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それは舞い散る桜のように メーカー BasiL 発売日 2002/6/28 ジャンル ADV カテゴリ 学園、恋愛、記憶喪失 原画 西又葵 シナリオ 王雀孫、あごバリア アーティスト 2G70、Nori、YURIA、spanky 評価
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パアアァァ… 俺の体が光り始めた。なんだか力が湧いてくる 後ろで主人が騒いでいる。光りが止むと体が少し大きくなっている 俺は進化したのか!俺は喜びながら主人の元へ駆け出した 姉「あっポッタイシに進化したんだ!良かったな。どうした(名前)?」 妹「べ…別に。良かったね…ポッタイシ」 俺はその時どうして主人が喜ばなかったのかわからなかった その頃から主人は、俺を避けるようになった いつもは俺をボールから出して歩いていたのに 最近はボールに入れっぱなし…そんな毎日が続いたある日… 主人がボールから俺を出した。周りを見渡すと辺りは何も無い 主人はボールをしまうと「バイバイ…」と言い残し走って行った 俺は後を追いかけた…でも見る見る内に引き離されて行く とうとう見えなくなってしまった…俺はさっきの場所に戻り、主人を待った しばらくすると雨が振り始めた…お腹も減った 諦めかけていたその時、足音が聞こえた 走る音だ!やっぱり主人は俺を迎えに来たんだ 俺は期待して待った だが何故か来たのはエンペルトだった 俺を誘導している 俺はついて行った…しばらくすると人の影が見えた。主人のお姉さんだ お姉さんは俺の体を拭いた後、街へ向かった 建物に入ると主人が椅子に座っている 俺は主人の足元に近寄ったが主人は向いてくれなかった。 しばらくすると姉が言った 姉「お前…何であんな事を…最初のパートナーだろ?」 妹「だって進化したら可愛くなかったから… それに私、本当はヒコザルが欲しかったのよ!そんなに可哀想なら姉ちゃんが育てなさいよ!」 その言葉で姉は無言になった… 以来、俺は姉に引き取られ、手持ちに入れられるようになった 新しい主人ともエンペルトととも親しくなれた。でもたまに思いだす…元主人と過ごした短い日々を… たまに元主人と会うが、振り向いてもくれなかった でも俺はもう追わない…これからは今の主人と共に道を歩もうと少し考えるようにした (終) 作 2代目スレ 339-340
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おもいつかない ダウンロード (旧)ゲサロ保管庫 http //sky.geocities.jp/tilisakuhokan5/ 概要 あ 写真 コメント 名前 コメント コメントを投稿できるよ。
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【Az-side】 純「ねえ、梓。あずにゃん二号を探すって言ってたけど」 先輩がたが騒いでいる中、純が私に尋ねてきました。 梓「純さ、もう諦めてるでしょ。最近探しに行ってないし」 純「だってあれから一ヶ月だよ?」 梓「だから私が、見つけるの。そして純の笑顔を見るの」 純の顔が固まってしまいました。 目をぱちくりさせて、口を開きました。 純「梓、あんた凄いいいやつだよ……」 天使ですから。 純「でも、宛てがまるでないんじゃ、探しようがないよ。 下手したら軽トラックに乗せられて、遠くの町に行ったかもしれないのに」 それは否定できませんでした。 あの散歩コースを辿ったとすると、 途中で軽トラックの荷台に乗る可能性が有り得ました。 紬「ねえ、梓ちゃん」 不意に、ムギ先輩が話しかけてきました。 紬「梓ちゃんは猫を探しているのよね?」 梓「はい」 紬「実は家のメイドが、猫を拾ってきたのよ」 純が素早く反応しました。 純「それはどんな猫でしたか!?」 紬「え、えーっと、確か黒と、白の子猫だったわね」 純「もしかしたら私の猫かもしれません……」 紬「本当!それなら、ちょっと待っててね」 ムギ先輩は携帯電話を取り出し、電話をかけました。 紬「……あっ、斉藤?あの猫の話なんだけど、良いかしら?」 ムギ先輩の家にかけているようでした。 斉藤というのは、執事でしょうか。メイドでしょうか。 紬「えっ、引き取り手が見つかった!?」 ムギ先輩の大きな声に、部屋中の人が反応しました。 視線を一斉に浴びたムギ先輩は、慌てた様子で電話を切りました。 純「……ムギ先輩?」 紬「実は琴吹家でも、猫をずっと育てる予定は無かったの。 それで、引き取り手をずっと探していたんだけども……」 純「それが見つかってしまった、ということですか」 紬「こうなったら取り返すしかないわね!」 純「そ、そうですね」 紬「後日、琴吹家の方から新しい引き取り手の方に連絡して、交渉するわ」 ムギ先輩は諦めていませんでした。 純も、そんなムギ先輩を見て生気を取り戻したようでした。 純「……はい!よろしくお願いします!」 そういえば、これで私の力試しは、試す前に終わってしまいました。 尤も、これはこれで良い結果なので、私は心底喜んでいました。 【Yi-side】 すっかり空が暗くなった頃、 クリスマスパーティーも山場を迎えました。 プレゼント交換です。 片づけられた座卓の上に、大小様々なプレゼントが並びました。 和ちゃんの箱型のプレゼントからは、去年と同じ香りがしてきました。 きっとエキセントリックなものなのでしょう。 憂がCDプレイヤーを持ってきました。 再生ボタンを押すと、クリスマスソングが流れ出しました。 交換開始の合図です。 プレゼントが順々に私の手元に回ってきます。 感触や大きさも様々で、自分になにが当たるか楽しみになってきます。 音楽がぴたりと止みました。 交換完了の合図です。 各々の手元には、各々の用意したプレゼントがあります。 律「じゃあ、全員開けてみようぜ!」 りっちゃんの掛け声で、 包装紙のびりびり破れる音があたりから鳴り出しました。 私も包装紙をびりびり破ると、プレゼントの全貌が見えてきました。 唯「……わあー……!」 それは中で白い雪を模したものが舞う、スノードームでした。 中には白くてちっちゃくて可愛い、天使がいました。 私が見慣れたものは底面以外が球体のものでしたが、 これはある意味見慣れた、ジャムの空きビンを使用していました。 唯「これ、まさか手作り……?」 私が呟くと、咄嗟に純ちゃんが答えてくれました。 純「梓の手作りスノードームです」 梓「あの、そんなもので大丈夫でしたか?」 そんなものなんて、とんでもない。 唯「すっごい綺麗で、すっごい素敵だよあずにゃん! 大切にするね、ありがとう!」 梓「そ、そうですか……良かったです」 あずにゃんは少し頬を赤くして、耳の後ろを掻きました。 そんなあずにゃんの持ったプレゼントを見て、 私は思わず叫んでしまいました。 唯「ああっ、あずにゃんのプレゼント、私のだよ!」 梓「えっ」 唯「去年は憂と交換だったけど、今年はあずにゃんか~。 なんだか運命感じちゃうね~」 あずにゃんは私の冗談を聞き過ごしながら、 そっと、包装紙を破いていきました。 中から出て来たのは、白い羽のキーホルダーでした。 梓「あの、これは……」 唯「絶対あずにゃんに当たる気がして、買っちゃったんだ。 ほら、私も同じもの持ってるんだよ。お揃いだね」 私は同じキーホルダーをあずにゃんの前に見せました。 あずにゃんはそれをじっと見つめて、 自分の持ったキーホルダーと見比べていました。 しばらくして、あずにゃんは私の顔に視線を向けました。 梓「……はい!ありがとうございます!」 あずにゃんの笑顔が一杯に輝いた瞬間でした。 * * * 奇抜なプレゼントあり、オーソドックスなプレゼントありの 楽しいプレゼント交換もついに終わりを告げ、 全員が帰宅の準備を始めました。 すると澪ちゃんが一人、私にこっそり包装紙に包まった 何かを渡してきました。 澪「これ、プレゼント」 唯「わあ……、ありがとう!」 澪「来年もずっと、よろしくな」 唯「うん!」 突然、澪ちゃんが周りを気にしだしました。 少し唸ると、澪ちゃんは私の腕を引っ張り、 私を廊下まで連れ出しました。 唯「どうしたの、澪ちゃん?」 澪「……もう一つ、クリスマスプレゼントだ」 ふっと澪ちゃんは顔を近づけてきました。 えっ。 ……そして、あとのことは、記憶にありません。 温かくて柔らかいものが頬に辺り、 それが私を多幸感の海に溺れさせ、 我を忘れて、心ここにあらずとなってしまったからです。 ただそれはやっぱり、それはとても素敵なクリスマスプレゼントだったと、 そうだったんじゃないかと思います。 【Mi-side】 ‐秋山宅‐ ‐澪の部屋‐ 家に帰った途端、私はベッドに顔を埋めた。 今日のことを思い出す。 悶える。 悶えて、ベッドの上で転がって、床に転がり落ちた。 ちょっと積極的すぎたかもしれない。 でも。 最高のクリスマスだったと思う。 【Az-side】 ‐外‐ クリスマスパーティーが終わって後日、ムギ先輩に連れられ、 私と純はあずにゃん二号の新しい住居に向かいました。 電車でムギ先輩の住む地域まで一本。 そこからしばらく歩くと、その人の家があるそうでした。 どうやら連絡した結果、きちんと返してくれるとのことでした。 元々その人も飼っていた猫が行方不明になっていて、 いくら探しても見つからないという状況だという話です。 そしてムギ先輩の家の、猫を飼う人を募集する張り紙を見て、 自分の飼っていた猫と同じような境遇に遭ってしまった、 ムギ先輩の家で飼われていた猫に同情したのだとか。 猫も家族の一員になれるのだと、認識しました。 紬「着いたわ」 ムギ先輩の声に気づき、私は正面の家を見上げました。 住宅街の中の、普通の一軒家でした。 鼠色の塀に囲まれ、塀の穴からは庭の様子が見えました。 青空に顔を出している太陽から発せられた光は、 その庭に置かれた鉢植えに咲いている花を、 生き生きさせたものに見せていました。 梓「ふむ」 ムギ先輩がインターホンを押した、その時でした。 家の中から、どたどたと大きな音が聞こえました。 家の住人が走り回っているようでした。 なにかあったのでしょうか。 しばらく待っていると、中から扉が開けられました。 中からは、ちょうど高校生ぐらいの女の子が出てきました。 ?「……どうもすみません。って、あれ」 紬「あれ」 ムギ先輩とその家の住人は、しばらく目を合わせていました。 そして、 ?「あー、ムギちゃん!」 紬「文恵ちゃん!」 二人して声を上げました。 どうやら、ムギ先輩の同じクラスの生徒のようです。 文恵先輩はムギ先輩とは違ったベクトルで癒し系の空気を持っている人で、 花型の髪止めが可愛らしいです。 文恵先輩は親しげにムギ先輩に話しかけました。 文恵「そっか、琴吹家って、ムギちゃんのお家だったんだね」 紬「そうなの。私も、まさか文恵ちゃんが猫を引き取ってたなんて。 私から連絡すれば良かったわ~」 文恵「いきなりオジサンから電話かかってきて、びっくりしたよ」 ムギ先輩の家の執事でしょうか。 純「あの!」 文恵「あ、文化祭で見た気がする。 ……そっか、鈴木さんってあなたのことだったんだねー」 純「そうなんです。それで、猫は?」 文恵「あ、その猫のことなんだけどね……」 純「……どうかしたんですか?」 良くない空気が、辺りに流れ出しました。 文恵「今さっき、外に出ていっちゃったの」 純「えっ」 文恵「捕まえようとはしたんだけど、すばしっこくて……」 文恵先輩は悔しそうに、ごめんなさいと言いました。 純は落胆していましたが、すぐに気を取り戻しました。 純「でも、ついさっき外に出たなら、まだこの近くにいるってことですよね。 それにただ散歩に行ったなら、帰ってくるかもしれませんし」 梓「そう、そうかもしれないね。探しにいこうよ」 純「うん!」 私と純は二人の先輩を家に残し、町中へ走りだしました。 時に声を出して、純の猫を探しました。 梓「あずにゃん二号ー!」 純「……やっぱ、それ恥ずかしくない?」 * * * 純も恥ずかしさを堪えて名前を呼べども呼べども、 猫は姿を見せてくれませんでした。 もしかしたら文恵先輩の家に帰ってきているかもしれないと思い、 戻ってはみましたが、そこにも姿は見えませんでした。 文恵「自分の猫も自分の不注意が原因で行方知らずなのに、 轍を踏んじゃうなんて……」 文恵先輩は足元に視線を落としていました。 純「文恵先輩のせいじゃありませんよ。 第一、私の猫が勝手気まますぎるんです」 文恵「……そうだね。猫って、そうだったかもね」 純「そもそも、この町に私の猫がいるってわかっただけでも、 今日は大収穫ですから!」 純は陽気に笑ってみせていました。 文恵先輩も、釣られて笑っていました。 私は一つ、気になったことがありました。 梓「文恵先輩は自分の猫を、まだ見つけてないんですか?」 文恵「うん。結構探したんだけどね」 梓「もう、探していないんですか?」 文恵「……うん」 梓「勿体ないです!」 私は唐突な大声に、文恵先輩はぎょっとしました。 梓「こうして私たちは手掛かりをつかみました。 ですから、諦めなければ、ゼロからだってスタート地点に立つことも出来ます」 純「梓……」 梓「私たちの探す猫もちょうど、この町にいます。 一緒に諦めないで、二匹の猫を探しませんか?」 少し、自分の近況と重ねて、私は言葉を放っていました。 文恵先輩は小さく笑みを浮かべると、 ムギ先輩の方を見て、そっと呟きました。 文恵「ムギちゃん、この子、いい後輩だね」 紬「……軽音部自慢の後輩よ~」 そう言われると、照れてしまいます。 こうして私たちは文恵先輩と猫を探す約束をして、 その家から去りました。 駅で、わざわざ見送ってくれたムギ先輩と別れ、 私たちは電車に乗り込みました。 そして電車に揺られながら、純と他愛ない会話を交わしながら、 私たちは自分たちの町に帰っていきました。 【Yi-side】 ‐外‐ クリスマス、大晦日と、せわしなくイベントが私の周りで起こって、 そしてそれらが全て過去のものとなっていきます。 今日はお正月。近くの神社で、初詣です。 賽銭箱に五円玉を投げ入れて、お祈りします。 あずにゃんの努力が報われますように。 唯「ふう……」 もう一つ、お願い事してもいいのかな。 でもそれは澪ちゃんに任せちゃっても、いいのかな。 そんなことを考えながら、私は隣で合掌をしている澪ちゃんを横目で見ました。 今日は澪ちゃんと二人きりの初詣。 今、綺麗な赤の着物に身を包んだ澪ちゃんは、 私の隣でなにをお願いしているのでしょうか。 澪「……」 私と澪ちゃんの、二人占めのお願いでしょうか。 いいえ。 きっと澪ちゃんのことですから、私にいくらか贔屓しても、 みんなのことを考えてくれているはずです。 私が好きになった澪ちゃんです、間違いありません。 祈願を終えた私たちは、石畳の敷かれた神社の道を、 二人並んで歩いていました。 不意に、おみくじ売り場に目が行きました。 澪ちゃんを呼び止め、二人でおみくじを買いました。 結果は、なるほど。 澪ちゃんが物欲しげな顔で、私のおみくじを見ていました。 なるほど。 唯「澪ちゃんのも見せてくれたら、見せてあげるよ?」 澪「ん、わかった」 唯「せーので、見せ合おう!」 せーの、と二人で声を合わせ、 相手に見えるようにおみくじを差し出しました。 唯「あっ」 澪「あっ」 お互いの結果を見た私たちは共々、溜め息をついてしまいました。 二人の結果はまるで同じの“末吉”。 澪「微妙だな」 唯「微妙だね」 一応、それぞれの項目を見てみました。 まずは恋愛。“慎重に”。 唯「んー、今年中にクリスマスより、凄いことしたいんだけどなあ」 澪「な、なんの話をしてるんだ?」 次に学問。“早目に”。 唯「これはいきなり手厳しい……」 澪「あ、おみくじの結果か?どこを読んでるんだ?」 そして失せ物。“時がたたねば出ず”。 唯「……ん、見つからないことはないんだね」 澪「失せ物のところか?」 唯「うん。純ちゃんの猫はまだ見つかってないみたいだし、 早く見つけてあげたいとは思うんだけど」 澪「そうだな……。鈴木さんのおみくじが大吉なら良いんだけどな」 唯「あずにゃんもね!」 澪「全くだ」 おみくじは結ばず、自分の財布の中に入れました。 そしてまた二人で並び、石畳の上を歩いていきました。 澪「唯!」 唯「どうしたの、澪ちゃん?」 澪「改めて、今年もよろしくな」 唯「……うん!」 ―――終わりは始まり。 よく聞く言葉です。 それはまた、事実であると思います。 例えば、あずにゃんが軽音部を辞めることは、 新たな自分の始まりにも等しいことでした。 私も、今までの澪ちゃんとの関係を終えて、 より親密な関係を始めました。 そして、こうして一年が終わってしまうことも、 新たな一年の始まりでもあります。 きっと一年後、私の卒業もなにかが始まる契機となることでしょう。 唯(だとしたら……) ……あずにゃんの卒業もきっと。 第十六話「旅立たんとする黒猫」‐完‐ ―――第十七話に続く 38
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上条「初詣行かないか?」 神裂「私で…良ければ」① 戻る 次へ 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 13 39 53.87 ID 4SyRupAbO 一月二日。三ヶ日のど真ん中。 午後1時、上条当麻は神社にいた。 ある人と待ち合わせをしているのだ。 「うわー、やっぱ人多いなぁ。 やっぱみんなこういうイベントは好きなんだな」 見渡す限り人で溢れている。 学園都市は科学の街だ。 科学に関しては、外の世界より十年は進んでいると言われている。 しかしこんな時の為、神社もあるのだ。 初詣。上条の今日の目的だ。 「しかし、こんな人でごった返して、 ちゃんと落ち合えんのか」 上条がそんな事を心配していると、人波を掻き分けて約束の相手が現れた。 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 13 40 41.60 ID 4SyRupAbO 「お待たせして申し訳ありません、上条当麻」 深々と頭を下げているこの人物、 神裂火織が待ち合わせの相手だ。 イギリス清教ネセサリウスのメンバーであり、 天草式十字凄教の女教皇。 更には世界に二十人程しかいない聖人だ。 「……………」 ぼーっと神裂を見つめている上条に、 神裂が不安な顔をする。 「も、もしかして…お待たせしてしまって 怒っているのですか? 」 「え?いや違う違う!何でもねーから気にすんな!」 5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 13 41 58.20 ID 4SyRupAbO 神裂は着物を着ていた。 薄い青を基調に、色とりどりの花があしらわれている。 髪もポニーテールではなく、きちんと頭の上で結わえてあった。 普段の神裂は、白いTシャツに、 片方が太ももの付け根まで破られたジーンズを履いている。 その姿で現れるとばかり思っていた上条は、 そのあまりに珍しく、美しい姿に見とれてしまったのだ。 「き、今日は着物なんだな」 「へ、変ですか?」 「変じゃない変じゃない!! むしろ良い!上条さんは良く似合っていると思います!!」 「そ、そうですか?少し恥ずかしいです」 そう言って口元に手を添える姿は、妙に色っぽく見えた。 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 13 43 05.87 ID r0wht7D90 神裂さんの着物姿とか妖艶ってレベルじゃねーぞ 10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 13 44 49.83 ID 4SyRupAbO 美しい黒髪に清楚で凛とした立ち居振る舞い、 神裂は見事に着物を着こなしていた。 (インデックスならこうはいかないな…) 上条は容易に想像出来た。きっと七五三みたいになるだろう。 そのインデックスは、上条の担任、月詠小萌の家にいる。 おせちパーティーに参加中だ。 「初詣とおせち料理、どっちがいい?」 そう聞いた上条に、インデックスは即答したのだ。 「おせち」と。 「では行きましょうか」 神裂に促されて、二人は境内に向かう事にした。 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 13 46 07.31 ID 4SyRupAbO 「す、進まねー!!!」 上条と神裂は完全に人の波に飲まれていた。 少し気を抜けばはぐれてしまいそうだ。 「わざわざ一日は避けたのに!」 実は上条は知らなかった。この神社は駅からも近く、 出店もたくさん出ているので初詣の人気スポットなのだ。 境内に向かう人と出店で立ち止まる人で 境内までの通路は大渋滞だった。 「きゃっ!」 後ろから押された神裂は、 慣れない草履に踏ん張りが効かずよろめいた。 「あっ、あぶねー!」 上条は咄嗟に神裂の腕を取り、引き寄せた。 「す、すいません」 「大丈夫か?しかしこれじゃ 辿り着く前にはぐれちまいそうだな」 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 13 48 05.76 ID 4SyRupAbO 「ほら」 そう言うと上条は自分の左腕を差し出した。 「俺なんかの腕で悪ぃけど、 とりあえず掴まってた方がいいぞ」 「!!!」 「また転びそうになったら困るだろ? それにはぐれても面倒だしな」 上条は何か特別な意味があって言ったのではない。 自分を気遣ってくれているだけなんだ。 頭では分かっていても、神裂の心臓は一気に鼓動が早くなった。 「で、では…あの…失礼します」 そう言って神裂は、 上条の腕を自分の右手でしっかりと掴んだ。 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 13 52 00.33 ID 4SyRupAbO (こ、恋人みたいです!!) 上条の体温が右手から伝わってくる。 神裂は緊張で体がカチカチになっていた。 (て、手に汗が!大変です!) 「神裂?」 (ふぁぁ!!今ちょっと強く握っちゃいました!!) 「神裂ー?」 (かかか肩がっ!!今!肩が密着してしまっています!!) 「神裂さーん!」 「ひっ!ななな何ですか!?」 あまりの緊張に上条の呼び掛けなど気づかなかった。 聖人と言っても18歳の女の子なのだ。 「大丈夫か?もうすぐ順番回ってくるぞ」 」 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 13 53 09.08 ID avO2X9/vO あっダメだニヤニヤしちまう 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 13 56 34.87 ID 4SyRupAbO 気がつけばもう人混みの先頭まで来ていた。 名残惜しかったが、お詣りするには手を離さなくてはいけない。 「す、すいません!」 神裂は慌てて上条から手を離した。 賽銭箱にお金を入れ、二人は手を合わせ心の中で神様にお願いをする。 (今年は不幸が減りますように。 インデックスの食欲も減りますように) (み、みんなが…特に上条当麻が幸せになりますように!) 「さて、帰りに出店でも寄ってくか」 二人は人混みから少し離れた場所にある、 甘酒の出店へ立ち寄った。 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 13 58 39.91 ID 4SyRupAbO 出店の脇にある小さなベンチで待っていると、 両手に甘酒を持って上条が戻ってきた。 「ほら。たいしたもんじゃないけど、上条さんの奢りだ」 「ありがとうございます」 二人はベンチで甘酒をすすりながら、 行き交う人を眺める。 みんなとても幸せそうだ。 新しい年への希望で溢れている。 「神裂は何をお願いしたんだ?」 突然聞かれた神裂はむせそうになる。 「そっ、そんなの教えられません!」 「そっか。それもそーだな。 それよりお前顔真っ赤だぞ。大丈夫か?」 「こ、これは…甘酒です!甘酒に酔ったのです!」 自分でも情けない言い訳だと思ったが、 【あなたの幸せです】などと口が避けても言えなかった。 26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 14 00 37.39 ID 4SyRupAbO 甘酒を飲み終わった二人は、 人混みを掻き分けてまた神社の入り口に戻ってきた。 行きの流れよりスムーズだった為、 上条と腕を組む機会がなかった。神裂はそれが少し寂しかったりする。 「その、今日はありがとうございました。」 「俺の方こそサンキューな。神裂と初詣来れて良かったよ。 着物姿も見れたし」 「な、何を言っているのです。からかうのはやめてください」 「でもやっぱ神裂を誘って良かったよ。 最初は一人で行くつもりだったしな」 「わ、私で良ければいつでも…」 27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 14 03 09.61 ID 4SyRupAbO 「この後すぐイギリスに戻んなきゃいけねーんだろ? じゃあ気をつけてな」 「はい。では私はこれで失礼いたします」 そう言って神裂は遠ざかって行く。 途中振り返って小さく手を降っていた。 「さて、俺も帰るとしますか」 上条が歩き出そうとしたまさにその時だった。 28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 14 04 19.94 ID 4SyRupAbO 「あっ!!アンタっ!」 「げっ!!!!御坂!!!!」 そこには学園都市第3位でレベル5の電撃使い、 御坂美琴がいた。 「"げっ!"て何よ、"げっ!"て!!」 「お前こんなとこで何してんだよ?」 「見て分かんない?初詣よ、は・つ・も・う・で!!」 「制服で?」 美琴は常盤台の制服姿だ。 着物を着た人ばかりの中では、 明らかに浮いていた。 「うっさいわね!校則なのよ!」 「…へー」 「ぐっ!!!聞いといて興味なさそうにしてんじゃないわよっ!!」 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 14 07 09.01 ID FKwlJ5l1O ここでビリビリの嫉妬を挟むとはわかってる 31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 14 08 08.75 ID 4SyRupAbO 美琴の前髪からパチパチと電気が走る。 「お前も着物ぐらい着れば?せっかくの初詣なんだし」 「校則だっつってんでしょーがぁぁぁぁ!!!!!」 上条目掛けて電撃が飛んでくる。 しかし上条が右手で防ぐと、電撃は一瞬で消えてしまった。 「あっぶねー!!こんな人がたくさんいるとこで何考えてんだよ!!」 「アンタが私を怒らせるからでしょーが!!」 「カルシウムが足りないのか?よし!それなら上条さんが 牛乳をご馳走してあげよう!」 「だから…それが怒らせてんでしょーがぁぁぁ!」 32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 14 15 22.53 ID 4SyRupAbO 「わ、悪かった!!上条さんは猛反省した!」 「はぁ~、もうどうでもいいわ…」 上条当麻に何度電撃を放っても全く効かない。 美琴はぐったりしていた。 「で、アンタ。アンタはここで何してたのよ?」 「初詣に決まってるだろ。 三ヶ日に神社と言えば他に何があるんですか御坂さん?」 「ぐっ!!!あんたも私に聞いたくせにっ」 美琴は電撃を放ちそうになるのを耐える。 「あ、あんた一人で来たの?」 「いや、知り合いとだけど」 39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 14 37 03.85 ID 4SyRupAbO 「そ、そう。ちなみに……女の子?まさかとは思うけど」 「あのな~御坂。いくら上条さんでも 初詣に付き合ってくれる女の子くらいいますよ?」 「…っ!?」 美琴は胸のあたりが締め付けられる感覚がした。 もし美琴がもう少し恋愛に対して大人なら、 これが"嫉妬"だと分かっただろう。 「そ、そう。それは良かったわね…」 「な、何怒ってるんだよ!?」 「…別に怒ってなんかないわよ」 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 14 51 58.48 ID 4SyRupAbO 「いや、上条さんには怒ってるように見えます」 「……怒ってない」 「いやいや、御坂さん! 頭からパチパチと音がっ!!」 「怒ってなぁぁぁぁい!!」 今日一番の電撃が上条を襲った。 「はぁ~、なんか当初の目的を忘れているわね…」 「そ、そうだな。一旦落ち着こう」 上条と美琴が一息ついた時だった。 42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 15 06 26.22 ID 4SyRupAbO 「あら?あらあらあら?お姉さまではありませんのっ!!」 「く、黒子!?」 そこには美琴のルームメイト、白井黒子がいた。 「黒子、あんた何でこんなとこいんのよ?」 「ジャッジメントのお仕事ですの。 これだけ人が集まれば、トラブルも多くなりますから。 定期巡回してますの」 確かに黒子の左腕にはジャッジメントの腕章が付いていた。 「で、お姉さま。確か初詣はお一人で行くと黒子は聞きましたけど?」 黒子は上条を値踏みするように眺める。 43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 15 10 16.70 ID jx1VQJIM0 神裂空気www 44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 15 20 19.88 ID 4SyRupAbO 「へ~、そうですの… お姉さまは黒子に嘘を吐いてまでこの殿方と…」 「ち、違うわよ」 「あら?私の目を見てお答え頂けますか、お姉さま」 「ぐ、だから違うわよ!!」 「まぁいいですの。黒子は仕事がありますのでこれで失礼しますわ。 ときに上条さん、お姉さまに何かいかがわしい事をしたら …羨ま…ではなくて許しませんわよ」 そう言い残すと、黒子の姿は一瞬で消えてしまった。 これが黒子の能力、テレポートだ。 45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 15 23 55.52 ID 4SyRupAbO 「な、なんだったんだ…」 完全に一人取り残された上条は、突然の嵐に巻き込まれた気分だった。 「じ、じゃあ俺は帰るから」 「………いよ」 「へ?」 「待ちなさいよ!黒子に二人で初詣行くって勘違いされたのよ!!」 「そ、それが何か?」 「これで行かなかったら…後で黒子に説明すんのが面倒でしょーがっ!!!」 「な、なんて理不尽な!!」 美琴は口実が出来て内心嬉しかったが、上条にとっては災難だった。 「ま、待て御坂!俺はもう…!」 「アンタの意見なんか聞いてないっ!ありがたく付き合いなさい!!」 「ちょ、俺もう初詣は…!」 「うっさい!!!!」 「ふ、不幸だぁぁぁぁ!!!」 こうして上条は、本日二度目の初詣をするハメになるのだった。 73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 18 28 07.49 ID 4SyRupAbO 学園都市は現在お正月である。 午後1時、上条当麻は補習も全て消化し、 お正月は家でのんびりと過ごしていた。はずだった。 「なのに…ここはどこだぁぁぁ!!!」 時は遡る事3時間程前。 上条当麻はお正月を満喫していた。 コタツに入ってただひたすらにダラダラする。 「コタツを考え出した人、上条さんはこの恩一生忘れません」 同じようにダラダラしている銀髪シスターは コタツの中で足をパタパタさせている。 「ねぇトーマ、おなかへった。 何か作ってくれると嬉しいな」 「フ…上条さんは今コタツと心も体も一つ。」 「む~、トーマのケチ」 お正月、コタツから出るのは至難の技なのだ。 さてもう一眠り、 と上条がウトウトしかけた時だった。 74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 18 31 39.31 ID 4SyRupAbO ピンポーン 上条の部屋のチャイムが突然鳴らされた。 「め…めんどくさい。インデックス、見て来て」 ピンポーン 「いやだー。トーマのおうちなんだから トーマが出るのが当たり前なんだよ」 ピンポンピンポーン 「ぐ……そういう時だけ家主扱いしやがって」 ピンポピンポピンポーン!! 「だぁぁぁぁうるせー!!!どちら様ですかっっっ!!!!」 上条が玄関のドアを開けると、意外な人物がいた。 75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 18 32 59.72 ID 4SyRupAbO 「久しぶりよな、上条当麻」 黒々とした髪、首からは小さな扇風機をいくつもぶら下げ、 靴ひもは引きずる程長い。 「建…宮?は?なんでお前が?」 建宮斎字、天草式十字凄教の教皇代理だ。 「話は後だ。緊急事態が起きたのよな」 76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 18 34 27.10 ID 4SyRupAbO 建宮がいう緊急事態は何なのか? 上条は何か大きな事件に発展するような気がした。 そしてこの予想は間違っていなかったが、 今の上条は知る由もなかった。 「で、どこに向かってるんだ?」 学園都市の外で 建宮が用意してくれた車に乗り込んだ上条は運転手に聞いてみた。 名前は確か…牛深だったか。しかし返事はない。 もう1時間以上会話がないのだ。 「はぁ~、今日中に帰れるだろうか… 無理なら…インデックスに怒られちまうな」 インデックスは小萌に預けて来た。 困った時の小萌頼み。いつか恩は返そう。 上条がそんな事を考えていた時だった。 体が前に引っ張られる。車が急に止まったのだ。 78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 18 37 30.65 ID 4SyRupAbO というのがだいたいの経緯である。 車から降ろされた上条は置いていかれた。 降りる時に大きなカバンを渡された。 「ここはどこだぁぁぁ!!」 上条は改めて周りを確認してみる。 周囲は木々で鬱蒼としている。どうやら山の中らしい。 目の前には小さな山小屋。 「とりあえず…落ち着こう」 上条はカバンを抱えて山小屋の中に入ってみる事にした。 通常こういった山小屋は、遭難者などの 避難場所として開放されているはずだ。 案の定、山小屋に鍵はかかっていなかった。 「お邪魔しますよー……えっ!?」 山小屋は広さは6畳程しかないが、小さな暖炉、 テーブルに椅子、簡単なキッチンなどもあり小綺麗だった。 しかし上条が驚いたのは思ったより綺麗だったからではない。 その部屋にまたまた意外な人物がいたからだ。 80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 18 47 24.47 ID 4SyRupAbO 「い、五和…?」 そこには椅子にちょこんと腰掛けている、 天草式十字凄のメンバー、五和がいた。 「かかかか上条さんっ!!??」 ガタンッ!と大きな音を立てて五和が椅子から転げ落ちる。 「大丈夫か?つーかお前なんでここに?」 恥ずかしかったのか、五和の顔は真っ赤だ。 「わ、私は教皇代理に任務があるからここで待ってろって …上条さんは?」 「俺も建宮に緊急事態だって 連れてこられたんだけど」 (か、上条さんとこんなとこで会えるなんて… 確かに緊急事態です!) 二人が今の状況を把握しようと 必死に頭を動かしていると、 またもや意外な人物があらわれた。 81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 18 50 46.73 ID 4SyRupAbO 「!?かっ…神裂!!!」 山小屋の扉を開けて入って来たのは世界に20人程の聖人、 そして天草式の女教皇だった。 「なっ、上条当麻!?なぜあなたがここにいるのですか!? それに五和まで!」 見たこともない顔で戸惑う神裂に、 上条と五和は事の経緯を簡単に説明した。 「…なるほど、そうでしたか。私は土御門からこの場所の調査を依頼されたのです。 このあたりにイギリス清教の宝具があるらしいのですが。 調査に必要な道具も預かりましたし…」 そう言って神裂は大きなカバンを掲げて見せた。 「あ!?そういえば俺も渡されたんだ!」 上条は牛深に渡されたカバンを テーブルの上で開けてみる事にした。 「なんだ…これ」 3人がカバンを覗き込むと、中にはお肉や野菜、 飲み物やお皿などが入っていた。 五和も慌てて自分のカバンを確認してみる。 82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 18 53 30.13 ID 4SyRupAbO 【頑張れ。 天草式一同より】 と書かれた紙と共に、 おしぼりと大精霊チラメイドのコスチュームが入っていた。 「そんな…」 カバンの中身がすり替わっていた。 ここに来る前は確かに任務に必要な物を入れて来たはずだったのに。 「どーしたんだ?顔真っ青だぞ」 上条の声に五和は慌ててカバンを閉じた。 「ななななな何でもありません!!!」 83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 18 53 40.96 ID +3xuS4ht0 なにこのニヤニヤ合宿 85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 18 56 23.38 ID 4SyRupAbO 何かがおかしい。神裂は二人からは見えないように 土御門に渡されたカバンを開けてみた。 「!!!!!!!!」 【ねーちんファイト 土御門元春】 そう書かれた紙と堕天使エロメイドのコスチュームが入っていた 。見なかった事にしよう…神裂はそっとカバンを閉めるのだった。 「さて、どうなるか楽しみよな」 木々に紛れて山小屋を監視していた建宮が笑みを浮かべる。 「まったく、ねーちんも五和も世話が焼けるにゃー」 土御門も嬉しそうに答える。 「エロメイド対チラメイド…… 俺達にとっては最高のお年玉なのよな」 「今年はいい一年になりそうだにゃー」 そう言ってニヤニヤ笑う二人に、 天草式のメンバー達はただただ溜め息を吐くしかなかった。 89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 19 13 58.84 ID 4SyRupAbO 「とにかく、ここに居ても仕方ありません。 道は私が分かりますので山から下りましょう」 神裂の提案で3人は山を下りる事にした。ところが… ゴォォォォォ!!!! 山小屋を出た途端、地響きと共に激しい揺れが起こった。 同時にとてつもない魔力が辺りを包んでいく。 「なっ何だ!!!」 「きゃっ!」 「二人とも私の後ろに!!」 神裂は一瞬でワイヤーを張り巡らせ、 3人を包むように防御結界を作った。 91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 19 17 59.96 ID 4SyRupAbO 「フッフッフ、甘いにゃー。 そんな簡単に帰らせるわけないにゃー」 全て土御門の計算通りだった。 もともと陰陽師である彼は、 竜脈と呼ばれる魔力の流れを読む事に長けている。 竜脈に囲まれた場所を土御門が探し、 そこに天草式が山小屋を建てる。 あとは少し細工をして竜脈を小さく暴走させる。 「かみやんの右手は厄介だからにゃー。けどこれは消す事はできないぜぃ」 上条の右手には【イマジンブレイカー】という力が宿っている。 それが異能の力ならば、触れただけで打ち消してしまう。 結界を張ったところで無駄なのだ。 「けど竜脈なら別だにゃー。竜脈はいわば大地の生命の流れ。 いくらかみやんでも生命を打ち消す事は出来ないにゃー」 「そして竜脈の結界の上から天草式の対聖人用の結界も張ってあるのよな。」 「バカだ…全力のバカだ」 天草式のメンバーは二人を見て皆同じ事を思ったのだった。 92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 19 21 53.78 ID 4SyRupAbO 「くっ!!!」 何度目だろうか、神裂は七天七刀で結界の破壊を試みていた。 上条のイマジンブレイカーも試してはみたものの、 破壊されたそばから再生されるのでは どうしようもなかった。 上条は知らないが、竜脈による結界を消すには、 竜脈の流れを制御している土御門の 折り紙に触れなければ意味はないのだ。 土御門はルートディスターブと戦った時の事を応用していた。 93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 19 23 26.52 ID 4SyRupAbO 「くっ、やっぱり駄目ですね。聖人用の結界が重ね掛けされています」 「うわぁー、神裂でも駄目か。どーすっかなー。 こんな山ん中じゃ携帯も圏外だし。不幸だ」 頭を抱えてうなだれる上条に気付かれないように、 神裂は五和に耳打ちした。 「五和、こんな事になった原因、私に心当たりがあります」 「えっ!神裂さんも?私も心当たりあります!」 「やはり…建宮と土御門の仕業ですね」 「どうしましょう…」 五和は今にも泣き出しそうな顔をしている。 「大丈夫。ずっとこのままという事はないはずです。 しばらくすれば出られると思いますよ」 「じゃ、じゃあ大人しく待つしかありませんね…」 94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 19 25 10.84 ID jmq3g+740 本気すぎる 95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 19 28 52.95 ID 4SyRupAbO 結局三人は山小屋に戻る事にした。 神裂と五和は、建宮と土御門が裏で糸を引いている事は、 上条には黙っている事にした。 パチパチ… 暖炉で燃える、薪特有の乾いた音だけが響いている。 (きっ、気まずい…) 上条は、女の子二人と隔離されたこの状況に緊張していた。 しかしそれ以上に緊張しているのは神裂と五和だった。 (……どうしたものでしょう。する事がありません… こんな時は何を話せばいいのでしょうか) (うぅ~、どうしよう。上条さん、さっきから一言も喋らない。 おっ、おしぼり渡す?ダメ、今は無理!) 「うぉぉぉぉ!!!!!」 突然上条が大声を出した。 二人はビクッと肩を震わせる。 「暗い!!暗いですよ二人共!! 決めました!ご飯にします!ご飯食べれば元気も出るのです!」 97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 19 38 50.00 ID 4SyRupAbO 上条の提案で晩ご飯を作る事になった。 何かしていた方が落ち着くのは3人共同じだ。 「じゃ、じゃあ私が何か作ります。 お二人はお皿なんかを並べて頂けますか?」 五和は食材をどんどん仕込んでいく。 その手際はある意味魔術だと上条は思った。 「ちなみに神裂って料理すんのか?」 皿を並べながら上条は尋ねた。 「たっ、多少は…」 神裂は五和を見ながら答える。さすがにあんなに手際よくは出来ない。 やっぱり男性は料理上手な女性に惹かれるのだろうか… 「得意料理は?」 「たっ……鯛茶漬け…です」 帰ったら料理を勉強しよう、神裂はそう心に決めるのだった。 98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 19 41 37.90 ID jmq3g+740 鯛茶漬けってただの好物じゃねーかww 99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 19 55 28.16 ID 4SyRupAbO あっという間にテーブルは料理で一杯になった。 和洋折衷、様々な料理が並んでいる。 「すげー!五和ってやっぱり料理は達人だよなー!」 上条はその見事な腕を見て、素直に五和を褒めた。 「そそそそんな、たいした事ありませんから。 おっ、おしぼりどうぞっ!」 五和は上条と神裂におしぼりを渡す。 神裂は借りてきた猫の様に小さくなっていた。 「いただきまーす」 3人の晩ご飯が始まった。 「うっ、うまいっ!!!」 上条は夢中で箸を動かしている。五和はそれが嬉しくて嬉しくて、 自分が食べるのを忘れてしまっている。 「美味しい…」 神裂も素直に感心した。 (このレベルに達するには、私はどれだけ勉強すれば良いでしょうか… そうだ、この機会に上条当麻の好き嫌いも把握しておかなければ…) 100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 04 55.20 ID 4SyRupAbO 「五和、お前絶対いいお嫁さんになれるよ」 ガチャンッ!五和が茶碗を落とす。 神裂の思考は停止する。 「な、なななな何をいっ、言ってるんですか!? そんなお、お、お嫁さんなんて!」 五和は顔を真っ赤にして俯いてしまった。 「で…でも上条さんさえ良ければ…その、お、お嫁さんに…」 五和は何かボソボソと呟いている。 「か、上条当麻!!あなたという人は、何を考えているのです!? お、お嫁さんなんてそんな… 五和も何真に受けているのですっ!」 なぜか神裂の顔も真っ赤だ。 「へ?お、俺なんか変な事言ったか?」 上条当麻はいつだって鈍感なのだ。 102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 07 59.52 ID 4SyRupAbO 「さぁかみやん、お楽しみはこれからにゃー」 土御門は建宮とアイコンタクトを取ると、 不適な笑みを浮かべるのだった。 「は~、お腹一杯!ごちそーさま!」 あの後何故か神裂と五和は食事が終わるまで、 顔を真っ赤にしたまま、黙々と箸を動かしていた。 「じゃ、じゃあ私お片付けしますから」 五和はテーブルの上をテキパキと片付けていく。 最初から最後まで見事な手際だ。 神裂はそんな五和を見て落ち込んでいた。 (五和は私にないものをたくさん持っている) 単純に力なら神裂の方が圧倒的に強い。上条を守ってあげる事だって出来る。 しかし神裂は五和の様に料理が出来るわけでもないし、気が利くわけでもないのだ。 女の子としては五和の方が圧倒的に強いのかもしれない。 【強くなりたい】その思いは今も変わらないが、 神裂の心は言い知れぬ不安で溢れていた。 103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 09 37.37 ID 4SyRupAbO テキパキと洗い物をしながら五和は思い出していた。 (神裂さんはやっぱりすごいな) 山小屋を結界が突然取り囲んだ時、五和は体がまったく動かなかった。 頭が状況についていかなかったのだ。しかし神裂は違った。 何が起きているのか頭で理解する前に、 一瞬で上条と五和を守ろうと動いたのだ。 五和は以前上条と共にアックアと戦った際 心に決めた事がある。 【上条当麻を守る為なら死んでもいい】 「はぁ~、私もまだまだです」 五和は深い溜め息を吐くのだった。 104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 13 12.49 ID 4SyRupAbO そんな二人の思いなど知らず、上条は窓の外を眺めていた。 すっかり日も落ちて、辺りを暗闇が包んでいた。 見えるのは結界のかすかなゆらめきだけだ。 「あー、帰ったらインデックスになんて説明すっかなー」 インデックスは上条が危険な場所に身を置く事を極端に嫌う。 今日は緊急事態という事でインデックスを待たせているのだ。 心配しているのは目に見えている。 「はぁ~…まぁ噛みつかれるくらいは覚悟しとかないとな」 105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 14 49.89 ID 4SyRupAbO 神裂はソワソワしていた。 この小屋には小さいが簡単なシャワールームがついている。 どうしてもシャワーを浴びたい。 結界を破ろうと四苦八苦した時に、 神裂はうっすら汗をかいてしまったのだ。 「か、上条当麻。私は湯浴み…いえ、 シャワーを浴びたいと思うのですが」 「は、はい?」 上条の体温が2度は上がる。 「で、ですからシャワーです。」 神裂の頬はすでに湯上がりのように赤い。 「あ!シャワールームの方は見ないでって事ですね」 五和は神裂に助け舟を出す 「五和。あなたも一緒に入るのです」 「えぇっ?一緒にですか?」 神裂は上条と五和を二人っきりにするのは何となく嫌なのだ。 「では五和、行きますよ」 106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 16 37.41 ID 4SyRupAbO 五和は拒否する間もなく、神裂に手を引かれていった。 「上条さんはジェントルマン。決して振り返りません!」 上条は言い付け通りシャワールームに背を向ける。 振り返りたい気持ちもあるのだが、 今シャワールームにいるのは聖人だ。 命を懸けてまで覗く気はない。 シャワールームの前は狭い脱衣場になっていた。 神裂はさっさと服を脱いでいくが、 五和はなかなか脱げないでいた。 なんせ壁一枚隔てて上条当麻がいるのだ。 「どうしたのです?早く入ってしまいましょう」 「はっ、はい!」 シャワールームに入った五和は、神裂の体をまじまじと見る。 神裂の体は息を呑むほど美しかった。 出るところは出ているし、 引き締まるべきところは引き締まっている。 (それに比べ私は…) 107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 17 23.24 ID 4SyRupAbO 五和はよく【隠れ巨乳】とからかわれる。 しかし神裂程のスタイルではないのだ。 「で…でも私だって……【脱いだら凄い】は男の夢だって… …みんな言ってたし…きっと上条さんだって…」 「何をブツブツ言っているのですか?五和」 「わわわわわ!何でも!何でもありません!!」 五和は消えてしまいたい程、恥ずかしかった。 108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 18 51.13 ID 4SyRupAbO 「ターゲットの入浴を確認」 建宮のトランシーバーから女性の声がした。 「来たのよな」 「あぁ、来たにゃー」 建宮と土御門はこの時を待っていた。 神裂と五和がシャワーを浴びるこの時を。 「ミッションスタートだぜぃ」 「よし、対馬!やるのよな!」 建宮はトランシーバーに命令を出す。 対馬と呼ばれたふわふわ金髪の女性は、 脱衣場の床下で命令を受け取った。 ここに潜んでおくのは土御門や建宮でも良かったのだが、 対馬がそれを許さなかった。 「はぁ~、ごめん五和!申し訳ありませんプリエステス!!」 対馬は床下から出ると、二人の下着以外全て回収して また床下へ姿を消した。 109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 21 02.13 ID 4SyRupAbO 「うそ………………」 神裂と五和は脱衣場で呆然と立ち尽くしていた。 「こ、これって…マズいですよね?」 確かにあったはずの衣服がないのだ。 何故か下着だけが残されている。 110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 21 51.86 ID 4SyRupAbO 「普通逆だと思うんですけど…」 五和の的外れな突っ込みは、神裂の耳には届いていなかった。 「ど、どうしましょう、五和…」 「し、下着姿では出れませんよね…」 「……………………」 「あ!!!!!!!!!!」 神裂と五和は同時に何かに思い当たった。 そう、建宮と土御門の狙いはこれだったのだ。 カバンに入っていたコスチューム…。 「くっ、不覚です。まさかここまでするとは!」 「で、でもこんな格好じゃ出れませんよ!」 「し、仕方ありません…」 そう、神裂と五和は見事に罠にハマったのだった。 112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 23 28.04 ID 4SyRupAbO 「かっ、上条当麻!!」 シャワールームから声を掛けられ、上条は一気に緊張する。 「か、神裂さん?なっ、なんでしょう?」 「そ、そこにある私と五和のカバンを取って頂けますか?」 着替えが入ってんのか?上条は深く考えずにカバンを手に取ると、 目を堅く閉じ、 手探りでシャワールームに近づく。 そしてシャワールームから伸びている神裂の少し火照った手にカバンを渡した。 「はぁ~、ビックリした…でもなんかいい匂いしたな~」 上条はまたシャワールームに背を向け、一人悶々とするのであった。 113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 24 51.36 ID jmq3g+740 不幸な上条さんが何事もなく鞄渡せる訳がない 絶対足でも滑らせて脱衣所に突っ込む 114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 24 58.82 ID 4SyRupAbO 「…五和……先に」 「いっ、イヤです!無理です!」 二人はもう10分近く押し問答をしている。 仕方なく着てはみたものの、 あまりに布面積の少ないメイド服で上条の前に出るのは 並大抵の勇気ではない。 これなら【神の右席】と戦う方がどれだけ楽か。 「…わ、私は天草式十字凄教の女教皇です」 「あー!!!ず、ずるいですよ!卑怯です!横暴です!」 神裂の肩を揺さぶって、五和は抗議する。 しかし次の瞬間、五和は足がもつれてバランスを崩してしまった。 「あ…」 115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 26 07.35 ID 4SyRupAbO バターンッ!!! 大きな物音に上条はつい振り返ってしまった。 「へ?」 そこには神裂の上に馬乗りになった五和がいた。 しかし上条が驚いたのはそこじゃない、二人の格好だ。 神裂は背中に小さな羽の付いたメイド服だ。 ご丁寧に頭に輪っかまで付けている。 確か以前病室で見た記憶がある。 五和は蝶々のような羽の付いたメイド服だ。 精霊をモチーフにしているのだろう。 二人に共通しているのはその布面積の少なさだ。 馬乗りの五和は胸元が、 倒れている神裂は太ももが露わになっていた。 「な………なんですかその格好はぁぁ!!!!!!」 「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」 上条が目に焼き付ける前に、二人はシャワールームに逃げ込んでしまった。 116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 28 07.46 ID 4SyRupAbO 「うっ…うぅ…穴があったら入りたいです…」 五和は恥ずかしさのあまりメソメソしている。 「い、五和…もう覚悟を決めるしかありませんよ」 神裂だって顔から火が出る程恥ずかしい。 「うぅ…わ、私は神裂さんみたいにノリノリじゃないんです!」 「の、ノリノリ!?」 「うっうぅ…だってそうじゃないですか!服は仕方ないですけど 、 頭の輪っかは神裂さんの意志で付けてるじゃないですか!」 「うっ…こ、これは……」 神裂はいつだって律儀なのである。 「と、とにかく!私は行きますから! 五和もいつまでもメソメソしてないで早く出てくるのですよ!」 ペシッと天使の輪っかを床に投げ捨てると、 神裂はシャワールームから飛び出すのだった。 117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 29 26.22 ID 4SyRupAbO 「か、上条当麻。あまりジロジロ見ないで頂けますか…」 神裂はスカートの裾を下に引っ張りながら、モジモジしている。 「ふ、ふぁいっ!!」 上条は見ているつもりはないのだが、 つい目が行ってしまう。 「い、いやー、しかし災難だったな!アハハハハ…」 なんとか空気を変えようとするが、 空回りしてしまう。 「あれ、そーいえば五和は?」 神裂はスカートから手は離さずに、 目でシャワールームを指す。 上条がシャワールームに目をやると、 五和が顔だけ出して覗いていた。 「そのー、いつまでそんなとこにいるんだ?」 上条が問いかけると、ヒュッと頭が引っ込んでしまった。 119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 31 43.51 ID 4SyRupAbO (大丈夫!大丈夫よ五和!! 恥ずかしくなんかない!!!) 五和は何度も自分に言い聞かせた。 シャワールームにうずくまって、もう20分は経つ。 (覚悟を決めるのよ五和!!) 五和は頬をパンと叩くと立ち上がる。 「やぁぁぁぁぁ!!!」 シャワールームから飛び出て来た五和に、 上条と神裂は心臓が飛び出しそうになった。 「も、もうちょっと静かに出て来れないのですか、五和」 「す、すいません…つい」 120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 34 26.81 ID 4SyRupAbO 二人はモジモジとしながらただ黙って俯いている。 その姿勢のまますでに10分が過ぎている。 神裂も五和もさっきから椅子に座ろうとしないのだ。 「ま、まぁ俺もあんまり見ないようにするからさ、 二人共とにかく座れよ」 「…け、結構です」 「私も…」 スカートが短過ぎて、座れば色々見えてしまいそうなのだ。 上条はそんな事気づいていないが。 121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 42 04.22 ID 4SyRupAbO 「よし!じゃあもう寝よう!!! 電気消しちまえば恥ずかしくないだろ?」 「え?そ、それはそうですけど…」 「じ、じゃあ俺はバスルームで寝るから!!おやすみっ!!」 気まずい空気に耐えられなくなった上条は、 シャワールームに入りドアを閉める。 (だ、だめだ。あんなの直視できねー!!) 余談だが、上条当麻は普段バスルームで寝ている。 インデックスにベッドを占拠され、 一緒に寝るのもマズい気がするのでバスルームに鍵を掛け、 寝袋で寝ているのだ。 なのでバスルームで寝るのは得意だ。 122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 44 39.16 ID 4SyRupAbO 「上条さん寒くありませんかね…」 電気の消えた部屋で神裂と五和は横になっていた。 布団は用意されてないが、 二人でくっついていれば寒くはない。 「あれは…彼の優しさです。 普段はふざけているようですが、 あれで優しいとこもあるんですよ」 「ですね。あの、一つ…聞いていいですか?」 「何ですか?」 「上条さんの事…どう思ってるんですか?」 何だか友達の家に泊まりに来た中学生みたいだ。 神裂はそう思った。 123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 45 26.68 ID 4SyRupAbO 「それは……秘密です。五和はどうなのですか?」 「ふふ……秘密です…あっ、でも」 「でも何ですか?」 「私負けませんから!」 神裂は五和の女の子らしさを、五和は神裂の強さを、 お互い羨ましいと思った。 しかし今の二人は不思議とそんな気持ちは消えていた。 お互い性格も得意な事も違う。 しかし誰かを想う気持ちは何も違わないのだ。 だから無いものねだりはやめにしよう。 自分は自分にしかなれないんだ。 同じ人を想う者同士、二人はそう思えるようになっていた。 124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 47 00.32 ID 4SyRupAbO 翌日、上条は息苦しさに目が覚めた。 目を閉じてても微かに光を感じる。 どうやら朝になっているようだ。 (ん…なんだ…なんか息が…) (なっ、なんですかこれはぁぁぁ!!!!) 上条の目の前に、神裂の胸元があった。 神裂は抱き枕のように上条にくっついている。 後ろからは五和が抱きついている。 (よし、ちょっと状況を整理しよう。 上条さんは決して過ちは犯していません!) とにかくなんとか切り抜けたいのだが、 二人にしっかり抱き付かれて身動きがとれない。 (か、神裂って意外と寝顔可愛いな… いい匂いするし…ってそんな事考えてる場合じゃねぇ!) 126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 20 49 38.81 ID 4SyRupAbO (よし、上条当麻脱出大作戦だ!) 上条は少しづつ体をずらし、二人の間から抜け出そうと試みる。 「んっ…ん………」 上条が動く度に神裂から吐息が漏れ、 五和はさらに強く抱き付いてくる。 (だ…だめだ……) それから1時間、二人が起きるまで 上条はひたすら耐えた。 これがオリンピックの競技なら 間違いなく金メダルだ。 二人は上条が寒くないように、 上条が寝静まってからこっそり来たのだが、 もちろ上条はそんな事は知らないのだ。 134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 21 44 53.32 ID 4SyRupAbO 朝には結果も消えており、 二人の服も綺麗にクリーニングされて戻っていた。 二人は抱き付いた事を必死に謝ってくれたが、 上条は悪い気はしなかったので気にするなとだけ言った。 上条だけは建宮たちの悪巧みだとは気付いていなかったが、 神裂と五和は黙っている事にした。 悪巧みに腹は立っていたが、 上条と過ごせた事には少し感謝していたのだ。 「ではこの道を下れば街に出ますので。」 「あれ、お前らは一緒に帰らないのか?」 「私達はまだ用事がありますので。ね、五和」 「えぇ。上条さんは気をつけて帰って下さいね」 「それから、ちょっと遅くなりましたけど」 二人は声を揃えて言った。 「「明けましておめでとうございます!」」 135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 21 46 06.89 ID 4SyRupAbO 上条を見送った二人の笑顔が邪悪なものに変わる。 「さぁ…いきましょうか五和…」 「ふふ…そうですね………」 物陰で今回の首謀者は反省会を開いている。 「いやー、甘酸っぱかったにゃー」 「なかなか良いものみせてもらったのよ」 「写真を撮っておけば良かったにゃー。あれは高く売れるぜぃ」 「しかし二人もまだまだ子供なのよ。押しが足りないというか…」 「まぁ何にせよ最高に楽しませてもらったにゃー」 「それは良かったですね」 「ホント良かったにゃー…………ってあれ?」 136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/25(金) 21 48 11.90 ID 4SyRupAbO 二人が振り返ると鬼の形相をした神裂と五和が立っていた。 神裂は七天七刀を、五和はフリウリスピアをそれぞれ手に持っている。 「ホント良かったですね…」 「………ちょ…ねーちん」 「その腐った根性、新年早々叩き直してもらえるのですから」 「…あの…五和さん?」 二人は声を揃える。 「「いっぺん…死ねぇぇぇぇ!!!!!!!!」」 一応「完」 戻る 次へ
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6 戸口から踵を返して、部屋へ戻ると、ソファの上のシラスがじっと低い天井を見上げていた。 「目、」 覚めたの。 問うとシラスはゆっくりと視線をボクにずらした。 「レイディ」 「うん?」 声も、少しかすれているけれど、いつもの落ち着いた低いものに戻っている。 「ちょっとこっちこい」 「な……なんだよ」 起き上がろうと見動いたシラスが顔をしかめる。 まだ自由に動けるほどは回復してないんだ。 そのことに気づいたボクは、呼んだシラスの傍らに寄った。 病人には逆らわないに限る、というのがボクの持論。 近付いたボクに手を伸ばして、シラスは急にぐい、とボクを引き寄せる。 「わ……ぶッ」 勢い、ボクは引かれるままに、寝ているシラスの胸元に崩れこんだ。 「鼻!鼻打った!」 硬い床ではないにしろ、顔面から突っ込んだ衝撃は、涙が滲むほどはある。 何するんだよ。 喚きかけたボクは、喚きかけた口の形のまま、声を失った。 「な……」 ボクの膝――ムドゥブとのダイブで、えらく擦り剥いていたそこ――に、シラスは手を伸ばして、何かブツブツと口の中で小さく呟いている。 赤剥けて、まだジクジクと血が染みているそこの痛みを、ボクはようよう思い出す。 ああ、そういやなんかヒリヒリしてたと思ったらこれか。 気を取られることがあまりに多すぎて、自分のコトにまったくもって気を回す余裕がなかったのだ。 その、擦り剥いた箇所へシラスが手を翳すと、 見下ろしている間に、血が止まって薄皮が張って、もうケガをしてから数日経ちました、ほどに回復してゆく。 魔物であるシラスが、どういう仕組みで魔法を使っているのかボクには判らないのだけれど、一般的に「白」魔法と呼ばれる、魔法介護士が使う「治癒魔法」とは違う経由で、シラスは傷を塞いでいるよう……なんである、詳しく調べてはないんだけれど。 「やめてよ、シラス、ボクなら大丈夫だよ」 手を翳していたシラスの額に、じっとりと汗が浮かんでいるのに気づいて、ボクは慌ててヤツの腕を押さえた。 たったこれだけのことだったのに、ヤツの呼吸はすっかり上がっていて、いかに赤縛のダメージが大きいのか、窺い知れる。 ち。 小さくシラスが舌打ちする。 思うように動かない体にイラついているのが判った。 「あー……そうだ!ほら、お粥!ほら、ボクお粥さん炊いたから。病人にはお粥ツキモノだし。食べるでしょ、シラス」 我ながら唐突だなぁとは思ったけど、何とかこの重苦っしい空気を打破しようと、ボクは底抜けに明るい声を出した。 「――粥かよ」 「なんだよ、お粥さんバカにすんなよ」 「病人にツキモノの食べ物なら、別にあるだろーが」 「え?何?」 聞きながらボクは引き攣った。 あれか。 「生気喰わせろ」っていう流れか。 ボクは珍しく敏感に察知して、思わず首筋を手で覆う。 普段なら、断固として拒否の構えを取るんだけど、こうして、さっきまで半分死にかけていた相手から頼まれるって言うのは、どんなにイヤなことでも、「イヤだ」と無下には断りにくい。 そもそも、赤縛でシラスは体力がかなり落ちているんだろうし、その場合、なにより傷んだ体を治すのは、きっと生気が有効なんだ――というのは、説明されなくてもボクにも判る。 なんせ、もともと魔物の栄養源な訳だし。 理屈は、判る。 だけど、やっぱりボクは痛いことをされるのは好きではなくて、それが例えばムドゥブやラントリアルではない、意思の疎通が少なからずできる、シラス相手であったとしても、 加減して食べてくれているというのは重々承知しているのだけれど、 だとしても、やっぱりボクは怖い。 でも。 どうしよう。 この場合、「痛いからイヤだ」で断るのは、ちょいと人道にもとるだろうか。 でも痛いのはイヤだし。 「……何を一人で百面相してるんだよ?」 本音と建前の板ばさみになってうんうん唸っているボクを、不思議そうに見上げて、シラスが首を傾げる。 「いや。シラスが言いたいことはよーーーく判るけど、ボクにもいろいろと覚悟って言うものが」 「覚悟?」 不審そうに言葉をそのまま繰り返して、わかんねぇな、とシラスは呟いた。 「リンゴ剥くのがそんなに悩むことか?」 「は?」 思わずボクの喉から、まるで素っ頓狂な声が漏れる。 色気もへったくれもないのだけれど、素で出てしまったんだ、しょうがない。 「……リンゴ?」 「リンゴ」 うん、と頷いたシラスに、ボクは呆けたままああそうだよね、とか口が勝手に動くのを聞いた。 「そうだよね!風邪とかにリンゴはツキモノだよね!うんうん判る判るよし任せといてボクが腕によりをかけてウサギさんリンゴを剥いて」 剥いて。 言いながらボクは、自分が何を考えていたのかシラスに悟られないようにと焦って、さかさかとりんごの皮をむき始める。 危うく墓穴を掘りかけたのだ。 掘った穴は早めに埋めてしまうに限る。 たぶんそんなボクの考えはお見通しなんだろう、薄く笑ったまま、しばらく無言でボクがリンゴを剥くのを眺めていたシラスが、 「――あの時、どうして言い合いになったか覚えているか?」 不意にぽつんと呟いた。 「え?」 何かを懐かしむようなシラスの声に、ボクは手元のリンゴから目を上げて、こっちをじっと眺めている金色の瞳を見返した。 「あの時、って?」 「聞きたくもなかったが、聞こえたからな」 「もしかして、今さっき、ネイサム司教に話していた喧嘩の話?」 まいったな。聞かれていたんだ。 たずねるとああ、とシラスが頷く。 「理由――理由ねぇ……なんだったっけなぁ、シラス覚えてるの?」 「キミは忘れたのか」 「うん」 ボクが首を縦に振ると、ヤツはそうかと苦笑う。 「忘れているなら、いい」 「何だよ。気になるだろ。言ってよ」 「忘れたってことは、忘れたほうが良い理由があったかもしれないだろ。わざわざ思い出して不愉快になりたいのかキミ」 「……不愉快になるかどうかはわからないけど、そこまでもったいぶられたら昼寝も出来なくなるから教えてよ」 余計に気になる。 ボクはシラスの胸倉をつかむ勢いで詰め寄った。 「不機嫌になったりしないって誓うから。言って」 「学校のさ」 「……学校?」 そういや、最初に育った山村にはなかった施設のひとつに、学校があった。 王都の学校といったって貴族が通うんじゃなし(そもそも貴族サマは多分屋敷に家庭教師なるものがくると思う)、そうそう立派な建物がある訳でもなくて、多目的に使われるおんぼろの建物に何人かの先生が通って、一日一時間か二時間、書き取りや計算の仕方を教えてくれたりする場所を「学校」と近所の人は呼んでいたのだった。 ああ、でもなんかハルアがたまに混じっていたような気がしなくもない。 アイツなんか、当時はご立派な「皇太子さま」だった訳で、お城で通り一遍の勉強も帝王学も学んでいたろうに、なんだって街の学校なんかに顔を出していたんだろう。 まぁ、思い出せるのは、若い先生のスカートを毎度毎度めくっていた……とかしか覚えてないんだけど。 毎日学校があるのでもなくて、週に三日か四日、先生の都合がいいときに教えてくれていたそれは、たぶん学校というよりは、学習場とでも名づけたほうがしっくり来るかもしれないのだけれど、 それでも張り切って帳面と筆箱もって、学校に通ったものだった。 勉強は出来るほうではないし、あまり好きでもなかったけれど、それにもまして、そこに集まる友達のみんなや、優しい先生が大好きで、何年かボクは通ったのだった。 とくに、書き取りを教えてくれていた女の先生が、教える声は優しいし、髪の毛さらさらでいつもいいにおいがして、ボクはこっそり、大きくなったら先生みたいな女の人になるんだ!とか憧れていたりした。 「学校が、どうしたの」 「年に一度、親の参観日とかってあったろ」 「ああ――あったねぇ。妙に緊張した気がする。……でも、それが、なんで?」 「最初の年。俺は参観日なんざ知らなくて、行かなかったんだ」 「ああ」 思い当たってボクは手を打ち鳴らす。 「そうだ。シラス、こなかったんだ」 こなかった、というよりは正確には知らないから来ようがなかった、が正しい。 先生から『参観日のお知らせ』と書かれた半紙を渡されたはいいものの、 「お父さんお母さんに見せてくださいね」 と言われたボクは、シラスの場合その「おとうさん」にも「おかあさん」にも各当しないと思って、半紙は机の引き出しにしまったままでいたのだった。 当然、渡されてないシラスが知りようハズもない。 「……周りの友達はみんな、きちんとお出かけ着を着た父さんや、着飾った母さんが着てるのに、ボクだけは参観に来てくれるヒトがいなかった。ああ、で、たしか、家に帰ってシラスに何でこなかったのって怒ったんだ……うわぁ、ガキすぎる」 いつもよりちょっと緊張した先生と、ざわざわ後ろばっかり眺める友達みんなと。 あの半紙のお知らせは、このコトだったのだとそのときになって理解したボクは、渡し忘れていた自分のことは棚に上げまくって、来ないシラスを最大に恨んだのだ。 来るはずがないのだ。シラスは何も知らなかったんだから。 それでも、周りの得意げな顔で黒板に向かう友達がうらやましくてうらやましくて、 悔し涙を飲んで家に飛んで帰って、開口一番、鬱憤をシラスに叩きつけまくったのだった。 ――何で来なかったの。 ――ボクのことどうせどうだって良いんでしょう。 ――どうしてみんなには父さんも母さんもいるのに、ボクにはどっちもいないの。 ――シラスなんかいらない。父さんと母さんじゃないとイヤだ。 ――シラスなんかいらない。 「あああああ」 自己嫌悪の波に飲まれてボクは思わずソファに突っ伏す。 「すいません。どうもすいません」 あれだね、今時を戻せる魔法がボクに使えたら、本気であのころのボクに一発喝を入れに行くね。 というかそんなクソガキ喝どころかグーでゴンするね。 喧嘩も何も、単なるボクの一方的なヒステリーじゃないか。 頭を抱えたボクへ、ぽん、と片手ひとつ分の重さが後頭部に加わって、ボクは思わず顔を上げた。 話してちょっとくたびれたのだろう、いつの間にかまたシラスが目を閉じている。 薄く笑った頬がそのまま緩んで、なんだかいつもよりあどけなく見えて、 そういう、「いつもと違う」顔を見てしまうと、なんでだかどきどきして居心地が悪くなる。 不整脈とでもいうやつだろう、か、一度検査したほうがいいのかもしれない。 ――シラスなんかいらない。 それにしても、幼き日のボクは、なんて言葉をコイツに投げつけてしまったんだろう。 それが、一時のかっとなった言葉であったとしても、 本心から出た言葉じゃあないにしても。 そんなクソガキの言葉を聞いて、コイツは腹が立たなかったんだろうか。 悔しくなかったんだろうか。 あんな風に、どうしてまっすぐにボクを追いかけてきてくれたのだろう。 考えていると、なんだか涙がじんわりと滲んで、だめだ今日はもう涙腺がおかしい。 ずずずとボクが鼻をすするところへ、 「……泣くなよ」 片目を薄くを開いたシラスが困ったように眉尻を下げた。 「泣いてないよ」 「……昨日からキミを泣かせてばかりいる気がする……」 「泣いてないってば」 泣こうだなんて思っているわけじゃないし、そもそもベソかくなんて格好悪いし、そんなんだったらいつまで経ってもシラスにオトナ扱いしてもらえないわけで、 「べ、べつに泣き、たい訳、じゃな、ないけどね、ね、でも、き、昨日からずっと」 そう。 昨日からずっと、ボクは怖かったのだ。 お化けが怖いだとか、ゾンビが怖いとか、そんな怖さとは違う。 大事なものがなくなってしまうんじゃないかという恐怖に、ボクはずっと苛まわれていたのだ。 ボクができることなんて、本当に少ししかなくて、 その少しのことさえ、ボクは満足にできなくて悔しくて、目の前で苦しそうなシラスを見てもおろおろすることしかできなくて、 「で、でもね、泣いてもね、な、何も解決しらいからね、泣いたら駄目らって思っててね」 だけど本当は泣きたかった。 泣いて、地団太踏んで、何とかしてって叫びたかった。 でも誰も、何とかしてくれないのだから、ボクがしっかりしなきゃと思って。 胸が詰まってどうしようもなく苦しかったけれど、それをいつも無茶苦茶に投げても受け止めてくれる相手自身が苦しんでいて。 そうしてムドゥブと死に物狂いの追いかけっこをしたときも、やっぱりどうしようもなく怖かった。 もう会えないのかもしれない。 駄目なのかもしれない。 そう思うことはとてつもなく怖かった。 一度涙腺が決壊したら、どうにも涙が止まらない。 それどころかしゃくりあげて発音さえ不明瞭になってきて、なんだか我ながら子供じみていて情けなかった。 「だいじょうぶ」 さっきのように、ぐいともう一度引き寄せられて、ボクはシラスの胸に押し付けられ、乱暴に頭をなぜられる。 「心配してくれたんだな。ごめんな」 押し付けられたシラスの体はあったかい。 シャツが涙と鼻水でぐしゃぐしゃになって悪いかな、とか思う余裕もなく、ボクはみっともなくわんわんと泣いた。 泣ける場所がなくならずによかったな、なんてふと思う。 恥ずかしながら、しばらくそうして思う存分泣いてしまうと、そのうち何が怖くて泣いていたのかがよく判らなくなって、鼻をすすりながらボクはようやくシラスのシャツから顔を離した。 「なぁ、レイディ」 見計らったように、静かな声でシラスが耳元で尋ねる。 「熱くねぇ?」 「ん?」 ムドゥブの卵殻の効き目でも悪かったのだろうか。 赤縛がまだ悪さをしていてまた熱が上がったんじゃあないかと、涙が即座に引っ込んで、ボクは顔を上げる。 すると、突然シラスのドアップが飛び込んだ。 こつ、とヤツの額がボクの額に当たる。 「なに?」 「……レイディ。キミ、熱あるだろ……」 「ぅえ?」 熱? 泣きすぎて重い瞼を、ぱちぱちと瞬きしながらボクは首をかしげた。 「ありますかね、熱」 「なんかみょーに熱いと思ったら、しっかりばっちり高熱じゃあねぇか」 「うわ。うわ。うわ。赤縛感染ったとかうわエンガチョ」 聞いてボクは慌てる。 意外と我慢強そうなシラスですら、なんとなく死に掛けていたんである。 あんなのに罹ったら、ボクはあっけなくコロリと逝ける自信がある、かもしれない。 「バイキンかよ俺は……」 指でおまじないの印を切るボクに、若干呆れながらヤツが苦笑いする。 「そもそも、赤縛は人間が罹る病気じゃあねぇぞ」 「あ、そうなの」 それを聞いて、ボクは胸をなでおろす。 「キミのはどっちかって言うと頭使いすぎた知恵熱だろ」 「ちょっと。なんか今。失礼なことをさり気なく口にしませんでしたか」 「とてもとても慇懃丁寧に話しておりますですよ」 「……もう」 もう。 ムッとするよりも先に妙におかしさがこみ上げて、ボクは吹き出す。 「笑ったな」 そんなボクを見て、何が嬉しいのかシラスがニコニコとした。 「そう言えば浮腫んでるとか司教に言われてたわ、ボク」 言われて初めて、ふわふわしている気がしないでも、ない。 これ、熱のせいか。 「粥もあるしウサギさんリンゴもあるし、準備はばっちりじゃねぇか」 「寝込む態勢万端だねぇ」 まあいいか。 知恵熱なのか風邪なのか単なる旅の疲れなのか判らないけど。 折角今日は休みになったことだし、この際今日はこのままゴロゴロとここで寝て過ごそうと、目の前の魔物を眺めながら、ボクは思った。 僧侶と魔物にモドル
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図説 台湾の歴史 第1章 誰の歴史か? 1987年に戒厳令が解かれて以来、台湾の政治や社会には大きな変化が訪れた。その変化にはよい面もあれば悪い面もあるが、余りに目まぐるしい変化なので、いまだに未来の方向は見えていない。人びとはこのような時期を過渡期と呼ぶが、いったいどんな社会への過渡期なのだろうか? 秩序と安全が整い人びとが安穏に暮らすことのできる社会なのか、それとも今まで以上に混乱した、利益に追われる杜会なのだろうか? この問題に答えられる人など誰もいないだろう。 しかしそれはともかく、社会が激しく変化する時代には、喜ばしいこともいくつかある。たとえば、「思想問題」を理由に――実際にあったものであれ、でっち上げられたものであれ逮捕されるのを恐れなくてもよくなった、母語を話すことを恥じなくてもよくなった、どの民族集団エスニックグループ〔原文は「族群」※1〕も白分たちの歴史を忘れるよう強要されなくなった、歴史もただ上から与えられるだげではなく、子どもの教育を通して白分の郷土を認識する機会を持つようになった、さまざまな少数派がしだいに尊重されるようになった、などなど。 ※1「族群」は、他と異なる独自の言語や文化を持つエスニックグループを指し、以下、「民族集団(エスニックグループ)」、あるいは単に「民族」と訳した。 ようやく新しい時代がやってきたようだ。新しい時代は新しい歴史を求め、新しい民族集団エスニックグループの関係は、新しい民族集団の歴史を求める。もし歴史研究者の任務が研究だけにとどまらず、歴史を叙述することをも含むならば、薄暗い片隅に追いやられていた民族集団エスニックグループが、そこから出てきて歴史の光のなかに入ることを求めるとき、歴史研究者は、すべての民族集団に目配りをした台湾史をどのように書くべきだろう? これは台湾の歴史研究者だけが直面している大きな挑戦ではない。民族問題の衝撃と混乱に揺れる現代社会においては、世界的な問題の一つなのである。たとえば「民族の坤塙るつぼ」と呼ぼれているアメリカで、民族集団相互の関係が大きく変化した今日、ヨーロッパ系白人男性を中心としたアメリカ通史は、もはや書くことができないだろう。しかし、それぞれの民族集団のアイデンティティを満足させるような新しいアメリカ通史が書けるだろうか? 同様に、そうした新しい台湾史を叙述することが果たして可能であろうか? あるいは可能かもしれない。しかし決して容易なことではないだろう。そのことがはっきりと表れるのが時代区分についてだが、現在普通に見られる区分は、清朝統治以前の歴史時代を、「オランダ時代」と「鄭成功ていせいこう時代」とに分けるものである。「鄭成功時代」とは、言うまでもなく、漢人の立場からの時代区分であり、鄭氏政権の統治が及ぼなかった先住民にとっては、こうした区分は真実からほど遠い。「オランダ時代」という言い方もまた、漢人の立場に立ったものとは言えないであろう。なぜならそのころ漢人の人口はまだ少なく、オランダ東インド会社が支配したのは、ほとんどが先住民だったからである。では、「オランダ時代」という時代区分は歴史的事実に合致するだろうか? 答えはまた否である。私たちは、オラソダ東インド会社の統治地域が台湾南部を中心としており、その勢力もしくは「教化」が南部に限られず、細々ながら北部の若干の拠点と卑南ひなん地方〔台湾の東南沿岸部〕一帯にも及んでいたとはいえ、中部・北部及び中央山脈以東の大部分の先住民にとって、オランダ東インド会社の存在は、あまり関係のないものであった。私たちが「オランダ時代」と呼ぶとき、オランダの支配の及ぼなかった「地域」や「人間」までもその中に囲い込んでしまっていないだろうか。この種の強引な歴史区分に対して、私たちはしっかりと問い直さなけれぼならない、「これは誰の歴史なのか」と。 今日私たちが直面しているのは「誰の歴史か」ということだけでなく、実は、もっと深刻な挑戦である。それはまた、地理空間でもって歴史を定義することから生ずる難題でもある。いわゆる「地理空間をもって歴史を定義する」とは、どういう意味か? まず私たちが必ず理解しなければならないのは、私たちが属する時代はナショナリズム(nationalism)の隆盛の時代であり、世界を構成する単位は国家なのである。それは必ずしも国民国家(nation state)である必要はないが、帝国ではなく、また部族でもない。ナショナリズムという公理のもと、帝国は必ず瓦解する運命にあり、一方部族は建国せぬわげにはいかない。国家は観念的な存在ではなく、明碓かつ「神聖にして不可侵」な境界を持つものであり、もしそれが明確でなかったり、侵犯されたりすれば、深刻な衝突に立ち至り、究極的には戦争を引き起こすのである。 台湾もこうした世界的潮流の枠外に存在するわけにはいかず、近年台湾社会がもっとも困惑しているのが国家アイデンティティの問題であり、さらにはこの問題をめぐって生起する「統一か、独立か」の争いである。私たちはこの紛争に巻き込まれることを望まなくても、歴史研究者として、その影響からまぬがれる方が難しい。「統一」、「独立」、あるいは「不中不台」※3のいずれの立場をとろうとも、私たちの社会では、すでに台湾を主体として考える方法や観念がしだいに発展しつつある。これはいま現に存在している現実の問題であり、好むと好まざるとにかかわらず国家を単位とした現代社会は、国家を境界とする各種の制度と組織を作り上げているのである。現在の台湾は、国家と非国家の間にあるのだが、その内部の多くの制度や組織は、台湾を一個の政治実体と区切った領域のうちに存在している。貨幣を例にとると、「台湾元」の発行と使用の範囲は、おおよそ私たちの政治領域の範囲を出ない。パスポート、ビザ、税関、これらは言うまでもなく、境界を決める大きな力を持っている。一つの国家あるいは国家たらんと希求する杜会は、「自己」の歴史を必要とする。地域の特色を強調するこの現代社会においては、たとえ〔中国との〕統一を主張する人びとであっても、その多くは知らず知らずに台湾をその「思考の単位」としているのである。香港のように、中国に復帰したとはいえ、予想し得る限りの未来、大多数の香港人はやはり香港を「思考の範疇」とするに違いない。 ※3中華人民共和国との「統一」でもなく、中華人民共和国からの「独立」でもない、台湾の現状維持を求める言い方。 私たちはここで何も政治的主張を行うつもりはない。ここでの目的はただ、台湾の現在の状況が歴史研究に大きな衝撃と挑戦を生み出したことを指摘することだけである。この他に、私たちはまた比較・普遍という視角からも台湾の問題を見てみたい。地理的空間から一個の社会的集団〔原文は「社群」〕あるいは国家民族ネイション〔原文は「国群」〕の共同の歴史を追憶するのは、近代社会に普遍の現象である。たとえばインドネシア独立を指導したスカルノ大統領は、民族団結を呼び起こすために、常々「われわれインドネシアは過去400年間オランダに統治されてきた……」と言っていたそうである。今日のインドネシアの国境は、おおむねオランダ植民地の範囲と合致はしているが、厳密に言えぼ、オランダがインドネシア「全土」を400年も実質的に統治したことはないのである。17世紀初期、オランダ東インド会社はせいぜい今日のジャカルタ付近の地域を統治したにすぎず、仮に1942年までとしても、今日のインドネシアの国土すべてがオランダの実効支配下に在ったわけではない。台湾でも、同様の現象が見られる。いわゆる「台湾400年の歴史」とは、後の漢人(男性)の観点の後追いではないと言えるだろうか。 未来の台湾史の叙述は、どのように民族集団と歴史単位の問題を処理すればよいのだろうか? 私たちにはまだわからない。本書は、こうした手さぐりのなかで、台湾史が直面している、そして検討すべき課題をいくつか明らかにし、読者の参考に資するために書かれた。私たちは一つの系統だった通史を書くつもりはない。現在の研究成果は、まだそのような試みをすることを許さないのである。ある予測によれば、21世紀はインターネットと映像の世界である。本書の図版の分量はかなり多いが、その目的は画像イメージに満ち濫れた現代社会において、台湾史にその生存空間を獲得するためにほかならない。読者がこの本を読まれた後、細部は記憶されずとも、脳裏にいくつかの図や写真を留められることを願うばかりである。 図説 台湾の歴史
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833 たまにはよわったゆいちゃんとか ◆/BV3adiQ.o 07/19(日) 14 29 32.92 ID 8jFYO+MH0 (104) ID AA 「……はぁ」 「どうしたんですか? さっきからずっとため息ばっかり吐いてますよ?」 「んー。なんでもないよー」 何でもない人間がため息ばっかり吐く訳がない。 「ちょっと失礼しますよ」 怪しいときはまず熱を測らないと――って! 「先輩! 凄い熱じゃないですか!」 「ん~? そういえば朝から何だか熱っぽかったかなぁ……」 「熱っぽいとかそういうレベルじゃないですよ!? どれだけ鈍感なんですか!」 まさか心のほうだけじゃなくて体のほうも鈍感だったなんて……。 「とにかく、今日は早く帰ってください! こんな体じゃ練習になりません!」 それに、治るものも治らなくなってしまう。 「で、でも……今は家に憂がいないし、やることがないよぉ……」 ……そうだった。 憂は一昨日から平沢夫妻に付いて家族旅行に出かけてて一週間は家にいないんだった。 834 たまにはよわったゆいちゃんとか ◆/BV3adiQ.o 07/19(日) 14 30 13.62 ID 8jFYO+MH0 (104) ID AA 「えっと……それじゃ、どうするんですか?」 「ほぇ?」 「今は家に誰もいないんでしょう? 誰が看病をするんですか」 まさか誰にも頼まないということはないでしょうね。 「う~ん。のどかちゃんに頼もうかと思ってるんだけど……」 チクリ。 胸の奥を針で刺されたような痛みを感じた。 「また和さんですか……」 「だ、だめ……かな……?」 そう言って不安そうな目で私を見つめてくる。 「だめというか、いつまでも和さんに頼りっぱなしなのもよくないでしょう」 その目に惑わされないように、あえてきつく言っておく。 こうでもしないと、和さん離れができなくなってしまうし。 「じゃ、じゃあ……誰に頼めば……」 うるうる。 そんなに涙目にならなくても、目の前にいるでしょう。 「私が、看病しますよ」 「えっ?」 835 たまにはよわったゆいちゃんとか ◆/BV3adiQ.o 07/19(日) 14 30 54.35 ID 8jFYO+MH0 (104) ID AA 「あ、あずにゃん……ごめんね」 私の背中で謝る先輩の身体は、ぶるぶると震えていて。 だから私は、先輩の身体をぎゅっと優しく支えてあげる。 「いいんですよ。この間は、先輩が私の看病をしてくれましたし、お互い様です」 「あずにゃん……ありがとう」 そう言ったきり、唯先輩は寝てしまったのか言葉を紡がなくなった。 「まったく……弱っているときは、本当に庇護欲を出させるんだから……」 でも、それがなぜだか嬉しい。 たぶん、先輩の役に立てるから……かな。 「いつも先輩には助けられてるし、たまには恩返しがしたいんですよ……?」 本当に、私が困ったときはいつも唯先輩に助けられてる。 普段はだらけてるのに、人が困っていると途端にやる気を出すんだから。 ――本当に、不思議な人だ。 836 たまにはよわったゆいちゃんとか ◆/BV3adiQ.o 07/19(日) 14 31 35.38 ID 8jFYO+MH0 (104) ID AA 「着きましたよ、先輩」 「ん……」 道中何度か休憩を挟みながらようやく唯先輩の家に到着した。 「先輩、鍵はどこにありますか?」 「かばんの……なかにあるよ……」 鞄を探ってみる――ない。 「ありませんよ? 本当に鞄の中ですか?」 「うん……うちぽけっとにはいってたとおもうよ……」 内ポケットを探る――あった。 「ありました。じゃ、中に入りますよ?」 「うん……」 さっきから生返事ばっかりで不安だなと思いながら、ドアを開けて家の中へと進入する。 838 たまにはよわったゆいちゃんとか ◆/BV3adiQ.o 07/19(日) 14 32 16.42 ID 8jFYO+MH0 (104) ID AA 「食べられますか? 先輩」 「ん……たぶん」 そのまま唯先輩の部屋まで先輩を運んで、それからベッドに寝かしつけてから本格的に看病を始める。 「まだ本調子じゃないみたいだし、すり潰してきますね」 まだ皮を剥いただけのリンゴは食べられなさそうだし……。 そう思って席を立つと、 ぎゅっ。 裾を掴まれた。 「まって……いかないで……」 「行かないでって……言われても」 行かないとすり潰せないし。 「すりつぶさなくていいから、ひとりにしないで……おねがい」 うるうる。 あぁ、またこの目ですか……。 まるで怯えた小動物のような目。 「わ、わかりましたよ……。ですから手を放してください」 「ありがとう……」 ゆるゆる。 ゆっくりと放された手は、そのまま唯先輩の胸へと落ちていった。 「ほら、もう全然力が入ってないじゃないですか。寝てください」 「うん……。あ、ずっとそばにいてくれる……?」 「何を今更。ちゃんと寝るまでそばにいますよ」 「ありがとう……おやすみ、あずにゃん」 「お休みなさい」 ――せめて夢の中でぐらいは、元気に―― Fin
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