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赤ありすと、まりさ一家 後編 83KB 家出 同族殺し 餡庫ンペ09参加作品 餡庫ンペ09参加作品です。 テーマは差別、キー要素は家出です。 「ふたば系ゆっくりいじめ 598 赤ありすと、まりさ一家 前編」の続きです。 作者はマ・あき。 以前「まりさがんばる」「まりさがんばった」を書きました。 赤ありすと、まりさ一家 後編 届かなかった。 お家には夜毎いしさんがぶつかってきた。 もう一家にも理解できた。 いしさんが、ゆっくりできないのではない。 ゆっくりできない、ゆっくりの仕業だ。 一家のお家に、いしさんをぶつけているのだ。 一家は満足に眠れない。 一家が外を出歩けば、赤ありすとそれを匿う一家を非難する声が聞こえる。 だが、面と向かって言ってくるゆっくりはいない。 声のする方を見れば、みんな黙って視線を外す。 気が滅入る。 姉妹と一緒に遊んでくれる子ゆっくりが減っていった。 最初は気のせいかと思っていたが、どんどん数が減り、今ではもう何匹も残っていない。 特に仲の良い子ちぇんと他に数匹だけだ。 姉妹だけで遊ぶことが増えた。 自分達は何も悪いことをしていない。 こんな状況も時間が解決してくれる。 一家はそう信じていた。 だが、あの飼いゆっくりがプレイスを訪れて無法を働く度、 一家への風当たりは強くなる一方だった。 一家が何もしなくても、一家には何一つ関係がなくても状況は悪化する。 最初に赤ありすが襲われたときには、味方のほうが多かった。 だが、今では味方はほとんどいない。 「むきゅむきゅん!もうすっかりいいわ。よくがんばったわね、おちびちゃん!」 「ゆん!ぱちゅりーおねーしゃんのおかげよ!」 「ぱちゅりー、ほんとにありがとうだよ! おかげで、おちびちゃんもすっかり元気になったよ!」 まりさ、赤ありす、おいしゃさまのぱちゅりーの三匹がゆっくりと話をしている。 ここは、おいしゃさまのぱちゅりーのお家だ。 最初の診察から、既に数回診察を受けている。 やっとぱちゅりーから、赤ありすの完治宣言がでたところだ。 ゆっくりしているのは、そればかりではない。 一家には、もうほとんど味方がいない。 そんななかで、このぱちゅりーは一家にも分け隔てなく接してくれる 数少ないゆっくりの一匹なのだ。 さらに、職業柄プレイスのゆっくりたちからの信頼も厚く、影響力も大きい。 このぱちゅりーが一家を差別しないことが、 多少なりとも一家への風当たりを和らげてくれていた。 赤ありすは勿論、まりさや他の姉妹にとっても、頼もしくもゆっくりした存在だった。 「むきゅ!いろいろ大変だとおもうけど、 こまったことがあったらいつでもいらっしゃい。 そうだんにのるわよ!」 「ありがとう、ぱちゅりー!とってもゆっくりできるよ!」 「ぱちゅりーおねーしゃん、ゆっくちありがとうにぇ! とっちぇもとかいはよ!」 ぱちゅりーのおかげで、ゆっくりした気分になれたまりさと、 そのお帽子の上の赤ありすは、 「ぱちゅりーはほんとうにゆっくりしてるね! ありすのケガもぜんぶなおしてくれたよ!」 「ほんとにぇ!ありちゅも大きくなったら、 ぱちゅりーおねーしゃんみたいにゃ、とかいはじょいになるにょ!」 「ゆふふふ!おちびちゃんなら、きっとなれるよ!」 「ゆん!それにしても、おとーしゃんのおぼうち、とかいはにぇ!とってもすてきよ!」 「ありがとうだよ。おちびちゃんにそんなこと言われると、まりさてれちゃうよ。 でも、ありすのカチューシャさんもとってもきれいだよ! しょうらいは美ゆっくりまちがいなしだね!」 「ゆぅぅん!」 帰宅途中の道すがら、ゆっくりとした会話を交し合った。 「ゆびっ、ゆび!ゆぐっ!ゆえええええん!」 「なかないで、まりさ・・・。むきゅぅぅぅ・・・。」 お家に辿り着くと、様子が変だ。 お家がぼろぼろだよ。 おちびちゃんたちが、泣いてるよ。 一体何があったの。 呆然とする、まりさと赤ありす。 お家がぼろぼろに壊され、そのお家の前で子まりさが泣いている。 子ぱちゅりーは、その子まりさを慰めているようだ。 だが、呆けている場合ではない。 親としての責任感からか、いち早く立ち直り、子ゆたちの安否を確認する。 「二人ともだいじょうぶなの?ケガはない?」 「むきゅうん・・・。だいじょうぶよ、おとーさま。 わたしも、まりさもケガはないわ・・。」 幸い二匹ともケガはないようだ。 「ゆぐっ!ゆええええぇぇん!まりしゃのお家しゃん・・・。 みんなのお家しゃんがぁぁーー!! こんなのひどいのじぇぇぇぇ!!! ゆぴぃぃぃーーー!」 しかし、子まりさはお家が壊されたことが余程ショックだったのだろう。 凄い勢いで泣き叫んでいる。 普段、陽気で腕白な子まりさだけに、余計に痛々しい。 「ゆぅぅぅ・・・。なかないでね、おちびちゃん・・・。 ・・・だいじょうぶだよ!お家ならまた、おとーさんがつくるよ! だから、ゆっくりしてね!」 「むきゅ!そうよ。こんなことでまけちゃだめよ!」 まりさと、子ぱちゅりーが口々に子まりさを慰める。 その甲斐あってか、やっと子まりさが泣き止む。 「ゆぐっ・・・。ま、まりしゃ・・・、もう泣かないのじぇ! ゆっくちするのじぇ!」 「そうだよ!ゆっくりだよ!」 「むきゅきゅ!むっきゅりよ!」 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 お互いへのゆっくりしていってね、で落ち着きを取り戻した三匹。 まりさは、子ゆたちの安否確認に続き、何があったのかを二匹に尋ねる。 「むきゅ・・・。」 「だじぇ・・・。」 言い辛そうな二匹。 しかし、子ぱちゅりーが意を決して口を開く。 「むきゅう・・・。せいっさいっだそうよ。 ゲスの飼いゆっくりをかくまうゆっくりに・・・。」 プレイスのゆっくりたちが集まってきて、一家のお家を壊したときの様子を説明する。 「「ゆ!?。」」 まりさと赤ありすの驚愕の声が重なる。 「ど、どうして!?そんなのひどすぎるよ・・・! まりさたちはなんにもわるいことなんかしてないのに!」 まりさは思う。 ゲスの飼いゆっくりとは誰のことだ? 赤ありすは悪いことなど何もしていない。 自分達家族の誰一人として、断じてゲスなどではない。 だが、現実としてとうとうお家まで壊されてしまった。 ここに来て、例の飼いゆっくりが今まで以上に無法を働いているのだ。 人間さんの力を恐れ、飼いゆっくりには逆らえない。 だが、例外的に人間さんとはぐれてしまった(と思い込んでいる)、 飼いゆっくりの赤ありすならば、せいっさいっをすることができる。 おそらくそういった理屈で、その鬱憤が一家に回ってきたのだろう。 嫌がらせはエスカレートする一方だ。 時間が経てば徐々に落ち着き、 また元の穏やかな生活が戻ると考えていた自分は甘かったらしい。 このままでは、おちびちゃんたちに直接危害を加えてくるのも時間の問題だろう。 ここは最早、自分達一家にとってゆっくりプレイスではないのかもしれない。 「・・・・・。」 赤ありすは思う。 自分はゲスなどではない。 何一つ悪いことなどしていない。 一家のお家を壊される謂れなどない。 これはあまりに理不尽だ。 ・・・・。 だが、理不尽であれどうであれ、自分が原因なのは間違いがない。 自分が飼いゆっくりであるばかりに一家に迷惑が掛かる。 これからも迷惑をかけ続ける。 壊されたお家を見ていると、自分を始め、 まりさや姉妹にまで危険が迫っていることが嫌と言うほど理解させられる。 自分は一家にとって、疫病神なのかもしれない・・・。 その日は、ボロボロのお家の残骸と、近くで拾い集めてきたダンボール片や ビニール片で作り直した仮設のお家で過ごした。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛。しゃ、しゃむいんだじぇ・・・。」 「むっきゅしょん!そうね・・・。それにお腹も空いたわね・・・。」 「ごめんね、おちびちゃんたち・・・。 明日になったら、お家も、ごはんもなんとかするからね。 今日だけはがまんしてね。」 「ゆ!ゆっくりりかいしたのじぇ! まりさはいいこだから、わがままいわないのじぇ!」 「むきゅん!ぱちぇもがまんできるわ! あしたはみんなで、ごはんをさがすのよ!」 「ゆゆーん!おちびちゃんたちは、ほんとにゆっくりしてるね! ・・ゆ!そうだよ!みんな、こっちにあつまろうね! ほら、みんなですーりすーりすればあったかいよ!」 「「ゆゆーん!!」」「・・・・・。」 赤ありすも一家と一塊になってすーりすーりしてみる。 お家はボロボロで隙間風が身にしみる。 冬に備えた備蓄のごはんもほとんどが持っていかれてしまった。 一人でさまよっていたとき以来の空腹が寒さに拍車をかける。 だが、そんなことは大して気にもならない。 今の自分には、とかいはなみゃみゃがいない。飼い主さんもいない。 未だに離れ離れのままだ。 恋しい。 なのに、今日まではとてもゆっくりできていた。 この、とてもゆっくりした一家と一緒だったから。 このゆっくりした一家と一緒だから、寒さも空腹も気にならない。 この一家と自分が、寒くてひもじい思いをするのは自分のせいだ。 飼いゆっくりの自分が一緒のせいだからだ。 なのに、この一家は誰も自分を責めない。 今も、こうして一緒にすーりすーりしている。 寒さも、空腹も気にならない。 気にならないくらい、ゆっくりできない。 寒さより、空腹より、ゆっくりした一家と一緒にいることがゆっくりできなかった。 理由は分からないが、とてもゆっくりできない。 一家と一緒にいることに耐えられないほどに。 赤ありすは、こんなに酷い目に遭っているのに、 自分を責めることさえしない一家と一緒にいることが何より辛かった。 赤ありすは、お家を出ることにした。 そして朝。 一番に目覚めたのは子まりさだった。 「ゆ゛−・・・。ゆっくりしていってね!!!おはゆっくりだじぇ!!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 「おはようだよ、おちびちゃんたち!」 「むきゅー!おはゆっくりよ!」 「ゆっくりしていってにぇ・・・。」 この一家とも今日でお別れだ。 自分で決めたこととは言え、気分の良い朝とはいかない。 僅かなごはんでの朝むーしゃむーしゃを終えると、 昨日話していた通りお家の材料集めや狩りへ行くことになった。 いつもは、まりさだけでの狩りだが、場合が場合だけに 姉妹もプレイスの中で草花など安全に採れるごはんを採りに行くことになった。 「それじゃ、おちびちゃんたちも、きをつけてね! おひるにはまりさも一度もどってくるからね! おちびちゃんたちもおひるにはお家にもどるんだよ! それじゃ、ゆっくりいってきます!」 「「ゆっくりいってらっしゃい!!」」 姉妹は、まりさを見送ると自分達も出かけることにした。 「むきゅ!それじゃ、いきましょうか! あまりとおくへいくのはきけんだから、 プレイスと川さんのさかいのあたりで狩りをしましょう!」 「ゆ!わかったのじぇ!狩りならまりさにまかせてほしいんだじぇ!」 「ゆっくちがんばろうにぇ・・・。」 プレイスと隣接する川原の辺りは、草花やむしさんが比較的多く採れる狩場だ。 川原へはゆっくりプレイスから直接移動でき、 危険の多い人間さんのプレイスに出る必要がないため、 子ゆっくりが狩りをするにはうってつけの場所だ。 「ゆっくりのひー、まったりのひー!」 「むっきゅん、むっきゅん!むきゅむきゅむっきゅん!」 「・・・・・・・・。」 元気にお歌を歌う姉妹。 元来陽気で忘れっぽいゆっくりである。 加えて、今日は天気もよく過ごしやすい。 ちょっとした冒険気分だ。 そうなった理由は、お家が壊されごはんの備蓄も奪われたため、 子ゆたちにも少しでもごはんを採ってきて欲しいという切実なものなのだが、 赤ありす以外の子ゆっくりたちは楽しそうである。 しばらく移動すると、川原にたどり着いた。 「むきゅん!それじゃさっそく狩りをしましょうか! おひるには一度もどるから、それまでにごはんをあつめるわよ!」 「ゆん!まりさはあっちでむしさんをとってくるのじぇ!」ぴょーん まりさは、一匹で先に行ってしまう。 「むきゅ!?もう、まりさったら! ありすはぱちぇとお花さんでもあつめましょ。」 「ゆゆー・・・。ありちゅ、あっちでひとりでごはんをあちゅめりゅわ。」 「むきゅー・・・。ありすは、まだひとりはきけんよ。 ・・・しかないわね。でもとおくへいったらだめなのよ!」 むきゅ。 もともと危険の少ない場所だし、あまり遠くへ行かなければ大丈夫ね。 思いの外、赤ありすが頑固なのを見て、子ぱちゅりーのほうが折れた。 「ゆん!ありがちょう、ぱちゅりーおねーちゃん!」 赤ありすは、お礼を言うと茂みの中へと入っていく。 そしてそのまま、川の下流へと進んでいく。 このまま、一家ともゆっくりプレイスともお別れだ。 みゃみゃや、飼い主さんを探しに行こう。 みゃみゃや、飼い主さんに会えるかは分からないがここに留まることもできない。 こうして、赤ありすはゆっくりプレイスを出た。 赤ありすが、川沿いに進んでいると、姉妹と仲の良い子ちぇんに出会った。 多分、子ちぇんも狩りにきているのだろう。 子ちぇんは赤ありすよりも大分年長だから、一人でプレイスの外れにも来ているようだ。 「ありすー?一人でおさんぽなんだねー。 でも、ありす一人じゃあぶないから、ちぇんもいっしょにいくよー。」 子ちぇんは、今でも姉妹と遊んでくれるゆっくりとしたゆっくりだ。 きっと今も自分のことを心底心配して同行を申し出てくれたのだろう。 そんな心優しい子ちぇんを拒絶するのは忍びないが、 「ゆん!ありちゅは一人でおさんぽすりゅにょ! ちぇんみたいな、いにゃかもにょとは、いっしょにあるけにゃいわ!」 「にゃー・・・。ありす、ひどいよー・・・。」 尻尾と耳を力なく垂れさせる子ちぇん。 「それじゃ、ありちゅはしつれいすりゅわ!」 子ちぇんを振り切るように、出来るだけ高飛車に振舞う赤ありす。 が、 「ありすは、まだ赤ちゃんだから一人で遠くに行ったらだめなんだよー! わかってねー!」 それでも、赤ありすを心配して追いかけようとする子ちぇん。 「ぷくー!!ちぇんは、ありちゅをほうっておいてにぇ! ありちゅ、ほんきでぷくーすりゅよ!」 「にゃ!?ありすー・・・。わがらにゃいよー・・・。」 それでも心配そうな子ちぇん。 しかし、ぷくーまでされてしまっては結局赤ありすを見送るしかなかった。 お昼近く。 子ぱちゅりーは、そろそろお家に帰るために、 妹たちと合流しなければならないと考えていた。 「むきゅーん。もうじかんね。まりさとありすはどこかしら?」 と、 「ゆっゆゆーん!たいりょうなのじぇ!まりさは狩りの名人なのじぇ!」 子まりさが戻ってきた。 頭の上の小さなお帽子が大きく膨れている。 どうやら、狩りの成果は上々らしい。 「むきゅ!まりさ、狩りはうまくいったようね!」 「ゆん!あたりまえなのじぇ! 狩りのことなら、まりさにまかせてほしいんだじぇ! おねーちゃんとありすにも、ごちそうとってきたんだじぇ!」 「むきゅきゅ!ありがとう、まりさ。ところで、ありすを見なかった?」 「ゆーん?まりさはありすとはあわなかったのじぇ。」 「むきゅー。それじゃ、ありすをよびにいきましょ。あっちにいるはずよ。」 ありすの向かった茂みのほうへと跳ねていく二匹。 すると、がさごそと音を立てて、茂みの中から子ちぇんが出てきた。 「むきゅ!」 「ゆ!」 「にゃ!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 きれいに重なる三重唱。 お決まりの挨拶だ。 これさえあれば、いつでもゆっくり。 効果抜群の魔法のことば。 のはずが、子ちぇんは心なしか元気がないようだ。 「ちぇん、どうかしたのかしら?げんきがないわね。」 「まりさにはなすんだじぇ!そうだんにのるんだじぇ!」 心配する二匹。 「にゃー・・・。ちぇんは、ありすにきらわれちゃったみたいだよー・・・。」 子ちぇんは、赤ありすとの一部始終を姉妹に話した。 「むきゅー・・・。ありすが、そんなことを・・・?」 「ゆ!それより、そんなに遠くへいったらあぶないのじぇ! はやく探しにいくのじぇ!」 「ごめんねだよー。ちぇんがもっとちゃんと、とめてればよかったよー・・・。」 「ちぇんはわるくないんだじぇ!でも、ありすのこともゆるしてほしいのじぇ。 きっとなにか、りゆうがあったんだじぇ。」 「むきゅむきゅ。そうね、ありすはそんな、ゆっくりできないこじゃないわ。」 「いいんだよー、ちぇんはきにしてないんだよー。 それより、ありすをさがしにいくんだねー! ちぇんもいっしょにいくんだよー!」 「ゆ!いくのじぇ!」 「まって、ふたりとも!いくらありすでも、もうとおくへいってしまったわ! まずは、お家にかえっておとーさまにほうこくよ!」 「ゆ!?ゆゆぅぅ・・。しかたないのじぇ。 おとーしゃんなら、なんとかしてくれるのじぇ!」 「ぱちゅりーたちのおとーさんはとってもたよりになるんだねー!わかるよー!」 そうと決まれば、善は急げだ。 子ちぇんと別れ、姉妹はお家に大急ぎで戻ってきた。 お家には既に、まりさが帰っていた。 「ゆはー、ゆげー・・・。おとうさ・ごほっごほっ!!むぎゅんむぎょん!!」 「おちびちゃん、だいじょうぶ!そんなにあわてなくてもいいんだよ! まりさは、どこにもいったりしないよ!」 「ちがうのぜ!ありすが、ゆくえふめいなのじぇ! プレイスからでていったらしいんだじぇ!」 「ゆふー・・・。そうよ!ちぇんがありすをみたそうだけど、ようすがへんなの!」 子ぱちゅりーは、子ちぇんから聞いた話をまりさにも聞かせた。 「ゆゆゆ!?ありすが!?そんな・・・。」 まりさは、幾つかの可能性を考えた。 餡子脳にしては良く考えたほうだ。 一つは赤ありすが、家出してしまったこと。 これまでの、一家の苦労の原因と言えば、やはり赤ありすだった。 一家は誰も気にしていないが、優しい赤ありすにはそれも苦痛だったのかもしれない。 二つ目は、一人で狩りをしていて危険な虫さんに襲われたり、 川さんに流されてしまったということ。 比較的安全なプレイスとその周辺ではあるが、赤ゆっくりには危険も多い。 今回は、非常事態ということでおちびちゃんたちだけで行かせてしまったが、 自分も少し甘かったかもしれない。 三つ目は、飼いゆっくりを恨む一団に襲われたということ。 これまで、最初の襲撃以来おとなしかった為油断していたが、 いつ再び赤ありすに対して直接危害を加えようとするか分かったものではない。 まさか、ゆっくり気のないプレイスの外れで、赤ありすを・・。 いけない! すぐに赤ありすを探しに行かなくては! それに、危険といえばこうなった以上、他の姉妹から目を離すことも危険にすぎる。 全員で一緒に行動するべきだ。 「ゆ!みんなでありすをさがしにいくよ! おちびちゃんたちは、まりさのお帽子にのってね!」 「むきゅ!ありがとう、おとうさま!」 「ゆん!まりさもおとーさしゃんのお帽子さんにゆっくりのるのじぇ!」 よーじよーじ 「ゆ!二人とものったね!それじゃ、ゆっくりありすをさがしにいくよ!」 「「ゆっくりー!!」」 赤ありす捜索の決意もゆっくりと、一家が気炎を上げているその頃。 一方では、奴がプレイスに近づいていた。 「ゆふふふ!今日もゲス野良をせいっさいっだよ! 人間さんのためにもゲス野良くじょは飼いゆっくりのぎむだよ! ノブレス・オブリージュだよ! べ、べつにすきでやってるわけじゃないんだよ!!」 今日もゲス野良の住処で、ゲス野良駆除をするよ! ゆっゆっゆっゆ!今日の第一汚物消毒はどの汚まんじゅうがいいかな? きょろきょろと今日の獲物を物色する飼いゆっくり。 早くも、飼いゆっくりの存在に気づいた野良ゆっくりたちが、 あるものは大慌てで逃げ出し、 あるものは自分に注意が向かないよう体を縮めてやり過ごそうとする。 そんななか、一匹の野良ゆっくりに目が留まった。 「むきゅ!ゆ風邪ね!大丈夫よ。良く効くおくすりがあるわ!ちょっとまっててね!」 てきぱきと患ゆを診察する、あのおいしゃさまのぱちゅりーだ。 まだ、飼いゆっくりが現れたことに気づいていない。 ゆ!今日はあの紫もやしに決定だよ!ゆゆゆーん!! ぱちゅりーに向かって跳ねていく飼いゆっくり。 そしてそのまま 「ゲス野良はゆっくりしね!!」どすん 「むぎゅ!」ごろごろ 若干ぱちゅりーより大きな体で、勢い良くぶつかっていく。 「むぎゅぅぅぅぅ・・・。」 背後からの不意打ちに、大ダメージのぱちゅりー。 しかも、ぱちゅりーと言えば体の弱さでは定評がある。 このぱちゅりーも例外ではなく、一撃でほぼ行動不能だ。 「ゲス野良はゆっくりしね!おぶつはしょうどくだよ!ゆっはーー!」 ぼよんぼよん 「むぎょ!むげぇぇぇ!!や、やめ・・・。 ぱちぇ、むぎゅぅぅぅ!!!し・・・、しんじゃはぁふぅ!」 飼いゆっくりは、ころころと転がってそのまま起き上がれないぱちゅりーの上に 飛び乗ると、その上で全力で跳ねだした。 そのまま、何度も何度もぱちゅりーの上で飛び跳ねた。 「むぎゅぎゅ・・・。おねがいですぅぅぅ・・・。ぎゃふっ!! ぱ・・、ぱちぇはゲスなんかじゃありませんんんん。んぐぅっ!! みんなのけがやびょうきをなおす、いじゃなんでずぅぅぅぅ・・・。」 ぱちゅりーも、周りのゆっくりも手を出せない。 相手は飼いゆっくり。 背後には、恐ろしく強大な人間さんがついているのだ。 下手に手を出せば、自分のみならず、 このゆっくりプレイスのゆっくり全てが永遠にゆっくりさせられてしまう。 見ているしかない。 「ゆゆーん?おいしゃさまー!?ゲス野良が、かたはらいたいよ! だいたいゲスの野良を治すなんて、あくぎゃくひどうここにきわまれりだよ! くろっ!まっくろくろだよ!はんけつっ!しけいっだよっ!」 「そ、そんな・・・。ぱちぇは、「ぐちゃ」むぎょぎょぎょぎょ!!!」 えれえれえれえれ、びくんびくんびくん 言葉の途中で、飼いゆっくりに踏みつけられるぱちゅりー。 とうとう吐クリームと痙攣を同時に起こしてしまう。 「ゆっふー!!!いいしごとしたよ!!」 凄くいい笑顔の飼いゆっくり。 「ぱちゅりぃぃぃぃぃーーーー!!!ゆっくりよ!ゆっくりしてね!!!」 すると、瀕死のぱちゅりーの元へ駆け寄る一匹のゆっくり。 面倒見が良いと評判の、とかいはありすおねーさんだ。 ぱちゅりーとは同世代で、特に仲が良い。 コミュニティでも人気者のおねーさんだ。 「ゆゆ!?またゲス野良が寄ってきたよ?せいっさいっされたいんだね!!」 ゆふふふふ、と上機嫌の飼いゆっくり。 とかいはありすおねーさんは、この言葉にきっとなって振り返ると、 「だまりなさい!このいなかもの!こんなことをして恥ずかしくないの!! そのお飾りの銀ばっじと飼い主の人間さんにもうしわけないと思わないの!?」 「ゆゆゆゆゆ!?なにいってるの!うるさいよ! ゆっくりできない野良れいぱーはせいっさいっしてあげるよ!!」ぼよーん 「こんの・・・かっぺがぁぁぁぁぁーーーー!!!」ずどん 「ゆ!?ゆべぇぇぇ・・・!」ごろんごろん 体当たりをする飼いゆっくり。 それを迎撃する、とかいはありすおねーさん。 ありすおねーさん渾身のかっぺごろし(体当たり)で吹っ飛ぶ飼いゆっくり。 「ゆべべべべ・・・。な、なんでぇぇぇ・・・!?」 「なんでじゃないわよ! 今まであなたがみんなにしてきたことを思い出しなさい! もっと酷いことをいっぱいしてきたでしょう!」 「ゆー?なにいってるの!? 飼いゆっくりとゲス野良とじゃいのちの価値がちがうでしょぉぉぉーーー!! ばかなこといわないでね!!」 「いのちの価値がちがうですって!?そうね! あなたみたいなゲスと、 ゆっくりとしたぱちゅりーのいのちの価値は比べ物にならないわね!」 「ゆぎぎぎぎ!!!ちんこシューがうるさいよ!ばかにしないでね!!!」 「もんくがあるならかかってきなさい!!いくらでもあいてになるわよ!」ずいっ 「ゆ!?」ずざっ 「もうおわりなの?口ほどにもないわね! これにこりたら二度とプレイスにはちかづか・・・。」 「・・・フヒっ。フヒヒヒヒ!この銀ばっじがめにはいらないの!? ばかなの?しぬの?」 「銀ばっじがどうしたっていうの!? いまさら飼いゆっくりだからってゆるさないわよ!」 「ゆへへへへ!いいの!? 飼いゆっくりに逆らうと人間さんがただじゃすまさないよ! ありすだけじゃないよ! ここのゲス野良ぜんぶがえいえんにゆっくりしちゃうよ!」 「ゆ!?」 「ばかなありすはまわりをよくみてね!」 飼いゆっくりに言われ、辺りを見回す、ありすおねーさん。 「ありずぅぅぅ・・・・。」 「ありす・・・。」 「だめだよぉぉぉぉ・・・。人間さんにみんなころされちゃうよぉぉぉ・・・。」 「れいむとおちびちゃんをまきこまないでね!」 「むきゅ・・・。ありす・・・。」 「ありすのきもち、わかるよー・・・。 でも飼いゆっくりに逆らったらだめなんだよー・・・。わかってねー・・・。」 「ありす・・・。だめなんだぜ・・・!」 みんなの顔、顔、顔。 どれも今にも泣き出しそうな顔ばかりだ。 恐怖、悲しみ、怒り、屈辱。 どれもゆっくりしていない。 そのゆっくしていない顔が、ありすおねーさんに現実を突きつける。 「ゆ!そこのちんこシュー!」 「ありすは、ちんこシューなんかじゃ・・・」 「ちんこシューは飼いゆっくりに逆らうの?」 「ゆ・・・。ゆん・・・、ありすはちんこシューです・・・。」 「ちんこシュー!ぺにぺにをだすんだよ!ゆっくりしないでね!」 「そんな・・・!わがりまじだ・・・。これがありずのぺにぺにです・・・。」 天を衝くかのような立派な如意棒が、エレクチオン。 あまりの恥辱にありすは、涙をこらえるのに精一杯だ。 「そのままじっとしてるんだよ! うごいたら群れごとえいえんにゆっくりだよ!」 そう念を押すと、飼いゆっくりはありすに近づいたかと思うと、大口を開け、 「がぶりっ」 「ゆぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!?」 「むーしゃむーしゃ、ぺっ!」 ありすのぺにぺにを噛み千切り、咀嚼したかと思うと吐き出した。 吐き出され地面に落ちた如意棒は、ぐずぐずに崩れ、原型を留めていない。 「ぴぴぴぴぃぃぃぃぃ!!あ、ありずのとかいはぺにぺにが・・・!」 半狂乱のありすおねーさん。 「うごかないでね!」 「ゆぐぐぐぐぐぐ・・・!」 それでも、飼いゆっくりの言葉に反応して動きを止める。 「ゆっふっふっふ・・・。それじゃ、はじめるよ・・・。」 嫌らしい薄笑いで、再び飼いゆっくりが近づいてくる・・・・・・。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 楽しそうに飛び跳ね続ける飼いゆっくり。 飼いゆっくりの跳ねる音は最初は乾いていたが、今は水っぽい音がしている。 半ば体を潰されたありすが、自分自身のカスタードに塗れているせいだ。 そしてありすはとうとう痙攣しだす。 あらから、ありすおねーさんは散々に甚振られた。 特に噛み切られたぺにぺにの周辺は徹底的に痛めつけられた。 途中からは流石のとかいはも、狂ったように奇声を発し、 無様にのた打ち回るだけであった。 その姿は、普段のとかいはぶりを知るプレイスのゆっくりたちに大きな衝撃を与えた。 しかし、それも終わろうとしている。 (大変だよ!このままじゃ、ありすがゆっくりできくなっちゃうよ!) (だめだよ!飼いゆっくりに逆らったら、人間さんにゆっくりできなくされるのぜ!) (誰かケガを治せるゆっくりはいないの?) (むぎゅううぅぅぅ・・・。えれえれえれえれぇぇぇ・・・・・。) (たいへんだよー!ぱちゅりーもケガが酷いんだよー!) (どしよう・・・。ぱちゅりーしかおくすりは使えないよ! これじゃケガをゆっくりなおせないよ!) (おかーしゃーん!れいみゅきょわいよー!) (見ちゃだめだよ!おちびちゃんは、おかあさんの後ろにゆっくり隠れてね!) (ゆぅぅぅ・・・。ゆぅぅぅぅ・・・。はやく、はやくおわってね・・・。) (こんなの・・・。こんなの、とかいはじゃないわ!) 野良ゆたちが傍観しているしかない間に、 飼いゆっくりのせいっさいっが終わったらしい。 「ゆっふーー!こんなもんだね!今日のところはこれぐらいで許してあげるよ! かわいいあんよが、汚まんじゅうのせいで汚れちゃったよ! 早く帰ってお兄さんにきれいきれいしてらおうね!」 ぴょーんぴょーん ゆっくりプレイスから立ち去る飼いゆっくり。 「いったのぜ!はやくありすとぱちゅりーをたすけるのぜ!」 飼いゆっくりの姿が見えなくなるのを待って、飛び出す野良ゆたち。 「ありすー、だいじょうぶなのー!?」 「ありす!ゆっくりなのぜ!」 口々にありすを励ます。 しかし・・・・、 「と、とかいは・・・・。もっど・・・ゆっぐりしたかった・・・わ・・・。」 「わぎゃらないよーーーー!!!!?」 「ありずーーー!!!しっかりするのぜーー!!」 「なんで、ぱちゅがこんなめに・・・、なんにぼ・・・悪いごど・・・・むぎゅう・・。」 「ぱちゅでぃぃぃーーーー!ぱちゅでぃーがゆっぐりしぢゃっだーーーー!!!?」 「ぱちゅぅぅーーー、めをあけてーー!!こんなのとかいはじゃないわーーー!!」 以前から渦巻いていた飼いゆっくりへの怒りと憎しみ。 聡明でコミュニティの相談役でもあったおいしゃさまのぱちゅりーと、 世話好きで誰からも好かれたとかいはありすおねーさん。 この二匹が殺されたことで、それは頂点に達した。 もしかすると、頭の弱いゆっくりのこと。 たとえ人間さんの恐怖があっても、その場の勢いで飼いゆっくりに せいっさいっするということも有り得たかもしれない。 しかし、コミュニティにはしばらく前から暗黙の了解が成立していた。 飼いゆっくりへの怒りは、人間さんとはぐれた、ちびのゲス飼いゆっくりと それを匿う一家にぶつけること。 そうすることで、安全にガス抜きをしようというのだ。 今回も矛先は一家に向かう。 しかし、その怒りはこれまでの比ではない。 「ゆぎぎぎぎぎぎ!もうゆるせないんだぜ! 飼いゆっくりとそのかぞくをせいっさいっするんだぜ!」 「そうだみょん!ゆっくりプレイスのちあんのためにもほうっておけないみょん!」 「れいむ、もうゆるさないよ!ゲスのちんこシューをえいえんにゆっくりさせるよ!」 「これも飼いゆっくりがわるいんだよー!わかってねー!」 「むきゅ!こうへいにみてじょうじょうしゃくりょうの余地はないわね!」 「「「せいっさいっだよ!!!!」」」 ゆっくりたちは大挙して一家のお家へと向かっていく。 「にゃにゃ!?たたたた、たいへんだよー!!はやくしらせないとだめなんだよー!」 そして、子ちぇんは一家の元へと走る。 赤ありすはあれから当てもなくさまよっていた。 ただ、川原を川沿いに下っていた。 理由は特にない。 行く当てもないのだから、川沿いに移動しているだけだ。 川原を外れれば道路に出る。 あちら側は、ゆっくりの地獄が待ち受けている。 そのことは、赤ありすは身にしみて理解していた。 まだ、半日も移動していないし、子ゆ赤ゆからすれば別だが、 成体ならばゆっくりからすればそう大した距離を移動したわけではない。 しかし、赤ありすは赤ゆっくり。 やっとこれから子ゆっくりになろうかという時期だ。 半日近い移動で、あんよはすっかり痛んでしまった。 豊富な草花のおかげで、なんとか飢えを凌いではいるが、 狩りの名人であるまりさの採ってくるごはんとは比べ物にならない。 傍には誰もいない。 みゃみゃも飼い主さんも、おとーしゃんも姉妹も誰もいない。 独りで知らない道を進む。 赤ありすは赤ゆっくりだ。 赤ゆっくりにしては、今までずっと良く耐えてきた。 「ありちゅは、とかいは飼いゆっくりなにょよ! にゃんでだれもむかえにきてくれにゃいにょ? みゃみゃも、飼い主さんもありちゅのこときらいにゃにょ!? ありちゅのこちょ、いらないにょ!?」 「ありちゅ、なんにもわるいことしてないにょに・・・。 飼いゆっくりだからって、いじめるなんちぇひどいわ!」 「こんにゃのとかいはじゃにゃいわ!ありちゅ、もうお家かえりゅ! ありちゅ、おうちにかえりちゃいぃーー!!」 「ゆんやー!ゆんやーーー!!!ゆびーー!!ゆわーん!ゆええーん!!」 これまで我慢してきた不安や不満。 みゃみゃや飼い主さんを疑うなんちぇ、とかいはじゃないわ! お世話になっちぇるまりさおとーしゃんや、 おねーちゃんたちに我が侭言うなんちぇ、いなかもにょのすることよ! 自分にそう言い聞かせて押し殺してきた思いが爆発する。 一度言葉にしてしまえば、感情も抑えきれない。 なぜ、みゃみゃたちは自分を迎えに来てはくれないのか。 そもそも、みゃみゃと一緒にとかいはハウスで眠っていたはずが、 気がつけば見知らぬ場所に放り出されていた。 今まで、考えないようにしてきた。 しかし。 やはり、自分は捨てられてしまったのだろうか。 他に理由が思いつかない。 だとしたら自分は飼いゆっくりなどではない、ただの野良ゆっくりなのだろうか。 自分が野良ゆっくりならば、飼いゆっくりだからと自分が虐められることも、 一家に迷惑をかけることもなかったのではないか。 泣き叫びながら、お家に帰る宣言をした。 だがその「お家」がみゃみゃの待つお家か、一家の待つお家か自分でもわからない。 自分はどの「お家」に帰るというのだろう。 わからない。 わからない。 何一つわからない。 そして、どちらの「お家」にも帰れるわけもなく、赤ありすはさまよい続ける。 「おちびちゃーーん!!どこなのーーーー!!へんじをしてねーーー!?」 「ありすーー!でてらっしゃーーい!むきゅむきゅ。」 「ありすーー!!おこらないからでてくるのじぇーー!!」 まりさが、お帽子の上に子ゆたちを乗せて大急ぎで跳ねている。 一家は子ちぇんに聞いたとおり、ゆっくりプレイスと川原の境の辺りから、 赤ありすが向かったという方向へと進んでいる。 幸い川沿いに進んでいるだけであるし、赤ありすのペースなど高が知れている。 まりさなら子ゆ二匹を乗せていて猶、追いつくのにさほどの時間はかからないだろう。 だが、まだ幼い赤ゆっくりだ。 見知らぬ土地では何があるか知れたものではない。 急がねば。 どんどん進む。 そうして、跳ね続けていると、 ゆえぇぇぇーーーーん!!! 微かにだが、遠くからゆっくりの泣き声が聞こえてきた。 ・・・おちびちゃん!? 「ゆ・・・・。」 赤ありすの進むペースはどんどん落ちていった。 あんよはそろそろ限界だ。 ゆぅ・・・。ありちゅのあんよがいちゃいいちゃいだよ・・・。 やはり、その辺に生えている草花では赤ありすの口には合わない。 ゆぅぅ・・・。おとーしゃんのごちそうがたべちゃいわ・・・。 赤ゆっくりはそもそも庇護者の存在もなく、一匹で行動できるようにはできていない。 ありちゅ、さびしいにょ・・・。おねーちゃん・・・。 「ゆん、ゆぅぅ、ゆっぐ、ゆびぇぇぇぇぇん!!」 とうとう一歩も進めなくなった赤ありす。 なんで、こんなことになったのだろう。 うずくまったまま、一人泣き続ける。 「おちびちゃんーーーーん!!」 「ありすーー!!きこえるーーー!!」 「ありすーーー!!おへんじするんだじぇーーー!!」 ゆゆゆゆ!? 一家の声が聞こえる。 まりさに、子ぱちゅりーに、子まりさ。 三人とも揃っているようだ。 「おとーしゃーん!ぱちぇおねーちゃーん!まりしゃおねーちゃーん! ありちゅ、ここよーーー!!!」 我を忘れて必死に家族に呼びかける赤ありす。 そして、背の高い草むらを掻き分けてまりさが現れる。 勿論、お帽子の上には子ぱちゅりーと子まりさが一緒だ。 「おちびちゃん!ぶじだったんだね!しんぱいしたよ!」 「むきゅうぅぅ!だめじゃない、かってに遠くへいったりしちゃ! おねーちゃんしんぱいしたのよ!」 「とおくへ行くときはおねーちゃんたちにいわなきゃだめなのじぇ! つぎやったらぷくーするのじぇ!」 「ゆんやー!ごめんにゃしゃーーい!ゆっぐ、ゆっぐ・・・!」 「いいんだよ!もう、なかなくてもいいんだよ! あやまったりしなくてもいいんだよ!」 泣きじゃくる赤ありすの元にたどり着き、そっと頬を寄せるまりさ。 「むきゅー。ありすったら・・・。しんぱいしたのよ・・・。」 「もう、みんなにしんぱいかけたらだめなんだじぇ。」 姉妹もお帽子から降りて、赤ありすの元へとやってくる。 しばし、一家でゆっくりを噛み締める。 「ゆん・・・。おちびちゃん、どうしてこんなところまできちゃったの? おとーさんにゆっくりおしえてね!」 「ゆ・・・。ありちゅ・・・・・・。」 言いかけて、途中で黙り込む赤ありす。 「おとーさん、おこったりしないよ。 だからしょうじきにはなしてくれていいんだよ。」 急かしたりせず、ゆっくりと先を促すまりさ。 その甲斐あってか、途切れ途切れだが赤ありすが再び口を開く。 「ゆん・・・。ありちゅ、ありちゅが飼いゆっくりだから、おとーしゃんや おねーちゃんたちにめいわくをかけちゃうわ・・・。 ありちゅがいにゃければ・・・。 ありちゅがいにゃければ、 みんにゃゆっくりでしあわせーできるとおもったにょ・・・。」 「むきゅ・・・。」 「ゆ・・・。」 俯いて再び黙り込んでしまう赤ありす。 事態は悪化する一方で、赤ありすの悩みにも姉妹も何と言ってよいか分からない。 すると、 「ゆんゆん!よかったよ!」 「むきゅ!?」 「のじぇ!?」 「ゆ!?」 意外なまりさの言葉に驚く姉妹。 疑問を口にする。 「むきゅむきゅ!?どういうこと?なにがよかったの、おとーさま?」 「ゆー?わからないのじぇ?ぜんぜんよくないのじぇ?」 「ゆー・・・。やっぱち、ありちゅはでていったほうがいいにょにぇ・・・。」 赤ありすは、一層落ち込んでしまった。 まりさは、明るく先を続ける。 「ゆん!まりさはね、ありすがおと−さんたちのことがきらいになって でていっちゃたのかとおもってしんぱいしたよ! でも、そんなことがなくてよかったよ! それに、ありすはとってもやさしいね! だから、おとーさんはあんしんして、とってもゆっくりできたんだよ!」 いくら、信頼する父まりさの言葉とは言えあまりに気楽に過ぎないだろうか。 姉妹たちも流石に納得できない。 「むきゅ!?たしかにそれはよかったけど、お家もこわされちゃったし、 このままじゃずっとゆっくりできないわ・・・。どうにかしないと・・・。」 「そうなんだじぇ・・・。ありすはゆっくりできるいもーとだけど、 おうちをこわされたりするのはゆっくりできないんだじぇ・・・。」 「ゆぅ・・・。」 まりさは自信に満ちた態度で答える。 「だいじょうぶだよ!まりさはかんがえたよ。 もう、ゆっくりプレイスはゆっくりできないよ。 だから、あたらしいゆっくりプレイスをさがしにいくよ! まりさが、あたらしいお家をさがすから、みんなでゆっくりひっこそうね!」 「むっきゅり・・・!!」 「すごいんだじぇ・・・!!」 「と、とかいはーーー!!」 まさか、そんな大胆な秘策があったとは。 子ゆっくりたちは尊敬の目でまりさを見ている。 偉大な父を改めて見直した、といったところだろうか。 なんてとかいはなのだろうか。 もう二度と戻らない、顔を合わせることもないと思っていた家族が、 自分を探しにきてくれた。 それも、新しいゆっくりプレイスを探しておひっこしするそうだ。 確かにそれならば自分がお家を出る必要はない。 一家とお別れする必要もない。 「ゆゆーん!おとーしゃん、すーりすーり! おとーしゃんはとってもとかいはにぇ!」 思わず、まりさにすーりすーりしてしまう。 「ゆゆ!ありす、ずるいのじぇ!まりさも!すーりすーりだじぇ!」 「むっきゅー!もう、みんなこどもなんだから! むっきゅん!いいわ。ぱちゅもすーりすーりよ!」 「ゆゆ!おちびちゃんたち、くすぐったいよ! みんな、あまえんぼうだね!」 一家はすっかり、スーパーすりすりタイムに突入だ。 そうして、一家全員ですーりすーりしていると、 ぐぅぅぅぅぅ・・・・。 「ゆ!ゆゆゆゆゆ!?」 赤ありすのお腹の音が鳴り響いた。 「ゆふふふふ!ありすはおなかがすいたんだね!」 「むきゅきゅきゅきゅ!もう、ありすったら!」 「まりさもおなかすいたんだじぇ!」 口々に言い立てる。 「ゆ~!はずかちいわ・・・。」 真っ赤になる赤ありす。 まりさは、しばらくそんな姉妹の様子を幸せそうに見つめていた。 「ゆ!それじゃみんなでむーしゃむーしゃしようね! おとーさんのとってきたごはんがあるよ!」 「まりさもなんだじぇ! ごはんさん、おぼうしのなかにはいってるんだじぇ!」 「むきゅ!さすがね!」 「ゆーん!おとーしゃんもおねーちゃんも、とっちぇもとかいはにぇ!」 まりさと、子まりさがお帽子のなかに入れてあったごはんを取り出す。 まりさは勿論、子まりさも子ゆっくりにしてはなかなかの狩りの名人ぶりだ。 「たまにはおそとでむーしゃむーしゃもゆっくりしてるね!」 「すてきなぴくにっくね!」 「ありす!まりさのとったいもむしさんたべるんだじぇ! とってもおいしいのじぇ!」 「ゆゆーん!ありがちょう、おねーちゃん! いもむしさん、とっちぇもとかいはよ!」 思いがけず素敵なお昼のむーしゃむーしゃに、 一家はとってもゆっくりーで、しあわせーだ。 一家がそうして、ゆんゆんしていると遠くから、がさがさと、 草むらを掻き分けて近づいてくる気配がする。 方角からしてゆっくりプレイスの方から近づいてきている。 ずいぶんと急いでいるようだ。 ゆっくりだろうか。 いよいよ、気配が近づいてくる。 もうすぐ、自分達の居るところにたどり着く。 一家が軽く緊張して身構える。 すると、 「「「「ちぇん!?」」」」 姉妹と仲の良い子ちぇんが姿をあらわした。 余程急いできたのだろう 息も切れ切れ、草で切ったのだろうか体中に傷がついている。 「むきゅ!?ちぇんどうしたの?なにかあったの?」 子ぱちゅりーが問いかける。 「ゆはー、ゆひゅー、ぜーはー、・・・。た、たいへんなんだびょー・・・!」 荒い息のまま、やっとそれだけ搾り出すように言葉にする。 「ゆゆ!?たいへん?なにがたいへんなのじぇ?」 「ゆーはー、ゆーはー・・・。 まりさたちとわかれたあとで、 あのゆっくりしてない飼いゆっくりがプレイスにきたんだよー・・・・。」 子ちぇんは、ゆっくりプレイスを襲った悲劇の一部始終を一家に聞かせた。 「ゆゆゆゆゆ!?ぱちゅりーが!?そんな!なにかのまちがいじゃないの!?」 「にゃー・・・。ほんとなんだよー・・・。 おいしゃさまのぱちゅりーおねーさんは永遠にゆっくりしちゃったんだよー・・・。」 「むきゅ・・・。あのとかいはありすおねーさんが・・・。しんじられないわ・・・。」 「そうなんだじぇ!ありすおねーさんはとかいはでとってもつよいんだぜ!」 「飼いゆっくりには人間さんがついてるんだよー・・・。 ゆっくりプレイスのみんなをゆん質にとられて・・・。」 「むきゅう・・・。」 「そんなのないんだじぇ・・・!」 一家の受けた衝撃は計り知れない。 おいしゃさまのぱちゅりーは、一家がプレイスのゆっくりたちから 迫害されるようになった後も、変わらずゆっくりと接してくれた数少ないゆっくりだ。 迫害が酷くなる一方でも、どうにか無事過ごせていたのも、 プレイスのゆっくりに大きな影響力をもっていたぱちゅりーの存在あってのことだ。 それに赤ありすの命の恩ゆっくりでもある。 その赤ありすに至っては将来ぱちゅりーのような、じょいになる、とまで慕っていた。 ありすおねーさんは世話好きなとかいはで、姉妹に頻繁に声をかけてくれた。 ありすおねーさんもまた、最後まで一家への態度を変えなかったゆっくりだった。 プレイスでも評判の美ゆっくりで、みんなの人気者だった。 そんな二人がもういない!? だが、子ちぇんの話はまだ終わってはいない。 「にゃー!飼いゆっくりが二人を永遠にゆっくりさせて、 みんながおこっちゃったんだよー! ありすたちをせいっさいっするって、みんなのお家にむかってったんだよー!」 「ゆ!?まりさたち、なんにもわるいことしてないんだじぇ!?おかしんだじぇ!」 「ちぇんもそうおもうよー・・・。だけど・・・。」 驚きつつも納得がいかない子まりさ。 子ちぇんは俯いたままなにも言わない。 「むきゅ・・・。まりさ・・・。」 子ぱちゅりーも慰めの言葉もない。 「・・・・・。」 赤ありすは改めて衝撃を受けていた。 自分とプレイスを襲う飼いゆっくりは違う。 何の関係もない。 ゆっくりプレイスから引っ越すことが決まった今となっては何も悩むこともない。 さっきまではそう思っていた。 割り切ったはずだった。 だが、自分が飼いゆっくりだったという過去が付き纏って来る。 一家に迷惑をかけ続けることになる。 やはり、自分は一家といるべきではないのかもしれない・・・。 「ゆ!だいじょうぶだよ!いますぐひっこしだよ! おちびちゃんたちは、なにもしんぱいしなくていいんだよ! まりさがおちびちゃんたちをまもるからね!」 暗く澱んだ場所に落ちていこうとする思考を、力強い言葉がゆっくりと吹き飛ばす。 「ゆぅぅぅ!ゆっくち!ゆっくち!ゆっくちーー!!」 あまりの感動に言葉にならない。 ただ、ゆっくりを連呼するばかりだ。 姉妹も同様だ。 「にゃにゃ!?おひっこし!?みんなどこかにいっちゃうのー!?」 ただ一人、子ちぇんだけが驚きの声をあげる。 「ゆん!そうだよ! まりさはおちびちゃんたちと一緒に、別のゆっくりプレイスをさがすよ!」 「にゃーー!?それじゃ、みんなとはもうあえないのー?」 子ちぇんが泣きそうな顔で姉妹に問いかける。 姉妹もその言葉で、はっとなる。 お引越ししたら、もうちぇんと会えないの・・・。 「むきゅう・・・。」 「だじぇ!?だじぇ!?」 子ぱちゅりーは既に事態を理解しているらしく、何も言わない。 子まりさは、混乱して答えを求め、きょろきょろしている。 まりさが静かに、申し訳なさそうに答える。 「ゆ・・・。プレイスはきけんだよ。 もうプレイスにはもどれないんだよ・・・。」 「ゆゆゆゆ!?ちぇんにあえないんだじぇ!?」 「そんなのいやだよー!わからないよー!!」 やっと事態を飲み込む子まりさ。 子ちぇんも姉妹と会えなくなるのは嫌だと、目に涙を溜めている。 「まりさたちは、もうゆっくりプレイスじゃ暮らせないよ・・・。 それに、まりさたちといたら、ちぇんまであぶないかもしれないよ・・・。 ゆっくりりかいしてね・・・。」 「にゃー・・・。わがらないよー・・・。」 「むきゅ・・・。ざんねんだけど、ぱちぇたちはもういかなきゃ・・・。 ゆっくりさよならよ・・・。でも、ちぇんのことはぜったいにわすれないわ。」 「・・・わがらにゃいよー・・・。」 「ゆっぐ、ぐすん!まりさもなんだじぇ! あえなくなるのはゆっくりできないけど、 ぜったいちぇんのことわすれないのじぇ!」 「わがらにゃいよー!わがらにゃいぃぃーーー!!」 ちぇんは突然のお別れにわからない、わからないと泣き叫ぶばかりだ。 再びまりさが口を開く。 「ちぇん・・・。プレイスのみんなはまりさたちのお家にいったんだよね? いまごろみんな、まりさたちをさがしているよ。 きっとすぐにここにもきちゃうよ・・・。 だから、もういかなきゃだよ。 ちぇん、今までおちびちゃんたちとなかよくしてくれてゆっくりありがとうだよ!」 「にゃー・・・。わがらにゃいぃぃ・・・。」 子ちぇんはそれでも、わからない、わからないと繰り返すだけだ。 「おちびちゃんたちは、お帽子に乗ってね。」 まりさが、姉妹にお帽子に乗るように促し、姉妹もそれに従う。 ありすは、ずっと無言だった。 子ちぇんが、姉妹との別れを受け入れられず、泣き続けている間何も言わなかった。 ゆぅ・・・。ありちゅ、ちぇんにひどいこといっちゃったよ・・・。 いにゃかもの! ぷくー! ちぇん、おこっちぇるよね・・・。 「ゆびぇぇぇぇぇぇん!!わがらにゃいびょぉぉ!わがらにゃいいいーー!!」 「わがらにゃいーー!!」 「わがらにゃいよーー!!」 遠ざかっていく子ちぇんの姿。 姉妹との別れを悲しみ、わからないと連呼する泣き声。 優しく面倒見の良い子ちぇんとも、もう別れ。 二度と会えないのだろう。 「ゆっくちーーーー!!!ちぇーーん!!ゆっくちちていってにぇーーーー!」 気づくと赤ありすはお帽子から身を乗り出し、叫んでいた。 そうだ。 悩んでいる場合などではない。 これで、お別れ。 またね、じゃないんだ。 言わなければ。 「ちぇぇぇぇん!!ゆっくちごめんにゃさーーーい!! ちぇんは、とっちぇもとかいはよーーーーーー!!!!」 「ありずーーー!?ありずーーーーー!!!ゆっくりしていってねーーーー!!!」 子ちぇんも、赤ありすに気づいてくれた。 今までのお礼も、今日のことへの謝罪も、まだまだ言葉を尽くしていない。 その暇もない。 ただ、あふれ出る想いをゆっくりしていってねと、とかいはの二言に託す。 子ちぇんは、まだお顔は涙でぐしょぐしょだが、 精一杯ゆっくりしていってねを返してくれた。 「ちぇぇぇぇぇん! ありちゅも、ちぇんのこちょ、ぜったい、わすれにゃいわーーーー!!!」 「ゆびぇぇぇぇぇーーーーん!!ちぇんもわずれないよーーーーー!!!」 遠ざかる一家。 一人残される子ちぇん。 「わすれないんだよー・・・。わかってねー・・・。」 02へ続く
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ちゅか【登録タグ 作ち 作り手】 nicovideo_mylist エラー ( マイリストURLの取得に失敗しました。正しいURLを入力してください。 ) 特徴 各種UTAUを使ってオリジナル曲とカバー曲を発表している。 Twitterでは「白詰ちゅか」。 UTAUライブラリ「ほのか鳴」の中の人。 リンク 「ちゅかさん」のページ(ピアプロ) ひかげのうた(作者ブログ)ひかげのうた(旧ブログ) Twitter 曲 amade アイトユウ 抱けるだけの花を コールドループ 五月雨月とひかげの少女 空色のレシピ とうめいおもい ましろい残響。 真夜中にねむる夢 ゆきどまりの鳥篭 夜の祈り わたしと十人のやさしい隣人たち。 動画 コメント 名前 コメント
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読み:ちゅるちゅる~ 分類:ネタ 説明 エンジンシティの水飲み場でアママイコが発する声または音である。 実際はアママイコが対象の脳みそをすする音であるとも言われている。 永遠にその場に留まり水を飲み続ける様子が「生涯首をガクガクさせているだけ」と揶揄されることがある。 関連語句 アママイコ
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糸の切れた人形のように小悪魔はぐったりとイスに座り込んでいた。 目の前にはゆっくりありすがゆっくりまりさに頬ずりしている。 「下品な女・・・」 小悪魔は口だけを動かす。 「ゆ?おねーさん、こいびとのまりさのわるぐちはやめてよね」 「あなたですよ。この阿婆擦れ」 小悪魔はゆっくりぱちゅりーを少し強く抱きしめ、ゆっくりありすを睨みつける。 「この阿婆擦れ、絶対に殺してくださいって言わせてやる」 小悪魔は小声で呟く、それはゆっくりまりさとイチャイチャするゆっくりありすには届かなかった。 小悪魔が仕事の合間に見つけた暇つぶし、 それはゆっくりの世話だった。最近見つけたもう使われていない掃除用具入れを掃除し、 主のパチュリーから少しばかりの賃金と休日をねだり、改装したご自慢の飼育部屋だった。 丸っこい可愛い文字で「ゆっくりのお部屋」と彫られ、ゆっくりパチュリーとゆっくりまりさが描かれていた。 ファンシーなプレートまでドアに飾っていた。二週間前までは、 小悪魔が飼っていたのは、 屋敷の前で日向ぼっこをしていたゆっくりまりさ、 人里のゆっくり屋で売られていたゆっくりありす、 その帰りに拾ったボロボロのゆっくりぱちゅりー、 だった。 三匹は最初、平等にエサを与えられ、平等に相手をされていた。 しかし、小悪魔はボロボロのゆっくりぱちゅりーを不憫に思い、 傷を治療をしてやったり、帽子を縫ってやったりしてやったのがよくなかった。 「ぱちゅりーはズルい!!」 意地汚いゆっくりまりさはすぐにゆっくりぱちゅりーに嫉妬した。 「やめなさい、ぱちゅりーは傷ついてたから治療してあげたのよ」 小悪魔は何度も言って聞かせたが、このゆっくりまりさはそれまでかなり不条理な世界で育ってきたのだろう。 ゆっくりぱちゅりーを不満のはけ口にしていた。 ゆっくりありすはというとゆっくりまりさに気に入られたいがためにゆっくりまりさに味方していた。 小悪魔は仕方なくゆっくりありすとゆっくりまりさをゆっくりぱちゅりーから遠ざけるため部屋に透明の仕切りを作った。 それでも二匹はゆっくりぱちゅりーに汚い言葉を投げつけた。 小悪魔がゆっくりぱちゅりーを庇えば庇うほど、二匹の行動は激化していった。 ゆっくりまりさも自分に同調してくれるゆっくりありすが居る事で良心は停止してしまっていた。 小悪魔が仕事で忙しかった日、二匹は仕切りに向かって体当たりした。 仕切りはグラつき、もう一度体当たりを受け、仕切りは倒壊した。 小悪魔がニコニコとエサを持ってきた頃にはゆっくりぱちゅりーは酷く痛めつけられ震えていた。 すぐさま、小悪魔はゆっくりまりさを払いのけ、ゆっくりぱちゅりーを抱きかかえる。 「誰、こんな事した子は?まりさ?!」 「ゆ!まりさじゃないよ・・・」 ゆっくりまりさは余所見をして答える。 「じゃあ、誰なの!!」 「とかいはのありすだよ。だってまりさがそのこのこときらってるんだもん!!」 ゆっくりありすはゆっくりまりさに頬ずりをする。 小悪魔はその日、一生懸命作ったプレートをゴミ箱に捨てた。 代わりに小悪魔が用意いたのは一斗缶と握り拳ぐらいの小石だった。 ゆっくりまりさを一斗缶に縛り付ける。極簡単な魔法で小石を焼け石に変える。 ゆっくりまりさはやめろと喚くが、小悪魔には聞こえない様子だった。 コトン、熱せられた小石を一斗缶の中に落とす。 もう一つ、コトン 次第に一斗缶の温度が上がってくる、今でちょうど人肌程度、 無論、ここで辞めるつもりなど毛頭ない。 「おねえさん、はやくこのなわをほどいてね」 「・・・」 コトン、返事をするように真っ赤な小石が一斗缶の中に落とされた。 「ゆぎゅ!!!ゆぎぃぃ!!」 ゆっくりまりさが痛がる様を少しでもよく見たいのだろうか、 小悪魔の目は目玉が飛び出るほどに開けられている。 ギョロっとした目でゆっくりまりさが悲鳴を上げる様を見ている。 口元は緩み、今にもケラケラと笑い声が聞こえてきそうだ。 「やめなよ。おねえさん、まりさがいやがってるでしょ!!」 「ゆぎぃ!!そう・・・だよ。はやくやめて・・・ね」 二匹は抗議をする。しかし、ゆっくりありすは熱いのが嫌なのか一斗缶から随分離れた場所に居る。 「まだお喋りに余力が残っているのですか、売女が。でしたら、もう少々熱を上げさせてもらいましょう。恋で焦がれていたいでしょ」 それからゆっくりまりさは右の頬が壊死するまで高温の一斗缶に縛り付けられていた 最後は悲鳴を上げる事すらできず、ただ白目を向いているだけだったが 翌日、また一斗缶と小石が用意された。 ゆっくりまりさは逃げようと努力はしたが、あっさり捕まってしまう。 「お、おねえさん、まりさがだめなところがあったらおしえてね。まりさ、ゆっくりなおすよ」 引きつりながらも明るく笑ってみるまりさ、 右の頬は動かず、左右非対称の気持ち悪い笑みだが、まりさには精一杯の行動だった。 小悪魔は無言で一斗缶にゆっくりまりさを縛り付ける。今度は左の頬を一斗缶にあてがう。 「なおすから!!まりさのわるいところなおすから!!」 コトン、小悪魔の返事は焼けた小石を一斗缶に落とす事だった。 昨日の繰り返し、ゆっくりまりさが熱いと騒ぎ出し、ゆっくりありすが心配し小悪魔にやめる様に抗議し、 小悪魔が小石を落としそれに答える。 昨日のようにまたゆっくりまりさは白目を向き気絶する 「そんなに心配ならもっと寄って慰めてあげてくださいまし」 ゆっくりまりさを心配そうに、しかし離れた場所から見守るゆっくりありすに小悪魔は声をかける 「私が怖いですか?あなたの愛ではここまで来れないのですよ。所詮は年中欲情女の勘違いですよ」 それでもゆっくりありすは動かないでいた。 自分をまず守らなきゃ、ゆっくりありすは選択をし、自分の命を生きながらえさせた。 その選択が正しいかどうかは後で分かる事となる。 両頬が壊死してしまったゆっくりまりさから笑顔が消えた。 笑えなくなったのだ。顔が全く動かない。喋る事には不便は無いが、表情を作れなくなってしまった。 ブスッといつも不機嫌そうな顔をしているゆっくりまりさ。 「ブサイクな顔がよりブサイクになりまして、そんな事では誰も買ってくれません事よ。売女さん」 小悪魔がゆっくりまりさの帽子を奪い取るとヒステリックに何度も踏みつけた。 ボロボロになった帽子をゆっくりまりさの頭の上に載せる。 「まあまあ、前衛的なお帽子ですこと。ブサイクには勿体無いぐらいです」 だんだんと自分達の待遇が悪くなってくる。エサは減り、部屋の掃除もされなくなった。 かける言葉も刺々しくなり、ゆっくりまりさは毎日苛められる。 ゆっくりぱちゅりーはテーブルの上で二匹を見下ろすように飼われている。 クッキーや紅茶、美味しいものばかり毎日食べさせてもらえている。 すると、ゆっくりありすは態度を一変させる。ゆっくりパチュリーに媚を売り出したのだ。 「ぱちゅりー、ありすにもクッキーちょうだい」 ぷいとぱちゅりーは身体をありすとは別の方向に向ける。 「ねぇ、ぱちゅりー、あやまるからぁ。ごめんなさい、ゆっくりゆるしてね!」 それを見て気分がよくないのはまりさだ。 「ありす?」 不安そうにゆっくりありすを見つめる。仲違した、ぱちゅりーはそう思った。 しかし、共犯関係はそう簡単に崩れるものではなかった。 小悪魔が部屋に戻ってくると、ぱちゅりーが死んでいた。 テーブルの上から落ちたのだ。そして、その死体をありすとまりさは食べている。 小悪魔はすぐに死体に集る二匹を蹴り飛ばした。 仕掛けておいた監視用の魔法の鏡を起動させる。 この鏡は数時間前に映した様子をもう一度再生する事ができる。 「ねぇ、ぱちゅりー、ありすとすっきりしない?」 「むきゅ?すっきり?」 「そうよ。とってもきもちいいのよ」 ぱちゅりーは野生だったが、今まですっきりした経験は無かった。 所謂、処女だった。それは体力的な問題、不運な境遇が原因だった。 決してすっきりししたくないわけではなかった。 今は毎日食事が取れ、病弱とは言え体力はかなり付いた。そして境遇は。 形の良いゆっくりありす。ペットショップで売られていた美しいゆっくりありす。 今までは自分を苛めていた嫌な存在だったが、そんな関係も終わった。 目の前にいるのは自分とすっきりを望む綺麗なゆっくりありす。 「むきゅー、そこまでいけないわ」 「ちょっとまっててね」 かかった。ありすは急いで小悪魔が用意したクッションを持ち出す。 「ここにとびおりればいたくないよ!!」 「むきゅー、ありすってかしこいね!!」 そして、ぱちゅりーは飛んだ。 ありすはクッションを別の場所に投げ捨てる。 糸の切れた人形のように小悪魔はぐったりとイスに座り込んでいる。 目の前には先ほど蹴ったゆっくりありすがゆっくりまりさに頬ずりしている。 痛かったねなどと痛みを慰めあっている。 「下品な女・・・」 小悪魔は口だけを動かす。 「ゆ?おねーさん、こいびとのまりさのわるぐちはやめてよね」 「あなたですよ。この阿婆擦れ」 小悪魔はゆっくりぱちゅりーを少し強く抱きしめ、ゆっくりありすを睨みつける。 「この阿婆擦れ、絶対に殺してくださいって言わせてやる」 小悪魔は小声で呟く、それはゆっくりまりさとイチャイチャするゆっくりありすには届かなかった。 まりさは嬉しかった。ありすは裏切ったわけじゃない。 ありすはあの憎たらしいぱちゅりーをやっつけてくれた。 とても嬉しかった。まりさは目を覚ます。大好きなありすが傍にいると思って。 「お早い御起床で、この鈍間。お食事は何になさいますか?生ゴミ?泥?それとも肥溜めから糞尿でもすくって参りましょうか?」 目の前にいたのは小悪魔だった。逃げないとまた酷い事をされる。今まで忘れていた事が蘇る。 どうして、ゆっくりしていたんだろう。ぱちゅりーを殺して小悪魔が黙っているわけ無いじゃないか、 必死に身体を動かすが、どうにも動かない。いや、動こうとするととても痛い。 「いひゃい」 声がおかしい。大きい声が出せない。 「あひふ、ひゃふひぇて」 クスクスと小悪魔は笑った後、ギョロっとした目でまりさを見つめ、説明した。 「足はこの通り、切り取らさせていただきました」 目の前に置かれたのは今まで自分の底だった部分、ゆっくりでは足と呼ばれる部分だ。 円く切り取られている足、まりさは吐き気がする。 人間だって自分の足が切り取られて見せ付けられれば恐怖のあまり嘔吐するだろう。 「あと、口元を縫い付けさせていただきました。それと」 口元が縫い付けられていて思ったような声が出せない。 急に小悪魔が消える。よく考えれば視界が狭い。 「左の眼球を摘出させていただきました」 まりさは小悪魔の元から逃げ出し、ありすを探す。 「あひふ、あひふ、ほひへ」 「ゆー?まりさ?」 眠気まなこのありすにも分かる。まりさがおかしい。 小悪魔がありすのところまで来て説明する。 「あなたのパートナー、私が壊して差し上げました、如何でしょう?髪もイカしますでしょ?」 「あ・・・ああ」 ありすは目に一杯の涙を浮かべている。 髪は所々無残に切られ、目をなくし、口を縫われ、 「綺麗でしょ?パートナーの容姿を褒めてあげて下さいまし。都会派の阿婆擦れ、ほら、笑ってくださいまし、フフフ」 元々焼かれている頬とボロボロの帽子、ありすはまりさに何の好感も持てない。 「愛していると言ってあげてくださいまし、あなたが愛したせいでこうなったんですから」 ありすの頬にまりさの焼けてゴツゴツした頬を押し当てる。 次第にありすの顔が青ざめていく。そして、まりさがありすに呼びかける。 「あひふ、ひゃふへへ」 「し、しらない!!こんなかいぶつしらないよ!!こんなのありすのまりさじゃないよ。はやくでていってね!!」 せきを切りありすがまりさを拒絶する。 「あひふ、まひははほ。まひははほ」 「そうです。これはあなたが愛したゆっくりまりさですよ。しっかりしてくださいまし、壊れるにはいささか早うございますよ」 「じゃあ、まりさなんていらない。こんなのありす、いらない!!」 そう言うと、ありすは何度もまりさに体当たりを繰り返す。 「あひふ、ひゃへてへ!!」 「うるさいよ!!おまえなんてゆっくりできないよ!!はやくしんでね!!」 何十回、何百回と体当たりを繰り返し、ようやくまりさは動かなくなりました。 「それでは最後はあなたですよ。皆様あちらであなた様がお死にになるのをお待ちしていますよ」 ゆっくりありすは最期に。 「ころしてね」と力なく言ったが、それから三ヶ月も拷問は続いた。 by118
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コテ名 おできち ◆wW1ZwOwwBE 通称 機種 SH07F 活動時期 2015年~ 出現頻度 生年月日 21歳(2015年現在) 性別 女 住み 職業 アルバイター 趣味 特筆事項 好きなコテは温水くん コンサートは見ないけどジャニオタ 名付け親はたこ焼き兄ちゃんW HP 画像 なし 名前 コメント
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ゴマきち ≪成績≫不明 総対戦数 戦 勝利数 勝 勝率 % 累計BP pt 最大連勝数 0 最大RP 1500 総合 戦績 戦 勝 敗 勝率 % ナポ 戦績 戦 勝 敗 勝率 % 副官 戦績 戦 勝 敗 勝率 % 連合 戦績 戦 勝 敗 勝率 % ≪ギルド≫ よろめき温泉 ≪コメント欄≫ ≪受賞歴≫ ≪所有アカウント≫ 名前 ギルド 備考 ≪活動期間≫ ?~現在 ≪ログイン曜日/時間帯≫ ≪イクサーネーム由来≫ ≪サイト≫ ≪記事≫
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『死のゆっくりウォーク』 18KB 虐待 虐待人間 元ネタ小説あり 元ネタはどこかで読んだ小説 作者と正式タイトルは忘れました 『死のゆっくりウォーク』 D.O 『お前たちには、これから歩き続けてもらう』 *********************** れいむの目の前には、どこまでも真っすぐ続く、広く、ひたすら長い一本の道が広がっていた。 れいむは所詮直径10cmに満たない、赤ちゃん言葉が抜けたばかりの子ゆっくりである。 実際地平線の彼方までこの道が続いているかなどは、わかるはずもない。 とにかくゆっくり視点で言えば、無限に続いているかという長い道だった。 周囲をぐるりと見回してみる。 この道の幅は、れいむ50匹が並んでも届かないほどの広さであった。 道の地面は白くてスベスベで、小石一つ転がっておらず、しかもほどよく柔らかい。 たとえ100回跳ねてもあんよを傷つけないであろう、ゆっくりした素材でできていた。 道の両脇には地面と同じく真っ白な、跳ねても飛び越えられそうにない高さの壁が立っている。 そして、視点を近くに戻してみると、 れいむの周りには、れいむと同じ時期に生まれ、 少し前まで同じ部屋で共に育った、数百匹の子ゆっくり達が道の内側に放り込まれていた。 子ゆっくり達の中には、当然れいむと仲良しの者達もいた。 「わかるよー!わっかっるっよー!!」 「ゆぅ?なにがわかるの?」 「ちぇんは、かけっこがだいすきだから、こんなみちをみてるとむずむずするよー!」 「ゆっゆーん!たしかに、かけっこしたらきもちよさそうなみちだね!」 「ひとっぱしりしてくるよー!」 そう言って道をぽいんぽいんと跳ねていってしまったのは、 子ゆっくり達の中でも社交的で、遊ぶ時はいつも中心にいる友ちぇんだった。 ちぇん種の中でも特にかけっこが得意で、ご飯とすーやすーやの時間以外は、 大体いつも飛んだり跳ねたりしている元気いっぱいのゆっくりである。 「れいむ。やわらかくって、すーべすーべで、とってもとかいはなみちね」 「ゆん!そうだね。とってもゆっくりしてるよ」 続いてれいむに声をかけてきたのは、とっても都会派な友ありす。 生まれたばかりの頃、一番最初のおうちだった透明な箱の中で出会い、 ずっとれいむと一緒に育ったゆっくりだ。 自分の美貌を磨くことにはことのほか熱心で、 立ち居振る舞いもゆっくりした、同世代憧れの的でもあった。 少々それを鼻にかける所もあるので、他のゆっくりとケンカになることも多かったが、 れいむはそれなりに長い付き合いなので、その辺は上手くやっていた。 「むきゅん…いやなよかんがするわ…」 「またぱちぇのびょうきがでたわね。とかいはじゃないわ」 「むきゅー!きょうこそはゆっくりできないわ!きをつけるのよ!」 「ゆぅ?いちおう、ゆっくりりかいしたよ」 そんな友ありすとれいむに声をかけてきたのは、心配性の友ぱちゅりー。 友ありす同様、透明な箱以来の付き合いである。 夜が明けるたび、ご飯のペレットが空から降ってくるたび、 おうちがより広い箱に移されるたび、嫌な予感がすると言い続けてきた、 人騒がせなぱちゅりーであった。 今では友ぱちゅりーの話を真剣に聞いてくれるのは、れいむだけである。 とはいえ、今回ばかりは友ぱちゅりーだけでなく、 ぱちゅりー種のけんじゃ数匹や、感覚の鋭い者達は嫌な予感を感じているようではあったが。 そんなれいむ達3匹を遠目から眺めていた、1匹のまりさが声をかけてきた。 「れいむ」 「ゆ、ゆゆ!!まりさ!?なに?」 そのまりさは、周囲の子ゆっくりが友達同士で寄せ集まっている中、一匹で周囲を見回していた。 別に周囲と仲が悪いわけでもないが、クールな雰囲気を持ったまりさは、いつも浮いた存在であった。 だが、時折声をかけられる事もあったれいむは、 そのそっけない態度と言葉の中に、思いやりらしきものがある事を感じ取ってもいた。 れいむはまりさに、小学生や幼稚園児がときおり持つことのある、心のときめきを感じていたのかもしれない。 それは、おとなの恋愛からは程遠い、未熟な子ゆっくりならではの、ほのかな想いでしかない。 しかし、少なくとも『嫌い』とは反対側にある想いでもあった。 「れいむ。ゆっくりきくのぜ」 「ゆぅ。しんっけんなおはなし?」 「かべさんのむこう・・・にんげんさんがいるのぜ」 れいむは、人間さんを見たことが無い。 だが、両親から受け継いだ餡子の中の記憶に、ゆっくりできない感覚とともに、 その姿を思い浮かべることができる。 そして、視線を壁の向こうに向けてみると、 そこには、2本の巨大な柱が見えた。 それこそ、餡子の記憶に残るゆっくりできない存在、 人間さんのあんよであった。 「ゆ、ゆゆ!?ゆわぁ~…にんげんさんがいるよ~」 「なんだか、ゆっくりできないのぜ。このみちさんも、なんだかおかしいのぜ。きをつけるのぜ」 「ゆぅぅ~。よくわからないけど、ゆっくりきをつけるよ」 まりさは同じ子ゆっくり。 だが、れいむはこれまでの経験から、まりさの判断力に信頼を寄せていた。 これまでまりさの言う事を聞いて、失敗した事は無い。 それに、やはりまりさの事を憎からず想っていたこともあった。 *********************** そして、れいむがまりさと会話を終えた時、 子ゆっくり達の頭上から、抑揚の少ない、だがとにかくゆっくりできない声が響いた。 『これから、俺の言うとおりに動け』 子ゆっくり全員が頭上を見上げると、そこには、れいむとまりさが存在を確認していた、 あの人間さんの頭があった。 その表情は、照明の影に暗く塗りつぶされており、うかがい知ることはできない。 『俺に従わないことは、許さない』 「な、なにいってるのじぇ?」 それに、一匹の子まりさが食ってかかった。 もちろん、れいむに声をかけたあのまりさとは別ゆっくりである。 他の子ゆっくりより生まれがかなり遅く、 末っ子まりちゃとして甘やかされてきた子まりさだった。 「まりしゃは、いずれはむれをおさめりゅ、いだいなどすになるのじぇ!」 『……』 「おにーしゃんは、なんだかゆっくちできにゃいのじぇ!」 『……』 「だかりゃ、ゆっくちできないにんげんしゃんなんて、まりしゃが」 カツンッ!! 人間さんの右手が振り下ろされた。 その手に握られていたのは、一本のピッケル。 地面に突き立ったピッケルの下には、先ほどの子まりさが小憎たらしい表情のまま穴を開けられ、 静かに息絶えていた。 『静かにしろ』 「「「どうぢてこんなことす」」」 数秒後、騒ぐ子ゆっくりは一匹もいなくなった。 その代わり、数匹の子ゆっくりの、脳天に穴が開いた死体だけが残された。 『お前たちには、これから歩き続けてもらう』 『これから俺が「歩け」と合図したら、この道をずっと歩き続けろ』 『歩き始めなければ、殺す』 『止まっても、殺す』 『さあ、・・・・・・「歩け」』 *********************** こうして子ゆっくり達は歩き始めた。 というより、歩き始めなかった子ゆっくりは全員体に穴を開けられて、永遠にゆっくりした。 れいむもとにかく恐ろしかったので、必死で走ろうとしたが、まりさに止められた。 「れいむ!」 「ゆ、まりさ、はしらないとゆっくりできないよ!?」 「ゆっくりなのぜ。はしっちゃだめなのぜ」 「?」 「つかれてとまったら、おわりなのぜ」 「ゆ?ゆゆっ!ゆっくりりかいしたよ」 れいむは、やはりまりさの近くにいてよかったと思った。 確かに人間さんは『歩き続けろ』と言っていたのだ。 ならば、速さは問題ではない。 疲れないように、なるべくゆっくりと歩くべきであった。 ゾロゾロと進む数百匹の子ゆっくり達は、さっそくいくつかのグループに分かれ始める。 「「「わかるよ!わかるよ!わかるよー!」」」 先頭には、駆けっこに自信のあるちぇん種グループ。 いつも通りの駆けっこで、一位を目指して競争するように先頭を奪い合っていた。 もちろんこの先頭グループには、あの友ちぇんも含まれている。 「ゆぅ~、まけてられないのぜ!」 「まりさもいくよ!ゆっゆーん!」 その後ろに続くのが、まりさ種グループ。 負けん気が強いまりさ種は、ちぇん達の勢いに火を付けられ、 置いていかれないように必死に食いついていく。 「むほぉっ!むほぉぉおん!」 「まりさぁぁああ!とってもせくしぃよぉぉお!」 その後ろにありす種グループ。 駆けっこではちぇんやまりさに差をつけられるが、 前を走るゆっくり達のおしりがプリンプリンと揺れる姿に性欲を駆り立てられ、 やはり必死に食いついていく。 「れいむたちはゆっくりしようね!」 「ゆっくりつかれたから、ちょっとやすもうね!」 カツンッ!カツンッ! 「「もっぢょ…ぐぢ…」」 その後方を、マイペースで生存競争の苦手なれいむ種グループが歩いたり、止まったりしている。 1匹しか生き残れないにしては、まだ子ゆっくり達には余裕があった。 友達と談笑したり、競争したりしながら歩いている子ゆっくり達が大半であった。 それは、自分だけは最後までゆっくりできるに違いないという、 ゆっくり特有の楽天的思考からのものであった。 未だに、現実を直視できているゆっくりはほとんどいないのである。 実質状況を本当の意味で理解できていたのは、 れいむに助言をくれたまりさと、助言を受けたれいむ、友ありす、友ぱちゅりーだけであった。 だかられいむ達は、他の子ゆっくり達が駆けっこではしゃぎまわる中、 体力を温存するため最後方を黙々と歩いていた。 そんな中、先頭に立って走っていたのは… 「ぱ、ぱちゅりぃぃいいい!まってね!そんなにいそいじゃだめだよ!!」 「れいむ!だめなのぜ、いまぱちゅりーをおいかけたら、れいむもつかれちゃうのぜ!」 「むぎゅぅぅぅううううう!!ぱちぇは、ぱちぇはけんじゃなのよぉおおおおお!!」 意味不明な言葉を発しながら、子ちぇん達よりさらに前方に全速力で突っ走ったのは、 あの心配性の友ぱちゅりーだった。 友ぱちゅりーの、日常生活ですら不安でいっぱいだった貧弱な精神は、 死の恐怖に耐えられず、それから逃げるようにあんよを全力で動かさせたのである。 だが、元より体力のないぱちゅりー種、それは長くは続かなかった。 2分後。 「……むぎゅ…けんじゃ…ぱちぇは、じなない…」 「ぱちゅりー!がんばってね!とまったらゆっくりできなくなるよ!」 「ぱちゅりーのいながものぉぉおおお!とまっちゃだめよぉぉお!」 友ぱちゅりーは早くも失速し、子ゆっくり集団の最後方を歩く、 れいむ達3匹にまで追いつかれていた。 「…こえをかけるだけ、たいりょくのむだなのぜ」 「まりさ!そんなこというなんて、とかいはじゃないわ!」 まりさの心無い言葉に、友ありすが怒りを向ける。 だが、すでに友ぱちゅりーの余力が無い事は、まりさ以外の2匹にも理解できていた。 とはいえ、親友を簡単に見捨てることはできない。 れいむと友ありすは、友ぱちゅりーを必死に励まし続けた。 「むぎゅ…むぎゅぅ……ぱちぇ…けんじゃ…ゼェゼェ」 「とまっちゃだめよ!ぱちぇはかしこくないけど、とってもとかいはだから!」 「…む、むぎゅ…そ、そん…」 「ゆわぁぁあん!ぱちぇがけんじゃじゃなくても、れいむはずっとおともだちだよぉぉお! ゆっぐぢがんばっでぇぇえええ!」 「む……ぎゅ……」 カツンッ! そして、友ぱちゅりーは力尽き、ピッケルによって地面に縫いつけられた。 *********************** 「わがらにゃ…」 カツンッ! 「も、もう、だめなのぜ…」 カツンッ! 「ゆっぐぢ…」 カツンッ! そして、友ぱちゅりーが脱落してまもなくから、本当の地獄が始まった。 「むぎゅ…エレエレエレ…」 「ぱ、ぱちぇのけいさんでは…こんなはず…ゲロリ…」 ぱちゅりー種は、友ぱちゅりーのような自滅をするまでもなく、真っ先に体力を使い果たした。 もはやピッケルを受けるまでもなく、クリームを口から吐いて絶命していったのだった。 そして次に脱落していったのは、 …調子に乗って先頭集団を作っていたちぇん種であった。 「わぎゃ、わぎゃらないよぉぉぉぉおお!」 「ちぇ、ちぇん!?どうぢでこんなところにいるのぉぉお!?」 「ちぇんは、かけっこがとってもとかいはだったのにぃぃいい!」 れいむ達のいる最後方にまで、友ちぇんが転落してきたのは、 不幸な事故によるものではない。 「わぎゃらないよぉおお!あんよが、あんよがゆっぐぢうごかないよぉぉお!」 それは、単なる疲労だった。 小柄なちぇん種は、体内のエネルギー源であるチョコの量が、 まりさ種やれいむ種の餡子の量より2割方少ない。 身軽な分、短距離走では圧倒的な能力を持っていても、持久走は苦手なのである。 「わぎゃらないよ…みんな、みんな…ちぇんたち…みんな、じんじゃっだ…よー…」 「そんなのしんじないわ!ちぇんたち、みんなかけっこがとくいだったのに!?」 「わ、ぎゃらない…みんな、どまっぢゃっだ…んだよー…ゼェ、ゼェ」 そして、最大の不幸は、ちぇん種にその自覚が無く、 気がついてみればあんよが動かせないほど消耗してしまっていることであった。 友ちぇんはすでに体内のチョコを使い果たし、 全身をダブつかせながら這うように進むことしかできなくなっている。 そして、それも終わりを迎えようとしていた。 「わ、わぎゃらないよ…ど、どうぢで…」 「ちぇん、ちぇぇぇえん!とまっちゃだめぇぇえ!」 「れいむ!みちゃだめなのぜ!」 カツンッ! 「わ…ぎゃ…」 こうしてちぇん種は、あっという間に一匹残らず消えていった。 *********************** だが、ぱちゅりー種やちぇん種ばかりが不幸だったわけではない。 所詮、順番が早いか遅いかの違いしかなかった。 カツンッ! 「ゆ”っ!?…」 カツンッ! 「とかいばっ!?…」 カツンッ! 「まりざ…どすになるの…ぜ…」 まりさ種も、れいむ種も、ありす種も、一匹づつ、確実にピッケルで体を貫かれていく。 そして、体力を温存して歩いていたあの3匹も、例外ではありえなかった。 「どがいばぁぁああ!どがいばぁぁあああああ!!」 「ありすぅううう!じっがりじでぇぇええ!」 友ありすの、温存していた体力もついに限界を迎える。 元より駆けっこが得意でもなく、運動不足気味だった友ありすからすれば、健闘したと言えなくもない。 ただしどれほど努力しようとも、歩みを止めれば殺されることに違いはないのだが。 「じにだぐない!じにだぐないぃぃいい!」 「ありす!ゆっくりおちついてね!ゆっくりあるくんだよぉぉお!」 「いっばい、こーでぃねーどじで、いっぱい、えすてにかよって、 いっばい、さろんでおはなしじで、いっばい、いっばい、いっばいじだいごどあるのにぃぃいいい!」 その表情は、美貌を誇っていたありすが、見る影もないほどに汗と涙でぐしゃぐしゃだった 目玉は飛び出さんばかりに見開かれ、よだれが滝のように流れている。 そしてぺにぺにも、普段の清楚で可憐を自称する友ありすからは考えられないほどに、 ガチガチに勃起していた。 「じにだぐない!いっばい、いっばい、いっばいずっぎりじだいのにぃぃいいい!」 「ありすぅぅうう!とかいはなありすにもどっでぇぇえ!」 「れいむ、はなれるのぜ。もうきこえてないのぜ」 「むほぉ!むほ、むほぉぉおおおおお!!」 そして友ありすは、よろけるあんよで道の脇に進んでいくと、 なにもない道の壁に全身を押し付け、心地よさそうに体を擦りつけはじめた。 「ずっぎり!ずっぎり!ずっぎり!でいぶぅぅうう!ぱちゅりぃぃぃいい!」 「ありす、ありすぅうう!どまっじゃだめぇぇええ!」 「ふたりども、どっでも、どっでもどがいばなまむまむよぉぉおおお!!」 「ありすぅうううう!」 「ず、ずっぎ」 カツンッ! 「…ずっぎ…り…」 そして、歩みを止めた友ありすは、恍惚の表情で壁に精子餡をぶちまけ、 そのまま地面に縫い付けられて息を引き取った。 *********************** 友ぱちゅりーは死に、友ちぇんも死に、そしてついに友ありすも死んでしまった。 周囲は随分前から静寂に包まれている。 れいむとまりさに聞こえているのは、自分と、自分の周囲で黙々と歩く、 疲れ果てた子ゆっくり達の、ゼェゼェという呼吸音だけであった。 「も…だめ…」 カツンッ! 「もっじょ…ゆっぐぢ」 カツンッ! 一匹、また一匹と、心の折れたゆっくりから沈んでいく。 気力が尽き、生存への意志が疲労に押しつぶされた時、あんよの動きは止まる。 ぽむんっ! ぽむんっ! ぽむんっ! ぽむんっ! 歩き続けるまりさのあんよから、ぽよんぽよんと柔らかい音が聞こえる。 一定のリズムを刻み続けるその音が、れいむを支えてくれていた。 黙々と、淡々と歩き続けるまりさ だがその存在は、れいむをひとりぼっちにせずにいてくれる。 こんなときでも、やはり仲間がいてくれるというのは心強いものだった。 いつも冷静で、頼りになるまりさ。 ちょっと怖いけど、優しいまりさ。 「ぜぇ…ぜぇ…ゆっぐ…ぢ…」 だが、れいむの限界もとうに過ぎていた。 周りにはもはや子ゆっくりは、一匹もいない。 れいむと、そしてまりさだけだった。 *********************** 2匹だけの終わらない散歩は、傍目には決して長い時間ではなかったが、 2匹の間だけでは永遠に近い時間、延々と続いた。 聞こえるのは、お互いの息使いと足音だけ。 感じるのは、地面の存在と、隣にいるたった一匹だけの友達の気配。 れいむを支えていたのは、体力でも、生きる気力でもなく、 もはやたった一匹になってしまった友達と、少しでも長く一緒にいたいという想いだけであった。 …それが、相手を苦しめることになると知っていながら。 れいむは虚ろな瞳の中にもわずかな安らぎを感じていた。 すぐ隣にはまりさがいる。 向こうも視線を地面に落としているのか、帽子のつばに隠れて顔は見えない。 だが、その下にある表情は、きっと歩きはじめた時と同じ淡々としたものに違いない。 それに、れいむはこの期に及んでなお、2匹そろって生き延びる可能性を信じていた。 (れいむはゆっくりしたゆっくりだし、まりさもとってもゆっくりしてるよ) (だからきっとにんげんさんも、ゆっくりしたれいむたちをころしたりなんかしないよ) (きっとすっごくはんせいして『あまあまをあげるからゆるしてね!』とかいって、たすけてくれるよ) …だが、もちろんそんなことはあり得なかった。 *********************** 「……い…ぜ」 まりさの声が聞こえた。 その弱弱しさに、れいむの中に不安が甦った。 「…ない…のぜ…」 虚ろな目だけでまりさの方を向くと、 そこにはれいむと同じか、それ以上に憔悴しきったまりさの顔があった。 先ほどまで表情を覆い隠していたまりさの帽子は、遥か後方に力無く落ちていた。 もう自分には、まりさの頭にしがみつく力なんて残されていないよ、と言っているかのように。 「ゼェ…ゆ?…ま、まり、さ?…ゼェ…」 「ゆひぃぅぅぅぅううぅぅ…ゆぅ、じにだく、じにだくない…のぜ…ひぃ…ひぅぅぅ…」 そういえば、まりさを頼りになると、冷静で賢い、ゆっくりしたゆっくりだと感じたのは、いつからだったか。 れいむがいじめられていた時、水飲み場の水をぶちまけていじめっ子達を追い払ってくれた頃? ご飯が足りなくてべそをかいていた時、何も言わずそっとご飯のペレットを置いていってくれた頃? でも、じゃあれいむが初めて声をかけた時、 緊張のあまりしーしーを漏らしてしまったあの赤まりさは、どこの赤まりさだったのか… そのしーしーを一緒にお掃除してあげた時、泣きながらありがとうと言ったのは、 どこの赤まりさだったのか… その赤まりさはすっかり成長して、今ではれいむの方が頼る側になって、 でも今、隣で泣いて… れいむは今さら気付かされた。 まりさもまた、れいむとほとんど同時期に生まれた、 いや、むしろれいむよりも遅くに生まれた、単なる子ゆっくりにすぎない事に。 「ぢにだぐ…ない…まりざ、まだ…ゆっぐぢぢだ、い…」 「どまっぢゃ、だべぇぇ…ゼェゼェ…れいむ、まりざど、ゆっぐぢぢだい…」 無理な相談だった。 もしまりさに生き延びて欲しいなら、れいむがあんよを止めるしかないのだから。 しかし、れいむのあんよは、どうしても止まってくれなかった。 れいむもまた、永遠にゆっくりしたい、諦めたいなどと考えられない、単なる子ゆっくりなのだから。 「でいぶ…ま、まりさ…も…だべ…なのじぇ…」 「ゆっぐぢ、ゆっぐぢあるいで、ばりざぁぁ…」 だが、苦しそうな中、まりさが泣き出しそうな、少しだけ嬉しそうな表情を浮かべる。 「…でいぶ、おねーじゃんど、…もっど、おはなし…じだがっだ…」 「ま…りざぁ?」 「まりさ…でいぶど…ずっどゆっぐぢぢだい…」 それは、まりさの突然の告白。 れいむがほのかに抱いていた想いより、ずっと強い想いのこもった。 れいむは頼りになる、少し怖いが優しい空気を持つまりさを憎からず想っていた。 だがれいむは、まりさにとってれいむが、しょうがなく世話をしてやってる相手でしかないと思っていた。 しかし、まりさもまた、少し餡子の出来は悪くても優しいれいむの事を、ずっと想っていたのだ。 「まり…!!」 その瞬間、れいむの視界からまりさが消えた。 れいむは立ち止まる。 そして振り返った後方には、まりさがぐったりと突っ伏していた。 「まりさ…れいむ、れいむも…まりさと、ずっどゆっくぢ…」 「れい」 カツンッ!! そのまりさの脳天を、その柔らかい肌を、その瑞々しい餡子を、 人間さんの右手に握られていたピッケルは、静かに、冷たく貫いた。 「ゆ…まり、さ……?まりさ?…ま……」 人間さんはこの後一言も発することなく、 れいむの方を振り向きもせず去っていった。 後に残されたのは、ピッケルに貫かれたままのまりさと、 そのまりさにすーりすーりを繰り返す、虚ろな瞳をしたれいむだけだった。
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「す~りす~り・・・とってもとかいはできもちいいわ!」 朝も早くから元気良くエクスタシー宣言しているのはある男性に飼われているありす。 今日も元気に頬を自分のお気に入りのあるものにこすりつけてそれの独特の弾力を楽しんでいた。 「ほんとうにきもちいいよぉ・・・!」 友達と(居ないから)遊ぶこともせず、今日も日長一日飼い主から与えられたコンニャクと戯れている。 最近の一番のマイブームはお兄さんにコンニャクでお尻をペチングしてもらうことだけど、今は彼がお仕事で出かけているので出来ない。 そんなわけで、ありすは仕方なく、少し前のマイブームの『ひたすら頬ずり遊び』に興じていた。 「す~りす~り・・・きもちい~♪」 ひんやり冷たくて、すごく弾力があって、どれだけ遊んでも文句一つ吐かない最高のお友達。 コンニャク、ああコンニャク、コンニャク・・・どうしてあなたはコンニャクなの? ありす一匹しかいない部屋でそんな風に一人ロミオとジュリエットよろしくな悲劇のヒロイン気分に酔いしれながらひたすら頬ずりを続ける。 「ゆぅ・・・ゆっ・・・ゆふぅ・・・ゆぅぅぅん・・・」 そうこうしているうちに変な気分になってきたありすは、ついにコンニャクに相手に交尾を始める。 激しく前後左右に揺れるありすの赤く上気した身体。それにあわせてぷるぷるんと揺れる大きなコンニャク。 「ぢゅごい!ぢゅごいわ、ごんにゃぐざあああああん!ありずもうがまんでぎない!!?」 そうしてありすはコンニャク相手にイった。それも13回も。 最後の絶頂の直後、ありすは交尾疲れで眠ってしまった。 翌朝。 ありすが目を覚ますと、そこには見たことのないゆっくりが5匹ほどいた。 体高3cmにも満たない小さな身体から察するにまだ赤ちゃんゆっくりだろう。 金色の髪をなびかせ、頂きにカチューシャを乗せているその姿は紛れもなくありす種のそれだ。 しかし、皮は半透明でコンニャクを髣髴とさせる色彩をしたその姿はゆっくりとは程遠い。 「「「「「ゆっくちちていっちぇね!」」」」」 が、生首がこの鳴き声を発する以上間違いなくゆっくりだろう。 その変な赤ちゃんたちは目を覚ましたありすを取り囲むと一斉に頬ずりをし始めた。 「「しゅ~りしゅ~り・・・」」 「ゆゆっ!おきゃーしゃん、やわりゃかきゅてきもちいいよ!」 「しゅごくゆっくちできりゅよ!」 「ゆゆ~ん!」 おかーさん・・・? その言葉を聞いたありすは何か思い当たるところがあったらしく、昨日すっきりしたコンニャクのほうを見る。 すると、予想通りというか何と言うか・・・コンニャクにゆっくりの赤ちゃんの成る蔦が生えていた。 「「「「「しゅ~りしゅ~り・・・」」」」」 ありすは思った。この赤ちゃん達もコンニャクと一緒ですごくいい感触をしている、と。 その瞬間、なんだかムラムラしてきて・・・あっという間に発情した。 「むほおおおおおお!ごんにゃぐあがぢゃんがあわいいっよおおおおおおお!!」 「ゆきゅ!?おきゃーしゃん、にゃにしゅるにょ!やめちぇね、ゆっくちやめちぇね!?」 「づんでれありずがわいいいいよおおおおおお!!?」 「やめちぇええええええええええええええええええ!?」 「ぢんじゃうううううううううう!」 「ゆっくちできにゃいよおおおおお!?」 ありすが我に返ったときにはこんにゃくありすの屍だけが残されていた・・・。 その白い肌・・・柔らかい感触、口の中でとろける優しい味・・・何もかもが大好きだった。 白くて角ばった柔らかいもの・・・いわゆるお豆腐に頬ずりしているのはゆっくりぱちゅりーだった。 「むきゅぅ・・・むきゅん・・・むっきゅ~・・・」 ぱちゅりーはすっきりした。豆腐で。 細かい経緯は面倒だし、ありすと似たようなものなので割愛。 翌朝。 ぱちゅりーが目を覚ますと、餡子を撒き散らした白い何かがお豆腐の傍に散乱していた。 それを眺めながらぱちゅりーが首をかしげているとお豆腐の上のほうから声が聞こえてきた。 「おきゃーしゃん、たちゅけちぇ!おちたらちんぢゃうよ!」 そこに居たのは異様なまでに肌の白い赤ちゃんぱちゅりーだった。 何故かは良くわからないが自分とお豆腐の間に赤ちゃんが出来たらしい。 「むきゅ~!ゆっくりまっててね!おかーさんがいまたすけるわ!」 そう言ったは良いもののぱちゅりーは貧弱なので非常に歩みが遅い。 そんなゆっくりしすぎた母の歩みと、今にも落ちそうな蔦の揺れに赤ちゃんは酷く怯える。 「おきゃーしゃん!おしょい!おしょいよ!ぱちゅりーゆっく・・・?!」 言葉を最後まで紡ぎ出すことなく、おとうふぱちゅりーは床に叩きつけられ、飛び散り、息絶えた。 「むぎゅうううう!?ばぢゅりーのあがぢゃんがあああああああ!?」 まだ頬ずりさえしていない、しかしそれでも可愛い我が子の死に嘆くぱちゅりーのめからはなみだがぽろぽろと零れ落ちる。 そうして、潰れた赤ちゃんを舐めながら悲嘆にくれていると・・・ 「むきゅ~!」 頭の上から、可愛らしい鳴き声が聞こえてきた。 声のするほうを見てみるとまだ一つだけ赤ちゃんの実が残っていたらしく、今にも生れ落ちそうなそれがゆらゆらと揺れていた。 「むきゅ!こんどこそゆっくりたすけるよ・・・」 そう言って、ぱちゅりーは赤ちゃんの落下地点に這いずって行くと舌を伸ばして絶妙のタイミングで落ちてきた赤ちゃんを受け止めた。 上手く受け止め、何とか赤ちゃんを死なせずに済んだのだが・・・・・・ 「むぎゅ!?いぢゃい!いぢゃいよ!おきゃーしゃん、ぱちゅりーあんよがいだいよおおおお!?」 それでも足が潰れてしまったらしい。残念。 ああ、何でこんなにねばねばなんだぜ・・・おにーさんがくれた特別大きいのが張り付いて取れないぜ・・・。 「ゆふぅぅぅぅううぅぅん・・・」 まりさはすっきりした。ガムと。 細かい経緯は(以下略 「「「「ゆっくちちていっちぇね!」」」」 「ゆふぅ~・・・まりさのあかちゃんはかわいいんだぜ!」 「「おきゃーしゃん、いっちょにあちょぼーよ!」」 「ゆゆっ!ゆっくりあそんであげるんだぜ!」 「「やっちゃー!」」 まりさは赤ちゃんまりさと遊ぶべくおうちの中の広い場所に跳ねて行った。 しかし、いつまで経っても赤ちゃんがついてこない。 不審に思ったまりさが赤ちゃんの様子を伺いに行くと・・・ 「あちがくっちゅいてうごけにゃいよおおおお!?」 「ぎゃ、ぎゃんばってはねりゅよ!」 「ゆゆっ!きゃらだがのびりゅよ!?」 「ゆぅ~・・・ゆかさん、ゆっくりはなれちぇね!」 ガムっぽい肌が床にへばりついたらしい。 この後、赤ちゃん達を助けようとしたまりさがどうなったかは想像に難くないことだろう。 このSSに感想を付ける
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「すいません、入校したいのですが・・・」 「むきゅ!それじゃあこのしょるいさんになまえなどをかきこんでね!」 ある自動車学校。ここは教官や受付がなぜかゆっくりで構成されている自動車学校である。 この男、山口に書類を渡したのは受付のぱちゅりー。 「やまぐち けんさんね!ゆっくりまっててね!」 山口の下の名前はなぜか「県」だ。親の出身地と苗字が山口だったからという理由でつけられたとか。 母親は「市」といい旧姓は下関。父親は「号」。ふざけてるとしか思えない名前である。 「やまぐちさんゆっくりおまたせ!おーとましゃとまにゅあるしゃのどちらにするの?」 「じゃあ、オートマで。」 「ゆっくりりかいしたわ!」 比較的スムーズに手続きが進んでいった。しばらくして、ぱちゅりーから県を呼ぶ声が。 「これががくせいしょうさんよ!なくしたらさいはっこうはできるけどできるだけなくさないでね!あとこれがきょうかしょさんよ!」 「ありがとうございます。」 学生証には、名前、生年月日、専攻車種、顔写真などが記載されていた。よく見ると上に矢印と読み取り部らしきものがある。これを通して入る部屋があるのだろう。 そして教科書は1冊。やや薄いがこれで十分なのだろう。 「それで、今日俺はどうすれば・・・」 「きょうはこっちでてきせいけんさをうけてもらうわ!」 「て、適性検査?」 ちなみに県はそれほど自動車に詳しくはない。ただ単に、子供のころから持ち続けてきた、「自家用の大型バスを買って運転する」という夢を実現するために来たのだ。 とりあえず普通免許を取得し、それから大型免許を取得するのだろう。 「あくまでもさんこうにするだけだからふかくきにしちゃだめよ!」 「はぁ、わかりました・・・」 県は複雑な心境で適性検査が行われる部屋へと入っていった。 「あら、ここでとかいはになりたいにんげんさんね?」 中に入るとありすが待機していた。恐らく検査方法などの説明で呼ばれてるのだろう。 「それじゃあいまからてきせいけんさをうけてもらうわ!あくまでうんてんにむいてるかどうかのしんだんをするだけだから、りらっくすしてもんだいをとくのよ!」 「わかりました。」 こうして、適性検査が始まった。 まずは記憶力の測定らしい。タッチパネルにゆっくりが何種類も表示されており、目の前のモニターに映った順番にタッチするということだ。 なるほど、独自性に飛んでいる。 「ちぇんみょんれいむ、ちぇんみょんれいむっと。」 県は記憶力がいいほうだったので序盤は楽にこなしていたが、段々覚えるべきゆっくりの数や表示されるゆっくりが増えてくるので、それだけ難しくなっている。 はじめはれいむやまりさといった通常種だけだが、段々捕食種や希少種などが表示されるようにもなる。 「ぱちぇありすありすれみりゃゆうかさなえれいむちぇん・・・覚えられねぇ。えーっと、ぱちぇありすありすれいむ・・・あ、違ったか。」 しかも表示の仕方はまるでフラッシュ暗算。普通の人はあまり多くは解けないだろう。 県は平均よりもやや上の数値となった。 「おつかれさま!つぎはだいしょうはんべつてすとよ!」 「代償判別テスト?」 どんなテストだ、それは。 「がめんにでるけいさんしきさんのこたえがおおきいほうをすぐにえらぶのよ!」 「あ、なるほど。」 「しょうすうてんいかはきりすて、さんかいまちがえたらしゅうりょうよ!」 画面に表示させる計算式は段々長くなっていく。勿論徐々に苦しくなってくるわけであって、 「132+13×64と14×60+148・・・どっちだ、左か・・・くそ、間違えた!」 こうなる。結果は平均程度だった。まあまずまずの結果だろう。 「視力検査なのに双眼鏡みたいな機械も検査表も使わないんですね?」 「とかいはなここではべつのきかいでりょうほうのおめめさんをいちどにはかれるのよ!」 果たしてそれは大丈夫なのだろうか。片目ずつ測るのが基本だろう。 「な、何だこれ!?」 モニターが二つ用意されており、それぞれに方向キー(スーパーファミコン仕様)が付いている。いつものCの向きをこれで押せばいい。 だが、これは軽く人間いじめか。両方一度に出てくる上正解するまで徐々に拡大されていき、答えたらまた別の向きで拡大してくる。 決してここにアクションゲームをしにきたわけではないのだが、県には真っ先にそんな光景が浮かんだ。 「酷いっすね、これ・・・」 「とかいはなうちくらいよね、こんなそくていのしかたは。」 全くだ。 視力はいいほうのはずなのにやや低めの数値が出てしまった。 「ぼうしにのってるまりさがばらんすをくずしてるわ!まるたさんをうごかしてまりさをさいごまでおとさないようにするのよ!」 バランス能力測定テストらしい。 見ると、画面には10本の丸太と逆さまの帽子に乗ったまりさがいた。 「まりさをゆっくりあんていさせてね!」 要はこのまりさを倒さずに落とさずに守り抜けば良いのか。 大体わかったところでテストスタートだ。 「ゆぎゃぁぁぁぁ!おにいさんなにやってるの!ゆっくりしすぎだよ!」 板を動かすスティック(Nintendo64仕様)を倒し間違えて、まりさが早々に落下してしまった。まりさはかんかんだ。 チャンスは後2回しか残っていない。次こそは慎重に・・・ 「おにいさん!まりさがまるたさんからおちてもだめだってありすがいってたでしょ!」 「ほら!ゆっくりしすぎたせいでさんかいぜんぶおわっちゃったよ!」 散々だった。 安定させても丸太が崩れていくことを忘れまりさが落下し、丸太を意識しすぎるとスティックの操作がおろそかになりまりさが落下。 平均以下の数値を叩き出してしまった。 反応速度テストは好成績を叩き出した。 県は以前陸上選手として活躍していた。そのころに鍛えた瞬発力が物を言わせた。 表示されてる赤信号が青信号に変わってからボタンを押すまでの時間を測定する試験だったようだが、県は0.1秒を下回る数字を叩き出した。 ちなみにこれも3回だ。 「くるまさんをうんてんするのにもんだいはないけど、かんじょうにさゆうされやすいからうんてんするときはつねにへいじょうしんよ!」 「はぁ、そうですか・・・」 微妙な結果だ。ありすも「けっかがばらついてるわね・・・」と頭を捻っていた。 とりあえず「めんきょをとるしかくはないわ!」なんて言われずによかった、そう思いつつ県は受付へと戻った。 「がっかこうしゅうにかい、じっちきょうしゅういっかいがかりめんきょをしゅとくするまでるーぷするわ!」 ぱちぇが言うにはこれからはこういう流れらしい。 わかり易いのかわかり難いのかいまいちはっきりしない。 「それじゃあいっしゅうかんにいっかいこうしゅうがあるからゆっくりここにくるのよ!らいしゅうはがっかよ!」 「わかりました。ありがとうございました。」 一日世話になったぱちぇに礼をして県は帰っていった。 適性検査はPS版の「免許をとろう」のものをアレンジ。 今後の講習は携帯版を参考にしていくつもりです。 こんな適性検査があるんですか~。PSゲームの中 でのこととは言え、ここまでいろんな検査があるとは 知りませんでした。 次も楽しみにしています♪ -- 名無しさん (2009-06-14 22 35 14) 自分が行った所だけかも知れないけど、教習所とは運転を教わりに行く場所では無く、慣れに行く場所でした。……運転がド下手な自分にはただの地獄だった……。ペーパードライバーになろうと決意したのはその時です。 -- 名無しさん (2009-06-14 23 22 34) 実地教習… 教官は膝の上ですねわかりますw -- 名無しさん (2009-06-23 10 25 53) 名前 コメント
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「むきゅう………にんげんさん、ぱちゅたちになんのようかしら?」 警戒心をあらわに、ぱちゅりーはそのお兄さんと向かい合った。 群れのゆっくり達は、怯えた表情で群れ長のぱちゅりーの背後に下がり、成り行きを見守っている。 突然群れを訪ねてきたそのお兄さんは、背中に大きなリュックを抱えてぱちゅりー達を睥睨していた。 その表情がゆっくりしているかどうか、にわかに判別はつかない。 わからないものはまず警戒すべきだ、それがわかる程度にはぱちゅりーは賢い。 かといって、相手は人間さん。警戒したところで対処しきれる相手ではない。 仮に、百匹以上を数えるこの群れ全員で挑んだところで、 このお兄さん一人に苦もなく殲滅させられるだろう。 「おにいさん、ぱちゅたちはなにもわるいことはしていないわ。 にんげんさんのすんでいるところにはちかづいたこともないし…… にんげんさんになにかめいっわくっをかけたならあやまるわ」 とにかく下手に出て、機嫌を損ねないようにする。 人間さんにとれる対策といえばそれぐらいしかない。 ともすればクリームを吐いてしまいそうなこの緊張感を、ぱちゅりーは長としての資質と矜持で耐え抜いていた。 お兄さんはぱちゅりーの前に屈みこみ、笑みを浮かべた。 「そんなに怯えなくていいよ、ぱちゅりー。 僕は君たちの群れにゆっくりできないことをしにきたわけじゃないんだ」 「むきゅう?」 「僕がここまでやってきたのはね、聞いてほしい頼みがあるからなんだ。 僕のお願いを聞いて、僕をゆっくりさせてくれたなら、 お返しに君たちをゆっくりさせてあげたい」 「むきゅ………おにいさん、ぱちゅたちはぱちゅたちでゆっくりできているわ」 ぱちゅりーは警戒を解かない。 人間の口車に乗ってゆっくりできなくなった仲間は数知れず、 ゆっくりとしては長く生きてきたぱちゅりーはその実体験から慎重になっていた。 「そうかい?たとえば、いつもこんなものを食べているかな?」 そう言うと、お兄さんはポケットの中から数枚のクッキーを取り出してぱちゅりー達の前にばらまいた。 「むきゅっ!?」 「ゆゆっ!!あまあまだよ!!あまあまがあるよっ!!」 「あまあま!!あまあまたべたい!!たべさせてね!!ゆっくりたべるよ!!」 ぱちゅりーの背後に引っ込んでいた群れのゆっくり達が勢い込んで前に出てくる。 ぱちゅりーはそれを強く制した。 「むきゅ、やめなさい!!にんげんさんのおはなしをきいてからよ!!」 「ゆううううぅぅ!!たべたい!!たべたい!!たべたいよおおぉ!!」 「いいよ、これはほんの挨拶だから。遠慮しないで食べてくれ」 「で、でも……」 「いいっていったよ!!にんげんさんがいいっていったよ!!これはれいむのものだよ!!」 「なにいってるのぜぇ!?まりささまのものなのぜぇ!!ゆっくりどくんだぜぇぇ!!」 「ゆっくり!!ゆっくり!!むーじゃ!!むーじゃあぁ!!」 たった数枚のクッキーに、群れの三割ほどの意地汚い数十人が群がり、 もぞもぞと押し合い舌を絡ませ合い蠢きながら涎を撒き散らして奪い合った。 「むきゅううぅ………」 「そんなに残念がらなくても、おかわりのあまあまは沢山あるよ、ぱちゅりー」 「むきゅ、にんげんさん、そういうことじゃなくて」 「ゆゆっ!!おかわり!!あまあまちょうだいね!!れいむにあまあまちょうだいね!!おかわりおかわりいいぃぃ!!」 「とかいはなあまあま!!ありすがたべてあげてもいいのよっ!?いいのよおおおぉぉはやくううぅぅ!!!」 「まりささまにあまあまよこすのぜぇぇ!!」 群れの醜態に、ぱちゅりーは眉間に深い皺を寄せる。 あまあまはいけない。あまあまはゆっくりの理性を狂わせ、分別を失わせる。 といって人間さん相手に強い拒絶を示してはあとが怖い。 あまあまの味を知ったこの数十匹をあとあとどう処置するか、頭が痛かった。 「もっと欲しいなら、僕の頼みを聞いてくれるかな?」 「むきゅ、でも」 「おさはきいてくれるよっ!!にんげんさん、なんでもいってね!!あまあまちょうだいねっ!!」 「きくよね!?おさ!!おにいさんのたのみきくよねええ!!あまあまもらおうねええぇぇ!!」 もはや殺意に近い、ぎらつく群れの視線に目を伏せ、ぱちゅりーは観念して答えた。 「……どんなおねがいかしら、にんげんさん」 「うん、簡単なことだ。僕の大事なゆっくり達を、群れに迎え入れてほしいんだ」 「むきゅっ?」 「まりさとれいむ、子供が八匹。合計十匹の仲よし一家さ。 都会で会って仲良くなってね、都会の暮らしは辛いから山の群れに行ってゆっくりしたいと言うんだ。 だから僕がここまで連れてくることにしたんだけど、群れの仲間として迎え入れてくれるかな?」 「………」 そんなものは、その一家の質による。 ゲスゆっくりを群れに入れたりしたら、たちまち被害を撒き散らすだろう。 ぱちゅりーの見立てでは、八匹という子供の多さからみて、 後先考えずにすっきりをする考えなしの厄介者、という公算が高かった。 「そして、迎え入れたからには、きちんと群れで面倒を見てやってほしいんだ。 絶対に死なせたりしないでくれ。 僕は定期的にここに来て、友達の様子を見にくるからね。 もし一匹でも死んだりしていたら、僕は怒るよ。その子が死ぬ原因を作ったゆっくりを突き止めて制裁する」 「そ、そんな……むきゅうぅ………」 「でも、生きているなら…… そう、生きていてさえいるなら、僕は嬉しい。 生かしてくれていた君たちに感謝して、確認するたびに沢山のあまあまをあげよう」 「ゆゆっ!!あまあま!!あまあまだよおぉ!!」 「おさ!!こんなうまいはなしはないのぜ!!むかえいれるのぜぇぇ!!」 あまあまの言葉が飛び出すたびにがなり立てる連中は、群れでもどちらかといえば無能なほうだ。 どうせ、人間さんのゆっくりが死んでも、長である自分に責任をなすりつけてくるだけだろう。 過去にそう感じた回数は数えきれないが、 ぱちゅりーは今また、群れの長になったことを後悔していた。 ぱちゅりーの苦悩を察したのだろうか? お兄さんは、念を押すように繰り返してきた。 「いいかい、繰り返すけど、生きてさえいればいい。 生きていてさえいれば文句はないんだよ。 僕の友達といっても、ゆっくりできないことをしたら、君たちのルールでせいっさいっして構わない。 群れのルールは大事だからね。群れに対してゆっくりできないことをするようなら、 僕に気兼ねしたりしないで、遠慮なくびしびしいっていいんだよ。死にさえしなければいいんだから」 「むきゅ、そ、そう?」 「そうだとも。さあ、僕の頼みを聞いてくれるね?」 「…………」 ぱちゅりーが渋っていると、お兄さんはリュックの中から大きな袋を取り出し、 その中身を群れの前にぶち撒けた。 「むきゅっ……………!!」 「ゆああああああああああまあまあああああああああ!!!」 「れいむの!!れいむの!!れいむの!!れいむのだよおおぉぉ!!!」 「まりしゃがたべりゅよっ!!じゃまちにゃいでにぇえぇぇ!!」 小山のように積み上がる大量のあまあまを前に、いまや群れの全員が突進する。 それらを手で制し、お兄さんがぱちゅりーに促した。 「さあ、どうだい。引き受けてくれないなら、僕はおとなしく帰ろう。 残念だけど、このあまあまも持ち帰るしかないけれどね」 「「「「「お゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!!」」」」」 もはや明確な殺意をはらみ、群れのゆっくり達の視線がぱちゅりーを射抜く。 ぱちゅりーは目を閉じ、こみ上げてくる嘔吐感と戦いながら、やっとのことで答えた。 「………わかったわ、にんげんさん………ゆぷぅ」 「ありがとう!ゆっくりした君たちならそう言ってくれると思っていたよ」 口々にわめきながらあまあまに突進しようとするゆっくり達をなお制して、お兄さんはリュックの口をこちらに向けた。 「あまあまの前に、僕の友達に挨拶しておくれ。 さあ、まりさ、れいむ。君たちを迎え入れてくれる、やさしいみんなにご挨拶をしようね」 リュックの中から、群れの新入り達が、 苛立たしいほど緩慢な動作で、群れの前にその姿を現した。 ――――――― 「ごしゅじんさま、おきてください、ごしゅじんさま」 「ゆゆっ!おにいさんおきてねっ!あたらしいあさだよっ!!きぼうのあさだよ~ゆ~ゆ~♪」 「はいはい、ゆっくりゆっくり……おい、歌をやめろ」 「どぼじでぞんなごどいうのおぉぉ」 さくやとれいむが僕の布団の上で飛び跳ね、起床をうながす。 ゆっくりさくやは、従順なように見えて頑固なところがあり、僕が起きるまでてこでも布団の上から動かない。 飾りのないれいむの聞くに堪えない歌をやめさせるためにも、僕はさっさと起きる。 「ゆっくりおはようございます」「ゆっくりおはよう!」 「ああ、おはよう」 布団から起き出し、居間に向かうと、そこでもゆっくり達に出迎えられる。 「じゃーおーん♪」 「あさだち!むせい!おきぬけのいっぱつ!」 「うー♪あさごはんだっどぅー」 「おはよう、おにいさん!とかいはなあさね!」 れみりゃがぱたぱたと羽ばたき、口に食パン入りの袋をくわえて飛んでくる。 唯一飛べるれみりゃは、高いところに手が届くので、意外と一番役に立つ。 冷蔵庫を開けて食パンやバターを持ってくる、皿を並べるなど朝飯前だ。 さすがに、食パンをトースターに入れて焼くのは僕だが。 飼いゆっくり達のそれぞれ個別の皿に、ゆっくりフードを盛り付けてやった後、 簡単なベーコンつき目玉焼きを作り、作り置きの味噌汁と合わせて食卓につく。 僕が食卓について挨拶をするまで、全員がフードに手をつけずに待っている。 「いただきます」 「「「「「「ゆっくりいただきます!!(じゃおーん!)(でぃーぷふぇら!)」」」」」」 食事をしながら、我が家の飼いゆっくり達をひとしきり見渡す。 そもそもは、復讐のためだけにショップや街角で集めてきたゆっくり達。 目的を果たして頭が冷えると、処分に困った。 紆余曲折はあったが、結局、全員普通に飼っている。 れみりゃは、すっかり周りのゆっくりと打ち解けていた。 正直躾けるのにはかなり手間取ったが、いまでは飛行できるアドバンテージを生かし、 我が家のゆっくりファミリーになくてはならない存在だ。 さくやもめーりんもみょんも、それぞれ行儀よく飼われている。 赤ゆっくりだっためーりん達も、一か月たった今ではバレーボール大の準成体だ。 めーりん種は言葉のつたなさと気立ての優しさゆえに野良では虐められるのだが、 その実、ゆっくりの中でも非常に賢くて身体能力が高いことは人間にとっては常識だ。 犬猫を思えば、言葉が話せないことは全く問題ではない。むしろそれが利点だという意見も多い。 みょん種はその独特の言語のおかげで、実際敬遠されがちなのだが。 飾りのないれいむは、賢さや性能面から見れば、正直他の連中とはかなり見劣りする。 とはいえ、ずっと飾りのない野良生活を送ってきて、家族というものの有難さをよく理解しているせいか、 賢くないなりに懸命に周囲に気を配ろうとしているところがあり、なんとも憎めないムードメーカーになっていた。 未熟児のゆっくりは、やはり生体としての構成の不完全さはいかんともしがたく、二週間もたずに死んでしまった。 自然死だったようだが、れいむとありすが特に嘆いていたものだ。 レイパー気質だったありすは、元気に飛び跳ねている。 レイパー気質をどうにかしようとしていろいろ努力しつつも効果はあがらなかったが、 結局、去勢することで憑き物が落ちたようにおとなしくなった。 むしろかなり賢く、さくやと並んでゆっくり達のまとめ役を任じているふしさえある。 子供が作れなくなったことの傷は決して浅くはないだろうが、その分気を配ってやっているつもりだ。 どうしてもあの子の顔がちらつき、ありす種に対しては甘くなってしまう。 衝動で飼ってしまった総勢六匹のゆっくり達だが、充分に僕をゆっくりさせてくれていた。 やはり僕は、ゆっくりが好きだ。 「それじゃ、出かけてくるよ」 「「「「「ゆっくりいってらっしゃい!」」」」」 リュックを抱えて、さくやを伴い、週末のお楽しみに出かける。 ゆっくり達が笑顔で出送ってくれる中で、車の助手席に鎮座するさくやだけが複雑な表情でいた。 僕がどこに行き、何をしてくるのか、我が家の中で彼女と僕だけが知っている。 さくやは従順だったが、どこか冷めたところがあった。 そして、他種のゆっくりを見下しているようだった。 かつて二匹の赤ゆっくりの奴隷になるよう指示したとき、 赤ゆっくりの命令に従いながら、その瞳に宿る深い侮蔑に、僕はぞっとしたものだ。 僕と二人きりになるたびに、「あんなくず、つぶしてしまえばいいでしょう」と言ってきた。 そういう気質だと、あのまりさ達と同じ、他のゆっくりを虐めるゆっくりになってしまう。 それを危惧した僕は、あの一家のなれの果てをさくやだけには見せている。 「こんしゅうもいくんですか、おにいさん」 「ああ、行くとも。嫌かい?」 「…………いいえ」 ありすが死んだあの山に、今週もやってきた。 あの山のゆっくりの群れは、今日もゆっくりしていることだろう。 砂利と草を踏みしめ、通いなれた道を通る。 すぐに、狩りの途中で飛び跳ねているれいむが見つかる。 「ゆっ!!おにいさんっ!!ゆっくりしていってねっ!!」 「ああ、ゆっくりしていってね」 「あまあまがきたよおおぉ!!みんなあつまってねえぇ!!」 叫びながらさっさと跳ねていくれいむ。 毎回この調子で、すぐに群れは森の広場に集まってくれる。 群れに囲まれながら、ぱちゅりーが元気に挨拶をしてくれた。 「むきゅ、おにいさん!ゆっくりしていってね!!」 「ああ、ゆっくりしていってね」 「あのこたちはきょうもげんきにいきてるわ!あまあまをちょうだい!」 「あまあま!!あまあま!!あまあまちょうだいね!!」 「まあ焦らないで、まずは確認してからだよ」 「むきゅ、こっちにどうぞ!」 ぱちゅりーの後につき、僕とさくやは川べりの岩場に歩いていく。 その後を、涎を垂らした群れがぞろぞろとついてくる。 岩場の壁面に、川に面して大きくへこんだ洞窟状の空間。 そこにあの一家はいた。 すっかり大きくなった子ゆっくり達を含め、十匹が欠けることなく揃っている。 「むきゅ、ごらんのとおりよ。いっぴきもえいえんにゆっくりさせていないわ」 「うんうん、さすがだね。ありがとう」 「ゆゆっ!!おにいさんだよ!!あまあま!!はやくあまあまぁ!!」 洞窟の奥で十匹に群がっていたゆっくり共が、涎を撒き散らしながらこちらに向かってきた。 「ああ、今週の分のあまあまだ。たっぷり食べていってね!」 そう言い、リュックから大量のクッキーやチョコレートを地面にぶち撒ける。 長のぱちゅりーを始め、はふはふうめうめ言いながらゆっくり共が群がり寄る。 僕とさくやは洞窟の奥に進み、一家と対面した。 「やあ、みんな。ゆっくりできているかな?」 「ゆ゛………ぶ…………おぼっ…………」 「おびっ、おに゛………おに、いざっ……………」 「ゆぐじっ、ゆっぐ…………じだ……ぃぃ」 「……お、でが………ごろっ、ごろ………じでぇぇぇ…………」 岩壁に、一家が数匹ごとに間隔を開けて縛り付けられている。 二匹の子ゆっくり(といっても、もう全員がバレーボール大になっているが)が、 ロープで仰向けに縛り付けられ、フックで口を限界まで開かされている。 最初に家族に虐められた、あの子まりさと末っ子れいむだ。 「おごぉ………ぼ………ぶぼぉ…………」 「ゆぶう゛う゛う゛う゛う゛、ぼぶう゛う゛う゛う゛」 どちらも両方の目を抉り出されていたが、 僕の来訪を感じ取っているらしく、呻き声をあげながらちぎれかけのもみあげを弱弱しく振る。 口の中にみっしりと詰められている内容物のせいで喋れず、傷だらけの舌が先だけ出してへろへろと弱弱しく踊る。 言いたいことはわかりきっている。「助けて」「殺して」。むろん、どちらも叶えてやる気はない。 「ゆっ、ゆっ、おちびちゃん、うんうんはここでしようね!!」 「きゃわいいれいみゅのしゅーぱーうんうんたいみゅだよっ!!うんうんでりゅっ!!(モリッモリッ)」 「ゆわあぁ!!まだしないでねぇ!!ちょっとまってねぇぇ!!」 赤ゆっくりを頭に載せながら、れいむが跳ねてくる。 縛られている子ゆっくりの丁度眉間のあたりに子供を乗せると、れいむは促した。 「さあ、ここでうんうんしてね!!」 「うんうんちゅっきりー!!(モリュリュン)」 「ゆ゛ぶう゛う゛う゛ぅ………」 口内に新しいうんうんをひり出され、子まりさが屈辱と悪臭にぶるぶる震える。 脱糞した直後、赤ゆっくりがすぐに泣き喚く。 「ゆぴぇええん!!くちゃいよおおぉぉ!!」 「ゆぅ……うんうんつまりすぎだよっ!!おちびちゃんがゆっくりできないでしょ!! おといれさんはさっさとうんうんかたずけてね!!すぐでいいよっ!!」 「ゆぼっ!!ぼぼぉぉ!!」 口の中に詰まっているうんうんの固まりを呑みこませようと、れいむがおといれゆっくりに体当たりをする。 そのたびに呻き、むせ返りながら、必死にうんうんを呑みこもうとしてびくびくと跳ねる子ゆっくり達。 体中に刻まれた傷痕の中に、今回も新しい生傷が見受けられる。 逆らったりしようものならただちに制裁されるのだ。 足を運び、次の三匹のところへ向かう。 「んほおおおぉぉぉ!!ごみくずまむまむいいわあああぁぁぁ!!」 「ゆぶぐうううぅ!!やべで!!いやあああぁぁずっぎりじだぐだいいいぃぃ!!」 「とかいはなあいをそそぎこんであげるわねえええぇぇえぇすっきりいいいぃぃぃ!!」 「「ずっぎりいいぃぃ!!!」」 こちらの三匹はやはり縛り付けられ、まむまむとあにゃるを突き出した状態で固定されている。 そのまむまむにありす種が一匹ずつ取りついて腰を振っていた。 今、精子餡を注ぎこまれたれいむの腹が膨れ、二匹のまりさの方は植物型で頭から茎が生えている。 れいむの茎のほうはありすが折り取り、むしゃむしゃと咀嚼し、飲み下してしまった。 「むーしゃむーしゃ、それなりー!!」 「ばり、ばりざのあがじゃあああああ……………」 「んもうっ!こんなとかいはなあいをわけあたえてあげてるのに、なくなんてとかいはじゃないわ!! さあ、だいにらうんどよおおおおんっほおおおお!!」 「やべで!!やべでええぇ!!にんげんざん!!おにいざんだずげでえええぇぇ!!」 助けを求めてくるが、僕は答えない。 三匹のありすはさんざんにすっきりを繰り返し、植物型妊娠で生まれた子供を食べ尽くしてしまうと、 帰りがけに僕に挨拶してから行ってしまった。 この三匹のありすは、別にレイパーではない。予備軍ではあるが。 レイパーであったら群れにはいられない。 ありす種特有の強烈な性衝動を持て余した個体がここにやってきてすっきりをし、レイパーにならないように発散しているのだ。 ありす種に限らず、性欲処理のためにここにやってくるゆっくりは多い。 特にすっきり制限が課される冬籠り直前の時期は混雑が予想された。 並はずれて性欲の強い生き物であるゆっくりにとって、性衝動にからむトラブルは多い。 そのトラブルが、この性処理用ゆっくりの設置で驚くほど減少したと、長のぱちゅりーが喜んでいた。 次の三匹。 「ゆぢぢぢ!!ぢぢぃ!!ばっびびぃぃ!!ぢーっ!!」 「きゃわいいれいみゅのうんうんをかたじゅけさしぇてあげりゅよ!!こうえいにおもっちぇにぇ!!」 「ぴょぴょぴょ!ちーっ!!ちーっちーっ!!ゆぎゅじっ!!」 「しゃっしゃとまりしゃしゃまをゆっくちさしぇりょおおぉぉ!!ごみくじゅううぅ!!」 「ゆ゛ひぃ…………あ゛ひぃ………… おで、が……やずばぜでぐだじゃい………ぼう、ぼう、みっがも……ねでないんでずぅ……」 「ゆはあああああああぁぁぁぁ!!!!?にゃにいっちぇるにょおおおぉぉ!!?ばきゃなの?しにゅの!?」 「おみゃえみちゃいにゃごみくじゅにやしゅみなんちぇあるとおもっちぇるにょおおおぉぉ!!?」 「ぢぢぃ!!びぃ!!ゆぢぢーっぢーっ!!ぽびぇえぇ!!」 「あ、ああぁ………おちび、ちゃ……うんうんしちゃだべぇぇ………」 岩壁の一角に、プラスチック製の柵で仕切られた空間。 その中で、三匹の子ゆっくりが、数十匹の赤ゆっくりに囲まれて右往左往している。 群れの「ほいくじょ」の管理を、この三匹は任されている。 とはいえ、可愛い子供を、飾りのないゴミクズに預けるゆっくりなどいない。 飾りがなかったりどこかが足りない状態で生まれた未熟児や、 ゲス気質を現した子ゆっくりが、すべてこの「ほいくじょ」に預けられるのだ。 多産のゆっくりは、未熟児を産み落としたり、子育てに失敗してゲスにしてしまうことが多い。 忍耐力のないゆっくりは、たとえ我が子でも、そんな出来損ないはさっさと処分したがるものだ。 しかし、ほとんどの群れでは、「ゆっくりごろしはゆっくりできない」という掟があり、 殺すことはタブーとなっており、それを破ればゆっくりできない制裁が待っている。 そのため、嫌々ながら未熟児やゲスを育てるのが通例だったが、 ここでは、そういう厄介者はすべて「ほいくじょ」に預けられることになった。 実質捨て子なのだが、名目上は、子育てをサポートする施設である。 そして、ここで子ゆっくりが傷つけられたり死んだりしようものなら、 その責任はすべてほいくじょの管理者、この三匹に負わされることになる。 「あみゃあみゃよこしぇ!!ごみくじゅ!!」 「いだいっ!やべ、やべでねぇ……!」 「はああああぁ!!?いみゃれいみゅにめいりぇいしちゃにょおおぉ!!? ごみくじゅが!!こにょこうきでうちゅくちいれいみゅに!!めいりぇいしちゃにょおおお!!?」 「がまないでええぇ!!ゆぐううぅぅ!!あ゛ーっ!!あ゛あ゛ーーっ!!」 三匹は、数十匹に上る赤ゆっくり共に常時全身を噛まれている状態だ。 しかし、逆らったりしようものなら群れからの制裁が行われる。 子ゆっくりを傷つけず、つねに攻撃されながら世話しなければならない。 常にあちこちで、赤ゆっくりが眠れないだのお腹がすいただの泣き喚く。 そのたびに必死でぺーろぺーろしてなだめようとするが、 自尊心だけは例外なく始皇帝レベルの赤ゆっくり共は、飾りのないゴミクズに慰められることをよしとせず、 逆に舌に噛みつき返し、それによって憂さを晴らす。 それが三匹の子育てだった。 こちらの赤ゆっくりが眠れば、あちらの赤ゆっくりが起きだして叫ぶ。 朝から晩まで休みなしの無間地獄だった。 涙を流し涎をこぼし、ゆひいゆひい呻きながら這いまわる三匹の表情は疲労困憊を通り越し、もはや死相といっていい。 そこまでしても、赤ゆっくりは実にたやすく死ぬ。 たった三匹で百匹近くの面倒を見ることなどできるはずもなく、 狭い空間で他の赤ゆっくりに押しつぶされたりいじめ殺されたり、未熟児ゆえの自然死もあり、 赤ゆっくりは毎日しょっちゅう死んでいる。 そしてそのたびに、しっかりとチェックしている親たちになじられ、三匹は群れから制裁を受ける。 「ゆ゛っ……ゆ゛っぐ………ゆっぐじ、じだいいいぃぃ…………」 泣きじゃくりながら、子ゆっくりは赤ゆっくり共の食糧を調達するために、 やや離れたところに縛られた両親のところへ這いずってゆく。 その後について、両親のところへ向かう。 仰向けの状態で拘束されたまりさとれいむの夫婦は、近づいてくるわが子の姿を認めて弱弱しく首を振っていた。 「やべで………やべでぇ…………れい、むぅぅぅ……」 「おでがい………ゆぐじで…………ぼう、いやあぁ」 「いだいの……ぼんどに………いだいいのおおおお」 「ゆぐっ………ゆぐっ………ごべんで……ごべんでぇぇ………」 仰向けの夫婦は、その腹に、縦に裂かれてできた大きな傷があった。 そして頭と尻にフックをつけられ、岩壁の上部から吊り下げられて、腰のところで折り曲がった状態だ。 腹の傷はなかばふさがりかけていたが、 ほいく係の子れいむがまりさの傷口に口を近づけると、ぶりんぶりんと尻を振って抵抗しだした。 「やべでぇ……!おでがいいぃ………いだいの、いやあぁぁ……!!」 「ごべんで……ごべんで………あがぢゃんの、ごばんざん………だがら……… あがぢゃん、ぞだでだいど……でいぶが、でいぶが、ぜいっざいっざれるんだよぉぉ………」 「やだよおぉ!!ぼういやあぁぁ!!ゆっぐじでぎだい!!ゆっぐじじだいいいぃぃいぎゃあああぁぁ!!」 ブチブチブチ…… 癒えかけていた腹の傷を、子れいむが口に咥えて引きちぎる。 激痛に絶叫し身をよじるまりさの腹をこじ開け、露出した餡子を舌ですくいあげる。 「あごっ!!おごっゆぼぼっ!!ゆぶっ!!あがっばっゆがががががが!!」 「ごべんで……ごべんで……べーろ、べーろ…………」 「いぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃあああああぁぁぁゆがばあああああ!!!」 内臓をほじくり出される痛みに、口から餡子を吐き出して悶絶するまりさ。 しかし、傷口を巧みに上に向けられているために、中の餡子が必要以上に漏れだすことはない。 「中枢餡が破壊される」「体内の餡子を三分の二以上失う」、この二つのどちらかの条件が満たされないかぎり、 ゆっくりというものは驚くほどの耐久力を見せ、なかなか死なない。 傷口を上に向けてこぼれないようにする、たったこれだけで、定期的に餡子を取り出せる便利な食糧庫が完成する。 そしてその中身は、日々与えられる想像を絶する苦痛によって甘くなりきった餡子だ。 赤ゆっくり達の食糧のみならず、 この三匹の餡子は、群れのゆっくり達にも愛好されていた。 そんなにすぐには補充されず、一度に供給できる量には限りがあるので、 定期的に行われる群れの集会において、特別ゆっくりできることをしたゆっくりにのみ、 褒美として群れの長から分け与えられることになる。 その餡子が食べたいばかりに、群れのゆっくりは掟を守り、この群れは実に順調に運営できているようだった。 ある程度まりさの餡子を掻きだすと、子れいむは母親のもとへと這いずっていく。 次の食糧庫れいむが甲高い歌を奏ではじめた。 この十匹の体には、それぞれ岩壁上部に備え付けられたタンクから伸びたコードが繋がっている。 タンクの中身は、群れには「生命維持のためのゆっくりできない薬」と伝えてあるが、 要するにオレンジジュースである。 点滴の容器を応用し、少しずつそれぞれの体内に注入され、生命活動を維持するようにしてある。 ゆっくりを味わえない程度に、少しずつ、少しずつだ。 そのタンクにオレンジジュースを補充する。 言うまでもなく、これらの仕掛けを考案、実行したのは僕だ。 ぱちゅりーの要請に応える形で、僕はいろいろ手助けしてやった。 人間からゆっくりを預かるぱちゅりー達は最初、萎縮していたが、 飾りのないゆっくりできないゆっくりだとわかると、さすがに抗議してきた。 「むきゅ、このゆっくりたちはゆっくりできないわ……」 「おかざりのないゆっくりだよ!!ゆっくりできないよ!!」 「こんなごみくずどもがむれにはいっていいとおもってるのかぜぇ!?」 「ゆーっ!でも、いれないとあまあまがもらえないよ……」 「ゆうぅぅぅ……!!でも、こんなやつらのめんどうなんかみたくないよ………」 飾りなしの面倒は見たくない、しかしあまあまは欲しい、 そんなジレンマから眉をしかめるゆっくり共に、僕はさらに念を押した。 「そんなに悩まなくていいんだ。たいした面倒は見なくていい。 生きていれば、いいかい、生きていてさえいれば、あまあまを持ってきてあげるからさ!」 毎週末に、僕はここにやってきて一家の様子をチェックする。 一家は当初から、群れの中では虐げられていたようだった。 露骨に悪罵を浴びせられ除け者にされ、視界に入ったというだけで体当たりをされる。 それでも長のぱちゅりーが、まがりなりにも人間からの預かり物だということで、 群れをなんとか抑えていた。 しかし、僕がやってきて家族の様子を見ても、 生きてさえいれば文句を言わずにあまあまをくれるのを見て、 群れはどんどん増長して、一家に対する虐めをエスカレートさせていった。 そのエスカレートを僕は喜び、ぱちゅりーを褒め称えた。 群れのストレス解消を推奨する、ゆっくりできる群れ長だと。 あとは、ぱちゅりーのアイデアに従い、一家に処置を施した。 岩壁に縛り付け、オレンジジュースの点滴で生命活動を保証し、 ここで虐げられ続ける生活を送ってもらうことになった。 そして三か月、今日もこの家族は元気に苦しみ続けているようだ。 「やあ、みんな、ゆっくり出来ているかい?」 僕が声をかけてやると、家族は泣き咽び、命乞いをする。 「だずげでぐだざい!!だずげでぐだざい!!ぼう、ぼうげんがいでず!!ゆっぐじじだいんでず!!」 「おにいざん!!おにいざぁん!!ごろじで!ぼう、ごろじでよおおぉ!!いやだよおおおぉぉ!!」 「あごっ!!ごぼっ………ゆげっ……!!おで、がいっ……ごろ、じで……」 「ごべんだざい……ごべんだざい………おにいざんごべんだざい………ゆっぐじでぎだいごびぐずでごべんだざい……… あでぃずをごろじでごべんだざい………でいぶも……でいぶも、ごろじで、ごろじでぐだざいいいいぃぃぃ」 「ゆっぐじ、ばんっぜいっじでばず……あでぃずをいじべでぼうじわげありばぜんでじだ…… づぐないばず……いっじょう、づぐないばず……だがら、だがら、だずげで………だずげでぐだざい………」 「うんうん、だからそこで一生償っていってね!」 「「「「ゆ゛んや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」」」」 こいつらの懇願もすっかりワンパターンなルーチンワークになった。 もともとゆっくりのことで貧困な語彙なのだが。 うんうんを咀嚼しながら、空洞となった眼窩から涙を滝のように流してもみあげを振る子ゆっくり。 全身を赤ゆっくりにかじりつかれながら柵にしがみついて懇願する子ゆっくり。 口から餡子を断続的に吐き出しながら、弱弱しい声で命乞いする夫婦。 立ち去ろうと僕が体の向きを変えるだけで、一家はいよいよ必死に体を蠢かせて声を上げる。 毎週の僕の来訪、それだけが一家の希望なのだ。 僕に許してもらい、この地獄から解放してもらおうと、全身全霊をかけて詫び、乞う。 僕は座りこんで、にやにやと笑みを浮かべながら一家を眺める。 絶対に許してはもらえない、自分たちの懇願をせせら笑い楽しんでいる、 それがわかっていながら、それでもなお懇願するしかない一家。 みじめで無様なその姿を、僕はとてもゆっくりした気分で眺め続けていた。 「おでがいじばず……いっじょうの、おでがい、でずぅ………ごろじで……ごろじっ、でぇ……」 「ぼう、いいでじょお……だっぶり、ぐるじんだよおおぉ…………おわびじだよおおぉぉ…… あでぃ、あでぃずだっで………ごんなに、ごんなに、ぐるじんでないばずだよおおぉぉ………!」 「ごびぐずのぶんざいであでぃずをいじべでごべんだざい!! にんげんざんにばなじがげでごべんだざい!!にんげんざんのじがいにばいっでごべんだざい!! いぎででごべんだざい!!うばれでぎでごべんだざい!!だがら、だがらごろじでええぇぇ!!じなぜでえええええ!!!」 「ぼういやだよおおおお!!いぎるのいやだよおおおお!!いぢびょうだっでいぎでいだぐないよおおおお!! じにだいよおおおおおおお!!だんでじだぜでぐれだいどおおおおお!!? ばりじゃなんでなんのやぐにもだだないのにいいいい!!めいわぐがげるだげでじょおおおおお!!? だがらじにだいのにっ!!じぬのに!!なんでじぬのをじゃばずるのおおおおおおおおおぉぉぉぉ」 「おにい、ざん………ぼんどうに、ぼんどうに、おでがい、おでがいじばず……じばずがらぁ……… ごろじで、ごろじでぐだざいいぃ………あわれなごびぐずを、どうが、どうが、おでがい、おでがいじばずうぅぅ」 「う~~~~~~~ん………どうしよっかなぁ~~~~~~~~~」 僕は立ち上がり、うんうん首をかしげながらしばし考えたあと、 一家の前で両腕をクロスさせて満面の笑顔で答えてあげた。 「うん、ダメぇ~~~~~~~~~~♪」 悲しみ、絶望、怒り、悔しさ、諦め。 これをやった時のゆっくり達の表情は、何度見てもなんともいえない味わい深さがあるのだった。 ――――――― 「さて、あとどれだけもつかな、あいつら」 「………」 帰路、助手席のさくやは黙りこんでいる。 「さっきから塞ぎこんでるな、いつもの事だけど。 どうだ、さくや、ゆっくりできたか?」 「……………」 「泣き叫ぶあの家族を見て、どうだった?可哀想か?それともすっきりしたか?」 「………すっきりしました」 さくやは嘘をつかない。そこは信用できるやつだった。 「じゃあ、あの家族を虐めるあの群れは、僕はどうだった?ゆっくりできたか?」 「………いいえ」 「そうだろう。 虐めは楽しいさ。すごく楽しい。 ありすの復讐なんて言ってるが、結局は僕も、虐めが楽しいゲスだってことさ。 そしてさくや、お前もたぶんそうだ」 「………」 「僕がお前をあそこに連れていくのは、あの群れを見せたいからだ。 自分より弱い者をよってたかって虐めるその姿を見せるためだ。僕自身もね。 さくや、お前にはそんなふうになってほしくない。「ああなりたくない」、そう思ってくれ」 「おもってます。いえ、おにいさんはべつですけど」 「弱い者を虐めるのは楽しい。ゆっくりも人間も同じだ。 歴史を見てみれば、人間だってゆっくりとそう変わらない。 僕が愛したあの最初のありすも、飾りがない同種を見つければ虐めたくなっていたのかもしれない。 今、僕の家にいるゆっくり達も、なにかの拍子でいじめたい欲望が頭をもたげてくるかもしれない。 そんな時は、あそこに連れていくつもりだ。 あの群れは、お前たちの教材だと思ってくれたらいい」 言いながら、自分へのかすかな嫌悪が頭をもたげる。 最愛のありすを殺されたことで逆上し、それまで知らなかった自分を見た。 ゆっくりの家族をあそこまで虐げ、それを楽しんだ自分に、 冷静になった今でも、あの家族を許してやる気にならない自分に多少ぞっとする。 あまあまの味を知ったあの群れのその後がどうなるかも知ったことじゃない。 この期に及んで取り繕いはすまい。 これは制裁でもなく、正義の鉄槌でもなく、より強い者が弱い者を食い物にしただけのことだ。 僕のしたことはあの家族と同じだった。 この復讐劇はこれかぎりだ。 この件以後、野良ゆっくりには関わることなく、 飼っているゆっくり達の面倒を最後まで見て、それで終わりにしよう。 本当にそうか? 嗜虐の快感を知った僕が、一生この衝動を隠し通せるものか? なにかの拍子で、たとえば今飼っているゆっくりが危害を加えられたとしたなら、 その復讐を免罪符として、嬉々としてまた繰り返すんじゃないのか? そんな僕が、飼いゆっくりや子供たちに「虐めはよくない」と説教する資格があるのか? 「ははは」 自嘲の笑いが漏れ、さくやが怪訝な顔を向けてくる。 その頭を撫でてやりながら、僕は一人で頷いた。 そうするしかない。 自分にその資格がないとわかりながら、それでも子供たちの前では立派な顔をしていなければならない。 それが大人というものなんだから。 せめてこいつらの前では、「ゆっくりできるおにいさん」でいよう。 今はそれで充分だ。 〔終〕