約 2,808,688 件
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1166.html
「さなえっ! 今日はね、とっておきのプレゼントがあるんだよ!」 「…ほえ?」 テーブルの上に座り、お皿の上のクッキーを小さな口で咥えてはむはむと顎を動かしているさなえに、嬉々に声色を高くして声を掛ける。 呼び掛けに応えたさなえはこちらを振り向く際に口の動きを止めさせてしまい、半分だけ残った食べかけのクッキーをお皿の上にポロリと落としてしまう。 うーん、可愛い。 さなえを目前まで引き寄せて、自分の頬を満遍なく活用しさなえの頬面を思う存分に摩擦する。 一通り擦り終わり気持ちが落ち着いた所で、頬擦りに夢中で少し忘れかけていた本題に入る事にした。 「ゆ、はあっ、おねーさん、…あう、卑怯ですよお…」 「さなえが愛くるしいがいけないのよ」 顔を紅潮させ、それを隠すためか俯くさなえの額に軽く唇を当ててキスをする。 さなえはさらに動揺して面持ちをして、ついにはコロリと倒れてしまいテーブルの上から落っこちてしまった。 「ゆ、あう…」 「あっはっは! 今日持ってきたのはね、これなんだ」 私はさなえから見えない様に背中で隠していた『缶ジュース』なるものをさなえに見せ付ける。 手のひらに伝わる、握っているとひんやりと気持ちいい冷えた感触。 足元でまだ混乱して揺れているさなえのほっぺたに缶を当ててやり、脅かしてやる。 ぷにんぷにんで、弾力を持ち柔っこいそれに当てられた缶は吸い込まれるように軽くめり込んだ。 「ひゃうっ!?」 さなえはひっと身を起こし、私の足元からわき目もふらず後ずさりをする。 ただでさえパニック状態なのに、冷たい感触の刺激を受けて驚いたのだろう。 さなえはとうとう目の端に涙を浮かべて、声を押し殺し私の足に体を寄らせてすがりつく容体となってしまった。 …やりすぎたか。 ごめんねと一言ささやきながら床下に居るさなえを優しく抱きかかえ、さなえの体を小刻みに揺らして落ち着かせる。 不安そうなあんばいは拭えないものの、さなえは大分冷静さを取り戻したか、いつしか私に甘える態度を取ってきたのだった。 「ゆう…」 唇をツンと前に出して、瞼を閉じ何かを待っている素振りのさなえ。 その様子は上目遣いと言ったもので、…私にはさなえが何を求めているか、よーく理解出来てわかりきっていた。 しかし、先ほどイタズラをされたにも関わらず無防備なさなえにまた私の遊び心がくつくつとくすぐられて、…先ほどに懲りず、さなえをからかってやることにした。 もちろんイタズラをする私も悪いが、まるで誘うかの様なさなえのいじらしさが一番いけないのだ。 右手に抱えたまだまだキンキンに冷えている缶ジュースを、さくらんぼの様な果実の、悪魔的に誘惑しているさなえの小さな唇へと近づけてゆく。 「ん…、…やあっ!?」 予想していた生暖かい感触とは打って変わった冷たい刺激に、さなえは驚いたか頓狂な声をあげて動揺する。 缶の腹部を確認してみると唇の形に水滴が無くなっている他に、唇の形の真ん中部分が嫌にきれいにアルミ姿を覗かせていた。 さなえは体を引きつけさせて悶絶している様子である。 どうしたのだろうとさなえの姿を窺うと、口を半開きにして涙を堪えている。 …唇の先端だけではなく、舌の先っぽまで湿っている有り様だった。 「…なるほど。舌まで絡めてこようとして、さなえはえっちな子ね」 「うう、う…」 鼻回りを一層赤くして、恥ずかしさやら情けなさにつままれて震えているさなえ。 さなえの気持ちを察するに、恐らく今にでも私の胸に飛び込んで埋まりたい一心なのだろうが、イタズラをした当人が私であるためその場に立ち尽くすことしかできないのであろう。 …さなえの顔を見るとどうしても遊び心がくすぐられてしまい、ついつい意地悪をしてしまう。 いい加減にしないと、本当に取り返しのつかないことになってしまうため、私はここまでで自重することにした。 「ごめん、ごめん。もう調子に乗ったりしないから」 「…ほんと、ですか」 「ええ。愛しのさなえですもの、そう幾度もいじめたりなんてする筈がないわ」 私がさなえに陳述すると、さなえはまるでその物言いがからかいだと言わんばかりにいじけた様子で目線を投げかけてくる。 そしてとうとうさなえは抱き締められた状態ではあるものの私の胸に寄りかかった態勢から体を起こし、ツンとそっぽを向いて完全に態度を拗ねさせてしまった。 からかいと言うのは勿論さなえの言う通りで、私はただサラサラに手触りの良いさなえの髪の毛を撫でて機嫌が直るのを待つだけだった。 しばらく時間が経った頃、ようやくさなえが静かに私に体を預けてきた。 まだまだしかめ面でふて腐れた体裁ではあるが、大分良くなった方である。 「ふふ。…これはね、飲み物なんだ」 「…飲み物?」 さなえは缶ジュースに興味を持ってくれたみたいだ。 少々面白半分に羽目を外しすぎたため、取り合ってくれないのではないかという不安があったのだが、その様な様子も無くほっと一安心して胸を撫で下ろす。 興味津々にそれは何かと尋ねてくるさなえにはにかんで、缶ジュースのプルタブを開けてコクリと喉を鳴らし、一口だけジュースの中身を試し飲みをする。 ラベルで中身を判断できなかったのだが、どうやらこのジュースは炭酸ものの様である。 この世界では中々お目にかかれない、上等なものだ。 感動を共有したく、さなえを一気に抱え上げて缶のプルタブ口からジュースを飲ませようとするも、何故だかさなえは嫌々とだだをこねて一向に飲む気配を見せない。 嫌がっているというか、その様子は戸惑いのものであるように感じた。 「どうしたの、さなえ? やっぱり私の口付けた缶ジュースなんて、嫌なのかな」 「う、うう…。おねーさんったらわかってる癖に、いじわるしないでくださいよっ」 涙目になりながら、気恥ずかしそうな面持ちでふるふると体を動かし落ち着かないさなえ。 どうしてと、なるべく柔らかい声色を意識してさなえに尋ねる。 さなえは言い淀み、返事をひねり出すように私に目を向けてきた。 「だ、…だって!」 「だって?」 「おねーさんと、か、間接キスじゃないですかっ!」 私の中の大切だったものであろう、一線が胸のスキマへはじけ飛んだ様に思える。 しかし、そんなものは些細な事であった。 「あ、ひゃあ! くすぐったいですよ、いきなりさなえの体をまさぐるなんて…、…おねーさん?」 「さなえが悪い。いただきます」 ☆ ゆっくりのさなえを肩に乗せて、やけに広い館の廊下を見回る。 主に掃除箇所のチェックの為であるが、開いている窓を閉めたりなどのちょっとしたケアレスミスの尻拭いもある。 そしてその内に歩いている途中、ちょっとしたお客さんが足を運ばせていたのだった。 「にゃーん」 「…あら、猫ね。茶と黒のとら猫、どこから入って来たのかしら。足に泥をつけて歩き回って、困ったさんね」 廊下に猫が立っていた。 脅えて逃げ出す様子もなく、ただ腰をすわえてどっしりと居座るばかり。 あどけない表情をして舌にて体の毛繕いをしていて、緊張といった態度は見受けられず、とてもリラックスしているにゃんこであった。 口の端が綻んでしまう、ちんまい訪問者に近付いて顎回りを優しく撫でながらこいつを抱えて床に座る。 外から来たのだろうか、この可愛らしいにゃんこのお腹部分や手足の先所々に泥がこびり付いていた。 ポケットに入っている雑巾で、手足に付いた泥を取ってあげる。 カーペットについてしまった泥もある程度取り除き、指先で猫の喉を撫でてやる。 ゴロゴロと、猫は気持よさそうに喉を鳴らし、目を細めて私の膝に顔を預けたのだった。 「にゃふんっ」 …ものの数秒だろうか。 愛すべきおちびちゃんはすぐに私の膝越しに立ち上がり、ぴょんと勢いを十分に窓を跳ねてどこかへ去ってしまった。 この場所の階層は一階で、気まぐれの拍子に紛れ込んだのだろう。 手のひらにはまだあの子を触っていて感じた体温が、ふんわりとおぼろげに残っていた。 「…ふん。猫は、嫌いです」 さなえは、面白くなさそうな面持ちで鼻を鳴らす。 ずっと肩に乗り終始を眺めていて、嫉妬してしまったのだろうか。 …さなえには悪いが、とある対象に対して嫉妬されるというのは、ちょっぴり嬉しいかも。 「あら、なんで?」 「おねーさんを一人占めするからです。おねーさんにとっての猫は、私一人で十分ですっ」 このままさなえに何も気をかけないと言うのはあまりに気の毒で薄情であるため、会話を繋げる程度に相槌を打つ。 しかし、私の浅はかな発想など見抜けられているのか、さなえはつんとそっぽを向くのみ。 …その内に、何やらガサゴソと動くさなえ。 どこから用意して取り出したのか、いつの間にかさなえは猫耳のバンドを自分の頭に付けていた。 極め付けにさなえはもじもじと照れて体をたじろがせながら、私に振り向きこう鳴いた。 「に…、にゃーん///」 恥じらいながら、私に目を向けて微笑みかけるさなえ。 体だけでなく、ぷるぷると小刻みに柔らかく震える、上等のマシュマロの様な頬。 恥じらいをひしひしと感じているのか顔色を真っ赤に染め上げ、こしょばゆそうに表情をゆがめさせている。 瞳の端にはひとしずくの涙が溜まり、今にも零れ落ちてしまいそうだった。 気が付いたら手が既にさなえに伸びていて廊下に倒れ込んでいたが、仕方の無いこと。些細な事だろう。 「あ、おねーさん、…もっと、にゃ///」 もう駄目だ。いただきます。 ☆ 「うーん、ああん、嫌ぁ…」 「どうしたの、さなえ?」 業務もある程度終わり一度自分の用意された部屋に戻ってみると、さなえが何やら顔をしかめてむず痒そうに体をもじもじと、鬱陶しそうに動かしていた。 『んあぅ』『ああんっ』と、不機嫌そうな声を出して、一見やましい不祥事を起こして自責の念に駆られているかの様に網膜に映じるけれど…。 何をしているのだろうと、私はさなえに声を掛けた。 「あう、おねーさんっ。さなえの、耳がむずむずして気持ち悪いんです…」 「…軽い、微熱かな。頭痛とかはする?」 「ううん。耳が、痒い…」 …思案を巡らせるに恐らく、さなえは自分で耳掃除を行おうと躍起になって悪戦苦闘していたわけだ。 しかし、さなえには胴というか顔だけで、手と腕が無い。 どんなに体を動かし駆使しようと、何か長い棒の様な物を使わないと耳の掃除は行えない。 されども、自分一人で長い棒の様な物を使うのは危ないと判断したのだろう、…実際に私でもさなえが一人で耳掃除を行おうとしたら飛んで止めに行くだろう。 だからずっと、ベットの上で転がったり体をこすりつけたりしていた訳だ。 さなえにとっては死活問題だろう。 しかし、さなえには失礼だが、…私にとっては平然と届く欲求に悩むさなえを微笑ましく思い、思わずくすりと笑ってしまった。 「お、おねーさん! ひどいじゃないですか、さなえにとっては重大な問題なのですよ!?」 さなえが顔を真っ赤にし、まくしたてるように私に訴えかける。 瞳の端に涙を溜めているその様子も愛くるしく、いとおしい。 「ふふ。ごめんね、わかってますよ。どれ、ちょっと待ってなさい」 私はドレッサーにある小物入れから竹製の耳かきを取り出して、さなえの隣のベットの上に座り込む。 さなえが、私の体に寄り添ってくる。 耳かきをもっていない手でさなえの頬をハグする様に優しく撫で、自分の顔をさなえの頬まで持ってきて頬と頬をピタリと当てあう。 「じゃあ、体を楽にしてね」 「ひうっ!」 さなえの体を抱え上げ、片耳を私の目の真下に置くように膝枕をしてあげる。 ずっしりと、瞬く間に手のひら全体にに重みが伝わってゆき、それでいて張りのある感触がある種の香辛料として感じ取られ、質の良い手触り感をとやかくに堪能する。 少しずつさなえを手のひらから膝に下ろしてゆき、私の膝に乗せる。 膝一面に張り巡らされている神経は、しっかりとさなえの重さを感じ取っていた。 「うう、うあ、…」 さなえの態度を察するに、恐怖に打ち勝つために目を強く瞑り耐えて、怯えているあんばいで体を縮こませていた。 私の右隣に垢を置くためのティッシュを二つ折りにし用意し、さなえの耳周辺に乗っかっているサラサラした触りの緑髪を掻きあげてさなえの耳をむき出しにする。 耳掻きの温度はドレッサーの引き出しで長らく放置されていたため、片手に握りっぱなしだった今もなかなかに冷たい感触を保っている。 試しに匙を耳たぶ付近に当てると、ひやりとした感触が通ったかさなえは『やあ』と弱弱しい拒否の声を示した。 耳かきの匙でさなえの耳の穴の入り口周りをそっと触れるように掻き回し、1,2回回した所で一度匙に乗った垢をティッシュに乗っける。 そのまま耳の穴をなぞるように匙を奥へとスライドさせる。 冷たい、こしょばゆい感触がするのだろう。さなえは『ひゃうっ』と一度すっとんきょうな声をだすものの、再びじっと目を瞑り耐えるように身を固めさせた。 「…ちょっと、失礼じゃない? 私だって、耳かきくらいは出来るわよ。それに、上手よ?」 「うう、そうだとしても、怖いですよ…」 おじけつくさなえの頬と髪を空いた手で撫でてやり、さなえの耳かきを再開する。 ゆっくりにも産毛に当たる毛があるみたいで、細かくふさふさとした産毛をなぞるように匙の先っぽでカリ、カリと優しく丁寧を心がけて耳の垢を剥がしてゆく。 等間隔に続く、細かい振動。 「ひゃうっ!?」 「大丈夫よ。一つ、大きいのが取れただけよ」 その内奥に見えていた耳垢がペリリと、そこそこ大きい塊で剥がれて匙の上に乗っかり、さなえはこわばらせ引きつらせた表情を『ほっ』と柔らかいものに変化させる。 一度耳かきをさなえの耳穴から取り出し、トン、トンとティッシュの上に匙を叩いて垢を乗せる。 さなえには手足が付いていないからもっと耳垢が酷いものだと思っていたが、もともとゆっくりは汗をかかない生き物だ。 ただ日常生活にて出る老廃物については無力で、その様なものが蓄積してしまっても自身ではどうする事も出来ないのだ。 それゆえに、ゆっくりと共に生活を送っているものは、時折耳掻きなど垢を取る行為を行ってあげなけれなならない。 「あう、ひゃ、…ううん、あうぅ!」 …見られていて少し興奮をしているのか、鼻回りを主に赤みを帯びて懇願の眼差しを仕向けてくる。 上から見下ろして覗いてみるからにさなえの耳垢はこのくらいしか無いようだ。 さなえの耳穴は元々からきれいさっぱりといったもので、普段耳掃除を行っているのではないかと思ってしまうほど清潔なものになっている。 きっと、気に入らずいらいらしていた原因はあの大きな耳垢だろう。 もう一度一通りゆっくりと掻き回してみるものの、特に垢は取れなかったので私はこれ以上は耳を傷めるだけと判断し、反対の耳へ移ることにした。 さなえに反対側と告げて、今度は私の膝に向けていた耳を私の目線から見下ろせる位置へ持ってきてさなえに膝枕をする。 再び、さなえの耳周りを軽く撫でて匙を少しずつ奥の方へと進ませる。 さなえは先ほどまでの用心していた様子と打って変わって『あひぃ…』と喘ぎ声を漏らし、恍惚のくだけた表情を浮かべて気持ちよさそうに私に身を委ねるばかりだ。 「…」 ちょっと強めに、耳かきの匙を奥に当てつける様に指の力をいれる。 思ったとおり、さなえは安心しきった表情から『あひっ!?』と驚いてうろたえたものにする。 その後体を強ばらせるも、すぐにリラックスさせた肩の力が抜けた身に戻る。 『ひうん』『んやあ』と、心持ち、その、…。 …えっちな響きを持つ感嘆も、次第に口から漏れる回数が多くなってゆく。 意識したため、変な気分になってしまった。 「さなえ」 私は、さなえに呼びかける。 この時はまだ理性を保てていたのだと思う、…しかし。 自分としては気持ちの紛らわせにスキンシップを取るため何気なく話しかけたのだが、脳裏にて、さなえにイタズラをしてやろうと意地悪な発想がよぎり飛び交じって、…やがてその思考が私を支配し始めたのだ。 「なん、あふぅ、なんですか?」 さなえは耳かきの快楽に酔いしれながら、私に返事を返す。 きょとんとした面構えは、私を信頼してくれている証拠。 とても嬉しく思う反面、これからやるであろう事を考えると申し訳無いと全身が締め付けられる思いなのだが、…やがて考える事をやめた。 今の私には、抑え切れなかった衝動をぶつけるのみなのだ。 「気持ち、いいでしょ」 「はい、カリカリと柔らかい耳かきの感触と、垢が取れた時のピリッと電流が走る様な刺激がなんとも…。ああん!」 体をもじらせて自身がどんなに至福を味わっているのか丁寧に説明をしてくれるさなえ。 空いている片手にてすべすべときめ細かい肌触りであるさなえの頬を撫でながら、一つの物事を尋ねる。 その質問は私の欲求をそのまま表し、実行するのに手っ取り早いもの。 所詮悪魔のささやきというものなのだが、…さなえには悪いが、私の心身はすでに悪魔に委ねてしまっているのだ 「もっと、気持ちいいことしたい?」 「はいぃ…。さなえ、もっと気持ちいいことしたいです…」 「そう。いただきます」 さなえは目を細め幸せを噛み締めていた様子から、ハッと一気に目を見開くも時すでに遅し。 耳かきをゆっくりと引き抜き、私は一目散にさなえを抱き締めながらベットの上で覆い被さった。 ☆ 「んーしょ、よいしょ、ゆっくり!」 何やら、さなえは物置で整理をしているようだ。 『どうしても館の物置に行きたい!』とせがまれたから仕方なく連れて行ったのだが、さなえは何をしているのだろう…? 「ゆっ、ありましたおねーさん! 『ケンダマ』です!」 さなえは顔をほこりまみれにさせながら、嬉々と体を跳ねさせてけん玉の取っ手を口に咥える。 けん玉が予想以上に重いのか、咥えてもすぐに顎から取っ手が落ちてしまい、ゴトリと鈍い音を立てて床に落としてしまう。 されども、懸命にひたむきといった態度ですぐに咥えなおすさなえ。 さなえの焦々とした様子に、胸の奥がキュンと締め付けられるような感触がして、…何だか込み上げてきてしまった。 『昔の遊びに触発されました!』とか言っていたけれど、倉庫に行きたいというのはけん玉を探すためだったのか。 言ってくれれば、すぐに見つけてあげたのに。 …まあ、その様にあまり知恵が回らないところもまた、ほとばしるほどに可愛いのだけれど。 「ゆうっ! これをこうして、…え~い!」 さっそく玉を上手いこと横の皿に乗せようとするさなえだが、そもそも玉が上に行かず振り子として帰ってきた玉がさなえの頬にこつんと当たる。 さなえはむううと声を鳴らし照れながらもう一度玉を上にあげる。 今度は勢いを付けすぎたか、皿に乗るどころか一回転してしまい頭部に大きめである玉が勢い良くと当たってしまったのだった。 さなえは咥えていたけん玉の取っ手をポロリと落とし、しばしの間じっと震えて、やがて『ふえええええ』泣き叫びと鼻の上を真っ赤にさせてしまった。 「はーいはいはい痛くないですよー。さなえは強い子だから。ねっ?」 「お゛ねーさん、さなえ、さ゛な゛え゛!゛!゛」 ぷるぷると体を震わせながら瞳から涙をためらい無く流すさなえ。 耐えられなくなったのか、とうとう私の胸にうずまってしまったのだった。 …その様子に、もう一人の私が抑え切れなくなり、感情の赴くままにさなえを抱擁する。 そのままほこりまみれの壁にさなえを押し付けるだけだった。 「ゆ゛う! …ゆっ、そ、倉庫内で!?」 「我慢できません。いただきます」 ☆ 「おねーさん、なんだか熱っぽいよぉ…」 「そう。いただきます」 私はさなえの頬を甘噛みしながら所構わずさなえと共に倒れこんだ。 ネチョってもいいのよ しかし耳かきは何故あれほどエロいのだろう・・・ -- 名無しさん (2009-05-11 21 07 41) お姉さん、自重しろwどう見ても手遅れで重症ですが、本人達が良いのならそれで良いのでしょう -- 名無しさん (2009-05-15 15 08 38) これはエロい いいぞもっとやれ -- 名無しさん (2009-06-16 21 21 05) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/suzumechan/pages/101.html
55 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [sage] :2009/07/16(木) 10 20 22 ID kOi1/DwM0 なんで1月2日に食べた肉まんの写真なんか出してるの? 中華街に行ったのがそんなに嬉しかったのかな。おのぼりさん乙w 56 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [sage] :2009/07/16(木) 10 47 49 ID sRbcu3O60 55 食べても太らない事をアピールして、セコム側に「うらやましいでしょ~」 と言いたいだけでは? 黒い太い指とピンクのスカルプが激しく似合わないww 無理すんな、て感じ。 57 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/16(木) 11 59 34 ID JmWzzG+o0 ほんとにPCスキルの無いババアだよな。 慌ててアクセスログとか付けてるけど、誰かわかった?www 45 全うな意見まで荒らし扱いして、罵倒したのはすずめだろ。 バカじゃないの? 56 そこしか自慢出来ないのがもう可哀想でwww つーか、充分太いから、キモいからwwww いつもご飯不味そう。必死で見栄張って乙。 58 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/16(木) 12 13 17 ID Pd5Ko8FoO 思った、思ったww ご飯不味そうだよね。 あれでコメントつけてる連中って毎日何食ってんの?wwwwwww 降臨したのは秘書じゃね? ショボ潰しは自分たちがすずめバハァにやらせてるんじゃないの? 真実を暴露されちったもんね~ww それとも王国を叩かれて、すずめバハァが怒るのって 国王に惚れてっから?w 59 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [sage] :2009/07/16(木) 12 27 19 ID kOi1/DwM0 オバサン結構いい年なのかしら。 写真に手書きしてるきっったない字みると 今の40代が若いころに流行った丸文字に近い。 いい年して字が汚い、おまけに誤字ばかり、いやがらせも幼稚で ホントに頭悪いんだろうな…この人の旦那ってどういう趣味なのw 60 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/16(木) 13 44 37 ID lentPBB00 都合悪いとすぐに削除したり 自演したり嘘つきまくったりするから きっちり魚拓とっておいたほうがよくない? 61 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/16(木) 13 54 44 ID l+LawqmpO これ書いてる連ちゅうは、みんな関西人関西の恥。関西人同しの喧嘩に野次馬するのは悪い癖だぞー 62 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/16(木) 15 59 48 ID JmWzzG+o0 スズメの写真、日記の日付と全然合ってないね。 前後してるのもあるし。 最後の写真から二週間以上経ってるけど、とっくに巣立ちの時期は過ぎてるんじゃね? 見せられないんだろーなw 63 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/16(木) 19 50 23 ID Q97mjDwMO sbwG3ptwO=l+LawqmpO だろ? だからよ、あんた同じIDなんだって。 他人装っても、ID同じなんだから降臨ハ゛レてんだよ… あんたの信者が起こした不祥事に、なに知らん顔してんだ? 何度も何度もリンク貼って潰そうとしてるのはそっちだろ。 ぷりんも、どうせすずめの自演か姉ちゃんじゃねーの? 66 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/16(木) 22 04 31 ID 9/fSezhk0 sbwG3ptwO=l+LawqmpOに御用の方はこちらへどうぞ。 ttp //link.blogmura.com/out/?ch=391251 url=http%3A%2F%2Fameblo.jp%2Fhappiness-walk%2F 67 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [sage] :2009/07/16(木) 22 13 56 ID dsZy6O6uP 66 そのブログの主、アメブロで画像の貼付がわからないとか バカじゃないの? PCからの画像貼付なんで小学生でも出来るだろ。 68 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/17(金) 01 08 48 ID VVoepoEh0 中傷用ブログ無くなったねw 消されたかな。 69 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/17(金) 07 54 16 ID rKFjsxfr0 66 自分に憧れる人を捏造するってどういう気持ちなんだろうな。 70 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/17(金) 09 08 40 ID KPiQbpgy0 この人は何なの? 66 すずめは今頃ヒスを起こしてるだろうなぁw 早くリリースしてくださいよ。無事ならね。 71 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/17(金) 09 35 00 ID rKFjsxfr0 70 文鳥王国の国王。 パス制にしたら規約でブログ村に登録できなくなったからこれ作って居つこうとしたみたい。 一時は信者がポチしてサブカテで上位にいたよ。 72 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [sage] :2009/07/17(金) 09 45 00 ID zI2j94XN0 ホント、ヒステリックだよね。大笑い~とかよく書いてるけど 書きながらこめかみに青筋がムキムキ出てそう。 だから血圧が高いんじゃないの~? あんまりカッカするとポックリ逝っちゃうよ。 73 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/17(金) 10 07 53 ID KPiQbpgy0 すずめの記事だけアクセス解析入れてるねwwwww 顧問弁護士の指導ですかー?www レシピとか載っけてるけど、誰でも知ってるし作れるしw そもそもマズそうな料理いらんし、吐きそうだしwww 71 ありがと。文章見てたら変な病気なんかと思ったw 揃いも揃って気持ち悪い人達だね。 74 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [sage] :2009/07/17(金) 13 46 14 ID LfE9IOgo0 ぷりんちゃんのボログにFC2が動いたね このブログは下記の理由などにより凍結されています。 * 規約上の違反があった * 多数のユーザーに迷惑をかける行為を行った。 めしウマ~(藁)。 75 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [sage] :2009/07/17(金) 13 48 13 ID qz6iI8bO0 70 Σ(´Д`lll)ええー!!これ、国王なの? ただ見ただけでもお花畑の女の人かしら?こういう人ってキモいよなあ、って思ってたのに・・・ 国王ってたしか 40のオッサンだよね?うげー!!ゲロゲロだぁ!! 他人の掲示板じゃ何様な態度で,自分とこじゃお花畑育ててたのかーw 76 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [sage] :2009/07/17(金) 17 15 49 ID 4PcShIms0 74 リンクされてる人たちが通報したのかな。 77 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/17(金) 17 57 46 ID ovCrlw70O リンク先の人が損してたとも思えないから違うんじゃね? 面白いエンターテイメントだっただけに惜しい。 78 名前:74 [sage] :2009/07/17(金) 19 06 04 ID LfE9IOgo0 76 誰かが通報したからああなったんだろうね。モサキチどんがキッチリ筋を 通したのかもしらんけど。 すずめちゃん、くやしくて夜も寝られんてかな。ウププ~ 79 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/18(土) 00 46 34 ID jo2z6Vn6O おまえじじぃのブログよりマシじゃねぇか。 80 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/18(土) 10 32 01 ID QvgxjsVF0 ぷりんの「秘密のキチ貝」もっと見たかったな~。 ヲチ板の中でも逸材だったのに。 81 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [sage] :2009/07/18(土) 10 51 52 ID CZBDXt2Q0 80 うまいなw>基地貝 スズメちゃんリリースする気なら 夜は早く寝かせてあげてね☆ 82 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/18(土) 13 16 07 ID fbwRRLQO0 ま、リリースしたって言っても、ブログに載せなけりゃいいだけだ。 口だけでは何とでも言えるよな。 息切れしてるとか獣医とかも嘘くせぇーw あんな吉貝ブログ作るくらいだからな。 83 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [sage] :2009/07/18(土) 13 48 02 ID CZBDXt2Q0 大体、“野鳥専門医”が一般人向けに開業してるって変だよね。 誰を対象に商売してるんだw 84 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [sage] :2009/07/18(土) 17 53 10 ID FSWb2cP70 >リリース可能なら、リリースする方法を教えてもらってきます。 過去に遡ってまで見てないから知らんけど このオバハン、今まで何度もスズメ拾ってるだけで放してやった事無いのかね? 85 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [sage] :2009/07/18(土) 18 04 15 ID RWpNpdnt0 どこにでも居るんだね、こういう人って。 この人の家でもしょっちゅう「雀」が事故にあってるんで 監視していたけど今年は無かったみたいで一安心。 http //ameblo.jp/asukatarou/entry-10138058405.html http //movie.warau.jp/search?kw=Lab_Chan 86 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/18(土) 19 21 23 ID +eyqmaWP0 84 飼い殺し専門。 PCで見たら「天使になった雀」みたいなカテゴリがあったと思うので参照。 87 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/18(土) 22 43 17 ID jo2z6Vn6O ゴキブリほいほいにさらに粘着剤つけて真ん中にみかんを置き、メジロをおびき寄せる。粘着剤に足がくっつき、もがいてるメジロを何羽も飼ってる人がいるよ。どうおもう? 89 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/19(日) 06 10 35 ID gWhgaGLV0 87 そっちはそっちでスレ立ててください。 ここはすずめのオバさんオチしてニラニラするところです。 91 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/19(日) 12 00 30 ID FRXR9l0qO そう言えばオバさん。 過去記事で、飼っている文鳥に「長生きするから」って理由でアイス食わせてたよな。 それを指摘した人に、やっぱ同じ様にヒステリックな反撃してたwww 保護したすずめ…もう何日たった?? 野生下ならとっくの昔に一人餌になって飛び回ってるだろーに。 前の雀の時も獣医から「人間への依存が高い」って言われてるだろ? 今回もベタベタに懐かせて、リリースできない状況を作り出してんじゃないか。 で「お医者さんから、懐き過ぎて自然に帰しても生きて行けないって言われました」とかになりそう。 リリースが目的での保護なら、人間との接触は最小限に抑えるべきだろ? 初めからリリースする気なんて全くないんだよ。 それ見て「可愛い」とかコメ入れてる奴らも同罪。 誰も注意しないんだから(注意したらヒスって攻撃されるしw) たいした友達関係だよな(藁) 93 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/19(日) 14 25 07 ID HDELVq+X0 今度のスズメ握ってたもんな。 あんなことされて自然に帰れる訳ないだろ。 リリースしたけどダメでした、とか、骨折しましたとか理由付けるに決まってる。 図星さされてヒステリー起こして、都合の悪い記事は削除して、良い性格だよ。 顧問弁護士が出てきたのには笑ったけどwwwww コメントしてる連中もすずめおばさんの自演じゃない?不自然wwww 94 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [sage] :2009/07/20(月) 00 04 45 ID g9saC+X20 文鳥はそれなりに長生きしてるのもいそうだけど、雀は最高でどの位生きてるんだろう? てか沢山飼い過ぎだよな…集めるのはキティちゃんのぬいぐるみだけにしとけババアwwwww 95 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/20(月) 05 37 03 ID JuC6uR9+0 94 文鳥がやたらいっぱいいるのは文鳥王国が関係しているのでは? ブログ村で宣伝活動が出来なくなったから既に文鳥飼ってる元信者に押し付けてるんだよ。 ご新規さんのttp //ameblo.jp/jyujyu-chicchi/なんかいきなり7羽も押し付けられて、7羽目の名前が「7」(セブン)。 文鳥王国と関わるとろくなことがない。 96 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/20(月) 09 46 36 ID SbVL7kRGO それゆうなら、ゴーゴーショボプレッサーのうみうみは 文鳥王国や罪無い里親さんとすずめの事を非難中傷、吊し上げて、 自分のポイントと名前をあげるために大袈裟に書いて、回りの信者に賛同させてるしか思えないな。うみうみもしつこいな。 一度睨らまれると、とことん潰さな気が済まないみたいみたい。 一度睨まれるとってブログ書いてあったけど、うみうみが文鳥王国を睨んでじゃなぇか。 日本語はちゃんと使えよな。 まあポイント稼ぎの材料にされてる文鳥王国が可哀想だ。 ポイントが下がれば書く、2ちゃんねるにも書かせる。ショボの信者もおかしなやつばっかりだらね。 クレージークレーマーうみうみに関わるとヤバいぞ。 書き込みには気をつけろ。 まああいつのブログには書き込みするやつはいないだろう。とことん調べて又中傷され、解らなければ、文鳥王国連中って書いてれば、収まるんだから。 可哀想な文鳥王国だな。 97 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/20(月) 10 16 56 ID QZof90oTO うみうみは文鳥王国しか吊し上げてないと思うんだが。すずめのオバさんは迷惑掛けたから仕方ないとして他にどの記事でどの里親さんが吊し上げられたのか教えてくれ。 98 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [sage] :2009/07/20(月) 10 20 32 ID Jn4gOxyo0 次スレが立つとしたらスレタイに文鳥王国も入れた方が良さそうだなwww 99 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/20(月) 10 28 20 ID SbVL7kRGO おまけ JuC6uR9+0さん うみうみが書いてる記事そっくり。本人が自分のブログを汚したくないから、ここで暴れるのか。あいつ頭悪いな。 世間のつまはじきもんが集まる、ここでしか書けんゴーゴーショボプレッサーうみうみー。 あんだけ文鳥王国の名前出して非難中傷してるのに、なんで閉鎖にならんのか不思議。 ブログを金で買ってるって噂だー 文鳥王国が閉鎖に追い込んだブログって??確信なら書け。おまえが、秘密の巻き貝と文鳥王国を閉鎖させたんだろー 日本語理解してんのか? 文鳥王国は相手してないだけだろ。 100 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! [] :2009/07/20(月) 10 33 30 ID SbVL7kRGO 97の人 ショボの記事ちゃんと隅々読んでんのか? 人に聞く前に自分で確認せ。どうせここに来るやつだから、暇人だろ。
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/5373.html
888 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 13 30 34 ID ??? 報告に来たんだけどもうまとめがあるって事は報告は次スレでするべき? 889 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 13 47 23 ID ??? 900までまだあるしいいんじゃね? 890 名前:888[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 14 02 21 ID ??? 889 じゃあ、これからまとめて報告する。 892 名前:888[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 14 20 42 ID ??? これは8月のコンベでの事でシステムはARAだった。レギュは少し下駄を履かせたキャラで、 シナリオの内容は遺跡のガーディアンの排除だった。 元々は神殿の管理する遺跡でゴーレムに警備させていたんだけれど、忍び込んだグレムリンの せいで暴走してしまったらしい。 ここで、困がグレムリンにはそんな力は無いはずだとか、グレムリンは侵入者だからゴーレムに 取り付く前にゴーレムに攻撃されて追い払われるはずだとか言い初めて、こんな設定が最初から 穴だらけのシナリオなんてやる価値がない。俺が代わりにGMをやって緻密に練り上げたシナリオの 素晴らしさを教えてやるとか言い出して、スタッフを呼ばれて摘まみ出された。出禁とかに なったのかは知らない。 ちなみにこの困はARAのGM候補者だったがけど、卓紹介の時に吟遊オーラを出していたんで、 みんなに敬遠されたらしく希望者が居なくてPL側に回った奴だった。 893 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 14 22 50 ID ??? 892 乙、まあ被害は出なかったからプチだな しかしいったいなぜそんなに自信があるんだろうなあ 俺はシナリオ作るとき楽しんで遊べて貰えるか不安で仕方ないんだが スレ244
https://w.atwiki.jp/wiki13_moe/
ウィキはみんなで気軽にホームページ編集できるツールです。 このページは自由に編集することができます。 メールで送られてきたパスワードを用いてログインすることで、各種変更(サイト名、トップページ、メンバー管理、サイドページ、デザイン、ページ管理、等)することができます ■ 新しいページを作りたい!! ページの下や上に「新規作成」というリンクがあるので、それをクリックしてください。 ■ 表示しているページを編集したい! ページ上の「このページを編集」というリンクや、ページ下の「編集」というリンクを押してください。 ■ ブログサイトの更新情報を自動的に載せたい!! お気に入りのブログのRSSを使っていつでも新しい情報を表示できます。詳しくはこちらをどうぞ。 ■ ニュースサイトの更新情報を自動的に載せたい!! RSSを使うと簡単に情報通になれます、詳しくはこちらをどうぞ。 ■ その他にもいろいろな機能満載!! 詳しくは、FAQ・初心者講座@wikiをみてね☆ 分からないことは? @wikiの詳しい使い方はヘルプ・FAQ・初心者講座@wikiをごらんください。メールでのお問い合わせも受け付けております。 ユーザ同士のコミュニケーションにはたすけあい掲示板をご利用ください
https://w.atwiki.jp/stairs-okai/pages/60.html
「ちっさー、ファンデーションとコンシーラーってどっち先に使うんだっけ?」 「舞美さん、眉毛を描くのはアイ・・・ライン?あとで千聖にもやらせてくださいね。」 お前らもういいから自分でやらせろ。 そう言えなくもなかったんだけれど、千聖もみぃたんもまるでお人形遊びに夢中になっている幼稚園児みたいな顔をしていて、私が暴れて楽しみを壊すのが申し訳ないような気持ちになっていた。 ―というのは建前で、そもそも女の子でありながらあんなにメイド喫茶に行きたいなんていう漢前美少女アイドルに、私みたいな普通のアイドル(?)がかなうはずがないんだ。 今日はそのことを嫌というほど思い知らされたから、大人しくしているにすぎない。 おまけに本日は、羊の皮を被った何とやらなお嬢様アイドルまで、みぃたんの味方になってしまっている。 (キュフフ・・・・もうどうにでもなぁ~れ★) 大体2人がメイクできないから私が呼ばれたのに、よりによってその当人達が人様の顔に血塗られた薔薇がどうのこうのいう化粧をするつもりなのか。 ボケ×ボケはこれだから・・・。ここに舞ちゃんがいてくれなかったことが悔やまれる。切なくなってきた。 なっきぃ、泣いたらあかん。今日の未送信メールに打ち込むいいネタができたと思えばええやん。 そうやって達観してしまえば、顔の前で聞こえる「うわっこのアイシャドーすごい紫!こりゃヤバいwとかいってw使おうっと!」「クフッ、黒い口紅なんてあるんですね。」という素敵な会話も、まるでBGMのように耳を通り過ぎていく。 「ムフッふふふこれちょースゴい・・・見てちっさー」 みぃたん、鼻息荒い。 「あら?あらあら・・・ばんぎゃさんみたいですね。」 ばん・・・バンギャ? 「待ってて、なっきぃ。あと涙とチョウチョと十字架だけだから。」 え、みぃたんそれはいったい何の話? 「ちっさー、顔!」 「はいっ」 「ふぎゃっ!」 再び私の背後に回った千聖は、柔らかい布のようなもので私に目隠しをした。 「早貴さん、ごめんなさい。少しの間我慢していただけますか?」 いただけますか?と言いながらも私の意見は聞かずに、今度はあごをガッチリ掴んで固定してきた。 「よ~しちっさーいいこだ。そのまま離さないでね。」 「キャッ、キュフフフ!みぃたん何やってんの?くすぐったい!」 顔を細くて柔らかいものが這っているような感触がして、首を振ろうとするけれど、千聖がガッチリホールドしているために動かすことができない。 ちっちゃいくせに、意外なほど力があるからあなどれない。 「我慢、我慢でしゅよーとかいってw」 「キュフ!フフ、フフフフみ、みぃだん・・・なっきぃ本当にヤバ・・・」 くすぐったい感覚は顔を離れて首筋、鎖骨下に移動してきていた。 実は、そこは私のウィークポイント。こそばゆい感覚もピークに達していた。 「ちょっ、なんかなっきぃエロいね。目隠しがワンピョイントだ。」 「ふふ、危険なワンポインテョですわ。」 ああ、もうどうでもいいから早く終わらせてください。 ドSモードになった2人に、謎のくすぐり責めを延々続けられ、意識がかすみ始めた頃に「でーきた!」みぃたんの声が聞こえた。 同時に千聖の手が緩んで、「ごめんなさいね」と言いながら目隠しを取ってくれた。 「おおー!ちょっとなっきぃかっこいいよ!みてよちっさー!」 2人が私の顔を指差して、目を大きく見開いている。 「・・・なっきぃも、見る。」 手鏡を受け取って顔を見てみると、ぶっとい紫のアイラインに蜘蛛の足みたいなつけまつげ、真っ黒な口紅、パウダーで真っ白になった蝋人形が目に映った。 ちょっと気絶しそうに・・・まあ、これは予想の範疇だったから別にいいとしよう。 私の目を引きつけたのは、右目の下に書かれた黒い涙、左の首筋に留まった黒い蝶、胸元に咲いた紅い薔薇だった。 「これ描いてたんだ。」 「なっきぃの持ってきてくれたメイク道具でやったんだよ。アイラインとか使って。どうよ!」 まだ服装が私服のシャツワンピだからかなりキモいことになっているけど、悔しいことにメイクだけ見たらビジュアル系のバンドにいそうな感じでなかなかカッコいい。 舞美ちゃんの絵はとても可愛いから、蝶や薔薇が若干メルヘンタッチになってるのはご愛嬌。 「うんまあ、結構いいんじゃないかな?・・・ありがと。」 私がお礼を言うと、2人はちょっとはにかんだ。 「あ、でねみぃたん、ここまできたらなっきぃにも服を貸して欲しいよぅ。」 「ふっふっふ。そういうと思って、さっきちっさーが選んでくれたんだ。なっきぃの分。着せてあげるね!ちっさー!」 「あっちょっ自分で」 ―略― そんなわけで私が着せられたのは、下は超ミニのフレアスカート・ガーターベルト・網タイツ・ハイヒール、上が鋲だらけのタンクトップ・謎のエンブレムがついた眼帯。 「なっきぃカッケー!NA●Aみたい!」 「早貴さん素敵だわ・・・美人でスタイルがいいから、何でも似合うのね。」 いろいろ間違ってる気がしなくもないけど、おだて上手な2人のせいで不思議と悪い気はしなかった。 「さて、行きますか!長い道のりだったねー」 ブリブリ甘ロリ黒髪美女に、犬耳首輪のフリフリ黒ワンピ美少女に、バンギャ風ブースカ(自虐)一行は、やっと重い腰を上げた。 ―コン、コン 「はいー?」 「・・・あ、母さんが夕食のしたくができたから、3人とも降りてらっしゃいって。」 みぃたんのお兄さんの声だ。 「夕飯?」 とっさに全員、みぃたんの部屋の大きな時計に目を向ける。 「・・・・みぃたん。19時半。」 夢中になりすぎていた私たちは、誰一人時間のことなんて気にも留めていなかった。 「もう、この格好で出歩いていい時間じゃなさそうですね・・・。」 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
https://w.atwiki.jp/ritsuss/pages/285.html
楽器(軽音部) ドラム YAMAHA Hipgig (メローイエロー) リンク バスドラム16"×20" タムタム13"×7" タムタム10"×6" スネアドラム12"×5" りっちゃんカラーともいえる黄色の、コンパクトなドラムセット。 シンバル A Zildjian Series リンク サイズまでは特定されていない…のか? ドラムに詳しくないので、分かる人いたらお願いします。 ハーモニカ HOHNER GoldenMelody リンク #1「廃部!」で、唯に渡そうとしたもの。 楽器(エンディング) ドラムセット YAMAHA PHX Series (ポーラーホワイト) リンク サイズ不明 スネアドラム YAMAHA SD2340 リンク サイズ13"×4" スチール 小物 シャープペンシル LAMY Safari イエロー リンク #2「楽器!」#5「顧問!」#6「学園祭!」と、りっちゃんがいつも愛用しているシャープペンシル。 ドイツの筆記具メーカー、LAMY社のシャープペンシル。高級文具という位置付けではあるが、 それを感じさせないカジュアルなデザインと多色展開により、ドイツ本国の学生たちにも人気があり 同社の定番製品ともいえる。 りっちゃん愛用のペンはもちろん黄色。 ペンケース コクヨ ペンケース(repete)オレンジ リンク #5「顧問!」の回想シーン中にLAMYのシャーペンと一緒に登場。 エナメルバッグ DDDP→CCCP(ホワイト)リンク #4「合宿!」#10「また合宿!」にて使用していたバッグ。 デジタルカメラ SONY CyberShot DSC-T700 (ピンク) リンク #4「合宿!」で使用していたデジタルカメラ。 携帯電話 FOMA D902i(ブラック) #10「また合宿!」にて判明した、りっちゃんの携帯電話。澪と同機種で、澪はホワイトを使用しています。 携帯ストラップ ゴーヤーマン リンク 同じく#10「また合宿!」で、りっちゃんの携帯電話についていたストラップ。
https://w.atwiki.jp/yuiazu/pages/880.html
純「そういえば梓、変わったね」 部室で憂が入れてくれたお茶を飲んでいた時だった。私が部長なので元、律先輩の席。憂はもちろん唯先輩の席。純は憧れの澪先輩の席だ。 梓「何よいきなり」 純「これ」 と、純の携帯。昨日私が送った、なんてこともないメール。 梓「日曜日にみんなで新曲作ること?」 純「ちがうちがう。こっち」 カーソルがゆらゆら揺れてる音符が付いたデコ絵を指している。 憂「そういえばそうだね」 私を置いてけぼりにして憂が微笑んだ。 憂「前は絵文字、あまり使わなかったよね」 梓「そう・・・だったっけ?」 純「そうそう! 返事だけとか、遊ぶ約束しても時間と場所だけ書いた業務連絡みたいな」 あー・・・・・・そうかもしれない。 私は小さい頃から文章を作ることが苦手だった。メールを返信する時も何分も考えて考えて。なに書こうか、早く返さなきゃっていろいろ考えちゃったりしてるうちに別の用事思い出したり、そのまま寝ちゃって。 さすがに返事しないのは良くないと気付いたから、必要な事だけパパッと書いて。 だって次の日には会えるし、急ぎの時は電話があるし。 梓「でも、いつから絵文字使いだしたんだろ?」 殺風景な文だったから? ううん。今まで気付かなかったし、今日はじめて言われた。 家のソファーに寝転んで自分の携帯を眺める。いらないメールをこまめに消すほうだから、けっこう昔のやつがそのまま残ってる。 ほんとだ。ほとんど消しちゃってたけど、1年の頃のは長くても二行しかない。メール打つの、めんどくさいって思ってたっけ。でも、鳴らなかったらやっぱりさびしくて。 梓「む・・・」 古いものからたどっていたら、鍵マークが付いた受信メールが4つ並んで現れた。 澪先輩『これからよろしくな! 相談ならいつでも乗るぞ?(笑顔)』 唯先輩『あずにゃーん(ハートハートハート)! 今の私の待ち受けこれだよ~(chu!)(私が猫耳つけてる)!』 ムギ先輩『後輩とメールするの、夢だったの~(手紙からハートがいっぱいこぼれてる)』 律先輩『メアド確保ー!!』 先輩達とはじめてメールした日だ。その日の受信メールをめくりながら思わず笑った。ああ思い出した。帰ってからも先輩方からメールで質問攻めにあって、途中から誰に何を送ったのかわからなくなったんだっけ。 最後までメールしてきたのは唯先輩だった。そういえば初めてだったかも。夜通しメールしたの。 合宿の打ち合わせ。学祭の打ち合わせ。そう、この頃からだったかな。唯先輩に毎晩メールしたの。電話もたくさんしたな。初めての学祭で、それなのにメンバーがバラバラで。不安な私の声、ずっと受け止めてくれた。なぜか唯先輩の声を聞くと安心できたんだ。 年末のライブハウスの段取り。そうだ・・・寅年。まさか自分のトラ耳で思い出すなんて。 トンちゃんの名前も唯先輩が決めたんだよね。修学旅行先から先輩達からたくさん送ってくれた。・・・・・・写真だけでも十分騒がしい。 写真といえば今の私の待ち受け『ゆいあず』の時のだ。憂が撮ってくれた、私と唯先輩が背中合わせになってるやつ。 梓「ふでぺぇ~んふっふぅ・・・あ・・・」 また現れた鍵マーク。唯先輩からの。毎日、見てるよ。 唯『梓、愛してる』 夏フェスの夜、私は唯先輩に告白した。過呼吸ぎみになっちゃって、自分でも何を言ってるのかわからなくなって、なさけなくて、バカみたいに涙がこぼれる私を抱きしめてくれた。心ごと。こんな私を。 梓「はっ!?」 ちがうちがう! 抱き枕に頬ずりするんじゃなくて本人にしてもらいたい、じゃなくて・・・! 戻るボタンを押してハッとした。 『唯先輩』 『唯先輩』 『唯先輩』 ・ ・ ・ 私のメールの履歴は唯先輩でいっぱいだった。 そっか。唯先輩が絵文字をたくさん使うから、返信するとき私も使うようになったんだ。 また始めのほうを振り返る。うんうん。どの絵文字使ったらいいかすっごく悩んだ形跡がある。いつからかメールがすごく待ち遠しくなって。 好きな人が出来るだけで、こんなに変われるんだね。いつの間にか私の携帯まで、唯先輩で埋め尽くされちゃってる。 時間を見る。そろそろバイトあがる頃だ。好きなものならすぐ覚えられるでしょうと、今のアイス屋さんを勧めたのは私だ。よし、たまには私から。 梓『唯、愛してるよ(ハート)』 唯、知ってる? 絵文字使うようになったけど、ハートは唯専用だよ? おまけ 唯『めずらしいね。あずにゃんのほうから言うなんて』 梓「たまに言われたほうがありがたみ、あるでしょ?」 唯『私もあずにゃん大好きだよ~』 梓「唯の大好きは使われすぎ。 全然ときめかないもん」 プルルル プルルル 梓「唯?」 ピッ 唯『梓。愛してる』 梓「 ・・・・・~~~っっっ!!」 カアァァァッ! 唯『えへへ~。これはあずにゃん専用だよ!』 梓「そ・・・そ・・・っ!」 唯『あず』 梓「それは直接言うです~~~っ///!!!」 おしまい す、素晴らしい! -- (あずにゃんラブ) 2013-01-12 08 46 02 凄く良いけど梓呼びはあんまり好きじゃないなぁ -- (名無しさん) 2018-03-15 16 13 01 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/chisakiss/pages/22.html
千咲ちゃん、宇宙になる 内容 本文 感想コメント 内容 タプリスが天使力を高めすぎてしまうお話 本文 ――――――――――――――――――(00/25)―――――――――――――――――― ―ラフィエルの家― ラフィエル「どうやったらもっと天使らしくなれるか、ですか?」 タプリス「はい。わたし、こんな何をやってもダメダメな天使ですから」 タプリス「白羽先輩たちのように、もっと立派な天使になりたいんです!」 ラフィエル「タプちゃんは、もう十分に天使としての役割を果たしていると思いますよ」 タプリス「いえいえ、わたしなんて、ドジばかりで知らないことばかりですし……」 ラフィエル「少しおっちょこちょいなところも、それはそれで愛嬌があって」 ラフィエル「とても親しみやすいという利点がありますし」 ラフィエル「知識については、これから少しずつ蓄えていけば良いんです」 ラフィエル「急いで頭に入れても、使えなかったら意味がありませんしね」 タプリス「たしかに、そうですが……」 タプリス「わたしがもっともっと上を目指す姿を天真先輩が見てくれて」 タプリス「少しでも先輩の更生きっかけになればって、思って……」 ラフィエル「そうですかそうですかぁ」 ――――――――――――――――――(01/25)―――――――――――――――――― ラフィエル「タプちゃんの気持ち、重々伝わってきました」 タプリス「し、白羽先輩、それじゃあ……」 ラフィエル「それでは私からアドバイスです」 ラフィエル「もっと上を目指すのに、私のおすすめの方法はですね……」 タプリス「……ごくり」 ラフィエル「そのなりたい自分を、まず演じてみることです」 タプリス「えっ、演じるんですか?」 ラフィエル「なんとなくですが、タプちゃんの頭の中にも」 ラフィエル「素晴らしい天使像というものがありますよね?」 タプリス「は、はい」 ラフィエル「それに、自分がなろう、ではなくて」 ラフィエル「それを演劇のように、役を演じる感覚で過ごしてみるんです」 ラフィエル「自分とは違った役を演じているんだと、はっきり認識をして」 ラフィエル「それを毎日続けていきます」 タプリス「ふ、ふむふむ……」 ――――――――――――――――――(02/25)―――――――――――――――――― ラフィエル「最初はつらいかもしれませんが」 ラフィエル「これは役、役なんだって強く意識して、ずっと続けていくと」 ラフィエル「いつのまにか、前の自分のことを忘れてしまって」 ラフィエル「その役が自分になっている、という流れですかね」 タプリス「す、すごいです! さすが白羽先輩です!」 ラフィエル「しかし、最初がやはり大変です。タプちゃんはやれますか?」 タプリス「はい、これも天真先輩のため! がんばります!」 ラフィエル「ふふっ、わかりました」 ラフィエル「では私から一つ、タプちゃんにおまじないをかけてあげましょう」 タプリス「本当ですか! ぜひお願いします!」 ラフィエル「では、ちょっと頭を出してくださいね」 タプリス「えっと、こうですか?」 ラフィエル「タプちゃんの理想の天使像を思い浮かべてください」 タプリス「は、はい」 ラフィエル「じゃあいきますよ、せーのっ!」 ゴツンッ ――――――――――――――――――(03/25)―――――――――――――――――― ―公園― 女の子「タプリスお姉ちゃん、一緒に遊ぼー」 男の子「違うよ! お姉さんは僕達と遊ぶんだよ!」 タプリス「こらこら喧嘩してはいけませんよ」 タプリス「みんなで仲良く、一緒に遊びましょう?」 子供達「はーい」 タプリス「ふふっ、いい子たちですね」 ガヴリール「……」 ヴィーネ「あれっ、ガヴ?」 ガヴリール「ああ、ヴィーネか」 ヴィーネ「ガヴが外にいるなんて珍しいわね……」 ガヴリール「……ちょっと腰が痛くなったから、気分転換に散歩してるだけ」 ――――――――――――――――――(04/25)―――――――――――――――――― ヴィーネ「あら、子供たちと遊んでるのって、タプちゃんじゃない」 ガヴリール「ああ、そうみたいだな」 ヴィーネ「なんかすごく子供たちに好かれてる感じねぇ」 ガヴリール「……精神年齢が近いからじゃないか?」 ヴィーネ「もうそんな酷いこと言って。それで、声かけないの?」 ガヴリール「いいよ、邪魔しちゃ悪いし」 ヴィーネ「そう。じゃあ私もやめておこうかな」 タッタッタッ 女の子「お姉ちゃん、こっちこっちー」 タプリス「あははっ、待ちなさーい」 ガヴリール「……まあ、いいか」 ヴィーネ「ん、何か言った?」 ガヴリール「いや、なんにも」 ヴィーネ「そっか」 ――――――――――――――――――(05/25)―――――――――――――――――― ―数日後 公民館― お婆さん「おや、タプリスちゃん、また来てくれたのかい。嬉しいねぇ」 タプリス「こんにちは、お婆ちゃん。腰の具合はどうですか?」 お婆さん「最近はずいぶんと調子がいいよ」 お婆さん「タプリスちゃんがマッサージしてくれたおかげだねぇ」 タプリス「本当ですか、それはよかったです」ニコッ お爺さん「タプリスちゃん、またあのお話の続き、聞かせてもらえんか」 タプリス「わかりました、ではお部屋お借りして、みなさんも呼びましょうか」 お爺さん「それがええ。タプリスちゃんのお話、楽しみじゃのう」 ガヴリール「……」 委員長「あら、天真さんじゃない。こんな所で会うなんて珍しいわね」 ガヴリール「ああ、委員長か。ちょっと役所手続きでね」 ――――――――――――――――――(06/25)―――――――――――――――――― 委員長「そうなんだ。あれ、あの子たしか、千咲さんよね」 ガヴリール「え、委員長、タプリスのこと知ってるの?」 委員長「えぇ。最近、私も参加しているボランティア活動でよく会うのよ」 ガヴリール「ボランティアって?」 委員長「町内会のゴミ拾いとか、お年寄りのお世話とか、ね」 委員長「細かな気配りもできて、すごく働き者だから」 委員長「本当に助かっているわ」 ガヴリール「そうなんだ」 委員長「彼女、物腰がとても柔らかで真面目だし、いつもにこにこしていて」 委員長「しかも、それを鼻にかけることなんて一切しないし」 委員長「みんなに好かれる存在、そのものよね」 ガヴリール「えっ、あいつの物腰が……柔らかい?」 委員長「私と会っている時はそうだけど……違うの?」 ガヴリール「い、いや、なんでもない。今のは忘れて」 委員長「そう? それじゃ、私このあと買い物に行かないといけないから」 ガヴリール「ああ、また学校でな」 ガヴリール「……」 ガヴリール「……別にいいか」 ――――――――――――――――――(07/25)―――――――――――――――――― ―エンジェル珈琲― マスター「天真くんお疲れさま、今日はもうあがっていいよ」 ガヴリール「うす」 マスター「ああ、ごめん。最後にチラシの整理だけお願いしていいかな」 マスター「捨てるだけでいいから」 ガヴリール「うっす」 ぺらっ ガヴリール「これは……」 マスター「ああ、それかい。市内の講演会のお知らせみたいだねぇ」 ガヴリール「ふーん……って!?」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 題目:『人生を豊かに生きるために』 15 00―16 00 講演者:千咲=タプリス=シュガーベル ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ――――――――――――――――――(08/25)―――――――――――――――――― ガヴリール(同姓同名……なわけないよな) ガヴリール「な、なんであいつがこんなこと……」 マスター「あれ、天真くん。千咲さんと個人的な付き合いがあるのかい?」 ガヴリール「い、一応、知り合いです……」 マスター「そうなんだ。いや、彼女すごいよねぇ」 マスター「最近、市内のイベントで見ないことがないし」 マスター「まだかなり若そうに見えるのにねぇ」 ガヴリール「そ、そうなんですか……」 マスター「知り合いなら、ぜひ今度、ここにも招待してほしいな」 ガヴリール「う、うす」 ガヴリール「……」 ガヴリール(べ、別にあいつが何をやろうと、あいつの勝手だろ) ガヴリール(私がとやかく言うことじゃ……ない) ――――――――――――――――――(09/25)―――――――――――――――――― ―数週間後 サターニャの家― サターニャ「ガヴリールゥ! 今日こそあんたを倒してみせるわ!」 ガヴリール「あれだけ負け続けてんのに……いい加減諦めろよ」 サターニャ「なはっ、今までのは全て様子見。つまり、今回のための布石よ!」 ガヴリール「はいはい……」 テレビ司会者『それでは、本日のゲストである……』 テレビ司会者『千咲=タプリス=シュガーベルさんのご登場です!』 ガヴリール「えっ!?」 サターニャ「なっ!?」 テレビ司会者『今、現代人の疲れた心に染み渡る、優しくて心がほっとするお話と』 テレビ司会者『可憐なお姿のギャップが大好評を博していますが』 テレビ司会者『今のお気持ちを、お聞かせ願いますか?』 タプリス『えぇ、わたしのお話が、少しでも……今を生きている人たちの』 タプリス『支えとなり、助けとなるならば』 タプリス『これ以上の喜びはありません』ニコッ ――――――――――――――――――(10/25)―――――――――――――――――― サターニャ「な、なによこれ。最近見かけないと思ったら」 サターニャ「テレビに出るまでの人気者になってるなんて!」 サターニャ「しかも、これ全国放送じゃない! キィィッ! 悔しい!」 サターニャ「私よりも先に、こんな超有名になるなんて!」 サターニャ「なんてうらやま――じゃなくて生意気なのかしら!」 ガヴリール「……」 サターニャ「どうしたのよ、ガヴリール。黙っちゃって」 サターニャ「ははぁん、わかったわ」 サターニャ「あんたも後輩天使に先を越されて悔しいのね?」 ガヴリール「……そんなんじゃない」 サターニャ「ふふっ、そりゃあそうよね」 サターニャ「天使学校首席のあんたが、後輩に引けを取るだなん――」 ガヴリール「そんなんじゃないって言ってるだろ!!」 サターニャ「っ!? な、なによ、急に大声出したりして」 ガヴリール「……」 サターニャ「……」 ガヴリール「……ごめん、帰るわ」 バタンッ サターニャ「ったく、なんなのよもう。って、また勝負すっぽかされた!?」 ――――――――――――――――――(11/25)―――――――――――――――――― ―数週間後 ガヴリールの家― ガヴリール(なんか最近、ネトゲも飽きてきたな……) ガヴリール(てきとーに動画でも見るか……ランキングを覗いてっと) ガヴリール(再生数一位、なんだこれ。再生数100億回だって!?) ガヴリール(どんだけだよ……って) ガヴリール(う、嘘……だろ?) ガヴリール(Tapris Sugarbell Chisaki?) ガヴリール(まさか、あいつ……なのか?) ガヴリール(世界中の人からのコメントが付いてる……) ガヴリール(大絶賛じゃん……) ガヴリール「なんだよ、これ……」 ガヴリール「もう、わけがわからない……」 ガヴリール「あいつ……どこに行こうとしてるんだよ」 ガヴリール「……」 ガヴリール「……くそっ」 ――――――――――――――――――(12/25)―――――――――――――――――― ―数ヶ月後 千咲教 総本山― 千咲教信者「教祖様にお会いしたい、と?」 ガヴリール「はい」 千咲教信者「失礼ですが、お約束はされていますか?」 ガヴリール「……いえ、していません」 千咲教信者「教祖様の面会予定は、この先、数年は埋まっておりまして」 千咲教信者「申し訳ありませんが、お引き取りください」 ガヴリール「私はあいつの先輩で、知り合いなんです!」 ガヴリール「私の名前を伝えてもらえれば、絶対会ってくれるはず!」 千咲教信者「そう言われましても……」 ガヴリール「おい! タプリス! いるんだろ!」 ガヴリール「私だ! ガヴリールだ!!」 千咲教信者「あ、あなたねぇ! いい加減にしてください!」 ガヴリール「ちょっ! 離せよ! 離せったら!!」 ガヴリール「おい、タプリス!! 返事をしろ!! タプリスゥゥ!!」 千咲教信者「おいっ! と、取り押さえろ!!」 「おやめなさい!」 ――――――――――――――――――(13/25)―――――――――――――――――― タプリス「……」 ガヴリール「タプリス! よかった、出てきてくれたんだな!」 千咲教信者「おいっ! 教祖様になんて口のきき方を!!」 ガヴリール「い、いたっ! 頭を、押さえつけるな!」 タプリス「……おやめなさいと、言っているのです!」 千咲教信者「きょ、教祖様……ははぁ……」 ズサァ タプリス「……こちらへよろしいですか?」 ガヴリール「あ、あぁ」 ―教祖の私室― ガヴリール「お前が出てきてくれて、助かったよ」 タプリス「申し訳ありませんでした。皆さん、悪気はないのです」 ガヴリール「ああ、別にいいよ」 ガヴリール「それにしても、暫く見ないうちにすごいことになってるな」 ガヴリール「お前がこんなに人気者になるなんて思わなかったよ」 タプリス「お恥ずかしい限りです」 タプリス「ですが……わたしはただ、みなさんの幸せを願っているだけですから」 ――――――――――――――――――(14/25)―――――――――――――――――― タプリス「ところで、今日はどういった御用だったでしょうか」 ガヴリール「ああ、えっと……」 タプリス「……」 ガヴリール「なぁタプリス、その……みんなのところに帰ってこないか?」 タプリス「えっ……帰る?」 ガヴリール「お前が本当に立派な事をやってるってのはわかるんだけどさ」 ガヴリール「なんというか、……お前らしくないというか」 ガヴリール「こう……しっくりこないというか」 タプリス「……わたしらしく、とはなんでしょうか」 ガヴリール「それはその……おっちょこちょいでドジも多くて、すぐ泣いて」 ガヴリール「で、いつも私の後ろにくっついてきて」 ガヴリール「……正直、鬱陶しいと思うこともたまにあったけど、さ」 ガヴリール「でも別に嫌とか、そういうわけじゃなくって」 ガヴリール「むしろ嬉しいことの方が多かったというか……」 ガヴリール「つまりだな、その、お前はそういう奴だっただろ……?」 タプリス「……」 ガヴリール「なぁ、タプリ――」 タプリス「……忘れました」 ――――――――――――――――――(15/25)―――――――――――――――――― ガヴリール「はっ? 忘れたって……」 タプリス「そんな昔のわたしのことなんて、忘れてしまったんです」 ガヴリール「な、何言ってんだ! それじゃあ、私たちと過ごした時間も」 ガヴリール「忘れてしまったって、言うのかよ!」 タプリス「……」 タプリス「……わたしは今、本当に大勢の人たちの」 タプリス「生きる希望となっているんです」 タプリス「ですからわたしが、そのようなことをするわけにはいきません」 ガヴリール「お前はお前だろ! お前がしたいことをやって何が悪いんだよ!」 ガヴリール「そんな……他の知らない人のことなんて、どうでもいいじゃんか!」 タプリス「なっ……」 ガヴリール「お願いだ、タプリス。私たちともう一度、一緒に……」 タプリス「……お引き取りください」 ガヴリール「えっ、タプリス……?」 タプリス「お引き取りくださいと言ったんです、天真さん」 ガヴリール「お、お前っ……そ、それが答えか」 タプリス「はい」 ガヴリール「……わかったよ」 ――――――――――――――――――(16/25)―――――――――――――――――― ―数ヶ月後 住宅街― お婆さん「はぁ、こうやって幸せに長生きできるのも」 お婆さん「タプリス様のおかげですねぇ」 お爺さん「ほんとだわ、ありがたやありがたや」 お爺さん「それじゃ、タプリス様の像へ礼拝に行こうかの」 お母さん「こら! 悪戯すると、タプリス様から見放されてしまうわよ!」 女の子「えぇっ! それは嫌っ!」 お母さん「だったら言うことをききなさい!」 女の子「はぁい……」 ガヴリール(……) ガヴリール(この世界は異常だ) ガヴリール(あれから、あの時から……) ガヴリール(犯罪は激減し、戦争は消え、飢えと貧困もなくなった) ガヴリール(世界中の誰もが、幸福に暮らせるようになった) ガヴリール(……あいつの望んでいた、世界になった) ガヴリール(この世界は異常だ) ――――――――――――――――――(17/25)―――――――――――――――――― ファサッ ラフィエル「ガヴちゃん!」 ガヴリール「ラフィエルか、どうした」 ラフィエル「タ、タプちゃんの、タプちゃんの反応が……」 ガヴリール「あ、あいつの反応……って、これは」 ラフィエル「ガヴちゃんも感じますか?」 ガヴリール「あぁ、急速にタプリスの生命反応が小さくなって……」 ラフィエル「こ、このままじゃ、タプちゃんは……」 ガヴリール「くそっ、あ、あいつ何をするつもりだ……」 ラフィエル「場所は既に特定してあります、ですが私一人の力では……」 ガヴリール「わかった、協力する」 ラフィエル「私の力を全てお渡しするので、ガヴちゃんが行ってください」 ガヴリール「了解」 ラフィエル「それでは……タプちゃんを頼みましたよ」 ガヴリール「ああ、任せとけ」 ガヴリール「……神足通」 ヒュンッ ――――――――――――――――――(18/25)―――――――――――――――――― ―世界の果て― パァァァァァッ タプリス「……」 タプリス「……ようやく、ようやくこの時がきました」 シュンッ ガヴリール「タ、タプリス!? なんだこの光!?」 タプリス「あなたは……」 ガヴリール「ともかく、こんなことはやめろ! お前、死ぬ気か!」 タプリス「いえ、わたしは死にません」 ガヴリール「な、なんだって……?」 タプリス「わたしはこれから、この世界となり、宇宙となることで」 タプリス「この世の中に生きる子らを未来永劫、愛し、見守っていくのです」 ガヴリール「何バカなこと言ってんだ! そんなことしたら……」 ガヴリール「お前は生物の一個体ではなくなってしまって」 ガヴリール「一生死ぬことも許されず、苦しみ続けて」 ガヴリール「私達とはもう二度と、会えなくなるんだぞ!」 ――――――――――――――――――(19/25)―――――――――――――――――― タプリス「わかっています」 ガヴリール「だったら……」 タプリス「それでもわたしは……この世界を」 タプリス「この世界に生きる人たちを、愛していますから」 ガヴリール「タプリス頼む……戻ってきてくれ」 タプリス「それは、できません」 ガヴリール「……私にはさ、お前が……必要なんだよ」 タプリス「……」 ガヴリール「行かないでくれ、お願いだ……頼むよ、ぐすっ……」 ガヴリール「タプリス……お願い、だからぁ……」 タプリス「……ありがとうございます」 タプリス「そのお気持ち、わたしは決して忘れません」 ガヴリール「おいっ! タプリスッ! 行くなっ!!」 タプリス「あなたの幸せを、ずっとずっと願っていますから」 ガヴリール(ひ、光が……弾けて……) 『天真先輩』 パァァァァァッ ――――――――――――――――――(20/25)―――――――――――――――――― ―――――― ―――― ―― ガヴリール(……タプリスが、いなくなってしまってから) ガヴリール(この世界は皮肉にも、以前の諸悪が蔓延る世界へと逆戻りした) ガヴリール(世界中の人々が、幸せを感じることが少なくなっていた) ガヴリール(あんなにも世界を愛していたあいつのことを……) ガヴリール(世界中の人たちは忘れてしまった) ガヴリール(だったら私がすべきことは……ただ一つ) ガヴリール(あいつが望んだ世界をもう一度……私の手で……) ラフィエル「ガヴちゃん……本当に良いのですか?」 ガヴリール「ああ、やってくれ」 ラフィエル「じゃあいきますね、せーのっ!」 ゴツンッ ――――――――――――――――――(21/25)―――――――――――――――――― ―――――― ―――― ―― 『ガヴリールお姉ちゃん、一緒に遊ぼー』 『いつも掃除ありがとうね、天真さん』 『ガヴリールちゃん、また来てくれたのかい。嬉しいねぇ』 『講演者:天真=ガヴリール=ホワイト』 『ゲストである、天真=ガヴリール=ホワイトさんのご登場です!』 『Gabriel White Tenma 視聴回数:11,827,192,717』 『教祖様! ガヴリール様、ばんざーい!』 『ガヴリール様……はぁ、ありがたやありがたや』 『ガヴ、私は……私はあなたのことを……』 ―― ―――― ―――――― ――――――――――――――――――(22/25)―――――――――――――――――― ―世界の果て― ガヴリール「……」 ガヴリール「……ようやく、ようやくこの時がきました」 ガヴリール「タプリス」 ガヴリール「あなたの望んだ世界、やっと取り戻しましたよ」 ガヴリール「……今ならわかります」 ガヴリール「あの時のあなたの、気持ちが」 ガヴリール「本当に、本当に心から、この世界を……愛していたのですね」 ガヴリール「そして……私もまた、あなたと同じように」 ガヴリール「世界と一つに、なりたいと思います」 ガヴリール「それでは、いきましょうか」 ガヴリール「あの子の待つ場所へ――」 パァァァァァッ ――――――――――――――――――(23/25)―――――――――――――――――― タプリス「……」 ガヴリール「……遅くなって悪かったな」 タプリス「……えっ」 ガヴリール「迎えに来たぞ、タプリス」 タプリス「て、天真先輩……? どうしてこんなところに!?」 ガヴリール「言っただろ」 ぎゅぅ タプリス「あっ……」 ガヴリール「私にはお前が必要だって」 タプリス「先輩っ……ぐすっ……せんぱぁいっ……」 ガヴリール「本当に、お前の泣き虫は……変わらないな」 タプリス「だ、だって……わたし、ここで一人、一人きりで……」 タプリス「ずっとずっと、寂しくて……」 ガヴリール「今までよく頑張ったな、偉いぞタプリス」ナデナデ タプリス「ぐすっ……ひっくっ……」 ――――――――――――――――――(24/25)―――――――――――――――――― ガヴリール「よし。それじゃあ帰るぞ、タプリス」 タプリス「えっ、帰るって……先輩?」 ガヴリール「みんなも心配してるからな」 タプリス「でもここは……何もない、いわゆる概念だけの世界……です」 タプリス「元の世界には……けっして戻ることはできません」 ガヴリール「……私を誰だと思ってるんだ」 タプリス「へっ」 ガヴリール「天使学校首席の、天真=ガヴリール=ホワイトだぞ?」スッ タプリス「そ、それは……世界の終わりを告げるラッパ!?」 ガヴリール「概念だろうがなんだろうが……」 ガヴリール「お前を縛る、このクソッタレな世界なんて……」 ガヴリール「私がぶっ壊してやる!!」 タプリス「先輩……」 ガヴリール「私から離れるなよ、タプリス! ラッパ吹くぞ!!」 タプリス「わ、わかりました!」 ガヴリール「さあ帰ろう、私たちの世界へ!」 タプリス「はいっ、先輩!」 おしまい ――――――――――――――――――(25/25)―――――――――――――――――― SS一覧へ このページのトップへ 感想コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/2ch_aa_rpg/pages/75.html
【作品名】しぃちゃんの小冒険 【作者】緑腐汁(千口) 【配布先】配布終了 【使用ツール】RPGツクール2000 作品解説 2002~2003年当時、モナーRPGスレで話題になった荒らしである、チロ(チェス)という人物を叩くことを目的として作られた短編RPG。 チロのみならず、モナー板自体の惨状に対する風刺も含まれており、更にシリアス且つブラックな作風もあって、「2chゲー史上最も毒が強いゲーム」とさえ言われた曰く付きの作品である。 しかし、ダンジョン各階に設けられた謎解きや戦闘バランス(敵もアイテムも全てが限られており、考え無しに突っ込むと確実に詰まるが、少し考えれば解法が見つかる)は秀逸であり、ラウンジやPCゲーム板では中々評判が良かったようである。 以下、ネタバレ注意 ストーリー マターリの勇者である主人公は、しぃ綱紀粛清委員会の委員長(?)に、荒廃したスレに粘着しているチロら暗黒の三兄弟を倒すことを依頼される。 以下、オープニングより抜粋。 「マターリの勇者よ、よくぞ来てくれました」 「今、この地は暗黒の三兄弟たる、チロ、チェス、癌によって滅亡の危機に瀕しています」 「あなたの使命はチロ、チェス、癌を見つけ出し、速やかに抹殺することです。 無論、でぃや虐殺厨などのマターリへの造反者もなるべく殺してください」 「前金として10ハニャンを渡します。これで支度を整えなさい。 あなたにマターリの加護がありますように!」 主要キャラクター しぃちゃん この作品の主人公。マターリの勇者。 虐殺棍棒と魔法を駆使してでぃやモララー、その他荒らしを次々と粛清してゆく。 暗黒の三兄弟 チロ・チェス・癌の3人の総称。 このゲームの舞台であるスレッドに粘着し、荒らし行為を続けている。 噂では、彼等を統べる者が存在するというが… しぃ綱紀粛清委員会委員長 主人公に三兄弟の抹殺を依頼した、狂信者達のリーダー格のしぃ。 じぇの しぃ対策委員会の支部長。 虐殺による2chの制覇を企んでいるらしい。 CQ マターリ城改め狂帝城の城主である狂った王。 F.K・hebo・しぃ豆 暗黒の三兄弟のコピペと思しき連中。 yamaoku 究極の破壊の力を司る存在。 備考 ゲーム自体の難易度は(解法を見つけるまでは)かなり高く、クリアするのは難しい。 だが、最初の難易度選択でEASYモードを選ぶと死んでも強くなって復活できるようになるので、まずはこれでクリアしてコツを掴んでみるのが良いだろう。 NORMAL以上でクリアするとEXダンジョンがプレイできるが、こちらは改造しない限りクリアできないので注意されたし。 作品解説の部分でも少し触れたが、この作品には虐殺やスカトロ、拷問、交尾などといった残虐な描写や性的な描写が割と多く含まれているので、そのようなものに嫌悪感を覚える方はプレイしない方が良いだろう。 ちなみにこの作品のエンディングは色々な意味で必見である。 (あまりに衝撃的な為、トゥルーエンドが別にあるのでは、という噂も出た) コメント 同じく緑腐汁氏の作品であるクルーアリークエストは小冒険よりも後に作られた作品であり、謎解きも毒の強さもバランスも進歩している。(AARPGではないが、一応AAも1箇所にだけ登場する) -- 名無しさん (2007-02-08 23 14 07) 配布終了したスレッドで探すね。 -- サラちゃん (2007-05-10 09 32 22) アブネタ好きな人 また時々DOOMの音楽が出るので そういう人にお勧め -- 名無しさん (2011-01-12 21 10 21) 最近知ったんだけど、隠しダンジョンの熔岩のマップの(0,0)に、 能力アップアイテム売ってくれる人がいるのな… -- 名無しさん (2011-10-10 16 22 35) やりたぃょぅ(;ω;) -- ぃょぅもどき (2014-08-04 20 05 14) ttp //www1.axfc.net/u/3292855 どこにも無いみたいだからうpしておいたよ。2週間で消える。 -- 名無しさん (2014-08-09 00 46 07) 感謝感激でありますっ ょぅ -- (=゚ω゚)ノぃょぅ (2014-08-09 06 54 05) 改造しない限りクリアできないっていうのはどゆこと? -- 名無しさん (2014-08-12 16 18 17) ↑1 確か裏ボスが最高レベルでも歯が立たないくらい強かったはず -- 名無しさん (2014-08-14 10 46 39) おおっ うらあるんですかあ? ぼくは便所のところでとまっちゃっいますた -- 名無しさん (2014-08-14 18 10 05) あり? 飛ばされる前の部屋で -- 名無しさん (2014-08-15 22 03 08) 今はどこにもうpされてないんでしょうか? -- 名無しさん (2023-04-01 07 28 12) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/708.html
いろいろあって、長野駅前のデパート開店5分前 開店5分前 デパート正門前 京太郎「そろそろ開店だなー」 優希「楽しみだじぇ~」ワクワク 3分前 デパート隣コンビニトイレ内 咲「あううう…そろそろお店開いちゃうよぉ」 咲「…けど、緊張して、尿意が…」 咲「早く済ませなきゃ…」アセアセ 1分前 デパート裏口非常用ドア前 照「…ふん。所詮田舎のデパートか。見た目は立派でも、開店直前に入口に誰も居ないとは…」 照「第一、見窄らし過ぎる。設計者の神経を疑うな」 照「ふん。これだから田舎は嫌なんだ」 デパート、開店 照「京ちゃん、カッコよくなったね」京太郎「えっ!?」 真ルート デパート地下一階 タコス屋 店員「いらっしゃいませー」 優希「一番乗りだじぇー!」 京太郎「だから走るなって…おっ!マジで美味そうな匂い!」 優希「これは久々の大ヒットな予感がするじょ」 京太郎「メニューも色々あんな。ビーフにポーク、チキン、ラム、シーフード…豆、ミックス…etc.すげー…」 優希「素晴らしい!」 京太郎「テイクアウトもあるみたいだけど…」 優希「この場で食う!そしてお代わりも有りだよな?」 京太郎「…ま、いいんじゃないか?」 優希「うっは~♪」 優希「はむっ!はふはふ!」ムシャムシャ 京太郎「おっ!こりゃやべえ!超美味い!」ムシャムシャ 優希「ふふふふ。来て良かっただろー?」ムシャムシャ 京太郎「おう!」ムシャムシャ 同時刻 デパート一階 咲「地下一階、地下一階…あうう。地下への階段どこぉ?」ウロウロ もいっこ同時刻 同一階 照「まさかあれが非常口だったとは…。流石長野、わざわざ都会人向けに陰湿なトラップを用意してくれるじゃないか…」トボトボ 照「どれどれ…案内板によると、フードコーナーは地下一階か。…さっきエスカレーターを見たな」 咲「とにかく、早くエスカレーターでも、階段でも、エレベーターでもいいから、見つけなきゃ…」チョロチョロ 照「確か、あっちの方に…いや、こっちだったか…」キョロキョロ 咲「どこかなぁ…」ウロウロ 照「…む?ここはさっき見たぞ?おかしい。おのれ長野。デパート内に狐を飼って、客を惑わしてでもいるのか」グルグル 咲「あうっ!?」ドンッ 照「うわっ!?」ドンッ 咲「」ペタン 照「」ペタン 咲「いたたたた…」ジンジン 照「む…う…」サスサス 咲「あうう…誰かにぶつかっちゃった?」 照「くぅ…私とした事が、他者に迷惑をかけようとは…」 咲「はっ!あ、あのっ!すみません!私、余所見してて!お怪我ありませんか!?」ガバッ 照「む?いや、こちらこそ済まなかった。私も他の事に気を取られていてな。そちらこそお怪我は無いだ…」ムクッ 咲「えっ?」 照「ろ…う…?」 咲「…お、お姉ちゃん…?」 照「か…」 咲「え…?嘘…?な、なんでお姉ちゃんが長野に…」 照井「さ、咲!?なんで貴様がここに…」 咲「そんな…なんで…ただでさえ京ちゃんの事で大変なのに、こんなところでお姉ちゃんにまで会うだなんて…」フラフラ 照「むっ!京ちゃん!?」 咲「…私どうしたらいいのぉ…もう分けわかんないよぉ…」 照「おい咲!京ちゃんが大変とはどういう事だ!?答えろ!」 咲「…」 照「…」 咲「…ねえ、お姉ちゃん?」 照「なんだ?」 咲「…地下一階への階段…知らない?」 照「…一緒に探そうか」 地下一階 タコス屋店内 優希「ふい。ポークタコス。ご馳走様だじぇ」 京太郎「お前すげーなぁ。これでビーフとチキンとポーク完食か」 優希「こんな遠くまでなんて、滅多に来れんからな!目標は全メニュー制覇だじぇ!」 京太郎「マジか…」 優希「次はラムタコスだじぇ!京太郎はいいのか?」 京太郎「俺は今食ってる一個でいいかな…これ、ボリュームあるし。あとはコーヒー飲んでるわ」 優希「むう。そうか…」 京太郎「ラムタコスだったな?コーヒー頼むついでに頼んできてやるよ。待ってな」ガタッ 優希「おう!すまん!」 タコス屋前前 ザッ 咲「や、やっと着いた…」 照「ここに…ここに京ちゃんが…」ジーン 咲「…」ソワソワ 照「…」ウロウロ 咲「…」モゾモゾ 照「…」クルクル 咲「…ね、ねえお姉ちゃん」モジモジ 照「…な、なんだ?咲」キョロキョロ 咲「…行かないの?」 照「…お、お前こそ」 咲「…こ、怖いよ…」 照「…ふ、ふん。この臆病者め。情けない…」 咲「…」 照「相変わらずだな貴様は…方向音痴だし、鈍臭いし、泣き虫だし…」 咲「…」 照「ああ。格好悪い。情けない。無様だ。いっそ見ていて憐れだぞ」 咲「…お姉ちゃんだって迷子になりかけてた癖に」ボソッ 照「なにぃ!?」 咲「…」 照「おい、咲!貴様、姉に向かってなんだその口の利き方は!」 咲「ふんっ!お姉ちゃんに妹は居ないんじゃなかったの!?私にもお姉ちゃんなんか居ませんから!」 照「こいつ…!」 咲「べー!っだ!!」 照「あ、アッカンベー…だと!?この私に!?このちんちくりんが!」 咲「お姉ちゃんの方こそ、高3にもなってスタイルこっちに居る頃とあんまり変わってないじゃない!」 照「馬鹿を言うな!胸だって大きくなっているわ!その…3センチくらい」 咲「中学から3センチ!?」 照「う、五月蝿い五月蝿い!黙れこの無礼者!貴様に私を笑う権利など無いぞ!」 咲「なにさ!」 照「どうせ貴様も私と同じ宿命を負った、同孔の狢に過ぎんと言っている!」カッ! 咲「っ!」ビクッ 照「牢記しておくが良い!二年後、貴様が今吐いた言葉が、今度は貴様の喉を食い破らんと牙を剥くのだ!」 咲「くっ…」 照「ふはははは!己が言葉に羽根を切り裂かれる無様な貴様の姿が目に浮かぶわ!楽しみにさせて貰う!」 咲「ちゃ、ちゃんと牛乳、毎日飲んでるもん!」 照「甘い!それも既に私が通った道よ!」 咲「ううううー…」 照「諦めろ!運命とは…決して逆らえぬ、大河のうねりにも似たものよ!」 咲「あう…」ガクリ ※日本人は牛乳の吸収効率が悪いので、小魚等でカルシウムを採りましょう。また、同時に鉄分も 京太郎「すいませーん。追加注文したいんですけど…」 咲照「「!?」」 ヒュッ 京太郎「…ん?今、どっかで聞いた事有る声が聞こえたような…」キョロキョロ 店員「お客様ー?どうかされました?」 京太郎「…ああ、すみません。えっと、ラムタコスと、コーヒーを…」 店員「お待たせ致しました。はい、どうぞ」スッ 京太郎「ありがとうございます」 京太郎「さって、と。優希のとこに戻るか」スタスタ 照「…何故隠れた。臆病者」コソコソ 咲「…お姉ちゃんこそ」コソコソ 照「…」 咲「…」 照「…京ちゃんは…行ったな」 咲「…うん」 照「…よし咲。まずは説明しろ。一体何故今日、京ちゃんが長野駅くんだりまで来ている。お前は何故京ちゃんと一緒じゃない?」 照「いや、そもそもお前は何故京ちゃんに気付かれる事を恐れている?京ちゃんのことで大変…とはどういう事だ?」 照「…納得のいく説明をして貰おう」 咲「…うん。わかった。…私もお姉ちゃんに聞きたい事いっぱいあるけど、取り敢えずは時間がないから…」 咲「…まずは、お店に入ろっか」 照「ふう…いい席を取れたな」コトン 照「多少姿の確認はし辛いが、ここなら見つかる可能性は低そうだし、会話の聞き取りも容易だしな。それに延長上にトイレや注文カウンターが無いのも大きい」 咲「…」 照「さあ、咲。そろそろ事情を説明して貰えないだろうか」 咲「…うん。わかった」 咲「…ねえ、お姉ちゃん。京ちゃんの席の向かい側に…女の子がいるの、わかるでしょ?」 照「…え?」 咲「…あの子、ね。片岡優希ちゃんって言うんだけど…私の麻雀部の友達でね?」 照「な…な、なななななな…」ガクガクガク 咲「…タコスが好きで…京ちゃんと仲が良くて…それで、最近調子が悪いからって、2人で気分転換に新しく出来たタコス屋…ここなんだけど、に遊びに行こうってなって…」 照「あ、あわわわわわ…」 照「…そ、それって、デートじゃないか!」 咲「うん…それで、私も居ても立ってもいられなくて…思わずこっそり様子を見に来ちゃって…だから、私はあの2人にばれたら凄く都合が悪いから…」 照「ば…馬鹿な…そんな…!嘘だ…!」 ブルブルブル 咲「嘘だったらどんなに良かったか…」ハァ 照「…ど、どんな奴なんだ?その、なんとか優希って奴は・・・」 先「明るくて、優しいいい子だよ。それに…見てみれば分かるけど、凄く可愛い子…見てみたら分かると思うけど」 照「ほ、本当だ…遠目からだけど、確かに可愛い」 照「…はは。私では、とても太刀打ち、出来ん…な…」ガクリ 咲「やっぱりお姉ちゃんも、そう思う?」ガクリ 照「…ああ。成りは小さいが、アイドル級の容姿じゃないか…」 咲「だよね…私達姉妹みたいな地味な子じゃ、太刀打ち出来ないよね…」 照「ううう…」ジワッ 咲「ううー…」クスン 京太郎「どーだ?優希。ラムタコスは」 優希「うむ!独特の風味の柔らかいラム肉がタコスのスパイシーなソースに不思議なほどマッチして、それをシャキシャキの野菜が引き締め、香ばしいトルティーヤが全てを包み込んで調和させてるじょ!」 京太郎「そ、そうか。美味いか…」 優希「私は今、最高に幸せだじょ~…」 京太郎「ははは…」 優希「京太郎。お前も一口食うか?」 京太郎「お?いいのか?」 優希「勿論だじぇ。メニュー制覇の道はまだまだ長いしのう」 京太郎「んじゃ、お言葉に甘えて」パクッ 京太郎「うん!美味い!」モグモグ 優希「えひひ~。だろだろ~?」パクッ 照「…」 咲「…」 照「…なあ、咲。アイツ、殺していいか?」ニコッ 咲「だ、駄目だよう!」ビクッ 照「ぎぎぎぎぎ!!な、なんだアイツ!!さり気なく京ちゃんにあ~んしやがって!」ギリギリギリ 照「し、しかも!間接キスだと!?まだ付き合ってもいないのに、なんて破廉恥な!なんだあのサノバビッチ(意味分かってない)!!」ワナワナワナ 咲「…」←昨日の朝こっそり間接キスした人 照「や、やはり許せん…!あんな変態女、京ちゃんには相応しくあるまい!引導を渡してくれる!」 咲「だ、だから駄目だよ!それに京ちゃんの目の前で優希ちゃんに悪さしたら、お姉ちゃんまで嫌われちゃうからね!」 照「ぐおぉお!?あ、あのタコス女め!そこまで計算済みとでも言うのか!」 照「なんという恐ろしい相手だ…!」 咲「いやいやいや。…あ、でも」 照「なんだ!」 咲「優希ちゃん、大会では先鋒務めてる…」 照「よし、団体戦頑張れ咲。勝ち進めばどこかで当たろう?清澄とは良い試合が出来そうだ」 咲「お姉ちゃん顔怖いよ!?」 優希「ふう。ご馳走様!ラムタコス完食だじぇ!」 京太郎「お粗末さん。次は何食べる?」 優希「シーフード!…けど、その前にちょっとお花を摘みに行ってくるじょ」 京太郎「ん?そうか?なら、俺はこのまま待ってるぜ」 優希「すぐ戻るっ!」ガタッ 京太郎「行ってらー」 京太郎「…」 京太郎「…コーヒーも地味にうまいなここ」ズズズ 照「…小娘が席を外した。…どうした?」 咲「…」モジモジ 照「…咲?」 咲「ご、ごめん、お姉ちゃん。私ちょっとおトイレに…」 照「ああ。行って来い」 咲「行ってきます…」ガタッ 照「ん」 照「…」 照「…」チラッ 京太郎「」ボケーッ 照「…今なら、京ちゃん一人だけか…」 照「…」ガタッ 照「…」スチャッ 照「…」ガタッ 照「…」スチャッ 照「うう…」ソワソワ 照「くっ…やっぱり…怖い…」 照「ねえ京ちゃん。京ちゃんは、私みたいな地味な女、覚えてくれてる?」 照「…忘れられてたりしたらどうしよう」 照「嫌そうな顔されたりしたら、どうしよう…」ジワッ 照「露骨に他人行儀な態度取られたりしたら…」 照「…だが、こうして悩んでいる間にも、時間は過ぎて行く…」 照「さっさと覚悟を決めろ!宮永照!さっきの小娘が戻って来ては、尚更声をかけにくくなるぞ!」 照「…ぐううう…!」 照「ううううう~っ!」 照「…ええいっ!南無三!」ガタッ 京太郎「ふぁ~あ。今日も早起きしたから、ちょっと眠みーや…」ゴシゴシ 「あの…京ちゃん」 京太郎「…優希が戻って来るまで、ちょっと寝ておこうかな…」 「京ちゃん…」 京太郎「…コーヒーって、あんま眠気覚ましになんねーのかな?」 「京ちゃんっ!」 京太郎「…ん?」クルッ 照「ああ…良かった。…気付いてくれた」ホッ 京太郎「……」ポカーーン 照「……」モジ… 京太郎「…」 照「…えへへ」 京太郎「…あれ」 照「…ひ…ひさし…ぶり…」 京太郎「………もしかし、て」 照「私のこと…お、覚えて…る?」 京太郎「…」 照「…」 京太郎「…照ちゃん?」 照「………ふふふ」 照「京ちゃーん?何度も言うけど、私は君の2つもお姉さんなんだぞ?尊敬の念を込めて『照さん』と呼ぶように」 照「…ふふふっ。なんてね。…うん。照だよ。大きくなったね。…けど、一目でわかった」 照「会いたかったよ。京ちゃん」 京太郎「照ちゃん…」 照「…ふ…ふふふ…懐かしいなぁ…そうやっていつも君は、私がどんなに訂正しようとしても『さん』付けしてくれないんだ。ああ…やっぱり京ちゃんだなぁ。変わってないなぁ…」 照「うう…」ジワッ 照「本当に…グスッ…懐かしいなぁ…」 京太郎「懐かしいって…そりゃあ俺の台詞だよ。今までどこに居たんだよ。急に居なくなって、連絡取ろうにも連絡先もさっぱりわからないし…」 京太郎「今、確か高校3年生だっけ?どこの高校なんだよ。長野駅で会ったって事は、この辺の学校なのか?」 照「ん。ああ…そっか。そうだよね」 京太郎「?」 照「その件に関しては、ごめんね。ちょっと込み合った事情が有って…引っ越したんだ。今は東京の高校に通ってる」 京太郎「そうだったのかよ」 照「だから、長野で会えたって言うのは、結構偶然…いや、半分くらい偶然…かな」 京太郎「半分?」 照(…実は、ね。京ちゃんに会いたいから、わざわざ東京から京ちゃんの家まで行く途中だったんだよ?) 照「…ん。なんでもない」 京太郎「…ん?あ、そう?」 照(…ふふ。そんな事、言える訳無い、よな…) 京太郎「いや~。それにしても、びっくりしたなー。まさかこんなとこで照ちゃんに会うなんて…」 照「うん。うん。私もびっくりだよ…」 京太郎「最初一目見たときは、一瞬誰かと思ったよ」 照「え?」 京太郎「だってさー。照ちゃんって、昔から背高くて結構美人だったじゃん?」 照「えっ!?」 京太郎「けど、やっぱ高校3年生にまでなると違うね。前よりずっと美人になった…気がする。なんつーの?大人っぽくなったっつーか」 照「えっ!?あっ?えっ!?なっ…」オロオロ 京太郎「ははは。そうやっておだてられるとすーぐアワアワしちゃうとこは昔のまんまだな!」 照「こ、こら京ちゃん、年上をからかうな!それに私の事は照『さん』!照さん!!と呼びなさい!怒るよ!」 京太郎「ごめんなさーい。照『ちゃん』!」 照「もうっ!直ってない!」 京太郎「あははは!」 照「…ふふ。まったく…京ちゃんめ」 照(…まったく、悪ガキめ。そうやってすぐ調子に乗って人の事からかって…いつまで昔のノリを持ち出すんだ。私達はもう高校生なんだぞ?分かっているのか君は…) 照(…でも、お陰で昔の事、ちょっと思い出せた) 照(長野にあまり良い思いでは無いけど…けど…楽しかった思い出も、長野にはいっぱい有ったんだよね。そうだろう?京ちゃん…) 照「…」 京太郎「…照ちゃん?」 照(…ちょっと仕返ししてやれ。私だって向こうでちょっと…いや、かなり成長したんだ。君を手玉に取るくらい訳無いんだぞってところ見せてやる) 照「…けど、さ」 京太郎「ん?」 照「そういう京ちゃんの方こそ、かなり変わったと私は思うよ」 京太郎「そう?」 照「うん。まず…」 照「…背は、沢山伸びたね」 照(昔は私より小さかったのに、今は頭一つ分くらい追い越されちゃった…) 京太郎「まあね。中3で一気に伸びたんだ。昔は照ちゃん見上げてたのに、今じゃ見下ろしてるんだもんな。なんか不思議な感じ」 照(優しそうな風貌は、ちっとも変わらないね) 照「筋肉も付いた?」 京太郎「まあ、そこそこかな。クラスでも運動は結構出来るほうだし」 照(胸板も厚くなって…男の子らしくなった) 照「…それに表情もちょっとキリッとして」 京太郎「ふふん。まあね?」 照「…男らしくなった」 京太郎「…えっ!?」 照(うん。やっぱりだ。君は私の思い描いてた通り) 照「…」ジーッ 京太郎「えと…照ちゃん?」 照「…」ジーッ 照(いや、それ以上に…) 京太郎「おーい、照ちゃーん?」 照「」ゴクリ 照(い、言うか言わまいか…) 照(…京ちゃん、カッコよくなったね) 照「…」モジモジ 照(け、けど、こんな事言ったら…なんか、告白みたいだし…その…) 京太郎「…あの……照、さん?」 照(…よし。この際だ、言おう。私は勇気を出すと決めたのだ) 照「…あ、あのね?京ちゃん」キッ 京太郎「おっと、どうした?照ちゃん」 照「えーっと、ね?」 京太郎「うん?」 照「きょ、きょきょきょきょ京ちゃん、さ」 京太郎「うん」 照「えーっと、ね?その…ね?」 京太郎「うん」 照「ひゃっ!ひょよひゅなっひゃ…」 京太郎「…うん?」 照「…」 照(…噛んだ) 照「…コホン」 京太郎「…」 京太郎(相変わらず良く噛むなー照ちゃん) 照「…京ちゃん、カッ「おっ待たせだじょー!!京太郎ー!!」ね」 照「…」 京太郎「おっ。優希。お帰り」 優希「うむっ!いやあ、なんか混んでて時間かかっちゃったじょ…って、おりょ?こちらのお姉さんどちら様だじょ?」 照「…」 照「」ズーーーーーーン 京太郎「ああ。この子、俺の古い友達の照ちゃん。昔よく遊んで貰ってたんだけど、しばらく疎遠になっててよ。お前がトイレ行ってる間に偶然再開したんだ」 優希「ほー。そうなのか。私は片岡優希だじょ!よろしく、照ちゃん!」 照「…」 優希「おりょ?返事が無い…っていうか、なんかあっちの世界へ行っちゃってるじぇ。大丈夫かや?」 京太郎「おいおい、優希。これでも照ちゃん、今年高3で俺らの2個上だぞ?ちゃんと尊称付けろよ。さんとか、先輩とか」 優希「なにー?そうだったのか!道理で大人っぽい人だと思ったじぇ!すみませんでしたじょ。照さん!」 照「」 京太郎「ん。よしよし。それでいい」 優希「…って言うか、お前はなんでちゃん付けなんだじょ!先輩のこと舐めてるのかー!?」 京太郎「俺は良いんだよ。付き合い長いから」 優希「そりゃあ不公平だじょー!いいか?親しき仲にも礼儀有りと言ってな?どんなに仲良しの人でも、調子に乗って接してると愛想尽かされちゃうんだじぇ」 京太郎「俺はその言葉をお前にそっくりそのままお返ししてやるよ。いや、マジで」 優希「…はぁ~ん?何が言いたいんだじぇ!?」 京太郎「お前のそのえぐれ胸に聞いてみろ!」 優希「何を~!?このっ!犬の癖にご主人様に歯向かうとは何事だじぇ!!」ギューッ 京太郎「いててて!こら優希!顔抓んな…」 照「」 優希「くのくの」ゲシゲシ 京太郎「あー。こら優希、いい加減に…ああ。もういいや。ところで照ちゃん?」 照「はっ!な、なんだ!?京ちゃん!」 京太郎「えーっと、照ちゃんは、もうタコス食った?何にも持ってないみたいだけど…」 照「…うん?なんでそんな事聞くの?」 京太郎「いやぁ。良かったら、積もる話も有るし、ちょっと話したいなーって。まだ食べて無かったら、一緒のテーブルで食べない?」 照「え…でも…二人の邪魔じゃない…か?」チラッ 優希「ん。おお、そりゃあ良いじぇ!私も照さんとお話してみたいじょ!ねーねー。一緒に食べよー?」 照「え…あ…う…」 京太郎「もしかしてもう食べ終わったところ?」 照「…」 照(…咲と座った席にラムタコス置いたまんま…) 照「…あー…」 照「…いや。まだ何も食べてない……」 照(…許せ、咲) 優希「じゃあ決まりだじぇー!ね!ね!照さんはどれ食べる?私は次シーフードにするじょ!」 照「あ。じゃあ、私はこのスパイシーソーセージミックスに…」 京太郎「オッケー。じゃあ、俺二人の分頼んで来るよ」ガタッ 照「…」 優希「うっきうっき~♪照さん、知ってる?ここのタコスすっごい美味しいんだじぇ~」 照「…あ、ああ…そう…か」 優希「そうなんだじぇ~」 照「ふ…ふーん…」 照(…気まずい) 優希「…私タコス好きでなー。清澄も、学食にタコスがあるから入学することにして~…」 照「…あ、ちょ、ちょっとスマン!」ガタッ 優希「おりょ?」 照「ちょ、ちょっとトイレ…」ソソクサ 優希「いってらっしゃ~い」 照(とりあえず、事情だけは説明しておかないと…)スタスタ 照「…あれ。まだ帰ってきていない」 照「あいつめ…また迷ってるのか」 照「…仕方ない。事情を説明した断り書きだけはメモ紙に書いて置いておくか」 照「」カキカキ 照「…よし」 照「…あんまり待たせてもいかんよな。早く戻ろう」スタスタスタ 2分後 咲「ただいまー。ちょっと迷っちゃった」スタスタ 咲「…あれ?お姉ちゃん?」キョトン 咲「入れ違いにおトイレ行っちゃったのかな…って、あれ?なんかメモ紙がある…」 『咲へ。すまん、諸事情があって京ちゃん達と食事を摂ることになった。牽いては新しいタコスを注文する事になったので、私の分のラムタコスはお前が食べて良いぞ』 咲「…」 咲「」チラッ 京太郎「お待たせー。二人ともー」 優希「おー!待ちわびてたじょ~!」 照「ありがとう、京ちゃん」 京太郎「どういたしまして。俺もなんかもう一個食いたくなったから頼んじまった」 優希「おう!お前もだんだんタコスの魅力に嵌ってきたか?」 京太郎「いや、別に…」 優希「まあ、素直じゃないわ!」 照「ふふふ。さあ。食べよう。美味しそうだ」 京太郎「そうだね。いただきます」 照「いただきます」 優希「いっただっきまーす!」 咲「…」チラッ 冷えたラムタコス×2 咲「…」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 咲「…え?」 咲「…は?」 咲「…」チラッ 優希「ねーねー照さんー!この後何か用事あるー?」 照「い、いや…別に大した用事は無いが…」 優希「じゃあじゃあ、私達と一緒に遊びに行こうじぇ!」 照「は?」 優希「お姉さん良い人っぽいし、もっと仲良くなりたいじょ!」 照「けど…」 京太郎「ああ、いいねぇ。優希ナイスアイディア!久しぶりに一緒に遊ぼうぜ?」 照「い、いいの…?」 京太郎「もちろん!」 優希「だじぇ!」 照「…じゃあ」 優希「よーし!なら、これ食べ終わったらゲーセン行くじょ!!」 京太郎「さんせーい」 優希「照さんゲーセン経験は有りか?」 照「うん。たまに後輩に付き合ってUFOキャッチャーするぐらいかな…あんまり上手じゃないけど」 優希「よっしゃ!なら京太郎!私達の腕を見せてやるじぇ!きっと照さんビックリするじょ!」 京太郎「よし来たー!」 照「…ふふふ。期待してるよ」 咲「…何これ」 その頃の白糸台 尭深「もぐもぐ」 誠子「あれ?尭深、何食べてるの?」 尭深「…ノドグロの干物。部室のコンロで焼いた」 誠子「道理で魚臭いと…って、あー。例の宮永先輩のお土産か。なんで東京駅行ってわざわざこんな変なもん土産にしたんだかあの人は。これで嫌がらせじゃなくて善意100%ってのが恐ろしい」 尭深「…初めて食べた」 誠子「だよなぁ…ってか、アンタもこんなのよくすぐ食う気になったな。あれか?もったいない精神ってやつか?」 尭深「そのつもりだったけど…」 誠子「お前、ほんと良い奴だなぁ…華の女子高生に見た事も聞いた事も無い変な魚の干物って…一応私も寮の冷蔵庫に入れてるけどさぁ」 尭深「…正直、めっちゃうまい」 誠子「あん?」 尭深「…あーん」ヒョイ 誠子「」パクッ 誠子「…もぐもぐ」 誠子「…うまっ!!?」 尭深「…ね?」 誠子「…うわっ。何コレマジヤバ。ちょっと、私も寮戻って持ってくる!」 尭深「ついでにご飯が欲しい」 誠子「心得た。10分で戻る!!」ダッ 尭深「…なんだかんだ、やっぱあの人は間違えない」 尭深「…かも」 尭深「…だったらいいな」 尭深「…ま、ちょっとは覚悟してる」 173 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[saga] 投稿日:2012/06/20(水) 02 02 33.12 ID jZIJXaJ1o 淡「ふいー…おはようございますぅ~…」トボトボ 菫「おはよう。どうした?淡。そんな疲れた顔して」 淡「いや…なんか、昨日宮永先輩にキャラメル貰った後なんですけど…」 菫「おう」 淡「普通に練習してたら、よくもあんな悪夢を見せてくれたなぁあああ!!っていきなり走ってきて」 菫「…おう」 淡「…コークスクリューきっちり食らいました」 菫「…淡。今日の帰りラーメン食いに行かないか?奢ってやろう」ホロリ 淡「ゴチです。私いつものトンコツラーメン屋がいいです。味玉も食べれたら立ち直れるかもしれません」 菫「わかったわかった。…というか、さすがに横暴すぎるな。しかも昨日一昨日と半休しておいて、今日は完全に休むと言ってきた。そろそろ叱っておこうか」 淡「まあ、いいんじゃないですか?普段なら毎日誰よりも早く来て、誰よりも遅くまで練習してるのは他ならぬ宮永先輩ですし。部活が休みの日も普段は絶対って言って良いくらい練習してますし」 菫「だが…」 淡「なんだかんだ言っても私達一年生にもきっちり指導してくれますし、厳しいけど、悪い先輩だとは口が裂けても言えません。あの人はやっぱり、エースですよ」 菫「…淡?」 淡「そりゃあ普段はボケボケで横暴なところも結構ありますけどね。それくらい抜けたところが無いと、逆に完璧超人過ぎて近寄りがたいです」 菫「…」 淡「コークスクリューだって、見た目は派手ですけど、思ったよりダメージ低いって言うか…あの人運動音痴で非力ですし?あれくらい、別にどうってことありませんよ。だからそう怒らないであげてください」 菫「…おい。淡」 淡「…はい?」 菫「何で懐柔された」 淡「…コークスクリューの後、東京プリンを箱で貰っちゃいましたんで♪」 菫「安いなぁ~。お前…」ハァ 淡「何言ってるんですか!東京プリンですよ!?世界最強のおやつプリン!その中でも私的にかなりグレードの高い奴です!!滅多に買えないし!!」 菫「あー。わかったわかった。お前、本当、照の後継者だよ色んな意味で」 淡「むきー!なんですかその言い草!!なには無くともその『いろんな意味で』だけは訂正してもらいます!!」 菫「はいはい。じゃあ今回はお前の顔と東京プリンに免じて不問だ不問」 淡「やった~!宮永先輩に貸しが出来たー!」 菫「いい性格してるよお前…」 淡「えへへ」 菫「…さて。それじゃあそろそろ練習に…ん?どうした?淡。そんな嬉しそうな顔して」 淡「くふふ…。いえ。大したことじゃ無いんですけど…ね?やっぱ、あの人にもたまにはお休みくらい取って貰わないと」 菫「…?」 淡「…たまにはお休みして貰わないと、あの人との差を一気に詰められないじゃないですか。…ね?」 淡「くふふふふ♪」 菫「…はっ」 菫「頼りにしてるよ。大将」 淡「はいっ♪」 タコスを食べ終わった3人は外に移動しました ゲーセン前 優希「着いたじぇ!ゲーセン!!」 京太郎「おう。流石長野駅だ。俺らの地元に比べて都会だなぁ。ゲーセンもでっけえ」 照「そ、そう…か、な?」モジモジ 京太郎「そうかな…って、俺らの地元にこんだけの規模のゲーセン無いよ?カラオケとボーリングが複合してるなんて、凄くないか?」 照「う…ん…まあ、確かにこんなに色々くっついてるのはあんまり無い…かな」モジモジ 優希「まあ、照さんは東京に住んでるんだもんな。この程度の規模のゲーセンいっぱい知ってるんのであろー」 京太郎「ああ、なるほどね」 照「な、なんかごめんね。いきなり盛り下げるようなこと言っちゃって…」シュン 京太郎「いやいや。気にすんなよ照ちゃん」 優希「うむ!それに、照さんあんまりゲーセン行かないんだろ?だったらここでも十分楽しめるじょ!」 照「ありがとう…ごめん…」 京太郎「そんなかしこまるなよ照ちゃん。照ちゃんが一番年上なんだぜ?」 照「あ…う…」モジモジ 優希「こら!京太郎!」ペチッ 京太郎「いてっ!何すんだよ優希!」 優希「女性に年齢の話をするとは何事だ!だからお前はアホ何だじぇ!」 京太郎「うぐぐぐ…」 照「あ、いや、私は気にしてないから…」オロオロ 優希「だめだじょ照さん!コイツはそうやって許してくとどんどん付け上がるタイプだじょ。いいか?犬のしつけは初めが肝心で…」 京太郎「俺は人間だ!!」 優希「ほら、これは駄目な例だじょ。甘やかした犬は自分のことを人間だと思い込んでしまうのだ。飼い主も犬も不幸になるパターンだじょ…なんとかこの関係を改善せねば」 京太郎「ぐぬぬぬぬぬ…ああ言えばこう言うタコスめ…」 優希「タコスを悪口の意味で使うでない!」ゲシッ 京太郎「痛いです!」 照「ぷっ…」 優希「っ!」 京太郎「!」 照「あははははは!」 優希「照さん…」 照「あはははははは!なにやってるんだ二人とも。子供みたいな喧嘩して。あはははは」 京太郎「はは…やっと笑ったか」 優希「よかったじょ」 照「ふふふふ…さあ、二人とも。いつまでもこんな往来で遊んでいてもキリがない。それにちょっと恥ずかしいしね。中に入ろうか」 京太郎「了解!」ダッ 優希「了解!」ダッ 照「ふふふふふ…そんなに走らないでもいいのに。子供みたいだ」スタスタ 咲「…」 咲「…」スタスタ ゲーセン内 京太郎「おおー!」 優希「すっげーじょー…」 照「本当だ。ゲームセンターって、こんなに活気があるんだね…」 優希「よっしゃ、それじゃあ、まず何するじょ!?照さん!」 照「えっ?」 京太郎「そうだな。折角だし、照ちゃんがやりたいやつを最初にやろーぜ」 照「そんな…悪いよ」 優希「何言ってるじょ!今回の主賓は照さんだじょ?一番最初のを決めるくらい、いいでしょー?」 京太郎「そうだな。あんまりゲーセン来ることも無いんだろ?だったら、楽しまなきゃ!」 照「けど…そもそも私、どんなのが有るのかさえ…よく知らないし」 優希「適当でいいから!」 京太郎「な!な!?」 照「う…そ、それじゃあ…」キョロキョロ 照「…じゃあ、あれやってみたい」スッ 優希「おお、あれは」 京太郎「なんだ?あれ」 優希「流石照さん。お目が高い」 照「え?」 照(えっ?そうなの?よくわからないから適当に指さしてみただけなのに…) 優希「なんだ。京太郎も知らんのか?あれ」 京太郎「わっかんねー。全てがわかんねー」 優希「あれはな、最近流行りの趣向を凝らした最新麻雀ゲームだじょ」 照「えっ?麻雀ゲーム?」 照(そんなのもあったんだ…) 京太郎「へー。結構面白そうだな。…だ、そうだけどどうする?照ちゃん」 照「…うん。そうだね。やってみようかな…」 照(…麻雀ゲームなら、いいとこ見せれるかも) 咲「…」コソコソ 照「…なんだこれ」 照(い、いっぱいボタンが有って、よくわからない…) 京太郎「うげ…なんだこりゃ。なんで麻雀ゲームなのにこんないくつもボタンがあるんだよ…それに、一番の謎はこのサンドバックだ。訳わっかんねー。全てがわかんねー…」 優希「うむ。これがこのゲームのハードなトコだじょ」 照「ハード?」 優希「そうなんだじぇ。この麻雀ゲームはな。まず最初にこのサンドバックをぶん殴って、それからこっちのいくつものボタンの中から正確なボタンを押して牌を捨てていかねばならんのだ」 照「…理由が分からない。どういう理屈?」 京太郎「わっかんねー。理由がさっぱりわかんねー」 優希「だと思ったじぇ。それを理解するためには、まずはこのゲームのストーリーを説明せねばなるまい」 照「ストーリー?」 京太郎「麻雀ゲームなのにんなもん有るのか」 優希「うむ。実はこれ、続編ものでな。私は前作で結構ハマったので知っているのだが…」 優希「これ、前作はいくつも有る高校の中の一つからチームを選んで、全国大会での優勝を目指すゲームだったんだじょ」 照「へえ」 京太郎「おお。なんかそれっぽい!」 優希「で、このゲームはその流れを汲んだ正当な続編だったのだが…冒頭のストーリーって言うのが存在するんだじぇ」 照「うん」 京太郎「どんなのだ?」 優希「見事全国大会を優勝した主人公の高校。しかし喜びも束の間、凱旋する主人公たちを待ち受けていたのは宇宙からの侵略者だった!」 照京太郎「「…はい?」」 優希「地球をかけた闘牌に数多の少女が傷付き倒れていく。…あ、前作は女子の大会が舞台だったんだじぇ。…その圧倒的な戦力差に、世界は絶望の淵に追いやられていった…」 照「訳がわからない。全てがわからない」 京太郎「俺もです。はい」 優希「だがその時一人の少年が立ち上がった!その名は○○○。…あ、主人公の名前は自由に付けれるじょ。面白そうだから以下京太郎な」 京太郎「おい」 優希「前作主人公の無念を果たすため、少女たちの仇を討つため。京太郎は単身、怪異ひしめく戦場へ乗り込んでいくのだった……」 優希「…っと、そこから第一ステージ開始なー」 京太郎「…で、それとなんでこの俺の身長よりでっかいサンドバックと阿呆みたいに沢山のボタンが必要になってくるんだよ」 優希「うむ。このサンドバックはな。敵のATフィールドだじぇ」 京太郎「わっかんねー以下略」 優希「敵は謎の宇宙勢力。そして闘牌方法は宇宙麻雀。敵の常套手段は、まず対戦相手の目の前にバリアを張って、牌に触れさせないことだったんだじぇ…」 優希「このサンドバックは、そのバリアを見立てたものだ。つまり、まずはこのバリアをぶん殴って破壊する」 照「取り敢えず、企画者の頭が宇宙レベルなのは分かった。じゃあ、この七色に輝くボタンは?」 優希「このボタンは、中和装置だじぇ…」 京太郎「なんでそこで中和という言葉が出るのかわっかん以下略」 優希「宇宙牌には幾つもの人体に有害な物質が素材として使われていて、牌に触るにはそれぞれを中和する7つのボタンでその物質を無害化しなくてはいけないのだ」 優希「これらの物質の中和方法を発見、技術化するまでに幾人もの若き闘牌少女達が犠牲になったんだじぇ…それは、今作主人公の恋人も…」 照「無駄にハードな設定」 京太郎「なんでそこまでして宇宙にこだわった」 優希「で、バリアの破壊と有害物質の中和を一巡毎にやってって、最終的に相手を飛ばした方の勝ちだじょ。ちなみに持ち時間有り」 優希「参考: 180」 京太郎「それ、もう麻雀ゲームの域を超えてるよな。どっちかって言うと、東京フレンドパーク的なノリだよな。もう」 照「自信がなくなってきた」 京太郎「前作やってるなら、お前ならいいとこいけるんじゃないか?優希」←自分じゃもういけると思ってない 優希「…実は前作は何度も全クリしてるのだが、今作はまだラスボスまで行けた事無いんだじょ…」 京太郎「マジか」 照「…取り敢えず、やってみる」チャリーン 京太郎(照ちゃん、チャレンジャーだ…) 優希(お手並み拝見だじぇ) 『まずは敵のバリアを破れ!サンドバックにパンチだ! 合計 100kg で打ち破れるぞ!』 照「100kg!?」 優希「照さんガンバだじょ!」 京太郎「照ちゃんガンバー!」 照「く…っ!うおおおおお!!」ペチッ 『20kg!』 照『ええっ!?』 京太郎「よわっ!」 照「このっ!」ペチッペチッ 『23kg!25kg! 合計68kg!』 優希「もう少しだじょ!頑張れ照さん!」 照「はああああああ!!」ペチッペチッ 『24kg!26kg! バリアが破れた!急いで牌を掴め!』 照「ぜえぜえ…っ!」ダッ 照「えっと…この牌は…黄色だから、黄色いボタンを押して…」アタフタ 照「これだ!」ポチッ 照「はぁはぁ」 ポイッポイッポイッ 『君の番だ!さあバリアを破るんだ!合計100kg!』 照「もう!?」 優希「走れ!照さん!」 照「うわああああああ!!」ダッ 照「やあ!」ペチッ 『18kg!』 照「じゅっ…!」 優希「頑張れ照さん!」 照「ぐぬぬ…おりゃあああああ!!」ペチペチペチペチ 『21kg!24kg!22kg!26kg!バリアが破れた!走って戻れ!』 照「ひいいいい!」ダッ 照「ぜえぜえ…つ、次は…こ、この緑の牌を捨てて…」ヨロヨロ 照「はぁはぁ…」ポチッ ポイッポイッポイッ 『君の番だ!さあバリアを破るんだ!合計100kg!』 照「」 優希「照さん!」 京太郎「照ちゃん!」 照「ぜひ…ぜひ…」フラフラ 京太郎「…おい優希」 優希「…なんだじょ?京太郎」 照「はぁ…はぁ…」ペチ…ペチ… 京太郎「これ、無理だろ」 『14kg!12kg!』 優希「うーむ…私は3面までは結構楽に行けたんだがなぁ」 照「ふぅー…ふぅー…」ペチ……ペチ…… 京太郎「化け物かお前は」 『8kg!8kg!合計42kg!どうした時間が無いぞ!』 照「ふ…ふ…はぁ…はぁ…ちょ、まって…」ペチ… 『2kg!逆に凄いな!合計44kg!』 優希「ちなみにこのゲーム、ネットで全国のスコアが見れるのだが、一番最初にこれクリアしたのは奈良のゲーセンの人らしいじょ。次が岩手。次は南大阪で、ここがハイスコア。 京太郎「そこにどんなモンスターが…」 『しまった!あと10秒で時間切れだ!急ぐんだ!』 優希「…まあ、南大阪の人は相方に殴る専門の人付けて、しかもキックまで使わせたって問題になってたが」 照「ぜえ…ぜえ…」フラフラ 京太郎「あの照ちゃん見てたら、俺は殴る専門は有りだと思う」 『7!6!5!』 優希「うむ。難易度調整が難しいので、公式でも最近はそれが推奨されてるじょ」 照「も…ダメ…だ…」バタリ 『2!1!ゲームオーバー!!』 京太郎「それを先に言ええええええええ!!」 照「はあ…はあ…はあ…はあ…」グッタリ 優希「おおう、見ろ京太郎。照さん、汗びっしょりで頬を上気させ、ぐったりしてるじょ。なんて艶っぽい…」 京太郎「うわああああ!?ちょ、照ちゃん!大丈夫か!!」 照「わ、私は…負けたのか…麻雀で…」ズーーン 京太郎「認めねー!俺はアレを麻雀とは認めねーぞおおおおお!!」 優希「…ちょっと休憩するじょ」 咲「…」ボスッ 咲「…」チャリーン 咲「…」ボスッ 店員(あの子、さっきからずっと無言でパンチングマシーンやり続けてる…) 休憩後 京太郎「…大丈夫か?照ちゃん」 照「ああ。すまない京ちゃん…」 優希「はい、これジュースだじょ」 照「ありがとう…」プシュッ 照「こくこくこく…ぷはあ…」 京太郎「それにしても、ありゃちょっと酷すぎるな。どうにもなんねーだろ」 照「…」 優希「そうだなー。照さんの体力考えたら、麻雀以前の問題っぽいしな」 京太郎「じゃあ、他のやりに行こうぜ、次は…」 照「やだ」 京太郎「…照ちゃん?」 照「もう一回アレやる」 優希「照さん…」 照(…この私がゲームとはいえ麻雀であんな無様を晒すなんて…) 照「リベンジする。もう一回やる」 優希「おおう。なんという闘争心」 京太郎「けど、本当にやめといたほうがいいんじゃないか?下手したら怪我するぞ照ちゃん」 照「ううー…やだ。復讐する」 優希(意外に駄々っ子だじぇ…) 京太郎「照ちゃん」 照「やだ」 京太郎「…」 京太郎「…はあ。仕方ない」 照「…京ちゃん?」 京太郎「わかったよ。じゃあ、俺がサンドバック殴り代行務めるから。照ちゃんは麻雀の方に専念してよ」 照「!!」 京太郎「それくらい良いだろ?このまま照ちゃんに殴るの任せたら、どっかで手首でも捻りかねねーし」 優希「そーだな。よし、行け!京太郎!日頃の修行の成果を今こそ見せるんだじぇ!!」 照「きょ、京ちゃん…!ありがとう!!」パァア 京太郎「よっしゃ。頑張ろうぜ。照ちゃん」 照「うん!」 照(おいおいおいおい!ちょっと待ってよ!) 照(こ、これって…まさか…!!) 照(初めての共同作業っていうやつじゃないか!?) 照(いいところ見せたいいいところ見せたいいいところ見せたいいいところ見せたいいいところ見せたい頑張るぞ頑張るぞ頑張るぞ頑張るぞ頑張るぞ!!) 咲「…」ベシドガバキメキョ グチャッ メリメリ ブチッ グチョグチョ ゴリッ ドーン ウーワ!ウーワ!ウーワ! KO!Player Win PERFECT!! 数十分後 京太郎「ぜえ…ぜえ…つ、疲れた…」 優希「うおおおお!すっごいじぇー!照さん!」ガバッ 照「うわっ!?ゆ、優希…ちゃん?」 優希「パンチのスコアはともかく、麻雀の方で稼いだ得点と全クリ速度のスコアがなんと全国一位だじょ!」 照「え…」 照(そうなんだ…?デジタルはあんまり得意じゃないし、ボタン覚えるのにいっぱいいっぱいで何度かミスもしたんだけど…) 優希「私は鼻が高いじょ。今私は、全国一位の人とこんな間近でお話してるんだじぇ?それも友人として!まさかこんな所にこんな逸材が居ただとは…」 照「は、ははは…」 照(私が宮永照だって、もしかしてこの子気付いてないのか?…麻雀部なのに) 照(…まあ、周りにバレてあんまり騒ぎになったら遊べなくなって嫌だしな。それに私が宮永照だと気付かれたら、今みたいに接してくれなく成るかもしれないし。こっちの方がいいや) 照「そんな。たまたまだよ。間違えて牌を選んだ時に、考えてたよりも上手く手が進んだりもして、運が良かったんだ」 優希「ええー?そんな感じだったかな?」 照「そうそう。それより、大変だったのは京ちゃんだ。よく頑張ってくれたね。ありがとう」 優希「ん!そうだったな。まさかラスボスはバリア破壊に一巡1,000kgも必要だったとは…」 京太郎「ふふふふふ…最後の5巡くらいは…光が…見えた…身体が急に軽くなって、楽しくなってきて…負ける気がしなかったぜ…」フラフラ 照「ゾーンに入ってたのか…」 優希「こっちも地味に凄いことになってたんだな…」 照「まあ、兎に角だ。私はもう満足したよ。京ちゃんの息が整ったら、他のゲームをしよう。みんなは何をしたい?」 京太郎「エアホッケー…今なら誰にも負ける気がしねえ…休んでからと言わず、今行こう。すぐ行こう」ヨロヨロ 優希「おおっ!?生意気な台詞を吐きおって。ならば叩きのめしてくれる!行くじょ!照さん!」 照「ああ。そうだな。私も、今の弱ってる京ちゃんになら勝てる気がするよ」 優希「照さん&私VS京太郎だじょ!勝負!!」 京太郎「望むところだ!!」 咲「…」 咲「…」 咲「…へえ」 咲「…エアホッケーか」 照「」 優希「」 京太郎「ふふん」 照「…参った。完敗だね」 優希「おのれ須賀京太郎…む、ねん…」ガクッ 京太郎「…あー。けど、流石に疲れたわ。ちょっと休憩がてらトイレ行ってきます」ヨロヨロ 照「ちょっと、本当に大丈夫かい?京ちゃん。フラフラだよ」 京太郎「なんとか」ヨロヨロ 照「…」 照「…あ、そ、それじゃあ…」 優希「おう、京太郎!それなら、私もちょうどお手洗い行きたくなってきたし、一緒に行ってやるじょ!!」 照「あ…」 京太郎「ああ。悪いな優希」 優希「おお。まあ、今回は特別だじょ。感謝して敬え」 京太郎「言い過ぎだ」クスッ 照「…」 優希「ん?どうしかしたか?照さん」 京太郎「そういえば、今照ちゃん、なんか言いかけてたような…」 照「あ…い、いや。なんでもないよ。私も少し疲れたんでね。君等がお手洗いに行くというのなら、私はここで少し休んでるよ」 優希「…そっか」 京太郎「わかったよ。それじゃあ、また後でな。照ちゃん」 照「うん…」 優希「…じゃあ、行こうか。京太郎」 京太郎「そうだな」 スタスタスタ 照「…はぁ」 照(優希ちゃん…可愛いな…) 照(明るいし、優しいし…私みたいな怪しくて口下手な女相手なのに、今日出会ってもうこんなに仲良くしてくれてる…) 照(それどころか、懐いてきてくれて…私なんかデートのお邪魔虫だっていうのに、あんなに嬉しそうに話しかけてきてくれて…一緒に居て凄く楽しい) 照(…京ちゃんを巡るライバルの筈なのに…) 照(…嫌いになれないよ。あんなに素敵な子) 照(今だって、私がうだうだやってる間に疲れた京ちゃんを気遣って一緒にお手洗いにまで行ってくれて…) 照(…二人、お似合いだな…仲も良いし、息もピッタリだし…本当は京ちゃんともっとくっついて居たい筈なのに…エアホッケーだってわざわざ私と一緒のチーム組んでくれて…) 照(それなのに、私は麻雀で京ちゃんと一緒に共同作業だーなんて、優希ちゃんの事も蔑ろにして浮かれてて…)ジワッ 照(…私なんかじゃ、相手にならないよ。可愛さも、性格も、気遣いも…) 照(…馬鹿だ、私。こんなんじゃ、年上として二人に申し訳が立たないよ) 照(…二人が戻ってきたら、帰ろう。急用が出来たって言って) 照(…もういいや。京ちゃんには、優希ちゃんが居るんだもん。…私なんか、もう京ちゃんには必要ない…ううん。京ちゃんの、邪魔だよね) 照(…もう、京ちゃんの事、諦めよう。忘れよう。私なんかがいつまでも京ちゃんに付きまとってたら、二人に迷惑だ…) 照「うう…」コツン 照「痛…」 照「…?なんだ?何か頭に当たった…のか?」 照「ん…これ…エアホッケーのパック…?」ヒョイ 照「どうしたんだろう。どこかから飛んできたよう…な…」クルッ 咲「…」ニコニコ 照「…」 咲「…」ニコニコニコ 照「…」 咲「…」ニコニコニコニコ 照「…」 咲「…」ニコニコニコニコニコ 照「…」 咲「…」ニコニコニコニコニコニコ 照「…」 咲「…」ニコニコニコニコニコニコニコ 照「…」 咲「…」ニコニコニコニコニコニコニコニコ 照「…」 咲「何か、私に言うこと有るよね?」 照「…咲」 咲「どちら様ですか?ちなみに私、一人っ子ですけど」ニコニコニコニコニコニコ 照「…」 咲「…」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 照「…」ドドドドドドドドドドドドド 咲「…ところで、初めてお会いしたお姉さん?」 照「なんだ。初めてお会いした小娘」 咲「ここにエアーホッケーのパックがあります」 照「ああ。ここにも一枚ある。お前の仕業か」 咲「折角なので、私と遊びませんか?」ニコリ 照「…いいだろう」 咲「じゃあ、この台でやりましょうよ。ほら、こっちです」 照「ああ」スタスタ 咲「…」ドキドキ 照「…」ピタッ 咲「!?」 照「…ふん。バナナの皮、か」ヒョイッ 咲「…」ギリッ 照「…ゴミはゴミ箱に捨てないとな」ニヤッ 咲「!」 照「」ポイッ 咲「…」 照「…ふん。随分と狡(こす)い手を使う。雑魚が雑魚なりの知恵を絞って勝つ手段を考えたのだろうが…」 照「この程度の浅はかさでは、底が知れるというもの。今の貴様では私には勝てない」 咲「くっ…」 照「…だが、先に牙を剥いたのは貴様だ。いいだろう、後悔するがいい。私にアイスホッケーで勝負を挑んだことを」 咲「…」ギリギリ 照「…さあ。どっちが先攻だ?選ばせてやる。お前が決めろ」 咲「…そっちからどうぞ」 照「ふん。つまらん見栄を張る。素直に先攻を取っておけば多少は勝負になるやもしれんのに…な」 咲「ま、負けないもん!」 照「ふっ…吠え面をかけ…!!」ゴッ!!! 咲「っ!!!」 咲(くっ!こ、このプレッシャー…!凄い圧力…!)タジ… 照「くくく…どうした?咲。腰が引けているぞ!」 咲「ま、負ける…もんか…!」ゴッ!! 照「…ほう」 咲「ま、負けない…お姉ちゃんなんかに…絶対…!!」グググ 照「…ふん。多少は気概を示すか。…だが、その程度だ。矢張り私の敵では無い」 照「見せてやる。私の力を。そしてその圧倒的なまでの力量差に打ちひしがれるが良い!!」クワッ 咲(…来るっ!集中しろ、私!!)ググッ 照「…あ、京ちゃん」 咲「えっ!?」クルッ 照「今だ喰らえ!!」スカッ 咲「しまっ…」 咲「…た」 照「ふんっ!」スカッ 咲「…」 照「ふんっ!」スカッ 照「…」 咲「…」 照「あれ」 照「…」 照「…ふん。戯れは仕舞いだ。感謝するがいい。今、私がその気だったなら貴様は既に一度失点している」 咲「…相変わらず運動音痴だね、お姉ちゃん」 照「…お前には言われ」カチッ 照「たくない」 咲「あわわわ!会話してる時にいきなり始めないでよ!」スカッ ピシューン ヤッタネ!赤チームゴール! 咲「こ、この卑怯者!」 照「ふん、馬鹿め。咲、お前に良い格言を教えてやる。勝てば」 ピシューン ヤッタネ!青チームゴール! 照「…」 咲「官軍?」ニコッ 照「」ギリギリギリ 照「咲!お前、そうやって狡いてばかり使って…」 ピシューン ヤッタネ!青チームゴール! 照「」 咲「きゅふふふ。実はもう一個パックを隠し持ってたのでした」 照「」カチッ 咲「」スカッ ピシューン ヤッタネ!赤チームゴール! 咲「…」カチッ 照「…」スカッ ピシューン ヤッタネ!青チームゴール! 咲「」ゴゴゴゴゴゴ 照「」ドドドドドド カチッ スカッ ピシューン カチッ スカッ ピシューン カチッ スカッ ピシューン カチッ スカッ ピシューン カチッ スカッ ピシューン カチッ スカッ ピシューン カチッ スカッ ピシューン カチッ スカッ ピシューン カチッ スカッ ピシューン カチッ スカッ ピシューン 咲「ぜえぜえ…」 照「はあはあ…」 咲(マッチポイント…!) 照(くっ…まずい。ここを何とか凌がなくては…!) 咲「たあ!」カチッ 照「くっ…!」スカッ 照(しまった!外した…!) 咲(やった!勝っ…!!) カチッ シュー… ピシューン ヤッタネ!赤チームゴール! 咲「そ、そんな…」ガーーン 照(た、助かった…咲のパックの軌道が、ゴールから外れてたのか…しかもそれが跳ね返って咲のゴールに吸い込まれた) 照「ふふふ…どうやら、天は私に味方したらしいな」 咲「く…ぐぅ」 照「まあ、当然か。お前のような卑怯者に、天が!味方!する訳が…ないっ!」カチッ!! カチカチカチカチカチカチッ 咲「なっ!これは…!!」 咲(!!乱反射!!) 照「どうだ!!これが貴様に見切れるか、咲!!」 咲「あわわわ…」 照「ははは!残念だったな!貴様にしては頑張ったようだが、だが未熟!」 咲「」スカッ 咲「そんな!」 照「覚えておけ!真剣勝負ではこのように切り札は最後まで取っておく」 カチッ シュー… ピシューン ヤッタネ!青チームゴール! バンザーイ!青チームの勝ちー!! 照「」 咲「か、勝っ…た…」 照「そ、そんな…馬鹿…な…乱反射が…帰って来た…だと?」ガクッ 咲「勝った…勝ったよ…私…京ちゃん。私、お姉ちゃんに勝ったよ…!」ジワッ 照「この、私が…さ、咲に…?」ガクガクガク 咲「勝ったんだ!私が…!『あの』お姉ちゃんに…!真剣勝負で!」 ※隠し持ってたパックの差です 照「馬鹿な…あ、有り得ん…!!わ、私が…咲なんかに…!!」 咲「やったあああああああ!!お姉ちゃんに勝ったぁああああああああああああ!!」 照「くっそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 本格熱血美少女麻雀ストーリー 咲-Saki-エアーホッケー編 episode of side-A 完!!! 咲「やーいやーい!お姉ちゃんのばーか!運動おんちー!私の事置いてけぼりになんかするからこんな目に合うんだよーだ!やーい!!」 照「おのれええええええええええ!!さきいいいいいいいいい!!お前、実の姉を馬鹿にするか!!許さない!!」 咲「あれあれぇ~?どこからか、負け犬の遠吠えが聞こえるなぁ~。どこだろうな~?しかも、妹が居ない人なのに姉名乗ってるな~。不思議だな~」 照「」ギリギリギリ 咲「あっれー?なんか、ここでうち拉がれてる人が居るけど、もしかしてこの人かな~?けど、違ったら悪いしな~。すみません。おなかでも痛いんですかー?」 照「おいっ!咲!!お前、なんだそれ!お前いつからそんなに性格悪くなった!!」 咲「さっきだよーだ」ツーン 照「ぐぐぐ…タ、タコス屋の件は悪かったから…」 咲「ホントだよ!結局あの後、私無理して二つもタコス食べたんだよ!?もうおなかきつくてきつくてしょうがなかったんだからね!?」ガルルルル 咲「しかも、トイレから帰ってふと見たら、みんなもう会計済ませてお店出てくところだったから急いで食べなきゃだったんで尚更おなかに響いたし!」 照「残してそのまま置いてくという発想はなかったのか…」 咲「そんなの食材になってくれた命や農家の人や作ってくれたお店の人に失礼じゃない!何言ってるのお姉ちゃん!!」ガオーーー!! 照「…そ、そうだな…私が悪かった…」 咲「本当だよまったく!!」 咲「ところで」 照「…なんだ」 咲「喉乾かない?」 照「…そうだな」 咲「だよね」 照「ああ」 咲「…」 照「…」 咲「…」 照「…咲?」 咲「喉乾いたよね」 照「…ああ」 咲「…」 照「…なんだ。何が言いたい」 咲「どっちが勝ったんだっけ?」ニコリ 照「」ギリギリギリ 咲「私オレンジジュースがいいなー♪」 照「ちょっと待ってろぉおおおおお!!!」ダッ 咲「…」 咲「…勝った。完全勝利。気持ちいいなぁ…」 咲「…」 咲「…はぁ。でも、私がここに居る事、京ちゃん達にばれたらメンドクサイよね…」 咲「もう帰ろうかな…」 京太郎「あれ?咲?」 優希「あれー?咲ちゃんだじぇ。なんでこんなところに?」 咲「」 京太郎「なんでお前がここに…部活はどうしたんだ?」 優希「謎だじぇ…」 咲「あー…え、えっとぉ…」 咲(し、しまったあああああ!お姉ちゃんとのエアホッケーに熱くなりすぎた!二人とも、もう帰ってきちゃったよぉおおおおお!!) 京太郎「しかもすっげー汗かいてるし…」 優希「エアホッケーでもしてたのか?」 咲「あー…えっと…その…う、うん!そうなの!」 咲「実はね?今日突然、東京に住んでる従姉妹がこっちに来る事になっちゃって!それでお父さんに言われて、従姉妹を長野駅まで迎えに来てたの!」 咲「それで、合流した後、家に行く前にちょっとゲームセンターで遊んで行こうってなって、さっきまで一緒に遊んでたの!」 優希「おお!そうだったのか!」 京太郎「しっかし、お前を迎えに寄越すとか随分とチャレンジャーだなお前の親父さん」 優希「確かに、ミイラ取りがミイラになる可能性がかなり…いやこういう場合は二次被害というのか?」 京太郎「それともか、お前の従姉妹がメダリスト級の方向音痴なのか」 咲「ううう…酷い言われようだ私…」 照「…くそっ!咲め。この私をパシリに使うなどと…後で覚えてろよ」ブツブツ 照「…あれ?京ちゃんと優希ちゃん…」 照「…げっ!咲の奴、二人に見つかったのか。あの馬鹿。…なんだか面倒な事になってきたな…」コソコソ 照「…何を話してるんだ?」 京太郎「それにしても、咲。お前、東京に従姉妹なんて居たのか。そりゃ初耳だ」 咲「う、うん…まあ…そ、そう…だ、ね…言ってなかったもんね…」 優希「どんな人なんだじょ?」 咲(うぐ…そ、そんなの設定考えてなかったよ…) 咲「…えーっとね。結構抜けてる人でね。私よりも方向音痴なんだ」 京太郎「ほえー。マジでお前より方向音痴か!」 咲「うん。それに、私より背は高いけど私より運動音痴で、2つも年上なのに胸の大きさもあんまり変わらなくて…」 京太郎「従姉妹相手とはいえ、お前が他人をそこまでdisるの初めて見た」 優希「私も。仲あんま良くないのか?」 京太郎「だったらエアホッケーなんかしないだろ」 優希「ああ。それもそうだな」 咲「あははは…」 京太郎「で、その従姉妹は今どこ行ってるんだよ?」 優希「そういえば、照さんもいないじょ」キョロキョロ 咲「あー…えっとねー…」シドロモドロ 京太郎「ん?」 優希「あれ~?照さーん!」 咲「…」 咲「え、えっとねぇ…い、従姉妹は…帰っちゃった」 京太郎「え?」 咲「と、東京の方でね。どうしても急用の用事が入っちゃったらしくて…あ、慌てて帰っちゃった」 京太郎「そうなのか」 優希「あらら。残念だったの、咲ちゃん」 咲「うん…」ズキッ 京太郎「…」 優希「…じゃあ、さ。咲ちゃん」 咲「え?」 優希「咲ちゃんも、一緒に遊ぼうじぇ」 咲「…え?」キョトン 咲「…え?え?え?」オロオロ 優希「あははは!なんでそんな慌ててるんだじぇ!なー?いいだろー?」 咲「け、けど…」 優希「いいじゃんいいじゃ~~ん!な?京太郎!」ギュッ 咲「きゃっ!ちょ、ちょっと、優希ちゃん…」 京太郎「ん。お前がいいんなら」 優希「あったりまえだじぇ!」 咲「…じゃ、じゃあ…私も…い、いい…かな…?」 優希「やったー!!」 京太郎「…そうだ、な」 照「…やあ、帰ってきていたのか。二人とも」スタスタ 京太郎「あ、照ちゃん」 優希「おお!照さん!どこ行ってたんだじょ?」 照「ん…いや、ちょっと喉が渇いたんでジュースを買いに行っていたんだよ」 優希「なんだそうだったのかー」 咲「…」 照「…」 照「…ねえ京ちゃん」 京太郎「ん?なんだ?照ちゃん」 照「…この子は誰?」 咲「…」 京太郎「ああ。そっか、悪い悪い。この子は咲。宮永咲。昔言ったことなかったっけ?中学で知り合った幼馴染の子って」 照「ああ。そう言えば聞いたことがあったね。例の子か。実際には会うのは初めてだけれど、『私の弟分の京ちゃんが』お世話になっているらしいね」 照「ハジメマシテ。照だ」 京太郎「咲。この人は照ちゃん。俺らとは2個上の同じ中学の先輩だよ。確か、当時、お前にも話した事あったよな?」 咲「…うん、覚えてるよ。こちらこそ『1年だけとはいえ』『私の幼馴染の京ちゃんが』お世話になったみたいで。ハジメマシテ。照さん」 照「…」 咲「…」 優希「ねえねえ照さん!これからは咲ちゃんとも一緒に遊びたいんだけど、いいかー?」 京太郎「そうなんだよ。咲とは偶然出会ったんだけど、急に用事が無くなっちまったらしくてさ。照ちゃんさえ良ければ、折角だし一緒にどうかな?」 照「そうだね。………いいよ。宮永さんさえ良いなら」 咲「…ありがとうございます。それじゃあ、ヨロシクオネガイシマス」 照「ああ。コチラコソヨロシク」 京太郎「?」 優希「?」 京太郎(…なんだ?この二人…すっげー重苦しい雰囲気…) 優希(なんか、不穏な感じがするじょ…) 照「…」 咲「…」 咲「…ふふ。嫌だなあ、照さん。年上の人にそんな呼び方されても、なんだかくすぐったいですよ。咲って呼んで下さい」 照「…ああそうだな、悪かった。これからは咲と呼ばせてもらうよ。君も、私が年上だからってそんなに畏まらなくてもいいよ。この二人だってざっくばらんに話しかけてきているだろう?タメ口でいい」 咲「…うん。それじゃあ、改めてよろしく。照さん」 照「いや、こちらこそ改めて宜しく、咲」 優希(あれ、馴染んだじょ?) 京太郎(気のせいだったか?…ってか、人見知りのこの二人がこんなに早く人と馴染むのも珍しいな) 照「さて、それじゃあこの後は何をしようか京ちゃん、優希ちゃん」 咲「私も、早く遊びたいな」 京太郎「あ…あー!そうだな。えーっと…な?優希」 優希「おう!」 咲照「「ん?どうしたの?」」 京太郎「こっち戻ってくる途中で、ボーリングの受付見つけてさ」 優希「ボーリングやりたい!」 咲「ボーリング…」 照「…ボーリング」 咲照「「ボーリングかぁ…」」 ボーリング場 京太郎「さて、着いた」 優希「さー!それじゃあ、第一球は私の番だじょ!京太郎ジュースかけて勝負!」 京太郎「おっしゃ!」 咲「…」 照「…」 京太郎「…って、どうした?二人とも。さっきからやけに静かだけど…」 咲「ううん」 照「なんでもない」 京太郎「そうか…?」 京太郎(やっぱ、この二人の人見知りが発動しちまったのかな…) 優希「よしゃー!ストラーイク!」 京太郎「げ!いきなりかよ!」 優希「次はお前だじょー」 京太郎「わかった!見てろくそー!」ダッ 咲「…」 照「…」 京太郎「くっそー。9本か…」ガックリ 優希「くくく。これは早くも私の勝ちっぽいかのう?」 京太郎「うっせ!まだ全然始まったばっかだろ!すぐ逆転してやるからな!」 優希「無駄無駄だじぇ。…ん。次は咲ちゃんだじょー」 咲「…あ、わ、私?」 優希「おう。頑張ってな!」 咲「うん。頑張ってみる。えっと、これで…」フラッ 咲「あわわわ」 照「…」 京太郎「おいおい、大丈夫か?」 優希「危なっかしいじょ…」 咲「だ、大丈夫だよ。…よーし」 咲「たあ!」コロッ コロコロ…コロコロ……コロ…フラ…ゴトン… 咲「…ガータ」ガックリ 京太郎「どんまいどんまい」 優希「次があるじょ!」 咲「よーし!それじゃあ、今度こそ……たあ!」 コロコロ…コロコロ……コロ…フラ…ゴトン… 咲「…あう」 咲「…ダメかぁ」フラフラ 京太郎「…ま、まあ、次があるさ」 優希「う、うむ。まだゲームは始まったばかりだじょ」 照「…さあ、次は私だね」スッ 咲「うーん…投げ方が違うのかなぁ…こう?それともこう…」ブツブツ 照「…ふふっ。無様だね、咲」ボソッ 咲「!?」 照「よく見ているといい。私の華麗な投球フォームを」ボソボソ 咲「な…」 京太郎「頑張れー!照ちゃん!」 優希「いいところ見せるじょ!」 照「ああ。今日はどうやら初心者も居るみたいだしね。ここはお手本を一つ見せてやろうじゃないか」ニヤッ 咲(むっ) 京太郎「おお。自信満々!」 優希「これは期待できるかー!?」 照「すー…はー…」 照「…行くぞ!」ガニガニ 咲(な!?何あの投球フォーム!?) 京太郎(あれ…球を指に入れずに両手で持って、がに股で移動を始めた) 優希(なんかすっごい中腰で、格好悪いじょ…) 咲(こんなの見たこと無い…まさか、東京で上手い人に教わった必殺技とか!?) 照「…たあ!」コロッ コロコロ…コロコロ……コロ…フラ…ゴトン… 照「…」 京太郎「…」 優希「…」 咲「…」ホッ 京太郎優希「「ど、どんまい…」」 咲(…そんなわけないか。第一、お姉ちゃんがそんなの使いこなせるはずないもんね…) 照「…も、もう1球」ガニガニ 照「…たあ!」コロン 咲(…どうせ外れるんでしょ)フフン コロコロ…コロコロ……コロ…フラ…フラ…カコ…ポト…ポト…ポト…ポト…ポト… 『第一投 -/⊿』 照「…ふっ!」 咲「」ガーーン!! 京太郎「おおー!!」 優希「おおー!!」 照「よし!」グッ 咲「そ、そんな…馬鹿な…」 照(やった…!初めてスペア取った…!ありがとう菫。この投球フォームを教えてくれて!) 照(白糸台麻雀部ボーリング大会に向けて、せめてスコア0は避けるようにって教わったこの投げ方、役に立ったよ!) 京太郎「照ちゃんいえ~!」スッ 照「…え?」 京太郎「ん!手!手!」スッスッ 照「あ、う、うん」スッ 京太郎「照ちゃんいえ~!」パチーン 照「!」 優希「あ~!いいないいな!私も私も!いえ~!」パチーン 照(し、しかも京ちゃんにハイタッチまでしてもらっちゃった!) 咲「ぐぬぬぬ」 照「さあ、次は優希ちゃんだね?」 優希「おう!頑張るじょ!」 照「…」チラッ 咲「…!」 照「ふふん」 咲「ぎぎぎぎ」 照「ふふふふ…どうだ、見たか咲、姉の威厳」ボソボソ 咲「ぐうう…ま、マグレだよ。あんなのマグレに決まってる…」ボソボソ 照「ほう?そう思うか。なら、面白い。ここは一つ賭けをしようじゃないか」ボソボソ 咲「賭け?」ボソボソ 照「ああ。賭けだ。そうだな。どうせ私が100%勝つ勝負だ。あんまり意地悪な条件を付けるのも可哀想だから、敗者は今日の晩御飯を勝者に奢ること。これでどうだ」ボソボソ 咲「…そんな事言って、実は勝てるか自信無いだけなんじゃないの?」ボソボソ 照「ほざけ。なんなら『京ちゃんの前で裸踊りをする』にしてやってもいいんだぞ」ボソボソ 咲「なっ!」 照(…言い過ぎた。咲お願い、断って) 咲「…分かった。私だって負けるつもりは無いけど、お姉ちゃんが可哀想だからさっきの条件でいいよ」ボソボソ 照「…ふふ。契約成立…だな」ボソボソ 咲「ふふふふ。お姉ちゃん、さっきの負け、もう忘れちゃったの?今や運動神経は私のほうが上なんだよ。ちょっとくらい技術を知ってたって、このゲームの間にコツを掴んで私が勝つ」ボソボソ 照「ふふふふ。愚か者め。あんなのどう見ても事故だ。また勝負すれば私が勝つ。ボーリングなら尚更さ」ボソボソ 咲照「「ふふふふふ」」 京太郎「なんだ。なんだかんだで仲良さそうじゃん。二人でヒソヒソ話し合って」 優希「良かったなぁ、京太郎」 30分後 優希「ふむ。187点。まあまあだじょ」 京太郎「くっそ。179点負けた…」 優希「ジュース奢れ」 京太郎「はいはい…」 咲「じゅ、18点…」ズーーン 照「ふふ…ふふふふふ…はははは…!…21点。勝った!」 照(け、結構危なかった) 照「さあ咲、約束だ。後で夕飯を奢ってもらおうじゃないか」ヒソヒソ 咲「ぐううう…分かった…」 照「ふふふふ…♪」 京太郎(照ちゃん嬉しそうだなー) 優希(咲ちゃん悔しそうだじょ) 京太郎「さあ、次はどうしようかね」 優希「んー…そうだなぁ…結構遊んだしなぁ」 咲「…」 照「…」 京太郎「…じゃあ、最後、締めにカラオケでも行くか!」 優希「おう!」 咲「!?」 照「!?」 カラオケボックス内 京太郎「さーて、と。何歌おうかなー」 優希「うーん…迷うじぇ」 照「」コソコソ 咲「」コソコソ 京太郎「ん?何コソコソしてるんだよ二人」 優希「挙動不審だじぇ…」 照「い、いや…だって…その…」モジモジ 咲「ひ、人前で歌うことってあんまり無いし、その…」モジモジ 照「は、恥ずかしいって言うか…」モジモジ 咲「自信ないって言うか…」モジモジ 優希「そうかー?けど、二人とも綺麗な声してるし、歌上手そうだけどなー」 京太郎「うんうん」 咲「あう…ま、まあ、歌うのは嫌いでは無いけど…」モジモジ 照「わ、私も…その…たまーーーーに後輩達に誘われて歌いに行くことはあるんだが、あんまり流行りの歌も知らないし…」モジモジ 咲照「「そ、それに…」」 咲照( (きょ、京ちゃんに歌聴かせるとか!!) ) 京太郎優希「「?」」 京太郎「…まあいいや。それじゃあ、誰から歌おうか?」 優希「そうだなー。やっぱ此処は咲ちゃ…」 咲「あっ!て、照さん!照さんがいいと思いまっす!!一番年上だし!!」 照「何!!?」 京太郎「あー。確かにそれもそうだなー」 優希「おー!咲ちゃんナイスアイディア!それなら文句無しだじょ!」 照「さ、咲!お前、なんてことを!」ヒソヒソ 咲「い、いいじゃん!お姉ちゃん歌上手いんだし!」ヒソヒソ 照「そ、そう意味じゃない!だいたいお前だって上手いだろうが!なんで私にそこで振るんだ!」ヒソヒソ 咲「だ、だっていきなりは恥ずかしいし…」ヒソヒソ 照「私だって恥ずかしいの!…兎に角、私は嫌だからね。お前が歌え!」ヒソヒソ 咲「やだ!…それに、もう遅いよお姉ちゃん」ヒソヒソ 照「…何?」ヒソ 咲「…あの二人の目を見て、果たしてお姉ちゃんは拒否できますか?」ヒソヒソ 京太郎優希「「」」キラキラ 照「う…」 照「…」 照「仕方ないな。じゃあ、私から行くよ」 京太郎優希「「待ってました!!」」 照(…とはいえ、本当に最近の歌はあまり良く知らないんだよな…どうしようか) 照「うーーん…」 照(…あ。思い出した) 照(…そう言えば、ちょっと前に淡が、私に物凄く相応しい歌があるからって…教えてくれた曲があったっけ) 照(綺麗な曲だったし、我ながら上手く歌えたし、よし。それじゃあ、これにしようかな) 照「うん。決めた」ピッピッ 京太郎「おお!」 優希「やた!」 咲「へー。どれどれ?なんて曲…」 咲「…テルーの唄?」 照「ゆう~やみせ~まるくものうえー」 優希「Oh…」 京太郎「照ちゃん、それは、まさかギャグのつもりなのか…それともガチか…」 照「いつもいちわでとんでいる~た~かはき~ぃっとかなしかろ~」 優希(しかもやたら上手いじぇ…) 咲(…マズい、すっごいくだらない事思いついちゃった…) 京太郎(これ…ツッコミ待ちなのだろうか、いや、しかし…) 京太郎咲優希( ( (…照ーの唄かぁ…) ) ) 昔の話 照が行ったカラオケボックス 尭深「いっらなーい!なにもー!すててしまおうー…」 菫「うん。いつ聴いても尭深のLOVE PHANTOMは最高だな」 淡「なんてイメージに合わない…」 誠子「あー。はい。はい。ポテト盛り合わせとアンチョビピザLお願いします。あとコーラ2つ!」 尭深「……ホット番茶と、抹茶パフェ」 誠子「あ、すみません。追加で注文。ホット番茶と、抹茶パフェも」 淡「あっ!宮永先輩!宮永先輩!」 照「ん。なんだ淡」 淡「私、次、宮永先輩のこの曲が聴いてみたいです!ぜひ歌って下さい!」 照「ん?テルーの唄…。確か、ジブリの何かの主題歌だったか?」 淡「いい歌ですよねー」ニヤニヤ 照「ああ…まあ、うろ覚えだが、そこそこいい曲だった気はする」 淡「私、この曲は宮永先輩の為にあるような曲だと思うんです!」 照「はあ?」 淡「お願いします!私、どうしても宮永先輩のこの曲が聴きたいんです!1回だけでも!是非!歌って下さい!そしてあわよくば持ち歌に!」 照「ああ…まあ、お前がそこまで言うなら歌ってみてもいいが…うろ覚えだぞ?期待するなよ」ピッピッ 淡「ありがとうございます!!」 菫「…おい、淡…」ヒソヒソ 淡「…照ーの唄…」ボソッ 淡「…くふふふ」プルプル 菫「…お前って奴は」ハァ しばらくして 咲「ポンッ!カンッ!チー!フリッ!テンッ!ツモ!♪」ピョンピョン 照(咲の奴め、随分と楽しそうに歌っているな) 優希「…な、京太郎。そろそろ…」ボソボソ 京太郎「…ん。わかった」ボソボソ 照「…ん?」 優希「ごめんだじょ、照さん。私らちょっと外すな」コソコソ 京太郎「ちょっとしたら戻るから、咲と二人で回しててくれな」コソコソ 照「え?ちょっと、二人とも、いったい何を…」 京太郎「じゃあ、また後でなー…」コソコソ バタン 照「…行っちゃった」 咲「脳異常野良知恵の大笑い!煩悩に猛悪ライフ!脳異常野良知恵の大笑い!煩悩に猛悪ライフ!♪」フリフリ 咲「北北北捨てりゃポンじゃ!エゲツ金亡者!北北北捨てりゃポンじゃ!エゲツ金亡者!♪」フリフリ 照「…」 照「…なん…だと…?」 照「…」 咲「燃え上がって!燃え上がって!アガって逝け!オレは何故っ!なっぜ行っく!♪」ピョンピョン 咲「それっはーオレっのかっげ!♪鳴り止まないオレーの風ー」ピョンピョン 咲「ろーん!ろーん!…くっぴゅ」 咲「…ふう!」 咲「あー楽しかった!…って、あれ?お姉ちゃんだけ?京ちゃんと優希ちゃんは?」 照「…」 咲「…ど、どうしたのそんな怖い顔して」 照「……咲」 咲「う、うん…」 照「…実は、な、さっきあの二人…その…」 咲「…え゙」 咲「ちょっ…ちょっと待ってよ、お姉ちゃん。それって…まさか…」 照「…ああ。有り得る…というか、可能性としてはほぼ100%と言ってもいいんじゃないのかこのシチュエーションは」 咲「そ、そんな…まさか…え…?」 咲「…」ゴクリ 咲「…すでに、二人はそういう関係だったってことなの?」 照「…」 咲「…お姉ちゃん!」 照「騒ぐな。…大きい声を出さないでも聞こえている」 咲「…」 照「…みんなでカラオケ中に、コソコソと抜け出す男女」 咲「…」 照「…しかも、普段からのあの仲の良さ」 咲「…」 照「役満だろ」 咲「やめてよ…そういう事言うの…」 照「…今頃二人は非常口を出たドアの影あたりで濃厚なキ…」 咲「やめてよ!!」 照「…」 咲「やめて…そういう事言うの…」 照「…しかし」 咲「まだ、そうだって決まった訳じゃない」 照「…」 咲「無い…筈…」グスッ 咲「う…うえ…えええ…無いもん。そんな…うう…うええ…」 照「咲…」 咲「やだ…やだよ。そんなの…京ちゃん…とられるのやだ…」ポロポロ 照「…咲」スッ 咲「…ええええ…ええええ…」シクシク 照「…私だって嫌だよ」ギュッ 咲「おねえ…ちゃ…」ポロポロ 照「…やださ…嫌だけど…」ナデナデ 照「しっしか…しかかか…仕方ないじゃないか…!」ジワッ 照「ヒッグ!」 咲「お姉ちゃん…」 照「うええ…」 咲「…」ギュッ 照「ええええええ…」 咲「う…」ジワッ 照「うえええええええええええええん!」ポロポロ 咲「ええええええええええええええん!」ポロポロ 二人で10分ほど泣いた後 照「」スッ 咲「…おね…え…ちゃん?」グスグス 咲「…どうしたの?…今持ったそれ…マイク…?」 照「…いつまでもこうしていても、仕方ない」 照「…悔しいけど、私達は負けたんだ」 照「…いや。そもそも、土俵にすら登ることが出来なかった。臆病だったから…弱虫だったから」 照「そうだろう?咲。お前も、今日こうやって京ちゃんの後をつけて来てたって言うことは、京ちゃんに気持ちを伝えるようなこと、今までして来なかったんだろう?」 咲「…」 照「だったら…私達に優希ちゃんの事を京ちゃんを奪った人なんて思う資格は無いし…そもそも、あんなに素敵な子相手に、そんな気持ちにすらなれない」 咲「…うん」コクン 照「だったら…私達に出来る事はもう、一つしか無いだろう?京ちゃんと、優希ちゃんが幸せになれるよう、祈るだけだ」 照「そのためには、私達がこんなところで泣いていちゃダメだ」 照「…歌おう。咲。思いっ切り歌って、気持ち吹っ切って…それで、二人が戻ってきた時、笑顔でおかえりって言ってあげれるように」 照「せめて、暗い感情をあの子にぶつけないで済むように…今は、思いっ切りこの気持ちを発散させよう」 咲「…うん、うん…そうだよね。お姉ちゃん…そうだね…歌おう」 照「…ああ」 咲「…それじゃあ、私から歌って…いい?」 照「…ああ。好きにすればいいさ」 咲「…じゃあ、これ歌うね…」ピッピッピ 『FUNKY MONKEY BABYS 告白』 照「ふふ…咲は、男性歌手の歌、好きだね…」 咲「君に伝えたいことがある♪胸に抱えたこの想いを♪」 照「麻雀部で行くと…みんな男性歌手の曲を歌わないから…なんだか新鮮だよ…」 咲「うまく言葉にできないけど♪どうか聞いて欲しい♪」 照「…」 咲「いつの間にか♪夜も眠れないぐらい♪君を想っていた♪」ジワッ 照「…」 咲「眠ったって♪夢の中で探すくらい♪想いが募っていたぁ…ヒック」 照「…ううう」グスッ 咲「き…みに全部伝えった…らヒック♪この関係壊ヒック…れ…いそうで♪」 照「ば、馬鹿、お前…咲…」 咲「でも友達のままじゃ辛くて! だから全部伝えたくて…グスッ」 照「こ、こんな歌…」 咲「いざ…みの目のまえに立つと… うう…ゆ、勇気…が!臆病風に吹かれっ!♪」 照「今歌うの、反則だよぉ…!!」 咲「散々予習したフレーズ… 胸から溢れ出して忘れる…うえ…」 照「私達…出来なかったんだよ…?」 咲「熱く…っなる鼓動が痛いぐらい… ほんとに僕らしくないっ!」 照「こ、こここ、こくはくっすら!出来なかったんだよ!?」 咲「…」チラッ 咲「もうカッコ悪くてもいいや とにかく 君に聞いて欲しいんだ!」 照「ああっ!咲!今こっち見たな!?こっち見ただろ!咲!」 咲「大好きだ! 大好きなんだ!」サッ 照「読めたぞ!お前、わざとこんな歌うたって私泣かせるつもりだろ!」 咲「それ以上の言葉を もっと上手に届けたいけど♪」 照「なんて性格の悪いやつだ!誰が泣いてっ!やるもんか!負けないぞ!お前なんかに負けないからな!」ジワ… 咲「どうしょうもなく 溢れ出す想いを伝えると♪」 照「だ、誰が、お前の歌なんかで…お、お前こそ、泣きそうだし…自爆すればいいんだ、ばか…」グスッ 咲「やっぱ大好きしか出てこない…」ジワッ 照「うええええええ…」 咲「ただ それヒックだけで でも それがすべて…」 照「うわあああああああああん!!」 咲「うえええええええええええん!!」 照「ばかああああああああああああああああああ!」 咲「ごめえええええええええええええええええええん!」 照「…」ピッピッピ 咲「…あの」 照「…」ギロッ 咲「すみません…」シュン 照「…」スクッ 咲「…」 咲(…お姉ちゃんはこんな時、何歌うんだろう…)チラッ 『西野カナ 会いたくて会いたくて』 咲「!!?」 照「会いたくて 会いたくて 震える♪君想うほど遠く感じて♪」 咲「しかもすっごい上手ッ!?」 照「もう一度聞かせて嘘でも♪あの日のように“好きだよ”って…♪」 照(菫がよく歌うんで覚えた) (中略) 照「I love you 本当は I m in love with you baby♪」 照「I love you But still I can t tell my words of love♪」 咲(こんなスイーツなお姉ちゃん見とうなかった…) 照「「幸せになってね」と君の前じゃ大人ぶってそんなこと心の中じゃ絶対に思わない♪」 咲(ああ、感情篭ってるなぁ…さっき言ってた事と思いっ切り矛盾してるけど) 照「Baby I know 誰より君の全てを知ってるのに でもどうしてもあの子じゃなきゃダメなの? So tell me why♪」 咲(重ッ!怖ッ!!それが本音じゃないよね!?お姉ちゃん!!) 照「会いたくて 会いたくて 震える♪君想うほど遠く感じて♪ もう一度二人戻れたら… 届かない想い my heart and feelings♪」 咲(ああ。でも、私、こんなにこの歌本気で聴いたの初めてかも。これがかの有名な『会いたくて震える』のフレーズかぁ…) 照「会いたいって願っても会えない 強く想うほど辛くなって♪」 咲(…まさかお姉ちゃんの境遇にここまでマッチした歌詞だったとは…世の中ってよくわかんない) 照「もう一度聞かせて嘘でも あの日のように“好きだよ”って…」ジワッ 咲(…けど、言われてないからね!?私の知ってる限り、お姉ちゃんそんな事京ちゃんに言われてないからね!?…言われてないよね!!?) 照「何度も愛してると言ってたのにどうして♪」 咲(そして話がどんどん怪しい方に…エアー付き合ってる状態…?) 照「抱きしめてやさしい声で名前を呼んで もう一度」 咲(お姉ちゃん…) 照「あ、あいたくて 会いたくて 震える…うううう…」メソメソ 咲(あ、自爆した…) さらに30分後 咲「…」ソワソワ 照「…」ソワソワ 咲照( (…い、いくらなんでも遅過ぎない(か)!!?) )ソワソワ 咲「…ね、ねえ…お姉ちゃん」ソワソワ 照「…言うな」ソワソワ 咲「け、けどこれって…まさか…」ソワソワ 照「言うんじゃない!」ソワソワ 咲「まけどこの遅さはまさかキスだけじゃ飽き足らずに」 照「そ!そそそそそそそそそそそそそそそそ!!」 咲「動揺しすぎ…」 照「そんなわけ有るか!」 照「だ、だだだだ、だってまだ二人、高校1年生だぞ!?そんな、いや、まさか…」 照「HaHaHa 何を言うんだい咲。冗談はよしておくれよ」ヤレヤレ 咲「お姉ちゃん、リアクションがアメリカ人みたいになってる…」 照「…だ、だってだって、そんな、京ちゃんと優希ちゃんがそんな…」 照「既に日も暮れ、ひと目もつかないカラオケボックス裏の非常口のドアの裏二人佇んでるだなんてそんな…」 照「邪魔者(わたしたち)に見つかる心配もなく、お互いやっとふたりきりに成れたねと、潤んだ瞳と上気した頬で京ちゃんを上目遣いに見やる優希ちゃんだなんてそんな…」 照「目が合った瞬間、京ちゃんが優希ちゃんの柔らかく形の良い唇に貪り付く。優希ちゃんそれに応えるように進んで京ちゃんの口内に舌を侵入させるとか…ありえないし」 照「じゅぶじゅぶといやらしい音を立てながら絡み合う濃厚なキスがしばらく続き、やがて京ちゃんの我慢の限界が訪れるとか…まさか二人に限って…」 照「舌を貪りながらも、するすると片手を優希ちゃんの服の中へ差し込む京ちゃん。抵抗しない優希ちゃんなんて想像も付かないし…」 照「ゆっくりと上着のボタンが下へ落ちてゆき、やがてブラも外れる。遂に優希ちゃんの白く幼い、剥き出しの上半身が夏の夜の蒸し暑く絡みつくような濃厚な闇に晒されるとか…考えるなよ?咲」 照「京ちゃん、興奮を抑えそっと膨らみかけの優希ちゃんの乳房へと手を伸ばす。優しい愛撫に思わず漏れる優希ちゃんの甘い声とか…はは。馬鹿らしい」 照「その声に遂に我慢できなくなった京ちゃん、一気に優希ちゃんの乳首にむしゃぶりつく…なんて、破廉恥な真似…」 照「過去何度も京ちゃんに吸い付かれてきた優希ちゃんの桜色の小さい『ソレ』は、その快楽を伴う刺激に飼いならされ、瞬時に意識を真っ白に飛ばす程の衝撃を優希ちゃんに与える…とか、まだそこまで進んでる筈ないし…」 照「それでも手を緩めること無く優希ちゃんを攻め続ける京ちゃん。段々優希ちゃんの喘ぎ声が大きくなってきてきたのでハンカチを渡す。優希ちゃん慣れた様子で、声を殺すために布を噛む…とかそもそも考えるのも二人に失礼だろ」ハァハァ 照「優希ちゃんがおもむろに京ちゃんのおしりポケットから財布を抜き出す。京ちゃん気付いてるけど無視。財布を開けて中身を確認する優希ちゃん…とか」ハァハァハァハァ 照「財布の中に手を入れ、中から一つの袋を取り出す。その薄い色の着いた半透明の袋から原色のゴムの何かを取り出した優希ちゃん、財布と開いた袋を、二人の脇に置く…とか」ハァハァハァハァハァハァ 照「そしてそのゴムを何度か手で揉んだ後に京ちゃんの下半身へと手を伸ばして…」ハァハァハァハァハァハァハァハァ 咲「いろんな意味でもうやめておねえちゃああああああああああああああああああああん!!!!」 照「はっ!」 咲「なんなの!?お姉ちゃん!なんなのもう!!なんでそんな一瞬で想像出来るの!!変態!!」 照「な、なんだと!?この無礼者!!もういっぺん言ってみろ!!」 咲「変態!!変態!!変態!!変態!!変態!!変態!!変態!!変態!!変態!!変態!!」 照「うぐぐぐぐぐ…忌々しい!!なんて腹立つ妹だお前は!!お前の方が変態だ!」 咲「何を根拠に!!」 照「変態!!変態!!変態!!変態!!変態!!変態!!変態!!変態!!変態!!変態!!」 咲「何さいきなり人の真似して!!」 照「…想像してみろ!今のを京ちゃんに言われたと!!」 咲「」キュン 照「ほら今キュンとした!変態!!」 咲「んなっ!そ、そういう発想があるってことは、お姉ちゃんだって考えてたんじゃないの!?変態!!」 照「!!」 咲照「「ぎぎぎぎぎぎ」」バチバチ 咲「…」 照「…」 咲照「「…はあ」」 咲「歌おうか」 照「ん」 咲「…何歌う?」 照「…『あれ』」 咲「ん」ピッピッピ 照「…ほら、咲。マイク」サッ 咲「ありがと」スッ 照「…」 咲「…」 チャラランランランラー♪ 照「…」 咲「…」 『石川さゆり 天城越え』 咲「かくしきれない~ うつーりーがぁが~♪」 照「いつしかあなたにぃ~しみぃついたー♪」 咲「だれかにとられるぅ~♪」 照「くぅ~らい~ならぁ~♪」 咲照「「あなたぉおおおお!殺してぇええ!いいですかぁああああ!!」」 優希「…」ガチャッ 咲照「「!?」」ビクッ 優希「…ふう」 咲「…あれ?優希ちゃん?」 照(…なんか元気ないぞ?) 優希「ん?なんだじょ?咲ちゃん!」コロッ 咲(あれ…?) 照「…優希ちゃん、京ちゃんは?」 優希「ああ。あいつなら、追い出したじょ。今頃ゲーセンでブラブラしてるんじゃないか」 咲照「「ええ!?」」 優希「あっ!今誰も歌ってないのか?じゃあ私が歌っていーい?」 咲「い、いいけど…」 照「優希ちゃん?追い出したって、その…どういう…」 優希「マイクマイク」スッ 咲「ゆ、優希ちゃ…」 優希「…」 照「…ねえ優希ちゃん。追い出したって…なんでそんな事したの?良かったら聞かせてくれないか」 咲「そ、そうだよ優希ちゃん!さっきまであんなに仲良さそうだったのに…」 優希「…」 照「黙っていられたら私達も困るよ。喧嘩したのか?さっき部屋に入ってきたとき元気無かったよな。だったら、何が原因だ?追い出したって、京ちゃんが悪い事としたのか?」 優希「…すううううううう~~~~…」 照「おい!優希ちゃん!いい加減に…」 優希「京太郎の馬鹿やろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」 咲「」キーーーン 照「」キーーーン 優希「…」 優希「…ふう。すっきりしたじょ」 咲「」 照「」 優希「ん。ごめんな。二人とも。私はもう平気だじょ。これから何があったか話す」 咲「」 照「」 優希「…って。…あれ~~~~?二人とも?どうしたの?」 優希「…」 優希「…おーい。咲ちゃん?照さん?」 咲「」 照「」 優希「…」 優希「…ハッ!こ、これは…!!」 優希「……二人とも、死んでるじょ……」 優希「あはははは!ごめんごめんだじょ!二人とも」 咲「…耳痛い」フラフラ 照「…頭痛い」フラフラ 優希「いや~。それにしても、まさかこんなでっかい声出るとは、私もびっくりだったじぇ…よっぽど堪えてたっぽいな」 咲「優希ちゃあああん…」 照「な、なんなのもう~…」 優希「ホント、ごめんな二人とも。八つ当たりっぽい事しちゃって。けど、許せ。今の私にはそれくらいする資格あってもいいと思うんだじょ」 照「何があったんだ本当、一体…」 優希「ん。私な、さっき京太郎に振られちゃった!」ニコッ 照「…え」 咲「えええ!?」 優希「咲ちゃんも知ってると思うけど、さっき私、照さんとエアホッケーした後でトイレ行ったろ。実はそこでもう京太郎には、後でカラオケ行こうって伝えてたんだがな」 優希「…あいつめ、多分薄々感付いてたんだろうな。平静に振舞ってはいたが、たまにちょっと様子が変だったりもしてたし」 咲「ちょ、ちょっと待って!?私も知ってると…って、優希ちゃん達、もしかして私が尾行してたの気付いてたの!?」 優希「私だけな。咲ちゃんタコス屋でトイレ探してうろうろしてたろ?すぐ分かったじょ。…京太郎は気付いて無いと思うよ。アイツ馬鹿だし」 咲「あう…」 照「馬鹿…」 優希「…私が声かけてカラオケ部屋出た後も、すっごい表情が硬かったんでな」 優希「その時点で私も、あ~。こりゃなんか駄目っぽいな~とは思ってたんだがな」 優希「…けど、もう今更引き下がるわけにも行かなかったし。当たって砕けろでアタックして、見事粉々になってみせてやったじょ」 優希「ふはは。いっそ清々しい気分だのう。須賀京太郎だけあって」 咲「ゆ、優希…ちゃん…」グスッ 優希「あはははは!ごめんな咲ちゃん。抜け駆けしちゃって。けど、こうでもしなきゃ咲ちゃんに勝てないと思ってたんだじょ」 咲「え…?」 優希「だって、そうだろ?咲ちゃんみたいな可愛い幼馴染…私が京太郎の立場だったら、絶対傍から手放さないじょ。死んでも嫁にする」 咲「な、ななな、何言ってるの、優希ちゃん!こんな時にからかわな、い…で…」 優希「…ふふ。ほんと、ごめんな」 優希「ごめん…ごめんね…咲ちゃん…友達なのに…こんな…裏切るような…抜け駆け…!」 咲「優希ちゃん…」 優希「うえ…」ジワッ 優希「うえええええええ…」ポロポロ 咲「あ…」 照「咲」 咲「…お姉ちゃん?」 照「抱きしめてやれ」 咲「…?」 照「友人だろ。抱きしめてやれ。…それとも、本当に裏切られたと思っているのか?」 咲「…そんな、まさか!!」 照「なら」 咲「うん。そうだね。優希ちゃんは、私の大切お友達。例え私達の間にどんな事があっても…きっと、いつまでも…」ギュッ 優希「うええええええええええええん!!ごめんな!ごめんな!本当にごめんな!咲ちゃん!咲ちゃん!咲ちゃん!!」ギューッ 咲「ううん…いいの。謝らないで。優希ちゃん、頑張ったんだもん。一生懸命、思いを伝えたんだもん」 咲「私より、優希ちゃんの方が強かっただけだから…抜け駆けなんて、死んでも思わないから…」 咲「だから…謝らないで…お願いだから…自分を責めないで…お願いだから…お願いだから…お願いだから…」 優希「えええええええええええええええええん!!えええええええええええええええええええええええええん!!!」 咲(…それに、本当に謝らなきゃいけないのは…私のほうだ) 咲(…ごめんね。優希ちゃん) 照「…」 優希「…ありがとうな。咲ちゃん」スッ 咲「ん。もう大丈夫?優希ちゃん」 優希「うん。…大丈夫」 照「優希ちゃん…」 優希「二人とも、もう気にしないで欲しいじょ。思いっ切り泣いたらすっきりした」 咲「けど…」 照「わかった」 咲「お姉ちゃん…?」 照「…」コクン 咲「…うん」 優希「…」 優希「ふう…それにしても、びっくりしたじぇ!」 咲「…ん?どうしたの?優希ちゃん」 優希「いやあ、まさか照さんが咲ちゃんのお姉ちゃんだったとは」 咲「hんvるいうぇgヴぁmrしいえfkjヴぇうい!!?」 照「ういrc7いhgx7いあえろあhヴぁshvdf!!?」 優希「うはははは!!二人とも面白い顔してるじょ」ケラケラ 咲「ななななななななな!」 照「なんでそれを!!?」 優希「だってなー。さっき、咲ちゃん照さんの事お姉ちゃんって…」 照「さきいいいいいいいいいい!!」 咲「ごめんなさあああああああああい!!」 優希「しかも、あの宮永照がお姉ちゃんとは。いやあ、血は争えないもんだじょ。どーりで麻雀させても強いわけだ」 照「いうぱmgsvww78j,おい、jcヴぃdfすmv8dfmkvlんd!!」 咲「いおjヴぃあdふぉvm8え9vへあ、かえ89rch,g8vfd!!」 優希「うむ。その顔が見たかった」 照「き、気付いてたの!!?」 優希「当然だじょ。普通、麻雀やってる女子高生で『あの』宮永照を知らないとか有り得ないじぇ」 照「あううう…」ヘナヘナ 優希「まあ、照さんが目立ちたくなさそうだったから黙ってたんだがな。…恥ずかしいところ見られたお返し」 照「ゆ、優希ちゃん…」 優希「わーはっはっは!」 咲「あ、あの…優希ちゃん?聞きたいがあるんだけど…」 優希「なーに?」 咲「その…私たちが姉妹って気付いたのは…いつ?」 優希「確信持ったのは咲ちゃんの発言だけど、前々からなーんか、二人、似てるところあるなーって思っていたじょ」 咲「そ、その話…誰かには、した?」 照「…!!そうだ!ねえ優希ちゃん。もし君がまだ京ちゃんにこの話を伝えてないのなら、お願いだから彼にはこの話は黙っていてくれないか!」 優希「ふむ…って事は、やっぱり京太郎も知らなかったのか?姉妹なのにお互いを初対面みたいに紹介してたし、なーんか複雑な事情あるっぽいじょ」 咲「そ、それは…その…」 照「えっと…その…」 優希「…ん。まあいいじょ。あんま込み入った話聞いてヘヴィーな問題に巻き込まれたくないし」 咲「ごめん…」 照「本当にごめんね、優希ちゃん…」 優希「よっし!それじゃあ、この話終わり!次は私の話を聞いてもらうじょ!」 咲「えっ」 照「は、話?」 優希「うむ。振られた時の話。…まあ、愚痴だと思ってくれればいいじょ」 咲「け、けど…」 照「そ、それは…」 優希「おお、渋い反応。だが問答無用だじぇ」 咲「ちょ、ちょっと待って!」ワタワタ 照「まだ心の準備が!」ワタワタ 咲(と、友達が好きな人に振られたときの話なんて!) 照(どう対処すればいいのかわからない!!) 優希「…」 優希「アイツな。好きな人が居るんだと」 咲「…!!」 照「…え?」 優希「ちなみに無理言って名前も聞きだしたじょ?せめてそれぐらい聞かないと納得できないって泣き落としてな。ふふふ、どこまで言っちゃおうっかなー♪」 咲「え…えええええええええ!!?」 照「ゆ、ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ優希ちゃん!その辺の話詳しく!いややっぱり駄目!!言わないで!!」 優希「おーおー。この私が圧倒的にこの場を支配してる感じ。まさに愉悦」 咲「で、でもなんでそんな事聞いたの…?」 優希「ん~?だって、二人ともアイツの事、好きだろ」 咲照「「 」」 優希「うむ。今ならお遊びの練習試合とかやったら、この二人相手にでも揺さぶりで勝てそうだじぇ。三麻してみようか?」 咲「あ、あの…その…」モジモジ 照「なんでそれを…」モジモジ 優希「同じ立場だったからな。…むしろ、あれでわかんないくらいだと、流石に女子力低すぎだじょ」 咲「きょ、京ちゃんには…」 優希「ぬっふっふ。まだ伝えてないけど、どうしようかな~。…あ、あとな。あとな。好きな人とは別に、理想の女性像とかも聞いてきたんだが…」 照「あの…優希ちゃ…優希さん。様。お肩は凝っておりませんでしょうか…多少なりとも心得がございますが」キリッ 咲「あ、ずるい!…片岡先生。平日に手作りタコスは如何でしょうか?私、その、最近お料理に凝っておりまして…登校後のおやつにでも…」 照「ああ!咲!それ反則!」 咲「そんな事言ったって、お姉ちゃんが先に始めたんでしょ!」 照咲「「やいのやいの」」 優希(この二人って…なんていうか、そういう目で改めて見たら実に姉妹してるじょ…) 優希「…ま、でもやっぱやーめた!二人にはそういう事、おしえてあーげない!だじぇ」 咲照「「 」」 優希「だって、私が振られたばっかなのに、元ライバルにそんな事教えるのもなんかムカつくしな!わははは!」 咲「優希ちゃん…」 照「…」 優希「…あ、やっぱ一個だけ教えてあげよう。京太郎の理想の体型は、ボンキュッボンだそうだじょ。…渾身の力でもってぶん殴っておいたので安心するように」 咲「ありがとうございます」ペコリ 照「重ね重ねお世話になります」ペコリ 優希「んむ!」 咲「…」ペタペタ 照「…」ペタペタ 優希「…」ペタペタ 咲照優希「「「…はぁ」」」 優希「…一個だけ言っとくじょ」 咲「ん?」 優希「私、まだ完全に諦めてないから」 照「優希…ちゃん?」 優希「…だから、二人、どっちが勝つにしても、早いとこ京太郎モノにした方がいいんじゃないか。…私が追い上げる前に」 咲「…」 照「…」 優希「…ふふ。なんてな。私から言いたいことはそれだけだ!」 咲「…」 照「…」 プルルルルルルルル 優希「おっと!…はーい!もしもしー。こちら乙女の花園だじぇ。なんのようだ。…あ、はい。はい。あと5分。了解だじょ」 優希「…さあ、出ようじぇ。待て!させておいた犬もそろそろ、ソワソワし始める頃だ!!」 ゲーセンにて 京太郎「…」ボーッ 京太郎「…はぁ」ガクリ 京太郎「…なんなんだろうな~。俺ってば」 京太郎(普段は彼女欲しいだなんだ散々吹いといて、いざ告白されたらコレだ) 京太郎「あーあ!もったいないことしちまったなーッッッ!!」 京太郎「……だァッ!!!」 京太郎「…はぁ」 京太郎(優希、泣いてたな…) 京太郎(…けど…俺は…) 京太郎(…俺は) 京太郎「…」 京太郎(…昔から、好きだったんだ。今更、この気持ちを忘れられっかよ…!!) 京太郎(自惚れじゃ無く、友人として好かれてる自信はある。あとは、それ以上の気持ちをどんな風に相手に伝えられるか、それだけなんだ。…優希が俺に見せてくれたみたいに) 京太郎(アイツの気持ちに当てられちまったのかな。…もう俺も、我慢出来なくなっちまった。この気持ちを、相手にまっすぐ伝えたい) 京太郎(…それで、どうなるのかはわかんないけど…最悪、駄目だったら駄目だっただ。当たって砕けろってのも、案外格好良いもんだって分かったしな) 京太郎(…はは。悪いな、優希。俺、お前の気持ちまで自分の告白の出汁にしちまおうとしてる。…最悪な男だな) 京太郎(…だからお前に直接こんな事言えないけどさ。けど、心の中でだけは言っておくぜ。…ありがとな) 京太郎「…よっし!」 優希「おーい!京太郎ー!」 咲「ごめんね、京ちゃん!待たせちゃった!」 照「もう外は真っ暗だ。名残惜しいけど、そろそろ帰ろうか」 京太郎「おっ、優希。咲。照ちゃん」 優希「えー!まだ遊び足りないー!」 照「ワガママ言っちゃだめだよ、優希ちゃん。もう大分遅いしね」 咲「…そうだね。帰ろうか、優希ちゃん」 優希「むうー…」 京太郎「…そうだな。それじゃあ、そろそろ」 優希「やだー!せめて後30分!ね!お願いだじょ!」 照「優希ちゃん…」 京太郎「何がお前をそこまで駆り立てるんだよ」 優希「だって、まだUFOキャッチャーしてないじょ!!」 照「あ…」 京太郎「あっ。そういえば」 咲「え?え?え?」 優希「うむ、咲ちゃんは知らんかったか、私達な、さっき照ちゃんに、UFOキャッチャーで実力見せてやる約束してたんだじょ」 照「忘れてたよ」 京太郎「そういえばそうだったな。悪い悪い。じゃあ、それだけやったら解散にするか」 優希「おう!」 咲「あ…じゃ、じゃあ、私もやって…こう…かな…」 京太郎「当たり前だ。お前をこんな遅い時間に一人で帰らせてたまるか」 咲「えっ?」ドキッ 照「っ!」ズキッ 京太郎「明日の3面記事的な意味で」 優希「うむ。この時期に美少女女子高生行方不明事件とか、洒落にならないじょ」 咲「…」シュン 照「…」ホッ 優希「おっと、小銭が切れてたじょ。ちょっと両替してくる!」タタタタタ 照「…えっ?」 咲「あ、私も小銭無いや。ちょっと行って来るね」トテテテ 照「あっ…」 京太郎「おー。行って来い行って来い」 照「…」 照(えええええええええ!?ちょ…ちょっと待って!この状況、いきなり京ちゃんと二人っきり!!?咲あんた、なんであんな話した後ですぐに私を京ちゃんと二人に出来るの!) 京太郎「…さって、それじゃあ俺らは先に遊んでようか。な?照ちゃん!」 照「っ!あ、ああ、そ、そうだね!」 照(うええええええ!?) 京太郎「つっても、さっきから色々物色はしてたんだけどさー。俺的にどーもピンと来るものが無くって。照ちゃん、なんか欲しいもんある?」 照「え、え~っと…そ、そうだね!私もちょっと物色してみようかなっ!」 照(ひぎゃあああああああ!) 京太郎「んじゃあ、俺ももう一回、照ちゃんと一緒に見て回ろうかな。なんか見落としてた面白いもん有るかもしれないし」 照「そ、そう!?じゃあじゃあ、一緒に行こうか!うん!一緒に!」 照(ぬええええええええええ!なになに!?何なのこの状況!!) 京太郎「えーっと…どれどれ…」キョロキョロ 照「…」ソワソワ 京太郎「んー…やっぱあんま俺の欲しいものは無いかな~…」 照「…」キョドキョド 京太郎「照ちゃんは、なんか欲しいものある?」 照「うえっ!?」ビクッ 京太郎「欲しいもの」 照「えっ!えっ!あ、えっとえっと…」オロオロ 照「…あっ」 京太郎「ん?」 照「…あれ、可愛い」スッ 京太郎「あれって言うと…」 京太郎「でっかいバナナの頭にリボンが付いてる抱き枕…?…って、アレは…」 京太郎(東京ばな奈じゃねえか!!) 照(可愛い…) ※直径60cmくらいのぬいぐるみ素材。同様に、ハットを被ったイチゴも有ります 照「1回200円か。やってみる」チャリーンチャリーン 京太郎「あ、ああ…」 照「」ウイーン 照「…駄目だ」ショボン 京太郎(こりゃ難易度たっけーなー…) 照「…」チャリーンチャリーン 照「」ウイーン 照「…駄目」 照「…」イラッ 照「…500円で3回か」 照「」チャリーンチャリーン 京太郎「!?」 照「」ウイーンウイーンウイーンウイーンウイーンウイーン 照「…」イライラッ 照「…!ちょっと両替してくる!」 京太郎「待て待て待て!落ち着け照ちゃん!!」 照「けど…このまま引き下がれない!」 京太郎「熱くなったら負けだって!ここは俺に一回やらせてくれよ!」 照「!!」 京太郎「な!?」 照「うん…!」パアア 照(えっ!こ、これって…!まさか、ここで京ちゃんが取ってくれて、私へのプレゼントって展開では…!) 京太郎「よーっし。それじゃあ、俺の実力見てろよー?照ちゃん!」チャリーンチャリーン 京太郎「…あれっ」 京太郎「あ、あははは…まあ、こういうでっかいのは取るの難しいしな!流石に一回じゃ取れねーよ」 照「そ、そうだよね。うん。あはは…」 京太郎「…もう一回」チャリーンチャリーン 京太郎「」ウイーン 京太郎「…」イラッ 京太郎「…500円で3回か」チャリーンチャリーン 照「!?」 京太郎「」ウイーンウイーンウイーンウイーンウイーンウイーン 京太郎「…」ゴソゴソ 京太郎「…財布の中…小銭は100円だけか。ちょっと両替してくる」 照「ま、待って!京ちゃん!!」 京太郎「うおおおお!ここで引き下がって堪るか!男には絶対に負けられない戦いがあるんだ!!」 照「多分それ、この場面じゃないから!落ち着いてよ!熱くなったら負けだよ!」 京太郎「くっ!だからと言って!!」 照「この子は私が最初に目を付けたんだ。京ちゃんの小銭が尽きたのなら、次は私の番だよ」 京太郎「ぐう…」 照「京ちゃんはここに居て。そして私が帰ってくるまで、他の人にこれを取られないように見張ってて欲しいの」 京太郎「いや、それはマナー的に問題が…」 照「…じゃあ、取り敢えずここに居てくれればいいや」 京太郎「大丈夫?迷わない?」 照「大丈夫。そこに東京ばな奈が有るなら、私は迷わないよ」 京太郎「あ、そうですか…?」 照「じゃあ、行って来る」 京太郎「…」 京太郎「…何してよ」 5分後 優希「おっ!居た居た。京太郎!」 咲「京ちゃん!…あれ?おね…じゃなかった、照さんは?」 京太郎「あれ?さっき両替に行ったんだけど…会わなかったか?」 咲「…?うん」 優希「まさか、迷った?」 京太郎「うわ…やっぱ一人で行かせたの失敗だったか?…あと10分して来なかったら迎えに行こう」 優希「ところで、何してたのだ?」 京太郎「ああ、これな。照ちゃんが欲しいって言ってたんで、二人で頑張ってチャレンジしてたんだけど…」 優希「おお…東京ばな奈…そう言えば、今スカイツリー限定で豹柄のチョコバナナ味が売ってるらしいじょ(ステマ)」 京太郎「ああ、そういえば5月22日にスカイツリータウンの商業施設『東京ソラマチ』に新店舗オープンしたんだっけか(ステマ)」 咲「うわぁ。可愛い抱き枕…ちなみに去年の8月10日にはキャラメル味も出てるんだよっ!(ステマ)」 両替機械の前 照「…今後の新商品の展開も、目が離せないね(ステマ)」 優希「…おっ!咲ちゃんも欲しいのか?これ」 咲「うん。いいなぁ。可愛いなぁ。ちょっとやってみようかな」 京太郎(うーん…ま、いいか。まだ何個かあるみたいだし) 優希「じゃ、やってみるじょ。咲ちゃん」 咲「うん!」チャリーンチャリーン 咲「」ウイーン 咲「…」 咲「…500円で3回」チャリーンチャリーン 優希「!?」 京太郎「…」 咲「」ウイーンウイーンウイーンウイーンウイーンウイーン 咲「もういっか…」 優希「つ、次は私な!私!!」 優希「こ、こういうのにはコツがあるんだじょ…」チャリーンチャリーン 優希「」ウイーン 優希「…」 優希「…500円で3回」チャリーンチャリーン 咲「…」 京太郎「…」 優希「」ウイーンウイーンウイーンウイーンウイーンウイーン 優希「むきょおおおおおおおおおおおお!!」ドッカーン!! 優希「うおおおお!ここまできたら引き下がれないじぇ!女には絶対に負けられない戦いがあるんだじょ!!」 京太郎「お、落ち着け優希!!」 咲「そうだよ!優希ちゃん!熱くなったら負けだよ!今度こそ私が取るから!!」 京太郎「いや、待て咲!今度こそ俺が取って見せるから、ちょっと両替してくるまで待ってろ…」 優希「駄目だじょ!私がやるの~!」 やいのやいの 照「ただいま、京ちゃ…って、何やってるのみんなで…」 ※この後、話し合いの結果、一人ずつ順番で挑戦する事に決まりました そして、このキャッチャーに掛けた金額が総額5,000円に達そうかと言う頃… 京太郎(つ、疲れた…) 優希(もう誰でもいいから頼むから奴を倒してくれ…) 照(咲…頑張れ…) もうみんな、既に意地だけでチャレンジしていた 咲「…」ウイーン 咲「…」 ポロッ 咲「!!!」 京太郎「!!」 優希「!!」 照「!!」 咲照優希京太郎「「「「やった!!!!」」」」 咲「取ったぁああああああああああああああああああ!!!」 優希「おめでとう!!咲ちゃあああああん!!」 京太郎「やってくれたな!!ついにやってくれたな!!咲!!」 照「頑張った!よくやってくれた!!ありがとう!おめでとう!!」 咲「ありがとう!みんな!本当にありがとう!みんなのお陰だよ!みんなが支えてくれたから、私、ここまで頑張れた!だから、これはみんなで掴んだ勝利だよ!!」 咲照優希京太郎「「「「わああああああああああああああああああ!!!」」」」 咲「…で、これ…どうしようか?最初、おね…照さんが欲しかったんだったよね?」 照「…いや、これは咲だって欲しかったんだろう?なら、取ったのは咲なんだし、咲の物だ。取っておくといい」 咲「…ありがとう。大事にするね」ギュッ 優希(…しっかし、ふと我に返ってみると、これって凄い構図だじょ。直径60cmのでっかいバナナを愛おしそうに抱きしめる女子高生…) 京太郎(…いかんいかんこれいかん。考えるな俺。心を無にせよ) 照(…いいなぁ。咲。けど、もう一個これに挑戦するのは、流石の私もちょっと…なんだ、その…めげる) 京太郎「…」 照「…さあ、みんな。もうそろそろ電車が無くなるよ。いい加減帰ろうか」 咲「あ…そ、そうだね!」 京太郎「あ、やべ。結局1時間近くコイツにかかりっきりだった」 優希「むう…しまった。私としたことが」 照「それじゃあ、行こう。駅に」 京太郎「そうだなっ!」 咲「うん」 優希「じゃ、みんなで駅までいこー!」 照(…結局京ちゃんと二人でじっくりお話とかは出来なかったけど…まあ、いいか。楽しかったし) 照(…私だけ、違う電車か。ちょっとだけ、寂しいけど、ね) 電車ホーム 照「それじゃあ、私はこっちのホームだから」 優希「ありがとうな、照さん。楽しかったじょ」 照「私もだよ、優希ちゃん。友達になれて良かった」 優希「私も!ねえ、携帯の番号、交換したいじょ…」 照「ああ。私の方こそお願いしたいな」 京太郎「おっ!そう言えば、俺もいいかな?折角久しぶりに会えたんだし、これからもたまには連絡取り合おうぜ」 照「そうだね。私も京ちゃんの番号、知りたいな」 咲「あ…」 咲(…いいなぁ) 京太郎「咲は…ああ、携帯持ってないんだよな。家電の番号でも交換するか?」 咲「…ん。私はいいや…」 咲(…一応、知ってるし) 京太郎「?そうか…」 京太郎(そう簡単には打ち解けれなかったか。やっぱ咲は人見知りだなぁ) 照「はい、優希ちゃんとの赤外線交換終わり。…次、京ちゃん、いい?」 京太郎「おっと、んじゃ、お願いしますっと」 咲「…」 咲(…やっぱり、いいなぁ) 照「…じゃあね。みんな。また会おう」 照(全国の会場で…敵同士だけど…ね) 優希「…」ピポピポ 照「?」ブルルル 照(あれ、メール着信…)チラッ 『from 片岡 優希ちゃん 今度会うときは全国だじょ!負けないからな!』 照「…!」 優希「にひひ」ニコッ 照「…」クスッ 照「…」ピポピポ 優希「」ブルルル 優希「」チラッ 『from 照さん そう簡単に勝てると思うなよ?今年も優勝は私達白糸台だ』 優希「にひっ」ニコッ 照「…ふふ」 照「ばいばい!みんな!」 優希「…行っちゃったじょ」 京太郎「…ああ」 咲「…」 京太郎「…俺らもホーム行こうか」 優希「だな」 ローカル線・清澄行きホーム 優希「…って言ってもなー。お別れの挨拶してるうちに予定の電車行っちゃってたじょ」 京太郎「しまんねー。次は30分後か」 優希「退屈だじょ」 咲「うん…」 京太郎「…」 優希「…」 咲「…」 京太郎「…あ、悪い二人とも。ちょっとトイレ行って来る」 優希「おう」 咲「…うん」 京太郎「…」タタタタ 優希「…なあ、咲ちゃん」 咲「…うん?」 優希「照さんいい人だったな」 咲「…うん」 優希「美人だし」 咲「うん」 優希「優しいし」 咲「うん」 優希「自慢のお姉ちゃん?」 咲「…うん」 優希「…なんで喧嘩したの?」 咲「…」 優希「本当はあんなに仲良しなのに」 咲「…」 優希「なんか、二人とも無理して喧嘩してるような気がしたじょ」 咲「…気付いてたんだ。私たちが喧嘩してるって」 優希「私から言わせれば、喧嘩とも言えないと思うけどな。あんなの」 咲「…」 優希「…」 優希「…けど、まあ、やっぱりそれは私が口挟む問題じゃないか。いいじぇ?別になんにも言わないで」 咲「…ごめん」 優希「謝んないで。私がつらいじょ」 優希「でも、これだけは覚えておいてな」 咲「?」 優希「照さんがどんなにいい人でも」 優希「私はどっちかって言うと、咲ちゃん派だ」 新幹線ホーム 照「…あと10分…か」 照(ちょっと、名残惜しいかな。…ふふ。まさか、大嫌いな長野でこんなに楽しく過ごす事出来るなんて、ね) 照(ありがとう、優希ちゃん。京ちゃん。…それと、ごめんね。咲) 照(私、今日ここに来れて、本当に良かった。少しだけ、故郷の事、好きになれた) 照(本当に、良かったよ…良かった…良かった…) 照「…また、明日から頑張ろう」 照(そして、またいつか、みんなで遊ぼうね…) 照(…ふふ。今度は、東京だもんね。再開したら、菫や淡達の事、紹介できたらいいな…) プルルルルルル!! 『間も無く、東京行き、新幹線が到着します』 照「…」 京太郎「照ちゃん!!」 照「…え?」 京太郎「はぁはぁはぁ…っ!よ、良かった、間に合った…!」 照「ど、どうしたの?京ちゃん、そんな息切らして…それに、帰りの電車は…」 京太郎「へへ、一本乗り過ごしちゃって」 京太郎(…まあ、実は乗り過ごさなくてもなんだかんだ理由付けて俺だけ残るつもりではあったんだけど) 照「そうだったんだ…けど、なんでこっちに?」 京太郎「忘れ物」スッ 照「…え?何、これ…ハート型の…ストラップ?」 京太郎「さっき照ちゃんが両替しに行ったときにな。残った100円でなんとか取れそうなの取っといたんだ。照ちゃんにあげたくて」 照「え…け、けど…でもなんで…」 京太郎「…だって、あそこで帰って来た照ちゃんがばな奈取っちゃったら、俺格好悪すぎだろ!」 照「」パクパク 京太郎「…余計だった?」 照「…」 照「…ううん。凄く嬉しい。ありがとう」 京太郎「…ふう。良かった。喜んでくれてほっとした」 照「ありがとう…ありがとう…本当に嬉しい…」ギュッ 京太郎「…」 京太郎「あ~…あと、ね」 照「…?」 京太郎「あと…どうしても言っておきたい事があって…その…」 ガタンガタンガタン… 照「…京…ちゃん?」 京太郎「えーっと、だ。その…あー…」ポリポリ ガタンガタンガタン… 照「…」 京太郎「…」 ゴオオオオオオオオ… 京太郎「…俺、照ちゃんの事、好き…………なんだけど」 キイイイイイイイイイッ!!! 照「…………………………………」 照「…えっ」 京太郎「…だから、照ちゃんの事…………………………好き………………………………………………です」 照「…………………………………………………………」 照「…………………………………………え」 照「」パクパクパク 京太郎「…その…良かったら、俺と、お付き合い…して……欲しいかな…って…その…」 照「」パクパクパク 京太郎「…む、昔っから、さ。その…好き…だったんだ。実は」 照「」パクパクパク 京太郎「照ちゃん、その、今東京だしさ。…二つも年上だし、その、今更俺みたいな田舎のガキ、その、男として見てもらえないかも…と思ったんだけど」 京太郎「ご、ごめんな。いきなりこんな事言っちまって…迷惑かもしれないけど……ど、どうしても、我慢出来なくて…」 京太郎「もし良かったら…なんだけど…さ…返事…くれないか…?」 照「な、なん…で…?」 照(なんで京ちゃんが、私の事を!!?) 京太郎「…正直、もう二度と会えないと思ってた」 照「…」 京太郎「…照ちゃんがいきなり俺の目の前から居なくなって、もう何年も過ぎて…さ」 照「…」 京太郎「…正直、すっげー寂しかった。あと、ショックだった。あんなことあった後だし、やっぱ避けられちゃってんのかと思って…」 照「っ!!」 京太郎「自惚れかもしれないけど、照ちゃんの前では俺、結構格好いいところも見せられてたとか、その、傲慢で打算的な考えかもしれないけど、そういうのも考えちまってたし…」 照「そ、そんな事無い!!私、京ちゃんの事避けてなんか…!!避けてなんか…無い…」 京太郎「…ありがとう。その言葉だけで、俺、救われた気分だ」 照「…」 京太郎「…けど、さ。それだけじゃ我慢出来ないってのも…確かなんだ。照ちゃんの事…好きなんだ。大好きなんだ。大大大大好きなんだ」 照「きょ、京ちゃん…」 京太郎「その…どう…かな…東京の男みたいにおしゃれでも、スマートでも無いし、照ちゃんみたいな美人と、今更釣り合わねーかもしんねーけど…良かったら…」 京太郎「その…お、俺と、お付き合いしてください!!!」 京太郎「…ははは。情けねーな、俺。もっと言わなきゃいけない事いっぱいあるはずなのに、こんな事しか言えない…」 照「わ、私…私…その…!!」 照(嬉しい…!) 照(嬉しい…!) 照(嬉しい…!) 照(嬉しい…!) 照(嬉しい…!) 照(嬉しい…!) 照(嬉しい…!) 照(嬉しい…!) 照(嬉しい…!) 照(嬉しい…!) 照(嬉しい…!) 照(嬉しい…!) 照(嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!) 照(嬉しい…!!!!!!) 照「わ、私…その…」 照(嬉しい!うれしい!嬉しい!!) 京太郎「…うん」 照(京ちゃんが私のこと…好きだったって…私の事好きだったって!!!) 照「そ、その…あの…」 照(うれしい!うれしい!うれしい!うれしい!うれしい!うれしい!うれしい!嬉しすぎて、死んじゃいそうだ!!) 京太郎「…うん」 照(私も!私も好きだよ!京ちゃん!!大好きだよ!!京ちゃん!!!!) 照「わたし、わた、わたし…わ…」 照(あとは、『うん』って!『うん』って言ったら、それだけで私達は両想いなんだ!!!) 照「えっと…あの…!その…!!」 照(『うん』って!!) 京太郎「…」 照「あの…わ、わたし…は…その…!」 照(『うんっ!!』) 京太郎「…」 照(『うんっ!!!!!!!!!!!!!』) 照「…」 照(あ、あれ…?) 照「えっと…!あ、あう…あ…あう…あ…あっ!うう…うう…!」ジワッ 照(な、何やってるの!?私!) 照「あ、あう…あうう…あ、あう…!ううー!」グスッ 照(な、なんで…?) 照「ううー!うううー!!」ポロポロポロ 照(なんで、一言、『うん』って、出てこないのぉ!?) 京太郎「…」 京太郎「…うん。悪い、照ちゃん。変な事言っちゃって。…今の、忘れて」 照「!!!」 京太郎「…そうだよな。いきなり昔の友達に会って、そんな、久しぶりに会って告白なんて…訳わかんねーよな…ごめんな…ほんとごめん、照ちゃん…」 照「あうっ…あっ!あっ!!」ポロポロポロ 照(ち、違うの京ちゃん!!) 照「そ、その…あの…」 照(わ、私!もっ!京ちゃんの事!!) プルルルルルルル 『東京行き、新幹線間も無く発車しまーーーす』 照「あっ!」 照(あっ!で、電車!けど、あっ!うわっ!!) 京太郎「っ!」 『ドア、閉まりまーす』 照(か、帰らなきゃ!) 照「京ちゃんごめんっ!!」ダッ 京太郎「あ…」 プシューッ 京太郎「 っ!! !! !!? !!!」 照「…っ!!!!」ダダダダダッ 京太郎「 !!!」 照「うわああああああああああああああああああああん!!!」 照「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!」 照「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!」 照「馬鹿!!馬鹿!!馬鹿!!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!私の馬鹿!!!!!」 照「ごめんね!!!ごめんね!!!ごめんね!!!ごめんね!!!ごめんね!!!ごめんね!!!ごめんね!!!」 照「ごめんね!!!京ちゃん!!!!!」 京太郎「待ってくれっ!!また!!また会えるよな!!?照ちゃん!!!」 京太郎「照ちゃん!!!」 京太郎「…」 京太郎「…」 京太郎「…」 京太郎「…」 京太郎「…」 京太郎「…」 京太郎「…」 京太郎「…」 京太郎「…」 京太郎「…」 京太郎「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」 京太郎「…」 京太郎「…くそっ!!」 京太郎「…馬鹿野郎…!!」 京太郎「馬鹿野郎馬鹿野郎馬鹿野郎馬鹿野郎馬鹿野郎馬鹿野郎馬鹿野郎馬鹿野郎馬鹿野郎!!!!」 京太郎「…………俺は…………馬鹿だ…………!!!」