約 738,050 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/213.html
前 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていくね」 子供らしい素直さで男を迎える子まりさだが、持ち抱えられるときょとんとした顔で男を見る。 「ゆー? おじさん、なにするの?」 「ごめんね。お母さんはまだ赤ちゃんを産まなくちゃいけないんだ。だから、おじさんとゆっくりしようね」 「ゆっくりするね!」 またしても、男は母れいむの前に座ると子まりさに床に落ちているものを拾って、目の前に差し出す。 「ほ~ら、おいしい食べ物だよ。餡子って言うんだ」 二度目のやりとりを繰り返す。今度の場合は餡子の外側の部分が違うだけである。先ほどの子れいむの中身を食べさせているのだ。 子まりさ側からは餡子しか見えないが、母れいむ側からでは死んだ子れいむの顔がよく見えることだろう。 子まりさはそんなこととは露知らず、「おいしーい!」などと言いながら、姉の中身を食べ尽くそうとしている。 「ぎい゛ぃぃぃぃ!!?? だべな゛いでぇ! だべぢゃだべぇぇっ!!」 「ゆゆ? どーしたの!? ゆっくりなかないでね!?」 「お母さんはね、君だけおいしいものを食べているのが許せないのさ。全部、自分にくれって言いたいんだ」 「ゆーっ!? だめだよ! このおいしいあんこはまりさのものなんだから! プンプン!」 母れいむがいくら制止しようとしても、子まりさは止まらない。 逆に止めようとしているからこそ、『おかーさんにあんこをとられる』と思って、さらに食べようとしているのかもしれない。 やがて最後は吸うようにして、子まりさは餡子を食べ終えた。 「ごっくん! しあわせー! ……ゆ?」 餡子が乗せてあったものに三つほど穴が開いている気がつく子まりさ。 男はそれを察して、無言で皮を裏返した。 子まりさは一度「ゆ゛!?」と鳴き、必死で目の前のものが何なのか理解しようとする。 しかし、頭が餡子では思考が現実に追いつかない。いや、現実を否定しようとする。そうでなければいけない。 解ってはいけない。何故なら、それは自分の仲間であるからだ。 突然、皮がべちょりと子まりさの顔に張り付いた。男が手で押したのだ。 「い゛、い゛や゛あ あああ! やべでやべでぇっ! ぐっづがないでぇ!! はな゛……ぎっ!?」 男がここぞとばかりに噛み付く。右手で皮ごと子まりさを抱え込みながら、咀嚼を繰り返す。 子れいむと比べると、種類のせいなのか状況のせいなのか子まりさの餡子はいくらか違う。 子まりさの餡子はさっぱりとして口の中に甘さが残らず、何度でも食べられるような甘味だった。 「あ゛がぢゃあ゛あ゛あん! だべる゛の゛やべでぇぇぇっ!! い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃっ゛っ!!!」 母れいむが叫びながら、激しく震え始める。歯を食いしばりながら、涙もぼたぼたと流れていた。 まさか、と男は驚愕した。これほどの短時間で次の子供を生もうとするとは見上げた精神力である。 おそらく、男が子まりさを食べている間に次の子供を生んで、その子だけはどこかへ逃がそうという魂胆だろう。 顎の穴が徐々に広がり始めたのを見て、男はある決断をする。 「見えるかい? お母さんは君を見捨てて、次の子供を生もうとしている。君は食べられちゃってもいいんだってさ」 「お゛があ゛ざん!? だずげで! ま゛り゛ざをだじゅ!? ぱぴぃ! ぺぽぉ! ぱぴぺてぽぉ!!」 助けを呼ぼうとする合間にも食べられているため、言語がおかしくなってきている。 最早、子まりさ何を言おうとしているのかは誰にも分からない。その意図は伝わっていたとしてもだ。 母れいむは半狂乱の装いを見せながらも、、必死で最後の子供を生もうとしていた。 既に母れいむの中では、子まりさは死んだものとして扱われている。 「ゆっぐりうまれでね!? はやぐうまれでね!?」 自らの身体を揺さぶりながら、矛盾する言葉を吐く母れいむ。 その振動で中にいる子ゆっくりは幾らかの恐怖を感じたが、母の胎内にいる限りは大丈夫だ、という根拠の無い自信があった。 やがて、めりめりと出てくる子ゆっくり。れいむ種である。 男はそれを確認すると、食いかけの子まりさを手に持ったまま、母れいむへと近づいていく。 「ゆっ!? ゆっぐりごないでね! ゆっぐりあがぢゃんをたべででね!?」 「ゆっくり……していってね!」 「ゆ゛っ、ぶぐぉ!?」 顎の穴に目掛けて思い切り、子まりさを捻じり込む。中の子れいむと手の子まりさの顔が触れ合うような形で押し込む。 中からはくぐもった悲鳴が聞こえたような気がするが、男はまったく気にしない。 「いい゛いい゛いい゛い!!?? な゛に゛ずるのぉ!? う゛、う゛まざぜで! あがぢゃんだざぜでぇっ!」 母れいむは出産を中断させられた痛みで絶叫する。口からは泡のようなよだれを振りまいていた。 男は持ってきていた籠の中から、縄を取り出して母れいむの周りを囲むように置く。 次に母れいむの頬の皮を寄せてあげるようにして、顎の穴を無理やり塞ぐ。 「あがっ!? やべで! あがぢゃんでるどご、うめないべぇ!?」 「よいしょっと」 当然、このままでは元に戻ってしまうので、先ほどの縄で母れいむを思い切り縛り上げた。 皮に食い込むほどに力を入れているが、縄が皮を破ることはなかった。男の熟練した技の賜物である。 中から子れいむが出ようとする圧力と、外から縛り上げられる力で母れいむの身体からぎちぎちという音が鳴る。 子供が生めない、子供が死んでしまう、縄が擦れて痛い、人間が怖い、まりさがいない。 それら様々な感情が母れいむの中で渦巻く。やがて、ぷつん、と何かの糸が切れてしまった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ま゛り゛じゃぁぁぁっ!! だずげでま゛り゛じゃ゛ぁ゛ぁぁぁっ!!」 狂ったようにゆっくりまりさの名を呼ぶ母れいむ。本当に狂ってしまったのかもしれない。 男はそん母れいむの様子を見て尋ねた。 「そんなに、ゆっくりまりさに会いたいかい?」 「あ゛い゛だい゛! ま゛り゛じゃに゛あばぜでぇ゛ぇ゛ぇっ!!」 その言葉を聞くと男はよし、と頷いて、持ってきた籠の中に手を入れる。 その中から何かを取り出して母れいむに見せてやる。 「ま゛り゛じゃ゛ああ゛あ゛あ゛ぁぁぁっ!!?? な゛ん゛で、そ゛ん゛な゛どごろ゛にい゛るの゛ぉぉぉぉっ!!??」 それは餡子が抜けて、半分潰れたような状態になっているゆっくりまりさであった。 ゆっくり魔理沙は傷ついていた。体中に穴が開いており、そこから餡子がはみ出していた。 なんでこんなことになったのだろう、とぼやけた頭で振り返る。 今日はゆっくり霊夢が子供を生みそうなので、簡単に食べ物を探してすぐに帰ろうと思っていた。 子供が生まれる時は一緒にいてあげたいからだ。 その途中で、いつも食べ物をくれるおじさんに出会った。 「おじさん、こんにちは! あのね、そろそろあかちゃんがうまれそうなんだよ! だから、たべものちょうだい!」 ゆっくり魔理沙は嬉しいのと、いつものお礼の気持ちを込めて子供のことを話していた。 おじさんならゆっくりできいてくれて、たべものもくれる、と思っていたのだろう。 そもそも、このゆっくり魔理沙は一度、この男の家に食べ物を探しに入って捕まったことがあるのだ。 その時、ゆっくり魔理沙は泣きながら事情を話した。 「れ゛いむ゛がぁ! あ゛かぢゃんうむがら、い゛っばい゛だべものがぼじがっだんでずぅ!」 そうすると、男は納得して助けてくれた。そしてこんなことを言ったのだ。 「いいかい? もう、人間の家に入っちゃ駄目だよ。食べ物なら私があげるからね」 そう言われて、最初は疑っていたがちゃんと食べ物をもらえたので、ゆっくりできるひとだ、と安心できた。 これ以降、男は基本的には野菜の葉っぱや皮だったが、毎日食べ物をくれた。 そんな食べ物でも、ゆっくり霊夢とずっと一緒にいたいゆっくり魔理沙には、食べ物を探す時間を減らせるのでとてもありがたかった。 そして、たまに貰える餡子が一番楽しみだった。自分一人で食べてしまいたい誘惑を堪えるのに必死なぐらいである。 ゆっくり霊夢も餡子が大好きで、二匹でいつもおいしく食べていた。 出産のためには住む場所を変えた方がいい、と教えてくれたのも男であった。 ゆっくり霊夢には内緒だったが、住むのに適した場所を見つけ、穴を掘るように指示と手伝いもしてくれた。 新しい家にゆっくり霊夢を招待した時は、見栄を張って自分一人で掘った、と言ってしまっている。 それを悪いことだ、と思っていたゆっくり魔理沙は恩返しと罪滅ぼしの意味を込めて、子供のことを話していた。 男はそれは良かった、と頷くと、持っていた籠のようなものを地面に下ろした。 「赤ちゃんが生まれるなら、お祝いをしてあげないとね」 「ゆっゆっ! おいわい! なにをしてくれるの!?」 男が籠の中から何かを取り出そうとしているのを、興奮気味に見ているゆっくり魔理沙。 またおいしいあんこをもらえるかもしれない、などということを思っていた。 「はい、お祝いだよ」 「ゆ、ぐりぃ!?」 勢いよく取り出されたバールのようなものが、ゆっくり魔理沙に振り下ろされた。 どずん! という鈍い音を立てて、ゆっくり魔理沙の穴が開けられる。 「ぎぃい゛いい゛い゛いっ!!?? い゛だい゛ぃ! な゛に゛ずる゛の゛ぉ!?」 突然の凶行に泣き叫ぶゆっくり魔理沙。男はさらに凶器を振るう。 「ほら、ほら、ほら、ほら、お祝いだよ」 「ゆぶっ!? ゆげ!? ゆぎゅ!? ゆあ!? ぶぎ!?」 言葉を発する度に凶器は振るわれる。それは的確にゆっくり魔理沙の身体に穴を穿ち、そこから命の源である餡子が漏れていく。 しかし、完全に死ぬ所まではいかない。男がそう調整しているのだ。 身体にいくつもの穴が開き、餡子が流れ出して段々と平らになっていくゆっくり魔理沙。 これ以上餡子が出ると死んでしまう、という所でようやく暴力は止められた。 「ふう……君たちみたいに言うと、すっきりー! という所かな?」 「どぼっ……じでぇ……なんで、ごんなごどずるのぉ……」 「なんでどうして、ときたか。月並みな言葉だけどね、君たちはもう少し他人を疑った方がいいよ」 心にも無い言葉をかけながら、背負った籠のようなものにゆっくり魔理沙を入れる。 それ以上、餡子が出ないように薄皮一枚分の手当てだけはしたが、そんなものはすぐにでも破れてしまいそうだった。 動けない身体だけどゆっくりしていればだいじょうぶ、と真っ暗な中で耐えるしかなかった。 しかし、それでも自分が長くはないことを、悪い人間に捕まってしまったことも悟っていた。 おじさんが何故こんなことをしたのか、ゆっくりまりさには分からない。 暗闇の中でただひたすらに、れいむがげんきなあかちゃんをうめますように、とまりさは願っていた。 どのくらい経ったのだろうか。ゆっくりまりさには判断がつかなかったが、何度か上の方が明るくなったりしていた。 ゆっくりれいむの声が聞こえたような気もしたが、ゆっくりまりさにはよく分からない。 周りにあるものが色々と上の方に持っていかれていたが、それを追う気力も体力も無かった。 そうやってじっとしていると、ようやくとでも言うべきだろうか、ゆっくりまりさの身体が持ち上げられていた。 急に暗い所から出されたため、眩しくて目を細めていると、聞き覚えのある懐かしい声が聞こえた。 「まりじゃあぁぁぁっ!! あいだがっだよ! まりじゃぁぁぁぁ!!」 母れいむは大好きなゆっくりまりさを見て、歓喜の声をあげる。その言葉だけ聞くと、ほとんどゆっくりありすのようでもある。 ゆっくりまりさの方は餡子が抜けてしまっているため、大きな反応は出来なかったが、それでも力無く笑ってみせていた。 それは、消えかけの蝋燭が最後に精一杯燃え上がろうとしている様に似ていなくもなかった。 「ようやく、お友達に会えて嬉しいかい?」 「ゆ゛っ! まりざからてをはなしてね! ごごはれいむとまりざのおうぢだよ! ゆっくりでていってね!!」 いくらか持ち直したのか、言葉から濁りが少なくなる母れいむ。ゆっくりまりさと出会えたことで色々と記憶が吹っ飛んだのだろう。 もちろん、子供のことすら半分以上忘れてしまっている。 今、母れいむが考えているのはまりさとゆっくりしたいということだけだった。 身重の体を無理やり動かしてでも、ゆっくりまりさに近寄ろうとしている。 男はそれを見て、母れいむの前にゆっくりまりさを置き、それと同時に手早く母れいむの縄も解いておく。 「ゆゆ? おじさんもようやくわかってきたね。さっさとれいむたちのまえからゆっくりきえてね!」 母れいむはケタケタと身を揺らして笑っている。男の行動から、自分が優位に立っていると感じているのだろう。 男は何も言わずにただ笑顔でいる。母れいむの言葉にも怒りを表さず、何かを楽しみに待っているようだ。 母れいむが忘れている存在を、男は覚えているのだ。 「まりさ、はやくふたりでゆっくりしようね! ふたりでゆ゛っ! ぐ、り……!?」 母れいむが大きく震える。震えは止まらず、「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ!?」という声と一緒にめりめりという音が聞こえてくる。 縄で閉じられていた顎の穴が再び開き始めているのだ。 ゆっくりまりさは何が起こっているのかよく分かっていない。既に理解できる程度の理性も失いかけている。 「い゛だいいぃぃぃ! ひぎぃ! なに゛!? な゛に゛がでる゛ぅぅぅっ!!??」 「なにって、決まってるだろう? 君の子供さ」 男が親切に説明してあげる。母れいむはその言葉で目を見開きながら絶句する。この瞬間まで、子供の存在は忘却の彼方にあったのだ。 楽しいことは覚えていても嫌なことや痛いことはすぐに忘れてしまうという、ゆっくりの独自の脳構造故だろうか。 一方、ゆっくりまりさは子供と聞いて、弱った身体にわずかばかりの力が戻った。 「ゆっ……? あかちゃん、まりさたちのあかちゃん……」 最早、目も虚ろでかなり弱っていたが子供のことは覚えていた。 母れいむと違って、子供によって痛い目にあっていないからである。 「あかちゃんあかちゃん……」と呟きながら、母れいむの方へ這いずって行く。 ちょうど、顎の穴に向かって進んでいっている 「い゛ぎぃ! い゛だい゛い゛だい゛! はやぐお゛わ゛っでぇっ! ゆ゛う゛っ!!!」 ぐちゃ、っと顎の穴から餡子の塊が吐き出される。男が突っ込んだ子まりさの死骸であった。 その死骸は穴の近くにいたゆっくりまりさに当たった。 「ゅぎゅ! ぶえぇっ!」 子まりさは既に半分以上が食べられており、ゆっくりまりさと比べても四分の一程度の大きさしかなかった。 しかし、その程度であっても勢い良く吐き出されると、ゆっくりまりさには耐えられない衝撃だった。 顔の正面に当たった結果、身体の各所から餡子がはみ出る。 ゆっくりまりさはわずかに呻く程度で、もうその場から動こうとはしない。動けないのだ。 母れいむはその様子を見て、子供を生むとどうなるかを思い知る。 あのぐらいの大きさでもゆっくりまりさが動けなくなってしまうのであれば、子供が当たったらどうなるのか。 「どいで! まりじゃ、そごどいでぇ! ゆぎぎぎぎぃ!! でぢゃう゛! あがざんでぢゃう゛!」 自分が動こうとしても、出産の痛みで動くことができない。無理に動けば、身体が裂けてしまうかもしれない。 完全に行き詰っている。この状態で何とか出来るものがいるとすれば、一人しかいなかった。 「おじざん! たずげで! まりじゃどがぢで! はやぐぅ! ゆっぐぅ!」 出産の痛みに必死で耐えながら、現在助けを求められる唯一の相手に何度も助けを請う。 それでも、男は動こうとせずに見守っている。 「出て行って欲しいんじゃないのかな? 消えて欲しいんじゃないのかな?」 笑いながら、母れいむの言葉を繰り返す。勿論、ゆっくりの頭ではそんなことは覚えていない。 「なんでもじまずぅぅぅ!! なんじぇもじまずがら! ま゛り゛じゃをどがじであげでぇぇっ!!」 「一生のお願いっていうのなら、どかしてあげてもいいよ」 「いっじょうのおねがいでずぅ! いっじょうのおねがいだぎゃりゃ!? ゆぉほう! なががらでりゅ!?」 そこまで言った所で顎の穴から再びめりめりという音が鳴る。 奥の方から徐々に顔をみせつつある子れいむ。母れいむからしてみたら、それは死の予兆以外の何者でもない。 母れいむの思考は「ゆっくりまりさ>あかちゃん」という図式であった。優先するべきはゆっくりまりさである。 あと一人生めばこの痛みから解放される、という抗いがたい誘惑に負けそうになりながらも必死の形相で耐える。 「んほおおおおおお!? お゛ね゛がい゛ぃぃ!? じま゛じゅうぅぅ!! ま゛り゛じゃを゛おごおぉぉ!?」 間断無く襲い来る傷みに耐えながら、出来うる限りの懇願を繰り返す。 本来ならば、ゆっくりは母性によって出産の痛みに耐えるのだが、既に母れいむは子供に対する愛情がなくなっていた。 そうなると、痛みもただ辛いだけのものに過ぎない。 「一生のお願いなら仕方ないね。よいしょっと」 母れいむの必死さと比べると、はるかに軽い様子で男が動く。 ゆっくりまりさの所まで行き、両手で持ち上げる。 「あ゛り゛がどぅ゛! ゆ゛っぐりどがじでぐれで、あ゛り゛がどね゛え゛えぇぇぇ!?」 礼を言おうとした母れいむの顔が一気に引き攣る。男はゆっくりまりさを母れいむの前に置いただけだった。 それも顎の穴の真正面、子れいむが出てくる場所に向かって置き直しただけである。 「あぎいいいいい!! な゛、ん゛、で!? ど、い゛、で! ぞご、ど、が、じ、で!!!」 「このゆっくりまりさを『どかして』あげただろう? 『どこ』かまでは言われなかったから、君の目の前に置いてみたよ」 男は笑顔で言う。母れいむは一度気を抜いてしまったせいか、完全に限界が来ていた。 言葉を喋ることが困難になってきている。呼吸すらも難しくなっているだろう。 やがて、それは決壊した。 「ゆ゛ぶっ!! う゛びゅ!! でりゅ……! ぎぶう゛う゛う゛ううう゛ぅ゛ぅぅっ!!!」 ぽーん、と子れいむが排出される。子れいむには穴の奥から外の状況は見えていた。 見えていたが、皆が何を言っているのかはよく分かっていない。 きっと、どうやってゆっくりするのかきめているんだ、などと夢想していた。 めのまえににいるゆっくりまりさはきっとおとーさんで、れいむがうまれるところをみててくれているんだ、と勘違いもしている。 だから、真っ直ぐに親の胸へ飛び込むように、ゆっくりまりさの所へ向かっていった。 「だべえ゛え゛え゛え゛え゛ぇ゛ぇぇぇっ!!! 母れいむは一瞬だけ歓喜の表情を浮かべていたが、すぐにそれも消え去って、思い切り叫ぶ。 だが、その叫びを聞いても子れいむは止まらないし、止まれない。 そして、ゆっくりまりさも目の前に迫り来る自分の子供に対して、回避する手段を持たなかった。 状況もろくに判断出来ていないが、その顔は生まれてくる子供を祝福するように微笑んでいる。 ゆっくりまりさの顔に子れいむが直撃する。何か言葉を出すことすらなく、餡子が辺りに飛び散った。 「………………」 「ゆゆゆ……ゆっくりしていってね!」 母れいむは呆然としていた。愛しいゆっくりまりさがいれば、他には何もいらなかったのに。 出産に伴う痛みも無くなったため、母れいむは何も感じなくなっていた。 逆に子れいむは初めて外の世界に出れて、思う存分ゆっくりしていた。 先ほどぶつかった「おとーさん」がなんだか平べったくなっているのが気になったが、大丈夫だろうと思っていた。 「ゆっゆっ♪ おかーさん。おかーさん♪ ゆっくりしようね!」 ニコニコしながら、母れいむに身体をすり寄せる子れいむ。母れいむは呆然としたまま、そちらを見る。 子まりさとゆっくりまりさから、餡子を浴びたゆっくりがそこにはいた。 「!? あっぢにいっでね! まりじゃのあんこをたべぢゃっだわるいこはじね゛!!」 身体を思い切り揺らして、子れいむを引き剥がす。 事実はそうではないが、母れいむにはゆっくりまりさを食べてしまったようにしか思えなかった。 もしくは、子れいむがいたからゆっくりまりさは死んでしまったとまで感じている。 「ゆにっ!? どーしたの、おかーさん? ねぇねぇ、どうしたの?」 「ゆっぐりぃ!!」 再び寄って来る子れいむを思い切り吹き飛ばす。 餡子まみれになりながら、純真とすら言える笑顔で迫ってくる様子は母れいむにとって恐怖以外の何者でもなかった。 吹き飛ばされた子れいむは、まさかそんなことをされるとはまるで思っていなかったらしく、びぃびぃと泣き始める。 「おがーざーん!! どうぢでこんなことするのぉ! いっじょにゆっくりしようよぅ!」 母れいむの周りを飛び跳ねながら訴える。その姿は愛らしくもないのかもしれない。 それに対して、怒号をもって母れいむは応えた。 「あっぢにいげぇ!! まりじゃをごろじだやづは、ゆっぐりじね!!」 「ゆっっぶ! ゆぐぅ……」 弾き飛ばされた子れいむが家の内壁に当たった。そのまま、気絶してしまったようである。 母れいむはそれを見て、泡を吹きながら喜ぶ。 「ふへっ、ゆへへへへへへへ! まりぴゃのかちきはとったよ~。みんな、み~んなやっつけてやったじょう!」 「今、吹き飛ばしたのって君の子供、赤ちゃんだよ」 間髪入れずに男が口出しをする。狂ってしまった母れいむにも分かるよう、赤ちゃんという言葉を使う。 「ゆぎっ? こんなのれーむのあかちゃんじゃ、ないよー? なに、いってるんだろーね、おかしーよ」 母れいむは呂律が回らないという状態ですらなく、言葉の発し方が不自然になっていく。 それほどに可笑しいのか、身体全体を激しく震わせるようにして耳障りな音を発しながら笑っている。 「その赤ちゃんを生んだのは君で、生んだせいで君のお友達のゆっくりまりさも死んじゃったんだよ」 「ゆぴきききき! ぞんな、ごど、あるわげないびょ? ゆふぇふぇふぇ!」 最早、笑い声なのかどうかすら良く分からなくなっている。それでも、男はさらに続ける。 「君のせいで、ゆっくりまりさは、死んじゃった」 「ゆ゛いいいぃぃぃい゛っぃぃい゛い!! うるざい! も゛う゛い゛い゛! ざっざどでべっでね゛!」 「駄目だ……完全に壊れちゃったか。ま、しょうがないかな」 やりすぎたなぁ、と独り言を呟きながら、母れいむの口に大きい針のようなもので穴を開ける。 「ぶぎっ! な゛に゛ずるびゅ!」 痛みを訴えるが、無視してその穴に縄を通していく。勿論、煩いので喋らせないようにするためである。 「餡子の量も減ってるみたいだし、これなら持って帰れるかな……」 軽く持ち上げたりして、重さを量る。無理だったら引きずればいいだけのことでもある。 これだけ成熟したゆっくりならば、胎内出産にも蔦出産にも耐えられるだろう、と男は判断している。 先ほど食べた餡子の味を再び味わうためにも、この母れいむを持ち帰る気なのだ。 気が狂っていても餡子を生むことは出来る。このまま、男専用の饅頭生産機にする気であった。 「おっと、こっちも忘れないように……」 壁にぶつかって気絶している子れいむも籠の中に放り込んでおく。 明日、食べるために取っておくか、それとも種馬として躾けてもいいかもしれない。 親と子供を交配させるとどうなるのだろう、と素朴な疑問を試すのも手である。 「それじゃ、ゆっくり一緒に帰ろうか」 「…ゅ……ゅっ! ……ゅ……っ!」 何か喋ろうとしているがよく分からない。狂ってしまった者の言葉など聞いても意味がないだろう。 男が話しかけたとしても、それはほとんど独り言に近い。一方的に用件を伝えているだけだった。 これからはおいしい餡子が食べられる、と思うと男の足取りは自然と軽いものになっていた。 狂った母れいむは何がどうなったのか、良く分かっていない。分かろうともしない。 男の家に連れてこられても、鎖で繋がれても、どこにいようと意味が無かった。 母れいむはゆっくりまりさがいる幸せな幻想の中で、いつまでも過ごしていたからだ。 子供を生んでも、子供に交尾されても、幻想の中でゆっくりしていた。 子供が生めなくなったために捨てられても、ずっとずっと変わらずにゆっくりしている。 口の縄を外されたので、喋れるようにはなっているが、それもまったく意味が無い。 捨てられた場所はゴミが集められている所で、とても汚くて臭いが、それも母れいむに変化をもたらすことはない。 「ゆび……ゆぎいひひひ……まりじゃ、まりじゃぁ……」 今日も今日とて、母れいむは汚濁の中で『幸せ』に浸っているのであった。 餡子が尽きるその日まで。 めでたし、めでたし 後書き AAの「出産しているゆっくり」があまりにもウザかったので書いてみました。 けっこうすっきりできたよ! 後半、というかオチの付け方にはかなり迷った結果、完成にかなり時間がかかったなぁ…… そして、色々な出産系のSSが多くて投下するタイミングを見失ってました。 というか、書こうとしてたことがAAでも再現されてたのはビックリ。職人すげえ。 一応、書いたSSをまとめておきます。 ゆっくりいじめ系110 「髪飾り」 ゆっくりいじめ系136 「働きゆっくり?」 ゆっくりいじめ系137 「ゆっくりまんじゅう」 ゆっくりいじめ系153 「ゆっくり調教師 前編 」 ゆっくりいじめ系154 「ゆっくり調教師 後編」 名前はゆっくりまんじゅうの人でお願いします。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/368.html
まえがきという名の弁解 ゆっくりを全然いじめてない上につまらないです 後半と前半でテンションがまるで違います ゆっくりらしい台詞はほとんど出てきません 一応ドスものです それでも構わんという心の広い人だけ読んでね 見ただけで気が触れそうな満月の夜。 人も近づかない、近づけないような森の奥深くを、ゆっくりと丸い巨体が進んでいく。 そのまん丸い巨体の頭頂部にのった巨大な黒いとんがり帽子。 ドスまりさだ。 しかし彼女はどうやら普通のドスとは様子が違った。まず髪に信頼の証の飾りがなく、 いつでも楽しそうなゆっくりと違い、一言も喋らず、やや物憂げな顔で歩みを進めている。 帽子の中にいくばくかの必需品はあるが、他のゆっくりなど一匹も入っていない。 このドスは他のゆっくりから信頼されていないのか? いや、違う。どのドスよりもこのドスは信頼されていたし、このドスもそれを自覚していた。 だからこそ、権威をふりかざすような真似に必要性を見出せず、飾りをつけようとするゆっくりをやんわりと断っていた。 帽子の中に他のゆっくりを格納しないのも、他のみんなに自分に守られるだけの存在になってほしくなかったからだ。 このドスはかなりの過酷な経験をしてきた。普通のゆっくりの時も、壮絶な生を生き抜き、ドスになれた。 ドスになり、群れを作った。その頃は飾りもつけ、帽子の中にゆっくりを入れて運んだり、遊んでやり、普通の標準的なドスだった。 いつまでも群れの幸せが続くと思っていた。しかし、それは間違いで。 やはり標準的なドスの群れのように、群れはゆっくり崩壊に近づき、やがて自分だけが生き残る。 生き残り、また群れを作った。また崩壊させた。 ある時は人間に騙され、ある時は反乱勢力が台頭し、ある時は自分たちを捕食するものに襲われ、ある時は… そうした繰り返しの中、幾度も守るべきものを奪われ、それでも崩壊しそうな理性をつなぎ留め、歯を食いしばり、目から餡子を流しながらこのドスは生きてきた。 そうしてようやく気づいた、自分がゆっくりを守るだけでは駄目なのだと。 己を己が守れるようにしてやり、自分はそれを精いっぱい手助けする。それこそが崩壊を防ぎ、群れを長続きさせる最善なのだ。 強烈な一つの個ではなく、小さな個を集めて強大な一つとする。それがこのドスのたどり着いた結論。 そのための群れの掟や、制度、システムを、実験を繰り返しながら練り上げた。 その途中で、人間という存在は自分たちと切り離された。彼らとは、出来るだけ関わらない方がいい。 そして、人間も滅多に入り込まぬ森に居住区を移した。 リスクはあった。外敵の存在、人すらあまり手をつけない自然環境。 しかし、それは普通のゆっくりに限った話。このドスになら、人間を含む、大抵の外敵は相手にならなかったし。 多少の危険な場所も、乗り越えていく強靭さがあった。 そしてその場所の下見を存分に終え、普通のゆっくり視点での対処法や生活方法を編み出し。 それを根気よく教育した。教育し、そして多少の手助けはするものの、決して全面的に支援することはなかった。 巣はあくまで自分たちで個別に作らせた。ドスを中心とした一つの巣は、ドスに対する甘えを呼ぶ。 そして自分たちで開拓させることにより、自分たちはこの環境に勝てるという意識を植え付ける。 普通のゆっくりでは無理だろうと思えるようなことだけは手伝ったが、他の事は一切手伝わなかった、指示も出さなかった。 それは普通のゆっくりなら、群れのボスとしての仕事を放棄した怠慢だと思ったかもしれない。 事実そう思ったゆっくりもおり、公然とドスを批判する者もあった。 「ドスはなんでまりさたちをてつだってくれないんだぜ!?みんなでたすけあってこそのむれだぜ!」 だがドスはそんな意見には取り合わず 「不満があるなら出て行っていいよ、ここよりゆっくり出来ると思うところがあるなら」 その言葉に憤慨し、出て行ったゆっくりも少なくない。だがドスは気にしなかった、残ってくれたものがいるのだ。 しかし、中には多くのゆっくりを言葉巧みに扇動し、少しでも大きな群れにして出ていこうとするものもいた。 そういうゆっくりだけは、秘密裏にドスは殺した。 普通のドスは群れのゆっくり、いやすべてのゆっくりの命に対して強い執着と保護心を持つものである。 まれにドゲスという命をなんとも思わないものもいる。 しかしこのドスは、あまりに多くの死に触れたため、すでにこのどちらでもない精神をもっていた。 自分はこの弱きもの達の圧倒的上位にいるのだから、管理せねばならない。 それは、動物の生息地をなるべく自然の状態で保護する研究者や、植物などを植え育て、森などを作る人間のようなそれであった。 管理者。そう、自分は群れのリーダーではない、管理者だ。 群れを崩壊に導きそうな悪い芽は潰す。そこには命を奪う快感も、罪悪感も、後悔も、何もなかった。 慈悲もなく、許容もない。 次に食べられる植物や生物などの教育を終え、ある程度生活環境が整い始めたら、外敵に対する対処を教え始めた。 いや、それは教えなどではなく、訓練であった。 狩りに出向ける個体に、ゆっくりでも協力すれば倒せる外敵に対しての戦闘方法を訓練させた。 チームワークを教え、何度も仮想敵に対する訓練を行う。 そのハードすぎる訓練に、脱落するゆっくりも少なくなかった。 その中で、本当についていけなかったものは訓練をやめさせ、別の仕事につかせることにした。 そういうゆっくりは元来こういう仕事に向いていないものなのだ。なので、子守や安全な地域の植物採取などを行わせる。 中には、ダルイ、ゆっくりできないなどの理由で訓練を放棄するものもいた。 その中で本当に疲れたふりをして訓練を抜けようとするやつは、戻らせて徹底的にしごいた後に、他の狩りゆっくりに命令を下す指揮官の教育を施す。 単純にゆっくりできないから反抗しているものは、大半は軽めの体罰をつけて戻らせた。 中にはそれに対してすら徹底的に反抗するものもおり、そういうものは群れから出てもらった。 ここでの振り分けはこうだった。まず普通に訓練を続けるゆっくり、こいつらは特に問題もない普通の狩りゆっくりになるだろう。 次に騙してサボろうとするゆっくり、こいつらは多少知恵の回る奴らだということで、生き残るためなら存分に知恵をしぼりだすだろう。 次に反抗するゆっくり、体罰を受けて戻るなら、それは自分本位ながらも多少の状況は判断できるということだ、どうにもならない状況なら自分のためにがむしゃらに生き残ろうとするだろう。 そして最後まで反抗したゆっくり、そこまで嫌ならこいつらの性根はそれまでである、頭も回らず自分の嫌なことにただ拒否するだけ。こういうのは危険にあっても状況がわからず、みじめに叫んで死ぬだけだ。 そうしてゆっくりをふるい分け、最終的な訓練卒業として外敵との実戦に移ってもらう。ある数の部隊にわけ、一つずつこれを行った。 この時、ドスは後ろでその光景を眺めていた。 戦闘が始まり、ある部隊は快勝を続けた。ある部隊は窮地におちいる。その中で、自分たちで奮起し、何とか勝利をおさめる部隊もあった。ある部隊は後ろで見ているドスに助けを求めた。 だがドスはどれだけ助けを請われようと、どれだけ惨たらしく群れの仲間が目の前で殺されようと、決して手を出さなかった。 ある部隊はドスが絶対に自分を助けてくれないだろうことに途中で気づき、絶望的ながら辛くも勝利をおさめた。ある部隊は最後までドスに助けを求めながら全滅した。 実戦が終わると、ドスは部隊の成績によって役割を与えた。前線で狩りをする部隊、狩りをしながらその部隊を護衛する部隊、居住区に残り守る部隊。 それはあたかも人間の軍隊のようであった。 中には教育や訓練をドスが任せるゆっくりもいた。いつまでも自分がやるわけにはいかないのだ。 そうして狩りの教育を終え、食糧が潤沢になってきたところで、食糧制度に手をつけた。 本来ゆっくりは冬以外に食べ物をため込むことはない、取ったら取っただけ、食べられるだけ食べる。 そして普通のドスの群れはそういう事態を憂い、食糧を一か所に集め、管理し、食べない分を非常用として保管する。 だが、それが一部のゆっくりの不満や懐疑を招き、結局反発され、群れが崩壊した例も少なくない。 では、どうするか。ドスはこれに大いに悩んだ、何せ食糧管理は反発を招く恐れもあるが、食料供給の安定した維持にこれ以上の手段はない。 そこでドスは食糧管理の仕事をわけることした。 つまり、食糧を集めるゆっくり達、集められた食糧の量を管理するゆっくり達、その食料の量を聞き分配するゆっくり達。 これによって相互をある種の緊張状態にし、互いに監視させ、一部の独走を阻止しようとしたのだ。 すなわち、食糧調達部隊は、その食料を献上しなければ、食糧管理部隊にすぐさま疑われる。 次に食糧管理部隊は、その食料を正確に管理しなければ、分配部隊に疑われる。 そして分配部隊は、それを正確に分配しなければ、たちまち分配される皆から疑われる。 多少の歪みは出るかもしれないが、致命的な崩壊には繋がりにくいとして、ドスはこの方法を選んだ。 そして、管理、分配の仕事はなるべく頭の良く、公平性があって信頼されているゆっくりでなければならない。 故にこの仕事につくゆっくりを、ドスは皆の推薦による選出と投票で選ぶことにし、もし選ばれたゆっくりに不満があるならば、一定数の投票で辞めさせられることにした。 そしてさらに、一定のサイクルで浄化するために、ある期限ごとに管理分配の仕事につくゆっくりを全員一旦やめさせ、もう一度選びなおす制度も導入した。 それはゆっくりによって形成された、未熟な政治制度のようなものであった。 ドスはゆっくりと色んな制度を導入し、根気よく教え込んだ。 そしてドスの手を借りずにそれが運営されていくようになると、後は全てを任せて手を引いた。 群れの運営がスムーズになり始めてから、遠くの地からドスが直接頼み込み、ゆうかりんを連れてきて農耕制度を作った。 さらに月日が流れ、世代交代にさしかかる頃には、教育制度を狩りの教育や、管理分配の教育、農耕の教育などにわけ、色んな仕事を選べるようにした。 すでに自分の手をほぼ離れて歩いて行く群れをゆっくり眺めながら、ドスは満足していた。 ようやく、自分の理想郷を作ることが出来た、と。ゆっくりがゆっくり暮らしていける理想郷を……。 そこはまさにゆっくり郷とも呼べるものであった。 だが最後に一つだけ、ドスは群れの中で自分だけが行う仕事を持っていた。 すなわち、罪を犯したゆっくりに対する、裁きと罰の執行を……。 夜の下を行くドスが、ある巣の前で止まった。 目的地だ。 その巣の中から、悲鳴のような声と耳が腐るような嬌声が聞こえてきている。 ドスがため息をつく、が、それには何の感情もこめられていなかった。 そしてゆっくりと、気づかれないように中を覗き込んだ。 中には一匹のゆっくりまりさとゆっくりアリス、そしてゆっくりれいむの親子がいた。 だがれいむ親子の様子はおかしい、親と比較的大きいれいむは動けないように痛めつけられ。 まだ交尾に耐えられないと思われる小さなれいむは、アリスによる一方的な性的暴行を受けていた。 「いやあああああああやめじぇええええええいじゃいよおおおお!!!」 「はぁっ!はぁっ!いやぁぁぁぁんかわいいいぃぃやっぱり犯すならちっちゃいゆっくりだわぁぁぁ!!」 親や他のれいむは涙を流しながら「やめてぇ…」「こどもだけはたすけて…」などと弱々しい声で呻いている。 「ゆっへへへ、やっぱりアリスのこうびをつまみにたべるのはさいこうだぜ!!」 そしてまりさはその隙に巣にあった食料をむーしゃむーしゃと食べていた。 押し込み強盗である。 実はこの二匹、最近この郷では有名な犯罪ゆっくりであり、すでに二件の被害報告が届けられている。 どの一家も無残に惨殺され、巣を荒らされていた。 さっき言ったように、ドスはゆっくりに対する裁きを行ってはいたが、それは普通のゆっくりには手に負えないと思われるものだけであった。 このドスの郷には、警察のような役割をもつゆっくりも、裁判もちゃんと存在する。 だがそれでは立ち行かないものがある……。法の手をすり抜け、悪事を続けるゆっくりは後を絶たなかった。 そんなゆっくりを、ドスは心底憎んだ。自分の作ったこの郷を、荒らすものだけは絶対に許さなかった。 ギリギリまで事件解決を見守っていたが、一向にゆっくり郷の警察ゆっくりでは犯人が捕まりそうな様子はない。 長く生きた知恵か、この二匹が次にどこで犯行をするかを予測したドスは、自分だけで制裁を加えるために動いた。 ドスは中の様子を確認した後、そこに向かって「出て来い」とだけ、ただ一言だけ言った。 それだけで十分だった。 色の変わらない体表が本当に青くなるんじゃないかというような顔をして出てきた二匹は、 ドスにすがりつき、必死に言い訳を始め、媚びへつらった。 「ゆるしてほしいんだぜ!まりさたちのいえにはたべものがたりなかったんだぜ!」 「そうなのよ!ついでにすっきりできるゆっくりもたりなかったわ!」 「ゆっ!これはきっとかんりふやぶんぱいふのやつらがわるいんだぜ!」 「そうよ!そうよ!それにどすといえどもむれのゆっくりをころしたりはしないわよね?」 「そうだぜまりさたちはなかまのはずだぜ!ゆるすべきなんだぜ!」 それは聴くに堪えない理屈だったが、ドスはしゃべり終えるまでじっと押し黙ったままであった。 そして何の反応も返さないドスに二人が不思議がっていると、ドスがようやく口を開いた。 「死ね」 そのまま開いた口から溢れる光が、二匹の見た最後の光景だった。 その二匹だけを焼き尽くすために威力を調節したドスパークの照射が終わると、ドスは巣の中に話しかけた。 「大丈夫、れいむ?動ける?」 「ゆぅ…なんとかうごけるよ…」 弱々しいながらも返事が返ってきて、しばらくしてから親れいむの三匹の子供がよろよろと這い出てきた。 「今から病院の方に行って、治療を受けるといいよ。まだ開けとくように言っておいたし、警察もそこに待機させてあるから、事情を説明して」 ドスがそう言うと、口の中に弱った子供を入れているのか、親れいむ達はうなずいてずりずりと這って行った。 れいむ達が行ってから、ドスは大きくため息をついた。 あきれしか出てこない。悪事を犯して、悪びれもせず許しを乞うあの二人。 驚くことにあれが普通のゆっくりなのだ。 わかっている、この郷のゆっくりは、もはや普通ではない。 人間のまねごとのようなものだが、決まり事を順守して生活を営むなど、昔では考えられなかった。 いや、今でも普通のゆっくりには考えられないだろう……。 何で自分たちはこうなんだ。なぜゆっくりは……。 知らず、月を眺める。 最近月を眺めていると、なんだか体の底から力が湧いてくるのだ。 これを活力にして、明日からも頑張ろう。 そう思っていた矢先である。 「はぁい」 それは、何もない空間を割いて、ぬるりと現れた。 妖しく光る髪と、鮮やかな紫の衣装艶めかしく。 「こんばんわ」 絡みつくような声を発し、出てきた裂け目に腰かけていた。 ドスは一瞬で敵だと判断した、それも自分でしか対応できないような。 「あんた誰だ?」 警戒しか含まない問いに、女は目をにこやかに細めると、 「やだ怖い」 口も吊り上げ、 「怖いから」 細めた目を開いて、 「私も怖くなっちゃおうかしら」 その場の何もかもが一変する。 肌を刺した空気で、一瞬で支配された場の雰囲気で、勝てない相手だとわかった。 ドスはため息をついた。このような相手がいつか来ることは、前々から何となくわかっていた。 自分が作った郷は、異常だ。考えの回るこのドスの目は、他の視点から自分達を見ることもできた。 こんなものは、人間からしたら恐怖でしかない。 わかっていた、でもやらずにはおれなかった。なぜ人間に許されることが、ゆっくりには許されないのか。 だから、それでも。 「ここを……潰しにきた?」 ほぼ諦観と、疑問を少しだけ含ませて問う。 人間の上位の存在、人を守るもの、調停者。この郷に対する自分のようなものが人間にも存在すること、それは容易に想像できる。 それが目の前のこの女なのだろう。 女は少しだけ意外そうな顔をすると、すぐに首を横にふった。 「まさか」 そして片手に持った扇子で口を隠し、 「でも、予想以上。そんな考えもできるのね」 そこから出る感情を見せないように呟いた。 「なら何を?」 今度は疑問だけで問うと、 「話をしに」 そう言って、今度は優しく微笑んだ。少し、安心できる笑顔だった。 女は隙間から地面に降り立つと、ドスと向かい合うように座り込む。 「そうね、じゃあまず最初、あなたはゆっくりって何だと思う?」 ようやく話し合いの場が整って、女は最初にそう問うた。 「……」 ドスは難しいと感じた。自分の存在は何だと問われているのだ、何と答えるか……。 「まぁ、難しいわよね。逆の立場なら私も言葉を濁す……一般的な定義を私が言いますわ」 女は返答を待たずつらつらと、 「そうね、饅頭の体を持ち、人語を操り、畑や民家を荒らす頭の悪い汚い野生生物……これが一般的なゆっくり」 挑発するようなその物言いだが、ドスは何も言い返さなかった。 「あら、怒らないのね」 「大方その通りではあるよ」 そう、と女は呟き、 「でも、それは悪いことではないわ。むしろ野生生物の本懐。これより傲慢で、危険で、自分本位な生き物はたくさんいるわ。人間だってそう」 そして、 「普通のゆっくりなら、先の発言には醜く憤慨すべき。それがゆっくりの在り方」 ドスは驚いて女を見つめた。この女は人間に嫌われるゆっくりの性質を何と言った? 「そう在るべきと言いました。多少の程度はあれど、ゆっくりがゆっくりらしく生きること、それこそがゆっくりの在るべき理由」 謳うように続ける、 「憎まれることも、慈しまれることも、虐められることも、世話されることも、全てがこの世界におけるゆっくりの在り方」 理解できない、いや、理解したくない。この女が真顔で今述べていること、それは。 「じゃあ、いつもどこかで繰り返されている、ゆっくりの悲劇……その全てが」 「そう、ゆっくりの生きる理由」 そのためにゆっくりは生きている。 「人間の……ために……」 女はふう、と息をつくと、 「ゆっくりの理由……ここまではいいかしら?」 衝撃から、ドスはまだ立ち直れなかった。 自分たちは言うなれば、人間のおもちゃとして生まれてきたのだ。それが自分たちの本来の在り方なのだと。 「あなた達はおよそ自然環境のどの役割も担っていないのですもの、そうとしか言えないわ……まぁ、これ以上ゆっくりについて議論する気はございません」 女はまだ話を続ける、 「そして次、次はあなた。あなたは果たして……」 あなたは、ゆっくり? 「!?」 問われた。自分はゆっくりか?当然だ、でなければ自分はなんなんだ。 「当たり前だ!」 声が荒れる。 「……あなた、自分を何て呼ぶ?」 女は少し息をついて、 「私……」 「その呼び方はいつから?なぜ?」 「いつからかは覚えていない。何故かは……この方が、らしいと思った」 「普通のゆっくりは、絶対に自分をそんな呼び方はしない」 心にザクリと矢が撃たれた、 「普通のゆっくりは、そんな言葉づかいもしない」 二発目。 「あなた、ゆっくり出来てる?」 「出来てるよ。毎日、郷の管理で、みんなの生活を見守るのが私のゆっくりだ」 「それはゆっくりじゃないわね」 「違う!それが……!」 「他人のための行為はゆっくりではない、ゆっくりの価値観に照らし合わせるならね」 三発目。 「御希望なら、この他にも理由を計上してあげましょうか?子供でも指摘できるものがまだまだあるわ」 荒々しく首を振った。三発。たった三発で、ドスの脳は理解した。 「……私を否定して、何が楽しいの?」 問いは、悲しみと怒り。 「……そうねぇ。あなたはゆっくりの在り方を外れている、ここまではいい?じゃあ次は、人間とゆっくり以外のもう一つの種族の話」 答えず、女は話を進める。 「妖怪の話」 「あなたは妖怪を知ってる?」 「……とても強い生き物。ゆっくりよりも、人間よりも」 投げやり気味にドスは答えた。 「正解。じゃあ、妖怪の種類。そこまではあなたも知らないわよね」 「……?」 女は師が生徒に教えを説くように話し始めた。 「まず、私は妖怪。わかるわね?」 「へぇ……」 ここに来て初めて女の正体が明かされたが、別段驚かなかった。 「私は同族もない、どうやって生まれたかも秘密のワンオフ妖怪よ。こういうのはそれほど数もいないの、さびしいわ」 女は泣き真似の仕草をしたが、ドスは冷やかな視線でそれを見ていた。 「いやん、ツッコミが欲しかったのに……まぁ、気を取り直して次」 女は小芝居をやめると話を再開する。 「次はメジャーな種族に属する妖怪。鬼、天狗、河童、吸血鬼……こういうのは結構な同族がいて、蛮行が広く知られているからカテゴライズされている」 「名前だけは何となく聞いたことあるよ。湖の館……妖怪の山……」 「大正解。ゆっくりにまで知れ渡っているなんて、中々……いや、あなただけでしょうねきっと」 「?」 「なんでもないわ、続けましょ」 女はコホンと小さな咳をすると、 「次は妖獣、これは強大な力を持った獣が、それ故にその生き物の枠を離れて妖怪になってしまったもの」 「動物が?」 「私の式達もこれね、竹林の兎達もそう。これが幻想郷には中々多い……自然が残ったままだからかしら」 ここで女は教鞭を振るう笑顔から、真顔に戻った。 「そう、人間を超える力を持って、その生物の寿命を超えた長い時間を生き、ついにはその定義から弾かれる……」 ドスも気づいた。いや、それはかつて、ドスだったもの。 「まるであなたのことね」 「違う……」 否定する声は、聞き取りがたいくらいにか細い。 「あなたはもう普通の人間より遥かに強いわね」 「違う……」 「あなたは今で何年生きた?普通のゆっくりの寿命は平均五年、巨大種なら十年ってとこかしら」 女は辺りを見回し、 「この郷、ここまでするのに少なくとも十年以上はいるわよね」 「違う……」 「定義から外れる、これはさっき散々説明したから言うまでもないわね」 「違う!!」 違う、違う。私は、私は…… 「あなたは、妖怪よ」 「正確にはゆっくりと妖怪の境界線……その上に今のあなたはいるわ」 その言葉に、うつむいていたドスは少しだけ期待をこめて見上げた。 「でも、その境界がゆっくりに傾くことは決してない」 絶望を、女は吐く。 「これからあなたは、ゆっくりと妖怪になっていく……いや、今でも弱い妖怪程度ならいい勝負をするでしょうね」 「……」 妖怪は応えなかった。もう何も応える気もなかった。 「ゆっくりが、この幻想郷に誕生してもう何年経ったのかしら……そろそろだとは思っていたけれど、私が見つけたのはあなたが初めてよ」 女は、満月の空を見上げ、 「永琳に改造されたわけでもなく、自然に生まれ、自然に生きてきたあなた。ここまでの生、私は敬意を表します」 そして、再びその妖怪へ視線を向けると、 「そして、幻想郷はあなたを受け入れます」 「……そう」 妖怪も女を見つめ、ただそれだけを呟いた。 女が軽く扇子を振ると、空間の隙間は再び開いた。ゆったりと浮き上がりその中に下半身を入れる。 「では、ごきげんよう。これからあなたがどんな選択をして、どう生きるのか。少しだけ楽しみにしてますわ」 上半身だけを出してそう言った後、女は隙間に消え、何事もなかったかのように閉じて元に戻った。 後には月を見つめる妖怪だけが残された。 それから、ゆっくりの郷からドスは姿を消した。 ゆっくり達は思った、ドスがついにすべてを自分たちに任せてくれたのだ、と。 ドスが、自分たちで何かが成せるようになると、必ず身を引いたのをゆっくり達は世代が代わっても覚えていた。 その郷の歴史に、偉大なるドスの名が刻まれ。 後にはゆっくりと続いていくだろう、理想郷だけが残された。 あとがきという名の言い訳 今回はゆっくりいじめ作品としては駄作極まりないと思われる本作を読んでいただきありがとうございます。 ゆっくりいじめに憧れていました。色んな作品を読み、深く感銘を受けました。 自分もこんな作品を書いてみたい、彼の憎き饅頭を虐め抜きたい、そう強く願い、ようやく実行に移った次第ではありますが 出来上がったのはこんなものでした。皆さんのような、加虐心に油をドンドコ注ぐゆっくり語や、醜い物言い、くさった饅頭心。 何もかも自分の実力では描けない、難しいものでした。才能のなさが恥ずかしいです。修行の足りなさを実感しました。 まあ自虐はこれまでにして、本編の補足です。 今回のゆっくりの生活制度はまったく人間のそれのパクリです、そして世界はこんなに簡単ではありません。多分。 本当はドスに反発して「ゆ゙っぐり゙でぎな゙い゙い゙い゙い゙!!」と叫ぶゆっくりの描写をふんだんに取り入れてみたかったのですが、どうにも力不足でした。 後半の会話にいたっては雰囲気がまったく前半と違ってしまい申し訳ないです。これではただの東方SSです。本当に(ry それにしても、ドスはこれほどまでにならなくても、人間を殺せる時点で十分妖怪だと僕は思いました。 最後に、こんな作品とやたら長い言い訳を最後まで読んでくれた方にもう一度お礼を。また修行して今度は上手く書けるように目指したいです。それでは。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2072.html
U・k・k・u・r・i 「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」 ゆっくり! 「ゆっくりしていってね!!!」 U・k・k・u・r・i 「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」 ゆっくり! 「ゆっくりしていってね!!!」 3・2・1・・・ 「さん」「にぃ」「いち」 ファイアー! 「ゆっくりしていってね!!!」 中の 餡子が れいむ「ゆっくりしていってね!!!」 マットを汚す まりさ「ゆっくりしね!!!」 れいむ「ゆべっ」 今日の勝負は れいむ「どぼじでごんな゛ごどずる゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛」 並じゃないぜ まりさ「それはれいむがばかだからだぜ!!!」 ゲスの パワーに まりさ「ゆっへっへ、かくごするんだぜ」 負けたら最後 れいむ「だずげでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛」 おうちが 派手に まりさ「きょうからここはまりさのいえなんだぜ!!!」 荒らされる れいむ「も゛っどゆ゛っぐりじだがっだ・・・」 愛する ちぇん「わかるよー」 友の みょん「ちーんぽ」 まなざしが ありす「とかいはね!」 倒れるたび れいむ「ゆがっ」 傷つくたび れいむ「ゆべっ」 俺を強くする れいむ「ゆっくりおこったよ!!!」 Dive! れいむ「ゆっくりたいあたりをくらってね!!!」 ルール破りの まりさ「あたらないぜ」 れいむ「ゆぐっ」 Jump! れいむ「ゆっくりしたじきになってね!!!」 ゲスなゆっくり まりさ「おそすぎるぜ!ばかなの?しぬの?」 れいむ「ゆぎゃっ」 さぁ お遊びは れいむ「ゆっくりしたけっかがこれだよ・・・」 ここまでだ もこ 「もこたんインしたお!!!」 Attack! もこ 「これでもくらうお!!!」 ラスト5秒の まりさ「ゆぎゃっ!?」 fire! もこ 「もえるがいいお!!!」 ゆっくりファイター まりさ「も゛や゛ざな゛い゛でぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!!」 俺は炎の れいむ「な゛ん゛ででい゛ぶま゛でも゛や゛ずの゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛」 もこたんだ もこ 「ゆっくりインしたよ!!!」 U・k・k・u・r・i 「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」 ゆっくり! 「ゆっくりしていってね!!!」 M・O・K・T・A・N 「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」 もこたん! もこ 「もっこもこ!!!」 3・2・1・・・ ちぇん「わからないよー」みょん「きょせいー!?」ありす「どがい゛はじゃな゛ぃ゛ぃ゛」 ファイアー! もこ 「ゆっくりもやしたよ!!!」れいむ「み゛ん゛な゛も゛え゛ぢゃっだよ゛ぉ゛!!!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あとがき 筋肉マンのOPと饅頭タイプゆっくりのコラボ。 何故か頭の中に浮かんできました。 後から見直して何でこんな考えになったのかさっぱり分かりません… そのまんまつなげても「うっくり」「もくたん」になっているのは仕様です、多分。 過去に投下したもの 博麗神社にて。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1823.html
里からそう離れていない森の中、人一人分くらいの高さの小さな崖の斜面に不自然な穴を発見した。 崖下の地面の高さに洞窟のように開いているが、穴の高さはひざよりも低い。 申し訳程度に葉っぱが詰まれた入り口の内側には、葉のついた枝が何本も立てかけてあり、 枝の下には結構な数の石が置かれ、枝がずれたり倒れたりしないように固定している。 土の見える斜面にそこだけ葉っぱが敷かれているので、入り口こそバレバレであるが 枝の数はそれなりに多く、日中でも中は暗い為奥の方を覗き見ることが出来ない。 この様な偽装を行うのはゆっくり位なもの、間違いなくゆっくりの巣だろう。 耳を済ませてみるが、中からゆっくりの声は聞こえてこない。 内側から枝が立てかけてあるので、少なくとも中に1匹もゆっくりが居ないと言う事は無いはずだが、 1匹しかいないのか、パートナーに留守を任せて餌集めにでも出かけているのだろうか。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ!ゆっくりしていってね!」 巣穴の中に呼びかけてみると返事が返ってきた。在宅のようだ。 巣の中からぽよんぽよんとゆっくりの跳ねる音が聞こえ、 少しするとゆっくりの舌が入り口の枝を内側から外し始めた。 見つかって餌をたかられても困るので、すぐ側にある木の陰に移動し様子を見ると、 枝を外し終えた1匹のまりさがぽよんぽよんと巣から飛び出して来た。 先ほどの返事も1匹分しか帰って来ていないので、巣にはこのまりさしか居ないのだろう。 まりさは辺りをきょろきょろと見回すが、声の主は見当たらない。 首をかしげるかのように体を傾け、眉をひそめて「ゆ~?」とつぶやくとまた巣に戻って行った。 体を使って、巣から出るときに踏み散らかした葉っぱを出来るだけ元に戻し、 外した枝も舌を使って器用に立てかけて行く。 その作業はお世辞にも速いとは言えず、枝が元通りになるまで数分は掛かっている。 まりさが入り口を塞ぎきり、奥に跳ねていった所で巣の前に戻る。 見つからない相手を探すまりさの様子は滑稽なものだった。 もう一度呼び出せばまた見られるだろうか、再度呼びかけてみる事にする。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆうっ?ゆっくりしていってね!」 すぐに木の陰に隠れると、再びまりさが跳ねてくる。ゆっくりにしては早く跳ねており 急いでいる事がわかるが、入り口の枝が多い為中々出て来れない。 しばらくして、少し息を切らしながら出てきたまりさはきょろきょろと声の主を探すが、 やはり木の陰に隠れている相手を見つける事が出来なかった。 「ゆーっ!なんなの?ゆっくりでてきてね!」 不機嫌そうに呼びかけるも一向に現れない相手に、まりさはぷくぅぅと頬を膨らませると巣に帰って行く。 何度も入り口を戻すのはゆっくりにとって楽な作業ではないが、それでも外敵に襲われるよりは良いのだろう、 もたもたとした動きではあるが、しっかりと入り口を封鎖して奥に戻って行った。 穴の中からは「ゆーっ!」と言う苛立ち気味な声と共に、ぽいんぽいんと饅頭が跳ねる音が聞こえて来る。 ストレスでも溜め込んでいるのだろうか、名前の割にゆっくりしていない生き物だ。 さすがに3度も同じセリフでは警戒されるかもしれないので、言葉を変えて呼びかける。 「ち────んぽっ!!」 「ゆうぅーっ!なんなの!?」 言うや否や、まりさは乱暴に跳ねながら入り口に向かい、枝を無理矢理引っこ抜いては投げ捨てて行く。 体を膨らませて威嚇状態のまま飛び出すが、またも姿を見せない声の主にまりさは声を張り上げた。 「かくれてないで、でてきてねっ!ゆっくりできないみょんはいたずらをやめてね!」 ちーんぽ、と言えばみょんなのだろう。居もしないみょんに対し威嚇を続けるが誰も現れない。 まりさは顔を真っ赤にして、「むぅぅーっ!」と地団駄を踏むように跳ね続けるが、 誰も出てこないとわかると再び巣に戻って行った。 入り口前の葉っぱには手をつける気も起こらず、乱暴に捨てた枝をおざなりに立てかけて奥に向かう。 未だに地団駄を踏んでいるのだろう、時折ぼいんぼいんと跳ねる音が聞こえる巣穴に4度声を掛けてみる。 「んほおーっ!まりじゃ!愛しいまりじゃ!二人で愛の金字塔を建立しましょうねーっ!!」 「ゆっくりじねっ!ありすとはゆっくりしないよ!」 さすがにありすでは無理か。しかも「ゆっくりできない」ではなく「ゆっくりしない」とまで言われた。 名乗らずともありすと断定されるあたり、ゆっくりの間でも変態キャラで通っているのかと関心するが、 今はありすよりまりさである。 鼻息荒く「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」と繰り返すまりさのプライドをくすぐってみる。 「まりさは全然ゆっくりしてないね!」 「ゆ…ゆがっ!?」 「ゆっくりしてないね!ゆっくりしてぬゎいねぇぇ~!」 「だまれぇぇっ!」 突然の指摘に頭に餡子が上ったまりさは、一刻も早く声の主を見つけようと入り口に突進し、 そのままの勢いで立てかけてあった枝に「ゆべっ!」と衝突してしまった。 反動で後ろにごろんと1回転するが、余計に怒りが高まったのか、八つ当たりするかのように 枝を固定する石を乱暴に蹴散らし、体当たりで枝を跳ね除けながら飛び出して来る。 「ゆふーっ、ゆふーっ!ゆっくりしないであやまってね!まりさはゆっくりしているよ!!」 息を切らし、全然ゆっくりしていない様子で、自分はゆっくりしていると主張するまりさ。 それでも現れない声の主に、じたばたと暴れながら泣き出してしまった。 「ゆぎいぃっ!なんでかくれ゛でるのお゛ぉぉぉ!?ゆっぐりさぜでよお゛ぉぉ! ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁん!」 わんわんと泣いて、その場から動こうとしないので、足元にあった石をまりさの向こう側に放り投げる。 人間の居る方向とは反対側に着地した石の音に、まりさは音の主がそちらに居ると確信し、 「ゆゆっ!そっちにいるんだね!もうあやまってもゆるさないからね!」 と音のする方に跳ねていったが、居るはずの無い相手を見つけられるはずも無く 数分もするととぼとぼと帰ってきた。そのまま巣の入り口に入るが、葉っぱも枝も元に戻さず 巣の外側に振り返ってじっと動かない。 「もうおこったよ!ぜったいにみつけてやるからね!」 入り口を塞ぐ枝が邪魔で、巣の外に出るのに時間が掛かると気がついたようだが、 自分が姿を見せている事でいたずらの犯人が現れなくなるとは考えていないのだろう。 どうしたものかと辺りを確認したところ、遠くの木々の間にゆっくりれいむの姿を見つけた。 まりさの視界に入らないようにれいむに近づき声を掛ける。 「やあ、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!にんげんさんはゆっくりできるひと?」 「ああ、ゆっくり出来るよ、とてもゆっくりできる方法を知ってるからね」 「ゆゆ?れいむにもおしえてね!れいむもゆっくりしたいよ!」 ゆっくり出来る方法に興味津々のれいむはぴょんぴょんと飛び跳ねて催促してくる。 そのれいむを空中でキャッチし、遠くの穴の入り口で頬を膨らませているまりさを指差して見せてやる。 「ほら、あそこにまりさが居るだろ?あのまりさに元気良く挨拶すると とてもとてもゆっくりした巣に招待してくれるんだ」 「ゆゆっ!れいむもしょうたいされたい!」 「ああ、ゆっくりしておいで」 とれいむを放してやると、一直線にまりさの元に向かって行く。 程なくしてまりさの前に到着すると、そのまりさの後ろに巣穴が続いているのが見えた。 これが人間の言っていたゆっくり出来る巣なのだろう。期待が膨らんだれいむは、 いつも以上に元気な挨拶をまりさに贈った。 「ゆっくりしていってね!!」 「お…お…」 「ゆ?」 突然ぶるぶると震えだしたまりさに、れいむは首をかしげる。なんで巣に案内してくれないのだろうか。 「ゆっくりしていってね!!!れいむをすにあんないしてね!」 「おまえかぁぁぁ!」 「ゆべえっ!」 目の前のれいむをいたずらの犯人と判断したまりさは、怒りに任せてれいむに突進した。 れいむの顔面の中央、鼻っ柱にあたる部分を突き上げるように自分の体をぶつけると、 後ろに突き飛ばされたれいむは痛みに顔を歪ませ、我慢できずに泣き出してしまう。 「ゆ゛うっ!?いだい゛い゛ぃ!な゛んでごんなごどずるの゛お゛ぉぉ!?」 「うるざい!ゆっくりできないれいむはゆっぐりじねぇぇ!」 相手がひるんだとみるや、まりさは大きく跳ねてれいむの頭上に飛び乗ると、 そのまま何度も跳ねてれいむを押しつぶし始めた。 「ゆ゛べっ!やめ゛っ!や゛め゛でっ!」 「ゆっぐりじねっ!ゆっぐりじねっ!ゆっぐりじねっ!」 まりさが跳ねる度にれいむは口から餡子を吐き出し、やがて餡子が足りなくなったのか痙攣を始める。 このまま放っておけば死ぬだろう。もう十分と判断したまりさはれいむから飛び降り、 ゆひゅー、と満足げに息を吐いた。 「ゆっぐり…じだがっっだ…」 「まりさにいたずらしたけっかがこれだよ!れいむはあのよでゆっくりはんせいしてね!」 もう自分のゆっくりを邪魔する奴は居なくなったと、安心したまりさは意気揚々と巣に戻る。 荒れたままになっていた葉っぱを入り口の前に積みなおし、散らかした石を戻して 丁寧に枝を立てかけて行く。 これで安心と巣の奥に跳ねて行った所で、もう一度声を掛けてみた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ、ゆぅっ!?」 いたずらをするれいむは退治したはず。何が起こっているのかわからず混乱したまりさは、 またゆっくりと枝を外して飛び出したが、そこに居るのは先ほど踏み潰したれいむのみ。 れいむはもう、うめき声すら上げる事が出来ずにぷるぷると震えている。 「ゆ、ゆぅ…?」 自分が踏み潰した事で、れいむがもう死を待つだけの姿になっている。 さっきは夢中だったが、同族殺しを目撃されていたら自分も殺されてしまう。 「ま、まりさがわるいんじゃないよ、れいむがいたずらするからだよ!」 誰にともなく言い訳をしたまりさは、そそくさと巣に入って行く。 もたもたと枝を戻している間に、れいむの震えは止まり、まったく動かなくなった。 れいむの死体を掴み上げて、巣の入り口の枝の目の前に置いて声をかける。 「れいむを殺したまりさはゆっくり出来ないよ!」 「ゆ、ゆうっっ!?」 突然の指摘にまりさはパニックに陥る。誰かに目撃されていたのだろうか。 それでもれいむのいたずらを説明すれば許してもらえる、 そう判断したまりさは巣から出ずに説明を試みる。 「ま、まりさはわるくないよ!れいむが…」 「もうゆっくりさせないよ!れいむのお化けがまりさに会いに行くからね!」 「ゆひっ!?お、おばけはこないでね!おばけはあっちにいってね!」 化けて出ると聞いた途端、まりさはひどく怯えだした。 ゆっくりにも幽霊が出るって風習があるのだろうか。 「だめだよ、れいむはもうまりさの後ろまで来てるよ」 「ゆひいっ!!!」 まりさは顔面蒼白になって固まり、振り返る事が出来ない。 誰も居ないはずの後ろ側に気配を感じ、背筋に強烈な寒気が走る。 声が巣の外側から聞こえるのだがパニックになったまりさには正常な判断が出来ない。 「まりさぁー、れいむと一緒に地獄に行こうねぇぇ~っ」 「い゛やだぁぁぁぁっ!ゆっぐりざぜでぇぇー!」 れいむがお化けになって自分を殺しに来た。圧倒的な恐怖に支配され、 まりさは一刻も早く暗い巣穴から出ようと枝を外し始めるが、 恐怖で震えた舌ではうまく枝を掴む事が出来ない。 「ゆ゛っゆ゛ぅっ、だして!だしでっ!」 焦りながらもまりさは、枝を固定する石をどかして行く。 支えを失った多くの枝がばらばらと倒れると、目の前にれいむの死体が現れた。 「ゆぎゃぁぁぁ!なんでぇぇぇぇぇぇ!?」 自分の後ろに居ると言ったれいむが、いつの間にか巣の外へ先回りしていた。 逃げ場を失ったまりさは跳ねる事も出来ず、ずりずりと後ずさりする。 れいむの死体に目が釘付けになり、その後ろに居る人間には気付いていないようだ。 死体れいむの後頭部をわっしとつかみ、左右にがくがくと揺らしながら巣穴に押し込み、 ゆっくりとまりさに近づけて行く。 「ま゛~~~~り゛~~~~ざぁ~~~~!」 「………!!」 ゆっくりらしからぬ異常な動きで迫って来るれいむのお化けに、 恐怖が限界に達したまりさは白目を向いて気絶してしまった。 見ればあごにあたる部分から砂糖水を漏らしている。恐怖のあまり失禁までしたようだ。 死体のれいむを巣の中に残したまま、石を集めて巣穴の入り口を塞ぐように積み上げ 土や枝で石の隙間を埋めた。これをゆっくりが中からどかす事は出来ないだろう。 気絶から立ち直ったまりさが入り口を塞がれた真っ暗な巣穴で、 自分が殺したれいむと一緒だと知った時どんな顔をするだろうか。 これからのまりさの様子を確認する手段がないのが残念だが、 暫くしたら石をどかして中の様子を見る事にしようと、帰路についた。 おわり。 その他の作品。 ゆっくりいじめ系791 ゆっくりと瓶 (fuku2335.txt) ゆっくりいじめ系813 赤ちゃんのお帽子 (fuku2368.txt) ゆっくりいじめ系822 ドスの中身 (fuku2386.txt) ゆっくりいじめ系851 どちらかのお帽子 (fuku2437.txt) ゆっくりいじめ系873 べたべたのお肌 (fuku2467.txt) ゆっくりいじめ系940 三角の頭巾 (fuku2628.txt) ゆっくりいじめ小ネタ151 みょん語体 (fuku2670.txt) お帽子の人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/410.html
ゆっくりのすくつ 「先輩! 見つけましたっ!」 ゆっくり殲滅用の最新機器を背負い、ゴーストバスターズのような出で立ちをした新人君が俺に呼びかける。 「でかした! 今そっちへ行く!」 反応の途絶えたレーダーの電源を切り、俺も重たい装備を背負い直して新人君のあとに続く。 鬱蒼とした森を抜けると、一気に視界が開ける。切り立った崖のふもとにそれはあった。 「まさかこんなところに……」 人間も容易に出入りできるほどの巨大な洞穴。ゆっくりたちの巣穴だ。 「なるほど。こんなところじゃレーダーの電波も途絶えるわけだ」 「行きましょう先輩――」 「ここはれいむたちのおうちだよ!! ゆっくりでていってね!!」 「ちちちちーんぽ!! ちちちちーんぽ!!」 「うわ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん!! あのおじざんだぢだあ゛あ゛あ゛!!」 「むきゅううーー!! ゆっくりできないひときらいーー!!」 「かえりみちでじこにあってゆっくりしね!!」 処理場の作業着姿の俺たちを見るなり、巣穴の数十匹のゆっくりたちは思い思いの反応を見せた。 ぷくーっと膨れて威嚇するもの。怯えて泣きわめくもの。口汚く罵るもの。 そのけたたましい声を聞いていると吐き気がしてくる。 「ゆ゛!? なんでおじさんたちがここにいるの!?」 騒ぎに気づいた一匹のれいむがやってきて、こちらの様子をうかがっている。 頭のリボンに小さな発信機が付けられていることを確認する。 いつだったか、俺が捕獲し、発信機をつけた上で開放してやったれいむだった。 捕獲した饅頭に発信機をつけて放し、レーダーで追跡する。無尽蔵に増え続けるこの害獣を根元から断つためには、 現在最も効果的な戦術だった。 と、その時、無謀にも一匹の赤ちゃんれいむが新人君に飛びかかり、その腕に噛み付いてきた。 「ゆっくちちねーー!!」 だが、饅頭共の噛みつき攻撃など痛くもかゆくもない。 「あん? バーカ」 グシャア!! 「ぴッ……!!!」 愚かな赤ちゃんれいむは一撃で叩き潰され、洞穴内に甘ったるい香りが広がった。 「うわ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! れいむのあがぢゃんがあ゛あ゛あ゛!!!」 「なにするのおじさんたち!! いますぐしね!!」 「わからない!! わからないよーー!!」 「ここはれいむたちのおうちだっていってるでしょ!! さっさとでていt 『黙れぇッ!!!』 たまらず俺が大声で一喝すると、ゆっくりたちは恐れおののき、一瞬にして静まり返った。 「ひゃはは! さすがは先輩!」 「ふんっ……」 こんなゴミクズ共に対して声を荒げてしまった大人気ない自分を少々恥じる。 「しかしこれまた……見てくださいよ先輩。あれ」 洞穴の隅には、田畑を荒らし、民家を荒らし、商店を荒らし、人間たちから奪い取った大量の食料が備蓄してあった。 野菜、果物、その他加工品の山に加え、中でも目に付くのが大量のプリン……。 「一体どうやってこんなところまで食料を運び込むんですかねぇ」 「……おそらくあいつの尽力によるものだろう」 「うーうーうまうまっ☆ もっどぷっでぃんだべだいじょーー♪」 騒ぎには我関せずで、洞穴の奥でプリンを貪り食っているゆっくりれみりゃ。 その身体は丸々と太り、”お嬢様”などといった印象は微塵も感じさせない。 れみりゃ種は四肢があるものが多く存在しており、空を飛ぶこともできる。 こんなデブでも、一匹いるだけで作物被害は甚大なものとなるのだ。 「うげぇー……あれってれみりゃっすか……? きもちわるっ……」 「おい饅頭共! 今すぐそこの作物を人間に返して来い!」 「これはまりさたちがみつけたごはんだからあげないよ!!」 「おじさんたちはあせみずたらしてはたらいて、もっといっぱいごはんつくってね!!」 「どうしてもというならすこしだけわけてあげてもいいよ!! ゆっくりどげざしてね!!」 まったく、どこまでも生意気で憎たらしい饅頭共だ。 「やはり話にならんな。仕方ない、さっさと済ませてしまおう」 「へーい」 その場を新人君に任せ、俺は入り口側で待機する。 「はいはい饅頭共っ! ちゅうもーーーく!!」 敵意むき出しで、しかし若干恐る恐るといった様子で、新人君の言葉に耳を傾けるゆっくりたち。 「お兄さんたちは、ゆっくり処理場から君たちをぶっ殺しにやってきましたー!」 処理場という言葉にビクッと身を震わせるゆっくりたち。 ただの人間とは違う。処理場から来た人間だ。ゆっくりたちはよく知っている。 ありとあらゆる残虐な手段で自分たちを痛めつけ殺してきた恐ろしい人間たちだ。 小さなゆっくりでも親から教えられて知っている、決して捕まってはいけない地獄の使者だ。 そういえばこの人間たちもよくわからない機械を背負っている。 きっと火や水が出て、自分たちを一網打尽にしてしまう機械なんだ。 そうして殺されてきた家族や仲間を見てきたものもいる。 処理場の作業着を見たことがなかったゆっくりたちも、事態の重さを痛感する。 もうおしまいだ。戦慄が走り、吐き気が襲い、冷や汗が吹き出る。 と、いち早く大声で泣き始める一匹のまりさ。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! じに゛だぐな゛い゛い゛い゛!!!」 「黙れやこらぁ!!!」 グシャアァッ!! 「ぶヒゅッ……!!」 新人君に強烈な蹴りを入れられ、破けた皮から餡子をぶちまけながら吹っ飛んでいくまりさ。 そのまま洞穴の壁面にぶち当たって弾け、絶命する。 「お兄さんがしゃべってるのに余計な口を挟まないことー! いいですねー!?」 ふわりと舞い落ちるまりさの帽子。ゆっくりたちは言葉を失い、目に涙を浮かべ、立ちすくんだ。 「ただしっ! 今から君たちにも、生き残るチャンスがありまーす! はいっ!」 小さな子供へ手を差し伸べるかのごとく屈み、手のひらを差し出す新人君。 「この手に最初に乗っかったコは、逃がしてあげまーす!」 「ゆっ!」「ゆゆっ!!」「ゆー!」 目を血走らせ、今にも飛び出さんばかりのゆっくりたち。まったく単細胞な生き物である。 「それじゃあ始めるよー? いいー? はい! スタート!」 「「「「「「ゆーーー!!!!」」」」」」 一斉にピョンピョンと飛び跳ね、猛烈な勢いで新人君の手のひらへと向かっていく。 「どいてよおおおお!!! れいむがゆっくりするのおおおお!!!」 「いやああああああ!!! じゃまするれいむはゆっくりしねええええ!!!」 「おがあざんはいっぱいゆっぐちじだんだがらもういいでしょううう!!?」 「そんなこというあかちゃんはいらないよ!!! ゆっくりしね!!!」 押し合い、へし合い、噛みつきあい、潰しあい、仲間割れが始まる。 何匹かの赤ちゃんゆっくりは、自分より大きなゆっくりに踏み潰されて死に至った。 と、遂に一匹のまりさが新人君の手のひらに乗っかる。 「ゆっ!」 「はーーいおしまーーーい!!」 「「「「「ゆ゛ぐううううーーー!!!!」」」」」 ゲームオーバーを知らせる声に顔を歪ませ泣きじゃくる、満身創痍のゆっくりたち。 と、競争を避けて脱走の機会を窺っていた一匹のぱちゅりぃが、新人君の脇をすり抜け強行突破を図る。 「おおっと、君たちは逃がさないよー!」 ほかのゆっくりたちはもう新人君に遮られて逃げられない。 病弱な身体で必死に飛び跳ね、肩で息をしながら入り口へと向かうぱちゅりぃ。 遂に入り口で待機中の俺の元へたどりつく。 「むきゅ……むっきゅううーーーーー!!」 ドグシャアアア!! 「む゛ギゃ゛ア゛っ……!!」 強引に走り抜けようとしたところをすかさず踏み潰す。 跡形も残らないように何度も踏みつけ、地面にできあがった汚らしい染みをグリグリと踏みにじる。 本来は俺と新人君の役割は逆なのだが、彼がいつもあちらの役を務めたいと言うのでね。 まぁ将来有望というかなんというか……。 「よしよし、君は新しいゆっくりプレイスで存分にゆっくりしてね」 「うん!! ありがとうおにいさん!!」 手のひらに乗ったまりさを優しく撫でてやる新人君。 もちろんその帽子にこっそり新たな発信機を付ける作業は忘れない。 「ま゛っ゛でえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!! わ゛だじも゛づれ゛でっ゛でえ゛え゛え゛!!!」 「ま゛り゛ざだげずる゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 「のろまなみんなにはかまってられないよ!! そこでゆっくりしんでね!!」 まりさは仲間を見捨て、入り口側へピョンピョンと飛び跳ねていく。 「君が競争で勝ったんだね。おめでとう」 「ありがとうおじさん!! これでゆっくりできるよ!!」 先ほどのぱちゅりぃの亡骸を素通りし、まりさは森の中へと消えていった。 レーダーの電源を入れ、今のまりさの位置情報が問題なく受信できていることを確認する。 強い個体は生存競争で生き残りやすく、別の巣穴へ合流したり、新たな集団を形成して別の住処を開拓したりする。 あのまりさもいつか新しい巣穴へ案内してくれるだろう。そんな期待をしつつ、俺も洞穴の中ほどへと進んでいく。 「ごれからわだじだぢはどうな゛る゛の゛ぉ!? ゆっぐりにがじでね゛ぇ゛!!!」 涙ながらに許しを乞うバカ饅頭共。 「逃がして、だ? あははっ、なにを言ってるんだい? 君たちは一匹残らず皆殺しだよ!?」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「うるせぇっつってんだろ!!!」 グシュゥ!! 「ぶぇえ゛ッ……!!」 「ゆぐーーーーーっ!!」 「逃げられると思ってんのか!!」 ブチブチィ!! 「びゃ゛あ゛あ゛あ゛っ゛……!!」 「や゛め゛でえ゛え゛え゛え゛え゛!!! も゛うお゛うぢがえる゛うううう!!!」 やれやれ。あいつめ、また遊んでるな……? 「おい」 「せ、先輩っ?」 「なにやってんだ。早く片付けてしまえ」 「も、もう少し遊ばせてくださいよー」 奥の方を見やると、デブれみりゃはまだプリンをパクついていた。 そして驚くべきことに、あれだけたくさんあったプリンがもうなくなりかけていた。 と、新人君への懇願は効果が薄いと思ってか、一匹のまりさが俺の足にまとわりついてきた。 「おじざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛っ!!! だずげでよ゛お゛お゛お゛ンぶぅッ……!!!」 躊躇なく踏み潰す。 しかし、懲りずにまた一匹のれいむが擦り寄ってくる。 「おじさん!! あのときのおじさんでしょ!?」 リボンに発信機をつけ、逃がしてやったれいむだった。 「ああ、覚えているよ」 「あのときみたいにれいむをにがしてよ!! おねがいだよ!!」 「ゆっ!! れいむだけずるいよ!! わたしたちもにがしてね!!」 また押し合いへし合いとなる。そこへ薄ら笑いを浮かべた新人君が語りかける。 「バカだなぁ君は」 「ゆっ!? れいむはばかじゃないよ!! ゆっくりあやまってね!!」 「みんな見てごらーん。このれいむのリボンを。変なものがついてるだろーう?」 「ゆっ? ほんとうだ!! なぁにこれ!?」 「これは発信機さ。これが君たちの居場所を処理場の人に教えてくれてたんだ。実はこのコはおにいさんたちの友達なんだよ」 「ゆゆッ!? れいむそんなのしらないよ!? うそつきなおにいさんはゆっくりしね!!」 「君は今までよく頑張ってくれたね。お疲れ様。でも君はもう用済みなんだ。だからここでさよならだよ。ぷぷっ」 「れ゛い゛む゛の゛ばがあ゛あ゛あ゛!!」 「う゛ら゛ぎり゛も゛の゛はゆ゛っぐりじねえ゛え゛え゛!!」 「ゆ゛ぐぅぅぅ!!! み゛んなや゛め゛でえ゛え゛え゛え゛!!!」 洞穴内はもうパニック状態だ。 笑いを堪えきれない様子の新人君に問いかける。 「そろそろ満足したか?」 「くくっ……! は、はいっ……! じゃあ一気にやっちまいますか! ふっ……ふひゃひゃひゃひゃ!」 俺たちは、背負った機器から伸びたホースを構え、スイッチを入れる。 「放射ああああああ!!!! うっひゃひゃひゃひゃ!!!」 内部分裂して混乱状態の饅頭共に、霧状の薬品を吹きかける。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!?」 霧を吹きかけられたゆっくりたちの身体は、見る見るうちに膨れ上がる。 「な゛、な゛に゛ごれ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛!!!」 次第に皮が内側から破け始め、その激痛に涙がとめどなく溢れ出る。 「ゆ゛ぐうううううううううううううううううううううううウウウウウウぇ゛ア゛ッ……!!!」 限界まで肥大し、破裂していくゆっくりたち。 この薬品は、饅頭共の体内の餡子を膨張させ、そのまま破裂に至らしめる特殊な薬品なのだ。もちろん人間には無害。 これまでの火攻めや水攻めでかかっていたコストを大幅に減らす、処理場の画期的な新発明だ。 「ゆ……ゆ゛ぐう゛う゛う゛う゛う゛う゛ーーーーーーっ!!!」 死に物狂いで逃げ回る饅頭たち。しかし、広範囲にわたる薬品の噴射から逃れることなどできはしない。 「ウェーーハッハッハッハ!! イーーヒッヒッヒッヒ!!」 破裂する饅頭たちの返り餡子を全身に浴びながら、狂ったように薬品をばら撒き続ける新人君。 ここは彼に任せておこう。俺は薬品を噴霧しながら、奥にいるデブれみりゃの方へと向かった。 「おい」 「う?」 口の周りをカラメルソースでベトベトにした豚がこちらへ振り向く。 「うーーー♪ だーべぢゃーうぞぉーー♪」 豚が食い散らかしたプリンの容器を見る。消費期限も過ぎていない新品だった。 「貴様、どこからプリンを持ち出している」 「うー? れみりゃーはごーまがんのおぜうざまだっどー♪」 パーン! 豚の頬を平手打ちする。 「ぅ……うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!! はだじでえ゛え゛え゛え゛!!!」 パーン! 逃げ出そうとする豚の胸倉をふん掴み、また平手打ち。 「答えろ。このプリンはどこで手に入れた」 「う゛うぅっ……れみ、りゃ、うーーーっ☆」 パーン! 「さっさと答えろ!」 「わ゛ぅ゛ッ……!! ご、ごーじょーっ……!!」 「工場?」 はぁ、なるほど。ちょうどこの辺りにプリンの製造工場があることに思い至った。 「うー……ぷっでぃんもうなぐなっだ……。だがら、まだどりにいぐーー♪」 パーン! 「ヴぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! い゛だい゛い゛い゛い゛い゛っ!!!」 肥え太った手足をじたばたさせ、必死に抵抗する。 「貴様っ」 パーン! 「人様にっ」 パーン! 「どれだけっ」 パーン! 「迷惑をかければっ」 パーン! 「気が済むんだっ!」 パーン! 「や゛べでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!! い゛だい゛の゛や゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 涙と鼻水とよだれで顔をグシャグシャにする豚。 すぐにでも殺してやりたいところだが、これだけは聞いておかなければいけない。 「おい、おまえの飼い主は誰だ」 「ぅーー……」 パーン! 「答えろっ!」 「う゛ぅぅぅぅ!!!! ざぐやにい゛い゛づげでや゛る゛ううううう!!!」 「ざぐや……か」 最近、ゆっくりを利用した飼い主の窃盗事件が相次いでいる。 特にれみりゃは扱いやすく、犯罪に活用されるケースが多くなっている。 こいつをいたぶり続けると、そのうち特定の名前や、お兄さん、おじさんといった誰かに助けを求めるのだが、 こうして遺伝子的に組み込まれている咲夜という人物の名前が出てくる場合は、野良ゆっくりであるということなのだ。 飼い主がいる場合は警察に届けなければならないのだが、野良ゆっくりのこいつを生かしておくべき理由はなくなった。 「おまえが与えた経済的損失、せめて死んで償ってもらうからな」 「ぅぅ……? うううぅぅわ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!」 邪魔な翼をもぎ取ったあと、後頭部を鷲掴みにし、顔面を地面に叩きつける。 ガスッ!! 「う゛ぇ゛ア゛ア゛ア゛あ゛あ゛!!! ごべんだざい゛い゛い゛い゛!!!」 右目の眼球が破裂し、前歯がいくつか砕ける。 ガスッ!! 「ぅぶっ……ごボぉお゛っ……!!」 衝撃と共に身体全体を揺さぶられ、体内のプリンを嘔吐する。 ガスッ!! 「ぶゥッ……!!」 後頭部から握り潰さんばかりに突き立てた俺の爪が豚の頭にぐいぐいと食い込み、指先に生温かい肉まんの感触が伝わる。 気持ち悪い! 気持ち悪い! 気持ち悪い! 気持ち悪い! ガスッ!! ガスッ!! ガスッ!! 「あ゛ア゛ッ……!! あ゛がっ……!! ガあ゛ッッ……!!」 やがて顔面の皮が全て剥がれ落ち、肉まんの具から身体が生えている状態となる。 身体はヒクヒクと痙攣し、もはや声を上げようにもヒューヒューというおかしな音しか出ない。 「……気持ち悪い」 わき腹から思い切り蹴飛ばす。肉塊はぐるぐると回転し、頭部の肉を撒き散らしながら宙を舞う。 石ころを蹴飛ばしながら通学路を帰るように、頭部のなくなった豚の身体を何度も蹴飛ばしながら入り口の方へと向かう。 途中で豚の胴体と下半身が千切れてしまった。体内に残っていたプリンがどろりと溢れ出す。 俺はその胴体を踏み潰し、残った下半身を股裂きの要領で引き千切って放り投げてから、新人君へ声をかけた。 「おーい、そろそろ引き上げるぞー。……って、まだやってんのかー?」 新人君は、妊娠中のゆっくりだけを何匹か生かして縛り付け、 同じ妊婦ゆっくりに薬品を少しずつかけて、じわじわと膨れ上がる様を楽しんでいた。 「ゆ゛ぐう゛う゛い゛い゛い゛い゛……!!!」 「苦しいか? ん? おい饅頭、苦しいか? ふひゃひゃひゃ!」 「も゛う゛や゛め゛て゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「だずげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「まりさちゃん、君、俺が指でちょっとでも触れたら破裂しちゃうけど、どうする? ねぇ、どうする?」 「ゆ゛ッ……!! ゆ゛ぅ゛ッッ……!!!」 破裂寸前のまりさは、この世のものとは思えないほど不細工な表情で、体中から変な汁を垂れ流し続けている。 ところどころ破けた皮から餡子が溢れ出し、耐え難い激痛に喘いでいる。その耳元で新人君が語りかける。 「これからかわいいかわいい赤ちゃんが産まれるって矢先に、残念だったねぇ♪ じゃ、バイバイ♪」 フッと息を吹きかけると、妊婦まりさはたちまちバシャッと破裂し、新人君の顔を餡子で染めた。 飛び散った餡子は、縛り付けられたほかの妊婦ゆっくりたちの顔にもふりかかる。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「ゆ゛っ゛ぐ゛り゛ざぜでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 弾けた妊婦まりさから未成熟の赤ちゃんまりさがコロッとまろび出る。 口の周りについた餡子を舐め回しながら、新人君は今にも崩れ落ちてしまいそうな胎児まりさをそっと手に取り、 ほかの妊婦ゆっくりたちの眼前に掲げ、握りつぶす。そしてその餡子を妊婦ゆっくりたちの顔に塗りたくった。 「あ゛ッ……!!! あヒッ……!!」 壮絶な光景を見せられ、一匹の妊婦れいむは発狂してしまう。 もう一匹の妊婦まりさは流産してしまい、それを示す餡子が下部からどろりと流れ出た。 ショックのあまり、もう言葉を発することもできず、ただヒクヒクと痙攣する。 「おーい、もういいかー?」 腹を抱えて爆笑している新人君に再度声をかけ、区画殲滅用の使い捨て薬品発生器の封を切る。 「ふひゃひゃひゃひゃ!! あ、先輩、もう満足したっす! いやーやっぱ饅頭の断末魔はたまらんっすわー!」 新人君は、ゆっくりを痛めつけることを心底楽しんでいるようだった。 ”できるだけ凄惨なやり方で虐殺し、人間を畏怖させ野に帰す”という国の指針からしても、彼はこの仕事に適任だ。 俺はいつしか虐待することにも飽きてしまって、淡々と仕事をこなすようになってしまった。もう歳かな。 「発信機は回収したか? 盗まれた食料は?」 「え、ええっ。こちらに。飼い主はいないみたいですね。こいつらただの野良ゆっくりの集まりですわ」 「そうか。よし、それじゃあ引き上げるぞ」 「あっ、待って下さいよぉ先輩っ! あのれみりゃはどんな風にぶっ殺したんすかっ? 聞かせてくださいよぉ!」 設置した薬品発生器が辺りを煙で包み込む。 大量のリボンや帽子が散らばる洞穴内。 そこからはもう、物音一つ聞こえない。ただただ甘い香りが充満するのみだった――。 人と共存することを選択しなかったゆっくりたち。 人間界の衣食住を崩壊せしめ、食物連鎖の構造を根底から破壊してしまう害獣。 こいつらをペットに、などと考える人間ももういない。 最初はうるさかった動物愛護団体も、ゆっくりが環境にもたらす深刻な悪影響に口を閉ざさざるを得なくなった。 ゆっくりも、別の世界に生まれていたのなら、もっと幸せに暮らすことができたのかもしれない。 だが、爆発的に繁殖し続けるゆっくりは、この世界では害獣でしかない。狩られ続けるしかない存在なのだ。 俺はせめてもの慰めとして、仕事が終わるとやつらの魂にこう語りかけてやる。 あの世でゆっくりしていってね、と。 完 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5135.html
※以下、お食事中の人は注意して欲しい。好き嫌いが分かれるので、一般の食材と一緒にしないで欲しいことと、実物を見たことが無い人は、検索して実物を見るのを推奨。 やあ。俺は、普通の鬼意山の1人です。今日は、幻想境の外れでオープンした俺の屋台について話そうと思う。俺は、昔…外の世界で見たある食べ物が頭からこびりついて離れないんだ。おぞましい…つーーーんと鼻に付く臭い、屋台の前を通ろうものなら…100メートル先からでも確認できる…そんな食べ物だ。 形は普通は四角く、色は茶色かったり、黒かったり…様々だが、何個かを串に刺して揚げてから辛いソースや辛い味噌なんかの調味料を付けてとにかく味を誤魔化して食べる。 一般にはゲテモノ扱いされるところだが、とある…大陸では…老若男女問わず人気のあるファーストフードらしい。聞いたことあるだろうか?名を「臭豆腐」という。 名は体を表すと言うが、そりゃあもう…目の前で見ているだけでも肉の腐ったような臭いが辺りに充満して、口に含むなんて考えただけでおぞましい一品で、…揚げてあるのが幸いしてか…辛うじて味覚障害のある奴らに食われているだけのような気がする。 事実…俺は某所の屋台の10メートル先で鼻をつまみながら一目散に逃げたね。 おっと脱線してしまった。そんな臭い豆腐だが、いざ作るとなればコストが安くて儲かるとあって、俺も作り方を屋台のおっさんにいくつか伝授してもらったので、「臭豆腐屋」をはじめる事にしたんだ。 さて、1週間前から仕込みをした甲斐もあり、なかなか自分的には良くできたと思う。桶の中の臭豆腐が、黒々として良い具合に異臭を放ってるぞ?!そろそろ太陽も真上に上がって、ちょうどメシ時になったから屋台をオープンさせようかな……とと……、忘れてた。笛でも吹いて、呼び込みをするか…。 ぷおーーーーーーーぷおーーーーーー…臭豆腐…はいらんかね〜!! 案の定、あんまり人は来ないなあ…。俺は鼻栓をしているから無事だが、この臭いに惹かれてくるなんて、金バエならともかく普通の人間ではないだろうな。しかし…ここで俺の脳裏には閃くものがあった!!…もしや?あいつらなら……!仕方ない最後の手段だ ぷおーーーーーー…ゆっくり臭豆腐を食べていってね〜!!! 俺の期待通りの事は起こった。ガサガサッと茂みが動いたかと思うと、丸い玉のようなものがコロコロと転がって来たのだった。そこには、50cmはあるかという大きなゆっくり饅頭がゆっくりとした表情でいつもの言葉を返してきた。 「ゆっ☆ゆっくりたべるわよ☆…それをこっちによこしなさいよ…!」 涎をたらし、道を水浸しにしながら、紅魔館のサボり魔門番ことゆっくり美鈴が、小さなバットを頬にかかる三つ編みで振り回しながらゆっくりと近づいてくる!!!俺ぴーんち(?!) 「あああああああああ…たまんないいいい!☆」 左右に素振りしてるのが正直うざいと思う。俺は実のところ美鈴のバットなんて怖くもなんともないのだが、最大限の演技力を振り絞り怖がっているかのように振舞った。 「うわああ〜。こわいよ〜。…いくつ食うんだ?(棒)」 「ゆゆっ…そ…そうね。しゅーっ・どーっ・ふ!3こもらおうかしら☆…ゆぅ☆…ごまかしちゃだめよ…おおきいのにしてよ!☆」 ゆっくりは、頭が極端に悪い生き物なので、数も片手レベルしか数えられないと聞いた。3個も食うのかよ?この糞饅頭…と思いながらも、俺は平然と臭豆腐にかじりつく美鈴の馬鹿顔が見たくて、仕込み済みの臭豆腐に黒い謎の粉(笑)を振りかけ、黒いゲル状の臭豆腐液にたっぷりと浸してから、高温の油鍋にぶち込んだ。 じゅわあああああああああああ…… 擬音に騙された奴は残念です…美味しそう…な臭いなんてするわけなく、黒灰色の煙と弾ける泡が屋台を暗黒サウナのごとく覆っていった。やべ…これ、ゴーグルしてても眼に染みる(爆)。こんなの食う奴の気が知れない。まあ、目の前の饅頭は屋台の前で、精一杯ぴょんぴょんと跳ねて、油鍋を覗こうと一生懸命なんだが…。 「ゆ〜☆もうそろそろたべたいのよ〜☆おそい〜☆はやくしろ〜☆」 ゆっくり美鈴は緑色の人民帽を上下させながら、涎をあたりに振りまきつつ俺に命令してくる。ゆっくり饅頭はこれだから困る。数分なんだから、少しは我慢して見ていられないのか??俺の串を持つ手が無意識に怒りで震えてくる…串の悲鳴が聞こえてきそうだ…はっ…いかんいかん。今日は「普通の(笑)臭豆腐屋さん」になりきるんじゃなかったのか?俺、ガマンだ。もう少しで揚げあがるから。 「ちゃらりらん♪上手に揚げましたー!!!」 どこかで、音楽が鳴った気がする。見事!としか形容できない俺のスーパー臭豆腐! 第一号の客がゆっくり饅頭でなければ…それなりに嬉しいんだが、まあ良いとしよう。 さあ、食うが良い。俺は、満を持して串を美鈴の前に掲げた。 「ゆゆ☆おいしそうねーーーーいただきまーーーーっゆゆゆ????☆」 「おっと待った!」 「こらあ!☆なにするのよおおおお☆ぷんっ」 「はは…?何言ってるんだ。まさか、お前はこれをタダで食べようとしているのか?屋台で食べるのには、当然…お金がいるだろう?まさか…持ってないんじゃないだろうな?!」 ゆっくり美鈴は、ゆっくり食べようと思ってぽかーーんと大口を開けている状態のまま、俺の言ったことを反芻している。さっきまでの威勢はどうした?糞饅頭?? 「…ゆゆ☆たべさせないと…このばっとでほーむらんにしてやるわ☆」 「ええ??!何だって?…紅魔館の門番は、そんなに貧乏なのか?……メイド長に俺が言ってやろうか?美鈴が買い食いしたくても、『紅魔館は貧乏だから無理☆』だとぼやいてた…って!」 「ゆゆゆうっゆうう…めいどちょう!!!☆それはこまるんだわ…☆」 へへへ…焦ってる焦ってる…。俺は内心ほくそえんでいた。さっきからお預けをくらって、美鈴の涎の量が半端ない!それに脅しが効いて、目を白黒させながら、俺の前で右往左往しているのが面白くて仕方ないからだ。よし、そろそろ譲歩してやるか…? 「しかたないなあ…ソレで良いよ。ソレで!」 「ゆゆゆ?☆」 俺は、美鈴の小汚いバットを指差して、交渉に入った。相当大事にしているものらしく、最初は嫌がっていた美鈴だが、串を近づけられると肉の腐ったようなつーーんという臭いに負けて、ついには俺にバットを差し出した。おお!俺のゆっくりコレクションボックスがまた一つ埋まったな。美鈴は半分涙目になりながら、3本の臭豆腐串を受け取った。すると…とたんに満面の笑みに変わる。 「ゆゆううう☆うーーまい☆ばくばくばくばくばく☆」 美鈴は一気に3本を口に入れてあっという間に飲み込んでしまった。う…げろげろげろおげろおおお…改めて食ってる所を見ると吐き気が催す。俺は、ゆっくり饅頭が大嫌いだ。こいつらに嫌がらせをする意味で、この屋台をはじめたわけなんだが、コレほどまでに喜ばれるとは思わなかった。ある意味「こんな生ゴミのような臭いの食事は胃が受け付けない」…とか言ってくれるゆっくりの方が、食わせ甲斐があるのになあ…などと少し残念に思う。…しかし、まあ、いくら好きでも、そろそろ気づくかな? 「……おい…おまえ☆しゅーっ・どーっ・ふ!…のあじがおかしいわよ……??」 期待通りの美鈴の反応に、俺は平静を装って答えた。 「…え?そうかい…???」 「ゆゆゆう…あまくて……からくて…ふしぎなかんじ…?☆」 「でも、美味しいだろ?俺の自家製ブレンドなんだ!色々入ってるからそう感じるんじゃないかな?!」 「ゆゆうっ…☆したがやけるみたいにいいいい…あついぃのおおおおおおうぅ☆」 「ははは。何だろう?唐辛子とアンモニアかなあ??」 「へえんなのううううぅ…いぎゃああぅ…へへへへぇ…がらいがらいいいいぃ…いいつもたべてるのは…こんなああんじゃなああいいいいいいいいがらいいいい☆」 ゆっくり美鈴は涙を滝のように零しながら、地面を転げまわっている。そうか〜そんなに旨かったか?涙を流して喜んでくれるなんて嬉しいなあ。すると、美鈴の口から未消化の臭豆腐が甘い胃液とともに吐き出された。まだ固形の物も混ざっている。表面の油皮が剥げて、内面がむき出しになっているものもある。意地汚いゆっくり美鈴は吐き出したものをまた口に入れなおそうとして吐しゃ物を覗き込んで声を詰まらせた。 「ぎゅううううううううあああああああぁ☆おおおおおぜううううううさぁまあああああああぁぁぁ?????☆」 そこには、あの首だけの饅頭に羽が生えた醜悪な生き物ゆっくりれみりあ(頭)とゆっくりぱちゅりーの細切れの残骸が広がっていた。ぐちゃぐちゃになってるが、辛うじて肉まんとクリームと髪の毛やリボンと一緒に顔の皮膚が繋がって見えている。俺の考案した臭豆腐の隠し味が効いてるね。大変だったんだぜ?1週間の間にゆっくりれみりあ(頭)と引きこもりゆちゅりーを捕まえて、ミキサーにかけて潰した豆腐と一緒に固形になるまで蒸し上げるのは。 しかし、美鈴は他のゆっくりと違って偉いなあ。一応、主人の見分けはつくらしいしな。これがゆっくり霊夢や魔理沙なら、無視して食いまくるのがオチだもんな。 「ゆゆゆゆぎゅ☆うぎゅう☆…おみずちょーだいびょおううぅ☆」 こんどはお水が欲しいってか。 「ほい、お水」 俺は、近くにあった水を差し出した。 「ゆゆゆゆ”…うべえええええ…ごぼごぼおおおおお!!ゆっく”うぅりでぎなああああいじゃないいいいい☆」 美鈴は俺の渡した水を盛大に吐き出した…!黒い噴水が空に吹き上がる。 ん…?俺特性ブレンド水が何か??? 水を飲みたいって言ったから、せっかくサービスしてやったのに吐き出すとは失礼なゆっくりめ!!!ちょっと黒いかもしれないけど、本場のレシピどおり、貝の腐汁、唐辛子や屑野菜の腐汁、ウジの湧いた肉の腐汁、黒石灰粉、それと臭みが足りなければ、肥溜めの中の物を少々…いや沢山混ぜる…どっからどうみても正にパーーーーフェクトゥ!!!!な臭豆腐汁。※良い子の鬼意山諸君は真似しないように。 完成度の高い証拠に、ゆっくり美鈴は汁を吐いたまま…悶絶して白目を剥き、息も絶え絶え…口の周りにハエが沢山寄ってきている有様だ。旨さのあまり気絶とは…可愛いやつめ。このまま、こいつは怒り狂ったメイド長に処分してもらうとして…さて、他のゆっくりにも味あわせてやるとするか。 **************************** 次の日。俺は屋台ではなく首から紐をかけて、お腹の辺りに箱を固定した簡易売り子の格好で、目をつけていたゆっくりの沢山いる集落に入ってみた。 ぷおーーーーーー…ゆっくり臭豆腐を食べていってね〜!!! 昨日のとおり、掛け声をかける。今日は、昨日と違って寄ってくるかな?…お!あそこに見えるのは、ゆっくりれいむ一家だな!雑草と花が生い茂る原っぱのあたりに野良ゆっくりの家族がゆっくり食事に来ていたのだ。 「やあ!こんにちは!ゆっくり臭豆腐を食べていってね〜!!!」 「「「ゆゆゆ!ゆっくりしていって…ゆゆゆ?なんか…すこしくさい?」」」 「臭くなんかないよ」 このゆっくりれいむの一家は、昨日の美鈴よりも小ぶりのお母さんれいむと、野球ボール大の子れいむ3匹、子まりさ2匹、プチトマト大の赤れいむ2匹、赤まりさ1匹の計9匹だった。 「ゆゆっ…おにいさんはすごくくさいから…ゆっくりできないひとだね…」 「ほんとうだね」 「ゆうぅ…ほんちょーだあぁ…くしゃいよ…」 「おお…くさいくさい…」 「くさいおにいさんは…まりさがおっぱらってやるよ!」 これだけ集中的に「臭い臭い」いわれていると、予想以上にムカつくなこの糞饅頭どもめ!!…いや、俺が臭いわけじゃない。この豆腐が悪い……うん…饅頭憎んで豆腐憎まず…おっと…本音がでちまった。 「まあまあ、待ってくれよ?君たち。お腹は減っていないかい?」 「ゆゆ!?なに?れいむたちになにかくれるのぉ?」 「ゆーーー?おなかはすいてるけど…」 「おにいさん…たべものちょーだい」 「おにゃかすいちゃったよー」 「ゆっ!まちなさい。おちびちゃんたち…!!おかーさんがどくみしてからだよー?おにいさん、れいむにまずたべものをちょうだいね?ゆっくりしないではやくしてね?!」 いやしさでは他のどのゆっくりにも負けていない、ゆっくり母れいむが名乗りを上げた。これは好都合!とばかりに、俺は箱から揚げたての臭豆腐串を取り出した。 「そうだね。れいむが味見をしたほうがいいね。とっても美味しいから、ゆっくり沢山食べていってね?」 「ゆっくりたべるよーーむーーーしゃむしゃ…ゆゆゆゆ!!」 「「「ゆゆゆ????おかーしゃん?」」」 赤ゆっくりが心配そうに母れいむに駆け寄っていくと、母れいむはすごくすっきりした顔で、「うまうまー!」とか叫んでいる。 「ゆ!?おいちいの?おかーちゃん」 「ゆゆ!れいむもたべりゅう〜!」 「ゆ−!にゃにこれ??くりょくてへんにゃの!」 「はふはふはふ…!おいちいねーおねえちゃんもたべにゃよー」 黒い串に刺さった臭豆腐は見る間に無くなっていく。赤れいむたちが食べているのを見て、子れいむと子まりさも俺に豆腐をねだりだした。俺は箱にある串を何本か地面に置いてやり、れいむ一家が食い漁る様を見てニヤリと笑った。 「おい、しゅーっ・どーっ・ふ!は旨かったか?」 「ゆゆぅ!おいしかったよーおにーさん!」 「うまうまーー!しゅーっ・どーっ・ふ!ってゆーの?」 「ちょっとくさいけどーおいしかったよ」 「おにいさんーー!もっとちょーだいーー」 「そうだよーひとりじめはよくにゃいよーー?」 俺のかけた声に口々に言葉を返すゆっくり饅頭。 「じゃあ、ゆっくりできたんだね?」 「ゆゆゆ!ゆっくりできたよー」 「ゆっくりできてーしあわせーーー!」 「おにゃかいっぱい…ゆぅっ…おにいさんもゆっくりしていってね」 「ゆっ…ゆっきゅりしていってにぇー」 れいむ一家は満面の笑顔で、ゆっくりぷれいすを満喫しているようだった。 「うん。そうするよ。………………………そういえば………君たちのお父さんが見当たらないけど……何処にいったの?………狩りにでも行ったのかい?」 「「「「「ゆっ!!」」」」」 そう、このれいむ一家は明らかにまりさがつがいでいる家族構成なのだ。子供にまりさ種がいる以上、当然親はまりさでなくてはいけない。子供たちの顔が明らかに暗くなっていく。そんな子供を見回して、母れいむが心配そうにつぶやいた。 「ゆっ…まりさが1しゅうかんまえからかえってないの…おにいさん…」 「おかーさんといっしょにみんなでさがしたのにみつからないんだよーー!」 「どこいっちゃったんだろーー?おとーちゃん…」 「そーーか…居なくなっちゃったのかーー。それは残念だね。この臭豆腐、食べさせてあげたかったのに………もし帰ってきたらこれをまりさにあげると良いよ…」 俺は最後の1串を母れいむの前に置いて、れいむ一家に別れを告げてその場を後にした。母れいむ達は、父まりさのためにその1串を食べないで残しておこうと決め、巣穴に持ち帰った。しかし数日後、母れいむが餌取りで居ないときに子供達はすっかりお腹を減らし、臭豆腐を食べてしまおうと画策したのだった。 「ゆっ!…すこしならつまみぐいしてもへいきだよね?」 「おとーちゃんがかえってこにゃいのがわりゅいんだよー!」 「「「ゆゆゆゆ!いただきまーーーちゅ」」」 おもむろに、子供達は臭豆腐にいっせいに喰らい付いた。 「むちゃむちゃむちゃ…ぐげえええええええええええ!!!!」 「ゆゆゆゆ”う”う”う”ぎゅ”ゆゆ”びゅうううう”っぐりでぎゅにゃあいいいい”ぃ!」 「げろおおおおおおおおおぎゅううう”ぅ!」 口から腐液を撒き散らし、ショックでのたうち回る子れいむと子まりさ達。対照的にすっかり動かなくなっている、赤れいむと赤まりさ…。 「だいじょうぶ?あかちゃんたち”いいいい???」 「ちゃんとはきだすんだずえ?…げぼっぼうう」 「ゆ……!しんでりゅうううう!!あかちゃんがああ!しんでりゅよ?!まりざああああ!!!?」 赤れいむと赤まりさたちはショック死してしまったようだ。何にそんなに驚いたのかって…?小さいから顔を近づけて見すぎたんだな?きっと…。 表面の油皮を割ると、腐臭と共に中からドロリと腐った餡子汁まみれになって灰茶色の血走った目玉が出てきた。よく見ると、他にも腐餡子に混じり金色の髪の毛もちらほらと。 「ゆぎゅううう!!!ゆゆめだまあああああああ!!!」 「おおおおとおととお”!!ざんっ!のがみのげえええええ!!」 「おがーーーーーじゃんんは”やぐうううがえってきでえええええええ!!!!」 早く食わないから、美味しい時期を逃してしまうんだよ?臭豆腐なんて旨いと思ってる奴の気が知れないなあ…と、俺は漠然と考えながら、さっき捕まえた母れいむをどんな臭豆腐にしようかとミキサーにかけるのであった。 おしまい。書き人三 ※SS書きなれてないので読みづらくてすみません。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1466.html
「ゆっくり水難事故」 「ゆっくりー♪ゆっくりー♪」 「きょうもみんなでゆっくりしようね!!」 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 草原を縦断する、饅頭の列。 先頭に立っているのは、母親のゆっくりれいむ。 後ろの子供たちがちゃんとついて来られるように、ゆっくりと前進していく。 「ゆっくちー♪」「きょうはどこでゆっくりするんだろうね!!」「ゆっくりたのちみだね!!」 にこやかな笑顔を浮かべて、母親についていく5匹の赤ちゃんゆっくり。 生後2週間になる赤ちゃんゆっくりたちは、外に出るのは今回で3回目である。 最近になってやっと巣の外に出してもらえるようになったので、お出かけが楽しみでしかたないのだ。 「おちびちゃん!!ゆっくりついてきてね!!ゆっくりでいいからね!!」 「ゆっきゅりついていくよ!!」「ゆっくちいこうね!!」 母れいむは、赤ん坊を連れて外に出るのが不安ではあったが、同時に嬉しくもあった。 子供の成長を喜ぶのは、人間だろうとゆっくりだろうと親なら当然のことなのだろう。 「ゆっ!!きょうはここでゆっくりしようね!!」 到着したのは、巣からそれほど遠くない小川の畔。母れいむは、水の流れがよく見える場所に子供たちを整列させる。 赤ちゃんゆっくりたちは初めて目にする水の流れに興奮気味だが、母の言いつけを守ってその場に並んだ。 「ゆ!!きれいだね!!」 「とてもゆっくちできそうだよ!!」 太陽の光を反射して煌きながら、穏やかに流れる川。 綺麗に透き通っているそれは、ゆっくりでなくても目を奪われるほどの美しさだ。 「ゆんっ!これは“おみず”というものだよ!!とてもゆっくりできるものだよ!!」 母れいむが、赤ちゃんゆっくりに向かって説明する。 今日ここへやってきた目的は、赤ちゃん達に水について教えてあげるためだったのだ。 「ゆゆ~!!ゆっくちできりゅの!?」 「しゅごい!!おみずさん!!れいむたちをゆっきゅりさせてね!!」 「はやくゆっくちしたいよ!!おかーさんいいでしょ!?」 ゆっくりできるものだと聞いて、赤ちゃん達は興奮を抑えるのがやっとだ。 中には、もう小川に飛び込もうとしているゆっくりもいる。 「まだせつめいがおわってないよ!!ゆっくりおはなしをきいてね!!」 「ゆん……」 今すぐにでも小川でゆっくりしたかったのだが、母れいむに咎められてしゅんとする赤ちゃん達。 しかたなく、母れいむの説明を聞くことにした。 「おみずはとてもゆっくりできるけど、ずっとさわってるとゆっくりできなくなっちゃうんだよ!!」 「ゆゆ~!?いやだよ!!ゆっくちしたいよ!!」「おみずさんどうしてゆっくちさしぇてくれないの~!?」 水は、冷たくて気持ちいいし汚れも洗い流してくれる。 しかし、ずっと水の中にいると水分を吸収して膨張したり溶けたりしてしまい、最終的には皮が破れて中身が漏れてしまう。 母れいむはこれを子供の頃に自分の母親から聞き、そして実際に水遊びしすぎて溶けてしまったゆっくりも見た。 水はとてもゆっくりできる。しかし、同時にゆっくりにとって危険なものでもあるのだ。 「ゆ!でもだいじょうぶだよ!!ながいあいださわらなければ、とてもゆっくりできるよ!!」 「ゆ~?ほんとう?」「ゆっきゅりできるの?」「ゆっくりできなくならない?」 心配そうに母れいむに問いかける子供たち。 母れいむは、無用な心配を取り払うべく笑顔で子供たちに呼びかけた。 「だいじょうぶだよ!!おちびちゃんたちはしんぱいしないで、おみずでゆっくりしていってね!! おかーさんがおわりっていうまでは、ゆっくりできるからね!!そのときは、おみずからゆっくりはなれてね!!」 子供たちは、いつまで水に触れていられるのかを自力で判断できない。 だから母れいむは、ゆっくりできなくなる前に自分が子供たちに合図を送ることにしたのだ。 そうすれば、子供たちは何も恐れることなくゆっくりすることができる。 母れいむが水から離れるよう呼びかけたときに、その声に従えばいいのだから。 「おちびちゃん!!ゆっくりあそんでいってね!!」 「ゆっきゅり~♪」「ゆっくちあそぶよ!!」「みんなでゆっくりしようね!!」 母れいむの許可が下りたので、我先にと小川へ飛び込んでいく赤ちゃんゆっくりたち。 「ゆ~♪ちべたい~♪」 「おみずさんおいちいね♪」 「それー!!ゆっくりぴゅ~♪」 「ゆゆ!やったな!!ゆっくりー!!」 ころころ転がって、水の冷たさを味わう赤ちゃんれいむ。 好奇心から水を口に含み、その染み渡るような美味しさに感動する赤ちゃんまりさ。 水鉄砲のように、水を吹き出して遊んでいるものもいる。 「ゆー!!あまりとおくにいっちゃだめだよ!!ゆっくりできなくなっちゃうよー!!」 「「「ゆっくりりかいしたよ!!おかーしゃん!!」」」 元気に返事を返してくる赤ちゃんゆっくりたち。 とてもゆっくりしている姿を見て、母れいむはとても幸せな気持ちになった。 ゆっくりした子供を見ていると、自分もゆっくりとした気分になる。それこそが親ゆっくり共通の幸福なのだ。 「ゆぅ~!とてもゆっくりしてるね!!」 片親で5人の子供を養えるか、母れいむは不安に思ったこともあったが…何とかここまで育てる事が出来た。 きっとあっという間に大きくなって、おうちも狭くなってしまうだろう。 自分達で狩りに出かけるようになって、もっとたくさんご飯を食べるようになるに違いない。 そしたら子供たちは独立して、自分だけで生きていくようになる。 そのことを考えると少し寂しくなったが、それ以上に母れいむは子供たちの成長が楽しみだった。 思い描いた将来を現実のものにするためにも、子供たちは自分が守っていかなければ! 母れいむは、強く決意した。 「ゆゆっ!!みんな!!おわりだよ!!そろそろもどってきてね!!おみずからはなれてね!!」 「ゆゆ~!ゆっくちもどるよ!!」 「こんどはおかーしゃんとゆっくりするよ!!」 母れいむの呼びかけに応じて、赤ちゃんゆっくり5匹はみんな母の周りに集まった。 ぶるぶると犬のように身体を振って、水気を飛ばす赤ちゃん達。 若干の湿り気は残っているが、この程度なら大丈夫だと母れいむは判断した。 「ゆ~♪しゅっきりしたよ!!」「すっきりー!!」「もっとあそびたかったよ!!」 「ゆっ!!からだがかわいたら、またゆっくりしてもいいよ!!それまでゆっくりまっててね!!」 母れいむの言いつけどおり、水に触れない場所で身体が乾くのを待ち始める赤ちゃんゆっくりたち。 その時、対岸にひとりの青年が現れた。 短パンにTシャツという、とても涼しそうな格好をしている。 「ふぅ~涼しいなぁ~」 「ゆ!?おにーさんはゆっくりできるひとなの?」 飴細工が溶けたようなだらしない顔をして、水中に脚を投げ出して座っているお兄さん。最高に気持ちいいらしい。 真夏の家屋の中は、風通しがよくてもそれなりに暑い。人里で空調設備を持てるのは、村の重役か金持ちぐらいである。 だから、一般村人であるお兄さんは、夏はこうして小川で涼むのを日課としていた。 「おー、最高にゆっくりしてるぞー」 寝言ではないかと疑いたくなるぐらい、間延びした声で答えるお兄さん。 その様子を見て母れいむは目の前の人間が敵ではないと判断した。 「ゆぅ……ゆ!おにーさんもゆっくりしていってね!!」 「おにーしゃんもゆっきゅりできるんだね!!」「ゆっくちしちぇいってね!!」 本当は自分達だけのゆっくりプレイスにしたかった。 だが、子供たちの前で人間を追い出すのは教育上あまりよろしくない。 そういった理由で、母れいむは目の前のお兄さんを渋々受け入れることにした。 こちらから何もしなければ、向こうも危害を加えてこないだろうと判断したのだ。 何より、子供たちがお兄さんに懐きつつあるので、彼を排除する理由はなくなった。 「ゆゆん!そろそろかわいてきたね!おちびちゃん!!もういちどゆっくりしてきていいよ!!」 「ゆゆーい!!」「ゆっくりぃ~♪」「おみずでゆっくりするよ!!」 頃合を見て、再び赤ちゃんゆっくりに川で遊ぶよう呼びかける。 畔でうずうず我慢していた赤ちゃん達は、一斉に水の中へ飛び込んでいった。 「ゆゆーん♪」「ちべたいー♪」「ぴゅるる~♪」 「おぉ、みんな楽しそうだな!」 お兄さんも対岸から川の流れを横切って歩いてきて、赤ちゃんゆっくりの輪に混ざる。 「ゆー♪おにーさんもゆっくちしていっちぇね!!」 「おみずはとてもゆっくりできるものだよ!!おかーしゃんがいってたよ!!」 「おにーしゃんもいっしょにゆっくちしようね!!」 「そうかそうか。それじゃ、お兄さんも一緒にゆっくりしようかな」 もう赤ちゃんゆっくりたちは、完全にお兄さんに懐いている。 お兄さんもかわいいゆっくりと遊ぶ事が出来て、とても嬉しそうだ。 「ゆー…すごいゆっくりしてるよぉ…」 やっぱり、お兄さんをここから追い出さなくて正解だった。子供たちは、皆すごく楽しそうにゆっくりしている。 母れいむは、自分の判断が正しかったのだと確信した。 「それ!お兄さん負けないぞ!」 バシャァ!! 「ゆーゆっくちー♪」「おにーさんつよいね!!」「でもれいみゅたちもまけないよ!!」 お兄さんと水を掛け合って遊んでいる子供たち。 「ゆらゆらぁ~」「ゆらゆらゆっくりぃ~」 その傍らでは、水に漂ってゆっくりしている2匹の子供たち。 ここは流れがとてもゆっくりしているので、気づかないうちに遠くへ流されてしまう、という心配はない。 「……ゆゆ!」 母れいむの本能が、そろそろ頃合だと告げた。 「みんな!!そろそろこっちにあがってきてね!!ゆっくりできなくなっちゃうよ!!」 「ゆ~!」「みんなであがろうね!」「みんなでゆっきゅりしゅるよ!!」 「あ、皆待ってよ!」 お兄さんが、陸に上がろうとする赤ちゃん達を呼び止めた。 180度振り返って、赤ちゃん達はお兄さんを見上げる。 「どうして戻っちゃうんだい?皆でもっとゆっくりすればいいじゃないか」 お兄さんは、どうして赤ちゃんゆっくりが急いで陸に上がろうとしているのか、疑問に思っているようだ。 逃げるように陸へ跳ねていく赤ちゃんゆっくりの行動が、彼にはまったく理解できなかったのだ。 「ゆ!ずっとおみずにさわってるとゆっくちできなくなりゅんだよ!!」 「そうだよ!!おかーしゃんがいってたよ!!ゆっきゅりできないのいやだよ!!」 「え、そうなのか?……でも、お兄さんはずっと水に触ってても平気だったぞ?」 「「「ゆゆぅ~?」」」 5匹揃って、首を傾げる。 お母さんは確かに言っていた。お水にずっと触ってるとゆっくりできなくなる、って。 でも、お兄さんはずっとお水に触ってても、ゆっくりできている。 ………どうして? その疑問の答えを、赤ちゃん達は自分なりに考え…そして、結論を出した。自分の都合のいいように。 「おちびちゃん!!はやくこっちにもどってきてね!!ゆっくりしてたらだめだよ!!」 「ゆゆ!でもおにーさんはゆっくちできりゅっていってるよ!!」 「だったられいむたちもゆっくりできるはずだよね!!」 「ゆゆ!?おちびちゃん!!なにをいってるの!?」 赤ちゃん達がいきなり変なことを言い出したので、母れいむは驚いてしまった。 さっきあれほど言い聞かせたのに……どうしてそんなことを言うのだろうか? 「おちびちゃん!!いいかげんにしてね!!はやくもどってこないと、ゆっくりできなくなるよ!!」 「お母さんはあんなこと言ってるけど、気にしないで一緒にゆっくりしようよ。みんなももっとゆっくりしたいだろう?」 母れいむの再度の呼びかけをかき消すように、お兄さんは赤ちゃん達に呼びかける。 赤ちゃんゆっくりたちもまだまだ遊び足りないので、再び陸から離れて水の中へ飛び込んでいく。 「ゆ~♪もっとゆっきゅりするよ~♪」 「ゆん♪おにーしゃんもいっしょにゆっくいしようね!!」 「おちびちゃん!!おかーさんおこるよ!!さっさとこっちにもどってこないと、ほんとうにゆっくりできなくなるよ!! おにーさんもへんなこといわないでね!!おにーさんにもおきゅうをすえることになるよ!!」 母れいむは本気で怒っていた。言いつけを守らない赤ん坊は、きつく叱ってやらなければならない。 おかしなことを言うお兄さんもだ。これ以上子供たちのためにならないことを言うようであれば、ゆっくりできなくさせる必要がある。 これぐらいきつく怒鳴りつければ、赤ちゃん達は怖がって言うことを聞くだろう、と思っていたが… 返ってきた声は、母れいむがまったく想像していなかったものだった。 「ゆっ!!でもれいむたちはちゃんとゆっくりできてるよ!!」 「おかーさんはうそをついてるね!!うそつくおかーしゃんとはゆっくりできないよ!!」 「うそつきはむこうにいってね!!まりさたちはおにーさんとゆっきゅりするよ!!」 「おかーしゃんはばかだね!!れいむたちゆっくちできりゅもんね!!」 赤ちゃんゆっくりたちは、完全にお兄さんが言っていることを信じきっていた。 実際、赤ちゃん達の体にはまだ変化が現れていない。そのため赤ちゃん達は、水が100%安全だと勘違いしてしまったのだ。 「どぼじでぞんなごどいうのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!??」 こんな聞き分けのないことを言われるのは、赤ちゃんゆっくりが生まれてから初めてのことだった。 いつもはちゃんと言いつけを守ってゆっくりしていたのに…どうして今日は言うことを聞かないの? 母れいむは、子供に反抗された事がショックだった。 「ゆっきゅりぃ♪」「ゆっくちできるよ~♪」 「だろう?お兄さん、水に触っててゆっくりできなくなったことなんてないよ」 「ゆー、やっぱりおかーしゃんはうそをついてたんだにぇ!!」 「おにーさんがゆっくりただしいんだね!!」 「そうそう。大体水に触ってどうにかなっちゃう生き物なんていないって!」 「どうじでええ゛ええ゛え゛えええ!!!おがーざんはほんどうのごどをいっでるどにい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 母れいむは、子供たちの信頼を失っていた。 自分は正しいことを言っているのに、子供たちはそれを理解してくれない。 とてもゆっくりした賢い子供たちなのに、何故かこれだけは理解してくれない。 そればかりか、自分を嘘吐きだと罵倒してくる。どうして?どうして? 母れいむの目には、うっすらと涙が浮かんでいた。 「ゆ゛!!しかたな゛い゛ね゛!!むりやりにでもゆっくりつれてもどる゛よ゛!!」 だが、いつまでもショックに打ちひしがれているわけにはいかない。 早く川から引き上げなければ、本当にゆっくりできなくなる。子供たちの命がかかっているのだ。 母れいむは自ら川に飛び込むと、ばしゃばしゃ水飛沫を飛ばしながら赤ちゃん達のところまで跳ね寄ってきた。 「ゆっ!?おかーしゃんもゆっくちするの!?」 「おかーしゃんはうそつきだけど、れいみゅはやさしいからゆるしてあげゆよ!!」 「ばかなこといわないでね!!ゆっくりしないでみずからはなれるんだよ!!」 子供たちの戯言にまったく耳を貸さず、母れいむは5匹の中で一番近くにいた赤ちゃんれいむをがっしりと咥えた。 言うことを聞かないのなら、無理やり陸の上に連れて戻る。子供に嫌われることを恐れている場合ではなかった。 「ゆーん!!ゆっくちはなして!!れいみゅはおみずのなかでゆっくちするー!!」 「おかーしゃん!!まりさたちのじゃまをしないでね!!」 「うそつきおかーさんとはやっぱりゆっくりできないよ!!いもうとをはなして、むこうでゆっくちしててにぇ!!」 赤ちゃんを無理やり連れて行こうとする母れいむに対し、残りの4匹は体当たりし始めた。 「ゆっくちはなしぇ!!」「ゆっくりはなせ!!」「うそつきはむこうにいってね!!」 ドン!ドン!ドン! バラバラの攻撃では殆ど効果がないが、4匹は息を合わせて同時に母親に体当たりしている。 皮を突き破るような致命傷には至らないが、母れいむのバランスを崩すには十分な攻撃だった。 「ゆゆ!!ゆっぐりやめでね!!ゆ!?…ゆぎゃんっ!?」 赤ちゃんゆっくりを咥えたままではまともな抵抗も出来ず…母れいむは勢いよく転んでしまった。 その衝撃で開放された赤ちゃんれいむは、姉妹の助けを借りて急いで母親から離れていく。 「ゆああああああああ!!!いうごどをぎいでね!!ほんどうにゆっぐりでぎなぐなるのお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 「こんなことするおかーしゃんとはゆっくちできないよ!!」 「うそつきおかーしゃんはむこうにいってね!!こっちにこないでね!!」 「れいみゅたちだけでゆっきゅちするからね!!うそつきはじゃまだよ!!」 もはや、母れいむの真実の叫びに耳を傾ける子供はいなかった。 誰もが母れいむの言葉を嘘だと決めつけ、罵り、排除する。その言動に躊躇いは無い。 赤ちゃんゆっくりにとっては、自分が“今”ゆっくりできればそれでいいのだ。 再びお兄さんとゆっくりし始める赤ちゃん達。母れいむに邪魔されないように、どんどん離れていく。 「いがないでええええええ!!!ゆっぐじじないでおみずがらはなれでねえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ええ゛え゛ええ゛!!!」 母れいむの直感が告げていた。今から追いかけても間に合わない、と。 可能な限りの大声で必死に呼びかける母れいむだが、赤ちゃんゆっくりたちは取り合わない。 「ゆんゆん♪」「ゆっくちー♪」「じゃぶじゃぶ~♪」 「みんなとてもゆっくりしてるね。水はとても気持ちいいもんなぁ」 「おみずはとてもゆっくちできゆよ!!」 「ずっとさわっててもゆっきゅりできるんだよ!!」 「れいみゅはずーっとおみずのなかでゆっくしするよ!!」 「がああ゛ああ゛あ゛ああ゛ああ゛あ゛あ!!!もうだめえ゛ええ゛え゛え゛え゛!!! はやぐおみずがらでてえ゛え゛え゛ええ゛ええ゛ええ゛え゛え゛!!!」 その時だった。一匹の赤ちゃんれいむが、自分の身体の異変に気づいたのは。 「………ゆ?」 なんだかムズムズする。最初はその程度だった。 だが……その感覚は、既に致命的な量の水分を皮が吸ってしまったことを意味している。 ドロォ…! 「ゆ!れいみゅのからだがどげでるう゛う゛う゛う゛!!!どぼぢでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!??」 ドロリと底部が溶け、身体の一部だったものが川の流れに乗って流れていく。 こんなのおかしい!信じられない!という表情の赤ちゃんれいむ。 母れいむの言っている事が嘘であると信じて疑わない赤ちゃんれいむにとって、今起こっている現象は“ありえない”のだ。 「ゆ゛ん゛!?まりじゃのがらだもおがじいよ!!なんだかうごきづらいよ゛!!」 真っ先に水分を吸うのは、ゆっくりの底部である。そこはゆっくりに言わせれば『足』にあたる部位だ。 そこが過剰な水分によってふやけ、溶けていくようなことがあれば……あとは言うまでもないだろう。 「ゆっ!!ゆっぐりおみずがらはなれるよ゛!!ゆゆ!?どぼじでうごげない゛の゛おおお゛お゛お゛お゛!!?? 「ゆがああああ゛あ゛あ゛!!!れいぶもうごげな゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 気づいたときには、5匹全員が移動不可能になるぐらい底部を水に侵されていた。 ゆっくりにとって水が大敵となりうる一番の理由は……底部(足)に自覚症状が出たときには、もう手遅れだからだ。 雨に濡れて、全身が少しずつ溶けるのとは違う。 川や池でこの状態に陥ると、もう自力では脱出できずに死に至るのだ。 「どぼじでえええええええ!!!おにーざんはだいじょうぶっでいっでだのにい゛いい゛い゛いいい゛!!!」 「やだあああああああ!!!じにだぐないよおおおおおお!!!おがーじゃんだじゅげでえ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 さっきまで罵倒していた母れいむに対して、助けを求める赤ちゃんゆっくりたち。 母れいむも、先の罵声にショックを受けたとはいえ、赤ちゃん達への愛情は失っていない。 自分の身を犠牲にしてでも赤ちゃんを助けようと、母れいむは大きく跳びはねた。 「ゆっぐりまっででね!!おがーざんがだずげにいぐがらね゛!!んぎゃあ゛!?」 川底の石を強く踏んでしまい、全身を走る激痛に身を震わす母れいむ。 底部に亀裂が入ってしまったのか、うっすらと餡子が漏れて川の下流へと流れていく。 「んぎゅうううううう!!!でもまけないよ゛!!あがぢゃんだちはれ゛い゛む゛がだずげるよ゛!!!」 身体はその激痛に悲鳴を上げている。涙がとめどなく溢れ、前が見えなくなる。 それでも母れいむは諦めなかった。苦労して産んで、苦労して育てた5人の赤ちゃん達。それを見捨てるわけにはいかない! 「おがーぎゃああん……れいみゅをだづげでねっぇ……!」 「までぃざは……もっど…ゆっぐじじだいのおおおぉぉ…………!!」 「まっででね!!もうずごじだがらね゛!!それまでゆ゛っぐり゛がんばるんだよ゛っ!!」 赤ちゃんゆっくりたちには、未来があるのだ。 これから成長して、すぐに母れいむと同じぐらいの大きさになるだろう。 そうすれば子供たちも自分で狩りをするようになる。 やがては皆巣立っていき、愛し合うパートナーと共にゆっくりとした家族を築くことになる。 母にとって、それはとても寂しいこと。でも、祝福すべきことだ。 だから母れいむは、やがて訪れるであろうその日まで…一生懸命子供たちをゆっくりさせてあげると決めた。 赤ちゃん達が成長して、やがて大人になって、その子供もちゃんとゆっくりできるように、と願って。 だから、母れいむは諦めなかった。 母れいむは、諦めなかった。 ……諦めなかった。 「………ゆゆ?」 母れいむがお兄さんのもとにたどり着いた時、目の前を流れる変なものを発見した。 スゥーっと川下へ流れていくのは、赤いリボン3つと黒い帽子が2つ。 よく見ると、周辺の水が茶色く汚れている。水面には黒い粒が浮かんでいるのを見つけた。 それらを見て、母れいむは目の前の現実をゆっくりと理解した。 「ゆ……ゆっぎゃあああぁぁぁあああ゛あ゛あああ゛あ゛ああ!!!れいぶのあがぢゃん゛がっ!! あぎゃぢゃんがああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああ゛あ゛あ゛ああ゛あ!!!」 気が狂ったように暴れだし、バシャバシャと水を跳ね飛ばす母れいむ。 その間、一部始終を目撃していたお兄さんは気だるそうに川岸から離れていく。 「あーあ、なんだか気持ち悪いもの見ちゃったな…」 「おまえのぜいだああああ!!!おまえがへんなごどいうがらあ゛あ゛ああ゛あ゛あ゛ああ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 背後からお兄さんに飛び掛ろうとする母れいむだが、華麗に回避されて顔面から水に突っ込んでしまう。 母れいむはすぐさま起き上がり、再びお兄さんに向けて口が裂けるぐらいの大声で叫んだ。 「おまえがうぞをおじえるがら!!あがぢゃんだぢはじんだんだぞ!!ゆっぐりごろじでやるう゛う゛ぅぅ!!」 「え?別に僕は嘘なんてついてないよ?『水に触っても大丈夫』っていうのは、僕のことだし」 「……ゆ?」 確かにその通りだった。 お兄さんは、『ゆっくりが水に触れていても大丈夫』などとは一言も言っていなかった。 ただ自分の経験で、自分に関することだけを述べていたに過ぎない。それをゆっくり一家は取り違えたのだ。 「ゆっぐぐぐぐ……いいわげじだってゆるざないぞお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 子供を失ったショックと怒りに支配されている母れいむが、そんな理論的な説明を受け入れるはずがない。 いや、心の底では理解しているのだが、自分以外の誰かに責任を押し付けたいという無意識の願望が、その理解を阻害した。 再びお兄さんに噛み付こうとする母れいむ。あっさりと避けられ、蹴り飛ばされて川底に顔面ダイブする羽目になった。 「母親ならちゃんと教育しておけよなー。何も知らない赤ちゃん達はみんな、水に溶けて死んじゃったぞ?」 「ぢがぅ……れびぶは…ぢゃんどおぢえであげだも゛ん゛!れいぶのせいじゃない゛!!おばえがわるいんだぁ゛!!」 「いやいや、『ずっと水に触ってると死ぬ』って教えなきゃ、ちゃんと教えたことにはならないだろ」 「うるざいい゛い゛いい゛い゛い゛い゛いぃ……だまれえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛っぇえ゛ぇ!!!」 「だいたいさぁ、子供が死んだぐらいで怒らないで欲しいんだよね。死んだらまた作ればいいじゃん。 作るの簡単でしょ?すっきりー♪すればいいんだもんな。そこらへんのゆっくりとすっきりしてさっさと作っちゃえよ」 「ゆ!?ぶぎゅうぅぅ……ごろず…ごろじでやるぅ……ゆるざないぞお゛お゛お゛お゛お゛お゛っ……!」 ぶくぶくと泡を吹く母れいむを放置して、ばしゃばしゃと対岸へと渡っていくお兄さん。 ゆっくりすることも忘れ、自分が泳げないことも忘れ、川の深いところへ進んでお兄さんを追いかける。 家族の絆を踏み躙る心無い言葉に、母れいむの怒りは頂点に達していた。 「ゆっぐりにげるなァ!!ごっぢにごいィ!!あがぢゃんのがだぎい゛い゛い゛い゛ぃぃ!!!」 と同時に、母れいむの身体も限界に達した。 ブチャァ! 今まで無茶して跳ね回ったのが祟ったのか、耐久力の落ちていた皮は水分を吸ってあっさりと破れてしまった。 その傷口は大きく、一気に大量の餡子が川の下流へと流れていく。 「ゆっぐぢ…ごろず……おにーざん……ゆるじゃない!!」 もがけばもがくほど漏出する餡子。動かなくなる身体。遠のく思考。 「も……ゆるざ…ない……あがぢゃんを………ゆっぐりざぜ…………」 程なくして、母れいむの身体は完全に溶けきった。 驚くほどあっさりと。驚くほどきれいに。 そこに漂うのは、大きな赤いリボンのみ。 6匹いたゆっくり一家は、一匹残らず全滅した。 「あー涼しかった。さて、そろそろ晩飯の準備でもするか!」 お兄さんは、満足げな顔をしてその場から立ち去った。 (終) あとがき 赤ちゃんゆっくりが「ゆっくり~♪」とか言って遊んでる場面を書いてる時は、すごいイライラしました。 すぐストーリー変更して赤ちゃんをぶっ潰す話にしようかと思ったけど、鋼の理性で耐えました。 短くまとめようと思っていたら、いつの間にか20KB越え……ゆっくりしすぎちゃったよ!! ちなみにwikiを探したら『一家全員が水の恐ろしさを知らず、水の犠牲となる』作品がありましたね。 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/214.html
家に帰ると手のひらサイズのゆっくりれいむが転がり込んでいた。 「ゆっくりしていってね!!」 さて窓からお帰り願うか。つかんでサッシに持っていく。 「ゆ?!ゆっくりはなしてね!」 「はいはい、外に放してやるから」 「そとはあめだよ!れいむあめはいや!」 なるほどそのものまんじゅうだもんな、死活問題だな。でもなー。 「といわれても、役に立たない奴を置いておくほどうちも裕福じゃねーからなー」 「ゆうふく?ゆうふくってなに?」 「お金があること・・・というか、ゆっくりできることだな」 「おじさんゆっくりできないの?れいむがゆっくりさせてあげるよ!だからいれて!」 やかましいで、ゆっくりなんかできっこないと思うんだけどなぁ。 「だーから、お前みたいなゆっくりが家にいても邪魔なだけだって」 「ゆっ!れいむやくにたつよ!れいむがんばるもん!!なんでもやるよ!」 ・・・殊勝なことをいうゆっくりもいるもんだ。やっぱ必死なのかねぇ。 「へぇ。何でもやるっていったな?何でもやるんだな?文句言わないな?」 「ゆ!がんばるよ!」 「わかったわかった、中には入れてやる。梅雨の間だけな」 「わーい!おじさんゆっくりできるひとだね!!」 ま、こんくらいのサイズならそんなに邪魔でもないだろうし、ちょっとした暇つぶしにはなるだろ。 ・・・めんどくさくなったら、おやつにしちゃえばいいし。 ゆーゆーふ抜けた顔で、うれしそうにゆっくりれいむは上がりこんできた。 しかしまぁ実際接してみて分かるが、こいつ本当に何の役にも立たないなぁ。 そう思いつつ、ゆっくりをデコピンの要領で、机の上ではじく。 勢いよく転がるゆっくりは、立てていたえんぴつにジャストミート。ちょっと痛そうだ。 「ゆーっ!おじさんいたいよ!」 不機嫌なゆっくり。まぁそりゃそうだろうけど。 「だってお前何の役にも立たないんだもん。おはじきぐらいにしかなんねーよ」 「れいむやくにたつもん!」 「じゃぁ何できるか言ってくれよ」 「・・・ゆー・・・ゆー・・・えーっと・・・ゆっくりできるよ!」 「食うか」 「いやぁああああ!ゆっくりやめてね!!」 「冗談だよ、まだ食おうとか思わないよ、まだな」 「おじさんこわい・・・」 「でも新鮮なうちがいいかもなー?」 「ゆーっ?!」 「ヘヘヘ。ま、ふざけたことはすんじゃねーぞ」 結局思いつかなかったので、当面箸置きにすることにした。これくらいしか思いつかん。 ゆっくりは自分のエサと俺のメシを比較してスネたり、 いちいち箸を乗っけられるのに文句を言っていたが・・・ほとんどタダみたいなもんだろ?我慢しろって。 1週間後。 当初は超ミニサイズだったゆっくりも成長し、野球ボールよりちょっと大きい程度になった。 やっぱりなーとは思ったんだが、幼体だったのか。 しょっちゅう食うぞ食うぞと軽めに脅したせいか、 ゆっくりがとんでもない悪戯をすることはなかったが、騒がしさと食費についてはグレードアップだ。 何で気付かなかったかなー、めんどくさー。 と思いつつ、ゆっくりを壁に投げつける。ぽいん。 跳ね返って戻ってくるゆっくり。また投げる。跳ね返る。戻る。 意外と丈夫で弾力性があるのね、ゆっくりって。 時々「ゆ゛っ」とちょっと痛そうな声を漏らしてるけど、まぁいいや。 「ゆっくり、痛い?」 「いたいよ!ゆっくりやめてよね!!」 「ゆっくりやめるかー。じゃああと10回かけてゆっくりやめるかー」 「おじさんのばかー!」 ぽいんぽいんぽいん。 ラスト1回を投げた後、跳ね返ったゆっくりが、新体操の選手のごとく直立で着地を決めた。 「ゆ!」フフン、と得意げな顔のゆっくり。褒めて欲しいのか?・・・ちょっと生意気。 軽く上から押しつけてやる。 「ゆっ!!ゆっくりほめてよね!」 「やーなこった。てか押しつぶすと面白い顔だなお前」 「ゆー!!」 面白ついでに横につぶれたゆっくりをキーボードのリストレスト代わりにした。 なかなか面白い感触だけど、いまいちかなー。 「ゆっくりー、シリコンっぽい感触にならね?」 「わかんない!!ゆっくりうでをどけてね!」 相変わらず役立たずだなー。 数週間後。 ゆっくりはサッカーボールサイズになった。 しつけというか脅しのおかげで暴れまわることはないのでいいのだが、 野生のこんなのが跳ね回ったらさぞかし迷惑なことだろう。 そう思うとこいつは、割とできたゆっくりなのかね? 考えながらゆっくりリフティングに勤しむ。 ボンボン壁に投げつけていたせいで衝撃耐性をもったらしく、 蹴られているのに「ゆ♪ゆ♪」と楽しそうな声を上げてリズム取りに貢献すらしている。 ・・・とはいえ、目や口に足がジャストミートして大いに痛がっていたが、 かまわず蹴られているうちに、体に回転をかけて避けることを覚えたらしい。こういうことだけは器用なんだなー。 とか余計なことを考えていると、ボール・・・もといゆっくりが思わぬ方向に出た。 やばい、ベランダの外まで行っちまう! ゆっくりが呆然とした顔から悲鳴を上げそうになるその前、思うより先に腕がゆっくりに伸びていた。 あっぶね。ナイスキャッチ。 「・・・ふー」 大家の仕事を増やすところだった。 「お、おじさんありがとう!ゆっくりたすけてくれたね!」 ・・・予想外。ゆっくりからこんなセリフは出るとは。てか、ゆっくり助けてたら間にあわなかったっての。 「うっせー。大家のおっさんに迷惑かけるとうっせーんだよ」 「ゆっくりありがとう!!」 はいはい。よくわかんねーや。 器用になったゆっくりは多少弾力がかえられるようになったので、 これまた横に潰して枕やザブトン代わりにした。 ケツに敷かれているのは 「おじさんおもい!ゆっくりおりてね!!」と頻繁に文句を言うくらいなので結構辛いようだが、 枕にする分にはあまり文句をいわない。 「ゅー、ゅー」と寝息が横に聞こえるのが気になって枕としては使いにくいのだが、 ゆっくりはむしろ枕になりたいんだと。ゆっくりの好みはよくわからん。 数年後。 ころころまるまると成長したゆっくりは俺の腰の辺りまでの高さになった。 もうさすがに投げるとか蹴るとかは出来ない。 サンドバッグにしてもいいが・・・大分酷使して鍛えたもんだから、ふてぶてしさだけが増しそうだ。 そんなことでもてあまして構わずにいると、ゆっくりがへんなことを言った。 「おじさん、れいむであそばないの?」 ・・・なんか卑猥なフレーズな気もするが、そういう意味はないだろう。 「だってもうお前でかいし、持て余すって言うかなー」 するとゆっくりは真剣な顔で言った。 「れいむやくにたたない?もういらないの?!」 ・・・んー。まぁ、いらないといえばいらないけど。 「まぁ、いらないといえばいらないけど・・・」 ゆっくりの顔が曇る。 「かといって、外に放してもアレだし、もう食う食わないのサイズでもないし。いいよ、別に居ても」 「ほんと!?れいむいていい?」 「はいはい」 「ほんとにほんと!」 「ほんとほんと うっさいと燃やすぞ」 「うるさくしないよ!ゆっくりしようね!いっしょにゆっくりしようね!!」 「うるさい」 ・・・やれやれ。 結構いいサイズになってきたので、座椅子がわりにしてみた。 文句も言わなくなる従順ぶりだが、放屁すると白眼を向いたすごい顔になった。やっぱこれはキツイか。 しばらくして。 ゆっくりは寿命が迫っているようだった。…まぁ少々無理をさせたフシも無きにしも非ずなんだけど。 死期を悟ったらしいゆっくりは、デカイ図体に似合うように、 慌てるでもなく静か且つおだやかに最後の時を過ごしていた。 さすがにもうイス代わりとかするのも忍びないので部屋の隅っこに鎮座させていると、ゆっくりが声をかけてきた。 「ねえおじさん」 「なんだよ」 「れいむはもうすぐゆっくりするよ」 「今までもゆっくりしてんだろお前は」 「もうすぐずっとゆっくりするよ」 ・・・死ぬってことか。そうか。 「そっか。ゆっくりするか」 「おじさん、いやじゃない?」 「別に」 「・・・れいむはちょっとだけいやよ」 「そうかい。死ぬのは怖いか」 「しぬのもちょっとこわいけど、おじさんといっしょじゃないのがこわいよ」 「・・・そうかね。あんだけ苛めまわしといてこんなこというとは真性のマゾだな」 「まぞってよくわからないけど、けっこうおじさんとくらすのはゆっくりできたよ」 「ふーん」 餡子ペースト脳の考えてることはよく分からんが、悪い気はしねーかな。 「おじさん」 「なんだよ」 「おじさんありがとう」 ・・・ 「・・・どういたしまして」 「おじさんひとつおねがいをきいてね」 「なんだよ」 「れいむがゆっくりしたら、れいむをちょっとたべてね」 「・・・はぁ?」 「れいむはおまんじゅうだから、たべられるんだよ」 「いや知ってるけど、なぁ。なんかなぁ」 「れいむをたべたら、れいむはおじさんのおなかにはいるよ。そしたらまたいっしょになるよ」 「・・・うーん」 なんかゆっくりに乗っ取られそうなイメージも浮かんだけど、まぁそういう話は聞かないし。 「分かった、でも一口だけな。お前みたいなデカいの全部食ってたら、1年はかかるぜ」 「ふふふ。そうだねおじさん。ありがとう」 そっかぁ、もうお別れか。・・・一応言っとくか。 「おいゆっくり」 「なあにおじさん」 「・・・ありがとな」 「・・・うん」 ゆっくりは今までで一番穏やか且つムカついて最高な笑顔を見せた。 ほどなくして、ゆっくりはずっとゆっくりするようになった。 かなり微妙な心持ではあるが、約束どおりゆっくりをひとかけら頂くことにした。 ・・・んー。あいつには悪いが、あんまりおいしくはないな。 ゆっくりの餡子は恐怖や絶望でより甘くなるそうだが、 終始ゆっくりしまくったゆっくりの餡子は、まぁだらしのない甘さ。 経年劣化+しょっちゅういじくられたせいで表面も微妙にぱさぱさ。 まったく、誰がこんな風にしたんだ? いざとなったらおやつにしちゃえばいいとは言ったもんだが、いろんな意味で食えたもんじゃねぇや。 最後まで役にたたないというかなんというか。それもあいつらしいかねぇ。 全部食うわけにもいかないので、無粋だが残りの死骸は加工場に引き渡して、 ゆっくりは部屋からいなくなった。やかましい奴が居なくなって、静かな生活が戻ったわけだ。 ・・・ちょっと部屋が広くなったな。最終的にはちょっとした家具並みの図体だったもんなー。 ミニサイズだから大丈夫とか、どこのアホがいったんだか。 「なぁゆっくり?」 返事がない。 「・・・あ、いないんだっけ。・・・そっか」 そりゃそうだな。アホか俺は。まぁアホだな。 ゆっくりに見られたら、あの腑抜けた面でうるさく笑われそうだ。 ゆっくりなんか、役立たずなくせにうるさいことだけは一級品だもんな。 せいぜいあの世で待ってろゆっくり。 向こうでたっぷりいじめてやるから、今のうちに体鍛えとけよ。 おわり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2824.html
※タイトルと作中一部で使われている元ネタについてはスルーの方向でお願いします ※一行だけですがうんうんやしーしーネタが出てしまいます。ごめんなさい ※少々汚いです ある所にちょっとしたゆっくり一家をペットとして飼っている青年がいた。 親子合わせて五匹程の、平均のゆっくり一家よりはやや少ないがこれといった特徴のない一家だった。 れいむとまりさ種の五匹家族は飼いゆっくりのため、もちろん野生よりは良い生活を送っているのだが、納得いってない事があった。 それは青年がゆっくりの他に飼っているペットの猫だ。青年はゆっくり一家よりも遥かにこの猫を溺愛している。 夏場の涼風や冬場の暖房など、いわゆるゆっくり達の言う〝ゆっくりプレイス〟を青年は優先的に猫に与えている。 粗相をした時などは猫の場合は軽く叱るだけで丁寧に後始末をするというのに、ゆっくり一家がうんうんやしーしーの粗相をすれば死ぬ程殴られる。 それになによりも食事の格が違う。 ゆっくり一家が与えられているのは料理の際に出た野菜クズや残飯。その上自分で採って来いと軒下や庭に放り出される事もある。 それに比べて猫が与えられているのはニキロ三千六百円もするキャットフード。 月にニ、三は高級の猫缶までついてくる。 ゆっくり達に円の相場は分からなかったが、自分達のそれに比べて遥かに高級で美味しいということは理解できた。 同じ家に住んでいながらこの差は何だ。 親れいむと親まりさは憤怒し、子供たちもそれに倣う。 「ぷんぷん! まりさたちにおいしいごはんくれないで、ねこさんばっかりゆっくりさせるなんて!」 「れいむたちもゆっくりしたいよ!」 「「「ぴゅんぴゅん!!」」」 ゆっくり一家の怒りももっともだが、青年が猫の方を圧倒的に可愛がるのも無理もない事ではある。 その猫はもう十数年は生きている老猫であり、青年が子供の頃より一緒に暮らしてきたのである。 人生の半分以上を共に過ごして来た家族と、短命の新参饅頭を比べれば当然猫の方に情が傾くというものである。 ゆっくり一家が生まれる何年も前は元気に走り回っていた猫も、今や日がな一日寝ては食っての生活。 後はもう余生をゆっくりまったりと暮らすのみである。ゆっくりよりもこの猫の方が遥かにゆっくりしている。 青年としても、残り少ない余生を親愛なる家族に幸せに暮らしてもらいたいと思っている。当然の事だ。 だが、そんな事は知らないゆっくり一家の怒りが爆発するのも、時間の問題だった。 ある日の事。ゆっくり一家と老猫は同じ部屋でゆっくりしていた。 南側に面するその部屋には窓から陽気な日差しが降り注いでいる。猫はその陽を浴びながらゆっくりと寝ていた。 ゆっくり一家も日差しを直接浴びてはいないものの、ぽかぽかと暖かい部屋でソファでゆったりとくつろいでいた。 現在この部屋に青年はいない。つまり、止める者は誰もいない。 今こそ絶好のチャンスだと親れいむと親まりさは思い立った。 「ゆゆっ、れいむ、ねこさんゆっくりしてるよ」 「ゆっくりしてるね」 猫に聞こえないように小声で(本人達が思っているだけでちゃんと猫の耳には届いている)話し合う二匹。 子ゆっくり達も親達のたくらみに気付いたのか息を潜めて気配を殺そうと努めている。 ゆっくり一家の不満は募りに募っていた。 同じ家で暮らしている家族でありながら自分だけ美味しい物を食べてゆっくりしている。 野菜クズをほおばる自分たちに見せ付けるかのように美味しそうにご飯を食べる老猫。 本来その怒りは飼い主の青年に向けるべきであろうが、そんな考えはゆっくり一家にはなく、ただ自分達を差し置いてゆっくりしている猫が許せないという思いが先立っていた。 そうしてゆっくり一家は反乱を企てた。いや、ただの八つ当たりか。 「そろ~り、そろ~り」 ゆっくり一家は声をそろえて猫が寝ているところまで息を殺して這い始める。 もちろんバレバレだ。全然気配を殺せていない。 猫まで二十センチというところで、それまでゆっくり一家を無視していた猫が顔を起こしてゆっくり一家へとけだるそうな視線を向けた。 「ゆゆっ! きづかれちゃったよ!」 「いまさらきづいてもおそいよ!」 れいむは焦ったがまりさは怯まなかった。 猫が顔を起こしたのを確認するやいなや、猫に向かって一気に跳ねて体当たりを食らわせた。 ボヨン、とまりさの体が猫にぶつかる。 猫は慌てて跳ね起きた。ダメージこそないものの、バレーボール大の大きさの物がぶつかって来たらそりゃ驚く。 だが猫にとってそんな当たり前の行動も、ゆっくり一家にとっては親まりさの攻撃に恐れおののいたと思えた。 「ゆゆ~っ、まりさすご~い!」 「「「まりしゃおきゃぁしゃん、しゅごぉぉぉぉい!!」 「ゆゆ~、てれるよ~」 頬を若干赤く染めてくねくねと身を捩るまりさ。 一家の賞賛とそれに照れるまりさという茶番を尻目に、猫は少し離れて再び寝に入ろうとしていた。 だがそれを親まりさは許さなかった。 「ゆゆっ! ゆっくりしないでね、ねこさん!」 ボスン、と再び体当たり。猫は再び跳ね起きて後退する。今度は無視せず、親まりさの方へとその鋭い眼を向ける。 「ゆゆ~、に、にらんでもだめだよ! まりさたちよりゆっくりしているねこさんは、ゆっくりしないでね!」 親まりさは年季を感じさせる猫の眼光に一瞬怯むも、すぐに強気に出た。再び体当たりを敢行しようとする。 だが、それにクロスカウンターを決めるかのように猫も飛び掛った。 両前足でまりさの体を挟み込むと、その牙を親まりさに突き立てたのである。 「ゆ゛っ!? ゆびぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!! いぢゃいよ゛ぉぉ!!」 「まりざっ!?」 「おきゃあしゃん!?」 普段のんびり寝ている姿しか知らないゆっくり一家にとってこの猫の反撃は予想外だった。 実はゆっくり一家の知らない所ではあるが、この猫は若い頃近所の猫と毎日喧嘩に明け暮れる毎日を送っていた歴戦のつわものであった。 「ゆびびびびっ! ばりざをだべないでね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」 両前足で動きを封じられ猫に牙をつきたてられた親まりさは、先ほどの威勢もどこへやら涙で顔をグシャグシャにしている。 ちなみに噛んでいるだけで食べている訳ではない。 「ゆ゛っぅぅぅ!!! まりしゃおきゃーしゃんをだべないでね゛っ!」 「ねござん、やべちぇね゛っ!」 「ゆわ゛ぁぁぁぁぁぁぁん!!」 「ゆゆっ! まりさ、いまたすけるよ!」 親のピンチに涙を撒き散らして泣く子を尻目に、親れいむは駆け出した。親まりさを助けるために。 正面から行ってもパワーもスピードも上回る猫からまりさは救い出せない。ならば弱点を突くのみ。 親れいむは親まりさを夢中で前足で弄んだり噛んだりしている猫の後ろ側に回り込むと、その尻尾に全力で噛み付いた。 「ぶにゃっ!?」 さしもの猫もこれには怯んだ。親まりさを解放するとすかさずその場から離脱しようとする。 だが、猫の尻尾に全力で噛み付いている親れいむがそれを許さない。 猫は自分の尻尾に噛み付いている親れいむに猫パンチを繰り出すが、親れいむは必死に踏ん張って離そうとしない。 親れいむはかつて、青年が猫の尻尾を踏む場面を見ており、猫の弱点が尻尾であると知ったのだった。 「ゆゆっ! れいむゆっくりありがとう! いまたすけるよ!」 必死に涙目で猫パンチを耐えている親れいむの加勢をするべく自由の身になった親まりさが体当たりをしかける。 子ゆっくり達はそんな親達の勇姿に声援を送る。 数の力だろうか。今やゆっくり一家は既に勝った気でいたのだった。 「ゆゆっ! ねこさんゆっくりしたかったら、まりさたちをゆっくりさせてね!」 まりさがそう大声で言って猫に噛み付くのと、青年がその部屋に入ってきたのは同時だった。 「ゆび……ごべっ、ごべんなざい……」 「ゆっぐぢざぜでぐだぢゃい゛ぃぃぃぃ……」 「ゆえ゛ぇぇぇぇぇぇん……」 あれからゆっくり一家の生活は激変した。もちろん、悪い方向に。 まず餌が与えられなくなった。一日の朝、親まりさを軒下か庭に放り出して自力で餌を集めさせる。 もちろん、庭の花を抜いたら死んだ方がましと思える折檻だ。 親れいむはというとゴミ箱になった。 大口を開けさせて器具で固定。もはや生ゴミ等の食べ物ですらない、ちり紙や木屑などが強引に口に入れられる有様だ。 「…………ゅぐっ、ぇっぐ……」 まだその生活を始めて三日ではあるが、既にれいむは枯れんばかりに泣いており、自分の行いを死ぬ程後悔した。 子まりさは雑巾になった。主に親れいむが零した涙や猫の粗相を拭く際に使われる。 「いぢゃい゛っ、いぢゃいよ゛っ! ゆっぐじやべでね゛っ! まりしゃはじょうきんじゃにゃ──ゆぶべっ!」 帽子や髪、底部を強引にこすり付けて痛みと共に役立たせるのだ。もちろん、最後は普通の雑巾で拭き取るが。 子れいむは固形の猫の粗相の処理を命じられた。 嫌がる子れいむの口に強引に黒いそれをねじりこませるのだ。 「ゆっぐりやべちぇね! くちゃいよっ! ゆっぐぢでぎな────ゆぶぼっ!」 そして無理矢理咀嚼させて餡子に変換させる。 ちなみに子ゆっくり二匹が働かない時は、透明の箱に監禁させそこにムカデを放り込む。 片時もゆっくりせずに立ち向かえば食べられない程度の大きさのムカデだ。 そして残りの子ゆっくりは見せしめになった。 最初は生きたまま土に埋めようかと思った青年だったが、あまりの青年の怖さに失禁した瞬間、見せしめに使うことにした。 ゆっくり一家の目の前で竹串で体を貫かせ、ゆっくりと火あぶりにして殺した。 次粗相をしたらこうなるとゆっくり一家に知らしめたのだ。 その生活も二ヶ月もすれば段々と改善されて行き、やがて以前と同じぐらいの生活になった。 その頃には既に家族は三匹にまで減っていたが。 もちろん家族にはもう逆らおうと、生活の改善を要求しようなどという気概はない。 だが、家族が減ったため親れいむと親まりさが新しく産んだ子ゆっくり二匹はそうではなかった。 目の前で自分達よりゆっくりしている猫を見ては日に日に不満を募らせていって、 「ねこしゃんゆっくりしたかったられいみゅたちをゆっくりさせてね!」 二度目のゆっくりの反乱、ゆっくりべりおんが起こった。 おわり ────────── あとがきのようなもの 最近ネタが出てこないです と、いうか以前ほどゆっくり虐待衝動が湧き上がってこないんです……冬だからか ゆッカー ゆっくり求聞史紀 ゆっくり腹話術(前) ゆっくり腹話術(後) ゆっくりの飼い方 私の場合 虐待お兄さんVSゆっくりんピース 普通に虐待 普通に虐待2~以下無限ループ~ 二つの計画 ある復讐の結末(前) ある復讐の結末(中) ある復讐の結末(後-1) ある復讐の結末(後-2) ある復讐の結末(後-3) ゆっくりに育てられた子 ゆっくりに心囚われた男 晒し首 チャリンコ コシアンルーレット前編 コシアンルーレット後編 いろいろと小ネタ ごった煮 庇護 庇護─選択の結果─ 不幸なゆっくりまりさ 終わらないはねゆーん 前編 終わらないはねゆーん 中編 終わらないはねゆーん 後編 おデブゆっくりのダイエット計画 ノーマルに虐待 大家族とゆっくりプレイス 都会派ありすの憂鬱 都会派ありす、の飼い主の暴走 都会派ありすの溜息 都会派ありすの消失 まりさの浮気物! byキノコ馬 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/175.html
ぼくはぼくをわかっちゃいない 13KB ぼくはぼくをわかっちゃいない ※一応続きものです。前作みないとわからないところが 微妙にあります。 ※人間が一瞬死にそうになります。 ※結構エグイことします。汚い表現もあり。 ※駄文、稚拙な表現注意。 それでもよろしい人だけお読みください。 やあ、ぼくは虐待鬼井山! うん、しっくりこない。 会社からの帰り道、独りでに思った。 話を少し戻す。 たび重なるゆっくりの襲撃に 会社の同僚である友人に思いきって相談してみた。 「お前、虐待鬼井山じゃねーの?」 対処法を聞きに行くと、今までどうしてたか聞かれたので今までにゆっくりにした仕打ちを話すと 虐待鬼井山である友人にそう言われてしまった。 「いや、だってあいつらが・・・」 「ま、どっちでもいいけど。それより本題だがそれなら捕食種でも飼えばいい。」 そういって渡してくれたメモには簡単な地図が載っていた。 「何これ?」 「ここにゆっくりの専門店がある。そこ行って店員に聞いてこい。」 僕はお礼を言ってメモをポケットにしまった。 回想終わり。 友人には感謝してるがおかしな点が一つ。 言うまでもない。僕が虐待鬼井山というところだ。 僕は一度として快楽のために殺したことはない。 話し合いが通じる相手ならとっくに解決する悩み。 だが、相手がそれを許さないのだ。 だから仕方なしに暴力を振るう。 だけど今日からは違う! 僕が手を汚すのはもう終わったのである。 捕食種か、前回に会ったときは殺してしまったからなぁ。 ゆっくりを飼うなんて考えもしなかった。 そんなことをぽつぽつと考えていたら家へと着いた。 家のドアを開け、呼吸を整え、玄関のバットを握り、素振りする。 そう、明日から。明日からは違う。 僕はバットを部屋にいる汚物へと振り下ろした。 休日の朝早くに友人に紹介してもらった店に行く。 ベルの付いたドアをくぐると店内に音が響き来客を伝える。 気付いた店員が便宜上の挨拶をしてきた。 辺りを見渡すと、これはすごい。 たくさんのゆっくりがひしめいていた。 ケースに一匹ずつゆっくりが入っており値札が貼ってある。 軽く見学した後、店員に声をかける。 「あのーすみません。」 「はい、なんでしょうか?」 「捕食種が欲しいんですが。」 「捕食種ですか?それは駆除が目的でしょうか?」 「そんなところです。」 「それならふらんがおすすめですね。頭も良く 聞きわけも良いため人気なんですよ。」 「そうなんですか?」 「ええ。実物をごらんになったほうがよろしいかと。 どうぞ、こちらです。」 店員に先導されて店の奥へと足を運ぶ。 「こちらがふらんです。」 みればケースの中で胴の付いたゆっくりふらんが体育座りでこちらを 見上げていた。少し無愛想な顔をしているがおとなしそうでなんだか 可愛げもある。 気にいった僕は値札をみて、うえっ!おかしいだろ桁が一つ違うだろ僕の月収より 二倍も高いじゃないか。 「あの、店員さん?この値段なんだけど・・・」 「こちら、ブリーダーに躾をさせてなおかつ血統書つきでして。 希少種ということもありどうしてもこのお値段に。」 うぐぅ、これは困った。あいにくそんな持ち合わせはない。 困って顔を横に背けるとみすぼらしい・・・たしかれみりゃとか いう胴付きが段ボールでできた箱の中に百円の値札と一緒においてあった。 ばたばたと暴れており頭も悪そうだ。 「あいつも捕食種ですよね?」 「え?ああ、はい。ですがおすすめできませんよ?あれは特に素行が悪く 今日中に処分が決まっておりまして。せいぜい餌として使うのが 関の山といった・・・」 「あれでいいです。」 「はあ、しかし・・・」 「お金もそんなにないので。お願いします。」 「わかりました。ではレジまでどうぞ。」 れみりゃの入った段ボールを抱えるとレジまで先導してくれる。 箱が持ち上がるとれみりゃはぎゃーぎゃー騒ぎだし頭の悪さを露呈している。 レジの奥で店員がなにやら準備していたので待っていたら、 レジ横のワゴンに僕が前に買った本が五十円で売っていた。 馬鹿な!本屋で買った時は千円したんだぞ! 当然といえば当然の内容を思い出していると準備の終わった店員が僕に声をかける。 「餌やれみりゃ本体はどうしましょう?よければ別料金ですがご自宅へお送りしますよ。」 「あ、そのまま連れて帰るんでいいです。」 「ご指南書もございますが、初めてでしたら是非おすすめします。」 「そうですね、それもください。」 「はい、ありがとうございます。お値段しめて千九百円になります。」 なんでれみりゃより高いんだよ・・・。別にいいけど。 会計を済ませ、れみりゃを抱えて家路に着く。 僕に飼われることがわかったれみりゃは大はしゃぎで僕に話しかけてきた。 「う~☆おじさんみどころがあるんだど~。れみりゃをえらんだこと ほめてやるんだど~。いいこいいこしてやるんだど~。」 れみりゃは両手の塞がった僕の頭を肉まん臭い手でわしゃわしゃと撫でくり回す。 更に足をばたばたさせて体のあちこちに痛い痛い。 「れみぃはとってもきげんがいいど~。おまえをとくべつにめしつかいにしてやるんだど~。 かんしゃするんだど~。だからぷっでぃんをけんじょうするんだど~。わかったど~?」 頭をばしばし、足でげしげし。 大丈夫。僕だって場くらい弁える常識くらい持ってるさ。 家に着いてれみりゃを降ろす。 帰ったときにはもう昼だった。 れみりゃは部屋の中心に走っていくと辺りを見渡して、 「ここがれみりゃのこうまかんなのかど~?なんかきたないど~・・・。 でもおぜうさまはしゅくじょだからがまんしてやるんだど~。 かりすまれみ☆りゃ☆うーーー!」 急に踊りだすれみりゃ。無視して本をみる。 ゆっくりの飼い方 本にはそう書いてあった。ページをめくると最初に挨拶なんかが書いてあったので 飛ばして目次をみてみる。すると第一項目にゆっくりとの接し方とあった。 第一章 ゆっくりとの接し方 ゆっくりは甘やかすとどこまでも付け上がり、我儘に育ちます。 厳格な態度で接しましょう。 そこまで読んで本を閉じた。 部屋の中央でいまだ踊り続けるれみりゃに近づく。 僕にれみりゃも気付いたらしく見上げて話しかけてくる。 「う~☆おどりつかれておなかへったんだど~。めしつかいははやく ぷっでぃ~んを「殴るか。」」 拳を固め僕を見上げるれみりゃの顔面を思い切り殴り付ける。 「ぎゃおーーー!!」 顔面の真ん中へと拳がめり込み感触から十分な手ごたえを感じた。 たまらず吹っ飛び尻から地面に落ちたれみりゃにもう一度同じことをする。 「あがーーー!!でみりゃの、でみりゃのぷり『ゴスッ!』あ゛ーーー!!」 壁まで跳ねたれみりゃを寸分違わぬところに狙いを定め更に殴る。 僕がまた腕を振り上げたのをみて顔を隠すように両手で頭を覆い隠ししゃがみこむ。 両手で腕を片方ずつ掴み、万歳した形で立ち上がらせると泣きじゃくる顔に 今度は膝を顔面に打ち込む。 「あ゛ーーー!!い゛だい゛ーーー!い゛だい゛ぃぃぃ!」 思い切りやりすぎたかれみりゃの口からぽろぽろと砂糖菓子の歯が落ちた。 「れみりゃのは・・・れみりゃのぉぉぉ・・・」 落ちた歯を治そうとかき集めるれみりゃのわき腹を蹴り上げる。 「あぐっ!お、おお、オエエエェェェ・・・!!」 またも壁まで転がったれみりゃは壁にぶつかり止まると腹を抱えて体を丸める。 実際には吐いていないが苦しそうに嗚咽をもらし続ける。 「いい?ここは紅魔館でもなければ僕はお前の召使でもない。わかった?」 返事はない。相変わらずゆっくりは僕の話を聞いちゃくれないな。 うずくまるれみりゃを放っておき本の続きを読むべく床から取り上げた。 本を参考にするにれみりゃには次の特徴があることが分かった。 自分をお嬢様だと言い張る。 自分の住む場所を紅魔館と言い張る。 好物はプリン。苦手なのは大体ゆっくりと同義。 困るとさくやに依存する。 踊りが好き。非難されると怒る。 多少の怪我はすぐ再生する。 ゆっくり全般に言えることだが捕食者ゆえのプライドか、ことさら人間を下に見る。 と、まあとりあえずこんな感じだった。 当面の目標はなるべく自分の立場を分からせること。 最終目標は僕に変わり部屋に侵入するゆっくりの抹殺だ。 置き去りにしたれみりゃを見に来ると、痛みが引いたのか 部屋の隅で座っていた。涙の跡が頬に残っていたが。 早速声をかけるべくれみりゃへ近づく。足音に気付いてばっと顔を 上げると手近にあったものを掴み僕に投げてよこした。 「く、くるなぁぁぁ!!おまえなんかもういらない!!ぽいっする!! こんないえもくそじじいもぽいっだ!!きえろぉぉぉ!!」 時計が僕のこめかみに当たり切れた傷口からつーーーっと血が垂れる。 まだわかんないのか。 大股でれみりゃに近づく。もともと狭い家だ。すぐに近づける。 その間、なおも投げ続けてきたが、最初の一発以外当たることはなかった。 隅で震えるれみりゃを帽子ごと髪を掴んで立ち上がらせる。 僕を見上げる顔はもはや恐怖に染まっている。 引きずりだすように前へ放り投げるとれみりゃは顔から地面にうつ伏せに倒れこんだ。 すかさず跨りしきりに動く羽を掴んで力を入れる。 「いだっ!はねさんつかまないで!いだい!いだいのぉぉぉ!」 羽の上部を掴みゆっくりと確実に羽をもぎ取っていく。 ぶちぶちと音を立てて羽がれみりゃから離れていくたびに聞くに絶えない悲鳴が 発せられる。 「ばぁぁぁ!!ばねざんどらないでぇ!!ゆっぐりでぎなぐなっちゃう!!」 残った最後の部分を力を込めて取り去ってやった。 「あ・・・あ・・・」 相当の激痛だったのか涙でぐしゃぐしゃの目でどことも知れない虚空をじっと見つめていた。 顔の前で手を振っても反応を示さないため、一応足だけ紐でくくり先程の部屋の隅に 転がしておいた。腹も減ったし飯にしようか。 腹も膨れたところでレッスンの続きだ。 部屋に入ると先程の映像の焼き直し。 つまり、足を縛られている以外は同じ状況だった。 だが、違ったのはれみりゃの反応の仕方。 さすがに二回もひどい目にあわされ学習したのか顔を伏せるばかりで 反抗する気力はないようだった。 近づいても叫ぶこともせず体をぴくっと反応させるだけに留めていた。 用件を伝えるべく、しゃがんで目線をあわせて話しかけた。 「さて、お前にやって欲しいことは実に簡単。この家に入りこんだゆっくりを 殺して欲しいだけ。それさえしてくれればさっきのようなこともしないし、 ご飯だってちゃんと分けてあげる。わかった?」 「ぁ・・・ぅ・・・」 「どうした?わかんないの?」 答えないれみりゃの頬を平手ではたく。するとたちまち目から涙が決壊し ぼたぼたと砂糖水で自分の服を湿らせながらさっきに負けず劣らずの声で叫びだした。 「う゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!ざぐや゛ぁぁぁ!だずげで!じにだぐない! おぜうさまがぴんちなんだぞぉぉぉ!はやくだずげにごい!!ばかぁぁぁ!!」 自分の悲惨な現実を直視できず、助けにくるはずもないものへと助けを求める。 その滑稽さに自分で引き起こしたことにも関わらず苦笑してしまう。 こうしていても仕方ない。れみりゃの首を掴んで壁に叩きつける。 黙らせるために開いた口へと手を突っ込み少しかき回す。突然入りこんだ異物に驚き 押し黙るが、すぐに吐き気がこみ上げて僕の手を内包したまま吐きだしてしまった。 「オエエエェェェ!!ェェェ・・・あ、あが?」 手を取り出すと目は飛び出さんばかりに開かれてかひゅーかひゅーと焦点の定まらない瞳を彷徨わせながら 肩で息をする。肉と肉汁でべとべとになった手を一瞥し、れみりゃに現実を教えてやる。 「なにを期待しても無駄だよ。さくやは助けに来ないし、僕は優しくなんてしないし、 そもそもお前はお嬢様じゃないよ。みてごらん。肉を吐くお嬢様なんていないだろ? さっきの踊りにしてもそう。品性の欠片もない。まるで お前は・・・そう、ただの豚だ。僕の部屋にくるあの害獣どもを食らって生きる 醜い豚になるんだよ。わかった?」 やがてれみりゃは息を止め、そのまま静かに倒れ伏した。 翌日、目を覚ますと昨日放置していたれみりゃは完全復活を遂げていた。 死なれても困るのでオレンジジュースをかけておいたのだ。 千切れた羽も再生し、今はすやすやと寝込んでいる。 寝ていたままでは意味がないので頭を軽く振って覚醒を促す。 やがてゆっくりと目を覚まし僕を視界に入れ、 恐怖をその顔に最大限映し出した。 「あ・・・う・・・」 がたがたと歯が上と下で音を鳴らし合い、小刻みに震えている。 僕は目を逸らさずにじっと見つめると、 「いいか?僕はこれから仕事へといくからこの家を空ける。 その間、入り込むゆっくりは全て殺せ。なんだったら食べてもいいぞ。 あ~、あとそれから部屋のものには手をかけるな。絶対にだ。 わかった?」 震えるばかりで返事を返さないれみりゃ。念のためもう一度同じことを 繰り返し、時計を見ると時間もぎりぎりだったので震えながら立っているだけの れみりゃを残して家を出た。 会社で友人と話す。 「どうだ?捕食種は買えたか?まさか奮発してふらんなんて買っちゃったか?」 「いやいや、高くてとても買えなかったよ。代わりにれみりゃを買った。」 「ふ~ん。でも調教してあるからそれなりに高かったろ?」 「ううん、廃棄寸前のれみりゃを百円で買った。」 「は?!そんなもんなんの役にも立たないだろ!」 「一応自分で調教したんだけど。」 「あ~。でもな、れみりゃはプロでも手を焼くんだぞ。大丈夫か?」 「多分ね。駄目なら捨てるだけだし。」 「ま、それもそうだな。せいぜい頑張れよ。」 部署の違う彼と別れたのと同時に昼休みが終わったので仕事へと戻った。 軽い足取りで家へと帰る。 れみりゃはちゃんと仕事したかな?今日は来なかったかも。 もし、仕事をサボっていたならまた躾ければいいだけだしね。 家へと辿り着き鍵を開ける。 目に飛び込んできた光景に心底驚いた。 玄関から見える限りでもひどい有様で家具は倒されカーテンはズタズタで テレビは画面に傷が入ってて隣の部屋はと思って襖を開けて入ろう・・・ あれ?足になにか絡まっ 紐? 目の前に 包丁・・・! ドタンッ! 身をよじり肩から床に転んでしこたま打ち付ける。 幸いどこにも怪我はなかったがよくみると尖ったものが 僕の落下地点であった場所にいくつかギラついていた。 襖の横で紐を引っ張っていたれみりゃが拳を固めて僕に近づく。 倒れている僕の頭を何度も何度も殴りつけてくる。 「おまえは!!しね!!れみぃにひどいこと!!するおまえなんて!! しねしねしねしねしねぇぇぇぇぇ!!」 ポカポカと場にそぐわない音が響き続ける中、僕は考える。 れみりゃが?・・・ゆっくり風情が僕を殺そうと? なんだ。そういうことか。 殺す やあ、僕は虐待鬼井山! うん、しっくりくる。 あとがき 反省はしています。後悔もしています。 でも書きたかった。最後がれみりゃらしくなくなってしまったけど。 このシリーズ終わりにしますんで許してつかーさい。 最後に、駄文に付き合ってくださりありがとうございました。 前作 ふたば系ゆっくりいじめ 140 おまえはなにもわかっちゃいない ふたば系ゆっくりいじめ 143 おまえはなにもわかっちゃくれない トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 調教済みですら使えるかどうか五分五分なのに、処分品を買うからwww ↓×4 愛で派ってゆっくりを犬猫と同じと考えてるからだろ? ゆっくりは動物より頭悪い上に、すぐ忘れるから調教が難しい。 更に、弱い癖にプライドは人間以上。ということを本当の意味で理解してないから。 愛で派は本当に同情するよwww -- 2018-03-13 22 58 33 しっくりくるw こっち側にいらっしゃい -- 2016-10-24 11 31 42 生かさず殺さず残虐に! -- 2014-02-12 09 34 23 れみりゃが言うめしつかいってれいむやまりさが言うどれいより大分マシだよな -- 2013-07-25 01 15 40 れみりゃだけでなく、ゆっくり全般に言える事だが、ゆっくりが好きな奴等は 何で此処にいんの? 特に胴付き擁護が大嫌い -- 2012-05-15 07 52 10 とりま1/22のコメも頭が湧いちゃってるみたいだね・・・ -- 2012-01-06 21 28 03 胴付きでゲスとは…いや、それでこそ調教しがいがあるというものだろう? まぁ本気で虐待しようとは思わんけどな。せいぜい飴と鞭。 -- 2011-10-26 19 47 25 れみりゃに対する扱いの変化がよくわかるコメント欄ですね。 ヒャッハー!!クズな豚まんは虐待だぁぁぁぁ!! -- 2011-10-21 17 55 59 目覚めたお兄さんがどう虐待するのか見たかった・・・ -- 2011-03-23 22 06 45 さすが「空飛ぶ不愉快」…イラつくわぁ れみりゃにかりしゅま☆だんすなんか踊られた日にゃ不愉快で不愉快でウオ汚汚汚汚ォォ!!!!ってなるよ。 このれみりゃは最初からゲスだったし、一片の同情の余地も無いな。 7/15のコメンターは頭が湧いてるようだな。なんで命令口調なの?なに人間の義務とか言っちゃってんの?世界は自分とれみりゃのためだけにあるの? -- 2011-01-22 16 25 05 殺すしかないでしょ、うん -- 2010-12-22 03 23 16 れみりゃKOEEEEEE!絶対誰かの仕込だろこれぇぇぇ でもショップに文句言えば安くふらんが買えるかもですねw -- 2010-11-10 13 22 01 我慢してでもふらんにしておけばよかったのに… -- 2010-09-28 20 15 38 意外にれみりゃ人気高いんだなw -- 2010-09-27 01 27 07 れみりゃに罠仕掛けるなんて芸等が出来るわけがない 誰だよそんなの教えた奴ww -- 2010-08-23 23 56 16 れみりゃにカリスマ☆ダンスなんか踊られた日にゃ 可愛くて可愛くてウオォォ雄雄雄雄ォォォ!!!!ってなるよ まりさがウネウネダンスしたら前歯8本蹴り砕くけどね -- 2010-08-10 22 33 55 れみりゃは愛でるものだよ おぜうさま可愛い -- 2010-08-08 15 10 11 ここまで人間に対して凶悪なれみりゃはこのSSが初めてだと思う れみりゃってわがままだけど素直なところがあって憎めないキャラなんだけどね あとこれからお楽しみというところで終了かよ! -- 2010-08-07 23 24 47 愛でるもんとそうでないもんがわかんねえんだよこいつら。 -- 2010-08-06 19 33 23 よくお前らこの話見て「愛でろ」だの言えるなw マジで殺意湧いたぞ俺 -- 2010-07-23 01 14 20