばれている。 「う~♪ しゃくや♪ だっご~♪」 そう言って手を伸ばすれみりゃ、しかしどう考えても体の大きいれみりゃを饅頭の咲夜が持ち上げられるはずも無く、渋々ベッドから降りるれみりゃ。 「おぜうさま!!! おきがえのじかんです!!!!」 笑顔のまま、そう言ってれみりゃに着替えを促す。 勿論、紅魔館でご寵愛を受けて無残に食べられるれみりゃは代えの服は有るのかも知れないが、唯の空き家に住んでいるぷっでぃん脳しか持たないれみりゃに代えの服が有るはずも無く、一度服を脱いでまたその服を着る、という作業をするだけである。 「う~♪ れみりゃはひどりでおきがえできるぉ~♪」 前が見えなくなり十六回ほどあちこちにぶつかりながら上着を脱ぐ。 足がもつれ、十六回ほどあちこちにぶつかりながらスカートを脱ぐ。 裏返しになりながらシャツを脱ぎ、一回頭をぶつけてドロワーズを脱ぐ。 それを逆に繰り返せばお着替えは終了である。 「はぁはぁ!! おぜうさま!! おうつくしい!!!」 その様子をじっと見ていた咲夜はそんな台詞を呟きながら、何故かある鼻から蕨餅を滴らせていた。 「しゃくや~♪ れみりゃおぎがえおわっだどぉ~♪」 俗に言うれみりゃスマイルと言う破壊力抜群の笑顔で咲夜に報告する、自分でパチパチと拍手までしている。 「おぜうさま!! さすがです!!! ……そろそろちょーしょくです!!」 「う~♪ しゃくやおがじたべどぅ~♪」 二つの食べ物は仲良く一階に移動する。 奥の部屋、そのぽっかり空いた床は二メートルほどの穴が開いていた。 穴を見ればゆっくり霊夢一家。 「ゆ!! おかーさんおなかへったよ!!!」 「ゆっくりできないよ!!!」 「がんばってここからでようね!!!」 どうやらここに落ちたらしい、しきりにジャンプして上がろうとする一家。 それが叶わないとピラミッドを組んで上がる。 しかし、重みと人数が足らずそれも無理。 するとさっきの事は忘れてまたジャンプ。 その繰り返し。 一日三回ピラミッド中に潰れた子供を食べるので、ドンドン人数が減っていく一家。 そうやら霊夢の中でもオツムが極端に弱いらしい。 「う~♪ おまんじゅ~おまんじゅ~♪」 言うが早いか穴に飛び込むれみりゃ、勿論今日の朝ごはんだ。 「ゆゆ!! こんにちは!! れいむたちゆっくりできないの!! ゆっくりたすけてね!!!」 「「「ゆっくりしようね!!!」」」 「う~♪ た~べちゃ~うぞ~♪」 大きい母親霊夢から食べ始める。 「ゆ!!! なにずるのーー!!!」 必死に抵抗するが、今まで散々意味の無い運動を続けていたゆっくり達は殆ど抵抗できない。 「ゆゆ!! ゆっぐりやめでね!! れいむはだめののじゃないよ!!!」 「「「やめてね!!! おかあさんをゆっくりはなしてね!!!」」」 「う~♪」 子供たちの抵抗なんて何のその、ゆっくり半数の饅頭を食べ終えたれみりゃはお腹を擦りながらご機嫌な様子で穴から出てくる。 「ゆっ! ゆっくり、……ゆっくりしてたけっかがこれだよーーー!!!」 「おがーざーん」 「どうじでおがあざんをたべだのぉー!!!」 今度はそのゆっくりが掴まれた、感動の親子再開である。 「う~♪ おいじがっだどぉ~♪」 「おぜうさま!!! それはよかったですね!!!!」 それを聞いて、ゆっくり独特の笑顔で返答する咲夜。 この穴に一家が入ったのは偶然ではない、このゆっくり咲夜がやったのだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 と屋敷の周りで言えば。 「ゆっくりっするよ!!!」 とゆっくりが駆け寄ってくる。 「なかでもっとゆっくりできましゅよ!!!」 そういってすんなりと中へ招き入れる。 「ほんとだ!!」 「おかーさん!! ここれいむたちのおうちよりおおきいね!!!」 「ここならもっとゆっくりできるよ!!!」 「そうだね!! ゆっくりみんなではなしあったけっか、ここはれいむたちのおうちになったよ!!!」 「ゆっくりできないゆっくりは、でていってね!!!」 れみりゃスマイルと同程度の破壊力を持った発言。 それを聞いてもゆっくり咲夜は顔色一つ変えないで言い放つ。 「いいですよ!! でもこのおくに、もっとゆっくりできるばしょがありましゅよ!!!」 「ゆ!! さっさとはやくあんないしてね!!!」 つまりはこういう訳である。 これで食事に事欠かなくて済むれみりゃ。 咲夜の自身は他のゆっくりと同様の食事で困らないので、これは全てれみりゃのご飯になる。 れみりゃが足りないと我侭を言っても、直ぐに咲夜が調達してくる。 やはり、れみりゃは何処でも我侭なのだ。 そのご飯に今までゆっくりアリスが入っていなかった事を付け加えておく。 「う~♪ おでかけするぉ~♪」 「おぜうさま!!! ごいっしょいたしますわ!!!」 安っぽい、一部剥がれたビニール傘をさしながらお屋敷を出る。 特に目的は無い、ただ周りを見て回るだけだ。 「う~♪ おはないっぱいだどぉ~♪ !!! じょうじょだどぉ~♪ までー♪」 「おぜうさま!!! おまちになってください!!!」 とてとて歩くれみりゃの後ろをピョンピョン付いていく、れみりゃは目の前の蝶を追いかけるので精一杯だ。 「う~? じょうじょどご~? どご~?」 蝶が目の前から居なくなり、漸く周りの景色に目を向ける。 「おぜうさま!!!」 「う~♪ おっきなおやしぎ~♪」 目の前に映る屋敷に目を奪われているれみりゃ。 追いついた咲夜も目を奪われる。 それは正真正銘の紅魔館。 当然、れみりゃは大きなそのお屋敷に吸い込まれるように近づいていく。 「う~♪ れみりゃのおやしきだどぉ~♪」 辺りをぐるっと回って正面へ、勿論門番が立っていた。 のだが先ほどの魔理沙との先頭で気絶中。 「う~♪ ばぁ~か♪」 その横を得意げに通って行くれみりゃ、勿論傘で叩くのも忘れない。 「う~~~~~♪」 目の前には綺麗な庭、そして大きなお屋敷。 そして…… 「「「「う~♪」」」」 数匹のゆっくりれみりゃ、みな一様にれみりゃスマイルでヒゲダンス。 「う~♪ れみりゃもずるどぉ~♪」 当然ものれみりゃも参加する。 口をニヘラァと開けて笑顔を作る、両手を腰にあてお決まりの言葉を発すれば、そこには楽しそうに踊っているれみりゃの姿を見ることが出来る。 「うっう~♪ あうあう♪」 本人達は楽しそうに踊っていたその頃、ゆっくり咲夜は未だばてている門番の所に居た。 「も~しょうがないわね!!!」 がぶり。 普通のゆっくりより遥かに鋭いその歯で門番の腕に噛み付く。 「!!! ちゅ~~~~ごっく!!!」 鋭いとはいえゆっくりの歯、妖怪やましてや人間の皮膚を傷つけるには居たら無いが、門番を起こすことは出来るようだ。 意味不明な叫び声をあげて飛び起きる、必死に咲夜の姿を探すが近くにはその顔をしたゆっくり咲夜だけ。 「??? 咲夜さん……?」 完全に覚醒しきれていない門番は何が起きたのか理解できない。 「もう! はやくゆっくりしごとにもどってね!!!」 それだけ言って屋敷の中へ消えていく咲夜の頭。 「?」 取り合えず、言われたとおり仕事に戻った門番だった。 「うっう~♪ れみりゃう~♪」 その頃庭では踊りも終盤、全員が肉汁だらだら出しながら満面の笑みで踊っていた。 「う~、……! れみ☆りゃ☆う~☆ ニパ~」 極上の笑顔を残し、肉まん集団御遊戯会は終了した。 それを待っていたかのように、屋敷から一人の人影が近寄ってくる。 「れみりゃ様。すばらしいダンスでしたよ!! さぁさぁ疲れてでしょう? プリンをお持ちしました」 本物の十六夜咲夜だ。 差し出されたプリン丁度全員分、ご丁寧にスプーンまで用意されている。 「う~♪ ぷっでぃん♪ ぷっでぃんだべどぅ~♪」 「ぷっでぃ~~~んちょ~だい~♪」 一目散に咲夜に駆け寄ってプリンを奪い取っていくれみりゃ達。 「う~? う~♪」 勿論、あのれみりゃも例外ではない。 少し不思議がってはいたが、一目見るとあっという間に上機嫌。 「うっう~♪ おいち~♪」 他のれみりゃと同じように、スプーンをグーで持って食べ始める。 たくさんのれみりゃがニコニコしながらプリンを食べている。 「「「「「ん~♪ おいちいどぅ~♪ れみ☆りゃ☆う~☆ 」」」」」 それをニコニコしながら見つめる咲夜。 と。 「さくやさ~ん? どこですか~♪」 自分を呼ぶ小悪魔の声、仕方が無いがその場を後にする咲夜。 なに、これだけ人数が増えてのだ、また明日見ることが出来るだろう。 「どうしたの小悪魔?」 「はい。ぱちゅりー様が御用時があるそうです」 「そう」 連れだって図書館へ赴く。 この時、小悪魔が後ろを振り向いてプリンを貪るれみりゃ達に笑みを浮かべたことは、咲夜は死んでも知らない。 「うっう~♪ ぷっでぃ~んおいしいどぉ~♪」 「うーー!! もっどぷでぃんだべたいどぅ~♪」 「「「「「「「ぷっでぃ~んたべたいどぅ~♪」」」」」」」 「おぜうさま!!!」 ゆっくり咲夜が着いた時には、既にプリンは食べ終えられ高級なカップが地面に転がっていた。 「う~♪ ざぐや~♪」 ゆっくり咲夜のもとへ、あのれみりゃが近づいてゆく。 「しゃくや? しゃくやどご~♪」 「どご~、ざぐや~♪」 その一声に、他のれみりゃも近づいてくる。 「う~ざぁぐや~♪」 「おぜうさま!!! なんでしょう!!!!」 腰を屈めて、両手を自分の胸の前に持ってくる。 所謂ぶりっ子の仕草をする、このれみりゃがゆっくり咲夜に我侭を言う時のポーズである。 周りを見ると、他のれみりゃも大分近寄ってきた。 ぷっでぃん脳でも人間ではなくゆっくりだと理解できるらしい。 始めてみるゆっくり咲夜だが、生得的なものか、これが自分に対してどういう存在か知っているようだ。 「れみりゃね~、おがしだべだいの~♪」 代表して言うのは勿論あのれみりゃ、ここぞとばかりにれみりゃスマイルを浮かべて話を続ける。 「おぜうさま!!! おがしですね!!!! れいむですか?まりさですか?」 「ん~ん♪ れみりゃ、ぷっでぃ~んがたべたいのぉ~♪」 にぱーっと笑顔を浮かべてゆっくり咲夜にお願いするれみりゃ。 外野でもぷっでぃ~んコールが沸き起こる。 「ぷっでぃ~ん? ぷっでぃ~ん。……ぷっでぃ~ん!!!!!」 「う~♪ ぷっでぃ~ん♪ ぷっでぃ~ん♪」 咲夜が連呼したぷっでぃ~んに合わせて自分も叫ぶ。 咲夜の目が真っ赤になっているとも知らないで。 「しょくりょーが!!!」 そのまま声を張り上げ目の前のれみりゃへ。 勢いよく跳躍し、自慢の歯でれみりゃの両腕を噛み千切る。 「ほんじゃぎゃーーーーーーー!!!!!!」 今まで自分の我侭を聞いていたゆっくり咲夜の突然の行動と腕の痛みに、涙を流しながら転がり悶えるれみりゃ。 「こんなのおぜうさまじゃないわーーーーー!!!!!!!」 そう言って、引きちぎった両腕を貪る咲夜。 「うがぁ!! れみりゃの! ……それはたべものじゃなぐでれみりゃのー!……」 そんな声はお構いなしにそのまま全身を貪っていく咲夜。 「う~!! ♪ えい! えい♪ うっう~れみりゃはつよいどぉ~♪」 咄嗟に、回復した右腕でビニール傘を使い反撃にでる。 しかし、お世辞にも早いとは言えないその攻撃を食らうほどゆっくり咲夜は馬鹿ではない。 「むっしゃむっしゃ!!!」 あっけなく再生したての右腕を再び口ちぎられ、その牙はれみりゃの頭に向けられる。 「おぜうさまとはちてもにつかないわ!!!」 「んぎゃーーー!!! うっ、う゛わ゛ーーー!!!」 頬を食いちぎる、そのまま顔面を恐ろしいスピードで飲み込んでいく。 周りのゆっくりは逃げもせずただおろおろするばかりである。 「う~!! う~~~~!!!!」 「ばっ、ばぁ~か!! ざぐやにいいづげでやどぅ~!!!」 「ざぐや!!! ざぐやーーー!!!! どごーーーーー!!!!」 通常自分たちが食すゆっくり饅頭。 それが攻撃してくると、れみりゃは唯おろおろしてなすがままにされるしかない。 それは、アリスに襲われた時、自らの子孫を残すためでもあるのだ。 それだけを遺して息絶えるれみりゃ。 間髪居れず次の肉まんへ狙いを定めるゆっくり咲夜。 「こんなにぐまん!!!! しょぶんじますーーーー!!!!!」 次の肉まんも圧倒的だった。 足を食いちぎりそのままお腹へ。 たくさんの肉まんの具を掻き出しながら飲み込んでいく。 「ざぐやーーー!!! ごわいひどが!!! ごわいひどがいるどぉーー!!!」 それを言い終わる頃には既に残すは首から上のみ。 「ざぐやーー!! だずげでーーー!!! それがらぷっでぃ~ん!!!」 それが最後の言葉になった。 次の肉まんは珍しく、飛んで逃げようとした。 「う~♪ れみりゃはどべるんだぞぉ~♪」 しかし、見せびらかすようにゆっくり咲夜の目の前で浮かんでいたため即座に羽が食べられる。 そして落下する体。 「んびょん!! ……!! う~!!」 勢いよく地面にぶつかったこのれみりゃはそこで抵抗を諦めたようだ。 それ故、一番早い時間で完食された。 「ふー……。!!!」 まだ残っているれみりゃ達の方へ向き直るゆっくり咲夜。 「う……。う~♪」 「う~♪ う~♪」 「うっう~あうあう♪」 一致団結してご機嫌をとる、それを白けた顔で眺める咲夜。 「う~~♪」 「「「うっ~♪」」」 れみりゃ達も、その様子を見てほっと一安心、もう食べる気は無いと判断したのであろう。 「れみ☆ry、うーーーー!!!」 咲夜のもとへ近づいてきた一匹に狙いを定めて食事を再開する咲夜。 御遊戯の雰囲気から一変、再びそこは地獄絵図と化した。 「おぜうさまのにせものめ!!!」 「う゛わ゛ーーーー!!! ざぐや゛ーーーーーー!!!!!」 今まさに食べられている一匹が発した言葉、それが咲夜に届くことは無かった。 そして、ゆっくり咲夜に耳にも届くことは無かった。 ……。 「それではこれで失礼します」 「ご苦労様」 「おう、ありがとさん」 「お二人とも、プリン食べたくないですか?」 パチュリーと魔理沙に紅茶をだして図書館を後にする咲夜。 「今日は安心して普通の紅茶を飲みたい」 そう言われて小悪魔に変わって紅茶を淹れた。 時間を止め、出来る限り最速で淹れ終えたのだが、時間を戻した時に運悪く躓いていた小悪魔とぶつかって淹れなおし&後始末。 おかげで大分時間が掛かってしまった。 そうだ、何時も一つで不満げだったからたまにはもう一つ作ってあげよう。 それで機嫌がよくなれば、もう一度可愛い可愛い御遊戯会が鑑賞できる。 先ほどよりも、本気を出してプリンを作っていく咲夜。 おいしければおいしい程御遊戯会を見れるチャンスが増すのだ、そう考えれば一段と気合が入る。 「できた」 何時ものプリンの上にさくらんぼと生クリーム。 その懇親の一品をお盆に載せる。 そうだ、と思い立ち以前ご機嫌を取るのに使ったきぐるみの帽子も被る。 準備万端、いざ庭へ。 「れみりゃさまー!! ぷっでぃ~~んをお持ちしましたよ!!! ……」 元気よく先ほどまでれみりゃが居た場所に向かった咲夜。 そこにはパラパラと散らばっている肉まんの具と人数分のれみりゃの服と帽子。 そのうち一枚は何故かシャツが裏返っていた。 呆然と立ち尽くす咲夜。 ゆっくりフランなら唯の悪戯だけだし、門番はきつく言い聞かせているから食べない。 ……? 全く原因が分からず呆然としている咲夜、一点を見つめたまま辛うじてお盆を支えている。 そこに近づく一人の人影。 「さくやさん。おいしそうなぷりんですね♪ もらってもいいですか?」 「…………」 無言で首を縦に振る咲夜。 「えへへ、有難うございます♪」 そう言って彼女は、もと来た道を戻っていった。 その頃、ゆっくり咲夜は紅魔館の中へ入り込んでいた。 「ゆ! そこ、ちゃんとしごとしなしゃい!!!」 「そこはみょういいわ!! こっちのおしょうじをよろしくね!!!!」 そんな事を言いながらまるで本物のメイド長のような態度で屋敷をうろついて行く。 「咲夜~? 紅茶を入れて欲しいんだけど」 「ゆっ!」 昼間、博麗神社へ行っていたため起きていたこの屋敷の真の主、レミリア・スカーレット。 従者に紅茶を入れて貰おうと、掴まらない咲夜を探していた所だった。 それと丁度かち合ったゆっくり咲夜。 ゆっくり咲夜の顔に笑みがこぼれる。 「おおおお!!!! おぜうさまー!!!!! ほんもののおぜうさまーーー!!!」 鼻から蕨餅をダラダラ垂らし、まるで発情したゆっくりアリスの様にピョンピョンと近寄っていく。 勿論、今のコイツは素面である。 対するレミリアは特に驚かず、一瞥の後に。 「何、コイツ?」 「はぁはぁ、おぜうs……んびゃお!!!」 一発の弾幕で中の餡子を飛び散らせて朽ち果てるゆっくり咲夜。 勿論意識は一瞬で途切れた。 「? まぁ良いわ。さくやー! ……庭かしら?」 …… 「このプリンとても美味しいわね。小悪魔が作ったの?」 「いえ、咲夜さんが作りすぎたようなので、貰ってきたんです」 「こいつはうめぇぜ! 流石メイド長だけはあるぜ!」 「はい、(元に)戻ったら伝えておきますね♪」 …… 「ゆっくりたすけてねーーー!!! おかーさーん」 「ゆー!!! ゆっくりたすけてねーー!!!」 「おなかへったねー!!!」 「はやくおうちにかえって、おかあさんたちとゆっくりたべようね!!」 「ゆー、おにゃかへったー」 「……。!!! まんじゅう!! いっぱい!!!」 「ゆゆ!! れいむはまんじゅうじゃないよ!!! ぷりてーなかわいいれいむだよ!!!」 「むっしゃ!! これめっちゃいめぇ!!!!」 True End
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3056.html
「うー♪」 「うー! うー!」 樹齢数十年の樹木の下から聞こえる謎の声。 彼らは翼の生えたゆっくりであるが、鳥のように木の上に巣を作ったりはしない。 鳥の巣は言わば子育ての為の使い捨ての巣である。自らの巣(所謂おうち)に対してはかなりの執着心を 持つゆっくりの性格とは合わないのだ。 そのためこのれみりゃも、普通のゆっくりと同じく巣穴を掘ってそこをおうちとしている。 巣には親のれみりゃの他に2匹の子供がいた。 子どもたちはまだ生まれたばかりなのか、ちんまりとした翼をピョコピョコと動かしながら、うー!と唸っている。 親のれみりゃはそれがご飯の催促だと分かると、捕まえたばかりの毛虫を目の前に差し出す。 「うー! うー!」 何時もゆっくりが取れる訳ではない。れみりゃも他のゆっくりと同じく雑食である。 こうして花や大きめの虫などを食べる方が多いのだ。 ただし胴体のあるれみりゃは偏食であるが、この辺に関しては謎である。たぶん性格の問題だろう。 2匹の赤れみりゃは巣の中で追いかけっこに興じている。 親はそんな様子を見て嬉しそうな顔をすると、外へ飛んで行った。 俺はその様子をファイバースコープからの映像で観察していた。 巣の中に明らかな異物があるのにまるで不思議に思わない辺りがゆっくりである。 さて、貯金を崩してこんな物を買ってただ巣を覗くだけでは意味がない。 俺は巣の入り口にある草や石を退かすと、手に餡子を乗せて出来るだけ巣の中に腕を突っ込んだ。 するとどうだろうか。すぐさま「うー!」という声とともに、手に柔らかい物が乗っかった。 そのまま静かに手を引く。 巣から出てきた手には2匹のれみりゃが一心不乱に餡子を食べていた。 「うまうまー!」 「うっうー?」 どうやら一匹はこちらに気づいたようだ。しかし警戒心など微塵もないようで、二コリとまだ生えたての牙を見せながら ほほ笑んだ。 微笑まれたら微笑みかえさなければ失礼である。俺もにこりと笑う。 まずはこいつからにしよう。そう思いながら、空いてる手でバックから荷物を取り出す。 まずはお馴染み透明ケースだ。そこに餡子ごと1匹だけ入れる。残った1匹は片手で持ったままだ。 「うー? うううー?」 周りの状況がよくわからないらしい。俺は気にせずにその1匹の片羽を力まかせにブチっと千切った。 「う゛ー!!!!!!」 文字通り飛び上がるほどの痛みだったらしい。目から滝のような涙を流すれみりゃ。もう一匹もそれに気付いたようで 「う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛・・・」 ガクガクと震えあがっているようだ。その様子を携帯で撮って作業を再開する。 次の作業は、はんだごてである。ハンダを羽の生えていた所に近づけ、延長コードで引っ張ってきたアツアツのハンダごてを 近づける。こうしてハンダを熱して羽の生える部分を固めるのだ。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 とてつもなく熱いのだろう。ハンダごてを触れた瞬間から苦痛の表情で叫び続けている。 作業が終わると同時に、口をだらんと開けながら気絶してしまった。ピクピクと少しだけ動いていた。 片羽でアンバランスだがこれはこのままでいいだろう。これから飛ぶときに片方の羽を必死に動かす様を見れると考えると むしろこれこそが最高な気さえしてきた。 はやる気持ちを抑え、その一匹はそのまま巣の中へ戻した。 そして二匹目を取り出す。 「うううううう・・・・うっうー!」 震えていたのかと思いきや、途端に可愛らしい笑顔でこちらを見るれみりゃ。 可愛さをアピールして見逃してもらう作戦なのだろう。 まあスルー。 そのまま帽子を奪い取る。 「うー!!! うっううー!」 必死に噛みついてきたが、ハンダごての時に厚手の手袋をした俺に隙はなかった。 このままだとなんか物足りないので、代わりにまりさの帽子を付けてやった。接着剤をたっぷり塗っておいた。 そうして二匹目も巣の中に放りもうとして・・・やっぱ止めた。 帽子も元のれみりゃも帽子に戻した。 「うー! うー!」 非常に喜んでいるが、喜ばすためではない。 俺はさきほど千切った片羽を持つと、羽と羽の間にまっすぐにそれを差し込む ちょうどマットの帆のような感じだ。そしてすぐに薄力粉で傷を産める。 奇跡の早業で世にも珍しい三枚羽のれみりゃの完成である。 少し重いのか動くだけで疲れるれみりゃを巣の中に放り込む。 勢いよく投げたせいか帽子が巣の入口に落ちてしまった。 果たしてあの状態で飛べるのか、非常に興味の湧くところである。 俺の家の庭に巣を作った不運なれみりゃ。 意気揚揚と口を膨らませて帰ってきた。花でも取ってきたのだろう。 「うっうっうー♪」 そして入口に到着。すると目の前に何かあるのに気づいたのか体全体を傾げる。 「うー?・・・・う!」 どうやらそれは子供の帽子だと気づいたようだ。 口の中の花を吐きだすと急いで巣の中へ戻る。急いでカメラの映像を確認する。 「うー!!!!!」 やはり驚いているようだ。目の前の子供に。 一匹は片羽のれみりゃ。もう一匹は三つの羽を持つれみりゃ。確かに訳がわからない。 「う? う?」 両方を何回も何回も何回も見渡すれみりゃ。 子供の方は 「「う゛う゛う゛う゛う゛う!!!」」 自分の異常を親に訴えているのか。はたまた泣いているのか。俺にはわからない。 だがもっとわからにのはどうやら親のようだ。 「うー!」 とびっきりの笑顔で突如、三つの羽ののれみりゃに被りついた。 子供の絶叫が聞こえる。 「う゛わあああああああああああああ!!!」 あ、普通に喋れるんだ。 そんな場違いな感想を持ちつつ、食われていく無残な様子を見る。 「うー!うまうまー!」 親はもう目の前の物体を餌的な何かとしか認識できなかったようだ。 そのまま完食。 俺は勢いに乗って二匹目かとワクワクしていたら、親れみりゃは意外な行動をした。 「うー? うー!」 子供の口に自分の口を近づけ、何かを与えている。もしや今食べたれみりゃだろうか。 子どもの方も「ごくごくうー!」とか言いながら美味そうに飲んでいる。 そうして遂には「うっうーうまうまー!」と二匹で歌いは始めた。 どうやら自然界では片羽は問題ないようだ。 まあ怪我することもあるし、れみりゃはすぐ再生するからだろうか。 故にありえない三枚羽はれみりゃとして認識できなかったのだろう。 観察を続けることにする。 続き 【あとがき】 続きます。でも来年からです。 クリスマスネタにしようかと思ったが間に合わず。 ゆっくりしすぎた。 関係ないけどまさかの東方冥異伝新作。 最近パッチがやたら多いと思ったら。 by バスケの人
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/457.html
ティガれみりゃ その2 ======================== ≪はじめに≫ 『ティガれみりゃ』の続きになります。 他の作者様の設定や名称を一部使わせていただいております。 パロディネタおよび、自分設定有りです。 虐め……というのとは少し違うかもしれません。 すみません、まだ続きます。 文字数設定の関係上、改行が変な箇所があるかもしれません。 (あまりにも読みづらいようでしたら、修正版をupします) 以上、何卒ご理解・ご容赦ください。 ======================== 2、異常震域 月夜の下に広がる森。 小動物達が俄にざわめきだし、 彼等がさきほどまで寝床にしていた木々が、バキバキと折れていく。 その原因は、全て一体の巨大生物によるものだった。 よったよった、どったどった。 よったよった、どったどった。 短い足で、不器用なステップを踏みながら、 その巨体とは裏腹に、実にゆっくり進んでいく巨大生物。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~♪』 その巨大生物、通称・ティガれみりゃは、 歌いながら楽しそうに夜の森を往く。 見た目は、中綿たっぷりの、だぶだぶくたくたの恐竜型ぬいぐるみ。 恐竜の口の部分がぱっくり開き、そこにれみりゃ種特有の、憎たらしげな下ぶくれスマイルが覗いている。 だが、その滑稽な見た目に反して、その体は尻尾をあわせれば20メートルにも届かんとする巨大さを誇る。 短い手足をバタバタさせて、「うぅーうぅーうぁうぁ♪」とやるたびに、足下の生物達は生命の危険にさらされる。 それゆえ、数多くの命が暮らすこの森にあっても、 意図的にティガれみりゃに近づこうとする者は、まずいない。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪ とぉ~ってもぷりちぃ~~ティガれみりゃ~~♪』 本人はといえば、そんなことは気にも留めず、相変わらずの御機嫌ノリノリで森を進む。 いっそさっさと通過するなら、 動物達や森で暮らす他のゆっくり達にとっても、まだマシだった。 けれど、ティガれみりゃにそんな空気を読む力があるはずもなく、 よったよった、えっちらおっちら。木を倒し、ゆっくりを踏みつけ、動物達を脅かして歩いていく。 「ゆゆゆっ! ティガれみりゃはゆっくりしないで、どっかへいってね!」 「ゆぅ~~! おかーしゃん、こわいよぉぉっ!」 ティガれみりゃの足下、逃げ遅れたれいむの親子が、木々の影に隠れていた。 こんな恐い場所からはさっさと逃げ出したかったが、 ティガれみりゃが歩く度に震動が起こり、なぎ倒された木々が倒れてくるせいで、 おちおち移動することもできずにいた。 「おかーしゃーん! おかーしゃーーん!」 「だ、だいじょうだよ! あかちゃんのことは、れいむが守るよ!」 身を寄せ合い、震える親子。 そんな親子の願いが通じたのか、 ティガれみりゃは親子を踏みつけることなく、 そのすぐ横を通過して、森の奥へと向かっていく。 「ゆぅ~~~? なんとか助かったよぉ~~!?」 「やったねぇ~~! おかーしゃーん!」 顔を見合わせ喜びあう、れいむの親子。 だが、次の瞬間。 どっすん! 「ゆべぇぇぇっっ!」 「ゆぐぎゃぁぁぁ!」 ティガれみりゃの尻尾が振り下ろされ、れいむの親子はぺちゃんこに潰される。 残されたのは、地面に貼り付けられた、あんこの染みだけだった。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~~♪』 もちろん、ティガれみりゃが一々そんなことに気付くはずもない。 ティガれみりゃは、その後も歩き続け、30分後目的地の前で足を止めた。 『う~~、ついたどぉ♪ さっすが、れみりゃ! すらっとのびたあしは、あるくのもはぁやいどぉ~♪』 自分の短足・鈍足を棚に上げ、自画自賛するれみりゃ。 ちなみに、ここまで歩いてきた平均歩行速度は、その巨体からすれば驚くほど遅い時速4kmしかない。 うぁうぁダンスをしながらの歩行とはいえ、この遅さこそ、この突然変異種が"ゆっくり"であることの証ともいえる。 『う~♪ みんなぁ~まっててねぇ~♪』 猫なで声をあげるティガれみりゃ。 ティガれみりゃの目の前は崖になっており、その中の一角に沢山の岩が積み上げられていた。 岩の奥には巨大な洞穴が広がっており、そこがティガれみりゃの巣穴となっていた。 "こーまかんのあるじは、留守のあいだのとじまりもかんぺきだどぉー♪" ティガれみりゃはそう言って、洞穴の入り口に岩を積み上げ、栓をしていたのだ。 『うー、岩はじゃまだどぉ! ぽいするのぽーい♪』 言うや否や、ひょいひょいと岩を持ち上げ、ぽいぽい投げ捨てていくティガれみりゃ。 その岩を積み上げたのが自分自身であることは、既に忘れてしまっているらしい。 『うー♪ あいたどぉ♪』 積み上げられた岩のバリケードは瓦解し、その先に大きな洞穴が姿をみせる。 長年をかけて山の地下水が空けた空洞は、ティガれみりゃが余裕で入れるほどの大きさだ。 『れでぃ~は、しっかりかぎをしめるどぉ♪』 洞穴の中に入ったティガれみりゃは、再び岩を積み上げ、洞穴の入口に栓をしていく。 『うっ? おかしぃーどぉ、岩がたりないどぉー?』 手近な岩を全て積み上げても、洞穴の入り口はまだ半分ほどしか塞がれていなかった。 ついさっき、ティガれみりゃ自身が岩を「ぽぉ~い♪」してしまったためだ。 『う~~! だれか岩をもってきてぇ~~!』 叫ぶが、当然そんな誰かがいるわけもない。 『うー・・・』 ティガれみりゃは、岩をあきらめ、洞穴の奥へと歩を進める。 すると、そこにはティガれみりゃの帰りを"待っていなかった"たくさんのゆっくり達がいた。 「「「うーっ!! ゆっくりしねっ!」」」 『う~♪ ふりゃ~ん、ただいまだどぉ~♪』 ティガれみりゃが満面の笑顔を浮かべた先、 そこには、いるはいるは、胴体付き・無しあわせて100体近いゆっくりフランたちがいた。 「「「しねっ! ふらん達をとじこめるティガはゆっくりしねっ!」」」 笑顔を向けるティガれみりゃに対して、ゆっくりフラン達は明確な敵意を露わにする。 全員が中空に舞い上がり、臨戦態勢をとりながらティガれみりゃを睨み付けている。 『うっう~♪ そんないじわる言っちゃダメなんだどぉ~♪』 その敵意をまるで理解していないのか、 ティガれみりゃは、よったよったとフラン達の下へ近づいていく。 だが、フラン達の集団は、すぅーと静かに移動し、ティガれみりゃが近づいたぶんだけ距離をとる。 『うぅ~~?』 不思議そうに顔を傾けるティガれみりゃ。 額に少し汗を浮かべつつ、今度はお気に入りのフレーズとポーズを決める。 『ぎゃお~♪ いっしょにあそんでくれないと、た~べちゃうぞぉ~♪』 バッチリだ。 ティガれみりゃは自分に惚れ惚れした。 こんなにもかっこよくて、ぷりちぃ~な自分の姿を見せられては、 照れ屋さんなフラン達もメロメロになって、自分に寄ってきてくれるにちがいない。 手を大きく広げて、いつでもフラン達を受け止められるように準備するティガれみりゃ。 ……だが。 「「「…………」」」 ゆっくりフラン達は微動だにせず、軽蔑するような冷たい視線をティガれみりゃに送るだけだった。 『うぅ~~~~……』 ティガれみりゃは困ってしまった。 そして、なんだか鼻の奥が少し熱くなっているのを感じた。 『うー♪ ふりゃーん♪』 すすすっ。 『まつんだどぉ~♪』 すすすっ。 『うっう~うぁうぁ~♪』 すすすっ。 ティガれみりゃは何度となく、フラン達とのスキンシップを試みようとアプローチを繰り返す。 しかし、フラン達は、そんなティガれみりゃに敵意だけを向けて、空中を静かに逃げ回るだけだった。 『うぅぅぅぅ……。なんで、れみりゃをむしするんだどぉ……』 目の端にたまる涙が流れ出さないよう、鼻の上に力を込めてこらえるティガれみりゃ。 その瞬間、ティガれみりゃは大事なことを思い出し、ぱぁーっと顔を輝かせる。 『うー! そうだどぉ! 忘れるところだったどぉ!』 ティガれみりゃはゴソゴソとポケットに手をつっこみ、一本の枯れ木を取り出して掲げた。 『うっうー♪ れみりゃとくせいのおだんご~♪ とぉーってもおいしぃどぉー♪』 ティガれみりゃが掲げたもの。 それは、ちょうど昨晩、ティガれみりゃが山間の窪地に築かれたゆっくり達の集落を遅い、 ゆっくり達を枯れ木に突き刺して作った、れみりゃ印の"とくせいゆっくりだんご"だった。 きっとフラン達はおなかが空いていて、それで遊ぶのを嫌がっているに違いない。 そう結論づけたティガれみりゃは、そのゆっくりだんごをフラン達に向ける。 「「「…………」」」 しかし、フラン達は何の反応も示さなかった。 それもそのはず。 本来、生粋の捕食種であるフランは、生きた獲物を捕らえ、嬲り、そして圧倒的な力を誇示しながら食すのだ。 野生の動物がそうであるように、誇り高き捕食者は、生きた獲物にしか興味を示さない。 死んだ獲物を食べるなど、食べ残しで生をなすハイエナか、意地汚い被捕食種ゆっくりくらいのものだ。 少なくとも、このゆっくりフラン達は、その矜持を忘れてはいなかった。 『うぅ? どうしたんだどぉ? おいしぃおかしだどぉ?』 ちっとも興味を示さないフランに、戸惑うティガれみりゃ。 『う~! たべないと、た~べちゃうぞ~!』 おかしなことを口走りつつ、ティガれみりゃは無理矢理ゆっくりだんごをフラン達に近づける。 けれど、フランはゆっくりだんごを食べることはなく、空中からティガれみりゃを睨むだけだった。 「うぅー……どぉーしていうこときいてくれないんだどぉー……」 どっすん! ティガれみりゃは目尻に涙を浮かべながら、地面に座り込む。 その刹那。 何匹からのフランが、この時を待っていたかの如く、 急にスピードを上げて飛行を開始した。 目指すは、この洞穴の出口! このフラン達は、空腹にも耐えながら、 ティガれみりゃに隙ができるこのタイミングを狙っていた。 「「うーっ!!」」 赤い弾丸となって、洞穴の暗闇を裂くフラン達。 『うーっ!?』 遅れながらも、数匹のフランが脱走しようとしていることに気付くティガれみりゃ。 しかし、いくら巨大なティガれみりゃといえ、敏捷性は小型のゆっくりフラン達の方が上。 ゆっくりフラン達の脱出は成功するかに思えた。 『うーっ!! 逃げちゃだめぇーっ!!!』 ティガれみりゃは、もっていたゆっくりだんご……もとい立ち枯れた木を、 いままさに洞穴の外へ出ようとしていたフラン達に投げつけた。 「「ううーっ!」」 いきおいよく飛んでいった木は、見事フランに命中する。 そして、尖った枝はフラン達に突き刺さり、彼女達を"ゆっくりだんご"の一つにしてしまった。 「「ううっ!!??」」 その光景を見て驚く、他のゆっくりフラン達。 彼女達は、今回の脱出計画がうまくいき次第、同様の手でこの洞穴から抜け出そうと考えていた。 『だぁーめぇぇぇ! ふりゃんはれみりゃとあそぶのぉぉっ!!』 洞穴の中にティガれみりゃの叫びが響き渡る。 『う~~~! 逃げちゃ、めぇ~~なの! はやくもどってくるのぉ!』 ティガれみりゃは、ゆっくりだんごと化したフラン達へ呼びかける。 「う、うぅぅぅぅ……」 「ゆ、ゆっぐり、じねぇぇぇ……」 他ならぬティガれみりゃの手によって、ゆっくりだんごとなったフラン達は、 当然動くこともできず、地獄の苦しみを味わっていた。 極めて高い生命力と再生力を持つゆっくりフランであったが、 数日前にこの洞穴に連れ込まれてからといたものの、食べたのは最初から洞穴内に住んでいたゆっくりや、小動物だけ。 ろくな食事もとらぬまま体を貫かれたフラン達は、本来の再生力も発揮できず、間もなく息を引き取った。 『う~~? ふりゃ~~ん?』 フラン達の様子がおかしいことに、ようやく気付いたティガれみりゃ。 が、時すでに遅く。ゆっくりだんごとなったフランは、二度とティガれみりゃの声に反応することはなかった。 『うぁぁぁぁぁっ! なぁんでだどぉぉぉっっ!?』 数匹とはいえ、フランが死んでしまったことを知り、 ティガれみりゃはこらえていたものを一気に噴出させる。 『うわぁぁぁぁぁぁん!!』 その鳴き声は凄まじく、洞穴を反響して振るわせる。 『しゃくやぁー! しゃくやはなにしてるんだぉー! ふりゃんがぁーーーっ!!』 来るはずもない、遺伝子に刻み込まれた従者の名を連呼するティガれみりゃ。 ドタンと大の字に倒れ込み、仰向けのまま手足をバタバタさせる。 『ひっく、ひっく、ひっく……うぅー…ふりゃーん……』 嗚咽を続けるティガれみりゃ。 『うぅ……うぅ……』 ティガれみりゃの涙は本物であった。 ティガれみりゃには、"ゆっくりフランを自分の巣に閉じこめて愛でようとする"習性があるのだ。 ゆっくりフラン達からすればたまったものではないが、 ティガれみりゃからすれば良かれと思ってやっていることだった。 『……うぅ……うぅ?』 ひっくひっくと肩で泣くティガれみりゃ。 やがて、涙もかれてくると、今度は眉根をへの字にしかめさせた。 『うぅー……泣いたら、おなかがへったどぉー♪』 今までの涙がウソのよう。 すっかりいつも通りの下ぶくれスマイルを作って、自分のお腹具合を心配しだすティガれみりゃ。 れみりゃ種……ひいてはゆっくり全体に見られるこの思考の切り替え・責任転嫁は、 あるいは"辛いことはさっさと忘れる"ことでゆっくりしようという、ゆっくり達なりの知恵なのかもしれない。 『うっうー♪ 今日はひさしぶりにぷっでぃーんが食べたいどぉー♪』 そう言うと、れみりゃは自らの体を起こそうとする。 起こそうとして……違和感を覚える? 『う~、はやくぷっでぃん食べにいくどぉ♪』 せーの! 体を起こそうとするティガれみりゃ。 『う~♪』 よいしょ! 『うーーっ!』 こらしょ! 『うーーっ! うーーーっ!!』 ティガれみりゃは何度も上半身を起こそうと試みる。 しかし、起きあがれるのはせいぜい頭部のみで、 筋肉のついてないお腹はすぐにプルプル震えだし、力尽きてしまう。 ずてーん! 体を起こすことができず、ティガれみりゃは後頭部を地面にぶつける。 『ぅぅぅぅぅぅぅぅ~~~~っ』 後頭部の痛みに、ティガれみりゃは鼻の上のあたりを真っ赤にしながら、声にならない嗚咽をもらす。 その後も何度か起きあがろうとするが、結果は同じだった。 『うわぁぁぁぁん! 起きられないどぉーーーっ!』 泣き出すティガれみりゃ。 ゆっくりゃザウルスにも見られる傾向であるが、 ティガれみりゃもまた、仰向けに倒れてしまうと中々立ち上がることができないのだ。 『しゃくやぁぁぁ! はやくおこしてくれないと、なーいちゃうぞぉーー!』 既に泣いてるって! 洞穴に残されたゆっくりフラン達が、心の中で一斉に突っ込む。 そして、捕食種の本能がそうさせるのか、起きあがれないティガれみりゃを見ると、 ゆっくりフラン達は一斉にティガれみりゃへの攻撃を始めた。 今、一斉攻撃をすればティガれみりゃを倒せると判断したのだ。 「うぅーっ!」 「ゆっくりしねっ!」 「ティガれみりゃはしねっ!」 「ゆっくりしないでしねぇぇ!」 「しねしねしねしねぇぇぇーーっ!」 ゆっくりフラン達の怒濤の攻撃。 噛みつき、体当たりし、にくまんの顔に拳を打ち込み、 レーヴァティンと呼ばれる突起物をガシガシ叩きつける。 これだけの集中攻撃を受ければ、たとえドス種であってもひとたまりもないだろう。 ゆえに、経験したことの無い脅威に対して、本能が誤った判断を下したとしても責めることはできない。 『うぅぅ~~~? ……ふりゃんたち、れみりゃをなぐさめてくれるのぉ?』 フラン達の攻撃を受ければ受けるほど、ティガれみりゃは徐々に泣きやんでいく。 ティガれみりゃに、ふらん達の攻撃は効いていなかった。 それどころか。 『う~~♪ くしゅぐったいどぉ~~♪』 とうとう下ぶくれスマイルを取り戻し、きゃっきゃと喜びはじめてしまった。 「「「うぅーーっ!?」」」 自慢の攻撃が全く効いておらず、流石に驚愕をあらわにする、ゆっくりフラン達。 もし、ティガれみりゃが起きられずに泣いている間、ティガれみりゃに構わず逃げ出していたらなら、 今頃このフラン達は気持の良い満月の夜空を謳歌していたことだろう。 しかし、もう遅い。 「しねっ!しねっ!」 『う~~~?』 ティガれみりゃのにくまん顔に馬乗りになり、拳を打ち続けるゆっくりフラン。 その姿を見たティガれみりゃは、肉まん脳をフル回転させる。 『うー! ひらいめいたどぉー!』 ティガれみりゃは、うんしょ、うんしょと、 苦労しながら体を回転させ、徐々に俯せの姿勢へとなっていく。 その間、ティガれみりゃの体にまとわりついていたフラン達は振り落とされ、 離陸に失敗したものは、そのままティガれみりゃの体に押しつぶされてしまった。 俯せになったティガれみりゃは、両手を使い、上半身を起こす。 と同時に、膝を立て、両手と組み合わせることで立ち上がっていく。 『う~~~~! やったどぉ~~~~!』 バンザーイ!と両手を大きく広げて、立てたことをアピールするティガれみりゃ。 『すっごいどぉー! れみりゃはやっぱり天才だどぉ♪』 「「うううううう……」」 喜びを爆発させるティガれみりゃに対し、 フラン達はせっかくのチャンスを無駄にしてしまったことを悔しがる。 『うっう~うぁうぁ♪ うっう~うぁうぁ♪』 どったばったと手足を動かし、洞穴の中で踊り出すティガれみりゃ。 ティガれみりゃが踊る度に、洞穴が揺れ、天井からは希に小さな石つぶが落ちてくる。 身の危険を感じ、洞穴の奥で一カ所にかたまるゆっくりフラン達。 『ティガ☆れみ☆りゃ☆う~~~♪』 ご自慢のダンスを踊りきり、最高にハイになるティガれみりゃ。 やっぱり自分ってば凄い! かわいいし! かっこいい! 頭もいい! こうまかんのおぜうさまにふさわしい、すてきなれでぃーだ! ティガれみりゃは御機嫌なまま、洞穴のすみっこに固まるフラン達に向き直る。 さぁ、こんどは何をして遊ぼう? そんなことをティガれみりゃが考えた時だった! 「……ぅー」 『うっ?』 ティガれみりゃは、頭の奥の方で、自分を呼ぶ声が聞こえた気がした。 「……ぅーぅー」 まただ。 やっぱり誰かが自分のことを呼んでいる。 だって、あたまのなかで声がするんだもん。 そう結論づけたティガれみりゃは、周囲をきょろきょろ見回したのち、 どったどったと慌てて洞穴の外へと出て行く。 「…う?」 残されたフラン達は、その様子を不思議そうに眺めていた。 洞穴の外。 ティガれみりゃはそらを見上げて目をこらす。 『うー……、うー……、うーっ♪』 空を飛ぶあるものを見つけ、歓声をあげるティガれみりゃ。 空を見上げる視線の先では、うーぱっくの親子が満月の夜空を横断していた。 『う~~♪ まっでぇぇ~~♪』 うーぱっく達を見つけたティガれみりゃは、 そのままうーぱっく達の後を追って歩いていく。 『う~♪ まつんだどぉ~♪ れみりゃもおそらをとぶんだどぉ~♪』 よったよった、どったどった。 よったよった、どったどった。 ティガれみりゃは楽しそうに、うーぱっく達の後を追う。 空を飛ぶうーっぱくと、地面をどすどす歩くティガれみりゃでは、どんどん間の距離が離れていってしまう。 現に、すでにうーぱっく達はれみりゃの視界から消えていた。 しかし、れみりゃには不思議な確信があった。 このままこちらへ歩いていけばよいのだと。 「ぅーぅー」 「ぅーぅー」 「ぅーぅー」 だって、頭の中にあのうーぱっく達の声が聞こえてくるのだから。 そして、この声の先には、だいたい美味しそうなおまんじゅう達がいっぱいいるのだ。 『う~~♪ まっててねぇ~ふりゃ~ん♪』 笑顔で闊歩するティガれみりゃ。 ふと空を見上げると、おしそうな真ん丸お月様が輝いていた。 まるでおまんじゅうみたい。 でも、色はぷっでぃーんに近いかな? そんなことを考えながらティガれみりゃは木々を押し倒していく。 こんなにもお月様が美味しそうだから、歌っちゃおう♪ ティガれみりゃは短くずんぐりむっくりした手足を、うぁうぁと動かす。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~♪』 一方、その頃。 洞穴に残されたフラン達は、ティガれみりゃがいなことを確認して、月夜へ飛翔を開始していた。 余談だが、その後しばらく、ゆっくりフランによる必要以上のれみりゃ種への虐待が続いたという……。 to be continued 次回予告 『ティガれみりゃ3・(タイトル未定)』 ============================ (あとがき) byティガれみりゃの人 ……とか名乗っておいた方が良いのでしょうか? どうも、前回『ティガれみりゃ』を書いた者ですm(_ _)m とりあえず今回が2回目です。 1回目を書いた時点で、今回の範囲まではほぼ終わっていたので、 連日になってしまいましたが、upさせていただきました。 (少しでも楽しんでいただければ幸いです) その3は……しばらくお時間をいただくことになるかもしれません(汗 なお、作中のティガれみりゃとうーぱっくの関係ですが、 某有名怪獣映画のとある設定のオマージュにだったりしますw ============================ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/2160.html
867.大人なれみりゃとちょっと子供なお兄さんの続編です。 出来ればそちらをお読みになってからこれを読んでいただきたいと思います。 ※独自設定です ※にんっしんネタやだど口調のれみりゃが出ます。 以上を不快に感じる方は、申し訳ありませんがゆっくりお引き返しください。 それでも良ければどうぞ れみりゃとゆっくりできるおちびちゃん 「れみりゃー!ただいまー!」 今は金曜日の午後6時半。 玄関のドアを開け、俺は居間にいるであろうれみりゃに日課であるいつもの挨拶をする為に声を上げる。 … あれ? いつもなら「おかえりなさ~い♪」と満面の笑顔のれみりゃが出迎えてくれるんだけど… … え?もしかして俺、れみりゃに嫌われた? … いやいや、そんなことはない…はず…多分。 …段々自信がなくなってきた。 靴を脱ぎ、れみりゃがいるであろう居間に恐る恐る向かう。 何故自分の家でこんなに慎重にならなきゃいかんのかわからんが…。 「れみりゃー?」 俺は居間へ続くドアを開け、れみりゃの名前を呼ぶ。 「う~…おかえりなさ~い…」 れみりゃの返事があったことに安心したのも束の間、俺はれみりゃの声に元気がないことが気になった。 見ればれみりゃはこちらに背を向けて寝ていた。 「…どうした、何かあったのか?」 「う~…ちょっとぉ…」 俺はれみりゃに声を掛けるが、れみりゃはこちらを向こうとはしない。 早くその顔を見たいんだがなあ…。 仕方ないから回り込んでれみりゃの顔を拝ませてもらおう。 俺はれみりゃを跨いで正面に回り込む。 「お~い…れみりゃ、どうか…した…の……か…?」 俺はれみりゃの顔を見て驚いた。 いや、正確には顎の部分だ。 下ぶくれの顔の顎の部分が大きく膨らんでいたのだ。 「う~…なんだかおもいんだぞぉ…」 見たいと思っていた念願の笑顔は…とてもゆっくりしていない顔になっていた。 「いつからそんなことになったんだ?」 俺はれみりゃの頭を撫でながら質問をする。 撫でることで少しでも良くなってくれればいいんだが…。 れみりゃは寝ている状態の方がマシなようで、寝たままの状態だ。 「う~…おひるにぃ…ぷっでぃんたべたくらい…かなぁ…」 大体昼くらいか。 朝、俺が出掛けるときにはまだ満面の笑顔だったしなあ。 「痛みはあるのか?」 「う~…いたいいたいはないぞぉ…でも…からだがおもいのぉ…」 痛みはないことに少し安心。 だが、このままにしておく訳にもいかない。 「れみりゃ、明日朝一番に病院に行こう。お医者さんに診てもらおう」 「おいしゃさんはぁ…ゆっくりできないのぉ…」 まだれみりゃは医者を嫌がっているのか。 予防注射に病院に行った時のトラウマがまだ残っているのかな…。 その日は一日中泣いてたもんなあ…。 「このままじゃゆっくりできないぞ!!お医者さんに行けばゆっくり出来るようになるから!!」 「う~…おもいおもいもおいしゃさんもいやなのぉ…」 う~ん…どうしたものか。 仕方ない、あまりやりたくはないが食べ物で釣るか。 「れみりゃ、明日の病院の帰りにアイス食べに行こう!ゆっくり出来るぞ!」 「う~…おいしゃさんはゆっくりできないけど…あまあまアイスはゆっくりできるぞぉ…」 こんな状態でも食欲はあるようだな。 食欲までなかったら万事休すだったかもしれない。 俺はれみりゃの食欲があることを心の中で感謝する。 何にって? 勿論、れみりゃにだ。 「病院に行かないとあまあまアイス食べられなくなっちゃうぞ~?」 「う~…あまあまアイスたべたいぞぉ…」 正直言うと嫌なやり方だけど仕方ないよな。 無理矢理連れて行って泣き叫ばれるよりはいいだろう。 この前のレストランの時は泣きやますの大変だったし。 「じゃあ明日一緒に病院行こうな!」 「う~…う~…しかたないぞぉ…」 れみりゃは病院に行くことを渋々ではあるが了承してくれた。 これで解決すればいいんだけどな…。 まずは晩御飯か。 俺はれみりゃのプリンその他を取りに行こうと立ち上がった。 「れみりゃ、あーん…だ」 「あ~ん…う~…あまあま…だっ…ぞぉ…」 俺がスプーンでプリンを掬い、れみりゃの口までそれを運ぶ。 俗に言う『あーん』ってやつだな。 普段はこんなことはしないんだが、寝たままの状態の方がゆっくり出来るようだから仕方ない。 …不謹慎だが、こういうのも悪くない気がするな。 「よし、れみりゃ。次行くぞ次。ほれ、あーん…」 「あ~ん…う~…ぷっでぃ~ん…」 相変わらず体調は良くなさそうだが、それでもプリンを食べるれみりゃは先程よりゆっくり出来ていたような気がした。 翌日 俺とれみりゃは総合病院へやってきた。 ちなみに何故総合病院なのかというと、そこしかゆっくりを診てくれないからだ。 ゆっくり専用の病院があれば良かったのだが、そんなものないし。 中にはゆっくりも診てくれる獣医もあるそうだが、ゆっくりは犬や猫とはなんか違うだろ? だから総合病院なのだ。 「う~…う~…」 病院の廊下の椅子に腰掛けているれみりゃは、病院に入ってから昨日の夜よりさらにゆっくり出来ていないような顔をしている。 そんなに病院が嫌だったのか…。 「う~…さくや~…やめてほしいんだぞぉ…」 ん?さくや? 何を言って… 「おぜうさまああああああああ!!!!!!!」 ん? うわ、れみりゃの足元で胴なしのゆっくりさくやがれみりゃの足にスリスリしてる!! とりあえず俺はさくやを両手で持ち上げ、れみりゃから引き離す。 「はなしてほしいんですわ!!」 さくやが俺のれみりゃにスリスリしたくなるのはわからなくもない。 いや、よくわかる。 俺のれみりゃはれみりゃの中でも特に可愛いのだからな! 断言して言ってやる。 心の中だけでだが。 だけどれみりゃが嫌がっていることをしてはいかんよな。 れみりゃの話し相手になってくれるだけなら良いのだが。 ああ、当然れみりゃは渡さないけどな!! 「お前、誰かと一緒に来たんじゃないのか?」 「ゆっ…さくやはおねーさんと『よぼうちゅうしゃ』にきたのですわ!!」 「じゃあお前のおねーさんは心配しているんじゃないのか?」 「ゆっ…あ、おねーさん!!」 さくやは俺と向かい合って(というより無理矢理こっちを向かせて)話していたが、突然向きを変え、嬉しそうな声を出す。 俺もさくやの向いている方に視線を向けると… 「ごめんなさいねぇ…うちのさくやちゃんが…ほら、こっちにいらっしゃい」 人が良さそうだが恰幅はさらに良さそうなおばちゃんだった。 おねーさんと聞いて少しは期待してしまったが…。 まあゆっくりに「自分はおねーさんだよ」と名乗れば、男だろうとお年寄りだろうと『おねーさん』になるのだから仕方ない。 「あら?貴方のれみりゃ、妊娠してるの?」 「…妊娠?」 俺がおばちゃんにさくやを手渡していると、おばちゃんが話しかけてきた。 おばちゃんの言ってることがよくわからなかった。 横を見れば、れみりゃも不思議そうな顔でおばちゃんを見ている。 「え~っと…妊娠…なんですか?これ」 「ええ、ええ、うちのさくやも…あ、この子の親なんですけど…あれは1年前だったかしら…急に顔が膨らんでねえ…」 なんだか話し始めたおばちゃん。 長くなりそうな気がするのだが…。 「それでねえ、れみりゃやふらんやめーりんも可愛いんですけどねえ、やっぱり私はさくやが一番可愛いと思うんですのよ」 いつの間にか話が変わっている…。 恐るべしおばちゃんパワー。 というより、俺が聞いてなかっただけか。 「胴付きと胴なしのゆっくりがいるでしょ?私はゆっくりと言えば胴なしの方が好きなんですのよ。あ、貴方のれみりゃを馬鹿にした訳じゃないのよ?」 「おぜうさまあああああああ!!!!!!!」 あ、いつの間にかさくやがおばちゃんの手から抜け出してれみりゃの足にスリスリしてやがる! 羨ましいぞ!! …もとい、けしからん!! 「こら、やめんか!」 「はなしてくださいですわ!!おぜうさまああああああ!!!!!」 「あとね、私はきめぇ丸を最近欲しくなってきましてね、ほら、あのふてぶてしい顔がなんだか可愛く見えてきません?」 病院の廊下の一角がすっかりカオスな状況になってしまった。 おばちゃんの話は止まらないし、さくやは俺の手の中で暴れるし。 「れみぃが…にんっしん…?」 れみりゃが何かを呟いていたが、その時の俺の耳には何と言ったのか聞き取れなかった。 「おぜうさまああああああああ!!!!!!」 「あのひゅんひゅんと動くところもなかなか愛嬌があってですねえ。きめぇ丸って名前より可愛い丸って名前の方が合うと思うんですけどねえ」 こいつらうっさい。 「あ~、これは妊娠してますねえ」 診察室で医者のやる気なさそうな声だけが響く。 おばちゃんとさくやの猛攻から逃れた俺とれみりゃは診察室の椅子に座っている。 ヘヴィだったぜ…。 「れみぃ…まんまぁになれるのぉ?」 れみりゃは目を輝かせている。 親になれるっていうのはやっぱり嬉しいもんなのかな。 しかし、俺はそれより気になることがあった。 「妊娠って…れみりゃに聞いたところ、急に顎が膨らんだらしいんですが、そういうことってあるんですか?」 「ゆっくりはある程度成長した母体がとてもゆっくり出来ていると子供が生まれます。いやいや、不思議な生き物ですねえ」 俺の質問を医者が苦笑しながら答える。 どうやら間違いないようだな。 「あまり外出させずに自宅でゆっくりさせて下さい。1週間くらいで生まれると思いますので」 短っ!! 人間の場合は十カ月と聞くが、それの40分の1以下かよ。 「出産の際は特に何もする必要はありません。出産後に風邪等を引いたりしないように母子共に気を付けてあげて下さい」 「わかりました」 人間の際は色々大変だと聞くが、ゆっくりだと何もしなくていいのか。 お手軽で助かるな。 「もし子供は一匹だけで良いと言うのなら子供が生まれた後にまたいらしてください。避妊薬を注射しますので」 「はぁ…わかりました」 れみりゃが幸せなのは良いことだが、その分子供が生まれるという事態もよろしくないかもしれない。 子供は計画的に作らないとな。 生まれた後にれみりゃと相談してみるか。 「ビタミン剤を処方しておきますね。栄養はしっかりとらせてください。では、お大事に」 「ありがとうございました」 その会話を最後に俺達は診察室を出た。 「うっう~♪あかちゃ~ん♪あかちゃ~ん♪」 病院から出る頃にはれみりゃはすっかりご機嫌になっていた。 嬉しそうに肥大化した顎を撫でている。 おかしな病気でないばかりか、自分が母親になれるということに喜びを感じているのだろう。 「れみ☆りゃ☆う~!!」 体が重いからかさすがにダンスは踊らないが、あの満面の笑顔は戻ってきたようだ。 この笑顔が見れたという意味では来てよかったな。 …保険がきかないれみりゃではバカ高い診察料にはなったが…。 「うっう~♪おにいさ~ん♪れみぃはぁ♪まんまぁになるんだっぞぉ~♪」 「ああ、そうだな」 「れみぃはぁ♪あかちゃんのためにもぉ♪たぁくさんアイスをたべるんだっぞぉ♪」 あ、アイスのことすっかり忘れてた。 財布の中身がさらに軽くなってしまうが、御祝いも兼ねて行くか。 れみりゃの笑顔をもっと見ていたいし。 「よっしゃ、美味しそうなアイス食べられる店に行くか」 「う~♪あまあまアイス♪うぁうぁあかちゃ~ん♪」 喜びながら車の助手席に乗るれみりゃ。 病院に来る時もそうだったが、顎が肥大化たことでシートベルトを付けづらいようだ。 俺が付けさせてやるしかない。 なんだかすっかり甘えん坊になっているような…。 「うぁうぁ♪しゅっぱぁ~っつ♪だっぞぉ♪」 「はいはい、出発出発」 そんな会話をしながら、俺は車にキーを差し込んだ。 「う~!!!うまれちゃうぞぉ…!!!」 今日は木曜日。 れみりゃが妊娠してから7日目だ。 毎日まだかまだかという気持ちだったが、ついに来たか。 つっても、医者が言うには俺が出来ることはないようだが…。 「頑張れ、れみりゃ。俺にもお前の可愛い子供を見せてくれ」 「う~…う~…」 四つん這いの体勢となったれみりゃは苦しそうだ。 だが、俺は見守ることしかできない。 肥大化した顎には小さな笑顔が見える。 あれがれみりゃの赤ちゃんなのだろう。 「う~!!」 すっぽん!という景気の良い音と共にれみりゃの顎からピンク色の物体が飛び出してきた。 それは非常に小さいが、母親とそっくりな胴付きのれみりゃだった。 というか、生まれた瞬間から服着てんのか。 何処かの配管工のペットの恐竜みたいだな。 れみりゃの子供は自身が生まれたことを察したのだろう。 すぐに母親であるれみりゃの方を向いた。 「う~♪まんまぁ♪」 「れみぃのあかちゃ~ん♪かわいいぞぉ♪」 「う~♪まんまぁにぃ♪ほめられちゃったどぉ♪れみぃうれしいどぉ♪」 ん? 赤ちゃんれみりゃの言葉が何だか訛っているような。 気のせいか? 「うぁうぁ♪」 「あぅ~♪」 「れみ」 「りゃ」 「「う~!!」」 そんなことを考えている俺に親子れみりゃのダンスを披露してくれた。 う~ん、やっぱりれみりゃの子供も可愛いな。 大きさ以外は見分けがつかないのが難点だが。 成長したらどうなるんだろう。 何か印をつけなきゃいけないのかな。 「…で、れみりゃ達よ」 「うぁ?」 「あぅ?」 俺は踊っている2匹のれみりゃに声を掛ける。 その声に、れみりゃ達は踊りを止め、こちらを不思議そうな顔で見ている。 親もれみりゃで子もれみりゃ。 何か呼び方を考えなければいけないだろう。 「まんまぁ~、このひとだれだどぉ~?」 子れみりゃがやっと俺の存在に気づいたようだ。 冷静に考えたら、この子供にとっては俺のことを部外者にしか見えないよな。 …というか、やっぱ訛ってるな。 聞き間違いではなかったようだ。 「だど」という言葉は山梨県の甲州弁の語尾の一つだったと思った。 甲州弁だとしたら他にも語尾に「ずら」とか「しざあ」とかも使うはずだが…。 …何故甲州弁? いや、別に甲州弁を馬鹿にしているわけでは決してないのだが。 「おにいさんはぁ♪とぉ~ってもぉ♪ゆっくりできるにんげんさんだっぞぉ♪」 非常にアバウトな説明だな、れみりゃよ。 インド人もびっくりだぜ。 …何歳だ、俺は。 「あぅ~♪あぅ~♪ゆっくりできるおにーさんはぁ♪とぉってもゆっくりできるどぉ♪あぅあぅ♪」 ああ、やっぱりそれで納得するのか。 ゆっくり出来るって言えばそれだけで良いんだな。 こちらとしてはやりやすいが…それで良いのか? … まあ良いか。 訛りの方は、これはこれで可愛いので別に問題はないな。 「で、子供の方のれみりゃ」 「う~?れみぃになにかようだどぉ~?」 こいつも自分のことをれみぃと呼ぶのか。 わかりにくくて仕方ないな。 訛りがあって良かったぜ。 「お前はれみりゃのおちびちゃんだから、ちびりゃと呼ばせてもらうぞ。とってもゆっくり出来るぞ?」 そのまんまだけど、他に思いつかなかったから仕方ない。 あとはこいつら自身が気にいるかどうかだが…。 一応ゆっくり出来るという言葉を付け加えておいたが…。 「あぅ~♪ゆっくりできるなられみぃはなんでもいいどぉ♪」 「うぁうぁ♪おちびちゃんうれしそうだぞぉ♪まんまぁもうれしいぞぉ♪」 ああ、やっぱり納得するのか。 まあ何でもいいんだけどな…。 「改めてよろしくな、れみりゃ、ちびりゃ」 「うっう~♪おちびちゃんとぉ♪おにいさんとぉ♪いっしょにゆっくりするぞぉ♪うぁうぁ♪」 「あぅ~♪れみぃのゆっくりらいふはぁ♪まだまだこれからだっどぉ♪あぅあぅ♪」 親子揃って満面の笑顔。 この1週間何だかんだ大変だったけど、この2匹の笑顔が見れて良かったと思う。 翌日 帰ってきたら居間が凄いことになっていた。 具体的に言えば、めちゃくちゃ散らかっていた。 れみりゃを連れてきた当初のことを思い出すぜ…。 「あぅ~♪これなんだっどぉ~?」 「あがぢゃ~ん!!ぎれいぎれいにじないどゆっくりできないぞぉ~!!!」 「う~♪う~♪これもぽぉ~~~~い♪するどぉ♪」 「あがぢゃ~ん!!でみぃのおばなじぎいでぇ~!!」 ちびりゃが手当たり次第に部屋の中の物をぽいぽい投げている。 れみりゃは…ああ、もうすっかり泣いてるよ。 それでも何とかしようというところが親として頑張っていると言ってもいい気はする。 …結果に結び付いてはいないけどな…。 これからちびりゃの教育もやらなきゃいけないのか…。 最近やっとれみりゃが手がかからなくなってきたと思ったのに…。 れみりゃに躾…出来るようになるのかなあ…。 はぁ…。 「ぽぉ~~~~い♪だっどぉ♪」 「あがぢゃ~~~~~~~ん!!ぼぉ~いじぢゃだめだっぞぉ~~~~!!!!!」 俺はさらに散らかっていく部屋の中を他人事のように感じながら、頭を抱えながら溜息をついた。 後書 親子れみりゃを書きたい!→じゃあこの前の続きで良いんじゃね?と私の中で繋がって続編が出来ました。 子供っていうのは最初は非常に手がかかると思いますが、きっとそれでも可愛いものなんでしょうね。 だど口調については台詞で見分けがつくようにした為です。 それ以上の理由はありません。 私自身はだど口調のれみりゃも好きです。 た・・・たまらん・・・ れみりゃ可愛すぎる・・・ -- 名無しさん (2011-01-05 12 21 23) れみりゃとちびりゃの愛らしい様子が、文章からヒシヒシと伝わってくる。 いい作品でした。 れみりゃが欲しい・・・ほんとに欲しい・・・ -- 名無しさん (2011-01-08 18 47 19) いいぞぉ! もっとやってしまえー! -- 親父ぃ・・・ (2012-09-13 07 12 37) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1263.html
博麗霊夢は、境内の森の裏の湖畔で釣りをしていた。 霊夢の釣りの腕前は、幻想郷に住む人間においては、1、2を争う程の腕前の持ち主であった、 まあそれも無理の無い事だった、博麗神社の夕食のグレードはその日の釣果に大きく左右されるのだから。 ここには食料が豊富にある、さまざまな魚、たくさんの野草、いろいろな獣、そして最近増えてきた「ゆっくり」・・・。 霊夢は、「ゆっくり」という生き物が多少苦手だった、彼女にとって、ゆっくりはまっすぐすぎる、 しかし、何事にも例外という物は存在する、そしてそれはゆっくりの中にも・・・。 「れいむ・・・。」 「分かってるわよ。」 霊夢は荷物の中の、もぞもぞと動く大き目の鞄にきびすを返すと、自分の後ろ手の森に注意を走らせる、 ごそごそと鞄から出てきた金色と肌色のまるっとした生物・・・ゆっくりアリス(以下ありす)である、 ゆっくりアリスは他のゆっくりよりは知能が高いが、霊夢と行動を共にするこのありすはとりわけ物分かりが良かった、 霊夢からすれば、自称都会派のありすは、そのプライドをくすぐってやりさえすれば、とても扱い易いゆっくりだった、 まあいつも接している面々が面々だ、至極当たり前の話だ。 「ゆっくりがいる・・・。」 「ええ、近くに来てるわ・・・。」 きぃきぃ煩い鳥の鳴き声と、ごうごうという風のうねり、そして小さいが確かに存在する気配・・・、 瞬間、二人が声を上げる。 「「うえッ!!。」」 二人は上空の木々の上に動く物体を確認する、ゆっくりれみりゃだ! そしてそこに居たのは、標的の姿を確認し、もはや興奮を隠さない二人。 「れっれっれっ、れみりゃ!!!」 「おっおっおっ、おにく!!!」 二人は既に叫んでいた、そしてさすがのれみりゃもこの異常な状態に気付かざるを得ない。 「うー! う? うーっ! うーっ!」 危険を感じたのか、身を翻し飛び去ろうとするれみりゃ、しかし二人はその時既に行動に移っている、 霊夢はビー玉大の陰陽玉を二発打ち出していた、それは正確にれみりゃの羽の付け根を打ち抜き、れみりゃは力なく墜落する、 そしてその墜落の地点と思われる場所を目掛け、猛然と飛び跳ねるありすの姿、 そして、ドサッという音とほぼ同時に「ハァ…、ハァ…。」という荒々しい吐息が撒き散らされはじめる、 「れみりゃあああ!かわいいよおおおおっほおお!」 「うーっ!!うーっ!!」 「よろこんでくれてうれじい゙いい゙いぃ!そのしたったらずもがわい゙いい゙いっふうぅぅ!」 「ざぐやー!!ざぐやあぁ!!」 「うおっほおおぉぉぉぅ!!かわいいイ゙ってねイ゙くよイ゙くよイ゙グすっきりー!!!」 「う…、う…。」 (・・・残念ね、咲夜が興味あるのはちゃんと体が付いてる本物だけ・・・それに毎度毎度咲夜に出てこられちゃ堪んないわよ。) そんな事を考えつつ、数十メートル先のゆっくりによるゆっくりの陵辱現場に、ゆっくりと向かう霊夢、 「ぼうしがわい゙いぃ゙ぃ!!、イ゙くよイ゙くよすっきりー!!!」 「ゔ…ゔ…ゔあ゙ぁ゙…。」 「あおじろいかみもがわい゙いぃ゙ぃ!!、イ゙くイぐイ゙くすっきりー!!!」 「………ゔー…。」 いつも思うが、その気になったありすは凄まじい、本物もびっくりだわね・・・、などと考えつつありすに声を掛ける霊夢。 「はーい、そろそろ終わりよー。」 「んふふふふすっきりー!!!・・・・・えー、もうなの?」 「そう、お茶受けになってみる?」 「・・・・・しょうがないわね・・・。」 ありすが体の下のれみりゃから飛び降りる、そこには半分以上朽ちてなおぴくぴく動き続けるれみりゃと、 そこから十数本生えた茎、そしてそこに付いた大量のれみりゃの仔たち、 巫女は手際よく茎を根元から引きちぎり、大きな財布のような物に突っ込んでいく、 これはスキマポケットといい、ある妖怪から間借りしたスキマと現実をつなぐ道具で、ある河童を口車に乗せ作らせた物だ。 (持つべき物は友達よね・・・。) そして巫女は仔れみりゃを捕獲し終えると、おもむろにれみりゃに齧りついた。 「むーしゃ。むーしゃ。」 「・・・・・あいかわらずきもちわるいわ、さいあくだわ・・・」 「・・・食べ物はね、腐りかけがいちばん美味しいものよ・・・・・しあわせー!!」 霊夢の胃腸の頑丈さは、幻想郷に住む人間においては、1、2を争う程の頑丈さの持ち主であった・・・。 そして短い食事は終わり、二人は湖に放置してきてしまった釣り竿の場所へと戻って行った、 霊夢も食べられなかった部分はスキマポケットに放り込んである、 この道具にゆっくりの骸や宴会の食べ残し、野草等を放り込んでおけば、中のゆっくりたちは適当な栄養と 長い半自動スキマツアーによる適当な恐怖でいい感じに育ち、ポケットの中に手を伸ばせば食べ頃のゆっくりに当たるのだ、 ああ、なんて便利な道具なんだろう。 ゆっくりが幻想郷に出現してからというもの、博麗神社の台所事情は確実に好転していた、 二人はある意味で相性のいいコンビだった、 ありすは大喰らいの他のゆっくりと違い、すっきりさえさせていれば、咲夜たちが宴会に持ち込んだお茶菓子の残りで十分に食わせていける、 それに霊夢は加工所などに頼らずともゆっくりを増やせるわけだし、ありすは安全に、確実にすっきりできる、 しかし、ゆっくりたちの間ではこのコンビの脅威は語られていない、 なぜなら、この二人から逃げおおせたゆっくりは、現在のところ、いないからだ。 かなりぶっ飛んだ設定ですが、「そうなのかー」ぐらいのノリでとらえてくれれば嬉しいです。 それと巫女ファンの人、ごめんなさい。
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/196.html
れみりゃ!れみりゃ!れみりゃ!れみりゃぁぁぁうううわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!れみりゃれみりゃれみりゃぁあうぁわぁああああ!!! あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん んはぁっ!ゆっくりれみりゃたんの綺麗な青っぽい髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!! 間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!カリカリモフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!! ガ板ゆっくりスレのれみりゃたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!! 愛でスレに出れて良かったねれみりゃたん!あぁあああああ!かわいい!れみりゃたん!かわいい!あっああぁああ! 虐待スレも30スレ越えて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!! ぐあああああああああああ!!!虐待スレなんて現実じゃない!!!!あ…ガ板ゆっくりスレも愛でスレもよく考えたら… お ぜ う さ ま は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!! そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!幻想郷ぅぅぁああああ!! この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?AAのれみりゃちゃんが僕を見てる? AAのれみりゃちゃんが僕を見てるぞ!れみりゃちゃんが僕を見てるぞ!お尻ふりふりAAのれみりゃちゃんが僕を見てるぞ!! おならぷーAAのれみりゃちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ! いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはれみりゃちゃんがいる!!やったよめーりん!!ひとりでできるもん!!! あ、ニコ動のれみりゃちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!! あっあんああっああんあちるのぉぉ!!ふ、ふらんー!!まりさぁぁああああああ!!!ありすぅぅうううう!! ううっうぅうう!!俺の想いよれみりゃへ届け!!幻想郷のれみりゃへ届け! 猛者すぐるwww -- 名無しさん (2009-07-19 17 51 50) 俺の心理描写と同じ過ぎてワロタ -- 名無しさん (2010-01-30 21 48 59) これはもう…酷すぎる。 -- 名無し (2014-03-27 02 03 12) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/105.html
【六十年目のゆっくり裁判】 そこには、今まさに命の灯火が消えようとしているゆっくりれいむがいた。 「ゆ…っゆ…っ。」 ゆっくりれみりゃに捕食されながら、そのゆっくりれいむは虚ろな目で虚空を見つめていた。 既に体の三分の一以上が喰われ、中身の餡子が飛び出している。 体が重い…。 湖のほとりで、蝶々さんと遊んでいただけなのに…どうして…? ゆっくりれいむは自分の不幸を怨めしく思った。 「うー!うー!」 既に、ゆっくりれみりゃの鳴き声も、ゆっくりれいむには聞こえていなかった。 「(もっとゆっくりしたかったよ!)」 そんなことを思いながら… ゆっくりれいむは死んだ。 「ゆっ!?」 ふと、ゆっくりれいむの目が覚めた。 そこは、赤い花が一面に広がっていた。 「ゆっくり!?」 そして、先程までの自分との状況の変化に気付いた。体が軽い、どこも痛くない。 「ゆっくりー!!」 おまけに体がスイスイと動く。 先程までの苦痛が嘘のようだ。 「ゆっくりできるよ!!!」 ゆっくりれいむは幸せいっぱいに、赤い花畑を飛び回った。 しかし、自身の体の外見の変化には気付いてはいなかった。 額に白い三角の布をつけ、体の底がたなびいているその姿に…。 そう、ゆっくりれいむは死に、魂となってこの彼岸に来たのである。 「お、またゆっくりかい。」 「ゆっ?」 楽しそうにしているゆっくりれいむに、ガタイの良い、肩に大きな鎌を担いだ女性が近づいてきた。 「最近多いんだよね~。ゆっくりの魂が。」 その女性は、ヤレヤレといった表情だ。 「おねえさんだれ?」 「あたいは小野塚小町。死神さ。」 「しにがみ?おねえさんもゆっくりしていってね!!!」 「クスッ、ゆっくりはみんな同じことを言うねぇ。でも生憎、あたいはゆっくりしてられないんだ。あんたを この川の向こう岸に連れていかなきゃならないんでね。」 「むこうぎし?そこはゆっくりできるの!?」 小町に問いかけるゆっくりれいむ。 「ああ、ゆっくりできるさ。お前のお友達もみーんなゆっくりしてるよ。」 「わぁい!れいむもゆっくりしたい!!」 「そんじゃ、そこの舟に乗った乗った!お代はいらないよ、ゆっくりだしね。」 そう言うと、小町はゆっくりれいむを舟に乗せ、舟を対岸へと向かわせた。 胸にゆっくりが二匹入っているんじゃないかと言いたくなるような豊満なバストを揺らして、小町は舟を漕い でゆっくりを対岸へ運んでゆく。 「…でね!…だから、ゆっくりしたんだよ!!」 「ほお~そうかいそうかい。」 途中、小町はゆっくりの自慢話のような話に付き合ってやる。もうゆっくりの自慢話は聞き飽きたよと言わん ばかりの顔で。 …そうこうしている内に、舟は対岸へと到着した。 「ほら、着いたよ。後はあんた一人で行けるだろ?あのでっかいお屋敷の中がゆっくりできる場所だよ。」 「ありがとうおねえさん!ゆっくりしていくよ!」 そう挨拶すると、ゆっくりれいむはピョンピョンと屋敷へ向かっていた。 小町は、去ってゆくゆっくりれいむの後ろ姿を眺めながら、ポツリ。 「ま、あんたがゆっくりできるかどうかは映輝さま次第だけどね。」 屋敷の門に辿り着いたゆっくりれいむ。 「ゆっくり?」 門をくぐり抜けると、ゆっくりれいむの目の前に、大きな扉が立ちはだかる。 「ゆっくりさせてね!」 と、ゆっくりれいむが、少し怒りぎみで声をあげると、大きな扉はギギギ…と、音を立てながら開いていった。 扉の奥へと入るゆっくりれいむ。そこにゆっくりできる場所がある。ゆっくりれいむは期待に胸を膨らませた。 だが、扉の向こうは特に面白みのない無機質な広い部屋だった。正面には5mほど台があり、その上の机には、 立派な装飾の施された帽子を被った緑髪の女性が座っていた。 「ゆっ?おねえさんだれ?」 また知らない女性がゆっくりれいむの前に現れた。 「私の名は、四季映輝・ヤマザナドゥ。幻想郷の閻魔です。」 「し…え…やまだなどう?」 映輝の肩書き付きの長い名前を復唱できないゆっくりれいむ。しかし、 「おねえさんもゆっくりしようね!」 気にも止めずに、いつもの台詞だ。 「残念ですが、ゆっくりしているヒマはありません。」 「ゆっ?」 「これから裁判を始めます。」 映輝がそう言うと、ゆっくりれいむの背後の扉がギギギと閉じてゆく。同時に、ゆっくりれいむの立っている 場所がせり上がってゆく。 「ゆゆゆっ!?」 3m程持ち上げられたところで、ゆっくりれいむを乗せた台は止まった。 「ゆっくりれいむよ、よくお聞きなさい。私はこれから貴方の生まれてから死ぬまでの行いを、この浄瑠璃の 鏡で見渡します。貴方の行いによって、私は貴方の今後の行き先を決定します。」 「おねえさん!ゆっくりできないよ!はやくおろして!」 まるで聞いてないゆっくりれいむ。 「ゆっくりれいむよ、今一度言います。これは貴方がゆっくりできるかどうか大切なことなのですよ?」 「ゆっくりできるの!?」 ゆっくりという言葉に反応するゆっくりれいむ。 映輝はゆっくりれいむが聞く耳を持ったことを確認すると、説明を続けた。 「生きている間の貴方の行いによって、あなたはこれから二つの道のどちらかを行かねばなりません。」 そう言って映輝が右手の手の平をバスガイドが案内するかのように上げると、楽しげな極楽の様子が写し出さ れた。 そこは、お日様いっぱいの花畑。ゆっくりゆゆこやゆっくりレティ、ゆっくりフランがニコニコと楽しそうに 遊んでいる。正にゆっくり天国だ。 「わあっ!たのしそう!!れいむもそこでゆっくりしたい!!!」 次に、映輝は左手を上げる。そこには…。暗くてよくわからない。しかし、とにかくあまり楽しそうではない ことは確かのようだ。 「いかがですか?ゆっくりれいむよ。」 「そっちでゆっくりしたい!」 ゆっくりれいむは天国の様子が写し出されたほうを向いてピョンピョンとその場を飛び跳ねる。 「そうですか、ゆっくりれいむよ。しかし、私は今、あなたの人生をすべて拝見しました。…判決を下します。」 キラキラとした目で映輝を見つめるゆっくりれいむ。その顔は、自分がゆっくりできそうな場所へ行けると信 じきっている顔だ。 「あなたには、地獄へ落ちてもらいます。それも、最も過酷な“ゆっくり無限焦熱大大地獄”です。」 「ゆっくり!?」 映輝が何を言っているのかよく分からないゆっくりれいむだが、自分がゆっくりできなさそうな場所へ連れて いかれることは、何となく理解した。 「貴方は生前、たくさんの虫を殺して食べました。たくさんの田畑を荒らしました。そして何より、『ゆっく りしていってね!!!』と大声で叫び、人々を不愉快にさせてきました。………そう、貴方は少しウザすぎる。 地獄に落ちて、終わることの無い様々な苦痛を永遠に受けること。これが今の貴方が積める善行よ。」 映輝がそう言うと、ゆっくりれいむの足元の床に穴が出現した。 「ゆうーーーっ!」 そのまま落下するゆっくりれいむ。 文字通り、ゆっくりれいむは地獄へと落ちていった。 六十年目のゆっくり裁判・下へ続く。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/191.html
「う~う~♪」 俺が散歩にと道端を歩いているとそんな声が聞こえた。 「ゆっ、やめてね、まりさは食べないでね!」 見ると、ゆっくりれみりゃがゆっくりまりさを食べようとしているところだった。 周りを見るとゆっくりれいむの髪飾りやそれよりも小さい飾りや帽子が落ちていた。 なるほど、ゆっくり一家を食べつくしたか、れみりゃにしては大戦果だ。 「ゆっ、ゆっ! あ、お兄さん、ゆっくり助けてね!」 まりさがこちらに気がついた。なんだかうざい声でぴーちくと助けを求めてくる。 なんでれみりゃはさっさと食べないんだ。 「う~おながいっばい~♪」 なるほどな。 もう少しお腹に余裕ができるまでまりさをキープしてるのか、 それともまりさをいたぶっているのか、ゆっくりゃのくせに生意気だ。 そこである考えが思いつく、れみりゃがいたぶっているのを見ていたら俺もしたくなった。 「やぁ、れみりゃ、そんな食べ飽きたものは捨ててぷっでぃ~ん食べたくないかい?」 「う~♪ れみりゃぷっでぃ~んも食べる、もっでぎでー♪」 最初は甘言で連れて行こうとしたが早くも面倒くさくなった。 何故俺がゆっくりゃなどにない頭を割いてまで考えねばならないのか。 と、言うわけで優しくれみりゃに近づき、羽をもぐ。 「うっっがっぎゃゃー! ざ、ざくやー!!」 とたんにすさまじく泣きだし、暴れる、うるさいので殴る。 「うぎゃー!」 「お兄さんありがとう! ゆっくりれみりゃはゆっくりしんでねっ!」 その隙にまりさが逃げようとする、それも捕まえる。 「ゆっ、なにするのお兄さん、ゆっくりれみりゃと同じ場所ではゆっくりできないよ! ゆっくりはなしてねっ!」 そう言って媚びた笑いを向けてくる、こいつは俺を味方と思っているんだろう、うざいので殴る。 「どぉじでごんなごどずるのー! だべるなられいむからだべでー!」 食べないし。それにお前が身代わりにしようとした家族はもういないよ。 俺は泣き叫ぶれみりゃとまりさを両脇に抱えて家へと帰った。 家に帰ってきた俺はさっそくれみりゃをゆっくりれみりゃ用透明ケースに詰め、まりさは適当に籠に閉じ込めた。 (まずは腹を空かせてもらわないとな) れみりゃは今、満腹なはずなので少し時間を置くことにする。 次の日、再び様子を見に来た。 「ざくやー! れみりゃおながずいだー!」 れみりゃを見る、よし、再生してるな。 しかしなんという燃費の悪さ、昨日はあんなに満腹だったのに。 「ゆ、ここじゃゆっくりできないよ、ゆっくりだしてね!」 まりさは昨日のことは覚えてないようだ、とりあえず籠から出してやる。 一瞬れみりゃに怯えるが、動けなそうなところを見ると揚々とこちらに近づいてきた。 「ゆっくりおなかへったよ! ゆっくりごはんだしてね! 出さないのならはやく出て行ってね!」 ぴょんぴょんと俺の目の前で跳ねる、うざい。 「あぁ、まりさ、ご飯だけどな」 「ゆっくりはやくだしてね!」 「まりさには餓死してもらうから、ないんだ」 軽く言う、実際どうでもいい。 「ゆっ?」 意味がわかってないんだろうか、まりさは少し考え。 「どおじでぞんなごどいうのー!」 泣き出した、うざいので殴った。 まあ、まりさいじめは今回は置いておこう、今回の主役はれみりゃなのだから。 早速れみりゃをケースから取り出してまりさを渡してあげる。 「う~♪ う~♪ れみりゃの御飯だぞー♪」 お腹がすいていたのか、今度はすぐにまりさを食べようとするれみりゃ。 まりさは痛みとショックで固まってる。 もちろん、俺もれみりゃにご飯を食べさせる気はない。 まりさがれみりゃの口に入るその直前、れみりゃをぶん殴り、まりさを救出する。 「うあっー、ざくやー! どおじでー!」 そう、俺の考えとはれみりゃのゆっくりを食べるをやめさせることだった。 もちろん、いやがらせの意味で。 とりあえず、同じことを朝昼晩三回繰り返す。 次の日、部屋に入ると 「「おながずいたのー!」」 ゆっくり二重奏だ、これは耳障りな音楽だ。 しかしこいつらには昨日のことは忘れてしまったのか、取り合えずまりさを取り出す。 「おにいざん、ばやぐごばんもっでぎでー!」 「駄目だよ、もう二度とまりさはご飯を口に入れられないんだよ」 「どぼじでぞっ!?」 話の途中で面倒なのでまりさの口をホッチキスで止める、伝統的ゆっくり口封じである。 「うっーうっー」 はは、なんだかまりさ、れみりゃみたいだぞ。 さて、つぎはれみりゃだ、っと。 「うぎゃー!」 れみりゃの髪を引っ張ってケースから出す、こいつ重くて出すのも面倒になってきた。 でも、出しとかないとまりさ奪還失敗するかもしれないしなぁ。 もうちょい広いケース買えばよかったか。 「ほーら、れみりゃ、ご飯だぞー」 「う~♪ う~♪ れみりゃのごはん~♪」 こいつ昨日と同じセリフはいてやがる、もちろん、食べる前に殴る。 「なんで~なんでれみりゃにごばんだべざぜてぐれないのー!」 「それはね、れみりゃがゆっくりを食べるからだよ」 「れみりゃのごはんー!」 「ちがうよ、れみりゃのごはんはゆっくりじゃないんだよ」 「う~?」 じゃあ、何を食べるんだろう、俺も問答の答えは用意してなかった。 ぷりんか、いやいや、そういえば雑食じゃないか、なんでも食うのか。 ならばべつにゆっくりにこだわる必要ないのか、まりさいらなかったな… まりさを踏む。うーうー唸っている。 これはこれでいいか。折角だ、続けてみよう。 一週間後、今日も同じようにれみりゃを取り出す。 髪をつかみ続けたせいで10円禿ができてしまった。 まりさのほうはもう、ほとんど動かない、死の目の前だ。 「ざくやー、ざくやー」 「はいはい、ごはんですよー」 まりさを渡す、れみりゃは少し考える、空腹で目の前のゆっくりを食べたい、でも絶対阻止される。 でも食べたい、でも絶対殴られる、食べられない上に殴られる? れみりゃは気がついた、もうこれは食べられない。 「いや゙ぁぁぁぁ! もうゆっくりだべだぐないのぉぉ!」 そう言ってまりさを投げ捨てる。 ここにきてようやくわかってくれたか、うんうん。 ピクピクしてるまりさ、気分がいいので口を破って(癒着してた)あげる。 「ゆ……ゆ…」 「まりさ、よろこべ、ご飯をやるぞー」 「ゆ…?」 そう言って一週間前のれみりゃの羽をあげる。 「ゆ…ゆ…」 はじめはゆっくりと食べていたまりさだったが、徐々にスピードを上げて羽にがっつく。 「むしゃむしゃむしゃむしゃ!」 そしてフィニッシュにゆっくり味わうまりさ。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」 「それはよかった」 うん、どうやら体力も大体回復したみたいだな。 「おにいさんもっとごはぴぐ!?」 そしてまたホチキスで止める。 「最後の晩餐、楽しんでもらえてよかった」 そう言ってまりさをかごに押し込む、必要もないので、もう二度と出さないだろう。 「れみりゃにもご褒美上げないとなー、はい、ピーマン」 「う~ざぐやー!」 お気に召さないようだ、一週間も食べてないのにすごい根性だ。 「あ、そ、じゃあ、いらないね」 「う~だべる~」 「あげない」 目標は達成したし面倒になってきた。 れみりゃは割と好きだし、ひと思いに殺してあげよう。 「う~! ざくやー! このおじさんごろじでー!」 やっぱりれみりゃはなぶるように殴る蹴る。 「やっぱり死なないなぁ」 れみりゃは再生能力が高いのだ、面倒なので、ケースに詰めておくことにした。 「だ、だずげ…」 「れみりゃ、やっぱり君もそのまま餓死ね」 そのまま俺は部屋を出て行く。 「だずけでーざくやー! い゙や゙ぁぁぁ!!」 れみりゃは次の日に死んでいた。 まりさの方も三日と持たなかった、やはり体力が落ちていたか。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4341.html
れみりゃの子育て ******************************************注意*********************************************************************** オレ設定が含まれます 虐待描写が少ないです。 良いゆっくりも傷つきます。 いつもながら会話が結構多いです。 ********************************************************************************************************************** 春、雪解けがだいぶ進み新しい命が次々と生まれる季節。 山に住む多くの住民たちが目覚める季節。 そんな季節に泣きながら巣から出てくるゆっくりがいた。 れみりゃだ。 胴無しタイプのようだ。 「う~……れみりゃのおちびちゃん……」 いくつもの黒ずんだ子れみりゃを咥え出して墓を掘り始めた。 このれみりゃの番はいない。 冬眠の準備中に野鳥に襲われて死んでしまっていた。 その後、子供達と共に狩りに行くもうまくはいかなかった。 ゆっくり育てようと考えていたので冬眠明けまで狩りを教えないでいようと考えていたからである。 急いで狩りを教えるも、未熟な子供たちでは気配を気取られすぐにエモノに逃げられてしまう。 れみりゃ自身も失敗続きの子供たちが気になり狩りに集中できなかった。 そのせいで食糧が満足に集められず子供達は冬眠中に飢えて死んでしまった。 しばらくして墓も完成したころ、 ぐぅ~、と空腹を告げる音が鳴った。 「いつまでもないてちゃみんなにわらわれるど~!」 そう自らを奮い立たせて冬眠が明けて初の狩りに出かけて行った。 飛んで間もない時だった。 れいむ、まりさ、ちぇん、ありす、ぱちゅりー等がたくさん集まっているのを見つけた。 近くの木の根元にはたくさん穴がある。 ゆっくりの群れ、しかもなかなかの大きさだ。 食料としては数ヶ月分はあるかもしれない。 「こんなちかくにこんなにいたんだど~!?……れみりゃがもっどはやぐにきづいでれば……」 悔しさと悲しさ、それから自分自身への憤りからまた涙が溢れ出す。 「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 それら全てをぶつける様に勢いよく群れへと突撃する。 「ゆ?……!!れ…れみりゃだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「わがらないよー!なんでもういるのー!?」 「むぎゅ!エレエレエレ・・・」 「ま…まりさはたべてもおいしくないからありすをたべてね!」 「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉ!!?」 混乱する群れ、そしてその中で大暴れするれみりゃ。 もっと早く見つけていれば… おちびちゃん達は…おちびちゃん達は…助かったのに! れみりゃの頭の中にはそれしか無かった。 これは食事ではない、八つ当たりの虐殺ショーだった。 1時間ほど経っただろうか。 辺りはゆっくりの死骸で一杯だった。 正気に戻ったれみりゃは泣き止み食事を始めた。 「……しゃん……きゃらにゃいよー……」 声。 微かにだが確かに聞こえる。 「まだいきのこりがいたんだどー?」 耳を澄まして場所を特定する。 「そこだっどー!!」 勢いよく飛びかかる…が牙があと数センチで届くところで止まる。 とても小さいちぇんがいたのだ。 おそらく植物型で生まれたばかり、もしくはさっきの襲撃で生まれ落ちてしまったものかもしれない。 れみりゃの頭には薄らと自分の子供達が重なって見えた。 「お……おちび…ちゃん…だっど?」 つい、口に出ていた。 「ゆ?おきゃーしゃん?わきゃりゅよーおきゃーしゃんだねー!ゆっくちしていちぇにぇー!」 「うう!?ゆっぐりしでいくどー?」 れみりゃの言葉からちぇんはれみりゃを母親と勘違いしてしまったようだ。 ちぇんの言葉にぼーっとしていたれみりゃは思わず返事を返してしまっていた。 「ゆゆ~♪おきゃーしゃん!しゅーりしゅーりしゅるよー!」 れみりゃは混乱したが落ち着いて事態を把握しようと努めた。 自分は捕食種のれみりゃ。 目の前にいるのは中身が甘ーいチョコクリームのちぇんの赤ちゃん。 ちぇんはれみりゃを見たら逃げる。 でもこいつは逃げない。 こいつはれみりゃをお母さんと呼んでいる。 つまりこいつはれみりゃの子供。 子供なら逃げないのは当たり前。 そこまで考えているとれみりゃにはもう目の前の赤ちぇんが自分の子供としか思えなくなっていた。 小さい体で一生懸命自分に近づき、「しゅーりしゅーり!ちあわちぇだよ~!」とやっている赤ちぇんが愛しくてどうしようもなかった。 「このこをりっぱなほしょくしゅにそだてるど~!こんどこそ…かならずそだててみせるど~!」 れみりゃは赤ちぇんを育てることを決意した。 「うっう~!ちぇん、いっしょにこーまかんにかえるど~!」 「こーまきゃん?わきゃらにゃいよ~?」 「こーまかんはれみりゃのゆっくりぷれいすだっどー!」 「ゆっきゅり?わきゃるよ~ゆっきゅりできりゅんだにぇ~!」 れみりゃは笑顔で頷くと赤ちぇんを羽で帽子の上に乗せて飛び立った。 「わきゃるよ~!!おしょりゃをちょんでりゅんだにぇ~!!!」 帽子の上で興奮しながら喜ぶ『我が子』を見てれみりゃはとてもしあわせ~だった。 そしてその日かられみりゃとちぇんの奇妙な親子生活が始まった。 数ヶ月後、季節は変わって夏。 れみりゃの子育ては順調そのものでちぇんは子供サイズにまで成長していた。 立派な捕食種に育てるという教育方針により、ご飯は全てゆっくりの中身だった。 虫や草花であったことなど一度もない。 しかしちぇんの心では少しづつ疑問が膨らんできていた。 疑問が限界まで膨らみ切ったある日、ちぇんは思い切ってれみりゃに疑問をぶつけてみた。 「おかーさん!ちぇんはどうしてはねさんもないしきばさんもちいさいのー?わからないよー?」 「うう!?」 「……ちぇんは…おかーさんのほんとうのこどもじゃないんだねー?」 「…うー…」 一緒に暮らし始めて数か月、ちぇんが気づいてしまった。 今まで気づかれないようにれみりゃなりに十分気を付けていたはずだった。 ご飯は全て中身だけにしてゆっくりだとは気づかないようにしてきたしれみりゃは自信があった。 狩りを覚える頃になれば大きくなっているだろうしその時全てを話そうと決めていた。 れみりゃはちぇんの本当のおかあさんを殺した。(と思われる) 全てを話したその時、立派に捕食種として育った我が子に食い殺されよう。 ちぇんにはその資格がある。 れみりゃはそう思っていた。 しかし思っていたよりもまだだいぶ早く気づいてしまった。 それでも可愛い我が子に嘘は付けなかった。 「うー…そうだど…れみりゃはちぇんのほんとうのおかーさんじゃないんだど…」 「…わかるよー…ちぇんとおかーさんはちがいすぎるんだよー… …ちぇんの、ちぇんのほんとうのおかーさんはどこなのー?」 「……れみりゃが…ころしたんだど…」 「!」 ちぇんはある程度覚悟していた。 つい最近こっそりこーまかんから抜け出してれみりゃの狩りを見たから。 「ゆっくりさせてよー!…ゆっゆっゆ!もうやだぁぁぁ!おうぢがえるぅぅぅぅぅ!ゆゆ!?ゆんやぁぁぁぁぁぁ!!」 悲鳴と命乞いを叫びながら逃げるれいむをれみりゃは躊躇せずに噛みつき、絶命させていた。 そして中身だけを口一杯に詰め込むと羽を広げ、帰る仕草を見せた。 ちぇんは混乱しながらもバレてはいけないと判断し、急いで帰った。 足の速いちぇんは先に帰ることができ、バレることは無かった。 「ころしたことをべんかいはしないんだど、でもれみりゃはちぇんをほんとうのこどもだとおもってるど! ちぇんといっしょにいれてれみりゃは、しあわせ~だったどー……」 「おかーさん…」 「もし…もしちぇんがれみりゃをきらいなら…れみりゃを…れみりゃをころしてもいいんだど!!」 「!!!???」 ちぇんは驚き、そして泣いた。 「ゆっぐ…ゆっぐ…どぼじでそんなごどいうのー?わがらないよぉぉぉ! ちぇんは、ちぇんはおかーさんのごどだいすぎなんだよぉぉ!? ちぇんもおかーさんといっしょでとっでもとーっでもしあわせ~だったんだよ!? それなのに…なんでごろじでもいいとがいうのぉぉぉ!?」 ちぇんは怒っていた。 自分の本当の親を殺したことへではない、自分にれみりゃを殺してもいいと言ったことへだ。 ちぇんはただ本当のことが知りたかっただけだった。 自分はれみりゃの本当の子供ではない、だから似ていない、本当の親はもう死んでいる。 それを認めてもらった上で気持ちを整理してこれからも一緒に暮らしていこう、そう思っていた。 「う…うあ…ちぇんは、れみりゃがおかーさんでいいんだど?」 「とうぜんだよー!」 「れみりゃはちぇんの…」 「そんなことはどうでもいいんだよー!!ちぇんのおかーさんはおかーさんだけなんだよー!!ゆっくりわかってねー!!」 「ううう…うぅぅぅぅぅぅ!!」 れみりゃは羽を、ちぇんは2本の尻尾を、それぞれ相手を抱きかかえるようにして泣いた。 れみりゃは全てを謝罪し、ちぇんは全てを許した。 そう、今この瞬間からこの2匹は本当の親子になったのだ。 数日後、ちぇんは悩んでいた。 本当のことがわかったのは良かったが、自分があまりに捕食種らしくないことに。 れみりゃのような羽で一緒に空をぱーたぱーたしたい。 れみりゃのような牙で一緒に狩りに出かけたい。 そもそも捕食種ではない自分がそれらも無しにこれから生きていけるか、と。 れみりゃもそれには気づいていた。 そして大分早いが前々から計画していたことを実行しようと決めた。 「ちぇん?これからだいじなことをはなすどー!」 「わかったよー!ゆっくりきけばいいんだねー?」 れみりゃはちぇんに説明を始めた。 れみりゃ命名「ちぇんとぱーたぱーたしようだいけいかく! ~ぱーたぱーたはきもちいいんだど!~」である。 1:ご飯をたくさん貯め込む 2:れみりゃが自分の羽にかみつき引き抜く 3:羽の付け根をちぇんの背中に刺し込む 4:しばらく貯め込んだ餌で耐えつつ羽が取れないよう見守る 5:羽がくっつく 6:動かす練習をする 7:飛ぶ練習をする 8:一緒にぱーたぱーたする れみりゃは捕食種なのでしばらくすれば羽はまた生えてくる。 ちぇんに羽が馴染んでくれればちぇんも飛べる。 なんとも浅はかな計画だが、れみりゃからすれば練りに練った最高の計画である。 「ゆぅ…でも、おかーさんいたいいたいだよー?」 「うっう~♪だいじょうぶだっど~!れみりゃはつよいからすぐにあたらしいはねさんがはえるんだっどー!」 それを聞いたちぇんはとても喜んで賛成した。 夢にまで見た自分だけの羽のために。 れみりゃもそんなちぇんを幸せそうに眺めていた… 更に季節は流れて秋。 れみりゃの計画は大成功だった。 始めたのが夏だったこともあり貯め込むご飯は簡単に捕獲できたし、 涼しいこーまかんで羽がくっつくのをゆっくり見守るのはむしろ幸せだった。 まだ少し小さいちぇんの体には余るくらいの大きな羽だが、 ちぇんのれみりゃのようになりたいという気持ちが強かったことが作用したのだろうか、 羽は一週間程度でくっつき、それから一か月位でなんとか飛べるまでになっていた。 「わかるよ~!こうやってちからづよくぱーたぱーたすればいいんだねー?」 今となってはゆっくりなられみりゃと並んで飛ぶこともできるが、初めて並んでぱーたぱーたした時は抑えきれない喜びを感じ意識を失って落下。 れみりゃが焦って救出したほどだった。 それから、余った時間で狩りも習った。 ちぇんは気配を消すのがとてもうまく、その点だけは初めかられみりゃを超えていた。 また茂みから普通のちぇんを装って声を出して相手を油断させる等頭も良かった。 それでも飛び立つ時の初速が遅いせいで狩りの成功率は低かった。 そこが現在の課題ではあるが、ちぇんだけ食べる分には問題ないくらいには上達していた。 「うっう~!きょうもとうっみんっのためごはんをあつめるんだっど~! これはとっでもだいじだからがんばるんだどー!」 そう、実りの季節を迎えちぇんも狩りができるようになったこともありそろそろ冬支度しなければいけないのだ。 狩りは二手に分かれて行っている。 ちぇんのノルマは自分で今日食べる分以上を集めることだが、それができるのは3日に1度くらいである。 それでもれみりゃは食糧集めに集中できるだけでだいぶ楽だった。 「それじゃあここでふたてにわかれるど~!かげさんがむこうのやまさんのほうをむいたらこーまかんにしゅうごうだっどー!」 「わかるよー!きょうこそいっぱいまりさをつかまえるよー!」 いつもれいむやぱちゅりーなど動きの遅いものばかり狙っているちぇんにとって身体能力の高めなまりさは捕まえにくい。 群れに突撃しない限り負けることは無いが逃げられることが多かったのでまりさをいっぱい捕まえることを目標にしていた。 「わからないよ~!どこにもまりさがいないんだねー!」 しばらく飛び回るがどこにもまりさの姿が無い。 それどころかゆっくりすら見られない。 「やめてね!まりさをたべないでね!…ゆっぐりしだいよぉぉぉぉ!!」 まりさの声が聞こえた。 声のする方に向かうと2匹の胴無しれみりゃがまりさを襲っている。 「うっうー☆きょうもじゅんちょうだっどー♪」 「う?おかーさんへんなちぇんがいるんだどー?」 初めて母親以外のれみりゃを見たちぇんは反応に困った。 「ちぇ…ちぇんはほしょくしゅのちぇんだよー!きばさんはちいさいけどはねさんはあるよー! れみりゃおかーさんとかりしてるんだよー!わかってねー?」 捕食種として育ったこともあり「ゆっくりしていってね!!」とは言わなかった。 とりあえず自分についてを相手に伝えようと必死だった。 「うー?ちぇんはほしょくしゅじゃないんだっどー!」 「ならあれはごはんだどー?うー!い☆た★だ☆き★ま☆すだっどー♪」 れみりゃ親子がちぇんに飛び掛かった。 「わからないのー!?ちぇんはごはんじゃないよー!?」 ちぇんは叫びながら逃げた。 しかしやはり遅い… 「どーしたんだど?♪もっとはやくとばないとた~べちゃ~うぞ~♪」 「うっう~☆れ★み☆りゃ★う~♪」 明らかにこの親子は遊んでいた。 「やめてねー!いじめないでねー!!わがらないよぉぉぉぉ!!おがーさぁぁぁぁぁぁん!!……ゆぎゃ!」 ついに捕まってしまった。 体を子れみりゃに押さえつけられる。 「いだいよぉぉぉ!!わがらないよぉぉぉ!!はなじでよぉぉぉ!!」 「ちぇんがはねさんなんてなまいきなんだっどー!」 「!?!?!?!?!?!ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!やべでねぇぇぇぇぇ!!!」 親れみりゃはちぇんの羽に噛みつくと勢いよく引き抜いた。 既に自分の一部となっているちぇんに今まで味わったことのない激痛が襲う。 「もうかたほうもぬいちゃうんだっどー!」 「ゆ…ぁぁ…やめ…はねさん…おがーざんにもらっだ…だいせづな…はねさん…」 「いくどー!れ★み☆りゃ★うぅぅぅぅぅぅぅ!!」 「sdfgghhj!!!!!ゆぢゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 これでちぇんに羽は無くなった。 背中の羽の付け根だった部分には穴があき、チョコクリームが垂れ始めていた。 ちぇんは背中の痛みよりも羽が無くなった悲しみの方が苦しかった。 自分と母親を繋いでくれる羽。 母れみりゃが痛い思いをしてくれた大切な羽。 脈打つ背中の痛みをはるかに超える悲しみがちぇんの意識を奪おうとしていた。 「ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!」 その時、ちぇんには赤い光が見えた。 母れみりゃだった。 鬼の形相の母が今まで見たことのない速さでれみりゃ親子に突撃していたのだ。 「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「うびゃっ!!」 数メートル転がっていくれみりゃ親子と自分に近寄ってくる母。 「ちぇん!!くるのがおくれたど!!ごめんだどー!!」 さっきの鬼の形相が嘘だったような泣き顔を見せる母にちぇんは安心した。 「わかるよー…たすけてくれたんだねー…でも、ごめんねー… おかーさんにもらったはねさん……だいじな……だいじな…ゆっぐ…だいじなはねざん… なぐなっちゃっだよー……ゆっぐ、ゆっぐ…ごべんねー…ほんどに…ごべんねー…」 「いいんだどー!こんどまたあげるんだどー!ちぇんのためならいくらでもあげるんだどー!!」 「……なら、いのちをもらうんだどー!!!」 「う!?」 油断した。ちぇんが気になってトドメを刺すのを忘れていた。 いつのまにか戻ってきていたれみりゃ親子が母れみりゃを両脇から噛みついた。 「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」 「よーくおぼえておくんだどー!?エオモノをいちげきでしとめれないれみりゃはいちりゅうじゃないんだっどー!!」 「おがーざんわがっだどー!!ふいうぢするゲスなれみりゃはころしでやるんだどー!!」 初めて聞く母の悲鳴。 苦痛に歪む母の顔。 いくら強い母といえども両脇から噛みつかれては身動きが取れない。 このままでは自分だけじゃない、母も殺されてしまう。 自分がもっと強かったら……母の様に強い捕食種だったら…… …その時、ちぇんは心になにか熱いものを感じた。 すると、背中の痛みが消えてゆく。 それどころか体中に力が漲ってくる。 「うっうー!これだけやればこのゲスりゃはしばらくおきれないはずだどー!」 「うー…おかーさん、おなかすいたんだどー…ちぇんをたべてもい……!?!??!?!? いだいんだどぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 子れみりゃは右頬に痛みを感じた。 …ちぇんだ。 ちぇんが噛みついたのだ。 「いだいんだどぉぉぉぉぉ!!はなれるんだどぉぉぉぉぉ!!」 中々離れない。 ちぇん種の小さい牙なら簡単に振りほどけるはず… そう考えていた子れみりゃは混乱した。 そして、ブチッ!!と鈍い音と同時に子れみりゃは開放感を感じた。 「いぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!ざぐやぁぁぁぁっぁぁぁぁぁ!!」 子れみりゃの右頬は噛みちぎられていた。 ちぇん種の牙では傷付けるので精一杯のはず… 親れみりゃはちぇんに向き合う。 そこには見たことのないゆっくりがいた。 先ほどの背中の穴はもうほとんど癒えている。 口からはれみりゃ並の大きな牙が見え、顔は先ほど見たれみりゃの鬼の形相そのもの… 「あれ?きばさんがおおきくなってるよー!?わからないけどわかるよー! これが、これがおかーさんとおなじほしょくしゅなんだねー!!」 これはちぇんではない、少なくとも間違いなく捕食種だ。 そこで子れみりゃを思い出し子れみりゃのほうに目をやる。 痙攣しているが捕食種の再生力ならなんとかなる程度だ。 今ならまだ助かる、目の前の捕食種は羽が無いから飛べないはずだし飛べば逃げ切れる。 親れみりゃは勢いよく子れみりゃの方へと飛ぶ。 「わかるよー!こっちにくるとおもってたよー」 「うべぇぇぇぇ!!なんでもういるんだどぉぉぉ!!」 そこにはちぇんが待ち受けていた。 確かに少し目を離したがそれでもさっきのあの遅さではここまで来れない。 「わからないのー?ちぇんはね、ぱーたぱーたするよりぴょんぴょんしたほうがはやいんだよー!」 「じゃ…じゃあなんでさっきとんでにげたんだどぉぉぉぉぉ!?」 「はねさんがじめんさんにこすれてぴょんぴょんしにくいからだよー、わかってねー!?」 「うぅぅ…!うぅぅぅぅぅぅ!!!」 苦肉の策。 いくら早いとは言えど羽無しなら飛べば追いつけないはず。 子供を置いていくのは忍びないが子供はまた産めばいい。 親れみりゃは泣きながら飛び立った。 「うっうー!はねなしならここまでこれないんだっどー! やーいやーい♪うっうーうあうあー♪」 「さっきはすまなかったどー…」 「うあえあえ~!!??」 空に逃げのび余裕が出たのか挑発を始めた親れみりゃの背後に母れみりゃの影があった。 「おまえのいうとおりエモノはいちげきでしとめなきゃいちりゅうじゃないどー」 「うあ…あ…うあ…」 「こんどはいちげきでしとめてやるどぉぉぉぉぉぉぉ!!」 ガブッ!!…… 素早く背後から正面に移動した母れみりゃは大きく口をあけ、親れみりゃの顔面に喰らいついた… 顔だけは再生できない。 顔面を食いちぎられた親れみりゃは力なく落ちて行った。 「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 母れみりゃは悲鳴の先を見る。 するとちぇんも同様のことをして子れみりゃにトドメをさしていた。 その場には顔面と一部が食いちぎられたれみりゃの死骸が2つ、力なく横たわっていた。 「おかーさぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」 「ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」 いつの日かのように泣きながら抱き合った。 「ごめんだどぉぉぉ!!」 「いいんだよー!それよりちぇんをみてほしいよー!おおきなきばさんもあるし、きずさんもいたくないんだよー!」 ちぇんの姿を改めて見なおしたれみりゃは涙が止まらなかった。 今自分の目の前にいるのは紛れもない捕食種、立派な捕食種の姿だからだ。 ついに成し遂げた。 立派な捕食種を育てるというあの日の決意を。 …いや、まだ大事なことがある。 「きょうはすこしはやいけどこーまかんにかえるどー!きょうはたいりょうだったどー!」 そう、前は成し遂げられなかった越冬だ。 まだ自分の仕事は終わっていない。 でも今日は、今日くらいはちぇんと一緒にゆっくりしよう。 そう思いゆっくり家路についた。 春、雪解けがだいぶ進み新しい命が次々と生まれる季節。 山に住む多くの住民たちが目覚める季節。 そんな季節に泣きながら巣から出てくるゆっくりがいた。 れみりゃだ。 胴無しタイプのようだ。 「う~…ちぇん…」 「わかるよー!さびしいんだねー!ちぇんもおなじだよー!」 背中の羽と釣り合いのとれた体になったちぇんは涙を堪えてそう言った。 羽が無い方が速いのだがいつか必ずれみりゃのように速く飛んでみせるというちぇんの声を尊重して再び羽を付けた。 しかしただ付けたわけではない。 あのあとこーまかんに帰ったちぇんの背中には羽が生えかかっていた。 しかしいつまでも繋がっていたいというちぇんのわがままで羽を片方づつ交換したのだ。 「うっ…うっ…さびしくなったらいつでももどってくるんだど~?」 「だいじょうぶだよー!ちぇんはいつもおかーさんといっしょなんだよー!」 予定よりも大分早いがれみりゃがちぇんに教えることはもう無かった。 残る課題の飛び方は厳しい自然の中で暮らせばどんどん上達する。 それ故の早い巣立ちだった。 そしてちぇんは巣立っていく。 自分の羽と母の羽を大きくはばたかせて……… ************************あとがき************************************************************************* 今回も最後まで読んでいただき本当にありがとうございました! 今回はオレ設定が多く含まれるものを作ってみようと思い作りました。 ちぇんは最初れいむの予定でしたが後半で捕食種の強さを持ったれいむが想像できなかったのでちぇんになりました。 れみりゃを3匹出すので区別しにくかったかもしれません。 まずそれが今後の課題の一つ。 それからオレ設定はやっぱり読み返すと違和感ありますね… ゆっくりの思い込み次第でどうにでもなる感じをもっと引き出したかったです。 今度はもっと違和感が無くなるようにゆっくり頑張ることが二つ目の課題です。 最後にもう一度、読んでいただき本当にありがとうございました。 著者 ライトM制裁派お兄さん ************************過去作品************************************************************************* 過剰愛でお兄さんの悲劇 元祖ゆっくりとの遭遇 リーダーまりさの成長 このSSに感想をつける